衆議院

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第7号 平成16年4月13日(火曜日)

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平成十六年四月十三日(火曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 小沢 鋭仁君

   理事 桜井 郁三君 理事 竹下  亘君

   理事 西野あきら君 理事 奥田  建君

   理事 長浜 博行君 理事 伴野  豊君

   理事 石田 祝稔君

      井上 信治君    宇野  治君

      大前 繁雄君    加藤 勝信君

      木村 隆秀君    鈴木 淳司君

      砂田 圭佑君    鳩山 邦夫君

      船田  元君    三ッ矢憲生君

      望月 義夫君    近藤 昭一君

      鮫島 宗明君    島田  久君

      田島 一成君    武山百合子君

      松本  龍君    村井 宗明君

      高木美智代君    阿部 知子君

      土井たか子君    川上 義博君

    …………………………………

   環境大臣         小池百合子君

   環境副大臣        加藤 修一君

   環境大臣政務官      砂田 圭佑君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  森本 英香君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 齋木 昭隆君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房官庁営繕部長)  奥田 修一君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)  南川 秀樹君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)  松本 省藏君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局環境保健部長)  滝澤秀次郎君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  小島 敏郎君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  小野寺 浩君

   環境委員会専門員     遠山 政久君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十三日

 辞任         補欠選任

  西村 康稔君     井上 信治君

  土井たか子君     阿部 知子君

同日

 辞任         補欠選任

  井上 信治君     西村 康稔君

  阿部 知子君     土井たか子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 大気汚染防止法の一部を改正する法律案(内閣提出第一二〇号)

 環境保全の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

小沢委員長 これより会議を開きます。

 環境保全の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣参事官森本英香君、外務省大臣官房審議官齋木昭隆君、国土交通省大臣官房官庁営繕部長奥田修一君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長南川秀樹君、環境省総合環境政策局長松本省藏君、環境省総合環境政策局環境保健部長滝澤秀次郎君、環境省地球環境局長小島敏郎君及び環境省自然環境局長小野寺浩君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小沢委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伴野豊君。

伴野委員 おはようございます。民主党の伴野豊でございます。

 本日は、環境保全の基本施策に関する件ということで四十分賜りまして、ありがとうございます。

 冒頭、イラクのことに触れざるを得ないと思いますが、大臣、きょうお越しいただいて、きょう委員会が開かれているわけでございますし、また、大臣はイラクといいますか中東の御専門家でもございます。何か事態が動くようなことがあれば、極力、野党、与党の枠を超えて御協力させていただきたいと思いますので、冒頭、申し上げておきたいと思っております。ひとつよろしくお願いいたします。

 では、本題に入らせていただきたいと思います。

 私、女性大臣とどうも御縁があるようでございまして、さきの国会といいますか、議員にさせていただいてからこの方、国土交通委員会が長かったわけでございますけれども、さきの総選挙前までは扇大臣にけいこをつけていただいておりまして、それでやっと石原大臣に、男性の方にぶつかっていけるかなと思っておりましたら、今回、国土交通だけではなく、環境とイラクの方の委員も仰せつかりまして、環境はまさに小池大臣でございまして、イラクの方もきのう川口大臣といろいろ議論させていただいたところでございますけれども、どうも女性大臣に縁があるようでございます。

 昔から、女性はすべからく太陽だと思ってまいりました私にとりましては、矛先が鈍らないように、ちょっときょうは頑張らせていただければ、そんなふうに思っております。

 では、始めさせていただきたいと思います。

 これも御縁なんですけれども、たしかあれは予算の分科会だったと思いますけれども、当時大臣の川口大臣に、私は環境施策についていろいろ質問させていただいた。そのときに環(わ)の国というキャッチフレーズでいろいろ御説明いただいて、私は私なりに理解させていただいて、それはすばらしいキャッチコピーであり、目指すべきところなのかなという感じもいたしました。そして、その次の大木大臣、まさにミスター京都議定書ということで御活躍いただいたわけでございますけれども、その後、鈴木大臣は経済と環境との融合ということであって、今回、それを受けられる形といいますか、その流れでまた小池大臣が御就任されたわけでございます。

 先般の大臣所信のときにも環境革命という言葉を使って御説明もいただいておりましたし、また、ホームページも拝見させていただきました。また、あるところでは二つのPが大事だと。PRとフィロソフィーが大事なんだよというようなこともおっしゃっているわけでございます。

 改めて、きょうせっかくの機会をいただきましたので、大臣が、日本が目指すべき環境立国あるいは環境先進国として、どういうキャッチコピーで、あるいはどういうイメージで今後行政運営に手腕を発揮されるのか、お教えいただければと。よろしくお願いいたします。

小池国務大臣 また女性大臣ということでございますが、二十一世紀は環境の世紀と言われると同時に、女性の世紀でもあろうかと思います。それは、逆説的に、これまでが男性の世紀が長く続いたということかなと思ったりもいたしますが、男性であれ女性であれ、しっかり仕事をするのが大臣の役目だと思っておりますので、よろしく御支援のほど、お願いを申し上げたいと思います。

 その環境の世紀でございますけれども、キャッチフレーズでわかりやすいのも必要でありますし、と同時に、余り言葉ばかり出てきても困るなというふうに思いますが、私は、ひとつ環境革命という気持ちでこの環境行政に当たっていきたいと考えております。

 イラク、今日本では人質問題に目が集中いたしておりますが、また一刻も早い解決を望むところですが、一方で、ガソリン価格が史上最高値をずっと更新しているということに皆さんどれぐらい注目をされておられるのかわかりません。本来であったならば、かつての第四次中東戦争を引き金とした第一次オイルショック程度のレベルまでもう達しているわけでして、あのころ、震撼したときの、また、それによって省エネ技術ががっと進んだということをもう一度思い出す必要があるんじゃないかというふうに思うわけです。

 それだけに、これは環境革命に臨むんだということで、皆さんの、また国民の皆様方のお気持ちがそちらの方に向かって初めてなし得るものでございますので、そういった意味で、私は、環境革命ということを叫び続けていきたい、また、皆さんがそういう思いになっていただけるように努力をしてまいりたいと考えております。

 では、何なんだ、また、どういう環境立国を目指すのか。今、それぞれ審議会や、そしてまたいろいろな各界各層の方々にお集まりいただいて、各種の委員会が環境省の方にございます。そこに私自身も出席をさせていただいて、発言もさせていただいてということで、いろいろな考え方、ビジョンをまとめつつあるんです。

 わかりやすく申し上げるならば、最後には伴野さんのお名前まで出てきちゃうんですけれども、まず、ヘルシーであるということで健やかであるということと、それから、やはり究極の自然は美しいものでありますので美しくあるということと、最後、豊かにあるということで、健康で、そして美しく、そして豊かな日本、これを環境という背骨を通した、そういう国づくりをしてまいりたい、このように考えているところでございます。

伴野委員 豊か、豊かと二回、私の名前も呼んでいただきまして、ぜひ街頭でもやっていただけるとありがたいな、そんなふうに思うわけでございます。

 今の御説明の中に、資源のない国が、オイルショックのときのようなことをいま一度思い起こして、そして、今の大量消費、大量製品の時代からドラスチックにやっていくんだ、そういうふうに御決意を賜ったわけでございます。理念はある程度理解させていただきました。では、それを次に具現化していくにはどうするんだと。具現化していくときには、やはり数字というものは非常に重要でございまして、特に質的なデータをどう定量化していくかというのは非常に重要なテーマであるわけでございます。

 そうした中で、これは環境省さんの方でもおまとめになっていらっしゃる循環型社会とは、一つのいわゆる輪といいますかサイクルを、リデュース、リユース、リサイクル、これは私が申し上げるまでもなく、その中で現状をとらまえて、そして物質フロー目標というものを設けられて、一つには資源生産性、一つには循環利用率、一つには最終処分量というものを一つの物差しとしてやっていこうという、ここまでは非常によくわかります。

 では、この目標というのはどうやって出てきたものなのかなと。私も統計学をやってきた人間なものですから、ちょっと非常に細かいことを言い出すと時間が足りなくなってしまいますが、漠とで結構でございます。今回、この物質フロー目標というのが出てきた経緯と、今後、やはりこうなれば環境革命が達成できたんだ、資源生産性がこれぐらいになったら、あるいは循環利用率がこれぐらいになったら、最終処分量がこれぐらいになったら、一つの数値目標がこれぐらいになったら環境革命は達成できたんじゃないかというようなことがもしあるならば、教えていただければと存じます。

南川政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども、循環基本計画という計画を持っておりまして、その中で数値目標を設定いたしております。

 これは、平成十二年の終わりでございますが、環境基本計画といいます環境行政の中での最上位の計画が閣議決定をされておりまして、その中で、循環基本計画の中に数値目標を盛り込むということが要請されたわけでございます。それを受けまして、検討してつくったものでございます。

 私どもとしましては、その計画の効果を客観的に把握できることが望ましいということから、数値目標を置くことについては意味があるということでつくっております。もちろん、これ自身、社会経済の中で変わっていくものでございますが、やはりそれを目指して努力したいということでございます。

 御指摘のとおり、資源生産性などの目標を定めておりますけれども、身近な目標としまして、わかりやすく言えば、当面、例えば、平成十二年を発射台にして計画をつくっておりますけれども、二十二年までの十年間で家庭からのごみ排出量を二割減らす、そういった各方面の地道な努力があれば、循環型社会に向けてのスタートが切れるというふうに考えておる次第でございます。

伴野委員 きょうのところは、また機会をほかに移すといたしまして、いずれにしましても、指標というものは、私はこの三つが大事だと思っているんですね。一つは、やはりだれにでもわかりやすいシンプルなものにする。それはできるだけ長期のレンジでとれる。このときしかとれなかったというものは比較対照できませんので、できるだけ長期でいく。さらには、やはりレンジをそろえていただくというふうなことが重要じゃないかなと思っておりますので、今後ぜひそんな御検討もいただければ、そんなふうに思っております。そして、目標を、指標を選ばれたならば、やはり何年までにこれぐらいは達成するという中長期の目標値みたいなものも出していただけると今後はいいのかな、そんなふうに思っております。

 次へ行かせていただきたいわけでございますが、では、物差しは、いろいろ御意見があるところでございますけれども、三つつくりましたよと。では、次はそれに合わせて法体系はどうなっているかというところで拝見させていただきますと、循環型社会形成推進のための法体系ということで、大きく分けて、自然環境のものと社会の物質循環のもの。

 社会の物質循環のものに関しましては、容器包装リサイクル法、家電リサイクル法、食品リサイクル法、建設リサイクル法、自動車リサイクル法等々によってある程度対処をしようとしていらっしゃるのかなと。

 では一方で、自然循環の方、これは非常に難しいのだと思うんですけれども、今どうなっているのかなということでちょっとお聞きしまして、いただいたものに、自然環境保全制度の概要というところでその一連のものをいただきました。確かに、今見るとそういうことなのかなと思うんですが、連動性とかあるいは包括性とかということを考えますと、一回全部トータルに見直すことも必要なのかな、そんなふうに思っているんですが、そのあたりの御意見、ありましたら。

小野寺政府参考人 自然環境の保全の政府全体の長期計画は、一昨年に生物多様性国家戦略というのをつくって、長期に生物多様性あるいは自然環境の持続的利用というのをどう果たすかというのをまとめたところです。政府及び環境省は、それに基づいて順次事業を実施しているところであります。

 自然環境の保全に係る法律制度は、そこにお示しした表のとおり、非常に多岐にわたります。生態系の保全あるいは再生につきましては、自然環境保全法、これは一部基本法的な性格も持っておりますが、それが生態系の保全をプランしておりますし、また、最も古い制度であります自然公園法は、国立公園その他、自然の風景地を守るということを目的にしております。また、失われた生態系を回復するためには、自然再生推進法というものを策定していただきまして、着手しているところであります。

 また、野生生物保護という観点からは、鳥獣の保護を目的として鳥獣保護法、絶滅に瀕している生物種を保護するためには種の保存法というのをやっておりますし、十三年の一月に環境省ができましたときに、それまで総理府でやっておりましたペット関係の法律、動物愛護管理法というのを我が局に移管しまして、生物全体のトータルな対策をとっているところでございます。

 加えて、近年幾つか新しい問題が出てきておりまして、一つは、遺伝子改変生物が生態系に与える影響、これを昨年、カルタヘナ法と言っておりますが、策定いたしまして、新しい問題に対応することをやっております。また、現在、ここ数年間、生態学者を中心に最も指摘されております外国から入ってくる生物の影響を防止するために、いわゆる外来種法というのを今参議院で御審議いただいているところでございます。

 以上でございます。

伴野委員 いずれにしましても、つくった法律は永遠ということはないと思いますし、与党の皆さん方も、今、いろいろな法案を改廃で見直しをされているということでございます。大臣も、環境革命とおっしゃっているわけでございますので、すべからく関係法案を一度さらに見直していただければ、そんなふうに思っております。

 いずれにしましても、一つの理念があって、その理念を概略達成するために数値目標があって、その理念と数値目標を達成するために法体系を整えていくのが立法府の役目だと思うわけでございますが、そうした中で、ちょっと質問をさせていただきたいわけでございます。

 物質環境の方で、御案内のように容器包装リサイクル法というのが策定されて、リサイクル率が高まり、そして確かに埋立量は減りました。しかしながら、ごみ全体の排出量が減ったのかというと、そうでもない。つまり、リサイクル、リユース、リデュースの中で、リサイクルというところは非常に脚光を浴びてうまくいっているやに思うわけでございますが、本当はリデュースをもっと推進しなければいけないんじゃないかなと思うわけでございますが、今の現状とあわせて、今後のリデュースへの意気込みをお聞かせいただければと思います。

南川政府参考人 御指摘のとおり、私ども、リサイクルだけを目標にしているわけではございません。循環型社会といいますのは、資源にも限りがある、環境にも限りがある、その中で望ましい社会をつくっていこうということでございまして、やはりリサイクルだけが膨らむということを目的にしているわけではございませんで、全体的に、リデュース、リユース、リサイクル、バランスをとって進めていくことが必要と思い、また具体的にそのような施策を目指したいと考えております。

伴野委員 非常に荒っぽい言い方をすれば、ごみさえ出なければ、非常にリサイクル、リユースというのも、よりやりやすくなるわけでございまして、ぜひ、根本的原因をどう減少させていくかというところにも、お金とそれから知恵を絞っていただければな、そう思うわけでございます。

 では次に、ちょっと切り口を変えまして、大臣が目指されていることと京都議定書とでは当然矛盾するものはないと思うわけでございますが、COP9でもたしか大臣が議長をされていたかと思います。やはり議長たるもの、範を垂れていかなければいけない、どこの国よりも先へ先へと行ってこそ認められていくんじゃないかと思うわけでございますが、その京都議定書の目指すべきものと、これからのありようを御説明いただければ。

小島政府参考人 京都議定書で日本に課せられております義務は六%の温室効果ガスの削減、こういうことでございますが、その達成のために、政府におきまして地球温暖化対策推進大綱を定めております。この大綱の中で、六%削減約束の達成への取り組みが我が国の経済活性化、雇用創出などにもつながるように取り組むということが基本的考え方の一つとなっております。

 この具体的な対策を見ますと、エネルギー起源CO2削減のための省エネルギー対策や新エネルギー対策。あるいは、今循環の方で出ました、非エネルギー起源二酸化炭素の抑制のために廃棄物を発生抑制、再使用、再生利用するというような廃棄物の対策も書かれております。さらに、自然に関連するものとして、吸収源対策としての森林・林業対策の推進ということも盛り込まれておりまして、これまでの御議論に沿うものと考えております。

伴野委員 私が申し上げるまでもなく、この京都議定書の京都というのがついている重みというのをぜひいま一度かみしめていただきまして、日本が世界をリードしていくという決意で臨んでいただければ、そんなふうに思います。

 それで、今も、先ほどから理念とそれから数値目標と目指すべき大きなベクトルというお話をしてまいりました。これに関して、私は、もしそれが正しくてむだが省かれているならば、ノーと言う、あるいはノーと言える人は少ないんじゃないかと思うんですね。

 少し予算のお話に入っていきたいと思うんですが、来年度予算二千八百三十七億余ということでございますけれども、本当にこの目標を達成するのにこの額でいいのと言いたくなってしまうわけでございまして、いいこと、あるいは地球環境のこと、これは未来への責任だと思いますし、それを今やっていくのは大人の責任だと思うわけでございます。

 確かにいろいろな財源の問題もあるわけでございますが、今後五年、十年、実現するためにはこれぐらいのお金が要るんだと、ぜひ、環境革命をやっていただく大臣でございますので、大ぶろしきしていただいていいんじゃないかと。その理念が正しくて、目標値が正しくて、目指すべきところを国民の皆さん方に納得していただいて、説明責任が果たされるならば、与野党超えてそのお金をとりにいくぐらいのことをやるべきじゃないかな、私はそんなふうに思っております。大変生意気なことを申し上げましたが、いかがでしょうか。

小池国務大臣 ぜひ、予算のシーズンに、財務関係の方にお訴えをともにやっていただきたいと思います。

 どれぐらい必要なのかと言われますと、なかなかこれは、どういう区切りでとか、役所的には定義づけから始まってえらいややこしい話になっちゃうと思うんです。ただ、私は、国の予算としてやるべきこととシステムとしてやるべきことと、それから、例えば拡大生産者責任として、例えば消費者の方に御負担いただくことによって循環型社会を形成するのと、私自身は、そもそも余り国は関与せぬ方がええというのが基本的な考えでございますので、むしろ予算を莫大に使うよりは、そういう制度設計をしっかりしていくことの方が必要なのではないかなというふうに思います。

 ただ、いかんせん、それにしても環境省、非常に少ない予算で頑張っておりますので、今後とも、委員のそういった御発言、大歓迎でございますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

伴野委員 環境に関しては、私は、基本線に関しては与野党もないんだと思います。特に、先ほど申し上げたように、未来への責任を果たしていく意味では力を合わせるべきところは力を合わせていくべきだと思いますし、ただ、やはり財源というのは明確にしていかなければいけない。

 御検討もされているんだと思いますが、環境税のお話は今どのようなところまで進んでいるのか、御意見をお聞かせいただければ。

松本政府参考人 御説明を申し上げます。

 環境税、言葉としては大変広い言葉ですが、今具体的な議論になっておりますのは温暖化対策税ということであろうかと思います。京都議定書を達成するための具体的な政策手段として、昨年の八月の末に中央環境審議会の専門委員会で議論のたたき台となる具体的な提案がなされております。それについて、税の問題でございますので、大変幅広く、国民全体、各界各層の幅広い議論の中で議論を煮詰めていく必要があるということで、環境省もいろいろな場面を想定しながら議論を重ねさせていただいているところでございます。

 全体的には、ことしが温暖化対策推進大綱の政策の評価、見直しの年でございますので、その議論の結果いかんでは温暖化対策税の導入の必要性も出てくるかもしれないということで、今鋭意いろいろな場面での議論をお願いしているところでございます。

伴野委員 先ほど大臣もお触れになっていたかと思いますが、経済との兼ね合いもございますし、木を見て森を見ないようなことになってしまっても本末転倒になるかと思います。ですから、どんどんどんどん税をつけさえすればいいという話ではないとは思いますが、やはり守るべきための予算というのは必要なのかなと思いますので、そのあたり、よくバランスを考えていただいて御検討いただければと。

 それと同時に、賦課するだけではなくて、環境に貢献した人、組織、団体、これが課税免除の対象になるような、何かそちらの、マイナスといいますか、引き算の方もいろいろ考えていただくと、それは一つの誘い水になるのかもしれませんので、そのあたりのところも一緒に、プラスとマイナス両方考えていただくといいのではないかな、そんなふうに思っております。

 大臣は世界情勢にもお詳しい方でございますので、やはり環境こそ日本が世界に平和貢献できる最たるものではないかというふうに私は思うわけでございます。これは先ほど経済と環境の融合というお話も出ました。多分、経済と環境、本当に融合して、いい最適解を見つけている国はないのではないかなと思います。それを率先して日本がやる、さらには地球環境を守るためにも率先してやる、京都議定書も率先して到達させるというようなことをやっていけば、私は、自然に力に頼らない平和貢献のあり方も提言できるのではないかと思っております。

 そのようなこともあわせて、世界への情報発信はどのようにお考えになっているのか。大臣、お考えがございましたら。

小池国務大臣 環境立国を目指すということを内だけで、国内だけで言っていても仕方がないといいましょうか、ただ私は、まず内なるものを固めて外に言わないといけないというふうに思います。そしてまた、外に訴えるときというのは、二国間で行うケースもありますし、多国間、国際会議のようなケースもありますし、いずれにしても、やはりみずからの言葉で伝えるということが必要だと思っております。

 また、これまでも幾つかそういう機会にも恵まれて、英語のみの朝食会とかよくありますので、そういった機会もちょうだいをし、かつそこでしっかり発言をするようにいたしております。これは、COP9の場などはまさにそういった例でございました。

 それから、先月の末には、日本・アラブ環境大臣セミナーというのを東京で開かせていただきました。アラブ各国の環境大臣があのように一堂に会すということはめったにないことで、それも東京でということでございまして、日本の環境政策とはというので、きちっとまとめてパッケージにしてお伝えをした。そしてまた、実際に新しい環境のテクノロジーなども実物を持ち込んで御紹介をし、さらには現場も視察していただくというような形で。

 これで何がよかったかというと、よくODAなどを通じて我が国はアラブの国々にも環境の分野での協力はしているんですが、それを、日本とそして供与した国との間ではそのことはわかっているんですけれども、ほかの国で日本がどのような環境分野での支援をしているかというのは知らないんですね、アラブ同士が。それが全部包括的にわかって、その意味では、いかに日本がアラブに対しても環境という分野で貢献しているかというのをお互いがわかり合ったというのが一番よかったのかなというふうに思っております。

 それに加えまして、今後とも、英文でのパンフレットの作成、もちろん、インターネットの時代でございますけれども、報道発表資料なども英語に訳しまして海外へ発信をしたりホームページを充実させたりなどといったような形でこれからも発信には心がけて、内弁慶にはならないで外へ向けて活動をしっかりと伝える、発想をしっかり伝える、技術を伝える、この幾つかの分野でも発信をしていきたいと思っております。

伴野委員 海外にお強い大臣でございます。ぜひ日本のPRをやっていただければ、そんなふうに思っております。

 では、続きまして、前段とは違いまして、少し、現状のといいますか、現在の環境行政の中で気になることを、時間の許す限り、あと十分ちょっとでございますが、お聞かせいただければと思っております。

 先ほどリサイクルの方で、リサイクルよりもリデュースに力を入れるべきだというお話をさせていただきました。続いて、私、こう見えても技術屋の端くれでございまして、RDFといいますか、確かに、ごみがエネルギーに変わるという夢のようなといいますか、もうすばらしいなと思って興味を持っておったわけでございますが、御案内のように残念な事故が発生いたしました。

 それで、新聞を見ておりましたら、大臣が先般、九日の日ですか、直接多度の方へ行かれて御視察をなさったということでございます。

 当然のことながら、あれだけの事故が起きたわけでございますので、幾つかそのポイントを決めて、課題を列挙されて、その課題に対して一つずつチェックをされたんだろうと御推察いたしますけれども、実際、現場をごらんになってどうであったのか、また、その課題は何であったのか、その課題に対してどうクリアされているから大丈夫だと思われているのか、そのあたりのところをお聞かせいただければと思います。

小池国務大臣 環境大臣として視察をしておかねばならないポイントは幾つかございます。ということで、この三重のRDFの現場というのは、私も一日も早く行きたいところでございました。ちょうど三重でタウンミーティングを開くということで、方向もそうでございますので、この三重の多度のRDFの現場とそれから青山高原での風力発電の現場と二つを駆け足で回らせていただきました。

 RDFでございますが、御質問の中にも、夢のようなという表現がございましたように、循環型の社会を目指す上で、まさに夢のような、幾つもの課題を一度に解決といいましょうか、達成してくれるようなということで、大変期待も大きかっただけに、今回とうとい人命も失うような事故につながったことはまずもって遺憾ではありますが、そういったことを踏まえて、まず有効な廃棄物の処理方法の一つであり、かつ全国各地で今その事業を自治体などが始めておられるということもございますので、範となる、モデルとなるということ、そういったことにも留意いたしまして、何よりも安全の確保と国民の信頼を得ていくということが必要不可欠であるというふうに考えております。

 昨年十二月に、環境省が、ごみ固形燃料の適正な製造・利用に関するガイドラインなどを取りまとめておりまして、これをもとに、安全の確保に万全を期した上で、慎重に今試運転が進められているところでございます。

 私、余り焦るなということを申し上げています。試運転で出てきたさまざまな問題点があるならば、それをまたその場できっちりと修正していくようにということが、長い目で見て信頼の醸成確保につながっていくというふうに考えているわけでございまして、これからもこの試運転の状況をよくウオッチしていきたいと考えているところでございます。

伴野委員 御案内かと思いますが、今回つくったRDFがでか過ぎたんじゃないか、もう少し小さいもので小分けした方がいいんじゃないかという専門家の御指摘もあったり、当然、大臣も御案内で、そのようなことをトレースされていくんじゃないかと思います。やはり技術に万全というものはないと思っております。常々見直して、これでもかこれでもかとやっていただくことが非常に重要かと思っておりますので、一層の信頼性向上に努めていただければ、そんなふうに思っております。

 それと、今、大臣、青山高原の風力発電もごらんになってきたと。中部地方、三重県において青山高原というのは一つのデートスポットでございまして、多分景色も相当よかったんじゃないかと思うんですけれども、そこでごらんになった風力発電。

 私は、資源のない国日本において、これだけの海岸線を持つ国であるわけでございまして、風というのは資源であるという考え方を今後していきたいなと思っている一人でございまして、風力発電というのは、先ほど環境革命とおっしゃったエネルギー革命にもつながるかもしれません。このあたりのところ、御視察をなさってどう思われたか、御見識を賜れればと。

小池国務大臣 私も、デンマークの風力発電であったり、また、一基しか建っていなかったけれども、ニュージーランドで風力発電を見に行ったりということで、何といいましてもクリーンであるということ、そしてそれが地球温暖化防止にも寄与するという点では、この風力発電というのはぜひとも推進をしていくものであろうと思います。

 発電をする段階で二酸化炭素を排出しない、その意味では、地球温暖化対策推進大綱における極めて重要な柱の一つでもあり、二〇一〇年では風力発電の導入目標量を三〇〇万キロワットとしておりますし、それから、地方公共団体、事業者でも風力発電導入の補助などでしっかりそれをバックアップしていこうということでございます。

 自然景観がどうなのかなということで、今回、特に青山高原の際、伺ったんですが、まあそれは人間様が建てたので、違和感があるといえば違和感がありますけれども、それはうまく林立していて、また、それはそれで造形物としての存在感も示していたのではないかなというふうに思っている次第でございます。

 あそこは大変風が強いという、そこをまさに活用しているということで、風力発電がふさわしい地形とか否かとか、そういった科学的ないろいろな分析なども踏まえた上で、今後とも、その風力発電ということの促進ということ、これを念頭にいつも置いておきたい、このように考えております。

伴野委員 今大臣が御指摘のように、当然、景観との兼ね合いもございます。ぜひそういうあたりにも御配慮をいただきまして、エネルギーのベストミックスと申しますか、選択肢を広げていただく意味でぜひ御推進いただければな、そんなふうに思っております。

 それから、時間の許す限り質問させていただければと思いますけれども、これは通告がおくれて、資料が余り届いていないかもしれませんが、わかる範囲で教えていただければと思うわけでございますが、けさも地元から電話がかかってきまして、やはり岐阜県の産廃の問題、非常に気になると。

 御案内のようにといいますか、野積み産廃一万六千四百立方メートル。現場においてといいますか、地元においては、それが、今回の実際に不法投棄されたお話と合併問題がごっちゃにいろいろ出てきちゃったものですから、対応が今後どうなるのかなと非常に心配している一人でございます。

 現状、これは捜査のある話でもございますので、外に出せないお話もあるのかもしれませんが、現状でどう把握されて、今後どういう対応をされていくのか、お考えをお聞かせいただけますか。

小池国務大臣 先ほど循環型社会形成のための予算はどうか、また、もっとしっかりその辺とったらという話もありましたけれども、私は思うんですけれども、この不法投棄にどれほどのお金を国が出さざるを得なくなっているのかということを考えますと、その分をよほどそちらの建設的な循環型社会形成のために回したいという、そういう思いでいっぱいになるぐらい、今回の件は、これまでの青森・岩手、豊島のさまざまな課題、問題点を踏まえつつも、まだこういうことが行われてきたということについて、いまだに憤りを感じているところでございます。

 とはいえ、廃棄物処理法を何度かにわたって改正もしてまいりましたし、また、規制強化、そして自治体の立入検査などの強化を図ってきたわけでございますね。一体これまでどういう形になってきたのかということで、四月二日の時点で、岐阜市に対しまして、状況の把握であるとか、環境影響調査、それから経緯などについてずっとヒアリングもし、それから、環境省として、当面何をしてください、何をすべきだという重要な項目についてもアドバイスをさせていただいております。

 今そういった状況の中で、これから適宜報告を受けるということになっておりますので、まだ全体像がつかめていない段階ではございますけれども、必要に応じて、さらに環境省として助言なども進めさせていただこう、このように考えています。

伴野委員 まさに今大臣御指摘のとおり、これは何でも国がやればいいというものでもないと思いますし、人間のモラルといいますか、人間の生活の仕方が問われているという問題でございまして、国が余りにもやり過ぎてしまいますと、どうせ最後は国がやってくれるわという、そんな甘い考えを持たれても困ります。しかしながら、この小さなと言うと失礼かもしれませんが、この地域だけでこれを解決するというのは多分、かなりしんどいんじゃないかと思いますので、ぜひ、このあたりのところは国がアドバイスなり手を差し伸べていただいて、これを解決しなければ、やはり五十年、百年後にとんでもないことになったということにならないように、ぜひやっていただければな、そんなふうに思うわけでございます。

 そんなことで、まだ二、三、質問をさせていただきたかったところでございます。――四十一分ですね。もう終わりですか。

小沢委員長 四十一分までです。

伴野委員 四十一分ですね。

 では最後に、今モラルの話も出ましたので、環境教育について、やはりこれは非常に重要なことになってまいります。このことを環境省さん挙げてどう取り組まれるのか、最後にお聞きして、終わりにさせていただければと思います。

加藤副大臣 二〇〇二年の世界環境サミットで、持続可能な開発のための教育の十年、あるいはそれのリーディングセクターを今ユネスコがやっているわけでありますけれども、そのユネスコが、同じこのサミットの中でウブント宣言をしておりまして、ユネスコを含めて十一の国際的な教育団体等が入っていますけれども、その中でも環境配慮の関係あるいは環境教育の関係についても極めて重要だというふうに宣言をされているわけなんですね。

 御指摘の点につきましては、やはりそういった意味では、国民一人一人がライフスタイルの変革を行うことが極めて重要である、そういった意味では、環境教育の推進をより一層的確にやっていかなければいけない、そのように考えてございます。

 昨年、衆参両院の皆さんの大きな協力によりまして、環境推進法ができてございます。これをもとにいたしまして、やはり各界各層の参加を得まして環境教育に取り組む、こういうふうに考えてございますし、あるいは、副大臣会議ですか、そちらでも、この環境教育について、ともに連携を深めて懸命にやってまいりましょうという、そういう申し合わせもしてございます。

 さらに、環境省といたしましては、これからの子供さんの関係、いわゆる次世代の点につきまして、どういうふうに教育をしていくかということが極めて重要だと考えておりまして、こどもエコクラブ、こういった面を通しながら、現在、これは四千を超えるクラブがありまして、八万人が参加している話でございますけれども、せんだっても仙台で行われまして、非常に関心が深かったということで、こういった面の中で、我々環境省といたしましても、文部科学省、こういった各省、関連のある省と連携を深めて、環境教育ということについて積極的に推進を図って、御指摘のようなことについて円滑かつ効果的なことになり得るように、そういう社会のシステムをつくり上げていきたい、このように考えている次第でございます。

伴野委員 システム、法律も大事でございますが、最後は私は人だと思っております。どうか、そのあたりをお考えいただきまして、積極的にお進めいただきますようお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

小沢委員長 次に、村井宗明君。

村井(宗)委員 民主党の村井宗明です。

 私は、容器包装リサイクル法、正式名称、容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律についての質問をさせていただきたいと思っています。

 容器包装リサイクル法が成立したのは平成七年の六月でした。その後、同年十二月の第一段階の施行、平成八年六月の第二段階の施行と段階を経て、平成九年四月から本格施行されました。さらに、平成十二年四月には、対象品目と対象事業者が追加され、完全施行されています。十年後に見直すと言っている中、そのどの段階から起算をするのか、そこを後でまた聞いていきたいと思いますが、今現在、順次施行が進んでいる最中でございます。

 この容器包装リサイクル法の施行後の状況を見ますと、幾つかの問題点が出てきています。消費者の立場から見ると、ごみを減らしてもたくさん出しても税金の負担は同じだという意見から、市民の努力が報われない、分別がわかりにくい、そういったいろいろな声が出ています。

 消費者だけではなく、次に、事業者の立場から見たいと思います。

 ワンウエー容器を使うと負担が少なくて済むので、真剣にリデュース、リユースに取り組まない、また、特定事業者としての再商品化義務を逃れている事業者、いわゆるフリーライダーが多数存在しているんではないか、そういった問題点の指摘があります。

 また、消費者、事業者だけでなく、市町村など自治体から見ると、財政的な負担が深刻だだとか、取り組めば取り組むほどリサイクル貧乏になってしまう、そういった声が上がっています。

 ごみの量がなかなか減らない現状の中で、一方でごみ処分場は飽和状態が続き、結局、不法投棄は後を絶ちません。不法投棄をめぐる事件、事故も繰り返し発生しています。

 そんな中で、今幾つか申し上げたような容器包装リサイクル法の問題点についてお伺いいたします。

 まず初めに、この施行された容器包装リサイクル法、これまでの実績についてお伺いいたします。回収率の数字の伸びなど、具体的にお答えいただけますでしょうか。

南川政府参考人 容器包装法でございます。

 平成十四年度が最も最新の数字でございますけれども、これで、まず回収量、それから回収率を申し上げますが、主なものだけでございます。

 ガラス瓶でございますと、全体としまして八十一万六千トンが回収されておりまして、回収率が十四年度段階で八三・四%ということでございます。十二年度が七七・八%でございます。やや改善しております。

 スチール缶につきましては、回収量が四十一万九千トンでございまして、十四年度の回収率が八六・一%、これが十二年度が八四・二%でございますが、これもやや改善をしておるということでございます。

 アルミ缶につきましては、十四万五千トンでございまして、回収率が八三・一%、これも十二年度の八〇・五%よりもやや改善をしております。

 ペットボトルにつきましては、十八万八千トンでございまして、現在が四五・六%、これが十二年度が三四・五%でございますので、大幅に改善をしておるところでございます。

村井(宗)委員 次にお聞きしますが、容器包装リサイクル法については、施行後十年を経過した場合において、一部規定の施行状況について検討を加え、必要な措置を講ずるものとされています。施行の段階が何段階にも分かれていたわけですが、そうしますと、この十年経過した場合というのは、正確にはいつになりますでしょうか。

南川政府参考人 私ども、平成七年十二月の施行から十年というふうにとらえておりますので、十七年の十二月ということでございます。したがいまして、十七年度末までには必要な評価、検討を行いたいということで、十八年三月というのが目安かと考えております。

村井(宗)委員 ありがとうございます。

 そうしたら、十八年三月までに新しい議論を終わるということで、順次、この議論、また後日の国会でも取り上げて進めていきたいと思っております。

 容器包装リサイクル法の施行後の問題点につきましては、一般消費者を初め、地方自治体、そして事業者と、非常に多くの関係者の注目と関心を集めているんではないかと思います。したがいまして、環境省におきましても、当然、日ごろからの積極的な情報収集や現状の分析について取り組まれているものだと思います。

 そこでお伺いいたします。容器包装リサイクル法の見直しのための検討に向けた準備状況、これはどうなっておりますでしょうか。お答えください。

南川政府参考人 私ども環境省におきましては、実際に分別収集を行っております市町村におきます費用の詳細な調査、あるいは海外の状況、特にこの面で進んでおると言われますヨーロッパにつきまして、状況についての情報収集などを今行っておるところでございます。

 さらに、今後、リサイクルの質の改善、高度化を図るため、具体的なリサイクル法の見直しのための実態把握というものを詳細に行いたいということで、特に今年度におきましては、リサイクル制度の体系化・高度化推進事業費というものを計上いたしまして、見直しに必要な情報収集のための予算を確保したところでございます。

村井(宗)委員 それでは、容器包装リサイクル法の見直しに向けた審議会についてお伺いしたいと思います。

 中央環境審議会に専門部会のようなものを立ち上げるお考えがあるかどうか、そしてその場合、立ち上げる時期やメンバー構成について、お考えをお聞かせ願いたいと思います。

 特に私が主張したいこと、これまでいろいろな審議会、役所の天下りの方、それから天下りを受けている業界団体の方が中心になっています。それだけではなくて、やはりバランスのとれた、NPOの方々、こうやってリサイクルだけでなく、リデュースやリユースを進めようなどと一生懸命取り組んでおられるNPOの方々なども審議会に入れていただけるものなのかどうなのか、その辺の考え方をお聞かせください。

南川政府参考人 容器包装リサイクル法につきまして、検討についてはかなりの時間が要ると思っております。

 といいますのも、まずどういう形で検討していくか、非常に難しいところがございます。関係省庁だけ見ましても、経産省、財務省、農水省、厚生省とございますし、また、多くの自治体が極めて高い関心を持っております。

 御指摘のとおり、NGO、NPOの方を含めて、リサイクル問題に取り組まれておる一般の方々が大変たくさんございます。また、この問題にいろいろな角度から御関心をお持ちの学者の方も多いわけでございます。そういう意味で、どういった方からどういった御意見を聞きながら、また、それを整理して検討していくか、それ自身が実は大変な準備作業でございます。

 また、御指摘のとおり、幾つかリサイクル法はございまして、今回の容リ法がまず第一弾の見直しになるわけでございまして、今回の見直しは、単に容リだけではなくて、全体のリサイクルの見直しにもつながるものでございます。

 そういった意味で、御指摘のとおり、いずれにしましても審議会を動かす必要がございますし、幾つかの部会とかが要ると思いますけれども、詳細につきましてはこれから検討したいと考えておりますが、当然ながら、できるだけ幅広い多くの方の意見が聞けるようにしていきたいと考えております。

村井(宗)委員 今まだ、すぐ決まっていないとの返事ですが、今後、そういった状況報告をまた国会の方でしていただきたい、そしてその際、特に、審議会の中にNPO、NGOなども含めて、バランスのいい審議会をつくっていただければということを要望させていただきたいと思います。

 さて、環境省のお話を聞いています。そもそも、この容器包装リサイクル法の出発点は、いわゆる循環型社会を目指そうということであったと思うんです。家庭から出るごみをできるだけ減らそう、そして、一度きりの使い捨てでもできるだけ減らして、再利用できるものは再利用させよう、それでも出るごみはきちんと分別した上で再資源化しよう、このリデュース、リユース、リサイクルの考え方に日本全体でも取り組もう、そういった考えだったと思います。そして、この順番といいますか、優先順位も、リデュース、リユース、リサイクルで進めていこう、こういうものだと思います。

 そこで、お聞きいたしますが、リユースできる瓶類、いわゆるリターナブル瓶の生産量と、リサイクルしかできない飲料容器、いわゆる使い捨てのペットボトルやアルミ缶の生産量はどのようになっておりますでしょうか。最近の傾向をお聞かせください。

南川政府参考人 瓶の生産量でございますが、これは近年どんどん減っております。PETにかわったり、あるいは紙パックにかわるということで減っておりまして、平成九年度には二百十六万トンございましたが、これが五年後の十四年度には百六十八万九千トンということで、大幅に下がっております。

 また、ペットボトルにつきましては、それをつくるための樹脂生産量で見ますとふえておりまして、平成九年度二十一万九千トンが十四年度には四十一万三千トンということで、大幅にふえております。

村井(宗)委員 そこで大臣に。

 今の答弁を聞かれたと思うんです。確かに、リユースできるものがどんどんどんどん減ってくる、その一方、リサイクルできるものがどんどんどんどんふえていく。リサイクル自身はいいことなんですが、この容リ法施行後、最大の問題なのは、リユースがどんどん減ってきているということなんです。

 ここで、基本的な理念、原則について環境大臣の見解を承っていきたいと思います。

 小池大臣は、リデュース、リユース、リサイクルの基本的な考え方とこの優先順位について、どのようにお考えでしょうか。今、容器包装リサイクル法が施行された現状、そして、それによってリユースが減ってリサイクルがふえてきたという現状を含めてお答えください。

小池国務大臣 循環型社会形成推進基本法におきまして、循環資源の循環的利用の基本原則は、一、リデュース、二、リユース、そして三がリサイクル、これが優先順位で規定をされているところでございます。容器包装の循環的利用についても、同じくこの優先順位が活用されると。

 今、これまでの数字の推移ということが示されました。基本方針においては、消費者、国、地方公共団体、そして事業者が、今申し上げた順位における容器包装廃棄物のリデュース、リユース、リサイクルにそれぞれの立場で積極的な取り組みを果たすことを求めているわけでございまして、この基本的な考え方は、もちろんそれによって変える必要はありませんし、変えるはずもありませんし、容器包装廃棄物の三Rの推進にこれからも努めてまいりたい、これに尽きると思っております。

村井(宗)委員 大臣が今おっしゃられました。方針はあくまで、リデュース、リユース、リサイクル、その順位なんです。しかし、今、この法律、容器包装リサイクル法施行後、結果として、理念とは逆の方向に進んできてしまった。そこで、今言っている改正は、やはりもう一度理念のとおりの結果に導かれるような改正を進めていかなければならない、私はそのように考えています。

 それでは、個別具体的な問題についてお聞きしていきたいと思います。

 今言ったリユースを促進するためには、一度きりの使い捨て容器を減らし、何度も繰り返し使う、リユースを促進することのできるリターナブル容器が有効です。このリターナブル容器は、今答弁でおっしゃられたように、だんだん出荷量が減少してきています。このリターナブル容器が減少していることについての対応策をお伺いしたいと思います。

 リターナブル容器のメリットをもっとPRして、消費者に環境面での効果についても理解してもらう努力が必要ではないでしょうか。また、事業者に対しては、リターナブル瓶、リターナブル容器を使用することでのメリットを一層拡大させていくという方策が求められているのではないでしょうか。お伺いいたします。

南川政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおりでございます。まず、私ども、容器リサイクル法自身も、直接目指すものはリサイクルでございますけれども、その中で少しでもリユースできるものは使いたい、そういったことを支援しようということでございまして、みずからが発生いたします容器包装の廃棄物の実質の八割以上を回収する事業者につきましては、残りの二割弱につきましてのリサイクル費用は免除する、そういう認定制度を設けております。

 実際に、二百を超える瓶につきまして、その認定制度を用いまして、実質費用負担がない形で回していただいているところでございます。また、この認定制度を広く活用するという観点から、一部のメーカーにおきましては、小型瓶の共通規格化を進めまして、リターナブル容器の利用促進を図っておりますし、私どももそれは支援したいと考えております。

 ただ、全体としましてリサイクルに向かっているのは事実でございまして、私ども、そういった制度的な支援以外にも、エコ・コミュニティ事業といたしまして、NGOとか企業、自治体が行っておりますリユースのための支援もしております。

 例えば、京都のお祭り、イベントで利用されますリターナブルカップシステムの開発の支援とか、あるいは、南九州におきます、しょうちゅうなどの九百ミリリットルの茶色瓶につきましての統一リユースシステムのモデル事業の支援とか、そういったことも行っているところでございます。

村井(宗)委員 今おっしゃられました。今後は、また見直しに向けては、どうやってリユースを促進していくか、それをしっかりと盛り込んで、容器包装リサイクル法の改正をこの環境委員会の中でも進めていきたいと考えています。

 また、リユースだけではないんです。今後は、リデュースのための方策、これもしっかりと盛り込んで容器包装リサイクル法を改正していかなければならない、私たちはそのように考えています。(発言する者あり)ありがとうございます。ぜひ、議員立法、みんなで進めていきましょう。

 次に、市町村が実施している分別収集についてお伺いいたします。

 容器包装廃棄物の分別収集については、市町村によっては、その実施状況がまちまちであります。また、実施されている容器の種類や品目もまちまちであります。この問題についてお伺いいたします。

 環境省は、この市町村によって、そして品目によってまちまちな分別収集の現状をどのように考えておられますでしょうか。また今後、より踏み込んだ取り組みが求められていると思いますが、いかがでしょうか。

南川政府参考人 御指摘のとおり、容器リサイクル法におきましては、市町村がみずから手を挙げる形で、どの品目のリサイクルに取り組むかということを決めていただくわけでございます。そういう意味で、物によりましてかなりばらつきがございます。例えばペットボトルですと、八四・九%の市町村が取り組んでおりますけれども、物によっては五〇%程度というものもあるわけでございます。また、もっと低いものも実はございます。

 ただ、全体的には、これに参加しようという市町村数は、全品目につきまして着実に増加はいたしておるところでございまして、全体的にその制度の趣旨というものは御理解はいただいていると思っております。

 私どもとしましては、この市町村の分別収集がうまくいきますように、具体的には、ストックヤードなどの分別収集に関する施設整備の補助、あるいは分別収集についての優良事例の紹介、そういったことで、市町村と非常にこれはコンタクトをとりながら、いい意味での普及に努めていきたいと考えております。

村井(宗)委員 次に、分別収集後の容器包装の再商品化の問題についてお尋ねいたします。

 この再商品化の問題は、なかなか、一つの市町村で、あるいは一つの事業者で取り組むのは非常に困難です。ですから、どうしても国の、行政の指導力や調整能力が期待されてまいります。また、技術開発の問題や価格、品質の問題など、全国的に取り組む課題だと思います。

 この再商品化により得られた製品の販路の拡大などについてはどのように取り組んでおられますでしょうか、お尋ね申し上げます。

南川政府参考人 再商品化は実は非常に難しい問題でございます。

 例えば、身近なところでセメントでございますと、これはセメント会社がそれを受けますので、民間会社として売れる範囲しかごみを引き取らないということで、その商品化されたものもまた売れていくわけでございますけれども、例えば量の多いスラブでございます。これは廃プラなどからよくつくられますけれども、これにつきましても、四、五年前はどんどん、路盤材とかあるいはエコセメントなどに一部使われまして、その利用率が八割近くまで達したわけでございますが、やはり、その後、だんだん需要先が減りまして、五割強しか利用できないという現状でございます。そういった中で、必ずしも、リサイクルをしても結局回っていかないという事例もたくさんございます。

 私ども、再商品を利用していただくために、いわゆるグリーン購入法の活用などを含めて、自治体のみならず、その事業者にもお願いして、その活用を進めておるところでございますが、必ずしもうまく進んでいない。むしろ、リサイクルを起こして仕事がうまくいかなくなっているという方からも実は苦情をたくさん受けるというのが日ごろの状況でございます。

村井(宗)委員 今おっしゃられたような内容を含めて、やはり容器包装リサイクル法の改正その他に進めていかなければならないんではないかと考えております。

 前半で申し上げましたように、循環型社会とは、リサイクルが最終目的ではありません。どちらかといえば、リサイクルは最低限の目標なのであり、できるだけリデュースそしてリユースを目標としていくべきだと考えます。そうしていかないと、大量生産、大量消費、大量廃棄という今の社会が、ただ、大量生産、大量消費、大量リサイクルに置きかわるだけに終わってしまうわけです。

 このリデュースそしてリユースを推進するために、生産者側と消費者側の双方に対して、誘導要因になるような経済的手法や規制的手法が考えられると思います。例えば、デポジット制度、容器課徴金、自動販売機規制などです。このリデュース及びリユースを促進するための各種の取り組みについて、環境省のお考えをお伺いいたします。

    〔委員長退席、長浜委員長代理着席〕

南川政府参考人 御指摘のとおり、インセンティブを持たせるということは、リデュース、リユースともに極めて大事だと考えております。

 例えば、今リサイクルにつきまして、容リ法、容器リサイクル法の中で、実際に分別収集された廃棄物につきまして、リサイクル費用は事業者が負担をしております。これは、事業者というのは何通りかありますが、例えばサントリーとかキリンとか、そういった中身を売っておるメーカー、それから、缶なりPETを生産しているメーカー、両方含まれますけれども、そういった方につきましては量に応じて負担がございますので、最近のジュース類を見ますと、非常に薄い、実はペットボトル、PETも薄いものに変わってきたということもございまして、そういう意味では、最近の「伊右衛門」とかを見ると非常に薄くなっていますけれども、かなりインセンティブ効果は働いているというふうに考えております。

 もちろん、デポジットも一つの大きな手段だろうと思って、私ども、今検討を、勉強をしておるところでございます。

 あとは、消費者の方の、実は理解も大変でございます。ペットボトルが普及した理由、いろいろ聞いておりますけれども、リサイクルというよりは、むしろ、持ちやすいとか、ふたをして持って歩けるとか、歩きながら水を飲めるとか、そういったこともございますので、いろいろな意味で消費者の方の声も聞きながら、検討を進めていきたいということでございます。

村井(宗)委員 私たちが目指しているのは、持続可能な循環型の社会です。環境への負荷がより少なく、限られた資源をより大切にする社会構造の実現です。この観点から容器包装リサイクル法の現状を見るとき、やはり拡大生産者責任の問題は避けて通れないと思います。

 容器包装のリサイクル、その収集、分別、圧縮、保管に膨大な税金が投入されている実態が続く限り、リデュースやリユースへの移行は進んでいかないんではないでしょうか。一方で、地方財政は極めて厳しくなっていることは説明を要さないと思います。消費者は、ごみを減らしても減らさなくても、同じように税金で収集、分別がされる。生産者は、使い捨て容器を使い続け、ごみを出し続けても、リサイクル費用の負担はその一部で済んでしまう。

 やはり、リデュースやリユースにシフトさせるために、そして公平な費用負担にするためには、容器包装のリサイクル費用を商品価格に含めることを検討すべきではないでしょうか。つまり、収集、分別、圧縮、保管の費用を商品価格に含め、生産者の責任で最終的には消費者が負担することの検討が必要であると考えますが、小池大臣、いかがでしょうか。

小池国務大臣 まあそう怒らなくともいいんじゃないでしょうか。

 最後の部分ですけれども、容器包装リサイクル法の見直しの時期とか、これからの段取りについての御質問ございました。

 今触れられました拡大生産者責任などによる費用負担のあり方も、検討課題の一つであろうというふうに考えております。また、先ほど来部長から、この問題については、消費者である国民の皆さんがこれまでの利便性のある方向にすぐ行ってしまうというようなことであるとか、それから、製造販売に当たっているそれぞれの業界の方々とか、非常に幅が広い、そしてまた、実際の処理に当たっている市町村の声も聞いていかなければならないということで、目指す方向は循環型社会を形成するということですから、お互い何をすべきなのかということをしっかりよく議論をし合って、そして見直しをしてまいりたいというふうに考えております。

村井(宗)委員 大臣、ありがとうございます。

 そうしたら、最後に、今は容器包装リサイクル法に特化して、拡大生産者責任の話その他もろもろ、容器包装リサイクル法についてお聞きしました。次は、もう循環型社会全般について、容器包装リサイクル法に特化せずに、拡大生産者責任についての大臣のお考え、そしてその取り組みに対しての決意をお答えいただければと思います。

小池国務大臣 これまで、循環型社会をつくるために幾つものリサイクル法を、法的な整備をしてまいったところでございます。

 平成十二年、循環型社会形成推進基本法が制定され、それによって循環型社会の形成に係る基本原則が定められたということで、廃棄物処理法を初めとする各種リサイクル関連法、それからグリーン購入法も改正を進め、制定が行われました。それから、大きいところでは、平成十四年、自動車リサイクル法の制定、今後の実施ということですね。平成十五年には廃棄物処理法の改正が行われてきたということで、こういった法律を定める、そしてまた、必要に応じて改正をしていくということは、環境省としても大きく目指すところがあるわけですから、それはつまり、循環型な社会を築いていこう、そしてもう一つ、もっとわかりやすく言えば、ごみゼロ社会をどうやったら本当に築けるのかということで、こういった目標、目的を目指しまして積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

 これからもいろいろな、総合的に機能をさせていくためにはどうしたらいいのか、それは、目的と効率性、それから、実際にそれに関与される方々の参加への意識の高揚ということなど、総合的に取り組んでいきたいと思っております。

    〔長浜委員長代理退席、委員長着席〕

村井(宗)委員 それでは、私の質問を終わらせていただきます。

 最後に、今後は、今までリサイクルだけがどんどん進んできた中、リユースやリデュースもしっかりと進んでいくように容器包装リサイクル法を変えていこう、そのためには、与党、野党を問わず、また、いろいろな事業者、NPO、いろいろな声も生かしながら、しっかりとこの法案の修正、今後もぜひ取り組んでまいりましょう。

 どうもありがとうございました。

小沢委員長 次に、阿部知子君。

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 私は、ただいま、イラクでは発見されなかった大量破壊兵器問題で、逆に我が国において、かつての大戦中に製造され使用されたと思われる化学兵器によって生じた被害についてお尋ね申し上げます。

 この間、環境省は、とりわけ、昭和四十八年に行われました日本軍の旧軍の毒ガス兵器のフォローアップ調査といたしまして、昨年十二月、非常に分厚い資料を作成でございます。その労苦を多といたしますとともに、逆にまだまだ、この実態調査が進めば進むほど、実際の現実の被害救済も含めて、今後に残された課題が多いであろうと思う観点からお伺いを申し上げたいと思います。

 その第一が、平塚市、私は実は神奈川県の選出でもありますが、まず、私の選挙区にございます寒川というところで毒ガスが発見され、それに引き続いて隣の平塚というところでも出てまいりまして、ここは旧相模海軍工廠と言われる兵器工場があったところであったということも関係して、非常に多くの、当時製造されたと思われる毒ガスがいろいろな形で出てきております。

 特にきょうは、冒頭、平塚の問題をお伺いしたいと思いますが、平塚市も、当然、旧相模海軍工廠跡地ということにかかわる部分が、そこから出てまいったのですが、ことし三月三十日段階で、いわゆる平塚市の市庁舎内予定地といいますか、公共の建物をつくる予定地のところで発見された毒ガスについて、毒ガス兵器の残存物について一応安全宣言というものが出されて、その出てまいりましたところをアスファルトで埋め立てて、安全を当面宣言するということがなされているところかと思います。

 この当面の安全化措置ということにつきまして、これは国土交通省がかかわられて措置をなさいましたので、当面の安全措置とはどんな意味なのかということと、当面の安全措置をしても、例えば、埋め立てても、アスファルトで覆っても、実は今後、掘削を深くいたしますと、またほかにも出てくる可能性があると思いますが、今後の危険性ということについてどのようなお考えをお持ちかの二点、お願いいたします。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘の件は、昨年の四月三日に、私どもで実施しております平塚第二地方合同庁舎の工事現場におきまして、山どめぐいの工事の掘削中に球状のガラス瓶三個が発見され、担当の作業員が体調の不調を訴えたものでございます。

 国土交通省といたしましては、不審瓶が発見された直後から、周辺の安全を確保するために工事現場への立入禁止を行って、二十四時間体制で現場の安全管理を実施してきております。

 その上で、敷地内の危険物に関する調査及び対応方針の検討を行うために、化学、環境、廃棄物、医学など、幅広い分野の有識者から成る有識者委員会を設置いたしまして、調査方法あるいは危険物の処理方法について御検討いただき、措置等を進めてきたところでございます。

 不審瓶発見以降、まず不審瓶の埋設箇所を特定するという必要がございますので、敷地全体のボーリング調査、それから不審瓶発見箇所の試掘を行いました。その結果、不審瓶が投棄されている可能性が高い場所は、コンクリートあるいは陶片を埋設した瓦れきの層がありまして、この瓦れきの層の中にあるということが判明いたしましたので、その箇所についてはすべて掘削を行って、不審瓶を除去いたしました。

 除去した不審瓶の内容物につきましては、分析を行った後に無害化処理を行うとともに、掘削土につきましては、中和及び浸透防止措置等の措置を行った上で埋め戻して、御指摘のありましたように、敷地全面にアスファルト舗装を行って、また敷地周囲にはフェンスを設けております。

 これらの安全化措置の終了後、有識者から、土地の改変をしない限り、周辺の方々に全く支障のない安全な状態であるということを確認いただいております。

 以上でございます。

阿部委員 今の御答弁ですが、問題が二つありまして、瓦れきが捨てられた、ここが一番汚染濃度が濃いだろうというところは掘削されましたが、他の部分は深く掘削されずにアスファルトで埋められてしまっていると。そうすると、当面は安全でも、土地の改変をしない限りと言いますが、いろいろな、土地をめぐる、例えば地震でもございますかもしれませんし、今後、逆に言うと、ここはもともと合同市庁舎がつくられるところで、本来であれば、深いボーリングをして、その地域の安全性を確認した上に合同市庁舎がつくられる考えもあったところが、ただアスファルトで埋め立てられてしまって、当面という形で、恒久的な安全性については不問に付されてしまったということが、非常にまた地域住民の不安も抱かせているところかと思います。

 そしてもう一つ、ここから出てきた瓶は、先ほど、当初は三つとおっしゃいましたが、計三百八十五本、四百本以上出てまいりましたか、分析が済んだのが三百八十五本だということで、うち百一本から青酸ということでございますが、そのほかに例えばどんな物質が出てまいりましたのか、これについてもお答えいただきたいと思います。

奥田政府参考人 今お話のございました、現地から発見された不審瓶、これは合計四百七十六本でございます。このうち百五本から青酸が検出されております。不審瓶からは青酸以外の化学剤関連物質は検出されておりません。検出された青酸につきましては、速やかにアルカリ溶液に浸して無害化処理を行いました。

 御指摘の敷地内の土壌の方ですけれども、ここからは微量のマスタード及びその関連化合物、微量のくしゃみ剤の関連化合物の疑いがある物質、微量の催涙剤の関連化合物の疑いがある物質、弗素、砒素、テトラクロロエチレンが検出されております。この土壌中から検出されましたマスタード及びその関連化合物については無害化処理を行い、その他の土壌中の物質についても、有識者にさまざまな観点から御意見をいただいて、安全化措置を行っております。

阿部委員 今御紹介があっただけでも、まず青酸、弗素、砒素あるいはマスタード、マスタードというのはびらん系の化学兵器に使われるものですが、多様な化学兵器の痕跡と思われるものがそこで発見されているわけで、特にまたこの間、平塚市内の周辺の井戸調査からは、神栖でも問題になっておりますが、ジフェニルアルシン酸という砒素関連のものも出ているということで、当座ここだけ埋め立てておれば地域への汚染の広がりやあるいは過去の実態が明らかになるというものでもないと思います。

 この点、何度も繰り返しますが、当面安全ということと、今度またその周辺で何か出てくる可能性が否定されないということが、今後の問題を残しておりますので、本来であれば、安全宣言をするためには、きちんとした、その地域の深いボーリングを含めて、ありとあらゆる可能性を検索していただかないと、今、神栖町でもそうですが、ある種、降ってわいたようなという健康被害が起き、しかし、それが実は降ってわいたのではなくて、もともと旧軍の使った毒ガス兵器の処理や実情がきちんと解明されていないということから発するところである、そして、たまたま発掘というか、道路をつくったりする、あるいは庁舎をつくったりするための国土交通省がやったいろいろな作業の中で見つかってきていて、国土交通省が責任官庁になっておりますが、実は事態はより広く、やはり旧軍の使用し、製造しあるいは放棄した、捨てた毒ガスの問題でありますから、一つ一つ、やはりその場しのぎの対応に終わらない根本対策をぜひお願いしたい。

 そして、この件では、平塚市からも、やはり本来合同庁舎をつくる地域として、きちんとした環境調査をしていただきたかった、アスファルトで埋めただけでは当座の安全策しかないということが指摘されておりますので、そのことも申し添えて、今後きっちりした対策へと結びつけていただきたいと思います。

 あわせて、実際に起きてしまった被害、特に、神栖の問題もそうですし、寒川の問題あるいは平塚の問題でもそうですが、起きた個々の健康被害は、旧軍の遺棄した毒ガスの化学兵器によるものという認識をきちんと総体としてお持ちであるのか否か、これは内閣官房の方にお願いいたします。

森本政府参考人 お答え申し上げます。

 寒川、平塚の事案につきましては、毒ガス弾というものが実際に出てまいりましたので、それへの対応というのは国の責任というふうに十分理解しております。

 それから、神栖につきましては、いわゆる毒ガス起因の化学物質というのが疑われる物質が検出されましたので、その可能性はあると考えておりますけれども、いずれにせよ、いわゆる未然防止対策というものについては、実際、国の方で実施しているところでございます。

阿部委員 今おっしゃられたような、あると認識しておるが点々みたいなあいまいさが、実際に、例えば神栖の被害に遭われた人たちの受け取る印象として、これはなぜ自分たちにこんな健康被害が起きたんだろう、それは、国は毒ガスが疑わしいと言いながら、でも本当に断定はしていないと。では、本当に自分たちの健康被害について、今は当座、療養費とか医療費が支給されておるが、これがもし国の遺棄したものであるならば、国の責任において、健康被害も、それから今後の生活のためのさまざまな補償もされていかないと、当座、調査のために今医療的に協力をしてもらったり情報収集しているという形で言われてしまったのでは非常に心外であるという気持ちも広がっていると思います。

 この件については、既に三月二日の当委員会でも問題にされておりますので、また、小池環境大臣の、極めてこれは日本軍のかつての負の遺産であるというふうに認識しておるという答弁もございますので、特に健康被害を実際に受けた方々に接する政治の姿勢として、あいまいさを残さずにきっちりこれもやっていただきたいと思います。

 そうした観点から、実は寒川の場合には、これは、現場で工事にかかっていた方の十一人の作業員が被災されましたが、うち九人は労災で対応されましたが、二名は事業主だということで、実際の労災も適用がされておりません。そういたしますと、この二名の方の救済、健康被害は一体どうなるのか。これまで八十件以上のいろいろな実際の被害が起き、その都度いろいろな、その時々の、これは労災である、あるいはこれは、今度の神栖のように、健康調査のためのスキームであるというような言い方で、きちんとした総合対策が組まれておりません。特に、例えば寒川で労災に当たらなかった人たちの救済はどうなるのか。これも内閣の方でお願いいたします。

森本政府参考人 お答えいたします。

 寒川の個別の事案につきましては、国土交通省の方で対応されていますので、詳細は承知しておりませんが、そもそも、いわゆる健康被害、毒ガスに起因する健康被害というものについては、迅速的確な対応が肝要であるというふうに考えております。

 実際の国内における毒ガス弾による被害というものは、被害の発生の状況や被害者の対応がさまざまだということもありまして、個々の事案に応じて迅速な対応を図る、そういう観点から、労働災害補償保険法に基づく措置などによって対応してきたということでございます。

 また、原因が必ずしも特定されていない場合、神栖のような事例でございますが、これにつきましても、閣議了解に基づく措置を講じて、国として被害への迅速な対応というのを図ってきたということでございます。

 将来、さらに毒ガス弾による被害が発生した場合には、また個々の事案の状況に応じて検討する必要はございますけれども、被害の状況、被害内容を把握した上で、事案に即して国として迅速に対応していきたいというふうに考えております。

阿部委員 今おっしゃられたような、個々の事案は承知していないと。これは、きのう質問通告したときに、内閣として一括してお答えになるということでしたので了解いたしましたが、実は人間はみんな個々でございます。その個々の個人が救済されなければ、それは救済とは言いません。

 場当たりの、その場、その時々、これから起きたらまたそれを対応しますという形では、この毒ガス問題がなぜ生じたか、そこの原点が踏まえられていないから、例えば神栖町の人たちも、さっき言いました医療調査のために万全を期してやっていますと言われても、では、原因は何だったの、自分たちはなぜそうなったのというところで、大きな食い違いが生じております。そこはやはり、私は政治がきちんと責任を持つべき事案で、化学兵器等々はそうしたことであると思いますので、今、個別の事案、寒川のことはお答えいただけませんでしたが、そのような漏れがあるんだという認識をきっちりと持っていただきたいと思います。

 時間との関係で、最後に、小池大臣に一問お伺いしたいと思います。

 実は、この毒ガス問題は日本の国内だけではなくて、中国の黒竜江省というところでも、昨年八月、日本軍が遺棄した毒ガスで住民四十三人が負傷し、一名が死亡で、日本の方から協力金ということで三億円が中国に支払われた。そして、この三億円の使途について日本側と中国側とどのような詰めがなされたのかということも、かなり一致しておらないように思いますが、きょうはそこを聞く時間がございませんので、また改めさせていただきたく思いますが、小池大臣には、この間、日本の国内でこういう毒ガス兵器による健康被害、環境汚染の実態、さまざまに、ちょうど我が国が経験して、省庁としても資料をまとめられて、いわゆるデータも持っておられることと思います。

 今後、中国でも、中国でも同じですが、黒竜江省で発見され、またこの次どこかで発見されるということも決して否定できない。そういたしますと、環境調査も含めて、再発予防ということのための認識を各省庁間連絡会議でまずは表明というか、御意見を述べていただきたいということと、この外国の事例についても、明らかに日本の旧軍の使用した毒ガスによる実際の被災と、それから、今後の被災防止のために環境省としての提言なり発言をしていただきたいと思いますが、よろしくお願いします。

小池国務大臣 御指摘のありました関係省庁連絡会議ですが、正確には、国内における旧軍毒ガス弾等に関する関係省庁連絡会議と長いものになっておりますが、このタイトルどおり、国内における毒ガスなどによる被害の未然防止を目的としておりまして、基本的には今の中国遺棄化学兵器処理の関連については議題とはしておりません。

 ただ、今御質問の中にもありましたけれども、環境省として、昭和四十八年に行いました調査のフォローアップ調査ということの関連情報など、内閣府、そして外務省等の関係省庁にも広く提供もしてきております。

 それから、もっと関係省庁それぞれ情報で連携をとったらどうだという、そういう意味で御質問があったと思いますけれども、今後も、環境省の毒ガス情報センターを設けておりますが、そこで収集いたしました情報であるとか、それから、これまでの環境調査で得られました知見などを、有用と思われるものはそれぞれ関係省庁の方に提供して、政府全体としての情報を共有するように努力していきたい、こういうふうに思っております。

阿部委員 今、大臣の御答弁にもございましたが、省庁間連絡会議が主に国内を目途としてつくられたものであるということからさらに一歩進めて、例えばSARSとか鳥インフルエンザでもそうですが、国際的な広がりを今は何でも持っており、特にこの旧軍の毒ガス兵器も不幸なことに国際的な広がりを持っておりますので、大臣の見識で、ぜひとも中国においても安全性がさらに中国の国民にも保障されますような御尽力をお願いしたいと思います。

 終わらせていただきます。

小沢委員長 以上で質疑は終了しました。

     ――――◇―――――

小沢委員長 次に、内閣提出、大気汚染防止法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。小池環境大臣。

    ―――――――――――――

 大気汚染防止法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

小池国務大臣 ただいま議題となりました大気汚染防止法の一部を改正する法律案につきまして、その理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 浮遊粒子状物質による大気の汚染については、工場等の固定発生源に対する規制に加え、自動車排出ガスに対しても、累次の規制の強化、大都市地域における特別の排出基準の設定、低公害車の普及促進等の施策を実施してきたところでありますが、大都市地域を中心として全国で環境基準の達成率が低く、依然として厳しい状況にあります。

 また、光化学オキシダントによる大気の汚染についても、工場等及び自動車に対して、その原因物質の一つである窒素酸化物の排出規制の強化が行われてきたところでありますが、ここ数年は、約半数の都府県で光化学オキシダント注意報が発令され、その合計日数は年間延べ二百日に及ぶなど、深刻な状況が継続しています。

 このような状況を踏まえ、浮遊粒子状物質及び光化学オキシダントの原因物質の一つである揮発性有機化合物について、工場等の固定発生源からの排出規制措置等を講ずるため、本法律案を提出した次第であります。

 次に、本法律案の概要を御説明申し上げます。

 第一に、施策等の実施の指針について定めることであります。

 揮発性有機化合物の排出及び飛散の抑制に関する施策その他の措置は、この法律による排出規制と事業者が自主的に行う排出抑制のための取り組みとを適切に組み合わせて、効果的な揮発性有機化合物の排出及び飛散の抑制を図ることを旨として実施されなければならないことを定めております。

 第二に、排出口における排出濃度規制の実施であります。

 排出規制と事業者の自主的な取り組みを適切に組み合わせるという施策等の実施の指針を踏まえ、揮発性有機化合物の排出量が多いためにその規制を行うことが特に必要である施設を、揮発性有機化合物排出施設として指定します。揮発性有機化合物排出施設については、その種類及び規模ごとに揮発性有機化合物の排出濃度基準を定め、当該施設から揮発性有機化合物を大気中に排出する者に対して排出濃度基準の遵守を義務づけることを規定します。また、排出濃度基準の遵守義務違反に係る改善命令等の制度をあわせて設けることとしております。

 第三に、揮発性有機化合物排出施設の届け出等に係る各種規定の整備であります。

 揮発性有機化合物の排出規制の実効性を確保するため、揮発性有機化合物排出施設の設置等について都道府県知事に届け出なければならないこととします。また、届け出があった場合において当該施設が排出基準に適合しないと認めるときは、施設の構造、使用等の変更等を命ずることができること等をあわせて規定しております。

 以上のほか、事業者等に対する揮発性有機化合物の排出の抑制等に係る責務の規定、改善命令等に違反した場合の罰則その他の規定の整備等を行うこととしております。

 以上が、本法律案の提案の理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御賛同くださいますように心からお願いを申し上げます。

小沢委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十六日金曜日午前九時四十分理事会、午前九時五十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三十八分散会


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