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第4号 平成15年3月18日(火曜日)

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平成十五年三月十八日(火曜日)
    午前九時三十分開議
 出席委員
   委員長 松本  龍君
   理事 稲葉 大和君 理事 田村 憲久君
   理事 西野あきら君 理事 柳本 卓治君
   理事 近藤 昭一君 理事 牧  義夫君
   理事 田端 正広君 理事 高橋 嘉信君
      荒巻 隆三君    小渕 優子君
      木村 太郎君    阪上 善秀君
      鈴木 恒夫君    野田  毅君
      鳩山 邦夫君    菱田 嘉明君
      星野 行男君    松浪 健太君
      松野 博一君    三ッ林隆志君
      水野 賢一君    望月 義夫君
      山本 公一君    奥田  建君
      小林  守君    齋藤  淳君
      鮫島 宗明君    長浜 博行君
      日野 市朗君    青山 二三君
      中井  洽君    藤木 洋子君
      中川 智子君
    …………………………………
   環境大臣         鈴木 俊一君
   環境副大臣        弘友 和夫君
   環境大臣政務官      望月 義夫君
   政府参考人
   (厚生労働省大臣官房審議
   官)           恒川 謙司君
   政府参考人
   (環境省総合環境政策局長
   )            炭谷  茂君
   政府参考人
   (環境省総合環境政策局環
   境保健部長)       南川 秀樹君
   政府参考人
   (環境省環境管理局長)  西尾 哲茂君
   環境委員会専門員     藤井 忠義君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月十八日
 辞任         補欠選任
  小渕 優子君     荒巻 隆三君
  三ッ林隆志君     松野 博一君
  鮫島 宗明君     齋藤  淳君
  長浜 博行君     奥田  建君
同日
 辞任         補欠選任
  荒巻 隆三君     小渕 優子君
  松野 博一君     三ッ林隆志君
  奥田  建君     長浜 博行君
  齋藤  淳君     鮫島 宗明君
    ―――――――――――――
三月十三日
 自動車排出ガスによる大気汚染公害被害者に対する救済制度の創設に関する請願(近藤昭一君紹介)(第七五七号)
 同(原陽子君紹介)(第七五八号)
 同(阿部知子君紹介)(第八五二号)
同月十八日
 自動車排出ガスによる大気汚染公害被害者に対する救済制度の創設に関する請願(藤木洋子君紹介)(第一〇一二号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 公害健康被害の補償等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四三号)


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     ――――◇―――――
松本委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、公害健康被害の補償等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省大臣官房審議官恒川謙司君、環境省総合環境政策局長炭谷茂君、環境省総合環境政策局環境保健部長南川秀樹君及び環境省環境管理局長西尾哲茂君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
松本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決まりました。
    ―――――――――――――
松本委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。牧義夫君。
牧委員 おはようございます。民主党の牧義夫でございます。
 まずは前座を務めさせていただきますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。
 今回の公健法改正の趣旨は、まず、公害被害者の協会の所在地の移転と、それから自動車重量税からの引き当てを延長する、これだけのお話でありますから、公害健康被害者の、認定の方たちのこれまでの権利を担保する上でも、これは我々みんな基本的には賛成という前提でありますけれども、これからの取り組み、まだまだ未認定の方たちの課題も残っております。そういったことも踏まえながら、我々はやはり未来への責任を果たしていかなければならないわけでありますから、そういった観点から議論を深め、また、これはもう終わった話ではないという前提で、これからのことについてどう考えていくか。出口は決まっておりますけれども、そんな共通の認識を持ちつつ、本日の採決に向けてその出口を見出していきたいな、そんなような観点から質問をしていきたいと思います。
 時間は全部で四時間半という十分な時間をいただいておりますので、まず、細かいところから質問をさせていただきたいと思います。
 今回、事務所所在地を東京から神奈川へということであります。独立行政法人環境再生保全機構というのが次の法案で準備をされているわけで、環境事業団を特殊会社と独立行政法人に分離する、そして今回の公害健康被害補償予防協会をその独立行政法人の方に統合する、そういうふうに理解をいたしておりますけれども、まず、この独立行政法人の所在というのもこの川崎市になるんでしょうか。
南川政府参考人 よろしくお願いいたします。
 六十三年に制定されました多極分散型国土形成促進法に基づきまして、移転の基本方針が決まっております。その中で、国の機関あるいは特殊法人につきましては極力東京二十三区からの移転に努めるということでございまして、この協会につきましてもその中で移転が決まっております。
 この協会につきましては、現在、東京都港区に主たる事務所を置いておりますが、その方針に従いまして、平成十五年度中、今は十六年二月を想定しておりますけれども、神奈川県川崎市に移転したいというふうに考えておる次第でございます。
牧委員 趣旨はわかるんです。多極分散型国土形成促進法、この趣旨というのは恐らく、東京への一極集中をできるだけ緩和する、そういうお話だと思います。その文言上はこの法律を遵守しているというふうにとれるんですけれども、東京都区部と川崎市というのは都市機能上ほとんど同じような感があるので、あえてそこで川崎というのは、川崎の大気汚染のひどいところで皆さんと痛みを分かち合おうという趣旨ならよくわかるんですけれども、そこら辺の必然性がちょっとわからないということ。
 それと、ついでに、今回の環境再生保全機構との統合の必然性も含めて、あわせて教えていただきたいと思います。
南川政府参考人 移転の考え方におきましては、二十三区を出ろということでございます。その中で、いろいろな選択肢はあったわけでございますが、私どもとしては、やはり従来から公健地域ということもございましたし、いろいろな意味でなじみのあった川崎市が公健協会の性格上適切であろうということで、川崎市にしたいというふうに考えておる次第でございます。
 それから、この協会でございますけれども、十三年十二月に特殊法人等の整理合理化計画ができました。その中で、環境事業団の業務の中から、地球環境基金業務等の特殊会社の実施になじまない一部の業務を統合した上で独立行政法人とするということになったところでございます。公健協会の仕事自身は、非常に公的性格が強いということから、独法ということで整理がついておりまして、それを統合するということでございます。これにつきましては、先生御案内のとおり、現在、独法の関係の法律を提案しておりまして、できますれば十六年四月一日に独立行政法人環境再生保全機構に改組したいと考えております。
 いずれにしましても、従来から協会が行ってきました公害健康被害の補償及び予防の業務はそのまま新独法人に引き継ぎまして、比較的なじみのございました川崎という場におきまして、独法化後も着実に業務を推進していきたいというふうに考えておる次第でございます。
牧委員 そうすると、例えば去年四月一日現在の公健協会の職員七十名、この辺も含めて、統合によって何らかの変動というのはあるんでしょうか。
南川政府参考人 現在の公健協会の職員につきましては、基本的にそのまま独法に移る予定でおります。したがいまして、若干の通勤時間の延長等は出るものと想定しておりますけれども、地元患者さんの方、あるいは企業の方、それから保健所の方等、なじみ深うございます。ぜひ新しい場で、新しいつき合いをしながら業務を深めていきたいと考えております。
牧委員 ちょっと重箱の隅をつつくような話ばかりで恐縮ですけれども、そうすると、協会の事業内容というのは、大きく分けて被害者の救済と予防事業ということだと思いますけれども、事業内容とそれから予算の内訳、その辺のところにちょっと触れたいと思います。
 例えば、被害者の救済に対する引き当てですけれども、十四年度で、重量税からの引き当てと事業者の賦課金、これを合わせて六百九十六億円というように資料を見ておりますけれども、この納付金のうち、認定被害者に対する補償給付金というのはどれぐらいになるんでしょうか。
南川政府参考人 基本的には、補償給付として六百九十六億円を想定しております。集める金額もほぼこれと同じでございますが、若干、数億、二億円から三億円程度でございますけれども、協会の事務費につきましても半額をこの中から充てておりますので、そういった意味で、ほとんど全額が認定患者さんに対する補償給付等に使われるということでございます。
牧委員 今ちょっとお聞きしたのは、今回、統合によって多少合理化ができて、補償給付もその分厚くなればいいなという単純なお話からお聞きしたんですけれども、そこら辺はほとんど変わりないと理解していいわけですね。
 それともう一つ、予防事業ですけれども、こちらの原資になっているのは、全く中の会計上は別々になっているわけで、これは基金の方の運用益で賄っているというふうに理解をいたしておりますけれども、その基金の収入の重立った部分というのが受取利息になっておりますね。例えば、これは多分十四年度だと思いますけれども、約十七億の受取利息。有価証券の償還益というのは別として、受取利息だけで十七億相当あるんですけれども、この原資というのは幾らぐらいになるんですか。
南川政府参考人 原資としましては、昭和六十三年以降でございますが、約五百億円を集めております。
 集め方といたしましては、大気汚染原因物質の排出に関係のある事業活動を行っている方からが九割、それから国が一割ということで、約五百億円を集めておりまして、その運用益で賄っておるということでございます。
牧委員 それからあと、健康被害者に対する給付の原資になる事業者の賦課金なんですけれども、こちらの方は、こういう不況の中にあって徴収が思うようにいかない部分もあるというように聞いておりますけれども、その辺の実態をちょっと説明してください。
南川政府参考人 事業者に対しての賦課金でございます。これは全体の八割をお願いしておるわけでございますけれども、これにつきましては、昭和六十三年の地域解除後、現在に至るまででございますが、解除前の大気汚染の影響による健康被害者に係るものということで、指定解除時の納付義務者を汚染原因者として費用負担をしていただく集団ととらえまして、現在賦課金を徴収させていただいているところでございます。
 長引く不況下でございます。いろいろ相談ございますけれども、皆さんに何とかこの趣旨を御理解いただきたいということで、説明会等、私ども直接、あるいは商工会議所も通じてお願いしていただいておりまして、おかげさまで順調に、ほぼ一〇〇%に近い形で収納いただいているところでございます。
牧委員 ちょっと今の説明で私は疑問に思うんですけれども、一〇〇%に近いというのは、それだけちゃんと徴収できているという話ですか。去年の三月三十一日現在で見ると、件数、金額ともにかなりあるんですけれども、そこら辺、一〇〇%というのはちょっとおかしいんじゃないですか。
南川政府参考人 恐縮でございます。正確に一〇〇ではございませんで、たしか、今私が記憶しておりますのは九八とかそういう数字だったと思います。
 おっしゃるとおり、延滞される方もおります。いろいろな形で皆さん苦しい事情をお話しいただきまして、そこについては延滞を、繰り延べで払っていただくとか工夫をしておりまして、結果的には九五をかなり超える形で払っていただいておるということでございます。
牧委員 私、意地悪で聞いたんじゃなくて、これからの流れとして、いろいろと事業者も、これ以上公害健康被害を出さないようにそれぞれが努力しているわけですから、これからその原資をどこに求めるかという部分については、やはり広く、大臣も前に所信の中でも環境税の導入を検討されているというようなお話もありましたし、そういった観点から、広く税方式で集めるような形にこれからの流れというのは恐らくなっていくんだろうなと、そんな観点から今ちょっとお聞かせいただいたわけであります。
 そういった意味で、これまでの自動車重量税からの引き当てがあるわけですけれども、例えば十四年度の自動車重量税の税収が一兆一千二百億円、これに対して、この法律に基づく補償給付に対する引き当てというのが百三十九億円、およそ百分の一ということになるわけですけれども、これは、素人目から見るとややみみっちい話だなという感じがございます。政治家としての大臣の感想をお聞かせいただきたいと思います。
鈴木国務大臣 自動車重量税収入引当金が、今先生は健康被害補償の方のあれで少ないということでございましたが、これは当初の割り切りで、八対二という割り切りをしているということから出ている数字である、そういうふうに認識しております。
 この八対二という割り切りはそれなりに合理性がある、こういうふうに認識しておりますので、そういう中でのこの額である。そのように認識をいたしております。
牧委員 それはよくわかるんですけれども、当初の割り切りという言葉がありましたけれども、例えばの話、せんだっての東京大気汚染訴訟もございました。今の大臣のお話が、対象となる人がもうこれ以上ふえないという前提であればそれはわからないでもないんですけれども、例えばこういう新たな、これから認定されるべき人というのも私の頭の中にはあるわけです。
 そういったことも念頭に入れれば、また今度せっかく独法が新しくできるのであれば、またさらに引き当てをふやして、例えば今、NOx・PM法で対応に大わらわになっている中小零細企業の援助に充てるとか、さらに引き当てをふやして、いろいろそういう対策の拡充に充てられるんじゃないかな、そういうふうに私は思うわけであります。
 その辺のところも踏まえて、もう一度ちょっと大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
鈴木国務大臣 公健法に基づく、健康被害を受けられた方への補償ということにつきましては、先生も御承知のとおり、昭和六十二年に一応、地域指定を解除するということで一つの整理はついておると思っております。そして、既に認定された方について、今後とも責任を持ってきちっと補償をしていくということが大切であろうかと思います。
 それで、先生は、また新たにいろいろな公害訴訟、大気汚染訴訟等もある、そういう方々に対する何らかの救済措置はどうかということであろうかと思いますが、それにつきましては、この公健法を復活させて何かその財源もふやしてという考え方は、一応、六十二年の整理の中ではなかなか難しいのではないか、そういうふうに思っております。
 被害を受けている方がいろいろ新たな訴訟を起こしたりされておりますが、まずその因果関係、大気汚染とぜんそくという疾病との医学的な因果関係をまず明確にするということが大切である、そういうふうに思っております。
牧委員 今の大臣のお話よくわかりますけれども、そうすると、私の理解では、公健法の枠では無理だけれども将来的に新たな枠組みをつくるという含みのあるお話だったというふうに私は理解をしましたけれども、それでよろしいでしょうか。
鈴木国務大臣 先ほど申し上げたわけでありますけれども、国として何か新たな救済措置を検討するということに当たりましては、その前提といたしまして、大気汚染とぜんそくという疾病との医学的な因果関係が解明されなければならないと思います。今の時点ではそういう部分が解明をなされておりません。
 ちょっと例を挙げて恐縮でありますが、私は岩手県でございます。岩手県の各地域、環境基準を超えるようなところはないんでありますけれども、しかし、ぜんそくの患者さんの数は東京都よりも多いというようなことがございまして、なかなか、大気汚染のあれとぜんそくの患者さんの医学的な因果関係が明確でないというのが現状でございます。
 したがいまして、それを明確にするということがまずなければ、その先の新たな救済措置の検討というものにはならない、そういうふうに思っております。
牧委員 この辺のところを論争していてもらちが明きませんので、私は、その蓋然性に基づいて一定の引き当てがあってもしかるべきかなという考えなんですけれども、これを繰り返してもしようがないので、この辺にしておきます。
 もう一回ちょっと事務的な話に戻りますけれども、これで五年延長というのは九回目になるわけです。そもそも、なぜ五年延長なのか。これまですべて五年ずつなわけですけれども、そこら辺の根拠について、もう一回確認をしたいと思います。
弘友副大臣 もともと、これが自動車重量税収から引き当てられることになりましたのは、昭和四十九年に自動車重量税の税率を引き上げて暫定税率とした際に、環境保全等の社会的要請にも十分配慮することというふうな項目が入りまして、その趣旨を根拠として講じられた措置でございます。この経緯からいたしまして、従来、自動車重量税の暫定税率の適用期限の延長と軌を一にして延長してきておりまして、今回もそれに合わせまして五年間延長するということでございます。
牧委員 どうしてこういう質問をしたかというのは後ほど申し上げますけれども、ちょっと話をかえます。
 さっき私もちょっと申し上げたのですけれども、さきに大臣の所信の中で、二〇〇五年以降早期に温暖化対策税を検討してみたいというような表現がありました。これは、いわゆる環境税と同じものというふうに理解してよろしいんでしょうか。どういったイメージなんですか。どういうふうに徴収されて、それをどういうふうに、何の財源にするのか、何に使うのか。そういったような、イメージをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
鈴木国務大臣 ただいま牧先生から御指摘がございましたとおり、温暖化対策、これは、環境省といたしましては、かねてより、年次を区切って第一ステップ、第二ステップ、第三ステップ、こう進んでいくということで、第一ステップは二〇〇四年、来年まででございます。この間に行われました大綱に基づくさまざまな対策、これを来年の段階、二〇〇四年の段階でレビューをいたしまして、そして状況を見て、さらに第二ステップには追加的な対応をしていかなければならない。その際に、今御指摘の温暖化対策税というのは一つの考えとして以前からなされているわけであります。
 そのイメージということでございますけれども、これにつきましては、第一ステップが終わった段階で、第二ステップでこれが必要だとなったときに――温暖化対策税という名前だけがひとり歩きしておりまして、それぞれがそれぞれのイメージを持って議論をしておりましてもなかなか現実的な議論になりませんので、今、中央環境審議会の中に専門委員会をつくっていただいておるわけですけれども、そこでこの夏までに具体的な案を出すということでお願いをしております。
 したがいまして、まだ検討中でございますので、今ここで、こういう具体的なものであるということは明確にはお示しできないのでありますが、イメージといたしましては、一つは、温室効果ガスを排出する量によって税金がかかるわけでございますので、それによって価格が、より温室効果ガスを出さないものには低くなる、そういう価格インセンティブが働いて、結果においてそうした温暖化対策になるということであります。
 それから、そういうことでございますから、普通の税金と違いまして、何か税収をうんと期待する、税収をうんと取ることが目的ということではなくて、皆さんが一生懸命とそういう対策をしてくだされば税収も下がってくる、そういう性格なものであると思います。
 しかし一方において、その税収も大切でありまして、それにつきましては温暖化対策に使わせていただく。これは、森林整備もそうであると思いますし、また、燃料電池といった環境技術の開発支援といった側面、こういうものは新たな雇用の開発でありますとか経済の拡大にもつながるわけでありますが、そういう温暖化対策に使っていく、こういうようなイメージであろうかと思います。
 いずれにいたしましても、この夏に向けまして、中環審の税制専門委員会におきまして具体案をお示しして、広く国民の皆様方、関係の皆様方の御議論に供したい、御議論をしていただきたい、そういうふうに思っております。
牧委員 温室効果ガスを排出するところにのみかかってくるものという理解でいいんじゃないかなと思います。
 それともう一つは、今大臣がおっしゃったように、経済的なインセンティブを与えるという観点であろうとも思いますけれども、ただ、これは税収が上がってくることは上がってくるわけで、それと、やはり温室効果ガスを排出するということと大気汚染をまき散らすということ、これは別次元の話かもしれませんけれども、ある意味では重複する部分も多分にあるわけで、そういった観点からしても、そういった税収というのはまさに、例えば大気汚染の被害者に対する給付やら予防やら、あるいはそういったところにまず第一義的に使われるということも一つの考え方ではないか、私はそう思います。
 そういった意味で、今さっき、どうして自動車重量税の暫定税率の書きかえ書きかえで来るのかという、何も、次、五年にこだわる必要はないんじゃないかなと私があえて申し上げたのは、こういう新たな税制というものを考えられているのであれば、しかも、二〇〇五年以降早期にということであれば、今給付をされている被害者の人たちのその権利というのは担保しつつも、そういう新たな税を踏まえて、もうちょっと大きな枠組みをつくるということもあるいはできるんじゃないかな、そういうふうに私は思います。
 また、そういった新たな税制が入ってくれば、当然、今まで賦課金を払っていたような事業者やらにもまた新たな税金が、多分そういうところは余計ほかより多いと思います。それと、自動車にかかわるさまざまな、軽油引取税ですとか揮発油税だとか、あるいは今のこの自動車重量税もありますけれども、そういう税金とのいろいろな多重課税みたいなことがまた議論されると思います。
 そういった意味で、いずれにしても何らかの整理が必要になってくると思うのであえてお聞きしたわけで、ここでそういう大きな新たな枠組みを考えるのであれば、何も今回五年ということに限らず、二年でも三年でもいいんじゃないかなと私は思うんですけれども、その辺いかがでしょうか。私は、従来の被害認定者の患者の皆さんの権利を担保しつつも、もっと新たな、対象を広げた制度を設ける時期にもう来ているんじゃないかな、そういった意味でお聞きしているんですけれども、いかがでしょうか。
鈴木国務大臣 先生の御提案は、枠の見直しというものも行い、それに対して温暖化対策税などから財源的な充実を図れば、そういうことも可能ではないかというような御趣旨と受けとめました。
 それは一つのお考えであると思いますけれども、公害健康被害補償制度は、民事責任を踏まえまして、汚染原因者の負担により公害健康被害者に対して補償を行う制度でございまして、その費用は、大気汚染の原因者がその寄与の程度に応じて負担するということを基本にしております。そしてまた、汚染負荷量賦課金、これは工場とか事業者に課すわけでございますけれども、一定規模のばい煙発生施設などの設置者から硫黄酸化物の年間排出量に応じて徴収する、こういうことでございます。
 一方、先ほど御説明いたしました検討中の温暖化対策税でございますけれども、これは先ほどお話し申し上げましたとおり、温暖化対策というものを主目的とするようなものでございますので、どうも、被害者と原因者との関係というようなこうした公害健康被害補償制度の財源とはやはり性格が異なる、そういうふうに思っております。
 これは私の一つの感触なのでありますけれども、この温暖化対策税、先ほど申し上げましたとおり、これはほかの税制と違って税収をどんどん上げるということが目的でもないわけでありますけれども、しかし、こういう新税を導入するということになりますと、大変、国民の皆さん方の理解も得なければなりませんし、さらに、課税をされるであろうそれぞれの産業界の方々の理解も得なければならないと思っております。
 そういう中で、昨今、日本経団連でありますとか経済同友会の方々と懇談をいたしまして、そのときのいろいろな先方の御発言、あるいは、私もそれぞれの業界の専門誌を初めさまざまなメディアのいろいろな記事というものをよく注意深く見ているわけでありますけれども、いろいろな発言を見てみますと、これはやはり温暖化対策税なんだ、要するに歳入も歳出もこれは温暖化対策に使うんだというところで辛うじてといいますか、辛うじてと言ってはいけませんけれども、そうならば前向きに検討をしようというようなスタンスが私の感触としてはほとんどでございます。
 したがいまして、これを、その目的歳入歳出をそういう温暖化対策から外して幅広くということになりますと、これはなかなか御理解が進まないのではないか、そういうような感触を、印象を持っていることを率直にお話を申し上げたいと思います。
牧委員 御理解が進まないんじゃないかという、よくわかるんですけれども、いかにもお役所的な答弁をいただいて、ちょっと私も心配になっております。私が申し上げた提案はともかくといたしまして、本当に環境税、本気なのかなと今の答弁をお聞きしていてちょっと心配になったわけであります。大臣に今ここで目の前で空を飛んで見せてくれと言っているわけじゃなくて、人間がつくる制度でありますから、それはその気さえあればできるわけでありまして、本当にその気になっていただければありがたいなということをつけ加えさせていただきたいと思います。
 ついでながら、ちょっと話はそれますけれども、小泉総理はたしか、道路特定財源の見直し、一般財源化というようなことを言っておられましたけれども、大臣がその内閣の一員としてどのようにお考えになるか、お聞かせいただきたいと思います。
鈴木国務大臣 総理は道路財源の見直しということを何回も言われておりまして、そのことについては承知をいたしております。総理の見直しというその発言も受けまして、十五年度予算におきましては使途の拡大というものもされたと理解をしているところであります。
 現実に、十五年度予算案におきましては、ディーゼル排気微粒子除去装置、DPFの導入助成等、環境分野にも使途が拡大をされました。環境省といたしましても、かねてから、既存の特別会計あるいは税制のグリーン化ということを言っておりましたので、その一環として今回環境対策の充実が図られたという点については評価をしているところでございます。
牧委員 ちょっとそれでは別の質問に入らせていただきます。
 さっきもちょっと触れましたけれども、昨年十月に、東京大気汚染裁判、一審の判決が出たわけであります。それに絡む質問については、また来週、参考人も呼んでいろいろな議論が展開されることになろうかと思いますけれども、被害者救済全般についてまずお聞きしたいと思います。
 この制度創設時のいわゆる科学的知見というのは一体どんなものなのか、大気汚染と健康被害との因果関係についてどんなような認識を持ちながらこの制度の創設に当たったのか、その辺のところと、そんな中で、よく出てくる文言として、例えば第一種地域における認定の制度上の割り切りという言葉がございます。この割り切りというのが私もよく理解できないものですから、ちょっと説明をお願いいたしたいと思います。
南川政府参考人 この補償制度の創設時、大気汚染と健康被害の因果関係につきまして示した調査といたしましては、昭和三十九年度から四十四年度までに、当時の厚生省が、大阪、三重、これは四日市周辺でございますが、あと千葉の三府県に依頼して実施いたしましたばい煙等影響調査に代表される疫学調査がございます。
 例えば、昭和三十九年度に大阪と三重県の四日市において成人を対象として実施された調査では、降下ばいじん濃度のレベルによりまして汚染地域と非汚染地域に分けて慢性気管支炎の症状を比較いたしますと、汚染地区が非汚染地区の約二、三倍の高率で発症するというようなことでございました。このように、当時の一部地域の激甚な大気汚染状況のもとでは、大気の汚染の比較的軽度な地域と、より汚染が激しい地域とを比較しますと、呼吸器の有症率に明らかな違いが認められたということでございます。
 こういう状況のもとで、審議会においても議論いただいたわけでございますが、ぜんそくなどのように、さまざまな要因がございます、したがって非特異的疾患と申しておりますけれども、個別の、個々の患者さんに関しまして厳密な因果関係を行うことはまず不可能でございます。この患者さんが、ぜんそくの方が、どういう原因でなったか、特定は技術的に不可能でございますので、割り切りをしております。
 割り切りでございますけれども、指定地域の中で、ある地域で一定期間、例えば二年とか三年居住または通勤して、そこでぜんそく等の指定疾患に罹患したということをもって、個々の患者について、患者さんごとに、大気の汚染との間に因果関係ありとみなすこととして割り切りをしてきたということでございます。
 したがいまして、個別の患者さんがどの程度汚染によって健康を侵されたかという論証ができませんので、要するに、その地域に住み、あるいは働き、そして病気になった患者さんということで、大気汚染との間に因果関係ありと見て認定をしてきたということでございます。
牧委員 大体私が考えていたとおりの答弁をいただいたわけであります。割り切りというのは、普通日常生活で使う割り切りというのは、割り切って物を考えるとか、これ以上議論してもむだだからもうここは割り切って判断しましょう、そういう意味で間違いないわけで、それと同じ意味なわけでございますけれども、これは大事なところなのでもう一回ちょっと確認します。
 そうすると、今私がお聞きした当初の科学的知見というのは、あくまでもその地域における患者さんの数だとか、あるいはそうじゃない、それ以外の余り大気汚染がない地域との統計上の比較をもって、それでこれを科学的な知見とするというふうに今の御説明で理解されるんですけれども、それでよろしいですか。
南川政府参考人 おっしゃるとおりでございます。先ほども述べましたけれども、汚染地域の汚染レベルが非常に激しい、環境基準を相当程度、倍とかそういう形で上回る状況の中で、実際に汚染地域と非汚染地域を分けますと病気の発症率が二、三倍違うということをもって割り切ったということでございます。
牧委員 だとすると、今回の東京大気汚染裁判、これは特定の地域、主要幹線道路沿線の住民、そういった地域的特性と健康被害との一定の因果関係が示されたわけで、それでもって判決が下されたわけでありますけれども、そうすると、このデータというのは、今回それをもって割り切るということはできないものなんでしょうか。
南川政府参考人 現状の汚染レベルで申し上げますと、幹線道路沿道等の大気汚染が住民に与える影響につきましては、建物の構造あるいは地形、風向きなどさまざまな要因が関係しております。したがいまして、現状の汚染レベルを考えますと、交通量や道路沿道からの距離で一律に因果関係を割り切るということについては適切でないというふうに考えておる次第でございます。
牧委員 一律に割り切ることはできないけれども、でも割り切れるところもあるんじゃないですか。もう一回お願いします。
南川政府参考人 昭和三十年代から四十年代にかけましてのデータとしましては、汚染レベルが環境基準の二倍から三倍という中で、明確な相違があったわけでございますが、現状におきましてそういった差異を見つけることは難しいわけでございます。
 私ども、いろいろな調査をこれまでやってきておりますけれども、その中で、少なくとも、面的な広がりを持った、例えば一キロメッシュごとに切った平均的な汚染レベルと、その中に住んでおる例えばお子さんのぜんそくの発症率ということでは、明確な差異が出ないわけでございまして、そういう意味で、現在の汚染レベルについて言うと、そういった割り切りをできるような知見がないということでございます。
牧委員 まあ、ちょっとわかったようなわからないような答弁で、これは多分これからまだ繰り返し角度を変えて質問があろうかと思いますので、余り深追いはしないようにいたしたいと思いますけれども。
 ただ、従来の大気汚染、この制度創設当時の、その主役が、硫黄酸化物だとかそういったものから、窒素酸化物あるいはPMに主役が移っている、そういう一定のお考えもあるでしょうし、それが健康被害をもたらすという予見もあるでしょうし、それがあるからこそNOx・PM法というのがあったんだと思うんですけれども、その辺の割り切りができないのにこういう法律ができたのはどうしてなんでしょうか。
南川政府参考人 私ども、公健法の創設時には、主に硫黄酸化物を指標とする健康影響あるいは窒素酸化物に関する知見に基づきまして、被害者制度を検討し、つくってきたわけでございます。その後、公健法に基づく指定解除当時まで、二酸化窒素あるいは二酸化硫黄、おっしゃったとおり、大気中の粒子状物質を指標とした各種疫学調査を実施しております。
 残念ながら、現在の大気汚染が、総体としてなかなか、割り切るための、割り切って救済を行うための知見が得られていないというのが現状でございます。サーベイランスをやっておりますけれども、窒素酸化物、硫黄酸化物、粒子状物質を指標とした広がりを持った大気汚染と健康影響の調査の中では、汚染物質の濃度とぜんそくの有症率の間に一定の傾向は認められていないというのが現状でございます。
 ただ、対策につきましては、自動車排出ガス対策、環境省として着実に推進しておりますけれども、被害の未然防止という観点が主だというふうに承知をしております。
牧委員 この点については、多分、また後々質問があろうかと思います。
 次に移りたいと思います。
 それであれば、この制度創設時の科学的知見と、それから現在環境省で持っている科学的知見、この変遷について、移り変わりについてお聞きしたいと思います。
 というのも、例えば、昭和六十二年改正時の衆議院環境委員会の附帯決議にも、「主要幹線道路沿道等の局地的汚染については、その健康影響に関する科学的知見が十分でない現状にかんがみ、調査研究を積極的に推進するとともに、その結果に基づいて、必要に応じ、被害救済の方途を検討すること。」とあるわけです。また、さらに参議院における同じ附帯決議には、「必要に応じ被害者認定の要件を明確にするなど、被害救済の方途を検討すること。」というふうにはっきりうたっているわけです。
 それから十五年以上が経過しているわけでありますけれども、その間の経過について、例えば、その調査研究はどう進んだのか、認定の要件というのははっきり決まったのか、その辺のところをお聞かせいただきたいと思います。
南川政府参考人 御指摘の六十二年の附帯決議に基づきまして、私ども、主要幹線道路沿道などの局地汚染の健康に対する調査研究を進めております。
 そのためには、まず一つとしまして、窒素酸化物のみならず、PM二・五を含みます粒子状物質の個人暴露量。各個人、どれだけそういった大気汚染物質を吸収するかという個人暴露量の把握。二つ目に、ぜんそくなどの疾患につきまして、自己記入式の質問票による健康影響把握に加えまして、検査データに基づきます客観的な健康影響指標の導入が必要だということ。これをもって疫学的な調査が可能になるということで、その手法の確立を進めてきているところでございます。
 そのうち、まず、個人暴露量の把握につきましては、窒素酸化物、あるいは粒子状物質、それから二・五の粒子状物質、そのおのおのにつきまして把握手法にめどが立ちましたことから、本年度から試行調査を開始しておるところでございます。現在、二地域でやっておりますけれども、来年度からは四地域にふやしまして、調査内容を充実したいということで考えております。
 もう一点の客観的な健康影響指標につきましては、既に、学童を対象といたしまして、呼気NO、吐く息中の一酸化窒素の測定方法、そして、それと呼吸器症状との関連の検討を進めてきております。
 この呼気NOでございますけれども、その濃度が、気道の炎症の状態を客観的に評価する手法として近年非常に着目をされております。疫学調査におきましては、質問票によるぜんそくなどの症状の調査結果とともに、主観性を補うという観点からぜひそれを活用したいと思っておりまして、これにつきまして、来年度以降は学童のみならず成人を対象に含めた検討を行いまして、十六年度までに呼気中のNO測定調査マニュアルを策定したいと考えております。
 このような個人暴露量の把握と客観的な健康影響指標に関する知見を踏まえまして、十七年度から本格的に疫学調査を進めていきたいというふうに考えております。もちろん、その調査の結果に基づきまして、必要に応じ被害者救済の方途を検討していきたいと考えております。
牧委員 済みません、私は、これまで十五年間何をやってきたかということをお聞きしているので。十六年度からこういう研究を始めますとか十七年度からというお話を聞いているわけじゃなくて、これまで十五年間何をやってきたのかということを聞いているんですよ。それをお答えください。
南川政府参考人 調査は六十三年から始めております。その中で、まず、個人暴露量をきちんと把握したいということで立ち上げたわけでございます。
 具体的には、当時、NOxが非常に問題になっておりました。このNOxにつきまして、どういう形で各個人が、道路沿道に住む方が暴露されておるか、暴露の量を把握できるか、しかも簡易に把握できるかということの調査に、実は、十五年のうち、たしか七年とか八年とかそういった日時を要しております。
 また、その後どんどん知見が出てまいりまして、粒子状物質がより大事だという意見もまた出てまいりました。さらにそれに数年を要したわけでございますが、その後さらに、PM二・五ということが非常に健康影響上大事だということが出てまいりまして、今度はそれを、粒子状物質について、いわゆる旧来の十ミクロンと新しく問題になっている二・五ミクロン両方について、きちんと暴露量を把握できるような機器、手法の開発が必要ということで、それにおおむねこれまでの時間を要してきたわけでございます。
 また、片や、先ほど申しましたが、疫学でございますので、暴露量の把握と、今度は受ける方の影響の把握が必要でございまして、これにつきましては、学童を対象とした呼気NOの把握、それがどれだけ指標として使えるか、そういった分析を中心にやってきたわけでございます。
牧委員 ちょっと、こんなことを議論していても時間のむだですので、次へ行きます。
 さっきも聞きましたけれども、そうすると、例えばこの間の東京大気汚染裁判で採用された千葉大学の調査データというのがありますよね。多分また質問が出ると思うんですけれども、これは環境省が言うところの科学的知見には値しないものと理解していいんですか。
南川政府参考人 まず、千葉大調査でございますが、これを中心になって行いました先生は、この分野の大変すぐれた方でございます。私ども、この先生には、例えば今議論がございました私どもの局地影響調査にも主要メンバーとして入っていただいていまして、むしろ全体の議論をリードしながら進めていただいているということでございます。
 ただ、裁判でも引用されております千葉大調査自身につきましては、学校の組織の中でやられたということもございましょうけれども、疫学調査を適切に実施するためには幾つか不十分な点がございます。そういう意味で、汚染物質による個人暴露量の把握、あるいは質問票による健康影響調査を補足する客観的健康影響評価の指標の導入が必要と考えております。そういう意味で、よりきちんとした調査をある程度大規模に行いたい、それによって初めて確たる知見が得られると考えております。
 したがいまして、千葉大調査について、それが非常におかしいとか評価に値しないということを考えておるわけではございません。
牧委員 よりちゃんとした調査をしたいというお話をお聞きしましたけれども、そうすると、今まで環境省としては、例えば主要幹線道路沿道の同様のデータをとるための調査というのはされてきたんでしょうか。
南川政府参考人 これまで、時間がかかっておりますけれども、その準備というべき機器の開発あるいは指標の開発に時間がかかっておりまして、道路沿道に着目した本格調査は行っておりません。
牧委員 主要幹線道路の沿道などの局地的な大気汚染と住民の健康被害との因果関係というのは、何らかの予見があってしかるべきだと思いますけれども、同様の調査はされていないということは、これは私、国の不作為だと言われてもしようがないと思うんですけれども、大臣、どのようにお考えになりますか。
鈴木国務大臣 先ほど来、牧先生から、この調査、随分時間がかかった、過去を振り返って一体どうだったのか、そういう御説明がございました。
 私も、もっと早くこれができないかということでいろいろ聞いてみましたが、先ほど南川部長からの御答弁の繰り返しになってしまうかもしれませんけれども、この手の調査が今まで世界でも先例的に行われたことがなかった、そもそも調査設計から手をかけなければいけなかった、そして、それに基づくさまざまな観測機器、測定機器の開発というものにも時間がかかってしまった、そういうことで今日まで至っているわけであります。
 しかし、今、その前提となります調査のめどもつきつつございますので、十七年度から本格調査に入るということでございます。大変時間がかかっておるということは確かでございますが、科学的なしっかりした結果が得られますように、そして、あわせて、一日も早く調査結果が出ますように、さらに督励をしてまいりたいと考えております。
牧委員 正直、納得できない答弁であります。調査設計にこれだけの時間がかかるというのは、技術の日進月歩の時代でもありますし、そのまま理解できる話ではないということを申し上げておきたいと思います。
 それと、あと、ちょっと通告なくて申しわけないんですけれども、今回の判決を受けて、例えば東京都、あるいは自動車メーカー等も、これはメーカーの責任というのは裁判上は問われていないわけでありますけれども、自動車メーカーもそれぞれ談話を発表して、しかるべき制度ができれば前向きに対処していきたい、そういう意思も表明をされております。また、東京都の場合は、石原都知事名で、内閣総理大臣小泉純一郎様ということで、今回の判決を受けて大気汚染対策の強化ということをあえて申し入れされております。
 都の方は控訴を取り下げているわけでありますけれども、ただ、取り下げてはいるけれども、その判決の内容にすべて承服しているわけじゃない。内容としては、むしろ、例えば国に当てはめれば、道路の設置者や管理者よりもむしろ環境省に当てはまる部分についての瑕疵があるんじゃないかということを東京都の方は主張しているわけで、判決をすべて理解して取り下げたわけではないわけであります。
 今回のそういった、例えば東京都の動き、あるいは自動車メーカーの動き等を大臣なりにどういうふうに思われるか、都は余計なことをしてくれたと思うのかどうなのか、ちょっとそこら辺だけお聞きしたいと思います。
鈴木国務大臣 今回の第一次判決につきましては、先ほど南川部長からお話を申し上げましたとおり、大気汚染の状況と健康被害者の方の因果関係におきまして問題ありとして控訴をしたわけであります。
 それとはまた別に、新たな患者さんが発生しないような、未然防止という観点から、大都市部で大分進んでおります大気環境の悪化、それを、未然防止のための、大気汚染をさらに改善していく、そういう努力は、これはこれとして、環境省でしっかりやってまいりたい、そういうふうに思っております。
 その中で、自動車メーカーの役割、こういうことでございますが、大気汚染防止には、国も地方自治体も、そして車を運転する運転者個人、それからトラック営業などしている事業者、そして自動車の技術を持っている自動車メーカー、それぞれが力を合わせてやっていかなければならない、こういうふうに思っておりますが、大気汚染防止のためのそういう車の単体の方からの施策ということになりますと、技術を持っております自動車メーカーの役割というものは大変大きなものがある、そういうふうに思っております。
 環境省といたしましても、引き続き、特に大都市部におけます大気環境の改善のために、関係方面ともよく連携をとりながら努力をしてまいりたいと思っております。
牧委員 ありがとうございました。
 時間が三分ぐらいありますので、ちょっとおまけの質問をさせていただきたいと思います。
 また春になって、いよいよ花粉症の季節、朝なんかもよくマスクしている人を見かけるんですけれども、この花粉症というのも、これはある意味、公害病ではないかなと。これは一種の公害健康被害、SPMとの関係も言われておりますし。
 これは公害病ではないというふうに多分環境省はおっしゃると思うんですけれども、この花粉症についての認識それから対策、これは広い意味での環境施策の中の一つにならなきゃいけない話だと思うんですけれども、環境省としていかがでしょうか。
南川政府参考人 私ども環境省といたしましては、大気汚染と花粉症の間に全く関係がないと言うようなつもりは全くございません。極めて真摯にとらえまして検討をしております。
 その中で、具体的には、モルモットに大気汚染物質を浴びせまして、花粉症の症状を誘発するかどうかを確認する動物実験、あるいは、都市部と地方部を対象としまして、大気汚染物質の暴露量と花粉症の発生率との間を示す関係を統計的に分析する疫学調査、この二つを行ってきております。
 これまでの調査の結果からは、極めて高濃度の大気汚染レベルでは花粉症のような症状を誘発するということは判明しております。また、都市部と地方部では、都市部の方が花粉症患者の多いことも判明しております。ただ、都市部と地方部におきましては、大気汚染以外の要因もいろいろございます。家庭内のちりとかいろいろございます。そういったことから、大気汚染物質と花粉症の関係について専門家の間でも意見が分かれておるというところでございます。
 そういうことでございますが、私どもとしては、大気汚染と花粉症の関係についてはさらに研究をしたい、その上で専門家の評価を得たいというふうに考えておりますので、今後とも前向きに取り組んでまいります。
牧委員 今の御答弁で、調査研究の段階であると。まだ対策については全く触れられないわけでありますから、多分対策は全くないというふうに理解をすればいいんじゃないかなと思いますけれども、やはり、これも一日も早く対策を考えないと、そのうち、これと一緒のように、被害者から、それこそ林野庁やらあるいは環境省の不作為だというような訴訟がまたいつ起こってもおかしくないなと思ったものですから、あえてつけ加えさせていただきました。
 質問を終わります。
松本委員長 近藤昭一君。
近藤(昭)委員 民主党の近藤昭一でございます。今回の公害健康被害の補償等に関する法律の一部を改正する法律案について質問をさせていただきたいと思います。
 今、同僚の牧議員からちょっと最後に話もありました。私も花粉症でございまして、この季節は本当に苦しいわけでありますけれども、そういう中で、今ちまたでは、この花粉症と超微粒子等々のいわゆる大気汚染との関係がいろいろと言われておるわけであります。
 ただ、そういう意味では、私も本当に、ちょっと数字は定かではありませんが、昨年、一昨年、そういった花粉症にかかわる医療費といいましょうか産業といいましょうか、医療もあれば、あめみたいなものもあるわけですから、そういうものがたしか二千億円を超えるという産業というか分野になった、そんなことも聞いております。くれぐれも、今、牧議員も指摘しました、将来そういったことで本当に国を相手取っての訴訟が起きない、そんなことを願うわけであります。
 しかしながら、この公害健康被害の問題に関しては、私も当初、既に認定された被害の方、この方々の救済を継続する、そのための改正、これは必要なことだなというふうにもちろん思ったわけであります。ただ、今回質問をさせていただくに当たりまして、いろいろとこの法律案についての関連資料を読ませていただきました。そうしますと、本当に多くの問題点を抱えている。多くの問題点どころではない、その問題点にかかわる訴訟も起きまして、五度にわたって国が敗訴をしている、こういう大きな現実。この敗訴の背景には、もう既に、きょうも傍聴人、多くの方がお見えになっているわけでありますが、被害者の方、認定はされていないけれども大きな被害が出ている、こういう大変な苦しみのもとにあるんだということを本当に切実に感じております。そういう意味で、今回の法案、私は、現実を踏まえて、本当に大臣初め皆さんの真摯な御答弁をお願いしたいわけであります。
 この公害健康被害補償制度というのは一九七四年に創設されたわけであります。一九八八年から新たな認定が行われなくなりました。そのため、一九八八年以降にぜんそくなどを発症した方々はこの制度による救済を受けられないために、今申し上げましたように訴訟等が起こされて、新たな救済制度、本当に困っていらっしゃる方がいらっしゃるわけですから、その方に対する救済制度をきちっとつくってほしい、こういう声が高まっているわけであります。そういうことについて、幾つか関連して御質問をしたいと思います。
 まず、この補償制度についてでありますが、この制度の費用負担の仕組みを見ますと、ばい煙発生装置の設置者と自動車重量税の一部引き当ての割合が八対二、費用負担の割合が八対二になっておるわけであります。したがって、健康被害の発生源というのは工場などから出るばい煙と自動車から出る自動車排気ガスである、こういう認識に立ってこの制度がつくられた、こういうふうに考えてよろしいでしょうか。
鈴木国務大臣 基本的にそのようにお考えになられて結構であると思います。
 公健法は、著しい大気汚染があって、そしてぜんそくが多発している地域を指定する、そしてそこに一定期間居住等をしてぜんそく等に罹患した方々に対しまして、因果関係の制度的割り切りにより患者と認定して、汚染原因者負担により補償を行うものとして、先生御指摘のように昭和四十八年に制定をされたものであります。
 同制度に基づく大気汚染に係る指定地域につきましては、工場、それから自動車総体、これが大気汚染に寄与したとされていることから、それぞれの寄与度に応じて、八対二でございますけれども、補償費用が負担されているものでございます。
近藤(昭)委員 そういうふうに、割合は八対二でありますが、ばい煙と自動車から出る自動車排気ガスというふうにお認めになってこの制度をつくられたというわけであります。
 そうしますと、ここのところの裁判にかかわって環境省は、自動車排気ガスと気管支ぜんそくとの間の因果関係は認めていない、だから新たに救済制度をつくる必要はないんだ、新たな患者を認める必要はないんだというふうに言っているんだと思いますが、今お話を聞いても、健康被害の発生源に自動車排気ガスを認めておられるというわけであります。これはどういった理由になるんでしょうか。
南川政府参考人 先ほど大臣から答弁申し上げましたけれども、法制化の時点におきましては、工場、事業場とともに、自動車も総体として大気汚染に対する寄与度が相当程度あったということが認められることから、自動車からも二割分の費用負担を求めるということで、現在、自動車重量税の税収の一部を引き当てているわけでございます。指定地域の解除後につきましても、既に認定されました患者さんにつきましては、過去の大気汚染による健康被害者ということで補償を続けております。
 ただ、これは、現在の大気汚染との因果関係ということを前提にしているわけではございませんで、あくまで、患者さんの、地域指定があった時点での大気汚染における因果関係ということを前提にしておるわけでございます。
近藤(昭)委員 そうしますと、なかなかよくわからないところもあるんですが、当時の大気汚染の因果関係から考えていると。
 つまり、どういうことですか。だんだんと二酸化硫黄等々は、当時は、これでいくと八対二でありますから、大気汚染の原因が、ばい煙、二酸化硫黄が中心になるんですか、これが八であって、自動車ガスはその分の二ぐらいであった、だから、二酸化硫黄が大きな理由だったから、自動車排気ガスは大した理由ではない、こういうことなんですか。
南川政府参考人 当時、二酸化硫黄が主な原因で、それに窒素酸化物も関係するということで、委員御指摘のように割り切って数字を出したというふうに承知をしております。
 現状におきましては、御承知のとおり、二酸化硫黄は非常に急激な改善を見せていますし、窒素酸化物も徐々に改善を見せておりまして、私どもとしては、現在の汚染のレベルを考えた際に、病人の病気の発生との因果関係について現時点では論証ができないということで考えております。
近藤(昭)委員 論証が今できないということはどういうことですか。二酸化窒素とか浮遊粒子状物質と健康被害との因果関係については認めていない、こういうことですか。
南川政府参考人 現在の二酸化窒素あるいは粒子状物質の汚染レベルでは、明確な因果関係は今のところ認められないというふうに考えております。
近藤(昭)委員 明確な因果関係は認められない、そういう見解だとしますと、先ほども牧議員の方からも質問をさせていただいたわけでありますが、そうすると、なぜ環境基準を設けてNOxとかSPMを規制しているのか、御説明をいただきたいと思います。
 今の御説明でいくと、こういったものと大気汚染との因果関係は立証できていない、つまりないんだというようなお答えであったわけですが、どうしてでしょうか。
鈴木国務大臣 現在の医学的、科学的な知見といたしまして、こうした大気汚染、現在の大気汚染とぜんそく等の疾病との因果関係が現在明らかにされていないということで、その調査を急いでいるわけであります。遅いというおしかりを受けておりますが、一生懸命努力をしているというところであります。
 そういう因果関係の問題とは別に、やはり大都会におけます大気の環境をよくするという努力、これはこれでしっかりと進めていかなければならない問題である、そういうふうに思っております。
 したがいまして、この因果関係の問題と大気汚染の環境を改善していく、そういういろいろな環境基準をつくって努力する施策というものは、これは分けて考えていただく必要があるのではないか、そのように思っております。
近藤(昭)委員 なかなか因果関係がはっきりしない、それで調査を急いでおられるというわけでありますが、当時、一九八八年から新たな認定が行われなくなった、その時点から既に、患者の方はもちろんのこと、患者を支援する、あるいは患者を診ていらっしゃるお医者さんあるいは自治体からも、当時の新たに認定をするその制度をやめることに対して物すごい反対があった。これは、今大臣も答弁の中でお答えになったように、調査を急いでいるんだと。しかし、この間二度ほどこの法案が改正されている時点でも、附帯決議でも調査を急ぐんだ、こういうことは何回も出てきているんですね。
 そうしますと、大臣がそうおっしゃっても、本当に急いでおられるのかというふうに、大変に疑問と心配。そして、冒頭申し上げましたように、患者さんが現実にいらっしゃるわけです、そういう方々は大変に困っていらっしゃるわけです。そういうことで、大気汚染の訴訟なんかでも、国は認めていないということでありましょうけれども、さまざまなところで、関係があるんだ、患者さんたちを救ってほしい、こういう声の中で裁判が行われて、大気汚染訴訟の中では認定をされていると思うんですよ。認定されたから、きちっと救済制度をつくれ、国側が敗訴をしたということだと思うんです。
 私自身は、やはり大気汚染とぜんそくなどの健康被害には大変大きな因果関係がある。実際に、二酸化硫黄の環境基準が達成されておっても、ぜんそくで苦しむ人たちが毎年ふえているわけでありますし、都内だけでもぜんそくで通院する方の数は十三万人、そういう調査の結果も出ております。
 また、国立環境研究所、国立であります、国立環境研究所のディーゼル排気による慢性呼吸器疾患発症機序の解明とリスク評価に関する研究においても、ディーゼル排気あるいはディーゼル排気微粒子が実験動物に気管支ぜんそくを引き起こすことを実証した、また人でもこれらの物質で気管支ぜんそくが起こり得ることを示唆した、こういう報告が出ておるわけであります。
 そういう意味で、それでもなお環境省は、大気汚染とこういった疾病に対する因果関係はない、こういうふうに主張されるんですか。
南川政府参考人 各種研究機関の報告については、私どもできるだけ最新の知見を得るようにしております。その中で、近藤先生がおっしゃったような知見が出ておることもある程度は承知をしております。
 ただ、現実の補償制度の検討となりますと、あくまで現実の汚染レベルに立って、そしてその因果関係を把握する、そして、当然ながらしかるべき費用負担をお願いするということが必要になるわけでございまして、それにはやはり多くの人が納得いただけるような因果関係の立証とそのための科学的知見の蓄積がまず大事だということでございます。
 時間がかかっていることについては私ども余り反論できないんですけれども、いずれにしましても、ぜひ早く結論を出せるように急いでいきたいと考えております。
近藤(昭)委員 御答弁の中で、ある程度認識をしておると。しかし、ある程度の認識では困るんですね。五回の裁判で国が負けたということは本当に大きいことだと思うんですね。そして、くどいように申し上げますが、今も申し上げた、本当に都内でも十三万人の方がぜんそくで苦しんでおられる。
 そして私、今回、先ほど申し上げましたように、この法案を審議するに当たって過去の議事録なんかも読みましたけれども、昭和でいうと六十一年ぐらい、六十一年、この数年間の当時の新規の患者さんの認定を見ていても、九千人前後なんですね。六十年も多分九千人とか、五十九年にも多分それぐらいの数で、六十一年は九千二百十一人、九千二百十一人の方が認定をされているわけです。
 ところが、その方が、この認定制度がなくなったことによって認定されなくなる。私はもう少し少ないかと思いました。そういう患者さんが減ってきたんだ、減ってきた状況の中でこの制度はやめにしましょうということかと思うと、そうじゃないんですね。ずっと患者さんはほぼ九千人台で横ばいで、横ばいというか大変な数できている。ところが、その制度をやめてしまう。これはどうしても納得できないんですが、いかがでありましょうか。
南川政府参考人 認定患者につきましては、六十三年の三月の解除時まで、若干の伸びの違いはございますけれども、一貫してふえ続けております。六十年を過ぎましても先生のおっしゃるような形で認定が進んだことは事実でございます。
 私ども、その中でいろいろ議論は専門家も含めてしたわけでございますけれども、やはりそれは、特に五十年代後半以降の大気汚染状況を見たときに、それについては大気汚染の影響で患者さんと認定するという割り切りを続けることに無理がある、そういったことで地域を解除したということでございます。もちろん、そのときにいろいろな方からいろいろな議論がございました。私どもそれを逐一真摯に受けとめて議論いたしましたけれども、やはり全体として見れば、これ以上割り切りを無理に続けて認定するということ自身が、当時の五十年代後半以降の大気汚染状況を見るときに無理があったということで、解除に踏み切ったわけでございます。
近藤(昭)委員 そうしますと、当時はどういう御認識であったんでしょう。今もおっしゃったように大体八千人後半から九千人前半、これぐらいの患者の方が認定をされてきた。ところが、廃止以降は認定をしていない。でも、あれば、九千人前後の方が認定されている。では、実際問題、出てくる患者さんはどうして、気管支ぜんそくとか気管支炎ですか、ぜんそくとかの原因は何だと御推察になっていたんですか。
南川政府参考人 ぜんそくの患者さんにつきましては、二十年、三十年というトレンドで見ますと相当程度ふえております。ぜんそく自身は正確な統計はないんでございますが、厚生労働省の受療率の統計などを見ますと、通院される方はこの三十年間で二倍とかということになっております。また、お子さんだけ見ましても、文部科学省のデータでは、特にどんどんぜんそくにかかるお子さんの率がふえておるということでございます。
 ただ、ぜんそく自身はいろいろな状況、症状で起こります。先日もある学者さんの会議に出たんですけれども、大気汚染もその一つというふうには入っておりましたが、たばことかあるいは家庭内のいろいろな粉じんとかいろいろな要素がございますし、またいろいろな化学物質もございます。そういう意味で、非常に特定しがたいということでございます。
 ただ、いずれにしましても、六十年になったころからの大気汚染でその患者さんの増加を説明するということについては、いかにしても無理があったというふうに考えております。
近藤(昭)委員 今の部長の御答弁でいきますと、つまり、制度をつくったときには、地域を指定して、その地域にいらっしゃる方、個別の因果関係はなかなか立証しにくいんで割り切って、先ほど牧議員の質問の中にもありました、割り切って患者さんを認定する。そうすると、この制度を廃止したときには、今のお話を聞いていますと、原因がわからない、多様な原因なんだ、多様な原因だから、今までとはちょっと違うから割り切ってやめちゃった、こういうことなんですか。
南川政府参考人 そもそもが、四十八年に制度をつくりましたこと自身が、その当時の大気汚染の激甚さということに着目して割り切って認定をしようということにしたわけでございます。
 ただ、これが徐々に大気汚染が改善してまいりました、片や患者さんはふえ続けるということで、その乖離についてどうにも合理的な説明がつかないということでございまして、おっしゃるとおり、では、そのふえているぜんそくの原因は何かということについては、よくわかりません。わかりませんが、企業、事業者あるいは車から金をさらに取り続けるということを必要とするような大気汚染と患者さんの発生ということについての割り切りは、これ以上続けられないということで考えたわけでございます。
近藤(昭)委員 原因ははっきりしない、だからこれ以上、さっきの排出責任者の方というか会社、ばい煙を出す装置の設置者あるいは自動車重量税からの一部引き当て、原因がはっきりしないからこれ以上続けるわけにはいかないということだったんですか。
 ただ、いかにも、今申し上げましたように、制度があるまでは九千人前後の方が認められていて、なくなったらゼロになってしまうのは余りにも急激な変化だと思うんですね。なおかつ、もし責任、原因がはっきりしないということは、私は、もともと当初の制度がつくられたことも、現実としてそういう患者さんがいらっしゃる、苦しんでいらっしゃる、そして大気が汚染している、だから救済をしなくちゃいけない。この後も結局患者さん、いらっしゃるわけですから、原因ははっきりしないけれども、きちっと救済をする必要はあるんだと思うんですね。その辺については国はどういうふうに考えていらっしゃったんでしょうか。
 例えば、私は、きちっと何らかの原因があると思います。何らかの原因があるから患者さんがいらっしゃって、その患者さんが、特に地域によって集中していらっしゃる。どうも、それはやはり自動車が多いところなんだろう、こういうことだと思うんですけれども。
 ですから、そういった、原因ははっきりしないかもしれないけれども、現実の問題として、そういう発症されている方がいらっしゃるんだから、そのことをきちっとやるんだ、それまでは制度を継続するとか、こういうことだったんじゃないでしょうか。あるいは、もう少し順番に、順番にというか、急激なやり方じゃないというやり方があったんじゃないかと思いますけれども、いかがでありましょうか。
南川政府参考人 これ以上、その地域に一定期間住んでおる、そしてぜんそくなどの症状を引き起こしたことでもって大気汚染の患者さんだと認めるということについては、やはり社会的にも、また実際問題多くの方々にその費用を負担していただくわけでございます。そうすると、因果関係もないのに、因果関係が極めて薄い現状に変わっても引き続き負担をするのかというようなことは、当然議論が出てくるわけでございます。
 私どもとしては、何らかの原因でぜんそくになるわけでございます。それについてほうっておくのかと言われると非常につらいのでございますけれども、やはりそこは制度として割り切ってつくったものでございますけれども、その割り切りを続けることが余りにも説明がつかないということになれば、それはもう地域を解除するしかなかったということでございます。
 いろいろな、その当時認定された方、十一万人おられまして今約六万人弱になっております。その間も、既存の患者さんにつきましては極めて熱心に治療等に努めていただきまして、半分以上の離脱者の方が治癒された方ということでございまして、そういう意味では、これまでの公健法自身は適正にワークしておったし、これからも既存の患者については従来どおりの対応を続けていきたい。
 ただ、どこか中をとるというようなことについては、非常にそのときの議論はしましたが、制度上難しかったということで、割り切って解除せざるを得なかったというふうに承知をしております。
近藤(昭)委員 今、南川部長の御答弁の中にも、ほうっておくのかと言われると忍びないというようなお言葉があった。まさしく、私が忍びないというか、大変なんですよ。十一万人から六万人に患者さんが減ったということを部長おっしゃられましたけれども、それは新たに認定が出ていないわけですから。そういう意味では、決してふえることはないわけですし、もしかしたら以前よりは大気はちょっとはきれいになったかもしれない。そういう意味では減ったかもしれない、これはかもでありますが。でも、六万人の方がいらっしゃるわけでありまして、そういう現状をやはりほうっておいてはいけないと思うんですね。
 ただ、この議論は、この制度を廃止するときにも随分とやられておられます。そういうことで、私もどういうふうにお聞きをしたらいいのかというふうに悩むわけでありますけれども、ただ、今度四月の一日から医療保険の本人負担もまた三割にふえるわけですよ。本当に患者さんたちは苦しんでおられるんですよ。原因がわからないけれども、何か方法はないものですか。
 当時の議論でも、難病に指定したらどうだ、原因がはっきりしないけれども、こういう患者さんをきちっと救わなくちゃいけないので難病指定したらどうだなんという委員会での指摘もあったようでありますが、大臣、どうですか、この対応については。
鈴木国務大臣 患者さんに対する何らかの措置、医療制度的な措置ということになりますと、これは厚生労働省のお立場になるわけでございまして、私ども環境省としては、とにかくこの因果関係というものを早く明らかにするよう最善の努力をする、そしてそういう因果関係が明らかになった場合に新たな必要な措置について検討する、こういうことであろうか、そういうふうに思っております。
 私、昨年の十二月に板橋の大和町交差点のところにお伺いいたしまして、そのときに原告の皆さんと、短時間でありましたけれども、お目にかかりました。そして、そのときお話を聞きますと、今は体調がいいけれども発作が出ると大変だ、そして、こういう症状なもので仕事にもつけないというようなお話も伺いまして、本当にその切実さというものを実感いたしました。
 しかし、国として新たな制度ということを考えますときは、これは本当に悩ましいのでありますけれども、ここには医学的な、科学的な因果関係というものが明らかにならなければならないということでございますので、本当に原則的なお答えで恐縮でございますが、そうした因果関係の解明に環境省としては全力を尽くしたいと思います。
 また、医療面の問題につきましては、これは厚生労働省の方の関係である、そのように承知をいたしております。
近藤(昭)委員 なかなか前向きな御答弁がいただけなくて残念なんですけれども、ちょっと違う角度から質問をさせていただきたいと思います。
 公健法の第一種地域に指定されておった地域と自動車NOx法の対策地域がどの程度重なっているか、御説明をいただきたいというふうに思います。
西尾政府参考人 今御質問のございました公健法の第一種地域といたしましては、東京都、千葉県、神奈川県、静岡県、愛知県、三重県、大阪府、兵庫県、岡山県及び福岡県の十都道府県の四十一の地域が指定されておるわけです。
 これに対しまして自動車NOx・PM法の対象地域は、これは三大都市圏の県でございますので、東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、愛知県、三重県、大阪府及び兵庫県の八都道府県、二百七十六市町村を指定しておるわけでございます。
 重なり関係でございますが、市町村の中でも、公健法の地域、一部の地域に限っているというようなこともあるのでございますけれども、まず県だけで比べますと、公健法の指定地域のうち、静岡、岡山、福岡を除く残りの七都府県がすべてこの自動車NOx・PM法の対象地域に入っている。市区町村の数にいたしますれば、自動車NOx法は二百七十六市区町村でございますが、その中に、公健法のこの辺の地域にあります指定地域の三十五市区町村が全部含まれておるということでございます。
近藤(昭)委員 そうしますと、端的にお伺いしますけれども、かなり重なっているということでよろしいですか。
西尾政府参考人 三大都市圏に関していいますれば公健法の一種地域はすべて含まれていまして、これは自動車の未然防止でございますから、それよりもはるかに広い地域が自動車NOx・PM法の指定地域になっておるというような感じではないかと思っております。
近藤(昭)委員 重なっているというわけだと思いますし、広くなっているといっても、これはやはり大気ですから、拡散するわけですから、より広く指定するのは私は当然だと思うわけであります。
 そうしますと、これは公健法の第一種地域における健康被害がなくなっているわけではもちろんないわけで、そういう意味で、ちょっと今予防的という言葉をおっしゃったんですが、対策が必要であるから自動車NOx法においても対策地域に指定されているんだというふうに思いますが、環境省の見解をお聞きしたいと思います。
西尾政府参考人 自動車NOx・PM法におきます指定地域は、大都市地域等で自動車の交通が集中するというようなことによりまして、通常の大気汚染防止法等の手段ではなかなか環境基準を達成し得ないような地域を指定しまして、そこに特別の措置を行うということでございます。
 したがいまして、環境基準ということが目安でございますので、この水準は先ほど来問題にされております健康被害としての疾病が認められるかどうかという水準よりははるかに低く、要は、健康への何らかの影響あるいは弱者も含めた影響を未然に防止していく望ましい水準として決められた環境基準、その基準を目指して指定した地域であるということでございます。
近藤(昭)委員 なかなかよくわからないところがあるんですが、健康被害とそういったNOxとの関係を、因果関係は認めておられないけれども、基準があって、その基準をきちっと守るところを、そういう基準をなかなかクリアするのが厳しいところを指定しておられるということだと思うんです。
 ところで、平成十四年から自動車NOx法による車種規制が強化されまして、自動車ユーザーはみずからの車を排出基準に適合させなければならないわけですね。そういった場合は新しく買いかえるよりも触媒装置をつける方が多分安く済むんだろうと思います。
 ただ、お聞きしているところによりますと、車種によっては、使用可能最終日までに触媒装置が開発されない可能性もある。あれはなかなか厳しいようで、ある触媒装置はこのエンジンには合うけれども、こっちのエンジンには合わないとか、そういうようなことがあるわけであります。この場合、古い車種であっても触媒装置が開発されていれば買いかえなくて済む、新しい車種であっても触媒装置が開発されなければ買いかえなければならない、こういうある種の矛盾が生じるわけでありますが、環境省はどのようにこのことについてお考えでしょうか。
弘友副大臣 私も先生御指摘のことが起こり得るのかなと。そうすると、確かに矛盾が生じるなということで、いろいろお聞きしましたけれども、結論的に言うと、そういう矛盾は起こらないということでございます。
 といいますのは、まずこの車種規制、古い順から使用期限が順次到来してきて、事業者が自動車の買いかえを円滑に行えるように八年から十二年の猶予期限を設定している。それと同時に、後づけの排出ガス低減装置について、古い車の方が排ガスレベルが悪いわけですね。その排ガスレベルの悪いものに対応できる後づけの装置ができましたら、車種によってというお話ありましたけれども、新しい車、もっとレベルの高い車には当然対応ができるということでございますけれども、現在のところ、このNOx、PM、両方の基準をクリアできるような後づけ装置はまだ開発されていないということでございます。
 基本的にはこの車種規制というのは、排ガスレベルの悪い古い自動車をよりクリーンな新しい自動車に買いかえていただこうという制度でございまして、その円滑な施行が図られますよう、いろいろと支援、広報等に努力してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
近藤(昭)委員 今、弘友副大臣の御答弁によりますと、矛盾はないと。つまり、触媒装置としては、いろいろなタイプの、とにかく規制をクリアしていない古い車、これについては、何らかの触媒装置をつける方法、いわゆる買いかえなくても触媒装置をつける方法によってクリアできる、こういうことですか。
弘友副大臣 いや、古い車に触媒装置をつけてクリアできるということよりも、その古い車の触媒装置が開発されて適用できましたら、新しい車はもっとレベルが高いわけですから、それに対応する技術というのは当然出てくるということでございまして、古い車に対応できる触媒装置が開発できれば、新しい車は当然それに対応できる後づけ装置というのは開発できるということだというふうに思います。
近藤(昭)委員 つまり、古いタイプの車に――いや、ただ、私が聞いているところによりますと、古いとか新しいとかじゃなくて、このエンジンには合う触媒装置はできるけれども、こっちのエンジンには、古いとか新しいとかじゃなくて、型式によって違うというふうに聞いているんですけれども、いかがでありましょうか。
西尾政府参考人 よりクリーンな自動車にするという対策でございますけれども、幾つかの話がございますので、順次整理して御説明したいと思います。
 今現実に装着することが可能であるのは、いわゆる粒子を取りますフィルター、DPFというものでございます。DPFにつきましては、すべての車に装着できるというものはできておりませんけれども、一部の車につきましてはある程度装着をして効果を上げられるというものが出ておりますので、そういうものをできるだけ奨励して、少しでも下げていただくという政策をとっておるところでございます。
 ただし、自動車NOx・PM法の規制はもう少し厳しい規制になっておりまして、粒子だけではなくて、NOxも粒子も両方ともクリーンな車でなければいけないということでございます。
 この制度を立案いたしましたときにも、事業者の方々には大変御苦心ではございますけれども、やはりこれはなかなかそういうものを後づけのものでクリアすることは難しい。そうすると、買いかえるより仕方がないわけでございますが、それに対しましては、税制でありますとか融資でありますとか、できるだけ支援をしたり、あるいは準備期間を設けさせていただくので、大変御苦心ではあるけれども、終局的には買いかえもやむなしという規制をお願いしたいというのが基本でございます。
 しかしながら、さはさりながら、何とかその中でも、NOx、PM、これはもし開発ができれば買いかえまでしなくても対応はできるのではないかという事業者からの要請も強うございます。これは非常に技術的に難しいわけでございますが、その可能性はないのかということにつきましては、自動車メーカー等々にできる限りの知恵を絞ってほしいという要請をしているという現状に今あります。
近藤(昭)委員 余り長くこの質問にかけるつもりはありませんけれども、つまり、買いかえをまず前提に、ところが、こういう経済の状況でもありますから、触媒装置でもクリアできる方法がないかということでメーカーとともに共同歩調をとっておられるんだと思うんです。
 ただ、心配しますのは、それがいまだ完全なものができていない。そうすると、こういう景気の中で自動車ユーザーは大変に困っておられる。多分メーカーからは買いかえた方がいい、買いかえた方がいいという圧力というかセールスもかかるし、しかしながら、こんなときだからできれば触媒装置で何とかクリアできないか、こういうことで大変に困っているというような現状があると思うんです。
 ところで、今買いかえということをおっしゃいましたが、買いかえの際の融資制度を利用する際に、古い車を廃車にしなければならないと聞いておるんですけれども、この点について御説明をいただきたいと思います。
西尾政府参考人 自動車NOx・PM法の車種規制に従いました排出基準に適合するということになりますと、基本的には適合する車へ買いかえていくということになりますので、そうすると、ただ車をふやすということの融資ではなくて、今まで持っていた車をどのようにするかという条件がつかざるを得ないということでございます。
 現在、日本政策投資銀行等々におきます低利融資制度を利用することができるわけでございますが、この低利融資の制度の中では、廃車または売却ということが条件である。ですから、単純な増車についてこの仕掛けで融資をするというわけじゃなくて、適合させるために廃車または売却をして新しい車を買うときには融資をする、そういう制度になっておるということでございます。
近藤(昭)委員 そうしますと、制度の原則からいうと、そういう古い車を廃車にしていかなくちゃいけないということだと思うんですけれども、ただ、これは指定地域外では残念ながらそういう車はまだ使えるというのが、残念ながらでありますが認められているわけであります。
 そこで、大変に気になるわけでありますが、先ほどからの答弁の中でもありました、制度、新たな認定を行わないというふうになった後も、予防的に、これ以上大気が汚染されて、なかなか今のお話でいうと原因はわからないけれども、患者さんがふえないように予防的な事業に力を入れているんだみたいなお話があったんですけれども、ただ、そういった予防的な見地でされている自動車NOx法の規制、この法改正について議論されたときも大変に懸念されていましたいわゆる車庫飛ばし、事業所飛ばしの問題についてお聞きをしたいわけであります。
 私なんか、地元が名古屋でありますから、名古屋から岐阜なんというのは大変に近いんですけれども、岐阜は規制の対象地域になっていないものですから、岐阜なんかに車庫、事業所登録を移す、あるいは岐阜の企業、会社がどんどん名古屋に出てくる。そうすると、せっかく規制をしても入ってきちゃう、結局は大気が汚染されている。出どころが違うだけで、こういう状況になっていると思うんですが、環境省、対策はいかがでありましょうか。
西尾政府参考人 この自動車NOx・PM法におきまして、指定地域の中での排ガスを下げていくという場合におきまして、何分にも対策をするべき対象は自動車であるということでございますので、規制制度をしいた場合に取り締まりをすることが非常に難しい。そういうことからこの車種規制という方式を考えたわけでございまして、これは、指定地域内に使用の本拠地を置いておる自動車につきまして、車検時に基準に適合しているかどうかを担保するということにおいて適切に規制ができるだろう。
 そうすると、使用の本拠を置いておるかどうかということにつきましては、やはりどこまでいきましても、使用の本拠というものは、いわゆる車庫法、自動車の保管場所の確保等に関する法律で、使用の本拠にきちんと登録しなければならないということがあることを前提に担保をされていると考えざるを得ないわけでございます。
 車庫法の違反、昨年も全国で百件以上摘発されていると聞いておりますけれども、関係省庁にもこの自動車NOx・PM法の適切な施行についてそれぞれの部署で注意をしてほしいということは再三申しておりますけれども、さらにこの規制が実施されるに従いまして、車庫法等々の法規をきちんと守っているかどうかということにつきましては、関係省庁にもできる限りの御協力をいただきたいということで、また再度連携を深めてまいりたいというふうに思っております。
近藤(昭)委員 車庫飛ばしの摘発、それがかなりあったということでありますが、もちろんそのことをやっていただかなくちゃいけないんですが、もう一つ、合法的に、今申し上げたみたいに岐阜から出てくるとか、そういうことについてはどういうふうに規制をされているんでしょうか。もともと、飛ばしているわけじゃなくて、最初からそこにある企業がこちらに出てきて仕事を請け負って、来た名古屋でどんどん排気ガスを出して大気汚染を行う、こういうことについてはどういうふうに規制をされますか。
西尾政府参考人 指定地域外に本拠を置く自動車あるいは貨物というものが指定地域内に入ってきて、その場合でも大気を汚染するではないかという問題はもともとある問題でございまして、そういうものをどのようにして規制をなし得るのかということにつきましては、この自動車NOx法を制定いたしましたとき、あるいは改正のときもいろいろ議論をしたわけでございますけれども、地域外の車につきまして、それを地域内で取り締まるというのは、取り締まりの公平性、効率性、そうした点からなかなか困難であること。
 それから、少し前のナンバープレート調査などにおきましても、これはかなり地域を広くとっておりますので、例えば首都圏の四県というようなところで他県のナンバーで入ってくる車のものをナンバープレート調査しましたときには、全車で七%、あるいは貨物だけとっても九%というレベルでございますので、公平性というところでの御議論はございますけれども、九割方の自動車というものを押さえられるならばこの規制の効果は出るだろうということで、現在のような形で、地域内に使用の本拠を有する車についてのみ規制をさせていただく、こういう制度にさせていただいているところでございます。
近藤(昭)委員 そういう域外から来ている車が七%、九%を少ないと見るか多いと見るかというのはなかなか難しいのかもしれませんけれども、私は、逆に言うと、七%も九%も、そんな車が外から入ってきたら大変なことだと思うんですね。そういう認識は私はもっと厳しく持っていただかないといけないと思いますし、やはり、今申し上げましたように、これは、大事なことは、結果的に大気が汚染されない、大気の汚染が減少していくということなんであります。ですから、そういった意味でも、そういうところはきちっと規制をしていっていただきたいという思いがあります。
 それと、国は、因果関係がはっきりしない、だから患者は認定しないということであるわけでありますが、もう一方で、言葉で言うと、でも一方で予防的なことはやっているんだということで、さっきから質問させていただいていますこういう地域指定もしているんだと思いますけれども。
 ただ、そういうのを見ていると、こういった大気汚染とかなんかのことは、国は忍びないけれどもちょっと因果関係がはっきりしないのでそれをやることはできないと言っているわけです。一方で自動車ユーザーに対しては、もっと大気を汚染しちゃいけないからあれを買えとか新しい車を買えと。これはいいことなんですよ、いいことなんですけれども、余りにも国の責任をこういったユーザーに転嫁し過ぎていないかというふうに思うわけですが、大臣、いかがでしょうか。
弘友副大臣 自動車ユーザーの皆さんの御負担はあるわけですけれども、これは、ユーザーだけじゃなくて、大都市地域の自動車における大気汚染改善のためには、国そしてまた自治体、それからユーザー、そしてメーカー、すべての関係者が責任を有しており、努力を結集する必要があると考えております。
 環境省といたしましては、御承知のように、世界一厳しい規制の導入、また単体規制の強化、低公害車の普及促進、そしてまた自動車NOx・PM法による車種規制の対策等を総合的に推進させていただいております。
 環境負荷が低く、排ガス性能のよい自動車の開発、供給について、自動車メーカーに特段の技術開発の努力を求めているところでございますし、一方、ユーザーの皆様には、規制適合車への乗りかえなど環境改善のための負担をお願いしておりますけれども、この際には、税制上の優遇措置、低利融資、財政上の補助を実施しまして、事業者の経済的負担の軽減に配慮をしているところでございます。
 御理解をよろしくお願いいたします。
近藤(昭)委員 ぜひ努力をしていただきたいと思うんです。
 ただ、一方で、今申し上げましたように、こういう景気の状況でありますので、業者の方としてはできるだけ避けたいという心理が働く、そういう結果としてやはり、さっき局長から御答弁があった七%、九%のところへ入ってきてしまう。これはちょっと想像で言って申しわけないですが、使う側としては、遠くから来るけれども、安い値段の提案があったら、ではこっちでもええやないかということで、つまり、そういうエンドユーザーというか自動車のユーザーに責任を転嫁することによってそういった抜け道が出てくるんだと思うんです。そういう意味では、私は、冒頭から申し上げておりますように、原因がはっきりしないけれども、そういう中で苦しんでおられる患者さんをきちっと守るというのが国の役割だというふうに思うんですね。
 そういう中で、ちょっと時間も限られてまいりましたので、ちょっと予定しておりました質問を、ただ、先ほど牧議員も大分質問なさったので。
 とにかく私は、きちっとした原因がわからないのであれば、一刻も早く原因をつかむ、はっきりさせる、そしてきちっと救済をする、こういうことを急いでいただきたいわけであります。
 これまで、名古屋南部公害訴訟、尼崎公害訴訟、川崎公害訴訟、西淀川公害訴訟と四度も国の責任を問う判決が出ていて、また、東京大気汚染公害訴訟においても、昨年、国に八千万円の支払いを命じる一審判決が出ているわけであります。国は控訴をしているわけでありますが、原告のぜんそく患者の方たちの苦しみを考えると、いたずらに訴訟を長期化させるのではなく、判決を受ける、または話し合いによる和解を検討すべきと考えておりますが、環境省、大臣、いかがお考えでしょうか。
鈴木国務大臣 先ほどもお話を申し上げましたが、患者さんと私も実際にお会いをさせていただきまして、その苦しみが大変であるもの、そういうふうに切実に考えているところでございます。判決につきましても、当然重く受けとめているところでございます。ただ、先ほど来申し上げますとおり、国はこの判決につきまして控訴をいたしたところであります。
 その理由は二つございますが、一つは、医学的に十分な知見がない中で、本件各道路からの自動車排出ガスと気管支ぜんそくとの因果関係を判決では認めている点、それからもう一つは、国土交通省の方のかかわりになりますが、道路の設置及び管理について責任を認めた点という点でございまして、国として承服できないということで、昨年十一月八日に控訴をしたわけであります。
 それで、いたずらにこれを長引かせるのは患者さんのつらさを長引かせるだけだ、早く和解等をするべきではないか、こういうお話でございました。私の承知しているところによりますと、原告の方も、東京都が控訴いたしませんでしたので、東京都道に隣接するところに居住されておられます数人の方は控訴をされなかったということでございますが、原告の方も多くの方は国と同様に控訴をされている、こういうことでございます。
 また、原告団の方はあくまで健康被害補償制度の創設を求めていらっしゃる。それに対しての国の立場は、先ほど来申し上げていますとおりの因果関係の問題がございますので、今の段階では和解についてなかなか申し上げられる段階ではない、そのように考えております。
近藤(昭)委員 因果関係がはっきりしないので国としては控訴をしたと。ただ、今大臣も申されたように、東京都は控訴しなかった、このことについてはまた参考人招致のときとかに議論をしたいというふうに思うんです。
 一方で、既に過去の四度の訴訟では原告団と和解をしておられるわけでありまして、この点についてはどういうふうに評価をしていらっしゃるんでしょうか。
鈴木国務大臣 尼崎の訴訟、そして名古屋南部訴訟につきましては、御指摘のとおり和解に至りました。これは、大気汚染物質の排出差しとめ請求を取り下げられたということと引きかえに、国等が道路交通環境対策を約束することということで合意をしたものと聞いております。
近藤(昭)委員 和解ですから、それぞれがある種、折り合って、言葉はよくないかもしれませんが、妥協し合ってやるというところはあるのかもしれませんけれども、私は、そういう差しとめ請求を控えたということ、でも、それでありますならば、先ほどからずっと申し上げていますように、きちっと対応していただきたいというふうに思うんですね。
 そういう中で、ちょっと例の中央環境審議会環境保健部会の所掌事務に、公害にかかわる健康被害の補償並びに予防にかかわる重大な事項に関することというのがあって、ここでもいろいろと議論をされているわけでありますけれども、今大臣も申されたように、和解をするに当たってきちっと国もやっていくんだということをおっしゃられているわけですが、ところで、この審議会の臨時委員には、排出側の委員が入っておられますが、被害者の方、患者の方の意見は、どなたがどういうふうに代弁なさっておられるのでしょうか。
南川政府参考人 中央環境審議会の環境保健部会の委員につきましては、幅広い方から御参加いただこうということで人選を行っております。
 御指摘のとおり、臨時委員として、企業のメンバーの方も、その学識等から適切と考えられる方に審議会に御参加をいただいております。他方、市民団体あるいは生活協同組合あるいは連合、労働団体ですが、こういった方々にもお入りをいただいておりまして、また、さまざまな分野の学者にも参加いただいております。また、これ自身が個人のプライバシーとかかわる場合を除きますれば、いずれも公表しております。そういう意味で、十分に公平な議論をしていただいているというふうに考えております。
 なお、当然私ども、いろいろな出来事があれば、その審議会にも公開の場で報告をして、フランクに御意見を伺っているところでございます。
 なお、患者の方々の御希望につきましては、今後とも別途御意見を伺っていきたいと考えております。
近藤(昭)委員 今の公表、これは、名前の公表のことですか、それとも、あれは議事録の公表はどういうふうになっていましたでしょうか。
南川政府参考人 失礼いたしました。
 会議自身を公開するということでございまして、あらかじめお知らせをしまして、希望の方は席がある範囲で入っていただけるということで、最初から最後まで聞いていただけますし、また資料もお渡しをするということでございます。
近藤(昭)委員 そうすると、公開してやられておるわけでありますが、公開してやられた結果、今、市民グループとかいろいろなところからも出ていただいているという話がありましたけれども、何か、きちっと患者さんの声を代弁していないんではないか、きちっとそういう人を入れてくれというような、そういう要望はありませんか。
南川政府参考人 この問題につきましては、例えば組合関係の方々を初め、問題意識の多い方がございます。そういうところからも公害患者さんの問題についての御指摘は受けておりまして、私ども、それは真摯に受けとめて対応させていただいておるところでございます。
近藤(昭)委員 いえ、こういう委員を入れてくれとか、組合の方ももちろんそういう立場でお話しになっているんだと、そういう意味だと思いますが、こういう委員の選考について要望みたいなのは出ていないんですか、こういう意味ですが。
南川政府参考人 特段、具体的に要望という形では聞いておりません。
近藤(昭)委員 質問時間が終わりましたのであれですが、審議会の委員の方、公開されている中でやっていらっしゃるわけですから、ある種のそういう監視と言うと失礼かもしれませんが、どういうことをおっしゃっているかというのはあるんだと思いますけれども、ぜひ、そういうところできちっと患者さんの声も代弁していただきたいと思います。これはずっと議事録がなかなか公表されなかったというところから考えると進歩だとは思いますけれども、大臣におかれましても、本当に患者さんの声をしっかり受けとめていただいて、私はやはり、きちっと救済制度をつくっていただきたい、そういう思いであります。
 どうもありがとうございました。
松本委員長 青山二三さん。
青山(二)委員 公明党の青山二三でございます。
 本日議題となっております公害健康被害の補償等に関する法律の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。
 公害被害あるいは公害問題ということで思い出されますのが、我が郷土が誇る田中正造翁でございます。私の住んでおります足利市の隣町であります栃木県の佐野市に、今も生家が保存されております。皆様も御存じのとおり、足尾銅山の鉱害問題解決のために、生涯をその問題にかけました偉大な人物でございます。
 この田中正造翁が足尾銅山問題で天皇に直訴いたしましたのが一九〇一年十二月十日でございました。それから百年余が経過いたしております。田中正造翁が命をかけて闘った鉱毒問題も、治水問題ということにすりかえられてしまいまして、谷中村の住民は強制的に家屋を取り壊され、住む場所を追われ、その村は鉱毒をためる遊水地と化してしまいました。
 田中正造翁が没して五十四年後の昭和四十二年、国はようやく公害対策基本法を制定いたしました。そして、本法案の前身であります公害健康被害補償法の制定によりまして、昭和四十九年に公害健康被害補償予防制度が創設されました。
 この制度は、大気汚染が激甚な地域について、被害者救済の地域を指定しまして、この地域に一定期間居住あるいは通勤して気管支ぜんそく、また慢性気管支炎、肺気腫、ぜんそく性気管支炎にかかった患者を対象にいたしまして被害者を救済するということでございまして、このような補償制度は世界に類を見ない画期的な制度として、これまで高い評価を得てきたわけでございます。
 そこで、初めに、本制度が公害健康被害の救済に果たしている役割について御認識を伺っておきたいと思います。
弘友副大臣 今青山議員御指摘のように、あの公害が華やかなりしといいますか、そういうところから昭和四十九年にこの補償制度ができました。
 補償の部分でございますけれども、著しい大気汚染による健康被害者に対しまして、汚染原因者の負担によりまして補償給付等を行うことによりまして、健康被害者の迅速かつ公正な保護を図ることを目的といたしております。
 また一方、予防事業は、大気汚染の影響による健康被害を予防するために、基金を設けて事業を行う制度でございます。
 これまで公健法に基づき、認定患者に対する補償が公正かつ着実に実施され、また予防事業についても、地域住民や認定された疾病から回復した人を対象といたしまして、健康相談、健康診査、機能訓練事業、例えば水泳だとか音楽教室等、知識普及、環境改善のための事業などが適切に実施されてきたと認識しておりまして、先ほどお話しのように世界でも類を見ない立派な貢献をしてきたんじゃないかというふうに考えております。
青山(二)委員 ただいま弘友副大臣がおっしゃっておられましたように、このような、世界に類を見ないようなすばらしい高い評価を得てきた制度でございますけれども、この第一種指定地域の指定解除がなされたという、その点についてお伺いをいたしたいと思います。
 この第一種指定地域につきましては、昭和六十三年三月に地域指定を解除いたしまして新たな認定が行われなくなりましたために、地域指定の解除後に発病した人々については本制度による救済が受けられなくなってしまいました。そのために高額な医療費の負担が重くのしかかったり、また社会的にも大変困難な生活を強いられている方がたくさんいらっしゃいまして、そのための新たな救済制度の創設を求める声が大変高まっているわけでございます。
 またさらに、我が国の大気汚染状況を見ますと、SO2あるいはCO2は改善されておりますけれども、NO2やSPMが大気汚染の主役となりまして、大都市を中心に、環境基準の達成は依然として厳しい状況にあるわけでございます。この大都市の深刻な大気汚染の原因といたしましては、先ほど来指摘されておりますように、特にディーゼル車を中心とする自動車からの排出ガス汚染が大きなものである、このように言われているところでございます。NO2とかSPMの深刻な汚染実態を無視して、SO2の改善のみに着目して補償法の第一種指定を解除したのではないか、こんな批判もあるわけでございます。
 また、近年は、子供のぜんそく患者も増加しておりまして、昨年暮れに発表されました文部科学省の学校保健統計調査によりますと、ぜんそくにかかっている小中高生がいずれも過去最高となりまして、その割合がこの十年間で倍増しているということがわかったわけでございます。
 こうした大気汚染の現状やぜんそく患者の増加の状況を踏まえた上で、昭和六十三年に行った第一種指定の解除が本当に妥当であったのかどうかということを大臣にお伺いしたいと思います。そしてさらに、この大気汚染による健康被害者を救済するためには、第一種地域を再指定いたしまして新規認定を開始するか、あるいはさきにお話し申し上げたように、新たな救済制度について早急に検討を行う必要があると私も考えておりますけれども、この点につきまして、あわせて大臣の御見解を伺いたいと思います。
鈴木国務大臣 ただいま青山先生から、この制度の指定解除の妥当性と、それから再指定の可能性があるのかどうか、もしくは新しい救済制度の創設の考えはどうか、そういうお話をいただいたところでございます。
 公害健康被害補償制度、これは、大変著しい大気汚染によるぜんそくが多発している地域を、地域として指定をして、そしてそこに一定期間居住をされたりあるいは通勤をされる、そういう方々の中でぜんそく等への罹患という要件を満たした方々に対しまして、制度的割り切りにより患者として認定をいたしまして、汚染原因者の負担により補償を行う制度として昭和四十九年から実施をされてきたものでございます。
 しかしながら、その後、大気汚染の改善の状況のもとで、大気汚染と健康被害との因果関係に係る制度的割り切りの合理性が失われているとの昭和六十一年の中央公害対策審議会答申を踏まえまして、公健法の改正により、昭和六十三年に指定地域が解除され、新規認定を行わないこととされたところでございます。
 先生から、再指定の可能性はどうかというお話でございますが、環境省といたしましても、その後、大気汚染と健康影響についての各種調査研究を進めているところでございますが、ぜんそくの要因といいますものはさまざまでありまして、これまでに得られました調査結果等から見る範囲では、旧指定地域のような広がりを持った地域、面的な地域の現在の大気汚染はぜんそくの主たる原因をなすものとは考えられず、地域の再指定の必要性はないものと考えております。
 一方におきまして、新たな救済制度の検討はどうかという御質問でございますが、主要幹線道路沿道の局地汚染の影響評価につきまして、今一生懸命に調査研究を進めているわけでありますが、残念ながら、その調査研究にも、先ほど来申し上げていますとおり時間がかかってしまっているわけであります。現時点では科学的な知見が因果関係において十分でないわけでございまして、まずはこの調査研究、これを、きちんとしたものが一日も早く結果として出ますように、一層推進をしてまいりたいと思います。その結果に基づいて、必要に応じ被害救済の方途を検討してまいりたいと思っております。
青山(二)委員 ぜんそくにかかるその原因がはっきりわからないということですけれども、小中高生がこの十年間で倍増しているということを考えますと、ぜんそくはたばこが原因ではないかとかダニが原因ではないかと言われておりますけれども、どうしても、こういう子供たちがぜんそくにかかるということを考えてみれば、やはり大気汚染ではないか、私はこのように思うわけでございます。多くの患者が苦しんでおりまして、実に、ぜんそくで死亡する方たちが年間六千人もいらっしゃる。これは大変なことでございますので、一日も早く研究を進めて新たな対応をしていただけますように、心からお願いを申し上げておきます。
 それでは、次に健康被害予防事業について伺いたいと思います。
 この事業は、大気汚染の影響による健康被害を予防するために実施をされております。具体的には、公害健康被害補償予防協会が研究とか調査とか知識の普及、研修等を実施しておりまして、家族やあるいは患者からは、その内容が大変充実したものであるという評価を得ているわけでございます。
 私はこれまでにいろいろとアレルギー疾患対策にも取り組んでまいりましたけれども、特に感じますのは、近年、花粉症やアレルギー性鼻炎、気管支ぜんそくなどの患者が急増しているということでございます。これは、ディーゼル排気微粒子、DEPによる汚染の影響も大きな原因である、このように考えるわけでございますが、まさにこの大気汚染対策は待ったなしの状況でございます。また、第一種指定地域も解除されておりまして、全国にいるぜんそく患者等のアレルギー性疾患患者も健康被害予防事業の対象に加えていただきたい、このように考えるわけでございます。この指定が解除されたのであるならば、全国のぜんそく患者にそういう予防事業の対象を広げるべきではないか、こんなふうに考えているわけでございます。
 特に、この公健協会の長年にわたるぜんそく等のアレルギー疾患に精通したノウハウは大変貴重なものがございます。例えば、保健師とか養護教諭に対する研修や、「すこやかライフ」というんですか、こういういろいろな冊子がたくさん発行されておりまして、これがアレルギーあるいはぜんそくで悩んでいる方にとりましては大変に参考になるというようなことで喜ばれております。
 ところが、この喜ばれているすばらしい冊子も、残念ながら、旧指定地域の四十一地域とこれに準ずる地域として定められました六地域、合計四十七地域のみにしか配布をされていないわけでございまして、こういう冊子が欲しいという全国のぜんそく患者やアレルギーにかかっている方たちには、手に届いておりません。第一種の指定地域が解除されたのであれば、当然こういうものは全国配布すべきであると私は考えておりますけれども、その点いかがでございますか。
南川政府参考人 ぜんそくなどの発症予防、回復に資するための「すこやかライフ」あるいは各種パンフレットにつきましては、これは健康被害予防事業の一環でございます。これにつきましては、そもそもが、地域指定を解除する際に、その地域指定が旧指定地域の予防を促進するという目的で制度ができましたこともございまして、旧指定の四十一地域とそれに隣接する六地域ということで、形の上で限定をされております。
 ただし、私ども、先生お話のございましたとおり、「すこやかライフ」を初めとします、ぜんそくの発症状況、あるいは、これはインフルエンザとか花粉等の情報も含んでおりますけれども、大変好評でございまして、希望がありますれば、予算の許す限りと申しますか、配布をいたしております。また、さまざまな方からお話がございますれば、ホームページにも最近掲載しておりますので、そういう意味では全国どなたでもごらんいただけるということになっておると思います。
 今後とも、ぜんそく患者さんの方々などに直接役立つ資料の作成、配布、予算の限りがございますけれども、できるだけニーズにこたえていきたいと考えております。
青山(二)委員 ホームページなどにも載せていただいているということですけれども、さて、ホームページを見られる方ばかりかといいますと、そういうことでもございませんので、提案がございます。
 今、アレルギーとかぜんそくの相談窓口には保健所が当たっていただいておりますので、全国の保健所、調べてみましたら、今、五百八十二カ所、随分少なくなってしまっておりますけれども、せめてこの保健所、窓口ぐらいにはこういう冊子を配布していただきまして、これに目を通していただける、そういう仕組みにできないものでしょうか。お伺いしたいと思います。
南川政府参考人 先生の御指摘をいただきましたので、私ども、この「すこやかライフ」につきましては、経費を検討いたしまして、それが許せば、ぜひ全国の保健所に配布できるようにいたしたいと思います。
青山(二)委員 大変ありがとうございます。ぜひそのようにしていただきたいと思います。
 私は、先日、予算委員会の分科会で、アレルギー性疾患の相談員の育成ということについて質問をさせていただきました。充実した相談体制の整備には、何といっても相談員の育成が重要でございます。
 厚生労働省では、一昨年末より、全国の保健師に対しまして、アレルギー相談員となるための研修を大体五十名から始めまして、毎年百人規模の相談員を育成いたしております。正確な予防とかあるいは対策の知識が得られる仕組みを目指しているということではございますけれども、実際には、現場の担当保健師が専門的で質の高い相談に乗ることができるのかといいますと、現場ではちょっとそれは難しいようだという声も伺っているのでございます。患者の深刻な相談に対しまして、質の高い相談員の養成、あるいは相談体制の充実が望まれているところでございまして、厚生労働省には早急に取り組んでいただくということを過日確認しているところでございます。
 そこで、公健協会はこれまで、ぜんそく等の患者対象の相談会やあるいは講習会など、数々の研修実績を重ねておりまして、いわゆる四十七指定地域におきましては質の高い相談事業の展開に大きく貢献している、このように伺っております。こうした協会の持つぜんそくとかアレルギー等に関するノウハウは大変すばらしいということでございまして、公健協会が厚生労働省の実施しておりますアレルギー研修に協力をいたしまして、保健師等のアレルギー疾患相談員の質の向上に役立たせる体制を整備すべきであると考えておりますが、これは環境省と、きょうは厚生労働省にも来ていただいておりますが、両方から御意見を伺っておきたいと思います。
南川政府参考人 公健協会におきましては、健康相談というのは健康被害予防事業の中でも非常に大きな位置づけを持っております。平成十四年度だけをもちましても、健康相談ということで、旧指定地域を中心に千五百四十五回開いております。多くの方の参加を得て、大変好評を得ております。
 なお、アレルギー相談員の問題でございますけれども、これにつきましては、厚生省の方で先行して対応されておりますので、私どもとしてどのような協力ができるか、よく相談をしてまいりたいと考えております。
恒川政府参考人 公健協会が実施する事業と厚生労働省のアレルギーやリューマチ対策として実施する事業で、共通している部分がございます。それは、気管支ぜんそくが共通している部分でございます。現在、いずれの事業においても、アレルギー学会等に在籍する国内を代表する専門家の参加をいただいて実施しているところでございます。
 また、厚生労働省が実施している四疾患相談員研修会においても、公健協会の職員の方に受講いただいているというふうに聞いておりまして、両者の間で必要な情報の交換もある程度なされているものと考えておりますが、いずれにしましても、お互いの事業の持つ有用な情報や、また人材等の資源が有効に活用されるということは望ましいことでございまして、引き続いて情報等の収集と交換を行い、事業の充実を図ってまいりたいというふうに考えております。
青山(二)委員 ぜひそのようにお願いをいたします。
 それでは、時間も大分迫ってまいりましたので、環境中の化学物質が子供等に及ぼす影響についてお伺いをしたいと思います。
 今、私たちの周りには化学物質が本当にたくさんはんらんいたしておりまして、身近にアレルギーやアトピーの人がふえたり、神経や精神の発達が未熟であったりあるいは正常ではないと思われる子供がふえているなど、何とも言い知れないような不安が広がっております。
 多くの人々は、現在起こっているさまざまな病的な現象の原因が化学物質ではないかと感じ始めております。現在アメリカでは、ある種の先天性異常の発症が上昇しておりまして、大気汚染、水質汚染などの調査によりまして環境中の化学物質の影響が関与しているのではないかと考えられまして、先天性異常とのかかわり合いを視野に入れた研究が進んでおります。また、デンマークでも、環境省が胎児、子供に対する化学物質汚染について緊急に対策をとる必要があるという報告書を二〇〇一年三月に出しております。
 このように、諸外国では子供や胎児に対する環境中の化学物質による影響について研究が進んでいるわけでございますけれども、日本の現状はいかがでしょうか。
南川政府参考人 我が国におきましては、化学物質による環境問題につきまして、小児など、子供でございますけれども、環境リスク評価に関する内外の動向や研究成果の把握に努めてきております。
 今後、と申しましても十五年度ですからもうすぐでございますけれども、本格的な評価を始めたいと思っております。具体的には、我が国における子供の生活スタイル、食事などに関するアンケート調査を通じまして、食品や環境中からの化学物質の暴露量を推計する基礎データを得、またそれとともに、化学物質が子供の発達段階に与える影響に関する知見を収集いたしまして、小児の脆弱性を考慮した化学物質の有害性評価手法というものを検討していきたいと考えております。
 また、こういった検討を行うに際しましては、国内外の専門家の協力が必要でございます。ちょうど先週でございますが、私ども、三月十一日には東京で、また十三日には大阪で、小児などの環境保健に関する国際シンポジウムを開いております。その中で、例えば、アメリカにおける小児に対する環境リスクからの取り組みとか、あるいは環境ホルモンの次世代影響とか、また化学物質の複合暴露とその対策の方向性の議論、調査報告、また日本における大気汚染と小児のぜんそくとの関係についての調査研究などの報告がなされまして、またそれについて活発な議論が行われたところでございます。
 私どもとしましては、こういった小児の環境保健に着目しました国際セミナーを引き続き開催いたしまして、最新の科学的知見の共有及び人材育成、これは私どもだけではございませんで、大学の先生方あるいは民間の研究機関の方、そして一般市民の方にもそういった情報を提供して、必要な知見の共有を図っていきたいということで考えております。
青山(二)委員 環境が悪くなりますと、一番先に影響が出るのが子供たちでございます。殊に、二十一世紀は子供が健康で暮らせるよい環境をつくることを優先させる社会にする必要があるわけでございます。
 現在、膨大な化学物質が世界じゅうに流通いたしまして、環境中に放出された物質が国境を越えて拡散するという現在におきましては、もう化学物質問題は世界共通の課題となっております。
 この問題で健康への影響が本当にあらわれるのは次の世代あるいはその次の世代と考えられておりまして、子孫に負の遺産を残さないためにも、価値観の転換と、それを伝え実行していく教育体制が必要でございます。現代を生きる私たちは、祖先から受け継いだ環境をできるだけ正常な状態で将来の世代に残す義務と責任があると思います。
 自然との共生を視野に入れた化学物質対策を積極的に推進して、環境先進国日本を構築すべきであると考えますけれども、大臣の御決意を伺って、質問を終わらせていただきます。
鈴木国務大臣 おなかの中の赤ちゃんでありますとか、それから子供さんに対します環境物質の影響、これは、こういうものを未然に防止するという観点から、環境省でも大いに力を入れて取り組んでいかなければならない問題だと思っております。
 平成十四年の四月にカナダのバンフで八カ国環境大臣会合というのが開かれましたが、そのときも、子供等に関する環境と健康の問題が重要であるということが再確認をされたところであります。
 そういうようなことも踏まえまして、今後とも、国際的な連携を図りながら、この問題に前向きに取り組んでまいりたいと考えております。
青山(二)委員 大変ありがとうございました。
 本当に、環境問題とこの公害問題につきましては、鈴木環境大臣には平成の田中正造と言われるようになっていただきたい、そのように頑張っていただきたいことをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
松本委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午後零時二分休憩
     ――――◇―――――
    午後三時四十九分開議
松本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。高橋嘉信君。
高橋(嘉)委員 自由党の高橋嘉信であります。
 では、まず、二月七日、環境省ほか関係省庁が自動車排出ガス低減策を公表いたしました。まずはこの点についてお伺いをいたします。
 この発表の冒頭に「道路交通に起因する大気汚染は、」云々とありますが、大臣の御認識をお伺いしたいのであります。
 すなわち、当たり前のことかもしれませんが、大気汚染にはもろもろの要因があるが道路交通に起因しているという点についてはしっかりと認識しているという点をお伺いしたいのであります。いかがでしょうか。
鈴木国務大臣 まず、今、参議院の予算委員会の方で呼ばれておりまして、委員長初め委員の先生方に大変御迷惑をおかけしましたことをおわび申し上げたいと思います。
 今、大気汚染の改善の問題、対策の問題にそういう道路行政がかかわりを持っておる認識ということでございますが、大気汚染を改善する対策の中で、やはり交通量、場合によっては交通量をバイパス的に外に回す、そういう交通流の問題、それから交通量の問題、こういったような交通対策というのが一つの柱になっているということは十分に認識をしているところであります。
高橋(嘉)委員 それでは、大気汚染に与える影響は、ガソリン車とディーゼル車ではどちらが大きいとお思いですか。
鈴木国務大臣 NOxそれからPM、そういうことを考えますと、これはディーゼル車の方が影響が大きい、こう思っております。
 ヨーロッパなどにおきましては、CO2のことを考えて何かディーゼル車が評価されているということも聞いておりますけれども、環境省といたしましては、やはりディーゼル車の方の対応というものをしっかりしなければいけない、そういうふうに認識をいたしております。
高橋(嘉)委員 いや、ちょっとあいまいなので。と考えているとか思うじゃなくて、それは科学的知見に基づくものですか。
鈴木国務大臣 そのように理解しております。
高橋(嘉)委員 では、国、政府はいつごろからディーゼル車の方が環境汚染に与える影響が大きいとの認識に立たれましたか。
鈴木国務大臣 環境庁ができましたのは昭和四十六年七月でございますけれども、昭和四十年代から窒素酸化物、それから粒子状物質、NOxとPMでございますが、これによる大気汚染が懸念をされておりました。当初は、工場からの排出が中心でございましたけれども、ディーゼル車からの排出というものももちろん知られていたわけでございます。
 これに対する対応でございますが、自動車からの排出ガス規制、これは、昭和四十年代の終わりに本格的に実施をされまして、その後、累次にわたって強化をされているところでございます。
 ディーゼル車について見てみますと、窒素酸化物につきましては、昭和四十八年に炭化水素それから一酸化窒素などとともに規制が導入をなされたところであります。また、粒子状物質につきましては、その主な成分であります黒鉛の規制を昭和四十七年に導入をし、平成六年に現在の測定法による粒子状物質の規制を導入したわけでございまして、その結果、車両総重量二・五トン以上の重量車につきましては、現在、窒素酸化物につきましては規制を始めたころの昭和四十九年に比べますと約四分の一、それから粒子状物質につきましては平成六年の規制開始時より約四分の一に減少をしているところでございます。
高橋(嘉)委員 いや、まあ急いでいらしたからちょっとあれなのかもしれませんが。
 僕がお尋ねしているのは、国がいつからディーゼル車の方が環境汚染に与える影響が大きいという認識に立たれたか。四十九年にディーゼル車に対してNOxをやったとか、五年からPMをこうだというのは存じ上げております。いつごろから認識に立たれましたかということであります。
鈴木国務大臣 それは、先ほど冒頭にお答えしたとおりでございまして、昭和四十年代にそうしたものの認識を持っておったところでございます。
高橋(嘉)委員 済みません、四十年代、ですから、大体何年ごろなんでしょうか。
鈴木国務大臣 申しわけございません。そこは、私、今承知しておりませんので、調べた上でお答えをさせていただかなければならないと思います。
高橋(嘉)委員 ガソリン車へのNOx規制の方は四十八年に始まって、ディーゼル車は四十九年なんですよね。ですからしつこくお聞きしたわけでありまして、いずれ、そこの認識に何年ごろから立ったかというのが非常に流れとしては重要なところであろうと僕は思っておりますので、その辺、大臣にも詳しく調べておいていただきたい、御認識をしておいていただきたい、こう思っております。
 では、次に、我が国の自動車排出ガス規制は、今大臣もお話しになりましたが、昭和四十一年からの一酸化炭素濃度規制に始まって、今日問題視されているディーゼル車に関しては、昭和四十七年に黒鉛、四十九年にNOx、また平成五年から粒子状物質、PMの規制が行われております。
 まずは、このディーゼル車の規制、先ほどから御質問申し上げておりますが、規制効果は上がっているとお考えですか。
鈴木国務大臣 いろいろ評価というものはあると思いますが、先ほど申し上げましたとおりに、窒素酸化物につきましては、これは重量車においてでございますが、昭和四十九年の規制開始時から比べますと約四分の一、それから粒子状物質につきましては、平成六年の規制開始時から見まして四分の一に低減をしているということでございますので、それが程度として十分か十分でないかという認識の差はあると思いますが、進んでいるもの、そのように考えております。
高橋(嘉)委員 二月七日の公表されました文書の中に、「自動車排出ガス対策、とりわけ貨物車類からの自動車排出ガス対策が喫緊の課題である。」こう現状分析されております。
 ちょっと大臣のお考え、もう少し認識を新たにされるべきではないかな、その環境省も入った文書の中に、最も喫緊の課題だということを現状分析して発表されているわけでありますから。
 それでは、首都圏、特に東京において二酸化窒素及びSPMの環境基準の達成率が低いとの指摘がなされていますが、この点についての御見解はいかがですか。
鈴木国務大臣 鋭意努力をしておりますけれども、まだ環境基準に達することができない地点がある、地区がある、そういうことであろうかと思います。
 今後ともさらに努力をしなければと思っております。
高橋(嘉)委員 では、四分の一になったといっても、やはり環境基準を満たしていないから現状は厳しいということではないんでしょうか。
 では、トラックやバスの実態を見ると、いずれも平成十二年の数字をもとに申し上げます。バスの場合、二十三万六千台中ディーゼル車が二十三万三千台、ほぼ九八%。トラックが二百五十八万台中二百五十三万台、九八・二%。これは過去の二十年ぐらいをさかのぼってみましても、保有台数の推移や保有実態の比率には変化は余りないのであります。ただし、小型トラックの保有台数は総体的に漸減傾向にあるにもかかわらず、ディーゼル小型、つまり小型トラックのディーゼル化がどんどん進んできている、これは規制との相関関係はございませんか。どなたでも結構です。
西尾政府参考人 今、委員の御指摘は、単体の規制をやっていても結果が出てこないということは、小型の貨物車などにつきましてディーゼル化が進んでいるんではないかという御視点からかというふうに思っております。
 規制につきましては、その時々の技術的な可能性につきまして専門家でよくよく審査をしてそれぞれ厳しい規制をしいておりますので、小型であろうと大型であろうとその時々の一番厳しい規制を順次しいてきた、その点には差異はないと思っております。
 ただしながら、ディーゼル車につきましては、確かに燃費がいいでありますとか耐久性がいいとかいったような車の利点もございまして、昭和六十年代ぐらいから小型車にも非常にディーゼル化の比率がふえてくるというような現象がございました。そういうこともございまして、平成元年ぐらいになりますと小型車に占めるディーゼル車の割合が五〇%を超えてくる、どんどん毎年ふえてくるということでございました。
 そういうこともございまして、現在実施しております自動車NOx・PM法の前の平成四年に制定された自動車NOx法におきましては、このディーゼル化の増加に少し歯どめをかけるというような意識もございまして、小型車につきましてはそれぞれ、ガソリン車があるものについてはガソリン車並みの基準を、それから、直噴と副室、ディーゼルでもいい方があるものについてはいい方の基準でなきゃだめだというような車種規制もかけました結果、平成四年の法律の後は少し伸びがとまりまして、平成八年以降の小型車に占めますディーゼル車の割合のシェアリングはとまっておる、そんな状況ではないかと思っております。
高橋(嘉)委員 では、NOx・PM法による規制施行、つまり平成五年以前、そこについて僕は聞きたいんです、平成五年以前はガソリン車の規制に対してディーゼル車の方は緩やかではなかったんですか、NOxについて見ても。いかがですか。
西尾政府参考人 NOxについてはガソリン車の方が厳しい規制値となっておりました。
高橋(嘉)委員 ディーゼル車用の酸化触媒とか排出ガス低減装置、そういったものの研究開発が不十分なままにメーカーが小型トラックのディーゼル化を進め、また、これは国も、PMが平成五年から規制が行われるわけですから、そして、その平成五年から規制されると、小型トラックがだんだん横ばいから減少傾向になるんですね。それまでに急激にふえている。
 いずれにせよ、ここのディーゼル化を進めたことに、国もまた行政的に黙視していたという批判は免れ得ないんじゃないですか。いかがですか、大臣。
鈴木国務大臣 先ほど西尾局長が答弁をいたしたように、やはりディーゼル車の燃費効率のよさとか耐久性のよさとか、そういう利点がユーザーの方に強くアピールされて平成五年あたりまではふえてきた、こういうことであろうかと思います。
 そして、その以後横ばいになったというのは、まさに平成四年に制定されたNOx法の関係でございますが、そういうことを先生から指摘を受ければ、確かにその前はそういう規制はなかったということでございますので、それが伸びてきたということについて、そういう規制的な面が欠けていたからだと言われれば、それはそういう面もあるというふうに言わざるを得ないと思っております。
高橋(嘉)委員 つまり、PM法が施行される前、発がん性があるとまで現在指摘されているこのPMに対して見落としてしまった、つまり発がん性があるとまで言われている有害性を見落としてしまった、予見できなかった、そういう反省は現在環境省はお持ちだということでございますか。
西尾政府参考人 一つは、まず自動車の排ガスに対する規制でございますけれども、その時点であとう限りの技術対策をしたと思っております。
 ただしながら、自動車NOx法のようなある面では緊急的な措置を打つというのが平成四年になってしまった、もっと早くできなかったのかということにつきましては、今から考えてみて反省すべき材料はあろうと思っております。
高橋(嘉)委員 このたびの判決では、メーカー責任は認められないものの、小型トラックまでディーゼル化した点について環境保護のために望ましくなかった、そういった、今のお話のようなところからこういった言及がなされたと思うんですけれども、これに対して、再度、今後大臣の取り組みについてのお考えをお聞かせください。
鈴木国務大臣 先ほど平成四年以前からきちっとやるべきではなかったのではないかという御指摘がございました。実際、後追いになったという点はあろうかと思います。今の時点から振り返ってみれば、やはりさらに早くすべきであった、そういうことは否定できないことだ、そういうふうに思います。
 NOx・PM法、これが動き出すわけでございますので、これが着実に施行されるように今後きちっと対応していきたいと思います。
高橋(嘉)委員 では、国に先駆けて東京、埼玉などがディーゼル車の流入規制を条例化するという動きがありますが、この動きをどう思われますか。また、環境省としての今後のディーゼル車対策を含めてのお考えでも結構ですから、この流入規制に対してどう思うか。大きな問題に発展すると思うんですが、これに対して、これを含めてどのようにこれからお考えになられるつもりか、その辺の御意見をお聞かせください。
西尾政府参考人 少し実務的な説明をさせていただきたいと思っております。
 ディーゼル車に対する対策ということで、自動車NOx・PM法におきましては特別な対策を打つ地域を指定しております。その地域の外側から流入してくる車両を何らかの方法で規制すればいいではないかという意見は、この改正のときにも多々ございましたし、そういうことをすれば効果が上がるという点もあろうかと思っておりますが、これにつきましては、なかなか取り締まりが困難であり、全国的な制度として行うことは難しいということで、これをとらずに、現在の自動車NOx法所定のいろいろな対策を積極的にやることで対応しようとしております。
 ただしながら、地方公共団体で、地域という目で見ていろいろな工夫を重ねていくということで可能な分野があるということで御検討されるのは、それは、現在の地方におきましていわば上乗せ的に考えられるということ自体は、地方の御判断ということで尊重されるものだと思っております。
高橋(嘉)委員 では、環境省がディーゼル車対策としてDPF、微粒子除去装置ですか、この装着に半額補助をしておりますね。二億一千万の予算が計上されております。その実績と見通しをお示しいただきたいんですが、全部お役人からお答えいただくのもなんですから、その実績は、東京、神奈川以外にはほとんど見るべき実績はなくて、例えば、東京都のディーゼル車保有台数一万五千百四十二台中におけるその実績は三百九台。このままでは全部に装着するのに五十年かかるんじゃないですか。環境省が自治体のバスやごみ収集車に対して行っているようですが、こういうふうなわずかな助成で、〇・〇幾つぐらいの達成率では本当に先が見えない話じゃないんですか。
 この点について、大臣、どうお考えですか。
鈴木国務大臣 使用過程車における後づけ装置でありますDPFは、それ自体は効果のあるものであると思います。
 ただ、ただいま先生御指摘のとおり、率直に申し上げまして、環境省の補助している額といいますものは、十五年度予算におきましても二億一千万円、これはわずか五百基弱分でございまして、そうした面におきましては、甚だまだ対応が不十分だ、そういうふうに思っております。
 また、環境省におきましては、都道府県に対するごみ収集車とかそういうものに対するものでございますが、一方、国土交通省の方はまた事業者に対して行っているわけでありますが、それとて、環境省が行っているよりも多いのではございますけれども、大気汚染の改善ということを考えれば不十分だということを率直に申し上げなければならないと思っております。
高橋(嘉)委員 では次に、公健法の制度、昭和四十九年九月に施行されておりますが、ここで、硫黄酸化物、SOx八割、NOx二割となったこの基準設定のところが、本当は根拠を示していただきたい。
 またお役人の人に答えられるとなんですから、この当時は、SOxとNOxの寄与度を計算して、数量的に被害のぐあいを調べるのは難しいのでということで、推定排出量の割合から出したようですね。その八対二、これは、移動発生源分として自動車重量税から引き当てた二割、この二割を重量税からとったという時点でNOxと健康被害との因果関係を認めていたと理解してよろしいですか。その点は、大臣、いかがですか。
鈴木国務大臣 公健法発足時の認識ということで、申しわけございません、私、御指名いただいたわけでございますが、ちょっと承知しておりませんので、局長の方から答弁をさせていただきたいと思います。
西尾政府参考人 公害健康被害補償法のスタート時におきましては、工場を主とした汚染でございましたけれども、自動車も含め、都市におきまして大変な高濃度の汚染があった、そういう事態を踏まえて健康被害の救済を行いました。
 したがいまして、工場を中心にします非常に大きな大気汚染でありますので、救済をする。次に、その財源をどこから求めようかといった場合におきまして、それはその時点で考えられる大気汚染物質の排出量に応じて負担していただくのが適当であろうということで、八対二で二割を自動車分という考え方で費用構成をいたした次第でございます。
高橋(嘉)委員 ですから、重量税というのはたしか車の重い方から税率が高いですよね。重量税から引き当てるという時点で、要は大型自動車から排出されるもの、そして自動車から排出されるガス、そういったものもかなりそれを吸い込んでの影響があるということを認めている、そういう見地に立ったから二割の引き当てを重量税からするということになったんですねということを聞いているんですよ。そこのところをお答えいただければいいんです。
西尾政府参考人 大気汚染に係る指定地域につきましては、工場、事業場とともに自動車からの排出というものも総体として寄与度が相当あったということで八対二にした、重量税から充当するということにした次第でございます。
高橋(嘉)委員 それはさっき僕が説明したじゃないですか。ですから、八対二の中で二割を重量税から引き当てるということは、それは要は健康被害に与える影響の二割程度は自動車排出ガスにある、そういう見地に立ったからですねと言っているだけです。そうですと言ってもらえばそれでいいんですよ。
西尾政府参考人 先生御指摘のとおり、自動車排出分に応分の負担を求めるということでございますので、御指摘のとおりでございます。
高橋(嘉)委員 つまり、そういう理解、見地に立ったということですね。そう理解しますよ。
 つまり、その当時、四十九年当時、自動車排出ガスは健康被害に大きな影響を与える、二割程度与えているんだという認識に、そういう理解に立っての措置だったんですね。そうですか、そうでないか言ってくれればいい。
西尾政府参考人 自動車が影響を与えているという認識に立ったものでございます。
高橋(嘉)委員 大気汚染訴訟をめぐる動きは三十年以上も前にさかのぼっていまして、光化学スモッグとか酸性雨の時代であります。つまり、当時はSOx、硫黄酸化物が主因と考えられていて、いわゆるNOxとかCO2とか余り関係ない。でも、二割はあった。ましてやPMなんというのは関係なかった、さっきのお話からすると。PMに対しての見方はできなかった、そういう認識だったわけであります。
 それでは、その排出ガスについて、そういう今までの、四十一年からの一酸化炭素の濃度規制から、そして四十三年には大気汚染防止法がつくられた。四十三年につくられているのに、そこの中にも自動車排出ガスについては触れられているのにそういう認識だった。そして、四十九年には公健法ができた、そしてNOxがディーゼル車に規制されていくわけですね。そういう一連の流れがある。そして、平成五年にはPM法がという経過をたどるわけであります。
 環境省は、一体全体こういった流れの中で、大気汚染に影響を与える自動車排出ガス、SOxとかなんかじゃないですよ、健康に大きく影響を、その当時での認識でさえ二割は影響を与えている、その自動車排出ガスに対して、健康被害に与える自動車排出ガスの影響調査、物質のことを聞いているんじゃないですよ、何回も言いますけれども、自動車排出ガスが健康被害に与える、そういう影響調査はいつから始めましたか。
西尾政府参考人 大気汚染が健康に与える影響の調査につきまして、環境庁発足当初から疫学調査を各地で実施してきております。(高橋(嘉)委員「いや、自動車と言っているでしょう」と呼ぶ)はい。その段階ではいろいろな発生源を意識して疫学調査をずっと重ねてきておりまして、その中では実は工場の排出寄与も多かったわけでございますので、疫学調査の中から自動車排ガスの影響を取り出して定量的にうまく評価するということは、初期のころの疫学調査ではできてこなかったというふうに思っております。
 ですから……(高橋(嘉)委員「いつからやったんですか。自動車排出ガスについて、いつから」と呼ぶ)自動車排出ガスだけを取り出して、疫学調査で自動車排出ガスを取り出して定量的に影響を調査するという手法につきましては、いろいろ試みましたけれども、実は現在もできていないというふうに思っておるわけでございまして、大気汚染全体と健康影響との調査をやる、そのときに大気汚染の中に何がどういう影響をしておるかというふうに導き出す、そうするとどれが主因であるかがわかるというふうに調査というものを設計してきたわけでございます。しかしながら、その中で自動車の部分だけをうまく取り出すということはずっとできてこなかったというふうに、疫学調査につきましてはそのように思っております。
高橋(嘉)委員 時間がないので。
 要は、大気汚染の原因調査、つまり大気汚染の汚れが環境被害に与える、環境に影響するのは調査した、でも、自動車排出ガスそのものに焦点を絞って、排出ガスがどれだけ健康被害に与えるかということの視点に立ってはやっていないということでしょう。そうですよね。もういい。そうですよね、そこでいいですから。(西尾政府参考人「はい。そこだけという点ではうまくできていません」と呼ぶ)
 いずれ、調査を始めていく中で、小型ディーゼルトラックの話をまたするとなんですが、これは大臣じゃなくて結構ですが、そういった中で、片や規制をしつつ、片や自動車排出ガスのこれだけの認識を後手後手とはいいながらとってきながら、ディーゼル車の小型化についてお役所の方では本当に違和感を持たれませんでしたか。率直にお答えいただければいいです。
西尾政府参考人 平成四年の自動車NOx法で、小型といいますか、ディーゼル車がどんどんふえていくということに歯どめをかけたと思っておりますが、その時点で担当しておりまして、そのことについては問題意識を持って、歯どめをかけるような当初の自動車NOx法の立案をさせていただいたというふうに認識しております。
高橋(嘉)委員 では、次に進めさせていただきます。
 今回の判決を受けてのコメントで、大臣は、大気汚染とぜんそくとの因果関係に関する調査を一日も早くできるよう努力したいと述べていますが、これが事実であれば、めどはいつごろか、科学的知見はいつごろ得られるのか、簡単にで結構ですからお答えください。
鈴木国務大臣 本格調査は十七年度から始めますが、その結論がいつごろ出せるということにつきましては、残念ながら、今の時点では明確に申し上げることはできません。一日も早く科学的なものがきちっと出せるように努力したいと思います。
高橋(嘉)委員 いずれ、お役所の方は、個人の暴露量、どれだけ吸ったか、そういうものを調査しないと大気汚染との関係が云々と言いますが、この千葉大の調査、三年間の追跡調査ですね、今回の判決を左右したと言われるこの調査、これは科学的な知見とは考えられないのですか、考えられるのですか。
 それと、ぜんそくは非常に判断が難しい、暴露量を把握したからといって、し得たからといってですね、できるかどうかわからないですから。それが、この判断の根拠、今回の千葉大調査を覆すような根拠になり得るとお考えですか。環境省、いかがですか。
西尾政府参考人 自動車の沿道におきます大気汚染と健康影響の関係を疫学的に把握するというのは大変難しいことでございまして、千葉大調査は追跡調査をしていくというような進んだ手法でいろいろな知見をもたらしていただいております重要な研究と考えております。
 しかしながら、千葉大調査にも、調査母数が少ないでございますとか暴露量との関係が把握されていないとか、幾つか問題点があります。問題点だけを言ってこれを認めないということではございませんで、そういう疫学調査で暴露との関係をきちんととらないものでございますと、幾つか問題点がある。そうすると、いろいろな調査が一致しているかというようなことでも補強できるだろうといろいろ考えましたが、現在のところはそこにまで至っておりませんので、今申し上げております、これからやろうとしております暴露量の調査におきましてより詳細なデータをとることによって、より慎重な判断ができるというふうに考えております。
高橋(嘉)委員 例えば千葉県の沿道部濃度は、NO2の場合、窒素酸化物の場合、〇・〇六一ppm、すべての地域で環境基準をオーバーしている。東京の場合、一般局の測定値、すなわち一般環境においてもこの数字を超えている。千葉県の場合は沿道部ですよ、道のそば、道路わきだ。東京の場合は一般局、一般環境のところです。それですら数字を超えている。ですから、判決において、今日、二十三区全域が長期にわたり深刻な状態にあると指摘されたのでしょう。
 それは、もう少し認識を新たにして、本当にやるのなら早くやっていかなければならないし、今の説明の中では、暴露量を調査したからといって必ずしも千葉大の知見に対してそれを、例えば、控訴するんだったらそれだけの理由があるからやるわけでしょう。でなければ、控訴理由が希薄だとしかならないじゃないですか。それを延々と、どんどん、いつになるかわからないというさっきの大臣のお話ですし、ちょっと認識が甘いんじゃないですか。どう思われますか、大臣。
鈴木国務大臣 決して安穏としているわけではなくて、本当に一日でも早い結果を出すようにという思いであります。私自身、ここに至るまでも相当時間がかかっているわけで、一体どうしてこんなに時間がかかってしまったのか、何でもっと早くできないのか、それは、私も担当者、担当部局を督励いたしております。
 ただ、本当に繰り返しになって恐縮でございますが、世界でも先例のない調査であって、調査計画、調査設計自体に大変時間がかかった。また、その調査設計ができましても、それに対応するいろいろな機器の開発に時間がかかったということで、ようやくそれが今ここに来て、十七年度から本格調査に入るということでありまして、本当にそういう意味では、時間がかかって対応が生ぬるい、こういう御指摘を受けることはもう十分本当にわかっております。その上で、一日も早く結果が出るような努力をしてまいりたいと思っております。
高橋(嘉)委員 わかりました。では、まずその意欲の点についてはわかりました。
 石原都知事も、この国の控訴理由に対して、矛盾した話だと批判していますが、手短で結構です、簡単で結構ですが、これに対しての大臣の御見解はいかがですか。
鈴木国務大臣 私自身、矛盾した話だということを発言したという気持ちは特にございません。(高橋(嘉)委員「いえ、石原都知事が」と呼ぶ)石原都知事がですか。
 石原都知事が矛盾した話と言われたのは、ちょっと私もよくわかりませんけれども、恐らく、もっと国においてしっかり対応すべきものが対応されていない、そして地方自治体の方がむしろ進んだ対応をしているのだ、こういうようなことで言われたのではないか。今、先生から急に御指摘を受けて、一瞬、私の発言かと間違えちゃったぐらいでございますので、ちょっと十分わかりませんが、そんな印象を今受けました。
高橋(嘉)委員 これだけの問題に対して、環境省として、一日でも早く科学的知見を得る努力、得ようとする姿勢が必要であろうと思っております。環境省が経産省や国交省と同じ歩幅で歩いているのでは、いつになったら環境の時代が来るのかわかったものじゃないということだけ申し上げておきたいと思います。環境省は、環境を保全する、そしてチェックする責務を負っているわけですから、もう少ししっかりとしたスタンスを置いていただきたい。何せ五回も裁判で負けてきているわけですし、排ガスとか、特にディーゼル車等の健康被害との因果関係は、この判例を見る限りほとんど固まってきている現実にあるわけですから、いち早く科学的知見を得る努力をして対策を考えていただきたいとお願いを申し上げます。
 では、最後になりますが、科学的知見が得られたならば救済措置をとるのか、科学的知見を得てから救済措置を考えるのか、救済措置を検討しつつ科学的知見を急ぐのか、どこに環境省はスタンスを置くのですか。
鈴木国務大臣 まずは、科学的知見を、因果関係を明確にしなければならないと思います。因果関係が明確になりましたら、それに基づいて救済措置を検討したいと思います。
高橋(嘉)委員 六十三年、つまり一九八八年、指定地域を解除したときの附帯決議にちゃんと、「調査研究を積極的に推進するとともに、その結果に基づいて、必要に応じ、被害救済の方途を検討すること。」とあるじゃないですか。十七歳の女性が今回賠償対象になった、そういった中では、検討を始めながら科学的知見を急ぐのが筋ではありませんか。もう一度お伺いします。
鈴木国務大臣 因果関係、どういうところが発生源で、どういうところが原因で被害があるのか、そういう因果関係ですね、まさに一対一の因果関係等々、調査の結果によりまして、こうした救済措置を考えるにしても、これは仕組みが違ってくるんだと思います。
 しかし、我々は、救済措置を回避するために、その理屈として、因果関係がわからないのだ、こう言っているのではないわけでありまして、因果関係が、それは本当にそういうお立場の方を気の毒だと思っておりますが、国の制度として税金を使ってそういう制度を仕組むとなれば、やはりそこには因果関係が明確でなければ、お気の毒だという理由だけではつくれないという趣旨で言っておりますので、そうしたことで、十分な調査結果が出れば、また仕組みもそれに合った仕組みというものが考えられていくのではないかと。いずれにしても、今はそうした因果関係の調査を急ぐようにしたいと思っております。
高橋(嘉)委員 いずれ、大臣、僕は、かわいそうだからとかそういうふうな話でじゃなくて、科学的知見さえはっきりすれば、たばこを吸いながらぜんそくだといったって通用しないんですよ、科学的知見がはっきりすればいいんですよ。
 それをずっと、片や規制に規制を重ねて、片や調査していると言いながら、この千葉大は、ある意味では患者の発症率を地域的に分けて、その比率を出しただけにすぎないと言ったら怒られますけれども、長年にわたって一生懸命やられていますけれども。さきの公健法の際の認定の仕方を見ても、同じような出し方でしたね、前の委員会での話を聞きますと。それに対して、それ以上の科学的知見を欲しい、まだ不備な点があるからということで暴露量の調査をするわけでしょう。暴露量を調査したから、では因果関係がはっきりするかというと、それまたはっきりしないんですよ、ぜんそくの場合は。だから、どこに知見の基準を置くかというところが一番の問題ですし、科学的知見の置きどころをきちっと見据えて早目にそこを考えていかないと、だらだらいつまでたっても科学的知見が得られないという話、またこれは不備だったという話になるわけであります。
 僕は、その辺のところ、鈴木環境大臣にはきちっと将来の環境の時代を見据えてリーダーシップを発揮していただきたいとお願いを申し上げ、質問を終わります。
松本委員長 藤木洋子さん。
藤木委員 日本共産党の藤木洋子でございます。
 法案の質疑に入ります前に、一言、イラク問題について伺っておきたいと思うんです。
 アメリカのブッシュ政権は、いよいよ、国連の決議なしに、四十八時間の猶予を与えつつも、武力を行使してイラクを攻撃するということを内外に声明を発表いたしました。これを受けて小泉政権も、これを支持するという立場を表明されたと、私自身テレビを拝見いたしませんでしたけれども、伺いました。
 そこで、鈴木大臣がこのことに対してどのような見解をお持ちなのか。私は、イラクに対するアメリカの攻撃を容認するような国連の決議というのは、今まで数々出ている決議の中にも一本もなかったということをはっきり申し上げておきたいと思うのですが、どのようにお考えでございますか。
鈴木国務大臣 ブッシュ大統領が日本時間の十時に記者会見をして、武力行使、これはもう避けがたい状態になったということは私も承知をいたしております。
 私といたしましても、やはり今回の問題は、これは平和裏に解決するということが重要である、そういうふうに思っておりましたし、そのことを望んでおりました。今回の問題は、長年にわたります国連の安保理の決議によって、イラクに対して、生物兵器でありますとか化学兵器でありますとか、そういう大量破壊兵器を廃棄すべきである、そういうことで国際社会の意思として臨んでいたわけでありますけれども、残念ながら、もう長年にわたってこれがイラクによって守られなかったということであろうかと思います。
 そういう中で、日本としてはと申しますか小泉政権といたしましては、やはりヨーロッパの国々と我が国の置かれている状況が、北東アジアにおる我が国、現実に我が国のそばには我が国に対する脅威もある、こういうことでございますから、国民の安全でありますとかあるいは国の独立を守る、そういう国益を外交というものは追求するということになれば、これは日米の同盟関係というものを重視した態度表明をするということであろう、そういうふうに思っております。
 ただ、まだ四十数時間、こう言っておりましたけれども、時間は少なくとも猶予はあるわけでありまして、この最後までのイラクの能動的な対応、それが平和解決につながるものであると思いまして、イラクのそうした対応を望みたいと思っております。
藤木委員 私は、その四十八時間の猶予の問題ではないと思うんですね。査察を中断して武力行使に踏み切ったというところが非常に大きな問題であって、これは断じて許すことはできないと思うんです。
 国連が決議できなかったということは世界の世論の反映ですよね。私は、少なくとも環境大臣でいらっしゃるわけですから、温暖化防止のためにも御苦労していらっしゃる環境大臣の立場としても、最大の環境破壊である武力行使によるイラク攻撃、これに対しては断固として反対の態度を貫いていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 そこで、きょうは、公健法の法案そのもの、改正案に対する質疑をさせていただくわけですけれども、環境大臣は提案理由説明の中で、公健法は「公害の影響による健康被害の迅速かつ公正な保護を図るため、補償給付の支給等を行うもの」とお述べになられました。この公害健康被害補償制度は、民事上の損害賠償の考え方を踏まえておりまして、健康被害者に対して汚染原因者の負担で補償等を行うというものであります。
 そこで、二〇〇二年十二月の中央環境審議会環境保健部会が出しました「平成十五年度以降の自動車に係る費用負担のあり方について」という検討結果の中で、「本制度における自動車に係る費用負担のあり方については、平成十五年度以降も引き続き自動車重量税収の一部を引き当てる方式によることが適当であると判断される。」このような結論に基づいて今回も二〇〇八年までの延長措置を講ずるものと私は承知しておりますけれども、健康被害者に対する汚染原因者による補償であるというこの基本認識について、改めて大臣のお考えを伺っておきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
鈴木国務大臣 公健法でございますけれども、これは、大変著しい大気汚染によってぜんそくが多発している地域を指定いたしまして、そこに一定期間居住したりあるいは通勤したりしてぜんそく等に罹患した方々に対しまして、因果関係の制度的割り切りによって患者さんと認定して、先生が御指摘のとおり、汚染原因者負担により補償を行うものということで、昭和四十八年に制定をされたものであります。
 自動車重量税引き当て措置との関連でお話がございましたが、こうした大気汚染に係る指定地域につきましては、工場、事業所が当時たくさんあったわけでありますが、それとともに、やはり自動車も総体として大気汚染に対する寄与度が相当程度あったと認められるために、本制度発足以来、自動車重量税収の一部引き当て措置がとられている、そのように理解をしております。
藤木委員 それでは、自動車検定協会の統計で燃料別自動車保有車両数の推移というのを見ますと、この十五年間でディーゼル普通トラックが一・五二倍になっております。ディーゼル乗用車が二・七七倍というように増加してきております。このディーゼル自動車排ガスによる深刻な大気汚染状況のもとで、気管支ぜんそく等の呼吸器疾患の患者が増加しておりまして、とりわけ首都圏などの大都市圏内では顕著になっているわけですね。
 そこで、国の公害認定患者数というのは、八八年三月、これは指定地域の解除と新たな患者の認定の打ち切りをしたときでございますけれども、その年の七月の十一万七十四名というのをピークにしておりまして、二〇〇二年三月末現在では五万七千百三十八人というふうになっているわけですね。
 しかし、今全国の十三の自治体で、独自の条例で約九万一千人の方たちに、不十分とはいえ被害者の救済が実施されているわけです。東京都の条例による患者数は、十八歳未満ですけれども、五万一千五十八人に達しております。
 そこで、環境省にお伺いをしたいと思うのですけれども、地方自治体独自の制度で地域指定解除後の気管支ぜんそく等の新規発症患者に対して給付を行っている、全国の自治体の認定患者に対する救済状況がどのようになっているのか、お答えをいただきたいと思います。
南川政府参考人 先生御指摘の東京都を初め、たしか現在十二だと承知しております、従来の十三から堺市が抜けて十二だと承知しておりますけれども、その自治体で、主に患者さんの、病気になった方の医療費の自己負担分を手当てするという形で、基本的には公費による御支援がなされているということでございます。
 私ども、いろいろ自治体から話は伺いますけれども、例えば東京都でございますと、島嶼部あるいは三多摩地域、全部すべてカバーしております。そういう意味で、環境保全の観点ももちろん含まれておると思いますけれども、幅広く保健福祉的な観点もあると思っておりまして、そういう意味では、もちろん環境の面からとやかくするところではございませんけれども、かなり幅広く対応されているという認識をしております。
藤木委員 前回改正時の九七年三月末には、そのときは全国十三の自治体の条例で、七万九千人の被害者の救済でございました。二〇〇二年三月末では九万一千人というふうに急増しているわけですね。東京都では、九七年三月末が四万三千五百八人でしたが、現在は五万一千五十八人にこれも急増しております。
 私の地元の神戸の場合、市の要綱による小児ぜんそく等医療費助成対象者ということになっておりますけれども、これは九八年との比較ですが、九八年一月末現在では五百九十八人でございました。二〇〇三年一月末現在、現在ですね、七百九十五人にこれも増加をしているわけです。しかも、対象者は旧指定地域に限っているわけではないんですね、ここが新しい特徴になっております。四つの区に限った患者ではなくて、その他の区でも小児ぜんそくが急増している。
 二〇〇二年度の神戸市教育委員会の小児ぜんそく調査を拝見いたしますと、旧指定地域以外の須磨区の小学校で、男子が七・六四%、女子で四・九一%、垂水区の小学校では、男子が九・二〇%、女子は六・三七%などとなっているんですね。それを神戸市の全市的に見ますと、九六年度の小学校の男子は四・五%だったものが、二〇〇二年度には七・六%に増加しております。中学校の男子の場合は、四・七%だったものが、これも六・四%に増加をしておりまして、一・六倍の増加率ということになっているんですね。
 ですから、この状況は明らかに、大気汚染による小児ぜんそく患者が指定地域にとどまらずに全市的に広がっていて、しかもその数が急増している、その実態を端的に示しているのではないか、このように私は考えますが、環境省はどのようにごらんになっていらっしゃいますか。
南川政府参考人 全国的にぜんそくにかかる方の数が増えております。小児に限りませんで、ぜんそく患者数の傾向を厚生労働省の患者調査あるいは受療率で見ましても、ここ二十年あるいは三十年で二倍程度にふえているということでございます。
 また、文部科学省が昨年十二月に発表いたしました平成十四年度の学校保健の統計におきましても、ぜんそくの方が急増しておりまして、十四年度がこれまでで過去最高ということが、幼稚園、小学校、中学校、高等学校すべてで上がってきております。
 私ども、これにつきましては、厚生労働省あるいは文部科学省に対しまして、その原因等をもし把握していればぜひ教えてほしいということで相談をしておりますが、いずれもそれについてははっきりした原因はわからないということでございまして、関係省庁と連絡をとりながら、ぜひ原因の解明を進めていきたいと思っております。
藤木委員 厚生労働省の統計は私も拝見させていただきました。それによりますと、九九年十月の患者調査を見ると、ぜんそくで入院をしている患者数、これは十四万九千人、外来の患者数は百五十二万五千人となっておりまして、そのうち、一歳から四歳までが三〇・七%を占めています。五歳から九歳までが二五・二%、十歳から十四歳まででも一一・九%、六十五歳以上は二八・三%、このようになっておりますね。
 昨年の十二月に公表された文部科学省の二〇〇二年学校保健統計調査を拝見いたしましても、健康状態について、百十五万八千人を抽出して分析をした結果、子供のぜんそくが十年前に比べて倍増している。先ほどおっしゃいましたけれども、実に倍増ですね。アレルギー性鼻炎など、鼻や副鼻腔――これは普通、副鼻腔(こう)と言うらしい、お医者さんが腔(くう)と言うんだそうですけれども、副鼻腔患者がふえているわけですね。
 ぜんそくの子供の割合は、小学校が二・七%、中学校が二・二%、高校が一・四%で、九二年度に比べてそれぞれ倍増です。鼻や副鼻腔疾患の割合も上昇しておりまして、小学校では一一・二%、中学校で九・四%、高校で七・七%となっております。小中学校ではほぼ十人に一人が苦しんでいるということになるんですね。
 文部科学省の学校健康教育課は、先ほどおっしゃいましたけれども、ぜんそくの原因は大気汚染などが言われているけれども、アレルギー物質などもあって特定は難しい、こういうことを述べております。しかし、私は、この状況というのは明らかに、大気汚染による小児ぜんそく患者が大都市部に限らず全国的に広がって、しかも急増している実態を端的に示したものだろう、このように考えるわけです。
 そこで、こうした大気汚染による小児ぜんそく患者が旧指定地域内にとどまらずに全市的に、全国的に広がっているという中で、特に深刻なのが大都市ですね。そこで私は、大都市部への流入・走行規制などのディーゼル排ガス対策だとか小児ぜんそく患者の救済というのは極めて早急に必要ではないか、このように思いますが、環境省、いかがですか。
南川政府参考人 恐縮ですが、小児ぜんそくの対策部分だけお答えさせていただきます。
 先ほど先生も御指摘のとおり、文科省あるいは厚労省も統計をとっていただいております。私どもも頻繁に両省と相談をしておりますが、大気汚染について言えば、その原因の一つとしては考えられるけれども、ほかにもいろいろなアレルギー性の化学物質とか、家のほこりとかダニとか、あるいは暖房の影響とか、いろいろあるということで特定はできないということが、残念ながら、これまでの得られている結論でございます。特にぜんそくなどにつきましては、非特異的な疾患でございまして、原因が病気からはさかのぼれないということでございます。
 私どもとしては、少なくともここ二十年、三十年のタームで見れば、期間で見れば、大気については徐々に改善してきておるというふうに考えておりまして、そういう意味で、ぜんそくの患者の増加が、主たる要因が大気汚染だということが全体として言えるということはないと考えております。そのため、先ほど来申しますような個別地点の調査を、局地的な調査をぜひ急ぎたいと考えております。
藤木委員 環境省の御答弁は、全く進歩も前進もございません。九七年、前回の改正時です、これ。前回の改正時の御答弁がそっくりでございますね。ぜんそく等の患者がふえているという実態はあるが、大気汚染を主たる原因とする患者がふえていると即断することはできない。原因究明、予防対策を続けていく。今の御答弁そっくりですよね。こういう答弁を、全く変わらない答弁を今度も繰り返すということに、私はもう本当に遺憾だと思いますね。
 これまで環境省は、九三年の三月に附帯決議で要請されていた「局地的大気汚染の健康影響の調査手法に関する調査報告書」中間取りまとめ、これを出しておられますけれども、この調査は、八七年度から始まった、NOxを指標とした健康影響の調査手法に関する調査研究です。調査手法を調査研究されたわけですよね。
 九〇年から何が始まったかといいますと、SPMを指標とした健康影響の調査手法に関する、これも調査研究なんですよね。SPMについても、どんな調査方法をとったらいいかを調査するということを開始されたわけです。そして九七年からは、PM二・五を指標とした、これも健康影響の調査手法に関する調査研究、これを始められました。九九年からは、客観的健康影響評価に係る調査研究、これも環境影響評価にかかわる研究を始めるという調査だったわけですよね。
 さらに、二〇〇二年から始まったのは、主要幹線道路沿道PM二・五等個人暴露量把握のための試行調査、これを始めて、二〇〇四年までかかるというわけでしょう。先ほどから十五年、十五年と言っていらっしゃいますけれども、これからもう三年かかるわけですから、実に十八年ということになるわけです。
 九五年の六月には、「大都市ぜん息等調査報告について」というのを出しておられるわけです。さらに、昨年は十月の東京大気汚染公害裁判での東京地裁判決の後に、先ほどもお話がありましたけれども、これまでの三歳児の環境保健サーベイランス調査を六歳児まで広げて、五カ年の調査を行うということにしておられます。その上で、二〇〇五年度から主要幹線道路沿道における大気汚染と呼吸器疾患に係る疫学調査の実施になる。ここから初めて疫学調査の実施が始まるということなんですよね。
 ですから、十八年間かけて調査手法の調査研究や疫学調査の予備調査に費やしているということなんですよ。やっと疫学調査の実施にその後なるということでありまして、これではいつになったら原因の究明がなされるのかわかりません。先ほど、小児ぜんそくに関して、文科省に対してその原因が何かわかっていたら知らせてほしいと言ったと言われますけれども、環境省の研究がここまでしか進んでいないのに、文科省にわかるはずないじゃありませんか。私はとんでもないことだと思いますよ。
 しかし、西淀川だとか川崎だとか尼崎、名古屋、東京、この五つの大気汚染の公害訴訟では、既に、ディーゼル車を中心とした自動車排ガスによる沿道汚染と健康被害の発症、増悪との因果関係は肯定しているわけです。裁判では肯定しているわけです。
 ですから、被害の実態が深刻だということなんですよ。高濃度汚染地域での住民だとか通勤者は、呼吸器疾患のために、身体的にも社会的にも、そして経済的にも苦しい日々を送っているわけです。被害者救済は待ったなしの緊急課題だというふうに私は思いますけれども、大臣、これはほっておいていいんですか。緊急課題じゃないんですか。いかがでしょう。
鈴木国務大臣 ただいま藤木先生から、環境省の行っている、特に沿道の局地的な部分の調査についてのお話でございまして、ちっとも進んでいないじゃないか、五年前の答弁と同じじゃないかという御指摘を受けたところでございますが、まさにここが本当に問題になっている、そういうふうに思っております。
 先ほども申し上げましたとおり、私も何でこんなに時間がかかっているのかということでその理由を聞いたわけでありますが、決して怠慢を決め込んでいたとかそういうことではなしに、これは新しい調査ということであって、調査設計をしなければならない。まさに調査手法のそういう報告書をまとめるという段階、それからその機器をつくるということでありまして、結果においてここまで時間がかかってきてしまった、こういうことでございます。したがいまして、何か予算をつければその調査が進むとかそういうことではない、極めて技術的な部分があったということをぜひ御理解いただきたいと思います。
 そういう中で、先生からはこれはもう喫緊の問題だという御指摘もあるわけでございますので、こうした前提となります調査の確立、本格調査を十七年度から行いますが、その結果を早く出すようにさらに督励をしてまいりたいと思っております。
藤木委員 大臣の御答弁では、被害補償のための健康影響の調査というのは極めて難しいんだ、こういう御答弁ですけれども、しかし、これまでもう十八年間ですよね、それから何年かかるか、それさえわからないというのは、被害者にとっては余りにも長い年月なんですよ。ですから私は、これまでの地裁判決というのは、今の到達した知見、ここでその因果関係を認めているという態度をとって被害者の救済を図ること、これを求めているわけですね。
 それでは、七四年の「公害健康被害補償法の実施に係る重要事項について」という中央公害対策審議会の答申がございますけれども、それに基づいて、汚染負荷量賦課金そして自動車重量税引き当て分との配分を八対二としておりますことは、私、当時の大気汚染の影響を勘案したもので妥当だというふうに思います。二〇〇二年度の補償状況を見ても、約九千弱のばい煙発生施設等の設置者である固定発生源から金額で約五百五十七億円、自動車の移動発生源としての自動車重量税収の一部引き当てで約百三十九億円、これをもとにして約六百九十六億円を補償給付などに充てておられます。
 しかし現在は、NOx排出総量のうち、特定地域内での自動車から排出されるものは、大都市では半分以上を占めておりますよね。自動車NOx・PM法の特定地域内では、九七年度の排出量で、埼玉が二万五千六百トンで六六・三%です。千葉が一万四千九百八十トンで三三%、神奈川が二万六千七百トンで四二・九%、東京都が四万一千四百トンで六四・五%、大阪府が二万七千六百七十トンで五二・五%、私が住んでおります兵庫も一万二千三百五十トンで五二・九%、合計いたしますと十四万八千七百トンで五一・六%、このようになるわけですね。
 そこで、環境省に伺いますが、現在の自動車排ガスの寄与度、これは東京都を初めとする首都圏それから名古屋圏、近畿圏ではどのようになっているか、御説明いただきたいと思います。
西尾政府参考人 大気汚染に対します自動車排出ガスの寄与度でございます。
 窒素酸化物の排出量割合につきましては、平成九年度ベースのデータでございますが、関東地域で五一・二%、関西地域で五二・六%となるかと思います。それから、粒子状物質の排出量割合につきましては、同じ時点のものがございまして、現在試算中でございますが、関東地域、関西地域ともに、概略五割を占めていると推定しております。
 ただ、愛知、三重県の地域も含めました自動車NOx・PM法の対策地域の寄与度をもうちょっと新しい時点で正確に把握する必要があると思っておりますが、これにつきましては、実は現在関係府県で策定中の総量削減計画の中で最新のデータを整理されておりますので、それと整合性をとる必要がございますので、それが整い次第、それを踏まえて新しいデータを見直したいというふうに思っております。
藤木委員 東京都の環境保全局の資料を拝見いたしますと、NOxの年間排出量は、自動車が四万一千七百トン、工場、事業場等は一万四百トンとなっておりまして、自動車の寄与率というのは実に六五%となっております。また、東京区部のNOx年間排出量は、貨物車類で二万三千九百トン、乗用車類で七千三百トン、合計いたしますと三万一千二百トン、このようになっております。また、SPMの年間排出量は、貨物車類で二千三百トン、乗用車類で九百トン、合計三千二百トン、このようになっております。
 そこで、七四年の中央公害対策審議会の答申では、賦課対象物質について、「NOxについて各施設毎に時間的な、また、操業条件等による変動が大きく年間排出量の把握は現時点においては極めて困難であること等から、当面は、SOxのみを賦課対象物質とすることもやむを得ないものと考える」このようにしておりましたね。しかし現在は、私の地元兵庫県の計画は、もうこれは出ているんですけれども、二〇〇二年度のNOx排出量が、工場、事業場で八千三十トン、これは三二・六%です。自動車が一万一千五百二十トンで四六・八%となっています。現在では、工場からのNOxの排出量も、自動車排出ガスのNOxの排出量も、かなり正確に推計できるようになっているわけですね。以前とは違うわけです。
 ですから、これは大臣に伺いますけれども、NOxを対象物質として、今自治体の条例で救済している公害患者も含めまして、すべての公害患者を救済する、そういうことをぜひやるべきではないでしょうか。いかがですか。
鈴木国務大臣 藤木先生から、今、NOxそれからPMに着目をして一つの救済措置を考えるべきではないか、こういうお話でございましたが、環境保健サーベイランスにおきましても、NOxとそれからSPMの環境モニタリングをいたしておりますけれども、そのサーベイランスにおきましても、NOxやSPMの濃度とぜんそくの有症率の間には一定の傾向が見られないというのが結果でございます。
 それとまた、県全体の汚染レベルとぜんそく患者の関係を見てみますと、例えば、私の地元であります岩手県では、NOxそれからSPMに関して環境基準を超えているような測定地点は一カ所もないわけでございますけれども、平成十一年に厚生省が行った患者調査の結果では、ぜんそくの受診率は東京都が二十八番、それよりも一つ高い二十七位になっているということもございます。
 そういうことで、私どもも、何か因果関係がないところを一生懸命探しているわけでは決してないのでございますが、客観的な立場で大気汚染とぜんそくの因果関係を裏づける科学的知見、そういうものがなかなかいまだ十分見つかっていない、そういうところはわからないというのが現実の姿でございまして、救済措置はやはりそうした科学的知見が前提にならなければならないということを御理解いただきたいと思います。
藤木委員 因果関係そのものを、まだ調査しておられないんですよ。因果関係そのものの調査に入っていないんですよ。その手前の調査をしていらっしゃるわけですから、わかるはずありません。
 また、尼崎の大気汚染公害訴訟で神戸地裁の判決は、国道四十三号線及び阪神高速大阪西宮線について、SPMの一定レベルを超える数値が測定される大気汚染を形成してはならない、このように命じました。そして、差しとめ請求を容認したわけです。
 特に、ディーゼル排ガスの微粒子、DEPが健康被害を与えていることは明らかです。神戸地裁の判決で大気汚染と健康被害が指摘されたSPMは、尼崎にとどまりません。全国の自動車排ガス測定局の六割以上、大都市地域では九割近くが環境基準の未達成となっております。また、排ガス中のNOx濃度も同様に、首都圏、京阪神地区での環境基準を下回っているのはわずか三十数%という地点にすぎないわけです。
 ですから、差しとめ請求を認めた神戸地裁の判決は、八八年三月の指定地域解除や新規患者の認定を打ち切ったそのことが誤りであったことを裏づけているものだと私は思います。これ以上の健康被害は緊急にとめなきゃならないと思いますね。ですから、現在の大気汚染の実態を踏まえて、NOxだとかPMを対象物質にして、すべての被害者を救済すべきだ、私はそのように思いますが、大臣、いかがですか。
鈴木国務大臣 ただいま先生から、前段として、六十二年の指定地域が解除された、それが誤りだった、こういうような御指摘もございました。
 繰り返しになって恐縮でございますけれども、公害健康被害補償法、これの昭和四十八年に制定された経緯というものにつきましてはもう既に冒頭お話をさせていただきましたが、その制定以降、大気汚染の改善の状況のもとで、大気汚染と健康被害との因果関係に係る制度的割り切りを続けることの合理性が失われていると、昭和六十一年の中環審の答申を踏まえまして、公健法の改正によりまして六十三年に指定地域が解除されたわけでありまして、これは、この制度が制定されたときの大変程度の高い汚染状況、その中での割り切りでスタートしたものが、その後の大気状況の改善という中でやはり合理性が失われたということは言えるのではないか、そういうふうに思いまして、先生は、六十三年の措置は間違いだった、こういうふうに御指摘ですが、これはこれで合理性があったものであると思っております。
 では、その後の方々に対してどういうような救済措置をするのか、それを考えるべきである、こういうお話であろうかと思います。
 これにつきましても、本当に、繰り返しになってしまいますが、そうした救済制度をつくる前提としての因果関係、これを、時間がかかっているということの御指摘はもう再々受けて申しわけない次第でありますが、とにかくこれを早く進めまして、この因果関係というものを明らかにすることが、またこの救済措置の方途をどう考えていくかということにつながっていくものであると思いまして、こうした調査を一層督促してまいりたいと思っております。
藤木委員 八八年三月、その解除以前の大気汚染公害の状況と等しくはないと言われますけれども、あれは高度成長期の、人の住む世界じゃないような、そういう劣悪な状況だったわけですよ。それが幾分きれいになったからというだけのことでありまして、被害者の救済ができないというのは私はおかしいと思いますね。当時のSOxによる大気汚染公害が異常な健康被害であったというのであって、現在の新たなNOxだとかPMでの健康被害も当時に劣らず真剣な大気汚染公害です。
 ですから、当時の異常な状況を再び引き起こすことは絶対に許されませんから、当時の異常な公害の状況と比較をして、十八年以上も調査研究で引き延ばすというのではなくて、新たな深刻な様態に応じたすべての被害者救済ということを、ぜひ早急に国の責任で図っていただきたいというふうに思います。
 大型ディーゼル車排ガスと健康被害の問題では、去年の十月、東京大気汚染公害訴訟で、東京地裁判決でも、交通量が多くて大型車の混入率の高い道路沿道の住民七名に損害賠償を認めております。この東京地裁判決は、西淀川、川崎、尼崎、名古屋南部に続いて、道路公害に対する道路設置管理者の責任を五たび断罪したものになりました。
 これは、御承知のように、昼間十二時間の自動車交通量が四万台以上で大型車混入率も高い一部幹線道路について、道路端から約五十メートルですね、この間五十メートル以内の沿道住民の健康被害との因果関係の存在を認容いたしました。そして、七名中一名は、公害健康被害補償予防法で認定されていない被害者だったわけです。
 ところが、今月七日に公表されました四省庁の東京都における道路交通環境対策についての取りまとめを見ますと、自動車排ガス公害による被害者救済対策を全く盛り込んでおりません。これでは、東京地裁判決に基づいて国が被害者の救済について真剣に取り組む姿勢がないということをみずから示しているのは明らかではないでしょうか。
 私は、八八年以降救済を打ち切った姿勢を転換して、大気汚染の実態に見合った制度にして、国の責任ですべての被害者を早急に救済すべきだ、このように思いますが、大臣、どうですか。
鈴木国務大臣 先ほどの同趣旨の御質問でございまして、答えもそれと同趣旨にならざるを得ないと思っております。
 私、昨年十二月に板橋の大和町に伺いまして、そこの交差点の、常に東京でもワーストのトップから三位ぐらいにあるその交差点の大変な状況を体験して、実感を持ってまいりました。また、そのときに原告団の皆様方とも、短時間でありましたけれども、お話をさせていただきまして、大変に皆様方の御労苦というものも強く感じたわけであります。
 本当にこれは悩ましい問題であるわけでありますが、救済の方途を考える上でのこの因果関係がまだいまだに、今のところはこれが明らかになっていないということでございまして、今、環境省としても、とにかくこの調査を急いで、そして、そういう因果関係が明らかになれば、これは救済措置の方途に向けての検討をしっかりやっていく、こういうことであろうかと考えているところであります。
藤木委員 東京都における道路交通環境対策についての取りまとめでは、交通量規制などの新たな対策案というのは示されていない。私、これは、今大臣が非常に心を痛めているようにおっしゃいましたけれども、痛めておられるのだったら、やはりきちんとした態度で示していただかなければならないというふうに思っています。緊急課題であるディーゼル車対策にはなっていないものだということを私は極めて残念だというふうに思っておりますので、その点は改善を強く要望させていただいて、質問を終わらせていただきます。
松本委員長 中川智子さん。
中川(智)委員 社会民主党・市民連合の中川智子です。
 まず、アメリカの国連決議なしでのイラク攻撃、これに対して小泉総理がアメリカを支持すると言ったことに対して、強く抗議をしたいと思います。それに、最大の公共事業であり、最大の環境破壊である戦争を絶対にさせてはいけないという思いを鈴木大臣に届けまして、閣僚の一員であります大臣には、平和のためのお力をしっかりと発揮していただきたいと切に冒頭お願い申し上げます。
 きょうのこの公健法の改正の質問ですが、大臣は先ほど、患者の皆さんのところに昨年十二月いらして、お話を伺いましたということをおっしゃいました。
 私も、この間、何人もの方のお話も伺い、これはどれほど苦しい病気であるか。そして、未認定で医療費が一切受けられない、自分で負担しなければいけない中で、病気の苦しさとそして生活の苦しさ、これが二重の苦しみとなって患者の皆さんを追い詰めている状況というのは、やはりその方の声でないとなかなか私は伝わらないと思いましたので、たくさんお寄せいただいたこの文章から何人かの方の生の声を届けて、まず、大臣のこれに対する思い、感想を伺いたいと思います。
  私は墨田区で育ちました。私の住んでいた家は、近くを明治通りと堤通りが通っていました。
  ぜんそくの発作は、ひどいときは毎日起こります。発作が起きると、呼吸が苦しくなり、心臓がどきどきして、体がへとへとになります。そのため、食欲もなくなり、気力も衰えます。薬の副作用で胃が荒れ、そして、その結果、体力が低下して、ぐあいが悪くなります。胃腸や肝臓の調子も悪くなりました。ぜんそくのせいで体じゅうがむしばまれていく感じがします。
  夜、就寝中にも、いつ発作が起きるかわからず、朝、目が覚めると、ああ、まだ生きているなとほっとします。この病気は、ふだん、何でもないから、ほかの人からはなかなか理解してもらえません。
これは四十六歳の男性です。
 六十二歳の女性です。
  私は、平成六年、五十四歳のとき、気管支ぜんそくと診断されました。住んでいるところは北区の豊島五丁目団地です。ベランダからは、荒川を挟んで首都高速がすぐ近くに見えます。その騒音や排ガスにずっと悩まされてきて、今ではもっと近くに中央環状線がつくられてしまいました。
  ここ数年は、入院した方がよいと何度も言われても、お金がかかるので断ってきました。入院しなくとも、点滴、吸入、飲み薬で、医療費は年に二十万円くらいかかります。ことしになって、とうとう二週間近く入院しました。酸素吸入と点滴を一週間やりっ放し、ベッドも立てたままの状態でした。
  平成六年から今までの医療費の合計は約三百万円くらいになります。それでも、私が通っている病院は、差額ベッド代は払わなくてもよいから助かっています。同じぜんそく患者なのに、同じ治療をしているのに、どうして未認定患者は医療費が無料にならないのでしょうか。このままでは治療を続けることができません。
 あとお二方ほど紹介します。
 次は女性の方ですが、やはりぜんそく患者の方は夜間が多いんですね、発作は夜出る。
 夜間診療は、日中の診療よりも二倍の費用がかかります。入院が十日以上になると七万円以上はかかります。入院すれば、給料の半分がなくなり生活ができなくなります。職場では、何回も休まれるとやめてもらうことになると言われ続けています。必要な治療さえ安心して受けることができない未認定患者の苦しみをわかってください。
という訴えです。
 最後は、この人は女性ですが、夫や子供が未認定患者ということなんです。
  私の夫は第四次の原告です。結婚して以来ずっと江東区の葛西橋通りの沿道に住んでいます。そのときから、葛西橋通りにはたくさんの車が走っていて、あたりには排気ガスのにおいが立ち込めていました。
  夫は、魚河岸で仲買の仕事をしていましたが、結婚してしばらくすると、胸が「ゼイゼイ」、「ヒューヒュー」というようになり、そのうち夜中に息ができなくなって苦しむようになりました。夫は、気管支ぜんそくになってしまったのです。
  ぜんそくの発作は、夜中から明け方に起きるので、朝の早い魚河岸の仕事は勤まりません。さらに、夫のぜんそくはだんだんひどくなって入退院を繰り返すようになってしまったため、職を転々とせざるを得なくなりました。給料は発症前とは比較にならないほど下がり、治療費はかさむ一方で、私たち家族の生活は経済的にもどん底になりました。
  それだけでなく、当時保育園に通っていた二人の子供も、ほぼ同時にぜんそくに発症し、さらには同居していたしゅうとめまでぜんそくになってしまいました。
そして、この方は、長女の子供までぜんそくになった。
 やはり、すごく訴えられるのは、八八年以降、新しい認定がされない中で、未認定の方々が本当に病気とそして生活苦で苦しんでいらっしゃる。いろいろお話を伺うと、やはり、ぜんそくの治療というのも初期の治療が大事、入院してしっかりした治療を受けなさい、だからそのとき入院したい、でも、入院したら生活ができないということです。そして、ぜんそくに根治療法というのがないわけなんですね。一たんかかってしまうと、本当に根治療法がない。今回も、九六年の第一次提訴から現在までで、亡くなっている方は五十七人にも上っています。
 やはり、死の恐怖と常に闘っているわけですが、今私が紹介いたしましたこの方たちの病気との闘い、そして生活苦、これに対して、人間として、大臣、どのようにお感じになられますでしょうか。
    〔委員長退席、近藤(昭)委員長代理着席〕
鈴木国務大臣 今、先生から、ぜんそくで苦しまれる方々のそういう生の声をお聞かせいただきました。大変、本当に、そのつらさというものを切実に感じます。
 私、十二月に患者の方、原告の方とお会いをさせていただきましたときも、やはりその中でも、今は発作は出ないけれども発作が出ると大変ひどい、そういうことで今はもう勤めもやめている、そういう健康面での苦しみ、それから、そういう状況の中で経済面からのいろいろな困難、そういうことを聞いたことをまた今改めて感じたところでございます。
 何とか、救済制度ということになりますと先ほどから申し上げているようなことになってしまいますが、そういうようなこともきっちりと調査を早めながら、また一方において、今ある大気環境の改善、こういうものにもさらに力を入れていかなければいけないのではないか。
 今、車の単体の規制、それからNOx・PM法の順調な施行、それから低公害自動車の導入という三本柱でこの大気汚染の改善というものに取り組んでおりますが、こうした将来の救済措置の方途を検討する前提となります調査を急ぎながら、そしてまた、今あるこうした大気環境の改善に一層努めていくということが必要である、そういうふうに強く感じたところであります。
    〔近藤(昭)委員長代理退席、委員長着席〕
中川(智)委員 続きまして大臣、今、未認定患者の原告が百八十八名いらっしゃいますが、このうち何人くらいが、質問通告しておりませんが、大臣、百八十八人の原告の方の中で大体どれぐらいの方が生活保護に頼っていらっしゃるとお思いでしょうか。わからなければ、大体どれぐらいだと……。
鈴木国務大臣 全くわかりませんけれども、四分の一ぐらいでございましょうか。全くわかりません。
中川(智)委員 三分の一が生活保護です。やはり生活苦というのが、病気の苦しさとそして生活苦が追い詰めているということに関しては、大臣、御認識はしっかりおありだと思いますが、もう一度、生活苦ということに特化して少しお考えを伺いたいんです。生活保護に頼らざるを得ない。
 これを申しますのは、先ほど大臣は御答弁の中で、やはり、救済をするならそれに税金を使う、税金を使うことの理由として因果関係もはっきりしなければいけない、これが税金を使う環境省としての国民に対する説明責任だろう、納得を得るための最低必要なものだろうとおっしゃいました。
 でも、やはり、これはもう働けなくなるわけですよ。今みたいな時代、本当に、健康な人がちょっと調子が悪くて休むことすら、リストラの影におびえながらできない。だけれども、病気であるから休まざるを得ない、休まないと死んでしまうわけですよね。それで、休まざるを得ない、会社はやめさせられる。そうしたらば、生活保護を受けざるを得ない。生活保護も税金ですよ。
 この生活苦に対して、大臣、どのようにお考えでしょうか。これほど深刻な状況があるということの御認識。今、百八十八人のうち生活保護を受けている人は全くわからないというふうにおっしゃいましたけれども、では、三分の一が現実だということに対しての大臣の御感想を聞かせてください。
鈴木国務大臣 私は四分の一程度かと思ってお答えをしましたが、三分の一程度の方が生活保護を受けておられるということは、それだけに、ぜんそくという疾患が、もう通常生活をやはり相当できないような状況にしている、仕事もつけなくなってしまうような状況にしているということを改めて感じました。
 きょうは公健法の審議でございますので、そうした公害との、大気汚染との健康被害、こういうことでお話をしておりますので、ついつい因果関係の話とかそういうことをしておりますけれども、恐らく、ぜんそくで悩んでおられる方、これは、先ほど私の岩手県の例を引きましたけれども、こういう大気汚染とはまた別の要因でぜんそくになって、実際同じような境遇になられている方もたくさんおられると思います。
 そういう意味で、これはまた、環境との、公害とのかかわりでなしに、そうした方々に対する何らかの方策、これは、先ほど藤木先生の質問の中で、子供については都道府県ではそういう対応をしているところもあるというようなお話もございましたが、都道府県における対応とか、また厚生労働省における何かそうした健康被害の対策とか、そういうことが今ないわけでありますけれども、そういう視点からの一つの考えということもやはり必要なのではないかという感じが、今、中川先生のお話を聞きながら感じた次第でございます。
中川(智)委員 私は、鈴木大臣が人でなしなんて全然思っておりませんので、人の心がしっかりわかる、人の痛み、苦しみがしっかりわかる大臣だと信じております。
 そして、今大臣がおっしゃったように、それは因果関係とかいろいろなことを言ったらば、本当に病気、ぜんそくなどで、原因は違っても全国にたくさんいらっしゃる。そして、やはり自治体もそのようないわゆる医療費の補助をしていて、そして、もうたくさんのあれが上がってきているわけですよね、要望書、意見書。これは平成十四年の八月、特別区長会という形での意見書が上げてこられたり、いろいろなところから意見書が、それは国に救済の制度を求める意見書なわけなんですが。
 では、今の御答弁を一歩踏み込んでいただいて、かつて、いわゆるこのぜんそくの被害に対して、厚生労働省、国土交通省なりと、一度でも他省庁とこの問題についてお話し合いをされたことはございますでしょうか。
鈴木国務大臣 大気汚染の、大気環境の改善ということにつきましては、これは私ども環境省とそれから国土交通省、あるいは交通行政ということで警察、そういう関係省庁との連携、協議ということはございますが、今の先生の御指摘の点についての協議というものは恐らくしていないんだと思います。
南川政府参考人 事務的に補足いたします。
 まず、この問題につきまして、厚生省とは、そもそもぜんそくなどの症状がふえておりますので、その原因をぜひ連携して探りたいという意味のお話し合いをしております。それから、国交省につきましては、今回私どもが調査をいたします、その内容については御説明をして、ぜひ御協力をいただきたいという旨のお願いをしております。
中川(智)委員 今私が話しましたのは、救済制度などのことで具体的な話し合いをしたことはあるかということ。もう一度お願いします。
南川政府参考人 調査の内容を御説明いたしまして、その結果を踏まえて私ども必要な検討をするということで、その段階では当然、現在の段階ではまだ話をしておりませんが、調査結果が出れば当然それに従って御相談をすることになると思います。
中川(智)委員 私がなぜ最初にこの被害者の方々の現状を大臣に、皆様にお伝えしたかと申しますのは、待ったなしの状況なのだということでお話をいたしました。
 これは鈴木大臣も、私は厚生労働委員会で御一緒いたしまして、そのときの経験を少しお話しさせていただきますと、ハンセンの問題も、やはりこれはもう控訴断念をして救済をしていくときに来ている、救済が大事だということで控訴断念。坂口大臣は、辞表を胸に、ある意味では先頭に立って闘いました。そして、私、ずっと薬害ヤコブ問題を国会の中で追及し、取り上げてまいりましたが、これも判決前に和解ということになりました。
 大臣にお伺いしたいのは、五たび負けているわけですね。そして、いろいろなことをしていらしたかもわかりませんが、十七年間放置されている現状の中で、本当に自殺も、きっと一切調査されていないでしょうからわかりませんでしょうけれども、そして適切な医療が受けられなくて亡くなった方も、それも一切調査していないでしょうけれどもいらっしゃいますよ、たくさんいらっしゃると思うんですね。これは待ったなしなんですよ。これから調査をしてと。これまで十五年間待たされて、そしてこれからまた調査する、もうそれだけでも目の前が真っ暗という状況になると思うんです。
 私は、大臣が今なぜ決断しなければいけないかというのは、これは人道的にほうっておけない状態になってきている、既に人道的な問題になってきている。ですから、それは省庁のさまざまな方々はおっしゃるでしょうよ、因果関係がはっきりしない、裁判で負けていてもまだまだこれは争うところがあるんだ、控訴の理由ははっきりしているんだとおっしゃるかもわからないけれども、大臣というのはそうであってはいけないんですよ。患者、被害者の側に立って、この十五年間もほっぽられてきたことを、命を助ける、その仕事が大臣にはあるわけです。
 ですから、五たび負けてきた、このことに対してどう考えるのか。そして、待ったなしだという今の状況の中でどうリーダーシップを発揮していくのか。今までの答弁と違う答弁を聞かせてください。
鈴木国務大臣 ここで中川先生にこうお話ししますと反論しているみたいな格好になってしまうわけでございますけれども、五たび裁判の過程において国の方が破れたということはございますが、しかし、その中におきましては和解をしている例がたくさんございます。そういうことで、従来も原告の方々と和解という道もとってきた例もございますし、それから、今回の東京訴訟におきましては、私どもの方も控訴をしておりますが、また一方において、原告の方々も、東京都道の周辺におられる方は数名上告をしませんでしたけれども、多くの方々はこれは控訴をしている、こういうことでございまして、そういう中でなかなか、今のこの裁判がそういう状況でございますので、ハンセンの問題のときの状況とはまた違うのではないか、そんなような気がいたしております。
中川(智)委員 それでは、もう裁判にしか訴えられないわけですね、すべて。では、行政というのは何のためにあるんでしょう。
鈴木国務大臣 何と申しますか、今回の公健法の御審議をいただいているわけでありますが、この法案を採決して成立させていただくことによって、認定患者の方の救済というのは引き続き続いていくことになろうかと思います。
 それから、六十二年に地域指定を解除した以降の方々の問題につきましては、何か救済措置を回避するために、その理屈としてこの因果関係が今日の時点でいまだ明らかではないということを言いつらっているわけでも何でもなくて、これは現実の問題として、今の時点でそうした因果関係が医学的に明らかではないという現実の中で、それを一日も早く明らかにするように、まあ長い間時間がかかっておりますからおしかりを受けるわけでありますが、それに全力を尽くすというのが、この問題についての行政としてのやはり今のとるべき立場ではないか、そんなふうに思います。
中川(智)委員 大臣、ちょっと先ほどの患者の方々の話に戻りますが、この患者の方々は病院に入院しても個室に入らざるを得ない方が多いんですね。今医療機関ではぜんそく患者の方は認定患者よりも未認定の方がふえているという現実があります。大臣は、発作で苦しんでいらっしゃるぜんそく患者の方を、夜中などにそのそばで発作というのをごらんになった経験があるかどうかということが一点と、なぜ個室に移ってくださいと言われるケースが多いかおわかりかどうか、この二点。
鈴木国務大臣 夜中にということであれば、その経験はございません。しかし、近くにぜんそくの子供というか、もう成人になりましたけれども、おりましたものですから、その母親に聞きますと、とにかく、ヒューヒューという音がもうひどくて、それが聞こえてくると自分はもう逃げ出したくなる、こういうようなことでしたけれども、恐らくそういうことで、他の患者さんとの関係の中で個室に入らざるを得ないのではないか、そんなふうに思います。間違っているかもしれませんが。
中川(智)委員 大臣がおっしゃったように、いわゆる大部屋に入ると、夜中に発作が起きますので、もうとてもやはりそこの病室には皆さんに迷惑だからいたたまれないということですから、未認定で仕事も続けられなくて入られる方というのは本当に一刻の猶予もないというのが現実なんですね。
 私は、大臣にぜひともそこでリーダーシップをと訴えたいのは、これから調査をしてどういうふうに因果関係を、それから具体的な形でやっていくというと、あと最低二年はかかる。その前に、この間の東京裁判の判決にありましたように、沿道五十メートル、十二時間四万台、せめてそのケースだけでも救済をしていくべきだと思うんですよね。大臣、いかがでしょうか。
鈴木国務大臣 今先生がおっしゃられた点が、まさに国として控訴をしている理由になっているということだと思います。裁判は、そういう沿道何メートル、五十メートルというようなことで、いわば蓋然性としてそこに因果関係があるということを認めているわけでございますが、国としては、そこには医学的な因果関係の知見が必要である、そういう点におきまして控訴をしているわけでございます。
 したがいまして、この裁判は裁判として少なくともそこを認めるということは、とりもなおさず、これは裁判で今控訴を決定した政府の立場と全く相反することになるわけでございますので、とりあえずそこの部分をということにつきましてはなかなか困難ではないか、そういうふうに思います。
中川(智)委員 私は、鈴木大臣だったら、この被害を受けていらっしゃる方の苦しみというのは一日一日、毎日毎日のことで、ずっと待ってきて、まだこれからと。裁判しかない。その裁判もやはり長いしお金がかかりますし、精神的なものはどれだけ重いかと思うので、英断を期待したのですが、残念でございます。私は、未認定の方々の実態についての把握すらしていないのではないかと思うのですが。これに関しての御答弁、望月政務官の方にお願いします。
望月大臣政務官 お答えさせていただきます。
 公健法による認定患者の皆さんにつきましてはもちろん把握をしておりますけれども、公健法によって未認定とされた方々の病気の状況については、環境省としては把握しておりません。
 ただ、その中で、御指摘の幹線道路沿道における大気汚染による健康への影響については、まずは、先ほどからお話ございましたように、調査研究を推進して科学的に十分な知見が得られるように努めてまいっておるところでございます。
中川(智)委員 調査していないということですが、調査すべきではないでしょうか。
南川政府参考人 私ども今後の調査の中で当面考えておりますのは、沿道の地域の局地汚染の調査をする中で必要なデータを集めていきたい、もちろんそれは大気汚染のみならず患者さんの動向についても集めていきたいと思っております。
 ただ、全国的により広い範囲で、例えば沿道五十メートルについて全国的に未認定の方についての病状を調べるということは余りにも私どもの手に余ると考えております。
中川(智)委員 私どもの手に余るんだったらほかに手をかりればいかがですか。
南川政府参考人 病気全般は厚生労働省で見ておられます。どういうデータをお持ちかは聞いてみたいと思います。
中川(智)委員 では、調べられる範囲でいつごろまでに調べられますか。
南川政府参考人 早速、相談はしたいと思います。
 ただ、そもそもどういうデータがあるかわかりませんし、厚生労働省におきましても調査が可能かどうかわかりませんので、それについては相談をした後、また御返答をさせていただきたいと思います。
中川(智)委員 今まで十五年間もありまして、これほど社会問題になっているのに。本当に、私、環境省というのはほかの省庁より好きだったんですけれどもね、何か、私たちの味方という感じで。公健法の審議をやっていると非常に寂しい気持ちになりますが、まあ頑張ってくださいね。本当に情けなくて嫌になってしまいますね。元気出して頑張りましょう。
 私も最後の質問です。
 千葉大は、皆さんのお手元に資料をお配りしております。これは、男の子、女の子とかいろいろな形できっちりしたのもあるわけですが、非常にこれがわかりやすいのでお出ししております。これで足りないと。千葉大調査は調査としてきっちり評価するけれども、これでは個人暴露などのものが足りないということなんですが。素人が見ましても、田園部が一で、都市部沿道というのが四倍。大臣、ごらんになって、これで何が不足でしょう。
鈴木国務大臣 千葉大の調査そのものに対しましては、これは学童の追跡調査をきちっとやっておられるということにおきましても、重要な研究である、そういうふうに考えております。
 ただ、問題点も指摘をされているわけでありまして、例えば、大気汚染物質の濃度や暴露との関係について十分な評価が行われていないことでありますとか、それから調査母数が少ないということでありまして、一人二人がよくなったり悪くなったりいたしますとかなりの数字上の変化がある、こういうことでございまして、問題点もあると思いますが、私どもといたしましても、これは重要な研究である、そういうふうに評価をしております。
中川(智)委員 次に、これは、判決の後、原告と自動車会社が取り交わした確認書ですが、トヨタ自動車の法務部長は、三のところで、「当社は、行政が新たな救済制度を制定する場合、社会的要請も踏まえて総合的に対応を判断」する。日産も同じようなことですね。三菱自動車の方も、「当社は、行政が新たな被害者救済制度を制定する場合には、社会的要請も踏まえて総合的に判断」する。いすゞ自動車もそうです。
 このようなメーカーからの確認書というのがございますが、メーカーに対して、救済制度のことで環境省として正式な話し合いを持たれたことはおありでしょうか。
南川政府参考人 まず、メーカーと原告団の方々が交わされた確認書につきましては、その経緯、また趣旨についてさまざまな議論がございますので、私どもとして特にそれについてコメントすることは難しいと思います。
 なお、私ども、メーカーとの関係につきましては、当然ながら、大気の関係の規制も含めて意見交換はいたしております。それにつきましては、ただし、今回の判決自身が基本的に自動車メーカーの法的責任を認めておりません。そういうこともございまして、特段、救済制度について突っ込んだ話し合いということはいたしておりません。
中川(智)委員 大臣、メーカーはそうなんですよ。責任は判決では言われていなくて、国が言われていて、だけれども、メーカーはこうやって原告の人と確認書を交わして、行政で制度ができればそれに対してきっちりと話し合いに応じる用意があるということを言っているわけなんですよね。ですから私は、救済制度というのを現時点では将来的なものと考えているにしても、やはりメーカーとも話し合うという姿勢が環境省にあってしかるべきだと思いますが、正式に話し合う御予定をおつくりになったらどうでしょう。
鈴木国務大臣 それは、救済制度にかかわる話し合いということであろうかと思いますが、何か中川先生と話しているとどんどん悪者になっちゃうような感じであれなんですけれども。
 とにかく、救済制度の方途を考える前提がそうした因果関係の解明でございます。その因果関係が解明されますと、そこには、どういう環境に負荷をしているのがどうなのか、昭和四十六年でしょうか公健法ができたときは八対二ということでございましたが、それがどうなのか、そういうような調査結果によってまたどこにどう負担をしてもらうのかと、いろいろその結果によって、救済措置の方途を考えるときに負担の割合とかそういうのが出てくると思うのであります。
 ですから、そういうような結果が出て、そして救済の方途を考えるときに、そういう中で、例えば自動車メーカにとか、自動車がとか、そういうことになれば、もちろんそこでは話し合いとかそういうことはあろうかと思います。
中川(智)委員 それでは、最後になりますが、これは質問通告しておりませんが、南川部長にちょっと伺いたいんですが、先日、東京理科大の研究室で、武田教授とおっしゃいましたか、その方がディーゼルからの排ガスをマウスに吸わせてマウスの実験をしたらば、いわゆる環境ホルモンが子供にも影響するという結果がはっきり出た。男性ホルモンが十倍になったという研究結果が出たということですが、その辺は御存じでしょうか。
 そして、やはり私は、研究するのでしたらば、それを妊婦が吸って子供にどういう影響を与えるか――環境ホルモンの問題というのは、予防原則さまざま言われておりますが、この研究結果というのは非常に重いものだと思うのです。そのような研究もしっかりすべきだと思いますし、それほど恐ろしいものだ。現在的に、ぜんそくに、そのような病気になるだけではなくて、産んだ子供にさえ影響を及ぼすものだということの認識をしっかりと環境省は持つべきだと思いますが、御意見を聞かせていただきたいと思います。
南川政府参考人 先生御指摘の東京理科大の先生の調査については残念ながら今承知しておりませんので、直ちにフォローいたします。ただ、私ども、先生御指摘のような、特に子供の健康問題、非常に大事でございます。
 それこそ先週十一日、十三日に東京と大阪で、世界内外の最先端の子供の環境、健康問題についての識者を集めまして、そこで知見の交換会ということを公開で行っております。そういうことをこれからも続けますし、ぜひ新しい知見があればそういう場に出して、私どももそれを行政として取り入れていきたいと思っています。
 さっきの件は、早速情報を仕入れて勉強いたします。
中川(智)委員 もう時間になりましたが、大臣、世界的にこういう研究が余りないと答弁の中でもありました。
 私は、日本の道路行政そのものが、人が暮らしている中にずかずか入り込んできて、人が住んでいようと住んでなかろうと、反対運動があろうと、どんどんそこに道路をつくっていって、周辺住民の人は、それによっての苦しみ、そして健康被害を受けているわけです。
 そして、この健康被害に関しては一日の猶予もならない。救済制度を早急につくっていただきたい。大臣はそれができると信じておりますので、よろしくお願いします。
 ありがとうございました。
松本委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
松本委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 内閣提出、公害健康被害の補償等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
松本委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決まりました。
    ―――――――――――――
松本委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、稲葉大和君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、日本共産党及び社会民主党・市民連合の六会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。近藤昭一君。
近藤(昭)委員 私は、ただいま議決されました公害健康被害の補償等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につき、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、日本共産党及び社会民主党・市民連合を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。
    公害健康被害の補償等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。
 一 被認定者に対する認定更新等に当たっては、その保護に欠くことのないよう配慮するとともに、治癒によって制度を離脱した者についても、健康被害予防事業によるフォローアップに努めること。
 二 健康被害予防事業については、地方公共団体の要望を踏まえ、適切かつ効果的に実施すること。
 三 過去数次にわたる大気汚染訴訟を踏まえて、主要幹線道路沿道等の局地的な大気汚染による健康影響調査を早急に実施するとともに、必要な被害者救済のための方途を検討すること。
 四 大都市地域における二酸化窒素、浮遊粒子状物質等による大気汚染は依然として厳しい状況にあることにかんがみ、自動車排出ガス対策、低公害車の普及促進、交通量対策等を引き続き総合的・計画的に推進すること。
以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をよろしくお願いいたします。
松本委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
松本委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決まりました。
 この際、ただいま議決いたしました附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。鈴木環境大臣。
鈴木国務大臣 ただいま御決議のございました附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重いたしまして、努力する所存でございます。
    ―――――――――――――
松本委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
松本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決まりました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
松本委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 環境保全の基本施策に関する件調査のため、来る二十五日火曜日、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
松本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決まりました。
 次回は、来る二十五日火曜日午前九時三十分理事会、午前九時四十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時五十六分散会


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