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第3号 平成14年3月12日(火曜日)

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平成十四年三月十二日(火曜日)
    午前九時十分開議
 出席委員
   委員長 大石 正光君
   理事 熊谷 市雄君 理事 西野あきら君
   理事 柳本 卓治君 理事 山本 公一君
   理事 奥田  建君 理事 牧  義夫君
   理事 西  博義君 理事 樋高  剛君
      小渕 優子君    奥谷  通君
      亀井 久興君    木村 隆秀君
      小林 興起君    田中眞紀子君
      西川 公也君    原田昇左右君
      菱田 嘉明君    三ッ林隆志君
      山本 有二君    小林  守君
      五島 正規君    近藤 昭一君
      田端 正広君    東  祥三君
      武山百合子君    藤木 洋子君
      金子 哲夫君    原  陽子君
    …………………………………
   環境大臣         大木  浩君
   環境副大臣        山下 栄一君
   文部科学大臣政務官    池坊 保子君
   環境大臣政務官      奥谷  通君
   政府参考人
   (防衛施設庁施設部長)  大古 和雄君
   政府参考人
   (総務省統計局長)    大戸 隆信君
   政府参考人
   (公正取引委員会事務総局
   経済取引局長)      鈴木 孝之君
   政府参考人
   (外務省北米局長)    藤崎 一郎君
   政府参考人
   (農林水産省大臣官房審議
   官)           坂野 雅敏君
   政府参考人
   (農林水産省総合食料局長
   )            西藤 久三君
   政府参考人       
   (林野庁長官)      加藤 鐵夫君
   政府参考人
   (水産庁資源管理部長)  海野  洋君
   政府参考人
   (経済産業省大臣官房審議
   官)           大井  篤君
   政府参考人
   (資源エネルギー庁省エネ
   ルギー・新エネルギー部長
   )            河野 修一君
   政府参考人
   (国土交通省総合政策局長
   )            岩村  敬君
   政府参考人
   (国土交通省河川局長)  竹村公太郎君
   政府参考人
   (環境省大臣官房長)   松本 省藏君
   政府参考人
   (環境省大臣官房廃棄物・
   リサイクル対策部長)   飯島  孝君
   政府参考人
   (環境省総合環境政策局長
   )            炭谷  茂君
   政府参考人
   (環境省総合環境政策局環
   境保健部長)       岩尾總一郎君
   政府参考人
   (環境省地球環境局長)  岡澤 和好君
   政府参考人
   (環境省環境管理局長)  西尾 哲茂君
   政府参考人
   (環境省環境管理局水環境
   部長)          石原 一郎君
   政府参考人
   (環境省自然環境局長)  小林  光君
   環境委員会専門員     飽田 賢一君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月十二日
 辞任         補欠選任
  武山百合子君     東  祥三君
同日
 辞任         補欠選任
  東  祥三君     武山百合子君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 環境保全の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――
大石委員長 これより会議を開きます。
 環境保全の基本施策に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 本件調査のため、本日、政府参考人として防衛施設庁施設部長大古和雄君、総務省統計局長大戸隆信君、公正取引委員会事務総局経済取引局長鈴木孝之君、外務省北米局長藤崎一郎君、農林水産省大臣官房審議官坂野雅敏君、農林水産省総合食料局長西藤久三君、林野庁長官加藤鐵夫君、水産庁資源管理部長海野洋君、経済産業省大臣官房審議官大井篤君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長河野修一君、国土交通省総合政策局長岩村敬君、国土交通省河川局長竹村公太郎君、環境省大臣官房長松本省藏君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長飯島孝君、環境省総合環境政策局長炭谷茂君、環境省総合環境政策局環境保健部長岩尾總一郎君、環境省地球環境局長岡澤和好君、環境省環境管理局長西尾哲茂君、環境省環境管理局水環境部長石原一郎君及び環境省自然環境局長小林光君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
大石委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
    ―――――――――――――
大石委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。牧義夫君。
牧委員 おはようございます。ただいま御紹介をいただきました民主党の牧義夫でございます。愛知県で大木大臣の隣の選挙区でございますので、またこれを御縁に、ひとつよろしく御指導のほどをお願い申し上げたいと存じます。
 また、大変おくればせになりましたけれども、大臣におかれましては、二度目の環境大臣ということ、御就任を心からお喜びを申し上げたいと存じます。
 九七年から九八年にかけて、前回環境庁長官をお務めになられたわけでございますけれども、二十世紀から二十一世紀に、その間、時代は変わっております。また、環境庁も環境省へと衣がえをしているわけでございますけれども、ただ、大臣の、前長官からこれまでに四年の間があるわけですけれども、ただ単に、それだけの時代が移ったというだけでない、まさにこの二〇〇二年というもの、私どもにとりましては、本当に環境行政あるいは環境の政治にとっても非常に意義深い、歴史に残る、そんな年じゃないかと思うわけでございます。
 こんなことを申し上げても大臣には釈迦に説法だと思うのですけれども、これまでの環境行政を振り返ってみますと、特に、産業公害を中心としたいろいろな問題に対する、また、それに対処するためのいろいろな規制をかける時代もあったかと思います。まさに高度成長期、そういうときは、本当に環境汚染による被害者というのが一般市民であり、またその加害者が産業界であるというような、簡単な図式で物事が考えられていた時代であったろうと思うわけでございます。
 それに続いて、八〇年代の終わりごろからとでも申しましょうか、環境に負荷をかけているのはまさに私たち生活者の消費生活そのものじゃないか、環境に負荷をかけるその主体は非常に多元的であって、まさにその主体が、それぞれが主体的に環境問題に取り組まなければならない、そういう意識が芽生え始めて、それが、例えば十年前の地球サミットでも、その辺の考え方が初めてしっかりと提示をされ、また、それがこの日本の環境行政においても、環境基本法やあるいは基本計画という形で実を結んだわけでございまして、そういった意識がまさに成熟したとき、京都会議、大臣も議長を務められたわけでございます。
 そういった、まさに機が熟したときに環境庁長官をお務めになられて、そしてこの二〇〇二年、リオ・プラス10が開催されるわけでございます。本当に、これまでの努力目標が、今度はきっちりとその実行が担保されるという形で示されなければならない、そんな年を迎えたというふうに私なりに理解をしている、まさに、そういった意味で正念場の年ではないかなと思うわけでございます。
 そんなときに新たに環境大臣に御就任された、そんな決意からお聞かせをいただきたいと思います。
大木国務大臣 同じ愛知県の国会議員として、またひとつよろしくお願いしたいと思います。
 二回目の環境行政の責任者の任をいただきましたので、どう思うか、ひとつその決意を述べろ、こういうことでございますが、私、途中でもちろん官側の仕事はついておりませんでしたけれども、いろいろな意味で、環境の問題というのはずうっと見せていただいておりますし、また関与させていただいておるわけですけれども、やはりこの三、四年の間に、私は、環境問題についての意識といいますか、日本国民の意識というようなものも非常に深化して深くなっておるし、またいろいろ問題が多様化しておると思います。
 そういった中で、まず、国際的に、今も委員がおっしゃいましたように、ことしは十年に一回のリオ・プラス10というような国際会議があります。これについては、当然、一番今目前にございます京都議定書の日本としては承認、そして、国際社会としてこれを発効させるという仕事があるわけでございますから、これについては、また私も懸命にそのために努力をしたいと思っております。
 その間、アメリカが京都議定書からちょっと離れるようなことを言っておりますから、そういった問題はありますけれども、私としては、アメリカには引き続き、京都議定書の一つ大きな精神と申しますか、あるいは、京都議定書のさらにもとになっております気候変動に関する枠組み条約というようなものもあるわけですから、そういったものの中では、アメリカを初め、諸外国とも協力していくということですから、まず、国際的には、そういったことについてきちっと、京都議定書の発効と、それからさらに、そのもう少し広い意味での、例えばリオ・プラス10では、京都議定書じゃなくて、ほかのいろいろな問題もあります。
 とかく今まで、環境と経済ということを、二つを対照的に考えて議論がいろいろ言われておりますけれども、環境と経済をこれは上手に調和させてやっていく、あるいは、今のその二つばかりじゃなくて、もっと広い意味での我々の生活、我々の経済全体というものをまたやはり大きく考えていかなきゃいかぬということで、実は、リオ・プラス10でも、今までよりさらに広げた議論が行われると思いますので、そういったものについても対処してまいりたいというふうに考えております。
 それから、国内的には、今もちょっとお話ございましたけれども、例えば、やはり日本国の大量のごみの問題というのは、これはもうどこへ行きましても、各知事さんとか市長さんの本当に大きな問題になっておりますので、これにきちっと対処するということは、環境省、省にしていただきましたけれども、環境省としての、国内的には、そういったやはり今までの大量生産から大量廃棄につながるところ、このつながりをどこかで切らなきゃいかぬということ。
 このためには、やはり我々の経済組織もそうですし、それからライフスタイルも変えていかなきゃいかぬというようなことでございますから、非常に大きな仕事がたくさん内外に控えておりますけれども、ひとつ、せっかく省にもさせていただきましたので、懸命に努力をしてまいりたいというふうに考えております。
牧委員 今、力強いお言葉をいただいたわけでございます。また、特に環境と経済とのかかわりについての大臣の御認識というのもあわせてお聞かせいただいたわけで、私、きょうの質問、まさにその部分のところに集中をさせていただき、質問させていただきたいと思っておりましたので、もうこれだけ聞けば十分だというような気もいたすわけでございますけれども、念のために一つ一つ確認をさせていただきたいと思います。
 今、大臣からお話ありましたように、本当にこれからの環境政策というものをきっちりと実現させていくためには、まさに環境省がもちろんイニシアチブをとっていかなければならないわけでございますけれども、そういった経済との絡みがございますから、経済産業省やら、あるいは国土交通省あるいはまた各自治体にその辺のところを徹底させるためには、あるいは総務省もしっかりと巻き込んでいかなければならないわけでございます。そういった意味で、この質問を通じて、本当に環境省がその中でイニシアチブをとっていただきたい。そして、環(わ)の国会議等もございますけれども、大木大臣がその中で本当にリーダーシップを発揮していただきたい、そんな意味を込めて質問させていただきたいと思うのです。
 二月十三日、地球温暖化対策推進本部で京都議定書の締結に向けた今後の方針というのが出されたわけでございます。これについては、経団連等もいろいろな意見を出しておりますし、経済界、産業界からのいろいろな声も聞こえてまいります。こういう中で、本当にまずはその実現に向けたさまざまな国内法の整備がきっちりとできていくのかどうなのか、その辺のところをお聞かせいただきたいと思います。
大木国務大臣 今お話ございましたように、二月十三日に、政府全体としての京都議定書の承認に向けての基本方針というのをつくりましたし、いずれ国会の方では、京都議定書の承認と裏腹になりますけれども、関連の国内体制を整備するための法案を提出させていただきたいと思っております。
 その中でいろいろと、法案自体は、実はどちらかといいますと非常に枠組み的なものを示しておりますけれども、その中身になる具体的な、例えば温暖化ガスの六%削減についてはどういうことを具体的にやっていくんだというようなものも盛り込んだ方針というものも固めたいと思っておりますので、これは鋭意検討中でございますし、間もなく内外にもお示しができるものと思っております。
 当然、これをお示ししませんと、なかなかその関係の法案の御審議も十分にいただけないわけでありますから、これはそういうことで、ひとつできるだけ早くそれを示したいというふうに思っております。
 具体的に、経済界あるいは例えば経団連というようなところでいろいろと、なかなか政府の言っておる六%削減の目標というものも達成は容易なことじゃないよというようなことが言われておりまして、それに対して私どももまたきちっと対処していきたい。
 御存じのとおり、いつも同じことを言いますけれども、この六%の削減につきましては、いわゆる産業界ばかりじゃなくて、例えば運輸、交通だとか、あるいは我々の家庭の中での生活の中からも削減についての寄与をしてもらわなきゃいかぬわけですから、これはかなり詰めた話し合いを関係各省とも進めておりますので、そういった関係各省を通じて、またそれぞれの民間の諸団体にも御協力を願うし、それから私どももまた、国民全般に向けてこの議定書をぜひとも承認できるように、いろいろな意味でのPRも進めてまいりたいということで努力をしておりますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
牧委員 大体想像していたとおりの御答弁をいただいたわけでございまして、実は、九七年当時のこの環境委員会の議事録をざっと拝見いたしておりまして、大体似たようなお話をされているなという実感を抱いたわけでございます。
 例えば、九七年十二月、当時の並木議員の質問で、京都議定書の採択を踏まえて、国内に向けて、生産や生活を一層省エネ型経済構造へと転換を図るべきだということになろうと思うが、いかにしてそれを先導していかれるかというこの環境政策について、その決意をお聞かせいただきたい。
 そういった質問に対して、大臣がお答えになった答弁が、部門別で考えますと、産業、運輸、民生一般のこの三つで、実は過去数年の実績というのは、産業界は、いろいろと見方によって違うけれども、かなり努力をしたと私どもは思うのです。ところが、運輸、民生の方は、少なくとも数字の上ではなかなか削減されていないということでございますから、私どもとしては、今の産業の方はもちろん通産省を初め関係各省の努力を引き続きお願いしたいけれども云々という言葉がございまして、経団連の方のお話と何か符合するというか、九七年に経団連環境自主行動計画というのが策定されておりますけれども、まさに、むしろ大臣のこの答弁がたたき台になっているかのような符合が見られるわけでございます。
 そこで、ちょっと改めて確認をさせていただきたいのでございますけれども、この経団連の九七年策定の環境自主行動計画、これについての大臣なりの評価をお聞かせいただきたいと思います。
大木国務大臣 経団連はやはり経団連の性格として、できるだけ民間各団体というか、むしろ企業と申しますか、そういったものを、自主的にいろいろな計画をつくって自主的に行動したいということがございますが、もちろん、それはそれで非常に、一つの考え方といいますか、私ども大いに期待しております。
 この数年間、九七年以降を見ましても、産業部門のCO2の排出とか、そういった数字をずっと眺めてみますと、実を言うと横ばいですけれども、少なくとも一生懸命努力されて、余り上へ上がらないようにというような努力はしておられるということで、それなりの努力はしておられます。
 まだ今すぐに数字に出すわけにはいきませんけれども、これからの動きというのを見ますと、いろいろと科学技術の進歩によって、例えば低公害車の開発とか、最近は燃料電池というようなことも言われておりますから、これを京都議定書の第一期、つまり二〇一二年までぐらいの期間を対象として考えますと、これは産業界としても相当いろいろと努力していただいて、むしろCO2の削減という方向に向かってのスタートはしておられるというふうに私は考えます。
 また、今お話のございました運輸、交通あるいは民生の方ですが、これももちろんこれからいろいろと私どもも関係各省と協力して、削減ができるような努力はしてまいりたいと思っております。
 正直申し上げまして、運輸、交通の方は、例えば低公害車をつくっても、自動車の使用量全体が非常にふえれば、なかなか全体としてはやはり減らないというようなことがございますから、現在の交通体系とかそういったものも考えて、そういう運輸、交通部面でさらにいい実績が出ないか、対策が出ないかということで努力をしております。
 それから、民生と申しますか、民生というのはどこまでが民生かというのはまた議論がありますけれども、わかりやすく言えば、我々の家庭生活の中で、やはりCO2削減あるいはほかの温暖化ガスの削減ということについて御努力を願わなきゃいかぬので、これはやはり国民全般に御理解願って、御協力願わないとなかなかできません。ですから、これはやはり国民各層に向かって、いろいろな意味で、私どものPR活動もまだまだ十分とは言えませんけれども、ひとつぜひ進めてまいりたい。
 実はこの間ちょっと、環(わ)の国くらし会議というのをやりまして、民間のいろいろな方々、いろいろな部門で活躍しておられる方に集まっていただきまして具体的にどうするかということもありますし、それからさらに、そういった国民へのPRですね、これをどうやってやったらいいのだろうというようなことも一生懸命勉強しておりますので、またそういったものについても、御意見があればぜひひとつお寄せをいただきたいと思っております。
牧委員 産業界がそれなりに努力をされているという、そういう認識については私どもも特に異論を挟むものではございませんけれども、ただ冒頭申し上げましたように、これからは本当にきちっとした数値目標を立てて、その実行が担保されなければいけないという新しい時代に入ったという認識のもとに、きっちりとそこら辺を詰めていかなければならないなと。
 そういった観点から、努力をしているというのはいいんですけれども、それが本当の実行につながるというその担保には至らないわけでございまして、そういった意味で、少々くどくなりますけれども、そこら辺のところを一つ一つきちっと確認させていただきたいと思います。
 と申しますのは、昨年の十一月十九日に、また経団連の方が改めて「今後の地球温暖化対策に冷静な判断を望む」という意見書のような文書を出されておりますから、この辺についての、向こうの論拠に対する大臣のコメントをいただきたいと思うわけでございます。
 経団連が指摘しているポイントが、大まかに五つございます。一つ目は、これもよくわかるんですけれども、「国際的枠組みへの米国などの参加は不可欠である。」第二点は、「産業界の自主的取り組みを基本とすべきである。」第三点、「地球温暖化対策は経済や雇用へ悪影響を及ぼすものであってはならない。」四点としては、今大臣からお話ございましたように、「民生・運輸部門について政府の実効ある温暖化対策が期待される。」そして最後に、「原子力利用を推進すべきである。」と。原子力利用の推進というのは最も有効な温暖化対策である、ここまで述べておられるわけでございます。
 アメリカについては後ほどお聞かせいただくとして、順次、まず「産業界の自主的取り組みを基本とすべきである。」その辺についてお聞かせいただきたいと思います。
大木国務大臣 今経団連の方の意見、昨年十一月ですか、出てまいりまして、これは、今四点お述べになりましたので、便宜的に四点、まとめてとりあえずコメントさせていただきたいと思います。
 自主的取り組み云々というのは、これは先ほども申し上げましたとおりに、とかく政府で何か規制とかいうのをかけて強制的にやれというよりは、産業界それぞれのお立場がありますし、また産業部門によってもいろいろ立場が違うと思いますので、自主的にやっていただくということは、それはそれで結構だというふうに考えております。
 それから、その後の二、三、四の方ですけれども、これはやはり、一つは、日本の経済がちょっと今不況と申しますか、そういった状況があって、それから特に雇用問題もあるということですから、これについては十分に、そういったものに悪影響を及ぼさないようにというのは、これは環境問題ばかりじゃなくて、すべての政府の政策全体がそういったものは考えていかなきゃいかぬということですから、そういった政府全体としての政策の中で、また、しかし同時に、環境についても、環境は環境でそういうことが具体的にあれば、悪影響のおそれがあれば、そういったものは十分に防止するようにということで考えていかなきゃならないというふうに思っております。
 それから三つ目は、たしか民生、運輸の方だと思いましたけれども、これはもちろんそういうことでございまして、今私どもがつくっておりますこれからの計画の中でも、運輸あるいは民生部門については、従来以上にひとつきめの細かい対策を考えたいと思っております。
 それから原子力利用、これはもちろん私どもも、原子力は現在既に発電の三分の一ぐらいでしょうか、日本では実際に大きな地位を占めているわけですから、これを今すぐにどうこうということじゃなくて、引き続きやはり上手に活用していかなきゃいかぬ。上手にという言葉はちょっとあれかもしれませんけれども、一番国民としては、安全性の問題がありますし、残念ながら、いろいろと事故もありましたから、そういったものによって生じておる国民の原子力に対するアレルギーというのはあるわけですから。
 そういったものは十分心してこれから、しかし同時に、私は、日本の原子力利用というのは非常に、安全性については一二〇%本当に考えてやっておるというふうに理解をしておりますので、引き続きそういったことを十分に国民に御説明しながら、できるだけそれができるようにということで、これは経済産業省あたりも非常にやっておられますし、それから、関係業界も、原子力の平和的な利用の、そして日本のエネルギー政策の中で占める重要な位置ということについては引き続きいろいろとやっておられますから、私どもも一緒に、そういったことについては国民の理解を求めるための努力は続けてまいりたいというふうに考えております。
 そういうことで、今の四点について、私は、経団連のお立場からの御意見としてはそのとおりでありますし、私どももそれについてまことにごもっともということで考えておりますから、それは十分に配慮しながらといいますか、一緒にまたひとつ努力をしてまいりたいというふうに考えております。
牧委員 今のお話、よくわかるんですけれども、ただ、自主的な取り組みの位置づけというものをやはりきちっと全体の計画の中で決めていく必要があろうかと思います。
 例えばの例でございますけれども、ドイツの産業界なんかは、ちょっと私が調べた資料によると、ドイツ産業連盟が行っている自主的取り組みというものが、九六年にBDI、ドイツ産業連盟を初めとする六つの団体がドイツ連邦政府に向けて宣言書を提出しております。
 これは、ドイツの産業界及び商業界は、二〇〇五年までの期間に個別の二酸化炭素排出量あるいはエネルギー消費量を自主的取り組みの中で一九八七年を基準として二〇%削減する、そんなようなことを言っているわけでございまして、さらに、個別業界の数値目標の明細が添付をされて、連邦政府と詳細な取り決めを交わすという手順をとっております。さらに、第三者機関がこの監視を行う、そういったような仕組みになっているんだそうです。
 やはり、自主的取り組みというのが信頼を得るためには、それがきちっと実行されるという、それが担保される何らかのメカニズムがなきゃならないと思うわけでございます。
 今大臣がおっしゃった自主的取り組みというのを尊重するのはわかるんですけれども、それを、例えば京都議定書発効、そして目標の温暖化ガス排出削減に向けて、その数値の中で、経団連が言っている自主的な努力というのがきちっと数字としてそこに組み込まれるのか、あるいは全体の計画の中で行政の方からこれだけは実行しなさいという形をとるのか、アプローチの仕方が正反対ですから、そこら辺の確認だけはさせておいていただいた方がいいかなと思いますので、お願いいたします。
大木国務大臣 実は今まで、一生懸命やりますと言いながら、政府の案というものがまだ十分に具体的なものになってきておりませんけれども、先ほども申し上げましたように、この間の二月の十三日でしたか、基本的な方針というのを決めましたし、それから今度、国会の方へ提出させていただきます、これからの具体的な、法案の基礎になる計画というものも、これはかなり具体的な数字等を示しながらやる。
 しかし、これは二〇一二年までで、これからまだ十年ほどのことを一応考えながらやっていくわけですから、それにつきましては、まず最初の二年とかあるいはその次のまた三年とか、それぞれの節目節目で一応もう一遍レビューをするということも含めて、ですから、できるだけそれが具体的なものとして、もしどうしても自主的なというところについて十分に効果が上がらなければ、それはまたひとつ経団連なり、産業界とも御相談したいと思っています。
 今のところは自主的にやっていただくということで、私どももあるいは関係各省も、それぞれの所管の団体なり業界とお話をしていただいて、これはひとつこれでやろうということにしておりますので、これはひとつそれを見ていただきましてというか、まずは見ていただきますのですが、二年たったり、あるいは五年たったりのところで、やはりまた節目ではレビューする必要はあると思っております。
牧委員 もう一つだけちょっと確認しておきたいんですけれども、その削減に向けていろいろな規制等もあろうかと思うのですけれども、もうちょっと別のアプローチの仕方、例えば経済的なインセンティブを与えるような環境税あるいは炭素税みたいな、そんなようなことを導入するようなお考えはおありでしょうか。
大木国務大臣 温暖化の抑止のための経済的なインセンティブといいますか経済的な措置といいますか、これは要するに、温暖化を抑えるための措置、それから、いろいろと新しいエネルギーだとか、温暖化を抑えるためのいろいろな科学技術的な研究とか、あるいは実際にそれを実施するための措置とか、そういうものについては、むしろプラスの意味で、例えば税制上の問題に限れば税の軽減とか、あるいはいろいろと補助金というようなことも考えられるわけです。ですから、それは今言いましたように、プラス、マイナス両面でひとつ経済的な措置というものは考えていかなきゃいけないというふうに思っております。
 いろいろと新しいエネルギーの開発とか、あるいは低公害車の開発とか、そういったものについてはある程度措置を既に始めておりますから、これからそういうものはさらに必要があれば充実させていくということもあります。
 環境税の話は、これは税制ということになりますと非常に大きな話になるものですから、これは今当然私どもの頭の中にはあるわけですから、環境税というものを実施した場合のいろいろプラス、マイナスもありますし、むしろ、環境税といいましても、どういう税にするんだというようなこともございますから、私どもとしては、ひとつ、長期的と言うと言い過ぎで、中期的と申しますか、今から勉強はしておりますけれども、今すぐにどういう形で考えておるかということになりますと、今のところは目下勉強中、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
牧委員 先ほどの経団連の意見書の話に戻りますけれども、経済、雇用への悪影響があってはならない、その部分についてもう一度お聞かせいただきたいのです。
 確かに、大臣おっしゃるように、こういう経済状況の中でまた厳しいレギュレーションを設けるということが景気の足をさらに引っ張るんじゃないか、そういった懸念は当然常識的に考えられるわけでございますけれども、ちょっとこれは古い数字なんですけれども、七七年、昔、環境庁が公表した環境保全長期計画の経済影響予測というのがございまして、厳しい環境政策を採用した場合でも、GNP年成長率がマイナス〇・〇二%ということで、マクロレベルでは環境政策の経済への悪影響はほとんど無視し得るとの結論に至っているわけでございます。
 これはちょっと古い調べでございますけれども、そんなことも踏まえて、環境政策とマクロ経済とのかかわりといいますか連関といいますか、大臣なりの個人的な所見で結構でございますから、考え方をお聞かせいただきたいと思います。
大木国務大臣 環境政策、特に今温暖化が非常に現実の問題として出ていますから、温暖化政策を、例えば排出ガスを六%削減したらマクロ経済的にどれだけの影響があるか、いろいろ試算はあります。
 これは文字どおり試算なものですから、余り具体的な数字を申し上げるとかえって誤解があるかと思いますので具体的な数字は申し上げられませんけれども、日本経済がそれによって非常に大きく影響を受けるというような数字は、私どもがいろいろと試算をしているところでは出てきておりません。
 今の〇・〇二よりはもうちょっと大きな数字が出ていますけれども、何%も日本の経済がそれによって非常に影響を受けるというような数字にはなっておりません。ただ、これはあくまで試算でございますから、引き続ききちっとしなきゃいけませんが。
 むしろ私は、雇用の問題の方はもっと具体的に考えることができるのじゃないかと思います。いろいろと先ほどから申し上げておりますように、新しいクリーンエネルギーの開発とか、あるいはいろいろな環境対策のためにいろいろと人手も要るわけですから、そういったものにおいて、できるだけ新しい雇用が創造できるようになってくる。
 これは決して抽象的に言っているわけではなくて、クリーンエネルギーはそうですし、それから今の国内的ないろいろな、ごみ処理問題とかいう問題でもやはり人手が要るところはあるわけですから、そういったものをどういうふうに上手に雇用と結びつけていくかというのは十分に検討の対象になり得ると思いますので、そういった面でひとつ、経済及び雇用に対する影響というのはできるだけいい形ができますように、今後も検討を続けてまいりたいと思います。
牧委員 大臣がそういう御認識を持たれているということで私なりに安心をしたわけでございまして、そういった意味で関係省庁、特に経済産業大臣等ともよくその辺をお話しになられて、ぜひとも強力なリーダーシップを発揮していただきたいと思います。
 ちなみに、全くその辺は同感なんですけれども、私なりにちょっと調べた数字を見ますと、例えば、第二次オイルショック後の七九年から原油価格が下落し始める八六年まで、この間の経済成長率というのは大体平均三・六%だったそうです。この間、エネルギー消費の伸び率というのが年率マイナス〇・四%。これは、エネルギー消費量が下がっている中で平均三・六%の経済成長をなし遂げている、そういった事例もあるわけでございまして、経済拡大にもかかわらず二酸化炭素の排出量が減るということも現実に起こっているんだということもあわせ申し上げさせていただきたいと思います。
 そして、今大臣おっしゃったように、一つの雇用対策だけじゃなくて、こういうときこそエネルギー効率化のための投資というのがまた新たな国内の需要を喚起する、そういった場面もあろうかと思いますので、どうかその辺は意を強くして政策に取り組んでいただきたいなと重ねてお願いを申し上げたいと思います。
 ただ、産業界の方は、この温暖化対策だけじゃなくて、これからも、土壌汚染対策等の法案も出てこようかと思います、また自動車リサイクル法、これは所管が経済産業省の方かもしれませんけれども、いろいろな場面でいろいろな後ろ向きの声がまた出てくるというのも容易に想像できるわけでございます。
 そんな中で、廃棄物処理法の扱い、来年通常国会にもというような報道が一部あったわけでございますけれども、中央環境審議会の答申を得てからの話だと思いますけれども、廃棄物処理法にしっかりと拡大製造者責任を盛り込んでいく、そういう姿勢を環境省の方で示したという報道があって、私も非常に心強く感じたわけでございます。それはそれなりに、いろいろまた産業界からの声も出てこようかと思います。
 これはまだこれからのお話だと思うのですけれども、そういった基本的な姿勢を踏まえて、これまでの家電リサイクルですとかそういった既存の法律がございますけれども、いろいろな弊害も出ております。そういった拡大製造者責任の観点から、既存の法律もしっかりとこれを機に見直していこうという意識がおありなのかどうなのか、あらかじめちょっとそこら辺を確認させていただきたいと思います。
大木国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、廃棄物が非常にふえておるというのは全くそのとおりでありまして、やはりこれは大量生産で、それが大量消費そして大量廃棄というふうにつながっている。これは日本ばかりじゃないんですけれども、世界じゅうを覆う一つの新しい経済現象というか社会現象といいますか、これをやはりどこかで断ち切らなきゃいかぬという感じがあるわけでございます。
 先ほどからおっしゃっております自動車の処理だとか家電のあれだとかいろいろありますし、そういった問題についても、一体だれがその責任を負うのだということがなかなか非常に不明確であるというところがありますから、それはやはり廃棄物につきましては廃棄物を出す人が相当きちっとその責任を持たなきゃいかぬ。
 ところが、今の実態を見ますと、廃棄物を処理業者がどこかへ持っていく、そうすると、現実に何か違法行為といいますか、あるいは不法行為と申しますか、目に見えるのは廃棄物の処理業者の方なんですね。しかし、処理業者とやはり実際に廃棄物を出す方のその辺のところの責任というのをもう少しはっきりしなきゃいかぬ。ですから、一言で申しますと、やはりごみを出す方の、廃棄物を排出する方の人の責任というのをきちっとしなきゃいけないと思っております。
 だから、今の廃棄物というのは、そういった日本じゅう、全体として量が非常に多いということが一つ、それからもう一つは、しかしなかなか処理する場所が、日本のような国ですから、十分にはない、だから、それをどういうふうにこれから整備していくかということがありますし、それからもう一つは、これは最近いろいろ問題も出ておりますけれども、ある地域で出てきた廃棄物というのをほかの土地へ持っていって、それが問題を起こしているようなこともありますから、そういったものについてどういうふうに対処するかといったように、いろいろたくさん課題はございます。
 いずれにいたしましても、そういった廃棄物の処理については、さらに見直しも必要ですし、全般としては、やはり実態に合った、できるだけ合理的な方法というのを考えていかなきゃいけないんじゃないかというふうに考えております。
牧委員 わかりました。
 そこで、先ほど経団連の意見書のお話をしました。そこの中で、ちょっと前後して一つ飛ばした案件が、これは一番大事な部分だと思うんですけれども、アメリカを今後どうやって京都議定書の議論の中に巻き込んでいくのかというのがやはりこの気候変動の話については一番重要な問題であろうと思うわけでございます。
 二月十四日にブッシュ大統領が発表した政策に対する大臣の談話が翌日、十五日に出されておりますけれども、この中で、ちょっと大事なところだけ読み上げると、「今般、米国が閣僚レベルによる精力的な検討を経て、具体的な取組を示したことは、気候変動問題に真剣に取り組む米国の姿勢を示すものであり、これを評価するものです。」という言葉がございました。
 これは、私は、ただ単に評価するというのはいかがなものかなと思うわけでございまして、これは新聞でも報道されておりますけれども、三月一日、来日中のアメリカ国務省ワトソン上級気候交渉官が会見の中で、京都議定書の代替案としている米国の温暖化対策を実施しても、温室効果ガスの排出量は二〇一〇年には一九九〇年比で三五%増加するということをはっきりと明言されているわけでございまして、そこら辺の隔たりというのをどうやって埋めていくのかなと。
 大臣はこのブッシュの言葉を評価されておりますけれども、評価しているだけで、この隔たりというのはどういうふうに埋められていくのかな、素朴な、単純な疑問でございますけれども、そこら辺のところをお聞かせいただきたいと思います。
大木国務大臣 アメリカ案が出てきて、それに対して日本政府としても、また私も環境大臣の立場で一応評価という言葉は使いました。使いましたが、それはあくまで、ブッシュ大統領も訪日されて、その前にひとつ案を出して、最高レベルでも一応議論の対象にはなるし、それから我々としても、これからリオ・プラス10へ向けての過程の中でいろいろときちっと議論する材料が出てきたという意味では評価でありますけれども。
 私も、今の私の発言のほかに、いろいろなところで私の発言のさらに説明と申しますか、申し上げているのは、決してアメリカの案というものが京都議定書と一緒に、同列に議論できるものではちょっとないわけでありまして、アメリカのアプローチというのは全然別ですから、それはやはり我々としては不満足と言っていいと思います。それは不満足であります。
 しかし、せっかく大統領が来られて、遠路はるばる、初めて何か小泉総理とお会いになるところのあれですから、これはひとつ日本的カーテシーで、そう頭からおまえの案はだめだとは総理もおっしゃらなかったし、私もそれはそういうふうには言いませんでしたけれども、それはあくまでアメリカの案が百点満点だ、満足だとは決して言っておらないわけでございます。
 それで、アメリカの案は確かに、実際の数字を見ましても、アメリカの、あれは入らないと言っているんですから、それは基礎にはならないんですけれども、要するに一九九〇年に比べて削減じゃなくて増加するわけですから、それはもう甚だ日本としては不満足でありますけれども。
 ただ、アメリカとしても、例えばいろいろこれから科学技術については一生懸命協力して勉強しようとか、あるいは開発途上国に対しては一緒にまた協力してやれることもあるだろうというようなことを言っていますから、そういったものは決して、一見そういった六%とか七%の削減と関係ないように思いますけれども、それはそうじゃなくて、先ほど申し上げておりますとおり、例えば二〇一二年という一つの目標期間の中で考えますと、これからいろいろと科学技術が発展して新しいエネルギーが出てくる、あるいは新しい削減の措置ができるということになれば、これは十分そういった実質的な効果があるわけでございます。
 それから、開発途上国についてもそうですね。いつもよく引き合いに出されるのは中国ですけれども、中国も非常に最近は、さすがに自分のところの国をこれだけほかっておいたら本当に汚染してしまうというようなことについては危機感を持っていますから、相当中国自体もいろいろ努力していますし、我々もいろいろな意味でまた技術協力あるいはある程度の資金協力というのもしていますから、そういったようなものは、ですからアメリカと一緒にできるところは引き続きいろいろとよく話し合いをしながら共同作業は進めていこうということでございます。
 私も大臣を拝命してから各国の主な環境大臣とは電話会談なんかずっとやっておりまして、その辺は私どもの意思はそういうふうに通じていると思いますし、またこれからいろいろと機会を見てそういった大臣レベルの、例えばアメリカとの話し合いとかその他の話し合いというものは進めてまいりたいというふうに考えております。
牧委員 今初めて不満足というお言葉を数回にわたってお聞きをしたわけでございますけれども、私としてはぜひともこういう談話の中で、元外交官の大臣として、私は手放しで褒めるよりは交渉のカードとして、やはり不満足なら不満足だということをしっかりと大臣としてお示しいただいた方がよかったのかなと。これからでも遅くありませんので、しっかりとその辺の意見はお述べいただきたいなと希望を申し上げさせていただきます。
 また、これは今いみじくも大臣から中国のお話も出ましたけれども、ぜひとも中国に向かってもしっかりとした、毅然とした態度をとっていただきたいなと。これは後ほど申し上げますけれども、やはりそこら辺の基本的な姿勢というのは私は一番重要じゃないかと思っております。
 それともう一つ、大臣の談話の中で、後ろの方で、「今後、米国や途上国を含むすべての国が参加する共通のルールを構築することが重要」であるというふうにお述べになっております。これは、この間の所信表明の中にも共通のルールという言葉が出てきているわけでございますけれども、ちょっとこれは確認しておかないと、京都議定書とはまた別の何かルールをつくるのか、何か具体的なものがあるんでしょうか。
大木国務大臣 御存じのとおり、京都議定書というのは一九九二年でしたか、できました気候変動に関する枠組み条約という中で、その一つとして地球温暖化の防止のCOPというのができて、COP1からずっと会議をやっているわけですね。ですから、まず形として考えますと、枠組み条約の方は京都議定書以外のものもいろいろ考えられる。
 ですから、今言いましたような、例えば開発途上国の問題だとか科学技術についての協力とかそういったようなもの、あるいはもっと広く、温暖化だけでなくていろいろな環境問題についての共同作業というようなことは十分考えられるわけですから、そういったものはこれからもやっていこうということです。
 共通のルール、何か京都議定書と対比する、それと別のものをまた一つ京都議定書の横につくるということではなくて、もう一つ、これはやはり枠組み条約の中で、あるいはその枠組み条約に何もとらわれる必要はないので、これからまたリオ・プラス10のヨハネスブルグでは、いろいろこれもヨハネスブルグでどういうことをやろうかというのは議論していますけれども、各国がひとつできることはみんなで持ち寄って、それをどうやってまたひとつ全体の国際社会としてそれを生かしていけるかというようなこともいろいろ議論しています。
 やはり今の共通のルールというのは、今すぐに何か京都議定書と違うものを、京都議定書と対比するとか、京都議定書からそれたものをつくる、そういう意味では全くございませんので、そういうふうに御理解いただきたいと思います。
牧委員 そこら辺のお話をどう受けとめるかの問題なんですけれども、確かに大臣の談話の中にもこの間の所信の中にも括弧をつけて共通のルールというのが入っているわけですから、そこら辺のところ、環境省の方で何らかの考え方があるのかなと思ったものですから、あえて確認をさせていただいたわけです。それは、つまりは、京都議定書よりもっとハードルの低いものをつくって、これに参加しているからいいじゃないかというようなお話ではないということで確認をさせていただければ結構でございます。
 そしてもう一つ、中国のお話なんですけれども、中国というのは、私どもの日本の隣に位置するというだけじゃなくて、まさに世界の人口の五分の一を有する国でもあり、また二酸化炭素の排出量、これはEU全体と匹敵するぐらいの二酸化炭素の排出量がある国として、これは中国も一生懸命頑張っているんじゃないかという言葉だけでは済まされない、決して看過できないものがあろうかと私なりに思っているわけでございますけれども、この点について、川口前大臣がやや気になる発言もされております。
 一月二十二日、北京で行われたASEM環境大臣会合の成果についての記者会見での発言なんですけれども、中国は環境について大変に熱心な取り組みをしている、昨年始まった第十次五カ年計画でも、五年間に環境予算を日本円で十兆円もとっている、そんなようなお話をされたり、重ねて、さらに、今回、中国が環境保全に一生懸命取り組んでいることが強く印象づけられました、環境問題について実際に数字を挙げていろいろ話されました云々とあって、最後に、繰り返して申し上げますが、中国の温暖化問題に取り組む姿勢の真剣さに非常に印象づけられました、こんなような発言をされております。
 これはうそだとは思いません。川口前大臣が実際に見て聞いたことを率直にその感想を述べられたんだろうと私なりに理解をしたいと思うんです。
 ただ、やはりこれは外交ですから、子供を育てるのであれば、大変よくできましたと頭をなぜながら、そういう育て方もあろうかと思うんですけれども、これはやはり外交ですから、しっかりと言うべきことは言っていかないとこれはまずいんじゃないかなと。
 まさに大人同士の切った張ったの世界でもございますし、また、中国にどんどんいろいろな産業が移っていて日本の産業が空洞化が進んでいるという中で、やはり同じ土俵で経済の競争もすべきであろうと私なりに思うわけでございますし、しっかりと同じレギュレーションを設けて、正々堂々、同じ競争をしていければなと思うわけでございます。
 その川口前大臣が今度外務大臣ということでございますけれども、元外交官としての大臣のその辺についての御意見、お考えをお聞かせいただければと思います。
大木国務大臣 川口大臣が中国のことについてどういう気持ちで言われたかはわかりませんけれども、私は、川口前大臣が、そのときは環境大臣で、中国のことについて言われたのは、決して、中国いい子だいい子だと言って頭をなぜたというお母さんの気持ちばかりじゃなくて、そういう気持ちもあったかどうか知りませんけれども、むしろ私は、今中国が置かれている環境問題についての状況というのは、温暖化ばかりじゃないんですけれども、大変なんですね、これは。
 ああいう大きな国が今まで一生懸命に、本当に驚くような経済成長をしてきましたから、やはりそれに伴ってのいろいろな負の問題というのも出ているわけです。環境問題もまさしくその一つであります。
 ただ、それだから非常に中国が一生懸命やっているというより、これは自分自身の問題としてやらなきゃならぬなということで、それだけ私は中国における環境問題というのは非常に重大化しているというふうに思っております。だからこそ中国も、これは自分の問題として何かしなきゃいかぬということで、非常によくやっているということになるかどうか。
 最近、都市部におけるCO2の排出は恐らく減っていると思います。ちょっと私も正確な数字を覚えておりませんけれども。そういったような統計上の、中国が努力をしているというような証拠といいますか結果というものは一応部分的には出ているんですが、しかし、国全体として見ますとそれはとてもですが、CO2の全体の排出量というのはまだまだどんどん相対的にはふえていくわけですから、それはきちっとしてもらわなきゃいかぬということでありまして、私は、中国とは、いずれ私も中国の環境大臣との会合というようなものも予定しておりますので、しっかりと話をしたいと思います。
 要するに、中国というのは非常に大きな国で、地域によってまた全然状況が違うわけですね。ですから、それは、中国につきましては、地球温暖化の問題もございますが、中国という大きな国の中での大気それから水それから土、その全部について問題があるわけですね。ですから、これをどういうふうにきちっとしてもらうかということは、非常に我々にとっても、隣国にあります中国ですから、それは非常に重大な問題でございますから、これはきちっとこれからも話し合いをしてまいりたい。
 ただよい子だよい子だと言って頭をなぜるということではないということでございますので、そういうふうに御理解いただきたいと思います。
牧委員 中国の問題については、これはもう向こうの内政問題じゃなくて、本当に地球環境全体の問題として私もとらえていきたいなと思っておりますので、ぜひともその辺の御認識をしていただいた上で、言うべきときはしっかりと物を言っていっていただければなとお願いをしたいと思います。
 ちょっと時間が押してまいりましたので、本当は愛知万博のこともいろいろとまたお話をさせていただきたいと思ったんですけれども、それはちょっと次に延ばしまして、もう最後の質問になろうかと思いますので、一つだけお聞きしたいと思います。
 これは一番大事なことだと私は思うんですけれども、この間の大臣の所信表明を聞かせていただきました中で、環境教育という文言がついぞ出てこなかったのが非常に残念でならないわけでございます。これからの地球環境、私たちが将来世代に対する責任をきっちりと果たしていかなければならない、そういう意識をしっかり国民一人一人が持たなければならないという御認識はまさに大臣もお持ちだと思うんです。
 そういった意味で、環境教育の重要性というのが私は一番取り上げられてしかるべきだなと思っておりましたけれども、ちょっと残念ながら所信の中に環境教育という言葉がなかった。ただ、リデュース、リユース、リサイクルというような三つのR、これを皆さんに普及していかなきゃいけないんだ、そんなような言葉があったわけですけれども、私は私なりに、環境教育というのはもっと根源的な、まさに人間としての生き方といいますか、本当に幸せな生活ってどんな生活なんだろうというところまで掘り下げる、そんな教育が必要であろうと思うわけでございます。
 かつて我が国というのは、質素だとか質実だとかというものを旨とする、美徳とする、そういうすばらしい伝統があったわけでございまして、その辺が今まさに崩壊をしてしまった。その辺から見直すような真の環境教育というのが私はなされてしかるべきだと思うわけでございますけれども、最後に、大臣の環境教育についての御所見をお聞かせいただきたいと思います。
大木国務大臣 今のこの環境問題というのは、やはり大量生産から始まって大量廃棄につながるところが非常に大きな問題だと思います。ですから、今地球環境問題になりますと必ずしも廃棄というところにすぐにはつながらないかもしれませんけれども、やはり我々がこれからどういうライフスタイルで生活していくか、そしてそのライフスタイルの上に我々のまた経済とか社会活動というのが出てくるわけですから、これは狭い意味での教育というよりは、つまり学校教育とかそういった狭い意味でなくて、全国民が理解していただかなきゃならぬということでございます。
 たまたま環境教育という言葉は私の所信表明には入っていなかったかもしれませんけれども、それは十分に、先ほど申し上げておりますとおりに、これからの、例えば地球環境一つとりましても、民生といいますか、我々の家庭生活の中での御協力というのが非常に大切ですから、広い意味での教育については、私ども、これから一つ重要な課題として取り組んでまいりたいと思っております。
牧委員 時間が参りましたので質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
大石委員長 三ッ林隆志君。
三ッ林委員 おはようございます。自由民主党の三ッ林隆志でございます。
 本日は、先ごろの大木環境大臣の所信表明にありました内容につきまして質問させていただきます。
 所信表明にありましたように、我々人類は、もう二十世紀において物質的な豊かさを追い求める余り、大気や水や土壌、また身の回りの環境に対して大変な負荷を与え続けてきておりまして、それらの結果、あらゆる生物の生活基盤である海洋や大気というものに大きな異常が起きておりまして、その結果、今回のこの地球温暖化問題というのが起きているわけであります。
 この問題、もう大変我々人類にとりましても重要な問題であります。そして、これらのことに対する反省として、二十一世紀は環境の世紀と呼ばれておりますけれども、私たちはこれからの将来の子孫に恵み豊かな地球環境を引き継いでいく責務があることも、大臣の所信で述べられているとおりであります。
 そこで、先般環境大臣に就任されました大木大臣に、我々が今後解決していかなければならない地球温暖化問題を初めとするさまざまな環境問題に対し、どのように取り組んでいかれようとしているのか、その御決意をお伺いしたいと思います。
大木国務大臣 今もお話ございましたとおりに、環境問題というのは非常に大きな、これは恐らく二十一世紀の人類にとっては一番大きな問題の一つであろうというふうに思っております。
 二十世紀というのは、ある意味におきましては、各国におきまして大変な経済成長というのが達成されて、一見、いよいよこれが最後のあるべき姿かなといって錯覚をしかけたところで、はたと気がついてみたら環境問題というのが出てきまして、このままでは地球、人類の生活というものも非常に大きな障害が出てくるんじゃないかというようなことで、御存じのとおりに、一九七〇年代ころに例の大来先生なんかが一緒になって書かれた「成長の限界」というような本、あれでいろいろ議論が出てきた。
 ですから、これからの取り組みというのは、やはりこれは人類共通の問題だということ、そしてまた、解決するためには我々の生活を変えなきゃいけない、そういう大変これは大きな課題になるわけですけれども、やはりそこのところをしかととらえませんとなかなか、そんなことすぐできるかというような話になってしまうんで、これは基本的には、もちろん五年、十年で全部できるわけじゃありませんけれども、二十一世紀の人類の大きな課題としてやっていく、その中で、私どもまた日本としてはどういうことができるのか、環境省としてはどういう仕事をするのか。
 これは、私も今度また大臣を拝命いたしまして、いろいろとこの三、四年のことをちょっともう一遍振り返って勉強しておりますと、実に環境問題も多様化しておりますし、あるいは今までにもあった問題が深化といいますか、深くなってしまって、それをどうやって解決するかということになりますと、よほど性根を据えて対応しないとできないというような問題もございますので、ちょっと抽象的なお答えになりましたけれども、これはやはり二十一世紀の我々人類にとっての、そしてまた日本にとっても非常に重要な問題。
 あえてつけ加えれば、私は、環境問題というのは、日本の外交にとりましても非常にいい、使えるカードだと思うんですね。環境問題というのは、別にほかの問題と違って、他国に迷惑をかけるというわけじゃなくて、他国と一緒に地球全体をよくしていこうという話ですから、これはだれが考えても文句を言われる筋合いじゃないし、しかも日本の場合には、そういった能力がある、科学技術の能力もある、あるいはいろいろと省エネの経験もある、あるいはある程度の経済力も持っておるということでございますから、そういったような日本の力というものを総合的に発揮できるまた場であろうと思います。
 そういうことで、内外、外交におきましても内政におきましても、やはりひとつこれは大いに環境というものを生かしながらこれからの日本の政治、行政というものはやっていくべきではないかというふうに考えております。
三ッ林委員 大変力強い御決意を聞かせていただいたと感じております。
 そして、この二十一世紀における人類最大の問題というふうな中の、その中の一つであります地球温暖化問題、そしてそれに対応する京都議定書、これにつきまして何点か御質問したいと思います。
 ことし、二〇〇二年は、一九九二年に行われたいわゆる地球サミットからちょうど十年目という節目の年で、八月末から南アフリカのヨハネスブルグにおきましてヨハネスブルグ・サミットが開催されることになっております。それに合わせまして京都議定書を発効させようという機運が各国で高まっていることはもう御承知のとおりでありまして、私としましては、我が国が国際社会において、先ほども大木大臣のお話にありましたように、リーダーシップを発揮するため、京都議定書を早期に締結、発効に導くべきだと考えております。
 大木大臣は、今回、外務大臣の交代に伴い環境大臣となられたわけですが、一九九七年に京都で開催されたCOP3で京都議定書が採択された当時、環境庁長官でありました。同会議の議長として大変なお骨折りをされて、ようやくのことで京都議定書の採択に至ったことは、当時議員はしておりませんでした私にとりましても大変印象深い出来事でありました。
 この京都議定書を取りまとめられた大木大臣が、今度は同議定書を我が国も含めた各国が批准し、また発効させようとしているときに環境大臣になられたということで、特別に感慨深いものがあろうかと思います。
 そこで、この我が国の京都という地名がつけられております議定書の批准及び発効に向けた大木大臣の基本的な取り組み方針をお伺いいたします。
大木国務大臣 京都議定書というのは、言うなれば一つの枠組み、骨格をつくった、人間の体でいえば骨格ぐらいができたところです。
 その後、京都議定書が、あれはCOP3、第三回の会議だったわけですけれども、COP4からずっとCOP5、6――6は二回ありましたが、それから7ということで、先般のマラケシュのCOP7でやっと一応、単なる骨格だけではなくて、肉づけができたということでありますから、それをひとつ、これからいよいよ日本としても国会で承認をしていただいて、それからよその国とも協力して、必要な国が承認をすれば発効するわけでございますから、それに向けて努力をしてまいりたいというふうに思っております。
 具体的には、いずれもう近いうちに条約と、それからそれと裏腹になりますけれども国内措置を進めるための法案、この二つを国会に提出いたしまして、それぞれに御審議を願うということになっております。
 ちなみに、既にヨーロッパの中では、EUなどは、今度もう既に原則的には京都議定書の承認ということでEUとしては決定をしておりますから、それに基づいて各国が各国の国内措置を進めるというふうに思っております。
 それから、かなりの数の途上国、これは途上国は実は温暖化ガスの削減については今のところ義務はないんですけれども、そういった国も、やはり五十五カ国が承認いたしませんと京都議定書が発効しませんから、そういう意味では、途上国も含め、それから先進国の今のEUやら、それからEU以外にも若干の国が既に承認をしておりますから、そういった中で、日本も余り立ちおくれないように、ひとつ早く承認に向けて努力をいたしたいということで、また、これはひとつ国会でもいろいろとお世話になりますが、どうぞよろしくお願いしたいと思っております。
三ッ林委員 これからの日本の国会での批准に向けていろいろ法案も提出されるとのことですが、その中で、温室効果ガスの最大の排出国であります米国が、昨年、京都議定書からの離脱を表明し、一時、京都議定書の発効に暗雲が立ち込めた時期もありましたけれども、先ほどの大臣のお話にもありましたように、EUは六月までにはこれを批准するということが決まったというふうなお話もあります。
 ただ、日本におきまして、政府の方の地球温暖化対策推進本部において、京都議定書の締結に向けた今後の方針というものが二月の十三日に決定されておりますけれども、どうも、締結の承認に対して、経済界などに、京都議定書に基づく対策を実施することは我が国の産業の国際競争力を弱めることや、雇用不安が増大することを懸念して、議定書の批准に慎重な意見があることも皆さん御案内のとおりであります。その背景には、先月米国が、経済成長に連動して削減量が決まる仕組みを中心とした地球温暖化対策を発表しておりまして、結果として我が国の産業だけが不利になるのではないかと懸念するものがあると思われます。
 現下の経済状況にかんがみますと、京都議定書の目標を達成するための対策の実施に当たりましては、経済活動などに過大な負担をかけないような配慮、さらには温暖化対策のための技術革新、インフラ整備などによる新たな産業の創出や経済の活性化、雇用の創出にもつながる対策をとることが重要ではないかと考えております。
 そこで、政府としまして、議定書の早期批准に慎重な態度を示しておりますこのような人たちに対し、どのように説明し、またあるいは説得しようとしておりますのか。さらには、米国に対して、京都議定書の枠組みに参加するようどのように働きかけていくつもりなのか、お教え願えればと思います。
奥谷大臣政務官 我が国経済界がこれまで取り組んでまいりましたことに対しましては、高く評価をいたしております。ただ、省エネ機器の開発等の技術面での貢献など、一層積極的な取り組みを期待しておるところでございます。
 また、地球温暖化対策は、広範な事業者にとって新事業の大きなチャンスでありまして、例えば燃料電池などの革新的な技術開発や、交通インフラの整備などを適切に誘導することによって、膨大な投資の機会を創出するなど、このような例もあります。このように、地球温暖化対策は、経済対策、雇用対策にもつながっていると考えております。
 二月十三日の地球温暖化対策推進本部決定におきまして、「地球温暖化対策の推進に当たっては、経済界の創意工夫を活かし、我が国の経済活性化にもつながる環境と経済の両立に資するような仕組みを目指す。」とされております。環境省といたしましても、この決定に従いまして地球温暖化対策を推進してまいる所存でございます。
 また、地球温暖化対策の実効性を確保するため、米国や途上国を含むすべての国が参加できる共通のルールが構築されるように、最大限の努力をしてまいる所存でございます。こうした点について経済界の御理解がいただけるように、説明に努めてまいりたいと思っております。
 また、二番目にありました、アメリカに対してのどのような働きかけかということでございますが、地球温暖化対策の実効性を確保するために、今度、米国や途上国を含むすべての国が参加する共通のルールというのは先ほど申したところでございますが、地球環境の保全という共通の目的に向かいまして、日米ハイレベル協議やG8環境大臣会合の場を通じまして、両国における気候変動対策についての情報や意見の交換を促進し、米国の一層の取り組みが図られるように努力してまいるつもりでございます。
三ッ林委員 どうしても環境問題といいますと、経済界と対立するような問題が多々あると思いますけれども、これは人類共通の大きな課題ということで、ぜひともお互いに協力し合ってこの問題に取り組んでいただきたいと思います。
 次に、我が国の温室効果ガス排出量は、京都議定書の基準年に比べ既に大幅に増加しておりまして、京都議定書に規定されている二〇〇八年から二〇一二年の第一約束期間に我が国に課せられている温室効果ガスの六%の削減目標を達成することは容易なことではないこともよく承知しております。
 そのため、今後、国内対策を初めとしてさまざまな対策を講じていかなければならず、我々国会議員も含めたすべての国民が温室効果ガスの排出量の削減に向けた取り組みに本腰を入れて取りかからなければならない時期に来ていると思います。この対策を実施していくための主要な柱として、法律に基づく施策が重要な位置を占めることは明らかであります。
 そこで、先ほどのお話にもありましたように、今国会に提出される予定となっております地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、現段階の検討状況及びその概要についてお答え願います。
岡澤政府参考人 地球温暖化対策推進法の一部改正法でございますけれども、現在、政府部内での調整は終わりまして、国会に法案を提出すべく手続に入っている段階でございます。
 また、内容でございますが、第一に、京都議定書の削減目標を達成するための京都議定書目標達成計画というものを定めることとしております。これは、定期的に評価を行いまして、必要に応じて見直しをするというふうに考えております。
 第二に、政府の中に京都議定書目標達成計画の案の作成あるいはそのフォローというのを目的といたします地球温暖化対策推進本部というものを設置する予定にしております。これは、本部長が内閣総理大臣で、副本部長は官房長官、経済産業大臣、環境大臣という体制で、すべての国務大臣が参加して、政府が一体となって京都議定書の目標達成のために取り組むという体制を示すというものでございます。
 第三に、国民生活における温室効果ガスの排出の抑制等のための施策の強化を挙げております。
 また、第四に、温室効果ガスの吸収源対策といたしまして、森林・林業基本計画等に基づき森林整備等を推進するというものを考えておるところでございます。
三ッ林委員 続きまして、先ほどもお話があったと思いますけれども、原子力発電による電源の確保という問題についてお聞きしたいと思います。
 原子力発電は、発電時に二酸化炭素を排出しないという意味では地球温暖化対策に大変有効な手段であることは、現在でも、以前から言われておりますように変わりがありません。そして、先々月、中央環境審議会が答申した京都議定書の締結に向けた国内制度の在り方に関する答申の中でも、「温室効果ガスの削減に有効な各種の技術対策の導入を促進していくことが必要である。」とし、その中のエネルギー関係のところで、自然エネルギー、天然ガスと並んで、安全性の確保を前提とした国民の理解を得つつ進める原子力の開発利用を推進するとしております。
 私も、将来的には我が国において、太陽光、風力等の新エネルギーや天然ガスにシフトする対策を進めていくべきとは考えております。しかしながら、欧米諸国において、フィンランドでは原発の新設が閣議決定され、英国も凍結から推進に転じております。
 ドイツにおいては、原発の全廃を決めてはおりますけれども、昨年のドイツ国内の世論調査によりますと、ドイツ国民の半数が、現在の脱原子力政策は将来撤回されると考えていることが明らかになり、また、大多数の方が、原子力発電は将来にわたってかなり重要な電源であり続けると回答しているとの報道もありますように、今すぐほかのエネルギー源にシフトすることは難しい状態でありまして、当分の間は原子力にベース電源の役割を果たしてもらわなければならない状態が続くと思っております。
 そのため、いかに原子力の利用を安全に進めていくか、そして国民にその必要性をどのように説明していくかが重要と考えております。
 どうもこれまで、私の印象ではありますけれども、原子力を利用するというふうなことを環境省が推し進める姿勢というのが、今まで余り強く感じた記憶がないのでありますけれども、政府が現在新たに策定を進めております地球温暖化対策推進大綱における今後のエネルギー政策、特に原子力及び新エネルギーの位置づけをどのように考えているのか、お聞きいたします。
山下副大臣 エネルギーの利用のあり方につきまして、この地球温暖化対策との関係で極めて重要なテーマであるというふうに思っております。
 それで、まず、原子力発電についてでございますけれども、地球温暖化対策にとってプラスであろう、ただ、今も委員おっしゃいましたように、マイナス面も温暖化対策とは別のところであるわけでございます。
 そういうことで、この温暖化対策と原子力発電の関係ですけれども、既に平成十一年に、地球温暖化対策推進法に基づいて策定された基本方針というのが閣議決定されているわけですけれども、この中で、次のようにうたわれております。原子力の開発利用については、「放射性廃棄物の処理処分対策を充実させつつ、安全性の確保を前提として、国民的議論を行い、国民の理解を得つつ進める。」このように基本方針の中で規定されておるわけでございます。この基本方針に沿って原子力発電についての位置づけをしてまいりたいというふうに思っております。
 また、新エネルギーの方ですけれども、風力、太陽光、またバイオマス等の新エネルギー、これは温室効果ガス排出量を削減するに当たって大変重要な技術開発の面があると思うわけでございます。実用化も始まっておるわけでございますけれども、これにつきましても温暖化対策として非常に重要である、こういう位置づけで積極的に導入を推進していくべきである、こういう考え方に基づいて推進してまいりたいというふうに考えております。
三ッ林委員 各国でもかなり、ベルギーとかも、削減が決まったというふうな言い方ながらも、今後どうなるか経過を見ている国も多数あるようでありますので、これは非常に重要な電源の、これからの日本のIT社会というのを支えるには必要なことでありますので、ぜひとも前向きに進めていただければと考えております。
 次に、循環型社会につきまして御質問させていただきますが、近年、我が国においては、社会経済活動が拡大しまして、国民生活が物質的に豊かになる一方で、膨大な量の廃棄物の排出と最終処分場の残余容量の逼迫を背景に、廃棄物に伴う環境汚染、不法投棄の増大などが深刻な社会問題となっております。
 先日、大木大臣は所信表明で、「大量生産、大量消費、大量廃棄の社会から、持続可能な簡素で質を重視する社会への転換を図り、」と表明なさいました。これはまさに社会の構造改革というべきものであり、本問題に対する並々ならぬ決意を伺わせていただきました。
 これまで、平成十二年には循環型社会形成推進基本法が制定され、さらに廃棄物処理法の改正、容器包装、家電、食品、建設等、個別リサイクル法の制定と、関連法律が整備されてきておりますけれども、今後も環境省が先頭に立ちまして、循環型社会の構築を進めていくことが極めて重要だと考えております。
 現在、環境省では、まさにこの循環型社会を実現するために、循環基本法に基づく循環基本計画を前倒しで策定していると聞いておりますけれども、私は、一刻も早くその計画を策定し、また、実現に移していくことが重要と考えております。
 そこで、具体的にはどの程度の前倒しになるのか、また、現在の進捗状況についてお聞かせください。
奥谷大臣政務官 循環型社会形成推進基本計画につきましては、循環型社会形成推進基本法第十五条におきまして、中央環境審議会が、平成十四年四月一日までに計画策定のための指針を環境大臣に示し、環境大臣は、この指針に即し、かつ中央環境審議会の意見を聞いて計画の案を作成し、平成十五年十月一日までに閣議決定を求めることとされております。
 このうち、指針につきましては、法律の期限を二カ月半前倒しいたしまして、本年の一月十七日に中央環境審議会より環境大臣に示されたところでございます。
 循環基本計画につきましては、現在、本指針を踏まえて検討を進めておりまして、法律の期限を半年前倒しいたしまして、平成十五年三月末までに計画を策定することといたしております。
三ッ林委員 ありがとうございます。ぜひ一刻も早くこの方針を進めるようにしていただきたいと思います。
 次に、自動車のリサイクルの問題についてお聞きしたいと思います。
 我が国では、廃棄物の最終処分場の残余年数がもう少なくなってきているなど、ごみ問題への対応が重要な課題と言われておりますけれども、そのような状況の中で、年間五百万台も発生すると言われる使用済み自動車について、そのリサイクルをどのように進めていくかということが今後の極めて大きな課題であると考えております。
 近年、使用済み自動車を処理すると費用がかかる、いわゆる逆有償化が進展し、不法投棄等が増加するという懸念や、廃車の処理過程で発生するシュレッダーダストの最終処分場の逼迫や、フロン類を含むカーエアコンの回収・破壊が必要となってきていることなど、使用済み自動車をめぐる情勢が変化してきており、これらを減量化、リサイクルするための新たなシステムが求められているところであります。
 こうした問題に対処するために、先日の大臣の所信表明の中でも、自動車について、持続的なリサイクルを行うための新たな仕組みを構築するという御発言がありました。
 我が国において、これから、使用済み自動車にかかわる廃棄物等のうち、フロン、エアバッグ及びシュレッダーダストの三品目を製造事業者及び輸入事業者から引き取ることや、廃車の処理に必要な費用を新車販売時にユーザーから徴収することを定めた自動車リサイクル法が間もなく提出される予定ということですけれども、これでは製造事業者のリサイクル率の向上やシュレッダーダスト減量に対する努力を損なうことにはならないかと危惧しております。
 また、徴収した費用が実際に使われるまでにかなりの期間があいているわけで、物価変動によって徴収した額と実際にリサイクルに必要な額が違ってくることもあろうかと思いますが、その点、問題はないのかどうか。政府において自動車リサイクルの問題にこれからどのように取り組もうとしているのか、あわせてお伺いいたします。
大木国務大臣 まずは、自動車のリサイクルは、今おっしゃいましたように年間五百万台、大変な量でございますから、これを何とかきちんとしなきゃいかぬということで今考えているわけですが、リサイクルされない残りというのは、結局ほとんどがシュレッダーダストなんですね、先生もおっしゃったとおりに。ですから、これをきちっと製造業者等に引き取りあるいは再資源化の義務づけというのをするように今法律の中で考えております。
 それから、いろいろそれでやってどういうことになるかということですが、たしか経済産業省の方でも使用済み自動車リサイクルのイニシアチブというのをつくりまして、平成二十七年、二〇一五年までには大体九五%までは引き上げるんだろうということで、一応それが目標の数字になっております。諸外国でも、EUあたりで同じような数字を掲げておりますから、とりあえずはまずその辺を目標にしてさらに強化をしてまいりたいというふうに考えております。
三ッ林委員 この自動車のリサイクルに関しては、ドイツなどでは、ユーザーから無償で車を受け取って、それを処分するという政策を行っている国も実際ありますので、どうしてもそれを日本のこれからの法律と比較してしまうというふうな面もありますので、ぜひ、ユーザー、実際に国民の皆さんが納得できるような確固たるシステムというものをつくっていただければと思います。
 残り時間が少ないのですが、最後に、現在の森林について、ひとつそれに関連した話題として質問したいのですが、この時期、杉の花粉症で非常につらい思いをしている方々が全国に大変多いのではないかと考えておりまして、中には国民の三分の一の方が花粉症という報道もありまして、国民病というふうな表現もありました。実際に、委員の皆さんの中にも、花粉症でお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 この杉の花粉症が蔓延してきた一因としましては、以前から、戦後の我が国における杉を中心とした植林政策の結果、現在では、管理されないまま杉の木が成長し、大量に花粉を飛ばすことになったからではないか、またあるいは、ディーゼル車から排出されるディーゼル排気微粒子と杉花粉とが複合的に作用して被害が拡大しているのではないかと言われておりまして、以前からこの杉花粉症と環境との関係について研究がされてきているようですが、現在、研究の進捗状況はどのようになっているのでしょうか、お教えいただきたいと思います。また、今後の環境省としての花粉症対策につきましても、あわせてお聞かせください。
山下副大臣 花粉症で悩んでいる一人としてお答えさせていただきたいと思いますけれども、この花粉症対策につきましては、今も委員おっしゃいましたように、多くの国民が苦しみ、悩んでいる問題でございます。
 この対応につきましては、平成二年から政府として取り組んでおりまして、特に、環境省以外にも、厚生労働省、林野庁、気象庁が連携をとり合いながらこの対策に取り組んでおるわけでございますけれども、環境省におきましては、ディーゼル排気微粒子、DEPと花粉症の関係につきまして、平成三年度から動物実験を用いた研究、また疫学調査等を行ってきております。ただ、明確な原因究明にまだ至っておらないというのが現状でございます。
 今後の花粉症対策につきましては、環境省においては、花粉の飛散状況の実態把握及び予測を行うために、平成十四年度から花粉観測機器を設置いたしまして、花粉観測・予測システムの構築を図ることとしております。
 また、DEP対策につきましても、これは最近特に繰り返し報道されておりますけれども、昨年六月に改正されました自動車NOx・PM法に基づく各種施策に加えまして、平成十七年度にはディーゼル車排出ガス規制を大幅に強化いたしまして、世界一厳しい、そういう規制にしようという今までの中環審の答申案が出されまして、今、パブリックコメントにかけられておる、中環審で取りまとめをしているところでございます。
 今後とも、先ほど申し上げました関係省庁とも十分な連携を図りまして、花粉症対策について積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
三ッ林委員 この花粉症の原因であります杉の花粉に対する対策となりますと、林野庁とかと連携が必要と思いますけれども、ぜひ、国民病でありますので、その対策に向けまして力を尽くしていただければと思います。
 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
大石委員長 西博義君。
西委員 公明党の西博義でございます。
 大臣が参議院の予算委員会に出席ということで、大臣に聞きたい事柄もあったのですが、進めさせていただきたいと思います。
 初めに、先ほど牧委員からもかなり詳細に質問があったのですが、アメリカの気候変動政策に対する大臣の見解について御質問申し上げたいと思います。
 去る二月の十五日に発表されたアメリカの気候変動政策は、先ほどもお話ありましたように、GDPに対して、温室効果ガスの排出量を十年後、つまり二〇一二年に一八%削減する、こういうことを目標としております。
 この目標に対して、環境大臣は、「地球温暖化対策の実効性を確保するためには、今後、米国や途上国を含むすべての国が参加する共通のルールを構築することが重要であり、地球環境という共通の目的に向けて、日米ハイレベル協議やその下の事務レベル協議、さらにG8環境大臣会合の場等を通じて、両国における気候変動対策についての情報や意見の交換を促進し、日米双方で実効ある対策が行われることとなるよう努力していきたい」、こういう趣旨の談話をすぐに発表されております。
 ここで、先ほどもちょっと議論がありましたが、「すべての国が参加する共通のルールを構築することが重要」、こういうふうに述べられているんですけれども、このルールとは現在においては京都議定書のことを指しておられる、私自身はそう思っているんですが、確認のためにお伺いをしたいと思います。
 それとも、差し当たり、アメリカについて、独自のルールと目標の達成に取り組むことを容認する、こういうこともお考えなのか。また、対策を発表した姿勢は評価するとしても、EUの各環境大臣が厳しい評価を下していることは新聞等にも出ているとおりでございます。今回のこの内容についてどう評価をしているのか、初めにお伺いしたいと思います。
山下副大臣 京都議定書と大臣談話の共通のルールは違うのか同じなのかというふうな御質問でございますけれども、京都議定書はこの気候変動問題について現在国際的に唯一存在する枠組みである、これ以外にはない、したがいまして、先ほど大臣が申し上げましたように、この共通のルールというのは京都議定書と別のものじゃないというふうに明確におっしゃったとおりであるというふうに思っております。
 また、アメリカの独自ルールを容認するのかということですけれども、これは容認できない、こういうことになるというふうに思います。
 以上です。
西委員 先ほどの大臣の不満であるという御答弁といい、今の副大臣の、アメリカのルールは容認できない、共通するルールは京都議定書一本である、こういうお話でしたので、まことに明確な御答弁だと思っております。
 続いて、直後に行われました小泉総理とブッシュ大統領の会談の内容について、若干御質問を申し上げたいと思います。
 二月十八日、小泉総理とブッシュ大統領の会談において、ブッシュ大統領は、京都議定書は米国経済に悪影響を与えるので受け入れられない、こういうふうに明確に受け入れを拒否いたしました。そして、米国独自のルールに基づいて、経済成長と環境保護を両立させながら温暖化防止を図る、こういうふうに述べたというふうに報道されております。同時に、小泉総理は、米国の建設的な政策を評価するというふうに米国の取り組みを評価して、先ほどもこれは、若干大臣から雰囲気はお話がありましたが、歓迎をするかのようなお話が報道されておりました。
 また、首相は京都議定書への復帰を言及しなかった、こういうふうにある新聞ではっきりと報道されておりますが、ブッシュ大統領に対して首相から京都議定書への復帰を要請したのかどうかということをまず確認しておきたいと思います。
 続いて、この日米首脳会談で地球環境問題に関する協力関係が合意されたということを受けて、温暖化対策の日米閣僚級会議が再開されることになった、こういうふうにも報道されておりますけれども、首脳会談を受けての会議で日本としてはアメリカに京都議定書の締結を求める方針に変わりはないのでしょうか、その御決意をお伺いしたいと思います。
 議長国として、アメリカはもちろん、一カ国でも多くの国がこの京都議定書を締結するよう、ぜひ、環境大臣を初めとした環境省の皆さんに積極的な役割を果たしていただきたいことを期待いたしまして、一言コメントをお願いしたいと思います。
山下副大臣 二月十八日の日米首脳会談におけるやりとりでございますけれども、今も触れられましたように、首相は、アメリカのこの温暖化に対する具体的な取り組みを、それまでは触れられてこなかったわけでございますので、具体的な取り組みについてこの見解を発表したということについては評価されたということでございます。
 また、途上国についての技術支援その他の支援のあり方についても一緒にやっていこうというふうなことが確認されたわけでございますけれども、京都議定書への復帰を促したのかということについては、こういう答弁になると思うんですけれども、アメリカに京都議定書への復帰をしなさいというふうなことを明確にはおっしゃっていないわけですけれども、その復帰を念頭に置いて、先ほどのような、共通にできることは何かということを探りながら発言された、こういうふうな理解になるのではないかというふうに思います。
 それから、アメリカへの働きかけでございますけれども、これは既に首脳会談を終えましてから、さまざまなレベルで対話が開始されておるわけでございます。市場メカニズムの問題や、また途上国についての支援、それからまた技術開発の共同開発についての問題、この三点にわたりまして、それぞれのレベルで、それぞれのテーマで対話が開始されておる。
 特に、来月はアメリカからも環境相、環境関連の閣僚レベルの方が来られまして、大木大臣とハイレベルの協議を行うということが決定して、時期は未定ですけれども、そういう形で地球温暖化対策につきましてのアメリカへの働きかけを積極的に行ってまいりたい。
 また、G8の環境大臣会合、これもカナダで来月行われることになっておりますけれども、こういう場を積極的に利用いたしまして意見交換を行い、温暖化対策への取り組みを強化してまいりたい、このように考えております。
西委員 日本では以心伝心という言葉がありますけれども、外交の中でも、総理と大統領との会談ですから、はっきりとおっしゃってほしかったなというふうな感想を持っております。いずれにいたしましても、今後、またいろいろなレベルを通じて京都議定書への復帰を促すということですので、ぜひ積極的な行動をお願いいたしたいと思います。
 次に、環境省の調査統計の整備について若干御質問申し上げたいと思います。
 今回、私、初めて環境委員会に所属して環境行政に携わらせていただくことになりましたけれども、気づいたことは、環境に関する統計など、統計データが整備されていないということでございます。
 環境に関する統計データを網羅する基本的な統計報告書というのがまず手に入りません、というか、ありません。日本の主要な統計調査は、統計法の指定統計ということですけれども、ここには、環境行政に必要な基礎的事項を明らかにすることを目的とした指定統計というような環境省所管の統計もございません。
 また、総務省統計局発行の「世界の統計」というのがあるんですが、ここでは、十七章のうちの一章を環境に充てているわけですけれども、同じ統計局発行の「日本の統計」、これは二十四章ございますが、環境という章は設けられておりません。日本では、そういう意味では、環境統計調査という分野が確立されていないのではないか、こう思うわけでございます。
 先日、国内の二酸化炭素の排出量を調査しているある国会議員が、経済産業省に対して情報公開法に基づいて情報開示の請求をした、こんな新聞記事が載っておりました。
 温室効果ガスの排出量の算定は各省庁所管の統計を二次加工して求めているということをお聞きいたしました。的確に問題を分析して対策を企画立案するためには、統計調査は必要不可欠だと思います。このような体制では、温室効果ガスなどがどのような状況にあるのか、的確に把握し、対策を講ずる上で大きな支障になると考えております。そういう意味で、早急に環境統計調査体制の充実を図る必要があるんじゃないか、こう思うわけでございます。
 まず一つ目には、環境に関する基本的な指定統計をきちっと定めていただくことが大事だ。
 二つ目には、厚生労働省や農水省などでは、統計情報部という組織が既にあります。環境省にも統計行政を行う組織を編成すべきである、こう思うわけです。その際に、環境省内の他の部署から人を回すということではなくて、きちっとした人員を増員して配置するというぐらいの形をつくるのが妥当だ、大切だというふうに私は思います。
 三つ目は、環境に関する総合指標をつくるなど、統計情報を国民にわかりやすく提示する工夫をするとともに、ホームページにデータをアップするなど、アクセスを容易にしていただきたい。私たちの日本の環境が一体どうなっているのか全体像を示すことで、国民の環境への意識を高めることができると思います。
 この三つの提案につきまして、早急に取りかかっていただくように要請をしたいと思いますが、まず環境省にお考えをお伺いしたいと思います。続いて、総務省に対して、この環境に関する指定統計について、環境省からもし要請があれば前向きに御検討いただけるかどうか、ぜひ要請にこたえていただきたいと思いますが、あわせて御意見をお願いしたいと思います。
松本政府参考人 私の方からは、環境省の環境統計調査体制、組織体制の強化充実をすべきだという御指摘について御説明をさせていただきたいと思います。
 私ども、環境に関する調査統計の整備あるいは公表、提供という業務は、御指摘のとおり極めて重要な業務であるというふうに認識をしております。
 御指摘がありましたように、現在、環境省におきましては、他省の、一部の省庁にございますような統計情報部あるいは統計情報課というような、統計のみを専門に担当する部署を設けておりません。各部局がそれぞれ担当する分野の調査統計データというのをそれぞれの部局の行政政策目的に応じて実施をいたしまして、その結果を用いて統計を整備する、そしてそれぞれ印刷物などを作成して公表し提供する、こういう仕組みをとっているわけでございます。
 どうしてこういうふうになっているのかと考えますと、大変今でも、環境省の各分野の、大気、水質、騒音、悪臭、振動、そういうような各種の公害系、あるいは有害化学物質の関係、あるいは自然環境の関係、いろいろ広範多岐にわたっておりまして、それぞれが調査統計データと大変密接にかかわった行政をやっているということで、それぞれが責任を持ってやっているという仕組みになっているかと思います。
 ただ、いずれにいたしましても、科学的、客観的な調査統計データというものは、効果の高い、あるいは信頼性のある環境政策、環境行政を展開していく上で必須の要件であるというふうに考えております。御指摘の組織論を含めた御趣旨も十分踏まえながら、今後、例えば環境情報ネットワーク化などによりまして、環境統計データを総合的に整備し提供する枠組みの整備について、積極的に検討していきたいと考えております。
炭谷政府参考人 まず、環境のデータに関する国民の方々に対するわかりやすい提供についてでございますけれども、それは大変重要なことだと思っております。
 実は、私ども、環境庁時代につくっておりました環境統計集というものがあったわけでございますけれども、昭和五十九年を最後にして刊行しておりません。しかし、これはやはり大変重要なことでございます。そこで、私どもといたしましては、先生が御指摘されましたような総合的な指標というものが既にOECDなどで開発されております。
 統計集をつくるに当たりましては、単に統計を単純に羅列するというものではなくて、OECD等で開発されております総合的環境指標の考え方を十分踏まえた、いわば立体的、総合的な環境統計集というものを早急につくってまいりたいというふうにして、現在準備を進めております。
 また、いずれにいたしましても、そのほか、先生が御指摘されましたようなホームページをつくるとか、また、いろいろなわかりやすい冊子をつくるというような、媒体を通じましてのわかりやすい環境データの提供ということについても努力をしてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
 指定統計につきましても、また後ほど御答弁あろうかと思いますけれども、総務省統計局の方と連絡をとりながら、指定統計の趣旨を十分踏まえまして、今後、その必要性も含めまして検討させていただきたいと存じております。
大戸政府参考人 環境統計の整備の重要性につきましては、総務省としても十分認識しておるところでございます。
 これまでのところ、環境省からは、具体的な統計について指定統計として指定するような申請というものはなされていないと承知しております。今後、環境省におかれまして十分検討され、当省に対しまして具体的な申請がなされた場合には、当省としても、指定統計として指定すべきかどうかについて十分検討してまいりたいと思います。
西委員 それぞれ積極的な御答弁がございました。それに向けて努力をしていただきたい、このように思います。
 これから環境行政が大変重要になってきます。先ほど御答弁がありましたように、それぞれの課で一つ一つの統計をつくっているという事実があるわけですから、一つの省として、がちっとした指定統計なり、またそういう国民へのアピール、こういうことを積極的にできるような体制を早急につくっていただきたいと思います。
 環境の総合指標をつくるということを先ほど質問いたしましたが、それはまた、行政の視点に立ってみれば、環境診断、つまり環境に対する健康診断のようなものをするときに大変役に立つのではないか、ある意味では、環境省の大きな役割というのはそういうことではないかというふうに思っております。
 私たちは健康を守るために健康診断をします。身体測定したり血液検査したりということになりますが、この健康診断は、自分の健康状態について私たちに重要な情報を提供してくれるわけです。私は、環境省は、そういう意味では、国の健康な環境を守るために、そのためのお医者さんのような役割を果たすべきだというふうに考えております。
 つまり、お医者さんが診断をして診断書を書く、そしてそれに基づいて治療や処方せんをつくる、また薬を出す、こういうようなことを考えますと、環境省は、環境に対する総合指標をつくって、それに基づいて、どのような対策や措置を講ずるべきかを立案企画する、または各省庁へ助言する、こういう役割を果たすことが大事ではないか。そして各省庁は、それをもとに政策評価を行っていく、そして、評価の基準としてその環境評価を取り入れて、参考にしてやっていただく、こういうことになってくるのではないかと思います。
 将来環境省は、そうした視点に立って、横断的に各省庁の政策、施策に助言をしたり、また相談役になれるような体制づくりをしていくことが大切ではないか、こういう問題意識を持っておりますが、今後の課題としてぜひとも考えていただけるように提案をしたいと思いますが、御答弁をお願いしたいと思います。
奥谷大臣政務官 大変ありがたい御提案、ありがとうございます。
 環境基本計画では、その着実な実行を確保するために、毎年、中環審において施策の進捗状況について点検を実施しております。その点検結果を政府全体の環境保全経費の見積もり方針の調整などに反映させていることとしておるところでございます。また、今後関係府省において導入することとなっております環境管理システムの活用によりまして、環境の視点から自主的点検が行われるものと思っております。
 現在、環境基本計画推進関係府省会議において同システムの導入に向けた議論を進めているところでございまして、環境省としては、こうした横断的な取り組みを通じまして、今後一層政府全体の環境保全施策の推進を図ってまいるところでございます。よろしくお願いいたします。
西委員 私、地元は和歌山県なんですが、現在、和歌山県では、自然環境を回復、再生させるとともに、新たな雇用の受け皿を創出する緑の雇用事業というものが展開されようとしております。
 この事業は、和歌山県だけではなくて全国的に広範な取り組みが行われていると聞いておりますが、それは、国土の六七%を有する森林が持つ公益的な機能に着目して、従来の公共事業の枠にとらわれない新しい環境林の整備の理念を導入することなどによって、森林、清流、河川ですね、それから海洋等の保全整備を行っていこう、こういう趣旨のものです。
 この緑の雇用事業を森林組合等が担うことによって、新規雇用の創出を図り、森林等を保全する人材の定着化を促進、さらに、地方に新天地を求めてIターンを志向する都市生活者の雇用の受け皿として、また、民間企業のリストラに伴う都市における失業者などの雇用機会の創出を図る、こういうことを目的としております。
 この取り組みをどのように評価しているのか、まずお伺いをしたいと思います。
 続いて、緑の雇用事業は、現在、国の緊急地域雇用対策特別交付金という制度を利用して発足をしているわけですが、三年後には、御存じのようにこの特別交付金制度が終了いたします。そのときになると、それぞれの森林組合が自力で雇用を続けていく、こういうことですが、現実的には、なかなかそのための財力がない、こういう問題が今から想定されております。
 この和歌山県の緑の雇用事業は、緊急雇用対策という一時的な雇用対策を目的としているのではなくて、地球環境の保全、水資源の確保、教育など、森林の持つ多面的な機能に着目した恒久的な事業を展開しよう、こう考えているわけでございます。
 農林水産省、環境省は、緑の雇用事業の取り組みに対して、林業従事者の雇用が安定し、定着できるよう、どのような取り組みを行おうとされているのか、お聞きをしたいと思います。私は、財政支援を今後行っていただけるように強く要望したいと思いますが、各省庁のそれぞれのお考えをお聞かせ願いたいと思います。
奥谷大臣政務官 自然環境保全や地球の温暖化の防止等、森林が有する多面的な機能の効果的な発揮のためには適切な保全管理が不可欠でございます。しかしながら、高齢化や林業の不振等からの担い手不足は深刻な問題と認識をいたしております。
 そういう意味から、和歌山県が展開されておりますこの事業でございますが、森林の保全整備とともに、雇用創出を目指す地域の取り組みとして、時宜にかなったものと高く評価をさせていただいております。
 また、二番目の質問でございますが、森林を初めとする自然環境の適切な保全管理に必要な担い手の確保は大変重要な課題でございます。この観点から、平成十三年度補正予算における緊急地域雇用対策特別交付金につきましては、環境分野の推奨事業例の一つとして身近な自然の再生を含めた森林整備の強化を位置づけ、この交付金の対象としているところでございます。
 また、環境省といたしましては、国立公園等の貴重な自然環境を有する地域においては、自然や社会状況を熟知した地元住民等を雇用し、山岳地の清掃や登山道等の公園の利用施設の補修、あるいは植生復元などの自然環境の保全、形成を行う事業、いわゆるグリーンワーカー事業を平成十三年度に創設したところでございまして、こうした事業の強化拡充による森林を初めとした自然環境の保全についてもこれから推進をしてまいりたいと考えております。
 よろしくお願いいたします。
加藤政府参考人 林業労働力が減少、高齢化をしている中でございますから、森林の守り手となる林業の担い手を確保していくということは大変重要な問題だというふうに認識をしているところでございまして、今回の緊急地域雇用創出特別交付金の問題につきましても、林野庁としても積極的に対応したいということで対応してきているところでございます。
 その交付金によりまして雇用された者が、将来にわたり森林・林業の担い手となり得るよう誘導していくということも大事な問題だというふうに思っているところでございまして、就業情報の提供であるとか就業資金の無償貸し付けであるとか技能向上研修の実施であるとか、そういったこととあわせ、また、受け入れ先となる林業事業体につきましても、高性能林業機械の導入促進であるとか、広域的な事業情報の提供などによりまして経営基盤の安定化ということも図っていかなければいけないというふうに考えているところでございます。
 また、お話が出ました森林整備をどう進めていくかということについても、我々として進めていかなければいけない重要な問題でございまして、昨年十月に策定された新たな森林・林業基本計画に基づきまして、森林の整備保全を積極的に進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
西委員 時間がほぼ来ましたので、終わらせていただきます。
大石委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午前十一時十二分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時十三分開議
大石委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。奥田建君。
奥田委員 午前中に続きまして質疑を継続させていただきたいと思います。民主党の奥田でございます。
 まず、本日は、どちらかというと御説明や御報告を受けることが多いかもしれませんけれども、よろしくおつき合いいただきたいと思います。
 まず、先日、十四年度予算、衆議院を通過いたしましたけれども、ちょっと時期が遅いかもしれませんけれども、予算関連の質問を大臣にさせていただきたいと思います。
 一般予算の方も、財政の事情からマイナス一・七二%という形で衆議院を通過しております。十四年度一般予算二千六百四十四億、環境省予算ですけれども、これとまた関連しまして、環境保全経費二兆九千九十九億という予算が計上されております。どちらもマイナス四・五%という数字になりますけれども、環境を重視するという内閣の方針ではございますけれども、この環境省予算、あるいは環境保全経費といったものについて大臣の御評価をいただきたいと思います。
大木国務大臣 この平成十四年度環境省予算でございますが、前任の大臣が非常に努力されまして、私は、全体としてはその努力があらわれていると思います。
 数字の上で若干の減額というようなところが、数字だけ見ればそういうことになるわけでございますが、中身で多少コメントをさせていただければ、ダイオキシンの規制強化に対応するための廃棄物処理施設の整備費については、補正予算と合わせて必要な額を大体確保できたんじゃないか、あるいは自然再生事業の新たな取り組みに必要な予算を確保できた、あるいは非公共予算につきましては、地球温暖化対策や化学物質対策など、大変に、全体として緊縮財政の中での予算ではありますが、わずかながらもそういったものについては増額を認められたというようなことでありますから、全体としては環境配慮型社会の構築に向けて第一歩を踏み出すということで、これからひとつこの予算を、上手に知恵を出して、効率的に活用して施策をさせていただきたいというふうに思っております。
奥田委員 知恵とそして効率を求めていく時代かもしれませんけれども、最高責任者になります大臣にとっては、いや、もうちょっと頑張らないかぬなというお言葉をいただきたかったところでございます。
 今、新しい事業やあるいは予算の確保に成功したと申しますか、十分なものをいただいたということの御報告がありました。それほど大きな変化のものはないんですけれども、幾つか減額になった部分がございます。
 目にとまるものとしたら、十三年度の補正予算とも関連しておるのかもしれませんけれども、減額になったものとして、廃棄物リサイクル対策費のうち、処理施設整備事業、地方自治体への補助関係、施設整備補助費といったもの、あるいは自然環境保全対策費の中で公園整備事業といったものの減額が目立っております。
 この減額の根拠、理由といったものについて大臣の御説明をいただければと思います。
大木国務大臣 今回の予算の中で、公共投資関係費が全体として一割減というような全体のあれがかぶっておるわけでございますが、そういうことで、環境省の方の予算を見ましても、今の廃棄物処理施設それから自然公園等の事業といったようなもので、環境省としては公共事業費についてはたしかマイナス七%ぐらいになっていると思います。
 そういうことで、全体として一〇%の中で七%に踏みとどまったというのは、大変結構だとは申しませんけれども、大体こんなところかなということでひとつ御理解をいただきまして、またこれから効率的な運用の方にむしろ努力をさせていただきたいというふうに思っております。
奥田委員 今、国の施策でもあるいは環境省自身の施策でも大変重点施策であるべき廃棄物・リサイクル対策、こういったところが減額になっているということは大変問題のあることでありまして、例えば、施設の整備がもうほぼ完了に来ている、あるいは充実しているといった根拠でもあれば別ですけれども、まだまだ地方の方でリサイクルのストックヤード的な施設やあるいは焼却施設の新設がピークのときに、こういったことになるのは大変遺憾であると思っております。
 そしてもう一つ、新事業としまして、自然再生事業といった事業が新しく盛り込まれておりますけれども、こちらの具体的な内容について大臣の方から少し御説明をいただけませんでしょうか。
小林政府参考人 御説明を申し上げます。
 政府の重要な課題の一つである自然と共生する社会の実現のために、残された自然の保全はもちろんでございます。総理主宰の二十一世紀「環(わ)の国」づくり会議の報告にもありますとおり、失われた自然の再生に積極的に取り組むことが重要と考えてございます。このため、里地や干潟の再生、また、直線化された河川の蛇行化による湿原の再生等、自然再生事業を、関係省庁と連携し、専門家とかNPO等の参画も得て推進していく考えでございます。
 環境省では、平成十四年度の予算案におきまして、釧路湿原ですとか埼玉県のくぬぎ山の雑木林の再生につきまして、事業を農林水産省、国土交通省、地元自治体等と連携して行うための経費を計上させていただきまして、事業の円滑かつ効率的な実施をしていくため、生態系の観点から調査を行うという経費もあわせて計上しているところでございます。
奥田委員 小林局長に続けて質問させていただきたいんですけれども、今、具体的な地域の名称も出していただきました。ただ、例えば釧路の湿原の川の蛇行を取り戻して湿原を再生するといった事業などでも、例えば国土交通省予算であれば、今の環境省予算の多分水環境の再生といった形でも、水環境の予算といったことでも、大体二十倍ぐらいついているかと思います。
 そういった中で、多分メーンは、事業としての、予算の主体としてのものは国土交通省になるかと思いますけれども、その中で、一緒に事業をやっていく中での環境省の果たす役割といったものを教えていただけますでしょうか。
小林政府参考人 御説明します。
 環境省としましては、関係省庁との連携ということで、一緒に議論を進めていくというところを最大の役割というふうに考えてございます。
 私どもも、先ほど御説明したように、ささやかですけれども十三年度の補正予算とそれから十四年度の予算で、例えば釧路湿原ですと四億ずつですから八億くらい、そういう中でささやかながら事業を進めますけれども、そこは周辺、例えば乾燥化した土地を湿原にするというような部分を我々は担いますし、国土交通省河川局の方では直線化された河川の蛇行化というところの辺に力を注ぐ、その調整役ということを私どもとしては務めてまいりたい、こう考えております。
奥田委員 続きまして、地球温暖化の防止対策について質問をさせていただきます。
 これから前の質問者の方と幾つか話は重なるかもしれませんけれども、二月十四日、こちらの方では二月十五日に、アメリカの気候変動政策といったものが発表されました。
 大臣の方からも、外交辞令の部分と本音の部分といった形で御答弁がございましたけれども、私自身も、GDP目標での改善といったものが、過去十年をさかのぼって見たときには、今までであってもそれに近い改善ができている。
 あるいはGDP比でいうと、現在のアメリカのGDP当たりの二酸化炭素発生量というものは、ほかの工業国と比べても大変突出したものになっているといったことで、ぜひとも、今までのお話にありましたように、全体が同じルールの中で取り組む。
 あるいは、アメリカの世界における責任といったものをもっと力強く認識して打ち出していただくといったことをぜひ表明していただきたかったし、あるいはそのことは、言葉を荒くするまでもなく、諭すようにでもいいですから、この日本としての立場と、そして多くの国会の議員やあるいは国民が思っている言葉を外交の場に立たれる方は率直に伝えていただきたかったと思いますし、これからもまた機会がありましたときには、そういった国民の声と気持ちの代弁者であるといったことを、ぜひ総理そして環境大臣にもお願いしたいと思っておる次第でございます。
 今、大臣の方のコメントは再三いただいておりますので、こちらの方は飛ばしますけれども、こういった国内対策、これから批准と国内対策の整備に入っておるところでございますけれども、過日の、二月の一日、読売新聞の報道におきまして、各省庁間の情報の共有化といったこと、こちらの方は、報告書の方にもこれから大変必要なデータの共有化といったことは書かれておりますけれども、そちらについて、経済産業省の方と、そして経団連の方と環境省の検討委員会の方のコメントとして、事業所個別の二酸化炭素排出量のデータのやりとりをしたいというときに、できるできないといったお話がございました。
 このことについて、ちょっときょうは経済産業省の大井審議官に来ていただいているそうですので、このやりとりで、二酸化炭素排出量の事業所別のデータというのが省エネ法のもとで持っているというんですけれども、これを相互にやりとりできないのかということについてコメントいただきたいと思います。
河野政府参考人 お答え申し上げます。
 ただいまの御質問は、エネルギー使用の合理化に関する法律、いわゆる省エネ法に基づいて報告で集めたデータを各省庁で利用できないかという御質問かと存じます。
 この省エネ法に基づいて報告をしていただくものは、省エネ法の施行の責任を持ちます経済産業大臣及び事業所管大臣が省エネ法の施行に必要な限度で情報を得るために設けられている措置でございまして、また、その報告の内容には、個々の企業の営業上の秘密に属すると考えられるものがたくさん含まれているわけでございます。したがって、これらの工場の個別のデータを省エネ法の施行にかかわりなく他の省庁に提供することは適当ではないというふうに考えております。
 ただし、省エネ法による報告等に関するこのデータを集計してまとめた結果ですとか、エネルギー使用状況に関する各種統計による情報につきましては、必要に応じて他省庁に提供するというようなことで、情報の提供についての連携を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
奥田委員 これについて、環境省の方からもコメントをいただきたいと思います。
岡澤政府参考人 ただいま経産省の方からお話があったように、データというのは政策目的が違っても共有するものがございますので、それについては政府部内で融通を図って、効率よくデータの収集に当たってまいりたいと思います。
奥田委員 使用目的といったものははっきりしている検討委員会の中での話でございますので、ぜひこういったことが報道の中で、また、できるできないあるいは企業秘密だということが出る前に、やはりこういった当事者同士の中である程度の折り合い、できる部分とできない部分といったものをはっきりと提示していっていただきたいと思います。
 私が考えれば、そんな、企業の事業所の二酸化炭素排出量にどれほどの企業秘密があるのかといったことをちょっと認識不足かもしれませんけれども思いますので、ぜひとも、これに限らず多くの情報を各省庁間で共有して、施策の推進に励んでいただきたいと思う次第でございます。
 続きましては、大臣の方に、先ほどやはりこれも出ましたけれども、温暖化対策に関しての税制についての考え方を述べていただきたいと思います。
 先ほど炭素税も大変難しいということがありましたけれども、北欧あるいはドイツ、イギリスといったところでの実施例もございます。日本のいろいろな燃料税関係のものとの整合性というものは大変難しいことがあるかもしれませんけれども、現在はこういったものを取り入れるわけではないということですけれども、ぜひ、こういった税の必要性などの認識がございましたら、その意見をいただきたいと思います。
大木国務大臣 午前中の質疑のときにも申し上げましたけれども、これから温暖化対策を進める上においての経済的な手法と申しますか、経済的な措置と申しますか、つまりは温暖化を、一方においては過大に出るものを抑えるというものと、それからまた、温暖化を抑止するためのいろいろ新しい措置、例えば新しいエネルギーの開発とか、あるいはいろいろな省エネの措置とか、そういったものについては、またむしろ積極的にそういったものを促進させるインセンティブとしての措置というものも考えられると思います。ですから、そういったものを総合的に組み合わせて施行していくというのが、抽象的でありますけれども、基本的にはそういうことになると思います。
 ただ、今のいわゆる税、特に環境税あるいは炭素税というような形になりますと、税の議論というのは、環境を離れても、日本の政府として、あるいは各党の中でもいろいろなお考えがあると思いますので、これはこれからひとつ、今すぐに何をやるというところまではなかなかまだ私もお約束はできませんけれども、全体として、先ほども申し上げましたけれども、これから二〇一二年に向かっていろいろな措置をやっていくということの中で、またそういった税の問題を含めた経済的な措置というものは、一生懸命ひとつ検討してまいりたいというふうに考えております。
奥田委員 私は、こういう言葉は不謹慎かもしれませんけれども、どうも自己努力による効果というもの、今の厳しい目標を達成できるには、自己努力だけでは少し難しいかなというふうに考えております。こうやって税として、徴収する税もあれば、推進のための、緩和するグリーン税制的なものもございますので、あわせて検討をいただきたいと思います。
 そして、こういった国内対策に先駆けて、二月二十一日の新聞報道では、東京都の方が独自の施策を打ち出しております。例えば、オフィスの二酸化炭素排出削減の義務あるいは自然エネルギーの利用の義務、あるいは車の新たな燃費基準といったものを打ち出しています。どれが現実化できるかということは別としまして、議論のたたき台の上に出しております。
 さらには、ちょっと国の方でもまだおくれておりますCO2の証書取引といったものについても触れられておりますけれども、こちらについてコメントを大臣の方からいただければと思います。
大木国務大臣 実はこの間、たしかブッシュさんが来られてちょうど官邸で歓迎の宴をやったときも石原さんとちょっと話す機会があって、環境省はもっと強力にいろいろなものをやってくれ、東京都の方でも既に勉強しておるというようなことを言っておられました。
 先般、具体的にたしか五つばかり提案されて、今委員からもお話がありましたけれども、オフィスなど大規模な事業所へのCO2排出削減義務を導入する、あるいは、京都会議のときに排出権という言葉で、要するに排出権の取引というようなことがありましたけれども、今また東京都ではCO2削減証書、そういった市場、マーケットをつくるというようなことで、そういった勉強もするというようなことを言っておられます。
 また、新しいエネルギー利用についての義務づけ、これは例えば太陽光発電だとか、いろいろ新しい建物についての、そういったものをきちっと取り入れることを義務づけるというようなお話もありますし、それから、自動車の燃費基準を特に東京都において強化するというようなお話もあります。あるいはまた電力多消費製品は買わないといいますか、そういったものを買ったり使ったりすることを非常にディスカレッジするというようなお話もあります。
 いずれも、考え方としては一つの非常に具体的な案でありますから、これはそれぞれについて私ども勉強してまいりたいと思います。
 ちょっと、今すぐというのは難しいなと思いますのは、例の、要するに排出権あるいは排出量取引の何かマーケットをつくるという、これは別に日本ばかりではなくて、ヨーロッパなどでも、既にイギリスなど、相当具体的に勉強しておりまして、とにかく新しいマーケットをロンドンにつくるんだというようなことを言っていますから、それが果たしてどういうふうに日本の方と調整ができるのかというようなことは問題がありますけれども、排出権あるいは排出量の取引というのは、もう既に京都会議以来ずっと議論しておりますから、これはまたひとつ、むしろ東京都ばかりではなくて、国際的にも私どもは研究課題だというふうに考えております。
 あとの四点につきましては、それぞれ東京都ですぐにできるか、これをまた全国的にできるかということになりますと、東京ではできても、全国にいきなりそれを広げたらちょっと問題になるかなというような問題もありますけれども、しかし、一つの提言として非常に積極的に東京都の方でそういうことを言っておられます。
 実は私、言葉がちょっと悪いのですけれども、石原知事におどかされていまして、環境省がやらないなら東京都でどんどんやるぞというようなことを言われていますから、それは私どもも、余り東京都だけでどんどんやられて環境省は何をやっているのかというような状態にはならないように、それぞれの問題について、これからもひとつ精力的に勉強させていただきますし、具体化できるものは、またそういうふうに考えさせていただきたいと思います。
奥田委員 さらに、国内対策につきましては、一つの答申書としまして、本年一月に、京都議定書の締結に向けた国内制度の在り方に関する答申といったものが中央環境審議会から出されております。
 この中で一つ、技術的対策における追加的費用の評価といったものを百以上の技術について行い、その中で幾つかが追加的費用がマイナスになるといったことが述べられております。ちょっと細かい内容までは出ておりませんので、ぜひこちらの方の、技術として経済的にも成り立つという、どのような技術があったのか、具体的に紹介していただければと思います。
大木国務大臣 今のお話、確かにいろいろとそういう新しいものを考えると、それが経済的にも負担じゃなくて、むしろこれからの経済の活性化にプラスになるんじゃないかというものがたくさんあると思いますので、これは具体的なことを後でまた事務方から説明していただきたいと思いますけれども、そういったものを積極的に取り入れていくというのが、やはりこれからの中期的な我々の温暖化対策の一つの柱になると思いますので、勉強させていただきたいと思っております。
岡澤政府参考人 中環審では、今後十年間程度の間に、ある程度の普及が見込まれる温暖化対策技術につきまして、その設備投資のための費用、それからエネルギー費用の節減効果、耐用年数等から費用を計算したわけでございますが、初期投資をいたしましても、その後、省エネルギー効果があって、リターンを考えますと全体としては追加的費用がゼロ、収支のとれる技術というものがかなり存在するということがあるわけでございます。
 例えば、待機電力の少ない家電製品等への切りかえとか、あるいは自動販売機の省エネルギー化を進めるとか、それから、エレベーターの省エネルギー化などの場合には、初期投資はかかりますけれども、エネルギーコストを節約できるということで、全体としてはマイナスになるというふうに今計算できているわけでございます。
 また、中環審の中では、こうした費用対効果の高い対策技術から、優先的に対策技術として使用すべきだというふうに述べられております。
奥田委員 どちらかというと、もっと大がかりなものが出てくるかと思ったら、細かくても一つずつ積み重ねていくといったものが技術評価の中にかかってきたのかなと思います。
 あと、少し夢物語だと言われるかもしれませんけれども、先日は鮫島委員の方から、光合成のシステムが人工的にできれば温暖化問題も一気に解決するのになといったようなお話がございました。私も、省エネとかライフスタイルの変換というものとともに、CO2自身を何とかできないんだろうか、CO2に対して直接に取り組む技術というのが開発できないんだろうかというふうに思っております。
 バイオマスは別としましても、私も最近、大陸棚の方にメタンハイドレートといった資源がたくさんある、それを反対に、地上の方から、固化といいますか、液化して、二酸化炭素の固定化ができないのかなというふうに思っております。文献を見てみますと、そういった研究も実際に行われておりますし、そのほかにも十を超えるいろいろな、合成物質に変える高分子合成あるいは有機合成、さらには、いろいろな化学反応といった形の対策といいますか、二酸化炭素の分解や固化の研究がなされているということまでは聞いております。
 こういった中で、当然、大量の二酸化炭素を一気に扱う、あるいは、経済的にも何とか成り立つような技術というものがないものかということで、こういった研究分野に詳しい局長さんかに、こういった技術の中で現実化が近いというものがないのかということをぜひお答えいただきたいと思います。
岡澤政府参考人 ただいま先生御指摘がありましたけれども、炭酸ガスの固化とか、あるいは隔離といって別建てにして海の中にほうり込むといったような、そういう技術は構想としてはありますし、また論理的には可能だというふうに言われております。こうした技術が実用化されれば、もちろん非常に温暖化防止対策としては楽になるということになるわけですけれども、残念ながら、今の段階で直ちにこの技術を実用化して、例えば中期的にでもこの技術を用いて対策を進めるというふうな段階までは至っておりません。
 固定化技術等の温暖化防止技術につきましては、総合科学技術会議の中で地球温暖化研究イニシアチブというのがございますけれども、これに基づきまして、政府一体で技術開発を推進するということとなっておりまして、環境省としても、ことしから経済産業省と連携して技術開発の方向性の調査を実施しているところでありまして、このような取り組みを通じまして、技術開発の促進に努めてまいりたいと考えております。
奥田委員 環境省予算の中でも今回はもう一つ気がついたことでは、多くの調査費や研究費というものが、小さな額ではありますけれども、多くちりばめられていたと思います。こういった技術の開発といったものもぜひとも真剣に取り組んでいただきたいと思いますし、また、火力発電所のような、多くの二酸化炭素を排出するといいますか、そういった施設に関してだけでも、こういった吸着や固化の技術というものが進んでいけば、応用できればというふうに思う次第でございます。
 これと絡みまして、経済産業省にお尋ねしますけれども、今国会では、新エネルギーの利用の促進に関する法律案といったものが閣法の方で用意されております。私も、自然エネルギーの促進議連、たくさんの方が入っておりますけれども、そういったところで長く勉強させていただいた課題でもございます。
 この法案の概略の簡単な説明をいただきますとともに、そういった中で、これまでの設備投資の補助金、これは私たち議連の中では、設備の費用に対してじゃなくて、発電量に対して補助金を出していくべきだといった議論をしておった記憶があるんですけれども、こういった法律案とともに、これまでの制度の存続といったものについてお答えいただきたいと思います。
河野政府参考人 お答えいたします。
 先生御指摘のように、エネルギー自給の低い我が国におきまして、太陽光発電、風力発電、いわゆる新エネルギーというのは、エネルギー安定供給の確保からも、また地球温暖化への対応という観点からも、必要不可欠であるということでございます。
 これにつきましては、現在、エネルギー事業者でございます電気事業者に、一定量以上の新エネルギー電気、これは新エネルギー等を利用してつくられた電気の利用を義務づけるということを内容といたしました新しい制度の法制化を現在準備しているところでございます。
 内容につきましては、今後、二〇一〇年程度を目標にしまして、どの程度の新エネルギー電気の利用量の目標を定めるか、その定めた目標に従って、電気事業者にその販売量に応じまして、利用基準量といいますか、義務づけられる量というものをお示ししまして、それを導入していただくという方法でございますが、競争原理といいますか、市場原理を利用するという制度を考えております。
 電気事業者は、みずから風力発電とかそういうものをやるのが効率的であればそういうこともできますし、それから、他の風力発電とかバイオマスの発電事業者からそういう電気を買うということもできますし、あるいは、電力事業者間での義務の肩がわり、義務量以上に達成した電力会社が他の電力会社の肩がわりを、これは肩がわりをいただいてということでございますが、肩がわりするとか、いろいろな選択の中で、効率的に新エネルギーができるような制度を現在考えているところでございます。
 これにつきましては、先生も入っておられます超党派の自然エネルギー促進議員連盟におかれましても具体的な検討が進められてきたわけでございまして、私どももその案をいただいております。その内容の幾つかは、これはまだ私ども現在検討中でございますが、検討中の法案にも盛り込まれております。
 ただ、その内容の一部には、非常に積極的なものが多いわけでございますけれども、先ほど申し上げましたような市場の利用という観点から見ますと、発電事業者のコストの削減努力が損なわれるのじゃないかなというような点もございます。しかしながら、私どもとしましては、その議連案の一部も、趣旨も踏まえながら、現在政府案を取りまとめるべく作業をいたしておるところでございます。
 それから、関連の補助制度のお話がございましたけれども、この法案は、新エネルギーの導入の促進に非常に有効でございますし、効果的であると思いますけれども、この制度ですべての導入の促進を賄うということには無理がございます。
 私どもとしましては、二〇一〇年度の新エネルギー千九百十万キロリッターという原油換算の目標がございますけれども、それに向けてどうすればいいかということで、今後とも新エネルギーの補助制度については、残すべきものは残し、また、新しく考えるべきものは考え、役割を終えたものは廃止をするというようなことで考えてまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。
奥田委員 まだ完全に確定したわけではないということですし、また、法案の審議もございますので、そういった場で訴えていくことができればと思っております。
 また、今のお話を聞いていますと、これが法案に書かれるのかどうかということは別としまして、目標設定の数字といったものをまだ耳にしておりませんので、その目標が高ければ皆その法を認めていただけるでしょうけれども、それが今と余り変わらない努力で達成できるような目標値であっては当然いけませんし、また、目標が二〇一〇年ごろまでといったようなことをおっしゃっていましたけれども、これからの国内温暖化対策のステップ・バイ・ステップの中で見直しをかける、統計データなどが間に合うような、ちょうどそういった時期と合わせるような見直し時期といったものを、関連する項目でございますので、ぜひ検討していただければというふうに思う次第でございます。
 続きまして、大臣所信にもございましたけれども、POPs条約につきましての締結に向けてのお話がございました。
 今、POPs条約を締結しようという動きの中で、残留性有機汚染物質、こういったストックパイル及び廃棄物の適正管理と処理がこれまで以上に厳しくなっていくということになるかと思います。こういった適正管理と処理についての見解、あるいは情報公開及び調査、モニタリングといったことについて、大臣から御説明、御見解をいただければと思います。
大木国務大臣 お話のございましたPOPs条約につきましては、本条約の早期の締結、日本としては国会承認というものを進めたいと思っておりますので、今国会に法案を提出申し上げているところであります。
 環境の中での残留性が非常に高いPCBとかDDT等、そういったものの残留性有機汚染物質による地球環境の汚染の防止というストックホルム条約、これが昨年五月に採択されたということでございますけれども、そういったものがいろいろと整備されていくというのは、やはり国際社会でそういったものをきちっとするということで非常に大事なことだというふうに考えております。
 環境省としては、これらの施策について、国内施策、またいろいろと規定することになると思いますので、これについては関係省庁とも相談しながら、これからひとつきちっと進めてまいりたいというふうに考えております。
 今後、例えば、要するに地中に埋設処理された廃農薬の対策などというものも一つ議論として今出ているわけでございますから、こういうものもひとつ進めていくというようなことで条約を御承認いただきながら、また国内措置の方も進めてまいりたいと思っております。
 もし必要がございましたら、あと、また細目については、政府参考人の方から御説明申し上げます。
奥田委員 今、埋設農薬の話も大臣から一つ出ました。ちょうど一年ほど前に私もここで埋設農薬の問題を取り上げさせていただいたことがあります。そのときもPOPs条約に対するコメントというものはいただきましたけれども、埋設管理といったものが適正かどうかということは、保留事項といいますか、これからの検討課題といったふうにお答えをいただいた記憶がございます。
 きょうは農水省の方から坂野審議官も来ていただいておりますので、その後、環境省とともにその管理のあり方を検討すると言っていた宿題といいますか課題について、両省の間でどのような見解に至っているのか。
 また、テレビの報道でも、一部、試験的に掘削をして今の保存状態がどのような状態になっているかということを確認したという報道も見ておりますので、前回の課題でありました管理のあり方としてこのようなあり方でいいかということ、それともう一つ、国が埋設したもの以外の現存量というものがわからなかったということがございますので、予算にもそういった調査費は出ておりますので、この調査経過について御報告をいただければと思います。
坂野政府参考人 御説明申し上げます。
 昨年四月に先生から御質問ありました件につきましては、国の補助事業を二十二道県で実施しておりまして、まだ二千二百トンの埋設農薬がありますという説明をしたわけでございます。
 その後、昨年六月に都道府県に対しまして、先ほど先生がお話ししました国の補助事業以外の小規模なものを含めまして、埋設農薬の埋設の地点とか、そういった実態調査を開始しました。その結果を十二月にまとめて公表したところでございます。この調査によりますと、BHCも含めた埋設農薬は、全国で百七十四カ所、三千六百八十トンということが明らかになったわけであります。
 調査結果を踏まえまして、都道府県に対してすべての埋設地点において環境調査を実施する。また、環境調査の結果、環境汚染のおそれがある場合には、掘り出し、保管を行い、環境上適切な管理が確保できるような指導をしているところであります。その際、埋設農薬の環境調査、それから掘り出し、保管につきましては、環境省が昨年十二月に策定しましたマニュアルができておりまして、そのマニュアルに従って実施しているという状況でございます。
 それから三つ目の、今後の新技術といいますか、適正処理に向けた取り組みはどうなっているかという御質問でございます。
 十二年度から十五年度までの計画で、埋設農薬を安全に処理するための技術開発を各国の処理技術等を参考にして現在進めているところでございまして、処理技術の開発後は、この技術を用いて適正な最終処理を進めていきたい、かように考えております。
 以上でございます。
石原政府参考人 埋設農薬の関係につきまして、環境省の取り組みにつきまして御説明させていただきます。
 埋設農薬の量そのものにつきましては、農林水産省の先ほどの坂野審議官の方からお話があったところでございます。埋設農薬の関係につきましては、ストックホルム条約でのストックパイルの適正処理というふうな観点から、環境省としても重要な課題であると認識しております。先ほど御説明もありましたが、この埋設農薬の処理に当たりましては、ポイントとなるのは二点あろうかと思っております。
 一点は、埋設地点の環境調査をどのようにするか、かつ、環境影響がある場合に掘削、保管をどうするかといったような形での適正な処理の仕方、これにつきましては、先ほど農林水産省の方から説明がございましたが、昨年の十二月にマニュアルを作成したところでございます。これに従いまして、適切な環境調査あるいは掘削、保管といったような形で対応できるというふうに考えております。
 もう一点は、無害化の処理技術の開発でございます。掘り出した農薬につきまして、どのような形で無害化するかということが大変重要になってきております。このため、今週にも、どのような形であれば無害化ができるかという実証試験を実施する予定でございます。
 いずれにしましても、埋設農薬対策につきましては、今後とも関係省庁とも連携をしながら適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
岩尾政府参考人 先ほどPOPsにつきましての情報公開、モニタリングのお話、先生から出ましたので、答弁させていただきます。
 こういう汚染物質に限らず、化学物質の環境問題につきましては、情報公開、リスクコミュニケーションが重要と考えております。このため、POPs条約に関する国内対策の実施について、対策の検討会を公開で開催しております。また、ホームページを設けるなど、情報公開には積極的に取り組んでおります。
 それから、POPs条約に対応した環境モニタリングにつきましては、平成十四年から開始すべく、現在その手法について検討しております。この結果についても、適切な公表に努めてまいりたいと考えております。
 以上です。
奥田委員 一言だけ、この条約は五十カ国が締結して発効するというふうに聞いております。まだ参加国の方が少ないと聞いておりますけれども、大臣の方で、もしこの条約の締結の見込みについて今の時点でわかりましたら、お願いいたします。
大木国務大臣 今お話がございましたように、五十カ国の締結によって発効するわけでございますが、最近までのところ、まだ五カ国が要するに締結済みということでございますが、国際的には一応のめどとしては二〇〇四年ということを目標にして、各国が努力しておるということでありまして、欧米を中心にしまして、特にヨハネスブルグの会議もことしありますから、できることならそれに向けてさらに前進をしたいというようなことで、少なくとも日本といたしましては、ヨハネスを目標に置きながら、国内における承認の手続を進めたいと考えております。
奥田委員 あと、廃棄物関係、リサイクル関係の話で各省庁の方に来ていただいておりますので、こちらの方に質問を移らせていただきたいと思います。
 家電リサイクル、容器包装そして食品リサイクルといった形のリサイクル法が施行されております。今、建設リサイクルの施行が間近ですし、あるいは今国会でも自動車リサイクル、そして次にはパソコン関係のリサイクルの法案の準備がされております。
 まだ日が浅いので、確かな統計データなどは持っておらないかもしれませんけれども、各省庁共管の中で、主管の方の省庁から、途中経過といいますか、施行後の報告、そして施行してからの課題といったものを簡単に御報告いただければと思います。
 まず、経済産業省さんの方から、容器包装リサイクル並びに家電リサイクル法の御報告をお願いいたします。
大井政府参考人 お答えいたします。
 まず、容器包装リサイクル法でございますけれども、この法律につきましては、平成十二年四月から本格施行されているわけでございます。容器包装の分別収集に取り組む市町村数、さらに分別収集量等も着実に増加してきておりまして、容器包装リサイクルシステムは着実に定着、拡大してきているのではないかという認識でございます。
 まず、平成九年度にスタートいたしましたガラス瓶、ペットボトルの分別収集に取り組む市町村数でございますが、全体の七、八割近くになってございます。また、平成十二年度からスタートいたしました紙製、プラスチック製容器包装につきましても、平成十三年九月までの実績を見ますと、前年同期との比較で、分別収集量が約二倍、それから、再商品化量が約二、三倍という形で増加してきております。
 また、ペットボトルでございますが、昨年の五月に再商品化の方法といたしまして新しくモノマー化というものを追加しました。これによりますと、ペットボトルからペットボトルがまた再生できるということになるわけでございますが、そういった再商品化方法の能力の拡充を図ってきているところでございます。
 経済産業省といたしましては、今後とも、新たな再商品化技術の開発等を行うとともに、関係省庁とも連携し、この法律の円滑な施行に努めてまいりたいというふうに考えております。
 それから、家電のリサイクル法でございますが、昨年の四月一日に本格施行されたわけでございますが、私どもといたしましては、小売業者による廃家電の引き取り、あるいは家電メーカー等による廃家電の引き取り、リサイクルの実施等、これがおおむね順調に行われているのではないかなというふうに考えております。
 家電メーカー等によります引き取り台数でございますが、法施行当初は、やや、制度の立ち上がりの影響であるとか、あるいは法施行前の販売増の反動等いろいろありましたけれども、そういった初期における幾つかの変動を取り除きますと、おおむね製品の需要動向に対応して推移してきているというふうに考えています。統計的に見ますと、去る二月二十八日までの十一カ月間に、七百九十万台というものが家電メーカー等に引き取られているところでございます。
 経済産業省といたしましては、引き続き、リサイクルプラントにおける見学の受け入れ、説明会、こういったものを通じまして普及啓発に努めてまいる所存でありますとともに、家電リサイクル法が適正に遵守されるよう状況を注視していきたいと思っております。
 この関連で、幾つか報道にもありましたけれども、個別の法令の違反事例というものもございます。これにつきましては、事実関係を明らかにし、法に基づく必要な措置を講じてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
奥田委員 続きまして、食品リサイクル法に関しまして、農水省の方からお願いいたします。
西藤政府参考人 御説明させていただきます。
 食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律、いわゆる食品リサイクル法。食品の売れ残りなり食べ残し、あるいは製造過程において発生する廃棄物、これは年々、家庭系のものも含めて大体二千万トンに達しておりますけれども、これの発生抑制と減量化、そういうことを通じて最終的に処分される量を減少させる、あるいは肥料、飼料等の原材料として再生利用する、そのことを通じて資源の再生利用を促進するということを目的といたしております。
 リサイクル法、昨年五月に施行されたところでございまして、現在、同法に基づいて定められたリサイクル等の実施率の目標、五年後の平成十八年度において二〇%以上ということで目標を設定いたしておりますが、この目標の達成に向けて各事業者において取り組みが始まっているという状況でございます。
 私ども農林水産省におきましては、これらの事業者の理解を得て取り組みを促進するという観点で、法の施行後、全国各地域において説明会の開催などを通じて普及活動を実施してきております。平成十三年度においても、全国約百カ所での説明会、今後の予定のものもございますけれども、実施する予定になっております。
 さらに、事業者に対する具体的な取り組みを促進するという観点から、一つは技術開発、さらに、先進的、モデル的なリサイクルシステムの構築や施設整備の推進、優良なリサイクル事業者の育成ということに努めているところでございます。
 今後、事業者、それと消費者、肥料、飼料等の利用者という観点から農業者等が連携した取り組みをさらに推進していくということが重要であると思っておりまして、引き続き、技術開発、施設の整備等の推進を図っていきたいというふうに思っております。
 また、私ども、冒頭ちょっと申し上げましたが、食品残渣という点では、一般家庭から排出される生ごみというのが一千万トン近い量を年々占めております。そういうものの減量や、バイオマス資源の有効利用等々の観点から食品廃棄物のリサイクルを促進するということを図りまして、循環型社会の実現に寄与してまいりたいというふうに考えております。
奥田委員 続きまして、時間をとって来ていただいておりますので、建設リサイクル法施行前の準備状況について御報告いただきたいと思います。
岩村政府参考人 建設リサイクル法の施行状況、そして準備状況でございますが、平成十二年の五月三十一日に公布されまして、この法律、三段階にわたって施行されるように仕掛けができております。
 平成十二年の十一月三十日には、総則、そして基本方針等に係る部分が既に施行されております。また、昨年の五月三十日に解体工事業の登録に係る部分が施行されました。これに基づきまして、二月末現在で、この解体工事業登録、三千百五十一社まで登録が進んでいるところでございます。
 そして、本法の最も主要な規定でございます、工事業者に分別解体さらには再資源化等を義務づける規定、この部分についての施行でございますが、これは本年の五月三十日に施行するということになっております。そして、これに必要な政令については本年の一月二十三日に、そして省令を三月五日に公布をして、準備を進めております。
 そして現在、本法に係ります事務を担当いたします都道府県等において、適正な分別解体、また再資源化のチェックを行うための体制整備を進めております。また、関係業界、そして一般住民に対します説明会、また講習会、これも実施をしているところでございます。こういうことを通じて、法の趣旨の周知に努めているところでございます。
 国土交通省といたしましては、政令そして省令で定められました法の詳細規定の周知のための都道府県向けの説明会の開催をするなどいたしまして、環境省と連携を図りながら、法の円滑な施行に必要な準備を進めているところでございます。
奥田委員 いろいろと御説明いただきまして、ありがとうございます。
 皆さん、目標値を持ってそれに向かって取り組んでおられるということで、その経緯を見守らなければ次の段階の話は早いかもしれませんけれども、どうも、私が今までのところだけで見ているところでは、大量廃棄といったものは確かに抑制されておりますけれども、生産や消費の部分といったところでの効果というものはまだ見えてきていないんじゃないかな、予測よりも遅い歩みではないかなと思っております。次の段階へ進むための施策というものも、また環境省も一緒に考えていただければというふうに思う次第でございます。
 それともう一つだけ、足を運んできていただいておりますので、ちょっと国土交通省の河川局長さんの方に、今、自然再生といいますか、自然を取り戻すといった形で、無水区間、ダムの下流の無水区間の解消の施策といったものが、新しくなのかはわかりませんけれども出ておると聞いております。もちろん予算措置とかは少ないんですけれども、そういった水利権の中で、全くダム下流に水がなくなる、もちろん渇水期においてですけれども、そういった事態の中で、利水権が自然の中にはない、工業用水や水道水やあるいは発電には利水権はあるけれども、自然の使える利水権がないといった状態を解消していただくための施策として、大変私も喜んでおる次第でございます。
 この事業の簡単な説明をいただきますとともに、こういった、今とられております措置が恒久的措置としてとられるのか、あるいは試験的な暫定措置となっているのかということを、あわせてお答えいただきたいと思います。
竹村政府参考人 委員御指摘の新規の施策について簡単に御説明させていただきます。
 夏になりますと水がなくて川がからからになってしまう、または、農業用水、発電等の水利用者によって川の水がなくなってしまうという区間がございます。
 そういう区間について、本来なら、ダムをつくって、水を豊かなときにためて、そして少なくなったら放流するということでございますが、既存のダムでまだ需要がもうちょっと先に発現するというようなダムに関しましては、その水を使う事業者と協定を結びましてその方々の水を使わせてもらう、つまり、自然のための、環境のための水を流させてもらうというような施策を来年度から実施したいと考えてございます。
 試験的に、石川県の手取川ダム、そして宮城県の釜房ダム、石川県の手取川ダムでは直下二・二キロ、釜房ダムの下流では仙台市の広瀬川の三・六キロ、この区間がいつも、夏またはある時期からからになってしまいますので、需要が発生していない方々の御協力によりまして、水を放流して、環境や人々の憩いの場とさせていただくという内容でございます。
 これは、当面、暫定的な試行ということでございまして、大体五年間ぐらい継続してできるところを私ども選定いたしまして、来年度からスタートしたいと思っております。これを継続する中で、さらにもっともっと知恵を出しながら、既存のダムの有効活用をこれからも懸命になって図っていきたいと考えてございます。
奥田委員 質問時間が参りましたのでこれで終わらせていただきますけれども、ぜひとも、渇水で苦しんでいるようなところの状況もありますけれども、そうでなくて、少しでも分け合える水があるのであれば、あるいは、さっきも言いましたけれども、自然には本当に一つも水の権利がないというのも、水利権といいますか、そういったものも一〇〇%全部使わなきゃいけないのかということも思います。こういった中で、一つ一つこれから、ある課題あるいは地域から上がってくる声を施策に反映させていただければとお願いする次第でございます。
 きょうは、一つ一つの質問の中に、局長さんあるいは審議官の皆さんに来ていただきまして、本当にありがとうございます。
大石委員長 東祥三君。
東(祥)委員 自由党の東祥三でございます。
 大木大臣、山下副大臣、そしてまた奥谷政務官初め環境省の皆さんに四十分間質問をさせていただきますが、本日はブラックバスの問題について四十分間質問をさせていただきたいというふうに思います。
 御案内のとおり、ブラックバス、これは本当に害の多い魚だ、こういう論がかまびすしく叫ばれています。本当なのかという視点から質問させていただきますが、御案内のとおり、ブラックバスは、言われていることを申し上げれば、北アメリカ生まれで凶暴な顔つき、まさに西部劇の悪役面、大食漢で、すんでいる魚を全部食べ尽くして絶滅させる、アシの根を枯らして環境を破壊する百害あって一利なしの害魚、こんなふうに言われているんです。本当にそうなのかという角度から質問させていただきたいと思っております。
 まず、山下副大臣、お伺いします。
 自然生物の多様性を守るための計画について国民から広く意見を伺う、難しい言葉が乱舞しているんですが、新生物多様性国家戦略パブリックコメント、これは三月中に取りまとめられると聞いております。国民からの意見の公募は昨日の十一日に締め切られたと聞いておりますけれども、この中の野生生物の保護管理、移入種、いわゆる外来種、僕の質問ではずっと移入種という言葉を使わせていただきますが、この問題については、まず、どのような意見が何件ほど寄せられているんでしょうか、また、その意見をどのように反映させるつもりなのか、この二点について山下副大臣から御答弁いただきたい。
山下副大臣 生物多様性国家戦略の見直しの件でございますけれども、昨年の十月からスタートいたしまして、今もちょっと触れられましたけれども、この二月十五日に中間取りまとめを行いまして、二月十八日から昨日まで約三週間、パブリックコメントの募集を実施いたしました。
 きのう夜遅くまでかかってこれを担当の部局の方で整理していただいたわけですけれども、意見の数は、個人、団体から約九百件以上の意見を寄せていただいたわけでございます。中身は詳しく分析されておりません。里山の保全、自然再生、野生生物の保護管理、多岐にわたるさまざまな御意見をちょうだいしている。
 その中で、移入種またはブラックバスにかかわるもの、整理し切れておりませんけれども、急遽取り急ぎ整理いただいた中で、ブラックバスにかかわる御意見をちょうだいしたのが、九百件以上の中で約七百五十件と、非常に関心が高いということがわかったわけでございます。どういう中身の意見なのかということまで整理し切れておりませんけれども、非常に御関心が高いということはよくわかりました。
 どう反映させるのかということでございますけれども、昨日で意見が終わっておりますので、これを分類、整理いたしまして、中環審で御審議いただきまして、反映させる部分について反映させていただく、そして、今月末に地球環境保全閣僚会議で決定していきたい、こういう方向で今進められておるということでございます。
東(祥)委員 山下副大臣、ありがとうございます。
 九百件のうち七百五十件がブラックバスの案件であった。今副大臣がおっしゃられるとおり、極めて関心の高いものであるということを大臣も認識していただけるんじゃないかと思うのですが、まず、一般論で大臣にお伺いさせていただきたいと思います。
 侵入種といっても一概に同じではない。他のものを駆逐してしまう外来のものがあったり、あるいはまた、日本の自然環境の中で在来種の方がまさっているものもある。外来でも有用なもの等、さまざまだと思います。
 生物多様性に対する移入種への対応に関するパブリックコメント案の中には、定着している移入種のうち、影響が余りにも大きいのでそれを軽減させなくちゃいけない、そういう必要性があるものに関しての排除、管理といった点もうたわれておりますけれども、まさに個々別々の概念による柔軟な対応が必要だというふうに私は思います。
 大臣、移入種、外来種についてどのように大臣はとらえているのか、またどのように考えているのか、この点について御答弁いただきたいと思います。
大木国務大臣 これは、環境大臣としてどう考えるかというほど、私もまだはっきりしたあれがないんです。と申しますのは、移入種といいましてもいろいろございます。今、東先生はこのブラックバスのことからスタートしてこういう御質問をしておられたのか、それとも一般論としてどうだ、こういうことか、ちょっとその辺のところはあれですけれども、移入種といいましてもいろいろな物によるわけであります。それは、動物、あるいは動物の中でも例えば水産物となるとちょっと違うわけでございます。
 ということは、結局、移入種が入ってきて別に非常に悪い害じゃないんだ、むしろプラスの面もあるんじゃないかということになると、どうやってすみ分けできるかということかと思うのですけれども、その辺のところ、私も正直申し上げまして、すみ分けができるもので、しかもそれをきちっと管理できるならば、それはひとつ、それぞれの移入種の、効用ということが言えるのかどうかわかりませんが、効用というものがあればそういうことを考えたらよかろう。
 ただ、どうもそれ以上のことを、大変申しわけないのですが、今の時点では申し上げられませんので、私のとりあえずの感じだけを申し上げました。
東(祥)委員 大臣、率直にお話ししていただいて、ありがとうございます。
 私たちは環境省にしたんですから、環境庁のままであってもらっては困りますし、大臣であるがゆえに、こういういわゆる生物多様性の問題、日本の国内から見るならば外から入ってきたものに対して、一つの定見なりポリシーというのを持っていただかないと、環境省の職員の方々は、どういうふうに考えたらいいんだろうと。
 だから、そういう意味におきまして、今大臣は、有用なものあるいはまたすみ分けできるもの、そういうものがあるとするならばそういう形でもって考えていくという基本的なスタンスであるとするならば、それはそれとして一つよくわかることであります。
 私は、一九九二年、いわゆる有名な地球サミット、ブラジルにも参加させていただいております。また、そこで、マナウスという、御案内のとおり、あの大アマゾンの、極めて過去に栄え、今もいろいろな形でもってこの生物多様性の問題についても幅広く議論されているところにも伺わせていただいて、いわゆる生物種の保護については極めて重要な問題であって、あわせて、ここで御案内のいわゆるサステーナブルディベロプメントという、持続可能な開発というこの大テーマが持ち出されてきた。その後、環境問題、生物多様性も含め、気候温暖化の問題も含め、ここから今の環境問題がある意味で世界の大中心になっている。そういう脈絡の中で、ブラックバスといったら小さいかもわかりませんけれども、そういう全体の枠組みの中でとらえさせていただいているということをまず申し上げておきたいというふうに思います。
 そこで、日本では、外来種の、移入種の問題で、ブラックバスあるいはまたブルーギル等の外来種が、先ほど申し上げましたとおり、極悪のようにされているのではないのか。科学的根拠というのはあるのか。乏しいままであるにもかかわらず、大げさな表現を使わせていただければ、子羊を襲う外国からやってきたオオカミのように言われている。移入種は悪い、そういうふうにも言われているわけであります。
 では、身近な例で、これは魚ではありませんけれども、豚も牛も移入種であります。魚であるならば、コイも移入種であります。外来種であるわけですけれども、では、これは一体悪いのかどうなのか。悪いと言う人、今ではいないんじゃないでしょうか。狂牛病は害悪以外の何物でもありませんけれども、家畜としての牛というのは有用で、現代の国民生活に必要不可欠なものだ。国民生活、有用性、経済性、既に存在するものとの共存共栄、生物多様性の維持と総合的に考え対処すべきではないか、このように私は考えるのですが、まず基本的な考え方について、大臣、いかがお考えですか。大枠の問題だから、まず大臣に答えていただいて、細かいことはあと参考人でも構いませんので。一般論でいいです。
大木国務大臣 先ほどもちょっと、むしろ私の方から御質問したような形になりましたけれども、ブラックバスのことについてあれなのか、それとも生物多様性の方で、そういった問題全体としてどういうふうに思うかということでございまして、生物の多様性、これは、最近もよくNHKなんかでいろいろな自然環境についての写真などを映していますね。そうすると、一種の共存共栄というのは成立しておりますけれども、しかし、局面的なところだけとらえれば、やはり弱肉強食みたいなところもあるわけでございますから、その辺のところが、例えば今の日本においていろいろなそういうことについてやった場合に、どこのものをどういうふうにやるかによっても非常に違うと私は思うのです。
 ですから、大変申しわけないのですけれども、さっきから一般論としてとおっしゃいますので、それはもうさっきも申し上げましたけれども、そういったきちっと整理できて、非常に有用なものを活用できるというようなことであれば結構でありますし、そうでないことについて、特に今のように、さらに先ほどの狂牛病のお話もありましたけれども、外から何か入ってくることについて日本国民も非常に神経質になっておりますので、そこのところは、やはりその辺を二つよく比較考量して政策を進めないと、なかなか理解がされないんじゃないかというふうに私は感じております。
小林政府参考人 細かい点、私の方から少し御説明申し上げたいと思いますけれども、移入種の問題、これは一概にはなかなか言いにくい点があると思います。移入種、国外から持ち込まれたそういう種類の中には、他の種を捕食したり、それから生息場所を奪ったりしまして生態系を攪乱するおそれのある種もございますし、農林水産業に影響を与える種というのもあると思います。確かに、御指摘のとおり、それほど大きな影響を与えない種類というのももちろんあると思います。
 そしてまた、移入種が、例えば影響があるものが一たび国内に入ってきまして定着してしまいますと、開放系の中に入りますものですから、それを根絶するということはなかなか難しい問題というのがありまして、侵入を予防する、そういうことが効果的な方法であろう、こう思っています。
 ただ、既に侵入して定着してしまった種類につきまして、それに対して一律な対応というのは必ずしもあるわけではないというふうに私ども認識しております。どのような影響を及ぼすのか、そういった影響の種類とか程度、それに応じましてその場所ごとに対策を考えるべきだ、そんなような基本的な考え方でおります。
東(祥)委員 小林環境局長、そうすると、ブラックバスについては、環境省としてどのような認識をお持ちですか。
小林政府参考人 ブラックバスにつきましては、肉食の魚であるという点、それから特に閉鎖性水域なんかですと大きな影響を与えるという点もございます。実際に、ブラックバスやブルーギルが移入された後に、小型の日本古来の在来魚種が急激に減少してしまったという事例もございます。
 そういうことから、ブラックバスというのは、在来の魚種に大きな影響を与える種類のものだというふうに認識してございます。
東(祥)委員 ということは、環境省としては、害魚だ、こういう認識ですか。
小林政府参考人 そういう一面もあるということでございます。必ずしも、害魚とか益魚とか、そういうふうに判断をすべき問題じゃなくて、環境に入ったときにいろいろな影響を及ぼす、そういうことを申し上げております。
東(祥)委員 ブラックバスが他の在来種、小魚を食い尽くすため、絶滅の危機に瀕している魚もいるという声もありますけれども、いろいろな書物を読ませていただきますと、そのような例は、もともとブラックバスのいる北米でさえも聞いたことがない。まして、初めて日本に入ってきたのは、大正十二年の神奈川県の芦ノ湖だと聞いております。七十年以上たっているわけであります。だとすると、芦ノ湖にはワカサギなどいなくなってしまって、ブラックバスだけが生息しているという推論も成り立ちます。
 現状は、減少の一途をたどっていると聞いております。自然環境が残る本栖湖も同様であると聞いておりますけれども、だとすると、このような話には根拠がないんではないのかというふうに素朴に私は思うんですが、いかがですか。
小林政府参考人 生態系が、移入種が入ることによって一時的に大きく変化することがあります。例えば、琵琶湖あたりでも、ワカサギが今まで以上にとれにくくなるという例がございます。そういうことで、大きく変化する。長い間には、ある一定の水準には達して、ブラックバスにつきましても、えさがなくなれば食べるものがなくなりますから、ブラックバスの密度も下がってくる。そういう安定状態になるまでには、大分大きな影響があろうかと思います。
 具体的に、私どもで把握している例を申し上げますと、皇居のお堀がございます。皇居のお堀は、一九七五年から定期的に調べてございますが、あそこには江戸時代からの在来の小さな魚がおりますが、そこは非常に最近急に減少をしてございます。例えば、一例を申し上げますと、一九七五年とか八五年くらいの時代には、ブラックバス、ブルーギルというのは二〇%ぐらいの捕獲確率でしたけれども、現在は八〇%を超えるような量のブラックバス、ブルーギルがとれております。
 そういう中で、在来の魚というのがございますけれども、皇居の十三のお堀のうち、八つのお堀ではブラックバス、ブルーギルが生息しております。そこではほとんど在来の魚がとれない、とれてもごく少数、こういう事態でございます。そういうわけで、ブラックバス、ブルーギルのいない五つのお堀では、在来の魚はある程度とれている。
 そういうような状況の中で、やはり特に申し上げたいのは、閉鎖性の小さな水域、そういうところではブラックバスの影響というのが大きくあるというふうに考えております。
東(祥)委員 今、小林局長が言ったお堀の件はまた最後の方でやりたいというふうに思っていたんですけれども、お堀には例えば外来種の草魚だとかあるいはまた外来のコイ、それも放流しているんですよね。この点についてはまた後でやりますけれども、そもそも、お堀は川じゃないですよね。
 今いわゆる問題になっているところというのは、外に開かれている川であり、あるいはまた湖の問題でありまして、環境省あるいはまた水産庁にお伺いしますけれども、ブラックバスの被害あるいはまたブラックバスの現状について一体調査しているのかどうなのか、最近行った調査結果があるとすれば、それを報告していただきたいというふうに思うんです。
海野政府参考人 お答えいたします。
 ブラックバスによります被害につきましては、定量的な把握というのはなかなか困難でございますけれども、水産庁や各県などが実施したブラックバスの食性の調査結果によりますと、内水面漁協が増殖していますアユ、ワカサギ、ウグイといった魚類、さらに、テナガエビなどの甲殻類、陸生の昆虫、水生の昆虫などを捕食していることが確認されております。
 新潟県と福島県の県境にあります銀山湖では、平成十一年にオオクチバスを確認していますが、それ以来、九百九十八匹のオオクチバスが捕獲されております。
 また、平成十三年度に、水深十メーターより浅いところで魚種別の捕獲の割合を調査しましたところ、イワナ、ウグイなどの魚種を含めた全体で二百三十七匹のうちオオクチバスが百八十六匹と、約七八%の割合で捕獲されております。
 さらに、現在取りまとめていると聞いておりますけれども、捕食の関係でございますが、オオクチバスの胃の内容物の中からも、やはりスジエビとかワカサギなどがいるというふうに確認されているところでございます。
東(祥)委員 それは、どういう調査をしているんですか。定量的に把握するのはなかなか困難だと言っているんですけれども、どういう調査をしているんですか。刺し網でやっているんですか。それとも、どういう条件のもとでどういう調査内容を行った結果を今発表してくれているんですか。
海野政府参考人 今申し上げました調査につきましては、新潟県と福島県とで調査したものでございまして、ほぼ毎年にわたって捕獲をするということで調査を実施しているところでございます。
東(祥)委員 どういう捕獲の仕方をしているんですか。
海野政府参考人 刺し網その他の方法で漁獲をしていると聞いています。
東(祥)委員 その調査を行った直後、全国内水面漁業協同組合連合会のもとにある外来種対策検討委員会、今おっしゃられたデータに基づいて、本当にとれるのかということで、この委員会のメンバーの皆さん方が現場に行って調べているんですよね。そこで一匹も釣れなかった。そこで、その推進委員会の調査をやめようということがあったということを御存じですか。
海野政府参考人 今のような話は初めて聞きました。聞いておりません。
東(祥)委員 資源管理部長、僕もブラックバスの生態についてよく知りませんけれども、淡水にすむ魚の中で、ブラックバスというのは物すごく頭がいい、なかなか刺し網にはかかりづらいというふうに言われている魚ですよね。後ろにバックするんですよ、フグみたいに。淡水の中ではそういう魚というのは珍しい。だから釣り人に人気があるんですよ、これは頭のいい魚だということで。
 そうすると、刺し網でと今言いましたよね。刺し網で、例えば奥只見湖ですよね、銀山湖と言われるのは。銀山湖というのは、聞くところによれば、がばっとがけっ縁になっているわけですから、もし刺し網でとれるとするならばうじゃうじゃいるということで、七八%というその根拠もよくわかりませんけれども、うじゃうじゃ岸辺にブラックバスがいない限りとれるはずないじゃないですか。本当に調べているんですか。
海野政府参考人 今、銀山湖での調査の方法でございますけれども、刺し網、それから網を投げる、はえ縄、釣り、それから、やすなどの方法で捕らえておりますけれども、その大半は刺し網にかかっております。
東(祥)委員 そのデータを全部出してくれますか。
 要するに、例えばアメリカにおいても、刺し網でとれないということは言い切れないというわけです。それは、ダムの場合ですと水位にかかってきますから。基本的にブラックバスというのは深いところにはすんでいない。浅瀬にいるわけですから、そうすると、ダムの水位を調節させることによって、そして刺し網にかけることもできる。ただ、一般論として言った場合、科学的な雑誌にも書かれているそうでありますけれども、刺し網には非常にかかりづらい。これは危ないと思って、きょっきょっきょっと、どういうふうに泳ぐかわかりませんけれども、後ろに下がってなかなか捕らえづらいということなんですよ。
 だから、まず僕が教えてもらいたいのは、環境省あるいはまた水産庁で、ちゃんとこの問題をあなた方の指導のもとで調査しているのかどうなのか。あるいはまた、各県に任せているとするならば、その調査内容、どういう方法で、そういうものを全部出さない限り、いろいろなイメージ論で言っていたとしても結論というのは出てこないんじゃないのか。
 先ほど山下副大臣からお話がありましたとおり、パブリックコメントの九百件の中に、七百五十件がブラックバスのものだと言っているじゃないですか。だから、そういうことに関して、イメージ論じゃなくて、ちゃんとやらなくちゃいけないんですよ、行政というのは。だから、それを今やっていないとするならば、これからちゃんとやるということも含めた上で、そういう答えを出してくださいよ。本来なら、僕が環境大臣だったら、そういうことを言いますよ。どうぞ。
海野政府参考人 お答えいたします。
 水産庁の外来魚の被害緊急対策事業という事業がございますけれども、その中の内水面外来魚管理等対策事業という事業の中に、生息状況等を調査するという事業がございます。これについては、都道府県に助成をして事業を実施しているということでございます。
東(祥)委員 僕の答えになっていないんじゃないですか。委員長、いかがでしょう。ちゃんと調査をするのか、そして、調査内容をどうするのか。そういうことも含めた上で、今までやっていないというならやっていません、これからやるならばやると。大臣、ちょっと指導してください。
大木国務大臣 何か水産庁の方と私の方と両方でそれぞれいろいろやっているようでございますが、両方できちっとまとめて、今これだけのことを調べましたというのをひとつ取りまとめたいと思います。
東(祥)委員 これは別の角度なんですけれども、大阪のとある三つ星レストランでは、バスが生きがよい天然の魚として、おいしい魚の食用としてメニューに出されていたようであります。また、滋賀県下では平成十二年度に公立小中学校の学校給食に用いられていたと文部科学省の資料に書いてありますが、言うまでもなく、学校給食にどのような食材を使うかについては、市町村教育委員会が、食品の安全性、低廉な価格、安定的な供給体制等を総合的に判断しているのですけれども、食用という観点から、環境省へ聞いていいのか水産庁なのか、こういうところからブラックバスというのは検討したことはありますか。
海野政府参考人 ブラックバスにつきましては、駆除を推進すべき水域において、遊漁者が採捕してこれを食用にするということが非常に有効であって、期待できるというふうに考えておりまして、ブラックバスの食用利用についても、その料理法に関するパンフレットを配るなど、そのことについて支援をしているところでございます。
東(祥)委員 ブラックバスは、在来種には勝てず、また一時的にふえてもほうっておけばいなくなってしまうという説もあります。バスが増加している場合、自然環境の破壊による原因が最大の理由なのではないかと私は思っているんです。
 フナ、ヤマベ、ハヤなどの在来種の多くは、粘着卵と呼ばれるもので、アシや水草や藻に卵を付着させます。護岸工事などによって水生植物がいなくなると、新たに生えるまで世代が繰り返されなくなります。他方、バスのような外来種は、砂利底にばらまいて産卵するので、従来の自然環境が破壊された後の方が世代交代の最適な環境となる、このようにも言われている。霞ケ浦の例では、霞ケ浦総合開発以前に百四種確認されていた種が、開発以後の調査では五十六種に減少して、そのうち二十二種が外来種であると確認されました。
 そうすると、大げさに言えば、バス害魚論というのは、自然環境破壊論のすりかえとも言えるのではないのか、このように私は疑念がわいてくるわけです。
 二つ目は、また、ワカサギが減少したのも、バスが来るずっと前であって、バスのせいではないと、二〇〇〇年「生物科学」第五十二巻の浜田篤信氏の学説で報告されておりますけれども、これらについてはいかがですか。
小林政府参考人 在来種が減少している原因としまして、先生御指摘の生息環境の悪化ですとか、それから場合によっては、種類によるんですけれども、過度の採取、捕獲、そういったような要因というのが非常に大きいと思います。特に、おっしゃるとおり、淡水産の魚についての生息環境の悪化というのは、非常に大きな影響があるだろうというふうに見ております。また、移入種の導入による影響というのも重要な要因であろうというふうに思っていまして、幾つかの要因が複合して種の減少というのを招いているのではないかというふうに考えてございます。
 ブラックバス、ブルーギルにつきましては、先ほどもちょっと申し上げましたように、やはり特に影響が大きいのは、小さい水面というんでしょうか、そういうところにつきましては、やはりかなりの生息密度に在来の魚を低下させてしまう、そういうくらいの強い力を持っているというふうに考えているところでございます。
東(祥)委員 ある意味で、今局長は、結論からいえば両方に原因があるんじゃないかという視点なんだろうと思います。ある意味で、国土の乱開発が内水面漁業に打撃を与える、それも大きな根本原因ではないかということもお認めになられているわけです。
 他方、百十一万人に及ぶブラックバスの署名というのがあるんです。バスフィッシングフィールド、つまりブラックバスが釣れる場所を何とかつくってくれないか、こういう声が百十二万人です。一方的な害魚論に対して、公認の釣り場を認めてほしい、ふやしてほしい、そして、有用魚として国民が楽しめるようにしてほしいという要望なんです。大臣、すごい人数だと思いませんか。百十一万人です。平成十二年の十月中旬からわずか三カ月で全国から集まって、水産庁に、また各県知事に要望された署名であります。
 ブラックバスの釣り人の数というのは大体三百万人以上いると言われている。また、少年たちにもどんどん今広まってきているわけでありますが、だから、このままこれらの要望というものを無視してよいとは思えないんですけれども、科学的な知見、先ほどお話ししているように、ちゃんとしたこういう形で科学的な知見を追い求めていて、こうこうこうだからこうなんだというのは、今までのところ全然話を聞いていない。ある意味で、推論の域を全然脱していない。そういう科学的な知見もないままで、ある意味で、怖いオオカミだ、駆逐しなくちゃいけないものなんだ、こういうイメージばかりが先行しちゃっているんではないのか。これが本当にこういうままでいいんだろうかというふうに私は思っているわけであります。大臣、いかがですか。
大木国務大臣 先ほどもお話ございましたけれども、日本へ来てから既に七、八十年ですか、たっておるということですから、ある程度のいろいろな資料も、そのつもりでまた調べれば出てくるかと思いますので、今三百万人でございますか、そういった、ぜひ何とかしてくれという声も十分に耳を傾けながら、どこまでどういう調査ができるか、ひとつとりあえず事務方に指示をしてみたいと思っています。
東(祥)委員 あっという間に時間がたっちゃうので、あと五分しかないんですけれども、どうしても日本の行政というのは、ある意味で、乱暴な言い方をしますけれども、生産者の視点に立った行政しか行われていないんですね。一般の、経済産業省の視点でいうならば消費者、今度は魚の問題だとかこういう問題になるといわゆる漁業者、この場合ですと内水面業者、こういう角度の行政しかないんですよ。
 他方には、ブラックバスという問題は、今申し上げましたとおり、別の視点から大きな産業を起こそうとしているものにもなるかもしれない、そういう可能性を持っている。
 そういう意味においては、先ほど大臣がいみじくもおっしゃってくださいました、つまりすみ分け論、これはどういうふうにしていったらいいのか。あるとき、環境省の中でもこういう議論というのはかまびすしくあったと思うんですけれども、それがいつの間にか立ち消えになっちゃっている。そこには、やはり政治的な背景がいろいろあるのかどうかわかりません。いろいろ与党内における部会で圧力が来るのかもわかりません。内水面業者がどれだけいて、それは数千人、数に直せば、組合業者でいけば万単位だと思いますよ。
 ところが、今度、ブラックバスにかかわる、本当に楽しみで釣りたいという子供たちの数というのはどんどんふえてきている。さっき言ったとおり、頭のいい魚だというんですよ、僕はまだ対面していませんからそれは何とも言えないんですけれども。それは、その数は三百万人。そういう視点で、大臣が言われているすみ分け論というか、そういうことで考えていただけないか。
 あるいはまた、釣りをやる人たちの中で、今までふらちな人というのはいたのかわかりません。しかし、そのブラックバスをやっている方々、良心的な方々、私も何人かよく存じ上げています。もし行政の方で、いろいろな知恵をかしてくれ、そういうふうな申し立てをするならば、必ず彼らは協力してくれるんだろうと思うんです。そういう意見交換をちゃんとしながら、単に、内水面業者の方々をどうしたらいいのか、そういう側面からだけではなくて、いわゆるブラックバスを愛好し、またはそのフィッシングを楽しんでいる人々、これは親子の世代の関係にもかかわっていきます。そういう問題についてもやはり総合的に考えていただきたいというふうに思う次第でございます。
 環境省にしたというのはそういう意味ですから。環境というのは、ありとあらゆる側面にわたって目配り、気配りしてもらわなくちゃ困るんですよ。だから、それは経済産業省よりもある意味で極めて高い省なんだろうというふうに僕は思いますよ、すべての分野にわたって目配り、気配りしていかなくちゃいけないわけですから。そこに優秀な副大臣と政務官をちゃんと配置しているわけですから、例えば山下副大臣にブラックバスを担当させよう、そういうふうにして彼のもとで仕切っていってこの問題に対して結論を出す、それが本来の政治主導のありようであり、僕らが副大臣制度を導入した意味ですから。政務官にも一緒に手伝っていただいて、そういう形で何か御決意をお願いして、ちょうど時間になりましたので。
大木国務大臣 三百万人の釣り人が大変に深い関心をお持ちだということでございますから、そのことを頭に置いて、ひとつきちっと検討させていただきます。
東(祥)委員 先ほど申し上げました調査の内容、そして調査結果、それを必ず出していただくことを最後に申し上げまして、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
大石委員長 樋高剛君。
樋高委員 自由党の樋高剛でございます。きょうも質疑の時間をいただきまして、ありがとうございました。
 まず冒頭、大木大臣におかれましては、おくればせながら御就任まことにおめでとうございます。二十一世紀は環境の時代ということでありますので、どうか環境問題でしっかりとリーダーシップをとっていただきたい。御活躍を心から御祈念申し上げます。
 きょうは、温暖化の問題も午前中からるるたくさん出ておりましたけれども、私自身は、先日、自由党を代表いたしまして、予算委員会で、大木環境大臣、経済産業大臣、そして前の環境大臣であります川口外務大臣にもお越しをいただいて十分に議論したのでありますが、また次回の議論の機会もあると思いますので、またそのときに改めてお願いをさせていただきたいというふうに思っております。
 まず冒頭に、BSE、牛海綿状脳症の件につきまして議論をさせていただきたいと思います。
 私、ライフワークとして食品の安全の問題に取り組んでいるわけでありますけれども、では、何でこのBSEの関係が環境省に関係あるんだということかもしれませんが、実は、肉骨粉の焼却処分ということにつきましては、いわゆる廃棄物処理行政を所掌する環境省として重大な責任があるということであります。
 従来は、屠畜場から出る牛の肉骨粉等はいわゆるレンダリング業者によりまして買い取られておりましたから、廃棄物として排出される実態はそもそもなかったわけであります。しかしながら、BSEの事件が発生いたしまして、屠畜場から恒常的に廃棄物が生じるということになったわけであります。つまり、去年の後半から、環境行政、特にこの廃棄物行政に関しては、今までなかったことをやることになった。こういうときにこそ、しっかりと国は、行政は、スピーディーに対応しなくちゃいけない。まさしく危機管理という部分にも当てはまるのかもしれませんけれども、こういったときに行政が素早くきちんと対応できるかどうか、そして実効性を上げられるかどうかが問われている。そして、その実績というのは国民からしっかりと監視されているというものでありますけれども、実はここに大きな問題が生じているわけであります。
 実は、焼却をいたしますのは、全国の地方公共団体にありますいわゆるごみ焼却の施設で行います。全国に今、一千五百七十七カ所のごみを焼却する施設がございます。そして、実はそこに、環境省さんが所掌する役所なものですから、去年の十月、十一月にかけまして、この肉骨粉を受け入れて焼却処分してくださいとお願いをしました。そして、中間報告を受けて、最終報告を去年の十一月の時点でまとめられております。
 その後、数字の推移はないということをきのう環境省さんに確認しておりますけれども、実はこの一千五百七十七カ所のうち、肉骨粉等の焼却可能施設の数は、現在、受け入れ可能はたったの百三十五カ所、そして一時的に期間限定で受け入れ可能と言っている施設が七十六カ所、合計二百十一カ所にすぎないわけであります。つまり、全国で一千五百七十七カ所の施設のうち、たったの一三%しか実は焼却を可能ということは今表明をしていないわけであります。
 肉骨粉の焼却のために、もし仮にすべてのその二百十一カ所の施設が稼働したとしても、実は年間の処理能力は十二、三万トン、十二万トンから十三万トンしかないわけであります。一方で、今もうるる御案内のとおり、肉骨粉というのは年間で四十万トン発生するわけであります。つまり、この差ですね、雪だるま式に焼却されない肉骨粉がふえていく。これにどういうふうに対応なさるおつもりなのか、肉骨粉のいわゆる焼却処分の現状、そして今後の見通しについてお尋ねをいたします。
大木国務大臣 今いろいろと数字を挙げてのお話でございましたので、実は私も、現状は一応、今、例えば十二万トン云々というようなお話がございまして、現在やっているのが十二万トンだという話は聞いておるんですが、いろいろな理由でそれ以上のことになっていないということについては、片っ方で非常に多くの処理を求めるものがあるということになると、これは、さあどうするか、こういうことになるわけでありまして、やはり何か政府全体として、あるいはいろいろな処理場で何らかの理由によってすぐにできないということがあるんだろうと私も想像します。
 これは、ちょっと私も細かく報告を受けておりませんので、後でまた事務方から御説明を追加的にしていただきたいと思いますけれども、いずれにしても、私は、このBSEの問題あるいは肉骨粉の問題というのは、これはちょっと自分自身のことで恐縮ですけれども、昨年の四月ごろだったと思いますけれども、ちょうど私もイギリスに行っておりまして、非常にイギリスの方でBSEの話が出てきまして大変な問題になっておったんですが、非常に迅速にやったというようなことを聞いています。
 今回、日本で、いろいろと議論はありますけれども、何かやはりいろいろな理由があると思いますけれども、迅速にできなかったということについては、やはりそういった皆さんからの御批判はあると思いますし、やはり行政は、正しい方向でやるにしても、それが十分時間的にもきちっと間に合うような対策をしないといけないということは私もわかりますので、今ちょっと私のとりあえずの感想を申し上げましたけれども、今の十二万トン云々と四十万トンの要求といいますか、潜在的な要求があるのに対してどうだということについては、ちょっと事務方から、何らかの理由があれば説明をしてもらいたいと思います。
樋高委員 大臣、何らかの理由によってということでは困るわけでありまして、実は、イギリスへ大臣は行かれたということでありますけれども、このいわゆる焼却処分をめぐって環境問題にまでなっているのは、大臣が一番よく御存じだと思うんです。
 焼却施設で実は可能な容量が、今現在既に年間で、実際に稼働されたとしても十二万トンから十三万トンである。一方で、肉骨粉の発生は四十万トンである。しかしながら、BSE発生以来、実は実績として、調べたんですけれども、この六カ月間、もう既に半年もたっています、半年たっても二・五万トン。四十万トンのうち実は二・五万トンしか焼却されていない。その四十万トンのうちの二・五万トンしか焼却されていないということは、つまり一割も実は焼却処分がされていないんです。これは大変な事実なんですよ。
 なおかつ、去年の十月の二十六日、環境委員会を開きました。各議員からもこのいわゆる焼却は大丈夫なんだろうかということで議論になったんです。そのときの環境省さんの見解は、これからまだまだたくさんの焼却する施設がふえてくるから大丈夫だということ、心配ないんだということを聞いて、私も質問しましたから、一安心はしていたわけであります。
 しかしながら、焼却が遅々として進んでいないということでありますから、これは大臣、どこに問題があって、どのように対策を打つかということが、すぐにかかっていかないと、これはもう雪だるま式に焼却されない分がふえていってしまうものですから、大変な社会問題になってしまう。先ほど大臣、時間的に云々という話もありましたけれども、こういうときにこそ行政のかじ取りを、政治主導でしっかりとリーダーシップをとってやっていただかなくてはいけないというわけであります。
 そもそも、次の質問に移りますけれども、また大臣の方も答弁を用意されていると思いますけれども、いわゆるセメント工場でも肉骨粉を処理しようじゃないかと、協力を依頼しているということであります。実は、このことについては世間が物すごい誤解をしておりまして、いわゆる肉骨粉をそのままセメントにまぜるものだというふうに誤解なさっていらっしゃる方がいらっしゃるんです。それは実は議員でもいらっしゃるんじゃないかと思うぐらいなんでありまして、こういううわさが市場、世の中に出回っておりますわけでありまして、セメントも実は肉骨粉の関係で危ないんだよということで勘違いをなさっていらっしゃる方も多いわけでありまして、私は説明責任がここにも問われてくるというふうに思うんでありますが、そうしましたら、まず、セメント工場での肉骨粉等のセメントへの再利用の状況、そして今後の見通しについて伺いたいと思います。
大木国務大臣 今、肉骨粉の処理の能力といいますか、対象になっておりますそのセメント工場が三十六ぐらいあると思いますが、そのうちの三十カ所ぐらいは申請が来ておる。そのうちの半分以上は、既にそれを受けて、やろうということで話が進んでおると思いますが、あとの十四、三十マイナス十六ですか、十六までは受けておって十四残っておる、大体そんなような数字だったと思いますけれども、それについても引き続き、引き受けることができるようにということで話し合いは続けておると思います。
 ただ、どういう理由で今までおくれておるかということについて、私もちょっと、そのおくれておるという、今のセメント工場の話も、実は、最近と言うと先生に怒られるかもしれませんけれども、言うなれば最近出てきておる話でありまして、それに対してすぐに一〇〇%の答えができていないようでございますから、その状況については、もしもお許しいただければ、事務方の方から御説明をしたいと思います。
樋高委員 セメント工場、受け入れ申請、今二十八件、そのうち審査中は十二件、現在認定済みは十六件、つまり十六の工場で処理が可能である。これも実は年間で処理可能容量が十二万トンから十三万トンなんだそうであります。つまり、市町村のいわゆるごみの焼却施設で十二、三万トン、それとセメント工場で十二、三万トン、合計で二十四、五万トンしか実は年間で処理できないというのが、これは事実であります。
 しかしながら、一方で四十万トンの肉骨粉が市場に出回っているわけでありまして、じゃ、この四十万トンから二十四、五万トンを引きますと、残りの十五万トンどうするんだ。やはりここには確たる対策がなくちゃいけない。
 しかも、そのセメントの方も、実は既に再生利用が始まったのは、認定済み工場十六件のうちたったの二工場しか今焼却をしていないんです。しかも、その二工場のキャパシティーで考えますと、いわゆる十六工場で十二、三万トンの焼却処理能力でありますから、一工場当たり約〇・七五万トンですね。つまり、二工場で年間一・五万トンしか処理できない。
 そもそも、先ほども申し上げましたけれども、いわゆるごみ焼却施設とセメント工場で、それぞれ今までの実績を考えたときに、今の現状で推移しますと、年間でせいぜい六、七万トンしか処理できない。ということは、残りの三十数万トンはそのまま、実は農水省さんの方からあれは今補助が出ているそうです、予算が出ているそうですから、倉庫を借りて、そこで貴重な国民の税金をもって保管し続ける。しかも、保管がどんどんどんどん日に日に大きくなっている。
 これは、環境省がきちっとした焼却の指導をしていないから、滞っているから、また今行政の信頼は地に落ちているわけであります。そのことは大臣も一番よく御存じだと思いますけれども、その倉庫での保管料が今どんどんふえているわけですね。そうすると、この保管された肉骨粉が知らないうちにまたどこかで流用されるかもしれないという不安も実は国民の間で増大をしているんです。
 やはりこのいわゆるBSEの問題をめぐって、今回環境省さん、もちろん大臣、就任なさったばかりで、私も先ほどお祝いを申し上げたばかりでありますから、私からこれほどまでちょっと厳しく言われると、また気持ちもわかりますけれども、しかしながら、本日をもって、大臣、しっかりとこの焼却ということについてきちんと対応していただかないと、ますます国民の行政に対する不信は地に落ちてしまう、取り返しのつかないことになってしまうというふうに思うんでありますけれども、大臣、御所見を伺います。
大木国務大臣 私も今いろいろと資料を追加的にもらって、それをちょっと今理解しようと思っているところでございますが、セメント工場についていいますと、十六件は既にその話を受けておる。それから、目下審査中で、これもやらせるということで指導しておるということ、これが十四件ということでございますから、それぞれについて十四万トンずつ。それから、そのほかに市町村の焼却施設ということで、これはセメント工場の別な話で十二万トンぐらいの話で、一応計算上は四十万トンということになっておりますので、この計算がまず合っているかどうかというのは、私もこれ、今もらったばかりですから、どういう状況になって、どれだけ自信があるのかあれですけれども、四十万トン一応その視野に入れておりますから、それをもって実際にできるようにしたいと思っております。
樋高委員 大臣、きちっと焼却処理されますように。これは本当に重要な問題なんです。別に私は野党だからこうして厳しく申し上げているわけじゃないんです。これはもう与野党超えて、食品の安全をめぐって、きちんと焼却をされて安心なんだよと。そもそも、農水省さんが当時の対応で、焼却処分されていると思ったけれどもされていなかったということによってもう苦い経験を積んでいるわけですから、同じような轍は踏まないように、しっかりと対応していただきたいというふうに思います。
 きょうは、文部科学省から、お忙しい中、池坊大臣政務官にお越しをいただきまして、ありがとうございました。
 今の問題もまだやりたいのでありますけれども、またいずれの機会ということでありまして、私、今回、ライフワークとして環境問題をやっておりますけれども、環境教育というものはやはり最も重要なことの一つである。環境をよくするのも悪くするのも人でありますし、特に小さいときの、幼児のとき、小学校、中学校のときの自然体験学習、また環境について物を考えるきっかけをつくるということをはぐくんでいくことは、私は、物すごく重要なことなのであるというふうに考えるわけでありますけれども、学校教育における環境教育の現状等々につきまして、御所見を伺いたいと思います。
池坊大臣政務官 委員がおっしゃいますように、二十一世紀は環境そして教育の時代だと思っております。
 小さいときから、二十一世紀を担います児童生徒が、学校教育の中で環境問題に対する正しい認識と理解を深め、各自がみずからの責任において人類の繁栄と生存のためにはどのような行動を起こしていったらいいかを教育していくことは、極めて重要だと考えております。
 従来も、小中高等学校においてそれぞれが、理科、社会科、家庭科において環境問題を取り上げておりますが、特に四月から、委員も御承知のように、新学習指導要領になってまいります。そこではさらに一層、例えば理科六年生では、自然環境を大切にする心や、よりよい環境をつくろうとする態度の育成を図るとか、あるいはまた中学校社会科の公民的分野では、地球環境、資源エネルギー問題について各自が課題学習を行うような一層の改善を図っております。
 また、総合的な学習の時間というのが四月から多くなってまいりますので、これは、体験を通じまして環境問題を身近な問題として取り上げるように教育していくつもりでございます。既に、例えば私の住んでおります京都の隣の滋賀では、メダカを飼育して、それによって環境問題を考える、あるいは三鷹の小学校では、ごみ問題を考えまして、いろいろな問題を行政に注文したりいたしておりますし、またクリーンなエネルギーをつくったりと、さまざまな活動を行っております。
 また、平成十四年度の予算におきましては、教育問題を一層推進することをねらいといたしまして、環境教育推進モデル市町村の指定や、新たに、児童生徒や教員がインターネット等を通じて環境教育に活用できる環境教育に関する総合的な情報提供体制の整備を行うなどの施策から成る環境教育推進グリーンプランを推進することといたしております。
 委員がおっしゃいますように、地域が、あるいは学校教育の中で、そしてさらに子供たちが環境を身近なものとしてとらえていきますように、これからも教育してまいりたいと思っております。
樋高委員 どうもありがとうございました。
 いわゆる新学習指導要領によりまして、この四月から、小学校、中学校は週五日制になって、時間ができるわけでありますけれども、もちろん学校の現場でも、総合学習の時間を設けて、いわゆる体験学習、例えば小学校は、三年生以上は週三こま、時間をしっかりと使って環境について触れる機会をつくるということは、私は、大変結構なことでありますし、むしろ足りないぐらいじゃないかというふうに思うぐらいでありまして、ぜひとも環境問題について、環境は何か我慢するものだ、上から押しつけられるものだというものじゃなくて、持続可能な社会をつくるために、未来を明るくするためにすばらしいことであるということの意識を、環境意識を、環境マインドを子供たちについて、学校教育だけじゃなくて、生涯学習という部分も文部科学省さんの管轄でしょうから、しっかりと指導そして誘導をお願いさせていただきたいと思っております。
 きょうもさまざまな問題を用意していたのですけれども、前半、いわゆる肉骨粉についても、狂牛病の問題、BSEの問題につきましても質問させていただきましたが、やはり行政がきちっとリーダーシップを持って、責任を持って物事に対処をする体制づくり、まだまだだなというのが私のきょうの感想であります。やはり根っこから構造改革、今の行政、そして国の仕組み、システムそのものをやはり根っこから緊張感のある体制につくりかえていかなくてはいけないというふうにきょうは思いました。どうもありがとうございました。
大石委員長 藤木洋子さん。
藤木委員 日本共産党の藤木洋子でございます。よろしくお願いをいたします。
 早速ですけれども、琵琶湖会議がございましたね。昨年十一月、第九回の世界湖沼会議がありまして、滋賀県の大津市で開催されました。
 このときの琵琶湖宣言二〇〇一では、「湖沼の多くにおいて環境は依然として悪化し続け、湖と人との調和した共存関係の崩壊しつつあるのが、残念ながら現実である。」とし、特に生態系の仕組みを重視した湖沼の保全、管理の重要性などが強調されております。そして、重点事項といたしまして「調査研究とモニタリングの推進」などを挙げておりますけれども、そこでは一つに、「気候変動や大気汚染などの広域的な諸問題と湖沼環境との関係について調査研究を進める。」となっております。二つには、「生物多様性、自然生態系の維持に果たす湖沼の役割の重要性を認識し、外来種の侵入、湖浜帯の改変など、とくに脆弱な沿岸湿地生態系が直面している問題について調査研究を進め、その価値を明らかにする。」などを示しております。
 そこで、きょうはまず、気候変動や大気汚染などの広域的な諸問題が琵琶湖の環境に与える影響について、基本的な大臣の御認識を伺っておきたいというふうに思います。
大木国務大臣 この間の琵琶湖の会議においていろいろと議論がされたということは私も承知しておりますが、気候変動とこれからの琵琶湖の抱える環境問題とか、琵琶湖を中心とする環境問題と申しますか、とりあえず一番大きなのは、やはり降水量、気温が、温暖化ですから温暖化と言った方がいいかもしれませんが、温暖化と降水量の変化といったようなことが、これはIPCCの例のいろいろな調査報告書によりましても、今後降水量の変化が生じるということまでは言っておるようです。
 ただ、どういうふうに生じるかということについては、必ずしも正確な数字を私も記憶しておりませんし、そんなにぴしっとしたものが出ているというふうには理解していませんけれども、少なくとも、地球温暖化が降水量への影響があるであろうということは指摘されておりますから、これは当然琵琶湖への影響が出てくるのじゃないかということ、一番大きな問題としてはそんなことがあるんじゃないかと考えております。
藤木委員 私も、実は琵琶湖研究所に行ってまいりました。ここで、理学博士の西野研究員にお話を伺ってきたのですけれども、富栄養化が進む琵琶湖では、深層水中、表層、中層、深層というのは湖底の方ですね、ここの深層水中の溶存酸素濃度というのが年々低下をしているとおっしゃっていまして、湖底付近が無酸素状態になりますと、湖底の堆積物からアンモニアだとか燐などが溶出してまいりまして、富栄養化をさらに促進する、こうおっしゃっていたわけです。ですから、低温で酸素を多量に含む融雪水、つまり雪解け水ですね、これが琵琶湖の水質改善に役立つんだ、このように言っておられました。
 大木大臣もちょっと不思議な顔をしていらっしゃいますが、私も最初はそれは全然わかりませんでしたけれども、ところが、どういうことかといいますと、この積雪水量というのは、先ほど雨量の話をされましたけれども、雪の量も年々減少している傾向があるんですね。一九八八年は七・二億トンだったそうです。八九年が三・五億トン、九〇年が五・四億トン。平均値は十・三億トンだそうですから、これをかなり下回っているというのが現状なんですね。これまでの十五年間の積雪量と深層水温、溶存酸素飽和度との相関関係を拝見させていただいたんですが、七四年の積雪量が多かったとき、これは、深層水温が低くて、溶存酸素の飽和度が高くなっておりました。逆に、七九年、積雪量が少なかったときは、深層水温が高くなっておりまして、溶存酸素飽和度が低くなる、こういう鮮やかな傾向を示しておりました。琵琶湖の水深八十メートル付近の水温は一九八三年から三度C上昇した、このように言っておられました。
 そこで、環境省にお伺いをいたしますけれども、先ほど大臣もおっしゃいましたが、IPCCの第三次評価報告書では、二十一世紀中に全球平均地上気温が一・四度Cから五・八度C上昇すると将来予測をしているわけですけれども、こんなことになりますと、琵琶湖の環境に与える影響というのははかり知れないものがあるのではないか、私はそのように考えておりますが、いかがでしょうか。
石原政府参考人 温暖化の琵琶湖の水質等に関する影響の件でございます。
 温暖化につきましては、環境省におきまして、昨年三月に地球温暖化の日本への影響に関する報告書というものを取りまとめております。その中におきまして、温暖化が及ぼす影響につきまして、水環境に関しましては、河川あるいは湖沼の、浅い湖沼、深い湖沼といったような分類分けをしまして、それぞれ影響を予測しております。
 琵琶湖は深い湖沼に属するわけでございますが、その中におきまして、琵琶湖につきましては、先ほどおっしゃられましたように、平均気温が上昇しますと、流域の降雪量が減少する。その場合の融雪水の中には酸素が含まれておるわけでございますが、融雪水による酸素の供給が低下することにより、深層水の溶存酸素濃度の減少傾向が加速されるという可能性も危惧されるという報告になっております。
 ただ、いずれにしましても、地球温暖化は、琵琶湖に限らず、琵琶湖も含めまして、我が国の環境にさまざまな影響を及ぼす大きな事柄でございます。今後さらに調査研究の推進が必要というふうに考えております。
藤木委員 確かに、温暖化が琵琶湖に与える環境影響については、先ほど私が申し上げました世界湖沼会議でも、近年の湖水の温暖化について、「温暖化に伴い、びわ湖の水温にも明らかな温暖化傾向がみられるようになっている。」「深層では従来観測された六度C以下の水温が最近では全く見られない。」としておりますし、滋賀大学などの研究グループは、「琵琶湖における近年の温暖化と湖水の入れ替わり」という報告の中で、「水温が上昇すると酸素の飽和量が減少し、さらに温暖化に伴う降雪量の減少によって融雪水による酸素の供給も低下する。このようなネガティブ・フィードバックによるびわ湖の水質悪化が懸念される。」このように指摘をしております。
 また、雪の多い年と雪の少ない年で、深層水温に二度C近くの差が出ているそうでございます。これは、多量の雪解け水が、結局、湖水よりも温度が低いわけですから、湖底に向かって沈んでいくわけですね、潜り込んでいく。これが酸素を結局供給している源になっているんだそうでして、深層水と混合するから酸素の供給が行われる。大量の雪解け水は酸素を供給しますから、琵琶湖深層水の溶存酸素濃度の増加に役立っているということでございます。ですから、積雪水量は、水温や溶存酸素濃度への影響を通じて、琵琶湖の富栄養化の進行にも影響するということになります。
 「滋賀の環境」というのがございますけれども、これですね、この「滋賀の環境」という中でも、琵琶湖の富栄養化が進む中で、淡水赤潮やアオコの発生を指摘しております。淡水赤潮やアオコというのは、大体四月から六月、水温が十六度Cから二十度C、こういった条件で発生すると言われておりますけれども、これが、赤潮は、九九年が五水域、二〇〇〇年が二水域の発生になっておりまして、アオコの方は、九九年が十四日、二〇〇〇年が十七日の発生、こんなふうになっているんですね。
 特に、さきの西野研究員のお話では、近年、アオコなどの植物プランクトンが冬の期間に増加しているということが特徴だそうです。冬の期間にはこれまでよく見ることのできたメロシラソリダという大型のプランクトンが減少していて、小型のプランクトンが増加している、このように話しておられました。琵琶湖の水質悪化の急速な進行を抑制するためには、琵琶湖深層水中の溶存酸素濃度を維持することが重要になってくるわけです。そのためには、低温の融雪水をできるだけ十億トン程度まで琵琶湖深層水へ流入させるための水資源の管理が必要だというふうに述べておられました。
 ですから、今琵琶湖周辺で計画が進められております近畿最大の丹生ダム、それを筆頭にいたしまして八つの巨大ダムの建設計画があるわけですけれども、この水資源の水量的な寄与とともに、水質的貢献ということからも、私は、琵琶湖の環境保全と両立するように見直すべきではないか、このように考えておりますが、大臣はいかがでしょうか。
大木国務大臣 琵琶湖に限らず、ダムというものをつくると、そのダムが環境にどういう影響を及ぼすかということは必ず議論になっておるわけで、そのたびに、いや、これはほかの目的もあるんで、例えば洪水の防止だとかあるいは農業の開発だとかいろいろありますね。しかし、そういうことを考えても、環境についての十分な調査が行われなければいけないわけでありまして、これは、ダムはたしか八カ所でしたかね、あるということでございますから、一体その八つのダムがどういうふうに影響を及ぼしてくるか。
 実は私、今の先生のおっしゃった水の質の問題については十分にまだ検討しておりませんけれども、当然にこれから検討しなきゃならぬ問題でありますし、地球温暖化の関係もありますけれども、まずはこの琵琶湖の問題として、ひとつ精力的に勉強させていただきたいと思っております。
 あと、どういう状況になっているか、どこまでうちの環境省の方でそういった水質の問題について勉強が進んでいるかについて、もし御質問があれば事務方から答えさせますが、よろしゅうございますか。
藤木委員 大臣、勉強されるということでございましたけれども、私が申し上げた水資源というのも、水量的な水の資源というのは、琵琶湖の水資源のことですし、琵琶湖の水質のことを問題にしておりますので、また後、ずっと続けて御質問させていただきたいというふうに思います。
 さらに、琵琶湖の水資源の水量の視点ですね、今申し上げました水量の視点からいうならば、琵琶湖、淀川流域での水利用の基本的な考え方というのは、上流域の湖水位一定、下流域の河川流域一定という上下相互の矛盾を大きくしないということが重要であろうというふうに思うわけですね。
 ところが、温暖化のもとで、例えば、降水量増加率が五%で、温度が三・五度C上昇した場合は、琵琶湖の集水域での積雪水量は五億トン程度になるわけですね。そうしますと、先ほども申しましたように、平均値が十・三億トンでございますから、その半分ほどになると予測されるわけです。
 琵琶湖の集水域での降雨量、降雪量の減少というのは、渇水が頻繁に起こるという可能性がございます。その渇水時には、下流に水を供給するために琵琶湖の水位の低下が頻繁に起こる、そういう可能性もあるわけですね。また、一律の人工的な水位操作は生態系にも大きな影響を与える。
 ですから、ここで国土交通省に伺いたいんですが、特に従来の融雪洪水対策用の冬季の放流というのは、降水量の変動特性を評価して、一律に行わないようにすべきだと考えるのですけれども、いかがでしょうか。
竹村政府参考人 温暖化に伴います湖沼の環境問題でございますが、私ども河川管理者、過去百年間河川の管理をしておりますが、温暖化に注目した湖沼の管理、河川の管理という知見は実は大変乏しいわけでございます。
 今御質問の琵琶湖につきましても、私ども、従来は、洪水を防ぎ、そして生活する水を供給するという観点からの琵琶湖のデータの蓄積、知見の蓄積でございましたが、ただいま委員の御指摘のようなさまざまな環境に配慮したデータの蓄積、知見の蓄積は実はこれからだと認識しております。これからも各委員の御指導を受けまして、私ども、長期的な観点からデータを蓄積し、さまざまな検討を行うがための準備に入っていく、そういう時期かなと考えてございます。
 一点言えることは、近年非常に琵琶湖周辺の雪が少なくなってきている。私ども先ほど調べてまいったんですが、彦根の積雪量が昭和六十年以降急激に減っているということでございまして、委員御指摘のように、冷たい水が琵琶湖に潜り込む量が少なくなっているということは定性的に言えるのかなと認識しております。
藤木委員 おっしゃるとおりでして、国土交通省、旧建設省が環境保全策として九〇年ごろからやってこられたことは、護岸にコンクリートを張りつけていたのにかえて自然石にするとか、それからあるいは川を蛇行させるとか、こういうことはやってこられたんですけれども、水位の変動に対する認識は薄かったというふうにお認めになっていらっしゃるわけですから、ぜひ力を入れて研究をしていただきたいというふうに思います。
 そもそも、琵琶湖の水質悪化に対して、工場や生活排水の規制強化、下水道整備の促進などを図ってきているわけですよね。にもかかわらず、現在でも水質の環境基準を達成できない状態が続いております。それは、琵琶湖総合開発事業での大規模な琵琶湖周辺の改変が大きく影響していることは明らかです。
 例えば、私も湖東をずっとめぐりましたけれども、湖岸線の約三分の一が、治水のためと称して人工湖岸に置きかえられておりましたけれども、そのために、水質の浄化機能を持っているヨシ帯がもう大規模に破壊されておりました。ですから、こうした琵琶湖の環境を破壊するような開発優先を転換させるということは当然でございます。
 しかし、同時に、琵琶湖の環境保全をしていくためには、温暖化を防止する京都議定書を早く発効させて、それを担保する実効性のある国内法制度の早い成立がますます重要ではなかろうか、こんなふうに思うわけですね。
 ところが、さきに出された中環審の答申を拝見いたしますと、当面、経済界の自主的取り組み任せになるということになりますよね。その規制的な措置だとか経済的な手法などの対策というのは結局先送りになってしまった、こういうことになっております。
 昨年六月の国内制度小委員会の中間取りまとめでも、経団連自主行動計画は、目標達成の確実性がなく、フォローアップについても、結果のみが公表され、そのプロセスが明確化されていない等の問題点の指摘がなされているというふうに述べております。
 またさらに、去年の七月に中環審が公表した答申の中間取りまとめを拝見いたしますと、ここでは、事業所単位で排出量を把握、公表する制度を提唱しておりました。目標達成のために、事業者と国による協定の締結なども示しておられたわけです。ですから、これから比べますと、今回の答申は明らかに後退したものとなっているのではないかと思うわけですね。
 それはなぜか。それは恐らく、経団連が新たな規制は日本企業の国際競争力を失わせるなどとして削減目標の義務化に反対している、このことに配慮をされて、自主的な取り組みに任せるという方向転換をされたのではないか、そうとしか私には思えないわけですけれども、やはり私は、法制化に当たっては、六%削減目標を担保できる規制措置、こういった対策を盛り込むべきではないかというふうに思いますが、大臣いかがですか。
大木国務大臣 午前中でしたかのいろいろな御質問にもお答えしておりましたが、要するに、今国会に条約の承認を求めるための手続をする、同時に、その条約と裏腹になります国内法の整備ということで、国内法の法案を、これも間もなく今国会に提出いたしますが、それと同時に、法案は、実は、どちらかというと、非常にいろいろな仕組みというようなものが書いてあって、必ずしも六%云々というところと直接につながらないものですから、そのほかに、その六%をどういうふうにして達成するかという一つの計画、方針をこれまた文書にしてつくりますので、これは六%ということを念頭に置きながら、どういうところで何%減らすんだというふうなことを全部数字に書き込んでやりたいと思います。
 ただ、今おっしゃったように、みんな義務づけていないんだから、それは本当にできるのか、こういうお話でございますから、この計画につきましては、とりあえず今後二年間でまず第一期ということで、それの節目節目で考えていくということで、二年目それから五年目ということで見直しをいたしまして、もっときっちりと強く言わなきゃだめだというふうなところについては必要な措置を考えたいと思っております。
 とりあえずは、後退というお話もありましたけれども、いろいろ議論しまして、関係各省ともお話しして、これでとにかくスタートしようということでございますので、今のところは、経団連の方につきましては、主としては、経団連の自主性を尊重しながら、しかしきちっとした目標は立ててやってもらうということで動いております。
藤木委員 私は、目標任せにしていたのでは、きちんとした六%の削減目標を達成することはとてもできなかろうというふうに懸念いたします。
 さらに、先日の日米首脳会談で、これも午前中の議論にもありましたけれども、小泉首相が地球温暖化防止問題で、アメリカの提案、米国の提案を、日本としてはアメリカの建設的な提案、環境問題を重視していくという姿勢を評価しているというふうに述べられたわけですけれども、これはそのアメリカの新しい提案を支持するという表明にほかならないというふうに思うわけですね。
 しかし、この米国の提案には、EUの議長国スペインのマタス環境相とそれからバルストロム欧州委員の連名で、公式見解の声明が出ておりました。これが強調しておりますのは、国際社会は、発効を目指す京都議定書が先進国の温室効果ガス排出量を一九九〇年比で約五%減らすという排出の絶対量削減達成を掲げている、しかし、米国提案では、排出絶対量の増加を許し、気候変動に効果的に取り組む上で不十分であると指摘しております。さらに、声明では、米国も署名している気候変動枠組み条約が先進国の温室効果ガス排出量を九〇年の水準に戻すことを定めているにもかかわらず、新提案はそのような温室効果ガス排出量の安定化にはつながらない、このように批判をしております。米国の現在の排出傾向が続けば、二〇一二年には九〇年比で三三ないしは三九%の増加になるという指摘もしているわけですね。しかも、米国の提案は全く拘束力を持たないものであります。
 ですから、こうした米国の提案を評価するというようでは、私は、気候変動枠組み条約の米国の違反行為、条約締約国でありながらそれに違反をするというような、こういう行為を支持するようなものではないかというふうに思うのですが、大臣の率直なお考えをお聞かせいただきたいと思います。
大木国務大臣 まず、米国が現に、ブッシュ政権は京都議定書を、一応前政権は京都ではあれを採択したわけですね、あれは全会一致でございますから。そしてその後、米国政府としての署名もしておりますけれども、これはあくまで行政府の署名でありまして、国会ではまだ手続をとっていない。そこで今度、新政府ができたときに、ブッシュ政権としてはこれを支持しないということを言いましたから、アメリカにとっては、行政府としては、政権がかわったからそれは違うといえば違うんですけれども、条約の違反かというと、まだ条約ができておりませんから、それに違反したかというと、アメリカはそれに入らないと、一歩手前でとまってしまったということであります。
 しかし、せっかく京都では当時のアメリカの政府は全会一致で賛成したわけですから、それは私どもは非常に残念に思いますし、今の時点でまた全く違うアプローチをしておるということについては、先ほども私も申し上げましたけれども、不満というか、それは当然、日本政府としてはその点は決して評価というには値しないと思います。
 ただ、アメリカとしてもいろいろな意味で、先ほども申し上げましたけれども、京都議定書の枠内には入っていないにしても、気候変動の全体の枠組み条約には入っておるわけです。ですから、その中でもいろいろできるし、それから京都議定書に書いてあることの中で、これから開発途上国との話し合いというか、むしろ開発途上国へのいろいろな意味での技術的あるいは資金的なというのも入るかもしれませんが援助とか、あるいはみんなで一緒に科学技術を開発してやろうとか、そういうようなことは可能なわけですから、決してにこにこしているわけではないんですけれども、きちっと話をできる部分はしたいということで、いずれ私も、既に実は私、大臣になりましてから、アメリカの向こうの環境大臣だとか、それから国務省の国務次官とかそういう人々とは話をしておりまして、いずれ話をしたいということは言っておりますし、それから、例のG8のサミットもことしはカナダであるわけですが、そのサミットの前に環境大臣会議もやりたいと思っておりますので、そういうところでは、またひとつきちっと日本側の要望といいますか考え方ということは伝えたいと思っております。
藤木委員 そうなんですよね。気候変動枠組み条約、これにサインをしているということは、九〇年代レベルに安定させるということを承知しているわけですよね。ですから、多国間の間で結んだ約束を守らないという点ではやはり信義にもとるということを私は申し上げておきたいと思うんですね。
 米国の提案については、既に来日した米国務省のハーランド・ワトソン上級交渉官ですか、この方の今月一日の記者会見で、総量削減の京都議定書方式で計算をすると、十年後の排出量は九〇年に比べて三五・五%増になるということを明らかにしていらっしゃるわけですよね。そして、米国案というのは、排出量を減らすのではなくて排出量の伸びを鈍らせるのだということも説明されているわけです。ですから、京都議定書の削減義務と米国提案との乖離というのははっきりしていると言わなければなりません。
 この米国提案にカナダなど一部の同調する動きが出ておりますけれども、その一方で英国は、京都議定書と違って削減を義務づけていないので実際に効果は上がらない、このように批判をいたしましたし抗議もいたしました。このことは三日に明らかになっております。
 さらに、EUは四日、環境相理事会を開いて、京都議定書を加盟全十五カ国が六月の一日までに批准をしようじゃないかということを決めましたよね。EUは、さっきおっしゃいましたけれども、八月から九月にかけて行われる南アフリカの環境開発サミットですか、このときまでに発効を目指すんだということを言って、各国がそれぞれの批准の進みぐあいを三月中には欧州委員会に報告しようというところまでもう実効的な動きを進めているわけですよね。
 ですから、結局残っているのは日本とロシアの早期批准ということが残っているだろうというふうに思うんですけれども、私は、こういう状況では京都での国際的な約束に本当にこたえられるのかなという懸念を持たないわけにはいかないんですね。
 そこで、COP3の議長を務められた大臣として、京都での国際的な約束を守って京都議定書を批准するという決意をぜひお述べいただきたいというふうに思います。
大木国務大臣 現状は、今委員もお話ございましたように、これでEUが大体六月までにやる、こう言っているんですから、それから、日本とロシアがそれに加われば、一応数字の上では例の五五%とか五十五カ国というのが、五十五カ国の方はちょっとまだ足りませんけれども、恐らく途上国も、それから先進国の中でもほかのEU以外のものも出てきますから、大体いくと思います。ですから、日本としては、できるだけ早くひとつその条約を国会で承認していただきまして、そして全体としての発効に向けて努力を進めたいというふうに考えております。
 それから、あとカナダとかオーストラリアが多少まだ態度が不明確だと言われておりますが、オーストラリアは、あそこはもともとなかなか削減できないということで、京都議定書でのコミットメントも、ある程度伸びる、伸びるけれどもそこまででとどめるということを言っていますから、これはあそこの首相が最近どこかで声明しておりまして、これはどういう形でというのははっきり言っていませんけれども、そのコミットの数字は達成するように努力する、努力するというか達成する、こう言っていますので、これは一つの責任ある人の発言ですから、それはひとつそういうふうに受けとめていいんじゃないかと思っております。
 カナダにつきましては、あそこも州がいろいろございまして、州がかなり独立性が強いものですから、中央は中央として、自分たちの州ではどうだというふうな議論をする人もありますけれども、中央政府ではあくまで、アメリカの隣ですけれども、しかし自分たちとしては京都議定書を承認するということで手続を進めると言っておりますから、その辺を少しきちっと、落ちこぼれがないように私どもも努力したいと思っております。
藤木委員 COP3の議長国でありますから、時間的におくれないというだけじゃなくて、中身がおくれないものであるように、私はやはり規制措置をぜひ盛り込むことを改めて求めておきたいと思います。
 では次に、最近、不正入札、談合での政官業の癒着が問題となっておりますが、これは今問題となっているODAだとか北方支援に絡む不正入札だけではないんですね。環境省所管の廃棄物処理施設整備国庫補助事業をめぐる不正入札問題として、九九年八月には公正取引委員会が、日立造船、日本鋼管、タクマ、三菱重工、川崎重工の五社に対して、独占禁止法第三条の不当な取引制限の禁止の規定に違反するとして勧告を行った事件がございます。
 それは、それらの五社が共同して、地方公共団体が指名競争入札等の方法で発注するストーカー炉の建設工事について、受注予定者を決定し、その予定者が受注できるようにすることで、地方公共団体が指名競争入札等の方法で発注するストーカー炉の建設工事の取引分野で競争を実質的に制限している事実が認められた、そのためでした。
 これに対して、五社が応諾しませんでしたので、現在、審判手続を行わせているところですけれども、一方、この事件に関係して、損害賠償請求での住民訴訟が十三件ほど起こされております。例えば、九九年四月に提訴された福島県いわき市発注のごみ焼却施設の入札談合に係る住民訴訟があります。また、私の地元、尼崎市発注のごみ焼却施設の入札談合に係る住民訴訟もございます。
 そこで、こうした廃棄物行政にかかわるところで、不正な入札、談合などということがあってはならないことだというふうに考えますけれども、この不正な入札、談合を防止するため、防ぐために、廃棄物処理施設整備事業での工事発注手続、入札、それから契約といった過程での公正かつ透明性の確保について、大臣の基本的な御見解を伺いたいと思います。
大木国務大臣 これは、廃棄物処理事業ばかりじゃなくて、まずは公共事業のあり方ということで、これはたしか平成十三年四月でしたか、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律ということで、一応、できるだけきちっとしろという一つの法律はあるわけでございますから、まずはその枠内で公正にきちんと入札等々が行われるようにということが必要だと思います。
 それからもう一つ、これは最近私も感じているのですが、廃棄物の処理事業といいましてもいろいろありまして、例えば、きちっとした能力のある人がやらないといけないということがあるわけなので、そういう点はまた今の話とは別の問題ですけれども、それはおのずからそういったきちっとした人がやれるというようなことにならないといかないなというふうに考えております。
 それから、これもまた、入札じゃなくて、実は、きょうも予算委員会の方でもいろいろ話が出ておりましたけれども、最近は、廃棄物の不法な投棄、あるいは、その不法な投棄ということは、もとには、例えば不法にそういう廃棄物をつくる人がおる、事業者がいる、こういうことになりますから、その辺の問題もありますので、私は、環境の行政の立場からいいますと、そういったことがきちっと行われるようにということをまず全体として、これは環境問題自体の問題です、その中で、しかし、今のようなきちっとした公正な入札が行われるということは、一つまたそれはきちっと堅持しなきゃいかぬということでございます。
 ただ、今の個々の問題について私もちょっと詳細存じませんので、もし必要がありましたら参考人の方から追加に説明をいたしますが、どういたしましょうか。
藤木委員 今、大臣、公共事業一般ではないんですよね。私が申し上げているのは、環境省所管の事業の中では、廃棄物処理施設等にかかわる公共事業でそういったことが頻繁に行われているということなんですよ。
 大臣が今、仕事のきちんとできる人にやってもらわなきゃだめだと言ったけれども、それはコンサルタントのことですか。
大木国務大臣 今私が申し上げましたのは、必ずしもコンサルタントではなくて、一般論として、事業者の能力ということを全般的に申し上げたわけであります。
藤木委員 ところで、私、きょう取り上げたいと思いますのは、福島県の二本松市を中心とした安達地方広域行政組合の汚泥再生処理センター建設工事に係る施設整備計画について、環境省は、今、福島県と協議をして、二〇〇二年度予算の内示のための審査を現在行っていると伺っております。
 この安達地方広域行政組合の汚泥再生処理センター建設工事では、行政組合が東京を本社とするあるコンサルタントを活用して基本設計を行わせているのですけれども、去る一月七日、このコンサルタント会社から各メーカー十一社に連絡が入りました。いきなり一月十日までに整備計画用参考見積書提出を求め、しかも、「営業行為について」「見積設計図書審査について」、組合名での誓約書の提出、さらには見積仕様書を本社にとりに来るように指示しております。
 ところが、その後、その後といいますのは、コンサルタント会社から各メーカーに連絡が入ったのは一月七日のお昼ごろだったんですが、それから四時ごろになっておりましたね。その後、行政組合の課長が各メーカーに、参考見積用仕様書などの詳細について、コンサルタント会社の東北支社から連絡しますというファクスを送っているわけですよ、メーカーに対して。
 二日後、一月の九日に、コンサルタント会社のこちらはまた本社から各メーカーに、今回の内容についてはすべて破棄するとともに、今後は同組合の指示に従うようにというファクスが入るわけです。また、「営業行為について」、誓約書や「見積設計図書審査について」は、同組合の指示を受けないまま設計事務所が独自に送付したものですというファクスも送信されております。
 そこで、まず、五十億円程度の大きな仕事ですよ。こういう工事物件が、二日や三日で整備計画用の参考見積書ができるわけがないんじゃないですか。そのように私は考えますけれども、同時に、見積仕様書を提示しているのですから、メーカー十一社のうち、特定されたメーカーと事前協議がなされていないと到底無理だろうと考えるわけですね。
 この整備計画を審査している環境省として、公正な発注手続が確保されていると考えているのかどうか、環境省、どうですか。
飯島政府参考人 本件につきまして福島県を通じて事情を確認いたしましたところ、おおむね先生御指摘のとおりでございまして、御指摘の組合が契約をしたコンサルタントの会社が、十一社のメーカーに対しまして、二日とか三日で参考見積書の提出を依頼した、その期限前、その二日後ですかその次の日ですか、この組合の方から各メーカーに、二週間以上の期間を設けて見積書を提出するよう改めて依頼し直したというふうに聞いております。
藤木委員 私が伺ったのは、そのやり方が公正な発注方法か、そういう手続かということを伺ったんですけれども、そのコメントはいかがですか。
飯島政府参考人 環境省の立場では、地方公共団体の整備計画を審査するという立場でございまして、その事前の手続について環境省の立場で判断するのは難しいと思いますが、二、三日で提出というのは、確かに、常識的に考えてなかなか難しかったので、それを改めて、十分な期間を置いて要請をし直したというふうに承知しております。
藤木委員 もうちょっとちゃんと調べていただきたいと思うんですよ。
 このコンサルタント会社は、本来、行政組合が送付すべき「営業行為について」あるいは「見積設計図書審査について」、組合名での誓約書などの書類を勝手に各メーカーに送付していたということを認めていますよね。ですから、この行政組合というのは、コンサルタント会社をこの整備事業から除外するというようなペナルティーを科すのが業界の常識というふうに私は伺っております。
 ところが、このコンサルタント会社の越権行為に対して何の処分もしないというふうに伺っているんですけれども、一般的に言って、環境省の発注工事で、環境省を差しおいてコンサルタント会社が勝手に各メーカーに環境省の書類を送付していた、こんな場合、何のペナルティーも科さない、そうなんですか。一般論で結構です。いかがですか。
飯島政府参考人 今、委員の御質問で、環境省の発注工事というお話だったんですが、本件は市町村の組合の発注工事でございまして、コンサルタントがどういう業務を行うかは、基本的には、この業務の発注者である地方公共団体とコンサルタントの契約において定められるものでございまして、当該地方公共団体がこのコンサルタント会社の行為の適否について判断するものでございます。仮に、そうした行為の結果として、補助金の申請が過大に行われたりということがあった場合には、環境省として、審査をして補助金の減額等の措置を行うことになります。
藤木委員 後でその点はもう少し詳しく伺いたいと思いますが、それでは、一月七日に見積仕様書を提示するためには、少なくとも一年以上前の施設整備実施計画の作成段階から各メーカーとヒアリングを行って、概要見積設計図書、参考見積設計図書を各メーカーから提出させ、精査をして作成するものですよね。ですから、特定のメーカーから既に見積設計図書などが提出されていて、事前に協議され作成した見積仕様書が提出をされていて、そして二、三日のうちに整備計画用参考見積書を提出するよう十一社のメーカーに限って求めたということは、明らかに私は発注手続過程での競売入札の妨害の疑いがあるのではないかというふうに考えます。
 しかし、そもそも行政組合から各メーカーに書類などを連絡するべきところをコンサルタント会社が先に連絡するという事態は、越権行為そのものではないでしょうか。こうした事態は、行政組合の一部の人がコンサルタント会社と癒着をしていてコンサルタント会社に行わせていたのか、あるいは十分な経験と技術力のない市町村の行政組合をないがしろにしてコンサルタント会社が勝手し放題になっているか、そのどちらかであろうと思います。
 いずれにしても、旧厚生省通知でもコンサルタントの積極的な活用を推奨していますけれども、コンサルタント会社の活用方法について、改めて実態を調査するということをやる必要があるんじゃないですか。そして、私は改善を図るべきだと思いますが、いかがですか。
飯島政府参考人 廃棄物処理施設の整備事業というのは、全国三千三百市町村がございますので、小さな市町村にとりましては、およそ二十年に一度の大事業ということになります。そのためだけに専門の人材を職員として十分に確保することは困難であるということから、専門的知見を有するコンサルタント会社を効率的に活用するということは有効だというふうに考えております。
 旧厚生省の通知もその視点で、まず有能な専門的な知見を有するコンサルタントを養成すること、これが大事なわけでございますが、これとあわせまして、そうした専門的知見を有するコンサルタント会社を上手に活用するように通知を出した経緯がございます。
 委員御指摘のコンサルタント会社の活用の実態につきましては、御指摘もございましたので、どのような形で調査をするかも含めて検討させていただきたいと思います。
藤木委員 ぜひやっていただきたいと思いますよ。ここの場合なんか、上手になんか活用していませんよ。いいようにされていると私は思いますよ。
 それで、九三年の十月に旧厚生省の環境整備課長名で、廃棄物処理施設整備事業適正化懇談会の取りまとめの周知を指示しておられますけれども、その取りまとめを拝見しますと、現在までのところ、市町村に廃棄物処理施設整備に係る十分な経験と技術力がない場合には、今おっしゃったように、専門能力を有するコンサルタントを活用することが解決策と言えると、解決策だと言えるというふうにしているわけです。
 そして、コンサルタントとして果たし得る役割は、主たる業務は、基本設計の策定、環境影響の調査、全体配置計画、施設周辺の整備計画、発注仕様の作成、メーカー側との詳細打ち合わせ、情報収集と分析、市町村の意思決定のための資料整備、見積設計図書の審査、契約後の発注者側での施工管理、場合によっては建物関係の実施設計、竣工検査など、市町村の立場に立っての業務展開であると、実に広範にわたって業務範囲と責任を明示しております。
 しかし同時に、市町村みずからの行うべき範囲と責任、代行させる役割、コンサルタントが関与する範囲と責任を明確にしておく必要がある、このようにも指摘しているわけですね。
 ですから、私はぜひ、コンサルタント会社に越権行為がないように、整備計画の審査に当たっては十分注意をしてもらいたいと思いますけれども、環境省、どうですか。
飯島政府参考人 平成五年の厚生省の環境整備課長通知は、そのとおりでございます。
 それで、先ほども申し上げましたが、あくまでも発注者である地方公共団体が契約、入札も含めまして責任を持つという考えでございますので、実は、コンサルタント会社というのは、発注者である地方公共団体の手足として活用する立場でございますので、先生おっしゃったように越権行為ということではなくて、地方公共団体が責任を持ってやっていただく。これは、今お話のあった見積もりだけの話でございません。入札のあり方、契約のあり方、節目節目で我々は、補助金の内示をするたびに地方公共団体に対して、そこを適正に行ってほしいということを一つ一つお願いをしているところでございまして、その一環として、コンサルタントも含めて、事業者である、発注者である市町村が責任を持ってやっていただく体制をつくっていきたいと思っております。
藤木委員 市町村が責任を持ってやっていくことだと言われますけれども、どこまでお調べになったのでしょうか。きのうあれからお調べになったのですかね。それでは十分なことがわかっていないのじゃないですか。
 行政組合は、一月八日付の正式文書でメーカー十一社に対して、先ほどあなたがおっしゃったように、一月二十二日までに整備計画用参考見積書を提出しろ、そして二月二十八日までに見積設計図書の提出をしなさいというふうに改めたということをおっしゃっているのでしょう。それで、そのときに各メーカーは、だから、今やっと書類を書き終えて提出したところですね、三月に入っていますから。
 ところが、一月の二十九日、つまり二月二十八日よりもほぼ一カ月前、一月二十九日に急遽、見積設計図書提出現場説明会というのが行われているのです。そこで、二月二十八日までに見積設計図書並びに見積書の提出を各メーカーに示しておきながら、一方で発注仕様書案を提出しているのですよ。そんなことってできるのですか。それぞれが見積設計図書の提出もしていないのに、発注仕様書を出せますか。そんなの出せるわけありませんよ。
 通常、全国都市清掃会議が作成をした「汚泥再生処理センター等建設工事の発注手続」を見ましても、業者の提案図書の作成期間というのは通常一カ月以上かかる、技術審査に必要な期間は、比較検討に三カ月、審査に三カ月、合わせて半年以上、これだけを要するとして、しかしそれは必要だ、こう述べていますね。その期間を無理に短縮しようとすると、施設のできばえに問題を残す可能性がある、こうまで指摘しているわけですよ。
 そこで、通常、見積設計図書の比較検討、審査を経て、仕様書を見直して発注仕様書が提出されるということになっているのに、この発注手続の過程を経ないまま、駆け込みというか押し込みというか、短期間に発注仕様書が提出されるなどとはとても考えられないことです。
 私は、環境省に、整備計画を審査しているのですから、その立場から、透明性、公平性、これが確保されないで出てきたものが、適正価格以内だったら認めるのか。国民の税金です。いかがですか。
飯島政府参考人 私どもが福島県を通じて聞いていることと若干違う、誤解があるのではないかと思いますが、私どもが聞いておりますのは、見積図書の提出は二月二十八日まで、これは同じなんですが、それに基づいて審査を約一カ月行いまして、それ以降、組合において発注仕様書を決定する、こういう予定であると聞いておりますので、先ほども委員御指摘の、一月二十九日に発注仕様書が出ているというふうには承知しておりません。現場説明会があったということは聞いております。
藤木委員 よく調べていただきたいというふうに思いますよ。
 しかも、後でお話しいたしますけれども、この発注手続というのは自治体任せにされているから、環境省は関係ないかのように言われますけれども、とんでもございません。
 さきに挙げた厚生省の懇談会の取りまとめでも、事例調査、仕様の検討、見積設計図書の審査等は適切な施設整備において極めて重要であるというふうに強調しています。
 ですから、見積設計図書の比較検討だとか審査を一カ月なんというのは話になりませんよ。技術的な審査で、比較検討に三カ月要るというんですよ。審査にさらに三カ月要る。ですから、これは来年でなければ出てこない案件ですよ、今こんなことをやっているんだったら。もし今本当に発注するつもりであれば、半年前にやられていなければならないことです。
 こういったやり方を見ていますと、結局、見積設計図書の比較検討だとか審査をほとんどやらずに発注仕様書が提出されて、施設整備計画書が県を通じて環境省に提出されている。内示の審査が実施されても、適切な施設整備がなされるとは私はとても思えません。
 しかも、現場説明会で提出をされた発注仕様書は、ある特定メーカーの見積設計図書をもとにして作成されたものとしか思えない中身になっているんですよ。この発注仕様書では、ある特定メーカーにしか落札できないような内容になっていることです。
 例えば、この発注仕様書案には、見積設計図書の提出期限をことしの二月二十八日までと指示しながら、「但し、既に提出済みの者はこの限りではない。」と書いてあるんですよ。どうしてそんなことができますか。どうして事前にそんなことができるんですか。私はそのことを問いたいと思いますね。
 末尾に図面もついているんです。これがそれです。ちゃんと発注仕様書と書いてございます。平成十四年一月二十九日、行政組合と書いています。出ているんですよ。この一番最後についているこの図面を見ますと、きっちりよくもこんなにおさまるものだというふうに、きれいにおさまるようにもうできているわけですね。
 ですから、こういうことを見てまいりますと、この発注仕様書の末尾に出ている配置図というのが、高圧線と敷地境界線の間にきっちり管理棟がおさまっている、投入棟がある、水処理施設棟がある、資源化施設棟も配備されています。しかも、この全体配置図は、よくよく見ると、小さく、平成十三年、つまり二〇〇一年、去年の作成になっているんですよ。不思議じゃないですか。あなた、だまされているんですよ。いいかげんなことを言われて、ああ、そうかと、うのみにしちゃいけないと思います。
 そうすると、表向きは一般指名競争入札の形式はとっていますけれども、結局、行政組合の一部とコンサルタント会社がある特定のメーカーと組んで、施設整備にとって大変重要な発注手続の過程を省略して、短期間の間にこの特定メーカーに落札するように仕組んでいる、他のメーカーを競争入札から制限するのではないか、こう疑われても仕方がないと考えますけれども、ここで公正取引委員会にお聞きします。
 この競争入札の制限にならないように、発注手続の過程での指導をするべきだと思うのですが、いかがですか。
鈴木政府参考人 お答え申します。
 入札や契約の適正な実施は一義的には発注者の問題でございますが、公正取引委員会では、従来から、事業者間で入札談合等の独占禁止法違反事件が行われました場合、その事件の調査の過程で、発注者側から、受注予定者の意向表明や予定価格の漏えいなど、独占禁止法違反行為を誘発、助長する発注者側の行為が認められた場合には、当該発注者に対して改善要請を行っているところでございます。
 しかし、御指摘の案件は、まだ発注前の段階と伺っており、まず、一般競争入札の趣旨に照らして発注者側が公正な入札の実施を確保すべき問題でございまして、現段階で公正取引委員会として対応する必要がある問題にまではなっていないと考えております。
藤木委員 見つかるようなことをやらないでやるんですよね、こういう事件というのは。だからまかり通っているんですよ。
 それで、私が申し上げたいのは、この案件に関してこれまで説明してきたんですけれども、見積設計図書が出されてから比較検討も審査もしなければならない。それを通じた上でなければ出ないはずの発注仕様書、これが先に出ているということだけでも極めて不自然なことでしょう。もう客観的な事実ですよね。
 ですから、なぜそういうことがまかり通っているかという理由の説明がつかないようなことがあるわけですから、こうした事実だけでも公正取引委員会としては無関心ではいられないと私は思いますよ。だから、事を起こすのを待っているんじゃなくて、起こる前に未然に防ぐというぐらいのウオッチングをきちんとやっていただきたいと思いますが、いかがですか。
鈴木政府参考人 公正取引委員会としましては、独占禁止法違反事件として取り上げるわけでございますので、その未然防止のために、公正取引委員会として発注者側を、例えば毎年会議を開きまして、入札談合等が起きないように指導しているところでございますので、その点につきまして御懸念のところは、またそういった機会を通じて伝えたいと存じます。
藤木委員 しっかり見張りをしていただきたいと思いますね。
 もう時間が参りましたから、最後に大臣にお伺いをしたいというふうに思うのですけれども、この施設建設工事発注仕様書の充実と、それから提案図書技術審査の良否、これが事業の透明性、公平性を確保する上で重要な事項だというふうに思います。公共事業適正化促進法に基づいて、情報の公開や不正行為の防止に努めなければならないというふうにされているわけですけれども、先ほど触れましたけれども、行政組合の発注仕様書の審査、決定に基づいて施設整備計画書が作成され、県を通じて環境省に上がってきて、環境省は県との間でヒアリングを行って、整備計画書を審査し、そして、本年度予算が国会を通過した後、内示をおろすということになるわけです。しかし、その施設整備計画が、公平性や透明性が確保されないというようなところで作成された発注仕様書に基づいてつくられたものであるとするならば、これは適切な施設整備が行われる保証はないというふうに私は思います。そういう駆け込み的な事業に国庫補助が使われてはいけない、このように思います。
 ですから、間違っても、内示後の入札で、地元のうわさされているある特定メーカーが落札して不正疑惑が発覚することがあってはなりません。少なくとも、公平性や透明性の確保にとって大変重要な発注手続の過程を省略しないように、施設整備計画の審査に当たって適正な判断を強く要請しておきたいと思いますが、一言お答えください。
大木国務大臣 究極的には、税金を使ってと、こういう問題ですから、それはあくまで公平性、透明性がきちんと確保されるように、今いろいろと具体的な案件についての御質問でございましたけれども、一般にそういうことがきちっと確保されるように今後も努力をしたいと思っております。
藤木委員 ありがとうございました。
大石委員長 原陽子さん。
原委員 社会民主党の原陽子です。よろしくお願いします。
 まずは、大臣所信に対して、大臣に幾つか御質問させていただきたいと思います。
 大臣は、所信の中で、減少する自然林や干潟、里山などの残された自然を保全、再生することが課題だと認識されております。そして、重点施策の三番目には、都市近郊における里山の再生、河川の蛇行化による湿原の再生などの自然再生事業を推進すると述べられております。この中で一つ私が気になることがあったので、御質問させてください。
 それは里山に関する部分なんですが、課題として認識されていらっしゃるのは保全と再生と述べられているのに対して、重点的に取り組む施策の部分になると再生としか述べられておりません。これには何か理由があるのかということをお願いします。
大木国務大臣 一カ所のところでは保全、再生と言って、もう一つのところでは再生とだけ言っているということで、別に保全をやらないということじゃないんですけれども、特に、いろいろな意味で、具体的にこれからの新しい措置として再生というところに重点を置こうということを強調したわけですけれども、強調されないところは、ないというわけではございませんので、そういうふうに御理解をいただきたいと思います。
原委員 今、再生に重点を置くという御答弁をいただいたんですが、再生というのは、破壊があって再生となるわけだと私は理解しているんです。それなので、再生の前にやはり保全ということに重点を置くというような御認識を持っていただきたいと思うんですが、もう一度大臣のお考えをお聞かせください。
大木国務大臣 こういうことを申し上げると、かえってまた誤解を招くかもしれないんですが、里山というのは、里山だけちょっと今とりあえず例示的に取り上げて申し上げますと、やはり手を加えなきゃいけないんですね、あれは。ただ保全で、保全というまた言葉の問題になりますけれども、ただあるがままということじゃないので、やはり、だからそれは、保全と再生とは一体になって動いているものだと思うんです。
 そういうことで、別に保全ということを無視しているということでは全くございませんので、たまたま再生ということの方に、また、たまたまこちらとしては、新しいことをいろいろやるというときに、再生ということが頭にあったものですから申し上げましたけれども、むしろ、言葉としては両方とも非常に関連がある問題だと思っています。
原委員 私は、破壊する原因の代表格というものはやはり公共事業じゃないかなというふうに感じています。ぜひそうした公共事業に対して厳しく意見をもうちょっと環境大臣として述べていっていただきたいということ、それがやはり保全とか再生ということに強くつながってくるのではないかと思っております。
 そこで、一つ提案というか、お考えとしてぜひ取り入れていただきたいなと思うことなのですが、生物多様性の国家戦略において、ぜひ新しく入れていただきたい点です。
 ダムとか道路、廃棄物処分場などを建設する際に、生態系の豊かな場所を除外して計画を立てることを、新しく見直すということになっております国家戦略にしていただきたいという提案です。
 この手法はドイツなどで既に取り入れられている手法らしくて、例えば、こういうところはつくっちゃだめ、要するに、住宅密集地はつくっちゃだめ、つくっちゃだめというネガティブマップがあって、そういうところにはつくらない。つくっちゃだめというところが決められていて、そこから公共事業を起こしていくというような考え方であるそうです。
 私は、この考え方というのは、生態系の豊かな場所を保全する上でとても意味のあるというか有効的な手法だと思います。ぜひこの手法を国家戦略へと取り入れていただきたいのですが、大臣のお考えをお聞かせください。
大木国務大臣 大きな意味では、生態系のそれこそ保存ですか、尊重ですか、そういったことは一つの基本的な方針だと思います。
 ただ、日本でいろいろなことをやろうとした場合に、生態系の問題があるからもう全然何もそこでいろいろなことができないということになりますと、これはまたいろいろと、恐らく現実の問題としては、非常に窮屈と言うと言葉が悪いんですが、やはりある程度は活用して、そういう場所をいろいろと開発したり、例えば、だから今のお話でいいますと、里山なら里山というようなところを使うということを全く排除するということになりますと、これは非常に、国土をどうやって活用していくかというときの、余りにも窮屈になり過ぎるということもありますので、ですから、生態系というものを十分尊重しながらということはわかるんですけれども、それではひとつ、今の里山なら里山という、あるいはまたほかにもあるかもしれませんが、そういったものをいろいろな計画の対象から全部外せということになると、ちょっとなかなかこれは難しいんじゃないかなという感じがしております。
 しかし、もう一遍繰り返して申し上げますけれども、生態系をきちっと保存していくということが大きな一つの基本だということは申し上げられると思います。
    〔委員長退席、奥田委員長代理着席〕
原委員 ありがとうございます。ぜひその大臣の決意というかお気持ちを持って、こうした生態系の保存というものにも積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 関連して、もうちょっと大臣に質問させていただきたいのですが、環境を破壊する要因の一つとして、公共事業というもののほかに相続税というものが挙げられるという指摘があります。つまり、国税として税を取り立てていくために生物の生息域が失われてしまうというような、破壊されてしまうという実態だと思います。
 先日、二月十九日の租税特別措置法の改正案に対する代表質問、私が行ったのですが、その質問の中で、私は、里地里山は生物多様性の宝庫として保全されるべき世界的、国民的な財産であるとし、相続税や贈与税の引き下げについて検討してはどうかと塩川財務大臣に提案をさせていただいたところ、塩川大臣の方から、山林などに対する税制、相続税などの優遇措置などを考えたらどうだということでございます、私たちも、緑豊かな土地の保全のためには最大限の努力を払っていきたいし、またそういう社会がぜひ確保していくことに努力をしておりますので、そのための相続税についての検討をやはり絶えずあわせていきたいと思っております、また、都市近郊の緑の保全のためには、できるだけそういう方面での配慮をいたした税制をしたいと思っておりますという、私からしてみると結構前向きな御答弁をいただいたなと思っておるのですが、このことについて、塩川大臣の方から大木大臣に、何かお話とか働きかけとかはございましたでしょうか。
大木国務大臣 事務的にそういうお話があったということは私も聞いております。
 それで、私のとりあえずのコメントといえば、やはりせっかく塩川大臣がそうおっしゃったわけですし、ですから、それは責任の大臣がそうおっしゃっているわけですから、それは環境省の立場からいっても、大いに結構じゃないかということで、ひとつこれからも勉強してまいりたいと思います。
原委員 では、ぜひ大臣同士での協議もなさっていただきたいと思います。
 大臣からとても積極的な御答弁をいただいたので、ぜひ協議をするときに、山林と都市近郊の緑の保全についてはそうした税制措置をするという御答弁だったんですが、実は、山林と都市の近郊の中間にある里地里山に関しても、ぜひこうした税制優遇というような御検討をいただきたいということを、協議の際にぜひ財務大臣の方にも働きをかけていただきたいと思います。
 次の質問に移らせていただきます。
 次の質問は、大臣の所信の中では触れられていなかった点なんですが、私はとても重要だと思う点です。それは米軍基地と周辺の環境問題に関してなんですが、実は、現在私の住んでいる神奈川県もたくさん基地のある県でございます。
 まず、冒頭に確認をさせていただきたい事項があります。日米の地位協定をもとに設置されている日米合同委員会の下にある環境分科会について確認をさせてください。
 環境省と防衛庁、そして厚生労働省、国土交通省、外務省が正式メンバーであって、そして日本側の代表が環境省環境管理局総務課長が代表であるということに間違いはないでしょうか。
    〔奥田委員長代理退席、委員長着席〕
西尾政府参考人 先生今お尋ねの環境分科委員会の日本側メンバーでございますけれども、日本側の代表といいますか議長は環境省の環境管理局総務課長でございまして、そのほかの常設のメンバーは、防衛施設庁、外務省、国土交通省、厚生労働省の担当課長でございます。先生の御指摘のとおりでございます。
原委員 それでは、過去三年間でこの環境分科会が開催された日時を教えてください。それと、それらの会合に出席をした省庁をおわかりであれば教えてください。
西尾政府参考人 環境分科会の開催状況でございますが、日米間のことでございますので、ちょっと個々にわたるところは控えさせていただきますけれども、従来は双方の議長の招集によって開催されてきたわけでございますけれども、平成十二年九月の安全保障に責任を有する日米の閣僚が集まる日米安全保障協議委員会で発出された環境原則に関する共同発表ということがございまして、その中で定期的に環境分科委員会を開催するということになっておりますので、それに従いまして、分科委員会の規約が昨年六月に改正されまして、原則として年四回定期的に分科会を開くということでございます。
 そういうことでございますので、現在はいわば四半期ごとに定期的に開いておるということでございまして、基本的に現在の、申し上げました省庁のメンバーの方が御参加されるということでございます。
原委員 一点だけちょっと気になることがあったので再度お聞きしたいんですが、日米間にわたることなので個々にわたるところは控えさせていただきたいという御答弁だったんですが、これはなぜですか。
西尾政府参考人 日米間の信頼関係に基づきまして個々具体的な事案につきまして協議をいたしておりますので、それぞれの会合の詳細につきまして特に公表するということをいたしておらないということでございます。
原委員 私ちょっと、いまいち納得がいかないというか疑問に思うんですが、環境分科会の中ですから、環境にかかわることをお話し合いなさっているわけですよね。それは別に、公表しないとか余り関係ないんじゃないんですか。例えば、防衛とかそういうことですと、国家機密にかかわるとかいうことをよくおっしゃられるとは思うんですが、環境に関しては、別にどの国が損をするとか不利益になるということは余り関係ないのではないかなというふうにも私は感じるのでありますが、ということは、この分科会に関しては、議事録と言われるものですか、そういうものは存在していないということでしょうか。
西尾政府参考人 分科会につきましての議事録は公開をいたしておりません。
 それから、お尋ねの、環境問題であるのでそういう情報はできるだけ公開すべしということはそのとおりでございまして、この日米間でいろいろ協議いたしましたアウトプットが出てまいります。それぞれの汚染問題に対する対処方針でありますとか、あるいは米軍におきます環境対策のための基準といったようなものがまとまりましたら、こういうものはオープンにといいますか、公表に付されているということでございます。
原委員 では、ぜひその議事録というものの公開というものも求めていきたいですし、こうした環境にかかわることというものは私はやはり広く公の場所で議論されるべきものだと思うので、ぜひもうちょっとオープンな、公の場で議論される仕組みにしていただきたいなというふうに思っております。
 先ほど、私、出席された省庁を教えてくださいという質問をしたんですが、一つ一つ細かくはお答えしていただけなかったと思います。事前に防衛庁の方には、この分科会にどれぐらい出席されていますかというような質問をしたときに、防衛施設庁としては毎回出ているわけではないという、電話でのやりとりだったんですけれども、御答弁をいただいたんですね。年ちゃんと四回開催されているというようなことをおっしゃったんですが、防衛庁は毎回出ているわけではないというようなことをおっしゃっていました。
 こういう態度というか、その言葉を聞いておりますと、防衛施設庁として日本国土における米軍による環境汚染というものをどうやって重視されているのかとすごく疑問に思います。この環境問題とか環境汚染というものを重視されているのであれば、この環境分科会には私は毎回出席していることが当然であると思うのですが、この出席しているかしていないかというようなことについて、今度、防衛施設庁さんにお答えいただきたいと思います。
大古政府参考人 防衛施設庁の方からお答えさせていただきます。
 合同委員会のもとの環境分科委員会におきまして、米軍基地の環境上の問題がある場合には常時防衛施設庁は出席させていただいております。
原委員 では、多分電話でのやりとりの中で違いがあったのかと思いますが、そうであるならば、やはり議事録とかそういうものをしっかりと公表すればこのような誤解は生まれないと思います。
 では、そもそも日米合同委員会の中で、この環境分科会の中で、環境汚染とか環境問題というものをどのようにとらえていらっしゃるのでしょうか、お願いします。
西尾政府参考人 今の先生のお尋ねは、環境分科会で取り扱う環境問題の範囲というお尋ねだと思います。
 これは、在日米軍の活動に起因して生ずる環境問題でありまして、日米合同委員会から付託された事項もしくは環境分科委員会の両議長が取り上げることに合意した事項という言い方をしておりますが、具体的には、大気汚染、水質汚濁あるいは地下水・土壌汚染、廃棄物の処理問題など広く各般の環境問題を取り扱っておりますので、基本的には環境汚染問題は皆入ると思っています。
 ただし、一点だけ、航空機騒音に関しましては、別途の専門分科会でございます航空機騒音対策分科委員会がございますので、そちらで協議されることになっています。
 したがいまして、それを除く環境汚染の問題はここで扱うものだというふうにお考えいただいて結構だと思っております。
原委員 要するに、典型七公害と言われるものが含まれているという理解でいいかと思います。
 事前の、またこれも防衛施設庁さんに聞いたときのお話なんですが、環境汚染の実態を教えてくださいというふうに防衛施設庁の方にお願いをしました。そのときに、防衛庁の方から、環境汚染とはどのようなものが含まれますかというふうに聞かれたので、いわゆる典型七公害の、先ほど御答弁の中にありました水とか大気とか土壌とか騒音と言いかけた、その騒音と言いかけたときに、騒音もですかと逆に驚かされてしまったんですよね。
 先ほど、航空機の騒音に関しては別の分科会があるというお話だったんですが、騒音というのも、私、十分というか、やはり深刻な環境問題だというふうに認識をしているんですよね。実は、私の住んでいる神奈川県も物すごい飛行機の音がするんですよ。すごく、もう我が物顔で縦横無尽に爆音をまき散らして米軍の飛行機が空を飛んでいるというような実態がある中で、それを周辺住民はもうこれは明らかに環境問題だというふうに認識をしている中で、一防衛庁の職員さんとの電話でのやりとりだったのですが、その中で騒音が環境問題であるという認識がないということに、私は非常に国民と行政の大きな認識の差というものを感じたのですが、この点について防衛庁さんはどのようにお考えになりますでしょうか。
大古政府参考人 お答えいたします。
 米軍施設に係る環境問題ということの中では、騒音問題も重要な課題だと認識しておりまして、周辺住民に対する影響を軽減する観点から常に努力していく必要があると防衛施設庁としても思っております。
原委員 では、ぜひそのような認識で、基地周辺の環境問題、環境汚染ということに関して、この騒音の問題もしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 次に、幾つかの事例についてお尋ねをいたします。
 一九九九年の十一月十六日に参議院の国土・環境委員会で行われたやりとりの中なのですが、島袋議員が嘉手納や普天間飛行場の騒音問題についてここで質問をされています。そのとき、当時の政務次官が、このころは環境庁ですね、「環境庁といたしましては、今後とも防衛施設庁等と連携を図りまして、環境基準の達成に向けまして、同時に航空機騒音の一層の軽減を図るべく頑張る決意でございます。」とこのやりとりの中で答弁をされています。
 一九九九年のこの後に、環境省と防衛庁はどのような協議をなさったのか、お答えをください。
西尾政府参考人 御指摘のように、航空機騒音問題の解決に向かいますには防衛施設庁と環境省との連携が大切であるということで、御答弁を政務次官から申し上げたと思います。
 その後、毎年、私どもとしては、自治体の測定いたしました米軍基地周辺の騒音の現況資料というものを防衛施設庁に提供するというようなことがございます。それから、逆に、対策の状況につきまして防衛施設庁から知らせていただくというようなことがございます。そういうような形で連携に努めてきておるところでございます。
 そうしたことの積み上げの中で、これまでの航空機騒音の抑制策とかあるいは住宅等の防音工事が進められているのだと思いますけれども、さらに一層きめ細かな対策ということをやっていかなきゃいけないと思っておりまして、そういう点からも、さらに連携を密にしてまいりたいというふうに考えております。
原委員 しっかりと連携をして頑張るぞというような御答弁だったと思いますが、では、その結果、このとき、沖縄県で平成十年の騒音基準の達成率は三一%だと政務次官がたしか御答弁をなされています。そのような一生懸命連携をとってきた中で、この達成率が、現在、平成十四年の段階ですか、最新データがなかったとしても、平成十年以来どのように達成率が上がってきたのかという数字があれば教えてください。
西尾政府参考人 当時の政務次官のお答えにあります三一%につきましては、那覇と嘉手納と普天間を合算しておりますので、ちょっと今その形では合算しておらないのでありますけれども、平成十一年度、平成十二年度の米軍基地関係の全体の達成状況というのは大体五五%、五四%といったところで、横ばいの状況であります。
 そういうことで、一方では障害防止対策は進んでおるわけでございますが、環境の方の、測定地点での達成地点数の割合自体は横ばいの状況でございます。
原委員 では、横ばいではなく、達成基準が、本当だったら私は騒音なんか全部なくなっちゃえばいいのにと思うのですが、この達成基準が横ばいではなくしっかりと達成をされていくように、先ほどの御答弁、力強い御答弁にあったように、ぜひしっかりと連携をとっていただきたいと思います。
 もう一つの事例なんですが、最近、横須賀の米軍海軍基地で、ベンゼン濃度が環境基準の四・五倍見つかったと報道をされています。
 今回、この質問の準備に当たって環境省に、米軍施設にかかわる主な環境問題について把握しているものがあれば教えてくださいというようなお願いをしたら、これぐらいの、土壌汚染と水質汚濁と騒音というようなもの、二枚紙でこういうまとまったものをいただいたんですが、この環境省からいただいた資料の中には、今回のこの横須賀の汚染については書かれておりませんでした。
 これが載っていたときの新聞記事によると、横浜防衛施設局が二月十八日にこのことをしっかりと発表をしているんですよね。でも、環境省にもらったこの資料には書かれていなかったということで、環境省はこの発表については把握はなさっていたのでしょうか。
西尾政府参考人 お知らせしました資料の中に、今御指摘の部分につきましては、横須賀海軍施設につきまして二つの事案を指摘しておりまして、十二号バースの重金属の汚染問題、それからもう一つは、平成十三年に米軍家族住宅建設現場の土壌からの重金属汚染の問題と二つ書いておりまして、今御指摘のは二番目の課題であるというふうに承知しておるところでございます。
原委員 つまり、余り情報も実はうまくお互いの省庁の中で流通していないんじゃないかななんて私は疑問に思うのですが、つまり、こういうことがやはり縦割り行政と言われるものだと思います。
 私は、ぜひこの日米合同委員会の環境分科会の中では、すべてのデータというものをしっかりと集約して蓄積して、そして基地周辺における環境問題ということについてちゃんと話し合いをできるような体制にしていくべきだと思いますし、私たち日本側がしっかりとこういう情報というものを持っていないと、要するに基地というのは外交政策の一つじゃないですか。その外交政策の中で交渉さえもできないような状態だと思うのですね、今のままだと。ですので、しっかりとこの分科会の中で情報を上げて、そして蓄積していくということをお願いしたいと思いますが、これは、せっかくなので、お二人にその点をお答えいただきたいと思います。
西尾政府参考人 少し説明が不十分で申しわけございませんでした。
 確かに、二番目の事項で挙げております中に、地下水から鉛及び砒素を検出という把握をしておりますが、ベンゼンという項目につきまして記載ができておりませんでしたので、そこは資料の整理上不備でございました。
 それで、この事柄につきましても、もちろん米軍と対策につきまして協議をするということでございまして、先生御指摘のように、もちろん防衛施設庁ともよくよく連携の上、米軍にもきちんと求めていくべき対策は分科会のごとに求めていくということで臨みたいと思っております。
大古政府参考人 環境分科委員会で議論するに当たりましては、事前に防衛施設庁と環境省の間で十分に緊密な連携をとった上で臨んでおります。
 今後とも、御指摘も踏まえまして、さらにその充実に努めていきたいと思っております。
原委員 わかりました。
 では、先ほどのこのことについては記載漏れだということで理解をしようとは思っていますが、こうした大事なことがやはり記載漏れにならないようにしていただきたいというのもありますし、何となく今までの流れを聞いていて、私は、本当にこの分科会って開かれているのと疑問を持ちたくなるような状況なので、ちょっとこの点について、ぜひ大臣にお聞きをしたいと思います。
 こうした省庁間余り連携がとれていないような状況や、分科会がどんなことを話しているのか、その議事録が公開されないのでわからないというようなことについて、どのように思われますか。
大木国務大臣 私、環境省の大臣としてだけでなくて、私がずっと日米合同委員会とか日米関係というものを見てきたことも含めてちょっと申し上げますけれども、とにかく在日米軍がいて、いろいろと日本側と一緒に、近くに住んでいるわけですね。そこからいろいろな問題が出てくる。それで、環境問題もその一つですね。お互いに、やはり一緒に住んでいますと、必ずしも米軍だけが悪いんじゃなくて、日本側に何か問題があって米軍が困ったというようなこともあるんです、長い歴史の中には。
 いろいろありますけれども、ですからやはり、これは今アメリカも、初め在日米軍というのが、今おたくは神奈川県ですけれども、沖縄も含めて、いろいろ問題ありました。ですから、それの中で、やはり環境問題もきちっと話し合わなきゃいかぬということで、今の環境分科委員会ですか、そういったようなものができたと思います。
 恐らく、初めはそんなことも十分に話すような体制がなかなかなかったと思うけれども、それは何回も日本側の方で繰り返して、やはり米軍も、向こうにしてみれば、日米安保協定に基づいて日本を守るという義務もありますけれども、同時に、日本にいるわけですから、よきお客さんと言うといけませんけれども、やはりよき隣人といいますか、一緒に住んでいるところですから、よき住民ですね、少なくとも、その場所にいては。ですから、行儀よくしてもらいたい、こういうことは当然に地元の日本側からいえばあるわけでありますから、そういうことについてはできるだけ密接に話をして、問題があれば向こうの方に申し上げるということで、米側の方でもいろいろと基準をつくって、日本においていろいろと環境問題についてはきちっと対処するようにという基準もつくっているようでありますから、そういうものは何回か話し合いをして、その結果としてだんだん積み上がってきたわけでありますので、むしろそれはいつの会議でどういうことを言ったかということではなくて、私は、戦後ずっと、こういう問題については、長い間、日本側からもいろいろ注文を出し、現在の状況になっていると思います。ただ、現在の状況がまだ十分でないということがあれば、それについてはさらにまたこれから強くお話をしていく、こういうことではないかと思います。
原委員 ちょっと一個だけ聞かせてください。
 日米地位協定の中で、今、環境に対しては日本はどのような取り決めになっていらっしゃいますでしょうか。北米局長さん。
藤崎政府参考人 お答えします。
 日米地位協定は、第三条第三項におきまして、「合衆国軍隊が使用している施設及び区域における作業は、公共の安全に妥当な考慮を払つて行なわなければならない。」というふうに規定しているところでございまして、環境保全を含めまして、米国が在日米軍施設・区域の使用に当たりまして公共の安全に妥当な考慮を払うということは、アメリカ側の義務でございます。
原委員 では、北米局長さんにもう一回だけ確認させていただきたいんですが、「公共の安全」と書かれているのであって、環境というふうには書かれていないということでいいんですよね。環境という言葉は入っていないということですよね、今の日米地位協定の中に。
藤崎政府参考人 環境という表現はございません。
 今、第三条第三項について私は述べましたけれども、このほかに、地位協定十六条は、国内法令の尊重ということについても規定しております。
原委員 日本と同様に米軍と地位協定を結んでいるドイツでも韓国でも、基地の環境汚染については、その地位協定の中でしっかりと明文化されているわけですよね。でも、日本では、そうした理解の中で運用されているのかもしれませんけれども、しっかりやはり明文化されていないわけです。
 日本政府はというか、じゃ、これもぜひ最後に大臣に、もう一度というか再度御決意をお伺いしたいんですが、国民の健康とか環境を守るという上で、基地の環境に対して、明文化されていない中で、今後どのようなスタンスをとっていくかというお考えを、最後に大臣に御決意だけお聞きして、質問を終わります。
大木国務大臣 米軍とそれから地域の日本の住民とそれぞれ立場は違いますけれども、一緒に近くで住んでいるわけですから、お互いによき隣人として生活ができるように、その中で環境問題も大きな項目でありますから、それがきちんと守られるようにということで、これからも米側とは話し合いを続けていきたいと思っております。
原委員 終わります。ありがとうございました。
大石委員長 金子哲夫君。
金子(哲)委員 社会民主党・市民連合の金子です。
 最後の質問者ということになりますので、これまで出ました問題も少しダブるかもわかりませんけれども、お聞きをしたいと思います。
 けさほど、そして午後もそうですけれども、地球温暖化防止にかかわる問題で、米国時間で二月の十四日、日本時間二月十五日だと思いますけれども、米国が発表した気候変動政策について、大臣の先ほどの答弁では、確かに内容は不十分であるという認識をお示しになりましたけれども、そうであれば、あの日に発表された環境省の環境大臣の談話というのは、そういうことがにじみ出るような、第一項の中に評価があると、これはやはりだれが見ても、評価という、全体として評価をされるということになるんであって、内容がお粗末なものを、発表したことが評価だなんというのは、ちょっとコメントとしては僕は内容として不十分だと思うんですよね。
 改めて大臣にお伺いしますけれども、あの二月十四日の米国が発表した気候変動政策というものについては、いわば京都議定書の中身とか、これまで国際間の中で話し合われた中身からいって、全く中身のないといいますか、後退したものだ、実効上、CO2の削減に寄与するものでないということについて、もう一度お伺いしたいと思います。
大木国務大臣 京都議定書と比べれば、それは非常に後退したものであります。
 ただ、米国が、とにかくブッシュ大統領が初めて来るということで、日米間で話し合うその材料として米側の案をつくって持ってきたということについて、評価ということを申し上げました。遠路はるばる大統領が来たわけでありますから、初めから、おまえの持ってきたものが全然問題にならないという言い方よりは、それはそれで、持ってきたことについては一応それを受けとめた上で、それから、今後はまたひとつ話をしていきましょうということでありますから、先ほどからこの委員会でも申し上げているとおりに、私どもとしては、京都議定書を一たんはサインしたアメリカが今ああいうものを持ってきたということは非常に残念でありますし、米側案なるものは、日本の立場からいえば非常に不満足なものであります。
金子(哲)委員 わかりました。
 それじゃ、十八日の日米首脳会談で、小泉首相も同様に、この米国の新提案というのは建設的だという評価をされておりますが、それは日米外交儀礼上のお話で、中身については、小泉総理も、今、環境大臣と同じ認識をお持ちだというふうに理解していいわけですか。
大木国務大臣 小泉総理は今回ブッシュとは余り細かい話はされていないように私は理解しております。それですから、私としては、担当の大臣として今申し上げたようなことを、総理のお立場はお立場ですけれども、私としては申し上げているわけであります。
金子(哲)委員 であれば、今言われたことではちょっと問題があると思うんですよ。
 でも、マスコミを通じて流れていることは、建設的だと小泉総理が評価をしたということが流れているわけですよね。そうであれば、これはもう京都議定書の問題、評価をしたということしかないわけであって、ですから、改めてお聞きをしますけれども、時間がなかったから儀礼的なごあいさつだけであったというのであれば、基本的に、小泉総理がお持ちのこの米国の気候変動政策についての見解は、環境大臣と全く同じ見解であるというふうに理解していいわけですね。そのことをお聞きしたい。
大木国務大臣 どうもその小泉総理がどうこうと考えておられるということについて、私がかわって申し上げるのはいささか不適当だと思いますけれども、先ほどから申し上げていますように、ああいう案を持ってアメリカが来たということについては、一応、話し合いの材料を持ってきたということで、それを評価するというか、それを持ってきたということをそのまま受け入れたわけでありますけれども、私も口頭では、必ずしも十分じゃない、満足していないということは申し上げたんで、もしお時間ありましたら、ひとつ当日の新聞を見ていただきますと、私がそういうことを申し上げたような記事も出ておる新聞もありますし、決して、日本側として大変喜んであれを受け入れた、環境大臣として受け入れたということではございませんので、どうぞそのように御理解いただきたいと思います。
金子(哲)委員 大臣のその見解は理解をします。
 ただ、この問題については、この間、昨年のこの環境委員会でも、当時の川口環境大臣が大変苦労されている中でいろいろ論議がありました中でも、米国が四分の一のCO2の排出量を持っているということであれば、本来、京都議定書の枠組みの中に入ってこないということは、実質上大きな穴があくということを言われていて、それで何度もアメリカへ行かれたわけですよね。そして、私どもの委員会の中でも、アメリカは、もし京都議定書の枠組みに入らなくても、やはり同等の対策を、それにかわるようなアメリカ独自の政策を必ずつくってくれるだろうということをおっしゃっているわけですよね。そういう期待をされていたわけです。
 そういう期待からいうと、今回のこの中身というのは全く、残念ながら、大臣がおっしゃっているように、京都議定書との絡みでいえば不十分なものだということになってくるわけですね。
 それで、その後、これから日米のさまざまな協議の中でも、日本としてのさまざまな意見を言っていくということでありますけれども、その基本的なアメリカ側に対して要請をするスタンスはどういうスタンスですか。つまりは、京都議定書復帰ということがその話し合いの中の大きな目標の中に入っているんですか。どうですか。
大木国務大臣 日本側としては、京都議定書を発効させたいということで努力をしておる。アメリカも努力してくれとは言っていますけれども、アメリカがそれにどこまでついてくるか。ついてくるかというか、反応してくれるか。これは、相手国、違う国の政府の問題でありますから、私がかわって、どうだということは申し上げられませんけれども、ただ、先ほどから申し上げておりますように、アメリカの案というものは私どもの立場からいえば非常に不十分なものだと思いますけれども、それはそれとして、我々は、今、ヨハネスブルグの会議も含めていろいろなところで、地球温暖化についての条約の発効、それからその他のいろいろな話し合いというものを総合的に進めているわけですから、それはそういうふうにとっていただく。
 要するに、アメリカ側と話をするときにどういう方針でという、これはちょうど、ちょっと例えが悪いかもしれませんけれども、わかりやすく申し上げますけれども、例えば、ロシアと話をするときに、領土問題、返せというのはもうずっと言っていますよね。しかし、いまだに返っていない。しかし、それは引き続きもちろん日本としてはしっかりと申し上げる、こういうことであろうと、私が外務省にかわって申し上げるわけにいきませんけれども、たまたま昔おりましたから、ちょっとあえて申し上げますけれども、例えとして申し上げたんですけれども、これはやはり相手国があることですから、日本側としてはこうだということは言っても、それがそのまま一〇〇%すぐに返ってくるかということになれば、それは将来返ってくるかもしれません。将来、アメリカが京都議定書に参加するかもしれませんけれども、今のところは、日本側としては強く申し入れておるというのが現実であります。
金子(哲)委員 大臣が北方領土のお話を例えに出されましたけれども、私はもちろん、北方領土の返還ということは国民的な最大の課題として今全力を挙げて取り組んでおられるということはもちろんですし、私どももそのとおりですけれども、しかし、この地球温暖化の問題というのは、ただ二国間の問題ということでなくて、地球的な規模の、世界的な規模の問題として、その中におけるアメリカの位置、それで、また日本が日米間のことをいつも常々極めて友好な関係にあるとおっしゃっているわけですから、その中においてどのようにアメリカに対して物を言うかということを言っているわけであります。
 京都の議定書、せっかく大臣は当時議長を務められてまとめられた。大変な苦労をされて、しかも、アメリカは当時、先ほどもお話がありますように、出席をしていたわけで、合意をしていた一方ですから、ぜひともやはりこれから、もう既に今月三回の事務レベル協議も行われて、また大臣も、先ほどお話がありましたように、閣僚級の会談も予定をされているということですけれども、私は、引き続いて京都議定書への復帰ということは、この目標というか米国に対する要求というのは常に掲げて、しっかりとその都度その都度明確にそれを要求してほしいというふうに思うんです。
大木国務大臣 引き続きアメリカに対しては、京都議定書というものがあるんですから、それをちゃんと頭に入れて、今後また努力してもらいたいということは常に言い続けたいと思います。
金子(哲)委員 それでは、次の問題に移りたいと思います。
 地球温暖化の対策の問題は、今回、京都議定書の批准もしなければいけないということも含めて、ことしの非常に大きな課題ということで、大臣の所信の中にも第一番の項目の中にそのことが提起をされておりますけれども、今度出される法案はもちろんですけれども、これからさまざまな意味で、いろいろな形で地球温暖化防止とか環境対策ということで法律がつくられていく。もちろん、それは環境省だけがつくっていくということではなくて、さまざまな省庁がつくっていくということになってくると思うんですけれども、私は、その中で環境省の位置づけ、役割、きょうはもうどなたかの質問にもありましたけれども、ある意味で、環境問題に関しては、イニシアといいますか、環境省抜きに物を決められないというぐらいな省として、ぜひ役割を果たしていただきたい。
 また、そういうことこそが、二十一世紀が本当に「環(わ)の国」日本とか環境の世紀と言われているのであれば、環境省の役割、位置づけというものがそこまでいかなければ、本当に日本の環境政策は進まないというふうに思うんですけれども、その点について、まず大臣の御決意をお伺いしたいと思うんです。
大木国務大臣 地球環境問題を含めて環境問題については、環境省が中心、一番先頭に立ってやらなきゃいかぬという意気込みで今後もやらせていただきたいと思っております。
金子(哲)委員 それでは、ちょっと具体的なこと、当面することで具体的なことで、そのことと絡めましてお伺いをしたいんです。
 きょうの午後にも最初に質問の中に出てまいりましたけれども、いわゆる新エネルギー法というものが近々閣議決定されるということで、今準備をされているというふうに聞いております。
 資源エネルギー庁などのお話を聞きますと、関連するさまざまな省庁からしっかりと意見を聞いているということで、私は本当はこれは環境省マターでいってもいいのではないかというふうに思っているぐらいですけれども、現実には経済産業省ということになっておりますけれども、この法案策定に当たって、現在も進んでいるようでありますけれども、環境省はどのような意見を環境省として出されたのか、そしてまた、それはどのように今の段階で法案づくりに反映されているのか、ちょっと具体的にお答えをいただきたい。
大木国務大臣 後でまた参考人から具体的なことを申し上げますけれども、要するに、環境省としても、環境省の立場からいろいろと今の法案について発言ができるように、意見をきちっと述べられるようにというつくり方にしております。
岡澤政府参考人 御指摘の新エネ法は、もともとはエネルギーの多様化とか安定供給という観点から法律を制定しようというものでございますけれども、私ども環境省の立場からも、大きく二つの点で関係があるというふうに考えております。
 第一点は、現在、温暖化対策推進大綱の見直し作業を行っていますけれども、その中でも新エネルギーというのは温暖化防止対策の一つに位置づけておるわけでございまして、新エネルギーの活用ということは地球温暖化対策として大きな意味を持っている。そういう意味で、私どもも、この法案の中に温暖化対策を初めとする環境保全の観点というものをちゃんと入れてほしいということ、そして、それを盛り込むとともに、環境大臣の適切な関与が必要だというのが第一点の問題意識でございます。
 それからもう一つの観点は、廃棄物・リサイクル行政を所管する環境大臣、環境省の立場からということでございまして、この新エネ法によりまして、例えば廃棄物発電が過大に進む、そのことによって廃棄物の適切なリサイクルを阻害するということが起きないように、そこのところの担保をちゃんと確保したいという二点で意見を申し上げているところでございまして、現在、調整中でございます。
金子(哲)委員 きょうの質問にもありましたけれども、本来、我々、私どもも議員懇談会に入らせていただいておりますけれども、自然エネルギーをどう活用していくかということもかなり大きな眼目としてこれまで動いてきたと思うんですけれども、今回の新エネルギー法の中では、確かに、きょうも答弁の中では風力だとか太陽光だとかいう言葉が随分出ました。あたかも自然エネルギーを中心にして開発をしていく、促進をしていくというような法案のように見えますけれども、しかし、中身をずっと見てみますと、実際には廃棄物発電というのがかなり大きなウエートを占めているんじゃないですか、この法案は中身として。
 そうすると、新エネルギーといったって本当に、今まで再生可能エネルギーとか自然エネルギーとか言われてきたようなエネルギーの開発とか、そこに主要なものを置いていないんじゃないですか。その点については、環境省としてどういうお考えですか。
大木国務大臣 これからどういうエネルギーを中心にして新しいエネルギー対策をするかというのは、これは経済産業省の問題ですけれども、我々ももちろん意見を述べておりますけれども、今おっしゃった、例えば具体的に言いますと風力とか太陽エネルギーとかいうのは、遠い将来は別ですけれども、今すぐにはなかなか日本のエネルギーの総量の中で主たる地位は残念ながら占め得ないんじゃないかという感じを持っております。それから、今の廃棄物からの発電とかあるいはバイオマスとかそういう問題については、ある意味では、今言われたような自然エネルギーといいますか、それよりもすぐれているところもある。
 いろいろどういうふうにこれからそれを開発していくかということになりますと、例えば太陽エネルギーにしろあるいは風力にしろ、コストがかかるのですね。その施設が要るわけです。ですから、場所によっては、あるいは場合によってはかえって非常に不経済だということもあります。しかし、そういったものを克服して克服して、エネルギーとしてはそれは一番クリーンなあれですから、風力とか太陽というものも活用していくということでありますし、今おっしゃいました廃棄物については、これも活用できるものは活用する。
 ただ、環境省の立場からいいますと、後でまた必要があれば具体的な数字も御説明してもいいんですけれども、ある意味におきましては、我々は、廃棄物でどんどん発電ということじゃなくて、廃棄物というのはむしろどんどんなくしてもらいたい、こう思っているわけです、本当は。そこら辺のところはちょっと考え方がいろいろ違うんですけれども、しかし、現実には廃棄物というのが出てきますから、そしてそれが一つの発電のためのもとになるんだということになれば、それはそういったものを全部並べてみて、どれが最も今コストはいいのか、それからクリーンなものかというようなことを全部並べて議論をしないと、ただクリーンだからいいということだけではなかなか結論が出てこないじゃないかというふうに考えております。
金子(哲)委員 いや、そこが大事だと思うんですよ。
 コストの話だけされれば、おっしゃるとおりだと思いますよ。それで、今大臣もおっしゃったように、ごみは少量化しようとおっしゃっていますけれども、もしこのまま、きょうの午前中の話、前の討論の中でも出てきましたけれども、コストの話が非常に前面に出てくれば、こんな新しい新エネルギー、自然エネルギーに力を入れることはできないと思いますよ。今でも風力発電とかそういったものに非常に大きな投資が要るということになってくるわけで、コスト面と、とにかく石油以外だったらいいんだというようなことで進むとしたら、結果としては、今までそういう研究をしてきた、地方自治体でも風力発電をやろうということをやってきた、自然エネルギーを活用しようとしてきたことは、実質的にはそこの部分の開発は進まないんじゃないんですか。
大木国務大臣 どういうエネルギーをこれから開発していくかというのは、今言ったように、コストの問題はもちろんあります。それから、もちろんクリーンであるかどうかということは非常に重要です。
 ただ、コストにつきましては、今は非常にコストが高いけれども、だんだん開発していけば安くなるというようなこともあり得るんです、これは。それからまた、場所によって、例えば風力なんというのは風が吹かないところで幾ら回してみてもだめなわけです。そういうこともありますから、いろいろな要素を考慮した上で、日本としては、今はどういうものに重点を置くか、それから十年先、二十年先はどういうことがあり得るかということも考えてやはり政策というものは立てていかなければならぬじゃないか。どうも私、経済産業省にかわってしゃべっているようで申しわけないので、もし必要がありましたら経済産業省からも発言してもらいたいのですが、私としてはそういう感じを持って議論をしておるところでございます。
金子(哲)委員 もう大臣がおっしゃられるとおりで、まさに経済産業省のかわりに発言されているとしか思えない。やはり環境省に、環境に優しいエネルギー、クリーンなエネルギーをどうして育てていくのかということがなければならないと思うのですよ。今回の法律は、そのことももともと、国会の中にも議員連盟ができたりして、そういう方向を目指していこう、確かにコストは高い面もある、しかし、それを育てていかなければ本当にクリーンなエネルギーというものを広げていくことはできないということの精神が結局ないんじゃないかということを心配しているんですよ。
 その点が、環境省、今環境大臣がまさにいみじくも言われたように、経済産業省と同じような発想で、経済効率と、そして研究にかかる――だからこそ国が援助をしたりして、そういうものを、自然エネルギーをどう普及させていくかというためにこういう法律をつくってやっていくのであって、そうでない、今のそんな、廃棄物の燃焼をどんどんやるというのであれば、何かこの間聞いたら、今でも燃えている熱がもったいないからということだったら、何もこんなに法律もつくってどんどんやるようなことではないんじゃないですか。
 そこのところに対して、だから私は、環境省はどういう意見をこの法案に対しておっしゃったんですかということを申し上げたのは、そういうクリーンエネルギーとかそういったものを日本の中に育てよう、つくっていこう、既にドイツなどではそういうことを一生懸命やっているわけですから。
 私は、原子力発電の問題についてもちょっと意見があるんですけれども、きょうは何か一二〇%安全だとかいろいろおっしゃっていましたけれども、大臣も御承知のように、まだ最終処分場も決まっていない、高レベルの最終処分場も決まっていない。最近は、電力業界がコストが上がり過ぎるからちょっと援助してほしいなんという話も出てきておりますけれども、しかし、そういうことも含めて言えば、やはりそれにかわるエネルギーというものを、クリーンで再生可能、これからの二十一世紀、環境の世紀と言われるのであれば、どういうエネルギーを、どう環境に優しいエネルギーを開発し、育てていくのか、そのための法律をどうつくるかというところにもっと主眼がなければならないのに、そこをコストだけとかそういう話、廃棄物の処分だとか、例えばプラスチックの廃棄物も、廃プラスチックも燃やすんじゃないかとか言われているわけでしょう。それは、廃棄物処理は燃やしてしまえばそれで終わりだということになって、一番いいかもわかりませんよ、廃棄物処理としても。しかし、大臣、これがもし営業として成り立つということになれば、ごみはどんどん出しても構わぬ、そこでお金になるんだということになっていくんじゃないですか。
 そこの、新しいエネルギー源を求めるというときに、新エネルギーというならば、もっと自然エネルギーとか再生可能と言われるエネルギーのところに重点を置いて、そこを育てていくような法律にすべきだということがなぜ環境省として言えないんですか。
岡澤政府参考人 この法律が経産省の方から提示されましたときには、環境保全の目的は入っておりませんで、いわゆるエネルギーの安定供給の観点からこの法律を制定するということで出てきたわけです。そのために、エネルギーの安定供給ということですから、石油にかわるエネルギー源であれば何でもいいということで、ごみ発電も当然その中のメニューに入っておりました。
 しかし、私ども、特に温暖化対策の観点から見ますと、ごみ発電、例えば、燃やさないでほかの形でリサイクルされているものをわざわざ熱回収のために燃やすと、ごみというのは石油に比べればエネルギー効率は低いですから、わざわざ炭酸ガスの排出量の大きなものにエネルギー源がシフトすることになるという観点もございますし、また、コスト面から見ると、風力だとか太陽光だとか、そうしたいわゆる再生可能なエネルギーの利用を阻害するおそれがあるということから、この法律に対して環境省としては、環境保全の目的を加えるべきだ、それに対して一定の関与をさせるべきだ、それから廃棄物の発電については一定の制約をかけるべきだということについての意見を申し上げているわけでございまして、先生がおっしゃったような観点でございます。
金子(哲)委員 もう時間が来ましたので終わりますけれども、いずれにしても、二〇一〇年を目標にして示されている数字を見る限りは、廃棄物の焼却利用が圧倒的な地位を占めているのに間違いないんですよ、幾らおっしゃっても。結局のところ、新エネルギーといったって、そこしか目がいっていないということが、環境保全といえばやはりクリーンなエネルギーをつくっていくというところにも環境省としてもっと意見を言うべきだと私は強く思っておりますけれども、そのことを申し上げ、最後に、やはり大臣ぜひ、これはちょっとどうも環境省も所管の協力関係になるような法律になるというふうに聞いておりますけれども、私は、環境省としても、この法案は経済産業省のみの法律ということでなくて、環境省としてしっかりと加わった法律にすべきだというふうに考えておりますが、その点について最後お伺いして、終わります。
大木国務大臣 今、たまたま京都議定書というのが非常に目前にあるものですから、我々は一応は二〇一二年ごろまでのことを考えていますけれども、地球環境問題あるいはこれからの環境問題一般、全般というものは、やはりこれは二十一世紀ずっと続いていく問題でありますから、だから、おっしゃったとおりに、新しいクリーンエネルギーというような問題も、五十年先だったら全然またコストの問題も違うかもしれません。
 ですから、私どもは、中期的、長期的、いろいろと考えながらやはり政策というものはつくっていかなきゃいかぬということで、とりあえずは、今の新エネルギー法案につきましてはああいうものができておりますけれども、決して自然エネルギーというものを無視しているわけではない、十分にこれからも活用していきたいと考えております。
金子(哲)委員 時間になりました。ありがとうございました。
大石委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時二十分散会


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