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第1号 平成15年2月21日(金曜日)

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本国会召集日(平成十五年一月二十日)(月曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。
   委員長 松本  龍君
   理事 稲葉 大和君 理事 田村 憲久君
   理事 西野あきら君 理事 柳本 卓治君
   理事 牧  義夫君 理事 田端 正広君
   理事 高橋 嘉信君
      小渕 優子君    木村 太郎君
      阪上 善秀君    鈴木 恒夫君
      野田  毅君    鳩山 邦夫君
      菱田 嘉明君    星野 行男君
      松浪 健太君    三ッ林隆志君
      水野 賢一君    望月 義夫君
      山本 公一君    小林  守君
      近藤 昭一君    鮫島 宗明君
      長浜 博行君    日野 市朗君
      青山 二三君    中井  洽君
      藤木 洋子君    金子 哲夫君
平成十五年二月二十一日(金曜日)
    午後零時十三分開議
 出席委員
   委員長 松本  龍君
   理事 稲葉 大和君 理事 田村 憲久君
   理事 西野あきら君 理事 柳本 卓治君
   理事 近藤 昭一君 理事 牧  義夫君
   理事 田端 正広君 理事 高橋 嘉信君
      小渕 優子君    阪上 善秀君
      鈴木 恒夫君    野田  毅君
      鳩山 邦夫君    菱田 嘉明君
      星野 行男君    松浪 健太君
      松野 博一君    三ッ林隆志君
      水野 賢一君    望月 義夫君
      山本 公一君    大出  彰君
      小林  守君    鮫島 宗明君
      長浜 博行君    青山 二三君
      中井  洽君    藤木 洋子君
      中川 智子君
    …………………………………
   環境大臣         鈴木 俊一君
   環境副大臣        弘友 和夫君
   環境大臣政務官      望月 義夫君
   政府特別補佐人
   (公害等調整委員会委員長
   )            加藤 和夫君
   環境委員会専門員     藤井 忠義君
    ―――――――――――――
委員の異動
一月二十日
 辞任         補欠選任
  金子 哲夫君     中川 智子君
二月二十一日
 辞任         補欠選任
  木村 太郎君     松野 博一君
  日野 市朗君     大出  彰君
同日
 辞任         補欠選任
  松野 博一君     木村 太郎君
  大出  彰君     日野 市朗君
同日
 理事奥田建君一月十七日委員辞任につき、その補欠として近藤昭一君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の補欠選任
 国政調査承認要求に関する件
 環境保全の基本施策に関する件
 公害紛争の処理に関する件


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     ――――◇―――――
松本委員長 これより会議を開きます。
 この際、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴いまして、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
松本委員長 御異議なしと認めます。
 それでは、理事に近藤昭一君を指名いたします。
     ――――◇―――――
松本委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。
 環境保全の基本施策に関する事項
 循環型社会の形成に関する事項
 公害の防止に関する事項
 自然環境の保護及び整備に関する事項
 快適環境の創造に関する事項
 公害健康被害救済に関する事項
 公害紛争の処理に関する事項
以上の各事項につきまして、その実情を調査し、対策を樹立するため、関係各方面からの説明聴取及び資料の要求等の方法により、本会期中調査を進めたいと存じます。
 つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
松本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決まりました。
     ――――◇―――――
松本委員長 環境保全の基本施策に関する件及び公害紛争の処理に関する件について調査を進めます。
 この際、環境大臣から所信を聴取いたします。鈴木環境大臣。
鈴木国務大臣 第百五十六回国会における衆議院環境委員会の御審議に先立ちまして、環境行政に対する私の所信を申し述べ、委員各位の御理解と御協力をお願いしたいと存じます。
 私は、昨年九月に環境大臣に就任して以来、地球温暖化問題、廃棄物問題など広範にわたる環境問題に取り組んでまいりました。その間、環境行政が他の多くの行政分野と深くかかわっているということを改めて実感いたしました。そして、こうしたさまざまな行政分野とのかかわりの中で、環境省がいかにイニシアチブを発揮していくかが重要であるという思いを強くいたしております。私は、環境行政に責任を持つ者として、環境の保全という見地から、言うべきことははっきりと言うという強い姿勢で、積極的に施策を展開していきたいと考えております。
 今日の環境問題を突き詰めていきますと、国民の日常生活や通常の事業活動から生じる環境負荷が余りに大きくなっており、それが原因で問題が生じているということに行き着きます。したがって、その解決のためには、昨年ヨハネスブルグ・サミットにおいても確認されたように、私たちのライフスタイルや事業活動のあり方を根本から見直し、社会のあり方そのものを持続可能なものへと変革していかなければなりません。
 とりわけ、私は、環境の保全と経済の活性化とを一体化させるための取り組みを進めることが、持続可能な社会を構築する上で不可欠と考えます。現下の厳しい経済情勢の中、環境対策は経済に悪影響を及ぼすとの考え方もいまだ根強くあります。しかしながら、我が国には、自動車排出ガスの規制強化が自動車メーカーの技術革新を促し、世界市場における日本製自動車の躍進の一因となり、経済にプラスの影響をもたらしたという実績もあります。こうした積極的な環境対策こそが、新たな技術や産業を生み出す力となり、環境保全と経済発展が同時に実現する道を開くと言えます。そして、現に、日々の活動の中で環境を強く意識して行動しようという萌芽は至るところにあらわれており、環境と経済の統合に向けた下地は整いつつあると感じております。
 私は、昨年末より、環境と経済活動に関する懇談会を開催し、経済界を中心とする有識者との意見交換を行っております。今後、こうした場を重ねることで、環境と経済の統合をどう進めていくかという壮大なテーマに真正面から取り組み、きちんとした考え方を整理し、取り組みの具体化を進めていきたいと考えております。
 以上のような基本姿勢のもと、次の施策に重点的に取り組んでまいります。
 まず、人類の存続にかかわる重大な課題である地球温暖化対策の推進であります。
 昨年六月に締結いたしました京都議定書の六%削減約束を確実に達成するため、温室効果ガス排出抑制のための取り組みを積極的に進めてまいります。とりわけ、石油特別会計に関し、環境省と経済産業省が連携協力して二酸化炭素の排出抑制対策を進める新しい枠組みにより、真に実効ある対策を推進してまいりたいと考えております。さらに、温暖化対策上必要とされた場合には、二〇〇五年以降早期に温暖化対策税を導入することができるよう、具体的な制度の案について検討を進めてまいります。
 また、各界の有識者から成る環(わ)の国くらし会議などを通じ、国民一人一人の生活の見直しに向け、理解と行動を呼びかけてまいります。
 さらに、京都議定書については、その早期発効に向けて未締結国に強く働きかけていくとともに、二〇一二年までの第一約束期間の後も視野に入れて、米国や途上国を含むすべての国が参加する共通のルールを構築するための政策対話を積極的に進めてまいります。
 次に、国内に目を向けますと、大量の廃棄物の排出、最終処分場の逼迫、不法投棄の多発など、廃棄物問題は依然として深刻であり、循環型社会の形成が喫緊の課題となっております。
 このため、資源の効率的利用の度合いを総合的にあらわす資源生産性などの具体的な数値目標を盛り込んだ循環型社会形成推進基本計画を半年前倒しして本年三月に策定し、循環型社会の形成に向けた確固たる道筋を明らかにいたします。
 また、廃棄物処理に係る規制の合理化、不適正処理に対処するための調査権限の強化等の措置を盛り込んだ廃棄物処理法の改正案を今国会に提出し、リサイクルの推進と不適正処理の防止に向け、強い姿勢で取り組んでまいります。加えて、過去に行われた不法投棄事案について原状回復を計画的に推進していくための法案を提出いたしております。
 また、以上のような対策の基盤となるものとして、グリーン購入の推進等による環境ビジネスの活性化や環境会計などの普及促進による環境に配慮した企業行動の促進を図るとともに、環境技術の環境保全効果等についての客観的な実証を行うモデル事業、環境分野での応用が期待されるナノテクノロジーを活用した環境技術の開発等による環境研究、環境技術開発の推進を図ってまいります。
 自然と共生する社会の実現も重要な課題であります。
 まず、さきの臨時国会において成立した自然再生推進法に基づき、失われた自然を積極的に回復していく自然再生の取り組みを強力に推進してまいります。
 また、生物多様性条約カルタヘナ議定書の締結に向け、遺伝子組み換え生物による生態系影響を防止するための国内措置を定める法案を今国会に提出するとともに、生態系を長期的にモニタリングする観測点の設置に着手するなど、生態系保全の取り組みを強化いたします。
 さらに、新たに動植物への影響に着目した化学物質の審査及び規制の枠組みを設けるための制度改正を図ります。
 地域環境の安全性と国民の安心の確保も重要な課題です。
 大都市における自動車交通に起因する大気汚染の改善に向け、平成十七年から、ディーゼル自動車について世界で最も厳しい自動車排出ガス規制を実施するとともに、自動車NOx・PM法に基づく施策の総合的な推進、燃料電池車などの低公害車の普及の一層の促進を図ります。
 健全な水循環の確保に向け、浄化槽の整備を推進するとともに、本年三月に開催される第三回世界水フォーラムの成果を踏まえ、総合的な水環境施策の推進を図ります。
 また、化学物質による環境リスクの低減及びリスクコミュニケーションを一層推進してまいります。
 さらに、公害健康被害の補償等の財源を確保するための公害健康被害の補償等に関する法律の改正案を今国会に提出し、公害健康被害の補償と予防の着実な実施を図るとともに、大気汚染の健康影響に係る調査研究を一層推進してまいります。
 地域における自発的、積極的な環境保全活動を活性化させることも持続可能な社会を構築する上で欠かすことのできないものであります。このため、国民一人一人の環境保全活動の促進と、そのための土台となる環境教育、環境学習の充実に向けて、人材育成、資金援助、環境NPO等の各主体の連携等を促進するための仕組みづくりについて検討を行ってまいります。
 加えて、環境事業団、公害健康被害補償予防協会の特殊会社、独立行政法人への改組のための法案を今国会に提出するとともに、公益法人に係る指定法人制度を登録制度に改める法案を提出いたします。
 このほかにも、環境省として取り組むべき課題は山積しております。こうした課題に的確に対応していくため、環境省の組織の充実強化を図ってまいります。
 二十一世紀は、環境とともに生きる環境の世紀と言われておりますが、これを現実のものとするためには、なお相当の努力を要します。その中で、環境省が果たすべき役割、そして国民の皆様からの期待の大きさを考えると、まさに身の引き締まる思いがいたします。難問が山積する環境問題ではありますが、私は、我が国の大いなる潜在力を信じ、希望を持ってその解決に全力で取り組む決意でございます。
 委員各位におかれましては、環境行政の一層の推進のため、今後とも御支援、御協力を賜りますようお願いを申し上げます。(拍手)
松本委員長 これにて環境大臣の所信表明は終わりました。
 次に、平成十五年度環境省所管予算及び環境保全経費等の概要について説明を聴取いたします。弘友環境副大臣。
弘友副大臣 平成十五年度環境省所管一般会計予算及び特別会計予算について御説明申し上げます。
 まず、一般会計予算では、総額二千六百二十二億七千七百万円を計上しております。
 次に、特別会計予算につきましては、石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計に一般会計から六十億円の繰り入れを行い、歳入歳出予算を計上しております。
 以下、その主要施策について御説明申し上げます。
 第一に、廃棄物・リサイクル対策については、廃棄物の適正処理、不法投棄対策の強化、各種リサイクルの推進等を図ることとし、これらに必要な経費として七十二億三千五百万円を計上しております。
 次に、廃棄物処理施設整備事業については、市町村のごみ焼却施設に対して引き続き財政支援を行うとともに、健全な水循環に資する浄化槽の整備等を一層進めていくこととし、これらに必要な経費として一千四百七十三億五百万円を計上しております。
 第二に、総合環境政策については、脱温暖化社会、循環型社会を迅速に構築し、同時に経済の活性化を図るため、環境ビジネスの活性化を積極的に進め、経済のグリーン化の進展を図ることとしております。また、環境教育、環境学習の充実など、環境行政の基盤となる施策の一層の展開を図ることとし、これらに必要な経費として四十六億三千九百万円を計上しております。
 第三に、地球環境保全対策については、京都議定書の温室効果ガス六%削減約束の達成に向けて、エネルギー起源の二酸化炭素の排出を抑制する省エネ・代エネ対策を強力に推進するなど、地球温暖化対策に取り組んでまいります。あわせて、温暖化対策税の具体的な制度のあり方について、引き続き検討を進めてまいります。
 また、ヨハネスブルグ・サミットの成果を踏まえて、我が国に関係の深いアジア太平洋地域を中心に持続可能な開発を強力に推進するための人づくりを進めるなど、戦略的な国際協力の展開に積極的に取り組むほか、オゾン層の保護、フロン等の対策や黄砂対策などの取り組みを一層推進することとし、これらに必要な経費として八十六億四千七百万円を計上しております。
 第四に、大気汚染等の防止については、燃料電池車を初めとする低公害車の普及促進や、使用過程車の窒素酸化物、粒子状物質排出状況の実態調査、二次粒子対策などを含めた総合対策の実施など、大気汚染物質の排出量削減を進めることとし、これらに必要な経費として二十五億六千九百万円を計上しております。
 第五に、水質汚濁の防止については、有明海を初めとする内湾や湖沼における水質汚濁防止の推進、有機汚濁に関する規制のあり方に関する調査研究を進めるとともに、水生生物への影響に留意した環境基準等の水質目標の検討を進めるための経費として二十三億三千百万円を計上し、また、土壌汚染対策法の円滑な施行に向け、土壌汚染対策の着実な推進等に必要な経費として二十五億三百万円を計上しております。
 第六に、環境対策の現場における取り組みの支援を行う環境事業団については、PCB廃棄物処理事業、民間の自発的な環境保全活動への支援のための地球環境基金事業等の推進を図ることとし、同事業団の諸事業に対する助成等に必要な経費として七十八億三千五百万円を計上しております。
 第七に、環境保全に関する調査研究、技術開発のための経費については、ナノテクノロジーを活用した環境技術を開発するとともに、中小企業やベンチャー企業等が開発した環境技術の市場への普及促進を図るため、環境技術の環境保全効果等についての客観的な実証を行う事業を試行実施するほか、廃棄物の適正な処理、地球環境の保全等に関する調査研究、技術開発を進めることとし、百十億八千六百万円を計上しております。
 第八に、自然環境の保全対策については、昨年三月に改定された新生物多様性国家戦略に基づく各種の施策を着実に実施するとともに、遺伝子組み換え生物による生態系影響を防止するための国内措置を早急に確立するほか、生物の量的情報や生態系の機能、構造について、長期的、継続的にきめ細かな自然環境情報の収集、モニタリングを行うこととし、これらに必要な経費として三十六億五千二百万円を計上しております。
 次に、自然公園等の整備事業については、関係省庁と連携し、地方公共団体やNPO等の参加も得ながら、失われた自然環境の再生、修復を行うほか、地球温暖化防止の視点も踏まえ、国立・国定公園等の整備を進めるために必要な経費として百四十二億七千八百万円を計上しております。
 第九に、独立行政法人国立環境研究所において、地球環境問題を初め環境全般にわたる研究を推進するために必要な経費として九十八億千百万円を計上しております。
 第十に、公害による健康被害者の救済等については、公害健康被害補償制度の適正かつ円滑な実施を図るとともに、環境保健に関する各種調査研究を推進することとし、これらに必要な経費として百七十六億六千二百万円を計上するとともに、水俣病対策に係る熊本県の地方債償還に必要な経費として七十億二千万円を計上しております。
 以上が、平成十五年度環境省所管一般会計予算及び特別会計予算の概要であります。
 次に、各府省の平成十五年度環境保全経費等の概要について御説明申し上げます。
 まず、環境保全経費につきましては、平成十二年十二月に閣議決定をいたしました環境基本計画に盛り込まれた施策の効果的な実施に資する観点から、環境基本計画に示された施策の体系に沿って取りまとめております。
 平成十五年度における環境保全経費の総額は二兆七千四百二十三億円であり、前年度の当初予算に比べ千六百七十六億円、五・八%の減となっております。
 これらを事項別に見ますと、地球環境の保全のために七千二百十一億円、大気環境の保全のために二千三百七十一億円、水環境、土壌環境、地盤環境の保全のために一兆一千一億円、廃棄物・リサイクル対策のために千八百五十五億円、化学物質対策のために百三十八億円、自然環境の保全と自然との触れ合いの推進のために三千八百七十二億円、各種施策の基盤となる施策等のために九百七十四億円が計上されております。
 次に、財政投融資計画における環境保全関係経費については、主なものとして、地方公共団体の下水道整備、廃棄物処理施設等の事業を推進するため、地方債計画において二兆八百七億円を予定しているほか、日本政策投資銀行等において地球環境対策、循環型社会形成推進対策等所要の融資を引き続き行うこととしております。
 以上、平成十五年度の各府省の環境保全経費等の概要につきまして御説明申し上げました。
 以上でございます。
松本委員長 次に、平成十四年における公害紛争の処理に関する事務の概要等について説明を聴取いたします。加藤公害等調整委員会委員長。
加藤政府特別補佐人 公害等調整委員会が平成十四年中に行った公害紛争の処理に関する事務及び平成十五年度の当委員会の歳出予算要求額について御説明申し上げます。
 まず、公害紛争の処理に関する事務の概要について申し上げます。
 第一に、平成十四年に当委員会に係属した公害紛争事件は、兵庫県尼崎市の住民から国を相手方として申請のあった尼崎市大気汚染被害防止あっせん事件、岐阜県ほか十五都県の住民から国を相手方として申請のあった核融合科学研究所重水素実験中止調停事件、熊本県の住民から国等を相手方として申請のあった九州新幹線騒音被害防止等調停事件、東京都の住民等から東京都を相手方として申請のあった杉並区における不燃ごみ中継施設健康被害原因裁定事件等合計十五件であり、これらのうち、平成十四年中に終結した事件は、昨年六月に申請の一部を認容する裁定を行いました杉並区の前述の健康被害原因裁定事件等三件であります。
 なお、佐伯市における養殖真珠被害責任裁定事件につきましては、本年一月に一部認容の裁定を行い、終結いたしました。
 以上のほか、水俣病損害賠償調停事件の調停成立後に申請人の症状に変化が生じたとして慰謝料額等の変更を求める事件が二件あり、すべてが平成十四年中に終結しております。
 第二に、平成十四年に都道府県公害審査会に係属した公害紛争事件は八十件であり、工場、事業所、道路及び廃棄物処理場に係る事件が多くなってきております。これらのうち、平成十四年中に終結した事件は二十六件であります。
 公害紛争処理法においては、当委員会と都道府県公害審査会はそれぞれが独立の機関として職務を遂行することとされておりますが、公害紛争の迅速かつ適正な解決のため当委員会は公害審査会との間に緊密な連携を図っているところであります。
 第三に、平成十三年度における全国の地方公共団体の公害苦情相談窓口に寄せられました公害苦情は調査開始以来最高の約九万五千件に上っております。
 これを苦情の種類別に見ますと、いわゆる典型七公害に関する苦情は約六万八千件で、典型七公害以外の苦情は約二万七千件であります。
 公害苦情につきましては、都道府県及び市区町村がその処理に当たっておりますが、当委員会としては、この事務を担当する職員の研修、苦情処理に必要な情報の提供等を積極的に行っているところでございます。
 続きまして、平成十五年度の当委員会の歳出予算要求額について御説明申し上げます。
 当委員会の歳出予算要求額は六億四千二百万円であり、これを前年度の当初予算額六億四千五百万円と比較しますと、〇・四%、三百万円の減額となっております。
 次に、その内訳でありますが、第一に、当委員会に係属する公害紛争事案の審理経費等として六億円を計上し、第二に、公害紛争の処理を担当する都道府県公害審査会委員及び担当職員との連絡協議のための経費等として四千二百万円を計上いたしております。
 以上が、平成十四年における公害紛争の処理に関する事務の概要及び平成十五年度の歳出予算要求額の概要であります。
 公害等調整委員会といたしましては、今後とも公害紛争の迅速かつ適正な解決のため、鋭意努力してまいる所存でございます。何とぞよろしくお願い申し上げます。
松本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時三十九分散会


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