衆議院

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第13号 平成14年5月17日(金曜日)

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平成十四年五月十七日(金曜日)
    午前九時三分開議
 出席委員
   委員長 大石 正光君
   理事 熊谷 市雄君 理事 西野あきら君
   理事 柳本 卓治君 理事 山本 公一君
   理事 奥田  建君 理事 牧  義夫君
   理事 西  博義君 理事 樋高  剛君
      小渕 優子君    奥谷  通君
      亀井 久興君    木村 隆秀君
      小泉 龍司君    小林 興起君
      阪上 善秀君    田中眞紀子君
      原田昇左右君    菱田 嘉明君
      三ッ林隆志君    小林  守君
      五島 正規君    近藤 昭一君
      鮫島 宗明君    田端 正広君
      武山百合子君    藤木 洋子君
      金子 哲夫君    西川太一郎君
    …………………………………
   環境大臣         大木  浩君
   環境副大臣        山下 栄一君
   環境大臣政務官      奥谷  通君
   政府参考人
   (厚生労働省職業安定局長
   )            澤田陽太郎君
   政府参考人
   (農林水産省大臣官房技術
   総括審議官)       大森 昭彦君
   政府参考人
   (林野庁次長)      米田  実君
   政府参考人
   (経済産業省大臣官房審議
   官)           大井  篤君
   政府参考人
   (経済産業省製造産業局次
   長)           増田  優君
   政府参考人
   (資源エネルギー庁電力・
   ガス事業部長)      迎  陽一君
   政府参考人
   (資源エネルギー庁原子力
   安全・保安院審議官)   広瀬 研吉君
   政府参考人
   (国土交通省総合政策局次
   長)           伊藤 鎭樹君
   政府参考人
   (国土交通省道路局長)  大石 久和君
   政府参考人
   (国土交通省住宅局長)  三沢  真君
   政府参考人
   (環境省地球環境局長)  岡澤 和好君
   環境委員会専門員     飽田 賢一君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第八四号)


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     ――――◇―――――
大石委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省職業安定局長澤田陽太郎君、農林水産省大臣官房技術総括審議官大森昭彦君、林野庁次長米田実君、経済産業省大臣官房審議官大井篤君、経済産業省製造産業局次長増田優君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長迎陽一君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院審議官広瀬研吉君、国土交通省総合政策局次長伊藤鎭樹君、国土交通省道路局長大石久和君、国土交通省住宅局長三沢真君及び環境省地球環境局長岡澤和好君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
大石委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
    ―――――――――――――
大石委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小林守君。
小林(守)委員 おはようございます。民主党の小林です。
 きょうは、久しぶりに時間を多少余分にいただいているものですから、まず理念の問題等について触れながら議論を進めさせていただきたい、このように思っております。
 二十一世紀の持続可能な経済社会をどうつくっていくか。これは、地球全体、国際社会全体のモデルなき時代を迎えているというふうに言えると思うわけでありますが、そういう状況の中で、変革期の中で大切なことは、現実の追認みたいな後追いの対応ではなくて、やはり理念を持って、かくあるべきというようなビジョンを国民の合意のもとで形成して、そしてそれに向かって現実からどう改革をしていくかということになるのではないかな、このように思いますし、そうでないと新たな社会へは対応できない、またつくることができない、それから社会的なコストも物すごく問題を生じてしまうし、損失をこうむってしまうというようなことではないかというふうに思うんです。
 そういうことで、今回の京都議定書の批准、発効に向けての我が国の取り組みである温暖化対策推進大綱が決められ、推進法も改正が出されたわけでありますけれども、まず、大綱に示された基本的な考え方について議論をさせていただきたいと思いますし、政府側のお考えを示していただきたい、このように思うわけであります。
 そこで、基本的な柱として、環境と経済の両立した社会ということが掲げられておるわけであります。非常に使われる言葉ですし、頭の中にはすっと入る言葉なんですけれども、よく考えてみると非常に難しい問題というか言葉でも、概念でもあるわけでございます。
 そこで、長々とやっているわけにはいきませんので、要は、簡単に、私が一般国民的な視点から質問させていただくということで進めたいと思うんですけれども、日本は今両立していない社会なのかどうか、これを明確にして、どこが両立していないのか、どういうところに問題があるから両立していないんだ、そして両立するような社会を目指すんだということをお示しいただきたい。そのためには、当然、今お話ししたように判断基準、こういうふうにならなければだめなんだというようなところが求められるんだろうというように思いますので、判断基準も含めてお聞きをさせていただきたい、このように思います。
大木国務大臣 環境と経済の両立というお話は、先生方よく御存じのとおりに、リオのサミットのときにもいろいろとこういったたぐいのいろいろな理論というのが議論されたわけですが、要するに一九七〇年代ごろに言われました「成長の限界」というのが議論されました。それを受けて、いや、限界では困るのでひとつ持続可能な発展あるいは開発ということが今言われてきたというわけでございまして、物によっていろいろと、経済と環境の両立ということは一つの努力目標として前進しておると思いますし、国際的にも、日本におきましても、それは非常に前進しておるというふうに思っております。
 ということでございますから、今、現状をどう評価するかといえば、さらなるその両立に向けて努力をしておるという状況かと思います。
小林(守)委員 持続可能な開発、発展ということで、七二年の「成長の限界」ということだったんですが、今日本は両立しているのかどうか、これについてはどうなんですか。
大木国務大臣 例えば、先般私どもの方で、政府でつくりました例の京都議定書の達成のための大綱というところでも、経済界等ともいろいろと話をして、まさしく京都議定書も、両方を両立させながら発展させていこうということで一つの計画をつくっておるわけでございますので、私としては、両立というものは、現在でも大きな意味におきまして両立して、またそれをさらにいろいろな意味でその両立の中身を肉づけするためにいろいろ努力をしておる、そういう段階だと思います。
小林(守)委員 何か非常に言葉を選びながら慎重にその辺を言っているようですけれども、結論的に言いますと、現状は両立していないということでよろしいですか。
大木国務大臣 いる、いないというのは、その判断基準があるかということになりますが、これは理念の問題でございますから、なかなか判断基準は難しいわけでございますけれども、私は、今、少なくとも、政策的にも実態といたしましても、そういった両立を前提としていろいろな施策を立てておる、そういうふうに理解をしております。
小林(守)委員 その判断基準そのものを一応政府はどう考えているのか。何のためにこのような温暖化対策のための京都議定書達成計画などを決めてやっていこうとしているのか。そのねらいからするならば、基準というのは持っていて、既に現実に取り組んでいるのではないかと思うんですよね。
 こういうことで余り時間を使いたくないんですが、いいんですね、とにかく現実は環境と経済という視点から見たならば両立している状態ではないというふうな認識であるということでよろしいですか。
大木国務大臣 両立のためにいろいろとこれからやらなきゃいかぬという余地があるかといえば、それはあると思います。
小林(守)委員 いつまでもこの議論をやっていても仕方がございませんので、それでは次に、九九年だったでしょうか、世界の自由貿易の会議がございました。シアトルの会議がありましたね。あのときに、世界のNGOも含めて、アメリカに対する大変な反グローバリズムというんでしょうか、世界の自由貿易を進めるWTOの会議ができなくなったような状態が起こりました。
 そこに象徴されるような形でアメリカが今進めているグローバリズムというんでしょうか、こういう世界企業を基盤とするような、地球市場みたいなものを形成しながら進めているアメリカのやり方、あるいはアメリカ型の自由と民主主義みたいなものをどこの国にも広めていくというか、そういうやり方を経済を一つの手段にしてやってきているわけですけれども、これらについて地球社会全体を考えてみるならば、実際のところ、そういうアメリカのグローバリズムに対して反グローバリズムが出てきているという背景には、やはり地球上の先進国と途上国との経済格差が、自由貿易をすることによってより皆さんが豊かになるんだということではなくて、よりその格差が拡大しているじゃないかというような問題、また、それに伴って地球環境の破壊が進んでしまっているというようなことも言えるんではないかな、私はこのように思うわけでありまして、そういう点で、あのアメリカのグローバリズムに対して、どういうような位置づけというか認識を持って考えておられるか。外務省にもおられたということもあるでしょうから、大臣の方にお聞きしたいと思います。
 特に、京都議定書からアメリカは離脱をして、アメリカ独自のGDP主義みたいなところを踏まえた独自のスタンスをとるんだということも言っております。世界的には容認できるような代物ではないんではないかな、このように私は思うわけですけれども、このアメリカの考えているグローバリズムというものを環境と経済の両立という視点から見た場合、どういうふうにこれをお考えになるか、お聞きしたいと思います。
大木国務大臣 グローバリゼーションということがいろいろな分野で言われているわけでございますけれども、一般的に言えることは、情報通信技術の発達等によりまして、その他いろいろな科学技術の発達によって世界が物理的には一つになっていく、そういう面が非常に強いわけでございますから、それに対応するためにはやはりグローバルにいろいろな問題を考えなきゃいかぬ、あるいはそのシステムもそういうようなものをつくらなきゃいかぬ。そういう意味でのグローバリゼーションというのは、これは好むと好まざるとにかかわらず、そういうものが一つの大きな流れとしては存在すると思うんですね。
 しかし、それでは例えば世界共通のシステムをつくる場合に、どこの国の意向が非常に反映したものになるかということになると、これはやはりいろいろな立場がありますから、国によって、非常にそういうことをむやみに進めるべきではないという考え方も出てくると思います。
 ということで、今たまたまアメリカが、いろいろな意味におきまして、世界において、言うなれば唯一の超大国というような形もありますし、非常に隔絶して経済的にも大きな単位であるというようなことで、そのグローバリゼーションというのが、下手をすると、アメリカあるいはアメリカというわけでなく、今委員もおっしゃいましたように、先進国と途上国との関係というふうなことでも、言うなれば一種の弱肉強食関係みたいなことになって、それを放置しておいたのではいかぬのじゃないかという反省は当然あると思います。
 ですから、たまたまことしはまたいろいろヨハネスでも会議がございますけれども、そういったところでは、グローバリゼーションが望ましい部門と、そうではなくて、そこに何らかの歯どめが必要な部門といろいろあると思いますので、それはやはり部門、部門に応じて、あるいは個別の問題に応じて、グローバリゼーションというものを進めるか、あるいはそれに何らかの歯どめが必要なのかというふうなことが出てくると思います。
小林(守)委員 アメリカの離脱の問題について例に挙げまして、私もちょっと問題提起させていただきましたけれども、離脱の問題については、大臣はどうお考えになっていますか。
大木国務大臣 アメリカの現政府が京都議定書を離脱したということにつきましては、政権がかわったということが一つの契機になって、そして現アメリカの政府としては、いろいろと国内、国際情勢も考えて、京都議定書には今のところすぐには参加しない、こういう立場をとっているわけでございますけれども、これはグローバリゼーション云々の問題ももちろんあるかもしれませんけれども、今のところアメリカが京都議定書にすぐに入らないと言っている非常に大きな背景というのは、むしろ国内対策をいろいろレビューしておりまして、今のところ、いろいろな方面から、京都議定書をそのまま受けるということでなくて、別の考慮、例えばアメリカにおきますエネルギー政策を見直しておるというようなこともありますから、そういったところから、すぐには京都議定書に賛同しないということであります。
 しかし、京都議定書には入りませんけれども、御存じのとおりに、地球環境に関する枠組み条約の方、九二年からやっております、こちらの方には入っておるわけですから、そういうところではいろいろと協力をしておる。現実に、マルチでもバイでも、いろいろと話し合いはしておりますし、日米の間でも協力しておるところがたくさんございますものですから、だからグローバリゼーションで、今アメリカの考えておるグローバリゼーションを何でもかんでも推し進めていく、そういうことではないんじゃないかというふうに感じております。
小林(守)委員 ブッシュ大統領が離脱を表明した後、二月の十四日に、気候変動政策の発表という形でブッシュ大統領のコメントがなされておりますが、その最後、第六番目の集約の中では、アメリカが京都議定書を実施すれば四千億ドルの経済的負担となり、これは日本円にすると、私、計算してみたんですが、大体五十二兆円ですね、アメリカが京都議定書を実施すれば四千億ドルの経済的負担となり、四百九十万人の失業者を生む。各国の京都議定書批准は妨げないが、よりクリーンな将来の繁栄のためにより望ましいアプローチがあることを世界に示すため、各国、特に途上国とともに作業する考えであるというようなコメントを出されているのですね。
 京都議定書、地球温暖化の問題を、五十二兆円経済的負担がかかるんだというようなこと、あるいは四百九十万人の失業者が出るんだというような考え方、経済の見方ということは、とてもこれは環境との両立という視点は全くないんですよね。地球環境との両立という視点は全くない。まさに経済GDP主義というか、こういう国と共通のルールを、日本は今度の大綱の中で、アメリカも途上国も参加できる共通なルールをつくっていくんだ、最大限の努力をするんだというようなことを表明されています。大綱の中にそれはありますけれども、この共通なルールという視点からするならば、アメリカや途上国を含むすべての国が参加する共通のルールづくり、これに最大限の努力を傾けるということを、こういうアメリカにやるわけですよ。
 ブッシュ大統領のこの考え方、ブッシュ政権がかわってもらわなければという議論になってしまうとおかしいんですが、これはアメリカの今の考え方なんですけれども、このアメリカが参加できるような共通ルールというのはあり得るのかどうか、どこにどういうふうに最大限の努力を進めていくのか、この辺を聞きたいと思います。
 要は、京都議定書を実施すれば五十二兆円の経済的負担となり、四百九十万人の失業者を生むという、これはコメントの方ですね、この国にどうやって参加してくださいと言ってくるのか。五十二兆円あるいは四百九十万人の失業ということを、少なくとも日本は言っていないですね、これはアメリカは言っているんですね。全然価値観が違うということなんだと思うんですけれども、その辺の国に対して、これから共通のルールづくりをしていくということはどういうことなのか。これは書いてあるんですよ、新大綱に。大変なことが書いてあるんですよ。我々はそういう方向だと思っているんですが、しかし、具体的には何かよくわからないことなんですね。その辺をちょっと明らかにしていただければというふうに思います。
 それとあわせて、気候変動枠組み条約の中で、いわゆる国際的な連携という問題では、共通だが差異のある責任という言葉で、一つの国際的な価値観がつくられたというふうに思うんですね。合意が形成されたと思います。しかし、今度の場合は、共通だが差異のある責任という点では、アメリカは離脱してしまったわけだから、この考え方は破綻の危機にあると私は見ています。それを今度はアメリカも途上国も参加できる共通のルールでやっていくんだよという日本の考え方なんですけれども、ここはどういうことなのか、お考えをお知らせいただきたいと思います。
大木国務大臣 まず、アメリカの方で、京都議定書に入ったらえらい金がかかるとか、あるいは失業が多くなるとか、それはいろいろな計算があると思うんです。
 ですから、それは一体いつまでにそれだけの金がかかるのか、あるいは、いろいろとアメリカにおきましても、国内の経済にしろあるいは環境政策にしろ、いろいろこれからやれば、その計算は、数字は変わってくることもあり得るわけでありますし、それから、特にアメリカの最近の動きを見ておりますと、別に現政権の中でも、例えば州によっては、あるいは業界によっては、必ずしも政府と同じことを言っておられるわけではないということでありますから、やはり私は、アメリカに向かっては、例えば枠組み条約の中ではアメリカも参加して仕事をすると言っているわけですから、それは私どもも引き続きそういった話しかけということは十分にできるんじゃないかというふうに思っております。
 それから、今の共通ではあるが差異のある責任というのは、これもまた枠組み条約のときから、つまり一九九二年のころからそういった概念というのは言われておりますし、いろいろなところで引用されているわけですけれども、これは二つあるので、やはり先進国の中でもいろいろと立場は違いますから、それは共通ではあるが差異の方はあるわけでありますし、それから、特にこれを大きく使われておるのは、やはり先進国対途上国ということになりますと、これは途上国は、御存じのとおりに、京都議定書でもとりあえずはCO2排出の削減は義務化していないわけですね。義務を負っていない。
 その辺はいろいろ議論ありました。これはもう初めから、京都議定書のいろいろな、いわゆるCOPができて、COP1のときから議論があったわけでありますが、COP1のときにも大変な議論の末に、少なくとも、とりあえずは途上国については、排出量の削減の義務化ということは初めから全体としてそれを外して、将来は別として、外してということでやりました。
 実は京都議定書の、京都会議のときもその議論はあって、とりあえずはそれは義務化がないけれども、将来についてはもっと途上国についても前向きのことを言ってもらおうという議論はあったんですけれども、これは結局、COP3ではその話はまとまらなかった。
 COP4以下、COP4、5とずっと最近に至るまでこの問題は、途上国についても将来は、例えばインドとか中国のように非常に排出量の多い国については、やはりだんだんに協力してもらわなきゃいかぬということは、常に課題としては存在しておりますから、これはアメリカについても、あるいはまた途上国に対しても、こういった共通ではあるが差異のある責任というのは、だんだんに国際的な状況に応じて、あるいは各国の経済状況あるいはいろいろな環境対策の推進との関連において、できるだけひとつ途上国もそれからアメリカも参加してもらいたいということは、常にこれからも言い続けなければならないというふうに理解をしております。
小林(守)委員 そうすると、基本的には、共通だが差異のある責任をさらに進めていくという視点に戻れということでよろしいわけですね。
 なぜその共通だが差異のある責任を国際社会がつくらなきゃならないんだ、うちの国はこんなに金がかかって、これだけ失業者が出ちゃうんだという国に対して、いや、共通だが差異のある責任をやらなきゃだめなんだということを説得していくというか話をしていく。根底にあるアメリカに対して説得する。
 いや、アメリカはアメリカでいいじゃないか、我が国は我が国でやっていこうじゃないか、EUはEUでやっていこうじゃないか、何となく日本は考え方はEUに近いな、ではEUと協力してやってみましょうというふうに考えてしまうのか。いや、アメリカはそれじゃだめなんですよ、それから、中国、インドさんにもこれからやはり参加してもらわなきゃだめなんですよということを働きかける、その根源にあるもの、これは何なんですか。それは何なのかということなんですね、大切なものは。
 これは理念にかかわるところなんだと思うんですが、いや、アメリカはアメリカでそういうふうに言っているんだから、それでいいじゃないかということでは済まないんだということを考えているわけですね。それは何なのかということなんです。
大木国務大臣 多くの地球環境問題というのは、一国だけでやればそれで効果が十分に上がるという問題ではないわけですね。地球温暖化の問題一つとりましても、これは大気は続いているわけですから、日本だけで一生懸命やっても、アメリカの方でどんどん排出ガスが多くなれば困るし、それから、別の話ですけれども、最近の例えば黄砂問題のように、中国で黄砂が起こって日本へ来れば、それは今度は韓国とか日本は非常な影響を受けるわけですから、やはり現実に、対象となる地球環境問題というのが、世界じゅうでみんなで共同してやらなければいかぬ、こういう実態がまずあると思います。
 もちろんそのほかの問題についても、程度に応じて、この問題は本当にまさしく世界が一つというような状況があって、それに対して対処しなきゃいかぬという問題もあるし、各国がある程度個別にやっても、それが総体として効果がある問題もございますけれども、今対象となっておりますこの温暖化の問題は、まさしくこれは、本当に大気は一つつながっているわけですから、やはりみんなで協力してやってもらわなきゃ困るということがある。
 しかし、それに対してみんな一緒の責任をとれといっても、これは力の差もありますし、状況の差もありますから、やはり国別の差異は認めながら、しかし全体として、地球温暖化を防ぐ、そういう共通の目標に向かっては本当に誠心誠意協力してもらいたいというのが、私は基本的な考え方だと思います。
小林(守)委員 そうすると、最終的に地球は一つだということの視点に立って、なおかつ協力をしていかなければ、我々の未来なり、今もそうですけれども、これから未来に向かって何のために協力しなきゃならないのだということなんですね、何のために。
大木国務大臣 まさしく地球温暖化が、世界各国が状況を放置しておけば、いずれ本当に我々の、人類全体の生存に、あるいは地球というものにも環境保全が不可能になる、まさしく持続可能でない、こういう状況が出てくるおそれがあるから、しかも科学技術も最近非常に発達してまいりましたから、そういったいろいろな証拠と申しますか、そういった知見もだんだんにたくさん得られておりますから、やはりそういったものを根拠にして、みんなで共同して我々の地球を守ろう、地球環境を守ろう、こういうことがもう目の前の課題としてある、こういうふうに理解をしております。
小林(守)委員 現在の科学的知見からするならば、このままの状態でそれぞれの国が自国の利益なり国益を目的にやっていった場合に、地球環境というものが人類の生存基盤にとって極めて悪い状態に落ち込んでしまう。それを避けるために国際社会全体が協力していかなきゃならないということなんですが、結局その根底にあるのは、人類の生存というか存続というか、そういうことなんですね。
 私の考えでは、人類と地球環境とか生態系というのは一体のもの、あるいは、人間は、人類はその一部であるというような考え方を私は持っているんですが、大臣はその辺はどういうふうにお考えになりますか。それの存続のために、個である我々個は、現在のいろいろな個人的な、あるいは自己的な利益よりも、現在の豊かさよりも、将来の存続をやはり優先しなきゃならない時代だ、また価値観を持っているんだということを世界に言っていくということになるんじゃないかというふうに思うんですが、その辺はいかがですか。
大木国務大臣 小林委員がおっしゃるとおりに、人類が人類のことだけ考えておれば、ほかの地球上の生態系とかそういったものを無視しても生存できるかというと、なかなかそういうことじゃないんだということは、またこれはいろいろとだんだんに科学的な知見も得られておりますし、やはりそういった全体の地球上の生態系ということも考えながらやっていく。
 ただ、人類以外の、人間以外のいろいろな動植物の生態系がどういう状況になっておるか、あるいはそれをどういうふうに保存していくかということにつきましては、人間についての問題とはやはり得られておる科学的な知見も差がありますし、これからまだまだ解明しなきゃいかぬ問題がたくさんあると思うんです。
 例えば、きのうもコルボーンさんが来ておりましたけれども、いろいろと、いろいろな人間が使用しておる化学物質がやはり生態系を破壊するというようなおそれがあるんじゃないかということは最近言われておりますし、確かにそういう問題はあると思います。
 ただ、それをどこで調和を見出すかということになりますと、これはもう少し科学的な知見を集めませんと、今度はきちっとした政策につながるような答えがなかなか出てこないと思いますから、これは目下一生懸命に、そういった問題も頭に置きながら、地球全体としての、まずは我々としては、やはり人類の安全というか生存ということ、これはどうしても一番直近の問題でございますから、それは頭に置きながら、同時に、その他の生態系の保存についても、今後も知見をさらに深めて必要な対策をしていく、こういうことではないかと思います。
小林(守)委員 大臣の本音の部分というか、非常に深いところにおける理念的なものをお聞かせいただきまして、共感させていただいております。
 それでは、ちょっと大綱にまた戻らせていただきたいと思うんですが、大綱の中では、ステップ・バイ・ステップ方式という形で、三つのステップに分けまして対策を工程表に配分しながらつくられたわけですけれども、ステップ・バイ・ステップ、何か聞こえがいいんですよ。しかし、よく考えてみると、これは要は状況対応型の、後追い型のスタイルではないのか。
 さっきも冒頭言ったように、やはり基本的には、かくあるべきだという一つのあるべき姿、あるべき社会、そしてあるべきもちろん数値的なものにした目標にもなってくると思うんです。それに向かってどうしていくかというような理念をまず詰めていく、ビジョンをつくって理念を持ってそれに向かっていくというのが、モデルなき時代のやはりやり方ではないのかなというふうに思うんですが、何かステップ・バイ・ステップというのをやってみて、いろいろだめだったら、もうちょっとこれに強化していこうとか何かというように思えてならないし、第一ステップの二〇〇二年から二〇〇四年までについては、ほとんど現状のものを継続的にやってみて、国民の意識改革とか、そういう考え方はさらに強化されてきていると思いますが、基本的な枠組みや、こういう法律をつくろうとか、こういう政策を導入しようとかいうようなものについては示されていないんですよ。
 そういうことを考えると、何か後追い型の、状況対応型の、問題が出てきてからやってみましょうというような、やっていきましょう、しかし、もちろん頭の中には京都議定書の国際約束を守らなきゃいけないという思いはあるんでしょうけれども、様子を見ながらだんだんにというような手法ではないのかな、こんなふうに思えてならないんですけれども、それについてどうお考えになっているか、お聞きしたいと思います。
 後追いになればなるほど、後になればなるほど、コストがさらにかかっていくというふうに言えると思いますし、社会的な摩擦というものも非常に大きくなるというふうに言えると思うんですよ。そういうことなので、国民合意のもとで、かくあるべきに目指すんだということで、必ずこれはやるんだというようなことになれば、そのためにこうなんだという選択肢を国民に示して、そして選択をしていくということが大切なんだと思いますが、今回のものは、むしろ具体的な何か手順というのが、筋道がきちっと書かれていないというふうに思えてならないんですよ。実効性とか確実性とか有効性とか、そういう視点から見るならば、これで大丈夫なのかなというふうに思わざるを得ない目標達成計画の工程表なのではないかな、このように思える。これから目標達成計画、より具体的に詰められてくるんだと思いますが、少なくとも、このステップ・バイ・ステップ方式の落とし穴はそういうところにあるんじゃないのかな、こういうふうに思えてならないんですが、いかがでしょうか。
大木国務大臣 京都議定書が京都会議で一応できましてから四年ほどたっておるわけですけれども、実際には、今、ちょうどきょうぐらいからまたいろいろと外務委員会の方でも議定書自体の御審議もいただいておると思いますけれども、議定書が一応国民に、あるいは皆さん方に、国会におきましても、こういう議定書ができましたといって審議していただくものができ上がったのは、実はCOP3ではなくて、COP6半ですね。あるいは7までかかって、やっとつい最近でき上がったということでございますから、正直申し上げまして、この新しい大綱をつくって、これからまた新しい法律をつくって、具体的にこれからの措置をきちっと示すということになりますと、これはまだ今まで実際にやってきた経験というのは限られておるわけでございます。
 ただ、しかし、一九九二年を一つ起点として考えれば、既に十年たっておるわけですしということでありますから、やはりそういったような今までの経験も踏まえながら、しかし同時に、京都議定書、最近、COP7まででつくってもらいました、ある程度肉づけのできた京都議定書というものを、両方を踏まえながら、現実にはどういう対策が現実的にやれるのか、あるいは効果的なのかということを考えますと、今皆様方にお示ししておりますこの改定した大綱というものが、一つの今のスタートじゃないかというふうに思っております。
 ただ、確かにこれから、いろいろな意味で、科学的な知見はもっと得られるであろう。科学技術の進歩によって、新しいいろいろな対策も出てくるであろう。例えば自動車なんかというのは、随分、科学技術の進展によりまして、今までよりははるかに低公害な車も出てくるんじゃないか。あるいは、車一台一台の問題じゃなくて、やはり交通システムも、よりそういった環境に配慮したシステムを考えるとか、もちろん我々の、国民の民生におきましても、あるいは産業部門におきましても、いろいろとこれから新しく進歩してくる問題はあると思うんです。
 ですから、先生がおっしゃったように、ほかっておけば余計金がかかるんじゃないかという面もあると思います。しかし、同時に、科学技術の発展によりまして、今までは非常にお金がかかったけれども、こういうことをやれば、むしろ今までよりも費用の点でもより効果的な措置もとれるんじゃないかというような面もあるわけですね。
 ですから、そういったものを考えますと、今ここで、例えば二〇一二年まで、一応の第一対象期間が、とりあえずは京都議定書も二〇一二年ごろまでということになっていますから、そうすると、それまでのことをぴしっと決めるよりは、今の段階ではある程度わかったものを基礎にして一応の案をつくる、しかし必要に応じて見直しもするということで、二年たったら、あるいは五年たったらひとつ見直しをしようということで、一応の見直し期間というものはつくっておるわけでございます。
 また、実際には、これはいろいろと対策を実施しまして、そこでいろいろな知識、経験というのが得られる。こういう問題については、もっとこういうことがあるんじゃないか。あるいはまた、国民一般にこの議定書の内容についても御理解をいただいて、実際に国民にも、皆さんに参加していただかないといかぬわけです、CO2の削減につきましては。ですから、そういったものについてのまたいろいろなPRに当たるとか、そういった普及というようなこともありますから、そういったもの、あらゆるものを含めて、やはりある意味では私は毎日毎日見直しながらということだと思います。
 しかし、いろいろと規則だとか法律というのを毎日毎日直すわけにいきませんし、これはやはりひとつ一応のめどとして、二年たったら、五年たったらということを明示して、それを、その間にできるだけそういった必要な知見も集めまして、さらに必要な手直しをしていきたい。手直しと申しますか、さらに充実と申しますか、そういったものも考えていきたいというふうに考えております。
小林(守)委員 そういう方向で進めていただくことについては了解しておりますけれども、京都議定書の目標達成計画をつくる過程の中で、これからつくっていく過程の中で、今お話もあったように、国民の参加というのが極めて大事ですし、もちろん国民一人一人が削減に努めていくということが決め手なわけですから、国民の参加というのが大事だということなんですが、それなりの国民の参加という形で、特に、パブリックコメントなどの制度が導入されてきておりまするけれども、極めて形骸化しているというか、本当の意味での国民の参加というものになっているのかどうか。単に、こういうことをやったんだから国民参加したんだというような、一つの隠れみのと言ってはおかしいんですけれども、そういうものに使われるだけで、本当の意味でのパブリックコメントになるのかどうか。
 一定の業界団体などが、こういう方向にしたいという団体が組織的にいろいろなコメントを送りつける。ここから何通、何百通の意見が来ている、大方がこうだった、何となくそういう形で世論がつくられてしまうということだって、今日の情報化社会の中ではやられることも考えなきゃなりませんね。
 そういうことになると、パブリックコメントのあり方そのものも相当考えなきゃならないことではないのかな、このように思えてならないのですが、できるならば、国民の参加と同時に参画というような形で、いろいろな計画をつくっていく段階に、単に意見をよこせということではなくて参画するというか、そういうことも仕組みとして進めていく必要があるだろうし、特にNGOの皆さん方、そういうことを心配されています。
 そんなところで、国民の参加という視点で、京都議定書の目標達成計画の策定に当たってそのようなことをどう担保していくか、その辺をお聞きしたいと思います。
大木国務大臣 国民の参加ということにつきましては、私ども政府の方からいろいろと呼びかける、いろいろな情報を発信する、あるいは政府の考え方を示して、それに対してまたコメントいただくというようなのもありますし、むしろ最近は、今もおっしゃいましたけれども、NGOなども非常に数もふえていますし、活動も活発にしておりますから、そういった方々の意見は、むしろ常にそういった方々の意見を吸収するための努力というのもしてまいりたいと思っております。
 最近は、いろいろなセミナーをやりましたり、それから例えば国際会議のときもNGOの方に出席をしてもらったりというようなこともあるわけでございます。一番象徴的なのは、今度のヨハネスブルグの会議についても、多数のNGOの方が参加するという意向を既に表明しておられますから、そういった方々については、私どもとしてもできるだけ一緒に参加をしていただいて、NGOはNGOの立場でまたひとついろいろな意見を述べてもらうということは努力をしてまいりたいというふうに思っております。
 また、具体的には、いろいろと、必ずしも地球環境問題とか温暖化ということだけでなくて、やはり環境問題全体が、我々の住んでいるこの地球、あるいは我々の住んでおる町なり県なりをよくする、こういうことにもなるわけですから、よく言われることですけれども、大量生産、それから大量消費、大量廃棄、そういった型の社会経済活動やら生活様式を見直すというのは、抽象的に言うと非常にあれですけれども、最近はそれがかなり具体的になってまいりまして、いろいろなところで私どもも意見をもらいます。
 ですから私は、むしろいろいろな民間の方々の御意見というのも決して何か否定的なものじゃなくて、こういうことをやろうじゃないか、そのためには政府がもっと必要な協力をしろ、こういったようなお話が非常に多いわけでありますから、私どもとしてはそういった両方の、要するに政府からの発信するあれと、それからまた民間の方からいろいろと意見をいただくという両方の、双方向でひとつ民間との協力も、あるいはまた地方公共団体とか、もちろんいろいろな団体もありますから、そういった方々との協力というものも進めてまいりたいというふうに考えています。
小林(守)委員 国民の参加という視点で、さらに豊かな、豊富な方式をさまざまなところに広げながらぜひ進めていただければというふうに思います。
 次に移りますが、大綱の中に「温室効果ガスの排出削減が組み込まれた社会の構築」という、今度は言い方を変えて、経済と環境の両立ということをこういうふうに言いかえたのかなというふうに思えるところなんですが、この「温室効果ガスの排出削減が組み込まれた社会の構築」という社会はどういうイメージなのかということをお聞きします。
 その際に、日本は今日バブル崩壊して非常にデフレ経済の状況にあるわけですけれども、しかしながら、二〇〇〇年の統計によると、CO2はそれでも七%近く増加しているというような傾向にあります。基本的に二〇一〇年段階でこれをマイナス六%しなきゃならないということになると、七%の現状からいうならば一三%削減しなきゃならぬということになります。二〇〇〇年からあと十年間、大体現状と同じぐらいのCO2の排出レベルというふうに考えてそういうことなんですね。
 そういうことを考えるならば、今までの傾向からいうとますます、デフレでエネルギー消費も若干総体的には少なくなった部分はあるんだと思いますが、効率がむしろ悪くなっているというところで排出がふえちゃっているという部分もあるでしょう。また、特定の分野においてはやはりCO2排出増加の要因があると思いますが、基本的には、二〇一〇年段階の社会のCO2の排出状況から少なくとも考えて、マイナス六%達成するということは、これは大変な構造転換をしなきゃならないことになると思うのですよ。
 ということは、速やかに増加傾向から減少傾向に、CO2に限って言うならば、少なくともこれを変えていかなきゃならないわけですよ。現状維持じゃだめなんですね。現状維持じゃだめなんですから、減少基調に転換しなきゃならない。そういうことが数値的にも、去年よりことしの方がこれだけ減った、少なくなったということが見えるような形、それを加速させていって初めて二〇一〇年段階でマイナス六にまでいけるんだろうというふうに思うのですが、それを組み込んだ社会というのはどういうことなのか。そのためには、やはり今までにはない新たな構造転換を迫るような基本的な施策が考えられなければならないんだろうというふうに思います。
 具体的に言いますならば、どなたも問題として掲げているのは、環境税などの問題、炭素・エネルギー税の導入などをやらなきゃだめなんじゃないかということが言われていますね。環境先進国と言われるところではもう既に導入されていますね。
 それから、いわゆる化石燃料から自然再生エネルギーへの転換、こういうことも大きな構造転換になってくることなんだろうというふうに思いますし、私はもう一つ、フロンの脱フロン化というか非フロン化、これも相当大きな要素になるのかなというふうに思います。
 それから、さまざまな経済的手法あるいは規制的手法、自主的取り組み、このようなものをベストミックスするようなところを考えていく。この辺が大体、構造転換をして基本的に減少傾向に増加傾向のところを変えていくというものには出てくると思うのですが、言われているところなんですけれども、この構造化する社会、「温室効果ガスの排出削減が組み込まれた社会」というのはどういうことなのか、そこからちょっと説明をしていただきたいと思います。
大木国務大臣 小林委員がおっしゃいましたように、これはやはり一つの構造改革と申しますか、単なる対症療法をばらばらやるのではなくて、日本の経済、あるいはもっと広く社会生活と申しますか、我々のライフスタイルと申しますか、そういったものを従来の大量生産、消費、廃棄といった形から脱却しなきゃいかぬというのが一つ、それが、脱却するのが「温室効果ガスの排出削減が組み込まれた社会」ということになるのではないかというふうに思っております。
 具体的にはいろいろなことが考えられるわけでございまして、基本的にどういうことをやるんだということになりますと、例えば今の、最近は都市・地域構造だとか交通・物流体系だとか、そういったようなものも、あるいは日本としてこれからどういうエネルギー対策、どういうエネルギーを使ってどういう供給をしていくんだというようなこと、そういった広い意味での全般的なエネルギーの供給構造、あるいは、もっといろいろな意味での日本の経済というものが、特に生産構造をどういうふうにこれからまた二十一世紀に向かって変革していくかというような問題もいろいろあると思います。これは必ずしも環境問題ばかりじゃなくて、むしろ私は、日本の経済をどうするんだ、こういうことの中で、環境問題もきちっと配慮しながら進めていくということになると思います。
 先生も今おっしゃったとおりに、温室効果ガスの排出削減がきちっと組み込まれた社会ということになりますと、今申し上げましたようないろいろな意味での、いつも申し上げることですけれども、産業ばかりじゃなくて、例えば運輸交通の部門だとか、あるいは民生、広い意味での家庭生活の部門も含めて、そういったものをやはり総合的に組み立てて、いろいろと一緒にやっていきませんと、なかなか京都議定書の目標も達せられないというふうに思いますので、そういったものを、あらゆるものを総合的に全部かけ合わせてというか、一緒に推進していくということではないかというふうに思っております。
小林(守)委員 私は、環境税とか、化石エネルギーから自然エネルギーへの転換とか、それからフロンの非フロン化というふうなことも具体的に出しました。あと、ポリシーミックス。これについて、大臣の言葉ではそれぞれ具体的には触れておりませんが、そういうものが基本政策になる、一つの検討の柱にはなるんだということでよろしいですか。
大木国務大臣 今、例示的にといいますか、あるいは一つの大きな問題だと思いますけれども、税のお話もございまして、環境税というようなこともいろいろと議論されておる。
 私どもとしては、今、差し当たり、環境税を前提としてこの京都議定書の御審議あるいは京都議定書自体の承認ということは、そういうふうには結びつけておりませんけれども、これからまさしく、例えば二〇一二年までをとって考えましても、これからいろいろな経済的な手法を活用して、実際の目標達成に努力していかなければいかぬということは当然あると思います。
 その経済的手法といいますと、それはそのガスの排出を抑制するというような面での経済的な手法もありますし、あるいは新しいエネルギーの開発だとか、公害を防止するための装置の開発とか、そういった問題については、むしろそういうものを促進するための経済的な措置というものも、あるいは税制におきまして、あるいはいろいろな、例えば補助金だとかそういったような形でのことも考えられるわけでございます。
 これはやはり、そういった目的を達成するための、CO2の排出を削減するための、その目的の手段の問題でございますから、これはむしろ目的というよりは手段でありますから、これをどういうふうにいろいろな手段をかけ合わせて実施するのが有効であるのかということは、これからまた勉強しなければいけませんけれども、当然いろいろな意味での、環境税だとか、あるいは環境をむしろよくするためのいろいろな措置についての促進措置と両方、要するに、抑制の方と促進の方と両方を、いろいろな意味での経済的な措置というものは当然これからも研究して、また、現実にそういうものが必要である、あるいは有効であるということになれば、それをひとつ実施するように努力をしたいというふうに考えております。
小林(守)委員 時間の配分の関係もありますので、ちょっと先に進ませていただきます。大臣、私の質問に対して非常に能弁に御説明いただきまして、ありがとうございます。後でゆっくり答弁書を読ませていただいて、精査をさせていただきたいと思います。
 次の、ちょっと細かい問題になってくるかと思いますが、数字的な問題になってきますが、話を展開していきたいと思います。
 今度の大綱によって初めて基準年総排出量が、十二億二千九百万トンCO2換算というような数値が政府決定の大綱の中に示されたと言えると思います。前の旧大綱ではこの数値はなかったと思いますね。ですから、初めて基準となる九〇年の総排出量、CO2換算の数値が出されたということでありまして、いろいろな意味でこれから、何%削減になったとか何かということも含めて、基準になる数値でありますから、極めて重要なものだとは思うのですが、これについて、基本的にどういう方法で算定された、確定された数値なのか。十二億二千九百万トンCO2換算年間排出量ですね。
 これは、今までの政府資料を見ますると、毎年、環境省の審議会とかほかの経済産業省の方の審議会とか、いろいろなところで、いろいろなデータのルートでつくられていて、必ずしもイコールじゃなかった。環境省の中でも前と変わっているんですよ。大きくは変わっていませんけれども、かなりそれでも、去年の資料では十二億二千四百万トンなんという数字が出ていました。
 そういうことで、確かに科学的に確定された手法ではないんだとは思うのですが、しかし、これは常に変わるものであっては困るわけですね。ごまかされてしまうわけですよ。そういうこともあるので、これは責任を持つ日本の数字だということを国際的にも認証された数字なのかどうか。それから、これを変えるときにはどういう手順が必要なのかということも含めて、非常に重い、大きな数字だと思うんですよ。これをちょっと御説明いただきたいと思います。
岡澤政府参考人 従来の吸収量、排出量の算定につきましては、特に国際的に定められたルールがあったわけではなかったのですが、京都議定書では第五条第二項というところで算定のためのガイドラインが示されておりまして、そのガイドラインに沿って各国が算定するというふうな仕組みになっております。
 ただ、ガイドラインを見てそのまま数字が出るというわけでもございませんで、また専門的な解析が要るものですから、そこは各国がそれぞれ専門家を集めて、そのガイドラインに沿った、各国の実情に即した具体的な算定をするというふうなことになっております。我が国でも専門家の検討会を設けまして、このガイドラインに沿った形での算定というものをやりまして、それが大綱に公表したところの数値になっております。
 途中で前の部分と数字が変わっているところがあるのではないかということだったのですが、そのガイドラインに沿って、専門家の意見を聞いて、具体的な算定方法等についてもう一回チェックしました結果、若干、特に廃棄物だとか、推計で出さなければならないものもございますので、そうしたものについてより正確な数字に変えた結果、ああいう数字になったものでございます。
小林(守)委員 詳しくはよくわからないところなんですが、また大変、算定の仕方というんでしょうか、何かすごいデータを使ってやるのだそうなんですけれども、私も先ほど指摘しました、環境委員会の中での配付資料、審議会に配られる資料ですから、これは権威のある資料だというふうに私は思うのですけれども、昨年九月二十一日の中央環境審議会環境部会の配付資料の基準年の排出量は十二億二千三百八十万トン、十二億二千四百万トンというふうに言えると思うのですが、こういう数値が示されておりました。ところが、今回の大綱では五百万トンふえているわけですね。
 これは、もう一度説明していただけませんか。どういう理由でこれが変わったのか、それから、それに対して改正手続というのですか、今度はこういうふうに変えますというのは、どこが、だれが認証するというか、担当者が勝手に変えてしまっていいのかということなんです。大臣がこれは判こを押すんですかね、この辺の数字は。どうなんですか。
岡澤政府参考人 実際に変わった数字は、具体的にはメタンだとか非エネルギー起源の炭酸ガスとか、要するに算定の難しいものなんですが、それは、国際的なガイドラインが出ておりますけれども、ガイドラインによって具体的に算定できるわけではございませんので、そこはガイドラインの考え方に沿って数字を計算していくということになります。
 そこを、検討会で専門家の御意見を聞いて逐次改善を重ねていく、また、データも、すべてのデータが捕捉できる形になっておりませんので、例えば、推計の部分をだんだん新たな、現実的なデータで埋めていくということになりますと、今まで推計でしていたものが、確実な数字が入ってまいりますので、より精度が上がってきます。そういう努力はしております。その結果、今まで推定の部分の多かった非エネルギー起源の炭酸ガスだとかメタンとか、そうしたものについて、より正確なデータになったということでございます。
 ここの算定については、基本的には各国がそのガイドラインに沿って算定するということになっております。ただ、その算定方式あるいはデータの算定の仕方について、それが正しいのか、適切なのかどうかにつきましては他の国の専門家のレビューを受けることになっておりまして、これは京都議定書が発効いたしますとそういう仕組みが動き出すわけでございますけれども、日本がこういう形で算定いたしまして数字を出しますと、それを専門家がレビューして、例えば日本の数字の出し方についてはこういうところについてさらに改善の余地があるというふうな勧告が出る、日本がまたそれを受けてさらに精度の向上のための改善をするというふうな仕組みになってきております。
小林(守)委員 いずれにしても、大綱で決定された数値ですから、その変更についてもきちっと、国際的な機関の方からの科学的知見に基づく変更だということで変えるときには変えられるんですが、セクションによって数値が違うようなことのないように、少なくとも省庁間の共通の基盤をこれで確立されたというふうに言えると思うんですけれども、今後、いろいろな資料については共通の、統一したものとして、なおかつきちっと説明がある変更というんですかね、これを心がけていただきたいと思いますし、責任を持っていただきたい、このように思うわけであります。
 それでは次に、代替フロン等の三ガスの削減計画についてお聞きしたいと思うんですが、今度の大綱では、二〇一〇年に自然体ではプラス五%に増加するんだけれども、それをプラス二%ぐらいに抑えてしていきたいんだというようなことが示されています。しかし、これは九八年六月の旧大綱と全く変わりのない、プラス二%の数字なんです。
 ということになると、この間にフロン回収・破壊法を議員立法で我々出して、オゾン層の保護ということもありますし、CFCというオゾン層を破壊する物質を早急に回収しなきゃならぬという課題もあるんですが、それと同時にこの法案は、HFC等の、冷媒に限った部分なんですけれども、そのフロンを回収することにも当然役立つわけでありますし、それもねらいの一つにありますから、温暖化対策ということにも大きな役割を果たせる法案として書いたつもりです。
 ただ、確かに、科学的知見なり技術的な問題も含めて、どうしても冷媒の分野にしか法的な網をかけることができなかった部分がありますが、我々はその法案の中でも、建材、断熱材等に対する対策とか、さまざまな技術開発の方向性、脱フロン、非フロンの技術開発とか、そういうことも含めて問題提起もさせていただいてあるものなんですが、結果的に見ると、旧大綱の九八年の時点と数値的には変わりないということになってしまうわけであります。ということになると、何のためにあれをつくったんだろうということになるわけであります。
 そんなことで、非常に私は不満を持った一人なんですが、その説明をお願いしたいと思います。
岡澤政府参考人 今先生御指摘のとおり、自然体でいけばプラス五%のところをプラス二%まで抑えるというふうにしていて、この理由は何かということなんでございますけれども、代替フロンの排出量はこれからふえてくるということが一つあります。それからフロン回収・破壊法の効果、それは排出時期との関係がございますので、どの時期にどのぐらいの量が破壊できるのか、ちょっと今の段階で正確にはつかみ切れないというところがございます。そうしたことから、フロンの排出量予測について、従来の排出量の増加傾向を大幅に削減するというところになかなか読み切れなかったというふうなことがございます。
 もう一つは、これはある意味で政策的な配慮ということかもしれませんが、フロン回収・破壊法の制定によりまして、フロンの対策については格段にやりやすくなったというふうには私ども認識しておりますけれども、一方で、フロン業界は、自主的取り組みでこれまでもかなりフロンの対策を進めてきておりまして、旧大綱の中で見ましてもフロン対策というのはかなり進んできている、ほかのものに比べると進んできている状況がある。
 そうした進んできた業界に、新たにまた法規制によってさらに対策をさせようとしたわけですけれども、この目標値を切り下げていくことになると、逆に余り対策をとってこなかった業界なり分野なりを甘くするということにもつながりかねないものですから、そこのところは、とりあえず今の段階では先の見通しがはっきり見通せないということもあるので、従来の目標値はそのままにさせていただきましたけれども、同時に、現在でもうまくいっているところにつきましては、この対策を緩めることなくさらにその対策を進めるというふうな付言もしているわけでございまして、この部分について、さらにフロン回収・破壊法の効果もあり、一層の削減ができるということを期待しております。
 ただ、それを今の段階でほかの分野に割り当てて、できの悪いところにさらに甘くするというようなことはとらない方がいいのではないかというふうに考えた次第でございます。
小林(守)委員 何か二つの問題の視点をちょっと指摘したいと思うんですが、というのは、ほかのできの悪い分野というのはどこなのかというところをまずは明らかにしていただきたいと思いますね。
 というのは、フロン業界関係は一生懸命やっている、この法律ができてやりやすくなったということで優等生なんだ、優等生なんだけれども、点数を低くしておいた方がいいというような話でしょう。これはおかしいなという感じがするんですよね。要は、これだけ頑張っているんですということであなたの方もぜひ頑張ってくださいということ、こっちが頑張っちゃうとあっちが怠けちゃうからやらないという話でしょう。
 だから、まずそのできの悪い業界、分野はどこなのか、ちょっと明らかにしていただきたいということと、もう一つは、本当にそうですかということをまずお聞きしたい。
 例えば、きょうは経産省の方からも出てこられていますが、フロンの自主回収で、業界団体が七割ぐらい削減しますという計画を立てました。冷媒フロンに限ってですけれども、実際にふたをあけてみたらば、一三%だ、一八%だということでしょう。それで、これじゃ自主的な取り組み、業界団体に任せておいたんじゃだめだ、七割ぐらいやりますよと言っていたのが全然だめだったじゃないか、だから法律をやらなきゃならぬということが、あのフロン回収・破壊法の実態じゃなかったんですかね。
 だから、この数値は、私は、今のお話の中でも、さっき言ったように、悪い分野がほかにもあるんだから、こっちはそのための数字を持っていて、実際はもうちょっと減らせるんだけれどもないしょにしておく、でないと相手がずるけちゃうからだというような問題の発想というのは、ちょっとこれは、政府内のそういうやりくりがあるのかどうかわかりませんが、何かおかしいなというふうに思えてならない。
 だから、だめな分野はどこなのかをまず明らかにする必要がある。それから、本当にそうなのかということを、きょうは経産省の方も来ていますので、お答え願いたいと思うんです。
岡澤政府参考人 できの悪い分野というのは、業界という意味ではなくて、例えばエネルギー起源の排出量でも、民生部門と運輸部門というのは大幅に増加しておるわけでございまして、そこのところに対しても、特にこの温暖化防止対策については、各セクターの間でやはり公平な削減努力ということを求めていかなきゃならない。
 民生は難しいからといっても、民生部門について、いや、ほかの産業界でこれは削減させますから民生のところは自由にエネルギーを使ってくださいというようなわけにはいかないと思うんですね。そこは運輸部門もそうなんですけれども、すべてのセクターがやはりひとしく努力をするということが必要だろうというふうに考えておりまして、どこかにしわ寄せして削減するということは、基本的に計画の中ではとりたくないというふうに考えたわけでございます。
 ただ、フロン回収・破壊法の制定によりまして、冷媒として使用されますHFCの回収・破壊は一層進むと思われますし、私どもとしては、その一層の破壊の徹底につきまして、今後とも引き続き努力してまいりたいと思います。
増田政府参考人 一九九八年に最初の自主行動計画、自主的なフロンの削減ということにつきまして計画ができたわけでございますが、二〇〇〇年の段階で、これを産業構造審議会の中でNGOの方々あるいは専門家の方々も含めましてレビューをいたしますと、自主的な行動計画の達成のおかげで、九五年に対して二〇%を超える削減ということが実現をできているわけでございまして、この点につきましては、やはり行動計画というものは大変有効であり、かつ大変な努力の結果だというふうに思っております。
 ただ一方、先生御指摘のとおり、回収・破壊、カーエアコンあるいは業務用冷凍空調機からの回収ということになりますと、やはり一度社会に広くディストリビュートしたものを回収していくのは大変難しい作業でございまして、業界の自主的な計画の中では、大変挑戦的な八〇%ないしは七〇%というような目標を掲げたわけでございますが、実際には、業務用の冷凍空調ですと、たしか五〇前後だったと思いますが、そのくらいでございますし、カーエアコンですと十数%ということにまでしかいっていなかったということでございます。
 そういう意味で、工場等における現場におけることにつきましては、大変自主計画というのが有効に機能して成果を上げたということでございますが、一方、回収という点については、目標を掲げたについて、まだ大きな開きがあったということでして、そういう点から見ますと、おつくりをいただきましたこの回収・破壊法というのは、その部分を大変強く確実なものにしてくれるという意味で、大変有効なものであるというふうに思っています。
 したがいまして、我々といたしましては、自主計画という枠組みの中で高い目標を回収についても掲げていたわけでございますけれども、法の制定によってそれがより確実になるという意味で、自主計画とこの法の運用というものを車の両輪として、これからもきちっと進めていきたいというふうに思っている次第でございます。
小林(守)委員 いろいろなお話は聞きましたけれども、結果的に、この大綱がプラス二で、旧大綱と変わりない数値というのは、私はどうしても納得できないんですね。
 その根拠の一つになるんですが、例えば、今、産業構造審議会化学・バイオ部会地球温暖化防止小委員会がパブリックコメントをかけている資料を見せていただきました。この資料によると、基準年、フロンの場合九五年を基準年にしてもいいということになっていますが、九五年の基準年の排出量が四千八百二十万トンCO2換算なんですが、二〇〇〇年の数値では三千五百六十万トンCO2です。四千八百二十万トンから二〇〇〇年には三千五百六十万トンですから、千二百六十万トン減少しています。九五年から二〇〇〇年の間で減少しているんですよ。これは数値的に直すと一%減少の数値ですね。十二億二千九百万トン、あの基準年の数値からいうと一%なんです。
 これだけ減ってきているということを考えるならば、しかも、CO2のエネルギー起源の分野、業界団体、経団連などの自主的な取り組みの中でも、これはプラス・マイナス・ゼロぐらいに二〇一〇年にはしようということを出していますね。そこの部分は、エネルギー起源はプラマイ・ゼロぐらいの数値でしょう。現状と同じように持っていくんだということです。しかし、フロンの関係のところはプラス二だという数値はどう見てもおかしいというのは、この審議会の数値から見ても、九五年から二〇〇〇年まではマイナス一%ぐらい下がっているんですよ。これをプラス二にしちゃうというのはどうも納得できない。
 それからもう一つ、これは環境委員会の方の資料の中にも、これは昨年六月の中環審の地球環境部会目標達成シナリオ小委員会資料、これについても、マイナス一・七%あるいは一・九%、頑張ればマイナス二%までそのシナリオを書くんだと書いたんですよ。かなりこれは、これをちゃんとやったときの話だというふうなことなんですが、この委員会の資料にちゃんとこれはここまで書かれているんですよ。中環審の方の目標達成シナリオ小委員会では、マイナス二%を昨年の六月に出しています。そして、現在の産構審の方では、二〇〇〇年までの資料だけれども、マイナス一%の数値が出ています。同じ業界団体でここだけ一生懸命やっているのに、ほかと公平の問題が出てくるじゃないかという議論からいうならば、じゃ、業界団体、経団連の方はプラマイ・ゼロですよ、エネルギー起源の全体を言うと。
 そういうふうに考えるならば、このフロン関係のところがプラ二というのは納得できないということなんですよ。これは両方から説明してもらいたいと思います。
増田政府参考人 フロンの関係につきましては、先生にぜひ一点、大変特別な事情があるということを御理解賜りたいと思います。
 先生御承知のとおり、このフロンの関係につきましては、一九八七年にオゾン層保護を目的にいたしましたモントリオール議定書というのがございまして、我が国はこれを批准し、法律をつくってその実施を図っているところでございますが、これを進めてまいりますと、CFCあるいはHCFCというオゾン層の破壊物質というものを条約のスケジュールに従いまして漸次廃止をしていく、減少させていくという義務を負っているわけでございます。
 これを進めていくためには、現状これにつきましては、CFCにつきましては既に一九九五年末で生産を全廃した、さらに、冷凍空調機あるいは断熱材等で使われておりますHCFCにつきましては、これを条約のスケジュールに従いまして段階的に減らしていくということで、二〇二〇年に向けて全廃のための段取りを一歩一歩進んでいる、そういう状況でございます。
 こういうオゾン層保護のための目的達成のために進めてまいりますと、どうしてもオゾン層破壊物質の代替物質というものが必要になってまいりまして、その代替物質として温暖化の方で挙がっております三物質、特にHFCというものが当たっているわけでございます。
 そういう意味で、九五年から二〇〇〇年に向けて、先生御指摘のとおり、先ほど私の方からもお話をさせていただきましたように、自主計画の中で大きく二〇%を超える減少をしてきたという事実があるわけでございますけれども、これから今申し上げたような形での代替ということが進みますと、逆に使用が大幅に伸びていかざるを得ないという、まさにフロン特有の事情があるわけでございまして、そういうものを加味いたしますと、そういう大きな前提条件を置きますと、ふえていくという事情になるわけであります。
 そういう意味で、これを置きますと本来自然体でいきますとプラス五%になるところをプラス二%まで排出を抑制しようというのが、今回の大綱の内容になっているわけでございます。ある意味では約半減をするというのが、今回のトライアル、挑戦をするという内容になっているというふうに御理解をいただきたいと思います。
小林(守)委員 CFCから、HCFCはいずれにしてもHFCの方に転換をしていくという過程にあるということは私も理解しているつもりなんですが、問題は、転換はしても結構なんだけれども、排出することをしなければいいわけですね。それをさせないようにするのにどうするかということが、私はフロン回収・破壊法の趣旨なんだというふうに思うんですよ。しかし、要は、転換していってどんどん使用がふえるからどうしても排出量もふえちゃうんだということでは、何のためにフロン回収・破壊法をつくったのかということになるんじゃないんですか。
 少なくとも、冷媒のフロンについては法規制をきちっとかけました。しかし、断熱材なんかについては、あの時点で法規制をかける手段がないというか、かけようがなかったというのもあるんですけれども、しかし、こういう断熱材についても、基本的に技術開発をしてくださいとか、いろいろとやってみてください、それから、新しい技術ももう出てきているじゃないかというふうに私は言えると思うんですけれども、そういう方向へ進めていく。あるいは、断熱材の発泡剤ですね。それからもう一つは、エアゾールみたいにばあっと空気中に放出しちゃうのが目的のフロンだってあるわけですよ。こんなことは絶対に許さない。違うフロンにしなさい、温暖化の影響もない別の物質にしなさいというような形にしないと、これはもうだめですよ。
 要は、HFCに転換したから、それの使用が大きくふえるから、CO2に換算した温暖化の数値もふえちゃうんだと。これは何の対策もやらないことと同じじゃないですか。何のためにフロン回収・破壊法をつくったんだということになりますから、そういう点でも、私はプラス二%はおかしいということを言いたいと思います。
岡澤政府参考人 中環審の数字でマイナス一・七、一・九とかいう数字がございますけれども、これはモデル計算の数字で、ある予測値を置いて計算してみたらこういうところまで可能だというふうな一つの推計値でございます。
 これはほかのものについてもやっておりまして、その中で、それをそのままベースにして今回の大綱に、参考にはしていますけれども、その数字をそのまま持ってきているわけではございません。いろいろな要素を加味しまして、今回、大綱の数値を決めたわけでございます。
 特に、今、経産省の方からお話がありましたように、代替フロンの排出量が今後進むということを考慮して数値をプラス二%ということにしたわけですけれども、さらにこれは、冷媒フロンについての回収・破壊を進めるという法律もできましたし、また、私どもの方で、経産省とも協力しまして、断熱フロンの対策についても今調査中でございまして、できるだけ可能な対応を模索しております。そうしたものをとることによって、さらにこの部分についての削減は進む、あるいは進められる可能性は期待できるというふうには思っております。
 ただ、現実問題として、今のところ、断熱フロン対策がどうだとかいうようなところがはっきり見えませんので、今の段階では従来の大綱どおりの数値とさせていただいておりますけれども、この達成計画につきましては、二〇〇四年あるいは二〇〇七年に見直すということにもなっておりますし、また現実に、今の大綱では、対策の中で一・六%の穴あき部分がございます。そうしたものをこれから埋めていく作業をしなきゃいけないわけですので、ほかの部分も含めて、いろいろな各分野の対策の進捗状況等を見ながら、おくれているところにはさらに追加的な施策を改正時にするし、進んでいるところはさらに進められるかどうか改めてそこの場で検討して、数字の直しその他については、様子を見ながら改定時について考えていきたいというふうに思います。
小林(守)委員 今、非常に重要な問題点というか考え方の指摘があったと思います。マイナス一・六%の穴があるので、そこをどうやって埋めていくかという指摘だったと思いますね。
 そういうことで、実施計画の中にマイナス一・六%、これは考えてみると、あれ、排出量取引じゃないかというふうに思うんです、枠組みとして大綱の中に位置づけられているのは。しかし、きっと今の答弁は、非常に筋のある、もっともないい考え方だと思うんですよ。
 要は、マイナス一・六というのは枠外にとっておくんだ、枠外の問題だ、補完的な問題だというふうに、国際的には認められているけれども、やはり基本的には、マイナス一・六は排出量取引で穴埋めをするんじゃなくて、基本的なCO2のエネルギー起源とか産業、民生部門、運輸部門、そういうところできちっと減らしていくんだという、埋め合わせをしていくということを最優先に取り上げていくという問題点の指摘だと思うので、私はそれは評価したいと思うんですが、ということになると、第一段階、第二ステップの中で削減の可能性はあるというようなお話も今ありました。
 今度は大臣に聞きたいんですが、どうなんですか、この京都の目標達成計画の中で、今、何となくつかみみたいな数字でプラス二%になっちゃったようなんですけれども、これについて、私も言ったように、あるいは審議会で、もう既に経産省の方でも環境省の方でも、審議会の中にはこういう数字を出しているんですよ。
 確かにモデル的なものなんだという言い方がされていますけれども、達成不可能なものではないというふうに思うんですよ。それについて、今後の目標達成計画の中で削減していけるというふうに思いますし、マイナス一・六%をまず最初にそこに置いたんじゃなくて、それは穴埋めをしなくちゃならない数字なんだという視点に立ってやっていくならば、私は、その穴埋めの埋めくさにこのフロン対策というのがあるというふうに思うんですが、大臣、その辺いかがですか。
大木国務大臣 実はまだ正式ではないんですけれども、このフロンの問題というのは、私ども温暖化問題をいろいろ議論しているときに、国際的にもフロンの話というのは時々ふわっと出てくるんです。
 それから今、国内的には、今局長も申し上げましたとおり、一・六%というのは、それは決めていないからやらないということではなくて、いろいろな形でやっていくということです。それは当然に、フロンの問題にしろその他の問題にしろ、やれるものを順番に実施して、六%というものをあくまでも達成していくということでございますので、今の二年たったら、五年たったらレビューするという話もありましたけれども、それはそのときまで何もしないということじゃございませんので、その前にでもやれることは当然にいろいろと検討していくということで、ひとつ御理解をいただきたいと思います。
小林(守)委員 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。
大石委員長 奥田君。
奥田委員 日程にありません、突然ですけれども、地球温暖化対策の法案審議、私たちも時間を費やしてやっている中で、定足数も足りませんし、与党側の出席を求めて再開していただきたいと思います。
大石委員長 ただいまの民主党からの案について、事務局、定数を数えてください。
 奥田君に申し上げます。
 今、事務局で調べました。定足数が十六で足りるということであります。政党側の出席の数の問題はありますけれども、定足数そのものでは足りております。何か話がありますか、次に。
奥田委員 私自身もいろいろと調整の中で出入りはしておりますけれども、ぜひとも与党側の委員の皆さんに出席の方を、理事の仕事として呼びかけていただきたいと思います。
大石委員長 ただいま民主党の奥田君からのお話ありましたように、定足数は足りておりますけれども、与党側、特に自民党側の出席の議員が足りないようでありますので、山本理事の方から各自民党議員に出席を求めるように、委員長から要請をさせていただきます。
 それでは、そういう形でひとつ委員会を進めていきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
 それでは次に、質問者樋高剛君。
樋高委員 自由党の樋高剛でございます。
 今、奥田委員からの発言、そして委員長の話ありましたけれども、今、国際問題を議論している、地球環境保全、地球温暖化対策ということで、今大変重要なテーマについて議論しているにもかかわらず、欠席が多数目立つということを私は懸念をいたしますし、憂慮をいたす次第であります。本当に、こんなのたるんでいるんじゃないかということをまず冒頭申し上げさせていただきたいと思います。
 きょうは五十分というお時間をいただきましたけれども、内容的には二時間ぐらいの内容を準備してまいりましたけれども、五十分に圧縮をいたしまして、手際よく議論をさせていただきたいというふうに思っております。
 まず、今回の六%削減ということであります。地球温暖化対策推進法の一部改正ということでありますけれども、まず大臣にお伺いいたしますけれども、本当にこれは六%削減がこの法律の改正によって可能なのか、本気なのか、本当にこれで保証されるのかという部分が、一番最初に申し上げなくてはいけないことであります。
 いや、絶対にこれで大丈夫だよということであれば、大臣、そのようにおっしゃっていただきたいと思いますし、いや、いささかちょっと不安があるんだということであれば、それはそれでおっしゃっていただきたいと思いますし、いかがでしょうか。
大木国務大臣 私どもとしては、現在のいろいろな知見も根拠といたしまして六%を達成するという計画をつくったわけでございますから、当然六%が達成される、目標数値が達成されるという前提でこれからも仕事を進めてまいりたいと思っておりますし、自信があるかないかとおっしゃれば、自信があるから提出しておるわけでございます。
樋高委員 それでは、根拠をおっしゃってください。
大木国務大臣 その六%に該当するいろいろな数字というのは、いわゆる大綱の方に各項目をたくさん並べまして数字を出しておる。先ほどもちょっとお話ございましたけれども、必ずしも細かく出さずに、一・六%は具体的なものではないけれども、一・六%として計上しておるというような問題もございますし、もちろん、例えば産業界において自主的にやっていただくということもありますけれども、自主的というのは、これはやはり産業界と私どもの信頼関係に基づいて自主的にやっていただくということでございますから、私どもとしては、これも一つしっかりしたその根拠になるというふうに感じております。
 全体として、私どもは六%を目標にして具体的なその計画をおつくりしたというふうに感じております。
樋高委員 説得力に欠けているのではないでしょうか。別に大臣をいじめているわけでは決してございませんで、これを本当に中身のあるものにしたいという思いが強いがゆえに申し上げているわけであります。
 大臣は本当に、御見識、そして御経験、私も尊敬を申し上げておりますけれども、だからこそ、今回、これは絶対間違いがあってはいけない。今、歴史に残ることを、ことし、この夏に向けてやろう、しかも環境委員会が主体で、環境省が主体でやろうということでありますから、その覚悟とそして自信を持って、そしてなおかつ、説明責任という言葉が今大変言われておりますけれども、国民の方々、市民の方々、庶民の方々がきちっと納得いけるふうな御答弁を私は求めているから、強く厳しく申し上げさせていただいているわけであります。
 そもそも、今回、第一ステップ期間ということで、本年二〇〇二年から二〇〇四年までということでありますけれども、私が考えるには、私は今までが第一ステップ期間であったという認識です。なぜならば、この地球温暖化対策の推進法ができてから今までが、既にもう自主的取り組み、もしくは地球温暖化推進大綱もまとめられて、ある意味で取り組みがもうスタートしていたという思いを私は持っておりますので、今までが第一ステップ、そしてことしからが私は第二ステップであるというふうに思うわけであります。
 そんな中にあって、先般、参考人質疑をいたしました。さまざまな意見がありましたけれども、今大臣からの御答弁にもありましたように、自主的取り組みであるということであります。私も参考人の先生方とも議論したんですけれども、自主的取り組みによって、CO2、温室効果ガス削減ができるのであればそれにこしたことはないし、むしろ、人様から強制されてやることというのは、私はよくないことであるというふうにも思うわけであります。
 しかしながら、今回のは、今回の法律案の中では、どうしても自主的取り組みという部分、そして現状維持という部分も、やはりその指摘には反論することはなかなか難しいのではないかというふうに考えるわけでありまして、新しい抜本的な取り組みを、今回、法律案、もう現実問題として間に合わないにしても、この秋か、もしくは来年の通常国会に向けて、本当にドラスチックな、例えば環境税、炭素税、もしくは例えば、私はよく申し上げておりますけれども、夏時間制、サマータイム制です。これは環境省の悲願でもあるんですよね。また、もしくは中長期的には環境教育なんというのも、私、またこの後議論してまいりますけれども、やはり抜本的な、新しい、今までにやってこなかった政策を出してこそ、まさしく環境省が環境問題でリーダーシップをとることになるのではないかというふうに思うわけであります。いかがでしょうか。
大木国務大臣 今お話ございましたように、京都議定書のもとになります骨格をつくったのは四年前なんですけれども、その四年間にいろいろとまた議論があって、だんだんに、どういうことを具体的にやるんだ。まずは、目標を達成するためのいろいろな手段についても細かいところが合意されていなかったので、COP3以後、COP4、5、6と重なってまいりまして、ようやく最近できたというわけでありますから、それに対するまた今度の大綱なりこの法律というものも、今までの動きというものをできるだけとらえておりますけれども、これはやはり一つの現段階での大綱であり、法律であり、また計画であるというふうに御理解いただきたいと思っております。
 ということで、抜本的ということになりますと、確かに先ほどもちょっと経済的な手法というようなお話がございまして、一方では、環境税というようなことで温暖化ガスの排出を抑制する、そういった抑制的な手法もありますし、経済的手法といいましてもいろいろと、新しいエネルギーの開発だとか、あるいはいろいろな温暖化を防ぐための装置の開発というようなものについてはむしろそれを促進するということもありますから、そういったようなものは、全体の、国民の方からいえば、ただ税金取るぞというだけでは、なかなかこれはまた御理解もいただけませんから、それはやはり促進の方と抑制の方と両方があると思いますけれども、そういった経済的な措置、あるいは夏時間にしろ、いろいろとあると思います。
 実は、夏時間につきましては、既に何回も国会でも議論されて、特に参議院の方である程度進んだというふうに私は理解しておりますけれども、しかし、最終的にはできなかったということでございます。
 いよいよこれからまた夏が参りますので、本当に今の我々のライフスタイルの中でどうやって夏時間というものが導入ができるのか、またいろいろと御議論はいただきたいと思っておりますし、私どもとしてはというか、私個人としては、夏時間というものは、いろいろ計算しますと、かなり数字的にも効果があるんじゃないかというふうに思っています。ただ、それをやはり国民の方で受け入れていただかないといけないわけでございますから、そういった議論は引き続き進めたいと思っております。
樋高委員 夏時間制につきましては、またこの後議論させていただきますけれども、いずれにしても、今、政府は、構造改革をするといってスタートした内閣であります。
 構造改革とは何か。それは、仕組み、今までの既成の前例、慣例、システムに一切とらわれず、ゼロベースで、スクラップ・アンド・ビルド、一回全部ゼロ、チャラにして、もう一回つくり直す。仕組みそのものを根っこからつくりかえる。
 家で申しますれば、今継ぎはぎだらけで、ちょっと雨漏りする家になった。もう耐用年数も過ぎた。だから、その家をつくりかえるときに、一回思い切って全部壊して、一部分だけ増改築をするのではなくて、一回壊して、もう一回土台も掘り返して、セメントもしっかり流し込んで、しっかりとした、雨、風、台風をしのげる家をつくり直そうというのが構造改革であると思うのでありますけれども、六%削減義務を達成するためには今回相当な努力をしなくちゃいけない。そのためには、本当に抜本的な、根っこからの新しい政策を取り入れなくちゃいけないというこの認識がまだまだ足りない。
 もしかしたら、大臣、副大臣、政務官は、心の中では思っていらっしゃるかもしれないけれども、さまざまいろいろなしがらみがあり、もしくはいろいろな方々から後ろ向きなことも言われて、なかなかそれも言い出せないし、こういう公の場では言えないかもしれない。でも、それを思い切って超えていただいて、勇気を持って、そして、本当にこの地球温暖化の問題というのは、環境問題全部そうですけれども、人類が生存していく上に立って、切っても切り離せないテーマでありますので、ひとつ心を、腹をくくっていただいて、それだけ実は物すごく重要な、大臣、前にもちょっと弱腰のことをおっしゃっておいででありました。環境省の職員はまだ千人足らずだし、ほかの役所になりますと、それの何十倍もの役所があると。それは確かにそうですけれども、だからこそ、今頑張りどころなんじゃないかというふうに思うわけでありまして、しっかりとお願いをしたいと思います。
 時間がありませんので進んでまいりますけれども、この第一条、目標達成ということが明記されていない。なぜなのか、私は不思議でならない。目標達成の意思を明確にすべきであると思いますけれども、なぜその目標のところにきちっとしたマイナス六%削減という目標を達成するんだということが文言としてうたわれていないのか。いかがでしょうか。
大木国務大臣 この法案、あくまで京都議定書というものを前提にしてつくられたものでございまして、要するに京都議定書のいろいろな約束を実施するための法律だということでございますから、それはやはり、別に六%をどうのということじゃなくて、京都議定書に含まれているいろいろな目的というのを達成するための法律だということでいいのではないかと思っております。
樋高委員 法律は、一番最初の条文から読んでまいりますけれども、その目標のところで、一番最初の、第一条の「目的」のところで、目標達成という文言が入っていないこと自体、私はどうも理解に苦しむわけでありまして、今の大臣の答弁では、京都議定書で決められたことをみんなで努力してやっていくからいいんだ、そういうふわっとした話でありましたけれども、こういう条文、これはたまたま第一条でありますけれども、こういうところに今の政府の気持ちが入っているんじゃないか。つまり、ある意味で中途半端である、もっと思い切って、こういうところにはっきり目標達成という漢字四文字入れればいいんじゃないかと私は思うわけであります。
 政務官に次の問題、大臣、答弁したいかもしれませんけれども、時間ありませんので、その機会はまた次回もありますので、次の質問に入りたいと思いますが、排出量の把握について、政務官、伺います。
 事業者からの温室効果ガスの排出量の把握、公表を義務づける制度をなぜ盛り込まなかったのか。基本的な質問でありますけれども、そもそも、把握をしてオープンにする公表なくしてどのように排出削減を行っていくおつもりなのか。いかがでしょうか。
奥谷大臣政務官 これは、基本方針として、経済界の自主的な創意工夫を生かして、同時に我が国の経済活性化にもつながる環境と経済の両立という、これが基本方針としてございます。このような観点から、排出量の把握、公表の義務づけにつきましては、第一ステップの施策としては行うことは予定をしておりません。みずからの排出の状況に関する情報は自主的に公表することを推奨することといたしております。
 しかしながら、近年、多くの企業が自主的に排出量を公表する動きが進みつつありまして、環境省としても、把握、公表のための手法の開発や関係情報の提供等を通じてこれらを支援してまいりたい、このように考えております。
樋高委員 政務官、それでいいと思いますか。要するに、これも別に政務官をいじめているわけじゃなくて政策的議論ですからひとつ御理解いただきたいんですが、最初に、ではみんなで削減しましょうよ、自主的取り組みしましょう、私も百歩譲って、ではそれでいいですよとなったとします。しかしながら、最初に今現在どの程度排出しているかをオープンにしないでいて、どうして削減したということが言えるんでしょうか。要するに、先に公表をして、それで自分のところではこれだけ年間でCO2、温室効果ガス排出していますよ、先にそれを把握しないで、どうして削減するということを外に向かって言えるんでしょうか。政務官、いかがですか。
奥谷大臣政務官 これは、経済と環境の両立という観点は、いわゆる環境問題というもの自体がこの三十、四十年ぐらいから始まりまして、それまではもう経済を成長させるということが人類社会の目指す大きな目標だったわけですので、それを世界的な規模で大きくこれから方向転換をしよう、歯どめをしていこう、そのような大問題の中で、まずは経済と環境の両立という、その辺からステップ・バイ・ステップで始めようというところでございますので、そのような理想論はありますが、現実的な問題と照らし合わせたときに、まず今回のこのような形が現実的な処置かな、そのような感想を持っております。
樋高委員 政務官の気持ちもすごくよくわかるんです。よくわかりますが、やはり今これだけ世界が激動する中で、そしてこういう大きなテーマについて、国民総力を挙げて、各界各層の総力を挙げてと政府は言っているわけですから、一方でしかし、それは公表もしなくてもいいし、自主的取り組みだしということであって、本当にできるのかと心配なわけであります。
 これは何で政務官と議論をさせていただいているかというと、将来の環境大臣になられる方であるという思いで私は議論させていただいているんです。これは、やはり自分たちの若い世代に将来降りかかってくる問題だから申し上げているわけでありまして、どうかひとつ腹をくくって答弁をしていただきたいんですが、次に移ります。
 第二十九条、把握及び評価の手法について、温室効果ガスの排出量も含まれるのか。なぜ今まで把握及び評価の手法が開発されてこなかったのか、今まで何でその評価とか把握をするやり方、方法が開発をそもそもされてこなかったということが私は疑問でならない。具体的な理由と、政府の、では今後それをどのように具体的に整備なさっていくおつもりか、そのスケジュールについてお話をいただきたいと思います。
奥谷大臣政務官 これまでも、把握と評価の手法というのは、事業者みずからが排出量を簡易に把握しまして取り組み状況を自己チェックできるマニュアルの作成等に努めてきたところであります。海外でもいろいろな手法がありまして、そういったものもしっかりと踏まえまして、さらなる改善を図っていきたいと思っております。
 また、今年度より、事業者や国民がみずから温室効果ガス排出量を把握、評価するためのガイドラインの策定に着手する予定でございます。
樋高委員 しっかりとお願いをいたしたいと思います。
 続きまして、大臣にお伺いをいたします。京都議定書目標達成計画につきましてであります。
 その中で、今回新しくことしに入ってからまとめられました地球温暖化対策推進大綱、新大綱の方ですけれども、これはあくまで、先ほども議論が出ておりましたが、政府部内で決定されました。法律の規定に基づく京都議定書目標達成計画については、計画の策定段階からやはり市民参加、国民参加、要するに、ただ単なるパブリックコメントをやっているからいいんだよということではなくて、本当に原案の策定段階から各界各層の方々がその会議に参加をして合意形成を目指していく、目標達成計画についてはそのことが外せないんじゃないか。
 それはなぜならば、先ほど政務官とも議論いたしましたけれども、自主的取り組みが今回の原案の政府案では主体となっているからなんです。やはり自分とは関係ないところで決められてそれを守れと言われたら、それは上から押しつけになってしまう。しかし、最初から自分が意見を言って、自分もその会議に参加をして決めたことだからやろうよということになってくるわけですね。だからこそ私は、市民参加、絶対外せないことだと思いますけれども、いかがお考えですか。
大木国務大臣 できるだけ国民各層、国民といいましてもいろいろあるわけでございまして、私ども実際に環境問題を実施していく場合には、例えば地方公共団体、都道府県もありますし市町村もありますし、それからNGOもありますし、また一般国民もあるということでございますから、今後のいろいろな計画の作成につきましては、そういった方々とできるだけ密接に意見を交換しながら進めたいと思っております。
 それではどういうふうに国民の声を聞くんだということについては、まだ具体的な計画は正直申し上げましてできていません。できていませんけれども、これはきちっとつくってまいりますので、これはだんだんに、これからこの法律を通していただきましたら、それの実施の過程におきまして、いろいろなところと、今申し上げましたようないろいろなレベルでの話し合いというのを進めてまいりたいと思っております。
樋高委員 例えば御家庭の主婦の方々とか、企業経営なさっている方々とか、学校の先生とか、地域の指導者、リーダーの方々とか、本当にやはり多くの方々の意見を吸い上げれば吸い上げるほど中身は伴ってくる。実効性が上がってくる。ここはしかし絶対外せないポイントだと私は思いますので、しっかりと具体的に、できる限りというのではなくて、最初から目標を定めて、例えば、少なくとも千人の意見は聞くんだ、それはしかもパブリックコメントのようなインターネットだけではなくて、直接地方も含めて議論をいただくんだとか、もしくは、一万人の意見の積み上げによって今回の地球温暖化対策の計画を練ったんだとむしろ環境省が堂々と、だからみんなで頑張ろうじゃないかというふうに意識を喚起するような、そのために市民参加は欠かせないと私は思いますので、しっかりとお願いをいたしたいと思います。
 それと同時に、市町村、地方公共団体での話でありますけれども、目標達成計画を勘案して、施策を総合的、計画的に実施をすることになるというふうに思いますけれども、では、いざ実際始まって、その進捗状況を国として、環境省としてどのように報告をいただき、もしくはどのように各市町村、地方公共団体の進捗状況を集約し、また、それをどのぐらいの期間、例えば一年ごとなのか半年ごとなのか、取りまとめ、また連携を図っていくおつもりなのか、方針をお話しいただきたいと思います。
大木国務大臣 先ほど申し上げましたように、いろいろなレベルでの地方の声を聞くということについて、先ほど、まだできておりませんと申し上げましたけれども、正直言って、まだその細目についてはできておりませんので、これは、法律を通していただきましたら、これからまたそれぞれの、例えば地方公共団体につきましては地方公共団体についてのまたいろいろな目標をおつくりになるわけでありますから、それについて双方から、私どもの方からもどういう状況になっていますかと聞くし、それからまた、地方公共団体の方からも私どもの方に報告をしていただくということで、双方向で随時見直しを進めてまいりたいというふうに思っております。
 そのためのまたいろいろと方策というか形というか、そういうものにつきましては目下検討中でございますので、今、こういう形でやりますというところまで申し上げられないのですけれども、これはもう早速、この法律ができましたら、むしろそれを実際に有効に活用するための対策として、そういったことも考えてまいりたいと思っております。
樋高委員 大臣、私が申し上げたのは前回の質問と違っておりまして、前回の質問は、計画をつくるときに広く一般の国民の方々の意見を集約してください、今質問させていただきましたのは、地方の公共団体、つまり例えば横浜市とか何々町とか何々村とか、そこと国との連携をどういうふうに行っていくんですかと。
 つまり、国、環境省だけで日本全国の排出削減の状況は把握できないわけです。だから地方の公共団体にお願いをいたします、連携をいたします、では、その連携を、どういうふうに進捗状況の報告をいただいて、国として、最終的に合計するわけですから、そういう連携をいかに緊密に図っていくことが重要かということを申し上げたいのですけれども、その方針、具体的なインターバルとかやり方についてお伺いしたいということであります。いかがですか。
大木国務大臣 今の御質問に直接答えになるかどうかあれでございますけれども、私どもが今考えておりますのは、議定書の目標達成計画の評価、見直しというのをだんだんにやっていかなければいかぬわけですけれども、その場合の地方公共団体の施策につきましても、地方公共団体の施策による対策の導入量というようなことで、それを分析いたしまして、その進捗状況を把握する。地方公共団体にもそういったいろいろな、例えばその施策の進行状況についての測定の能力もまた強めていただかなければいかぬわけでありますから、そういったことも頭にあるわけですけれども、そういったことも含めながら検討を加えまして、国の施策との必要な連携を図るということであります。
 要するに、どういうふうに進捗しているかというその評価、現実に動いているかどうかということを考えなければいかぬわけですから、そのためには、地方公共団体と具体的に、ただ意見ということではなくて、どういうふうに現実に動いていますかということについての情報交換、意見交換というのを進めてまいります。そういう考えであります。
樋高委員 その情報交換、意見交換、状況の集約、それは当たり前の話でありまして、そうではなくて、では具体的にこれから削減が始まりますというときに、例えばインターバルはどのぐらいで集約するのか、一年ごとなのか半年ごとなのか、具体的にそういうことをお伺いしたいのであります。いかがですか。
大木国務大臣 そういうことで、私、先ほどは、細かい点についてはまだできておりませんと申し上げましたけれども、そういったような、例示的におっしゃいましたけれども、例えばインターバルをどうするんだというようなことについては、当然に、各地方公共団体と政府のやることが一体性がなければいかぬわけでございますから、そういったものにつきましては、随時決めていくということでございます。
樋高委員 次に進みます。
 地球温暖化対策推進本部につきましてであります。
 本部長そして副本部長、どの大臣を充てるということは書かれてありますけれども、私は、この環境問題、今までももう何十回と議論する中で本当に痛感いたしますのは、やはり環境教育、環境をよくするのも悪くするのも人である。経済をよくするのも悪くするのも人である。治安をよくするのも悪くするのも人である。やはり教育に問題は行き着く。特に環境というのは、結局、小さいころ、幼少のころからを含めて、どれだけ環境についての認識を持っているかということが物すごく重要だ。だから、学校での環境教育ももちろん重要でありますけれども、学校教育以外の部分でも、環境について教育をする場を少しでも多く持っていくということが重要である。
 特に、この地球温暖化の問題は目に見えないものである。ことし、桜がちょっと早く咲いて散った、そのぐらいはわかります。あとは例えば、私はもともと小沢一郎党首の秘書でありますから、岩手県に、東北の方に住み込んでずっといろいろな勉強をしてまいったのでありますけれども、地域の方々に聞きますと、雪が積もる高さもどんどん減っていったよ、ここ三十年ぐらいでがらっと変わったよという話も聞くわけですけれども、なかなか目に見えないので実感がない。そこが一番問題でありまして、そのためにはやはり環境教育、この重要性をかんがみたときに、副本部長に文部科学大臣も入れるべきであると私は考えますけれども、いかがお考えですか。
大木国務大臣 まず最初に申し上げますけれども、副本部長ではございませんけれども、閣僚は全部、この推進本部のメンバーにはなっておるわけでございます。それでは、その中でだれが副本部長になるかというようなことで、現在は、官房長官は取りまとめの立場から、また環境大臣、それから経済産業大臣が、経済関係もありますので副本部長になっています。
 今おっしゃったように、それぞれの大臣がいろいろな意味で環境問題についてその所管事項がありますし、入っていただいて活躍していただくことは結構ですが、そうやって並べてきますと、実を言うと全部入ってしまうんですね。例えば、地方自治体との関係ということになれば、恐らく総務大臣あたりが入ってこられますでしょうし、また、いろいろと最近は、森林の問題が出てくると農水大臣というようなことになるものですから、これは、とりあえず今のような三人が副本部長ということで、あとの方々にも、随時またひとつ本部員としては積極的に参加していただく。
 常に本部員としては全部、一人残らずに閣僚が入っておりますので、また、具体的に個別の問題を議論していただくときには、あるいは必要に応じては、またそういった会合を開けばいいわけでございますので、とりあえずは、これはひとつ副本部長は三人ということにさせていただいております。
樋高委員 私は、文部科学大臣を副本部長にしてもいいのじゃないかと、役職上のことも今言いましたけれども、それよりも、中身の部分で言っているわけです。そのぐらい環境教育が大切ですよということを言いたいわけであります。
 次に進んでまいります。
 この第一ステップの、先ほどちょっと政務官とも議論いたしました自主的取り組みについてでありますが、大臣に伺います。
 第一ステップの自主的取り組みは、結局、成果が上がるのかということで、私は、先ほど来申し上げましたとおり、懸念をいたしておりますけれども、並大抵の努力では達成できない、これはもう政府案の中でもいろいろな説明の、レジュメの中にも書いてあります。
 もし成果が上がらなかったときには取り返しのつかないことになってしまう。だから、この第一ステップで効果が上がらなかった場合、最悪の事態の想定をして、第二ステップではどのような施策をイメージするのか、やはり具体的にもう考えていかなくちゃいけない。
 例えば、第一ステップで予定どおり、考えたとおりの削減効果が上がってきた、だからこのまま続ければいいやというのであれば、別に何も施す必要はないわけなんですけれども、やはり結局成果が上がらなかったよというときに、その時点で考えることももちろん重要ですけれども、前もって、つまりステップ・バイ・ステップの考え方からいきますと、二〇〇五年ですから、つまり三年後からはもう次のステップに入っていくわけでありますので、そのときの第二ステップでの施策はどのようなイメージでいらっしゃるか、具体的に伺いたいと思います。
大木国務大臣 第一ステップといっても、どこを第一ステップかというと、今の二年たったら見直すよということでは、そこから後が第二ステップということかもしれませんが、私どもとしては、今のところ、この京都議定書、とりあえずその第一期間として二〇一二年までに六%の目標を、数字を達成しようと言っているわけですから、それを対象としてまず考える。しかし、その進行状況については二年後あるいは五年後に見直すということでございますので、基本的には一二年までのことについて今この大綱をつくっているわけですけれども、それでもちろん全く手直ししないというのじゃございません。まさしく見直しということを言っているわけですから、それはだんだんに強化をしていく。
 ただ、その目標が達成できなかったらということなんですが、目標達成というのは、とりあえずは二〇〇八年から一二年が一応その評価の時期ですから、その時期までに目標達成の状況がだんだんにわかってくると思います。ですから、達成できるできないということではなくて、日本の政府としましては、とりあえずはやはり現在やっておることについて二年後、五年後に見直しをしよう、こう言っているわけですから、今やっていることを全部やり直しということではなくて、今大綱で言っておりますことは、それを着実に進めていくということであります。
 しかし、それにもかかわらず、物によっては、これは見通しよりもよくできてしまったとか、やはりうまくいかなかったとか、いろいろ出てくるわけですから、そういうものを全部総合して、言うなれば修正と申しますか手直しと申しますか、そういうことはいたしますけれども、今の、できなかったらどうということになりますと、いや、できるというつもりでやっておるわけでありますから、あれです。
 ただ、先ほどからもお話がございました、将来に向かってのいろいろな勉強をしておけ、これはよくわかるのですね。だから、経済的な手法を今から勉強しておけ、これは私もよくわかります。ですから、そういうものにつきましては勉強はいたしますけれども、今のところは、具体的な目標というのは、大綱に盛ってある数字をとにかく達成するということであります。
 それから、先ほどの、ほかの議員のお話にもございましたけれども、六%の計画をつくっていますけれども、言うなれば、まだ一種の空白になっているところがあるわけですね、まだここは書いていないという意味での空白は。そういうところはだんだんに埋めていかなきゃいかぬわけですから、それはいろいろな状況を見ながら考えていくということでございまして、そういうふうに、できなかったからその次のということは、やはりせっかく国際条約をつくって、やろうと言っているわけですから、これはもう随時というか、毎日その状況を見ながらその次のことは考えますけれども、できなかったからその次のことをという意味での対策をここで明示しろと言われますと、ちょっとそれは今の状況ではお示ししにくい、こういうことになると思います。
樋高委員 私が申し上げておりますのは、環境省さんの説明によりますと、第一ステップは二〇〇二年から二〇〇四年、第二ステップが二〇〇五年から二〇〇七年、第三ステップが二〇〇八年から二〇一二年の約束期間ですよということなんですね。つまり、この第三ステップ、議定書で申し合わせしております二〇〇八年から二〇一二年までのアベレージがマイナス六%でなくちゃいけないということは、遡及いたしまして、この第一ステップの二〇〇二年から二〇〇四年、そして二〇〇五年から二〇〇七年の第二ステップ、これは環境省さんがおっしゃっている話ですから、その時点で削減をしていくというグラフができていくわけですね。大体このぐらいの角度だと大丈夫、約束期間には削減できるよ、だけれどもこの角度だとちょっとまずいよということになってくるわけでありまして、だから、第一ステップの期間で達成できたかできないかをきちっと把握して、第二ステップ、つまり約束期間が始まる前の段階、事前の段階で、慌ててでも、ちょっと強目の施策を出してでも、ちゃんと国際的な約束が守れるように施策を講じなくちゃいけない。つまり、第二ステップのこと、二〇〇五年から二〇〇七年までの、事前の準備の段階の話を私はしているわけであります。
 二〇一〇年には達成できないということが予測されることが、もし仮に二〇〇五年の第二ステップの始まったときにわかったときにどうするかということを申し上げているのでありますが、いかがでしょうか。
    〔委員長退席、奥田委員長代理着席〕
大木国務大臣 とりあえずの目標数値というのは、二〇〇八年から一二年の、そこのところの平均数値ということが目標になっているわけですね。そこで、しかし二〇〇四年になったら、あるいはまた三年たって二〇〇七年になったら、どうも目標がうまくいかぬ、達成できないじゃないかというような議論が出てくるかもしれないというお話でございますが、これは先ほどから申し上げておりますとおりに、現在はっきり示すことのできる措置というのは書いてある。しかし、そのほかに、例えば京都議定書には京都メカニズムというようなことも書いてあるわけでありまして、こういうものは順次、必要があればだんだんにそういうものも活用していくということでありますから、今申し上げた、先ほどもちょっとお話があって、空白といいますか、まだはっきりしていないところがあるのですね。要するに、細目が明示していない部分というのがあるんですが、そういうものについては、まさしくこれから毎年毎年、全体としての進行状況も見ながら、またそういったものをどうするかということは検討していかなければならないというふうに思っております。
樋高委員 今回、地球温暖化対策ということでありますけれども、まず隗より始めろ。国もしくは地方の市役所、町役場、村役場、そこにはビルがあってCO2をどんどん排出しているわけであります。環境省さんは一生懸命取り組んでいるのもわかりますけれども、役所によっては全然無関心な方もおいでですし、先日の参考人の方々からの意見を伺いましたところ、企業の中でもセクションによって全然環境に対する取り組みが違う、ペーパーレスを一生懸命目指しているセクションもあれば、全然そうでないセクションもあるよ、そんな話でありましたけれども、やはり国の率先実行、政府の率先実行というのが欠かせない。
 やはり、自分が一生懸命やるから、おまえらもついてこいよと。おまえらと言ったら怒られちゃうかもしれませんけれども、企業の方々、市民の方々、庶民の方々、国民の皆様方が、おっ、では国はそこまで頑張っているのか、本当にあの役所に行っても、いつも電気が消えていて大変だけれども、トイレを出るときには必ず電気を消さないとえらい怒られるけれども、でもそこまでやっているんだったら、我が家でも家の電気をなるべく消そうじゃないかというふうになってくるものだと思うんですよね。やはり信頼関係が重要である。
 そんな中にあって、やはり私はこの法律案を見まするときに、国の、もしくは地方公共団体の取り組みをもっと強くしてもいいんじゃないか。強くするというか、もう少しきちっと計画を立てて、それをきちっとオープンにして、そしてその成果を皆様方にお知らせする、そしてみずから見本を見せるということが、もっともっとこの法案の中に盛り込まれるべきというふうに私は痛感したんですけれども、大臣、いかがお考えになりますか。
    〔奥田委員長代理退席、委員長着席〕
大木国務大臣 まず隗より始めるということで、どこまで法案にみずからのことを書くかというのもあれですが、ここの法案には細かく書いてございませんけれども、最近は、公用車は全部低公害車に切りかえる、これはたしかもう三年で完成いたします。それから、もっとグリーン調達を拡充しろというようなことで具体的にやっておりますから、ぼつぼつと言うと言葉が悪いんですけれども、これから着実にまたひとつそういうものを広げてまいりたいと思っております。
 それから、企業の方、最近は企業も、少なくとも大きな企業ですと、全部環境担当重役というのを、常務とか専務とか、相当高いレベルで置かれまして、本当に熱心に取り組んでおられますので、そういった機運というのは非常に着実にというか急速に進んでおると私は思いますので、そういった方々とも協力し、それから地方公共団体につきましても、最近も私、随分いろいろな知事さんや何かの御訪問を受けておるんですけれども、それぞれに自分のところの地域の特色も生かしながら、いろいろな環境問題について取り組んでおられるということでございますので、決して非常にみんな国民が冷淡だというふうに私は思っておりません。むしろ非常に最近は勇気づけられておりますので、まず政府がやれということについては、もちろんそのとおりでございますので、具体的にまた詰めてまいりますけれども、地方におきましても、あるいは民間におきましても、むしろそういう機運が非常に着実に進んでおるというふうに私は受け取っております。
樋高委員 やはり自分が一生懸命頑張るからということをお示しすることは、私、物すごく重要なことだと思いますので、ひとつしっかりとお願いをいたしたいと思います。
 例えば、国会周辺でも、アイドリングをストップしましょうなんて書いてありますけれども、本当にみんなアイドリングストップしているのかなと私本当に疑問でならないわけでありますけれども、それも、ポスターとかああいう看板を掲げているだけではなくて、本当に実効性が上がるにはどうしたらいいかという中身の部分について、しっかりと精査をして取り組んでいただきたいというのが、私からの本当に強い要望であります。
 そして、統計データ、排出削減統計データの集積についてちょっと伺いたいと思います。
 各省間の共有を行い、つまり、CO2排出削減どの程度できましたかということをそれぞれ集計し、そして公表の迅速化の必要性についてどういうふうに考えているのか。要するに、今現在、まとめるのに一年から二年かかっているんですよ。一年から二年、仮に長く考えて、これだけ削減しましたよということが、結果がわかるのが二年後だったら、もう遅過ぎるんですね。
 今のシステム、今の状況、今のやり方では、一年から二年もかかるということでは、とてもとても六%削減なんてできない。削減できたかどうかもわからないし、できなかったのかどうかもわからないということを私はすごく疑問であり、懸念をいたすわけであります。いわゆる温暖化対策にかかわる各種情報を迅速に収集、解析するシステムの整備、確立、これが必要であると思いますけれども、いかがお考えになりますか。
大木国務大臣 いろいろなデータが何でこんなにおくれるんだということは私もいつも感じておるところなんですが、正直申し上げまして、まだ、現在の各省庁と協力しながらというか協力を得ながら、最終的に私の方でまとめるということになりますと、大ざっぱにいきまして、各省庁で集めていただくのに一年ぐらいかかって、それからそれを取りまとめて、きちっと整合性のある全体としてのデータにするまでに、これは平均的な話をしていますけれども、結局一年半ぐらいかかるんじゃないかというようなことで、これではやはりいろいろな対策を進めるのに十分じゃないということは非常に痛感いたしますので、これからまたどういう手法でそれをもっと早くできるかというようなことは、それは国際的にも、よそに比べて全部遅いじゃないかというようなことも含めて、これからひとつできるだけ早く新しいデータがそろうように努力をしたいと思っております。
樋高委員 大臣、努力するのは当たり前でありまして、では、例えば今、現実問題として、平均すると約一年半ぐらい私はかかっていると思うんです、実際、データ。やはり一年半ぐらいかかるわけですが、これの集約、もちろん今度大変だと思います。全国津々浦々全部いろいろな、自主的に公表してくれる企業もあれば、そうでない企業もあったり、地方自治体によっても、例えば首長さんの意思によって全然判断が違ったり、どこまでオープンにするかというのもなかなか把握し切れなかったのを、環境省が全部取りまとめをしなくちゃいけない、責任を持ってやらなくちゃいけないということですけれども、これは具体的に大臣、どのぐらいまでに、それならば、今約束はできないということであるならば、では、今現実問題、取りまとめるのに一年半かかっております。どのぐらいの期間以内でまとめるのが適切であるというふうにお考えになりますか。
大木国務大臣 それはできるだけ早くということになるんですけれども、私は、役所というところは、資料とか統計を持ってこいと言うと、余り中途のものを持ってきちゃいかぬというようなことで、非常に完璧なものを持ってこようとすると、これは非常に時間がかかるわけですけれども、やはり目的に応じまして、ある程度中間的な数字でも、大体の幅があるものを持ってこいとか、いろいろなことがあると思いますので、その辺の具体的な問題に応じて、やはりできるだけ資料というものは早く、それで、間に合って、それが使えなきゃ意味ないわけです。もう何年も前のやつで、資料がただあるというだけじゃ、山積みになっているだけになりますから。
 だからその辺は、一年半をそれじゃおまえどれだけ短くするかと言われるとちょっと困るんですけれども、そういったことで、少なくとも目的別に、資料はできるだけ早く、そしてまた、仮に最終的なものが出なくても、中間的なものを出しても、それが役立つものであれば、そういうこともあり得るということでございますので、そういったことを含めて頑張りたいと思っております。
樋高委員 大臣、お答えになっておりません。別に具体的に約束してくれと言っているわけではないんです。そうではなくて、どのくらいの期間で情報を集約するのが望ましいと思いますかと言っているだけの話でありまして、速報値みたいな値でもいいと思うんですね。そんなきっちり、本当に一の位、十の位、本当に小さい数字まで集約するのではなくて、要は、スピーディーに行政も対応しなくちゃいけないよ、ちょっと緩慢なんじゃないですかということを申し上げたいわけであります。
 最後の質問をいたします。最後に、防止活動推進員について、いわゆる強化のための措置についてであります。
 ちょっと細かい話でありますけれども、今、全国で約千四百名しか委嘱されていません。日本人口約一億三千万人のうちたったの千四百人しか今防止活動推進員がいない。全国市町村三千三百でございますから、頭数でいきますと二つの市町村で約一人という形であります。少な過ぎるのではないか。将来的には何人くらいの規模、いつまでに目指される御予定でしょうか。
大木国務大臣 これはまず、都道府県とそれからまたそれぞれの各市町村で頑張っていただくわけでありますけれども、まだ都道府県で委嘱が終わっていないところがあるんですね。終わってというか、行われていないところもあります。
 ということでありますから、現在、都道府県ではたしか二十一ぐらいしかまだ委嘱が進んでおりません。それは非常に残念なことで、決してそれで結構というわけではありませんので、全国地球温暖化防止活動推進センター等々いろいろな、そういうことをやっているものもありますから、ひとつそういったところを通じてできるだけ強化されるように、何人があったらいいんだというのは、これはもう多々ますます弁ずとしか申し上げられないんですけれども、現在、今の千八百何名というんじゃとても少なくて、非常に残念な数字でありますから、これは強力に増加させてまいりたいと思っております。
樋高委員 大臣、具体的に伺いたいのでありますが、そのお答えは次の委員会で宿題としてまた御答弁をいただきたいと思います。いつまでに何人を目指すのか、こういう単純な話なんですけれども、やはり目標はあってもいい。実現できなくてもいいんですよ。一生懸命努力して、いや、実は全国で一万人ぐらい、予算的な措置も必要でしょうけれども、そのぐらい必要なんだという環境省の気概とリーダーシップが必要である。ちょっと大きな声で申し上げて済みませんが、きょうはありがとうございました。
大石委員長 藤木洋子さん。
藤木委員 日本共産党の藤木洋子でございます。
 私は、せんだっての本会議で質問をさせていただきましたときの大臣の御答弁、これを中心にきょうはお伺いをしてまいりたいというふうに思っております。
 そこで、まず、日米首脳会談で、小泉首相が地球温暖化防止問題での米国の提案を建設的な提案と支持したことを問題にいたしました。この米国の提案は、既に来日した米国務省の上級交渉官が、総量削減の京都議定書の方式で計算をすると、これはもう十年後の温室効果ガス排出量は九〇年に比べて三五・五%増、こういったことになるということを明らかにした代物であります。
 EUの公式見解の声明でも、排出絶対量の増加を許し、気候変動に効果的に取り組む上で不十分だと指摘をしておりますし、京都議定書の削減義務との乖離がはっきりしているわけですから、評価するというような態度は改めて、英国のように米国提案に抗議をして、京都議定書に立ち返るよう米国に働きかけることこそ必要であろう、このように私は思っております。
 そこで、大臣に伺ったところ、内容については百点であると言っているわけではない、御答弁、そうでしたね。そして、百点ではないんだ、その後随時強く申し入れておるところだというような御答弁でございました。
 そこで、三月五日に行われた第二回の気候変動に関する日米政府間ハイレベル協議でも大木大臣は、米国の気候変動政策発表は、米国の気候変動問題に対する真剣な姿勢を示すものと受けとめているが、京都議定書に基づく我が国の取り組みも念頭に、一層の取り組みの強化を強く期待することを米国側に伝えた、このように伺っております。
 また、三月十二日のG8環境大臣会合での米国環境保護庁長官との会談でも、温暖化対策は世界的な対策に基づき取り組むことが重要であり、京都議定書に対する立場を含め、対策の強化の見直しを要請すると発言されたというふうに伺っております。
 こうした各所でおっしゃっている発言というものが、EUの公式見解の声明にある、排出絶対量の増加を許し、気候変動に効果的に取り組む上でアメリカの提案は不十分である、そういうレベルの対策の強化の見直しを求めておっしゃったことなのかどうなのか、その点をお伺いしたいと思います。
大木国務大臣 私も、今おっしゃいました日米ハイレベル協議あるいはG8の環境大臣会議でも、アメリカのこの新しい提案というものは、排出量が今のところ減少ではなくて増加しているということを言っているわけですから、それは非常に不十分であって遺憾であるということを言っております。
藤木委員 それではちょっと私の聞いたことにお答えになっていないですね。不十分ではなくて、逆行しているというふうに私は申し上げたいと思うんですね。
 さらに、三月二十三日付の朝日新聞のインタビューで、経団連の今井会長は、仮に批准しても、温室効果ガス削減の目標値が達成できなかった場合に罰則を受けるということに関して、「「法的拘束力」をもたせてはいけない。罰則をともなうようなことになれば、議定書から脱退するという権利を留保すべきだ」、このように述べております。
 こうした問題は、京都議定書の批准承認案の閣議決定に当たっても政府・与党内からも意見が出され、政府は保守党に対して、目標を達成できなかった場合の措置に対する法的拘束力導入には反対するなどと回答したと報道されております。しかし、京都議定書の数値目標には法的な拘束力があって、守れなかった場合の措置も既に決定をしております。ですから、目標は守らなければならないものであります。
 ですから、実際にこのような回答が行われて、遵守制度に法的拘束力を持たせなければ数値目標を守らなくてもよいのだというふうに判断をしていらっしゃるのかどうか。いかがでございますか。
大木国務大臣 今の今井会長のお話は、これは経団連の方の一つの、非常にきついんだろうということをああいう言い方でされたと思いますが、これはよそさんの話でございますので、それについて直接に私もコメントはいたしませんけれども、今の守れなかったらどうだという話は、実はこの問題については、守れなかったら、それで守れなかったから守れなかったのが悪いということじゃなくて、それはやはり何らかの、守れなかった場合に、それに対する責任と申しますか、それをどれだけ守らなかったということについて、それじゃどれだけ将来の問題も含めて調整措置をするかということは議題になっています。
 ただ、これは最終的にはどういう形式でそれを実施するかということはまだ決まっていません。ですから、これは恐らくCOP8以降の議題になると思いますけれども、現在では、守らなかった者についてはやはり何らかの措置をしなきゃ、これは法的な義務と片っ方で言っているのに、片っ方では守らなかったら何もやらなくてもいいというのでは話にならないわけですから、そういったことが議題になりまして、ですから、今決まっているとおっしゃいましたけれども、最終的には必ずしもまだ決まっていないんです。
 何か、例えば六%と言ったのに三%しかしなかったといったらば、三%差があるじゃないか、それについてどういう調整措置をするんだというようなこと、あるいは、それは罰則というとちょっと広がるかもしれませんけれども、そういったようなことも議論はされておりますけれども、最終的にどういうふうに今の守れなかった場合の措置をするかということについては、まだ最終的に決まっておりません。しかし、これは、やはり法的義務だよと言っておる以上は、最終的に形式をセットで何らかの措置を決めなければならないというふうに考えております。
藤木委員 私は数値目標を守らなくてもよいと判断しておられるのかと伺ったわけで、今いろいろいろいろおっしゃいましたけれども、守らなければならないものだということは、そのとおりじゃないでしょうか。いかがですか。
大木国務大臣 そのとおりであります。
藤木委員 次に、改正案の「目的」では「京都議定書の的確かつ円滑な実施を確保する」としていながら、京都議定書の六%削減目標達成に向けた担保法としての必要な規制措置が盛り込まれていないことも先日問題にいたしました。これに対して大臣は、まず第一ステップとしては、事業者の自主的な取り組みをやってもらう、その上でまた一つ、その結果を見て必要なことを考えたい、このように御答弁されました。
 それでは、二〇〇四年や二〇〇七年に見直し期間というのがありますよね、ここで排出量がふえて、抜本的な措置をとらざるを得なくなるのはもう明らかだというふうに私は思うわけです。国際的な公約の実現は困難になるのではないかという懸念がございます。
 既に欧州では、京都議定書の八%削減目標達成のために、昨年の十月に欧州委員会指令案を発表しております。
 さらに、東京都では、ことしの三月に発表した地球温暖化対策グリーンペーパーで、国においては、企業との温室効果ガス削減協定や環境税、排出量取引など、欧州各国で具体化されている実効性のある温室効果抑制案は導入が先送りされようとしていますと政府の姿勢を批判して、五つの政策提案と七つのアクションを掲げた都独自の温暖化阻止東京作戦というのを開始すると宣言をしております。
 ですから、国としても、京都議定書六%削減目標達成の国際公約を履行するためには、第一ステップから、EUがとっているような、また東京都がとっているような実効性のある制度を盛り込むべきではなかろうか、このように思うのですが、改めて御答弁をお願いいたします。
大木国務大臣 どういう措置が実効性があるかということになりますと、実効性とは何ぞやということで、何か非常に規則をつくって、それを守らなかったらすぐに罰則だというようなのが全部実効性かというのは、必ずしも私は、この地球温暖化問題というのは、やはり国民が全部、それぞれお一人お一人がその重要性を認めて協力していただかなきゃいかぬわけでありますし、企業の方もそのとおりでありますから、私としては、今のところ、東京都でいろいろとやっておられることは十分承知しておりますし、また、よその、EUがいろいろとやっていることも十分承知しておりますけれども、少なくとも我が国におきましては、今あるような、例えば自主的な取り組みということも含めてまずはスタートするということで、しかし、その第一段階、第二段階やってみて、それは非常に不十分だということがあれば、それをどういうふうに強化するかということは、これはもちろんこれから考えるべき問題であります。
 それから、先ほどもちょっとお話しいたしましたけれども、京都メカニズムというようなことをいろいろと、まだ十分にこれはどういうふうにしてやるかということは、むしろこれから検討しなきゃいけない問題でありますけれども、今まで既に決めておるような国内措置だけでなくて、必要に応じまして、よその諸外国とも協力しながら行うというようなことも含めて、京都メカニズムというようなことも、順次それは状況を見ながら検討をしていかなければならない。
 それからまた、先ほどもお話が出ましたけれども、国内でいろいろな経済的な措置というものもありますから、これもまたやはり実際の進行状況を見ながら検討していかなければならないというふうに思っております。
藤木委員 東京都の政策提案の具体例といたしまして、エネルギー使用量が多い都内約一千事業所に二酸化炭素排出量の把握や抑制などを求める地球温暖化計画書を作成する、そういう制度を創設するということになっておりますし、計画書の公表を義務づけているという点で、東京都は国よりも踏み込んでいるというふうに私は思いますよ。
 国も、七月に中環審が公表した答申の中間取りまとめでは、事業所単位で排出量を把握、公表する制度を提唱して、目標達成のために、事業者と国による協定の締結といったようなことが示されていたわけですよね。さきに挙げた経団連の今井会長も、説得力や透明性に欠けるんだったら監視のために第三者を入れてもいいとさえ述べておられるわけです。大臣も、先日の私の質問に対する御答弁で、取り組み内容を、できるだけ透明性、信頼性、そして実効性を確保しながらというふうにお述べになっていらっしゃるわけです。
 だから、国としても、国内対策として事業所ごとの温暖化ガス排出量報告と削減計画を義務づける必要があると考えますけれども、少なくとも、そこまでもし至らなかったとしても、この間の参考人質疑のときにも、産業側は第三者機関のことについてはかなり細かいところまで検討しておられる様子でした。ですから、経団連の自主的取り組みに対する第三者機関の検証というのを盛り込んで国際公約を履行すべきであろうというふうに思いますけれども、いかがですか。
大木国務大臣 今、経団連、経団連が少し組織がえもあるようでございますけれども、いずれにいたしましても、経団連ないしはその後継となります団体が企業の総まとめ役として、自主的にというのはただ自主的に各企業が勝手に自主的ということでなくて、それをきちっと、やはり自主的な結果がきちっと出ておるかというようなことを調査するシステムというのもつくりたいということは、今おっしゃったとおりであります。
 そういうことで、私どももそういうふうに承知しておりますので、その実効性をまさしく見きわめたいと思いますし、またそれが不十分であるということになれば、それはまたその時点でいろいろとお話をしたいと思っておりますが、今のところは経団連ないしはその後継になります団体が、そういうことはきちっとやっていくということを言っておられます。それから、先ほども申し上げましたけれども、各企業でも非常にそれぞれの企業できちっとしておられるところが多いように私も理解しておりますから、経団連としても決して全く後ろ向きということではなくて、そういった経団連全体として日本の企業というものはこういうふうにやっているよということの、またそれをみずから検査するという体制もだんだんに整ってくるんじゃないかというふうに思っております。
藤木委員 企業のどこもがやっていないということを私言っているわけじゃありませんけれども、それぞれがてんでばらばらにやっているようなことで進むかということが問題なのです。
 改正案では、三月十九日に地球温暖化対策推進本部が決定をした新たな地球温暖化対策推進大綱を基礎として、京都議定書目標達成計画を策定するということになっております。私は、先日も、この大綱が当面の経済界の自主的取り組みに任せて、規制的な措置や経済的な手法などの対策を先送りしているということを本会議でも問題にしたわけです。
 新大綱では、中央環境審議会の小委員会が前の大綱の政策措置の評価を行った当時と同じように、六%削減目標の達成を法的に担保している対策というのは全体の二〇%未満、目標値を持たない対策が四〇%以上あるということも申し上げましたし、しかも、自主的取り組みを任せられている経団連は、新たな規制は日本企業の国際競争力を失わせるなどと削減目標の義務化に反対しているということも申し上げたところです。
 大臣は、自主的にやってもらうことに十分な意味がある、こう言われました。ある程度は定量的な裏づけを示した百種類を超える対策、施策のパッケージを示しているんだという御答弁でございました。
 しかし、先月一日に掲載されました朝日新聞の全国世論調査では、地球温暖化対策で産業界の省エネルギーへの取り組みが十分ではないと思っている人が六割に上っておりました。省エネは難しいという産業界の主張に対して、納得できないというのは六二%。批准反対についても、納得できないというのが同じく六二%。つまり、国民の多くは経済界の姿勢を否定的にとらえております。
 ですから、京都議定書目標達成計画の策定に当たっては、やはり経済界の自主的取り組み任せにしないで、産業界と国が削減協定を締結するなどの対策を盛り込むべきであろうということを重ねて申し上げたいと思いますが、大臣、いかがですか。
大木国務大臣 その自主的ないろいろな作業というものが本当にきちっと行われるかどうかというのは、やはりそのやっている人が自分で自主的と言ってそれで終わりというんじゃだめでありますから、自主的であれ、やっておられることが、透明性あるいは客観性とでもいいますか、現実にきちっと行われているということの第三者評価というようなことも必要だと思うのです。
 これは、先ほどもちょっとおっしゃいましたけれども、経団連自体も、今第三者機関による認証とか登録だとかいろいろなことを検討しておられますから、差し当たり私どもとしては、そういったものがきちっと行われるかどうかということを見守ってまいりたいというふうに考えております。
 経団連と協定ということになりますと、またいろいろと、いやそんな協定嫌だといって非常に後ろ向きのものになったらかえってマイナスだというようなことも、実は私そういう感じもしますので、むしろ、それはせっかく透明性、客観性を持った自主的な行動というのをやる、こう言っておられるものですから、少なくとも今の段階ではそれをひとつしっかりとやってくださいということで見守ってまいりたいというふうに考えております。
藤木委員 環境改善のためにこの議定書を京都でつくり上げるということに努力されてこられた大臣にしては、産業界との協定が成り立たないんじゃないかというような、そういう自信のなさでは困りますね。もっと自信を持って取り組んでいただかなければならないというふうに思います。
 新大綱では、エネルギー部門から発生する二酸化炭素について、二〇一〇年の削減率として、産業がマイナス七%、民生がマイナス二%、運輸はプラス一七%までとすると各部門の数字を出していますけれども、これまでの政策の不十分さをきちんと検証した上でこれが出されたとは到底考えられないということも、せんだって指摘したところです。
 しかも、部門別の二酸化炭素削減量について、産業界が削減量の割り当てにつながる数値目標の設定に反対しているということから、排出削減目標量は拘束力のない目安として設定していることをも挙げたところです。
 大臣は、目安であることを認めながら、エネルギー起源のCO2全体としては九〇年度と同水準に抑制する政府としての目標を持っているという御答弁でございました。これは、産業部門のマイナス七%削減目標量も含めたエネルギー起源のCO2全体の目標のことですから、マイナス七%が目安でよいということになるというようなことは絶対にあり得ないと思うわけです。それは、それも目標を入れて決めているわけですから。しかし、経団連は、マイナス七%という削減目標量の数値明示には不快感を示しておりまして、排出を九〇年水準以下にとどめる従来の自主目標を堅持するという姿勢を明確にしております。
 こうした産業界の意向に沿って目安だということを認めるならば、産業部門がマイナス七%を削減しない場合も出てまいりますが、そのときは六%の削減目標の達成は不確実になるというふうに思います。いかがでしょう。
大木国務大臣 今の産業部門におけるエネルギー起源の二酸化炭素の七%分の削減ということは、数字として七%というのは出ているわけですけれども、これは基準年総排出量との比較でいいますと二・八%ぐらいになると思うのですが、これは、もちろんその六%を達成するための非常に重要な大きな部分であります。
 しかし、それは、先ほども申し上げておりますとおりに、今の計画というのはいろいろなところでまだ完全に細かく詰めていないところがあるわけです。ですから、それはそういうものも含めて全体として達成しようという、だからこそその計画をつくったから当面はそれでよしということではなくて、できるだけ二年たったら、あるいは五年たったらそこで見直して、それぞれについて今のままでいいかどうかということも議論しようということでございますから、これは決して何か産業部門のところだけの七%がふわふわしているから全体がふわふわということではなくて、それぞれについていろいろな問題があります、これは。
 ですから、今の時点で一応目標ではきちっと出している、目標としては数字を挙げているところと、それから目標として具体的な方策というのが書いていない部分もあるわけですけれども、しかし全体としては六%に向かってその推進状況というのを見ながらこれからひとつ進めていこうということでございますので、これは何か一部分が非常にふわふわだから全体がふわふわじゃないかというのは、ちょっとそういうふうには私どもは考えておりません。
藤木委員 各部門別に一応数字を出していらっしゃるわけですね。全体として六%を達成すればいいのだ、だから産業部門が目安で、ほかでもっとたくさん削減してくれたらいいというふうな御意向に聞こえてなりませんでした。
 さらに、エネルギー供給では、地球温暖化対策に位置づけた原発を二〇一〇年までに十三基も新設するという前提で、原発の発電量を現在から約三割増加させるということをも問題にいたしました。経団連の今井会長に至っては、原子力発電所がCO2削減の最大の切り札になる、京都議定書は原発を十数基ふやすことが前提になっている、原発には反対だが批准すべきだというのは矛盾している、原発をふやさない道を選ぶならCO2削減で余り厳しいことはできないとまで言っておられます。
 しかし、政府関係機関の世論調査でも、新たな原発の増設には国民の六三%が反対という意思を表明しております。欧米の主要国のほとんどが原発建設計画を持たずに、プルトニウム循環方式からも撤退をして、むしろ寿命が来た原発は廃棄するという方向をも、私、挙げたところでございます。
 大臣は御答弁で、安全性について国民の理解が十分に得られていないということはお認めになりながら、地球温暖化対策の観点からも原発は重要な電源であると述べておられます。
 しかし、原子力発電所で発電をした後の放射性廃棄物処分や、それから発電所の撤去、核燃料の再処理などのいわゆるバックエンド、この費用が、電気事業連合会による初めての長期試算が出ましたけれども、それによりますと、二〇四五年までに全国で約三十兆円に上るということが明らかになっております。これまで電力業界は、政府とともに、原発の発電コストは安いというPRをしてまいりましたけれども、後処理に巨額のコストがかかるというわけですから、この試算結果というのは矛盾であろうと思うわけですね。
 ですから、原発の安全性も確立されていないもとで、環境破壊の面でも、また後処理で巨額のコストがかかるという面でも、原発を温暖化対策の中核に位置づけるということは抜本的に見直すべきだということを重ねて申し上げたいと思いますが、いかがでしょうか。
大木国務大臣 私は、原子力発電が、原子力がCO2を排出しないという意味でのクリーンなエネルギーだということは、藤木議員も別に反対じゃないと思うんですけれども、しかし、あくまで安全性の問題があるということで、いろいろと国民の間にも議論があることは十分承知しております。
 ただ、現実に今日本の発電のうちの三〇%ぐらいでしょうかは原子力発電をやっているわけですから、これをきょうからやめろという、さすがにそういう御議論は国民の間の大勢にはなっておりませんし、政府としても、それにかわるものがすぐにないという時点では、やはり原子力発電というものは維持していかなきゃいかぬ。それはいつまでどういう規模でやるかということはいろいろ議論があるところだと思いますけれども、どこの国でも、今おっしゃいましたヨーロッパでも、例えばフランスなどは日本以上に多くのパーセンテージを原子力発電でやっているとたしか記憶しておりますし、そのほかの国でもすぐにやめたという国はないわけでありますから、それはやはり安全性を高めながら将来はどうしていくかということを議論していくということではないかと思っております。
 そういうことで、原子力発電につきましては、私どももいろいろと、各国の大臣レベルでの議論でもそれは確かに出てきますけれども、今のところは、まずは安全性をきちっと高めるということにひとつ非常な努力をして、その上で将来はまたどうしようかということ。
 それから、原子力発電につきましても、いろいろと科学技術の発達によりまして、現在のような原子力発電がいいのか、いろいろと新しい方式というのが議論されているようでございますから、そういうことになればさらに安全性はふえるんじゃないかというような議論もありますから、これはやはり、私は、頭からイエス・オア・ノーということではなくて、現実の状況を見ながら、しかし安全性については努力するということではないかというふうに考えております。
藤木委員 さらに、現行法での地球温暖化対策に関する基本方針では、「第五に、原子力の開発利用については、原子力基本法等に基づき、放射性廃棄物の処理処分対策等を充実させつつ、安全性の確保を前提として、国民的議論を行い、国民の理解を得つつ進める。」となっております。
 しかし、政府の大綱では、先ほども述べましたけれども、「今後、二〇一〇年度までの間に原子力発電電力量を二〇〇〇年度と比較して約三割増加することを目指した原子力発電所の新増設が必要である。」と明記して、追加対策として「核燃料サイクル施設等の立地に係る電源立地地域振興策の推進」などを盛り込んでいるわけです。
 しかし、再処理で取り出したプルトニウムを使ったMOX燃料を通常の原発で使ういわゆるプルサーマル計画というのは、各地で国民の厳しい批判を浴びております。ですから、新大綱を基礎とする京都議定書目標達成計画では、そのような国民から厳しい批判を浴びている原発についての記述はやめるべきであろうと思いますが、どうですか。
大木国務大臣 先ほども申し上げましたように、現実に日本の発電の三〇%前後が原子力発電で行われておるということ、それからまた、今すぐにこれにかわるそれだけの規模の発電を非常にクリーンなエネルギーでできるかというと、これもなかなか具体的には挙がってこないという状況でありますから、私は、やはり原子力というものについてもきちっと、政府としてはこういうふうに考えているということは、むしろはっきりと正直に示すことが必要じゃないかというふうに考えております。
 それはいろいろ御議論はあると思います。今のいろいろ、例えばプルサーマル方式がいいのか何方式がいいのかということは、これはまた各論の問題でありますけれども、私は、原子力のことを全然言及せずに、しかし現実にはそれを使ってやっておるということよりは、むしろ現実にはこれだけは原子力に依存しておりますということをきちっと御説明するのが、情報の公開と申しますか、そういう意味からも妥当ではないかというふうに思っております。
藤木委員 私はむしろ、現在一%台の供給にとどまっている風力、太陽光などの自然エネルギーにこそ、もっともっと力を注ぐべきではないかということをもこの間指摘いたしました。
 ことし一月のOECD環境政策委員会で承認された我が国の環境保全成果審査報告書での気候変動に関する勧告が出ましたけれども、ここでも再生可能エネルギーの開発利用を促進することが強調されておりますね。
 ドイツでは、風力の発電能力が八百七十万キロワットを突破いたしまして、全電力需要の三・五%を賄うということも可能になっております。エネルギーの研究開発支出に占める再生可能エネルギーの割合も、日本の場合、国際エネルギー機関加盟国の平均の四割という低さです。そして、自然エネルギーの普及のために、ドイツでは、市民が太陽光発電で起こした余剰電力を電力会社が市場価格に上乗せをして買い取るという制度が認められていることをも申し上げたところです。
 これは経産大臣に伺った質問でしたけれども、平沼経済産業大臣は、ドイツの固定価格買い取り制度が量的には非常に大きい成果を上げているということをお認めになりながら、総合的に勘案して再生可能エネルギー導入基準制度がふさわしい、こう言われて、電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法案、RPS法を提出したんだという御答弁をされました。
 しかし、廃棄物発電を促進するだけの政府のRPS法では、新大綱の目標量を到底実現できるとは私には思えません。
 そこで、自然エネルギーの普及拡大には、やはり実効性の高いドイツ式の固定価格買い取り型の法律を導入するという必要があるのではないかと思いますが、きょうは、環境大臣にこのことをお伺いしたいと思います。
大木国務大臣 風力だとか太陽エネルギーとか、いろいろとそういった自然のエネルギーの活用によってできるだけクリーンな体制をひとつつくれというのは、それはよくわかるんです。
 ただ、現実には、例えば風力につきましても、日本でも、地域によりましては一つの村単位ぐらいで、風力発電で、何百軒か千軒ぐらいのおうちで、その地域だったら普通の家庭の発電には十分な電力が起こせるというようなところがありますけれども、日本全体としてはなかなかまだそこまでいかないわけでございます。
 風力では私は一番発達しているところはデンマークだと思いましたが、あそこはもう既に一五%でしたか二〇%ですか、それくらいの目標を立てましてやっておりますし、それからまた、そういう風力を大いに活用できるような自然状況もあるというようなことでありますし、ドイツも非常に努力をしておるということは十分承知していますけれども、まだ当分、少なくともここ五年とか十年というスパンの中で考えますと、やはり日本の風力なりあるいは太陽エネルギーでは一%になるとかならぬとかというような程度のことでありまして、なかなかこれだけに依存してということは無理じゃないかというふうに考えております。
 ただ、風力につきましても、例えば風力発電の装置が科学技術の進歩によりまして非常によくなりましたから、効率がよくなったというようなことはあります。ただ、問題は、やはり現実には、そういった効率のいい機械を取りつけるためにはコストがかかるわけでありますし、それからまた配送電の問題もありますから、余り遠い地域に送ることはどうか。
 それからまた、風力の場合なんかだと、常に一定した電力を供給できるかというような問題もありますし、いろいろと技術的な問題もあるわけですから、将来への問題としては確かに非常にいい項目ですけれども、日本の場合に、今すぐにそれだけを中心にしてエネルギー対策を進めるというのはちょっと無理じゃないかというふうに考えております。
藤木委員 制度がないから進まないわけですよね、自主性に任せていらっしゃるから。
 また、新大綱でのHFC等の代替フロンは、実際二〇〇〇年の実排出量が二六・二%も減っているにもかかわらず、もとの大綱と同じプラス二%というふうになっておりますのは、今後の大幅増を容認することになってしまいます。
 経済産業省は九日、建造物の断熱材の中に、国内だけでも三ないしは四万トン残留しているとの推計を発表しております。建造物のウレタン製の断熱材には二万九千ないしは三万六千トン、スチレン製では三千二百ないしは五千トンの禁止フロンが残留しております。
 そこで、経済産業省は、今年度、回収方法を検討するとしておりますけれども、HCFCが使われている発泡・断熱用途でHFCへシフトをしないように誘導する適切な政策をとるならばかなりの削減が可能ではないかと思いますが、いかがですか。
大木国務大臣 そのフロンガスの問題というのは、先ほどもいろいろ御議論ありましたけれども、一方におきましてはオゾン層との関連でHCFCの禁止と、片っ方ではそれに代替するHFC、これが現在のところ代替物質として出てきておるわけですけれども、これをどういうふうにこれから進めてまいるかということは、これは今非常に新しい話なものですから、通産省と話もしていますけれども、なかなかまだきちっとした答えになってきていないものですから。
 ただ、いずれにしましても、HFCでも、温暖化との関係であれば、非常に温暖化効果の数量の高い物質ですから、これはほかっておいていいということではなくて、それはきちっと管理できるということであれば管理をするということが必要だと思います。
 これは、それをどうするかということについて、非常に最近出てきてまいりまして、私ども、問題意識は持っておりますけれども、これからひとつそこら辺のところをどういうふうに使っていくか。例えば断熱材につきましては、いろいろとまた新しい炭化水素発泡というような、いろいろな新しい物質の方も開発されているというようなことを聞いておりますから、そういったものの利用がどこまできちっと促進され得るのかというようなことも含めまして、これから検討してまいりたいと思っております。
藤木委員 また、フロン類削減に関連をして、シャープだとか三菱マテリアルなど七社が共同出資して設立した家電リサイクル事業会社、関西リサイクルシステムズが、ことしの二月に、エアコンや冷蔵庫から抜き取ったフロンガスの一部、一千五百キログラムを、適正な処分を行わずに大気中に放出していたということが明らかになった事件がございましたね。
 そこで、こうした家電メーカーの違法行為が二度と再び起きないように防止対策が必要ではないかと思うのですが、大臣、いかがですか。
大木国務大臣 不適切なそういう行為があったということは十分に承知しておりまして、環境省といたしましても、これは経済産業省とも一緒にやっているわけですけれども、三月二十日付で家電リサイクル法に基づいて、関係する家電メーカーに対しては法の遵守に係る勧告処分を行い、全メーカーに対しても、また再商品化等において十分注意するようにということを通知したところであります。
 また、関西リサイクルシステムズ、これにつきまして、大阪府及び枚方市が廃棄物処理法に基づいて、たしか五月の二日付だったと思いますが、九十日間の施設停止処分などの厳格な処分も講じたところでありますし、今後もこういう事件が起こらないようにということで、家電リサイクル法及び廃棄物処理法等が関連の法律になると思いますが、そういったものをきちっと施行して、こういったことが再発しないようにきちっと処理をしてまいりたいと思っております。
藤木委員 さらに、OECDの環境政策委員会の勧告では、国内及び国際的な約束の達成のため、税、課徴金等の経済的手法の利用拡大を含むバランスのとれたポリシーミックスを組み込んだ地球温暖化対策の国内制度を構築するとしていることをも、この間の本会議で申し上げました。
 ところが、さきの新大綱では、税、課徴金等の経済的手法については、他の手法との比較を行いながら、環境保全上の効果、マクロ経済、産業競争力等国民経済に与える影響、諸外国における取り組みの現状等の論点について、さまざまな場で引き続き総合的に検討すると、環境税等の導入に産業界が強く反発しているということもあって、全く先送りしているという点も申し上げたところです。
 今井会長は、新税の導入に対して、経済活動との兼ね合いだ、経済に重い税金だと産業の空洞化が加速し雇用環境が悪化する、このように主張しております。
 大臣は、今直ちに京都議定書のために環境税を創設するということは提案しておりませんというふうに御答弁になられました。しかし、これでは、二〇〇四年あるいは二〇〇七年、いずれも計画見直しの時期ですけれども、ここで排出量がふえて抜本的な対策をとらざるを得ない、そういう措置をとらざるを得ないようなことは明らかだと思うのですね。
 ですから、今後も十分真剣に検討、勉強を進めると言って先送りするのではなくて、OECD環境政策委員会の勧告も指摘しているように、国内制度を構築するためには排出者責任を明確にした環境対策税の創設が必要であろうと思いますが、いかがでしょうか。
大木国務大臣 京都議定書の目標達成のために、いろいろと経済的な措置、経済的な手法というのが当然考えられるわけでございますけれども、その一つとして、確かに環境税というのが、むしろ直接に温暖化ガスの排出を抑制する、そういう抑制的な措置というのもありますし、それから、先ほども申し上げましたけれども、片やむしろ新しいクリーンなエネルギーの開発とか、あるいは、いろいろな環境を保全するための措置についての、それを促進、インセンティブをさらに強めるための措置というようなこともあるわけですから、それは両々バランスをとって考えませんと、ただ税金だけ取ってふやすというのでは、なかなかこれは通りにくいわけです、正直申し上げまして。
 ですから、やはりそういった促進措置と抑制措置とを経済的な手法でどういうふうにやるかということは、これはなかなか議論が多いものですから、相当時間がかかっておりますし、また財界と申しますか、各企業なりいろいろな各セクターの企業の中でも、非常に反対が強いところとか、いや、やってもいいんじゃないかと、いろいろありますけれども、かなり時間のかかっていることはそのとおりでありますけれども、もういよいよこれで、この法案も今御審議いただいておりますから、それと同時に、私どもとしても、そういった経済的な手法についてはもう少し詰めた議論を、中央環境審議会なども活用しながら進めたいと思っております。
藤木委員 せんだっての参考人質疑のときにも、参考人の皆さんがおっしゃったことは、経団連は別ですけれども、ほかの皆さんは、自主的活動と税は矛盾しないということをはっきり述べておられました。しっかり勉強していただきたいと思います。
 次に、改正案では、地球温暖化防止活動推進員が住民に対して地球温暖化対策診断が実施できること、都道府県地球温暖化防止活動推進センターについて、その指定対象にNPO法人を加えること、それから地球温暖化対策地域協議会を設置することなど、国民の取り組みを強化するというための措置を盛り込んでおられます。
 現在までに都道府県地域推進計画を策定しているのは三十四都道府県で、地球温暖化防止活動推進センターの指定は十一道県、地球温暖化防止活動推進員の委嘱は十八道県で一千六百十一名にとどまっております。
 今回の法改正で活動の内容や指定対象を拡大することは改善になるというふうに私は思いますけれども、しかし、現状では、依然として偏った道県での活動からの克服ができていないわけですね。さらに、ただ行政、事業者、住民等から成る地球温暖化対策地域協議会を設置するだけでは、有効な活動が期待できないのではないかというふうに思うわけです。
 そこで、地域協議会を設置するのであれば、地域の実行計画の策定などに関与をするといったような有機的な活動が保障されるようにすべきではないかというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
大木国務大臣 今おっしゃいましたような、いろいろな地方で環境問題に取り組んでいただく地域協議会とかいろいろありますけれども、これは、いよいよこれで法律をつくっていただけば、さらに国内体制もきちっと整備しなきゃいかぬと思っております。
 ただ、今おっしゃいましたように、まだ全県でできているかというと、できていないというようなことが多々あります。それからまた、私どもいろいろと知事さんやら市長さんとお話をしておっても、相当温度差があるんですね、こういう問題について。やはり地域によりまして、ぜひひとつ環境問題というのを中心にしてこれからいろいろと施策を進めていこうというところと、いや、今環境問題についてはちょっとやりにくいなとおっしゃる方もいろいろあります。
 しかし、せっかくこうやって法律を今つくり上げて御審議していただいておりますから、ひとつできたところでもう一度各地域との、知事さん、都道府県も、あるいは市町村ともしっかりと話をいたしまして、具体的に今のような協議会とか、それからまたその運用についても、前向きの検討をまたひとつ進めさせていただきたいと思っています。
藤木委員 また、改正案では、森林等による吸収作用の保全を盛り込んでいますけれども、森林吸収は国際的に無条件で一千三百万炭素トン、三・九%と認められたわけでもありません。にもかかわらず、根拠を示さずに新大綱にもマイナス三・九%としておりまして、法案でも目標達成のために森林整備による吸収源を拡大することは問題だと私は指摘をさせていただいたわけです。これまで政府は、全森林の純吸収量がマイナス三・七%としてきましたけれども、いつの間にか、森林全体の七割の森林増加量を吸収に換算したら確保できる量になったということも挙げたところです。
 大臣は、一応ある程度の資料を持った上で、日本政府としては三・九%という数字を今六%の中で実行しようという目標にしているというふうに御答弁をされました。しかし、森林・林業基本計画での森林整備や緑地の保全をしても三・九%の吸収量が確保されるなどという科学的根拠は全くありません。
 このような不確かな森林吸収に依存するのではなくて、エネルギー起源での削減対策に力を入れるべきだと思うのですが、改めていかがでしょうか。
大木国務大臣 新大綱で、現行対策を進めた場合には、二〇一〇年に九〇年比プラス七%増になるというふうに見込んでいまして、マイナス六%までには、七と六で合計一三%分の追加的な排出削減が必要になる。それで、その一三%のうちの計算上は三・九%は森林吸収で実現しよう、これは計算上のあれですが。
 そこで、それをただほかっておけば自然に三・九%できるわけではもちろんありませんので、これからそれぞれ森林対策を進めなきゃいかぬということでございまして、ちょうど今、農水省とも話をしておりまして、それについてのいろいろな具体的な対策ということをきちっとやるための取り組みも検討しておりますし、農水省と、私どもの方の副大臣やら政務官も参加していただきましたし、そういった問題について具体的に検討を早速進めるようにスタートいたしましたので、これからひとつその結果を見ていただきたいと思っております。
藤木委員 まず先に数合わせありきですから、達成できるなどというような科学的な根拠にはならないですね。
 さらに改正案では、京都メカニズムの活用を検討し、必要な措置を講ずるとしております。しかし、排出量取引などの京都メカニズムの活用は、第三回締約国会議でも環境NGOから抜け穴だと批判をされてきたものです。京都議定書でも、国内対策に対して補足的なものと規定されたことをも指摘いたしました。
 政府は、当初、もとの大綱どおり京都メカニズムでの削減目標をマイナス一・八%を見込んでおりましたけれども、財政当局が、将来国が金を出すことが前提になってしまうと反対をいたしました。そこで、できるだけ京都メカニズムの活用での財政支出を減らすように主張したと聞いております。旧大綱ではプラス・マイナス・ゼロだった民生部門の削減目標量を新大綱ではマイナス二%にしたというのは、その分を積み上げたのではないですか。
 大臣は、京都メカニズムにしろ民生にしろ、それぞれ内容を考えた上で一応の目標数値を出していると御答弁になられたわけですけれども、さきに挙げた経団連の今井会長も、今後CO2を減らせるのは民生、運輸部門だ、国民生活に削減がどこまで徹底しているのか、啓蒙するのが環境省の務めだとまで主張しておられるわけですね。
 ですから、削減目標達成のために必要以上に民生部門の削減目標量に振り向けるということには、とても国民の理解を得られないと考えますけれども、理解は得られるとお思いでしょうか。いかがですか。
大木国務大臣 今度の大綱をいろいろとつくるときに、京都メカニズムの扱いはどうだという議論があったことは確かであります。要するに、京都議定書の中には京都メカニズムのことも書いてあるし、それから、これとちょっと別ですけれども、排出権取引というのもあります。
 そういったようなものは必要に応じて使うということは、これは別に不思議でもなければだめだということでもないので、それが効果的に使われればいいわけでございますけれども、京都メカニズムについては、いろいろな国でも、それから日本側でもある程度勉強はしています。勉強はしていますけれども、今すぐにどういうふうにするかということは、どういった国がそういったものに参加してくるのか、その状況もまだはっきりしませんから、それは大体、そういった京都メカニズムだったらどこの国とやるかとか、それから、排出権取引の方は、これはすぐには出てこないので少し先の話になりますけれども、これも、もちろん論理的にはそういうものも使い得るわけですから、そういうものを使うということは、六%でほかのところでできなければそちらのものを使うということは、当然に理屈の上ではあります。
 ただしかし、京都メカニズムの方ははっきりできないから、だから民生の方をふやしたということではないので、そこの相関関係は別にそういうことじゃありませんので、民生は民生として、一応この程度のことをやろうということで決めておるわけでございます。
 京都メカニズムにつきましては、実は既に各国がそれぞれにやっておりまして、アメリカは、御存じのとおりに、むしろ国内でもいろいろなメカニズム、京都メカニズムとちょっと違うんですけれども、排出権取引に類したようないろいろな実施をしたものもありますし、それから自分たちで勉強はしておる。それから、ヨーロッパの方でもいろいろと勉強しておるということです。
 時間的にいいますと、まずは京都メカニズムというものは今から勉強しておく問題だと思いますし、それから排出権取引の方は、今のところまだ、一体どういう国が対象になり得るかということもはっきりしないわけですから、ちょっと先になりますし、京都議定書の……(発言する者あり)すぐにはしないんで、ちょっと私も今、数字は忘れましたけれども、二〇〇八年から、実際には、仮にするとしても、やろうということでございますから、これは今のところはすぐには出てこない問題でございます。
 いずれにいたしましても、今のような京都メカニズムとか排出権取引というのは非常に何か悪いやり方だとか、何か抜け穴でないかというような御議論もあるんですけれども、そうじゃなくて、やはりそういったものも、国際的な協力によって目標が、すぐに温暖化対策ができるんなら、それはそれで一つの有効な方式だと思いますから、それは十分に検討すべきだというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、国内的にできないんで、もう初めからほかのものに活路を求めるかといった、そういうことでは決してありませんので、どうぞその辺はひとつそういうふうに御理解をいただきたいと思います。
藤木委員 京都メカニズムのマイナス一・八%ですね、民生部門プラマイ・ゼロだったのが二%マイナスにしろというのは余りにも符合するので、今の話は信じかねるわけですけれども、きょうは質問をこれで終わらせていただきます。
大石委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午後零時十一分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時四十分開議
大石委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。金子哲夫君。
金子(哲)委員 社会民主党・市民連合の金子です。
 地球温暖化対策について、幾つか御質問させていただきたいと思います。
 午前中の審議の中でも、六%という言葉、数字がずっと出てくるわけですけれども、一九九〇年比マイナス六%ということで、その後のさまざまな状況を考えてみますと、現在では九〇年比七%増になっていることを考えますと、実際には一三%の削減を行わなければならないということだと思うんですね。
 それで、そういうことが本当はもっと国民に対してもアピールされなければならないと思うんですけれども、大体、その六%という数字だけがどうも前に出て、この委員会、私も今聞きましても六%ということで、あたかも六%が削減されればもう事は足りるとは言いませんけれども、そういう数字のようになっておりますけれども、実際一三%も削減をするということになれば、この約十年間の推移を見ても、プラスに増加を転換したものを一三%もマイナスにするということであれば、これはかなりの決意がないと、この実現ということは難しいと思いますけれども、最初に大臣に、その決意をまずお伺いしたいと思います。順番に入っておりませんで申しわけございませんけれども。
大木国務大臣 おっしゃるとおりに、京都議定書が一応京都会議でできたわけでございますけれども、それから最近やっとその肉づけができて、これで関係の法案も出させていただいて、今御審議をいただいておるわけでございます。
 確かに、おっしゃるとおりに、この間にも実際には、いろいろと温暖化ガスによりまして、CO2とそれからほかのガスと、それぞれいろいろな数字が出ていますけれども、全体としては、今おっしゃいましたとおりに、一九九〇年ごろに比べますと、六%ではなくてはるかにそれより高くなっているということでありますから、これを実際に六%の目標年次までに達成するためには、本当にあらゆる方策を積み重ねて懸命にやらなきゃならぬということでございますけれども、幸いにして、この法案を通していただければ、政治的にも、また実際にもそういう意気込みが出てくるわけでございますので、私どもとしても、これからぜひともその六%目標を達成するようにということで懸命に頑張ってまいります。
金子(哲)委員 今大臣がおっしゃったとおり、やらなきゃいけない課題なわけです。そして、その目標に合わせて、確かに大綱を見ても数字は合わされておりますけれども、ではそれが実際に実行可能かどうかということになれば、私は、やはりこの間の取り組みの総括について、きっちりとしなければならないと思うんです。
 これまでの温暖化対策をどのように総括されているのかということ、特に、必ずしも十分な成果が上がっていないというふうに思うんですけれども、そうした点についてどのようなことが主要な原因だというふうにお考えか、まずお聞きしたいと思います。
岡澤政府参考人 従来の大綱におきましても、削減目標と、削減のための措置というものが記載されているわけでございますけれども、具体的な導入目標というようなものを明示していないこと、それから、ある施策によってどのぐらいの量を入れればどのぐらいの量が減るという数値目標が書いていないということが大きな問題として指摘されておりました。
 今回の大綱では、それぞれの施策ごとに導入量、例えば何%とか何台普及とか、そういうような数字を入れまして、それによって何トン削減というふうなことを言っていますので、施策の進捗状況というものを評価できるような形になっています。それが従来の大綱ではそうなっていなかったということがございます。
 それからまた、その進捗状況を途中でレビューするというふうな仕組みを設けてはおりませんでしたので、計画を悪く言えばつくりっ放しみたいな形になっておりまして、進捗状況を見ながら、見られなかったところもあるわけですけれども、さらに追加的な施策をとるということをしていなかったということが、十分な効果を上げるに至らなかった原因だろうというふうに考えております。
金子(哲)委員 私は、それでは原因の究明になっていないと思うんですよ。具体的な数字の目標がなかったということではなくて、具体的にはいろいろな、皆さんがおっしゃるように、産業部門だとか民生の部門だとか運輸部門だとかおっしゃいますけれども、やはり何かの取り組みをすれば進んだところもあるし、そういう取り組みが全くほとんどできていなかったためにその目標が前進しなかったとか、そういうところの総括がないと、今言われたような、それは便法的な問題ですよね。数字を掲げていなかったとか、見直しをしなかったとかいうことではなくて、どういう努力がされて、どういう努力が不足していたかというところがはっきりしていないと、幾らそれは数字をやってみても、確かに、数字の目標があれば目標に到達しようという気持ちはあるかもわかりませんけれども、具体的な取り組み状況がどうであって、また、その取り組みが例えばできなかったとしたらなぜなのか。それは数字がなかったということでは問題にならない。
 例えば、企業の意識やそういうものがどうであったかということについては、どれぐらい分析されているんですか。
岡澤政府参考人 産業部門の取り組みにつきましては、旧大綱の段階から、企業の自主的取り組みということで、経団連の自主行動計画のような形で取り組みが進められてまいりまして、結果的に見ますと、産業部門での温室効果ガス削減への取り組みというのはそこそこ成果を上げてきているというふうに考えております。
 問題は、民生部門、運輸部門で大幅に増加したわけですけれども、民生部門については、これは強制的な施策が導入しにくいというようなこともあって、とりあえず意識啓発だ、そういう認識を持って取り組んでもらうということに力を注いだわけですけれども、残念ながら、そういう国民の意識を変えるところまでは、ライフスタイルを変えるというふうな意識を変えるところまでは至らなかったということだと思います。それからまた、運輸部門につきましては、これも強制的な仕組みを、指導的な仕組みも含めてなんですが、十分措置がとれなかったことが、物流量の増大というものがそのまま排出量の増加につながったというふうに考えています。
 今回の新大綱の中では、基本的には意識啓発によって、国民の意識によって削減していただく部分も相当ありますけれども、それと別に、こういう言い方はちょっと変かもしれませんが、意識がなくても、例えばそんなに意識しないで車に乗ったりあるいはエネルギーを使ったとしても、それが削減できるようなシステムを導入していこうということで大綱をつくっているわけでございます。
金子(哲)委員 この問題だけ追及することはできないんですけれども、例えば意識の問題などをおっしゃいましたけれども、それは今回、先ほども質問が出ましたけれども、例えば教育の問題などについて、では、どれだけ次の計画の中に盛り込まれているかというと、不十分な点があるわけですよね。そうすると、必ずしも何か今度のこの総括というものが、余り十分にやられて積まれていないんじゃないか。
 例えば私たちが見るときには、今おっしゃった産業部門とか運輸、民生とか言われますけれども、私なんかは、運輸なんかというのは、実際にはほとんどの仕事というのが産業部門と直結しているというふうに思うんですよね、区分けではそうかもわからないけれども。そうしてみると、全体としてそういう産業界、運輸界というのは、我々一般の市民から見れば同じような作業で、製品をつくれば輸送される。そうしてみると、その全体で努力がどうだったかということ。私は、今後を見るときにも、この今の分け方というのが本当にそれでいいのかということを、産業界、運輸、民生という分け方だけで、そういうくくり方だけが本当にいいのかということを実は思っているので、また次の機会にその点についても質問したいと思います。
 さて、これからステップ・バイ・ステップ、見直しをやるということになれば、その意味でももうちょっときっちりとしたその期間の取り組みの状況というもの、総括というものをきっちりとやっていただいて、次の目標を具体化するということを、何が欠陥だったかということがだれの目にも問題点が明らかになるようなやはり仕組みというもの、また総括というものをやっていただきたいということをまず要望しておきたいというふうに思います。
 今度の改正案では、本当に単純な質問なんですけれども、どれぐらい本当に進むのか。また、いろいろ先ほども言われたように、数字と取り組みが並べられておりますけれども、政府自身はどれぐらいの、政府が進める政策としては、一体、全部がそうだと言われればそうかもわかりませんけれども、そうではなくて具体的に、政府の中で具体策として、例えば施策として何かこういうことがこの大綱の中で一番重要なことだというふうに考えがあれば、ちょっとお聞かせいただきたい。これは、すべてがそうだと言われればそのとおりで、このすべての中で政府が、例えば産業部門では自主性に任せるということになっているわけですから、そういう点でいって、政府としてはどこに一番力を入れて、例えば今の市民の意識啓発とかそういうことに力を入れるのか、何に力を入れるのかということをまずお聞かせいただきたい。
岡澤政府参考人 これは、決め手があれば、ここの部分をやってこれで温暖化防止を図ります、こういうふうに言えるわけですけれども、御存じのように、これをすれば必ず改善されるというふうな決め手があるわけでございませんので、国民の意識の啓発もしながら、あるいはシステムとしての、省エネのシステムを導入するとか、あるいは省エネ的な町づくりを進めるとか、いろいろ多方面でやっていかなきゃならないというふうに考えています。
 政府の率先的な取り組みというのも重要なポイントだというふうに考えておりまして、現行法でも、政府は、率先的な取り組みについて、政府の部門の温暖化防止の取り組みについて計画を策定してこれを報告するというふうなことがあって、まだ残念ながらその部分の計画が策定されていないわけですけれども、これは今作業に着手しておりまして、そうした政府の率先的な取り組みも、京都議定書の推進のための一つの柱として掲げていきたいというふうに考えております。
金子(哲)委員 きょう、外務委員会で、この議定書の批准ということが委員会審議されたようですけれども、最初、何か本当にこの京都議定書に基づいて政策を推進しようかという決意が伝わらないような決議も準備されたと聞いております。環境省は余りかかわっていらっしゃらないようですけれども、どうも全体の中に、例えばアメリカが参加しないからどうとかいう意見がいろいろ今も根強くあるわけですけれども、政府の中に、全体として、そういう考え方についてはとにかく一掃していただかなければ、その都度そういう言葉が出てくるということについては、私は非常に疑問にまず思っておりますので、そういう意味で政府のことについてお聞きをしたわけです。
 さて、次にお聞きをしたいのは、先ほども言いましたけれども、マイナス六%の達成をする、九〇年比でやるということになれば、排出源の対策ということを積極的にやらなきゃいけないというふうに思うんです。
 まず大臣にお聞きしたいんですけれども、今回、先ほど来論議がありますように、産業界に対しては、産業界が先般の参考人の質疑でも、自主的に、さまざまな第三者機関のチェックも含めて行うということを言われておりますけれども、しかし、やはりこの目標を達成しようと思えばある程度の達成目標の義務づけというものをやらなければ、先ほど言いましたように六%ではない、一三%もの削減を進めるとすれば、そのことが全体として必要ではないかと私は思いますけれども、その点について、大臣の考え方をお聞きしたいと思います。
大木国務大臣 その六%達成、いろいろな面からの検討が必要だと思いますけれども、まず産業界との関連でいいますと、経団連が自主行動計画ということで、自主計画じゃ非常に生ぬるいじゃないかという御意見もあると思いますが、これは、せっかく経団連で自主的にやるということを言っておりますし、第三者によってその自主計画が本当にきちっと進行しているかどうかということについてもまたいろいろと調査、評価をする、こういうようなことも言っておりますから、まずはその結果を見て、それで十分でないということになれば、これも先ほどから繰り返しておりますけれども、二年たったらあるいは五年たったらということで、もっとその対策も強化しなきゃいかぬというようなことが出てくるかもしれません。
 だから、これはやはり今のところは、先般つくりました大綱に基づいて、それぞれの部門でやっていただくということであろうと思います。ですから、例えば経済団体につきましては、今申し上げたような、できるだけ公開制にしまして、やっておられることがよくわかるようにということでひとつ進めてもらいたいというふうに思っております。
 それから、先ほどもちょっとお話ございましたけれども、統計のとり方といいますか、目標をつくるにしても、例えば運輸交通というのは一体どちらの方に、産業にも関連あるじゃないか、それはそのとおりでありますね。低公害の自動車をつくるというのは、これは一体運輸なのか産業かといえば、それは両方から議論できるわけでありますから、それは別に意識的に三つの部門に分けて固定的に考えておるわけじゃないんで、これからもまたひとつ、例えば同じ運輸交通にしても、個々の自動車の低公害車をつくるということのほかに、全体としての交通システムをできるだけ温暖化との関連でも合理的なものにしてもらうというようなこともあると思います。
 ですから、いろいろな対策を組み合わせてとにかく六%まで持っていこう、こういうことでありますから、とりあえずは、最初の二年ぐらいは今言いましたようなことで進めていただいて、その上で必要なことは、さらに強化するということについてはまた考える、こういうふうにひとつお受け取りいただきたいと思います。
金子(哲)委員 経済産業省にお聞きしたいんですけれども、今大臣がそういう答弁がありましたけれども、基本的には環境省は、できれば目標をつくって、産業界にもある程度目標を設定して義務化をして、具体的にやはりちゃんとこれが実施できるようにという強い思いがあるように私は思うんですけれども、経済産業省の方の強い意向もあって、私は、きっとこれは産業界が極めて強く自主的にやるということを尊重されて、その声を強く反映された結果だと思うんです。
 経済産業省として、なぜ産業界に対して義務化ということに対して、私は義務化をした方がよりこの目標達成が可能だと思うんですけれども、なぜこれだけの地球的な規模で、しかも国がこれから最大に取り組まなければならない課題にもかかわらず、そういう自主的な努力ということに対して経済産業省として認めたというか、義務化をさせなかった理由というのはなぜですか。
大井政府参考人 お答えいたします。
 産業界でございますけれども、これまで、御承知のとおり自主行動計画ということで、みずから定めたターゲットを実行してこようということで対応してきたわけであります。その評価をしてみますと、例えば、先ほどもお話がありましたように、ここ十年ぐらいどのような伸びになっているのかということでございますけれども、産業部門につきましては、ほぼプラマイ・ゼロということで、横ばいで推移しているわけであります。
 他方、民生部門につきましては一七%強の増、それから運輸部門でありますけれども、この主たる増因は、どちらかといえばパッセンジャービークルといいますか乗用車部門でありますけれども、これが二四%程度、こういうことであります。
 私どもとしては、こういう自主的な取り組みというものがやはりかなりの成果を上げてきているというふうに評価をしているわけであります。
 それから、生産工程であるとか、もろもろの産業活動の分野で温室効果ガスの排出を減らしていくという取り組みにつきましては、やはりいろいろな創意工夫というものを生かしながらやっていく必要があるというふうに考えております。
 そういった意味で、こういう自主的な取り組みをベースとして、自主的かつ創意工夫を生かした産業界の取り組み、こういうものがうまく実効が上がっていくことによって、地球温暖化対策の解決に必要な技術の開発であるとか新しい市場の創造、こういうものにつながってくるんではないか、こういうようなことをいろいろお話をしまして、政府部内の調整の結果、こういう形になっているということでございます。
金子(哲)委員 これまでの十年間の総括をされたということだと思うんです。だから、義務化をしなくても自主目標で達成が可能だということを言われていると思うんですけれども、それに対してはやはり意見があるわけですよね。本当にできるのかということが実態上として出てくるわけです。
 では、お聞きしますけれども、今大臣がこのステップ・バイ・ステップで見直しをするというような場合に、例えばもし見直しの期間にそういう目標が達成できていない、どうも十分にいっていないというような場合には、経済産業省としても、それは次の段階では当然のごとく義務化ということについても十分検討されるということになると思うんですが、その点はどうですか。
大井政府参考人 お答えします。
 今後の対応につきましては、先般、地球温暖化対策に関する大綱が定められているわけであります。御承知のとおり、第一ステップの対策というものがそこに盛り込まれているわけでありますけれども、法律の第九条にも定められているとおり、政府としては、平成十六年、さらに平成十九年におきまして、我が国における温室効果ガスの排出、それから吸収の量の状況その他の事情を勘案して、法律に基づく京都議定書目標達成計画に定められた目標及び施策について検討を加えるということになっているわけでございます。その検討の結果に基づき、必要があるときは京都議定書目標達成計画を変更するということとしているわけであります。
金子(哲)委員 そういう順番になっていることを解説してもらうのは結構ですけれども、私が聞いているのはそういうことを聞いているわけではなくて、もし目標が達成できなかったとき、その見直しをするときに産業界に対して義務化を、義務化ということについては、経済産業省の方としても、今回は、今スタートのときは自主努力を自主目標ということで進めさせますと。しかし、それが仮に、あなたが今おっしゃったように、見直しをするときに、もしその目標が達成されていない、進捗状況が悪いというような状況が出てくれば、当然義務化を含めた次のステップに行くということになると思うんですけれども、その点についてはどうですかということをお聞きしているんです。
大井政府参考人 まず第一ステップにつきましては自主行動計画をベースとして行うということになっておりますので、私どもとしては、しかるべき時間が経過した段階で、どのような対応をとったことが効果があり、あるいはどのような対応をしたことがまた効果がなかったのかというようなことを総合的に評価をして、また、その他民生部門においては一体どうだったのか、あるいは運輸部門においてはどうだったんだろうか、そういうもろもろの総合的な判断を加えて、いわゆる条約上の義務である六%のマイナス、こういうものを達成する上で、どのような新しい対策を加えていくのがいいのかというようなことについて真摯に検討して、対応策をまとめるということになるということでございます。
金子(哲)委員 同じことを何度も繰り返してもらっても同じなんで、私が聞いているのは、その次のステップのときに、言われるように、次の対策を考えるときに、だめだったときは当然義務化ということも当たり前のこととして出るんでしょうということを言っているわけで、それを、次のステップ、検討をして次に向かうとき見直しをしますと、当たり前のことを、何度も同じことをおっしゃっているように私には聞こえるんですよ。
 私が聞きたいことは、それがもし不幸にして、努力をされたけれども十分に達成できなかった、不十分であった、このまま進んでは六%達成目標は難しいという段階に至ったときに、当然義務化ということも出てくるんですよねということをお聞きしているんで、その点についてどうかということを、私は、義務化ということも目標としてあるんですか、ないんですかということを聞いているんです。
 まず経済産業省に先に。後で大臣にお聞きしますので。
大井政府参考人 あらかじめ今の段階で義務化ということが想定されているとかいうふうにお聞きになっても、ちょっとなかなかお答えしにくいわけであります。まずは、私どもとしては、今定めようとしている対策をまず一生懸命やるというところにやはり集中していくべきであろうというふうに考えておりますし、その上で、どのような追加的な政策が必要になるかということを検討することになると思います。
大木国務大臣 二年たって、やってみたけれどもうまくいかなかったというときにどうするかというのは、確かにそれは義務化というのも一つの考えだと思いますけれども、義務化といいましても、義務化というのはなかなか難しいので、どういうふうにやるということもありますから、それがまずかなり私は技術的に問題があると思います。
 それは、考え方としては義務化ということもあるでしょうし、それから、いきなり義務化というよりは、むしろ市場メカニズムというか、経済的な措置といいますか、そういったもので、例えば午前中もいろいろ議論がございまして、何かそういう税制措置でもっと促進なりあるいは抑制なり、いろいろな効果のある税制措置はあると思います。
 そういったものもあると思いますから、そういったものをいろいろ並べてみて、その中で何が最も効果的だということは、そのうまくいかなかったことの原因と、それに対する対策ということの組み合わせですから、それは義務化ということも議論としては出てくると思いますけれども、私は、義務化というのは、本当のことを言って、別に経済産業省でなくても、これはかなり現実にやってみようとするとなかなか難しいので、これはやはりそういった経済的な措置とか、いろいろな意味での、国民全体が本当の意味で参加していただけるようなメカニズムをつくるとか、いろいろなことが組み重なってくると思いますので、義務化というのもお話はわかりますけれども、義務化だけをやるかやらぬかというお話になると、それは必ずやりますということは、これは私どもの方でもすぐには言えないわけでございます。それは、いろいろな考え方の一つとしては当然議論としては出てくると思いますが、義務化というところだけに集中されますと、ちょっとなかなかそのお答えがしにくいような気がいたしております。
金子(哲)委員 いや、私は今目標のことを言っているんですけれども、後でも質問したいと思いますが、例えば二十二条の計画の報告なども、実施状況の公表などについても、すべて努める義務なんですよね。努力義務なんですよ、全体として。
 だから、私は、とりあえず産業界のおっしゃること、そして経済産業省がおっしゃることも十分入れられてこの法案は準備されたと思うんですよ。そうであれば、そのときにそれが実行できなかったとすれば、当然それに対しては、次のステップへ行くわけですから、それが排出権取引の問題とかそういうところではなくて、国内的な処理として、産業界としての努力が、一応は産業界がおっしゃることを認めて今スタートを切ろうとしているわけですから、だからそれがそのままいけば一番いいんですよ、別にやらないということを言っているわけでもなくて。
 ただ、私たちとしては、もっとこの削減目標をきっちりと実行していくためには、一定程度産業界にもそういう義務的なものも負わせていった方が確実性があるし、着実に前進するということで言っているわけです。それが、今言うような自主努力ということに力点を置かれるのであれば、仮にやはりそれにいかなければ、次の見直しのときは二〇〇四年なわけでしょう。そうすれば、もう残りが少ないわけですよね、期間としても。だから、あえてそのことを言っているわけですよ。
 だから、国民全体としても、ではお互いが我々は自主的な努力目標で頑張ります、そういうことを言えばそれで済むのかといったら、そうでもないわけです。だから、それができなかったときには、当然のこととしてそれぐらいの覚悟はありますということが経済産業省にもあってもおかしくないんじゃないかということを言っているんですよ。その点、どうですか。
岡澤政府参考人 京都議定書の六%削減をどうやって達成するかについてはさまざまな議論がありまして、確かに、おっしゃるように、規制によって削減目標を達成するという考え方もございます。
 ただ、今回の大綱あるいは法律では、自主的取り組みを中心にしてまたやろうというふうにしているわけですね。それはなぜかというと、この取り組みというのは二〇一二年で終わるわけではなくて、これから未来永劫というのか、ずっと長期にわたって温室効果ガスの削減の努力というのを継続していかなきゃならない。そのときに、ある期間だけ強制的な取り組みをさせたとしても、どうせまた次の期間になれば、それをまたさらに強化するとかいう話にならざるを得ない。そういうものを長期に続けていく上からも、あるいは各セクターがそういうものに取り組んでいくということからも、やはりそれぞれの主体がその気になって取り組んでもらう体制ができない限りは、この温室効果ガス削減の達成というのはできないだろうということを考えているわけです。
 そのためには、確かに六%削減だけ見れば、規制を入れて六%削減をするということはできますけれども、その先まで考え、あるいは全体のバランスを考えたときには、そういうやり方はとらない方がやはり長期的に見て望ましい姿ではないか。そのために、自主的取り組みを中心に、自主的取り組みを促していく措置を政府として講じようということが大原則になっています。
 ですから、今おっしゃったように、例えば二年後の見直しの期間までに十分取り組みができなかったということであれば、財政的な措置、税制的な措置、あるいはガイドラインの導入とか、さまざまなそういう自主的取り組みを促す措置を導入するということをまず中心に考えるわけで、いきなり規制という話にはならないというふうなのが政府の統一的な考え方でございます。
金子(哲)委員 では、この問題、まだこの次がありますから、もう一回やりますけれども、今おっしゃられることでいけば、結局は目標達成できないですよ、そのぐらいの気持ちでやられるんだったら。一三%も削減するのに、今言われたような自主的なことが中心ですというような決意で進むとしたら、私は実行できないと思いますよ。
 だって、今まで実際に削減せずに伸びていっているわけでしょう、現実的に今七%も。必ずしも十分に成果を上げていないわけでしょう、今までの取り組みだって。かなりの取り組みを変更しなきゃ、私は、かなりの決意を変えて取り組みの方法も変えなきゃだめだというふうに思うんですけれども、紙に書いて、こういう法律を改正して、大綱も見直しをすればそれでできるなんというようなことは到底私は思えませんから、そのことだけとりあえず申し上げておきたいと思います。
 お呼びをしている他の省庁の方もいらっしゃるので、先にちょっと質問をさせていただきたいと思いますけれども、私は、この点についてはまたぜひ次の質問のときにさせていただきたいと思います。
 それで、今度、吸収源対策ということで、森林の吸収量を三・九%カウントしているということです。それが削減目標のクリアの大きな条件になっているわけですけれども、まず最初に、この対策、吸収源、森林の吸収量が最大の、ある意味でかなり大きな部分になっておりますけれども、基本的には排出源の対策ということが一義的であって、これは二次的な、補助的なものと考えなければならないと思うんですけれども、その辺の考え方についてまずお聞かせをいただきたいと思います。
大木国務大臣 排出を抑制するのがそもそも一番正道だといいますか、それが基本になるべきだという、お考え方としてわからないでもないんですけれども、しかし、吸収の方もそれだけの効果が、現実に本当に吸収効果があれば、やはり温暖化ガスの削減ということについては同じような効果があるわけでありますから、どこまでどういうコストがかかり、その結果どういう効果があるかという、やはり費用効果の問題もありますから、一概に排出の方がまず主であって吸収の方は従だということは、私は、それだけで押していきますとやはりなかなか難しいと思うんです。
 現実に日本の場合に、既に吸収ということは、相当これは確実にこれを考えないとなかなか六%が達成されないということも現実にあるわけでございますから、それは費用効果ということも考えながら、両々相まってやはり目標達成するというのが私は妥当な考え方じゃないかと思っております。
金子(哲)委員 この点についても意見がありますが、林野庁の方に来ていただいておりますので。
 きょう午前中にもありましたけれども、森林・林業基本法ができて、それで取り組みをされているわけですけれども、実際には、どういう根拠かは別にして、今のままでいけば三・九%というのは到底難しい、例えば二・九%ぐらいじゃないかとも言われておりますけれども、仮にこの三・九%をかなり、大臣がおっしゃったように、吸収源対策も重要だということを前提として、今森林の荒廃や高齢化とかいろいろな問題がある中で、三・九%の吸収源対策としてやろうとしたときに、これから林野庁として、森林対策、林業対策についてはどれだけ、どれぐらいの対策を立てなければ、今の基本計画だけでは不十分だと思いますけれども、その辺はどれぐらいの取り組みが必要だというふうにお考えでしょう。
米田政府参考人 御質問の件につきまして、確かに京都議定書におきまして、千三百万炭素トン・年間の、三・九%が吸収量の上限として認められておるわけでございます。この場合、この削減目標に算入し得る吸収量でございますが、一九九〇年以降に手入れ、管理などの人の活動が行われた森林の吸収量に限定されるという制約がございます。
 こうした観点からも、森林の整備、保全を積極的に進めるということで、今先生御質問のとおり、今の状況では非常に厳しいわけでございますが、大幅に下回るおそれがあるわけでございますが、ただ、昨年閣議決定された森林・林業基本計画に示された計画が、目標が達成された場合には、三・九%程度の吸収量の確保が可能というふうに我々は認識しております。
 それを具体的にどう進めるかでございますが、新しい大綱におきましても、地球温暖化防止森林吸収源十カ年対策を展開するというふうに記しておるわけでございまして、関係府省と連携を図りながら、健全な森林の整備、これは育成林中心でございます、保安林などの適切な管理、保全、国民参加の森林づくり、そして循環も考えまして、木材及び木質バイオマス利用の推進、こういうものを柱にして進めていきたい。
 その場合、具体的にというお話でございますが、ただいま具体的に内容を検討しているところでございまして、今後具体的に内容を検討した上で、十カ年対策として強力に推進するというふうに考えておる次第でございます。
金子(哲)委員 米田次長の言葉じりをとって悪いんですけれども、今バイオマスのお話が出ました。私もそれは重要だと思うんですけれども、今度新しい法律が、新エネルギー法が出たけれども、そこの中に余り評価されていませんね。重要な位置づけがされなくて、廃棄物の燃焼が重要視されている。どうも林野庁の意見というものが、森林・林業基本法の中で進めようとしている政策が、あなたのところの責任ではないんですけれども、全体として、内閣全体というか、政府全体として本当に受けとめられているかというふうに思うんですね。環境大臣、ちょっとその点についてどう思われますか。
大木国務大臣 まず、いろいろな視点からの検討というのがこの温暖化問題というのは必要で、今、例えば経済産業省ではエネルギーということを中心にしていろいろ議論しているわけであります。ですから、その中で例えばバイオマスとかいろいろなことが出てくるわけですけれども、それは決して軽視しているわけではない。ただ、これからだんだんにやっていこうという話ですから、今それを一番中心に据えていないかもしらぬけれども、従来からのエネルギーも含めて、それから新エネルギーも含めて、そういったものをずっと順番にこれからやっていこうということですから、私は、決して政府全体として軽視しているということではないので、むしろ非常に期待しておるわけでございます。
 ただ、バイオマスだとか、それから先ほどのごみの問題、要するにいろいろな廃棄物として出てくる、あるいはバイオマスの中で、これを要するにバイオマスとして新しいエネルギー源として使うことと、それからごみとして処理することと、両方あるわけですね。ですから、その辺を上手に分けていかないといけないという議論があります、これは。
 その辺になりますとまだいろいろ議論がありますけれども、私は、今バイオマスのことをおっしゃったのでバイオマスのことだけちょっと触れさせていただきますけれども、決して軽視しておるわけではございません。どうぞよろしくお願いします。
金子(哲)委員 どうも話がちょっとかみ合わないようなので。
 つまり、今度の地球温暖化対策として、吸収源として森林のことをそれだけ大切にされるのであれば、その中に林業というものがきっちりと育成されるようにしなければならない。だが現実は、荒廃していく状況で、しかも高齢化して、それは営業的に成り立たないから、なり手が、働き手がいないわけですね。
 そうすれば、そういうことの中に、林業を育成するためにもバイオマスというものが、もう答えていただかなくても結構ですけれども、例えばそういうものが次の政策の中にもっと横の連携の中で取り入れられていく、そういうふうにして初めてこの地球温暖化対策というものが進むのであって、今おっしゃられるように縦割りで、いや新エネルギーとして考えたからこうだということではなくて、では、なぜ新エネルギーの中に林業を促進するためのバイオマスというものがちゃんとした位置づけでやられていかないのか。
 そういうところを見てみると、この林業というのは、日本には森が多いからということで入れられているだけで、本当に林野庁が苦労されていることに対して全体としてフォローアップしているというふうには、林業というのはかなりの手入れをしなきゃ、てこ入れをしなきゃ、実際には進まないんじゃないですか。
 そのためには、そういう今からできてくる法律の中にも、取り入れられるべきものは、林業育成のための取り入れられる政策があってしかるべきであって、そういうところを見てみても、たまたま今同時に出ている新エネルギー法の中でも、例えばバイオマスなんか、低い位置と言ったら変ですけれども、そんなに重要視されていなくて、それを積極的に位置づけて援助していこうというような政策が出てこないところに、やはり私は必ずしも森林のことを林野庁任せでは済まないんではないかというふうに思うんですけれども、その点だけ大臣。
大木国務大臣 その点だけというお話でございますので。
 今、林業という立場からのいろいろな検討ということは私どもも十分に、産業としての林業というのをどういうふうに育てていくかというのは非常に大きなこれからの政府の政策の話ですから、それにつきましては、産業としての林業のこれからの発展ということを考えながら同時に環境問題も考えていくということで、実は、この問題につきましては、これからいよいよ次年度の予算措置等もありますから、農水省とうちの環境省と、副大臣及び政務官レベルの懇談会といいますか研究会をつくっていただきまして、林業のあり方を考えながらひとつまた温暖化の方もするということで、これは早速、次年度の予算要請にも反映するようなものをつくり上げたいと思って今努力しておりますので、どうぞよろしくお願いします。
金子(哲)委員 ぜひその点はよろしくお願いします。経済産業省の方もお見えですので、ぜひそういう視点を経済産業省のさまざまな政策の中にも取り入れていただくように強く要望しておきたいと思います。
 次に、今度の大綱の中で原子力発電の三割増を温暖化ガス削減の大きな目標のようにして取り上げられておりますけれども、三月の三十一日の朝日新聞に電気事業連合会の、いわば発電後の放射性廃棄物の処理や発電所撤去、核燃料再処理などのいわゆるバックエンドの費用として、二〇四五年まで約三十兆円に上るという数字が出ておりますけれども、その点についての、この電気事業連合会の数字については、エネルギー庁としてはどういう評価をされているんですか。
迎政府参考人 朝日新聞の報道は、バックエンドの費用を含めました原子力にかかわりまする費用につきましては、原子力発電所を設置運営している電気事業者にとっての経営上重要な課題である、したがって、当然、電気事業者において、さまざまな将来の発生費用……(金子(哲)委員「三十兆円の評価だけで結構です」と呼ぶ)これについては、したがいまして、事業者がいろいろな検討をしている過程のものが何らかの形で新聞報道に出たものというふうに承知しておりまして、私ども、この数字について報告も受けておりませんし、コメントをする立場にはないというふうに思っております。
金子(哲)委員 直接聞いていらっしゃらないかもわかりませんけれども、少なくとも、電気事業連合会がそういう検討をされて、かなり高い数字が出ているということはもう紛れもないと思うんですよね。そうしますと、今まで原子力発電が費用が安いということだけが宣伝されておりますけれども、必ずしもそうでもないということが今後予測されるというふうに思うんです。
 それで、ちょっと時間がないので聞いておきたいんですけれども、原子力発電、大臣は午前中のときにおっしゃいましたように、今依存していることは私もそのとおりだと思います。それを今一気にとめるといったり廃止をすることは当然難しいということはわかりますけれども、しかし、これから先に新増設をしてさらに依存していくのか、それとも変えていくのかというところは重要だと思うんですね。しかし、今の案では新増設ということ、さらに三割増ということになってくると思いますが、まず、環境省にお聞きをしたいんですけれども、三割増で二〇一〇年まで原子力発電は何基建設が可能だとお考えですか。
大木国務大臣 大綱の方で、一応、十一ないし十三ということを言っておりますし、また、別のところでこれからまた三割ぐらいふやすというようなことを言っておりますけれども、これは一つの計画でありまして、まさしく、これもきちっと、今おっしゃったように、それぞれの計画についてコストの計算もしなきゃいけませんから、恐らくそういったことも含めながら十一なり十三基というものが、もちろん、コストのほかに安全性が一番まず前面に出てくるわけですけれども、そういった問題も含めながら検討していくことになります。ただ、環境省としては、一応、計画の中で十一ないし十三基の計画をしております。
金子(哲)委員 それはちょっと違うんじゃないですか。環境省が把握されているのは、確かに経済産業省は、資源エネルギー庁は、これから十一基ないし十三基を目標に建設したいという強い希望をお持ちですけれども、現実的に、実際に環境省がこれから試算をしたり計算をしようとすれば、具体的な、現実的な数字でやらなきゃいけないんですけれども、その数字というのは、環境省は七基ぐらいしか算定されていないんじゃないですか。算定できないんじゃないですか。
大木国務大臣 環境省が計算しておりませんのは、原子力発電所をつくって、それで何%になるかというようなことの細かい計算はしていない。しかし、一応その目標としては十一ないし十三ということは、できればそれをひとつ可能性の中に入れて検討したいということまでは言っておるわけであります。
金子(哲)委員 そうしますと、十一ないし十三基を目標にして三割増ということを考えていらっしゃるようだったら、現実的に、今建設中のものは四基ですね。そして、これから、今計画中のものが三基でしょう。七基ですよね。そして、そのうち一基はまだ土地問題が解決していないんじゃないですか。
 そうしますと、一〇年に原子力発電の発電量三割増ということを見込んでおられますけれども、そのベースになるものは十一ないし十二基だとしたら、そもそも建設が不可能な、これも非常に各地域で地元の了解がとれないということで延びているわけですよね。そして、プルサーマル計画もストップをしているという状況の中で、そういうものが十一ないし十三ということで、可能性のない数字を今持って三割増という計画、この大綱をつくるということ自身がおかしいんじゃないですか。
大木国務大臣 今の大綱にはいろいろと数字が掲げてありまして、これはかなりかたい数字として考えておるのもあるし、それから、一応計画としてはそれだけあるけれども、現実にどういういろいろな方式が、方策があって、それをどういうふうに優先的に取り上げていくかということは、まさしくこれから検討しなきゃならぬ問題でございますから、例えば、午前中もちょっと申し上げましたけれども、京都メカニズム、諸外国との協力関係の中で実施していくというようなものもあります。
 ですから、その六%が、どれで六%やるかということは、最終的な姿が決まっていない。したがって、原子力につきましても、何%は原子力でやるということは、あえて今申し上げていないわけであります。
金子(哲)委員 それは僕はちょっと違うと思うんですよ。
 原子力発電三割増ということを見越して、旧大綱でも五割増をすると。そのとき、約二十基建設が可能だということで五割ということを出されて、どうも数が進まないということで、五割で二十基、三割になったときは、これは計算すれば十二か十三ですよね。十二か十三基なければならない。
 ところが、実際に建設は七基ぐらいしかめどが立っていない。その七基のうちの一基も、土地問題がまだ解決をしていないという状況の中で、じゃ、三割というのは全く根拠はない、具体性は乏しい数字ということになってくるんじゃないですか。いや、あなたに聞くんじゃない、環境省に聞いているんです。
岡澤政府参考人 原子力発電量の三割アップという話は、単に設置基数の増だけでカバーする話ではございませんで、原子力発電施設の運転状況とか、その他オペレーショナルな部分についても工夫をして、仮に一基とか二基とか予定していたものがおくれることがあっても、そういうオペレーショナルな部分でカバーして、全体として三〇%増の発電力をカバーしよう、こういう計算でございます。
金子(哲)委員 それは僕は重大な発言だと思いますよ。
 電力量を増加するのに原子力発電所を増加しないでやるとしたら、無理な運転をするということですよ。一方で、プルサーマルの計画自身も進行していないわけでしょう。実際に稼働率を上げたりとかいうことを考えていらっしゃるようですけれども、全体の原子力発電はもう耐用年数がだんだん近づくところだって一方で出てきているわけで、それにもかかわらず、大体、もともと最初に十一ないし十三基の計画があると言って、私が七基ぐらいしか計画がないだろうと言ったら、いや、そのプラスアルファは運転で賄うなんて、それこそおかしい計算でしょう。
岡澤政府参考人 そういう意味ではございませんで、七基しかつくらない、あとはオペレーショナルで、こういうことではございません。一応、例えば十一基の新設を見通して、それによって三〇%増の発電量を確保する、こういうふうに計算しておるわけでございますけれども、仮に建設時期が、例えば一基の建設時期が一年二年ずれるということがあったとしても、それは全体としてはオペレーショナルな部分でカバーできる。先生がおっしゃるような過度な、過負荷の運転をしてというようなことではなくて、正常な運転の範囲内でその辺のところまではカバーできるということでございます。
金子(哲)委員 もう時間がないので、最後の質問をしますけれども、今の計算でもおかしいんですよ。
 いいですか。十一基もしくは十三基で、最後の低い方の十一基を見ても、今建設可能なのは七基ですよ。三分の二しか建設できないんですよ、計画の。それは一基二基の違いじゃないんですよ。四基も五基も六基も、計画と実際に建設が可能な基数とは違うので、それを幾ら経済産業省が十三を目標にして立てているからといって、そのことを全くそのとおりに環境省が言って、実態を、計画状況も進捗状況も全く見ずに、極めて地球温暖化の問題とかかわりが深いのに、そこをもっと、だから、私はあえて名前を申し上げませんけれども、環境省の中の人にも、現実には七基しか建設できないということをあるところでおっしゃっているんですよ。それがほぼ共通的な認識じゃないですか。
 それを、国策として十一もしくは十三基を計画しているから、それに沿いながら発言しなきゃいけないというようなことで、現実を離れた数字を、資源エネルギー庁にそんなに遠慮することはないじゃないですか。現実的な数字を具体的にやはりもっと的確に環境省として把握して、私自身は、原発これ以上ふやしてはいかぬと思うんですけれども、そうしてみると、この計画自身が、大綱自身が裏打ちされていないということになってくるんじゃないですか。
岡澤政府参考人 ちょっと一々細かく、どの部分がどういう可能性を我々が認識したかというのをここで御説明している時間がありませんけれども、全体として十一基ないし十三基の建設が今の段階では可能と判断したということでございます。ですから、大綱の中で、その数値を想定して原子力発電量の三〇%増というものを見込んでおります。
 仮に、もう少し時点が進みまして、原子力発電施設の建設の基数がもっと例えば減るとか、そういうことになれば、当然次の見直しの段階では、二〇〇四年の見直しの段階では、二〇〇四年の段階で見通せる計画値に修正していくということになるわけでございます。
金子(哲)委員 時間が来ましたので終わりますけれども、先ほど言いますように、これだけの数字を示されたものならば、それにちゃんとした根拠が、だれにも明らかにそうだと言えるような数字、根拠を示していただかなければ、やはり大綱自身が信頼性を失っていくことになりますよ。そのことを申し上げて、私の質問を終わります。ありがとうございました。
大石委員長 鮫島宗明君。
鮫島委員 民主党の鮫島宗明です。
 きょうから一斉にいろいろな委員会が開かれていて、分館の広い委員会室はほかの委員会が使っていて、どうも狭いところに追いやられたのが文部科学省と環境省関係の二つの委員会。これはやはり、この二つの省が相対的に力が弱いということを物語っているんじゃないかと思いますが、委員長さんはもうちょっと頑張って、環境のいい部屋をとることはできなかったんでしょうか。次回から環境のいい部屋を用意していただきたいと思います。傍聴の方々もきょうは大分多いので、御不自由しておられるようなので、一言言っておきます。
 ちょっと私、全体の流れを尊重するために通告と順番が変わりますが、では初めにトピックス的な、排出権取引詐欺事件ということだけちょっとお伺いしておきます。
 日本のある石油会社が、オーストラリアの企業に百万ドルを出資して排出権のオプションを買った。これは会社の名前を出さないでくれと言われているんですが、コスモ石油であります。
 それで、百万ドル、オーストラリア・ドルですから、日本円で約六千万円、このオーストラリアの植林事業に出資します、この木が育てば、それだけその期間にふえたバイオマスを排出量としてその企業が取得できて使うことができるということで、あるブローカーに百万ドルを出したわけですが、この取引は有効だと思いますでしょうか。
岡澤政府参考人 京都議定書上の排出権取引というのは、幾つか条件がございます。それは、京都議定書の締約国間同士での取引であるということと、それから手続として締約国双方の承認を得た事業であるということでございます。それから、実際に排出権取引で取引できる削減量というのは、京都議定書の発効後、二〇〇八年以降に削減される分ということになります。
 これだけから見ましても、今、オーストラリアはまだ京都議定書に入るということを決めてはおらないわけですが、入らないということも決めていないということでございますけれども、日本が入り、オーストラリアが入ったとして、かつ、双方の事業承認を得るということになれば、その今オプション買いした事業について、二〇〇八年以降の削減分について、みずからの分の削減分にするということは、京都議定書上の理屈からは可能でございますけれども、オーストラリアが入らなければ、この話はすべてすっ飛んでしまうということになると思います。
鮫島委員 今の流れですと、やはりアンブレラグループ、アメリカを中心として、オーストラリアも入らない可能性がかなり強いわけですから、この六千万円は使えない可能性がかなり高い。
 どうも、そういうのを企業の環境の担当のセクションの方がよくわからないで恐らく契約しちゃったんだろうと思いますが、こういう取引、ここ以外にもこういう権利を売って歩いているセールスマンが実はかなり出ておりまして、ひとつそういう間違いがないように、今局長さんがおっしゃったように、こういう条件がクリアされないと無効ですよということをやはり関係のところに周知徹底させていただかないと、こういう排出権取引詐欺というもの、まだ見えない空気を売ってやるわけですから、ただでさえぼやっとした話がますますおかしくなってしまうということですので、そこはぜひよろしく御指導をお願いします。
 それからもう一つ、きのうの朝日新聞のトップに出ていた自然再生型公共事業、これは関係するのが環境大臣と農林水産大臣と国土交通大臣ということですが、この自然再生型公共事業、中身を見てもなかなか美しい言葉がちりばめられていて、破壊された自然を少しでもきれいないい環境にしましょうということで、一見反対しにくいような中身になっているんですが、どうも、亀井静香さんが大変これに熱心だという話を聞くと、これは何かあるなと考えざるを得ない。
 恐らく、今のままのコンクリートで固めていく事業量が頭打ちなんで、今度はコンクリートをはがす事業に変えていけば、まだ二十年ぐらいは食えるぞと。ただ、これはある意味では、ヘロインをやめてコカインにしましょうというような話で、国民の方から見ると、二つの条件が少なくともない限りは、やすやすとは認められない。
 つまり、では環境を壊した人はだれなんですか。つまり、破壊された環境を再生する事業というふうに定義されていますが、では、壊した人はだれなんですか。その自覚と反省がない人が、そのまま今度は再生しますといってやるのはやはりおかしい。
 もう一つは、もうさんざんこの間明らかにされている政官業癒着の構造、この構造を維持したまま、名前だけ変えて、自然再生型公共事業をいたしましょうというような、ビフテキやめてすしにしましょうみたいな話ですが、こういうやはり二つの、政官業の癒着構造をとらないということを前提とする、それから自然を破壊したということの責任を明確にしないと、ただ名前だけ変えて、今度はこっちに乗りかえますというのはおかしいと思いますが、環境大臣はどうお考えでしょう。
大木国務大臣 今、名前だけ変えてまた別の公共事業をやるのか、こういう御質問のように私受け取ったんですが、名前を変えてじゃなくて、やはりそれは実質的に実態が変わってきて、しかも、それが非常に現在の社会的ないろいろな意味でのニーズに見合うものであれば、それは頭からいかぬということではないんだろうと思います。
 今いろいろと、自然の保全につきましても、原生の自然のいろいろな生態系があるわけですが、それの保全の強化、あるいはその持続可能な利用ということと、それからもう一つ、新しい今のアイデアとして自然再生というようなことも出てきております。私の承知しているところでは、自民党ないしは与党の方でもいろいろとそういうことを検討しておられる議員さんがおるということで、かなり作業がいろいろと行われていることは承知しておりますけれども、今おっしゃったように、名前だけ変えてまた意味のないことをやったのでは、それはおかしいじゃないかということはありますから、そこのところは、私はそういうものでないことを期待して、私どもとしては、どういうことが出てくるのかというのを見守っているということでございます。
鮫島委員 私、実は、大木大臣に質問するのは初めてなものですから、ちょっと性格やお考えがよくわからなくて、行き違いがややあるかもしれませんが、もちろんいいんですよ。自然再生型公共事業で、今までコンクリートの三面張りで、これは河川じゃなくて放水路ではないかと言われていたような川づくりから、自然のうねりがあって、自然石を配置して、セキレイが遊び、魚もわくようなというふうにつくるのは大変結構だと思いますよ。
 しかし、同じ主体が、例えば農林水産省が、右手で諫早湾の干拓事業をやって貴重な干潟をつぶしておきながら、今度は、左手では自然再生が大事ですからと言ってどこかの干潟の再生事業をやる。これは普通に考えてもおかしいわけで、むしろ、もしこの事業をやるなら、環境大臣一人が主務大臣になってやるんだったらまだいいかもしれない。だけれども、きょうの部屋のとり方を見ても力がないから、難しいかもしれませんが、これはこれからの議論だと思いますが、今言ったような、とにかく事業量の確保ということで、中身は大変いいかもしれませんが、破壊した主体が反省なしに再生するというのはおかしい。
 例えば、今、土浦の近くで、霞ケ浦の自然再生型公共事業モデルケース、市民主導型でアサザプロジェクトというのが行われています。周りの小学生たちも協力して、ハスの小さいようなのが、アサザというのがありますが、それを子供たちが今の時期みんな苗をつくっていて、六月の梅雨の時期に子供たちが一斉に霞ケ浦の周辺に植える。それが育つとだんだん砂が寄ってきて、全部今はコンクリート防岸で完全に固めて、水質が悪化して波が荒くてというのが、だんだん周りからおさまっていって生物相も豊かになっていく。
 これは大変いい事業だということで、国土交通省がモデルケースとしてこれに乗ろうとしているんですが、じゃ、なぜ最初に全部コンクリートで固めたの。そのときの理屈は、防災上こうしなければだめですということで、いろいろな住民の反対があったのにそうやっちゃったわけです。今度は、終わったら、やはり多少問題もあった、自然再生型は必要ですねと言って、同じそのコンクリートで固めた人がしゃあしゃあとまたそういう事業をやるというのは常識的に考えておかしいということだけ指摘しておきます。ですから、悪い言葉で言えば、ヘロインをコカインに変えるだけじゃないですかという話になるわけです。
 ちょっと、さっきの原発の金子委員の続きをさせていただきたいと思います。
 十三基の建設というのは無理なことはほとんどはっきりしているんじゃないかと思います。七基までは見えていても、そこから先はいろいろな条件があって厳しいんじゃないかと思いますが、立地の厳しさと同様に、使用済み燃料の処理の方から見ても厳しいんじゃないか。特にプルトニウムをまぜて燃すプルサーマルですが、前、エネルギーの長期計画をつくったときは、平成十四年には既に四基ぐらいプルサーマルで動いていないとおかしい計算じゃなかったかと思いますが、現在、日本でプルサーマルの運転がされている炉は何基あるんでしょうか。
迎政府参考人 お答えいたします前に、先ほど来、ちょっと二〇一〇年の原子力発電につきまして御議論がございました。その際、今後の増設の数でございますけれども、私ども見込んでいるのは、九基から十二基ということで見込んでおります。
 それから、プルサーマルにつきましては、ただいま御指摘のとおり、計画自体がいろいろな要因でおくれているというふうなことは事実でございます。まだ実施ができていないということでございますが、二〇一〇年までに十六基から十八基の原子力発電所でプルサーマルを実施していきたいというふうに考えております。
鮫島委員 時間もありますので、数だけ答えていただければいいんです。
 ですから、今、プルサーマルで運転されている原子炉はないと。前の計画ですと、フルMOXという、全部、MOX燃料を一〇〇%使うものというのも見通されていたと思いますが、これは今どうなっているんでしょうか。
迎政府参考人 フルMOXでの発電所ということで、現在、電源開発株式会社が大間にフルMOXの原子力発電所を建設するということで計画をしております。が、現在のところ、用地の交渉をしておるという状況にございます。
鮫島委員 そうすると、プルサーマルもまだ現実には動いていません。それから、フルMOXもまだ計画段階です。それから「もんじゅ」の実用炉としての利用も見込めない。つまり、プルトニウムの利用というのが完全に行き詰まっている中で、こういう状況下でも、さらに十一から十三基をつくるんだと。つまり、プルトニウムの利用がもし進まなかったらどうお考えになるのか。その辺のところは、何かお考えありますでしょうか。
迎政府参考人 プルサーマルの実施もなるべく早期に実施をすると同時に、それから、先ほど来申し上げています九基から十二基の新設ということにつきましても、原子力については安全を第一に、かつまた地元を初めとした国民的な原子力の必要性についての御理解を賜って、着実に進めていきたいというふうに思っております。
鮫島委員 何が何でも進めたいというお気持ちだけはよくわかりました。ただ、ですから余り現実的じゃないと思います。
 それから、先ほどのやはり朝日新聞の記事で、電事連が試算したら、どうも三十兆円かかりそうだ、したがって、再処理工場を本当に動かした方がいいのかどうかも含めて考え直さなくちゃいかぬというようなことが記事に出ていました。ただ、これは先ほど、電事連が勝手にやった試算だからコメントする立場にないとおっしゃいましたが、じゃ、資源エネルギー庁ではどういう試算をされているんでしょうか。つまり、プルトニウムサイクルが、核燃料サイクルが完成するまでに必要な経費及びそのオペレーションで必要とされる経費、この電事連方式で当然経済産業省としても試算していると思いますが、トータルでどのぐらいの社会コストになるというふうにお思いなんでしょう。
迎政府参考人 電事連の三十兆円という新聞記事にあるような試算というふうなものは、私どもやっておりません。
 ただ、平成十一年に、そもそも原子力の発電コストと他の電源との発電コストの高低はどうかというふうなことで、一キロワットアワー当たりの発電コストというふうなものを試算したことがございます。この場合は、原子力については五・九円ぐらい、天然ガスですとか石炭火力ですとかこういうのは六円台というふうなことで、バックエンドコスト、こういったものも織り込んだ試算をした結果、結論として原子力発電は他の燃料と比べて遜色がない、経済的にも遜色のない電源ではないかというふうな結果を得ております。
鮫島委員 そういう説明をもし電力会社の社長さんたちがお集まりのところでしたら、一体その五・九なんという数字でやれると思っているのかという話になると思いますよ。
 この三十兆円とかいろいろな話が今出てきているのは、経営側の判断で、うっかりこのプルトニウムの利用が行き詰まったままで再処理だ何だというものを動かし始めたら大変なお金がかかってくる、こんなことをやったら会社の経営が行き詰まる、あるいは株主代表訴訟に対応できないということで、もしどうしてもやれというなら、それだけの公的資金を投入してくれというメッセージが実はもう出始めているんですね。
 これはある意味では、国土交通省の方いるかもしれませんが、第二のJRとか第二の道路公団という、下手すると二十兆円ぐらいのまた負債をためたような核燃料サイクル機構になってしまう。そういうようなことが見えるから、さっきからいろいろな党の委員の方々が心配して、本当にこの十一から十三基ということを切り札というような扱いで頼りにしちゃっていいのかという懸念が大変強いことをよくお考えいただきたいと思います。
 私は、あと二年くらいで実は決着がついちゃうと思います。つまり、ちょうど二〇〇四年にこれは計画見直しになっていますが、これはある意味では、プルトニウムの再処理工場のスイッチを入れるかどうかの最終判断のぎりぎりのところがこの二〇〇四年で、そういう意味では、うまいタイミングになっているなという気はいたしますが、私は、そのスイッチがこのままでは、プルトニウムの利用というものがなかなか国民的な理解が得られない、プルサーマルの運転も難しい、フルMOXもできないということでは、再処理工場にスイッチを入れることができなくて、やはりワンススルー方式をとらざるを得ないということに二年後ぐらいに結論が出るのではないかと思います。
 原子力の問題はそのぐらいにしておきますが、森林吸収の問題でお伺いしたい。これも大臣に私初めて聞くものですから、初めに林野庁の方にお伺いしようかな。
 つまり、今、吸収源としてこれも当てにしている森林ですが、日本の全森林のうちの何割ぐらいがこの三条三項、三条四項の対象森林になるのか。その対象となるであろう森林の一九九〇年における吸収量と二〇一〇年における見込みの吸収量の数字がありましたら、お教えいただきたいと思います。
米田政府参考人 まず、我々、三・九%を達成するために、今、日本の人工林、これのすべて及び保安林等の、天然林のうちの保安林のすべてにおいて森林経営が、人為的活動が行われ、人手が加わりということで、適切な森林経営が確保されるということが前提と考えております。したがいまして、この面積でございますが、日本の大体七割程度でございます。
 その吸収量でございますが、現時点においてその七割がどの程度の吸収量を占めているのかという試算は、今後どういうふうにふえるのか減るのかという議論ですよね、ということにつきまして、現時点においては、全森林の吸収量が一九九〇年時点で六・九%でございまして、平成七年時点におきましては全森林八%でございますので、そのうちの相当部分が現時点の吸収量であるというふうに考えております。
鮫島委員 何か私が昔知っている米田さんというのは、もうちょっとすっきりしていたと思うんですが。
 私が聞いたのは、今国土の七割を占めている森林の一九九〇年における吸収量はおおよそ何千何百万トンであったのか、二〇一〇年においてはおおよそ何千何百万トンと見込んでいるのか。答えはあるはずなんですよ。だって、二〇一〇年は四千六百万トンと言っているんだから。では、一九九〇年、何万トンだと見込んでいるんですか。その数字だけ言ってください。
米田政府参考人 先生御案内のとおり、二〇一〇年におきましては、三・九%相当の森林吸収量が七割で吸収されるという試算をしておるわけでございます。
 その森林につきまして、現時点においてどの程度の吸収量があるのかというお尋ねということは承知しておりますが……(鮫島委員「一九九〇年には」と呼ぶ)一九九〇年では何万トンであったかというお尋ねであるということはわかるわけでございますが、その時点において適正に管理しておるか、森林経営が行われているかということが明確になっていなければだめなわけでございます。
 そういうことで、森林の状態や林齢構成によって必要となる施業が異なりますし、施業のいかんにもよりますので、現時点においては、明確な数字というのは、比較は困難ということでございます。
鮫島委員 前、私が聞いたときは、もっとちゃんと数字を答えていましたよ。
 今のは非常に変な話で、例えば、米田さんの五年後の年収についてはわかるけれども、あなた、五年前は幾らだったのと言ったら、それはわからないというふうに答えているのと同じで、一九九〇年の数字はわかる――では、数字で言わなくてもいいです。一九九〇年の吸収量と二〇一〇年の吸収量と、どっちが多いですか。
米田政府参考人 一九九〇年の全森林の吸収量は、前回当方が答えたわけでございまして、これが基準年排出量比で六・九%でございます。それを二〇一〇年の全森林の吸収量でいうと、五・六%でございます。
 そういう意味では数字は申し上げられるんですが、対象面積については、今申し上げましたように、施業の状況等によって、具体的な、定量的なことはできませんが、いずれにしろ、減少するものと考えております。
鮫島委員 だから、減少するわけですね。一九九〇年に比べて二〇一〇年の森林の吸収量は、吸収量同士で比較したら減少するんですよね。
 これは自然なことでして、私はずっと植物の研究を三十年近くやっていましたが、戦後の植林期、ずっと若い森が多かったわけですが、だんだんやはり森が成熟してくる。そうすると、光合成をしない部分の比率がふえてきますから、扶養家族がふえてきて、成熟していけば、だんだん吸収量が減って、最後はプラス・マイナス・ゼロになるというのが森林の成長の基本的なモデル。
 ですから、今、日本の森林はちょうど青年期から壮年期ぐらいに入っていますから、その意味では、吸収量そのもので比べたら、実は二〇一〇年の方が減っちゃう。ところが、大木大臣が大事にしている大綱の中では、二〇一〇年は一九九〇年に比べて、四千七百万トン、いっぱい吸うような誤解を与えているわけです、国民に。
 グロス・ネット方式というのは、どういう計算方法なんですか。
大木国務大臣 グロス・ネット方式というのは、何か使っているんですけれども、その二つ、グロスとネットというのは、当然、常識的に、グロスとネットでございますから、グロスでしたら排出量のみでありますし、ネットであれば排出量から吸収量を差し引くということでありまして、京都議定書では、基準年に幾らということについてはグロスで示す、それから約束期間の数字については今のネット方式でやっているものですから、この二つを、片っ方はグロス、片っ方はネットで、両方を一体として数字を云々するということで、グロス・ネット方式と言っているわけであります。
鮫島委員 多分だれもわからなかったんじゃないかと思います。
 つまり、先ほど、これもどなたかほかの委員の質問に対して大臣は、クリーン開発メカニズムとか排出権取引というのを抜け道とか抜け穴というふうなとらえ方をするのは当たらないと思う、つまり、実際そういう排出権取引とかCDMによって本当に地球大気の中のCO2が減るんだったら、それはそれで前向きに受けとめてもいいのではないかという御見解を示されましたが、森林吸収も同じ話で、つまり、本当に日本の森林が二〇一〇年には一九九〇年よりいっぱい吸うなら、これは大変地球環境に貢献しているというふうに評価してもいいですが、条約上の不思議な規定を利用して、実際の吸収量は減っているのに、いかにも日本の森が一九九〇年よりもたくさんCO2を吸っているようにすること、これがなかなか御理解いただいていないんですね、日本人全体にも。
 もうちょっとわかりやすく言うと、要するに、一九九〇年は日本の森林は寝ていました、全然吸収していません、二〇一〇年に突然森が目を覚ましてがんがん吸収を始めましたといって出てくる数字が、三・九%分、CO2換算で四千七百万トンなわけです。ですから、これは地球の神様から見たら、おまえら、いいかげんなことをするんじゃないよというやり方なわけですよ。実際の大気CO2濃度の減少には貢献していない。条約上、いかにも貢献しているようにするやり方。
 だから、これを獲得するのが大変だったわけですよ。川口前大臣が大変御苦労された。あわや、これはもう通らない、それは、みんな、ヨーロッパの普通の人たちから見たら、こんなインチキな計算はないだろう、何で日本の森が寝ていていきなり目を覚ますような計算が日本だけ通用するんだと。ところが、日本に抜けられちゃったら、もう五五%がだめになっちゃうからというので、しようがないとこれは劣等生にげたを履かせたような話なわけですよね。
 だから、こんなものは本当は使う必要がなければ使わない方がいい数字。つまり、地球環境に対しては本当の意味で貢献していないんですから。二〇一〇年は日本の森は成熟して一九九〇年より吸収量が減っちゃうわけですから、地球の神様から見たら、貢献していないわけです。だから、本当はこういうのは余り使わない方がいいというふうに私は思っています。
 そうすると、かなりこの大綱の中身というのはきつくなってきて、劣等生にげたを履かせるようなこともやめる、それから原発についてももっとはっきり見通せる形で計画を立てた方がいいんじゃないかということからいうと、もう少し幅広いオプション、あるいは新しいオプションを考えた方がいいのではないかという気がいたします。
 例えば、きょう国土交通省の住宅局の方、いらしていますね。平成十一年に、次世代省エネルギー基準、建築主の判断基準というガイドラインを出していて、床面積一平米一年間当たり冷暖房にどれだけのエネルギーを使ってもいいですよ、あるいは、この程度のエネルギーにしてくださいというガイドラインが出された。
 ドイツでも同じようなのが出されています。直近のドイツの基準では、二〇〇〇年段階、二〇〇〇年からこれが適用になったわけですが、数字でいうと、年間一平米当たり冷暖房に使う電力は七十キロワットアワー、これを超えてはいけませんというのがドイツの建築基準。これに合わせようと思うと、最近話題になってきている外断熱工法をやらないと、なかなかこれだけのエネルギーで空調がうまくいくというのができないので、それで自然にどんどん外断熱になっていて、日本のようなシックハウスとか結露する問題がなくなっているわけです。
 ところが、平成十一年の当時の建設省の基準ですと、さっきドイツが七十に対して、北海道地区で百五十二。これは建設省の方はジュールという表示になっていますが、私はキロワットに換算しましたら、北海道が百五十二で、首都圏が百七十九という数字、これが日本のガイドライン。ドイツのガイドラインは七十ですから、つまり日本の半分以下ですね。
 もしドイツ並みの基準で日本の建築物を、これはあくまでも仮想の数字になりますが、もし今全部ドイツ並みというふうになったら、これで獲得できる、これで減らせるCO2というのはおおよそ何万トンぐらいになりますでしょうか。
三沢政府参考人 今先生が御指摘になられたように、ドイツでは本年二月に省エネルギー基準で、一年間に床面積一平米当たりに必要なエネルギー量七十キロワットになるような住宅の仕様にするような基準を定めております。これは、日本のいわゆる基準に、同じ単位に換算しますと、メガジュールを使っていますので、一年間に一平米当たり二百五十二メガジュールでございます。
 一方、日本の次世代省エネルギー基準は、これは全国を六つの地域に分けておりますけれども、一番平均的な四という地域で見ますと、年間一平米当たり四百六十メガジュールになるわけでございます。
 ちょっとこの後少し大胆な想定をいたしまして、要するに、全住宅ストックについて、次世代基準が半分、それから平成四年基準が半分、ここまでいった場合でいいますと、今のCO2排出量に比べて約千九百万トン削減でございますが、これを一挙にドイツの省エネ基準に全ストックで達成したというふうにいたしますと、これは約三千五百万トンの削減量になる。これは非常に大胆な計算でございますけれども、そういう計算をしております。
鮫島委員 大綱の二十一ページに、住宅・建築物の省エネ性能の向上、これは一番最後のところにトータルの数字で三千五百六十万トンCO2というふうになっているのは、大体今言ったような計算なんですか。それとも、また違った要素もたくさん入れての数字なんでしょうか。
三沢政府参考人 これは、中身は住宅と非住宅に分けまして、住宅については、新築について次世代の基準が約半分まで達成する、それから非住宅については、次世代基準が八割まで達成する、こういう想定のもとに削減量を計算しています。
 ただ、これは、全住宅ストックについてのという、そこの部分は計算しておりませんで、この部分はちょっと、先ほど申し上げた部分は一つの仮定の計算でございます。
鮫島委員 今言ったのはほんの一例ですが、こういうふうに例えばドイツ・レベルまで省エネ基準というのを厳しくすれば、それに合った家の建て方というのも日本で始まるはずですし、今、世界の先進地域、主要都市の中でこれだけ内断熱にしちゃっているというのが日本だけと言われています。
 外断熱というのは、内側にコンクリートがあって、外側に断熱材を張って、その外側に薄い外壁を張る。パリなんかへ行くと、古い建物になっているのは、あれはみんな外断熱で、これでコンクリートの寿命が三倍延びる、つまり百年マンションと言われています。これはなぜいいかというと、コンクリートの温度は一定で、外壁の温度は変化する。
 ところが、日本のような内断熱だと、コンクリートがいきなり外側にありますので、このコンクリートが激しい温度変化を起こして、内側の断熱材のその内側の壁紙は割合温度は一定です。したがって、空調するにしても、このコンクリートの躯体そのものの温度変化をコントロールしなければいけないので、大変エネルギーを食います。つまり、日本の場合は外と中との温度変化によって結露が内側に起こってしまうというのが、この内断熱の欠陥と言われています。
 これは、一見高いようでも、寿命がこれだけ延びることを考え、またエネルギーの利用が大変少なくできるということを考えると、長い目で見たらこの方がいいに決まっている。その方が世界の常識。
 今、この二、三年で、東京、大阪を中心として、建てかえが必要とされるマンションが十六万棟と言われていますが、今の内断熱方式だと、大体マンションの寿命が、特に海砂なんかが入っていると三十年、少し長く見ても三十五年。そうすると、ちょうどローンが払い終わると取り壊しになる。それで六十ぐらいになってまた二十年のローンとかおかしなことになるんですが、外断熱で百年マンションになれば、一代目が家を買えば二代目は家具を調え、そして三代目が食器を調えるというまた新たな文化も充実してくるということになって、地球温暖化というのを、こういうふうに日本のあり方を変えるいいチャンスとして取り組むべきではないか。
 先ほど共産党の方が経団連の方のコメントを紹介していましたが、経済学者もはっきり二種類日本にはいて、地球温暖化に積極的に取り組むと経済成長にマイナスの影響が出るという学者はいっぱいいる。それから、いや、地球温暖化に積極的に取り組むとプラスの経済効果があるという学者もたくさんいるんです。ですから、団体によって、経団連とか関西の経済連は、地球温暖化一生懸命やると経済成長がマイナスになりますという学者を呼んできて講演させる。市民団体なんかは、地球環境問題まともに取り組むと、新しい技術開発も含めて経済成長につながるという学者を連れてくるんですが、大木環境大臣はどちらの学者がお好みでしょうか。
大木国務大臣 私は、その二つに分かれております学者のどちらがいいかというほどの知識はありませんけれども、少なくとも、学者と言われる方でも、立場によりまして非常に幅のあるいろいろな御意見があるということは承知しております。
鮫島委員 では質問を変えますが、大臣自身は、地球環境問題に積極的に取り組むことが経済成長に対してプラスに働く、マイナスに働く、どんなふうにお感じになっておられるでしょうか。
大木国務大臣 私としましては、やはり環境のことを十分考えながら、同時に経済開発を進めるということの可能性というのを、何とかして本当にそういうふうにやりたいという立場から、いろいろとそちらの方の方々の御意見を恐らく聞いていることの方が多いと思いますので、そういった方々の御意見を聞く限りにおきましては、決して二つのものを両立させることについてペシミスティックに考える必要はないので、むしろこれからそういったものが可能になるように、それは可能か不可能かといいましても、全くただ放置しておいてどっちが可能か不可能かということではなくて、それはいろいろな対策だとかそれを刺激するための刺激策とかそういうものもありますから、そういったものを含めれば、経済発展と環境の問題とを両立させてこれから推進していくことが十分に可能ではないかという考えを、私は個人的にはそういう気持ちを持っております。
鮫島委員 確かに、そういう意味では、ただ無為無策では何も起こらないわけでして、つまり、経済成長にプラスになるような方向での環境対策、地球温暖化対策というものをやはり政府の側がイメージして、そのイメージにインセンティブをつけたり後押しするような施策を打っていくというのが筋だと思いますが、今のところ、二〇一〇年なり二、三十年後の日本の省エネ型の社会のイメージが浮かんでいない。この大綱を読んでも余り浮かんでこない。何か、森が急に目を覚ますのと原発が十三基ふえるというのはわかるけれども、あとは自主的な努力とかと、よくわからない。私は、もうちょっとイメージすべきじゃないかというふうに思っています。
 その中の一つが、エネルギーのベストミックスとは何なんだといったときに、実はこの言葉は原発を推進するために使われ過ぎてきた嫌いがある。だけれども、この四、五十年、世界じゅうで原発を使ってみたら、私は、安全性の問題はほぼクリアできていると思います、技術者の手の中に入っていると思いますが、やはりなかなかわがままでぜいたくな装置だな、処理のややこしいごみも出すし、どら息子みたいなものだということを大体人類はわかったんじゃないか。
 では一方で、安い石炭はどうかというと、これは環境面から見ると大変炭酸ガスを出すし硫黄も出すし、環境汚染型の燃料だ。もう一つ当てにしている中東の石油、これは非常にセキュリティー上問題があって、またイスラエルとパレスチナがどうなるかわからぬ。そうすると、なかなか危なっかしい石油と環境汚染型の石炭とどら息子のような原子力、この三つをまぜてベストミックスと喜んでいるわけですが、むしろワーストミックスじゃないか。
 それで、もう一つ非常に日本で抜けているのが、天然ガスの展開あるいはインフラの整備。文明論的には、エネルギーが固体から液体になり、そして気体になっていくと言われているわけですね。そのつなぎのところの苦しいときに、人類は一度原子力を使いました。この気体、固体としての石炭から石油という液体に依存し、そしてやがて人類は、天然ガスそして水素というエネルギーにかわっていきます。この方向は、やはり私は世界的に人類が今意識し始めていると思います。もう既にヨーロッパでは一九七〇年代から非常にその方向を強く打ち出して、もう今や七万キロぐらいのパイプラインが全部敷かれている。それからアジア地区においても、中国が今どんどんつくり始めていますし、台湾、韓国もつくっている。世界の中でぼうっとして一つだけおくれているのが日本。
 私は、今までこういう固体から液体、液体から気体、そして天然ガスインフラの整備ということがなぜ日本の国策としてなかったのかなというのをいささか奇異に感じているわけですが、おくればせながらでも、もう一度ガス燃料を位置づける、これは天然ガスから水素という方向を見据えた上で、もうちょっとしっかりこれも位置づける必要があるんじゃないかと思いますが、これも環境大臣、どうお考えになっているか、私聞いたことないので、ちょっと御所見をお伺いしたいと思います。
大木国務大臣 今、天然ガスとそれから水素のお話がありまして、気体エネルギーというくくり方をされたんですが、気体だからどうという議論は必ずしもまだ熟していないと思いますけれども、それぞれが具体的にこれからの期待すべきエネルギーとしていろいろと議論されておると思います。
 天然ガスにつきましては、確かにおっしゃったとおりに、例えば、あの中国と言ったらあれですけれども、あれだけ環境では非常に悪化しておりました中国でも、最近、この三年ぐらいCO2のガスの排出量が減った、どうもそれは、主な原因は、石炭から天然ガスへの転換じゃないかというようなことも言われております。それからヨーロッパでも、天然ガスに転換したことによって非常にCO2の排出が減ったというようなこともありますから、これは一つ国際的な動きだと思います。
 日本でも、天然ガスの活用につきまして、例えば、これも時間がかかったんですが、サハリンだとかあの辺で天然ガスを開発して日本へ持ってこようというようなことで、パイプラインをどうだというような議論もありました。これは時間がかかっておりまして、今すぐにではありませんけれども、少なくともそういう構想があったということは事実だったと思っております。
 それから、水素につきましては、これまたいろいろと研究が行われておりますし、最近は燃料電池というような議論もありますから、これもひとつ、今すぐに、この一両年で具体的に実用化するかどうかは別として、これまた十分に研究するべき重要な対象だというふうに考えております。
鮫島委員 今、サハリンの話も出ましたけれども、多分、来年じゅうに日本が意思決定をしてサハリンから日本にパイプラインを敷くかどうかを決めないと、恐らく今の石油メジャーは、中国に、大陸の方につないじゃうと思いますよ。ですから、その意味では、もうちょっと日本が新しいエネルギーインフラの整備ということをしっかり国策としてつくらないと、私は、さっき言ったような、どら息子の原子力と環境汚染の石炭とそれからセキュリティー上問題のある中東の石油、この三つからなかなか脱却できないんじゃないかというふうに思います。
 いかに日本がおくれているかの一つは、では、国策として基幹インフラとしての天然ガスパイプライン、これは直径一メーター四十センチぐらいの太いものですが、これをヨーロッパ並みに日本全体に張りめぐらせる。基幹インフラだけで約一万二千キロと言われていますが、これをどこの役所がやるのかというのが決まっていないというのが日本の姿。
 つまり、そういうことを国策としてやるべきだということを発議する役所がないという非常に不思議な構造になっていると思いますが、もし今の現状でつくるとしたら、高速道路網というのが一番パイプラインと相性がいいんではないか。新たに土地を取得して敷くよりも、今あれだけ立派な躯体の高速道路網ができていますから、その空間を使ってパイプラインをはわせれば、裸の土地につくるのの約四分の一ぐらいの経費でできると言われております。
 そうすると、今度、道路絡みになってくると国土交通省の道路局長なんですが、そういうことを道路局の方ではお考えになったことがあるのか。それから、道路空間を活用したパイプラインの整備というようなことは、どうなんですか、アセスメントとして技術的にはやれるのかどうか、何か御検討の内容があれば御紹介いただきたいんです。
大石政府参考人 今、先生からお話ございましたように、エネルギーの安定供給といいますか安全保障の観点や環境対策の観点から天然ガスの利用拡大が求められておりまして、私どもの方にも具体的な話として、道路空間を利用した幹線パイプラインの整備について強い要望があることもございます。
 現在、高速自動車国道におきましてまとまった延長で縦断占用しているという例はございませんが、今後、高速道路を含めた道路空間を活用した幹線パイプラインの要望が高まってくるものと考えてございます。
 我が国には、残念ながらといいますか、ライト・オブ・ウエーという概念がございません。そうなりますと、道路に沿って埋設していくという考え方にならざるを得ないというように思います。
 そのために、道路局といたしましては、これは経済産業省の資源エネルギー庁などとともにでございますが、民間事業者からのヒアリング結果を踏まえた現状の問題点の整理や、あるいは安全基準、道路占用許可手続、高速道路の縦断占用、埋設深度等の制度面の問題あるいは技術面の問題などについて検討を行うとともに、道路空間を活用した幹線パイプライン整備の方策について、道路空間の利活用に関するあるべき姿を考えながら、これは枠にとらわれない幅広い観点から、と申しますのは、前に内閣委員会で先生に御答弁させていただきましたように、道路サービスとして、道路のサービスとは何なのかということを考えながら研究をしていきたいと考えております。
鮫島委員 強い要望が寄せられているとおっしゃいましたが、そういう要望はどこから出ているんですか。
大石政府参考人 まだ話し合いの途上でございますが、私どものところにございましたのは、サハリンから北海道の高速道路に沿って天然ガスパイプラインを上げてくるというような構想について、道路局として協力できるかどうかというようなお話があったことはございます。
鮫島委員 いや、だから、どこからそういう話があった、つまり、まさか小泉総理からじゃないと思いますが、どこからあったんでしょうか。
大石政府参考人 具体的にどなたからあったか、それと、どういう組織からあったかというのは、私、記憶いたしておりませんが、そういう事業を推進し、構想を推進しておられる方々から、我々や道路公団にそのような話はあったことはございます。
鮫島委員 だから、そういう意味でも何かしっかりした責任ある主体、これは百歩譲って自民党のエネルギー部会でもいいですが、そういうところからきちっと検討しろという要望があったのなら多分そういう返事なんでしょうけれども、今は、恐らく民間の中で何社かが集まってアジア天然ガスパイプライン構想なんかをぶち上げたグループが、ひとつ国土交通省さんも前向きに考えてくださいよみたいなことじゃないかと勝手に推測いたします。
 三菱総合研究所が出している国土幹線パイプライン構想という本によりますと、サハリンからの連結も含めて、約一万二千キロの幹線パイプラインの全経費が四兆三千億というふうに見込まれておりますが、国土交通省さんの方では多少そういう経費見込みなんかもやっているんでしょうか。もし何か今の四兆三千億に対してお答えがあれば。
大石政府参考人 三菱総研のその構想について、費用が適正かどうかについて我々がまだ判断できる状況になってございません。
 先ほど申しましたように、埋設深度をどうするのか、あるいは高速道路の空間にいたしましても、どの部分を使うのか、使うことが可能なのか等々によって単価は著しく変わってくる、こういうように考えてございます。今後の研究課題だと考えております。
鮫島委員 一番最初に言った朝日新聞の記事によると、原発の後処理が三十兆円、話半分としても十五兆円。今のパイプラインの経費が大ざっぱに五兆円とすると、どちらを日本人は選ぶんですかという話になる。それはそろそろ実は、ことし、来年ぐらいが決断の時期。ちょうどその重大な国としての決断をするときに環境大臣のポストにお座りになっていたのが大木大臣だという、歴史的な役割を果たすお立場ではないかと思います。
 ぜひ今の大綱にとらわれることなく、私は想定よりもずっと、家庭用の燃料電池とかあるいはハイブリッド型の自動車を含めた燃料電池自動車の利用というのは、今政府が考えている以上に速く進むと思いますよ。既にバスとか大型車ではダイムラーベンツがやり始めていますし、家庭用の燃料電池も、もう技術は完成していて、もし国が本腰を据えて天然ガスインフラを整備するならば、量産体制は一気にかかれる。
 既に多分去年、もう終わったんじゃないかな、経済産業省が音頭をとって、マイクロガスタービンというもうちょっと業務用の大型の発電装置がありますが、こういうのを使う場合に、足りないときは外から買い、余ったときは売る、このときのコンバーターというか整流器、これを各メーカーで規格で統一しよう、電力会社の方におかしなノイズ入りの電気が行かないようにしようという、そこのつなぎの機械についても恐らく全部業界の足並みもそろったはずですし、そういう意味では非常に、ある種ガスエネルギー依存社会。
 もちろん、水素は先でいいんですよ、今燃料電池も十分メタンでいけるわけですから。今想定されているのは、天然ガス、メタンを前提とした家庭用の燃料電池。値段が約三十万から四十万。これで副産物として、おふろも含めて、その家庭で使うお湯は全部賄えます。
 今、日本全体のエネルギーの利用効率が三三%と見込まれていて、三分の二は捨てている。ところが、この熱電併用利用、熱と電気を、副産物として出てくる熱も利用しますというふうにしただけで、五五から六〇ぐらいまでこの利用効率が上がる。一生懸命その排出量を減らしたり吸収量をふやしたりということも大事ですが、意外とばかにならないのがこの利用効率。今三分の二は捨てちゃっています。
 それに比べると、こういう燃料電池などというのは二重の効果があって、まず天然ガスというきれいなものを使うことによって、同じ一キロワットの電気をつくるのに、石炭に比べると二分の一の温暖化ガスの排出で済みますということが一つ。それから、副産物としてのお湯が使えるために、利用効率がけた違いに上がります。
 これは二重の相乗作用で大変温暖化防止にきいてくるという世界ですから、こういうことをもうちょっとイメージしながら大綱をつくると、もうちょっと読もうかなというふうになるんじゃないかと思いますが、私は、新大綱は、前と比べてそういう意味の変化があって、何となく環境調和型の二十一世紀の社会がイメージできるようなものを期待していたんですが、ほとんど旧大綱と同じというので、やはり政権が民主党に来ないといい大綱ができないかなというふうに感じた次第です。
 済みません、林野庁さんに先ほど一つ聞き忘れたんですが、一九九〇年以降、新たに人間の管理下に入った森林ということで、三条四項で見込んでいいですよということになっていますが、その新たな人間の管理下に入った森林というときの具体的な活動、人為ですね、人間の作用はどういうものをイメージしているんでしょうか。
 つまり、厳しく言えば、枝打ちをし、間伐をし、下草を刈りという作業をした地域は人間の管理下に入りましたでいいですよというのが厳密な読み方だと思いますが、一番手抜きの読み方は、見回るようにしました。もっと楽に言えば、ランドサットで見ています。あるいは、熊に注意とか札を立てます、だから管理下に入りましたというかなり際どい話もあると思いますが、今、人為の範囲はどこまでお考えなんでしょうか。
米田政府参考人 三条四項に基づく人為的活動である森林経営の内容についてのお尋ねと思っています。
 一九九〇年以降、そういう人為的活動によって森林経営、森林管理が行われるということが条件でございまして、新たにというわけではないわけでございますが、その場合、我々としては、この問題、国際的には明確な基準は、人為的活動の定義というのはございません。
 そういう中で、森林経営というのは、人が経営管理していくものである、手を加えていくものであるという位置づけは、ちょっと読み上げますと、「森林の関連する生態的、経済的、社会的機能を持続可能な方法で満たすことを目指した、森林が存する土地の経営と利用に関する一連の行為」が森林経営であるということでありますので、その人手の具体的な話というのを我々としては確定しなければいけない。そういう問題意識から、昨年、環境省と合同で吸収源対策合同検討委員会というものを設けまして、そこで、マラケシュ合意の森林経営としての人為的活動が行われていると言える森林というものはどういうものであるかというのを学者先生の意見も聞きながら答申いただいたわけでございます。
 具体的には、一つが、一九九〇年以降、植栽、下刈り、除伐、間伐等の適切な森林施業が行われている森林がそういう森林であろうし、もう一点は、法令等に基づき伐採、転用規制などの保護・保全措置がとられている森林である。
 ただ、これは、我々の考えを国際的な考えにすべく、IPCC等に我々の意見を反映させるよう、関係者がそのメンバーになっておるわけでございます。
 加えまして、先ほどの森林経営の定義に戻りますと、土地の持続可能な方法でそういうことをやっていくんだということでございます。国際的には決まっていませんが、アリバイ証明がわりの一回きりのそういうものはだめであろう。
 そういうことで、今回、地球温暖化大綱におきましても、森林の整備十カ年対策で具体的にいろいろなことをやっていく、さらに、保安林等におきましても、天然林におきましても、保全管理、そういうものについて天然林改良等々もやっていきたい、かように考えておるわけでございます。具体的には、これからさらに検討してまいりたいと思っております。
鮫島委員 林野庁というのはずっと保安林の予算というのをとっていたんじゃないですか、保安林管理の予算というのを。とっていたでしょう、今までも。そうすると、一九九〇年以降新たに人間の管理下に入った地域にはならないんじゃないですか。
 今世界の基準がない、だからこういうときこそ日本がその基準、日本基準が世界基準になるというのは、柔道が国際競技になって以来のすばらしいこと。だから、もうちょっとわかりやすい、そしてあくまでもこれは国際条約ですから、世界の方々に納得できるようなスタンダードをお示しいただかないと、日本人でもわからないような官僚用語を羅列して、世界で理解できる人はほとんどいないんじゃないかと思います。
 今の一、二、三で、一番はわかりましたよ、伐採とか除伐とか間伐とか行われている地域。ところが、二番は伐採とか転用規制措置がとられている地域、これは全然何か意味がないじゃないですか、今の二は。どういう意味ですか、この二番は。つまり、ここからここの地域は転用禁止ですよという指定をすれば、これは人為活動が及んだ森林ということになるんですか。
米田政府参考人 吸収量に算入される森林でございますが、一九九〇年以降に人為活動が行われた森林でありまして、それまでは行っていないということは要件でないわけでございます。そういう意味におきまして、この経営ということは持続可能な状況でございますので、各ステージごとに適切に対応しなければいけない。
 そういう意味で、森林施業の分は先生御理解いただけるということで、保安林等々でございますが、これは持続可能なために法的に規制をかけておるわけでございます。そういう意味で、法的に規制をかけていない単なる天然林よりも持続可能性が高いであろうというのが一点。
 その上で、ただ、先ほど申し上げましたように、アリバイ証明がわりに一回か二回格好だけ保全措置を行うあるいは整備措置をやるということでは、持続可能な森林経営とは言えないであろうというふうに我々も思っております。この場合の経営はマネジメントでございますので、森林管理と言いかえても結構かと思いますが、そういう意味で、保安林等におきましても機能低下保安林緊急対策等を推進していくとか、そういう保安林の状況に応じて経営を、森林経営としての実態があるべく対応していくということが我々に求められているものだと考えております。
鮫島委員 一番最初に言ったように、この森林吸収というのは地球の神様から見たらまやかしの数字ですし、今の話を聞いても、転用規制の網だけかけても、年に一回、二回草刈りに入ったぐらいじゃだめだと言いましたけれども、この区画指定さえすれば草刈りなんかしなくてもいいんじゃないですか。まあ、よくわからない。とにかく、英語に訳してブリュッセルのEUの国際会議で世界の人にわかるように、十分検討してください。
 今いろいろ申し上げましたように、やはりもうちょっと夢を持ってお考えいただきたいというふうに思うんですが、最後に、大臣のこの一時間十分の話を受けてのまとめのコメントをいただきたいんです。
大木国務大臣 地球環境という問題、特に温暖化の問題がさしずめ目前の問題ですけれども、これはやはり、二十一世紀、本当に人類のこれからの安全、生存にかかわる問題でございますから、いろいろな意味での対策というものをそれこそミックスしてやらなきゃいかぬ。
 そこで、先ほどから夢というようなお話がございますけれども、例えば、私は科学技術につきましても、先ほど気体エネルギーのお話もございましたけれども、現実にこれからの十年、二十年ということを考えれば、そういったものは現実化するものが非常に多いと思いますので、そういったものを上手に使いながら、また、それを今度は具体的な行政の中でどうやって生かしていくかという問題がございますから、私どもとしては、そういった夢をできるだけ地上へおろして現実に実行できるように、行政の中に生かしていきたいというふうに考えております。いろいろとこれからも御協力をお願いしたいと思っております。
鮫島委員 終わります。ありがとうございました。
大石委員長 西博義君。
西委員 公明党の西博義でございます。
 初めに、京都議定書の、ごくごく基本的なことですが、意義についてわかりやすく御答弁をお願い申し上げたいと思います。
 御存じのように、京都議定書は、気候変動枠組み条約の目的である「気候系に対して危険な人為的干渉を及ぼすこととならない水準において大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させること」、これを目指しているわけでございます。そのための第一段階として、先進国の温室効果ガスの排出量を最初の目標期間である二〇一〇年前後までに一九九〇年よりも五・二%削減するという法的拘束力がある数値目標が盛り込まれた、そして、その計画の中で日本の目標値が六%というふうに決定されたものである、こういうふうに私は聞いております。
 そこで、気候変動に関する政府間パネルの第三次評価報告書というのがございまして、この調査室の本にも入っているわけですが、それによりますと、今回のCO2の削減対象となっていない途上国からの温室効果ガスの排出量が二〇二〇年には世界の排出量の半分を占めるに至るであろう、こういうふうな記載が一つはございます。また、CO2は、排出から数世紀経過しても、排出に伴う濃度上昇の約四分の一が大気中にそのまま残るというふうな記載もございます。
 そこで、京都議定書の発効によって、将来、私たちのごく身近なところで温暖化の影響をどの程度に抑えようという目的を持ってこの議定書ができているのか。先日来この委員会でも再三議論になっているように、アメリカを初めとする先進国の京都議定書への参加問題、また、いろいろほかにも不確定な要素が数多くございますが、今回のこの法案成立の影響といいますか、その目指すもの、これを具体的に教えていただきたい。特に、アメリカが参加した場合、参加しない場合、これはかなり影響としては大きいのではないかというふうに思いますが、そういうことも含めて、もし何か御見解がございましたらお願いを申し上げたいと思います。
岡澤政府参考人 京都議定書では、今先生御指摘のとおり、先進国に対して五%強の削減義務をかけているわけでございまして、先進国の排出量は世界全体の三分の二ぐらいに相当しますので、例えば五%強の削減をするとしますと、世界全体では三・五%ぐらいの削減の量になります。これは、アメリカも入った、すべての国が入った場合の数字でございます。
 ただ、十年間で三・五%世界じゅうの炭酸ガスの排出量を削減したとしても、一方で、途上国の方は年率一%か二%とかいうオーダーでふえてまいりますので、結果的には世界全体としては相殺されてしまって、むしろ、増加の傾向を弱めるという程度の効果しかないだろうというふうになります。
 アメリカが入らない場合には、これが世界全体のシェアとしては三五%ぐらいに下がってしまいますので、三五%の五%ということですから二%弱ぐらい、こうなりますと、アメリカが既に一九九〇年より今日までにふやした分で全部消えてしまいますので、その程度の違いがあるということでございます。
 これが大気中の炭酸ガス濃度のレベルとしてどういう影響が出てくるかということですが、これはIPCCの報告にもございますように、例えば現行の炭酸ガス排出量を半分にしたとしても、相当高いレベルでしか安定化しないわけでして、この京都議定書の五%とかいう、あるいは世界全体でいえば二%か三%、こういうようなレベルでの削減というのは、温暖化を防止するという効果はほとんどない。つまり、温暖化の進行をおくらすということで、今の段階ではそういう影響でございます。
 ただ、これは、要するに、温暖化防止に対して国際社会が協力して取り組む第一歩というところに非常に大きな意味があるわけでして、今まで増加傾向にずっと来ております温室効果ガスの排出量を横ばいから削減方向に向けて、さらにそれを加速していく、そのスタートを切るというところに大きな意味があるわけでございまして、その辺、長期的な、その先のカーブがどうなるかによって温暖化の進行がどうなるかということになりますので、ちょっと今の段階で、ここで京都議定書だけで議論するわけにはいかないというふうに思います。
西委員 今の御答弁、とりあえずの第一歩であるということは、先日の参考人質疑においても何人かの方がそういう認識をしておられましたし、それが正確ではないかということでございます。そういう認識で国民各界各層の皆さん方にこの協力を願うということだろう、これがクリアできたらこれですべてが終わるんだという認識ではないということが、今回の一つの認識でなくてはならないというふうに思います。
 続いて、話は変わるんですが、先日、NHKの番組「クローズアップ現代」を見ておりますと、CO2削減などで地球温暖化対策の先進地である北欧の現状が報道されておりました。
 デンマークでは、前の環境エネルギー大臣のスベン・アウケンという方が、経済成長を持続しながら環境政策を行う、こういう難問に挑戦しておられまして、エネルギー二〇〇〇という政策を実施しておられます。風力発電を新産業として育て上げ、雇用をふやし成果を上げよう、こういうねらいでございます。具体的には、環境税を導入し、それを原資に、省エネルギーを進める企業や新エネルギー関連の企業に補助して、温暖化対策を財政的に支援しよう、こういうものです。政府と企業がパートナーシップを組んで温暖化対策と経済成長を両立していこう、こういう試みでございます。
 温暖化対策を進めるためには民間の協力がどうしても必要である、これは間違いのないところですが、民間の自主的な取り組みに期待するというだけでは、私は、先ほども話がありましたように、この第一歩、先日も経団連の代表の方が、第一段階ぐらいは規制なしでもというお話があったので、非常によくわかる話だなという感想を持ったのですけれども、それはそれとして、今後のことを考えると、やはり民間の自主的な取り組みだけでは難しいだろう、こういう認識を持っております。
 そこで、環境税または炭素税等を導入して、デンマークのように企業、団体などを財政的に支援をしていく、環境に優しいところに支援をしていくという枠組みが必要になってくるのではないかというふうに私は考えておりますが、大臣の御所見をお願いしたいと思います。
大木国務大臣 環境税を初めとしまして、いろいろと経済的な措置によりまして地球温暖化の防止というのを進めるというのは、これは一つの考え方だと思いますが、税を取るということになりますと、いろいろなところ、いろいろなその影響も考えなきゃいかぬ。やはり単純に税を取ることだけを中心にした話というのはなかなか受け入れがたいわけでございますから、例えばデンマークなんかでも、一方においては環境税的な税を徴収すると同時に、またいろいろと新しいエネルギー、例えば風力を含めて、あるいはしかしほかのものも含めて、要するに、全体の税体系として必ずしも増税ということだけではなくて、むしろその促進を、新しい行政も一緒にやっていくということが必要だろうと思っております。
 ただ、デンマークの例を見てみましても、例えば風力発電が非常に発展しておりますけれども、直接、片っ方で何か悪いエネルギーを抑える、そのかわりに風力発電にすぐにお金を出すということでは必ずしもなくて、いろいろなところで、例えばデンマークというのは、北欧三国、いずれも非常に福祉先進国でございますので、北欧四国と言った方がいいのかな、とにかく北欧諸国ですね、非常に先進国でございますから、お金を出すときも、そういった広い意味の福祉というようなことについてもまた必要なお金は出すというようなことですから、全体としてはやはり増税一本やりじゃないぞ、こういうようなことでいろいろと研究いたしまして、かなり成功しておると私は思います。
 ということで、風力発電につきましては、これはまたそういった科学技術的な進歩もありますし、単に風力発電所をふやすだけではなくて、やはり風力発電についての技術革新というのもありますから、いろいろな、風力発電所の風車とか、そういったものの非常に新しいものを研究しておりますから、そういったことで非常に効率がよくなっているというようなことでございますから、全エネルギーのうちの一五%ですか二〇%でしたかぐらい既にいっておりますし、それをさらに半分ぐらいまで持っていこうというようなことを言っていますから、これはデンマークの場合には、風力というのは本当にエネルギーの中心的な地位を占めるということになっております。ただ、日本の場合はちょっとなかなか風力だけではいけないということは、午前中から申し上げているとおりではございます。
 そういうことで、そういった経済的な措置というものは、要するに、一方において例えばCO2の抑制というような面もあるし、片っ方におきましては新しいエネルギーあるいはいろいろとそういった対策を促進するための措置ということで、プラスマイナス両方考えながら、やはり国民として受け入れられるようなものをやっていかなきゃいかぬというふうに考えております。
西委員 税制というのは税を取るということだけではなくて、優遇税制ということもあるわけですし、いろいろな組み合わせがあると思います。ある意味では国としての意思表示という側面もあると思いますし、私どももまた考えてまいりたいというふうに思っております。
 では、次に行きたいと思います。先ほど樋高委員からの質問にも若干ありましたけれども、情報にかかわる体制の整備のことについてお伺いをしたいと思います。
 環境省は、毎年四月の十五日までに条約事務局へ温室効果ガスの排出・吸収目録を提出するということになってまいります。しかし、中央環境審議会の答申にも、温室効果ガスの排出に関するデータの集計、公表に関して大幅におくれているということ、それから、提出期限にこのままでは間に合わないというようなことが問題点として指摘をされております。温室効果ガスの排出量を算定するデータ、これはエネルギー統計、運輸統計などさまざまな統計を加工しているわけですが、これらは毎会計年度ごとに把握している、こういう事情もありますので、四月十五日というのはまことに都合の悪い日だということはよく理解をしております。
 また一方では、この提出期限を守るために、環境省以外の省庁が管理している統計データを環境省も共有するか、または年末ぐらいまでの暫定値をまとめていただくかというようなことが考えられると思うんですが、それぞれの関係省庁、きょうはお忙しい中をおいでいただいております。いわば大臣が京都議定書によってきちっと枠組みを決めていただいた、このことに関連することだと思うんですが、四月十五日ということに間に合うように提出するための御協力を得られるのかどうか、明確にお答えをいただきたいと思います。結論だけで結構でございます。まず環境省、それから経済産業省、国土交通省、農水省と、それぞれおいでいただいておりますので、一言だけで結構でございますが、よろしくお願いいたします。
岡澤政府参考人 実は、この中で環境省所管の廃棄物統計が一番遅いので、今、いかにして早くするかということを検討しておりまして、何とか時間に間に合わせるよう、少し短縮させるようにさせたいと思います。
大井政府参考人 お答えいたします。
 経済産業省といたしましても、定められた期限までの温室効果ガスの排出・吸収目録の迅速な提出に対応するため、環境省を初めとします関係省庁と相互に協力してまいる所存でございます。
伊藤政府参考人 国土交通省といたしましても、これは政府全体として取り組むべき大きな課題だと思っておりますので、そういうことを十分踏まえまして、データの共有や報告期限の遵守ということについて前向きに取り組み、協力していきたいというふうに考えております。
 以上でございます。
大森政府参考人 農林水産省といたしましても、データの取りまとめ、提供ということに、迅速にこれを行うように努めまして、この問題に積極的に協力して対応してまいりたいと思います。
西委員 それぞれの省庁の皆さん、大変ありがとうございます。
 算定作業それから目録の作成、これは環境省も大変厳しいスタッフの中で、数名で、民間のコンサルト会社の協力を得て膨大な情報処理を行っているというふうにお伺いしております。
 先日の委員会でも要望いたしましたけれども、早急に統計行政を行う組織を編成していただくということを再度申し上げたいと思いますが、もし大臣、何かコメントございましたら、急なことで申しわけございません、よろしくお願いいたします。
大木国務大臣 具体的なところでは後で局長から御説明すると思いますが、環境省としましては、環境庁から環境省になったわけですけれども、現実に人間の数が非常に足りない。いろいろなところで強化しなきゃならぬと思っておりますので、統計の方も、確かに非常にまだ弱体でございますが、何とかひとつこれから強力に強化したいと思っております。
 具体的な数字なり状況なりは局長の方から御説明してもらいます。
岡澤政府参考人 大変温かいお言葉をいただきまして感謝いたしますが、中でそういう方向で頑張りたいと思っておりますけれども、作業そのものが、排出量のガイドラインというのは、ガイドラインそのものが千数百ページもあるような膨大なものでございまして、それに基づく作業ということで大変な人手がかかります。人手が足りないということもございますので、外注したりもしているわけですが、ことしから国立環境研究所の協力体制を得てこの作業を行う体制を図ってきておりますので、そうしたこともさらに強化しながら、内部的な人員の体制の整備というふうにも努めてまいりたいと思います。
西委員 次に、地球温暖化推進大綱の中に、都市緑化等については、緑の政策大綱や市町村が策定する緑の基本計画、それから国及び地方公共団体における緑の保全、創出に係る総合的な計画に基づいて、引き続き、都市公園の整備、それから道路、河川等の緑化、既存の民有緑地の保全、建築物の屋上、壁面等の新たな緑化空間の創出を促進する、また、引き続き、エコポート政策による港湾緑化等を推進する、こういうふうに書かれておりまして、都市緑化に力を入れていくというふうに書かれております。
 例えば、都市部の高速道路それから国道が緑のハイウエーとなるような、街路樹をふやしていくということを考えていくべきではないかというふうに御提案を申し上げたいと思います。
 また、住宅の造成などを行う場合には、日本ではそこにある森、林等を根こそぎ切り取ってしまうというケースも大変多いわけですが、福島県の知事は、人間が一部分だけ都市の中に森を残すのではなくて、森を残してその中に巣くっているような都市のイメージ、こういう「森にしずむ都市」という都市のあり方を提案している、こういうふうにお聞きしました。海外では、都市でも森の中に家がぽつっとそれぞれ建っているというイメージがございますが、私は宅地の造成のあり方を見直す必要もあるのではないかという感じがしております。
 国土交通省からのこのことに対する御答弁をお願いしたいと思います。
大石政府参考人 道路についてお答え申し上げます。
 道路空間の緑化を進めるという観点からだけではなくて、潤いある豊かな生活空間の創造や地球環境対策という観点から、道路空間が都市や地域における緑の量全体を増加させるに必要な空間だという観点から、認識を新たにしておるところでございます。
 こういった認識のもとに、平成十二年度から全国で道路の緑化計画を策定いたしまして、その計画に基づきまして緑化を推進してまいる道路緑化モデル事業を重点的に実施するとともに、それ以外に、道路のり面でございますが、こういう斜面におきまして、ポット苗による植栽を、これは一般国道、直轄国道や、あるいは高速自動車国道を使いまして実施いたしておるところでございます。
 また、既存の緑地の保全とあわせまして、道路空間、公園空間、河川空間が一体となって緑の骨格軸を形成するという緑の回廊構想も推進しようと考えておるところでございます。
 さらに、昨年の四月でございますが、道路構造令を改正させていただきまして、都市部の幹線道路におきましては、緑を道路の重要な構成要素として位置づける、このような考え方にさせていただきまして、植樹帯を設置すべきだという考え方にさせていただきました。道路空間を自動車、人とともに重要な空間として位置づけようと、緑を供給する空間として位置づけることにいたしました。
 また、緑というのは時間とともに成長するものでございますので、でき上がったときが百点満点の道路でその後は陳腐化していくだけだというものではなくて、時間とともに成長する社会資本としての道路という観点から緑を位置づけたいと考えてございまして、例えば京都―和歌山線でございます二十四号におきましては、森に包まれた道路ということを標榜して植栽を行っている等々の事例も出てきておるところでございます。
伊藤政府参考人 宅地開発の方についてお答え申し上げます。
 委員御指摘のように、宅地開発、戦後を振り返ってみますと、昭和四十年代というのは、量的な窮迫状況ということがございまして、確かに、里山とか農地とかそういうものを大規模に開発するということで、根こそぎとおっしゃるようなそういう状況があったと思います。
 現在の状況を申し上げますと、そのころに比べますと、宅地需要量で大体そのころに比べて三分の一ぐらいになっておりまして、量から質への転換ということが図られてきているというふうに私どもは思っております。
 そういう中で、特に質の重視という観点では、宅地開発の行われます里山等は都市住民にとって身近な環境でございますし、国民の環境意識の高まり等を背景に、環境の保全にも十分配慮して宅地開発を今後進めていくということは大変大事な視点だと思っております。
 そういうことで、国土交通省といたしましては、環境共生住宅市街地モデル事業というような制度も導入いたしまして、樹木の保存や移植等、環境資源を活用しながら身近な自然環境とのかかわり方を重視したそういう共生型の町づくり、そういうようなことも宅地開発に現在取り入れているところでございます。
 また、宅地開発につきましては、全体としては八割ぐらいは民間開発ということになってまいるわけでございますけれども、そういうものにつきましても、一定規模以上のものにつきましては、都市計画法上の技術基準で、樹木の保存とか表土の保全とか、そういうようなことも技術基準の中に盛り込んでございます。
 私どもとしては、そういう時代の流れというものを十分に認識しながら、地域の特色を生かし、自然環境との調和を図るような、そういう方向をこれからも目指してまいりたいというふうに思っております。
 以上でございます。
西委員 森林づくりについてもう一つお伺いしたいと思います。
 環境に資する森林づくりということを目指すためには、大きな要素として、民有林をどうするかということがどうしても避けて通れない問題としてあります。
 民有林に関しては、森林整備の担い手が意欲の減退を来したり高齢化したりということで、せっかくの全体的な計画を策定しても、森林計画が個々にはなかなか進まないというようなことにもなりかねません。また、具体的な計画はできても、民有林は、登記が完全に所有者と一致していなかったり、早くからどこかに行ってしまったりというようなことがありまして、なかなか手入れができないケースも出てくるというのが、今、具体的な整備の段階で持ち上がってきております。
 農林水産省は、このことも含めて、民有林における森林整備、これがより進むような具体的な対策としてどのようなことをお考えになっているのか、お伺いをしたいと思います。
米田政府参考人 お答え申し上げます。
 おっしゃるとおりに、近年の木材価格あるいは林業労働力の問題、あるいは木材需要の問題、そういうようなことから、森林・林業を取り巻く情勢は極めて厳しゅうございますし、そういう中で、放置しておいて、あるいは計画をつくっただけで民有林の整備が進むなどとは考えておりません。
 しかしながら、他方で、森林に対する国民の期待というものは、単なる木材供給、木材供給はもちろん今後も大事でございますが、それのみならず、各方面の公益的機能への期待というのが高まっておるわけでございます。そういう状況のもとで、我々は、そういう要請にも対応して森林を整備していかなければいけない、かように考えております。
 具体的には、昨年、森林・林業基本法を改正いたしまして、森林を資源の循環利用林、水土保全林、人との共生林と三区分して、区分に合った整備をしていく。それに見合った補助、指導、助成体制を仕組む。
 もう一点は、先生おっしゃったように、意欲の減退した森林所有者等々が増加しておる現実がございます。そういう中で、受託等によって森林の経営を行う例えば森林組合であるとかそういうもの、林業事業体と言っておりますが、そういうものがみずから森林施業計画なるものをつくって、それで具体的な施業を進めることに我々も支援ができるようにということで、林業事業体の施業計画の策定というのも前回の法改正で条件をつくったわけでございます。
 もう一点は、森林施業計画、これをきっちりやるためには、森林の現況把握、これが非常に厳しくなっているという問題点、おっしゃるとおりでございます。現況把握などの地域において前提となる活動をちゃんと確保していきたいということで、若齢林等を中心に、一ヘクタール当たり一万円の森林整備地域活動支援交付金制度というものを創設したわけでございます。
 それでもなお森林整備が進まないところにおきましては、今後とも、公的な関与による森林整備というものもあわせて進めていきたい、かように考えておるわけでございます。
 いずれにしろ、森林に対する要請が高まる中で、森林を取り巻く状況は厳しゅうございますので、我々としては、必要な対策を講じることにより、三・九%の確保も重要な課題でありますので、それもにらみながら民有林の整備に努めていきたいと考えております。
西委員 時間がほとんどございませんが、最後に一点だけ。
 この森林の整備のために、緊急地域雇用創出特別基金事業、これがございます。緑の雇用事業を実施しているわけでございますが、実は、林業の担い手というのは習得すべき事柄が大変多くて、しかも、やはり少なくとも一年くるっと経験するということが、林業として定着していただく場合には最低限必要なことではないかというふうに思っております。
 ところが、この事業要件は六カ月という雇用期間になっておりまして、この内容ではちょっと更新が限定されておりますので、ここが実はネックかなというふうな感じがしております。
 この部分で、最低限の要件の緩和として、事業内容にかかわる雇用期間の更新を可能とするように要請をしたいと思いますが、きょうは厚生労働省の方、いらっしゃっていますか、最後によろしくお願いいたします。
澤田政府参考人 御指摘の緊急地域雇用創出特別交付金事業ですが、これは、限定的な公的雇用創出ということで、臨時緊急の雇用機会をできるだけたくさんの失業者に提供するという観点で、委員御指摘のような雇用期間六カ月ということを原則にしております。
 そうした中で、雇用期間の更新ということを一回認めておりまして、それは、例えば事業を継続するために必要不可欠な業務を行う人とか、あるいは一回六カ月の雇用期間を更新した後、引き続き事業者が雇うということが同意されている者、こうした方については、六カ月を更新して一年ということになっております。
 したがいまして、現行の要件でも、森林組合等の委託先が雇用期間終了後も引き続き雇うというようなことが約される場合には、更新が認められるということになっておりますので、私どもとしては、ぜひこういう弾力的な取り扱いも活用していただければ、こう思っております。
 それのいわば前提として、交付金事業が終わった後の安定的な雇用を図るには、何といっても森林整備におきます事業そのものが確保されるということが大事だと思っておりますので、私どもも、そうした観点から、環境省、農林水産省と十分な連携協力をしながら必要な対応をとっていきたい、こう思っております。
西委員 時間が来ました。ありがとうございました。
大石委員長 西川太一郎君。
西川(太)委員 私は、COP3の京都の大会に院から派遣をされて、村田敬次郎元通商産業大臣を団長に参加したことが懐かしく思い出されますが、そのときに、大木大臣が議長として大変御活躍をされました。そしてさらに、昨年の四月、経済産業省から、アメリカの議会や国務省、環境庁、そういうところに、ぜひ京都の枠組みにアメリカも積極的に参加をしてほしいと、与党三党の代表の方々と、またここにおいでの当時の熊谷環境大臣政務官、弁護士さんで参議院の公明党の外務副大臣荒木さんと一緒にアメリカに行って、センセンブレナー議員初めいろいろな人たちにお目にかかって、一生懸命説得したんですけれども、全然だめですな、アメリカは。
 私は、まず第一問目は、要するに、地球温暖化防止のためには当然ながら地球規模で取り組みが必要となるわけですけれども、アメリカが脱退をする。先ほど来御議論になっておりますロシア、オーストラリア、さらにはカナダも批准に慎重な姿勢を見せていると聞いております。こうした主要国は、もう一回言いますと、ロシアとかオーストラリアとかカナダでありますけれども、八月に行われるヨハネスブルグ・サミットまでに批准し、京都議定書が発効する見込みはあるのか、大木大臣にまずお伺いをしたいと思います。
大木国務大臣 まずロシアでございますけれども、ロシアは、先般カナダで行いましたG8の環境大臣会議のときも、あのときは大臣は出てこなかったんですが、次官が出てまいりまして、それで、目下国内で、まず行政府の中でいろいろとまだ意見調整が必要なので、国会へは提出していないけれども、目下行政府内部で検討して、いずれ国会に提出して批准を求めたいということでありますが、明確なその時期についてはちょっとまだ、先般のG8の会議のときには明示できないということでありました。しかし、できるだけひとつヨハネスに間に合うようにということでありましたけれども、絶対に間に合うとまでは言ってくれませんでした。
 それから、オーストラリアにつきましては、これは先般来いろいろと、地球温暖化というよりは、例のもとになります気候変動枠組み条約の中ではアメリカといろいろ協力していくというようなことでありまして、アメリカ自体が今のように京都議定書には今のところ入らないと言っておりますが、アメリカと協力できることについてはいろいろ勉強していくというようなことであります。
 同時に、今すぐに、京都議定書をいつ批准するかということについては明確にしておりませんけれども、京都議定書で定められた、オーストラリアの場合は、たしか減らすのではなくて、まだふやす方に数字が出ていますけれども、その枠内にとどめるための努力というものはすると。要するに、京都議定書で決めた、削減ではなくて安定させるための目標ですけれども、目標についてはそれを実現するように努力をする、ただし、その議定書の批准につきましてはまだ明確にしていない。
 ただ、オーストラリアの環境大臣がいずれ数日中に日本へ参りますので、そのときまた強く申し入れたいというふうに思っております。
 それから、カナダにつきましては、これも先般のカナダで行われましたG8の環境大臣会議のときに、カナダとしては、中央政府としては一生懸命今批准のための努力をしておるんだけれども、御存じのとおりに、カナダというのは非常に各州の政府の独立性が強くて、なかなかまだ十分に話し合いが進んでおらないというようなことを言っておりましたので、これもまたいつまでにということは言っておりませんけれども、目下一生懸命国内で批准のための努力を進めておる、こういうようなことでございました。
 ということで、私どもとしては、特にロシアが一番大口でありますから、何とかしてヨハネスに間に合うようにということで、私どもも、こちらの国内法のいろいろと仕事が終わりましたら、ひとつまたロシアにも、日本もこれだけやったんだから、今度はロシアもきちっと早くやってくれ、そういうような意味での申し入れも行いたいと思っております。
 いずれにしても、この三国、いずれも手続は進めておるけれども、明確にいつまでということはちょっと得られていないというのが現状でございます。
西川(太)委員 破れ傘というのは張れば何とかなるけれども、骨が折れちゃったらこれは厄介で、そういう意味では私も大変心配しておりますが、なぜこんなことをお尋ねするかといえば、日本が約五%、EUが約一四%、この二つを足しても二酸化炭素排出量の二割程度、仮にただいまの大臣の、ロシアは非常に前向きであるということを勘案しても、これは七%ほどでありますから、全体で、議定書の発効する状況であっても三割しかカバーできない。これでは温暖化防止の実効性というのは非常に低くなる。我が国がこれだけこれから官民挙げて血のにじむ努力をしていこうという、この努力が報われないということになったらどうなるのか。政府としての御見解を承りたいと思います。
大木国務大臣 ただいま申し上げましたように、何とかして私どもとしては、できればヨハネスブルグの会議までにひとつ必要な数の国が批准を終えてもらいたいということで、EU、日本、ロシア、それからあとポーランドあたりが今またこれも同じ手続を進めておりますが、そこまで入れば、これで規定の数字になる。つまり、国の数では五十五以上、それからまた排出量等々で、御存じのとおりにいろいろな規定がございます。
 ということですから、それだけの国がそろえば発効するわけでございますから、私どもといたしましては、とりあえずは、まずは日本が批准手続を終え、そしてまた、返す刀でそれこそ関係諸国に強く申し入れたいというふうに考えております。
西川(太)委員 もう一つ基本的なことを伺いますが、アメリカを初めとする主な排出国や、中国などの途上国の排出削減義務がないままこれをスタートさせざるを得ない、こういうことになりますと、二〇一三年以降の第二約束期間に関する交渉というのは、二〇〇五年に、正確に言えば、までにですか、開始をされる、こういう取り決めになっていますね。
 よもや、アメリカや途上国が引き続き第二約束期間においても排出削減義務を負わないということにはならないと私は考えて、期待をしているんでありますけれども、すべての国が京都議定書に参加、協力するために最大限の努力を当然求めていくわけでありますが、政府は、こういうものをただ努力する、努力すると言っても、私のつたないというか乏しい経験でも、これは、戦略、手順というものをしっかり持っていかないとなかなか手ごわいですよね。そんなことをどんなふうに持っておられるのか。
 最大限の努力をしても、アメリカ等の京都議定書への参加、協力が得られない場合には、新たな国際的な枠組みということも考慮に入れる必要があるんじゃないかと私は考えますが、政府としてはどんな展望を持っておられるか、戦略、手順ですね、それから新たな枠組みについて、大臣の御所見を。
大木国務大臣 御存じのとおりに、京都議定書というのは、いわゆる気候変動に関する枠組み条約の枠内で、その中の一つというふうに御理解いただいていいと思うんでございますが、今のところアメリカは、議定書には入らないと言っているけれども、枠組み条約の方には入っておるということで、そのほかの国もほとんどの国が全部枠組み条約には入っておりますから、これはそれなりに、その中でのいろいろと協力というのは今後も進めてもらいたいというふうに思っております。
 また、京都議定書の中での協力はもちろん必要ですし、京都議定書につきましては、これは毎日、いわゆるCOP3以来、京都がCOP3でございましたけれども、むしろCOP1以来ずっと話し合いを進めておるところであります。
 ちょっと古いことに戻って恐縮ですけれども、実は、COP1のときに途上国については義務化は求めないということが、さんざん議論したんですけれども、結局そういうふうになってしまったということで、COP3のときもこの問題を持ち出しまして、アメリカあたりは、やはり途上国は何らかの形で、義務化とは言わないまでも具体的な行動を進めるという枠組みをつくりたいということで、非常に頑張ったんですけれども、残念ながらあの時点ではどうしても途上国は乗ってこないということで、それは将来の問題として、京都議定書では途上国の義務化の話は結局横に置いたままになっておるというわけでありますけれども、ことしもまた十月ごろにはインドでCOP8の会議がございますし、それから毎年、COP9、10とずっと進めていくわけでありますから、これは当然そういうところで、いきなりいつまでにということではないにしても、途上国も含めて世界のすべての国が参加してくれるようにということでの話し合いというものは、だんだんにひとつ詰めていかなきゃならぬというふうに思っております。
 具体的には、例えば戦略というお話がございましたんで、それでは、ただ百何十カ国集まっているところで演説しているだけではだめなんで、やはりバイラテラルに、あるいはリージョナルに、例えばアジアの国々が集まるところで、アジアとしてもお互いに近隣諸国ですから、いろいろな意味で、環境が悪ければお互いに迷惑になるわけですから、温暖化ばかりでなくて、例えばこの間問題になっております黄砂なんというのは、すぐに中国から韓国を通って、あるいは朝鮮半島を通って日本まで来るというわけで、果てはアメリカまで一部は行ったというようなことがありますから、やはりバイあるいはリージョナルな話し合いというのを積み重ねまして、そしてやはり全世界的にも必要だぞということを理解させるということが一つの戦略ではないかというふうに考えております。
西川(太)委員 私は、大木大臣は御記憶かどうかあれでございますけれども、自民党にまだ私がおったころ、東京都連の代表で、二階堂先生が総裁で大木大臣が幹事長で、東京で世界の自由主義インターの、保守のインターの集まりで、さすが元ホノルル総領事、英語を駆使して国際間の非常にお顔の広い御活躍を遠くから見ていた。そういう大木さんでありますから、今のようなことを私は大いに期待しておりますので、ぜひ頑張ってほしいと思います。
 そこで、国際関係についての最後の質問でありますけれども、京都議定書の遵守義務違反に対して法的拘束力の導入ということをEUなんかが求めてきているわけでありますけれども、結局、アメリカや途上国が、遵守義務を伴う参加ということをもし決めたら、今でさえ消極的なのが、さらに足が遠のくと私は思うんですね。したがって、これは、そういう意味では、参加者に対して門戸を殊さら閉ざすことになるんで、真に実効性のある温暖化対策の取り組みにはならない、つながらない。こういう点にかんがみて、京都議定書発効後の最初の締約国会議において、いわゆる義務違反に対する法的拘束力の導入という議論が行われる際には、従来どおり、ぜひ我が国は反対をするべきだと私どもは考えております。
 いろいろな御意見あると思いますよ。あると思いますが、したがって、こういうものが導入されるという場合には承認すべきでないと考えますが、政府としての御見解、私も大臣政務官をやりましたから、たまには、大臣ばかりじゃなくて、昔から知り合いの奥谷大臣政務官にお伺いします。
奥谷大臣政務官 どうも御指名をいただきましてありがとうございます。
 不遵守の際の措置についての法的拘束力を認めるか否かというような問題でございますが、先生御指摘いただきましたとおり、一国でも多くの国に議定書の締結を促したいという意味においても、また、遵守を奨励する観点から、国内措置等に対する助言や支援に重点を置く方が適切であるというようなことも考えておる観点から、法的拘束力の導入には反対する立場で今まで臨んでまいりました。
 第一回の締約国会議においても、我が国といたしましては、法的拘束力の導入に反対するというこれまでの主張を踏まえまして対処していく所存でございます。
西川(太)委員 次に、国民経済への影響についてお伺いしたいと思います。
 我が国が義務として負う六%の削減約束は、さまざまな試算が出ておりますとおり、我が国経済に大変重いものを背負わせる、こういうことも考えられるわけでありまして、その達成は決して容易なものではない、こう思います。
 京都議定書に参加しないアメリカが、ことしの第一・四半期では昨年の第四・四半期に比べて五・八%のプラス成長をしている。それから、削減義務を負わない途上国の代表である中国などは、まことに急速な経済成長をしておりまして、ことしの第一・四半期は前年の第一・四半期に比べて、これは統計上その資料しか手に入りませんから、直前と比較できないのでありますけれども、七・六%も成長を遂げている。一方、我が国は、御案内のとおり大変厳しい経済情勢にあるわけであります。
 環境と経済の両立というのは、これはやはり大変重大だろうと私は思っておりまして、新大綱に掲げられた技術開発でありますとか省エネ機器の導入でありますとか森林管理といった対策の実効性を確保して、CDM等の京都メカニズムを活用していかなければならない、そのためにしっかりとした財政的措置が必要だ、こう思うわけであります。税制上の優遇措置のほか、温暖化防止関連予算について、予算編成上、重点的配分のための一定の枠取りが必要だというふうに考えます。大臣にぜひこれは頑張っていただきたいと思いますが、御決意を簡単にお聞かせいただきたいと思います。
大木国務大臣 これから、せっかく京都議定書を承認していただき、関連法案も通していただく段階に来ておるわけでございますので、御承認をいただきましたら、これはぜひともそれを実行しなきゃいかぬということでありますので、そのための予算の獲得につきましては全力で頑張らせていただきたいと思いますので、よろしく御支援をいただきたいと思います。
西川(太)委員 恐れながら、環境省はともすれば環境保全一辺倒になるという懸念を財界の人と会うと聞かされております私としては、この両立を達成するためには、経団連を中心とした財界の創意工夫また自主的取り組み、こういうものも尊重していかなきゃいけないだろうと思います。
 いわゆる安易な経済規制でありますとか税負担を課するということは、先ほどの大臣の御答弁にもございましたとおり、そう軽々にやれるものではないと、私も同感で承っておりましたが、新大綱を取りまとめた副本部長として、大木大臣は、あくまでも環境と経済の両立というスタンスを維持して、排出規制や環境税を安易に導入することはないと明言をしていただけるかどうか、こういうお尋ねでありますが、いかがでございましょうか。
大木国務大臣 先ほどから申し上げておりますとおりに、経済的な手法でいろいろと、この京都議定書なりあるいは地球環境問題の解決のために努力しなきゃいかぬわけでありますが、もう先ほどから申し上げているとおりで、何か一つだけを、税を、やはり国民に対して負担のことだけではなかなか受け入れていただけないと思いますので、仮にいろいろな負担の方をお願いするときには、同時にいろいろな促進策も考えなきゃいかぬということでございます。
 今、この税をするとかしないとかいうことではなくて、基本的な考え方としてそういったようなことをよく考えながら、やはり国民が理解していただけるような措置を進めたいと思っております。
西川(太)委員 地球環境局長にお尋ねをいたします。
 六%削減という約束達成については、国内における各地域がばらばらに対処していくような問題ではないと私は思うんですね。国全体がしっかり取り組まなければならないし、また、世界全体が、今の段階では歯抜けの状態ではあるけれども、グローバルに対処していかなければいけない、大きく言えばそういう課題ですね。
 そうすると、今私が申し上げた環境と経済の両立という国が策定した基本的な考え方を地方公共団体の方々にも理解をしていただいて推進していただくわけですが、よく福祉、福祉なんかは財政力があればいいことなんですけれども、特にこの規制問題では、上乗せとか横出しとかという俗語が行政用語であるけれども、これをやられると非常に困るというケースが、経済界からも心配、懸念、こういうものが出されております。
 本改正法案には、地方の取り組みを奨励するような規定が新たに多く設けられているわけでございますけれども、環境大臣は、地方における独自の施策が上乗せ規制につながらないように、地方公共団体の役割に応じた、例えば地域住民の取り組みといった民生分野への施策を推進するために、どのように新大綱に記述されている考え方を徹底し、または適正な運用を行っていくおつもりなのか、直接の局長としてお考えを聞かせてください。
 私はもう一問質問して終わりますから、簡単に答えてくれると早く終わりますので、どうぞ。
岡澤政府参考人 京都議定書の削減というのは、国としての約束でございまして、国としての義務を達成するために目標達成計画を策定するということでございます。この達成計画の実施に当たって都道府県などの地方公共団体の協力を求める、こういう全体のストーリーになっております。
 法律でも、地方自治体は、目標達成計画を勘案して、排出抑制等のための施策を策定し、実施するよう努めることというふうになっていますし、また大綱でも、環境と経済の両立やステップ・バイ・ステップのアプローチといった基本的な考え方を勘案して、その役割に応じた施策を実施するというふうに書いておるところでございます。
 この趣旨を徹底いたしまして、また、実際に地方自治体がどういう取り組みをするといいますか、事例集のようなものを配布するなどして、周知を図りたいと思っております。
西川(太)委員 最後に、原子力発電の問題についてお伺いをします。
 私は東京に暮らしておりまして、ふんだんに電気を使わせていただいている。しかし、この間、刈羽村の問題、ラピカの問題を発端に、新潟県民の方々が大変お怒りになった。福島の方々も同じくである。大消費地の東京は、そういうリスクを負って発電し、送電に御協力をいただいている発電県、発電地の方々に、単に財政的に支援を申し上げればいいというだけじゃないと私は思うんですね。
 そのときに例を引いたのは、東京都の水道は群馬県からいただいているんですが、群馬県の治山治水に東京の水道料金、下水道料金の一%を献じているんですよ。それは、単に水没地の方々の慰謝の問題だけじゃなくて、やはりそういうことを意識することによって感謝しなきゃいけない。
 私は提案をして、東京商工会議所の皆さんを中心に、新潟県の県知事さん初め、その地域の市長さん、町長さん、村長さんにおいでいただいて、東京の主婦などたくさん集まって、東京会館でお話を伺いながら、そしてまた大学の教授の講演をいただきながら、いかに原子力がCO2の排出を抑えるために役に立っているか、そしてその電源地の皆さんにいかに感謝をしなければいけないかという集まりをやったんですね。
 きょう、たまたま環境白書、それから循環型社会の報告を伺いました。その中で、原子力という言葉は、顕微鏡で探さなきゃならないぐらい、もう極めてちょこっちょこっとしか出てこないんですね。数百ページの中で二、三カ所しか出てこない。
 私は、この原子力の問題、とかく批判がありますから、環境族はこれを避けて通りたいのはわかるけれども、しかし、経済産業省にばかり悪い役をおっつけて、これが達成できなければ、さっきの質問者のお尋ねのとおり、クリアできないじゃないですか。乾いたぞうきん絞って幾ら削減だ削減だと言ったって、やはりちゃんと保証するところをきちっと手当てしなければ、クリーンなエネルギーの供給がなければ達成できないわけですね、これは。
 ぜひそのことについて、私としては、我が国の削減目標を達成するために、発電過程で二酸化炭素を排出しない原子力の新増設が不可欠であり、地球温暖化対策の観点からも、安全性の確保を大前提として原子力の推進を行うことが重要であると考えています。この考えは新大綱においても明記されており、また、総理の施政方針演説においても表明されたところであり、新大綱を取りまとめた副本部長の環境大臣としても、原子力の重要性を認識し、原子力の推進を国民に訴えていただけるものと思うが、その御決意を伺いたい、こういうことで質問を終わりたいと思いますが、御答弁をいただければと思います。
大木国務大臣 先ほども答弁でいろいろと申し上げましたけれども、現在の日本のエネルギー事情ということを考えますと、どうしても原子力に相当大きなパーセンテージを頼らざるを得ないというのは現実でありますから、そのためには、やはり国民に十分に原子力というものの重要性ということを理解していただかなきゃいかぬ。
 それからまた、当面、これは何年、十年とか二十年という期間を考えますと、少なくとも原子力に引き続き依存しなきゃいかぬということでございますから、地球環境の問題からも、また、国民経済をきちっと維持するという点からも、これはやはり原子力というのは必要だということは、環境省としても引き続きその重要性を国民に、関係各省と一緒に、特に経済産業省と一緒に訴えてまいりたいと思っております。
西川(太)委員 終わります。ありがとうございました。
大石委員長 次回は、来る二十一日火曜日午前九時十分理事会、午前九時二十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時三十八分散会


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