衆議院

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第21号 平成14年7月16日(火曜日)

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平成十四年七月十六日(火曜日)
    午前九時三十一分開議
 出席委員
   委員長 大石 正光君
   理事 熊谷 市雄君 理事 西野あきら君
   理事 柳本 卓治君 理事 山本 公一君
   理事 奥田  建君 理事 牧  義夫君
   理事 西  博義君 理事 樋高  剛君
      小渕 優子君    奥谷  通君
      亀井 久興君    木村 隆秀君
      小泉 龍司君    阪上 善秀君
      菱田 嘉明君    三ッ林隆志君
      山本 有二君    小林  守君
      五島 正規君    近藤 昭一君
      鮫島 宗明君    田端 正広君
      武山百合子君    藤木 洋子君
      金子 哲夫君    西川太一郎君
    …………………………………
   環境大臣         大木  浩君
   環境副大臣        山下 栄一君
   環境大臣政務官      奥谷  通君
   政府参考人
   (環境省大臣官房廃棄物・
   リサイクル対策部長)   飯島  孝君
   政府参考人
   (環境省総合環境政策局環
   境保健部長)       岩尾總一郎君
   政府参考人
   (環境省環境管理局水環境
   部長)          石原 一郎君
   環境委員会専門員     飽田 賢一君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 環境保全の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――
大石委員長 これより会議を開きます。
 環境保全の基本施策に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 本件調査のため、本日、政府参考人として環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長飯島孝君、環境省総合環境政策局環境保健部長岩尾總一郎君及び環境省環境管理局水環境部長石原一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
大石委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
    ―――――――――――――
大石委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小林守君。
小林(守)委員 おはようございます。民主党の小林です。
 きょうは台風が接近しております。少し蒸し暑い感じでございますが、歯切れよく質問させていただきたいなと思います。答弁の方もひとつよろしくお願いしたいと思います。
 きょうは、この間の廃棄物行政の中で、各都道府県の中で産廃税の導入の動きが顕著になってきているというふうに見受けをしております。ことしの四月から三重県の方では条例に基づいて施行されるというような状況でございますし、北は青森、岩手、秋田、この三県が共同で導入をしようではないかというような形で、それぞれの県の取り組み、そしてそれぞれの調整が行われているというようなことをお聞きいたしておりますし、また、南では北九州市とか、あるいは中国地方では岡山、鳥取、広島などでそのような動きがあるというふうに聞いております。
 この産廃税の導入について、政府の方でも産業廃棄物行政に関する懇談会などが持たれまして、既に中央環境審議会の方にその報告書も取りまとめられて報告されているというふうに聞いておりますが、これらの一連の動き、そして、大変大きな困難な問題でありますけれども、産業廃棄物行政、そしてそれにかかわる産廃税の導入について、環境省の方としてはどのように受けとめておられるのか、その目的や意義についてどう評価しているのか、その辺をお聞きしたいと思います。
大木国務大臣 ただいまもお話ございましたけれども、都道府県等におきまして、産業廃棄物税をひとつ検討する、あるいは実施するということで、既に、一番早かったのが三重県かと思いますけれども、その他、鳥取、岡山、広島各県あるいは北九州等々でそういった条例を制定される動きというのが続いておるわけでございます。
 こういった産廃税ということを考えられる一つの目的は、やはりそういった税を取って、その税を上手に使って、産廃物の適正な処理等々に充てるというのが一つのお考え、あるいはまた、そういったことによって廃棄物がふえるのを抑えるというのも一つ目的があると思います。
 ただ、一方におきまして、産業廃棄物のそういったものを、特定の地域でそういった税をつくりますと、そこへ入ってくる廃棄物の抑制というのは、当然そういった効果があると思われるわけでございますが、そうしますと、これは大体どこの自治体でも、自分のところへよそから来るのは困る、これはだれでも考えることでありますから、これは非常に常識的な感じだと思いますが、そこから始まるわけでありますけれども、全国的には、円滑に廃棄物を必要というか望ましい場所へ持っていくということも、国全体の立場からいうと、そういうこともひとつ議論になって出てくるということで、プラスマイナスの議論がいろいろございます。ということで、今議員がおっしゃいました懇談会の方でもいろいろ議論がございます。
 ということでありますので、今のところ一方的に、これは大いにどんどん進めるべきだとか、いや、これはだめだとか、そういうところにはなっておりませんので、中環審等でも、そういった懇談会の議論も踏まえながら、これからひとついろいろと議論をしていただきたいと思いますが、いずれにいたしましても、この税に限らないんですけれども、廃棄物、特に産業廃棄物が非常に大量に、しかも相当地域的にも長距離に移動する、これを一体どうするかというのが非常に問題でございますから、これは発生から最終的な処理までのいろいろな段階を考えて、国全体としてはどうするのが一番望ましいのかということは、全体として考える必要があると思います。
 ただ、今申し上げましたように、産廃税だけについて申し上げますと、いろいろとプラスマイナスの議論がありますから、これはひとつ両々よく見ながら、これからの全体の姿というものをまたひとつ勉強してまいりたいというふうに考えております。
小林(守)委員 明確な切り込んだスタンスというものはちょっとまだ出されていないように思うんですが、今後検討されていく中で、産廃税というのは法定外目的税というような性格のものであるということで、そういうことになりますると、現行法上、総務大臣ですかね、かつては自治大臣ということだったんですが、そういう地方税については総務大臣の同意が必要になるのではないかと思うんですよね。
 これについて、既に三重県などでは受けられたんだというふうに思うんですが、その際に、当然、産廃税の問題については産業廃棄物行政にかかわる環境省が、今お話しのように、確かに問題もあるし、また、そういう進め方も必要かなというような両面性を持ったものだろうというふうに今のところ言えると思うんですよね。そういう場合に、総務大臣が、この税はいい、悪いというような、協議に応じて同意する、しないの問題ですね。その判断について、廃棄物行政の立場から意見を申し上げるなり関与するなり、そういうことは、システム上、今はあるんですか、ないんでしょうか。
飯島政府参考人 法定外目的税に関する御質問だと思いますけれども、地方税法で、地方公共団体が法定外目的税を課すことができるという規定がございまして、その中で、地方公共団体は、あらかじめ総務大臣に協議し、その同意を得なければならないという規定がございます。
 また、総務大臣は、財務大臣との関係もございまして、財務大臣に通知いたしまして、財務大臣が異論があるときは、総務大臣に対してその旨を申し出ることができるということで、地方税法では、総務大臣と財務大臣の権限が書いてございまして、ほかの、環境大臣の権限は規定はされておりませんが、当然のことながら、これは産業廃棄物政策上の問題でございますので、先ほど大臣が御答弁申し上げましたように、産業廃棄物政策の観点から環境省としても研究を深めて、その考え方について総務大臣に、総務省に申し上げることはあると思います。
小林(守)委員 申し上げることがあると思いますということなんですが、制度化されていないわけですね。ですから、そんなことを言っても、総務省の方では、総務省の論理で、地方税の論理でやりますよということになれば、何の影響力も持たせていないということだと思うんですよね。
 そういうことで、これから一つの法体系を、廃棄物処理法の抜本改正を来年の通常国会あたりを目途に検討されているわけでありますが、そういうような仕組みがこの法定外目的税等についても、環境行政というか産業廃棄物行政の視点から、総務大臣なり、財務大臣はいずれにしても、総務大臣が基本的な責任の窓口になるわけでありますから、総務大臣に意見が申し上げられるとか、協議するとか、意見を伝えるとか、何らかの仕組みがあってしかるべきではないか、私はこのように思うわけですよね。
 大変縦割り行政的な仕組みがまだ克服されていないのではないか。少なくとも、環境行政というのはあらゆる行政の根底にあって、配慮されるべき、それぞれの省庁が配慮すべき、基本的な人間の生存にかかわる行政をつかさどるわけでありますから、そういう点でも、総合調整的な機能というか、意見を申し上げられるようなことは法的に仕組みとして制度化されるべきではないか、このように思えてならないんです。
 もう一度その辺について、それは閣議の中で当然協議されるということもあるでしょうし、大臣が総務大臣にお話をするということは当然日常的にあっていい、あるんだと思いますが、制度的にそういうことができるというものになっていることも私は大切なんだと思います。その辺についてはいかがでしょうか。
大木国務大臣 現在は、先ほど事務方の方からも御説明申し上げたように、総務大臣なり財務大臣の方で議論している、こういうことになりますけれども、これは、都道府県において自主的にいろいろな条例をつくる、それでどうするかというような話、あるいは特に税についてのことであれば、今の財務大臣とか総務大臣が関与はするんですけれども、先生がおっしゃいましたように、確かに環境行政全般の姿からいいますと、やはり環境省としても意見をきちっと申し上げるという形を、どういう形で整備するかはこれからの問題でありますけれども、御意見としては十分に承っておきたいと思います。
 特に最近は、現実問題で、非常に大きな産廃の山ができてしまった、それをどうするんだというようなことも出てくれば、当然に私どもとしても意見を申し上げなきゃいかぬということですから、総合的にそういうことは申し上げて、その上で、今の環境省としてどういう形で意見を申し述べることができるか、あるいはそれをさらに強化するかというようなことについても検討してまいりたいと思っております。
小林(守)委員 廃棄物処理法の改正にかかわって、また別の視点からもできるかもしれませんが、ぜひそういう視点をとって、いろいろな問題についてやはり意見を申し上げていく制度化を追求していただきたいなとまずお願いをしておきたいと思います。
 それから、この問題を考えていく視点として、まずは流入規制というものが、従来、各都道府県の行政、指導要綱などで行われてきた。これについては、条例化をしようというところもあるようであります。そういう流入規制の問題、それからもう一つは住民同意の問題が大きな論点として、切り口として掲げられると思います。
 考え方のところは、この廃棄物行政を排出者負担の原則というか排出者責任を徹底して考えていくんだ、それを最優先の原則として考えていくんだということになるならば、基本的には搬入規制とか自区域内処理原則というのがあるんですよね。例えば、産廃であれば都道府県は都道府県内での処理を原則とするという考え方、一般廃棄物であれば自治体の中での処理を原則にするというような考え方だと思いますが、自区域あるいは自県内、県内で出た産廃は県内で処理するという原則、そういう基本的な立場に立ってこの産廃行政を考えていくのか、あくまでも排出者責任原則で、経済活動の一環としてこの問題を考えていき、そして不法投棄とか不適正処理の問題については原則的に排出者責任まで問えるというような流れとして、仕組みとして考えていくか、この二つだというふうに思うんですよね。
 基本的に、今日まで搬入規制とか住民同意ということを都道府県がそれぞれ要綱等において導入したというのは、やはり県外からの、あるいは他県からの流入をどうやってきちっとチェックをして、そして不法投棄をさせないとか、それからどこにどれだけの量が入ってくるかというのを把握するとか、そういうことで、一つは、不法投棄、不適正処理の防止というものが目的としてあるんだと思うんですよね。
 それからもう一つは、要は自分たちの県で出た産廃を、これはほかの県から来たものにどんどん埋め立ての許可をしていくと、どんどん入ってしまうと、今度は処分場がみずからの県の中でなくなってしまうじゃないかというようなこともあるんですね。そういう観点で、要綱行政として、あるいは国の法律上の不備じゃないかというような問題として都道府県は考えてこられた。
 一面、今回の産廃税というのも、流入規制の一つの経済的な姿をあらわすというようなこともあるでしょう。それからもう一方では、それを財源として、産廃業者の健全な育成とか、そういうものを働かせるというようなねらいもあるんだろうと思うんですね。
 この懇談会の基本的な骨子というのは、流入規制とか住民同意というものは、やはり不法投棄とか不適正処理については基本的なシステムとして防止するようなことを担保しつつも、基本的に排出事業者責任という原則に立って、どこの県から出たものであろうと、それは基本的に搬入規制とかそういうものではなくていいのではないかというような考え方、住民同意のあり方とかあるいは搬入規制については撤廃をさせていくというような考え方に立った答申というか報告になっていると思うんですよね。
 それらについて、環境省として、先ほどの答弁では、まだどちらとも言えないというような言い方なんですけれども、この報告書では、まさしくそういう方向性を明確に出しているというふうに思うんです。
 ところが、現実に、例えば千葉県とか、あるいは岩手、青森、秋田などの首都圏からちょっと離れたところで、首都圏から発生した産廃物が夜のやみに紛れて高速道路を突っ走ってきて、夜のうちに埋めて、覆土をしてしまって跡形なくわからなくして不法投棄されているというような実態を考えると、どうしても自区域内処理原則というものをしっかりと打ち出すべきだという考え方も根強くあると思いますし、また、それは理由のある話だというふうにも思うんですね。
 それらについて、どのようにこれを決断していくかということなんですが、基本的に私は、地方分権とか地方自治という視点に立って考えるならば、一般廃棄物はその自治体で、住民責任においてその地域内で処理するというのが正しいことだろうというふうに思いますし、産廃についても、範囲は、産業活動に伴う排出物でありますから、基本的には広域的なものでないと処理できないものだとは思いますが、少なくとも、現在の分権の仕組みの中で考えるならば、都道府県単位でそれぞれが責任を持ってやるというのを原則として置いていいのではないか、地方自治というような視点からするならば、産業活動もしかるべきというふうに考えるんですよね。
 その辺について、どうお考えになるか、もう一度お聞きしたいと思います。
飯島政府参考人 小林委員から非常に問題点を整理して御指摘をいただいていると思います。
 確かに、これまで都道府県におきまして流入抑制あるいは住民同意の要綱、条例等の指導をしてきたことに対して、これはやむを得ず、その理由は当然理解できるわけでございますが、それがかえって産業廃棄物の処理システムに対してマイナス効果を与えているのではないかというのが、この産業廃棄物懇談会の発足の原点でございます。
 と申しますのは、流入抑制にしても住民同意にしても、それを義務づける相手が、廃棄物処理の許可業者ということがわかっている人しか相手にできません。そうすると、本来は許可業者をきちんと健全に成長させて静脈産業として発展させるべきところを、その人たちを締めるものですから、結局、産業廃棄物が許可を持っていないアウトローの人たちのところに回ってしまう、こういう逆効果を生んでいるというのが、初めの問題の原点、背景にあったわけでございます。
 その結果、懇談会では、今委員が御指摘になりましたように、自区内処理原則というよりも、産業廃棄物は全国的な観点に立って進めるべきであるので、流入抑制とか住民同意は見直すべきである、その見直すときに当たって産業廃棄物税というのは一つの考え方ではないか、こういう御指摘をいただいております。
 確かに、事務区分に関しましては、環境行政は地方分権を徹底するという考えもあるわけでございますが、地方分権推進委員会におきましても、この産業廃棄物行政に関しては、暫定的にという言葉は入っておりますが、法定受託事務として整理されておりまして、国と地方公共団体が協力してやっていくべき分野という意味で、ある意味では、地方公共団体それぞれでの自区内処理ということよりも、産業廃棄物については全国的な体系を国として責任を持ってつくっていく必要がある、それを都道府県と協力してやっていきたいというのが我々の考えでございまして、この産業廃棄物懇談会のレポートを受けまして、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたが、産業廃棄物についても、全国的な観点からどうあるべきかということを今後より深く研究してまいりたいと思っているところでございます。
小林(守)委員 今の議論にずっと入ってきますると、これはやはり環境省が総務大臣ときちっとやっていかないと困るんですよ。全くそれは今のシステムの中で、三重県から出てきた、これは法定受託事務であって、法定外目的税、これは総務大臣の責任においてやっていいわけでしょう。これがどんどん出てきちゃっているんですね。
 今のお話だと、やはり国と地方、都道府県がきちっと協議をして、一体のものとして法的に体系として整備すべきだということを言っているわけで、その考え方もそのとおりだと思うのです。ところが、実態はそういう方向ではない仕組みで動いてきちゃっているということですよね。ですから、もたもたしていられない状態なんだということだと思うのですよ。
 暫定的な法定受託事務になっているというようなことでありますが、法定受託事務については恒久的な整理が必要になっている。きちっとした、暫定的なものでなく恒久的な整理が必要だということが地方分権推進委員会の方からも指摘されているわけですね。その恒久的な整理の中で、一面では、この産廃税というものを国税化、国の税金にして、一元的な形で、全国統一的な形で、どこの県に偏ることもなく、関所があそこの関所は物すごく高いよとかそういうのではなくて、どこでも大体同じだとか、そういうような制度にすべきだというような考え方もある。
 しかし、それはどうも、発生からいうと、今、自然再生法、水面下でいろいろ議論されておりますけれども、ボトムアップ方式なんだというのが、これはまさにボトムアップ方式なんですよね。そのうち、今度は国がそれをみんな刈り取って自分たちの国税にしてやるような考え方も、統一性なり画一性なりというような形の中で行われているというようなことなんですけれども、国税となると、例えば首都圏における産廃処分場の値段と、少なくとも北東北というか、そういう地域にもしあるとするならそういうところの産廃処分場の処理料金、産廃税、これは経済原則からいうと間違いなく格差ができると思うのですよ。
 都市と地方という経済格差的なものからいって、私は、間違いなく都市から地方に廃棄物が流れる、行くという、要は水源地であり食料の供給基地であり労働力の供給基地であった地域に廃棄物が流れていくというのは、経済原則に基づいていくならば間違いなくそうなってくるんだろう、このように思えてならないのですね。そうなってくると、新しい地域格差みたいなものがさらに助長されていくものとして産廃税というものが使われるのではないか、このように思えてならないのです。
 そういう点で、もう一度自区域内処理の原則というものをやはり考える必要があるのかななんと思っているんですが、国税化の動きについてはどのようにお考えになっているか、その辺いかがでしょうか。
飯島政府参考人 先ほど申し上げました産業廃棄物懇談会の報告書の中でもこの議論はございまして、レポートにまとまっている考え方を御紹介したいと思いますけれども、確かに、全国的に一律、一斉の課税を検討する方がよいという考え方もございます。これは、今のような状況で各地方公共団体が法定外目的税で税金を課すとなると、税金を課すところと課さないところが出てきますから、当然追い出し効果といいますか、影響が非常に他の県に及ぶことが大きくなる。
 もっとも、先ほど委員から御紹介ございました中国地方あるいは東北地方では、広域の県が連携して、同じような形で条例を考えて検討されたというふうに聞いておりますけれども、これは中国地域だけで完結するわけでございませんし、北東北地域だけで完結するわけではないということを考えれば、そのほかの県に影響を与える、追い出し効果を出してくるということがございますので、全国的な検討が必要ではないかという議論もございます。
 一方、委員も御指摘がありましたけれども、地域の実情によっていろいろ違いますので、やはり地方公共団体それぞれ課税を検討して、それを全体で調整してはどうかという考えもございまして、この辺は研究をより深めてまいりませんと、関係する方々も大変たくさんいらっしゃいますし、県によってもお考えが違うと思いますので、今後検討を深めていきたいというふうに考えているところでございます。
小林(守)委員 いずれにしても、議論をこれからも深めながら、国と地方が一つのそれぞれの立場の役割を果たしながら、きちっとした体系をつくっていかなきゃならない時代が来ているというふうに言えると思うのです。今までそれがなされていなかったところに、大変な問題を引き起こしてしまっているというふうにも言えると思うのです。
 一つ、不法投棄に対する原状回復の措置という視点で、青森県、岩手県のちょうど県境に大変な不法投棄の問題が発覚して、対応に苦慮しているところであります。豊島以上の八十二万立方ぐらいの量のもので、香川県の豊島の例に倣えば大体四百億円ぐらいかかるであろうと言われている不法投棄が出ております。
 これらについて、都道府県が、搬入規制をしろとか住民同意を得なきゃ困るとか、とにかく自区域内原則をきちっと出したいというようなことを強く考え方の底に持っている原因は、やはりこういう問題があって、しかも、その原状回復をするのに、ほかの県の産廃物を自分たちの県民の税金で処理せざるを得ない、国も補助は出しますけれども、三分の二ぐらいはそこの県が県民の税金で原状回復をしなきゃならない、そういう仕組みがあるわけですね。これではたまらぬということで、よその県のものまで何で自分たちの県の税金でやらなきゃならないんだ、冗談じゃないというのが当然の背景としてあるわけですね。そういうことを考えると、これは原状回復措置そのものがやはり不十分だったということも、国と地方とのきちっとした体系ができてこないものの原因の一つになっているのではないかな、このように思います。
 それで、岩手、青森の不法投棄の事件の問題について、これは平成十年の六月以前の問題なのか以降のものなのかによって国の対応が違うんですね。これらについてどういうふうに整理されておられるのか。岩手や青森は、もしそれを原状回復措置をするとするならばどういう負担が必要になってくるのか、あるいは業界団体はどういうふうになるのか、国はどういうふうな支援措置があるのか、その辺をちょっと教えていただきたいと思います。
飯島政府参考人 不法投棄に対する原状回復でございますが、従来は、排出者あるいは実行者、これに責任を求めて、その実行者が払えない場合は地方公共団体が行政代執行して、それを後で求償するわけですが、求償できない場合には、すなわち地方公共団体の費用、県であれば県税で負担をするという仕組みでありました。
 平成九年の廃棄物処理法の改正で、それは今御指摘になったように、自分のところで出したものじゃないものが不法投棄されていて、それを片づけるときに何の支援もないのはおかしいのではないかという議論から始まりまして、平成九年の法改正の議論で創設されたときの考え方でございますけれども、都道府県が原状回復を行わざるを得ない場合に、産業界と行政、これが半々で負担する、こういう基本原則の考えを立てたところであります。
 どういうことかといいますと、これは基金を造成しまして、その基金で支援をしていくということになります。基金に産業界と行政が半々出捐をする。行政の場合、考え方は、国がその半分を出して、ですから、あとは地方は全体の四分の一を負担すれば済むという制度が初めてできました。
 これによりまして、代執行を行わざるを得ない都道府県にとって、それまでなかなか代執行ができなかったんですね、その前の措置命令も、行政命令もできなかったんですが、こういった後に基金支援の裏づけがあるということで措置命令を迅速に出すことが可能になったということで、不法投棄の、そのままではどんどん拡大していったものが、一定の抑止効果があったというふうに考えております。
 委員がお尋ねになりました、では、平成九年の法改正以降ですから、それが施行されました平成十年六月からはそういった基金制度で支援がされているわけでございますが、それ以前のものについて何もなかったわけです。しかし、実際に不法投棄の現場が見つかりますと、それ以前に投棄された場合が多いわけでございまして、それについて何らの支援もしないというのはおかしいということで、実は、補正予算の機会がございましたので、補正予算のときに要求をいたしまして、平成十年六月以前のものであっても補正予算を使って補助をしようと。
 そのときの国の支援の考え方は、先ほどの基金の場合は国が四分の一の負担だったんですが、四分の一では大変だということで、いろいろと議論がございましたが、三分の一負担する。結果、産業界からの出捐がございませんから、地方公共団体の負担が三分の二になる。ですから、県の立場から見れば、十年六月以降は四分の一で済んだのが、十年六月以前は三分の二の負担、非常に重いという、ただ、国に言わせれば、四分の一を三分の一まで上げた、こういう議論が実は平成九年、平成十年のときにあったということでございます。
 いずれにいたしましても、今回の青森、岩手の件につきましては、現在、両県で合同検討委員会をつくっておりまして、それに環境省も参加をしております。そこでいろいろな技術的助言をしているのですが、まずはマニフェストがございますので、マニフェストを使いまして排出事業者の洗い出しを今やっていただいております。この排出事業者が、巷間言われるように、首都圏の排出事業者が結構多いということで、これは首都圏の関係都道府県にも御協力をいただきまして、排出事業者に遡及して求償していくということを今後考えていきたい。
 マニフェストを発行していなかったとか、明らかな法違反があれば当然遡及できますし、一般的な注意義務違反、非常に安価な値段で委託をしたような場合についても、今回の十二年の法改正で遡及ができるようになっておりますので、まずそれを徹底して行った上で、その最後の段階で、もう代執行せざるを得ない場合になったときに国の支援制度も活用していただきたい。それは、現行でいえば、平成十年六月以前がほとんどだと思いますので、三分の一の補助ということになりますけれども、これに対しては地元の方では非常に不満をお持ちになっていることはよく存じ上げておりますので、これについても支援の充実ができないかどうか、検討を続けているところでございます。
小林(守)委員 制度的な仕組みは理解をいたしましたけれども、マニフェストに頼って、さかのぼって排出事業者まで行って、一般的な注意義務違反で何とか負担させられないかというようなところももちろん追及しなきゃなりませんが、ほとんどのマニフェストはちゃんといただいている、これはもうちゃんときれいに処理したというマニフェストで返ってきています、例えば、首都圏から出した事業者にはちゃんとあります、ちゃんとお金をこれだけ払っています、これは適正な値段ですよ、それでも不法投棄されているということが多いんですね。
 こういうことを考えると、相当いろいろな面でのチェックシステムが働かないと、とにかくこの不法投棄の問題というのはなかなか解決できないし、都道府県は本当に、県民の税金を使って他県の不法投棄の処理をせざるを得ない、こういう実態が非常に多いということですね。この辺を十分法改正の中できちっと対応できるような仕組みをつくっていっていただきたいと思いますし、我々もその問題については十分関与していきたいなと思っているところです。
 時間が大分迫ってまいりましたので、次に進みたいと思いますが、ダイオキシン対策の中で、特別措置法に基づく底質にかかわる、いわゆる河川のヘドロとか底泥とよく言いますけれども、その底質にかかわる環境基準について、どのような検討がなされ、国民に示されるのか。
 それから、地方公共団体の方では、実際に汚染しているということだけれども、基準がわからないと対応のしようがないということと、同時に、どういう方法でやるのが一番いいのか、それぞれの汚染度に応じてやり方に違いがあるんだろうと思いますが、それらの対策、手法、こういうものの具体的な指針、こういうものを早く示してほしいというのが、私どもの県の方からも、ぜひ国の方に要請してほしいというような要望もありましたので、この際、聞かせていただきたいと思います。
石原政府参考人 ダイオキシン類に係ります水底の底質の環境基準の点についてでございます。
 ダイオキシンの環境基準につきましては、大気、水質、土壌ということで、環境媒体につきましては既に環境基準があるところでございますが、底質の環境基準につきましては、当時の科学的な知見から、今後の検討ということにされまして、昨年の十二月に中央環境審議会の方に、底質の環境基準はいかにあるべきかということで諮問をさせていただきまして、先月ですか、去る六月二十四日に中央環境審議会の方から環境大臣に対しまして、TEQ換算で百五十ピコグラム・パー・グラムの環境基準とすることが適当である旨の答申がされたところでございます。
 現在、この答申を受けまして、環境基準、告示を定める必要があるわけですが、告示の策定作業を進めております。早ければ七月中にも告示できるというふうに考えております。
 また、お話のございました環境基準を超えた場合についての対策につきましても、当然、人への暴露を防ぐという観点から、例えばその対策を講じるときに水の方へ溶出しないようにとか、巻き上げがないようにとかというような形での対策の指針を定める必要があるというふうに考えております。汚染底質の処理処分に関する指針につきましては、環境基準の設定後、速やかに通知するように対応していきたいというふうに考えております。
小林(守)委員 それでは、次に進みたいと思いますが、ことしの十二月から新たなダイオキシン規制の環境基準に基づいて適用がされまして、従来の一般廃棄物の焼却施設の解体とか撤去などがこれから、今ももう進んでいるわけでありますが、その解体撤去に際しまして、ダイオキシンに汚染されている建物を解体していくわけでありますから、そこに従事する従業員というか、そういう労働者の健康被害の問題がやはり十分配慮されなければならないわけであります。
 それらについて、現在の対策というか取り組みは厚生労働省の方の所管になるようでありますが、環境省として、きちっと健康被害対策、暴露防止対策みたいなことが、ダイオキシン特別措置法を所管する省庁として十分配慮されるような形で厚労省の方との調整がなされているのかどうか。自治体の方では、もうちょっと面倒見てくれないのかというようなお話があります。この点についてどのように取り組まれているか、お聞きしたいと思います。
飯島政府参考人 小林先生御指摘いただきましたように、ことしの十二月を控えまして、その規制強化に対応するため、旧ごみ焼却施設を廃止して解体撤去する事例がここ数年非常にふえております。十二月以降、ますますふえるということになると思います。
 小林先生が御指摘になりましたように、昨年の四月に厚生労働省から、廃棄物焼却施設内におけるダイオキシン類ばく露対策要綱が定められました。能勢の焼却炉の解体事故から一年間近くいろいろと議論が行われた上で要綱が定められたわけでございますが、この結果、市町村からお聞きする解体費用が従来の見積もりに比べて約十倍に高騰したということで、この間、一昨年以来でございますが、市町村から国の支援を要請する声が殺到していたところでございます。
 このため、環境省におきましては、昨年度でございますけれども、解体費用が高騰してしまったごみ焼却施設について適切な解体を推進するための支援を検討したところでございまして、関係省、財務省、総務省とも協議をした上で、平成十三年度、昨年度の補正予算から、市町村が行うごみ焼却施設の解体工事前からダイオキシンの測定を行って、それに要する費用について環境省の国庫補助制度を創設したところでございます。
 これは、関係省と協議をしたと申し上げましたが、そのときに、測定をあらかじめ行うことによりまして解体費用が、これは事例がまだ少のうございますが、例えば三分の一に下がったとか、大幅に減少していることが認められております。
 実際の解体工事に対する支援の声がいまだに都道府県を通じてあるわけでございますが、今申し上げました関係省と昨年度協議した結果、環境省の測定費補助を受けて実施される解体工事本体につきましては、総務省において地方財政措置でその費用を支援するというスキームができております。具体的に申し上げますと、測定費の補助裏についてはもちろん総務省が交付税措置をとりますし、解体工事そのものにつきましても、公園など跡地の利用がある場合については、その跡地利用工事と一体のものとして地方債を認める、また交付税措置をとるということになっておりまして、跡地の利用がない場合におきましても、特別交付税制度によってできるだけの支援をする、こういう形で実は昨年まとまっております。
 私どものPRが足りなかったのかもしれませんが、そういう形で、市町村に対しては万全の支援をさせていただきたいと思っております。
小林(守)委員 廃家電の問題についてもお聞きしたいと思って用意していたんですが、藤木さんが隣に参りましたので、以上で終わりにしたいと思います。ありがとうございました。
大石委員長 藤木洋子さん。
藤木委員 日本共産党の藤木洋子でございます。
 きょうは、前回も今回も取り上げられましたけれども、青森、岩手県境での産廃不法投棄対策について、私も実は現場を見てまいりましたので、政府の対応についてお伺いをしたいというふうに思います。
 青森県田子町と岩手県二戸市にまたがる県境に、香川県の豊島をしのぐ約八十二万立米という国内最大の産業廃棄物が不法投棄されているわけです。これは、青森県田子町の三栄化学工業が、埼玉県の産業廃棄物処理業者である縣南衛生と共謀して、三栄化学工業事業場敷地内にごみ固形化物、堆肥、燃え殻、有機溶剤入りドラム缶などを不法投棄したものです。
 事業場内の発酵堆肥化施設というのがあるわけですけれども、その堆肥には揮発性有機化合物が混入されております。二〇〇〇年十二月の地下水検査では、ダイオキシンで百ピコグラムが検出されているほか、鉛、ベンゼン、ジクロロメタン、1・1・2トリクロロエタンなどの有害物質も確認されております。この共謀した二つの業者は既に倒産していますけれども、撤去の費用は少なくとも四百億円以上になると言われております。
 この不法投棄事件が明らかになったのは、九九年末、岩手県警が三栄化学工業等を家宅捜索いたしまして、二〇〇〇年五月に、青森、岩手県の合同捜査本部が三栄化学と縣南衛生の事業者四人を廃棄物処理法違反で逮捕したときのことでございます。しかし、東京ドームの三分の二に及ぶところが埋められるという不法投棄ですから、これはもういっときにしてできるというものではございませんね。私は、どうしてこれほど大量になるまで気がつかなかったのか、もっと早く不法投棄がわからなかったのかということが非常に大きな問題であろうというふうに思うわけです。
 そこで、環境省に伺いますが、三栄化学という産業廃棄物処理業者ですが、一九八一年に汚泥の処理業を始めまして、八七年に住民から農業用水路に関する苦情がございました。九四年には生ごみの搬入に関する苦情があって、九五年には汚水に関する苦情があった、このように伺っておりますけれども、青森、岩手県はこれに対してどのような指導を行い、また処分を行ったのか、お答えをいただきたい。
飯島政府参考人 今お話ございました三栄化学工業、これは青森県の許可業者だったわけでございますが、この三栄化学工業が立地する青森県におきましては、住民から汚水や生ごみに関する苦情が出されるたびに、廃棄物処理法に基づく立入検査を実施いたしまして、事業者から事情聴取を行い、今御指摘ございました一九八七年の苦情のときには自主的な水質検査を、また一九九四年の生ごみの苦情のときには試掘調査を事業者に行わせておりますが、そのときはいずれも問題は発見されなかったというふうに聞いております。
 また、三つ目の一九九五年の汚水流出に関する苦情の際でございますが、立入検査をいたしましたところ、住民が申し立てた汚水の流出は確認されませんでしたが、岩手県側での不法投棄がそのとき発見されました。このため、青森県の三戸保健所及び岩手県の二戸保健所が合同して調査を行いまして、翌年九六年十一月に三栄化学工業に対しまして、青森県が事業の全部停止三十日間、岩手県が収集運搬業の停止二十日間の行政処分を行ったと聞いております。
藤木委員 今の御答弁にもありましたけれども、三栄化学については、九六年行政処分がなされたわけですが、それまでに公式に明らかになっているだけでも三度ほど住民から苦情が寄せられ、違法搬入、不法投棄が問題となっておりました。しかし、九七年以降の監視パトロールあるいは立入調査をしておりますけれども、不法投棄が確認されずに、九九年末、岩手県警が三栄化学工業等を家宅捜索して、二〇〇〇年五月に青森、岩手県の合同捜査本部が事業者を逮捕し、不法投棄事件が明らかになったわけです。ですから、たびたび違法行為を行っている三栄化学に対する監視監督が、九七年以降、二〇〇〇年五月の摘発までの間にどうだったのかということが非常に問題だと思うんですね。
 二〇〇一年五月に盛岡地方裁判所が下した判決文によりますと、九八年三月末ごろ、三栄化学の源新が縣南の栗橋にある東部クリーンセンターを訪れて、依田に対して地盤安定化資材としてRDFの出荷を要請しております。裁判所が認定しているのは、保健所がRDF埋め立ての現場を立入検査した翌日の九九年四月二十五日以降、同年十一月三十日の間としておりますけれども、実際は、経過から見ると、九八年四月ごろから搬入されていたと見るのが自然でございます。また、九八年末に堆肥原料の野積みが確認されていながら、立入調査で不法投棄は確認できませんでした。
 ですから、九八年四月ごろからRDFが三栄化学に搬入されていながら不法投棄が確認できず、九九年四月の立入調査でも不法投棄を確認できなかったのは、県当局が、RDFを地盤安定化資材として有効利用しているという三栄化学の主張を事実上容認してきたということではないのですか。いかがですか。
飯島政府参考人 委員が御指摘になりました青森県警、岩手県警合同捜査本部の捜査等の資料もいただいておりまして、それによりますと、三栄化学工業は、埼玉県の縣南衛生から搬入したRDFを、堆肥化施設や最終処分場などの許可された処理施設の事業区画から離れた場所、敷地内でございますが、谷筋部に投棄、覆土していたということでございます。
 青森県による事業区画以外の立入検査をこの事業者が拒否していたために、青森県はそれまでRDFの不法投棄を知り得なかった。不法投棄を知ったのは、先生御指摘のありましたように、両県警合同捜査本部が強制捜査を行った一九九九年以降と聞いております。
 なお、三栄化学工業は、両県警の合同捜査本部の事情徴収に対しまして、当初は路盤材として使用する目的で購入したと主張しておりましたが、捜査の結果、事業場内での使用方法や購入価格から見てこれは不法投棄であるということで立件されたものと聞いております。
藤木委員 ところが、盛岡地裁の判決文でも、今おっしゃいましたけれども、縣南衛生は、九七年十二月に実は七億円余りの資金を投下いたしまして設置許可を受けたプラントでRDFを製造していました。ところが九八年四月ごろ、ダイオキシン問題に起因して、RDFを固形化燃料として商品化することを断念しております。また、九八年四月十七日、手付金まで支払って仮契約をいたしましたRDF製造プラントの増設は、その後実現していないということでございます。
 さらに、縣南衛生がつくったRDFが相当程度にガラス片や金属片を含んだもので、具体的な売り先がない産業廃棄物にすぎなかったことは明らかです。ですから、三栄化学からRDFの出荷の話があったとき、縣南衛生としては渡りに船だったのではないでしょうか。
 判決文では、この話の時点で、縣南のつくるRDFが有価物ではなく、産業廃棄物を集めてつくった新たな産業廃棄物にすぎず、これを引き取った三栄化学もこれを素掘りの穴に不法投棄するのではないかと少なくとも疑いを持ったはずであるとしております。
 ただ、このRDFは、トン当たり一万五千八百円を、運搬料の名のもとに、売り主縣南から買い主三栄化学に支払うというようになっておりました。そのために、逆有償性が存在したことを県当局が見抜けなかったのではないかというふうに思います。それは、保健所が立入調査に入った翌日に、三栄化学が今度は、従来縣南がRDFの出荷に当たってつけていたマニフェスト、産業廃棄物管理票をやめるように話をしていることからも明らかです。
 ですから、九八年四月の時点でRDFが産業廃棄物であること、少なくとも保健所が立入調査に入った時点で逆有償性を見抜いているならば、約八千トン余りのRDFの搬入を食いとめることができたのではないかと思いますが、いかがですか。
飯島政府参考人 当時の事情につきまして私どもも青森県、岩手県からお話を聞いた範囲でのお答えでございますが、一九九八年末に岩手県側で堆肥原料の野積みが確認されまして、悪臭の発生や汚水の流出のおそれがあるということで、岩手県の二戸保健所が立入検査、報告徴収を行ったところでございますが、この調査ではRDFの不法投棄は確認されておりませんでした。また、雪解けを待って行われた翌年四月の両県の合同調査でも、不法投棄が確認されなかったと聞いております。
 先ほど申し上げましたが、両県がRDFの不法投棄を知り得たのが、青森、岩手県警の合同捜査本部が強制捜査を行った一九九九年のことでございまして、それまでは巧妙に投棄され、覆土され、隠ぺい工作がなされていたものと思われます。結果として大量のRDFの不法投棄がなされたことは、まことに残念なことだと思っております。
藤木委員 それはおかしいですよ。立入検査をするという場合は、周りを固めて、一体どういうものをどこから搬入しているのかという調べをつけて、それがそこにないということが不思議だということも指摘しなければならないんじゃありませんか。
 では、その場合、県は野積みにされたのは見たということなんですけれども、投棄の様態について国に何か判断を仰ぐというようなことはなかったのでしょうか。
飯島政府参考人 この時点で両県から、当時厚生省時代だと思いますが、そういう具体的な御相談があったとは聞いておりません。
藤木委員 それでは、国が実際にこの様態について把握をされたのはいつだったんでしょうか。
飯島政府参考人 冒頭の御質問にお答えしたと思いますが、私どもで把握しておりますのは、平成六年、一九九四年、三栄化学工業に対しまして住民から生ごみ搬入に関する苦情があった、この時点では報告を受けております。
藤木委員 この不法投棄されたRDFは、さきに挙げた約八十二万立米の一部に確かにすぎません。しかし、その他の産廃の不法投棄も徹底的に解明する必要がございます。
 青森県側には、このRDF以外に焼却灰、堆肥、汚泥などの不法投棄がございまして、現場全体が揮発性有機塩素化合物での汚染、一部の区域では約四千七百ピコグラムという高濃度のダイオキシン類での汚染が確認されております。岩手県側では、燃え殻・セメント固形物、鶏ふん、堆肥、汚泥、有機溶剤入りドラム缶、廃棄食品等の不法投棄がございまして、こちらも鉛、ジクロロメタン、ベンゼン、1・1・2トリクロロエタンが環境基準を超過しておりまして、ダイオキシンも地下水から百ピコグラム検出されております。
 これらの不法投棄に対して、二〇〇〇年六月に青森、岩手両県は三栄化学、縣南衛生に措置命令を出しましたので、三栄化学は廃油入りドラム缶二百十八本、燃え殻・コンクリート処理物約一千三百トンを撤去いたしましたけれども、依然として大部分の廃棄物が現場に残されたままになっております。
 三栄化学は八一年に、汚泥処理、最終処分の産業廃棄物処理業の許可を受け、九一年に中間処理業に堆肥化の追加許可を受けているのですから、立件されたRDF以外の廃棄物の不法投棄についても、両県の監督、監視が全く不十分であったことは明らかです。それは、不法投棄された燃え殻、汚泥、堆肥などが、中間処理施設で堆肥を製造するという名目で持ち込まれていることを見破れなかったからです。また、焼却灰を搬入しながら管理型の最終処分場は埋め立てられておりませんし、堆肥化の中間処理といいながら堆肥原料が大量に野積みされていたことに監視、監督ができなかったんです。
 ですから、産業廃棄物を共謀して不法投棄した三栄化学と縣南衛生の犯罪行為は重いのは当然のことであります。しかし、それはそれとして、三栄化学に産業廃棄物処理業や肥料製造業の許可を与えておきながら、ここまで大量の不法投棄を見過ごしてきた青森、岩手両県の監督、監視の責任も重いと考えますけれども、環境大臣、これまでの両県の業者に対する対応についてどのような認識をお持ちでしょうか。
大木国務大臣 先ほどから事実については担当部長がお話ししておりますけれども、これは大分長い時間がたっております。それで、率直に申し上げまして、その業者が必ずしも信頼すべき業者じゃないとか、いろいろと違法行為をしているのじゃないかということがありますから、その都度調査もしておりますけれども、業者の方もいろいろと言いわけをして、大変なことではないということで、そういった印象を両県がお持ちになった。両県それぞれにいろいろと事情を知られた時点、あるいは両県にあるごみの状況というのは多少違いますけれども、いずれにしても、最近では、両方共通で対処をしなきゃいかぬということで、両県の方で協議会もいろいろやっておられます。
 ということで、一言で申し上げれば、このように大きな事件が現実に起こっているわけですから、それを早く見抜けなかったということについては大変に残念であったというふうに思っております。
藤木委員 そのとおりですね。言い逃れをされたら言い逃れられるというようなことではだめです。
 縣南衛生は七六年、燃え殻、汚泥など十二種類の産業廃棄物収集運搬業の許可をとっております。翌年七七年には、廃油、汚泥、廃プラなどを焼却する産業廃棄物処分業の許可もとっております。さらに九三年には、廃油、感染性産業廃棄物、汚泥などの特別管理産業廃棄物収集運搬業と、それらの廃棄物を焼却できる特別管理産業廃棄物処分業の許可も受けております。問題の圧縮減容施設であるRDF施設は九七年十二月に設置許可を受けています。九七年十二月です。
 縣南衛生は首都圏の企業から処理を請け負っておりまして、押収した管理票や伝票などが段ボール三十箱にも上ったということでございました。管理票では、縣南衛生は百五十社以上の企業から処理を請け負っていたことがわかっていますけれども、不法投棄現場からの排出者の割り出しは困難をきわめている状況です。それでも首都圏の三十社近くの企業が突きとめられておりまして、一部は認めたというふうに言われております。
 廃棄物処理法では、たしか二〇〇〇年の法改正があったわけですけれども、不適正な処理をすることを知りながら委託した場合は、排出企業に不法投棄の撤去を命ずることができるようにここで変わったわけです。縣南衛生は、三栄化学と共謀して、ガラス片や金属片だけではなくて医療廃棄物さえ混入させてつくったRDFを、認定されているだけでも九九年四月から十一月までの間に、犯意を継続して四百五十八回にわたり不法投棄していた処分業者です。こうした処分業者に特別管理廃棄物等の処理を委託していた排出者の責任は厳しく問われなければならないというふうに考えます。
 そこで、廃棄物処理法の改正はたしか二〇〇〇年ではありましたけれども、しかし、排出事業者が廃棄物を適正に処理しなければならない責任はあるわけですから、本件の不法投棄について、二〇〇〇年以前のものであっても、当然、排出事業者の費用負担も含めた責任が厳しく問われるというふうに考えますけれども、いかがですか。
大木国務大臣 法律上は、一つ、まず排出事業者の方の責任というのは、現在もそれは現実に廃棄物が残っているわけですから、それの責任を追及するということは法律的にそのとおりで、現在でも、法律改正前であろうが後であろうが、そういったことを起こしたことについての責任ということは当然にとられなければならないというふうに考えております。
 ただ、今度は、その結果としてどういうふうに処理をするかという問題については、またこれはいろいろとあるわけでございます。もちろん、排出事業者の方で責任を認めて自分でやるということならそれはいいんですけれども、なかなかそこのところは、今度は現実に一体だれがどこまでということになりますと、やはりそれに必要な資料と申しますか証拠と申しますか、そういったものを集めなきゃいけませんから、これはなかなか難しいということになります。そうしますと、ある程度はやはり県の方で代執行的な処置をしなきゃいかぬということになりますから、これについてはどこまでできるかということはまた別でありまして、ですから、法律が改正になりました以前と以後のものについては、やはりこれは当然分けて考えざるを得ないということであります。
 ただ、これからの問題について、どういうふうに全体として対処するかということにつきましては、いろいろと両県ともお話をしてまいりたいと思いますけれども、今の代執行でそのための費用を国がどうするかという問題、それに限って申し上げれば、法律改正前のものと改正後のものについてはやはり対象が違う、こういうふうに言わざるを得ないと思います。
藤木委員 次に、不法投棄の現場では、青森県側が現場全体でベンゼン、ジクロロメタンで汚染をされておりまして、一部で非常に高濃度のダイオキシン類が検出されています。今のところ、汚染は現場内にとどまっているのではないかということでございました。
 ただし、田子町では、以前上水道水源として使用していた井戸の電気伝導度が毎年上がってきておりまして、現在、四百ないしは四百五十前後で推移しておりまして、現場からの影響であろうと推測しているそうでございます。また、現場西側のがけ下には地すべり地形がございます。地形が大きく落ち込んでいるのを私も見てまいりました。現場内にも小さな地すべりが存在する可能性が指摘されていて、そこから汚染水が地下深部に拡散、浸透していく可能性も指摘されております。
 そこで、青森県は、封じ込めによる汚染拡散防止対策を先行的に実施していく、そのことが必要不可欠だというふうに主張しているわけですね。さらに、現場からの汚染水を処理するための水処理施設をつくること、高濃度ダイオキシンに汚染された廃棄物を別途に処分することなどを検討しております。
 一方、岩手県側では、現場内の井戸から、ジクロロメタンで八百倍、亜硝酸性窒素で四・九倍が検出され、ダイオキシン類も七・三倍検出されております。そこで、岩手県では、特別管理産業廃棄物、有害物は原則撤去、廃プラ類や廃食品などは、影響の度合いに応じて、撤去、現場での浄化等の手法を組み合わせる対応を検討しております。
 当初、青森県は不法投棄廃棄物の封じ込めを考えておりまして、岩手県は全量撤去という主張でしたけれども、ことしの四月、青森・岩手県境不法投棄に係る合同連絡会議がつくられ、そこでは、県境があるだけで現場は一つだ、両県一体で取り組まないと効果が上がらないという厳しい指摘がございました。そこで、応急対策として遮水壁などで封じ込めること、恒久対策として有害で生活環境に影響のある廃棄物の撤去という方向で検討が進められているような感触を私は受けてまいりました。
 そこで、さきの合同連絡会議でも、田子町の中村町長がこう言っております。基本的なスタンスとしては何と申しましても原状回復、すなわちもとの姿に戻してもらいたいということを強く希望しています、六十七万立米の廃棄物を全量撤去してもらいたいという強い要求となっていますと意見表明をしておられるわけです。
 そこで、当面、応急対策は緊急にとらなきゃならないというふうに私も思います。しかし、基本的には不法投棄の原状回復をすべきであろうというふうに思うのですが、大臣、いかがですか。
大木国務大臣 実は、本件につきましては、青森、岩手両県の方々、いろいろな方々が来られまして、知事さんを含め、あるいはお地元の市会議員とか、あるいは関係の国会議員の方からもいろいろと御意見をいただいておりますが、今お話がございましたように、恒久的というか最終的にどうするかという話と、今とりあえず実害があることを防がなければいかぬというようなこともいろいろあります。
 それは、抽象的に申し上げれば全部撤去するのが一番望ましいわけですけれども、それはなかなかできないということですから、例えば危険物については、早くその危険を除くために、それは封じ込めをするのかあるいは焼却するのか、いろいろな方法があると思いますから、そういったものを組み合わせてどうするかということで、ここのところ私どもも、ほとんど連日いろいろな御意見を地元からもいただいております。しかもまた、両県でもいろいろとお話をしておられますから、私どももそういったお話し合いに参加をして、順番に、緊急性も考えなきゃいけませんし、最終的なことも考えなきゃいけませんから、両方をこれからひとつ処理してまいりたいと考えております。
藤木委員 青森県は、遮水壁などでの封じ込めによる汚染拡散防止対策は先行的に実施していくということが必要不可欠だ、こう主張しているんですね。
 ところが、日本科学者会議青森支部の現地調査によりますと、現地が浸出水の地下浸透が容易な火山灰土壌の堆積地であるということをとっても、はかり知れない量の廃棄物を遮水壁で封じ込めることは不可能だ、こう言っているわけですね。合同連絡会議でも、岩手大学の工学部の斎藤先生は、完璧な遮水というのは無理で、断層とかクラックがあるのでしたら、当然、部分的には漏れるということを考えなければならないと述べております。
 ですから、封じ込め対策で事実上現地に放置されるということになりますと、汚染物質が浸出水に溶け込んで、馬淵川と地下とに流れ込んで、八戸を初めとする青森県南地域及び二戸など岩手県北地域三十万余りの人の飲み水になるわけですね、上水道水源を汚染するということになります。そのほかにも、地域の自然環境や生活環境を破壊しかねない、そういう問題であります。
 しかも、合同連絡会議で信州大学工学部の藤縄先生は、ダイオキシン類は油に溶けるという性質があり、地下水中を移動するということがわかってきた、観測井戸でベンゼンの濃度型が高いところがダイオキシン濃度の高いところと一致している、ですから、できるだけ早い時期にダイオキシンに汚染されている廃棄物は撤去することが望ましい、このように述べておられます。
 ですから、遮水壁などでの封じ込め対策で、事実上現地に不法投棄産廃を放置するということにならないようにすべきだと思います。ですから、恒久的には産廃の全量を撤去して、県境の自然環境を守ることと、それから生活環境を守るということをすべきだと考えるのですが、もう一度お答えをいただきたいと思います。
大木国務大臣 今も申し上げましたけれども、要するに、緊急にやらなきゃいかぬことと、恒久的にどういうことをやるのが望ましいというか必要であるかということと、二つあると思うのでございますけれども、人体に直接、しかも明らかに害があるというようなことについては、これを阻止しなきゃいかぬということでございますから、そういったものについては、緊急に協議いたしまして結論を出したいというふうに考えております。
藤木委員 次に、不法投棄の責任問題です。費用負担の問題ですね。
 不法投棄の責任は、当然、共謀した三栄化学と縣南衛生にあることは明らかです。そして、そういう違法行為をするような産廃業者に委託をした排出事業者の責任、そして、そのような産廃業者に業や施設の許可を与えながら監督、監視を怠った両県の責任は免れないと考えます。
 そこで、この不法投棄の量が約八十二万立米ということで、先ほど撤去費用が四百億円以上と私は言いましたけれども、豊島の例では、約五十万立米を処分するのに二百数十億円もかかっているというふうに聞いております。
 ところが、既に三栄化学は解散しておりますし、縣南衛生は破産が決定しておりまして、岩手県が差し押さえた三栄化学の預金一億五千五百万円のほとんどは、これまでの撤去費用に充てております。ですから、あと残っているのは、差し押さえた一億一千万円ほどの不動産だけだと伺いました。また、ボーリング等の調査は、青森の県費で現在は行っている状況でございます。ですから、あとは管理票で明らかになっている百五十社以上の排出事業者の費用負担をどれだけ拠出させられるのかということになるわけですけれども、実際は青森、岩手両県が大部分の費用を負担することになるのではなかろうか、こういうふうに私は思います。
 そこで、不法投棄の原状回復支援措置については、九八年六月以前の不法投棄に対する措置として、補正予算による三分の一の補助、それから、九八年六月以降の不法投棄に関する措置としては、適正処理推進センターによる四分の三の補助というのがございます。ですから、国は、不法投棄の原状回復のためのボーリング等の調査費や遮水壁などの汚染拡散防止費、有害物の撤去・処理費などの支援措置を、国庫補助の補助率の引き上げも含めて積極的に支援を検討すべきではないのか、このように思いますが、大臣いかがでしょうか。
大木国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、補助率につきましては、現実にどういう時点でそういった不法行為が行われ、そしてその結果としてごみができたということについては、その処置をするための補助率ということでありますから、全く法律的に申し上げれば、やはりいつそういった事件があったかということに基づいてその補助率も決まっているわけですから、非常に困っているから今すぐに補助率を変えろと言われても、なかなか難しいわけであります。
 ただ、責任を問うということについては、やはりこれもできるだけ、その責任を問うためには、それに必要な資料と申しますか証拠と申しますか、そういったものを収集しなきゃいかぬ。そういうことにつきましては、私ども、実は、もともとごみを出した事業者というのは、むしろ青森や岩手県ではなくて関東地方じゃないかというようなこともありますから、そういったことについての資料というものもできるだけ収集して、そして実際のごみをつくった排出者の方の責任というのは引き続き強く求めてまいりたいと思います。
 ですから、今の国としてどうするかという話につきましては、もちろん、まず第一にやれることは、やはり責任ある人に、きちっとどこまで責任がとれるかということをできるだけはっきりと言えるような体制というものをつくりたいということで、いろいろと関係方面、特に関東地方の方のいろいろな関係者にも御協力をいただきまして、そういったところにひとつ今努力を集中しておりますけれども、最終的にどういうふうにするかということは、今申し上げました、今の法律でいえば、やはりそれぞれのごみが生じたことに基づいてどういう補助率が考えられるかということでございますから、今直ちにそれを変えろと言われても、これはちょっと難しいわけでありますが、全体としては、青森県あるいは岩手県が非常にお困りでございますから、どういう協力ができるかということは、今申し上げましたような、排出者の責任をもう少しきちっと追及するということを含めて、私どもとしても協力してまいりたいと考えております。
藤木委員 排出事業者の責任を問うというのは、これはもう当然のことであります。
 今大臣は、国は何の責任もないけれども、よその県からも入っていったごみでもあるし、その業者だけではなくて、他府県にも何かの支援策を求めるかのようにとれるような御答弁をされたように私は思うんですけれども、いや本当にそれでいいのかなという気がいたしますよ。
 縣南衛生は三栄化学と共謀して粗悪なRDFを不法投棄したわけですが、そもそもこのRDF施設をダイオキシン対策として大々的に持ち上げたのは政府自身の施策なんですよね。縣南衛生は、この政府の施策のいわばしり馬に乗って、九七年の十二月に七億円ものお金をつぎ込んでRDF施設をつくったわけです。これが失敗して不法投棄につながったことはさきに述べたとおりです。
 そもそも、ごみが石油になどと宣伝されたわけですからね。そういってRDF施設が脚光を浴びたのは、九七年一月のごみ処理に係るダイオキシン類発生防止等ガイドラインであります。ここでは、RDFによる広域化として、ごみをそのまま焼却する場合に比較して、ごみを適正にRDF化すると、質が均一化されるため燃焼管理が容易になる、また、RDFは比較的長期間の保管が可能であり、個々のRDF化施設で製造したRDFを一カ所に集約して、燃料に使用したり焼却することができる、このような特性からRDF化施設の導入が有効であると明記したころからのことなんです。百トン以下の小型の焼却炉は廃止をしてRDF化施設を導入して、結局このRDFを大型の全連続炉に搬入して燃焼するか、あるいはRDFを燃料として活用するごみ処理の広域化イメージを描いてこられました。
 そして、九七年の五月には、この新ガイドラインに基づく広域化計画の策定を都道府県に指示しております。広域化計画の内容として、RDF化施設も含んだ整備計画の策定、RDF化及びその利用等の過渡期のごみ処理方策の検討、RDFを活用する場合の利用先の確保などを各ブロックごとに策定するように指示を出しておられます。ですから、九八年度以降のRDF化施設の国庫補助対象事業というのは、件数が急増しているのを見てもわかります。
 そこで、環境省に伺いたいんですが、都道府県が策定した広域化計画でのRDF化施設の整備状況はどうなっているか。国庫補助対象事業によるRDF化施設の整備状況はどうか。RDF化施設の許可件数の状況、また産業廃棄物処分業としてのRDF化施設の許可状況についてどうなっているのか。九八年以降に限って、簡潔にお述べをいただきたいと思います。
飯島政府参考人 廃棄物処理施設整備費の補助を受けまして市町村が整備したRDF化施設の数は、着工ベースで申し上げますが、九八年度四施設、九九年度四施設、二〇〇〇年度十施設、二〇〇一年度十三施設となっておりまして、都道府県において広域化計画が策定中でございました十年度を除き、すべて広域化計画に基づくRDF化施設となっております。
 なお、一般廃棄物のRDF化施設を民間が設置する場合には、処理能力一日五トン以上の場合には許可を必要といたしますが、許可件数については承知をしておりません。
 また、産業廃棄物のRDF事業も同様でございます。許可を要することになりますけれども、許可件数については承知しておりません。
藤木委員 今御答弁がございましたように、各都道府県の広域化計画におけるRDF化の状況は、広域化計画を策定している百二ブロックのうち、既にRDF化をしているのが十三ブロック、RDF化計画を持っているのは四十一ブロック、また、RDF化を選択肢として検討しているというのは四十八ブロックとなっております。
 例えば、九七年十二月に策定した北海道ですが、ごみ処理の広域化計画では、三十二ブロック中、札幌を初めとする十七のブロックでRDF施設の整備について検討する計画になっております。ですから、こうした政府のRDF施設による広域化政策の推進の中で、縣南衛生は九七年十二月、七億円もつぎ込んでRDF施設をつくったわけですね。しかし、RDF化でのダイオキシン対策や利用先の確保が不十分なまま、安易に稼働したのではないかというふうに私は思いますね。
 ですから、そこには、国のRDF化の促進政策に乗って産廃業者に施設の設置許可を与えた県の甘い判断があったのではないでしょうか。許可申請書に利用先の計画が記載されていれば、許可業者への追加施設の許可は特に問題はない、県当局に伺ったらそのようにお答えになっておられました。それで許可権者の責任が免れるわけではないと私は思います。
 ところが、九七年末に、RDF化施設での製造工程からダイオキシン類が発生するということが明らかになりました。さらに、九八年四月ごろには、大阪能勢町の豊能美化センター敷地内の土壌から八千五百ピコグラムが検出されたり、兵庫県千種町の宍粟環境美化センター処分場の土壌から六万四千ピコグラムが検出されるなど、ダイオキシン問題が深刻化する。こういった中で、RDFを固形化燃料として商品化することを縣南衛生は断念したわけです。
 ですから、青森、岩手県境の産廃不法投棄の責任では、業者や県当局だけの責任ではなくて、RDF化施設の促進政策を掲げたことで産廃業者を安易な施設づくりに走らせた政府や、許可を与えた県の責任も当然にある、私はこのように考えます。
 そこで、国は原状回復のための費用負担も積極的に支援する責任の一端を、極めて重い責任の一端を持っているのではないか、このように思いますが、大臣、いかがですか。
大木国務大臣 RDFの施設をつくってそれを活用するということ自体は、それは、今のダイオキシン類の削減対策ということでそれなりの目的があったわけでございます。ただ、結果として、それを悪用されて今のような非常にいろいろな問題が起きているわけでありますから、それは、後から振り返ってみて、いろいろと都道府県も、あるいは環境省も、そこまでは見通ししなかったと申しますか、ですから、それについて反省しなきゃいけないと思っています、どういうふうにするかということは。
 ただ、そういうものをつくったからすぐに、その理由によって責任があるから、今度の処理についても、そういうことから、そういう理由で、そういう考え方でいろいろと補助の方法を考えろというのは、これはちょっと別の話だと思いますので、私は、その御意見は御意見としてお聞きしましたけれども、私としては直ちにはちょっと賛同できません。
飯島政府参考人 補足して説明させていただきます。
 一般廃棄物のRDF化施設は、先ほど申し上げましたように、厚生省時代に平成九年に通知を出しまして、ダイオキシン対策の一環として、RDF化施設も一つの選択肢として求めたところでございます。しかし、この場合には、補助の対象とすることもございますので、そのRDFの利用先は必ずはっきりさせていなければ、これは補助をしておりません。ですから、このような事件とは全く関係のない世界でRDFの推進をしたわけでございます。
 産業廃棄物の処理の問題でございますが、当時の厚生省がそういう通知を出したからと先生おっしゃいましたけれども、産業廃棄物の処理というのは事業者責任でございますので、RDFを処理の方法として採用するかどうか、それは排出事業者がみずからの責任で判断すべきものでありまして、当時の厚生省、今の環境省として、特定の方向に誘導しているものではないということを申し述べさせていただきたいと思います。
藤木委員 それがやはり問題だと思うんですね。
 一般廃棄物は、国の施策で、補助事業でもあるし、そこまでの網をかけた。しかし、産廃については実際には野放しなんですよ。この制度は活用できるわけですよ。業者の責任といいますけれども、その責任をきちんと追及できる、そういうシステムをつくっていたのか、そこが問われているわけですよね。
 その野放しだということを今私は問題にして申し上げているんですが、それはどうですか。厚生省から環境省に変わって、これを引き受けることになったわけですが、どうお考えですか。
飯島政府参考人 産業廃棄物処理の世界は排出事業者責任と申し上げました。現在、平成九年、平成十二年の法改正で排出事業者責任の徹底を行っているところでございまして、まさに今、こういった悪いことをする許可業者はどんどん許可の取り消しをしているところでございます。
 現在、産業廃棄物の処理業の世界というのが、構造改革の時代といいますか、物すごく変化をしております。そういった形で排出事業者責任を徹底することによりまして、産業廃棄物処理業者を、優良業者の育成をしていこうというふうに転換しているところでございまして、環境省としてRDFを勧めたという事実が全くないということを申し上げただけでございます。
藤木委員 全く勧めたことがないからうちの責任ではないんだというようなことでは済まない問題なんですよね。起こったことには、やはり国として責任を問うという立場が大事だというふうに私は思います。
 それから、九八年度以降、RDF化施設の国庫補助対象事業数というのは急増したというのは、先ほどの御答弁にもあったとおりなんですけれども、二〇〇二年の三月末現在で、一道十四県で三十七の自治体、施設組合が国庫補助を受けております。また、ごみ燃料化施設の許可件数は、九七年度に十四件、九八年度に二十三件、九九年度に三十件と確かに急増しております。
 しかし、RDF化施設でごみを乾燥する工程などでダイオキシン類が発生するということが九八年ごろから問題になりましたよね。九八年から九九年にかけて調査をした財団法人廃棄物研究財団がこう述べております。「RDF施設におけるダイオキシン類の生成に関する研究」という中で、乾燥機出口からの排ガスのダイオキシン濃度は、実機と書いておりますけれども、実用機の二施設ではそれぞれ〇・二六ナノグラム、〇・一四ナノグラム、実証施設の一施設では〇・一三ナノグラムの測定結果が出されております。また、A社からG社までの七社のダイオキシン類の排出量を比較いたしますと、B社は〇・一六六七ナノグラム、C社は〇・五五ナノグラム、G社は〇・一八〇ナノグラムなどという結果が示されているわけです。
 製造されたRDFを燃焼した場合のダイオキシン発生対策の問題もございます。さらに、製造したRDFの利用先の確保、これも大変大きな問題でございます。実際、RDFの四分の一ないしは三分の一程度をみずから燃焼して乾燥などに利用しているということになっておりますけれども、では、残りの七割程度の利用先はどうかというと、これに苦慮しているというのが実情ですね。
 利用先は、品質が均一でないということだとかダイオキシンの発生などの問題もありますので、一部に、RDF施設の近くのセメント製造の助燃材などに処理してもらっているというところもございます。RDF施設を設置したプラントメーカー関連の還元材ということで利用してもらっているところもありますけれども、残りは結局どうなっているか。減容化したRDFを最終処分場に処分しているというのが実態なんですね。ですから、巨額の設備投資と生産コストをつぎ込んで処分場に捨てるだけ、こういったことをやっているわけですよ。
 一方、環境省にお尋ねをしましたら、今もお答えになりましたけれども、産業廃棄物処理施設としてのRDF化施設の許可件数もわからなければ、ダイオキシン類の排出状況もわからない。RDFの製造や利用先の確保の状況などの実態というのは全く把握していない。こういう状況でいいのかという問題ですよね。こうした政府の無責任さが、結局、青森、岩手県境のRDFなどの不法投棄事件を引き起こすことになったんじゃないですか。
 ですから、政府は広域化計画などでRDF化施設の促進というのを指導しておりますけれども、RDFの利用先の確保だとかRDF施設でのダイオキシン類発生対策が不十分なままで促進されるということになりますと、私は、青森、岩手県境のRDF不法投棄事件のような第二、第三の事件が再び起こりかねないというふうに思います。ですから、安易なRDF化の促進政策を抜本的に見直すべきであろう、このように考えておりますが、大臣の御見解を伺いたいと思います。
大木国務大臣 もう先ほどから申し上げましたように、RDFの施設をつくること自体、それ自体は決して悪いことではない。ただ、それぞれそれをどういうふうに使うかという話は都道府県の方で御判断してくださいということでしていただいたわけでございますけれども、その結果としていろいろと悪用された、先ほどからの藤木委員のお話はそういうふうに私は理解しておるのです。
 悪用されたにしろ、どういう理由であったとしても、悪用されていろいろ問題があれば、それは当然、私どもとしては、環境省としてそれに対してどういう対策を考えるかということは考えます。ですから、それからの話はこれから、まずは青森、岩手両県で、とりあえず緊急にやらなきゃいかぬこと、それから最終的にどうしようかということ、両方御検討しておられますし、私どもも一緒になって今検討しているところでございますから、そういった全体の姿の中でまたRDFの問題も考えさせていただきたいと思います。
藤木委員 悪用を防止できないような法律では困るんですね。
 それで、前回の質問者に対して大木大臣は、現地にも行ってみたい、このようにおっしゃっていましたけれども、もういらっしゃったんでしょうか。
大木国務大臣 一応、計画をつくりまして、今月、間もなく行こうと思っておりましたけれども、ちょっと国会の方の都合がありますので、残念ながら行かれませんので、少し延期しておりますけれども、できるだけ早い機会にお邪魔したいと思っております。
藤木委員 私は、国にも大きな責任があるのだというその立場で、その目でぜひ現地に行っていただきたい。できるだけ早い時期に行っていただいて、そして今、現地も非常に困っているわけですから、いろいろな合同会議に環境省としても入っているということでございますけれども、積極的に責任を果たすという立場でこの問題に対処していただきたいということを強く申し上げて、質問を終わらせていただきます。
大石委員長 金子哲夫君。
金子(哲)委員 社会民主党・市民連合の金子でございます。
 私、きょうは水俣病にかかわる問題について質問をさせていただきたいと思います。
 私、広島におりまして、今広島でも、例えば原爆被爆者援護法にかかわって、医療特別手当の支給をめぐって、被爆者の認定というものが行われておりますけれども、これも最近、今まで行われている認定問題について、どうも被爆者の側に立っていないんではないかというようなこともありまして、大量に認定申請をしようということが出ております。今回、水俣病の問題についても、少しそういう観点から、本当に患者の側といいますか、そういう認定申請を行っている人たちの立場に立った行政というものが本当に行われているだろうか、そんなことを思いながら質問をさせていただきたいというふうに思います。
 具体的な問題に入ります前に、幾つかお伺いをしたいと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、被爆者の認定作業においても、判断基準といいますか、その基準というものが常に問題になるわけでございます。被爆問題でも、五十七年たってという問題もありまして、なかなか問題になるわけでありますけれども、水俣病については、私の知る限りでは、昭和五十二年、一九七七年に判断条件が出されて、その判断条件に基づいて認定作業が行われているというふうに理解をしておりますけれども、この判断条件というものは、医学的な見地といいますか、そういった点はどれだけの正確さを持っているのか、その点についてどのような基準というふうに判断をされているのか、その点についてまずお伺いしたいと思います。
岩尾政府参考人 水俣病の医学的審査についてのお尋ねでございますが、ちょっと歴史的な経緯を踏まえてお答えさせていただきます。
 昭和三十一年に、水俣奇病ということで、原因がわからない状態で報告されたわけでございますが、昭和三十四年の十二月に当時の厚生省が診査協議会というのを設置して、原因不明ですから、その症状から、その病像をもとに病気というものを特定していった経緯がございます。これは、昭和三十六年の四月に診査協議会が県に移管され、県は三十九年の四月に条例で患者審査会を設置しております。
 昭和四十四年になりまして、公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法、いわゆる旧救済法が法律で制定された時点で、熊本県と鹿児島県に認定審査会が法的に設置されました。この後、昭和四十六年に環境庁の事務次官通知におきまして、病状を列記した認定の要件というものを示し、これに基づいて関係県市が認定を進めてきております。
 この当時までは典型的な例がほとんどでございましたので、このような症状をもとに認定をしていたわけでございますが、昭和四十八年になりまして、水俣病第一次訴訟でチッソが敗訴する、そして判決が確定するという……(金子(哲)委員「いや、できれば五十二年の判断基準、現在のことを先に答えてください、時間の問題がありますから」と呼ぶ)はい。
 そして、患者がその四十八年当時からふえてきたということがございまして、また非典型例もふえてきたものですから、そのような状況の中で、水俣病患者の迅速かつ公正な保護を図るために、医学関係者の専門家による検討成果として、昭和五十二年でございますが、五十二年に環境保健部長通知で、後天性水俣病の判断条件というものを定めたという経緯でございます。
金子(哲)委員 その経緯は私が今申し上げたわけで、その判断条件というのは今もって医学的な見地としては間違いなくすべての、例えばメチル水銀被曝に起因する健康障害などにかかわってはすべて包含をしている判断条件として認められているかどうかということだけ端的にお答えください。
岩尾政府参考人 五十二年の判断条件は、当時の医学的知見をもとに定めたものでございますが、この判断条件、その後昭和六十年に開催されました水俣病の判断条件に関する医学専門家会議におきましても、判断条件は妥当であるというふうに述べられておりますし、平成三年十一月の中央公害対策審議会答申におきましても、この判断条件に変更が必要となるような新たな知見は示されていないという結論は得ております。
    〔委員長退席、奥田委員長代理着席〕
金子(哲)委員 それでは、次にお伺いしたいと思いますが、最近しかし、さまざまな学会などでもこの判断条件についていろいろ意見が出ているというのは御承知だと思います。今すべてを正しく判断されているということですが、例えば日本精神神経学会などが学会誌等で、この医学的根拠となるデータは存在しないで、同判断条件は非科学的な机上の空論だというような厳しい批判も出ているように聞いておりますけれども、そういったことに対してはどのようにお考えでしょうか。
岩尾政府参考人 当時の判断条件の策定に当たりましては、臨床、疫学の両面から具体的に判断条件の整理を行うために、関係県市において認定審査会の委員でありました水俣病の医学専門家から成る検討会を組織いたしまして、当時の環境庁でも検討しております。専門医の学識、それから検診・審査経験及び臨床経験をもとに、水俣病であることが否定し得ない場合の内容を具体化して、その判断条件として示されているところでございます。
金子(哲)委員 ということは、今さまざまな学会で出ているような見解は環境省としては受け入れがたいということですね。
岩尾政府参考人 水俣病の病像について、特に最近といいますか、今、関西訴訟と通常言われております訴訟がございますが、その中でも病像論について議論がなされておりますが、環境省としては、これまで収集された多くの水俣病の病理的な知見から、水俣病に見られる感覚障害の原因というのは、中枢神経と末梢神経のいずれか一方だけという傷害ではなくて、両方の傷害が関与しているというふうに考えております。
 いわゆる末梢神経説というのは、水俣病に係る多くの訴訟において原告が主張していたものでございまして、中枢神経説というのは、水俣病関西訴訟の控訴審において原告が初めて主張した説というふうに理解しております。
金子(哲)委員 その際、国の場合には、四肢末端に出てくるのが特異的な症状だということが言われておりますけれども、今中枢神経の損傷が原因で全身に出てくるのではないかという意見が出ているということについてはどのようにお考えでしょうか。
岩尾政府参考人 もともと有機水銀の症状が特に神経系を侵すということが言われておりまして、それが脳に蓄積し、また末梢にまで及ぶということで、判断条件が当時できたということでございます。
 したがいまして、神経系の障害が出てくるということが主体でございますが、それが水俣病という病像においては中枢にも末梢にもあらわれてきたというのが専門家の判断というふうに理解しております。
金子(哲)委員 この関係について最後にもう一つお伺いしたいと思いますけれども、昭和五十二年の判断条件ということが、かなり古い時代の、二十五年前の判断。古いからどうこう言うわけではありませんけれども、その後は新たな医学的な見解とか研究とかが進んでくるわけですけれども、そういったことに基づいて判断基準を変更するとか、そういったことは想定は全くできない、ありませんか。
岩尾政府参考人 出てくる病像が、知覚障害を主体とする、またさまざまな自覚症状を中心とするものでございますので、なかなか数量的な検査をするということの難しさがございます。したがいまして、例えば電気的に何か調べるですとか、そのようなことができたとしても、結果としては、それが感覚障害があるのかないのかという医師の判断に最終的にはなるかと思いますので、そのような意味での知見というのは、現在、その五十二年、それから六十年、その後何度か委員会で検討されて、現在の形で残っているものの域を超えないということでございます。
金子(哲)委員 私は限定して申し上げるつもりはありませんけれども、基本的にこういう問題、先ほど私最初に申し上げました原爆症の認定問題もそうですけれども、それは私は被害者の側に立って本来あるべきだというふうに考えております。
 そうしてみますと、もっと被害者の側に立ってこういう判断基準についても変更し、より被害者を救済していくという方向に本来あってしかるべきだ。二十五年間も何も変えない、しかもずっと申請は出てくる、また裁判でも係争されるというような事象が出てきていることについては、行政の側としては、もっと被害者を救済する方向に検討して、改めるべき点は改めるというのが私は行政のあり方だと思うんですけれども、その点についてはどうでしょうか。
岩尾政府参考人 環境汚染によって起こされた疾病ということでございますので、汚染がなくなった時点でどの程度まで新規あるいは患者さんが発症するかということの問題はあるかと思いますが、通常の認定業務、三十一年に公式発見され現在まで来ているわけでございますが、結果として、認定審査会という臨床症状で見ている中で、そのときそのときの症状が水俣病であるかどうかという判断を先生方が行っておりますので、少なくとも、現在症状を訴えられている方々というのが、過去の暴露のせいなのか、それとも何か年齢を重ねたことによる変化なのかというような問題もあるかと思います。
 したがいまして、先生方には大変難しい判断を強いているところでございますが、私どもとしては、現在の判断基準で妥当というふうに考えております。
金子(哲)委員 今部長がおっしゃったとおり、年数がたったと。被爆者の認定問題でもそうですけれども、例えば被爆者の場合、出てくる症状はがんであったり白血病であったりするわけですね。それは高齢になれば出てくるということで、結局、年数がたてばたったということで、一般症状と変わらないじゃないかというようなことで救済が少なくなっていくという問題があるわけです。
 だから、確かに特異な存在として顕著にあらわれない場合であっても、それに疑わしきは救済をしていくような方向というものを、私は、年数がたっておればたっておるだけに、高齢化しておれば高齢化しているだけに、そういう方向というものを目指すというのが行政のありようだということを重ねて申し上げておきたいと思います。
 二〇〇一年十月二十九日に出された、行政不服審査請求に対する請求棄却の裁決にかかわって、次に質問したいと思います。
 この点について、まず、この事案というのは二つの大きな問題が私はあるというふうに思っております。申請をされて約三年足らずで御本人がお亡くなりになった、死亡された、そして死亡されたためになかなか直接的に判断する材料がなかったということと、もう一つは、非常に長期間、熊本県が認定審査を判定を出すまでに期間が、七四年に最初に出されて、最終的に出たのは九五年ということになれば、二十一年間もこの認定審査が行われなかったという、長期にわたる期間の問題等がありますけれども、まず最初に、今回の問題で、最終的に行政不服審査請求の判断の中に、結局は認定するに足る資料が得られなかったために、原処分を取り消すべきものとは言えないという最終的な、そのほかにも条件がありますけれども、大きな要因の中に、そういう資料がなかったんだということになっているわけですね。
 そうしてみますと、七七年の七月一日に亡くなられて以降、熊本県がその死亡者に対してのカルテの入手についてどのような努力をされたとお聞きでしょうか。
岩尾政府参考人 先ほども申し上げましたが、当時は大変認定申請者が増加しておった時代でございまして、したがいまして、県の方針としては、なるべく生きている方を早く救済したいということで、生きている方を主体に検診したというふうに聞いております。
 したがいまして、そのような累積する申請者のうちの生存者を優先的に審査したと聞いておりますが、検診未了の場合であっても、カルテなどを取得して申請に係る処分をした、死亡したとか、あるいはその後の解剖をしたかどうかとかいうようなことを調べて処分を行ったという例があるというふうには聞いております。
金子(哲)委員 それはちょっと環境省としての発言として、私はそういう発言で認知することはできないと思います。
 確かに件数が多かったのは間違いないですけれども、七六年の末に出された熊本地裁の判決で、そういう件数が多いために熊本県の認定作業がおくれたという不作為は違法という判決が出ておりますね。そして、それを受けてと思いますけれども、七七年の七月一日に当時の環境庁の環境保健部長通知というものが出されて、この中で明確に、認定申請後、審査に必要な検診が未了のうちに死亡し、剖検も実施されなかった場合などは、臨床医学的知見についての資料を広く集めることとしという環境庁の当時の部長通知というものが出されて、そういうことに対して対処しなさいという通知が出されていたわけでしょう。これはその通知が守られていなかったんじゃないですか。
岩尾政府参考人 御指摘の昭和五十二年七月一日付の通知で、先生の御指摘の点が発出されております。しかしながら、被処分者の死亡当時、先ほど申し上げましたが、熊本県における未処分者が四千件以上に上ったということで、県においては生存者を優先して認定事務を進めていたということでございます。したがいまして、これらの通知が履行されていないというふうには必ずしも言えないのではないかというふうに思っております。
金子(哲)委員 それはおかしいんじゃないですか。そういう四千人とかたくさんの人がいらっしゃるから、そのために生きていらっしゃる方を優先的にする、だから死亡された場合にはおくれる場合がある、だからできるだけ早くそのカルテなどを入手して、後で判断するための資料をきちっとしておきなさいという趣旨がこの七月一日の保健部長通知の趣旨じゃないですか。
 そもそも、趣旨が何だったかということを環境省として今どう認識されているんですか。
岩尾政府参考人 当時の通知の中では、認定申請後、審査に必要な検診が未了のうちに死亡し、剖検もされなかった場合などは、暴露状況、既往歴、現疾患の経過、その他臨床医学的知見の資料を広く集めろということを言っておりますので、そのような努力はしていただいていたものというふうには理解しておりますが、先ほども申し上げましたように、まず生きている方々の救済をということで、県が限られた人数と時間の中で作業していたというように理解しております。
金子(哲)委員 少なくとも、この件に関しては、熊本県はこの保健部長通知を実行しなかったということは認めるわけですね。
岩尾政府参考人 当時の問題はあるかと思いますが、その後、大分遅くはなりましたけれども、平成に入りまして、県が病院調査等々をしたということは聞いております。
金子(哲)委員 私が聞いているのは、この保健部長通知が実行されたかどうか。平成に入ってやったというのは何年後ですか。十七年後じゃないですか。部長も専門ではないかと思いますけれども、病院のカルテが大体何年間保存されるのか、十分御承知でしょう。十七年間たって資料収集に行ったって、その資料がないということは明らかで、そんなものはただ形式的にやったということにならないですか。それを、十七年後にやったから、十分にこの通知を受けて処理をしたというふうに判断されるんですか。
岩尾政府参考人 この被処分者のケースにつきましては、確かに病理の解剖などはしておりませんが、申請して死に至るまでの三年間に、眼科とか耳鼻科などを受けていたということもありますので、神経内科が未受診だったということが最大の問題でございますが、そのようなものをもとに当時の県の状態を判断して、結果として遅くなってしまったということではないかというふうに思料しております。
金子(哲)委員 しかも、なおかつその上に、翌年の七月三日には環境事務次官通知を出して、さらにこのことを指示して、いつまでも申請者を法的に不安定な状態に置き、行政庁に対する不服申し立ての道を閉ざすがごときことのないように所要の処分を行うことということをあえてさらに一年後に事務次官通知まで出して、こういう事案に対しての対処方をしているわけでしょう。
 そのことからして、環境庁のそういう指導に対して、少なくとも熊本県はこの事案については適切に処理していなかったというのは明らかじゃないですか。
岩尾政府参考人 昭和五十二年当時の話を私の資料をもとに申し上げますと、申請患者の増大で、当時六千人を超える申請者がおったということで、県としては、県議会が、当時機関委任事務でございますが、これを返上しようというような動きもあったということがございます。
 したがいまして、公害の認定審査における業務をどのように県の事務としてやっていただくかというようなことに、国と県の関係も大変腐心していたというように思いますので、当時の県の問題、また国の立場としても、最大の眼目が、未検診者をどのように処理していくか、また、それが生きている方々をどのように早く救済するかということにあったということを御理解いただきたいというように思っております。
金子(哲)委員 いや、それは努力されたことを全部否定しているわけではなくて、わざわざ部長通知も出し、そして事務次官通知まで出して、死亡された場合のことについてあえて触れて通知を出していながら、それが履行されなかったために不利益をこうむった人がいるとしたら、それは重大な問題じゃないですかということを申し上げているわけです。
 では、死亡された方で、すぐに短期間のうちにカルテを取得されて審査を受けたという事例はないんですか。
岩尾政府参考人 正確な数等々はわかりませんが、死亡時のデータですとか、あるいは解剖所見なども取得して、認定に係る処分を行ったという話は聞いております。
金子(哲)委員 それは、できた場合とできない場合があったら、やっていただかなかった人はやはり不利益をこうむったということになるのは当たり前じゃないですか、その当時の事情がどうあれ。それは一人一人の問題として考えなければ、六千人いても六千分の一ですから、一人の問題として考えなければならないので、この人のケースの場合には、残念ながら適切な措置をとらなかったために、今現在資料がなくて、その判定ができないということで却下をされているわけですね。そのことの問題についてはどのようにお考えなんですか。そのことだけ聞いているわけですよ。
岩尾政府参考人 先ほど申し上げましたが、昭和五十二年という時代の中で、特に国、県でさまざまな水俣病の認定に係る問題があったので、部長通知ですとか事務次官通知などが発出されたという背景を考えますと、県の方としても、先ほど言いました検診未了のようなケースでも、カルテの取得などに努力したということはあるかと思いますが、確かに六千人のうちの一人だという先生のお話、まことにごもっともでございますけれども、当時の行政として個別の事例についてどうであったかということ、今考えれば、きちんとやっておかなければいけないというのは当然でございますが、ちょっと今からなかなか判断しづらいところだというふうに思っております。
    〔奥田委員長代理退席、委員長着席〕
金子(哲)委員 それでは、改めて聞きます。
 このことによって、本人にとっては不利益をこうむったと思われますか、こうむっていないと思われますか。
岩尾政府参考人 このケースにつきましては、昨年の十二月に、被告は県でございますが、県を相手取って行政訴訟が提起されているということで、私どもとしてはなかなかコメントしづらいところでございますので、御勘弁いただければと思っております。
金子(哲)委員 それはないでしょう。現に、自分のところで行政処分を出しているわけですから、既に裁決を。その判断の中で、検討される中で、そういった点について本人が不利益をこうむったかどうかというぐらいの判断はできるんじゃないですか。
岩尾政府参考人 行政処分としての判断としては、水俣病であると判断するための資料がない以上、棄却するほかはないというふうに考えております。
 いろいろと事前に調査ができたんじゃないかという話ですが、なかなか病院調査などが長いことできなかったということが法律上の規定に違反するかどうかということについても、そこまでは言えないのじゃないかというように思っておりますので、原処分の取り消し事由に当たらないというふうに国としては判断しております。
金子(哲)委員 そうしてみますと、七七年の部長通知、七八年の環境庁の事務次官通知というのは、全く拘束力がないということになりますか。
岩尾政府参考人 当時、熊本を初め鹿児島、新潟等で審査を行っていたわけでございますので、審査の促進という意味では効果があったというように思っております。
金子(哲)委員 時間がありませんので、最後に大臣にお伺いしたいんですけれども、今のようなケースの場合、当時の状況を見て、私は当時言われたとおりの状況があったと思うんですよ。だからこそ、部長の通知が出され、事務次官通知が出されたというのは、そういう状況の中で救済をするという目的のためにそういう通知が出されたというふうに私は理解するんです。にもかかわらず、その通知が正しく履行されなかったために、そしてまた十数年間も放置をされたというために、このケースの場合には正確な判定を受けることができなかったということになっているわけですね。
 そうしてみると、行政不服審査というのは、もちろんその中身の審判もありますけれども、その行政の運営のありようも含めた審査請求が出されているということになれば、そのことに対しても審査判断をしていくということは当然なことだと思うんですね。しかも、これは機関委任事務としてやっていたわけですから、それに対して当時の環境庁が、そういうことまでしてその適正化を図るための措置をしていたにもかかわらず、それが履行されていなかったということで起こった問題に対して、環境省として今何も問題意識を持たないのかどうかということを改めてちょっとお伺いしたいと思います。
大木国務大臣 先ほどから部長が御説明しておりますように、当時の熊本県の判断というものは、当時は環境庁ですね、環境庁からそういう指示があったというか通達があったということで、それに基づいてやるという行政としての責任はあったと私は思いますが、それをどういう順番でどういうふうにやっていくかということは、おのずから熊本県の御判断もあって、先ほどから部長が再三申し上げておりますように、まずは生存者の方についての資料というのを集めることに努力が集中というか、そちらの方を重点に置いたということはあります。
 しかし、今回は、私どもとしては、新たにこういうところでひとつ、この今の時点において判断をしなきゃいかぬということでございますから、いろいろと必要な資料というものはないかということで、審査庁としましても、環境省といたしましても、審査請求人たる遺族の要請にも十分配慮して、いろいろな資料の収集には努力をした。当時の主治医からいろいろとヒアリングをしたというようなこともありますが、そういった努力はした上で、しかし特に水俣病としての認定には至らなかったというわけでございまして、これは別に、かつての熊本県に対する環境庁の方の指示が全く無視されたというふうには考えておりません。その結果として今に至っておるということについては残念であったけれども、私どもとしては現在でき得る判断をさせていただいたということでございます。
金子(哲)委員 時間になりましたので終わりますけれども、少なくとも当時そういうことに心配があり、部長通知、それから事務次官通知が出されていたわけです。当時、五十二年の当時でもそういうことが危惧をされたために、あの内容のものが出されていた。にもかかわらず、それが実行されていなかった、そして十数年間放置されたというところにこの問題は大きな問題があるわけでして、やはりそういったことを考えてみますと、先ほど私が最初に申し上げましたけれども、もっと被害者の側に立った救済という立場というものが、この行政不服審査においてももっと姿勢が明確になるように強く申し上げて、終わりたいと思います。ありがとうございました。
大石委員長 樋高剛君。
樋高委員 自由党の樋高剛でございます。きょうも質疑の時間をいただきまして、ありがとうございました。
 まず、大臣、副大臣、政務官に伺いますけれども、昨日、厚生労働省宮路副大臣、辞任をなさったということであります。帝京大学への口きき疑惑ということでありますが、けじめは当然であったというふうに思いますけれども、まさか、大臣、副大臣、政務官、帝京大学への口ききなど絶対ない、もしくは秘書さんが入試に関して問い合わせをしたことはない、どうぞ確認の意味で御答弁いただきたいと思います。
大木国務大臣 帝京大学に対して何らかのコンタクトをしたことは一切ございません。
山下副大臣 全くございません。
奥谷大臣政務官 全くありません。
樋高委員 宮路副大臣、何か往々にしてあるというふうな答弁でありましたけれども、今これは議事録に残っておりますので、もし後で発覚したときはちょっと大問題になってしまうのではないかと思いますが、きょうは環境の問題でございますので、そちらの方に移りたいと思います。
 まず、情報公開につきましてであります。
 二十一世紀の時代、私はやはり、情報公開、市民参加、そして説明責任、この三つの言葉をキーワード、特に環境の分野に限ってはというふうに思うのでありますが、まず基本的なお尋ねであります。
 今、国民、市民から直接対話の重要性というのは多く語られておりまして、私も重要だと思います。そんな中にあって、環境省には、環境に関連したことで、一体全体、手紙もしくはメールという手段で年間にどのぐらいお尋ねあるいは要望が寄せられているのか、また、それに対してきちんと返事を出すというような対応をなさっているのか、お伺いをいたします。
山下副大臣 環境問題への関心は日ごとに地球規模で高まっておりますし、その問題に対する対応については、特に担当、所管の行政庁としまして真剣に対応していくということは極めて重要であるというふうに考えております。特に、直接対話の機会を設けて国民の生の声を聞くということは、また後から大臣からお話があると思いますけれども、非常に重要であるという認識のもとにさまざまな取り組みをしております。
 今お話ございましたメールや手紙による要望や問い合わせの状況ということでございますけれども、環境省といたしましては、こういう問題について統一的な窓口を設けて対応しております。平成十三年度で約六千二百件。メール、手紙以外にも、例えば電話による直接の問い合わせもございます。また、問い合わせされる方も、国民、企業、NGO、それから外国籍の方、子供たち、さまざまあるわけでございます。これについても、できるだけ丁寧にということで回答しております。
 電子メールによるものにつきましては、ホームページ上でQアンドAというコーナーを設けて回答しておりますし、個別にも回答しております。十三年度で個別回答数二百三十五件。手紙によるものにつきましても、おおむね丁寧に回答を行っている、こういう状況でございます。
樋高委員 ここに一通のメールがございまして、これは私あてに来たメールなんであります。ちょっと読み上げます。
 環境省と農水省に同時に同じ内容のメールを送りました。農水省からは返信のメールがいただけました。主管の環境省からはナシのつぶてであります。環境省は国民無視の行政を推し進めているのではないでしょうか。もっと省内に向かって、真摯に国民の声を聞き、疑問に答え、行政に反映するよう指導すべきと思います。省内を治められない大臣に国を治められるわけはありません。大木大臣の顔が見えません。大臣に、メールを通じてでももっと国民と対話するように省内を教育するように勧告してくださいというメールが私のところには届いております。
 では、具体的に何の案件だということでここで言ってしまいますと、その省内の方が怒られちゃいますから言いませんけれども、しかしながら、やはり一事が万事、こういう手紙とかメールとか電話の問い合わせにきちんと一つ一つ丁寧に答えるということが必要なのではないか。ほかにも同じような例があるのではないかというふうに私は思うわけであります。
 これが今の、外の方から見た、一般市民から見た、国民から見た環境省に対する一つの思いであることは事実でありまして、これが今の環境省の現実なんではないかというふうに思えるわけであります。こんなことだから、環境行政がおくれているとかいろいろ悔しいことを言われてしまうわけでありますから、やはりしっかりとしていただきたいという思いでお尋ねをいたします。
 今の環境省の情報公開に対する姿勢、これは情報公開法云々というかたい方の話ではなくて、気持ちの部分として、姿勢の部分として、丁寧にきちっとアカウンタビリティーを果たしているか、説明責任を果たしているか、具体的に、そういった意味での情報公開について、何をどのように取り組んでいらっしゃるのか、お尋ねをいたしたいと思います。
大木国務大臣 今の、メールに対する御返事が行っていないということについては、どういう理由だかわかりませんけれども、いずれにしても、恐らく、私がこの二月から大臣にならせていただきましていろいろと見ておりますと、環境省の外からの問い合わせに対する反応が非常に遅いということは私自身も実は非常に痛感しておりまして、もっと何とかできないかということをやかましく言っておるんですけれども、これは半分言いわけになりますけれども、なかなかそういった御返事をするための人間、あるいはそのための資料をきちっと整理する人間が十分じゃないということも言えるかと思います。
 しかし、それは言いわけになりませんので、ひとつこれはできるだけ、とにかく今の環境省の仕事というのは、今も樋高議員もおっしゃいましたけれども、情報公開というより、むしろ積極的にこっちからPRしなきゃいかぬということが非常に多いわけでございます。
 そういうことで、議員も御存じのとおりに、最近は、環(わ)の国くらし会議だとかあるいはタウンミーティングだとか、いろいろなことで環境省の仕事を説明しておるんですけれども、まだ正直申し上げまして私は、非常にかたいというか、なかなか国民の皆さんがなるほど、わかったと言っていただくような形に十分になっていない面もあると思いますから、今後、やはり環境省としては、仕事の一番大事なところは国民の皆様方あるいは地方自治体とかいろいろな方々に理解していただかないと、環境省がこれから仕事をしていく上において十分な成果が上がらないと思いますので、これは、そういった意味での情報発信にはさらに努力をしてまいりたいと考えております。
樋高委員 私が申し上げている情報公開という意味は、もちろん、ただ単に主体があって外から聞かれるということに答えるという意味だけじゃなくて、もっと積極的に外に出ていって、むしろ、教育といったら上から下へという思いになっちゃいますけれども、普及というか啓発というか誘導というかという部分が、私は、今環境省に課せられている最も重要な責務の一つであるというふうに申し上げているわけであります。
 私も、同じように以前委員会で大臣に同様の、要するに環境省の取り組みが足りないのじゃないかと言ったら、大臣は、人数が足りないからという答弁でありましたけれども、これは本当に言いわけにすぎないわけであります。
 確かに、私もちょっと人数を調べてみましたら、環境省は千人、それに対して経済産業省は十二倍の一万二千人、ちょっとデータは古いですけれども、農水省は四十四倍の四万四千人、国土交通省は六十九倍の六万九千人、厚生労働省は、出先の機関も含めますと、百倍の十万人抱えている。環境省に比べれば、確かに人数はそういうことでありますけれども、でも、今現実として、その中でやはりやっていかなくちゃいけないわけであります。
 以前、大臣がちょっと懇談しているときに、企画は環境省でやるけれども、あと実質行動したりお願いをして動いていただくのはそれぞれの役所だからというふうにちょっとぼやいておいででありましたけれども、でも、そんな中でも、やはり環境という問題をこの二十一世紀の中においてメーンのタイトルとして、テーマとして、実際、先導しなくちゃいけないのは事実でありますから、きちっと役割、そして今置かれている中でどういうふうにしていったらいいかということをきちんとリーダーシップを発揮していただきたいというふうに強く要望させていただきたいと思います。
 例えば、千人しかいなくて、実際、本当は本来環境行政としてこういうこともやりたいし、ああいうこともやりたいのだ、行革の流れには逆行するけれども、何とか応援してくれないかということを大臣が正直に国民に向かって言って、国民運動が起きるぐらいのことを私もやっていいと思うんですね。
 もちろん、行政改革という一つの流れがありますから、それを納得し得るだけの理由をきちんと説明し、それこそ先ほど申し上げました説明責任でありますけれども、そういった部分が、積極的に外に働きかけていくと言いつつも、まだまだ行動が甘いのじゃないかということを、辛口でありますけれども、ある意味でエールを送る意味で私は言わせていただいているわけでありますから、大臣、ここは腹をくくっていただいて、本年、例えば地球温暖化の問題、これもこの通常国会で批准をなし得た、国連に寄託をなさったわけであります。やはり今どんどん局面展開、環境は変わっておりますので、しっかりとリーダーシップを発揮して、むしろ大臣、政治生命をかけて真剣に、緊張感を持って取り組んでいただきたいというふうに思います。
 次に、議員提案ではありますけれども、自然再生推進法という法律が、まだ提出はされておりませんけれども、これから提出されるであろうということが予測されております。これは、もちろん閣法ではなくて衆法でありますけれども、実際これが、法律案が仮に成立した場合には、運用するのは環境省、所管するのは環境省の責任でありますから、現時点での、また、提案者ではありませんけれども、その後責任を持って運用する立場としての答弁をきちんとお願いしたい。それは、その答弁次第によっては、本当に自由党の賛否が変わるぐらいの重要な思いでお伺いしますので、責任を持ってお答えをいただきたいと思います。
 まず、そもそも、論点の一つとして、自然を破壊してきたということに対する反省点がないのじゃないかという指摘があります。まず反省が必要なんじゃないかということを考えたときに、自然再生の前に、まず自然破壊防止の方の法律が必要なんじゃないか。自然破防法とでも言うんでしょうか、その方が必要ではないかということに対して、いかがお考えでありますか。
大木国務大臣 これはどういう名前をつけるかといったら、いろいろなお考えがあると思いますので、まだ各政党の方でもいろいろ御議論があると思いますが、私は、破防法ということになると、どうも何か、むしろ非常に限定してしまうような意味もあるいは出てくるのじゃないかと思うんで、自然再生あるいは自然再生促進ですか、そういうところで、そこには当然、自然再生でありますから、破防、破壊は防止しなきゃいかぬということですから、必ずしもその言葉がないから、非常に何かその法律が十分に中身も伴っていないのじゃないかということにはならぬのじゃないか。大変恐縮でございますが、差し当たっての感じとしてはそういうふうに私は思っております。
樋高委員 なぜ緊急にこの法律が必要なのか、急いで通す根拠はどこにあるのか、お尋ねいたします。
大木国務大臣 自然再生の取り組みを将来にわたって着実に推進していく、そのためには、この枠組みを制度的に担保する法律の策定は大変重要であるということ、これは一般論として言えばそのとおりで、ずっと前々からいろいろなところで言われておったわけでございますけれども、特に関係各省等で自然再生への取り組みが既に始まっている、いろいろな形ですけれども、よその省も含めてですけれども、そういうことでありまして、与党の自然再生推進法案につきましては、各省連携して、市民参加による、特にこの市民参加によるというのは非常に私は重要だと思っておりますが、自然再生の枠組みを定着させる上で、そういった動きがいろいろとあるということでございますから、せっかくそういう動きがあるならば、それをひとつ法律にまとめていただきまして、それに基づいて仕事をさせていただきたいというふうに考えております。
樋高委員 事業として、農水省、国交省の方で予算をつけて、もう既に走り始めているところがあるわけです。自然再生という事業ということでありますけれども、既にそういう事業が進んでいる中で、じゃ、この法案の意味がどれほどあるのかという指摘もあります。仮に成立した場合、自然環境保全の施策として、どこがどのように変わるんでしょうか。
大木国務大臣 まだ今いろいろと内容についても御検討だと思いますけれども、やはりこれが仮に成立すれば、各省連携、市民参加という枠組みが制度的に担保されるということでありまして、それに基づいて自然再生がより着実かつ効果的に進められる、一般的に言えばそういうことではないかというふうに思っております。
 いずれにいたしましても、関係行政機関、地方公共団体、あるいは地域の住民など、いろいろな主体の参画が不可欠、重要だと思っておりますから、そういったいろいろな多面的なものをひとつここでまとめていただきまして、集中的に自然再生のために努力をするという形ができるということは私ども非常に望ましいと思っておりますので、そういうふうにひとつぜひともお考えいただきまして、御支援をいただきたいと思っております。
樋高委員 これは環境という冠をつけた公共事業推進法じゃないかという批判をなさる方に対してはどのように説明なさいますか。
大木国務大臣 いろいろと、公共事業推進法といいますか、そういったことじゃないかと言われるようなプロジェクトの中身が、一見そういうようなことも入っておるというふうに、私、実は正直伺っておりますけれども、しかし、与党案でも、自然再生への取り組みがNPOなど関係主体の広範な連携、参画により展開されるという新しい仕組みのものでありまして、別に公共事業を推進することが目的ではないというふうに考えております。
 ですから、自然再生事業につきましては、着手後におきましても、いろいろなプロジェクトができる、それをさらに、再生という目的があるわけですから、その状況をモニタリングして、その結果にさらにいろいろと科学的な評価も加えて、これを事業に反映させるということでありまして、生態系管理の考え方というようなことがきちっとこれからまた定着していくということも、そういった効果も考えながらということでありますから、別に今のところ、与党の方で検討されておるものが公共事業推進法だとは考えておりません。
樋高委員 条文の中、第二条、定義の中に、いわゆる生物多様性の確保というものが盛り込まれておりません。見かけだけの人工的な自然づくりになってしまうのではないか。要するに、定義のところでありますけれども、生態系の保全ですとか生物多様性の確保とか確立とかいう文言がなぜ入っていないのかということについて、どのように考えているか、お尋ねいたします。
大木国務大臣 先ほどの答弁とやや重なるかもしれませんが、第二条の定義の中にということでございますけれども、この出されております法案にあります自然再生には、当然に生物多様性の確保という観点が含まれているということでありまして、先ほど申し上げたことの繰り返しでありますが、特に、科学的データを基礎とする丁寧な実施、多様な主体の参画と連携といったようなことで、新生物多様性国家戦略に盛り込まれました自然再生の考え方が基本理念には反映されているというふうに認識しておりますので、そういった前向きの法案ではないかというふうに私どもは受けとめております。
樋高委員 NPOさんがいわゆる計画段階から参加をする、また、その法的根拠を法律の中で初めて盛り込むことができたということは素直に評価をしたいと思いますけれども、では、どのNPOを選ぶのかという基準がはっきりしないんじゃないか。だれを責任者として選考するのか。初めから自分たちの意図に合ったNPOが選ばれるのではないか、あるいは、意図に合ったNPOをその都度立ち上げて、形だけNPOが参加したというふうに結局なってしまうのではないかという懸念をいたしておりますけれども、どのようにお考えになりますか。
大木国務大臣 いろいろと今の与党案の方でも、自然再生協議会ですか、名前がどういうふうになるかあれですけれども、とにかくそういった協議会をつくるというようなことがうたわれているようでございますが、別にこの協議会は、行政が自分のところでメンバーを選ぶということじゃなくて、むしろ、そういった自然再生を実際に検討しておられる、あるいは実施しておられるNPOみずからの呼びかけで賛同者を募って協議会を組織する、それぞれの地域によっていろいろと出てくると思いますが、そういうふうなことを考えておられるというふうに私どもは理解しておりますので、別に、行政の方でだれというようなことを頭から決めて、どんどんとやっていくということではないというふうに私どもは理解をしております。
樋高委員 具体的に、この法律が仮に成立した場合、適用したい事業、箇所はどこを想定なさっておいでですか。
大木国務大臣 現段階で、例えばというようなお話でいろいろなところが議論されていると思います。
 与党案が想定しておられますいろいろな多様な主体の参画による自然再生の例としましては、環境省もこれは前から関心を持っているんですが、各省連携、市民参加により取り組んでまいっております釧路の湿原だとかあるいはくぬぎ山、こういったものは確かに一つの候補じゃないかと思っております。
 いずれにいたしましても、この法案ができれば、地方公共団体やら地域住民等々、いろいろな提案も踏まえて、またひとつ具体的なプロジェクトということを考え出していただきたいというふうに考えております。
樋高委員 第十七条の方でありますけれども、自然再生推進会議についてであります。
 この運営でありますけれども、私、一番最初、冒頭でお話ししましたいわゆる情報公開、会議の中身を、いわゆる密室で決めるんじゃなくて、常に外にオープンにして、いい議論も悪い部分も、それも外に透明にして、そういう開かれた議論が行われてこそ初めて、地域の方々なりが納得して、事業が本当の意味できちんとでき上がるのではないかと思うのであります。この自然再生推進会議、公開して行われ、むしろ積極的に内容をオープンにするべきだというふうに考えますけれども、あの条文だけ見ますと、それが担保されていないように私は感ずるのでありますが、いかがでしょうか。
大木国務大臣 今のお話の自然再生推進会議というのは、一応、関係各省庁から人間が出て、いろいろと議論させていただくということになっておりますが、当然これは、会議の性格をオープンなものにするということは非常に重要、望ましいと考えておりますから、できるだけオープンにしてまいりたいというふうに考えております。これは与党の方で御検討でございますけれども、私どもとしてはそういう考え方を持っております。
樋高委員 あと、NPOさんについてなんですけれども、今まで、特殊法人に対して官僚の方々の天下りというのが問題になりましたけれども、では、今後、NPOに対して官僚さんが天下りしちゃうんじゃないか、また、そのための受け皿をどんどんつくっていくんじゃないかというふうな懸念がありますけれども、要するに、NPOが官僚の方々の天下り先になるということにつきましてはどのようにお考えでありますか。
大木国務大臣 おかげさまで、環境省関係のNPOというのは、余り官僚の天下り先として魅力があるのかないのか知りませんけれども、とにかくそういう事態にはなっておらないので、それぞれに関心を持った方がNPOを、組織をつくっておられるのが大部分だと思いますが、今後とも、いわゆる官僚の天下りというようなことにはならないように、ひとつ私ども十分に心がけたいと思っております。
樋高委員 自然再生と一口に言いましても、自然の姿というのは、日本全国、場所によって全然違います。気候も違えば、地形も違えば、さまざまな状況が違っておりますけれども、そこでやはり気になるのは、一つ一つそれぞれ違った自然環境を再生するということを言っていても、結局のところ、机の上で書かれた全国画一な自然再生になってしまうのではないかということに対して、どのようにお考えになりますか。
大木国務大臣 私は、この二月から環境大臣にならせていただきまして、たまたまいろいろなところをお邪魔しておるわけですけれども、例えば生態系という問題について考えても、やはりそれぞれの地域に固有の生態系の再生を、それぞれの地域での固有の再生を目指すということでありまして、国だけではなくて地方公共団体あるいは専門家、地域住民、NPO等と、本当にいろいろな方々の主体の参画によって、全国画一的なものではない、それぞれの地域の特性を生かした計画をこれから実施することが重要だと考えておりますので、ぜひともひとつ、これは仮に法案ができましたら、そういった方向に持っていくように私どもとしても努力をしたいと思っております。
樋高委員 この法律案を読んでいて本当に疑問に思ったのは、例えば、その自然再生事業が行われた後に、なぜ外部からの第三者の客観的な評価をする仕組みをつくっていないのか。要するに、きちんと自然再生ができたとかできないとか、あるいは科学的に学者さんなり、要するに評価できる方々がやはり外側からきちっと評価をしないと、判断をする仕組みをつくり上げない限り、結局、旧来のいわゆる役所さんが主導したものになってしまう。だれが自然再生できたと客観的に評価するのかということが私は疑問でならないわけであります。
 また、科学的に、どの時点でどこまでいけば自然再生が完了したよ、もしくは、このままに、こういう形にしておけば、ここはかつての十年前の姿にまで、三十年ぐらいかかるかもしれないけれども、戻るよということの判断をだれがなし得るのかということが全然見えてこないんですが、この疑問についてどのようにお考えになりますか。
大木国務大臣 実は最近、行政なりいろいろな地域の活動について、評価が非常に大事だということがよく言われております。それはそのとおりであります。
 ただ、評価というのは、あらかじめ何かこういう機関をつくって、こういうふうに評価するんだということがいいのか、あるいは、いろいろと実際にやってみて、どういうふうにするのがいいのか、そこの辺のところが私はちょっと意見が分かれるところじゃないかと思っております。ただただ何となく評価専門で評価、評価と言っていると、物によっては、かえって伸び伸びとした事業が行えないというようなこともあるのではないか。
 しかし、今いろいろとお考えになっております各地域ごとにおいて設置される協議会等には、当然、自然環境に関しての専門的な知見を有する方々がたくさん入っていただくということでございますから、科学的な評価については、そういった専門家の方々が中心になって、科学的データを基礎としてこれから取り組んでいただくということが大事だと思いますし、それは当然そういうふうに運用していかなきゃいかぬ。
 ただ、あらかじめどういう評価機関というのをつくるかということについて、ちょっと私も今までほかの方の、評価、評価というのは最近非常にはやりでございまして、評価というのはたくさん出ているんですけれども、必ずしも有効に動いていないものもある。ただ、それは今ほかのことを私申し上げているわけでありまして、ですから、これについては、どういうふうに党の方でおつくりいただくかは別といたしまして、科学的な評価というものは十分に大切だということは、私はそのとおりだと思っております。
樋高委員 この自然再生推進法については、私、余り自分のコメントはしないようにしているんですが、ちょっと残念な答弁でありました。
 最後にこの自然再生推進法について伺いますけれども、普通、新しい法律をつくる場合は、大体、附則のところに見直し規定がきちんと入っています。三年、五年、十年で見直すということでありますけれども、これは入っていませんが、そのことにつきましてどのようにお考えになりますでしょうか。
大木国務大臣 新しい法律をつくれば、当然、いつかそれを見直すということは、それは大事だと思います。ですから、私は、そのことにつきましては、仮にそういうものが入れば、当然それをまたひとつ生かしていただきたいと思いますし、今の評価のお話もございましたけれども、それはいろいろな意味におきまして、何年か実際に実施した後で見直すということは当然にあっていいことだと思っております。
樋高委員 この自然再生推進法については終わりますが、最後に全く別件で一問だけ政務官に、油断しているときに済みませんが、伺いたいと思います。
 地球温暖化の問題、これは、国会が今月で閉じた後、いよいよ地球サミットが来月末行われますけれども、この温暖化問題を考えるときに、結局、地球が暖かくなる、温暖化の進行によって生活とか住環境がどのように変わっていくのか、市民、国民の前に具体的に示されていないのが重要な問題である。つまり、今対策をとらなかった場合、放置、そのままにしていった場合、日本や日本人の日々の生活にいかなる悪影響をもたらすであろうかというイメージがわいてこないんです。だから、一言で言うならば緊張感がないということなんでありますけれども、現在環境省が予想している、もしこのまま放置するのであれば、もしくは地球温暖化対策というものを一生懸命手を打ったけれども効果が上がらないということで予想している、日本国内においてどういった悪影響がもたらされるか、ベスト十項目を具体的に挙げてください。
奥谷大臣政務官 環境省では、昨年の四月に、先ほど言われました、温暖化が日本や日本人の生活にどのような影響を及ぼすかということに対しまして、「地球温暖化の日本への影響二〇〇一」というものを取りまとめております。
 具体的に申しますと、十項目になるかどうかわかりませんが、気温の上昇によりまして、高齢者の死亡率や罹患率の増加がある、マラリアやデング熱等の伝染病に感染する危険性がある、高潮被害の危険性が増大する、高温による南日本での米の減産が出てくるだろう、大豆、トウモロコシなど輸入に頼る穀物の価格が上昇するんではないか、海面水位の上昇により砂浜海岸や干潟が減少するというようなことが言われております。また、その他にも、人間の健康や防災、農業、生態系等にもいろいろな面で影響が出てくると考えております。
樋高委員 そのPRが足りないということも含めまして、またいずれ、次回議論させていただきたいと思います。きょうはありがとうございました。
大石委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時三分散会


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