衆議院

メインへスキップ



第10号 平成15年5月23日(金曜日)

会議録本文へ
平成十五年五月二十三日(金曜日)
    午前九時三十一分開議
 出席委員
   委員長 松本  龍君
   理事 稲葉 大和君 理事 田村 憲久君
   理事 西野あきら君 理事 柳本 卓治君
   理事 近藤 昭一君 理事 牧  義夫君
   理事 田端 正広君 理事 高橋 嘉信君
      小渕 優子君    木村 太郎君
      左藤  章君    阪上 善秀君
      鈴木 恒夫君    西川 京子君
      鳩山 邦夫君    菱田 嘉明君
      平沢 勝栄君    星野 行男君
      松浪 健太君    三ッ林隆志君
      水野 賢一君    望月 義夫君
      川内 博史君    小林  守君
      小宮山洋子君    齋藤  淳君
      鮫島 宗明君    手塚 仁雄君
      長浜 博行君    青山 二三君
      工藤堅太郎君    中井  洽君
      藤木 洋子君    中川 智子君
    …………………………………
   環境大臣         鈴木 俊一君
   環境副大臣        弘友 和夫君
   環境大臣政務官      望月 義夫君
   政府参考人
   (外務省大臣官房参事官) 兒玉 和夫君
   政府参考人
   (環境省大臣官房廃棄物・
   リサイクル対策部長)   飯島  孝君
   政府参考人
   (環境省総合環境政策局長
   )            炭谷  茂君
   政府参考人
   (環境省環境管理局長)  西尾 哲茂君
   環境委員会専門員     藤井 忠義君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月二十三日
 辞任         補欠選任
  阪上 善秀君     平沢 勝栄君
  野田  毅君     西川 京子君
  山本 公一君     左藤  章君
  小宮山洋子君     齋藤  淳君
  長浜 博行君     川内 博史君
  中井  洽君     工藤堅太郎君
同日
 辞任         補欠選任
  左藤  章君     山本 公一君
  西川 京子君     野田  毅君
  平沢 勝栄君     阪上 善秀君
  川内 博史君     手塚 仁雄君
  齋藤  淳君     小宮山洋子君
  工藤堅太郎君     中井  洽君
同日
 辞任         補欠選任
  手塚 仁雄君     長浜 博行君
    ―――――――――――――
五月二十二日
 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第八八号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法案(内閣提出第四八号)
 廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第八九号)
 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第八八号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――
松本委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法案及び廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 両案審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房参事官兒玉和夫君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長飯島孝君、環境省総合環境政策局長炭谷茂君及び環境省環境管理局長西尾哲茂君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
松本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決まりました。
    ―――――――――――――
松本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小林守君。
小林(守)委員 おはようございます。
 民主党の小林です。八十分の時間をいただきましたので、じっくりときょうは議論をさせていただきたい、このように思います。
 まず、去る五月の十六、十七日、沖縄県の名護市で、第三回日本・PIF首脳会議、太平洋・島サミットが開催されました。
 沖縄のサミットにおける万国津梁館という施設で開催されたわけでありますが、十六カ国の首脳が集まりまして、安全保障や環境、教育、保健、貿易など各分野で太平洋島地域の課題が話し合われました。日本やオーストラリア、ニュージーランドなどが主要な支援国というか援助国でございますけれども、この十六カ国の首脳が集まって共同行動計画をまとめたところであります。
 さて、今回のサミットはごみ処理問題を重要なテーマとして取り上げられたというふうに聞いております。
 この会議に出席されました主催国の日本の小泉総理は、開会の演説の中で環境問題についてのところに触れておりますが、小泉総理は、
  環境関連の取り組みについては、わが国の経験も踏まえて、特に積極的な支援を表明したいと思います。例えば、ごみ処理やリサイクルの促進を支援する用意があります。この問題は小泉内閣が重点施策として取り組んでいるものですが、太平洋諸島で大きな問題となっています。また、珊瑚礁など自然環境の保全についても、沖縄県の経験やNGOの取り組みを十分取り入れながら、技術移転を図っていくことを提案します。地球温暖化問題についても、わが国は、引き続き積極的な役割を果たす所存です。この三月に日本で開催された「第三回世界水フォーラム」の成果を踏まえて、安全な飲料水と基礎的な衛生の確保の問題にも取り組んでいきたいと考えています。
というようなことで、まだ続くんですけれども、環境の問題に触れまして、総理がこのような演説をなさっておられるわけであります。
 このことについては全く異存のないことでございますけれども、まず、太平洋諸島のごみ問題について政府はどのように把握をしているのか、そして、日本は、この演説の中にあるように、どのような支援をしていく用意があるのか、少し具体的に踏み込んだ御答弁をいただきたいと思います。
兒玉政府参考人 お答えいたします。
 委員ただいま御質問いただきました、今回の島サミットにおける環境分野における御議論のまず中身、そしてまたどういう認識で臨んだかということでございますが、ごみ処理の問題につきましては、太平洋の島嶼国地域は、昨今、消費生活自身の向上と、それとあわせまして人口の増加ということで、先進国と同様、ごみの発生量が大幅に増加しているということがございます。
 他方で、国土が極めて狭隘なために廃棄場所がないという問題に直面しております。例えば、サンゴ礁を多く持つサンゴ礁島のミクロネシア諸国は、ごみを海岸に廃棄せざるを得ないために、そのため付近の海洋汚染が深刻になっているといった問題がございます。
 ちなみに、パラオの大統領は、今回のこの議論の冒頭において、島国はかつての楽園のイメージを傷つける形で環境の破壊が行われており、とりわけ人口と消費の増大によるごみ処理問題は極めて深刻である、そのため、日本に期待するところが大である、日本の知見、技術をぜひ学ばせて利用させてほしいという要望もございました。
 それを受けまして、小泉総理からは、具体的な支援の方策としましては、今回共同行動計画を策定したわけでございますが、一つは、包括的にこれらの地域の島国が直面している問題、リサイクルの問題を含めて、どういう形で日本の技術を移転できるのか、どういうふうに現地の事情に合わせて適用させることができるかということを含めて、実は西サモアに南太平洋環境計画、SPREPという地域環境国際機関がございます。そこがこれからマスタープランを作成するということでございますので、それをまず支援するということが一つ。
 もう一つは、やはり西サモアで技術協力といたしまして既にモデルプロジェクトを立ち上げておりまして、そこで具体的にごみの廃棄場をつくりまして、現に今そこで実験をしている。それがうまくいけば、それを周辺の同じような環境のところに技術移転、適用していくということ。
 あとは、専門家の派遣や、ボランティアを派遣して、ごみの減量化、適正処理について、教育活動を含めて住民の意識を高めてこの問題に取り組むということで協力をしていきたい、そういうふうに思っております。
小林(守)委員 少し具体的にもう少し、こういう実験をしているとか、サモアなどで実験をされているというようなこともございましたけれども、いずれにしても、このような太平洋地域における持続可能な開発のために、寄り合っていろいろな問題について具体的な先進国の技術などを検討しながら、技術移転をしながら支援をしていきたいというようなことだと思います。
 まず、会場が沖縄で開かれたというところに私は大きな意味があると思いますし、総理が、この沖縄という県、特有の文化と自然の美しさに満ちたところで開催されたということであって、沖縄の今日までの経験やNGOの取り組みは、太平洋地域諸島の持続可能な開発のために、そして文化と環境を守りながら進めていくという点にとって極めて大きな役割を果たすことができるんだというふうに自信に満ちた演説がなされておるわけでありますけれども、私は、少し言葉と裏腹に、沖縄の諸島の現状というものは、ごみの問題一つとっても惨たんたる状況にあるのではないかと。
 沖縄の豊かな自然と文化というものがあるわけですけれども、しかし、現在進められている沖縄の開発の視点で見てみるならば、文化と環境を破壊してしまっているのではないかというような現実に遭遇するわけであります。
 そういうことで、どうも総理の発言、また外務省の方のこういう会議における演説というものが、現実を踏まえた上での問題をとらえていないのではないかな、このように思えてならないわけでありますけれども、外務省、さらにもう一つ踏まえて、沖縄の現状については、ごみの問題についてどのようにとらえてこのような発言がなされたのか、お聞きをしておきたいと思います。
兒玉政府参考人 お答えいたします。
 今回、ただいま委員が御指摘になりましたように、沖縄での開催というのは、まさに島嶼国と同じような環境にある、同じような状況に置かれた問題に直面する場所ということで、それが日本の最南端の地にあって、その地で開催するということで、沖縄の経験を共有していただくことも大きな目的だったと思っております。
 沖縄におけるごみ問題につきましても、私ども事前に何度か足を運びまして、NGOの関係者の方との意見交換も踏まえて、NGOの方が、特に沖縄においてはリサイクルの問題に取り組んでいるということで、そういうパネルの展示会も行いまして、島嶼国の首脳にも見ていただいて、沖縄が実際ごみ処理の問題でいろいろ問題に直面して努力をしている、そういうところを包み隠さずお見せして、一緒にまた知恵を出していこうというようなことで今回も話をし、取り組んできたところでございます。
 その上で、会議の中で総理は、日本のリサイクルについては、例えばペットボトルは一〇〇%再利用、自動車のタイヤは八〇%、携帯電話も八〇%が再生資源として利用されているという話もされまして、日本のそうした技術も何らかの形で島国の方に移転していくというようなことで今後また協議を進めていきたいということをお話しになったということでございます。
小林(守)委員 外務省の方、どうぞこれで結構でございますので。
 外務省の方から総理の発言の背景等についてもお話しいただきましたけれども、先ほど申したとおり、私は、沖縄の現状、諸島におけるごみ処理、リサイクルの問題等を考えてみるならば、そういう視点で見た場合に、この演説とは裏腹の、まさに惨たんたる状況が今進んでいると言わざるを得ないと思っております。
 今お話があった日本の最南端の島、西表の島などにおいては、ユニマット不動産という会社が今、西表島の北部開発に取り組んでいるところであります。この北部開発については、人口二千人の島に千二百人ぐらい収容のホテルをつくろうというような計画でありまして、既に建築基準法の建築確認もされておりますし、もちろんさまざまな法的な問題についてはすべてクリアをして建設に着手したというような状況にあります。
 しかし、本当に生態系豊かな西表島の北部におけるリゾート開発というものは大変な環境への影響をもたらすということになるわけでありますけれども、沖縄県そのものも、西表島をエコツーリズムのモデル的な開発の地域、エコツーリズムとして開発していくというような考え方で取り組んできているところなんですが、それとは全く相入れないような開発が現実に、法的な規制を完全にクリアされて進んでいるという状況にあります。十四ヘクタールという開発面積ですから、二十ヘクタール以下については環境アセスメントについてもしないでいいというか対象外になってしまっているということ、それから、西表国立公園の区域外の、対象地域外の地域なものですから、島全体が国立公園対象地域ではないということもございまして、本当にこの大切な自然環境のところが開発の波に襲われていると言わざるを得ないところでございます。
 そして、この開発の問題についてはいろいろと我々も検討はしてきたんですけれども、ごみの問題がどうなるのかとか、いわゆる水の問題がどうなるのかとか、いろいろとありますけれども、ごみの問題に限って、視点を当てて現状を見てまいりたいと思います。
 私どもも、三月の二十三日、現地を調査させていただきまして、まさに唖然といたしました。あってはならないというか、九七年の、六年前の法改正によって、ごめんなさい、二〇〇〇年だったでしょうか、ちょっと年数、記憶違いかもしれませんが、ダイオキシンの規制の関係で、いわゆる野焼きの禁止という法律が全国的に適用になったわけでありますけれども、現実に自治体自身が、西表島というのは竹富町なんですけれども、竹富町の廃棄物処理行政が現実に、住民にある一定のがけみたいなところ、くぼ地のところに集めて捨てさせている。
 そこへ集積させて、そして生ごみまで入ってしまうということになりますると、大変な腐敗、そしていろいろな虫や動物も寄ってくるわけでありますけれども、その腐敗のにおいとかなんかが出るものですから、住民が、どなたがやるのかわかりませんけれども、火をつけるということで、大変臭いにおいを持った煙がもうもうと連日立ち込めているというような実態をつぶさに視察してまいりました。
 日本にもこういうところが今もあるのかということで驚いたところもありますが、それはそれなりに島の実情というか状況はあるのだろうというふうに思いますけれども。廃掃法を今審議している状況の中で、日本にはこういうところもあるんですよ、とんでもない不法な、違法な処理が、自治体、一般廃棄物の処理行政の中で行われているというようなことを我々は見てきているわけであります。これらについて、環境省としてはどのようにその現状を把握し、問題をとらえているのか、そして、これらについてどうやって解決をしていこうとしているのか、その辺をお聞きしたいと思います。
飯島政府参考人 ただいま先生御指摘になりましたように、現地を御視察になられたというお話で、私どもも、この五月の初めでございますが、担当の課長が沖縄県に出張いたしまして、西表島の一般廃棄物の処理状況について現地を視察してまいりました。
 先生のお話と符合するわけでございますけれども、その報告によりますと、西表島の中には焼却施設が一つもございません。また、竹富町といたしまして、普通のところでやっております家庭ごみの戸別収集も行っておりません。これまでどうしていたかというと、先生御指摘になりましたように、町民は、島の中に十カ所のごみ捨て場が設けられておりまして、これに直接住民がごみを搬入している、こういう状況でございました。
 このごみ捨て場の状況でございますけれども、いわゆる一般廃棄物の処分場として必要な遮水工とか浸出液の処理設備、こういったものはございません。搬入されるごみによっては、御指摘のとおり、周辺環境への影響が懸念される状況であったという報告を受けております。
 廃棄物処理法上の問題は今申し上げたとおりでございまして、廃棄物処理法に基づく各種の基準に適合していないということで問題があるというふうに認識しております。
 こうした状況は早急に改善する必要があると考えておりまして、直ちに沖縄県及び町当局に指導を行っているわけでございますけれども、今、竹富町におきましては、この問題については町当局として全く同じ認識をしておりまして、廃棄物処理法の基準に適合したきちっとした最終処分場を来年度から整備いたしまして、十八年度からは供用を開始する、こういう計画で進んでおります。
 供用開始までの間におきましては、町民の協力を得まして、缶やペットボトルの分別、それから生ごみについては家庭での堆肥化、さらにごみ捨て場への搬入量はできるだけ少なくする、こういった改善方策を講じるということを私どもに報告してきております。
 最終処分場の整備というのは、時間がかかりますけれども、三年ぐらいかかりますが、これは大事な話でございますので、環境省としてこれに対してきちんと補助をしていこうと思っておりますし、さらに、その他の一般廃棄物処理の適正な取り組みができるよう、沖縄県を通じまして今後ともきちんと支援を行っていきたいと思います。法的には、必要に応じて地方自治法に基づいての技術的助言、こういった法的な措置もとっていきたいと思っております。
小林(守)委員 かつて、厚生省のころにも、廃棄物処理の問題では名指しで、名前が挙げられて、この島は大変なことだというように指摘されたところでもあるんですね。ですから、今日までこういうものに対して全く対策をとらずに、とにかく放置されてきたというようなことだったと思いますね。今わかったという話じゃなくて、厚生省でかつてこれは指摘しているんですね。
 指摘された後、今日、ユニマット不動産の月ケ浜のリゾート開発に伴って、いろいろな環境問題としてとらえて、いろいろ調査が入ったとか運動が起こっているわけですけれども、その中で、ああ、ごみの問題、とんでもない状態にあるなということがさらに明らかになってきたということなんですね。ですから、これは環境省にとってはやはり、全く今まで放置してきてしまったというような問題として大きな責任を感じてもらわなければならない。
 しかし、一般廃棄物の処理行政というのは固有事務でありまして、それは一義的には地方自治体の責任で行われるんだということなんですけれども、この辺について、環境省、沖縄県それから竹富町という、国、都道府県そして市町村のこういうごみ行政について、固有事務に対して、誤ってやっている、固有事務だから何の手だてもとりようがないんだということではないはずであります。
 仕組みとして、法的にどういうような、これは間違った違法な状態だと思うんですよ、違法なことを自治体がやっているということに対して、見て見ぬふりをしてきたというふうに言わざるを得ないんですけれども、これについて、法的な仕組みとしては、環境省は沖縄県に対してとかあるいは竹富町に対してどういう手だてがあるのか。法的な責任というんでしょうか、指導監督とか是正の要求とか、そういう仕組みが自治法上にもあると思うんですけれども、その辺についてちょっと整理をしてお聞きしたいと思います。
飯島政府参考人 先ほど御答弁させていただきましたのは、現在、沖縄県を通じて、いわゆる行政指導という形で竹富町に改善をさせるように依頼しているところでございますが、法律違反ということは事実であろうと思いますので、これに対して改善がされない場合には、先生今御指摘いただきましたように、これは市町村の自治事務になっておりますけれども、その関係で、地方自治法に基づく環境大臣の是正の指示とか勧告とか、そういった権限が地方自治法に定められておりますので、改善がなされないような場合にはそういった措置についても行っていく必要があると思っております。
小林(守)委員 行政体の違法行為についてはそういうことなんだと思いますが、例えばこういう状態なんですね。皆さんにもごらんいただきたいんですが、こういう大変な状態が、あってはならないような状態が自治体の行政の中で行われているということなんですね。
 それで、例えば民間の一般廃棄物の処理業者が、自治体の委託を受けた業者がこういうことをやった場合はどういう処分がされるのか。これは法律的にどうなっていますか。今度の法改正にもかかわってくる問題だと私は思うんですよ。民間の業者が自治体の委託を受けてこういうことをやった場合、どういう形になるのか。不法投棄あるいは不法な処理をした場合にどういうことになるのか。即免許停止になるとか許可停止になるとか、そういうことになるんだと思うんですけれども、原状回復の責任はどうなるのかとか、この辺についてちょっとお聞きしたいと思います。今度の法改正にも絡んでいると思うんですよ。
飯島政府参考人 いろいろな条件によって変わってくると思いますが、全体的なお話をさせていただきます。
 民間の処理業者が、廃棄物処理法に基づく処理基準に違反した行為を行って、写真で見せていただいたような状況になって、生活環境保全上の支障が生じるおそれがある、こういう場合でございますが、これにつきましては、処理基準違反ということで、その業者に対して罰則がかかるということになります。野外焼却の場合は直ちに罰則がかかります。
 今の先生のお尋ねの中で、では、これをだれがどうやって原状回復することになるのかということでございます。
 基本的に、市町村が、一般廃棄物処理計画に基づいて処理計画が定められている一般廃棄物を民間の業者に委託した場合、民間業者がこういった不法行為をして、そして生活環境保全上の支障が生じる場合はどうなのか、こういうふうに受け取りますが、その場合には、当然のことながら、もともと委託をした市町村に最後まで責任があるという形になっておりますので、実行行為者については当然、措置命令をかけたりあるいは罰則をかけたりということがございますが、そこが資力がなかったりする場合もあるわけでございますので、その場合には、もともと委託をした市町村に処理責任がありますので、その市町村の処理責任のもとで市町村が原状回復をすべきものでございますし、それは法的にそうすべきであるということでございます。
小林(守)委員 そのとおりだと思うんですが、例えばこれが産廃みたいなものだったという形でやった場合には、民間の排出事業者まで責任を問う、そして原状回復責任は、岩手、青森の問題のように一定の負担もさせられるという状況なんですね。
 しかし、自治体がこういうことをやってしまうと、最終的には自治体に責任が及ぶということなんですけれども、その辺の法整備を、今回、民間から見て、自治体の責任はとり方がどうも違うんじゃないかというような問題が議論されてきている経過もあります。きちっと、しかるべき同じような責任をとることをしておかないと、要は、自治体そのものがこういう違法なことをやっているじゃないか、役所そのものがやっているじゃないか、何でこういう民間の事業者だけに厳しくやるんだというふうに、行政に対する不信がさらに高まってしまうんではないか、このように感じることにもなるわけであります。
 その辺も含めて法改正の中で議論を重ねておきたいなと思いますし、その辺の明確な法改正なのかどうか、この辺をただしておきたいなというふうに思っております。
 それでは、ごみの問題とはちょっと離れます。
 ちょうど名護市でこの会議が開かれたということもございますので、また、サンゴ礁とか自然環境の保全ということを総理が高らかにうたっているわけでありますけれども、それでは、名護市の周辺に辺野古というところがあります。御承知のように、普天間の基地の代替施設をそこに建設しようというような計画が進められておるわけでありまして、その普天間代替施設の建設予定地のところは、絶滅の危機にあるジュゴンとサンゴ礁への大きな悪影響が懸念されている事業でもございます。
 そういうことで、環境アセスメントの前に着手されることになりました大規模な現地技術調査、これについて環境省は、環境を守っていくという立場に立って、大臣も記者会見等で言うべきことは言うということをはっきり宣言されているわけでありますけれども、環境省は防衛施設庁に対してどのように今まで関与をしてきたのか。そしてこれからも、将来的には基地運用に伴って廃棄物の環境汚染問題というものが、当然、対策としてきちっと対応されていなければならないわけでありますし、環境アセスメントの中でも、これらについては十分な対策がとられていなければならないということになるわけであります。
 ジュゴンという絶滅の危機にある海生哺乳類の保全の問題と、それからサンゴ礁等への影響の問題について、環境大臣の今日までの取り組みと御意見をお伺いしておきたいと思います。
鈴木国務大臣 普天間基地の代替基地をつくるということで、名護市の辺野古沿岸における埋め立ての問題でございます。
 本年一月に第一回の代替施設建設協議会というのが行われたわけでありますけれども、その中におきまして、私の方から防衛施設庁等に対しまして、適切な環境配慮を払うべく最大限の努力をすることが重要であるという旨の発言をいたしたところであります。
 具体的には、平成十一年に政府方針がなされているわけでありまして、そこでは、環境影響評価の手続等を通じて、ジュゴンの保護とそのえさ場としての藻場の保全、サンゴの保全並びに騒音を含めた生活環境の保全、潮流や水質への配慮等適切な環境配慮を払うべきであるということであるわけでありまして、そのための最大限の努力が必要であるという旨を一月に私の方から申し入れを、その場で発言をしたところであります。
 また、防衛庁の方からも、先生御指摘の現地技術調査についての実施をするというお話もあったわけでありますけれども、その実施に当たりましては、地域の生活環境、また自然環境に十分配慮しながら作業を進めていきたいという発言もあったところでありまして、環境への影響ができる限り少なくなるように措置されるもの、そういうふうに考えております。
 私ども環境省といたしましては、調査の実施に当たりましては、調査実施そのものに伴う環境への影響の回避、また、それを低減するために、可能な限り環境への影響の少ない調査の方法が選定されることが重要である、そのように考えているところでありまして、防衛庁から現地技術調査について聴取をして、そして調査の実施に当たりましては、事前に専門家の意見を聴取しつつ、具体的作業計画を作成、公表すべきであるという助言なども行っているところであります。
 また、先生から、実際に供用が始まった際の廃棄物による環境への影響についてということも御懸念の御指摘があったわけでありますけれども、これにつきましては、環境影響評価書の審査等を通じまして必要な意見を述べてまいりたい、そのように考えております。
小林(守)委員 ぜひ積極的な関与をしていっていただきたい、このように要望をさせていただきます。
 もう一つ、日本環境管理基準というのが在日米軍の中にあるんだそうですね。これについて、ジュゴンの保護指針なども定められていて、米軍そのものがジュゴンについてはしっかりと守っていこうというような考え方に立っているというふうに聞いております。
 また、三年前の国際自然保護連合の第二回会合がヨルダンのアンマンで開かれたときに、この問題について勧告の決議がなされております。その勧告の中では、ジュゴン保護のために日米共同のアセスメントをやるように、外務省を通して環境省も働きかけて、日米共同のアセスメントを防衛庁に働きかけてはどうかというような勧告がなされているんですが、この在日米軍の日本環境管理基準に記載されているジュゴンの保護指針に基づくジュゴンの保護について、環境省はその視点からの取り組みというのはどのように考えておられるか、お聞きしたいと思います。
炭谷政府参考人 ただいま委員が御指摘されましたジュゴンの保護でございますけれども、環境省といたしましては、現在ジュゴンの生態を調査いたしております。そのような生態に基づきまして、沖縄全体のジュゴンの保護のあり方について検討いたしております。
 一方、現在、防衛施設庁の方で環境アセスメントの手続が開始されているところでございます。このアセスメントの中におきましても、当然ジュゴンの保護の問題が非常に大きな一つの問題だろうというふうに考えております。その中で適切な審査等が行われ、また環境省としても、それに対する審査、適切な時点における助言というふうなものをやってまいりたいと考えているわけでございます。
小林(守)委員 日米共同のアセスをすべきではないかという勧告に対してどのような考え方を持っておられるかというようなことをお聞きしたいんですが、どうなんでしょうか。
炭谷政府参考人 ただいま先生が御指摘されました日米の共同のアセスの件でございますけれども、この建設につきましては、あくまで日本側、防衛施設庁が行うという事業でございますので、日本の法律に基づくアセスメントを実施すべきだというふうに考えているわけでございます。
小林(守)委員 実際に基地を使うのは米軍でありますから、その施設建設にかかわって、アメリカの在日米軍そのものがジュゴンの保護のための指針を定めているわけでありますから、その辺を共同行動で話をしながら、協議しながらやっていくというのが当然ではないかと思うんです。アメリカに、日本が勝手につくってとんでもないことをやってくれたな、代替基地をつくってもらいたいけれども、つくる責任が日本にあるけれども、それをこんなことでジュゴンをだめにしてつくられたら困るよというふうに逆に言われたらどうするのかということになるわけですよね。その辺について、協議なり何かというのは全くないんでしょうか。
炭谷政府参考人 現在、例えば在日米軍の基地につきましては、先ほど先生が御指摘されましたように、米軍の方で日本環境管理基準というものをつくっているわけでございます。実際に米軍がこの基地を使用した段階には、これに基づきまして適切な対処がなされるわけでございますけれども、私ども、ジュゴンの保護につきましては、いろいろな幅広い知見というものをもちろん積極的に活用していくということになりますので、そのようなものは現在の日本の法律に基づくアセスメントの中で十分配慮してやっていくということになろうかと思います。
小林(守)委員 国際自然保護連合の皆さん方がなぜ日米共同アセスをやれというふうに強く言うかというと、よく考えてみると、日本のアセスメントの制度とアメリカのアセスメントの制度は、私は、アメリカの方がはるかに計画段階からのアセスというものをきちっと取り入れられる仕組みになっているというところに、国際自然保護連合の皆さん方は、アメリカと共同でやってくれという思いが強くあるんだろうと思うんですよね。
 日本のアセスメント制度そのものは、まだまだ事業アセスだ。こういう事業をやる、その環境影響はどうなのかというような、事業アセスという性格を非常に強く持っているわけですね。しかし、アメリカの場合はもっと、戦略アセスと言っていいか、計画アセスと言っていいか、計画段階からきちっとやっていくというような進んだアセスメント制度だと私は思うんですよね。それを米軍自身は持っている、もちろん考えているわけでありますから、そういうことで、その指針に合わせてどうぞ共同でやりませんかということが、私は、よりジュゴンなり辺野古沿岸の環境を守っていく上で極めて大切な、また積極的な日本の環境アセスメントをつくっていくという視点からいっても大事なことなのではないかなというふうに思うんです。
 では、アメリカのアセスメントについてはどのように評価されているか。
炭谷政府参考人 現在の世界のアセスメントの先進国の一つというのはやはりアメリカであって、現在の環境アセスメントというのは、アメリカで開発され、相当進化しているというのは、私ども、そのとおりだろうと思います。
 したがって、私ども、先生がおっしゃいました戦略的アセスメント、これについて、現在、調査研究、場合によっては、一部、都道府県と一緒になってこの試行的な試みというものもいろいろと試しているわけでございます。そのような場合、アメリカを初めカナダ、ヨーロッパの戦略アセスメント、大変進んでおります、そういうものを現在積極的に研究しておりまして、今年におきましても、多分二月でございましたけれども、そのような国から専門家を招きまして意見交換を行っております。
 ですから、アメリカの環境アセスメントを非常に勉強し、また我が国もそれを相当取り入れて現在のアセスメント法ができておりまして、運用においても十分活用させていただいているところでございます。
小林(守)委員 これ以上また議論をしていくことがちょっと時間的にもできませんので、ぜひ、そういう方向に向かって、日本の独自のアセスメントのシステムでやるんだというのであれば、少なくともアメリカのアセスメントに匹敵するぐらいの中身を持った、前倒しのアセスメントを実施していただきたい、このように要望しておきたいと思います。
 それでは、沖縄のついでにと言ってはなんですが、もう一つ、サンゴ礁とか、それから干潟の問題に絡んでくるわけですけれども、泡瀬干潟の埋め立て問題がこれまた大きな問題になっております。
 そこに、周辺の船の航路のしゅんせつ、土砂のしゅんせつの残土をどこに捨てるかというような課題があった中で、泡瀬干潟の少し沖合に埋め立てをして土地を造成して、リゾート開発的な、ホテルをつくったり、マリーナをつくったり、人工ビーチをつくったり、運動公園をつくったりというような、土地を造成しようというように進められているところでありますが、これは考え方ですけれども、まさに時代錯誤のむだな公共事業の典型ではないのか、このように思えてなりません。
 そういう点で、この泡瀬干潟についても、大変なすばらしい生態系を持っているところでありますし、いろいろな絶滅危惧種なども指定されているところでもございますが、藤前干潟を守ったように、環境省はぜひここは守っていただけないか、こんなふうに強く思うわけでありますが、環境省は、この事業を行っている内閣府の沖縄総合事務局に対してどのように関与しているのか、またさらに関与していこうとするのか。ぜひ藤前干潟と同じようにここは守っていただきたい、このように思います。
 少なくともラムサール条約の登録湿地の条件は満たしている地域だとも言われておりますし、環境省がみずから定めている日本の重要湿地の五百の中にも入っているところですよね。そういうことを考えると、やはりこれは環境省の出番ではないか、こんなふうに思うんですが、いかがでしょうか、大臣。
鈴木国務大臣 泡瀬干潟の自然環境上の重要性につきましてたびたび御指摘をいただいているところでありますし、また、私ども環境省といたしましても、この地がそうした自然という意味におきまして大変重要な地域である、そういうふうに認識をしているところであります。
 泡瀬干潟の埋め立ての事業といいますものは、既に一連の手続が済まされて、そしてもう事業が開始をされている、そういうような状況にあるわけでありまして、その事業そのものにつきましては、事業者であります内閣府の責任において行われるべきものである、そういうふうに思っております。
 しかし、環境省という立場で申し上げますと、先ほど申し上げましたとおり、泡瀬干潟の重要性というのを十分認識しているものでございますから、この事業が認可されるに当たって決められました環境保全上の措置、これが着実に確実に実施をされていくということが不可欠である、重要である、そういうふうに思っているわけでありまして、昨年の十月十八日にも、これは異例なことではあったと言われましたけれども、しかし、環境省としての考え方を内閣府に申し入れをしているところであります。
 今後とも、沖縄県の環境部局と密接な連携を図りながら、事業者において約束された環境保全上の必要な措置、これが確実かつ適切に実施されるように注視をしていきたい、そういうふうに思っているわけでありまして、必要があれば再び申し入れもしていくという考えで対応してまいりたいと思っております。
小林(守)委員 大臣の記者会見の中身も私もよく読ませていただいておりますし、非常に積極的な、環境大臣、環境省の出番というようなことで、言うべきことはきちっと言っていくというような発言もなされておりますので、ぜひ今後の関与を御期待申し上げたい、このように思っております。
 それでは、次に移りたいと思います。
 一年半ぐらいになるんですけれども、私の地元で出身地でもございます鹿沼市の環境対策部の幹部職員が拉致をされて殺害された事件が、今宇都宮地裁で公判が始まったところであります。厳正な行政執行というか、そういう形の立場で一生懸命頑張って不正を正していくというような取り組みをしてきた職員が、業者の不当利得欲求を阻害するというようなことで恨まれまして、結局、拉致されて群馬県の榛名山ろくあたりに連れていかれて殺された、そして捨てられてしまって、その遺体が、大捜査をここ五月に入ってからも県警を中心にやっているんですが、三日間ぐらいやってもまた見つからないというような状況で、本当に残念な思いがいっぱいでございます。
 私自身も、殺された小佐々さんという方も年齢的には同じ方でありまして、同じ職場にいたことはございませんけれどもよく存じ上げている方だったんですけれども、また、それに絡むさまざまな関係、市の職員、クリーンセンターという清掃行政に小佐々さんの、殺された方の前に担当していた所長は、これまた自殺してしまっております。こんなことで、本当に何とも言いようのない重く苦しい、また、本当に小佐々さんの殺害については憤りを禁じ得ないものであります。
 私は、その問題は問題として、廃棄物行政、法制度上の問題がどこにあるのかというようなことで、この委員会の中でも大臣の所信のときにも触れさせていただいて、大臣はそのとき、法制度上に問題があるということであるならば改正をしていきたいというふうな御発言もいただいておりますので、まだ確定的にここだということまでは言い切れない、調査不足のところはあるんですけれども、今日まで、宇都宮地裁の検察側の冒頭陳述なども踏まえて考えてみるならば、大分見えてきたなというふうに思っているところでございます。
 その冒頭陳述をちょっと読ませていただきますと、その中に重大な指摘事項がございます。業者は、いわゆる殺害を示唆した、この方も死んじゃっています、自殺してしまっているんですが、一般廃棄物の収集、運搬、焼却まで行っていた方でありますが、この業者は、他市町村が排出する、鹿沼市以外の自治体が排出する一般廃棄物の大半を鹿沼市の環境クリーンセンターで処理しておきながら、あたかも焼却費用のより高額な、みずからの経営する美化センター、鹿沼環境美化センターという名称なんですが、そこで処理したようにすりかえて差額を手にする詐欺的行為を行っていたということなんですね。
 これは、他市町村から、鹿沼市以外の市町村から預かってきたごみを、書類上は、自分の経営する会社で焼却し、どこか最終処分場に捨てますというような契約をしているんですね。
 書類上はそうなっているんですが、実際は、それを運搬してきて直接鹿沼市のクリーンセンターの方に持ち込んで焼却して、鹿沼市の最終処分場に流れていくというような形で、その鹿沼市の焼却施設への、あるいは最終処分場への持ち込みの料金は、みずから経営する会社のものよりもうんと安いんですね。額的にどのくらいかちょっと調べていませんが、安い。そして、ですから相手方の市町村に対して、排出する市町村に対しては自分の会社でやるということで書類上きちっとやっていますから、その料金で請求をする、しかし実際は市の方へ流してしまうという形で、その差額を懐に入れるというような不当利得を稼いでいたというようなことが検察の冒頭陳述で明らかになったんですね。
 これがどうしてできたのか、またできるような仕組みなのか、あるいは、なぜこういうものはすぐに事務的に簡単にわからないのか。こんなでたらめをやっているというのがすぐにわからなければおかしいはずでありますけれども、これがわからずにどんどん深みにはまっていって、しかも、市と業者とのなれ合いというか不正な癒着があって、それが表に出ないようなものもあったわけです。
 しかし、他の市町村のごみが実態としては鹿沼市の方の処理施設に入ってきてしまっていたというようなところで、何らかの、民間の産廃でいうならばマニフェスト制度があるわけでありますから、少なくとも排出した佐野市やほかの市町村は、実際に自分の町があるいは市が排出したごみは、書類上は別のところに行って処理されているんだけれども、実際はこういうふうに流れているというのが事務的になぜわからないのかということを法制度上の問題としてちょっと改革しなきゃならないのではないか、このようなことをちょっと指摘しておきたいと思うんです。
 ですから、まず第一点として、他市町村の一般廃棄物が鹿沼市内の処理業者に委託処理されるにはどのような行政手続が必要なのかどうか、この現状を教えていただきたいと思います。
飯島政府参考人 廃棄物処理法上、市町村が一般廃棄物の処理をその市町村以外の者への委託によって行う場合は、政令で委託基準が定まっておりまして、その委託基準に従って行うということが求められております。
 この委託基準におきまして、その処分の場所が処分を委託した市町村以外の市町村、他の市町村の区域にある場合には、その処分が行われる市町村に対しまして、この場合は鹿沼市になるんでしょうか、処分の場所、委託する民間業者の氏名、処分する廃棄物の種類、処分方法などを通知しなければなりません。また、委託処理が一年以上にわたり継続するときは、処分の実施状況を実地により確認しなければならないことが規定されております。
小林(守)委員 そのとおりだと思いますが、実際に、佐野市は、ダイオキシン規制で焼却施設がクリアできないので、新しい焼却施設をつくろうという形でやっているんですが、なかなかその設置が思うようにいかないで延び延びになってきているということで、要は、みずからの焼却施設をとめて外部へ処理を委託するというような形をとってきているところであります。
 毎日六十トンぐらいの一般廃棄物が出るわけなんですけれども、これを、鹿沼にある民間の一廃、一般廃棄物の処理業者、収集運搬、そして焼却の許可を持っている鹿沼の民間業者のところに委託契約をして、そして処理をお願いしていた。当然、佐野市からは、鹿沼市の清掃行政に対して、こういう鹿沼の業者に頼みました、そして焼却をしてもらい、そして最終処分はどこにどうですよという形での通知が鹿沼市に行っているはずですよね。ところが、実際はそうではなくて、品物は鹿沼のクリーンセンターへ入ってきたというような形をとっているわけなんです。
 一つの問題として、この佐野市の例を挙げて恐縮なんですが、ほかの町もあります、ほかの市町村からも入ってきているんですが、この佐野市が鹿沼市に通知していった中で、最終処分場はどこにするのかということまできちっと鹿沼市に通知があったのかなかったのか。
 佐野市は当然、契約する際に、焼却施設を持っている会社との委託契約も結ぶわけですが、最終処分場との委託契約も結ばなければならないはずであります。というのは、この焼却施設を持っている収集運搬、焼却処分のできる民間の鹿沼の業者は、最終処分場を持っておりません。ですから、佐野市はきちっとそこまでやっていなければならないんですが、これがやってあったのかなかったのか、佐野市はきちっとそこまでやったのかどうか。佐野市は、鹿沼市のその焼却処分業者に対して、そこまで一括して任せてしまったのかどうか。
 システム上、当然、最終処分場までない業者であるならば、佐野市は最終処分場までの委託契約をしなきゃならないはずでありますが、それがちゃんとされているならば、品物が実際は鹿沼市のクリーンセンターの方に入って、鹿沼市の最終処分場に流れていくというようなことについては、佐野市が、これはおかしい、本当は違うじゃないかというふうにわかるはずでありますが、なぜわからなかったのか。そこが大事な問題だと、第一点、指摘しておきたいと思いますが、いかがでしょうか。
飯島政府参考人 焼却灰を最終処分場に運ぶ契約もできていたかどうかということでございますが、先生おっしゃいましたように、最終処分されるまで、佐野市、当該の、もとの市町村が処理責任を負っておりますので、焼却だけではなくて、その結果生じた残渣についても引き続き市町村に処理責任があるわけでございますので、その焼却灰の処理を行う業者との契約が必要になると考えられます。
 私ども、これまで調べた結果、平成十四年度はその最終処分場業者との委託契約があることは確認できましたが、事件の起きた十二年、十三年はまだわかっておりません。そういう状況でございますが、基本的に、先生おっしゃるとおり、佐野市がきちんと最終処分まで契約を結ぶ必要があるということで、現在調査をしているところでございます。
小林(守)委員 こういう調査というか、調べるのはなかなか難しい、犯罪にもかかわってくるものですから難しいんですけれども。
 制度上からいって、鹿沼の業者に処理を委託した、焼却まで委託した、佐野市は、そこの業者は最終処分場も持っていないんだから、みずから最終処分まで書く責任があるわけだから、最終処分場との委託契約を結ばなきゃならないはずなんですが、制度上、いわゆる焼却施設を持っている業者までとの委託をしてしまえば、あとは構わないんですか。お任せしますという形で、その業者が手続をしちゃえば、その焼却までできる業者が最終処分までこの業者にやりましたという形で書類をつくって、佐野市なら佐野市に、委託元のところに報告して契約を結べば、そこで済んでしまうのかどうかなんですね。それはどうなんですか。
飯島政府参考人 先ほどの御質問のときにもお答えしたと思いますが、一般廃棄物処理計画に従ってその区域内の一般廃棄物を処理する責任はあくまで市町村にございますので、契約は契約で、不適正な処理が行われないようにそういう委託基準が決められているわけでございますが、最終責任は一般廃棄物を排出した市町村にあるということでございます。
小林(守)委員 最終責任は自治体にあるということで、どこまでもそれは責任を問われることになるわけでありますが、それで、不正があったとか、ちょっと手続上の手抜きがあったという場合が発覚した場合はどういう行政的な対応になりますか。これはおかしいということで、その是正をさせるための是正措置とか是正要求とか是正命令とか措置命令とか、いろいろあると思うんですよね、自治事務の絡みの問題ですから。それらについては、自治体のやり方が間違っているよということを正していくのは最終的にはどこなんですかね。
飯島政府参考人 先生が御指摘になった、佐野市の一般廃棄物が鹿沼市にある民間業者で処理されたときに不正があったということが先ほどの冒頭陳述であったということを承知しておりまして、現在は、佐野市がその冒頭陳述の結果を見て、実はその前から、警察が入ったときから新聞報道等で知ったようでございますが、調査を進めております。
 ですから、佐野市が私は責任ございませんと言っているわけではございませんで、佐野市がみずからの責任で、どうしたらいいかということで今きちんと調査をしているわけでございますので、まずそれを尊重したいと思いますけれども、万一、ほかのこういった事件が起きて、言うことを聞かない、法律に基づいた処理責任を負わないというような市町村があった場合には、先ほど申し上げましたが、地方自治法の規定に基づきまして、国が、初めは技術的助言から始まるんですが、勧告、あるいは不法行為があった場合には是正の指示ができることになっておりますので、環境省として、万一そういう市町村がある場合にはきちんとした対応をとっていきたいと思っております。
小林(守)委員 いずれにしても、よくわからない、最終処分場との契約がその事件のあった前後の年度についてはまだ調査中というようなことなんですけれども、廃棄物処理法の施行令の中で、他の市町村に委託する場合のいろいろな条件が政令で定められているんですが、私は、この中で、一般廃棄物の処分、これは最終処分も含めてですけれども、「一般廃棄物の処分又は再生を一年以上にわたり継続して委託するときは、当該委託に係る処分又は再生の実施の状況を環境省令で定めるところにより確認すること。」というふうになっていますね。
 これが、一年以上というところが、ちょっと余りにも期間が長過ぎて、佐野市は断続的にやってきた部分があるんですが、ここ二年ぐらいはきっと連続でやっているんだと思うんですよ。しかし、いわゆる実施の状況について確認する行為を恐らく怠っていたのではないか、このように言えると思うんです。
 私は、こういう不正な問題が、これから、今度の法改正に絡んで、民間の産廃業者で焼却施設を持っているという業者に対して、同じ形状の処分については許可なしに一般廃棄物の焼却なり処分まで出していいですよという法律改正になりますね、今回の法改正で。ということになると、極めて問題が多くならないか。
 自治体に一般廃棄物処理責任のあるごみが、民間の焼却施設を持っている産廃、一廃の業者の方に流れていくことは可能になってくるわけですよね。品物には一定の限界があるようですけれども、これはどんどん広がっていく可能性があるということを考えると、自治体の責任が非常にあいまいにさらになっていくのではないか、このように危惧をいたします。
 ということになると、自治体の責任を全うする意味で、一年以上にわたり継続的に委託する場合は実施の状況を確認しろというのではなくて、私は、少なくとも一カ月に一遍ぐらいはきちっと確認しろ、継続的にチェックするなり。常にその現場に行って見てくるというんじゃなくてもいいから、何らかの形で確認をしておくというようなことが必要なんではないか、このように思うんですが、一年以上になる場合には実施状況を確認しろというところは、これはちょっと余りにも間延びし過ぎているというか、ノーズロというか、チェック機能が果たせない問題を生じるのではないか。
 少なくとも、佐野が、毎月ぐらいに実際にどこへ行っているんだということを最終処分まで確認していたならば、実際は品物は流れてはいない、これはおかしい、どこへ行っているんだということになったらば、調べていったら、業者から鹿沼のクリーンセンター、焼却施設の方に流れていって、鹿沼の最終処分場の方に行っていたというふうな実態が見えてくる、わかってくる。おかしいというのがわかるはずですよ。
 それが、一年以上もやらないということ、実際はやっていないんだと思うんですよ、実際はやっていない。一年以上あったとしてもやっていない。だから、結局、不正な利得を佐野市に業者が要求して、鹿沼市に払う分との差額を懐に入れていたというようなことが起こってきたのではないか。
 少なくとも一年以上では長過ぎるということを考えるんですが、政令の改正の中で、この辺については私はぜひ対応していただきたいと思うんですが、いかがですか。
飯島政府参考人 一般廃棄物の民間業者への処理の委託基準の政令のお話でございますが、基本的に、政令があろうとなかろうと、一般廃棄物の処理の最終責任、全体の責任は当該市町村にあるわけでございますから、当該市町村が民間業者との委託契約におきまして、どのように処理の状況を把握していくか、きちんと契約書で確認しておく必要があるとまず思っております。
 ですから、そこで例えば毎月でも何でもできると思いますけれども、仮に、先生のお話が、政令の方の基準においても一年以上継続しない場合のときの懸念についての御質問だと思いますので、これについては、実態も踏まえまして検討させていただきたいと思っております。
    〔委員長退席、近藤(昭)委員長代理着席〕
小林(守)委員 それでは、ぜひ御検討をよろしくお願いしたいと思います。
 事実がまだ完全に確定されてわかっておりませんので、私も確信を持った言い方ちょっとできないんですけれども、しかし、そこの辺に問題があるなというのはわかってきております。
 もう一つ、今回の鹿沼市の問題を考えていく上で大事なことは、実際に品物は鹿沼市のクリーンセンターに持ち込まれて焼却されて、その灰は、ほかの、もちろん、鹿沼市の市民の出した一般廃棄物と一緒に焼却灰になって鹿沼市の最終処分場に流れていっている、最終処分されたというのが実態です。事実はそういうルートなんですね。
 しかし、そうなったときに、鹿沼市のクリーンセンターという焼却施設を持った行政の施設とそれから最終処分場、ここから、この品物はどこから来ましたというふうに、出元というか、もともとの委託先というんですか、どこの業者から来た、鹿沼市内の事業系の一廃であれば、どこの業者が出した焼却灰がこれだけの量になって入っています、それから、ほかの自治体の、佐野市とかほかの市町村もありますが、例えば佐野市の何月何日の一般ごみの焼却灰の量がこれだけ入っていますという形で、クリーンセンターの焼却のとき、それから最終処分場の埋め立てのとき、そこにおいて、当然、量的には、区別はできませんから、一定の量で把握するんだと思いますが、その量を、委託先、一番もとの排出事業者と言っていいか、佐野市とか、鹿沼市なら鹿沼市内の一般の排出事業者、そういうところに、こういうのをこれだけ焼却し埋め立てましたという報告書が行くという仕組みがないんですよね。ないんですよ。
 ここに私は、これまた事務的にもきちっとチェックできるシステムが成り立っていないのではないか。市のやることだから心配ないというような、一定の甘えた構造というんでしょうか、そこら辺に大きな穴があるのではないか。
 少なくとも、そういうシステムができているならば、何も民間の産廃のようにマニフェストをやれということまでは必要ないかもしれませんが、何らかの形で、最終処分の段階まで、もとの排出事業者なり排出自治体にその情報が行く。即座に行くならば一番いいんですけれども、それも伝票であっても何らかの形であっても、私は、行くような仕組みでないと、この問題は、これから民間の委託業者、あわせ一廃というか、民間の産廃の焼却業者が一般廃棄物の焼却までできるような形になっていくことを考えるならば、さらにこの問題は深刻になっていくというふうに言わざるを得ないんです。
 そこのルート、実際の埋めたところからもとの排出事業者に行くというふうなシステムがあれば、実際は、この品物をこれだけ処分しました、だけれども、送りつけられたところは、いや、冗談じゃないよ、おたくの方へ私の方のごみが行っているはずがありません、うちの方は鹿沼の民間の処理業者にやってもらって最終処分場は別のところに、どこかの県の、例えば秋田県とか岩手県の方の最終処分場に行っています、例えばですよ。そういうふうな書類が来ているんだから、鹿沼市に行っているはずがない、おかしいということで、すぐにチェックできるはずなんですよ。それがシステム上にないというところに大きな問題があるなというふうに私は思うんですよね。
 行政がやることだから心配ないというのは、これはもう甘えだと思いますし、腐敗なり不正を生み出してしまう温床になっているんではないか、システム上の問題だ、このように思うんですが、いかがですか。
飯島政府参考人 先生のこれまでの御指摘でございますが、その前の御質問にお答えしましたように、排出元の佐野市がきちんと最終処分まで確認できるシステムができていればそれはそれで解決したと思うんですね。先生の今の御指摘は、さらに、間違って来た受け入れ側の方でもダブルチェックできる仕組みがあったらもっとよかったではないか、こういうふうに受け取っておるんですが、そもそも、不正じゃなくて、もともと佐野市が一般廃棄物の処理についてダイオキシン対策で困ったので民間業者に委託したわけですけれども、初めから鹿沼市のクリーンセンターに持ち込むという契約であれば恐らく何の問題もなかったと思うんですね。そこに民間業者が介入して、そしてそこで不正が行われたというのが今回の問題だと思います。
 基本的に、鹿沼市側でチェックができるかという話なんですが、実際に鹿沼市がどういうふうに情報を取り扱ったかについては承知しておりませんが、一般的には、当該市町村は、一般廃棄物が出てくる場合に、それに対して計量伝票を発行して、受け付けたことを民間業者に確認いたしますけれども、廃棄物の処理が完了したというような情報まで民間の業者に返送しているということは通常はございません。
 ですから、そこのチェックというのは、今まではできていないというのは先生の御指摘のとおりでございますが、両方でダブルチェックする方が確実だという御趣旨はよくわかりますけれども、そもそもは、排出元の市町村がきちんとこれを確認しなければいけない。先ほど政令で義務化しているのは一年以上というお話がございましたが、それを含めまして、排出元の市町村が自分のところの処理責任のあるごみがどこでどうやって最終処分されたかは確認できるようにしていかなければいけないということでございますので、それについては、こういったことが起きないような検討を十分させていただきたいと思います。
小林(守)委員 それでは、ぜひ御期待を申し上げたいと思います。
 また事実がさらに詳しく確定した時点では、私自身も再検討したいなとは思いますが、少なくともその辺に問題があるというのはわかってきたところでございますので、御検討をぜひよろしくお願いしたいと思います。法改正に絡んで、そういう問題もこれからさらに懸念されるということは言えると思うんですね。
 それでは次に移りますが、民間の産廃のマニフェストの関係で、今回の法改正の中でもいろいろと議論されているところでありますが、まず、電子マニフェストの利用率の推移はどうなっているか、また、利用率は制度を導入した時点の政府のもくろみと比べてどういうことなのか。全産廃にマニフェストを導入したのは九七年ですから、既に六年経過しているわけでありますが、さきの近藤昭一理事の質問の中でもかなり詳しく触れられてはおりますけれども、確認の意味で御答弁をお願いしたいと思います。
飯島政府参考人 電子マニフェストの利用件数でございますが、この制度が実施されましたのは十年度からでございます。その十年度は八千件でございました。十二年度は十万件。それから、先般もお答えいたしました十四年度は四十一万件と、年々普及が進んでおりまして、最近三年間、急激に利用件数が伸びてきているところでございます。近藤先生の質問にございましたが、紙マニフェストと電子マニフェストを比べますと、先ほど電子は四十一万件と申し上げましたが、これは紙の約一%になります。
 近年、利用拡大が急激に進展はしておりますけれども、今後も一層の普及促進が必要であるという認識をしております。
小林(守)委員 それでは、電子マニフェストの普及がまだ一%というお話なんですが、利用ができない、あるいはしない人はどういう事業者なのか、調査分析を行っているのかどうか、その辺をお聞きしたいと思います。
飯島政府参考人 マニフェストの性格からいいまして、電子マニフェストも同じなんですが、排出事業者がまず発行する、そういうことで、契約相手の処理業者もその後利用を促すというのが普通のマニフェストの考え方でございますので、排出事業者の利用がかぎとなります。
 この調査はしておりまして、どういうところが利用しているかということから申し上げますと、全国に営業の支店を持っているようなハウスメーカー、それから大手の製造業、あるいはチェーン店、全国ネットで営業するサービス業などの大企業が中心になっておりまして、利用が少ないのは、中小零細の事業者、あるいは廃棄物の排出量とか排出頻度が少ないもの、こういう結果になっているところでございます。
    〔近藤(昭)委員長代理退席、委員長着席〕
小林(守)委員 そういう、産業構造というんでしょうか、業種、業界の状況の違いがあるのはわかりましたが、普及を図るための方策は何が重要と考えているのか、その辺についてお聞きしたいと思います。
飯島政府参考人 今、どういう事業者が利用してどういう事業者が利用できないかというお話をいたしましたが、確かに、全国展開しているところは電子マニフェストの利用のメリットが大きいということがございます。また、利用していないところは、負担が大きいということと、それから、排出頻度が多くない、排出量が少ないといったことから動機づけが働きにくいわけで、これをどう改善したらいいかということだと思います。
 現在導入を進めているのは、利用頻度が多くない事業者向けのシステムでございまして、専用回線への接続ではなく、普通のパソコンのインターネットで利用できる方式とか、パソコンが設置できないような場所、現場もございますので、そういうところでは携帯電話方式の導入といったものを進めてきているところでございます。
 いずれにしても、電子マニフェスト、これができれば、排出事業者、処理業者においても実はメリットになるはずでございますので、一たん利用するとそのメリットも実感できるということで、このメリットのPRにも努めてまいりたいと思っております。
小林(守)委員 もう一つ、産業廃棄物の最終処分場の残余容量と残余年数というのが毎年年次報告されてくるわけなんですけれども、このデータがどうも、理解がなかなかぴんとこないというようなところがあります。アバウトな集計、推計を行っているのではないか、このように思うんですけれども、実際に産廃のすべてに電子マニフェストが義務づけられていけば、相当の正確度というか、データ集積が素早く、また正確にできるというふうに私は思うんです。
 九七年以降のマニフェストの活用について、残余年数とか残余容量の集計の際に、毎年出されている産廃のデータ報告、これについてマニフェストはどういう役割を果たしているのかいないのか、これをちょっとお聞きしたいと思います。そしてまた、電子マニフェストになれば相当の利用が期待できるということになっているのかどうか、その辺についてどうお考えになるか、あわせてお聞きしたいと思います。
飯島政府参考人 マニフェストを産業廃棄物のデータ集計に活用できるのではないか、こういう御指摘だと思いますが、そもそも、先生よく御承知のように、マニフェスト制度は排出事業者が適正な処理の委託を確保するための制度でございます。ただ、行政側におきましても、処理の委託の流れがどうなっているかを個々にチェック、監視することは可能でございまして、都道府県が立入検査を行った際に、マニフェストによりその流れを確認して不正を発見する、あるいは証拠資料として活用するということがあるわけでございます。
 マニフェストの全数集計による最終処分量の集計というのは、現在まで行われておりません。それはもともとの目的が違うということで、活用ができるのではないかというのは全く同感でございますが、現在まで全数集計をしていることはございませんが、そういう個別の判断には使わせていただいております。
 なお、それを、実際に正確な実態がつかめるはずなので、何とかできないかというお話でございますけれども、実際、これは行政にとっては大変な業務でございます。先ほど申し上げましたが、紙が四千万枚ということでございますので、大変な業務でございまして、個々の話としては、マニフェストだけではなく立入検査や実際の報告徴収で確認していくことが重要でございますが、先生御指摘のように、もし電子マニフェストでできれば、これは大変効率的になるだろうということは私どもも同感でございます。
小林(守)委員 電子マニフェスト化が進めば、いわゆる物の流れが即時によくわかるということと、それから集計データも非常に精度の高いものが出せるというようなお話だと思います。そういうことになると、早急に電子マニフェストの義務づけ、義務化というようなことが求められているんですが、現実は一%の段階であるというような状況もお話しいただきました。
 それで、いろいろと考えていって、すぐ全部やれ、義務化しろと言っても、それは無理なことは承知の上でございますが、例えば収集運搬業者とか、あるいは中間処理業者とか最終処分業者、これらについては、業としてやっているところですから、当然これは義務づけてしかるべきではないのかな、このように考えられます。その辺についてはいかがですか。
飯島政府参考人 産業廃棄物管理票制度はそもそも、先ほど申し上げましたが、排出事業者の適正な処理の委託を確保するための制度でございますので、処理業者のみに電子マニフェストを義務づけるというのは、これは制度としては少し違うのではないかなと思っておりますけれども、基本的に、排出から最終処分までの一連の流れ全体が電子マニフェストで管理できれば、排出事業者、収運業者、処分業者、全体もメリットをこうむるということで、電子マニフェストの普及拡大というのは、私どもとしても非常に大事な課題であると思っております。
 なお、一部でもというお話ございましたが、特定の地域でのモデル事業であるとか、あるいは例えば公共関与の廃棄物処理センター、これに限って導入策を検討するとか、こういった電子マニフェストの普及促進のための改善の検討については、先生の御指摘を踏まえて前向きに検討してまいりたいと思っております。
小林(守)委員 ぜひ段階的に導入をしていく、それを積極的に前倒しでやっていくという視点に立って、いろいろ工夫もしながらやっていっていただきたいな、このように思います。
 やはりマニフェストの持っている当初の意味と、その活用の仕方というのは広がっているんだというふうに思いますし、活用の仕方を合意形成の上で行っていくならば大きな威力を発揮できるシステムでもあると思うんですよね。
 そういう点で、電子マニフェストを、全国一斉に網をかけるみたいなことは難しいという状況であります。そして、もちろん、全業種に対して、全排出事業者に対してかけるというのも難しい状況だということで、今特定の、業とする者についてはかけてはどうかというような提言をさせていただきました。
 もう一つは、ブロック単位に、例えばモデル的に許可業者だけでもマニフェストの電子化とか、関東ブロックとか、関西ブロックとか、東北ブロックとか、どこどこブロックとか、そういうところだけでもモデル的にやるというようなことの導入はできないのかどうか、その辺についての提言をさせていただきますが、いかがですか。
飯島政府参考人 地域ブロックごとにモデル事業を行ってはどうか、こういうお話だと思いますが、先ほど言いましたメリットの多い人と少ない人は、地域ブロック単位で見ても結局同じ分布をしてしまうものですから、先ほど御答弁させていただきましたように、例えば公共関与の廃棄物処理センターで処理されるようなものについてモデル的に検討するということは可能だと思います。
 先生の御指摘よくわかるんですが、例えば首都圏とか近畿圏とかいうイメージだと思いますけれども、そこの公共関与の廃棄物処理センター、施設に申し込む場合は電子マニフェストでなければ受け付けない、そこまで言えるかどうかわかりませんが、電子マニフェストを誘導するような方策を講じるということは、十分検討に値すると思っています。
小林(守)委員 当分の間、やはり紙マニフェスト、紙を媒体とする手書きのマニフェストと電子マニフェストが、だんだん電子の方が多くなっていって、逆転していくような状況をいかに早くつくるかということだと思いますが、段階的にそういうふうな方向を目指すためにも、紙マニフェストを選択している事業所あるいは業者に対しては、一定の頻度で立入調査をきちっとして、電子化への誘導を図るというようなことも含めて取り組む必要があるのではないか。この辺の、紙マニフェストと電子マニフェストの、併存ではない、圧倒的にまだ紙マニフェストの状態なんですけれども、これについて、今後の進め方等も含めて、大臣の方から総括的に御答弁いただければというふうに思います。
鈴木国務大臣 マニフェストの電子化につきましては、さきの委員会でも近藤先生から御指摘がございました。その際、義務化をということでございますが、先ほど部長の方から答弁いたしましたとおり、まだ電子化一%という段階でございますから、今はその普及を拡大していくという段階である、そういうふうに思っているわけであります。
 御指摘のとおり、マニフェストの電子化、これは効率的に情報を管理、活用できますし、それから不適正処理の防止にも有効であるということでありまして、御指摘のとおり、今後の廃棄物行政を考える上でこの電子化というのは大きな一つの柱である、そういうふうに私も認識をしているところでございます。
 そのためには、電子化への誘導策というものをとっていかなければならないわけでありますが、先ほど来飯島部長から答弁いたしましたとおり、モデル事業というものを実施し、公共関与の処分場に搬入される産業廃棄物での導入の検討、実施など、こういうものに取り組んでまいりたい、そういうふうに思っているところであります。
 それから、電子マニフェスト、これは積みかえ保管場所、中間処理施設、最終処分場などにおけます産業廃棄物処理の実態の追求、不適正処理の早期発見のため大変有効な手段でありますけれども、しかし、電子マニフェストだけでこれを管理するといいますか、その把握を十分にするということ、これも大切ですけれども、もう一つ、やはり都道府県における立入検査なども充実させていくことも重要である、そういうふうに思っているところであります。
小林(守)委員 ぜひそういう方向で積極的に電子マニフェスト化を図っていただきたい、このように要望しておきます。
 次に、廃棄物の処理施設の……
松本委員長 速記をとめてください。
    〔速記中止〕
松本委員長 速記を起こしてください。
小林(守)委員 産業廃棄物について、ある程度の広域移動はやむを得ないというふうに思いますが、今も提言しましたけれども、各ブロックごとに処分を完結するというような仕組みが私は必要なのではないかなと。自区域内処理原則というか、産廃税の絡みも含めて、東北は東北ブロックでというような意向もあるやに聞いておりますけれども、産廃の各ブロックごとの処分の完結性というか、自己完結性みたいな物の考え方というのは必要ではないのか、このように思いますが、これについてお答えいただきたいと思います。
飯島政府参考人 産業廃棄物につきましては、適正に処理される限り、都道府県の区域を越えて処理されること自体は問題とされるものではないと思っておりますけれども、現実に、大都市圏で大量に発生いたしまして地方圏に移動している、その過程で大都市の近郊や地方で不適正処理や大規模不法投棄の事件が起きている、こういったことを考えますと、全国的に円滑な処理ができるよう、例えば大都市圏ではその域内においてできる限り処理の受け皿を確保する、こういった方向が必要であるというふうに認識しております。
小林(守)委員 それでは、時間の制約もございますのではしょりますが、廃棄物処理はブロック単位域内処理で考えていく場合に、国が提唱している廃棄物処理センター、廃掃法にありますが、この廃棄物処理センターの構想に基づいて、都道府県単位ではなくてブロック単位で各都道府県が業務を分担した効率的な広域の廃棄物処理センターの構想というか考え方に誘導していってはどうかというふうに考えますけれども、これは大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
鈴木国務大臣 先生の御指摘のとおりに、広域的な処理を行う体制、これを確保するということは重要なことである、そのように十分認識をしております。施設整備に係る国庫補助制度の内容の拡充ということにも取り組んでおりまして、平成十三年度より大都市圏では、二つ以上の都府県市が共同で設置した広域的な廃棄物処理センターも補助対象事業として追加をして、支援措置を設けているところであります。
 それから、近畿圏におきまして、昨年度、広域的廃棄物処理センターの整備も視野に入れまして、近畿の自治体間による検討を環境省としても支援をしたところであります。
 今後とも、広域的廃棄物処理センターの整備等により、大都市圏における広域的な処理体制の整備を促進してまいりたいと考えております。
小林(守)委員 最後になりますけれども、今回の法改正で、不法投棄の未然防止の対策あるいは未遂罪の適用導入、こういうことが改正法で取り組まれております。また、廃棄物の疑いのある物については報告徴収や立入調査ができるというようなことも制度化されるわけであります。また、今までの議論の中にもありましたように、紙マニフェストが、四千五百万件というような膨大なものが都道府県にも一応書類が来るわけですね。これらについて不適正な処理を発見していくというような問題については、相当これは、問題が起こってから調べ直すというような形で使われるんだろうと思いますけれども、実際それは電子マニフェスト化すれば相当効率的にそれができるということにもなりますし、また、未然防止の役割も果たせるということになると思うんですが、排出事業者の責任を排出元までさかのぼっていくためにも、紙マニフェストとはいえ、これはやはり大事にしなきゃならないということなんですけれども、この四千五百万件をどう管理していくかというようなことはこれまた大変な問題になります。
 それから、先ほども申しましたけれども、最終処分場の処分の残余容量とか最終処分量の環境省が毎年公表しているデータの信頼度というんですかね、これについても、やはりマニフェストがきちっと整備されてくれば精度が増していく。それから、計画的な施設の整備とかそういうこともできてくるわけでありまして、統計的な基盤が整備されないと、科学的、客観的な、計画的な廃棄物行政はできないんではないか、このようにも言えます。
 しかし、今回の法改正も含めて、これから抱えている問題も含めて考えるならば、抜本的な人的、組織的体制の改革が求められている。都道府県の廃棄物行政にかかわる、環境管理行政にかかわる職員の数を見てみれば、これまたまさにお粗末というか、惨たんたる状況だ、これでよくやれるな、気の毒だなと思えるくらいの実態だというふうに思います。専従職員がいなくて、みんな兼務されているというようなこともございますし、実際に業界団体に行くとなれば、これはまた一人でなんかちょっとなかなか行けない。また、説得するにしても、いろいろ話しするにしても、相当度胸のある的確な人でないとなかなか適正な行政執行ができ得ない環境にあるのも事実だと思うんですよね。
 そういうことになってくると、やはり人的、組織的体制をしっかりとつくっていくということが現状として必要だと思いますし、電子マニフェスト化がそのためにも必要だというふうに強く、私は実態を見て、人的、組織体制、県や市町村の廃棄物行政にかかわる、不法投棄防止とかその指導監督に当たる職員の体制がお粗末に尽きるというふうに思うんですが、これらについて大臣の見解をお聞きして、私の質問を終わりにしたいと思います。
鈴木国務大臣 廃棄物行政を円滑に進めていく上では、国でありますとかあるいは都道府県の人の組織の確保、それから御指摘の電子マニフェストの普及拡大ということ、これは重要な基盤である、そういうふうに思っているところであります。
 まず、都道府県におきます必要な担当職員が確保されるということが大切であるわけでありまして、今後とも、産業廃棄物行政の重要性について地方自治体でありますとか総務省に十分説明をするとともに、環境省の職員、出先でありますけれども地方環境対策調査官等、国の職員の確保についても努力をいたしまして、国と地方自治体一体となってこの廃棄物行政に当たるような体制づくりに引き続き努力をしてまいりたいと思います。
 マニフェストの電子化につきましても、先ほど申し上げましたような普及策というようなものもしながら、その普及に努めてまいりたいと思っております。
小林(守)委員 終わります。
松本委員長 川内博史君。
川内委員 おはようございます。民主党の川内博史と申します。
 本日は、委員長や理事の先生方のお許しをいただきまして質問をさせていただくこと、心から感謝を申し上げさせていただきます。
 時間が十一時三十二分まででございますので、早速始めさせていただきますが、まず、何を今さらそんな基本的なことを聞くんだというところから始めさせていただきたいんです。
 産業廃棄物の最終処分場について、安定型、管理型、遮断型、それぞれの型についての全国での整備状況をまずお聞かせいただきたいと思います。
飯島政府参考人 全国の産業廃棄物最終処分場の許可件数でございますが、十三年度四月現在、二千七百十七カ所。三つの種類がございます。安定型の処分場が千六百四十三カ所、管理型の処分場が千三十三カ所、遮断型の処分場が四十一カ所でございます。
川内委員 この五年間で新設許可された管理型の処分場というのが一つも設置されていない都道府県を教えてください。
飯島政府参考人 管理型最終処分場の新規許可がされていない都道府県でございますが、岩手県、栃木県、石川県、山梨県、滋賀県、京都府、奈良県、和歌山県、佐賀県、宮崎県の十府県でございます。
川内委員 許可されていないところが十府県あるということでありますが、実際には、許可をされていても、いろいろな理由によって工事に入っていないというか、稼働していないというか、そういうところも何県かあろうかと思うわけであります。我が鹿児島県もそうなんですけれども、産業廃棄物最終処分場を設置するということは大変な困難を伴うというふうに私などは聞いているわけでありますが、具体的には何がこの産業廃棄物の最終処分場を設置する上で困難になっているのかという、その原因についての分析をお聞かせいただきたいと思います。
飯島政府参考人 最終処分場の設置が非常に難しくなっているということなんですが、その原因の分析でございますが、まず、産廃につきましては、不法投棄など不適正処理、これが非常に多うございます。それからダイオキシン問題というのもございまして、産業廃棄物に対する住民の不信感というのが非常に大きくなり、不安感も増大している。そして、設置をめぐる紛争、いろいろな事例がございますが、どんどん深刻化している。そういう意味で、こういった情報はすべて全国に流れますので、全国的に産業廃棄物の最終処分場設置が困難となっていると思われます。
 また、従来から多くの地方公共団体で、住民とのトラブルを未然に防止する、こういう目的で、産廃処理施設を設置するに当たりまして住民同意を得ることを要件として、そうでなければ施設の許可の申請を受け付けないというところが多いわけでございますが、同意する住民の範囲の問題、あるいはそれに伴って不透明な金銭授受が行われるような問題、こういったことが起きておりまして、さらにこのトラブルを複雑化しておりまして、こうしたことも最終処分場設置を困難にしている原因ではないかと考えております。
川内委員 いろいろ今網羅的に挙げていただきましたが、大変複雑な状況の中で設置が大変困難になってきているというふうにお聞きをいたしました。
 今後、環境保全のための取り組み、あるいは、今回のこの法改正のように規制の強化が進めば進むほど、さらに新規の処分場の設置というものがますます困難になっていくわけであります。そうすると、困難になればなるほど、実は、新規の開設というか新規の設置についても、今部長さんが御答弁をされたような不透明な金銭の授受あるいは住民の皆さんの心配がさらにますます高じていくであろうというふうに思うわけでありますが、今後どのように対策をおとりになるのかということをお聞かせいただきたいと思います。
飯島政府参考人 最終処分場の設置が困難というのが典型的にあらわれているわけでございますが、産業廃棄物の処理に対するこれまでの世の中の見方というのがやはり非常に問題ではなかったかと思います。
 と申しますのは、実際にそういう不適正な処理が行われているわけですから、やむを得ないところがあるわけでございますが、悪い業者がもうけやすいような、そういった環境があって、それがきちんと追及されていなかったということがあると思います。
 これは厚生省時代からでございますけれども、平成九年と平成十二年に廃棄物処理法の改正がございまして、この改正によって規制が強化されてきております。
 この規制強化というのは、基本的には排出事業者責任の徹底、これを行って、優良な廃棄物処理業者、廃棄物処理業者はみんなワルじゃなくて優良な方がいらっしゃるので、優良な廃棄物処理業者が廃棄物処理という市場の中で優位に立てるような、そういった改革を行っていこうということでございまして、それによって、立地困難であった廃棄物あるいはリサイクル施設といったものもきちんとできるようになる、こういう改革のための規制というふうに理解しております。規制を強化すればできなくなるというのが普通の考え方ですが、それは悪い業者は撲滅する、悪い業者は追放する、いい業者が立てるようにする、こういうことでございます。
 ただ、そうはいっても、民間の施設、なかなかそこまで体力のあるところは出てきておりません。その間、公的主体の関与、公共関与で、ある意味では補完的なんですが、施設の整備、運営を図ることが信頼性の回復にもつながるのではないかというふうに考えておりまして、民間の資本や人材も活用して、公共関与の施設整備を図るために環境大臣が廃棄物処理センターとしての指定をいたしますと、この廃棄物処理センターが行う最終処分場の整備に対しまして国庫補助が行われることになっております。十二年度以降、国庫補助を開始して事業が始まっている廃棄物処理センター、全国で最終処分場は六カ所整備が進んでいるところでございます。
川内委員 それでは、ちょっと視点を変えまして聞かせていただきたいと思いますが、全国で排出されている産業廃棄物の毎年の総量と現在稼働している最終処分場における埋立量との関係について、どのくらいのペースで埋まっているのかというようなことについてお聞かせをいただきたいと思います。
飯島政府参考人 最終処分量や残余容量、それがどれだけ残っているか、こういったデータでございますが、もとになるのは産業廃棄物の排出量でございまして、これはリデュース、排出抑制を進めていくというのが大前提なんですが、現在、産廃の量は、過去十年間ずっと四億トン程度で推移してきております。近年はやや減少傾向、四億トン程度ということで、ここは余り変わっておりません。
 ところが、最終処分量は、リサイクルあるいは中間処理の減量化というのが進みまして、近年着実に減少してきておりまして、御紹介いたしますデータでは、平成八年度に六千万トンだったものが十二年度には四千五百万トンまで減っております。
 それから、残余容量はどうなっているかということでございますが、全国の最終処分場の残余容量でございますが、平成九年度までは二億一千万立方メートル程度で、ずっと同じぐらいで推移してきました。これは埋まってしまうものもあれば新しくできるものもあるということでございますが、平成十年度以降、先ほど先生御指摘になりました規制の強化の改正以降、減少傾向になっておりまして、十三年四月現在でございますが、一億七千六百万立方メートル、先ほどの二億一千万立方メートルに比べまして二割程度少なくなっております。
 ただ、今残余容量はそのように少なくなっているわけでございますが、これを上回って最終処分量が先ほど言いましたように減少していますので、残余年数、あと何年もつかという全国平均の数字でございますが、平成十年度が三・三年だったのが、十一年度、三・七年、十二年度、三・九年というふうに現在上昇している状況にございます。
川内委員 最終的に処分される量と残余年数については、懸命な御努力の結果ということなんでしょうか、三・九年というふうに伸びてきているという御説明だったわけでございますけれども、それでは、この五カ年間、過去五年間で許可を出した産業廃棄物最終処分場につき、安定型、管理型、遮断型、三種類の型に分けてそれぞれ許可を出した件数を教えていただけますでしょうか。
飯島政府参考人 先ほど申し上げましたように、平成十年度ぐらいまでは許可の数が百件以上だったんですが、十一年度以降非常に減っておりますが、ここ五年間のトータルの数字で申し上げますと、新規許可件数、安定型処分場が三百四十件、管理型処分場が百七十四件、遮断型処分場が三件、合計五百十七件ございます。
川内委員 法律の改正がだんだんだんだん厳しくなるとともに、結局処分場の許可を出す件数も減ってきている、少なくなってきている。一方で、ごみそのものの排出量のリサイクルに回すとかいろいろな努力によって、何とか残余年数を〇・二年とか〇・四年という感じで伸ばしてきてはいるんでしょうけれども、将来的なことを考えると、今お答えいただいた現状の設置のペースで果たして十分なのかということを思わざるを得ないんですけれども、今のペースで十分なのかということをちょっとお聞かせいただきたいというふうに思います。
飯島政府参考人 最終処分場の残った容量と実際に最終処分する量との関係で大丈夫かどうかが決まるわけでございます。先ほどお答えいたしましたように、その結果三・九年まで若干伸びてきておりますけれども、先ほど、新設の件数が大幅に減少したということを考えますと、今後とも最終処分場は逼迫した状況になるということは避けられないと思っております。
 そのために、最終処分場の建設を進めるということもあるんですが、その前にまず最終処分量を減量化していこうということで、廃棄物処理法で国の基本方針を定めておりますけれども、これは、平成二十二年度、二〇一〇年に最終処分量を半分にしようという目標を掲げて減量化の推進を図っているところでございますし、三月に閣議決定、国会に報告いたしました循環型社会形成推進基本計画におきましても、これは一般廃棄物の最終処分量を含めてでございますけれども、平成二十二年度には平成十二年度の最終処分量を半減させる、こういう目標を立てたところでございます。
 引き続きこの減量化を最大限に進めてまいりますが、その上で、まだまだ民間では最終処分場を十分確保することが難しいと思われますので、先ほど申し上げました廃棄物処理センターなど公共関与による最終処分場の確保についても引き続き推進する必要があると考えております。
川内委員 公共関与によって最終処分場を整備して何とか体制を整えたいということでありますけれども、私の地元である鹿児島県では、過去稼働していた管理型の処分場というものが何カ所かはあったように聞いているんですけれども、しかし、水質の調査とかはしているんでしょうけれども、現在はもう全く埋めてはいないということでありまして、県内に一カ所も管理型、遮断型の処分場はない。
 平成九年に公共関与、鹿児島県が主体になって処分場をつくるということになったんですけれども、それから五年たって平成十四年になっても予備調査にすら入れないという状況だと聞いております。なかなか地域住民の皆さん方の理解を得ることができないということで、公共が関与をしたとしても、この産廃の処分場というのはなかなかに信頼を得にくいものになってしまっているんじゃないかなということを感じると、ただ公共が関与しますからというだけではなくて、もっとさらに一工夫も二工夫も状況を打開していくためには必要なのではないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
飯島政府参考人 鹿児島県のお話も伺っておりますけれども、公共関与による最終処分場の整備につきましては、先ほど、廃棄物処理センター方式で既に六県で整備が進んでおる。必ずしも、みんな初めからうまくいっているわけではございません。
 これは民間の場合も同様だと思いますけれども、事業者となる主体が、環境影響とか施設の安全性につきまして、地元の方々に十分情報公開を徹底して説明していくということが大前提になっておりまして、それがなければ地元の理解と信頼は得られにくいというふうに考えております。公共が関与する場合には、こういった情報公開あるいは地元への説明につきましては一層丁寧に対応が求められているものと思います。
 いずれも、先ほど申しましたように鹿児島県だけでなく、この問題については努力をされているところでございます。環境省といたしましても、幾ら減量化しても、幾らリサイクルしても、最後の最後の残渣は適正処分する最終処分場がどうしても必要でございますので、これが非常に重要であるという点につきましては、国民の御理解を得られるよう、情報公開の上に説明を続けていきたいと思います。
 いずれにしても、いろいろな事例で大変苦労された上で、きちんと理解をいただいて進んでいるところもございますので、住民とのコミュニケーションのあり方等につきましては、私どもも勉強いたしまして、その成果を鹿児島県を含め各地方公共団体に周知していきたいというふうに考えております。
川内委員 今御答弁にありましたように、情報公開をし、そのリサイクルを進め、これは何としても解決をしていかなきゃいかぬ課題であるという御認識をお示しいただいたわけであります。
 そこで、今回提案されております廃棄物処理法改正案について、これができるまでの間に、産業界の強い反対で改正案の中に盛り込むことができなかったものがあると聞いております。拡大生産者責任というんですか、世界的なスタンダードになりつつあるこの考え方を、リサイクルのためにも、あるいは減量化のためにも、どうしても盛り込まなければいけなかったものを、産業界の反対で盛り込めなかった。産業界というと漠然としてよくわからないものですから、具体的には、どの業界のだれが反対したのかということをこの委員会の場で明らかにしていただきたいというふうに思います。
飯島政府参考人 廃棄物処理法改正法案に先生が御指摘になった拡大生産者責任の制度的拡充について盛り込もうといたしたのは事実でございますし、これは中央環境審議会でもその方向性で意見具申をいただいております。
 この制度の拡充なんですが、これはいろいろな考え方があるんですが、基本的に今回考えましたのは、中央環境審議会の意見具申にありましたように、市町村で適正な処理が困難なそういった廃棄物の種類につきまして、何らかの形でその製品の製造者や販売者が責任を役割分担できないか。そのとり方としては、例えば製品の設計で、注射針が問題になっているんですが、注射した後、注射針が引っ込むような製品設計ができれば、けがは出ないとか、その設計段階でごみにならないようなこともありますし、それから、表示をしっかりして、きちんと分別できるようにすることもあります。難しいのは引き取りの話、引き取って処理をするということなんですが、安全性の観点からそういった制度を考えてきたわけです。
 御承知のように、容器包装リサイクル法、家電リサイクル法、それから最近できました自動車リサイクル法、それぞれ、実はこの役割分担の検討には相当の年月を要していまして、物が小さいといえば小さいかもしれませんが、こういった関係者間の完全な合意をとるには相当の時間がかかることは、もともと我々も承知をしておりまして、今回は、汎用的な制度、具体的な品目の指定は政令等で行って、あるいは基準については省令等で行って、汎用的な制度ができないか、こういう検討だったわけでございます。
 個別の業界、先ほど申しました注射針であるとか、消火器、ガスボンベ、FRP船とか、そういった個別の業界とはずっとお話を続けてまいりましたが、その対象の品目にこれから上がるかもしれないという不安を掲げる業界もございます。
 それから、市町村と製造事業者とはどこで役割分担するか。例えば容器包装リサイクル法だと、分別して回収するまでは市町村の役割にしますと、非常に費用負担がふえてしまって、現在それが非常に大きな問題になっておりますが、どういう役割分担にするか、製品の設計だけでいいのか、こういう問題については、詰めていくと相当時間がかかることは当然でございます。
 そういう意味で、今申し上げたようなことをお話ししてきたのはどこの業界かという御質問でございますので、それに対しては、日本経団連の中にいろいろな業界がありますが、日本経団連との話し合いを進めてきて、最終的に今回間に合うまでの合意はできなかったわけでございますが、引き続きこれについては検討を継続しましょうというお話になっております。
川内委員 時間が残り少ないので、手短に御答弁をいただきたい。
 日本経団連のどこのセクションとお話をされていたんですか。
飯島政府参考人 日本経団連というのは業界団体の集合体でございますので、どこのセクションということではなくて、日本経団連全体として、あそこは制度的には廃棄物・リサイクル部会というものを持っておりますが、日本経団連全体としていろいろな立場の業種の方々とお話をしてきたということでございます。
川内委員 これから地球環境的にはごみ問題というのは、今までもそうですし、これからさらに重要になっていくわけで、そういう個別の品目について、こういう設計をした方がいいとか、そういう技術革新を促すような規制というのは、日本がさらに経済力を逆の意味でつけていくために、無理やりにでもどんどんやっちゃった方がいいと思うんですね。そうすることによって、世界にその品物がどんどん売れるようになるわけですから、リサイクルしやすい商品、あるいは分別がしやすい商品として売れるようになるわけですから。環境省さんが無理やりそういうものを業界に規制をかけていくことによって、逆の意味で技術革新を促す効果が大いに期待できるという意味においては、私は、今回のこの改正案の中に拡大生産者責任はどうしても盛り込むべきだったろうというふうに思うわけであります。
 今般のこの委員会の質疑の中で、政府側の御答弁として、これは大臣もおっしゃっているんですけれども、あと何カ月かかければというお話もあった、あと何カ月かあれば改正案の中に盛り込めたかもしれないというふうな御答弁があったわけであります。私は、この拡大生産者責任については、今すぐにでもまた改正案を出すべきだと考えておりますが、せっかくですから、この拡大生産者責任の問題を、いつ法改正の日程に上げるのか、次の臨時国会に出しますとか来年の通常国会には出しますとか、その辺の決意をお聞かせいただきたいというふうに思います。
鈴木国務大臣 適正処理困難物に対します拡大生産者責任の問題というのは、これはこの委員会におきましても多くの委員の方々から御指摘をいただきましたし、私どもといたしましては、これは重要な問題である、そういうふうに思っているところであります。
 先ほど先生から、規制をかけることによって、それがまた一つの技術革新をそこに生み出すインセンティブを与えるというお話でありますが、それは私も全く同感であります。廃棄物の分野ではありませんけれども、例えば自動車の排出規制などは、そういうことによって、日本が世界一の低公害車をつくり出す技術革新を生み出すインセンティブを与えたということで、そういう一つ一つ、一歩ずつ前向きの規制をしていくということは、ある意味では一つの効果を生み出すものである、そういうふうに思っております。
 先生から、拡大生産者責任にかかわる法改正をいつやるかということでありますが、率直に申し上げまして、今いつということは明確にお答えできる状況にはございません。
 だがしかし、先ほど申し上げましたとおり、この問題の重要性というものは十分認識をしておりますので、今後、鋭意関係方面との協議を進め、検討を進めてまいりたい、そういうふうに思っております。
川内委員 あと二分ぐらいなんですけれども、協議を進め検討を進めたいという大臣の御答弁ですが、協議をし検討を進める、そして、具体的ないつということは言えないけれども法律の中に盛り込むというところまで、その法律の中に盛り込みたいという言葉が今なかったんですけれども、検討をして法律の中にこの拡大生産者責任を盛り込むという意欲のあらわれであるというふうに考えてよろしいでしょうか。
鈴木国務大臣 今までも、廃棄物処理法、平成九年そして平成十二年と改正をしてまいりました。平成九年のときにできなかったもの、その後社会経済状況が変わって、廃棄物に対する国民や産業界の理解が進んで、九年にはできなかったけれども十二年にはできたというような問題もございます。
 この問題につきましても、これを次の法改正に盛り込むべく、それを目指して検討を進めてまいりたいと思います。
川内委員 終わらせていただきます。ありがとうございます。頑張ってください。
松本委員長 工藤堅太郎君。
工藤委員 自由党の工藤堅太郎でございます。質問の機会をお与えいただきましてありがとうございました。
 私は、昨年の通常国会、当委員会、たしか七月九日だったと記憶いたしておりますけれども、国内最大と言われる青森、岩手県境の八十二万立方にも及ぶ産業廃棄物不法投棄事件、これを取り上げまして、当時の大木環境大臣に質問をさせていただいた経緯がございます。
 その後、一年近く経過をいたしたわけでありまして、当委員会のその以後の質疑を通じて大分処理が、問題が具体化をしてきたな、そういう感じを持っているわけでありますが、その間大臣がかわりまして、鈴木環境大臣が御就任になられたわけでありまして、改めまして御就任に対しまして祝意を申し上げたいと存じますし、また、今後の我が国の環境行政のトップとしてさらなる御活躍を御期待申し上げております。頑張っていただきますように。
 さてそこで、このたびの政府提出法案と、具体的事例であります、今申し上げました青森、岩手県境の不法投棄問題処理とのかかわりについて、どのような手法で処理されるおつもりなのか、そのかかわりについて幾つかお尋ねをしてまいりたいと存じますけれども、その前に、現在、我が国のいわゆる不法投棄、これはその実態がどのようになっているのか、その箇所数及び廃棄量、これがどのような状況になっているのか、まずお聞かせをいただきたいと存じます。
飯島政府参考人 産業廃棄物不法投棄の件数、箇所数あるいは廃棄物の量でございますが、これは、統計的に数字の見方が二つございまして、フローで見るかストックで見るかということでございますが、二つの種類の調査をしておりまして、フロー調査は平成五年から毎年実施しているわけでございますけれども、平成十三年度に新たに確認された不法投棄事案は千百五十件、投棄量が二十四万立方メートルでございます。
 一方、ストック、言いかえれば残存している産業廃棄物の不適正処分の状況についてでございますが、これは平成十三年六月時点で環境省が都道府県に対してアンケート調査をした結果がございまして、不適正処分の箇所数が六百七十カ所、廃棄量が約千三百万立方メートルでございます。
 また、今回の産業廃棄物特別措置法案の対象となり得るものは平成十年六月以前に不法投棄されたものでございますので、四百三十カ所、量で約一千百万立方メートルでございます。
工藤委員 今説明をいただいた、これは市町村調べということになるのでありましょうが、これはすべて公表されているんでしょうか。中には公表されていない事例もあるやに聞いているのでありますが、もし公表されていないとすれば、どういう理由で公表していないのか、その点伺います。
飯島政府参考人 不法投棄は重大な環境犯罪と考えておりますので、新聞報道も含めまして、各地域の不法投棄はある程度既に公知のものとなっていると考えております。
 環境省におきましては、各年度に地方公共団体が把握した不法投棄事案の件数、投棄量の集計をしていただいて報告を受けているところでございますが、大規模な事案については、国民の関心が高いということから、その概要を個別に聴取し、一つ一つの案件についても公表しているところでございます。
 各地域、地方公共団体が積極的に不法投棄事案を公表していくということは、不法投棄の早期発見や拡大防止に住民の協力が得られるということで大変重要なことではないかと思っておりますので、各地域におきましても積極的に対応していただくことが望ましいと思っております。
 また、毎年度新たに把握される不法投棄の実態調査につきましては、投棄の件数と投棄の量だけではなく、投棄者の属性、これは排出事業者なのか、許可業者なのか、収集運搬業者なのか、処分業者なのか、こういった投棄者の属性とか投棄物の種類、できるだけ多くの情報を公表するようにしているところでございまして、大規模な不法投棄事案については、そういった細かい内容についても環境省において公表しているところでございます。
工藤委員 これまでのいわゆる廃棄物処理法の改正を通じて、特に平成十年六月以前、以降では国庫補助率の違いがあるわけでありますし、また、今回の特別措置法案もそれ以前の事案を対象にしたわけでありますから、その時点での説明もあったわけですが、本当に十年六月以前の事案が、今四百三十カ所と言いましたか、それで千百万というふうに今おっしゃったように聞いたわけでありますけれども、私は、これはもっともっと多いんじゃないかというような感じを持っております。
 青森、岩手の問題でも、これまでの経緯を見る限りにおいては、かなり早い時点で当該の市とか町、また両県、これは承知しておったと思うわけでありまして、なぜもっと早く対応、対処できなかったのか疑問点も残るわけであります。
 法的不備だとかいろいろなことが言われますけれども、環境省が十三年に実施した調査方法を見ますと、都道府県を通じて各市町村へ調査票を送付して、調査対象になるべき要件に該当する場合は報告せよ、そういう形式をとった。本当にこんな調子で、こんな調査だけで実態が把握できたとお考えになっておられるんでしょうか。
 また、現下の経済状況では、どの自治体でも、本当に自分の市町村の財政運営が厳しい、きゅうきゅうとしているような、そういうときでありますから、財政的負担になるようなことは極力避けたい、そう考えても不思議はないわけでありまして、よほどの事案でない限り報告をしない、こういうことも想定をされるわけでありまして、実態は環境省の今お聞きをした報告よりも何倍、十倍とは考えませんけれども、勘で言えば七、八倍といったような、そういう状況にあるのではないだろうかというふうな感じを持っております。
 しかも、産廃業者でありますとか中間処理業者あるいは建設業者、そういうところの私有地、それから民有地に放置してある、これは、山間部といいますかそういうところをちょっと車で走っていれば、あちこちにそういうのが見受けられるわけでありますが、そういうことは調査に含まれないケースが考えられるわけでありまして、その点も含めて、大臣に御認識をお伺いしたいと思います。
鈴木国務大臣 工藤先生が廃棄物行政の問題につきまして、とりわけ青森、岩手の不法投棄につきまして早くから委員会で取り上げて、お取り組みをいただいておりますことに、まず敬意を表したいと思います。
 今、平成十三年度に環境省が行いました実態調査についての認識はどうかということでありますけれども、この実態調査は、住民の通告でありますとか、あるいは監視パトロール等を実施いたしました市町村が確認をしたものを取りまとめたものでありまして、それなりに各地の不法投棄実態をとらえているもの、そういうふうに考えております。
 しかし、今後さらに、その中身と申しますか、把握を十分していかなければならない、そういう思いはあるわけでありまして、今後、都道府県が行います監視体制の強化、また不法投棄の情報を通報するそういう通報体制の整備にきちっと支援をしていく、こういうことも通じまして、さらにこうした不法投棄の実態を正確に把握できるように努力をしてまいりたいと思っておるところであります。
 また、十三年度の実態調査では投棄量不明の事案というものもあるわけでございますけれども、平成十年六月以前の古いものにつきましては、今回お願いしております産廃特措法によって支援をしていくということになりますと、その投棄量を含めた詳細な把握というものも必要になってくるわけでございますので、こうしたことにつきまして都道府県等に積極的に取り組んでもらいますよう、この法律の中で規定をされております、環境大臣が定めます基本方針にもその旨をしっかりと明記して、こうした実態の把握、量の把握についても進めてまいりたいと思っております。
工藤委員 私は、先ほど申し上げましたように、環境省の報告よりも実態は相当多いというように、ぬぐい切れないようなそういう思いをしておりますが、法律でどのような規定を設けましても、それを施行する側が十分な対応能力、また毅然とした姿勢を持っていないと、特にこのような不法投棄問題は思うように処理はできないだろう、このように危惧をするわけであります。
 そこで、大臣にお尋ねをしますが、ただいま審議されております廃棄物処理に関する問題、これ一つに絞ってみても、なぜこれまでこのような事案が全国で放置をされてきたとお考えなのか、また、これまでの環境省の対応についての問題点とか、今後どのような体制で取り組んでいかれるおつもりなのか、その点、お伺いをいたします。
鈴木国務大臣 一般論といたしまして、こうした過去の不法投棄がそのままになっている、そして生活環境上の支障を来しているという状況が続きますと、これは適正に処理をされる産業廃棄物にまで国民の不信というものが広がるわけでありまして、これからも持続可能な社会をつくっていく上で循環型社会をつくっていかなければならないわけでありますから、その形成にも大きな支障になる重大な問題である、そういうふうに認識をしているところであります。
 先生から、どうしてこういうようなことが出てきたのかと。
 いろいろ分析をしなければならないと思いますけれども、一つには、過去のこの廃棄物に対する財政的な負担、これは、最終処分者あるいは最後まで責任を持たない排出業者が責任を持つわけであります。しかし、そこに原状回復の資力がなければ都道府県が代執行するということになるわけでありますけれども、その代執行に当たっての財政的な負担というものがやはり大きくて、これが一つのネックになっていたというふうに考えるところであります。
 そういうことでございますので、今回、時限立法といたしまして特措法を提出しているところでございますけれども、この法案の趣旨に沿いまして、各都道府県に積極的に対応してもらうようにこの法律ができれば努めてまいりたい、そういうふうに思っております。
 また、過去の不法投棄の処理をいたしたといたしましても、また次々新しい不法投棄が出ると困りますので、この未然防止につきましては、あわせて御審議をいただいております廃棄物処理法の改正案におきまして、緊急時の国の立ち入り権限の創設とか、あるいは未遂罪の創設等々行っているわけでありますので、そういうことを通じて、また都道府県とも十分連携をとりながら、未然防止についても全力で取り組んでまいりたいと考えております。
    〔委員長退席、近藤(昭)委員長代理着席〕
工藤委員 私は、環境省の職員ばかりでなく、市町村の職員でありますとか、特に最前線に立つ警察関係者にも法の趣旨を徹底して理解してもらって、そして厳しく対応していくということが一番肝心なことではなかろうか、このように思っているところでありますので、大臣にもさらなる御尽力を賜りたい、このように存じます。
 それでは、青森、岩手県境の不法投棄問題と今回の特措法をリンクさせて具体的にお伺いをしてまいりますが、最初に、その後の経過を踏まえて伺います。
 岩手県側の十五万立方のうち、有害物質が二万七千立方にも上っている。当該地域内の土壌とかあるいは水質汚染が確認されておりましたけれども、周辺地域への影響は、青森県側も含めて、汚染が確認されているかどうか。
 また、九年の廃棄物処理法改正で強化されたはずのマニフェストによる排出事業者に対する責任追及がどのような状況になっているのか。いつまでに責任追及をしていくおつもりなのか。また、責任が明確に問えない場合でも、社会的なとか道義的責任として何らかの形で負担させる、協力金等でありますけれども、こういうことは考えられないのかどうか、簡潔にお答えをいただきたいと思います。
飯島政府参考人 青森県、岩手県で不法投棄現場の三栄化学工業の事業地の中及び周辺の環境調査を実施しているところでございまして、事業地の中については先生御承知だということで、周辺でどうかということでございます。
 周辺環境、十二地点で水質の調査を行っております。硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素という項目が数回連続して環境基準をやや上回っております。ただ、その他の地点にあっては環境基準を達成しており、今のところ周辺環境に大きな影響が出ているとは考えておりません。
 事業地内は、既に青森、岩手両者ではかっておりまして、ジクロロメタンとかベンゼンとかトリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、いろいろな環境基準を上回る物質が測定されているところでございます。周辺環境は、先ほど申し上げたとおりでございます。
 それから、今マニフェストなどによりまして排出事業者責任の追及のための調査を行っているところでございますけれども、これは、まず関係した排出事業者の調べ方として、まず、埼玉県の中間処理業者である縣南衛生から提出された資料をもとにいたしまして、収集運搬業者に対して報告聴取を行って、そこから排出事業者を出したわけでございますが、昨月、四月末段階で、これは一応最終集計なわけでございますが、約一万六百社の排出事業者が判明しております。このうち、これらに対しまして、両県では廃棄物処理法の十八条に基づいて報告徴収をいたしておりまして、現在のところ、その九割の事業者から回答が得られ、未報告の事業者に対しても督促をしているところでございます。
 今、両県が報告内容をもとにチェック作業を行っているところでございますが、いろいろな違反事項がありまして、特に、現在わかっておりますのは、無許可の業者に委託していたケースというのが約十社見つかっております。これらについては既に、廃棄物処理法十九条に基づいて両県が立入調査を実施したところでございまして、今後、聴聞を経た上で、近く措置命令をかけると聞いております。
 全体でいつまでに追及を終えるかということですが、これはなかなか膨大な作業がございますし、慎重に扱わなければいけないような事項もございますので、相当時間も要すると思いますが、無許可業者への委託であるとかあるいはマニフェストの記載違反であるとか、そういった項目ごとに、わかり次第順次かけていく、こういった方針で臨む必要があるというふうに考えております。
 それから最後に、責任が問えない場合でも社会的責任、道義的責任が問えないか、こういうお話でございます。できるだけ公費の投入を減らすという観点から非常に魅力的なアイデアだと思うんですが、なかなか難しいことは十分承知をしておりますが、社会的、道義的責任の観点から協力を得ていくというのは、資金の意味では非常に大事だと思います。
 いずれにしても、任意の資金協力を得るとすれば、資金協力を依頼する主体は青森県、岩手県になりますので、環境省としても、両県と十分に連携を図って、どういうことが可能か研究をしていきたいと思っております。
    〔近藤(昭)委員長代理退席、委員長着席〕
工藤委員 先日の参考人質疑においても、青森県と岩手県ではそれぞれの投棄量とか汚染状況が異なっておりまして、原状回復の方法についても対応の仕方に違いがあるな、そういう感じを持っております。
 私は、これまでの本事案の経緯を見れば、当該地域の皆さんは、青森県とか岩手県とかと分けて処理するよりも、両県、両地域一体として、同時進行的に最良の方法で撤去してほしい、こう望んでいるんではないか、このように思っているわけであります。
 現在の本特措法案の第四条で、都道府県がそれぞれ実施計画を策定するよう規定しておりますけれども、今後このような、両県にまたがる問題箇所がほかに出ないとも限らないわけであります。そこで、関係自治体が一体となって実施計画を立てるということは法的にどうなのか、いかがなものか、ケースによっては国がそうした手法をとらせるべきではないのか、このようにも考えるわけでありますが、御答弁をお願いします。
飯島政府参考人 今回御提案しております産業廃棄物特別措置法におきましては、都道府県等は、当該都道府県等の区域内に係る実施計画を定めることができると規定しておりまして、都道府県審議会の意見聴取などの手続も、各都道府県個別に行う必要がございます。
 原則はそういうことでございますが、今回の青森、岩手事案のように複数の都道府県が関係する事案の場合には、両県が連携して効果的な対策を図る必要があるということから、検討の段階から関係自治体が一体となって作業を行って、最終的な内容は一つの実施計画として策定するということはあり得るものと考えております。また、両県が個別に計画を策定した場合におきましても、両県の対策の整合がとれていないと困りますので、十分な調整を図っていただきたいと思っております。
 いずれにしても、ほかの事例でこういうことが起きました場合には、十分連携をとって実施計画を策定されるよう、適切な指導を行ってまいりたいと思います。
工藤委員 本法案は、廃棄物処理法が九年に改正をされて十年六月に施行される以前に不適正処分された産業廃棄物の処理に関して、都道府県への国庫補助率等を引き上げる規定を設けたものでありますけれども、それでも私はまだまだ不十分だというように思っているわけであります。
 昨年の大木大臣への質疑の中でも、私は、十年六月以前の処理に対する費用負担割合が、都道府県三分の二、国が三分の一、以後の分については都道府県が四分の一、国及び処理推進センターが四分の三、そういうことの理由をお聞きしましたが、残念ながら明確な御答弁をいただけませんでした。
 財政難だからだとか台所事情が苦しい、こういうことだけでは、これは地方自治体も同じであります。特に、十年六月以前の不法な産業廃棄物、これは相当有害物質を含んでいる可能性があるわけでありまして、その上時間も経過をしておりますから、環境に与える影響も大きいと見るべきでありまして、一日も早く処理をすることが必要であります。
 そうであれば、今回のような二分の一の補助率で、かつ十年にわたって推進していきます、こういうような悠長に構えている場合ではないのではないか、なぜ現行法の適用がかなわないのか、大臣にお伺いをしておきたいと思います。
鈴木国務大臣 平成十年の六月以降と今回の六月以前の補助率の問題であるわけでございますけれども、平成十年六月以降の不法投棄事案について都道府県が代執行をして原状回復を行う場合も、国の補助率としては四分の一であります。御指摘の補助率の四分の三という支援につきましては、これはマニフェスト制度の整備あるいは措置命令の対象の拡大など、行政が平成九年改正法に盛り込まれたさまざまな不法投棄防止策を講じることを前提に、その費用の二分の一を産業界から自主的な拠出として受けた結果、実現するものであります。
 したがいまして、産業界からの支援が受けられない十年六月以前の不法投棄事案につきまして国のみで四分の三の補助を行うということは、先生も財政事情でというお話をされましたけれども、なかなかこれは困難でありますけれども、でき得る限りの支援措置ということで、本法案で国からの補助率を、有害物質を含む分については二分の一、その他の廃棄物につきましては三分の一としたところであります。
 しかし、重要でありますのは、この補助率だけではなしに、これに初めて地方財政措置がとられたということでありまして、この地方財政措置が今までとられなかったのがとられたということによりまして、実質、地方の負担というものは相当軽減することができた、そういうふうに思っております。
工藤委員 今さら言うまでもないわけでありますけれども、不法投棄をされるところは首都圏とか大都市から遠く離れた地域であります。産廃事業者とか、マニフェストに基づいて排出者責任を問うことができるのは十年六月以降の不法投棄についてでありますし、大都市圏での廃棄物を不法に処理して迷惑をこうむっているのは、まさに地方の善意の第三者なわけであります。
 また、産業廃棄物適正処理推進センターなどを設立しても、産業界からの出捐金などもそんなにないんだろう、こう思いますし、しょせん国費の投入がなければどうしようもないんだろう、このように思うわけであります。
 嫌なことを言うようで恐縮でありますけれども、小泉内閣は、大都市の再開発事業とかその他の余り釈然としない事案に対して平気で一兆円とか二兆円とか予算を組んでやっているわけでありまして、これらの不法投棄処理にかかる費用、これは一千億とか言っているわけでありますが、この程度であれば補助率のあり方を含めて、それこそ内閣を挙げて、大事な問題でありますから、早期の処理に取り組むことができないわけがないと思うのであります。
 鈴木大臣とは同じ岩手の選挙区で、その選挙区内に、青森県にまたがるこのような大量の産廃が首都圏から運ばれて、地域住民に多大な迷惑をかけているわけでありますから、大臣には、閣内で大いに発言をされて、大都市の再開発事業も大事なのでありますけれども、こういう問題をきちっとすることが大事だということを、環境予算の重要さといったようなものを主張していただきたいと存じますが、再度御意見を伺います。
鈴木国務大臣 先ほども申し上げましたが、今回の産廃特措法における支援の問題でございますが、有害物質があるところは二分の一、その他は三分の一と規定をさせていただいているところであります。先ほども申し上げましたけれども、今回は特に、地方財政措置をとらせていただいた、そして地方債に対する特例を設けるという措置を講じたわけでありまして、これは、従来の支援措置から比べますと大きく踏み出したものである、そういうふうに思っているわけであります。
 これ以上の措置をということでありますが、これはなかなか難しい面もありますけれども、地方債の元利償還金に対する交付税措置が講じられますので、実質的な都道府県の負担というのは相当軽減される。
 具体的に申し上げますと、仮に全量が有害物質である事案の場合を想定いたしますと、都道府県の実質負担は全体費用の三〇%強にとどまるわけでありまして、これは従来の負担の約半分になる、こういうことでございます。
 また、法律の執行段階におきまして、それぞれ都道府県から取り組み予定というものが、実施計画が立てられて出てくるわけでありますけれども、そういうものを十分に把握いたしまして、効率的に予算を執行することはもちろんでありますけれども、引き続き必要な予算額の確保、これには十分努めてまいりたいと思っております。
工藤委員 次に、この青森、岩手の事案に今回の特措法案を適用する場合、すべて十年六月以前の問題として処理されるのかどうか。岩手県は一部の廃棄物を現地浄化処理しようと考えているようでありますが、この点は補助対象になるのかどうか。あるいは、県当局なり公共団体が現地の近くに溶融炉を建設して処理しようとした場合はどうなのか。この点、お伺いをしておきます。
飯島政府参考人 産廃特別措置法では、支援対象となる事案について条件をつけておりまして、平成九年改正法の施行前、すなわち十年六月以前の不適正処分によって生活環境保全上の支障が生じ、または生ずるおそれがあると認められ、かつ原状回復が処分者等の無資力により履行されない場合に都道府県が代執行する、こういう三つの条件がございます。
 ここで言う事案とは、処分者などの同一性、地理的一体性、事件の経緯を総合的に判断して、一つの事案とみなせるものについて要件に当てはまるかどうかを判断することとなりますので、本件の場合、私どもの承知している範囲内では、初め、平成七年九月に岩手県側に産業廃棄物が埋め立てられていたとの報告が青森県からあり、この時点で不法投棄が開始され、その後、業務停止処分を受けて一たんは投棄を停止したものの、同一の三栄化学工業という会社が再び同一の土地で不法投棄を行ったものであるということで、全体を見て一連の事案と判断しているところでございます。一連の不法投棄の着手時期が今の十年六月以前でございますので、今回の産業廃棄物特別措置法の適用対象に当たると考えております。
 現地の浄化処理につきまして、岩手県側において、ジクロロメタンなど有機溶剤濃度の高い場所で現地浄化処理を検討しているというふうに承知しておりますが、今後、撤去の工法であるとか費用、効果、こういったものを比較いたしまして検討していきたいと思います。
 また、溶融炉を建設してその溶融炉で処理するというお話も、岩手県におきまして、県北部で公共関与施設の計画があるということを承知しておりますが、原状回復の工程でその処理が始まるのは後年度になるということになりますけれども、県においてそういう計画があるならば、これも一つの原状回復の方法であるというふうに思われますので、費用、効果をしっかりと検討させていただいた上で支援の対象になるかどうかの検討を行ってまいりたいと思います。
工藤委員 時間も大分なくなってまいりましたので、この特措法案のもう一つの柱であります起債の特例について伺うわけであります。
 今回の立法措置によって、産業廃棄物に関して、先ほど来の大臣の御答弁にもありましたが、起債が認められるということになったのは、これは一定の前進である、このようには思います。しかし、この措置が最終的に地方自治体の財政負担をさらに大きくするというようなことになったのでは何の意味もないわけでありまして、そのため、今回の措置では、総務省との間で、地方自治体にできるだけ負担をかけない、そのための工夫をされたようであります。
 そこで、青森、岩手県境不法投棄事案を例に挙げてお尋ねをしますが、本事案の事業費のうち岩手県分について、環境省はどのくらいと見積もっているんでしょうか。
 また、本特措法案に基づく支障除去等事業において、起債等の地方財政措置については、起債充当分がどれぐらいで、地方債元利償還金のどの程度が地方交付税に算入される予定になっているのか。
 また、有害廃棄物に対する補助率二分の一とのことでありまして、現状では、本事案に係る有害廃棄物の量が確定していない、こういう状況でありますから、ちょっと無理かもしれませんけれども、これまでの調査に基づいて、およそで結構です、概算で結構ですから、最終的な岩手県の負担額はどのくらいになると見積もっておられるのか。また、青森県の方もお聞かせ願えればと思いますが、大臣、お願いいたします。
鈴木国務大臣 先生から御指摘のとおり、いまだ、有害物質がどの範囲にあるのか、それから処理するところもまだ未定でございますので、あくまで試算ということで考えておりますところを申し上げますけれども、不法投棄量、岩手県分でございますけれども、これを十五万立方メートル中、撤去するものを十二万立方メートル、それから不法投棄量の約七割が有害廃棄物、このように仮定をいたしますと、事業費の試算といたしましては百十億円になります。
 そして先ほど、地方財政措置、どのように総務省において考えられているかというお尋ねでありますけれども、総務省におきましては、起債充当率七〇%、それから地方債元利償還金の半分、五〇%を地方交付税の基準財政需要額に算入する、そういう措置を講ずると聞いておるところであります。そういたしますと、岩手県の負担額は百十億円中三十九億円になる、実質負担率につきましては三五%の負担になる、こういう試算でございます。
 それから、青森につきましては、部長の方から。
飯島政府参考人 青森県側につきましては、全体六十七万立方メートルのうち、現在、原状回復の手法について最終的な議論がされておりまして、三十三万立方メートルは撤去するというのは決まっているんですが、それ以上に撤去すべきではないかという意見がまだございまして、これは撤去量がまだ決まっておりませんので、今申し上げたような試算はまだできておりませんが、全体的な負担の割合というのは岩手県側と同様に三十数%になるというふうに思われます。
工藤委員 時間がなくなってまいりましたので、もう一点だけお伺いをさせていただきます。
 現在の産廃処理の状況は、産廃の流入県といいますか、多大な財政負担を強いられて、流出県の負担がないというのが現状ではないかと思います。
 そこで、三重県を初め幾つかの県で産業廃棄物税条例が制定をされて、産廃を当該地域で処理する場合、持ち込んだ重量に応じて排出事業者などに税を課す方式を採用しているわけでありますが、現在、国ではここまで踏み込んでいないわけであります。
 今後、こうした流入県の理解を得るために、産廃事業者の資格とか設備について厳しくしたり、あるいは、行政的指導を強めるだけでなく、他県への安易な流入をいかに規制していくか、流入県にどのようなメリットを与えていくのか、これらの観点からも対策を考えるべきだ、このように思うわけでありますが、大臣、御所見をお伺いいたします。
鈴木国務大臣 産業廃棄物処理業におきましては、大都市から地方圏に流出する過程におきまして不適正処理が行われるというようなことが発生しておりまして、流入県の不信感の増大というものがあり、そして、それがまた流出側の県への反発を生じさせている、そういうふうに思うわけであります。
 先生から、今、そうした際に流入県へのメリットの付与等も考えるべきではないか、こういうことでありますが、なかなかこれも難しいことでありますが、しかし、産業廃棄物を流入県の産業としても受け入れられるような、そういうような取り組み、つまり、かつては産業廃棄物業者の中には本当に悪質業者、今でもいることはいるわけですけれども、そういう人がいろいろ問題を起こしたわけでありますけれども、しかし、数次の廃棄物処理法の改正によりまして、そうした者に対する罰則や欠格条項の強化等もいたしました。そして、産業廃棄物業界の中で優良な業者の方々が優位に立てるような、そして悪質な方はもう撤退してもらう、そういうようなことも進めておるところであります。
 また、産業廃棄物処理業のビジョン、これからのビジネスモデルなども示しておりまして、これから産業廃棄物処理業といいますものが優良な方によって行われて循環型社会における重要な産業になる、そういうことがまた流入県にも受け入れられる産業になるのではないかと思っておりまして、そういう取り組みを強化してまいりたいと思っております。
 また、産廃税についてお話がございましたけれども、御指摘の産業廃棄物に係る税につきましては、産業廃棄物行政の有意義な政策手段として位置づけていくことが考えられるわけでありまして、環境省におきましても、有識者の検討会を開催して議論をいただいているところであります。
 流入側の県においては行政コストや処分される場所を提供することにかんがみまして、流入側の県で税収が得られるようにすることは、流出側の県、流入側の県の対立構造の緩和にも役立つ、そういうことも期待をされておるところでございますので、環境省としても検討を続けてまいりたいと思っています。
工藤委員 時間が参りましたので、これで質問を終わります。ありがとうございました。
松本委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時十二分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時開議
松本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。藤木洋子さん。
藤木委員 日本共産党の藤木洋子でございます。
 私は、きょうは、二月十九日の衆議院の予算委員会で我が党の矢島恒夫議員が行いました群馬県内の利根川河川敷の産廃不法投棄問題を、環境の側面から改めてお伺いしたいと思っております。実は、私も矢島議員と御一緒に、昨年十一月十六日、群馬県太田市高林南町と同古戸町の産廃不法投棄現場を調査してきたからです。
 現場は、利根川と石田川との合流地点の中州に当たるところで、すぐ下流に東京都の利根川取水路、そして太田市の水道水井戸があるところでございます。当日、現場は住民の皆さん方五十人以上が見守る中で、群馬県などの許可を得て二カ所を試掘いたしました。高林南町の現場、こちらの方は私たちはA地点と呼んでおりますけれども、ここでは焼却灰、建設廃材、れんがなどが出てまいりまして、強い異臭を放つどす黒い水も大量にしみ出してまいりました。また、古戸町の現場の方は、私たちはこちらの地点をB地点というふうに呼んでいるわけですけれども、ここでは一メートルを掘っただけでもう既に、化学反応を起こしました変色をしている土と、それから有害化学物質の鼻につく刺激臭、そこにたたずんでいるだけで十分とじっとしていられないような、目がしばしばするような、そういう異臭がいたしました。そこからはこうした汚れた消火器なども確認されております。これらの廃棄物の汚泥だとか汚水のサンプルは、環境総合研究所に分析を依頼してまいりました。
 これまで産廃の不法投棄の疑惑だったんですけれども、これでやっと不法投棄の事実が証明されることになりました。この調査には、群馬県の産業廃棄物対策推進室長や環境省の関東地区環境対策調査官事務所長も立ち会っていただきました。
 そこで、予算委員会で鈴木大臣は、環境省職員も立ち会っており、事情は承知している、責任ある者に撤去等ができるよう、関係省庁とも連絡を密にしながら、しっかり適切な対応をしたい、このように御答弁をしておられますけれども、周辺環境への影響調査であるとか不法投棄産廃の撤去など、早急な対策が必要であろうと思うのですが、改めて大臣のお考えを伺いたいと思います。
鈴木国務大臣 今の藤木先生からのお話にございました事案につきましては、先生お話しのとおりに、本年二月十九日の予算委員会におきまして矢島先生から御質問があったところでございます。矢島先生からの御質問の後、早速、改めて群馬県に対しまして、適切なモニタリングの継続、それから本事案の解明などにつきまして群馬県に伝えたところでございます。
 お尋ねの周辺環境調査でございますけれども、このことにつきましては、従来から定期的に水質測定を行っております。太田市におきましては、付近の水道水源である八カ所の井戸、それから県におきましては、現場のすぐ下流にあります公共用水域の水質測定点でございますが、この定期的な水質測定によりまして、今までのところは結果はすべて環境基準以下である、そのようなことを聞いているところであります。
藤木委員 この現場は、一九九九年の五月から十月にかけて不法投棄されたものですけれども、これまで、事態を心配する関係者の皆さんたちが告発をされまして、行政に対応を求めてまいりました。群馬県は二〇〇〇年十二月に試掘調査をしたそうですけれども、周辺環境に影響なしという結論を出しております。
 そこで、今回の試掘に先駆けて、私ども共産党の群馬県会議員団などの立ち会いで、地権者の許可を得て、去年の十月にも同じ高林南町の現場付近を試掘調査しております。その際も、群馬県が行った調査時とは比較にならないほど大量の産廃が出てまいりました。
 我が党の群馬県会議員団はこれまで、前回の調査をもとにして、群馬県に対して、これらの現場を改めて調査すること、古戸町の現場も含めて全面的な再調査をすること、掘削をした汚泥や汚水のダイオキシン類などの調査をすることを申し入れで求めてまいりました。しかし、群馬県当局は何らの具体的な調査に着手をしないものですから、二度目の試掘となったわけです。そこで、高林南町の現場はこれまでより広い範囲で大量に不法投棄がなされているということがわかりましたし、古戸町の現場では新たに大量の有害な産廃が確認されたわけです。
 ですから、周辺環境に影響なしとしてこれまで不法投棄産廃を放置してきた群馬県当局の廃棄物行政の責任が厳しく問われているのではないかと思います。確かに、大臣がおっしゃったように、定期的に飲み水についての取水検査というのはやっているでしょうけれども、その不法投棄されている産廃の全容を解明するという姿勢がないのは甚だ問題ではないでしょうか。
鈴木国務大臣 平成十二年の十二月に群馬県が実施した調査によりますと、残土の搬入とわずかな建設廃材は認められたものの、大量の廃棄物不法投棄は確認できず、水質調査及び現場採取物の分析結果はすべて環境基準以下で、県は、周辺環境への影響はないと判断をして、関係者に対する文書指導や堆積土砂の撤去の指導を行ったもの、そういうふうに承知をしているところであります。
 しかし、平成十四年の十一月の共産党県議団等によります調査、また本年二月の群馬県警によります現場検証によりまして、家屋解体廃棄物、工場系解体廃棄物及び保管積みかえの過程から出たと思われる廃棄物が確認をされたところでありまして、結果的に平成十二年十二月に群馬県において行われた調査、この内容というものは必ずしも十分ではなかった、そういうふうに考えているところであります。
藤木委員 そうです。全く不十分でした。
 この高林南町の現場は、二〇〇〇年の十二月二十七日に日本テレビが取材しておりまして、摂南大学の宮田秀明教授の鑑定でダイオキシンが検出されております。六千二百三十七平方メートルもある高林南町の現場は国や六人の所有者が持っているところでございます。また、一万三千六百七十平方メートルもある古戸町の現場は東京都内に本社があるA金属工業と県が入り組んで所有していることになっておりますけれども、いずれも最終処分場の許可はとっておりません。
 そこで、なぜこのような産廃の不法投棄が引き起こされたのかという問題です。
 高林南町の現場の所有者の方にお話を伺いますと、K商事会社の経営者から、土地が低いから土地を盛り上げてやろう、その上にサツキを植えてやると説得をされたのだそうです。また、古戸町の現場のA金属工業は、K商事会社からゲートボール場にすると申し入れがあったので貸した、このように弁明しておられます。そのK商事会社の経営者は、これらの現場で毎日不法投棄搬入の指揮をとっていたそうでございます。
 二〇〇〇年十二月の週刊現代の記事によりますと、バックホーンという機械で地下七メートルほどの穴を掘り、そこに大型の十トンダンプで運んできた産廃を捨てた、金属やプラスチック、真っ黒でどろどろした寒天風のもの、深い青緑色でコンニャクのようなもの、車のオイルのようなものがあったと書いてあります。しかし、群馬県は、二〇〇〇年十二月に試掘調査をしましたけれども、大臣も先ほど言われたように、周辺環境に影響なしという結論を出したことで、関係者への行政指導だけで終わりまして、大量の不法投棄はそのまま放置をされてきたわけです。
 ですから、二〇〇〇年二月に不法投棄現場を目撃している地元の告発者から群馬県警太田署あて告発文書が出されていながら、予算委員会での警察庁の答弁にもございますように、県の試掘調査の結果を見て本格的捜査には至らなかったわけです。群馬県が不十分な調査結果をもとにして、周辺環境に影響なしとして、関係者への行政指導だけで済ませたという責任はやはり重大ではありませんか。大臣、いかがですか。
鈴木国務大臣 先ほども答弁申し上げたところでありますけれども、平成十二年十二月の県による調査は、周辺環境への環境影響はないと判断をされまして、この判断の結果を聞きました警察においても本格的な調査に至らなかったもの、そのように理解をしております。また、県の環境部局においても関係者に対する文書指導や堆積土砂の撤去の指導にとどまったもの、そういうふうに承知をいたしております。
 調査手法の適否はともかくといたしまして、もしこの時点で不法投棄の実態が判明をしていたならば、事件解明がもう少し早く進んだのではないかと考えられるわけでありまして、そういうことにつきましては、大変に残念なことであると思っております。
藤木委員 そうですね。
 そこで、私どもの党国会議員団が十一月十六日に行いました発掘調査の結果でございますけれども、この分析データはカナダ・トロント市にあるマクサム社というところにお願いをいたしました、カナダで第二の大きな分析機関だと伺っておりますけれども。その後、東京・品川の環境総合研究所で評価検討を加えていただいたものです。
 この分析結果の評価によりますと、高林南町、いわゆるA地点ですね、ここの液体物の分析では、ダイオキシン類が四十六ピコグラム出ております。全国の公共用水域の平均濃度の〇・一三ピコグラム、環境基準一・〇ピコグラムに比べて極めて高濃度を示していることから、周辺への汚染が広がり、河川への流出が危惧されております。環境総合研究所の池田副所長によりますと、四十六ピコグラムという高濃度の値は、この周辺にかなり高濃度のダイオキシン類の汚染物が埋められている可能性があると指摘しています。
 そこで、ことし一月十五日に公表いたしました群馬県当局の検査結果を見ましたら、私たちと同じところから浸出水を採取しながら、なぜかダイオキシン類とPCBの検査が行われておりません。私たちの検査結果から見ても、県当局が検査をしていないのであれば検査を行うべきだと思いますし、検査をしていても公表していないのであれば公表していただかなければならない、このように思います。ダイオキシン類などの汚染状況をも明らかにすべきではないでしょうか。これは参考人、環境省、いかがですか。
飯島政府参考人 先生の御指摘になりました浸出水に係る試験につきましては、群馬県に聴取したところ、ダイオキシンの測定に必要なサンプル量が得られなかったために測定が行われなかったと聞いております。
 なお、周辺の井戸水や河川水についての水質モニタリング調査を行っているわけでございますが、この結果、PCB、ダイオキシン類も測定しておりまして、PCB、ダイオキシンを含めてすべての測定項目について水質の環境基準値は下回っていたと承知しております。
 ただし、これは、井戸水、河川水、合わせて十二カ所で測定をしたということなんですが、石田川の一カ所で、先ほど先生御指摘になりました、環境基準が一リットル当たり一ピコグラムなんですが、〇・六七ピコグラムという全国平均に比べても高い値が出ておりまして、引き続きモニタリングを行っていく必要があるのではないかと思っております。
藤木委員 しかし、予算委員会でも、県当局の調査結果から直ちに危険な状況とは思えない、こういう立場で、県当局が地下水の監視だけで汚染の防止はできると私は思いませんよね。
 このA地点では、昨年の十月の時点にも産廃を採取して同じカナダのマクサム社が分析をしております。その検査結果を見ますと、固形試料の多環芳香族炭化水素類の濃度が極めて高い、これが特徴となっております。例えば、毒性係数の高い物質で、ベンゾ(a)ピレンが百八十三マイクログラム、ベンゾ(b)フルオランテンが九百二十マイクログラム、ベンゾ(k)フルオランテンが五百マイクログラムと高濃度に検出されている点に注目する必要があろうと思うわけですね。
 そして、環境総合研究所の池田副所長が言っているように、四十六ピコグラムという高濃度の値は、この周辺にかなり高濃度のダイオキシン類の汚染物が埋められている可能性があるというわけですから、しかも、この不法投棄の現場というのは何ら排水の管理のされているところではございません。ですから、このままだと河川に流れ込む可能性もございます。
 ですから、単に群馬県当局の調査をうのみにして直ちに危険な状況とは思えないなどと判断するのではなくて、ダイオキシン類や有機塩素化合物、多環芳香族炭化水素類などの汚染状況を正確に把握して、必要であれば河川に流れ込まないようにするための遮水壁を打ち込むといったようなことなど緊急な対策が必要ではないかと思うのですけれども、環境省、いかがですか。
飯島政府参考人 現在の状況が周辺環境にどのぐらいの影響を与えるかということにつきましては、いずれにしても群馬県が責任を持って調査をして監視をしていく必要があると思っておりますが、現時点では、群馬県の報告では確認はされていないということでございます。
 ただし、引き続き水質のモニタリング調査は継続して実施していただいておりますので、この水質影響がおそれとして明らかになった場合には、速やかに対応しなければいけないと思っております。
 いずれにいたしましても、遮水壁等の対策を行うかどうかは県が判断する事項でございまして、不法投棄の行為者に対する措置命令、あるいは措置命令が実行されない場合には県による代執行ということになるわけでございます。その際には、環境省といたしましてもモニタリングデータの解析とか対策工法の技術的検討につきまして技術的な助言を行っていきたいと思います。
藤木委員 通常の、定時定点で定期的に行われている、そこに出てきていないから環境に影響ないと言われますけれども、そこに出てからでは遅いわけですよね。そこに出てはならないから、私、申し上げているわけですからね。
 また、私たちがいわゆるB地点と呼んでおります古戸町の固形物分析では、PCBの値が〇・四二マイクログラムで、スウェーデンの子供の遊び場の基準とされる〇・〇二マイクログラムに比べて二十倍の濃度となっていて、危惧すべき濃度であると評価されております。重金属類につきましても、鉛や亜鉛などを初め、いずれも高濃度を示していて、欧州諸国の評価基準と比較しても、六価クロム類を除いて、すべての重金属が上回っております。さらに、ダイオキシン類も十三ピコグラムの濃度を示しておりまして、二〇〇一年度の発生源周辺状況把握調査による平均値十一ピコグラムとほぼ同レベルの濃度となっているわけですよ。
 そこで、ことし一月十五日に公表いたしました群馬県当局の検査結果では、私たちと同じところから廃棄物を採取しながら、なぜかわずかにジクロロメタンが基準値を超えただけとなっております。
 私たちの調査結果から見ても、改めて県当局が厳密に廃棄物を検査して、汚染実態の全容を明らかにすべきではないかと思いますよ。先ほども、ダイオキシンを測定するに足りるだけのことができなかったんだと言われていましたけれども、そんなことないですよ。私たちと同じに行って、同じ場所で、御自分でバケツで取り上げたのを私は見ているんですから。いかがですか。
飯島政府参考人 先生御指摘になった一月の県の調査結果というのは、先生のおっしゃるとおりになっているわけでございますが、本件におきまして最も新しい調査というのは、御承知のように、二月に県警が現場検証の際にサンプリングして行ったものでございます。これは、PCB、ダイオキシンも含めて、廃棄物あるいは浸出水からの検体の採取、分析を行っておりまして、その結果、すべて埋め立て判定基準以下であったわけであります。
 そういう意味では、県警の現場検証の最新の調査でそういうことになっているわけでございますので、改めて調査を行う必要性については検討させていただきますけれども、これから先、行為者に必要な対策をとらせる場合には、的確な指示が行えるよう投棄物の性状等の再調査を行う、これが検討課題になると考えております。
藤木委員 何しろ、先ほど私が申し上げたように、片方は六千二百平方メートル、片方は一万三千平方メートル、それだけの広大なところですからね。だから、サンプリングといったって、どこから採取したかということが非常に問題になるわけですから、本当に一番危険なところをきちんと調べていただかないといけないと思いますね。
 しかも、この事件は、所有者をだまして不法投棄が始まるわけですよ。埋めた事実については、ある家屋解体業者も、ある大手ハウスメーカーの仕事で残土が出たので捨てたということを認めているわけです。また、横浜市、川崎市などのナンバーをつけたダンプが、不法投棄された廃棄物を運んできたということもわかっております。
 しかし、河川敷内の無許可の現場に、十トントラックで一千五百台分ですよ、十トントラック一千五百台分と言われるような大量の産廃の不法投棄が短期間に組織的に行われたということは、かなり大きな力が働かなければとてもできないことですね。
 そこで、不法投棄をした下請の家屋解体業者が収集運搬業の許可をとっていないということはわかっているのですけれども、その下請業者に不法に請け負わせた中間処理業者と、その不法な業者と処理を委託した排出事業者、これらを徹底追及するなど、この不法投棄の全容を明らかにする必要がございます。
 そこで、私たちの現地調査に基づきまして、今もお話がありましたように、この二月から群馬県警が本格的な捜査を行っているようですけれども、早く不法投棄行為者を特定して、厳しい措置命令をかけるなど、その責任と負担を追及すべきであろうと思うのですが、環境省、いかがですか。
飯島政府参考人 不法投棄というのは、言うまでもなく立派な犯罪でございますので、不法投棄を行った者、その関与者、それから最終処分までの責任を果たしていない排出事業者が責任を負わなければいけないと思っておりますので、先生御指摘のとおり、それらの行為者を特定して厳しく追及していくべきであると思っております。
 本件については、群馬県警の捜査で、ある程度そういった関係者が判明してきております。しかし、なお群馬県警が捜査をしている途中であると聞いておりますので、今後、速やかに県警からの情報も得まして、群馬県におきまして措置命令が発せられるというふうに考えております。
藤木委員 その産廃の不法投棄は、ダンプ一台当たり六十万円で請け負われたと言われております。栃木県や横浜市、川崎市などのナンバーをつけたダンプに積んだ廃棄物の上に土を載せて、早朝から深夜にかけて、監視のヘリコプターがいないのを確認して持ち込んでいたのだそうです。しかし、河川敷内にある現場に一千五百台に上るダンプカーで短期間に産廃を搬入するためには、現場への進入路が必要でした。
 そこで、ある国会議員の秘書が現場への進入路整備を県側に働きかけたという事実を、二〇〇〇年十一月二十八日付の産経新聞の記事で認めております。この秘書は、一九九九年六月以前に、不法投棄との関連が指摘されている業者から、農作業をするため現場に耕運機を入れたい、何とかならないかと持ちかけられて、現場を見た上で、県太田土木事務所に、できれば何とかならないかと進入路の整備を働きかけたといいます。
 その元秘書は、この場所をめぐって不法投棄の疑惑があると知らされたが、私自身はあずかり知らない話で、業者に聞いたところ、産廃を埋めるようなことは絶対にしていないと否定していたと産経新聞で語っております。
 しかし、大量の産廃が不法投棄されていたということは、今や明らかになっているわけです。この元秘書が依頼された業者を明らかにして、進入路の整備を働きかけた本当の理由を明らかにするのは当然のことだと考えますけれども、元秘書の口ききで進入路の整備を行った群馬県当局の責任も極めて厳しく問われるものではないかと思いますけれども、この点は大臣に、政治的なお考え方を伺いたいと思います。
鈴木国務大臣 御指摘のような働きかけが進入路の建設に当たってあったかどうかということにつきましては、環境省としてはそれを把握はしておらないところであります。
 しかし、一般論として言わせていただくならば、廃棄物の不法投棄の行為者のみならず、不法投棄をすることを要求した者やそれから不法投棄を助けた者、こういう人たちに対しましても、廃棄物の撤去命令等の命令をかけることができる制度となっているわけでありまして、関与者に対しましても、行為者と同様にその責任が追及されるべきものである、そういうふうに考えているところであります。
藤木委員 そうですね。そうでなければ未然防止はできないわけですから。疑わしければそこに立ち入ることができるというふうに今度はなっているわけですから、そうでなければならないと思います。
 いずれにしても、周辺環境への影響調査や不法投棄産廃の撤去など早急な対策が必要なことは明らかですけれども、ダンプ一千五百台分の不法投棄ですから、これは余りにも大量ですよね。わずか五カ月か六カ月ぐらいでやったことではありますけれども、量としては莫大です。
 特定された不法投棄者やそれを指示した中間処理業者、最終処理を確認しないまま委託した排出事業者など、不法投棄を引き起こした者が原状回復の責任を負うのは当然です。しかしまた、元秘書の口ききで進入路の整備を行って、二〇〇〇年十二月に現地調査をしながら不法投棄を三年間も放置してきた群馬県当局の責任も重いものがございます。けれども、最大限、これらの行為者に負担をさせて、群馬県の責任と負担を求めたとしても、それだけでは到底、原状回復の処理ができ切れないという場合が起こってくるのではなかろうかという懸念を私は持つわけです。
 そこで、現在の段階で判断するのは極めて困難であろうと思いますけれども、飲料水の七八%を利根川と荒川に頼っている東京都民の安全を確保するためにも、国として、不法投棄の原状回復などの対策に必要な支援措置を緊急に検討すべきではないか、このように思うのですが、大臣いかがでしょうか。
鈴木国務大臣 先ほども御答弁を申し上げたわけでありますけれども、この件につきまして、不法投棄された廃棄物による水質の変化については確認はされていないわけであります。
 しかし、御指摘のとおり、この地域といいますか水域と申しますか、これは首都圏の水源として利用をされているところでございますので、モニタリングを継続して、水質に影響を与えるおそれが明らかになった場合には、速やかに対応していく必要があると思います。
 その際、不適正処理に伴う生活環境保全上の支障の除去等につきましては、今藤木先生が御指摘になられましたとおり、本来不法投棄の原因者がその責任を負うものでありますけれども、しかし、緊急性が高くて、そうした行為者の責任追及を行っているいとまがない場合、当面都道府県が代執行を行うということによりましてこうした不法投棄廃棄物の除去事業を行って、しかる後にそうした責任者に求償をしていくということになろうかと思います。
 その場合でありますけれども、これは今の仕組みがあるわけでありまして、県が代執行する場合に、産業界及び国による基金による支援につきましては、県から要請を受けた時点で対応してまいりたいと考えております。
藤木委員 確かにモニタリングなどをするということは大事なことでありますけれども、そのモニタリングの場所に出てくるようでは、これは手おくれだと思うんですね。何しろ、何年も放置していたということの上に、二月から捜査が始まっていてもう五月ですから、もうそろそろ特定をされてきちんとした処理が行われ始めなければならないという時点ですので、それは極めて急いでやっていただかなければならないというふうに思うわけです。
 二月の初めから群馬県警が現地に入って、現場を掘削するなどの原因者の特定をするため本格的な捜査が開始されているわけですから、群馬県当局も、二〇〇〇年時点で四人の関係者から事情を聞き取りしている、原因者の特定を急いでいる、このように私も聞いてはおります。
 けれども、いずれにしても、これらの分析結果というのは、一千八百万人の水道水源である利根川、石田川合流周辺河川敷のA、Bそれぞれの地点とも、非常に広範囲に産業廃棄物が不法投棄されているということを示しているわけですから、首都圏一千八百万人分の水道水源の安全を守るために、汚染状況、不法投棄の状況、不法投棄の責任など事件の全容を徹底解明して、不法投棄の早急な撤去ができるように、環境省や群馬県当局はその責任を果たすべきではないか、このように思いますが、大臣の御決意を伺いたいと思います。
鈴木国務大臣 御指摘をされておられます本件、本事案のように、生活環境保全上の支障を来しております不法投棄事案につきましては、その原状回復を進めるとともに、不法投棄の原因者の責任を厳しく追及していくということが大切であり、当然のことである、そのように思っております。
 本事案につきましても、群馬県、群馬県警察におきまして事案の全容を明らかにする努力が続けられているところでありまして、その結果に基づいて厳格な責任追及が行われますように、環境省としても必要な助言、指導を行ってまいりたいと考えているところであります。
 また、生活環境保全上の支障の除去を行う場合につきましては、汚染の範囲、また汚染の程度、地質状況などに応じて、どのような対策工法がふさわしいか等の技術的助言、これもあわせて行ってまいりたいと思っております。
 いずれにいたしましても、本地点は御指摘のように首都圏の水源の保全の観点から重要な問題である、そのように環境省としても意識をしておりますので、群馬県において適切な対応が図られますように、必要に応じ指導を行ってまいりたいと考えております。
藤木委員 確かに、群馬県の責任は極めて大きいと思います。
 これまで再三告発者から聞いていながら県が即座に動かなかったということを見ても、本当に群馬県に任せておいて責任が果たせるのかという心配も私は非常に強く持っております。何しろ、一千八百万人の水道水源である利根川、石田川にかかわる問題でありますだけに、その全容の徹底した科学的な分析と解明というのは何としても急いでいただかなければならないというふうに思っております。
 ですから、私どもが調査に参りましたときも、東京都民の方もいらっしゃいました。私の飲んでいる水がどうなっているのかということが心配だということも言っていらっしゃいましたし、こういった問題というのは、何か症状が出てしまうというようなことがあってからでは遅いわけですから、今度の法律の改正も、そのために未然にこういったことを防ぐという立場で提起をしていらっしゃるわけですから、その立場に立って全容解明に当たっていただきたいということを強くお願いさせていただいて、質問を終わりたいと思います。
松本委員長 中川智子さん。
中川(智)委員 社会民主党・市民連合の中川智子です。
 まず、きょう、この二つの改正法案の採決まで行われるわけですけれども、基本的には一歩前進ということで、きっちり賛成をさせていただきたいというふうに思っておりますが、やはり残された課題がたくさんあるだろう。その課題に対する解決の道というのをしっかりここで議論し、また、目に見える形で具体的にどのようにそれを模索していくのかということも本委員会の責任であろうと思います。
 それに関しまして、まず最初に、拡大生産者責任の問題を再び取り上げさせていただきたいと思います。
 大臣初め環境省、さまざま御努力なさったんでしょうけれども、時間切れと申しますか、そのような形で今回入りませんでした。先日の私の質問に関しましても、大臣は、関係します産業界と十分な合意を得るまでの時間がなかったというのが現実の姿ですと答えられました。
 私が気になるのは、これは五月十三日の新聞ですが、経団連が献金あっせん再開ということで、「口を出すため金を出す」という見出しで、およよという感じなんですが、時間が経過すればそれに対して確実に近づくのか、それとも、このような形で、お金を出して口を出すという形で攻め方が強くなれば、その道のりがますます遠のいていくという心配はどうしてもぬぐえません。
 そこで、大臣に今、一つ伺いたいのは、今回の拡大生産者責任をやはり入れるべきだという省の方の姿勢に対して、産業界の合意を得られなかった一番大きな壁というか原因は、大臣にとっては何でありましたでしょうか。
鈴木国務大臣 御指摘の適正処理困難物にかかわる拡大生産者責任制の制度的拡充ということでありますけれども、御指摘のとおりに、産業界と十分な合意を得るまでの時間がなかったということが今回法律案へ盛り込むことを見送った要因であります。
 その中身につきましては、対象品目をどういうふうに絞っていくのかという問題、それから製造者と市町村との責任の問題等々、さまざま課題になった点があるわけであります。
 しかし、この拡大生産者責任の制度的拡充が大切なことであるということは、我々、その認識を強く持っているわけでありますし、また、一方においても、話し合いの中で、産業界の方々においてもこの問題は廃棄物処理上重要な課題である、そういう認識も持っていただいているわけでありまして、今後とも継続して話を進めていきましょうということで、先方もそういう思いにある、そういうふうに理解をしているところであります。
 先ほども申し上げましたけれども、廃棄物処理法、今まで平成九年、十二年に改正をしてきましたけれども、振り返ってみますと、その時点時点でなかなか理解が得られなかったものといいますものも、時間が経過する中で、世論も高まってくるとか、国民のそうした要望でありますとかあるいは関係者の理解が進むということもありますし、また社会経済も変化するということで、その時点ではなかなか受け入れなかったものも、しかし時代の、時代といいますか、時間の経過とともにそれが受け入れられる状況になってくるということもあるわけでございますので、この問題につきましても、我々も大変重要な課題であると認識を持っておりますので、次の改正に向けて合意が得られますように、最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
中川(智)委員 次の改正、なるべく早い時期に、それまでの頑張りを期待いたしております。
 続きまして、今回、産廃の問題ですが、ちょっと一般の家庭ごみの関連で御質問したいんです。
 私は結構、転勤などをいたしまして、いろいろな場所で、県が変わって暮らしたり市が変わって暮らしたり、今は兵庫県の宝塚に土日はおりまして、月曜日の朝にごみを出してきてという感じで東京に来ます。そのときに、やはり自治体、自治体で非常に分別の仕方が違ったり、ごみの出し方というのはさまざま違うわけなんですね。すごく厳しく分別収集に、いわゆるごみを出す一つ一つの家庭に対して協力を一生懸命取り組んでいる自治体もあれば、これとこれを一緒くたに出していいのと思うようなところもいまだにございます。
 私は、やはり自治体ということが主たる責任としてやっているのですから、自治体で多少の格差があるのはしようがないと思うんですが、ずっとその状態が続いておりまして、いいところのものに積極的に見習っていくというのがなかなか時間がたっても実感としては余り感じられないわけなんですね。これは国としてはもう自治体にお任せなのか、それとも、一般のごみに対して、やはりごみの減量化ということで国の方は積極的な姿勢を示しているわけですが、こういう問題に関しまして、なるべくごみを少なくしていこう、そのためには国はこのような方針を持っているので、だから自治体に対しては積極的な行政指導をこうしていくという取り組みは具体的におありなのかどうか。お願いします。
飯島政府参考人 一般廃棄物の処理につきましては、かつては市町村の固有事務、今は市町村の自治事務という位置づけがございますので、ある意味ではその地域特性に応じた市町村の自主性が尊重されなければいけない分野であると思っております。しかしながら、先生御指摘になりましたごみの分別あるいは減量化の取り組みというのは、これはどの市町村であっても、どの自治体であっても国として取り組んでいくべき方向だと思いますので、環境省としてもいろいろな形で方向性を示させていただいております。
 少し紹介させていただきますが、廃棄物処理法で、十二年改正で基本方針を国が定めることになりましたけれども、十三年の五月にこの基本方針を定めました。その中で、具体的に一般廃棄物の減量の方向についても示してあるところでございます。
 さらに、ことしの三月でございますが、循環型社会形成推進基本計画が閣議決定されておりますけれども、この中で、具体的に取り組みの目標として、家庭から排出するごみの量を平成十二年度比で平成二十年度には二〇%削減するという数値目標を示しまして、どうやって二〇%削減したらいいかというようなことについてもお示しをするつもりでございます。
 こうした基本方針、基本計画に定められた目標を達成するため、市町村におきましては、住民の自主的な排出抑制の取り組み、あるいは分別収集の推進、あるいは再生利用、こういった減量化に関する対策を立てていく上で市町村の役割は大変重要であると思いますので、これからも国としていろいろな技術的助言、PRをしていきたいと思います。
 なお、国におきましては、そのほか、市町村に対していろいろな情報提供を行うと同時に、国民に対して直接普及啓発活動を行っておりまして、また、リサイクルの施設整備についても補助をしていくということで、これは先生御承知でなければ我々のPR不足になりますけれども、ごみゼロ社会へ向けた普及啓発というのをやっております。
 テレビで人気俳優を起用してごみゼロのコマーシャルを流したり、それから、これは御存じないかもしれませんが、パワーパフガールズという三人の女の子の人気キャラクターがあるんですが、こういったものでいろいろ小中学校やこどもエコクラブ向けのイベントパンフレットを作成したり、ウエブマガジンという、インターネットでそういういろいろな取り組みを紹介したり。最近では、リユースカップといいまして、Jリーグのサッカーの競技場で紙コップにかえて五十回ぐらい使えるプラスチックのリユースカップを実験的に百円のデポジットを取って実施するなど、いろいろな形で環境省は直接国民にPRを行っていきたいと思っております。
中川(智)委員 何か環境省のPR答弁になりましたが、よくわかりました。どうもありがとうございます。
 続きまして、これも一廃の問題なんですが、約七十七品目、自治体が適正に処理できない品目などがあります。
 私は、本当に困っていらっしゃるだろうと思うんですね。生産者の責任は一方では余り厳しくない、だけれどもごみは出てくる、それをどのように処理していけばいいのか。やはりそれは、流れとしては不法投棄などの原因をつくることになっているのが現状だと思います。これらは今回の積み残された宿題の一つといたしまして、一つには、実態をしっかりと調査するということと、そして、これらの品目に対しての適正な処理のあり方の検討というのを早急にしていかなければいけないと思います。
 適正処理の品目や量などにつきましての具体的な解決をするための検討会などの立ち上げということをきっちりと考え、実践していくべきだと思いますが、それに対してのお答えをお願いいたします。
飯島政府参考人 先生御指摘になりましたように、現在、市町村において、それぞれの市町村の事情は違いますけれども、適正処理が困難となっている一般廃棄物を私どもは調査をしておりまして、数多くの品目が上がっております。一部の市町村で困難、あるいは多くの市町村で困難、いろいろとバリエーションがあるんですが、これにつきまして、きちんと処理をしていかなければいけないというのは大変重要な問題だと思います。
 先生の御指摘もございますし、私どもも検討しておりますが、これから早急に、それぞれの適正処理困難物とされるものの品目と、それから量を含めまして排出の状況、それから、実際に処理をしているところはどうやって処理しているかという処理の実態もしっかり把握いたしまして、これは市町村だけじゃなくて、市町村が処理できないのはどこで処理したらいいかといった、関係者も集めて検討していく必要があるというふうに重々思っておりまして、専門家も集めた検討会などもこれから企画をしていきたいと思っております。
中川(智)委員 検討会を早急に設置していただきたいと思います。そのときには、やはりその現場で働く人たちをしっかり入れていっていただきたいと思います。いろいろな分野の方たちの意見を総合して、早くに前に進むように、検討会の立ち上げを重ねて要望いたします。
 いつごろ設置ということはまだわからないわけでしょうか。
飯島政府参考人 いずれにしても検討を進めるつもりでおりますので、その検討の仕方を、皆さんに公開にするような関係者全員を集める検討会にするのか、あるいは今先生御指摘になった現場の方々の御意見を先に聞くのか、いろいろなやり方があると思いますので、それは早急に検討させていただきたいと思います。検討は早急に進めます。その検討会のあり方、最終的には審議会になるかもしれませんけれども、初めどういう形で検討していくかについて早急に企画を立てていきたいと思います。
中川(智)委員 続きまして、医療ごみの問題を伺いたいと思います。
 医療ごみも、医療機関から出されるもの、そして最近ふえておりますのは、医療行為にはいかないんですが、家庭の中で使われた医療系のごみ。家庭から出される医療系のごみに関しては規制がございませんので、やはり皆さんが普通のごみと一緒に捨てたりいたしますと、収集をされる方は、とても危険な状態を放置されているという状況になっております。ごみを収集される方も、そのようなものがふえていけば、ある意味では本当に命がけの仕事になるんじゃないか、現在もうなっているというふうに理解をしております。
 やはり一日も早く、この医療系ごみについても分別をきっちりする。そして、処理料金も、感染のおそれがあるものとそうではないものというのが、価格が約十倍ぐらいで、十倍ぐらいのお金を取っていって、そして今回の不法投棄場所などにも医療系のごみがかなりまじっていたということになるんだと思います。
 この医療系ごみについてのきっちりしたシステムの構築、やはり環境省がしっかりとした枠組みというのをつくり、家庭から出される医療系ごみに関しても規制を設けるというのが緊急の課題だと思いますが、これに対してはどのようにお考えでしょうか。
飯島政府参考人 医療系廃棄物に関するお尋ねでございます。
 これは、平成三年の法改正で特別管理一般廃棄物、特別管理産業廃棄物という制度ができまして、そのときに、医療機関から排出される廃棄物は、もちろん一般廃棄物と産業廃棄物と両方あるわけでございますけれども、血液が付着などして感染のおそれがあるものを特別管理廃棄物の一つとして位置づけて、他の廃棄物と区別して処理しなければならないとしたところでございます。
 具体的な感染性廃棄物の適正処理のためのマニュアルを示しているところでございますけれども、今問題になっておりますのは、感染性かどうかを判断する基準につきまして、専門家としての医師の判断によるところが多くなっているというのが現在のマニュアルでございまして、それがあいまいではないか、分別が徹底しないではないか、こういったことが指摘されてきたわけでございます。
 この問題につきましては、先ほど適正処理困難物の御質問がございましたけれども、これについては既に一昨年から、医師会の医師も含めた専門家による検討会を設置して実は検討してまいりまして、感染性廃棄物の判断については、できるだけ客観的に判断できる基準の検討を行いまして、マニュアルの改訂作業を行っているところでございます。
 具体的には、そのあいまいな部分について、例えば普通、感染性かどうかというのは、形状で見たり、排出場所で見たり、あるいは感染症の種類で見たりするわけですが、特に排出場所の観点からある意味で割り切って、一つ一つが感染性かどうかというのはきちんと見なければわからないかもしれませんが、病院の医者が一々それをチェックできない場合には、排出場所が例えば特別な病床、感染性の病床とか集中治療室とかいった場合には、これはもう感染性として扱っていいじゃないかとか、あるいは注射針のように鋭利なものについては、実は感染性のない注射針もあるかもしれませんけれども、これを分けるのは、区分するのは非常に難しいわけでございますので、一括して感染性と同じ扱いにしていいじゃないかというような形で、いろいろ現場の方々の意見も聞いた上で、マニュアルとしてまとめて改訂をしたいと思っております。
 さらに、しっかりと医師が判断したりした場合には、感染性がないということを証明するラベルを張ってはどうか、そうすると収集運搬業者は間違いをしませんので、そういったラベルについても標準的なものを示そうじゃないかというような検討もされているところでございます。
 先生初めに御指摘になった在宅医療の問題、これからだんだんふえてくると思います。これにつきましても非常に重要な課題であると認識しておりまして、先ほど申し上げました検討会で、メンバーは少しかわるかもしれませんが、引き続き在宅医療に伴う感染性廃棄物の適正処理につきまして、検討を早急に進めたいと思っております。
中川(智)委員 今のその在宅医療の問題は、これはいわゆる事業者というか、売ったところが引き取るというのがやはり一番責任を持って処理できることではないかと思いますが、そこはどうでしょうね。
飯島政府参考人 EPRの話につながることだと思いまして、そういった観点も含めて、この検討会で検討を進めたいと思っています。
中川(智)委員 わかりました。お願いいたします。
 今の質問と少し関連するんですが、東京都の医師会の調べでは、いわゆる産廃業者で、医療系廃棄物に関してまともな業者は一割ほどしかいない。信頼してお金を払って業者に委託するわけですが、結局、不適正な処理をされてしまう。今回の法案の中身も、やはりそのような悪質な業者を淘汰していくという中身ではあるわけですが、どんどん淘汰されてしまって、優良な、良質な業者はほんの一握りしか残らなければ、もう頼める業者がいなくなるということだってあるかもしれません。
 私は、やはり同時に、優良な処理業者の育成ということにも国としては積極的にかかわっていくべきだと思いますが、いわゆる優良業者の育成に対してはどのような方針をもって臨まれるでしょうか。
    〔委員長退席、近藤(昭)委員長代理着席〕
鈴木国務大臣 産業廃棄物の処理業界から、優良な業者を育てて、悪質な業者はもう退場してもらう、そういうことは極めて大切なことである、そういうふうな認識を持っております。
 平成九年、それから十二年の法改正によりまして、排出事業者の責任の強化、許可業者に対する罰則の規制強化などが行われたわけでありますけれども、このようなことによりまして排出事業者による優良な処理業者の選択が進む、それから、行政や警察による悪質業者の法に基づく罰則、こういうことが行われる。こういうことを通じまして悪質業者の淘汰を進めまして、産業廃棄物処理の市場で優良業者が優位に立てるようにするという方針でこれまで取り組みを進めてきたところでございます。
 今後でございますけれども、今後も、この排出事業者による優良な処理業者の選択を支援するために、処理業者情報をインターネットで提供している産廃ネットにISO14001の認証取得の有無などの情報を拡充したいと思っておりますし、それから、環境省において都道府県等が行った取り消し処分等の行政処分情報をインターネットで提供することについても検討をしてまいりたい、そのように思っているわけであります。
 さらに、産業廃棄物処理業が地域の産業として受け入れられるように、循環型社会における重要な産業として育てていかなければならないわけでございますので、産業廃棄物処理業のビジョン、それから、これからのビジネスモデル、こういうことも示しまして、業界の優良化に取り組んでまいりたいと考えております。
中川(智)委員 私も、五年ほど前ですか、この環境委員会で最終処分場を見に行ったことがございますが、その社長さんが、毎月もうすごい赤字だ、一生懸命きっちりやっていけばこんなに赤字になる、それでもやはり大切な仕事だから頑張っているんだということで、一つ一つの処理の中身を見たらば、これはお金がかかるだろうと思いました。
 優良な処理業者を育成するためには、ある意味では軌道に乗るための助成とか、さまざまなものもやはり考えていかなければいけないのではないかということを思います。よろしくお願いしたいと思います。
 次に、午前中の質問にもございましたが、今回、やはり産廃の不法投棄防止のためには、電子マニフェストの導入というのが私は非常に大切だと思いましたし、これをしっかりやっていかない限りは、これからもまたあっちでこっちでということがあるのではないかな。そしてまた、そのときに、時間やお金や労力をかけて、排出した人、不法投棄をした事業主というのを探さなければいけない。何のために、どうすればすぐに足取りがつかめるのかなと。それには、やはり電子マニフェストの導入というのが早急に必要だと思いました。
 小林委員の質問の中で非常に前向きな御答弁は環境省からあったように私は思いましたけれども、私は検討会というのはそれほど好きではないんですが、でも、やはり検討会でやっていかないことには、目に見えた形でそれが進んでいる、またそれは最近は公表されるので、その中でどういう議論があるんだろうか、ここまで議論が来たならば、ではもうすぐだなとかということが、国民の目から非常によく見えます。この電子マニフェストの導入に関しては、検討会はいつごろ立ち上がるのでしょうか。
    〔近藤(昭)委員長代理退席、委員長着席〕
飯島政府参考人 先生が御指摘になりましたように、検討会というのは一つの手段だと思います。検討会で検討しているからという免罪符になってはいけないというふうに思っておりますが、いずれにしても普及の拡大推進を図る所存でおりまして、御指摘も踏まえまして、早急に普及の具体的な計画、どういう分野でどういう形で普及を促進していくかといういわば普及促進計画、マニフェスト電子化普及促進計画のようなものを策定していきたいと思っておりまして、その検討の場として検討会を設置する場合もあると思いますが、検討会で隠れみのにするんじゃなくて、中身として普及促進計画といったものをつくっていきたいと思っています。
中川(智)委員 こんなところで例に出したくないんですが、大気汚染の問題でも、調査のための調査とか、検討のための検討という時間は余りたくさんとっていただきたくないと思いますので、よろしくお願いします。
 それでは、最後に何点かダイオキシンの問題で質問をいたします。
 能勢の問題がありまして、そして私も何度も何度も大阪の能勢に参りまして地域の方々とお話ししている中で、やはりこの国はダイオキシンを規制する法律がない、ダイオキシンというのは慢性毒性であって、体内に蓄積されて、やはり次世代に負の遺産を残すべきではないということで、大変関心を持ちました。多くの議員の方々の御賛同を得まして、環境ホルモン・ダイオキシン問題を考える議員の会というのを立ち上げて、事務局長をさせていただいております。
 私は、ダイオキシンというのは、目にも見えない、そしてすぐに被害があらわれないということで、より恐ろしいものだという認識がございますが、ついせんだって、本が出されました。「ダイオキシン」という本なのですが、これは渡辺正さんという方、もうお一人の方、お二人の共著で「ダイオキシン」という本が出されました。
 この本の主張といいますのは、過去にダイオキシンが原因で人が死んだということはなかったし、よほど大量にダイオキシンを摂取しない限り人体には何の影響もないので心配する必要はないという説明なんですね。
 私はこれに対して、特に環境省にこの本の感想を聞くつもりはないのですが、いわゆるダイオキシンの毒性についての見解を改めてお伺いしたいと思います。
鈴木国務大臣 私自身は、このダイオキシン対策を批判している本があるということにつきましては、実は先生の質問があるというときにわかったわけでありますけれども、しかし、ダイオキシン類、これは人の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれのある物質である、そういう思い、気持ちを持っておるところであります。したがいまして、耐容一日摂取量を定めて対策を実施しているところでございます。
 この本、私自身は読んでおりませんけれども、いろいろ国の対策を批判している、そういう内容であるということは聞いておりますけれども、政府のダイオキシン類対策にかかわる基準値、それから規制値等、これは学術論文等を専門家が評価した上で科学的に決定をされたもので、我が国のこの規制の基準というのは妥当な基準である、そういうふうに考えております。
 また、我が国のそうした対策を欧米諸国と比べてみましても、欧米諸国におきましても、ごみの焼却施設からのダイオキシン類の排出を我が国と同様に厳しく規制をいたしておりますし、また、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約で廃棄物焼却施設等からのダイオキシン類の排出抑制を義務づけているわけでありまして、こういうことから見ましても、我が国の焼却炉等の排出規制、これは世界的に見ましても妥当な対策である、そういうふうに考えているところであります。
 以上のようなこともございますので、現在のダイオキシン類対策、これは極めて妥当であると考えておりまして、今後とも引き続きましてこういった対策を推進してまいりたいと考えております。
中川(智)委員 見解を一緒にさせていただいて心強い限りです。今後もやはり、いわゆる予防原則でありますとか、ダイオキシンをきっちりと規制する、より厳しく規制する形で環境省の取り組みを期待しております。
 西尾局長に伺いますけれども、今、大臣からの御説明で納得はしたんですけれども、あの本は、ダイオキシン対策の特別措置法は国を滅ぼす亡国の法というふうな表現もされております。そういう悪法は廃止すべきだというふうに主張されていますが、これに対して、局長の御意見というのを一言伺いたい。
 もう一つは、この本の中で、学校の焼却炉、小型の焼却炉。これが結構、自治体で、ダイオキシンは心配ないんだという本が出たじゃないか、そうなのか、では別に小学校とか中学校の焼却炉を撤去する必要はないんだなというような動きも出てきていまして、この本の影響というのは、やすきに流れる方々にとっては格好の一つの証拠みたいな形で振りかざすことができるものになりつつあって、私きょう質問いたしましたのは、それがとても心配だし、また結局、それに対して環境省が放置しておけば、これはむやみな混乱を生むと思いましての質問なんですね。
 ですから、最初の緊急措置法に対する、大臣と重複するのならば、局長としてのしっかりしたもう一言をいただきたいのと、もう一つは、学校の焼却炉などは廃棄すべきではないというふうにこの本では主張をされています。このことに対しての御見解を伺いたいと思います。
西尾政府参考人 ダイオキシン対策特別措置法は、超党派で立法していただきました、ダイオキシン対策に必要な施策をいわばすべて盛り込んだ、国民の健康を守り、不安を払拭するために極めて重要な法律というふうに考えておりますので、私どもといたしましては、このダイオキシン対策特別措置法の内容につきまして、誠実、適正に履行、実施していくということが使命であるというふうに考えております。
 それから、焼却炉等々につきましては、同措置法等に基づきましてそれぞれの規制がございます。そういうものがきちんと着実になされることが大切でございます。
 毎年、ダイオキシン特別措置法の施行状況等につきましてきちんと把握するというようなこともしております。これもこの秋ぐらいにまた十四年の成果をきちんとまとめて発表するということはございますが、その過程で、この措置法の施行状況、いかにきちんと施行していくことが大切かという重要性につきましてもきちんと整理をして発表していくというようなことで、知識の普及にも広げていきたいというふうに思っております。
中川(智)委員 どうもありがとうございました。終わります。
松本委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
松本委員長 ただいま議題となっております両案中、まず、特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法案について議事を進めます。
 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 内閣提出、特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
松本委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決まりました。
    ―――――――――――――
松本委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、稲葉大和君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、日本共産党及び社会民主党・市民連合の六会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。近藤昭一君。
近藤(昭)委員 私は、ただいま議決されました特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法案に対する附帯決議案につき、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、日本共産党及び社会民主党・市民連合を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。
    特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。
 一 特定産業廃棄物に係る支障の除去等に当たっては、不法投棄行為者や排出事業者等にモラルハザードが生じないよう、原状回復責任の追及に遺漏なきを期することが重要であり、そのため措置命令の発出を十分に検討するよう都道府県等に求めるとともに、これを推進するための技術的支援等を講じること。
 二 都道府県等による実施計画の策定に当たっては、不法投棄行為者や排出事業者等に対する措置を、透明性と客観性を確保しつつ検証し、当該都道府県等の責任を明確にするよう求めること。
 三 廃棄物の不法投棄地周辺に対する環境調査を徹底し、住民の不安解消に努めること。
 四 全国の最終処分場の残存容量及び不適正処理廃棄物の実態等に関する正確な基本データを整備し、公表すること。
 五 特定支障除去等事業については、全国的な施策の展開の観点から実施を優先すべきもののメルクマールを明らかにすること。
 六 本法が十年間の限時法であることを踏まえ、対策の進捗状況と処理の見通しについて、機会を捉えて公表するよう努めること。
 七 本法が対象としていない平成十年六月以降の不適正処分事案についても、措置命令の発出等による汚染者負担原則の貫徹を可能な限り図るよう都道府県等に求めること。
以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。(拍手)
松本委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
松本委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決まりました。
 この際、ただいま議決いたしました附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。鈴木環境大臣。
鈴木国務大臣 ただいま御決議のございました附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重いたしまして、努力する所存でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
松本委員長 次に、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案について議事を進めます。
 この際、本案に対し、藤木洋子さんから、日本共産党提案による修正案が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。藤木洋子さん。
    ―――――――――――――
 廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
藤木委員 私は、日本共産党を代表して、議題となっています廃棄物処理法改正案に対する修正案の趣旨を説明いたします。
 修正案は既にお手元に配付されておりますので、詳細な説明は省かせていただきます。
 修正案の第一は、産業廃棄物の不法投棄に係る土地の所有者等の責任を強化するものです。
 土地の所有者等が土地の形質を変更する機会に産業廃棄物の不適正処分が行われないよう必要な措置を講ずる努力義務を土地所有者等に課すこととし、その不適正処分が生活環境の保全上支障を生ずると認められ、必要な措置が著しく不十分なときは、都道府県知事は土地所有者等に支障の除去等の措置を命ずることができるものとします。
 第二は、自社処理する場合等における廃棄物の不適正処理を防止するため、都道府県知事等に対し従業者等が内部告発できるものとします。
 事業者等がこの法律またはこの法律に基づく命令に違反する事実がある場合において、従業者等はその事実を都道府県知事等に申告することができるものとします。
 第三は、廃棄物処理施設の維持管理に関し、周辺住民が必要な調査等を申し出ることができるものとします。
 生活環境上利害関係を有する者は、廃棄物処理施設に係る生活環境の保全上の支障が生じると認められるときは、都道府県知事に対し、適当な措置を講ずるべきことを求めることができるものとします。
 第四に、拡大生産者責任に基づき生産者による製品設計、原材料選択の工夫や、引き取り、処理などの制度を創設することです。
 まず、事業者の責務として、廃棄物の適正な処理が困難となっており、かつ、事業者の適正な処理を確保する上で重要であると認められるときは、みずから、廃棄物を引き取り、もしくは引き渡し、または適正に処分するようにしなければならないものとします。環境大臣は、適正な処理が困難となっており、引き取り等が重要と認められるものを指定し、設計の工夫、原材料の選択、材質等の表示、引き取り等の実施方法、引き取り等に要する費用負担などに関する判断の基準を定めます。そして、市町村長は、事業者の適正な処理を確保するために、必要な報告の徴収及び事業所等への立入検査をさせることができるものとし、判断基準に照らして著しく不十分であると認めるときは勧告、公表、措置を命ずることができるものとします。
 第五に、政府は、二〇〇七年一月一日までに、その取り扱いに関し生活環境の保全上の支障が生ずるおそれのある使用済み物品等を含む廃棄物の規制のあり方、また、事業者がその産業廃棄物をみずから処理する場合におけるその産業廃棄物の適正な処理等の確保のための方策について検討を加え、必要な措置を講ずるものとします。
 以上、委員の皆様の御賛同をお願いして、趣旨の説明を終わります。
松本委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
松本委員長 これより原案及びこれに対する修正案を一括して討論に付するのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 内閣提出、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案及びこれに対する藤木洋子さん提出の修正案について採決いたします。
 まず、藤木洋子さん提出の修正案について採決いたします。
 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
松本委員長 起立少数。よって、藤木洋子さん提出の修正案は否決されました。
 次に、原案について採決いたします。
 原案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
松本委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決まりました。
    ―――――――――――――
松本委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、稲葉大和君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、日本共産党及び社会民主党・市民連合の六会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。牧義夫君。
牧委員 私は、ただいま議決されました廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につき、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、日本共産党及び社会民主党・市民連合を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。
    廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。
 一 政府一丸となって循環型社会の実現を期すため、環境省等関係省庁間の十分な連携を図り、廃棄物・リサイクル関係法の有機的かつ整合的な運用を行うとともに、今後とも諸外国の例も踏まえつつ、望ましい法体系のあり方につき検討すること。
 二 市町村が適正に処理できない一般廃棄物の品目・量等について、実態を速やかに把握するとともに、それらのリサイクルを含め、適正な処理のあり方について検討を行い、必要な措置を講ずること。
 三 家庭から排出されるものを含め、医療系廃棄物の適正処理の一層の推進のための方策の検討に努めること。
 四 廃棄物の発生抑制やリサイクルを推進する立場からデポジット制度等の経済的手法について製品毎の特性や実態を踏まえながら検討すること。
 五 いわゆる事業系一般廃棄物の発生抑制方策につき検討し、必要な措置を講ずること。
 六 市町村が一般廃棄物処理計画に従って委託を行った一般廃棄物の処理に起因する環境汚染については、当該市町村の責任において必要な措置が講じられるよう努めること。
 七 必要な廃棄物処理施設の確保のため、公共関与による施設整備の促進などを含め、国民の理解を得ながら安心できる施設整備を図ること。特に首都圏、近畿圏の廃棄物については、域内でできる限り処理が行われるよう、必要な処理施設の整備を推進すること。
 八 産業廃棄物の不適正処理事案に迅速に対応するため、電子マニフェストの義務化も視野に入れつつ、その普及拡大を図る方策を検討すること。
 九 排出事業者が信頼できる処理業者を的確に選択することができるよう、処理業者に係る情報提供のシステムを充実すること。
 十 産業廃棄物の更なる適正処理を図るため、不法投棄に関与した土地所有者責任の徹底、廃棄物処理基準の改正等による自社処分に対する規制強化等について早急に検討すること。
 十一 既に廃止されたものを含め、焼却施設や最終処分場周辺の土壌及び地下水に係る汚染の実態を把握し、結果を公開するとともに、環境回復措置に努めること。
 十二 広域的処理に係る特例制度の施行に際しては、不適正処理が生じないよう厳格に運用し、適正処理の確保に万全を期すること。
 十三 廃棄物の不法投棄等を防止するため、地方公共団体の担当職員や地方に配置する環境省職員の増員等、体制整備に努めること。
 十四 産業廃棄物税等については、その目的、税収の使途等について、全国的な観点から検討を行い、法律としての整備も視野に入れ、早急に結論を得ること。
 十五 廃棄物行政の実施に当たっては、国と地方公共団体が連携を密にし、一体となって取り組むよう十分配慮すること。特に、環境省による報告徴収及び立入検査の権限行使に際しては、連携を十分に確保すること。また、地方公共団体の施策のうち全国的に行うことが効果的なものについては、国において導入を検討すること。
以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。(拍手)
松本委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
松本委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決まりました。
 この際、ただいま議決いたしました附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。鈴木環境大臣。
鈴木国務大臣 ただいま御決議のございました附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重いたしまして、努力する所存でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
松本委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
松本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決まりました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
松本委員長 次に、内閣提出、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 趣旨の説明を聴取いたします。鈴木環境大臣。
    ―――――――――――――
 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
鈴木国務大臣 ただいま議題となりました絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主な内容を御説明申し上げます。
 現在、国際的に希少な野生動植物の種につきましては、その譲り渡し等を規制するとともに、その確実な実施を図るため、商業目的の譲り渡し等が可能な個体等の登録制度、適正に入手された原材料器官等から製造された製品であることの認定制度を設けるとともに、これらの制度に係る事務について、国が指定した公益法人に代行させているところです。
 しかしながら、現在、公益法人が行っている検査、登録等の事務事業については、昨年三月に閣議決定された公益法人に対する行政の関与の改革実施計画を踏まえ、政府全体で見直した結果、法令で明示された一定の要件を備え、かつ、行政の裁量の余地のない形で国により登録された公正中立な機関に実施させることとしたことから、国際希少野生動植物種に係る登録、認定関係事務に関しても、現行の指定制を改め登録制とするため、この法律案を提出した次第であります。
 次に、この法律案の主な内容を御説明申し上げます。
 第一に、国際希少野生動植物種の個体等の登録等を行う機関を、環境大臣の指定制から登録制に改めることといたします。
 第二に、適正に入手された原材料器官等から製造された製品である旨の認定の事務を行う機関を、環境大臣及び特定国際種関係大臣の指定制から登録制に改めることといたします。
 このほか、罰則に関する規定の整備等を行うこととしております。
 以上が、この法律案の提案の理由及びその主な内容であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
松本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 次回は、来る三十日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後二時二十九分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.