衆議院

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第2号 平成15年2月28日(金曜日)

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平成十五年二月二十八日(金曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 松本  龍君
   理事 稲葉 大和君 理事 田村 憲久君
   理事 西野あきら君 理事 柳本 卓治君
   理事 近藤 昭一君 理事 牧  義夫君
   理事 田端 正広君 理事 高橋 嘉信君
      木村 太郎君    阪上 善秀君
      鈴木 恒夫君    野田  毅君
      鳩山 邦夫君    菱田 嘉明君
      星野 行男君    松浪 健太君
      三ッ林隆志君    水野 賢一君
      望月 義夫君    山本 公一君
      奥田  建君    小林  守君
      鮫島 宗明君    中川 正春君
      長浜 博行君    日野 市朗君
      青山 二三君    佐藤 公治君
      藤木 洋子君    中川 智子君
    …………………………………
   環境大臣         鈴木 俊一君
   環境副大臣        弘友 和夫君
   環境大臣政務官      望月 義夫君
   政府参考人
   (資源エネルギー庁省エネ
   ルギー・新エネルギー部長
   )            伊藤 隆一君
   政府参考人
   (資源エネルギー庁電力・
   ガス事業部長)      迎  陽一君
   政府参考人
   (環境省大臣官房廃棄物・
   リサイクル対策部長)   飯島  孝君
   政府参考人
   (環境省総合環境政策局環
   境保健部長)       南川 秀樹君
   政府参考人
   (環境省地球環境局長)  岡澤 和好君
   環境委員会専門員     藤井 忠義君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月二十八日
 辞任         補欠選任
  長浜 博行君     奥田  建君
  中井  洽君     佐藤 公治君
同日
 辞任         補欠選任
  奥田  建君     中川 正春君
  佐藤 公治君     中井  洽君
同日
 辞任         補欠選任
  中川 正春君     長浜 博行君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 環境保全の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――
松本委員長 これより会議を開きます。
 環境保全の基本施策に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 本件調査のため、本日、政府参考人として資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長伊藤隆一君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長迎陽一君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長飯島孝君、環境省総合環境政策局環境保健部長南川秀樹君及び環境省地球環境局長岡澤和好君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
松本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決まりました。
    ―――――――――――――
松本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田端正広君。
田端委員 おはようございます。公明党の田端正広です。きょうは与党枠ということでトップバッターで質問させていただき、大変光栄に思っております。
 まず、青森、岩手の不法投棄問題についてお尋ねしたいと思いますが、大変大きなといいますか、八十二万立米にも及ぶという不法投棄ということで、根の深い問題だ、こう思っております。それで、青森の三栄化学工業、そして埼玉の縣南衛生という二つの大きな産廃業者が共謀してといいますか、そういう形で行われたんだろうと思いますが、この首都圏で一万事業所からの産業廃棄物がこちらに持っていかれた、こういうことでありますが、この当事者の三栄化学工業の社長が保釈中に自殺をされている、あるいは縣南衛生は破産をしている、こういう意味では、本当にこの処理というのはだれが責任を持つんだろう、原状回復に対する責任はどうするんだろう、こう国民だれしもが心配するところであります。
 それで、今回の新年度の環境省の事業計画の中に、不法投棄事案対応支援事業というのがあるようであります。つまり、警察OB、弁護士、公認会計士等、あるいは自治体の人とかそういうのも入るんだろうと思いますけれども、そういう専門家のチームをつくってこういう不法投棄に対して対応していこう、こういう新たな第一歩を踏み出される。これは大変いい試みだと思いますが、この専門家チームが、今回のこの青森、岩手の事件に関して、現場に出向いて、例えばいろいろな調査をして排出者責任の追及をするとか、そういうことを考えておられるのかどうか。私は、そこまで行った方がいいんではないか、こう思います。
 それから、排出事業者の責任問題というものについては、これは大変しっかりとチェックしていただかないといけないんだろう。つまり、産廃業者が二つとも空中分解しているということになれば、このごみを出したところをきちっとチェックしていただいて、例えばマニフェストが残っていると思いますから、そういう意味での責任追及ということを大臣の方、環境省の方でどういうふうにお考えになっているのか。その辺のところをお伺いしたいと思います。
弘友副大臣 お答えさせていただきます。
 ただいま御指摘のように、青森、岩手県は、現在、排出元自治体の協力も得つつ、懸命に排出事業者からの報告徴収、分析を進めているところでございますけれども、今回のこの青森、岩手の事案につきましては、原状回復事業のみならず、やはり不法投棄に係る排出事業者責任の追及の面において、私はモデルケースになるものというふうに考えております。
 今御指摘のように、今回、十五年度予算では二千八百万の不法投棄事案対応支援事業というのを計上させていただいておりますけれども、これは今お話しのように、警察のOB、また法律や企業経理の専門家、測量技術者等から成る専門家チームを都道府県からの要請に基づきまして派遣をいたしまして、現場で投棄者等の立入検査、帳簿類による不法投棄構造の解明、原状回復手法の策定に当たる担当職員を支援することによってそのスキルアップを図る、また、不法投棄の未然防止、拡大防止を徹底していこうという事業でございまして、この青森、岩手の事案に対して活用されることが大変ふさわしいというふうに考えておるところでございます。
田端委員 今回、新しい法律として、こういうことに対処するための国庫補助あるいは地方債を認めるという法律が予定されているわけでありますが、そういう形で援助していくということになれば、これはその前に青森県の行政責任というものがまず第一に問われなきゃならないと思いますけれども、ここのところについてはどういうふうにお考えでしょうか。
弘友副大臣 廃棄物処理法におきましては、都道府県等は、区域内の産業廃棄物の状況を把握する、適正な処理が行われるように現地の立入調査や指導等の必要な措置を講ずる責務、すなわち不法投棄等の未然防止及び拡大防止を図る責務があるというふうになっているわけでございますけれども、今回のように、不法投棄が行われた結果として貴重な公費を投入して行政代執行を行わざるを得ないという状況の場合は、当然都道府県等がこれまで行ってきた対応が妥当なものであるかどうかという検証がやはり必要であるというふうに考えておりまして、今回提出させていただいております特定産業廃棄物支障除去の特別措置法案におきましても、都道府県等が定める実施計画におきまして、みずからの対応の検証等について地方環境審議会等の意見を踏まえて盛り込むように定められているところでございます。
 今回のこの事案につきましては、処分業の許可を出していた青森県が適正に事業者の監視、指導を行っていれば結果としてここまでの大きな規模にはなっていなかったんじゃないか、こういうふうに考えられるわけでございまして、県の取り組みが十分であったのかどうかという検証が御指摘のように極めて重要であるというふうに考えておりまして、現在、青森県におきましては、検証委員会で行政責任の検証が行われているところでございまして、国としてはこの検証の状況について引き続き注視をしてまいりたいというふうに考えております。
田端委員 今御答弁ありましたように、これはぜひきちっと検証していただかないと、一遍に不法投棄がこういうふうになったんじゃなくて、やはり長年かかってやってきて、それまでにはいろいろな情報があったと思うんですが、そこは地元でどういうことになっていたのか、これは大変大きな問題だと思いますから、ぜひきちっとしていただきたいと思います。
 それで、大臣、実は、今回廃掃法の改正を予定されているようでありますが、その中に国の立入調査権というのを初めてきちっと法律上規定するということで、私は、これは大変大事なことだと思いますし、いいことだと思いますから、ぜひそういう方向でお願いしたいと思います。
 そうしますと、例えば二〇〇一年の十月から地方環境対策調査官事務所というのが設置されて、全国九カ所に四十六名で、今環境省としての出先機関といいますか、そういう形になっているわけでありますが、これが設置されるときに私たちが要求したことは、実は環境Gメン的な役割を果たしてほしい、そういう意味で地方に環境省のきちっとした出先をつくって、そしてこういう事件が起こらないように地元の地方自治体あるいは警察と連携してやるべきだ、環境Gメンという精神でいくべきだということで、こういう制度といいますか体制をつくっていただいたんですが、これが今までは余り生きていない。そこに今度立入調査権をつけるということになれば、これは今度こそ環境Gメン的な役割を果たしていかないと、本当の意味で機能が強化されたことにならないんではないか、こういうふうに思います。
 もう一点は、これは、警察との連携というのが大変大事なことになってくると思いますし、健全な産廃業者といいますかいい業者、悪い業者はどんどんチェックしていただいて、いい業者を育てていく、そういう方向をぜひつくっていただきたいと思いますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
鈴木国務大臣 先生からお話がございました地方環境対策調査官でございますが、大変お力添えをいただきまして、平成十三年十月に四十五人で発足をいたしました。十四年度末には六十三人になり、十五年度の末には八十九人になる、こういうようなことでございます。
 それの方々の活用の問題であるわけでありますが、今は、地方における環境省の所掌事務に関する調査でありますとか、情報収集等の一環として都道府県とも連携をして定期的に管内を巡視しているところであります。
 先生の御指摘のように、今回、国会で廃掃法の改正を予定しておるわけでありまして、その中で、緊急時における産業廃棄物に関する国みずからの立入調査権限の創設を考えているところでございますので、国みずからの立ち入りにつきましては、御指摘の地方環境対策調査官の活用をぜひ積極的に考えてまいりたいと思っております。
田端委員 今のお話は、地方調査官に立入調査権といいますか、そういうところまで仕事、機能を強化する、こういう理解でいいでしょうか。――そういう理解をさせていただきます。ぜひそういう方向で、さらに、四十六名の体制をもっとやはりふやさなければ、全国九カ所というと六県か七県に一カ所というような感じになると思いますから、もっと体制強化していただいて、こういう悪質なやり方に対しては事前にきちっと対応していただきたい、こう思います。
 ちょっと話がかわりますが、エネルギーの問題について、きょうはエネ庁の方にも来ていただいていると思いますので、ちょっとお伺いいたします。
 今回、東電の原発事故隠しのトラブル事件で、東電に今十七基ある原発のうち、あしたからまた一つ、刈羽原発五号機か何かがとまるというふうに聞いておりますから、十七のうち十四がとまるんだろうと思いますし、残る三つも四月の十五日までに点検に入るということになれば、四月後半以降は十七基すべてがとまってしまう。東電は首都圏の電力の四四%を原子力でカバーしているわけですから、そういう意味では大変なエネルギー危機になるんではないか、こう思います。
 そして、この対応についてはいろいろ今努力はされていると思いますし、またあるいは、いろいろな知恵を、例えば関電あるいは中部電力からこっちへ持ってくるとか、そんなこともやっていると思いますが、いろいろな意味で問題は多いと思いますね。つまり、関電から持ってくるといったって、サイクルが違うと思いますから、変換しなければならないとか、いろいろなことがある。
 それで今、問題は、休廃止している火力発電等を復活させて、そして何とかやろうということのようでありますが、そうしますとまたCO2が大変ふえてくる、こういうことになりますから、こういう意味では、ことしの夏、八月のピーク時にどういうふうに対応されようとしているのか、その辺のところをお伺いしたいと思います。
迎政府参考人 お答え申し上げます。
 東京電力の原子力発電所につきましては、御指摘の全十七基のうち、きょう現在十三基が停止中でございまして、残りの四基も、格納容器の気密性の漏えい試験を実施するということで、三月から四月にかけて停止をする予定でございます。現在、東京電力におきましては、停止しております火力発電所の運転の再開等、可能な限りの措置を講ずることによって電力の供給の確保に努めておるところでございます。
 御指摘のように、原子力がこのまま一基も運転再開をしないで十七基すべて停止をし続けるというふうな場合には、今後、夏にかけてのピーク電力需要に対して供給不足は避けられないというふうに認識をしております。今後とも、そうした不足に陥らないように供給を確保していくためには、引き続き節電に取り組んでいくというふうなこととともに、安全の確保を前提に、停止をしている原子力発電所について円滑に運転を再開するということが不可欠であるというふうに考えております。
 現在、原子炉のシュラウドですとか再循環系配管のひび割れに対する健全性の評価というのを行っておるところでございます。総合資源エネルギー調査会の原子力発電設備の健全性評価に関する小委員会というところで、専門家の方に集まっていただいて、これらの機器の健全性評価についての検討を行っておるところでございますけれども、これによって、それの評価結果というものを原子力立地市町村等の方々に十分説明をし、安全確保に関する信頼性を回復するということが先決であるというふうに考えております。
 こうしたことを通じまして、運転再開に向けて、御地元の御理解を得るため最大限の努力を行っていきたいというふうに考えておるところでございます。
田端委員 一にも二にも安全性ということが大事だと思いますので、総合資源エネルギー調査会、それからまた福島県、新潟県、この両県がそこをどういうふうに理解し、了解するかということが最大のポイントだと思いますから、ぜひ全力を挙げて頑張っていただきたいと思います。
 きのう、実はイギリスの貿易産業省が新たなエネルギー白書を発表されました。そして、これを見てみますと、イギリスにおいても脱原発の方向というものを模索し始めたようでありまして、二〇五〇年までにCO2を六〇%削減するという目標、そして二〇二〇年までに再生可能エネルギーを全体の二〇%に引き上げる、風力とか波力とかそういったことを考えているようでありますが、そのために六百六十三億円の開発費を投じてやろう、こういうことが報道されております。
 やはり私は、むしろこういうことを一つのチャンスにして、新エネルギーの導入あるいはエネルギーの分散化といいますか、コジェネとか燃料電池とかそういったことをいろいろ知恵を絞って技術を開発して、思い切って発想を転換して、こういう危機を迎えたことについて、やはり新しい次のステップに入っていかないといけないんじゃないか、こんな思いを強くしております。
 資源エネルギー庁も、ぜひそういうことで、今までと同じようなことじゃなくて、一歩踏み出していただきたいというその決意のほどと、それから、もし環境大臣のお考えがありましたらお聞かせいただきたい、こう思います。
伊藤政府参考人 御質問にございました新エネルギーでございますが、風力発電、太陽光発電あるいは燃料電池、そうした新エネルギーについては、地球温暖化問題への対応あるいはエネルギー供給源の多様化という観点から、その導入に最大限の努力を傾注するということが大事だと考えております。
 他方、現時点では、新エネルギーにつきましては、既存の電源に比べてコストが高いというような経済性の問題でございますとか、あるいは自然条件によって出力が左右されやすいという安定性の問題等を抱えておるという現状であります。
 こうした現状でございますが、我が国では新エネルギー導入目標を、二〇一〇年で原油換算にいたしまして千九百十万キロリットル、一次エネルギー供給の三%程度と設定して、この目標の実現に向けて政府として最大限努力を今行っているところでございます。そして、これを推進するために資源エネルギー庁におきましては、新エネルギー関係予算といたしまして、平成十五年度予算案におきましても、前年度に比べ百十九億円ほど増額をいたしまして、千五百六十八億円を計上いたしておりまして、事業者あるいは地方公共団体等が新エネを導入していくという場合にそれを支援するような施策を充実させております。
 また、御承知のとおり、昨年、通常国会で立法化されました電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法というものをこの四月一日から施行いたしまして、電力分野における新エネルギーのさらなる拡大を図っているところでございます。
鈴木国務大臣 温室効果ガスを六%削減しなければいけないということで、その対応は大綱の中で決めているわけであります。そして、その中で、二酸化炭素削減の柱として、安全性を大前提とした原子力発電、これが一つの有力な柱である、そういうものはございます。しかし、それと同時に、先生御指摘のいわゆる新エネルギー、こういうものの推進、利用促進ということも図っていく必要があろうかと思っております。これには、導入段階における支援でありますとか、技術開発、実証段階における支援、また環境整備、普及啓発等がございますし、またただいまお話ございました電力分野における市場拡大措置の導入等ございます。
 今資源エネルギー庁の方でも諸施策述べられたわけでありますが、関係省庁とも連携をいたしまして、この新エネルギーの利用促進にも環境省として努力をしてまいりたいと思っております。
田端委員 昨年九月にヨハネスブルグで地球環境サミットが行われましたが、私も参加させていただいて、そこで日本政府が提案して、持続可能な開発のための教育の十年というものが実施計画の中にも盛り込まれ、そして昨年の国連総会でこれが採択されました。つまり、二〇〇五年から十年かけて実施されるということになったわけでありますが、ぜひ国内法体制の整備といいますか、これは、これから提案国である日本がまずイニシアチブをとってやっていかないといけないだろう、こう思っております。
 それで、今与党三党で、環境教育に関する立法化に向けて議論を進めている最中でありますが、ぜひこれは環境省においても、日本が提案したことでありますから、積極的に対応していただきたい、こう思います。
 これは、各省、特に文部科学省との調整とかいろいろなことがあると思いますから、非常に大きな問題ではあると思います。しかし、これは、学校教育だけじゃなくて、事業所やあるいは社会教育といいますか、そしてまた民間団体、NPOの方とか、あるいは地方自治体とか、いろいろなところにも協力してやってもらわなきゃならない、そういう多様な参加、多様な人の協力というものが必要だと思いますので、そういった方向でぜひ調整をしていく必要がある、こう思っております。
 これはまた、ちょっと時間が来ましたので答弁は、そういうことでぜひ積極的にお考えいただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 それから、三月十六日から世界水フォーラムが京都、滋賀、大阪で行われますが、これもまた大変大きなテーマだと思っておりますけれども、水環境の問題については、水質汚濁あるいは水質を浄化する、汚濁を防止し、浄化するという問題についてはさらに一層日本としても頑張らなきゃならないと思いますが、今までの広域下水道を中心にした事業のあり方というものが果たしていいのかどうか、ここは環境省もしっかりと方向性を定めていただいて、例えば、今回新年度予算案で大変予算を大きくふやしていただいた合併浄化槽の問題、これはまだまだ国民的には余り知られていないというふうに思いますし、特に市町村設置型というのは、これは個人負担が大変少なくて済むわけですから、ぜひここのところをしっかりと念頭に置いて、PRも含めて事業計画を進めていただきたい、こんな思いでありますが、この問題については、弘友副大臣、大変御熱心に今までも研究されたと思いますが、御所見ありましたら、どうぞ。
弘友副大臣 今田端議員御指摘のように、PR不足というのは本当に否めない事実でございまして、私どもが、首長さんだとか助役さんだとか、多くの方にお話をさせていただきますけれども、まず市町村設置型という事業があることすら知らないとか、一般の市民の皆さんにとっては合併処理浄化槽とは何だ、下水道が来るまでの仮の施設なんだというふうなとらえ方をしておりまして、ぜひこれは、今御指摘のように、今からの汚水処理という観点に立って、浄化槽を推進していかなければならないというふうに考えております。非常なメリットがございます。
 今、市町村設置型につきまして対前年度比三三七%という大変な予算もつけていただきましたので、これを全国的に推進していくように環境省としても頑張ってまいりたいと思っております。
 以上であります。
田端委員 それから、もう一つ大きな問題として、循環型社会形成推進基本法に基づいて、基本計画が今パブコメにかかっているというふうに聞いておりますが、これは三月中に基本計画案を策定して、閣議決定、国会報告、こういう流れかと思いますけれども、つまり、今後五年間の循環型社会に向けての方向性をここで決定するわけですから、ぜひ国民的、あるいは各省も協力できるような一つの方向として頑張っていただきたい。
 その中で、これは環境大臣がいろいろな数値目標とかイメージ、非常に今までなかったユニークな方向を示唆されておりますので、環境大臣のリーダーシップというものが問われると思いますから、ぜひ頑張っていただきたいということを申し上げたいと思います。
 もう時間がないので、もう一点一緒にお答えいただきたいと思いますが、今週月曜日に、私、カネミ油症問題で予算委員会で質問させていただきました。大臣にも御答弁いただきましたが、患者の皆さんからもうちょっと配慮が欲しかったという声も上がっておりますので、ぜひ、大臣、一回患者の皆さんに会う機会をどこかでつくっていただきたい。この問題については、弘友副大臣の地元の問題でもあり、ダイオキシンによる人体における人類史上初めての大きな被害であったということが新たにわかったわけですから、ぜひ、ダイオキシン対策の所管の大臣として、厚生労働大臣そして農水大臣と、三大臣が協議して、新たな救済に対する協議を始めていく第一歩をやっていただきたいな、こんな思いをしておりますが、一緒に二つの問題、ちょっと時間がないので、恐縮ですが、御答弁いただいて終わりたいと思います。
鈴木国務大臣 循環型社会を形成するための循環基本計画でありますけれども、先生御指摘のように、本年十月というのを半年前倒しをいたしまして、この三月に策定をいたしてまいりたいと思っております。その中では、循環型社会というものがどういうものかというイメージをお示しし、それから具体的な数値目標も挙げ、それから国や地方自治体、事業者、個人、そういう各主体がどのような役割を果たすということも定めて、こうした循環型社会の推進を図ってまいりたいと思います。その際、各省にまたがる問題もございますので、環境省として最大限リーダーシップがとれるように努力をしてまいりたいと思っております。
 それから、カネミ油症の問題でございまして、これは多くの方々が悲惨な被害を受けられて、そして今日なお大変に苦しんでおられる、本当にお気の毒に存じておりますし、田端先生がそうした患者の方々のお気持ちを少しでも和らげようと大変な御努力をなさっておられることにも敬意を表するところであります。
 先般、私、予算委員会で申し上げましたのは、行政の整理という立場で申し上げたわけであります。いろいろな健康被害でこれを補償するということになりますと、環境省の所管では公害にかかわるものということになるわけでありまして、公害の定義といいますのは、これは有害物質が一度環境中に放出される、例えば水俣病でいえば、海という環境中に有機水銀が放出されて、それを魚を通じて食べた方が健康被害に遭われる、あるいは大気汚染についても、大気中という環境中に放出され、それによって被害を受けられる、こういうことが公害でございますので、このカネミ油症の問題について、これは食用油、米ぬか油をつくる過程で直接汚染をされたので、これを公害という形ではなかなか定義し切れない、こういうことを申し上げたんであります。
 しかし、環境省としてできることもあると思っております。これは、例えば、これから厚生労働省の方でいろいろな基準をつくられると思います、患者さんの。そういう際には、正常人との対比ということが必要になるわけでありまして、環境省におきましては、水、土壌、大気、そういうところにありますダイオキシンから通常の方がどれぐらい被曝をしているか、そういうデータ、蓄積がございますので、そういうデータをぜひ活用できるのではないか。厚生労働省の方からの御要請があれば積極的に環境省としてできる範囲でやってまいりたい、そういうふうに思っております。
 それから、患者さんにお会いになるように、こういうことでありますが、これは決して拒絶をしたり回避をしたりしているのではないんでございますが、やはり今の立場にございますと、一政治家としてお会いするといっても、そこでの言動でいろいろな混乱、誤解を招いてもいけないと思っておりまして、直接お会いすることは今のところはなかなか難しい、こういうふうに思っております。
 しかし、厚生労働大臣、農水大臣、直接の担当でございますので、各大臣からもお話を聞いて、また三省のその連携の中で環境省としてできることはしっかりとやってまいりたいと思っております。
田端委員 時間が来たので終わりますが、もうちょっと積極的に、また副大臣、よく御存じですから打ち合わせていただきたいと思います。ありがとうございました。
松本委員長 小林守君。
小林(守)委員 おはようございます。民主党の小林です。
 大臣におかれましては、昨年の九月三十日に大臣に就任されましてから既に五カ月を経過したところでございまして、記者会見等の内容なども見させていただきましたけれども、大変意欲的な取り組みをなさっておられるな、このように評価をしておきたいと思います。
 百術は一誠にしかずというような言葉が大臣の座右の銘だというようなこともお聞きいたしまして、百聞は一見にしかずというような言葉もございますけれども、現地にできるだけ調査に入りながら現場主義的な環境行政を進めようというようなことも見られるわけでありまして、そういう点で期待をさせていただきたいなと思っているところであります。
 さて、大臣の所信をいただきまして、いろいろと目を通させていただいたところでございますけれども、その中で少し気になったところがございます。
 私どもも、従来、環境行政というのは大変すべての行政分野にかかわるというふうには思っているわけですけれども、大臣もこの五カ月間に環境行政が他の多くの行政分野と深くかかわっていることを実感した、そして、環境保全の見地から言うべきことはしっかりと言う、はっきりと言うというような所信の表明もなされたわけであります。
 それでは、具体的にどういう他の行政分野との関係の中ではっきり言わなくちゃならぬというようなことを感じたところがあるのか、その辺を具体的に、こういう行政の問題だとか、そういうことをちょっと列挙していただければありがたいな、このように思いますし、また、これからどういう分野とかどういう事項について、環境省としての環境保全の立場に立って他の行政分野に対しても言うべきことをしっかりと言いながらイニシアチブを発揮していかなければならぬというように考えておられるのか、あわせてお聞きしたいと思います。
鈴木国務大臣 先生に改めて申し上げるまでもないことでありますが、今日の環境問題、これは地球温暖化防止の問題から身近なごみの問題まで、まことに幅広い問題がございます。それだけに他の行政分野にわたるものも多い、そして他の行政分野で施策が展開されるときにも環境配慮というのはきちっとなされなければならない問題がたくさんある、そういうふうに実感をいたしました。
 例えば、温室効果ガスの問題をとりましても、これはエネルギー行政がかかわりを持ってまいりますし、また交通行政にもかかわりを持ってくる。また、二酸化炭素の吸収源ということであれば農林水産省、森林整備というものにもかかわりを持ってくると思います。また、大気汚染の問題、これも低公害車の促進ということになれば経済産業省でございますし、また、警察の交通行政、そうしたものもあるわけでございまして、そうしたところにまた環境問題の難しさというものも感じているわけであります。
 これからどういうふうにイニシアチブをとっていくか、こういうことでありますけれども、私も今まで、各省との関係でみずからいろいろ動いたこともございます。例えば、今回国会に提出をお願いいたしております過去の廃棄物の処理に係る特別措置法でございますが、従来、こういうものには地方財政措置というものがとられておられませんでした。このことにつきましては、私も総務大臣に直接お会いしてお願いをして、実現を認めていただいたところでございます。
 また、経済産業省との間でエネルギー特会の見直しがございました。従来、温暖化防止対策につきましては、私どもステップ・バイ・ステップで進めていく、そういう際に、第二ステップになったときに、第一ステップの見直しの中で、いわゆる環境税、これが必要であれば、第二ステップ以降、二〇〇五年以降早期に導入するということでありましたが、それとの調整という問題もございました。しかし、これにつきましては、経済産業省との協議の中で、今回のエネルギー特会の見直しというのはあくまで我々が従来から言っております第一ステップにおける特別会計のグリーン化である、そういう位置づけもしっかりさせていただいたところであります。
 また、泡瀬干潟の問題におきましても、今内閣府が事業主体でやっておるわけでありますが、それについてアセスで示された環境保全措置をしっかり守るように、そういう申し入れもきちんとさせていただいているわけでありまして、これからもそういう節目節目、環境を守る環境省という立場でこれからも努力をさせていただきたいと考えております。
小林(守)委員 御説明、御答弁のあったことについては私も同感でございまして、そういう点でも評価をしておきたいなというふうに思います。より一層、今後の行政課題、後ほどまた質問させていただきますが、環境税の導入の問題等についても、前倒しでやらなければ間に合わなくなってしまうというような一つの政治判断もあったと思いますけれども、この時点において、環境税の導入についての環境省としての案をつくっていくんだというように取り組みが始まったということは評価しておきたいなと思うところでありますし、また、廃棄物行政について地方への特例起債を認めるというような方向で取り組まれたことについても評価をしておきたいなというふうに思っております。
 それで、もう一つ、ちょっと大臣の所見をお聞きしたいんですが、各行政分野とかにかかわる大きな問題として、水の問題がもう一つあるのではないかなと私は考えております。三月の十六日から二十三日まで、京都、滋賀、大阪で第三回の世界水フォーラムが日本で開催されることになったわけでありますが、水の問題ということを考えた場合に、水循環あるいは水環境の保全というようなことを考えた場合、水は森から海まで循環するわけですね。そうしますると、とにかく、森林から始まって農山村を通って小河川を通って、それから平野部を通ってそして海へということになるんですけれども、それぞれこれも、あらゆる行政というか、かなりの行政分野にわたった課題なんではないかなというふうに思っているんですね。
 そういうことで、水のフォーラムの中でもこの問題が話題になり、また、取り組んでいかなければならない水管理の総合化という視点で考えるならば、省庁行政の中で相当縦割りの弊害もあるわけでありまして、その辺についてどのようにお考えになられるか。
 これは質問の趣旨は伝えておりませんけれども、御所見がありましたらお答えいただきたいと思います。
鈴木国務大臣 健全な水循環を確保していくということは、これは極めて大切であると思っております。
 今先生から御指摘のように、水の問題、これも大変多岐にわたっておりまして、行政的にいえば環境省は水質保全、その基準づくりということになろうかと思いますが、利水の問題、これは農業用水、工業用水、飲用水ありますし、それから水運、そういうものもあろうかと思います。まさに各省庁またがっている問題でございますので、これにつきましてもよく連携をとるということが基本だと思いますので、十分連携をとりながら、その中で、環境省としての立場をしっかり守って反映できますように努力をしてまいりたいと思っております。
小林(守)委員 関係省庁、五、六省ぐらい最低あると思うんですが、そこで、行政の中で、研究会議でしょうか、連絡会議的な組織が既に発足されているというふうに聞いているんですけれども、それらについて、いわゆる縦割りの弊害をなくして、水を中心とした循環型社会というか、水循環の社会をつくっていこうというようなことで、相当研究も始まっているというふうなことも聞いているんですが、この水フォーラムを契機にして、水基本法なるものをやはり立ち上げていく必要があるのではないか、このように私ども考えているんですが、それらについていかがお考えでしょうか。
鈴木国務大臣 連絡する場もあるということでございますので、そういうものを十分活用しながら、さらに関係省庁との議論を深めていきたいと思っております。
小林(守)委員 そういう方向でぜひ取り組みをお願いしたいなというふうに思います。
 それで、もう一つ、所信の中で気になったことをちょっとただしておきたいなと思いますが、大臣就任の際に、小泉総理の方から環境と経済の両立を図ってほしいというような趣旨のお話を受けている、それで地球環境の問題と身近なごみリサイクルの問題も含めて積極的にやっていきたいというようなことが、さまざまな雑誌などのあいさつとか、それから記者会見の中でもたびたび取り上げられているわけでございますけれども、ただ、今回の所信の中では、環境と経済の統合という表現になっております。
 それから、ある雑誌の対談の記事ですか、あいさつの記事の中では、環境と成長は両立するというような表題の、大臣そのものがそういうふうに言ったんだろう、経済成長という言葉を使ったんだとは思いますが、そういう、環境と成長は両立するというような御認識のお言葉もあったようでありますし、今回の所信の中では、環境保全と経済発展を同時に実現するというような言い方もあります。
 そこで、私たちは、かつては環境と開発の調和とか両立とかいうような言い方もあった時代もありますけれども、今は随分変わってまいりまして、最低、環境と経済の両立、そして今回、行政の方でも、大臣の所信の中でも、統合という言い方がされてきています。そこに概念の変化というか中身の違いが相当盛り込まれてきているんではないかな、私はこのように思っているわけでありまして、そういう点で、両立と統合はどう違うのか、意味があってしかるべきではないかというふうに思います。
 それからもう一つは、成長と発展。これもやはり、よく考えてみると概念の中に違いがある、質的な違いがあるんではないかというふうに指摘しておきたいと思うんです。これを全く混同されて、あるときには成長と言い、あるときには発展と言っている、あるときには両立と言い、調和、バランスと言い、あるときには統合と言っている、こういう混乱がまだあるのではないかなと思いますので、それらについて一定の明確な使い分けをきちっとしておいていただきたいなというふうに思います。
鈴木国務大臣 環境大臣に就任いたしましたときに、総理から、環境と経済、これは両立するということを前提に政策を考えるようにという御指示がございました。
 これはやや私の個人的な私論、私見にわたるところがございますが、私の考えを述べさせていただければ、およそ人類というものが存在する限り、人類は常に発展を求めていくものだと思います。成長を求めていくものだと思います。しかし、もはやみずからの生存基盤を壊すような、そういう発展というのは望むべくもない、これからは環境配慮した発展を目指していかなければいけないんだ、そういうふうに思います。
 そういう中で、経済成長はしても、今のところは、やはり環境が完全に守られず、一部は壊されてしまうということがありますが、それをこれから努力して、環境と経済というものが両立をする、そういうところに持っていって、経済が成長しても環境を壊さないというところまで持っていかなければいけないと思います。
 それから、さらにそれをもう一歩前進すれば、経済活動の中に環境配慮というものが完全に取り込まれて、経済発展すればするほど環境保全というものがどんどん進んでいく、そういう段階もあろうかと思います。それらの定義づけにつきましては、今明確に定まったものはないと思っております。
 私、昨年の暮れから、環境と経済活動に関する懇談会というのをつくっていただきまして、私も加わって議論をしておりますが、ぜひそういうような議論を通じて、今申し上げたようなところをきちっと一つの体系といいますか考えにまとめていきたいと思っております。
小林(守)委員 私も全く同感でございまして、大臣の私的な見解というようなお話でございましたが、これを国の環境政策の柱にぜひしていっていただきたい、または、基本的な理念に位置づけていってほしいな、このように私は思う次第であります。
 そこで、そういう方向性は私も同感なんですけれども、今回の循環型社会の基本計画の中に、新たにマテリアルフローの問題を、毎年環境白書の中には日本のマテリアルというか物質の流れの表が出ておりまして、二十数億トンの物質の流れが出ていると思いますが、そこに今回新たに資源生産性という指標による数値目標が示されたということになりました。
 これはこれで一つ評価していいと思うんですけれども、要は、日本全体で資源がどういうふうに、何億トンぐらい輸入され、あるいは国内から循環され、そしてそれがまた放出され、あるいは循環されていくかというような、一年間の、日本の国の中で資源の量がどう動いていっているのか、またどれだけ外に出ていき、また内部に蓄積されるのかというような数字が毎年の白書には出ておりますが、これらをもとにして、今度は資源生産性という概念での指標というか数値目標が導入されてきた。しかし、これを幾つにすべきだということになると、ちょっと計画経済的な問題になってくるなという感じもしまして、私も、ちょっと参考資料にしかならないのかなというふうに思うんです。
 問題は、資源生産性の概念というのは、資源分のGDPなんですね、分子がGDPなんですよ。これはちょっと考える必要があるんではないか。ということは、例えば、不法投棄をして、それを回収する財源がかかりますね、しかし、その不法投棄を回復する、原状回復の措置をすることによってGDPはふえるんですね。(発言する者あり)そういうことですよね、そういうこともあります。
 そういうことを考えていくと、要は、環境負荷にとってマイナスを原状に戻すぐらいの事業であってもプラスにカウントするようなGDPの考え方、これを資源で割るということになると、効率性だけを上げていこうとするならば、GDPをどんどんふやすということがまだ価値観の中で、GDP至上主義と言っていいかどうかわかりませんが、成長至上主義の考え方の枠組みを出られないんではないか、このように私は考えるんです。もう一つ別の指標を開発するべきときが来ているのではないかと。
 例えばグリーンGDPという考え方がありましたね。こういうものをもう一つの指標として、例えば、環境負荷を与えるようなGDPの増加分はマイナスするというようなGDPの考え方、これは既にOECDあたりでも検討されていると思うんですが、その指標もあわせて導入していくべきではないか、私はこのように思います。GDP至上主義というのは成長至上主義なんですよ。先ほど大臣がおっしゃったように、成長から発展へというような意味を、あるいは両立から統合へというような意味を加味していく意味では、GDPをマイナスにする考え方も内部で組み込んでいかなきゃならない時代ではないか、そのように思うんですが、いかがでしょうか。
鈴木国務大臣 資源生産性というのは、新しい考え方、概念でありまして、この循環基本計画の中でも数値目標として取り入れているところであります。
 これは、いかにより少ない資源で大きな豊かさを生み出すことができるかの指標ということでありまして、持続可能な発展をあらわす代表的な指標として国際的にも次第に定着しつつある、こういうふうに聞いておりますが、先生から今御指摘のような疑問点と申しますか、そういうこともあるという御指摘を受けましたし、グリーンGDPという考え方もあるんだ、こういうような御指摘もございました。
 国際機関等でも、使われ方、いろいろあろうかと思いますので、この循環基本計画の中で資源生産性というのを位置づけるということは、これは位置づけていきますけれども、しかし、御指摘の問題点というものは常に胸に置きながら、また、外国で使われております先生御指摘の新しい指標がどうなっているのか、そういうものについても一度勉強をさせていただきたいと思います。
小林(守)委員 それでは、次に移らさせていただきたいと思います。
 今回の大臣の所信の中で、もう一つ、地域における自発的、積極的な環境保全活動を活発化させるために、環境教育、学習の充実を図り、人材の育成とか資金援助、環境NPO等の各主体の連携を促進する仕組みをつくることが持続可能な社会づくりに欠かせない、このように述べられていると思います。そして、その土台として環境教育や学習があるんだというような御認識を示された。私も全く同感でございます。
 そこで、環境教育などの法制化について与党の皆さん方も御検討されているようには聞いておりますけれども、環境省としても、ここまで言うからには、環境学習こそ、あるいは環境教育こそ、そのような持続可能な社会づくりの土台なんだというような御認識でございますので、それらの法制化についての考え方、取り組みの状況等についてお聞かせ願いたいと思います。
 特にそこで問題にしたいのは、我々がこれまでのヒアリングの中で環境省の姿勢などを感じたところでは、その際、学校教育の現場というか、現在、総合学習の中で七、八割、総合学習の中身は大体環境学習であるというふうに言われているんですけれども、これがもう少し、きちっとした教材とか、一定の体系性というか、それから指導のマニュアルというんでしょうか、そんなものがきちっと整備されているようなことになるならば、より効果的な総合的な環境学習の体系が子供たちから大人の社会まで展開できるのではないか、このように思うわけでありますが、学校教育とか家庭教育に対してどのように環境教育、学習が展開されるべきなのか、それらについて環境省としてはどう認識されているのか、あわせてお聞かせいただきたいと思います。
望月大臣政務官 お答えさせていただきたいと思います。
 質問、ちょっと多岐に、二点にわたっておりますけれども、先生おっしゃいましたように、環境教育、環境学習は、人材の育成や人々の意識の向上などを通じ、自発的、積極的な環境保全活動を推進するための基盤となるものでありまして、環境省といたしましても、文部省を初め関係機関、団体と積極的な推進を図っているところでございます。
 民主党におかれましては、環境教育の推進に関しまして、既に環境教育振興法案を参議院の方に提出していただいて、その責任者は小林先生だと聞いておりまして、大変御見識が高いということで、私たちも承知をしておりまして、ぜひこれは勉強させていただきたい、このように思っております。
 また、与党三党におきましても、環境教育の推進のための法制化につきましては、プロジェクトチームの中に環境教育推進に関する小委員会、これを設置して、検討が行われております。
 新たな法律の検討に対しまして多くの国会議員の先生方がみずから取り組んでいただける、こういうようなことでございまして、環境省といたしましても大変力強く感じておるところでございます。環境省といたしましても、こうした御議論に関しまして積極的に参加してまいりたい、このように思っております。
 そしてまた、学校教育、家庭教育の領域でございますけれども、もちろん、あしたを担う子供たちを対象とするということは、これは感受性が非常に高くて、非常に効果的なことでございますので、学校や家庭における環境教育、大変重要な意味を持っていると思います。
 例えば、自然あるいは環境問題でございますが、自然との共生、これはいかに人間にとって必要かということを子供のころから身につけさせるための環境教育や、環境破壊は犯罪に等しい、そういうような環境倫理を自分の生き方として定着させる努力、こういったものを、十分に意識の向上が図れるように、人材の育成、文部科学省と連携をとりながら進めてまいりたいと考えているところでございます。
小林(守)委員 ぜひそういう方向で我々も頑張っていきたいと思いますし、与党の皆さん方ともぜひ連携をとらせていただきたいということをお話しさせていただきまして、次に移りたいと思います。
 時間の関係で、環境税の導入についても一つぐらい後で聞きたいと思いますが、少し飛ばして、鹿沼市の環境対策部職員の拉致殺害事件について御質問させていただきます。
 私自身のかつて勤めていた出身の職場でありますし、また現在住んでいる自治体でございまして、大変遺憾な思いとつらい思いをしておる事件でございます。
 御承知のように、一年四カ月前、二〇〇一年の十月三十一日に、仕事を終わって帰りがけの小佐々さんという環境部参事の職員が路上で拉致されて、逮捕された容疑者の供述によれば、殺害をして榛名山ろくのがけの下に放置したというような供述でございますが、まだ遺体が発見されていないという現状でありまして、遺族の皆さん方というか、御家族の皆さん方の思いを察するに本当に気の毒でありますし、かける言葉もないというふうに思います。殺害されてしまったんだろうというような思いを強くせざるを得ないんですけれども、そういうことであるならば、心からのお悔やみと、二度とこんなことがあってはならないという思いで、原因の徹底した解明と真相の究明ということを警察も含めてお願いしたい、こんなふうに思っているところであります。
 この環境対策部職員の拉致殺害事件の背景にはやはり廃棄物行政の問題がかかわっておるわけであります。業者と市、行政との癒着の問題も指摘をされているところでありまして、それもまた別の角度からきちっと解明をされ、総括されなければならない問題だというふうには思いますが、我々としては、廃棄物処理法上の問題として欠陥があらわれているのではないか、このようなことも指摘をしながら、また環境省などの認識を聞きながら、あるべき廃棄物行政の姿というかそういうもの、それから、自己の営利目的のためには殺害までしてしまうような悪質な業者に対しては徹底した糾弾と排除という制度が確立されなきゃならないだろう、このようにも思いますし、また、それにかかわる職員が今後とも安全に職務が遂行できるような労働環境をつくっていかなきゃならぬ、このようにも思うわけであります。
 ただ、そのような悪質な業界団体に絡まる勢力の中には、要は、拉致して殺されたような実態の事件そのものがおどしに使われる、鹿沼の例を見ろというような、さらにそれを利用するような悪質なことにまで使われるということも考えなきゃなりません。そんなことを考えると本当に深刻な問題だと思いますし、環境ビジネスとかいうように、環境と経済の統合とかと言いながらも、こういう問題が生じることによって大きく阻害されるというか、障害になってしまうということもあるわけでありまして、大変残念な思いもいたしているわけであります。
 そういう点で、これらの問題についてどう受けとめておられるのか、まず御認識をお聞きしたいと思います。
鈴木国務大臣 先生から御指摘のこの鹿沼市の事件でございますけれども、これは、廃棄物行政に携わる市の職員がこのような事件に巻き込まれたということは、大変悲しいことであり、残念なことであると思います。
 それから、この間、ある新聞の報道によりますと、市町村の担当の職員がいろいろなところからおどされた経験があるというようなのが報道されておりまして、現場では大変なことになっているんだなということを感じたようなところでございます。
 鹿沼の問題にいえば、仮に、報道されているように市が特定の業者に便宜を図っていた、そういう癒着があったということが事実であれば、これは大変遺憾なことであると思っております。今の段階では、警察による捜査、それから県、市の業者への立入検査が行われているところでございますので、そうした捜査、調査の状況を環境省としても見守りながら情報収集に努めてまいりたい、そういうふうに思っております。そして、こういう事実解明が進む中で、今回の事件が何か制度的仕組みの中で出てきた問題である、制度的仕組みとして対応しなければならない、そういうことになりましたら、きちんとした対応をしてまいりたいと思っております。
小林(守)委員 それでは、廃掃法上の問題点として私が考えました、今回の事件に絡んでのポイントというか、それについてちょっとただしておきたいと思います。
 一つは、拉致されて殺害されたとされる小佐々さんという参事は、自区域内処理の原則という立場に立って厳正に、本当にまじめにその原則で、よその自治体からあるいはよその地域から搬入してくるごみをかなり厳しくチェックした、そのことが、かつての行政の姿勢と違うではないかというようなことで業者から疎まれ、邪魔になってとうとう殺害されたというような経過になるわけでありますが、一般廃棄物の自区域内処理原則、これをしっかりと守っていこうと行政に取り組んだ小佐々さんの行政姿勢、廃棄物行政はどうなのか。私は当然、立派なことだと言えると思うんです。
 自区域内処理原則というものがしっかりと守られるべきだというふうに私は考えますが、それらについて環境省ではどういうふうにお考えになっておられるか、お聞きしたいと思います。
飯島政府参考人 今先生御指摘の点でございますが、廃棄物処理法上は、市町村は当該市町村の区域内の一般廃棄物の処理に関する計画を定めることになっておりまして、これが、先生御指摘の原則としては自区域内処理ではないかということだと思います。
 この計画の中で、一般廃棄物の発生量及び処理量の見込みを定めることになっておりますが、実際に他の市町村で発生した一般廃棄物につきましても、この処理量の見込みの中に含めることによって計画を立てることができます。法律上は、他の市町村で発生した一般廃棄物もこういう形で受け入れることが可能でございますし、現実に三千以上の市町村がそれぞれ自区域内処理が本当にできるかというと、現実にできておりませんで、他の市町村の廃棄物を受け入れたり、あるいは他の市町村へ廃棄物の処理をお願いしたり、こういった事例があるわけでございます。
 なお、産業廃棄物については、御承知のとおり、排出事業者責任に基づき許可を有する業者等により適正に処理されていれば、区域の移動は問題がないというふうに考えております。
小林(守)委員 自区域内処理が原則であるというようなお話もございました。ただ、他の自治体のごみについても、その計画の中にきちっと位置づけられていくならば、これは取り扱ってもいいというようなことになるんだろうと思います。
 非常に悩ましいところだと思います。例えば、産業廃棄物であっても、その自区域内のものについては当然できる仕組みになっております。鹿沼市内で発生する一般廃棄物、産業廃棄物については、指定された業者が搬入する、あるいは収集運搬して焼却施設に搬入して燃やすというようなことも産廃もできることになっておりますね。これがいわゆるあわせ産廃というふうに言われるわけなんです。今度は、ほかの自治体で発生したごみも、一つのちゃんとした契約の中で取り交わされるならば持ち込むことができるというふうになっておりまして、これがあわせ一廃とよく言われているんです。
 このように、移入のごみの問題、他地域からの移入の産廃、一廃のごみの問題、そこにやみの業界とのつながりができてしまうんではないか、このように私は思います。今回も、事件を起こしてみずから自殺を図ってしまった会社、これは県の産廃の許可も受けている業者でありますし、また鹿沼の一般廃棄物の焼却の許可も受けている業者だということで、いろいろな角度から外からも持ち込めるというような営業上のメリットというか、性格を持っていた会社でありまして、そこにみずから目をつけてどんどん成長発展してきた会社でありますけれども、私は、移入の問題が整理されないと、その背景にあるごみ行政の問題の中ではいつまでもこのような問題を引きずるんではないかな、このように思います。
 そういう点で、地区外からの移入の問題については、許認可業者の審査、資格要件をさらに厳格化すべきではないのか、もう一つは、許認可する業務の内容をより厳正化すべきではないのか、このようなことを指摘しておきたいなというふうに思っております。
 それで、もう一つ、悪質な業者を排除するために、そして職員が安心してきちっとした行政ができるように、おどしや暴行まがいのことが日常茶飯に行われるようなことがあってはならないわけでありますから、厳密にこれらについては、やはり警察権力なり警察力までかりざるを得ない状況なんだろうというふうに思います。それらについて環境省としてはどういう取り組みを今なさっておられるのか、お聞きしたいと思います。
鈴木国務大臣 産業廃棄物の不法投棄を含めまして、産業廃棄物に関する廃棄物処理法違反の事案に暴力団が介入をしていたり、また不法投棄に介入するブローカーが存在をしたり、そういうことが現実にあるわけであります。そういうことから、十二年の法改正によりまして、暴力団員ですとか暴力団が支配する法人を業の欠格要件に追加をいたしまして、暴力団の排除というものを進めているところであります。
 それから、先生の御指摘のとおり、やはり行政だけでは対応し切れないということで、どうしても警察との連携というものが必要になってくると思っております。廃棄物担当部局に多数の警察官に出向をしてもらいまして、警察とも密接な連携をとりながら進めてまいりたい、そういうふうに思っております。
 いずれにいたしましても、産業廃棄物処理業界の適正化、これをしっかりと進めなければいけないと認識をいたしております。
小林(守)委員 時間が参りましたので、以上で終わりにしたいと思います。
 また、環境税の導入等については質問通告させていただいておるんですが、次の一般質疑の機会にでもしっかりとやらせていただきたいと思いますので、きょうはおかせていただきたいと思います。ありがとうございました。
松本委員長 鮫島宗明君。
鮫島委員 持ち時間が二十分ですので、計数にかかわることは参考人の方々の御答弁を私は認めましたが、一般的に非常に参考人の方々は答弁が長くなりがちなので、的確にお答えいただきたいと思います。
 大臣の所信表明の最初に、まず、人類の存続にかかわる重大な課題である地球温暖化対策に取り組みますという決意表明が所信に高らかにうたわれている。一方で、今、平成十四年三月十九日の地球温暖化対策推進大綱には、私はきょう、原子力と地球温暖化の関係で聞こうと思いますが、「今後、二〇一〇年度までの間に原子力発電電力量を二〇〇〇年度と比較して約三割増加することを目指した原子力発電所の新増設が必要である。」というのは、この大綱の中に書かれているとおりです。
 ところが、御承知のように、昨年来、東電の事故報告に関してのミスがあり、あるいは「もんじゅ」をめぐる大変厳しい状況もあって、なかなか原子力政策の推進が、もう今の時点でも、大綱に書かれているようにいかないことはほぼはっきりしているんじゃないかという観点からお伺いいたします。
 まず、日本には五十一基の原子力発電所がありますが、今、何基動いているか、数字だけお答えいただきたい。それから、総発電電力量、五十一基が全部動いている場合は何億キロワットで、今動いている基数だとどれだけと、パーセントでもいいですから。
迎政府参考人 お答え申し上げます。
 我が国には商業用の原子炉が五十二基ございますが、そのうち、現在、二月二十八日時点で運転しているものが三十基でございます。その合計出力は二千四百九十万キロワットでございます。
鮫島委員 五十二基あるのが三十基しか動いていない。二〇〇〇年に比較して二〇一〇年までの間に三割ふやすというふうに書いてあるんですが、今は逆に、二〇〇〇年から二〇〇三年と比較すると、四割減っちゃっているわけですよね。
 これだけでも大変なものだと思いますが、なぜこれだけ、五十二基のうち三十基しか動いていなくても大丈夫なのか、エネルギー供給、電力供給が。今は冬だからいいんですが、夏の需要期に入ってくると大丈夫なんだろうかということをみんな不安に思っていますが、この辺の、夏の需要対策というのは、あと四カ月ぐらいしかありませんが、どんな手だてを考えているんでしょうか。
迎政府参考人 先ほど五十二基のうち三十基というふうに申し上げましたけれども、常に定期検査等でとまっている……(鮫島委員「それはいい。わかっています」と呼ぶ)
 御心配いただいておりますのは、東京電力管内の電気の需給ということだと思いますけれども、現在、東京電力では十七基のうち十三基が停止中でございます。残り四基も、今後、格納容器の気密性の漏えい検査のために、四月の半ばまでに停止が予定されておるところでございます。
 現在、東京電力におきましては、停止をしておりました火力発電所の運転の再開等によりまして、電力の供給の確保に努めておるところでございます。ただ、原子力がこのまま一基も運転の再開ができないというふうなことになりまして、停止をし続けた場合には、夏のピーク電力需要に対しての供給不足というのは避けられないというふうなことでございます。
 したがいまして、これを円滑に運転を再開していくということが大変重要だというふうに考えておりまして、現在、問題となりましたシュラウドですとか再循環配管のひび割れについて健全性の評価を行っておるところでございまして、評価結果を御地元に御説明をいたし、御理解を得て、運転の再開にこぎつけるべく最大限の努力を払っておるところでございます。
鮫島委員 私は、多くの東京電力管内の生活者が大変不安を持っているので、そういう人たちが納得するような説明を欲しいと思って聞いているわけですよ。だから、政治家じゃないとそういう対応ができないというんだったら、参考人の答弁はやめていただきたいんです。
 一般の人はもうちょっとよくわかっていて、イラクの戦争が始まって、中東第二の産油国、全体の中東の石油のマーケット、既に四十ドル近くまで値上がりしていますが、恐らく、非常に石油の需給についても平常時と違う事態が起こるんじゃないか。それが四月以降、ちょうど需要期とぶつかってくるわけです。それから一方で、直接イラクと関係ないんですが、中国のマーケットの動きもあって、スクラップとか古紙なんかが異常な値上がりをしている。こういう空気が、ある意味では第三次オイルショックを招きかねないような空気があるんですよ。
 だから、そういうことに対して、しかも原発が東電管内のが四月以降全部とまっちゃいます、大丈夫なんですかと言ったら、答えは、なるべく早く運転再開するようにしますと。これは落第生の答えで、さらに不安を呼ぶ話ですよ。慎重に再点検をして、万全の安全確認をした上で再起動を許可しますと言うべきところを、需要期に合わせてなるべく早く動き出すように指導するみたいな話だと、これは消費者、生活者の感覚と完全にずれている。そういう自分たちの判断がずれているということだけは、最低限認識してください。
 今、わかりました、五十二基で、定期点検も入れてとまっているのがあるので、動いているのは三十基ですと。
 では、二〇一〇年には、新増設も入れて、稼働が期待されている原発の基数及び出力は、どのぐらいを期待しているんでしょうか。
迎政府参考人 昨年の三月に各電力会社から届け出られました供給計画によりますれば、二〇一〇年までに十二基、千六百十一万キロワットの原子力発電が新増設されるという予定になっております。なお、日本原子力発電敦賀一号機については、二〇一〇年に停止というふうな表明がなされておりますので、これを考慮いたしますと、二〇一〇年度末時点で六十三基、六千三百三十万キロワットというふうなことが目標となっておるということでございます。
鮫島委員 二月二十八日、現時点で動いているのは三十基です、総出力が二千四百九十万キロワット。それを、あと七年しかありませんが、二〇一〇年には、今の二倍以上、六十三基が八割の稼働率で順調に動いて、六千三百三十三万キロワットという願望なんでしょうが、いかに大変な数字か、ギャップがあるかがよくおわかりいただけると思います。
 これにまた、どんどん原発運転するのはいいんですが、運転すれば、必ず使用済み燃料というのが出てくる。現在、かなり電力会社が、自分たちが持っている保管施設の中に使用済みの核燃料を保管していると思いますが、あとどのぐらい保管容量があるのか、今のスペースで。つまり、新増設がないとして、今のスペースであと何年分ぐらいありますか。
迎政府参考人 電気事業連合会の公表資料によりますと、昨年の九月末現在で、原子力発電所サイト内に使用済み燃料が約一万トン貯蔵されておるわけでございます。それで、そこの貯蔵施設の管理容量というのが一万六千四百二十トンということでございますので、これを差し引きますと、残余の容量は六千四百二十トンというふうな数字でございます。
鮫島委員 私はその数字は持っているからわかっているんですが、つまり、あと何年分ですか。年間の使用済み燃料の発生量は平年ベースで何トンぐらいですか。商業用でいいです。
迎政府参考人 我が国の原子力発電所から過去三年間に発生いたしました使用済み燃料というものは、過去三年平均で年間約九百四十トンというふうなことになっております。
鮫島委員 そうすると、今、六千四百二十トン分、あと残余容量がありますと。年間九百四十ぐらい出ていますから、約六年分しか残余容量ありませんよということだと思います。
 これが順調に核燃料サイクルが動いていくためには、「もんじゅ」がああいうことになっているので、商業用に考えればプルサーマルの導入が不可欠だと思いますが、二〇一〇年のプルサーマル導入の見通しはいかがでしょうか。
 先ほど原発の増設がプラス十三基マイナス一でプラス十二というふうに言いましたが、このプラス十二の中には、大間の原発も二〇一〇年に間に合うという見通しで入っているんでしょうか。あわせてお答えいただきたい。
迎政府参考人 プルサーマルにつきましては、平成十二年に策定をされました原子力長期計画におきまして、二〇一〇年までに累計十六から十八基において順次プルサーマルを実施していく計画であるとなされておりまして、これを目標に行っておるわけでございます。
 福島県、新潟県で、今回の東電の事件を契機にプルサーマル実施についての事前了解を撤回する等、情勢は必ずしも楽観できるものではございませんけれども、まずは原子力の地元、原子力についての信頼回復を図り、さらにそれを踏まえ、プルサーマルの実施に向けて努力をしてまいりたいと考えております。
 それから、大間の原子力発電所は、これはフルMOXの発電所ということで計画しておりまして、二〇一〇年までに運開という予定でございます。
鮫島委員 ちょっと、全般的に答弁が長いし、正確に答えていないんですよ。計画がどうなっているかなんというのは聞いていない、見通しはどうなっているかと。確かに、十六から十八基の原発でプルサーマルしてほしい、あるいはそれが望ましいという計画があることはわかっていますよ。見通しはどうですかと。多分、しょっちゅう、各電力会社等の聞き取りというのを継続的にやっていると思いますが、私は、そんな楽観的な見通し、今持てないんじゃないかというふうに思いますが、見通しを聞いているんです。計画はわかっている。
 それから、大間についてはまだ未買収地が二%あるんじゃないですか。短く、正確に答えてください。
松本委員長 迎電力・ガス事業部長、簡潔に、明確にお答え願います。
迎政府参考人 計画ではなく見通しということでございますけれども、先ほど申し上げましたように、情勢は楽観できるものではないと考えておりますけれども、目標に向かって努力をしたいということでございます。
 それから、大間については、未買収地があることはそのとおりでございますけれども、買収に向けて努力をしておるわけですけれども、その土地を避けて立地をすることも含めて、計画の実現に向けて考えておるということでございます。
鮫島委員 私が聞いているのは、今のイラクとか北朝鮮がなぜ問題になっているかというと、核査察で問題になっているわけですよ。多量のプルトニウムとか使用済み燃料を、あしき人たち、よこしまな心を持つ人たちが持っていると危険だと。それで今まさにイラクも一触即発の危機的な状況にあるわけで、日本もふん詰まったままどんどん原発を持つと、プルトニウムがたまるんですよね。
 日本人はそんな核兵器の開発なんか考えるはずないというふうに、今のところ国際社会の信頼が私は十分あると思いますが、それにしても、余り異常にたまると、これは危険なことになるというか、つまり、巨大なえさを日本が持っている話になって、日本人が使うことはないだろうけれども、それをねらってくるようなことも十分想定されるので、国際社会が心配しているわけですよ。
 今日本の国が持っているプルトニウムは総量でどれだけになりますか。もちろんまだ抽出して純化していないものも含めて、一応日本の所有権が及んでいるプルトニウムの総量はどれだけでしょうか。
迎政府参考人 我が国の使用済み燃料に含まれているプルトニウムの量というのを計算いたしますと、八十七トンというふうな数字です。ただ、今先生御指摘のように、抽出されたものではございません。そのほかに、海外に再処理を委託いたしまして、これは既に分離されておるわけですけれども、海外で分離、保管されているプルトニウムが三十二・四トンということでございます。
鮫島委員 八十七と三十二、約百二十トンのプルトニウムが日本の所有になっているんですが、このプルトニウムの量というのは、長崎型原爆に換算して何発分ぐらいになりますか。わからないと答えてもいいですよ。
迎政府参考人 ちょっと原爆にどれだけプルトニウムが使われているか、承知しておりません。
鮫島委員 少なくとも原子力行政を預かる方は、常識として長崎型原爆でプルトニウムがどのぐらい使われたかは御存じいただかないと困るんですが、二十キロとすると、これは六千発分なんですよね。だから、それだけのプルトニウムを日本は、抽出してあるかどうかは別として、今所有している。これがどんどんどんどんたまっていくという危機的な状況にあるわけです。
 確かに、原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画の中では、二〇一〇年までにプルサーマルを十六から十八基導入して、年間〇・三から〇・四トンずつ燃したいと。それから、大間の原子力発電所は、これはフルMOXですから、年間一・一トンの利用をしたいと。こういう見積もりで何とかバランスをとろうとしているわけですが、先が見えない中で、プルトニウムの消費、利用が見えない中で六ケ所村の再処理工場をここで動かしますと、またどんどんプルトニウムが出てくるんですが、六ケ所村の再処理工場はプルサーマルの導入が確定できなくても運転を開始するつもりなのかどうか。それだけお答えください。
迎政府参考人 六ケ所村の再処理工場については、現在九三%ができ上がっておりまして、現在通水試験、化学試験、ウラン試験、それからアクティブ試験、こういうものが予定されておりまして、操業の見込みについては二〇〇五年の七月というふうに考えております。
鮫島委員 持ってきた紙だけ読んでいても全然答えにならなくて。私が聞いたのは全然違いますよ。プルサーマルの十六から十八基の運転見通しが立たなくても二〇〇五年七月からの運転を開始するんですかと聞いたんです。あるいは、見通しが立たなければ運転は見合わせる。なぜかというと、プルトニウムがどんどん抽出されるから私は聞いているんです。利用が見込めなくても運転するんですか。これをイエスかノーかで答えてください。
迎政府参考人 プルトニウムの抽出と利用とのバランス、いわゆるプルトニウムバランスについて我が国がどうあるべきかという点については原子力委員会で御議論をされているというふうに聞いておりますけれども、もちろん原子力政策、原子力委員会のその基本方針に従って行うわけでございますけれども、現在のところ操業の見込みには変更ない。何かそういうところで決まればまた別ではございますけれども、現在のところは変更なしということでございます。
鮫島委員 済みません、もう時間なので最後にしますが、私がなぜこのプルトニウムのことをいろいろ聞いたかというと、全部これは、最後に環境大臣にお答えいただきたいと思って聞いているんです。
 最初に申し上げましたように、地球温暖化対策推進大綱、二〇〇〇年に比べて二〇一〇年、原子力発電の発電総量三割増しという計画で初めてこの六%削減が成り立つようになっているわけです。ところが、今聞いてみれば、極めて怪しげな原子力行政。どんどん進んでいるどころか、後退しちゃっているわけです。こういう環境の中で、この推進大綱を見直さずに、あと七年しかないんですが、こんなまま走るつもりなのかどうなのか。大臣の所信表明には、まず地球温暖化に取り組みますと書いてありますが、こんな大綱をぶら下げて取り組んだって何の意味もないと思いますが、今の原子力の話を聞いてどういうふうにお感じになっているか、率直にお答えいただきたいんです。
鈴木国務大臣 先生御指摘のように、地球温暖化対策推進大綱に沿って対応を進めるわけでありますが、その中で、二酸化炭素排出削減につきましては、安全性を大前提とした原子力発電の推進ということをうたっております。そして、数字も先生のお示しのような数字を考えているわけであります。
 今の先生の質疑を伺いまして、その三割増というのを実現するためには、これはすごく課題といいますか、そういうのがあるなということを感じました。しかし、今その計画の実現に向けて努力をしている最中であると思います。
 御承知のとおり、環境省の大綱も国の対策でありますので、長期エネルギー需給見通しというのが、これがもとになって決まっているわけでありまして、今そのもとの計画に沿って努力をしているということでございますので、今現在においてはその見通しに沿った大綱で対策をとっていきたいと思っております。
鮫島委員 一刻も早く見直しに取り組まれることを期待いたします。やはり環境省のイニシアチブでぜひやっていただきたいというふうに思います。
 私は、日本が悪の枢軸に指定されないことを期待して、質問を終わります。
松本委員長 高橋嘉信君。
高橋(嘉)委員 自由党の高橋嘉信でございます。
 まずは、大気汚染問題についてお伺いをいたします。
 環境大臣は、過般の東京大気汚染公害訴訟の一審判決を受け、因果関係を解明するための調査方法を研究中で、一日も早く調査ができるよう努力していくとのコメントをされ、報道されておりますが、これは事実でしょうか。そしてまた、今もそのお考えに変わりはないのでしょうか。
弘友副大臣 お答えさせていただきます。
 御指摘の調査は、今やっておりますのは、道路沿道において自動車排出ガス由来の大気汚染物質に個人がどのように暴露されているかというのを測定するとともに、ぜんそく症状等の健康調査を実施いたしまして、両者に相関関係が見られるかどうかの検討を行っているものでございまして、この疫学調査を適切に実施するための試行調査を現在進めているところでございまして、その結果を踏まえまして、平成十七年度から疫学調査を実施する予定であります。
 その結果の最終的な取りまとめ時期につきましては、なかなか、科学的知見の収集整理次第でございますけれども、早期に結果が得られますよう鋭意努力してまいりたいというふうに考えております。
    〔委員長退席、近藤(昭)委員長代理着席〕
高橋(嘉)委員 副大臣にお話しいただきましたが、大臣のコメントなので。一刻も早く、一日も早く調査ができるよう努力していくと。今その過程はちょっと、はしりは聞きましたけれども、めどが全くはっきりしていない。
 その点について、大臣、いかがですか。
鈴木国務大臣 この因果関係の調査でございますけれども、私も、何とか早くできないか、そういう思いで事務方にもいろいろと事情を聞いているところであります。
 しかし、話を聞いてみますと、こういう調査、これは先例のない新しい調査であって、調査設計もしなければならなかった、それから、調査をする際のいろいろな機器、例えば何か人につけてもらってそういうところの物質をはかる機器の開発とかいったような、何か予算をつければこの計画が早く始まるとかそういうことでない、いわば調査設計その他のことに時間がかかってしまっているということでございまして、残念ながら、副大臣から今申し上げたようなスケジュールで進んでいるということであります。
高橋(嘉)委員 自動車の排出ガスと気管支ぜんそくの因果関係を認め、国や都に賠償命令が出ました。中でも公健法の未認定患者の一人が賠償の対象になったことに対して、では今後、いつになるかわからないような話でありますけれども、科学的知見が得られたならば、一九八八年以降打ち切られておりました地域指定、これを再び行う用意があるのか、また、新たな救済制度も視野に入れる考えがあるのかどうか。科学的知見が出るまでは一切そういうことは考えないのかどうか。その辺はいかがですか。
弘友副大臣 科学的知見を得られるように調査をやっているわけでございますけれども、今回、東京の大気汚染訴訟で国は控訴をしているわけでございますけれども、これはやはり、まだ現在の段階では医学的に十分な知見がない中で自動車排出ガスと気管支ぜんそくの因果関係を認めた、もう一つは、道路管理者の責任を認めた国家賠償法第二条の解釈適用といたしまして国として不服があったので控訴をしたということでございまして、そういう公害補償の部分と、未然防止の部分というのは、やはり考え方を立て分けていかなければならないというふうに考えております。
高橋(嘉)委員 どうもよくわからないんですが、環境省は、車の排出ガスに含まれる窒素酸化物とか粒子状物質の規制を新設する意向のようですよね。政府は、二〇〇五年には世界で最も厳しい規制を導入するということを言っておられますよね。片や規制の強化をどんどん進め、片や調査を行うとして控訴している、こういう手法のようでありますけれども、一般社会からしたら、どうも矛盾している、そういう声があってしかるべきだと思うんですが。
 一般論で結構ですけれども、そういった中で、調査のめどもお話しいただかないで、果たして本当にこれからこういった大きな問題、解決の糸口が見つけていけるのかどうか、その辺の御見解はいかがですか。
弘友副大臣 こうした例えば気管支ぜんそく等の疾病に至る以前の健康被害を未然に防ぐことが必要というふうに環境省としては考えておりまして、今お話しのように、平成十七年度から、ディーゼル自動車については世界で最も厳しい規制をした。ですから、先ほどもお答え申しましたように、この健康影響の未然防止の部分と、それから健康被害の補償、これはやはり科学的知見というのが大事だということで、調査を進めているところでございます。
高橋(嘉)委員 未然防止というのは、そういう因果関係に疑いありという意識があるからなんじゃないですか。それ以上のことはもう申し上げません、次にいろいろありますので。僕はそう思うんですけれどもね。そのことを申し上げただけですよ。
 では、次に、自然再生推進法の具体的な取り組みについてお伺いをいたします。
 自然再生の基本方針案に対するパブリックコメントが、二月中ですから、きょうで終わります。そして、三月の閣議決定に向けて動き出しているところと思われますけれども、環境教育あるいは地域の産業興しを柱にした、まさに住民主導型のアサザプロジェクトについてお伺いします。
 各界から大きな評価を受けております。これは、百七十の小学校と連携して、そして、先ほどからお話がありました環境教育を充実させようとして一生懸命頑張っているNPO団体で、各界からの評価は大きいものがあります。まさに自然再生推進法のモデル的な存在と思われますが、大臣に、アサザプロジェクトは自然再生推進のまさにモデル的なところであるとの御認識がおありかどうか、お伺いします。
鈴木国務大臣 自然再生推進法につきましては、先国会で議員立法でつくっていただきました。大変に環境省としても大事な法律であると思っているところであります。
 お尋ねのアサザプロジェクトでございますが、これは、霞ケ浦の湖岸植生の回復を行政と市民運動が連携して進めるという点で、自然再生の一つのモデルである、そういうふうに認識をいたしております。
高橋(嘉)委員 では、現在、アサザプロジェクトは、自然再生協議会の設立に向けて鋭意活動中、満を持しているという状況のようでありますけれども、ボトムアップに道を開いた自然再生の理念からすれば、これを立ち上げるために環境省が率先協力し、大いにその役割を果たすべきと思いますが、これはいかがですか。
鈴木国務大臣 アサザプロジェクトについて、アサザ基金の呼びかけによって、二月の十七日に、自然再生推進法に基づく自然再生協議会の設置に向けた勉強会が開催されたということを承知いたしておりまして、環境省も国土交通省とともに参加をいたしました。
 これまでの自然再生の取り組み、これをさらに推進することが重要であると思っておりますので、自然再生協議会の立ち上げに向けまして、今後とも積極的に対応してまいりたいと考えております。
高橋(嘉)委員 ここで、では一つだけお伺いしますが、国交省が、どうも行政主導の中で、再生協議会の立ち上げに向けてか否かははっきりまだしていないようでありますけれども、そういう動きがあるということを聞いていますが、これについて大臣はどう思われますか。
鈴木国務大臣 国土交通省も、先ほど申し上げた勉強会には参加をしたということを聞いております。環境省という立場からいえば、やはりこの霞ケ浦の問題についていえば、国土交通省も協力していただくということが大切である、こういうふうに思いますので、国土交通省に対しましても積極的に参加を働きかけていきたいと思っています。
高橋(嘉)委員 いや、もう大臣がそういうお考えなら本当に結構だと思います。要は、住民主導型、ボトムアップの理念、そして自然再生協議会の第一号を積極的にバックアップする、そういう理解でよろしいですね。
 では次に、最終処分場のごみの資源化についてお伺いいたします。
 廃棄物の焼却灰などを埋め立てる最終処分場の残余年数は、全国で三・九年分、首都圏では一・二年分と非常に厳しい状況が続いております。この逼迫した状況の解消を目指して、最終処分場にあるごみをまた再生させる事業を行おうとの方針を環境省が示されたと報道されたときがありますが、その後、この問題についてはどうなりましたでしょうか。
    〔近藤(昭)委員長代理退席、委員長着席〕
望月大臣政務官 最終処分場につきましては、用地の確保の困難さ、そしてまた全国的に新規設置が進みづらい状況にございますので、先生今御質問のとおり、最終処分場の容量を確保するために必要な措置を講じていく、そういうようなことは我々認識しております。
 このような状況にかんがみ、平成十五年度から、市町村が設置いたしました既存の一般廃棄物最終処分場であってその構造が適正なものにつきまして、市町村において、処分場内の埋立物を掘り出して減容化そしてまた再資源化を行うとともに、最終処分場の容量を新たに生み出す事業を実施する場合、環境省としては、そのために必要なごみ処理施設の整備に対して国庫補助を行う予定でございます。
 循環型社会の構築は重要な問題であり、本事業の活用も図りつつ、その推進に努めてまいりたい、このように思っております。
高橋(嘉)委員 わかりました。
 では次に、先ほどもお話ありましたが、産廃の不法投棄対策の強化を目指して、廃棄物処理法の改正に当たって未遂罪の新設や産廃Gメンなる文言がマスコミに躍っておりますが、これらの点についてどのようにお考えなのか、お伺いしたいと思います。
 この産廃Gメン、あるいは未遂罪、要は国の関与の部分が入り込んでくるわけでありますが、この点、大臣のお考えはいかがですか。
鈴木国務大臣 今回お願いをしたいと思っております法改正には、今先生から御指摘のような点がございます。
 このうち、国の関与についてでありますけれども、例えば、排出者が多くの都道府県にわたるような大規模な不法投棄事案につきまして、都道府県だけで排出元を含めた実態の解明を迅速に行うことが困難な場合というものが現にございます。都道府県だけでは迅速に対応できない緊急の場合には、環境省の職員が、産業廃棄物の処分が行われた事業場等の場所に立ち入り、産業廃棄物の処分の状況、関係する帳簿書類等を実地に検査し、不法投棄などの実態解明に努めることを考えております。
 どのようにやるかということにつきましては、国と都道府県でばらばらに行うのではなくて、相互に密接に連携して行うべきものであり、それがまた効果的だと思いますので、国が単独で実施する場合もこれはあり得ますけれども、基本的には国と都道府県の合同で行うものとなる、そのように考えております。
高橋(嘉)委員 広範囲にわたる廃棄物処理業、とりわけ有害物質を含むという点などから見れば、国が立入調査権限を持つのは当然のことと私は思います。国の判断として動く基準と、その責任の所在について。
 今のお話ですと、都道府県と密接な連携を強調されていますし、国が動いて判断すると、もし重大なミスを犯した場合、国の行政責任は免れないわけであります。それと、全国で八十九名という対策官、この人たちを対象にしていて、果たしてこれで足りるかどうか。そして実際、国の立ち入り権限を行使する場合の責任の所在、それはどうなるんですか。
鈴木国務大臣 先ほど、国の立入検査につきまして、排出事業者が複数の都道府県にわたって大規模な不法投棄があるような事案、個別の都道府県だけでは迅速な対応に限界があると判断される場合を対象とすると申し上げましたけれども、その判断は環境省が行います。
 それから、都道府県の要請を受けて立入検査を行うことが多いと考えられますけれども、場合によっては、都道府県の要請の有無によらず立入検査を行う場合もあるものと考えております。
高橋(嘉)委員 いずれにせよ、自治体の癒着問題や脅迫ざたや、いろいろな問題があります。国の立ち入りも、密接な連携をとらなきゃいけないことは事実なんです。とらないでやらなきゃならないこともあるわけでありますから、そこははっきりお答えいただきたかったわけであります。絶えず都道府県や自治体の後を追っていくのではなくて、また、東京にいてしりをたたくのではなくて、この辺は今後の環境行政のまさにかぎを握る問題でありますから、しっかりと環境省のスタンスを持っていただきたい、このようにお願いを申し上げます。
 では次に、各自治体における産廃税や協力金制度の導入、事前協議の義務づけ等の動きが強まってきております。これについての御見解はいかがですか。
望月大臣政務官 この件につきましては、法定外目的税といたしまして、産業廃棄物税なんですが、平成十三年度に、まず三重県初め八つの地方公共団体で条例が制定されております。また、多くの地方公共団体でも、そのことにつきまして検討がなされているとお伺いをしております。
 それで、これまで導入された産業廃棄物税につきましては、産業廃棄物の適正処理やリサイクルに係る施設に要する費用に充てることが中心となっておりまして、適正処理の確保に加え、産業廃棄物の発生抑制や最終処分量の減量化にもつながる効果を有している、そのように私たちは認識しております。
 しかしながら、産業廃棄物税一般について、産業廃棄物の流入抑制、税金がかかるからその県には入れないで、ほかの方で、かからない方で処分してしまおうというような、そういうことにつながるなど、産業廃棄物を全国的に円滑に処理する上で支障を生じている可能性も否定できないなど、若干留意する点もあります。
 そういう中で、環境省といたしましては、全国的な視点に立って産業廃棄物行政を担当する立場からしっかりと研究する必要がある、先生おっしゃるとおりだ、このように思っておりますし、後追いにならないようにということで、本年一月に、産業廃棄物行政と政策手段としての税の在り方に関する検討会を設置いたしまして、有識者の御意見を伺いながら検討してまいっておるところでございます。
高橋(嘉)委員 一月からやっているという話ですが、それが後追いじゃないかなという気がしておりますけれども、いずれにせよ、納付額の統一とかいろいろなことをやっていかなきゃならないわけですよね。でなければ、安いところにみんな持っていこうとするし。どんどん流入規制、搬入規制を強めようとすれば。そして自県内処理を目指していく。どんどんどんどん持ってきて捨てられるわけですから、そういうふうになっていくわけですね。
 これについてはいち早く検討を重ねていかなきゃいけない問題じゃないんですか。僕はそう思います。いずれ、そういった動きの中で、一般、産廃を問わず、ごみがなくなることはないわけでありますから、この置かれている状況を上手に受け入れる必要があると私は考えております。環境教育しかり、循環型社会の形成しかりでありますけれども、狭い国土の中でこの共通した認識が必要なわけであります。ごみの中間処理も何もせずに、最終処理もせず、しかも有害物質まで山に持っていって捨てたり、穴を掘って埋められたんじゃ、そして後は自分たちで片づけろと言われたんじゃ、たまったもんじゃないわけであります。
 最終キャパを有しない自治体の今言ったような認識が僕は求められているのではないかなと思っておりますが、最終キャパを有しない自治体、つまり排出県ですね、仕組み、額はいずれにせよ、基金の創設を考える余地はありませんか。
鈴木国務大臣 排出県が拠出する基金を創設すべきであるという考え、構想、これは高橋先生のかねてからの持論である、そのように承知をしているところであります。
 確かに、産業廃棄物が不法投棄された県では、周辺環境調査、行為者、排出事業者の追及調査、あるいは原状回復の検討等に多額の経費や労力を要して、また、青森や岩手の事案のように、大規模な不法投棄の原状回復を行わざるを得ないような場合には、さらに膨大な経費と労力が必要になるということは、私も承知をいたしております。
 しかし、このような状況を踏まえたといたしましても、特定の県の経費の負担が大きいということのみで排出事業者が立地する県に基金拠出を求める、このことには、現在の、今日の段階ではなかなか合意形成が難しいのではないか、そういうふうに考えております。
 他方、先ほど政務官が答弁をいたしましたけれども、各地方自治体で産業廃棄物税が導入されつつございますが、その使途の一つとして、不法投棄の監視強化の財源に用いることは十分に考えられることであります。適正な産業廃棄物処理を確保する上からも、廃棄物流入県の不公平感を緩和していく手法について、先ほど申し上げました検討会におきましても、さまざまな観点から検討を行ってまいりたいと思っております。
高橋(嘉)委員 いずれ合意形成という話を聞くと、排出県の反対なのか、産廃業者の人たちの反対が根強いのか、もしくは大臣の環境行政における理念がそういうものではないとおっしゃられているのかよくわからないのですけれども、いずれにせよ、その検討を僕は急ぐべきであるということを申し上げておきます。
 では次に、産業廃棄物の排出及び処理状況についてお伺いをいたします。
 平成十二年度の総排出量は四億六百万トンと発表されていますが、間違いございませんか。
鈴木国務大臣 そのとおりであります。
高橋(嘉)委員 済みません、細かい数字をお聞きするつもりではないのですが、どうしてもここでは答えていただきたかったものですから。
 なぜお聞きするかといいますと、このデータは、処理計画を立てるために五年に一度の割合で各都道府県に報告を求めた数字であります。各県もまた、処理業者、すなわち産廃業者からの報告を積算したものにすぎないのであります。この数字が実態と言えるとお考えですか。いかがですか。
鈴木国務大臣 環境省では、産業廃棄物の排出及び処理状況等について毎年取りまとめを行っておりますけれども、この調査は、全国の産業廃棄物の全体的な状況や経年的な傾向をいわばマクロ的に大づかみに把握して、適切な産業廃棄物施策を推進する目的で実施しているものでありまして、先生御指摘のように、約六百万あります排出事業場における処理の実態をつぶさに把握するというものではございません。
 産業廃棄物の処理が個々の排出事業者により適切に行われているかどうか、個々の産業廃棄物処理業者により適切に行われているかどうか、そういう観点につきましては、この調査によるものではなしに、別途、廃棄物処理法に基づく都道府県等による立入検査及び報告徴収により確認を行わなければならないものと考えております。
高橋(嘉)委員 それは本当に早急に行うべきだと思いますよ。新法において、三十億の予算要求をされていますけれども、それ以前にやらなきゃならない問題だと思いますよ。
 大体に、平成十三年四月現在で一億七千六百万立米あると言われる残存容量、これについても、要は産廃業者の報告の数字を積算したにすぎないですよね。すべてそういう事業者の報告をうのみにして数字を公表している。残余年数も、これをもとに割り出していますよね。実態がつかまれていない。排出量、中間処理、さらに最終処理までの流れ、フローが余りにも不明確な数字の上に成り立っているわけであります。もし間違いないというのであれば、だから今すぐにそういう調査をするというお話のようですけれども。
 大体に、青森、岩手の問題を引き起こした三栄化学工業ですけれども、ここは二千五百立米のキャパしかなかったんですよ。それが、八十二万立米埋められちゃっているんですよ。これはどう説明できるんですか。
 このようないいかげんな数字で、支障除去の新法を提出してやれると、本当にそういうお考えなのかどうか。そして、そこを即座に実態調査して、残存容量が本当にどれぐらいあるか、そしてその流れをきちっとしていく努力をしていくというお考えがおありなのかどうか。もう一度大臣の御見解を伺います。
鈴木国務大臣 確かに、調査につきましては、先ほど申し上げたとおり、マクロ的なものでございます。その調査結果が全く外れているかどうかという、そういう評価はあろうかと思いますけれども、全国的な統計のための調査において精度を向上して、実態をなるだけ正確に反映したものとすることが必要でありますので、推計や算出の方法については今後とも適宜見直しをしていく方針でありまして、より正確な統計の整備に努めてまいりたいと思っております。
高橋(嘉)委員 現在、環境省が把握している数字の中でも、ほかにもいっぱいあるんです。
 例えば、現在環境省が把握している中で、各自治体が問題ありとしている六百六十九件の不法投棄事案、一千三百三十四万三千トンですか、この一千三ないし四百万トンの量がある、こういう説明がなされております。この量の中で、判明している部分、つまり、今の中で、この数字に挙げられているのは、大体これぐらいあるだろうという量がわかっている部分だけ。六百六十九件中の五百三十六件分だけ積算されたものが一千三、四百万トン。百三十三件分は、この数字に入っていないということなんですよね、何度確認しても。さらに、有害性のチェックは自治体としてはされていない。これでは処理費用をはじき出せないのではないですか。新法の今後十年間で、三ないし四百億を見込んで、原状回復をするとうたっていますけれども。
 こういう実態の把握の仕方では、余りにも計画性に欠けると言わざるを得ないんですが、どうお考えですか。
鈴木国務大臣 産業廃棄物の不法投棄の実態把握ということでございますが、平成五年度から各年度ごとに、都道府県及び保健所設置市が、パトロール活動でありますとか、あるいは住民の通報等によりまして、その年度に新たに確認した投棄件数と投棄量の調査を実施しておりまして、平成十三年度の調査結果では、全国で千百五十件、二十四万トンの新たな不法投棄が確認をされております。
 また、平成十三年六月、各地に残されたままとなっております不法投棄跡地のうち、地元で問題となっているものについて調査したところ、全国で問題となっている産業廃棄物不法投棄跡地は、先生の御指摘のとおり、約六百七十件、うち投棄量が判明しているものは約五百四十件、千三百万トンでありました。
 こうした調査をしているわけでありますが、これらの調査は都道府県等の監視パトロールや地元市町村等により確認されたものでありまして、各地の不法投棄実態というものをきちんと把握しているものである、そのように考えておりますけれども、引き続き、都道府県の行います監視体制の強化、不法投棄情報の通報体制の整備等に対する支援を行うなど、不法投棄がより正確に把握されるように努めてまいりたいと思っております。
松本委員長 高橋嘉信君、おまとめください。
高橋(嘉)委員 はい。
 いずれ、要は、千三百万トンを優に超える可能性があるということですから、そのことを、早急な実態の解明をしていただきたい。
 また、排出から処理までの的確な把握、キャパと処理量の関係がちょっともクリアじゃないし、オープンでもない。少なくとも中間処理施設の許可を出す際には、どれぐらいの容量のあるところに持っていくか、そしてそれがどれぐらいずつ埋め立てられて、残存はこれぐらいある、これぐらいのことはきっちりと監視体制をつくる必要はあろうかと思います。
 いずれ、環境大臣のリーダーシップに期待し、質問を終わります。
松本委員長 藤木洋子さん。
藤木委員 日本共産党の藤木洋子でございます。
 今、政治と金の問題で、企業からの献金が厳しく問われております。そこで、きょうは、鈴木環境大臣御自身の献金問題で、大臣の政治姿勢についてお伺いをいたします。
 公職選挙法違反容疑で自民党長崎県連前幹事長が逮捕されたという事件がございますけれども、政治資金規正法に基づいて政治資金として届け出された、そういう献金であっても、その実態が実は選挙に関する寄附であったということが明らかになりますと、これは、公職選挙法の百九十九条及び二百条、ここで定めております特定の寄附の禁止ということに違反をする問題として示されております。
 言うまでもなく、公職選挙法の特定の寄附の禁止というのは、地方自治体の選挙だけではございませんで、国の選挙においても厳しく適用されるものであります。
 私たち日本共産党は、選挙に関する寄附が禁じられている企業、こういったところから、政治献金の名で巨額の資金が選挙のために集められている、そういう実態を明らかにする必要がある、こう考えまして、独自の調査を行ってまいりました。二月七日には、予算委員会の総括質疑で、我が党の志位委員長がリストを示して小泉総理以下を追及したところです。
 そのリストの現職閣僚の中に実は環境大臣も含まれておりまして、そこで、環境大臣の場合、特に八つの地元企業、ここからの献金が挙げられております。これらの企業とは相当に親密なおつき合いがあるんじゃなかろうかというふうに思うのですが、大臣の自民党支部であるとか、あるいは後援会の役員や幹部などにこれらの企業がなっているのでしょうか。大臣、いかがですか。
鈴木国務大臣 私が代表をしております政党支部に対しまして、公共事業を受注している企業からの献金がある、それが選挙の時期にこれだけあったという資料を、予算委員会のときに共産党の志位委員長が、閣僚とそれから副大臣、さらに与党の幹部について調査した結果ということで、十九名、こういう献金があるということをお示しになられました。その中で、十九名の中に私も入っているわけであります。
 それで、今の御質問でありますけれども、党の役員とか支部の役員になっている方もおられます。それから、私の後援会の会員に社長さんがなっている方もおられます。すべてがすべてそうというわけではございませんが、そうなっております。
藤木委員 大臣の選挙区である岩手二区の久慈市にある二つの企業、ここからは毎年定額の献金を受けていらっしゃいます。これらの企業の代表が大臣の後援会に入っているとか、あるいは後援会や自民党の岩手県第二選挙区支部の幹部になっているということはないのでしょうか。今、何人かは役員をしているということをおっしゃいましたけれども、これはどうなのか。
 八つの企業のうち、支部や後援会の幹部になっている企業から献金を受けているという事実は全くないわけですか。この点はいかがですか。
鈴木国務大臣 事前にそういう御質問があれば調べてまいりましたけれども、今突然の御質問でありますので、名簿等をきちっと当たってみないとわかりませんけれども、今お示しになられました二つの久慈市の企業の社長さんのうちのお一人は確実に後援会の役員をしていただいております。
藤木委員 これらの企業は地元企業でございますから、大臣の選挙区である岩手二区の久慈市の企業が三社入っておりますね。それから、盛岡市にある企業は一社。雫石町にある企業、これも大臣の選挙区になるんですね、ここが一社入っておりますね。大船渡市にある企業は三社となっております。
 昨年、宗男疑惑では、地元企業から林野庁の仕事を確保するためのあっせんを受けまして、その見返りに五百万円を収受したという疑惑で逮捕されたわけです。今、大島農水大臣について、選挙に役立ててほしいと届けられた資金を、政治団体の会計責任者も務めた秘書が受け取っていたという疑惑が問題になっていますし、また別の元秘書が地元の市立病院建設で口ききをし、献金を受け取っていたという疑惑も指摘されているところです。
 このように口ききあるいは疑惑が次々と大問題になっているわけですけれども、環境大臣や大臣の秘書が公共事業の口ききをする、地元企業からの受注の依頼を受けたことはなかったかどうか、その点についてお答えをいただきたいと思うんですが、そこで、これら八つの企業とおつき合いをしていて、公共事業の口ききや依頼を受けたことは一切ないというふうに言い切れるのかどうか、お答えをいただきたいと思います。
鈴木国務大臣 そのようなことはございません。
藤木委員 そこで、ただいま皆さんに配付をしております資料がございますけれども、これは、先日志位委員長が総括質問の際に配付をした資料の中から、特に鈴木大臣の分だけを抜き取って作成したものです。
 この資料は、政治資金収支報告書に基づいて、国と請負契約関係にある企業、つまり公共事業の受注者からの選挙期間中の献金、これを抜き出したものだけ掲載しております。この献金を行った企業ごとに、過去三年間の献金の有無、金額を調査し、選挙期間中の献金が明らかに突出しているものを一覧表に整理したということなんですね。
 また、政治資金収支報告書に加えて、議員の選挙運動費用収支報告書というのも調査をいたしまして、政治資金から選挙資金へのお金の流れについても、届け出がなされているというその範囲の中で私ども明らかにしてきたわけです。
 そして、ここで言う選挙期間中というのは、衆議院の場合は解散ということがあるわけですから、与党の党首会談で投票日を正式に決定したという、この年でいえば二〇〇〇年の五月十八日になるわけですけれども、それから投票日の六月二十五日の間を、その間だというふうにいたしました。
 そこで、資料を見ていただいたらおわかりなんですが、久慈市の下斗米組からは二〇〇〇年の六月十二日に五十万円、大船渡市の株式会社佐賀組からは二〇〇〇年の六月十二日に百二十万円、雫石の岩井建設株式会社からは二〇〇〇年の六月十六日に百万円、盛岡市の高弥建設株式会社からは二〇〇〇年六月八日に百万円、大船渡市の株式会社明和土木からは二〇〇〇年の五月三十一日に五十万円、大船渡市の株式会社菊池組からは二〇〇〇年六月一日に五十万円の献金を受けておられます。
 そこで、まず、この六社の企業からの献金額と献金日付、これは間違っていませんでしょうか、御確認をいただきたいと思います。
鈴木国務大臣 それは間違ってございません。
藤木委員 次に、久慈市の株式会社小山組からは二〇〇〇年の六月七日に百万円、久慈市の宮城建設からは二〇〇〇年の六月五日に百二十万円の献金を受けておられます。この二社の企業からの献金額と献金日付は間違いないでしょうか。いかがですか。
鈴木国務大臣 間違いないと思います。
藤木委員 それでは、第一の角度として、献金を年度別に見た場合についてお聞きをしたいと思うんですね。
 これらの八社からの献金の合計は六百九十万円となりますけれども、配付いたしました資料にありますように、この八社はいずれも二〇〇〇年の六月十三日の公示日から二十五日の投票日までの総選挙時に国の契約事業を進めておりました。これは「工期」というところに記載されているわけですけれども、その中に該当するわけですね。ですから、これら八社はいずれも、選挙に関する寄附を禁じられている企業ということになるわけです。
 そこで、先に挙げた六社について調査をしてみると、配付した資料のとおり、九七年の献金はゼロなんですよね。九八年もゼロです。九九年もゼロ。ところが、二〇〇〇年の総選挙時には合計で四百七十万円が献金されているわけです。この献金は、明らかに総選挙を動機とした献金ではないのですか。大臣、いかがですか。
鈴木国務大臣 まず、明確に申し上げておきますけれども、御指摘の、私が代表をしております政党支部に対する寄附は、これは特定の寄附ではありませんで、一般の政治活動に対する寄附でございます。
 したがいまして、当然私は、言われております御寄附は選挙には使っておりません。通常の党活動に使わせていただいた、こういうことでございます。
藤木委員 しかし、百歩譲って、一社だけというのであれば納得できないこともないんですけれども、六社が足並みをそろえてこれらの献金を選挙時に行っているというのは、やはり総選挙を動機とした献金ではないかというふうに思いますね。
 また、後から挙げた二社、これはわざわざ分けたのはなぜかといいますと、この二社は、小山組ですか、これは、九七年には四十八万円、九八年には四十八万円、九九年にも四十八万円と、毎年しているわけですね。宮城建設は、九七年に三十万円、九八年に五十万円、九九年に五十万円。つまり、宮城建設の場合は、九七年から引き上げられた額にはなっておりますけれども、それにしても定額の献金をしている。それで、私は六社と二社と分けて紹介させていただいたわけですね。
 しかし、その小山組は、二〇〇〇年時に総額で百五十万円、そのうち選挙期間中のものが百万円。これは、表を見ていただいたらわかりますが、一番右の端に、ちょっと網かけをしたところに記載されております。宮城建設は、二〇〇〇年時に総額で二百二十万円、そのうち選挙期間中が百二十万円、こういうふうになっているわけですね。
 ですから、この二社についても、総選挙を動機とした献金ではないのかという疑いを持ちますが、大臣、いかがですか。
鈴木国務大臣 政党支部に対する献金がその時期にふえている、こういう御指摘だろうと思います。
 政党活動というのは、幅広く活動するわけでありますけれども、多くの党活動を応援してくださる方のいわば資金的な御協力によって支えられている、こういうことです。
 確かに、御指摘を受けたこの時期は献金はふえているわけでありますけれども、当然この時期は、政党としての政策の普及でありますとか組織活動でありますとか、あるいはさまざまな政治活動が大変活発になる時期でございますので、支援者がそういう活動を見て協力していただいたもの、そういうふうに理解をしております。
藤木委員 その活発な活動こそ選挙活動じゃないんですか。大臣の答弁は理屈が立たないと思いますよ。もう少し続けて質問させていただきますから、お聞きください。私は、全く納得いきませんね。
 それでは、配付した献金の日付を見ていただきたいと思うんですが、献金を行った日付を順を追って申し上げたいと思うんですね。
 これを見ますと、明和土木、ここが二〇〇〇年の五月三十一日です。菊池組は六月一日。宮城建設は六月五日。小山組が六月七日。高弥建設が六月八日。下斗米組が六月十二日。佐賀組も同じく十二日ですね。岩井建設が六月十六日。
 こうなっているわけですが、御存じのように、二〇〇〇年の総選挙の公示というのは六月の十三日です。投票日は二十五日です。ですから、とりわけ、大臣の地元の久慈市の下斗米組だとか大船渡市の佐賀組などは、公示の前日に献金しているわけですね。公示の前日に。
 これから扱うお金というのは、選挙のためにしか使うことのできないようなお金じゃないんですか。この献金が総選挙を動機としないという大臣の答弁に納得がいかないんですが、ここまで明々白々なんですから、しっかりした説明をしていただかなければならないと思います。
鈴木国務大臣 先ほども申し上げておりますとおり、先生から御指摘の党支部に対する御寄附は、これは一般的な党活動に対する寄附でありまして、特定の寄附ではございません。日付がどうであれ、そうであります。
 なぜかと申しますと、私もそういう認識でございますから、これを選挙には使っておりません。これは一般の党活動に使って、選挙には使っていないということを、ぜひ御判断をいただきたいと思います。
藤木委員 選挙公示日の前日の献金でも選挙に関係ないと。政治活動だけに使った資金だ、だから政治資金だというふうに言いわけをされたわけですけれども、そんな話は常識的にはとても通用しないというふうに私は思うんですよ。大臣がそうお答えになるだろうなということは予測をしておりました。
 そこで、二つ目の角度として、独自に翌年の二〇〇一年のこれら八社の大臣への献金を調査させていただいたんですが、それでは大臣、この八社からの二〇〇一年の献金はどのようになっているのでしょうか。
鈴木国務大臣 それは調べておりませんので、わかりません。
藤木委員 調べていないということでしたら、ぜひ調べていただきたいと思います。
 私の独自の調査では、二〇〇一年は、八社が八社とも、明らかに献金はゼロなんです。これは、確認していただくためにぜひ調査していただきたいというふうに思います。
 大臣は先ほど、八社の中に大臣の支部や後援会の役員、幹部をしている企業が若干含まれている、何社かあるということをお認めになっていらっしゃるわけですけれども、それであれば、毎年定期的に献金しているというのは、これがごく当然だと思うんですね。自民党支部の役員をしていたり、あるいは後援会の役員をしていたりということになれば、もう通年といいますか日常的に党を応援するというのが普通だというふうに思いますが、選挙の翌年の二〇〇一年に八社ともゼロというのは、極めてふまじめな党活動としか思えないというふうに思いますよ。
 ということは、明らかに、二〇〇〇年の選挙期間中の献金が総選挙を動機とした献金ということではないんですか、大臣。いかがですか。
鈴木国務大臣 二〇〇一年のものを私は調べておりませんのでわかりませんけれども、先生から八社すべてゼロであるというお話を聞いて、大変、私としては何か不思議な気がしておりますので、調べてみたいと思います。
 いずれにしても、先ほど申し上げておりますとおり、政党の支部の活動というのは、それを応援する方々の善意のお申し出によって支えて活動しているわけでありまして、御指摘の時期に献金が集中している、寄附が集中しているということは、先ほど申し上げましたとおり、その時期は、政党活動が極めて活発になる、政策普及あるいは組織拡大等活発になるわけでありますので、そういうことに対して支援者が協力をしていただいたものである、もうそれに尽きるわけであります。
藤木委員 それではお答えにはならないんですよね。
 先ほど大臣は、その八社が大臣に直接というのではなくて党支部へ、党支部に対する政治献金だと言われましたね。その党支部というのは、自由民主党岩手県第二選挙区支部のことですか。
鈴木国務大臣 そのとおりです。
藤木委員 それでは、三つ目の角度として、大臣の選挙運動費用収支報告書というので寄附状況を見てみますと、それによりますと、これら八社が献金したのは、確かに大臣がおっしゃるように、自由民主党岩手県第二選挙区支部になっておりますが、その支部から大臣が選挙の運動費用として受けた寄附は一千五百万円ということになっておりますよね。八社の選挙期間中の献金の合計は六百九十万円ですけれども、その献金を含めた一千五百万円が選挙運動費に使われているわけですよ。
 大臣は、八社から受けた献金は一千五百万円に含まれない、あくまでも含まれない、こうおっしゃるわけですけれども、選挙運動費には使用していないとお答えになっても、八社から受けた献金が含まれた一千五百万円なんですよ。
 大臣の選挙運動費用の収支報告書で、自由民主党岩手県第二選挙区支部から一千五百万円の寄附を受けている、その一千五百万円を受けたという事実は、これは間違いないんですか。
鈴木国務大臣 繰り返しになりますが、いただきました御寄附は、特定の寄附ではなしに、一般の党活動として受け取ったものでございますので、それは一般の党活動に使いました。そして、選挙活動には使っておりません。
 今先生が、千五百万円、第二選挙区支部から私の選挙収支報告書の方に出ている、こういうふうにおっしゃいましたけれども、よく調べていただければわかるのでありますけれども、平成十二年の五月十九日に、私の資金管理団体であります清鈴会というのがございますが、その清鈴会から自由民主党第二選挙区支部に一千五百万円を入れております。つまり、ここに使われております、選挙に使われた一千五百万円は、平成十二年の五月十九日に、別途資金管理団体で手当てした一千五百万円を党の支部に入れて、それが使われたということでございますので、先ほど申し上げていますとおり、御指摘の寄附は選挙には使っていないということでございます。
藤木委員 それはぜひ明らかに、書類も提示をして皆さんに証明していただきたいというふうに思いますね、そういうことであるならば。
 それで、私は、八社の六百九十万円が千五百万円の寄附の中に含まれていて、選挙運動に使われたというふうに……(鈴木国務大臣「いや、違うんです。別途入れているんですから」と呼ぶ)ですから、それであれば、八社から受けた献金というのは一体何の目的でどのような受け取り方をしたのかということもやはり明らかにしてもらわないといけないと思うんですよ。一千五百万円の中に入っていないというあかしは、別途来たというように言いますけれども、二つとも同じように、六百九十万円と一千五百万円が党支部に一たん入ったということを明らかにしていただかなければ、これは信頼することができません。お金には色分けができませんから、区分けをすることができませんから。
 私は今、大臣の献金について三つの角度から伺ってきたわけです。一つは、年度別、献金日付から見ても明らかでございますし、だから、選挙を動機とした献金だという疑いが極めて強いこと。それから二つ目には、二〇〇〇年に献金が集中しているけれども、翌年の二〇〇一年にはゼロになっているという事実。これもぜひ大臣お調べをいただいたらいいと思うんですが、私たちの調査ではゼロになっております。選挙が終わったら金は入れない、こういうことですからね。三つ目には、八社の合計六百九十万円を含んだ、私たちにはそのようにしか思えない一千五百万円、これを選挙費用に使っていらっしゃる。
 これらの事実関係からいいますと、とにかく、選挙に関する寄附が禁じられている八社からの献金が、総選挙を動機とした献金であるという疑い、これは消えないわけですよね。
 これだけの具体的な疑惑に対する大臣の答弁、今の答弁では私は納得できないわけですよ。私が資料をお配りしたように、皆さんに、それを反論するのであれば、この委員会でぜひ示していただいて、それで御報告をいただきたいというふうに思います。
鈴木国務大臣 繰り返しになりますけれども、御指摘の御寄附は、これは特定の寄附ではありません。一般の党活動に対する寄附であります。
 それから、その時期にふえているというのは、先ほど申し上げておりますように、そのころは政治活動が活発になるということで、支援者の方が御寄附をいただいたものであります。
 それから、言われております御寄附を選挙活動に使っていないというのは、これは明らかでございまして、平成十二年の五月の十九日に私の選挙資金管理団体から第二選挙区支部に一千五百万円入れて、同額が選挙に支出されているということでございますので、これはもう公表されております私の資金管理団体の収支報告書あるいは第二選挙区支部の方の収支報告書にも明らかに記載をされておられますので、お調べになられればと思っております。
藤木委員 私はやはり納得いきませんよ。
 選挙が近づけば党の活動が、党の政治活動が活発になる、政策活動もあるしというふうに言われましたけれども、選挙期間中にこそ政策を発表する、つまり、そのことが政治活動だけではなくて選挙活動に資する活動ではありませんか。どのように分けていらっしゃるのかわかりませんけれども、そのときにビラをまくとかそういうことをするのは、これはやはり政治活動だけで見るのではなくて、選挙活動ということに位置づけられるというふうに私は思いますよ。
 それでしたら、そのときに随分、一千五百万以外に六百九十万というお金を政治活動に使ったということになるわけですね。色分けはできないですよね、幾ら何でも。(発言する者あり)できませんよ。同じようなことをやっていらっしゃる方はそのようにおっしゃいますけれども、国民の常識からいいますと、これはとてもそれだけでは納得できないというふうに思いますね。ですから、やはりきちんと調査の報告をしていただきたいというふうに思います。
 これは委員長にちょっとお願いをしたいというふうに思うんですけれども、私は、この委員会にやはり大臣がきちんと調査をした結果についての報告ということを改めて行っていただきたい。そういう収支報告書があって明らかになっているんだというのであれば、それをお示しいただいて、皆さんに納得できるような対応をされるということを求めたいというふうに思いますが、いかがですか。
松本委員長 後日理事会でお諮りをいたします。
藤木委員 少なくとも、私が申し上げたいのは、閣僚として、政治と金の問題で疑惑を招くような、疑いを持たれるというような行為はすべきではないというふうに思いますし、政治家と企業の癒着構造にメスを入れて国民の政治不信を解消していく、その先頭に立っていただかなければならない、このように思いますが、いかがですか。
鈴木国務大臣 二〇〇〇年のころ、まだ閣僚ではございませんでしたけれども、先生のおっしゃるとおりだと思います。李下に冠を正さずということがございます。御指摘の寄附はあくまで正規の一般の政党活動に対する寄附でございますが、そういう言葉もございますので、十分気をつけて対応していきたいと思います。
藤木委員 それでは、理事会で協議をさせていただくということで委員長がお引き取りいただきましたので、それが決まりましたら、ぜひその決定に基づいて御報告をいただくようにお願いをして、終わらせていただきます。
松本委員長 中川智子さん。
中川(智)委員 社会民主党・市民連合の中川智子です。
 鈴木環境大臣に、初めてこの場で質問をさせていただきます。大臣の断固たるこの所信表明、しっかり読ませていただきまして、所信表明に対しての質疑をいたします。
 大臣の所信表明にもありましたように、廃棄物の問題というのは極めて深刻でございまして、循環型社会の形成は喫緊の課題だと、私も同じ思いを抱きました。
 循環型社会形成推進基本法が提案されたのは二〇〇〇年でして、基本法の問題点につきましてはいろいろと社民党も指摘しつつ、最終的にはこの法案に賛成をさせていただきました。したがいまして、この三月に策定されることになっております循環型社会形成推進基本計画につきましても、よりよいものにしていく責任が本当にこの政治の現場で実に大事だというふうに考えております。
 そこで、この基本計画について最初に二、三質問をさせていただきます。
 この循環型社会形成推進基本法というのは理念法ですけれども、理念法のもとの基本計画はどのような性格を持つのかということをまず伺いたいんですが、実効性という意味でどのような効力を持っているのかということをお伺いしたいと思います。基本計画と廃棄物処理法等の実行法との関係をわかりやすく御説明していただければありがたいと思います。
弘友副大臣 お答えをさせていただきます。
 ただいまお話のありましたように、この基本計画は、今パブリックコメントを終えて、三月中ごろには閣議決定の準備をしておりますけれども、この循環型社会形成推進基本法第十六条第二項では、循環型社会形成推進基本計画は、循環型社会の形成に関しては、環境基本計画を除く国の他の計画の上位に位置するものとされておりまして、今お話のありました個別のリサイクル法等よりも上位に位置づけられるというふうに考えております。
中川(智)委員 わかりました。上位ならば、そこをやはりしっかりと、パブリックコメント、市民の人たちの声を生かした形での中身をしっかりつくっていきたい、そのようにお力を発揮してくださるように期待しております。
 続きまして、処分場の問題。
 今全国あちこちで深刻な問題になっておりますが、最終処分場の残余容量というのが逼迫していると言われています。産業廃棄物であれば全国で約四年、首都圏で約一年だと基本計画案にも示されているのですけれども、この数字というのは三、四年前から全くと言っていいほど変化しておりません。変わっておりませんね。
 首都圏の産業廃棄物の残余年数に至っては、一時は〇・八年というふうに言われてきておりました。私も数字に非常に弱いので、ついついいつもだまされてしまうんですけれども、しっかりとこの不安を解消する意味でも、残余容量が逼迫していると言われている中で、なぜこの数字に変化がないのでしょうか。何を根拠に残余年数というのははじき出されたのか、ここを説明してください。
飯島政府参考人 お答えいたします。
 残余年数でございますが、簡単に申しますと、これは全国の最終処分場の残余容量を、全国の産業廃棄物の最終処分量で割った値でございます。
 もとの値でございますが、全国の最終処分場の残余容量というのは、各都道府県が最終処分場の設置者から報告を求めて、その報告の値を集計したものでございまして、割る方の、全国の最終処分量につきましては、各都道府県の処理状況調査に基づきまして推定されました最終処分量を全国集計した値でございます。
 この数字に変化がないというのが最近の傾向でございまして、これは確かに、新しい最終処分場の建設が非常に少なくなっている一方、最終処分量の方は年々減少しているために、両者の割り算である残余年数は横ばい、わずかに今伸びておりますけれども、そういう状況になっているわけであります。
中川(智)委員 きょうは大臣の所信に対する基本的な質問ですので、答弁を受けて、しっかりまた精査しまして、詳しいことは後日の質問に譲りたいと思います。
 それでは三点目ですけれども、この基本計画案には、廃棄物処理施設の高度化、集約化や長寿命化が進んで、これらの施設では可能な限り再使用、再生利用を推進し、焼却の際には発電や熱供給の機能が付与されるようになりますという記述がございます。
 処理施設に対する地域住民の不安がある中で、処理施設の建設が困難になっているということは循環白書でも指摘されているところでございますけれども、わけても廃棄物の広域処理やサーマルリサイクルにつきましては、住民の不安や反発は非常に大きいと思うんですね。
 このような中で、環境省としては、どのような方法でこの記述のような目標を達成されようとしているのかということを説明していただきたいんですが、この部分の記述に限らず、ほかにも目標を達成するための方法論というのが基本計画の中に具体的に見えてまいりません。こういう説明のときには何度もお願いをし続けてきたことなんですが、せめて、地域住民の納得と理解を得てという表現をしっかり入れること、そのことが、これらのさまざまな深刻な問題に対して、しっかり行政の一つ一つの施策を進めていくというところのかなめだと思うんです。
 大臣に伺いたいんですけれども、地域住民の納得と理解を得てという表現を、パブリックコメントでも多く寄せられると思うのですが、このような記述を入れていただきたいという希望に対してはいかがでしょうか。
鈴木国務大臣 表現の仕方はあろうかと思いますが、御指摘のとおりに、住民参加の方針を盛り込むということは大切なことである、そういうふうに思っております。
 「住民参加というものは、循環型社会を形成していく上でやはりこれは大切なものでありまして、計画案におきましても、「国民、NPO・NGO、事業者、地方公共団体、国等のすべての主体は、相互に連携を図りつつ、循環型社会の形成への積極的な参加が必要」ということを明確にしております。特に施設整備に当たりましては、積極的に情報公開や地域住民との対話の推進を図りつつ、環境への配慮を十分に行いながら進めていくということを、この基本計画案において既に明示をしているところであります。
中川(智)委員 それでは、少し角度が違いますが、次の質問は、今の住民の理解、住民の参加、環境というものを一人一人の国民も一緒になって守っていこうという、これは環境省が環境のかなめの省であって、私たち住民の本当に味方であるというところからの質問をさせていただきたいと思います。
 前国会で成立しました自然再生推進法に基づきまして、失われた自然を積極的に回復していく自然再生の取り組みの強化をしっかり述べていらっしゃいます。方針案の中にも、この「自然再生の推進に関する基本的な方向」の二番目に、「現在、自然と共生する社会の実現と地球環境の保全が重要な課題となっています。このため、自然環境の価値を再認識し、長い歴史の中で育まれた地域固有の生態系その他の自然環境について、地域の特性に応じた保全に努める」、これが極めて重要だと書いてもございます。
 大臣のお気持ちはそのとおりだと思うんですけれども、失われた自然を再生していくことも大事ですけれども、残された自然、最近は里地里山というのがごく日常会話に入ってくるようになりましたが、この自然を保全していく、このことの方がとても大事だと思いますが、これについての大臣の御認識を伺いたいと思います。
鈴木国務大臣 基本的に中川先生と同じ認識を持っております。
 御指摘の里地里山でありますけれども、これは二次林を中心に、水田でありますとか、ため池でありますとか、あるいは草地等を構成要素にしておりまして、農林業等の人の働き、これによって特有の環境が形成、維持されている地域であります。
 昨年の三月に策定されました新生物多様性国家戦略におきましても、里地里山は、多くの希少種やメダカ、カエルなどの身近な生き物をはぐくむ、生物多様性保全上重要な地域と位置づけられておるわけでありまして、私といたしましても、その保全の必要性というものは高いものである、そのように認識をいたしております。
中川(智)委員 私も大臣と全く同じ思いだということで、とてもうれしい御答弁でした。
 今大臣がおっしゃられたように、生態系保全の取り組みの強化、今の施策を強化していくということが述べられています。
 生物の多様性というところでは、人の手の入っていない原生林という場所よりももっと、そのような希少種、さまざまな動植物が生きてきている、そして地域の人たちもそれを守っていかなければいけないという運動があちこちで今盛んになっておりますが、人の手の入った里山里地といったところの方が、さまざまな意味で、生物の多様性ということで近年見直されてきているというふうに私も感じますが、大臣、いかがでしょうか。
鈴木国務大臣 里地里山の重要性ということについては先ほど述べたわけでありますが、その里地里山が、近年、生活あるいは生産様式というものが変化をいたしまして、二次林や草地の経済的価値が低下してしまいまして、それゆえに人の手が入らない、放置されてしまう、そういうようなケースが増加するなど、里地里山の存続というものが危惧される状況にある、そういうふうに認識をしております。
 環境省は、先ほど申し上げました新生物多様性国家戦略、これを踏まえまして、農水省を初めとする関係各省と連携協力をして、そして、グリーンワーカー制度の拡充などで里地里山保全のための各種施策の充実強化に努めてまいりたいと考えております。
中川(智)委員 そこで、本当に豊かな里地里山が、これも環境省の補助金によって消えていこうとしている。本当に危機的な状況に今ある例を具体的に一つお示しをいたしまして、ぜひとも残すために一生懸命、環境省の力でと思うのです。
 大臣は、所信表明の中で、はっきりと物を言うべきことははっきり言っていくと。それは、大臣の気持ちの中では、環境事業を大事に推進していこうというときに、他省庁とのいろいろな形、また経済界、地球温暖化などではそのようなさまざまな方々とあるときにはぶつかり合って、そしてそのときにはっきり物を言っていくという決意のあらわれというふうに受け取ったんです。
 私は、今の質問の中で申し上げたいことは、環境省の中でも、廃棄物行政が入ってきた、それに応じてたくさんの予算がつけられることになって、一方では焼却場をごみ問題でつくっていかなければいけない、そのときに大切な環境をつぶして焼却場がつくられていくというこの矛盾に対して、省内でも大臣にははっきり物を言っていただきたいということで、資料を今お配りしていると思いますが、そこの地域がございます。
 これは、私、本当に、議員の皆様、委員の皆様、大臣も副大臣も御承知だと思いますが、ダイオキシン問題は、大阪府の能勢というところで世界最大レベルのダイオキシンが出まして、それから私は議員連盟を、全部の党、自民党さんから本当に共産党、社民党、そして私は事務局長をさせていただきまして、国会の中で、環境ホルモン・ダイオキシン問題を考える議員の会というのをつくらせていただきました。二百名以上の衆参両院の議員の先生方が参加していらっしゃる議連なんですが、それはやはり、ダイオキシン緊急措置法をつくりたい、そういう思いでつくったわけです。
 その能勢の焼却場は廃炉になりました。それで、能勢も含めて、広域化の中で、一市三町で焼却場をつくるという計画が四年前に出されました。そこの地域が、多数の希少種なり、里地里山としてしっかり地域の中で息づいていて、住民の皆様が守ろうとしているところでございます。
 そのペーパーを見ていただきたいんですけれども、この真ん中に表がございます。「RDB兵庫」とか書いておりますのは、レッドデータブックに載っているものです。全国でも、哺乳類に関しましてはテングコウモリ、私もテングコウモリと遊んだことはないんですけれども、本当にもう希少種で、これは絶滅危惧種になっております。それの生息も確認されている。そして、鳥類ではオオタカ、そしてヤマセミ、ハヤブサ、いろいろなものがそこに生息しておりまして、全国レベルのレッドデータブックは、そこは四種類ということで、地域の専門家が、川西市民里地調査グループというのが何年もかけてここを守っていこう、そこに焼却場の計画がございます。この地元で広域ごみ処理施設建設計画がございまして、予定地は、今申し上げたような希少な動植物が多数生息して、歴史的価値も非常に高い文化財を包蔵しています。
 環境省が所管する事業が、一方で環境を破壊するということはあってはならないということを考えるんですが、今、大臣が所信の中でおっしゃったように、言うべきことははっきり言うという姿勢はこのようなところでも遺憾なく発揮されるという認識でよろしいでしょうか。
鈴木国務大臣 廃棄物の問題でありますが、これはやはり、まず、ごみの減量化に最善を尽くす。それでも出てくるごみにつきましては、リサイクルをする、また、リユースをするということでありますが、それでもどうしても最終処分をしなければならない、そういうごみが出ていくわけでありまして、廃棄物行政を考える上で、この処理施設の建設ということは欠くことのできないものであると思います。
 一方、今先生の御指摘は、里地里山のような、例えば特にこの川西地区の里地里山について、自然環境が非常に重要である、守るべきだというお立場であると思います。
 この両方必要なものの調整というのは大変悩ましい問題でありますが、しかし、やはり適地にこれをつくっていかなくちゃならないということでありまして、どこにつくるかという選定に当たりましては、関係市町村がよく住民の方の意見を聞いて決めるべきである。そして、当然、そこがどういう地域であるのか、例えば、このように環境において重要性の高いところなのか、そうでないところなのか、そういうこともあわせて、地域住民の皆さんの声を聞いて適切な場所が選定されるべきである、そういうふうに思います。
 一般論でありますけれども、そういうことをお答えさせていただきます。
中川(智)委員 私も住んでいるところは宝塚なんですけれども、やはり都市圏に焼却場をつくることがなかなか難しくなっている状況がありまして、人家が割と少ない、用地の買収なんかもしやすいところとなりますと、非常にこういう矛盾というか、本当にある意味ではすごく豊かな自然をつぶす、それに対して、行政がともすれば住民の声を圧殺してしまうということが極めて危惧されるわけです。
 今の大臣のお考えというのを本当に大事にして、行政がしっかり住民の人たちの声を聞く、そして、そこの環境が本当に残されるべきかどうかのそのような判断を冷静にしていくということが大切だと思うのですが、やはり都市圏を抱える自然が残っている場所というのは、ともすればさまざまな事業に使われます。
 ここの場所ですと、一つの黒川という地域がございますが、そこはもうダムがつくられてしまいました。住民の人たちが立ち退きをして、一庫ダムというダムがつくられてしまった。そのすぐ隣接する王子という地域はゴルフ場ができてしまって、そのゴルフ場によっての環境破壊がある。今回のこの国崎という地域では、今度は焼却場ということになって、そこは本当に豊かな自然が残っているところが次々とつぶされていく。
 ゴルフ場とかそういうところは民間の業者です。でも、これは環境省のリーダーシップによって、政策によってやっていくところですので、ぜひとも環境を守るということが一義的にあるべきだ。そして、その地域の人たちの声をしっかり聞いていくということを、基本的な、明確な姿勢として続けていっていただきたいと思います。
 そして、今、大臣の御答弁の最後の方に、やはり環境をしっかり調べていくということが大事だ、何がどう残されているのかということですが、アセスメントに住民の方も非常に期待するわけですね。環境アセスメントというと、きっちり専門家がアセスをやって、冷静に事実を見きわめて、そして行政に報告するというふうに私もずっと思っておりました。
 それで、そういうことがきっちりなされて、計画も取りやめになった藤前干潟の問題とか、あれも残ってすごくうれしかったですし、愛知万博でも、私は海上の森に三回行って歩きましたが、それも、海上の森は守るということになりました。この川西の里地里山も、私も何度も歩いて、いろいろな市民の人たちの憩いの場に周辺はなっているわけです。
 私の子供も、上がもう二十六歳で下が二十三歳なんですが、その子たちが小学校のときは、すぐそこの川でたくさんの子供たちがいっぱい遊んだところなんですね。でも、今そこの川で遊ぶと病気になってしまうよというぐらい、汚れてしまいました。
 ですから、私は、子供たちを豊かにはぐくむ、それにはやはり自然をしっかり残していって、そして、ここは昆虫だけでも千種以上、千以上の昆虫が生きています。桜も、こんな大きな大木があるわけです。そういうふうに言いますと、コウモリなんかが生息している洞窟は残しますとか、桜は残しますと言うんですが、そのような動植物が生きていくのは、その全部、広い地域での環境が整ってそれらの動物は生きていくことができるわけです。コウモリなんかも、いろいろな昆虫が、ほかのクヌギなどでたくさんの生き物がいる、そのえさを食べて、そして洞窟での暮らしがあるわけですね。桜だって、焼却場ができて、どんどんそのような環境汚染になったときに、桜の木が残っていたって、死に絶えていくのは目に見えているわけです。
 循環というのはそういうものであると思うし、有機的に私たちが生きていく、その山が残されることによって私たちの空気や水も守られていくということで、ぜひとも環境省に、いわゆる焼却場の問題というのは、環境を残す、そして何を守っていくかということを第一義的にやっていっていただきたいと思います。
 やはり、循環型社会というのは、ビジネスに走ったり、どんどん補助金が出るからといって箱物をつくっていくというのじゃなくて、大臣が先ほどおっしゃったように、ごみの減量化、なくしていくという施策の中で前進していくべきだと思っております。
 私は、きょう、川西の国崎のこれでアセスメントのことを申し上げましたが、環境アセスメントというのは、最近、住民の人たちはこのように言います。環境アワスメントという言葉が出てきています。アセスじゃなくて、どうその建設にその結果を合わせるか、アワスメントということを言われていて、非常に環境アセスに対しての信頼が揺らいでいます。
 環境アセスメントの事業を依頼を受けて、企業がそれを報告し、その事業を行うかどうかを判断するのは事業者です。ごみ処理施設の場合は自治体です。
 環境アセスメントを意味あるものにしていくために、環境省が客観的な立場から環境アセスというのを、もっと専門家やその地域の、そこで生きてきた市民の人たちの力も得て、信頼が置ける環境アセスということに取り組んでいかなければならないのではないかと思うのですが、最後に大臣の、環境を守るという前提に立って、アセスメントの充実、行政への指導、アドバイスをしていくべきだという私の質問に対しての御答弁をちょうだいしたいと思います。
鈴木国務大臣 環境アセスメント制度ができてから数年たつわけでありますが、やはりその充実というものは図っていく必要があろうかと思います。最近はさらに一歩進んで、戦略的アセスメントという考えもあるようでございますので、そうしたアセスメントの充実というものについてしっかりと我々も考えていきたいと思います。
中川(智)委員 ぜひとも、大切な川西の環境、里地里山を守っていただくためにお力をかしていただきたいというお願いをしまして、質問を終わります。ありがとうございました。
松本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時五分散会


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