衆議院

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第8号 平成15年5月16日(金曜日)

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平成十五年五月十六日(金曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 松本  龍君
   理事 稲葉 大和君 理事 田村 憲久君
   理事 西野あきら君 理事 柳本 卓治君
   理事 近藤 昭一君 理事 牧  義夫君
   理事 田端 正広君 理事 高橋 嘉信君
      小渕 優子君    木村 太郎君
      阪上 善秀君    鈴木 恒夫君
      野田  毅君    鳩山 邦夫君
      菱田 嘉明君    松浪 健太君
      三ッ林隆志君    水野 賢一君
      望月 義夫君    山本 公一君
      小林  守君    小宮山洋子君
      鮫島 宗明君    長浜 博行君
      青山 二三君    井上 義久君
      中井  洽君    藤木 洋子君
      中川 智子君
    …………………………………
   環境大臣         鈴木 俊一君
   環境副大臣        弘友 和夫君
   環境大臣政務官      望月 義夫君
   政府参考人
   (警察庁生活安全局長)  瀬川 勝久君
   政府参考人
   (総務省自治財政局長)  林  省吾君
   政府参考人
   (環境省大臣官房廃棄物・
   リサイクル対策部長)   飯島  孝君
   政府参考人
   (環境省地球環境局長)  岡澤 和好君
   環境委員会専門員     藤井 忠義君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月十五日
 辞任         補欠選任
  日野 市朗君     長浜 博行君
同月十六日
 辞任         補欠選任
  青山 二三君     井上 義久君
同日
 辞任         補欠選任
  井上 義久君     青山 二三君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 連合審査会開会申入れに関する件
 政府参考人出頭要求に関する件
 特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法案(内閣提出第四八号)
 廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第八九号)

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     ――――◇―――――
松本委員長 これより会議を開きます。
 この際、連合審査会開会申入れに関する件についてお諮りいたします。
 経済産業委員会において審査中の内閣提出、参議院送付、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の一部を改正する法律案について、経済産業委員会に対して連合審査会の開会を申し入れたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
松本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決まりました。
 なお、連合審査会の開会につきましては、経済産業委員長と協議の上決定いたしますが、本日、本会議散会後直ちに第一委員室において開会する予定となっておりますので、御了承願います。
     ――――◇―――――
松本委員長 次に、内閣提出、特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法案及び廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 両案審査のため、本日、政府参考人として警察庁生活安全局長瀬川勝久君、総務省自治財政局長林省吾君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長飯島孝君及び環境省地球環境局長岡澤和好君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
松本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決まりました。
    ―――――――――――――
松本委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木村太郎君。
木村(太)委員 委員長、大臣初め皆さん、おはようございます。きょうのトップバッターで質問させていただきたいと思います。
 まず最初に、議題となっておりますこの二つの法案のうち、いわゆる産廃特措法案というのは、この際、日本列島から過去に捨てられた不適正なごみを処分しまして、そしてきれいにしてしまおう、こういうねらいがあると私なりに考えております。もう一方のいわゆる廃掃法の一部改正法案というのは、今後、これから将来に対して、不適正なごみを捨てさせないというねらいがあると私なりに考えております。
 そこで、前者法案に沿って、いわゆる国内最大規模の不法投棄問題となっております青森県と岩手県境の産廃不法投棄問題の解決を図ることが、全国的にも今注目され、将来に向けてのいわゆる抑止力にもなると私は考えております。ゆえに、この問題解決はモデルケースとして、全力でみんなで努力をしていくべきだという認識で質問させていただきたいと思います。
 鈴木大臣におかれては、地元のことでもありますし、また、大臣就任前、この問題が明らかになった直後、自由民主党の岩手県連を代表して現地を早速に視察されたこと、私も大変心強く感じております。また、近々では、望月政務官がゴールデンウイーク中に現地を視察されまして、両県の関係者と意見交換をしてこられたというふうに聞いておりまして、最新状況を把握しているものと思います。
 よって、大臣と望月政務官に、今後の対応に対して、御認識と決意というものをお伺いしたいと思います。
鈴木国務大臣 おはようございます。
 青森、岩手県境の産業廃棄物の不法投棄でございますが、私、昨年の春に現地を視察してまいりました。現場に参りまして、当初予想をしていたものをはるかに超える、以前谷であったというところもそれが廃棄物で埋まっているような地形の変更も見られる、八十二万立方メートルという最大の不法投棄、それを目の当たりにいたしまして、大変衝撃を受けたところでございます。
 当日、現地の地元の方々と懇談をする機会もあったわけでありますが、地元の方々が、自分たちの健康被害というものに対する不安はもとよりでありますけれども、この自分たちの大変豊かな自然環境、そういうものが廃棄物の不適正処理によって大変損なわれるということについて、強い憤りを持っておられたということが強く印象に残っているところであります。
 その後、図らずも廃棄物行政を担当することになったわけでありますが、この思いをしっかり持ちながら今後対応をしっかりしていかなければいけない、そういうふうに思っているところであります。
 この青森、岩手の県境の廃棄物の不法投棄、これは、先ほど申し上げましたように規模においても最大級のものでありますが、しかし、その内容も、危険物質、有害物質といいますものが広範囲にわたっている。それから、広域移動がなされて、かつまた再資源化ということを称した不適正処理が行われているということで、これはいわば産業廃棄物の不適正処理の一つの代表例である、そういうふうに認識をしているところであります。
 今回、特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法を提案させていただいているわけでありますが、これを成立させていただきましたら、この法律に沿いまして、今後十年間にわたってこういった過去の負の遺産を一掃する、そのために強い決意を持って臨んでまいりたいと思っているところであります。
    〔委員長退席、近藤(昭)委員長代理着席〕
望月大臣政務官 おはようございます。
 まずもって、地元の国会議員でございます木村先生に、日ごろ、この青森と岩手の県境の不法投棄問題に関して地元のために大変御努力をなさっているということで、心からの敬意を申し上げたい、このように思います。
 五月一日に、私、この委員会が始まるということで視察をさせていただきました。日本一の不法投棄現場ということで、そのつもりで私も参ったわけでありますけれども、二十世紀という時代が、人間にとって本当に便利な、豊かな時代を築いてきたということと同時に、負の遺産ということで大変な量の不法投棄がある、そういうようなことで、私の想像していた以上のもので、大変私もびっくりいたしました。
 特に、ジクロロメタン等の有機溶剤の現場に着いて、私も、実はマスコミが来ておりましたので、ぜひひとつにおいをかいでくださいということでかぎましたら、異様なにおいがしたわけでございますけれども、これはどのぐらいのことなんだと聞いたら、通常の地下水の一万倍程度だというようなことで、人によっては中毒になるかもしれないなんてちょっとおどかされたわけであります。
 そういうような状況であって、なぜもっとこういった問題について早く対応ができなかったのか、もっと早く対応ができればこんな大規模なことにはならなかったのではないかと思うと、非常に残念でございます。しかしながら、やはり周辺の地域の住民の皆さん、そしてまた下流域の皆さんの御心配ということを考えると、一日も早くこの案件を何とかしていかなくてはいけないということを痛感したわけでございます。
 法案は原状回復に公費を投入するということでございますので、その前提といたしまして、行政責任というか、そういったものをしっかりと検証していただくと同時に、排出者の責任をやはり徹底的に追及していかなくては、国民の皆さんの税金を使うということでございますので納得できない、こういうことでございまして、そこら辺はしっかりと追及していくつもりでございます。また、そういうようなことで両県に対しまして助言とか指導をして、一刻も早い回復につながるようにしていきたい、このように思っております。
 最後になりましたけれども、私、現場で各関係者の皆さんと話をしたのは、実は私自身が、地元が一年じゅう暖かくて雪が一度も降ったことがないような、そういうような温暖な地域でございますので、一年じゅう何かしらの工事だとか手当てはできるわけでございますけれども、私が五月一日に行ったときに、雪が解けたばかりです、ついこの間までは雪が積もっていてよくわからなかったと。これが、秋が過ぎて十一月、十二月ごろになれば、また雪が降ってくる、本当に、我々が何とかしたいと思っても、その期間に仕事をしなきゃならない、事業をしなければならないというような現状等も聞いて、やはり地域差がある。
 そういうことを考えると、早期の工事着手が必要であり、円滑にそういった事業がなされるようなことも考えていかなきゃならないのではないかな、事務、技術の両面で十分な助言を我々も与えさせていただきたいな、このように思ったところでございます。
    〔近藤(昭)委員長代理退席、委員長着席〕
木村(太)委員 かたい決意を聞かせていただきましたので、よろしくお願いしたいと思います。
 具体的に入っていきますが、この法案を見ますと、平成九年に改正されました廃棄物処理法、この施行前に不正に処分された廃棄物を対象にしております。そこで、きょう現在、環境省としてつかんでいる不適正処分された産業廃棄物の実態、場所の数とか量も含めて、どうつかんでいるのか、お聞かせいただきたい。
 また、この法案を見ますと、平成二十四年度までの時限立法という性質も考えますと、都道府県や市町村がこの機会にさらに周りをチェックしまして、そして環境省からその指導をすべきだ、こう考えております。なぜならば、都道府県によってその積極性に差異が生じるのではないかなというふうにも私は心配しております。
 環境省が今つかんでいる実態が、今後、さらに大きくなるというか、ふえることもあると思います。そのときにも、やはり環境省がリーダーシップを発揮してとことん除去するという決意を確認させていただきたいと思います。
飯島政府参考人 環境省におきまして、平成十三年六月時点でございますが、アンケート調査した結果によりますと、全国で問題となっている産業廃棄物の不適正処分の跡地は約六百七十件ございます。このうち、今回の産廃特別措置法案の対象となる、すなわち平成十年六月以前の不適正処分の数は四百三十件、量が千百万立方メートルでございました。
 これら不適正処分のうち、実際に都道府県が代執行によりまして撤去などを行うものがどれぐらいになるかということは現在のところ不明でございますけれども、この法案の趣旨から申し上げまして、都道府県に積極的に取り組んでもらうよう、まず基本方針にその旨を明記したいと思っております。
 また、改めて、法案の対象となり得る不適正処分地の状況につきましては調査をしてまいりたいと思っております。
木村(太)委員 さらに法案の中身について聞きますが、この法案の中身で、実施計画の定める事項の中で、排出事業者についても触れております。青森県、岩手県両県では、約一万とも言われる企業、団体であるこの排出事業者の責任追及を徹底的に行う方針を聞いておりまして、既に数社に立入検査を始めたという報道もありますが、具体的にどういう取り組みが考えられるのか。そして、そのことは、今後、国や県の費用の負担減にもつながっていくと私は考えております。
 また、投棄された場所が青森県側なのか岩手県側なのか特定できないケースの場合、両県共同で責任を追及する考えがあるというふうにも聞いております。さらに、この現場に廃棄物を持ち込んでいることが書類上などで証明できれば、責任追及の措置というものが可能ではないかなという考えを両県とも持っているようであります。法的に見てもこういうことが可能かどうかも含めて、環境省としての両県への支援というものをどう考えているのか、お聞かせいただきたいと思います。
飯島政府参考人 先生御指摘になりましたように、青森、岩手県境の不法投棄事案に関係している排出事業者は、これまで一万社を超えることが判明しております。青森、岩手両県におきましては、このうち、当初に判明いたしました約二千六百社の事業者を優先して、廃棄物処理法に基づく措置命令の発出ができるかどうかについてチェック作業を行ってきたところでございます。
 この中で、御指摘がございましたように、無許可の業者に委託していたケースが十社程度見つかっておりまして、こうしたものから順次、原状回復の措置命令を発出していくことが必要と考えております。
 一万社以上にも上る排出事業者の廃棄物が混合している、こういう状況でございますので、個々の排出事業者が実際に排出した廃棄物を特定するということは非常に難しくなっております。このために、生活環境保全上の支障を除去するという措置命令の目的を考えますと、青森県または岩手県の一方のみにおいて命令の対象となる廃棄物が存在するということが明確である場合はともかく、大体の場合は難しいと思いますので、両県知事の連名で措置命令を行う、こういうことは、私どもといたしましても法制上問題になることではないと考えております。
木村(太)委員 そこで、排出事業者の中には、両県が立入検査をした場合にそれを拒否するということも考えられると思います。そういう非協力的な者に対して、私は、行政の限界というものも出てくるのではないかな。そのときに、警察関係の皆さんの御支援というか御協力もそこには当然に期待されてくると思いますが、きょう、警察庁の瀬川局長さんにもおいでいただきましたので、その点の考え方を御確認させてください。
瀬川政府参考人 この廃棄物事案に対処をする上では、警察と行政との連携というのは極めて重要だというふうに考えておりまして、御質問にありました青森、岩手県境の廃棄物事案につきましても、青森、岩手両県警は両県と緊密な連携をとっておりまして、被疑者五名を不法投棄罪で逮捕しております。また、昨年の暮れでございますけれども岩手県から撤去命令違反で告発を受けておる関係で、ことしに入りまして捜索等も実施するなど、警察としても積極的に取り組んでおります。
 お尋ねの立入検査での問題でございますけれども、私ども、去る五月の八日から九日までの二日間、一定の事業者に対する立入検査が実施されたと聞いておりますけれども、特段の拒否妨害事案はなかったというふうに承知をしております。
 今後とも、立入検査に際しまして、これを拒否する罪、その他刑罰法令に触れる行為がありますれば、行政部局と緊密に連携をいたしまして、警察としてはこれに厳正に対処をしてまいる考えでございます。
木村(太)委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 それからもう一つ、法案の中身の中で、国庫補助について「政令で定めるところにより、」というふうに明記しておりますが、これは、有害なものは二分の一、そのほかのものは三分の一、国からの補助になるというふうにも私なりに聞いております。ただ、土の中を掘って、どれが有害で、またはそれがそうでないものなのか、識別というのが大変難しいと思いますが、どう対応されるのか、お聞きしたい。
 例えば、具体的に言いますと、青森県側から見ますと、不法投棄現場の地形上、有害なものが含まれていると思われる汚水が周辺環境へ拡散されることを懸念しております。よって、この対策を講じるために壁をつくる。その壁をつくることに対しても、有害なものに対しての国庫補助の対象になるのか。具体的に言いますと、冒頭言ったように二分の一と考えていいのかというようなことが地元から見ると注目されておりますが、いかがでしょうか。
飯島政府参考人 先生御指摘になりましたように、政令で、有害な廃棄物につきましては補助率をかさ上げして二分の一にしたいと考えているところでございますけれども、まず、その有害廃棄物に該当するかどうか、これをきちんと調査しなければならないということでございます。
 実際に青森、岩手でも行われておりますが、現場におきましてボーリング調査、試掘調査を行っていただきまして、有害廃棄物とその他の廃棄物の投棄の状況、量を把握していただいて、これを今回の法律に基づく実施計画に記載していただくということになっております。
 具体的にお尋ねございました、遮水工の設置とか雨水浸透防止シートを敷設するという、いわゆる防止壁でございますか、こういったものにつきましては、有害物質のみならず、廃棄物そのものの飛散防止や、有機物が腐食して生ずる汚水の拡散防止対策としても行われるわけでございます。ですから、この事業費につきましては、先ほど申し上げました有害廃棄物の量とその他の廃棄物の量を把握した上で、その比率で事業費を案分いたしまして、それぞれへ二分の一あるいは三分の一の補助率を適用したいと考えております。
木村(太)委員 ぜひ、地元の意見も聞きながら、環境省としての支援をお願いしたいと思います。
 時間もなくなりましたので最後にお聞きしますが、鈴木大臣、これからこの両法案に沿っていろいろ取り組むとすれば、環境省としての、地方組織も含めて、現場の体制がきちっとなっているかどうか、これを確認することも私は大事ではないかなと思っております。
 要は、行政改革の流れの中でありますが、いわゆる安心、安全ということを考えた場合に、廃棄物に対しての国民の期待というのは大きくなってきていると思いますので、その辺の環境省としての組織の見直し、そして体制の充実強化というものも、ぜひこの機会に大臣のリーダーシップで整えていただきたいと思います。
 また、せっかく来ていただきましたので、総務省にあわせて聞きたいと思いますが、今回、都道府県がいろいろ取り組むに当たって、法案の中で起債の特例が明記されておりますが、今後、青森県、岩手県の問題についてはどう考えているのかお聞きして、終わりたいと思います。
林政府参考人 地方団体の財政負担に対する財政措置についてのお尋ねでございますが、議論になっております事案等は、御案内のように、大変大規模な事案が多く、原状回復措置等にかかる経費も大変多いわけでございますし、また、いろいろお聞きをいたしてみますと、その具体的な事業は現在地方債の対象になっていないということもございまして、御指摘のように、今回の法案の中で、特例の地方債についての措置を御審議お願いをいたしているところでございます。
 具体的には、この法案を通していただきますと、地方団体の負担部分につきまして七〇%から七五%の地方債の充当が可能となります。また、私どもといたしましては、地方債の後年度の元利償還金につきましても交付税措置を検討いたすことといたしておりまして、これによりまして地方の負担を軽減しながら、事業の実施が支障なく行われるよう、私どもとしても努力をしてまいりたいと考えております。
鈴木国務大臣 廃棄物を未然防止していくということにつきましては、現場により近いところに環境省の職員を配置していくということが極めて重要であると思いますし、それによって現場への立入調査をいたしましたり、あるいは、地元の都道府県、さらには他の国の地方機関、これと協力して広域的な対応をしていくということが極めて重要でありまして、その点、木村先生の御指摘のとおりであると思っております。
 現在、環境省の地方組織は、従来の自然保護事務所に加えまして、十三年から新たに、全国九ブロックに地方環境対策調査官事務所というものを置きまして、今、逐次、人員の整備もいたしております。平成十五年度中には八十九人が定員化される予定となっております。
 環境省の仕事、これは、廃棄物だけではなしに、自然保護でありますとかあるいは地球温暖化の問題等多岐にわたるわけでありまして、地方組織、地方での活動の充実性というのはますます高まっていく、そういうふうに思っております。私といたしましては、今ある組織をぜひ地方環境局というようなものまで格上げをして、こうした国民の御期待にこたえていくことが大切であると思っておりますが、引き続き、効率的な職員配置、それから地方公共団体との連携も図りながら、環境省の地方組織の充実に努めてまいりたいと思っております。
松本委員長 水野賢一君。
水野委員 自由民主党の水野賢一です。
 さて、今これだけ大きく産業廃棄物の不法投棄というのが社会問題になっている中で、この廃棄物関係の二法案が提出されたということは、非常に意義深いことだというふうに思うわけでございます。
 さて、お伺いいたしますけれども、全国に、現在、不法投棄をされてそのまま残ってしまっているもの、つまり不法投棄されて原状回復されていないもの、撤去されていないもの、その産廃の総量というのは現在どのぐらいありますでしょうか。
飯島政府参考人 先ほど木村先生にお答えしましたように、環境省で現在持っているデータといたしまして、十三年六月時点のアンケート調査結果でございまして、約六百七十カ所、千三百万立方メートル、また、今回のこの法案の対象となり得る平成十年六月以前のものは約四百三十カ所、千百万立方メートル、この時点でのデータしか把握をしておりません。
水野委員 今、十三年の六月のデータということですけれども、ことしは平成十五年なわけですから、こういうのは毎年毎年のデータというのが私はあるのかなというふうに思うんですけれども、では、十三年六月以降とか、もしくは以前、例えば平成十二年のデータとか、十四年のデータというのはございますでしょうか。
飯島政府参考人 毎年毎年、断面的に、新しく発生した不法投棄のデータは調査しているわけでございますが、蓄積、累積という形で調査しているのは、現在のところ十三年六月時点の調査しかございません。先ほど御答弁いたしましたように、今後、改めて調査をしていく必要があると考えているところでございます。
水野委員 では、累積のベースで見ると年々ふえているのか、減っているのかというのは、その辺はわかりますか。
飯島政府参考人 ただいま御説明しましたように、継続的に実施している調査ではございませんので、経年の傾向は把握できておりません。
水野委員 この平成十三年六月の調査というのは、たしか、市町村に調査票を送って調査をしたと思うんですけれども、市町村の方から、ここへ投棄があるのはわかるけれども量がわからない、そういうようなものがございますよね。そういうような量は、先ほどおっしゃられた千三百万立方メーターですか、それに含まれていないと思いますので、実際には、先ほどおっしゃられた数字よりももっと大きい、つまり、不法投棄の全部の総量がもっと大きいというふうに考えられるんですけれども、いかがでしょうか。
飯島政府参考人 先生のおっしゃるとおりでございます。
水野委員 そういうことを考えると、やはり、この法案を審議するに当たっての基本的な数字、データというのは、やはり物事を議論するとき、一番基本でありますから、平成十三年六月に調査をした、それはそれで結構なんですけれども、その後も、今後きちっと、こういう数字については、今現在どうなのかということは、毎年毎年データをとったりする必要があると思うんですね。それで、僕はそんなに大変なことだとも思わないんですけれども、やはり、物事、数字というのは、一番基本的なデータですから、こういうことの調査を環境省として進めていくべきだというふうに思いますけれども、大臣の御決意を聞かせていただきたいと思います。
鈴木国務大臣 産業廃棄物の問題、とりわけ不適正処理の問題が、いわば国民的な重大な課題になっておりまして、それに環境省としてもきちっと対応していかなければならない、そういうことを考えますと、その前提として実態を正しく把握するということが基本であり、重要であると思っております。
 ただいま飯島部長の方からお話をいたしましたとおり、都道府県の協力を得まして、毎年新たに確認された件数それから投棄量等、動態的な状況については調査し、公表しているところでございますけれど、一方におきまして、累積量等の静態的な状況もこれは重要なデータである、そういうふうに思っているわけでございます。
 この産廃特措法の施行状況を把握するためにもこうしたデータは必要なものであるわけでございますので、今後、都道府県等の協力も得まして、その把握に十分努めてまいりたいと思っております。
水野委員 大臣の御答弁、非常に心強く思いました。
 さて、産廃特措法についてお伺いしますけれども、この法律というのは、不法投棄された産廃、それがそのままになってしまって、原状未回復の産業廃棄物の原状回復、簡単に言えば撤去を進めていかなければいけないというところにねらいがあると思います。そして、そのために国が財政面でも手厚く支援をしていくというところにこの法律の主眼があると思うんですけれども、この法律の第五条で、国庫補助率は政令で定めるというふうにしております。先ほど木村委員の質問の中にも少しございましたけれども、この政令でどのぐらいの補助率を考えていらっしゃるんでしょうか。
望月大臣政務官 お答えいたします。
 有害物質ごとに定めた基準がございますけれども、これを超過する、このような有害性の高い産業廃棄物が不法投棄されることによりまして、周辺環境への支障が生じている場合があります。これは特に緊急な対応が必要であるということと、それからまた、特別な処理を要するというようなことで処理費用が大変多額になるというようなことでございまして、これによって、政令によって補助率を決める。特に数字としては、その処理費用が多額となっている補助率を二分の一として財政支援を行うことになっておりまして、その他のものにつきましては三分の一、こういうようなことになっております。
水野委員 今おっしゃられたように、有害物質が二分の一、その他が三分の一ということになると、この法律は十年間効力を有する時限立法ということだと思うんですが、この十年間の間でどのぐらいの国費が投入されることになるんでしょうか。
飯島政府参考人 事業費あるいは補助額の推計につきましては、先ほど申し上げました平成十三年六月時点の調査結果に基づいて計算することになります。十年間の総事業費九百億円から一千億円程度、国庫補助額の総額は三百億円から四百億円程度というふうに試算をしております。
水野委員 補助率に関して言えば、これは、もっと補助率が高ければ産廃の撤去がもっと進むというような言い方もできなくもないのかなと思うんですけれども、もちろんこれは財政当局とのいろいろな予算の取り合いの話だから、補助率を上げるというのはそんな簡単なことではないと思いますし、この厳しい財政状況の中で、この法律ができようとしているということ自体私は大きい前進だと思いますので、なかなか、これ以上ということをねだっていくというのは非常に難しいというふうにも思いはしますけれども、大臣自身の御意向として、もしくは希望としては、こういう補助率をより上げていきたいというような、予算をより確保していきたいというような何か御意向というものはございますでしょうか。
鈴木国務大臣 今回お願いをいたしておりますこの法案についての補助率、これにつきましては、先ほど政務官からお答えを申し上げましたとおり、有害性の高い廃棄物に関しては二分の一と補助率を引き上げているところでございます。補助率がより高ければそうした処理が進むだろうという考えもあるわけでありますが、法案提出者という立場で申しますと、現在の限られた財源の中でこの補助率を引き上げるということは、これ以上引き上げるということはなかなか難しいと思っております。
 ただし、先ほど木村委員にもお答えをいたしましたとおりに、今回は地方債の元利償還金に対する交付税措置、これが講ぜられることになりますので、実質的な都道府県負担、これはもう相当軽減されることになります。
 具体的に申し上げますと、仮に全量が有害物質である事案の場合を想定いたしますと、全体の費用の三〇%強が都道府県の実質負担ということになりまして、これは従来に比べますと、都道府県の負担は約半分に軽減されるということでございますので、こうした地方財政措置もあわせて考えますれば、今回の法案というのは相当都道府県に対する財政負担の軽減になる、そのように考えております。
水野委員 大臣のおっしゃられた部分というのは、私もこの法案の非常にすぐれた点だというふうに思っておりますし、それによって産廃の撤去というものが各地域においてますます進んでいくということを私も期待する一人でございます。
 さて、この産廃特措法が対象としている産業廃棄物というのは、平成十年六月以前に投棄をされた産業廃棄物なわけですね。何で十年六月というところで区切っているかというと、前の廃棄物処理法の改正が施行されたのが十年六月で、それ以降に投棄された産廃というのは、前の廃棄物処理法の改正で、法的には撤去を支援するための制度は整っている、そういうような前提があるからこそ、今回は十年六月以前のものに限ったというふうに思うわけですね。
 つまり、十年六月以降のものはもう法的に手当て済みだ、法的に空白になっている部分がある、それが十年六月以前だ、だから今回そういう特別措置法をつくった、そういう認識なわけですけれども。ところが、私が思いますには、今申し上げた大前提、つまり平成十年六月以降のものは手当てがきちんと済んでいるんだという前提がやや崩れかけているんじゃないかというふうに思うわけですね。
 これはどういうことかというと、平成十年六月以降に投棄された産廃については、適正処理推進センターというところの基金から補助をするから大丈夫なんだということだったと思うんですけれども、この適正処理推進センターに基金があればこれはいいんですけれども、基金が十分集まってきていない。はっきり言うならば、特に産業界が環境省側が予定をしていたような形で資金を拠出してくれていないんじゃないかと思うんですが、平成十四年のデータをお伺いします。産業界からどのぐらいの資金がこの基金に拠出をされたでしょうか。
飯島政府参考人 先生お尋ねの適正処理推進センターの産業廃棄物適正処理推進基金の造成額でございますが、十四年度までに、全部で二十二億五千万円造成されております。そのうち産業界からの拠出は合計十三億九千万円になっております。
水野委員 十四年度の拠出額はどのぐらいでしょうか。
飯島政府参考人 十四年度、産業界からは三億四千万円拠出がございました。
水野委員 目標額は四億円だったはずですけれども、間違いないでしょうか。
飯島政府参考人 これまでの基金の造成に当たりまして、一応の目標額として四億円という数字を示しているところでございます。
水野委員 つまり、産業界からの拠出というのが目標額を達成できなかったわけですね。その目標額四億円自体がそれで十分なのかという議論がそもそもあると思うんです。つまり、産業廃棄物というのは、一カ所で撤去するだけでも、先ほどの青森、岩手の例などは数百億のオーダーがかかるわけですし、そこまでいかないものでも数十億円ぐらい撤去費用がかかる産廃、ごみの山というのは多くあるわけですから、そもそも四億円でも足りるのかという話があるんですが、しかしながら、この四億円さえ満たされなかったわけであります。
 それで、私は、去年の十二月六日のこの環境委員会での質問でこの問題を取り上げまして、廃棄物処理法では、現行の廃棄物処理法では、環境大臣は、事業者等に対し、この基金への出捐を求めるように努めるというふうになっていますけれども、出捐を求めましたかというような質問をしているんですね。そして、そのときの御答弁で、大臣の方から、今後必要があれば事業者等に要請をしてまいりたいというような御答弁をいただいていますけれども、その後、要請はありましたでしょうか。
鈴木国務大臣 この産業廃棄物適正処理推進基金でございますが、それに対して産業界からの拠出、それをしっかりと要請すべきであるという御指摘を昨年先生からいただいたところであります。私どもも、それを受けまして、平成十四年度に大臣名によりまして四つの団体に対しまして基金への拠出要請というものを行ったところでございます。
 この不法投棄対策というのは、そもそも未然防止を図って、そしてまた原因者への責任追及をしていって、結果において基金からの支出を可能な限り少なくするというのが、これが基本かもしれませんけれども、仮にこの基金が不足するような状況に至った場合には、まず産業界に追加の資金の出捐を求めていく等によりまして必要な資金を確保するように今後とも努めてまいりたいと思っています。
水野委員 私も、最近環境省さんが非常に努力していらっしゃるなというのは、それは認めるんです。
 それで、例えば事業者等が基金に対して資金を拠出するというときも、その事業者等の「等」の部分に当たるんでしょうけれども、例えば日本医師会ですね、日本医師会なども十四年度はお金を出すようになった。これは僕は一歩は前進だと思うんですけれども、やはり出す額というのが、五十万円なんですね。先ほど来の話で、産廃の撤去というのは何十億とかもしくは百億単位でかかるという中で、五十万円出したというのは、出さないよりは前進したのかもしれませんけれども、僕は、例えば、医師会といっても、医療廃棄物などというのは、普通の廃棄物よりも撤去費用もかかったりすることもありますから、例えば五十万円の百倍ぐらい出してもいいんじゃないかというふうに思うんですけれども、そういうことに対して強く関係者に要請をしていくという今後の決意をお聞かせいただきたいと思います。
鈴木国務大臣 この基金に対する出捐というものは、適正処理をしているような方が、第三者が不適正処理をしたとしましても、いろいろな事業活動の中で一般的な社会的なその責任を負っていくということで、いわば割り当てではなしに、何と申しますか、そういう一般的な社会的な責任の中で出捐をしていただく、こういうことでございますので、こちらの方から何か割り当てていくというものとそもそも性格が違うと思っております。
 しかし、関係産業界、経済界にそういう意識を高めていただく中で、自主的な拠出というものがさらに進んでいくような努力は続けていく必要があると思っております。
水野委員 実は、私は、その自主的な拠出というシステムがやや限界に近づいているんじゃないかなというふうに個人的には思っておるんです。
 というのは、同じようなことというのは、この産業廃棄物適正処理推進センターの基金だけじゃなくて、例えばPCBの処理のための基金というのが、これはPCB処理特別措置法が二年前にできて、そういうような基金があるわけですけれども、これなどに対しても自主的な資金の拠出というのは進んでいないんですね。法律上は、PCBの製造業者、具体的に言うと二社あるわけですが、鐘淵化学と三菱モンサントなわけですけれども、この二社は、この製造業者は基金に対して出捐することになっていますけれども、出捐はこれまでありますでしょうか。
飯島政府参考人 法律上、PCBの製造者等という言い方をしておりまして、PCBの原液をつくった今の二社に加えまして、そのPCBを使った部品を組み込んでいる電気製品の製造者等も入っているわけでございます。十四年度までに、PCBの製造者等から四億八千万円の拠出が基金に対して行われているところでございます。
水野委員 それは、いわゆる昔の電気絶縁物処理協会が解散したときに、そのお金が来ただけのことであって、具体的に先ほど申し上げた二社から出捐がありますでしょうか。
飯島政府参考人 御指摘になりました電気絶縁物処理協会の解散に伴いまして四億八千万円が拠出されまして、それ以降、御指摘の二社から直接の拠出があったという事実はございません。
水野委員 これは、私も昨年十二月六日の国会質問でも取り上げていますけれども、法制定当時の川口環境大臣が、具体的な会社名も挙げて、法律が通った後はそういうところにお金を出捐するようにと要請するということを当時言っているわけですね。
 それで、法律が今成立しているわけですから、要請はしていますでしょうか。
飯島政府参考人 PCB特別措置法上、PCBの製造者等はPCB廃棄物の処理が円滑に進むよう協力する責任を有しておりまして、この観点から基金への拠出をお願いするわけでございますので、基金への新たな出捐については、今申し上げました趣旨に沿いまして協力を求めていく予定としております。
水野委員 いや、予定ではなくて、この法律は二年前に通っているわけですから、既に要請をしていますでしょうか。
飯島政府参考人 水野先生の御質問、昨年ございまして、直後に関係者に対して働きかけを行ったところでございますが、正式な要請にまでは至っておりません。
水野委員 この法案を審議したときに、これは平成十三年六月五日の参議院の環境委員会ですけれども、当時の岡澤廃棄物・リサイクル対策部長がこういう答弁をしているんですね。「まだ、これは法律が通ってから正式な要請をするということでございますので、正式な要請はしておりませんけれども、今、経団連を通じて内々サウンドしているところでは、」云々云々というふうに言っているんですね。
 ですから、内々なサウンドというようなものは法律が通る前からやっていたはずなんですよ。今、法律は通ったわけですから、正式な要請、これは大臣名による要請ということが法律上書いてあるわけですから、それを行うべきだというふうに思いますけれども、大臣、今までのやりとりを聞いていて、感想があればお聞かせいただきたいと思います。
鈴木国務大臣 このPCB処理にかかわる基金についての産業界の出捐ということにつきましては、ただいま答弁がございましたとおり、事務的に関係者に今までその必要性について協議をした、こういう段階であるということでございます。
 そして、今後、具体的な出捐につきましては、全国のPCB廃棄物処理事業がこれから展開をしていくということでございますので、その展開を見通しつつ、事業に要する費用を精査した上で所要額を確定して、そしてPCB製造者等に対して協力を求めていくということが一つの流れであると思います。
 これらを踏まえまして、出捐の状況を見て、必要があれば、私自身要請することも検討はさせていただきたいと思っています。
水野委員 時間が来ましたので、最後に一つだけお伺いをしたいと思うんです。
 こういうように、産廃にせよPCBにせよ、自主的に資金を拠出してもらうというやり方、これは、今までそういうようにやってきたんですけれども、それは僕は、今までそれによって前進はあったと思うんですけれども、やはり限界があるんじゃないのかな。いわば、これは産廃税を取って、そこにそういうような撤去に充てるとか、税が必ずしもいいのかどうかわかりませんけれども、何か強制的な資金徴収というようなことを今後検討していく必要があるんじゃないかと思いますけれども、どういうふうにお考えでいらっしゃいますでしょうか。
鈴木国務大臣 これら基金につきまして、確実に産業界が負担をするような制度、こういうものを含めまして、どのような対応ができるのかということについて検討させていただきたいと思います。
水野委員 ありがとうございました。
松本委員長 井上義久君。
井上(義)委員 公明党の井上義久でございます。
 青森県の田子町と岩手県の二戸にまたがる産業廃棄物の不法投棄事件でございますけれども、私は、昨年の五月十一日に現地調査をいたしまして、地元の皆さんからヒアリングもいたしまして、八十二万立米という膨大な廃棄物の量に、正直言いましてショックを受けました。不法投棄した行為者は当然ですけれども、排出事業者、それから、そこまで放置をしてきた行政の責任ということについて、非常に強い怒りを覚えたわけでございます。
 現地調査に基づきまして、五月の二十三日に、当時、大木環境大臣でございましたけれども、七項目にわたる申し入れを行いました。具体的には、一つは、事件全容の徹底解明、それから二つ目に、排出者責任に基づく原状回復の促進、それから三つ目に、調査及び原状回復における国の関与の強化、四番目に、再発防止のための体制づくり等々でございます。あわせて、その折に、地元の皆さんと一緒に申し入れを行ったんですけれども、大木大臣にともかく現地を一回見てくれというふうに地元の皆さんが要望いたしまして、それにこたえて大木大臣、早速現地に行っていただきました。
 その後、大臣のリーダーシップのもとで、両県の合同会議とかあるいは関係の都県市への働きかけ等、事件の解明、原状回復に向けて精力的な取り組みがなされてきましたし、また、法整備につきましても、これまで原状回復の最大の障害となっていた財源問題、それから再発防止に向けた対策の強化を柱とした、今回の法案となって結実したということについては率直に高く評価したいと思います。
 五月十二日、今週の月曜日でございますけれども、改めて現地調査を行いまして、意見交換を地元の皆さんとも行いまして、この一年間で相当対応が進んできたな、関係者の努力に対しては率直に敬意を表したい、こう思うわけでございます。
 そこで、大臣にお伺いいたしますけれども、この田子町と二戸の不法投棄事件、私は、この不法投棄対策は環境省が強いリーダーシップをとるべきだと思いますし、また、今回の不法投棄事件については、不法投棄した行為者あるいは排出事業者、さらには行政の責任も含めて、そういう責任を明確にした上で、不法投棄対策、それから原状回復策のモデルケースとすべきだ、こういうふうに私は考えているわけでございますけれども、まず、大臣のこの事件に対する基本的な認識、また今後の解決に向けての御決意をお伺いしたい、こう思います。
鈴木国務大臣 井上先生が数次にわたりまして現地を視察されまして、そしていろいろな具体的な御提言もいただいたところであります。今回産廃特措法を出すわけでありますが、それに当たっても、そうした御提言というものの趣旨の幾つかがその中に生かされているというふうに思うわけでありまして、こうした取り組みにまず敬意を表したいと思っておるところであります。
 先ほども申し上げましたが、この青森、岩手の不法投棄でございますが、これは、量にして八十二万立方メートル、まさに国内最大級のものでございますが、その量だけではなしに、有害物質が広範囲にわたっている、それから捨てられております廃棄物も、広域移動、首都圏を中心とするところから持ってこられて、しかもこれは再資源化ということを称した不適正処理でありまして、いわば今日の産業廃棄物の不適正処理の一つの代表例と言えるのではないか、そういうふうに思っております。
 これをモデルケースとしてきちっと取り組むべきだ、こういうことでございますけれども、今回この特措法を出させていただきまして、その中でも、排出事業者に対する責任の追及、あるいはこういう事態を出来したところの地元行政のどういうところに問題があったのかという検証、それは、結果においてそれが生きて未然防止にもつながっていくわけでありますので、そういうものを徹底していただく等々、そういうものを、その方針を国の基本方針で示して、またそれを受けて都道府県が基本計画をつくる、そういう中できちっと盛り込んでいただいた上で、今までよりも補助率を有害物質がある部分についてはかさ上げをし、また地方財政措置をとって、この十年のうちにこうした負の遺産を一掃しよう、こういうような特措法であるわけであります。
 私といたしましても、この地域の不法投棄の問題の重大性を十分に認識する者の一人といたしまして、この法案を通していただきましたら、これをもとに、こうした負の遺産を一掃するために決意を持って臨んでまいりたいと思っております。
井上(義)委員 そこで、特措法でございますけれども、現地に行きまして、ともかく、両県とも、この特措法の早期成立ということについて大変強い期待をいたしておりまして、一日も早くこの特措法が成立するように関係者の御努力をぜひお願いしたい、こう思います。
 原状回復につきましては、先ほどからも議論が出ていますけれども、平成九年の廃棄物処理法の改正で、いわゆる都道府県等の代執行手続の簡素化とか、あるいは国、事業者の出捐による原状回復基金制度が創設をされまして、一定の体制整備が行われたわけですけれども、この基金による財政措置、これは平成十年六月以降に堆積された不法廃棄物に限られておるわけでございまして、今回の岩手県、青森県の県境事件のように、それ以前に行われた不法投棄には適用できなかった、これが昨年視察をしたときに一番大きな課題だったわけですけれども、今回、行政代執行に伴う自治体の財政負担が、この特措法によりまして、十年六月以前の不法投棄の原状回復にも国庫補助、さらには地方債の特例が認められるようになったということについては大変高く評価するものでございます。
 そこで、一般論ですけれども、十年間の時限立法ということになっておるわけでございますが、ともかくこの十年間で過去の負の遺産を集中的に清算をするということは非常に重要なことである、こう思います。この事業の展開に当たって、環境省、この対象案件はどのくらいあって、予算規模はどのくらいというふうにお考えなのか、まずお伺いしておきたい、こう思います。
飯島政府参考人 平成十三年六月に、環境省で都道府県にアンケート調査を実施しておりまして、これに基づきますと、先生御指摘になりました平成十年六月以前の不法投棄件数は四百三十カ所、量として千百万立方メートルとなっております。
 このうち、実際に事業を行うかどうか、これは、生活環境保全上の支障があるかどうかということを都道府県が判断するものでございまして、現時点ではまだ確定しておりません。
 それで、仮に、これらのうち二分の一から三分の一ぐらいにつきまして実際に原状回復の代執行事業が行われると考えた場合に、十年間の総事業費としては九百億円から一千億円程度、国庫補助額の総額としては三百億円から四百億円程度になるという試算をしております。
井上(義)委員 そこで、今回の特措法では、先ほど大臣からも若干の説明がありましたけれども、環境大臣による基本方針の策定、それから都道府県等による実施計画の策定、それから特定支障除去等事業の実施、こういうスキームで原状回復が図られることになっているわけでございます。
 やはりこの不法投棄問題処理というのは、汚染の拡散や、それに伴う生活環境への影響、あるいは産業廃棄物への住民、国民の不信感の増大等、有形無形のマイナスがあるわけですし、また、風評被害ということも現地では非常に心配をされて、実際に風評被害もあるというのが現状でございます。そういうことを考えますと、これは、迅速性、ともかく早くやるということが強く求められるんじゃないか、こう思います。
 実際のいわゆる特定支障除去等事業の実施までどのようなタイムテーブルを考えていらっしゃるのか。今回の青森、岩手の県境の不法投棄、これに即してお答えいただければ、こう思う次第でございます。特に、両県からは、特に県が実施する対策についてはできる限り支援が受けられるようなスキームをぜひ考えてもらいたいということと、それから、やはり手続が円滑に進むような仕組みにぜひしてもらいたい、こういう要望が非常に強いわけですけれども、これも含めてお答えいただければと思います。
飯島政府参考人 先生御指摘になりましたように、十年六月以前の不法投棄の原状回復ということは、既にもう五年近く時間がたっているわけでございまして、できるだけ速やかに支障除去を行う必要があると考えております。私どもといたしましては、法案成立後、速やかに政令、基本方針が策定できるよう、事務的な作業を急ぐ必要があると認識しております。
 青森、岩手の例でもございますけれども、都道府県におかれましても、実施計画の策定、あるいは具体の工事着手を急いでいただく必要があると思っておりまして、地域の住民の方々に対しまして、原状回復が進んでいるという、こういった目に見える結果を早くお示しすることが住民の方々の不安を解消する観点からも非常に大事なことだと思っております。
 青森、岩手両県からの御要望を私ども聞いておりますので、できるだけそれに即してこたえられるような形で努力をしていきたいと思っております。
井上(義)委員 具体的に両県とも当初予算で既に予算を計上しているわけでございまして、本年度からともかく着工したいというのが両県の決意でございますので、それについてきちっとこたえられる体制になるのかどうかということ。
 それともう一つ、いわゆる新法成立以前に着工予定の搬出用道路を考えているんですね。これも新法成立後は特例措置の対象になるようにぜひお願いしたい、こういう要望があるんですが、この点についてはどうなんでしょうか。
飯島政府参考人 具体的な財政支援の御要望を承っておりまして、私どももそれにこたえられるようにできるだけ作業を急いで、少なくとも今年度からきちんと支援ができるようにしていきたいというふうに思っております。
井上(義)委員 この搬出用の道路についても、当然対象になるというふうに考えていいんですね。
飯島政府参考人 新聞等で道路と書いてありますので、普通の道路整備と間違えられる方が多いと思いますが、これは実際の原状回復工事をするときに必要不可欠な工事用の道路ということでございますので、普通に考えれば当然対象になるというふうに考えております。
井上(義)委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 それからもう一点、廃棄物処理法の改正案でございますけれども、やはり不法投棄問題というのは、予防、再発防止ということが最大のテーマでございます。これまで何度も廃棄物処理法の改正を行ってきていますけれども、どうも後手後手に回っている感が否めないわけです。青森、岩手の不法投棄の際に昨年の五月に申し入れた際も、責任の所在を明確にした不法投棄対策の構築と、国の責務の明確化と適切な関与というようなことを提案したわけでございます。
 その中で、今回の改正の中で特筆すべきは、産業廃棄物に係る国の責任の明確化と権限強化が図られたことじゃないか、こう思います。特に、緊急時の調査権限が創設をされて、国の責務として広域事務調整が明文化された。国の権限強化については、環境大臣が生活環境の保全上特に必要と判断すれば、知事等に加えて環境大臣も報告徴収、立入検査を行うことができるようになった。これは非常に画期的なことだと思うわけでございます。
 やはり国民が求めているのは、地方自治上なかなかこの並行権限というのは難しい面もあるようですけれども、国だろうと県だろうが、ともかく早くやってもらいたい、それともう一つは、やはり専門性、広域性ということが非常にありますから、やはり国民のニーズに合った権限の行使ということをぜひやるべきだ、こう思いますけれども、今回の法改正でこれがどの程度進むのか、確認をしておきたいと思います。
弘友副大臣 今御指摘のように、まさしく産業廃棄物処理、青森、岩手を御視察いただいて、大変その例のように広域的また大規模な不適正な処理事案が多くなっておりまして、社会問題になっている。そういうことで、今、申し入れ等にもございましたように、国の責任を明確化するべきだ、また関与を強化すべきだという声もたくさん上がっておりまして、そういう意味で、このたび環境大臣の緊急時の調査権限というのをこの改正案に盛り込まさせていただいたということでございます。
 そしてまた、この権限は、今まで個別の都道府県のみでは迅速な対応に限界があるだとか、また生活環境の保全のため迅速かつ機動的な対応がなかなか今まではできなかったということで、こういうものを盛り込みまして、それを迅速に広域的にやっていこうということでございまして、都道府県とも密接に連携協力しつつ、国民のニーズにこたえるような、そしてまた環境省自身も組織や人員の整備をしながら尽くしてまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。
井上(義)委員 それから最後に、今回法改正で、拡大生産者責任とかあるいは廃棄物区分の見直し等については、この改正案、いろいろ議論はあったんですけれども、盛り込まれなかった。ただ、これらの問題は循環型社会形成のためには極めて重要な問題でございまして、この拡大生産者責任とかあるいは廃棄物区分の見直し等について今後どういう検討スケジュールをお考えなのか、確認をしておきたいと思います。
飯島政府参考人 適正処理困難物につきましての拡大生産者責任の制度の検討が行われたわけでございますが、今回の改正法案に盛り込むべく検討してきたところでございますけれども、産業界などと十分な合意を得るまでの時間がございませんでした。
 この問題が重要な課題であることは強く認識しておりまして、今後とも引き続き関係方面と十分な議論を行いまして、具体化へ向けた検討を進めてまいりたいと思います。
 それから、廃棄物の区分でございますが、処理責任に着目した場合の事業系一般廃棄物、この問題が排出事業者責任の観点から議論をされたわけでございますが、現在、産業廃棄物につきましてまだまだ施設の不足、不法投棄の多発という非常に大きな問題がございまして、これまで事業系一般廃棄物につきましては市町村の処理責任のもとで行われてきたことによって大きな問題が生じなかったということで、この枠組みはそのまま続ける。
 ただし、排出事業者の責任については、事業系一般廃棄物であっても強化ができないかという検討を行ったところでございます。これにつきましては、この法案におきましても事業系一廃についての委託基準というのを新たに設けることとしたところでございます。
井上(義)委員 岩手、青森県境の産廃問題、大臣も地元でもございますし、ぜひ力を合わせて一日も早くこの問題が解決するように我々も努力していきたい、こう思いますので、特段の御配慮をぜひよろしくお願いしたいと思います。
 以上で終わります。
松本委員長 近藤昭一君。
近藤(昭)委員 民主党の近藤昭一でございます。
 今回の法案、改正について、幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 実は、私も先般委員会の視察に行ってまいりました。千葉県の市原市の不法投棄の現場であります。先ほどから、全国の各地に不法に投棄され、不法に投棄といっても本当に何万トン、何十万トンという大変な規模であるということに本当に驚くわけであります。そして、多くの自治体がその中で御苦労なさっているということを現場で見てまいりました。
 特に、市原の場合はたしか廃棄物の措置法ができてから、青森また岩手の県境のところの不法投棄も大変な問題でありますが、もう一方で市原につきましては法律ができた後ということで、またこれは本当にどういうことだったのかなということを思うわけであります。そんな中で今回の法改正であります。
 そこで、まずお聞きしたいのは、こういった多くの問題、不法投棄、今回の法改正では未遂罪というのが新設をされています。これは、これまでの不法投棄について既遂罪のみだった、そういう中ではなかなか、今私も申し上げさせていただいたように本当に全国で不法投棄が減らない、こういうことから未遂罪が新たに設置されたと思うんですが、その意義について改めてお聞きをしたいと思います。
飯島政府参考人 先生御指摘になりましたように、最近、警察等による監視が非常に強化をされてきておりますので、不法投棄や不法焼却の実行に着手した段階で監視に気づくとそこでやめてしまって処罰を免れる、こういうケースが出てきております。こうした人たちはまた不法投棄を行う蓋然性が極めて高いわけでございますので、その再発を防止する必要があるということから、既遂に達する前に取り締まることとしたわけでございまして、そのための不法投棄、不法焼却の未遂罪の新設でございます。
 実際に未遂罪が新設されますと、行為を制止したり、あるいは環境保全上実際に燃え上がるような前に摘発を行うことができることになりますので、現場での監視、取り締まり、しっかりやっていけるのではないかというふうに思っております。
近藤(昭)委員 まさしく今まではそういうようなイタチごっこであった。法律はできたけれども、その法律にある意味で、沿ってと言うとおかしいですが、その時点では守るというようなことで、なかなかきちっとした実効あるそういった取り締まりができてこなかったということ。そういう中で、今回の法改正によって未然に防止していこう、厳しく処分をしていこう、こういうことだと思うんですね。
 そういったことは大変に重要だと思いますし、これはぜひそういうことでやっていただきたいと思うわけでありますが、ただ、先般も現場に行ってお聞きしたところ、千葉県の場合は、大変に大きな問題になったという中で、体制を県独自として整えるということでありますけれども、そういったことで申し上げますと、環境省としても、そういった不法投棄が行われないような体制づくりが大変に重要だと思うわけであります。
 そういう中で、いろいろとこの不法投棄対策、この実効性を上げる方策についてどのようにお考えであるのか、そのことをお聞かせいただきたいと思います。
飯島政府参考人 今回の廃棄物処理法改正案の中で、先生が御指摘になりました、環境省として国の関与を強化する方策を三つ掲げております。一つは、生活環境保全上特に必要がある場合には、都道府県知事だけでなく環境大臣も報告徴収または立入検査を行うことができることとしております。さらに、特に広域的な産廃不適正処理に対応するために、国の責務の中で広域的な調整を行うことに努める、こういう規定を入れました。三番目に、都道府県知事が行う産廃行政の事務が円滑に実施できるよう、国の職員の派遣その他必要な措置を講ずるということを規定したところでございます。
 こうした規定を活用することによりまして、産業廃棄物の不適正処理に対しまして、国としても対応を強化してまいりたいと思っております。
近藤(昭)委員 今まで、逆に申し上げますと、なぜそういったことがもっと早く実施されてこなかったのかなということを思うわけであります。お聞きしておりますと、捨てるのは簡単だけれども、それを原状復帰といいましょうか、きれいにすることに対して本当に多額の費用がかかる、それもまた税金である、税金が大変多額に投入されるということで、なぜもっと早くという思いがあるわけでありますが、しかしながら、今回、そういう法改正が成る、準備されてきたということは大変にいいことだと思うんです。
 ただ、一方で、今いろいろとお聞きさせていただいた、環境大臣が報告徴収及び立入検査を行えるということであるわけでありますが、ただ、大変に心配しておりますのは、環境省の地方の体制ということで申し上げますと、そういった業務を行えるほど人員が確保されているのかなと思うわけであります。また、都道府県等の調査権限の拡充に伴って地方自治体の業務量の拡大も想定されるわけでありますし、その国のバックアップも必要だというふうに思われます。
 つまり、実効性のある報告徴収、立入検査を確保するために、地方における環境省職員の人員増加、こういったものが必要になってくると思われます。また、そういう面では、人員増加だけではなくて、地方環境局を設置するなど、地方における環境対策、人員も、そしてまた体制も必要と考えるわけでありますが、そのことについてはどういうふうにお考えか、お聞かせをいただきたいと思います。
弘友副大臣 今御指摘がございましたように、今回の改正、生活環境保全上特に必要な場合に立ち入り等の調査権限も充実しているというようなこともあるわけでございますが、それに対して、では人員が果たして十分なのかというお尋ねでございます。
 先ほど大臣からも御答弁がございましたけれども、今、全国九ブロックに地方環境対策調査官事務所を置きまして、逐次人員体制を整備しまして、十五年度中には八十九人が定員化されるようになっております。
 今回、現状の組織、人員につきましては、御指摘のように、決して十分ではないというふうに私自身も認識をさせていただいております。廃棄物対策だけではなくて、地球温暖化防止、また自然保護、環境省みずからが地域において実施すべき施策がたくさんございまして、それを適切に推進するためには、やはり環境省の地方組織の充実を図っていかなければならない。今こういうあれでございますので、効率的な配置というのは必要なんですけれども、やはり絶対的に足りないということで、先ほど大臣の御答弁がありましたように、地方環境局という組織、そして人員、そういうものもやはり今後必要になってくるのではないかなと考えております。
近藤(昭)委員 平成十五年度中に八十九人が増員というふうにお聞きをしたわけでありますが、先ほど大臣のお話の中にもありました、地方環境局等々のこともあると思うんですが、現実に八十九人の方は、かなり地域、地方に分散するのか、もう本省にずっと、ずっとおられるという言い方も変ですが、全国を例えば巡回するというんでしょうか、パトロールするというんでしょうか、八十九人、増員の中で、例えば具体的なことは何かお考えでしょうか。
弘友副大臣 増員の分、九地区におおむね三名ずつ配置するということでございます。
近藤(昭)委員 九地区というのは、一つの地域自体はどれぐらいの規模で、例えばその地域はどういうふうに選定をされたとか、例えばこの地域は問題があるとか、そんなようなことは何かありますでしょうか。
弘友副大臣 大体、日本全国、九州、中国、北越、四国、近畿、中部等、ブロックごとということでございます。北海道だけ二名ということでございます。
近藤(昭)委員 そうすると、九ブロックみたいな感じになるんでしょうか、九ブロックに三名ずつみたいな形で、どこか本部みたいなところにおられて、そこを中心に活動されるというようなイメージでよろしいでしょうか。
弘友副大臣 そういうことだというふうに考えております。
近藤(昭)委員 八十九人、その中で九地域に三名ずつ、そうすると二十七人ということになるのかと思いますけれども、どこまで、それは多ければ多いほどといいましょうか、多い方が実効性あるものになると思うんですけれども、なかなか厳しい財政状況の時代でもありますので、簡単ではないと思うわけでありますが、そういった地域に新しい人員を配置していただいて、やはりそのスタッフの皆さんが実効的に、実質的に、監視を強めるというか、現地で動きやすいというような制度をぜひおつくりいただきたいというふうに思うわけであります。
 続きまして、少し違った観点から質問をさせていただきたいと思います。いわゆるマニフェスト制度についてであります。
 マニフェスト制度は、九年の際の廃棄物処理法の改正に伴って導入をされたわけでありますが、そしてその後、不法投棄件数としては平成十一年、十二年に減少したものの、全体としては増加傾向にあるというふうに聞いております。不法投棄件数が減少しない理由の一つに、マニフェスト制度の不備と言ったら怒られるのかもしれませんが、マニフェスト制度上の何らかの問題があるのではないかと考えておるわけでありますが、環境省ではこのことについていかがお考えでしょうか。
飯島政府参考人 不法投棄件数が一向に減らないという御指摘でございまして、現実に件数は、一番新しい十三年度を見ましても上がっております。ただ、いろいろ未然防止対策の強化によりまして、新たに見つかった投棄の量は十三年度には四割減っているということで、効果が出てきているんじゃないかと思いますが、マニフェスト制度そのものについては、先生御指摘になりましたように、平成三年に導入以来、平成九年改正あるいは十二年改正で逐次、マニフェストの管理について強化をしてきているところでございます。
 ただ、不法投棄問題というのは、施設設置が難しいので産廃の行き場がなくなっているということを背景といたしまして、実際には、処罰されることを恐れないような悪質な業者が後を絶たないということ、さらに、違反の態様につきましても非常に巧妙化している、こういった要因があるわけでございまして、あらゆる対策を講じて減らしていくという観点からは、マニフェストの適正運用の確保とともに、電子マニフェストを一層普及していくことが大変重要であるというふうに考えております。
近藤(昭)委員 今お答えの中にありましたように、悪質な業者、そしてまた巧妙、この巧妙という意味にはさまざまな意味があるんだと思います。隠れて、本当にわからないように、あるいは、私どもが視察をさせていただいたように、わかっているけれどもどうしてというか、ある意味ではそれは巧妙に、法のあるいは条例のすき間というか、枠をかいくぐってというようなことだと思うんですが、だからこそ、今お答えの中にもありましたように、マニフェスト制度を改正しながら充実させてきたということだと思うんですね。
 ただ、今お答えの中にもありましたマニフェスト制度の電子化という問題であります。
 今のところ、制度自体としては、紙の媒体によるものと電子による媒体の双方が認められているというわけですね。そこで、今推進をしているというお言葉をお聞きしたんですが、どれぐらいの比率で今、現状、行われているのか、ちょっとお聞きをしたいと思うんです。
 つまり、それぞれどれぐらいの比率で行われているかということ、また、それぞれの媒体を使った場合に、産業廃棄物が適正に処理されているかどうかをチェックするのにどの程度時間がかかっているか。つまり、電子化をされていれば、単純に思えば、チェックに割と簡単な時間ではないかな、ところが、いわゆる紙の媒体によりますと、やはりチェックをするのに随分と時間がかかるのではないかなということを漠然と思うわけでありますが、いかがでありましょうか。
飯島政府参考人 紙マニフェスト、電子マニフェストの利用件数でございますが、十四年度、最新のデータで、紙マニフェスト、年間四千五百万件、電子マニフェストの利用件数は四十一万件ということで、件数で比べますと、電子マニフェストは紙マニフェストの一%しかまだ普及しておりません。ただ、四十一万件というのは、最近急速にまた伸びているところでもございます。
 チェックする時間が少なくなるのではないかということですが、おっしゃるとおりでございまして、電子マニフェストに全部切り変えることができれば、情報処理センターで電算機によって情報処理が可能になりますので、紙マニフェストの場合は手作業の集計とかそういうのがございますから、電子の方がずっと短時間でチェックできるということになると思います。
近藤(昭)委員 四千五百万件と四十一万件、本当に膨大な数であるわけであります。
 四十一万件、わずか一%、比べれば電子マニフェストの方がチェックしやすいだろうという、どの程度の時間の差か、私もはっきりわかりませんけれども、そういうお答えがありました。
 ところで、私もちょっと不勉強でありますが、四千五百万件というのは、どれぐらいの人員体制、これは各自治体でチェックをしているようでありますが、どんなような体制で四千五百万件というのを実際にはチェックしておられるんでしょう。
飯島政府参考人 紙マニフェストの情報は、今申し上げましたように、地方公共団体、都道府県等におきましてチェックがされ、産業廃棄物ですから、都道府県、保健所設置市になりますけれども、四千五百万件という利用件数の数字は、その都道府県の調査結果の集計値でございます。
近藤(昭)委員 これは、そうすると、例えばこの四千五百万件という膨大な件数のチェック、各都道府県で行われているということでありますが、それに対しては、環境省として各都道府県がどういうふうにチェックをしているかということのチェックみたいなものはどのように行われているのか。四千五百万件という数、かなり膨大でありまして、例えば四十七都道府県で割ったとしても、ざくっと一つの県で百万件ですか、そんな膨大な紙の媒体のものを実際どうやってやっているのかなと思うわけでありますが、その点についてはいかがでありましょうか。
飯島政府参考人 マニフェスト制度の目的というのは、四千七百万枚全部チェックをしなきゃいけないものかどうかということだと思います。現実的には、今回の不法投棄事案があったときに、排出事業者責任を追及するに当たって、こういった事案についてのマニフェストを契約書等と突き合わせてチェックをしているということでございますので、四千七百万を必ず全部チェックする必要があるかというと、必ずしもそうではないわけでございます。不法投棄事案、不適正事案がたくさんございましたら大変なことになるわけでございますが、その一部について必要に応じて紙マニフェストの集計、チェックをしているという状況でございます。
近藤(昭)委員 全部をチェックするわけではなくて、ある意味で問題が起きたとき、あるいは問題ではないか、多分、問題ではないかというよりも、現実の問題としては、本当に問題が起きた、かなり明らかになってきてからそういうチェックが行われているのではないかな、そういうときにしかチェックができないのではないかなというふうに思うわけでありますが、実態としては、例えば、そこまでデータがないのかもしれませんけれども、四千五百万件のうちのどの程度を実際にチェックすることになるのか。
 つまり、私が申し上げたいのは、現実問題としてはなかなか、事後のチェックになるのかもしれませんが、今重要なのは、本当に事前の予防といいましょうか、未然に防ぐ、あるいは被害が、問題が大変に大きくなる前にこういったものを処理していく、迅速に、また本当にはっきりと、見せしめという言い方はよくないと思うんですが、これだけやはりチェックしているんだということを見せていくということが大事だと思うんですね。
 そういう意味で、どの程度マニフェスト制度が各都道府県で実態的に機能しているというか、現場でどの程度そういうふうにやられているかということについてどういうふうに把握していらっしゃるのか。あるいは、今申し上げたように、四千五百万件のうちやはり実際的にチェックしているのはこれぐらいの割合なんだということがわかれば教えていただきたいと思います。
飯島政府参考人 そもそも、産業廃棄物管理票制度、マニフェスト制度というのは、ちょっとこれまでの御答弁で誤解を与えたのではないかと心配しておりますが、排出事業者がみずからの処理責任を全うするために、排出事業者が発行したものがきちんと最後まで適正に処分されたかを最終確認するための仕組みでございます。
 先ほど来ちょっとお話ししたのは、例えば今度の大規模な不法投棄事案のような場合があったときに、その排出事業者責任が追及できるかどうかというようなことを調べるために地方公共団体がチェックする場合があるということでございまして、私ども、毎年四千五百万件のうちの何件について都道府県がチェックをしているかというところまでは把握をしておりませんが、基本的には排出事業者が適正な最終処分までを確認するための仕組みということで、そういった意味での改善をこれまで行ってきたところでございます。
近藤(昭)委員 排出者の責任の中で、自分のところで排出をした廃棄物がどのように処理をされているかということをチェックするというか、道筋というかそういうものをたどるというか、確認できるというのがマニフェストなんだろうなと思うんです。
 ただ、これをやはり実効性ある、つまりこういうものがきちっとされているということをどこかでチェックしている、つまり業者さんが自分のごみはこういうふうにきちっとやっているんだ、そういうことでいうと、先ほどあったわけじゃないですか、悪質な業者さんが多い、巧妙な業者さんが多いとなると、ある意味で、そのマニフェスト、うそのマニフェストかもしれませんし、あるいは、うそじゃないかもしれないけれども、それぞれの業者さんは、余り自分で墓穴を掘るような厳しいチェック、つまり、自分のところはとりあえずいいふうになっているんだということでいきたいということでいうと、何らかのチェックが必要ではないかと思うんですが、いかがでありましょうか。
飯島政府参考人 先生が御指摘になりましたように、マニフェストに関する違反についてはしっかりと調べていきませんと、悪質な人たちもいるということでございまして、例えば、マニフェストを交付しなかった排出事業者あるいはマニフェストに虚偽の事項を記載した排出事業者、これは罰則の対象になります。
 それから、マニフェストの偽造というものも一時期ありまして、この偽造対策にいたしましても、販売行為を禁止して、これに対する罰則を設ける規制強化を十二年法改正で行っております。
 確かに、方向としては、先生御指摘のように、全部電子化されて電子マニフェストでチェックをできれば、実はコストもいろいろかかると思います、管理費、人件費、かかると思いますが、そういうことができた方が望ましいということは、私どもも全く同じように考えているわけでございます。
 現実にその四千五百万枚の紙マニフェストが利用されていると申し上げましたように、全国六百万とか七百万ぐらいの排出事業者がいらっしゃると思いますけれども、その排出事業者は皆さん電子マニフェストに入力できるかという問題はまだまだ残っております。あらゆる形の、産業廃棄物というのはいろいろな形がございますので、そういったところをクリアしていく必要があるのではないかというふうに思っております。
近藤(昭)委員 このことばかり余り時間をかけてもあれですけれども、今の現状でいくと、問題が起きたときにチェックをする一つの方法にはなるのかもしれませんけれども、例えば今の悪質業者ですと、問題が起こった、そして調べてみたら、うその記述であった、あるいは正しい記述であって、その中で問題が起きてきたとか、いろいろなことがあると思うんです。
 私はやはり、せっかくマニフェスト、ただ報告をして、それがどんどんどんどん積まれていって、問題が起きた、調べてみたら何かうそのことばかり書いてあった、もっと早くそのことをチェックしていればよかった、そういうような側面もあるんではないかなというふうに思って質問をしてきたわけであります。
 ただ、そういう中で、今御答弁の中にもありましたが、やはり私、今の自分の質問の中でも幾つか申し上げさせていただいたんですが、やはり紙媒体というのは、問題が起きたときにも、例えば委託を受けた処理業者さん、あるいはその関連の業者さんといいましょうか、そういった人たちに対するチェックなんかも、例えば紙媒体だと随分時間がかかるんではないかなと。
 ましてや、現状でいいますと、紙による報告の場合は、排出の翌年の六月までに報告をすれば足りる。つまり、変な話ですけれども、翌年の六月まではチェックをしたくてもチェックはできないみたいなところがあって、大変迅速性に欠ける。しかしながら、電子マニフェストであれば、そういった作業も短縮できるのではないかというふうに思うわけであります。
 そういった意味では、電子マニフェストがなぜなかなか、今のところ普及が遅い、今ちょっとお答えの中にもあったわけでありますが、詳しくそのあたりの御見解をお聞きしたいと思います。
飯島政府参考人 先ほど、現在において電子マニフェストの利用件数が四十一万件になっている、それは紙に比べれば一%なんですが、これはこの一年間で四倍程度になっておりまして、非常に最近伸びております。
 どういう場合にこの電子マニフェストが成り立つかということなんですが、排出事業者、それから収集運搬する業者、それから持ち込まれて処分する業者、この三者すべてが電子マニフェストを利用するということで一緒になりませんとできません。もちろん、さっき申し上げましたが、それぞれの現場に、パソコンでいいわけですが、電算機の設備や体制を整える必要がございます。
 今の御議論は産業廃棄物全般の話でございますので、排出形態が非常に異なっております。例えば建設現場にきちんとした機器を備えつけて入力ができるかというと、非常に難しい問題が出てまいります。現在、手書きで紙マニフェストを交付できるので、こちらの方が利用率が高いということになっているわけでございます。電子マニフェストにする場合には、いろいろなところで工夫をされていますが、そういった廃棄物の品目について、ある程度決まった業界でやっていかないと、なかなかできないということで、そういうところからこの導入が今始まっているという状況でございまして、年間に二倍、四倍という形で、倍々ゲームで今進んでいる状況ということを御報告いたしたいと思います。
近藤(昭)委員 現場の実態から、それぞれの業者さん、そしてまた、今のお話にありましたように、排出者、また運搬業者、そして処理業者、それぞれが連携して持っていないと、なかなか電子マニフェスト化は進まないということは、論理としてはわからないわけではないんです。
 ただ一方で、だからこそ、環境省がイニシアチブをとって進めていかないと難しいのではないかなと思うんです。つまり、排出業者さんは、自分としてはどんどん進めていきたいと思う、ところが、運搬業者さん、処理業者さん、自分が委託するところが、そんなことはもうちょっと、義務化もされていないし、特に決まっていないんだからという立場というか考え方でいると、排出業者さんの方がせっかく積極的にやりたいと思っても、これはなかなか進まないと思うんですね。
 そういう意味で、ぜひ環境省さんがイニシアチブをとっていただきたいと思いますし、自動車リサイクル法では電子マニフェスト制度を義務化しているわけでありますので、なぜ産業廃棄物ではできないのかなというふうに思うんです。ですから、どういうふうにその理由をおとらえになっているのかなという問題。
 もう一つ、先ほどの話で、四倍になった、四倍になったとおっしゃっても、全体でいうとわずか一%なわけであります。今後、どういうふうにお考えなのか。今のところ、例えば単なる努力目標であっても、そういった目標を立てておかれるような感覚でいらっしゃるのか、あるいは数年後にはそういったものももっと強化していきたいと、今後の見通し等々をお聞かせいただきたいと思います。
飯島政府参考人 自動車リサイクル法で電子マニフェストを採用するお話がございましたので、これについて御説明させていただきます。
 先ほど御答弁申し上げましたように、自動車リサイクル法というのは、対象が使用済自動車ということで決まっております。また、この使用済自動車の場合は、車台番号を利用しまして一台ごとの引き取り・引き渡し情報を一元的に管理する、こういった仕組みでございまして、現在、システムの準備を進めているところでございます。
 一方、全部の産業廃棄物といいますと、排出事業者は不特定多数でございまして、多種多様な産業廃棄物ということで事情が異なるのではないかと思っています。先ほど申し上げましたように、産業廃棄物全般ということでは、自動車リサイクルのような考え方も一つのアイデアだとは思いますけれども、電子マニフェストを進めていくというのは、環境省としても全く同じ気持ちでございますので、そのやり方につきましては検討させていただきたいと思っております。
近藤(昭)委員 それぞれ多分、今お答えにあったように、自動車の場合と産業廃棄物というか廃棄物では随分と事情が違うんだろうなと思います。最近は自動車の不法投棄も大変多いわけでありますけれども、それに比べれば、現状でも、やはり廃棄物の不法投棄というのは、本当に大規模で、本当にびっくりするような規模で行われている。その背景には、自動車と廃棄物と違う情勢があるんだというふうに思うんです。
 ただ、だからこそ、やはりこの電子マニフェスト、もちろん電子マニフェスト制度だけに限るわけではないと思いますが、今の場合で申し上げますと、電子マニフェスト制度をもっと有効に活用できる、有効に利用できるような方法が必要だと思うんですが、今、努力をしてこれから頑張っていきたいというようなお話もありましたが、もう少し具体的に何かお考えのようなところはないでしょうか。
鈴木国務大臣 マニフェストの電子化につきまして、その有用性につきまして近藤先生からるるお話をいただいたところであります。このマニフェストの電子化を進めていくということは重要な課題である、私もそういうふうに思っております。
 環境省がぜひイニシアチブを持ってこれを進めていくべきだということでございますが、先ほどお話ございましたとおり、これの電子化を進めるということになりますと、事業者、運搬業者、それから中間処理業者、またさらに運搬業者、そして最終処分者というような、そこが全部電子化をされていかなければならないという問題がございますし、それから毎日の排出される廃棄物、これももう多種多様、さまざまな形態があるということでございまして、そういうことも踏まえなければいけないと思っております。
 我々といたしましては、まずこれの普及をどんどん進めていくということが大切なことである、もう一段の普及促進に努めることが大切であると思っておりまして、例えばでありますけれども、平成十四年の二月から、携帯電話からも接続できるような取り組みを進めておりまして、こういうようなものも通じまして、この電子化の促進というものに努めてまいりたいと思っております。
近藤(昭)委員 大臣からも御答弁をいただきまして、ありがとうございます。
 十四年度から携帯電話からもそういった入力ができると。そういえば、先ほどちょっと現場等々でなかなか大変だというお話があったときにふと思ったのは、これは単純な思いつきで恐縮なんですが、いわゆる宅急便等々の配達なんかですと、それぞれの小さい宅急便が、一つの荷物がどういうふうに動いているかということを、それぞれの業者さんが現場で小さな入力器、データの取扱器を持ってかなりやっておられるというようなことを考えると、方法はあると思います。
 今鈴木大臣から御答弁いただきましたように、携帯電話からもそういうふうにやれるように十四年度から始めるということでありますので、ぜひさらに進んで、これはやはり、例えば目標として五年後あるいは十年、十年じゃ遅いと思いますが、数年後にこうしていくんだ、例えば義務化していくとか、こういう具体的な目標が必要ではないかなというふうに私は思うわけであります。その辺、大臣、いかがでしょうか。
鈴木国務大臣 これから進めていくということになれば、最終的には義務化というお話につながっていくんだと思います。しかし、一方におきまして、先ほどお話ございますとおり、今四千五百万件の紙に対して四十五万件、一%、そういう現実がございますので、今はとにかく普及を今の段階よりもう一段高めていくということが取り組むべき一番の問題であると思いまして、そういう取り組みを進めていくことが将来の義務化にもつながっていくのではないか、そういうふうに思っております。
近藤(昭)委員 大臣、ちょっとしつこくて申しわけないんですが、そうすると、その場合、義務化を進めていくために現状の利用率をもっと高めていく、そのための逆に言うと具体的な目標みたいなものはありますでしょうか。
鈴木国務大臣 今のところ目標は、具体的な数値目標的なものはないと承知をいたしておりますが、しかし、今後これを普及していくということが重要な課題と認識をいたしておりますので、どういうことをすればそういう普及が進んでいくのか、そういう中で、場合によっては何か目標を定めることも必要なのか、そういうことも含めて、いずれ普及を進めるという観点からいろいろ勉強させていただきたいと思います。
近藤(昭)委員 そうしますと、例えばぜひそういった、確かに義務化はいきなりというわけにはまいらないと思います。そういう中で、大臣とされても、将来の義務化を視野に現状の利用率を上げていく、そして、それの今のところ数値目標はないけれども、これについては場合によってはそういうものも設定をしていくということであります。どうですか、大臣、例えばそういうものを具体的にどこかで御検討を、省内ではいただけるわけでありましょうか。
飯島政府参考人 どういったものから電子化を進めていくべきかという検討は既に行っているところでございまして、自動車リサイクル法はまた別の法制度でそういう仕組みをつくったわけでございますが、例えば、これはまだ検討中の課題でございますが、普及を促進するために、運用でそういうふうに電子化を使うべきであるということを強く言っていくということが必要だと思うんです。
 例えば、公共の処分場に持ち込むような廃棄物については、これは公共関与の処分場になりますので、排出の段階から電子マニフェストの運用をすべきであるとか、そういった検討を、普及を進めていく上に当たって普及しやすい環境を整える、先ほどの携帯電話のような話もございますけれども、どの分野であればきちんとできるのかということを検討させていただきまして、実際の利用率を高めていきたいというふうに思っております。
近藤(昭)委員 ぜひ具体的に始めていただきたい、今始めていただいているということでありますので、ぜひ、よりスピードアップをしていただきたいということをお願いしたいと思います。
 ところで、先ほどから何人かの委員の方もお話をされております拡大生産者責任ということでありますが、経済協力開発機構、OECDが検討を続けてきた拡大生産者責任の考え方、これをごみ問題解決の切り札として、各国、多くの国が採用し始めているわけであります。つまり、これがかなりこれからの世界標準になっていくというふうに考えているわけでありますが、環境省、このことについてはいかがお考えでしょうか。
飯島政府参考人 先生御指摘のとおり、拡大生産者責任の考え方というのは、OECDにおきましての環境対策の政策手段という位置づけが行われておりまして、国際的な潮流になっているというふうに認識しております。
 我が国はこの拡大生産者責任の考え方をどう取り入れていくかということでございますが、循環型社会形成推進基本法を平成十二年に制定していただきましたが、この基本法におきまして拡大生産者責任の考え方を明確に示しておりますし、例えば、完全なものではございませんけれども、容器包装リサイクル法、家電リサイクル法、さらには、現在施行準備中の自動車リサイクル法におきまして、拡大生産者責任の考え方が制度的に導入されているところでございます。
 一昨月、三月になりますが、閣議決定いたしまして国会に報告させていただきました循環型社会形成推進基本計画におきましても、この拡大生産者責任の考え方に基づきまして具体的措置の一層の推進を図るということにしておりまして、拡大生産者責任は今後引き続き取り組んでいくべき重要課題というふうに考えております。
近藤(昭)委員 そういうことで、拡大生産者責任につきましては大変に重要視をしていただいているということでありますし、循環法の中でも拡大生産者責任ということで導入をしておられるわけです。
 ただ、心配しておりますのは、関連法が全く変わっていないために、重要視をしておられることはわかりますし、印象としてもその方向に進んでいくんだろうなということはわかるわけでありますが、どうも実効性の部分では少々心配をしております。
 今回のこの廃棄物処理法の改正においても、環境審議会の廃棄物・リサイクル制度の基本問題に関する中間取りまとめには、拡大生産者責任の導入についても触れられておったと思うわけでありますが、実際の法案には盛り込まれていないわけでありまして、審議会でそういう提案があったことと、実際の法改正の内容がそういうふうになっていないということについては、どのようにお考えでありましょうか。
飯島政府参考人 先生御指摘になりました中環審の中間取りまとめ、昨年出ました意見具申の中にも、適正処理困難物、市町村が適正な処理が困難な廃棄物についての拡大生産者責任の制度拡充という意見が盛り込まれておりました。今回の改正法案にこの意見具申を踏まえて制度を盛り込むべく検討を進めてきたわけでございますが、関係する産業界などとの十分な合意を得るまでの時間がございませんでした。
 と申しますのは、今回お示ししております廃棄物処理法一部改正案におきましては、この拡大生産者責任に関係する案のほかにも、不法投棄対策など緊急に法律改正を必要とする課題がございまして、この拡大生産者責任制度、あと何カ月かかければというお話もありましたが、そのために法案提出をおくらせることは適当ではないと考えまして、今回の法改正に盛り込むことを見送ったわけでございます。
 なお、拡大生産者責任の拡充が非常に重要な課題であるということは強く認識しておりますし、重要な課題であるからこそ、拙速を避けまして、引き続き関係方面と十分議論を行いまして、具体化に向けた検討を行っていくこととしております。
近藤(昭)委員 拡大生産者責任についての重要性は認識をしているけれども、時間的なこともあって、産業界の十分な合意もなかなか得られずにというお話があったんですが、ただ、だからこそといいましょうか、先般の視察で、私はある意味で二つの印象を持ったところがございました。
 せっかく視察をさせていただいたところには恐縮な思いもするわけでありますが、溶融炉を視察させていただいた。何か、物すごい施設というか、物すごい勢いだなというような感じで、何でもかんでも高温で燃やしてしまって、大変にごみがある、問題だ、それをそこに放り込む。リサイクルできるものも出てくるし、ダイオキシンも出てこないし、非常にある意味で、そのシステムとしては、そのシステムとしてはですよ、大変によくできたものだなと思いましたし、そういうものも必要だとは思うんですが、ただ、それが全体に広がっていくと、結局は、どんどんどんどんごみは出してもいい、出したごみはこんなすばらしい機械があって問題なく処理をできるんだということになると、一方でまた別の問題が出てくると思うんですね。ですから、もちろん現状の中でそういうものも必要だ、また有効だというふうに思うんですけれども、私は、全体的にはやはりごみを減らしていくということだと思うんですね。
 そういう中から考えても、この拡大生産者責任、責任の中身はいろいろとあるんですが、不法投棄をされないようにする、ごみをきちっと処理できるようにする、あるいはごみを減らすようにするという、さまざまな責任の意味合いというのがあると思うんです。これは逆に言うと、やはり産業界のきちっとした、特に減らすというところでいいますと、燃やすというところはまた別だ、出すところは出してしまうけれども、その先できちっと処理する、そういうことではなくて、やはり、減らすということでいうと、この拡大生産者責任、製造した方が、生産をしたところ、つまり、なかなか産業界の十分な合意が得られなかったというお話があるわけでありますが、こういうことこそきちっと合意を得て責任を明確にしていかないと、なかなかごみは減らないんだと思うんですが、いかがでしょうか。
飯島政府参考人 拡大生産者責任、特に、市町村ではきちんと適正に処理することが困難と言われるようなエアゾール缶であるとか、注射針であるとか、あるいは消火器とか、そういった具体的な検討は実はさせていただきました。
 近藤先生御指摘のように、どうやってリサイクルするか、どうやって適正処理するかという観点も大事なんですが、リデュース、排出を減らすという意味では、製品の製造者が製品の設計などで工夫をして、廃棄物にならないようにするというのが一番プライオリティーの高い対策ではないかというのは全く同感でございまして、そういう製品の設計の工夫とか、あるいはきちんと表示をしてリサイクルしやすくするとか、さらには引き取り、引き取って処理をしてもらうという、いろいろなバリエーションがあろうと思いますが、そういう検討をさせていただきました。
 引き取り等につきましては、容器包装リサイクル法で、市町村の分別収集が非常に負担になるというような話がございまして、ここはなかなか難しい問題もございまして、個々の品目と個々の関係する販売店とか、製造事業者だけでなく販売店等の問題もございますので、そういった調整を実はつけていかなければいけない問題でございます。制度をつくっても、その後にそういう議論をしていかなきゃいけなかったわけでございますが、制度をつくる段階で、そこで合意をするというところまで至っておりませんので、これはやめたわけではなくて、引き続き議論をしていきましょうということになっておりますので、引き続き、この適正処理困難物を中心とする拡大生産者責任の具体的な検討をさせていただきたいと思っています。
近藤(昭)委員 限られた質問時間でありますので、これ以上は申し上げませんけれども、これはそれぞれのシステム、さっき申し上げたように、処理をするシステムだけではなくて、やはり循環としての大きなシステムというものが大変に重要だと思いますので、ぜひ環境省におかれましては、大臣を先頭に、リーダーシップを持って具体的に進めていっていただきたいというふうに思うわけであります。
 ところで、排出事業者としての市町村の責任についてちょっとお伺いをしたいと思います。先ほどからも何人かの委員の方が、大変に各自治体が困っている、これについて現実的に解決をしていく、そういう中で、環境省の対応ということで幾つかの質問があったと思うんです。
 排出事業者としての市町村の責任についてお聞きしたいと思うのは、市町村が一般廃棄物の処理を委託した事業者が不法投棄を行った場合、委託した市町村が措置命令の対象外であったため、不法投棄をされた、つまり例えば隣の、委託した業者が隣の自治体に不法投棄をした、そうすると、その不法投棄の現場を抱える自治体が大変処理に困ったという事例が多いわけであります。不法投棄対策を実効あるものにしていくためにも、このような場合に市町村を措置命令の対象にする必要があると考えるわけでありますけれども、環境省、このことについてはどのようにお考えか。
 また、市町村がそういった問題ある業者に、問題があるかどうか、結果的に問題のある業者に処理を委託して、その事業者が不法投棄を行った場合の市町村の責任についてはどうなっているのかということについて、お話を伺いたいと思います。
飯島政府参考人 近藤先生の御指摘なんですが、廃棄物処理法の上では、市町村と、それから普通の民間の排出事業者との立場は異なった形で整理をしております。
 市町村には、一般廃棄物処理計画に従いまして一般廃棄物の処理を行うという責任を課しているわけであります。市町村がこの一廃の処理を委託で行う場合でも、市町村は引き続きその処理責任を有していることになります。
 したがって、委託基準に従った委託であるとか、委託契約の締結、あるいは委託した相手が一廃の処理基準に従って処理を行う、これを市町村として責任を持って確保する必要があります。
 仮に、委託をした者が不適正処理を行った場合は、市町村は、委託したその不適正処理を行った者とともに生活環境保全上の支障を除去するための必要な措置を講ずる責務があるということでございまして、市町村を措置命令の対象にしていないというのは、先ほど申し上げました、民間の事業者とは別の立場として、廃棄物処理法上、法律的に規定をしているわけでございます。
 仮に、市町村がこの責任を果たせないでいた場合どうするかということは、法律論的には、地方自治法において、国から地方公共団体に対しまして、助言、勧告、あるいは是正の要求、こういったことができることとなっておりまして、法律論的には、そういった形で市町村がきちんと責任を負うように担保しているところでございます。
近藤(昭)委員 そうすると、一般廃棄物の場合については市町村も責任を有しているということ、そしてまた、今の例で挙げさせていただいたような問題のある場合には、国が地方自治法を運用して、原状復帰といいましょうか、問題を除去するというか、問題を解決するように指導することができるということですか。
    〔委員長退席、牧委員長代理着席〕
飯島政府参考人 地方自治法上の規定は緩いレベルからきついレベルまでありまして、先ほど申し上げました技術的助言、勧告、それから法令違反の場合には是正の要求、こういったことを国が地方公共団体に対して行うことができます。
 現実に、問題のあったような事例につきましては、こういった措置をとらせていただいた例もございますし、いずれにいたしましても、市町村が委託した先の者とともにいろいろな責任を有しているということで、これに基づいて、それが行われない場合には、この地方自治法上の措置で対応してまいりたいと考えております。
近藤(昭)委員 それとちょっと関連をして、産業廃棄物の場合はいかがでしょうか。市町村が産業廃棄物の処理を委託し、その事業者が不法投棄を行った場合の市町村の責任についてでありますが、いかがでしょうか。
飯島政府参考人 産業廃棄物の場合は、ある意味で、普通の事業者と市町村が同じ立場に立ちます。産業廃棄物について市町村は処理責任を課されておりませんので、そういう意味では、一般の民間の排出事業者と同じような責任を市町村は負うということになります。
近藤(昭)委員 そうすると、一般の事業者と同じような責任ということは、具体的にはどういうふうになるわけでありますか。
飯島政府参考人 市町村が処理を委託した相手方の産廃処理業者が不法投棄を行った場合には、委託基準に違反する、あるいは処理業者に資力がない、市町村が適正な処理料金を負担していない、こういった要件があれば、排出した市町村も措置命令の対象になります。
近藤(昭)委員 そうすると、産業廃棄物の場合には、民間事業者と一緒のように、措置命令の対象になるということでありますが、これは、一般廃棄物と産業廃棄物によってそういった対応の仕方が違うというのは、特にどこに大きな理由があるんでしょうか。
飯島政府参考人 廃棄物処理法の中で、市町村は一般廃棄物処理計画に従って一般廃棄物の処理を行う責務を規定しておりまして、これは公法上の事務として行われている、ここの違いでございまして、産業廃棄物の場合は、市町村が事務として廃棄物処理を行っているのではなくて、事業者の立場で廃棄物の排出者となる、こういう解釈でございまして、その場合には普通の民間事業者と同じ立場になるということでございます。
近藤(昭)委員 なるほど。少し時間も足りないので十分にお伺いすることはできないので、また仲間の議員等々が御質問させていただくと思うのですが。
 現実問題として、一般廃棄物であろうと産業廃棄物であろうと、もちろん一般廃棄物と産業廃棄物でいうとごみの内容がちょっと違いますから、具体的にはちょっと違うところもあるのかもしれませんけれども、そういったごみを捨てられた側の市町村の被害の実情というものは大変なものでありまして、これをぜひ有効に処理ができるように、また、処理をする前の未然の防止ということができるように、平たく、ありていに言えば、それぞれの市町村がきちっと責任を持つということだというふうに考えているのでありますが、その点をぜひよろしくお願いしたいと思います。
 それで、もう時間もなくなりますので、最後に一つだけお伺いをしたいと思います。
 つまり、環境省は、現在、産業廃棄物行政と政策手段としての税の在り方に関する検討会を設置して、自治体が独自に創設している産業廃棄物に係る法定外目的税についても検討しておられる、こういうふうに聞いておるわけですが、この検討会の目的、今後の議論の進め方などについてお聞かせをいただきたいと思います。
飯島政府参考人 法定外目的税としての産業廃棄物税でございますが、既に地方公共団体十カ所で条例が制定されまして、四つの地方公共団体では既に施行されております。そのほか、多くの地方公共団体で検討がなされているわけでございます。
 これまで導入された産業廃棄物税につきましては、その税の使途につきましては、適正処理、リサイクル施策、こうした費用に充てることが中心になっておりますので、適正処理の確保あるいは発生抑制、最終処分量の減量化という効果を有するというふうに評価をしております。
 他方、産業廃棄物税は、産業廃棄物の流入抑制につながり得る、あるいは産業廃棄物を全国的に円滑に処理するという立場から見ると支障があるという可能性も否定できませんので、こういう点については留意すべきであると思っています。
 環境省としては、先生今御質問になりましたように、全国的な視点での産廃行政、この立場から、産業廃棄物税について、新しい政策手段としてどう考え、どう対応すべきかということを研究するために、この一月から御指摘の検討会を開催したところでございます。
 これまで条例化を行っております地方公共団体から意見聴取を行っているところでございまして、この夏を目途に中間的な論点整理をさせていただきたいと思っています。
近藤(昭)委員 時間も参りましたけれども、そういったさまざま、ごみ、廃棄物行政についての、この場合、税というものを使って、税を媒体にしての廃棄物行政ということについて、夏までに何らかのものを出されると思いますので、またそのときにお聞かせをいただいて、とにかく、この廃棄物の問題、本当に実態が大変なので、ぜひ環境省に、もちろん私どももしっかりと法改正等々取り組んでまいりますが、頑張っていただきたいというふうに思います。
 ありがとうございました。
牧委員長代理 次に、高橋嘉信君。
高橋(嘉)委員 自由党の高橋嘉信でございます。
 ゼロエミッションあるいは循環型社会の形成に向けてと、かけ声だけは耳に心地よいのでありますが、廃棄物の実態はかなり厳しい、こういう指摘をせざるを得ないと考えております。
 早速、質問に入らせていただきます。
 青森、岩手の排出者責任の遡及状況は、その後どのようになっているのかをお伺いいたします。
 一万七百社中、措置命令が下せるのはどれぐらいあるのか。説明会の出席率は二八・二%、配達証明による事業者からの報告内容は正確なものと言えるのか。また、その報告届けも八七%と報道されております。そしてまた、青森県の数字は出ているのかどうか、遡及状況についてでありますが。この辺のところをあわせてお伺いいたします。
    〔牧委員長代理退席、委員長着席〕
鈴木国務大臣 状況を把握していることを答弁させていただきますが、平成十五年四月末現在の最終集計におきまして、約一万六百社の排出事業者が判明したところでございます。そして、これらの排出事業者に対しまして事実関係を明確にするように求めておりまして、約八割の事業者から回答が得られているということでございます。そして、その中で、無許可業者に委託していたケースが十社程度見つかっておりまして、近々措置命令をかけるということを聞いているところであります。
高橋(嘉)委員 それは、十社程度の措置命令は無許可業者への委託。それ以外にも措置命令基準はありますし、それは、当初二千六百社中の、しかも岩手県分の遡及状況の中での十社という数字ではありませんか、確認の意味ですが。
飯島政府参考人 先生のおっしゃるとおりでございまして、当初の報告聴取を受けたものの中から、無許可業者に委託していたものが十社程度で、そのほかにも措置命令の対象になるような案件があり得ると思いますが、初めに明らかになったものから順次措置命令をかけていくという方針と聞いております。
高橋(嘉)委員 では、八割程度のところから報告を受けたという先ほどの大臣のお話ですが、具体的な数字は結構なんですけれども、青森県の方の遡及状況が進んでいるのかどうかということを含めて、出席率が二八%程度で、そしてあと、出席してこなかったところに配達証明を送った、そしてその報告は正確なものかどうかもはっきりしないわけですね。その辺のところはどうなんですか。
飯島政府参考人 先ほど、はっきりと無許可業者に委託したケースが見つかりました、ここからやっていきますというのは、岩手県の例でございます。
 青森については、引き続き調査中、チェック中というふうに聞いております。
高橋(嘉)委員 ですから、遡及が困難なのか。かなりの数があるとはいえ、当初の二千六百社においては、これは青森も岩手も該当しているわけですから、なぜ岩手の方だけが例えば無許可業者十社という数字が出るのか、何で青森の方は出ないのか。それと、要は、出席しなかったところに出している、配達証明を送りつけた分、その点については報告は正しいと認識しているのかどうか。この二点。
飯島政府参考人 十社については岩手なんですが、その中に、岩手がこの十社を突きとめているわけですけれども、当然それは青森県の地域にも不法投棄された可能性がございますので、先ほどほかの委員の先生にもお答えいたしましたように、両県連名の措置命令というようなことができるような準備を進めているところでございます。
 それから、配達証明で出したものの信憑性等でございますが、これにつきまして県の方でチェックをしているというふうに聞いているところでございます。
高橋(嘉)委員 余りしつこく言うわけじゃないんですけれども、両県の連名での措置命令は、それはそれでいいんですよ。そうじゃなくて、青森側から、こういう十社あるいは二十社の無許可業者への委託がありますよというような話は来ていないんでしょう、来ているんですか。なぜ、同じような作業をしているはずなのに、そういうことになるのか。
飯島政府参考人 青森県側と岩手県側の作業のスピードに差があることがこういったことになっていると思いますが、実際問題として、まだ青森県側はチェック中で、その結果についての報告は受けておりません。
高橋(嘉)委員 では、措置命令の基準の中で、無許可業者への委託以外にもありますよね。その基準を、全部詳しくおっしゃらなくても結構ですから、お示しいただきたい。
飯島政府参考人 廃棄物処理法の規定で、項目だけで申し上げますけれども、委託基準を遵守しているかどうか。例えば、産業廃棄物の処分をその事業の範囲に含まない許可業者に委託することは禁止されております。これに違反した場合。
 それから、必要事項を明記した書面による契約を締結する義務が委託基準としてございますけれども、これに違反した場合。
 それから、マニフェストの関係でございますけれども、マニフェスト、管理票と呼ばせていただきますが、管理票の交付義務がございまして、必要事項を記載しなかったり、あるいは虚偽の記載をした場合。
 それから、管理票の写しを保管しなければいけない義務がありますが、これに違反した場合。
 それから、管理票の写しが送付されない場合に、産業廃棄物の運搬、処分の状況を把握して適切な措置を講じることという規制措置がございまして、これに違反した場合。
 ということで、無許可業者に委託したというのは明らかにすぐ一発でわかるんですが、最後に申し上げましたように、適切な措置を講じたかどうかというような、こういった規定もございますので、この辺についての検討は時間がかかるのではないかと思っております。
高橋(嘉)委員 では、廃棄物処理法の排出事業者責任に至る注意義務違反の中で、マニフェストを確認していても、委託の適正対価を負担していなかった場合に責任を問うこともある。この点については間違いないんでしょうか。
飯島政府参考人 間違いございません。
高橋(嘉)委員 この注意義務違反の措置命令の前例はありますか。
飯島政府参考人 ございません。
高橋(嘉)委員 いずれにせよ、この措置命令について、両県にも適正な指導をしながらしっかりとやっていただきたい。この注意義務違反の場合は、逆に県側が訴えられる危険性もある。そういったこともあるわけでありますから、ですから前例がないわけでありまして、前例のあるものを含めて、措置命令基準、こういった場合はこうだとしっかりと指導していただきたい、これをお願い申し上げておきます。
 いずれ、マニフェストは、このように監視機能も当然ない、先ほどから何回もこの委員会で話がありましたけれども。遡及段階においても功を奏しているとは思えないんですが、この点についての御見解をお願いします。
飯島政府参考人 マニフェストの義務、交付義務であるとか記載義務であるとか、これにつきましては、実際上、この青森、岩手の事件ということではないんですが、これに違反したために改善命令、措置命令の対象になった例はこれまでもございますし、これは後でチェックする形でありますけれども、マニフェストに関する規制の違反をチェックするということは、これまでも既に行われているところでございます。
高橋(嘉)委員 では、時間もあれですから、ほかに移ります。
 両県の検証委員会から報告を受けていると思いますが、国から見て、青森、岩手の行政責任についてはどのようにお考えですか。これは大臣にお聞きしたい。
鈴木国務大臣 検証委員会、昨年の十月にそれぞれ設置をされまして、本年の三月まで検討が行われたということで、報告書も出されているところであります。青森県におきましては、県の業者に対する認識の甘さと、行政調査の不徹底や警察等との連絡が不十分であったことについて、それから岩手県につきましては、県が違法性がある産業廃棄物収集運搬業の更新許可を行ったことについて、それぞれの一定の行政責任があるということが指摘をなされ、今後の再発防止のための対応がとられたところというふうに承知をしております。
 私どもといたしましては、両県が外部評価の委員会を設置して、その行政責任を明らかにしようとした姿勢につきましては評価ができるもの、そういうふうに考えております。今後、この報告書を受けて、両県がどのように対応するかについて、改めて両県から報告するよう今要請をしているところであります。
高橋(嘉)委員 では、国についてはあるとお考えでしょうか。
 この青森、岩手のは十一年の事案でありますけれども、平成十三年五月に「行政処分の指針について」という、前にも御質問いたしました通達を出して、不法投棄現場に立入調査できることや、都道府県等の区域外であっても立入検査できる、これを周知した。十三年にやっているわけですね。それまではずっと、前にも言いましたように、行政側の認識、法上の運用に認識の違いがあった、そういった重要な問題を残してきているわけであります。
 では、国の行政責任についてはどのようにお考えでしょうか。
鈴木国務大臣 昨年の当委員会におきましても高橋先生から御質問があったわけでありまして、そのときも答弁をさせていただきましたが、一連の今度の事例を考えてみまして、国においてもと申しますか、環境省においても反省すべき点があるという思いでございます。
 それは、今御指摘の立入調査権の問題でありまして、そうしたことが都道府県にしっかりと周知をしていなかったということで、十三年の五月に改めて通達を出させていただいたところでございますけれども、それ以前においてそうしたものがきちんと周知していなかったという点については、十分反省をしなければいけないと考えております。
高橋(嘉)委員 いや、何回も反省の言葉を聞きたくて申し上げているんじゃなくて、豊島の場合も県庁職員の方がやめられました。青森、岩手にもそういう、検証委員会であれだけ鋭く指摘されているわけですから、何らかの措置があるかと思います。そのときに、果たして国は反省だけでいいのかどうかなと。僕はそのことをちょっとお伺いしてみたいと思ったから聞いたわけであります。
 では、次に行きます。
 青森県は処理計画、三案を示しているようですけれども、いつごろまでに、岩手県は既に示しているはずでありますが、私が岩手県だから岩手県のことだけをこうやって持ち上げて言っているわけじゃないのでありまして、青森県側の住民も非常に困っております。処理計画はいつごろまでにできるのかどうか、その見通しをお伺いいたします。
鈴木国務大臣 十四年六月に両県で合同検討委員会を設置したわけでありますが、その技術部会におきまして、青森県については、十五年度から十八年度に遮水壁及び水処理施設を設置して、これと並行して廃棄物を順次撤去する方針が示されているところであります。そして、撤去につきましては、本年三月十一日に、全量撤去をするか、あるいは部分撤去、これは一案、二案、二つあって、合わせて三案が示されたと聞いております。
 青森県は、今後、この両県合同委員会あるいは住民説明会等を開催の上、この三案のうちどれを採用するか、できるだけ早い時期に決定するとのことでございます。
高橋(嘉)委員 つまり、青森県では、全量撤去しない場合もあり得るという、その選択肢が残されているわけであります。そこの中で、廃棄物処理法上、全量撤去をされない場合、残された廃棄物はどのような位置づけになるのですか。
飯島政府参考人 廃棄物処理法上、不法投棄の原状回復の代執行の意味合いというのは、当該の場所に既に生じてしまっている生活環境保全上の支障の除去を原因者以外の者が公費をもって行う措置、こういう整理をしておりまして、撤去をされないものは、環境保全上の支障が生じないように、例えば封じ込めとか、いろいろな形での、物が動かなくても措置がなされるというふうに考えております。
高橋(嘉)委員 いや、支障を除去できない、つまり未撤去廃棄物というものになるのか。要は、そこをはっきりしないと、最終処分場、例えば安定型でも管理型でもですけれども、しっかりとした、さもなくば、残すとすれば、こういう例えば未撤去の廃棄物に関しては、管理型のような基準を持ってモニタリングを何年も続けてちゃんとしますよとか、いろいろな、例えばこれぐらいの体制をしいて安全の面では問題ないんだよとか、そういうことを示さなきゃいけないでしょう。そういうことも心に入れて予算の組み立てをしてきたのかどうか、どうでしょうか。簡潔にお願いします。
飯島政府参考人 先生御指摘になりましたように、原状回復の方法というのは、その投棄された廃棄物の種類とか量とか場所の地形とか地理的条件を勘案いたしまして、さらにコストも当然考慮しながら決められるわけでございます。したがいまして、現地に廃棄物が残される方法が選択された場合であっても、先ほど申し上げました封じ込め等の環境保全上の支障除去の措置をとった上で行うということで、廃棄物処理法上、そういう措置がとられれば、環境保全上の支障が生じるおそれはなくなったという取り扱いをすることになります。
高橋(嘉)委員 いずれ、法文上、廃棄物支障除去とあって、つまり中間処理も最終処理もされていない、要は不法投棄の廃棄物そのものでありますから、そこの規定があって、その規定に関してはこうするというものがないと、どうも私は不自然に感じております。そして、その辺のしっかりとしたものが提示されないのではいけない、かように考えておりますので、心していただきたいと思っております。
 では、次に参ります。
 隣接する牧野がありますよね、青森、岩手の話ですが。あそこの下に、地域住民から、この下にはもういっぱい入っているんだと、現地視察した際に何度もお話をいただきました。これは今地域住民から調査を要望する声が上がっておりますが、これについてどのように対応されるのか。廃棄物処理法上の立ち入り権限の有無を含めて、御見解を伺います。
鈴木国務大臣 御指摘のこの隣接牧草地でございますけれども、これは例の三栄化学工業が当該地で業を行っていたとされる昭和五十五年から現在まで、一貫してこの農事組合が所有をしているわけであります。
 この牧草地に関する調査を行う場合には、廃棄物処理法第十九条の規定に基づく立入検査が行われることとなりますけれども、三栄化学工業がこの農事組合と土地の賃借契約を結んで、最終処分場として、し尿脱水汚泥及び下水道汚泥を運搬していたことが判明をしているところでありまして、青森県といたしましても早急に立入検査を行う予定である、そのように聞いております。
高橋(嘉)委員 では、今回の特措法に、有害物質は二分の一、含まないものは三分の一とありますが、この有害物質とは何か、その対象を示していただきたい。
鈴木国務大臣 有害性については、特別管理廃棄物に相当するかどうかということを判断基準とする考えでありまして、この特別管理産業廃棄物といいますのは、一つに有害物質の濃度、次に産業廃棄物の種類、それから特定の発生源から排出されるかどうかの三つの観点から定められるものであります。
 特別管理産業廃棄物に相当するものといたしましては、例えば、発生源が特定できなくても有害物質が濃度基準以上に含まれている場合が該当する。要するに、この法律で言うところの特別管理産業廃棄物に相当するものというものについては、例えば、発生源が特定できなくても有害物質が濃度基準以上含まれている場合は該当する、そのように考えております。
高橋(嘉)委員 いずれ、今回の特措法によって廃棄物流入県の負担が軽減されたとしても不公平感は払拭し得ない、この点だけは強く認識していただきたいと思っております。
 それでは、一九九八年六月以前、以降の判断、大臣は以前に、一連として行われたかどうかの判断に基づくとの御見解をいただきましたけれども、この一連とは何か。運用規定か何か、明文化されているんですか。
飯島政府参考人 十年六月以降の措置がどういうものに適用されるかというお尋ねというふうに理解してお答えさせていただきたいと思います。
 十年六月以降については、新しい平成九年の改正法で、適正処理推進センターに基金を造成して、そこから四分の三の支援をする、こういう仕組みでございます。
 この判断時点ですが、先生が今御質問になりました、法令で明示されているかというお尋ねに対しては、そういうものはございません。
 この基金制度創設に関しましては、平成九年法改正におきまして、産業界と十分議論を尽くした上で新設できたものでございます。そのときの主な論点は、その施行日以降は未然防止対策を強化する、実際強化したわけでございますが、不法投棄の未然防止対策を強化すること、それと、産業界が社会的貢献としてこの基金に拠出をするということがセットで合意されたものでございます。
 そういう意味からは、その日以前から、十年六月十七日だったと思いますが、施行日以前から投棄を行っていたものまで支援の対象にするということについては、基金を拠出していただいている産業界の理解は得られない、こう考えておりまして、一連の行為の着手時点として運用しているところでございます。
高橋(嘉)委員 ですから、適正処理センターの基金の話ですけれども、国も四分の一出して、産業界は四分の二でしょう。合わせて四分の三。自治体も四分の一出す。公的機関が半分、産業界が半分、そういう話ですね。そこの話し合いがあったといっても、何もそれは明文化されていない。
 そして、もし実態が、細かい話ですが、六月以前にほんの出来心でちょっとやってしまった、だけれども、もうかなり厳しくなっているから姿勢を正そう。そしてその後、これは本当に厳しくなって、もう運営できない。例えば最終処分場がですよ。そして、もうあと二、三年でこれはやめる時期だ、やることはやっちゃおう。例えばそういう判断になった場合、実態というものが六月以降にあっても、六月以前にちょっとだけでもそういう話があったら、それは一連と見るのか見ないのか。それは実態論としておかしいわけですよね。
 その点についての見解はいかがですか。
飯島政府参考人 出来心でやっても違反は違反でございますので、その辺の解釈というのは個々のケースに応じて見ていかざるを得ないと思いますが、実際の支援対象とするかどうかは、この適正処理推進センターに置かれました基金に運営協議会が置かれております。運営協議会は、産業界の代表、地方公共団体、学識経験者などで構成されておりまして、ここでこれまでの実績を見た場合に、一連の行為のスタート時点で、この補助の対象、支援の対象にするかどうかという取り扱いを行ってきたという実態がございます。
 いずれにしてもケース・バイ・ケースで、六月以前のものが無視するに足りるか足りないかという判断は、実態的にはこの運営協議会で行われることになります。
高橋(嘉)委員 ぜひ今回の問題も運営協議会で議題としては出していただきたい、そのようにお願い申し上げます。いかがでしょうか。
飯島政府参考人 先生からそういう御指摘があったということは、関係するところに伝えたいと思います。
高橋(嘉)委員 では次に、産業界から寄せられている基金の内訳、先ほどもお話を聞いておりましたし、目標を下回っていると。ここの中で、出捐状況を見ると、排出事業者責任ということに対して各業界間に認識の違いがある、私はそう指摘せざるを得ないんですが、この点についての御見解はいかがでしょうか。
飯島政府参考人 適正処理推進センター基金への産業界の拠出というのは、先ほども申し上げましたけれども、排出事業者責任として行われているわけではございません。自主的な社会貢献として行っていただいているものでございまして、適正な処理を行っている産業界の事業者にとりましては、第三者の不法行為の結果に対する原状回復の責務はないわけでございますので、ここでは事業者としての一定の自主的な社会的貢献、こういう認識で拠出をしていただいているというわけでございます。
高橋(嘉)委員 大体にして、拡大生産者責任の話もさっきありましたけれども、一定の社会的貢献といっても、例えば医療廃棄物とかなんかはどうにもならないわけでしょう。産廃業者間では相場も高い。そういうものを不法投棄する場合も相場が高いそうですから。そういう報道がありましたけれども。
 そういうふうな状態の中で、本当に産業界がみずから生産した、みずからそれによって経済的利益を得たものに関して、さあ、建設業界だけ多いからそこからだけ取ろう、そういう問題ではないんじゃないですか。取ろうというか、協力を仰ごうという問題だけじゃないんじゃないですか。もう少し理解を深めていただく、その努力、そして産業界も努力してくる、それが目標額を達成するということにつながるんじゃないですか。
鈴木国務大臣 先ほども水野先生のときに答弁をさせていただいたところでございますが、廃棄物の不適正処理ということについては、これは原因者がある、その人が責任をとらなければいけないということでございますが、いわば、適正に処理をしている人が、社会的な一つの立場からこうした貢献としてこの拠出をするということでございます。
 しかし、それは、やはりそういう立場、そういうような位置づけでございますから、いろいろな事業活動をする方がこうしたことに貢献していこうという、廃棄物の不適正処理を解消していくためのそういう取り組みに自分も貢献していくんだ、そういう、何と申しますか、みんなの気持ちをそう持っていっていただいて初めてこれに対する応分の拠出というものがあり得るんだと思いますので、そうした努力については環境省として進めていかなければならないと考えております。
高橋(嘉)委員 では次に、広域処理システムとか地域内処理システム、こういったものとは違う業界内処理システム、そのような仕組みの構築を考えるわけにはいかないのでしょうか。
 例えば同一業者が連携して処理システムをつくること、むしろこれは産業界の望むべきところじゃないんでしょうか。この点についての御見解はいかがでしょうか。むしろこれを助けていくことが、不法投棄、そういった問題の解決の糸口にもつながると私は考えるんですが、いかがでしょうか。
鈴木国務大臣 今の先生の御質問は、排出事業者の業界内処理システム、こういうものを進めるべきではないかということであろうかと思いますけれども、基本的にはそういう考えであろうかと思っております。
 同一業界の排出業者から排出される産業廃棄物につきましては、排出の状況それから性状が同一であることが多いわけでございますので、共同して産業廃棄物の処理委託を行うことは極めて合理的でありまして、促進していくべき取り組みの一つである、そのように考えているところであります。
高橋(嘉)委員 では、もう一つお話ししますが、排出事業者に対して選択の幅を持たせる方法は余りとられていない、私はかように考えております。つまり、優良、不良業者の線引きができない、そういった状態の中で排出事業者は選択を強いられているとしか言いようがないわけであります。
 例えばISO14001の認証取得の情報提供とか、行政処分がここの中間処理業者あるいは産廃業者にはあったんだよとか、そういう情報提供。各県単位ではやっているところもあるようでありますが、これらを一元化して一カ所に集めて排出事業者に提供する、こういう姿勢が望ましいのではありませんか。この点、いかがお考えですか。
鈴木国務大臣 今の御提言につきましても、私どもも同様の立場で前向きに考えているところであります。
 排出事業者が本来なすべき取り組みを支援するために、現在も、産業廃棄物処理業者に関する許可情報をインターネットで提供する産廃ネット事業を適正処理推進センターが実施しているところでございますが、今後の取り組みの方向といたしまして、産廃ネットの提供情報といたしまして、ISO14001の認証取得の有無、財務諸表等の経理的情報、それから環境報告書などの情報公開の取り組みの有無、こういったものなど、処理業者の選択に当たって有用と考えられる情報を追加して、産廃ネットを拡充強化することを検討してまいりたいと思います。
 それから、御指摘のございました違反業者などの行政処分情報の提供、これにつきましても、環境省で、都道府県等が行った取り消し処分等の情報をインターネットで提供することについても検討していきたいと思います。
高橋(嘉)委員 ぜひ検討して、これを一カ所に集めて、そして情報提供してやってください。
 どこに頼んだらあれなのか、ここは絶対大丈夫だと思うところに頼んでも、委託あり、再委託ありで、どこに行っているかわけがわからない、後は排出事業者責任で呼び出しを受けている、そういう実態があるわけですから。要は、選択できる環境づくりを率先して環境省がやっていっていただきたい、これは強くお願いを申し上げておきます。
 では次に、時間も迫っているようでありますが、ことし二月にも大臣にも御質問いたしましたが、不法投棄量等について数字がはっきりしていないという話を私は申し上げたかと思います。
 まず、この法案の対象件数はどれぐらいとなっているのか。四百三十件余りという話を聞いています。九百億から一千億ほどかかると試算している話も聞いております。実際、平成十年六月以前の産廃不法投棄件数は三百八十七件あって、このうちボリュームが判明しているのは三百七件あります。量は一千百五十七万七千トン。ボリュームを初め、有害物質の量などが判明していないもの、これが九十六件ありますね、十年六月以前に。そしてそれと、いつ捨てられたかわからない、不明のものを含めて僕は申し上げているんです。
 まさに全体量も把握できずに、十年計画、先ほど大臣は一掃するというお話をされておりましたが、この点についてどのようにお考えですか。
飯島政府参考人 現在私どもで持っている不法投棄の数字というのは、十三年六月時点の都道府県のアンケート調査に基づくものでございまして、先生御指摘のように、投棄量がわからないものも含められているわけでございます。
 いずれにいたしましても、この産廃特措法が成立いたしますれば、早急にきちんとした実態調査を重ねて行う必要があるというふうに考えておりますので、もう五年近くたってしまったものを対象としているわけでございますので、この特別措置法の趣旨にのっとりまして、都道府県におかれましてもきちんと調査をしていただくようにお願いをしていきたいと思っております。
高橋(嘉)委員 余り厳しくこの点については申し上げないようにしようかなと思っていますけれども、いずれにせよ、全体量も把握できない、また中の有害物質の量もわからない、そして、本当に、これも全部市町村の届け出、それによるんだ、そういう話だけでは雲をつかむようなところがあるわけですよ。そして、例えば撤去できないで残してしまう部分、これについてはどうするのかとか、先ほども申し上げてきましたけれども、しっかりとした対応を考えて計画を練っていただきたい。
 大体、実施計画は都道府県だとか、そういう話ばかりではなくて、国もしっかりとした計画をつくらなければいけない、私はそう思っております。
 では次に、いずれ、時間も参りましたので最後になりますが、中間処理施設へのオーバーフロー、あるいは悪徳収運業者のマニフェストの偽造。積みかえ保管施設への持ち込み産廃、解体業者の偽装、自社処分。不法投棄の手口は巧妙化する一方であります。
 そこで伺いますが、最終処分場が中間処理業者も持てるようになっています。こういった問題とか、あるいはマニフェストが、まさに青森、岩手の実態を見てもなかなか遡及できない、出席さえしてこない。
 そして、残存容量について僕は特に言いたいんですけれども、残存容量もその施設設置者の報告です。一体どれだけあるのか。残存容量、大体に青森、岩手の場合は、三栄化学工業は二千五百立米、それに八十二万ですよ。キャパ二千五百立米の中に八十二万立米不法投棄されている。それ以外にまだあるかもしれない、牧野を掘ってみれば。そういう実態があるわけですね。
 残存容量だけでも、今の一連のことについての見解もいただきたいんですが、最終処分場の残存容量をきちっと把握すべきではないでしょうか。施設設置者の報告というのは余りにも信憑性に欠けるのではありませんか。
 それと、中間処理施設においても何にしてもですが、収運業者においてもですが、悪いことをしようとする者はするわけであります。もう少し積極行政の展開、これをバックアップする体制を早急に、先ほど産廃Gメンの話もされていましたが、警察行政含めて、そういう積極行政の展開をぜひ指導していただきたい。そして、残存容量については、設置者の報告などという話ではなくて、しっかりと把握すべきだ、私はそう考えております。
 この点についてお話をお伺いして、私の質問を終わります。
鈴木国務大臣 今日の産業廃棄物にかかわるいろいろな不適正処理の問題、自社処分の問題、積みかえの問題等々、御指摘をいただいたところでございます。
 その中で、この最終処分場の残余容量の問題でございますが、これにつきましては、都道府県等におきまして、定期的に埋立実績について報告徴収をし、把握を行っているわけであります。しかし、それだけではなくて、事業所に備えられている帳簿や許可時の図面等の内容との比較でありますとか、あるいはマニフェストの記載内容との突き合わせ、そして今御指摘がございましたけれども、残余容量を現地に実地に確認するための立入検査を行うというようなことも有用な手段である、そういうふうに思っております。
 このような手段を適切に活用いたしまして、残余容量の正確な把握に努めていくことが重要でありまして、環境省といたしましても、都道府県の取り組みを把握し、そしてそれを支援して、産業廃棄物のフローの実態の追求を進めてまいりたいと思っております。
高橋(嘉)委員 ありがとうございました。
松本委員長 藤木洋子さん。
藤木委員 日本共産党の藤木洋子でございます。
 まず最初に、廃棄物処理法の一部改正についての問題で伺いたいと思います。
 現在の産業廃棄物の不法投棄対策は、九七年の廃棄物処理法改正で不法投棄に対する罰則の強化、産業界の出捐及び国の補助金による原状回復基金制度の創設などが行われ、特に二〇〇〇年に改正された中では、排出事業者が産業廃棄物の運搬または処分を委託する場合に最終処分までの注意義務やマニフェストによる一貫した把握、管理の義務づけ、措置命令要件の拡充強化が行われました。
 しかし、不法投棄件数及び投棄量は、二〇〇〇年度で一千二十七件、四十・三万トン、二〇〇一年度では一千百五十件、二十四・二万トンと、不法投棄件数は増加しており、不法投棄の実行者も、排出事業者が四百九十八件、無許可業者が百七十四件、許可処理業者が六十七件、複数十七件、投棄者不明というのが三百九十四件と、依然として排出事業者の不法投棄が大きな比重を占めております。また、二〇〇一年度の不法投棄に対する原状回復の状況は、回復着手が七百八十三件で六八・一%、未着手が三百六十七件で三一・九%と、資力不足であるとか指導に従わないなどの理由による未着手が依然として多く残っております。
 そこで、青森、岩手県境不法投棄事件のような不適正処理事案が依然として多発しておりまして、今回の法改正で、緊急時における環境大臣の調査権限の創設や、廃棄物の疑いのあるものの処理に対する市町村長等の調査権限の拡充、不法投棄または不法焼却に対する未遂罪の創設などの措置が盛り込まれていますけれども、これは不法投棄の未然防止等の効果が期待できるものなのかどうなのか。大臣、いかがでしょうか。
鈴木国務大臣 今回、法改正におきまして、廃棄物であることの疑いのある物についての立ち入り権限等の拡充がなされることになります。それによりまして、不適正処理事例に多く見られます、廃棄物を有価物であるというふうに偽って不適正処理を行おうとする、そういう事例に対して早期に対応することが可能であると思います。
 それからもう一つ、未遂罪を創設いたします。これによりまして、不法投棄がもう実際に既遂をされてしまって、そして生活環境保全上の支障が生じる前の段階で摘発することが可能になるということでございまして、これらの措置によりまして、不法投棄の未然防止に相当の効果があるものと思っております。
 そして、こういう制度をつくるだけではなしに、これを実際に施行する段階に当たりましても、警察などとの連携の上、取り締まりを徹底して、そして不法投棄の未然防止に全力で尽くしてまいりたい、そういうふうに考えております。
藤木委員 現在、都道府県が産業廃棄物行政を行っていますけれども、青森、岩手県境不法投棄事件のように、首都圏の産廃が両県にまたがって不法投棄された場合でも、国が直接に調査する権限はありません。都道府県を通じた対応で生活環境の保全上の対策がおくれるということになります。また、これまで、廃棄物処理の疑いがあっても、地元の市町村には処理施設に対する直接の調査権限がなく、不適正な処理を見過ごさざるを得ないという状況がありました。さらに、明らかに不法投棄または不法焼却のための準備をしていても、現行犯でなければ取り締まりが極めて困難でした。
 そこで、今回の不法投棄の未然防止等の措置は、産業廃棄物の不適正処理や不法投棄の規制強化ということになるのでしょうか。
鈴木国務大臣 これは、先ほど答弁をさせていただきましたとおりに、それぞれ、廃棄物であることの疑いのある物についての立入調査権限の拡充、それから未遂罪の創設というものを行うわけでございまして、これは、欠格要件の追加とともに、不適正処理を行う悪質業者に対する規制の強化である、そういうふうに考えているわけであります。悪質業者排除のため、規制を徹底してまいりたいと考えております。
藤木委員 しかし、実際には、不法投棄件数というのは、二〇〇〇年度で一千二十七件、二〇〇一年度で一千百五十件と増加しておりまして、二〇〇〇年度の産業廃棄物行政処分等でも、産廃処理業の許可取り消し等は二百二十七件、特管物処理業の許可取り消し等は二十三件、産廃処理施設許可取り消し等は五十件、改善命令が百八件、措置命令が四十五件などと、やはり依然として不法投棄や不適正処理を行う処理業者が多く存在しているわけですね。
 さらに、行政指導や行政処分に従わない悪質な処理業者がおりましたり、聴聞会による許可取り消し処分が決まる前に処理業の廃業届を出して、五年間は許可申請ができないという欠格要件を逃れる悪質な処理業者がおります。そこで、現行の許可取り消しをすることができるという規定から、悪質な処理業者は許可を取り消さなければならないとし、いわゆる許可の取り消し逃れをした者も五年間許可申請ができないことにすることをねらっているようでございます。
 ですから、不法投棄や不適正処理を行う悪質な処理業者が依然として多く存在している中で、今回の法改正で、特に悪質な処理業者の許可を取り消すことを許可権者に義務づけることであるとか、処理業者の許可の欠格要件にいわゆる許可の取り消し逃れをした者も追加するなどの措置を盛り込んだことは、悪質な処理業者を排除する、排除する効果が本当に期待できるものなのかどうなのか。いかがでしょうか。
鈴木国務大臣 私どもといたしましては、悪質業者を排除する、そういう効果がある、そのように考えているところでございます。
 先生から、今までいろいろ対策をとってきたけれども余り効果が上がっていないということでございましたけれども、これまでの一連の悪質業者追放に向けた取り組みの中で、特に平成十二年の廃棄物処理法改正以降、悪質業者の許可取り消し件数は増加をしておりまして、一定の成果を上げているもの、そういうふうに考えております。
 今回の改正案におきまして、悪質な廃棄物処理業者に対する対策をさらに強化するということで、ただいま藤木先生からも御指摘がございました、廃棄物処理業者が欠格要件に該当するなどした場合における許可の取り消しの義務化、あるいは、いわゆる許可逃れを防ぐための、欠格要件として許可の取り消しにより五年間許可がとれなくなることを逃れるためにみずから廃業した業者等を許可欠格要件に追加するなどいたしまして、悪質な業者が確実に排除されるようにしているところでございます。
 これらの対策は、調査権限の強化や罰則の強化と相まって、不法投棄の防止及び悪質業者の追放に相当効果があるもの、そのように考えております。
藤木委員 また、現行の廃棄物処理法では、産業廃棄物を全国的に集めようとすれば、すべての都道府県及び保健所設置市の業の許可が必要であり、廃棄物処理施設についても、同じ性状のものを処理する施設であっても、一般廃棄物、産業廃棄物、それぞれの許可を要します。
 一方、九七年の法改正で、環境大臣の指定により廃棄物処理業に係る許可を不要とする特例制度として広域指定制度と、環境大臣の認定により廃棄物処理業及び廃棄物処理施設に係る許可を不要とする特例制度として再生利用認定制度が設けられております。
 二〇〇一年四月一日現在、産業廃棄物処理業の許可件数は、前年度より一万五千百八十九件増加しております。ですから、十七万八千五百四十九件になっているわけですね。産業廃棄物処理施設の設置件数についても、前年度より三千四百九十五施設増加して二万九十八施設となっております。
 一方、二〇〇一年度の広域再生利用指定制度による指定数は、廃パチンコ九件、通信機器または情報処理機器六件、ロックウールが六件、窯業系サイディングが五件、廃タイヤが二件など、十八種五十一件となっておりまして、再生利用認定制度による認定件数は建設無機汚泥四件でありまして、廃タイヤや廃プラスチックの認定はありませんでした。
 そこで、環境大臣の認定により自治体ごとの許可を不要とする特例制度や、同様の性状を有する廃棄物を処理する場合、重複した施設許可を不要とする特例制度の創設というのは、広域的な処理を進めるために現行制度を拡大するというものでありますけれども、広域認定制度は、パソコンメーカーなどの業者の認定基準の設定や不適正処理の責任を明確にし、処理基準や措置命令の適用を盛り込むなど、現行制度よりさらに厳しくなっているということになるのでしょうか。いかがですか。
鈴木国務大臣 御指摘の広域認定制度の創設などの措置は、許可規制の合理化を通じまして、適正かつ効率的な廃棄物のリサイクルなど、適正処理を促進する効果を持つものでございます。
 このような合理化とあわせまして、廃棄物の適正な処理を確保するため、廃棄物処理基準の適用など適正処理のための規制を適用するとともに、特に認定を受けた業者がその処理の一部を委託して行う場合においても、委託元の認定業者に全体の処理が適正に行われるよう責任を課し、その責任を果たしていない場合には措置命令の対象となり得ることとしておりまして、認定を受けた業者の責任を明確化している、そういうふうに考えております。
 このような措置を通じまして、特例を受けた認定業者などが不適正な処理を行わないよう、制度の運用を厳格に行ってまいりたいと考えております。
藤木委員 二〇〇一年度の広域再生利用指定制度による指定数というのは私が今述べたとおりですけれども、一方、家電リサイクル法に基づく四品目の処理に続いて、廃パソコンのリサイクルが求められておりますけれども、廃パソコンは全国各地の事業所や家庭から排出されておりまして、全国的に処理、リサイクルをするためには、環境大臣の認定により自治体ごとの許可を不要とすることや、事業所からの産廃と家庭からの一廃の重複した施設許可を不要とすることなど、制度の合理化が求められているとしております。
 そこで、適正な廃棄物処理、リサイクルを担保する観点から置かれている現行の許可制度に対しまして、広域的、効率的な廃棄物処理、リサイクルを促進するために認定制度を拡大するというものですけれども、パソコンメーカー等の認定業者の適正処理確保のための規制措置が規定されているとはいうものの、規制緩和による許可制度の空洞化につながるおそれはないのかということを懸念いたしますが、いかがでしょうか。
鈴木国務大臣 広域認定制度についてでございますけれども、廃棄物処理業、これは原則として地方自治体ごとの許可を得て行うべきである、そういう基本は変わりはございませんが、しかし、例えば、生産者がみずから販売した製品が使用済みとなったものを引き取って高度なリサイクルとかあるいは無害化処理を行う場合など、広域的、全国的に促進することが望ましいものについて特例的に認定しようという趣旨のものでございます。
 また、広域認定制度の対象となるものであっても、適正な処理の確保のために必要な規制は厳格に適用することになっておりまして、廃棄物の適正処理体制にもマイナス面はないと考えております。
 このようなことから、御懸念のような許可の空洞化にはつながらないもの、そのように考えております。
藤木委員 さらに、排出者責任、拡大生産者責任については、廃棄物処理法などの法改正で一定程度強化されていますけれども、排出事業者が処理業者等に委託してしまえば排出者責任はほとんど免れるという状況は変わっておりません。拡大生産者責任も家電や容器包装リサイクルに生かされていると言われますけれども、これは単なる分担責任にとどまっております。
 二〇〇〇年度の産業廃棄物行政処分等では、立入検査が十一万八千百八十八件、管理票に関する行政指導が一千九十四件となっていますけれども、大半は収集運搬、処理業者に対するものであって、産廃処理業の許可取り消し等二百二十七件、特管物処理業の許可取り消し等は二十三件、産廃処理施設許可取り消し等は五十件、改善命令が百八件、措置命令が四十五件などの行政処分が、ほとんどは収集運搬、処理業者に対するものとなっております。
 また、二〇〇一年度の容器包装リサイクルでは、年間分別収集量二百三十万三千三十四トンに対しまして、年間再商品化量は二百二十一万一千二十五トンとなっておりますけれども、分別収集コストは自治体負担になっております。家電リサイクルの四品目引き取り台数も八百五十四万九千台となっていますけれども、運搬リサイクル料金は、これは消費者が負担しております。
 そこで、二〇〇二年の十一月二十二日、中央環境審議会の「今後の廃棄物・リサイクル制度の在り方について」という意見具申では、「排出者責任及び拡大生産者責任等を含めた制度をどのようにするか検討しつつ、見直しを行うことが適当である。」として、排出者責任、拡大生産者責任による適正な処理、リサイクルの推進など、見直しの方向性を示しておりました。
 それで、中環審で、排出者責任、拡大生産者責任による適正な処理、リサイクルの推進など、見直しの方向性がどのように議論をされて、その上で、法制化の過程でなぜ盛り込まれなかったのか、盛り込むことができなかったのか、その点はいかがでしょうか。
鈴木国務大臣 適正処理困難物にかかわる拡大生産者責任の制度的な拡充についてでございますが、今回の改正法案に盛り込むべく、鋭意検討したところでございますけれども、産業界等と十分な合意を得るまでの時間がございませんでした。
 一方におきまして、廃棄物処理法につきましては、この拡大生産者責任の制度、これのほかにも不法投棄対策など緊急に法律改正を必要とする課題が多くあるわけでありまして、本制度案のためだけに法案提出をおくらせることは適当ではない、そのように考えまして、今回の法律改正に盛り込むことを見送ることとしたものであります。
藤木委員 しかし、法制化の過程で、業及び施設に係る許可の特例制度の拡充や物の性状に応じた施設許可制度の合理化などは盛り込まれましたけれども、不法投棄場所を提供した土地所有者の責任強化や自社処分と称する無許可処理業行為及び積みかえ保管行為に対する取り締まり強化などは盛り込まれませんでした。
 特に、意見具申で「一般廃棄物の処理責任を有する市町村が有害性、危険性などの点から処理困難な物について、その適正処理を確保するため、拡大生産者責任の趣旨に基づき生産者による製品設計・素材選択の工夫や、引取り・処理などの取組を求める制度の一層の拡充が必要である。」とした、製造メーカーに引き取り義務を課すという制度化が産業界の反対で先送りとなったと聞いております。今、合意が得られなかったというのはそういうことであろうと思うのですが。
 そこで、製造、販売メーカーに引き取り義務を課す制度化が、産業界のどんな反対で、何だから反対なのだというような理由で先送りになったのか、その点はいかがですか。
鈴木国務大臣 この拡大生産者責任の制度的拡充に当たってどの部分が合意できなかったのかということでございますが、それは、一つには対象とする品目、それから製造事業者と市町村との間の責任分担のあり方などにつきまして合意を得るに至らなかった、こういうことでございます。
 御指摘のとおり、拡大生産者責任の拡充、これは重要な課題であるということは私どもも強く認識をしておりまして、今後とも引き続き、関係方面とも十分議論を行いまして、具体化に向けまして検討を行ってまいりたいと考えております。
藤木委員 しかし、処理業者に対する規制の強化だけでは、今日の廃棄物処理の抜本的な対策とはならないと思います。これでは、いわゆる片手落ちということになるでしょう。
 中環審の意見具申に盛り込まれている、一般廃棄物の処理責任を有する市町村が有害性、危険性などの点から処理困難な物について、その適正処理を確保するため、拡大生産者責任の趣旨に基づき、生産者による製品設計、素材選択の工夫や引き取り、処理などの取り組みを求める制度を盛り込むことがぜひとも必要だと思っております。
 さらに、意見具申にも明記されております、不法投棄場所を提供した土地所有者の責任強化や自社処分と称する無許可処理業行為及び積みかえ保管行為に対する取り締まり強化も盛り込む必要があると考えております。
 そこで、中環審の意見具申に盛り込まれている拡大生産者責任の制度や土地所有者と自社処分に対する規制強化をぜひとも盛り込むべきだと思うのですが、大臣、その点はいかがでしょうか。
    〔委員長退席、近藤(昭)委員長代理着席〕
鈴木国務大臣 中環審の意見具申で触れられた項目につきまして御質問があったわけでありますが、まず、拡大生産者責任の拡充につきましては、先ほど申し上げましたとおり、私どもとしても、この問題というのは大変重要な課題である、そのように認識をいたしております。それゆえに、あえて拙速を避けまして、さらなる実態の把握に努めるとともに、関係各方面とも十分な議論を行いまして、その具体化に向けて検討を行ってまいりたいと思っております。
 それから、自社処分に対する規制強化についてでございますけれども、自社処分と称した不適正処理が行われている、そういう実態にかんがみまして、廃棄物運搬車両であることの表示の義務づけ等、これは政令で行えることになっておりますが、こうした政令などの強化によって対応することを検討してまいりたいと考えております。
 それから、不法投棄が行われた土地所有者の責任強化につきましては、現行法におきましても既に、不法投棄が行われることを知りつつ土地を提供した者などについては、その原状回復の責任を追及できることとしておるわけでありまして、これらの制度の運用をさらに強化して対応してまいりたいと考えております。
藤木委員 次に、特定産廃支障除去特措法案についての問題で伺います。
 環境省の投棄開始時期都道府県別集計結果というのがございますけれども、これによりますと、九八年六月以前に投棄が開始された件数は全国で三百八十七件、うち投棄量が判明しているものが三百七件で、一千百五十七万八千二百四十六トンとなっております。九八年六月以降に投棄が開始された件数は全国で二百四十一件、うち投棄量が判明しているものは二百四件で、百六十四万二千七百七十二トンとなっております。その他、投棄開始時期が不明なものが全国で四十一件ありまして、うち投棄量が判明しているものは二十五件で、十二万一千六百七十六トンとなっており、全国の合計で六百六十九件、うち投棄量が判明しているのは五百三十六件で、一千三百三十四万二千六百九十四トンに達しているわけですね。九八年六月以前に投棄が開始された事案としては、香川県豊島の五十六万トン、青森、岩手県境の八十二万トンなどが含まれております。
 そこで、不法投棄の原状回復は不法投棄者や排出事業者などの責任で実施されることが原則ですけれども、不法投棄者や排出事業者の責任と費用負担を十分追及することが困難な香川県豊島や青森、岩手県境の不法投棄のように、生活環境の保全上、長期間にわたって放置できないということから、今回の財政支援等の措置による原状回復が行われるということになるのだというふうに理解いたしますけれども、それでよろしゅうございますか。
鈴木国務大臣 産業廃棄物の不適正処理といいますものは、一つには生活環境保全上支障を発生させるということもございますが、投棄が目に見える形で放置されることなどによりまして、健全な廃棄物処理まで国民に不信感を引き起こすなど、循環型社会を形成する上で大きな阻害要因になる、そのように考えております。
 こういうものに対処するために、平成九年、廃棄物処理法の改正を行いまして、排出事業者などの責任強化、それから不適正処理の厳罰化、原状回復基金の創設など原状回復スキームを含めて、不適正処理対策を強化したところでございますが、その改正法施行以前に行われた不法投棄、これが今なお多数残存しておりまして、先ほど申し上げましたようなことで、循環型社会形成の大きな支障になっているわけであります。
 このため、その支障の除去等を時限法によります財政支援等によりまして速やかに行う必要があることから、この法案を提出したところであります。
    〔近藤(昭)委員長代理退席、委員長着席〕
藤木委員 さきにも挙げましたけれども、産業廃棄物の不法投棄対策は、九七年の法改正で、不法投棄に対する罰則の強化、産業界の出捐及び国の補助金による原状回復基金の創設が行われ、二〇〇〇年の法改正では、排出事業者が産業廃棄物の運搬または処分を委託する場合における最終処分までの注意義務やマニフェストによる把握、管理の義務づけ、それから措置命令要件の強化等が行われてきたところです。
 今回の財政支援等の措置というのは、排出事業者等への責任を十分追及できない法改正以前の不法投棄に適用されるものとなっております。例えば、香川県豊島の不法投棄の原状回復では、二百数十億円という撤去費に対して十数社の排出事業者から数億円の拠出で終わっておりますし、青森、岩手県境の不法投棄の原状回復では、排出事業者が一万一千社に及んでいますけれども、処理費用六百億円程度に対してどれだけ費用負担を課せられるかわからないという状況になっております。
 しかし、生活環境の保全上、大量の不法投棄を長期間にわたって放置することになるのは望ましくないことではありますけれども、不法投棄者や排出事業者などの責任が軽くなってはいけない、このように考えますが、その点は大臣、どのようにお考えでしょうか。
鈴木国務大臣 不法投棄の原状回復、これは投棄者、不法投棄に関与した者、それから最終処分まで十分な確認を怠った排出事業者等にあるわけでございまして、その責任追及を行うことということは極めて重要なことである、そういうふうに考えております。
 このため、今回の産廃特措法案におきましても、都道府県が支障除去等事業を行う場合に、実施計画におきまして不適正処分の行為者等の責任の明確化を図るようにするとともに、基本方針におきまして、国及び排出元の都道府県等との連携について規定をいたしまして、支障除去等の事業に要した費用の求償など、原因者責任の追及を促すこととしているところであります。
藤木委員 不法投棄の原状回復は、不法投棄者や排出事業者などの責任で実施されることが原則であるということについて、今もおっしゃいましたけれども、法案の第四条第二項の三で、「特定産業廃棄物の処分を行った者等に対し都道府県等が講じた措置及び講じようとする措置の内容」を実施計画の中に定めて、第三項では、「都道府県等は、実施計画を定めるに当たっては、特定産業廃棄物の処分を行った者等の責任を明確化するよう配慮しなければならない。」と規定しております。
 先ほど挙げました意見具申の中の「不法投棄対策の充実」として、「不法投棄された産業廃棄物の原状回復は、不法投棄の行為者や斡旋を行った者のみならず、排出事業者を含めた関係者の責任で実施されることが原則である。」「一方で、都道府県が地域の環境保全のために原因者等に代わって原状回復を行わざるを得ない場合の資金手当については、公平性等の確保や実施のコスト、モラルハザードを起こさないこと等について配慮しつつ、行政と事業者が協力しつつ原状回復を進めるという趣旨で事業者の積極的な社会貢献が求められるところである。」こういう見直しの方向性が出ております。
 ですから、事業を実施するに当たりまして、処分者等及び排出事業者等の責任を明らかにするというだけでは不十分な措置ではなかろうかと思うのですが、いかがですか。
鈴木国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、産業廃棄物の処理につきましては排出事業者責任というのが原則でございまして、不法投棄の原状回復につきましては、廃棄物処理法に基づきまして、不法投棄を行った処分者、不法投棄に関与した土地所有者、最終処分までの確認義務を怠った排出事業者等が責任を負うものでございます。
 したがいまして、特定支障除去等事業を行うに当たっては、まずこれらの者の責任を追及して、責任を問える場合には撤去等の措置命令を行っていくことになります。そしてまた、代執行後であっても、本来費用負担を行うべき不法投棄実行者や排出事業者等に対して都道府県等が厳しく求償していくこととしております。
 このため、産廃特措法におきまして、都道府県等が策定する実施計画におきましても、実行者及び排出事業者の責任の追及並びに処理費用の求償について記述することとしているほか、その求償状況等を国としても把握していくことといたしているところであります。
藤木委員 今、香川県豊島の事案に続きまして、青森、岩手県境不法投棄の事案に代表される改正施行前の不法投棄が全国各地で問題となっておりまして、県への補助率三分の一という補正予算による対応では原状回復を計画的かつ着実に推進できないという状況になっています。例えば、二〇〇二年度の産業廃棄物不法投棄の原状回復支援実績を見ますと、適正処理推進センターの基金から、補助では、総事業費二億八千五百万円に対して二億一千四百万円が支援されていますけれども、補正予算による補助では、総事業費十四億九千八百万円に対して四億九千九百万円の支援にとどまっております。
 さらに、青森、岩手県境不法投棄の事案では、排出事業者が一万一千社に上るけれども、処理費用は六百億円から八百億円と言われておりまして、排出事業者等が一部の費用負担をしたとしても、なお相当の公的な支援がなければ原状回復が困難になっております。
 そこで、九八年六月以前の不法投棄の件数、投棄量が圧倒的に多く、生活環境の保全上支障を来しているにもかかわらず、不法投棄者や排出事業者が不明だったり、既に不法投棄者が倒産して原状回復の能力がなく、排出者責任を課すにも限界があるなどということが起こっております。ですから、長期にわたって不法投棄が放置されていますけれども、今回の十年間の時限立法、時限法としておりますこの措置は、原状回復の促進が果たして期待できるのでしょうか、してよろしいのでしょうね。
鈴木国務大臣 本法案におきましては、これは十年間の時限立法ということでございまして、平成十年六月以前のものにつきまして、従来に比べて国の補助率を上げて、しかも地方財政措置をしていくということで、代執行しなければならない都道府県の負担というものを従来に比べて大幅に軽減をする、そういうようなことでございます。
 このことによりまして特例的な財政支援が措置されることでございますので、これによって十年間という期間内に計画的かつ着実に原状回復を推進することができる、そのように考えております。
藤木委員 しかし、九八年六月以前に投棄が開始された件数というのは、全国で三百八十七件、うち投棄量が判明しているものは三百七件、一千百五十七万八千二百四十六トンになっている。これはさきにも申しましたが、これまで補正予算による対応で原状回復措置が図られたのは、九八年度が六県で四万二千五百六十二トン、九九年度が四の県と市で八千三百四トン、二〇〇〇年度が九つの県と市で五万七千六百七十五トン、二〇〇一年度は三の県市で三万八千トン、二〇〇二年度は五つの県市で七万九千百十八トンと、合計しましても二十七の県と市で二十二万五千六百五十九トンにとどまっているわけです。
 ですから、これまでの五年間の実績はどうかといいますと、件数にして八・八%、撤去量にして二%にすぎないという状況なんですけれども、いかがですか。
飯島政府参考人 一九九八年から二〇〇二年の五年間におきまして、平成十年六月以前に開始された不法投棄の撤去の実績でございますが、事業者みずからが措置命令を受けて撤去する場合がございまして、その数字については把握しておりません。
 今先生が御指摘になりました、補正予算で国が都道府県を支援する、こういう仕組みの中で、補助率三分の一でございますけれども、補助した実績を見ると、先生が御指摘になりましたように、この期間で延べ二十七件、我々がつかんでおります不法投棄の事案の全体件数に比べまして、決して十分とは言えないというふうに認識しております。
藤木委員 廃棄物処理法が九七年に改正され、九八年六月に施行されたことに伴って、不法投棄に係る原状回復措置を都道府県等が代執行する際の支援については、産業廃棄物適正処理推進センターの基金による資金協力が行われています。
 基金から県への補助率は四分の三となっておりまして、その実績としては、九九年度が三の府県で一億円、二〇〇〇年度は四府県の四億八千七百万円、二〇〇一年度は四府県の三億六百万円、二〇〇二年度が六県市の二億一千四百万円となっております。
 一方、九八年六月以前の不法投棄については、毎年の補正予算による対応がなされております。県に対する補助率は三分の一となっていて、その実績としては、九八年度が六つの県で十二億三千百万円、九九年度は四つの県市で一億一千七百万円、二〇〇〇年度は九つの県市で三億八千百万円、二〇〇一年度が三の県市で一億七千五百万円、二〇〇二年度が五県市の四億九千九百万円となっております。
 そこで、これまで、九八年六月以前の不法投棄に対する原状回復の支援措置というのは、補正予算による国庫補助率で三分の一と低いために、費用負担が重くのしかかる都道府県等の計画的かつ着実な原状回復を阻んできたというふうに思いますね。今回の有害廃棄物の原状回復について、国庫補助率を二分の一とする措置をとられたことや、地方負担分に地方債の特例措置を盛り込んだことによりまして、都道府県の費用負担はどのぐらい軽減されるものなのですか。
鈴木国務大臣 先生御指摘のとおり、平成十年の六月以前のものにつきましては、国の補助率が従来三分の一のみであったということで、代執行をしなければならなくなった市町村の財政負担が大きいということが、こうした原状回復が進まなかった要因であると思っております。
 これに対応するために、今回、この産廃特措法を出させていただいているわけでありますが、ここにおきましては、ある一定の基準を超えます有害性の高い産業廃棄物、これに係る費用につきましては補助率を二分の一に引き上げる。その他の産業廃棄物につきましては補助率を三分の一にする予定であります。
 そして、さらに、総務省におきまして地方債の特例について措置することとなっているわけでありまして、都道府県等が負担する額のうち地方債を発行して賄うことができる比率を七〇から七五%、そしてその起債の元利償還金に対して五〇%の交付税措置を行う、そのように聞いております。
 これらの措置を講じることによりまして、総事業費に対する都道府県等の実質的な負担割合は相当軽減をされることになります。仮に全量が有害廃棄物である事案の場合を想定いたしますと、三〇%強が都道府県の実質負担ということになりまして、従来に比べますと都道府県の負担は半減する、半分になる、そのようになります。
藤木委員 そうすると、有害な産廃の原状回復は、実質的な地方負担が現在の半分程度になるというふうに考えていいわけだと思います。
 中環審の意見具申でも指摘されていますけれども、今後の不法投棄対策では、不法投棄場所を提供し、あるいはこれを黙認した土地所有者の責任の強化、自社処分と称する無許可処理業行為及び積みかえ保管行為に対する取り締まり強化、行政処分に関してその業者名などの情報提供の検討など、廃棄物処理法の必要な措置を講じていくべきです。また、不法投棄の原状回復に要する費用は原因者等に負担させることが原則であることから、不法投棄の行為者の財産を仮押さえするなど、関係法令の適用の検討も必要だと思います。
 既に、土地所有者の責任の強化、自社処分に対する取り締まりの強化については、京都府や大阪府などの、産業廃棄物の不適正な処理を防止する条例、また循環型社会推進条例で実施をされております。私の地元の兵庫県でも、同様の条例案が提案されております。これらはいずれも、現行の許可制度のもとでも、不適正処理の是正というのは、不可能な、規制の及ばないところになっているからです。
 ですから、これらの不法投棄対策を法制化していく必要がぜひあるのではないかと考えますが、最後にこの点をお伺いしたいと思います。
鈴木国務大臣 先ほども高橋先生の御質問に同様の答弁をさせていただいたわけでございますけれども、例えば、その違反業者などに対する行政処分情報の提供につきましては、都道府県等が行いました取り消し処分等の情報のインターネットでの提供につきましても検討をしてまいりたい、そのように考えております。
藤木委員 終わります。
松本委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午後零時三十分休憩
     ――――◇―――――
    午後三時三十分開議
松本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。中川智子さん。
中川(智)委員 社会民主党・市民連合の中川智子です。連合審査に引き続いて質問させていただきます。
 私、中環審を拝見いたしまして、やはり拡大生産者責任というのが、今回の廃掃法の改正の中で非常に期待を持ってその法案の中身を待っておりましたら、やはりいろいろなこと、議論や、省内でもさまざま議論があったと思いますが、まず最初に大臣に、拡大生産者責任がどうしてすぽっと抜け落ちてしまったのかということに対して、一言お伺いしたいと思います。
鈴木国務大臣 午前中にも御答弁させていただきましたけれども、市町村において適正処理が困難なものについて拡大生産者責任の制度を拡充するということにつきまして、これはパブリックコメントにもかけまして、いろいろな意見も国民の皆さんからもちょうだいをいたしました。それから、中環審におきましても議論がなされまして、その方向で方向性も示されていたわけでございます。
 これを受けまして、環境省におきましても、この制度拡充につきましての検討というものも鋭意行ってきたところでございます。しかし、環境省と、関係します産業界と十分な合意を得るまでの時間がなかったというのが現実の姿であるわけでございます。
 この廃棄物処理法につきましては、拡大生産者責任の問題だけではなしに、不法投棄対策など、早急に法律改正を必要とする課題も多くあるわけでありまして、この問題の制度化をするために法案の提出をおくらせるということについては適当ではないという考えのもとで、今回の法律改正には盛り込むことを見送ったわけであります。
 しかし、今回は見送ったわけでありますけれども、この拡大生産者責任、これの拡充といいますことは重要な課題であるということを強く認識をしておりますので、今後とも、引き続いて実態の把握に努めるとともに、関係方面とも十分な議論を行いまして、その具体化に向けて鋭意努力をしてまいりたいと思っております。
中川(智)委員 やはり、ごみを本当に減らしていく、二十一世紀、環境の世紀と言われておりますし、またごみ問題というのは重要なテーマであります。
 でも、やはり一方ではどんどんどんどんつくられていって、そうしたら当然ごみもふえていく。消費者といたしましては、やはりいろいろきれいに着飾っていた方がいいとか便利なものの方がいいとか、そちらについつい流れてしまいます。やはり環境行政の本当に抜本的な問題として、すべて循環型社会ということでトータルな環境行政の構築を、大臣はリーダーシップを発揮していただいてつくっていっていただきたいと思います。そのために極めて大事なのがこの拡大生産者責任ではないかと思っておりますので、改めて、今後の動きに対して期待を持って見守っていきたいと思っております。
 そこで、青森、岩手の問題、午前中からずっと、やはり豊島よりも大きな不法投棄の問題なんですけれども、青森、岩手両県にまたがる膨大で長期にわたる不法投棄問題を検証する過程において、環境省は、これは報道で拝見いたしましたけれども、この問題を最大の国内問題と位置づけて、モデルケースとして支援、解決するという力の入れようだというふうに認識しております。
 これは本当に大臣の地元でもありますし、さまざまな声がやはり大臣に寄せられていると思います。でも、それをやはり全体で解決していかなければいけないというふうに私も考えていますけれども、排出事業者の責任を現行法でも可能だとして追及、模索したようですけれども、そこがどうしてできなかったのかということなんですね。注意義務違反の条項というのがなぜきっちりと適用できなかったのかということが私にとっては非常に不思議なので、これに対する御答弁をいただきたいと思います。
 あわせて、今回の法律では、現行法を変えなくてもきっちりできるということなのでしたらば、それをどのようなところでどう担保しているかということを伺いたいと思います。
鈴木国務大臣 少し後からもしかしたら事務方から補足してもらうかもしれませんけれども、産廃特措法についてお話がございましたが、これは、青森、岩手の問題のみならず、豊島の問題もございます。とにかく、平成十年六月以前の過去にさかのぼって、そのものにつきましては、国の補助率も低いということで、代執行がネックになっている。そういう滞っている負の遺産を一掃しよう、こういうための法律であるわけであります。
 先生から今、注意義務違反の条項の適用は可能かという趣旨のお話がございましたけれども、産業廃棄物の処理というのは、これは従前から排出者、事業者責任がその基本でありまして、平成十二年の廃棄物処理法改正では、この原則に則して、排出事業者が最終処分までの確認義務を負うことを明確にしたものであります。
 それで、改正以前に不法投棄をされた事案についても、法第十九条の六に基づく措置命令、これは行うことができます。したがいまして、青森、岩手県境不法投棄事案におきましても、不法投棄を行った処分者、不法投棄に関与した土地所有者のほか、最終処分まで確認義務を怠った排出事業者等についてもその責任が追及されるもの、そのように理解をしております。
 国といたしましても、技術的支援、あるいは排出元都道府県等への協力要請を通じまして、原因者責任の追及を支援してまいりたい、そのように思っております。
飯島政府参考人 大臣の答弁のとおりでございますけれども、この措置命令をかける対象でございますけれども、今、注意義務違反の排出事業者の議論をしているわけでございますが、午前中の御審議の中にもございましたように、処理の委託の関係で、無許可業者に委託をしてしまったとか、あるいは管理票、マニフェストを交付しなかったとか保管していなかったとか、最後に処分の確認をするまでの間、適切に措置が講じられていなかったとか、そういういろいろな項目がございます。
 排出事業者の注意義務違反に関しましては、もちろん、処理基準に適合しない処分が行われたとか、あるいは生活環境保全上の支障が生じている場合というのは同じ条件なんですが、実際に行為に関与した人間、実行者とか関係者ですね、そうした人間にまず措置命令をかけるのが最初で、そこでは難しいときに排出事業者の注意義務違反をもって措置命令をかける、こういう仕組みになっておりますので、優先順位といいますか、措置命令をかける順番が最後の方になってしまう。これはそういう制度を組んでいるわけでございまして、そのときに適正なコストを払っていなかったとか、そういったものを勘案して、排出事業者の注意義務違反に関しまして措置命令がかけられる、これが廃棄物処理法の平成十二年改正のときの仕組みの趣旨でございます。
中川(智)委員 今回の青森、岩手でも、自治体が一生懸命調べて、一万事業者ですか、大変な作業だったと思いますが、やはり現行のマニフェスト、これは現場で働いていらっしゃる自治体の職員の方なんかに聞きますと、このマニフェストというのは、山積みしていて、チェックなども全くされていない。そして、マニフェストの売買というのが行われていて、処分場の印鑑をばあっとついたのを一枚幾らで売っている。
 そして、私は、やはりいろいろな法の網をくぐるときに、それはマニフェストというのがきっちり機能していれば、そんなに苦労してどこが出したかとかというルートをたどるというのは、向こうも知恵を出して、悪質事業者が知恵を出していったら、こっちだって知恵をどんどん出していって、どうそれがまかり通ることのないような仕組みにしていくかということが大事だと思うんですね。
 現行のマニフェスト制度というのが、一方ではそうやって山積みされていて、判こついたのが売られているという、そのような認識というのはございますかしら。飯島参考人で結構ですが。
飯島政府参考人 産業廃棄物管理票制度というのは、一番初めに導入されたのが平成三年の廃棄物処理法改正でございまして、そのときは、特別管理産業廃棄物に限ってこの制度が運用されたわけでございます。当時、確かに、今先生がおっしゃったような悪質なマニフェストの偽造事件であるとか、判こだけ押して何枚もまとめて売ってしまうとか、そういったことが報道された事実はございます。
 現実に追及をしたわけでございますが、その後、平成九年改正、十二年改正でそういった悪質事例に対してはきちんと厳罰で臨むような規制強化をいたしまして、もし先生のお話が最近のお話であるとすれば、これはゆゆしき問題だと思いますので、しっかりと調べさせていただきますが、紙でございますので、非常にたくさんの枚数でございますので、一つ一ついつもチェックできるという体制にはなかなかならないというのは午前中の御審議の中でも御指摘をいただいたところでございますが、少なくとも現時点において、偽造マニフェストが大量に売られる、こういった事件が起きているとは承知しておりませんし、もし起きているとすれば、そういううわさがあるとすれば、徹底的に調査の上、これは厳罰の用意をしておりますので、根絶したいというふうに思います。
中川(智)委員 私、その現場の方の話を聞いたのは、きのうです。ですから、非常に最近ですね。
 ですから、やはり何か、一本化する、そして、なるべく人の手を煩わさなくてもしっかりルートが特定できるということが大事だと思います。非常に難しい問題であると思いますけれども、やはりこれは、そういう事業者が特定できる、不法投棄を防ぐということで、午前中の議論でもございましたけれども、電子マニフェストの一本化ということを前向きに検討していく時期が来ていると思います。
 また、自治体が、それは国はそういうふうにいろいろやられているんだったら厳罰で処しますと言ったって、人も足りない中でどうやってではそれをチェックするのか。そういう売買がどこでやられているかと調査をするのだって、やはりこれは全部自治体になっているわけですから、自治体からやはりそういう声もあるということで、国としてはまじめに、まじめにと言ったら申しわけないですが、国としては、そのような煩雑な業務、そしてこんなふうなことになったときに大変な労力とお金を、そこで再び税金を投入するということになるわけですから、少々投資が高くてもそれに前向きにやっていくということは、やはりこれは大臣にちょっとお考えを伺いたいと思うのですね。
 もう一つは、一廃、一般廃棄物などは、事務方の人たちが、これは一万四、五千人ですか、自治体なんかにも人がいます。事務方でですね。産廃となると、これはほとんど民間とかに任せてきたということがありまして、二千人前後ということを聞いております。一廃はまだ人が結構いる。産廃は二千人前後、全国でですね。こんなふうに人が足りなきゃ、幾ら未然防止やります、何やりますと言ったって、未然防止のための人がいないわけですから、それはもう夜陰にまみれてばあっと人も不法投棄も、やはりこれからも一番大事なのは、そこにきっちりと目配りをするための人間です。そのような人員配置ということをどのようにお考えか。
 その二つについて御答弁をお願いいたします。
弘友副大臣 私の方から電子マニフェストの件についてお答えをさせていただきますけれども、午前中もこの議論がございまして、方向性としましては電子化を進めていくという、環境省といたしましてもこれは大いに進めていかなければいけない、また、そういう今るるお話がございましたようなメリットがございます、きちっと管理ができる等の。
 ただ、現状、まだ一%、四十万件ぐらいしか普及、採用されていないというのは、やはりそこにさまざまな、産廃の場合は、不特定多数の排出事業者、そしてまた多種多様なものが日々排出されているという現状がございまして、これは、排出事業者そしてまた収集運搬業者そして最終処分業者、それがきちっと電子化していく上におきましては一貫性がなければいけないわけで、排出事業者がさまざまな、例えば農家の方だとかいろいろございまして、その排出事業者がまずこの電子化をしなければ業者がこれはつながらないということがございますので、現状としては非常に難しい部分がございますけれども、ぜひ、お話しのように、電子化を進めていくべきだ、またこれに力を入れていくべきだというふうに考えております。
鈴木国務大臣 産業廃棄物行政を担当する地方の職員の方々の人員がどうかということでありますが、今日、廃棄物行政に寄せる住民の方々の期待というのは大きいと思います。それから、不法投棄などがあってはいけない、その未然防止のためにしっかりこれをやってほしい、そういう要請も大きい、そういうことも感じます。
 そういうことを思いますと、やはりこうした廃棄物行政に携わる職員の方々の確保ということがこれは極めて重要である、こういうふうに思いますので、今後とも、地方自治体あるいは総務省にもこの重要性というものをお話しさせていただきたい、そういうふうに思います。
 それから、今度の法改正におきまして、緊急の場合、国も立入調査ができるということになりました。国の職員についても、環境省の職員についても、やはり現場に近いところにいて、地方自治体と連携をしながらこの廃棄物行政に当たるということも必要である、そういうふうに思いますので、地方自治体の職員の確保、これを地方自治体、総務省に要請するのとあわせて、環境省の出先の職員の確保につきましても努力をしてまいりたいと思っております。
中川(智)委員 やはり不法投棄が起こって、こんな状況になって、そして多額の税金を投入するのでしたらば、やはり入り口のところで、雇用の創出ということもあわせて、環境行政の人手、人は石垣、人は城ですよね。そんな感じで、やはりそう人をきっちりと配置していただきたいし、環境省ももっと人を、環境省本体も大事だと思いますが、ぜひとも、雇用の創出もあわせて、総務省との連携、申し入れなども含めてやっていっていただきたいと思います。
 これは市民の方、NGOの方の御提言だったんですが、私も先日、市原に行きまして、こちらに浄水場があって、こちらにクリーンセンターがあって、その間のところにたくさんの不法投棄があったわけですが、やはり夜などは見回りなんかに行っても怖いだろうな、トラックがライトもつけずに来てどたどたと、何かあったら一人、二人、三人ぐらいじゃやはり怖いだろうな、ごみと一緒にあそこに人が埋まっていないかなと私は見てしまったぐらい、やはりそれは大変な、命がけでやるところだと思うんですね。
 でも、日常的に、総務省などでしたら郵便配達の方々にそういう不法投棄の情報をもらうとか、また地域住民の方々にも、やはりそういう最初の段階で情報を出して地域の方々の御協力もいただくとか、いろいろな知恵がやはり施されていいと思いますので、これはちょっと一言、そのような声もございますし、みんなで協力してやはり環境を守っていこうということをしていけばいいのではないかと考えております。その人員の配置に関しては、重ねて御要望申し上げます。
 続きまして、青森、岩手の原状回復なんですが、ほかのところもそうですが、これに対しての、ごみを出したもともとの企業や首都圏自治体などに明らかな落ち度がなくても、それに対しての社会的責任というものがあるとしまして、撤去費用の負担を求めるべきだということで、これは青森、岩手の両県が、首都圏の関係自治体に協力を求めている中で、都道府県の基金の創設ということをおっしゃっています。
 何らかの制度をつくってみんなで解決していこうという苦肉の策での一つの御提言だと思いますが、大臣は、報道で読む限りは、この基金の創設というのは難しいというふうに発言をなさっているやに伺っておりますが、それでは余りに気の毒だなという思いがいたします。それに対して、基金などの制度の創設に対しての大臣の御見解を伺いたい。――はい。では大臣、一言よろしくお願いします。
飯島政府参考人 事実関係の御説明をさせていただきます。
 産業界からの自主的な拠出により基金をつくるという話であれば、これは平成十年六月以降について産業界と合意をしているわけですが、全国的な基金がございますので、都道府県ごとに排出事業者から基金を求めるという新しい発想だと思いますけれども、そういう議論をするならば、この全国的な基金というものを検討すべきだとまず最初に思っております。
 それから、基金というよりも、自治体がその基金に拠出してはどうか、こういう論点もあったと思いますが、排出事業者じゃなくてですね。これについては、原点に返って考えれば、そもそも不法投棄された廃棄物というのは、事業者が排出した廃棄物であって、自治体が排出した廃棄物ではございません。それから二番目に、仮にその自治体内の住民とか事業者がだれかに損害を与えたことについて自治体に対して損害賠償を問うということは、これは論理的には難しいと思います。そういった意味で、実際に基金を拠出してくださいとお願いするような排出事業者が立地する自治体にとりましては、何とかしましょうというのはなかなか難しいのではないかと思っています。
 しかしながら、首都圏の自治体の社会的責任といいますか、そういったものについての貢献ができないかという論点もございます。現実に今回の青森、岩手事例におきましては、環境省もそういう意味でイニシアチブをとりまして、首都圏の都道府県あるいは政令市に対しまして、排出事業者の責任追及に当たって協力をしっかり行うようにお願いをしておりますし、ある意味では、今後そういうことが起きないように、排出事業者に対する指導の強化を排出事業者が存在する地方公共団体においてはしっかりやっていただきたいと思っております。
鈴木国務大臣 一つの考え方の整理、今部長の方からお話があったところであります。
 廃棄物行政を全国的に考えていかなければいけない環境省の立場ということを考えますと、今部長の申し上げたようなことになろうかと思います。これは時代がまた動いていく中で、いろいろな考え方というのはあるかもしれませんが、私も、今部長が申し述べたことが、やはり全国的な廃棄物行政を考える上ではふさわしいのではないか、そういうふうに思っております。
中川(智)委員 それでは、ちょっと飯島部長に伺いますけれども、一つには、各自治体ごとにばらばらではなくて、全国的な基金が既にある中で、それである意味では自治体の悩みというのを解消していくめどというものがあるのかどうかということと、もう一つは、自治体に協力要請をされているその感触、例えば東京、神奈川、両自治体に関してはいかがでしょう。
飯島政府参考人 これまでも、香川県の豊島もそうなんですが、その地方公共団体でない外部の地方公共団体に存在する排出事業者から持ち込まれたものが不法投棄になっているという例がございまして、それなりに責任追及といいますか、排出事業者の責任追及ということをしてきたわけでございますが、今回は何しろそのほとんどが首都圏の地方公共団体から排出されたものであるということで、私どもこれを非常に重く見ておりまして、さらに、平成十二年の法改正で排出事業者責任の徹底強化、そういう政策を出しているわけでございますので、正直申し上げまして、今回が、ある意味では初めて国も音頭をとって、不法投棄物の排出事業者が存在する地方公共団体の全面的な協力を求めたわけでございます。
 これまでそういった経験が少なかったわけでございますので、果たしてしっかりと協力していただけるかどうかというのは若干不安もあったわけでございますが、これまでのところ、排出事業者に対する報告聴取に対しては、東京都、神奈川県を含めまして、全面的に御協力をいただいているところでございます。
中川(智)委員 基金とかお金とかというといろいろ問題あるでしょうから、ぜひとも国の音頭取りというのをよろしくお願いいたします。
 続きまして、環境汚染について伺いますけれども、先日市原に視察に行きましたときに、県の部長さんに、環境調査というのはどのようになっているかということを御質問いたしました。と申しますのは、やはりあれだけのごみがあれだけ長きにわたってそこに捨てられていて、地下を見ましてもビニールシート一つ敷いていない。ただの裸のそういう土地の中にどんどん入れているわけですので、当然土壌の汚染、そして水質への影響というのはとても心配なわけです。心配だから伺ったんですが、心配したほどの環境汚染はありませんということでした。
 でも、やはり岩手県などは、真っ黒い水がその横でうわっと流れているということですし、これはかなりの環境汚染というのがあると思います。これの環境調査というのは県ではやっているということですけれども、私は、やはりこれは大きな問題で、このような今度のいわゆる特措法で国が音頭をとっていろいろ解決に臨んでいくわけですから、環境調査というのをしっかりとやるべきだと思いますが、まず最初に、岩手、青森のこの部分に関しましての環境調査というのは環境省はおやりになったのかどうか。そして、もしもおやりになっていないのならどのようにお考えか、伺いたいと思います。
    〔委員長退席、近藤(昭)委員長代理着席〕
飯島政府参考人 青森、岩手の不法投棄現場周辺の環境調査というのは、これまで青森県、岩手県それぞれにおきまして行われていると承知しております。
 これを国が行うべきではないかという御指摘だと思いますけれども、基本的に、廃棄物処理法の仕組みから考えまして、この不法投棄対策につきましては、地域の実情に詳しい地方公共団体がパトロールを行ったり行政処分を行ったり、あるいは原状回復の代執行業務を行っているわけでございまして、正直申し上げまして、地域の環境を保全する立場から、廃棄物処理法上もそう整理されておりますけれども、地方公共団体が調査を行うというのが適当ではないかと考えております。
 国の役割でございますが、これは、廃棄物処理法上もございますけれども、調査に当たってのいろいろな技術開発、これを進めていく役割を持っておりますし、あるいは施設の整備に対する財政支援、技術支援、こういったものを行うことになっておりますし、環境調査の中身につきましても、実際に国が直接行うということは適当ではないのではないかと思いますが、積極的に国が持っている知識を技術的に助言していきたいというふうに思っております。
 なお、今年度から、今年度の予算に計上をさせていただきましたけれども、不法投棄事案対応支援事業ということで、これは、例えば法的な専門家であるとかあるいは会計経理の専門家、これは実は倒産してしまったから不法投棄原状回復のお金がないと言っているんですが、どこかに土地があるかもしれないとか、そういう追及ができるようなノウハウをアドバイスするための専門家を派遣する事業を開始することとしておりますが、この中で環境調査のやり方等についても専門家を含めて技術的にしっかりとアドバイスをしていきたいというふうに思っております。
中川(智)委員 環境汚染の調査を国が行う必要がない、あくまでもそこは自治体に任せている、いわゆる産廃の場所だということは納得できないんですけれども、大臣、環境調査は県でやれといっても、やはり、県、あれだけの広さで青森、岩手両県にまたがっていて、そして技術的なものも国と比べては非常に持っていない。そして、しっかりとした、国がやりなさいと、やって公表して、国民にそれを出すとかというのは、国が率先して環境調査というのはやるべきだと思うんですが、大臣、いかがでしょう。
 今の飯島部長の御答弁は、県でやるべきだ、国が環境調査まではする必要がないということだと思うんですが、これはやはり国民の健康、身体、さまざま守る省として、環境省として、そのような不法投棄の現場の環境汚染に対してはしっかりと調べて、基準値以上のものが出てきたら、それは自治体と相談してどうするかというふうにやっていくべきであって、調査そのものも自治体でやれというのは、これは私は納得できませんが、いかがでしょう。
鈴木国務大臣 飯島部長がお答えをいたしたように、廃棄物処理法の考え方等におきましても、さまざまな廃棄物行政は地方自治体が中心になって行う、こういうことであろうかと思います。
 それで、地域の環境調査というのは、やはり地域に根差した都道府県が行う方がむしろこれは効率的ではないか、私もそういうふうに思うわけであります。
 何か国がやればよりよい調査結果が出て、県にお任せするとそうではないということは、これはないわけでありまして、むしろ地域に根差した地域の環境調査というものを地方自治体がしっかり行う、そして国はその足らざるところを、先ほど申し上げたようなさまざまな技術援助、財政援助、そういったものでこれを支援していく、そういう中でしっかりした調査がなされるということが大切であって、一つのそういう基本的な考え方で進める方がいいのではないか、そのように思っております。
中川(智)委員 岩手県が独自に調査しましたね、二〇〇〇年の五月。そうしたらば、廃棄物から鉛やカドミウムが検出されて、現場内のたまり水の土壌検査でダイオキシンが環境基準の八十二倍の値が出ているわけですね。
 そして、そういうことになりますと、そのようなダイオキシンの土壌汚染というのが環境基準の八十二倍の値が出ているならば、それは自治体での対応をするという範疇を超えて、国として対応が迫られる問題であると思いますし、これは、大臣もごらんになったような不法投棄場所、日本一のあれだけの広範囲にわたっているところをただ県に、それだったら、具体的に環境省がどこかにきっちり委託してもいいです、研究所でも何か大学でもいいので、国の責任ある調査として、この現場の環境汚染というのはこういうものだということをやるべきだと思いますし、この八十二倍のダイオキシンが出ているということに対してはどのようにお考えか。飯島部長、いかがでしょう。
飯島政府参考人 基本的に制度をどう組むかという話、もともとの廃棄物処理法の制度がどう組まれているかという話に実は関連すると思うんですが、先生の御指摘になっていることはわからないわけではないんです。
 ただ、地方自治、地方分権、地方の力というものを、我々としては、地方は財政力が小さいからそういうスタッフも少ない、先ほどそういう御質問がございましたが、だからできないと考えるのではなくて、きちっと国として技術的な支援、あるいは場合によっては財政的な支援を加えて、地方の責任のもとに地方の環境を保全するという役割を果たしていただく方が本旨ではないかというふうに考えているわけでございます。
 実際上、都道府県がどういう調査をするか判断するに当たりまして、現在、青森、岩手の場合は、合同検討委員会ということで、地元の方々あるいは学識経験者、それから環境省もメンバーに入りまして、どういう環境調査をしていったらいいかということをきちんと御相談を受けてアドバイスをさせていただいているところでございまして、地方でうまくいかないから国が調査をすればうまくいくかというと、必ずしもそういう問題ではなくて、国はしっかりと支援をしていく、そういう役割はあると思いますけれども、地方の自主的な地方自主権のもとで地方の環境は守っていただく、こういう前提で行った方がしっかりこの環境問題の解決に資するのではないかというふうに私は考えております。
中川(智)委員 私は、県がやるからうまくいかないとかということを申し上げているのではなくて、このような特殊な場合は、やはり環境汚染に対してどうなのかということを日本の国としてしっかり持って、それをこれからに生かさなければいけない。それは、単に両県で努力して頑張ってやっても限界があるし、そのようなことを申し上げているわけです。
 それでは、県から、やはりこの環境汚染のさまざまな調査に関してはちょっとお手上げなので、国の方でこういうことはお願いしますという依頼がきっちりあれば、この環境汚染などの実態調査などはもっと広げてやるというこちらの受け取りでよろしいでしょうか。
飯島政府参考人 単に要望があったら、はいそうですかと言って、予算をとって執行するというのはなかなか難しいわけでございますが、現実に非常に難しい問題が起きた場合に、例えば、この事件ではございませんが、先生の地元の豊能郡の美化センターのようなときには、これを一つのモデルとして、ほかのところで二度と起きないように、起きたときの材料が提供できるように、国が特別に補助をして解体事業を行ったという例もございます。それはケース・バイ・ケースで、恐らく岩手県さんも青森県さんもしっかりやっていただいていると思いますので、これまでも調査していただいておりますので、どういう要望が出てくるかよくわかりませんけれども、その要望の内容に応じてしっかりとアドバイスをさせていただきたいと思いますし、必要があれば支援方策についても検討させていただきたいと思います。
中川(智)委員 それでは、質疑時間が終了しましたという紙が来ましたので、終わります。ありがとうございました。
近藤(昭)委員長代理 次回は、来る二十日火曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時十分散会

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