衆議院

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第14号 平成14年5月21日(火曜日)

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平成十四年五月二十一日(火曜日)
    午前九時二十五分開議
 出席委員
   委員長 大石 正光君
   理事 熊谷 市雄君 理事 西野あきら君
   理事 柳本 卓治君 理事 山本 公一君
   理事 奥田  建君 理事 牧  義夫君
   理事 西  博義君 理事 樋高  剛君
      奥谷  通君    亀井 久興君
      木村 隆秀君    北村 直人君
      小泉 龍司君    小林 興起君
      阪上 善秀君    七条  明君
      中本 太衛君    菱田 嘉明君
      三ッ林隆志君    望月 義夫君
      山本 有二君    小林 憲司君
      小林  守君    五島 正規君
      佐藤謙一郎君    鮫島 宗明君
      田端 正広君    武山百合子君
      藤島 正之君    藤木 洋子君
      金子 哲夫君    西川太一郎君
    …………………………………
   環境大臣         大木  浩君
   環境副大臣        山下 栄一君
   環境大臣政務官      奥谷  通君
   政府参考人
   (厚生労働省労働基準局安
   全衛生部長)       播   彰君
   政府参考人
   (経済産業省大臣官房審議
   官)           大井  篤君
   政府参考人
   (国土交通省総合政策局長
   )            岩村  敬君
   政府参考人
   (国土交通省海事局長)  安富 正文君
   政府参考人
   (環境省大臣官房廃棄物・
   リサイクル対策部長)   飯島  孝君
   政府参考人
   (環境省地球環境局長)  岡澤 和好君
   政府参考人
   (環境省環境管理局長)  西尾 哲茂君
   政府参考人
   (環境省自然環境局長)  小林  光君
   環境委員会専門員     飽田 賢一君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月二十一日
 辞任         補欠選任
  小渕 優子君     中本 太衛君
  田中眞紀子君     北村 直人君
  原田昇左右君     望月 義夫君
  山本 有二君     七条  明君
  近藤 昭一君     小林 憲司君
  鮫島 宗明君     佐藤謙一郎君
  武山百合子君     藤島 正之君
同日
 辞任         補欠選任
  北村 直人君     田中眞紀子君
  七条  明君     山本 有二君
  中本 太衛君     小渕 優子君
  望月 義夫君     原田昇左右君
  小林 憲司君     近藤 昭一君
  佐藤謙一郎君     鮫島 宗明君
  藤島 正之君     武山百合子君
    ―――――――――――――
五月二十一日
 鳥獣保護法の改正及び野生生物保護法の制定に関する請願(金子哲夫君紹介)(第三一九〇号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第八四号)


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     ――――◇―――――
大石委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省労働基準局安全衛生部長播彰君、経済産業省大臣官房審議官大井篤君、国土交通省総合政策局長岩村敬君、国土交通省海事局長安富正文君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長飯島孝君、環境省地球環境局長岡澤和好君、環境省環境管理局長西尾哲茂君及び環境省自然環境局長小林光君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
大石委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
    ―――――――――――――
大石委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。奥田建君。
奥田委員 おはようございます。民主党の奥田建でございます。ありがとうございます。
 長く審議をしてまいりました地球温暖化対策法案、締めくくり、最後の質疑ということで、重複する点もあるかと思いますけれども、どうか確認の意味も含めて大臣を中心に質疑をさせていただきたいと思います。
 そして、金曜日、六時間の審議を持ちましたけれども、ちょうど並行して、テロ特措の延長の決定と報告というものもありました。私自身も、テロ特措の委員会と兼務しておりまして、当委員会の終局間際の時間を少し行って、ちょっと防衛庁長官の報告あるいは皆様の意見を拝聴させていただいた次第でございます。
 五月十七日の閣議及び委員会報告といった形で、テロ対策特別措置法における半年間の支援活動の延長といったことがなされましたけれども、大木大臣も、閣僚の一員としてこのことを了承されたものと思っております。
 まず、大臣が今回の派遣延長に賛成なされましたその理由といったものを、環境委員会ではございますけれども、一言御説明をいただきたいと思います。
大木国務大臣 私も、閣僚の一員として延長に賛成したという立場でありますが、これは基本的には、やはり昨年自衛隊を派遣すると決定いたしました当時の基本的な状況というのが依然として、国際的なテロの活動というものが続いておる、特にアルカイーダを中心とする活動というものが現在も存在するという判断を、政府としてはそういう判断のもとに今回決定したわけでございまして、私も、そのとおりだと思います。
 我が国としては、昨年以来、憲法の範囲内でできるだけのことはひとつ国際協力はするということで、自衛隊を派遣してまいりましたので、今回も、そういう状況が続いておるということでありますから、引き続き必要な延長措置をとったというふうに私も理解しておりますし、その情勢判断を、私としても、個人としてもそのとおりだと判断しております。
奥田委員 今のアフガニスタンの状況といったものが、政府の立場と、そして質問に立たれる方の中で、私には違いがあるように感じたわけでございますけれども、私自身も、自衛隊の海外派遣ということ、あるいは、武力の衝突があった、そういった状況の中での派遣というのは、戦後の歴史を見れば大変重大な決定であったと思っております。
 そしてまた、この見解の違いというところの中で、テロ特措の特別措置法、これは正式名称の長い名称の中にもありますように、九月十一日のアメリカで起きましたテロへの対応という、そういった限定された中での国会での採決、決議であったというふうに私は認識しております。
 現在のアフガニスタンの状況というものは、山岳地域で局地戦という形での戦闘があるやに聞いておりますけれども、国内においては復興ということが最大の課題でありまして、今の新政府自身もそちらに力を注いでいる。言うまでもなく、制空権や制海権といいますか、そういったものも今の政府といいますかアメリカ軍が完全に制圧している。こういった状況の中で、果たしてこの特別な法を延長する理由があったのか。
 今、そういった認識のお互いの立場での違いというものも含めまして、もう一度、大臣の賛成の根拠、あるいは大臣の今のアフガニスタン状況の認識といったものをお示しいただきたいと思います。
大木国務大臣 アフガニスタンの国内におきましてはある程度状況が回復しつつあるということはそのとおりだと思いますから、今後も復興について世界各国が協力してそのために努力するということは当然でありますが、同時に、今回のテロ活動というのは、単に九月十一日のその事件も何か一人の人が急に思いつきにやったということではなくて、いろいろとその背後には大きな組織とか、長い時間をかけてのいろいろな動きというのもあったやにいろいろと情報もあるわけでございますし、現実にアルカイーダの運動というものも、広い意味におきましては、残念ながら終えんしていないということでございますから、私は、自衛隊を必要に応じて派遣できるという体制は依然として確保しておくべきだというふうに考えております。
奥田委員 この問題を長くやってもあれですから、大臣に最後に一つだけ聞きたいのですけれども、閣議の方では、例えばこの延長によって、今インド洋にいる自衛艦、こちらの方がどういう体制になるか。例えば何隻の護衛艦がずっと出動することになるのか。あるいは、半年という期限の中で、これは新聞報道にも出ておりますけれども、予算的にどのような予備費を要求するのか。あるいは、私どももちょっと委員会に行って意外だったことが、こういった基本計画の変更というものは再度国会承認が要るんじゃないかと思っていたのですけれども、報告で済むというようなことですけれども、そういったことについての御説明や質問というのは閣議の中でありましたでしょうか。
大木国務大臣 御存じのとおり、閣議というのは非常に時間も限られておりますから、そこで詳細な議論というのをやっておりませんけれども、また非公式にいろいろな意味で私どもも情報はいただいておりますから、これは、私どもが判断するに必要な情報というのは関係方面からいただいておるということであります。
奥田委員 長く一つの問題を閣議では扱わないかもしれませんけれども、大変重大なことでありますし、そしてまた、私の聞いておることは、数字を正確に言ってくれとかそういうわけじゃありませんけれども、非常に新聞報道にも、連日とは言いませんけれども、十七日の後の十八日には当然、そして本日の新聞にもある新聞には書いてあるようなことでございます。といいますのは、そういった予備費につきましても、大変不自然で、あるいはなかなか私どもが見れば納得いかない点がございます。
 大臣、では、こういった今回の出動延長ということの中でどれだけの予備費を要求されているか、そういったことは当然御存じかと思いますけれども、お答えいただきたいと思います。
大木国務大臣 今ちょっと手元に数字を持っておりませんけれども、そういう予備費を使うということで、どういった予備費がどれだけのものが要るかということについては、閣議の方でも御説明をいただいております。
奥田委員 これでやめますけれども、例えば、これは新聞報道での問題意識でありますし、また、そういう報道を見ればだれもがおかしいと思うことでございますけれども、これまでの半年の出動の中で百五十億の予備費を要求して、三月末とはいえ九十一億の消化がある。さらに、これから事態が落ちついてきた中での半年の延長で百五十億の、この前の出動で九十一億の消化であるのに、百五十億の予備費要求をしている。
 こういったことは、私どもも情報を目にすればおかしいと思って指摘することでございますし、あるいは閣議の中でもそういった一つ一つの、では、これからどうなるんだ、どういう体制になるんだ、あるいはその予算要求というのがどういう形で何に使われるんだ、そういうことは、私たちに今確かに決議権がない中での報告を聞いてのことでありますから、ぜひとも一つ一つの問題意識を持って閣僚としての対応をお願いしたいということを申しまして、本題の方に入らせていただきたいと思います。
 この法案も、温暖化対策の方ですけれども、多くの方からいろいろな問題点、懸念が示されました。この法案で果たして温暖化対策の実効性が伴うんであろうか。あるいは、今示された地球温暖化対策大綱、これをベースにしていって大丈夫なんだろうか。あるいは、国際関係の中では、この条約のスタート自身が、日本が大変不利な要件を背負ったままスタートするんではないか。あるいは、条約に対する参加国、これが地球ベースで取り組みを行おうというときには少な過ぎるんではないか。さらには、教育あるいは啓蒙の大切さ、新しい技術への期待といったものが、皆さんの口から問題提起あるいは要請といったものがあります。
 当然、温暖化という地球問題に対しての取り組みに、先進国と言われる、ある意味で豊かさを享受させていただいている私どもに大きな責任があり、その先頭を走っていかなければならない、そういった認識あるいは使命感といったものについては皆さん共通かと思いますけれども、私自身も、今法案そして大綱を見させていただいている限りにおいては、やはりその現実性という中で幾ばくかの懸念を抱いている一人でございます。そういったことも含めて、大臣に質疑をさせていただきたいと思います。
 まず、これから京都議定書の目標達成計画、これがつくられてまいりますけれども、大綱を裏づけるものとして大変重要なものであると皆さんも認識していただけると思います。この達成計画の作成に当たって、タイムスケジュールと、そして中心になってそれをつくり上げていく機関といったものについて、大臣の御説明をいただきたいと思います。
大木国務大臣 細かい点は別といたしまして、まず、大枠を御説明させていただきたいと思います。
 きょう、実は議定書の方もいろいろと日本国内でも今批准の手続を議論していただいておるわけでございますけれども、京都議定書が発効いたしましたら、これもまだ世界各国が、必要な数の国が参加いたしませんと発効はしませんが、発効いたしましたら、速やかに本法、本法というのはこの今御審議していただいております法案でありますが、本法により設置されます地球温暖化対策推進本部におきまして、ですからこれは閣僚が全部入ってということでありますが、計画の案を策定し、そして閣議で決定するというのがその一番大枠であります。
 その際には、あらかじめ地球温暖化問題への国内対策に関する関係審議会合同会議、これは、御存じのとおりに、地球温暖化問題というのは、環境省ばかりじゃなくて、関心を持っておる、あるいはいろいろな所管事項を持っておる省庁は多いわけでございますから、約十五ぐらいだと思いますが、いろいろな審議会が、例えば交通政策審議会だとかあるいは資源エネルギー調査会だとか林政審議会だとか、いろいろと各省が持っております審議会がありますので、その審議会の代表に集まってもらいまして、今の関係審議会合同会議というのを行う。そこで、専門的な知識を持っている方がそろっているわけですから、その合同会議におきまして意見を聴取して、一つのいろいろな対策をまとめていただくということが基本であります。
 もちろん、その間にまた国民各界の意見を幅広く聞く、これにつきましてはまだ形までは決めておりませんけれども、当然にそういうことも考えております。
奥田委員 次の質問も重なることになるかもしれませんけれども、この目標達成計画作成に当たっては、策定段階からの市民参加あるいは市民参画、国民参画と言った方がいいんでしょうか、こういったことが大変重要であるということは多くの委員からも指摘されております。
 パブリックコメントというものは当然かと思いますけれども、政府として、現在、達成計画の策定に当たりまして、国民参加といった手段をどのように確保しようとしているのか。パブリックコメント一つとりましても、ずっと一年ぐらいのスパンで長く広く意見を求める、あるいはそしてそれを反映させるということなど、政府の具体的な提案というものがありましたら大臣の口から再確認させていただきたいと思います。
大木国務大臣 いろいろと考え方はあると思いますが、正直申し上げまして、政府としてこれだという最終的な形というものは、あるいは手順というものはまだ決めておりません。
 先ほど申し上げましたように、専門家より成りますいろいろな審議会があって、その審議会の合同会議の方でいろいろな討議をしていただく。それと並行してどうやって市民団体の参加をしていただくかということは、実は具体的にはまだ決まっていないんですけれども、各審議会なりあるいは政府全体としていろいろとこれから討議を進める段階におきまして、こういうことについてはもっと国民の意見を聞くべきではないかというようないろいろと御意見が出てくると思いますので、そういったものを審議会の進行状況ともにらみ合わせながら、国民の、市民団体などの意見を聴取するという方式をだんだんに固めてまいりたいと考えております。
奥田委員 最初のまくらのテロ特措で大分時間を使い過ぎましたので、ちょっと足早に行かせていただきたいと思いますけれども、今の目標達成計画に関連した質問ですけれども、一つの中でこの重要性というものをかんがみたときに、国会への報告ではなくて、やはりこういった中でその中身を審議できるように、委員会での審議あるいは国会での採決、決議といったものが必要かと私は思うんですけれども、大臣はいかがでしょうか。
 それともう一つ、国会決議についてとこの見直し時期、大臣の方も必要性があれば柔軟にというようなお答えもあったかと思いますけれども、決められております二〇〇四年と二〇〇七年の見直しといった時期にかかわらず、政策としての対策が必要になっていく場合は適時見直すというふうに解釈してよろしいかということを確認させていただきたいと思います。二点お願いいたします。
大木国務大臣 まず、国会の御参加でございますが、これは私どもとしては、問題が、非常にいろいろと専門家の意見もまとめなきゃいかぬとかいうことでありまして、途中の段階で全部国会で御討議いただくというのはやや無理があるのじゃないかということでありますので、随時その状況は御報告するということで、それからもう一つ、先ほども委員からもお話がございましたように、二〇〇四年、二〇〇七年、こういうのは、総合的に一遍その時点できちっと全体的な見直しを行おうということでございますけれども、もちろん、必要に応じて、その途中の期間におきましても、こういう問題については一遍きちっと見直しした方がいいんじゃないかというような問題があれば、その可能性は全く排除しておりませんので、今後、状況の推移に応じてそういった中間的、今の四年、七年のまた別の時期においても、問題によっては見直しを行うということは十分に考えられると思います。
奥田委員 国会承認ということについてはお答えいただけませんでしたけれども、随時報告という形をもって皆さんに検討していただくという姿勢を保っていただけるというお返事であったかと思います。
 本法案は、一九九〇年マイナス六%という枠をつくり上げていこうという大きな一つのかなめになる法案かと思いますけれども、どうも大綱を読んでおりましても法案を読んでおりましても、具体策あるいは数字を担保する部分というのが、やはり別の法律に頼っている部分が多い。省エネ法しかり、あるいは今国会で衆議院の方で追加しました新エネの特措法、あるいは森林・林業基本計画といったところに現実の実効性を伴った部分が担保される。担保が必要な部分、あとこちらで新たにあるものといえば、民生関係のライフスタイルへの言及、これは法案じゃなくて大綱の方ですけれども、そういったところが残っているぐらいかなというふうに思います。
 大臣として、これらの省庁あるいはこれらの法律との整合性や関連性を持って当たっていかなければならないわけでございますけれども、これらの関連法について、私自身から見たら、具体策というのはこっちの関連法の方が比重が重いんじゃないかというような見解を持ちますけれども、これらの関連法との関係について、大臣の御意見をいただきたいと思います。
大木国務大臣 今お話のございました省エネ法だとか新エネ特別措置法だとか森林・林業法だとかそういったものは、いずれも今の京都議定書の目標達成のためのいろいろな措置ということを考えますと、非常に重要な、むしろ非常にある意味では中心的な位置を占める法律だと思いますけれども、ただ、法律自体は必ずしも地球温暖化対策だけとしてつくられたものではないということでありますから、やはり、エネルギー問題をどうするかというのは、狭い意味での温暖化だけではなくて、ほかの問題もかかわってくると思いますし、森林につきましても全く同様だと思います。
 したがいまして、地球温暖化対策を進めるための非常に重要な法律だとは思っておりますし、また、かなり具体的なことは、むしろ私どもの今御審議いただいている法律よりは細かくといいますか、具体的なという書き込みもある部分もありますけれども、しかし、全体としてはやはり、やや地球温暖化以外のことも頭に置きながらつくられている法律だというふうに思いますので、非常に大事なものであるから、これはそういったものとの関連性ということは十分に考慮しながら、今後また私どもの地球温暖化対策を進める上におきましては、こういった法案との整合性というのを十分考えながらいろいろな措置を進めてまいりたいというふうに考えております。
奥田委員 続きまして、京都メカニズムの部分についての質問をさせていただきたいと思います。
 京都メカニズム自身、条約の中で、検討事項ということで確たるものはまだ提示されておりませんけれども、その考え方といったものは既に示されております。大綱の中では、国内対策に対して補足的な部分といった形で、前の質疑にもありました原子力の部分以上に触れられている部分が少ないかと私の目には見られます。
 しかしながら、私は、一つのエネルギー効率をある程度世界の先端として達成している日本にとっては、ここの部分は大変大切な部分であって、また地球規模で考えたときに、日本ができる技術的なあるいは資金的な支援といった中の貢献をどうやって数字にあらわしていくかという、国際交渉の中では、日本が吸収源以上に一番頑張るべき部分ではないかというふうに思っております。
 こういった京都メカニズム、中でも開発途上国との関係におきますクリーン開発メカニズム、CDMと呼ばれておりますけれども、こちらに対する政府の取り組み、あるいは国際社会への訴えといったものを大臣にお答えいただきたいと思います。
大木国務大臣 京都議定書をつくる段階から、まずは基本的には各国が自分で自主的にと申しますか、まず自分のところで温暖化ガスの排出を削減する、それが一番基本だぞというのは、議論のスタートとしては全くそのとおりでありますけれども、しかし、それだけでは全世界的になかなか十分に目的が達成されない。ということになれば、今お話のございました京都メカニズムを積極的に活用してということも当然これは考えられるわけでございます。
 ただ、これは日本国だけでなくて、よその国とも協力しながらということでありますから、実際に行えば、例えば今お話のございました、開発途上国に対する技術を移転するといったような効果もあるわけですから、それはそういったプラスの効果というのは十分考えながら今後進めてまいりたいと思っております。
 ということで、私どもの方でも、CDMやら共同実施の事業における政府のいろいろな承認の手続だとか国別の登録簿だとか、そういった基盤整備は現在でも進めておりますけれども、関係各国との話し合いということになりますと、これは相手国もありますから、鋭意検討は進めておりますけれども、実際の話し合いというのはこれからの問題だというふうに考えております。ただ、その重要性というのは十分認識しながら、これからも進めてまいりたいと思っております。
奥田委員 ぜひとも日本の国際貢献と国益とを結びつけるものとして大切に、そして力強くこの部分を訴えて、このメカニズムの制度をつくっていただきたいとお願いする次第でございます。
 そして次は、地域協議会についての質問に移らせていただきたいと思います。
 地域協議会の機能について、「日常生活に関する」という文言が入っておりまして、大変私どもはこの文言にこだわっております。地域で協議する中で、日常生活に限らずとも、地域全体の中で自分たちができることを話し合うということがなぜできないのか。そこからの提案というものを制限するような文言に聞こえまして、ひとつここの一文だけでも削除したいなということも提案しております。
 こういった地域協議会の役割として、日常生活に限らず、もっと多くの提案を広く求めてもいいのではないかという意見に対しまして、大臣の見解をお示しいただきたいと思います。
大木国務大臣 日常生活に関する事項というのは、何か自分の、個々のそれぞれの家庭の中だけというふうに読みますと非常に狭くなってしまうんですが、必ずしもそういうことではございません。地方公共団体が中心となって、住民やらいろいろと仕事をしておられる、商売をしておられる方々も入ってもらってということであります。
 例えば最近は、建物の断熱化とか、それから高効率の機器への取りかえだとか、あるいはバイオマスエネルギーとしての廃食油等の利用とか、あるいは交通のことを考えましても、自転車道を整備するとか、そういったことは、家庭の中というよりは町の中での共通の問題だ、町づくりに資するいろいろな問題があるんじゃないかというふうにお考えいただいたらいいんじゃないかと思っております。
 そういうことで、非常に単位としては小さいかもしれぬけれども、それぞれの地方公共団体が中心となって、また地元の住民も参加していただきまして、自分たちの町をつくる過程において、また温暖化のためにも貢献していただくという考えを持って進めております。
奥田委員 たまたまでございますけれども、ちょうど昨日、一橋大学の栗原教授という方からお話を伺う機会がございまして、その中で、ドイツの、オランダ、ベルギーに国境を接するようなアーヘンという町のお話を聞かせていただきました。小さな町で、歴史はすごい古く、落ちついた町のようですけれども、そういった小さな町でやった取り組みの中で、経済学者の栗原先生がおっしゃるには、アーヘン・モデルというようなものができている。
 それはどういうことかというと、在来のエネルギーと自分たちが大きく伸ばそうとする太陽光発電、そういった大きな価格差があるものを、自分たちの住民の人たちの小さな負担で、例えの話ですけれども、在来の電気料金に一円の上乗せをして、その上乗せをした分を自分たちの新しいエネルギーを伸ばすための、価格を埋めるための調整に使っていく。七年ぐらい前から取り組んでいて、それが成功しているということで、アーヘン・モデルという言葉が出ておるんでございますけれども、こういった住民の人たちが、自分たちがやはり望む方向に、全体が負担し合うことによって、新しい姿をつくっていくことが可能であるというようなことで、小さな町でもできる取り組み、あるいは町の持っている特性に対する取り組みといったものが、地域協議会の中では大変有効な提案としてなされることがあります。こういった例も含めまして、ぜひとも地域協議会の役割あるいは提言の機会といったものも大きな立場にしていただきたいとお願いする次第でございます。
 政務官の方にも一つ質問をお願いしておりましたので、最後の質問とさせていただきたいと思います。
 民生部門のライフスタイルへの記載といったものが大綱の方にはございまして、こういったライフスタイルへの記載というのが、国の国民に対する希望というか要望なのか、あるいはこれから何らかの形で法的な拘束力を持っていくことなのか。ライフスタイルに対する法的拘束力というのは、ほかの法案でもなかなか見かけることがございませんので、政府として、こういった記載が国民に対する何であるのか。私らは、悪い言葉を使わせてもらえば、これはやり過ぎると介入でないのかというふうな意見もございますけれども、その辺の御説明を政務官からいただいて、質問を終わらせていただきたいと思います。
奥谷大臣政務官 いや、それは介入というようなものではございませんで、これはやはり未来世代、将来世代に対する自発的な実践を促すものであるというふうに考えております。
奥田委員 持ち時間が終わりましたので、これにて終わらせていただきますけれども、ぜひとも各方面の多様な立場と意見のある中でのまとめ役として、これからも頑張っていただきたいと思います。
 以上で終わります。
大石委員長 委員長から一言申し上げます。
 ただいま環境委員会を進めておりますが、与党の委員の方々が非常に少ないという異議を野党の理事からお話がありました。山本筆頭理事、ひとつ大事な時間でありますから、休憩というわけにはいきませんけれども、もしこれで、もう少したって集まらなければ休憩をさせていただきたいと思いますので、その辺を含めて、ぜひきちっとメンバー、委員会の人たちに出席を求めていただきたいと思います。
 それでは、議事を進めさせていただきます。樋高剛君。
樋高委員 自由党の樋高剛でございます。きょうも感謝いたしております。
 先ほど自民党の先生は一人しかいらっしゃらなかった。前回の委員会でも全く同様の事件が起きまして、本当に私はもうこれは、地球環境の問題は国際問題であるにもかかわらず、これほどのていたらくかというふうに申し上げざるを得ないわけであります。もちろんいろいろな日程、もちろん委員会も重なっているのもわかりますけれども、さはさりながら、これはきょうは採決の日なんです。採決をして、しかも緊急上程をして、そして衆議院の本会議できょう上がるときなんです。こういうときに、しっかりとやっていただかなくちゃいけないと思うんでありますが、大臣、いかがお考えになりますか。
大木国務大臣 私も自民党の党員でございますから、ぜひひとつ、自民党の理事さん、いや、理事さんばかりではなくて、理事さん、それから委員の方々にできるだけ御出席をお願いいたしたいと思っております。
樋高委員 これは本当に笑い事ではないのでありまして、この環境の問題、今政府は一生懸命、環境と経済の両立、そして環境の世紀にするんだということを言っておりますけれども、ちょっと言っていることとやっていることと違うんじゃないかという思いをするわけでありますが、私もとまらなくなりますので、この辺で終わりにしたいと思います。
 さて、今回の地球温暖化対策でありますけれども、まず冒頭に、大臣からの力強い御答弁をいただきまして、約束をしていただきたい。それは、政府の率先実行ということについてであります。
 今回の法律案にもそもそもうたわれておりますけれども、国の機関もしくは地方公共団体、県庁さんですとか市役所の庁舎、建物、町役場、村役場の建物、CO2を排出しております。もちろん紙もどんどん使います。やはり政府がまずは隗より始めろ、もしくは地方公共団体が率先して見本を見せる、そして、企業の方々、地域の方々、国民の皆様方に御理解を得て、そして、みずからをもって信頼関係のもとに協力をしていただくということが欠かせないと私は前回の委員会で申し上げました。
 これはそもそも条文に書いてありますので、そうすることになっていると思いますが、それが、問題点はただ一つ、公開されていない。自主的に公開しているところもあれば後ろ向きなところもあるわけでありまして、やはりここは、環境省さん自身は一生懸命やって、公開をして結果の公表までやっているということはよくわかっておりますけれども、環境省さんだけではだめなわけでありまして、国及び地方公共団体の機関そのものが、排出計画の立案、公表、そして実行、その結果を公表するのに、法にのっとって率先してしっかりと実行していただきたいと思うのでありますが、いかがでしょうか。
大木国務大臣 政府及び地方公共団体といたしましては、地球温暖化対策推進法によりまして、いろいろと自分たちの温室効果ガスの排出抑制のための実行計画の策定、そしてまたそれを公表するということは既に義務づけられておるわけでございます。
 ただ、なかなかその作業が、一応義務づけられておるけれども、それでは順調に進んでおるかということになれば、いろいろと御批判もあると思いますけれども、とにかく、今お手元に提出しております法案もいよいよ最終段階に来ておりまして、こういうものもだんだんに国会の御協力によって通っていくわけでございますから、そういったものもひとつ土台にして、政府及び地方公共団体としても、よりよく目に見えるような、ひとつまず隗より始めると申しますか、先頭に立っていろいろと努力を続けてまいりたいというふうに考えております。
樋高委員 目に見える形で、それぞれの地方の公共団体なり、もちろん国の出先機関も含めての話でありますけれども、しっかりと行っていただきたいと強く要望させていただきたいと思います。
 さて、前回の委員会のときにも申し上げましたけれども、宿題ということで私は大臣に預けさせていただいた一点があります。これは、具体的に御答弁がない場合は私は委員会を進めることができないという思いでお伺いをさせていただきますけれども、非常に基本的なことであります。強化のための措置として、いわゆる地球温暖化防止活動推進員について、その人数についてであります。
 今現在、全国で約千五百名しかいないということでありますけれども、少な過ぎるのではないかというふうに申し上げました。では、将来的にはいつごろまでに何人の規模を目指す予定か。これは、現実問題として、目標を定めてもできない場合もあります。だけれども、やはりそこにはビジョンがきちっとなくちゃいけない。もう本当に基本的なことなんですけれども、数字を含めて、時期を含めて、お答えをいただきたいと思います。
大木国務大臣 活動推進員が非常にまだまだ少ないということは御指摘のとおりでございます。本年四月一日現在での勘定によりますと、現実に推進員がきちっと配置されているのがまだ二十一道県ということで、人数にいたしますと千八百六十九名だと思いますが、いずれにしましても、千八百何名というようなことで非常に少ないということでございますから、私どもといたしましては、まずは現在推進員が置かれていないところにひとつ置いていただくというところからスタートして、全国的には、現在二十一道県で千八百何名という数字でございますが、できるだけ早くまずは全国的に、各県全部に、各都道府県全部に配置するということで、四千人程度を実現いたしたい。
 いつまでというお話になりますと、できるだけ早くということで、まずは、できるだけ早くという方がむしろいつまでというよりは、とにかく、よその方は置かれているのに置かれていない都道府県というのがあるわけですから、そういったものに、できるだけよそと一緒にやれるようにということでお願いいたしますので、これは、今のところ何月何日までとは申しませんけれども、今がちょうど五月でございますから、とにかくことしじゅうにでもできるだけ早くやりたいと思っております。
樋高委員 ことしじゅうに四千名というふうに理解をさせていただきました。
 防止活動推進センターは、現在十一カ所しかございません。今後、何カ所を目標に、いつまでに設置をなさる御予定でしょうか。当然、全国の都道府県津々浦々までやられるはずだと思いますけれども、防止活動推進センター、今たったの十一カ所しかない、いつまでに何カ所設置をする目標でしょうか、具体的にお伺いをいたします。
大木国務大臣 残念ながら、御指摘のとおりに、都道府県のセンターというのは十一カ所しかできておらないわけでございますが、今度からいろいろと、どういった団体にセンターの仕事をしてもらうかというようなことも含めまして、今回の改正法案におきましても、対象になるそういった団体の対象にNPO法人も追加するというようなことで、さらに増加することを促進したいと思っております。
 今、私は、とりあえずは、いつまでということについては、これもなかなかやってみないとあれですけれども、都道府県のセンターにつきましては、全部置けば四十七ということになりますが、これはことしじゅうということもちょっと申し上げられないので、一応私どもの方では、三年以内には完全にそろえるということを一つの目標にしております。
樋高委員 三年以内ということでは、今、二〇〇二年、もう二〇〇五年にまでかかってしまう。いわゆる環境省さんがおっしゃっている第二ステップに入っちゃうわけですから、ちょっと遅過ぎるではないか。
 本当に、環境問題というのは前倒し前倒しできちっと目標を定める、それは数と期限、私はこれが絶対に外せないものである。もちろん、大臣というお立場ですから、言ってそのとおりにならなかったら困るよという部分もあるのも確かにわかります。しかしながら、大臣のリーダーシップ、環境省がリーダーシップをいかにとるかということが今問われているわけであります。特にこの地球温暖化問題、これはもう全部の役所にまたがるような、環境問題すべてそうですけれども、とても重要な案件でありますから、この期限と数についてしっかりと、オフィシャルには公にできないにしても、省内できちっと指示をしていただきたいというふうに思います。
 それでは、地域協議会の話ですけれども、市町村ごとに設立をするということであります。すべての市町村、今約三千三百弱ですか、三千三百の市町村への設置をいつごろまでに目指される御予定でしょうか。
大木国務大臣 これは、地域協議会の方は市町村ごとの設立ということで、正直申し上げまして、やはり全国の市町村にも、いろいろとこういった問題についての状況の取り組みについての温度差もありますし、それから、いろいろな理由でなかなか簡単に進まないというようなところもあると思います。
 ということで、どういうふうにしてこれから特に民生部門の温暖化対策を進めていただくかということのモデル事業を、地域協議会が企画して中心になって実施してもらうということで、そのために全国的に地域協議会が設立されるようにということでありまして、これは、要するに、今いろいろなところで現実にできておるものがどういう活動をしておられるかというようなことをもう少しよくわかるように説明して、できていないところにはまたひとつ頑張っていただく、そういうことであろうかと思います。
 この問題について、私ども、今のところ具体的にいつまでとか幾つということではなくて、対象も多いわけでございますから、これから極力努力はいたしますが、今のところ数字で出すほどのものはちょっと持ち合わせてはおりません。
    〔委員長退席、奥田委員長代理着席〕
樋高委員 ちょっとビジョンが欠如しているんじゃないか、こう指摘せざるを得ないわけであります。こんな簡単な方針も出せない。本当にこれは基本的なことです、今回法案でもうたっておりますが、地域協議会にしろ、防止活動推進センターにしろ、活動推進員にしろ。一生懸命頑張る、汗をかくんだ、そのお気持ちはよくわかりますというか、わからせていただきたいと思いますけれども、しかしながら、意気込みだけでもだめなわけでありまして、いつまでに何カ所やるんだということを、きちっとリーダーシップをとってやっていただきたいというふうに思います。
 これは、今環境委員会にいらっしゃる先生方、そしてきょうは衆議院を通る予定でありますので、責任があるんです。責任があるからこそ申し上げているわけでありますので、こういった本当に簡単なことなんですけれども、私は、こういうところのビジョンこそ重要であるというふうに思います。幾ら法律で地域協議会とうたってみたところで、では、その後は一生懸命努力しますだけじゃだめだというふうに私は思いますので、しっかりとお願いをいたしたいと思います。
 続きまして、地球温暖化問題に関しましては外すことのできない新エネルギーについてであります。
 経済産業委員会でも、いわゆる省エネ法、新エネ法の審議をなさっているやに伺っておりますけれども、やはり自然環境に負荷が極力少ないエネルギー供給体制の確保ということが外せない。しかしながら、今の経済界では、例えば電力の自由化の波に乗って、やはりコストの安い方に流れてしまう。それはもう仕方がない、そういうふうにインセンティブが働くんであれば。では、その中でどうするかというのが環境省に課せられた大きな課題であるというふうに私は思うんであります。
 二問まとめてお尋ねをさせていただきますけれども、新エネルギーにつきまして、なるべく環境に負荷をかけないようないわゆる新エネルギーを加速度的に、例えば風力発電なり太陽光発電なり、もしくはバイオマス発電なりを加速度的に導入を図らなくちゃならないということはもうはっきりしているわけでありますけれども、そのための制度の構築と取り組み状況、そして今後どのようになさっていきたいというふうに考えているのかがまず一点であります。
 そして二点目が、私、考えまするに、コージェネレーションなり、視察にも行ってまいりましたけれども、やはり天然ガスのパイプライン、外国は極めて戦略的に、物すごいコストのかかることでありますから、パイプラインを国の施策としてきちっと敷いて、そして安定供給を確保しているというのが外国の事例であります。
 日本もさまざまな、大陸の方からもいわゆる新しい天然ガスが埋蔵されているところが見つかったりして、今ある意味でチャンスなわけでありますけれども、やはり私は、民間だけではなくて、国が主導して、国が責任を持って、計画的に天然ガスのパイプライン、今は天然ガスを運ぶために一生懸命CO2を排出している、自動車でCO2を排出しているというのが現状でありますから、コストが高いという部分もありますので、基幹網整備等、いわゆるエネルギー供給サイドの国を挙げての新たな今までにない政策、つまりインフラ整備が必要だと考えますけれども、いかがお考えでありますか。
    〔奥田委員長代理退席、委員長着席〕
大木国務大臣 エネルギー問題というのは、もちろん環境問題と非常に密接に関連はしておりますけれども、エネルギー問題としてのまた取り組みというのも、経済産業省、あるいは物によりましては農水省等々もいろいろと研究しておられるわけでございまして、地球温暖化の推進大綱の中では、新エネルギーの導入対策ということで、太陽光発電や太陽熱利用施設の導入に対する補助とか、あるいは技術開発や実証試験の強化とか、普及啓発のためのいろいろな施策とか書いてございますから、こういったものは私どもとしても大いに進めたい、あるいは自分のところの問題であれば進めたいということで、環境省としては、例えばバイオマスエネルギーを導入しようとする地方公共団体への補助制度ということで、ある程度の予算措置もしておるわけですが、今のエネルギーというものをどういうふうに使うかというのは、現在もまだ環境省だけで、自分が中心的になって強力に推進するというところまで、正直に申し上げましてなかなか行っておりません。
 これは、これから関係各省とさらに連携を深めたいということでありますから、今御審議していただいております法律等も通っていけば、そういったものもまたひとつてこにして、実際にどういうふうにしたら温暖化対策との関連で新しいエネルギー対策がさらに強力に進められるかということは、検討してまいりたいというふうに思っております。
 それから、たしか天然ガスのお話がございましたか。天然ガスについては、前の委員会でも、ちょっと今忘れましたけれども、既に質問が出ておったと思いますけれども、新エネルギーの供給拡大に向けたインフラ整備というのは、いろいろな意味におきまして必要だと考えております。
 今度の大綱で定めましたように、例えば天然ガスのパイプラインの開発事業につきましては、安全基準の整備とか、あるいは低利融資でインフラ整備を進めていくというようなことは現実にうたっておるわけでございますし、国内におきまして、例えば新潟から仙台でしたかにそのパイプラインが既に行われておって、これをさらに整備していくというようなこともありますし、この間もちょっと申し上げましたけれども、サハリン等で天然ガスの開発が進んでおりますから、将来はこれをどういうふうに活用するのか、あるいは、国内にそういったものとの関連におきましてまたパイプラインの整備というようなことは、具体的な問題として出てくると思います。
 ただ、今のところ、まだ現実にどういう形で供給されるというところまで行っておりません。外国も絡んでの問題ですから、まだ最終的には行っておりませんけれども、かなり時間はかかりましたけれども、そういったよそからの天然ガスの供給というのが、パイプラインというような形での普及というようなことも可能ではないか、また効率的ではないかというようなことも議論されておりますので、今、既存のもの、あるいは新しいものを含めて、新しいエネルギーの供給につきましてのインフラの整備ということは、またこれから強力に、関係各省とももちろん協議しながら進めてまいりたいと考えております。
樋高委員 この天然ガスパイプラインは、やはり民間だけでは予算的に無理があるというふうに思います。一部の学者さんからは、もう日本国内だけでは資金調達は不可能だから、外資に頼ってもいいんじゃないかというぐらいにまで話が出ているわけでありますけれども、やはり現実的な問題として、地球温暖化問題との絡みで考えますと、二〇一〇年まで、つまりあと八年後までにマイナス六%というのを担保するためには、これでインフラ整備をやろうと思ったら、物すごく急ピッチでやらなくちゃいけないぐらいの問題であって、しかも、また途中でいろいろなトラブルも起きてくるとは思います。
 したがって、本当に今すぐにでも、これはもう環境問題だけじゃないと思います、もちろん、地域の住民のライフスタイルから始まって、経済産業政策でもあるわけでありますし、さまざまな政策ともリンクした話でありますけれども、関連した話でありますが、こういうときこそ、環境省がリーダーシップを持ってしっかりと行ってもいいんじゃないかというふうに私は思いますので、しっかりと取り組んでいただきたいというふうに思います。
 政務官に伺いたいと思います。
 内閣府の調査結果によりまして、夏時間制度につきましては、前々回そして前回の調査の数字は横ばいであったということでありますけれども、私は、これは環境省さんの取り組みが怠慢であったというふうに思います。努力が足りなかったんじゃないかというふうに思うんであります。そもそも、国民的議論を今一生懸命しているんだと言いますけれども、とても国民的議論をしているとは思えない。
 しかし、先進国の中では夏時間制度を設けて、私、夏時間制度で一番いいと思うのは、現実的に電気の消費が少なくなるとかの問題もありますけれども、家庭の中にあって、子供が、お父さん、お母さんに、何で夏になると一時間違うのと聞くところから始まると思うんです。そうしたら、お父さん、お母さんは、これは地球の環境のためなんだよと、一つ一つの家庭の中で環境教育が実は行われるわけです、地域の中でも。すごく単純な話かもしれませんけれども、私は、そういうところから意識の啓発をするということが物すごく重要なんじゃないか。
 もちろん、現実的にも、電気の消費量が少なくなったりして効果はあるかもしれませんけれども、私は前回にも言いましたけれども、こういったやはり大きな、ドラスチックな政策をどんと出すということが本当に重要なんじゃないか。ましてや政務官が、先般言いましたけれども、やがて将来大臣になるころには夏時間制度も当たり前の状況になっていなくちゃいけないというふうに思うわけであります。努力が足りなかったんじゃないかという点と、あと今後、導入に向けてどのように取り組まれるのか、見通しについて、この二点について伺いたいと思います。
奥谷大臣政務官 委員おっしゃるように、サマータイムの導入が温暖化防止にいろいろな効果があるということは環境省もよく認識をいたしておりますし、なるほどいろいろな生活の場面においてそのような意義が広がっていくということは大変大事なことであろうと思っております。
 この調査結果が横ばいであったということが環境省の怠慢であるということは、そう言われればそうかもわかりませんが、その賛成者というのは大体半数ぐらいですね。半数を少し超えているぐらい。それから、国会でもこの議論は二回ほど今まで参議院の方でやられていると聞いておりますが、そのような観点から、環境省としては広報活動を展開しながら国民の合意形成をさらに高めたいと、大変抽象的なことになりますけれども、そのように考えておるところでございます。
樋高委員 もう少し具体的にお話を伺えるかと思ったのでありますが、また委員会以外で御指導賜りたいと思います。
 さて、きょうの読売新聞、「京都議定書 年内発効絶望的」、読売新聞の二面に書かれております。読売新聞さんの記者さんがロシア下院の環境委員長と会見をして、「地球温暖化防止のための京都議定書の批准は早くても年明け以降になる見通しを明らかにした。」と、年明け以降ということをロシア下院の環境委員長が表明をした、「年内の発効は絶望的になった。」ということであります。この記事によりますと、批准審議の責任者だという方であります。
 なおかつ、その委員長さんがおっしゃるには、「ただでは批准しない。対外債務の減免などが前提条件」である、「批准の見返りをできるだけ大きくしようとする駆け引きの一環」というふうに書かれています。
 こういったある意味で外国のさまざまな、本当に激動する中で、今回の地球温暖化問題、外交問題、私は国際問題だと言っているのはそのことを言っているわけでありますけれども、こういった現状を見たときに、今米国に対して一生懸命定期協議を始めた、さまざまなレベルの議論も始めた、それは私は大いに評価をいたしますけれども、なかなか実効も上がっていないようであります。実績も上がっていないようでありますが、今回、京都議定書、先般、衆議院の外務委員会でも条約の方は承認をいたしました。しかしながら、今、国内での担保措置について議論しておりますけれども、こういったロシアに対しての働きかけも欠かせない。
 そのことをお尋ねすると、きっと大臣は、努力する努力するという話でありますけれども、努力するのは当たり前でありまして、本当に大臣は、京都議定書で、いわゆるCOP3のときでしょうか、議長さんを務められた、世界を代表する環境問題のスペシャリストである、ちょっと持ち上げ過ぎでしょうか、私は本当にそう思っておりますので、しっかりこういうときにこそぜひ大臣に頑張っていただきたいという思いがあるのでありますけれども、ロシアのこういった動きも今お話ししましたけれども、どのようにお考えになるか、そして決意を伺いたいと思います。
大木国務大臣 先般のG8の環境大臣会議のときも、ロシアからは大臣が来なくて、事務次官が来ていたわけですけれども、いずれにいたしましても、そのときの話でも、ロシアとしてはいろいろ議論があるので、まず、できるだけ早く行政府部内で意見をまとめて、それを国会の方へ出したいということでありまして、そのときも、いつまでだということも何回も何回も言っているわけですけれども、それに対しては、すぐにとは言わないけれども、ヨハネスブルグというものはひとつ念頭に置きながら、できるだけ早く進めたいということを言っておりました。
 その後も、いろいろな機会があるごとに言っているわけですが、私は今のところ、日本ももちろんですけれども、EUも間もなく批准手続を終えますから、そうすれば、まず日本とEUが、自分のところはまず終えたぞということで、今度はそのほかの国に対しても批准を早くしてくれという働きかけというのは、これからしてまいりたいと思っております。
 先日も、数週間前でしたか、オランダのプロンクさんという環境大臣で、COP6なり7のころには議長を務めていた人ですが、彼も個人的な意見として言っておりましたけれども、そういったものにはそれぞれが、二国間のバイラテラルな形での申し入れもあれですけれども、やはり現実に批准を早く進めた国は、ひとつまた返す刀でと申しますか、ほかの国に対しても強く要請をするということを、これから私はいろいろな形で、外交ルートも通じて、またその他環境大臣というようなルートも通じてこれからも強く申し入れたいと思っております。
樋高委員 最後にお尋ねさせていただきます。
 私は衆議院の本会議でも代表質問させていただきましたけれども、結局、私、憲法の方の議論に入っていってしまうわけであります。環境という言葉がうたわれていない。やはりその部分は改正が必要であると思います。憲法十三条では幸福追求権、また二十五条ではいわゆる生存権ということから読み込むか読み込まないかということが学者さんの間で議論になっているわけでありますけれども、今回は、大木大臣としてのお立場の御答弁ではないお話を伺いたい。それは、大臣としてではなくて、一政治家として、我々の大先輩である議員の一人として。
 私は別に、これによってひっかけようとか、一切他意はございません。環境の問題をやはり憲法に明記してないのはどう考えてもおかしい。私は納得できない。環境保全を憲法に書き込むべきである。環境という言葉が全然入っていないわけでありますから、おかしいと思うのです。大臣の本当に個人的な御見解で、もう最後の質問ですから、この後突っ込めませんので、どうぞお答えをいただきたいと思います。
大木国務大臣 個人としての意見で環境大臣としての意見でなくてもよろしいというお話でございましたが、やはり憲法にどういうものを書き込むかというのは、その時々のその国の置かれた状況あるいは国民のニーズ、関心事項、そういったようなものを総合的に考えて書き込めばいいわけでありまして、もちろん環境問題がこれだけ国際的にも大きな課題になってまいりましたから、何らかの形で書くこと自体は、私は別に反対はいたしません。
 ただ、それを具体的な条文に書くということになりますと、またこれは憲法といえども、憲法というのはある程度抽象的な書き方ではあるけれども、法ですから、それに基づいて権利義務というようなことも出てくるので、やはりそれをどこまで細かく書くことについては、私もいろいろ議論があるというふうに考えております。
 ただ、そういった環境問題をさらに国民として重要視して、これからそういったものも国民の権利義務の中で実現していくという、そういった考え方というものは何らかの形で書き込んでも、別にそれはそういった、より国民のニーズに、あるいは国の置かれた状況を反映した憲法だということで、それはそれで有意義であると思っております。
樋高委員 どうもありがとうございました。
 いずれにいたしましても、この温暖化問題は、きょうこれが衆議院を通過しても、これからが取り組みのスタートであるということを認識を表明させていただきまして、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
大石委員長 藤木洋子さん。
藤木委員 日本共産党の藤木洋子でございます。
 きょうは、我が国の温室効果ガス排出量のうち、比較的伸び率の高い運輸部門について、特に船舶対策に絞ってお伺いをしたいと思います。
 温室効果ガスの総基準量で見た排出量の伸びは、九九年度実績が九〇年の基準年比で、産業部門が七・八%増の三千二百万トン、民生部門が一七・四%増の四千四百万トン、運輸部門が六%増の一千百万トンとされております。運輸部門で九九年度のCO2の排出量は九〇年度に対して二三%増加していますけれども、この要因は自動車部門の伸びで、特に自家用自動車の部門の増加だとしております。
 そこで、この運輸部門全体のCO2排出量に占める輸送機関別の割合は、自動車が八八・〇%、内航海運が約五・八%、鉄道が約二・八%、航空が約三・四%となっているそうでございます。また、この内航船からのCO2排出量は約四百万トンで、外航船からは約五百二十一万トン、つまり、船舶の合計は九百二十一万トンと推算をされております。
 中環審の答申では、低環境負荷型の次世代内航船、いわゆるスーパーエコシップの開発普及等による内航海運の競争力強化、鉄道貨物のインフラ整備により、自動車から船舶や鉄道への需要転換、いわゆるモーダルシフトや、共同輸配送の促進などによる物流の効率化を図ることが必要であるとしております。地球温暖化対策推進大綱では、規制の見直し、新技術の導入等を通じた競争力強化による海運へのモーダルシフトの推進や輸送効率の向上で、約二百六十万トンCO2の排出削減見込み量を出しております。
 そこで、今回の京都議定書目標達成計画の策定に当たっては、船舶からのCO2排出量削減目標やモーダルシフトでの削減目標の数値化と対策を新大綱どおり盛り込むことになるのかどうか、環境省にお尋ねをいたします。
岡澤政府参考人 京都議定書目標達成計画は新大綱を基礎として作成することとしておりまして、新大綱に盛り込まれております船舶の対策あるいはモーダルシフトの導入目標量、削減見込み量につきましても計画に位置づけるつもりでございます。
藤木委員 自動車から船舶へのモーダルシフトは、単位輸送当たりのエネルギー効率が高く、環境に対する負荷が低いので推進するとしておりますけれども、確かに船は、同じ重さの荷物を同じ距離運んだ場合、CO2排出量はトラックの五分の一、また、五百トン級の船の積載量は十トントラック百六十台分、船員一人当たりの年間輸送量もトラック運転手の三十倍と言われております。
 経団連の第四回環境自主行動計画フォローアップを拝見いたしますと、日本船主協会のCO2排出原単位は、九七年が〇・八六、九八年が〇・九〇、九九年が〇・八四、二〇〇〇年が〇・八五となっております。また、日本造船工業会のエネルギー原単位は、九七年が〇・九六、九八年が〇・九一、九九年が〇・八一、二〇〇〇年が〇・八八となっております。
 このように原単位での効率化を高めているのは、船主協会では、舶用機関の効率化、船体形状の開発、プロペラ形状の研究開発などエネルギー効率の改善を図ったと言われております。また、造船工業会では、自動化設備投資の促進等で生産の効率化、高度化などを図ってきたからだと述べております。
 それでは、さらに船舶からのCO2排出量を具体的に削減するために、船主協会や造船工業会それぞれどのような対策をとることになっているのか、国土交通省にお伺いをいたします。
安富政府参考人 今先生御指摘のように、地球温暖化対策推進大綱を受けまして、民間事業者におきましては、それぞれ自主的な取り組みを積極的に推進しているところでございます。
 具体的には、日本船主協会におきましては、省エネ設備あるいは省エネ運転技術の採用を図る、あるいは排エネルギーの有効活用を図る、さらには、エンジン部門等についての推進効率の向上を図るといったような措置を講ずることによって、二〇一〇年においてはCO2排出量を約一〇%以上削減するということを目標としております。
 それから、日本造船工業会においては、自動化設備投資の促進等による生産の効率化あるいは高度化の推進とあわせまして、新世代のVLCCあるいはLNG船などの効率化、省エネ船型の開発ということによりまして、同じように二〇一〇年までに一〇%の削減を図るということで目標にしております。
 我々としても、このような具体的な施策につきまして、民間事業者の自主的な取り組みをさらに支援する、さらには指導監督をしていきたいというふうに考えております。
藤木委員 しかし、船舶からのCO2排出量は、船主協会の場合、九〇年が三千八百二十九万四千トン、九九年が四千五百四十三万四千トンと一八・六%も増加をしております。また、造船工業会の場合は、九〇年度が十四万九千トン、九九年が十八万九千トンと二六・九%も増加をしております。この増加は、年間輸送量が四〇・七%も増加しているからでありまして、さらに一層の輸送単位当たりの燃料消費量を削減していかなければならないというふうに考えます。
 ところが、船主協会の数値目標は、今もお話ありましたけれども、二〇一〇年で九〇年に対する単位輸送量当たりのCO2排出量を約一〇%削減していくということになっています。また、造船工業会の数値目標も、エネルギー消費量を原単位で二〇一〇年までに九〇年比で一〇%程度削減するとしております。
 ですから、これまでの輸送需要の増加に加えて、今後のモーダルシフトでさらに輸送量の急増が想定されるわけですけれども、新造船への代替だとか省エネ設備の採用、新世代VLCC、LNGなどの高効率化などで数値目標を達成できるものなのかどうなのか。私は、やはり総量の規制が必要ではなかろうかというふうに考えますけれども、国土交通省はどのようにお考えでしょうか。
安富政府参考人 具体的な対策として、先生の方からも御指摘ありますように、船舶の大型化とかあるいは輸送の効率化を図るということが極めて有効だと我々は考えております。そういう意味で、内航、外航を問わず、この大型化、効率化ということに対しましては、いろいろな形で支援措置を講じて、その着実な推進を図っております。
 具体的に申しますと、内航船舶について見ますと、昭和六十年、一隻当たりの総トン数は五百五トンでございましたが、平成十二年には七百四十トンと約一・五倍というふうにふえております。また、外航船舶についても、昭和六十年、一隻当たり総トン数二万五千五百三十トンが平成十二年に三万三千九百十トンと、約一・三倍に大型化されているということでございます。
 あわせまして、内航海運につきましては、先ほどもちょっとございましたが、モーダルシフトをさらに推進するということから、経済性にすぐれ、また、環境負荷の小さい次世代の内航船、スーパーエコシップと呼んでおりますけれども、これの開発普及というものを図っていきたいというふうに考えておりますし、さらには、内航の事業規制等、関連規制についても見直しを行うということによって、先般、実は次世代内航海運ビジョンというのを我々作成して、これを推進していこうということにしておるわけでございますが、こういうことをやることによって、国内の海上物流における二酸化炭素の排出量の削減、約三百六十六万トンを目標としておりますが、十分達成できるのではないかというふうに我々は考えております。
藤木委員 一方、外航海運の分野では、気候変動枠組み条約の科学上及び技術上の助言に関する補助機関、SBSTAと言われているそうですけれども、ここで、バンカー油の販売国に割り当てる、輸送業者の所属国、機材の登録国に割り当てるなど、バンカー油起源の温室効果ガス排出量割り当て方法に関する五つのオプションが提案されております。
 しかし、日本は、SBSTAが提案しているオプションの、割り当てないというのが一番に書かれているわけですけれども、これを除いて、いずれもデータの不確実性、データの収集コスト、実効性、国際競争力の面から問題があるといたしまして、SBSTA提案以外の全く新しい割り当て方法の案出も視野に入れつつ、温室効果ガス排出量削減方法を検討していると伺っております。しかし、欧州諸国では、排出量割り当て方法か燃料への課税で温室効果ガスの削減が主張されていますけれども、さきのOECDの環境保全成果レビュー審査会合での勧告も、税、課徴金等の経済的手法を含む国内制度を構築することを強調しているところです。
 ですから、データの収集コストや税制の活用が不適当だなどといって温室効果ガス排出量削減を先送りするのはよくないと思います。そうではなくて、割り当て方法や経済的手法を積極的に導入して削減目標を達成すべきだと考えますけれども、国土交通省、その点はいかがですか。
安富政府参考人 先生の御指摘のようないろいろな具体的な温室効果ガスの削減の方法というのはあるかと思いますが、我々としては、先ほど言いましたように、次世代の内航海運ビジョンというものを積極的に推進するということによりまして、事業者による今後の取り組みの方向性、さらには行政側においてどういう取り組みをしたらいいかということを具体的にこのビジョンの中でうたっております。さらには、このビジョンの具体的な施策についてのそれぞれの実施スケジュールを明確化するというようなことで、我々としてはこの着実な推進を図りたいということで考えております。
 国土交通省としては、いろいろな方法があるかと思いますが、やはり環境と経済の両立の考え方のもとに、今後、スケジュールに沿って具体的な施策を着実に実現して、いわゆる事業者の自主的な取り組みあるいはスーパーエコシップといった新技術の開発普及というものを積極的に支援するということによって、このような削減を達成していきたいというふうに考えております。
藤木委員 やはりそれではとても達成がおぼつかないというふうにしか私には思えません。
 大綱でも、モーダルシフトで、長距離貨物輸送の鉄道、内航海運の占める割合を二〇一〇年に五〇%にすることを目標にしているとするならば、なおのこと、単位輸送当たりのエネルギー効率を高めるだけではなくて、CO2排出量そのものの総量の規制が必要です。
 さらに、内航海運が環境に対する負荷が低いのでモーダルシフトを推進すべきとは、単純には言い切れない側面があると思うんですね。それは、船舶から排出される大気汚染物質がモーダルシフトの促進で集中的な悪化を招くおそれがあるということなんです。
 世界に占める船舶全体から排出される大気汚染物質排出量の割合は、CO2が二・三%、これに対してNOxは一五・五%、SOxが六・三%と、極めて大きな割合を占めていると推計されております。また、日本で全排出量に占める船舶の寄与割合は、NOxの場合、国内で三三%、日本周辺で三七%、SOxの場合、国内で二一%、日本周辺で二三%となっていまして、いずれも高い割合になっているんですね。
 ですから、ただ単にCO2対策としてモーダルシフトを推進するのではなくて、NOx、SOxなどの大気汚染物質の規制も同時に促進しなければならないと考えますが、これは環境省にお答えをいただきたいと思います。いかがでしょうか。
西尾政府参考人 船舶からの大気汚染の問題でございますけれども、御案内のように、大都市部でNOx等の改善状況がはかばかしくない、こういう状況の中で、しかも、そういう地域は我が国の主要港湾を抱えておる、こういうことでございますので、船舶からの大気汚染物質の防止対策ということにつきましても相当の顧慮を払うべきものでございます。
 ただ、船舶からの排出ガス対策につきましては国際的な協力の中で進めていく必要がございまして、IMO、国際海事機関におきましても各国間の調整が続けられているということでございますので、環境省におきましても基礎的な勉強はしておりますけれども、今後、関係省庁とも連携しながら、我が国といたしまして、国際的動向を踏まえてこの対策のあり方を検討してまいるということで取り組みたいと思っております。
藤木委員 船舶から排出される大気汚染物質のうち、陸上発生源等との比較で寄与度が比較的大きいNOx、SOxについては、IMOで具体的な規制値が決められております。
 海洋汚染防止条約の一九九七年新議定書として、船舶からの大気汚染防止に関するMARPOL条約の新附属書6及びNOxに関する具体的な規制方法を定めた舶用ディーゼルエンジンからのNOxに関するテクニカルコードというのがございます。例えば、NOxの場合は、定格回転数n=百三十rpm未満のときはキロワットアワー当たりにいたしまして十七グラムと定められておりますし、SOxの場合は、船舶の使用する燃料の硫黄分は四・五%を超えてはならないなどとなっております。
 しかし、日本は、NOx対策の場合、機関運転条件として、NOxと微粒子物質、NOxと燃料消費率はトレードオフの関係で、同時に低減させるのは困難だとしておりまして、排ガス処理も、船舶への適用を考えた場合、装置の設置スペースだとかあるいは反応温度条件など、船上に設置するためには技術的な問題がある、こう言っております。SOxの対策の場合は、排ガスの脱硫装置を備える方法もあるが、船舶内では設置スペースの制約、処理で発生する廃液の処理等の問題があるというふうに言っておられます。
 ですから、モーダルシフトを推進する場合、こうしたIMOの具体的な規制値をクリアするNOx、SOx対策がまずは重要になってくるのではないかというふうに思うわけですね。十分クリアする見込みが果たしてあるのかどうか、これは国土交通省、お答えください。
安富政府参考人 今先生から御指摘ございましたように、船舶から排出される窒素酸化物それから硫黄酸化物等につきましては、海洋汚染防止条約、MARPOL条約と呼んでおりますが、この九七年議定書が採択されております。ただ、残念ながら、今のところ批准国の数等が発効要件に達していないために未発効という状況にございます。
 ただ、我々としては、この条約につきましてはできるだけ早期に発効するということで、各国に対する働きかけを行うと同時に、条約が発効された場合に国内的に条約の基準に適合するかどうかという問題がございますので、適合したエンジンの製造あるいは搭載の奨励ということを関係事業者にも働きかけて、取り組みを始めているところでございます。
 したがいまして、これらの結果、国内で新たに製造される舶用エンジンにつきましては、大半が本条約の基準に適合しているということが確認されておりまして、IMO等の国際条約ができましたら我々としては十分対応できるというふうに考えております。
藤木委員 東京湾の臨海部だけではございませんで、私は兵庫県に住んでおりますけれども、神戸港の沖合に埋立地がありまして、そこに住宅がたくさん建っているわけですけれども、その住宅地でNOxが非常に高い値を検出されているわけです。これは自動車の排ガスだけによるものではなくて、船舶から排出されるNOxが寄与しているのではないかというふうに私は考えておりますので、ぜひモニタリングをしていただいて、船舶からの大気汚染物質の規制を強化していただきたいということを申し上げておきたいというふうに思います。
 それでは、時間の関係もありますので、次に、船舶の解撤に伴う解撤場の安全管理と環境対策の問題、そしてシップリサイクル対策の問題について伺います。
 一般的に解撤といいますのは、分解をして撤収をするということなんだと思うのですが、船舶の解撤は、七〇年代に大量に建造されたタンカーが、船齢がもう二十年以上に達しておりまして、その数が急増しているわけですね。VLCCで見ますと、九九年末現在で、船齢が二十年以上のタンカーは約百六十隻で、世界の全VLCCの三八%に達しておりまして、九七年のスクラップ隻数は八隻、九八年が十五隻、九九年になりますと何と三十六隻と、年々倍増しております。
 そこで、船舶の解撤では、解撤場所周辺の環境維持として、タンカーのタンク内ガス抜きのときの爆発や火災、油水の処理時の油濁、防熱材として使用されていたアスベストの処理時の作業員への影響、冷蔵用の触媒として使用したフロンの処理などに注意する必要がございます。昨年六月、バーゼル条約事務局は、船舶解体時の環境汚染防止に関する国際指針案というのを提示しておりまして、解体に伴って発生する廃水の処理施設の設置やアスベスト除去時の作業水準の強化などの目標を明示しております。
 環境省の説明によりますと、日本国内でバーゼル条約を適用された事例はないということでございますけれども、一部の小型船舶については各種国内環境規制が適用されているというふうに伺っております。
 それでは、船舶の解撤に伴う環境への影響を最小限に抑えるために、船舶に含まれる危険有害物リストの作成、また解撤の技術ガイドラインの作成、同時に労働者への安全防具の配備、そして危険物質の処理施設の導入などの日本国内の解撤対策は整備できているのかどうか。これは国土交通省と環境省と双方にお答えいただきたいと思いますが、まず国土交通省、お答えくださいますか。
安富政府参考人 我が国における解撤事業に関しましては、具体的には、解撤に先立って船舶から油を可能な限り取り除くとか、あるいは解撤作業中もオイルフェンスを張ることによって油の流出を防ぐといった措置、さらには船内に滞留したガスを前もって取り除いて作業中の爆発事故を防止するといった措置、あるいは化学物質による暴露の危険がある場合には保護具を着用する、さらに有害廃棄物が含まれていた場合に関係法令に従い処理するといったような具体的な措置をとってきておりまして、そういう意味では、環境保全、労働安全の観点から適切な作業体制をとっているというふうに考えております。
 なお、先ほどちょっとございましたが、いわゆるバーゼル条約等の技術基準につきましては、有害物質リストの作成とか、あるいは解撤ヤードの技術ガイドラインにつきまして、それぞれバーゼル条約の技術作業部会あるいは国際海事機関において検討されておりまして、我が国としてもこれらの検討に積極的に参加して、具体的な国際ルールを踏まえて、国内における解撤に対しても適切な指導を行っていきたいというふうに考えております。
飯島政府参考人 日本国内で生じます廃船の処理につきましては、廃棄物処理法に従いまして、国内処理の原則のもとに適正に行われるべきものと考えております。
 このため、先ほどお話ございました国内で処分されるケースの多い漁船、小型船の処理につきましては、平成三年十二月に、他の漁業生産活動に伴って生じる廃棄物とあわせまして、漁業系廃棄物処理ガイドラインというものを作成いたしまして、当時の厚生省の通知によりまして、都道府県、市町村を通じて関係者に周知するとともに、指導の徹底を図ったところでございます。
 また、国際的問題でございますが、有害物質を含有する船舶の廃棄物としての輸出入はバーゼル条約の対象になることから、バーゼル条約の補助機関会合、技術作業部会、法律作業部会等ございますが、その補助機関会合におきまして、IMOと一緒に船舶の解撤に係る環境上適正な処理に係るガイドラインの策定に向けた検討が進められているところは委員の御指摘のとおりでございまして、我が国もこの検討に積極的に参加しているところでございます。
藤木委員 今の両省のお話を伺っておりますと、対策は整備されているかのように聞こえるわけですけれども、今後その解撤対象そのものが急増するわけですから、国際条約だとか国際機関の対応を待っているということではなくて、解撤マニュアルを作成し、危険物リスト及び適切な処理方法についてのマニュアルといったものを作成するような積極的な対応を私は進めるべきだということを求めたいというふうに思うんですね。
 また、環境省の説明によりますと、日本船は海外で中古船として引き続き使用するので、これまでバーゼル条約の国内法が適用された事例はないとしているわけです。
 しかし、船舶の環境問題は解撤時だけに起こるということではございません。全国に造船所が一千百七十社ございますけれども、そこで船舶安全法による船舶の必要な施設に対する船級協会などさまざまな検査が恒常的に実施されております。その施設には、船体や機関だけではなくて、排水設備、危険物その他の特殊貨物の積みつけ設備などがございまして、検査の際には、修理、汚泥や油等の除去、あるいは塗装などが同時に行われているわけです。
 厚生労働省の資料を拝見いたしましても、九八年に香川県の船舶製造業で、船舶内の吹きつけ塗装作業中、キシレンを吸入し中毒をしたという事件、また、二〇〇〇年には長崎県の造船業で、船のタンクを清掃しておりまして、キシレン等を含んだ有機溶剤でやはり塗装作業中に中毒をしたという事例がございます。さらに、昨年四月には、これは私の地元なんですけれども、三菱重工神戸造船所で、タンク内の腐食の程度を点検作業中に酸素欠乏症で二名の作業員が死亡しております。しかも、この神戸造船所では、サンドブラストの作業をするヤードが民間住宅に接しておりますために、高いネットを張りめぐらせているわけですけれども、作業中はもうもうとした粉じんが舞い上がっているということを訴えられております。
 ですから、日本国内での船舶の検査や修理などで、サンドブラストでの環境汚染だとか、タンク内の修理で中毒事故が発生しないようにすべきだと思いますけれども、国土交通省と厚生労働省にそれぞれお答えをいただきたいと思います。国土交通省、どうぞ。
安富政府参考人 サンドブラストでございますが、サンドブラストにつきましては、船舶の修理等において、船体表面を再塗装する際に、塗料の塗布を有効にするため、砂の粒を吹きつけるという形でやっておるわけでございますが、ただ、最近ではいわゆる小さな鉄の粒を吹きつけるショットブラストというのがふえてきておりまして、こちらがどちらかというと一般的だと思います。ただ、サンドブラストを用いる場合もありますので、そういう場合には、防護ネット等を張って、粉じんの防止措置を講ずるというふうな作業上の対策をとるように指導しているところでございます。
 また、タンク内のガス中毒にいたしましても、先ほど例として先生の方から御指摘ありましたように、例えば劣化した防毒マスクを使用していたとか、あるいは酸素測定を行わずにタンク内に立ち入ったといったようなことから実際の事故が起こったという例がございます。
 そういう意味で、これから適正な装備の使用等作業要領遵守の徹底であるとか、あるいは社員の再教育等の対策が必要だということで、我々としても造船事業者にそういうふうな形でやっていきたいというふうに考えております。
 具体的には、このような対策の徹底につきまして、造船事業者の団体であります全国造船安全衛生対策推進本部というのがございますが、ここで特別査察あるいは安全パトロールの実施、さらには安全衛生講習会、研修会の開催、啓蒙資料の作成、広報活動等を行っておりますが、我々としましても、この推進本部と連携しまして、各地方運輸局を通じて造船事業者に対して注意喚起を行ってまいりたいというふうに考えております。
播政府参考人 厚生労働省の施策も御説明させていただきたいと思います。
 検査や修理に従事される方々の有機中毒あるいは酸欠、先生が幾つかの例を挙げられましたが、これを防止するために、安衛法のもとには、先生御案内のとおり、有機溶剤中毒予防規則等がございます。換気装置の設置とか呼吸用保護具の使用、あるいは作業主任者の選任等の措置がございます。
 要はこれを徹底させることでございまして、先ほど国土交通省からもお話がございましたが、事業主団体と国土交通省の機関、そして私どもの監督省連携いたしまして、安全パトロール等を繰り返してございまして、要は徹底であるということで、引き続きこれらの規定の遵守を促してまいりたいと考えます。
 以上でございます。
藤木委員 時間ですからこれで終わりますけれども、安全対策というのはとっていても事故が起こったかのように聞こえますけれども、そうではなくて、もう常日ごろ緊張感に満ちているような状況がきちんととられるということが常態化するようなことをぜひ進めていただかなければならないというふうに思うわけです。
 このように、船舶にはさまざまな環境問題があるわけですから、温暖化対策としてモーダルシフトの推進を図るというのであれば、船舶に対する十分な環境規制や労働安全対策を実施することを強く求めて、質問を終わらせていただきます。
大石委員長 金子哲夫君。
金子(哲)委員 社会民主党・市民連合の金子でございます。
 最後の質問者ということになりますけれども、地球温暖化対策にかかわって幾つか御質問したいと思いますけれども、中心的には、やはりこの計画の中で、ステップ・バイ・ステップということで、見直しをしながら進めていくということで提起をされておりますので、本当にその見直しの作業というか、見直しをどのようにしていくかということは非常に重要だと思いますので、その点にかかわって質問したいと思います。
 最初に、先般の委員会で質問を予定しておりましたけれどもできなかった点について、一、二質問させていただきたいと思います。
 今度の法案第二十二条の中で、事業者の事業活動に関する計画の実施状況について、報告の問題、記載をされておりまして、これは残念ながら、努める義務といいますか、努力義務というような形でなっているわけでありまして、基本的には、やはりこういうものについては公表を義務づけていかなければ、基本的なデータの取得も含めてできないんではないかと思うんですけれども、その辺についてまずお伺いをしたいと思います。
大木国務大臣 事業者の事業活動に関して、どういうふうに計画をつくるか、あるいはそれをどうやって公表していくかというお話でございまして、全体として努力義務であって、いろいろと義務づけが足りない、こういう御質問だと思います。
 今のところ、事業者ということでございまして、ある程度事業というものを持っておられる方が御自分でいろいろな、それこそ自分の事業ですから御存じなわけですから、その方が計画をつくって、またその実施状況についてもこれは自主的に公表をできるだけしていただきたいということは新大綱でも書いているわけでございますけれども、とりあえずの第一ステップとしましては、事業者がそれぞれの、みずからの事業を行っておられる責任者としての立場から計画をつくり、また公表していただく。
 ですから、いずれも自主的ということではございますけれども、これだけ地球環境問題、国民の間でも大きな問題になっておりますから、これはやはり、各事業者がそういったことについて十分に御関心を持っておられるというのは私どもも毎日感じておるわけでございますから、第一ステップにおきましては、とりあえずそういうことで、できるだけ自主的に、しかし公表の方はぜひできるだけしてもらいたいということも書き込んだ上で、計画をつくり、それを実施していただく。
 公表については、今のところは自主的に公表はしていただきたいということは書いてありますけれども、それを義務づけるというところまではいっておらない。これによってまず進めてまいりたいと思っております。
金子(哲)委員 そのことと関連して、今は、措置といいますか、抑制の措置について公表するということになっておりますけれども、やはりそのもとになる、そもそもの温室効果ガスの排出量そのものも報告の中に含めるべきだというふうに思いますが、その点はどうでしょうか。
大木国務大臣 排出量自体を報告していただくかどうかというのはいろいろ議論があると思いますけれども、私どもとしては、全体の計画を、どういうふうにそういった温暖化対策も含めながらやっておられるかということをまず計画としてつくっていただくということでございますし、それから、それをできるだけ対外的にも公表していただきたいということでやっておりますから、これはやはり事業者の御判断に任せて、自分たちの計画ができるだけそういったものも、温暖化対策についても留意しているよということはいろいろな形で示していただけるんだと思います。
 ということで、今のところ、排出量自体を義務づけて、必ず数字として出してくださいというところまでは書き込んでございません。
金子(哲)委員 とりあえずは、第一ステップの状況の取り組み状況をぜひ注目したいと思います。
 二つ目に御質問したいのは、前回の委員会の論議の中でも原子力発電の問題についていろいろ論議をしてまいりましたけれども、それについてはいろいろまだ意見がありますけれども、きょうはとりあえずそれはおくとしまして、新しいエネルギーの開発にかかわって研究がいろいろ進められていると思うんですけれども、どうも政府の予算を見ますと、原子力の発電にかかわる費用が、研究開発費用、これは直接的には文部科学省ということになると思いますけれども、そこに余りにもウエートがかかり過ぎているというか、ほとんどの支出が行われている。
 今後の将来的なことを考えますと、やはり再生可能エネルギーなどの開発推進ということにもっと研究開発を進めるべきだ。その点は、環境省としても、こういう全体の中における環境行政の中における立場から、研究開発のあり方について文部科学省なりに対して積極的に意見を提言して、やはり方向を、もっと枠を変えていくということ。
 原子力発電だけにとは言いませんけれども、そこだけが重点になっているような研究開発の姿というのはいびつな関係だと思いますし、再生可能エネルギーというのが全体に占める割合がまだしかし低いということでありますけれども、やはり研究開発に非常に費用がかかるということもあるわけですから、その点については、将来的な環境問題として、そういう方向にこの研究開発の費用というものを振りかえていくべきだというふうに考えておりますけれども、環境大臣としてどのようにお考えか、お伺いしたいと思います。
大木国務大臣 いろいろなエネルギーの開発について、どういう資金を用意してそれを開発するかということですが、調査研究ということになりますと、いろいろな意味でいろいろな立場の方がそれに参画しておる、我々よく産官学で協力というようなことを言いますけれども。ですから、どのエネルギーについての資金が多いか少ないかというのは、いろいろお立場によって違ってくると思いますけれども、例えば経済産業省あたりは、少なくとも現在においては原子力も相当多く依存しないと日本のエネルギー政策というのはやっていけないということですから、そういう意味では、広い意味でのいろいろな調査研究だとか、現実にそれを維持していくための費用とか、そういうものは計算の仕方によると思いますけれども、ということでございまして、しかし、全体としては決して新エネルギーの開発についてもお金がついていないということではない。
 ただ、今も申し上げましたように、どういうところでどういう研究をするかというのは、やはり一つは現実に国民のニーズということを考えながら、エネルギーを供給していくという方のニーズの問題もありますし、もちろん私どもとしては、地球環境問題についてのきちっとした、そういったものについての対応ということから考えるべきだと思うわけでありまして、新しい、原子力以外にも、例えば太陽光発電施設の導入に対する補助だとか、あるいは技術開発や実証試験に関する支援、あるいは普及啓発についての強化のためのまたいろいろな施策というようなものもあるわけでございます。
 環境省については、私の方で直接的には考えておりますのは、バイオマスエネルギーの関係について、地方公共団体へ補助制度を適用してある程度のお金もつけておる。必ずしもそれは十分とは言えませんけれども、そういったようなものもあるというようなことでありますから、これはやはり全体として、これからも現実にどういうエネルギー対策を進めていくか、その中できちっとまた地球環境問題について対応していくかということでございますので、今のところ、今のおっしゃいました原子力だけだというふうには私どもも考えておりません。やはりいろいろなものをこれから、だから二つの面から、つまり地球環境問題あるいは温暖化問題から一つの取り組みがありますし、片っ方におきましては、現実の国民の生活を維持するためのエネルギーをどういうふうにして供給していくか、あるいは開発していくかという問題がありますから、この二つの面からまたひとつ議論してまいりたいと思います。
 正直申し上げまして、いろいろな研究開発ということになりますと、まさしくこれは縦割り行政でございまして、いろいろなところに研究開発のための金がついておるというようなことについては、もう少し統合できないかということは、私も環境省の立場からすると感じますから、これからそういったものについてはもう少しきちっと総合的に考えるということは、今後の課題として真剣に考えたいと思っております。
金子(哲)委員 随分長く答弁をいただいたんですけれども、率直に言って、つまり今二つのことを問題提起を私はしているわけで、余りにも比重自身が、予算の配分そのものが原子力発電に偏り過ぎているんじゃないかということをまず申し上げているわけで、もちろん、そのほかの研究が全くされていないというようなことを言ったわけではありません。ただ、しかし、そういうことになっているという現実は変えていかなきゃいけない。ここ十数年以上もこのような研究の費用の使い方が続くということ自身がおかしいわけですし。
 それから、やはり原子力には安全性の問題が必ずつきまとうわけですね。できれば、代替エネルギーの中により安全的なもの、再生可能なものが開発されて、そしてそういうものに代替できる、コストの面もいろいろありますけれども、そういうことが進んでいけば、当然そちらにシフトした方がいいわけですよね、可能性としては。だから、そのための研究というものが必要ではないか、そういう方向を目指して研究開発を進めていくということが必要ではないかということを申し上げているわけでありまして、今どうだということではなくて、そういう方向を目指すことがどうかということをお聞きしているんです。
大木国務大臣 原子力といいましても、いろいろあるわけでございまして、まさしく委員もおっしゃいましたけれども、原子力については非常に安全性の問題が大きいんじゃないか、私はまさしくそうだと思うんです。むしろ、逆に言えば、安全性の問題さえ解決されれば、原子力をもっとどんどんと活用してもいいんじゃないかという議論もあり得るわけでございますし、現実にいろいろな意味でそういった研究も行われているわけでございますから、原子力と一言で言いますけれども、いろいろな形の原子力の利用というのがあるわけですから、そっちの安全性をさらに高めるための調査研究というのもあると思います。
 ですから、原子力が一方にあって、ほかに非原子力というものがあって、つまり、基本的にまず、原子力はだめだからと非原子力に進むんだというところまでは、実は私どもとしては考えていないんです、そこのところは私やはり御意見の相違だと思うんですけれども。原子力といえども、より安全性を高めて、ほかのエネルギーに比べても安全性についても遜色ないということになれば、それは私は大いに活用したらいいんだと思います。ただ、そこまでなかなか国民の御理解も得られていない、それは、客観的にどこまで安全だといえば、いろいろ議論はあると思いますが。
 そういうことで、原子力対非原子力ということでの比較になりますと、ちょっとそこは、大変申しわけないんですが、基本的には考え方の相違じゃないかなという点もあります。ただ、おっしゃいますように、ほかの問題、ほかのエネルギーというのは、非常にクリーンで、しかも、現在も安全性がはっきりわかっているというようなものについては、さらに今後も前向きに検討したいというふうに考えております。
金子(哲)委員 あと時間もないので、次の質問に移りたいと思います。
 今度は、見直しのことがありますけれども、質問を出しておりませんが、どうも大綱などをいろいろ見ても、ちょっと私はわからないので教えていただきたいんです。
 二回の見直しがありますけれども、それぞれの目標値というのはあるんですか。
岡澤政府参考人 現在の大綱の中で示しております削減目標量あるいは導入目標量というのは、今の段階では最終的な数字と考えております。その最終的な数字に対して一定のトレンドが、傾向が見えるわけですけれども、それが予測していたトレンドよりも下回る場合には、その導入のための追加的な施策を講じるということを一義的に考えております。
 ただ、余りその乖離が大きいような場合、あるいは新しい施策を追加するということが可能な場合には、新しい施策の追加、あるいは導入目標量、削減目標量の見直しということもその段階では考えていきたいと考えております。
金子(哲)委員 それでは、数字があるのなら、第一ステップのときには、削減量としては大体何%まで下がったらいいとお考えですか。第二ステップは何%になっていたらいいと。全体で一三%の削減をしなきゃいけませんので、そこの目標はどういう数字になっているんですか。
岡澤政府参考人 そういう意味で数字をはっきり持っているというわけではございませんけれども、例えば導入目標量が、例えば十年間、これから十年間ありますけれども、十年間で一〇〇という単位を導入するということであれば、二年たったら二〇というのが常識的な数字になりますから、それに対して上回っているか下回っているかというのは一つの目安として考えております。
金子(哲)委員 ということは、一三%の削減で、これを割っていけばいいわけですね。毎年一・三%ずつということでこれから計算、単純に言えばそういうことですよね。そうじゃないなら具体的に、こういうのは、進捗状況というのは、十年先が目標であっても、最初は準備があったりいろいろするわけで、そういうところの例えば目標がなければ、私は単純に考えて、ある程度、第一ステップはこういう目標です、こういう数値を大体目標にしております、これまでに何%削減を進めていきます、しかし、そのときは準備段階だから進捗状況は遅いけれども、次のときにはこれぐらいにいきますという目標がないと、大体、判断をする素材がないんじゃないかというのが私の素朴な疑問なんです。
岡澤政府参考人 考え方はそうなんですけれども、一三%が毎年一・三%というわけじゃなくて、というのは、削減量ですから、一三%というのは、その前に、今現在の大綱の中でも、ほっておけばもっと伸びてしまうものをここまで抑えるという削減量がありますし、要するに全体の削減量として、その削減量の全量を十年間でこなすということです。
 ですから、導入目標量というもので見れば、ある導入を促進します、その導入目標量については、なだらかにいくとすれば十年分の何年というようなことは考えていただいてもいいんですけれども、一三%はちょっと別の話です。これは、上を取っ払って、また下も抜けて、パーセントだけで表示したものですから、削減量だけではありませんので、一三%でマイナス何%まで削減すれば何年間、その一三分の何%で達成率がどうということではないと思います。
金子(哲)委員 そういう論議をするんだったら、九〇年のマイナス六%という数字なんかは、では、なくなってくるじゃないですか。我々は九〇年比マイナス六%にまで削減するという目標を立てているわけで、ここにも書かれているわけでしょう。そのためには、どこで何トン何トン減らすということになりますけれども、そうすると、ステップごとにも少なくとも九〇年比何%マイナスになったということがなければ、実際にどこが目標を達成しているかということがわからないじゃないですか。そんな、今みたいな話なんか、それは国民に対して六%の削減の最終目標に対してどういうステップでいきますということが全然明らかになっていないんじゃないですか。それも同時にどうなっているかということです。
 だから、真っすぐ、同じような傾斜で進むとはだれも思っていないわけですよ。だけれども、少なくとも第一、第二のステップのときに、少なくとも第二ステップが終わった時点ではマイナス一%か二%ぐらいに行っておかなければ、最終的なマイナス六%が達成できないというような数字目標もなければ、こんな計画というのは進んでいかないんじゃないですか。
岡澤政府参考人 ちょっと説明の仕方が悪いのかもしれませんけれども、今、一九九〇年に比べまして約七%ふえているわけです。そこからスタートすれば一三%マイナスですから、例えば一年間で今の量に対して一・三%ずつ下げていくというのを一つの目標として置いております。
 ただ、九〇年比の数字でいきますと、例えば一年たつと、七%から一・三%引きますから、五・七%プラスでまだ残るわけですね。ですから、来年、例えば一年後にはこの五・七%。
 ですから、先生がおっしゃることと同じことなんですけれども、一三%分の何%から来年はマイナス一・何%にならなきゃいかぬということにはなりませんということを言っているだけでございまして、全体の削減量に対して、十年間でそれを削減するために、毎年毎年施策を講じて削減していくという意味でございます。
金子(哲)委員 これでこんなに時間をとると思わなかったんですけれども、単純な話なんですよ。今、九〇年比七%増をしている。そして、実際には、九〇年比から見れば、今、目標とするマイナス六%から見れば、一三%分やらなきゃいけない。私が言っているのは、ことし一・幾らとかいうことではない。トータルとしては、結局一三%分現時点から見ればマイナスしなきゃならないと。それは当然の数字でしょう。
 そして、それに対して、では実際に九〇年比の目標を、二〇一〇年に最終目標を達成しようとすれば、第一ステップ、第二ステップの段階では少なくともここまで目標に行っていなければ達成が困難だということの目標がなければ、見直しをするといったって見直しのしようがないじゃないですかと、私は単純に。
 そして、それは国民の皆さんにも、ステップ・バイ・ステップでいくのであれば、第一ステップと第二ステップのときにはこれぐらいの目標です、そうして、そこまで進んでおれば最終的にはこの目標に達成しますということを明らかにするのが、国民的に一緒に協力してもらうための最低の条件じゃないですか。そのことを言っているだけですよ。
 今できていないならできていないと言ってください。ないんじゃないですか。だって、どこの数字にもそんなものが書かれたものはないんですから。そのこと、大臣どうですか。
大木国務大臣 京都議定書に戻ってお話しいたしますと、要するに、一九九〇……(金子(哲)委員「いやいや、そういうことじゃない。目標があるかないかと言っているんです」と呼ぶ)いやいや、ですからそれを御説明しておるわけでございますけれども、一九九〇年に比べて、目標年次である二〇〇八年ないし一二年、五年間がその目標年次になっているわけですね。だから、そこでは九〇年に比べて六%の削減。
 ですから、出発点とその目的の最終目的地と申しますかはあるわけですけれども、その途中の過程をどうするか、これはいろいろな対策がありますから、今すぐにはできない対策もありますね。外国とのいろいろな話し合いの結果できてくるというようなもの、今すぐにはそれは数字が出てこないわけであります。
 ですから、それはやはり全体としては六%削減というのはありますし、それから現在、九〇年に比べれば全体としてどういう数字だ、その数字はありますけれども、個々の施策については、これは非常になだらかにやるものもあるでしょうし、急速にやれるものもあるでしょう。
 ということですから、それを今それぞれについて数字を示せと言われてもなかなかできないので、あえて申し上げれば、ですから先ほど局長が申していたとおりに、十年間で何%減らすんだから、その十分の一ずつ毎年やれば、それは数字は立ちますけれども、それはあくまで計算上の問題でありまして、現実には、個々の施策がどれだけきちっと進行しておるかということの方が私は大切じゃないかというふうに思います。
金子(哲)委員 それは全く無責任じゃないですか。大体、では見直しするときに、何がどこまで進んだかということは、あなた方が一方的に、政府が勝手に解釈して、我々これは十分いっておりますと判断しております、そう言えば済むわけですか。それは、目標があって、目標に達しているか達していないかということが明らかになって初めて、第一ステップはここまで行った、だから大体当初の計画どおり進んでいるということが国民にもわかるわけであって、それが示されなきゃ、政府の中で一方的に、例えば、大体第一ステップは我々が予想したとおりに進んでおりますと言われたって、一般的に我々も、私たち議員だって、何を基準にやって判断するわけですか。
岡澤政府参考人 大綱にも導入目標量を示しておりますし、計画の方でもそういうのを示しますが、その導入目標量に対して施策の進捗状況は、数値上で例えば何%入れるということに対して何%達成しましたというふうなことを、その数値の進捗状況をはっきり示した上で、それぞれの個々の施策の事情もございましょうし、そうしたことを勘案して、さらにその対策を強化すべきかどうかということを判断してまいる。ここは計画の変更に結びつきますので、手続的にも、審議会あるいは国民の意見を聞く、それから審議会の議論というような手続が入りますし、国民の声一般を、一般の方々の目を意識した上で、そうしたレビューを行って、必要な施策の追加を行っていきたいというふうに考えております。
金子(哲)委員 重ねて言いますけれども、例えばこの工程表を見ても、大綱の工程表を見たって、第一ステップでどこまで達成していると、項目は挙げてありますけれども、数字は全然具体的になっていないですよ。
 だから、ではだれが一体、第一ステップでその達成状況がどうだったといって判断できるわけですか。だれがどういう基準に基づいて判断するわけですか。
 そのことを私たちは、例えば先般も質問しましたけれども、産業界は自主的にやると。だけれども、これが自主的にやったのが目標に行っているかどうかという判断は、だれが、どこで、どういう基準に基づいてやるか。そのことがみんなに公開されていて初めて、国民に協力を求めることができるわけであって、十年先の目標をつくっているんだから、最終的にはあそこに行きます、だから皆さん協力してくださいといったって、第一ステップ、第二ステップでもし見直しをされても、だれしもそんなものを、信用できる数字というふうにみんなが納得できるわけですか。
 それで、皆さん、国民に対して参加をしていただきたい、すべての国民が協力していただきたいということを言っておられますけれども、目標も定かでない、だれしもが目に見えない数字の中で取り組みをしろと言われても、それでは実際にこの目標を達成することはできないじゃないですか。
 そして、見直しのときに、例えば国会の承認の問題だってそうですけれども、どこまで、どういう報告をして、私が考え方がおかしいのかどうかわかりませんけれども、普通だれでも、第一、第二、第三段階と決めれば、第一段階ではどこまで、第二段階ではどこまで、そして最終目標はこうだと決めていきますよ。
 そして、私は、先ほど何度も言っているように、一気に三等分すれば事は済むということなど全然言っていないわけです。準備の段階、この段階ではこういうことを強化する、だから最初は五%しか下がらないかもわからない、次は一%かもわからない、だけれども最終的にはこうだという目標をなぜ数字によって示すことができないんですか。いや、では数字があるなら、具体的に、第一ステップではどのものは何%にしますという数字を言ってくださいよ。
 だから、さっき言ったように、一三%という考え方にしても、一三%というのは、最終的に九〇年比マイナス六%にするためには現時点から一三%削減しなきゃいけないほど大変な目標ですよ。そうしてみたら、一三%分のうち削減――それは最初は削減まで至らないですよ、七%もあるんだから。そんなことは私でもわかりますよ。だけれども、九〇年比七%増加したものが、第一ステップでは二%増まで行った、そうしたら残り八%をやればいいという目標になってくるわけでしょう。そうじゃないんですか。
 その目標の数字というものが、マイナス六%というものが数字としてあるわけですから、そのマイナス六%に対して、どういうステップでマイナス六%になっていくかということが、なぜこういう大綱の中で明らかにされないのか。その数字が明らかにならなければ、幾らあなた方が、見直しの時点で、こういうふうに見直しをした、このぐらい進んでいると言ったって、それは国民の判断材料にならないんじゃないですか。
岡澤政府参考人 個々の対策によってちょっと違うと思いますけれども、例えば省エネのような形で、今でもその対策を講じているものについて、さらに延長してその対策を講じていくというものについては、ほとんどなだらかに削減が期待できると思います。また、新しくこれから施策を追加するというものについては、やはりどうしても立ち上がりの時期は少ないわけです、進捗が図れないわけですので。そこのところは勘案しまして、いずれにしても、最終的に評価をして見直しをする責任は政府が負うわけですが、その過程で、審議会の中での審議だとかやりますので、そうした中で、とりあえずその評価を、進捗状況を評価するに当たってどういう考え方でやっていくのかというのは整理した上で、場合によったら、例えばここのものについては、二〇〇四年に見直しをすると言っているわけですから、二〇〇四年の段階でこのぐらいのところを一つの目安として進捗状況を考えようというようなことを整理していきたいというふうに思います。
金子(哲)委員 つまりは、全く何も具体的な計画が立っていないということじゃないですか。それは、私がさっき言ったことじゃないですか。進捗状況にはいろいろ波がある、波があったり、早く進むものと、時間がかからなきゃなかなか進まないものとがあるということは、私が言っているとおりでしょう。
 そういうことを検討して、あなた方がいろいろなところで数字を出されたものを、これは早く進む、これはなかなか遅い、だから第一ステップではここまでしか全体としては行かないと、全体としてどこまで行くかということが国民の中には明らかにされなければならないわけで、それは、個々の積み上げの結果として、全体として何%削減になりましたということが出てくるのが普通じゃないですか。だから、それについて私は何も、三等分して目標を決めろというようなことを一つも言ったこともないし、そんなことはできないということは私でもわかりますよ。
 だけれども、では、審議会とかいろいろなことをおっしゃるけれども、審議会だろうが何だろうが、政府が最終的に判断するときに、第一ステップが終わったときにこれは進んでいないという判断をするのは、どういう基準によって判断するわけですか。目標があるから、進んでいなかった、到達していなかったということがあるんであって、それを何にも数字もなしのままに、審議会、どんなに偉い人かわからないけれども、国民に対してどういう説明ができるわけですか。
大木国務大臣 同じことを繰り返すことになりますけれども、一九九〇年にその過去の実績があって、それとの比較において六%を二〇一二年ごろまでに達成しようということで、現在を比べれば一九九〇年に比べて一三%、そういう数字はあるわけですけれども、いろいろな施策を総合的に組み合わせて進めるわけでございますから、それによって進捗状況が当然ながらいろいろと差があると思います。
 ですから、全体として何か数字がないのかとおっしゃれば、先ほど局長が申し上げましたように、一応一三%を十年間でやるとすれば、一つの全くの計算では、一・三%ずつ一年ずつやっていけば一三%になるというのは、それは一つの数字ですけれども、むしろ先ほどから申し上げているとおりに、この対策ではこういうふうにする、この対策ではこういうふうにするということがそれぞれ違うわけです。やはりそれは、民生なら民生、あるいは運輸交通について、あるいはまた産業界においていろいろ計画があるわけですから、それを、これは何も二年たったり五年たったりで初めてということじゃなくて、常にそれは注視しながら、また必要なことは申し上げていくということでございますし、先ほど申し上げました審議会というのも、各省の持っておられますいろいろな審議会があります。これは十五か十八でしたか、ちょっと数は今定かでございませんが、いずれにいたしましても、そういった審議会がそれぞれに審議をされて、それをまたその合同の会議もあるということですから、そういったものを見ながら、政府としては、これはまた政府としての対策本部で、それが遅いとか早いとかいうことを判断して、必要なことは追加的にまた考えるということでございますから、これはやはり今の段階で、例えば二年たったら何%だということをきちっと示せとおっしゃるのはかえって現実的でないんじゃないか。
 むしろ、それは、最終的な目標というものはきちっと頭に置いた上で、その進行状況を見ながら、また必要な、それこそ必要な措置というのはいろいろあるわけですから、先ほどからの御質問で、例えば経済的な措置もするのかというようなお話がありますけれども、そういったものも含めて、必要な措置ということはまた随時考えていくということでございまして、やはりここで今何か無理に数字を出すということの方が、かえって現実的じゃないんじゃないかというふうに私は考えております。
金子(哲)委員 もう時間が来ましたので終わりますけれども、私はきょうはこの質問よりほかにしたい大事な質問があったんですけれども、しかし今のような説明で、我々、例えば見直しをされるときにも、では、国会議員は何の数字を見て、見直しに成果があったのかなかったのか判断する基準が私自身はないと思うんですよ。あなた方が説明された数字を、ただ今回と同じように、十年たったらこの計画をやればできますということをうのみにして、そして第一ステップも、あなた方が報告されたのは、大体進捗いっておりますからどうぞ信頼してくださいというようなことで、そういうやり方だけでこの地球温暖化対策の一三%もの温室効果ガスの削減が達成するとは私には到底思えません。それをしかも国民的な課題としてやろうとしていらっしゃるんであれば、もっと具体的なステップ、ステップの目標数値も明らかにしながらやるというのが、私には、その手法が国民の皆さんに理解をしていただき、速度を速めてこれを達成することができると思います。
 今のようなことで、次のステップのときの段階状況を十分見させていただきますけれども、そのようなやり方で、私は、そのぐらいの決意で計画を立てられていては到底進まないだろうということを申し上げて、質問を終わります。
大石委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
大石委員長 この際、本案に対し、奥田建君外三名から、民主党・無所属クラブ、自由党、日本共産党及び社会民主党・市民連合の四会派共同提案による修正案が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。奥田建君。
    ―――――――――――――
 地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
奥田委員 地球温暖化対策推進法改正案に対する修正案につき、民主党・無所属クラブ、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
 その内容は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。
 気候変動、地球温暖化対策は、喫緊の課題であり、先進国、とりわけ京都議定書の議長国である日本が率先してその対策に取り組むべき課題であります。ところが、日本における温室効果ガスの排出量は増大を続け、国際公約である排出量の削減目標達成が危ぶまれております。少なくとも、透明性の高い制度として、今後の排出削減を実効あらしめることが必要であり、そのための修正を行うべきであると考え、その修正を要求いたします。
 修正案の内容について御説明申し上げます。
 第一に、京都議定書目標達成計画の策定に当たっては、あらかじめ広く国民の意見を聞かなければならないものとしております。
 第二に、京都議定書目標達成計画については、非常に重要な計画であることから、国会の承認事項とすることとしております。
 第三に、国及び都道府県は率先して、国及び当該都道府県の事務及び事業に関し、温室効果ガスの排出の抑制及び吸収の量に関する目標並びにこれを達成するための措置に関する計画を策定し、これを公表することとしております。
 第四に、温室効果ガスの排出削減と排出実態の正確な把握の必要性から、一定規模以上の事業者に対し、温室効果ガス排出抑制のための計画策定と、排出実績の公表を義務づけることとしております。
 第五に、地球温暖化対策地域協議会におきましては、日常生活に関する温室効果ガス排出抑制に限らず、広く温室効果ガス排出抑制に必要な措置についても協議できるものとしております。
 第六に、森林等による吸収作用の位置づけについて、人為的な温室効果ガスの排出削減を実行することが原則であることに留意しつつ、森林及び緑地による温室効果ガスの吸収作用の保全及び強化を図ることとしております。
 以上であります。
 何とぞ、御趣旨を御理解いただき、委員各位の御賛同を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。(拍手)
大石委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
大石委員長 これより原案及びこれに対する修正案を一括して討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、順次これを許します。樋高剛君。
樋高委員 私は、自由党を代表して、民主党・無所属クラブ、日本共産党、社会民主党・市民連合及び自由党提出の修正案を含め、地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の討論を行います。
 流通やライフスタイルなどの人や物の流れが多様化する中で、現行の地球温暖化対策では、二〇一〇年の温室効果ガスの総排出量は、基準年比で約七%の増加が見込まれております。京都議定書の約束を成功させるには、これまで以上に政策や国民意識の見直しと実行が必要です。
 政府提出の改正案は、国民意識の涵養を進める観点から一歩前進している点などは評価できます。しかしながら、器だけを整えて、着実に温暖化対策を進める実効性が伴わなければ、真の対策とはなり得ません。
 野党四会派提出の修正案に賛成の第一の理由は、国及び地方公共団体が所管事務と事業について削減計画を策定するなど、国、自治体がみずから率先して計画を実行することで国民意識の涵養を進めている点であります。
 修正案賛成の第二の理由は、森林及び緑地による温室効果ガスの吸収作用のさらなる保全強化を図る点であります。
 これら野党四会派提出の修正案に示された施策を実行することによって、政府提出の改正案に、より実効性を強固にすることに寄与していくものと考えます。
 地球温暖化対策は、国際的な取り組みや、百年以上の長期的視野を見据えることが求められます。今生活する世代だけでなく、未来に生きる子供や孫、さらに先の世代の人類生存の基盤、そこに生きる動物、植物の生態系に大きく影響する問題であり、未来のために、今の世代にとってできることは何かを考え、それを着実に実行していくことが重要であります。これは言うまでもないことかもしれませんが、事業者、政府、住民を問わず、国民一人一人が改めて意識改革していくことが大切であることを申し上げ、私の討論を終わります。ありがとうございました。(拍手)
大石委員長 藤木洋子さん。
藤木委員 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となっております野党四党共同修正案に対する賛成の討論を行います。
 内閣提出の地球温暖化対策推進法改正案は、京都議定書の的確かつ円滑な実施を確保することを目的としていながら、京都議定書の六%削減目標達成に向けた担保法としての必要な規制措置や経済的措置が盛り込まれず、国際的な公約の実現を困難にしています。ですから、日本共産党は、京都議定書の六%削減目標達成のために、温室効果ガスの総量削減計画の策定、産業界との削減協定の締結と第三者機関による検証制度の導入、住民参加による温暖化対策と地方自治体が一体的に取り組む体制の整備、事業所ごとの温室効果ガス削減計画の提出、指導、助言、公表、命令等の規制措置の導入などが必要だと考えています。
 そこで、ただいま趣旨説明されました野党四党の共同修正案は、特定事業者が事業活動に関する温室効果ガスの排出抑制等の計画を作成し、その計画の実施状況及び排出量を環境大臣に報告するとともに、公表することを義務づけています。この修正案は、産業界の自主的取り組みに任せて規制措置などを先送りした不十分な政府原案を改善するとともに、京都議定書の六%削減目標達成のための第一歩となる、最低限で、必要な修正の提案となっています。
 どうか、趣旨を御理解いただき、委員各位の御賛同をお願いいたしまして、賛成討論といたします。(拍手)
大石委員長 金子哲夫君。
金子(哲)委員 私は、野党四党提出の修正案に賛成する立場から討論を行います。
 修正案に賛成する第一の理由は、政府が京都議定書目標達成計画案を作成するときには、あらかじめ、広く一般の意見を聞くように求めているからであります。地球温暖化対策は、行政や事業者が進めるだけではなく、国民的協力がなければ促進できません。そうである以上、政府が作成する達成計画や地方公共団体の実行計画には、当然国民の意見を反映させるとともに、達成計画に対して市民のチェックができるようにすべきです。
 第二の理由は、京都議定書目標達成計画を国会の承認事項としていることです。達成計画に対する評価、その後の監視等に対して国会全体が関与することこそ、国民に対する最大の責任であります。
 第三は、一定の規模以上の事業者に計画の作成、計画の実施状況の公表、温室効果ガスの排出量等を公表することを義務づけていることであります。政府案は、事業者に自主的取り組みを求めているだけにすぎません。しかし、自主的取り組みでは全く成果が上がらないことは、この間の経過を見ても明らかであります。事業者に計画を義務づけなければ、一九九〇年比マイナス六%を達成するという目標達成は不可能です。
 第四は、森林及び緑地による温室効果ガスの吸収作用の保全、強化を図るように求めている点であります。
 もちろん、温暖化防止対策の基本は排出源対策であり、植林等による吸収量は補助的なものと位置づけるべきです。しかし、地球環境にとって森林の育成が不可欠であることも事実であります。
 政府の大綱でも、現状の水準で森林整備が推移した場合は、吸収源対策でマイナス三・九%を達成することは難しいと指摘されております。森林整備には、大胆な労働力の投入を含め、積極的な財源措置が必要です。環境税を導入して、それを森林育成の財源にするとか、公共事業を見直して森林整備へ重点配分するなどの抜本的対策を講じる必要があります。
 以上、修正案に賛成する理由を述べ、私の賛成討論を終わります。(拍手)
大石委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
大石委員長 これより採決に入ります。
 内閣提出、地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案及びこれに対する奥田建君外三名提出の修正案について採決いたします。
 まず、奥田建君外三名提出の修正案について採決いたします。
 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
大石委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。
 次に、原案について採決いたします。
 原案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
大石委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
大石委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、熊谷市雄君外六名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び保守党の七会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。熊谷市雄君。
熊谷(市)委員 私は、ただいま議決されました地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につき、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び保守党を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。
    地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。
 一 京都議定書目標達成計画の策定に当たっては、パブリックコメントのみではなく、同計画の策定段階からの国民の参画が実質的に確保されるような場を設けること。
 二 地球温暖化対策地域協議会は、家庭内における温室効果ガスの排出の抑制等に関し必要となるべき措置に限定することなく、温室効果ガスの排出の少ない商品・サービスの普及やまちづくりなどを含め、当該地域における温室効果ガスの削減に関し幅広く協議する場とすることを妨げないこと。
 三 本改正を契機として都道府県地球温暖化防止活動推進センターの指定が早急に行われるよう、未指定の都府県を強力に指導するとともに、既存のセンターについても、その活動の充実に向けた体制強化が行われるよう支援に努めること。また、NPO活動や市民活動などを含む国民運動を喚起するための対策を適宜、適切に講ずるとともに、社会生活あるいは学校等のあらゆる場において環境教育の内容・機会の充実・強化に努めること。
 四 実効ある地球温暖化対策を推進する上で、各主体毎の温室効果ガスの排出量の把握が重要となることから、国及び各地方公共団体、事業者等からの温室効果ガス排出量の把握、公表及び評価のあり方について検討を進め、必要な措置を講ずること。また、温室効果ガスの排出量の把握に資する各種情報の提供及び支援に努めるとともに、各種統計データについて、その共有化を進め、集計・公表の大幅な迅速化を図ること。
 五 森林・林業基本計画等の森林又は緑地に関する計画に基づいて温室効果ガスの吸収作用の保全及び強化を図ること。また、そのための関係省庁による施策の連携を図るとともに、人的・財政的措置の拡充に努めること。
 六 本法及び京都議定書目標達成計画については、本法に規定されている見直し時期到来前であっても、随時見直しを行い、京都議定書に定められた我が国の温室効果ガス削減目標の達成のために必要な追加的施策を実施すること。
 七 将来、更なる温室効果ガス削減目標が義務付けられた場合にも、十分対応が可能となるよう、現在の段階から、温室効果ガスの低排出型社会の構築を目指して、抜本的な国内対策を推進していくこと。
 八 温室効果ガス排出削減目標の達成状況を勘案しつつ、排出削減の実効性を高めるうえで考慮されるべき選択肢の一つとしての環境税等の経済的手法、及びそれらの導入のあり方等について国民各層の幅広い議論を行い、税制改革全体の中で検討を進めること。
 九 京都議定書に基づく地球温暖化対策の実効性を上げるため、世界最大の温室効果ガス排出国である米国に対し、あらゆる機会を利用して同議定書に参加するよう働きかけるとともに、今後、温室効果ガスの排出量が急増することが予想される途上国において、温室効果ガスの排出抑制措置が図られるよう、我が国としても可能な限りの支援を行っていくこと。
 十 本法に基づく各種施策の実施が、温室効果ガスの削減にどの程度効果を上げているかを確認し、本法の改正の必要性について検討するため、各主体における温室効果ガスの排出抑制の状況をはじめとする本法の運用状況を本委員会に適時適切に報告すること。
以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。(拍手)
大石委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
大石委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
 この際、ただいま議決いたしました附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。大木環境大臣。
大木国務大臣 ただいま御決議のございました附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重いたしまして、努力する所存でございます。
    ―――――――――――――
大石委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
大石委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
大石委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午前十一時五十四分散会


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