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第7号 平成14年4月5日(金曜日)

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平成十四年四月五日(金曜日)
    午前九時四十分開議
 出席委員
   委員長 大石 正光君
   理事 熊谷 市雄君 理事 西野あきら君
   理事 柳本 卓治君 理事 山本 公一君
   理事 奥田  建君 理事 牧  義夫君
   理事 西  博義君 理事 樋高  剛君
      小渕 優子君    奥谷  通君
      亀井 久興君    木村 隆秀君
      小泉 龍司君    小林 興起君
      七条  明君    田中眞紀子君
      竹下  亘君    西川 公也君
      原田昇左右君    菱田 嘉明君
      三ッ林隆志君    山本 有二君
      小林  守君    五島 正規君
      近藤 昭一君    鮫島 宗明君
      田端 正広君    武山百合子君
      藤木 洋子君    金子 哲夫君
      西川太一郎君
    …………………………………
   環境大臣         大木  浩君
   環境副大臣        山下 栄一君
   環境大臣政務官      奥谷  通君
   政府参考人
   (厚生労働省健康局長)  下田 智久君
   政府参考人
   (農林水産省大臣官房技術
   総括審議官)       大森 昭彦君
   政府参考人
   (経済産業省大臣官房審議
   官)           武田 貞生君
   政府参考人
   (環境省大臣官房廃棄物・
   リサイクル対策部長)   飯島  孝君
   政府参考人
   (環境省環境管理局長)  西尾 哲茂君
   政府参考人
   (環境省環境管理局水環境
   部長)          石原 一郎君
   環境委員会専門員     飽田 賢一君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月五日
 辞任         補欠選任
  菱田 嘉明君     竹下  亘君
  山本 有二君     七条  明君
同日
 辞任         補欠選任
  七条  明君     山本 有二君
  竹下  亘君     菱田 嘉明君
    ―――――――――――――
四月五日
 自然公園法の一部を改正する法律案(内閣提出第二九号)(参議院送付)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 土壌汚染対策法案(内閣提出第二七号)


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     ――――◇―――――
大石委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、土壌汚染対策法案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省健康局長下田智久君、農林水産省大臣官房技術総括審議官大森昭彦君、経済産業省大臣官房審議官武田貞生君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長飯島孝君、環境省環境管理局長西尾哲茂君及び環境省環境管理局水環境部長石原一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
大石委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
    ―――――――――――――
大石委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小林守君。
小林(守)委員 おはようございます。民主党の小林守でございます。
 久しぶりに質問に立たせていただくことになりました。大臣には五年ぶりになろうかと思います。きょうは歓迎のごあいさつというふうに思っておりますけれども、少し辛口の質問になろうかとは思いますが、早速始めさせていただきたいと思います。
 三月の二十九日、環境委員会の質疑におきまして、我が党の五島正規委員の質問に対しまして、大木大臣は、この法案は未完成のものだ、このような答弁をされております。一般的に言うならば、未完成の法案を閣議決定して立法機関に提案されるということは、これは極めて問題であり、国会軽視、不謹慎と言わざるを得ないものだろうというふうに思いますが、それなりに思いのあった言葉なんだろうというふうにも受けとめたいと思います。その辺で、どういう意味の言葉だったのか明らかにしていただきたい、このように思います。
大木国務大臣 どうも、小林議員にはまた直接いろいろとお世話になると思いますが、よろしくお願いしたいと思います。
 今の、前回の御審議で私がこの法案は未完成云々ということを申し上げたということでございますが、未完成という言葉が本当に非常に適切であったかどうかは別といたしまして、私の思いは、五島先生の御審議あるいはその前の御審議でもいろいろな方から、この法案には政令とか省令に譲っているところが非常に多いじゃないかということで、もっと書き込めないのかというようなお話もあったわけでございます。ですから、一見、私自身もこうやって法案の文言だけ見ておりますと、こんなにたくさん省令、政令に譲らないといかぬのかという実感も、実はぱっと最初思いました。
 しかし、いろいろと検討いたしますと、現在の状況では、やはりこの法律の目的は、国民の健康に害のあるような土地、土壌についての取り締まりと申しますか、それが目的でありますから、とにかく今の段階でやれることはやろうということであります。細目については、今そういったように政令とか省令に譲っているところが確かにありますけれども、私は、法律として決して欠陥商品を提出したというつもりはございませんので、これはそういうふうに御理解いただきたい。
 もちろん、私は、今の国民の健康を守るということに焦点を置いて、やはり今の段階でできることはやりたいということで行政府としても法案を出させていただきましたけれども、これはまた、その対象となる土とか土壌の問題というのは、それをどうするかというのは必ずしも環境だけの問題ではございませんので、これはまた別途いろいろと御議論があると思いますが、今のところは、今申し上げました国民の健康の保護に焦点を絞って、現実に機能し得る、現実に行政でできることを書かせていただいたということで、そういった法律を出させていただいたということでございますので、そういうふうにひとつ御理解をいただきたいと思います。
小林(守)委員 未完成の大きな要因というのは、政省令に余りにもゆだね過ぎている、細部が詰まっていないというようなことなんだろうと思いますが、確かに、既に委員会の審議でも指摘があったように、余りにも政省令にゆだねている、裁量にゆだねられている部分が非常に大きいというふうに思います。
 しかし、それが欠陥という大きな柱ではないのではないかな、私はこのように思えてならないんですよ。特に、初めて日本において、環境の大きな要素であります大気、水、そしてようやく土壌に法律の網がかかるというようなことでありまして、そういう点で大きな意義を持ったものになるんだろうというふうに思いますし、また期待も大きいわけなんです。しかし、今回の土壌汚染対策法案の枠組みについては、人の健康影響に限って対策をとるというようなものに限られたところに、まず大きな一つの欠陥というか未完成の部分があるのではないか、私は第一点としてそれを考えざるを得ません。
 もちろん、その対象の限定、細かく言えば、いわゆる土壌汚染の工場、事業所等に対しての調査あるいは汚染除去措置などに限られた法案だというふうに言えるわけでありまして、そういう対象の限定もありますが、問題はもっと、環境という大きな枠組みの中で人の健康に影響する問題に対策を限ったというところに一つの大きな問題があるだろう、このように言えると思うんですね。その辺についてはどういうふうにお考えになりますか。
大木国務大臣 法律をつくるときに、できるだけ対象も広くしてやるというのは一つの考え方だと思いますけれども、それでは現実にどういう措置がとれるかというような、現実の措置の可能性というようなことも考えますと、これはやはり、余り抽象的に書いても現実に措置がとれない。
 もちろんそれは、今、人以外の対象も考えられないのかというような話がございましたけれども、これはまだいろいろと、正直申し上げまして、人以外にどういったところを対象にするのかということになりますと、それは十分な資料がないと私は思います。そういうことですから、現実にはまず人というものに焦点を当てて、これでひとつ法律をつくって、その間にまたいろいろな科学的な知見というのも出てくるかもしれませんけれども、これは今直接には、法律の、そういった行政の対象としては、すぐにはやはり、現実のいろいろなデータといいますか、土地あるいは土壌の危険度ということを考えますと、まずは人に対する危険ということに焦点を当てて、それに集中した方が効率的ではないかということで、そういうふうに考えております。
小林(守)委員 確かに、実現可能性というか、立派な法案をつくっても、現実には動かないような法案でも困るわけです。
 しかし、今まで環境省の関係の法案の中では、例えば温暖化対策推進法とか循環型社会形成推進基本法とか、現実には何かよくわけのわからない理念法みたいなものを幾つもつくっているじゃないか、そういうことも言えると思うんですよ。実際に、現実に直接的にかかわるような規制法をつくるということになると、とにかく実行力の弱いような、本当にちょっと芽を出しただけの形の法律にすぎないのではないか、抜け穴だらけではないかというふうに幾つも言わざるを得ないと思うんですよ。
 大臣自身が、今後、この法案のかくあるべきというような方向でどう考えておられるのか。少なくとも、未完成というものの中には、今もお話があったように、いろいろな角度からの未完成さというか未熟さというのがあるんだろうと思う。おくれている部分というんですか、また、実行力を現実にはなかなか発揮し得ない、切り込めない、抵抗があるとか、そういう問題もあるんだろうというふうに思うんですよ。
 そういうことで、省庁間の調整というか、省間のというふうに言っていいと思うんですが、省間の調整の中で、あるいは、それぞれの抱えているというか関係する業界団体というか、その意向なども含めて、妥協に妥協というか、下がりに下がって、とにかく芽を出すというような形になったのではないかというふうに思えてならない法案の性格だろう、こういうふうに思うんですが、省庁間の調整の中で、大臣が、未完成ではないかというように感じたようなところというのはどういうところだったんでしょうか。
大木国務大臣 対象になるのは、とりあえず土地とか土壌ですけれども、土地というのは、もちろん基本的には私有財産でございまして、その土地を活用していろいろな仕事を民間でしておられる、主として民間でしておられるということですから、それについてどう対応するかというのは、これはもちろん環境省ばかりでなくて、政府全体としての問題ですけれども、今回はとにかく環境省も、人に対する危険、健康に対する危険というのを焦点にして法律をつくらせていただこうということで、もちろん関係省庁とはいろいろと調整はいたしましたけれども、特にどこかの省が非常にこういう強い意見があって、それに押されて、押しまくられてこういうふうに下がったということではないというふうに私は理解をしております。
小林(守)委員 しかし、例えば省庁間の覚書なども、私もちょっと拝見させていただいた経過もありますが、非常に省庁の縦割り、縄張り意識というか、この問題については一切手を突っ込むなというような文章の書き方なども読んで感じたわけでありまして、これは相当大変な調整作業があったのかなというふうにも思うんです。法案のそれぞれの具体的な問題の中にそういうものがあらわれているだろう、このようにも思っておりますが、それはちょっとおいておいて、第一条の目的規定の中に、これはあくまで国民の健康保持のためにというような目的がありまして、人の健康に対する対策をとるんだというようなことが規定されております。
 環境行政の上からいって、予防措置、予防原則、これはもう世界的にも環境行政の最大の課題になってきているのではないかと思うんですよね。あらゆる問題についてまずは予防原則と。土壌などの汚染についても、汚染されてからどうするかということでは、社会的なコストからいっても、それから原状回復するにしても、大変な労力と時間がかかるというようなことでありますし、はかり知れない影響が出てしまうわけですね。そういう点で予防原則が大切だということが言われておりますし、また環境行政の中でも常にそのことは言ってきているんだと思うんですよね。
 しかし、この法案ではそれが生かされていない。第一条の「目的」に予防原則が入っていないじゃないかということも、私は大きな欠陥の一つだというふうに思うんですが、大臣、それについてはいかがお考えですか。
大木国務大臣 必要に応じてまた参考人から、実は私が全部その経過を知っていないところもあるかもしれませんけれども、しかし、私として感じておることは、予防原則というのは確かにあると思うんです。これは、環境で、まあ環境に限らないで、いろいろな施策をする場合に、予防をした方がいいぞということは、これは国民の健康全体について言えることだと思うんです。
 しかし、今は、具体的にどういう措置を行政府としてできるかというところに焦点を置きますと、これは予防ということを仮に基本的な原則として書いても、実際の措置ができなければやはり意味がないわけでございますので、それはやはり、今はとりあえず現実にできることに焦点を置いて、初めから基本的に予防が目的だということになりますと、実態と少し合わないんじゃないかという感じを私は持ちます。
 そういうことで、将来の検討課題として、どこまでその予防というものを、いろいろな環境の法律の中でだんだんにそういうものを書き込めるような体制ができるのかどうか、あるいはそういうニーズが出てくるのかどうかということは、これはもちろん先生おっしゃるとおりに今後の課題でありますけれども、今の段階では、この法案について限って言えば、予防ということを基本原則にするというのはいささか内容と一致しないのではないかというふうに私は感じております。
小林(守)委員 省庁間の調整の中で大変な困難な問題があったというふうに聞いております。また、大臣が今おっしゃられるように、現実の状況の中で、予防措置まで法案の目的の中に入れることについては困難だというか難しいとか、適切ではないというようなお話だったんだと思います。しかし、この法案そのものがこれからどう生きていくか、育てていくかという視点に立って考えるならば、少なくともかくあるべきという理念は押さえておく必要があるのではなかったのか。
 一つは、そういう予防原則的な観点がきちっと法案のところに押さえられているとか、例えば汚染者負担の原則などが事実上すごく読める条文もありますけれども、事実上読めるところもありますが、明確にその言葉が出てきていない。そこら辺にも非常にこの法案の後ずさりした部分があるのではないかなというふうに思えてならないんですね。
 これは確かに、閣法として出されてきたものですから、それぞれの省庁間の議論の中でつくられてきたものだと思うんです。しかし、国会においては、委員会の審議においては、また違った視点から、我々は国民のサイドから議論をするべき問題なんだろうというふうに思いますよね。実効性とか困難とか実現可能性とかいう官僚レベルの発想、問題意識と、議員レベルの議論、問題意識というのは違うんだと思うんですよね。いや、法律を直せばこうやってできるじゃないかというふうなことも我々は言えるわけですね。しかし、省庁間の中ではそういう発想にはなかなかいかないというふうに思うわけですよね。
 そういう点で、与野党の議論の中で、あるいはもちろん省庁もかかわっておられるわけですけれども、議論の中で、この法案について修正すべきじゃないかというような指摘が既に出されております。
 それで、今までの委員会の審議、三月の二十九日、それから四月二日の参考人の招致、それらの議論を聞いても、与野党で問題点のポイントはほとんど変わらない。それぞれの皆さん方が、これはそうしたいなというような思いがあって、しかし一方では、これはいろいろな絡みで、しがらみで、あるいはいろいろな関係でやむを得ないんだというふうに判断するか、いや、これではちょっとまずいという形で修正すべきだという立場に立つか、これは政治の判断なんだというふうに思うんですよね。
 それで、与野党の中で、特に野党共同で修正案が出されているわけですけれども、大臣、これらについてはどういうふうに受けとめていますか。
大木国務大臣 法律をつくるときに、どこまで理想を掲げるかということと、それから、現実にできることをどこまで書くかということ、二つあると思うんです。もちろん、政治家の皆さん方が、国会議員の先生方が理想をできるだけ掲げたいというお気持ちはわかりますが、私どもといたしましては、やはり行政府の責任として、どういうことをやるかといった場合には、現実にやれることを書くというのがまずは第一歩だと思いますし、できないことというか、できないことというのは言い過ぎかもしれませんけれども、少なくとも今できないことを基本原則として書き入れるというのは、私ども行政府としてはいささか問題があるんじゃないかな。
 やはり法律に書けば、こう書いてあるじゃないかということになりますから、そこから議論が発生するわけでありまして、行政府としては、そうは書いてはあるけれどもできないというようなことでは、これはまたきちっとした対応になりませんから、これはできることをひとつ書く。将来への政治的な皆さん方の理想というものは、法案の案文とは別の形で、またひとついろいろな機会でお聞きをしたいと思いますが、私どもとしてはちょっと、今皆さん方、野党の方から修正案も出ているというようなことにつきまして私も承知はしておりますけれども、その経過は承知しておりますけれども、私どもとしては、行政府の立場からいうと、原案のままで御審議を願いたいというふうに考えております。
小林(守)委員 納得できる話ではないんですが、一縷の望みとして、状況の変化とか今後の実現可能性が見えてくるとか、そういう状況の中でというふうな言葉もあったと思いますけれども、しかし、そういう視点で善意に見て判断しても、例えば附則第五条の検討条項、十年、これは余りにも無作為というか、この間放置しておくようなものになってしまうのではないか、このように思えてなりませんし、そういう意味からも私は、第一条の「目的」の理念の中にかくあるべきというものを打ち出しながら、しかし実際の実効性をどう高めていくかという現実的な問題に対応していくというのが必要なのではないか。
 何も今までそういう法律がなかったわけじゃないんですよ、環境省には。いっぱいあるわけですよ。本当に理念だけを掲げたような法律というのはいっぱいあるでしょう。しかし、今度逆に、こういう法律になると、何かわからぬけれども、実効性実効性といって後ずさりしているというような感じなんで、少なくともその附則五条の検討条項、このまま十年というのについては私は納得できないですし、全くこの間、法文の内容にもよりますけれども、内容の中で、土壌の汚染が拡散していくおそれがあるということは、それぞれ専門家の人たちも指摘しているわけですよ。
 汚染の拡大についてかなりの動きが出てきてしまったというようなときには、十年を待たずに何らかの対応ができるのかどうか、しようとしているのかどうか、その辺を一縷の望みをかけながら、未完成だというところに、そこもあると思うんですよ。未完成だけれども、とにかく育てていかなきゃならぬ法律なんだというのであるならば、十年経過した後で初めて見直しますという条文ではなくて、十年以内でもできるだけ早い期間に見直しをするんだとかそういうものでない限り、これは本当に無責任な、あるいはBSEの問題でも、現在、調査検討委員会の最終報告書が出ましたけれども、「重大な失政」というような指摘があったわけですよね。これは、土壌汚染という視点に立っても、私は、汚染の拡大の全国拡散の契機になる可能性のあるおそれのある法案だと言わざるを得ない。
 というのは、要は、法施行後、工場、事業所の廃止したものに対して調査を求めるというような法案ですよ。ですから、法施行前に廃業したり閉鎖したところについては、まず対象にならないということですよね。それから、操業中の事業所、工場については対象にならないというようなことになりますると、この法律を想定して、操業中に、かつてちょっと危ないものなり心配なものを捨ててある、これはとにかく掘削して搬出してしまおうと。最終処分場に持っていくのならいいんですけれども、そうじゃなくて、この土壌というのは汚染されているかされていないか、されていない、残土なんだというような形で持っていくならば、これを規制できない状況にあるんですよね。
 そういうことになると、汚染除去の措置を求められることを避けるために、ますます操業中に搬出をしてしまおうというようなことが起こり得る。それが全国拡散、不法投棄になってしまうのではないかというふうに思いますし、法的にも汚染残土を規制できるような法律が不備である。廃棄物処理法が受けるというふうなお話を聞いておりますけれども、しかし、その法律そのものが不備であるというような状況になると、まさにこれも未完成の一つだと思うんですけれども、そういうことを考えると、百歩譲って、見直しをするという中で実効性を見ながら対策を立てていかなきゃならない。こういう問題があるのはわかっている、しかし、今いろいろな力関係の中で、これでしかできなかったんだというのであるならば、見直しというものが十年というのはおかしいと言わざるを得ないんですが、この十年の見直し条項についてどういうふうにお考えになっていますか。
大木国務大臣 先ほど委員もお話しになりましたけれども、土壌を対象とする法案というのは、ある意味ではこういう形で出てきたのは初めてでありますけれども、やっと大気とか水に続いて土壌についての法案が出てきたわけでありまして、せっかく一つ法律をつくって、もちろん先ほど申し上げましたように、省令とか政令で補っていく面もありますけれども、基本的にはこういうことをやるぞということで、国民の健康を守るためにいろいろと土壌に関するある一種の規制をこれから行っていこうということになりますと、やはりそれはある程度の期間は実際にそれを基本としてやるという、言うなれば法的安定性とでも申しましょうか、そういったものを余り頻繁に変えるということはどうかというふうに考えられるわけでございます。
 もちろん、実際に危険のおそれがあるというようなことがあれば、その事例につきましてはまたそういう問題としてやりますけれども、例えば今の操業中云々というのも、これも原則的に操業中でもいつでも調査するということになると、これはいささか、やはり国民の方の活動に過度に干渉しているということになるんじゃないかな。しかし、片や明らかに危険が何かそういうところにあるということであれば、またこれは調査ができるわけでございますから、そこら辺のところの折り合いというかバランスが、今の法律の形になっておりますその辺に一つのバランスがとれているんじゃないかなというふうに思っております。
小林(守)委員 ちょっと明確に答えられていないと思うんですけれども、附則第五条の「検討」の中では、「この法律の施行後十年を経過した場合において、指定支援法人の支援業務の在り方について廃止を含めて見直しを行うとともに、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」となっています。
 これは、「指定支援法人の支援業務の在り方」ということになると、いわゆる基金を造成するねらいがあって、毎年平年度でいうと十億円、国が五億円補助金を出して、あるいは民間業界団体からの拠出金というかそれをお願いして、一年間で平均大体十億、それで十年たてば百億ということで、大体このくらいを想定して基金を造成して、汚染原因者が不明の場合の費用に充てようというようなことが想定されているんだと思いますが、十年後の見直しは、このことだけではなくて、この法律の施行状況についても検討を加えるというふうに二つに分かれているんだと思うんですよ、「ともに、」ですから。この指定支援法人の造成の状況だけを見てというのじゃないんだと思うんですよね。施行状況というのも入っているんだと思うんですよ。
 それについて、今のお話のように、大臣のおっしゃるような問題について、もう大変な事態になってきているとか、これをやらなきゃならなくなってきたというような状況の中では、施行の状況の中でですよ、これは十年たたなければ見直しできないんですか。
 もう一つは、廃棄物処理法の見直しを今行っていますよね。それが今度、法改正が例えば来年の通常国会あたりに出るであろうと言われています。そのときにこの問題も当然議論されていると思うんですよ、残土の問題は。これはこうしますというときに、この土壌汚染対策法の見直しということも当然かかわってくるんだと思うんですよ。そういうときもやらない、十年たたなきゃやらないということなんですか、この検討条項というのは。
大木国務大臣 これは、先ほどもちょっと申し上げかけましたけれども、汚染土壌の処分の適正化を初めいろいろな検討課題があるわけでありますから、汚染土壌を処理するというそのところをとらえれば、これはもう随時検討を加えて、必要があれば十年を待たず何らかの措置をとるということは十分考えられますけれども、今の法律の中で、例えば先ほどもお話ございましたけれども、現在操業している工場についての云々というようなことになりますとこれは少しあれなので、これはやはり、原則としてはそういうものについては工場経営者の責任において処理する。しかし、特に明らかに何らかの理由でその工場で非常に国民の健康に重大な影響を与えるようなものがあるというような話があれば、それはまた別です。
 それから、今おっしゃいました汚染土壌の処分の方、ですから今度はこれは廃棄物の処理の方の問題に来ますわね。だから、そういうものについて、明らかにこれはひとつどうしようというようなことになれば、廃棄物の処理については確かにおっしゃるとおりいろいろと検討もしておりますから、そちらの方から何らかの一つのまとまった考え方というのが出てくれば、それは当然その問題として処理する、あるいは今までの、必ずしも今の土壌の法案ではなくても、何らかの意味でそういった体制を法的にも整備するということは十分考えられると思います。
小林(守)委員 今のお話でいうならば、要は、例えば廃掃法での見直しなり改正があったときに、操業中の工場からの掘削、搬出の残土も、これは今度廃掃法の方からは網がかかるというふうに言っていいんですか。
西尾政府参考人 恐れ入ります。少し法律の関係の補足をさせていただきたいと思うんです。
 大臣が今申し上げたのは、この法律で用意をいたしました土壌対策、これにつきましては、先ほどの助成措置も含めて、ある程度安定的にきちんとやってしまう必要がある、そういう事柄につきましては、十年ぐらいは安定的にきちんとやっていくことが必要であるので、十年の検討期間というのは妥当であると思っておる、こういうことでございまして、この法律で今扱っていない事項がございます。先生御指摘の、残土一般をどういうふうにやっていくかという問題も一つでございますし、あるいは廃棄物処理法でどのような扱い、あるいは廃棄物処理法自体どのような検討をし改正していくかということ自体は、この法律は扱っておりません。
 そういうような事柄をやっていく過程で、いろいろな必要がありますれば、そういう事柄に応じて必要な調整をやっていくということは当然あるんだと思いますが、今の時点で、廃棄物処理法の改正に伴いまして、操業中の工場の扱いでございますとか、そういうものがこちらに響いてくるかどうかということは、あらかじめ言うことはできないということだというふうに思っております。
小林(守)委員 中央環境審議会の方に対して廃棄物処理法の抜本見直しの諮問をしていますよね。中間的な取りまとめまで既に来ています。当然その議論の中で、廃棄物の定義の見直しとか何かも議論されていると思うんですが、この土壌汚染の視点からかかわってくる問題としては、やはり建設残土というか残土の位置づけ、汚染残土と普通の残土というか、あるんだと思うんです。
 というのは、残土が廃棄物ではない。どういうんでしょう、とにかく残土なんですよね。これは、規制がないし、産業廃棄物でないですから、マニフェストもつかないような状態で取り扱われている。しかし、そこに目をつけて、汚染された残土を汚染されていない残土の中にくるんで、外から見れば全く汚染されていない、普通のどこかから出てきた残土です。そこへ真ん中に入れちゃうんです。間に入れちゃうんですよね、囲ってしまう。まんじゅうみたいな形にして、あんこというんですけれども、あんこをくるんで、これを残土処理という形で山間地とか谷合いとか田畑の原野に捨てられるということがかつて随分起こっております。
 現状でもあるんだと思いますが、首都圏周辺で、千葉県とか、私の地元である栃木県鹿沼などにも残土条例というものがもう既につくられております。栃木県、千葉県では相当の数の自治体が残土条例をつくって、搬入される、汚染とは言っていません、汚染残土とは言っていません、しかし残土そのもののおそれがあるということで、あるいは悪用されているというか、そういうものを規制するために、土壌の分析とか、どこの会社からどれだけの量をどの期間どのような規模で行うのかということを、全部搬入のときに届けを出させるというような形での規制を行っています。そういうことが頻繁に行われてきたということが原因で、やむなく条例でやったわけですよね。
 今度廃掃法の見直しの中で、当然その残土についても、どういうふうな議論がされ、これに対してどういう網をかけていくのか、こういうことになってくれば、操業中の工場の敷地の中の例えば汚染された残土に対してどうなるのかというのが、大きくかかわってくるんだろうというふうに私は思うんですよ。
 それで、まず、中環審の中で、審議会の中でどのように残土についての問題について考えられているか。
 それからもう一つは、やはり自社処分場、会社の敷地の中に埋立場をつくってしまって、そこでやる分にはなかなか、かつては法的な規制は全くなかった。最近は届け出制になったわけですよね。規模にかかわらず届け出をさせるという形になりましたけれども、自社処分場というものの土壌を持ち出されていたのではないかというふうに思えてならないんですよね。
 その辺について、この自社処分場の規制の問題、それが汚染された土壌であった場合、どういうふうに廃棄物としてコントロールしていくのかというふうな取り組みが、この法律にかかわると今見えてくるんですけれども、廃棄物処理法の見直しの中ではどういうふうに議論されているか、どう取り組んでいくべきなのかを示していただきたいというふうに思うんですよ。
飯島政府参考人 委員御指摘の、汚染された土壌につきまして廃棄物処理法上の廃棄物として取り扱って必要な規制を行っていくということに関しましては、御指摘のように、現在、廃棄物・リサイクル制度の基本問題の一環として検討しているところでございます。
 この検討は、委員御指摘になりましたが、中央環境審議会において中間取りまとめを行ったところでございまして、今後、パブリックコメントの意見を募集した上でさらに審議を重ねまして、本年末を目途に最終取りまとめを行う予定ですが、中間取りまとめの中では、今の御指摘に関しまして、御紹介いたしますと、土砂について、本来の目的である土地造成に利用されずに処分される場合や、委員が御懸念になったようないわゆる危ない残土ということだと思いますが、あるいは汚染された土壌が処分のために除去された場合、こういった場合について廃棄物として取り扱うべきであるという中間取りまとめになっておりまして、これに対して、賛成意見、反対意見、それぞれあると思いますけれども、パブリックコメントをいただきながら、ほかの問題とあわせまして年末を目途に取りまとめていく予定でございます。
小林(守)委員 廃棄物であるというふうに取り扱う、一定の用途についての限定をした上で。そうなってくると、これは何廃棄物になりますか。今の枠組みの中では一般廃棄物と産業廃棄物という形になっていますね。何廃棄物になりますか。
飯島政府参考人 汚染された土壌はどのように発生するかということを考えると、事業活動に伴って発生される場合が非常に多いと思いますので、普通に考えれば産業廃棄物として政令指定をしていく必要があると思います。
小林(守)委員 産業廃棄物ということになるだろうというふうにお話しであります。ということになると、産業廃棄物の流通経路というんでしょうか、その廃棄物の流れについてはマニフェストが、これは法的につけることになっていますね。マニフェストがつくことになりますか。
飯島政府参考人 誤解のないようにもう一度申し上げますが、現在の中間取りまとめの案でこういうことになっておりまして、それが最終取りまとめで、限定をつけて廃棄物として取り扱うということになった上での御質問だというふうに理解しますけれども、産業廃棄物ということで指定されれば、当然、すべての産業廃棄物についてマニフェストが義務づけられておりますので、その対象になると考えられます。
小林(守)委員 自社処分場についてはどういうふうなことになりますか。
飯島政府参考人 自社処分場あるいは自家処理、これは埋立処分場だけに限らずすべてそうなんですが、処理基準がかかります。今問題は、許可の対象であるかないかというところだけが問題になっているわけでございますけれども、実際に廃棄物処理法の処理基準がかかっておりますので、自社処分場と称するところに汚染された土壌が処分されていて、その汚染された土壌が廃棄物として変更されることになれば、当然廃棄物処理法の規制を受けるということになります。
小林(守)委員 そういう方向になってくると思うんですね。
 それで、一つ大臣にお聞きしたいんですが、これは一つのこれからの課題の中で、そういうふうに廃掃法の見直しがなされていく方向で今進んでいるわけですよ。これは、十年先にはならない、そんなにならないと思うんですよ。二、三年のうちには恐らく改正されてくるんだろうというふうに思います。そうなったときに、土壌汚染対策法のスキームにかかわってきますよね。そのときに、これは一切関係ないという形で、土壌汚染対策法も見直しはするということに理解してよろしいですか。自動的、間接的に廃掃法の枠組みがかかってくるというふうに考えていいですか。見直しという規定は十年となっていますが、廃掃法の見直しの中ではそういうふうに枠組みが入ってくることになるというふうに理解していいですか。
大木国務大臣 ほかの法律との関連ということで実質的にかかわってくることになれば、それをどう対処するか、全く放置しておくということではいけないわけでありますから、それをどう調整するかということは、私どもとしては、一応我々のこの今の土壌法の方は十年ということで、当然に、それを改正するということは今のところ、今のところというか、想定しておりませんけれども、その調整が必要になってくるだろうと思います。それをどういう形でするかということについては、まだ決定しておりません。
小林(守)委員 新たに法改正の中で対象化していくという方向性の中で、当然見直しは、この土壌汚染対策法のスキームにもかかわってくるというふうに私は理解していくべきだというように思いますし、積極的にそれを受けとめていくべきだろう、このように考えています。
 もう一つ、そうなったときに、問題は、自社の処分場の中に法規制前の、法規制前のというか、汚染物質がその会社の中に捨てられているというようなこと、それが持ち出しにならなければ、そのままの状態であればそのままなんですよね。持ち出しとか掘削しない限り、更新がない限り、移動がない限りそのままなんですよ、法規制前のものについて。
 それから、もちろん同じように、自治体の焼却場、これも、今の規制は相当厳しくきちっとなって、もちろんダイオキシン規制の施行上にありますけれども、さらに厳しくなってきておりますが、かつての野焼き同然の自治体の焼却場跡地、燃やした跡がそのまま残っていて、そこに雨が降り、風が吹き、その灰が飛散したのではないかというふうに思われるようなところが、むき出しのまま残っているところがあります。
 それから、法規制前に最終処分場に埋め立てられたところが、突然の大洪水によって流されて半分出てきちゃった、半分流されて、半分埋められていたのが出てきたというような問題が起こっております。これらについてどうするのかということなんですよね。
 これは、法規制前の素掘りの最終処分場、焼却灰そのものは管理型処分場でなければ処分できないような法律に今なっていますが、それ以前の法規制前では、これは、素掘りの処分場については焼却灰もそのまま捨てていたんですよね。土壌が覆土されて、処分場跡地だったという記録がどこに残っているのかどうかもわからないような時代になってしまっているわけなんです。しかし、記憶をたどれば、あるいは住民の記憶によれば、ここには間違いなく捨てていたとか、そういうのはまだまだわかるわけですよね。
 そういう旧法の焼却場跡地、その周辺、あるいは最終処分場の跡地、その周辺、これらは土壌汚染の工場や事業場、民間の工場や事業場じゃないけれども、行政体の事業場なんですよね、工場なんですよ。これは放置しておいていいのかということが私は問われると思うんですよね。これもこの法律の欠陥の一つだ、未完成の一つだというふうに思えてならないんですが、これに対してどういうふうに取り扱っていこうとするのか、お聞きしたいと思います。
西尾政府参考人 今先生御指摘の、かつての小規模な埋立処分をしてあるのではないか、あるいは焼却施設や最終処分場の跡地といったところの問題でございます。
 これにつきましては、廃棄物処理法と、それから今度土壌対策法を制定いただきました場合に、その二つの法律、どういう関係に立つかという整理でございますので、それはそれぞれの事例に合わせて精査する必要がありますけれども、基本的な考え方といたしましては、廃棄物の法律の方も漸次強化されてきているわけでございます。最初は基準だけがかかっている、あるいは次で処分場としての規制がかかるというふうに漸次強化されてきておりますが、それぞれの規定に照らして、廃棄物処理法上の違反等々があれば、廃棄物処理法での改善命令等々の措置がとられるべきものであろうと思っております。
 そういう形で、廃棄物処理法に従って適正に処分されて、あるいは適正に閉鎖されているということになっている場合におきましては、基本的には、周辺住民への健康影響を来すような土壌汚染がいつも生じるというわけではないんだと思いますが、今先生御指摘のように、後で災害があったような場合もある、わからなくなっていろいろな人の行為が介在する場合もあるということがございます。そういうような跡地が、廃棄物処理法上は適法にやられたんだけれども、その後で、跡地が利用されたり、あるいは災害等が起こってふぐあいが生じるというようなことで、現実に土壌の汚染が出てきて、それが周辺の人の健康に被害を生ずるおそれまである、そういうレベルに至りますれば、これは、この土壌対策法の四条の調査命令の対象ということに、ケースによってはなり得るものだというふうに考えております。
小林(守)委員 予防原則も何もなくて、何か事が起こって事件になったり、発覚して世論が、大きな注目を浴びて問題が騒がれているというようなことになったらやりますという話ですよね。そうじゃないですか。例えば、地下水が汚染された、これで飲み水が飲めなくなった、どうしてくれるということになった、あるいは、廃棄物処分場が昔はここにあった、とんでもないものが行政によって埋められていたんだな、注射針まで出てきたなんという話がありますけれども、こういうものが出てきて大騒ぎになって、どうするんだと。いや、法的にはそのころはよかったんです、規制がなかったんですと。要は、見つからなければいいということになっちゃうんじゃないですか。問題が発覚しない限りいいということにならないですか。
 そういうところを、土壌汚染から水質汚濁とか地下水汚染につながらないようなきちっとした対策を、やはりこれは全国的な規模で、自治体が責任を持って、焼却場の跡地とか処分場の跡地だったところ、記憶にあるはずでありますから、そこだけは少なくとも土壌の調査をしろということはできないんですか。
 工場は確かに私有地だから難しい、わかります。一定のルールでやっていかないと難しいというのはわかりますが、公有地で、なおかつ、工場や事業場跡地だったんですよね。しかも、汚染の事例が出ています。しかし、汚染の発覚がない限りはやらないということなんですよ。それでは、やはりこの土壌汚染が、国民の健康のためにやるんだという趣旨に反することにならないでしょうか。事件なり問題が起こらない限りこれはほっておきますと。しかし、汚染のおそれがあるということは認めているわけですから、少なくとも自治体の責任において行われて営まれてきた事業場としての焼却場、処分場の跡地については、これは記憶をたどってでもやるべきじゃないんでしょうか。
西尾政府参考人 汚染対策の行政手段を講じる、発動する前提でございますけれども、やはりこれは、そういう行政施策の強度との比較におきまして、実際の健康のリスクが相当に高いときというものを的確にとらえて行うべきだと思っております。
 それから、先生御指摘の、そうはいっても、いろいろ危険のあるところがあって不安ではないのかということにつきまして、そういうものにつきまして全国で調査をするというようなことはできないのか、こういうことでございますけれども、やはり何らかの有害物質が捨てられた可能性があるということだけで、かつ、それが汚染があったとしても必ず健康被害に直結するかということもわからない段階で、いわば全体に一斉に調査をしていくということはなかなか困難だと思っております。
 ただ、中環審におきましても、こういう土壌汚染の調査の結果など土壌環境保全に資する情報の整備という目からは、一つの長期的な課題ということでございますので、そういう情報の整備という目からは、長期的な課題とさせていただきたいというふうに考えております。
小林(守)委員 長期的課題ということになっていますから、やはり十年以内には必ず廃掃法の見直しの中でこれらについても、土壌汚染対策法の視点から廃掃法の見直しを膨らませていくというか、やっていくべきものではないのかな、このように思えてなりません。そこはきちっと要望しておきたいなというように思います。
 それでは、次に移りたいと思うんですが、水質基準の中で、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素というのが最近項目として出てきております。この物質の特性は人体に対してどういう影響を与えるのか、あるいは、これに対してはどういう対策をとらなきゃならないのか。
 地下水から出てくる硝酸性窒素とか亜硝酸性窒素という言葉が、農業にかかわるものなんですが、我々、基本的には、汚染者負担の原則という考え方に立って、今度の法律も、汚染原因者がはっきりしていれば、その人に汚染除去の措置命令をかけることができるようになっています。明確な言葉ではないけれども、汚染者負担の原則というのが一応法律の仕組みには取り入れられているなというふうに思うんです。
 これらについて、特に農用地の問題は別枠になっているんですけれども、硝酸性窒素とか亜硝酸性窒素というのは、地下水の汚染の問題なんですね。土壌汚染から当然入ってくるんだと思いますが、土壌汚染、そして地下水汚染ということになるんですけれども、どういう経路でこの物質が地下水などに混入してくるのかというか入ってくるのか、どういう影響があるのか、この辺について、ちょっと教えていただきたいと思います。
石原政府参考人 硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素についての、まず人体への影響の点でございます。
 硝酸性窒素に汚染されました飲用水を人が摂取した場合、メトヘモグロビン血症ということで、亜硝酸性窒素と赤血球が結合した、そういう病気ということに発症のおそれがあるということでございます。ただし、欧米においては死亡例も報告されているところでございますが、日本における報告例は、現在のところございません。硝酸性窒素と亜硝酸性窒素につきましては、こういう健康被害ということもございまして、水質の環境基準に追加したところでございます。
 なお、この際、土壌環境基準につきましては、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素の土中におきます挙動につきましては、かなりほかの物質と違ったようなところがございます。例えば、上に植わっている作物がどれほど窒素を吸収するか、あるいは土層中の、水田ですと還元層があるんですが、そうすると、脱窒作用というような形での窒素が空気中に抜けるというようなこともございます。そういうこともございまして、土壌環境基準としての硝酸性窒素あるいは亜硝酸性窒素ということについては、項目としては取り上げなかったというような状況にございます。
 亜硝酸性窒素あるいは硝酸性窒素の原因ということにつきましては、工場等の排水もあるわけですが、農用地等の施肥あるいは生活排水、それから畜産物の取り扱い等、いわば面的な形での汚染源と言っていいんですか、そういうような形でのものが土中にしみ込んでというような形でのことになっております。そういう意味では、どういう形での対応ということになりますと、面的ということになりますので、地域全体が協力をしまして、農用地の施肥のあり方あるいは生活排水のあり方等を含めて取り組んでいく必要があろうかと思っております。
 そういう観点から、環境省としましては、地下水の汚染対策のマニュアルあるいは土壌の管理指針の中で、地域ぐるみの取り組みあるいは施肥の適正のあり方、それから合併浄化槽を含めた生活排水の対策というような形での負荷の低減対策を進めていくことが必要と思っておりまして、それを適切に推進してまいりたいというふうに考えております。
小林(守)委員 今のお話だと、生活雑排水がかなりウエートを占めているような説明になっているように聞こえたんですが、生活雑排水であるならば、今までだってこれは、合併浄化槽なんかどんどん普及されていない時代は、今はされていますけれども、今までがそうだったんですから、今までもっと出ていたんじゃないのですか。今になって初めて硝酸性窒素とかこれが出てきているのは、やはり別の主な汚染源というか、それは別のところにあるんじゃないですか。何か隠しているのと違うんですか。
石原政府参考人 硝酸性窒素と亜硝酸性窒素、急に出てきたということでは、そういう意味ではないというふうに理解しています。施肥あるいは家畜の排せつ物、それから生活排水もあるというような、いろいろな面での要素があるということでの御説明をさせていただいたところです、とりわけ生活排水にウエートがあるとかどうとかということではなくて。
小林(守)委員 要は、私が聞きたいのは、主にどういうところに原因があって、どういう対策をとっていったらいいのか。汚染者負担の原則という考え方がやはり貫かれるべきだというふうに思うんですが、生活雑排水ということになると、これは全国に必要となってきてしまうんではないかと思うんです。下水道のないところは全部そうだということになってきちゃいますよね。どうなんですか。
 ですから、確かにこれは個人を特定することはできないというような種類の汚染物質であるということであるならば、対策のとり方は、汚染者負担の原則とはいっても、税金でやるとか何かでしかないような対策のとり方はあると思うんですよね。
 問題は、農業関係の、例えば酪農とか畜産とかあるいは窒素系の肥料とか、そういうものに影響されているのが主なんだというふうに私は聞いていますが、いかがなんですか、そこは。
石原政府参考人 おっしゃられるように、肥料、畜産系も原因ということでございます。おっしゃられるように、そういうことで、その汚染の原因というのが、施肥あるいは畜産性のもの、それから生活排水もあるわけですけれども、非常に面的でありまして、だれが原因者云々というような形での対応ということではないと思っております。
 そういう意味で、現時点におきましての対策としては、地域ぐるみでそういう施肥のあり方あるいは家畜のふん尿の処理のあり方というような形での適正化を図っていくということがまず第一番目に重要であろうということで、そういうような対応をしているということでございます。
小林(守)委員 同じような問題で、クリプトスポリジウムというのがやはり最近議論になって、埼玉県などでも大変な問題になった。集団中毒を起こしたというんですか、集団下痢でしょうか、そういう問題があったところもありまして、地下水の汚染がそのような農業の方から起こっているんだというふうなことも言われておりますけれども、これは後の議論にさせていただきます。
 今度の法案の中で一つ、指定調査機関の信頼性をどう確保していくかというところについて、まず、環境大臣が、経理的な基礎あるいは技術的な、能力的な基礎を判断材料にしてその指定をするというふうに、指定調査機関の指定の仕方が法案の十二条に出ておりますけれども、この中で、三条三項で、調査命令がかかったというときに報告をしない場合は、これは是正命令がかけられますよね。罰則もあります。それから、虚偽の報告をしたときにも是正命令と罰則が、三条に出てくるんですよね。三条を受けて、十二条に設けられています。
 その虚偽の報告というものについて、一般的に言うならば、事業場あるいは工場が調査機関に調査をしてもらえというふうになっていますから、環境大臣が指定した調査機関に調査をさせて、その報告書をもらって、それを都道府県に出すということになるんですね。そのとき、事業場は、これはうそだとか何か判断できますかということなんですよ。
 確かに、報告をしなければならない工場や事業場が、これはまずいから、とにかくデータを書き直して出せというふうなことは、虚偽の報告ということになるでしょうが、調査機関から来て、そしてそれがそのまま都道府県に行ったというときに、いや、そのまま出したんですよというときに、それが例えば虚偽だった場合はどうなのかという問題を私はちょっと指摘しておきたいと思うんです。
 要は、その調査機関が信頼性を持って、モラルをしっかりと持ってやれるかどうかというふうに言えると思うんですが、問題は、その認定機関が、検査分析、計量証明業務の方の、計量法にかかわってくるんですけれども、そこがきちっとやられているかによって、環境計量士それからその調査分析会社の判こがあって、データの分析がされてそれが報告になれば、依頼した工場や事業所にしても、それを受け取る都道府県にしても、このデータはおかしいということを即座に職員が判断できる力はないと思うんですよ。
 それが虚偽だった場合、要は、ちゃんと分析せずに、あるいはデータを改ざんして環境計量士とか何かが報告していたということが後でわかった場合、信頼性を担保するためのどういう措置があるのかということなんですが、そこをちょっとお聞きしたいと思うんですね。
西尾政府参考人 調査結果の信頼性の確保の御指摘でございますので、この指定調査機関が適正に調査を行ってその結果を出すということは何よりも大切でございます。したがいまして、指定調査機関につきましては、必要な技術力を有すること、それから不公正なことはやらないというようなものを指定するということでの担保が一点でございます。
 それから、その指定調査機関に対しましては、環境大臣が報告を求めたり、立入検査を行うことは当然でございます。それから、こういうことについて都道府県が要請される、心配があるというようなことがあれば、これは当然環境大臣において機動的にそういう立入検査なり報告聴取をやるということだと思っています。
 それから、調査の現場におきましても、現場に都道府県知事の立入検査などもできますので、そういうことも含めましてチェックをしていくということで、信頼性の確保に努めてまいりたいというふうに思っております。
小林(守)委員 要は、都道府県が、このデータは本当に信憑性があるかどうか、時々みずから検査するという力がないとだめなんですよ。残念ながらないんですよ、今のところ。ある県もあるでしょうが、ほとんどの県はないと思います。ですから、それは国家資格の計量士が分析した結果を信じるしかないんですよ。
 ところが、それがでたらめだったということがわかった事例があります。これはほかの、浄化槽法などの水質検査の問題だったんですが、これで法改正がなされましたけれども、計量法の所管の方から、これに対してペナルティーがどうなっているのか。それから、その信頼性を確保するために、少なくとも都道府県が、チェックできる力を持った人材あるいは施設をやはり用意しておく必要があるというふうに思うんですよね。いいかげんなデータで虚偽の分析結果を出してもだれもわからない、わかるのは内部告発しかないということなんですよ、事実上は。ここをどうするのかということを問題提起しておきたいと思うんです。
武田政府参考人 お答え申し上げます。
 計量法におきましては、都道府県知事は登録計量証明事業者に対しまして立入検査を行う権限を有しておりまして、計量証明の事業が適切に行われているかどうかを随時チェックできる仕組みとなっております。
 また、登録の取り消しに関してでございますが、先生御指摘のとおり、昨年六月の計量法の一部改正によりまして、本年四月よりは、虚偽の計量証明書の発行といった不正な行為を行った場合には、都道府県知事が直ちにその登録の取り消しでありますとか業務の停止を命ずることができるということとしたところでございます。
 こうした措置を厳正に講じていくことによりまして、今後とも不正の防止を進めてまいりたい、こう思っております。
小林(守)委員 時間が参りましたので終わります。
 ただ、この法律そのものを一言で言えば、私は、汚染土壌覆土法だ、覆土をどんどんすればいいんだということになるでしょう。それから、操業中のものについては、どんどん搬出してしまいなさいということを勧めるような法律じゃないか、汚染土壌搬出拡散法だというふうに言わざるを得ない。それから、もちろん汚染された地下水については、水道を引いちゃいなさい、そうすればいいんですよということになる法律ではないのか、こんなことを指摘して終わりにしたいと思います。
 終わります。
大石委員長 近藤昭一君。
近藤(昭)委員 民主党の近藤昭一でございます。
 先般、本会議場で大木大臣に質問をさせていただきました。委員会におきます質問は初めてでございまして、どうぞ大臣、先般の私の同僚議員もそうでありましたが、地元愛知から大木大臣が出られておられる、そしてCOP3のとき、私はまだ当選をさせていただいておりませんでしたが、京都へ出かけた覚えがあります。そのときに活躍をされた大木大臣、いろいろと私は今回の法案は問題があるというふうに思っております。どうぞ、幾つか質問をさせていただきますけれども、ぜひ真摯に受けとめていただきたいと思っております。
 それで、最終的な質問になると思いますので、改めて、質問させていただきます前に、今回の法案、ごく短く、簡単にお答えいただきたいのでありますが、なぜ今回の法案をつくることになったのかということを改めてお伺いしたいと思います。
大木国務大臣 先ほどの小林議員の御質問のときも申し上げたんですが、今まで大気とか水についてはある程度法律ができておったけれども、なかなか土壌汚染についての法律がなかったので、今回ようやく、いささか遅きに過ぎると思われる方もあるかもしれませんが、出させていただいたということであります。
 ただ、土壌汚染についてのあらゆることを今一挙にといいましても、なかなかこれは現実に行政として実効ある措置がとれるかどうかということになりますから、とりあえずは迅速に健康被害の防止を図るという、人間の健康に対する被害を防止する、それを中心にしてこの法律をつくらせていただいたということでございます。
 そういうことで、先ほどからお話しのように、今後いろいろと課題はあると思いますけれども、とりあえずはまさしく人の健康についての危険を防止するための法律だというふうに受けとめております。
近藤(昭)委員 まさしく大臣もおっしゃいましたように、遅きに失している感があるけれども、土壌についての関連する法案がなかったということで今回、そしてその裏には健康に対する被害を与えるおそれがあるという多くの不安ということであります。
 ただ、私は大臣にぜひお伺いしたいんですが、その裏にある、現象面ではそういう土壌に対する問題、土壌から健康の被害のおそれがあるのではないか、こういうことでありますが、一方で、この間いろいろな化学物質、これは土壌の汚染も化学物質でありますが、以前ですと、人類にとって本当にすばらしい、もうこの上もないすばらしいような物質が、ここへ来て、まさしく地球温暖化の問題もそうでありますが、健康の被害を起こすことがわかってきた。以前は違っていたものが今はこうだというまさしくおそれ、そしてそのおそれにはもういろいろなものに対するある種の不安があるんだと思いますし、そして私はそこの不安に、別の言い方をすると、ある種の反省が必要ではないかと思うんです。
 つまり、今回の法案の何か思想的な部分というのはいかがでしょうか。私が例えばなんという言い方をするのは大変失礼かもしれませんけれども、私が今申し上げたように、いろいろな便利だと思っていた化学物質がそうではなかったということがわかってきた。そうすると、やはり科学文明といいましょうか、そういうものに対する反省がなくてはならない。そしてまた、健康のおそれというのは、おそれというのはまさしく何が健康被害があるのかわからないというおそれでありまして、まさしくAというものが今はいいかもしれないけれども、これから悪いということがわかるかもしれない。
 そういう意味で、私は、健康の被害のおそれがあるというだけではなくて、汚染されているかどうか、それが物すごく問題だと思うんですが、その法案の思想といいましょうか、理念みたいなものをお話しいただけると幸いです。
大木国務大臣 今お話しのように、環境という概念の中でいろいろと科学的な知見が得られておる、あるいは実際に我々の社会の中でいろいろな現象が、今までは必ずしも重大と考えていなかった、あるいは今までは存在しなかったというような現象も起きているということはそのとおりだと思います。
 ですから、それに向かってどういうふうに立法でまたひとついろいろ対策をしていくかというわけでございますけれども、これは立法の政策ということになりますと、どういう法律をつくるかというのは、できるだけ現実にできることをきちっと書き込むということもあると思いますし、もちろんそれは基本的な思想というようなものを掲げるということもあり得ると思いますが、こういう非常に具体的な問題についての法律でございますから、とりあえずは、先ほどから同じことを申し上げて恐縮ですけれども、迅速に人体の健康被害の防止を図るというところに、それを中心にして法律をつくっているということで、思想というと、なかなか思想という言葉になじまないかもしれませんけれども、やはり人の健康を守るということが非常に大切だというところからスタートした法律でございまして、いろいろとそのほかに、この法律だけでなくて、いろいろな関連のことについての措置というものはあり得るわけでございますから、もっと、今もお話がありましたけれども、未然にいろいろと防止するというようなことも、思想として言えばあり得ると思います。ですから、これはまた、この法律だけではなくて、いろいろな規制法によりまして考えていくということで、ひとつ全体として環境行政を進めたいというふうに考えております。
近藤(昭)委員 私が大臣にお聞きしたいのは、今大臣もおっしゃったように、未然防止という部分なんですよ。
 つまり、繰り返しになってしまいますけれども、本当に未然防止というのも物すごく複雑だと思っていまして、先ほど申し上げましたように、Aという物質が安全だと今判断する、そういう意味では、このAという物質は使っても、Aという物質によって汚染されてもそれは問題ないということになってしまうわけであります。ただ、先ほど申し上げましたように、Aという物質が今は危険ではないと言っていても、本当にそうなのかどうかだれも断言できない。
 そういう意味では、私は、まさしくここに未然防止というものがなければ、この法案がせっかくつくられても、意味がないというか、効果をきちっと発揮できないのではないではないかと思うんですよ。そうでないと、今はいいと言っていたって、将来、先ほど申し上げたように、前はいいと思っていたけれども、おかしいというものが本当にいっぱい出てきているわけであります。
 そういう意味でも、やはり多くの人がせっかく不安を持ってきた、だから、大臣もおっしゃられたように、土壌に関してみんな不安を持ってきた、土壌はどうなっているんだと。せっかく土壌に関する法案が今回できることになった。ところが、未然防止についてはそういうものがきちっと含まれていない。では、今みんながある種何も信じられないというような状況になっているのに、そういう未然防止の観念が含まれていなくて本当にいいのかということでありますが、いかがでしょうか。
大木国務大臣 土壌の汚染というのは、一般論として申し上げますと、有害物質が大気や水を通じて、あるいは有害物質を地下に浸透させたり廃棄するというところで生じるということでありますから、その経路を遮断する、遮断することによって未然の防止が図られるというのが基本的な考え方だと思います。
 こういった観点から、既に大気汚染防止法だとか水質汚濁防止法あるいは廃棄物処理法等々で汚染の防止のための規制が行われてあるわけでありますから、そういったものを総合的に活用いたしまして、土壌汚染の未然防止の体制はそこにひとつできておるというふうに私どもは理解をしております。
 今回のこの法律、今御審議いただいているこの法律というのは、先ほどから申し上げていることの繰り返しになりますが、既に生じてしまった土壌の汚染というところに今まで法制度がきちっとなかったわけですから、そこのところをひとつ措置しようというのが基本的な目的でございますので、そのようにお受け取りいただきたいと思っております。
近藤(昭)委員 この未然防止の問題につきましてはもう何回も議論はされておりますので、これ以上は申し上げませんが、しかし、私は、今申し上げたように、未然防止という観点がなければ、やはりこれは不十分な内容であるというふうに思います。
 ただ、そういう中で、先ほど小林議員から大臣にさせていただいた質問、そのやりとりの中で私はちょっと気になったわけでありますが、やはり大臣もお気持ちとしては、冒頭申し上げましたように、今まで便利だと思っていたものが本当に健康被害を起こすかもしれない、そういうような不安、不安といいましょうか、不確定な部分はあるということは御認識だと思うんですが、そうですよね。
大木国務大臣 いろいろと科学技術がどんどん進歩してまいりますから、こういうものはいろいろと人体に影響があるよというようなことは、ほとんど毎日いろいろなものが出てまいりますから、そういうことがあり得るということは十分に承知しておりますから、これはこの法律の中でどうするということではありませんけれども、そういう現象がたくさん出てきておるということはそのとおりだと思っております。
近藤(昭)委員 そういう認識はだれもが持って、だれもがというか大臣もお持ちだ。ただ、そういうとき、先ほど法案の未完成か完成かという議論がありましたが、先ほど大臣は、現実があるんだ、だから、それについてこの法案にこう書いてあるということになると困るというようなことをおっしゃったような気が私はするんです。
 ただ、法律というのはやはり、では、逆を申しますと、今度は書いていないからいいということになってしまうと本当に不安だと私は思うんですよ。大臣は、こう書いてあるということになると困るから書かない、そうじゃないかもしれませんが、意図としては。でも、私は、少なくとも聞いたときに、では書いていないからいいんだというふうに聞こえてしまうんですよ。そうすると、では、法案はとにかく今のところだけこの程度は書いておこう、書いていないところはもう野放しにしてしまうんだ、こういうような意味にしか私はさっきとれなくて、そんな法案でいいんだろうかと思ったんですが、いかがでしょうか。
大木国務大臣 どこまでその法律で書き込むかというのは一種の立法技術の問題でもあると思いますが、考え方としては、できるだけ理想と申しますか、そういうものをまず掲げて、その中で姿勢を示してどんどんやるというのも一つの考え方かもしれませんが、逆に、余り理想的なものというか、では、現実には何をするのということについてつながってこないようなものをたくさん理想として掲げて、言うなれば羊頭狗肉というような法律というのは、これまた余り望ましくないんじゃないかということを感じております。やはりこれは、現実にできるのがどこまでだということをある程度判断した上で、これから今すぐできることはこういうことだということを示す。
 それからまた、それと関連して、将来につながるような話は、現実につながるような話というのはある程度書いてもいいと思いますけれども、書いていないから何でも勝手にやっていいということではなかなかないので、やはり日本というのは基本的には法治国でございますから、違法行為をするということになれば、いろいろそれに対しては罰則もあるわけでありますから、これは必ずしも今の土壌関係の法律でなくても、違法ということになればまたそれは取り締まるということになりますし、違法でなくてもいろいろと国民の間から意見が出てくれば、それに対しては私どももまたひとつ、問題によっては都道府県等とも相談しながらきちっとした対応を考えてまいりたいと考えております。
近藤(昭)委員 まさしく、大臣がおっしゃったように、書いていなければいいということではないということだと思います。
 ただ、書いてある中身にもよると思うんですが、多分、先ほど大臣もおっしゃったのは、いろいろな調査のことだと思います。書いてある調査は必ずやらなくてはならないけれども、そうでないものはしなくても、今の御答弁で申し上げますと、しなくてもいいという意味でもないと思うんですが、まず書いてあるものについてきちっと調査をする、こういうことで、そしてまた、先ほどから理想と現実、できることをまずやらなくちゃいけない、できることをまず書かなくちゃいけないということかなと想像をするわけであります。
 ただ、私は、そうであるとしても、やはり今最後に大臣も申されたように、国民の皆さんから意見が出てくれば柔軟に対応するんだというようなことをおっしゃったと思うんですが、理想と現実、確かにあると思うんですが、やはり大事なことは、理想に近づけていかなくてはならない。さっき大臣もおっしゃったように、ここにこう書いてある、書いていないことは全くやらないという意味ではない。ところが、これが逆に、やはりここにはこうしか書いていないんだからこのことしかやらないんだというとらえ方をされると大変に問題だと思うんです。
 そういう意味で、私は、今回の法案は少しそういう意味での柔軟性が弱いのではないか。つまり、ここにはこうしか書いていないからやらないんだよと。つまり、健康被害のおそれがある、土壌汚染のおそれがある、そして住民の人たちが、ここに汚染物質があって健康の被害があるかもしれないからちゃんとやってくれと。つまり、書いてある調査の中には入っていないかもしれないけれども、住民の皆さんから、ここはちょっと心配だ、やってくれという声が出てくる。
 例えば、そういうものは今の大臣がおっしゃった現実問題でいけば、今、こういう言い方をしていいかどうかわかりませんが、非常におそれがあるところを現実的に全部ぱっと大きく網を打ってやるということはなかなか難しい。だから、そういう意味では、現実的にはこういうところをやるということを法案に書くということかもしれませんが、ただ、そういう中でも、いろいろ国民の皆さんから声が出てきたらそこからやっていくという柔軟性がなければいけないと思うんですが、どうでしょうか、そういった住民の皆さんからの申し出で、ここはぜひ調査してもらわなくてはならない、こういうことに対してどのように対応されていくのか、お聞かせいただきたいと思います。
大木国務大臣 今の問題というのは、やはり政治と行政がどうやって協力しながら必要な措置を進めていくかということになるわけでありまして、私は、住民の声がこういうふうに聞こえてくるということになれば、私ども中央官庁としても、あるいは、特に地方においてはさらに密接に住民の方と接触しておられるわけですから、知事さんにしても市長さんにしても、そういった声があって、しかもそれが当然に、真剣に考えて措置も考えるべきような問題だということになれば、そういう御判断があると思いますから、そういうことについては私どもも決して無関心でおられるというわけではございませんから、そういう個々の問題についてどういうふうに対応するかということは、また地方自治体とも協力しながら対応してまいりたいと思っております。
 どうも大変抽象的な話になりますけれども、私は、環境問題というのは非常に、我々も一生懸命やっていますけれども、やはり個々の地域によっていろいろとその条件も違うわけでございますから、できるだけ知事さんだとか市長さんだとか町長さんだとか、そういった方々の地元におけるお考えも聞きながら、ひとつ進めてまいりたいというふうに考えております。
近藤(昭)委員 まさしくもともとそういった不安から今回の法案が出てきた。そして、出てきたけれども、法案の中できちっとやってもらえるかどうか。法案が出てきたことは一つ安心感はできたけれども、でも中身でちょっと不安がある。そういう中で、ぜひ柔軟に対応していただきたい。
 ただ、大臣、今おっしゃった住民の人から申し出があった場合に調査をする、あるいは浄化等の対応をする、それについては法案の中でいうとどこで読んだらよろしいんでしょうか。
西尾政府参考人 法案の御説明だけさせていただきますが、法案におきましては、調査を義務づける、あるいは調査命令を行うという部分につきましては、客観的な基準で公的に行う必要があるということでございますので、一定のものにつきまして調査義務を課する、あるいは都道府県知事が命令をするという構成をいたしております。
 したがいまして、今住民の方々の声をお聞きして適切に対処をするという部分は、これは基本的にはそれぞれ地域の実情を知る都道府県にゆだねられるべきことでありまして、この法案の中で一律に、こういう方式でやりなさいとか、こういうときは取り上げる、あるいはこういうときは取り上げないというようなことをこの法案の中に書くのは適当ではないというふうに思っておりまして、そういう規定はこの法案の中に置いておりません。
 先ほどから申し上げますように、こういう住民の方々の声あるいは心配事、申し出というものに適切に対処して、プラス、もちろんそれだけじゃございませんで、そういうものに対しましていろいろなデータや知見ということを判断いたしまして、各地域におきます都道府県知事がそれぞれの御判断で適切に対処されるべき事項であるというふうに考えております。
近藤(昭)委員 せっかく大臣が柔軟に対応すべきだというふうにお答えをなさったにもかかわらず、法案の中には都道府県にゆだねられていると。これでは、せっかくつくった法案の意味がないんじゃないでしょうか。
 国としては、都道府県に、住民の人からこういった申し出があるんだから、都道府県ではきちっと対応しなさい、しなさいという言い方がいいかどうか、これはすべきだというようなものがきちっとないと、今の御答弁では、ゆだねられていると。ゆだねられているということで、本当に法案として十分なんでしょうか。安心ができるんでしょうか。
大木国務大臣 先ほども申し上げましたように、具体的にどうするかという問題になれば、これは当然に私は、地方自治体なり要するに現場の方々とお話をしなければ、その対策になかなかつながらないと思います。
 いろいろと調査をするような必要が生じた、これはまた法案にもいろいろと、どういうときは調査だということは書いてあるわけですから、そういうことが出てくれば、当然に私どもも地方自治体と話をしながらということでありまして、全くそれこそ全部地方に丸投げで何にもしないということでは決してないわけでありまして、当然、これはこういった法律をつくって地方自治体とも協力しながら進めていくということでございますから、それはひとつ、先ほども非常に抽象的な言い方でありますけれども、先生もお地元でいろいろと活躍しておられますけれども、それぞれの知事さんや市長さんの地元で、行政の長であると同時に政治家としての立場もあるわけでございますし、私どももまたひとつ、政党政治の中でいろいろと地方の声というのはきちんと受けとめながらやらせていただきたいと思っておりますので、そのように御理解いただきたいと思います。
近藤(昭)委員 ですから、私は、先ほども申し上げましたように、この法案が狭まるような、つまり、さっき申し上げたみたいに、ここにはこうしか書いていないから、ほかのことはだめなんだよというようなものにならないようにしていただきたい。
 確かに、理想と現実というものも私もわからないではないですが、やはり理想のものをつくっていくべきですし、少なくとも十年の見直し、これももっと短くすべきだと私は思うんですが、やはりいろいろな不安定要因の中でいっぱい来ているわけですから、そういう意味では、大臣がおっしゃる現実の中でもできる限りそういう柔軟性があるのが必要だと思うんですよ。
 そういう意味で、今の自治体にゆだねるというだけではやはり不十分だと思いますし、少なくとも、調査は必ずしろとか、その調査の結果は必ず公開しろとかそういうものがないと、何か住民の側からは、都道府県に申し出たけれども、都道府県の方はゆだねられていて、健康、それは大丈夫じゃないでしょうかみたいなことでは、だれも納得できないわけで、調査はした上で、調査はしましたけれども、こうこうこうで大丈夫でありました、あるいは、調査はしたけれども、こういうことだったので、完全浄化はできないけれども覆土をするとかそういうことはしますとか、そういったものがないと、何かそういう一定の方向性でもないと心配でありますし、これも大臣に対してと同じようになってしまうかもしれませんが、ちょっと局長に対しても、言葉じりをとらえているかもしれませんが、大変失礼ですけれども、先ほど御答弁の中で、健康被害の調査について、健康へのおそれがある、おそれがあるというぐらいでは、ぐらいとは言われなかったんですが、聞き方によっては、健康へのおそれがあるということでは、いわゆる汚染されているおそれがある、あるいは健康被害のおそれがある、おそれということでは調査できないというような御発言が小林議員とのやりとりの中であったような感がするんですが、いかがでありましょうか。
西尾政府参考人 健康被害のおそれという言葉でございますが、例えば、この四条におきます調査命令というのは、都道府県知事の方で法律の義務として命令を課するわけでございますので、汚染が生じている可能性が高く、周辺住民などの人の健康への影響のおそれがある場合に調査命令をかけるということでございますので、そのおそれというのは、かなり心配があるというようなことではないかと思います。
 しかしながら、今の御指摘は、住民からの申し出はいろいろな不安に基づいて出てきます。それは、住民の方が必ずしもそういうデータを持って申し出られるということだけじゃなくて、いろいろな不安があると思います。そういう場合に、どういうふうにその申し出を受けとめて、どういうふうに検討をし、そして本当におそれがあるのではないかといった場合に、命令を出すかどうかということを真摯に判断するというのは、これは都道府県知事におかれて当然なされることだというふうに思っておりますし、そのことは、現在の地方公共団体にはそれだけの力もあり、あるいはそれだけの気持ちはあると私は思っております。
 その事柄と、法律にそれを一律に書くということが別だということで申し上げたもので、そういうことを、都道府県知事が住民の不安を解消するために一生懸命努力されることを否定するものではございませんし、あるいは、その過程におきまして、地方のことは都道府県知事の方がよく御存じだとは思いますけれども、しかし何か環境省がお手伝いできることはないのか、そういうことで両者協力をしていく、これが大臣のおっしゃられました協力の意味だというふうに思っております。
近藤(昭)委員 そうであるならばいいわけというか、今局長も、住民の人からある種の資料、証拠といいましょうか、資料がある場合、ない場合もあるとおっしゃいましたように、住民の方々でもそういった、例えばその地域に住んでいらっしゃる方がたくさんいらっしゃって、まさしくカンパでもし合って、自分たちでデータも出してという場合もあれば、本当に数人しか住んでいらっしゃらないかもしれないけれども、そういういわゆる地元の住民の方に、これは能力ではないと思うんですが、そういったある種の力というか準備ができていない場合、資料が整っていない場合でも、ぜひともそういった不安がある場合には都道府県においてしっかりと対応するという法案だというお答えだったというふうに理解してよろしいですか。
西尾政府参考人 住民の方々からの不安、そういったことに基づく申し出があるような場合におきましては、都道府県知事においては、それを真摯に受けとめて検討するべきものだというふうに思っております。
近藤(昭)委員 べきというところがちょっと気にはなるんですが、それはきちっと対応してもらいたいと思います。
 それともう一つ、何遍も大臣も、理想と現実というものがあるんだと。つまり、理想と現実のギャップがあるということをもちろん御認識されているからこそ、そういう言葉を使われると思うんですが、そうでありますならば、理想と現実とちょっと離れているんだということであるならば、この十年の見直しというのはいかにも長いんじゃないかと思うんです。もうそういう問題があるわけですから、十年以内とかそういうふうにしないと、先ほど汚染拡散防止についても、何かちょっと不安を感じるような御答弁の内容でありましたが、そういう意味でも、十年後の見直しは長いんじゃないでしょうか。
大木国務大臣 先ほどからいろいろな委員からもお話がありまして、私の方は、結論としては十年ぐらいがちょうどいいところではないかということを申し上げているんですが、やはりこれは、先ほど若干申し上げましたけれども、大分時間がかかって、やっとこういう法律ができてまいりまして、しかもその法律は土地というものを対象にしておりますから、土地の上でいろいろと仕事をされるという方もあるし、企業の活動もそこで行われておる。あるいは、取引の場合にどうなるかというようなこともありますから、基本的なところはこういうふうにしてきちっと規制をする。しかし、その規制はこの程度のものですよという大枠はひとつ示して、それは十年間は一応これでやらせていただきたいということにしておきませんと、また毎年毎年変わるということでは、そういった今のほかの面でのことにも影響してくるんじゃないかと思います。
 ですから、きちっと環境上の配慮をする、措置をするということは、先ほどから申し上げておりますとおり、例えばいろいろと廃棄物が出てきたときにそれをどうするかというような話は、また別途処理するということもあり得るわけでありますから、法律としては十年ということが、むしろこれから基本的に政府としてはこういう規制をこの程度にやらせていただくということをしっかりと示して、その中で関係の方々が大いに仕事をしていただくということの方がいいんじゃないかということで、同じことを申し上げて大変に恐縮でありますが、私どもとしては、法律の期限としては十年が一応適当ではないかというふうに考えております。
近藤(昭)委員 質問時間が終了いたしましたので、最後に、今のことについて私の思いだけもう一度申し上げさせていただきますと、さっきと一緒なんですが、これは十年で見直すと。確かに、法律の安定性みたいなことはあるんだと思います。
 ただ、逆に言うと、十年間は変えないんだよということになってしまうと、やはりまたこれは不安が出ると思うんです。私は、やはり十年以内、十年以内でも本当は五年以内とか、私はもっとあれだと思うんですが、少なくとも以内という言葉を使わないと、これは十年間はやらなくてもいいんだよというふうにしか聞こえないという心配をするということを申し上げて、質問を終了いたします。ありがとうございました。
大石委員長 樋高剛君。
樋高委員 自由党の樋高剛でございます。きょうもありがとうございました。
 きょうは、この土壌汚染対策法案につきまして二回目の質疑の時間ということでありますけれども、本日は委員会で採決がなされるという予定でありますので、気が早いかもしれませんけれども、この法律ができ上がった後、またさまざまな論点を積極的に環境省として、また国として議論をしていただきたいという自分の強い希望も含めまして、論点を一つ一つ整理しながら、そして率直に確認をしてまいりたいというふうに思っております。
 今回の土壌汚染対策法は、いわゆる新法、新しく制定される法律であります。そもそも、土壌汚染が叫ばれ、本当に久しくなっているわけでありますけれども、放置されてきたこと自体がまずおかしい。土壌の汚染が著しく増大をしてから、ある意味で社会問題となってから対策を打つ後手後手の行政だというふうにまず指摘を申し上げたい。遅過ぎると言わざるを得ないというふうに思います。
 また、今回の法律は、一歩前進とはいうものの、完全、百点満点と言うにはほど遠い。例えて言うならば、百段の階段のまだ一段目を今上ろうとしているにすぎないと認識をいたしております。大臣みずからも、先ほど来の御答弁の中で、不完全と言われた言葉の意味、それは希望的な意味も含めて、むしろこうあってほしいという思い入れが強いから不完全という言葉を使われたというふうにおっしゃっておいででありますけれども、これはもう与野党を超えて、委員の先生方、議員の先生方、そして役所の方々も、やはり理想というもの、先ほども理想と現実のギャップという話もありましたけれども、少しでも理想に近づけるということで御尽力をいただきたいというふうに思っております。そして今後は、責任を持って、いわゆる法の運用、実効性の推移を注意深く見ていかなくてはいけない、また見ていっていただきたいというふうに思います。
 そして、去年でしょうか、家電リサイクル法がございました。そのときの教訓といたしまして、いわゆる施行になる直前に電化製品がどんどん不法投棄されたというのは大臣もよく御存じだと思いますけれども、今回これが成立いたしますと、九カ月後ですから、来年の一月から施行ということになります。そういたしますと、もしかしたら年内に汚染土壌の不法投棄がなされてしまう可能性も十分に予想できるわけでありまして、環境省さんがリーダーシップをとって、各省庁また都道府県と、もしくはまた住民の方々としっかりと連携をとって、責任を持ってきちっと対策を図っていただきたいというふうにまず冒頭要望をさせていただきたいと思います。
 まず、大臣に伺いますけれども、この法律案、さまざまな論点がありますけれども、情報の公開、また住民参加が不十分であるという指摘もあります。土壌汚染の調査結果や、また行った防止措置の内容をきちんと公開するということを義務づけるべきというふうに私はそもそも考えていたんでありますけれども、大臣、そのことについてどのようにお考えになりますでしょうか。
大木国務大臣 どこまで公開するかという問題でありますが、これは御存じのとおりに、今回も、調査の結果、汚染がはっきり判明した場合には、これを台帳に記載して一般の閲覧に供するということでありまして、台帳には、公開の事項として、指定区域の所在地等に加えて、調査結果に基づく汚染の状況、それから、覆土、封じ込め等の措置を行ったときはその内容を書き込むということを予定しておりますので、今後、さらに詳細に検討はいたしたいと思いますけれども、そういうことによって基本的な情報公開は行われておるというふうに感じております。
樋高委員 行政そして国の信頼確保というためには、やはり情報公開そして住民参加は欠かせないと思いますので、しっかりとお願いいたしたいと思います。
 汚染土壌に対する措置といたしまして、汚染の浄化措置を行った後の話でありますけれども、私は汚染された土地であったという履歴を残すべきでないかというふうな考え方であります。
 いわゆる浄化措置が終わって指定解除がなされた後に、台帳記録の抹消によって、その地域にうわさは残ります、台帳の記録はなくなりますということになるんです。そうすると、例えば、地主さんでその地域にずっと住んでいらっしゃる方々はその地域の歴史をわかっているわけですから、うわさはどんどん残っていくわけですね。ましてや、そのうわさは代々その家族に語り継がれていくものでもあるというふうに思うんであります。
 また一方、それは本当か、いわゆる汚染された事実は本当か、そして浄化された事実は本当かということを役所に問い合わせをしてみても、実は、浄化をされてしまったということであるならば、役場の窓口の方々も人事異動等によりましてどんどんかわるわけですから、その地域にはうわさが残る。
 うわさというのが一番不安を増大させる一つの大きな要因でありまして、だからこそ、汚染は、調査をして指定されて、その後、ただしきちんとそこの所有者なり汚染原因者の方が責任を持って浄化措置を行って、指定解除になって台帳から記載はなくなったけれども、ここは安心なんですよという、逆に言えばその安心のための記録を私は残すべきじゃないか。
 そうしないと、例えば、その地域に住んでいらっしゃる、すぐ隣に住んでいらっしゃる二代目の方が、その地域にいよいよ引っ越してこよう、例えば土地を買おうとする方々に聞かれたときに、ここは昔汚染されていたところなんだよ、いや、浄化はされたそうなんだけれどもねと言われて、役所にその地域を問い合わせをいよいよしたときに、役所にも浄化されたという記録も残っていないわけですから、そうすると、不安を招くんですよね。
 ですから、だからこそ、浄化措置を行った、一度は汚染されたけれども浄化がなされた土地であるという記録、言いかえれば履歴をきちんと残すべきではないかというふうに私は考えるんですけれども、いかがでしょうか。
大木国務大臣 これは、こういった公的な資料をどこまで残すかという問題の一つの問題だと思いますけれども、指定区域台帳は、基準を超える土地汚染が存在する土地の情報を記載するということでありまして、指定が解除されたということは、その浄化措置が行われた土地においては今後はリスク管理の必要はないということでありますね。ですから、必ずしもその履歴を、履歴といいますか、土地汚染が存在したという履歴を指定区域台帳の中で残す必要があるかどうか。これはやはり無限に資料を残しておくということにもなる。
 しかし、台帳から削除いたしました帳簿等は、各都道府県におきまして、またそれぞれの都道府県の文書保存のルールで保存をされるわけでございますから、これはやはり、その土地土地と申しますか、各都道府県におきまして、状況に応じて御判断していただくというのが適当じゃないかと思っております。
樋高委員 要するに、ここがまさしくうやむやでありまして、こういうケースがあり得るわけですから、今大臣は、もちろん、都道府県によってそれぞれ判断をして、町役場なり市役所なりは別に記録はその役所の中で残してもいいと。それはもちろん情報公開の一つの対象にはなるんでしょうけれども、やはりうわさが残って、それは地域によって、根拠がない、記録もないということで、どんどん話が大きく膨らんでいってしまって、余計な不安を招きかねないから私は申し上げているわけでありまして、今後、どうか大臣、この部分をしっかりとお考えいただき、検討いただいて、適切に都道府県なりと連携をとって対策を講じていただきたいというふうに思います。
 そして、土地の形質変更の制限についてでありますけれども、指定区域の形質変更については、汚染されている土壌でありますから、その制限をするのは当然であります。しかしながら、指定に至る前の、またそもそも論になってしまうんですけれども、汚染はされていても、調査の段階からそもそも汚染土壌が調査から外れているケースが十分にあるわけです。要するに、汚染されているけれども、そもそも調査の網にかからないよと。だから、そこでどんなに形質変更の制限をうたってみたところで、その台帳に記載されていないからといっても、そこは必ずしも、逆が真なり、要するに、そこに記載がないから安心ですよということにはならないんですよね、今回の法律は。私は、物すごく大きな問題点だと思うんですよね。
 したがって、あたかもリスクを抱えている土地はすべて管理下に置かれるように思われますけれども、しかも、この法律のタイトルが土壌汚染対策法案、立派なタイトルでありますけれども、実は、私もこの間の委員会で申し上げましたけれども、土壌汚染の一部対策法にすぎないんです、この法律は。だから、実は土壌汚染されたところすべからく制限されるから安心ということでは全くないんだよということをきちんと世の中に知らしめておかないと、私は、また無用の混乱も起こしかねないというふうに思うわけですけれども、大臣、いかがお考えになりますか。
大木国務大臣 これは、どういうときに、みんなが知らないのにというか、そういう危険が生じるというようなことがあるのかというのはなかなか、私も今頭の中で御質問の意味を考えながら考えておったんですが、いずれにいたしましても、この法案は、第三条及び第四条において、健康リスクの高い一定の場合に調査を行わせるということになっているわけですね。だから、まず、そういったものをきちっと適切に、そういったときには調査を実施するということをこれからどんどんやっていくということによって、やはりその目的が達成されるんじゃないか。
 ただ、これとは別に、また、汚染土壌の処理、汚染した土壌の処理そのものにつきましては、先ほどから御説明しておりますけれども、廃棄物処理法における取り扱いということで、これは実はまだ検討しておりますけれども、問題があるということは意識しておりますので、廃棄物処理法ということの中でこれからどういうふうに取り扱うかということはひとつ考えてまいりたいと思っております。
樋高委員 大臣、汚染された土壌に対して対策を打つのは、それは当たり前の話であります、発見されたわけですから。そうではなくて、最初の調査の網をかけるときに、そもそも汚染された土壌というのは本当にたくさんあると思うんですよ、日本国内に。それで、調査の網にひっかかってこないところが存在をする。その中でどうしていくかということをお伺いしたかったわけであります。
 今後もよくお考えをいただいて、例えば、指定台帳に載っていないから安心だよというのは、それは全く間違いでありますから、そこに載っていなくても、ほかにも人の健康に被害を及ぼすであろう土壌汚染が存在し得るということをきちっと世の中に言っておく、説明する責任、アカウンタビリティーがあるよということを私は申し上げているわけであります。
 時間がありませんので、どんどん進んでいきたいと思いますけれども、次は政務官に伺います。
 有害物質使用特定施設の立場に立って今後ちょっと考えていただきたいんでありますけれども、要は、土地が汚染されている可能性が高い場合は、汚染の発覚を逃れるために、前回の委員会でも大臣の答弁で、それは人情じゃないかという話もありましたが、工場、事業場の廃止時、また用途の変更など、いわゆる調査が行われる以前、それより前に汚染土壌の持ち出しが横行するんじゃないか。非常にシンプルな質問なんですけれども、要するに、費用負担も、また精神的な負担も逃れようとするのが、それは人の気持ちの一部でも、そうであってはいけないですけれども、義務を負わされる前に回避しようとするのが人様の気持ちではないかというふうに思いますが、その点、いかがお考えでしょうか。
奥谷大臣政務官 議員の御懸念はごもっともだと存じております。そして、調査いたしましたところ、汚染土壌の掘削、除去というのは、舗装や覆土等の措置よりも一般的に非常にコストが高くなります。場合によっては十倍以上の開きが出ますので、現実的にはそういうことはあり得ないんじゃないか、考えにくい、こう考えております。
樋高委員 そんなことはないと思うんであります。
 例えば、政務官、質問通告していませんけれども、罰則が百万円以下ですね。浄化するのに五千万かかったとしますわね。これは、さっきの回避するのとはちょっと視点が違いますけれども、要するに、罰金の方が安いじゃないかという話にもなっちゃうんですよね。このことについて、政務官、いかがお考えですか。
奥谷大臣政務官 例えば、浄化して多大な費用がかかる、浄化しないで売ったときのその費用とどれだけの開きが出るかというようなこともありますから、それが覆土とか舗装とかで使えるんであれば、わざわざそこまで費用をかけて、それだけ高く売れるとかいうような保証もないわけでありますから、その辺の値段の開きというのが、土地のいろいろな相場にもよるんでしょうけれども、現実のところ、考えにくいということでございます。
樋高委員 政務官、ありがとうございます。突然の質問で申しわけないんですが、さまざまなこういった問題がありますよということも、どうか政務官も責任を持って、我々にももちろん責任がありますので、きちっと考えて、今後も議論していきたいと思います。
 次に、処分のために搬出された土壌、いわゆる汚染された土壌でありますけれども、今後どのように取り扱うかということでありますが、廃棄物・リサイクル制度の一環として検討を行っているということでありますけれども、その検討も、いつまでも検討するわけにはいかないだろうと思うんですよね。来年から施行されるわけですから、その施行に伴って、汚染された土壌はどんどん搬出が始まります。それまでに結論を出して、そして対策を打っておかなくちゃいけないということなんです。つまり、年内にはそのシステムをつくり上げておかないとだめだよということなんであります。
 これは、要するに、廃棄物・リサイクル制度の一環ですから、ほかにもさまざまな解決しなくちゃいけない問題があるのもよくわかりますけれども、この法律案ができ上がって来年から施行される前に、例えば、土壌の搬出に関しては、この夏ごろには一定の結論を出して、そして年内には、つまり、来年の法の施行に伴って汚染土壌はどんどん搬出されますので、前倒しで、早目早目にきちっと検討を行って結論を出す必要があるというふうに思うんですけれども、いかがお考えになりますか。
大木国務大臣 確かに、実際に法律ができても、さっぱりきちんとできないということでは困るわけでございますが、今の廃棄物の処理の話を含めて、中央環境審議会の方でもいろいろと検討しておりまして、これはまた、一般からもいろいろ御意見も聞いてということを考えておりますので、夏までというのはちょっときついかもしれませんけれども、本年中には結論を出したいと考えております。
樋高委員 年内に結論を出すんでは遅いんでありまして、年内に結論を出した上で対策が打たれなくちゃいけないと思いますので、しっかりとお願いをいたしたいと思います。
 次に移りますけれども、リスク管理指定後の措置、いわゆる中小企業者に対する配慮についてであります。
 いわゆる指定区域として指定された際に、必要に応じて配慮をする、配慮配慮ということを大臣はずっとおっしゃっておりましたけれども、それは大切なことではあると私は思います。もちろん、当たり前の話であります。
 その配慮の程度の問題なんでありますけれども、例えばですが、よくあるケースなんですけれども、家屋兼用の中小零細工場、例えば、一階、二階が工場、三階に家族で住んでいらっしゃるということが仮に廃業なさった際に、そして調査をし、汚染が発見されましたよという場合に、費用負担、また土地資産も下落をいたします。旧事業経営者、家族が大きな影響を受けるということは目に見えているわけですよね。このようなケースについてどのように対応をなさるのか。これに該当するケースは、私の調べたところによりますと、本当に多いと思われますので、具体的にお伺いをしたいと思います。
大木国務大臣 確かに中小企業で工場と家屋が一緒になっているというようなのはたくさんあるわけでございますから、こういった方々に対する配慮というのは当然必要だと思っております。実は、今中環審でも勉強していただいておりまして、今のところ答申で、「零細な工場・住宅兼用の建家に係る事業場の廃業時に行う調査については、住宅家屋の継続使用の状況等の事情にも配慮しつつ検討する」ということで、今そこまで煮詰まっておりますので、具体的にその配慮の内容をまたひとつできるだけ早く詰めたいと思っております。
樋高委員 しっかりと配慮をお願いいたしたいと思います。
 そういう個別な、さまざまな状況に応じて、本当にいろいろなケースがあると思います、その分、本当に対応も大変だと思いますけれども、やはり適切な措置が行われるようにマネジメントできる国の体制の整備、また政策誘導されるように要望いたしたいと思います。
 次に、技術開発について伺います。
 大切なことは言うまでもないことなんでありますが、土壌が汚染されているおそれがある場合や、土壌汚染により健康被害が生ずるおそれがある場合には、健康被害を防止する観点ということで、どのようなケースであっても、必要な土壌汚染の調査や汚染の除去等の措置が実施されなければならないのは当然であります。
 しかし、これらの調査や措置を実施しようと思っても、そのために手間暇、労力、また費用がかかってしまっては、なかなか取り組みが進まないということが私は考えられると思いますし、そこの部分が今回の一つのかぎなんじゃないか、この法律が本当に実効性を上げられるかどうかのかぎなんじゃないかというふうに私は思うんであります。
 このために、土壌汚染の調査や汚染の除去等の措置をスムーズに実施して確実に国民の健康の保護を図るため、できるだけコストのかからない調査方法、また調査の仕方、措置の方法を開発することは欠かせない。
 また、コストを下げるだけじゃなくて、簡易にできるシステム、今現在本当に確立されているのかどうか私はわからないわけでありまして、いろいろ私の知り合いのこういう環境調査をするところに聞いても、ううん、今まで余りやったことないからねと言う方が多いんですよね。
 ですから、それはやはり国が責任を持って、技術開発、そして低コストにするということが必要であると私は思いますけれども、いかがお考えになりますでしょう。
奥谷大臣政務官 土壌汚染対策の円滑な推進のためには、御指摘のように、簡便かつ低コストのこういった新技術の開発が必要だと考えております。
 環境省では、平成十四年度予算で新たに、低コスト・低負荷型土壌汚染調査・対策技術検討調査を計上しているところでございまして、同予算を活用いたしまして、今後実用化が期待される簡便で低コストかつ環境への負荷の少ない汚染の除去等の措置に係る技術についての実証試験や技術評価を行い、関連技術等の一層の開発促進を図ってまいりたいと考えております。
樋高委員 調査が低コストでなるべく手間の要らない技術開発を国が強力にしっかりと促進していただきたいというふうに思いますし、また、リスク低減技術についても、国として技術開発をしっかり行っていただきたいと思います。
 そして、この浄化ビジネス、私は厚生労働委員でもありまして、雇用対策にも取り組んでいるんでありますけれども、実は新たなマーケットができるんですよね。ですから、この浄化ビジネスによって雇用の創出もなされるということは大いに結構なことなんじゃないかという視点も考える必要がある。環境問題というのはさまざまな分野とすべてリンクしている政策分野でありますので、雇用の創出もなされて、そして環境もよくなるのであれば、これほどいいことはないとは思いますけれども、ほかのさまざまな政策分野ともリンクしているんだということもちょっと考えて今後取り組んでいかなくちゃいけない課題であるというふうに思います。
 指定調査機関についてでありますが、指定調査機関をなぜ指定する必要があるのか。調査の主体を特定の業者に選別するということがこの法律にうたってあるわけですから、限定をするということによって、まさしく官と業の癒着にもつながりかねない。もちろん、そんなつもりはないよというふうに思っていらっしゃるんであれば、そのことをおっしゃっていただければいいんでありますけれども、またいわゆる口ききが行われる可能性を生み出してしまうのではないか。もちろん、今この法律をつくるのに携わっている方はそんなつもりは毛頭なかったとしても、代がかわったり人がかわったりしたときには、もしかしたらそういうことも行われかねないということで私は申し上げているわけでありまして、別に今疑っているわけでは決してございません。
 また一方で、規制緩和に反するのではないかというふうな指摘もあります。一方で、環境省として天下り先を確保するのではないかというふうにも思われかねないですよね、この法律を読むと。
 いわゆる指定調査機関を指定することの意義も含めまして、改めてそのことも含めて確認をいたしたいと思います。
大木国務大臣 指定調査機関はなぜ必要かということでございますけれども、やはり調査をお願いする方が適切な技術的な能力が必要だというのが、これはまず一般的なお答えになるかと思います。したがって、そういった指定調査機関の制度を設けてきちっと判断するよということにしておるわけでありまして、指定調査機関の技術能力というのを判定する基準として、調査に必要な機械や器具及びまた技術力をちゃんと持っているかとか、あるいは調査に必要な経理的な基礎及び組織体制を持っているかというようなことをきちっと判断させていただきまして決まるということでありまして、その指定が非常に恣意的になるというふうなことは心して避けたいと思っております。
樋高委員 次に、指定支援法人についてであります。
 前回の議論もありましたけれども、これによって、まさか新たな支援法人をつくったりということは毛頭ないと思いますけれども、既存の公益法人を指定してということで、例えば日本環境協会だという話もありました。それによってまた人がふやされたのでは、それもまた行革の流れに逆行するという話になりますけれども、人をふやさない、それでなおかつきちっと詰めて、今回いわゆる行革の流れに逆行することはないということに対しての大臣の御所見を伺いたいと思います。
大木国務大臣 支援業務を行うための基金というのを考えておりますが、これは国などと区分して経理できる機関に置く必要があるということでありますから、既存の公益法人を活用する指定法人制度ということを予定しておるわけでございますが、この指定支援法人は、新たな機構等の増大でないようにということで、行政改革、公益法人改革というものに反しないようにひとつ実際には実施してまいりたいと思っておりますので、そのように御理解いただきたいと思っております。
樋高委員 なぜ指定支援法人制度を設ける必要があるのかということですけれども、その業務内容を見ますと、指定支援法人の行う業務範囲の妥当性について伺いたいんですけれども、仮に基金を運用管理するために法人がその業務を行う、それは実際に基金があるわけですから、どこかが管理しなくちゃいけないのは当たり前でありますけれども、この土壌汚染状況調査等についての照会、相談、助言、また土壌汚染状況調査等の実施における国民への知識普及、理解増進、こういうことまでなぜ行うんでしょうか。助成金交付業務以外の業務は指定法人以外でもできるし、やらなくちゃいけないし、なぜ必要最小限――今大臣の答弁の中では、要するに行革の流れに逆行することはないと言いつつも、そうはいっても、その基金の運用管理だけじゃなくて、照会、相談、助言、知識普及、理解増進、これは大変な業務だと思いますよ。何でそういうことになっているんでしょうか。
大木国務大臣 今お話もございましたように、まずは基本的には基金の運営ということがありますから、そういった法人をひとつつくるということでありますけれども、今の二番目の方の、いろいろとほかの仕事もするのかということでございます。
 先ほどからお話がございますように、新しい制度ができて、どういうふうに運用していくかというようなことについては、国民に対するPRも十分じゃない。私どもとしては、地方自治体とも協力しながら、できるだけこの法案の説明といいますか、普及ということにつきましては努力いたしますけれども、やはり今のリスクコミュニケーションというようなことについては、たまたまこの想定しております指定支援法人が、そういったある程度、ある意味におきましては専門家の立場からもいろいろと知識、情報というのは持っているわけですから、そういった人がひとつ国民に対するいろいろな説明、PRというようなこともしていただくということは決してむだなことではないと思いますし、人数をやたらにふやすというつもりはありませんけれども、そういった仕事をしてもらうということは、むしろ大いにそういった団体に仕事をしていただくという意味で、大いに活用という意味では望ましいことではないかというふうに考えております。
樋高委員 基金を管理する立場でありますから、いろいろな中身についてもお詳しい方々が携わるんでしょうから、もちろんその方々も知らんぷりはできませんし、やるべきことはやっていただいてそれは結構なんでありますけれども、それによって、先ほど大臣の答弁にありました行革の流れに逆行するようなことにならないように。どんどん業務をふやしていって、ほかの例えばいろいろなNPOさん、NGOさんなり、都道府県の役所なり、またさまざまなチャンネルを通じていろいろ皆様方をリードするというか、連携をとりながらやるということについてはいいかもしれませんけれども、それによって、一体何のためにこの指定支援法人があるのかという原点を忘れないように、しっかりと監視をしていっていただきたいと思います。
 また、この助成金の交付の基準なんでありますけれども、どのようなものを定める御予定でありますでしょうか。
奥谷大臣政務官 助成金の交付につきましては、汚染原因者が不明等で、汚染の除去等の措置を命じられた土地所有者等の費用負担能力が低い場合に対して助成を行う地方公共団体に助成金を交付するものであります。
 また、負担能力が低い土地所有者とは、例えばマンションや個人住宅の住民のようなものを想定しておりまして、ディベロッパー等についてはみずから負担していただきたいと考えておりますが、具体的には今後さらに検討してまいりたいと思っております。
樋高委員 要するに、助成金の交付の基準を当てはめるに当たって、きちっと線引きを事前にしておかないと、グレーの部分で絶対トラブルになってしまうから、心配して申し上げているわけでありますので、ここはきちんと、これももう本当にいろいろなケースがあると思いますので、では個人で資産が今貯金で幾ら以上ある方は助成しないとかするとか、もう大もめにもめると思います。あっちでは助成されているのに、何でこっちでされないんだということで、本来のやるべきこと以外のことにちょっと労力がかかってしまってはいけないという前向きな意味で申し上げているわけでありまして、ここの部分もぜひきちっとはっきりしていただきたいと思います。
 そして、この実効性を確保するためには基金の安定確保というのは外せないというふうに思います。経済界からは必ずしも基金の拠出については前向きでないという報道もなされておりますけれども、大臣は政治家でもありまして、この法律をつくり上げた責任者として、いわゆる基金の安定のためには率先して汗をかいていかなくてはいけないと思いますけれども、基金、集まる見込みはあるんでしょうか。
大木国務大臣 従来、こういうお金集めというと、往々にして経団連あたりに行って、ひとつやってくださいと頼むことが多いんですけれども、最近は非常に経団連も、各企業を代表して経団連の方で割り当てて下へおろすというようなことはなかなか難しいわけでございます、これは実態として。
 ということで、今おっしゃったとおり、大いに汗をかかなきゃいけませんけれども、いろいろと個々の企業の方、経営者の方々ともお話をしておりまして、趣旨については御理解をいただいておりますので、今後大いに汗を流して、私以下、省員汗を流して基金集めをいたしたいと思っておりますので、これはぜひともひとつ成功させたいと思っております。
樋高委員 アメリカのスーパーファンド法の話もありました。あれは物すごい基金がでかいからスーパーファンド法と言われているんだそうでありまして、今回の日本国内で予想し得る土壌汚染箇所の数と、あとそれを浄化する金額を何か試算すると、今想定なさっておいでである基金の金額では、けたが二つは少なくとも違うという話のようなんですよね。ですから、これは今回、百段の階段のうちの第一段、第一歩の法律ができ上がっても、その第一歩の足を乗っける前にまた後ろに後退するようなことのないように、中身の部分で、助成が行われなくなると、本当に実効性が上がらないんじゃないかというふうにも私は思うのでありますが、その一方でこういう問題もあります。
 防止措置を行う前に、いわゆる費用負担をめぐって、委員の先生方もるる議論がありましたけれども、汚染原因者が認定し切れない。所有者と汚染原因者の間で訴訟合戦、おまえが払え、おまえが払えという話になって、そして長引く裁判。今、司法制度の中では、裁判をすると時間がかかるんです、これは実際。お金もかかるんですけれども、その間に汚染がどんどん拡大してしまうという懸念も、私は、どうしてもこの一点、払拭し切れないんです。
 政務官にお尋ねいたしますけれども、いわゆる汚染原因者の特定に時間がかかったり、また、汚染原因者と土地所有者が責任を押しつけ合ったりすることによって汚染土壌が放置されてしまうという心配もあるんですが、いかがでしょうか。
奥谷大臣政務官 本法の実施に当たりましては、都道府県知事が、過去の土地所有者等の関係者からの聞き取り、また水質汚濁防止法の届け出の状況、土地の履歴調査等に基づいて汚染原因者を判断し、適切に汚染の除去等の措置を命ずることといたしております。また、その際に、汚染原因者や土地所有者に弁明の機会を付与することによりまして、一層の適切を期することといたしております。
 また、本法案は、対策のルールと都道府県知事の役割を定めるものでありまして、これによって従来より適切かつ迅速に対策の実施が進められるものと考えております。
樋高委員 今後しっかりとウオッチをしてみて検証をしながら、本当に実効性が上げられるように責任を持って取り組んでいただきたいと思います。
 最後の質問をさせていただきたいと思いますけれども、今回、この法律案の中には政省令が多くて、わけがわからない、はっきりしないことが多過ぎる。何回読んでも、肝心なところが、政省令にゆだねているというふうに書いてあるものですから、なかなかイメージがわきにくいし、問題点も考えにくいのであります。
 その中において大臣は、いいように考えて機動的に対処するからだ、だから政省令が多いんだという話もありましたが、よい方向に機動的に動いていってくださるならいいんですけれども、決して悪い方向に機動的にならないでいただきたいという思いも込めまして、この法律案では政省令に多くの課題がゆだねられているんです。法律が制定された後の作業が、ある意味でこれからがスタートである、今後の取り組みが非常に重要であると思うのでありますけれども、いかがお考えになりますでしょうか。
大木国務大臣 政省令にゆだねてあるということにつきましては、確かに多いんですが、これから政省令を定めるに当たって、私としては二つのことを考える必要があると思っております。
 一つは、これはやはり、いろいろな措置をとる場合には、非常に技術的、専門的な事項も多いわけでございますから、そういったものについてはそういった専門的な方々からの意見をきちっと聞くということがまず必要であろうというふうに思っていますし、そういった方々にまた実際に働いていただくということもあるかと思います。
 二つ目は、やはり国民の理解を得ませんとこれはなかなかあれでございますから、これからいろいろとパブリックコメントというような形で、実際に実施する場合にこういうことはきちっとしてくれというようなことをきちっと御意見を聞き、また、私どもの方としても、行政側からいいますと、こういうことについてはそれぞれの地元あるいは企業の御協力を願いたいということを十分に周知、理解していただくということが必要でございます。
 そういった二つの意味から、つまり、専門的な意見をきちっと聞く、それと同時に国民とのコミュニケーションをきちっとする、そういうことをやりながら、ひとつ政省令を必要に応じて定めてまいりたいというふうに考えております。
樋高委員 今回、土壌汚染対策ということで議論をしてまいりまして、課題がさまざま浮き彫りになったのも事実でありますので、今後、この土壌汚染対策、物すごく重要な部分であります。人間はこの地球上に住んでいるわけでありまして、地に足をつけているのは土でありまして、ここの足元をしっかりとやらないと足元からすくわれてしまうわけでありますから、この土壌汚染対策のことにつきましては、私自身もきちんと取り組んでまいりたいと思いますし、委員会所属の先生方、そして大臣、副大臣、政務官、そして環境省の役所の方々とともに、本当に環境をよくするんだ、その一点で、どうか一緒に私も汗を流してまいりたいということを申し上げまして、きょうの質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
大石委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午前十一時五十五分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時四十四分開議
大石委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。藤木洋子さん。
藤木委員 日本共産党の藤木洋子でございます。
 現在、滋賀県内の野洲川流域で、地下水汚染が地元では大変な問題になっております。野洲川流域の左岸にございます守山市の立入水源地の原水から、発がん性の疑いのある四塩化炭素が地下水質環境基準を最大濃度〇・〇一〇二ミリグラムと超過して検出されていることが明らかになっております。また、右岸の野洲町三上水源地の原水でも、同物質が最大濃度〇・〇四四九ミリグラムと超過して検出されております。さらに、その最下流にある中主町の比江水源地の原水からも、環境基準値を下回っているとはいえ、四塩化炭素が検出されていることが明らかになっております。四塩化炭素の地下水汚染が深く浸透しておりまして、汚染の範囲も野洲川流域全体に拡大していることが明確になっております。
 そこで、滋賀県の四塩化炭素の汚染監視区域は、現在、守山市川田町と野洲町三上の二つの地域に分散指定しておりますけれども、この際、これらの地域に範囲を拡大して、一つの地域として対策を講ずるようにすべきではないかと思うのですが、環境省、いかがですか。
石原政府参考人 先生おっしゃられますように、現在、守山市と野洲町からの地下水汚染の報告を県の方が受けまして、去年の十二月、それから本年の一月にかけて、汚染状況の調査等を行ったところでございます。
 その後、滋賀県としては、両地区の汚染井戸の近接の状況あるいは汚染状況調査等の結果から見まして、御指摘のように、両地区を一つの汚染地域とみなして調査、対策を進めるのが必要であるというふうに考えまして、来年度からは両地区を含む周辺地域を一体的な地域としてとらえまして、地下水の定期モニタリング、あるいは専門家の意見も踏まえた汚染源の調査等を実施するというふうに聞いておるところでございます。
藤木委員 今、来年度とおっしゃいましたかね。――それでは、この四月からということですか。ちょっと答えてください。
石原政府参考人 失礼いたしました。本年度の十四年度からということでございます。
藤木委員 四塩化炭素の地下水汚染は、守山市の立入水源地の場合、一九九七年に三号井戸の原水で〇・〇〇二二ミリグラム検出されて以来、四号井戸も昨年〇・〇〇二六ミリグラムが検出されるといったような状況で、毎年環境基準を超過しております。また、野洲町三上水源地の場合、九六年に三号井戸の原水で〇・〇一一七ミリグラムが検出されて以来、こちらも毎年環境基準を超過しております。中主町の比江水源地では九四年から検出されていることが明らかになっております。
 ところが、この地下水汚染問題というのは、今もお話ありましたけれども、去年の十二月の守山市議会で日本共産党の代表質問で指摘されるまで、市民には何ら公表されておりませんでした。守山市長は、この指摘に対してこの事実を認め、公表すべきであった、適切な対応に欠けていたことについて市民におわびしたいと答えています。
 そこで、旧厚生省は、九七年四月に、「飲料水健康危機管理実施要領について」という課長通知を都道府県に出しておりまして、水道事業に係る水道原水水質の異常などが発生した場合、厚生労働省に直ちに情報を連絡するようにと記しておりますけれども、守山市や滋賀県から連絡を受けたのはいつの時点でなされたのか、厚生労働省にお答えをいただきたいと思います。
下田政府参考人 滋賀県守山市の水道事業者から、水道水源でございます三号井戸及び四号井戸から四塩化炭素が水質基準を超過しているといった報告を受けましたのは、平成十三年、つまり昨年でございますが、十二月五日ということでございました。
藤木委員 確かに、厚生労働省への連絡がおくれたという理由は、守山市の場合、立入水源地の三号井戸で環境基準を超過したため、ほかの井戸の原水とまぜまして混合希釈をした、薄まったんだから、そうして供給してきたからだと言っております。しかし、野洲町の場合は、単純に水道原水水質を届けなければならないのを、水道水の水質を、要するに上水の水質だというふうに勘違いをしていたので、取り違えたために報告がおくれたんだということを言っておりますけれども、滋賀県への連絡は結局は怠ってしまった。
 しかし、そもそも、守山市の最大濃度〇・〇一〇二ミリグラムが検出され、また、野洲町の最大濃度〇・〇四四九ミリグラムが検出された時点で取水停止をするというべき事項なんですね。そういう事態だったのです。さらに、守山市の場合は、二〇〇〇年二月に水道水の水質から〇・〇〇二六ミリグラムが検出をされ、去年の六月には〇・〇〇三〇ミリグラムが検出されているにもかかわらず、給水停止もしないで、市民に水道水を供給しておりました。
 そこで、守山市が三号井戸、四号井戸の取水停止を実施したのは、それではいつの時点だったのですか。
下田政府参考人 三号井戸につきましては昨年の七月二十四日、四号井戸につきましては同じく昨年の十二月十五日に取水を停止したというふうに聞いております。
藤木委員 こうした状況について守山市が給水地域の住民に対して説明会を実施したのは、去年の十二月二十日のことでございました。それは、九七年の二月に異常が発見されてから四年十カ月たっておりますね。三号井戸を取水停止してからでさえも約五カ月たっているという状況です。少なくとも、去年の六月六日に採取した水道水の水質が環境基準を超過していたことが判明したのは同月二十八日で、汚染された三号井戸の取水停止をしたのが七月の二十四日ですから、その間は市民の健康の安全が脅かされる事態が生じていたということになるわけです。
 ですから、厚生労働省は、厚生省健康危機管理基本指針に基づいて、飲料水を原因とする国民の生命、健康の安全を脅かす事態に対して行われる健康被害の発生予防、拡大防止等の危機管理の適正を図るために、さきの実施要領を示したとしておりますが、野洲川流域での地下水汚染に対する対応は全く危機管理に値しないものではないかと私は思うのですけれども、厚生労働省はどのようにお考えですか。改善指導はどうなさいましたでしょうか。
下田政府参考人 水道法で定めております水質基準に適合した安全な水を供給するというのは、水道事業者としての責務でございます。
 今回、守山市の対応につきましては、採水後、四塩化炭素の基準超過が確認をされまして、そのための対策を講じるまでの対応が遅いといったことが見られておりまして、速やかな対応が図られなかったという御指摘につきましては、問題であろうかというふうには考えております。
 厚生労働省としましては、従来から、水質管理の徹底につきましては種々通知等出しまして指導してきておりますけれども、今後とも、こういった基準超過が明らかになりました場合には、所要の低減化対策、いろいろございますけれども、低減化対策を実施するといった措置を講じまして、基準を満たした水質が確保されるようにさらに事業者を指導していくことといたしておるところでございます。
藤木委員 それでは、守山市とそれから野洲町は、曝気装置などをそれぞれ整備しまして、改善措置をとろうというふうにしているわけですね。守山市の場合は五億円、野洲町の場合は三億円ほどその費用がかかるというふうに伺いました。
 ただ、もっとも、野洲町は資本単価が若干低いというようなことを言っておりましたけれども、厚生労働省の高度浄水施設整備費というのがございますね。この国庫補助が受けられるというふうに聞いておりますけれども、その後、どのように進展をしておりますでしょうか。その経過についてお願いいたします。
下田政府参考人 お尋ねの件でございますけれども、まず、守山市でございますけれども、本年十二月の処理施設の稼働を目標といたしまして、現在、高度浄水施設整備に係ります補助申請の準備作業を進めているというふうに聞いておるところでございます。
 一方、野洲町でございますけれども、現在稼働中の曝気処理装置を使ってございますけれども、この装置での四塩化炭素の低減、これがどのようになるのか、そして、その水質改善がどうなるのかといった部分を見きわめている段階であるというふうに聞いておりまして、さらに必要があれば新たな処理施設の整備を早急に講じようというふうな段階であると承知をいたしております。
 いずれにしましても、厚生労働省といたしましては、今後、関係者の意向を十分に伺った上で適正に処理をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
藤木委員 では、守山市の場合は、申請が出ればこれは補助の対象になるというふうに考えてよろしいですか。
下田政府参考人 そのとおりでございます。
藤木委員 守山市、野洲町での地下水汚染の状態といいますのは、汚染井戸の取水停止だとか曝気処理施設の整備が緊急に必要であったというのは、おっしゃるとおりもう明らかなことです。しかし、この事態を長い間市民に公表しないで放置してきたということは大変な問題だというふうに思いますね。
 さきにお話をいたしましたけれども、汚染井戸周辺は汚染監視区域に指定されておりまして、毎年四塩化炭素の検出状況というのは滋賀県を通じて環境省に報告をされていたわけです。守山市川田町の検出状況というのは、九五年に調査件数二件中、一件で最高濃度〇・〇〇五五ミリグラムが検出され、以来毎年続いております。野洲町三宅の検出状況も、九〇年の調査件数十六件中、七件で最高濃度〇・〇〇八〇ミリグラムが検出され、以来これも毎年続いております。
 ですから、滋賀県当局では、これらの検出状況について環境部局は当然承知していて、水道部局にも状況報告がなされておりましたが、昨年十二月に問題が指摘されるまで何らの立入検査や改善指導もしてこなかった、ここが問題だと思うわけですね。これは県民の健康の安全をないがしろにした全く怠慢な行政ではないかと言われても仕方がないと思うんです。
 そこで、この毎年の検出状況は、汚染監視区域の定期モニタリング調査での検出状況として環境省に報告をされ、公表されていますけれども、環境省は、国民の生命、健康の安全を守る立場から、厚生労働省に対してどのような要請を行ってこられたのでしょうか。環境省、いかがですか。
石原政府参考人 水質の定期モニタリングあるいは地下水の汚染状況の調査につきましては、都道府県あるいは政令市の協力を得て実施しているところでございまして、その結果につきましては公表しているところでございます。
 それからまた、本件につきましては、本年の一月二十五日でございますが、滋賀県から報告を受けたところでございます。
 その報告の中では、環境部局と水道部局との連携のもとに、水源地周辺の地下水調査、汚染原因の調査などが行われ、また、住民の健康という点では、井戸所有者への飲用指導あるいは水道事業者に対する水質異常時の速やかな報告、水質検査の徹底といった指導が既になされております。
 環境省といたしましては、このような指導が既になされているということで、この報告を受けて改めて厚生省の方に何らかの要請を行ったということは行っておりません。
藤木委員 行っておりませんということで、大臣、今のやりとりをお聞きになっていらっしゃったと思うんですけれども、地下水質測定結果として公表されているだけでは、健康被害の発生予防だとか拡大防止ということにならない、全くその危機管理を適正を図ることができないということは、このやりとりをお聞きになっても明らかだということをお感じになったというふうに思うわけですね。
 そこで、大臣に伺いたいと思うんですけれども、省庁の縦割り行政の弊害をやはりここで改善しないといけないというふうに思うんですね。連絡調整会議というようなことを行って、そういう機能を持つようにしてもらいたい。国民の生命、健康の安全を確保するための政府一体の取り組みが必要ではないかと私は思いますけれども、大臣のお考えはいかがでしょうか。
大木国務大臣 この縦割り行政の弊というのは、これは一般論としてまず申し上げるんですけれども、これは日本の行政の慢性病みたいなものでございまして、中央官庁にもあるし、それから往々にして地方の中でも、例えば県庁の中でも部が違うとなかなか連絡がとれないとかいうことがありますし、それから、今、私は自分で勝手に縦割りのほかに横割りと言っていることもあるんですが、国とそれから県あるいは市町村といったものの連絡も、必ずしもすべてうまくいっているとは感じておりませんので、こういうことについては、全体を総合的にきちっとお互いの連絡ができるようにということで努力をしなきゃいけないと思っております。
 今の本件の話は、たまたま滋賀県と私の方とは連絡がとれて、滋賀県の方でも関係の部局と話をしているよというふうに理解をしておりましたので、それ以上中央においてその話は、ほかの省との連絡というのは、連絡はともかくとして、新たなる話し合いというのはしていなかったようでございますけれども、一般として考えれば、やはりきちっと迅速にいろいろな措置をとる場合には、縦横大いにきちっと連絡をとるということが必要だと思います。
 今の話で、特に中央におきまして、厚生労働省等々と新たに話し合いはしていなかったということであります。一応その辺、ちょっと私も細かい話は聞いておりませんけれども、少なくとも連絡できなかったことによって何らかの弊害が生じているとすれば、それについては是正しなきゃいかぬということでありますので、一般論として今お答えいたしましたけれども、さらに本件についても何か特別のことがあれば、また改めて検討したいと思っております。
藤木委員 ここだけではない、いろいろなところにあるということでは困るんでありまして、今の件について言えば、環境省としては、水質を定期モニタリングしているわけですから、必ず調査をするのは環境省ですよね。環境省は、基準値を超えているとか、超えていないところはどれだけあって、超えているところはどれだけあるということをつかんでいらっしゃるわけですから、それが飲料水になる水ではないのかというようなことについては、ちゃんと厚生労働省と連絡をとり合って、危険な状態に立ち至らないうちにこれを対策をとるということは、もう絶対にやらなきゃならないことだというふうに思いますので、その点は厳しく御要望申し上げておきたいというふうに思います。
 また、野洲川流域の地下水汚染の汚染源の特定についてなんですけれども、滋賀県は今回改めて周辺の三十八事業場に立ち入りを行って、四塩化炭素の過去及び現在の使用状況、管理体制について調査をしております。汚染源を推定または特定するには至らなかったとしているわけですけれども、この調査では、三共製薬など現在使用している事業所が二カ所あったそうです。しかし、これだけの汚染を引き起こす量はこの二つの企業では行っていないということでした。
 しかし、大阪市立大学の畑明郎教授は、「びわ湖通信」に掲載をされました「守山市・野洲町水道水源地の地下水汚染」という論文の中で、四塩化炭素の使用実績のある三百三十五事業所のデータをもとに、周辺の汚染源として旭化成、チッソ、長府製作所、センコー、シライ電子工業、オリベスト、目黒化工、三共、中国塗料、大日本スクリーン、東洋産業、日本IBM、松下電子、日産ディーゼル、アキレスなどが推定され、詳しく調査して汚染源を解明する必要があると指摘をしているわけです。
 ですから、水質汚濁防止法での四塩化炭素の過去及び現在の使用状況や管理体制についての立入調査ぐらいでは、汚染源の特定はできないのではないかと思うのですが、環境省、どうですか。
石原政府参考人 四塩化炭素の過去及び現在の使用状況ということで、滋賀県におきましては汚染原因を究明するということで、お話のありました汚染井戸周辺に存在する三十八の事業場に立ち入り、過去の使用状況及び現在の揮発性有機化合物の使用状況を調査しております。
 その結果では、その二事業場におきまして使用していた。分析等の使用、しかも二階のフロアでの使用ということでございましたので、その事業場なりの使用が今回の汚染の原因であるというふうにはならないというような形での判断をしたということでございます。
 引き続き、汚染源の調査につきましては、滋賀県の方では予定しております。
 現在の汚染そのものが、浅層域につきましてはかなり改善は進んでおるわけですが、逆に、深いところの汚染ということになろうかと思います。そういう意味では、どういう形での調査方法をとって調査をしていくのがいいかということで、専門家の意見も踏まえながら検討していきたいということで対応したいと考えております。
藤木委員 ですから、結局、水濁防止法での四塩化炭素の立入調査だけで把握するということはできない、特定できないということなんですよね。
 二〇〇〇年度の地下水質測定結果のまとめを拝見いたしますと、千葉市内の複数の原因者による複合的な四塩化炭素汚染と推定される事例の対策で、飲用指導、原因究明調査、浄化検討調査を実施して、地下水揚水法での浄化施設の設置を予定しているというふうになっております。ですから、汚染源が複数の場合、汚染源を特定して、汚染原因者に浄化対策をとらせることは本当に困難なことだと思うのですね。
 しかし、土壌・地下水汚染に係る調査・対策指針に基づいて、使用履歴のある事業所や疑わしい箇所を改めて土壌ガス調査を行うというようなことをやって、野洲川流域での汚染源を特定すべきだと思うのですけれども、環境省、これから続けていく調査と言われましたけれども、それで特定できるというふうにお考えでしょうか。
石原政府参考人 専門家の意見も聞きながらの調査方法を検討していくということで予定しております。そういう専門家の意見の過程で、こういう方法がいい、あるいはこういう方法がいいというような形での意見を踏まえた上で対応していきたいと思っておりますので、できる限り汚染原因の究明の調査を進めてまいりたいというふうに考えております。
藤木委員 実際現場で、先ほど私が申し上げました畑明郎教授などは御自分でも調査をしてきておられますので、ぜひ現場のそういった声を反映させて調査を進めていただきたいと思います。
 汚染源を特定するには、現行法の水質汚濁防止法の規定だけでは調査や対策に限界がございます。そこで、今提案されている土壌汚染対策法案では、この困難な汚染源の特定ができ、そして、浄化対策が汚染原因者に実施させるようになるのかという問題が大事だと思うんですね。
 野洲川流域での地下水汚染の場合、四塩化炭素の使用履歴のある事業所が三百三十五事業所もありますけれども、周辺で地下水汚染が発見され、人の健康に係る被害が生ずるおそれがあるという状態なのですから、当然、土地所有者等の調査が義務づけられると考えますけれども、環境省、それでよろしいですか。
石原政府参考人 本法案におきましては、土壌の汚染の可能性が高く、かつ、汚染があるとすれば健康被害のおそれがある土地につきましては、調査命令の対象となるということになっております。
 今回の場合は、飲用に供されている地下水が汚染され、健康被害のおそれがあるということでございます。したがいまして、その汚染源と推定される土地が判明した場合におきましては、調査命令の対象となり得ると考えておるところでございます。
藤木委員 確かに、操業中の工場、事業場の敷地であったとしても、周辺で地下水の汚染が発見された場合には、汚染土壌から地下水等への溶出に係るリスクの観点から調査を行い得る、私もそのように思っておりますので、ぜひこれは徹底して進めていただきたいと思います。
 次に、土壌汚染問題に関連をいたしまして、過去に埋設処理をした残留性有機塩素系農薬の処理について伺いたいと思います。
 DDTなどの残留性有機塩素系農薬については、国際的な使用規制や適切な管理、それから廃棄等を内容とするストックホルム条約が去年五月に採択をされたということで、同条約に基づいて、埋設処理された残留性有機塩素系農薬を計画的かつ適切に処理していくことになっております。
 そもそも、この残留性有機塩素系農薬は、一九七一年に国が、残留性等に問題があったため、販売の禁止または制限し、小規模な単位で地中埋設による処分を指導したものです。去年十二月の農林水産省の調査結果によりますと、埋設場所が特定された農薬は、全国で百七十四カ所、総数量約三千六百八十トンでした。その内訳は、国庫補助事業によるものが全国四十三カ所、総数量約二千百五十九トン、国庫補助事業以外によるものが全国百三十一カ所、総数量約千五百二十一トンということでした。そこで、実態調査結果では、「現時点で埋設場所が特定された農薬」としておりますので、実際、特定されていない農薬は、現時点で判明している総数量の何倍も埋設処理されているのではないかと思いますが、農林水産省、いかがでしょうか。
大森政府参考人 お尋ねの埋設農薬の総量に関する問題でございますが、昨年の調査結果は、ただいま先生御指摘のとおりでございます。
 そこで、埋設の形態、これもただいま先生御指摘いただきましたように、大規模な形態のものと小規模のものがございまして、大規模のものは、これは昭和四十七年に補助事業をもって実施したものでございます。残りの小規模のものは、これは四十六年当時、それぞれ事業者が小規模に実施をした、こういうことでございます。
 そこで、今回の実態調査におきましては、少なくとも国庫補助事業で行われました大規模埋設についてはすべて捕捉されてございます。したがいまして、もし今後、現時点で存在が特定されていないものがあるといたしますと、これは小規模なものになるであろうというふうに思われるわけでございます。その小規模と申しますのは、私ども、指導通達の中では、三百キログラム未満のものとして区分けをして処理するように指導してまいったところでございます。
 このような状況から考えまして、私どもといたしましては、現在特定されていないものの量が、公表されました総量を上回るというふうな想定は、これはしていないというふうな状況でございます。
藤木委員 この農林水産省の埋設農薬の実態調査の結果というのがございますけれども、ここでは、滋賀県は国庫補助によるものが一カ所で二百四十九・八トン、その他一カ所、〇・一トンというふうになっているわけですね。
 私も、滋賀県へ行って、実際にお話を伺ってまいりました。当時滋賀県では、農家手持ちの農薬の回収事業を行っておりまして、回収した農薬は、主として生産業者、これは野洲町にある三共株式会社ですけれども、ここに返品をしております。これが国庫補助による事業なんですね。この埋設分の中に入っているんですが、これは鉄筋コンクリート製の処理施設に防水加工を施し、農薬を埋設しているということでございました。
 しかし、返品できなかった農薬については、県下五カ所の山林に埋設処理をしているわけです。そのうち、埋設処理場所が特定されて、しかも掘り起こしが可能な農薬、これは栗東市に埋設をした農薬の一部だけなんです。それが、県単独事業で埋設した〇・一トンのことになるわけですね。ですから、栗東市の残りの農薬と、それから甲南町、愛東町、西浅井町、今津町については、埋設地域は判明しておりますけれども、掘り起こしを前提とした詳細な埋設場所の特定には至っておりませんから、この山というのは決まっているんですけれども、そのどこを掘れば出てくるかということは、いまだにわかっておりません。
 ですから、あるわけですよ、そういうのが。だから、ないとは言えないわけでして、当時の記録によりますと、県下五市町に埋設処理した量というのは、DDT粉剤が一・六トン、ドリン系乳剤が二百四十五リットル、BHC乳剤が百五十七・二リットルで、合計約二トンというふうに言われておりました。
 そこで、農林水産省は、埋設場所が特定され、掘り起こしが可能な農薬量のみの総量を公表していますし、そういう調査をしてこられたというふうに伺ったんですけれども、今後も埋設場所の特定に力を入れて、最終処理の対象からそれらが漏れないようにぜひしていただかなければならないと思いますが、いかがでしょうか。
大森政府参考人 お答えいたします。
 ただいま御指摘のとおり、総量のすべてが私どもも捕捉できているというふうには考えておりません、できるだけの手は尽くしておるわけでございますが。
 そこで、今後とも、各都道府県に対しまして、そのような実態、埋設の事実が判明した場合には、これにつきまして私どもの方に直ちに報告するように、そしてまた、そういうものにつきましては、当然に今後予定されます処理事業の対象にしていく、こういう対応をしてまいりたい、そういう形で環境保全をしてまいりたいというように考えております。
藤木委員 確かに、滋賀県では県下五市町に埋設をした量について農林水産省に報告をしたんですけれども、一カ所、百キログラムしか登録されなかった。報告はしたけれども、登録されたのは掘り起こし可能なところだけだったというふうに言っておられるわけですね。滋賀県では、すべての埋設農薬が処分できるように引き続き特定を進めたいということで努力をしておりますから、ぜひ今のお立場で進めていただきたいと思うんですね。
 もっと恐ろしい話も私、聞いてまいりました。私、報告書を拝見しまして、この中で随分たくさん処理をしているなと思うところを選んで実は行ったんです。そうしましたら、特定してわかっているものだけが登録されてここに載っているわけですから、載っていないところの方がよっぽど危険じゃないかということを言われまして、私もそういう危惧を抱いているところですから、一度全部調べ直していただきたいということもあわせて申し上げておきたいというふうに思います。
 さらに、滋賀県は、栗東市の埋設地点周辺への影響を確認するため、緊急に埋設地点周辺の河川及び地下水の水質調査を実施した結果、残留性有機塩素系農薬は検出されなかったとしております。しかし、七一年当時は、毒物及び劇物取締法に定める廃棄処分として埋設されてまいりました。ですから、滋賀県の場合も、DDTは二十四キログラムずつ紙袋のまま、ドリン乳剤は二・四リットルずつ一斗缶にコンクリート詰めをして、BHCは消石灰を加えて二十五リットルずつ、それぞれ地下一メートルに埋めたというふうに報告をしておられます。
 そこで、残留性有機塩素系農薬が水に溶けにくくて、土壌吸着性が強いということは私も伺っておりますけれども、しかし、既に埋設してから三十年を経過しているわけですね。ですから、この調査がなかなかはかどらないというのも、記録にはもう載っていない、知っている人ももういらっしゃらない、代がかわってしまって、そんな話、聞いたことがあるなという程度しかないというような状況です。ですから、埋設農薬調査・掘削等暫定マニュアルに基づいて、その埋設地域周辺の環境影響調査を十分に実施して、新たな汚染が発生することを防止するための万全の措置を講ずるように指導する必要があるのではないかということを私は痛感いたしましたけれども、その点、いかがですか。
大森政府参考人 今回明らかになりました埋設場所、これらにつきまして、従来から自主的に調査をやっておったところもございましたが、さらにこういうものの安全の徹底を図るという観点から、昨年度から予算措置をもちまして、全国一斉に埋設地周辺の環境調査に現在着手をしておるところでございます。したがいまして、この調査結果を見ながら、もし不適切な事例があります場合にはこれを適切な管理状態にしていく、こういう指導を徹底してまいりたいというふうに考えております。
藤木委員 ぜひ急いでやっていただきたいと思うんですね。時がたてばたつほど、知っている人もいなくなるというような状況ですから、ぜひ力を入れて進めていただきたいと思います。
 次に、埋設農薬の最終処理に関連をいたしまして、残留性有機塩素系農薬と同様に七一年に廃棄処分が林野庁長官から出されました2・4・5T系除草剤問題についてお伺いをしたいと思います。
 農林水産省の調査によりますと、全国五十四カ所に、乳剤千八百三十五・五リットル、粒剤二万四千九百八十二キログラムの量が埋設されております。農林水産省の2・4・5T剤検討委員会は九九年十一月、埋設除草剤に含まれているダイオキシンが地域住民生活へ及ぼす影響はない、今後、関係省庁のダイオキシン対策への取り組み状況等について注視する一方、適切に保全していくことという見解をお示しになっていらっしゃいます。
 ストックホルム条約でのダイオキシンは、非意図的生成物質として、廃棄物の燃焼などでの排出を削減するものとして対策が求められていますけれども、2・4・5T剤の製造に際しても副生するのがダイオキシンでございますから、同様の考え方に立ってもこれはおかしくないのではないかというふうに考えるわけですね。もちろん、2・4・5T剤の場合は既に使用が禁止されていますし、埋設されているわけですから、新たに発生することはないといたしましても、ストックホルム条約の残留性有機塩素系農薬の対策に準じた措置が必要ではないかというふうに思うわけですね。
 安全な最終処理が実施されるようにすべきだと私はこれもまた痛感しているところですけれども、農林水産省はどのようにお考えですか。
大森政府参考人 2・4・5Tにつきましては、御指摘のとおり、四十六年にこれが使用禁止されましてから埋設処理がされておるわけでございます。
 そこで、先ほどの検討委員会、この場におきましても、比較的安定した状況に今あるというふうな評価を得ているわけでございますが、このさらなる安全性の確保というふうな観点に立ちまして、現在行われております、これは環境省等を中心に行われております、こういう物質の無毒化に関します実用的な処理技術の確立、これを待ちまして、ストックホルム条約に準じまして適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
藤木委員 いずれにいたしましても、今土壌汚染対策法案に対する質疑が行われているわけですけれども、これがいよいよ施行されるという段になりますと、さらに土壌の問題では厳しい措置をそれぞれおとりになることになるというふうに思うんですけれども、これを契機にさらに力を尽くしていただきたいということを申し上げて、質問を終わらせていただきます。
大石委員長 金子哲夫君。
金子(哲)委員 社会民主党・市民連合の金子です。
 基本的なことも含めまして幾つか質問したいと思いますけれども、今回の法律の中では、省令、政令に非常にたくさんの部分がゆだねられているという問題と同時に、実施主体というか、命令を出す主体が都道府県知事ということになっておりますから、都道府県知事の果たす役割が非常に重いというふうになると思うんです。
 この土壌汚染にかかわる法律と同じように、水質汚濁防止法も、九六年の際、改正をされておりますけれども、これも、知事がさまざまな改善命令とか浄化命令が出せることになっておりますけれども、水質汚濁防止法、この論議の中にも何度か出てまいりましたけれども、これはどれぐらい、九六年以降、この法律の適用によって改善をされたり浄化命令が出されたりしたことがあるんでしょうか。
石原政府参考人 水質汚濁防止法が平成八年に改正されて、地下水の浄化措置の条項がつけ加わったところでございます。
 平成八年度以降に判明した汚染事例数は千三百九十七件でございます。
 水質汚濁防止法十四条の三で、浄化措置命令として、特定事業場において有害物質に該当する物質を含む水の地下浸透があったことにより、現に人の健康に係る被害が生じ、または生ずるおそれがあると認めるときは、地下水の水質の浄化のための措置を命ずることができるということにされております。この汚染事例につきましては、汚染原因が判明し、汚染原因者が都道府県等の指導に基づき自主的に地下水の浄化等を行っているところでございます。
 なお、浄化措置命令そのものが発動された事例は、そういう自主的な浄化等が行われていることもありまして、ないところでございます。
金子(哲)委員 今千三百九十二件の汚染事例があるということで、ゼロ件ということで、これは健康被害とか健康被害のおそれはもう全くなかったんですかね、一件も。
石原政府参考人 汚染の判明事例数としては千三百九十七件でございます。
 その対策の中身でございますけれども、浄化措置等ということで、浄化あるいは都道府県が健康被害のないような形での対応がなされているものが三百八十六件でございます。あと、浄化対策そのものの中には、自然原因で三割、あるいは原因が不明である、あるいは原因者が調査中であるといったような形でのものになっております。
 そういう意味では、健康の被害のおそれのあるというような場合につきましては、適切な対応がとられているというふうに考えております。
金子(哲)委員 適切な対応がとられているということですけれども、今回の法案も非常に似たような、法案の中身としては、都道府県知事が健康被害及びそのおそれのあるという判断をするという点では非常に似ていると私は思うんですけれども、その点で、結局、浄化命令、措置命令まで行かなかったということは、それだけ本当の意味で汚染状況がひどいものがなかったのかということになってくるわけですよね。だけれども、実際には、そのほかの方法というのは、健康被害にだけ着目するものですから、例えば地下水を使っていたものをやめさせれば、一応健康被害はなくなるというようなこと、そういうことが働くことはないんですか。
石原政府参考人 地下水の汚染に関しまして対策ということでございます。
 浄化措置命令そのものの発動そのものにつきましては、人の健康ということで、取水口の測定点におきましての、そこの濃度が基準値を超えている場合に、汚染が健康被害のおそれがあるということになるわけでございます。
 また、対策としては、いろいろな対策があるわけでございますが、飲用指導なり、あるいは上水道への転換というのも一つの対策であろうというふうに考えております。
金子(哲)委員 この問題で、余りこの問題だけにこだわることはやめたいと思うんですけれども、問題なことは、結局、汚染源に対しての対策がきっちりととられるかどうかということが問題で、やはり汚染源そのものをなくしていくということが私はきちっとやられていないんではないかということを実は考えるんですけれども、今回の法律の中でも、知事の裁量というのが非常に大きいという中で、例えば、経済的な問題なんかのインセンティブは全然働かないかという、後でちょっと聞きたいんですけれども、例えば、今廃止をされたという場合、今の遊休の土地も含めて対象となるということでいいんでしょうか。それをちょっと先に。
西尾政府参考人 三条の有害物質を取り扱う工場等に調査義務がかかる場合の扱いのお尋ねだと思うのでございますけれども、これは、基本的には、この法律ができてからそういう有害物質を扱う工場等を廃止して、住宅でありますとか商店でありますとかいうことで健康リスクの高いようなことが起こるというときに調査命令をかけることとしております。
 なお、この法律の施行との関係でいいますれば、さかのぼって廃止したものを追っかけていくということにつきましては、法律上の義務が過剰なものになるということでございますので、この法律の施行後におきましてそういう廃止等が行われる場合につきまして、三条の調査義務がかかるという形に構成しております。
金子(哲)委員 では、重ねてお伺いしますけれども、そういう遊休地であって、既にもう廃止がされていて、今、非常に工場閉鎖とかたくさんもう既に出ていますから、そういう土地の場合で、明らかにこういう対象になる物質を扱っていたような工場だということが明確になっているときでも、この調査、この法律の対象にはならないということになれば、さかのぼることができないということで、ならないということになると、その汚染されているかもわからない土地の形質変更などについては、一切この法律の中で規制がかからなくなるわけですか。確認ですけれども、聞いておきたいと思います。
西尾政府参考人 この法律に基づきまして一律に調査義務を課するというものにつきましては、この法律の施行後におきまして廃止等をする工場でございます。そういうことでございますので、一般的に、もう既に工場ではない、昔いろいろな形で別の用途になっておるというものにつきまして調査を命ずるというものではございません。
 ただ、四条の規定がございまして、これは、さらにもう少し、実際に健康リスクがある、蓋然性が高いというよりはむしろあるに近いような状態、地下水のモニタリング等でこういうところに土壌の汚染があるということが発見されました場合でございますとか、それから、その履歴からして扱っており、かつ汚染をしている可能性も非常に高い、しかも、そこはこれから住宅とかそういうものに使われるということで、今しも人の健康に対するリスクが高まるということが判明する場合は、四条の対象となり得ると思っております。
金子(哲)委員 ということは、三条と四条とで、四条を適用することによって、今遊休地であっても、有害物質を扱っていたような工場の履歴があって、可能性があるとすれば、当然調査命令がかけられるということでいいわけですね。
西尾政府参考人 まず、四条の調査命令につきまして比較的判断のしやすいのは、地下水モニタリング等で、地下水の汚染が起こっております、その原因が、ある場所の土壌汚染によっている、こういうような場合になりますれば、その地下水につきまして飲用等にされておる、そういう場合の汚染の原因を除かなきゃいけないということになりますので、これは四条の調査命令の対象になると思っております。
 それからもう一つは、地下水というより重金属などの汚染の場合におきまして、現実に周辺の住民に健康リスクが起こるような場合はどうかということで、遊休地等がありまして、その履歴で有害物質で汚染を生じている可能性があるといたしましても、例えば、その用途が倉庫でありますとか一般の住民にも触れないというような用途であるような場合には四条の対象にならないと思いますが、その用途その他におきまして、現実に周辺の住民のリスクを高めるというような場合につきましては、四条の調査命令の対象になると考えております。
金子(哲)委員 そうすると、今お話しになったことは、例えば、そこの工場跡地が――私はなぜしつこくこのことをこだわっているかといいますと、現に今、遊休地はたくさん、工場閉鎖等もあって、地方に行けばあります。そして一方では、地方の行政の自治体なり県は、できるだけ早く誘致をしたい、新たなところに転売をしたい、このことがあるわけで、これをやれば、実際には、この調査をやれば、逆に、できれば調査をしないうちに転売できれば一番いいということが考えられるわけです。
 そして、そのときに、今大きな問題になっているのは、例えば工場跡地などが住宅地になっていくようなケースが随分ふえている。そこで重要な問題になっているわけで、そういうときに、私は例えば先ほどなぜ言ったかといいますと、県知事の裁量にゆだねられているけれども、県知事の裁量の際に、そういう判断が本当に働かないのか。健康のおそれなどというあいまいな定義なものですから、実際に調査命令をかけるかどうかという判断のときに、知事の、極めて個人的とは言いませんけれども、全体の地域の経済状況とか、さまざまなことの中にその判断というのが働くんじゃないか。
 そういう意味で、例えば、健康のおそれのある、知事に対しては、どのような内容で、今、判断基準として環境省は示されることになるんですか。今度のこの調査命令の出発になる、及び健康のおそれという、おそれの部分についてはどういう基準を示されることになるんですか。
西尾政府参考人 健康のおそれということでございますけれども、これは、現時点で非常に数字的にはっきりしておりますのは、むしろやはり地下水の問題でございます。地下水の方は、環境基準なりで、今の溶出の方の基準というものではかれますので、実際にその周辺に飲用井戸などがあって、地下水の汚染も起こり、それが環境基準を超えるような場合がある、その水源地の土壌汚染があるというようなことになれば、これは調査命令の対象としていくことにすることで判定がしやすいと思っております。
 それから、重金属等につきましては、これから、基本的には含有の基準といったような、要するに、健康にリスクがあるという基準を決めていくことになると思います。
 ですから、恐らくは、この調査をした後は、現にそういうような基準を超えるような汚染がきっとあって、それに一般の人たちが、住居になりますとか、あるいは住民の方々が触れるだろうというようなことで、今しも住民の健康に対するリスクがあるというようなことが想定される場合ということになるんだと思っておりますが、跡地の場合につきましては、いろいろなケースがありますので、もう少し知事がうまく判断できるように、よくよく精査をしていく必要があるというふうに考えております。
金子(哲)委員 だから、だれが見ても明らかに同一の基準で、どの県においても同一の基準でこれが適用されるという判断基準を示していただかないと、その県によって運用上に差が出てくるようなことがない基準をぜひ示していただきたい。それをすることによって、もちろんそれより進んだところもあるかもわかりませんけれども、少なくとも、そういう健康のおそれのあるという、法律上はそういう表現になっているわけで、そのことだけを見てみますと、どういうことかということが課題になるわけで、そのことについては、知事が判断できるきちっとした目安というものを、だれが考えても、そしてだれが見ても、そういう判断基準でこれが判定されるということが明示されるようにぜひすべきだと思いますけれども、その点について。
西尾政府参考人 いろいろなケースに的確に知事が判断できるというような考え方を整理していくのに、かなり詳細な検討をこれからしたいと思っておりますが、物の考え方といたしまして、地域の自然的な条件に応じて都道府県知事がいろいろ考えるということは当然でありますが、一方におきまして、健康を守るという水準において、あるところでは甘いんだとか、そういうようなことが起こるのではよろしくないわけでございますので、その両者を満たせるような、ちゃんと運用できるような方式というものにつきまして、さらに精査してまいりたいと思っております。
金子(哲)委員 重ねてですけれども、結局のところ、今までの問題というのは、こういう土壌汚染の問題などは、大体市町村に住民の方から苦情というかいろいろ申し立てが行っていると思いますけれども、今回は、知事というところに行くだけに、住民との乖離というものがどうしても出てくる、なかなか身近な感じがしないわけですから。
 そういう意味で、今の判断基準を明確にしていただくことと同時に、県の足並みが乱れることのないように、やはり運用上に、この運用が県によって違うんだ、判断基準が。それは、今、本当に県知事の皆さんも、今の地域の、工場が閉鎖をされたりいろいろな中でどうやっていくかということを非常に、一方、経済的な面で考えていらっしゃる。そうすると、企業に対して負担のかかることをできるだけ抑えていこう、むしろ来ていただきたいというようなことも働いてくる。そしてまた、これは土壌汚染の土地だというようなことになれば、当然経済的な問題にも出てくるということを心配するだけに、せっかくの法律がそのような判断の中で運用されていくようなことがあったとしたら重大な問題だと思いますので、ぜひ環境大臣、環境省として、そのような場合には知事に対して適切な指導なりをしていただきたいというふうに思いますけれども、大臣。
大木国務大臣 私は、やはり二つの考慮があると思うんです。一つは、もちろんできるだけだれにでもわかるようなそういう基準を設けろというのは、これは、できることならそういうものはだんだんに措置していきたい。しかし、現実にどういう措置をとるかということになりますと、これはまた地域によっていろいろ違うというんですから、そこのところをどういうふうにバランスをとるかという問題だと思うんです。
 ただ、今のお話も、これから実際にこの法律を施行していく段階でも、いろいろなケースも出てくる可能性もあると思います。ですから、今の段階ではできるだけ、まずは環境省として、客観的にここまでは書き込めるというような基準があればそれは書き込むと同時に、しかし、それをどういうふうに適用していくか、あるいは、地域によってそれに対してどういう措置をとるかというようなことについては、これはまたそれぞれの知事さんなりが現地における状況というものを考えながら実施していただくということになるんじゃないかと思っております。
 いずれにしましても、環境省としては、できるだけきちっと国民の健康を守るという立場からのできることはするということで措置したいと思っております。
金子(哲)委員 次に、情報公開のことについてお伺いをしたいと思います。
 指定区域台帳、調査活動が行われると思いますけれども、その際、指定をされたときには、もう一度確認になりますけれども、少なくともどのようなこととどのようなことがこの台帳の記載事項として記載されるわけですか。
西尾政府参考人 指定区域台帳に載せることでございますが、その土地の場所とかそういったような通常の事項のほか、その土地の指定区域となったゆえんである汚染の状況、どういう物質についてどのような汚染をしておるのかということが掲載されます。
 それから次に、指定区域の指定がされました後、何らかの措置をやります。そのときに、覆土でありますとか封じ込めでありますとか、そういうような措置をやっている場合は指定区域から解除されないわけですけれども、そのときにどういう措置をやって対策を講じたのかということにつきましては台帳に掲載をするというふうに考えております。
金子(哲)委員 もう一度確認したいんですが、その中には、調査方法及び調査結果にかかわる生のデータは当然台帳に記載されると思いますが、それでいいんですか。
西尾政府参考人 どのような物質につきましてどのような汚染でありましたかということは記載されます。ただしながら、この調査の結果は、都道府県にそういう各種データもそろえて提出されると思いますので、台帳にそれを全部載せられるかどうかということにつきましては、実務の整理が必要だと思っています。
 今御指摘にありました各種の基礎の調査データといったものは、いずれにしても都道府県に報告されておりますので、これらにつきましては、各都道府県の情報公開制度に基づいて公開されることは当然だと思っています。
金子(哲)委員 情報公開制度があって、情報が公開されるのは当然だということですけれども、調査結果があって初めてその判定ができるわけで、やはりそれは台帳とはリンクして、その調査方法及び調査結果というものがきっちりとリンクされていないと、あなたが言ったときは、情報公開を請求すればやりますよというふうなことでは不十分だと思うんですけれども、どうですか。
西尾政府参考人 台帳に記載するその汚染状況の記載内容の記載方法につきましては、この台帳を閲覧するということの意義も踏まえまして、それから住民の方々の不安ということも解消できるよう、その内容につきましてはさらに精査いたしたいと思っております。
金子(哲)委員 つまりは、台帳を見たときには同時に、要求すればそういうデータがすべて見られるという状況を、新たな公開条例に基づいて請求するということでなくて、行けば当然同時にそういうデータも閲覧できるという状態をぜひつくっていただくように強く要望したい。
 それからもう一つ、今度調査をされたとき、指定をされた台帳に載る地域については、そういう結果が、今私が要望したようになればなるわけですけれども、結局、調査を行ったけれども指定するに足るだけの汚染土壌ではないという判断をどこかがやるわけですけれども、そのときに、その情報データというものはどのように管理をされて、どのような状況になるのか。二つお答えをお願いしたいと思います。
西尾政府参考人 まず、この法律で閲覧をいたしますとかという形で一律に規定をいたしますのは、かたい言い方で恐縮でございますが、この法律上、次の効果につながる物事についてきちんと書いていく、それは全国一律に書く、こういうことだと思います。
 そのほかに、この法律に基づきまして、いろいろ報告を受けたり調査を、場合によっては立入検査等も都道府県は行います。そういったような情報は各都道府県の情報公開制度にゆだねるというのが基本的な整理でございます。
 ただし、この二つの事柄をあわせまして、やはりできるだけ各地方公共団体で積極的に環境情報を提供していただくというのが基本でございますから、両者の、この法律による一律に求めている事柄と、各都道府県でそういう情報公開制度をおやりになる事柄とをよく有機的につないで環境情報の提供ということが運ばれるように、都道府県ともよく連絡をとっていくというのが第一の質問に対するお答えでございます。
 それから、第二番目の、調査をしてみたけれども基準に達する汚染がなかったというものにつきましては、実は、そうであれば、この後は、この法律上は指定もしないし、それから別に措置を求める、要するに汚染の除去等の措置を求めるということは必要がないわけでございますので、この法律としては、そのようなものにつきまして公開を求めるという形はとっておりません。
 ただしながら、先ほど申し上げましたように、こういう調査結果も都道府県に報告をされるわけでございますので、先ほどと同様、広い意味ではそういう環境情報をできるだけ積極的に提供するという考えのもとに、都道府県におきまして必要に応じ公開されるべきものでありますし、またそういう方向で都道府県ともよくよく連携をとっていきたいというふうに思っております。
金子(哲)委員 しつこく言うようで悪いんですけれども、私が言ったのは、指定区域台帳を閲覧する際には、要求があればそういう生データ、調査方法、調査結果についてもこの際同時に閲覧できるようにしてほしいということを言っているわけで、都道府県の公開条例とかいうことでなくて、それは都道府県で違うわけですから、今言っているのは、当然、指定台帳を見たときに同時に請求すればそういうデータも当たり前のこととして出せますよということを、省令や政令をいっぱい定められるわけですから、その中にきちっと明記してほしいということを言っているんですが、それはできないんですか。
西尾政府参考人 今御質問のありました各種の調査データでありますとか、あるいはその結果の報告に関する文書でございます。そういうものにつきましては、私、これは各都道府県の情報公開制度に基づきまして、請求があれば通常は公開されるものだというふうに思っております。
 したがいまして、こういう土壌汚染に関する情報ということにつきましては、できるだけそういう形で、情報提供は望ましいということで都道府県ともよくよく連携をとってまいりますが、都道府県が現実にそれを要求に応じて情報公開するというときは、これは基本的には各都道府県の情報公開制度にのっとっておやりになることだと思っておりますので、先ほどから、そこの部分は都道府県の情報公開制度に基づき公開されるものでありますというふうに御説明させていただいている次第でございます。
金子(哲)委員 もう何か何度も言うようで悪いんですけれども、その調査結果というのは非常に重要なものなわけでしょう。その調査結果に基づいて判断されるわけだから、その判断するもとのデータが、なぜ指定をされたときの台帳を閲覧するときに同時に公開できないのかというのは、改めて公開条例に基づかなければそれをやれなくても、今度の法律の中で、省令、政令で定められるんですから、この台帳の閲覧と同時にそのことも可能だということを省令や政令で定めることはそんなに難しいんですか。
西尾政府参考人 情報の公開につきまして、この法律に基づきまして一律に定める事柄と、それからもう一つは、やはり地方自治の本旨に基づきましてそれぞれの都道府県の情報公開制度によることとは、二つに仕分けて実施する必要があると思っています。
 ただ、先生の言われるように、その両方を現実には見て対処していかなければいけないんだから、その両方が公開をされる、あるいは請求に応じて見ることができるように結果としてなるということにつきましては、ぜひそういう運用がなされるように、都道府県とも連携をとってまいりたいというふうに考えております。
金子(哲)委員 質問に答えてもらえないんですが、省令や政令でそのことを明記することができないんですかということをお聞きしているので、それをできない理由が何かあるんですか。
西尾政府参考人 この法律におきまして公開することとしておりますのは、台帳の閲覧といったようなことを規定しております。この法律において書いておりませんことをこの法律に基づきます省令で、公開するということをするのは適当ではないと思っております。
 それで、その公開につきましては、現に都道府県の情報公開制度に基づいて公開はされるわけでございますので、そちらの制度によることが適当だというふうに考えております。
金子(哲)委員 この法律に書いていないことはできないわけですか。では、省令、政令で定めるなんということは全部おかしいんじゃないですか。
 そんな当たり前のことが、なぜにこの法律と関連して情報公開ができないかというその考え方が私にはわからないんですよ。当然のこと、当然の、当たり前のデータを、だれしもが見たいというデータを、なぜそんな、環境省が法律をつくって、それを公開しようとしないのかということが私にはわからないんですよ。ちょっと大臣に。
大木国務大臣 二つ問題があって、それをどういうふうに調整するかという問題だと思うんです。
 環境省としては、これからまたこの法律に関連して省令や政令でいろいろなことを決めていくということですから、そこで、今の御質問は、できるだけちゃんと関連の情報も見られるようにしろ、こういうことを書け、こういうお話だと思うんです。
 ただ、各都道府県でまた情報公開法の実施のいろいろな水準に差があるんじゃないかと私は思います。それはいろいろな理由もあってそこのところは差があるんじゃないかと思うので、それを頭から、全般的に破るというか、反するようなことをいきなり上からできるか。
 これは、実際に、私、省令なり政令なりをこれから審議する場合にも、そういうところはどういうふうになってくるのか、一遍いろいろと各都道府県の情報公開の実態も調べまして、どういうことが言えるのかひとつ検討してみたいと思います。お気持ちはわかりますので、そういうことで、検討することだけは申し上げておきたいと思います。
金子(哲)委員 このことで時間をとりたくなかったんですが、逆に言うと、大臣がおっしゃることをそのまま私が聞いてそれで終わりにすれば、県の異なる条例があるから、それを情報公開できないことを今ここで私が委員会で認めることはできないですよ。
 だからこそ、各都道府県で情報公開条例の差があるんならこそ、今回法律をつくるんだから、その法律と関連をして、この法律にかかわる情報についてはきちっと提供するようにするということを明言されたらそれで済むんじゃないですか。
西尾政府参考人 実質的に考えまして、この調査データのような、要するに、ある場所での汚染データのような情報というのは、住民とも非常にかかわりがございますので、各都道府県の情報公開の請求がなされました場合には、多くの場合は原則的には公開はされる情報であろうと思っています。
 しかしながら、この事柄は、多くのほかの情報と同様、各都道府県の情報公開制度の中で判定してそれぞれ判断されるべきものであって、国の法律によって一律に定めるというべきことではないというふうに思っておりますので、先ほどから二つを分けて扱っていただきたいというふうに申し上げております。
 しかしながら、情報の提供という方向に向けて都道府県と連携してまいるということは変わりはないということで御説明させていただきます。
金子(哲)委員 それは全くおかしいじゃないですか。
 今、そのために法律をつくろうとしているわけでしょう。この法律にかかわっての情報をどう扱うかということを私は質問しているのであって、一般的な情報の扱い方を都道府県にこうやって共通的に指示しなさいということを言っているわけじゃないんですよ。この法律にかかわって重要な判定基準になるデータについては、当然、公開をするという原則ぐらいあっていいんじゃないですかということを言っているんで、それは何も県の今の情報公開条例を規制するものでも何でもない。この今から法律ができるもので、このデータとこのデータは公開をしますということを明らかに決めればいいわけでして、それをなぜ都道府県にそんなに遠慮しなきゃいけないんですか。
大木国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、いろいろな今の環境行政というのは、いろいろなところで新しい分野で、さあこれから新しいことをやろうというときにどこまでやれるかとなりますと、私は、行政の方の立場それから政治の立場というのがあると思うんです。
 ですから、少なくとも台帳にどういうことを書くかということはここで決めているわけですから、それに基づいて、各県が御判断になるときには、これは当然また知事さんなりがその御判断がひとつあると思いますから、そうすべてについて後ろ向きということにはならないということだと判断しておりますので、一応、台帳に何を書くかというところまでは決めて、その上でまたひとつやっていただくというふうに私は考えております。
 ただ、先ほどから申し上げましたように、これから政令、省令等もいろいろなところで、この問題ばかりじゃなくて、だんだんに詰めていかなきゃいかぬわけでございますから、その過程において、私は、各都道府県の公開条例の、どういう規定になるのか、あるいはどういう方針であるかというようなことはひとつ調べながら、現実にどういう政令なり省令なりを書けるのか、必要があるのかということはまたひとつ勉強してまいりたいというふうに申し上げておるわけであります。
金子(哲)委員 もうちょうど時間が終わりそうになるんですけれども、六条の二項に「指定区域台帳の記載事項その他その調製及び保管に関し必要な事項は、」関するですよ、保管に関して必要な事項をやるのならば、別に、その結果を出したデータについても当然保管をして、同時に閲覧できるようにするというようなこと、私は可能だと思うんですよ、そんなことは。
 それで、僕はそんなのは当たり前のことで、法律をつくって、そのデータがどういうデータに基づいてこういう結論を出したということがだれの目にもすぐ明らかになるというのは、それはごく普通の常識的な考えじゃないですか。私は、結論を出すためのデータを公表するなんということは当たり前のことで、それを公開条例で求めなきゃならないようなことを言われる方がおかしいと思うんですよ。
西尾政府参考人 今御指摘の台帳に書くべき事項につきましては、先生の御指摘も含めまして、さらに検討を加えてみたいというふうに考えております。
金子(哲)委員 ぜひ前向きに、これは当然のことで、当たり前のことを今私は話しているだけですので、これからぜひ検討していただきたいと思います。
 もう時間がありませんので、次の質問に移ります。
 これも確認なんですけれども、第九条で土地の形質変更の届け出ということがありますけれども、その届け出る際、これまでの委員会でも先般の参考人質疑でも問題になっておりますけれども、土地が、その土壌が移動する場合、当然のこととして、この形質変更の届け出の中には、移動量及び移動先について届け出義務があるというふうに思うんですけれども、その点についてはどうですか。
西尾政府参考人 第九条の届け出は、土地の形質の変更の種類、場所、施行方法、着手予定日等について届け出る、こうなっておりますが、さらにその具体的内容でございます。
 それは環境省令で定めますけれども、この土地の変更の施行方法に関連いたしまして、この施行方法は、御指摘のように、環境保全上適切であるということを確認する必要がございますので、したがいまして、土壌の搬出を伴うような場合には、どこにどのような方法で搬出するかといったような事項も規定する必要があると思っておりますので、その方向で措置したいと思います。
金子(哲)委員 ぜひ、その点については必ず入れていただくように申し上げておきたいと思います。
 もう時間がありませんからあれですけれども、使用中の工場の問題がいろいろ論議になっておりまして、参考人の質疑の中でも、例えば神奈川県のお見えになった参考人からもお話がありましたように、神奈川では、例えば、使用中であっても、形質変更するような場合には、またもし土が持ち出されるような場合、汚染のおそれがある場合には、事前に調査をしてやるというようなことを義務をかけているということがありましたけれども、今後の方向として、もうこの法案、我々修正案も出してやっているんですけれども、難しいという話ですけれども、少なくともそういう方向は重要な方向だと思うんです。
 大臣、今後さらに検討も含める中に、操業中のものすべてをやれということを言っているわけではなくて、例えばそういう変更が伴うようなときには行うというようなことはつけ加えていく、拡大をしていくことに向かっていくべきだというふうに考えますけれども、いかがですか。
大木国務大臣 現在のこの法令でも、仮に操業中であっても、明らかに何か別の行動によって汚染の危険が出てくるというときには調査するということは想定して書いてあるわけです。
 ですから、今おっしゃったような、どういうときが一体汚染のおそれがあるかという、これは事実の判断になりますけれども、それはやはり、そのおそれがあるということであれば、きちっと対処するという必要がありますから、今後とも、それができるだけ実際に行われるように努力をしたいと思っております。
金子(哲)委員 今回の、最初から言われておりますけれども、土壌汚染ということで、健康及び健康への被害ということがある場合にということで限られているということは、そして対策も、すべての土壌汚染を除去する、除染するということではなくて、いわば応急的な措置をすることも含めて対策がとられておりますし、そうすると、基本的には汚染土壌をそのまま放置される、放置という言い方はあれですけれども、残っていくということがありまして、それはやはり、将来的に言うと、生態系の問題とかさまざまな弊害が出るおそれがあるということであれば、健康被害だけに着目していく、当面そのことが最優先されるべき課題だとは思いますけれども、土壌汚染ということであれば、本来、自然な状態の土壌に返していくということが、未来の世代に対して当然あるべき姿だというふうに考えております。
 したがって、それは防止をすることと同時に、そういう健康以外でも、このような土壌汚染、危険が伴うような土壌汚染について、やはり除染をし、未来の世代に残していくというのが我々の課題だというふうに思うんですけれども、最後にその点について大臣にお伺いして、質問を終わらせていただきます。
大木国務大臣 今の法律の条文からは、生態系とかそういうことになりますと、ちょっと対象にすぐには絡んでまいりませんけれども、いろいろとこれから、現実に我々の、国民の健康あるいは我々の環境の整備ということから必要なことがあるとすれば、それは検討しなきゃいけないわけでありますから、将来の課題として勉強してまいりたいと思っております。
金子(哲)委員 いずれにしても、第一歩ということですから、ぜひこの法律の制定を機にして土壌汚染の問題がもっと進むように、私どもも頑張ってまいりたいと思いますし、大臣もぜひ頑張っていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。ありがとうございました。
大石委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
大石委員長 この際、本案に対し、奥田建君外三名から、民主党・無所属クラブ、自由党、日本共産党及び社会民主党・市民連合の四会派共同提案による修正案が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。奥田建君。
    ―――――――――――――
 土壌汚染対策法案に対する修正案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
奥田委員 土壌汚染対策法案に対する修正案につき、民主党・無所属クラブ、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
 内容の方は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。
 土壌汚染対策につきましては、土壌汚染の影響が長期にわたることにかんがみ、予防的に講ずるべきであり、土壌汚染の調査についても、幅広く行うことにより、環境リスクの削減に取り組むべきであると考えます。このような視点から土壌汚染対策法案を見た場合、甚だ不十分であると考えられます。また、審議内容でもあいまいな点が多く見られることからも、法案の修正を行うべきであると考えました。
 以下、その趣旨を御説明いたします。
 第一に、この法律の目的として、土壌の汚染による人の健康に係る被害の未然防止を明記することとしております。
 第二に、土壌汚染による健康被害が生ずるおそれがある土地の調査の機会として、有害物質使用工場など土壌の特定有害物質による汚染のおそれがある土地について、都道府県知事が調査を命ずることができることを明記することとしております。
 第三に、調査に係る申し出として、都道府県知事に対する住民からの申し出制度と、調査しない場合の応答義務について定めることとしております。これにより、住民の不安がかなり解消されるものと期待されます。
 第四に、都道府県知事は土壌汚染調査結果報告について公開する旨を明記することとしております。
 第五に、都道府県知事による指定区域台帳の閲覧の拒否に係る文言を削除することとしております。
 第六に、汚染除去等の措置の実施状況について都道府県知事が公開することとしております。
 第七に、法案の検討を十年後ではなく三年後としております。
 以上でございます。
 何とぞ、趣旨を御理解いただき、委員各位の賛同を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。(拍手)
大石委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
大石委員長 これより原案及びこれに対する修正案を一括して討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、順次これを許します。樋高剛君。
樋高委員 私は、自由党を代表して、民主党・無所属クラブ、共産党、社会民主党・市民連合、自由党提出の修正案に賛成する討論を行います。
 近年、工場跡地を初めとする都市再開発等に伴い、重金属、揮発性有機化合物などによる土壌汚染が判明する事例が増加しております。しかし、市街地の土壌汚染対策に対しては、ダイオキシン類による汚染対策を除き、法制度が整備されておりませんでした。今後加速されるであろう工場跡地の再開発や土地の流動化に対して、汚染されている可能性のある土壌に対してどのように調査し、リスク管理していくか、健康影響への懸念や対策の基本ルールが求められております。
 政府提出の原案は、土壌の汚染状況の把握に関する措置及び汚染による人の健康被害の防止に関する措置を定めることにより、土壌汚染対策の実施を図り、もって国民の健康の保護を図る目的のもと、使用が廃止された有害物質使用特定施設に係る工場、事業所の敷地であった土地の調査、土壌汚染による健康被害が生ずるおそれがある土地の調査、土壌汚染による健康被害の防止措置等、これまで法的に手つかずだった土壌汚染に対する調査、対策に国が第一歩として取り組んだことは評価できます。
 しかしながら、より実効性を高め、積極的に土壌汚染対策に取り組むためにも、政府原案をさらに肉づけしていく必要があると考えます。野党四会派提出の修正案は、政府案にさらに前向きに土壌汚染対策に取り組む基礎を構築するものであると考えます。
 修正案に賛成する第一の理由は、土壌汚染による健康被害が生ずるおそれのある土地の調査について、政府案第三条一項に規定するもののほか、操業中の工場、事業所も含め、調査対象の拡大を行っている点であります。
 修正案賛成の第二の理由は、調査に関して住民からの申し出制度を設ける点であります。調査に関して、住民からの申し出、意見を聞く機会を設けることで、住民の不安の解消と地方の自立、自主性を進める第一歩になると考えます。
 修正案賛成の第三の理由は、土壌汚染調査結果報告について公開する旨を明記し、汚染除去措置の実施状況について公開することとするなど、情報公開をより推進していることであります。
 以上が修正案に賛成する理由であります。どうもありがとうございました。(拍手)
大石委員長 藤木洋子さん。
藤木委員 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となっています野党四党共同修正案に対する賛成の討論を行います。
 内閣提出の土壌汚染対策法案は、土地所有者等に汚染土壌の調査や除去措置を義務づけるなど、初めて市街地の土壌汚染対策を法制化するもので、成立すれば長年できなかった汚染された民有地への公的規制の第一歩となるものです。しかし同時に、公的規制による費用負担への抵抗や規制緩和の流れなどから、現在、有害物質を使用している工場または敷地の調査は不必要としていることや、汚染があっても人がじかに触れなければ健康に影響がないとして、浄化だけではなく、覆土、舗装などの方法を認めることなど、不十分な内容となっています。ですから、日本共産党は、法案の中に、生活環境への影響や生態系への影響にかかわるリスク管理の考え方を位置づけることや、安易な覆土、舗装、遮断という手法が選択されることを避けるため、汚染原因者等の最終的な浄化責任を明記することなどが必要だと考えています。
 そこで、ただいま趣旨説明されました野党四党の共同修正案は、既に環境大臣も答弁で認めている不十分な法案を、最低限で、必要な修正を提案しているものです。ですから、趣旨を御理解いただき、委員各位の賛同をお願いしまして、賛成討論といたします。(拍手)
大石委員長 金子哲夫君。
金子(哲)委員 私は、社会民主党・市民連合を代表して、ただいま議題となっております野党四党共同の修正案に賛成する立場から討論を行いたいと思います。
 本法案が、全国的に土壌汚染問題に取り組むということでは一歩前進であると評価するものでありますけれども、しかし、その中身においては、残念ながら極めて不十分な点が多く残っていると言わざるを得ません。
 私は、環境行政の推進にあっては、住民の健康と生活不安に対してどのように責任を持って対処するかということが肝要だと考えております。その意味で、提案された中身では、操業中の土壌が対象から外されるなど、残念ながらこの住民不安に十分にこたえるということになっておりません。また、住民からの申し出による調査もあいまいなままであります。
 修正案では、こうした点を盛り込むとともに、当然のことですが、情報公開についても明確化させることとしております。そして、何よりも汚染土壌を出させないこと、汚染土壌を未来に残さないことが極めて重要なことであり、そうした観点から考えても、十年という見直し期間は長過ぎ、短縮をして、早い時期に見直しを進めることは当然のことであると考えております。
 以上の点を申し上げ、本修正案、全体の賛同で賛成していただきますようにお願いをし、賛成の討論を終わります。ありがとうございました。(拍手)
大石委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
大石委員長 これより採決に入ります。
 内閣提出、土壌汚染対策法案及びこれに対する奥田建君外三名提出の修正案について採決いたします。
 まず、奥田建君外三名提出の修正案について採決いたします。
 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
大石委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。
 次に、原案について採決いたします。
 原案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
大石委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
大石委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、熊谷市雄君外六名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び保守党の七会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。牧義夫君。
牧委員 牧義夫でございます。
 私は、ただいま議決されました土壌汚染対策法案に対する附帯決議案につき、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び保守党を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。
    土壌汚染対策法案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。
 一 土壌汚染が人の健康や生態系へ及ぼす影響を考慮し、土壌汚染の未然防止措置についても早急に検討を進めること。
 二 土壌汚染に対する住民の不安を解消するため、住民から土壌汚染の調査について申し出があった場合には、適切に対応することにつき都道府県等と連携を図ること。
 三 土壌汚染対策の実効性を確保するため、土壌汚染に関する情報の整備に積極的に取組むことにつき都道府県等と連携を図ること。
 四 操業中の工場等から汚染又は汚染のおそれのある土壌が搬出されることにより土壌汚染が拡散しないよう、各事業者の取組みを促すことにつき都道府県等と連携を図ること。また、汚染された土壌の処分については、廃棄物処理法の取扱いについて早急に検討を進めること。
 五 指定区域台帳に関し必要な事項を環境省令で定めるに当たっては、土壌汚染の状況、汚染の除去等の措置の実施状況等について記載する等、情報の透明性に十分配慮すること。
 六 土壌汚染対策において、情報の公開とリスクコミュニケーションの重要性に鑑み、指定区域、土壌汚染調査及び汚染の除去等の措置の結果等を公開することにつき都道府県等と連携を図ること。
 七 指定調査機関が行う土壌汚染状況調査の方法を環境省令で定めるに当たっては、土壌汚染状況調査の信頼性が担保される基準となるよう配慮するとともに、適正に調査が行われるよう指定調査機関を指導・監督すること。
 八 中小企業等が行う汚染の除去等の措置に対し、適切な配慮をすること。
 九 本法における政省令については、国民に十分理解される内容となるよう努めるとともに、周辺地域を含めた安全の確保を図るよう、技術的基準に係る省令については、技術の進展に即した最新の科学的知見を踏まえた土壌汚染対策が実施されるよう柔軟に見直していくこと。
 十 土壌浄化に際して、有害化学物質や重金属類の大気中への放散を防ぎ、作業員や周辺住民の健康不安が生ずることがないよう、充分な措置を講ずること。
 十一 条例等による土壌汚染対策に係る取組みを妨げることのないよう、国と都道府県等は、密接な連携の下に、本制度の円滑な実施に努めること。
 十二 土壌汚染状況調査及び汚染の除去等の措置を適正かつ円滑に実施するためには、調査及び汚染の除去等の措置が簡易で低コストであることが求められることから、そのための新技術開発の促進を図ること。
 十三 土壌汚染による生活環境や生態系への影響、油類等の汚染実態の把握などについて早急に科学的知見の集積に努めること。
 十四 本法の規定に関しては、本制度の運用による社会的影響を見極めた上で、施行後十年以内であっても適宜、見直しを行い、制度の改善を図ること。
以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。
大石委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
大石委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
 この際、ただいま議決いたしました附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。大木環境大臣。
大木国務大臣 ただいま御決議のございました附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重いたしまして、努力する所存でございます。
    ―――――――――――――
大石委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
大石委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
大石委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時十九分散会


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