衆議院

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第3号 平成13年11月20日(火曜日)

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平成十三年十一月二十日(火曜日)

    午前九時三十一分開議

 出席委員

   委員長 大石 正光君

   理事 伊藤 達也君 理事 稲葉 大和君

   理事 柳本 卓治君 理事 山本 公一君

   理事 小林  守君 理事 近藤 昭一君

   理事 青山 二三君 理事 樋高  剛君

      小渕 優子君    岡下 信子君

      熊谷 市雄君    小泉 龍司君

      河野 太郎君    下村 博文君

      西野あきら君    鳩山 邦夫君

      細田 博之君    増原 義剛君

      奥田  建君    佐藤謙一郎君

      鮫島 宗明君    土肥 隆一君

      長浜 博行君    前田 雄吉君

      田端 正広君    藤木 洋子君

      金子 哲夫君    原  陽子君

    …………………………………

   環境大臣         川口 順子君

   環境副大臣        風間  昶君

   環境大臣政務官      西野あきら君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議

   官)           玉井日出夫君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬局食品保

   健部長)         尾嵜 新平君

   政府参考人

   (農林水産省生産局畜産部

   長)           永村 武美君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長

   )            木下 寛之君

   政府参考人

   (林野庁長官)      加藤 鐵夫君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議

   官)           広田 博士君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・

   ガス事業部長)      迎  陽一君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力

   安全・保安院長)     佐々木宜彦君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長

   )            岩村  敬君

   政府参考人

   (国土交通省河川局長)  竹村公太郎君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・

   リサイクル対策部長)   岡澤 和好君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  炭谷  茂君

   政府参考人

   (環境省環境管理局長)  西尾 哲茂君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  小林  光君

   環境委員会専門員     飽田 賢一君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十日

 辞任         補欠選任

  長浜 博行君     前田 雄吉君

同日

 辞任         補欠選任

  前田 雄吉君     長浜 博行君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 環境保全の基本施策に関する件




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     ――――◇―――――

大石委員長 これより会議を開きます。

 環境保全の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、気候変動に関する国際連合枠組条約第七回締結国会議について政府から報告を聴取いたします。川口環境大臣。

川口国務大臣 気候変動枠組み条約第七回締約国会議が、十月二十九日から、会期を一日延長して十一月十日朝までモロッコ王国マラケシュで開催されました。我が国からは、国会のお許しを得て、私が代表団長として出席をいたしました。

 今回の会合では、本年七月に開催されたCOP6再開会合において達成された、京都議定書のいわゆる中核的要素に関する基本的合意であるボン合意に基づき、京都議定書の運用に関する細目を定める文書を決定することが目的でありました。私は、十一月七日から十日まで開催されたCOP7閣僚会合に出席するとともに、これに先立ち、ワシントンを訪問し、米国政府関係者との意見交換を行いました。

 本日は、今回の訪米の結果とCOP7での交渉の結果について、簡潔に御報告申し上げます。

 米国では、コノートン環境評議会議長、ハバード経済諮問委員会委員長、リンゼー経済担当大統領補佐官及びドブリアンスキー国務次官と会談し、両国は、気候変動が一つの地球規模でのアプローチを必要とする緊急の地球的規模の問題であることを認識し、協議を継続するとの共通認識を得ることができました。さらに、COP7における両国の密接な協力及び米国の積極的な議論への参加を求めました。私は、引き続き、この成果を踏まえ、米国との協議を継続していく所存です。

 次に、COP7について御報告申し上げます。

 COP7において、我が国は、二〇〇二年の京都議定書の発効を目指し、合意を達成するべく、積極的かつ建設的に交渉に臨みました。最終的に、ボン合意に基づき、COP6再開会合において合意されていた途上国支援に関する決定及び当時交渉が終了しなかった吸収源、遵守、京都メカニズム等に関する細目を定める文書が採択されました。これにより、京都議定書の実施に係るルールが決定され、京都議定書の二〇〇二年発効に向けた国際的機運は一層高まりました。

 今回会合における最大の焦点は、排出量取引等京都メカニズムに関するルール及び遵守制度の策定でした。我が国は、京都メカニズムの柔軟かつ幅広い利用を可能とし得る制約の少ないルールが作成されるよう主張し、そのように合意されました。

 また、遵守制度につきましては、我が国は、遵守を奨励する実効性のあるもので、多くの国に参加の道を開く制度とすることが重要である旨を指摘し、各国の合意形成に努力いたしました。その結果、遵守制度に法的拘束力を課すか否かの問題については、ボン合意を踏まえ、京都議定書発効後の第一回締約国会合で決定するとともに、法的拘束力のある遵守制度の受け入れは、京都メカニズムの参加資格とされない形で合意を得ることができました。

 途上国の参加問題に関しましては、COP8で今後の協議の進め方に関する議論を開始することを今回会合で決定すべく、アンブレラグループ諸国とも協調しながら努力いたしました。しかしながら、途上国が新たな約束に関する協議を開始することを強く反対したため、協議が終わらずにCOP8に結論を先送りすることとなりました。また、途上国支援問題に関して、COP6再開会合において合意されていた、特別気候変動基金、最貧国基金、京都議定書適応基金の三つの基金が正式に設立されました。

 吸収源の問題につきましては、我が国所要の吸収量三・七%を含め、各国の森林吸収による獲得吸収量の上限値が正式に確保されました。

 今回の合意を受けて、我が国においては、京都議定書の二〇〇二年締結に向けた国内制度の構築が最も重要な課題と認識しております。このため、去る十二日、政府は、地球温暖化対策推進本部を開催し、我が国も京都議定書の二〇〇二年締結に向けた準備を本格的に開始することを決定したところです。具体的には、京都議定書の目標を達成するため、現行の地球温暖化対策推進大綱を見直すこと、次期通常国会に向けて、京都議定書の締結の承認及び京都議定書の締結に必要な国内制度の整備、構築のため準備を本格化することなどを決定いたしました。今後、これらの作業に全力で取り組む所存であります。

 大石委員長を初め委員各位におかれましても、地球温暖化対策の一層の推進のため、今後とも御支援、御協力を賜りますようお願い申し上げます。

大石委員長 これにて報告の聴取は終了いたしました。

    ―――――――――――――

大石委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として文部科学省大臣官房審議官玉井日出夫君、厚生労働省医薬局食品保健部長尾嵜新平君、農林水産省生産局畜産部長永村武美君、農林水産省農村振興局長木下寛之君、林野庁長官加藤鐵夫君、経済産業省大臣官房審議官広田博士君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長迎陽一君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院長佐々木宜彦君、国土交通省総合政策局長岩村敬君、国土交通省河川局長竹村公太郎君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長岡澤和好君、環境省地球環境局長炭谷茂君、環境省環境管理局長西尾哲茂君及び環境省自然環境局長小林光君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大石委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。

    ―――――――――――――

大石委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。熊谷市雄君。

熊谷(市)委員 自由民主党の熊谷でございます。

 このたび、ただいま大臣から報告がありましたCOP7で京都議定書が合意された、これから地球温暖化への取り組みというものが新しい段階に進んでいくのではないか、こんなふうに思うわけでありまして、特に我が国としては、国際的な面ではより強い指導性というのが求められてくることになるし、国内的には、温暖化に向けた確実な、責任ある実効性というものが求められてくる、こういうふうになると思います。したがいまして、きょうは、そうした視点から幾つかの問題について質問をしてまいりたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 まず、質問に先立ちまして、今回のCOP7の結果は、我が国にとってはほぼ満足するものであろう。特に、その中でも、CO2の削減、森林の吸収量というのが、三・七というものが正式に認められた、これは大変大きな収穫であったと思います。今日まで、この合意に至るまでの間、川口環境大臣を先頭にして事務方のスタッフの皆さん方、大変な努力をなさったと思いますが、改めて、このことに対して敬意を表させていただきたいと思います。

 そこで初めに、川口大臣から、今の報告の内容で尽きると思いますが、今日までのこの長い過程を振り返って、COP7の成果というものは一体何なのか、どういう意義を持っているのかということについて改めてお伺いをさせていただきたいと思います。

川口国務大臣 COP7が終わりまして非常に私としてはよかったと思っておりますが、ここに至るまでの過程でさまざまな方に御指導をいただき、政府の、これは環境省はもちろんですけれども、ほかの省の方々とも大変にいい連携のもとに仕事ができ、また国際的にも、関係の国々の環境大臣の方々と非常にいいチームワークで仕事ができたということはとてもよかったというふうに思っております。

 そういった国際的なあるいは国内的なチームワークの上に今度の合意はあったわけでございまして、これの意義ということでございますけれども、やはり二〇〇二年の発効を目指して合意に向けて最大限の努力をするということをずうっと申し上げてきまして、まさにその二〇〇二年の発効に向けての国際的な気運が非常に高まったということが最大の意義であるか、ということは、すなわち、現存の問題、課題である温暖化問題に対して対応をしていく基礎ができつつあるということが非常によかった、それが意義であるというふうに思っております。

熊谷(市)委員 さて、今回のCOP7の合意によって、今大臣から、先ほどの報告にもありましたが、諸外国のこの締結に向けた動きというものが加速をしてくると思います。

 そこで、全般的に諸外国の動向というものがこれからどういうふうになっていくのかということ、特にアメリカの動向あるいは途上国の存在、これは大きな焦点になってくると思いますが、この重要な課題に対して我が国としてどのように向き合っていかれるのか、このことについてお伺いをさせていただきたいと思います。

川口国務大臣 各国の状況でございますけれども、まず、EUにおきましては、来年九月の持続可能な開発に関する世界サミット、ヨハネスブルグ・サミットでございますが、終了までに議定書を発効させるということで、ということは、すなわち、すべてのEU加盟国が来年六月十四日までに議定書を締結すべきとする欧州理事会決定案が提案されておりまして、今後、これを踏まえて、各国の締結プロセスが本格化をしていくというふうに考えております。

 ロシアにつきましては、COP7の最後の、閉会時の全体会合におきまして、ベドリツキー首席代表が演説をいたしまして、そこで、COP7での合意がロシアの締結への道を開いたというふうに言っていました。

 カナダにつきましては、州政府等との協議を終えた上で、来年締結する意思を表明しているということでございます。これは、ボン合意の後、カナダの首相が表明をいたしました。

 アメリカ、途上国への働きかけについては、これが重要であるということは、私もそう思っております。

 ボン合意が終わりました後で三つ山があるというふうに私は思っておりまして、一つがCOP7での法的文書についての合意であり、もう一つがアメリカの参加である、それからもう一つは国内制度をつくっていく、国内の対応をきちんとしていくということであるというふうに考えておりましたが、COP7が終わってCOP7での合意というのはなくなりましたけれども、あとの二つは引き続き残っておりますし、途上国への働きかけというもう一つの山がかなりはっきりとしてきた形になりまして、三つ相変わらず山があるというふうに私は思っております。

 それで、アメリカへの働きかけにつきましては、これは日米のハイレベルの環境の協議の場もございまして、こういった場を活用いたしましてやっていきたいというふうに考えております。

 それから、途上国の参加につきましては、今回の会合で大分努力もいたしましたけれども、まず法的文書を完成させることが大事であるということでございまして、そこにまで至らなかったわけですが、私は、開会時にも、それから閉会時の話をいたしました中でも、その先に向けての動きが重要であるということを強調いたしまして、これは日本のみならず、すべての国を一緒にした形での努力が必要な課題であるというふうに思っております。

 以上でございます。

熊谷(市)委員 これから国際社会の中で主導的な役割を果たすということからすると、この二つの問題は極めて重要でありますので、動向を見きわめながら的確な指導力を発揮していただきますように御要望申し上げておきたいと思います。

 次に、国内対策でありますが、議定書を誕生させた当事国という立場からして、世界各国におくれをとらないように、むしろ先駆けて事を進めていくということが大事になってくると思いますが、これらのことに対して具体的にどういうスケジュールで行っていくのかということなり、また法制度、それから仕組みというものをどのように考えておられるか、お伺いしたいと思います。

風間副大臣 先週の十一月十二日の月曜日に、地球温暖化対策推進本部におきまして、政府は、京都議定書発効に向けまして準備を本格的に開始するということを決定させていただきました。先ほど大臣からの報告にもございましたように、次期通常国会で、京都議定書の目標を達成するために現行の温暖化推進大綱の見直しを図る、と同時に、議定書締結のための承認、そして締結に必要な国内制度をきちっと整備、構築していくために本格的に準備を進めるということが決定されました。

 この決定を踏まえまして、今先生御質問の、現行の推進大綱を見直して新たな計画を策定するということにさせていただきますし、また、目標をそれぞれ、いろいろな部分での個々の対策の導入量あるいは削減見込み量をきちっと促進していくために、例えば年ごとにその数値をきちっと入れ込む、また、入れ込んで実現をしていく上での進捗状況をまたきちっと公表をさせていただくというような、定期的に点検・評価をしていく仕組みも含めてその準備を今進めさせていただいているところでございます。

 まさに今、準備に入ったところでございまして、それらを含めて、京都議定書の二〇〇二年発効を本格的に目指して全力を尽くしてまいりたい、このように思っているところでございます。

熊谷(市)委員 ただいまの答弁にございましたように、今回の政府方針として地球温暖化対策推進大綱というものを見直していく、特に排出削減を着実に進めるようなしっかりしたものにしていく、そういうお考えのようでありますが、特に、排出量が増加傾向にある民生部門それから運輸部門、この削減対策というものをしっかりしていく必要があるんじゃないかな、こんなふうに思うわけでありますが、きょうは国土交通省からもおいでをいただいておりますので、運輸関係の削減対策の取り組みということについてお伺いをさせていただきたいと思います。

岩村政府参考人 二酸化炭素の排出量の削減対策でございますが、先生御指摘のとおり、運輸部門は、全体でいいますと二一・二%ということで二割強のシェアを占めておるわけでございますが、この排出量が、他の分野と異なりまして、一九九〇年以来二三%ふえているという増加傾向にあるわけでございます。

 とりわけ、運輸部門の中で排出量の九割を占めております自動車部門、これは一九九〇年から九九年の間に自家用乗用車が台数で四六%ふえた、また走行キロも約四〇%ふえている、その結果、CO2の排出量で約三五%ということで、他の分野に比べまして急激に増加をしているわけでございます。

 加えて、乗用車の大型化というのも進んでいるわけでございまして、所要の対策を講じない限り自動車部門からの排出量の増加に歯どめがかからないというような状況にございます。

 そういうことで、先ほどお話のありました地球温暖化対策推進要綱というのを平成十年の六月に策定いたしておりますが、この中で、各省いろいろ努力をするわけですが、運輸部門からの二〇一〇年度におきますCO2の排出量を九五年度並みの六千八百万トンに抑制をするという方針を立てております。このままの傾向でまいりますと、二〇一〇年には八千百万トンになってしまうわけでございまして、この間に、これから一千三百万トンのCO2の削減対策に取り組む必要があるわけでございます。

 この目標を達成するためには、自動車部門を中心に排出量の減少をさせるための対策を講じつつあるわけでございますが、第一に、低公害車の開発普及の促進、これが一つの大きな柱でございますが、現在その低公害車を一千万台普及しようということで目標を立てておりますが、この前倒しを図るということ。

 それから二番目に、エネルギー効率が自動車に比べて比較的高い船舶であるとか鉄道であるとか、そういった輸送機関に輸送のシフトを図る、いわゆるモーダルシフトを推進する、それによって物流の効率化を図るということが二つ目の柱でございます。

 それから三番目に、これまたエネルギー効率のよろしい公共交通機関、自家用車に比べて効率のよい公共交通機関の利用の促進、これを図るための対策を講じようとしております。

 それから、言うまでもなく、自家用乗用車、先ほどお話し申し上げたようにふえておるわけでございまして、これの走行速度を上げるということも非常に大きな対策になります。渋滞をするということは、その分だけエネルギーを余計に使うということでございまして、走行速度向上のための道路ネットワークの整備というものも一つの前提といたしているところでございます。

 国土交通省は、これらの対策を、京都議定書に向けた地球温暖化防止推進大綱の改定をこれから行うわけでございますが、こういったことをこの大綱の中に盛り込んでいくということで、関係各省と協力しながら作業を今しているところでございます。

熊谷(市)委員 運輸部門関係の削減というのは、これは全ト協、業界の理解、協力というものからすると大変御難儀なことと思いますけれども、ためらうことなく前向きにひとつお取り組みをいただきますように御要望を申し上げておきたいと思います。

 さて、次に、地球温暖化対策で最も重要なCO2吸収量の主役を果たしていく森林、森林を所掌する林野庁にもおいでをいただいておりますので、今回のCOP7の最大の成果、これは先ほどの報告にもありましたように、我が国の所要吸収量三・七%という上限値を正式に確保されたという点でありますが、森林がいかに重要であるか改めて再認識をさせられたわけであります。

 森林行政をつかさどる林野庁として、この今回のCOP7の合意を踏まえて、森林の重要性という視点から、この任務にこたえ得る森林政策というものを今後どのように行おうとしているのか、お伺いをさせていただきます。

加藤政府参考人 森林は、成長の過程で二酸化炭素を吸収することから、地球温暖化対策上重要な役割を果たしているというふうに認識をしているところでございまして、京都議定書におきましても、森林の吸収源の保全及び強化は地球温暖化対策の一つということで位置づけられているところでございます。

 林野庁といたしましては、こうした地球温暖化の防止を初めとする森林の多面的機能を持続的に発揮させるために、先般閣議決定されました森林・林業基本計画に基づきまして、重視すべき機能区分に応じた森林の整備や木材の有効利用を着実に進めたいというふうに考えておりますし、また、森林・林業に対する国民の理解の醸成に努めるなど幅広い観点から森林政策の推進に取り組んでいくこととしておりまして、これらを通じましてCOP7での合意を踏まえた吸収量の確保に努めてまいりたいというふうに考えております。

 しかしながら、先生も御承知のとおり、現在の林業、木材産業を取り巻く状況は大変厳しいわけでございまして、国産材の需要の減退であるとかあるいは木材価格の低迷などから、森林所有者自体が森林経営に対する関心を失いつつあるということが危惧されているところでございます。このため、今回改正された森林・林業基本法に基づきまして林政の一層の推進を図っていきたいというふうに考えているところでございます。

 いずれにしましても、削減目標に算入し得る吸収量は、一九九〇年以降に人為活動が行われた森林の吸収に限られることになっておりまして、こうした観点からも森林の整備保全を着実に進めることが重要だというふうに考えているところでございます。

熊谷(市)委員 今の答弁ではまだ不十分な面がたくさんあるわけでありますが、一口に言って、今森林経営というものは大変な局面を迎えているということになると思います。その結果が、日本の山というものが荒れ放題に荒れているという、そういう実態があると思います。

 今お話しのように、外材に押されて森林経営というものが実際もう成り立たなくなっている、そういう状況。間伐はしたくとも間伐材は売れない、売っても赤字になる。赤字がふえるということから間伐ができないというような、そういう悪環境というか、そういう状態に置かれていると思います。したがって、山の働き手というものがだんだんだんだん少なくなって、かつては五十万人ぐらいおった林業従事者というのは、今はもう七万人を切っている、そういう状況であります。

 遠くから見ると、山というものの美しい緑が目に入るわけでありますが、森の中に入ってみると、もやしのようなひょろひょろとしたそういう状態。日光が地面に当たらないわけでありますから、下草が生えてこない。下草が生えないと、大雨が降ってくると土砂が流れてくるという、これはもう災害につながるという、そういう問題にもなってくるわけであります。

 同時に、山が荒れるということは、動植物の多様性のいわゆる生態系というか、そういうものが失われてきている、そういうことにもつながってくるわけでありますね。森をこんな状態にほっぽらかしておいて三・七%の吸収源だけを期待しても、森はこたえてくれないと思うのですよね。

 確かに、林野庁はこのことに対する警鐘を鳴らしてきたわけでありますが、とかく林野庁から声を大にして言うと、これはもう我田引水というようなそういう解釈をされる側面があるわけでありますが、今日、地球温暖化という、これは世紀の問題として真っ正面から取り組んでいかなきゃならないということになると、森を守るということは、これはもう一林野庁だけの責任の問題ではなくて、全国民、全政府の問題としてとらえていく必要があるのではないか。

 したがって、今「環(わ)の国」づくりという運動を展開中でありますが、この運動の中心的な課題にこの森づくりというものを位置づけをしていくべきではないかというふうに思いますが、環境省のお考えをお伺いさせていただきます。

西野大臣政務官 熊谷先生お示しの問題でございますが、先ほど来からもお話が一部出ておりますけれども、森林の持つ機能というものは非常に多面的な機能があるわけでございます。一つには国土の保全という問題もございましょうし、さらには水源の涵養という問題もございましょう。そして、今お話もありました自然の生態系の維持という、森林は非常に多面的な機能を有しておるところでございます。

 特に、ことしの七月に、二十一世紀「環(わ)の国」づくり会議がその方向づけをまとめたわけでございます。その中にも、申し上げました森林の持つ多面的機能というものを持続的に発揮さす必要がある、このように位置づけられたわけでございます。

 したがって、先生のおっしゃいましたとおり、森林の整備とか保全といったものが、地球と共生するいわゆる「環(わ)の国」の日本を実現していくために、取り組みの一環として位置づけられておるというふうに思います。

 したがって、単に環境省だけの問題ではございませんで、森林を守る、そして育てていくという立場から、林野庁初め関係の省庁が相提携をして、協力をして、これらの問題について取り組んで、遺漏のないように、温暖化の効果はもちろんのことでありますけれども、森林の持つ本来の機能の養成のために各省庁が取り組んでいくべきだ、このように思っておるところでございます。

熊谷(市)委員 ぜひ、この森づくりという問題、これは重点を置いて、むしろ国民の意識の中に、あるいは運動の中に定着するような方向で御努力をいただきたいと思います。

 ここで一つ、事例を紹介したいと思います。

 三陸沿岸の漁港でありますが、気仙沼という湾があるわけであります。これは大石委員長のお地元でもあるわけでありますが。この気仙沼湾には気仙沼市と唐桑町という二つの町があるわけでありますが、昭和四十年、五十年ころから非常に海が荒れてきて、ここはカキとかホタテの養殖が盛んなところでありまして、この生産が非常に悪化をしてきたという。原因というのは、やはり湾の汚染、赤潮というものにつながってくるということで、漁民の有志の方々が、カキの生産で有名なフランスのブルターニュという地域を視察に行ったわけです。

 ところが、その海のきれいなこと、潮だまりには小魚がたくさんおる、エビとかカニも生息している。彼らは、かつての小さいころの、子供のころの気仙沼湾というものを思い出したと、そういう話も聞いております。彼らはさらに、そのブルターニュの奥地というか上流の方を視察したら、そこには何と豊かな広葉樹林がいっぱい広がっておった。やはりこれでなくてはならぬという、そこからヒントを得て、山に木を植える、そういう運動ですね、漁民が中心になって、それに市民も参加をして運動というものを展開したわけです。

 山というと隣の岩手県になるわけでありますから、岩手県の町村の理解などもいただいて、毎年そこに植林をしているという。そして今では子供たちも参加をしてきている。そして、山の子供を今度海に招いて、山と海のメカニズムというか、こういうものの体験学習までしている。五千人ぐらい毎年招いているという。これは教科書にもなっているわけでありますが、こういう運動ですね。

 日本の湾というのは川と縁が切っても切れない関係になるわけでありますから、森は海の恋人というその語源もここから発祥した、そういうことでありますけれども、そういう運動が国民の中に広がっていくということによって森づくりというものが本物になってくるのではないか、こんなふうに考えられるわけであります。

 こういう事例というものを参考にして、これからぜひ、環境省が中心になって、「環(わ)の国」づくり運動の中に森づくりというものを大きく取り上げていただきたい、このことを御要望申し上げて、ちょうど時間になりましたので、終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。

大石委員長 長浜博行君。

長浜委員 民主党の長浜博行でございます。

 今、最後の部分のお話などを聞いていて、私などは、鳩山先生もいらっしゃいますが、東京の下町で、ほとんど緑のない地域で育ちましたので、緑がCO2を吸収していくという過程などは林間学校などでも行かなかったらわからなかったような状況なので、本当に今回のこの問題というのを、私の場合は割と前回の国会のときからもずっと続けてやらさせていただいておりますけれども、一つの結論といいますか、扉が開かれたことは素直に喜びたいというふうに思います。

 大臣の報告を聞いていて、最初の三行目に、国会のお許しを得て行けたというような話が出てまいりました。直接この問題とは関係ありませんけれども、今たまたま議運の委員会の理事をさせていただいている中において、この環境と同じように、この国会は、開会中の日程の中での大臣の海外出張ということで随分話題を呈される方も中にはおるような状況がありました。

 現実には、出張された方でも、かなりの時間を削りながら、飛行機を何便か早めたり、前の便に乗れないかとか、つまらない話か重要かどうかわかりませんけれども、レセプションを削って帰ってきて国会に出たり、もちろんそのぐらい国会というのは重要なことでありますけれども、環境大臣の、特に京都議定書に関連をするCOP7においては、与野党問わず、ある種の暗黙の了承といいますか、今何をやらなければいけないかという問題については合意ができていたのではないかなというようなことを、余り内部のことを言うのも問題かもしれませんが、私は個人的にはそのように認識をしていました。

 そういった中で、実は、法案審議ではありませんが、一般質疑できょうCOP7をやらせていただく中において、私は大変重要ではないかというふうに考えていることは、この日本が音頭をとってやりつつある、あるいは、今回のことが結論ではありませんからこれからも続いていく中においての国際貢献のあり方ではないかなというふうに思うわけであります。

 今国会での国際貢献というと、多くの方々がほかの面で、例えばテロ対策だ、これから始まるのか始まらないのかわかりませんけれども、PKO等々の話も出てきますが、実は、このCOP7の問題というのは、日本のこれからの国家像を如実に示しているというか、大事な一歩になるようなところだというふうに私は思うわけであります。

 大臣が自民党員であられるかどうかよくわかりませんが、自民党という党の党是の中に憲法改正があります。この憲法改正の問題に関しても、さまざまな視点で問題意識を持っておられる方がいらっしゃるかと思いますけれども、私も問題意識を持っている人間の一人として、その場所はというと、日本国憲法の中で環境の問題が触れられていない。まあ、つくられた時期と、あるいは他国と比べても、その後の憲法改正がないわけでありますから、そういった状況の中で、触れられていないのは当然ではないかというふうに思われる場合がありますけれども、一体日本という国が世界の中でどういう役割を果たしていくのか。

 特に、環境の世紀と言われて久しいわけでありますけれども、そういった中において、憲法の中には出てこないのであるから、現実に行われる行政、諸外国との間では外交、こういった中において、どのぐらいリーダーシップを発揮されるかというところが大事な日本の国家づくりの一つの眼目だというふうに私は認識をしているわけであります。

 好き嫌いはあるかもしれませんが、ワールドウオッチ研究所の理事長のレスター・ブラウンさんという方は、いろいろ書かれたものを個人的趣味で読むわけでありますけれども、今までの軸は、日本だけではなくて、どうしても経済成長を遂げる、つまり発展途上国から先進国の仲間入りをしたいのだ、そういった議論の中で、気がついてみたら環境が悪化していたね、じゃどうしようか、こういった議論が大分あったように思われますけれども、これからは環境を主体として経済を従とする。

 これこれを開発しますよ、開発プロジェクトを立てて、それに対する環境影響調査をするのではなくて、環境に影響を与えるような場面が生ずる部分の幾つかの選択肢の中において、どのチョイスを経済の面でとるか。つまり、環境を阻害しないような形での経済がありきではなくて、環境を阻害してはならないという制約条件の中でどの経済的政策をとっていくか。コペルニクス的大転換、彼はそういう言葉を使われておりましたけれども、そういった意識をこの日本の行政、政治の場にも、あるいは、小泉首相がおっしゃられているところの国民各位に理解をしていただかなければならない。

 そんな意味において、さっきも申し上げましたけれども、法案審議ではありませんけれども環境委員会が開かれて、現実にCOP7の現場から帰られてこの議論をしているということは、私は大変重要な意義を、政治的にも日本の将来を決めていく上でも大事だという認識で、幸いに光栄にも質問に立たせていただいているわけでありますが、大臣の基本的な認識についてまず伺いたいと思います。

川口国務大臣 非常に大きな質問でございますので、どういうふうにお答えをしたらいいのかと思うわけでございますけれども。

 まず、COP7における合意が成立をしたということについて、これが日本の一つの国際的な貢献であるというふうに認識をしていただいたのではないかというふうに思いますが、私としても、環境問題で日本がリーダーシップをとっていくということは非常に重要だというふうに考えておりますので、今後とも日本は国際的な場で環境についてリーダーシップをとっていくべきであり、その観点で今回の合意もその一つであったというふうに思っております。そういう意味で認識が一緒であるということは、私としても非常にうれしく思っております。

 その次に、憲法との関係でございますけれども、環境の保全についての国民の責務、権利、また環境の保全の配慮について憲法上どう扱うかということにつきましては、各国でもいろいろな例がございまして、そういう規定を持っているところもあればないところもある、さまざまであると思います。

 我が国におきましては、今衆参両議院で憲法調査会が設置されまして幅広く議論が行われているところであるというふうに承知をいたしておりますので、私としては、そこにおける議論をフォローさせていただきたいというふうに思っております。

 それから、環境基本法におきましては幾つかの規定がございまして、例えば環境基本法の三条、四条では、環境の恵沢の享受と継承、あるいは環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会の構築ということで規定がございまして、それを受けて、国の責務あるいは事業者の責務、国民の責務という形で定められているわけでございまして、その意味では、環境基本法にはこれはきちんと定められているということだと思っております。

 以上でございます。

長浜委員 大きな問題というふうにおっしゃられましたが、本当に大きな問題なんです。

 ですから、大臣になられているということは、もちろん閣議で発言もされますし、小泉内閣を構成されている、政治家ではありませんけれども、大臣という役目においての、短期的に言えば小泉内閣の性格づくり、もっと言えば、代々内閣が受け継がれていく中においての、日本というのはどういう顔を見せている国なのかということを、その方向性を示す大事な立場におられるわけでありますので、細かい技術論ももちろん大切かもしれませんけれども、何の議論の過程の中でこのCOP7というのは位置づけられているんだろうと、たまたま運命かどうかわかりませんけれども、そういったことに関しての認識をぜひ持っていただければと。

 細かい問題というのは、きのう質問をとりに来られた方にも申し上げましたけれども、大臣じゃなくてもお聞きをしますので、基本的な物の考え方において常に持っていていただきたい。どういう国を目指すのか、環境に対してあるいは世界貢献に対して日本はどういう顔を出し続けられるのかという大切な窓口のお役目でございますので。

 そして、よかった、よかったとみんなで言っていてもしようがありませんので、たまたま民主党という政党にNC、ネクストキャビネットというのがありまして、その環境大臣をやられている方が「COP7合意に当たって」という談話を十日に発表されております。民主党も公党ですから広く公に談話を発表している中において、

  本日、モロッコのマラケシュで行われていた気候変動枠組条約第七回締約国会議で、京都議定書の運用細則となる法的文書について、最終的な合意がなされた。しかし、日本政府が法的拘束力のある遵守規定に反対し、交渉の遅延をもたらしたことは、誠に残念である。

こういうのがあと幾つか、二つ、三つ入っているんですけれども、この部分がまず最初に述べられているわけであります。

 環境問題というのは、大臣も御承知のように、大きな問題から小さな問題に至ってNGOが大分かみます。それぞれのお考え方を持っておられるNGOの中においては、やはり京都メカニズムと遵守手続、大臣がしゃべられたこの文書の中においても、いわゆる吸収源、それから遵守、京都メカニズム、法的拘束力とか罰則に関してはお嫌いかもしれませんが、先延ばしという言葉で表現していいかどうかわかりませんが、今回からは外れておりますけれども。

 あるサイドから見ていくと、先ほど貴重な時間を使ってるる申し上げました、環境という立場で世界に貢献をし、数々の公害を克服しつつ、世界のリーダーたらんとする日本の役割として、果たして今回の合意形成、例えば森林の吸収量、これだけ確保しました、あるいは京都メカニズムとその遵守の過程の中においての法的拘束力を弱めることができましたみたいな形の流れが、長い目で見た場合、日本国の国益を尊重する、国益を守るためにこういう判断をしたのだという議論に落ちつくのか、あるいはこの辺の議論を、各NGOだけではなく、各国の環境の専門家等々が見てきて、果たして国益上どちらがプラスであったのか。

 四人組というのは何のことを言っているのかなと一時思いましたけれども、例えばロシア、カナダ、豪州等々と組まれてやられていた。大臣じゃないかもしれません、当然のことながら、その前に事務局の下交渉がずうっと続いているわけでありますけれども、そういった形での議論の流れが日本の国益を長期的に見て反映をする立場であったのかどうか、もちろん御批判、反論で結構でございますので、御意見を伺えればというふうに思います。

川口国務大臣 京都議定書に限らず、すべての政策の決定というのは、長い目で見たときに、歴史の目でそれが正しい選択であったかどうかということは判断されるべきものであり、そういうことになるだろうというふうに思っております。ということではありますけれども、今回のボン合意については、現在、私の目であるいは私の考え方でこれを考えていたときに、正しい判断であったというふうに思っております。

 それはなぜかというふうに言いますと、まず、京都議定書というのが実際に発効した後で機能することが必要である。機能しないと、これは温暖化を抑制するということに役立たない、すなわち、環境十全性に資さないということでございます。

 京都議定書というのは、そもそも、合意を九七年にされました時点で、そこに今盛り込まれているさまざまな規定が盛り込まれて、それを前提として合意が出発をしているわけでございまして、今回、COP7での交渉におきまして、日本の交渉団、日本のチーム、代表団といたしまして、ほかのアンブレラの国々ともども、これは全く考え方が一致をいたしておりましたので、どこがどこを引っ張ったということではなく、全員が一致をいたしまして、ここに定められている京都メカニズムが実際に機能するものでなければ、この議定書は将来的に環境保全、環境十全性という観点から見て資さないであろうということを考えたわけでございます。

 これは約束期間、第一約束期間について今いろいろなルールがあるわけでございまして、そのうちの幾つかについては第二約束期間でまた新たに検討をするとされているものもあるわけでございまして、そういう観点から、このルールが、実際に市場メカニズムをたっとぶ我が国を初めとして、アンブレラの国々にとって、企業の創意と工夫と主体的な参加を可能とするような形になるということが重要である、そういう考え方に基づいて交渉いたしましたし、その意味から、今回の合意に至るまでの判断は正しかったというふうに考えております。

 それから、遵守についてのことでございますけれども、これは非常に細かくなってしまいますので、余り細かいことを申し上げるつもりもございませんけれども、遵守について日本がこだわりましたのは、そもそもボン合意の後でテキストをつくっている段階で、ボン合意において遵守についてのところで決定された合意と、それからメカニズムにおいて触れられているところとの間で不整合があって、これはボン合意の後で、ボンの会議において当時のプロンク議長自身も認めていらっしゃるところでございますけれども、これの不整合をなくすということが非常に重要であるということをやはりアンブレラとして考えたということでございます。

長浜委員 今の御説明であれば、ある意味ではボンのアグリーメントからマラケシュのアコードに至る過程においての蒸し返し議論はやらないということではなくて、不完全な部分の充足をしたという、さまざまな見方があるのかもしれませんので、今の説明というのは私は理解をできる部分でありますけれども。

 さて、それでは、現実問題として、これから評価は歴史に任せるとして、いずれにしろ八年から一二年、この八年から一二年に行く過程において、とにかく、二〇〇二年というとぴんときませんが、来年。先ほどのお話、前の方の質問のお答えの中にもありましたように、EU諸国としてはとにかく早く発効させたいということははっきりしていることでもありますし、来年の九月にちょうどヨハネスブルクで開かれるWSSDの地球サミット、プラス10ですか、これまでには当然発効させていきたいという意向を持っておられるところも多いわけでありますけれども、通常国会は一月から始まります。大体、大臣の頭の中ではどのぐらいのタイミングでこれを批准していこうというような形を持っておられるんですか。

西野大臣政務官 その問題につきましては、先ほど副大臣からもお答えが別の質問で出ておったというふうに思いますが、COP7の会合が終わりまして、直ちに政府の方で対策推進本部の立ち上げがありました。したがって、次期の通常国会は来年の一月、こういうことでございますが、それに向けて、当面はこの地球温暖化対策の大綱を見直す必要があるところでございますので、その見直しを行って、そして国内制度の整備、構築に向けて本格的な準備を進めていく、そういう段取りになろうかというふうに思います。

 したがって、二〇〇二年、来年の締結を目指して、引き続き全力を尽くしながら、批准を目指して取り組んでいくべきだ、このように思っております。

長浜委員 今お話のあったように、十二日に地球温暖化対策推進本部、本部長はもちろん総理でありますが、ここでも批准に向けての、今、西野さんが言われたような、総理からも決意が出ているようでありますけれども、九八年に制定をされた地球温暖化対策推進大綱はどちらかというと理念的な部分が多くて、こういった、先ほど来お話しになっておられるテクニカルの部分を処理していくためにはより具体化する方向に入っていかないと、とても時間的に間に合わない。

 本当に、小泉さんじゃありませんが、複雑に絡み合った日本の行政あるいは官の機構の中においてこういったものを解きほぐしていくのは、去年からずっと申し上げておりますように、COP7の、なぜCOP7になったかといえば、単純に言えば、COP6でけりがつかなかったからずれ込んだということでありますので、この時間的ロスが果たして日本の国会の審議の中においてはプラスになっているのかマイナスになっているのかわかりませんけれども、かなり今までの形を、ライフスタイルだけではなくて、既に産業界の中で常識となっているメカニズムを変えていくというのは物すごくエネルギーが要ることでありますから、余りゆっくり構えておられない方がいいと思います。

 まず第一に、原発の大量の増設というのが、九八年当時、CO2を減少していくためには大分寄与していくだろうというようなこともあったやに記憶をしております。

 しかし現実は、この間の日曜日の三重県で、これは具体的な電力会社があって、その案件があってどうするかという住民投票ではなくて、地域を活性化するために原発を持ってきたらどうだという地域振興のための住民投票ではありましたが、基本的な流れとして、日本の中においては、あれがすべてではもちろんありませんが、原発に対する考え方はかなりネガティブという認識を持っております。

 このCO2の問題、COP7の問題、日本の原子力発電所をこれからどうつくっていくかということに関しての御見解を伺いたいと思います。

川口国務大臣 原子力発電につきましてですけれども、これは二酸化炭素排出をしないということでございまして、ヨーロッパの国、例えばフランスあるいはスウェーデン等でもかなりこの発電に占めるシェアは高いわけでございます。

 地球温暖化対策推進法に基づきまして策定されました基本方針にございますように、原子力発電は、原子力の開発利用については、「放射性廃棄物の処理処分対策を充実させつつ、安全性の確保を前提として、国民的議論を行い、国民の理解を得つつ進める。」というふうにされているわけでございます。

 現行の地球温暖化対策推進大綱では、二〇一〇年までに約二十基の原子力発電所の新設を見込んでいました。平成十三年度の電力供給計画におきましては、二〇一〇年までに十三基の新増設が予定をされています。このうち、旧電源開発調整審議会、電調審で答申が出されまして所定の手続を進めているもののうち、二〇一〇年までに新設されるものは七基ということで進んで、数は少なくなってきているわけでございます。

 ということでございますけれども、原子力発電につきましては、やはりこれは温暖化対応という意味では重要な柱であるというふうに私は考えておりますので、先ほど申しました地球温暖化対策推進法に基づきます基本方針に従いまして温暖化対策を推進していきたいというふうに思っております。

長浜委員 大変重要な発言だとは思いますが、とにかく、時間の問題もありますので、経済産業省等々も絡んでいることとは思いますけれども、あくまでも環境省がリーダーシップをとりながらこういった問題を進めていかないと、多分、総理が全部やればいいじゃないかということになっても現実にはできませんので、どこかの官庁が主管という形になるならば、COP7関連と言ったらなんですが、環境問題に関しては、従来申し上げているとおり、環境省が各省庁にまたがって統制をつけていかないと収拾がつかないというふうに思います。

 排出権取引についてどうしても聞いておかなければなりません。私たちにはなかなかなじみがない部分でありますし、しかも、国際面と国内面と両方の問題、このスキームがこれから確立をしていかなければならないというふうに思っております。

 この排出権を二酸化炭素に限定をするのか、温暖化ガスというのは六種類あったと思いますが、すべてを包含していくのか。あるいは、その排出権取引は参加を自由、任意参加とするのか。排出枠の設定方法は、デンマークやイギリスがとっておるグランドファザリング方式にするのか、あるいはEUが盛んに推奨しておりますオークション方式にしていくのか。こういった問題の議論についても日本がリーダーシップをとれるのか、あるいはもうそれは決まったルールの中で日本も粛々とやっていくだけだ。

 時間がないので答弁はこれだけでも構いませんけれども、もし時間があれば、今度は逆に、国内におけるところの、今まで環境省が検討してきたいわゆる環境税、炭素税等々のこういった問題。環境税等々と、それから国内での各企業間、業界間での排出権取引を活性化することによっての効果を高めていくのか、こういった問題についてちょっと最後に伺います。

炭谷政府参考人 ただいま御質問の排出量取引につきましては、確かにこれは、地球温暖化対策という面では、大変費用対効果の高い取り組みであるということで、私ども、これについて現在、中央環境審議会、また特別の専門家による委員会をつくりまして検討いたしております。

 ただ、先生御指摘されましたように、この問題について国際的な動きが大変急でございます。例えばアメリカでは、企業が三十社程度で排出量取引をやろうということで現実的な動きになってきておりますし、イギリスでは来年からスタートする、またEUでは、二〇〇五年から試行的にやってみようじゃないかということで理事会で決定されております。このような国際的な取り組みを十分にらみながら私どもとして検討を進めていかなければいけないというふうに考えております。

 ただ、この排出量取引制度につきましては、二〇〇二年の京都議定書の締結の際の前提という位置づけにはいたしておりませんが、先ほど申しましたように大変費用対効果のよい制度でございますので、検討を進めているところでございます。

 それから、環境税との関係でございますけれども、これは、世界の流れを見ますといろいろなやり方があるようでございます。英国のように、排出量取引と協定、それと税と、三つを組み合わせているという制度もございます。それからEUのような形は、どうも、税等を組み合わせないというやり方もございます。また、研究者の間もいろいろなやり方があるようでございますので、多角的な検討という面で進めていきたいというふうに考えております。

長浜委員 いずれにしましても、オプションとかスワップとかデリバティブに発展をしていく、マーケットとしても、どういう認識かわかりませんが、魅力的と感じておられる方々も多いようでありますので、どちらかというと日本人は苦手でありますから、こういった部分に関してもよく御注意を払っていただきたいということをお願いして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

大石委員長 近藤昭一君。

近藤(昭)委員 民主党の近藤昭一でございます。

 川口大臣におかれましては、モロッコという遠いところだと思いますが、お出かけをいただきまして会議に御参加いただいて、大変にお疲れさまでございました。

 先ほどの報告の中にもありましたように、本当に環境問題というのは重要な問題で、多くの国が関心を持っている。私も、先週韓国に行ってまいりまして、有志の国会議員、西野先生もお見えになっておられましたけれども、日本と中国と韓国の代表といいましょうか、関心を持つ人々が集まって、このアジアの地域、日中韓で協力をして、リーダーシップを持ってやっていこう、そういうフォーラムでございました。

 私の知る限りでは、中国という国は、三国間交渉といいましょうか、そういった仕組みは余りつくらないのではないか。つまり、日中とか中韓とか、そういう組み合わせはつくっても、日中韓みたいな幾つかの国の仕組みは余りつくらない国だというふうに思っていました。そういうところが、まさしく日中韓でやっていこうという大変な取り組みを、意気込みを見せたのは、やはりそれほどまでにこのアジア、環境問題は地球規模だ、もちろん日本も韓国も、そしてまた、多分中国においても大変な環境問題が起きている、こういうことだと思います。

 そういう中で、これは改めてもう一度お聞かせをいただきたいわけでありますが、先ほどもおっしゃられました、川口大臣の、日本が国際社会の中で、地球温暖化問題また環境問題に対してどのようにリーダーシップを発揮されていかれるおつもりでおられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。

川口国務大臣 温暖化問題のみならず環境問題一般に、日本は、ブラジルのリオデジャネイロで十年前に行われました会議のころから非常にリーダーシップを発揮してきているというふうに思います。今回のマラケシュでの合意は、その先達の取り組みを踏まえた日本としての国際的な貢献であったと思っております。

 環境問題が、環境問題であるという観点のみならず、政治問題でもあり経済問題でもある、さまざまな側面を持った問題であり、今後の国際的な場裏において、環境がまさに安全保障の一環とも言える新しい重要な役割を含んでいるという観点も含めまして、日本として今後とも引き続き環境についてリーダーシップをとっていくべきであり、私としてもその一助となれれば非常に幸いだと思っております。

近藤(昭)委員 大臣がお考えになられるリーダーシップというものについてまたお伺いをしたいと思いますが、その前に、今ちょっとお答えの中にありました安全保障の面からもということでおっしゃると、具体的にはどういうようなことをイメージされて今のお言葉をおっしゃられたのかなと思うんですが、いかがでしょうか。

川口国務大臣 これは私見を申し上げたというふうに申し上げた方がいいと思いますけれども、平和と環境というのは非常に密接な関係を持っていると思います。環境がきちんとした形でない、環境が保全されていないような状況では、まさに今の貧困というものが、その結果として貧困がどんどん悪化していくということもございますし、世界的に安定的な状況でないという意味において、安全保障との関連で環境は世界的にも語られているのではないかというふうに思っております。

近藤(昭)委員 今大臣がおっしゃったように、大変に環境問題というのは、多分、そういうある種の貧困とかかわってくるところもあるんだろうなと思います。

 せっかくですので、私見かもしれませんけれども、ぜひ大臣のそんなところのお考えを聞かせていただきたいのですが、アメリカで起きました同時多発テロに関連して、今アメリカがアフガニスタンに入っているわけでありますが、大変に環境が厳しいところである。砂漠というか、非常に乾燥したところである。ですから、そういうところでは、いろいろな医療支援をしようにも医療支援をする前の水がない、食糧をつくるにも水がないというところで、多くのNGOが井戸を掘ることから始めておるわけであります。

 ところが、残念ながら、今こういう大変に厳しい状況の中で、そういったNGOもなかなか現場に入ることができない。そうすると、せっかく――今大臣もおっしゃったように、安全保障といいましょうか、平和というものが非常に大事だと私も思います。今回のアメリカで起こったテロに対してどういう評価、もちろんテロはいけないけれども、なぜテロが起こったとか、そういう評価はなかなか難しい側面もあると思うんです。

 ただ、今大臣もおっしゃった認識を持っていらっしゃるとすると、そういった貧困の問題を解決していくことが一つの安全保障につながるというお考えであるとすると、どうでしょうか、私もどういうふうに質問していいかちょっと迷っているところでありますが、現実問題として、そういうところにかなり日本が貢献をしていくべきではないかと考えるわけであります。

 今アメリカがこうして、確かにテロはいかぬ、テロを根絶するんだということでアフガニスタンに対して武力行使をしている。そういう中で、そういった環境を改善する、環境をよくしていくというNGOがなかなか動きにくい。こういう意味では、かえって安全保障を阻害すると言うと言い過ぎかもしれません、考え方が違うかもしれませんが、私は、日本がイニシアチブをとるのはまさしく平和、そして、そういった貧困のもとにある環境改善というのは非常に重要だと思うんですが、大臣、私見で結構でございますので、少しお考えをお聞かせいただければと思います。

川口国務大臣 アフガニスタンのケースにつきましては、私も新聞で読む以外のことは全く存じておりませんので、具体的なケースについてコメントは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、一般に、貧困と環境の表裏一体の関係ということについては非常に大きな問題とされ、リオデジャネイロでも、あるいは今度のヨハネスブルグでのWSSDでも議論されるテーマではないかと思います。

 それから、水の問題もそれと密接に関係した問題として、二十一世紀の最大の問題の一つであるという位置づけがなされているというふうに思っております。

 日本がそういった支援について、特に環境分野での支援は、今全体としての数字は持ち合わせておりませんけれども、非常に大きなものがありまして、これは国際的にも、これだけのことをやっているという意味では誇れる数字だろうと思います。

 ちなみに、温暖化の例で言いますと、九七年の十二月に、京都の会議の後だったと思いますけれども、京都イニシアチブというのを発表いたしまして、人づくりへの協力、それから最優遇条件での円借款、三番目に、我が国の技術、経験の活用、移転の三つの柱で成り立っているものでございます。

 具体的には、九八年から二〇〇〇年までの三年間で、研修等を通じまして約四千七百人の人材育成に協力をいたしましたし、温暖化対策関連、これは省エネルギー、新エネルギー等でございますけれども、この円借款を九七年十二月から二〇〇一年三月までの間に四十八件、約五千八百億円の供与を約束いたしたところでございます。

 ということで、まさに支援という意味では、日本としてはかなりのことをやっているというふうに考えます。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 安全保障という具体的なお言葉も使われましたし、環境問題でぜひ、国内そしてまた国際的にリーダーシップをとっていただきたいというふうに思うわけであります。

 ただ、先ほど私どもの長浜議員の方からも同じような質問をさせていただいたわけでありますが、今回の遵守問題については、私はやはり、残念ながら日本はかなり後ろ向きな発言をしたのではないかなというふうに思っております。先ほど大臣は、いわゆる不整合な部分があったと。ですから、改めてこれを持ち出したのではなくて、その不整合な部分を、どういうふうに解釈に整合性を持たせていくかということでの遵守問題を取り扱ったまでだというお答えをされたわけでありますが、私は、一つにはその不整合の部分は何だったのかなということ。

 もう一つ、さはされど、御承知のとおり、世界のNGOが選ぶ化石賞、残念ながら私は今回マラケシュに行くことができなかったわけでありますが、昨年はCOP6にも赴きました。会場に、世界の化石国家と、幅三メートルぐらいのところに展示ブースがあって、そこに一位、二位、三位と。その中で日本の国旗が、どこかでショー・ザ・フラッグなんという言葉もありましたが、日本の国旗がばんと立てられて、一位、二位、三位といいましょうか、上位を占めているのを大変に残念に思った。そして、今回もやはり日本は一位を、私の調べたところによりますと、一位を六回、二位を二回、三位を三回も受賞したことになっている、こういう状況。

 もちろんそれは、NGOがそういう判断を下して、決して世界的にそうではなかったという言い方もできるかもしれませんが、現実的にそれほどまでに日本が一位を占めているということは、やはりかなり日本が後ろ向きな発言をしたのではないかというふうに危惧をしているわけでありますが、いかがお考えでしょうか。

川口国務大臣 遵守につきましての考え方は、先ほど長浜委員の御質問のときにお答えをしたとおりでございまして、これは、不整合がメカニズムの部分と遵守の部分との間にあった、これはプロンク議長も認めているところでございますが、あったということでございます。

 これが残念ながら生じてしまいましたのは、ボンでの会合の折に、遵守について最後のぎりぎりの段階で議論をしていったということがございまして、その時点でほかの部署との不整合性について事務局がチェックをする時間がなかったのか、あるいはチェックをしたけれども見落としたのか、そのあたりはよくわかりませんけれども、そういうものが残ってしまったということでございます。

 NGOの方々に、この遵守についての不整合を直そうとしたということについての御理解が十分に得られなかったといたしましたら、それは大変に残念なことであると思いますけれども、我が国としては、ほかのアンブレラの国々と一緒に、この京都議定書がいい環境の保全、温暖化の抑制に資するものになるようにということで考えて行動をしたわけでございまして、決して後ろ向きにということではなかったわけでございます。

近藤(昭)委員 NGOにはその不整合の部分が十分に伝わらなかったというお答えですが、ぜひその不整合の部分をもう一度御説明いただきたいなというふうに思うわけです。

 やはり川口大臣も、十一月七日の閣僚級会合の席では、すべての国がボン合意を再交渉しないように呼びかける、これは、今の言葉で言えば再交渉ではなくて整合性をとるということだったかもしれませんけれども、しかし、やはり私は、このスピーチの中でわざわざそういうふうにおっしゃっていることを考えれば、もう少しきちっと説明をいただけないと納得できないわけでありますが、いかがでしょうか。

川口国務大臣 近藤委員まさにおっしゃっていただいたように、これは不整合を直すということであってリオープンではない、この不整合をこのまま残しておきますとまた将来的にも問題が生ずるということであったと私どもは考えております。

 どういうところが問題であったかということを説明をということでございますので、若干細かくなってしまいますけれども御説明をさせていただきたいと思います。

 すなわち、まず、現在のボン合意の文言というのは、もともと京都議定書の遵守制度を定めた変更協定というものを前提にしたものでございまして、京都議定書と、それから変更協定、京都議定書を変更したその協定の二つを各国が採択するということで、変更協定を受け入れた国のみが京都メカニズムを使用できるようにしたものでございます。

 先ほど申しましたけれども、ボン会合の交渉過程で遵守の部分のみが議論が行われまして、最終的にボン合意では、変更協定の方式というのは事実上選択肢ではなくなったということでございましたけれども、メカニズムのテキストの部分というのが、議論がそういう意味でできなかった、あるいは修正をする時間がなかったのか、あるいはその修正をすることを実際にそこで見落としたのか、そこはちょっとよくわかりませんけれども、いずれにしても、その関連の規定が修正をされなかったということでございます。

 日本のポジションというのは、メカニズムテキストにつきまして、その変更協定を前提とした遵守制度に従うという規定については、本来修正されるべきものであるというふうに日本としては解釈をいたしていたということでございまして、したがって、不整合がそのまま残ってはいけませんので、本来修正されるべきものというふうに考えていた立場から、その不整合をなくし、修正をするということを言ったわけでございます。

近藤(昭)委員 何かよくわからなかったような気もするんですけれども。

 そうしますと、結論というか、大きな考え方だけちょっとお聞かせをいただきたいのですけれども、つまり、そういった不整合があったということかもしれませんけれども、遵守手続、これをきちっと遵守するということが大事だと思うんです。

 先ほど、ほかの議員の方に対する答弁の中で大臣も、とにかくこの議定書が発効することが重要で、もちろん発効しさえすればいいということではないというふうにお答えだと思うんですが、やはり大事なことは、もともとこの京都議定書が生まれてきたというのは、冒頭私も申し上げましたように、本当に世界的な規模で環境問題が大変に深刻化してきた、何とかしなくてはいけない、そして、それは一国では解決ができないんだ、だから世界の国が集まって取り決めをしようじゃないかということだったと思うんです。そしてそれは、取り決めをして実質的に温暖化ガスを削減していくということだと思います。単に話し合ってこういうふうにしていこうよという懇話会ではなかったと思うんです。

 そういう意味で私は、遵守規定というのは本当に厳しくすべきだというふうに思っていまして、国内でもそうですけれども、大事なことは、いろいろなことが、政策が目まぐるしく変わっていくということはよくないと思うんです。特に環境問題は長期的な目で見る必要があると思うんです。

 ですから、今は遵守規定は厳しくしなかった、でも例えば、二〇〇二年に発効をしてきた、しばらくたっても全然効力がない、だから、またちょっと途中で、途中でといいましょうか、目標の年月よりも早くに、途中経過の中で集まって、もう一度厳しい規制にしようよなんということはなかなかできないと思うんです。

 つまり国内でも、これから国内規定なんかもいろいろとやっていかれるわけでしょうから、そうすると、突然といろいろな施策が、今までは、そういう規定はあるけれども、それを必ずしも守らなくても報告をすれば京都メカニズムには参加できるよと。ところが途中から、やはりそれはちゃんと遵守規定を守らなければ、報告だけじゃなくて守らなければ京都メカニズムには参加できないんだ、こういうふうに急に変わったりすると、とてもじゃないですけれども、世界も、また国内でもついていけないのではないか。そうすると、ついていけないということは、国内で、例えばいろいろな関係者が、企業とかが大変に困ることになる、あるいは、実質的に守られなくなるということ。

 そういう意味では、私は、本当に最初の段階からこういったことは、遵守規定は厳しくしていくべきではないかというふうに思うわけでありますが、どうでしょうか。

川口国務大臣 遵守規定がどういうふうにあるべきかということにつきましては、京都議定書、私の知っている範囲でもCOP6においては非常に大きな問題の一つでございましたし、その前の段階でも恐らくそうであったのではないかというふうに思います。

 それで、争点になっておりましたことは、遵守規定の性格をどうするかということでございまして、近藤委員がおっしゃられたような、厳しくするという考え方も一つあるかもしれませんけれども、まああるでしょうけれども、日本の立場というのは、遵守規定というのは、守れなかった国が遵守を可能とするようなそういう性格のものでなければいけない。

 ちょっと例は悪いかもしれませんけれども、単に、あることができなかった子供に対して、できなければいけないと怒るだけでは十分ではなくて、そのできなかった子供を、それをできるようにするためのそういった仕組みを内在させているものでなければいけないということでございまして、あめとむちのむちだけでは遵守をさせることにはつながらないであろうということが日本の考え方でございました。

 そもそも、遵守規定というのも京都議定書の一部でございますから、それから、京都議定書というのは条約でございますから、これを締結した国は守るというのは当然のことであると思います。したがって、まず、遵守規定というものがそもそもあるのであれば、それを守るというのは当然の前提として考えなければいけないということだと思います。

 若干話が技術的になって恐縮でございますけれども、日本が、あるいはアンブレラの国々というか、特に我が国及びアンブレラの一部の国と申し上げるのが一番正確かもしれませんけれども、も含め議論をし、全体としてボンにおいて合意をいたしました遵守規定の部分といいますのは、不遵守の場合の帰結、例えばアクションプランを出さなければいけないとか、次の遵守期間において、第二約束期間におきまして削減をしなければいけない量が一・三倍になるとか、そういうことでございますけれども、そういった帰結について、それに法的拘束性を持たせるか持たせないかということを議論して、COP/moP1といいますか、京都議定書が発効した後の第一回の議定書の締約国会合でそれを決めましょうということをボンで合意をしたということでございます。

 ですから、その遵守制度の中身ということは既にあるわけでございまして、まさにその帰結についての法的拘束性をどうするかという議論が先送りになっている、そういう状況でございます。

近藤(昭)委員 その拘束性の部分が、大臣おっしゃられたように、私は非常に重要だという認識であります。

 ですから、大臣の今のお言葉を借りると、あめとむちといいましょうか、子供のことを例に挙げられてお話をされた。子供に例えられると子供が怒るかもしれませんが、まさしくいろいろと現実問題は、なかなか世界的にも難しいんだろうというふうに思うのです。

 ただ、先ほど申し上げましたように、これがどんどんどんどんと進んでいって、あるときに、もうまさしくのっぴきならないんだとなったときに、かえって、あんた、やっぱりちっとも言うことを聞かないじゃないのということで、じゃ、厳しくしようにも、もうそのときには、いつもあめとむちを与えられて、あめも与えられている子供は言うことを聞かないようになっているんじゃないかという心配を私はするわけであります。

 そういう意味で、もう少し法的な拘束力というものをきちっとしておかないと取り返しのつかないことになるのではないか、このままで本当に目標が達成されるんだろうかという心配をしておるわけでありますが、いかがでありましょうか。

川口国務大臣 先ほど申しましたように、京都議定書は条約でございますから、条約を締結した国は守らなければいけないということにすべて尽きるというふうに思います。

 それで、先ほどその見直しについてお触れになりましたけれども、京都議定書の第十三条におきまして、定期的に締約国の義務を見直すということが書いてございます。ですから、どういう状況で見直しがなされるかということでございますけれども、そもそも、見直すということ自体は議定書に含まれていることでございます。

近藤(昭)委員 平行線になるかもしれませんけれども、そういった見直しがある。ですからその見直しのときに、見直すのはいいけれども、全然達成されていないからいきなり厳しくする、あめとむちでやってきたけれども、むちばかりになって本当に聞くのかという心配をしているわけであります。

 そういう意味で私は、日本が、日本がというか、リーダーシップを発揮すべきところは、やはり厳しく遵守規定に法的拘束力を持たせていく、これは私の考え方でありますが、こういうところでこそリーダーシップを発揮していくべきではなかったかな、こういうふうに思うわけであります。

 そしてその結果、ちょっともう一度お聞きをしたいと思うのですが、化石国家に日本が一位に何遍も選ばれた。そうすると、やはり大臣は、そういった調整――私は、調整不足と、その調整をしているんだ、整合性を持たせているんだということがNGOに理解されなかっただけではなくて、やはりこういった遵守規定についてもっと日本が厳しい意見を言ってほしかった、こういうことではないかなと思うのですが、いかがでありましょうか。

川口国務大臣 今回の合意につながりました遵守に対する規定部分というのは、日本が中心となって、日本がまさに提案をしたところでございまして、それについて合意がなされたということでございまして、日本としては、国際的なリーダーシップについて十分に発揮をしているというふうに私は考えております。

近藤(昭)委員 もちろん、リーダーシップを発揮されるべく頑張っておられると思うのですが、説明不足からなのかどうかわかりませんが、ぜひそういったリーダーシップが世界のNGOからも評価をされるというふうになってもらいたいものだなと思うわけであります。

 ところで、大臣は、今回のマラケシュでの閣僚会合に先立って訪米をされておられます。先ほどの報告書の中にも、アメリカに行った、そして緊急の地球的規模の問題であることを認識し、協議を継続するとの共通認識を得ることができたということでありますが、どういった内容でお話をされたのか、もう少し詳しくお聞かせをいただければと思います。

川口国務大臣 先ほどお話しいたしましたように、マラケシュに行く前にアメリカを訪れました。そこで話をいたしましたことでございますけれども、COP7において日米両国が密接に協力をしていきたいということと、アメリカがこのCOP7での議論に積極的に参加をしてほしいということをアメリカにお願いをいたしました。

 それから、日米の環境についてのハイレベルの会合についての話をいたしまして、アメリカとしては、そのハイレベルの場を非常に高く評価をしているというお話がございましたし、私どもの方からも、日本としてもそれは高く評価をしているということを言いました。

 この気候変動が一つの地球規模でのアプローチを必要とする緊急の地球的な規模の問題であるということについての認識をしまして、協議を今後とも継続をしていくことが重要であるということについての日米両国の共通認識を得ることができました。

 今後とも、現在アメリカとの間でやっている途上国の問題、あるいは市場メカニズムの活用問題、それから研究開発、技術開発の問題、こういったことを中心に、アメリカとの間で一緒に協力をしていきたいというふうに考えております。

近藤(昭)委員 そうしますと、アメリカも、認識としては大変に重要な問題だと認識をしている、そして、日本とも協議を継続していくということはもちろんいいのでありますが、ただ、先ほどもちょっとお話の中でさせていただきましたように、こういった話をするだけではなくて、具体的にやっていかなくちゃいけない。だからこそ、世界が集まって、そして京都議定書を決めた。

 残念ながら、アメリカは今ちょっと何かスタンスがよくわからないのでありますが、離脱を宣言したと言われているわけであります。そうすると、言っていることとやっていることがちょっと違うんじゃないかと心配をするわけであります。そして、アメリカはやはり地球温暖化の排出ガスが大変に多いわけでありますから、そういう意味では何としても参加をしてもらわなくてはいけないわけであります。

 今大臣もちょっと触れられました途上国の問題等々も課題といいましょうか、そういうものがある、そういうものを協議しながら引き続きアメリカとやっていくと。どうなんですか、アメリカはどういうふうにしたらきちっと参加をしてくると思われているのか、あるいは、将来的にはもう少し時間がたてば参加してくるだろうというふうに思っておられるのか、今後の見通しをお聞かせいただきたいと思うんですが。

川口国務大臣 米国は、ことしの三月にブッシュ大統領が京都議定書を支持しないという発言をした時点からずっと、温暖化問題について米国としてどういう取り組みが可能かどうかということについてはきちんとやっていくということを、ちょっと文言は正確ではないかもしれませんが、言っていたというふうに思います。

 私は、ことし何回かアメリカを訪れて、ワシントンで政府の高官の方とお話をいたしましたし、それから電話で話をしたこともございますけれども、その間、アメリカからずっと得ていた印象は、アメリカはこの問題を非常に大事な問題と考え、非常に真剣に取り組んでいるという印象でございましたし、今回につきましても、非常に不幸なことに九月十一日の事件に遭遇してしまいましたために取り組みがおくれてしまっているということは否めませんけれども、できるだけ早く閣僚レベルの会合を再開して取り組みを進めたいという話も聞きました。

 ということでございますので、アメリカは、どのようにしてアメリカとして取り組み、あるいは国際的にどういうふうに考えていくかということを真剣に今考えているというふうに思いますので、できるだけ早く米国が、米国の考え方を整理した上で、アンブレラの国々あるいはほかの国々に対しても具体的な考え方を示していただくということが大事だというふうに考えております。

近藤(昭)委員 ぜひ大臣、そうしてアメリカでお話しになっているわけでありますから、一体、アメリカが現在のところ離脱している一番大きな原因は何なんでしょうか。アメリカが一番こだわっているというか、アメリカが問題としていることは何なのか、ちょっとお聞かせいただけませんでしょうか。

川口国務大臣 今手元にブッシュ大統領の発言のきちんとした資料を持っておりませんので記憶でございますけれども、二つの理由を挙げておりまして、一つは、発展途上国が参加をしていないということでしたし、もう一つの理由は、アメリカの経済に悪影響がある、そういった二点を挙げていたかと思います。

近藤(昭)委員 もちろん日本は批准をする、より効果を高めるためにアメリカ入りをしっかりとやってもらう。そうしますと、どうなんですか、発展途上国が参加をしていない。私は、じゃ、アメリカはやはり出てきて、発展途上国の問題をどうするかということを話し合うべきだというふうに思うわけであります。

 アメリカの経済に打撃があると。多分、日本もいろいろなところでそういうことが言われているんだと思います。だから日本も、多分、現場へ出ていって交渉しているんだと思います。そうしますと、アメリカはまさしく、そういう課題があるのかもしれないけれども出てくるべきだというふうに思うんですが、いかがでありましょうか。

川口国務大臣 途上国の参加問題につきましては、今後全体で、これは、アメリカあるいは日本のみならず全部の国が非常に関心を持っているテーマでございまして、これについては今後どこかの場で議論が進んでいくことを私どもとしては期待をしているわけでございまして、先ほども申しましたように、私は、COP7の開会式、閉会式、両方の演説でこの点についての重要性を示唆したところでございます。

 アメリカは、そういう場で日本として積極的に参加をしてほしいということを言いましたときに、積極的に参加をするという話でございましたし、現に、アメリカにかかわり合いのある、京都議定書を支持しないという立場から問題のないところについては非常に積極的に議論に参加をしたというふうに私は認識しております。

近藤(昭)委員 ぜひ、アメリカもしっかりと参加するように我が国も働きかけるべきだと思うんです。

 翻って、今申し上げましたように、国内からも、大変に経済発展にブレーキをかける部分があるのではないか、国際競争力に影響があるのではないかというような意見もあるわけであります。

 逆に言うと、大臣おっしゃっているように、リーダーシップを持って世界の中でやっていく、そうやって頑張っていくと。そうしますと、じゃ、国内のそういった意見に対してどういうふうに説得というか話をされていくのか。

 あるいは、これを逆手にとってといいましょうか、それを逆のチャンスとして、温暖化防止対策、新たなビジネスチャンスを生むというような言い方もされておるようでありますが、大臣は、そういった一部から上がる、アメリカに対しても同じような言い方ができるのかもしれませんが、そういった、経済の足を引っ張るのではないかということに対してはどういうふうにこたえていかれるわけでしょうか。

川口国務大臣 我が国の経済界は、今までも温暖化を抑制するための取り組みについて、省エネ技術等かなり貢献をしてきたというふうに思っております。

 また、現在、足元の経済が非常に厳しいところからそういう御発言が出るのではないかというふうに思いますけれども、委員おっしゃられましたように、この取り組みというのは、まさに新しい機会でありビジネス機会であるということは、先ほど排出量取引のお話が出ていましたけれども、その意味からも前向きに取り組んでいくということは全く重要なことだというふうに考えております。

 中央環境審議会では、京都議定書の目標を達成するための国内制度のあり方を検討いたしておりまして、約百種類の対策技術につきまして経済的な評価を行いました。その結果、温室効果ガス削減効果だけではなくて、設備投資費用も考慮いたしましても、これはエネルギー費用の低減等の経済的な利益が得られますので、そういった対策も数多く存在をするということが明らかになっております。

 それから、燃料電池などの革新的な技術あるいは交通インフラの整備等の技術の開発ということもございます。その普及もございます。したがって、そういったことは膨大な投資機会を提供するものでございます。

 温暖化対策は、また同時に、現在問題になっている雇用対策にもつながるというふうに考えております。

 こういった観点を踏まえて、前向きに経済界には考えていただけますよう、また、原点に戻って温暖化に対応していくということが今の緊急の課題であり、これをやることが必要であるという観点に立って経済界とはお話をさせていただきたいと思っております。

近藤(昭)委員 環境省におかれましてやられたそういったシミュレーションといいましょうか調査では、決して後ろ向きのことばかりではない、前向きな効果も上がるんだということであるならば、アメリカとはそんな話もされていらっしゃるんでしょうか。アメリカが今、経済的な側面、経済成長を阻害するんだ、だから自分のところはなかなか課題としてきちっとそれが解決されない、見込みがないとすれば参加できないんだと、その辺はいかがでありましょうか。

川口国務大臣 アメリカとの話し合いの場には経済諮問委員会のハバード委員長も出席をしておりまして、経済への影響につきましても話し合いをいたしております。

近藤(昭)委員 ハバード委員長はどんなようなお考えを披露されたのでしょうか。

川口国務大臣 話し合いの細かいことにつきましてはここでは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、基本的に、米国側も幾つかのモデルにおいてそのシミュレーションをやっていまして、それについての考え方の説明等を伺わせていただきました。

近藤(昭)委員 そうすると、アメリカのシミュレーションによると、経済的な成長を引っ張る。日本のシミュレーションによると、そういうことばかりではない、こういうことでしょうか。

川口国務大臣 それぞれの国においてそれぞれの異なった状況がございますので、アメリカについては、日本として、これは数字の上で、あるいはモデルの上で、シミュレーションの上でこうであるというようなことを申し上げてはおりませんけれども、基本的な考え方といたしまして、今までの日本の経験からいっても、新しい環境への取り組みがビジネス機会であるということについてはお話を申し上げております。

近藤(昭)委員 そうすると、アメリカとはシミュレーションの結果が異なる、日本はそういった部分ではこうだと。こればかりにこだわるとあれですからこれ以上質問しませんけれども、ぜひとも日本のそういったシミュレーションを、シミュレーションといいましょうか、日本の考えるところをぜひ、もう既にお訴えにはなっていらっしゃると思うんですが、さらにきちっと訴えていただきたいなと思うところであります。

 ところで、さまざまな制度を検討して目標達成のために努力をしておられるわけでありますが、企業が排出量削減の自主的努力をしていく、そしてまた、第三者機関によって検討していくということになると思うんですが、これは先ほどの法的拘束力なんかとも関連してくるわけでありますが、そういった中で、なかなか効果が上がらなかったときに対しての施策はどのようにお考えでしょうか。

風間副大臣 京都議定書上の約束は、義務は二〇〇八年からでありますから、まさに企業の方々の自主的な取り組み、これについてやはりきちっとチェックをさせていただくということと、何よりも、事業者の方の自主性を重んじた制度設計をやはり立てていただけるようにお願いしていきたいというふうに思いますし、第三者による評価の仕方あるいは仕組みも同じように進めていかなければならないというふうに思っております。

 今先生御質問の、できなかった場合どうするのか、できない部分が出た場合にどうするのかということでございますけれども、これは、もう第二ステップでさらにやっていただけるような仕組みというか、それをやっていただくことが、きちっとやれるような施策を環境省としても展開していかなきゃならないというふうに思っているところでございます。

近藤(昭)委員 質問時間が終わりましたけれども、具体的には、その施策は何かお考えでしょうか。

風間副大臣 例えば国内排出量取引とか税の問題とかということも、前提としてはおりませんけれども、少なくとも中央環境審議会でも審議をしていただいておりますし、その状況もまたきちっと具体的な制度面で入り込んでいけるような形にしていきたいと思いますけれども、今、少なくとも審議をしているというところでございます。

近藤(昭)委員 ぜひ実質的な削減が実現できるように努力をお願いしたいと思います。ありがとうございました。

大石委員長 前田雄吉君。

前田委員 民主党の前田雄吉でございます。

 先般のCOP7におきまして、地球温暖化対策として、京都議定書の実施に係るルールの決定がなされました。私どもの身に翻ってみれば、地球温暖化対策として、燃費のいいディーゼルもまだまだ有効な部分があるのではないか、そう思う一方で、発がん物質であります窒素酸化物、NOx、健康を害すると言われる粒子状物質のPM、これを厳しく規制する法律で、ディーゼルエンジン車というのは大変厳しい対応を迫られているわけであります。

 そこで、NOx・PM法におきまして、その政令案に対するパブリックコメントがこの九月十日までの一カ月間で求められたわけでありますけれども、環境省はこれを整理されて、どのような内容のものがあったのか、まず環境管理局長さんに御答弁いただきたいと思います。

 また、その内容に関して大臣はどのような御認識をお持ちなのか、伺いたいと思います。

西尾政府参考人 お尋ねがございましたいわゆる自動車NOx・PM法に関するパブリックコメントでございます。これは、この法律を施行するため、対策地域の指定を初めといたしました法の実施に関する事項につきまして、先生御指摘のように、本年八月九日から一月間、インターネット等を通じまして、パブリックコメント等の手続を実施いたしましたところでございます。

 その結果、合計で千六百件余りの御意見が寄せられておるわけでございます。御意見を寄せられた方々、これは一般の市民の方々はもちろんございますし、それから各方面の事業者の方々、行政の方々、さまざまな方々から意見を寄せられております。

 コメントの内容につきましても、対策地域に関するもの、それから、この法律におきまして特別な規制をやっております車種規制に関するもの、それから施行時期に関するものなど、さまざまな意見をいただいているところでございます。

 その内容につきまして一概に申し上げるのは難しゅうございますが、対策の内容をさらに強化をしていけというふうな意見もありますし、一方では逆に、事業者その他の方々から、事情をかんがみて緩和をしてほしいという意見も多数寄せられている、以上のような状況でございます。

川口国務大臣 今局長から説明がございましたけれども、パブリックコメントに多くの意見を寄せていただいたことについては大変にありがたいと思っております。こういった意見を参考にさせていただいて、その内容について吟味をさせていただきまして、参考にできるところは参考にさせていただきたいと思っております。

 いずれにしても、法が適正に、円滑に施行されるということが大事でございますので、そのように努めていきたいと思っております。

前田委員 私は、地元でいろいろな運送業種の皆さんにお会いするたびに口をそろえて言われることは、経営の危機だということを言われるわけであります。このNOx・PM法を遵守する、法を遵守するならば、大半のディーゼルのトラックを買いかえなければいけない。そうしますと、天文学的な借金がかさむ。第一、そのお金を貸してくれるところがないじゃないか、そんな声が多く聞かれます。

 また、不適合車を廃車する。そうすると、事業を縮小しなければいけません。従業員の首を切らなければいけない。そうなればまた失業者がふえてしまう。なかなか経営者としてはつらいところもありますし、労働者としても、働く皆さんも困るところが大きいかと思います。車の買いかえについて、東京、大阪、名古屋、三都で合計しますと、一兆円を超えるという試算も出ております。

 また、トラック業を営まれる方というのは全国で五万四千社ございまして、そのうちの九九・八%が中小企業でございます。私は、先ほどの、NOx・PM法による急激な施行で経営の危機だと言われた皆さんの言葉が、あながちこれはうそではないなという気がしてなりません。

 先般行われました三菱総研の緊急実態調査というのがございます。これは全国千三百のトラック運送業者の方にアンケート調査をしたものでございます。それによりますと、今度、指定地域であります、新しく加えられます愛知、三重県、いわゆる名古屋圏でございますけれども、ここではトラックの買いかえに、何と九割以上買いかえが必要になってくるということでございます。また、何ら国等による支援措置がなく、ストレートにこのNOx・PM法が実施された場合、通常時一%程度にとどまっている廃業率が三%から七%に急増し、失業率は一万人から二万人の増加となる、こういう指摘がございました。

 私は、このNOx・PM法の施行に関して何らかの激変の緩和措置をとるべきではないかと思いますけれども、いかがでございましょうか。

西尾政府参考人 お答え申し上げます。

 運送事業者の方々を初めとするトラック等を御使用になって事業をしておられる方々、この方々は、本当にこれまでも、環境に配慮した運転に心がけるとか、いろいろなことで積極的に取り組んでいただいております。私ども、このいわゆる自動車NOx・PM法で積極的に環境改善をしていくということで、よりクリーンな自動車を使用していただくようにまた今回もお願いをしておるところでございます。

 今の案につきまして、事業者の方々を中心といたしまして、法規制の実施の立ち上がりにつきまして配慮をしてほしいという意見もたくさんいただいておるのは事実でございます。

 しかしながら、一方で、窒素酸化物の汚染、それから粒子状物質の汚染、これは一刻も早く改善をしなければいけないということで、先般の国会におきまして、国会の御審議でも対策を強化していくということの中で御審議いただきまして法改正を成立させていただいたものでございますので、その趣旨を体して実施していくということに相なりますと、やはり原案の基本的な枠組みを変えていくということはなかなか難しいというふうに存じております。

 しかしながら、今のような声もございますので、事業者の方々にもよくよく理解をしていただいて取り組んでいただかなければいけないということでございまして、その周知のため等の若干の準備期間的な工夫というようなことにつきましては、目下鋭意煮詰めさせていただいているところでございます。

 以上でございます。

前田委員 もともと、この環境に配慮した規制が的確に実施されるということについて、いい案というのは、いい燃料をつくること、そして、例えば今のトラックがそのまま使えるというふうになるためには、後づけのNOx、PMの除去装置、これがあれば一番いいわけでございます。この開発状況を環境省としてどのように把握されているのか、国内の状況を伺いたいと思いますが、いかがでございますか。

西尾政府参考人 先生御指摘のように、大気汚染対策のために、後づけの汚染防止装置というようなもので対応ができるというような技術が出ますればそれは非常によろしゅうございます。そういうことではありますが、現時点の技術的な現状はなかなかそこまで行ってございません。

 少し詳しく申し上げますと、そういう装置の技術評価ということで、環境省、国土交通省、経済産業省、三省で検討会をやりまして、本年五月にもその結果を取りまとめてございますけれども、それにつきましては、一定の成果はあるのでございますけれども、すべての使用過程のディーゼル車に制度的に組み込んでいくというところまでは行っていない、それは困難であるという結論になってございます。

 環境省におきましても、そういう装置につきまして、先駆的に装着されるような場合にその支援を行うといったようなことで、そういうものを促進する努力は今までもしてきておりますし、これからも今後の排ガスの単体規制をやっていきます。

 そういうものにつきましてどういう技術が必要かという評価につきましては、特に重点としてそういう装置、例えばPMの除去装置といったようなものにつきまして重点として取り上げまして、そういうものの技術開発は促してまいりたいというふうに存じております。

前田委員 これは、先ほど申しましたように三菱総研の数字を挙げますならば、二万人の失業者が出るかもしれない、この不況の中、非常にまたそうした不安をあおるような結果になりはしないかというふうに危惧しております。メーカー任せにするのではなくて、ぜひそうした新しい、NOx、PM両方除去できるような後づけの装置の開発にも国としてもバックアップしていただきたいというふうにお願い申し上げます。これは強くお願い申し上げます。

 最後でございますけれども、COP7の履行の円滑化というためにも、私は、単にディーゼルを悪玉にするのではなくて、例えばエコドライブを実現すればまだまだディーゼルも活用されるところが多いかと思います。

 そこで、今後の施策の中でディーゼルをどのようにはぐくまれるのか、大臣に御答弁いただきたいと思います。

川口国務大臣 我が国におきましては、大都市地域を中心といたしまして大気汚染が非常に深刻であるという問題がございまして、その原因として、自動車、とりわけディーゼル車の寄与が大きいというのが現状でございます。このため、さきの通常国会で改正をされました自動車NOx・PM法に基づく施策の実施や単体規制の強化を図っているところでございます。

 他方、地球温暖化対策という観点からは、自動車の燃費の向上を図るということが重要でございまして、例えば、燃費基準を早期に達成した車については自動車取得税を軽減することなどを行っておりまして、ガソリン車、ディーゼル車それぞれについて努力を促しております。

 今後とも、ディーゼル車の技術開発を促すことによりまして、燃費性能だけではなくて排出ガス性能が向上しまして、大気汚染対策と地球温暖化防止の両方に寄与することを期待いたしております。

 以上です。

前田委員 本当にどうもありがとうございます。

 これまで日本経済を支えてきたのは中小企業だと私は考えております。この中小企業がつぶれずに済む、何とか活力がそのまま維持できる対策を、激変緩和措置をお願いいたして、また、環境基準は守らなければいけないことは、これは大原則であります。その中で、何とか皆さんが生活できるようにお願い申し上げて、私の質問を終えさせていただきます。どうもありがとうございました。

大石委員長 鮫島宗明君。

鮫島委員 三十分の持ち時間の中で質問をさせていただきます。大分空腹になってきているので、早く終われば早く終えたいと思います。

 狂牛病関連で畜産関係の廃棄物に関する質問が二問と、PCBの処理に関する質問が二問と、後半でCOP7関係の質問を数問させていただきたいと思います。ですから、前半の狂牛病関連で畜産廃棄物の処理、それからPCBの処理の問題については政府参考人の方からの御答弁をいただくことになると思いますが、背景説明は結構ですので、ぜひ私の質問に端的にお答えいただきたいと思います。

 御承知のように、狂牛病対策で厚生労働省が、屠殺場に運び込まれるすべての牛については、危険四部位を除去して、これについては利用しないで全部焼却という政策をおとりになりました。一頭当たり約五キロの危険四部位が出ていると言われています。年間の屠殺量が百三十万頭ですから、かなりの量の危険四部位を処理しなくちゃいけない。

 それから、農水省の所轄の家畜保健衛生所では、かねてより、家畜伝染病予防法に基づいて、指定の病害にかかったものについてはやはり焼却処分をしなければいけませんということで、各屠場においても、あるいは各家畜保健衛生所においても焼却施設をお持ちだと思いますが、平成十四年の十二月から始まる新たなダイオキシンの規制に関して、この両施設が対応できるようになっているのかどうか。つまり、どのぐらいの設備率があって、そのうちのどのぐらいの比率のものが新基準に対応できるようになっているのか、厚労省、農水省それぞれから御回答いただきたいと思います。

尾嵜政府参考人 屠畜場の方、現在受け入れておりますのが百七十屠畜場でございます。そのうち、お話ございました特定危険部位の焼却関係につきまして、屠畜場内の焼却施設におきまして焼却をしているところが六十四施設でございます。残りのうちの九十一施設は、屠畜場外の焼却施設において焼却をしている。あと十五の施設につきましては、現在まだ焼却施設の確保ができないということで保管をしている、そういう状況でございます。

 それで、その六十四の施設、屠畜場で焼却をしているわけでございますが、来年の十二月から施行されますダイオキシン類の対策特別措置法の基準に対応済みのものというのは、六十四のうちの二十六でございます。残りの三十八については対応していないという状況でございます。

 いずれにしましても、しばらくの間特定危険部位の焼却というものは続けていただかなければいけないというものでございます。そういったものにつきまして、BSE対策上非常に重要な課題でございますので、今後その焼却の関係につきましては、環境省及び農林水産省とも十分連携をとりながらその確保等について対応してまいりたいというふうに考えているところでございます。

永村政府参考人 お答えをいたします。

 先生御指摘のとおり、全国で家畜保健衛生所が百八十三カ所ございますけれども、現段階でこの基準をクリアしておりますのが大体九割弱でございます。

 ただ、今回のBSEの検査体制の整備の一環といたしまして、焼却施設の整備、これも推進する事業を設けたところでございますので、来年のしかるべき時期までにはすべてクリアできるようにしたいと考えております。

鮫島委員 私は、なぜこういうことを聞くかといいますと、厚生労働省の方で決めるのか農水省で決めるのかわかりませんが、狂牛病が一頭発生して、危険四部位の除去、焼却ということを始めたら、最低やはり八年間はしなければいけないというのがEUの常識ですから、これは途中で詰まっちゃうようなことがあるとおかしくなってくる。今、農水省の方の家畜保健衛生所の焼却施設は大分、九〇%弱クリアということですが、厚生労働省の方はまだ六十四のうちの二十六しかクリアできていないということで、この辺は、予算措置を含めて、詰まらないように、流れが滞らないようにぜひ措置をとっていただきたいと思います。

 これに関連して、肉骨粉というのが、牛の屠場から出てきた非可食部分の処理が肉骨粉工場に持ち込まれて、これについても、牛由来のものは全部一般廃棄物として焼却しなさいということになっていますが、この焼却処理が順調に進んでいるかどうか。これは環境省の方ですか。

岡澤政府参考人 肉骨粉の焼却処理につきましては、既に市町村の一般廃棄物処理施設や一般廃棄物処理業者の施設によって処理が開始されているところでございます。ただ、まだ全量順調に回っているというところまでいっておりませんで、今の時点で受け入れ可能量を算定いたしますと、市町村分につきましては年間量で約十二万トン程度ということでございます。ただ、この数字は、受け入れ量未定のところもありますので今後ふえてくることが予想されると思います。

 ただ、こうした市町村の焼却施設だけでは、地域によって、肉骨粉の全量を焼却することが困難な地域が出ると思いますので、それに対応するためには、セメント工場での焼却ということを考えて、必要な制度上の措置を十月十五日付で行ったところでございます。セメント工場からまだ申請は上がってきておりませんが、早ければ今週中にも申請が上がってくるという状況になっておりますので、これが上がってくれば、こちらの手続も早速済ませて、焼却処理の能力を整えたいというふうに考えております。

鮫島委員 環境省の調査の結果、十一月十四日の二次調査の結果が私のところにも入っていますが、確かに、今おっしゃったように、受け入れてくれそうなところの合計をやれば十二万トンぐらいいくのですが、牛由来が八万トンと言われていますから、この枠で一応いけることに理論的にはなりますが、受け入れ可能とした施設においても、何らかの条件が付されている場合があるとか、やはり住民の理解が得られないというようなこともあって、現場ではかなりたまっているという情報が私どもに入っています。それは、直接レンダリング工場に電話して、ちゃんとはけていますかということを、特に九州、北海道は大分滞留していますので、その辺は目配りをよろしくお願いしたいと思います。

 数字についてですけれども、先ほど、うまくいけば十二万トン受け入れ容量があるという話でしたが、実は、牛の肉骨粉だけを単独でつくっている工場は全施設の中の五分の一ぐらいしかなくて、ほかのところは大体豚も牛も一緒。そうしますと、牛由来八万トンというのは農水省が出している数字ですが、実際に処理が必要とされる肉骨粉の量というのはその三倍ぐらいいきますから、今の数字では私は足りないと思うのです。

 川口大臣の御持論である「環(わ)の国」、この環(わ)が回るためには、どこかが詰まって抵抗ができると、技術的にはそれが事故の温床になりますし、社会的にはそこが不正の温床になる。環(わ)がうまく回るためには、途中でひっかかるところがなくて、いかにサイクリックな系を手助けしながら上手につくるかというのがポイントだと思います。

 今のこの肉骨粉の処理、大した問題ではないとお思いかもしれませんが、これは実はイギリスが最初に失敗した初期の状況とよく似ていまして、肉骨粉の処理をこうするのだといっても、実は現実的にはまだうまく回っていない。ここでその措置だけを圧力をかけますと、早晩、横流しになって、そのことがまた汚染の拡大につながって、結局日本はイギリスと同じことをやっちゃったなということを私は一番恐れるものですから、ぜひ環境省としても、破棄物処理行政に責任を持つ省庁として、この環(わ)が滞りなく回るように、ひとつ急いで御対応いただきたいと思います。これは日々、毎日出るものですから結構深刻になっていますので、よろしくお願いします。

 次に、PCBの処理施設について一、二問伺います。

 私は、四月三日の環境委員会でも一度お伺いしました。今度PCBの処理法案ができて、全国七ブロックから八ブロックに広域のPCB処理センターを環境事業団の新しい事業としてやりますということが初めに御提案されたものですから、そのときに、どうも北九州市が先行しそうだ、周囲の条件が整っていて、西日本十七県分のPCBを北九州に処理施設をつくって行うという話がそのころから見えていたものですから、もしかしたら、今北九州で総合的なエコタウンとして手当てをしている響灘地区ではないですかと、もしあの地区でやるのでしたらちゃんとアセスメントをしてくださいということを私は言っておきましたが。

 十一月の上旬に、環境大臣から環境事業団に対して実施計画の認可が出て、いよいよこれから建設が始まる。十六年の末には小規模なオペレーションをもう始めたいということで、私は、かなり急いで、随分速いスピードでいくのだなという印象を持っています。

 来年度内に着工して、二年後の十六年から部分的な運用を始めたいというふうに聞いておりますが、こういう施設をつくる以上、廃棄物処理法に基づいて生活環境影響調査、いわゆるアセスメントを当然ちゃんとおやりになるのだと思いますが、この四月のときにも言っておきましたが、この地域はとかく地元で大変うわさのある地域です。地元の方々は、どういう埋め立てられ方をしたのかというのは皆さん見ておりますから。

 私も、あそこの施設で自動車の解体の大変おもしろいラインがあったものですから、それを見に行ったり、あるいは生ごみから生分解性のプラスチックをつくる工場もありましたので、そういうのも見に行ったときに、多少あの辺の地域で話を聞きましたら、皆さん過去のいきさつ、大変よく御存じです。

 あそこでアセスメントを行うときには、ぜひ行う前に試験掘りを丁寧に行っていただきたい。そのどの地点で試験掘りを行うかという情報と、それから試験掘りを行った場合に公的機関で計量証明を発行すると思いますが、その計量証明についても情報公開をぜひしていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

岡澤政府参考人 御指摘の立地の候補地でございますけれども、私どもは、この土地はしゅんせつ土砂で整備されて特に問題がないというようなことで北九州市から提案いただいております。

 いずれにしても、環境事業団は、この立地予定地におきまして近々試掘を含めた地盤調査を実施する予定になっております。調査結果につきましては、いろいろな形で公開する予定にしております。

 それからまた、この地盤調査の結果とか、あるいは過去のデータの解析等を踏まえまして、必要な調査を追加するということも考えておりますので、そうした中でどういう調査を行っていくか詰めていきたいというふうに考えています。

 また、その結果、計量証明の必要な調査が出れば、それは当然、計量証明機関の証明をもらうということになると思います。

鮫島委員 私は、情報公開をしていただきたいというふうに質問したつもりなんです。それは、どういう公開の仕方でも構いません。ホームページにお出しになっても、あるいはこの委員会に提出していただいても構いませんし、あるいは関心のある議員が環境省に問い合わせたときに対応できるような形でも構いませんが、今言った試験掘りを行う場合の調査地点と、それから計量証明を行う必要があってそれをしたのなら、そのデータについてアクセスできるようなことを保証していただけますでしょうか。

岡澤政府参考人 御指摘のようなことにしたいと思います。

鮫島委員 ぜひよろしくお願いします。

 本題の方に入りますが、きょうの大臣からのごあいさつにもありましたように、地球温暖化対策推進大綱を見直して、いよいよ来年度の批准に備えていきたいということですが、朝、長浜委員から原子力発電の話が質問として一問出ました。

 私は、大枠で見ると、多分、今の政府の方の考えでは、三・七%の森林吸収枠を所与の枠として使えば、それから、あとフロン等の非常に温暖化係数の大きいあの三種類のガス、あれが政策効果が出るというふうに見込むと、あそこで二%稼げる。もう五・七で、あと〇・三。〇・三については、先ほど大臣がちらっとおっしゃった新技術とか、あるいは国民のさらなる努力で〇・三は行きますと。産業分野については、今七%まで伸びちゃっていますけれども、何とか努力していただいて九〇年レベルまで落としてください、つまり、そこのところはプラマイ・ゼロで何とかやってくださいということで、大体大きなスキームはできると思いますが、私は、少なくとも目の黒いうちは、あの森林吸収枠の三・七%は許さないつもりですので。

 それは、私の友人も多く森林科学の分野で研究や技術開発をやっていますし、またいろいろな方々が、かねてから天然林を含む自然林の中でその管理のボランティア的な活動もしてきましたので、私はそういうメンバーに詐欺の片棒を担がせたくないということで、これについては反対するつもりです。

 もう一つは、日本と同じような森林吸収の枠の使い方を、もしアメリカやカナダ、それからロシアも今回、私は全部使っていないと思いますけれども、彼らがフルに日本的カウントでやっていいのといってやり出したら、これはもうめちゃくちゃになって、逆に言うと、地球のCO2はふえませんよ、この枠をみんなフルに使えば何もしなくていいというようなことが起こり始める。特に、アメリカ、カナダについてはそういうことが起こり始めて、一体京都議定書は何だったのかと、根っこからひっくり返すような話にもなりかねないものですから、私は、少なくとも自分が国会にいるうちは、この三・七%の使用は許さないという立場で通したいと思います。

 そうすると、この三・七%分を新規の技術開発とかいろいろな知恵で絞り出しておかなくちゃいけない。私は、そのときにエネルギーの、特に電源構成が大変大きな影響を持ってくると思います。もちろん、一番当てにしておられるのが原子力でしょうが、先ほど長浜委員もおっしゃいましたが、かたいところ、二〇一〇年に運転を開始できる原子力発電所は何基というふうにお考えなんでしょうか。あるいは、こういうことを考えるときに、不確定要素も含めて常に幅を持って考えていくことが必要なんじゃないか。

 ですから御答弁としては、何基から何基ぐらいというふうに見込むという御答弁でもいいですし、あるいは、これは御性格次第ですが、私は十三と決めたんだから十三という御答弁でも構いませんが、二〇一〇年に運転を開始できる新たな原発というのを何基ぐらいというふうに大臣は見込んでおられるでしょうか。

川口国務大臣 まず、吸収源についての委員の御意見は承らせていただきましたけれども、これにつきましては、三条四項に基づく上限については今回の会議で国ごとに確定をしたところでございまして、委員の、アメリカあるいはカナダ、ロシアといったところに対する御懸念は、アメリカは別といたしまして、カナダ、ロシアについては、それぞれの国について枠が決まっておりますので、野方図にということにはならないというふうに思っておりますし、またこれを決める過程で、全体として三条四項の吸収源が世界的に、地球的にどれぐらいかという議論も踏まえた数字の決め方になっておりますので、御懸念は当たらないかというふうに思っております。

 それから、電力供給計画との関係でございますけれども、原子力発電につきまして私が承知をしておりますのは、平成十三年度の電力供給計画では、二〇一〇年までに十三基の新増設が予定をされているということと、このうち、旧電調審で答申が出されまして所定の手続が進められているもののうち、二〇一〇年までに新増設をされるものは七基であるというふうに承知をいたしております。

鮫島委員 私も同じ資料です。資源エネルギー庁の「平成十三年度電力供給計画の概要」、これは今後十年の計画の概要、各電力会社のデータをまとめたもの、同じ資料だと思いますが、確かに二〇一〇年から運転開始を見込めるものは、最大限見込めば十三基、しかもそのうちの四基については、二〇一〇年に初めて火を入れるといいますか、運転を開始するのが四基入っています。ですから、さまざまな条件でちょっとでもおくれると、少なくともこの四基については、もしかしたら二〇一〇年には間に合わないかもしれない。あるいは、立ち上げても、立ち上げたときに臨界に達するのが何らかの形で一回失敗したりすると、もう一回立ち上げ直したりすると、そこで半年ぐらいかかったり、多少一年ぐらいのずれというものを想定しておかないと、こういう、これは電力会社が出してきた計画ですから、これを一〇〇%うのみにして考えるのはいかがかという気が私はいたします。もうちょっと幅を持って、九から十三基ぐらいの受けとめ方の方がいいのではないかと思います。

 ただ、電力会社が持ってきた、計画している電源構成というのは、非常に不思議な電源構成になっていて、電力の原料として、エネルギー源として、原子力、石油、天然ガス、石炭、水力もありますが、主に埋蔵資源という意味では、原子力、石油、天然ガス、石炭とあります。

 特に石炭と天然ガス、同じ一キロワット時の電力を発生するのに、石炭は〇・八キロのCO2を出すと思います。それに対して、天然ガスは〇・四キロ、約半分ですから、長期的に見れば、この電源構成を当然石炭から天然ガスの方に切りかえていくというシナリオも、原子力発電所の新設と同時に私は組み込まれているかと思ったら、ここがまことに逆になっていまして、現在の天然ガスの比率が二六・二、それが二〇一〇年には二三・〇と三%下がる。それに対して、石炭が現在一六・七ですけれども、これが一八・五に上がる、電源構成の比率が。つまり、CO2をより出す方に化石資源由来の電力については計画されているわけです。この分のマイナスもカバーするために、かなり原子力を無理をしてふやさないと、政府の計画あるいは新大綱というのが成立しないようになっていますが、なぜこのLNG、天然ガスの利用促進といいますか、もうちょっとここに依存するようにお考えにならないのか。

 私は、天然ガスというのは、石炭と比べて、同じ電力を出すのにCO2の量が半分で済むわけですから、地球環境的に言えば大変優等生だと思いますし、設備費から燃料費全部含めての値段も、多分最近の計算でもほとんど同じ値段、六・四と六・五円ぐらいの値段だと思いますが、そうなっていると思いますけれども、このLNG、天然ガスの利用をもっと推進していく、あるいは電源構成における天然ガスの構成比を高めていくべきだというようなお考えは、大臣はお持ちではないでしょうか。

川口国務大臣 委員が御引用になられました資源エネルギー庁作成の長期需給見通しで、どういう前提に基づいてそういう数字になったかということは、私はつまびらかにいたしておりませんけれども、御指摘の天然ガスについては、天然ガスを利用した発電は、石炭や石油に比べて二酸化炭素の排出が少ないということは言えるわけでございますし、それから、コンバインド発電も可能であるというメリットがあるというふうには考えております。

 他方で、天然ガスを輸入するに当たりましては、供給の安定性という観点から長期契約という形態をとって行われております。したがいまして、短期間に天然ガスへの転換を大幅に行うことは難しいかというふうに思います。

 それから、エネルギーの供給の安定性を確保するという観点からは、エネルギー源につきましてある程度多様性がなければいけない。あるいは、コストという観点からも、低廉なエネルギーの供給というコスト面の要請もあるというふうに思います。

 といったような限界、プラスマイナス両方あるわけでございまして、温暖化対策以外のこのような供給安定性やコスト面から大幅な支障が生じない限りにおきまして、天然ガスへの転換を進めていくということは私は望ましいというふうに考えております。

 具体的には、これから京都議定書についての国内対策を構築していくという過程で、関係省庁と相談をしながら大綱の見直しをやっていくことになりますので、その時点で関係省庁と相談をしていきたいと思っております。

鮫島委員 これは、私は政策選択の問題ではないかという気がしています。

 一番最初に、「環(わ)の国」を実現するには、やはりサイクルがきれいに回らないとなかなか「環(わ)の国」はできない。その典型がこの原子力の世界。ところが、バックエンドの方がなかなかまだ、進捗がおくれていてうまく回らない。輪っかの半分しか完成されていないところで、先ほどバランスのよい電源構成とおっしゃいましたが、四〇%原子力に依存する、今よりさらにそこへの依存度を高めようというのは、客観的、長期的に見て、あるいはバランス感覚から見て、ややそこに力点が置かれ過ぎではないかというのが私どもから見た政府の姿です。

 もう一度最後にまとめますと、恐らく自民党を中心とする政府の対策案は、三・七%の森林枠をいっぱい使って、あとは原発をどんどんつくります、これが大ざっぱに言った政府の環境対策。それに対して私どもは、天然ガスの利用を推進して、あと、家庭用の燃料電池や業務用のマイクロガスタービン、それから自然エネルギーなど、小規模分散型の新エネルギーと天然ガスの利用を軸に乗り切っていきたいというふうに思っておりまして、この辺で多少、国民から見ても、ああ、与野党違うんだなということがわかるのではないかと思います。

 これから半年ぐらいにわたって、来年も含めて、川口大臣とは長い議論になると思いますが、ひとつよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。

大石委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三分開議

大石委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。田端正広君。

田端委員 まず、川口環境大臣におかれましては、今回のCOP7、大変御努力いただきまして、合意にこぎつけ、そして、二〇〇二年発効という大きな条件が整ったという意味で、大変に御苦労さまでございました。COP3、京都会議からちょうど四年になると思いますが、幾たびかのいろいろな問題、危機がありました。しかし、世界の良識がこういういい方向への合意を、結論を生んだのだ、こう私も喜んでいる一人でございますが、これからもまた大きな問題が幾つかあろうかと思いますが、ともどもにまた頑張っていきたい、こう思います。

 最初に、実はことしの秋に私、釧路川を視察いたしました。釧路湿原は、御存じのように、ラムサール条約の登録地でもあって、昆虫だけでも千種類が生息しているということでありまして、もう本当に魚も鳥も生き生きとしている、そういう大自然の宝庫だ、見事な生態系の中で動植物が生きているということを感じてまいりました。

 この釧路湿原が、実はかつて約二キロにわたって蛇行しているところを直線にした、そのために周辺部分で少し枯渇といいますか、変化が起こってきた。したがって、もう一回もとに戻した方がいいのではないかと、地元の各界の協議機関の皆さんが長年検討されてこういう結論を出されたようであります。

 人工の手を加えたことによって自然が損なわれる、これはいろいろなところでたくさん例があると思いますが、そういう意味で、大切なこの釧路湿原を二十一世紀に守るためにも、残すためにも、今ならまだ再生は可能だ、こういうことで、私は旧の蛇行している河川、それから新しい直線にしたところ、ジャングルの中へ入ってずっと歩いて見てまいりましたけれども、そういう意味では、こういう自然を再生する事業というものを、今二十一世紀の日本の一つの大きな政策の柱としてこれを実行する、そういうときではないかなと。もちろんこれは、温暖化の問題あるいは循環型の問題、そういったことと全部絡んでくるわけでありますが、そういった意味で、自然再生型の公共事業というものを来年度予算から積極的にやったらどうか。

 総合規制改革会議でもこの問題が議論されているというふうに伺っておりますが、私が手元で調査して集めた資料だけでも、全国に五十カ所ぐらい、そういう再生した方がいいのではないかという候補地がございます。したがって、この問題を、環境省はもちろんでありますが、関係省庁と政府一体になって、そしてまたNGOの方、地元の市町村、都道府県、こういった方々とも協議しながら、この日本の大切な自然というものをもう一回再生させる、そういうことを大きな柱として取り組まれてはどうか、こう考えております。

 環境大臣、これに対しての御所見をお伺いしたいのですが、実はこの間、ヨーロッパの河川再生事業に取り組んでいるEU河川復元センターの事務局長のハンス・オレ・ハンセンさんという方とモーゲン・ニールセン博士にお会いしましてEUの実態を伺いましたら、EUの河川復元事業がプロジェクトとして千五百カ所ぐらい今候補地が挙がっている。EUの場合は国をまたいで川が流れていますから、EUとして参加十七カ国に指令を出して、まず各国で法的整備をしなさい、三年以内にやりなさい、二〇一五年までに各国の候補地をきちっと整理して、法的整備の上で実現を図りなさい、こういうことで、共同歩調をとってEUがこの河川再生事業をやっていく、こういうことであります。

 既に、ブレーゼ川というところは二十五キロにわたって蛇行をもう一回復元したそうでありますし、スキャーン川は二千二百ヘクタールの農地をもう一回湿地に戻した、こういう実例があるようでありますが、そういった意味では、これはもう地球的規模で自然の再生というのは大切な事業ではないかと思います。

 まず、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

川口国務大臣 今委員からお伺いいたしましたEUの例、非常に興味深く伺わせていただきました。

 ことしの初めから、二十一世紀を目指しての「環(わ)の国」日本づくりという会議を総理のもとで開いていただきまして、そこで議論をしていただいた中に、今ある自然を確実に再生をしていく、保全をすることももちろん大事ですけれども、失われたものを再生していくということも非常に大事だという御指摘をいただいております。

 自然の再生をするに当たりましては、やはり生態系というのは総合的な観点から考えるということが非常に重要でございますので、その観点から、各省が連携をいたしまして取り組んでいくという、政府一体となった取り組みが不可欠であるというふうに考えております。

 環境省といたしましても、関係の省庁と十分に連携をいたしまして、それから、委員おっしゃられましたように、地方公共団体や市民グループ、NGOの方々とも連携をいたしまして自然の再生事業に努めていきたいというふうに考えております。ぜひ応援をいただきたいと思います。

田端委員 同じ質問で、これは国土交通省の河川局、あるいは農水省農村振興局になるんでしょうか、あるいはほかの局かもわかりませんが、密接な関係をしてくると思いますので、両省から、きょう来ていただいていると思いますので、お答えいただきたいと思います。

竹村政府参考人 委員御指摘の釧路湿原は、ラムサール条約にも指定された世界でも大変貴重な湿原だと認識しております。

 私ども河川局は、平成十年に湿地一帯を河川区域に指定しまして、この自然豊かな、自然の貴重な遺産を少しでも後世によりよい形で残していきたいということで全力を挙げていきたいと考えてございます。これらの事業に当たりましては、上流でもう既にNPOの方々が植林等努力されております。

 私ども行政機関、環境省、農林水産省等、また道と協力しまして、この湿原の保全、そして蛇行河川の復活に向けて努力してまいりたいと考えてございます。

木下政府参考人 私の方から一言御答弁申し上げたいと思います。

 私ども農林水産省といたしましても、釧路湿原の再生につきまして、地元の皆さん方の提言に沿った形で事業を実施しているところでございます。

 また、私ども、さきの通常国会で土地改良法の改正を行っていただきました。この中で、土地改良法につきましては、環境との調和に配慮をして事業を実施すべしというような原則規定が追加をされたところでございます。したがいまして、来年四月一日以降は、私どもが行う事業につきまして、すべてそういう意味での環境創造型事業へ転換をしていきたいというふうに考えております。

 この中で、環境省とも十分連携をとりながら進めていきたいというふうに思っておりますし、また、事業効果を上げるためにも、地域の皆さん方とも十分連絡をとりながら事業を進めていきたいというふうに考えております。

田端委員 海、山、川、くぬぎ山とかあるいは三番瀬とか、たくさん全国にあると思います。だから、これはもう政府一体となってぜひやっていただきたい。そしてこれは、できれば自然再生事業促進法のようなそういう法律的裏づけを持ってきちっとやった方がいいのではないか、私はこういう思いがいたします。またいろいろと私も意見を述べさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 それから、公明党の中に循環型社会推進会議、通称エコ・ジャパン会議と言っておりますが、こういうのをつくっておりますが、実はきのう、その一行で京都の八木町というところを視察してまいりました。地球温暖化の問題と循環型社会をつくるということは、まさに車の両輪のような形で進めていくべきだと考えておりますが、この京都の八木町は、バイオエコロジーセンターといいますか、家畜の牛や豚のふん尿とそれに食品廃棄物のおからをまぜて拡散して、バイオガス、つまりメタンを発酵させて、そのメタンで電力を起こす、こういう、日本でも初めての試みを町としてやっておられて実績を上げておられる。既にことしから、関西電力にまで起こした電気を買っていただくという状況まで今成功しているわけであります。

 それで、私も、地球温暖化ということを考えれば、そういう自然エネルギーといいますか新エネルギーといいますか、こういったことがこれから大変大事になると思いますが、そういう実態をつぶさに見まして、これは地方自治体といえども大変なことを、経験を重ねておられるなということをしみじみ感じてまいりました。

 それから、その足で、大阪の高槻市の樫田温泉というところに行ってまいりました。ここは温泉じゃなくて冷泉なんですが、それをバイオで沸かしているわけです。つまり、木くず等の木質のペレットで冷泉を普通の温泉に沸かしている、こういうことで、バイオマス温泉と地元では言っておりますが、これが、一日三百人から四百人ぐらいの市民がここでこの温泉を利用する、こういうことで大変喜ばれている。これも一つの新しい試みだと思いましたが、こういう燃料効率の高い木質ペレットを使って利用している、こういう実態も見てまいりました。

 つまり、これからはこういう新エネルギー、風力とか太陽光とかたくさんありますが、そういうものを細かく、着実に実績を重ねて、そしてCO2を減らしていくという対策はもうなくてはならない大きな流れになっていくだろう、こう感じます。

 そこで、こういう個々にやられていることに対して、環境省なり政府なりとして、どういう形でバックアップをしたらいいんだろうかと考えているわけですか、もし環境省の方でお考えがあればお聞かせいただきたいと思います。

風間副大臣 自然エネルギーにつきましては、現在、環境基本計画それから地球温暖化対策に関する基本方針の中で全体としてきちっと位置づけをして普及をさせていただいているところであります。

 もう御案内のとおりでございますから読みませんが、環境基本計画の第二章の第一節で「新エネルギー等の開発、導入の推進」、あるいは地球温暖化に関する基本方針の中で、第二番目の「国の措置に関する基本的事項」のところで、「太陽光発電、風力発電、コージェネレーション、燃料電池、バイオマス」、これは生物体というふうに訳せばいいんでしょうか、「エネルギー等分散型エネルギーとしての性格を持つ新エネルギー等の開発・導入を積極的に推進する。」というふうになっておりますから、環境省といたしましても温暖化対策の一つと考えておりまして、これまでも、先生が今御指摘の、御視察をされた八木町だけじゃなくて、環境省としましても、生ごみをメタン発酵させて、メタンから取り出した水素を使った燃料電池によって発電するというのを、たしかことしの九月でございましたか、兵庫県神戸市でスタートをさせていただいております。

 そのほか、私も行きましたけれども、鹿児島県の屋久島で、廃油、町民の皆様の家庭から出た油と廃木材を使って、これもエネルギーに転換をしていただいているというところもございます。

 また、私、北海道でありますけれども、雪氷の冷熱利用に関する自然エネルギーを活用したモデル事業もあちこちで行われておるわけでございます。

 いずれにしましても、今後とも、そういう自然エネルギー、利用可能な資源量が極めて豊富なバイオマスエネルギーについては、関係省庁と連携を密にいたしまして普及に一層努めていきたいというふうに思っております。

田端委員 ぜひ、いろいろな制度、税制度も含めて御検討いただきたい、こう思います。

 それでは、温暖化対策についてお伺いいたします。

 COP7の合意を受けて十二日に地球温暖化対策推進本部が開催されまして、総理のもとで関係閣僚が御出席なさって、「次期通常国会に向けて、京都議定書締結の承認及び京都議定書の締結に必要な国内制度の整備・構築のための準備を本格化する。」という決定をされたということでございますが、次期通常国会、来年の通常国会で批准をするということと国内法を整備するということをセットでやっていかれるというふうに私は理解しておりますが、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

 それから、この締結という言葉は、これは今までいわゆる批准批准と言ってきた。国会決議までして、ことし、早期批准ということを、二〇〇二年発効ということを国会決議でも使いましたが、締結というのは批准ということと一般的には同じ理解というふうに我々も解釈していいんじゃないかと思っておりますが、その辺のところの御見解をお伺いしたいと思います。

川口国務大臣 十一月の十二日の地球温暖化対策推進本部におきまして、京都議定書の二〇〇二年締結に向けた準備を本格的に開始するというふうに決定がなされました。

 それに基づいてどういう作業をするかということについては二つございまして、一つが、京都議定書の目標を達成するため、現行の地球温暖化対策推進大綱を見直すということでございます。それから二番目に、次期通常国会に向けて、京都議定書締結の承認及び京都議定書の締結に必要な国内制度の整備、構築のための準備を本格化するということ、この二つ、これを踏まえてやっていくということでございます。

 それから、締結という用語と批准との関係でございますけれども、これは局長からお答えを申し上げたいと思います。

炭谷政府参考人 締結とは、定義では、条約、議定書等の国際法を受け入れて実施することについてコミットするための行為の総称でございます。

 したがって、締結のための方法については、通常、個々の条約、議定書等に定められておりまして、京都議定書においても、締結のための方法として、先生が御指摘されました批准または受諾、承認等が挙げられておりまして、それらの間には効力に違いはありません。

 我が国としては、京都議定書の締結の方法としていずれの方法をとることが適当であるかについては、今後検討していくこととなります。

 いずれの方法になるにせよ、当面、我々としては総称である締結の言葉を使っていくこととしたいと考えております。

田端委員 政府としては締結という言葉を使う。しかし、今まで私たちは言葉としては批准ということを言ってきたわけでありまして、今の御答弁を聞いていますと、そんなに意味は変わらないというふうな感じをお受けいたしました。したがって、ぴったりと同じ言葉ではないんでしょうけれども、批准もその締結の中に入るということで、批准ということで、我々の使いなれた言葉がいいのではないかな、こういう感じがいたします。

 それで、今大臣からお話がございましたが、例えば、この地球温暖化対策推進大綱の見直しということになれば、これは大変大きなことになってくると思います。原発の二十基増設の問題とか、あるいは経済成長率を二%でやった、そういう前提が相当変わってくると思いますが、こういうことについてはどういうふうにお考えになるんでしょうか。

炭谷政府参考人 現行の大綱をつくりましたときは、当時の原子力発電所の新増設や旅客の輸送量等の将来見通しを前提として策定したものでありまして、その後、これらを取り巻く社会経済情勢が変化していることも事実でございます。

 今回の大綱の見直しにおきましては、関係省庁と連携をとって行うことになりますけれども、こうした情勢の変化を踏まえて、大綱が前提としていた将来見通しについても十分検討してまいりたいというふうに考えております。

田端委員 地球温暖化対策推進法の改正が大きな柱になった国内法の整備だというお話でございますが、その場合に、CO2削減で問題になるのは、けさからもいろいろ議論がございましたが、産業、運輸、民生、それぞれをどういうふうな目標設定をしてやっていくか、こういうことにもなっていくかと思います。

 特に国内対策として、例えば、一定規模以上の事業者に対しての義務をどういうふうに課していくのか。あるいは、自動車とか電化製品、こういった製品の温室効果ガスの量を製品に表示するとかという問題、それから、一般家庭で電気、ガス等を使う場合の温室効果ガスはどのぐらいになっていますよということを知らせていくとか、こういう、みんながわかるような形での、国民挙げての対策をとらないとこれは大変なことだろうと思うわけであります。

 その点について、環境省は今どういうお考えになっているんでしょうか。

炭谷政府参考人 私ども、これから大綱の見直しという作業を進めてまいるわけでございますけれども、この大綱の見直しにおきましては、例えば事業者においては、その自主性をできるだけ尊重して、費用対効果のよい対策をとるとか、また、民生、運輸についても、これが大変増加いたしておりますので、これについての実効ある対策ということをしていかなければいけないわけでございます。

 いずれにしろ、これらについてある程度定量的な目安というものを十分配慮し、入れ込み、それを定期的な検証をし、そして、対策を一度つくったらそれで硬直的にいくのではなくて、その検証の結果を見ながらさらにそれを見直していくという柔軟な対策で臨んでいかなければいけないのではないかなというような方針で考えているわけでございます。

 また、そのような対策について客観性とか透明性とか正確性というものが確保できるような方策もこの取り組みの中に入れていかなければいけないというふうに考えております。

田端委員 そういういろいろな対策をとりながら、しかしまた大事なことは、実効をどうあらしめるかというためには、例えば地球温暖化防止税といいますか環境税といいますか、そういう経済的手法を用いてやるということもこれは大変大きなテーマだと思います。そういう意味では、本当にCO2対策ということを考えれば、そこまで踏み込んで議論しなければならないということを私も感じておりますが、これについては、大臣もそのことを視野に入れているような御発言をちらっと伺ったような気もいたしますので、大臣のお考えをしっかりとお伺いしたいと思います。

川口国務大臣 環境税あるいは地球温暖化税とおっしゃいましたでしょうか、税のことについての御質問でございますが、経済的な手法というのは、価格を通じて市場メカニズムを機能させるということで、各経済主体、消費者ですとか生産者ですとか、そういった主体が、その行動を価格メカニズムを通じて自主的に温室効果ガスの排出が少ないようなものにしていくという意味で、促進的な、効率的な手法であるというふうに思っております。

 他方で、現下の厳しい経済状況がございまして、環境税の導入の議論については慎重にすべきであるという御意見があるということも十分に承知をいたしております。

 COP7における合意を受けまして、我が国としまして、京都議定書の二〇〇二年の締結に必要な国内制度の整備、構築のための準備を本格化するということになったわけですけれども、環境税導入を京都議定書締結の前提としては位置づけておりません。

 ただ、環境税が導入されますと、より効率的に京都議定書の目標達成が実現できる可能性がございます。したがいまして、中央環境審議会の専門委員会で御審議いただくなどいたしまして、引き続き、我が国の実情に合った具体的な制度面の検討をしてまいりたいと存じます。

田端委員 大臣、アメリカとの交渉でも大変御努力いただきましたが、結果的にはまだ参加ということには至っておりません。しかし、アメリカ抜きでこのままいくということも、これは今後の途上国の問題にも大変大きく影響してくると思いますが、その辺の見通しにどういう御意見をお持ちなのかお伺いしたいと思います。

 それから、京都議定書の発効は、五十五カ国以上の承認、批准、そして批准した国のCO2排出量合計が先進国の五五%以上、こういう二つの条件を満たせば九十日後に発効となる、こういうことでありますが、そうすると、来年のヨハネスブルグ地球サミットの最終日が二〇〇二年九月十一日、これに間に合って発効させるためには、来年、二〇〇二年の六月十四日までに日本でこの批准をしなければならない、こういう物理的なことの数字になるんだと思います。できればヨハネスブルグで、よかったなという状況が生まれるのが一番いいと思いますが、その辺についての大臣の御決意、見通しをお伺いしたいと思います。

川口国務大臣 アメリカへの働きかけというのは大変に重要なことでございまして、今までもできる限りの努力をいたしてまいりましたけれども、今後とも引き続き、例えば二国間の環境協議の場等を通じまして行っていきたいと考えております。

 後半部分の御質問に関してでございますけれども、先ほど申しましたように、温暖化対策推進本部で準備を本格的に開始するということが決定をしたわけでございまして、私どもは、これを受けまして、先ほど申し上げたような取り組みを、二〇〇二年発効を目指して全力で取り組んでいきたいというふうに考えております。

田端委員 今の大臣のお話はちょっとよくわかりませんでしたが、ヨハネスブルグに間に合わせる、こういう気持ちだというふうに理解したいと思いますが。

 最後に、大臣、これはなかなか難しい問題、そして一人一人国民が意識しないと達成できない大きなテーマだと思います。先日、経済界の人とお会いしましたら、経団連なんかも非常にやはりこの問題については、国はもうちょっと民生とか運輸で頑張ってもらいたい、こういう反発的な御意見もございました。

 それで、これはもう私たち国会議員一人一人もそれなりに頑張らなきゃならないと思いますが、例えば、もし環境大臣として大臣御自身で何か実践なさっているようなことがありましたら、あるいはこういうことをやりたいという決意がありましたら、御披露いただいて、質問を終わりたいと思います。お願いします。

川口国務大臣 私は、物がない時代に育った人間でございますので、いろいろなことは一生懸命に今もやっているつもりでございまして、特に温暖化との関係でいきますと、まめに電気を消していくとか、テレビ等の待機電力といいますか、スイッチは必ずもとからきちんと消すということもやっておりますし、自動車を持たないということもやっておりますし、役所で乗っている自動車は低公害車でございますし、それから冷暖房の温度はかなり厳し目に設定をいたしているつもりでございます。まだほかにもやるべきことはたくさんあると思っておりますので、個人としても努力をしたいと考えております。

田端委員 以上で終わります。ありがとうございました。

大石委員長 樋高剛君。

樋高委員 自由党の樋高剛でございます。

 きょうも質問の機会をいただきましてありがとうございました。

 まず、地球温暖化対策、つまり温室効果ガスの削減は、いわゆる人類共通の最も重要な課題の一つでありまして、京都議定書運用ルールの最終合意がなされたのは歴史的な前進であったかと思います。また、京都議定書発効を実施していくことを国際社会が確認した意義は大変大きいものと思うわけであります。

 COP7自身は成功したと私は思いますけれども、そもそも、炭疽菌騒動もありまして、うわさによりますと、何か日本政府団は抗生物質を持参したとかしないとか、そういううわさもありまして、命をかけての成果に感謝を申し上げたいと思います。

 COP7で注目されるべきは、途上国が議定書の枠組みに加わるまでの協議の開始の合意が、とうとう時間切れで見られなかったということであります。中国などの途上国の排出量は、御案内のとおり、二〇一〇年ごろには先進国を上回ってしまうと予想されておりまして、排出量増加を考えますと、途上国の枠組みへの参加は極めて重要ではないかと思うわけであります。途上国の前向きな動きによりましてあるいは米国の復帰をも促す可能性があるわけであります。

 アメリカの復帰に向けての動きは当然でありますけれども、途上国の参加実現に向けて積極的に動いていくべきと私は考えるわけであります。アメリカとは、日米のハイレベル協議等々を通じて、きちっとした定期的な、そして継続的な、そして長期的な議論を積み重ねていくということでありますけれども、やはり途上国ともこれからはやっていくべきである。やはり定期的に、きちんと長期的なビジョンを持って、少しずつ少しずつ説得していく。日本として、自立した意見を持って途上国の説得に当たるということも、きょう午前中も大臣おっしゃっておいででしたけれども、いよいよ重要なステージに今移ったのではないかと思うのでありますが、いかがでしょうか。

川口国務大臣 委員おっしゃられますように、途上国の参加というのは非常に大事な課題であるというふうに思っております。

 途上国の参加を促すために幾つかしなければいけないこと、あるいはできることがあると思っておりますが、まず、地球温暖化対策に取り組んでいく途上国に対しての支援を行うことであると思います。日本は、七月のボン会合の際にも表明をいたしましたけれども、九七年の京都会議の折の京都イニシアチブのもとで、九八年以来約七十四億ドルの支援を行ってまいりまして、地球温暖化に関する途上国の支援は積極的に行ってきております。

 それから、今回、COP7の場におきまして、途上国の参加問題に関しまして、来年のCOP8の場で今後の協議の進め方に関して議論を開始することを決定をしようということで努力をいたしました。

 ただ、最終的にCOP7の場では、途上国が反対をいたしましたのと、まず重点は、法的な文書について合意を見ることであるということでございまして、私ども努力をいたしましたけれども、この問題についてはCOP8に先送りになったわけでございます。

 我が国といたしましては、地球温暖化対策の実効性を確保するためには、すべての国が温室効果ガスの削減に努めることが必須であるというふうに考えておりまして、私は、COP7での最後のステートメントの中で、次のステップの進め方についての検討をCOP8で開始したいという旨を発言いたしました。

 引き続き、途上国を含めた形で国際的なルールが構築されますように努力をしていきたいと考えております。

樋高委員 途上国への働きかけなんですけれども、COPの場は一年に一回でありますので、年に一遍だけ会ってお話をするのではなくて、やはり、日本が自立した国家としての意見を持って、COPの場以外のところでぜひ、それはもちろん環境省だけではない話でありますけれども、それぞれのチャンネル、それは政府だけではなくてもちろん民間も含めた話だと思いますけれども、総括的、そして総合的に、途上国への会話を重ねていくということを行っていただきたいと思いますし、当然、政府としても、定期的に、途上国を代表なされる国の方々には、やはり環境大臣が場合によってはお邪魔をさせていただいて直接意見を申し上げ、率直な意見交換をするという積み上げも重要ではないかと私は思います。ぜひよろしくお願いをいたしたいと思います。

 いわゆる途上国の参加につきましては、先ほど大臣もおっしゃっておいででしたけれども、技術移転など途上国支援を行ってまいりました日本が果たせる役割というのはやはり大きいと思うわけであります。どうかよろしくお願いいたします。

 ところで、国際協調の重要性は言うまでもないことなんですけれども、排出削減の国内制度の構築が急がれる段階に入ったと、きょうはずっと朝から議論をしているわけでありますが、来年の九月、南アフリカ・ヨハネスブルグで開催されるいわゆるリオ・プラス10、環境サミットで議定書を発効させなければならない、もしくは、発効させることを目標として今国際社会でのコンセンサスが得られているということであります。

 そのためには、向こう一年間のスケジュールなんですけれども、通常国会で批准の承認を得なくちゃいけない。そして、その批准したことを示す書類を作成しまして、六月までに国連の事務総長に寄託をしなければならないということも伺っておりますけれども、批准に向けて本年末から来年、向こう一年間にわたっての政治的なスケジュールについて伺いたいと思います。

風間副大臣 午前中からも議論になっておりますとおり、私どもとしては、先週の月曜日の地球温暖化対策推進本部で決定をされた三つの項目、すなわち、現行の地球温暖化対策推進大綱について見直しをする、と同時に、来通常国会できちっと議定書締結の承認と、そしてその締結に向けての国内制度をしっかり整備、構築していくということを決めさせていただいたわけでありますから、先ほど来議論になっておりますように、さまざまな民生、運輸、それぞれのジャンルにおける事細かな部分までそのことについての具体的な目標を決めながら、そしてまたそのチェックを受けながら進めていくというふうに、今まさにその作業に入っているところでございます。

樋高委員 来通常国会で批准、承認、そして国内法の整備に向けての具体策をちょっとお伺いしたかったわけなんですけれども。

 二十一世紀に通用する日本社会、改めて申し上げるべくもないのでありますけれども、国内的にも国際的にも環境政策を軸とした社会の構造改革、そして、前倒しで措置を行っていくという意味での将来への投資が必要であると思うわけであります。

 二〇〇八年に向けまして、いわゆる六%の削減達成のための政策措置についての議論を深めていかなくてはいけない。これは、政府だけで行うのではなくて、国民を広く巻き込んで議論をしていかなくてはいけない。国内の温室効果ガス六%削減に向けた具体的な削減方策はいかにお考えかをお伺いさせていただきたいと思います。

風間副大臣 この十一月十二日の地球温暖化対策推進本部の決定の中にも、京都議定書の目標達成のためには私たち一人一人がライフスタイルを変えていかなければならない、変えていくことによって温暖化防止に資するということも決められたわけでありますから、そういう意味では、私たちが使っているいろいろな機器、省エネに向けた機器の開発普及なんかにも、もしできれば私たちがそれに対して協力していくというか、それをまた実行していくという、技術革新を通した経済社会活動の中で、私たちの生活の中にも取り込んでいくということが非常に大事じゃないかというふうに思うわけであります。

 幾ら僕ら一人一人が努力をしたとしても、経済界の技術革新の努力とかがなければなりませんので、そういう意味では、経済界の創意工夫を私どもは生かして、それがまた経済活性化にもつながって、私たちの生活のスタイルの変化にも対応していけるようにしていくということの働きかけも大事なことだなと思っております。

樋高委員 これからいろいろな準備をしていく、それは当然なんですけれども、要は、早く国民に見える形で議論をしていただきたいと私は申し上げているわけでありまして、なおかつ緊急を要することであるということも申し上げたいのであります。削減対策というのは、おくれればおくれるほどコストが高くなってしまう側面が現実問題としてあるわけでありまして、このことをやはり踏まえていっていただきたいという思いであります。

 一方で、議定書の二〇〇二年発効は、気候変動問題を超えた役割を持つものである。日本が積極的に取り組むことによって環境分野での世界のお手本となる。その役割を果たすことこそ安全で安心できる国際社会づくりに向けて大きく貢献できることである。そして、それが将来世代に対する私たちの責任でもあると認識をいたしているわけであります。

 ここで、九〇年から九九年までのCO2の排出量の伸びについて着目をしてみたいと思います。

 まず、産業部門についてでありますけれども、九〇年から九九年までの十年間で〇・八%の増加ということであります。産業部門につきましては、経団連さんを初めといたしまして自主的な取り組みも精力的になさったということで私は評価をいたしたいわけでありますけれども、省エネルギー技術の開発普及、これにつきましては国としてしっかりと支援、力を入れていかなくてはならない、それは当たり前のことであります。

 気候変動に関する政府間パネル、IPCCのロバート・ワトソンさんの話では、このように産業界についておっしゃっております。短期的には不利だけれども、日本の小型車が世界を席巻したように、将来の技術に投資した企業が世界市場を握ることができる、また省エネ商品の世界に供給するチャンスと、技術開発の重要性を説いているわけであります。

 不景気でありましてコストを下げたい気持ちもわからないでもないのですけれども、結果として、やはり欧州の企業におくれをとってしまって、長い目で見ると、やがて国際競争力を失うことにもなりかねないのじゃないか。むしろ積極的に温室効果ガス削減の技術開発を前向きに進めるべきであり、また技術開発によって国際競争力が高まっていく、やがて設備投資などが国内需要の喚起や雇用の創出にも役立っていくものと私は考えるわけであります。

 むしろ、ピンチをチャンスとした企業が生き残っていくのではないかと私は思うのでありますけれども、そのことにつきまして大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

川口国務大臣 その点につきましては、私は委員と全く同じ意見を持っております。

 温暖化対策は、燃料電池等の革新的な技術の開発普及、それから交通インフラの整備等を適切に誘導することによって投資の機会を創出するものでございまして、また雇用対策にもつながるというふうに考えております。

 経済界の創意工夫を生かして、我が国の経済活性化にもつながるような国内制度の整備、構築を行うことによりまして、京都議定書の目標達成につなげていくということが大事だというふうに私も考えております。

樋高委員 高い技術力を持ちます日本の企業は、いわゆる今回の京都議定書批准に向けて新たなビジネスチャンスとしていただきたいと思うわけであります。新たな産業を生み出す可能性もあるわけであります。

 あす厚生労働委員会で私は今度雇用対策の方も質問することになっているのですけれども、やはり雇用の創出という観点からも大きくリンクしているのではないかと私は思うわけであります。やはりピンチをチャンスへと変えていただきまして、よいものをつくれば結果的に国際的な競争力がついていくもの、もちろんほかの役所にまたがることでありますけれども、環境省さんとしてしっかりとリーダーシップをとって支援策を講じていただきたいと思います。

 同様に、九〇年から九九年までのCO2の排出量の増加、いわゆる自動車などの運輸部門では二三%、エアコンなどの民生部門では一七・五%、産業界が〇・八%であるのに対しまして大変な数字になっているというわけであります。

 将来の世代にとって取り返しのつかないことは何としても避けなければならない。子や孫の世代が快適に暮らし続けるために、親世代の我々が今こそ真剣にライフスタイルを見直さなくてはならない。これは生活を切り下げるという意味ではなくて、質を変えるというところに私は物事の本質があるのではないかと思うわけであります。

 そこで、まず実現しやすいものから、具体的でわかりやすいものから、そして少しでも効果あるものからということを考えてみたときに、私は、夏時間、いわゆるサマータイム、サマータイム制の導入を提案申し上げたいと思うわけであります。

 今回の批准への一連の動きは、生活様式を変えるまたとない契機でありまして、私は、国民の理解を得る最大のチャンスではないかと思うわけであります。サマータイム制に移行する、やはりそれは実はきっかけがないとなかなか難しいわけでありますし、個々人、国民一人一人のやはり理解がなくちゃできないわけであります。今回、サマータイム制の導入、絶好の機会であると私は考えておりますけれども、いかがお考えでしょうか。

風間副大臣 もうおっしゃるとおりでございまして、実は環境省内部でも、このサマータイムの導入につきまして、種々の会合でというか、環境省以外の省との会合でこれを提起しようじゃないかという内部的な議論も進めさせていただいておって、まだ現実に進んでないのですけれども、ライフスタイルの質を変えるという意味では、私は、サマータイムの導入というのは本当に大変大事な一つの手法ではないかというふうに思っております。少なくとも夕方の照明エネルギーや朝の冷房エネルギーを節約されることになりますし。

 ただ、日本は縦長ですから、北海道の酪農をやっている方と沖縄の農業をやっている方との時間の差、そのことを考えると、そのことのメリットではなくてデメリット、それから運輸部門におけるサービス業を含めたデメリットも実は課題としてはあるわけであります。

 しかし、地球温暖化対策推進大綱に基づいて政府が設置しました夏時間を考える国民会議がございますけれども、これはずっと準備期間を置いて議論をして、平成十一年の五月に、サマータイムを導入すべきというふうに取りまとめた報告書を出されました。

 そういう意味では先般の、国民の皆様方に対する内閣府が行った導入世論調査で、導入賛成に一回目は五三・九%とかなり半分を超えたのですけれども、ところがことしの七月、二回目をやりましたら少し下がりまして、五〇・九%になってしまいました。したがいまして、半分は超えているんですけれども、導入については機が熟すのにもう少し時間がかかるかなというふうに思いますが、その動向をまた見定めて、私どもとしては導入を視野に入れて検討していきたい、このように思っております。

樋高委員 ここは環境省の頑張りどころではないかと思うわけであります。民生、運輸部門の対策はやはり相当の覚悟が必要でありまして、大変なことをやるんだという問題意識を国民みんなが持っていただかなくてはならない。その持っていただくためのきっかけは、やはり夏時間というのは物すごいわかりやすいですし、実際、夏場に外国に旅行しましたときに、あれ、サマータイムでちょっと一時間違っていたなんということもよくある話でありますけれども、夏時間制の導入によりましていわゆる国民の意識改革にもつながってくるというところが私は大きなポイントであると思います。

 もちろんエネルギーを節約するという部分も大きいんですけれども、これはぜひとも頑張っていただきたい。私も頑張りますけれども、ぜひ国民的議論を進めていただきまして、調査では数字が落ちているという話でありますけれども、ことしから来年にかけましてこの地球温暖化を含めた議論を通じまして、ぜひこの数字を、本当に八割、九割というふうに上がるように頑張っていただきたいと思います。

 そして、この二酸化炭素の部門別排出量の推移の表を環境省さんから取り寄せましたところ、産業部門では先ほど申し上げましたとおり〇・八%増、そして運輸、民生部門はそれぞれ二三%、一七・五%とありますけれども、実は見落とされている部分がありまして、同様に九〇年から九九年までの十年間で、エネルギー転換においては一一・七%増、工業プロセスについては九・五%減、そして廃棄物のプラスチック、廃油の焼却に関しては八六・三%増と大変な数字が出ております。このこともどうかよく含めて今後取り組んでいただきたい、強く要望させていただきたいと思います。

 そして、今回合意した削減義務を果たすためには、先ほど来何度も申し上げておりますが国内対策、当然でありますけれども、削減を担保する措置の一つとして、先ほども議論が出ておりました環境税が一つ挙げられると思います。もちろん環境税だけですべてが解決できるわけではありません。強力な国内法整備が必要となった今は、この議論を抜きにして将来の道は開けないのではないか。もちろんこれだけですべてが解決するわけではないんですけれども、環境税の議論をすることも、その結果どうするかはまた別問題にしても、私は重要なのではないかと思うわけであります。

 私がイメージしております環境税は、いわゆる温暖化の主な要因とされる二酸化炭素の排出源となる石油や石炭などの化石燃料を消費する際に、企業のほか個々の国民にも広く課される点でエネルギー消費税的な性格であると私は考えます。

 また、いわゆる消費量の多い産業部門だけではなくて、規制ではいわゆるCO2削減が実現しにくい民生、運輸部門。民生、運輸は本当に規制、いわゆる個々人の生活スタイルを強制はできないわけです。だからこそ民生、運輸部門には、この環境税というのは削減効果を私は逆に期待できるのではないかと。

 エネルギー需要の伸びを課税で調整することによりまして、広く薄く行うことで多くの人が環境問題に、先ほどの夏時間も同様でありますけれども、関心を持つようになってくる。やがて消費者は、削減に努力している企業の商品を選ぶことにもつながるのではないか、頑張っている企業を側面から支援することにも実はなっていくのではないか、全部が私はリンクしている問題だと思うわけであります。

 仮に、ではそれがすぐ増税だ増税だという話ではなくて、その分をいわゆる社会保障費に還付したり、また一生懸命努力なさっている企業さんに還元をしたりするということを通じまして、必ずしもいわゆる増税というだけの側面でマイナスになるのではない、いわゆる負担がかかるというだけの話ではないと思います。

 環境省として温暖化対策を税制面からも取り組んでいただきたい。今いろいろな審議も始めたと伺っておりますけれども、大臣、御所見はいかがでしょうか。

風間副大臣 大臣は先ほど述べましたので、私の方から。済みません。

 まさに環境税は、価格を通じて市場メカニズムを機能させていくことでありますから、温室効果ガスの排出を抑制していくということについての手法としては極めて有用な、効率的な手法でありますけれども、一方では、こういう厳しい今の経済状況の中で導入するということはどうかという慎重意見もあるわけであります。

 しかし、もし導入されれば、当然、議定書の目標達成にも私はさらに実現の拍車がかかるというふうに思いますから、そういう意味で、そのことも含めて中央環境審議会で今四回ぐらい専門委員会で御審議いただいておりまして、私たちの国に合った税、環境税、地球温暖化防止税といいましょうか、そういう制度面での検討も進めていかなければいけないなというふうに思っております。

 ずっとこの環境税についての一連の御議論で、反対という御議論はなかなかないように私は印象を受けておりますので、ぜひ十分な吟味の上での御検討をしていただいて御提言いただければありがたいと思っています。

樋高委員 国民的協議をしっかりと、その審議会につきましてもオープンにしたりして、この環境税というそもそも言葉自身もまだまだ私は浸透し切れてないんじゃないかと思います。その言葉自身をまず国民の皆様方にお伝えをするということも私は重要なのではないか。

 今回の温暖化対策によりましてライフスタイルを転換していかなくてはいけないのですけれども、先ほども申しましたけれども、ライフスタイルというのは強制して変えることはできないわけでありまして、そういうことを考えますると、民生、運輸部門のいわゆる歯どめが大きなかぎになってくるというふうに思うわけであります。

 環境税の導入によりまして、省エネに向けて、また個人の意識を変えるという意味で、効果のすそ野は本当に広い。ある意味でお金にかえられない意識の改革ができるわけでありますから、私は、ぜひとも積極的に議論を深めていただきたいと思います。

 最後に、もう一問お尋ねをさせていただきます。

 中央環境審議会の地球環境部会さんがイギリスに調査団を派遣なさったと伺っております。イギリスでは、気候変動税、税を徴収することが主たる目的ではなくて、いわゆる排出削減が実行されることが主な目的であって、さまざまな工夫がなされていると伺っておりまして、その効果も上げつつあるということでありました。

 イギリスの対策は先見性がとても高いものでありまして、二〇〇二年四月から、つまり来年の春から、国内排出量取引制度の実施、再生可能エネルギーの一部導入の義務化、再生可能エネルギーの義務証書の取引制度等、日本よりも何年も先を行っていると思うわけであります。もちろん、イギリスの制度がそのまま日本にそっくり当てはまるかというと、そういうものでもないと私は思うわけでありますけれども、学ぶべきものはたくさんある。

 そして、そのイギリスに拠点のある日本企業、たくさん進出していますけれども、実は、その日本企業も既にその温暖化対策の経済的措置を学びつつあるわけでありまして、日本企業も既にもう学んでいるし、その中で商売をしていかなくちゃいけないわけですから、そのルールにのっとってやっているわけであります。

 そして、その調査団の方からの報告もお伺いをいたしますと、一番思った印象が、イギリスは半世紀先まで、五十年先までを考えている、長期的視野に立って考えている。例えば、いわゆる気候変動税は再生可能エネルギーには適用されないのですけれども、エネルギー事業者に一部再生可能エネルギーにすることを義務づけています、五%、一〇%と。そして徐々に引き上げていくと。まだ数字的な具体的な取り決めまではないのだそうですけれども、ビジョンとしては、二〇五〇年まで考えて、視野に入れて、長期的計画のもとで実践しようとしているということであります。

 こういった長期的な視野に立った施策こそが今日本に求められているのではないかと思うのでありますけれども、いかがお考えでしょうか。

風間副大臣 おっしゃるとおり、人類の生存基盤にとって温暖化防止は単に京都議定書の問題では全然なくて、むしろ京都議定書はその第一歩でありますから、さらに取り組んでいくというその次のステップ、その次は、単に短期的なあれではなくて、むしろ中長期的という視点でもって取り組んでいかなきゃならないというふうに思っております。

 今の先生の御指摘の、イギリスの二〇五〇年五〇%、私個人的には、五十年たつと百三歳になっていますから生きていませんが、次の世代の次の世代に向けてどう取り組むかということの視点は極めて大事でありますから、そういう意味で、地球温暖化対策推進法に基づく閣議決定となった基本方針でもきちっと、さらなる長期的、継続的な排出削減へ導くために、温室効果ガスの排出削減が組み込まれた社会の構築を目指すというふうにしたわけであります。

 そういう意味で、長期的な戦略を、また政策を含めてぜひ検討していきたいというふうに思っております。

樋高委員 副大臣には百三歳まで生きていただいて、ぜひ環境につきまして御尽力をいただきたいと思っております。

 いずれにいたしましても、今回のCOP7の合意は、世界の経済の仕組みそのものが持続可能なものへと転換していくことを示していると思います。日本は、世界に率先して環境と調和した循環型の経済社会を構築することが、持続可能な世の中が可能になるということで必要不可欠じゃないかと思うわけであります。

 今地球は限界でありまして、人類生存の屋台骨が音を立てて崩れようとしております。地球温暖化対策はもちろんでありますけれども、地球環境保全にも全力で取り組む、自然と人間との調和、共生、それに向けて構造改革が求められていると思います。

 国民生活のあらゆる局面での、今回温暖化対策では省エネ規制、もちろんそういった規制の次元だけではなくて、もう一歩踏み出して、国民の意識の転換に向けましてあらゆる誘導策が必要であるということを強く申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。

大石委員長 藤木洋子さん。

藤木委員 日本共産党の藤木洋子でございます。

 大臣、本当にCOP7は御苦労さまでございました。このCOP7で京都議定書の運用ルールが最終合意されたということは、二〇〇二年の発効に向けた準備が整ったわけで、地球温暖化防止のための国際的取り組みへの第一歩を踏み出したものだと思います。

 そこで、川口環境大臣は、十一月七日のCOP7のステートメントで、「今回の交渉において、我が国は、ボン合意に忠実に従います。我々は、全ての国がボン合意をリオープンしないよう呼びかけます。」と表明しておられます。

 ところが経済界が、これは日本の経済界が、罰則が法的な強制力を持つということを心配している、こういったことから、日本の政府は、遵守規定の分科会で、法的拘束力を議定書に持たせることに、議定書発効後の最初の締約国会議で決めるべきだと決定の先送りを主張し、遵守行動計画の提出に言及した箇所の削除を求めるなど、できるだけ罰則規定を緩やかにするよう繰り返し要求してまいりました。

 また、京都メカニズムの分科会では、分科会議長に、ボン合意の変更につながると指摘をされた、共同実施に関して議定書の遵守手続に従うことをメカニズム参加の条件とする条項の削除を頑強に要求し、最終合意には盛り込まないことにさせました。

 このように、日本政府は、ボン合意をリオープンせずと主張しながら、みずからボン合意を損なう内容の主張を行うなど、建設的役割を果たすどころか、最終合意に否定的な役割を果たしたのではないかと思うのですが、いかがですか。

川口国務大臣 まず、ボン合意をリオープンしたかどうかということでございますけれども、我が国はボン合意をリオープンしてはならないという立場でございまして、ボン合意につきましてはリオープンをしていないということです。

 遵守につきましては、そもそも、ボンで合意をいたしました段階で、不遵守の場合の帰結の法的拘束性については、それを持たせるかどうかについては、COP/moP1と言われます京都議定書発効後の第一回の締約国会議において決定をするということがボンで最後の段階で合意をされました。

 それと、メカニズムのところにございました規定、これはボン合意の、ボンでの最後の段階で、実は、先ほど申し上げた遵守についての部分と不整合があるということがわかりまして、プロンク議長自身が不整合であるということを認めたわけでございますけれども、今回のマラケシュでの会議におきましては、この不整合をなくすということが目的でございまして、そのための努力を我が国は他のアンブレラ国と一緒になって行ったということでございます。

藤木委員 しかし、京都メカニズムの共同議長は、今は交渉の最終ステージで、目の前にあるテキストについて交渉しているのだ、日本に対して大変失望していると述べておられますし、NGOからは、日本政府はボン合意の尊重をという緊急申し入れがなされたほどでした。

 さらに川口大臣は、ステートメントで、「我が国にとって、京都議定書の批准を検討するにあたり、COP7での合意が、国内の排出削減を完全に機能する京都メカニズムと結びつけ得るものであることが極めて重要です。」と述べています。

 そして日本政府は、国内対策での企業の排出削減の負担を減らすために、京都メカニズムの運用緩和を求めて交渉しました。その内容は、排出権取引ができるガスを限定しないこと、排出権取引後の転売を容認すること、CDMでの排出枠も取引対象に入れることなど、細かい規則をなくして自由に運用できるようにすることでした。結局、報告・点検事項を受け入れない国は京都メカニズムに参加できないということにとどまりました。

 大臣は、「京都メカニズムに過度の制約を課すことは、メカニズムの円滑な機能を阻害し、全ての締約国が損失を被ることになりかねません。」と述べていますけれども、実際は、ボン合意で三・九%の森林吸収分を確保し、さらに京都メカニズムの運用緩和を図ることで国内対策での実質的な削減負担を少なくしようとする態度ではなかったでしょうか。つまり、COP7では環境交渉の姿勢としては後ろ向きであったし、結果として、京都議定書による国内対策を実質上後退させることになったのではないかと思いますが、どうですか。

川口国務大臣 ボン合意と今回の会議とにおきまして、先ほど申しましたように、遵守について存在をする不整合を直していくということが、今後京都議定書が実効ある形で運用されるという観点から非常に重要であるということで、我が国といたしましては、先ほど申しましたように、他のアンブレラ諸国と一緒になってこの点についての主張をいたしたわけです。

 もう少し詳しく申し上げますと、京都メカニズムの、ちょっと言いかえますが、遵守制度について、具体的にその帰結についての法的拘束性の有無については、COP/moP1、京都議定書発効後の第一回会合に先に送ってそこで議論をするということになっておりましたけれども、そもそも、京都メカニズムの参加資格として受け入れるべき遵守制度は何かということについて、将来的に法的拘束性がそこに持ち込まれた場合に、京都メカニズムへの参加を、言葉がちょっと適切ではないかもしれませんが、人質となって、法的拘束性について我が国の立場と違ったものを受け入れなければいけなくなるという可能性、その可能性が存在した場合には、京都メカニズムの使用について不透明性、不確定性が持ち込まれることになりますので、そういう観点から我が国は他のアンブレラ諸国と一緒に反対をいたしたわけでございます。

 それで、日本が吸収源、京都メカニズムなどの活用を主張したことによって国内対策を事実上後退させたのではないだろうかということでございますけれども、京都議定書におきましては、そもそも、京都メカニズムの活用は国内措置に対して補足的でなければならないという規定がございます。

 我が国におきましても、この点につきましては、地球温暖化対策推進法に基づきまして閣議決定をされました基本方針におきまして、「排出量取引等の活用は補足的なものとし、国内対策を基本とする。」というふうに書かれているわけでございます。吸収源の活用というのは、京都メカニズムとは別なものとして京都議定書に規定をされているわけでございまして、この規定及びCOP7の合意に基づきまして、これを適切に活用いたしたいと考えております。

 先週の月曜日の地球温暖化対策推進本部におきまして、京都議定書の二〇〇二年締結に向けた準備を本格的に開始するということが決定をされておりますので、引き続き国内対策を中心といたした対策に総力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。

藤木委員 それでは次に、批准に向けた国内制度の整備の問題ですけれども、十月二十三日に発表されたEU内温室効果ガス排出量取引に関する欧州委員会指令案では、制度対象者が、EUの総合汚染管理指令の対象施設として、具体的には、発電、石油精製、鉄鋼、非鉄金属、紙・パルプ等のエネルギー多消費型産業の工場、施設となっています。二〇〇五ないしは二〇〇七年までの排出枠の交付方法は、排出量の上限である排出枠を個別の事業者に無償で割り当てる、そして、毎年、実際の排出量が排出枠を超過しているかどうかを照合する。排出枠超過時には、一トン当たり百ユーロの罰金を支払わなければならないことになっています。これらEUルールについてEUは、納得できないルールを持つ国とは取引しないという考え方も表明しています。

 欧州域外各国に強制はできないにしても、排出権の主な購入者はEUと日本になる見込みですから、実質的にEUルールを求められることになるでしょう。ですから日本でも、経団連の自主的な取り組みに任せるのではなくて、六%削減目標の達成を担保するために事業所ごとの排出枠の割り当てと、排出枠超過時のペナルティーが必要だと思うのですが、いかがですか。

川口国務大臣 排出量取引につきましては、京都議定書で京都メカニズムの一つとして決定をされておりまして、今回、それについて若干の部分は法的な文書にございますけれども、より具体的にはこれから国際的にみんなでどういう制度がいいかということを考えていくことになるわけでございます。EUの考えているルールが国際的に適切なものとして位置づけられるか、あるいは違う形のルールになるのか、それはこれから議論をすることになると考えております。

藤木委員 ですから、EUの指令案並みの厳しい措置とまではいかなくとも、事業所ごとの排出枠の割り当てと、排出枠の超過時のペナルティー、これはぜひとも必要だというふうに思います。

 さらに、指令案では、制度対象者は定められた方法で排出量の把握を行い、共通の様式で報告を行うことが義務づけられています。その排出量については、規制当局または第三者機関による検証を受けることが義務づけられております。

 当然、私は、日本においても、六%削減目標の達成を担保する国内法制度には、排出量の第三者機関等による検証と報告の義務づけが盛り込まれる必要があろうというふうに思っておりますが、その点は、大臣、いかがでしょうか。

川口国務大臣 京都議定書上の義務、削減義務が生ずるのは二〇〇八年でございますが、当面、第一ステップの取り組みといたしましては、取り組み状況の公表や第三者による評価の仕組み等事業者の自主性を重んじた制度設計が適当であるというふうに考えております。その場合、これらの施策を講じたにもかかわらず、京都議定書の目標達成が困難であると見込まれる場合には、第二ステップの取り組みとして、事業者の取り組みをさらに推進するための施策を検討していくことが必要であろうかと思っております。

 いずれにいたしましても、現在、中央環境審議会の国内制度小委員会におきまして国内制度のあり方については御検討をいただいているところでございますので、これらの審議結果を踏まえまして、国内的にどういうやり方で行っていくのがいいか、総力で取り組んでいきたいと考えております。

藤木委員 もし、その批准に向けた国内制度の整備の上で、米国抜きのまま批准、発効には反対、新たな税負担や規制で目標を達成しようとすれば、厳しい経済や雇用にマイナスになるなどとしている財界や産業界の意向を最優先するということであれば、国民世論に背を向けることになるということを指摘しておきたいと思います。

 次に、瀬戸内海の自然環境の問題で伺います。

 兵庫県の南西部、姫路市の沖合、瀬戸内海播磨灘の中央に家島群島がございます。瀬戸内海国立公園の家島町のうち、西島は、その陸域が第二種特別地域、周辺海域が普通地域に指定され、男鹿島は、その周辺海域が普通地域に指定されています。この家島町は、人口八千四百五十七人、漁業と採石業とそれに関連をする海運業が主な産業になっております。

 この採石業は家島町の男鹿島と西島で営まれていて、数十年前から、土石を海域に投入しまして、海底土石をバケットでつかんで船積みしてきたといったことをやってまいりました。そのために、海底に残った土石で地先の海面がどんどん埋め立てられてまいりました。この行為は、いわゆる土石の海洗いによる水面の埋め立てで、国立公園の風景に支障を及ぼし、周辺海域の汚濁を招くものでした。

 そこで、兵庫県は八月二十三日、採石法第三十三条の八に係る遵守義務違反で二十九の採石業者に埋立区域の原状復元の改善命令を出しております。両島で採石している三十二の業者のうち二十九の業者が認可区域外で操業しておりました。埋立区域は従来の海岸線より二百メートル以上も張り出している部分もございました。実際、私行ってきたわけです。

 数十年にわたってこうした違法行為が続いていたわけですが、採石法による登録の変更、採取計画の認可、採取計画の変更認可、立入検査、パトロールなど行っているのになぜこれまで認定できなかったのか、全く不思議でなりません。長年続いてきた慣習なので違法とは気づかなかったというのが兵庫県の言いわけですけれども、こんな言いわけは成り立つものではありません。ですから、この行為を見過ごしてきた兵庫県の指導監督の責任が問われると思いますが、経済産業省、いかがですか。

広田政府参考人 兵庫県は、県が認可した採取計画、これに即した採取方法を事業者が行っていないということで、事業者に対し、本年の八月、採石法第三十三条の十三第二項の規定により、堆積した土石等の撤去を命じたところでございます。

 採石法では認可計画の遵守義務というものが課せられておりますので、日ごろの指導監督により問題があれば速やかに適切に対応すべきものというふうに考えております。

藤木委員 県の責任は明らかです。

 さきの改善命令では、海に張り出して埋め立てられた約四十五ヘクタールについて三ないしは六年かけて順次撤去させることになっています。県は、業者別の実質埋立面積が四千九百十ないしは三万六千八百六十一平方メートルであって、三年で埋立区域全体の約七割が海に戻り、最終的に水深七メートル程度の護岸を設置するよう業者に指導する、このようにしておりますけれども、県は、業者が実行可能な範囲で期間などを設定したと言うのですけれども、この改善命令を受けた二十九の業者というのは零細中小業者です。ですから、改善命令どおりの原状回復の見通し、とても十分だとは思えません。

 そこで、採石法を所管する経済産業省として、これが確実に原状復元ができるようにする指導責任があると私は思いますが、いかがでございますか。

広田政府参考人 県の土石のしゅんせつ撤去命令に対しまして、事業者は、改善計画を県に提出し、しゅんせつ撤去を行うべく既に一部作業に着手しているというふうに聞いております。

 なお、県では、この問題の重要性から、家島採石場環境保全検討会という専門家の皆様も含めた検討会を発足し、改善措置を求めた採石場について、瀬戸内海国立公園の環境に配慮した採石場づくりを推進するための方策の検討や適切な助言を行うために検討を現在行っているところというふうに聞いております。

 この検討会は、本年度末を目途に報告書を取りまとめるというふうに承知をしておりますが、私ども経済産業省としては、同検討会における検討状況を注意深く見守ってまいりたいと考えております。

藤木委員 では次に、環境省は十月三日、許可、届け出を行わず海水面を埋め立て、採石を行っていた採石業者二十五名に対し、自然公園法違反による原状回復命令を出しました。それは、自然公園法においては、国立公園区域の水面の埋め立てを行う場合、特別地域については許可を受けた上で、普通地域については届け出を出した上で行わなければならないことになっているからです。

 今回の埋立行為については、許可も届け出もなされないまま行われておりました。しかし、ここでも私不思議に思うのですが、ここ数十年間の採取許可計画に伴って自然公園法による特別地域での行為を許可する際に、どうして認定できなかったのかという問題です。

 ですから、公園管理事務所の体制上なかなか厳しいことは承知しておりますけれども、しかし、やはり見逃してきた環境省にも自然公園の保護管理の責任があるのじゃないですか。いかがですか。

小林政府参考人 違法埋め立ての事実を長期間にわたりまして確認できなかったことにつきましては、現地に自然保護事務所を置いて国立公園を管理する立場の環境省として、まことに遺憾に存じております。

 今回の事件に関しまして、環境省それから県、町、採石業者、漁協などで構成される検討委員会ができましたので、今後、それらの機関とも緊密な連携をとりまして、巡視の際にも、現地を眺めてくるだけということではなくて、積極的に関係者から事情を聴取するなど巡視の実効性の向上に努め、国立公園管理に遺漏のないようにしていきたいと存じております。

藤木委員 確かに、本当に広い瀬戸内海の中で、わずか家島の特別地域の改変で、現場まで足を運んで審査するという体制がなかなかなかったというのもわからないではありません。しかし、わずか目先にある姫路港の兵庫県の出先でさえ、五月に毎日新聞の記事を見るまでは全く知らなかったと言っているわけです。

 ところで、先ほどの原状回復命令では、西島の特別地域及び普通地域及び男鹿島の普通地域のうち、水面の埋め立てを行った箇所については、瀬戸内海国立公園の国立公園計画を踏まえ、速やかに埋め立てた土石をすべてしゅんせつ撤去し原状回復を図ることとしております。

 しかし、採石法違反による原状復元命令では約四十五ヘクタール、一方、自然公園法違反による原状回復命令では約九・七ヘクタールとなっています。随分大きな開きがございますね。今後、この境界線の確定によって若干違ってはきますけれども、その差約三十五ヘクタールの違い。

 これはなぜかといいますと、九四年の十一月に環境庁告示の公園計画の見直しにあるわけです。それは、九四年当時、既に海水面が埋め立てられていた約三十五ヘクタールをも陸域に含んだ公園計画の線引きをしてしまった、こういう状況だったのです。幾ら航空写真でなぎさ線で線引きをせざるを得なかったんだと言っても、理解は得られないと思います。

 そこで、大臣に伺いますけれども、これは、違法行為による海面埋立地を特別地域などの公園区域に指定して、事実上、国が埋立地域を認知してきたということになりますね。ですから、今まで知らなかった、見逃してきたということとあわせて二重の意味での誤りを反省する必要があると思いますし、早急に公園計画の適正な見直しをすべきだと思うのですが、どうでしょうか。

川口国務大臣 埋め立ての事実を長期間にわたり確認できなかったこと、また、平成六年の公園区域の見直し時に、違法行為により埋め立てられた海水面を陸域として国立公園の区域線を定めましたことは、国立公園を所管する環境省といたしまして遺憾だと存じます。

 今後、原状回復が行われて海岸線が確定をした段階で、速やかに公園区域線の点検を実施する所存でございます。

藤木委員 境界線が確定次第、公園計画の点検で、海面の埋立区域の公園指定の取り消しを早急にしていただきたいと思います。

 しかし、問題は、こうした公園計画の見直しによる線引きというものが、他地域の業者から指摘されるまで、海面埋め立てという違反行為の認定をおくらせた一因ともなっているという問題です。二度とこのような過ちを繰り返さないための抜本的な改善対策を求めておきたいと思います。

 では、どうしていわゆる水洗いと呼ばれる方法を繰り返してきたのか。

 両島の土石は、関西空港二期工事や神戸空港の埋め立て用石材の九割を供給しております。昨年は約二千百万トンの石材や生コン用の砂を搬出いたしました。瀬戸内海で採石をしている島はほかに香川県の小豆島などありますけれども、年間一千万トンを超える産出量を誇ってきたのは家島町だけであります。

 この産出量の高い理由の一つに、いわゆる海洗い方式による搬出がございます。土石を一たん海に沈めることで付着した泥が洗い流され、埋め立てに使われる際に濁りが少なく、買い手から評判がいいからだと採石関係者は語っております。これは、当然、関西空港二期工事や神戸空港などの事業者から見れば、埋立工事で海域の汚濁が少ない土石の方が、工期の面からいってもコスト面からいっても好ましいのは当然であります。

 そこで、こういう公共事業者から、洗った石を持ってこい、それなら家島の石を使ってやろうというような実態があるわけですから、ですから、採石業の健全な育成と環境の保全の立場から全国の実態調査をして改善すべきだと思うのですが、経済産業省、いかがでしょうか。

広田政府参考人 発注者からの仕様や要望に受注者ができるだけ対応するといたしましても、その大前提は各種の法令の遵守でございます。したがいまして、都道府県等を通じ、その徹底や実態把握に努めてまいりたいと考えております。

藤木委員 実態として、事業者が、埋立工事で海域の汚濁が少ない土石の方が工期やコスト面で好ましいと言うのであれば、本来、埋立工事の設計単価にその採石の水洗いコスト分もきちんと算入をさせるというのは当然のことではないのでしょうか。そういう発注をすべきだと思いますよね。設計単価に含まれないから違法な海洗いなどの行為を助長させることになるわけです。

 反対に、設計単価に含まないのだというのであれば、中小零細企業の採石業者が営業を続けられるように、共同積み出し港だとかあるいは採石水洗い施設の設置などの共同化のための支援措置が必要だと思いますね。

 ですから、設計単価あるいは発注単価に採石の水洗いコストを算入して採石業者に発注させるという方法をおとりいただくか、あるいは採石水洗い施設などへの新たな支援措置を図るか、こういったことをやっていただかなければ、採石業者が原状回復を図りながら健全に営業を続けられることは難しいというふうに思いますが、そういった支援策をとるべきではないのでしょうか。経済産業省、お答えください。

広田政府参考人 公共工事におきます単価等につきましては、私どもがなかなかお答えできる立場にはないわけでございますが、他方、ただいま御指摘がございました採石業者に対する支援措置でございますけれども、実態上、こうした業者のほとんどは中小企業者でございます。中小の採石事業者でございますれば、一般に、政府系の中小企業の金融機関の融資制度あるいは信用保証協会による債務保証といった中小企業者への支援施策の活用が考えられます。今後、具体的な御要望があれば、こうした制度の情報を提供していく等対応してまいりたいと考えております。

藤木委員 これで終わります。

大石委員長 原陽子さん。

原委員 社会民主党の原陽子です。よろしくお願いします。

 京都議定書の質問に入る前に、先日、十月二十六日の質問に関して一点だけ確認をさせていただきたいと思います。

 先日の質問の中で、私は、炭谷地球環境局長に、運輸部門の温暖化ガス削減について質問をさせていただきました。その中で、局長が、運輸部門の中で六二%が自家用車で、そのうち事業者も使われている部分があるということ、そして、大変重要な点だろうと思うので、手がかりがないか調査してみるというお答えをいただいたのですが、その後、何らかの調査をしていただけましたでしょうか。

炭谷政府参考人 私どもといたしまして、いろいろな機関また文献等に当たってみました。そうしましたところ、二十五年前の古いデータが一つ見つかりましたけれども、二十五年前のものでは、少し、今日の状況を判断するには使えないのではないだろうかというふうに思っております。

 いずれにしろ、非常に重要なポイントでございますので、さらに手がかりがないか、引き続き調べていきたいと思っております。

原委員 ぜひ調査を続けていっていただきたいなと思います。

 私の方でも国土交通省の方に聞いてみたところ、いわゆる白ナンバーの車は自家用車も事業用車も区別をされていないそうです。でも、各地の陸運局で名義登録されたデータというのは全部中央に集まってくることがわかったので、もしそれが社名で登録してあれば何らかの区分け、区別をしていくことは可能だと思いますので、ぜひ引き続きの調査をよろしくお願いしたいというふうに思います。

 それでは、本題の京都議定書に関する質問をさせていただきたいと思います。

 大臣は、COP7の報告書の中で、今回の合意を受けて、我が国において国内制度の構築が最も重要な課題とし、地球温暖化対策推進大綱の見直し等、国内制度の整備、構築のための準備を最も重要な課題として挙げておられます。今回は、この大綱を見直す上でぜひ抜本的に見直していただきたいなと思う点について質問をさせていただきたいと思います。

 確かに、この京都議定書の大きな課題は、地球温暖化ガスを減らしていきましょうということにあるかと思います。エネルギーの供給面で二酸化炭素を排出しない原子力発電の推進はCO2の削減につながるとの見解を環境省、大臣はお持ちのようですが、確かに原子力発電はCO2は排出しないかもしれませんが、私は、別の意味で大きな負の遺産を残すことにつながってくると思います。それは、放射能の問題であります。

 発電所の事故による放射能の外部への放出という問題は非常に大きな問題であり、これは、チェルノブイリに象徴されるように、一度外に放出してしまったら大きな環境汚染をもたらすことにつながります。

 先日も、十一月の七日に浜岡原発の一号機で事故が起きました。原因の調査中に、今度は原子炉圧力容器下部で水漏れが見つかり、それが七月から漏れていたことがわかった。五カ月近くも異常が異常と確認されなかった。よく原子力発電は安全だというようなことをおっしゃいますが、この原子力発電の安全神話というものは、私は、さまざまな事故の中で完全に崩れたというふうに考えていますが、このことについてエネルギー庁にお願いします。

佐々木政府参考人 原子力の開発利用は、安全の確保が大前提でございます。原子力発電所におきます事故、トラブルにより国民の安全に重大な支障を及ぼすことがないよう、十分な安全対策を講じることが必要でございます。

 このため、国としては従来から、原子炉等規制法に基づきまして、設計審査や運転中の検査に加え、事故、トラブルについては速やかに国に報告させ、その原因の究明、再発防止対策を講じてきているところでございます。

 今お尋ねの浜岡原子力発電所一号機において七日に発生しました余熱除去系の蒸気配管の破断と、九日に判明した原子炉圧力容器下部からの水滴漏れにつきましては、放射性物質による環境への影響はなく、また、原子炉の安全に直ちに影響があるものではなかったものでございますけれども、いずれの件についても、原子炉の安全確保機能に関連するものであり、徹底した原因の究明と再発の防止に取り組む必要があると考えております。

 経済産業省におきましては、原因究明のため、原子力安全・保安院内にタスクフォースを設置いたしまして、現地調査を行うなど取り組みを開始しております。また、事業者は、当省が了解した原因究明のための作業方針に沿って作業を開始したところでございます。

 なお、九日に判明した原子炉圧力容器下部からの水滴漏れにつきましても、事業者において当省が了解した作業方針に沿って原因究明を開始したところでございます。

 今後とも、当省といたしましては、事故原因の究明と再発防止のための作業を着実かつ的確に進めるとともに、適時的確に調査等の進捗状況について公表してまいる所存でございます。

原委員 しかし、この放射能漏れというのは、やはり私は、ある意味で、一度漏れてしまったらこの地球温暖化問題に匹敵するほど重要な、そして深刻な環境問題に広がっていく課題であると思います。例えば人体への影響を考えたときに、副大臣はお医者さんであるということだそうなので私よりもより詳しい知識をお持ちだとは思いますが、放射能被害というものは二世代、三世代と後世にも影響する問題として私はとらえるべきであるというふうに思っています。

 もちろん、この議定書の中では地球温暖化ガスを減らしましょうということではありますが、CO2排出の側面から評価するだけでは私はならないというふうに思っていますし、この大綱の中の「エネルギー供給面の二酸化炭素排出削減対策の推進」の一番最初のところに「原子力立地の推進」ということが書かれていることに私はやはり疑問を持っております。それなので、ぜひ、安易に原子力発電を進めていくということではなくて、私は脱原発の方向で考えていっていただきたいというふうに思っております。

 この原子力の問題なんですが、これは、ぜひ私は医療の知識をお持ちの副大臣にお聞きをしたいと思うのですが、ウラン鉱山の労働者や周辺住民への健康問題は既に深刻な被曝問題となっております。その実情をどのように認識しておられるのかということ。そして、先ほどからも述べておりますが、先進国として温暖化対策だからといって原発を利用することは、引き続き発展途上国や先住民が放射能被害に遭うという実態をどのようにお考えになられているのか、副大臣にお聞きをしたいと思います。

風間副大臣 なかなか難しい、難しいといいましょうか、影響というのはいい影響と悪い影響があるんですけれども、お聞きになっているのは悪い影響のことなんだろうなというふうに思っております。

 つまり放射能は、放射線を出すものをすべて放射能というわけでありますけれども、放射線を出すことによって医学にもあるいは人類にも大きく科学的に寄与している部分もあるわけでありますから、影響というのは、今おっしゃっているのは悪い影響についてお問い合わせなんですよね。はい。いや、いい影響もあるものですから。

 それで、ウラン鉱山における放射性物質における健康被害というのは、私は日本の国内では知りません。それから国外でも、今お聞きいただいたんですけれども、具体的にどういう障害があるのか、一般論ではある程度わかりますが、つまり、天然ウランをとったりなんかするときに粉じんによる、それが肺に沈着したり、あるいは重金属による汚染にさらされると健康被害の可能性があるということは一般論ではわかりますけれども、だからそういうことに対しては、従業者に対する十分な配慮が極めて大事な問題であるというふうに思います。今、ウラン鉱山における健康問題の実情については十分私はまだ把握しておりませんので、むしろ教えていただきたいというふうに思います。

 それから、先進国が原発を利用して途上国の方々に対する健康被害ということに関しては、当然、そういうことが実際にあれば、先進国としてはその被害の防止や救済に支援をしていくというのはもう当たり前のことではないかなというふうに思っておりますから、まず健康被害に遭っているところの実情をきちっと調査しなきゃならないかなというふうに思いますので、知っていれば教えていただきたいと思います。

原委員 知っていればというよりか、私はぜひこの辺は副大臣にも知っておいていただきたいなというふうに思うのですが、ウランの現場で働いている方々というのは、やはりそこの地域の先住民の方がウランを採掘している。その中で、微量ではあるがそこから放射能が放出されていて、それによってやはり人体への影響を受けている。これは一つの南北問題にもつながるというようなお話を私も聞いたことがありますので、これは大臣ぜひ、副大臣にもぜひ調査をしていただきたいというふうに思いますし、これはもう既に世界の中で深刻な被曝問題となっているというように私の方は認識しておりますので、引き続き副大臣としても実態の把握をしていっていただきたいというふうに思っております。

風間副大臣 わかりました。早速できる限りにおいて調べさせていただきたいと思います。環境省の所管であるのかどうかというのはまた別の問題になるかもしれませんが、いずれにしても調べさせていただきたいと思っています。

原委員 この原発とかエネルギーのことを質問すると、環境省の所管じゃないとかということをよく言われると、私はがっくりくるんですが、でも、原発立地のことに関しても原発に関しても、やはり環境省がノータッチでいられるはずはないと思うんですね。私も環境省設置法を今手元に持っていないのでわからないんですが、やはりノータッチということではないと思うんですよ。やはり環境省もそれなりに絡んでいかなくてはいけないと思いますので、ここは、まあ所管じゃないとかということではなくて、ぜひ環境省としても実態の把握をしていっていただきたいというふうに思います。

 では、次の質問はエネルギー庁に聞きます。

 原発についてもう一つ大きな問題で、放射性廃棄物の捨て場というものは今日本にありますでしょうか。

迎政府参考人 放射性廃棄物の処分について現在どういうことになっているかというお尋ねでございますけれども、まず、放射性廃棄物につきましては、放射能のレベルや含まれます放射性物質の種類によって適切に区分を行って、その区分に応じて合理的な処分を行っていくということで考えております。

 それで、放射性廃棄物のうち量的に大宗を占めますのは低レベル放射性廃棄物というものでございますが、これにつきましては、既に平成四年から、青森県の六ケ所村の日本原燃株式会社低レベル放射性廃棄物埋設センターにおきまして埋設処分を行っておるところでございます。平成十二年末現在、処分量は二百リットルのドラム缶で約十三万五千本について埋設の処分を行っているところでございます。

原委員 低レベルのものに限っては埋設処分をしているということですが、では、高レベルのものについてはどうでしょうか。

迎政府参考人 高レベル放射性廃棄物につきましては、これの最終処分の枠組みを定めますところの特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律というのを国会で御審議いただきまして、これが成立をいたしました。それで、この法律にのっとりまして、処分の実施主体といたしまして、原子力発電環境整備機構というものが設立されまして、処分費用の積み立てですとか、あるいは処分地の選定に向けた準備等を開始したところでございます。

 最終処分地につきましては、今後、三段階のプロセスを経て地区の選定を行っていくということを計画しておりまして、まずは、その原子力発電環境整備機構の方で、国の定めた計画に従いまして文献調査を行い、その後、概要調査地区を選定いたしまして概要調査の実施をする。それから、平成二十年代前半を目途に精密調査地区を選定し調査を行い、平成三十年代後半を目途として最終処分施設建設地を選定して処分事業を行っていくということで計画をしておるところでございます。

原委員 つまり、いろいろなレベルがあるそうなのですが、高レベルのものについては最終処分場はないということでよろしいんですよね。

迎政府参考人 現在、地区の選定はこれから行うということでございます。

原委員 つまり、この放射性廃棄物の最終処分場の問題はいまだ未解決であるということだと私は理解しました、今。

 これはぜひ大臣に聞きたいのですが、こうした、まだ捨て場がないものの処分技術をこれから推進していこうということに関して大臣はどのようにお考えになりますか。

川口国務大臣 温暖化対策の観点からどう思うかという御質問の御趣旨ではないかというふうに思いますけれども、温暖化対策の観点ということで申し上げますと、先ほど申しました基本方針に基づいて適正に考えていきたいと思っておりますし、捨て場の件につきましては、これは経済産業省において適切にお考えをいただくということだと考えております。

原委員 では、温暖化対策の面からではなくて、放射性物質、一度放出されたらやはり環境に与える影響は非常に大きいということを私は先ほどから述べてきておりますが、では、その観点からは大臣はどのようにお考えになりますか。

川口国務大臣 環境省の設置法に書かれておりますのは、「放射性物質に係る環境の状況の把握のための監視及び測定」ということでございますので、一般論としては私の所管ではございませんのでお答えは差し控えさせていただきたいと思います。

迎政府参考人 処分地の選定というのはこれからでございますけれども、今処分の技術というお話がございましたけれども、高レベルの放射性廃棄物の処分方法につきましては、これまで国際機関や世界各国でいろいろな検討がなされ、地層処分を行うことが他の方法と比較して最も問題点が少なく、かつ実現の可能性があるというふうなことが国際的にも共通な認識になっているというふうに理解をしております。例えば外国でも地層処分の処分地が決定をしているような国もあるわけでございます。

 現在決まっていないということでございますけれども、先ほど申し上げましたように、資金の手当てあるいは地域決定についての体制等の整備が進んでおるわけでございまして、今後これを着実に進めてまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。

原委員 では、引き続きエネルギー庁の方にお聞きをしたいのですが、先ほどから私は、原子力の安全神話は完全に崩れたのではないかということを申し述べてきておりますが、例えば、とてもいい例が三重県の、これは海山町ですよね、海山町の住民投票では反対票が大きく上回った。私は、これは本当に住民の賢明な答えが出たというふうに思っております。

 この「原子力立地の推進」のところに、例えば、「原子力立地地域の振興について、引き続き、当該地域の産業振興を図り、雇用創出につなげるなどの観点を中心として、」などというふうに、そうした原発推進の理由が書かれているにもかかわらず、やはり地方の小さな村の住民が誘致に反対という答えを出しました。そして、この推進の中に、原子力立地に対する住民の理解と協力を求めるということも書いてあります。しかしやはり、この原発立地に対しては、全体的に理解を得るのは非常に難しくなってきているというふうに思います。

 これは決してこの海山町のみならず、この間の住民投票、例えば巻町とか刈羽、いずれでもやはり反対が多数を占めていまして、理解を得るということは非常に困難になってきているということは明らかであると思います。これら住民投票の結果について、エネルギー庁はどのように考えていらっしゃいますか。

迎政府参考人 原子力の立地につきましては、原子力に対する信頼を維持、回復していくことが重要なことであろう、そして、国民の方々の理解と信頼を得ながら進めていくことが必要だろうと考えておるところでございます。そのためにでございますけれども、まずは安全の確保というのを着実にやっていくということが理解を得る最大のゆえんだろう、こういうふうに考えております。

 それから、さらに原子力全体についての信頼性という意味では、今申し上げましたバックエンドの対策を着実にやっていくということだろう。さらに、国民の信頼を得ていく上におきまして、原子力についての理解を得ていくという活動も着実にやっていかなければならないだろうというふうに思っております。

 刈羽村のプルサーマルの問題を契機にいたしまして、国民に広く理解をいただくための活動というのも、今後一人でも多くの、詳細は省きますが、多くの方に原子力発電所を見ていただくとか、あるいはエネルギー教育を充実していく、あるいは一方通行の情報提供ではなく、国民と双方向の立場でいろいろな疑問に答えていく、こういった活動を総合的に実施をいたしまして理解と信頼を得るように努力をしてまいりたいと考えておるところでございます。

原委員 今お答えいただいたようなことはここにも書いてありますよね。原子力に対する国民の信頼の回復に努めるとか、住民の理解を得ていくと書いてあるんですが、これはエネルギー庁の方が書かれたんですか。この資料です。地球温暖化対策推進本部というところからもらったこの大綱のところのこのエネルギーの部分というのは。エネルギー庁が書かれたんですか。

迎政府参考人 大綱につきましては、閣議決定でございますので、政府全体で決めたということだと考えております。

原委員 先ほどから繰り返しになりますが、核利用については、もう採掘から精製、燃料加工、原発立地、運転、そして廃棄物、または現在進められようとしている核燃料リサイクル、いずれをとっても完全に放射能被害を防ぐことができないというのがこれまでの事故などにより明らかになってきていると思います。

 それなので、今回この大綱を見直すことが非常に重要だというふうに大臣は述べられておりますので、これまでの経過で、この大綱に盛られた計画は、今まで私が質問してきたような内容のことから、ぜひ抜本的に私は見直していただきたいというふうに思います。

 そして、やはりまだその安全性が確保できていない原子力立地推進の大綱というものを見直す考えがあるかどうかということを、ちょっと大臣にお聞きをしたいと思います。

川口国務大臣 現行の地球温暖化対策推進大綱は、策定当時というのは平成十年六月でございましたけれども、原子力発電所の新増設の将来見通しを前提として策定をいたしました。その後、原子力発電所の立地を取り巻く情勢が変化をしてきましたことから、今回の大綱の見直しにおいては、こうした情勢変化を踏まえて検討をしてまいりたいと思います。

 また、地球温暖化対策推進法に基づき策定されました基本方針におきましては、原子力の開発利用については、「放射性廃棄物の処理処分対策等を充実させつつ、安全性の確保を前提として、国民的議論を行い、国民の理解を得つつ進める。」というふうになっております。

 今後、大綱の見直しを行うに当たりましても、この基本方針の考え方に従って検討してまいりたいと考えております。

原委員 しかし、今までこの大綱の計画がうまく進んでこなかったというのは、やはり原子力の安全神話というものが崩れている、住民の理解とか協力が得られないということが大きな問題になってきたからだと思うので、むしろ国民の理解を得やすい再生可能なエネルギーの開発とか導入といったものに私は力を入れていくべきだというふうに思います。

 次に、森林吸収源のことについてお伺いをします。

 これはもう午前中からずっと議論があったかと思います。もちろん私も、CO2削減に向けて、森林吸収源に頼っていくということに関しては賛成しかねるので、三・七%という枠に頼らない方法を考えていくべきだというふうに思っています。かといって、やはり森林を守っていくということは非常に環境の側面からも大切なことでありまして、現状を見ましても、森林が荒れ果てていて、森林の持つ多面的機能というものが発揮されていないというのが実情であると思います。それなので、森林を健全に保全していくと、結果、森林のCO2の吸収量がふえていったというふうに言えるのであって、はなから森林吸収源に頼るということではなくて、むしろ森林をしっかりと保全していくということに私は努力をしていっていただきたいと思います。

 そこで、抜本的な森林の保全のために、林野庁と環境省とどのように連携をしていかれるおつもりなのか、お答えを願いたいと思います。

加藤政府参考人 今お話が出ましたとおり、森林については非常に多面的機能があるわけでございまして、この多面的機能に対する国民の要請というのはますます高まってきているというふうに我々理解をしているところでございます。

 また、一方では、林業の状況、木材産業の状況は大変厳しいわけでございまして、木材価格は低下をし、なかなか林業の採算性がとれないというような事態を迎えかけているわけでございまして、そういう点で森林に対する関心というものが森林所有者からも失われかけているというふうに危惧をしているところでございます。

 そういう点で森林整備をきちっとやっていかなければいけないというふうに考えているところでございまして、我々といたしましては、先般、林業基本法を改正いたしまして、森林・林業基本法を制定していただいたところでございますし、十月には森林・林業基本計画を閣議決定いただいたところでございます。

 この森林・林業基本計画の策定に当たりましては、環境省とも連携を図りながら計画をつくってまいったわけでございまして、この森林・林業基本計画に基づきまして森林の整備を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

原委員 時間が来ましたので終わりたいと思いますが、せっかくきょうは文部科学省に来ていただいていると思うので、最後に一つだけ要請をさせていただきたいと思います。

 ケナフという木が二酸化炭素をたくさん吸収するということだそうなので、ぜひ学校の環境教育の中に、こうしたパンフレットもでき上がっているそうなので、組み込んでいっていただきたいというふうに要請をさせていただいて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。

大石委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時六分散会




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