衆議院

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第2号 平成16年3月2日(火曜日)

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平成十六年三月二日(火曜日)

    午前九時十分開議

 出席委員

   委員長 小沢 鋭仁君

   理事 大野 松茂君 理事 桜井 郁三君

   理事 竹下  亘君 理事 西野あきら君

   理事 奥田  建君 理事 長浜 博行君

   理事 伴野  豊君 理事 石田 祝稔君

      宇野  治君    大前 繁雄君

      加藤 勝信君    木村 隆秀君

      鈴木 淳司君    砂田 圭佑君

      西村 康稔君    鳩山 邦夫君

      船田  元君    三ッ矢憲生君

      望月 義夫君    近藤 昭一君

      鮫島 宗明君    島田  久君

      田島 一成君    仲野 博子君

      松本  龍君    村井 宗明君

      高木美智代君    川上 義博君

    …………………………………

   環境大臣         小池百合子君

   環境副大臣        加藤 修一君

   環境大臣政務官      砂田 圭佑君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  森本 英香君

   政府参考人

   (防衛庁長官官房長)   北原 巖男君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 山口 勝己君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青少年局スポーツ・青少年総括官)          高杉 重夫君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           田中 孝文君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           染  英昭君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           鈴木 久泰君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   南川 秀樹君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            松本 省藏君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局環境保健部長)       滝澤秀次郎君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  小島 敏郎君

   政府参考人

   (環境省環境管理局水環境部長)          吉田 徳久君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  小野寺 浩君

   環境委員会専門員     遠山 政久君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二日

 辞任         補欠選任

  武山百合子君     仲野 博子君

同日

 辞任         補欠選任

  仲野 博子君     武山百合子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 環境保全の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

小沢委員長 これより会議を開きます。

 環境保全の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣参事官森本英香君、防衛庁長官官房長北原巖男君、総務省大臣官房審議官山口勝己君、文部科学省スポーツ・青少年局スポーツ・青少年総括官高杉重夫君、農林水産省大臣官房審議官田中孝文君、農林水産省大臣官房審議官染英昭君、国土交通省大臣官房審議官鈴木久泰君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長南川秀樹君、環境省総合環境政策局長松本省藏君、環境省総合環境政策局環境保健部長滝澤秀次郎君、環境省地球環境局長小島敏郎君、環境省環境管理局水環境部長吉田徳久君、環境省自然環境局長小野寺浩君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小沢委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西野あきら君。

西野委員 おはようございます。自由民主党の西野あきらでございます。

 今国会、当環境委員会の冒頭の質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 きょうは、今最大の課題になっております地球環境の温暖化防止にかかわります問題について、重点的に大臣等にお尋ねをしたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。

 昨年、我が国は比較的涼しい夏といいますか、冷夏でございました。涼しい夏になりますと、地球の温暖化という問題については、やや切迫感を、薄らいだといいますか、忘れさすような事態であったのかな、このように思っております。

 しかしながら、他の国を見てみますと、大変な状況であることは御案内だろうと思います。例えば、ヨーロッパの中でも、フランスの南西部等におきましては摂氏四十度を超える暑さと熱波でありまして、そのために何と約一万五千人ほどの人が亡くなったということであります。スリランカにおきましては大雨でありまして、そのために洪水が起こり、地すべりが起こって、約三百人の方が死亡したということであります。インドでは何と摂氏四十五度から四十九度の気温になったということでありますから、約千五百人ほどの方が亡くなってしまった、こういうことであります。カリフォルニアでは三十万ヘクタールの森林が火災に遭ってしまいまして、森林を焼失してしまいました。そのために、その関係者が二十四人死亡したということがメディアで報道されておるところでございまして、まことにもってゆゆしきことであります。

 こんなことを考えていますと、今、大量破壊兵器という問題がありますが、この地球温暖化のもたらす影響というのは、大量破壊兵器と同じぐらい、いや、もうそれ以上の大変な脅威であるな、このように言っても過言ではないのかなと私は思っておるところであります。

 これらの地球温暖化の問題で、国際間で取り決め、枠が決められております。それが一九九七年、我が国の京都で行われました京都議定書が締結されたわけでありまして、この附属書の1国の合計が排出量の五五%以上になりまして初めてこれが効果をあらわすわけであります。早々に我が国も、そしてEUも、それから中国も批准をいたしたところであります。

 ところが、最大の排出大国であると言われておりますアメリカは、実はいち早くこれから脱退といいますか、離脱をしてしまっているわけですね。ロシアにおきましては、プーチン大統領の発言を見ていますと、国益に従って批准を判断すると。さらに昨年の十二月には、極めて大統領に近いと言われておりますイラリオノフ大統領顧問、彼が、京都議定書はロシアの経済成長を阻害するおそれがあるというふうな発言をしたそうでありまして、批准をするかどうかというのは、まことにもってこれは不透明な状況にあるのがロシアであるというふうに思っております。

 また、先日の、二月十七日ですか、予算委員会で、我が与党の公明党の石田議員からも質問が大臣に向けてありました。大臣はその折に、COP9でロシア政府代表のベドリツキー長官に働きかけをした、さらに、昨年十二月にカシヤノフ前首相が来日をされた折にも、直接総理が締結等の呼びかけをした、ヨーロッパの国々とも話をしておる、こういうふうな答弁が委員会でもされたわけであります。

 そこで、小池大臣にお尋ねしたいんですが、大臣が直接この京都議定書の締結等の問題についてロシアを初めとする主要な幹部に接触をされておる、このように承っておりますので、大臣がその主要な方々に会われた、みずから話の中で得られた感触というものがあると思いますので、ぜひこれをこの機会にお示しください。

小池国務大臣 地球温暖化に対する委員がお持ちの危機感、これをより多くの方々と共有していけるように頑張らせていただきたいと思っております。

 今直接の御質問でありましたロシアへの働きかけ、私が実際にお会いして、また私自身から直接働きかけをしたのは、昨年十二月のCOP9、ミラノにおいてのCOP9にロシアの政府代表団として参加されましたベドリツキー水理気象環境モニタリング庁長官であります。その際、私の方から、京都議定書は温室効果ガス削減に関する世界で唯一のシステムなんだということを強調するとともに、共同実施プロジェクトがロシア経済の発展を強化しますよということで、その点を強調してロシアへの働きかけをさせていただいたところでございます。

 そのときのやりとりですけれども、手短に申し上げると、批准について国としてはまだ検討中ですという立場だということで、残念ながら、はい、参加しますという明確な言葉はございませんでした。また、今の委員の御質問の中にもありましたけれども、議定書の批准の是非を国益を踏まえて決定するということを直接ベドリツキーさんが私に明確におっしゃいまして、また、この観点から締結に伴っての経済的利益などに対する検討を行っているんだということで、すべてアイ・エヌ・ジー形というお答えをちょうだいしたところでございます。

 御承知のように、ロシアでは三月十四日に大統領選挙が実施をされます。そして、けさの朝刊でも報じられておりますけれども、これまでのカシヤノフ首相にかえて、今度はフラトコフという方が首相の内定のような形になって、そしてまたこの方が、新聞によれば、下馬評にもこの人事は挙がっていなかったということで、余りよく知られていない、まだ現時点ではよくわからない。ただ、前のポストがどこかというと、EUの大使であるということであります。

 ロシアへの直接的な働きかけも、私自身、COP9の場でさせていただきましたし、また、いろいろなロシアの高官の方々にといいましょうか、まさにカシヤノフさんが日本に来られた際には、総理の方からこの京都議定書への参加ということを言っていただく、トップダウンのやり方をやってきたわけでございます。この新首相がEUの大使であったということは、私は呼びかけを、間接的ではございますけれども、EUの環境担当の委員の方に、一緒にロシアを説得しようということで一種の共同戦線のような形をとっているわけでございます。ということは、EUの大使をお務めになったということなどを考えると、EUの考え方はよく御承知の方なんだろうなと推察をするわけですが、今後の大統領選、そして今度の新しい方の方針など、これから注意深く見てまいりたいと思っております。

西野委員 それはぜひ精力的にやっていただきたいと思うんですが、日本は、この京都議定書では、御案内のとおり、二〇〇八年から二〇一二年の平均の排出量が、対九〇年比でいきますとマイナス六%の削減が義務づけられておるわけであります。ところが、二〇〇一年の排出量は、もう既に対九〇年比から比較すると五・二%も増加をしてしまっている。単純計算いたしまして、目的のマイナス六、既にプラス五・二ということですから、これを足しましてもう一一・二%、炭素トンで申し上げましたら一億四千万トンだと言われておりますが、この削減がこれから必要だ、こういうことになるわけで、これは大変なことだなというふうに思っております。

 外国の状況を見ましても、温暖化防止条約の事務局が実は明らかにしておるところでありまして、カナダなんかは、目標マイナス六%に対して既に何と二六・八%増ということであります。ニュージーランドに至っては、これは目標は〇%ということですから現状維持ということなのでしょうが、実際は維持ではなくて二〇・四%も増加をしてしまっている。ノルウェーは、一%増でもいいということでありますが、ここももう二一・六%ふえてしまっている。

 さらに条約の事務局が、二〇一〇年の、先でありますけれども、先進国全体の排出は、対九〇年比を一〇・二%上回ることになるということを予測しておるわけですね。したがって、全体、先進国の五・二%削減どころではないのでありまして、もう既に一〇・二%その時点でふえる、そういう予測すらしてしまっているんですね。

 ですから、既に批准している国々で見ますと、EUはかなり成果を上げているみたいですが、このEUを除きまして、このままいきましたら本当に目標の達成ができるんだろうかと大変危惧をいたすわけでありまして、京都議定書の発効もしかりですし、それから目標達成ということも、このままでは大変難しいのではないかなと大変危惧をいたしているわけであります。

 大臣にお尋ねをいたしますけれども、大臣の先日の所信の中で、六%削減の約束達成に対して、必要な追加対策も講じていく、あるいは、今お話があったとおり、各国とも対話を進めてまいりますと言っておられるんですが、対話を進めたり、今の状況で難しければ、さらに評価等を行って追加的な措置を講じるということであるのですが、どうも、そういうやるやるというかけ声だけに終わってしまっているんじゃないか。終わっては困るのでありまして、私は大変懸念を抱いているわけでありますが、その辺については大臣はどうお考えになっていますか。

小池国務大臣 御質問の前半のところに重なるかもしれませんけれども、確かにEUにおいても、現在の施策で再配分後の目標を達成できる見込みはイギリスとスウェーデンのみだ、そしてほとんどの国はむしろ年々排出量がふえているということで、どんどん走っていくのに、目標地点はどんどん遠ざかっているじゃないかというような感覚もおありかと思いますけれども、EUを含めた多くの附属書1国におきまして、現行対策のままで、追加的な対策を講じなければ、なかなか難しいだろう。つまり、かけ声もなく、そのままの形でいっていては、もっとひどい話にもなってしまうわけであります。

 ですから、EUの取り組み、先ほども、今度のロシアの首相になる方がEUにお詳しいということをちょっと取り上げさせていただいたのは、EUは二〇〇五年から域内排出量取引制度を導入するということで、新しいメカニズムも考えているわけですね。ですから、それに対して今度のロシアの首相が非常に精通をしているということが予想されるわけでありまして、その辺を期待もするところでございます。

 御指摘のように、京都議定書の六%削減の約束達成というのは、決して容易ではありません。それで、どうするかといいますと、国、そして地方公共団体、事業者、そして国民一体となって、総力を挙げて取り組みを進めるということ、やはりこの温暖化の問題は特に、私、思うんですけれども、多くの生活者の方々に細かいことでも御協力をいただく、そういう沸き上がるようなうねりも必要なんだろうと考えております。

 一方で、政府として、地球温暖化対策推進大綱に基づきまして、燃料電池、風力発電などのクリーンエネルギーの普及、そしてライフスタイルの変革に向けた、先ほど申し上げた国民運動の展開、いろいろな形でこの温暖化対策を強力に実施してまいるという考え方には、何ら変化がございません。

 また、ことしは政府全体の温暖化対策の評価、見直しという非常に大きな節目の年でもございますけれども、大綱に基づく対策、施策の進捗状況を評価して、今後必要な追加的対策、施策を講じることで、京都議定書の約束達成を一歩一歩確実なものにしていくということと、それから、最初の御質問に戻りますけれども、やはり、国際的な取り組みを推進していくということでは、京都議定書、これは今唯一の方法でございますので、京都議定書の早期発効に全力を尽くしてまいるということで、二〇一二年までの第一約束期間の後も視野に入れて、すべての国が参加する共通ルールの構築を目指して各国との政策対話を積極的に進めていくということで、内でやるもの、そして対外的にやるもの、これを一つ一つ確実な積み重ねを続けてまいりたいと思っております。かけ声だけではございません。

西野委員 過ぎたることなんですが、COP7の折に、議定書の不遵守の場合、法的拘束力を持たせるや否やという議論がたしかあったと思うんですね。そのとき、我が国は持たせるのではなくて持たせない方向で主張をされたようでありますし、こういうことを今考えてみますと、どうもそのときから少し我が国は実際は消極的でなかったのかなと疑いたくなるんですね。それとも、もともとこの削減達成というのは難しいと思っておられたのではないかな、そんなことはないと思うんですけれども、あるいは自信がなかったのかな、いや、そんなことはないと思うんですけれども、どうですか、大臣。

小池国務大臣 そのときのやりとりの現場にはおりませんでしたけれども、基本的に、自信がないからやめたとか、そこから避けたとかいうことはないとかたく信じております。

 そして、六%削減約束の法的拘束力は既に京都議定書に明確に定められているということ、また、我が国は衆参両院における全会一致の議決をもって議定書の締結ということで、そちらの方の法的な拘束力については明記がされているということでございまして、不遵守措置の法的拘束力についての今後の交渉の行方に関係なく、議定書の六%削減約束の確実な達成に向けて全力を尽くすということには変わりありません。

 守らなければパニッシュメントがあるのかどうかということですね。これがなかなか、国際的な条約は山ほどありますけれども、すべてにペナルティーがつくわけでもないということがありますし、また、それぞれの各国も、これによってのいろいろな思惑などもあるかと思います。

 遵守を奨励する観点から、国内措置などに対しての助言や支援に重点を置く方がペナルティーを科すよりはいいということと、それから、さらに多くの国々に入っていただくには、これができなかったらだめなんですよというペナルティーをちらつかせては、余り多くの国の参加を期待することも難しい。

 このあたり、非常に微妙なところもございましょうけれども、法的拘束力の導入には反対の立場で国際交渉に臨んだものでございまして、いろいろ今後のことも考えつつということでございますので、自信がないからそれをとらなかったということとはちょっと違うと思っております。

西野委員 そうであると私も信じておるところでありますけれども、この議定書の達成に向けては、先ほども申し上げましたとおり、非常に現状では厳しい、難しい状況にあることは事実であります。では、これを達成するための決め手というものは何だろうか。

 ところが、中環審の委員会で、税の専門委員会が既に、目標を遵守することが困難と判明した場合を想定して温暖化対策税を導入すべきである、この税収を用いて、今度は、温暖化対策を促進するための税制優遇措置も含めて減税などを併用して検討してはどうかという提言があるそうであります。

 また、大臣も先日の所信表明の中で、新税の、いわゆる環境税かもしれませんが、導入が必要とされた場合という前置きはありますけれども、国民的な議論を重ねて関係者の理解を深めていくということをとりますと、どうも、もう既に環境税を何か視野に入れておられるような感じを受けるわけなんです。

 この温暖化対策税、削減達成にこれらが決め手なんでしょうか。どう思われますか。

小池国務大臣 もちろん、まず税の導入ありき、税収目当てということではございません。温暖化対策税については、ことしが節目の年だと申し上げましたけれども、温暖化対策全体の評価、見直しをさせていただく、そしてその結果として、必要とされた場合に備えて検討を進めているという段階でございます。

 先ほど来、国民の皆様方の、例えば省エネなどを通じての地球温暖化に対しての御協力をお願いするということも一つではございますけれども、エネルギーの節約を単に促すというだけでなくて、省エネ製品の購入、そして省エネに対しての投資が採算に合うようにする、そして、その導入が進むということが温暖化対策税を導入した場合に期待されるところでありまして、また、その税収をさらなる温暖化対策に充てることができるということで、好循環を生む税のあり方、温暖化対策のあり方ということが今検討を進めているところでございます。

 税というのは、ほかの手法と比較いたしますと、家庭や、また運輸部門を含みますすべての主体に対して対策に対してのかかわりを求める効果が及ぶということから、まさに広く地球温暖化対策に対して御参加をいただく、また、それによってロードが生じた部分、それだけ控えようという効果も出てくることによって省エネが促進をされる、そういうことが期待をされております。

 いずれにせよ、税の問題ですので、できるだけ多くの皆様方、国民各界各層、この議論を広げていくことが今重要だと考えております。

西野委員 この新税云々の問題は、おっしゃったとおり、さらに各界で議論を進めていくべきだと思っておりまして、あえてこの問題を申し上げたのは、温暖化防止のためには税がなくてはいけない、そういうことだけではだめだ、私はそれを申し上げたかったわけであります。

 ところで、推進大綱でございますが、これは局長にでもお答えをいただきたいと思うんですが、平成十四年に閣議決定をされました大綱でいいますと、二〇一〇年の削減目標のパーセンテージで部門別に数値を出してほしいのと、あわせて、それに対して二〇〇一年の排出量の実績、これを対九〇年比で比較して、これも部門別に数字でちょっとお示しください。

小島政府参考人 地球温暖化対策推進大綱でございますけれども、京都議定書の削減目標を達成するために、温室効果ガス別、六種類のガスでございますが、その六種類のガス別に目標を設定しております。特に、日本はCO2が九割を超えておりますので、エネルギー起源CO2について、産業部門、これは主として製造業の工場でございますけれども、それと運輸部門、それから民生部門それぞれに目標を設定しております。

 二〇〇一年度における達成状況でございますけれども、エネルギー起源CO2以外のガスにつきましては、おおむね目標を下回っております。例えば非エネルギー起源CO2、メタン、N2Oというのは、目標がマイナス〇・五%ですが、マイナス〇・七%になっております。それから代替フロン等の三ガスでございますが、目標が二%が、マイナス一・五%でございます。しかしながら、エネルギー起源CO2につきましては、目標がゼロ%のところがプラスの七・三%というところでございます。

 これを部門別で申し上げますと、産業部門については、一九九〇年の部門別の比較でございますが、大綱でマイナス七%のところを、マイナス五・一とまだ目標に達しておりません。運輸部門については、プラス一七%というのが目標でございますが、プラス二二・八%になっております。民生でございますが、これは二つに分かれまして、業務その他部門について、民生部門のマイナス二%削減目標に対して、二〇〇一年度はプラス三〇・九%でございます。家庭部門につきましては、マイナス二%の目標に対してプラス一九・四%でございます。

西野委員 今お話があったとおり、目標値に対して最も遠いのが業務あるいは家庭部門、いわゆる民生部門、その次に運輸、そして比較的近くまで来ているのが産業部門ということにこの数字だけでは言えると思うんですね。

 ところが、先ほど申し上げた新税云々が、数字の上からでは一番近く、言いかえたら努力をしているというのが産業部門で、数字の上ではそうなっているんですね、その一番努力をしている産業部門に、どちらかというと環境税を重課するというか賦課する。これはまことにもって本末転倒である、こう経済界は反対の理由を言っているわけでありまして、これはわからないこともないわけであります。

 そこで、お尋ねしたいのは、民生部門が予想以上に、現実を踏まえて、非常に難しい状況にあると思うんですけれども、何か効果的な対策というものはあるんですか。できるだけかいつまんでちょっと御説明ください。

小池国務大臣 私たちの生活を振り返っても、どちらかというとぜいたくを好み、そしてまた夏寒く、冬暑いような冷暖房の行き過ぎなども、日々反省することも多々あろうかと思います。

 民生部門での効果的な温暖化の防止対策とすれば、家電製品、業務用機器の省エネ性能の向上、これは十年前と比べて、製品によってかなり進んでいるもの、ありますね。できるだけ、こういう製品がありますよということなども紹介をさせていただいております。それから、住宅、建築物の省エネ性能の向上といった省エネ対策、それから太陽光発電の導入、バイオマスエネルギーの利用などの新エネルギー対策がこれまで進められてきたんですけれども、こういった対策をさらに進めることによって、民生部門における二酸化炭素の排出量を二%削減できると見込まれております。

 それをさらに強化するためにどうするかですけれども、家庭におけるCO2を約一〇%削減できます複層ガラス、デュアルガラスというんでしょうか、二重になっているガラスなどの省エネ製品、そして小型風力発電システム、家庭用の小型燃料電池など、新たな温暖化対策機器の導入支援をさせていただきます。これも日進月歩ですから、非常に期待するところもあろうかと思います。それから、民生部門におけます省エネ対策、新エネルギー対策で二酸化炭素排出量の削減ということで、地球温暖化を防ぐまちづくり事業を後押ししてまいります。

 それから、環境省におきまして、これまでいろいろな専門家の方、それからメディアの方などでおつくりいただいている環の国くらし会議などを開きましたり、パンフレットをつくったり、小中学校へ環境学習のDVDを配ったりということで、そういった省エネ技術的な革新と、それから国民各層にそういった商品なども紹介をし、そこに皆さんに御協力いただく、こういった形で民生部門のCO2の削減に努めてまいりたいと考えております。

西野委員 民生は非常に幅広いものですから、いろいろと検討されて、ぜひ期間内に成果の上がるようにお願いしたいと思います。

 ところで、ことしは推進大綱の見直しの時期に当たっていると思うんですが、大綱の見直しについてのスケジュールを、概略、御説明ください。

小島政府参考人 ことしは地球温暖化対策推進大綱の評価、見直しの年でございます。環境省では、一月の三十日から中央環境審議会の地球環境部会において、大綱のすべての分野にわたる本格的な御審議を始めていただいております。現在のところ、六月以降の中間取りまとめをいただくように精力的な検討をお願いしております。

 各省におきましても、産業構造審議会や総合資源エネルギー調査会、あるいは国土交通省の交通政策審議会などにおきまして、具体的な対策、施策の評価、見直しが行われております。これらは六月前後に中間答申が取りまとめられるというふうに聞いております。

 このような中間答申は、役所のスケジュールから申し上げますと、来年度予算の要求をまとめるというようなところに生かされていくと思いますけれども、温暖化推進大綱は来年度だけということではございませんので、二〇〇八年から二〇一二年までをにらみまして、中間的な取りまとめをいただいた後も、秋以降も審議会でさらに御審議をいただくということにしております。

 大綱の評価、見直しを進めていくに当たりましては関係省庁と十分な連携を図るということでございますけれども、最終的に新しい大綱の策定時期というのは、これは政府全体でしていく事柄ではございますけれども、年明けごろになるのではないかと思っております。この大綱の評価、見直しの一連の作業は、この一年間続くのではないかと思っております。

西野委員 そのようですけれども、大綱の中で、私、ちょっと三点ほど申し上げたいと思うんですが、どうも、現状では行き詰まっているなという印象を受けるんですね。

 一つは原子力発電ですけれども、二〇一〇年までは、今おっしゃっていましたとおり原子力発電三割増、したがって十三基新設をおっしゃっていたんですね。この間の委員会等では、数字が既にこの十三基から六基という発言が出てしまった。もうこの時点で増設数が相当下回っていますね。一基当たりで〇・七%の削減効果があるということからしますと、単純計算で〇・七掛ける十三基でございましたら九・一%にも相当するということですから、これはこの大綱の比重が原子力に相当ウエートがかかっているなということがわかるわけです。具体的には、石川県の珠洲だとか新潟県の巻の方は、もう既に新設を断念いたしておりますよね。ですから、どうも、相当に下回っているところに、もう既に行き詰まりが何かあるんではないかなという心配をします。

 それから、これも、農水大臣が予算委員会で、森林の吸収分につきましては、森林整備等はもう現状の水準ではとても、このまま推移した場合は三・九%の目標は達成できない、大変困難な状況である、大幅に下回る、こういう表現をしているわけで、ここにも何か閉塞感があるような気がしますね。

 それから、我が国の取り扱っている省庁、経産省では、エネルギー調査会需給部会とか産業構造審議会環境部会地球環境小委員会、国交省では、交通政策審議会交通体系分科会環境部会、国土交通環境行動計画検討委員会、たくさんありますね。環境省では、中環審、それと地球環境部会等で検討される。農水省に至っては、林野庁ですけれども、環境税の議論を見守るとして、当面は見直しはもう検討しないなんというようなことも言っていますね。

 こういうことからしますと、今三点言いましたけれども、まず省庁、これはばらばらですな。それから原子力も、申し上げたとおり大変ダウンしていますな。これじゃとてもままならぬですな。それから、森林整備もお手上げでございますな。これはどうも行き詰まっていると思うのでございますが、これらを踏まえて、見直し、私は急ぐと思うんですが、当然のことだと思いますが、大臣、どうですか。

小池国務大臣 今後の見直しなど、そしてまた各審議会等の役割など、スケジュール的なことについては先ほど局長から既にお伝えをしたとおりでございます。

 私は、基本的に、資源のない我が国がどうやって今後再活性していくかというのは、逆に環境というのが大きなテーマになり得る、それはすなわち、エネルギー戦略をどう描いていくのか、それによって新エネルギーをどれぐらい促進をしていくのか、そういった極めて総合的な戦略が必要なんだろうと思っております。私の立場において、そしてまたこれまでのいろいろな考え方を踏まえて、できるだけ国家としてどうあるべきかがとらえられるような活動も行っていけたらいいと思っておりますので、委員各位の後押しをぜひよろしくお願いしたいと思っております。

西野委員 このように、大綱の見直し、いずれの面から見ましても本当に心もとないんですよね。だから、今こそ小池大臣、ぜひひとつ総理に進言をしてもらって、思い切って政府が一体になって早急に取り組む必要がある、私はそのように思っております。あえて答弁を求めませんけれども、そのことが、エネルギーの部門だけ見ると、どうもエネルギー政策を転換しなきゃならないのではないか、火力だけでなくて、むしろ天然ガス等を含めた方面のエネルギー政策の転換がぜひ必要だな、私はこのように思っております。

 ところで、エネルギー政策の転換でございますけれども、イラク戦争を契機に、我が国は、中東におんぶしています石油から、申し上げたとおり天然ガスに切りかえていくべきではないかなというふうに思います。そのためにも、シベリアとかサハリンを持つ対ロシア外交、ここにシフトをしいていくべきではないかと私は思います。

 そのロシアのシベリアのタイガのことでございますが、シベリア・タイガは世界の森林の中の二二%も占めている、CO2の大きな吸収源になっているんですね。ところが、このところ、タイガ森林に火災が続発しているんです。一年に、我が国でいえば四国ぐらいの面積のものが消滅してしまっているんです。単に森林が消滅するだけではなくて、この地域は下が永久凍土です、森林火災で永久凍土が今度は解けてしまいまして、逆にここから出てくるのは、CO2よりもさらに強いメタンガスが放出されているんですね。これでは、シベリアは吸収源ではなくて排出源になってしまっているんじゃないか。ですから、シベリアの森林火災というものをいかに未然に防ぐかということが大事であるかというふうに思います。

 この研究をしているのが、北海道大学と東北大学の研究チームがあります。この研究チームは、森林火災を起こしましたら、NASAの協力を求めて人工衛星によって早く発見して、その日の風向きとか気温とかそういうものをもとに、数時間後にはこの森林火災がどこまで延焼していくのかということをコンピューターで予測をいたすわけです。その情報を、現地の防火隊に連絡をして火災をできるだけ最小限度にとどめる、こういうことを研究して、現にやりつつあるんですね。

 ですから、対ロシアのことを先ほども言いましたけれども、ロシアは常々自分の国益を考えているんですから、ここらあたりのロシアのシベリアの森林の火災防止ということについて、あなたの国にも国益になりますよというものを我が国は協力をし、提供していく、そうすることによって初めてロシアが心を動かされるのではないかなと私は思うんですね。そのことが、ひいてはこの議定書のいわば協力に対しても促すことになってくるのではないかなというふうに思うのでございますが、このシベリアの森林火災等について、環境省を初め、どのように取り組もうとされているか、ありましたらお示しください。

小池国務大臣 御指摘のように、シベリアの森林火災は、昨年、何と日本の面積の六割も燃え尽くす、そういった勢いであったと聞いております。これは、貴重なCO2の吸収源だけではなく、もちろんそこにはまず人命そして財産があるということを考えましたら、この森林火災をどのようにして防いでいくのか、それぞれの役所もお呼びかと思いますので、連携をとってやっていければと思っております。

 そして、地球的な規模で、温暖化問題がこの森林火災の背景にもあると言われているわけでございますので、シベリアを対象といたしまして、森林を含みます陸上生態系の二酸化炭素の排出・吸収量を把握するための調査研究を実施するなど、国益を重視ということでそこを働きかけという御趣旨も含みまして、ロシアとの協力をさらに進めていきたいと考えております。

西野委員 最後に大臣、さらにロシアとの提携、協力をしていきたい、こういうことですが、実際には何もやっていないんですよ。環境省はやっていないんです。だから、ちょっとこの答弁は詭弁なんですよ。数字も予算措置も何にもできていません。私はそこを言っているんです。言っているけれども、言葉では言っているけれども実態が伴うていない、これは僕は不満足なんです。

 しかも、申し上げたとおり、ロシアが議定書に調印をしてくれれば直ちにこれがスタートをするわけであります。そういうことを考えて、小池さんも今、現大臣、外務大臣も前環境大臣ですよ。閣内で一致結束して、総理にこういう問題を機会あるごとにぜひ進言してほしいなというふうに私は思っております。

 きょうはこの温暖化問題で質問してまいりましたけれども、ロシアのベドリツキー長官とお会いになったときの感触も冒頭に承りましたけれども、私は、長官と話をされたときは十二分に長官に伝わっていないということを仄聞しているんですよ。十分通っていないんです。だから、こういうところもしっかりとひとつこれから進めてほしいというふうに思います。

 きょうは言葉で出しておりませんけれども、排出権について、模擬取引を既に経産省と環境省でやっていますね。これも、同じ国内で省庁別々にこんなのをやっているんですね、まあ研究するのはいいんですけれども。ぜひ、政府が一体になってこの問題に取り組んでいくべきだというふうに思っておりますので、どうぞ地球温暖化の防止のために、大変な課題でございますから、政府を挙げて、大臣のリーダーシップ、小泉総理の勇断をもってこの防止対策に全力で取り組んでいかれることを心から期待いたしまして、質問を終わりたいと思います。

小沢委員長 次に、近藤昭一君。

近藤(昭)委員 民主党の近藤昭一でございます。

 民主党のネクスト環境大臣を仰せつかっておりまして、きょうは、民主党のトップバッターとして、まず大臣の所信表明に対しまして質問をさせていただきます。

 先ほど小池大臣のお話の中にもありました、日本は資源がない国である、そういう中でこれから日本がどう立国をしていくか、そういう中で環境は大事なんだと。小泉総理も、環境技術立国日本とか、あるいは最近は観光立国日本ということをおっしゃいます。私は、まさしくすべて環境ということがキーワード、環境というものが非常に大事だという認識を共通して持っているんだなというふうに思うわけであります。

 そこで、幾つかお聞きをしたいわけであります。

 私は常々、環境省が上にあると言うといろいろなところからまた別の問題も出てまいりますので、よく申し上げているのは、真ん中にいるべきだと。環境が、今も申し上げたように立国とかかわってくるわけですから、さまざまな問題について環境がかかわってくる。それに対して、環境省が、環境大臣がぜひ、今、西野先生の御質問の中でも、外務省に対してももっと物を言うべきだ、そういうお話もありましたし、やはり私は、もっともっと物を言っていくべきだ、関与していくべきだ、そういうふうに思っているんですね。

 そういう中で、国内を見渡してみますと、私はどうしても沖縄に着目をしなくてはなりません。観光立国を目指していく上には、本当に沖縄が大事だ、重要なところになると私は思うんです。ただ、自然に恵まれた沖縄で、確かに沖縄が経済的にも非常に厳しい等ということがあって、見ていると、環境を守っていくというよりもどうも環境を破壊しているんじゃないか、環境を破壊していることが多いんじゃないかと思うわけですね。そして、ただどうしても地域の産業、地域を活性化していかなくちゃいけないという中で、米軍とかあるいは公共事業に依存しているようなところが、環境を破壊するような公共事業に依存しているようなところがあるのではないか、こういうふうに危惧をするわけであります。

 そういう意味で、観光立国を推進して、また非常に重要な地域となる沖縄で、そういう観点から地域を活性化させていく必要があるというふうに私は思っているんです。そのあたり、大臣はどのように認識していらっしゃるでしょうか。

小池国務大臣 観光立国はすなわち環境立国であり、また環境立国は観光立国であるというような認識を持っております。ただ、そこのポイントとすれば、自然を保全して、生かして、観光立国であるべきである。ですから、環境を破壊して観光立国はないだろう、その逆も真なりだと思っております。

 そのあんばいをどうとっていくのかというのを、今、私が昨年の十一月に打ち立てましたエコツーリズム推進会議で専門家の方々に、どのようにして環境を守りつつ地域活性化につながる観光を推進していくかということ、このルールづくりをお願いしているところでございます。

 特に、沖縄でございますけれども、私も何度も行かせていただいて、美しいサンゴ礁であるとか、それから東京などでは見られないような美しい動植物など、やはり自然に触れることの楽しさというのを、また驚きを教えてくれる沖縄であるからこそ、その自然をどうやって守っていこうか、環境大臣としても、沖縄を含みます琉球諸島全体と言っていいかもしれませんけれども、しっかりこの保全にも取り組んでまいりたいと思っております。

 それから、沖縄のすぐれた自然を保全することと、新たな世界自然遺産の登録を目指していきたい、そこにまでターゲットを持っていきたいと思っておりますけれども、まず、その前に幾つかなすべきことがございまして、まず一つの前提でございます、最初の前提である保護地域の指定などにも取り組んでまいりたいと考えております。

 思いは一緒だと思います。

近藤(昭)委員 大臣、ありがとうございます。本当に思いは同じだと思います。

 そういう意味でも、今、少し大臣のお言葉の中にも、自然遺産に登録していく、そういうことも考えていかなくちゃいけない、そのためには国立公園の指定もしていかなくちゃいけない、そういうお話がありました。私もそのとおりだと思うんですね。

 この間、私も環境委員会で何回か質問に立ちました。沖縄の中でさまざまな自然破壊が行われる、これを何とか食いとめられないか、こういう地元の皆さんの切実な思い、市民グループの皆さん等の思いがぶつけられてきまして、何とか食いとめられないか。ところが、なかなか、一方でといいましょうか、法があるわけでありまして、規則、ルールにのっとっていろいろな開発もあるいは自然保護も行われていく、そういう中でやはりどうしても網に漏れてしまうようなことがあるんでしょうね。ですから、法律的には問題がない、しかしながら、自然を守る、そういう観点からすると問題だというような開発が大変に多いと思うんです。

 そういう意味で、今お話がありました、国立公園等々の網をかぶせていく、そしてその先にある自然遺産として登録をしていく、そういう中で守っていくんだ、ルールをはっきりさせて守っていくんだ、こういう意味だと思うんですね。そういう世界遺産の登録に向けてはやはりいろいろな要素が、ここにはこういうことで世界遺産として登録されるべきだ、こういうことがあったと思うんです。

 ところで、沖縄、琉球諸島、今お言葉の中にあった世界遺産の登録に向けて、ヤンバルクイナの保護、ヤンバルクイナも一つの重要な、ヤンバルクイナが生息している。そして、ヤンバルクイナが最近非常に減っているという状況があると思うんですが、ヤンバルクイナの生息状況について少しお伺いをしたいと思います。

小野寺政府参考人 ヤンバルクイナは沖縄本島北部に生息する我が国固有の鳥類で、生息数は一九八六年に千八百羽、その後二〇〇一年の専門家による調査では千二百羽程度と推定されているところであります。数は三分の二に減っているということですし、また南限がじりじりと北に上がって狭まっているということが確認されております。

 その主要な減少要因としては、マングースやノネコによる捕食被害が指摘されておりますし、また森林伐採、交通事故死なども年間数件報告されているところであります。

近藤(昭)委員 私もお聞きしているところによると、ヤンバルクイナがそういうさまざまな状況で大変に激減をしている、保護しなくちゃいけない、こういう状況のようでありますが、私は、先ほど冒頭に申し上げた環境立国日本、観光立国をつくっていく上に、このヤンバルクイナも非常に重要な要素だと思うんですね。

 それで、大臣にちょっとお伺いをしたいんです。

 個別的にこのヤンバルクイナも一つの重要な観光資源である、そしてまた、世界遺産に登録をしていく上でやはりここにヤンバルクイナがいるということも非常に重要な条件であるということを考えますと、まず一点お伺いしたいわけでありますが、このヤンバルクイナが生息している地域の国立公園化というのは世界遺産登録のためにも重要な課題、先ほどちょっと触れてはいただいたんですが、そのことについて具体的にどういうふうに取り組んでいらっしゃるのか。

 そしてもう一点は、その中で、保護すべきヤンバルクイナが、国立公園に指定をして世界遺産に登録をされる、その前に絶滅をしてしまう、こんなことではいけないわけでありますから、そのヤンバルクイナの保護対策は、あるいはその早急な保護増殖というのでしょうか、日本ではかつてトキの絶滅の問題もあるわけでありますけれども、このあたりについては、種の保存法なんというのも、日本にもそういう法律があるわけでありますが、こういうことをもとにして、どういうふうに具体的にお考えなのか、お答えをいただきたいと思います。

小池国務大臣 ヤンバルクイナが多く住む山原地域の国立公園化の点からお答えを申し上げたいと思いますけれども、委員が御指摘のように、生物の多様性の観点から貴重な地域であることを認識いたしております。

 そしてまた、御承知かもしれませんけれども、平成十年度から地元の有識者を含めました検討委員会を設けて、自然環境の保護の仕方、そしてそれを活用したエコツアーのあり方などを調査研究していただいているところでございます。地元の御意向を今伺っているということでございます。

 それから、大きい地域として琉球諸島、これが世界遺産の候補地の一つに選定もされているということから、この山原地域の国立公園指定に向けて、公園のあり方の具体化、そして、先ほど申し上げましたように地元の意見などをしっかり把握してまいりたいと思っております。

 二つ目の点でございますけれども、せんだっても新聞で、ヤンバルクイナ、トキの二の舞はごめんだというような新聞記事もございました。そしてまた、ヤンバルクイナが数が減少しているという先ほどの小野寺局長の御説明の中で、その理由として、マングース、ノネコ、これらに食べられてしまうということで、であるならば、このマングース、ノネコの捕獲事業、これを進めなければならないということで、実際に進めてきております。

 また、より積極的にということでは、その基礎となります生態、そして生息状況の詳細な調査を平成十六年度から実施をする予定としております。そして、種の保存法に基づきます保護増殖事業計画の策定などを、この調査の推移を見ながら、しっかりと必要な保護対策を進めてまいる所存であります。

近藤(昭)委員 今大変に丁寧にお答えいただきまして、ありがとうございました。

 そうしますと、少し確認だけをしたいんですが、いわゆるヤンバルクイナを保護していくために、いろいろと地元の意見を聞きながら、必要に応じて、必要に応じてというのがちょっとひっかかるというかあれなんですが、いわゆる保護増殖事業計画をきちっと策定して保護していくということですね。

小池国務大臣 はい、必要な保護対策を進めてまいるということです。

近藤(昭)委員 ぜひきちっとした保護対策を進めていっていただきたいわけであります。

 もう一点、環境を守るために世界遺産登録が必要である、そのために国立公園化に向けての作業も取り組んでいくということでありますね。

小池国務大臣 そのとおりでございます。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 ぜひ、大臣もよくおっしゃるように、与党であろうと野党であろうと本当に関係なく、やはり自然を保護していかなくてはいけないと思うわけであります。

 ところで、沖縄といいますと、やはりどうしてもサンゴの問題について触れなくてはならないと思うんですが、サンゴ礁に対しての御認識は、大臣、いかがでありましょうか。

小池国務大臣 南の海、その象徴というふうにとらえておりますけれども、世界のサンゴ礁海域の最北が沖縄、小笠原諸島ということですので、日本が最北の地にある、それだけに大切な生き物というふうにとらえております。

近藤(昭)委員 本当に、大臣御認識いただいているように、サンゴ礁は大変大切なものでありまして、沖縄にとって、沖縄を訪れる方にとっての魅力であるとともに、沖縄自身にとってみれば、地元の人にとっても、台風等々の防災上でも大変に重要だと思うんですね。

 ところが、このサンゴ礁が、大臣御承知のとおり、最近非常に影響を受けております。地元の、現地でのさまざまな開発といいましょうか、事業によることだと思うんですが、赤土が流出をして、その赤土がサンゴに影響を与えてサンゴが死滅してしまうというようなことがあるようでありますが、このサンゴ礁に対する赤土の流出対策、どのように取り組んでいらっしゃいますでしょうか。

吉田政府参考人 お答えをいたします。

 赤土の流出防止対策の推進につきましては、御承知のように、沖縄振興特別措置法に基づきまして、平成十四年の七月、一昨年の七月に策定されました沖縄振興計画においても重要な課題と位置づけられております。

 かねてより、国も、関係府省庁の連絡会議を設けまして、赤土の流出防止対策の検討を進めてまいりましたけれども、一方、沖縄県でも、平成七年度から赤土の流出防止条例を実施してまいっております。その条例の中では、一定規模以上の開発事業に対しまして、土砂の流出防止施設の設置を義務づけるなどの措置を講じてまいっております。その結果、開発事業に伴う流出は相当程度を軽減されたものの、既存の農地からの流出防止についてはなお対策が不十分である、今後の充実が必要であるという考え方が沖縄県によって示されているところでございます。

 こうした中で、環境省でも、平成九年度から、流出実態の把握や各種の対策効果の実証を行いますとともに、土地の適正管理を促進するという観点からの流域ごとの協議会をつくるといった体制整備の検討も進めてまいっております。一方、現在、農林水産省におきましても、農地からの流出防止対策についてモデル事業を進めているというふうに承知をいたしております。

 今後は、国によるこうしたさまざまな調査研究の成果がより総合的な対策として結実をして、それが効果的に実施されることとなりますよう、環境省といたしましても引き続き他省庁ともども努力をしてまいりたい、かように考えております。

近藤(昭)委員 本当に重要な、貴重なサンゴ礁を守るために、きちっと対策をしていただきたい。一定の効果を上げているようでありますが、引き続ききちっとした対応をお願いしたいと思います。

 そういう中では、沖縄の地元の方からこういうお話があるわけでありますが、観光立国を目指していくためには、海外あるいは日本の国内からもいろいろな多くの方に来ていただかなくてはいけない、つまり交通手段が発達しなくちゃいけないということであります。一方で、その交通手段というか、空港でありますね、空港がその貴重な島の財産であるサンゴ礁を破壊してはこれまた意味がないわけでありまして、具体的に、石垣新空港の問題であります。

 地元の方からは、なぜここにだというお話がありまして、私も、お話を聞かせていただいたり現地にも参りました。現地にも参りまして、いろいろと考えますと、本当にこの位置でいいのだろうかという気がしているのでありますが、石垣新空港の建設位置、再検討する必要があるのではないかと思うんですが、いかがでありましょうか。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 新石垣空港の建設場所についての御質問でございますが、空港の建設位置につきましては、まずは事業実施主体であります沖縄県が案を作成するものと認識しておりますけれども、現在の新石垣空港の建設位置案は、沖縄県におきまして、地元関係者を中心に、自然保護団体あるいは学識経験者等を委員といたします新石垣空港建設位置選定委員会が設置されまして、島内の四つの候補地につきまして検討を行いまして、最終的には、白保海域の自然環境に負荷を与えないよう位置の調整や工法等を検討するという条件を付して、この会議三十一名の委員全員の合意で、カラ岳陸上案を選定したものでございます。

 その後、できるだけ海岸域に近づけないという要望等も踏まえまして、自然保護団体や関係集落公民館代表等が委員を務めます地元調整会議において、より具体的にターミナルの位置等を選定したものでございます。

 さらに、建設工法検討委員会や環境検討委員会におきまして、極力自然環境に負荷を与えないようにするための検討が行われておりますとともに、石垣市議会あるいは沖縄県議会において、現在のカラ岳陸上案での新石垣空港の建設につきまして、全会一致で早期事業化を求める決議がなされております。

 国土交通省といたしましては、今後、沖縄県から新規事業採択の要求があった場合に、一般空港の滑走路新設または延長事業に係る整備指針というのを定めておりまして、この中で、評価項目として候補地の比較というのも設けておりますので、この候補地につきまして、適切な評価、候補地選定がなされたか否か評価をしたいと考えております。

近藤(昭)委員 この場はどこが適切かという議論をする場ではないわけでありますし、時間も余りありませんけれども、今御答弁のあった中で、条件としては白保のサンゴ礁に影響を与えないというような前提条件の中でやっていくんだというお話があったんですが、どうでしょうか、環境省にお伺いをしたいわけでありますが、今の場所で、建設によってサンゴ礁への新たな影響というのは防止できるんでしょうか。

松本政府参考人 新石垣空港の建設予定地でございますけれども、周辺にアオサンゴなどの海域生物などが生息をしている地域、こういうことでございまして、新石垣空港の建設におきましては、これらを含めまして、自然環境の保全が極めて重要であるというふうに私ども認識をいたしております。

 現在、環境影響評価法に基づきます環境アセスメントの手続が進められている最中でございます。この中で、事業者、すなわち沖縄県知事ということになりますが、事業者によりまして、サンゴ礁への影響も含めた環境影響についての予測評価、それから必要な環境保全対策が検討されているところでございます。

 環境省といたしましては、今後、環境影響評価書の送付が、いずれ上がってくるわけでございますが、その送付を受けた段階で適正な審査を行いまして、環境保全の観点から必要な意見をしっかりと述べてまいりたいと思っております。

近藤(昭)委員 今、法に基づいて調査中ということであると思うんですが、現地に行って、私は、それは百点満点のはなかなかないと思うんですが、ですから全くやめろとかというわけではないんです。さっきの環境立国で申し上げますと、やはり空港は必要なのでありましょう、必要なんです。だから、つくるなとは言いません。しかしながら、飛行場をつくって、ある種の目的といいましょうか、皆さんが来るのは、サンゴ礁を見にということも重要なことであるので、そのサンゴ礁に影響が、なくなってしまっては、何の空港かというふうに思うんですね。

 そういう意味で、もう一度鈴木審議官にお伺いをしたいわけでありますが、先ほどの地元の方との合意でいうと、特に白保のサンゴ礁に対する影響というのが非常に重要なことだというふうに私は話を聞いていて思ったんですが、そういう御認識でしょうか。そしてまた、影響評価が出てきたときに、これは問題ありということであると、やはり違うところを選定するということになるんでしょうか。いかがでしょうか。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 サンゴ礁への影響の問題でございますが、現在、沖縄県において環境影響評価手続が進められておりまして、新石垣空港の建設がサンゴに与える影響、あるいはその防止策についても、その中で十分評価されるものと考えております。

 先ほど御説明いたしました一般空港の整備指針案の中で、環境影響評価につきましても、私ども、評価項目にいたしておりますので、その中で十分評価をさせていただきたいと思っております。

近藤(昭)委員 なかなかはっきりしたお答えではない気がするわけでありますけれども、その評価の中で御判断をいただいて、きちっとした、白保のサンゴ礁を守りつつ、空港をつくっていただきたいというふうに思うわけであります。

 また、少しここは大臣にお伺いをしたいと思います。

 いろいろなところでそういう開発が行われる、環境アセス等々をやると問題はないかもしれない、でも、比較するともっと環境に対する影響が少ないところもあるのかもしれない、そういう、先ほどの話の、冒頭の方で申し上げましたが、いろいろやってみて、法律的には問題ないかもしれない、問題ないかもしれないけれどもみたいなところは非常に多いと思うんですね。

 そういう意味では、やはり私は、白保のサンゴ礁というのは非常に大事なもので、これをまず大事にするとか、そういう意思を環境省としては示すべきではないかと思うんです。白保の保全のために国立公園の拡張を急ぐべきではないか、そういうふうに私は考えますが、いかがでしょうか。

小池国務大臣 サンゴ礁を守るというのは、まさに環境省のまずテーマの一つでありまして、実際に石垣市において国際サンゴ礁研究・モニタリングセンターも設置をさせていただいております。サンゴ礁の保全に基本的に積極的に取り組んでいるということを改めて申し上げたいと思います。

 それから、国立公園の拡張でございますけれども、これもやはり、一般論ですけれども、関係県知事を通じて地元の意見を聞くとなっておりまして、関係市町村の同意が必要だ、その有無が重要な判断材料となるわけでございます。白保のサンゴ礁海域を含みます西表国立公園の拡張ということは、今申し上げたような手続等々がございまして、石垣市に対しての説明会の開催、石垣市と共同で地域住民に対して説明会を開催するなど、関係者の理解を得るように粘り強く努力をさせていただいているところでございます。

 今回、知床を世界遺産に登録するという手続の中で、例えば、それによって、漁業で生活をしておられる方々の問題などもあるんですね。ですから、そのところは、まさに地元に住んでおられる方々の御判断ということもよく耳を傾けていく。

 ただ、基本的に、私ども環境省とすれば、かえがたいサンゴ礁というのをしっかり保全してまいるという立場でございます。

近藤(昭)委員 大臣がおっしゃったように、いろいろと地元の意向等々も確認しながら、しかしながら、私は大前提として、環境立国、環境技術立国、そういった環境ということで立国をしていく、また、環境庁が環境省になった、持続可能な社会をつくっていくという面では本当に大事だと思いますので、そこをやはり前面に押し出して頑張っていただきたいというふうに思うわけであります。

 最後に一つ、お伺いをしたいと思います。

 自動車交通の著しい道路の沿道では、多くの住民の皆さんがSPM等の大気汚染に苦しんでおられるわけであります。私も環境委員会で何回も質問をさせていただいたわけでありますが、各地の裁判でも、この大気汚染訴訟では国が敗訴しているわけですね。裁判、上告していくことも、もちろん国の立場としてはあるんでしょうけれども、住民に大変な犠牲を強いるのではなく、地域指定等々の方法、何らかの方法で、被害者の皆さんを行政的に救済していくべきだというふうに私は考えておるわけでありますが、いかがでしょうか。

滝澤政府参考人 一般的にぜんそくなどに代表されます非特異的呼吸器疾患は、大気汚染のみならず、さまざまな原因により発症、増悪する疾患と言われております。こうした疾患につきまして、御指摘のような被害救済の方途を検討する際には、まず、大気汚染とぜんそく等の呼吸器疾患との因果関係を裏づける科学的知見が前提となると考えております。

 具体的には、大気汚染とこれらの疾患に係るこれまでの調査結果から見る範囲では、現在の我が国の大気汚染は、その主たる原因とは考えられないという見解がございます。また、幹線道路沿道の局地的大気汚染の影響につきましては、現時点では科学的知見がまだ十分ではないという指摘がございます。

 そうしたことを受けまして、私どもといたしましては、幹線道路沿道の局地的大気汚染とぜんそく等に関する大規模な疫学調査について検討を進めておりまして、従前から実施しておりましたさまざまな個人暴露量の把握手法等の研究を踏まえまして、平成十七年度からそうした大規模な疫学調査についての開始を検討しておるところでございます。そうした科学的に信頼性の高い結果をできるだけ早期に得られるように、鋭意努力してまいりたいと考えております。

近藤(昭)委員 以前の委員会でもそういうお答えを聞かせていただいて、しかしながら、因果関係がはっきりしない、なかなか国としては救済できないというお答えなのでありますが、現実に、現実といいましょうか、何回も、四回ですか、国が敗訴をしている、また、明らかに沿線で多くの方が苦しんでおられるということでありますので、私はやはり方法を考えて救済をすべきだというふうに思っておりますし、前から、疫学的な調査をするということでありますが、調査をするためのまた準備の調査をするとか、私は、もう本当に一刻も早い救済をお考え、また実施していただきたいというふうに思っています。

 時間が終わりましたので、その思いだけ述べさせていただきまして、質問を終了します。ありがとうございました。

小沢委員長 次に、島田久君。

島田委員 二十一世紀は環境の世紀と言われる中で、本環境委員会で最初に質問できることを、委員長初め委員の皆さんに心から感謝を申し上げる次第であります。

 まず最初に小池大臣に、先日の所信の中で、世界に誇れる国立公園づくり、そして、里地や里山の保全、再生に着実に取り組むということを述べられております。

 環境省では、二〇〇一年十月に「日本の里地里山の調査・分析について」という中間報告をされました。しかし、里地里山は全国的に雑木林など大半が私有地である中で、保全活動を行う上でも地権者の理解をどう得るかという問題、あるいは保全と本来一体であるべき再生のための課題もたくさんあると思うわけであります。その成功のこつは、どのように具体化していくかということが大事だと思うんですけれども、まず、小池大臣の決意を聞かせていただきたいと思います。

小池国務大臣 私は、ウサギを追いかけたこともコブナも釣ったこともないんですけれども、「故郷」という歌を聞くと、どこか何か懐かしさとかうれしさとか楽しさを感じるというので、そういった地域を含みます里地里山というのは、どこか日本の原風景であり、そしてまた日本人のDNAにしっかりと入っているものではないのかな、そういうふうに思っております。

 それだけに、この里地里山、ちなみに国土の約四割、千六百万ヘクタールを占める地域でございますが、この里地里山を守るということは、単に環境と一言で言うのではなくて、メダカ、カエルなどの身近な生き物、そして多くの希少種、そういった生物多様性保全上に重要な地域ということで、身近な自然との触れ合いの場として大変重要だということを考えております。

 今御指摘ありましたように、最近は所有者がわからなくなってきたり、それから土地の利用転換といったことで、その存続が危ぶまれているところでございますので、平成十四年三月に策定いたしました新生物多様性国家戦略の中でも、里地里山の消失、劣化による影響を生物多様性の三つの危機の一つに位置づけて、この里地里山をしっかり守っていこうということを、決意を新たにしているところでございます。

島田委員 今、大臣からもお話がありましたように、日本のふるさとでありますし、里地里山というものは本当の意味で私たちが大事にしていかなければならないと思うわけであります。

 特に雑木林は日本の四季の美しいところであると言われておりますので、環境省で中間報告で調査されたその背景と意図はどこにあったのでしょうか。御説明願いたいと思います。

小野寺政府参考人 里山の特性は、人間の干渉が適度に行われることが長年月続くことで独自の生態系をつくるということが特徴であります。その分だけ、微妙な人間と自然とのバランスの中で里山里地の生態系というのは維持されてきたわけであります。その意味で、戦後特に、エネルギー転換、産業構造の転換、生活様式の転換が里山に対する干渉を減じて、結果として二次林、里山の自然環境を劣化させてきたということがあります。

 それで、対策を考えるために、まず第一に、自然環境としての里山の大くくりの分類というのをやって、四つに分類したわけであります。そこを、これからどういう管理をしていくか、どういう方策を講じるかのまずベースにしたいということが一つありました。

 それから、もう一つは、委員も御指摘になりましたとおり、大体、民有地でかつ小規模所有地というのが里山の特徴であります。さらに立地が、奥山地域と都市の中間地帯に立地しているということが特徴であります。その立地を含めた社会経済的な里山の置かれている状況の分析というものを、施策をつくって、制度なり税制なりに結びつけていくためにはそういう分析がまず前提になるだろうということで、十三年度の調査をいたした次第であります。

島田委員 今のお話のように、その調査は基本的な大事な調査だと思うんですけれども、絶滅危惧種を初めとする野生生物の生息地域でありますし、生物多様性上からも極めて重要な地域であるということが調査結果でも明確に位置づけられてきたと思うんです。そういう中にあって、いろいろな制度が、例えば、自然環境保全地域、鳥獣保護地区、保安林、緑地保全地域、風致地区、名勝・天然記念物などさまざまな制度がその中でもあるわけですね。

 そういう部分において、これらの制度を本来里山という制度の中からあるいは再生をし、保護をしていくという場合、そういう制度そのものがいろいろな面で限界があるような気がするんです。実効性のある、ある程度里地里山に焦点を絞った制度づくりが必要ではないかなと思うんですけれども、その辺はどんなお考えでしょうか。

小野寺政府参考人 御指摘のとおり、里山については、いろいろな制度が錯綜している地域であって、里山の持っている、今ここで議論しているような自然環境上の特徴、これだとくくった制度は今のところないと言ってもいいと思います。

 それで、その背景には、里山がほとんど個人所有地が中心で、かつ小規模個人所有地ということですので、利害関係人及びそれよりもうちょっと広い関係者の間の里山に対する考え方がまだ、いわゆる社会的合意ができていないというところに制度がまとまってこない原因があるんだろうと思います。

 そういう意味では、十三年度からそういう調査も始めましたし、昨年つくった政府全体の方針の生物多様性国家戦略の中で、里山は三つの柱の一つにも位置づけられてもおります。そういうことを含めて、我々としても、分析的な成果を霞が関のみならず自治体にも伝えて、今後の制度的な対応の根拠にしていきたいというふうに思っております。

島田委員 一つの地域的な事例なんですけれども、あきる野市に横沢入というところがあって、東京の最大の里地里山として今までいろいろな調査もされたり、あるいは自然愛好家のグループがいろいろな面でその里地里山の中に入ったり、立体的な中でいろいろな活動がされ、最近学校の五日制が実施される中で、体験学習などを含めて、子供たちもこの中で親しむというような、そういう地域なんですけれども、その地域が、現在の地権者はJRの東日本が持っていて、バブルの時代に高級住宅地をつくるということで買収をしてその地域を確保されている。だけれども、現実には、今の社会状況からいっても、そこはもう無理だということになったわけですね。

 それらの中で、現在、そういう面で多くの方から、あるいは市なり、あるいは東京都も、ここの里山の実態調査をきちっとして、例えば保全地域指定をしたり、いろいろな里山保全の地域のための指定的な枠をつくったり、努力はされているんですけれども、現実的な対処をしようとすると、財政的な問題を含めてなかなか具体的な実施が進まない状況にあるんです。

 これらのことについて、例えば、今国家戦略として、重要な戦略として里山を位置づけようとする中で、きっと全国にそういう事例はたくさんあるだろうと思うんですね。そういうものに対して、現状の段階でどんなお考えがありますでしょうか。

小野寺政府参考人 里山を保全、再生、維持していくために、データ的な整備だけじゃなくて、幾つかのことをやっております。例えば、自然再生推進法に基づきます自然再生の試みでありますとか、それからもう一つ、十六年度から実施することになっていますが、全国で数カ所程度、里山の保全あるいは利用のモデル地域をつくってというようなことも我々の方でやろうというふうに思っております。

 横沢入の状態については、東京都及び地元の方から情報をいただいて、よく承知しているところであります。例えば、十六年度から始めますモデル地域の中で、住民と一緒になって保全あるいは利用を図っていくための事業を行う一つの候補地として考えていかせていただきたいというふうに思っております。

島田委員 今、その候補地の一つとして挙げて、具体的な全国の一つの例の中でも、そういうことをぜひ一つ一つ取り組んでいっていただきたい、そう思うのであります。

 特に、横沢入を含めて、そういう中で一番問題なのは、そういう場合に財政的な問題がどうしてもネックになってくるんですけれども、それらについて、モデル地域としてこれから検討していこうというお話のようでありますけれども、財政的な問題を含めて、実効性のある里山里地の方向性というものを定めていく中で、現在の検討の状況というものをお話し願えないでしょうか。

    〔委員長退席、長浜委員長代理着席〕

小野寺政府参考人 先ほど申し上げましたように、里山に関する法制度というのは、森林に関しては森林法、これは農水省が所管しておりますし、かなりの地域が都市計画地域内にあります。都市計画地域内の緑地ですと国土交通省の緑地関係のところが所管しておるということであります。

 制度的に申し上げましても、例えば農水省所管の農山村と、国土交通省所管の都市計画区域と、大きく二つに分かれるわけでありまして、その中で、例えばある種の助成制度でありますとか税制上の優遇措置をとるということが具体的な委員の御提案だと思うんですけれども、私の感じでは、まだちょっと、そのことに関する、一つの新しい制度をつくるまでの合意ができていないんじゃないかというふうに考えております。ただ、最近の里山に関する国民的関心の高まりということを考えますと、そんなに遠くない時期に何か一つ出てくるのかなということも思っております。

 我々としては、関係各省を含めて、我々の考えをできるだけ分析的に伝えて、何か新しい政策ができるだけ早くできるように努力してまいりたいと考えております。

島田委員 先ほども、里地里山は国家戦略上どうしても大事だという国家意思がはっきりしている中で、今お話しのように、どうしても省庁の壁があらゆる面においてあるわけですね。

 そういう中で、実態調査をした中で、やるべきことの方向性あるいは生物多様性という面から考えて、それらのことの具体的なモデルをつくればいいと思うんですね。全国的な、アウトプラン的な、モデルという形も含めて、何か構想みたいなものがあるんでしょうか。

    〔長浜委員長代理退席、委員長着席〕

小野寺政府参考人 今、これだという形でのモデル的な計画というのは持っておりません。

 ただ、何度か申し上げましたように、全国でモデル地域をつくって、その中で、今問題になっているような里山のハード整備、あるいは維持管理のソフト、一体何をやることによって地域にとって例えば環境学習的な効果があるとか風景的な意味があるとか、そういうようなことを含めて、総合的に地元と一緒になってやるためのモデル事業については、来年度から開始するつもりであります。

島田委員 ぜひ、来年度からそういうモデル地域あるいは具体的なプランをつくっていただいて、進めていただきたいと思うんです。

 最近の環境問題の中でも、やはり生態系の問題についてどうあるべきかということがこれからの環境問題に大きな、重要な問題だと私は考えるんですけれども、特に鳥インフルエンザの問題、あるいは、私もちょっと調べたことがあって、川のふちにアヒルが住んで、そのアヒルのふんが水を通して、漬け物で食中毒になったとか。今度の鳥インフルエンザの問題も、どちらかといえば、必ずしも確定的じゃないんでしょうけれども、渡り鳥によるふんが原因であったとか。

 どうしても里地里山というものは美しくて、日本人にとってはふるさとであり、大事な地域ではあるんですけれども、今のような荒れ地、荒れ方の中で、どうしたらその中に手を入れて、今生態系の中で問題になろうとしているいろいろなそういう問題も含まれているというような気が僕はするわけですね。

 ですから、そういう面できっと、環境調査を含めて、あるいはこれが国家戦略として実態調査を含めて位置づけられて、今現実に取り組もうとされていると思うんですね。ですから、そういう面では、小池大臣が、里地里山のふるさとの問題について環境省として責任持って取り組んでいくんだというその姿勢は、僕は、今、時代の中で環境問題に取り組む一番重要な、もう一つは視点。やはり全国の四割を占めるわけでありますから、そういう面で、もう一度、大臣の決意をお聞かせ願えますならば幸いであります。

小池国務大臣 この里地里山の重要性を認識した上で、保全そして再生をしていくという取り組みについては、先ほど具体的に局長の方からお伝えをしたかと思います。

 せんだって、NHKと全国の地方新聞の方々が集まって、キャンペーンを行っていらっしゃるというので、私、行ってまいりまして、各地域でいろいろな取り組みをしている具体例を紹介されて、今度テレビ放映されるようですけれども、その中で、メダカの里親制度というのがあったんですね。都会の子供たちがメダカの里親を、子供だけれどもメダカの里親をするということで、そこで往復ができたり、そして、子供たちの環境教育ができると同時に、里地里山であるメダカの生息というのを、これをみんなで、その地域の人、NPOの方々で守っていこうという具体例で、大変参考になったと思います。

 このように、里地里山は、自治体であったり、その地域の集落の人であったり、そしてもちろん、根本的な、その土地の所有者ですね、それからあとNPO、こういう方々が支援しやすいような状況をつくっていくというのが、一番具体的かつ現実的ではないのかと考えているところでございます。

 閣議のとき、閣僚懇などでも、この里地里山のことが、あそこはこれからどうやって守っていこうかねなどということがほかの大臣からも出ていることを、あわせて御報告しておきます。

島田委員 里地里山の問題は、やはりこれからの国家戦略として重要な問題でありますので、ぜひ、大臣を初め環境省の皆さん方の御努力を心からお願いする次第でございます。

 次に、生態系保全と、国立公園内における風力発電の問題について、少しお伺いをさせていただきたいと思うわけであります。

 例えば新しいエネルギーを求める場合でも、国立公園の中の実態調査が、やはり生態系の調査でそういう実態調査がどうしても必要であるような気がするし、必要だと思うんです。これらの自然再生エネルギーの中で、太陽光もありますし、そういう中で、これからいろいろな面で風力発電をより目的に向かって達しようとすると、やはりどうしても国立公園なり自然公園という中にどう設置をするかという問題等も出てくるわけでありますけれども、それらの現状の認識についてお考えがあるのか、あるいは、環境省として何か規制緩和の問題等含めて検討されているというようなことを聞いたわけでありますけれども、その辺のことをお聞かせ願えますでしょうか。

小野寺政府参考人 国立・国定公園内における風力発電の設置でありますけれども、今現在、日本で設置されている風力発電のための風車の大きさが、一基の高さが大体九十メーターから百メーターぐらいという、極めて大きいということがありますので、従来の国立・国定公園での考え方では、かなり厳しく対応してきているところであります。

 しかしながら、一方で、地球環境のために推進しなきゃいけないという、望ましいという側面もありまして、国立・国定公園内における風力発電の考え方あるいは許可の基準をより明確化するということで、昨年から半年ほどかけて議論をしてきたところであります。

島田委員 検討会で検討されてきたようでありますけれども、自然公園あるいは国立公園の中に設置する場合に、何としても生態系あるいは景観の関係等、まだまだクリアしなきゃならない問題がたくさんあるような気がするし、住民との間の、やはりお互いの合意をする上でも問題点があるような気がしますけれども、これからの方向性などについて、環境省としてはどうお考えですか、お答え願えますでしょうか。

小野寺政府参考人 先ほど申し上げました景観的な問題、これは、大きな構造物が幾つか並んで立つということがありますので、国立・国定公園としてはかなり慎重に考えなきゃいけない。それから、野生生物の生息と建設あるいは稼働というものは、かなり相反する問題を起こす。あるいは、特に渡り鳥の渡りのルートとの関係で、最近も、ぶつかって死んだという例が北海道で報告されております。

 そういうようなことも含めて、国土の九%にすぎない国立・国定公園の中で風力発電を設置する場合には、これらの点を勘案しながら、個別に考えていくべきものではないかと考えております。

島田委員 加藤副大臣にお伺いをするんですけれども、新たなるエネルギーという場合に、風力もありますし、太陽光発電など、そういう面で、環境に優しいという面を考えると、やはりどうしても、生態系にかかわる問題等についてもより慎重だったり、慎重であるということも含めて方向性を定めていかなきゃならないんですけれども、その辺の基本的な考え方をお伺いしたいと思います。

加藤副大臣 先ほどから島田委員の質疑を聞いておりまして、環境保全あるいは自然保全に対して極めて情熱的に取り組んでいることが伝わってくるような感じがいたしまして、心から敬意を表したいと思います。

 私は、風力発電も自宅につけておりまして、群馬県の高崎ですから、赤城おろしがあるときしか回りませんが、それ以外に、太陽熱、太陽光発電というのも自宅につけておりまして、そういった意味では、環境教育をするために、自分に対しての環境教育ということで、そういうことも進めている最中なんです。また、自然エネルギー促進議員連盟というのがございまして、衆参の大勢の方々が入っていただいておりまして、私、事務局長を仰せつかって、自然エネルギーを進めていく立場で一生懸命取り組んでまいりました。

 ですから、風力発電につきましても、先ほど局長からお話がありましたように、環境の観点から極めて重要な視点があるわけでございますし、日本の風力発電もかつては三十万キロワットを目指していたわけでありますけれども、二〇一〇年目指して三百万キロワットを目指すという、そういう中にございます。また、ヨーロッパ、ドイツなんかも一千万キロワットを超えるような状態でございますし、風力発電を加えた再生可能エネルギーの指令というのも、二〇一〇年で二二%を超えるぐらいな、そういう目標を立てているわけでございます。

 しかしながら、先ほど局長からも話がありましたように、やはり、自然に対してどういうふうに保全の観点から考えるかということは極めて重要でございまして、恐らく、自然エネルギー発電事業者の方々も、自然を破壊してまでとか、あるいは環境を擾乱してまでとか、そこまでは考えていないと私も理解してございます。

 国立公園というのは、我が国を代表するすぐれた自然の風景地でもございますし、また、先ほど来から話がございますように、生物多様性保全の中心的な役割を担っているところでございます。このような地域において大規模なそういう工作物の設置については、やはり自然景観、野生生物への大きな影響が懸念される。そういった意味では、自然公園法の基準に照らして慎重な審査が必要であろう、私はそういうふうに考えてございます。

 そういった意味では、風力発電施設設置の関係につきましては、今回の検討の成果、それを踏まえながら、国立・国定公園の価値を損なわないように、存在価値とかあるいは使用価値も当然ございますし、あるいは将来世代に対する遺贈価値、そういった価値も持っている公園でございますので、そういう価値を損なわないように十分万全を期して考えていかなければいけない、このように考えておりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。

島田委員 時間になりました。

 最後に、里山里地の問題は国家戦略としても重要な問題だと考えておりますので、ぜひ、小池大臣を初め皆さん方の御努力を期待申し上げまして、終わらせていただきます。ありがとうございました。

小沢委員長 次に、田島一成君。

田島(一)委員 民主党の田島一成でございます。

 環境大臣の所信表明でも、国内の毒ガス弾の調査について関係省庁と連携を踏まえて推進するという決意のほど、お伺いをいたしましたので、私の方からは、昨年の十一月二十八日にまとめて出されました「昭和四十八年の「旧軍毒ガス弾等の全国調査」フォローアップ調査報告書」をひもときながら、お尋ねをしたいと思います。

 本日は、内閣官房そして防衛庁の方からも参考人としてお越しいただいておりますので、関連する点については、あわせてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 そもそも、この旧日本軍の毒ガス弾、これは日本軍の遺物というふうにとらえておりますし、大臣も、記者会見の折ではやはり負の遺産だというとらえ方で発表されていらっしゃいます。この負の遺産と言われている毒ガス弾の調査その他もろもろが、なぜ防衛庁ではなくて環境省が調査することになったのか、まずその点からお答えをお願いします。

小池国務大臣 この毒ガスの問題でございますけれども、私はいまだに負の遺産だと思っておりますし、それ以外何があるんだというぐらいの気持ちでおります。

 この対応については、今御指摘がございましたけれども、どのような枠組みでどのようにして進めているのか、多分防衛庁がもっと責任を持てという御趣旨ではなかろうかと思いますけれども、今現実に起こっていることは、環境への汚染ということによる住民への被害がどのように起こるのか、もしくは、それに対してどのような対策を練っていくのか、講じていくのかということでございまして、内閣一体となって取り組んでいくということでございますけれども、毒ガス弾等によります環境汚染による被害の未然防止という観点からも、今後とも、毒ガスに関しましての情報収集、環境調査、この役割をしっかりと担いたいと考えております。

田島(一)委員 もっともな御答弁ではありますけれども、本来、この毒ガス弾という内容からしましても、ではどこに埋まっているのか、どこに投棄されたのかという情報だとかは環境省はほとんど自前の資料というものを持っていないわけですよね。防衛庁しか持っていない。

 そういう責任だとかということを考えますと、確かにおっしゃったように、環境汚染による被害を未然に防止していくという観点ではありますが、それだったら、ほかでも起こっている数多くのこの事案すべて、では環境省でやるんですかといったら、そうではない。その辺のことを考えると、分担し合っている根拠というのがなかなか皆さんにはしっかり伝わってきていないような考えをするわけなんです。

 そもそも、毒ガス弾が出てきたというこの事件が発生した折、防衛庁の方としてはどのような認識を持って対応しようとお考えになられたのか、それをお答えいただけますか。

北原政府参考人 田島先生に御答弁申し上げます。

 先ほど小池大臣からもお話がございましたように、この毒ガス等におきましては、本当に負の遺産だと防衛庁といたしましても強く認識をしております。そして、この問題につきましては、先ほど大臣も御答弁されましたが、政府一体となって対応していくといった方針で取り組んできております。

 これを受けまして、私ども防衛庁におきましても、先ほど先生御指摘の四十八年のフォローアップ調査等につきましては、我々として最大限の努力をするといった観点から、資料等の提供に努めてまいりました。また、これからも、私どもといたしましては、今申しましたような関連する資料ですとかあるいは情報、これを入手いたしました際には、環境省等へ、また関係自治体等を含めまして、適切に提供してまいりたいと思っております。

 さらに、先生御指摘のように、私どもいろいろな知見がございます。したがいまして、今後毒ガス弾などが発見されました場合等につきましては、環境省が警察庁それから消防庁と連携しつつ行います掘削、運搬、保管、処理等に、防衛庁といたしましてもこれは積極的に協力をしていくといった姿勢で対処してまいりたいと思っております。

 いずれにいたしましても、先ほど来大臣が御答弁されておりますように、政府一体となって取り組んでいく、そうした中で防衛庁といたしましても最大限の努力をしてまいりたい、そのように考えております。

田島(一)委員 ありがとうございます。

 今回のフォローアップ調査に使われた最も重要な資料というのが、実は、この中に百三十八の事案があるんですけれども、その中の四十七の調査の資料として引用されているのが、防衛庁が提供された化学室担当ノートという資料であります。

 これを見ますと、私の手元にあるのは部分部分墨で塗られていて、どこで発見されたのかというような細かい部分が余りオープンにされていないんですけれども、この資料、一体だれが作成をされたのか、そしてこれがつくられた時期はいつなのか、書かれた時期ですね。そして、さらにこれのもととなっている資料というものがそれぞれ上がっているかと思うんですけれども、その原本は一体何なのか、このあたりについて、防衛庁、お願いできますか。

北原政府参考人 御答弁申し上げます。

 ただいま田島先生御指摘の資料でございますが、「化学室担当者ノート「戦後における旧軍毒ガス弾等の処理の状況」」というタイトルになっておりますが、これにつきましては、私どもの防衛庁の陸上幕僚監部化学室の毒ガス弾等に係ります歴代の担当者が、自分の参考とするために過去の処理状況を整理してきたものを、平成十四年の六月に当時の担当者が改めて整理いたしました文書でございます。したがいまして、この資料は、十四年の六月に整理した資料でございます。

 この資料につきましては、先ほど先生御指摘のように、自衛隊によります過去の毒ガス弾等の処理状況が記載されております。しかしながら、先ほど原本という御指摘がございましたけれども、文書の中で指摘しております、書かれております多くの処理事案につきましては、実はその多くが現時点ではその裏づけとなります資料が既に廃棄されておりまして、まことに残念なんでございますが、防衛庁といたしまして事実関係を改めて確認することは極めて困難な状況になっております。

 私どもといたしましては、この資料というのはそういった限界なり性格があるといったことを十分認識しておりました。おりましたが、御承知のように、先生御指摘の昭和四十八年のフォローアップ調査ということにつきましては、私どもといたしまして、こういった限界はありますけれども、私たちが持っている、保有しているこの毒ガス弾等に関する情報を広範に提供する、そしてできる限りフォローアップに協力をするといった観点から環境省に提供をさせていただいたものでございます。

田島(一)委員 全くないというふうに言われてしまうと、それでも出せとはなかなか言いにくい、そんな状況でありますけれども、本当にないのかどうなのかというのは、もう防衛庁しか知らないことですよね。その辺、本当にないのかどうかというのは、環境省の方からも請求をされたのかどうか、それだけお答えいただけますか。

小池国務大臣 この旧軍によります毒ガス弾からの環境影響に対して、私ども必要と思われる資料、必要な資料の提供は受けておりますし、また、今後とも新たな資料が必要だということであるならば、防衛庁のみならず関係の省庁にその提供を求めてまいりたいと考えております。

田島(一)委員 私の方で調べただけでもまだまだ随分参考になるべき資料というのがありまして、実はせんだって、主に七つだけなんですけれども、防衛庁の防衛研究所の図書館で所蔵していらっしゃいます化学兵器、化学戦関係のリストをお渡しさせていただいたかと思います。この辺、このフォローアップ調査の報告書の方には参考文献として引用されていないんですけれども、こういった資料について、これから環境省の方は調べる資料として使っていきたいとお考えなのか。また、防衛庁に対して、その内容については開示をされるつもりがあるのかどうか。環境省と防衛庁、それぞれにお答えをお願いします。

滝澤政府参考人 ただいま御指摘の資料についてでございますが、防衛庁よりこの調査の一環という意味では提供を受けておりません。しかしながら、国内におきます毒ガス弾等の被害の未然防止の観点から、今後必要に応じまして、防衛庁の協力を得て、入手可能であればその入手に努めてまいりたいと考えております。

北原政府参考人 初めに、私どもの基本的な姿勢と申しますか、御承知のように、防衛研究所におきましては、戦史に関する調査研究という所掌事務がございます。それに資するために、明治期以降の旧陸海軍の公文書類等の戦史資料を約十一万六千件ほど保管をいたしております。そして、そうした中で整理されたものにつきましては、一般の国民の皆様方の便宜を図るといった観点から、プライバシーに配慮をした上でこれは原則公開ということで今日に至っております。

 いずれにいたしましても、私どもといたしましても、過去の大戦の史実を明らかにしていくということは、防衛研究所を含む防衛庁といたしましても重要な任務の一つと認識をいたしております。したがいまして、今後とも、化学兵器ですとかあるいはそういった資料等につきまして、私どもといたしましては、戦史資料の公開に鋭意努め、過去の史実の解明に貢献をしてまいりたいと思っております。

 これが基本的な考え方でございますが、そして、先生先ほどおっしゃいました七件の資料でございます。

 私どもが先生から御指摘をいただいた七件のうち四件につきましては、既にこれは公開のための部内の審査を終えまして、既に現在防衛研究所の図書館で公開がされております。それから二件、残りの三件のうちの二件でございますが、二件につきましては、今まだ公開をするための審査を部内で終了しておりませんので、これは現在非公開扱いになっております。それから、残りの一件でございますが、これは公開のための審査を既に終了いたしております。ただ、この文書が、戦史資料として活用するために防衛庁から旧軍関係の方に執筆を委託したものでございまして、その相手方の方に公開の許可について今お伺いをとっているところでございまして、現在進行形でございますが、現時点では非公開の扱いになっております。

 いずれにいたしましても、今の残りの二件並びに一件を含めまして、私どもといたしましては引き続き鋭意公開審査を進めてまいりたいと思っておりますし、先ほど環境省の方から御答弁ございましたように、必要に応じまして適切に防衛庁として対応をし、協力をしてまいりたい、そのように考えております。

田島(一)委員 ありがとうございます。

 急に、やはりこうやって質問の話になってくると動きが早いんだなということもついつい感じるんですけれども、現在審査されている二件というのを、資料の表題だけ教えてください。そして、いつごろに公開されるのか、お示しいただけませんでしょうか。

北原政府参考人 七件のうち今非公開の、公開審査を終了しておらず非公開の扱いになっておりますのは、そのうちの一つが、「歩兵第二百二十四聯隊冬期山西粛正作戦戦闘詳報」というのが一件、それからもう一つは、「化学兵器と国際法」というものがあります。その二件でございます。

 なお、ちなみに、先ほど申しました、公開の審査を終了いたしまして執筆等を依頼した相手方の方に公開の許可のお伺いをいただいておるものは、「化学兵器に関する回想」といった資料でございます。

 以上でございます。

田島(一)委員 ありがとうございます。ぜひ鋭意早急に進めていただきたいというふうに思います。

 実は、この神栖の事案と陸軍との関係というものをまとめた資料がないだろうかとちょっと探しましたところ、防衛庁防衛研修所の戦史室がまとめて昭和四十六年の十一月三十日に発行された「本土決戦準備1 關東の防衛」という本がございます。

 こちらの方、ついせんだって手に入れたんですけれども、この五百二十四ページの中に、この当時かかれている独立混成第百十五旅団の配備図というのがしっかりかかれているんですね。これが手に入れば、神栖のいわゆる毒ガス、ボーリング調査とか随分頑張っていただいていますけれども、かなりわかるんじゃないかというふうに思ったんですけれども、この資料、環境省は防衛庁の方に開示というのを要請されていますでしょうか。

滝澤政府参考人 御指摘の資料につきましては、環境省といたしましては開示の手続はいたしておりません。手元にもございません。

田島(一)委員 では、防衛庁は開示を求められたら、この「本土決戦準備」の冊子、提供されるんですか。

北原政府参考人 ちょっと今の書物につきましては、突然の御指摘でございますので、まずそういったものが存在するかどうか等を確認させていただきたいと思っています。

 いずれにいたしましても、私どもといたしましては、先ほど来御答弁申し上げておりますように、環境省の御要請等あれば、これに積極的に協力をしていく、そういった基本的なスタンスは変わりません。いずれにしてもちょっと確認をさせていただきます。

田島(一)委員 そういう資料が、私のような素人のような者ですら、探せば出てくる。にもかかわらず、防衛庁は出していないという資料がたくさんあるんですよ。

 例えば、このフォローアップ調査報告書九十二ページ、九十三ページに「神栖町の事案」というのが載っているんですよ。この中を見ると、先ほど申し上げた独立混成第百十五旅団、これは実はミスプリで百五旅団というふうになっているので、直しておいた方がいいと思うんですけれども、百十五旅団のことが出てきています。ということは、やはり百十五旅団の話が必ずここのかぎを握っているということがわかるんですよ。

 そうしたら、百十五旅団に関しての記載についての資料というのを防衛庁は速やかに出さなきゃいけないと思うんですけれども、なぜそれができないのか。確かに、今おっしゃったように、十一万六千件の資料がありますでしょう。多分それを整理するのは大変な作業だと思うんですね。ですけれども、地域にお住まいの方々というのは、恐怖と苦しみに、皆さん、日々おののいていらっしゃるんですよ。そういう状況を考えたら、徹夜してでもこういう資料を探し出して、特定場所を探し出すことが一番大切な協力事案ではないでしょうか。どうお考えですか、防衛庁。

北原政府参考人 今先生から御指摘いただいた点等も踏まえまして、今後とも適切に対応してまいりたい、そのように考えております。

田島(一)委員 言葉というのは非常に難しいもので、適切と言われると、すべて出していただけるのかというふうに解釈したいと思うんですけれども、十一万からある資料ですけれども、それぞれやっていかないと、今回本当に苦労して短期間でこのフォローアップ調査報告書を環境省がまとめてくださいましたけれども、まだまだ足りないことがいっぱいあると思うんです。

 環境省として、今後、このフォローアップ調査報告書、私が指摘したようなまだまだ足りない部分、たくさんあると思いますし、それ以外にでも、例えば木崎の部隊というのがここに出てきています。報告書の中にも東部三十八部隊という陸軍の部隊名が挙がってきています。そうしたら、例えば、防衛庁ももちろんですけれども、厚労省だとかの協力を得てヒアリングを今のうちにしていかないと、どんどん生き証人はお年をとっていかれる。もうこの世の方ではなくなってしまうという事実があるんですよ。

 本当に急がなきゃならないし、この報告書、大変御苦労されましたけれども、さらにこれをブラッシュアップして、第二弾のフォローアップ調査報告書を出さなきゃならないと私は感じますが、大臣、いかがお考えでしょう。

小池国務大臣 今回のフォローアップの調査の後も情報収集を行っておりまして、毒ガス情報センターを環境省内に設置したところでございます。百三十八件にまとめる前は約五百件、いろいろと情報をお寄せいただいて、それを精査して、そしてランクづけしてA、B、C、Dに分けたというのが、昨年の暮れの半ばの段階。それから、新たに五件。なお、環境省職員は、それぞれ個別事案に係る情報を集めようということで、十九事案についても現地調査を行っております。

 また、今のさまざまな御指摘などもございますが、関係省庁連絡会議というのが設けられてあります。ここがまさにそれぞれの担当を分担し、かつ情報を一元化するという場でございますので、この場を利用して、環境省からも、この毒ガスに関係した情報を、さらに一層、資料、情報、各省が持っている情報などをお出しいただいて、情報を共有し、かつ政府一丸となって取り組んでまいりたいと考えております。

田島(一)委員 もっともっと時間があればお聞きしたいことが本当にたくさんあるんですけれども、環境省の方が国内に遺棄された化学兵器等による被害の未然防止に関する法律案を策定する方針というふうに伝えられているわけなんですけれども、どういうふうな検討が進められているのか。そして、今回のこのフォローアップ調査の結果を踏まえての立法のおつもりなのか。その辺についてお願いいたします。

小池国務大臣 全国調査を行わせていただきまして、フォローアップ調査をさせていただきました。また閣議決定もいたしておりますけれども、法案にするかどうかはまた別の話でございます。

 新たな対応が必要となった習志野の事案を含めて、実際に取り組みを実施する中で、法案化する必要があるのか、これも含めて今後検討してまいりたいと思っております。

田島(一)委員 環境省だけで抱える課題ではない、非常に大きな課題だということで、当然、関係省庁との連携ということをいつも前置きに大臣もおっしゃってくださったわけなんですけれども、同じ旧軍の毒ガス問題であるにもかかわらず、先ほどから、資料を開示した、していない、要求をした、していないというやりとりからおわかりいただけるように、それぞれの役割を分担し合っている関係省庁というものが、同じ政府というレベルで見ても、足並みがしっかりそろっていないということが皆さんにもおわかりいただけたんじゃないかというふうに思います。

 神栖事件の解明のためにも、それこそ内閣が主体的になって、防衛庁に対しての資料提出はもっと強力に求めていく、そして徹底した事実解明を進めていく、どこに埋まっているのか、それを早く探り当てる、そういったことを進めていかないと、これは本当に、環境省に任せていたら任せ切りみたいな、非常に無責任な感じを私は印象として受けておるんですけれども、内閣参事官、ぜひお答えいただけませんでしょうか。

森本政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の閣議決定では、毒ガス弾等による被害の未然防止という観点から、今後講ずべき施策、それから各省の事務分担、それからもう一つは、各省庁の連携体制というものを明らかにして、国内における毒ガス弾等の問題に迅速に対応する、政府一体として対応するということを目指したものでございます。

 今後は、閣議決定に基づき内閣官房に設置しました関係省庁連絡会議、これを活用するなどしまして、関係省庁十分に連携し、毒ガス弾等による被害の未然防止策を政府一体としてやっていきたいと思っております。閣議決定いたしまして、直ちにこの連絡会議を開き、また、その下に幹事会を開いて、機動的に対応しております。引き続きごらんいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

田島(一)委員 非常にきれいな言葉を並べていただいたんですけれども、環境省で、ではどれだけの職員の数でこの資料整理であるとかフォローアップの取りまとめであるとかをやってきたか御存じですか。本当に数少ない手で苦労されている。そして、資料出せと言われても、まだまだまとめられないといって、そういういわゆる人的なエネルギーがないというようなことからいってきて、環境省も多分随分迷惑されているんじゃないか、ねえ大臣、私、そんなふうに思うんです。

 実際に環境省に振られた経緯であるとか、それぞれの事情があったとは思うんですけれども、内閣としてもう少しど真剣にこれを考えていかないと、これは後でどんどん大変な課題になっていきますよ。掘り出して見つかれば対応する、これではだめなんですよね。しっかりとした史実に基づいて特定し、それに対して事前に対応していく、これが先ほど大臣もおっしゃった未然防止だと思うんです。

 もう一度、内閣、しっかりとした、そんなきれいな言葉じゃなくて結構ですよ、本当にその辺の思いを、では会議を毎週やっていらっしゃるのか、それに対しての報告が出てきたらどういうふうに対応しようと考えているのか、もう少し心のある答弁をお願いします。

森本政府参考人 御答弁申し上げます。

 今回の調査は、茨城県神栖町で生じた地下水汚染ということがいわばきっかけになりまして、そして、内閣官房とそれから環境省と一体となりまして調査の準備を進めてまいりました。実際、環境省で職員が非常に苦労して情報を収集し、それに関係省庁が協力して情報を提供してきたことは、常に私どもも一緒になってやってきたつもりでございます。

 閣議決定を踏まえまして、これから関係省庁連絡会議、それからその下にあります幹事会というのを機動的に開きましてやりたいと思います。具体的には、実際の調査の方法であるとか協力の関係であるとか、そういうものを連絡会議の場で十分議論をして進めていきたいというふうに考えております。

田島(一)委員 もう最後になりました。

 先ほども申し上げたように、やはり本当の連携というものを試される事案ではないかと私は思います。何度も申し上げましたけれども、環境省においては、徹底した事実解明に基づいて資料をひもといていく、なければ防衛庁に尋ねて、防衛庁はしっかりそれを受けて、その資料を速やかに開示する、これがこの神栖事件に端を発した旧日本軍の毒ガスの課題を解決する一番の近道ではないかと思います。

 私たち思いますに、国民の命よりとうとい秘密の情報というのは決してないはずだと思っております。それだけに、そのことを十分に肝に銘じていただいて、本当に言葉だけではない、関係省庁の心ある連携を深めていただき、事実解明に向けて一生懸命頑張っていただきたいと思います。

 これで質問を終わります。ありがとうございました。

小沢委員長 次に、石田祝稔君。

石田(祝)委員 公明党の石田祝稔です。環境大臣並びに政府参考人の方にも御質問を申し上げたいと思います。

 私は、まず、先日の環境大臣の所信表明の中から、何点か大事な基本的な点をお伺いいたしたいと思います。

 一々に大変重要なことばかりでありますけれども、まず、環境省がこれから多分直面するであろう環境と経済という問題ですね。大体、今までの考え方でいきますと、例えば環境とか福祉とか、こういうことは、ある意味でいえば経済に対するマイナスというふうな形でとらえられておりましたけれども、ここで大臣が、環境と経済というのは両立するものだ、そういうふうにしていかなきゃいけない、こういうふうなお考えを述べられております。いま一度、この所信に述べられているよりもう一段、大臣の思いを率直に、理念というんでしょうか、環境と経済を統合していく、このことについてまず最初にお伺いしたいと思います。

小池国務大臣 おっしゃるとおり、所信におきまして、環境と経済の統合ということを挙げさせていただきました。これは、小泉総理から直接私に、このテーマをしっかりやってくださいということで仰せつかったテーマでもございます。

 私の理念ということでございますけれども、大臣になりましてから、さまざまな方々、企業関係者、NGOの方々、そして知事さんなどを初めとして自治体の方々にお会いいたしておりますと、もはや、我が国、そしてそれぞれの組織、団体が、環境ということをテーマにして、実際に、現実にもうさまざまな取り組みをされていて、ずっと、不良債権問題など、バブル経済崩壊後の日本が、さあどっちの方向でいくべきかといって悩んで縮こまっているような時期もございましたけれども、しかし、環境というのは一種のほの明かりといいましょうか、将来に向かって、日本が得意な例えば物づくり、それを、省エネであるとか、それから燃料電池車もそうでございます、先ほどから出ている新エネルギーの風力発電もしかりでございますし、最近の低公害車などハイブリッドも、今大幅に日本国内だけでなくて伸びている。

 ですから、このように環境に配慮した形で社会を進めていくことが経済を活性化させ、雇用を新たに生み出し、また新たな産業をつくっていく、こういう好循環に持っていくことが、今、二十一世紀は環境の世紀と言われる中で、そして資源がほとんどないと言われている日本が、かえってこの環境というテーマをばねにしてジャンプできる、そのきっかけになり得るのではないか、そういう思いで私はこれからも環境行政に取り組んでまいりたいと考えているところです。

石田(祝)委員 今、大臣の御答弁で、私は大臣の理念を語っていただきたかったんですけれども、冒頭に、小泉総理の指示があった、こういうお話だったので、ちょっと残念な気もいたします。これは、逆に、総理がだめだと言ったんだけれども私が入れましたというんだったらすごいことなんですけれども、ここで大臣の所信として述べられておりますので、小泉総理と考え方が同じだった、そして、環境と経済ということを両立させていかなきゃいけない、こういう理念だろうというふうにお伺いをいたしました。

 それで、大臣も個々の具体的なことにも若干触れられておりましたけれども、ぜひ副大臣、具体的な施策としてどのように考えていらっしゃるのか。やはりこれは、理念があっても、では現実の政策の段階でどういうふうに取り組まれていくのか、これがある程度ないと、本当に絵にかいたもちに終わってしまいますので、さっきの大臣の御答弁よりちょっと具体的な方に踏み込んで、副大臣の方から御答弁をいただければと思います。

加藤副大臣 お答え申し上げます。

 ただいま大臣からお話がありましたように、環境と経済の統合、これは極めて重要な視点でありますし、大きな環境省のテーマとして今後取り組んでいかなければいけない、そういうふうに考えてございますけれども、やはりそういった面における基盤整備を進めていくことが極めてこれから重要であると思います。

 それで、具体的に三点ほど申し上げたいわけでありますけれども、第一点は、地域における環境ビジネスの育成、振興、こういった育成、振興を通しまして、先ほど大臣からも若干お話がございましたように、雇用の確保あるいは地域の活性化を図る上でのいわゆる環境と経済の好循環、そういったための町づくりを進めていくことが極めて重要ではないか、そう思ってございます。

 二点目といたしましては、従来からこういった面についても非常に強い傾向が出始めてきているわけですけれども、環境に配慮した事業活動に自主的、積極的に取り組む事業者、これが非常に多くなってきているわけでありますけれども、社会や市場から高く評価されるようなそういう条件整備ということも、やはり環境省が中心になってやっていくことではなかろうか、そのように思います。

 また、三点目は、いわゆる選択的、集中的な環境技術開発の促進あるいは先進的な環境技術の普及、そういった面についてさらに積極的に取り組んで実施をしていかなければいけないな、このように考えているわけでございます。

 さらに、国民、企業、行政が、いわゆる環境と経済の好循環の実現に向けまして、これはもちろん一体的になってやっていくことが非常に効果がもたらされるわけでありますので、そういった取り組みに向けまして、例えば、そういった面でのわかりやすいビジョンの策定、提示、これを作成していくために、中央環境審議会で御議論をいただきながら取り組んでまいりたい、このように考えている次第でございますので、御理解をいただきたいと思います。

石田(祝)委員 これから、京都議定書等の問題も含めまして、環境と経済のせめぎ合いという場面が多分出てくるだろうと思います。環境を負荷としてとらえるとらえ方、国際競争力等どうしても足が引っ張られるんじゃないか、こういうふうな議論も必ずや私は出てくると思うんですね。

 ですから、環境と経済の統合というのは、言うはやすく、それを実現していくのは私はなかなか難しいんじゃないかと。これは、環境と経済というよりも、社会の考え方そのもの、ここをパラダイムの転換をしていかないとなかなか難しいんじゃないか。ですから、これは、これからの我々のこの環境委員会での議論も通して、しっかりとそのあたりも大きくアピールしていかなきゃいけない、こう思っております。

 それで、つい先日、内閣府が発表した森林と生活に関する世論調査、こういうのがありまして、これは森林整備という観点からでありますけれども、地球温暖化防止に向けては、国民全体がこれは負担をしていかなきゃいけない、こういうお答えが四〇・五%でトップであった。これは、排出者責任とかそういうことを超えて、やはり国民全体としてこれを支えていかなきゃいけない、こういう機運というんでしょうか、考え方がだんだんと醸成はされてきていると私は思います。

 それで、大臣の所信の中にも、温暖化対策税という書き方をされておりますけれども、「温暖化対策税の導入が必要とされた場合」云々、「理解を深めてまいります。」こういうくだりがあるんです。これについて、多分ことし、また来年に向けて税制改正等で、温暖化対策税、このことが大きなテーマになってくるだろうと私は思いますけれども、大臣として具体的にどのようなことを取り組みでお考えになっているのか、お答えをお願いしたいと思います。

小池国務大臣 今委員の御質問の中にありましたように、これは対策全体の評価、見直しのその流れの中でどうしても必要だという、導入が必要とされた場合に備えて考えているものでございます。これまでも既に、温暖化対策税を環境大臣と語る集いなんてすごくわかりやすいタイトルでございますけれども、昨年十二月に大阪で開催をするなど、既に五十カ所以上でさまざまな御協力を得て、温暖化対策税について説明をして回っているところでございます。

 こういった形で、やはり税というのを一番、特に新しい税を導入するなどというのはこれはみんな大喜びするわけでもございませんし、今お話ありましたように、むしろそれが負荷となって国際競争力をそいでしまっては困るという経済界のお話も耳に届いております。しかしながら、今、国のパラダイムを変える、それも広く皆さんに御理解をいただいて大きく船のかじ取りをしていくという点では、この対策税について、地球温暖化対策税というのは極めてパワフルであり、かつ効果的だ。それだけに、いろいろな皆様方の御理解、御協力をいただかなければならないということで、これからも全国行脚をしつつ、また、議論を巻き起こすような形でいろいろとPRもしてまいりたいと考えております。

石田(祝)委員 ぜひ頑張っていただきたいと思うんですけれども、私の地元の高知県なんかも、条例で水源対策税、こういう形で、相当な議論もあったようでありますけれども、やってみますと、特にその後、対策税に関してどうしてもやめてほしいとか、そういうお声は上がってまいりません。だんだんと、これは山の方にしっかりとお金を入れていこうということもあるんですけれども、やはり自分たちが全体で環境というものを守っていかなきゃいけない、これは私は間違いなく醸成はされてきていると思います。

 しかし、税という形になりますと、どうしても痛税感、痛みも伴うわけですから、これは環境省が、そういう国民全体が理解が深まったらという前提で準備をするということじゃなくて、なぜ必要なのかということについても若干踏み込んで考えていかなきゃいけないんじゃないか、こういうふうに私は考えております。

 ですから、この点につきまして、大臣がいろいろと取り組みをこれからしていく、こういうことでありますので、ぜひこれは御検討をいただきたいというふうに思います。この問題は大事な問題ですから、また機会を改めましてしっかりと議論もさせていただきたいというふうに思っております。

 ちょっと個々の問題についてお伺いをしたいんですけれども、農水省、来ていただいておりますでしょうか。

 セイヨウオオマルハナバチというハチがおりますけれども、この利用状況について御説明いただけますか。

染政府参考人 セイヨウオオマルハナバチの利用状況について申し上げます。

 セイヨウオオマルハナバチは、約二千七百ヘクタールの野菜施設におきましてトマトなどの授粉作業に利用されまして、生産現場において労力の軽減やホルモン剤の代替などに大きな役割を果たしております。

 特に、トマトの施設栽培約八千ヘクタールにおいては、その約三割の二千六百ヘクタールでセイヨウオオマルハナバチが利用されており、農業の利用上極めて重要な位置づけとなっております。

石田(祝)委員 これは、全国のお話もしていただきましたけれども、時間の関係で地元から資料を取り寄せたんですけれども、やはりここでも、トマト類で六五・三%がこのハチを利用して授粉をしている、こういう状況であります。

 それで、最近、特定外来生物ということの被害を防止しようという法案が今国会にかけられるというふうにお聞きもいたしておりますけれども、このセイヨウオオマルハナバチ、在来種との競合とかその影響についてはどのようにとらえられておりますか。

小野寺政府参考人 外来種の対策について、昨年秋に中央環境審議会が答申を出されたところであります。

 その中で、セイヨウオオマルハナバチについては、栽培施設から逃げ出して野外に定着することにより、一つは、在来のマルハナバチとえさや巣をつくる場所をめぐり競合すること、二つ目、みつを吸うために花の外側を食い破り、これによって植物の受粉を妨げ、野生植物の繁殖に影響を与えることなどの生態系への影響が指摘されているところであります。

石田(祝)委員 これは、在来種との交雑ということは心配がありますか。

小野寺政府参考人 理論的にはあり得ると思いますが、今のところ、野外で交雑したということは報告されておりません。

石田(祝)委員 これは、今後の対応についてもお伺いをしたいんですけれども、これから法案の審査があって、その後、どういうものを特定外来生物と指定されるかというのはこれからだろうと思うんですけれども、現在の状況について、これはもう入れる方向で決まっているのかどうなのか、お答えをお願いします。

加藤副大臣 今後の対応の関係でございますが、我が国の生物多様性に与えるおそれのある外来種につきましては、その利用に関して、野外に出ることによる生態系への被害、これはやはり懸念が考えられますから、適切な取り扱いを行うことが必要と認識しているわけでございます。

 こういった外来種の対策の措置につきましては、中央環境審議会の答申を踏まえまして現在法案を準備していることにつきましては、委員の指摘があったところでございます。

 委員御指摘のこのセイヨウオオマルハナバチにつきましては、実際どのような被害を与えているか、あるいはどのような利用が行われているかにつきまして、今後、十分情報を収集いたした上で、関係者や関係府省の意見も踏まえまして、その適切な取り扱いについて検討してまいりたい。

 私は北海道出身でございますが、日高地方でもこのセイヨウ云々が見つかったという話もございますし、さまざまな生態系に対する影響を考えてみますと懸念材料であるな、そういうことは私も十分理解しているつもりでございます。

石田(祝)委員 これはこれから御検討いただくということになると思いますけれども、現実にこのハチを利用してトマト農家が授粉等をやっている、約三分の二のところがやっているという、私の県もそうなんですけれども、そういうところも一つは踏まえていただいて、これは御検討をぜひお願いをしたいと思っております。

 それから、最後になりますけれども、環境の問題でもう一つ、健全な水環境・水循環に資する浄化槽の整備の促進、こういう中で、浄化槽市町村整備推進事業の推進体制強化、事業拡大、こういうことを述べられておりますけれども、具体的にはどういうふうにされるんでしょうか。

 それと、ちょっと時間がないのでもう一つ言いますけれども、具体的な財政措置、これについて、総務省の事業債も含めて御答弁いただきたいと思います。

南川政府参考人 御答弁申し上げます。

 市町村型の合併浄化槽、この普及が極めて重要だと考えております。特に、これから比較的田舎の部分が整備が必要でございます。

 そういう意味で、来年度予算案におきまして計上している額につきましては、まず浄化槽全体が二一%増の二百六十四億円、その中で、御指摘の市町村が整備を行います浄化槽市町村整備推進事業につきましては、六四%増の百七億円というものを計上しております。また、それ以外に、市町村の整備の推進、促進ということから、計画の策定費につきましてもその内訳に入れておるところでございます。

山口政府参考人 お答えを申し上げます。

 お尋ねの浄化槽につきましては、人口が散在している地域における汚水処理を効率的に進める上で有効な手段であると認識をいたしております。

 このため、市町村が事業主体となって行う浄化槽整備事業に対しまして、環境省の補助事業及び市町村単独事業を含め、事業が円滑に推進されますように、当該市町村負担に対して起債措置を行い、その元利償還の一部について交付税措置を行っているところでございます。

石田(祝)委員 それで、答弁でもうちょっと詳しくいただきたかったのは、それぞれ地域で下水道の整備計画がありますよね、本下水と言われているもの、農業集落排水事業、それから浄化槽。これが、大体それぞれ計画はあるんですけれども、それは、今の計画を前提にお考えなんですか、それとも、ちょっと考え方を変えて線引きを見直すとかいうことはどうなんでしょうか。

南川政府参考人 失礼いたしました。

 まず、全体の、都道府県ごとに都道府県構想というものをつくっていただいております。その中で、浄化槽、下水道あるいは農集排水、そういった施設につきまして、特徴、地域の状況を踏まえた整備の計画がつくられております。

 現在、これにつきましては、新たな状況を踏まえて、関係省とともに、地方公共団体に対しまして、全体の見直しをお願いしているところでございます。逐次進めてまいりたいと考えております。

石田(祝)委員 終わります。ありがとうございました。

小沢委員長 次に、高木美智代さん。

高木(美)委員 公明党の高木美智代でございます。

 昨年初当選をし、環境委員会に所属をさせていただきました。地球環境を守るという大きなテーマに対しまして、すべての変革は足元からとの思いで取り組んでいく決意でございます。

 まず、けさの新聞で、昨日環境省が発表しました二〇〇一年度の一般・産業廃棄物の排出・処理状況をまとめました結果が出ておりました。ごみのリサイクル率は〇・七ポイントふえて一五%に、また、産業廃棄物は〇・四ポイントふえて四五・八%となりまして、リサイクルが進んでいるという報告でございました。この年に循環型社会形成推進基本法が施行となりましたので、現在はさらに進んでいるかと思われます。

 この発表につきまして、まず御説明をお願いいたします。

南川政府参考人 お答え申し上げます。

 十三年度の一般廃棄物並びに産業廃棄物の排出状況等につきましては、実は、昨日、取りまとめて発表したところでございます。

 ポイントだけ申し上げます。まず、ごみの総排出量でございますけれども、一般廃棄物が五千二百十万トンで、ほぼ横ばいでございます。ただ、全体としまして、再生利用率、これについては一五%ということで増加しておりまして、例えば、平成二年度は五・三%だったわけでございますが、それが、循環法等の制定を経まして、現在、一五%に至ったということでございます。

 それから、産業廃棄物でございますが、これにつきましては、約四億トンということで、一年前に比べまして一・四%の減少ということで、減少を示しております。その中で、再生利用につきましては四五・八%ということでございます。平成二年度が三八%でございますので、八%程度増加をしておるということでございます。

 引き続き、再生利用を伸ばし、かつ埋め立てが減るような形に施策を進めていきたいと考えております。

高木(美)委員 ありがとうございました。

 先ほど、大臣より、所信表明を踏まえまして、環境と経済の統合につきましてお話がございました。経済を活性化させ、新たな雇用をつくっていく、むしろ、環境の分野につきまして、これが日本のばねとなってジャンプできるのではないか、このお話につきまして、私も全く同意でございます。

 先日、食品リサイクルの工場を見る機会がありまして、そこでは、学校給食また病院からの残渣を受け入れておりました。においもなく、防音もよく配慮されておりまして、大変きれいな、清潔な印象を持ちました。

 ということで、本日は、食品リサイクル法に関連する質問を行いたいと思っております。

 まず、この食品リサイクル法につきましては、平成十二年に制定をされまして現在に至っているわけでございますが、環境省としては、循環型社会の構築というこうした目標のもとで、食品リサイクル法をどのような役割を持つものと位置づけ、認識をしていらっしゃるのでしょうか。大臣にお伺いいたします。

小池国務大臣 先ほども、同僚の石田議員のパラダイムシフトをせよというお言葉にもありましたが、これまでの大量生産、大量消費、大量廃棄の高度成長型から、スリーR、リデュース、リユースそしてリサイクルのスリーRの循環型社会に変えていくというのは、まさにパラダイムシフトそのものではないかと考えております。

 その中で、食品リサイクル法でございますけれども、十三年の五月に施行、そして平成十二年の六月に制定されたものでございますが、循環型社会形成推進基本法という大きいのがだっとあって、その中で、基本原則それから国、事業者、国民などそれぞれの責務を定めている。そして、その次のアンブレラのところに、個別のリサイクル法でこの食品リサイクル法が来るわけでございます。

 リデュース、リサイクル、リユース、ここも、食品の廃棄物も同じことでございまして、再生利用、廃棄物の発生抑制などを目的といたしまして、そして、消費者、御家庭のそれぞれの奥様方もそうなるわけでございますけれども、食品関連事業者など、さまざまな主体の参加を求める仕組みであり、また、循環型社会を構築する上では大変重要な役割を担っている法律と考えております。

高木(美)委員 私は、この食品リサイクル法の制定を伺いましたときに、事業者にまで責任を課している、大変画期的な法であるとうれしい思いでいっぱいでございました。

 食品リサイクル法では、その基本方針におきまして、「食品循環資源の再生利用等を実施すべき量に関する目標」としまして、食品循環資源の再生利用等の実施率を平成十八年度までに二〇%にすると定めております。食品関連事業者といいましても、規模や事業形態やさまざまなことが考えられますが、政府としては、各事業者ごとの二〇%目標というこの達成状況、これをしっかりフォローアップされているのでしょうか。また、現在の達成状況につきましてお伺いいたします。

南川政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、リサイクルということですが、再生利用等ということで二〇%を定義しておりまして、それは、再生利用そのものに加えまして、減量化あるいは発生抑制、そういった努力も加味しております。

 それで見ますと、製造関係、食品製造業ですと、その再生利用等の実施率が六六%ということで、二割を相当超えて達成しております。それで、食品の卸売業が三六%、食品小売業が二五%ということでございます。ただ、残念なことに、外食産業につきましては、現在一二%ということでございまして、非常に低い率になっております。

 こういった実態を踏まえて、何らかの見直しということは必要性があると感じておりまして、現在、勉強いたしているところでございます。

高木(美)委員 今お話ありました、例えば製造業六六%といいますのは、食品関連事業者の中で六六%の事業者が既に達成している、こうした意味でしょうか。

南川政府参考人 これは、全体の量でございます。量でございますので業者の数ではございません。説明が足りなくて恐縮ですが、二〇%といいますのはあくまで量の目標でございますので、今の数字はすべてトータル量でございます。

高木(美)委員 それでは、そのトータルの量はどのくらいの数字になるのでしょうか。お願いいたします。

田中政府参考人 ただいま局長の方から御説明がありました数字は、農林水産省が実施しております食品循環資源の再利用等の実態調査というものでございまして、その十四年度分の結果が昨年の末に集計されたものを御報告いたしました。

 全体で四〇%の再利用実施率ですけれども、先ほどの調査自身は約二千五百の事業所に行ったサンプル調査でございまして、それから割り戻して計算しておりますが、年間の発生量トータルが千百三十一万トンの発生量、そのうち、先ほど六六%と申しました食品製造業の再生利用率のもとになっております年間の発生量は四百八十三万トンでございます。

高木(美)委員 恐れ入ります。いわゆる食品関連事業者、これは年間排出量百トン以上の事業者と伺っておりますが、これはトータルの数、一万六千業者と聞いておりますが、この数についてお願いいたします。

田中政府参考人 今、調査自身は、要するに、百トン以上というのは法的な責務のある業者を指しておるのでございますが、私どもの調査は、それにかかわらず、すべての零細な業者も含みましたものをサンプルベースとして行っております。もともとのサンプルベースは約百万社ほどあるかと思います。

高木(美)委員 そうしますと、二〇%にするというこれは、食品関連事業者のみならず全体のトータルの二〇%という解釈でよろしいのでしょうか。今の説明だとそういったことになるかと思いますが、お伺いいたします。

南川政府参考人 二割と申しますのは、その対象になる各社ごとに二割を目標にその達成を図るということでございます。

高木(美)委員 それでは、例えば食品関連事業者一万六千業者のうち何社が達成をされているか、その数というのはわかりますでしょうか。

南川政府参考人 現在、私どもが把握していますのは、主に農水省がサンプル的に集めた数字の分析でございます。したがって、全体的な数字についてはいまだ持ち合わせておりません。

高木(美)委員 それでは、大変恐れ入りますが、やはりこれは、そうした策定であれば、一万六千業者のうちどの会社ができて、どこの会社ができていないのかという厳しい、厳格な指導等必要ではないかと思いますが、その展望についてお伺いいたします。

南川政府参考人 いずれにしましても、十八年度にその達成をしたか否かが問われるわけでございます。これは各社ごとでございますので、私どももデータの収集に努めたいと思います。

高木(美)委員 私は、このように目標を明確にしまして施策を進めることはすばらしいことだと思っております。ただ、これが平成十八年度まであくまでもサンプリングで終わるということになりますと、例えばこの十八年度まで二〇%という目標、特に先ほど外食産業がまだ一二%というお話もございました。これがもし達成されなかった場合、将来見直される、こうしたことはあるのでしょうか。

南川政府参考人 達成状況につきましては、子細に点検した上で必要な検討をしたいと考えております。もちろん、見直しもあり得ると思っております。

高木(美)委員 こうした目標につきましては、やはり法に定めるということはそのまま国民との約束でございますので、恐らく、一番望ましいのは途中の情報公開、こうしたことがあってもいいのではないかと思います。ぜひ御検討をお願いいたします。

 それで、お伺いいたしますが、登録再生利用事業者でございます。これは全国に今何業者ぐらい登録をされたのでしょうか。

田中政府参考人 全国で三十八社ございます。

高木(美)委員 また、その基準につきましてもお伺いいたします。

田中政府参考人 法律の中では、主務大臣は申請の次の号に係る基準に適合しているときは、その登録をするということになっております。一つは、再生利用事業の内容が、生活環境の保全上支障のないものとして政令上定める基準に適合するものであること、二、前項四号に掲げる事項が、再生事業を効率的に実施するに足るものとして主務省令で認める基準に合致するものであること、また、当該申請をした者が、再生利用事業を適確かつ円滑に実施するのに十分な経理的基盤を有するものであること、以上でございます。

高木(美)委員 それは、文章に書いてございますので、私もよく承知をしております。

 例えば、どのくらいの処理ができる業者であるのか、そうした登録される基準、登録になる、認定になる基準、これについてお伺いをしているのですが、お願いいたします。

田中政府参考人 量については五トン以上ということでございます。

高木(美)委員 ありがとうございました。

 それで、話は変わりますが、食品リサイクルに関しまして、昨年、神奈川県の大手スーパーで生ごみ処理施設の爆発事故がございました。その事故につきましては、人通りの少ない時間に発生し、通行人への被害もなかったと聞いております。こうした事故が起こらないように対策を講じることも食品リサイクルを進める上で重要であると思います。また、こうしたことでリサイクルを後退させてはならないと思っております。

 環境省では、この件につきまして具体的にどのように対応されたのでしょうか。お伺いいたします。

南川政府参考人 イオンの大和のセンターにおきます爆発事故につきましては、現場を私ども調査いたしております。

 私どもが考えるところでは、処理槽の下部が過乾燥状態になりまして、つまり乾き過ぎた状態になりまして発火をし、不完全燃焼下で生じた一酸化炭素やメタンガスが爆発の原因となった可能性があるというふうに考えております。

 私ども、この結果を受けて、地方公共団体の関係部局を通じまして、業務用の生ごみ処理機の設置者に対しまして、温度管理の徹底などの周知徹底を図ったところでございます。

高木(美)委員 今、こうした生ごみ処理機につきましては、メーカーにより、機種また設置台数等、異なるようでございますが、まだ開発途上にあると言っても過言ではないかと思います。さまざまな工夫が必要ではないかと思います。

 そうした意味で、この設置台数また機種、これがどこにどのように設置をされているのか、それにつきましては把握をしていらっしゃるのでしょうか。お伺いいたします。

南川政府参考人 現在、調査中でございます。もうしばらく時間をいただきたいと思います。

高木(美)委員 それはいつまでに調査をお済ませになるおつもりでしょうか。

南川政府参考人 四月いっぱいでございます。

高木(美)委員 ありがとうございます。

 それで、食品残渣をリサイクルした結果、どのような製品がどのような分野で活用されているか。これはよく知られているところでございますが、肥料であるとか、飼料であるとか、またメタンガスの活用であるとかがございます。ただ、需要が十分でないと、できた製品が余りまして、不法投棄が生じるおそれがございます。

 現在、この供給と需要のバランス、これはどのようになっておりますでしょうか。また、そのために政府としてどのような対策を講じていらっしゃるか、お聞きいたします。

田中政府参考人 先ほどの調査によりますと、再生利用を実施されている率、総トン数に対して約四割、これを一〇〇にいたしますと、その九五%が肥料、飼料となってございます。

 先生御懸念の点は、例えば都市部などでそうしたものに再生利用したところで、肥料、飼料というのは農家がお使いになるものでございますからということではないかと思います。

 全体的に見れば、現在のところ、肥料、飼料が非常に余って投棄されるというような状況は生じておりません。しかし、先ほど御報告させていただきましたように、都市部にあります外食産業でありますとか食品小売業の再生率がまだ低うございますので、こうしたところでも、今のところは肥料、飼料という形での再生ということになってございます。

 こういったところでより多くの再生率を高めていくためには、肥料、飼料以外のものに転換していく、そのための技術開発等への支援を行っていかなければならない。また、外食産業などは御家庭と同じに食べ残し等の残滓が出て、なかなか再生が難しいということでございますので、もともと、まず第一に発生の抑制に努めるとともに、炭化その他減量についても新しい技術を開発していかなければならない、そのように考えてございます。

高木(美)委員 やはり食品リサイクルに当たりましては、全体でどのくらいの食品残渣があるのか、そしてまた、どれだけ処理をされているのか、また、それに伴ってどれだけの製品ができているのか、そしてまた、それがどのように確実に利用されているのか、こうした大枠を押さえていってこそ、初めて食品リサイクル、このように言えるのではないかと思っております。

 それで、話は変わりますけれども、私が視察をしました食品リサイクル施設でございますが、これを立ち上げる際に、法的な手続を進めていきますと、さまざまな規制があって大変苦労したということでございました。

 ということで、これは少し趣旨が変わっているかと思いますが、先ほど加藤副大臣が、やはり地域における環境ビジネスの育成、振興、また、こうした環境と経済の好循環との展望を述べておられました。

 副大臣に伺います。この具体的な副大臣の展望はいかがでしょうか。

加藤副大臣 この法律の関係でございますけれども、食品廃棄物の排出の抑制あるいは減量化及び再生利用、こういう三つの方法があるわけでありまして、食品廃棄物の削減を目的としておりますこの法律、この法律の中には、基本方針をつくらなければいけないというふうになっておりまして、そういった意味では、食品廃棄物の発生の抑制を第一に取り組むべきである、このように位置づけてございます。

 それで、食品廃棄物が出るところは、大きく言えば家庭あるいは事業所ということになるわけでありますけれども、当然のことながら、家庭から出ることについても排出抑制をしていかなければいけない。その基本方針の中におきましては、消費者が各家庭で取り組むべき手法あるいは普及啓発等国の役割を示しておるわけであります。

 消費者がどういうふうに排出削減をするかということについては、細かい話でございますけれども、使い過ぎをしないとか、買い過ぎをしないとか、あるいはつくり過ぎをして腐らせないとか、使うものについては賞味期限内に使って、後々捨てるようなことにならないように、そういった意味では、食の文化についても変えていく必要があるかもしれませんし、さらに大きいところでは、ライフスタイルを変える、そういった話にもつながっていくのではないかな、このように思います。

 それで、環境省といたしましては、毎年開催しているわけでございますけれども、ごみゼロ推進全国大会、こういった大会等を通しまして、食品廃棄物を含むごみの減量化に努めている、普及啓発を行っている、こういうことでございます。

 また、もう一点、事業所の関係についてでございますけれども、これもまた基本方針の中にきちっと記述してございまして、やはり食品関係事業者に対して、食品の製造工程の改善、それによります原材料のロス、こういった面についても削減を図っていかなければいけない、そういったことを通しながら、発生抑制に関する具体的な手法として取り組みの促進を図っていこうというふうになっているわけでございます。

 そういった基本方針にのっとりましてやってきた成果として、これは平成十四年度でございますけれども、食品産業界全体で四%の削減実績をもたらしているわけでございます。

 今後とも、こういった面について、環境省、鋭意努力をして、より一層削減がされていくようにやってまいりたい、このように考えております。

高木(美)委員 ありがとうございました。

 最後の質問になるかと思います。

 先ほど申し上げましたリサイクル施設、いわゆる環境ビジネスの一つでございますが、その業者いわく、要するに、法的な手続を進めながら施設を立ち上げる際に、さまざまな規制があって大変苦労したと。例えば、建築基準法では準工業地域に建設ができる、しかし、廃棄物処理法にすると工業地域にしかできないとしたこのような法の微妙な違いというのがございます。しかも、相談窓口の区役所の環境課職員がこうしたルールをほとんど知らず、頼りにならなかった、それどころか、建築が進むにつれまして、次々と厳しい規制を投げかけられた、こういうお話でございました。

 その企業は、東京の一つの区の学校給食の残渣を全部受託しておりまして、一日四・五トンの処理量です。決して大手とは言えません。しかし、これからこのような中小企業も参入できるようなシステムをぜひ整えていただきたいと思います。大企業だけではなくて、少しでも受け皿をふやしていくことも必要かと思います。そのためにどのような施策があるのか、融資も含めて、簡潔に、最後にお伺いしたいと思います。

南川政府参考人 お答え申し上げます。

 関係の法律がたくさんあるということでございます。私ども、できる範囲では努力したいと思っておりまして、食品リサイクル法の中で、一般廃棄物の収集運搬に関する許可につきましては特例を設けるなど、工夫はいたしております。ただ、おっしゃるとおり、現場になりますと、いろいろな障害があるということも聞いているところでございます。これにつきましては、私ども、各自治体からもヒアリングをいたしまして、必要なことについては是正がされるように、関係省庁とも相談をしていきたいと考えております。

 また、その他でございますが、助成につきましては、私ども主に考えておりますのは、廃棄物処理の観点からの技術支援、これは法人も研究者もございますけれども、そういったことについての支援を行っていきたいと考えております。

高木(美)委員 ありがとうございました。

 この法の施行につきましては、もう既に、主務大臣としましても、法の中で農水、環境等々六つの省庁にまたがっております。その意味では、それぞれが使い勝手が、地元の方たちが、また、こうした企業を立ち上げようという方たちが使いやすいような、そのような法の整備、また、こうした努力等をぜひお願いしたいと思っております。

 本日はありがとうございました。以上で質問を終了いたします。

小沢委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十八分散会


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