衆議院

メインへスキップ



第10号 平成16年5月11日(火曜日)

会議録本文へ
平成十六年五月十一日(火曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 小沢 鋭仁君

   理事 大野 松茂君 理事 桜井 郁三君

   理事 竹下  亘君 理事 西野あきら君

   理事 奥田  建君 理事 長浜 博行君

   理事 伴野  豊君 理事 石田 祝稔君

      宇野  治君    大前 繁雄君

      岡本 芳郎君    加藤 勝信君

      鈴木 淳司君    西村 康稔君

      鳩山 邦夫君    船田  元君

      三ッ矢憲生君    望月 義夫君

      近藤 昭一君    鮫島 宗明君

      島田  久君    田島 一成君

      武山百合子君    松本  龍君

      村井 宗明君    高木美智代君

      土井たか子君    川上 義博君

    …………………………………

   参考人

   (東京大学生産技術研究所教授)

   (中央環境審議会総合政策部会環境に配慮した事業活動の促進に関する小委員会委員長)   山本 良一君

   参考人

   (ソニー株式会社顧問)  佐野 角夫君

   参考人

   (株式会社グッドバンカー代表取締役社長)   筑紫みずえ君

   参考人

   (環境プランニング学会副会長)   江間 泰穂君

   環境委員会専門員     遠山 政久君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十一日

 辞任         補欠選任

  木村 隆秀君     岡本 芳郎君

同日

 辞任         補欠選任

  岡本 芳郎君     木村 隆秀君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 環境情報の提供の促進等による特定事業者等の環境に配慮した事業活動の促進に関する法律案(内閣提出第一二一号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

小沢委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、環境情報の提供の促進等による特定事業者等の環境に配慮した事業活動の促進に関する法律案を議題といたします。

 これより質疑に入ります。

 本日は、本案審査のため、参考人として、東京大学生産技術研究所教授・中央環境審議会総合政策部会環境に配慮した事業活動の促進に関する小委員会委員長山本良一君、ソニー株式会社顧問佐野角夫君、株式会社グッドバンカー代表取締役社長筑紫みずえさん、環境プランニング学会副会長江間泰穂君、以上四名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。

 本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、参考人各位からお一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。

 なお、念のため申し上げますが、御発言の際はその都度委員長の許可を得て御発言くださいますようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。

 それでは、まず山本参考人にお願いいたします。

山本参考人 おはようございます。御紹介いただきました山本でございます。

 私の本来の専門分野は、材料工学であります。一九九一年に環境に適合した材料、エコマテリアルを提唱してからは、広く環境技術、環境産業、環境経営の分野を専門としております。また、先ほど御紹介がありましたように、中央環境審議会の意見具申を取りまとめた小委員会の委員長を務めさせていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。

 本法律案について意見を申し上げる前に、一秒の世界変化の興味ある事例をまず御紹介したいと思います。一秒間に、全世界から七百六十トン、体育館三十二棟分、三十九万立方メートルの二酸化炭素が排出されております。また、百四十万人が一日に必要とする七百十トンの酸素が空気中から減少しております。グリーンランドの氷河が千六百二十立方メートル解けております。鉄は一秒間に二十二トン、テレビは四・二台、乗用車は一・三台生産されております。世界人口は一秒間に二・四人増加しております。

 このように、今日の環境問題は、私たち一人一人の日常生活や通常の事業活動から生じる環境負荷が余りにも大きくなって生じているのであります。世界経済は、中長期的には一貫して成長傾向が続いており、このままでは環境の受容能力の限界、地球資源の限界に近づくことが懸念されます。環境省の環境と経済活動に関する懇談会の報告書にありますように、我が国及び地球規模の環境を保全し、これを原動力として経済を発展させていくという環境と経済の間の好循環により実現される、環境と経済が一体となって向上する社会、環境と経済の統合こそが二十一世紀の社会のあるべき姿であります。

 環境と経済の好循環を実現する上では、事業者の自主的、積極的な環境配慮の取り組みが極めて重要であります。事業者は、環境保全のための新たな技術の開発や環境に配慮した製品設計の実施、製品の流通方式における工夫などにより、製造の段階はもとより、消費や廃棄の段階における環境負荷の低減にも寄与し得る立場にあります。環境と経済の間の好循環とは、まさにこのような事業者の先進的な取り組みが、消費者市場、金融・資本市場、サプライチェーン市場、労働者市場で強力な支持を受けて、市場メカニズムによって事業者の取り組みがさらに向上、発展するというものであります。

 これがうまく機能するためには、事業者の環境経営の取り組み、製品サービスの環境情報が広く社会全体に共有されていることと、それを支援する制度的枠組みが社会に導入されていることが必要であります。

 幸い、我が国におきましては、消費者市場のグリーン化が急速に進んでおります。環境に優しい素材、エコマテリアルは、一九九一年に我が国から新しい材料概念として世界に提起されました。今日では、二百八十六社が千九百種類のエコマテリアルを市場投入しております。エコマーク認定商品数は、五千六百七十三商品に達しております。一九九七年に設立されました民間団体であるグリーン購入ネットワークの加入団体の数は、既に二千九百団体に達しております。これら世界で最も進んだ取り組みが我が国においてなされるに至った最大の理由は、各種リサイクル法やグリーン購入法等の制度的枠組みが我が国に導入されたためにほかなりません。

 しかしながら、一方において、社会的責任投資は欧米と比較すると残念ながら見劣りするのが現状であります。金融・資本市場のグリーン化は消費者市場ほどは進んでおりません。これは、国民等に対する啓発普及が十分でないのと、事業者の環境配慮の取り組みについての信頼性の高い情報が不足しているため、さまざまな利害関係者の側において、事業者の環境配慮の取り組み状況を十分考慮することが難しいということが大きな原因になっていると思われます。環境報告書につきましても、公表している事業者は先進企業に限られております。

 このような背景から、中央環境審議会においては、平成十六年二月五日に「環境に配慮した事業活動の促進方策の在り方について」の意見具申をさせていただいたところであります。

 答申におきましては、第一に、環境配慮の取り組み促進は事業者の自主性が最大限生かされるようにすること、第二に、環境報告書が最低限満たすべき基本的枠組みや信頼性を確保する、そのための仕組みの整備、第三に、中小企業への配慮、第四に、独立行政法人等の公的性格を有し環境影響の大きな事業者に対しては、環境報告の公表を義務化することを提言しております。さらに、事業者の自主的、積極的な環境配慮の取り組みが実際に市場において高く評価されるよう、国としても、資本市場、消費者市場及びサプライチェーン市場のそれぞれのグリーン化を推し進め、市場メカニズムを活用しながら、環境に配慮した事業活動を促進するための施策を行っていくことを提言しております。

 今回提出されましたこの法案は、中央環境審議会の意見具申を受けて、関係府省やさまざまな利害関係者の意見を踏まえて提出されたものと理解しております。私どもの提案を大幅に取り入れていただいている点を高く評価いたしているところでございます。

 まず第四条、第五条におきまして、事業者、国民のグリーン購入、グリーン投資の努力義務が盛り込まれたことは画期的であります。また、第九条第一項において、特定事業者に対して環境報告書の作成、公表が義務づけられたことも画期的であります。また、第十一条第一項において、大企業者も情報の信頼性の高い環境報告書の作成の努力義務が課せられたことも社会的影響は大変大きいと存じます。グリーン購入法におきましても、同様に、政府には義務が課され、企業や地方自治体には努力義務が課せられましたが、結果的にグリーン購入が社会全体に進展いたしましたことは、周知の事実であります。また、第八条、第九条において、環境報告書の記載事項等及びその信頼性を高めるための手続が明確化されたことも大変評価されるところであります。

 これを要するに本法案は、環境に配慮した事業活動が市場で高く評価され、経済と環境の好循環のための制度的枠組みを我が国社会に導入しようとするものであり、我が国の環境立国政策として高く評価されるものであります。

 ぜひ、この国会におきまして本法案を成立させていただきますようお願い申し上げまして、私の意見を閉じさせていただきます。どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)

小沢委員長 ありがとうございました。

 次に、佐野参考人にお願いいたします。

佐野参考人 御紹介いただきましたソニーの佐野でございます。

 私は、ソニーに入社以来、営業、それから管理部門、ソニー・アメリカの勤務等を経まして、環境問題には一九九〇年代から携わってまいりました。一九九〇年に取締役に就任し、以来、常務取締役、子会社、上場子会社でありますけれども、社長を経まして、現在は、ソニーグループの環境問題全体の顧問として内外の環境問題に取り組んでいるところでございます。

 以下に、環境への取り組みにつきまして、私どもの会社の御説明をさせていただきます。

 ソニーは、一九四六年設立の会社でございます。設立以来、業績のよいときも悪いときも関係なく、誠実な情報公開を基本姿勢としてまいりました。こうした方針のもとに、従来から環境問題にも積極的に取り組んできましたが、地球環境問題が社会的な課題、全世界的に取り組むべき問題として大きくクローズアップされてきたことを受けまして、二〇〇〇年に、環境問題に対するソニーの基本理念と基本姿勢を示したソニー環境ビジョンを策定、これを公表いたしました。この中では、技術革新と創造的ビジネスを通じて、ソニーグループを挙げて地球環境保全と環境に優しい社会の実現に貢献することをうたっております。

 大きな目標としては、環境効率の改善を挙げております。二〇〇五年度に二〇〇〇年度の比で一・五倍に改善すること、また二〇一〇年度には二倍の改善を目標とすることを掲げております。また、私どもの製品の環境負荷を分析しますと、例えばエネルギーの場合には、製品がお客様のもとで使われる際に消費する割合が全体の八割でございます。また、製品がつくられる際に工場で消費する割合は二割となっております。お客様のもとで使われる際の環境負荷の削減に重要性があるということを認識しまして、製品の設計の改善、省エネ化等を強力に推進する目標を策定した次第でございます。

 その中で、この環境ビジョンに基づき、社内的な環境保全のための目標値を盛り込んだ中期計画二〇〇五を策定しました。この中で、具体的なものとしては、製品の省エネ化、製品の生産時に排出する温室効果ガスの削減、リユース、リサイクルの推進、製品に含まれる特定化学物質の削減、環境活動推進組織の配置、人材の育成、環境情報の開示などに取り組んでおります。

 この中でも、製品の省エネ化につきましては、二〇〇五年度末までに、お客様のもとで使われる際の製品の作動時の消費電力を二〇〇〇年度に比較して三〇%削減すること、並びに待機時の消費電力を〇・一ワット以下にすることを目標にし、約半分の製品が既にこの目標をクリアしております。

 製品の生産時に排出する温室効果ガス削減につきましては、三〇%削減の目標に対しまして二九%の削減を達成しております。

 また、リユース、リサイクルにつきましては、工場から出る廃棄物については九五%以上をリユース、リサイクルする目標を掲げておりますが、国内の工場では既にこれを達成しております。家電リサイクルでは、一九九一年から独自の技術開発を進め、一九九七年にはリサイクル研究センターを設置して取り組んでまいりました。この結果、テレビにつきましては重量比で八〇%以上を再商品化している状況であります。

 製品に含まれる特定化学物質排除につきましては、オランダには極めて厳しい規制がございます。当社は、二〇〇一年十月に、オランダ当局よりゲーム機周辺機器へのカドミウム混入につきまして指摘を受けまして、現地での販売を一時停止し、自主的に対応してまいりました。また、御案内のとおり、欧州では、カドミウムや鉛、水銀、六価クロムなどの重金属、それから有機臭素系化合物を製品へ使用することを禁止する特定化学物質規制が二〇〇六年度に施行されます。これらへ対応するために、製品に含まれる化学物質を漏れなく管理する体制を、約七千社の資材のお取引先の皆様方の絶大な御協力を得まして構築してまいりました。国内にはこのような法規制がないため、当初は取引先の皆様方の御理解が得られないケースがございまして、この対応には大変苦慮いたしたわけでございます。

 環境活動推進組織につきましては、本社に専門組織を設置しておりますほか、グループ各社、工場に専門スタッフを配置しております。この人員数は、国内が七百名、海外が三百名でございます。環境教育も随時行っております。

 環境情報開示につきましては、環境報告書の作成時には第三者の検証を受け、信頼性を高めるよう努力をしております。インターネットによる情報開示や、取材や記者懇談会を通じたマスメディアへの広報、環境活動に関する広告も日刊紙を通じて行っております。また、本社を初め、銀座のソニービル、大阪のソニータワー、各事業所に環境展示コーナーを設けておりまして、一般の方々の御見学に利用されている状況でございます。

 なお、二〇〇三年度の報告書から、企業に対する社会的責任の関心が高まったことを受けまして、環境活動のみならず社会活動についての記述も盛り込んだ社会環境報告書、本日お手元にお配りしていると思いますが、この報告書を作成いたしました。この報告書に関しましては、財務報告書とあわせた情報開示の姿勢やグローバルな環境データの開示、土壌汚染や事故などのネガティブな情報の開示、それから第三者検証などについて、一定の評価を社外から得ております。

 ここまで、ソニーの環境に関する取り組みについて簡単に御紹介をさせていただきました。以上の現状を踏まえまして、参考人といたしまして、法律案についての御意見を述べさせていただきます。

 今後、企業において環境配慮は不可欠でありますし、また、円滑な事業活動のために企業と外部とのコミュニケーションはますます重要なものとなってくると考えております。そのため、環境情報開示のツールであります環境報告書が法的に位置づけられることは大変意義があると考えております。特に、国や自治体、特定事業者が率先して環境報告書を作成するという点には賛成であります。

 しかし、環境報告書は自主的な努力によって発展してきておりまして、今も発展段階にあると考えております。また、社会的な側面を含んだ情報開示の流れもございます。したがいまして、すべてを義務づけることは適さず、私どものような民間の事業者にとっては報告書は自主的なものとすることが望ましいのではないかと考える次第でございます。

 結論といたしましては、法律案に関しましては賛成でございます。

 最後に、この場をおかりしまして、先生方に御配慮賜りたい点、二点を申し述べさせていただきます。

 一つ目は、化学物質管理に関する規制であります。サプライチェーンを通じた製品の化学物質管理は、既に御説明のとおり、欧州の特定化学物質規制に対応すべく、自主的に推進しております。しかし、国内に同様な規制がないために、お取引先の皆様に御理解を得ながら進めるに当たりまして、対応に苦慮するケースが多々ございます。こういう点を御配慮いただいた枠組み整備をお願い申し上げます。

 第二点は、家電製品のリサイクル率を向上させるためにリサイクル工場にある装置を最新の設備に増設する際、許可申請の手続開始から使用の開始まで、許可証の交付や立入検査などに十三カ月もの時間を要するという事実がございます。最新の技術導入の際に、これが大きな障害になっているということでございます。

 また、廃棄物の保管期限は十四日を限度とするという廃棄物に関する保管基準がございまして、特に家電製品では夏場が冬場の二倍の収集量となるということでございまして、平準化が必要でございますが、これができないため、リサイクル工場の経営を悪化させております。保管期限を長期化すると腐敗等から周辺に多大な迷惑を及ぼす生ごみなどと、腐敗することのない家電製品等が同一の扱いを受けていることが、この保管期限を短縮化させていると思われますので、両者の間には違いがあってしかるべきではないかというふうに考える次第でございます。

 廃棄物の処理につきましては、規制の背景も十分に理解しておりますが、少なくとも家電リサイクル法のような規制対象の明確な廃棄物に関しては、規制緩和をしていただいても問題はないのではないかと考えているわけでございます。どうぞ、この点についての御配慮をお願いいたしたいと思います。

 どうも大変ありがとうございました。(拍手)

小沢委員長 ありがとうございました。

 次に、筑紫参考人にお願いいたします。

筑紫参考人 株式会社グッドバンカーの筑紫でございます。本日は、このような場所で意見を述べさせていただく機会を与えていただきまして、ありがとうございました。大変光栄に存じます。

 私どもの株式会社グッドバンカーは、最初にエコファンドというものを開発した会社でございます。エコファンドというのは、会社への投資に際しまして、これまでの投資のように、ただ会社の財務諸表的な観点から考えて投資をするのではなく、その会社が環境問題にどう取り組み、そのことが会社としての、企業としての競争力にどう結びつき、さらにそれが会社の成長にどうつながっているかというようなこともチェックをしてする投資でございます。

 そういう投資の仕方を、単に財務諸表的な観点からのみ投資をしないということで、その会社の社会的な意義といいますか、社会的存在としての会社のあり方に着目をして投資をするということで、社会的責任投資、SRI、ソーシャリー・レスポンシブル・インベストメントという英語の略でございますけれども、そういうふうに言っております。

 そのSRIというコンセプトで最初にできた商品がエコファンドというものでございまして、これが、一九九九年の八月ですけれども、日本で最初のSRI型の金融商品として、日興証券と私どもグッドバンカーと開発をいたしました日興エコファンドとして発売をされました。これが二週間で二百三十億円売れるという大変なヒットになりまして、なおかつ、購入してくださった方々が女性とか若者とか、今まで株式投資をほとんどなさらなかった方が多かったということで、このような新しいコンセプトに対して、新しい投資家があらわれたのではないかということで大変注目を浴びました。

 日本ではまだまだ小さなものなんですけれども、全世界では、このように企業の社会的あり方ということもきちっとチェックをして投資をする。株式投資だけでなく、例えば預金をなさるときでも、その銀行が環境関連の会社に融資をしているかとか、それから銀行そのものが環境問題とどう取り組んでいるかということをチェックすれば、それはエコバンクというふうに呼ばれておりますし、また、保険会社さんの保険にお入りになるときにも、保険会社さんというのは、準備金といいまして大変大きなお金を、保険金が払われるまでの間というのは、株式や債券それから外国の証券等に投資をして運用しております。その際に、その保険会社さんが環境に配慮した経営をしているような会社に投資をするならば、それはエコ保険ということになります。

 それからまた、最近の流れとしましては、国家政策の環境配慮といいますか、どんなふうに環境問題に取り組んでいるかということをきちっとチェックして投資をするエコボンドという考え方が出ておりまして、そうしますと、当然、例えば京都議定書にサインをしていないアメリカなどの格付は下がるということになりまして、最近のこういった調査では、日本は第六位でございました。上の方に、上位に行っているのはスカンジナビア諸国でございます。

 そうなりますと、このソーシャリー・レスポンシブル・インベストメント、SRIの世界じゅうの総資産が三百兆と言われております。こういったところは当然エコボンドという考え方で各国の国債に投資をしておりますので、そのときに、日本の環境政策、それから日本企業の環境への取り組みが非常に高い水準にあるということになれば、日本国債が買われますし、それから日本企業が買われるということになります。

 この日興エコファンドは、二週間で二百三十億、それから、大変このことがマスコミにも取り上げられまして、実は、六カ月ほどで二千億というような、他社さんも追随いたしましたので、一時そういうマーケットになりまして、世界じゅうから注目を浴びまして、日本のエコファンドのマーケットは、UNEP、国連環境開発のアクションプランとして、日本の成功をもっと各国は見習うべきだということで取り上げられたこともございます。

 このたび、今度の法案の中で、環境報告書というものが、実際に、まず隗より始めよということで、国ですとかそれから独立事業法人ですとか、そういったところで発行していこうというような機運になったことは大変すばらしいことだと思います。このことで企業の環境報告書の発行ということも促進されるかと思います。

 私どもは、企業がどういうふうに環境問題と取り組んでいるかということの調査をする会社でございますけれども、どのように調査をし、どのように評価をするか、そして環境報告書をどのように利用しているかということが皆様の御関心であろうかと存じますので、まずリサーチのプロセスについて御説明申し上げます。

 二ページを見ていただきますと、私どもは、海外の調査機関それから運用会社さんから、日本企業の環境対応度というのを評価して調査をするようにというような仕事を請け負っているんですけれども、最初は、環境報告書ですとか、あるいは環境報告書により社会的な側面というものをつけ加えましたサステーナビリティーレポートですとか、それからウエブサイト、アニュアルレポート、有価証券報告書等、こういったもの、こういった公開情報から先に私どもの方でチェックをしていきます。

 それから、さらに追加情報として、質問ですとか電話によってのヒアリング、訪問取材、それからさらに、その企業が環境問題に取り組んでいることがいかに競争力に結びつくかとか、特に環境技術というものをどう評価していくかということがその企業の長期的な競争力になるという考えでございますので、こういったものに対しては、外部のアドバイザー、科学の専門家ですとか、そういったところからの御意見も伺いながら情報を取得して、それを私どものデータベースの中にインプットし、アナリストの中で格付をいたします。さらに、それを全体的な評価委員会による格付をいたしまして、それからレポートを作成し、顧客のレポートにスコアカードをつけて提出をいたします。

 さらに、一度私どもの方で調査をした企業が環境関連の事故ですとか事件とかを起こした場合は、毎日これをメディアでチェックしておりますし、外部専門家からも、あるいはNGOさんからもヒアリングを受けながら、一度調査を受けた企業について引き続きフォローアップをしております。

 ですから、環境報告書というのは、私どものような企業にとっては大変重要な位置づけでございまして、このことによって、私どもが企業の環境対応度について評価ができ、その評価を見て投資をするお客様がありますので、この法案によりまして、企業のより詳細でより正確な環境報告書の発行の促進に役立つということは私どものようなところにとっては大変ありがたいことですし、またそのような形でよい情報を世界に発信できることが、日本企業が投資をされるということでございますので日本のためにもなるということで、私どもとしましては、この法案に対して大変期待をしております。

 以上、私の説明を終わらせていただきます。大変ありがとうございました。(拍手)

小沢委員長 ありがとうございました。

 次に、江間参考人にお願いいたします。

江間参考人 最後に、私からは、当法案により企業の環境報告書は何と財務諸表になってしまう、ならざるを得ないだろうという話を、環境プランニング学会のスタンスから話させていただきます。

 環境プランニング学会とは、会長に東京大学の磯部教授、副会長にきょうお見えになっておられます東京大学の山本教授、同じく副会長に、今は東京理科大学の方に移られましたけれども、東京大学の板生教授、加えて、東京大学環境プランニング講座において実務界から講師として参加しておりますISO研修機関の平林社長、並びに税理士の私が副会長として構成されております。また、理事には、大手監査法人の役員の方々、また早稲田大学の永田教授、寄本教授、並びに環境プランニング講座を各大学院で担当する教授の方々、こういう方々で理事を構成させていただいております学会でございます。

 レジュメに従ってお話を進めさせていただきます。

 本日の内容ですが、財務諸表、報告書との関連において、今回の法案がどういう内容にまた意味合いがあるか、この話をまずさせていただき、二においては「環境情報の利用の促進は環境教育から実践へ」ということで、法案の効果を出すためにはあくまで必要な二つの観点について述べさせていただきます。

 東大大学院でやっております実践型環境教育プログラム、環境プランナー養成講座ですね、ここにお見えの山本先生もやっていただいておりますし、筑紫先生には早稲田大学でもこの講座を御担当いただきました、これに触れた上で、中小企業の発展はこの法律に基づく環境対応からしか今後ないのではないかというお話の方に進めさせていただこうと思っております。つまり、環境対応をすればするほど中小企業はもうかる、こんな話にこの法案はつながるというお話をさせていただければと思っております。

 この法案は、各事業年度、特定事業者とはいえ毎決算ごとに環境報告書を提出しなければならない、義務づけるというところに大きく画期的な意味がございます。これは、財務諸表と何と同じ制度になった、ここがポイントですよね。つまり、環境決算を企業はしなさい、これがどういう影響を与えるか。

 これには必然性があります。まず、環境問題は今までずっと規制でした。規制から始まり、容器包装リサイクル法、家電リサイクル法等の拡大製造者責任、波及して、企業にとって取り組みの範囲が、今だけクリアすればいいというのから、だんだんそれに付随した大きな動きに変わっていった、拡充していったわけですね。この間、企業経営から見ると、環境問題はどういうとらえ方になっていったのだろうか。当然、変化に伴って企業経営も大きく変化していったわけです。

 まず、今回の法案等にあります環境報告書を構成する環境会計から見てみましょう。

 これは、環境に対して投資したお金がどういう環境効果をあらわすか、これをあらわす制度なんですね。ところが、この制度自体は、米国で、アメリカで八〇年代に、今の時代からいったら随分昔に開発された手法なんです。これは、環境対策があくまで通常の投資には合わない、合わないけれどもやらざるを得ないというところからの発想で出てきた制度なんですね。その産物なんです。だから、環境と経済の両立というのは、この時代の、二十世紀のこの時代を背景にした言葉なんです、あくまで。つまり、環境配慮のというこの配慮のというところ自体、配慮の企業行動ということ自体が、まさに環境に嫌々でも配慮しなければならなくなってきたことを意味する。つまり、ネガティブチェックのコストセンターの時代であったわけです。

 しかしながら、現状ですが、環境報告書は、情報公開が当然、循環型システムの政策推進の絶対不可欠なツールに変わりつつあります。これはもう、各社、環境報告書を出していなくても、環境に対するパンフレットは当然のように出さなければ話にならない。これが、環境対策が企業活動の主要な要素となりつつある状況を示すんです。

 実際に、例えば自動車業界を見てください。排気ガス対策、燃費対策、リサイクル対策は今や自動車メーカーの主戦場ですよ。環境対策について特別に報告しなくても、それがもう実体の企業活動そのものになってきているわけです。家電業界もそのとおりですよね。省エネ性能、リサイクル性能、及び商品差別化の重要な課題として環境問題を必ず取り上げて商品戦略、マーケティングを行っております。つまり、環境対策が企業活動の主要な要素となった状況にふさわしい環境報告書と法律が必要となってきたわけです。もちろん今回は特定事業者のみといいながら、これが民間に与える影響ははかり知れなく大きいと意識しております。これによって、環境に対応する企業経営は、中小企業を含んで大きな変化をせざるを得ない。

 まして、排出権取引という市場メカニズムが入ってきました。これは何と、お金で環境を買ったり売ったりすることですね。つまり、お金が動けば財務諸表に直接載ってきます。買えば資産、売れば損が出たり利益が出たり、まさに環境報告書と財務諸表は、排出権取引の京都議定書が発効されることを前提としますけれども、それによって、ほぼ同体、両方見なければ何もわからない状態というのが発現してくるわけです。

 米国においては、このようにもう既に、今反対していますけれども、硫黄酸化物とか窒素酸化物とか、シカゴ商品取引所で一トン百ドル、あるいは地域市場においてやっているわけです。この方が環境の対策についての保全効果があることが、経済的手法の方が効果があることが立証されているわけです。英国の気候変動税もしかり。身近なところで、例えば今回の産業廃棄物の改正法についても、自分のところで投資をして廃棄物を減らすか、あるいは業者に発注するか、ここにおいても同じようにお金が動いて環境を左右する状況が生起しているわけです。

 そこで、今法律案をきっかけに、環境報告書と財務諸表というのは、同一事業年度においてその関連性を読む重要性というのが非常に増してきます。つまり、ここで、環境会計、環境報告書の作成において、設備投資をするか排出権取引をするか、あるいはその組み合わせをポートフォリオで考えるか、あるいはリスク、環境のこういうリスクに対して保険やデリバティブ等の金融手法を使っていくか、いろいろな、今まで経営に使っていたあらゆる手法を環境に絡めて使わざるを得ない事態が現出してくるわけです。

 まして、排出権取引は、市場メカニズムで動きますから、日々値段が変わるわけです。これは、決算書に載せるときには、評価の問題として出てきます。あるいは、先物、スワップ、こんな形で財務諸表に契約として載ってくる以上、これが、環境と財務諸表の区別というのが、厳然として分けることが本当に今後可能なんだろうかと、ある意味では専門家として思うところもあるわけです。

 ですから、今まで規制時点において最もよい効率の対策をしていたものが、将来に向かっての対策に大きく変動するのがこの環境報告書の義務化を発端にあらわれると思われます。これによって、財務報告書と列記される環境報告書なんですが、今まで、内部管理及び外部への情報公開のみの意味合いが強かったんですけれども、今後は、企業経営上どうしても必要不可欠、経営そのもののツールへと変貌せざるを得ないきっかけとなってまいりました。この環境報告書が企業経営のツールとして機能するためには、やはり教育、あるいはそれに伴う中小企業の動きというのがどうしても必要となります。

 これは環境プランニング学会の学会誌からのコピーですが、東京大学の環境プランニング講座、これを例として提示します。

 括弧内の大書きのところですが、大学院でも、社会の即戦力となる学生が企業等に行って、環境報告書を読み、書き、作成する力を携えてもらう、あるいは環境の観点からいろいろな企業活動をしていただくための教育を今始めまして、大好評で、昨年までが、大学院なのに六十名、ことしは百二十名で出発しております。

 続いて、環境プランニングの活性化も期待。このプログラムを終了すると、環境プランナーという資格が取得できるため、ある意味では、環境系の学生にとって大変励みになっている。また、東京大学は、大学初の環境プランナー養成機関として、ますますこれからこのカリキュラムを充実していこうと思っております。

 ほかに、慶応大学の丸の内講座、早稲田大学の環境総合研究センター、法政大大学院、芝浦工業大学大学院、東京理科大大学院等が、この環境プランニング講座を環境教育として始めている実態があります。そのカリキュラムについては、次のページのとおりです。左下の環境プランニング基礎論のように、環境会計、環境報告書、財務会計、排出権取引、今私がお話ししたようなことを非常に体系的にカリキュラムとして組み込んでいる。それに加えて、すべてのサステーナビリティー、環境経済、ビジネス、環境システム、こういったものを取り込んで教育を行っておる次第です。

 次のページの環境プランナーの資格制度についてはあくまで参考程度ですが、大学院だけではございません。中央青山監査法人PwC並びにISO研修機関テクノファ、こんなところが一般社会人に対する環境教育を進めております。多くの会計事務所も、この資格をこういう研修機関で取って、環境プランナーとして活動を始めております。

 最後に中小企業の発展ですが、この法案の効果は必ず中小企業にあらわれると申しますのは、この辺からですね。

 環境対策がこれから中小企業へ展開され、取り組みを迫られます。というのは、大企業は、環境経営強化に向け、グループ企業、下請企業に環境対策を要請するでしょう、主戦場ですから。国は、施策推進、循環型社会の構築、地球温暖化対策において、中小企業に取り組み強化を働きかけます。これはエコアクション21についても、我々も十分に御協力させていただきたいプログラムです。国、地方行政自身も、グリーン購入法で環境対応企業を優先していく、法律で決められているわけですね。

 これにより、日本の循環型社会の構築、京都議定書の数値目標達成は、九〇%を占める中小企業を巻き込まなければ実現できないのは明白な事実じゃないですか。としたら、いかにして中小企業を動かすかということを我々は考えていかなきゃならない。環境が企業の新たな評価基準となるようにしなければならない。このためには、中小企業の環境化は、やはり市場の自主管理という王道、まさに原則に任せるべきだと考えております。

 中小企業の特性、これは、取引先、売り上げのためなら、環境対応だろうが環境報告書の作成だろうが何でもやる。資金調達、もともと財務諸表というのは、ファイナンスといいまして、お金をどういうふうにつくり出すかということで発展してきた制度ですが、同じように、環境報告書が効果があるとなるならば、何でもやります、資金調達のためなら何でもやりますと。これは別に悪いことじゃなくて、これが日本の中小企業の活力、強さ、日本経済を支える中小企業の原点なんです。ここに環境問題をうまく入れ込むことが、この法案の活性化につながるわけです。

 まして、環境関連法規、これは行政も確かに関連法規がいっぱいございますけれども、なかなか、中小企業すべてを法律でコントロールすることの難しさは、皆さん御承知のとおりです。ですから、経済の活性化を、経済的インセンティブをどう入れるか、これに対して学会では、現在、研究をして、推進している事項がございますので、御紹介申し上げます。どうすればいいのか、地域との連携において、次の諸点を施策として振興しております。

 自治体との連携におきまして、まずは、先ほどの金融機関、中小企業に大きな影響を与える中小企業対応の金融機関が、あるいは損保、生保もそうですが、環境対応している中小企業に対しての優遇と指導をマーケティングとして行う、こんな施策が始まり、かつ、中小企業の集合体である組合、事業協同組合を使って、集合的に産廃を処理したり、集合的に環境対応をしたり、あるいは集合的に研修をして知識対応をして、あるいはグリーン購入、グリーン調達に備える、こんな動きを活発化させていきたい。

 かつ、中小企業の相談相手として今ナンバーワンであります全国の会計事務所のグリーン化。会計事務所が税法、会計だけではなくて環境に対する知識をマスターしていただくことにより、中小企業は、みずからの売り上げ、利益の貢献、こんなことに対することを決算の作業並びに税務申告の作業とともに御指導されることにより、より企業の発展を生むという好循環を生みたいわけです。

 このように、当法律案は、企業を育成しながら、結果として、環境対応の持続可能性を促進するという環境報告書の目的と相まって、つまり、環境報告書作成、公表が財務諸表に好影響を与え、みずからの業務を発展に導くと同時に、環境貢献に役立つということになります。これによってこれ以上の幸福はないと、強く、深く、また共鳴する次第であります。

 これにて私の発表を終わります。ありがとうございました。(拍手)

小沢委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の方々からの意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

小沢委員長 これより参考人に対する質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西村康稔君。

西村(康)委員 四人の参考人の皆様、非常に参考になるお話をありがとうございました。自由民主党の西村康稔でございます。

 今のお話、皆さん共通してありましたけれども、経済と環境の統合、経営と環境の統合、あるいは調和、両立というものが時代の大きな流れになっていることは、もう言うまでもないことでありまして、既に経済界でも多くの会社がみずから自主的に環境報告書を出しているところであります。そして将来、国際的な環境会計基準ができる。特に日本からそんなものを発信できていけば、こんなすばらしいことはないと思うんですけれども、一方で、余り画一化をし過ぎると、それぞれの企業の自主的な創意工夫を生み出す余地を妨げてしまうんじゃないか、そんな気もしておりまして、むしろ、環境経営、環境に配慮した経営が一種のブランドであるということではないかと思うんです。

 こういう話を先ほど考えておりましたら、ふと思い出したのは国会議員の資産公開でありまして、これも一定の基準に基づいてやっておりますので、これはそれなりに評価されるんだと思うんですけれども、余り画一的にやってしまうと、決められたところまでやって、それ以上やらない、あるいは、それをブランド化して自分の活動をいろいろPRしていこうというところもなかなか生まない部分もあるんじゃないかと思いまして、よく似た話だなと今思っておったんです。

 もちろん、この法律によって、企業の意識もさらに進んで、環境をブランドにとらえ、あるいは中小企業のお話もありました、ビジネスチャンスとしてとらえ、仕事がふえていくということになればいいわけでありまして、そのあたりを期待するわけであります。

 四人の参考人の皆様にお伺いをしたいんですけれども、自主的な取り組みを促すことも大事じゃないか、つまり、環境経営は差別化できる大きなポイントじゃないかと思います。

 先ほど江間先生のお話もありました。中小企業が環境経営をやれば自然に優遇されていく、仕事がふえていく、そのために中小企業は自主的に環境経営に取り組んでいく、そんな姿が望ましいんじゃないかと思いますし、ソニーの佐野参考人のお話でもございました。ソニーはイメージを物すごく大事にしておられる会社だと思います。消費者とのコミュニケーションも非常に大事にしておられる。むしろ、自主的に創意工夫しながら環境報告書をつくり、環境経営をしておられると思いますけれども、そのあたりの点。あるいは、筑紫参考人には、一律の基準でもちろん評価をされるんだと思うんですけれども、自主的にどんな取り組みをしているか、これも投資するときの大きな評価のポイントじゃないかと思います。

 どんな自主的な取り組みをしているか、あるいはどんな創意工夫をしているかというところが判断のポイントじゃないかと思いますけれども、四人の参考人の皆さんに、企業として自主的に創意工夫をしながら、あるいは環境経営に取り組むことを自主的に競争していくような、そんな仕組みもつくっていくことが大事じゃないかと思うんですけれども、ぜひそのあたりの御意見についてお伺いできればと思います。

山本参考人 ただいま西村先生から御指摘のとおり、自主的な取り組みが大変重要である、私もそのように認識しております。

 私は、もう一九九七年から環境報告書の、これは環境省が後援している環境レポート大賞という賞がございまして、それの審査委員長を務めてまいったわけでございますが、日本の場合は、大変自主的な、非常に多様な取り組みがなされて、これは先進企業に限って言えば、まさに今我が国の環境報告書、社会環境報告書の現状は百花繚乱の状況にあるということでございます。

 ただ問題は、自主的な取り組みだけでは数が広がらない。すなわち、フリーライダーと申しますか、全く環境報告をしない企業がそのまま取り残されてしまうという問題がございまして、この辺につきましては、日本経団連の方は、報告する企業の数を三年で倍増するというふうに自主的な目標を掲げられているわけでございます。

 以上でございます。

佐野参考人 では、お答えいたします。

 私どもは、先ほど来御説明申し上げておりますとおり、環境保全活動につきましては、あらゆる面で各企業の自主的な、創造的な努力を続けてまいっているわけでございます。その結果として、リサイクルが家電業界では極めて順調に推移しているということも御高承のとおりでありますし、それから省エネ商品、省資源商品、それから新しい技術としては液晶テレビ等の環境に優しい商品も、技術開発によって市場に導入されているということでありまして、自主的な取り組みが極めて重要であるというふうに考えております。

 これに基づきまして、私どもは社会環境報告書と申し上げておりますけれども、この事実を誠実に情報として公開し、これが市場でどう評価されるかを待ちまして、結果的にブランド力の向上にも役立つことになればというふうに考えております。

 以上でございます。

筑紫参考人 西村議員のおっしゃいましたように、私どもの方も、自主的な取り組み、創意工夫、こういったものがやはり経営の先見性につながると見ておりまして、そういったことも必ずお聞きしておりますし、同じセクターの中で皆様が取り組みについてもどんどんおっしゃっていただく、そのものをお互い比べることによっても、世界的な環境動向の中で同じように取り組みということをやるにしても、この時点でこの取り組みを既になさっていらっしゃるとか、そのことがその会社の環境問題に関する先見性をあらわすということで、その辺は本当に大事なものとして調査においても重要視しております。

 ありがとうございました。

江間参考人 自主的な取り組みという中で環境に対応する場合に、金融機関が借入審査並びに金利で優遇したり、あるいは保険料を割り引いたりというような経済的手法は、自主的と言うべきか強制的と言うべきか、判断に迷いますけれども、非常に自然にスムーズに進行するんじゃないかと思っております。

 私は、ここにいらっしゃる山本先生の影響を受けたせいもありますが、取り残される企業があってもそれは仕方がないんじゃないか、つまり、環境に対応する企業だけ生き残っていくのがこの制度の宿命じゃないかというように実際には思っております。

西村(康)委員 ありがとうございます。

 皆さん共通の御意見だと思いますけれども、もちろん、一定の部分はそれぞれルールに基づいてやっていただくことは当然あるべきだと思いますけれども、さらに超えてブランド化していく努力を促していくところを政策として行っていかなきゃいけないのかなというふうに感じております。

 二つ目の質問。これはソニーの佐野参考人と筑紫参考人にお伺いをしたいんでありますけれども、具体的に企業として利益を上げるということと、環境に配慮するということが背反する場合があり得ると思うんですね。

 例えば、省エネなんかでありますと、これはエネルギーコストの削減、もちろん、投資は要りますけれども、コスト削減につながりますから、長い目で見ればやがて回収できるということはあると思いますけれども、リサイクルなんかで、よりリサイクルしやすい材料を使わなきゃいけない、あるいはリサイクルを自分のところの製品をしなきゃいけない、もちろん、一定のルールに基づいてやるケースもありますけれども、自主的に取り組む場合に、逆に、それをやるとコストが上がってしまう、あるいは利益が落ちてしまうということがあり得ると思うんですけれども、企業としてそのときどういうふうな判断を、もちろん、全体の判断だと思いますけれども、していくのか。あるいは投資をするときに、そのあたりはどんなふうに評価をしていくのか、そのあたりの御意見を伺えればと思います。

佐野参考人 お答えいたします。

 おっしゃるように、企業は利益を上げなければ社会的な活動、環境面での活動もできないわけでありまして、そういう利益を上げるということを前提とした環境活動をどうすべきかということは、大変重要な課題であるというふうに考えております。しかしながら、これまで事業者は大量生産、大量販売で利益を上げてきたわけでありまして、環境保全活動というものは、今の時代、企業の極めて重要な責務というふうに考えておりまして、取り組むべき課題だというふうに考えております。

 具体的には、おっしゃるように、リサイクルにつきまして申し上げますと、私どもは一九九〇年代からリサイクル技術は開始し、それから研究所の開設、それから二〇〇一年度から実際の家電リサイクルを始めたわけでございますけれども、過去の投資に対するリターンというのはまだまだ大きくかけ離れておりまして、これは時間をかけて解決していくべき問題だというふうに考えております。

 今後とも努力をして、当然、株主の皆様方もいらっしゃるわけなんで、こういう方にも御理解できるように努力を続けていくべきと考えております。

 以上でございます。

筑紫参考人 私どもは、エコファンドは金融商品だと思っておりますので、あくまで投資家の皆様に対して収益を上げてリターンとしてお返しをしていくということのために努力をしている商品ということですので、会社の環境対応度というものがコスト要因になって、コストですから、ですから赤字でしたということでも投資をするというような商品ではございません。

 ですから、このことが短期的にはそういう意味では新しい環境対策というのはコストになるかと思いますが、中長期的にはそのことが収益になり、そして同業他社さんに対して競争力を持っていく、そのようなやり方での対応をしているかどうかということを細かくチェックしていくわけでございます。

 例えば、リサイクルの方がいいのか、リサイクルによってエネルギーコストがむしろ上がるんではないかとか。それから、それならばむしろリデュース、少なくしていく方が実は環境問題の観点からは企業としてとるべき正しい道ではないかとか。あるいは、リサイクルをするにしても、それなら最初からエコデザインといいますか、リサイクルしやすいデザインにしていれば、リサイクルのコスト、あるいはそれによるエネルギーコストというのが下がるわけですから、そういうことをやっていらっしゃるかどうか。あるいは、もう物をつくることそのものが環境に非常に負荷を与えるわけですから、なるべく物はつくらない、そのかわりにリース、機能を売っていくということで、リースの方に力を入れているとか。こういったことは、同じ業界の中で細かくお話を伺ったりしていきますと、そこで温度差といいますか、わかるわけなんですね。

 ですから、そこのところを評価するということで、御心配の点につきましては、私どももプロフェッショナルとして細かくきっちりと調査をし、企業の環境対応度があくまで企業の競争力につながるようなやり方をしているかということを調査しております。

西村(康)委員 ありがとうございます。長い目で見て、環境への対応、環境を配慮した経営が競争力につながる、あるいは長期的に回収していく、あるいはそのこと自体が評価をされるような社会全体の意識をつくっていかなきゃいけないんだと思いますし、そのコストも社会全体で負担をしていくような仕組みも考えていかなきゃいけないと思います。

 最後に、中小企業への配慮のお話が何人かの方からございましたけれども、山本参考人にお伺いをしたいと思うんですけれども、中小企業、確かに、先ほど江間参考人のお話にもありましたように、ブランド化をしていく、あるいは金融で優遇していく、そんなことをしていきながら自主的に取り組んでいく仕組みをつくっていくことが大事じゃないかと思うんですけれども、余り過度な負担を与え過ぎると経営そのものが行き詰まってしまうということかもしれませんので、そのあたりのこれまでの中央審議会での議論とか、あるいはお考えをお伺いできればと思います。

山本参考人 中央環境審議会の小委員会におきましても、中小企業についてどうするかということは議論させていただいたところでございまして、エコアクション21という中小企業向けの簡易版の環境マネジメントシステムが既につくられて実行されてバージョンアップされているわけでございまして、これをさらに拡大強化する、さらには、日本でつくられましたこの中小企業向けの環境マネジメントシステムをアジア、特に中国とか韓国とか、アジアに普及させようという構想もあるやに伺っております。

 さらに、中小企業の製品の環境品質を、さらに競争力を高めるために、ヨーロッパでは二千社くらいについて環境設計技術、エコデザインとか環境クリーナープロダクション、大変環境に配慮した生産技術等の訓練等のプログラムも実施されておりまして、我が国においてもそれに類似するプログラムが既に実施されておるわけでありますが、今後さらに、我が国においても中小企業支援のための環境技術支援のためのプログラムが実施されるのが私は望ましいというふうに個人的には考えております。

 以上でございます。

西村(康)委員 ありがとうございました。質問を終わります。

小沢委員長 次に、伴野豊君。

伴野委員 民主党の伴野豊でございます。

 本日は、参考人としてお越しいただきました四人の先生方、大変お忙しい中御参集いただきましたことを、会派を代表いたしまして、まずもって御礼を申し上げたい思います。本当にありがとうございます。

 きょうは、日本で最初にエコファンドを企画されました筑紫先生もいらっしゃっているようでございますけれども、私もかねがね、いつの日か政界のエコファンドと言われるように頑張っていきたいな、そんなふうに思っているわけでございますが、よろしくお願いいたしたいと思います。

 本日は、環境情報の提供の促進等による特定事業者等の環境に配慮した事業活動の促進に関する法律案における参考人質疑ということでございまして、私は、この法案に関しまして、環境と経済の好循環を、大きく歯車を動かしていくためのまず最初の一歩になってもらいたいな、そんな期待を持ちながらも、私自身も幼いときはやんちゃ坊主でございましたので、最初からいい子なんというのはいないわけでございまして、いろいろ運用していく中で日々見直しをしていっていただいて、これのおかげで環境投資はどんどん日本に集まってくる、あるいは環境ビジネスこそ日本だ、環境立国は日本だというような、そんな法案の基本になってもらえればな、そんなふうに期待している一人なわけでございます。

 そんな中で、この法案をずっと眺めさせていただきますと、やはりキーワードは三つかなと。一つは情報提供とその評価、二つ目は、先ほども御質問をされた方もいらっしゃいますが、中小企業、三つ目は環境ビジネスへの振興、インセンティブ、この三つがキーワードになってくるんじゃないかな、そんなふうに思っております。そういった思いの中で、四人の先生方に、時間が許す限り質問をさせていただければと思っております。

 まず、本法案におきまして御尽力いただきました山本先生に質問をさせていただければと思うわけでございますが、今回、環境報告書の公表の義務化ということでございまして、どこまでやるかというのがあるんだと思うんですね。やはり、法律といいますか、世の中はすべて理想と現実というのがありまして、余り理想ばかり追い過ぎてしまうとほかのバランスを崩してしまう、ただ一方で、きっちりしなきゃいけないところがきっちりできていないと、何のためにつくった法案か、よくわからないというようなことになってくるわけでございまして、どこを目指していくかというのは、非常に重要な案件になろうかと思います。

 今回、特定事業者ということで、政府の方は、伺うところによりますと、大企業というようなところですと、大体従業員五百人以上の企業というのを一つの対象にされているようではございますけれども、先ほどキーワードとして申し上げた中小企業さんをどうするかというのがございまして、この公表義務の範囲という観点で、中小企業をどのように山本先生はとらえていらっしゃるのか、まずお聞かせいただければ、そんなふうに思っております。

山本参考人 私の理解するところでは、今回の法案では、大企業、中小企業につきましても、自主性を最大限に尊重して、ボランタリー的に作成、公表していただきたいという趣旨かと思います。

 ただ、他国につきましては、これはもう伴野先生も御存じのように、欧米におきましてはかなりの国で既に作成、公表が義務づけられているわけでございまして、例えばデンマーク等におきましては、これは大企業、中小企業、多分二千社くらいが作成、公表を既に実施しているわけでございます。

 我が国の方は、現時点において、正確な数は私はわかりませんけれども、大体七百社くらいが作成、公表、これはほとんど大企業でございます。

 したがって、デンマークのような小さな国におきましては、中小企業においても、やはり義務化されれば、財務諸表と並んで環境報告についても作成、公表をしている、これが現状でございます。

 ただ、産業界を中心にしまして、自主的に作成、公表していく努力をするということを表明されておりますので、私は、今回のこの法案で十分現時点では妥当ではないか、かように考えておるところでございます。

伴野委員 ありがとうございました。

 では、続きまして、ソニーから佐野先生にもお越しいただいておりますので、きょうも本当に大変すばらしい報告書を拝見させていただいております。まず、この報告書をつくられる中で一番御苦労された点と、それから、ソニーさんの系列会社といいますかグループ会社さんは、これに基づいてどうなるのかというようなことをちょっとお聞かせいただければと思います。

佐野参考人 それでは、御回答します。

 今年度は、新しく社会的な責任面にも取り組んだ報告書ということで、この基準をどこに求めるべきか、それから、こういった情報をグローバルにどう収集するか、それが適正かどうかというようなことで大変苦労した次第でございます。私どもの報告書というものは全世界の連結子会社を含んだものでございまして、約千社が対象となっております。

 以上でございます。

伴野委員 当然、ソニーさんの場合、いろいろな商品をつくっていらっしゃる中で、御自身で直轄でやられている部分と、グループ会社さんあるいはまたその孫請さんでやられているところもいろいろあろうかと思います。そのあたりのところの啓蒙活動なんかも、ぜひ今後とも、インセンティブを与えるような形でやっていただければありがたいかな、そんなふうに思っている次第でございます。

 続きまして、エコファンドの話に少し触れさせていただければということでございます。

 きょうは筑紫先生にもお越しいただいているわけでございますが、今回もお話がございましたように、そういったエコファンドに主婦の方やあるいは女性の方が非常によく投資してくださっているというようなこともお聞きしております。

 そうした中で、この報告書というのが、これは本当にきちっとした情報に基づいてきちっとした評価を受けて情報開示されている、またそれが、でき得ることなら第三者機関できちっと評価されていると、投資家の方も安心してリスクヘッジも考えながらやられると思うんですが、私は性善説を唱えたい一人でございますけれども、これを悪用するというわけじゃないですが、まあありもしないようなことをというようなことをやった場合に、ミスリードしないためにも、企画をされた方としてこの報告書をどうとらえるべきか。

 情報開示のあり方と、ミスリードさせないための何か、これは危機管理というんでしょうか、あの報告書に基づいて投資したのに、何、この報告書自体が、基準とした報告書が全然違うじゃないというようなことを言われないためにも、何か歯どめのようなことを企画の中でされているのか、そんな点からお聞かせいただければ。

筑紫参考人 伴野先生の方から、政界のエコファンドにという大変心強いお言葉をいただきまして、とてもうれしゅうございます。後ほど、どうしたら政界のエコファンドになれるかということの私のアイデアをお話しいたします。

 まず最初に、環境報告書の信頼性についてなんですが、これを、勝手なことを書けるんじゃないかとか皆さんおっしゃいまして、第三者認証機関がというお話もあります。ただし、企業さんにとっては、では、第三者認証機関をだれが評価するのか、その第三者認証機関は本当に自分を評価できるのかというような問題がありまして、この辺は今ちょっと棚上げになっておりますけれども、実際に実務でやっている立場から見ますと、ミスリードというようなことはなかなか起こりにくくなっておりますのは、例えば、私どもの方で調査をするときに、企業さんにヒアリングなどをいたしますが、そのときに、大体、例えば同業他社さんの話が出るわけですね。

 あちらではこういうものも出していらっしゃいますがねというようなことだとしますと、いや、でも、あれは意味がないですよ、なぜかというと、うちの業態はこうこうこういうもので、あの辺であれが出るのは別にそれほど意味がない、しかし、同業他社さんの何とかさんがあそこまで出しているのはすごいんです、それはこういうことでというようなことが結構入ってまいりますので、その辺のところは、私どもも重々、ここにこれが出ている、そのことが本当に意味があるのかというのは、では、サイエンティストの学者さんにお聞きしたりとかいうようなことで、まずミスリードされないように努力はしておりますし、そこのところでミスリードされるような評価機関であれば私どもを首にしてくださればいいわけですので、かえってその方が評価機関の中でも今度は競争が起こっていいのではないかと。しかし、先生がおっしゃいましたようなことというのは起こりがちですので、私どもも非常に厳しく見ております。

 それから、先ほど政界のエコファンドということですけれども、これはもう先生、簡単でございます。例えば、先生の方で国会議員の年金基金に入っていらっしゃると思いますけれども、その国会議員の方の年金基金というのは、必ず信託銀行さんですとか投資顧問会社さんとかが運用しております。その中で株式にも投資をしておりますから、国会議員の年金基金では必ず企業の環境対応度を評価して、チェックして投資をするんだと先生が一言おっしゃれば、これは政界のエコファンドでございます。

 以上でございます。

伴野委員 大変ありがたいお話というのか、ありがとうございます。参考にさせていただきながら、努めてまいりたいと思っております。

 それから、続きまして、環境会計を御専門にされている江間先生に質問をさせていただきたいわけでございます。

 先ほど、まさに中小企業への期待というような感じで拝聴したわけでございますけれども、その中で、財務諸表と環境報告書はまさにリンクしてくるんだというお話も承りました。その中で、やはり、具体的に何を書き込むかというのが非常に重要じゃないのかなと。

 今先生のお考えの中で、具体的にその記載項目、ここは外しちゃいかぬよ、だけれどもここら辺はいいんじゃないかというようなお考えがもしあれば、記載項目について御所見を賜れればというのが一点。

 それから、まさに先生のおっしゃるとおりだと思うんですね。しかし現実が、では、中小企業に財力、人材が集まっていくかというと、先ほどの先生の具体的な処方せんも賜りましたけれども、例えば、私の大学の後輩なんかから、よく将来の就職口のような相談も受けるわけなんでございますけれども、やはり皆さん、大企業さんを目指される。例えば、ソニーさんと、そう言っちゃ失礼ですが、非常に成長率があるところとどっちを選ぶといったら、大抵の学生は、今、優秀な学生ほどと言っては失礼かもしれませんが、ソニーさんを選ばれてしまうんじゃないか。

 だから、そのあたり、多分、それを考えていくときに、リスクをどう回避していくかというのと、やはりブランド力というのもあるのかなと思ってしまうんですが、学校で教鞭をとっている先生のお立場からして、ぜひそのあたりのところ、学生を初め市民の方にどう啓蒙をそういうところにしていくかというようなところで、何かいいお知恵がありましたら、お聞かせいただければと。

江間参考人 まず第一の御質問の方ですね。環境会計側からいきますと、やはり日本にとっての目標のCO2に関するものについては外せないなと。温室効果ガスについては大分手法も確立してまいりましたので、どんな中小企業でも多かれ少なかれ導かれる方式が完成しつつあります。あとはリサイクルに対するものですね。これも比較的簡単に数値として把握できます。あとは省エネ。この三つを基準として構築すれば、意外と身の回りのものでどうやったらいいのかが簡単に導かれると信じます。

 次は、中小企業ですか。これは、例えば、この法案に基づき中小企業が環境報告書を出しているところはいい人材が集まるようになるのが一番いいんですけれども、実際に企業を育てる職業として会計事務所を経営しておりますが、どんな大企業ももとは中小企業だったところをお忘れなくと。また、大企業も大企業病になって、だんだん組織を事業部制並びに細分化して、一つ一つを経営体として見ていくような形態をとり始めていること等をかんがみますと、果たして、もう学生の方は、自分で起業することを前提にした修士の学生なんかも結構いますので、御心配するほどではないんじゃないかなという感じもいたします。

 以上でございます。

伴野委員 大変御示唆に富むお話、ありがとうございました。持ち時間もやってきたようでございますので、これにて失礼させていただきたいと思いますが、きょう御指導いただいたことをしっかりと念頭に、私も、先ほど申し上げたように、エコファンドと早く言われるように頑張っていきたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

小沢委員長 次に、石田祝稔君。

石田(祝)委員 公明党の石田祝稔です。

 四人の参考人の先生、きょうは大変に貴重な御意見、ありがとうございました。私も、限られた時間の中で何点か御質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 まず最初にお伺いしたいのは、四人の方に順次お答えをいただきたいんですが、きょうはこの法案の参考人ということでおいでいただきましたが、「環境に配慮した事業活動の促進」、これには一番何が、ある意味では企業にとってインセンティブになるというんでしょうか、どういうことが、例えば国なり社会としてそういう事業活動の促進に有意義か。この点を、端的なお答えで結構ですので、順次お願いしたいと思います。

山本参考人 私は、その企業の主力製品なりサービスがまず環境配慮されることが一番重要ではないかと考えております。

佐野参考人 お答えいたします。

 私は、やはり市場で評価をきちっと受けることということが最も重要なインセンティブであるというふうに考えております。

 以上でございます。

筑紫参考人 私の方は、やはり金融ですので、金融的なインセンティブを企業が受けることだと思いますので、その意味でも、環境配慮をしている企業には投資がたくさん来るという意味で、ぜひ、公的な年金ですとか、それから国会議員の年金さんですが、そういったところが環境配慮した企業には投資をするということをおっしゃっていただくことだと思っております。

江間参考人 各組織によって環境対応はそれこそ個別、千差万別あると思われます。ですから、各組織において環境教育を十分に受けた経営者並びに人材が、それぞれの組織が環境対応と当社の成長とプランニングしながらいくにはどうしたらいいのかというのが、我々学会でも研究しているところでございます。ですから、環境対応というのは、あくまで知識の習得から自社の製品並びに組織への波及、これ以外にないと思っております。

石田(祝)委員 それぞれお答えいただきましたが、ちょっと角度を変えまして、それぞれの事業活動の中で、自社の製品の製造、また結果としての製品、また金融でありましたら金融商品、こういう形でのお答えをいただいたんですが、ちょっと角度を変えて、国に、こういう点が一番大事ではないか、国としてこういうことをやっていただくのが一番いいのではないか、こういうことがありましたら、順次お答えいただければありがたいんですが。

山本参考人 私は、東京大学工学部に属している立場から申し上げますと、製品とかサービスとか、これは建築とかあらゆるものを含めてですけれども、そういうものを設計、製造、生産するときに必ず環境配慮した設計をする、エコデザインをするということを国が法律で義務づけるということが一番大きなインセンティブになるというふうに考えております。欧米はそういう方向にもう進んでおります。

佐野参考人 お答えいたします。

 先ほども申し上げましたとおり、特に、私どもは家電製品のリサイクル工場を運営しておりまして、これにかかわる数多くの規制、これをできるだけ早く緩和していただきたい、これは環境経営促進を阻害しているというふうに感じ取っておりますので、よろしくお願いいたします。

筑紫参考人 私は、例えばグリーン購入法というのがありますけれども、これは政府機関等が率先して環境配慮型の商品を購入してくださるということなんですが、こちらにぜひ、金融商品というのも商品の一つとして考えて率先してやりますよということで、例えば国のお金を預かっている銀行さんにしても、どういう環境対応度をしていますかとか、どういう環境融資をしていますかということをチェックして預けますよということになれば、銀行はそれで競争いたしますし、それから保険ですとか、それから国のいろいろな運用をしているような機関にも、環境に配慮している企業、その中で競争力のある企業に投資をしますよということを言っていただければ、それで企業は競争いたしまして環境配慮も高まるということですし、それから、日本はアメリカ国債の最大の購入国でございますが、そのアメリカに対して、もっと環境配慮をして京都議定書にもサインをしてくださいというふうに言っていただくと、世界の環境対応度というのが劇的に変わってくると思います。国としてぜひこれをお願いしたいと思っております。

江間参考人 環境に対する国の施策等で一番望むものなんですが、一番環境化を阻害しているのは、やはりコスト、コストという、企業の一番、何かというと出てくる言葉の部分だと思うんですね。これは、先ほどもお話がありましたように、あくまで大量生産のときの認識ですから、大量生産するためにはコストを下げなきゃ、また大量生産はコスト削減、この循環から今環境型経営になっているというところをもう少し、つまり、環境対応していない、コストだけで見ているところの商品は買わないというような施策の誘導をぜひしていただき、これにはやはり、コストを管理する担当者レベルより上の経営者の方々がどういうふうに環境に対する考え方を持たざるを得ないか、ここの部分のポイントをついていただければと思っております。

石田(祝)委員 それぞれに貴重な御意見、ありがとうございました。

 それで、私は、前のお二人にも触れられたところもありますけれども、いわゆる環境と経済、今まではどちらかというとトレードオフの関係、環境に配慮すると、ある意味で言えば経済効率が悪くなってくる、こういうことも言われてまいりましたけれども、だんだんだんだんそういう意識は変わってきていると思いますけれども、これは、例えば日本の株式会社になりますと、毎年毎年決算をしなきゃいけない。そのときに、いわゆる国で定められている以上の環境に配慮するということで、結果として利益が減ってしまう。そうすると、その場合、株主の皆さんから、本来配当されるべきものが、その年度に限って、環境に通常の水準以上に力を入れるということによって利益が減った、こういう場合に、例えば株主総会で、どうしてそこまでやらなきゃいけないのか、決められた基準以上にやって利益が減ったではないか、こういうことで、いわゆる利害関係のある方からこれを追及されるようなおそれもないのかなと。これは本当の杞憂かもしれませんけれども。この点について、企業という点から佐野参考人に、そういう部分で心配されていることはないのか、この点についてちょっとお伺いしたいと思います。

佐野参考人 お答えいたします。

 これは、今まで参考人の方からも説明がありましたし、先生方からも御指摘があったとおり、企業によると思うんですね。

 私どものような企業は日本にもたくさんございますけれども、グローバルな経営をやっている以上は、規制がなくても、例えばヨーロッパの法規制による対応とか、あるいはNGOの皆様方を中心とした、いわゆるステークホルダーの監視が続いておりますし、最低限では、もうこういう時代では評価を受けない、最低限を超える、さらに高いハードルを目がけた環境活動というものが要請されてきているということでございまして、なかなか、コストだけを意識した経営では、こういう外部の方々の期待とか評価に沿えないという時代にも入っているというふうに考えております。

 一方、中小企業の方々は、やはり企業のサイズも違いますし、いろいろな条件が違いますので、先生がおっしゃったようなコスト圧迫による経営悪化というようなこともあるかもしれません。私はその辺、よく存じておりませんけれども、やはりそれぞれの企業によって対応、考え方が違ってしかるべきではないかというふうに現在は考えております。

 以上でございます。

石田(祝)委員 それでは、筑紫参考人にお伺いをしたいんですが、国としていろいろやれることは、環境に向けて、企業活動のインセンティブを、例えば金融の面、税制の面、特に国としては税制の面でいろいろできるだろうと思いますけれども。

 それで、今、国会でも年金の問題が取り上げられておりますけれども、これから、ある意味で言えば、年金資産の運用という観点、これでいろいろと今各種新聞等でも、資産の運用についてということで、いろいろと基金を運用する際の指針が決められているようでありますけれども、どうも私が見る範囲、そこに、環境に配慮した企業に資産の運用を任せる、そういうふうなところに運用受託をさせる、これがちょっと出ていないんじゃないかなというのが私の正直な実感なんですね。

 ですから、年金資金をお預かりして、長期的に、安定的に、やはり有利な方向で運用して年金受給者の方々におこたえしていかなきゃいけない、こういうことがあるわけですから、はっきり言って、損をしてでも環境に配慮するんだ、こういうことにはならないと思うんですけれども、いろいろ、残念ながら、どうもまだそこのところの観点が年金資金の運用で弱いんじゃないかという気が私はしているんですね。

 その点について、いろいろと実際調査をされている筑紫参考人に、各企業を含めて、私は今、年金資金の運用ということで申し上げたんですけれども、現状をちょっと簡単に、もうちょっとこう進んでほしいだとか、現状はこうだとかいうことがありましたら、お答えいただきたいと思います。

筑紫参考人 まだ日本では少のうございますが、少しずつ進んでおりまして、企業の年金基金が運用に際してそういったことを配慮するとか、それから、私どもの方でアドバイスをさせていただきました東京都教職員互助会というところがスタートいたしまして、ただ、これだけの年金の資金がありますのに、日本ではややおくれて、遅々としてというところがございますので、それはぜひ先生にも、国会議員の方の年金基金が環境配慮のところに投資をするということを、もうおっしゃっていただくだけで結構でございますので、まずは。といいますのは、アナウンスメント効果と金融では言っているんですけれども、こういうことをおっしゃったというだけで、企業さんが、環境配慮をしないと、もしかしたらあちらの年金がスタートするかもしれないということがございますので、ぜひお願いをしたいと。

 それから、他の国では、やはり税制上の特典ですとか、例えばオランダでは、環境配慮型のエコファンド、グリーンファンドというような預金ですとかそれからファンドとかございますが、それの所得税を〇%にするとか、それから最近では、この四月から、個人の方の所得税の一〇%を還付して、それをエコファンドのようなものに投資をしなさいというようなことが出ておりますので、ぜひその辺の税制上のインセンティブというのもお考えいただければと思っておりますが、何よりも国会議員の方の年金のエコファンドをぜひお願いいたします。

石田(祝)委員 最後になりますけれども、筑紫参考人は国会議員の年金資金ファンドとおっしゃいましたけれども、多分、国会議員の年金はファンドはないと思いますので、余り貯金をしている部分はないんじゃないかと思いますが、私はほかの、例えば公立学校共済、私学共済、また厚生年金基金連合会、こういうところの方が数十倍資産はあると思いますので、それについては、これからまた環境に配慮する、そういうふうな運用というのを考えていかなきゃいけない時代だ、このことはしっかりと踏まえて取り組んでいきたいと思っております。

 ありがとうございました。

小沢委員長 次に、土井たか子さん。

土井委員 きょうは、お忙しい中、参考人としておいでくださいました皆さんに、まず御礼を申し上げます。

 時間十五分ということでございますから、多岐にわたる問題点というわけにはまいりません。ただいま審議をしておりますこの法律案自身に対して、基礎的な問題に限ってお尋ねをいたしたいと存じます。

 まず、山本先生、きょうもお話の冒頭におっしゃいましたけれども、中央環境審議会総合政策部会の環境に配慮した事業活動の促進に関する小委員会委員長でいらっしゃるわけですから、ことしの二月にこの法案の作成の基礎となった意見具申をおまとめになられたというふうに私どもは承知をいたしております。

 今回提出されました法案を見ますと、環境報告書の作成、公表については、特定事業者のみに義務づけるということになっておりますですね。先生は、かねてからおっしゃっている基本に、一定規模以上の事業者に対しては環境報告書の公表を義務化すべきであるということの主張をされてきていると私は理解をいたしてまいりました。

 そこで、今回、環境報告書の公表の義務化について、改めて先生の現在の御見解というのを承りたいという気持ちでございます。いかがでございますか。

山本参考人 先生のお尋ねのとおり、私の個人的な意見は、一定規模以上の大企業につきましては環境報告書の公表を義務づける、これは欧米と同じような制度を早く導入しなければいけないという考えが私の個人的見解でございます。

 ただ、現時点におきまして、日本でそれをやるのがいいのかどうかということはまた別の問題でございまして、これは中央環境審議会の小委員会の中でたくさんの議論がございまして、これは、民間事業者等におきましては、自主性を最大限に尊重して鋭意作成、公表に努めていただく。特にこの三年間くらいは、また爆発的に拡大する時間として産業界も真剣にお考えになっているという事情もございまして、今回の法案は、私としては大変妥当なところではないか、かように考えているところでございます。

土井委員 さらに山本先生にお尋ねを進めたいと思いますが、それに先だって、今の問題というのはもうこれは基本的なことでございますから、この法案に対して理解をしていくという点からすると、避けて通れない出発点ではなかろうかという意味も含めまして、あと、お三方にそれぞれ、ただいまお考えになっていらっしゃる御見解をこの点について聞かせていただくなら幸いでございます。どうぞお願いします。

佐野参考人 お答えをいたします。

 環境報告書につきましては、既に御説明しましたとおり、各企業の創意工夫で発展途上にあるというふうに考えておりますし、最近の傾向としましては、社会的な側面を含んだ報告書づくりも入ってきておりまして、今後まだまだ発展段階にあるというふうに考えておりますので、私どものような事業者への義務化は時期が早過ぎるというふうに考えております。

 以上でございます。

筑紫参考人 私は、全く環境報告書が少なかったころから企業さんの動向を見ておりまして、日本の企業さんのカルチャーとして、まず、国とか特定事業ということでおやりになって、私は、これをまず隗より始めよという国の姿勢のあらわれだと思っておりますし、日本の企業さんというのは、義務化はされなくても、そのことを非常に評価して、御自分たちもというようなカルチャーが日本企業だと思っておりますので、この法案で、もちろん理想を言えばということはありますけれども、非常に促進されるのではないかと思って、この法案を大変評価してといいますか、感謝をしております。

江間参考人 義務化が一番好ましいとは思いますけれども、義務ということになると、必要最低限の義務しか果たさないというところにもつながりますので、特に経済活性化のためには、進んで公表していく姿勢、これが自分のためになるという部分もまた必要かなと。三年の間、この法律の施行状態をもし拝見できて、その次の段階ではぜひそんな義務の方にも行けばと思いますし、あくまで環境報告書というものが世の中で、皆さんが公表され、義務化されたということで、先ほど来ある、企業が利益というもののほかに環境効果で見られるんだ、ですから、利益が少なくなっても環境効果はこれだけ出しているんだ、こういう出発点として、私は、今の状態でとにかく進めていただければと思っております。

 ありがとうございます。

土井委員 ありがとうございました。

 それでは、引き続きまして山本先生にお願いをしたいと存じますが、法案の十一条を見ますと、大企業者に対して、努力義務ではあるものの、環境報告書の公表、そしてまたその他の事業活動に係る環境配慮等の状況の公表、これを行うように努める旨の規定がここにございます。

 仄聞するところでは、政府側は、この法案で言う大企業者というのはどれくらいの従業員の規模である業者を指して認識しているのかということに対しては、大体のところ、従業員数五百人以上の企業を想定しているということではないかということに現状では私自身が認識しているんですが、しかし一方で、この中小企業者の範囲ということを問題にしておりますのは、周知のとおり、中小企業基本法でございます。

 資本金、それからやはりそこでの従業員数というのは、一つは、その事業者について、どのようにその事業内容ということを認識していくかという中小企業基本法の定義ということを見てまいりますと、業種によって差がございますけれども、大体のところ、おおむね五十人から三百人以下の企業を中小企業というふうに認識しているというふうに考えて大きな間違いはなかろうと思うんですね。

 そこが、言ってみれば大企業とのボーダーラインというふうに考えられるというふうに理解をした上で、本法案にまた立ち戻ってみますと、特定事業者として今回環境報告書の公表が義務づけられている事業者は、政令で決められることになるわけですから、したがって、まだ判然といたしておりません。実際にどの程度の法人が特定事業者とされるのかというところが実はひっかかるわけでして、山本先生に職員数という、従業員数という観点に限って考えていった場合に、どの程度の規模以上の法人を特定事業者として認識することが妥当ということになるのかというあたりをお聞かせいただければと思うんです。

山本参考人 残念ながら、私、詳細な情報というか知識を持ち合わせておりませんでして、ただ、今回のこの法案が成立いたしますと、独立行政法人になりました大学等は当然これは義務づけられるということで、私は大学の人間として、法律できちんと義務づけられますと大学も環境管理が大変やりやすくなるんじゃないかというふうには考えております。

 それから、中小企業につきましては、中小企業は能力がないから環境報告書を作成、公表するのは大変だろうというのは、私は、それは一理あるわけでございますが、実は中小企業でも大変活発な環境マネジメントの取り組みをやっていらっしゃるところはたくさんございまして、例えば、有名なところでは清川メッキさんとかあるいは星野リゾートとか、さまざまな有名な環境先進的な中小企業が経営的にも大成功をおさめている。ですから、あながち中小企業だからといって活発な取り組みをされないところばかりではないというふうに私は承知しております。

 ですから、積極的にやられるところはどんどんビジネスチャンスと考えられて、環境マネジメントに取り組まれるところ、環境報告書を公表されるところはふえてくるのではないかというふうに期待しているわけでございます。

土井委員 ほかに、今回、この報告書をめぐりまして、例えば報告書の中の記載事項の内容についてどのように考えていったらいいかとか、それから、審査の問題というのは、実は大きなテーマにこれは必ずなってくると思います。この第三者の審査の関係というのをどのように考えたらいいかとかいう技術的な問題も含めて、問題点がほかにございますけれども、時間の関係からいうと、あとお二方に一問ずつお尋ねして終わるような時間であるようです。

 お一人は筑紫さん。きょうは本当にありがとうございます。楽しみにしていました。

 我が国で初めてのエコファンドを企画するということで、私ども女性の中でも非常に期待を持っている人たちというのは多いです。そして、これからということに対して、大変期待がさらに一段と強いというふうに思っておられる方はもっと多いと思うんですね。

 社会的責任投資、SRIという問題が、今回この法案の中に初めて努力義務を中身にして、規定として出てきたということでございますけれども、先ほど来のお話の中でもはっきりしておりますように、どうも、我が国におけるSRIの市場規模というのは欧米に比べますとまだまだ発展途上にあるというふうに考えなきゃならないと思うので、そこで、我が国のSRIの市場規模ということを考えていくと、これから努力次第という点もあると思うんですね。

 国の方としては、また政治家に対しては、どういうふうな施策を筑紫さんとしては希望されるか、また求められるか、その辺をちょっと聞かせていただきたいなと思います。

筑紫参考人 土井委員長、ありがとうございました。

 SRIの市場規模なんですけれども、これについての各国の考え方なんですけれども、不思議なことに、どうも金融市場の一〇%ぐらいがSRIになるんじゃないかということが、まずイギリス、アメリカ、それからヨーロッパというところで、まず、このエコファンド、SRIの担い手というのがどの国でも女性であったということ。それから、市場規模というのが、大体アメリカが一番成熟している。それから、数字として出ていて、アメリカの金融市場の一三・六%ぐらいということで、二・一七兆ドル、二百兆円以上でございますけれども。そうしますと、私の感じでは、日本が千五百兆円の個人金融資産があるわけですから、そのおおむね一〇%としても最終的には百五十兆まで行くマーケットではないかと期待しております。

 それに対して国としてお願いをしたいことは、今までの他の国でのSRIの歴史的発展を見ておりますと、女性や若者が始めて、それで公的な年金基金ですね。というのは、公的な年金基金というのはもちろん社会的な存在であるという意識が大変強うございまして、そういう意味では、年金の運用においては、収益とかいうことも大事だけれども、じゃ、収益を上げるためなら何をしてもいいのか、どんな企業にでも投資をするのかということではなく、その社会的存在としての環境問題ですとか、その他の社会的な問題に対する企業の対応ということをチェックして投資をするんだということで、公的な年金ですね。

 これは、どの国でも公的な年金は、全部ではないけれども、一〇%でも公的年金の運用でSRI型の運用をしてみようというようなことが、実はその国のSRIのマーケットが非常にインセンティブになってきたという経緯がございますので、日本でもぜひ公的年金のSRI運用ということを試してごらんになるといいますか、今までの運用と同じやり方で運用しながら、ほんの一〇%でもSRIということの運用というのをやってみて、それでだめであれば仕方がありませんけれども、これをやってみるということをぜひやっていただきたい。そのために国会議員の皆様にもその辺の御認識をしていただき、ぜひその辺をお考えになっていただければと思っております。

土井委員 ありがとうございました。

 最後に、それでは、もうこれはせっぱ詰まった時間になってしまいましたけれども、江間参考人にお願いします。

 税理士でもいらっしゃるし、それから、やはり環境会計の御専門家でいらっしゃるということを私たちは存じ上げておりますけれども、環境会計の普及ということを通じて環境に配慮した事業活動というのを促進させるという点から考えますと、これに対してのいろいろな体制整備が必要だろうと思うんですね。先生に、ぜひその点について、特にこの点は大事ですよとおっしゃってくださる点をお聞かせいただければというのが最後のこの私のお尋ねしたいことだったんです。

 一つとして、この方法はいかがですかということを聞かせていただきます。それは、財務諸表の中に環境配慮等の状況についての記載項目を加えまして、そしてその報告を事業者に義務づけるということの手法というのを考えたらいかがかという意見があるんですが、こういう意見に対しては、先生御自身、どういうふうにお考えになっていらっしゃるか、その辺をお聞かせいただきたいと思います。

江間参考人 環境会計を研究してきた者として一番の問題は、やはり企業会計原則の中に環境会計は存在していないということなんです。これは各省庁という、いろいろ制約もあるでしょうけれども、環境会計は財務省には存在していないというお答えを何回か私の方ではいろいろな研究会でいただかざるを得ない状況があります。

 ただ、企業の経営に重大な影響を及ぼす排出権取引等がきっかけとなりますとお金が動くという先ほどのお話を御承知だと思いますが、これにより注記せざるを得なくなる、これによってやっと環境会計は重要性を認められ、先ほどの財務諸表との注記、プラス環境効果がいかに財務諸表に与える影響があるか、コストが、影響が、関連性があるか、ここに行くわけですから、あくまでこの報告書をきっかけとして環境会計の見方、動向が世の中に広まること、これが第一の出発点だと思っております。これが大事なことだと思います。

 以上でございます。ありがとうございました。

土井委員 どうもありがとうございました。

小沢委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、参考人各位に一言御礼を申し上げます。

 参考人の皆様におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十二分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.