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第11号 平成14年4月23日(火曜日)

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平成十四年四月二十三日(火曜日)
    午前九時三十二分開議
 出席委員
   委員長 大石 正光君
   理事 熊谷 市雄君 理事 西野あきら君
   理事 柳本 卓治君 理事 山本 公一君
   理事 奥田  建君 理事 牧  義夫君
   理事 西  博義君 理事 樋高  剛君
      小渕 優子君    奥谷  通君
      亀井 久興君    木村 隆秀君
      小泉 龍司君    小林 興起君
      田中眞紀子君    西川 公也君
      菱田 嘉明君    吉野 正芳君
      小林  守君    五島 正規君
      近藤 昭一君    鮫島 宗明君
      田端 正広君    武山百合子君
      藤木 洋子君    金子 哲夫君
    …………………………………
   環境大臣         大木  浩君
   環境副大臣        山下 栄一君
   環境大臣政務官      奥谷  通君
   政府参考人
   (林野庁長官)      加藤 鐵夫君
   政府参考人
   (経済産業省大臣官房審議
   官)           大井  篤君
   政府参考人
   (国土交通省政策統括官) 丸山  博君
   政府参考人
   (環境省地球環境局長)  岡澤 和好君
   環境委員会専門員     飽田 賢一君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月二十三日
 辞任         補欠選任
  三ッ林隆志君     吉野 正芳君
同日
 辞任         補欠選任
  吉野 正芳君     三ッ林隆志君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第八四号)


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     ――――◇―――――
大石委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として林野庁長官加藤鐵夫君、経済産業省大臣官房審議官大井篤君、国土交通省政策統括官丸山博君及び環境省地球環境局長岡澤和好君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
大石委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
    ―――――――――――――
大石委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山本公一君。
山本(公)委員 おはようございます。山本でございます。
 きょうは、大木大臣初め政府参考人の方々に質問をさせていただきたいと思います。
 質問に先立ちましてというか、私は、ちょっと今、この大木大臣を目の前にして質問をするという感慨深いものを感じております。正直申し上げまして、やっと国会でこの問題が審議できるようになったなという本当に今実感を込めて感じているようなわけでございます。
 京都会議のときに、議長として本当に名采配を振るわれました。私どもも政務次官として、京都に十三泊やらせていただき、末端でお手伝いをさせていただいた。それから今日に至るまで、本当にいろいろなことがございました。昨年のアメリカの議定書の離脱のことから、折も折、言ってみれば、日本の経済界が大変な状況に陥っていた。もろもろの状況が重なって、この国会での議定書批准と国内法整備ということも随分と懸念をされたような時期があったと思います。私も、その間、自由民主党の環境部会長として携わらせていただき、また、大木大臣には、地球環境特別委員会の委員長として、同じように、同じ思いを持ってこの問題、懸念をされていただろうと思います。
 振り返りますと、小泉内閣が誕生して、大木大臣ともども小泉さんの官邸に行って、ぜひ政府としてはこういう態度をとっていただきたいという申し出をしたこともございました。正直申し上げまして、経済界からのいろいろな圧力もございました。そうした中で、本当にやっとこの国会に推進法案を提出して、提案をされて、きょうこうやって私が大木大臣に御質問申し上げる、感慨深いものを感ずるわけでございます。
 大臣もいろいろな思いがあるだろうと思います。一時期、本当にできるんだろうか、批准できるんだろうかという懸念を私ども抱いたことは間違いはございません。もろもろ含めて、きょう改めて、提案をされた、そして今後のこの京都議定書の批准に向けての大臣の御決意をまず最初にお伺いいたしたいと思います。
大木国務大臣 今、山本議員からもお話ありましたけれども、本当に私も感慨深いものがあると思っております。
 京都会議では本当に一緒に仕事をさせていただきました山本議員でございますが、あのときできました京都議定書は、言うなれば、そのごく骨格ができたということで、もちろん、主要先進国が削減の法的な義務というものを負って、それを書き込むことができたということでは大きな前進であったと思いますけれども、実際にその肉づけをするためには、私の後も歴代の環境庁長官あるいはまた関係各省そしてまた国会の方で大変に御声援もいただきまして、ようやく先般一応の肉づけのできた京都議定書というものがCOP7ででき上がったということで、これを今回国会へ、議定書とともに、また関連法案ということで出させていただいておるわけでございます。
 私は、地球社会のこれからの二十一世紀のあり方ということを考えますと、この地球温暖化というのは、かなり時間がかかる問題ではありますけれども、今から手を加えていかないといけないということで、やはりある意味では、あすでは遅過ぎるという言い方がどうか知りませんけれども、多少中長期的なことからいえば、あすでは遅過ぎる、来年では遅過ぎるということでございまして、ぜひともことしからひとついろいろな対策ができるようにということで、言うなれば、国際社会の中で日本が大いにこういう問題について積極的に活動するということが日本の外交のためにもプラスになると私は思いますし、また国内的にも、これから日本の社会を、そういった地球温暖化問題を十分頭に入れたような経済あるいは社会体制というものをつくり上げていくということで、非常に影響が多いと思いますが、また、具体的に六%の削減というような目標を達成するのは決して容易な問題ではありませんけれども、今からひとつしっかりと進めたいと思っております。
 どうぞひとつまた皆様方の御協力をお願いしたいと思っております。
山本(公)委員 今、大臣も言われましたように、六%という約束の達成は極めて難しい、私ども、正直そのように感じております。
 京都会議のときに、最終的に六、七、八という数字が決まったその瞬間にも立ち会わせていただきましたけれども、本当に日本政府としては思い切った決断で六という数字を決めたと私どもは認識をいたしております。
 ともあれ、国際的に約束をした数字でございますので、何としてでも約束期間内に六%の削減達成をしなければいけない、私は、大きなる日本の責任があるというふうに思っておりますけれども、先ほど申し上げましたように、今現在、経済界というのは、多少底を打ったんじゃないかというような言われ方もいたしておりますけれども、やはりまだ往年の力が戻ってきていないんだろうと思います。そうした中で、いろいろと経済団体の方からも、この時期に厳しい規制の網は御勘弁願いたいとか、それから、もう今まで経済界といいますか製造業界は、ある程度やれる範囲、力いっぱいやってきたつもりだ、何とかというような話が随分あったこと、大臣も御存じだろうと思います。
 そうした中で、今後、その約束期間内に見直しもやるというようなことになっております。二回見直しだったと思うのですけれども、それがある種やはり、私はいつも言っていたんですけれども、この日本の経済の今の状況、不況という状況もそんなに五年も六年も続くものじゃありませんよと。五年も六年も続くようだったら、日本の経済というか日本の国自体がもうだめになってしまうというぐらい、五年、六年というその時間は大いなる時間だというふうに私は思っております。だから、五年、六年先のことをもう一回見直しましょうという提案は非常にいい提案だったと思っております。
 そういう意味において、大臣の方でもうお考えでありましょうけれども、この六%達成に向けての一つの方法といいますか、どのように達成をされていくおつもりなのか、その辺についてちょっとお伺いいたしたいと思います。
大木国務大臣 今お話ございましたように、なかなか難しい六%の達成の目標でございますけれども、先般の三月に採択いたしました温暖化対策推進大綱、この中にも、いろいろと各部門にわたって、産業部門も、あるいは運輸交通部門も、そして民生部門でも、いろいろと対策を重ね合わせてひとつやっていただこうということで、百項目ばかりの一応ある程度の数字も入れた大綱をつくりまして、その大綱を民間の方にも業界の方にも御理解いただくということでは、これはまたひとつ山本議員にも大変に御尽力をいただいたわけでございますが、一応経済界としてもこれからこれに協力していくということで、その中身は、ある程度自主的にという部分も入っております。自主的という部分も入っておりますけれども、むしろ自主的にやった方が、みずからいろいろと考えていただいて、かえって効果が上がるんじゃないかというようなことも期待して、自主的というような部分も入っておりますが、片や、ある程度具体的にきちっと目標数値を各項目について出して、何とかしてこれを達成したい。
 しかし、やはりこれからまだまだいろいろと科学技術の進歩とかあるいは経済情勢の変化とかそういうものはありますから、これはひとつ二年目に、あるいは五年目にこの大綱の中身も少し検討させていただきまして、またひとつ必要な修正は加えていくということで、何とかして六%が目標年次中に達成されるようにこれからも努力を続けてまいりたいと考えております。
山本(公)委員 今大臣がおっしゃられましたように、経済界は自主的に取り組んでいる。今度の大綱においても、自主的に取り組んでいただくということに相なっておるわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、日本経済がある種立ち直ってきて足腰の強いものになってきたときには、やはり自主的という取り組みだけでは思うような数字が出てこない可能性もあります。そういう見直しの時期におきましては、そういう情勢を十二分に踏まえて、ある種のやはり思い切った政治的な決断というのが必要なときが来るのではなかろうか、私自身はかように思っております。
 今大臣もおっしゃられましたように、経済界のみならず民生、運輸部門というものの削減という方向が、やはり今回の約束期間内に六%達成するということにおいては大変重要なポイントになってくるというふうに私もずっと思っておりました。
 ある種運輸部門というのは、物の考えようによれば、自動車それから船、そういったもののいわゆる排出量を何らかの規制によって減じさせていくということは可能だといつも思っておりましたけれども、いつもNGOの方が見えていろいろなお話をする中で、じゃ、民生の部門をどうするのだ、あなた方もいい知恵があったらかしてよという話をよくNGOの方に言っていたんですけれども、民生部門の削減の方法、これは極めて、どこかの国のように強権的な大統領なんかがおられて、その方の上御一人が、国民あしたから車に乗るなと言えばあっという間に減るんでしょう。お互いの国はそういう国じゃございませんので、国民の生活に直結するような民生の部門で強権的に何かをやっていくということはなかなかできないんだろうと思うんです。
 そうした中で、やはり民生の部門がどんどんかなりふえてきていることもこれは事実ですから、これをどうやって抑え込んでいくかということは、この京都議定書六%達成目標に向かっての大きなポイントだと私は思っておるんです。
 ちょっと質問通達になかったんですけれども、大綱を見ておりますと、シャワーは何分にしようとか非常に細かいことをいっぱい書いておられますけれども、正直申し上げて、ああいうことで民生部門の数字達成ができるのかどうか。私は、基本は、民生部門の削減に向かっていくということについては、何よりもやはりキャンペーンだと思うんです。国民に、地球温暖化のために皆さん方こういう生活に変えていただけませんか、こういう生活をしていただくことによって皆さん方のそれぞれの努力が地球を救うことになるんですよというキャンペーンだと思うんです。
 京都会議のときには、もう日本国じゅう、ありがたいことに、あのときには盛り上がったと思うんです。私も政務次官でいろいろな会合に出させていただきましたけれども、さあ、コンセントは抜きましょうとかいうような運動まで随分一般の御家庭がやっていらっしゃいました。ああいった雰囲気をもう一回やはりつくらなかったら、なかなか民生部門の削減というのはできていかないような気がするんですけれども、大臣、その辺についてどうお考えですか。
大木国務大臣 国民一般にぜひともひとつ御協力と言う以上は、確かに、今おっしゃいましたように、キャンペーンというのが非常に必要だと思います。もちろん環境省としても一生懸命やらせていただきますし、これはむしろ内閣全体で取り組んでいただきたいということでいろいろとお願いをしておるわけでございまして、やはりそのキャンペーンのやり方も、国民によく理解していただくように、それからもう一つは、いろいろと細かいことについては、これは人間というのはやはりなれですね。
 ですから、例えば買い物に行ったときには、何か向こうでえらく、いろいろな紙に包んで、あるいは袋に入れてというようなことはもうひとつ勘弁してくれ、店の方もそれから消費者の方もそういったものはお互いにやらないというようなことで癖がつけば、これはそうその店のサービスが悪いとかいうことにならないと思いますので、そういうところはひとつ細かくやっていただこう。
 やはり環境省もいたしますが、山本議員も御存じのとおりに、環境省はまだまだなかなかキャンペーンは上手とは言えませんので、これはひとついろいろと御指導いただこうということで、例えばこの間うち、環(わ)の国くらし会議というようなところで民間のいろいろな立場の方々からも聞いて、そういったキャンペーンのやり方も含めてひとついろいろとアドバイスをいただこうということで努力をしております。
 いずれにいたしましても、今言ったように、個々の、ちょっと電気を消すとかアイドリングがどうだとか、おふろの水を少し節約しろとかそういった話は、確かに数字としては個々の行為は小さいんですが、それ掛ける一億何千万という全部の方がやっていただければ、これはやはり決して無視できないような数字につながっておりますので、ぜひともそういうことをこれからも一生懸命キャンペーンをやらせていただきたいと思っておりますので、どうぞひとつまた、関係各党の方ではよろしく御指導をお願いしたいと思っております。
山本(公)委員 今、民生の話をずっとやったわけです。重要なポイントでありますけれども、現在の地球温暖化対策推進法に基づいて、政府は率先して実行計画を立てるべしというふうに既に今の法律でうたわれておるわけですけれども、今日に至るまでできていないということはみんな承知しておるんですけれども、なぜできなかったのか、そして今後どうしていくのか、その点についてお伺いいたしたいと思います。
岡澤政府参考人 現行の推進法では、国民各界各層の取り組みが必要で、特にその中で、政府としても率先して取り組むべきだということで、おっしゃったような実行計画の策定という事務が設けられているわけですけれども、残念ながら今の段階ではまだできておりません。
 これは、その後、例えばグリーン購入法に基づく政府の基本方針を立てたとか、あるいは、昨年ですが、小泉総理が低公害車導入のイニシアチブをとったとか、そういうことがあって状況の変化がございまして、つい延び延びになっていたわけですけれども、延び延びになっていつまでも延ばしていいというわけでもございませんので、御指摘でもございますし、この作業を急ぎたいと思います。
 既に政府部内で作業に着手した段階でございますので、できるだけ早く手続をとりまして、できればことしの夏前をめどに策定いたしたいと思っております。
山本(公)委員 ぜひ早く策定をしていただきたいと思います。
 次に、京都メカニズムの中で我々がある種大きな期待を寄せているのが森林のところでございます。
 こういう表現はおかしいかもしれませんが、かつて環境に余り関心を持っていらっしゃらなかった方面からいろいろなアプローチがある。その中の一つに森林の分野があります。現下の林野庁のといいますかこの国の森林対策、林業対策面からいけば、我々が期待する三・九%よりかなり低い数値しか期待ができないということも承っております。我々が期待する三・九%にならんがためにはこれぐらいの予算が要るというような話も我々の方に伝わってきております。
 私は、森林の整備というのは、言われるとおり、一林野庁の問題だけではなくて、事ここに至ったらやはり環境省の問題なんだろうと思うんです。だから、環境省も今まで森林のことを随分やってまいりましたけれども、例えば予算の獲得一つにしても、やはり環境省が前面に出て、森林予算の獲得のために前面に出ていい時代が来たんだろうと思うんですけれども、その辺について、環境省としてもどういう取り組み方を今後されるつもりなのか、政務官にお尋ねいたしたいと思います。
奥谷大臣政務官 先ごろ発表されました地球温暖化対策推進大綱において、森林の整備、保全等で吸収源対策としての三・九%を確保する、これは、吸収源対策にとって大変大きなウエートを持つ重要なことであろうと認識をいたしております。この達成のためには、先ほどおっしゃられましたように、森林・林業基本計画というものに基づいて総合的な対策を進めることだと思います。
 しかし、その中で環境省としてできることというのは、森林が二酸化炭素の吸収源として非常に不可欠で大きな働きをしているとかあるいは森林整備の重要性というものを、先ほども言われましたけれども、キャンペーンというか、普及啓発することだと思います。また、先ほども出ておりましたが、グリーン購入法に基づいての間伐材の利用等を推進いたしまして、このような幅広い観点から施策を推進してまいりたいと考えております。
山本(公)委員 私は、予算ということも申し上げましたけれども、それぐらいの心づもりで、環境省としても森林行政に大いに今後かかわっていっていただきたいなと希望をいたしておきたいと思います。
 ところで、この京都議定書の問題、昨今も、近づいてくるにつれて、やはり米国以外でもさまざまな動きが出てきていることはお互い承知のところでございますけれども、アメリカがこうだからといって一国の外交方針が右往左往するという時代ではもうないような基本的な考え方を私自身は持っております。
 特に、環境外交という面においていえば、私は、日本という国は独自外交を発揮していい、ある意味で最高の舞台だというふうに認識をいたしております。極端なことを申し上げますと、私は、アメリカ人に尊敬されなくてもいい、ヨーロッパ人に尊敬されたいとよく言うんですけれども、そういう国家でありたい。私は、環境問題というのは一種哲学だろうといつも言うんですけれども、哲学という分野において日本人というのはやはり背骨がしっかりしているな、こういう問題について日本人、日本民族というのは背骨がしっかりした対応をしてくるなという姿を出していけるのが環境外交だというふうに思っておりますので、今、ヨハネスを目の前にしてさまざまな動きが出てくるだろうと想像いたしておりますけれども、もちろんアメリカに議定書に復帰をしてもらう努力は続けていかなければいけないんだろうと思うんですけれども、日本独自の毅然たる態度をとり続けていただきたいと思いますが、大臣、いかがお考えですか。
大木国務大臣 昨年、アメリカが京都議定書に入らないということを大統領の決定ということで発表いたしまして以来、日本国内でも、これは本当に与野党ともに、それは少しおかしいんではないかということで、アメリカにもいろいろな形で申し入れをしていただいたわけでございますし、その態勢といいますか、それは続いておるわけですけれども、片やアメリカも、地球温暖化問題について全く無関心とか反対とか、そういうことではない、こう言っていますから、これは、やはり京都議定書には入らないけれども、例の枠組み条約の方には入っておるということでありますから、その中でまたいろいろ協力しよう、あるいは日米バイラテラルな形で協力できることは協力しようというようなことで、温暖化対策のための科学技術の情報の交換とか、あるいはこれから開発途上国に対してどういう協力をしていくか、そういうようなことについては、日米間でハイレベルで、大臣レベルを含めていろいろやっております。
 それから、アメリカ以外の国につきましても、今ヨーロッパのお話が出てまいりましたが、EUの方は、これは、できるだけ早く京都議定書を承認して、ひとつ全世界としてもこの条約が、京都議定書が発効するように努力をしておりますから、私どもは、やはりEU、あるいはロシア等も目下批准を前提としていろいろ国内的な調査とか研究とか根回しとかやっておるようでありますから、仮にアメリカがヨハネスまでに要するに京都議定書に戻らなくても、私としては、できる国でひとつヨハネスを目標にして京都議定書が発効するように、これは議定書自体が国際的な取り決めとして発効するようにということで努力を続けてまいりたい。それで、まだ間に合わない国につきましては、まず、日本を含めた国々もここまでやったぞということを根拠にして、ほかの国に対しても参加するようにということを強力にまたひとつ申し入れしたいというふうに思っております。
 それから、実は先般ちょっと日中韓で三国の環境大臣会議もやっておりましたが、韓国も今、四年前に比べますと非常に環境問題について真剣に取り組んでおりますし、それから、議定書の承認についても今前向きで一生懸命やっておる、こういう話でございましたから、私としては、全体、日本を含めたできる国がまずは京都議定書を発効させて、そして仮にまだ多少おくれている国があるならば、それは、ここまでほかの国はやっているんだから、まだおくれている国もひとつ参加してもらいたいということで引き続き強力に申し入れを行いたいというふうに思っております。
山本(公)委員 大臣の強い御決意を聞いて安心をいたしました。川口外務大臣も小泉総理も環境問題には極めて御理解のある方だと思っておりますので、ぜひ、日本外交として誤りのない、ほかの国に侮られない、正しい毅然とした方向を歩み続けていただきたいとお願いをいたしておきたいと思います。
 それにつけましても、もう時間がございませんけれども、この地球温暖化問題、昨今また南極の氷棚が落ちたとか、きのうの新聞には、中央アジアの方で氷河湖が水位が上がってきているという問題も生じてきております。何かUNEPの報告によると、氷河湖がはんらんをしたらすさまじい被害が出るだろうという予測も、近年のうちにあるだろうという予測も出ているようでございます。
 そういうことをやはり、さっきキャンペーンというお話を申し上げましたが、いたずらに不安をかき立てるというわけではございませんけれども、いつも申し上げますけれども、日本国民というのは、どうしても身近な、ダイオキシン問題であるとか、そういう問題にはすぐ敏感に反応するんですけれども、今の自分には影響ないだろうという感覚で見過ごしてしまうとどうしても無関心になってしまうところが、この環境問題というのはあるような気がしてしようがないので、そういう意味からいったら、地球温暖化問題というのは、もう皆さんの身近にこういう問題が起きてきていますよ、こういう問題が生じて皆さん方の生活に影響があるかもしれませんよというようなことをやはりキャンペーンの一つの手段にしていくべきだと思うんです。
 いたずらに不安をかき立てるという意味ではございません。ただ、わかりやすい説明の仕方として、例えば、私の宇和島のすぐ近くの海で、サンゴ礁がどんどん北上をしてきている。そして、海の海水温度がどんどん上がってきていって、今、真珠がたくさん死んでいますけれども、どうも真珠が海温が上がってきた海に適応しなくなってきている。サメが随分ふえてきている。最近は、ハリフグというんですか、ハリセンボンが大量発生しまして、ハリセンボンというのは大量発生すると養殖の魚に悪い影響を及ぼしまして、あれをのみ込んだら全部窒息するらしいんです。そういうのが大量発生しているような異常事態も生まれてきております。そういうように、身近にこういう自然の現象、いろいろなことが起きてきていますよということを国民に知らしめていくようなキャンペーンのあり方というのはやはり今回あっていいんだろう、かように思っております。
 ともあれ、大臣、やっと本格的なスタートをいたしました。今度は、ちょっと待ってくれよと言うことができないスタートだというふうに思います。我々も一生懸命お手伝いをいたしたいと思いますけれども、ぜひ、大臣以下役所においても、必死になってこの問題に取り組んでいただきたい。幸いにして、ほかの役所もかなり理解が進んできているような気がいたしております。縦割りの中で難しいことはいっぱいあるだろうと思いますけれども、精いっぱい環境省としての役割を果たしていただきたいことをお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
大石委員長 近藤昭一君。
近藤(昭)委員 おはようございます。民主党の近藤昭一でございます。
 地球温暖化対策推進法について幾つか質問させていただきたいと思います。
 今、山本先生の方からも、質問の冒頭に、感慨深くきょうの質問をさせていただくというお話がありました。私も、先般の委員会でも大臣にちょっとお話をしたかと思いますけれども、特別な思いを持って質問をさせていただくわけであります。
 と申しますのは、大木大臣が当時環境庁長官としてCOP3、京都会議の議長をされた、そのときに、私も政治の世界に入っておりました。このままでは日本が、あるいは地球がおかしくなるという思いで、やはり環境問題にしっかり取り組んでいきたい、そういう思いだったわけであります。ただ、まだCOP3のときは当選させていただく前でございましたので、政治家を志す者として、COP3の会場に出かけていって、学生なんかと交信をしたということを思い出したわけであります。その意味で、私も大変に感慨深い。
 ただ、逆に言うと、一昨年ですか、私もCOP6、ハーグまで参りました。現場で、入り口の付近で随分と学生の人たちがパフォーマンスをやっていた。このままではおかしくなるんだ、一刻も早く議定書を批准しようというパフォーマンスでありました。そういった若い彼らの姿を改めて思い浮かべますと、逆の意味で、逆の意味といいましょうか、随分COP3からも時間がたっておりますし、そして、そういった学生が、聞くところによりますと、やはり京都から来ている。COP3の会議のときにも、もう少し若かったわけですが、京都で地元で会議が開かれた、そういう関心を持って、そしてきょうはこのCOP6に立っている、そういうことだったわけであります。
 そういう意味で、少々時間はかかっているなという思いと、逆に言うと、こうしてCOP3、COP6あるいはCOP7とずっと頑張ってきた、そして、アメリカが議定書から離脱したにもかかわらず日本が頑張ってきたといういい意味での感慨をきちっとこれからの人たちが、今後の人たちが持ってもらえるように、本当にまさしく今私どもは、きちっとこの議定書の批准に向けて、条約の批准に向けて、また推進法をきちっとつくっていく、そういう覚悟が必要なんだと思います。
 先般、私どもの鮫島議員が本会議でお話をさせていただいたように、我々は温暖化ガスの微妙な上昇を感知する能力を備えていないわけであります。そういう意味で、先ほどからもキャンペーンをしっかりやっていこう、よく言われるように、真綿で絞められるようにいつの間にかおかしなことになってしまう、そういう問題が環境問題であるわけでありますけれども、そういう意味でしっかりとやっていかなくちゃいけない。
 私は、よく地元でもいろいろな方に申し上げるときに、地球の温度というのは、今温暖化しているんだ、なかなか実感できないかもしれないけれども。最近ですと、よく私なんかが申し上げるのは、私も学生時代からスキーをやっておりますが、スキーというのは大体十一月の終わりあるいは十二月からまさしく本格的なスキーシーズンだ。ところが、最近は、年内はほとんどスキー場に雪がない。もうびっくりするぐらい、ほとんどのスキー場が今スノーマシンを備えている。スキー場であってスノーマシンを備えるとはおかしなものだと思うわけでありますが、逆に言うと、これはやはり一カ月ぐらいシーズンがずれてきている。十二月にはほとんど雪がない。それをマシンで補っていくしかない。年が明けてやっと本格的なシーズンになるんだ、こんなこととか、あるいは、一度、二度というのは、周りの人に申し上げると、いや何か暖かくなっていいじゃないですかなんと言う人がいらっしゃる。
 ところが、地球の温度が一度上がると、ちょっと私も数字をはっきり覚えていませんけれども、数百キロ、三百キロとか五百キロ赤道に近づいていく、いわゆる温帯にある日本が亜熱帯の国になってしまうんですよと言うと、何となく皆さん、いや何か亜熱帯の国になったら困るわねということであります。まさしく亜熱帯の国になってしまう、つまり、温度が単純に上がるんではなくて、自然のバランスが変わってくる、先般も鮫島議員が指摘されましたように、マラリアの蚊が東京にあらわれてしまうかもしれない、こういったことだと思うんです。
 そういう意味で、ぜひしっかりとキャンペーンをしていただくとともに、キャンペーンだけではなくて、実効ある法体系というものをつくってこの問題について取り組んでいかなくてはならないというふうに改めて思っているわけであります。
 ただ、京都議定書の締結に向けて、ヨハネスブルグ・サミットまでにまた議定書の批准作業が間に合わないんではないかという気が出てきております、ロシアのことでありますけれども。そういった意味で、私たちは、そういった外国の国に対しても、あるいは離脱をしたアメリカに対しても、批准に向けて大きく働きかけをしていかなくてはならないと思うんですが、どうでしょう、改めて聞かせていただくわけでありますが、日本自身が六月六日までに議定書をきちっと批准するということ、そのことについて遅滞なく行っていくことに対して、大臣自身の覚悟と御所見をもう一度お伺いしたいと思うんですが、よろしくお願いします。
大木国務大臣 今お話ございましたように、日本といたしましては、せっかくヨハネスブルグという会議が、十年に一回の大きな会議があるわけですから、何とかしてそれに間に合わせるようにということで、今、京都議定書及び関連法案の御審議をお願いしておるわけでございますが、ヨハネスブルグのサミットの会合というのは、八月の下旬からで、最終日がたしか九月の四日ということを今のところ予定しております。
 それで、京都議定書を発効させるためには、各国が仮に批准をしてそれを寄託する、それが寄託してから九十日で完全にその効力が生ずるということでありますから、例えば、EUとか日本とかロシアとか、必要な例の五十五カ国とか五五%とかいった条件を満たすだけの数の国が手続を終えればヨハネスで間に合う、こういうことになるわけでございます。
 ただ、日本の国内におきましても、一応国会で通していただきまして、これをまたひとつきちっと法制局等々で手続する必要がありますから、六月の六日というのは今のその九十日との関連で逆算しておるわけですが、さらに逆算いたしますと、日本として普通にきちっと手続をやるということになりますと、やはり五月の下旬ぐらいには通していただかないと大変にやりにくいということでございますので、六月の六日ということは、国際的な意味ではぎりぎりの日にちでございますけれども、日本国内としては、ひとつぜひ五月の下旬ぐらいにはお通しいただきたいという目標で私どもは努力をしております。もちろん十分に御審議は願わなければなりませんけれども、日にちということから申し上げますと、そういう日程になっておりますので、ひとつよろしく御協力をお願いしたいと思っております。
近藤(昭)委員 まさしくと申しましょうか、きちっとヨハネスブルグ・サミットで批准作業が行われるように、私どもはしっかりと審議をしていかなくてはならない。そして、大事なことは、冒頭申し上げましたように、きちっと地球の温暖化が防止されるということでありますので、私どもとしても早くこの批准作業を進めるとともに、しかし、やはり実のあるものに、きちっとした温暖化を防止するという中身のあるものにしていかなくてはならないわけであります。
 そういう意味で、最近また、最近というか少し前になりますが、先ほどもちょっと出ておったかと思いますが、アメリカが提案をしてきた。アメリカの提案は、GDP当たりのCO2排出量を削減する。見せかけは、何か言葉で聞くと削減でありますが、実質的にはCO2の排出はふえていく、こういう提案であるわけでありまして、まさしく、失礼な言い方をすれば、大変詐欺的な提案であると思うわけでありますが、このアメリカの提案に対して大臣はどのように見ていらっしゃるか、お聞かせをいただきたいと思います。
大木国務大臣 アメリカの提案というのは、確かに今近藤委員もおっしゃいましたように、例えば、CO2の排出量というその数字だけをとらえて言えば、一九九〇年に比べまして二〇一二年、今の京都議定書の第一期間ですけれども、三〇%ほどふえることになります。ですから、それは、みんなが削減しようと言っているときにふえる数字を努力目標と言うのは、甚だ遺憾というか残念でありまして、決して私どもとしてはそれを結構だと言っているわけではない。ただ、アメリカの方はその間にいろいろとまた、新しいエネルギーの開発だとか科学技術の研究だということで、決してその数字が固定したものではない、こういう説明もしておりますから、これはひとつ、そういった削減の方につながる行為というのは、引き続き強力に勉強してもらいたいということは申し入れているわけであります。
 そういうことで、アメリカも今、二〇一二年までということになりますと、具体的にここまで減らすという、数字では減らすということは言っておりませんけれども、今言いましたように、科学技術の問題だとか、あるいはその他いろいろな新エネルギーの開発だとかいうようなことを言っていますから、全く削減の努力がないわけでもないし、その今の見通しの数字が変わってくる可能性がないというわけでもない。
 ただ、アメリカとしては、二〇一二年までの第一期間ということだけではなくて、その後もというようなことを言っていますから、二〇一二年までは今のままでやって、その後ゆっくりというのじゃ、とてもそれはまたやはり困るわけでございますから、それは、私どもとしてはそれでわかったとは言っておりませんけれども、あらゆる努力をアメリカについても求めて、これからもひとつ一緒に、先ほど申し上げましたように、枠組み条約の中ではアメリカは引き続き協力すると言っておりますし、恐らく京都議定書の関連のCOPの会議にも、今のところは出てこないとまでは言っていませんから、やはりできるだけひとつ参加をしてもらって、一緒に勉強してもらいたいという気持ちでおります。
近藤(昭)委員 大臣もおっしゃるように、私は、削減という目標でありますから、きちっとやはり削減する、見せかけのGDP当たりのCO2排出量削減というのは、本当に詐欺的なことだと思うのです。
 このアメリカの動きに対しては、今まででもずっと世界じゅうが、特にヨーロッパから危惧の声が出ている。ぜひとも、日本としても引き続きアメリカに対する働きかけをしっかり行っていただきたいと思うと同時に、最近、先ほども山本議員もちょっと御指摘なさったのですが、アメリカがオーストラリアあるいはカナダ等の国々と温暖化対策に向けた二国間の取り組み、多分、言い方をかえれば、アメリカがなるべく仲間を引き込もう、世界的に地球の温暖化のために、まさしく世界じゅうが一緒に取り組まなくちゃいけないということで始まった地球温暖化防止対策にもかかわらず、アメリカは、とにかくそこからいかに離脱するか、離脱というか、いかにそれを骨抜きにするかということを考えている。そして、今度は、アメリカが離脱したばかりではなくて、オーストラリアあるいはカナダ等に、そういった一緒に離脱しようよというか、一緒にこの地球温暖化防止についての対策を骨抜きにしようよというようなことをやっているかのようにしか思えないわけでありますが、大木大臣におかれましてはどのように見ていらっしゃいますでしょうか。
大木国務大臣 アメリカが、やはりいろいろな意味で、オーストラリアとかあるいはカナダと、これからの温暖化対策について一緒に勉強できるところは一緒にやりましょう、こういうことを言っていることは確かであります。
 ただ、まずオーストラリアでございますが、オーストラリアは今、京都議定書にいつ入るとかいうことについては明確な意思表示はしておりませんけれども、オーストラリアは、御存じのとおりに向こうの状況もありまして、今のところオーストラリアとしての削減目標というのは、削減ではなくて増加が八%でしたか、八%までは認められるということで、むしろその中でこれからその義務を達成していかなきゃいかぬわけですが、オーストラリアの首相などが発言しておりますのは、議定書にいつ入るかは別として、今の八%以内にとどめる、とどめるということですね、とどめるということについては、それは達成するように努力する、こう言っていますから、必ずしも京都議定書の内容を全く無視しておるということではないというふうに了解をしております。
 それから、カナダにつきましては、先般、G8の会議のときも、カナダの環境大臣が非常にいろいろと苦労話をしてくれたのですけれども、現在、カナダの中央政府、連邦政府としては、何とかひとつ早く議定書を承認したいと思っているけれども、なかなかあそこは州の力が強いものですから、なかなか簡単でないので、まずそこの州との話し合いをしなきゃいかぬ。
 それから、各州によってまたいろいろと経済状態が違いまして、例えばアメリカとの、ある意味ではカナダの経済というのはかなりアメリカと一体化している部分もありますし、またいろいろとエネルギーの供給関係というようなものがございます。
 例えば、この間会議をいたしましたバンフのアルバータ州は、アメリカに天然ガスを相当多量に供給しております。それから、カナダ全体としても、いろいろなところへそういったエネルギーを輸出しておるという国でありまして、そういった観点から、産業界がすぐにまた、よくわかったということで、さっと同意してくれるかというと、なかなか難しい。ですから、産業界プラス各州との話し合いというのでちょっと時間がかかるということを言っておりました。
 しかし、中央政府としては、あくまで京都議定書を、カナダは六%だったと思いますが、六%の削減の目標を達成するために、政府としては今後努力を続ける、こう言っておりますから、これはしばらくはひとつ、それじゃ、ぜひできるだけ早く議定書の承認ができるようにということで努力をしてもらいたいということは言ってきたわけでございます。
 ですから、カナダにつきましては、それから先ほどの豪州につきましても、必ずしもアメリカと完全に同調しているということではないので、今のところは両国とも、カナダについては特にそうでありますが、議定書の目標達成に向かって、また議定書自体の承認について努力をしておるというふうに理解をしております。
近藤(昭)委員 それぞれが今のところは削減目標に向けて努力をしていくということではあるようでありますが、ただ、心配しておりますのは、アメリカがそれぞれの国といろいろな協議機関といいましょうか、委員会みたいなものを二国間で設置をしているというのは、将来的に何らかの、やはり戦略的な国アメリカでありますから、いろいろなことを考えているという危惧をしているわけであります。そういう意味で、ぜひそういったアメリカの動きに対しては、今後ともきちっとまさしく物を言っていっていただきたいという思いがするわけであります。
 それと同時に、そういったまさしく先進国として排出量の大きいという国ばかりでなく、先ほども申し上げましたが、地球温暖化の問題は全地球的に取り組んでいかなくてはならない。そういうことで申し上げますと、やはりアジアということになると思うんです。
 アジア諸国、発展途上国も多いわけでありますが、経済的にはかなりパワーを持ってきている。そういった国々の温暖化防止に向けての取り組みというのは大変に重要になってくると思うんですが、そういう中で、特に中国、大変に人口が大きいばかりではなく、大変な経済的な発展を驚異的なスピードで上げている。ここはまだ地球温暖化防止の枠組みの中に入ってこないわけでありますが、現実的には大変に大きなものでありますし、また、先ほどの二国間協議の中で申し上げますと、御承知のとおり、アメリカは中国との間で環境保護及び気候変動問題に関する共同作業チームですかの設置に合意をしている。まさしくオーストラリア、カナダ等々だけではなくて、さらに先手を打つかのごとく、今度は中国とそういった作業チームを設置していこうということに合意をしている。
 私はそういうことを大変に危惧しているわけでありますが、中国を含めてアジアの諸国の温暖化対策に日本がリーダーシップをとっていかなくてはならない、かように思うわけですが、その辺については、大臣、いかがお考えでしょうか。
大木国務大臣 まず、京都議定書との関連でいいますと、中国もそれから、この間実は韓国で会議がありましたので、韓国あたりも、いずれも京都議定書の承認手続は進めております。ただ、いつまでにできるかということについては、必ずしも、この間日中韓の会議のときにも、やはりいろいろとその手続、国内で関係方面の説明もしなきゃいかぬので、いつとまでは申しませんでしたけれども、中国も韓国も、京都議定書では今のところいわゆる先進国の附属書1の方の国でありませんから、削減の法的な義務は負っていないわけですね。
 しかし、中国については、先生、中国でたしか勉強しておられた、十分よくよくもう中国のことは、私が申し上げると釈迦に説法ですけれども、何せ非常に広大な国でございますから、いろいろな意味での環境問題を抱えておる。抱えておりますから、日中間でもかなりいろいろな形で協力しておりまして、よく御存じのとおりに、例えば大連だとか重慶だとか貴州はその一つのモデルケースとして、こういった都市の環境問題については相当強力に、バイラテラルで二国間の形として協力をしておりますし、また、アジア全体につきましては、エコ・アジア、いわゆるアジア太平洋の環境会議、あるいは地球温暖化アジア太平洋地域セミナーとか、いろいろかなりやっております。
 そういうことで、私どもは、アジアの国というのは大体、今のところは、ですから先進国と違いまして、すぐに削減の法的義務はありませんけれども、現実には、いろいろな自分の国の問題として、まず環境を少しよくしよう、その中でまた温暖化対策にも貢献するようなことはやっていこうということでございまして、御存じだと思いますけれども、最近は、一九九〇年ごろに比べますと、中国のCO2の排出量というのは物すごく増大しておったんですが、最近の三年ぐらいになりますと、横ばいないしは少し減ってきているんですね。
 これはやはり中国としてもみずから温暖化対策をやっておるということでありまして、もちろんその間に国際的な協力もあるわけでございますから、これはひとつ、ヨハネスに向かっても、アジアとしてはこういうことをやっておる、それから、それをさらに日中韓だけではなくて北東アジア地域全般ぐらいには広げて、こういうこともやっているよというようなことを世界各国にも示して、さらにまた必要な地球規模の協力というようなものもできればしたいというふうに考えておりますので、決して私としては、例えば中国がアメリカとだけ組んでどうだということではないと思います。
 ただ、逆に、アメリカも中国に対して、例えば技術協力というようなことではいろいろやっておるようでありますし、そういう意味におきましては、アメリカも、アメリカはアメリカの立場でいろいろと、他方、いろいろなマルチな形での活動を続けておるというふうに理解しておりますし、日本は日本でまたひとつ、先ほどもちょっと申し上げましたが、日米の方のハイレベル協議も続けておりますから、そういったところでまた、途上国問題も考えながら、日米の話し合いを続けてまいりたいというふうに考えております。
近藤(昭)委員 大臣おっしゃるとおり、環境問題というのはそれぞれの国に、自国に影響を及ぼすわけでありますから、そういう意味では、中国もしっかりやっていくというふうには思うわけでありますが、ただ、なかなか現場の部分で、アメリカがこれほどある種の抵抗をしているように、ましてや、中国がそうだというわけではありませんが、やはりどうしてもいろいろな場面でそういった産業の発展を優先していこうというグループ、勢力が、どこにもまずそこだというグループがあるんだと思うんです。
 そういう中で、私が危惧するのは、中国というところにアメリカがそういった二国間の協議をしようという場を設置したことに大変に危惧を抱いているということでありますので、大臣におかれましても、この問題についてもぜひしっかりとケアをしていただきたいと思うわけでありますし、先ほどもちょっと話が出たわけでありますが、日中韓の環境大臣会合ですが、環境を守っていこうというお話し合いだったと思うんですが、具体的に何か成果といいましょうか、具体的に話し合われたような内容はいかがでしたでしょうか。
大木国務大臣 先週というか、今週といいますか、この土日に二日間韓国へ参りまして、日中韓の三国の関係大臣会議を行いました。ことしで実は四回目になるわけでございますけれども、具体的な議題としては、実はこの間うち、近藤議員もよく御存じのとおりに、黄砂問題がかなり重大な状況になっている。
 特に韓国が、どこから来るのか、黄砂のもとはどこだということになりますと、少なくとも通路としては中国から韓国へ来ていることは間違いないんですが、そのまたもとはどこだというような話で、中国の中でも北西部あるいはもっと外のほかの国がもとじゃないかというような議論がありますけれども、黄砂問題というのは、実は非常に今韓国の中で、特に、例えば私どもがソウルへ参りますと、時には非常に黄砂でお天気が何か、空は別に曇っているわけじゃないんですけれども、何となくどんよりしているというようなのがありますし、この間、たしか小泉総理が韓国へ行かれたときも、えらい黄砂で大変だったというような話を聞いておりますので、これは、私ども参りまして、三国の環境大臣会議が韓国の李総理のところへ行って表敬したんですが、そうしたら、開口一番、ひとつ黄砂の問題は大変大事だから、環境大臣会議でちゃんとその話をやってくれというようなことを言われまして、改めて、韓国では今黄砂問題というのが非常に大変なことになっているなという感じを受けました。
 しかし、黄砂問題は非常に個別な問題ですが、日中韓では、やはりことしは特にヨハネスブルグの会議があるということでございますので、日中韓としてもヨハネスブルグに向かってどういう協力ができるかということを話し合いました。
 そのうちの一つはもちろん京都議定書でございまして、これは先ほども申し上げましたけれども、韓国も中国も批准に向けての手続を進めておるということでございますから、ひとつできるだけ早くしてもらいたいということを日本からも申し上げた。
 それから、そのほかに、ヨハネスブルグでどういう議論が行われるか、あるいは例えばどういう成果をヨハネスの合意としてつくり上げるかということについては、いろいろなところで今議論が行われておりまして、今度もまた五月の下旬にインドネシアで第四回の準備会議をやろうと言っておりますから、その辺に少しそろそろその議題を絞って具体的に、ただみんなが問題点だけ述べ合っているだけではなんですから、今度は具体的な行動に移れるようなものは何だろうということをひとつ絞り込もうということで努力をしております。
 リオ・プラス10で、今までは、リオ会議以来、経済と環境の両立と申しますか、その二つを並べて、これをお互いに調和しながらということがあったのですが、それに加えてもう一つ、単なる経済というよりは、社会というような言葉が盛んに使われているのですが、ソシアルアスペクトといいますか、要するに、単なる経済活動以上にもっと、いろいろな各国、特に開発途上国では、いろいろな例えば政府とか行政とか教育とかそういった一番基礎になるものができ上がっていないじゃないか、そういうところをもう少し見直す必要があるのじゃないかというような議論もございます。その他、健康の問題も開発途上国ではまだまだ非常に重大な状況になっておって、成長できる子供が全人口のうちの本当に何%というような議論もありますから、そういった問題も取り上げようというようなことでございます。
 ということで、今具体的にどういう問題を今度のヨハネスの主題にするかということについては、地球温暖化はもちろん継続案件ですけれども、そのほかの問題についてどういうふうにしようかということでやっておりますから、アジアの国あるいは日中韓でも、そういったものも意識しながら、具体的にどういうことができるかということを今後もひとつ協議を続けてまいりたいと考えております。
近藤(昭)委員 ぜひ、この日中韓、まさしく今大臣もおっしゃられましたように、環境問題は地球的規模で起こりますが、いろいろな場面で個別具体的にいろいろ感じていく中で、それぞれの、もちろん産業界が努力するところ、また、後ほどちょっとお話しさせていただきますが、個人が努力をするところ、あるいは個人がそういって関心を持つことによって逆に産業界も対策をきっちりする、こういう部分が出てくるのだと思いますが、そういう中で、今大臣おっしゃられましたように、黄砂の問題というのは、特にことしはひどかった。大臣もおっしゃったように、ちょうどあのひどかったころ私もソウルに行っておりまして、空が本当に物すごい曇るというか煙るような感じで、車にも随分と砂が落ちていた。帰ってきてみると、日本にもいつも以上に黄砂が降っていたということを感じたわけであります。こういった問題にも、それぞれが地球温暖化を防止するというか、環境問題を考える中で、国が取り組んでいく。
 また、ちょっと手前みそで申しわけないのですが、私もゴールデンウイーク中は中国にまた参ります。上海で、日中間の問題とか、その中で環境問題も話をしようと思っています。また、去年から、今度三回目になるのですが、中国で植林をさせていただいております。私が植えてくるのは三十本ぐらいでございまして、ただ、何十人かで行くものですから何百本かにはなるわけですが、それがもちろん大きく環境問題を左右するわけじゃないのですが、そういうことの積み重ねだというふうには思っているわけでありまして、そういう意味で、個人的にもしっかりとこういった環境問題に取り組んでいきたいと思うわけですが、そういう中で、やはり私たちが戒めていかなくてはならないのは、自然との共生ということだと思うのです。
 そういう意味では、私たちは、よく言われるように、自然を守っているのではなくて、自然に守られて我々人間は生きているんだ。つまり、例えば、自然をどんどん破壊していっても、自然はもしかしたらかなりダメージを受けているかもしれない。しかし、ダメージを受けた結果、人間が生きられなくなってしまって、逆に人間が生きられなくなれば、今度はまた環境は、長い時間をかけるかもしれないけれども、またもとに戻るのではないか、そういうふうに思うわけであります。そういう意味で、そういうふうにならないように、私たちは、きっちりと環境をある種の意味で守っていかなくちゃいけないですし、共生をしていかなくちゃならない。そういう中で起きてきた問題がこの地球温暖化の問題だと思うんです。
 そういう意味では、私は、今回、六%削減義務の達成手段として森林の吸収源を利用することの問題をやはり慎重に考えなくてはならない。私も環境委員会にずっと所属をさせていただいてまいりましたので、この地球温暖化の問題、森林吸収の問題については何遍もお話をさせていただきました。一九九〇年までなかった森林が突然その後に出てきたわけではないですし、森林吸収というものを数値的に、何%吸収していくのかというのは科学的根拠も必ずしもはっきりしていないと私は思うわけでありますし、もう一つは、今申し上げましたように、やはり自然と共生していくためには、森林が吸収してくれるんだ、つまり自然に頼ってばかりいてはだめだと思うんです。
 今回の地球温暖化を防止するための重要なことは、やはり温暖化ガスを出さないということが一番だと思います。温暖化ガスを出しておいて、でもそれはまた森林が吸収してくれるんだ、つまりもう一度環境に負荷を与える、私はこういうことをやっているんだと思うんです。本来は環境に負荷を与えないようなためにCO2の削減をしようというところが、なかなかできない、できないというか、やりたくないというか、そういうことで、今度はもう一度自然に頼ろうと。私は、自然にいかに負荷を与えないようにするかが今回の一番大きな課題であるにもかかわらず、今度は、もう一度森林に吸収をしてくださいという、自然にまたある種の負荷をかけるというのはいかがなものかと思うわけであります。
 そういう意味で、本会議の席でも鮫島議員が質問させていただいたように、六%の削減に向けての森林吸収については認められているからというお答えだったわけでありますが、私はそれでは不十分ではないかと思うのですが、大臣はいかがお考えでしょうか、もう一度お聞かせいただきたいと思います。
大木国務大臣 森林による吸収というものをどういうふうに考えるというのは、今自然と人類とがどういうふうに共生していくかという大きな問題の中での一部だと思いますが、私どもは、例えばCO2なりその他の温暖化ガスが要するに放出される、それをまた吸収するというのは、ある意味での循環する一つの過程の中での現象でありまして、必ずしも、初めから吸収というのはいけないんだ、あるいは自然に何か負担を与えるんだということではなくて、やはり十分にそういった循環して吸収作用が行われるような森林というのを保全していくということでいいのではないかと考えております。
 吸収した結果、森林が何か非常に悪くなるというようなことであれば、これはまたひとつ別だと思いますが、それはそうではなくて、必要に応じて、今おっしゃったようにまたそのための植林もしていくというようなことで、我々の持っている森林が吸収作用も十分に行えるような形に保全するということがまず基本的には必要でありますが、そういうことであれば、森林への吸収というのも、今のCO2削減の全体の計画の中では組み入れていいのではないかというふうに考えております。
 なお、三・九%という吸収量につきましては、これもマラケシュ合意におきまして一応三・九%という数字を日本として認められておるわけでございますが、その内容につきましては、数値は、樹種あるいは樹齢ごとの森林の成長データとか、それから将来の森林面積の計画の値など、そういったもの、少なくとも現時点で利用可能なデータをもとにして日本側としても国際会議でも主張したわけでありまして、そういった科学的な裏づけをある程度持っているものでございますから、これを全く荒唐無稽な数字だとは考えておりません。今の段階では、それに向かって十分に日本側としても必要な措置は進めた上で、この三・九%というのを吸収の方で達成するようにというふうに努力目標として掲げたいというふうに考えております。
近藤(昭)委員 大臣おっしゃるように、確かに森林が自然で作用している中で吸収していることは間違いないわけでありますから、そういう意味では、もちろん今までこれだけしか吸収できなかったものをこの間倍ぐらい吸収しろ、そういう意味での負荷ではないと思うのですが、ただやはり私が懸念いたしますのは、全体で、今回の大きな目標というのは、やはり環境に対して与えてきた負荷を減らしていくか。
 確かに、数の達成目標の中でどういうふうに達成していくかというのは、いろいろなやり方がありましょうし、いろいろな方法を使っていく。そういう中で、いろいろとこの間の議論の中で、ある種の知恵も出しながらやってきたという部分では、確かに条約、この仕組みの中では認められているものではあるとは思うんですけれども、やはり私は、基本的には、そういったより負荷を与えないということをまず考えていただきたいというふうに思うわけであります。
 そのことをお願い申し上げて、今度はその森林吸収についてちょっとお伺いをしたいと思います。
 私、決してこの達成手段として有効だからということで申し上げるのではなくて、ある種のバロメーターとしては、やはりより確かに森林をふやしていく、あるいは森林を手入れしていくことによってCO2を吸収していく、このことは重要だというふうに思いますので、そういう意味でちょっとお伺いをしたいと思うわけであります。ですから、そういう意味では、ちょっと仮定の数字としてお伺いをしたいと思うわけであります。
 つまり、この問題を達成するために森林吸収を私も一〇〇%認めて、だからこうしてくださいということではなく、ちょっとお伺いするわけでありますが、今森林吸収源を用いるにしても、大体現状では二・九%の吸収率ではないか。ところが、目標としては三・九%をこの森林吸収源によって達成すると言われているわけであります。そうしますと、一%ほど開きがあるわけでありますが、では、この三・九%という数値目標をどのようにして達成されるのか、そのことについてお伺いしたいと思います。
大木国務大臣 近藤議員のおっしゃいましたその二・九%はどういう計算だか私も存じませんけれども、三・九%を確保するためには、昨年の十月に森林・林業基本計画というのを立てまして、ここで、三・九%をきちっと実行するための計画をいろいろとつくっておるわけであります。
 そこで、新しい森林の育成、育成林につきましては、現状を上回るペースで、植栽とか下刈りとか間伐だとか、そういった全体としての森林整備計画を進めたいというふうに考えております。
 また、保安林等、保全すべき森林につきましては、森林以外への土地の転用や森林の伐採を制限するということも考えておりますし、治山事業などにより劣化した森林の機能を回復するということも一つ視野に入れております。
 あと、森林整備へのインセンティブが働くように、住宅や公共施設あるいはエネルギーとしての木材の利用等も推進するというようなことで、こういったものを総合的に実行いたしまして、三・九%というものが決してむちゃな数字でないようにひとつ努力をしてまいりたいというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、こういった森林のことにつきましては、環境省ばかりでなくて、林野庁を初めとして、関係各省とも十分に協議を進めながら、これはひとつ目標をきちっと達成できるように努力をしてまいりたいと考えております。
近藤(昭)委員 大木大臣のそういったお考え、そうすると、これは森林でございますから林野庁と関係してくるわけでありますが、林野庁の方はどうでしょうか、三・九%、どうやって達成していくか。
加藤政府参考人 三・九%につきましては、削減目標として算定できるものが、一九九〇年以降、手入れだとか管理などの人為的活動が行われた森林の吸収量ということになっているわけでございまして、そういう点で、今回の三月十九日に定められました地球温暖化対策推進大綱におきましても、今のような整備水準でいくと三・九を大幅に下回るおそれがあるのではないか、だから、三・九を達成していくためには、先ほど大臣もお話しになりましたように、森林・林業基本計画に基づいて森林整備をきちっとやっていくということが必要ではないかということを出していただいているわけでございまして、林野庁といたしましても、関係府省と連携をとりながら、そういったために、健全な森林の整備でありますとか、保安林の適切な管理、保全でありますとか、国民参加の森づくりであるとか、あるいは木材及び木質バイオマスエネルギーの利用の推進などを含めまして、幅広い対策をとっていくということが必要ではないかというふうに考えているところでございまして、今回、地球温暖化防止森林吸収源十カ年対策というものを展開してまいりたいというふうに考えているわけでございます。
 そういったようなことから、幅広い観点からの森林施策の充実に取り組んで、必要な吸収量の確保に努めていくというふうに考えているところでございます。
近藤(昭)委員 そうしていろいろと計画等々を立てていかれて、達成を目標にしていかれるのはいいんですけれども、どうですか、二・九%というのは大体今の森林が吸収しているだろうCO2の体積から出た数字だと思うんですけれども、ただ、それを前提にして考えますと、二・九%を三・九%に上げなくてはいけない。いわゆる三・九分の二・九と今現状なるわけでありますが、そうすると、現行二・九%であれば、三・九%を達成するには現在の大体一・二倍から三倍の森林整備が必要だというふうに単純に計算をします。
 ただ、実際には林業に携わる労働者の皆さんというのは、国勢調査等、そこからの推計でいきますと、二〇〇〇年では六万七千人ですが、二〇一〇年には四万数千人にはなるのではないかという推計、そうしますと、不足する労働者、つまり三・九%を達成するのに不足する労働者という意味ですが、四万人以上にも上ると思うんです。そうしますと、先ほど林野庁の方は、いろいろと計画をつくっています、それに向けてやっていきますということでありますが、四万人も差があるこの労働力、これをいかに確保していかれるのか、きちっとお聞かせいただきたいと思います。
加藤政府参考人 今御指摘ございましたとおり、森林整備をきちっとやっていくということに対しましては、やはり労働力の確保ということが大変重要な問題であるというふうに我々も認識をしているところでございまして、数値的にも六万七千人でございますけれども、大変高齢化をしてきているということでございますから、このまま推移をしていくということでいけば、やはり労働力としては減少を見込まざるを得ないということになるわけでございます。そういう点では、新しい労働力を確保していくということについて、我々としても最大限の努力をしていくということが必要だというふうに考えているところでございます。
 今回、実は緊急雇用対策ということで、森林作業という問題が取り上げられまして、今回の十三年度の第一次補正予算でも、そういった新規林業就業者を確保するという対策を打ち出したところでございます。
 林野庁といたしましては、就業相談会の開催であるとか、事前研修の実施であるとか、研修修了者の登録を行うというような対策を行いますとともに、都道府県段階では、今回の緊急地域雇用創出特別交付金というものを活用いたしまして、雇用を実際に行っていただくということで考えてまいりたいというふうに思っているところでございます。
 そういう中で、林野庁としまして、これが十六年度までの対策になっているわけでございますが、その中で新たに森林作業についていただく方々を三万人程度確保したいというふうに考えておりまして、そういう方々がいかに定着をしていただけるのかということを我々として対策を打っていかなければいけないのではないかというふうに思っているところでございます。
 いずれにつきましても、この労働力の確保ということにつきましては、森林整備をきちっとやっていくということのためには大変重要な問題だというふうに認識をいたしているところでございます。
近藤(昭)委員 今お話がありましたように、緊急雇用対策の中でも、あれは半年、また延長できても半年であります、その中でもまず考えていく。そこで、今おっしゃったように、研修なんかもして、なかなか林業に従事される方は定着率も高くはないという状況のようでありますので、そういう緊急雇用対策の中で関心を持たれて、なおかつそれを定着していってもらう、そういうような一つの道筋なのかなというふうに思うわけであります。
 ただ、あくまで緊急雇用対策でありますと、そこでの予算になるわけでありまして、そうしますと、長期的に、例えば半年やってみて非常に林業に関心を持った、これからやってもいいみたいな方を継続して、どのようにして林野庁として、先ほど山本議員の方からも、こういった問題に対して環境省が前面に出て予算獲得に動いてくださいというお話というか御指摘がありましたけれども、林野庁の方、どうですか、きちっとした予算措置がないと、かけ声だけで、対策ができないんだと思うんですが。
加藤政府参考人 そういう方々がやはり定着していくということにつきましては、それなりの仕事がなければいけないわけでございます。そういう点で、先ほど申し上げましたように、これから三・九を確保していくということで考えますと、森林整備を今以上にやっていくということが必要ではないかというふうに思っているところでございまして、我々、今回、十カ年対策というものを打ち出していきたい、検討してまいりたいというふうに思っているわけでございまして、そういったこととあわせながら、やはりそこの中で労働力問題についても考えていくということがまず一つ必要ではないかというふうに思っております。
 それと同時に、今までも林野庁としても、林業労働力をどういうふうに確保していくのかということで、先ほど申し上げましたような研修であるとか、あるいは、さらには就業資金の貸し付けであるとか、さらには林業事業体の育成であるとかということについても取り組んできたことでございまして、そういったものとあわせながら、その定着に努力をさせていただきたいというふうに思っているところでございます。
近藤(昭)委員 確保に努力をしていっていただくしかないわけでありますけれども、ただ、やはり冒頭から申し上げているように、また先ほど大臣も御指摘なさったように、批准はとにかく急がなくてはならない。ところが、批准を急ぐだけではなくて、きちっと中身のあるものにしていかなくてはならない。
 そういう中で、私は、二・九%、三・九%という数、あるいは森林吸収というものは少々抵抗があるわけでありますが、ただ、現状で申し上げましても、二・九%、仮定の数として出ていて、それを三・九%に上げなくちゃいけない、こういう仮定があるわけです。
 ところが、仮定の数値であっても、今お聞きしておりましても、努力をするということであって、きちっと、先ほどもいろいろ、仮定の仮定の数字ではありますが、四万人以上の雇用を林業の中でつくっていかなくちゃいけない。現在が六万七千人ですから、四万人以上ということはかなりの数であります、これは四万人以上ふやしていくということでありますけれども。
 そうしますと、やはりきちっとした予算措置がないといけないと思うんです。先ほど林野庁長官は、事業があれば、労働者が確保されても事業がなければというようなニュアンスのお話をされましたが、事業はあるんだと思うんです。つまり、二・九%、三・九%の、森林に吸収できていくようにきちっと手入れをしなくちゃいけない。
 いろいろとお聞きしておりますと、森林整備にとって間伐、特に初回の間伐みたいなのが大変重要だけれども、この間伐さえなかなか行われていない、不十分だということでありますから、そういったものをきちっとやっていくために、きちっとした予算措置をしていかなくちゃいけないんだと思うんですが、大臣、そういった予算措置についてはどういうふうにお考えでしょうか、環境省として前面に出ていくという。
大木国務大臣 もちろん、環境省としては、必要な今の温暖化対策との関連での予算措置ということは当然あれでございますが、その点、林野庁さんの方にしてみれば、これは、やはり林業という日本経済の中で一つの重要な産業があるわけでございますから、それを、もちろん国有林あるいは私有林、いろいろありますけれども、林業全体としてどういうふうにまた育成していくか、これはなかなか難しいので、ただ量的にふやすということではなくて、現在あるものをきちっと保全していくというようなこともあると思いますが、そういった林業としての育成と、それから環境の面からのそういった今の三・九%を達成するための方向、そういったものを両方考えなきゃいけないと思いますが、いずれにいたしましても、三・九%というのは国際公約の中で達成する一つの重要な部分でありますから、これはひとつ関係各省、特に林野庁等々とも御相談しながら、私どもとしても一緒にまた予算措置の達成に努力をしてまいりたいというふうに考えております。
    〔委員長退席、奥田委員長代理着席〕
近藤(昭)委員 きちっとした裏づけがないとこの目標が達成できないわけでありますので、環境省におかれましても、ぜひ林野庁と協力しつつ、きちっとした対応ができる十分な予算獲得のために前面に出ていただきたいというふうに思うわけであります。
 だんだん時間が限られてまいりましたので、ちょっと予定していた質問を減らすかもしれませんけれども、実は、ちょっと危惧しておることがあります。それはどういうことかと申しますと、事業者の取り組みについてということであります。
 中環審の国内制度小委員会の中間取りまとめがございました。経団連自主行動計画の削減効果はという部分でありますが、「電力の排出原単位の改善によるところが大きく、自主努力による削減は相対的に小さい」とあったわけでありますが、最終的な小委員会の報告では、「経団連自主行動計画等の自主的取組は、策定以降大きな成果を挙げてきている」となっておりまして、中間取りまとめと最終的な報告とでは認識が変わっているわけであります。
 この間にどのような議論があって、どういう根拠に基づいてこの認識が変わっていったのかということをお聞かせいただきたいと思います。
岡澤政府参考人 経団連の自主行動計画につきましては、今御指摘のように、中環審の国内制度小委員会の中間取りまとめにおきまして、企業の自主性を生かしつつ、その透明性、信頼性、実効性を一層高めるための措置が必要だというように、自主行動計画に基づいてちゃんと対策をとるためにはそういうことが必要だというふうに言っております。具体的には、政府との間で協定を結ぶ仕組みとか、計画の作成、公表を義務づける仕組み等についての提言が書かれているわけでございます。
 しかし、十四年、ことしの一月の最終答申では、そういうことを外して、事業者の自主行動計画にゆだねるというふうにしたわけでございますけれども、これは、最終答申では、温暖化対策の推進の考え方として、ステップ・バイ・ステップのアプローチをとるというふうな方向をとったこと、ステップ・バイ・ステップのアプローチですから、まず第一段階では、とりあえずできることを導入しよう、次の段階で、進捗状況等見ながら、追加的な対策が必要であれば追加的な措置をとろうというふうに、そこの枠組み全体を考え方を改めたということがございまして、経団連自主行動計画につきましては、さらにこれを担保するような枠組みというものを当初提言していたわけですけれども、まずはそういうものなしで自主的行動計画でやっていただいて、それの進捗状況を見ながら、必要に応じて、さらにそうした、それを促進するような、加速するような枠組みというものを考えたらどうか、こういうふうになったわけでございます。
    〔奥田委員長代理退席、委員長着席〕
近藤(昭)委員 ちょっとお聞きしていてもよくわからないんですけれども、それは、いろいろとステップ・バイ・ステップで取り組みをしていっていただいて、進捗状況を見ながらというのはわからないでもないんですが、ただ、私がお聞きしているのは、中間取りまとめとやはり最終報告では、端的に言えば、中間では余り効果を上げていないという取りまとめが、最終的には、いや、成果を上げてきていると。上げていないものが上げているとどうしてなったのかということであります。
岡澤政府参考人 文章のニュアンスの問題だと思いますが、要するに、中間取りまとめのときには、自主行動計画プラス追加的な仕組みによって達成すべきだ、こういう主張を展開したわけですので、そこの段階では、経団連自主行動計画はそれなりに成果が上がっているとしても、それを確保するためにはこれこれこれの仕組みが必要だ、こういう論調だったわけです。
 それに対しまして最終答申の方では、そうした促進策というものをとりあえずは導入を見送って、自主行動計画を自主的に進めてもらうということで進めようというふうに整理された関係で、そこそこ進んでいるというところが鮮明に出たということでございます。
近藤(昭)委員 何か、何回聞いてもわからないというのが正直なところであります。どうも何か、きちっとした論理展開があってそういう結論に、中間取りまとめの段階と最終的な報告が変わったというふうには思えないわけでありますが、そういう中で、ちょっとおかしいということだけ指摘をさせていただき、もう一つだけその関連でお聞きします。
 最近内閣府が行ったアンケートの中に、たしか、地球温暖化防止に関連して、地球温暖化を促進するガス、CO2を含むガスが、実は産業部門よりも民生部門の方が多いというのを知っていましたかなんという、何でこんな質問が出るのかなというのがあったと思います。何人かの方がお答えになっていたようです。そういうのも知っているみたいな答えもあったようですが、私は、この質問の意図は、どうも、産業部門より民生部門の方が排出量が多いんだから、民生部門がもっと努力してもらわなくちゃいけないんじゃないか、そういうふうに言っているようにしか聞こえないような質問と感じました。
 なおかつ、実際問題、狭義の産業部門ということではなくて、自家用車を除く運輸部門とか民生業務部門などを含めると、産業部門のCO2排出割合というのは全体の六七%にも上っているはずなんですね。そういう意味では、もちろん個人も努力していただかなくちゃいけないですし、個人の消費とか個人の生活とかというのは産業部門と、さっきの民生業務部門なんというのは自動販売機なんかもあるわけで、自動販売機が多過ぎると私は思うわけでありますが、ただ、それを利用する人もいるわけでありまして、そういう意味では密接に関係すると思うんですが、私は、どうもそこに、民生部門が多いんだから、産業部門じゃなくて民生に努力をしてくれみたいなことの論調がなきにしもあらずではないかなと思うわけであります。
 大臣、どうでしょうか、今後しっかりとしたそういった対策をとっていくためには、きちっとしたそういう実態を反映した中で、民生が多いんだから民生頑張ってくださいよみたいなことじゃなくて、きちっとこういうものを反映したことをやっていかなくちゃいけないんだと思うんですが、大臣、いかがお考えでしょうか。
大木国務大臣 民生なり産業なり、運輸、交通が何%というのは、どういうものを入れるか入れないかということによって随分変わってまいりますから、計算の仕方によれば、産業活動に起因するものの割合が非常に多くて、全体の四分の三というような計算もこれは可能であります。可能でありますけれども、国民に向かっては、どういうことをやってくれというときに、それは国民に向かっては、民生の方でもやってくださいというようなことがありますから、やはり目的に応じて数字はひとつ説明する。
 ただ、全体はやはり不正確じゃいけませんから、どういうものが例えば産業のときに入っているとか入っていないとかいうことはきちっとよくわかるように、これは要するに、先ほどからいろいろな御意見もありますけれども、国民によくわかるように、その上でまたひとつ納得して行動していただくというところにつながるようなPRをしなきゃいかぬと思いますので、その辺は、もし誤解を与えるような数字というのが出回っているとすれば、それはもちろん修正しなきゃいけないと思いますが、要は、民生の方でも大いに頑張っていただきたいということを私どもとしてはやはりこれからのPRの中ではある程度強調していくというのも大事だと思っておりますので、その辺はひとつ御理解をいただきたいと思っております。
近藤(昭)委員 本当にきちっとした、実質的に温暖化ガスが削減される、そういう対策をきちっとやるということを要望させていただいて、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
大石委員長 田端正広君。
田端委員 公明党の田端でございます。
 大臣初め皆さん、大変御苦労さまでございます。
 京都議定書の批准、発効ということがいよいよ現実の問題になってまいりました。そういった意味では、本日の委員会も大変意義の深い委員会だなと思っております。大木大臣は大変御苦労なことだと思いますが、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 ちょうど昨年の今ごろでしたか、大臣とは、アメリカが離脱するということで、急遽抗議という形で御一緒させていただいて、ワシントンでホイットマン環境保護庁長官とかあるいはアーミテージ国務次官等々に、京都議定書に戻るようにまず私たちからやっていこうということでやらせていただいた、そんなことが今思い浮かびますが、そういうことで、ここから仕上げに至るところは、COP3でまとめられた、ミスター京都と言われる大木大臣の大変大きな責任と使命だ、こう思っておりますので、頑張っていただきたいと思います。
 四月の十二日からカナダのバンフでG8環境大臣会議に御出席されたということでありますが、カナダが少し慎重な姿勢を示し始めた。何か天然ガスとかクリーンエネルギーを削減量にカウントしてもらいたいみたいなことを言い出しているようでありますけれども、カナダの問題はカナダとしてこれは大きな問題でありますが、今申し上げたアメリカ、カナダ、そして一番キーポイントになっているのはロシアだと思います。一七・四%ですか、これは大変大きな数値でありますから、ロシアがどうなるかということが、批准、発効に至るかどうかというこれからの大きなポイントになっていくんだろうと思いますが、それぞれ三カ国と個別の会談を現地でなさったと伺っておりますけれども、この発効の見通し、そして特にロシアの感触です。これは、政府がここから議論をして、そしてまだ議会でも諮らなきゃならないという意味では、まだ相当時間がかかるんじゃないかと思いますが、そういった意味で、この三カ国に対する外交努力というのは大変大事だと思いますけれども、大臣の直接感じられた点、また、その見通しについてお伺いしたいと思います。
大木国務大臣 先般のG8会議でございますが、G8の環境大臣会議というのは、本来ならば、首脳によるG8の会議があるわけですから、そのサミットへの準備ということもありますけれども、今回はどちらかといえば、ヨハネスブルグの会議もあるので、むしろそちらを意識しながらいろいろ議論をしたということでは、確かに、その一部であります京都議定書をどういうふうにするんだということも大変に大きな議題として議論はされました。
 まず、アメリカにつきましては、今、田端議員もお話ございましたように、昨年以来、我々も抗議に出かけたり、あるいは抗議は抗議として、またひとつアメリカとどういう面では話し合いができるかということで、日米ハイレベル会議というようなものも、これはG8とは別に日米でやっておりまして、先般も先方から国務次官等が来て話をいたしましたし、今回も、G8の中でもG8としてのお話し合いのほかに個別会談を行いました。
 それで、ここでは、向こうの環境庁長官、言うなれば環境大臣に相当するホイットマン長官とも話をしまして、引き続きアメリカとしてもヨハネスブルグに向けては、地球環境問題をいろいろと自分たちとしてやれることは努力をしていくということでございますから、例えば、アメリカも随分ここのところ足しげく各国へかなりハイレベルの人を派遣して、ヨハネスではどういうことをやろうかというようなことをしておりますから、言うなれば、京都議定書に入るということはちょっと今すぐには言えないけれども、例の枠組み条約の中ではいろいろ協力をしていくということでございますし、日本としてもかなり頻繁にこれから協議をしてまいりたいというふうに考えております。
 次に、カナダでありますが、カナダは、実は今度はG8の議長国でございますから、環境大臣会議でもカナダのアンダーソン環境大臣が議長をいたしました。
 カナダにつきましては、自分のことは会議中ずっと余りしゃべっていなかったんですけれども、いよいよ終わりごろになってきましたら、そこでカナダはちゃんとやってくれるんだろうなと言いましたら、いや、やっているけれども、大変になかなか苦労しているという話が随分ありました。今お話のございました、アメリカにクリーンエネルギー、と言ってもこれは天然ガスのことなんですけれども、天然ガスを供給しているんだ、天然ガスを供給しなきゃアメリカがもっと悪いガスを使うだろうということでは、要するに全世界的にはCO2の排出削減に協力しているんだから、それを何とかカウントしてくれぬかというようなことを言い出しました。
 この話は、実はぽつぽつとカナダがいろいろなところで前から少しずつ出していたようでありますけれども、正式にみんなの前で言い出したのは、実は今回がむしろ、初めてとは言いませんけれども、そういうふうに非常に大事な問題として、要するにこれを認めてくれればすぐにでも京都議定書の批准ができそうな話なんですけれども、それは、要するに、先ほども申し上げましたけれども、中央政府としては、各州政府との話し合いそれから産業界との話し合いということがございます。
 各州と中央政府というのは、これはもう御存じだと思いますけれども、非常に州政府の独立性が強いものですから、なかなか簡単にうんと言わないというようなことでありまして、これはとにかく、賛成反対は別としても、かなりそれだけのやはり根回しあるいは手続をやらなきゃいかぬということで、ちょっと時間がかかる。
 それから、産業界につきましては、これは必ずしもエネルギー産業に限らないのですけれども、やはりカナダとアメリカというのは非常に、隣接国ですし、経済的にはカナダのいろいろな産業というものがアメリカの産業と一体化しておる、組み込まれておるというような面が非常に多いものですから、アメリカが京都議定書に入ってこないということについては、それではカナダはどうだというような議論は当然に出てくるということが一つ。
 それと、今申し上げました、エネルギーに限って話をしましても、今の天然ガスを、例えばちょうど会議のありましたアルバータ州が、非常にアメリカのニューヨーク州等にはその天然ガスを売っているものですから――失礼しました、長々となりまして。
 というようなことで、要するに、カナダは今努力はしておるけれどもちょっと時間がかかる、それではどれだけかかるということについては、ちょっとまだ正確なことを言えないのでひとつ勘弁してくれ、こういうことでございます。
田端委員 ロシアの方、ちょっとお話なかったのであれですけれども、ロシアは一番ポイントだと思いますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
 それで、山下副大臣、先般、オランダのハーグでの生物多様性条約国会議に御出席なされて、いろいろなことをお感じになったと思います。つまり、原生林の必要性といいますか、そして自然生態系の問題について、国際会議でいろいろな議論の中で日本の実態を比較していけば、日本はまだまだ対応がおくれているなという点もお感じになったのではないか、こう推測します。
 今、与党の環境施策PTの方で、山本座長のもとで私たちは、人の活動によって破壊された自然をもう一回再生させよう、取り戻そう、こういう自然再生推進法という法律をつくろうということで議論をやっている最中であります。そういった意味で、生物多様性の保護とかあるいは自然再生、創出、そういったことと大きく関連してくるこの法律でありますけれども、例えば釧路湿原は、昆虫だけでも千種類いると言われています。そういう釧路湿原の釧路川を直線にしたために、もう一回蛇行に戻さなければちょっとおかしくなってきた。そういう意味で、再蛇行化ということが大きな問題になっています。
 それから、例えばトトロの里と言われる所沢のくぬぎ山も、ここも里山づくりということでもう一回自然を取り戻す、こういうことが今実際の日程に上がって行われているわけでありますが、そういったこととあわせて、我々はこういうことを推進していきたいと思っておりますが、国際会議でお感じになったこととひっくるめて、御感想をお願いしたいと思います。
山下副大臣 衆議院の大石委員長を初め委員の皆さんの御理解も得まして、国際会議、ハーグにおける生物多様性条約第六回締約国会議に出席させていただきまして、ありがとうございました。非常に多くのことを学ぶことができましたし、日本の主張もしっかりと入れると同時に、閣僚宣言の中にも、三点にわたって日本の主張を盛り込むことができたというふうに思います。
 初めは五十カ国ぐらいの閣僚というふうにお話があったんですけれども、最終、百二十カ国を超えまして、急遽会場がまた変わるというふうなこともあったぐらい非常に熱意のある、熱気あふれる会合でございました。閣僚宣言をまとめるに当たりましても、環境省を初め五省庁が参加されたわけですけれども、役所の方々も大変大奮闘されまして、いろいろ感激したわけでございます。
 今、田端委員からお話ありましたように、気候変動枠組み条約の方は、地球温暖化対策で非常に関心が高まっておりますけれども、もう一つの方の生物多様性条約が結ばれて日本も参加しているわけですけれども、その辺の意識はまだまだ低いなということを私は改めて感じました。
 そういう意味で、今回策定されました新戦略、それから今与党で取り組んでおられる自然再生法案の取り組み、極めて重要な、日本の基本的な国づくり、町づくりにかかわる大事な観点だと思います。新戦略の中にも自然再生ということが柱の一つに書かれておりますし、この与党の法案化作業についても、ぜひとも成案に至りますように願っておるわけでございます。
 そして、今お話ございました釧路の方は直轄事業として予算化されておりますし、くぬぎ山の方は補助事業であるわけですけれども、十四年度予算で予算化されております。これを手始めに、今環境省の予算でも、全国の自然再生に係る基本調査をやっておりますけれども、これは環境省だけではできませんし、事業官庁を含め政府を挙げて、私は、自然再生というのは国土の基本的な、基本計画の方針転換にかかわる大事な観点だと思っておりますので、積極的に環境省としても取り組まなければいかぬというふうに思っております。
田端委員 それで、これから十年、二十年という将来を展望したときに大変大きな問題になってくるのが途上国の問題だろうと思います。
 アメリカのエネルギー情報局が先月発表した、今後二十年間で地球全体のCO2排出量が約六〇%ふえるであろう、それはアジア、中南米における発展途上地域における排出増が原因である、こう指摘しておりますが、例えば、ここでも言われていますが、中国とかインド、ここは石炭を中心にした化石燃料に対する依存傾向が強いわけでありまして、それは将来、十年後においてもそんな変わりはないだろう、こういうことが言われています。
 そこで、日本がこういった問題にどうこれからかかわっていくかということになってくるわけでありますが、一つの提案として申し上げたいと思いますが、例えば、中国の十三億の人口が、今後十年間でもし十人に一人車を持つという車社会に中国が移行した場合、一億台以上の車がCO2を排出することになるわけでありまして、これはすさまじいことだと思います。しかしこれは、いずれそういう社会に移行していくことでありますから、そういう意味で、途上国の車社会移行に対して、日本の先進技術、低公害車の技術をアピールし、そしてそれを実際に普及するということが非常に大事ではないかな、こんなことを思うわけであります。
 大臣の御所見をお伺いしたいと同時に、経済産業省、お見えになっているかと思いますが、環境と経済の両立ということからいけば、こういう先進技術を六%削減という厳しい条件の中でさらに磨いていくことが、本当の意味の経済活性にもつながって、環境と経済の両立、そっちにも大きく働いていくことになるのではないか、こう思いますので、経済産業省の方ではその点についてお答え願いたいと思います。
大木国務大臣 まず、開発途上国の問題、特に、今のアメリカの、今後二十年間で六〇%でしたか、そういう数字が出ていることはそのとおりでございますけれども、私も、京都議定書のころには、インドとか中国というのは、とにかく先進国がまずやれという話で、自分たちの話にちょっとでも行ったら途端に反対というえらい声で、田端議員も御記憶だと思いますけれども、何か途上国の話を議論し出したら、本当に五十人ぐらいが続いて反対、反対ということでもめたことも記憶しておりますが、最近見ておりますと、やはり途上国でも、自分の問題として考えないと、自分自身の問題としても大変だという感じがかなり進んでいます。
 しかも、実績を見ていましても、中国は過去三年間はむしろCO2の排出量が総体として減っておる。それから、インドもほぼ横ばいというような状況が出ておりますし、それから、実際の数字は余りはっきりしていないんですけれども、中南米でいきますと、例えばブラジルは、これからひとつきちっと京都議定書も承認して、いろいろとみんな一緒にまた話をしていきたいというようなことを言っていますから、全体の動きというものは、途上国も何が何でも反対ではなくて、これから京都議定書の枠内で、今すぐにということではありませんけれども、協力していくという姿勢が見られるということは私は申し上げていいと思います。
大井政府参考人 お答えします。
 今御指摘のありましたとおり、途上国からの温室効果ガス排出量というのは大変な増加傾向にあるわけであります。ちなみに、中国の二酸化炭素の排出量は九八年時点で世界第二位になっておりますし、インドは第五位、こういった中で、温暖化対策の実効性を確保していく上で、こういった国々における温室効果ガス削減努力、こういうものを助長していくということは大変重要であるというふうに考えております。
 経済産業省といたしましても、従来から、グリーンエードプランということで、中国、インドを含むアジアの国々を対象といたしまして、我が国のすぐれた公害対策の経験であるとかあるいは技術を踏まえたエネルギー、環境技術の移転、普及等を行い、相手国のエネルギー、環境問題に対する自助努力の支援を行う協力プログラムを実施してきております。そういった意味におきまして、私どもとしても、こういった取り組みというものを強化していく必要があるというふうに考えております。
田端委員 国内対策について、この法案の中身で一、二質問したいと思います。
 京都議定書目標達成計画の策定にこれから発効されればなっていくと思いますが、今回、新大綱のときにはパブリックコメントが行われなかったという意味では私は非常に不満を持っておりますが、中環審では指摘されていたわけですから、今度達成計画の策定のときにはぜひきちっとやっていただかなきゃならない。つまり、国民の参加ということを明確に反映させていただきたい。
 それから、同じ意味で、事業者のみずからの排出量の把握、公表という制度、これが今回盛り込まれていないわけでありますけれども、この二点について特にお答え願いたいと思います。
岡澤政府参考人 京都議定書目標達成計画の策定に当たりましては、ただいま御指摘のように、国民各界各層の御意見を広く聞きまして、これを反映させるような仕組みを考えてまいりたいと思います。当然、パブリックコメントも含めて対応いたしたいと思います。
 それから、事業者の排出量の把握、公表制度に関してでございます。
 中環審では、事業者の排出量の把握、公表制度の導入というのを提言しているわけですが、最終答申で、温暖化対策にステップ・バイ・ステップの対策をとるということもございまして、とりあえず、まずはみずからの排出量を自発的に把握、公表するというようなことを新大綱に書き込んだわけでございます。
 これは、ステップ・バイ・ステップということで、節目節目にも見直しをして必要な施策を追加するということでございますので、まずは自主的な公表というところで進めてまいりますけれども、その結果、こうした枠組みが非常に対策上有効だとか、そのことがないことが対策の進展を阻害しているというふうなことであれば、そうしたものを新たに、どうした枠組みでどういう形で把握、公表制度というものを動かしていくかということについて、次の段階で考えてみたいと思います。
田端委員 産業界の自主的な取り組みということでありますけれども、先日、新聞のアンケート調査によりますと、自主的取り組みで十分という人は一二%、規制や制度が必要という人は七九%、こういう数字が出ています。そういう意味で、自主的取り組み、それはそれで評価するとして、それにどう客観性を持たせるかということが大事だろう。やはり人間というのはみずからには甘いわけですから、そこのところをどうバランスをとるかだと思います。
 そういう意味で、経済産業省の方でぜひお取り組みいただきたいと思いますが、第三者による認証・登録制度といいますか、そういうシステム、いわば監視、監督制度といいますか、例えば弁護士とか公認会計士とか環境カウンセラーとかそういう方々の力をかりて、この自主的取り組みに対する透明性、客観性というものをより高める必要があるのではないかと思っておりますが、いかがでしょうか。
大井政府参考人 お答えいたします。
 産業界の自主的取り組みの件でございますが、産業界といたしましても大変積極的に取り組んでおりまして、先ほどアンケートの御紹介がありましたけれども、ここ十年ぐらい排出量は横ばいということで、それなりの成果を上げてきているものと私ども評価しております。
 御指摘のありました透明性、信頼性の向上という観点からの第三者認証の問題でございますけれども、私どもも、産業界の自主的取り組みを一層透明性、信頼性を持ったものにするという観点から、昨年十二月の産業構造審議会地球環境小委員会の中間取りまとめにおきましても、その旨示したところでございます。
 現在、経団連におきまして、第三者機関による認証・登録制度の導入について検討が進められております。経済産業省といたしましても、引き続き、産業界と十分連携協力しながら、産業界の積極的な取り組みを進めていく所存でございます。
田端委員 この京都議定書の六%削減という大きな目標が、今回の新大綱を実施することによって本当にそれが可能なのかどうかという、そこのところが一番の、国民的にも、今のままでいいんだろうか、こういうことにもなるんだと思います。
 そういう意味で、この大綱の、エネルギー起源の二酸化炭素のところはプラス・マイナス・ゼロである、そして非エネルギーのメタン等のところはマイナス〇・五%である、それから技術開発とか国民の活動というところは二・〇%のマイナスである、それからフロン等三ガスのところはプラス二%になる、それから森林の吸収量については三・九%マイナス、こういう数字が出ていますが、これを単純にプラスマイナスしますと、一・六%足りません。その一・六足らないところを京都メカニズム等で補おう、こういうことだろうと推測するわけでありますが、しかし、そういうことで本当にできるのかという、そこがポイントになります。
 その一つの問題提起として、例えば森林の三・九ですけれども、黙っていて今のままで三・九認められているということではなくて、枠は三・九あったとしても、現実に三・九にするためには大変な努力が要るということが、先ほども議論がございました。
 例えば、木材の伐採とか森林を他用途に転換したものは排出の方にカウントされるわけであります。だから、九〇年以降の、植栽をしたとか下草刈りをしたとか、あるいは伐採や転用を規制して保護した森林とか、こういうものが三・九に換算されていく、こういうことでありますから、そういう意味では、過去三年のペースでいけば、今後十年たって二・九ぐらいしか確保できないんではないか、残り一%が不足する、こういうことになっていくんだろうと思います。
 だから、その残り一%分をどうふやしていくか、積み上げていくかということは大変大きな問題だと思いますが、手間暇、人手と金がかかるわけでありまして、そういう意味では、林野庁においては、大至急十カ年緊急対策を立てて、中身はもう七カ年ぐらいで実施する、こういうことぐらいにしないと追っつかないんではないか。
 特にこの森林整備というのは時間のかかる問題ですし、そういった意味ではなかなか効果というのは難しい面があるかと思いますが、林野庁の方のお考えはどうでしょうか。
加藤政府参考人 まさしく先生の御指摘のとおりでございまして、二・九を三・九に上げるというお話でございますけれども、そういうようなことをしていくということになりますと、森林整備水準を相当上げていかなければいけないということでございまして、我々といたしましては、地球温暖化防止森林吸収源十カ年対策というものをつくりたいというふうに思っているわけでございます。林業労働力の問題もございますし、それを実際に実行していくというようなことでやっていかなければいけないわけでございまして、そういう点では、そういったことも含めて幅広く検討して、実施がきちっとできていくというようなものをつくり上げていかなければいけないということは思っておりまして、そういう点では、関係府省とも連携をとりながらその対策をつくり上げていくということが必要ではないかというふうに考えているところでございます。
田端委員 大臣、ヨハネスブルグでの発効というものを当初考えていた、しかし、なかなか難しい。そうすると、次の目標は、例えばCOP8、十月ですか、そこで何とか、よかったということが国際会議の中で言えるようなそういう状況、こういうことが想定されるわけですが、先ほど冒頭申し上げましたように、ロシアがどうなるかということが非常に大きなテーマだと思います。
 それはそれとして懸命に努力をやっていただきたい、こう思いますし、私たちもしなきゃならないと思いますが、地球温暖化対策推進本部、ここに、内閣総理大臣が本部長ということで今回の法案の中に規定はされましたが、しかし、それを運用する事務方といいますか、これが、どこがどうするのかということがもう一つはっきりしない。だから、今、経済産業省とか林野庁とか、きょうは国土交通省にも来ていただいて、もう質問時間がなくなって申しわけございませんが、各ところとの調整ということ、あるいは指示系列とか、これは非常に大事なことになります。
 ところが、内閣総理大臣が本部長であって、大臣は副本部長だと思いますが、これをしっかりとここで固めていただかないと、実効性のある京都議定書の効果というものが、目的というものが達せられないんじゃないか、そんな感じを痛切に感じています。法律では位置づけられたけれども運用面ではばらばらだ、こういうことで京都議定書の担保はできないんじゃないか、こう思うわけでありまして、最後に、大臣、ぜひ内閣総理大臣ぐらいの決意に立ってこの問題に関してはやっていただく以外に、これを本当に実効あらしめるということは難しいんじゃないかと感じておりますので、御決意をお伺いしたいと思います。
大木国務大臣 推進本部の方はもちろん総理が本部長でやっておられますけれども、私、それから経産大臣、それから内閣官房長官がたしか副で入っておりますが、いずれにいたしましても、私も環境大臣と同時に地球環境問題の大臣ということも別途やっておりますから、地球環境につきましてはさらにまたひとつ中心的に懸命に努力をしたいと思っております。そういうことで、内閣一体としてやりますけれども、また、その原動力として、環境大臣の立場でも、また今の地球環境大臣の立場でも懸命に努力をいたしたいと思っております。
田端委員 以上で終わります。ありがとうございました。
大石委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午前十一時三十七分散会


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