衆議院

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第4号 平成16年3月23日(火曜日)

会議録本文へ
平成十六年三月二十三日(火曜日)

    午前九時四十分開議

 出席委員

   委員長 小沢 鋭仁君

   理事 大野 松茂君 理事 桜井 郁三君

   理事 竹下  亘君 理事 西野あきら君

   理事 奥田  建君 理事 長浜 博行君

   理事 伴野  豊君 理事 石田 祝稔君

      宇野  治君    大前 繁雄君

      加藤 勝信君    菅原 一秀君

      鈴木 淳司君    砂田 圭佑君

      西村 康稔君    鳩山 邦夫君

      三ッ矢憲生君    三原 朝彦君

      望月 義夫君    近藤 昭一君

      鮫島 宗明君    島田  久君

      田島 一成君    武山百合子君

      松本  龍君    村井 宗明君

      高木美智代君    土井たか子君

      川上 義博君

    …………………………………

   環境大臣         小池百合子君

   環境副大臣        加藤 修一君

   環境大臣政務官      砂田 圭佑君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  伊藤 哲朗君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  板倉 敏和君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           藤田 明博君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   南川 秀樹君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            松本 省藏君

   政府参考人

   (環境省環境管理局水環境部長)          吉田 徳久君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  小野寺 浩君

   環境委員会専門員     遠山 政久君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十三日

 辞任         補欠選任

  木村 隆秀君     三原 朝彦君

  船田  元君     菅原 一秀君

同日

 辞任         補欠選任

  菅原 一秀君     船田  元君

  三原 朝彦君     木村 隆秀君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第七一号)


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     ――――◇―――――

小沢委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として警察庁生活安全局長伊藤哲朗君、総務省自治税務局長板倉敏和君、文部科学省大臣官房審議官藤田明博君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長南川秀樹君、環境省総合環境政策局長松本省藏君、環境省環境管理局水環境部長吉田徳久君及び環境省自然環境局長小野寺浩君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小沢委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宇野治君。

宇野委員 おはようございます。私は、自由民主党の、滋賀県から選出させていただきました宇野治でございます。

 このたび、初めてこの委員会で質問をさせていただくわけでございます。委員長また理事の皆さん方に大変お世話になりましたことを改めて御礼申し上げる次第でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げ、また、環境省の皆さん方も、しっかりとした答弁をお願いいたしたいと思っております。

 それでは、まず初めに、今国民の中で大変心配をされております鳥インフルエンザの件につきましてお伺いをしたいと思います。

 ことしの一月の十一日に山口県で初めてのインフルエンザが発生し、二月の十七日には大分県で発生する。この二つの案件につきましてはほぼ終息に至ったということで、知事の方からも終息宣言をされているところでありますが、残念ながら、京都で発生いたしました、大変大きな問題になっておりますが、これにつきましては、その近くで野生のカラスがインフルエンザに侵されているということ、また最近では七羽目のものも出てきたというようなことで、野鳥にも相当蔓延しているのではないかという心配もされております。そういう中で、最近では、韓国のウイルスと同じではないだろうかというような報告もされ、昨日でしたか、話を聞きますと、韓国のカササギにも出てきたというようなことも聞かれております。

 我々、一番心配しておりますのは、これから、感染源をどうするのか、どうなっているのか、また、感染経路はどうなるのかということを心配し、拡大をしたくないという非常に大きな思いを持っておるのですが、この辺につきまして、まず環境省の方の現在の取り組みについてお聞かせを願いたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

小野寺政府参考人 鳥インフルエンザに関する環境省の役割は、感染ルートの可能性の一つである野鳥関係の経路の解明であります。このため、まず、感染地域である山口、大分、京都の三地区と、御指摘のありました汚染カラスの出た大阪府につきましては、直ちに本省と出先機関から職員を派遣して、野鳥類の生息状況調査、周辺の状況、関係府県との調整等を行ってきたところであります。

 また、科学技術振興調整費による四府県調査をやっておりまして、渡り鳥の渡来ルートの分析、国内感染地三地区周辺の野鳥ウイルス保有調査を進めてまいりました。このうち、発生が一番早かった、つまり我々の野鳥調査では一番早かった山口県では、野鳥十七種、九十一羽、約三百検体のウイルス保有調査をいたしまして、高病原性のウイルスは発見されておりません。つまり、すべて陰性の結果を得ているところでございます。

 さらに、今月中旬、韓国に職員を派遣いたしまして、昨年十二月に韓国で発生した状況及び周辺の野鳥の調査を韓国政府がやっておりまして、それについてのヒアリングを研究機関も含めてやって、先週帰国して、今結果について分析中のところであります。

 また、先週、野鳥の生態やインフルエンザウイルスの専門家五名によるアドバイザリーグループを局内に設けまして、第一回の会合を、先週、十七日ですが、やったところでございます。

 今後とも、各省、各都道府県と連携しながら、感染ルートの解明について全力を尽くしてまいりたいと思っております。

宇野委員 いろいろやっていただいていることには感謝を申し上げるわけでございますし、また、今もお話がありましたように、全国の都道府県にいろいろと調査をお願いするような話も今出てきているわけでございまして、これも、私ども自民党の方からのいろいろな要望についておこたえをいただいたことと感謝をするわけであります。

 そこで、心配をしておりますのは、養鶏業者等々については、経営対策をまたいろいろ考えて農水省の方で頑張っていただいているわけであります。また、関係自治体におけるいろいろな財政支出についても、また考えていただいているわけですが、今回のカラスやドバトの捕獲、全国調査をするということ、相当都道府県にお世話にならなきゃできないものだと思うんですが、この辺の費用負担について、また指導、具体的なやり方、特にカラスというのは、聞きますと、人に対する警戒心が大変大きくて、なかなか捕まえることができない、こんなものを、生きたものを捕まえるというのはなかなか至難のわざではないのかなという思いがしているんです。

 その辺について、費用負担の問題と指導体制について具体的にお答えいただきたいと思います。

小野寺政府参考人 今回の全国調査につきましては、鳥インフルエンザに係るカラスなどの野鳥についての社会不安が広がっているということを重視しまして、生活に身近なカラス、ドバトのウイルス保有調査を都道府県の協力のもとに行おうとするものであります。緊急に行うということがポイントかと考えております。

 具体的な調査方法については、今月十六日に農水省と共同で都道府県に依頼したところでありますが、調査内容は、都道府県が従前から行っている有害鳥獣駆除により捕獲した個体であっても構わないということと、加えて、カラス、ドバト合わせて十羽ということをサンプル数のめどにしております。都道府県の負担をこのように軽減するように配慮いたしたものでありますが、調査の費用につきましては、各都道府県にお願いしているところであります。

 都道府県におかれては、多忙な中での依頼でありますけれども、各都道府県民が不安を払拭するために、あるいは正確な知識を得ていただくために、むしろ積極的に協力していただきたいと考えているところです。

宇野委員 今、最後にお話がありましたように、都道府県民、国民は、自分の地域で起こるか起こらないか、これを今一番心配しているわけでありまして、ここについて、都道府県の協力を得なければ無理なことは事実ですけれども、しっかりと環境省の方からも指導していただきたいと思いますし、今ちょっと費用の話が出ていなかったような気がするんですけれども、その費用負担についてはどういうふうな形になるのか。

小野寺政府参考人 実際のやり方としては、一番現実的で、かつ早い方法を考えると、都道府県の単位で捕獲、あるいは個体を手に入れていただいて、都道府県単位で家畜衛生研究所というのがあって、ウイルス検査の能力を持っているんですね。だから、どこかに集めるよりも、そこでやっていただくのが多分一番結果が早く出る仕組みということで、これは農水省の系列になりますが、農水省と一緒に通達を出して県にお願いしている。したがって、今のところ、その十羽の捕獲及びウイルスの分析に関しては、特に環境省としての補助金はございませんので、都道府県にお願いするということになると思います。

 ただ、農水関係、養鶏関係も含めて、国と地方の費用負担の問題というものが一方で大きな話題になっていることは承知しておりますので、国が全体としてこの件についてどのぐらいの負担をすべきかということを、今、内閣府に置かれました対策本部でも自民党の対策本部でも議論をしているところであります。その中で、何か適正な国としての役割分担、費用負担の問題があれば環境省としても考えて、直接出す方法はないと思いますけれども、政府全体の中でどうすべきかということは頭に置いて発言をしてまいりたいと思っております。

宇野委員 ぜひ、大した額ではないのかもわかりませんけれども、もし具体的な何か事例があったときにはしっかりとその辺の費用負担についても面倒を見てやっていただくように、よろしくお願い申し上げます。

 次の質問に移らせていただきますが、私は実は、先ほどお話ししましたように滋賀県出身でございます。滋賀県は、母なる湖琵琶湖なり、マザーレーク琵琶湖と呼ばれるように、日本で一番大きい琵琶湖を抱え、近畿の千二百万人の水がめとも言われている地域でございます。そういうところから、水環境についての県民の間での議論というのは非常に根強くあるのではないかというふうに自負をしているわけでありまして、今回この環境委員会に配属されまして、最初の大臣所信を聞かせていただいて、しっかりと水環境についてこれから議論をしたいなという思いをしておったんですけれども、大変残念ながら、大臣所信の中には水環境のことについては本当にわずかしか入っていなかった。そういう意味で、私、ある意味では大変がっかりしたなという思いをしておるんです。

 具体的に申しますと、所信の大枠というのは、環境と経済の統合ということ、もう一つは地域からの環境問題への取り組みの推進、これを基本にして五つの分野を頑張ってまいりますよということで、その三つ目の中に、「多種多様な化学物質による環境汚染を防止し、国民の安全で安心な生活を確保することも重要な課題」として、排出ガス規制、大気汚染防止法の改正、毒ガス弾等に関する問題、海洋汚染防止法の改正を挙げ、最後にやっと水循環・水環境の確保という言葉が出てきたわけであります。

 水というのは人間にとっては大変大事なものでありまして、私たちは母の羊水の中で育ってきておりましたし、また、人間の体にある水の割合というのは男性では約六割、女性では五五%と言われるように、水で占められている。さらに、この地球上に存在する水の量というのは、およそ十四億立方キロメートルと言われている。ちょっと具体的な数字が大き過ぎるのでわかりませんが、この数字でありますが、そのうちの九七・五%というのは海水です。それが海水であり、残りの二・五%が淡水と言われるもの、この淡水の大部分が、南極、北極にある氷、これに占められている。地下水を含めた淡水、いわば利用できる水というのは約〇・八%しかない。その中で、本当に我々が飲料水等で利用できるのはわずか〇・〇一%、すなわち約十万立方キロメートルぐらいしかない。〇・〇一%しか、世の中の、この地球上の水で我々が使えるのはない、こういうものでありますが、これは大変重要なものである、そんな理解をしておるわけであります。

 昨年にはWWC、世界水会議が主催いたしました第三回水フォーラムが日本で、京都、大阪、滋賀で開かれましたし、また平成十三年には滋賀県で、第九回世界湖沼会議という水に関係する会議も開催され、今関心が大変強いのではないか。さらには、最近の話題で、イラクに派遣されました自衛隊の大きな任務というのはイラクの国民のために飲料水を確保するということで、水に関係する。

 こんなに水というものは大変大きな部分があるわけでありますが、大臣の水に対する所信が少し少なかったのかなという思いなので、ここで改めて水に対する所信をお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いします。

小池国務大臣 先だって、アメリカのNASAが火星の探査をしていて、そこで水の足跡があったということで、大変、科学ファン、宇宙ファンにとってはとてもビッグなニュースだったと思います。

 それほど水というのは生命の起源に欠かせないものであるという認識を持っておりますし、また今、イラクにおいて自衛隊が水の確保ということで協力をしている。あの地域も油ばかりが取り上げられますけれども、ほとんどの紛争はむしろ水によって起こっているということも、いかに地球において水の問題というのが大きいかということを物語っているんだと思います。

 また、特に先生のお地元の滋賀県の琵琶湖には私も関西の人間として大変お世話になっておりますので、琵琶湖をきれいにするということは私たち周りの住民たちがいい水を飲ませていただくということで、ぜひともマザーレーク琵琶湖を保っていくというのは地域としても大変重要なことだと思っております。

 ということで、水環境の保全、そして安全な水の確保というのは、日本もそうですけれども、世界共通の問題、課題であるということで、世界水フォーラムもその意味で世界各国から参加されたということでございます。

 環境省の方では、平成十六年度、環境保全上健全な水環境の確保というまさに広い視点に立ちまして、湖沼そして河川の環境改善、それから東京湾、大阪湾などいわゆる閉鎖性の海域対策でございますけれども、これらの施策を総合的に、積極的に進めてまいりたいと考えております。

 それから、琵琶湖を筆頭にする湖沼ですけれども、水質の改善に向けてはもっともっと努力しなくちゃいけないということから、このたび専門家から成る検討会を設置して、実はきのう、その第一回の会合が開かれたところでありまして、これからの湖沼の対策のあり方についてもしっかり取り組んでいきたいと思っています。

 ということで、ほんの少しの、字数は少なかったかもしれませんけれども、水の問題は大変重要な問題ととらえて、ほかの関連の省庁ともしっかり連携をとりながら水環境の保全には努めてまいりたいと考えております。

宇野委員 ありがとうございます。ぜひ今後ともよろしくお願い申し上げたいと思います。

 少しそれに関連いたしまして、もう一つ水に関係するお話をさせていただきたいと思います。

 実は今、滋賀県議会が開催されておりまして、そこの中で、議員提案で、滋賀の環境学習の推進に関する条例というのをあす閉会日に可決される予定ということで、今動いております。その中で、去る二月の十二日、副大臣会議の席で「今後の環境教育の充実強化について」というものが発表されたわけでありまして、聞くところによりますと、副大臣の提案ということでございます。

 そんな中で、実は琵琶湖には今、環境学習船「うみのこ」という、県内の小学五年生全員を対象にして宿泊体験学習を行っております、びわ湖フローティングスクールというものを今やっております。副大臣もその船にはお乗りいただいたことがあるようでございますけれども、この琵琶湖の体験学習をするということが非常にいいということで、十一年度からは淀川流域の小学生とも交流をやり始めた。

 こんな中で、私ども滋賀県の方からもお願いをしておるわけですが、この環境学習船「うみのこ」の二隻目をぜひ国でおつくりいただき、また運営をしていただけないだろうか。また、これを全国の小学生に、修学旅行の折でも琵琶湖に来ていただいて、環境学習をしていただく、またできたらアジアの子供たちにもどうだろうか、こんな大きな夢を描いておるわけですが、これについて、環境省、またこれは文部科学省にも関係あるかと思いますが、両方の今のお考えを少しお伺いしたい。簡単で結構でございますので、よろしくお願いします。

加藤副大臣 昨年七月に環境保全活動・環境教育推進法、これが成立いたしまして、いわゆる環境教育全般に対する体系化が図られたというふうに考えてございます。御指摘にありました副大臣会議におきましてもこの環境教育を取り上げまして、法律の円滑な運営等、そういった面についても取りまとめをしてきたところでございます。

 滋賀県におかれましては、先ほど御紹介がありましたように、この法律をいち早く受けて、条例の制定も視野に入れて環境学習の一層の推進を図られているということにつきましては、本当にすばらしいことだと思います。心から敬意を表したいと思います。

 私は、実は、先ほど「うみのこ」の話がございましたけれども、そちらの船じゃなくて、もう一隻の環境セミナー船「みずすまし」号の方に乗ったわけでございます。あるいは、UNEPの関係で国際環境技術センターがございますけれども、そこでもいろいろと御説明をいただきまして、あるいは、琵琶湖博物館というところにも参りまして、健全な水循環ということについて非常に啓発されたところでございまして、非常に積極的な取り組みをされている滋賀県だな、そういう印象を深くして帰ってきたところなんですけれども、先ほど紹介がありました環境学習船「うみのこ」を就航させて、県内でさまざまな小学生を対象にいたしました宿泊体験学習あるいは小学生の交流航海など、先進的な環境学習にかかわる点につきまして継続的にやってきていることについては、これは非常に有意義な事業だというふうに深く理解しているところでございます。

 そこで、御要望の件でございますけれども、二隻目を国でつくってはどうか、そういう運営をしてほしいということでありますけれども、環境省としては、何とか工夫して、この現存の一台目の「うみのこ」、これをさらに有効に活用していただいて、何とか対応していただきたいというふうに考えているところでございます。ただ、環境省としては、引き続き、自治体のこういう先進的な取り組みに対して、どのような施策とか支援とかそういった可能性があるか、そういった面について最大限検討してまいりたい、このように考えておりますので、御理解をいただきたいと思います。

藤田政府参考人 お答えを申し上げます。

 ただいま環境省の副大臣の方からもお話ございましたように、「うみのこ」によります学習につきましては、環境教育の観点からも、また、子供たちの地域におきます交流という観点からも、有意義な取り組みであるというふうに私ども考えております。

 しかしながら、ただいま先生お尋ねの、二隻目の環境学習船を国でつくりまして運営を行うという点につきましては、なかなか現在の財政状況等を考慮しますと困難ではなかろうかというふうなことで考えております。この点、御理解をいただければというふうに思っております。

宇野委員 なかなか難しい御答弁だったんですけれども、またこれはおいおいお願いをしていこうと思っておりますので、よろしく、頭の中に入れておいていただきたいと思います。

 それでは、大分時間もなくなりましたので、本題であります産業廃棄物処理の関係の部分に入らせていただきます。

 今回の条文の中に、環境大臣は、産業廃棄物の不適正処理事案が深刻化しているような場合には、関係都道府県に必要な指示ができるということになっておるわけでありますが、大臣指示ということは、具体的にはどのような場合に行うのかということ。それから、強制力や法的拘束力というものはどうなのか、また、これに従わなかった場合にはどうなるのかということ。さらには、都道府県が措置をするとなると、費用が発生するわけでありまして、この費用について、本来であれば産業廃棄物というのは法定受託事務ということで処理ということでありますが、国の指示による措置であるのであれば、財政的な援助を与えるということも書かれておりますので、こんなこともどういうふうになるのかということも含めてお答えいただきたいと思います。

南川政府参考人 お答え申し上げます。

 まず環境大臣の指示でございますが、これは、産業廃棄物の不適正な処理に起因いたしまして、人の健康あるいは生活環境に深刻な影響を及ぼすおそれのある汚染が急速に拡大する、これをとめようという場合を想定いたしております。一般的には複数県にまたがる場合が想定されるわけでございます。

 ただ、これにつきましては、強制力あるいは法的拘束というのはございません。私どもとしては、十分その趣旨を理解いただけるように説得をしたいということで考えておる次第でございます。

 また、その場合の財政的な措置でございますけれども、仮に国からの指示があれば財政支援がセットでついてくるとなりますと、事実上何もしないで国の指示を待つということも考えられるわけでございまして、私どもとしては、国の指示と財政支援については別のものだというふうに考えております。ただし、支援するかどうかはあくまで問題の案件によって判断すべきだということで、指示とは直接リンクはしないというふうに考えておる次第でございます。

宇野委員 ありがとうございました。

 最近、大変問題になっています硫酸ピッチのことで少しお聞かせを願いたいと思います。

 この硫酸ピッチというのは、いわば不正な軽油をつくるに当たって排出されるものであるわけでありますが、軽油というのは総務省の管轄になるわけでして、取り締まり関係としては警察の関係になる、また環境省も全体を環境という意味で面倒見ているということになるわけでありますが、この辺の連携というのが大変今強化をされたと聞いております。その辺の連携についての話をお聞かせ願いたいということと、総務省なり警察なりの対応、取り組み、これについても少しお話しいただきたいという思いでございます。どうぞよろしくお願いします。

砂田大臣政務官 お答え申し上げます。

 私の地元の神戸でも硫酸ピッチの不法投棄がありまして、大変近隣の住民の心配の種になっているようなことで、特別関心を持って見ているところでございます。

 硫酸ピッチの不法投棄事案の急増に対しましては、環境省においては、警察庁あるいは総務省、消防庁、資源エネルギー庁の四省に呼びかけ、昨年八月より、硫酸ピッチ不適正処分事案の関係省庁連絡会議をつくってその会議を開催しまして、情報共有を行うなど連携を図って、何とかこの問題を片づけていこうとしているところでございます。

 また、総務省、警察とも相談の上、今回の硫酸ピッチの不適正保管に罰則を科することなどを内容とする廃棄物処理法改正案を提出することに加え、総務省において、硫酸ピッチの生成原因となります不正軽油の密造防止に係る罰則強化などを内容とする地方税法改正を提出しているところであります。今国会において両法の御審議をお願いいたしているところでございます。

 環境省といたしましては、法改正により対応を強化し、さらに、引き続き、関係省庁の連絡会議等の場を通じまして、関係部局間の情報共有の促進による取り締まりなどの強化、あるいは広報の対策を進めてまいりたい、さように思っているところでございます。

伊藤政府参考人 警察におきます硫酸ピッチ不適正処分事案への取り組み状況でございますけれども、軽油の密造に伴い生じます硫酸ピッチやスラッジの不適正処分事犯につきましては、人の健康または生活環境に重大な影響を生ずるおそれのある事案でありますことから、警察としましても、重点を置いて取り締まりを行っているところであります。

 また、取り締まりの任に当たる警察としましては、廃棄物処理法違反のみならず、地方税法違反、あるいは消防法違反等も念頭に置きまして、関係機関と連携を密にしながら取り締まりをしているところでございまして、昨年は、二十一事件、百十八人を廃棄物処理法違反で検挙し、ドラム缶に換算しまして約七千本の硫酸ピッチを摘発したところであります。それぞれ、前年に比べまして、事件数で十四事件、検挙人員で九十二人、ドラム缶に換算しましても五千五百本の増加を見ておりまして、統計を開始した平成十年以降最多となっているところであります。

板倉政府参考人 御指摘ございましたとおり、硫酸ピッチ問題は、軽油引取税の脱税を目的とする不正軽油の製造過程で生成をされるということでございまして、環境問題としてだけではなくて、軽油引取税の適正な課税上も重大な問題であるというふうに認識をしております。

 特に、近年、一件当たりの脱税額が大変大きくなりまして、複数のダミー会社を設立して調査を困難にするなどの、手口が悪質かつ巧妙な脱税事件が増加をしております。そういうことで、今回の地方税法改正の中におきまして、罰則の強化を中心といたしました脱税防止対策を推進することとしているところでございます。

 例えば、都道府県知事の承認を受けずに軽油を製造する者に対する罰則でございますが、現行は一年以下の懲役または五十万円以下の罰金でありましたが、自然人につきましては五年以下の懲役もしくは五百万円以下の罰金またはその併科というふうに引き上げます。法人につきましては三億円以下の罰金ということで、大幅に引き上げることとしております。

 また、不正軽油であることを知りながら、これを購入したりする者に対する罰則でございます。いわゆる購入者罰則と言っておりますが、これを創設いたしまして、二年以下の懲役もしくは二百万円以下の罰金またはその併科、法人については一億円以下の罰金ということで、不正軽油の製造者だけではなくて、需要者に対する取り締まりも行うこととしております。

 さらに、こうした罰則の強化に加えまして、各都道府県におきます不正軽油対策協議会の設置を促しまして、警察、環境、消防などの関係機関、部門や業界団体などとの連携の強化に努めているところでございます。

 私どもといたしまして、今後とも、軽油引取税の脱税防止対策に全力を傾注してまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

宇野委員 大変ありがとうございました。もう時間が過ぎましたので、これで終わらせていただきますが、どうぞ、きょう質問等いたしましたし、またできなかった部分もございますけれども、関係の皆さん方のお力添えをよろしくお願い申し上げまして、終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

小沢委員長 次に、奥田建君。

奥田委員 民主党の奥田でございます。

 環境委員会も、しばらくお世話になっていて、一年ちょっと離れていたんですけれども、また戻らせていただきました。

 きょうは、当然、廃掃法の一部改正といった法案の質疑が中心になりますけれども、たしか、おとといぐらいのニュースでは、ハワイでの、ずっと四十数年間観測を続けているというCO2濃度が一年で三ppm上昇する、今までの観測記録になかなかないような上昇の仕方をした、ことしだけじゃないんですけれども、この観測を始めて四十三年間でCO2濃度が一五%以上上昇しているというニュースがございました。

 その前には、大変残念なニュースでありますけれども、岐阜県岐阜市の椿洞という山地、山合いの方で、豊島あるいは青森、岩手の県境と匹敵するような不法投棄が見つかった。新聞報道では五十二万立米という数字が出ていまして、まだ、地下部分とかそういったところを含めると七十万立米を超えるかもしれないといったようなことも書かれております。

 警察が、県警がその一週間ほど前から調査をしていたということですけれども、報道が出てすぐに環境省の方も現地に走られたというふうに聞いております。ちょうどお休みの時期だったのかもしれませんけれども、戻られまして、とりあえず、この大規模不法投棄の調査の報告をいただきたいというふうに思います。

南川政府参考人 私ども環境省にこの案件の連絡が入りましたのは、警察庁から、先週の中ごろに入ったわけでございます。早速、大臣の指示を受けまして、先週金曜日、職員を現地に派遣したところでございます。

 私ども、当面調べたところでございますが、善商という会社がございます。産業廃棄物の中間処理業と収集運搬業を行っております。中間処理業につきましては岐阜市から、収集運搬業につきましては岐阜市、岐阜県、それから愛知県、名古屋市という四つから許可を得ている会社でございます。これが、岐阜駅の四、五キロ北でございますが、比較的岐阜の都心に近いところで、御指摘のとおり、五十二万立米に及ぶ廃プラスチックあるいは木くずなどの建築廃材というものが不法投棄されたということでございまして、場合によれば、最大級の事案になるということも考えられるところでございます。

 早速、地元の自治体などと連絡をとりまして、具体的に情報収集に努めたいと考えております。特に、できましたら今週の金曜日にも、関係の県あるいは市にも集まっていただきまして、具体的な善商との取引を含めた情報収集を行った上で、速やかに対応すべく、現在準備をいたしております。

奥田委員 昨年の法改正で、青森、岩手の対策を含めてちょうど産廃特措法がつくられました。まだ気が早いかもしれませんけれども、当然、こちらの処理というものも、この産廃特措法の適用を考えて、地元の方にも対処していただくというふうに考えてよろしいでしょうか。

南川政府参考人 今の御指摘は、場合によれば代執行もあり得るということだと思いますが、当面、私どもとしては、まずは不法投棄の現状把握が大事だと思っておりまして、不法投棄された産業廃棄物の種類、量の確定と、周辺への影響調査をきちんとやるべきだ、続きまして、不法投棄の行為者などに対する責任の追及が大事だと考えております。

 実行行為者などの業許可の取り消しあるいは資産の差し押さえが必要でございますし、また、不法投棄の行為者に対して措置命令を発出しまして、原状回復を行わせるということがまず重要だと考えております。もちろん、それに加えまして、不法投棄の行為者も含めた幅広い措置について、関係者の責任の明確化ということも行っていく必要があると思っておりまして、安易に代執行ということで考えたくないというふうに考えております。

奥田委員 当然ですね。原因者が特定でき、その身柄を拘束というと穏やかじゃないかもしれませんけれども、そういった形でその処理を求めるということであれば、またお願いしたいと思います。

 余談になりますけれども、私も、五十万立米と聞いてもぴんとこないので、プールの大きさぐらいまでなら想像つきますけれども、大きな十トンダンプが五万台だと。単純な考え方ですけれども、そういった廃材を満載したトラックが五万台並んで、それがずっとそこに投棄し続けることを考えると、やはり少し背筋が寒い思いがしてまいります。

 この中では、七年以上こういった行為をしていたということや、あるいは偽造マニフェストが大量に出てきているといったことも報道の中には書かれております。これからそういった部分も質問の中でさせていただきたいと思いますけれども、こういった部分の不法投棄対策、より一層の監視を省庁とともに地方自治体は続けて、皆さんの生活環境を守っていくことを頑張っていただきたいというふうに思います。

 さて、今回の法改正でございます。幾つかの法改正がありますけれども、私も石川県の出身で、ちょうど、硫酸ピッチの不法投棄、あるいはRDF事業での広域処理、これをさせていただいておりましてちょっと異常発熱とかそういった事故もありましたので、この硫酸ピッチとRDFを中心に質疑をしていきたいというふうに思います。

 まず、硫酸ピッチ、私も見たことはないんですけれども、これは大変に厄介な廃棄物だというふうに聞いております。硫酸という名前がついているとおり、強酸性、硫酸としての性質を持っているということでございます。

 いろいろな摘発がございますけれども、なかなかその処理体制、PCBほどのことは要りませんけれども、運搬あるいは最終処理という中で、処理できる施設というのが限られている、あるいは、今言いましたように、運搬の方法だとかそういったことも専門知識を持った方でないと取り扱えないというようなことを聞いており、摘発された中でも、例えば三年、四年前に見つかったものがやはりいまだに処置されていない、あるいはシートをかぶせただけで、水と反応して有毒ガスを出さないように仮処理といいますか、そういった処理をしたまま置かれているというようなことも聞いております。

 こういった硫酸ピッチの、今回、直罰規定、罰則の強化、あるいは関連法案での規制というものが課せられましたけれども、実際に現地から運搬し、そして処理する、この適正処理体制というものの構築について大臣にお答えいただきたいと思います。

小池国務大臣 今委員の御質問の中に、いかに硫酸ピッチが厄介なものかという御説明も加えていただいたかと思います。

 腐食したドラム缶などの容器からこの硫酸ピッチが流れ出しますと、言うまでもなく、水質を汚し、土壌を汚し、そして亜硫酸ガスを発生するということで、周囲に住んでおられる方々にとってはまさに生活環境の破壊ということになるわけですけれども、と同時に多額の資金が必要ということで、社会的コスト、それからあと、得べかりし税金ということも加えれば大変なコストを伴う問題であるというふうにとらえております。

 よって、今回の法改正にもつながるわけでございますけれども、早期の発見、それから原因者がだれなのか、その処理が重要でありまして、措置命令などによってこれを求めていくということが柱になるわけであります。原因者が、その問題を起こした者が資金力がないなどといった場合には、原因者への求償を前提とした上で、都道府県などが原状回復などの代執行を行う。

 それから、私ども環境省といたしましては、不適正処分された硫酸ピッチの原状回復を促進していくために、都道府県などの費用負担に対して、産業界からの協力も得た産業廃棄物適正処理推進センターの基金を通じて財政支援を行っているところでございます。

 こういった措置を通じて、処理の促進を図って、また住民の不安をいち早く取り除けるように努力してまいりたいと考えています。

奥田委員 今、いろいろな財政措置といいますか、そういった廃棄物処理に関する業界の協力のことなどをお話しいただきましたけれども、一応私の方の聞きたいもの、先ほど、前の宇野議員の質問のときにお話ありましたけれども、ドラム缶換算ですけれどもまだ二万本以上の未処理の硫酸ピッチがある。先ほど私が言いましたように、まだ四年ぐらい前のものも処理されていないものが現実に存在する。そして、その処理機能を持った施設あるいは事業者、こういった方の数が絶対的に少ない。そういった中で、計画を立てて、例えばここの処理はいろいろな順番待ちの中で事業者の仕事のスケジュールの中に組み込んでいくといったようなことをしないと、住民の方も、見つかったはいいけれども、いつまでたっても置かれたままだということは大変な不安を持つことでもあります。

 先ほど危険性のことを言いましたけれども、硫化水素、これは大体温泉へ行ったらぷんとにおってくるような硫黄のガスでもございます、火山性ガスといいますか。そして、大体これを中和処理して、そして運搬してまた焼却するということを聞いておりますけれども、中和させるためといいますか、排水の一つの環境基準に合わせるためには、何か五十万倍の水で薄めないとその強酸性を中和といいますか排出基準まで持っていくことができないというふうに聞いております。

 そして、もしそういった容器がふたをされていて、ふたをあけたときに、その容器の周辺で大体百ppmから、ちょっと信じがたいですけれども、三万六千ppmという硫化水素濃度が生じるということが一つの実験のデータとして出されている。この三万六千ppmとか百ppmというのは、もう完全に命を失うような濃度であります。例えば、ちょっと私も学がないので環境基準で見てみると、大体、普通のところの環境基準というのは、この硫化水素に関して〇・一ppmから〇・〇四ppmというふうに一日基準であるとか一時間基準でなっている。大体、数百ppmというところにあるともう呼吸困難で命の危険性があるというような気体でもあるわけです。もちろん、においが伴いますから、普通の人が近づいて不用意にあけたりということはないのかもしれませんけれども、そういった知識のない人が近寄ってその気体、ガスを吸ったときにはやはり命にかかわるというものでもあります。

 また最初に戻りますけれども、ぜひ、この処理のスケジュール、あるいは、もしその処理体制が足りないのであれば新しい処理体制を構築していくということが必要なものであって、摘発の次の段階の処理についてお答えをいただきたいというふうに思います。

南川政府参考人 奥田委員御指摘のとおり、現在、おおよそ三万五千本分以上ございました硫酸ピッチの不適正事案のうち、処理されたのは一万二千本、あと二万三千本が未処理のまま残っておるというのが現状でございます。

 これの処理能力でございますけれども、私ども、十二社ほどそういう能力のある会社を把握いたしております。御指摘のとおり、とりわけ腐食性の強いものでございますので、できるだけ事故なく、また環境の問題を生じなく処理できるという業者もおるわけでございまして、とりわけ具体的には、高い処理能力を持っている会社は六社あるわけでございます。一カ月当たりの処理能力が約六千六百本ということでございます。単純に二万三千を六千六百で割れば、三・五カ月になるわけでございます。

 ただ、これにつきましては、いずれにしても主体となるのは地方公共団体でございますので、地方公共団体とよく相談しながら以後の処理を進めていきたいというふうに考えておる次第でございます。

奥田委員 処理能力を持った事業者あるいは施設というのが少ないとは聞いていたんですけれども、一月当たりの今の能力を聞くと、不可能なわけではないと。原因者との費用の問題、あるいは行政の、どこがその費用を負担するんだ、あるいは運搬のところでやはり危険が伴うということで、運搬の問題などもあるのかもしれませんけれども、ぜひ、当然ですけれども概算でいいですから、今二万二千本まだ未処理のものがある、この硫酸ピッチを処理しようとすると、だれが負担するかは別として、どのくらいの費用が見込まれるか、そういったことをちょっと御報告いただけませんでしょうか。

南川政府参考人 あくまで大胆な計算上の数字ということでお聞きいただきたいと思います。

 あと残っておりますのが二万二千五百八十一本ということで今とらえておりまして、一本につきまして五万円以上かかると言われております。五万円といたしまして計算しますと、約十一億円という費用が必要になるわけでございます。

奥田委員 そのほかにも、先ほど言いました、運搬にも気を使わなきゃいけない、あるいは土壌の方でも、タール分として土壌汚染を引き起こしていくということも聞いております。関係省庁との連絡会議を持って対処していることでもありますので、まずこういうことが起きないようにということの対策の充実にもぜひ力を入れていただきたい。

 一つちょっと疑問になることがあるんですけれども、こういった不正軽油をつくるときに、硫酸ピッチ、もともと硫酸と重油を混合するのかわかりませんけれども、合わせてできる生成物だというふうにも聞いています。この硫酸あるいは濃硫酸というのも、当然劇物指定をされているものでもあります。

 大体、一本の硫酸ピッチができると、その五十倍の不正軽油ができるということも聞いておりますけれども、こういう濃硫酸や硫酸というのがそれほど安易に手に入るものなのか。例えば、産業廃棄物でも、全部マニフェストといって、なかなか問題がありますけれども、その過程を追跡できるようなシステムをつくっていこうとしているのに、劇物の方が反対にそういった経路を追っかけられないというのもおかしなことではないかというふうに思っております。

 この硫酸ピッチの生成と、不正軽油精製に必要となる硫酸あるいは濃硫酸の入手の経路というものについて、ちょっと御説明をいただきたいと思います。

南川政府参考人 硫酸ないし濃硫酸入手につきましては、ルールとしては、毒劇法によりまして、手続をとって、購入者が氏名を記入して購入するということがルールでございます。

 ただ、この分野、いろいろな方がおられまして、私どもとしても、非常に想像しにくい入手もあり得ると思っておりまして、これにつきましては、警察などとよく連絡をとって実態の把握に努めたいと思っております。

 今のところ、どういう形で業者の方が硫酸を入手されるかについては、確たる情報はございません。

奥田委員 ちょっと、今の説明だと、そういった硫酸の入手方法がよくわからないと。もし正規のルートではないとすれば、やはり、警察の方との協力でそういった硫酸入手の経路というものを断っていただくということが、こういったピッチの問題に大切なことだと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 今回の法改正では、硫酸ピッチ、こういったものは、今まで特別管理産業廃棄物となっておりましたけれども、さらに指定有害廃棄物という指定をして、保管あるいは運搬しているだけでもすぐに罰せられるというふうになっております。

 ただ、この十六条の三ですか、こちらの方に、処理禁止規定の例外を政令で定めるというふうなことが書かれておりますけれども、この例外というものはどういう場合に当たるのか、あるいは私の法案の解釈違いなのか、ちょっと説明をいただきたいと思います。

南川政府参考人 御説明申し上げます。

 この硫酸ピッチにつきましても、現に出てしまった以上は、最終的に無害化のための処理を行う必要があるわけでございます。したがって、そういう場合は当然処罰の対象になりませんので、それを処罰対象から抜く必要があるわけでございます。

 私ども、中身といたしましては、有害化学物質あるいは感染性の医療廃棄物などのそういった処理基準を基本としながら、それに必要な事項を加えることでこの基準を決めたいと考えております。

奥田委員 ちょっとそのまま、一言でいいですけれども、今、医療系廃棄物の話なんかも出ましたけれども、今の時点では、この指定有害廃棄物というものは硫酸ピッチだけになるんですか、それとも、政令で幾つかまだほかの、そういった管理の必要な廃棄物というものが出てくるんでしょうか。

南川政府参考人 硫酸ピッチだけを考えております。

奥田委員 また大臣にお尋ねしたいんですけれども、昨年の末に幾つかの府県の方から、この硫酸ピッチ対策に対する緊急要望書が出されたかと思っております。それからの法案作成あるいは関係省庁での対応というのは割と早かったのかもしれませんけれども、こういった場合に、多分半分以上が代執行という形をとられているというふうに思いますし、先ほど大臣のお話しになりました産業廃棄物の適正処理推進センターですか、そちらの方の基金も、昨年の分を見れば、ほとんど硫酸ピッチ処理対策に使われているというようなことがございます。

 もちろん、硫酸ピッチあるいは不法投棄というものの摘発は、当然、センターの基金を使うよりももっともっと多くあるわけでございますけれども、こういった自治体の緊急要望書、幾つかの項目の要望がありますけれども、こういったものに今回の法改正はこたえているのか、あるいは、落としてしまったというか、対処し切れなかったところがあるとすれば、それを教えていただきたいです。

 また、京都府の方では、独自の条例をもうつくっております。その中では、保管、運搬も生成も、そんなに違いはないじゃないかと思われるかもしれませんけれども、硫酸ピッチ、こういったものを生成するということから禁止してもおります。この点につきまして、大臣の方からお答えをいただきたいと思います。

小池国務大臣 今、御指摘ありましたように、この硫酸ピッチの問題に直面している知事、県とか、神戸の市長もそうですね、要望をいただきました。緊急要望書ということで、十一府県によって提出されたものでございます。

 不正軽油製造防止制度の整備、硫酸ピッチの不法投棄防止対策の強化、原状回復支援制度の充実などの項目から成っているものでございますが、最初の、不正軽油の製造防止については、総務省から、軽油の製造承認義務違反、不正軽油の譲り受けなどに関する罰則の強化を内容として、地方税法の改正案が今国会に提出されているということで、まず一つそれでカバーをしていく。

 それから、廃棄物処理法の改正案の方ですけれども、生成された硫酸ピッチが不適正保管、そして不適正に投棄された場合に罰則を科すということで、これまでのような改善命令の実施期間中の硫酸ピッチによります被害の拡大や、不適正保管をしている者の逃亡などを防止できるというふうに考えております。よって、硫酸ピッチを生成したその直後から効果的な取り締まりがこれで取りかかれるということになるわけであります。

 硫酸ピッチの不法投棄対策としても効果的であるというだけでなくて、その生成、すなわち不正軽油の製造防止効果も出てくるということで、緊急要望にも十分こたえる内容となっているというふうに考えております。それから、今最後におっしゃった京都府の条例ですけれども、硫酸ピッチの生成、保管行為を禁止するというこの京都府の条例とも方向性は一致しているものというふうに考えています。

奥田委員 今、もう既に制定されている条例ともそんなにそごはない、条例を、もちろん罰則とかそういうところは国の罰則の方が厳しいわけですね、まだ罰則を厳しくすることもできるということかと思います。

 今、一緒に不法投棄関連の法案も出ていまして、そこでは新しく準備罪というものを適用できるというふうになっております。

 この硫酸ピッチのような悪質なものについてもそういった準備罪、どこから準備の範疇に入るのかという難しい議論もありますけれども、こちらの方にも準備罪的な適用があってもいいんじゃないかと思いますけれども、そこまで踏み込めるのか、あるいは踏み込まなかった理由というものを教えていただきたいと思います。

南川政府参考人 まず、今回硫酸ピッチについて、特に不適正保管であっても直罰にできる、いきなり処罰できるということにつきましては、この問題の深刻さにかんがみまして、より早い段階でその者を捕まえるようにしたいということで入れたわけでございます。

 また、準備罪の問題につきましては、これは硫酸ピッチの問題に限りませんで、全体として従来の未遂罪よりもより早い段階で処罰できるようにしたい、それによって不法投棄に至る前に抑えたいということで対応することでございます。

 したがって、具体的な、どこまでが準備罪かという議論はございますけれども、硫酸ピッチだから準備罪が適用されないということはないということで、一般的な適用がなされるというふうに考えております。

奥田委員 あと、質問が重なるかもしれませんけれども、自治体とすれば、大臣から行政代執行とかを求められるときに、やはり財源の担保というものがなければなかなか責任を持った執行というものが難しくなってまいります。一番気になるところでもあるかと思いますけれども、先ほど未処理の分の処理費用で大体最低限このくらいかかるだろうという報告もございました。適正処理推進センターの方にもありますけれども、大体年間三億から四億円の財源をさまざまな対策に振り分けているというのが現状かと思います。

 大臣の方から、硫酸ピッチを抱えた自治体に対して、こういった財源措置に関して環境省がかかわれる部分、応援できる部分について御報告をいただきたいと思います。

小池国務大臣 まず、都道府県などが行政代執行で産業廃棄物の支障を取り除くということを行う場合の国の支援ですけれども、不法投棄の実行時期に応じた二つのスキームで、この廃棄物処理法に基づいて設けた基金、先ほど指摘がありましたこの基金で国が支援をするということにしております。

 その時期、実行時期とは何かというと、平成十年六月以降に不法投棄されました産業廃棄物については、支障の除去などを行います都道府県などに対して、産業界の自主的な出捐と国の補助によって造成した基金から補助率四分の三の補助、そして交付税措置による支援を行う。

 それから、平成十年の六月以前でありますけれども、この不法投棄については、昨年成立した産廃特措法に基づきまして、有害産業廃棄物について補助率二分の一、そのほかの産業廃棄物については補助率三分の一の国庫補助、それに加えて起債特例と交付税措置による支援ということでございまして、時期によっては対応が異なってまいります。

 都道府県などが行うこれらの原状回復を、国としても今申し上げたような支援措置によって促進を図っていこう、こういう仕分けになっております。

奥田委員 今、センターの基金を使っての補助というものを説明いただいたのかというふうに思いますけれども、補助率四分の三、四分の一というのは、国の補助ですか。多分国の補助ではなくて、各業界からの出捐金を含めたセンターからの補助、基金からの補助ではないんですか。

南川政府参考人 全体の考え方といたしまして、半分が公的支援、半分が原因者の、ある意味で原因者全体の支援ということで、全体の二分の一が経済界から御寄附願ったお金、残りの二分の一が地方と国で折半ということでございまして、そのうち国の金と幅広く経済界から得た金、合わせて四分の三ということで、それがセンターに基金としてたまるということで、それを支援していくということでございます。その金で支援するということでございます。

奥田委員 私も自治体の方に御報告いただきたいと言ったのは、これは多分、年間にほんの数件なんですよね、この基金からの対象になっているのは。四分の一の方を入れれば十数件くらいになるかもしれませんけれども、不法投棄の摘発というのは、硫酸ピッチに限らず年間一千件近いものが上がっていて、そのうちの何%が代執行しているかとか、そういったデータを私は持っていませんけれども、そういった膨大な不法投棄対策に対して、国の方で自治体に対して、今地方債の発行ということも大臣のお言葉でありました。そういったことがどこまで許されるのかとか、あるいは予算措置を、もちろん突然出てくることですから、していないけれども、仕事は突然出てくる、そして何とか素早い処置を求められる、そういうときに、地方自治体の仕事が安心してできるようにどういった財源を環境省は応援できるのかということを聞いたわけです。

 今、大臣の方は多分適正処理センターの方を中心に応援の仕方というものを説明いただいたんだと思いますけれども、では、今大臣のお話で聞いた地方債というもので、それがほぼ二分の一なのか三分の一なのかわからないけれども、地方が適正に対処しておれば、国も費用負担をそういった形で何分の一かずつしていくというふうに考えてもよろしいんですか。

南川政府参考人 当然ながら、国としましては、できるだけその基金の増額というものに努めたいというふうに思っておりまして、来年度予算にも、たしか一億七千万でございますが、その額を計上しておるところでございます。また、経済界にも引き続き出捐をお願いしているところでございまして、何とか自治体と協力しながらこの問題を解決していきたいと考えております。

奥田委員 次に、RDFの方に入りたいと思います。

 皆さん御承知のあの三重県の爆発事故では、消防士の方のとうとい命が失われました。御冥福をお祈りしますとともに、やはり、今あるこのRDFの私たちがもしかしたら気づかなかった問題、そしてその対応といったものを中心に問うていきたいというふうに思います。

 まず、基本的なことになりますけれども、私たちもやはり期待を持って進めていった事業でもあるんです。このRDF事業を簡単に最初にスタートで整理するということを含めて、RDF事業のメリット、そして、今また新たにつけ加わったものもあるかもしれませんけれども、そのデメリット、これを、いろいろなガイドラインを作成したりしながら、省庁の方でも整理されたことと思います。この長所、短所を御報告いただくとともに、海外、特にヨーロッパの方で最初に出てきた技術だとも思います。海外でRDFが今どういう状況にあるのかということもあわせて環境省の方から御報告いただきたいと思います。

南川政府参考人 RDFを語ります前に、まず、基本的には、これは、RDFというのは多くの場合、家庭から出てきますごみをまぜまして、それに石灰をまぜて燃料の形にするということで、それを燃焼あるいは発電に用いるということでございます。

 私ども、循環型社会をつくっていく中で、食料品についてできるだけ、単に燃やして灰にして埋めるだけではなくて、せめて熱回収あるいは発電ということで活用したいと考えております。それが重要だと考えておりますけれども、東京のような大都会ですと、二十四時間大きな焼却場で燃やして、そこにごみをそのまま入れまして焼却する、そしてそれを発電に用い、また余熱をプールなどの給湯にも使うということをやっております。

 ただ、比較的地方、田舎の部分になりますと、多くのごみを集めるのは難しいということで、直接投入して発電などが難しいわけでございます。そういった場合に、RDF化すれば、燃料として数カ所から一カ所の施設に、そういう発電施設などに持ってこられるということでございまして、そこで一つの燃料として安定的に燃焼し、そこから熱なり発電を得られるという意味で、大きな意味があると考えております。

 ただし、当然ながら、ごみでございます。ごみでございますので、微生物を含んでおりまして、ガスが出やすいということはまた事実でございます。そこに熱が加わればやはり爆発などの問題も起こるということで、そういう意味では、あくまでごみが燃料だということを前提に扱わなければ、事故につながりやすいということも最近の事例でよく承知したところでございます。

 海外でございますけれども、アメリカやヨーロッパでは七〇年代からRDFの関係の施設づくりが始まっております。二〇〇〇年の文書を私ども見ましたけれども、現在、ヨーロッパにおきましては、ごみ固形燃料、RDFの製造量が百三十八万トン、これを二〇〇五年には五年間で八倍程度ふやしたいということで、ヨーロッパにおきましても、燃料としてRDFを活用していくということは大きな動きとしてはあるということで承知をいたしております。

奥田委員 事業を推進したところ、あるいはこれからしようとするところはみんなそうだと思いますけれども、確かに、収集、運搬、保管といった部分での広域的一般廃棄物行政ができるということが最大のメリットなんだというふうに思います。

 今、当然、事故の起きました原因でもあります保管の中での発熱性というものを欠点として挙げていただきましたけれども、私は、もう一つ、分別が進まないで、混合処理を推進する、そういった施策にもつながってしまうといったことも一つの欠点として挙げておきたいというふうに思います。

 ちょっとヨーロッパの方で処理数量が八倍にもなるという報告は意外でもありましたけれども、いろいろな自治体では、やはり閉鎖ということが出ているふうに聞いたりもしております。その辺は、私もしっかりとした資料を持ってまた次の機会に質問をしたいというふうに思いますけれども、今大変問題になっておりますペレット、これは大臣にお尋ねしますけれども、こういうところでこだわらなくてもいいのかもしれませんけれども、廃棄物の話をするときには、これは一体ごみなのか有価物なのかというところで昔から大変長い論争がされています。実際このペレットが不法投棄現場から千トン単位で出てきているということもありますし、これがグラム幾らという形で発電所の方に売られているという事実もあります。

 このペレットを、当然、運搬、保管というものがついてくるときに、どういう定義のもとで扱えばいいのだろうかということを大臣の方から少しお答えいただきたいと思います。

小池国務大臣 お尋ねの件は、法的にどう取り扱われているのかということだと思いますが、言うまでもなく、廃棄物処理法上の廃棄物とは何ぞやということでいうならば、平成十一年三月の最高裁の判決がよく引き合いに出されるもので、中身は、占有者がみずから利用し、または他人に有償で売却することができないために不要になったものということがまず基本的な考え方になっております。これで申し上げるならば、ペレット化されたごみ固形燃料について、無償または処理料金を徴収して処理されるものは廃棄物として廃棄物処理法の適用を受けるものであります。

 一方で、占有者、持っている者がみずから利用して、または他人に有償で売却されるものを廃棄物として規制することは適切ではないということで、廃棄物処理法は適用されませんけれども、環境保全上の観点から、利用施設については大気汚染防止法などによって規制されているというところで切り口が変わってくる。

 また、危険物、そして指定可燃物については、これは消防法において定められているところでありまして、これに該当するか否かという判断については、これは総務省の管轄というふうになるわけでございますが、ちなみに、平成十五年十二月の消防審議会の答申では、ごみ固形燃料を指定可燃物に指定する必要があるというように記述されているということでございます。

奥田委員 私も、指定可燃物というものが、では、どれだけの取り扱いの上での規制を受けるかということを存じませんけれども、ちょっと大臣の最初の定義のところで、有価であれば、あるいは無価であればどうだということは、また問題を引き起こす原因になるんじゃないかというふうに思います。

 というのは、取り扱って、ルールどおりに処理しない、あるいはルールどおりに処理できなくなって困ったというときには、みんなやはりその中で自分の都合のいい方の定義をとっちゃうわけですよね。都合のいい方の定義をとれば、煩わしい規制のところから外れる。同じ性質を持ったものをやはり廃棄物行政の中で、これは、もし有価であっても廃棄物の方が厳しい規制があるんですから、廃棄物と同じルールのもとで取り扱わなきゃいけないということをぜひ環境省としても、関係省庁があったとしてもそういったところとしっかりと話をして、そういうルールづけをいただきたいというふうに思うんです。

 そういうのを加藤副大臣など本当に、大臣の今のは、当然、省庁から枠に外れない答弁をしてくださいともらった答弁だとは思いますけれども、そういったところに物すごい問題意識を持っていらっしゃると思いますので、省庁の方も、あるいはこうやって内閣の各スタッフの方もみんなで、今のところはちょっと、当然のことを大臣はおっしゃっていますけれども、私は納得できないし、今のRDFの問題の解決に寄与しない考え方だと思いますので、そこのところはぜひ改めていただきたいな、再検討していただきたいなというふうに思います。

 そして、多くのトラブルと事故が全国で起きているわけでございますけれども、このメーカーあるいは管理者、これが同じ場合もありますけれども、そして広域組合という形でこのRDFでの処理を実施していった自治体、こういったところで、やはり事故ということになれば、当然ですけれども、一つのふぐあい、故障みたいなもの、そういったことに対しての責任の所在というところでまた多くのトラブルも起こしているわけでございます。こういった今ある問題、当然、事故につながるようなものであればもうすぐに対応しなければいけないということになっておりますし、ガイドラインでも通達か指示か、そういったものが出されておるわけでございます。

 では、これに対応するときに、やはりそれがだれの責任かというところがあいまいになる、あるいは、だれの負担かというところがあいまいになってくるという部分がございます。こういったガイドラインに沿ったときの対応、これについて、責任の所在、あるいは負担の所在といったところで、少なくともメーカー、管理者、そして自治体、そしてまた環境省のあり方、その問題に対するあり方ということを大臣と環境省にお尋ねしたいというふうに思います。

小池国務大臣 行政、そしてメーカー、また環境省、それぞれ責任はどうなっているのかということだと思いますが、今も御質問の中にありましたけれども、やはり三重県の事故の発生ということを重く見て、またこれからのRDFそのものへの信頼性の確保ということからも、ごみ固形燃料検討会を設けて、そこでごみ固形燃料の適切な製造、そして利用のあり方ということで、今御指摘のあったガイドラインを取りまとめたところであります。

 個々のケースは、どこのメーカーとどういう形で契約を結んだのか、またどんなトラブルであったのかというのはそれぞれケース・バイ・ケースでございますので、基本的には工事請負契約上の取り決めということで、まず両者間で解決すべきものというふうに考えております。また、最近は住民と行政とがトラブルを起こすということなどもございまして、それぞれの自治体、頭も痛めつつ、また、情報公開という形で説明責任をきっちりと果たして、そして行政が施設の安全を確保して廃棄物の適正な処理に努めるということ、これを徹底していただきたいと考えております。

 また、環境省とすれば、今回取りまとめたガイドラインの周知徹底を図るということで、この新しいごみの処理、そしてそれがまた燃料に変わるというようなプラスのメリットも先ほど整理させていただきましたけれども、こういったメリットも、前に進めていくためにも、施設整備に当たっての安全性の確保に環境省として努めてまいりたい、このように考えています。

南川政府参考人 廃棄物処理につきましては、役所のみならず、当然民間の業者もかかわるわけでございます。これは大臣、副大臣、政務官からも常日ごろ言われておりますけれども、産廃業者あるいはこういったメーカーを含めて、全体的な情報公開が非常に大事だという指摘を受けております。ぜひその方策を早い時期に検討したいというふうに考えております。

奥田委員 当然、話し合いの中で出てくる結論だとも思いますし、その中で決着がつかなければ、今言った、それが住民からのものかどうかは別として、訴訟、裁判という形での決着がつくのかもしれませんけれども、以前、この廃棄物施設の基準というものを、厚生省の時代にやはりそういった施設基準というのが余りにも細かくて厳し過ぎるということで緩和していって、そして、その後新しい技術が入ってきたりして、性能基準というもので発注しちゃうという姿がちょっとやはり問題があるんじゃないかというふうに思うんです。

 性能発注をするならするで、やはりいろいろな契約事項としての細かい、後の瑕疵とか担保みたいな、そういった部分が自治体の契約にしっかり書かれているのかどうか。あるいは、うがった見方かもしれませんけれども、性能発注というのを、今度仕事を受ける側のメーカーにしてみれば、本当にRDFというこの施設の知識がない人をもし相手にするとすれば、ちょっと自分の都合のいいように、プラントを安く上がるように変えたりすることもできるわけなんですよ。やはり契約とそのできるものと、あるいはその運営というもののチェックをどういう体制でやっていくのか。

 僕は、性能発注であるならメーカーに一番の責任があるのは当然だと思うんですよ。もちろん運用に瑕疵がない限り、点検とか清掃を全然していない、そんな運用の仕方をしていない限りはやはりメーカーに第一義の責任があると思います。ケース・バイ・ケースという大臣のお話でしたけれども、そういった中で、ガイドラインの方にもそういった責任の所在の優先順位や、あるいは発注に伴った責任負担というものをぜひ明確にしておいていただきたい。

 ちょっとまたお金の話になりますけれども、大臣に、うちの地元でも、窒素ガスを注入する、それはもう省庁から言われる前にすぐやっちゃいました、事故につながることですから。あるいは、今度ガスの濃度測定装置というのも入れます。それが、最初のときには億近いお金、そして次にも三千万以上のお金というのは、現実の問題として一つの施設から発生してきます。こういったものは当然、省庁に言われなくても、あるいはよりよい方法を言われればすぐに自治体も対処すべき、あるいはせざるを得ない問題として、そこの費用負担。

 あるいは、大臣のお部屋まで行ってお願いもさせていただいたこともありますけれども、今度新しい施設をつくったら、ダイオキシン規制法のときに古い施設の処理基準がまた物すごく厳しくなっちゃって、それまで見込んでいた費用で解体撤去ができないという問題がいろいろな自治体に生じてきています。そのダイオキシン対策の規制法の基準に合わすために廃棄になってしまった地方自治体の施設の解体という問題についての一つの補助といいますか費用負担について、大臣の方からお言葉をいただければと思います。

小池国務大臣 今幾つかの御質問を受けたと思いますが、一まとめにとはまいりませんけれども、一つずつお答えしていきたいと思います。

 先ほど来、処理施設の技術基準などの設定などについてのガイドラインでありますけれども、ごみ固形燃料の適切な製造、利用のあり方について検討を進めてきた結果、ガイドラインを取りまとめまして、この廃棄物処理法に基づくごみ固形燃料関係施設の構造、維持管理に関する基準の見直し作業を行って、今パブリックコメントを求めているところであります。

 そして、幾つか財政支援のお話もございましたけれども、この基準を改正した後についても、環境省としてさらに財政的な支援ができるように検討していくということが一点。

 それから、さっき、特にRDFの関連の安全対策に必要な設備の整備事業については、十五年度中に実施されたものを国庫補助対象としていくことはなかなか難しいんですが、十六年度以降については財政支援が行えるように検討してまいりたい。

 それから、廃炉の関係でございますけれども、その後、さらに先進的な技術を使った処理施設をつくるということになりました場合には、これについては支援をさせていただくという基本的な方針を持っております。

 加えて、廃リ部長の方から、契約のことなどについてお答えさせていただきます。

南川政府参考人 具体的に事故が起きた場合の責任がだれかということにつきましては、これはガイドラインに記入することは極めてなじみにくいと思っております。

 ガイドライン自身は、技術的にきちっと縛りをかけて事故が起きないようにするということでございます。したがいまして、具体的な責任につきましては、自治体が具体的に業者と契約の中でどういう形で担保するかということに頼らざるを得ないというふうに考えております。

奥田委員 ですから、自治体も毎日毎日出す契約ではないですから、そういった契約事項の中にどういうことを明記して担保していく必要がありますよということはガイドラインに載せることはできますでしょう。

 それと、大臣の方から、十六年度以降のこういった今のRDFの設備の充実というものについて、私も予算書を見たらそういうものは当然載っておりませんでしたけれども、補正予算なのか、何かまたそういったことを、何とか見通しが立ちそうだというお話もいただきましたし、十五年度中は難しいけれどもというお言葉がありましたけれども、環境省の方では財務省の方と一生懸命交渉していただいているというお話は聞いておりますので、もし少しでも行って応援になるのなら使ってもらっても結構ですので、ぜひ十五年度中に対応した部分も十六年度中とせめて同じ措置がいただけるように、ぜひとも環境省としての努力をいただきたいというふうに思います。

 ちょっと時間がなくなりましたので、投げつけるような質問になって申しわけないですけれども、今までの廃棄物行政の中で積み残しになっている部分を二つだけ、大臣、もう時間的にないので簡単なお答えでもよろしいですけれども、お願いしたいというふうに思います。

 一つは、いろいろな自治体の方から、あるいは一般廃棄物を取り扱っている現場の方から出ている要請の中で、あるいは具申の中であります拡大生産者責任、これもずっと長くこの委員会でも問題になっておることでございます。

 そして、一番最初に不法投棄のことで言いました電子マニフェスト。マニフェストはあるけれども、現場の方々は年間四千万枚に上る紙マニフェストを扱う、それはもう人間わざでできるはずがない。当然、電子マニフェストを提案して、省庁の方も、JWNETですか、そういったところで多分試行段階には入っているんだというふうに思いますけれども、これからの廃棄物行政の中で、拡大生産者責任の拡大、そして、ぜひとも充実してほしい電子マニフェストの実現といったところに、大臣の思いと決意を聞かせていただければというふうに思います。

小池国務大臣 まず、拡大生産者責任ですけれども、これを強化するということで、平成十四年の十一月に中環審が意見具申を行いまして、その中身として、処理困難物に係る基本的枠組みを設ける必要があるとの提言をちょうだいいたしました。

 その結果、環境省として、市町村で適正に処理することが難しい廃棄物については、廃棄物処理事業を実施する市町村の団体であります全国都市清掃会議に依頼して調査を実施しました。その調査の中で特に要望が多かったのが、古いベッドの廃スプリングマットレス、それからエアゾール缶の処理体制の具体化ということで、これの検討を行っているところであります。

 市町村そして関係業界、それぞれの適切な役割分担の中で、廃棄物、そしてそれを収集、運搬そして処理をするというそれぞれの特性を踏まえたそれぞれの段階においての処理体制、これを構築するように努力してまいりたいというのが一点目です。

 それから、電子マニフェストにつきましては、平成十年に運用が開始された当時の活用件数というのが八千件だったんですけれども、それが十二年度で約十万件にふえて、その後十四年度で約四十一万件、そして平成十五年度の二月末でありますけれども七十三万件、この数字を見れば、着実にふえているということがおわかりいただけると思います。

 それで、情報処理センターの方で、もっと普及拡大をしていこうということで、GPSの装置それからこの電子マニフェストを組み合わせて、廃棄物を運びます車両の移動状況を追跡管理するモデル事業を行っている、それから、最近よく出てまいりますICタグの有効な利用方法の実証実験などを実施しているところであります。

 御承知のように、電子マニフェストは一気通貫して初めて何ぼという世界でございますので、できるだけ総合的に、またいろいろなデータの大量の処理が必要になってくるということで、通信の高速化のニーズを図っていかなければならないということで、システムの抜本的な改良も必要ということでございまして、いずれにいたしましても、計画的に、さらにその物事の性質を考えて総合的に、この電子マニフェストが普及できるように努めてまいりたいと考えております。

奥田委員 ここの部分について、もう待ったなしのところに来ていると思うんですね、時間的に。ですから、ことしの予算書を見てもらったら、二千万ちょっとぐらい啓蒙費、推進費としてついていますけれども、それは環境省の予算かそうじゃないかはまた別としまして、今言っている試行段階の入っているのも、加入業者はきのうインターネットを開いたら二千社弱ですよ、廃棄物発生業者も入って、そして運搬、さっき大臣が言った一気通貫というところで。

 こういう状況で実用化しようと思っても実用化できないのが現実ですし、不法投棄の処理にかかる費用を考えた場合、ここに加入するのに年会費何万円か払ってください、そうじゃなくて、そういったソフトは関係業界に全部無料配付して、もちろんデータ送信して、使用料は通信料として取るけれどもね、そういったシステムを普及させるための手段もぜひ全体で取り組んで考えていただきたいというふうに思います。

 一番最初にあった不法投棄、あるいはよく環境省もわからない最終処分場の残存容量とか、そういったものをしっかりと把握するための大事な手段でもあるというふうに思いますので、ぜひとも力を入れてお願いしたい。

 まだまだ積み残したところは今度の一般質疑でやらせていただくということを言わせていただきまして、質問を終わります。どうもありがとうございました。

小沢委員長 次に、近藤昭一君。

近藤(昭)委員 民主党の近藤昭一でございます。

 今回の廃棄物処理法の改正に関しまして、幾つか質問をさせていただきたいというふうに思います。

 今回の改正の中で、廃棄物処理施設の設置の許可に係る生活環境影響調査書の添付等の特例についてというのがあります。

 御承知のとおり、一つの大きな問題点として、廃棄物の処理場の立地の困難化、残念ながら、本当に、どうしてこんな事件がというような、こんな不法投棄がというようなことがたくさん出てまいりました。

 そういう中で、大変に立地が困難化しているということで、人的要因の不備、つまり、会社が問題を起こした、施設そのものは問題はないけれども、それを運営する会社、操業した会社が問題を起こした場合、設置許可取り消しになって、休眠をしているような処理施設がある。そういう施設を、なかなか立地が困難だから、その施設に問題がなければ、ミニアセス、生活環境影響調査書の書類添付が不要になる、こういう特例が今回の改正で設けられるわけであります。

 そのこと自体は、いろいろと状況があるでしょうし、問題はないということなんでありましょうが、少々横道にそれるかもしれませんが、ちょっと心配をしていることもありまして、これも岐阜の例でございまして、先ほど奥田委員からも岐阜の例がありました。

 これは、岐阜の方で、全く問題がない施設があった。ところが、施設は問題がないけれども、会社が問題を起こした。そして、免許が取り消しになった。ところが、新しい会社、周りの住民の人が大変に心配をしておるわけでありますが、つまり、その会社は新しい会社になって、そして営業を始めた。多分、それはいろいろなものをクリアしていたということだと思うんですけれども、営業開始をしたけれども、その会社の役員というかスタッフに、もとの会社の社長の家族が、社長ではないけれども、役員でしたか、スタッフとしてとどまっている。

 周りからすると、設備に問題はないかもしれないけれども、また会社も変わった、そういう意味では、いろいろな、条例というか法律的な要件もクリアしているけれども、どうも外から見ていて大丈夫だろうか、こんな問題があるというようなことが、私の方にも相談がございました。これにつきましては環境省さんともいろいろと意見交換をさせていただいて、まあ、現状のところでは問題がないので、とにかく、これからの推移というか、きっちりと検証していく、こういうことであったわけであります。

 そのことは、ちょっと大臣にも、こんなことがあるということで、知っていただきたいというふうに思って、一応今申し上げさせていただきました。

 ただ、今回の特例の改正のことでちょうどそのことを思い出したというか、最近そんなことがあって、思ったわけでありまして、そういう意味では、確かに逼迫をしている、そういう中で、施設が問題ないんだから、特例でアセスを免除する、こういったことによって、会社が、甘えるということもないでしょうが、ミニアセスももしかしたらできないような、やるつもりもないような、ちょっと会社としては問題があるようなところにもそういう許可がおりていかないかなというふうにちょっと心配をしておるわけであります。

 本来の質問に戻りたいと思います。

 ところで、このミニアセスのことでありますけれども、ミニアセスの結果の書類添付の義務づけというのは、九七年の法改正により規定された事項であります。そうすると、それより前の施設についてはミニアセスが行われていないわけでありますけれども、今回の特例措置で、そうした施設に対しても特例が適用されていくのかどうかということを質問したいと思います。

南川政府参考人 平成九年の法改正前に行われました施設につきましては、基本的には今回の特例の対象にならないというふうに考えております。

近藤(昭)委員 そうしますと、そういうところは一回も今までにミニアセスを行わずに使用が続けられていくことになるということでありますが、その点は問題ないんでしょうか。

南川政府参考人 当然ながら、大気、水を含めたアセスをしっかりやっていただくということでございますので、それがアセス調査書にまとめられて、なおかつ公衆縦覧に付されるわけでございます。そういう意味では、きちんとしたチェックがなされるというふうに考えております。

    〔委員長退席、長浜委員長代理着席〕

近藤(昭)委員 先ほど申し上げましたように、なかなか立地が困難な中で、条件をクリアしていればそういった特例も認められる、ただ、その後はチェックをしていくということであると思いますが、とにかく、いろいろなところで不法投棄が行われているという状況をかんがみますと、しっかりとしたフォローといいましょうか、今後のチェックをしていただきたいというふうに思うわけであります。

 続きまして、指定区域の指定のあり方について質問をしたいというふうに思います。

 今回、廃棄物が地下にある土地の形質の変更についてということで、かつてそこに廃棄物が捨てられていて、その土地の形質を変更するということに当たって都道府県が指定をするということでありますけれども、最近、これはいいことだと思うんですが、いろいろな意味でマスコミに報道されて、多くの方が情報を共有する。しかし、情報を共有することによって、もちろん、これはそれぞれの方が判断されることでありますから、情報があって、それぞれが判断するということは非常に重要なことでありますけれども、誤解を恐れずに申し上げますと、非常に大げさになるというか、影響が大きいわけであります。

 そういう意味で、よく言われる風評被害ということでありますけれども、土地の形質の変更で指定された土地が、今度は県が、県知事が指定していくわけでありますけれども、指定されたことによって風評被害が起きることはないか。そこにはかつて廃棄物が捨てられた、問題はないと言うけれども、風評被害というものが出た場合に、どういうような対応をされていくのか。

 つまり、私が心配しておりますのは、心配というのは、きちっとした対応がないと風評被害があるかもしれない、そうすると指定をちゅうちょする、そんなようなことになってしまうのではないかと思うわけでありますが、いかがでしょうか。

加藤副大臣 法律上は、都道府県知事がどのような土地を指定区域として指定すべきかということは政令で定めることになっておりまして、政令で定める要件、それに合致する土地があれば、知事は指定を行わなければならない、こういうふうになっております。御指摘のちゅうちょという関係でございますけれども、本制度の指定を考えていった場合には、しなければならないというふうになっているわけですから、ちゅうちょをする余地がないというふうに理解をしていただきたいと思います。

 また、本制度の対象となります廃棄物が地下にある土地については、そもそも土地の形質の変更を行わなければいわゆる生活環境保全上の支障が生じるおそれのないものでありますので、本制度は、当該土地の廃棄物にかかわる情報を明らかにした上で考えていく。

 この情報開示というのは極めて重要な点でありまして、従来から行政がなかなかこの辺の関係について情報を開示しなかったケースもあったわけでありますので、それが不信感につながり、最終的には風評被害につながるという関係もままあったわけでございますので、そういう情報開示が極めて重要であると思ってございます。そういう情報を開示して、土地の形質の変更を行う際には、一定の基準に従うことを求めているわけでございます。

 したがいまして、周辺の住民等の立場からすれば、その土地の状況について今まで以上、より以上に正確に知ることが可能になるわけでありますので、リスク分析なんかで言われておりますリスクコミュニケーション、そういった観点も含めて考えていくことが重要でありますので、その土地のリスクを管理する仕組みも用意されているというふうに私は理解してございますし、そういうふうに今回の仕組みも考えてございます。

 いずれにいたしましても、本制度の趣旨については、周辺の住民も含め十分な理解が得られていれば、御懸念のいわゆる風評被害というのは生じる可能性が非常に低いのではないか、このように考えておりまして、環境省といたしましても、本制度が施行される場合には、その趣旨にのっとって、都道府県を通じまして十分周知が図られるように最大限努力を行っていきたい、このように考えている次第でございます。

近藤(昭)委員 お答えいただきましたように、政令でしっかり類型化をする、その類型に当てはまるときには必然的に知事も、県もやらなくてはならないだろう、そういう中できちっとした情報が公開をされていけば、かえって、疑心暗鬼と申しましょうか、中でそういったものが捨てられているかもしれない、どういうものが入っているかわからないというよりも、指定がされて、今回台帳も広く一般に公開されるという中で、今リスクコミュニケーションという言葉も出ましたけれども、やっていくんだということだと思います。

 ただ、いずれにしても、そういった中で、まさしくこれを指定して情報を公開していくことが風評被害も防止していくことだという御答弁だったと思うんですけれども、先ほど申し上げましたようにざっと、マスコミというか、いろいろな口コミもあるかもしれませんが、そういったところで誤解というか間違ったものが広がっていく、そういうものに対してもきちっと対応していっていただきたいというふうに思うわけであります。

 ただ、そういう中で、やはりちょっと心配しますのは、情報公開ということでありますね、つまり、指定区域の対象となる最終処分場の跡地、これはいつの時期までさかのぼれるのか。

 つまり、かつてはこういった問題が余り大きく取り上げられなかった、あるいは、大きくなるほどの量もなかったというか、問題でなかったころは、最終処分場のきちっとした手続、設置の手続あるいは廃止の手続、いわゆる届け出ですね、そういったものが、まだきちっと国が把握できなかったというか、把握するシステムがなかった、そういう時代があると思うんですね。ですから、これについては、どれぐらいまでさかのぼって指定することを考えておられるのか、お答えいただきたいと思います。

南川政府参考人 何度か廃掃法は改正されております。その中でどこで割り切るのか、これから自治体とよく相談をしたいと思いますけれども、一つの目安としまして、五十二年三月から最終処分場の設置に係ります届け出制度が動き出したわけでございます。このあたりを一つの目安にいたしまして、都道府県知事さんあるいは政令市長さんが実際にどの程度の把握をされておるか、よく相談をした上で決めていきたいというふうに考えております。

近藤(昭)委員 昭和五十二年から最終処分場の設置時届け出制度が開始された、そこまででないとなかなか書類的にも難しいということなのかもしれません。

 ただ、御承知のとおり、昭和四十年代、大変に公害が大きくなって、四十六年、公害国会などとも言われるわけでありますが、そのあたりも、もしかしたら問題があったのではないか、問題があったわけですね。そうすると、先ほどの情報公開ということでいうと、地域の住民の方から、昔はどうだったんだろう、昭和五十二年より前は大丈夫なのか、そんなこともあると思うんですが、そういう意味では、私は幅広くできる限りさかのぼるべきだと思うんですが、どうでしょう、大臣、いかが考えられますでしょうか。

 今、南川部長からの御答弁は、昭和五十二年から届け出制度が開始をされた、そこまではしっかりとさかのぼって、また、地元の県とも連絡をとり合って、どういうふうにさかのぼっていくか、指定をしていくかということらしいんですが、私は、幅広く、できる限りということで考えております。

小池国務大臣 最終処分場の跡地であったということなどから廃棄物が地下にあるというような土地ですけれども、それを、形質を変えることによってリスク管理が必要になってくる、また、生活環境保全上の支障を前もって、未然に防止をするというのが今回の制度の趣旨でございますけれども、こうした廃棄物の存在に伴いますリスクがあるなし、これが判断の基本になってくるわけです。

 ただ、その際には、都道府県の知事が廃棄物の処分されている場所を具体的に把握できているか否かなど、制度の実効性の点もあわせて考える必要があると考えております。今後、その実効性もしっかり留意をして、そしてまた、制度の趣旨が十分反映されるように検討を進めてまいりたいと思います。

 人に歴史ありといいますけれども、土地にもそれぞれ歴史があるけれども、それが環境にとって、ちゃんと保全できるかどうか、それをしっかりこの制度を使って進めてまいりたいと考えています。

近藤(昭)委員 まさしく土地にも歴史があるということなんだと思いますし、逆に、そういう歴史を地域の方がよく御存じということもあると思うんですね。

 そういう意味では、確かに、五十二年の届け出、それが書類的に確認をできる、実効性があるという言葉なのかもしれませんが、逆に、大臣もおっしゃったように、歴史があるわけでありますから、変な例えかもしれませんが、文字に残った歴史ではないけれども、周りの方がよく御存じの歴史があるわけですから、そういう意味では、柔軟にといいましょうか、幅広く地域の方から、そういう心配のことがあったら、土壌浄化法なんかも関連してくると思いますのでそこでカバーできるところもあるとは思うんですけれども、広く地域の皆さんの心配にこたえていっていただきたいというふうに思うわけであります。

 続きまして、今回の改正には直接は関係がないけれども、先ほど、同僚の奥田議員からも質問がありましたように、本当に、岐阜でまたこんなことがあって、どうしてかというようなことが廃棄物の問題ではたくさん起こってくるんですね。そういう意味では、今までにも附帯決議なんかでいろいろと心配をしてきたようなことについて、ちょっと質問をしたいというふうに思います。

 いわゆるごみの広域投棄の問題であります。例えば、東京の廃棄物が、遠く離れた、問題の岩手や青森に投棄されていた、こんなようなことがあるわけであります。

 そういう意味では、各ブロックごとの域内でできる限り処理が行われるべきだと考えておりますし、特に、全国の廃棄物の大部分を占める首都圏と近畿圏の廃棄物の処理につきましては、前回の附帯決議でも、「域内でできる限り処理が行われるよう、必要な処理施設の整備を推進する」、こういう附帯決議があるわけですね。それについてはどのようになっているのか、お答えいただきたいと思います。

加藤副大臣 国会における法律における附帯決議でありますので、最大限、できるだけ尊重しながら実施に移していかなければいけないというふうに考えているわけでございます。

 産業廃棄物につきましては、今御指摘がありましたように、大都市圏で大量に発生した廃棄物が地方圏に流出する過程においていわゆる不適正な処理や大規模な不法投棄事案が生じてきたことを考えてまいりますと、御指摘のように、各都道府県においてできる限り処理の受け皿を確保することが極めて重要だと私ども考えてございます。

 環境省といたしましては、やはりこういった面にも十分対処しなければいけないということで、都道府県等の公共関与によりますモデル的な施設整備を図っているところでございますし、特に、今御指摘のありました附帯決議でも触れられておりますように、首都圏、近畿圏におけます廃棄物処理施設の整備推進に関しましては、例えば首都圏では、平成十五年度において、神奈川県及び茨城県に対して支援を実施しているところでございます。

 また、エコタウン事業という事業がございますけれども、東京都での建設混合廃棄物リサイクル施設や兵庫県のエコタウン事業の廃タイヤガス化リサイクル施設に対しても支援を実施するなど、そういった意味では、こういった面についての着実な整備を図る努力をしているところでございます。

 環境省といたしましては、首都圏、近畿圏を中心といたしまして、産業廃棄物の排出、処理状況やいわゆる広域移動状況を関係都府県に提供いたしまして、それぞれの都府県において推進されています施設整備計画を積極的に推進するとともに、都府県間での連携の可能性を探っていきたい、このように考えて種々検討を進めている最中でございます。

    〔長浜委員長代理退席、委員長着席〕

近藤(昭)委員 その法案の中にはなかったけれども、大変に問題がある、問題というか課題ということが附帯決議であるわけでありますから、それも、この間の六年間で四回改正がありまして、その都度かなり類似の附帯決議がついているわけでありまして、そういう意味では、今お答えいただきましたけれども、ぜひとも、ますます附帯決議に係ることも推進していっていただきたい、そういうふうに思うわけであります。

 ところで、いわゆる産業廃棄物の最終処分状況のデータについて、これは、いろいろ聞くところによると、全国で捨てられているごみの量、そのごみの量からすると、もうとっくに最終処分場がいっぱいになっていてもおかしくないんじゃないか、こういうふうに極端なことをおっしゃる方もいらっしゃる。つまり、最終処分場の残余量からは、どうも、本来ならば、もっとちゃんと処理されていれば、いっぱいになっているほどではないかもしれないけれども、もっと残余量が少なくなっていてもいいんじゃないか、少なくなるべきではないか、普通に足し算、引き算をしていくと。ところが、毎年環境省さんがとっていらっしゃる状況でいうと、本来捨てられていて足し算、引き算していけばもっと残余量が少なくなってもおかしくないのに、少し残余量が多い、そんなようなことを指摘する方もいらっしゃるんですね。

 私は、これは考えてみれば、最終処分場の処理能力がこれだけある、そして最終処分場にこれだけ投棄をされた、そして最終処分場の残りがこれだけだということをきちっと把握していけば、どこかおかしなところに捨てられているものがわかるんじゃないか、こういうふうに思うわけでありますが、どうでしょうか。

砂田大臣政務官 環境省では、毎年、産業廃棄物の最終処分量あるいは最終処分場の残余容量等について把握をし、公表をしているところでございます。また、産業廃棄物の不法投棄の状況についても、毎年、都道府県等から報告を求め、集計、公表しているところであります。なお、平成十四年度に発見された不法投棄量は約三十二万トンとなっているところでございます。

 この調査で、処分場設置者から報告された残余容量の値と最終処分量等をもとに計算により求めた残余容量の値に差があるとの御指摘でありますが、これは、最終処分量と残余容量の調査手法の違いや、あるいは許可対象外であるため把握されていない処分場があることなどに起因するものと考えられ、今後、それら個々のデータについて、より精度を高めていく必要があると認識をしているところでございます。

 このために、環境省としては、産業廃棄物排出量等の推計方法について、多量排出事業者の処理実績を活用するなどして、より精度の高いものとなるよう見直しを行うことや、本年一月の中央環境審議会の意見具申も踏まえ、最終処分場の残余容量の定期的な把握を設置者に義務づけることなどを検討しているところでございます。

 今後とも、最終処分場の残余容量や不法投棄の状況の的確な把握に努めることにより、廃棄物の最終処分の実態の正確な把握に努めてまいりたいと考えているところであります。

近藤(昭)委員 今お答えをいただいたことをきちっとやっていただければというふうに思うわけであります。

 今お答えの中にあった、調査手法の違いがあったり調査対象から漏れているところがある。しかし、それは、まさしく何年もやっている中で、推計とか累計とか、あるいはこの何年かの中で確認ができるのではないかと思うわけですね。そういった意味で、何年もやっておられるわけでありますから、このデータをきちっとやる、そういう中できちっと捨てられているかどうかということが一つ私はチェックできるのではないかと思うんです。

 もちろん、先ほど不法投棄の量、三十二万トンですか、そういうことをおっしゃったので、もう三十二万トンなんというと大変な量ですが、ただ、全体からすると決して、一%とかそんなことになるんでしょうか、そういう意味では、なかなかきちっとチェックできないんだというような理由もあるのかもしれませんけれども、だからこそ私は、そういう意味ではもっと地域ごとに、地域ごとでやっていけば、残念ながら割と不法投棄をしているところが偏っているというか、あると思うんですね。残念ながら私の県の隣の岐阜県でそんなことが起こったり、青森、岩手、そういう意味では、そこだけで考えればかなりパーセンテージとしては多いと思うんですよ。もちろん、それは広域的にごみが捨てられている、私がさっきちょっと質問させていただいたことでありますけれども、そういったものももっときちっと地域地域で、ブロックブロックでチェックしていけばよりわかってくるというふうに思うんですね。

 それともう一つ、先ほど、これも同僚の奥田議員が質問しました。まさしくそういうものを電子マニフェストでフォローしていくと、もっと、ちゃんと捨てられているかどうか、量的にチェックすることもできやすくなるんだと思いますが、どうでしょうか。

小池国務大臣 先ほどもお答えいたしましたように、電子マニフェスト、毎年活用が広がっており、着実に普及が進んでいるというふうに認識しておりますけれども、そうはいっても、この利用件数はまだまだ全体の二%にとどまっている。なぜかというと、やはり、ごみを出す排出事業者、それから収集運搬業者、処分業者のすべてが電子マニフェストに切りかえて初めて目的が最も達成できるということになるわけで、その際、この廃棄物にかかわっている企業が中小零細企業、そして運搬などもそうですけれども、関連の企業がどちらかというと小さ目ということで、この電子化のコストの負担が大きいということから、一気に義務化まで持っていきたいところでありますけれども、なかなかそれはできないというような状況でありますので、より普及促進を図るということを環境省として取り組んでまいりたいというふうに考えております。

 先ほどからICタグの話もさせていただきました。最近は、大根一本にもICタグをつけようという時代でございますから、そういう技術革新と、大きくみんなが使うことによるスケールメリット、そんなことを総合的にこれから進めてまいりたいと考えております。

近藤(昭)委員 繰り返しになりますけれども、やはり不法投棄をされて処理をするその費用は本当に莫大でありますので、こういったところにこそ、きちっと助成というか推進のための施策をしていっていただきたいというふうに思うわけであります。

 どうもありがとうございました。

小沢委員長 次に、村井宗明君。

村井(宗)委員 民主党の村井宗明です。

 きょうは、先輩の奥田議員、近藤議員に引き続き、廃棄物処理法の改正案について御質問をさせていただきます。

 先日も、岐阜の山林に七十万立方メートルに及ぶ大量の不法投棄が見つかりました。現在、日本では、不法投棄などの問題は非常に深刻な状態になっています。そこで、広域的な廃棄物処理にかかわる紛争や緊急の必要がある場合は、環境大臣を初めとして国がみずから解決に乗り出す、そういう今回の法案改正は非常に評価するべきものと思っております。

 まず初めに、改正案要綱で言う第五の環境大臣の指示についてであります。改正案の条文では、第二十一条の三の関係になりますが、今回の改正案の中でも非常に重要なポイントではないかと思うんです。この環境大臣の指示、つまり、国と地方公共団体との関係について質問をさせていただきます。

 これまでも、地方分権改革の取り組みの中で議論されてきたところだと思います。平成十五年の法改正においては、環境大臣に対し、緊急時の報告徴収、立入検査の権限が付与され、国の役割強化が図られたところです。本法律案に設けられておりますのは、都道府県知事が行う措置命令、そして行政代執行に対しての環境大臣による緊急時の指示であり、これも、言ってみれば国の役割強化の一環ということが言えるのではないかと思います。

 国が地方公共団体に関与するに当たって、地方自治法上の関与の基本原則、つまり、地方公共団体の自主性、自立性、そこに配慮することが必要だと考えられております。また、平成十五年の改正法案に対する附帯決議の中でも、「廃棄物行政の実施に当たっては、国と地方公共団体が連携を密にし、一体となって取り組むよう十分配慮すること。特に、環境省による報告徴収及び立入検査の権限行使に際しては、連携を十分に確保すること。また、地方公共団体の施策のうち全国的に行うことが効果的なものについては、国において導入を検討すること。」という附帯決議をつけていただきました。

 そこで、お尋ねしますが、今回の改正案にある新制度の適用が想定されておりますのは、有害物質による汚染が急速に広がるような緊急の必要がある場合、または、対象地域が複数の県域にまたがる場合などであると思います。関係地方公共団体において速やかな対応がとられない場合は、生活環境の保全の見地から国が関与せざるを得ないときもあると思われます。しかしながら、先ほど申し上げました地方自治法の原則などを踏まえ、権限行使に当たっては、関係地方公共団体との間で可能な限り十分な調整を図ることも必要であると考えます。

 この環境大臣が地方公共団体に対して指示を出す場合、地方公共団体の自主性、自立性を尊重する観点から、実際の運用に当たってはどのように配慮されますでしょうか。小池環境大臣にお願い申し上げます。

小池国務大臣 今の御質問の中に随分もう回答もあったのではないかと思われるわけでございますけれども、一般的に、地方公共団体の事務について、国はできるだけ関与しないということが時代の趨勢だと感じているところでございます。ただ、産業廃棄物の分野というのは、今御指摘もありましたように、県をまたがるとか、また余りにも大量であるというようなことで全国的に深刻な問題となっているわけで、この産業廃棄物の分野だけといいましょうか、産業廃棄物の分野に関しては、地方分権推進会議でも、むしろ国の責任を強化すべきとの議論をいただいているところでございます。

 ということで、今回の制度、るる御説明もかわりにしていただいたようなところもありますが、産業廃棄物の不適正な処理が行われて、都道府県知事のみによる速やかな対処が困難であるというまさに緊急の場合に限って、地方分権の趣旨に反すことなく、必要最小限の関与として、環境大臣が必要な指示を行うこととしているわけでございまして、地方公共団体に対して、指示の内容が理解されるよう十分に趣旨を説明し、またしっかりとした連携をとってまいりたいと考えております。

村井(宗)委員 今大臣がおっしゃられたように、産業廃棄物の分野においては国の責任を強化する方向だという話なんですが、この、今おっしゃられた環境大臣の指示に対しては法的な担保措置がありません。この辺はどのように検討されておられますでしょうか。

南川政府参考人 委員御指摘のとおり、この指示につきましては、強制力あるいは法的担保というのがございません。

 私どもとしましては、大臣も御説明いたしましたように、しっかりとその趣旨を地方自治体の長に伝えて、ぜひそれに従って対応していただくような措置を講じていきたいというふうに考えております。

村井(宗)委員 今おっしゃられた、環境大臣が指示を行うのは、いわゆる措置命令と行政代執行の分野だとされております。この行政代執行は、都道府県が、実際の汚染者といいますか、不法投棄者、不法焼却者から費用を回収できずに、その一部負担を強いられる可能性があるんです。

 例えば、今回の岐阜の件に関しても、必ず代執行をした分の費用が不法投棄をした業者から回収できるとは限らない。むしろ、そうなる可能性の方が少ないのじゃないかと推測できるのではないかと思うんですが、どうでしょうか。

 したがいまして、この点にも十分に配慮した上での指示が必要になると思うんです。また、こうした考えを重視すれば、政策手法として、国が直接措置命令もしくは行政代執行を行うという並行権限の創設も考えられたのではないかと思うのですが、この点についての検討状況はどうでしょうか。

加藤副大臣 代執行の関係でございますけれども、その関係と費用の回収ができないおそれもあるのか、そういう関係の話になりますけれども、今回の指示の対象とするケースにつきましては、産業廃棄物の不適正な処理に起因する、いわゆる人の健康や生活環境に深刻な影響を及ぼす、しかも、その汚染が急速に拡大することを緊急に防止する、そういった場合でございます。

 先ほど来から問題になっております環境大臣が指示を行うことにつきましては、このような、いわゆる生活環境保全上の緊急性によるものでありますから、その指示の内容は、本来、管内の産業廃棄物処理について指導監督の権限を有しております都道府県知事が講ずべき措置であると考えてございます。

 また、そういったことから、仮に環境大臣の指示に従って都道府県知事が代執行を行ってその費用を回収できなかった場合、それも間々生じることがあるとは思いますけれども、従来の支援スキームを活用する、二つのスキームを我々提示しているわけでありますけれども、そういうスキームを活用すること以上に、環境大臣が指示したことを理由によりまして、特別に国が財政的な支援を行うといったルールということについては適当ではないのではないかと考えておりまして、先ほど説明を大臣からもしたところでございます。

村井(宗)委員 ありがとうございます。

 今、費用負担の部分、明確な答弁が得られなかったので、もうちょっと詳しく環境省の方にお聞きしたいと思いますのと、次の質問に入らせていただきますが、やはり、廃棄物行政における国と地方の役割分担の問題、これにつきましては、この辺で政府の考え方を明確にすべきときではないでしょうか。

 そういった意味で、今回の改正案は、これまでの地方分権推進会議や中央環境審議会の議論の中でどのように位置づけられますでしょうか、お尋ね申し上げます。

加藤副大臣 一般的には、地方公共団体の事務について国はできるだけ関与しないことが求められているわけでありまして、先ほど来議論になっておりますように、産業廃棄物の分野につきましては、非常に全国的に深刻な問題になってきている。岐阜のケースもそうでございます。

 このため、地方分権改革推進会議あるいは中央環境審議会におきましても、広域的な不法投棄対策などいわゆる広域行政の調整等の観点から、むしろ国の役割の強化、明確化を図るべきとの整理がされているわけでございます。

 これを受けまして、昨年の廃棄物処理法の改正によって、広域的な見地からの調整など国の責務の強化が図られた、こういうことでございますし、また、今回の国の指示の創設、新たにつくるわけでありますけれども、昨年の国の責務の強化の具体的な措置として、都道府県知事のみによる速やかな対処が期待しがたいような緊急の事態においては、調整などを図るいとまがない、そういう場合も想定されるわけでありますので、やはりそういった緊急性をかんがみまして環境大臣による指示を導入しようとする、そういう考え方に基づくわけでありますので、ぜひとも御理解のほど、お願いを申し上げたいと思います。

南川政府参考人 費用の点についてもう少し補足させていただきます。

 仮に代執行となりました場合には、一義的にはその地方公共団体の長が行うわけでございます。したがって、権限を持つ都道府県知事あるいは政令市長が行うわけでございます。

 それにつきまして、膨大な費用が要ります。私どもとしましては、それがいつ不法投棄が行われたかによって変わりますが、新しいものであれば全体として四分の三の支援、古いものにつきましても二分の一あるいは三分の一ということでその支援をしてまいりますし、また、環境省からの直接の補助以外にも、地方財政措置ということでカバーをしていくということでございます。

 ただ、いずれにしましても、これは自治体自身も大変な金が要るわけでございます。青森、岩手につきましても、両県で約六百六十億必要でございますけれども、やはりその半分弱は自治体で見ていただかざるを得ないということでございますので、そういう意味では、知事さんとそのあたりはよく相談をしながら、どういう方法が一番適切か、それも踏まえた上での指示であり、具体的な対応であろうというふうに考えております。

村井(宗)委員 答弁ありがとうございます。

 くれぐれも、それぞれの都道府県に膨大な負担が押しつけられないように御配慮いただける方向、そういうふうに御答弁いただきましたので、何とぞその辺、よろしくお願いします。

 それでは、次にお聞きします。

 環境省では、平成十七年度に支局のような地方組織の設置を計画されておられます。廃棄物行政に対する国の役割強化をさらに進める方針だということはさっきお聞きしたんですが、行政のスリム化の流れとどう調和させていくお考えでしょうか、お聞きします。

砂田大臣政務官 廃棄物行政につきましては、産業廃棄物の不法投棄が依然として後を絶たない深刻な状況にあります。地方分権改革推進会議などから、国の役割の強化を図るべきとの意見がなされているところでございます。

 環境省では、こうした指摘のほか、地球温暖化防止対策や旧軍の毒ガス問題への対応など、環境省の責任において地方で処理すべき事務がますます増加していることから、地方支分部局を含め地方組織の強化を十分検討しているところであります。

 また、こうした強化について、既定の定員面でも認められており、平成十六年度末の地方組織定員は三百四十一名になるところであります。これは、地方でできることは地方でという方針のもと、残された国でやるべき事務について、より現場に近いところで迅速、効率的に行うためのものであり、行政のスリム化の流れに反するということではないと考えているところでございます。

村井(宗)委員 ありがとうございました。

 それでは、前半の方は、こうやって国の関与と地方分権について、廃棄物処理の地方分権についてのお話をさせていただきました。

 後半は、がらっと話題を変えさせていただきたいと思います。罰則と取り締まり強化、この点についてお聞きさせていただきます。

 不法投棄の現場では担当者は非常に怖い思いをしている、そういったことは大臣もよく御存じだと思います。悪質で暴力的な業者がいる、これが現場の本当の状況です。罰則と取り締まりの強化が必要です。

 そこで、改正案の要綱でいきますと第六の罰則についてなんですが、条文では第二十五条、第二十六条の関係になります。

 廃棄物の不法投棄の現場では、申し上げるまでもなく、事後の方策よりも未然防止を図ることが第一に求められています。今回のいわゆる準備罪の創設では、昨年の法改正により設けられた未遂罪よりもさらに前の段階、つまり、不法投棄または不法焼却の罪を犯す目的で廃棄物の収集または運搬を行った時点での摘発を可能にするものです。一般に、未遂罪、これは実行の着手があった場合に捕まえるものなんですが、準備罪はその辺明確さが少なく、罪刑法定主義の上で若干注意をしていく必要があります。

 ここで、平成十四年度の産業廃棄物の不法投棄の現状を見てみますと、不法投棄量が三十二万トン、不法投棄件数は九百三十四件となっております。件数自身は減っているものの、処理料金の上昇や最終処分場の受け皿の減少が不法投棄を助長しかねない可能性は今後も続くものと思われます。

 そこで、お尋ねします。

 昨年の改正で未遂罪が創設され、今回は準備罪の創設を提案されておられます。昨年の改正のとき、委員会審査で、未遂罪の適用は現場ではなかなか難しいと指摘されていたのではありませんか。この間の検討の経緯を明らかにしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

南川政府参考人 私ども、昨年におきましては、より不法投棄を処罰しやすくなるように、少しでも前の段階から処罰できるような規定を検討いたしたわけでございます。その結果、着手した段階で捕らえるということで未遂罪を入れるということで御理解をいただいて、法改正を行ったところでございます。一般的には、私どももどうしても新しい刑罰の導入ということに慎重になります。そういう意味で、まず未遂罪をともかくやってみようということで考えて、御提案させていただいたわけでございます。

 ただし、具体的には、例えば不法投棄でございますと、投棄のためのごみを搭載したトラックの荷台を傾けるということに着手した段階、焼却であれば、実際に廃棄物の一番端っこの方に着火したという段階でございまして、極めて捕らえ方が短時間で難しいということでございます。実際には、例えばパトロール隊がその未遂の場を発見して、それを警察に通知して取り締まってもらうということですので、極めて捕らえ方が難しいということであったわけでございます。

 実際に犯行を犯す方、非常に巧妙化した、犯罪を犯すことに手なれた方が多うございます。そういったこともございまして、これまでのところ、逮捕事例が一件、これも偶然広島で発見されたということでございます。そういったことから、今回は、関係省庁ともより前の段階から対応できないかということで検討いたしまして、目的犯ということで新しい罰則を導入する改正案を提案させていただいているところでございます。

村井(宗)委員 答弁ありがとうございました。

 さて、不法投棄を未然に防止するためには、小口化への対応を含め、関係各機関がどのような体制を整備していくのか、これが重要だと思います。とりわけ、廃棄物行政を担う地方公共団体と地域住民、警察機関、そして平成十五年の法改正により生活環境保全上に特に必要な場合に立入検査等の権限を有することになった環境大臣との相互の協力、連携をどう確保していかれますでしょうか。その取り組みについて、小池環境大臣にお伺いします。

小池国務大臣 不法投棄を未然に防ぐこと、そして早期発見するためには、都道府県などによります監視が極めて重要であります。よって、地方自治体が行う監視活動について、地域住民、そして警察のOBの皆さんを嘱託監視員としているものも含めて、環境省が行う補助の対象といたしているところです。また、最近では、都道府県の廃棄物対策部局に警察から全国で総勢約百名の職員が派遣されるなど、廃棄物対策部局と警察との連携が大きく進んでいるものであります。

 さらに、環境省としてですけれども、昨年十二月に、全国で九つのブロックに設けております地方環境対策調査官事務所、こちらの体制を強化しているところでありまして、今後、これらの事務所の活用も進めて、地方自治体、地域住民、警察機関などなどとの連携強化を図って、不法投棄の監視体制充実に努めてまいりたいと考えています。

村井(宗)委員 さて、本改正案で不法投棄の罰則が強化されますが、取り締まりに当たる警察当局の対処方針はいかがでしょうか。お伺いします。

伊藤政府参考人 産業廃棄物事犯は、生活環境を破壊し、人の健康に悪影響を及ぼす重大な犯罪でありますから、警察といたしましても、その取り締まりは重要な課題として認識しておりまして、これまでも積極的に取り組んできたところであります。

 しかしながら、依然として、悪質、巧妙な不法投棄等の不適正処理が後を絶たない現状にあることを踏まえ、このたびの法改正におきまして、直罰規定の新設や法定刑の引き上げなどが規定されまして、産業廃棄物事犯につきまして一層の厳格な対処がなされることが予定されているところであります。

 本改正法案が成立しました暁には、改正の趣旨を十分に踏まえながら改正法の積極的な適用に努めるなど、さらなる取り締まりの徹底を図ってまいりたいと考えております。

村井(宗)委員 ありがとうございます。

 産業廃棄物の不法投棄の手口は、年々巧妙かつ悪質化してきています。

 先週の報道にもありましたが、岐阜市の山林で、推定七十万立方メートルに上ると見られる産業廃棄物処理法違反容疑の事件が発生しています。この七十万立方メートルという量は、あの全国的にも有名になった香川県豊島の約五十六万立方メートルを上回る規模です。現場は、岐阜市の郊外の山林で、約五百メートル離れたところには団地や幼稚園もあるのです。県警が二十メートルまでボーリング調査をしたら硫化水素が噴出したとのことです。この業者は、県警の調べに対し、九七年ごろから投棄していたと話しており、原状回復には百億円規模の費用がかかるのではないかと言われています。

 ここで、まとめる意味で小池環境大臣にお聞きいたします。この岐阜市の事件をどう受けとめておられますでしょうか。今後の取り組みも含め、大臣の御所見をお聞きしたいと思います。

小池国務大臣 これまで、廃棄物処理法を何度かにわたりまして改正もしてまいりました。そして、そのたびに規制強化、自治体の立入検査権限の強化ということを行ってきたにもかかわらず、豊島に匹敵するような今回の不法投棄が明るみに出たということであります。

 今後ですけれども、あれは岐阜市内でございますので、岐阜市などと緊密に連絡をとるということ、それから現地に職員もその日のうちに派遣をいたしました。ということで情報収集をさらに行うということ、それらを含めて市の方に助言を図ってまいりたい。また、こういう大規模な問題についても、これまで、では岐阜市はどのような対応をしてこられたんですかということ、これも、これまでの検証をしっかりさせていただきたいと考えています。

 いずれにいたしましても、大規模な不法投棄、これ以上ないことを願うんですけれども、先ほど私が答えさせていただいた中にありますように、地方環境対策調査官事務所、これらを活用することで、環境省として独自の情報収集の充実を図ってまいりたい。また、都道府県、関係省庁としっかり連携をとりまして、不法投棄の撲滅に向けて最大限努力をしたいと思います。

 というのも、先ほど法律的な位置づけの話もさせていただきましたけれども、ごみは捨てるときはごみだからただということですけれども、それが不法に集まったときにどんなにコストがかかるかということを考えますと、秩序正しく、そしてまた消費者、住民の倫理の方にも訴えかけていかなければならないですけれども、これまでの循環型社会をつくるというためのさまざまなリサイクル法、これを本当に皆さんがしっかりと守っていただく、また守っていただけるような方策をさらにバックアップしていく、こういったことを総合的に今後とも進めたいと考えています。

村井(宗)委員 ありがとうございました。岐阜市の問題に関しての大臣の熱心な取り組みの姿勢、それがひしひしと伝わりました。

 その中で、今、リサイクルの分野に最後に言及されたので、その分野についての質問をさせていただきたいと思います。

 確かに、不法投棄を取り締まることと並行してやはり重要なのは、ごみの減量化のため、その発生を抑制して、リサイクルの推進を図っていくことだと思います。平成七年に制定されました容器包装リサイクル法は、十年経過後の見直しの時期が近づいてまいりました。環境省では、今どのように見直しをする方向で検討されておられますでしょうか。また、見直し事項の一つとして、現在市町村が担っている分別収集の役割を事業者に移し、市町村の負担を軽減することも考えられますが、この点についてはどのような御見解でしょうか。小池大臣の御所見をお願いいたします。

小池国務大臣 容器包装リサイクル法、市町村が全面的に容器包装廃棄物の処理の責任を担うといったのがこれまでの考え方だった、これを改めて、消費者がまず分別排出をする、市町村が分別収集する、事業者は再商品化するということがそれぞれの役割分担、責務となっているわけであります。

 分ければ資源、まぜればごみと言われるように、この分けていくことを、そこで、ごみの出し方から集め方、そして再商品化、一貫してリサイクルの方向に乗るようにしたものでございますけれども、御指摘のように、施行されたのが平成七年の十二月、その後十年が経過した場合に、一部規定の施行状況について検討を加えて、必要な措置を講ずるということになっておりますので、これらを踏まえまして、平成十七年度に評価、検討を行うことにいたしております。

 その見直しの際には、さまざまな観点でよく検討を重ねて、そしてまた、関係するところが非常に多いものでございますけれども、関係各者から要望なども含めて幅広く検討してまいりたいと考えております。目指すところは、循環型社会の形成がさらに進むように、この観点を忘れずに、見直し、検討を進めてまいりたいと考えております。

村井(宗)委員 ありがとうございました。

 今、大臣は、関係各者をまぜて今後検討を進めていくというふうにおっしゃられました。その関係各者の中で、できれば、役所の関係またその天下りの関係だけではなく、地元の、現場のNPOなども入れて検討していただければということをお願いし、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

小沢委員長 次に、石田祝稔君。

石田(祝)委員 大臣並びに政府委員に御質問させていただきたいと思います。

 まず大臣にお聞きをしたいんですけれども、今回改正案を提出いたしましたが、昨年もこの法律の改正案を出された。連年改正をするという例を余り聞きませんけれども、今回の改正案、ねらいは一体何なのか、一度明確にしていただければと思っております。

小池国務大臣 不法投棄の未然防止のための措置と、それからリサイクル促進のための措置を内容とする改正を去年、一年前に行ったばかりだということなんですけれども、今もずっとお聞きいただきますように、その後も硫酸ピッチの不適正保管、これは全国各地で本当に深刻な社会問題となって、そのたびにどかんどかんと見つかるようなことで、新聞記事、新聞紙上などもにぎわしている。国民の不安が募る。昨年八月に起きましたのは三重県のRDF施設の事故でございますが、この廃棄物処理施設における事故も残念ながら多発をしている。

 それから、廃棄物の処理をめぐりましては、まさに早急な対応が必要な課題がどんどん、どんどんと言ったらあれですけれども、依然として残っているというようなことでございまして、そのとき一緒にやってしまえばよかったじゃないかとおっしゃられるかもしれませんけれども、また、硫酸ピッチの話など新たにどんどん出てきたりする。

 いずれにいたしましても、五年待って改正するよりはできるだけ早く適切に処理ができるように、また対応ができるように、そういう願いでもって今回の改正に至ったものということでございます。

石田(祝)委員 大臣のおっしゃることもよくわかるんですけれども、現状、次から次へと新しい事態が起きてくる、それで法の改正、改正を重ねていく。これは、一見もっともな理論でもありますけれども、法の安定性ということを考えた場合、もうちょっと先を見越して改正をすべきではなかったか。

 去年私は議席がございませんでしたので、議論の経過はつまびらかではありませんが、去年の改正は、たしか罪の未遂は罰する、こういういわゆる未遂罪でやられて、今回は、罪を犯す目的で廃棄物の収集、運搬した者は罰する、こういうふうなことに変わっております。

 ですから、この目的罪というものが別に新しいものではなくて、昨年等も、いわゆるピッキングの犯罪を防ぐということで、お家に侵入をしてかぎに手をかけるとかいう以前の段階で、道具を持っているだけで罰する、こういう法律も実はできておるわけですね。一種の目的罪、そういうものを目的としたものを所持している、それだけで罪に問う、こういう法律も実はできておりましたので、私としては、今回目的罪を入れるんでしたら去年やっておけばいろいろと違った場面もあったのではないか、こういうふうにも考えるところなんですね。

 ですから、今回やられたということは、改正ですから一歩前進であると思いますけれども、やはり法の安定性ということを考えますと、これでまた来年この委員会でやるようになったら大変困るなと思っておりますので、大体これでしばらくはいけるのかな、こういうことで、大臣、御判断でしょうか。

小池国務大臣 基本的には、循環型社会形成のためのリサイクルをどのようにしてしっかり進めていくのか。そしてまた、犯罪の部分については、これは性善説、性悪説ではございませんけれども、これを一歩ずつかもしれませんけれども、やはり取り締まりの現場というのは大変なものがあることはよくわかっていて、それが、刑法等々との整合性がどうなるのかとか、やはりそのあたりは、未遂で、だれでもそういうことをやろうとしているんじゃないかということだけで捕まえたりすると、これまた行き過ぎになったりもする。なかなかその辺のところの綱引きは難しいものがあろうと思いますが、今回の改正によって、そういったさらに巧妙な業者などを未然に防ぐということに十分資するものだというふうに考えております。

石田(祝)委員 では、続きまして硫酸ピッチのことでお伺いをしたいと思います。

 今回、指定有害廃棄物、このように指定をする、そして、その保管、収集、運搬または処分を禁止する、こういうことになっておりますけれども、これでお聞きをしたいのは、実は京都でこの硫酸ピッチに対して条例をつくっているわけなんですね。

 その京都の場合でいきますと、ここに生成というものも実は含まれておりまして、保管だけではない、つくること自体がこれは罪である、こういうふうな形に京都はしております。京都、条例ですから、これを全国的にということはもちろんないわけでありますけれども、同じく硫酸ピッチの問題で生成を入れている。

 今回、改正案では生成まで入っていないわけですね。この京都の条例との違いと、これはなぜ生成が違反に法律で今回入らなかったのか、ここのところをちょっと詳しくお教えいただきたいと思います。

砂田大臣政務官 京都府は、硫酸ピッチ問題に対処するため、昨年の十二月に京都府民の生活環境を守るための硫酸ピッチの規制に関する緊急措置条例を定めているところでございます。

 この条例では、適正な事業活動として行う場合などを除いて硫酸ピッチの生成または保管行為を禁止して、その違反行為に対しては、知事が硫酸ピッチの生成中止や撤去及び適正処分を命ずることができるとされているところであります。また、この命令の違反には罰則が適用されているところでございます。

 これに対し、今回の廃棄物処理法の改正案では、生成された後の硫酸ピッチに着目し、その不適正保管や不法投棄などを禁止し、行政による命令などの手続を経ずともその違反を罰することができる制度としているところでございます。

南川政府参考人 若干補足させていただきます。

 委員おっしゃるとおり、硫酸ピッチの生成の原因でございます不正軽油製造の撲滅ということが大事だと思います。

 私ども実際に、京都府あるいは京都府議会の方と何回かお会いをしております。そして、京都府の考え方も十分承って、ちょうどそのころ各省会合をやっておりましたので、各省の方ともいろいろな話をいたしました。

 そして、その生成部分につきましては、今回、地方税法におきまして軽油の製造承認義務の違反行為あるいは不正軽油の譲り受けにつきましての、罰則を強化するあるいは罰則を新設するということもなされております。

 したがいまして、廃掃法におきましては、その生成された硫酸ピッチが不適正保管であっても直ちに罰則ができる、直罰で捕らえられるということで、生成直後といったより早期の段階から効果的な対策が行われることによって効果が得られるという御説明をいたしました。

 また、蛇足でございますが、京都府からはそれについて十分御理解いただいたと思っておりますし、またそれ以外、特に罰則について、条例はどうしても罰則の上限が低いということで、それを上回る罰則にしてほしいということもございまして、それについても取り入れたところでございます。

 そんなこともございまして、京都府では三年間の時限立法にするということで措置されたと伺っております。

石田(祝)委員 この生成ということについてでありますけれども、現状では、硫酸ピッチがつくられるのは、不正軽油の製造というんでしょうか、それ以外なかなか今考えにくい状況でありますので、この硫酸ピッチがあるということ自体が、これはもう不正軽油をつくった、そういう証拠である、こういうふうにも思うわけであります。

 それで、今回軽油引取税の関係から、硫酸ピッチの製造といったらおかしいわけですよね、不正軽油をつくったときに出るものですから、それを製造しようとする意図ではもちろんないと思いますけれども、これについては総務省の方、税の方でどういうふうになっておりますか。

板倉政府参考人 軽油引取税の関係でございますけれども、軽油引取税は、名前のとおりと申しますか、軽油を特約業者または元売業者という業者から引き取った行為に対して、引き取りに対して課されるわけでございます。それ以外にも、これら以外の者が軽油を製造し譲渡をする場合にも課税をされますけれども、これらの場合におきまして、軽油を製造しただけでは課税はされない、製造した軽油を消費、譲渡または販売をした段階で初めて課税をされる、こういう性格の税でございます。したがって、軽油引取税を課されることがない製造の段階で脱税ということにはならないというふうに考えております。

 しかしながら、不正軽油は軽油引取税の脱税を目的に、おっしゃいましたように、本来受けなければならない都道府県知事の承認を受けずに製造をされるものでございまして、脱税に並ぶ悪質な犯罪であるということでございますので、可能な限り早期に取り締まる必要があると思います。

 そこで、今回の地方税法改正におきまして、都道府県知事の承認を受けずに軽油を製造する者に対する罰則を、現在は一年以下の懲役または五十万円以下の罰金ということになっておりますけれども、自然人につきましては五年以下の懲役もしくは五百万円以下の罰金またはその併科、さらに、法人につきましては三億円以下の罰金に大幅に引き上げまして、脱税犯とほぼ同じ罰則を科するということとしているところでございます。

 これによりまして、不正軽油の製造に対する取り締まりが強化をされることによって、硫酸ピッチ発生の抑止に効果があるということを期待しておるところでございます。

石田(祝)委員 そういたしますと、硫酸ピッチの問題は、生成の段階では、これは脱税でもないし、また廃棄物処理法の網もかからない、ただ承認がなくつくったというところだけである、こういうことであります。

 そういたしますと、税務当局として、例えば承認を得ずにつくっている、こういう情報を入手した場合、これは環境省の方にも御連絡をいただいて、相まって取り締まりをする形になりますか。

板倉政府参考人 先ほど御説明申し上げましたとおり、今回の地方税法改正によりまして、都道府県知事の承認を得ないで軽油を製造するという行為が罰則の対象になりましたので、当然、おっしゃいましたようなケースでありますと、それを発見すれば、関係方面に通報して、摘発すべく連携をしてやっていくということになるのではないかというふうに思っております。

石田(祝)委員 再度確認しますけれども、税の情報というのはなかなか担当者以外のところには出せない。同じ役所の中でも、これは、例えば本人の承諾がないと、そういういろいろな税の情報を出せないということがありますけれども、これはそういうものをクリアして共有できるということでよろしいんですね。

板倉政府参考人 きょう午前中の御質問にもお答えいたしましたけれども、現在、私どもの方で、各都道府県に不正軽油対策協議会というものを設置していただいて、警察、環境、消防などの関係機関、部門や業界の団体などとの連携の強化というのに努めるようにお願いをしているところでございまして、そういう場を通じるなどして、そういう情報を共有しながら対策に当たっていただけるものというふうに考えております。

石田(祝)委員 硫酸ピッチの問題、最後に質問というよりも、これは要望もしておきたいんですけれども、やはりなかなか、処理施設が十二分にあるかどうかということで事前にお聞きをしたら、ちょっと数が少ないような気がいたします。午前の質問でも数量的な計算をされておりましたけれども、現実にその移動等を含めて処理がスムーズにいくのか。大変数多く残っているというふうに思いますので、これは、硫酸ピッチを取り締まるという段階と、それからそれを適正に処理して中和していく、こういうことも一連のものであると思いますので、ぜひお願いをしたいと思います。

 それでは、私、最後に、岐阜市の椿洞の不法投棄事件、これについてお伺いしたいんですが、まず、環境省の方に残念ながら警察から連絡が入った、こういうことでありますが、警察庁としてこの経緯を簡単にお願いします。

伊藤政府参考人 まず、現在の状況について御説明いたしますけれども、この椿洞の産業廃棄物不法投棄事件につきましては、産業廃棄物の収集、運搬及び中間処理を行っております会社の代表取締役らが、岐阜市の椿洞地内の同社所在地に隣接する山林に、岐阜市長の許可を受けずに産業廃棄物を埋立処分したという廃棄物の処理及び清掃に関する法律違反容疑事件であります。

 岐阜県警察におきましては、今月、その容疑によりまして、会社事務所等二十数カ所の捜索を行うとともに、八日間にわたりまして同社の敷地及び隣接する山林の検証を行うなど、現在鋭意捜査を進めているところであります。今後、事件の全容解明のために努めていきたいと考えております。

 今、連絡の状況ということでございますけれども、私どもの方から環境省の方に御連絡したという状況でございます。

石田(祝)委員 これは、新聞では三月十日から強制着手、こういう形になっておりますけれども、もっと以前に情報があって、何カ月間かにわたって調べておったんじゃないんですか。いつからこれは調べを開始したんですか。

伊藤政府参考人 今回の事件につきましては、情報を得て、まずそれが犯罪に当たるかどうかということで、実質的には昨年の秋から調査を始めたという状況でございます。

石田(祝)委員 私は、これが大変大事な問題だと思うんですよ。硫酸ピッチは連絡協議会をつくっている、それでいろいろ打ち合わせをしている。しかし、今回の場合、昨年の秋から調査をしている。ということは、毎日毎日捨てられているのを見ているわけですね。

 警察は捕まえなきゃいけない、だから、証拠をつかむために、ある程度公判にたえられるような証拠を得なきゃいけないから、時間をかけて調査をする。環境省の立場からしたら、環境を守らなければいけない。しかし、全然連絡もなかった、わからなかった。ということは、数カ月にわたって、ある意味では環境に大変な負荷をかけるようなことが、警察の方の情報が出てこずに、ずっとそのままになっておった。

 ですから、これは、ある意味で言えば、犯人を捕まえるということと環境を守るということが見事に相反した形になっているんですね。しかし、これは、警察もまた環境省も、今後こういうことをどういうふうにしていくかということを考えておかないと、犯人を捕まえるためにみすみす何カ月も不法投棄されているのを見ている、環境省の方は何も知らずに、警察から連絡を受けてわかった、これでは、環境を守る立場からはちょっと矛盾ではないか、こういう気も私はするんですね。

 この辺については、最後、副大臣がお答えいただくようになっているようでありますけれども、委員長の指名権を剥奪したようにして申しわけないんですけれども、これはどうなんでしょうか、私はこれから同じことが起きやしないかと。公判を維持するためにしっかり証拠固めしなきゃいけないということと、捨てられ続けているのを見てなきゃいけないという矛盾がどうしても出てきやしないか。これはもうちょっとうまく同じ閣内でできないかな、こう思うんですけれども、いかがでしょうか。

加藤副大臣 椿洞の事件については、私も聞いたとき、新聞で見たわけですけれども、非常にショックを受けまして、それで、石田委員がおっしゃったように、そういった極めて重要な視点もございますから、もちろん、警察庁の方は公判を維持しなければいけない、そういう証拠をきちっと積み上げなければいけないという観点も当然ある。ですから、どちらを優先するということじゃないんでしょうけれども、この辺については今後とも十分検討していかなければいけないな、そんなふうに考えてございます。

 それで、この改正廃棄物処理法の関係を含めて、先ほどお話がありましたように、秋の段階から調査に入っていたという話でございますけれども、やはり昨年末等、より以前に、この時期に知っていたならばどの程度できるかということを考えてまいりますと、昨年の改正廃棄物処理法の有無にかかわらず、我々としては、現在と同様に、直ちに現地調査等による状況の把握、あるいは関係自治体を交えたいわゆる排出事業者等の情報の把握の推進を行う、あるいは岐阜市に対しての助言を行っていたと考えられるということになります。

 それから、改正廃棄物処理法は昨年の十二月一日に施行されておりますので、そういった点から考えた場合には、生活環境保全上特に必要があれば環境省も立入調査を行うことができる、そういう仕組みになっておりますので、そういう観点からの機敏な対応をやっていたというふうに考えられるわけでございます。

 いずれにいたしましても、先ほど石田委員がおっしゃった点については、極めて重要なポイントをついた話でございますので、十分今後それについても検討を深めてまいりたい、このように考えております。

石田(祝)委員 どうもありがとうございました。

小沢委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

 次回は、来る三十日火曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四十二分散会


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