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第7号 平成15年5月9日(金曜日)

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平成十五年五月九日(金曜日)
    午前九時三十九分開議
 出席委員
   委員長 松本  龍君
   理事 稲葉 大和君 理事 田村 憲久君
   理事 西野あきら君 理事 柳本 卓治君
   理事 近藤 昭一君 理事 牧  義夫君
   理事 田端 正広君 理事 高橋 嘉信君
      小渕 優子君    木村 太郎君
      阪上 善秀君    鈴木 恒夫君
      中本 太衛君    野田  毅君
      菱田 嘉明君    星野 行男君
      松浪 健太君    三ッ林隆志君
      水野 賢一君    望月 義夫君
      山本 公一君    小林  守君
      小宮山洋子君    鮫島 宗明君
      日野 市朗君    青山 二三君
      中井  洽君    藤木 洋子君
      中川 智子君
    …………………………………
   環境大臣         鈴木 俊一君
   環境副大臣        弘友 和夫君
   国土交通大臣政務官    高木 陽介君
   環境大臣政務官      望月 義夫君
   政府参考人
   (内閣官房内閣参事官)  伊藤 哲夫君
   政府参考人
   (内閣府大臣官房審議官) 岩谷 滋雄君
   政府参考人
   (防衛庁長官官房長)   山中 昭栄君
   政府参考人
   (外務省大臣官房審議官) 渥美 千尋君
   政府参考人
   (林野庁森林整備部長)  辻  健治君
   政府参考人
   (環境省大臣官房廃棄物・
   リサイクル対策部長)   飯島  孝君
   政府参考人
   (環境省総合環境政策局長
   )            炭谷  茂君
   政府参考人
   (環境省総合環境政策局環
   境保健部長)       南川 秀樹君
   政府参考人
   (環境省地球環境局長)  岡澤 和好君
   政府参考人
   (環境省環境管理局長)  西尾 哲茂君
   政府参考人
   (環境省環境管理局水環境
   部長)          吉田 徳久君
   政府参考人
   (環境省自然環境局長)  岩尾總一郎君
   環境委員会専門員     藤井 忠義君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月六日
 辞任         補欠選任
  長浜 博行君     小宮山洋子君
同月九日
 辞任         補欠選任
  鳩山 邦夫君     中本 太衛君
同日
 辞任         補欠選任
  中本 太衛君     鳩山 邦夫君
    ―――――――――――――
五月七日
 特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法案(内閣提出第四八号)
 廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第八九号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法案(内閣提出第四八号)
 廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第八九号)
 環境保全の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――
松本委員長 これより会議を開きます。
 環境保全の基本施策に関する件について調査を進めます。
 この際、G8環境大臣会合について政府から報告を聴取いたします。鈴木環境大臣。
鈴木国務大臣 おはようございます。
 G8環境大臣会合が、四月二十五日から二十七日までフランスのパリで開催されました。我が国からは、国会のお許しを得て、私が出席をいたしました。
 本会合は、主要先進国の環境担当大臣らが一堂に会し、国際社会が直面するさまざまな問題につき意見交換を行うもので、今回の会合では、持続可能な生産・消費、国際環境ガバナンス、アフリカなどについて議論を行うことが目的でありました。私は、この会議に出席するとともに、この機会を活用して、気候変動問題について、ロシア、欧州委員会の閣僚等と意見交換を行いました。
 本日は、これらの結果について、簡潔に御報告いたします。
 まず、G8環境大臣会合においては、持続可能な生産・消費、国際環境ガバナンス及びアフリカの各分野において活発な議論が行われ、その成果をコミュニケとして採択いたしました。
 このうち持続可能な生産・消費に関しましては、その確立に向けた具体的な取り組みについての合意が得られました。私からは、本年三月に閣議決定された循環型社会形成推進基本計画をアピールしてまいりました。同計画は、ヨハネスブルグ・サミット実施計画のフォローアップとして、資源利用の効率性を示す指標である資源生産性に関する数値目標などを盛り込んだものであります。私からは、さらに、資源生産性についての各国共通の目標を設定することを目指しつつ、まず物質フロー会計に関して共通手法の確立を検討するための国際共同プロジェクトを開始することを提案し、各国から歓迎されました。
 また、国際環境ガバナンスに関しては、国際的な環境問題に対処するための体制の強化に向け、国際機関の運営の効率化や国際機関間の連携の推進の重要性について合意されたほか、海上安全についても触れられました。さらに、アフリカに関しては、アフリカの持続可能な開発に向けた取り組みを支援するために本年九月に我が国において開催されるアフリカ開発会議などが閣僚宣言に盛り込まれました。
 このほか、水問題についての議論もございましたが、私からは、本年三月に我が国において開催された第三回世界水フォーラムの概要について説明するとともに、閣僚級国際会議へのG8各国の御協力についてお礼を申し上げました。
 コミュニケは、議長国のフランスのバシュロ・エコロジー・持続可能開発大臣から、本年六月にフランスのエビアンで開催予定のG8サミットの議長であるシラク大統領に報告される予定となっております。
 次に、気候変動問題についての各国等との意見交換について御報告申し上げます。
 私は、ロシアと会談し、京都議定書の早期批准を強く働きかけました。さらに、欧州委員会とも会談し、ロシアに対する働きかけについて意見交換を行いました。
 私は、今後とも、できるだけ多くの国の参加を得て、京都議定書が早期に発効するよう、関係国に対して一層働きかけを行ってまいりたいと考えております。
松本委員長 これにて報告の聴取は終了いたしました。
    ―――――――――――――
松本委員長 この際、お諮りいたします。
 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣参事官伊藤哲夫君、内閣府大臣官房審議官岩谷滋雄君、防衛庁長官官房長山中昭栄君、外務省大臣官房審議官渥美千尋君、林野庁森林整備部長辻健治君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長飯島孝君、環境省総合環境政策局長炭谷茂君、環境省総合環境政策局環境保健部長南川秀樹君、環境省地球環境局長岡澤和好君、環境省環境管理局長西尾哲茂君、環境省環境管理局水環境部長吉田徳久君及び環境省自然環境局長岩尾總一郎君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
松本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決まりました。
    ―――――――――――――
松本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松浪健太君。
松浪(健太)委員 おはようございます。自由民主党の松浪健太でございます。本日はどうぞよろしくお願い申し上げます。
 鈴木大臣におかれましては、G8環境大臣会合におきまして水サミットに関する御報告をなされたこと、まことに御苦労さまでございます。
 さて、国連は本年を国際淡水年と定め、そして三月には私の地元の大阪そして京都、滋賀におきまして第三回水フォーラムが開催されたところでございます。参加国は百八十二の国・地域、四十三の国際機関、さらに百三十人の各国閣僚級が出席され、参加総数は二万四千人にも達したと聞いております。
 イラク戦争の勃発によりましてマスコミの取り上げ方では大分損をした嫌いもあるこのフォーラムでございますが、世界の水問題の解決に向けて政治的意思の集結を呼びかけた我が国の姿勢は高く評価されていると思います。その結果は、採択に至りました閣僚宣言や水行動集にあらわれていると思います。そして今、水というものが人間の生存に不可欠なものであるということから、水は人権である、このような認識が世界的に認知されていると思います。私も、水フォーラムにおきましてこのような趣旨の発言をさせていただきました。
 本日の環境委員会では、この水をめぐった国内外の対応について質問させていただきたいと思います。
 鈴木大臣は、世界水フォーラム第三分科会で、政府代表として我が国の国土や水環境について演説され、大変好評でありました。会議では、四百二十二の水行動集と二十九項目の閣僚宣言が採択され、今後、この具体的施策が求められているわけであります。
 水は人間の安全保障としてどう管理するのか、また、地球規模で広がる水の危機意識の啓発、さらに、国連の水資源に関する報告には、二十一世紀の紛争は水が原因になるとの警告もあります。世界の水問題はまさに深刻な状況であります。こうした事態に対しまして、環境大臣の認識とその取り組み、決意についてお伺いいたします。
鈴木国務大臣 松浪先生から、水の問題、特に、水が人類の生存基盤そのものにかかわる重要な問題である、そういう趣旨の御指摘をいただいたところであります。
 先ほどG8の環境大臣会合の御報告もさせていただきましたが、G8の会議におきましても、主にアフリカを議題とするセッションにおきまして水の問題というものが取り上げられたところであります。
 しかし、考えてみますと、この水の問題というのは、これは開発途上国だけの問題ではございません。確かに開発途上国に、貧困にかかわる水へのアクセス不足、あるいはその汚濁の問題、また下水道などには全くアクセスできない、そういう問題が顕在化しているわけでありますが、先進国におきましても、例えば大都市におきましては、水道管から水が漏水する、そうしてむだに使われる、そういうような問題もあるわけでありまして、これは開発途上国のみならず人類全体の重要な問題である、そのように思っているところであります。
 この水でありますけれども、比較的容易に利用できる湖沼でありますとか河川にあります水、これは地球上に存在する水のわずか〇・〇一%である、そのように聞いております。ですから、そのほとんどは、海水でありましたり、南極の氷でありましたり、そういうことでありまして、今後、このわずかにしかない水というものをしっかりと健全な循環のもとに使っていくということが重要である、そういうような認識を持っております。
 この三月に、御指摘のとおり、第三回世界水フォーラムというものが開催されたところであります。そこにおきましては、水行動集それから閣僚宣言が取りまとめられたわけであります。
 御指摘ございましたとおり、私自身、水質汚濁防止と生態系の保全を取り扱う分科会に出席をいたしまして、スピーチをいたしたところでありますが、健全な水循環を形成するためには、水質保全と生態系保全を総合的に進めるエコシステムアプローチ手法が有効であるということを、我が国の経験を交えて海外からの参加者に強調させていただいたところであります。
 こういう、極めて重要な水の問題であるという認識を持っているわけでありますが、今後我が国として、我が国は過去におきましてさまざまな公害を克服した、そういう経験や技術というものもございます。こういうものを生かしまして、国際機関と連携をして、JICAベースでの国際協力等を通じまして、水質保全それから生態系保全を中心として、国際社会の水問題への対応に環境省としても貢献してまいりたい、そのように考えているところであります。
松浪(健太)委員 ありがとうございました。まさに、地球に貢献する、こうした環境省であっていただきたいと思います。
 そして、今お話の中にありました水行動集でございますが、この中で、日本政府が、我が国が提言しましたものは九十一件に及んでおります。その中で、環境省の施策は八件に及ぶと聞いております。例えば、短期間設置の低コスト型の汚水処理技術の移転などでありましたりとか、さらには地球温暖化の生物圏への影響、適応、脆弱性の評価に関する研究、こうしたものだと伺っております。こうしたものに関する、まだなかなか難しいとは思いますが、支援事業は相手国の実情に合わせて今後決まっていくと思われますが、こうしたものについての財政的な試算についてお伺いいたしたいと思います。
弘友副大臣 今委員御指摘のように、今後の各国のアクションとして示されました水行動集、これは四百二十二件のプロジェクトが登録されましたけれども、今お話しのように、環境省といたしましてはそのうち八件のプロジェクトを登録したところでございます。
 特に、アジア水環境パートナーシップというのは、データベースの構築と共有化を図ることによりまして、アジア地域における水環境保全施策の準備、形成、実施を支援しようとするものでございまして、本年度は基本的な部分の設計を行いまして、来年度から具体的システムの設計に着手する予定でございます。
 今例示されました短期間設置、低コスト型汚水処理技術の移転等につきましては、浄化槽の整備及び維持管理に関する技術の移転を図りまして基礎的な衛生施設の普及を促進しようとするものであり、現地調査や、導入に当たっての課題の抽出等を行ってまいります。
 環境省といたしましては、今後、これらのプロジェクトの実施を通じて、より一層世界の水環境保全に貢献してまいりたい、このように考えておるところでございます。
松浪(健太)委員 先ほど鈴木大臣の方から、国内外に我々の経験を発信していく、そして国内の問題にもしっかり取り組んでいくというお話がございました。確かに、世界の水政策に取り組むことも重要でありますし、また、国内の水行政に取り組むことも重要かと思います。
 そして、水問題は日本にとって本当に他人事ではない。例えば、ミネラルウオーターの輸入量は爆発的に増加しておりますし、そして、輸入する農産物また工業製品に、この製造に伴ういわゆる仮想水、バーチャルウオーターの輸入量は、国内の水使用量を凌駕する勢いであります。
 そこで、最近、国内の水行政で特に指摘されていることは、縦割り行政が非常に弊害がある、このような指摘が多くあるわけでありますが、環境大臣は、日ごろから、自然保護と水環境に関する行政の一元化についてどのようにお考えでしょうか。お伺いいたします。
鈴木国務大臣 水にかかわる行政でございますけれども、これは、利水がございましたり、治水がございましたり、それから水質保全がございましたり、幾多のいろいろな取り組むべき課題がございます。したがいまして、現状におきましては、それぞれの取り組みについて、幾つかの省庁に分かれて対応しているということでございますが、まず、今のところは、そうしたそれぞれの役所の専門性、責任、そういうものを明確にした上で、しかし、連携のとれた総合的な施策の展開というものも、これは極めて大切なものである、そのように認識をいたしております。
 そうした連携、調整を図るという観点から、平成十年の八月以来、関係五省庁、これは厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省でございますが、これの連絡会議というものを設けまして、健全な水循環系の構築を図るための調査研究を共同して進めているところであります。
 今後とも、こうした場を活用いたしまして、より総合的、効率的な水行政を推進していくために努力をしてまいりたいと考えております。
松浪(健太)委員 さまざまな連携の機関などをつくるということで、それについては、またさらなる強化をお願いいたしたいと思います。
 また、環境大臣は、水フォーラムの第三分科会の演説におかれましても、水とかかわりの深い生態系の保全と回復を図るためには、自然保護と水環境保全の一体的な行政を推進することも残された重要課題であり、環境保全上健全な水循環の確保、回復を図ることも今後の重要な課題である、このように演説しておられます。
 このくだりは、一体的な行政を推進することは残された重要課題であると述べられていることは、やはり、自然と水の環境を推進するには、縦割り行政の弊害を除き、水の一元化を図ることは残された課題であると示唆した内容ではないかと思います。この点について、もう一度お願いいたします。
鈴木国務大臣 先ほど御答弁いたしましたとおりに、水に関する行政、これは、治水、利水あるいは水質保全、こういったようにそれぞれ切り口があるわけでありまして、したがいまして、担当する省庁も異なっている、そして関係する法制も法令もそれぞれ別にある、こういうようなのが現状であるわけであります。
 そのうち、環境省は、これまでは水質保全ということを中心に施策を進めてきたところでありますけれども、今後、この水環境保全というものを積極的に推進していこう、こういうことを考えた場合には、水環境や地盤環境を水循環との関連においてとらえて取り組むことが重要である、そのように考えているところであります。このことは、環境基本計画におきましても、環境保全上健全な水循環の確保として、重要施策の一つに位置づけられているところでございます。
 環境省といたしましては、環境保全上健全な水循環を確保するために必要な施策につきまして、現在の制度体系で十分なのかどうか、そういう視点も含めまして、関係省庁とも連携をとりながら真剣に検討をしてまいりたいと考えております。
松浪(健太)委員 ただいま、水循環との関連など、非常にそのとおりだと思います。
 そして、こうした水の法律、確かに利水、治水、たくさんございまして、水に関連する法律を私調査してみましたところ、おおよそ六十本ございます。そのうち、環境省関連は二十三本、また国土交通省関連は十八本もある、このような状態で、水も漏らさぬほど法律は多いけれども、行政の縦割りの部分で少し水漏れもあるように思われます。
 私は、法律の考え方をやはり立体的にしていかなければならないと思います。と申しますのは、例えば湖沼水質保全法や水源地域対策特別法など、こうしたものは点の整備であり、河川法や下水道法、こうしたものは線の整備であるかと思います。また、環境基本法に基づいた森林法、農地法などは、やはり面の一部から見た整備であると思います。
 たしか鈴木大臣の世界水フォーラムの閣僚級国際会議におきます演説におきましては、例えば、地元の岩手県では、カキの養殖に携わる人々が河川上流域への植林活動を行って、そして、森を育てることが濁水の発生を抑制し、適度に栄養を含んだ水が海に流入して、カキの生育を促進すると期待されている、このようなくだりがありました。
 まさに今、水循環というのは、立体的な考え方で法律を構成しなければならないのではないか、私はこのように考えるわけであります。その一つの考え方として、水基本法や、そして水循環推進法といった法律の制定が昨今求められているわけでありますが、環境大臣の所見をお願いいたします。
弘友副大臣 今御指摘のように、水というものを一体的にとらえて行政を進めるということは非常に大事なことだと思います。環境省におきましては、先ほど大臣から御答弁がございましたように、水質汚濁の防止を中心に今まで水環境の保全を進めてきたところでございますけれども、今後は、関係行政分野とも連携を密にしながら、今までは水量というのが特に重要視されておりましたけれども、それに加えて、水質そしてまた水生生物等を総合的にとらえたより幅広い観点から、環境保全上健全な水循環の確保に向けた取り組みを積極的に推進してまいりたいというふうに考えております。
松浪(健太)委員 まさに、そうした考え方が今後重要になってくるかと思います。
 さて、鈴木大臣も、世界水フォーラムの演説の中で、水環境の確保、回復を図ること、そして健全な水環境を回復することの必要性は述べておられます。この内容は、私が先ほど提言させていただきました水基本法であるとか水循環推進法のすべてに概念的には同じものではないかと考えます。
 そして、水循環の理念を少し明確化していかなければならないのではないかと思います。
 具体的にいいますと、森林法では「水源のかん養」と法律に規定されているわけでありますが、例えば先ほどの河川法などでは、河川環境の整備と管理が主たる目的であります。最近の法改正で、ダム貯水池の樹林帯や河川敷の周辺緑地帯など、環境基本計画と調整を図るようにはなっております。しかし、この河川法に、先ほどの水の循環作用という概念を取り入れようとしても、現行の河川法ではどうしてもこれは読めないのであるというのが内閣法制局の見解でもあります。
 そこで、環境省はやはり、水関連の法律約六十本を精査して、浄化作用として、また自然生態系を守るという視点で水循環の理念を明確化して、そして関係省庁の法律に記載し、水循環の推進を積極的に行うべきであると思います。
 これは他省庁の法律に非常に関連することであって、見解は述べにくいことと思いますが、大臣の感想で結構でございますので、こうした水循環の理念についてのお考えをお伺いしたいと思います。
鈴木国務大臣 水に対するいろいろな考え方、これも時代とともに変化をしている、そのように思っております。
 日本の高度経済成長期、これはもう、水をどんどん経済成長のために使っていくんだ、あるいは災害に対する治水、こういうことが優先をされたのかもしれませんけれども、今日におきましては、そうした環境面、とりわけ生態系とのかかわりの中で水問題を考えていく必要があるのではないか、そういうふうに思っております。
 私の感想ということでありますが、世界水フォーラムでも述べさせていただきましたが、今後とも、こうした水質保全と生態系の維持という観点をこれからも水政策の中でより強く打ち出していけるように努力をしていく必要があるのではないか、そんなふうに感じております。
松浪(健太)委員 まさに、この水質浄化という点、非常にまた重要であるかと思います。特に、環境省が所管する分野におきましては、これは質問通告はしていないんですが、浄化槽の推進というものが非常に重要であるかと思います。
 浄化槽の設置は、現在個人が主体であることが多く、国や市町村団体の補助金があるものの、なかなか進んでいないのが現状であります。そこで、いかにこの浄化槽を推進し、水質保全をいかに図るかが問われていると思います。
 例えば、下水道七カ年計画、都市公園整備七カ年計画のようなものでしたら、総合整備計画が法律に位置づけられているわけですが、浄化槽に関してはこうしたものがない。ここに、遅々として進まない問題があるように思われます。市町村が責任を持って進めるべく、法律に整備総合計画を盛り込むなど、浄化槽のあり方を見直す必要があると考えます。
 まず、この問題に熱心に取り組んでいらっしゃいます弘友副大臣にお考えを伺い、最後に鈴木大臣のお考えをお伺いいたしたいと思います。
弘友副大臣 ただいま下水道等のお話がございましたけれども、浄化槽法が、もともと、し尿処理のための法律として議員立法により制定されまして、平成十二年の議員立法による改正のときに、し尿のみを行う単独浄化槽というのが廃止されまして、生活排水処理も行ういわゆる今までの合併処理浄化槽のみを法律上の浄化槽というふうにするようになったわけですけれども、もともと、し尿処理から出発したという経緯から、法律の目的にそういう水質保全を位置づけるということが明確に入っていなかったということで、浄化槽法の中で水質保全ということを明確にする。
 それから、今御指摘のように、今までは補助金等で、維持管理ともそれぞれ個人でやってくれ、こういうお話でございましたけれども、やはり市町村が責任を持って維持管理等も行うという市町村設置型というのを、明確に責任のあり方というのを浄化槽法の中に入れていくべきじゃないかというふうに考えておりまして、今後、そうした浄化槽法のあり方を含めまして、これは検討していかなければならない問題だというふうに考えております。
鈴木国務大臣 浄化槽の問題について御指摘がございましたが、水質を保全していく上で排水処理をしっかりと行っていくということは極めて大切であると思います。これは、都市部におきましては公共下水道、あるいは農村、漁村におきましては集落排水、そしてまたその他の部分につきましては浄化槽、それぞれ特徴、利点がございますので、そういう利点を生かしながらそれぞれで排水処理をきちっとしていくということが重要であると思っております。そういう意味で、環境省のかかわりがございます浄化槽の果たすべき役割、これは大変大きなものがあろうかと思います。
 そしてまた、先ほど、主にアジアを中心とした途上国に対する我が国の水の問題に対する協力ということについて申し上げましたが、浄化槽は日本で技術ができ、発達した分野でございますので、こういう海外における協力におきましても浄化槽等を通じての協力というものができるのではないか、そういう重要性を十分認識しているところであります。
松浪(健太)委員 この合併浄化槽というものは、昨今非常にコストも下がってきて、そして性能も向上してきて、まさに世界にも誇るべきものだと思いますし、現在の日本におきましても、都市部ではやはり下水道というものが有効に働いているわけでありますが、やはり山間地域、そして人口の少ない地域では非常に整備がおくれている。
 また、昨今は、市町村も非常に財政的に困難な状況にありますので、どうか、水質を保全していくということを前面に押し出していただいて、そして、下水道もすばらしい、浄化槽も、このすみ分けというものをしっかりしていただきたいと思うのですが、そのすみ分けについてのお考えを、弘友副大臣にもう一度お願いします。
弘友副大臣 それぞれの、先ほど大臣からお話ありましたように、人口が密集しているようなところは下水道の有利性というのがあると思います。ただ、これはこの間の水フォーラムの中でも出てまいりましたけれども、今、人口が散在するようなところは浄化槽が非常に有効的である。
 今までは、それぞれ話し合いが、先ほどの水基本法じゃございませんけれども、なかなか連携がとれていなかったということで、三省におきまして部長級の会議を開くようになりました。だんだんそういう同じ土俵の上でいろいろと話し合いも、連携が進んでまいりましたけれども、ぜひこれを進めてまいりまして、経済性、効率性、そういうものを勘案しながら、浄化槽というのは性能もよくなりましたので、これは環境省として、特にまた市町村が責任を持って維持管理をしていくというような市町村設置型等を、これは予算的にも大分ふえてまいりましたので、進めてまいりたいというふうに考えております。
松浪(健太)委員 ありがとうございました。また、この浄化槽については、環境省、本当に頑張っていただきたいと思います。
 さて、またちょっと話は国際的な問題に戻りますけれども、せっかく、水問題に関しましては、水フォーラムも開かれ、そして日本も非常に積極的にコミットしていくということが言われております。そして、世界的な水不足に対し、国連の水資源環境報告書は、現状のままでは二〇二五年には世界人口の三分の二に当たる人類が水不足に達すると警告しております。そして、我が国の水問題も、近年、地球環境の異変に見られるように、降水量は年々減少傾向にあったりでありますとか、そして間接水、先ほどの仮想水の輸入の問題もございます。水はこんなに豊かなのに、さらに水資源の半分を海外に依存しているのが実態であります。貧富の差は非常に水におきましても拡大しております。
 世界では、やはり飲み水に困っている方々、こうした方々の衛生などは最優先されるのはもちろんなんですが、地球全体で水循環を推進するという意味から、やはり国内だけではなく世界的にも水循環という概念を我々は広めていかなければならない、共有していかなければならないと思います。
 こうした意味から、やはり地球環境にかかわる水循環条約のようなものを将来的には描いていかなければならない、このように思います。そして、環境省にはこうした問題において国際的リーダーシップを発揮していただきたい、このように考えるわけでありますが、環境大臣の見解をお伺いいたします。
鈴木国務大臣 先ほど御答弁を申し上げましたとおり、水の問題、これはもう人類の存続基盤にかかわる問題であると思っております。そして、これは全世界的な、途上国も先進国も含めた問題であるわけでありますが、とりわけ途上国におきましては、水不足、また水質汚濁の問題等、深刻な問題に直面をしている、そういうふうに思っております。
 先般行われました水フォーラムにおきましても、そうした途上国の自立、自分の努力、それに対しますパートナーシップ、支援、こういうものが大切であるということが議論をされたわけであります。先ほどお話ございました水行動集、取りまとめられたわけでありますが、その中で、環境省からも八つのプロジェクトを提案しているところであります。そのうち、アジア水環境パートナーシップというものをプログラム登録したわけでありますが、これは、アジアにおきます水環境管理に関する経験、知見をデータベース化して、アジア諸国と共有することを目的としたものでございます。
 先生からは、将来、水環境条約のようなものが必要ではないかという御指摘ではございますが、水行動集に盛られたプロジェクト、こうした取り組みを早期に具体化して、まずはアジアの各国に水循環の重要性や水環境管理に関する経験や手法を発信して、各国の水環境保全に貢献をしていく、これが当面の我々の役割である、そのように考えているところであります。
松浪(健太)委員 ありがとうございました。
 まさに世界に貢献する環境省であり、この日本を環境大国にして、そして世界を引っ張っていく、このような姿勢がもう我が国に、そして環境省に求められていると思います。
 これで質問を終わります。ありがとうございました。
松本委員長 小宮山洋子さん。
小宮山委員 参議院に引き続きまして、衆議院でもこの環境委員会に所属をさせていただくことになりましたので、どうぞよろしくお願いいたします。(発言する者あり)ありがとうございます。しっかりやらせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 まず初めに、旧日本軍の毒ガスが原因と見られる健康被害の問題について幾つか伺いたいと思います。
 茨城県神栖町の井戸水から高濃度の砒素が検出され、また神奈川県の寒川町で毒ガスの入った瓶が見つかり、ともに旧日本軍の毒ガスが原因と見られております。この問題について、現在わかっていることを聞かせていただきたいと思います。
南川政府参考人 まず寒川町でございますが、これは昨年の九月末に、さがみ縦貫道の工事現場におきまして、旧日本軍が遺棄したと思われますビール瓶に入ったマスタードガスなどの毒ガスが見つかっておりまして、作業をしていた労働者が数人被災しております。
 これまでに毒ガスが入ったビール瓶は計二十七本ほど見つかっております。また、この工事現場そのものにつきましては国土交通省が管理、調査を行っておりますけれども、道路周辺の民有地につきましても一部マスタードガスが検出されたこともございまして、周辺の住民あるいは労働者に不安が広がっております。
 このため、内閣官房の御指示を受けまして、環境省が中心となってその周辺の環境面からの対応を行うことになっております。具体的に言えば、環境省環境保健部長が議長となりまして、関係各省がメンバー、関係自治体がオブザーバーということで構成をいたしました。
 そして、環境省におきましては早速、四月十日に専門家の検討会を設置いたしまして、現在どのような調査を周辺について行っているのか、そして現地の方々にどういう形で安心していただけるような対応がとれるか、その詳細を検討中でございます。
 それから、茨城県の神栖町でございますが、これにつきましては、本年の四月十六日に茨城県知事から、神栖町における飲用井戸の砒素汚染問題について、旧軍の毒ガスに関係しますジフェニルアルシン化合物が検出されたこと、また、健康被害が生じているということから早急な対応を求める要望があったわけでございます。
 その後、内閣官房から、旧軍との関係が懸念されるということから、環境省が中心になって対応するという御指示がございました。早速、週明けの月曜日、四月二十一日に環境省の担当者及び国立環境研究所の専門家が現地へ出向いております。そして、汚染井戸や周辺環境の状況を確認いたしております。
 現在、茨城県と連絡をとりながら、どのような調査をしていくか、至急対応を詰めているところでございます。
小宮山委員 特に神栖町の方では、井戸の周辺の住民に手の震えなどの症状が出ていたり、乳幼児に言葉や運動の発達におくれが見られるなど障害が出たりしているわけですね。その健康被害について、もう少し詳しくお願いします。
南川政府参考人 茨城県の調査結果であります。
 まず、基準値の四百五十倍の砒素が検出されました井戸でございますが、ここは八戸の戸建て集合住宅ということでございまして、そこがその井戸を使っております。これまでに、平成八年以降でございますが、計三十六名の方が居住をしておられまして、このうち、亡くなった方あるいは消息不明の方を除きました三十二名について健康調査が行われております。
 その三十二名のうち、二十八名の方について神経系の自覚症状が出現しております。現地で神経内科専門医が診察を行ったところ、筋肉の調整がうまくいかないという協調運動障害が十名、平衡感覚がうまく保てないという起立歩行障害が五名、その他、手足の震えなどの神経症状が八名に見られたというところでございます。なお、多くの方については、井戸からの飲用を中止した後に症状の改善が見られております。
 また、御指摘のとおり、五歳以下の二名につきましては、一名の方は妊娠中から母親が井戸水を飲用しておりました。もう一名は出生後入居したものでございますけれども、いずれも発育あるいは言語の障害、おくれが認められたということでございます。
 大変深刻に受け取っております。
小宮山委員 このほかにもいろいろなところで旧日本軍の毒ガスの問題があると思うんですけれども、環境省では今月初旬から全国調査をしていると聞いています。一九七三年にも一度調査をしているということですが、このときには十八カ所に毒ガスが保管されていることがわかっていますけれども、工場跡地の寒川町は含まれているけれども、研究所があった神栖町は確認されていなかったというふうに聞いています。
 今行っている全国調査というのはどういう形でやっているんでしょうか。
南川政府参考人 四十八年に政府で行っております。これは旧軍毒ガスなどの全国調査ということで行いましたが、その際には、終戦時における旧軍毒ガス弾などの保有、廃棄状況、戦後における旧軍毒ガス弾などの発見、被災及び掃海状況についての調査でございます。
 これにつきましては、当時、相当前になりますので、だれがどういうふうに調査したか必ずしも明確な記録はございませんが、私どもとしましては、それにつきまして極力関係省庁から、また都道府県の当時の工場関係者等からの聞き取り、あるいは、必要があれば、当時、在日米軍が相当かかわって廃棄もしておりますので、そういったデータも調べるなどしましてまとめたいと思っています。
 当時のデータ自身は、大久野島の、広島にも相当工場がございましたので、それを契機としまして、全国的に旧軍毒ガスの状況を調べろということで、記録によりますと当時の佐藤総理が指示をされて調査を行ったということでございます。
 それから三十年たっておりますけれども、今回、内閣官房から御指示を受けまして、環境省が中心になって調査をもう一度しろということでございますので、しっかり調査をしたいと考えております。
小宮山委員 大臣に伺いたいと思いますけれども、昨日の神栖町での住民への説明会でも、治療や医療費の補償のことなどの要望が出たというふうに報道されておりますが、やはり健康被害がかなり出ている。これは、環境省が中心になって、ほかの省庁、厚生労働省とか、いろいろな連携が必要だと思いますけれども、ぜひしっかり対応していただきたいと思っています。大臣はどのようにお考えでしょうか。
鈴木国務大臣 小宮山議員が御指摘のこの問題、私も大変に深刻に考えております。
 最近、旧軍の毒ガスにかかわる問題というのが三件出てまいりました。一つは、御指摘の寒川町のさがみ縦貫道、それからもう一つは平塚の合同庁舎の建設現場、そしていま一つが茨城県神栖町の井戸の砒素の汚染であるわけであります。
 この神栖町の井戸の汚染、前の寒川町の工事現場からは、ビール瓶に詰まったびらん剤でありますとか催涙剤でありますとか、その物が出ているわけでありますけれども、この神栖町の井戸の汚染につきましては、そういう現物は出ていないわけであります。しかし、その地の地歴を調べてみますと旧軍の飛行場があったということであったり、また、出てきた毒物を考えますと、これはもう旧軍とのかかわりが極めて濃い、そういうふうに私も思っているところであります。
 そして、その上に、多くの方々が、幼児も含めて健康障害を受けているということでありまして、この問題を極めて深刻に考えております。
 取り組みにつきましては、今、南川部長の方から答弁をさせていただいたところでありますが、これをまずしっかりやっていくために体制をつくらなければいけない、そういうふうに思っています。省内においても体制をしっかり組んでいきたいと思いますし、関係省庁、関係自治体、この協力も不可欠でありますので、それも万全を期すようにお願いをしたいと思います。それから、予算、定員等につきましても、内閣官房あるいは関係省庁と十分に相談してまいりたい、そのように思っております。
小宮山委員 特に健康の問題、お子さんの健康の問題、深刻と思いますので、今、大臣の御決意を伺いましたが、環境省が中心になってぜひしっかりと取り組んでいただきたいというふうに思います。さらに、全国の調査の方も、結果がわかりましたら、いろいろこの委員会でも、健康障害もそうですが、また引き続き聞かせていただきたいと思っています。ぜひしっかりよろしくお願いします。
 次に、地球温暖化防止への取り組みについて何点か伺いたいと思います。
 私どもはというか、世界じゅうの人々が昨年のヨハネスブルグ・サミットでの京都議定書の発効を願っていたわけですけれども、アメリカの態度ですとかあるいはいろいろなことからまだおくれておりまして、そのかぎはロシアの批准がいつになるかということだと思います。
 それで、これについては政府委員からの御答弁ということがあったんですが、先ほどのG8の環境大臣会合でロシアとも直接お話しになっているし、欧州委員会ともロシアへの働きかけについてもお話があったというので、まず大臣から一言いただきたいと思います。
鈴木国務大臣 京都議定書に対します我が国の立場、これは、一つは早期発効、それからもう一つは、将来のグローバルな取り組みへの枠組みづくりである、そういうふうに認識しております。
 御指摘のように、ロシアが批准をいたしますと、いよいよ発効要件を満たして京都議定書も発効するということでありまして、ロシアの国内での批准というものが大変重要であると思っています。
 先般パリに参りましたときにも、ロシアから参りました次官、オソキナさんという次官でありますが、次官とお会いをいたしまして、状況等をお聞きしたところであります。オソキナさんの立場では、これは何とか早く批准をしたいということであるそうでありますが、国内の経済界におきましては、排出権取引をする場合の価格の問題について、そうした経済的効果がどうなのか見きわめなければならないというようなお考えもある、そういうようなことで、なかなか国内の思いが必ずしも批准に向けて一つになっていない、そういうような御説明がございました。
 私からは、しかし、そうであったとしても、これは、温暖化対策に対する取り組みが一日おくれれば、それを取り戻すには二日三日余計にかかってしまうんだ、それから、排出権取引のことを問題にされるにしても、そもそも議定書を批准しなければ排出権取引にかかわることができないので、そういう総合的な、またグローバルな観点からぜひ批准を急いでいただきたいということを強く申し上げてきたところでございます。
 オソキナ次官からは、いろいろな事情はあるけれども、年内の批准に向けて自分としては全力で努力してまいりたい、いろいろな立場はあるけれども自分としては努力してまいりたい、こういうことでありました。
 また、EUの委員会の環境委員長の方ともお会いしましたが、EUといたしましても、ロシアの批准というのは大変重要で、これからも日本と協調してともにロシアに働きかけていきたい、こういうことで意見の一致を見たところであります。
小宮山委員 第一約束期間の日本の削減目標は六%です。でも、基準の九〇年から既にかなりふえてしまっている。そのことを考えますと、実際に、第一約束期間、二〇〇八年から二〇一二年の間に日本が削減しなければならないCO2の量は今どれぐらいになると見ているんでしょうか。
岡澤政府参考人 現在手元に持っている最新のデータというのは二〇〇〇年度なのでちょっと古いんですが、この二〇〇〇年度の温室効果ガスの総排出量は、CO2換算で十三億三千二百万トン、京都議定書の基準年の総排出量と比べて八・〇%の増加となっております。
 御存じのように、京都議定書では、我が国は、第一約束期間において基準年の総排出量から六%削減しなきゃならないということになっていますので、既に八・〇%超えておりますから、合わせて一四・〇%の削減が必要だということになろうと思います。
小宮山委員 昨年三月に地球温暖化対策推進大綱がつくられまして、五月には改正推進法が成立をしていますが、その後、取り組みというのはかなり進捗をしているんでしょうか。
 参議院での審議でも再三申し上げましたけれども、二〇〇二年から二〇〇四年の第一ステップ、その間は、産業界への配慮もあってか、自主的な取り組みということになっているわけですね。これで本当に必要なだけの成果が上がるのか、大変心配をしているんですが、進捗状況はどういうふうになっていますか。
岡澤政府参考人 昨年の三月に温暖化対策推進大綱を策定したわけですけれども、その中で百種類を超える具体的な対策のパッケージを示して、それについて現在着実に取り組みを進めているというところでございます。もちろん、そのパッケージの中身の中には、予算が十分ついているもの、つかないもの、あるいは、基準などのつくりが進んでいるものとかちょっとおくれているものとかと、いろいろございまして、でこぼこはあるかと思いますが、全体としては進捗を進めているというふうに理解しております。
 それから、産業界の自主的取り組みについてでございますが、経団連の自主行動計画で見ますと、二〇〇一年度のCO2排出量は一九九〇年比で三・二%減少というところになっておりまして、経済界の努力というのは、そういう意味では、これだけで見ますと着実に進めてこられているというふうに理解しております。
 ただ、業種別のばらつきだとか、参加企業が必ずしも多くない部分があるとか、あるいは個々の企業の取り組みの透明性などに若干問題があるというようなことも指摘されておりますので、そうしたところの改善は今後とも必要だろうと思います。
 いずれにしても、大綱では、ステップ・バイ・ステップの取り組みということで、今、第一ステップにいるわけですけれども、二〇〇五年からの第二ステップを前に、第一ステップを総括して、進捗状況を踏まえて必要な施策、措置の追加を図るということにしておりますので、必要に応じてそうした対応をとって、着実な達成を確保していきたいというふうに考えております。
小宮山委員 今の御答弁を伺っても、着実にと言われますけれども、なかなか、そこが本当にそうなのかなと思わざるを得ない部分があります。でこぼこがあるとか、改善も必要だということも認めていらっしゃるわけなので、これも昨年、審議の過程で大分議論いたしましたが、ステップ・バイ・ステップ、第一ステップ、第二ステップと区切られていますけれども、その間でも追加的ないろいろな措置はとれるというふうな御答弁をいただいたかと思うんですけれども、改善が必要だとおっしゃったところについては、例えばどんなことをなさっているんですか。
岡澤政府参考人 基本的に、大綱で掲げられた施策については、自主的取り組みを促すというようなことを中心に考えているわけでございまして、例えば税制面、財政面、例えば補助金をつけるとかいう財政面の措置だとかいうようなこと、あるいは普及啓発活動とかいうようなことを中心に第一ステップでは取り組んでいくというふうに考えているわけでございます。
 問題は、そういう税制上の措置が十分できるかとか、あるいは財政的な、予算が確保できるかというようなところに若干でこぼこがございますので、十分確保できているところでは予定どおりの行動ができますけれども、そうでないところは、そういう予算上の制約があって十分に進まないということもあり得るということでございます。
小宮山委員 何かよくわかりませんけれども、とにかく、先ほどの、八%ふえているというのが二〇〇〇年の数字、その次が出てくるときに、さらにふえていてますます達成が困難にならないように、ぜひしっかりやっていただきたいというふうに思っています。
 それで、昨年の大綱の中では、定量的な基準の達成が法的に担保されている政策や措置は二割未満しかないということだと思うんですけれども、その中で、特に日本は、科学的根拠がない森林吸収源に、三・九%、上限いっぱい、かなり多くの部分を頼っているわけですね。
 その実現のためには、可能な限りのいろいろな人手をかけ、手入れをした上で、三・九%はやっと達成できるかという話を専門家の方もされています。審議の過程でも、それではそのための予算を当然おつけになっているんですねと伺ったところ、一年前、昨年、推進法改正の審議の中では、ただいまそれは計算中でございますというお答えでしたが、まさか一年たってまだ計算中ということはないと思いますので、その予算措置や人手の措置など、どのように三・九%達成のために今取り組まれているかを農水省に伺いたいと思います。
辻政府参考人 森林によります二酸化炭素吸収量の三・九%の目標達成を図るために、地球温暖化対策推進大綱に基づきまして、昨年の十二月に地球温暖化防止森林吸収源十カ年対策を策定したところでございます。今後は、これに基づきまして、健全な森林の整備、それから保安林等の適切な管理保全、国民参加の森づくり、木材及び木質バイオマスの利用の推進、こういった点を柱とする取り組みを、環境省等の関係府省と連携を図りつつ、ステップ・バイ・ステップで取り組んでまいる考えでございます。
 この中で、平成十五年度につきましては、平成十四年度の補正予算と合わせますと、平成十四年度当初予算比約一二〇%の五千五百億を確保したところでございまして、森林吸収源対策の第一ステップといたしまして、森林の整備保全の重点的な実施、木質バイオマス施設の整備等、こういうことに取り組んでいるところでございます。
 また、先生からお話がございました労働者の確保でございますけれども、林業労働者の確保につきましては、平成十四年度の補正予算におきまして、緊急雇用対策と連携をしつつ、森林整備の担い手として必要な専門的な技能だとかあるいは技術、こういった習得を図る緑の雇用担い手対策に取り組んでおるところでございまして、この対策の着実な推進によりまして、基幹的な林業就業者として地域への定着を図って、地球温暖化防止を担う森林整備の担い手の確保あるいは育成に努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
小宮山委員 前年に比べて一二〇%というのは、決してそんな多いとは思えないと思います。やはり、これから環境を経済の阻害要因として考えるのではなくて、環境のところで新しく産業を起こして雇用を創出する、環境革命を起こすぐらいでないとだめだというふうにいつも申し上げているところですから、一二〇%で胸を張っていただいては困るので、もうそれは発想を転換して、公共事業をそれこそそういうものに組みかえて、そこに雇用も創出するし、緑を守って、地球環境、子供の未来のためにちゃんと責任を持った形のことをやるべきだと思っています。(発言する者あり)
 与党の方からもそうだと言っていただいたので、ぜひ環境委員会挙げてそういうことをプッシュしていくという態勢をとれればと思いますので、また引き続き、このことは繰り返し繰り返し伺いますので、ぜひ前進を、かなり大幅な前進をしていただきたいと思っています。
 それで、私は、実効性のない数字の積み上げではなくて、本当に実効性を上げるように必死に取り組まないと、地球はどうしようもなくなると思うんですね。そのためには、一つの柱は経済的措置の環境税、もう一つが環境教育だと思っておりまして、そういう政策を党内でもまとめております。
 私どもは、トン当たり三千円の炭素税をかける。ただし、いろいろ経済の状況もありますので、ドイツやイギリスでやっているように、政府と協定を結んで、それを実施したところは大幅にそれを減税していく、努力しないところにはしっかり経済的措置もかける。そのことによって新エネルギー、省エネルギーなどの財源をつくる。それも、政府がおっしゃっている二〇〇五年では、第二ステップでは、ますます効果を上げるためには高い税率をかけなきゃならなくなりますので、二〇〇四年中には導入すべきだということを私たち民主党ではまとめておりますが、政府として、今この環境税についてどういう取り組みをされているのか、弘友副大臣に伺いたいと思います。
弘友副大臣 ただいま小宮山議員から、環境税必要だという力強いお言葉をいただいたんですけれども、環境省といたしましては、先ほど来論議がありますように、温暖化対策のステップ・バイ・ステップのアプローチに沿いまして、二〇〇四年に実施される対策の進捗状況の評価、見直しにおいて、その見直しの際に必要とされた場合には、第二ステップが始まる二〇〇五年以降早期に温暖化対策のための環境税を導入する、こういう方針を決めております。
 現在、二〇〇四年の評価、見直しで必要とされた場合に備えまして、中央環境審議会の専門委員会において具体的な案の検討を進めていただいておりまして、本年の夏ごろまでを目途に取りまとめて、世の中にお示しをさせていただく。これを受けまして、当省といたしましては、国民の皆様や関係方面の御理解をいただけるよう、最大限の努力を傾けてまいりたい。
 早期に必要であるということになりましたら、第二ステップの早期に導入するということでございます。
小宮山委員 それでは遅いのではないかということを申し上げているのであります。
 というのは、効果を上げるためには、やはり税率そのほかで、第一ステップでは先ほどの御答弁を聞いてもそんなに進むとはなかなか私には思えません。そうなりますと、第二ステップから導入をして効果を上げるというと、いきなり高い税率をかけなきゃならないということにもなりますので、これは、もちろん努力をしないところに経済的措置をかけるということに加えて、これがあるということが警告というかそういうことになりまして取り組みが進むということが、必ず効果が上がると思うんですね。私どもは、なるべく早く導入した方がいい。
 その際に、経済界に大きな負担にならないように、自動車税の組みかえとか、私どもはいろいろなことを組み合わせて具体的に提案をしておりますので、ぜひ早急な取り組みができるようにやっていただければというふうに思っております。
 それからもう一つ、環境教育、ライフスタイルをやはり変えていかないといけないということで、今参議院に私どもは法案を提出しておりまして、与党さんの方でもいろいろお取り組みいただいていると思いますので、ぜひこれもいい形で環境教育推進の法律をつくっていきたいと思いますが、その点については、大臣はどのようにお考えになっていますか。
鈴木国務大臣 御指摘のとおりに、温暖化対策を初めとしまして、今日の環境問題、その多くは、ライフスタイルでありますとか通常の事業活動、これに根差している問題であります。
 したがいまして、これは国とか地方自治体の取り組みだけではなしに、企業あるいは民間団体、国民お一人お一人、それぞれのお取り組みが重要でありまして、その基盤となるのが環境教育である、そういうふうに認識をしております。
 私どもといたしましても、民主党におかれまして環境教育振興法案が参議院に提出されておられるということを承知いたしておりますし、また、与党三党におきましても、環境の保全・教育の促進に関するプロジェクトチームが設置されまして、環境保全活動とそのための環境教育促進に関する新たな法律の検討が行われているということでございます。いずれ、これがまとまってまいりますと、また各会派での御協議等もあるのかもしれません。
 いずれにいたしましても、民主党あるいは与党のこうした環境教育を促進するための法律をつくるという動き、これは私ども環境省としても大変に歓迎をしているところで、期待をしているところであります。環境省といたしましても、議員立法でやっていらっしゃるわけでございますけれども、またさまざまな過程で最大限の御協力をさせていただきたいと思っているところであります。
小宮山委員 私の持ち時間があと二分半になりましたので、最後に大臣に御決意をぜひ伺いたいと思います。
 国内の取り組みも第一ステップでもっときちんと成果が上がるようにやっていただきたいということに合わせまして、国際的には、やはり問題のアメリカへの働きかけ、それからこれからの途上国の問題、いろいろあると思います。十一月にはミラノで会合があると聞いておりますが、これがぜひ、COP9だけではなくて、発効して、COP/moP1になるように願っておりますけれども、国際的な取り組みも含めまして、最後に大臣から御決意を伺いたいと思います。
鈴木国務大臣 気候変動問題について、環境税の問題につきましても、こうして向かい合って話しておるわけでありますけれども、しかし、その思いというものは全く共通している、そういうふうに思っているところであります。
 温暖化対策、これは、国内対策と国際的な対策、二つしていかなければいけないと思っております。
 その国際的な対策につきましては、先ほども申し上げましたけれども、早期発効、それから将来に向けたグローバルな取り組みの枠組みづくりである、そういうふうに思っております。これからもかぎを握っておりますロシアに対する働きかけをして、この十二月の会議が発効した後のCOP/moP1としてできることを目指して努力をしたいと思っております。
 それからまた、国内対策につきましては、ステップ・バイ・ステップの取り組み、これを着実に進めてまいりたいと思いますが、その過程におきまして、環境税を初めとする経済的手法、こういうものも、これは新しい税ということでございますから、どんな税であっても、これを導入するというのは、国民の皆さんあるいは経済界の皆さん、これは御理解をいただかなければならないことでございます。
 夏までに具体案を取りまとめてこれをお示しして、そうした御理解が進むような努力も含めて、国内対策もしっかりと進めてまいりたいと考えております。
小宮山委員 初めて質問させていただきましたが、また引き続き、機会を見て、なるべく実りのある議論をしたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 本日はありがとうございました。
松本委員長 小林守君。
小林(守)委員 民主党の小林守です。
 余り時間がございませんので、早速質問に入らせていただきます。
 私、昨年の十二月六日に一般質疑の時間の中で、議員立法で成立しました自然再生推進法に絡みまして、エコフロンティアかさま、茨城県の笠間市の、茨城県が財団法人を設置して建設を進めている茨城県環境保全事業団の廃棄物処理施設の建設問題、これについて、現状について質問させていただきたいと思います。
 その間、いろいろな動きが進んでいるわけでありますけれども、現状では排水作業は引き続き行われているという状況の中で、底固めというんでしょうか、水をとめる工事といいますか、地下水の、湧出の水をとめる工事、セメントをまぜて固めていこうというようなやり方なんだそうですけれども、止水工事と、締め固めというような言い方があるんだそうですが、締め固めの工事が行われているというような状況でありまして、しかし、ポンプによる排水は続いているというような状況であります。
 これらの状況について、この環境事業団の建設事業を監督する立場にある環境省は現状をどう把握し、また、この間、この問題について住民団体の皆さん方が取り組んでおられますけれども、きょう皆さんのお手元に、ふじみの輪という団体の皆さん方がおつくりになっているパンフレットというか資料を配付させていただきました、傍聴にも見えられております。ぜひ、現状について環境省がどう考えておられるのか、なぜこのような問題が地域住民と行政の間に起こってしまっているのかというような問題を、環境省はどうとらえているのかという視点でお聞きしたいと思います。
飯島政府参考人 工事の現状でございますけれども、茨城県から聴取したところ、現在、茨城県環境保全事業団の処分場建設工事におきましては、処分場設置地点の盛り土などの地盤の整備が実施されております。
 住民との合意形成上の問題でございますけれども、県及び茨城県の事業団では、平成十二年から、住民の説明会を開催し、住民相談室を設置し、また基本計画案の説明や意見交換、生活環境影響調査結果の配付、説明、意見募集、あるいは意見への回答を行うなどの対応を行ってきております。
 一方、地域住民の方々を含む三百十八名の方が、茨城県環境保全事業団に対しまして建設工事差しとめ仮処分訴訟を起こしていることも承知しております。争点につきましては、処分場の立地地点にたまりました水の保全、あるいは湧水の存在、処分場の安全性、こういった問題などを争点として訴訟が起こっていると承知しております。
 茨城県、事業団では、ただいま申し上げましたように、これまで処分場の必要性、安全性等につきるる地元説明を行ってきていると承知しておりますが、処分場の建設に対して反対される一部住民の御意見が結果として訴訟になったというふうに認識しております。
 訴訟自体に対するコメントは差し控えさせていただきますが、いずれにしても、茨城県及び事業団において、反対されている住民の方々の理解も得られるよう努めていただきたいというふうに思っております。
    〔委員長退席、近藤(昭)委員長代理着席〕
小林(守)委員 今の問題の把握だと、私も項目的にはそのとおりだと思うんですが、今の説明の中にありました、湧水の存在が争われているというようなことなんですけれども、住民のずっと最初からの運動としては、あれは湧水だ、湧水が原因になって、もちろん雨水とか何かも入っているのはありますけれども、湧水があってああいう湖ができたんだ、採石場の跡地にそういう形で湧水の湖ができたんだという考え方が基本にあると思うんです。
 ところが、県や事業団の方の説明では、あれは湧水ではなくてたまり水なんだというような、雨水を集めたたまり水ですね、それが基本であって湧水ではないという立場に立って、ですから、排水をして、この採石した後の状態に最終処分場をつくるには最適のところであるというような説明をされてきたんだと思うんですね。その辺に出発点からの認識の根本的な違いがある、このように言えると思います。
 その湧水湖がすばらしい自然再生力を果たして、レッドデータブックに載るような希少種まで、トンボや、ランとかそういう植物も含めて、大変な希少種まで生息できるような環境をつくってくれているわけですけれども、そういうことの背景に、すばらしい湧水があるというのが前提なんですね。
 そして、事業団の方の進めてきた生活環境影響調査、この辺についても、立派な学者が影響調査をしたものが出されていますけれども、基本的には湧水ではないというような前提に立った調査なんですね。そういうことになると、根本的なところでの認識の違いが住民と行政との大きな溝をつくってしまっているというようなことになってくるんではないかなと思うんですね。
 住民の合意形成という視点からいっても、いわゆる科学的知見に基づいた情報、基本認識、それが共有されなければ問題の解決にはなっていかない、このように思うわけでありまして、そういう点で、最も大事なことは、やはり地下水の湧出なのか、雨水のたまり水なのかということの根本的な違いで、今もなおかつ排出をしているという状況からするならば、間違いなく地下水がわき出ているというふうに言えると思うんですよ。
 しかし、それを認めないというようなことなんですが、一日の地下水の排出量は、湧出量と言ってもいいと思うんですよ、わき出す水の量だと言っていいと思うんですよね。もちろん、雨が降ったすぐ後とか、それから日照りの続いた後においては、量の違いは当然あると思うんですが、そこが空になった状態でも、毎日四インチのポンプで排水をしているということを考えるならば、間違いなくこれは湧出の量があるはずでありますから、少なくとも工事を担当されている事業団は、これから施設をつくっていく上でも、地下水の排出ということは大きな構造上の課題になっているわけでありますし、この構造にはそれがちゃんと設置されているんですよね、ですから、地下水の量がわからないはずがないと思うんです。
 私どもも、何度もこれは出してほしい、教えてほしいというようにお願いしているんですが、これはわからないというか、出ない。出てこないんですよね。なぜなのかということについて非常に疑問に思いますし、また、本当に科学的知見の前提が共有されないではないかというようなこともありまして、遺憾な思いできょう臨んでいるわけなんですが、なぜこれが出せないのか、出ないのか。環境省の御見解をいただきたいと思います。
    〔近藤(昭)委員長代理退席、委員長着席〕
飯島政府参考人 今先生御指摘ございました湧水の存在についての論点がございまして、確かに、生活環境影響調査の段階におきましても、先生が御指摘になったように、湧水の存在は考えにくいという判断だったわけですが、水を抜いた後に実施しました岩盤の調査におきましても、大量の湧水の存在は確認されませんでした。また、周辺地下水のモニタリング調査結果を見ましても、湖水と地下水の水位に相関が見られないということから、この湖水の起源は、降雨及びそのしみ出しと考えるのが最も妥当ではないかというのが現在の環境保全委員会の結論でございます。
 先生御指摘ございました情報公開の話でございますけれども、この建設工事に関しては、茨城県及び事業主体となる茨城県環境保全事業団の判断と責任のもとに情報公開が行われるべきものというふうに環境省としても思っております。
 公共関与による産廃処理施設の整備につきましては、行政機関として説明責任を果たしながら、透明性を保ちつつ事業を進めていくことが基本と考えておりますので、地域の関心が高い今のような事柄につきましては、十分な情報公開が求められるべきと思っております。
 この問題につきましては、現在、県の関与のもとで環境保全事業団が降水量、流出量を調査しまして、処分場設置地点にたまりました水の水抜き中及び水抜き後におきましても、降水量や水のしみ出し量など必要なデータを現在蓄積していると聞いておりまして、このデータを解析中でございます。これがまとまった段階で解析結果の公表がなされるものというふうに考えております。
小林(守)委員 これは随分前からの話ですよね。その結果、データの、今こういうことをやっているということをきょう初めて我々に知らされたというか、これはそのうち出すということなんですか。
 今、毎日このくらいの量でくみ出しています。それから、いわゆる湿地保全という形で、井戸を掘って、湿地ができているところに水を送り込んでいますよね。そこがもちろんあふれるでしょうから、その水と、くみ出した湧出している水の量が涸沼川に排水されている量なんじゃないですか。こういう安定した天候の中で、大体このくらいの水が毎日涸沼川に排出されている。それじゃ、これだけくみ上げているんですということになるんじゃないですか。
 両方の、井戸の、あるいは湧出を集めてくみ出す方のポンプの能力というか量は、これはカウントできないはずがないんですよね。その解析とか何かというのは当然時間はかかるとは思いますが、現在こういう状態でこれだけの量が出ていますという事実ぐらいはなぜ出せないのか。極めてこれは不審に思うのです。今のお話ではちょっと納得できないんですよね。自分たちの都合のいいような解析が出るまでは出せませんということにだってなるわけですけれども、どうも納得できない。
 環境省は、どうなんだ、解析の前の基礎データでいいから出せと。その解析したデータについて、例えば学者の先生方がどう分析するか、それは立場によって多少変わる取り扱いだってあり得るんだと思うんですよ。少なくとも、現在の段階でこれだけの量が出ているということのデータを、少なくとも、それを不審に思っている、あれは湧水があるんだという前提に立って本当にこれでいいのかというような疑問を持っている皆さん方に対して、やはり説明責任があるんだと思うんですよ。
 それを果たさずに、これはもう正しいんだ、問題がないんだというような形で進めていくという点では、環境行政の上から、住民の合意形成の上から極めて不十分な対応だというふうに言わざるを得ないんですけれども、今出せないんですか。
飯島政府参考人 先ほど申し上げましたように、行政機関の説明責任を果たすという意味からは、必要な情報、特に地元の関心が高い情報については十分な公開をすべきであると私ども思っております。
 先生きょう初めてお聞きになったというお話でございました。私どもも、先生から質問通告がございまして、県を通じて尋ねたところ、そういうデータを今蓄積しているという話でございますので、先生の御趣旨も踏まえまして、私どもも、県に対して、なぜ出せないのか、その情報はできるだけ公開するように、こういった形で指導していきたいと思っております。
小林(守)委員 どんどん事業は進んでいるんですよね。どんどん事業を進めていながら、しばらく待ってくれ、データ集積中ですという話はないですよね。ちょっと納得できないですよね。
 なぜ出せないのか。今やっている状況について、解析の結果も含めて後から出しますという話じゃなくて、今これだけのデータがありますということをなぜデータとして共有できないかということですよね。納得できません。
飯島政府参考人 ただいま御説明申し上げたとおりでございまして、先生の趣旨を体しまして、茨城県を通じまして、今まで蓄積してきたデータを出すように指導していきたいと思います。
小林(守)委員 この問題の根本にかかわるところ、出発点にかかわるところの認識の違いがこういう問題を生んでしまっているわけですよ。福田地区という住民の自治会が割れるような騒ぎになってしまうわけですよね。コミュニティーが完全に崩壊するような状態にまでなってしまっているわけですよ。
 その大きな原因は、出発点の問題として、それは湧水なのか、たまり水なのかというところから始まるんだと思うんですよ。この基本的なことについて、なおかつ、現在水をくみ出している、その事業を請け負った業者がポンプでやっているわけですよ。これでそのデータが出ないという話はない。
 当然、事業団は、今後あそこに最終処分場をつくるにしても、その構造の中には、地下水をきちっと集めて排水して涸沼川の方に持っていくパイプというんですか、地下水の集水ラインというんですか、これはいわゆる埋立処分場の下に、遮水シートの下にちゃんとつくるわけですよ。そうすると、そのキャパシティーをどのくらいにしたらいいかということの基礎的なデータにならなきゃならないはずですから、当然調べなかったら、出ないはずはないんですよ、解析を待つまでもない。
 解析を待つまでもなく、そのデータは出るんですよ、また出なくちゃならないんですよね。それを出さないというところに、私は住民の、最終処分場をつくっていく、このエコフロンティアかさまを進めている行政に対する不信、これを生み出す大きな原因だというふうに思うんです。
 そういう点からも、これはもうちょっと待ってくれという話じゃない、出せないはずがないんだから。データがないというのもうそです。ないはずがないんだから、なぜ出せないのかということをもう一回。今すぐそれを出してもらいたい。納得できません、そんなのは。
飯島政府参考人 小林先生の今の御質問の御趣旨、よく私ども理解しておりますが、先ほど申し上げましたように、今回の質問の御通告を受けまして調べた結果が先ほどの御答弁でございまして、今の先生のお話を受けまして、早速、県を通じまして、そのデータの情報公開について指導をしていきたいと思います。
小林(守)委員 私が今回また質問するからそれで早速聞いたという話じゃなくて、これは去年の十二月にやっているんですよ。そのときからこの問題を私は指摘しておりますよ。
 それで、しかも、我々の議員の集まりの研究会の中でも、このデータについてどうなっているんだと。それにかかわっているある地元の技術者の話では、一日当たり、晴天の日だったら五百トン、四、五百トンの水が排出されていますよと。一秒間に直すと大体五リッターぐらいの水が、天気のいい、雨が降っていなくても一秒間に五リッター、大体そのくらいの水が排出されているということなんです。
 そうすると、地下水の湧出がそのくらいあるということなんですよ。その量が地下水として出ているところに廃棄物処分場を設置することはいかがなものか、それでも十分供用できるものなのかどうかの判断なんだというふうに思うんですよ。どんなところだって、それはわき水なり地下水なり、水は出てくると思います、あると思いますよ。しかし、例えば一日に四百トンや五百トンの水が、雨が降った後じゃなくても常時出ているというところに処分場をつくるということの安全性とか適地性とか、そういうことが問われるんじゃないでしょうか。
 その前提になっている数字が出せないということ。しかも、生活環境調査が、その水は影響がないというか、わき水じゃないんだというような前提でつくられているということ。全然問題にならないですよね。その基本的なデータが共有されない限りこの問題は解決しない、このように思うんですが。なぜ出せないのか。私から聞かれたからすぐに出すように指導しますみたいな話じゃ、怠慢と言わざるを得ない。
 この問題について、環境保全事業団の設置を認可した環境大臣の責任が問われる。監督命令の責任があるんですよ。廃棄物処理法の十五条の十四を見ていただければわかるように、そういう事業団の設置について、建設について、管理運営について監督し、まずいところは命令して直させる、そういう責任があります、法律に定まっています。そのかわり、公共関与をしっかりとやるために、そのために補助金を出したり、起債の無利子の融資をするとか、起債の許可をするとか、そういう優遇措置をするわけですよね。
 そのために環境保全事業団という財団法人を県はつくって、公共関与で、公共の持っている信頼を背景にして、難しい最終処分場をつくろうというふうに進めてきたわけなんじゃないですか。その難しい住民の合意形成の柱と言えるこのデータが今になっても出てこないということについては納得できませんよ。
 きょうも地元から来られていますが、私は、いろいろあったとしても、基本的に、そういう行政に対する信頼、これが失われてしまっているということなんだと思うんですよ。その柱が、要は、くみ上げているポンプの水の量、これを共有できるかどうかの話なんですよね。共通理解できるかどうかの話。これをやってくれないというところに決定的な、私は、廃棄物行政で環境省が、どうしてもこれは何とか処分場をつくらなきゃならぬというような考え方のもとに公共関与でつくろうという形で進めてきている、それは十分理解できる。しかし、なぜ公共関与でなければできなくなってしまったのかという背景を考えていくならば、住民との信頼関係をつくっていくことがまず大事なんだというふうに思うんですよ。
 その信頼関係の基礎となるべき、科学的知見の基礎になるべき、一日どれだけ水が出ているのだから、これを共通に理解できないということであってはどうにもならぬというふうに思うんです。そういうことで、大臣、どうするのか。これはちょっと待ってくれという話にはならない。今すぐ出せという命令をかけるべきだと思うんですよ。
鈴木国務大臣 廃棄物行政を考えるときに、これは必要な最終処分場をつくっていかなければいけないということでございますが、そのためにも、住民の皆様方の十分な御納得、御理解を得るということが極めて大切なことである、そこを無理すると今後の最終処分場の整備というものも進んでいかない、そういうふうに考えるわけでありまして、住民の皆さんの御理解をいただく、御納得をいただく努力をするということを、極めて大切なことであると思っております。
 ただ、私、十分理解をしておりませんが、今小林先生と飯島部長のやりとりを聞きながら、今の先生が御指摘になられていますデータにつきましては、これは事業団において持っているデータである。環境省が持っているデータではないわけでございますので、部長の答弁のように、これは茨城県を通じて、このデータを出すようにという指導をしっかりしたいと思っております。
小林(守)委員 指導じゃなくて監督命令なんですよ。それだけ公共関与を、環境大臣が認定している団体なんですから。だから、指導じゃ困るんですよね。言うことを聞けないんだったら事業団としての認定は撤回しなきゃならぬというぐらいの権限があるんですよ。補助金はもちろん出せませんよ、無利子の融資もだめですよと。少なくともこれをきちっとやってもらわなければ困る。
 なぜかというと、私も、その根拠というか、廃棄物の減量その他その適正な処理に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための基本的な方針、平成十三年の五月七日、環境省で出している告示でしょうか。この中に「地域住民に対する情報公開の促進」という項目がありまして、立派なことが書いてあるんですよ、読みませんけれども。こんな情報はきちっと出すのが当たり前、書いてあるんですよ、ここに、この環境省の告示の中に。平成十三年五月七日の、廃棄物の減量その他その適正な処理に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための基本的な方針という、この文書の中にきちっとそれが書いてあるんです。それが守られていない。
 委員長、即出せという形で取り仕切ってもらいたいんですけれども、いかがですか。
松本委員長 後ほど理事会で協議をいたします。
小林(守)委員 そういうことで、ぜひ。
 時間があと半分ぐらいは残っているはずなんですけれども、何かこういうことで時間がなくなってしまいましたが、もう一つ、住民との合意の中で問題を指摘しておきたいのは、これは笠間市と住民との間で、福田地区の住民百五十六世帯に対して、了解してくれるならばということなんでしょうね、協力してくれるならば、地域振興交付金という形で覚書を交わして、最初、一世帯十万円交付しますということが約束されていました。そのままずっと来たわけですけれども、ここへ来て、ことしの二月の十二日に福田地区の区長会議が笠間市役所で招集されまして、今度は、環境保全事業団もそれと同じ額を乗っけましょう、百五十六世帯の一世帯ごとに、今度は環境事業団も十万乗っけますよと。
 ですから、笠間市と環境保全事業団で十万、十万で、一世帯二十万を交付しましょう、地域振興交付金です、使い方は何でもいいです、交付する側の裁量はないんですね、どうぞ地域振興のために使ってくださいという形で、一世帯平均二十万の積算で、自治会、その行政区に、区長さんあてに配られることになるんですが、合意が形成されていない中で、賛成して協力してくれるならば二十万ずつやりますよという話なんですよ、はっきり言って。こんなことが、合意形成を図っていかなきゃならない環境行政、廃棄物処理施設の行政の中で行われている。いかにもこれは情けない話じゃないですか。
 住民が全部合意して、こう行こうという形になって、まあしかし、そうはいっても、この経過の中で、コミュニティーが壊れてしまったとかいろいろなトラブルがあって、ぎくしゃくしてしまった。もう一回コミュニティーをつくり直そうじゃないかという形で、何らかの事業を起こすとか、そういうものに助成をしましょうとかいうんだったら、話はわかる。だけれども、一世帯ごとに二十万出しますよという話ですからね。これは反対派に対する猛烈な切り崩しというか妨害活動というか、そういうことに作用するわけですよね。大変失礼な、なめた話だと思うんですよ。
 こんなことで住民の合意形成ができるのかということを私は環境保全事業団に強く申し上げたいし、もちろん現在も、五つの区長さんがいて、五つの行政区があるんですが、それぞれの区長さん、賛成、反対の住民を抱えている。それで、覚書のサインはしていません、もらっていませんけれども、そういう状態の中であれを出されたということは、いかにも情けないな、このように思う。
 そういう環境事業団に対して、補助金を出しましょう、無利子融資をしましょう、これを環境省が進めるわけですよ。これは事業団がやっていることで私は知りませんという話にはならない。監督命令の責任があるわけだから、しっかりそれを果たしていただきたいということを最後につけ加えさせていただきます。
 沖縄の干潟の問題、あるいは泡瀬干潟、あるいは普天間飛行場の代替基地の施設に絡むジュゴンの保護の問題、聞きたいことはたくさんあったし、大臣の答弁にも期待しているところもあったんですけれども、残念ながらちょっとこれだけになってしまいましたので、きょうは、またの機会を利用してそちらは質問させていただきますので、委員長、ぜひよろしくお願いしたいと思うんです。
松本委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午前十一時十二分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時三十八分開議
松本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。高橋嘉信君。
高橋(嘉)委員 自由党の高橋嘉信でございます。
 世界では、人口の三分の一が水不足に陥っておりまして、十二億の人たちが安全な水を飲めず、さらに、年間何百万もの人間が水に関連した病気で命を落としていると言われております。人類が使える水も地球上のわずか〇・〇一%に満たないとされている中、水質の汚染と浪費はどんどん進んでおり、将来における深刻な水不足の問題が指摘されております。
 この点を踏まえての環境省としての御見解と、環境省の水質汚染対策は十分なものとお考えかどうか、あわせて大臣から御見解を賜りたいと思います。
鈴木国務大臣 水問題に対する深刻な今の状況、水問題がまさに人類の存立基盤にかかわる重要な問題という御指摘は、私ども環境省としてもまさに同じ思いをしているわけであります。これは端的に言いますと、途上国におきまして、水不足そして水質汚濁といった課題があるわけでありますが、これは途上国のみならず、先進国におきましても水道の漏水あるいはさまざまなそれに起因する問題がありまして、これは全世界的な課題である、そういう認識でございます。
 それから、もう一つのお尋ねでございます、環境省におけます水質汚濁の対策ということでございますが、これにつきましては、まず水質汚濁対策の目標としまして環境基準というものを設定いたしておりまして、その達成に向けて、水質汚濁防止法等に基づきます工場、事業場からの排水規制の実施、また生活排水対策の推進を図っております。いわば、これがベーシックな一番基本となる取り組みでございまして、その中におきまして、有機汚濁の度合いを示す指標でありますCOD、これにつきましては、河川においては着実に改善されておりますが、特に湖沼、内湾等の閉鎖性水域における水質改善効果がはかばかしくないということがございまして、そうしたベーシックな取り組みの上乗せというものがあるわけであります。
 そのため、こうした有機汚濁が進行しやすい閉鎖性海域及び湖沼につきましては、全国一律の対策に加えまして、水質汚濁防止法に基づく窒素及び燐に係る排水規制というものを実施しているところであります。
 さらに、閉鎖性海域のうち、海域を区切りまして、東京湾、伊勢湾及び瀬戸内海につきましては、水質汚濁防止法等に基づきます総量規制を実施いたしております。平成十六年度を目標年度といたします第五次総量規制におきまして、これまでのCODに加えて新たに窒素及び燐を対象として、総合的な汚濁負荷削減対策を推進しているところであります。
 今は海の話でございますが、さらに湖沼につきまして、特に、水質汚濁防止法の規制のみでは水質保全が十分でない、これは琵琶湖等十の湖沼を指定しているわけでありますけれども、湖沼水質保全特別措置法に基づきまして湖沼水質保全計画を策定して、新たにつくられる工場、また増設される工場、事業場に対する排水規制の措置を実施するとともに、浄化槽や下水道の整備等を計画的に実施をしているところでございます。
高橋(嘉)委員 環境基本法に基づいて、河川、湖沼、海域等、各公共用水域の水質環境基準が決められております。環境基準には、人の健康保護に関する項目、生活環境項目等が定められ、地下水については、九七年に健康項目の規定がされているはずであります。
 そこで、まず公共用水域についてお伺いをいたします。
 健康項目については直ちに達成されてしかるべきものであると私は考えますが、どのようになっているか。環境省では健康項目の達成状況は十三年度で九九・四%と発表していますが、十二年度の基準超過地の四十七地点、十三年度の三十四地点に対して対策はどのようにとられたのか。この点をお伺いしたいと思います。
吉田政府参考人 お答えいたします。
 今先生御指摘のように、平成十三年度の公共用水域の測定結果は、有害物質につきましては、全国で申し上げますと達成率が九九・四%でございます。その中で、環境基準の超過項目として多く挙がっておりますのが砒素でございます。これは、実は私ども前々から調査を進めてまいっておりますけれども、基本的に申し上げますと、大部分が自然的な要因でございます。
 したがって、対策として今の水質汚濁防止法の枠組みの中で規制をするというのは難しい面もございますけれども、常にその状況を的確に把握するということがまず第一だということで、継続的に調査を進めております。
 ただ、残念ながら、砒素については超過率が毎年若干出ているという状況にございます。
高橋(嘉)委員 いずれ、健康項目という項目なわけですから、調査してこういうことが出ている、それを気をつけていきたいだけではなくて、しっかりと対策をとるために生活環境項目と健康項目とに分けているんじゃないですか。
吉田政府参考人 御指摘のとおりでございます。
 ただ、先ほど申し上げましたように、自然的な要因でやむを得ず公共用水域で検出されるものについては、人為的な対策ということもままならない状況にございます。そういう意味で、ウオッチ、モニタリングだけは十分慎重に行い、そして利水に支障が生じないように、私ども啓蒙等を通じて努力をしてまいっております。
高橋(嘉)委員 砒素だけじゃなくあるはずなんですが、それは承知しているんです。つまり、ほとんどウオッチしているということですね。
 では、次にお伺いしたいんですが、水の分野において環境省が管轄する範囲はどこまでか。地下水、河川、湖沼、海域という御説明はいただいたんですが、地下水の場合、つまり蛇口から出る水、飲料水以外はどうか。井戸水はどうか。また湧水、温泉水はどうか。さらにはまた、河川もやっているということですが農業用水路はどうか。その点のところを御説明いただきたいんですが。
吉田政府参考人 私ども、環境行政におきまして、保全をするべき対象として概念しております水域といいますのは、いわゆる公共用水域でございます。もちろん河川もそうでございますし、それから海域も湖沼もそうでございます。ただ、一部、下水道の管路というものは除外されております。先生今御指摘の農業用水路についても、公共用水域という概念に含まれるものでございます。
高橋(嘉)委員 水質汚濁防止法第二条では、「「公共用水域」とは、河川、湖沼、港湾、沿岸海域その他公共の用に供される水域及びこれに接続する公共溝渠、かんがい用水路その他公共の用に供される水路」とありますが、農業用水路についての調査結果は環境省にはあるんですか。
弘友副大臣 公共用水域は農業用水路も当然含んでいるわけです。
 水質汚濁防止法に基づきまして、一級河川については国、それからその他につきましては都道府県が水質汚濁の状況を監視する、測定するということになっております。
 ただ、農業用水路につきましては、農林水産省等の関係機関によって相当の地点で測定が実施されておる。その資料は、当然連携をとりながら測定結果を活用しているというところでございます。
高橋(嘉)委員 水質汚濁防止法第三条では、「排水基準は、排出水の汚染状態について、環境省令で定める。」とあります。
 環境省では農林省がやっているだろうという話で、実際に環境省では農業用水路についてはチェックしていないんですか。一級河川、二級河川についてはしているようですけれども、しているのかしていないのかということであります。
吉田政府参考人 御指摘の水質汚濁防止法三条に基づきます排出水の規制につきましては、政令で定めます特定施設を有する特定の事業場、そこから出てくる排出水についての規制がかけられる、そういう仕組みになっております。
 今副大臣からも御答弁を賜りましたけれども、公共用水域の測定という義務につきましては、同じく水質汚濁防止法の第十五条に規定がなされております。これに基づきまして、都道府県が毎年、当該所管区域における公共用水域の測定計画を定めて実施をすることにしております。
高橋(嘉)委員 公共用水域の話はわかっています。
 川だって農業用水路だって、すごいでかい、川以上に広いような農業用水路もあるのは御存じでしょう。つまり、農業用水路については環境省としてチェックしていないのですか。対象区域には入っているんですが、しているのかしていないのかだけ僕は聞いているだけですから。
弘友副大臣 現在は、農業用水路の近傍につきましては測定をしておる、農業用水路そのものにつきましては農林水産省がやっておる、その資料は環境省の方で連携をとりながら把握させていただいている、こういうことです。
高橋(嘉)委員 僕も時間がないのであれなんですが、例えば、国交省でも河川についてはやっている。そして、河川についてもすべて環境省もやっているじゃないですか。だから、農業用水路に関しては農水省だという話をしているんじゃなくて、農業用水路については、では環境省はしていなかったのかどうか、するつもりはないのか。
 さっき言ったように、第二条では公共用水域の対象区域に入っているではないですか。それについて、やっていなかったならやっていなかった、今後改めるという話ならわかりますけれども、今の議論の中で必要性がないという話でピリオドになるのでは、納得できない話になるわけですので、そこのところを前向きな答弁を願います。
弘友副大臣 測定が全然なされていないということではございませんで、農林水産省が現実に測定をされておる、その資料は当然連携をとりながらいただいているということでございます。
 二重にといいますか、環境省がやれということであれば、また検討もさせていただきたいというふうに思います。
高橋(嘉)委員 いやいや、河川については、公共用水域についてはやっているんでしょう。そして、汚濁防止法の第二条の公共用水域の範囲には、かんがい用水路と入っている、さっきもお話ししたじゃないですか。だったら当然、しかも、でかい川みたいな用水路もあるわけですから、して当たり前であろうと思うし、そこの中で、今度農林省との連携の中でやっていくべき問題であろうし、それが本当の環境行政ではないんですかという意味を言っているんですよ。ですから、そこは大臣、どうでしょうか。
鈴木国務大臣 農業用水路において、私も十分承知しているわけではございませんけれども、農林水産省の方でやっているということでございますが、どういう経過でそういうことになったのか、一度調べさせていただきたいと思います。そして、環境省としても、やはりやるべき課題、やらなければならないことがあれば、その方向で検討させていただきたいと思います。
高橋(嘉)委員 では、温泉も対象ですよね、温泉水についてお伺いします。
 我が国の温泉水、飲用として許可しているところが数多くあります。私もしょっちゅう温泉に行ったときは飲みますが、過般、ある報道において、国内の温泉水に含まれる砒素の毒性は高いものがある、危険であるとの指摘がなされましたが、この点についての御見解をお伺いいたします。簡潔にお願いします。
望月大臣政務官 飲泉につきましては、薬効を期待して医師の指導のもとに一定量飲むことでございまして、その前提で現行の飲用基準が定められております。
 今お話がございましたけれども、水道水の場合なんですけれども、水質基準というのは、生涯にわたって毎日飲む、そういうことで人の健康に影響を生じない、そういうことで決まっておりますけれども、これは若干、飲泉の場合には異なりまして、湯治等により短期間に最大限摂取したとしても健康影響が生じない、そういうようなことで、一日の砒素の総摂取量が〇・三ミリグラムを超えないことということで基準を設定してあります。
 簡単に言いますと、諸外国の場合とまた日本の場合とあるんですけれども、諸外国の場合には、水浴する、温泉へ行くというのは比較的世界じゃないということで、飲む、薬効というようなことで使っているものですから、若干低いところもあるようでございますけれども、日本の場合には、大体行っても一カ月あるいはまた何日かの間で一リットル飲んで大丈夫というようなくらいの、そういう基準で決まっておるのが現状でございます。
高橋(嘉)委員 温泉法に基づく基準では〇・三ミリグラムです。ただ、ここは、幾らの量に対しての〇・三ミリグラムだ、こういうのがありません。ですから、一日一千ミリリットルまでと括弧して書いていますよね。ただし、一回の量は百ミリないし二百ミリリットル。
 大体、温泉水千ミリリットルを一日で飲む人というのはそういると思わないんですが、僕はほとんどいないんじゃないかと思いますけれども、これは、例えば百ミリリットルの、あるいは二百ミリリットルでもいいです、二百ミリリットルの中での〇・三ミリグラムという範囲での考えなのか、一千ミリリットルの中での〇・三ミリグラムまでという範囲なのか。では、これはどうですか。
望月大臣政務官 これは、総量で一リットルということで、〇・三ミリということでございます。(高橋(嘉)委員「つまり千ミリリットルですか」と呼ぶ)そうです。千ミリリットルです。
高橋(嘉)委員 千ミリリットルですね。間違いないですか。
望月大臣政務官 要するに、千ミリリットルを最大限飲んだとして、〇・三ミリグラムですか、ということでの基準でございます。
高橋(嘉)委員 いずれにせよ、この基準は昭和五十年か何かの基準のはずですので、水道水がもっとずっと低い値になっているわけですから、もうちょっとこの辺、考えてみた方がいいんじゃないかなと僕は、しかも、しっかりとした注意事項を掲げていない場合もありますから、もう一度検討すべき課題であるということを申し上げておきたいと思います。
 では次に、地下水についてお伺いします。
 十三年度の全国地下水の水質調査によると、四千七百二十二本の調査対象井戸の七・二%に当たる三百四十一本において環境基準を超過していたとされ、中でも、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素が最も高い、五・八%という報告がされています。さらに近年、トリクロロエチレンやテトラクロロエチレンによる地下水の汚染が大きな問題となっておりますが、この地下水汚染に対する見解はどのようにお持ちでしょうか。
鈴木国務大臣 先ほど、河川、湖沼、湖における環境基準のお話をさせていただきましたが、地下水につきましてもカドミウム等二十六の環境基準を設定しておりまして、都道府県あるいは国の地方行政機関等がこの地下水質の常時監視を行っているところでございます。
 一方におきまして、地下水質を保全する対策として、水質汚濁防止法に基づきまして、有害物質を含む水の地下浸透が禁止をされております。そして、汚染された地下水につきましては、都道府県が汚染の原因者に対しまして浄化の措置命令を発することができる仕組みとなっております。
 先生から御指摘ございました硝酸性窒素による地下水汚染の防止対策でございますけれども、これにつきましては、これが肥料に使われているということでございまして、農林水産省と協力をいたしまして土壌管理指針というものを作成いたしまして、農地における肥料の使用の適正化、これを推進しているところであります。
高橋(嘉)委員 時間がないので。
 では、ほかに移ります。
 水質汚濁防止法に基づく規制や、下水道の農村集落排水等の排水処理施設の整備が進められていることは承知しております。中山間地や山間部に見られるように、農村地帯の整備率が極めて低い状況にあります。これを補完するのは、何といっても合併浄化槽である、これによるところが大きいと私は思っておりますが、今なお、十三年度末で普及率七・六%という現状をお聞きしております。
 今後の見通しと、合併浄化槽の排水基準は十分なものであるかどうか、あわせて御説明をいただきます。
弘友副大臣 今御指摘の中山間地におきまして浄化槽の有効性というのは非常にあるということでございまして、それに基づきまして、今までは、農村、中山間地では農業集落排水事業等と一緒になってやっておりましたけれども、午前中も御答弁させていただきましたが、浄化槽法では整備計画というのはなかなか立てられない法的なものになっておりますので、やはり整備計画等も立てられるような浄化槽法の改正もしていかなければならないんじゃないかなというふうに考えております。
 そしてまた、管理についても、市町村設置型の、市町村が維持管理に責任を持っていくというふうなものに今回力を入れて、予算も三・五倍になっておりますので、そういうものを進めてまいりたいというふうに考えております。
高橋(嘉)委員 浄化槽法の改正は必要なところがあると思います。
 それと、例えば農林省の集落排水との連携とか、公共下水道、流域下水道の国交省関係の連携は進んでいるんですか、なされているんですか。
弘友副大臣 ここ最近では、農水省そしてまた下水道の国交省との連携は、三省連絡会議等を持ちまして、大分進んできたというふうに考えております。
高橋(嘉)委員 それでは、時間もありませんのでほかに行きますが、地下水については、例えば水利権がはっきりしていないとか、渇水時もどんどん農業用あるいは産業用としてくみ上げるとか、いろいろなそういう問題もありますね。また、水のない川が最近多く見られます。
 水と環境とは切り離せない問題だと思いますし、各省が個別に対応するこの水行政の実態を根本的に改めるべきではないか、私はかように考えますが、大臣の御見解はいかがですか。
鈴木国務大臣 水に関しましては、これは利水、治水、あるいは環境省が担当しております水質保全、さまざまな問題が多岐にわたっておりまして、先生御指摘のとおり、行政の対応というものも個別になっております。法制度もまたさまざまある、こういうことでございます。
 それで、環境省としましては、これまで水質汚濁の防止を中心にやってまいりましたけれども、今後は、水質、水量、それから水生生物等を総合的にとらえたより幅広い観点から取り組んでいく必要がある、そのように認識をしております。
 それを進めるためには、関係各省との連携というものが不可欠でございまして、平成十年八月から、関係五省庁、これは厚生労働省、農林水産省、経産省、国交省、環境省によります連絡会議というものを設けているわけであります。環境省といたしまして、今後とも、こうした各省庁との連携のもとに、環境保全上、健全な水循環を確保するために必要な施策について、果たして現在の制度体系で十分なのかどうか、こういう視点も含めまして、真剣に検討をしてまいりたいと考えております。
高橋(嘉)委員 では、一歩進んで、日本の水政策の基本的な部分、基本理念といったことを根本から考える、水基本法の論議も最近多少報道されておりますが、そういったことについてのお考えはどうですか。
鈴木国務大臣 水基本法の必要性についての議論というものがいろいろなところからも出ておりますし、当委員会におきましても、それぞれ先生から御指摘もあるところであります。いまだその中身につきましては具体的に詰まったものがない、私はそういうふうに思っております。しかし、その基本となる総合的な考えというものも必要であろうかと思っておりますが、そうした議論の推移を見ながら、そうした基本法のあり方というものも視野に入れて、環境省として真剣に検討してまいりたいと思っております。
高橋(嘉)委員 では次に、自然再生事業に関してお伺いをいたします。
 この環境省からの報告によれば、全国の対象地区、出てきているようでありまして、今、再生協議会の設立に至っているところはまだないようですが、検討会的なあるいは準備会的な性格の中で会合を開いているという御説明をいただいております。そういった中にあって、早急に実施が望まれるといいますか、待たれているところが霞ケ浦であると私は考えておりますので、ここの点についてお伺いしたいと思っております。
 首都圏の水資源を支えるとともに、農業や産業上も重要な湖であります。市民、行政が一体となって自然再生に取り組んできている、さらに多くの小学校が参加する、そういった事業展開をしてきた、いわゆるアサザプロジェクトであります。この事業は再生法に先駆けて行われておりまして、まさにモデルケースであると大臣も認識を示しているものであります。
 この原動力となってきたNPOのアサザ基金、再生協議会設立に向けて努力しているという話を聞いているのでありますが、現状はいかがですか。環境省の方からまずお願いします。
鈴木国務大臣 アサザプロジェクトを中心として、今までお取り組みをいただいております霞ケ浦におけます自然再生でございますが、本年の二月十七日に、アサザ基金の呼びかけによりまして、霞ケ浦における自然再生法に基づく自然再生協議会設置に向けた勉強会が開催されたということを承知いたしております。そして、その会議には環境省も出席をさせていただきました。ほかには国土交通省、農林水産省も参加をしたわけであります。
 同勉強会の結果を踏まえまして、この自然再生協議会の発足に向けまして、まずアサザ基金等の関係者と国交省との間でこの設置についての話し合いが行われているところと承知をいたしております。
高橋(嘉)委員 環境省においてもモデルケース、そして実施者たるところである、これは国交省さんもそういうお話をきのういただいたんですが、国交省さんに確認したいんですけれども、今まで一緒になってやってこられたわけでありますから、国交省の理解の中で、アサザ基金はああいう再生事業を七万人と言われる人たちと一緒に取り組んでこられたわけであります。そういった中にあって、ボトムアップの理念、これが自然再生推進法の一番の理念の基礎たるもので、根幹たるものだと僕は思っておりますが、こういう視点も含めた中で、国交省としては、アサザプロジェクト、アサザ基金が今自然再生に向けてやろうとしている。これに関して、モデルケースとしてお考えでしょうか。国交省さんにせっかくおいでいただいていますから、お願いします。
高木大臣政務官 委員御指摘のように、自然再生推進法のもとで、今や自然再生事業というのは、地域の多様な主体の参加者のもとに実施される、今御指摘のありましたいわゆるボトムアップの考え方、そういう形の事業として位置づけられていると私どもも認識しております。
 その上で、霞ケ浦の環境保全に関しては、数多くの団体が今までもさまざまな活動を行っておりますけれども、特にアサザプロジェクトについても、これらの活動の一つとして、NPO法人アサザ基金を初めとする多様な主体の参加と総意により行われてきた、このように考えております。
 その中心たり得るか、実施者になり得るかということだと思うんですけれども、それに関しましては、私どもも、自然再生事業における実施者の一つがアサザプロジェクト、NPO法人アサザ基金である、このように認識しております。
高橋(嘉)委員 霞ケ浦の植生帯の復元事業に係るアサザプロジェクトのモニタリングの調査は、すばらしい成果を上げていると思います。これらの調査、一緒になって国交省さんはやってこられたわけでありますが、継続実施はされるのでしょうか。また、協調して自然再生協議会設立に向けていろいろお考えのようでありますけれども、その点の見通しと御見解をお伺いいたします。
高木大臣政務官 今、モニタリングについての御指摘がございました。
 特に、自然再生事業におきましては、着手後においての自然再生の状況をモニタリングし、科学的かつ客観的に評価を行う、これは本当に重要な作業であると思います。その上に立ちまして、国土交通省としても、湖岸の植生の復元を行った箇所についてモニタリングを実施しておりますし、また、NPO法人のアサザ基金も独自に今までもモニタリングを実施していたことも承知しております。その上で、今後もしっかりと連携をとりながら、そのデータをしっかりとこの自然再生事業に役に立つように協力をしながらやっていきたいと考えております。
高橋(嘉)委員 いずれ、しっかりと連携をとって、本当のモデルケースにしていただきたい。これは強くお願いを申し上げておきます。
 では最後に、環境省と国交省さんからですが、自然再生協議会設立、国が直轄してやっている部分については結構です。例えばここの霞ケ浦、いろいろな団体があるという御指摘もわかっております。しかし、自然再生法に先駆けてあれだけの動きをしてきたアサザプロジェクト、その団体が再生協議会をつくりたいと言っているわけであります。めどがいつごろかどうかもわからないで、では、この意味がなかったわけになりますが、ことしじゅうにはできるのか、夏ころまでには再生協議会ができるのか、その辺のめどをお聞かせ願いたいんです。
 これは国交省さんも当然、あそこの霞ケ浦の管轄をなされているわけですから、しっかりとしたそういう考え方を持っておられるでしょうから、国交省さんと環境省さんと、どういうお考えか。
鈴木国務大臣 めどを示せということでございますが、これはなかなか難しい面もあろうかと思います。先生も御承知のとおり、自然再生推進法、これは先生も今御指摘になられましたように、ボトムアップの仕組みでございますから、それぞれの協議会をつくりたいという方々が自主的に寄り合って、そしてお話をして決めていくということでありますので、その法の趣旨からして、その協議というものがきちっとなされて、その後、一度協議会が立ち上がったら、円満に円滑に事業が進む、そういう体制づくりが必要であると思います。
 時期は示せませんが、こうした協議会が円滑に組織されますように、環境省としても努力をしてまいりたいと思っております。
高木大臣政務官 委員も御承知かと思いますけれども、昨年の十二月から意見交換会という形でやらせていただいて、そのメンバーの中にも、アサザ基金のメンバーも入っていただいたり、また、それ以外にも県ですとかさまざまな団体も入っていただいております。そういう中で、今意見を交換しながら、最終的には協議会という形でしっかりと立ち上げていく。
 ただ、今御指摘のように、いつという具体的な、これは現場での調整をしっかりとしておりますので、鋭意、早急にできるような形になればと考えております。
高橋(嘉)委員 めどが示せないのはわかりますが、わからないで聞いているんですが、そういうわけで僕は申し上げたのではなくて、早急に手がけていきたい、早急にやりたいという言葉が欲しかったわけであります。それで、例えば年内を目標にでも立ち上げていきたい、法律ができて、その法律の前から展開しているところが二年も三年もという話にはならないわけでしょう、僕はそういう前向きな御発言をいただきたかったのであります。
 環境大臣にもう一言だけお伺いして、そのところをお聞きして、質問を終わります。
鈴木国務大臣 議員立法で本当に立派な法律をつくっていただいたと思っております。四月一日に基本方針ができまして動き出したところでございますが、こうした従来からの取り組みが早急に、また、その後の展開を考えますと円満に協議会ができるように、環境省としても側面から御協力をさせていただきたいと思います。
高橋(嘉)委員 ありがとうございました。
松本委員長 藤木洋子さん。
藤木委員 私は、現在、公害等調整委員会であっせんが行われております尼崎市の大気汚染被害防止問題について伺います。
 このあっせんは、二〇〇〇年十二月八日に大阪高等裁判所で原告患者と被告国・公団が和解しましたけれども、その後、国側が和解条項を履行しようとしないということで、原告患者側が申し出たものでございました。原告患者側は、大阪高裁の和解条項で実施いたしました道路交通量調査に基づいて尼崎市地域での大型車の具体的削減目標を設定し、それに沿う大型車規制対策を検討するなど、和解条項を誠実に履行するよう求めております。
 そもそも尼崎大気汚染公害訴訟では、原告は、被告国・公団が尼崎市内の国道四十三号線及び阪神高速大阪西宮線の交通量をNOx、SPMについて環境基準を達成するまで抑制、削減してこなかったということを設置管理の瑕疵として、NOx、浮遊粒子状物質の一定レベルを超える排出の差しとめを求めたものでした。二〇〇〇年一月三十一日の神戸地裁判決では、国道四十三号線及び阪神高速大阪西宮線について、SPMの一定レベルを超える数値が測定される大気汚染を形成してはならない、このように命じまして、差しとめ請求を容認したというものでした。
 そこで、改めてお伺いをいたしますけれども、これまでの道路公害訴訟で初めて認めた神戸地裁の差しとめ判決、この判決についてどのぐらい重大に受けとめていらっしゃるのか、環境大臣の御認識をまず伺いたいというふうに思います。
鈴木国務大臣 先生から御指摘ございました尼崎大気汚染公害訴訟でございますけれども、平成十二年の一月三十一日に神戸地裁判決におきましてSPMの差しとめ請求が一部認められたということにつきましては、私どもとしてもこれを重く受けとめているところでございます。
 この差しとめ請求につきましては同年十二月の和解の対象にはなっておりませんで、原告はこの請求を放棄されたわけでございますけれども、しかし、環境省といたしましては、尼崎地域におけます大気汚染の改善は重要な課題である、そのように認識をしておりまして、今後とも、関係省庁とも連携をいたしまして、大気環境対策に取り組んでまいる所存でございます。
藤木委員 和解で原告患者側が差しとめ請求を形の上で放棄したということを私は伺っているのではございませんで、神戸地裁で出された差しとめ判決そのものをどのぐらい重大に受けとめていらっしゃるのかということを伺ったわけです。
 大阪―尼崎断面におきます大型自動車の現状というのは、近畿整備局の調査によりますと、平日は、国道二号線が四千四百九十四台、国道四十三号線が二万二千六百六十台、阪神高速三号線が一万六千八百九十七台、湾岸線五号が一万八千四百四台となっております。ですから、国道四十三号と阪神高速が通る東本町交差点では合わせて三万九千五百五十七台となるわけです。四路線通過合計に対しまして、全自動車の比較で申しますと六三・二%、大型車の比較でいうと六三・三%を占めているということになります。
 ですから、原告らは、とりわけ大気汚染に影響の大きい排気量二千cc以上の大型ディーゼル車の交通量の抑制と管理の重要性を強調しておりまして、その方策として、物流体制の変更、鉄道や船舶などへの運搬手段の移行などの総合的な施策はもとより、具体的にも、道路の車線削減などの部分的閉鎖や大型車の通行規制、ルート指定、阪神高速湾岸線へ大型車を極力迂回するというロードプライシングの導入などを示しておりました。これに対して、被告である国らは、大型車両の進入規制や走行速度の制限などの交通規制について道路管理者には権限がないなどとして、原告らの差しとめ請求の根拠を争いました。
 そこで、神戸地裁の判決は、これらの争点について、被告らの主張を排除して、原告らの差しとめ請求のうちSPMの排出を制限する差しとめ請求を容認したというものではなかったのでしょうか。大臣、いかがですか。
鈴木国務大臣 裁判にかかわっての一つの我々の判断でございますので、答弁書を読ませていただきますけれども、神戸地裁判決は、原告による請求のすべてを認容したものではないが、国道四十三号線及び大阪西宮線の公益上の利便も比較考量した上で、自動車排出ガスの排出の差しとめを初めて認容したものと承知をしているところであります。
藤木委員 ですから、SPMの一定レベルを超える数値が測定される大気汚染を形成してはならない、このように命じて差しとめ請求を容認したのは、大型車の交通規制などの被告らの主張を排除したものにほかならないわけです。
 神戸地裁判決では、差しとめ対象汚染を形成しないために必要な自動車交通の制限は、粒子状物質の排出量が大きい自動車の混入率を制限することが困難であれば大きな規模となるであろうが、粒子状物質の排出量が小さい自動車の混入率を高めることができる場合、あるいはディーゼル車に関する粒子状物質の排出規制が将来大きく効果を上げた場合にはそれより小規模なものになると思われ、いずれにせよ、国道四十三号線及び大阪西宮線の全面供用禁止という大がかりな措置まで必要となるわけではないのである、このように述べているわけですね。
 ですから、この判決が求めているのは、本件各道路での速やかな大型車の通行規制を実現することであり、車種別の単体規制の前倒し実施を可及的速やかに実現することではないか、このように思いますが、大臣、いかがですか。
鈴木国務大臣 先生は、この判決で求められておりますのは速やかな大型車通行規制の実現、こういうことでございますが、神戸地裁判決におきましては、SPMによる汚染の形成を禁止するための具体的な方法は指定をされていないということでございます。しかし、不作為命令を履行するためには、差しとめ対象汚染を形成する程度の国道四十三号線及び大阪西宮線の供用の禁止が求められているのであって、それら道路の全面供用禁止が求められているわけではないとし、また、ディーゼル車に関する粒子状物質の排出規制が将来大きく効果を上げた場合には、自動車交通の制限は小規模なものになると思われるとしているところでございます。
 この後に成立した和解におきましては、自動車排出ガス低減のための環境庁、当時の環境庁の対策として、ディーゼル自動車の新長期目標について平成十七年度までに達成するよう取り組むなどの条項が、また道路管理者が努める施策として、本件地域における大型車の交通量低減の必要性を理解し、大型車の交通規制の可否の検討のために必要な交通量の調査を平成十三年度までに着手をするということでございます。また、本地域における大型車の交通規制の可否の検討につきまして、早期に検討結果が出ますように警察庁に要請する等の条項が盛り込まれているところでございます。
藤木委員 そのとおりなんですよ。ですから、三年前にはもう調査がされていて、それについて先ほど言われたように削減するという措置がとられていなければならないというふうに思いますよ。
 ですから、警察に依頼をしていろいろと調査をしてこられたんですけれども、交通規制の権限が環境省にないということではないわけですね。判決が被告らに求めているのは、道路交通法をつかさどっている警察機構に対して行ったものではありませんで、本件道路を設置管理し、道路を自動車交通に供用している国に対して、国の行政に対して、道路としての供用の規制、抑制、制限に及ぶものとなっていることは明らかです。ですから、一地方自治体警察にすぎない兵庫県警に依頼をしてこられたということなどは、判決内容を本当に忠実に履行してきたということにはならないというふうに思いますね。
 そこで、大阪高裁での和解なんですけれども、これは国が、先ほど読み上げられたとおりです、汚染物質とされたSPMと健康被害との因果関係を基本的に認めて、一つは、自動車排ガス対策を一層推進する。二つ目には、尼崎市地域での大型車の交通規制の可否を検討する。三つ目には、そのために必要な交通量の調査を二〇〇一年度までに着手することということですから、二年前にこれは着手して調べておられるわけですね。四つ目に、大型車規制の可否の検討については、早期に検討結果が出るよう警察庁に要請することが約束されているわけです。
 ですから、この和解に至ったのは、国が差しとめ判決を受けて、原告らが二億一千万円の損害賠償金額と差しとめを放棄するということと引きかえに大型車規制に本格的に乗り出す、そういう行政施策の転換を求めているわけでありまして、排ガス対策の抜本的な推進を確約したからこそ成り立った和解だと思いますが、大臣、どうなんですか。
鈴木国務大臣 この裁判は和解に至ったわけでございますけれども、原告の皆様が長年にわたって苦しまれてきたことでございまして、裁判での損害賠償を放棄するということは原告の皆様方にとりましては苦渋の判断であった、そのように考えているところであります。
 このような経緯を踏まえまして、和解条項に示されましたディーゼル車の排出規制の強化、それから軽油の低硫黄化、またディーゼル粒子除去装置、DPFでございますね、これの装着促進、低公害車の普及などの自動車環境対策を進めてきたところでございまして、これら各種取り組みの実施状況につきましては、警察庁それから経産省、また国交省と連携して、その確認に努めているところでございます。
 また、私どもといたしましては、平成十三年六月に自動車NOx・PM法を成立させていただきまして、自動車排ガス対策の強化が図られているところでありまして、今後とも、軽油のさらなる低硫黄化、それから自動車排ガス規制の強化を初めといたしまして、大気環境の改善のため各般の対策を総合的に推進していく所存でございます。
 この和解に至った排ガス対策、約束した対策ということに沿ってこのような政策を進めているところでございます。
藤木委員 しかし、この訴訟で交通規制というふうに言われている場合、これは、ディーゼル自動車の単体規制、大型車の総量規制など、およそ自動車交通の交通量総量の規制、それから個々の自動車の車種別の単体規制を含んだものとして使用されているわけです。しかも、私は、国道四十三号線の西の端の神戸市の灘区にございます味泥から国道四十三号線全線にわたる地域、これを一般的に言っているわけではなくて、尼崎―西宮断面と尼崎―大阪断面の間の東西の出入りと通過交通の規制、とりわけその中心の大型車の交通量の削減の実現ということを求めているわけですからね。
 さきにも私挙げましたけれども、近畿整備局の調査によりますと、大型車の交通量というのは、大阪―尼崎断面での四路線通過合計に対する大型車の比較にいたしますと六三・三%、また、尼崎―西宮断面では四路線通過合計に対する大型車の比較になりますと六二・三%を占めているわけで、さらに兵庫県の統計を見ますと、阪神南部地域での二〇〇〇年の自治体別の大型自動車保有数というのは、尼崎市が一万一千八百二台です。西宮市が七千百七十六台。芦屋市が五百四十六台になっておりまして、三市を合計いたしますと一万九千五百二十四台ということになっているわけです。
 ですから、平日の国道四十三号線と阪神高速三号線の大型車合計は約四万台ですけれども、これを対象に二割ないしは三割、約一万台の低減を目標とする方策の検討であるとか、国道四十三号線を利用している尼崎市内に保有されている大型車の低公害車への転換などの検討が必要ではないかというふうに思いますが、大臣としてはどのような方策が必要だとお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。
鈴木国務大臣 ただいま大型車の削減の必要性についてお話がございましたが、大型車が大気汚染の要因になっているということは先生御指摘のとおりである、そういうふうに認識をいたします。
 この大型車の交通量をどう削減していくか。国道四十三号線、阪神高速三号線における問題でございますけれども、この地においてこれをどう削減していくかということにつきましては、まさに和解に基づきまして設置をされました国交省、阪神高速道路公団、そして原告団から成る連絡会において意見交換が行われてきたところでございます。そして、このことにつきましてこれを実際にどう履行するかどうかというところで現在、平成十四年十月に国の公害等調整委員会に対してあっせん申請が行われたということで、今その段階に入っておりますので、環境省として関係者の意見調整を見守っているところでございます。
 一般論といたしまして、大型車のよりクリーンな車両への代替につきましては、尼崎市を含む地域におきまして自動車NOx・PM法による車種規制の実施をこれから着実に進めてまいります。それから、低公害車の開発、普及促進等を行ってきたところでありますが、今後とも、こうしたことを行いながら、また関係省庁とも連絡をとりながら、大気汚染対策を総合的に推進してまいりたいと思っております。
藤木委員 公害患者の皆さんたちが公調委にあっせんを申し出なければならなかったというところに、この判決に対する国の受けとめが不十分だったことが示されているのではないかということを私は非常に残念に思います。
 次に、先ごろ大臣にも直接私は御要望申し上げたんですけれども、自動車NOx・PM法の十月実施に向けての問題でお聞きしたいと思います。
 十月実施に当たっては、新たな車種規制などが着実に実施されるということを前提としながらも、指定地域内を走行する使用過程車に対する実効ある排ガス規制が実施されるということで、ディーゼル車排ガスによる深刻な大気汚染を改善していく必要がございます。新たな車種規制でのディーゼル車の不適合台数は、八都府県で、トラック約百八十三万台、バス五万台、乗用車百二万台、合計にいたしますと二百九十万台というふうになっているわけですね。特に、財団法人自動車検査登録協力会の資料によりますと、二〇〇二年三月末現在で、東京運輸支局に登録されている貨物車のPM単体規制で約二割強がPM未規制車になっている、また五割強が自動車NOx・PM法の車種規制を満たしていないとしております。
 しかし、この長引く不況下で、買いかえなどが困難な中小零細業者にとっては、今度の新しい車種規制が死活問題になっているということを私も伺っております。
 そこで、これまで実施時期について準備期間を設けるなど激変緩和措置をとってこられたということは私も重々承知しております。しかし、どうしても買いかえなどの対策ができないという中小零細業者について、改めて大臣はどのような認識をお持ちなのか、伺っておきたいと思います。
鈴木国務大臣 この問題につきまして、藤木先生が大変御熱心に取り組んでおられることを私も承知をしておりますし、また、委員会の場を離れましても先生から直接御要請をいただいているところであります。
 これは、この深刻化する大都市における大気汚染、特に自動車に起因する大気汚染を今後どうやって防止していくのかという問題と、トラック等を使用される事業者の方々の経営をどう調整して両立をさせていくかということの問題である、そういうふうに思っているところであります。
 この自動車排出ガスを起因とします大気汚染、これは大変厳しい状況が続いているわけでありまして、環境省といたしましては、自動車NOx・PM法に基づく車種規制の実施、これはもう不可欠なものと考えております。
 一方において、そうした事業者の方との調整でありますけれども、これにつきましては、既にパブリックコメントもいただきましたり、関係事業者の方々とも、また関係者の方々とも話し合って、ぎりぎりのところで調整がなされまして、そして、先生も御承知のとおり、最長で三年半にわたる準備期間等が設けられたわけでございまして、そういう意味では、中小企業者に対しましても対応しやすいような配慮が、それも話し合いの中で決められたという経緯をぜひ御理解賜りたいと思います。
 そしてまた、その負担の軽減であるわけでございますけれども、規制に対応した車への買いかえに伴います負担軽減のために、経産省、国土交通省とも連携をいたしまして、自動車取得税の軽減などの税制上の優遇措置、また政府系金融機関による低利融資の措置などを講じているところであります。
 さらに、自動車メーカーに対しまして、ユーザーへの十分な情報提供と相談窓口の整備というものを要請いたしました。その結果、日本自動車工業会では、規制の内容でありますとか助成措置等についてインターネットによる情報提供を行うとともに、相談窓口の整備を行ったところであります。
 これは、この二つの問題をぎりぎり調整しなければならないというものでございますけれども、環境省としては、事業者の負担の軽減のため、引き続き、各省と連携を図りつつ自動車NOx・PM法の円滑な施行に努めてまいりたいと考えております。
藤木委員 今大臣から御説明があった買いかえ制度に対する助成、それは当然なんですけれども、私、一つ問題にしたいのは、DPFの装着補助制度の問題なんですね。
 既に東京都、埼玉県、千葉県それから神奈川県では条例ができておりまして、基準に適合しないディーゼル車は粒子状物質削減装置の装着を必要とするということになっております。ですから、ディーゼル車排ガス規制が定められている以上、その装着のための補助制度というのも大幅に拡充するというような施策がそれぞれの自治体の中でとられているわけですね。
 例えば東京都では、規制対象となるディーゼル車は都内で二十万二千台と想定をしておりまして、そのうちの六万六千台がPM減少装置で対応するだろうという見込みを立てているようであります。来年度の予算では二万八千二百台分を計上するということになっておりまして、東京都は、既存の融資制度とあわせて、運送業者の資金調達を支援する、車両の買いかえを後押しするというもので、今年度と来年度を合わせて計二万台分、七百億円の融資枠を創設するとしております。一社三千万円ですね、これは五年を限度に融資をするものであって、金利は三%で保証料が四・五%になっておりますけれども、都が金利の半分と保証料の三分の二を補助するということになっております。
 これに対して、国は、先ほども言われましたけれども、来年度の予算ですが、国土交通省が四十億円、環境省が二億円、DPFの装着補助を盛り込んでおられます。けれども、環境省の場合は自治体のバスなどのDPF装着を補助するということを対象にしているわけですから、十月実施で不適合となるディーゼル車に対する措置としては全く不十分なものではないかというふうに私は思うんですね。
 そこで、買いかえのための低利長期融資を拡充するとともに、特に、三・五トン以下にも対象を広げていただきたい。そうしたDPF等の装着補助を大幅に増額すべきだと思うのですが、これは、参考人、環境省はいかがお考えですか。
西尾政府参考人 今御指摘のうち、買いかえのための助成の問題と、それからDPFの助成の問題がございます。
 まず、DPFの助成の問題でございますが、これは、車両総重量が三・五トン以下の小型のディーゼル車につきましては、車両価格に対しまして、DPFを装着するとなりますと、装着のコストが非常に大きくなります。そういう面で効果的でない。また、DPF等の装着のためのスペースも、小型車は小さくて技術的に非常に難しゅうございます。そういう理由から、やはり基本的にはこういう小型ディーゼル車は、よりクリーンな車ということで言うのでございますれば、ガソリン車に代替していただくことが基本ではないかということを考えておりまして、DPF等の装着に対する国庫補助は行っていないところでございます。
 ただ、こういう車種規制に対応して、よりクリーンな車ということで、一定の猶予期間の後、ガソリン車等に買いかえていっていただくということに対しましての、その買いかえに対する事業者の負担の軽減ということが重要でございます。この点につきましては、自動車取得税の軽減などの税制上の措置や政府系金融機関による低利融資の措置を講じているところでございまして、自治体の措置などともそういう政府系金融機関の措置がうまく連携していくようにといった事柄などにつきましても、関係省庁にもよくよく依頼し、連絡を図っているということでございます。
藤木委員 そういう御答弁に対して、私伺ったところによりますと、東京で観光バスの会社を経営していらっしゃる方は、今十二台持っていらっしゃるそうですが、そのうちの三台は廃車になるので、一台三千万円の新車を三台、PM除去装置をつけなければならないものが三台、一台当たり百三十万円になるので、上限の三千万円ではとても対応できない、このように言っておられます。
 私の地元の神戸の引っ越し運送業をしておる方の話ですが、登録しているのは四十台だそうです。うち六割が代替、買いかえなければならない。新車にかえなければ東京に入れないということですから、買いかえは買いかえでなさるわけです。しかし、買いかえのための低利長期融資を拡充するのは当然ですけれども、特に三・五トン以下ということを私申し上げましたのは、それも全部買いかえろというのは、そこまではできない。引っ越しの場合なんかは路地裏を走らなければならないですから、三・五トン以下車も結構使うんだということを言っておりましたし、まだ使用にたえるので、DPFの装着補助を大幅に増額していただくということはぜひとも必要だ。もう一度御検討いただきたいと思います。
 さらに、DPF装着の問題ですけれども、たとえDPFを装着して粒子状物質をクリアしても、窒素酸化物をクリアできない、だから使用できないという車種が多数出てくるということが想定されております。自動車NOx・PM法の十月実施を控えながら、使用過程車に対するNOx、PMを同時に減少させる装置がないわけですから。国立環境研究所での研究だとか、民間研究所にも委託研究をしたという形跡もございませんから、私は、研究開発を怠ってきたとしか言いようがないという思いがしております。このDPFの研究開発だとか実用化について、自動車メーカー等に積極的に働きかけてきたという状況でもございません。自動車メーカー等は、後づけ装置の十分な研究開発の技術を持っております。しかし、持っていますけれども、車種転換による新車の製造と販売にそれを生かしてきただけだと言わざるを得ないと思うわけですね。
 ですから、改めて大臣に申し上げたいんですけれども、自動車メーカー等がNOx、PMを同時にクリアするDPFを研究開発し、実用化するということを改めて緊急に要請していただきたいと思いますが、いかがですか。
鈴木国務大臣 この問題につきましても、先般、藤木先生から御要請をいただいたところであります。使用過程車について、後づけのDPFをつけるということが一つの対策でございますが、私の聞いているところによりますと、これは純粋な技術的な問題といたしましてNOxとPMを同時に除去するDPFというものが開発をされていない、こういうことでございます。
 こういうようなことについての事業者からの御要請もございますので、環境省といたしまして、自動車メーカーに対しまして一層の技術開発、普及の努力を要請いたしたところであります。これを受けまして、自動車メーカーの団体であります日本自動車工業会では、この三月から、技術的諸問題等に関し新たな検討会を発足させたところでありまして、この検討の進捗に期待をしているところであります。
藤木委員 もう時間が参りましたから、あと、お聞きはいたしませんけれども、一月七日付の日経産業新聞では、「超テク日本の底力 4」という記事の中で、トヨタ自動車が開発したDPNRは、アメリカが二〇〇七年ごろに導入を検討しているディーゼルの排ガス規制を初めて超えた、このように米環境保護局が公表したことを紹介しておりました。このDPNR装置をつけた自動車というのは、独立行政法人交通安全環境研究所で走行テストを繰り返しておりまして、その試験結果は二〇〇五年の新長期規制を優にクリアできるものとしております。また、財団法人産業創造研究所が東京都と共同で開発研究いたしましたディーゼルエンジン用の複合脱硝・粒子低減システムというのでも、今後導入される新長期排出ガス規制への対応技術として活用が期待される、このように述べられております。
 ですから、大臣も期待しているところだと言われましたけれども、そこまでもう進化しているということでございますから、あとは使用過程車に取りつけができるという後づけの減少装置を自動車メーカーが実用化する、実用化するということを強く求めていただくことをお願いして、質問を終わらせていただきたいと思います。
松本委員長 中川智子さん。
中川(智)委員 社会民主党・市民連合の中川智子でございます。
 きょうは、旧日本軍の毒ガス遺棄問題につきまして質問をさせていただきます。
 けさからの審議でも、やはり水問題というのが多くの委員から取り上げられております。水というのは命をはぐくむもので、本当に大切なものだと思います。
 茨城県の神栖町の井戸水から砒素が出ました。やはり、利根川流域でとても水質がよい、水がよいというところで、そこで暮らしていらっしゃる方は本当に全く疑いもせずにその水を飲んでいた、その水の中に砒素がまじっており、非常に深刻な健康被害が出ているという問題に対して、午前中、小宮山委員からも質問がございましたが、重複するところもあるかと思いますけれども、現在、今の神栖町の状況は、どのような調査をどこの責任で、いつごろまでに調査をきっちりやり終えて、こういう状況に対しての一つ一つの対策を打っていくのかというところをまず冒頭、質問したいと思います。
南川政府参考人 神栖町におきましては、地元の調査では何人か健康被害も出ております。したがって、対応を急ぐ必要があるというふうに考えております。
 また、現地で調査する中で、ジフェニルアルシン化合物というものが検出をされておりまして、これ自体が旧軍の毒ガスに極めてかかわりの深いものだということも承知をいたしております。
 ただ、幾つかの事例がこの間問題になっておりまして、神奈川県の寒川あるいは平塚と比較いたしますと、この両地域がそれぞれ、かつて歴史的には旧日本軍関係の工場があったり、あるいは化学の実験施設があったりということでございましたし、また、実際に毒ガスが入った瓶なりあるいはそれに相当するものが、いわゆる現物が出ておるわけでございますが、茨城県の事例につきましては、まだ、いわゆる現物が出た、毒ガスが入った瓶が出たということでもございません。そういう意味で、どこからどういう形で汚染が進んだのかという汚染原因が必ずしも特定をされていないと考えております。したがいまして、まずは汚染原因の究明ということをしっかり行うことが、以後の取り組みを適切に考える上で先決だというふうに考えております。
 そういう意味で、関係省庁、自治体と連携しながら専門家の意見を聞いて、現地におけるサンプリングも含めた調査内容について早急に検討をいたしたいと考えております。実際に、来週には専門家の会議も予定しておりまして、早急に対応したいと考えております。
    〔委員長退席、近藤(昭)委員長代理着席〕
中川(智)委員 今の南川部長のお話の中で、早急にということは、それはもちろんそうであると思います。大体いつごろをめどにというのは、いわゆる原因結果、因果関係などを含めて、そのものに対して大体の後のめどというのをもう少し具体的に伺いたいのと、いわゆる指揮命令系統、責任官庁がどのような形で、どこがきっちり責任を持って、被害者の問題も、そして原因の問題、除去の問題、そういうことを調べるのかということです。
 きょうもそこにたくさんお並びで、結局寒川の問題は、道路から出たら国土交通も関係してくる、内閣官房、内閣府、環境省、厚生労働省はやはり健康の問題、あと防衛庁も関係するでしょうし、この縦割りの中で一体、その指揮命令系統、主管庁というのがどこになって、だれがどういうふうな責任で今後やっていくのかということを明確に御答弁ください。
南川政府参考人 具体的にどういう調査をいつからやるかについては、来週、専門家の方にも相談して対応を決めますけれども、いずれにしても、今五月でございますが、来月、六月中には何らかの目に見える動きをするような形で考えていきたいというふうに私は考えております。
 ただし、これは専門家の方、自治体の協力が要りますので、もう少し詰めさせていただきたいと思います。
 それから、全体としての責任体制でございますけれども、これは内閣官房からの御指示もございまして、基本的には私の方で、環境省の環境保健部長が議長となりまして、政府の対応を取りまとめていくということになっております。個々につきましては各省庁の協力をもちろんいただきますし、努力もお願いいたしますけれども、全体としてのまとめ、推進については私の方で対応したいと考えております。
中川(智)委員 では、部長が総括責任者となっておやりになるということで、環境省という理解でよろしいでしょうか。
南川政府参考人 正確に申しますと、寒川の件で申しますと、道路予定地自身は国交省が担当しておりますけれども、その周辺については環境省が中心となってまとめてまいります。神栖町の件は、特にそういった国の役所で工事をやっているわけではございませんから、環境省の方で責任を持って対応していくということでございます。
 特定の国の役所があるいはそこで事業をやっているという場合には、その敷地、その場所自身は、国の特定の役所が例えば土地をお買いになって土地の形状変更等をするのであれば、その方が中心になりますけれども、そうでない、しかるべき国の役所が持って事業等をする場合を除けば、環境省が中心になってやっていく必要があると考えております。
中川(智)委員 ちょっと大臣、これは、本当に縦割りで、住民の方々、被害に遭った方々も、結局、一番近いところは町、そして健康被害に関しては保健所なりということで厚生労働省、また県の責任もありますし、でも、やはり旧軍の遺棄したものだという前提で私はやるべきだと思います。ですからこれは、では鈴木環境大臣が最終的な意味での責任者というふうに理解してよろしいんでしょうか。
鈴木国務大臣 今、南川部長から答弁をして、最近、旧軍がかかわるのではないか、毒ガスが原因ではないかと思われる、そういう三つの事例が出てきたわけでありまして、いずれも今必要なのは、当該地周辺を含めての環境影響がどうなのか、そして住民の方々の不安を払拭するということがメーンの立場である、やらなければならないことである、そういうふうに思っております。そういう中において、内閣官房の方からの指示において環境省の南川部長が議長役を務める連絡協議会が開かれているということでございます。
 しかし、これから物事が推移していく中で、これはもう全くの将来の予測の話でございますけれども、例えば、健康被害というものが出てきて、何かそれに対する健康被害の、まあ補償という言葉がよろしいのかどうかわかりませんけれども、そういうことが出てくれば、これはまた環境省の立場でということにはならないかと思います。
 しかし、今やらなければならないのは、そうした原因究明あるいは周辺環境への影響評価でございますので、それについては環境省が中心になって行うということであります。
    〔近藤(昭)委員長代理退席、委員長着席〕
中川(智)委員 それでは南川部長に再び伺いますが、住民への説明会の後、また住民からの、被害者の方々からの聞き取り調査というのをおやりになったと思います。どのような御要望が出てきたか、何回されたか。そのあたり、ちょっと詳しく。
南川政府参考人 住民の方々からの面接あるいは医療調査については、基本的には地元の茨城県で対応いただいております。したがいまして、まだ直接環境省職員自身がその住民の方とお会いして対でお話ししたということはございません。
 ただ、私ども、四月の十六日に茨城県知事から大臣に対して要請がございました。官房長官にもございましたけれども、それを受けて、早速次の週の月曜日の四月二十一日に、担当室長それから国立環境研究所の専門家を派遣いたしまして、現地の視察をしたところでございます。
 したがいまして、今後、また来週以降、具体的な対応を検討いたしますけれども、その中で、より現地のニーズに即したことができるように中身を検討していきたいと考えております。
中川(智)委員 私も被害住民の方にまだお会いしていませんので、間接的なお話を聞いたわけですけれども、私は、因果関係とかさまざまなもの、それは同時並行的にとても大事なことだと思います。でも、まず国として救うべきは、その被害に遭われた方々の精神的なもの、そして同時に、経済的な援助がどうできるかということを同時並行的にきっちりやるべきだと思います。
 先ほど、現場の方にいらした藤木委員のお話、そして、先日、五月四日にいらした方々のお話を伺いますと、本当に手足のしびれとかという程度のものじゃない、もう本当にすごい震え、そして歩行が困難である、それによってやはり精神的に非常に参ってしまう状況。そして、深刻なのは、先ほど部長の御答弁にもありましたが、五歳以下の子供が二人、もう本当に深刻な状況であるということがあります。
 一つには、そのような不安に対して、どのようにきっちりした聞き取り調査、そしてその対策室というのを南川部長がそのリーダーとなっておやりになるならば、被害者の方々が実際どこに行けば、どのような形でそのような心配に対して払拭できる体制を国がつくっていくのかどうかということが、ここがとても大事だと思います。
 一つには、その井戸水は飲めなくなったわけですから上水を引いて、その経済的な負担もおありだったでしょう。また、医療機関にかかっているわけですから、医療費のさまざまな負担もあります。そして、一番大きなものは精神的なもの、もう水を見たら怖いというぐらいの精神的なプレッシャーの中で生活をしていらっしゃるわけですね。
 ですから、被害者の救済は、今後因果関係がはっきりしてからどうのこうのというよりも、救済をするかしないかという結論は後からでもいいですが、被害者に対する対策というのをどこがしっかりおやりになるか、環境省が厚生労働省と、また内閣官房とお話し合いになるのかどうか、なっているのかどうか、そこを教えてください、大臣から。
南川政府参考人 恐縮です。
 まず、被害者の方との関係については、当座は県の方で対応されております。ただし、いろいろな意味で精神的なことを含めた大変な負担があるということも承知をいたしております。
 ただ、私ども、補償等の問題につきましては基本的には内閣官房を中心に御検討いただくものと考えておりまして、私どもとしてはまず環境面から何ができるかということで早急に対応したいと考えております。
中川(智)委員 それでは、きょうは内閣官房の方もおいでいただいておりますので、やはり神栖町の問題は内閣官房の指示によって各省庁が動くということになっております。これは報道では旧日本軍の毒ガスというふうに、まあほぼ言い切っての報道をされておりますし、午前中の大臣の答弁でも、旧軍とのかかわりが極めて深いというふうにおっしゃいました。
 因果関係がどうのこうのというよりも、こういうことを前提にしっかりやらなければいけないと思いますが、内閣官房としては、今のやりとりをお聞きになって、被害者の救済に関しては内閣官房を中心にやっていくべきだと私も思いますが、どのようにお考えでしょうか。
伊藤政府参考人 この神栖町の事件につきましては、まず汚染の原因究明をしっかりやる、これが非常に重要なことだと思っております。
 その結果を踏まえまして、必要に応じまして、今御指摘の被害の補償問題等も含めて国としてどういったことが必要かということを検討しまして、適切に対処していきたい、しっかり対処していきたいというふうに考えております。
中川(智)委員 本当によろしくお願いします。
 いつもやはり置き去りにされるのは人の問題なんですね。もしもこれが撤去作業をしているときにその作業員が事故に遭った場合は、きっちりそれは補償されると思います。でも、そこにそういうものがあるのを知らずに暮らしていて、そこで被害に遭った人は裁判しかないというのがこれまでのケースです。それは国内外を問わずです。
 やはり人が置き去りにされるということはあってはならない、そのように思いますので、大臣も、ここは大臣は鈴木大臣しかいらっしゃらないので、つい目が大臣の目を見てしまいますが、しっかりとそこのところは、今の伊藤政府参考人の御決意をきっちりと官房内でもう一度御議論いただいて、できれば被害者対策室をつくっていただきたいということをあわせて要望いたします。
 私は、防衛庁の資料のいわゆる協力体制というのはどうなっているのかというのが非常に不可解なのですが、先ほどの御答弁の中で、知事が要請されたのは、石破防衛庁長官にも要請されたと思います。
 その中で、やはり旧軍の毒ガスの遺棄に関しては資料が残っていないということをよく言われるわけですけれども、私は、あれは国際法に違反した化学兵器をつくったんですから、その証拠書類なんかみんな焼いているというのは、それは当然そうだと思います。でも、やはり全国調査をこれから環境省もお始めになるんでしたらば、できる限りの聞き取り、先ほどのお話の中では、佐藤総理がそのような指揮のもとで三十年前はおやりになったということですが、やはりできる限りの努力をすべきであるし、防衛庁の方も、いろいろ資料を調べてみたけれども資料はない、ですから協力というのもできるのは限られていますというようなことでしたが、各省が連携して、ともかく毒ガスがどこに遺棄されていたかということを突きとめる作業に関しては防衛庁はもっと積極的にやるべきだと思いますが、防衛庁、いかがでしょうか。
山中政府参考人 今、委員御指摘のように、先月の半ばでございますが、橋本県知事がお越しになりまして、石破防衛庁長官とお会いをいただいて、いろいろ御要望といいましょうか御相談を承りました。その数日前に事前に私もお話を承っておりまして、防衛庁に防衛研究所という機関がございます、そこに戦史史料室というものがございまして、そこで神栖町関連、旧軍の関係資料で今回の事案に関係するものはないかということでいろいろ関係資料等を探しました。他の役所等にも問い合わせをいたしました。
 その結果、終戦間際でございますけれども、現地に陸軍の航空部隊や独立混成旅団が配備をされていたといった事実でありますとか、昭和十四年になりますけれども、現地に海軍の支援で中央航空研究所というものが設立をされていたといった情報が確認をされ、これらにつきましては、県の方にも逐次お伝えをしてきたということでございます。
 もちろん、私どもこれで終わりというふうに考えているわけではございませんで、環境省を中心とするこの事案についての取り組みの中で、私どもなりに関係する資料、情報等の発掘、収集、こういったものにできるだけの力を注いでいきたいと考えているところでございます。
中川(智)委員 各省庁の連携が極めて重要だと思いますし、私は、そのような調査ももちろんですけれども、被害者の方々の救済というのを本当に積極的に今すぐしっかりと、県に今は聞き取りなどを任せているとおっしゃいましたが、環境省が、やはり国がきっちりと対応してくれるんだ、これに対してはそのような姿勢が何よりもその被害者の方々の精神的な安定にまず第一に寄与していくと思いますので、もう一度、南川部長に。国が被害者の神栖町の方にぜひ早急に会いに行くということで、その前に関係省庁の連携というのを話し合って早急にやっていただきたい、それに対しての御答弁をお願いします。
南川政府参考人 関係省庁ともちろん相談いたします。
 それから、やはり自治体が県、町、一生懸命やっていただいていますので、その両者ともよく話をして、それから対応したいと思っております。私ども全く逃げる気はございませんけれども、ただ、自治体の方で一生懸命やっておられることについて阻害はしたくございませんので、彼らにも十分相談した上で対応したいと考えております。
中川(智)委員 自治体に相談するのはもちろん大事だと思います。でも、知事がわざわざ本当に必死の思いで申し入れ、要望にいらしたわけですので、やはりその意を酌み取って早急な対応をお願いしたいと思います。
 この遺棄毒ガスの問題は、国内だけには限りませんで、今、一九九七年四月二十九日に発効した化学兵器禁止条約に基づいて九九年から日本政府と中国と覚書を結びまして、中国に遺棄した毒ガスを安全に廃棄する義務というのを負いました。中国政府によりますと二千人から三千人の被害者が中国では発生しておりまして、これも極めて深刻で、また外交上も、本当にこれは一日も早くしっかりした対応をするということは日本にとって大事なことだと思うのですが、これもまた人々は置き去りにされているのではないかということを私は痛感いたします。
 まず、前提として、内閣官房の中に設置されました遺棄化学兵器の処理対策連絡調整会議というのが中心になって中国側と協議しながら取り組んでいる、この内容について伺います。三年間の事業内容と進捗状況、これの中身を教えていただきたいのと、これはきっちり外部に対して公表しているのかどうか、お願いいたします。
岩谷政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど委員御説明のとおり、我が国は、化学兵器禁止条約に基づきまして、中国における遺棄化学兵器を廃棄する義務を負ったところでございまして、現在中国側の協力を得つつ着実に事業を推進しておるところでございます。
 具体的に若干申し上げますと、一番大きな課題は、最大の埋設地でございます吉林省のハルバ嶺において推定数十万発の化学砲弾の発掘回収を行う。また、二つ目としましては、最適な処理技術を選定しプラントを建設いたしまして、これらの化学兵器の無害化処理を行うということが大きな課題でございます。先般、主たるプラントの処理技術の中核としまして燃焼処理が最も適当であるということで日中合意ができたところでございます。また、これ以外に、黒龍江省の北安市、江蘇省の南京市、黒龍江省孫呉県等におきまして化学砲弾の発掘回収を行っております。これは小規模な発掘回収でございます。これを一時保管庫で現在保管をしているところでございます。
 このような大量の古い化学兵器を処理するという事業につきましては、世界にも前例がございませんで、いろいろ検討しなければいけない複雑な問題がございますけれども、今後とも、引き続き中国側との緊密な協力を図りつつ、関係省庁連絡調整会議における協力のもと、政府全体として誠実に取り組んでいくつもりでございます。
 予算でございますけれども、平成十一年の補正予算が最初でございまして、廃棄処理のための各種調査研究費として八・一億円という予算が認められました。その後、平成十二年が三十八・七億円、平成十三年が五十四・四億円、平成十四年が二百十四・九億円、いずれも約でございますけれども、総計約三百十六億円の予算が認められたところでございます。今年度につきましては、三百七億円ということで、発掘回収事業、またその最大の埋設地でありますハルバ嶺でのインフラ整備等につきまして造成等の費用ということで認められたところでございます。
 これらの事業の進捗状況につきましては、内閣府のホームページを初めとしまして、情報公開も意を用いておるところでございます。
 以上でございます。
中川(智)委員 二つ確認したいんですけれども、この事業内容は、主に撤去するための道路づくりですとか無害化のための研究費用とかいろいろあると思いますが、作業に従事していらっしゃる方がそこで何か被害に遭われた場合は補償費というのはその中に入っているのかどうかということと、この計画の見通し、大体いつごろまでをめどになされるのか、この二点、お願いします。
岩谷政府参考人 お答え申し上げます。
 まず最初の点でございますが、これにつきましては、今作業に従事している要員というのは、国家公務員、それから契約ベースで働いていただいております民間の方というふうに分かれておりますが、いずれにつきましても、予定されない事態、事故等が起こりましたときにはしかるべく補償が可能なように、保険等含めて必要な対応をとっておるところでございます。
 それから、今後の見通しでございますけれども、先ほども委員御説明ありましたとおり、化学兵器禁止条約におきまして義務を負ったところでございますが、これの期限と申しますかこの処理期限でございますけれども、原則として発効から十年ということで、二〇〇七年までには廃棄をするという義務を負っておるところでございます。
 現在の進捗状況にかんがみますと、残された時間は決して十分ではないというふうには認識しておりますけれども、政府としましては、この条約期限を念頭に置いて、遺棄化学兵器処理事業をできるだけ速やかに完結させるように今努力をしておるということでございます。
中川(智)委員 それでは、もう一点伺いますが、今、撤去作業に従事する人の補償ということがございました。
 先ほど、神栖町の問題でも、本当にそこで暮らしていらしたりそれで被害に遭った人たちは、補償というのは中国の問題でも裁判しかないわけですね。私は、非常にこれは矛盾している、そこでもう何百億の予算が投じられていて、人的被害に関しては裁判ということは、どう考えても私は納得いかない問題でございますが、中国大使館のホームページを見ますと、共同声明、日中平和条約、化学兵器禁止条約の原則的精神と覚書に従って早急に解決するということを約束したとしておりますが、その中で要望というのも拝見いたしました。被害者の救済についてもそのホームページは言及しているわけですけれども、被害者救済について中国政府から両国共同作業チームの協議の場に取り上げられたことはございますか。
渥美政府参考人 お答え申し上げます。
 今のお話、中国側からはどういう要望があったかということでございますけれども、基本的に、さきの大戦にかかわります日中間の請求権の問題として、すなわち法的な問題としては、これは私ども、一九七二年の日中共同声明以降存在していないという認識でございまして、こうした認識は中国側も同様というふうに理解しております。
 ただ、いわば道義的というかそういった面で、中国側はこの話についても日本として何かできるのかというような話はあったことはございます。ただ、私どもとしては、先ほども申し上げたような認識があるものでございますから、これについてはなかなか難しい問題がございまして、他方、先ほどからお話ありますように、遺棄化学兵器そのものの処理についてはできるだけやるということで、中国政府と何遍も繰り返して話をし、処理を進めているという状況にございます。
中川(智)委員 私は、やはり今の外務省の論調というのをずっと続けているということは、国際的にも、いわゆる今後の日中関係にも悪い影響しか及ぼさないと思います。一生懸命片一方では撤去していながら、人の被害に対してはそのようなことで切るということは人道的に許されないと思うんですね。それはその後に起きた被害でございます。戦時下の問題じゃなくて、遺棄毒ガスによってその後に起きた被害、それに対しては責任を持って私は補償すべきだと思います。
 五月十五日にこの遺棄毒ガスの裁判の判決が出ますが、私は、海外から、裁判でしかこのような形で決着できないということに対しては、日本政府はこれは恥ずかしいことだと思うべきだと思いますし、今あちこちで、国内でも国外でも遺棄毒ガスによる被害が生まれておりますので、内閣官房、すべての省庁にお願いしたいのは、やはり被害者の救済に対してしっかり政府として取り組むべきだと。来週の判決、もしも国が負けることがあるならば、控訴などせずに決着すべきということを心からお願い申し上げて、質問を終わります。
 ありがとうございました。
     ――――◇―――――
松本委員長 次に、内閣提出、特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法案及び廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
 順次趣旨の説明を聴取いたします。鈴木環境大臣。
    ―――――――――――――
 特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法案
 廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
鈴木国務大臣 ただいま議題となりました特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法案及び廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 まず初めに、特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法案について御説明申し上げます。
 我が国においては、過去に不法投棄等の不適正な処分が行われた産業廃棄物により、生活環境保全上の支障が生じるとともに、これらの産業廃棄物が長期間放置されることにより、産業廃棄物処理に対する国民の不信感が生じ、循環型社会の形成が阻害される要因となっている状況にかんがみ、これらの産業廃棄物に起因する支障の除去等を計画的かつ着実に推進することが喫緊の課題となっております。こうした課題を踏まえ、この法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案の主な内容について御説明申し上げます。
 第一に、環境大臣は、平成九年の廃棄物処理法の改正前に不適正な処分が行われた特定産業廃棄物に起因する支障の除去等を平成二十四年度までの間に計画的かつ着実に推進するための基本的な方針を定めることとしております。
 第二に、都道府県等は、基本方針に即して、その区域内における特定産業廃棄物に起因する支障の除去等の実施に関する計画を定めることができることとしております。
 第三に、国は、産業廃棄物適正処理推進センターが特定産業廃棄物に起因する支障の除去等の事業を行う都道府県等に対し資金の出捐を行う場合には、予算の範囲内において、その業務に係る基金に充てる資金を補助することができることとしております。
 第四に、特定産業廃棄物に起因する支障の除去等の事業を行うに当たり都道府県等が必要とする経費について、地方債をもってその財源とすることができることとしております。
 最後に、この法律は、公布の日から施行し、平成二十五年三月三十一日限りでその効力を失うものとしております。
 引き続き、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。
 我が国においては、循環型社会の形成に向けて、廃棄物の減量化を促進し、適正に廃棄物が処理される体制を整備するため、依然として後を絶たない悪質な不法投棄等不適正処分に対し一層厳格な姿勢で臨むための制度の強化を図るとともに、リサイクルなどの取り組みが効率的かつ円滑に実施されるよう制度の合理化を図ることが喫緊の課題となっております。こうした課題を踏まえ、この法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案の主な内容について御説明申し上げます。
 第一に、産業廃棄物の広域的な不適正処分の事案等に対処するため、国は、地方公共団体の責務が十分に果たされるよう必要な広域的な見地からの調整を行うよう努めることとするとともに、生活環境の保全上特に必要があると認めるときは、産業廃棄物に係る報告徴収及び立入検査を都道府県知事だけでなく環境大臣も行えることとしております。
 第二に、廃棄物の処理施設の整備における課題に的確に対応するため、投資の重点化及び効率化に留意しつつ、五年ごとに廃棄物処理施設整備計画を策定することとしております。
 第三に、悪質な廃棄物処理業者を排除し、廃棄物の適正な処理体制を一層確保するため、廃棄物処理業の許可を受けた者等について、欠格要件に該当するに至ったとき等の場合には、その許可を必ず取り消さなければならないこととしております。
 第四に、循環型社会の形成に向けた取り組みが効率的かつ円滑に実施されるよう、一定の廃棄物の広域的な処理を行う者について、環境大臣の認定により、廃棄物処理業の許可を不要とするといった、廃棄物のリサイクルなど適正な処理を促進するための特例制度を設けることとしております。
 第五に、廃棄物でないなどと偽って廃棄物の不適正処分を行う悪質な事例に的確に対処するため、都道府県知事等は、廃棄物であることの疑いのある物について報告徴収及び立入検査ができるようにすることとしております。
 第六に、廃棄物の不法投棄等の防止を一層図るため、廃棄物の不法投棄及び不法焼却の未遂罪を新設するなど罰則の強化を行うこととしております。
 最後に、この法律の施行期日は、一部の事項を除き、平成十五年十二月一日としております。
 以上が、特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法案及び廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
松本委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
松本委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 両案審査のため、来る二十日火曜日、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
松本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決まりました。
 次回は、来る十六日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時二十一分散会


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