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第20号 平成14年7月9日(火曜日)

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平成十四年七月九日(火曜日)
    午前九時四十五分開議
 出席委員
   委員長 大石 正光君
   理事 熊谷 市雄君 理事 西野あきら君
   理事 柳本 卓治君 理事 山本 公一君
   理事 奥田  建君 理事 牧  義夫君
   理事 西  博義君 理事 樋高  剛君
      小渕 優子君    奥谷  通君
      木村 隆秀君    小泉 龍司君
      阪上 善秀君    菱田 嘉明君
      三ッ林隆志君    小林  守君
      近藤 昭一君    鮫島 宗明君
      田端 正広君    工藤堅太郎君
      武山百合子君    藤木 洋子君
      金子 哲夫君    原  陽子君
    …………………………………
   環境大臣         大木  浩君
   環境副大臣        山下 栄一君
   環境大臣政務官      奥谷  通君
   政府参考人
   (農林水産省総合食料局長
   )            西藤 久三君
   政府参考人
   (経済産業省大臣官房審議
   官)           大井  篤君
   政府参考人
   (資源エネルギー庁省エネ
   ルギー・新エネルギー部長
   )            河野 修一君
   政府参考人
   (環境省大臣官房廃棄物・
   リサイクル対策部長)   飯島  孝君
   政府参考人
   (環境省地球環境局長)  岡澤 和好君
   政府参考人
   (環境省環境管理局長)  西尾 哲茂君
   環境委員会専門員     飽田 賢一君
    ―――――――――――――
委員の異動
七月九日
 辞任         補欠選任
  武山百合子君     工藤堅太郎君
  金子 哲夫君     原  陽子君
同日
 辞任         補欠選任
  工藤堅太郎君     武山百合子君
  原  陽子君     金子 哲夫君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 環境保全の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――
大石委員長 これより会議を開きます。
 環境保全の基本施策に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省総合食料局長西藤久三君、経済産業省大臣官房審議官大井篤君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長河野修一君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長飯島孝君、環境省地球環境局長岡澤和好君及び環境省環境管理局長西尾哲茂君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
大石委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
    ―――――――――――――
大石委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鮫島宗明君。
鮫島委員 民主党の鮫島宗明です。
 きょうは一般質疑ということなので、ふだん質問したくてもちょっとできないようなテーマを幾つか質問したいと思います。
 食品リサイクル法について、それから自動車のNOx・PM法について、もし時間があれば、最近新聞で話題になっています、カザフスタンでのCO2の排出権を初めて正式に契約してとりましたというニュースがありますが、この三点について質問したいと思います。
 最初に食品リサイクル法関連で質問したいと思いますが、容器包装リサイクル法から始まって家電リサイクル法、建設廃材のリサイクル、つい先ごろ自動車リサイクル法が成立して、ほぼリサイクル法の体系が整いつつありますが、その中にこの食品リサイクル法というのも全体の中の一つの要素として組み込まれていると思いますが、食品リサイクル、つまり、食品素材あるいは食べ残し、食品加工の分野から出てくる腐敗性の有機物というのは、ほかの家電とか容器包装、自動車、建設廃材と違って、腐るというところが多分一つのこの分野の廃棄物の特徴ではないかと思います。
 そういう意味で、普通のほかの分野と少し違うのではないかと思いますが、平成十八年までに食品廃棄物の再生利用実施率を二〇%達成するということがこの法律の目標になっておりますが、どのような手段が再生利用のリサイクルの手段として利用できるのか、簡単に解説していただけますか。
西藤政府参考人 食品リサイクルの手法につきまして、食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律、それと関連政省令に基づきまして、一つは、生産や流通過程の工夫によって食品廃棄物そのものの発生を抑制する。例えば具体的な事例では、もやし製造業者の方が、その残渣を圧縮することによって発生量を抑制するというような取り組み。
 あるいは二つ目は、食品廃棄物のうちで再生資源化できるものは、肥料や飼料、油脂、油脂製品、メタンの原材料として再生利用するというのが二つ目の考え方でございます。
 三つ目が、食品廃棄物、先生御指摘のように、水分を多く含み、腐敗しやすい性質がある。このため、再生利用できない場合等は、脱水あるいは乾燥、発酵、炭化によって減量を行って、廃棄処分を容易にするということで、発生抑制、再生利用、それと減量という三つの手法で取り組むことにいたしているところでございます。
鮫島委員 ここで多分優先順位が、農水省からいただいたパンフレットにも、まず発生を抑制するように努力してください、やむを得ず一定量発生した場合は、それをできればほかのものとして利用できるように形を変えてください、それも難しい場合は減量してくださいという優先順位だというふうにこのパンフレットからは読めるんですが、再生利用する世界の中で、今の局長の御説明だと、「肥料や飼料、油脂や油脂製品、メタンの原材料として」というふうに書いてありますが、さまざまな食品関連産業の方々がいろいろな知恵を出して、さまざまなリサイクルの形がこれから考案されてくると思いますが、再生利用の目標となる製品というのは、今局長が言った以外のものは想定されていないんでしょうか。
西藤政府参考人 一般廃棄物、年間五千万トンぐらい発生するうちの約三割は食品廃棄物が占める。相当の量が発生している一方で、現状では、その一般廃棄物のほとんど、大部分が焼却埋立処理されている、資源の有効利用が十分図られていないという状況の中で、私ども、先ほども申しましたように、肥料、飼料、油脂、油脂製品、メタンの原材料ということですが、御指摘のように、他の方法ということについての御論議でございますが、循環型社会形成基本法で、循環資源の循環的利用及び処分の基本原則、そういう中で、再生利用が優先、その次に熱回収というような形で整理をされております。例えば熱回収というようなものも一つの手法としてあり得るんだろうと思いますが、そういう整理の中で、私ども、食品リサイクル法の中では、再生利用を優先するということで考えてきました。再生利用の範囲も、現在の技術的な条件の中で、先ほど例示したものを法律及び政令で定めているという状況でございます。
 もちろん、先生御指摘のように、多様な再生利用の方法あるいは手法が選択できることが当然望ましいわけですが、それぞれの分野において技術がある程度確立され、かつ需要が一定程度見込まれる、そういう手法が確立される実態を踏まえて、その追加について検討していくことだろうというふうに思っております。
 ちょっと失礼ですが、先ほど、もやしの例を発生抑制の例で申し上げましたが、大変申しわけありません、もやし業者の減量の例は、まさに縮減させるということで、減量でございまして、ちょっと例を間違えまして、申しわけございませんでした。
鮫島委員 発生抑制の大事な例は、政治家のパーティーで食べ残しを少なくしなさいということだと思います。
 今再生利用のところで私が質問したのは、なぜ肥料や飼料、油脂や油脂製品、メタンというふうに限定しているんですかというのが質問でして、特にメタンなどというのは、メタン発酵菌を人間が扱い出した歴史は割合浅くて、一番なじみのある方からいったらイーストというか酵母であるし、あるいは納豆菌であったり乳酸菌であったり、我々日本人が古くからなじんでいる発酵の世界というのがあるので、どうして例えばアルコールにしますとか乳酸にしますとかそういうのはだめで、この肥料、飼料、油脂、油脂製品、メタンというふうに、そこまで具体的に政令で決める必要があるのか。
 普通、大体、一番が油脂及び油脂製品、二がメタンになっていたら、三番目に、その他有価物として取引されるものというのが一つ入っていてしかるべきではないかと思います。じゃないと、民間の創意工夫で、多分、お役人が想定している以上に業者の方々は真剣ですから、もっといろいろな知恵が出てくると思うのに、なぜこういうふうに限定しているのか。これはぜひもう一項加えていただきたい。
 それは農水省自身も、今、技術が安定して、しかもそれが社会的に受け入れられる分野というのがこれしかないというふうに勝手に思っているようですが、その一方で、食品リサイクルモデル整備事業ということで、先端的技術を取り入れたリサイクル施設の整備とかについては後押ししますよ、こう言っているわけですから、もう一方でここにある以外の先端的技術の展開も期待している予算措置だと思いますが、そう言っておきながら、ここでこれだけ出口を縛っちゃっているというのは、恐らく、こういう予算措置で最先端技術の後押しをしても、この分野では最先端技術は出てこないだろう、この予算はむだに終わるということを最初から想定してつくっているとしか思えないんですが、もう一度、新しく一項目、その他有価物として取引されるものというのをつけ加える気がないのかどうか、局長の御答弁を。
西藤政府参考人 先生御指摘のとおり、私ども、有機資源の循環的再生利用ということで、技術開発あるいは実証化に向けてそれを後押ししていくということで、堆肥化、飼料化、ガス化、メタン化のみならず、その他の分野においても支援をしている実態にございます。
 先ほど申し上げましたように、現在、多様な手法、選択の可能性が広がることが、私ども基本的に望ましいことだと考えておりますが、一方で、技術がある程度確立されて需要が相当程度見込まれる、そういう手法ということが求められると考えております。そういう実態を踏まえて、先生御指摘のような追加も含めて検討してまいりたいというふうに思っております。
鮫島委員 これは何か変な話になっていて、「発生を抑制する」「再生利用する」、その次の「減量する」というジャンルの中には、炭化というのが入っているんですよね。要するに、炭にしても、乾燥して熱をかけて炭化してもいいですよと。この炭化というのは減量というジャンルに入っていて、再生利用のジャンルに入っていないんですね。これは、炭は利用しちゃいかぬという意味ですかね。あるいは、炭というのはリサイクル製品というふうに認知しないと。政令ではこれは認められないんですが、こんなのおかしいんじゃないですか。なぜ政令に炭が入っていないのか。
西藤政府参考人 先生御指摘のとおり、減量によって対応する態様の中で、炭化も含めて対応してきております。それは、そういう点では、まだ炭化についての、炭化されたものについての再生利用の実態について、私ども、現状において明確な状況を把握いたしておりません。そういう点で、そういう実態も含めて、減量の範疇、再生利用の範疇で、今後、先ほど申しましたような観点も踏まえて、対象分野の検討をしてまいりたいというふうに思っております。
鮫島委員 技術が確立している、需要が見込まれるという観点からいえば、メタンと炭とどちらが需要が見込まれるかといえば、それは炭の方が技術も確立しているし、簡単だと思いますよ。
 メタンは昔から、何とか畜産廃棄物の処理で利用したいしたいという願望はわかりますが、現実問題としては、メルカプタン等の附帯して出てくる悪臭との分離が難しいとか、非常に収率が悪いとか、それから油脂や油脂製品も、廃食油とか一回使った油あるいは廃ビニールからもう一度油化したりして戻すことについても、たくさんの技術的な問題がある。
 だから、どうも、ここの政令で肥料や飼料、油脂や油脂製品、メタンというふうにこれだけ決めて、ほかのものは何か減量のジャンルに入れるというのは、別の意図があるんじゃないかという気がするぐらいおかしいというか、何となく科学的ではないんです。
 じゃ、再生利用するといって、リサイクル製品ができたときに、このリサイクル製品の認定の一つの基準として、有価物であることということは、普通のリサイクルの概念からいうと当然だと思いますが、これは、有価物であることというのは言外に含まれているんでしょうか。
西藤政府参考人 再生された肥料なり飼料なりが農林漁業者によって農業生産に利活用されるということが、当然のことながら重要でございます。そのため、食品リサイクル法では、関係省庁、主務省令で食品循環資源の再生利用等の促進に関する食品関連事業者の判断の基準となるべき事項を定めております。
 この事項で、食品関連事業者が再生利用として肥料、飼料の製造を行う場合には、一定の水準の取り組みを行うことを求めておるわけでございまして、具体的には、食品循環資源と容器包装、食器、ようじその他の異物や再生利用に適さない食品廃棄物等を適切に分別すること、製造する肥料や飼料について、それぞれ肥料取締法、飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律等に基づいて定められている基準及び規格に適合させるということを求めております。
 現実に、私ども、事例で見ておりますものでも、肥料等で製造されたもの、まだ我々体系的になかなかいきませんが、事例で整理しているものについては、有価で処理されているという実態でございます。また、こういうような基準が遵守されないような事業者に対しては、私ども、指導助言を行って有効に利活用されるように努めていきたいというふうに思っているところでございます。
鮫島委員 ちょっとわかりにくいんですが、私が聞いたのは、再生利用しようということで、再生利用品をつくりました。堆肥でもえさでもいいんですが、それにしたときに、これが無価値物でも再生利用品として認定するんですか。無価値物も入るのかどうか、我が党の筒井さん流に言えば、イエスかノーかで答えてください。無価値物も入るのかどうか。
西藤政府参考人 考え方としては否定をしていないと思いますが、実態的には、先ほど申しましたような、一定の基準をクリアする、そういうものの再生利用ということでございますので、実態の、私ども把握している事例においても、有価で取引されている、そういう状況にあると認識をいたしております。
鮫島委員 環境省の方に同じ質問を二つしたいと思います。
 一つは、再生利用の対象品として、肥料や飼料、油脂や油脂製品、メタンというふうに限定する根拠ですね。炭とかアルコールとか乳酸とか、あるいはほかの高付加価値の腐敗性有機物由来のものがいっぱいできると思いますが、なぜこれだけに再生利用の対象を限定したのか、それが一つと、もう一つ、今二点目の、再生利用によってできた製品は無価値でもいいのかどうか、ゼロも入るのかどうか、この二点について答えてください。
飯島政府参考人 一番目の御質問でございますが、農林水産省の方から答弁ございましたように、肥料、飼料、油脂及び油脂製品、メタン、この四つを定めているわけでございます。
 これは、委員から御指摘のありましたように、品質の確保が難しかったり、あるいは腐敗しやすい、こういうことから、環境省の立場からいえば、利用されずに廃棄されることがないように、あるいは製造、利用の際に環境に悪影響が生じないものに限定したいということで、限定をしているわけでございます。
 例に出されました炭化でございますが、基本的に、炭化されたものというのは、恐らくリサイクルといっても熱回収という形になると思います。基本的に、ここではマテリアルリサイクルを優先しようという考えがございまして、限定的に行っているわけでございますが、委員御指摘のように、食品の事業者から見れば、多様な手段が許された方がやりやすいということがございますので、引き続き検討を加えていきたいと思っております。
 二番目の御質問でございますが、有償で取引されるものとすべきではないかという御質問でございます。
 これは、先ほど農林水産省から答弁ございましたように、主務省令で食品事業者の判断基準を定めておりまして、その中で、異物の分別であるとか品質管理の適正化、それと安定的な取引関係の確立、こういう条項が入ってございまして、この基準に従うということでございますと、有償で取引が行われるということになると思います。あえて有償取引ということを文面に書いてございませんが、有償取引というのが前提になると思います。
 それから、ちょっと微妙なんですが、逆有償じゃなくて、全くただの場合どうかという問題がありますが、例えば農家の方ができました肥料をとりに行く、ただで引き取るということになりますと、そこの運送費を払って引き取るということになりますので、これは、考え方としては有償物と考えてよろしいんじゃないか、基本的には有償で取引されるものになるだろうというふうに考えております。
鮫島委員 これだと、これから食品関連事業者に、食品リサイクルに協力してください、平成十八年で二〇%減らしてくださいということをお願いする中で、その辺、めり張りがついていない。自分で持っていくんだったら金をもらわなくてもいい、そこまで入るというのは、どうもほかのリサイクルの考え方と合わないんじゃないかという気がします。
 安定的な取引関係というのは、あくまでも有償を意味するというふうに確認しておきたいんですが、ただでもいいか、あるいは少しお金を払うかで、ここで質的に大変違いまして、ただでもいいと正式に認めるということは非常に社会的影響が大きいと思いますが、要するに、逆な聞き方をすると、今の答えは、ただでも認めるという意味ですか、自分で持っていけば。
飯島政府参考人 委員の御質問が、有償かどうかということだと思います。
 それで、例としてあり得るのが、今申し上げましたように、農家が肥料をとりに行くという場合でございます。この場合は、リサイクルに当てはまるというふうに考えております。
鮫島委員 わかりました。では、売上伝票的なものはなくてもよろしいということだというふうに確認させてもらいます。
 最初の答弁、まことにおかしくて、炭はだめでメタンはいい。炭はサーマルの、エネルギー利用の素材だからだめ、メタンはいい。では、メタンは何に、あなたはメタンでも吸って楽しむということなのか、よくわかりませんが、メタンがオーケー。これは、メタンは燃料源でしょう。炭だって燃料源として使っていいはずだし、大体、えさなんということはほとんどあり得ないと思いますよ、この利用の中で。
 イギリスにおける口蹄疫の発生を御存じだと思いますが、南アフリカから輸入した肉をロンドンの学校の給食の材料に出して、その残飯をロンドン郊外の養豚農家が扱って、そこから口蹄疫が発生して、燎原の火のようにヨーロッパ全体に広がった。
 つまり、えさというのは、ある意味では、飼料安全法をクリアしようとすると、食品事業者が簡単に手を出せる世界ではない。それから、肥料についても、ちゃんと肥料としての有効性を証明するためには、何作か実際の栽培試験なんかもやらなくちゃいけないし、こんな世界は、恐らく経営をまじめに考えている事業者だったら手を出さない世界じゃないかと思います。
 逆に、炭とかメタン、あるいは別の燃料化という世界が一番可能性が強いと私は思いますが、そういう分野というのを、民間の発意、創意工夫に基づいて、多様なリサイクルの可能性というのをぜひ制限しないような措置をとっていただきたい。
 これは大臣には予告していないんですが、お願いで、この食品リサイクルの分野、今言ったように、メタンはいいけれども炭はだめとか、どう考えても、常識的に考えておかしいので、政令の中に、その他有価物で取引されるもの、そういう民間の創意工夫が生かされる余地をぜひ用意していただきたいんですが、いかがでしょうか。
大木国務大臣 食品をめぐっていろいろと、実は直接には今安全の問題が非常に議論になっていますけれども、また利用のことですね。
 今の、廃棄物になるのかならぬのか、どういうふうに利用するかということも含めて、今新しいお話でございまして、まだ、正直申し上げまして、どういうふうに法制的に整備するかというようなことをいろいろと検討する必要があると思いますが、お話十分承りまして、もしも法令上の整備ということが今後将来的に考え得るならば、それもする。あるいは、実際の問題として解決することがあるならば、それもする。そういうことを検討をいずれにいたしても進めてまいりたいと思っております。
鮫島委員 これは、食品リサイクル、農林水産省と環境省の共管になっているはずですし、今の、対象物としてどの範囲を認めるかは、別に国会承認は要らなくて政令でできる話ですので、ぜひよろしくお願いいたします。
 次に、改正NOx法といいますか、NOx・PM法の話に移りたいと思います。
 従来、平成四年にNOx法ができて、NOxの規制、自動車の製造基準についてもさまざまな規制をかけてやってきたけれども、我々、外から見ていると、国の方はかなりNOxに焦点を合わせて対策を打ってきたけれども、東京都の石原都知事が突然、浮遊性微粒子というかPMの方が、健康被害の観点から見るとこっちの方が深刻だ、もちろん気管支とか、あるいは発がん物質も含むので、東京都として、PM、粒子状物質の対策を非常に強く打ち出しますよと。それを見て国が慌てて、国もメンツがあるからPMもやらなくちゃというので、去年の六月にNOx法の改正、自動車NOx・PM法というのを慌ててつくったんじゃないかというふうにはたからは見えるんですが、国の方ではかなりNOxをやっていて、PMに対する規制というのはどんなふうに考えていたんでしょうか。
西尾政府参考人 今の窒素酸化物対策それから粒子状物質対策の重要づけ、ウエートづけということでございますが、どちらもやはり健康に影響があることが懸念される物質ということで、環境基準を定め、それに向けて努力をしていかなきゃいけないということであったんだと思っております。
 しかしながら、平成四年のころにおきましては、なかなかまだまだ粒子状物質対策ということにつきましての知見の蓄積あるいは車側での対策技術といったようなことも進んでおりません。むしろ、平成四年の法制度をつくりましたときには、それまでの公害のぜんそく等の経験から、窒素酸化物対策ということが緊急、猶予ならないという状況認識がございましたので、差し当たり窒素酸化物ということを対象にいたしまして、自動車から出てくる窒素酸化物の総量削減に関する法律というものをお願いしたわけでございます。
 しかし、その後、それで二〇〇〇年に向けましていろいろ対策を打ってまいりましたけれども、窒素酸化物におきましても、あるいはその後の粒子状物質におきましても、その後の環境基準の達成状況ということが思わしくない、そういうような状況を踏まえまして、平成十二年十二月に、今回の法律改正のもとになりました中環審の答申におきまして、粒子状物質につきまして早急な総合的対策の策定、実施が必要なんだということが指摘されたわけでございます。
 そういうことを踏まえまして、健康への悪影響を予防するという観点から、今般の改正におきまして、自動車NOx法、これに粒子状物質ということを加えて、両者につきまして総合的な削減対策を進めるということにした次第でございます。
鮫島委員 今の、十三年六月、NOx・PM法を提案した理由説明で、今のはちょっと復習という意味で私も質問させていただきました。
 実際、これが動き出すと、まずエリアを決めます。首都圏、愛知・三重圏、大阪・兵庫圏、三つの対策地域の中で、ことしの十月一日から、かなり多くの車種が実は規制を受けて登録できなくなりますという大変強い規制のスタートになりますが、いきなりことしの十月一日から全部だめよというのでは余りにも激変の度合いが強いというので、猶予措置を何年か置いてという実態になっていると思います。
 しかし、それにしても、実際は、例えば平成十五年、来年の十月一日以降、平成以前につくられたトラック類は車検が受けられませんよということになりまして、それだけで多分四十万台ぐらいの車が、来年の十月一日以降、車検が受けられないということになると思います。
 東京都の規制の方は、そういう登録規制ではなくて運行規制、つまり東京都が認めた除去装置をつけてある車以外、除去装置がついていない車は東京の中を走ってはいけませんというのが東京の規制でして、運行規制と言われている。それに対して国の方は、登録規制という大変強い措置で入ってくるわけですが、これはそちらのQアンドAにもあるんですが、こういうNOx・PM法の施行によって古い車両の登録規制が行われる、つまり来年の十月一日から平成以前の車はだめです、車検は認めませんというのは財産権の侵害に当たるのではないかという指摘もありますが、その点についてはいかがお考えでしょうか。
西尾政府参考人 まず、こういう規制を行うこと自体が財産権の侵害に当たるのではないかということについてのお答えでございますが、理屈でいいますと、財産権ということではございますけれども、一方では、健康被害を守るという公共の福祉の見地から、合理的な範囲で制限することは許されるという理屈になろうかと思っています。
 しかしながら、現実に、仕事その他で非常に重要な自動車というものでも代替をしなきゃならなくなるという事業者の方々の御苦心は大変なものだというふうには思っております。しかしながら、もともとこの制度、大都市地域における自動車を主因とするNOx、SPMによる大気汚染対策を行うというときに、今までの自動車単体等の規制では、どうしてもそれだけでは環境基準を確保することができないということから、大都市に限定をいたしまして、やむにやまれぬ施策としてこの車種規制を導入するということでございますので、やはりここは、人の健康を保護する見地から御理解をいただきたいというふうに思っております。
 ただ、これを導入するに当たりましても、いきなり代替をしなきゃいけない、準備もできない、非常に過度の負担になるということでは大変だということでございまして、御質問にもございましたように、平均の使用年数を参考に猶予期間を設けますし、それから、実際に施行に当たりまして、規制の周知や規制への対応に必要な準備期間というものを一、二年設けるというようなことで、使用者が実際に対応していただくという場合の配慮も行って実施させていただく、そういうふうに考えている次第でございます。
鮫島委員 今、平均的な使用の実態という御発言がありましたが、例えば、トラック協会に多くのトラックを使う業者の方々が参加して、実態を把握していると思いますが、トラック協会がとっているデータで、業者が平均的に使うトラックの使用年数は何年というふうに把握していますか。
西尾政府参考人 車種によって異なりますが、立案いたしましたときの普通トラック、普通自動車につきましては、平均十一年ぐらいの使用期間ではないかということでございまして、この法律では、そこは基本の猶予期間は九年というふうに定めさせていただいているところでございます。
鮫島委員 大型のトラックについては、私が聞いている範囲では十五年というふうに聞いておりますけれども、まあいいです。
 来年の十月一日から、平成元年九月三十日以前の車はだめですよ、それから今度はその次の年、再来年の十月一日以降は、平成元年から平成五年九月三十日までの車はだめですというふうにだんだん刻みが大きくなって、一年ごとにいくわけですが、最初の来年の十月一日、再来年の十月一日、それぞれ対象車の台数はどのぐらい出るというふうに、その数字は持っていますか。
西尾政府参考人 これは車検が来るたびになっていきますので、来年度の数字は割に少ないのですけれども、その次の年が約四十五万台、その次の年が約七十万台、その次が約五十万台というような形で、もちろんそれよりも先に代替していただいてもいいんですけれども、ぎりぎりまで待てばそういうペースで代替をしていただくという形になります。
鮫島委員 例えば、去年、ことしぐらいでいいんですが、日本で生産されているディーゼル車の台数あるいは新規の登録台数、去年、ことし、何台ぐらいだか把握しているでしょうか。
西尾政府参考人 生産台数、新規登録台数、いずれも概数で約百万台程度であったというふうに承知しております。
鮫島委員 四WDのディーゼルがかなり多いので、それを除いて貨物用あるいは業務用というふうにすると、約三十万台というふうに言われているんですね。
 来年の十月一日から二、三年にわたって、今の数字だと四十五万台、七十万台、五十万台というふうに出てくると、実は、今トラック等のディーゼル車の生産ラインを各メーカーがリストラで大変絞ってきていますから、最大手のメーカーも川崎の工場はなくなっちゃいましたし、この分野は大分リストラが激しい分野なんですが、どんどん使えない車が出ていって、みんな買いかえなさいといっても、国内での生産が追いつかない。ある意味では、この法律は非常に中国にとってはありがたい法律、あるいは韓国にとってはありがたい。つまり、これからトラックをどんどんつくりたいという国にとっては日本が非常にいいマーケットになるんですが、そういうことをねらってつくっているわけじゃないでしょうね。
西尾政府参考人 それぞれの区分ごとにという数字はちょっと今持ち合わせないんですけれども、今申し上げました全体で百万台というのは、十年以上前は三百万台ぐらいの生産能力があったと思います。それがだんだん需要が低迷してきてそのぐらいまでに減ってきておるという状況でございます。
 そういうことでございますので、自動車メーカーでは、この法律を施行することによります、若干前倒しで毎年の必要台数がふえてまいるわけですけれども、それについての生産余力あるいは供給余力はあるというふうに理解しているというふうに私ども承知しております。
鮫島委員 ぜひミスマッチが生じないように、生産体制の方もよくにらみながら措置をとっていただきたいというふうに思います。
 ただ、どうも私は、最近与党から提案される法案が、この自動車関連、あるいは国土交通の分野の住宅関連の新しい法律を見ていると、ある種、景気対策として、どうやったらユーザーに自動車をもっと積極的に買いかえさせることができるか、あるいはマンションを建てかえさせることができるか、マンションと自動車に割合焦点を絞って、建てかえろ、買いかえろというプレッシャーをかけているような気がしてならないのですが、今、運送業の方々も大変経営が苦しくて、それは多少優遇措置もあるようですが、低利の融資等々の買いかえ優遇措置というのもしっかり裏でとっておられる、これは買いかえをしてほしいという意図があるんでしょうが、こういう優遇措置をとっても、大変経営圧迫の要因になると思います。
 NOx法、PM法をクリアすることが主眼のはずですから、もしこの両方を除去して排出基準を達成できるような装置があれば、買いかえる必要もないとは思うのですが、そういう装置というのは現在あるんでしょうか。
西尾政府参考人 先生御指摘のように、後づけで廉価に対策をして、そのことによって排ガスを低減することができればそれにこしたことはないというふうに思うわけでございます。
 ただ、後づけの装置といたしましては、まず、PM、粒子状物質を除去するディーゼル微粒子除去装置、DPFというものの可能性というものに非常に興味を持ちまして、私どもも、昨年専門家による技術評価検討会というところで、各種のDPFあるいはそれに触媒を組み合わせたものの機能、性能というものの評価をいたして、昨年五月にその検討会で取りまとめいただいたわけでございますけれども、現状において、耐久性等の技術的な課題が残されておりまして、一律の義務づけは困難である、一部の有効性が期待できるものについて装着を促進するということであるならば適当であるのだけれども、義務づけということで持っていくだけの技術的な一律性はないという結論を得たところでございます。
 さらに、問題は、NOxもPMも両方バランスよく落としていかなければいけないということでございますので、NOxとPMの両方を除去できる装置ということが必要なわけでございますけれども、これはまだ、研究機関等で技術開発、技術可能性といったようなものは少し研究を進められておりますけれども、現時点におきましては実用レベルの装置といったものは開発されていないというふうに認識しておるところでございます。
鮫島委員 何か最初の答弁がよくわからない。義務づけるというふうには考えている、それは別に義務づけを考える必要はなくて、選択肢の一つで、車の買いかえではなくて、後づけ装置のいいのがあればそれをつけるという、その選択は事業者がすればいいので、義務づけなんて私は聞いたわけじゃないので、こういうことの義務づけはしないでいただきたいと思います。
 NOx、PMを両方バランスよく落とす実用にたえ得る装置というのが、どうもまだ今開発されているものをにらんだ範囲ではなかなかいいのがないというのが専門家の結論ということでしたが、この分野、大変日進月歩で、多くの方々が、これだけの巨大なマーケットがあるわけですから、随分私はいろいろな知恵が出てくると思いますが、もしそういう後づけ装置でPM、NOxをバランスよく減量することができるような装置が開発されたら、これは当然、このパンフレットで言う使用可能最終日を超えても、この装置がちゃんと機能してNOx、PMの濃度が規制値内に入っていれば、これはその車、古い車に乗ってもいいわけですね。
西尾政府参考人 この自動車NOx・PM法の規制は、車を買いかえさせるということが目的、それ自体が自己目的ではございませんで、ここで特別に厳しい窒素酸化物それから粒子状物質の基準値というものを設けております。したがいまして、その基準値さえクリアすればいいという原理でございますので、後づけの装置が開発されまして、それが公的な試験機関等で排ガスの試験を受けて、その基準値をクリアすることができるということが証明されますれば、そういうものにつきましては、当然このNOx・PM法の規制に適合している車両として扱うことができるということでございます。
鮫島委員 もう一点だけ確認しておきます。
 つまり、PM、NOxをバランスよく減少させることが可能な装置、これの認定というのは、今、公的な試験機関での検査を踏まえという御答弁でしたが、具体的には、例えばある業者が大変いい後づけ装置を開発しました、これはどこへ持っていけばいいんでしょうか。どこで検査してもらえばいいんですか。つくばの自動車研究所かな。
西尾政府参考人 これは基本的に車検の問題でございますので、運輸省の方で適切に管理していることでございますけれども、現在そういう公的試験機関ということでは、日本自動車輸送技術協会でございますとか日本車両検査協会でございますとかいったようなきちんとした試験のできる機関がございますので、そういう機関におきましてテストをすれば当然認定ができる、こうなると思います。
鮫島委員 その具体的なことは後ほど私も教えていただきたいと思いますが、認定された機関、一カ所でいいわけですね。あっちもこっちも行け、またそれだけじゃだめだと。つまり、一カ所でもいい機関というのはあるわけですね、権威のある機関。そこで検査すればいいですよ、その一カ所でちゃんと検査してくださって、そこでオーケーをもらえばいいという機関はあるわけですか。
西尾政府参考人 しかるべき公的機関での排ガス試験結果証明書というものを、要するに、個別にその装置をつけまして、その排出ガスのデータが規制値を下回りますよという種類の証明書をいただいて、それを持っていけば車検は通れる、こういう仕組みになっているというふうに理解しております。
鮫島委員 私のところにも幾つかの業者から、随分いいのができているという話も来ているものですから、後ほど、どこへ持っていって検査してもらえばいいのか、具体的な場所を教えていただきたいというふうに思います。
 時間もなくなってきたので、全然話が飛びますが、ちょっとカザフスタンの話、あと五分だそうなので。
 きのう、おとといあたりの新聞に、我が国政府が海外からCO2排出権を初めて取得しました、カザフスタンと契約、二〇〇八年から年六万トンという排出権を取得する契約を結びましたというニュースがありますが、これは聞くところによると、NEDOがずっとこの間行ってきた俗に言う省エネモデル事業、開発途上国を初めとする海外で省エネに資するためのモデル事業を連携でやっている事業の中の一つということで、全体でそういう事業が三十二本行われているうちの三十二番目の事業ですという解説があるようですが、二点だけ。
 このカザフスタンで六万トンという排出権を獲得しましたというのは、これはもう確かなものとして読み込んでいいのか。つまり、六%削減という日本が課せられている義務量をこなしていく中で、この六万トンというのはもうもらった数字ということで考えていいのかどうかが一点。
 それからもう一つは、三十二種類の省エネモデル事業をやっているそうですが、カザフスタンと同じような事業で排出権枠がとれそうな事業というのはほかにあるんでしょうか。
 この二点についてお願いします。別々に答えた方がいいのかな。
河野政府参考人 お答え申し上げます。
 最初の点でございます。権利として確定しているかということでございますが、私が承知しておりますところは、カザフスタンはまだ京都議定書を批准しておりませんし、国の意向としては、現在、附属書2の国でございますので、先ほどの議論でいいますとCDM、クリーン開発メカニズムの方になるわけですが、国としては附属書1の方に移りたいというような意向もある。
 いずれにしても、この辺のところはまだ確定をしておりませんので、具体的にCO2削減量が移転されるというのは、その辺が最終的に固まってからである。ただ、カザフスタンの政府とNEDOとの間では、契約として法律上、それを移転するという契約になっておりますので、カザフスタン政府にはそういう義務が生じている、こういう理解でございます。
 それから二点目の点でございますが、この省エネモデル事業というのは、先生御指摘ございましたように、平成五年度から実施しております。このCDMとかJIの議論の以前からやっておりまして、これは、アジアを中心とする発展途上国に日本のすぐれた省エネ技術を移転する、それを実施を普及するという目的でやっていることが主目的でございます。
 ただ、昨年、COP7でCDM、JIの議論の大枠が固まりましたので、NEDOとしても、この事業を実施していく場合にはそういう調整をやろうということで考えているわけでございますが、たまたまカザフスタンの場合にはそういう政府における対応が、整備が進んでいるということでございましたので、交渉が円滑に進んで、今回、締結に至ったわけでございますけれども、カザフスタン以外の国では、まだJI、CDMの認識度あるいは考え方というのは国ごとに異なっておりますし、国内体制が整備されるまでかなりの時間を要するということでございますので、現在のところは、直ちにクレジットの移転が見込まれるプロジェクトは出てこないというふうに承知をいたしております。
鮫島委員 大綱によりますと、我が国に課せられている六%削減義務量のうちの一・六%、CO2換算で約千九百万トンは排出権取引で何とか埋めたいという意向が紙背から、紙の裏から読み取れますが、このような枠を、国として千九百万トン分確保していくという、この枠を埋めていく上で、経済産業省というのはどういう自覚と責任で、まだ六万トンですから、千八百万とか千九百万トンという枠に比べたらほんの〇・何%の話だと思います。
 三十二種類の事業があっても、その中で今のところ、私は、ミャンマーのことし始めたものなんかも、タービンの効率を上げるんだから、こんなのも使えるんじゃないかと思いますが、そこはいろいろな事情事情があってそう簡単に使えないと。そうすると、この枠をこなすのは結構大変じゃないかと思うんですが、経済産業省としてはどんなふうにお考えでしょうか。
大井政府参考人 お答えいたします。
 御指摘のとおり、京都議定書で我が国に課された削減義務、こういうものを達成していくということはなかなか容易なことではございません。
 しかし、こういった我が国に課される目標を達成していく上で、私どもとしては、費用対効果ということは大変重要じゃないかなと。そういう中で京都メカニズムの活用が大変重要である。中でも、共同実施であるとかあるいはクリーン開発メカニズム、CDMでございますけれども、これにつきましては、二〇〇〇年以降開始するということが一応京都議定書上認められておりますので、早期から活用するということで取り組んでいるわけでございます。先ほどもお話がありましたように、NEDOによります発展途上国等における新エネルギー、省エネルギー案件のフィージビリティースタディー等々、プロジェクトの発掘に積極的に取り組んできているところでございます。
 またさらに、アジア地域でございますけれども、今七カ国を対象にグリーンエードプランというものも実施をしておりまして、こういった中でエネルギー対策あるいは環境対策につきまして、政策対話を行いながらエネルギー、環境分野の技術協力、モデル事業を実施する等々、各国との協力体制を築いているところでございます。
 COP7でマラケシュ合意が成立したわけでありますけれども、その中で、クリーン開発メカニズムの実施の大枠が固まってきているところでございますので、これまでのそういった知見を生かしながら、できるだけ幅広い視野に立って情報収集も行い、相手国との必要な協議を行っていきたいというふうに考えております。
 いずれにしても、これは相手のある話でございますし、相手におけるそういった能力の涵養をどう図っていくかということも重要でございます。私どもといたしましても、関係省庁といろいろ連携をしながら、この京都メカニズムの円滑な利用拡大に引き続き努力を払っていきたいというふうに考えているところでございます。
鮫島委員 もうちょっと短く答弁してもらいたかったんですが。
 大臣が日ごろおっしゃっている「環(わ)の国」日本あるいはリサイクル社会の構築という意味で、大きく見ると、昔は埋め立て、焼却という方向で来ていたのが、最初に壁にぶち当たったのが、最終処分場がこれ以上ないというところからやはりリサイクルという思想が生まれてきた。
 焼却とリサイクル、減量という時代がしばらくあったんですが、ダイオキシンの問題、温暖化ガスの問題ということで、焼却という道がかなり規制が強くなってきたというので、リサイクルにもっと期待可能性が高まってきたというのが第二世代だと私は思いますが、これから次のフェーズに入ってくると、そうやってリサイクルをいろいろやるのはいいんだけれども、では、リサイクルの過程でどれだけエネルギーを使っているのかというLCA、ライフサイクルアセスメントで見てみたら、実は何をやっているんだかわからない、はるかにむだなことをしているぞという視点が入ってくるのが第三世代のリサイクル社会だろうというふうに私は思います。
 そのときにもう一つ大事なのが、さっきの車の話でもありましたが、使えるものはやはりなるべく大事に、長もちさせて使うということが大事だと思います。ですから、第三世代になってきたら、リサイクルしやすいものをつくる、その使うものについてはなるべく長もちさせる、リサイクルするときはLCAをきちっとやるというのが次のリサイクル社会に大事になってくる考え方ではないかと思いますが、大臣の、次のリサイクル社会における理念について一言御開示いただければありがたいと思います。
大木国務大臣 一言で申し上げますと、そのLCAの概念をこれからさらに緻密に検討していかなければいかぬと思っております。
 今自動車のお話がございましたけれども、今までとかく自動車というのは、走っているときの燃料から発生するいろいろなガスをどうするかという話がありましたけれども、実は、自動車というものをつくるときも、それから最近は廃棄のときも、やはりいろいろな措置が必要でありますから、当然エネルギーを使うということですから、そういったものも含めて、一体、自動車というものをつくって、どれだけ平均して使うのがいいのかどうか、あるいはどういうふうに処理するのが最終的にいいのか、その辺も、確かにLCAということを十分考えて、これからいろいろな角度から検討してまいりたいと考えております。
鮫島委員 時間が延長して済みません。ありがとうございました。
大石委員長 田端正広君。
    〔委員長退席、奥田委員長代理着席〕
田端委員 私は、地球温暖化問題を中心にきょうは質問させていただきたいと思います。
 先週、モンゴルのバルスボルド自然環境大臣とお会いさせていただきましたが、大変驚きました。地球環境の温暖化の問題は、どちらかというと島嶼部が、海面が上がって沈むとか、こういうことかなというふうに思っていたのが、内陸部といいますか、そちらの方で大変な実害が起こっているということを知って本当に驚いたわけであります。
 凍土が融解しているとか、砂漠化が進んでいるとか、大変なことでありますが、平均気温が、今から約十年前、九二年一月の冬のときの最低気温ですが、マイナス二十八・六度が、二〇〇一年、今日においてはマイナス三十九・八度と、同じ一月で最低気温が十度以上、十一・二度下がっているということであります。逆に、七月をとってみますと、夏の平均気温が九二年のときには十六・七度、それが二〇〇一年には二十六・三度というふうに、九・六度上がっているわけであります。平均をとってみても、九二年の年間平均がマイナス〇・二度、それが二〇〇一年にはプラス五・六度というふうに、五・八度十年間で上昇している。十年間で五度上昇というのも大変なことだと思います。
 それで、いろいろお伺いしましたところ、例えば森林が枯れてきているというのは当然でありますが、オンギリバー、オンギ川という大変すばらしい川が、一九九五年にはこういうふうに満々と水をたたえていた。ところが、五年後の二〇〇一年には全く水がない川になってしまった。こういう現象とか、あるいはそういう急激な気温の変化で、家畜が大変な被害といいますか死亡しておりまして、二〇〇〇年には三百四十九万頭、二〇〇一年には四百七十六万頭というふうに、もうここ数年の間、そういう三百万頭、四百万頭という形で、写真もこういうふうに見せていただきましたが、牛馬がちまたに倒れているという大変な状況だそうであります。
 このままいきますと、二〇五〇年ごろには砂漠化がどんどん進んで、ゴビ砂漠がまだ一三%ぐらいふえるであろう、十六万平方キロメートルになるんだそうですけれども、そういうことをお伺いして、これは、同じアジアのすぐお隣の国として、本当に日本が何かすること、協力できることはないんだろうか、こういう思いをしたわけであります。
 大臣も、この辺のところは直接お伺いしてよく御存じだと思いますが、日本としてやはりこの地球温暖化の問題は、もう人ごとといいますか将来のことではなくて、現実にもうそこまで迫っているんだということを私も認識しましたが、大臣として、このモンゴルに対してどういうお考えを持っているのか。
 そして、私は、八月二十六日からヨハネスブルグで開かれる地球環境サミットが大変大きな意味合いを持ってくると思います。したがって、このサミットに小泉総理もぜひ行っていただいて、日本が環境先進国としての立場から積極的な、地球温暖化に対する日本のメッセージをぴしっと発していくことが大事ではないか、こう思っておりますが、この二点について大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
大木国務大臣 モンゴルの環境大臣とは私もお目にかかりまして、いろいろお話を伺いまして、今も田端先生もお示しになったようないろいろな資料なり、あるいは現況の写真なども見せていただきまして、愕然といたしました。
 私ども、地球温暖化の影響というと、一番すぐ目に見えるのは、例えば海面が上昇して、今もお話ございましたけれども、南の島が沈んでしまうというような話も聞いていたんですが、モンゴルというのはそれにも劣らない大変な問題だと思っております。特に、温暖化の影響かどうかということ、いろいろ議論はあるとは思いますけれども、これはなかなか科学的に、今の例えば十年間に五度も上がったというのは、あれはたしか夏の温度ですね、夏の温度が五度、冬の温度は余り上がっておらないようですけれども、とにかく、とても大変な変化でありますから、これは何とかしなければいかぬということであります。
 ただ、温暖化の影響というのを精密に議論し出すと、これはまたいろいろと議論はあると思いますけれども、状況が非常に進んでおりますから、これはひとつ、ヨハネスブルグの会議もございますけれども、私どもとしては、ヨハネスではとかく、実際に行われるのがアフリカだし、この間もアフリカの問題というのが非常に中心になるような議論が行われておりますけれども、アジアについても、やはり日本としては近隣の国の関係というのはきちっと守っていかなければいかぬということがございますので、モンゴルの話は十分また受けとめて、これからどういうことができるか精力的に検討したいと思っております。
田端委員 ヨハネスブルグには総理は行かれるような、そういう段取りになっているんでしょうか。
大木国務大臣 総理が行かれることを前提として、いろいろと計画をつくっております。
田端委員 ぜひ、十年前のときのような轍を踏まないように、今回は日本が積極的に、京都議定書を取りまとめた国でもありますから、そういう意味でもリーダーシップを発揮していただきたい、こう思います。
 そういう意味で、この地球温暖化の問題で、では私たち国民としてどういうことをすべきかということが大きな問題になってきますが、先般環境省の方でまとめられた大綱においても、民生部門における私たちの努力といいますか、国民挙げてのCO2削減に対する努力というものが大変大きなテーマになってくると思います。
 それで、私は、いろいろな意味で、エコライフ運動といいますか、そういうことをしていくべきではないかと思っておりますが、環境省も大変努力はされているということもよくわかります。
 実は、この袋は環境省のマイバッグだそうでありまして、これをいただきまして私も使っております。
 これは西友で、スーパーですが、マイバッグとして使っている商品でありますが、例えば西友の場合はこういうシールがありまして、このバッグで一回レジを済ますとシールを張っていく、二十枚シールが張られたのを持っていくと百円か二百円か何か値引きをしてくれる、こういうやり方だそうであります。だから、そういう意味で、業界も地球温暖化に対してそういう意味の、小さいかもわかりませんが、努力といいますか、あるいはそういう姿勢を掲げていることは間違いないわけであります。
 しかし、まだまだ私は六%削減に向かっていくには足らないんじゃないかというふうに思っておりまして、もっと何かいろいろな知恵はないだろうか、こういうことを考えている一人であります。
 それで、環境省には、「身近な地球温暖化対策」ということで「家庭でできる十の取り組み」というパンフレット、これもいただきました。ここには、冷房の温度を一度高く、暖房の温度は一度低く設定するとか、おふろの残り湯を洗濯に使うとか、こういう十の項目が示されていますし、こういうことはそれぞれの家庭でできることだと思います。
 実は、私も既に四、五年前から、私の「エコライフのすすめ!」、こういう小さいチラシをつくりまして、いろいろな方に使っていただいておりますが、これは大変よくわかるということで、早い話が、顔を洗いながら、歯を磨きながら水を出しっ放しにしていませんか、こういうことから始まっているわけでありまして、こういうことを全国の一人一人が意識していくことが大事だろう、こう思います。
 そこで、そういうことをもっとわかるような何かいい方法はないのかとも考えるわけですが、今、環境省が新しく「コマメに暮らして、地球温暖化防止。」こういうシールをつくっている。ところが、余りにもちょっと小さ過ぎて、本当に字が小さいので、これはちょっと我々中年以降は厳しいなと思っておりますが、もう少し何かいい知恵はないのか、こういう意味で一つ提案させていただきます。
 それは、今まで比較的成功したのはアイドリングストップですね。アイドリングストップ運動は、これは環境省が国民運動として提案されて、バスとか車にシールが張られて大変よかったと思います。だから、そういうものができないだろうか。だれでもわかる、そういうことが、シールなりステッカーがあちこちに張りめぐらされる、こういうふうなことがいいんではないか、こう思います。
 例えば、もう一つの例でいきますと、たばこの吸い過ぎに注意しましょうというのがたばこに書いてあります。これはこれで一つの、やはりそういう国民に対しての意識を明確にわからせているキャッチだと思いますが、そういうキャッチコピーを環境省でぜひ考えていただいて、例えば私的に言いますと、「電源を小まめに切りましょう 環境省」、こういうステッカーをつくるとか、あるいは「エネルギーのむだ遣いに注意しましょう 環境省」、こういうステッカーをつくって、例えばテレビとか車とか家電製品とか、そういうところにシールとかステッカーにして張っていく。こうすれば国民の皆さんにもよくわかるんじゃないか。例えばそれを「エネルギーのむだ遣いに注意しましょう 環境省・日立」とか東芝とか、こういうメーカーがそのままそれをつくって、それを自分の製品に張っていただく、こういうようなことも可能ではないか、こういうことを考えているわけであります。
 これから七月、八月、特に八月、高校野球の始まるころは一番電気の使用量が多くなる。きのう、きょうも大変な、ことしは暑いということで、本当に温暖化になっているんじゃないかということを実感せざるを得ないわけでありますが、そういう意味で、電気、ガス、水道、この使い過ぎをなくしていく、そういうキャッチフレーズを何かいいものを考えていただいて、ステッカーかシールか何かわかりませんが、何かいい知恵を出していただいて、全国民にそういうものがどんどん広がっていく、そういう運動がどうかと思っておりますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
大木国務大臣 エコライフの大いにPRについては、田端議員御自身も非常にやっておられますので、今お話のございましたようなものは当然私どもとしてもひとつこれから引き続き積極的に進めたいと思っております。
 いろいろと、例えば私どものこの間うちからやっております環(わ)の国くらし会議で、いろいろな立場の方に来ていただいてお話を聞いているんですが、やはり国民によくわかるような、ある程度PRというのは、断片的に散発ではなかなかだめでありますから、やはり環境省なり政府というものが本当に正面から全面的にやっているという姿勢を示さなければいかぬ。
 今、高校野球のお話がございましたが、この間、ちょうどサッカーをずっと見ておりましても、いろいろな会社があそこのサッカー場のところへ、いろいろな自分の商標の入ったようなグラスを持ってきたりして、あれは恐らくかなりいろいろと宣伝費も投じておるんでしょうけれども、とにかくどの会社がPRしているなということがよくわかるのでありますから、そういったところとも協力をしていただいて、ひとついろいろと考えたいと思っております。
 例えば、使い捨てのペットボトルだけじゃなくて、サッカー場を出れば何回でも使えるようなグラスを使って、これは洗浄しなきゃいけませんけれども、それを何回も使うようなことも考えるというようなことも一つの案として出ておりますし、先生がお話のございましたようないろいろな形のステッカーをよく見えるような、どうも環境省は今のところまだ気が小さいというか規模が小さいわけでございますが、ひとつできるだけ政府全体の協力も得まして、そういったPRをさらに進めたい。PRと申しますか、実質的に今の本当の意味での節約につながるようなPRを進めてまいりたいと思っております。
    〔奥田委員長代理退席、委員長着席〕
田端委員 大臣、単なるやりますということじゃなくて、私はぜひ具体的に、どういう大きさかどうかわかりませんが、例えばこのぐらいの大きさとか、そういう意味で、まず家電製品にはそういうものをきちっと張るようにするとか、あるいは車とか、あるいは自治体、大きな企業、ビル、例えば冷暖房、水道、いろいろなことが節約できるわけですから、そういう意味で、何通りかのコピーをきちっと決めていただいて、そして環境省という、何とか何とかしましょう、環境省、これがやはり大事だと思いますから、そういうステッカーあるいはシールをあちこちに張りめぐらせる。これはもう国も自治体も企業も国民一人一人の皆さんにも協力していただいて、そういうことをやるぞという打ち上げをしていただいて、ぜひこれはやっていただきたい。もう一度確かな御回答をお願いしたいと思います。
大木国務大臣 環境省が必死になってそういうPRをしておるということがわかるように、努力をしたいと思っております。
田端委員 ありがとうございました。ぜひそういう形で、これからは理屈じゃなくて実行の段階ですので、よろしくお願いしたいと思います。
 そういう地球環境を守るという意味においても、私は、自然との共生、そして自然環境を、壊れたものをもう一回どう再生していくか、そういったこともこれから政府としても大きなテーマになっていく、そんな思いから、昨年来、ずっと自然再生推進法について勉強をしてきました。そして、この半年、与党の環境施策プロジェクトにおいてこの問題をずっと議論させていただいて、先月、法案として、自然再生推進法という法律を与党としてまとめさせていただきましたが、私は、この国会でこれをぜひ成立させていただきたいなと、関係者の一人として念じているわけであります。
 それで、実はこの法律はいろいろな誤解が、例えば公共事業を拡大するための手段にしようとしているんじゃないかとか、こういう誤解があってはならないので、この法案の中身をよく見ていただいたらわかりますが、自然再生基本方針を作成するに際しては、環境大臣が農水大臣、国土交通大臣と協議して案を作成し閣議決定する、こういうふうに文言としてきちっとなっております。そういう意味では、同列ではなくて、三省の共管事項ではありますが、環境大臣が主導した形でやっていく、こういう考え方に基本的にはなっているわけであります。そういう意味で、そういう心配をされている向きの御意見に対しては、ここは環境省が主導して基本方針をつくりやっていくという意味においては、そういう誤解はなくせるのではないか、こう思っております。
 そして同時に、法律の中に、自然再生推進会議を設置して関係各省が密接に連携をとるという、そういう実務レベルにおける自然再生の計画的、総合的な指針や事業に対しての調整を行う場が設けられています。これは、縦割りの弊害をなくすという意味において、環境省がここでもリーダーシップを発揮していただける。こういう意味においては、自然再生というものを、そういうものをベースにしてぜひ推進していきたい。そうすることによって、日本において生態系が壊れつつあるこの現実に対して、もう一度、生態系の保存という意味において大きな役割を果たしていけるんではないかな、こんな思いをしているわけであります。
 今、この法律、我々が議論した中で大事だと思った点について何点か述べさせていただきましたが、ここで大臣として、我々の議論はどこまで伝わっているかわかりませんが、この問題、自然再生ということに対する大臣の御認識と、そして、私たちが今この国会で成立させて、新しい地球温暖化対策とともに、日本が一つの大きな方向に向かって自然の生態系の保全という面からも頑張っていこう、こういうことをきちっと示していくことが大事ではないかと考えますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
大木国務大臣 今、与党三党の方で自然再生推進法案、いろいろと御検討いただき、かなりその最終的な段階まで来ておるというふうに私どもも承知しております。
 自然再生といいますか、自然を保全するというのは、これもやはり環境行政の中の大きな柱でございますから、ぜひともひとつ確立したいと思いますが、正直申し上げまして、環境問題というのが行政の中で一つ非常にクローズアップされて、いろいろと新しいものもだんだんにできてきておりますけれども、まだまだ環境省としても歴史が浅いと申しますか、力が弱いというようなことで、確かに、今先生がおっしゃったように、もっと環境省が中心的な責任を持ってやることが必要だということは、私も担当の大臣としては痛切に感じておるわけでございまして、与党の方で、今お話しのような、環境省がもっと責任を持って中心になってやれというような趣旨の法案が出てくれば、私どもとしては、非常にそれは歓迎ということでございます。
 もちろん、それをどういうふうに実施するかについては、当然関係各省とも相談いたしますけれども、今おっしゃったように、やはり中心は、あるいはどこがイニシアチブをとっていろいろな問題を出すかということについては、従来以上に環境省として責任を持ってやらなきゃいかぬと考えておりますので、今、推進法案、与党三党で御検討いただいておりますものは、最終的な姿というものは私どももまだ御検討中だとは理解しておりますけれども、今いろいろとお話を聞きますと、私どもとしても、ぜひともひとつつくっていただきたいということで、そういう期待を持って私どもは見守っておるというところでございます。
田端委員 そういう意味では、野党の皆さんともこれから具体的に議論をして、ぜひ成立に向けて頑張りたいと思いますが、私は、自然再生というのは、新たな生物多様性国家戦略の大きな柱ではないかと思っております。そういう意味で、この法案の中では、NPOの方々とか地域住民の方々に最初の計画の段階から参画していただいて事業を推進していく、こういうボトムアップ方式といいますか、そういうことを法案の中に明記している点が、今までになかった新しい考え方だというふうに思っております。
 しかし、そういう意味では、環境省がぜひ、生物多様性の問題に対しての中長期的なグランドデザインといいますかアウトラインといいますか、そういうものを大枠で示していただくことが大事ではないかな。五年、十年の将来を考えた場合に、例えば里山をどうするとか干潟をどうするとかいろいろなことがありますが、そういうことを総合的にきちっと提示していく、ビジョンを示していくということがこの法律とのかかわりにおいて大変大事だ、こう思っておりますので、こういう意味の環境省の今後の日本の生態系保護に対しての中長期的なグランドデザインというものをどういうふうにお考えになっているのか、お伺いしたいと思います。
大木国務大臣 正直申し上げまして、自然生態系の保全、あるいはもし損なわれておればそれの修復ということは非常に大きな問題だと思います。正直申し上げまして、今までそこのところが十分に細かく行政の中で詰められていないというのが実態だと私は思いますから、せっかくこういう法案も今御検討中でございますから、私どもとしては、それと見合って、これからの中長期的な方策というもの、要するに環境省としてのビジョンというものは打ち立ててまいりたいというふうに思っております。
 たまたま今度ヨハネスの会議もありますけれども、ヨハネスでも、そういった広い意味での立場からのいろいろな検討というのが当然出てくると思いますので、私どもは、そういったことも念頭に置きながら、これからの中期的な方策と申しますか態度というものをきちっと整理してまいりたいというふうに思っております。
田端委員 今無理なら、ぜひ具体的に近々示していただきたい。よろしくお願いしたいと思います。
 そういう意味で、私は、これから次の大きなテーマは、環境教育ということが大変大事になってくると思います。山下副大臣は積極的にこの問題に取り組まれて、いろいろ文部科学省とも協議をされたり、推進されているということを伺っておりますけれども、私は、学校教育はもちろんですが、社会教育といいますか、そういった意味でも、ぜひこれからは環境教育を大きく推進していくべきではないかな。環境省では専門委員会を立ち上げて検討を始められたようでありますが、これは私は、例えば環境教育推進法というふうな法律の制定も含めて、ぜひお取り組みいただきたい。
 例えば、今十歳の小学校四年生か五年生の子供は、十年後、二〇一二年、第一約束期間の終了時点においては、やはり二十ということになれば大人になるわけでありまして、そういう意味では、今ここでこの環境教育問題に子供たちが自然の中でもし接点を持って取り組まれていっていただければ、大きく変わっていくんだろうと思うわけです。
 そういう意味で、文部科学省との協議は大変難しい点があるかもわかりませんが、この問題について、副大臣でも結構ですし大臣でも結構ですが、環境省としてどういうふうなお考えなのか、方向を示していただきたい、こう思います。
大木国務大臣 文部科学省との協議と申しますか、一緒になってひとつ仕事を進めようということで、今お話ございましたように、副大臣あるいは政務官等も入っていただきまして、両省で検討を進めております。
 環境教育というのは、今もお話ございましたけれども、必ずしも学校教育の枠の中だけで、少なくとも従来の学校教育の枠の中ばかりじゃなくて、例えばいろいろな地域コミュニティーでもいろいろな環境のための活動というのは進めておられます。ですから、それはいろいろな年齢層の方が、例えば若い方も、あるいは最近は高齢の方々もいろいろなところで大変に活躍しておられますから、いろいろな年齢層が参加していただきまして、コミュニティーでやっていただくというようなことも一つあると思うんです。
 ですから、せっかく文部科学省の方も一緒に仕事をしていただいておりますので、そちらからのまたひとつ検討と、それからまた、狭い意味での学校教育ではなくて、もっといろいろな地域コミュニティーで現実にそういった場を設けていろいろとやるというようなことも有益かと思いますので、そういったことを全般的に強力にひとつ検討を進めてまいりたいと思っております。
田端委員 もう一点、森林吸収分については、これは大変大事な問題で、積極的にぜひ推進していただきたいと思いますが、ちょっと考え方で、私、少し気づいたのですけれども、この森林吸収分で、九〇年以降伐採されたもの、開発されたものはCO2の排出量としてプラスにカウントされる、こういうことになります。
 では、九〇年以降、例えば五月三十日から廃木材、建築廃材のリサイクル法が施行になりましたが、この木材がリサイクルされる技術が今すさまじい技術革新が行われておりまして、例えばミサワホームなんかは、廃木材をもう一回チップにして、ボードにして使う。その場合に、その使われたボードが五十年間使われる。それを再生産して次の五十年間また使える。十回使える。こういう技術を開発した。そうすると、一回使った木材がトータル五百年使えるわけでありまして、こういう意味では、CO2排出のマイナスにこの技術をカウントすべきではないか、こういうことを感じるわけです。
 そういう意味では、国際会議のこれからのことになると思いますが、日本の技術がどんどんとそういう形で進んでいった場合に、そういうものがいい面でカウントされないのでは損をすると思いますから、ぜひそういった意味でしないと、関係業者の方は一生懸命やっても、それは報われないということになりますから、ぜひそういった意味でも御検討をお願いしたいと思いますが、大臣のお考えをお伺いして、質問を終わりたいと思います。
岡澤政府参考人 今先生御指摘のように、京都議定書上の伐採の扱いにつきましては、伐採時点ですべて炭酸ガスの排出としてカウントするようになっていまして、その後の利用目的とのリンクがない状況にございます。そのために、例えばリサイクルとか木材製品の寿命を延ばしたとしても、それがプラスの方向にカウントされないというような問題を抱えております。
 これは、第一約束期間につきましてはこういうことで既に整理されているわけですが、第二約束期間以降のこの問題につきましては、二〇〇三年に本格的な国際検討が開始されることになっておりますので、私どものこうした立場も含めて、次の第二期の約束期間のカウントの方法につきましては、より適正化を図ってまいりたいと考えております。
田端委員 ありがとうございました。終わります。
大石委員長 工藤堅太郎君。
工藤委員 自由党の工藤堅太郎でございます。
 まずもって、当委員会で発言の機会をお与えいただきましたことに対し、委員長並びに理事、委員の先生方に感謝を申し上げたいと存じます。
 限られた時間でありますから、御答弁は、大変恐縮でありますが、簡潔にお願いを申し上げたいと存じます。
 ただいま資料を配付させていただきました。岩手県二戸市と青森県田子町にまたがって産業廃棄物の不法投棄が長年にわたって行われてまいりまして、その面積二十七ヘクタール、投棄量は八十二万立方に及んでいると言われているわけであります。これは、ちなみに東京ドームの三分の二が埋まるような膨大な量だということでありまして、青森県側が六十七万立方、岩手県側が十五万立方と見られているわけでありますが、国内最大の不法投棄量だ、このように思うわけであります。
 これは、青森県八戸市の産廃業者と埼玉県の産廃業者が手を組んで、青森県の田子町の山中に首都圏の産業廃棄物を不法投棄したといったようなことから端を発して、それが満杯になって岩手県側の方に持っていったようなことになっているわけでありまして、これまで全国的に話題になっておりました香川県の豊島の投棄量、これは約五十万立方、五十六万トンと言われているわけでありますから、これを上回る案件であることは間違いがないわけであります。
 そこで、まずお伺いをいたしますが、これらの投棄量のすべてを撤去するためにはどの程度の費用がかかると試算して考えておられるのか、青森県と岩手県、県別に教えていただきたいと思います。
飯島政府参考人 現在、この問題につきましては、青森、岩手両県で合同検討委員会を開催いたしまして、どういう方法で原状回復を行うべきか、検討を進めているところでございまして、現時点では、必要となる経費は確定されていないところでございますけれども、これまでの情報によりますと、岩手県が七月一日に県議会に報告した数字がございます。
 それによりますと、岩手県側の有害な廃棄物、全部で岩手県側は十五万立方メートルあるわけですが、そのうち二万七千立方メートルの撤去及び処分に要する経費が十九億円という議会での答弁がございます。これをそのまま十五万立米に掛け合わせますと約百億円になりますが、これは全量が有害廃棄物の場合となりますので、実際よりも高目の値になると思います。
 また、青森県側につきましては、十三年度に青森県が調査を行っておりまして、これはいろいろなケースを分けまして、全量撤去をして現地で処分する場合、あるいは封じ込めをする場合、いろいろなケースを計算しておりますが、一番高い、全量撤去して場外で処分する場合、これは青森県側は六十七万立米でございますけれども、二百億円から四百四十億円が必要という、これは一番高い値でございますが、そういう試算がなされております。
 いずれにいたしましても、こういった数字につきましては、先ほど申し上げました合同検討委員会で、原状回復の方法を確定した上で精査をしていくということになると思われます。
工藤委員 ただいまの答弁でも、岩手県側で十五万立方のうち有害物質が二万七千立方に上る、こういうことでありまして、岩手県当局が当該地域の井戸を八カ所掘って調査したということでありますが、一カ所から、発がん性の高いジクロロメタンが環境基準の一万九千三百倍、テトラクロロエチレンが二千四百八十倍、ベンゼンが千三百四十倍といったような、極めて高い濃度が検出をされているわけであります。揮発性有機化合物汚染が進んでいることを示しているわけでありまして、この現場周辺の調査では、まだ水質汚染が確認されていないと聞いておりますけれども、そのとおりなんでしょうか。
 たとえそうだとしても、これだけの膨大な有害物質が放置され続ければ、早晩、周囲の環境に悪影響を及ぼすことはもう間違いがないことである、このように思うわけでありまして、これら有害物質の拡散を防止するためには、緊急避難措置としてどのような対策が考えられるのか、また、あわせて、青森県側の有害物質の量とVOC汚染の状況を教えていただきたいと存じます。
飯島政府参考人 環境汚染の状況でございますけれども、岩手県におきましては、平成十一年度から不法投棄の現地の中及び現場周辺での環境調査を行っておりまして、周辺の環境水からは、環境基準を超えるような揮発性の有機化合物や有害重金属は確認されておりません。現場の中では、先ほど先生がおっしゃったとおり高い値がありますが、周辺の環境からは出ておりません。
 また、青森県側でも、十二年度から周辺環境の汚染状況調査をしておりまして、場内の有害物質濃度は、先ほどのお話ございましたように非常に高いものがありましたが、周辺環境での汚染は確認されておりません。青森県では、これまで地下水の流動状況で汚染が拡散しないかということで調査をしておりますので、有害物質の量の正確な把握というのはまだ行われておりません。
 有害物質の拡散防止という観点から、岩手県の方でございますが、投棄された産業廃棄物のうち、先ほど申し上げましたように、まず有害物質を含むものをボーリング調査で確定して、その有害物質を含むものから撤去するという考え方でおります。
 一方、青森県側では、先般説明したところによりますと、緊急措置として遮水壁を設置して浸出水の処理を行う。
 現在、合同検討委員会で、この緊急的な措置とそれから恒久的な措置をあわせて両県の調整を行っておりまして、環境省もそれに参加して助言を行っているところでございます。
工藤委員 このようなときによく出るのが風評被害。まだ水質汚染が出ていない、そういう状況なわけですけれども、私がちらっとお聞きしたのでは、青森県の田子町の方で、米を初め農産物、これは汚染は大丈夫なのかといったようなことが首都圏から問い合わせが幾つもあったというふうに聞いておりますけれども、これは把握しておられますか。
飯島政府参考人 青森県の田子町、ニンニクで有名なところというふうに聞いておりますが、お米とかニンニクとかそういった農産物に関しまして、消費地の方から汚染状況の問い合わせがあることは聞いております。こうした風評被害というのは、地域産業を守るためにも避けなければならない課題ということで、古くは所沢の話がございましたけれども、これは避けなければいけないと思っております。
 そのためには、正しい情報を正確に伝えていくということが最も大事だと思っておりまして、専門家から成ります両県の合同検討委員会、先ほど申し上げましたが、ここにおきまして正しく公表していくよう、環境省も参加しておりますので、そこで正しい情報を正確に伝えていくという方針で対応していきたいと思います。
工藤委員 今の御答弁でいいわけですが、風評被害が出ると地域の農家も大変な打撃を受けるわけでありますので、そのようなことで万全の体制をとっていただきたい、このように御要望を申し上げておきたいと思います。
 次に、現行の不法投棄の原状回復措置でありますが、これについてお伺いをいたします。
 平成九年六月の廃棄物処理法改正によりまして、平成十年六月以降をもって、都道府県の負担を三分の二から四分の一に軽減するという措置がとられたわけでありまして、これは評価に値する、私はこのように思っております。
 しかし、先ほどの不法投棄物の大半が平成十年六月以前のものであることは間違いないわけでありますし、本件事案も都道府県が三分の二を負担するに該当するということになるわけでありまして、どうも釈然としません。
 マニフェストが残っているわけでありますから、どこの会社が、企業がどのくらいの量をその産廃業者に出したかということはわかっているわけでありますので、環境省が国土の環境を守るという任を果たそうとするなら、現行制度を適用すべきではないか。都道府県が四分の一ということでありまして、国及び産業界の出捐金等々で四分の三ということでありますが、それを適用すべきじゃないか、このように思うのでありますが、大臣、いかがでしょう。
大木国務大臣 これは不法投棄の結果ということでありますから、本来ならば排出の事業者がまず責任を負うべきだということで、私どもとしてはそこのところをまずもっと強化しなければいかぬということで、実際にごみがたまっているのは青森、岩手ですけれども、もとは関東地方だとか東京じゃないかとか、いろいろ議論がございますから、実はその辺のところの調査というものも今強力に進めております。
 ただ、古い話ですから、すぐにはなかなか全貌も確実には把握できませんけれども、少なくともある程度できるわけでございますから、そういったようなことも含めまして、今の法律が改正される以前に出たごみだというのが、今のところはそういうことになっておりますけれども、それを今すぐに法律改正というわけにはいきませんけれども、それをどういうふうに扱うかというのはなかなかあれですから、結局は、要するに排出事業者の責任も含めて、できるだけひとつ現地の青森県、岩手県の負担が何とかして少なくなるようにということで、とりあえずは今の法律に基づきまして、ということは、平成十三年度までの補正予算でいろいろと必要な資金というのを獲得したわけでございますけれども、それを使って何とかしてできるだけのことをしたいというふうに考えております。
工藤委員 当該県が三分の二を持つといったようなことになれば、先ほど、有害物質を取り除くだけでもこのくらい、全量でこのぐらい、そういうことのお話でありまして、大変な金額なわけでありまして、これを両県で三分の二ということになれば、処理が全然進まないで周囲の環境に悪影響を及ぼすということにつながってまいるわけであります。もし産業界等々が応じられないというようなことになったら、これは国が当面、今後こういうことを出さないということをいろいろ対策をとる中で、この問題、もうできてしまっているわけでありますので、四分の三を持つといったようなことでぜひとも御努力を賜りたい。
 財務省等々、財政難でありますから、何だかんだといったようなことを言うだろうと思うのでありますが、それを押し切ってひとつ大臣、頑張っていただきたい、このように強くお願いを申し上げたいわけでありますので、恐縮ですが、お考えをもう一度ひとつお話しいただきたいと思います。
大木国務大臣 今の両県が大変に苦しい立場にあるということは十分存じておりますので、今申し上げましたように、一つはもとのそういった原因をつくった業者の責任ということも引き続き追及したいと思いますし、それから、現実にどういう回復措置をとるか、それもいろいろありますから、その辺もひとつ、どういう現状を、現状というか、たまっちゃっているわけですから、それをどういうふうに処置するかという、その処置の中身のこともいろいろとありますから、そういうふうなものも含めまして、私としても、いずれできるだけ近いうちに一遍現場も視察させていただきたいと思っておりますので、そういった自分自身の目で見たところも含めて、これからできるだけまたひとつ両県のお立場を考えてこれからの措置を進めたい、もちろんそれにつきましてまた両県ともお話をさせていただきたいと思っております。
工藤委員 現実の問題として、大量の廃棄物を処理するということになれば、相当年数と処理施設が必要になってくるということになるわけでありますが、私は、これだけのものを他の都道府県とか遠距離のところで処理をしようとしても、運賃等で大変な費用がかさむというようなことになるんだろうと思うんですね。ですから、最も現地に近いようなところで、処理施設を建設してでもできるだけ早く処理することがベターだ、このように思うんですが、いかがなものでしょう。
飯島政府参考人 今の先生のお話でございますが、岩手県から聞いているところによりますと、岩手県は既に県南地域でいわてクリーンセンターという廃棄物処理センター、産業廃棄物の公共関与による処理センターをつくって、そこで処理をしているわけですが、県北地域を対象にして、今度は公共関与の産業廃棄物処理施設、資源循環型のモデル施設をつくっていこうという検討がなされていると聞いております。立地場所とか処理対象とか規模とかスケジュールというのは、ことしから基礎調査ということでございますので、これからになりますけれども、今回のこの不法投棄問題について、どういう方法で原状回復を行うかについては、青森県と岩手県の合同検討委員会でさまざまな方法が現在比較検討されているわけでございますが、岩手県の方で、今申し上げた岩手県が調査に入った施設が適当ということになれば、委員会に提案されるのではないかと考えております。
 いずれにしても、環境省もこの委員会に参加しておりますので、適切な助言、技術的なアドバイスを行っていきたいと思っております。
工藤委員 ただいまの御答弁でもありますように、確かに岩手県の県南にクリーンセンターがあります。県北にもつくる予定だというようなことでありますが、これを例えば建設を早めるといったようなことも一つの方法だろう、このように思いますので、ひとつ総合的にその辺はお考えをいただきたい、このように思っております。
 今後、こういう不法投棄が起きないようにするにはどうしたらいいかということでありますが、だれでも産廃を自分の近くで処理するには強い拒否反応を示すわけでありまして、だからといって、首都圏で排出された産業廃棄物が遠く青森県とか岩手県に運ばれて処理されることが、その地域の住民にとってどれだけ迷惑をかけるかということになるわけであります。
 これは対外国でも同じでありまして、自分の国で処理したくないようなものを海外に運んで、金でも出して処理してといったような、どこかに埋めるとか何かして、困っているような国なんかに例えばそんなことをしても、いずれその国の環境に悪影響を及ぼすといったようなことになるわけでありますし、また反日感情を高めることにもつながりかねない。今の問題もこれとやはり同じなんですね。対外国、国内でも同じであります。
 ですから、廃棄物処理に関して国民の意識を変えていくといいますか、国民一人一人が産廃に対して、自分の地域で出したものは自分のところできちっと処理をしていくといったような社会常識といいますか国民の教育、例えば自分の庭はきれいにするがといったようなそういう考えじゃなくて、これはこの地球上全部同じ自分の庭だと思うような、そういう意識を持たせるような教育もこれは必要だろう、このように思いますし、また、その罰則をもっともっと強化しなければならぬだろうと私は思う。何倍もです。
 ですから、強化をしていくということも大事だと思いますし、監視体制の強化、監視をする人の教育も必要だというように思うわけでありますが、そして、不法投棄を出さないんだ、やらせないんだ、そういう環境づくりを国民一人一人に持ってもらう、何か変だぞといったらすぐ連絡をしてくるような、そしてそれにすぐ対応できるような、そういう状況に持っていくべきだろう、このように思うんですが、大臣のお考えをお願いします。
大木国務大臣 担当大臣として、まさしく委員のおっしゃるとおりだと思っているんですが、やはりそういったごみをつくり出す、それをつくり出した者が自分のところで処理をするというのが基本だと思います。
 ただ、どの程度の広域的な処理をするかということは、一つ問題が残っていると思うんですけれども、そういう意味におきまして、ひとつ現実に合ったような、しかし、基本的には自分のごみは自分のところで処理するということで、国際的にも国内的にもきちっとしなきゃいかぬというふうに思っております。
 また、いろいろと罰則とかいうような点も現実に合わないじゃないかというようないろいろな議論もございますが、とりあえずは、まずやはりごみを出した事業者の責任をはっきりさせるためには、そういったことについてのまた実際の監視と申しますか調査と申しますか、そういったことにつきましては環境省だけでもなかなかできませんので、例えば警察当局とかそういった方々の協力もお願いしなきゃいかぬと思っておりますが、そういう方向でいろいろと今やっておりますので、ひとつこれからもしっかり進めたいと思っております。
工藤委員 時間が参りましたので、御答弁を求めませんけれども、私は今、有事法制特別委員会とそれから個人情報の内閣委員会の理事をやらせていただいておりますけれども、個人情報も有事法制も大事ではないと言いませんけれども、我が国の今の最大の有事といえば、これはもう不況対策と環境問題だ、私はそう思っておりまして、大臣、この問題一つとってみても大変重要な問題でありますから、ひとつ我が国の国土を守るんだ、環境を守る、そういう強い姿勢で財政当局にも当たっていただいて、きちっとした国土をつくるように御努力を賜りますように御要請を申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
大石委員長 原陽子さん。
原委員 社会民主党の原陽子です。よろしくお願いいたします。
 それでは、まず初めに、大臣にダイオキシンの調査のことについてお聞きをしたいと思います。
 今回、空気中のダイオキシン類濃度について、現在行政が行っている大気を直接採取して測定を行う調査と、生物指標である松葉を使う調査の双方の費用と効果について、立法調査費を使って調査をさせていただきました。
 その調査報告書というものを皆さんのお手元にもお配りさせていただいているのですが、今回のこの調査報告でわかった点が二つありまして、一つは、松葉調査による調査費用が普通の大気を直接採取して調べる方法の四分の一で済むという点と、もう一つが、濃度については大気の場合と極めて類似のパターンが出るという二点のことがわかりました。財政が逼迫する中で、なかなかダイオキシン調査にだけお金を割いてはいられないというのが自治体の本音ではないかと思っております。
 なぜ今回このような報告書をちょっと作成してみようかなと思ったのは、実は昨年の五月、私、当時、環境委員会にいましたもので、当時の環境大臣であった川口大臣に、現在、環境省が自治体に義務づけている最低年二回の大気中のダイオキシン調査について、その日の天候に左右される機械によるサンプリングよりも、一年間そこにずっととどまったまま呼吸していた松葉のサンプリング方法の方がより平均的な値が出るのではないですかと質問したところ、当時、川口大臣から、根から吸収をしたダイオキシンを含んでいる可能性があるかどうかという点と、ダイオキシンの異性体のパターンの比較など、まだまだ解明されなければならない科学的な課題があるということで御答弁されて、そのとき大臣が、関係者がそうした課題を解明されていかれることを期待するというふうに御答弁をなさったんです。
 関係者がとおっしゃっていたところ、私は、これは自治体の財政的な負担を軽くするという必要性からも、国がぜひ代表して今の二点のポイントについて調査研究というものを進めていっていただきたいというふうに思うのですが、そこは、大臣かわられて、今度大木大臣になったので、その点の調査研究というものを国として御検討していただけないかというところで、まず御答弁をいただきたいと思います。
西尾政府参考人 実務的な御説明をまずさせていただきたいと思います。
 先生、松葉を利用したダイオキシン汚染の調査ということでさらに御努力をいただいたということでございますが、こうした形の調査といいますものは、確かに多くの人が参加できて、それで市民の認識も深める、そういうメリットもございますので、大変興味深い御研究をされたというふうに思っています。
 ただ、これをダイオキシンモニタリングの方法として見る場合におきましては、やはり前に川口大臣から答えましたように、異性体、これはダイオキシンの公定法は、毒性のあるものだけで二十九もある異性体をそれぞれきちんと積み上げて厳密に調査をする、それで毒性を算出するというところがポイントでございますので、松葉の吸収パターンというのはどうも、自然にある状態と松葉の吸収パターンとはやはりちょっと違うんではないかという根本問題があって、なかなか難しい問題ではないかというようなことを御指摘させていただいたわけでございます。
 その後、今先生御指摘の調査もありまして、幾つかの新しい点というのが出てきているんではないかと思いますけれども、ただ、パターンは類似するというような面もありますけれども、濃度レベルが違っているという御指摘もありまして、やはりその濃度レベルをきちんと決めていくという公定法の調査に取り込んで、そこを決めていくというような条件、そういうような新しい知見という域にはまだちょっと至っていないんではないかというふうに思っている次第でございます。
 しかしながら、こうした研究がございましたものですから、私どもも、また専門家に、こういう松葉調査の、これが大気環境濃度をあらわす指標としての可能性とか限界だとか、そういうものについては意見を聞いてみるというような勉強はさせていただきたいというふうに思っております。
大木国務大臣 前の川口大臣もお答えしたと思いますし、やはりいろいろな手法があって、それぞれの目的に合ったものがあると思いますが、一言で言うと、まだまだ純粋科学的に、十分にこれだけを中心にしていろいろなものを測定するというにはちょっと不十分じゃないかという、今もいろいろと説明もありましたけれども、でありますから、私どもとしては、そういうものがあるということは念頭に置きますけれども、今の時点ですぐに、これをひとつ環境省の方で公定法とするというようなことで、政府の予算でやれということになると、正直申し上げましてちょっときついなという感じであります。
 ただ、せっかくそういう手法があるということでございますから、今後とも頭にはとめておきますし、それから、そういったことである程度測定できるじゃないかというようなことは、今局長もお話し申し上げましたけれども、一つのPRとしては、そういったことも含めて、国民にやはりこういった問題についての認識を深めていただくということでは非常に有益なことじゃないかと思いますので、そういうことでひとつ、大変恐縮ではありますが、引き続き御努力をと申しますか、お願いしたいと思います。
原委員 もうちょっと積極的な御答弁がいただければなと思うんですが、ひとつやはり自治体として、その自治体の財政負担を軽くするという面からも、あとは科学的な面のところでまだまだ立証されなきゃいけない問題も残っているとはもちろん思うので、ぜひそこを、関係者がではなくて、ぜひ国としてこうした取り組みのところも積極的に研究をして検討を進めていっていただきたいなということを再度御要望させていただきたいと思います。
 今回、実は、費用が四分の一で済むというこの報告書が報道されたことがきっかけで、結構、全国の自治体からいろいろ問い合わせをいただいたりしたんですね。今回の報告書は、自治体で行っている大気中のダイオキシンについての費用対効果の調査方法なんですが、会津の方からある一通のお手紙をいただきました。その方の内容は、今回の報告書の趣旨とはちょっと違ったところなんですが、焼却炉の排ガスの自主測定と報告を義務づけられていた業者さんから、困っている、要するにその費用負担が重過ぎるという内容で、この松葉調査を使えないかという、ちょっとそこのところの比べる大気が、物が違ったので、内容は違うんですけれども、そういうお手紙も実はいただきました。
 それで、これは環境省さんに具体的な数値でお聞きをしたいと思うんですが、ダイオキシン特措法ができてから、施行後二年たっているかと思うんですが、二年たってもいまだに自主測定ができていない業者の数というものは現在どれぐらいあるかということを教えていただきたいと思います。
西尾政府参考人 今御指摘の点でございますが、平成十二年度のダイオキシン類対策特別措置法施行状況調査ということを行いまして、この中では、施行日であります平成十二年の一月十五日から平成十三年三月三十一日までのデータをまとめております。その中で一番御指摘に直接関係いたします大気の基準の適用施設、これにつきましての排ガス中のダイオキシン類は事業者が自主的に調査していただくということでございますが、これは、調査結果の報告をいただいておりますのが一万三千六百三十七件でございますが、未報告という方が五千九百七十九件でございます。
 施行一年目ということでございますので、以後、自治体におきましても、測定の特例等の適切な施行に努力していただきたいというふうに考えております。
原委員 今、未報告が五千九百七十九件ということだったんですが、この中の業種別の数値というのは持っていらっしゃいますでしょうか。
西尾政府参考人 今申し上げました未報告件数五千九百七十九件の業種別でございますが、この最も多いといいますか、ほとんどのものが廃棄物焼却炉でございまして、五千八百二十八件でございます。そのほかは、アルミニウム合金製造施設が百四十二件、製鋼用電気炉が八件、亜鉛回収施設が一件というようなことでございます。
原委員 もうちょっと詳しくお聞きをしたいんですが、その廃棄物焼却炉の内訳というのはありますか。どんなものを燃しているかというものはおわかりになるでしょうか。ちょっと細か過ぎますか。
西尾政府参考人 御指摘は規模のことかと思いますが、五千八百二十八件のうち、規模で大体一時間当たり四トン、二トン、二トン未満と、こう三つのランクをしています。大きい方の四トン以上が百二十五件、それから二トンから四トンの間が百八十二件、それから二トン未満のものが五千五百二十一が未報告となっております。
原委員 ということは、きっと、比較的小さな焼却炉を抱えている、つまり小さな事業者の方が自主測定がまだできていないというような御理解でいいんでしょうか。比較的小さな焼却炉をお持ちの方がまだその自主測定ができていないということですか。
西尾政府参考人 絶対数では先生御指摘のとおりだと思います。ただ、施設総数も小規模なものが多いものですから、結果として絶対数としても大きな数のものが未報告になっているということだと思います。
原委員 ありがとうございます。
 前にいただいた「ダイオキシン類対策特別措置法施行状況」というこの冊子の中から一つ御質問させていただきたいんですが、その中の「大気基準適用施設」というものの中で、平成十二年三月三十一日現在の施設数が二万二千六百十ありまして、その中で、「廃止等」と、廃止になった施設が八千四百六十二あるんですよね。これは、私、結構大きい数値だなと思っているんですが、この廃止の件数が多い理由の主なものというものは何でしょうか。
西尾政府参考人 今先生御指摘の大気基準適用施設に関するデータでございますが、全体二万二千六百十のうち、廃止が八千四百六十二であるということでございます。これをもう少し見ますと、そのほとんどの部分が廃棄物焼却炉でございますので、そこで見ますと、廃棄物焼却炉全体二万一千八百四のうち、廃止等が八千四百二十ということでございますので、廃止した施設のほとんどは廃棄物焼却炉であるということでございます。
 それは、やはり廃棄物焼却炉が、ダイオキシン類対策特別法の新たな規制に適合させる、そういう基準を満たすような炉にする、あるいはそういう整備をするということにつきましては、特に小規模の廃棄物焼却炉等は技術的にも困難でございますので、そういうものが基準を満たすことができずに廃止されたという部分が、かなりの過大なシェアを占めているのではないかというふうに考えております。
原委員 今技術的なことが理由でということがあったんですが、実は、先ほどの会津の方のお手紙をちょっと中を紹介させていただきたいのですが、今回の方も、製材所を運営なさっていて、そこで廃材が出るのでそれを焼却炉で燃やしていたけれども、ダイオキシン特措法ができて、ちゃんと設備投資をしなくちゃいけない、ただ、小規模なのでそこに投資をしていく余裕もなかなかなくて困っているという内容だったんですね。
 今回の、南会津の地域らしいんですが、そうした同業者は七社あったそうなんですよ。そのうちの六社が今回廃業をした。その主な理由が、先ほど技術的というお話もあったんですが、一つは、やはり費用負担が大きいということが、小さい焼却炉を持っている方々のそれが実際の生の声だというふうに思っていますので、ぜひその辺の認識というものも、環境省の方には、費用面の負担が大きくあるということもわかっていただきたいなと思っています。
 もちろん、その特措法によって、環境に配慮しないような業者をしっかり取り締まっていくということは、私はいいことだとは思っているんですが、特に今回の製材所の例をとって考えてみると、要するに、今まで廃材という形で燃していたものを、ちょっと発想を変えれば、もしかしたらそれが資源になることも考えられると思うんですよね。
 例えば、捨てればごみ、生かせば資源というような言葉があると思うんですよ。特に、廃材とか林地で出た残材とかというものを見ると、資源エネルギー庁が出しているバイオマス資源の分類の中に、こうした木質類というものはバイオマスエネルギーの中の一つにちゃんと書かれているわけであって、今まで燃していたものをちょっと有効活用すれば資源になり得るという、そうしたエネルギー政策というものを、ぜひそこはエネルギー庁とも、多分林野庁もかかわってくると思いますし、環境省とも力を合わせて進めていっていただきたいというふうに思っています。
 きょうは資源エネルギー庁の方にも来ていただいているので、ひとつ御質問させていただきたいんですが、今現在、どれぐらいのバイオマスエネルギーがあって、その利用状況はどんなぐあいになっているのか、そして、今後こうしたバイオマスエネルギーを進めていく上での対策というものを、今どのようなことを考えておられるのかということをお聞きしたいと思います。
河野政府参考人 お答え申し上げます。
 まず最初に、バイオマスのエネルギーとしてどのぐらい利用がなされているかということでございます。
 太陽光発電、風力発電とともに、新エネルギーの一つということで、我々、その積極的な導入、促進というのが必要であると思っておりますが、現実には、新エネルギーそのものが現状で一次エネルギー供給の一%ぐらいでございまして、その中に占めますバイオの比率は現在七割程度でございますが、その大宗は、製紙工程で排出されます黒液とかそれから廃材、これを熱利用、発電に用いるという形態での導入が進んでおります。九九年の実績でいいますと、原油に換算いたしまして四百六十二万キロリッター、先ほど申し上げましたように、新エネルギー全体の導入一%でございますが、その中の七割程度ということになっております。
 ただ、最近は、食品廃棄物をメタン発酵させたものを熱利用するというような形のものもふえてございますし、それから、先生御指摘のように、廃材その他を使った取り組みというのも、各地域でいろいろな取り組みがなされております。
 バイオマスのエネルギー利用ということにつきましては、新エネルギーの促進のための新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法というのがございますが、この一月に政令を改正いたしまして、バイオマスをこの法律の対象にいたしたところでございます。
 と同時に、今年度の予算におきましても、バイオマスの技術開発のための実証試験の予算というものを計上しておりますし、それから、バイオマスを具体的に地方公共団体あるいは事業者が導入していくというような事業に対しましては、補助制度がございますけれども、両方合わせて二百億以上ございますけれども、こういうものの対象ともしたわけでございます。
 それから、エネルギー利用につきましては、この国会で、電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法というものが成立いたしましたけれども、その法律上、バイオマスも明確にその対象となっておりまして、これによりまして、電力分野においてもバイオマスエネルギーというのが拡大をしていくであろうというふうに思っております。
 今エネルギー利用を中心に申し上げましたけれども、それ以外のいろいろな製品の形での利用も含めまして、実は、農林水産省、環境省、私ども等関係府省で連携をとりながら、バイオマス日本総合戦略というものを策定しようということで、現在作業に取りかかっているところでございます。
 これの中では、先生御指摘ございましたような製材廃材、これを、廃棄物として燃やすものも含め、動植物とか微生物あるいは有機性の廃棄物から、今申し上げましたように、エネルギーのみならず、製品を売るということでのバイオマスの活用を進めていくということで位置づけまして、具体的には、規制改革とか融資・補助制度あるいは技術開発、そういう政策手段を活用するということでの具体的な導入戦略を先ほど言いましたような関係省庁で議論いたしまして、平成十四年度中には取りまとめたいということでございます。そういう検討を開始したというところでございます。そういうことで、一生懸命取り組んでいるということでございます。
原委員 ありがとうございます。
 質問の時間が終わってしまったんですが、平成十四年度中、つまりことしじゅうにバイオマス日本総合戦略をつくっていかれるということなので、ぜひ私はここに大きく期待をさせていただきたいと思いますし、環境大臣からも、捨てればごみ、生かせば資源と、今捨ててあるごみもちょっと頭を使えば資源になるかもしれないという、そうした本当にリサイクル、循環型社会の形成に向けて、こうしたエネルギー対策にも力を注いでいっていただきたいと思います。
 終わります。ありがとうございました。
大石委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午前十一時五十八分散会


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