衆議院

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第2号 平成16年11月9日(火曜日)

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平成十六年十一月九日(火曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 小沢 鋭仁君

   理事 大野 松茂君 理事 桜井 郁三君

   理事 竹下  亘君 理事 西野あきら君

   理事 奥田  建君 理事 近藤 昭一君

   理事 肥田美代子君 理事 石田 祝稔君

      宇野  治君    大前 繁雄君

      加藤 勝信君    城内  実君

      小坂 憲次君    鈴木 淳司君

      砂田 圭佑君    根本  匠君

      能勢 和子君    鳩山 邦夫君

      松宮  勲君    荒井  聰君

      佐藤謙一郎君    田島 一成君

      長浜 博行君    松本  龍君

      村井 宗明君    吉田  泉君

      高木美智代君    東門美津子君

    …………………………………

   環境大臣         小池百合子君

   環境副大臣        高野 博師君

   環境大臣政務官      能勢 和子君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           皆川 芳嗣君

   政府参考人

   (林野庁次長)      黒木 幾雄君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   南川 秀樹君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            田村 義雄君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局環境保健部長)       滝澤秀次郎君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  小島 敏郎君

   政府参考人

   (環境省環境管理局長)  小林  光君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  小野寺 浩君

   環境委員会専門員     遠山 政久君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月九日

 辞任         補欠選任

  土井たか子君     東門美津子君

同日

 辞任         補欠選任

  東門美津子君     土井たか子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 環境保全の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

小沢委員長 これより会議を開きます。

 環境保全の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房審議官皆川芳嗣君、林野庁次長黒木幾雄君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長南川秀樹君、環境省総合環境政策局長田村義雄君、環境省総合環境政策局環境保健部長滝澤秀次郎君、環境省地球環境局長小島敏郎君、環境省環境管理局長小林光君及び環境省自然環境局長小野寺浩君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小沢委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西野あきら君。

西野委員 自由民主党の西野あきらでございます。冒頭ではありますけれども、去る十一月の五日に環境省が提案をいたしました環境税なるものについて、限られた時間でございますが、考えの一端を申し上げて、ただしていきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 その前に、WMO、世界気象機構というのがありますが、この発表によりますと、昨年は、非常に暑い夏でありましたから、過去一千年、一千年前から今日までで三番目に暑い年だというふうに言われたんです。ところが、ことしはその昨年よりも確かに暑いと思います。されば、過去一千年と言いましたら平安京時代になると思いますが、それ以来二番目にことしは暑い夏であった、こういうことが言えると思います。まして台風が我が国内に上陸を多くいたしましたし、おまけに地震までつけ加わりまして、いわば地球上が大変異常気象であった、このように言えると思います。

 この台風と温暖化がどういうかかわりがあるのかということは、気象庁の気象研究所だとか文科省の海洋研究開発機構というのがありますが、ここで言っておりますことは、間違いなく地球温暖化による影響がある、温暖化が進みますと、台風の発生よりも、むしろ発生した台風自身が大変パワーアップして非常に大きいものになる、こういうことが言われておるわけであります。それだけに被害等で大変心配をするわけであります。

 そういうことからいたしましても、これは我が国だけではなくて、今まさに地球規模で温暖化防止対策というものに取り組まなければならない、そういう状況にあることは御案内のとおりであります。

 そこで、されば我が国が温暖化防止のために何をなさなければならないかということでありますが、大きく分けまして、今申し上げたとおり、一つにはやはり最大の排出国でありますアメリカの対応、次には二番目に排出国であります中国等にどう対応するのかということ、一方では、我が国内に対する役割というもの、課題というもの、大きく大別して国内外二つに分かれるというふうに思うんですね。

 そこで、対外的なことですが、ロシアは、報道によりますと、去る十一月五日に京都議定書に調印といいますか批准をした。そして来年の早々、二月ごろにもこの議定書がいよいよ発効されるという状況になってきたことは大変結構なことだというふうに思います。一方で、アメリカは、先週でしたか、大統領選挙がありました。ブッシュさんが再選をされたわけですね。ブッシュさんのかねてからの方針は、この京都議定書には参画をしないということを明言しておるわけでございまして、これが再選をされたということになりますれば米国がこの枠組みの中に参画をしてくるということは到底望むことができないな、このように思っておりますれば、他の枠組みか何かで考える必要があると思うんです。どういう形がとれるのかという問題が一つあります。

 一つは、申し上げた中国ですけれども、中国は排出削減の義務がないんですね。であるけれども、あれだけの排出を予想されているわけでありますから、されば隣国である我が国は、例えば京都メカニズムを活用してしっかりと技術支援等を行って、文字どおりグローバルに、しかも地球規模で、温暖化防止という問題について我が国がその役割を果たすべきだ、私はこのように思っているんです。

 一方で、申し上げたとおり、国内によりますと、今日まで諸施策が講じてこられたわけでありますし、環境省が先頭、先陣を切って温暖化防止のためにいろいろな施策をとり、かつまた予算も投入して取り組んでおられるわけでありますが、さて、それが現実に実効あらしめる状況になってきておるのか。今後間違いのない行動をとっていただくこと、これが我が国に課せられた大きな責任であるというふうに思っておるわけでありますから、ゆめゆめ間違いのない行動というものをとっていただきたいというふうに思っております。

 そこで、国内での温暖化の対策予算でございますけれども、平成十六年、本年は一兆二千億強、かつてさかのぼりまして今日まで、締めておよそ五兆円強の温暖化対策に関連する予算、費用というものが投入をされております。ことしだけで一兆二千億強、今日まで五兆円強が投入されている。その結果、現実に形としてはどうなっておるのか。御案内のとおり、残念ながら目標に対して、マイナス六%の目標値の達成、それに近づくどころか、逆にこれは七・六%ふえてしまっておるんです。されば、マイナス六と七・六足しただけで一四%近いものが、これはギャップができてしまっているんです。これをどう埋めるのか、どう対応するのかということが大事なことだというふうに思っております。

 それらを考えて、何か新しい税というものを考えておられるように思いますが、新税を考える前に、膨大な予算を費やして今日まで来ておる、その費用をかけたものに対する効果、そういうものをしっかりと検証していくことがやはりまず何よりも先決ではないでしょうか。私は特にそれを言いたいんです。

 検証すべき例を、細かい話で恐縮なんでございますが、ちょっと調べてみましたので申し上げてみたいと思いますが、ことしの予算で一兆二千五百八十六億円ですね、そのうちで環境省が担当しておるものは一千五百四十七億円。さらにこの一千五百四十七億の中で、石油特会として排出抑制対策を講じておられるんです。その数値を申し上げますと、昨年からですが、平成十五年で六十億、ことしは百二十五億、来年十七年と再来年の十八年は二百七十億円になります。さらに、平成十九年になったら今度は四百二十億円になると言われておるんです。年々ふえていくんですよ。

 それでは、去年スタートしたこの十五年の六十億は一体どれぐらい執行したんですか、環境省のもの。恐らくこれは全額執行していないでしょう。十三億ほど余っているはずですよ。消化できていないんです。繰り越しているではないですか。まず、これを指摘しておきたいと思います。初年度もまともに消化できていない。

 そこで、さらに掘り下げて検証したいと思いますが、この石特会計の中で地域協議会対策促進事業というのがあります。これは環境省からもらいまして、一つは、地域協議会代エネ・省エネ診断事業、二番目、地域協議会代エネ・省エネ対策推進事業、三番目、民生用小型風力発電システム普及促進補助事業、四つ目、家庭用小型燃料電池導入補助事業、五番目、複層ガラス等省エネ資材導入補助事業、地域協議会対策促進事業の中でもこの五項目があるんですよ。

 ちょっとお尋ねします。二番目に言いました地域協議会代エネ・省エネ対策事業というのは、おおむね電圧調整装置だと思うんですね、電圧を調整する装置。一体これはどういうものなんですか、簡単に御説明をいただいて、それでは、平成十五年、ことし平成十六年、二カ年にわたってそれぞれ何件ぐらいこれを実施しているんですか、それをお示しください。

小島政府参考人 地域協議会の代エネ・省エネの推進事業、これは、今先生御指摘のように、電圧調整装置あるいは小型風力あるいは燃料電池というようなもののメニューになっております。そのうちの電圧調整装置でございますが、今家庭に供給されている電圧は、電気事業法で百一ボルトプラス・マイナスで六ボルトを超えない値で供給をされているということでございますが、実際にはどこでもほぼ百ボルトが維持できるように高目の電圧で供給をされております。

 環境省が大阪の府下五百世帯で電圧調整装置を設置して一体どのくらいの電圧が各家庭に供給をされているかということを調べましたが、それによりますと、約七〇%の世帯が百三ボルトを超える電圧が供給をされております。したがいまして、実際に使う場合には、少し高目の電圧が家庭にありますので、その電圧約三%をカットするということでそれだけの省エネ効果が出てくる。これは、世帯すべてに電圧調整装置、その三%カットをすれば年間百二十万トンの削減ができる、こういうものでございます。

 そういうものでございますので、これを地域協議会という自治体も入ったプロセスで普及させたいということで、昨年の下半期からそういう普及の活動をしております。まだ始まったばかりでございまして、平成十五年四月に協議会そのものはまだ二十九カ所、徐々にふえておりますが、十六年四月に五十四カ所というような状態でございます。

 電圧調整装置に限って申し上げますと、十五年度の半年間では一カ所の地域協議会、これは熊本でございます。十六年度では三カ所、これは山形県、神奈川県、熊本県ということでございますが、この三カ所での地域協議会で実施をしているということでございます。

西野委員 今局長が答えられたとおり、スタートの昨年は一件ですね。スタートだからしようがないと思うんですが、ことしはもう十一月ですよ、今三件でございますよ。三件で、何か年間百二十万トンの削減云々とおっしゃいましたですね、これはいけるんですか。ほとんどこれは使っていないじゃないですか。去年一件、ことし三件ですよ。

 これは理由があるんですよ、私なりに調べましたら。この電圧調整装置というのは、要するに、国、地方、それから設置者、三者がありますね、三者がそれぞれ三分の一ずつ負担をすることになっているんです。ということは、この商品が十五万円程度と思うんですね。そうしますと、個人といいますか設置者が三分の一の五万円を負担せにゃいかぬということになる、五万円を負担するんです。

 では、どれだけの削減が出るかといいますと、家によって違いますが、一つの家庭が月一万円、私のところはもっと多いですけれども、月一万円ぐらいの電気代だと仮にしますと、一万円の電気代、そうすると、この装置で五%削減されるんです、五%。そうすると、一万円の五%でございますから、五百円なんです、五百円。これが月でございますから、じゃ、一年間で六千円ですよ。五万円の負担をして削減されるのは六千円なんです。だから、五万円分を取り戻そうとしたら、これは単純にいうて十年ぐらいかかってしまうでしょう、十年かかるでしょう。こういう形で個人負担があるんですよ。

 ですから、これは、あんなことを言っていますけれども、ことし三件ですよ。もうあと何カ月あるんですか。これは実施できないじゃないですか。既に予算組みをしているささやかなこの電圧調整装置を見ても、予算消化が可能なんですかね、これは。私は疑いたいですね。そういう問題があります。

 それからもう一つ、ではお尋ねします。ちょっと通告がおくれたようでございますけれども、五番目に複層ガラス等省エネ資材導入補助事業というのがあります。これは一体どういうものなんですか。それと、ことし、十六年のこの補助実績の件数、あわせて答えてください。

小島政府参考人 複層ガラスの省エネ資材導入事業、これも協議会の事業のメニューの一つでございます。これにつきましては、まず結論的に、十六年度が事業開始一年目、ことしでございますけれども、実績はまだございません。

 ございませんが、この複層ガラスというのは非常にメーカーも力を入れておりまして、複層ガラスあるいは樹脂サッシを製造販売する団体が樹脂サッシ普及促進委員会というものでございますが、これが、生産工場のある地域、栃木、長野、奈良、兵庫ということでございますが、そこで地域協議会をメーカーも参加して立ち上げて、これを進めようということで、その動きが具体化をしております。

 ことしはまだそういうような動きが出てきたという段階でございますけれども、メーカーと自治体と地域がこういう取り組みを進めていけば、一つ一つの世帯に、時間はかかりますけれども、広がっていくものと思っております。民生対策につきましては時間がやはりかかると思いますけれども、これが普及していけば加速をしていくというふうに期待しているところでございます。

西野委員 今局長から引き続いて複層ガラスの実績を聞いたんですよ。今何件と答えました、ゼロですよね、一件もないんですよ。もう十一月ですよ、ゼロなんですよ。

 これは内容ですよ。環境省の皆さん、ただ質問で聞いているだけではなくてわかってほしいんですけれども、普通の、平均ですね、普通の窓ガラス、一枚幾らすると思いますか。二万円程度ですよ、おおむね二万円です、一枚。よろしいですか。複層ガラスは何ぼするんですか。約三倍かかっているんですよ、三倍。六万円かかるんですよ。

 そこへもって、今度は地方自治体と今メーカーとか何か、時間をかけてどうのこうのとおっしゃっていますけれども、地方自治体が差額の三分の一の負担をせにゃいかぬ。だから、全く人気ないんですよ、一遍地方自治体に聞いてごらんなさい。ゼロです、いつまでたってもゼロですよ。これは実現しないですよ、予算化していますけれども。

 ところが、一方、同じ役所がやっているのでも、NEDOというのがあるんです。同じようなものをやっているんですよ。これでいきますと、既に七百六十三件申し込みがあるんですよ。環境省じゃないですよ。よその省庁がやっているんですよ、七百六十三。そして、既に六百六十九件、もう決定しているんです。これだけ人気があるのに、何で環境省のやっている複層ガラスが人気ないんですか。それは自治体の負担があるからじゃないですか。NEDOは負担がないんですよ。同じ国がやってもこれだけの違いがあるんです。

 だから、こんなことを環境省が何年かかって時間をかけて、エンドレスにかけたって、こんなもの絶対だめですよ。そこは工夫をせにゃいかぬ、やり方にもっと工夫をせにゃいかぬ、私はそう思うんです。そういう工夫、検証が、見直しができていないんですよ、環境省は。それをやってもらわにゃいかぬ。

 まだ例があるんです。これは聞きませんけれども、家庭用小型燃料電池導入。皆さん、燃料電池はいいと思っているでしょう。燃料電池は高額、家庭に入る、そんなもの払えないじゃないですか。ことしなんか、もちろんこれはゼロですよ。まだゼロですよ。来年から発注すると言っているんですよ。ですから、できないものをもう少し工夫して人気が出るように、そういうやり方をしないと、環境省は何ぼやっていてもこの効果は上がらないですよ、お金を使っても。それを私は申し上げたいんです。

 このようなことからしますと、使っているのは石特会計ですよ、石特会計の中のいろいろ試算表が出ているんですね、試算、一覧表。この中で二番目の、今申し上げた地域協議会対策促進事業、年三百二十万トン。年間三百二十万トン削減するんですか。今、小型燃料電池も一つも使っていない、複層ガラスもまだ一件もない。どうしてこれは年間三百二十万トン削減できるんですか。こんな試算、いいかげんな試算じゃないですか。何の根拠に基づくんですか。この地域対策事業というのは、締めてわずか七億なんですよ、その七億円すら消化ができていない。ところが、冒頭申し上げましたとおり、来年、再来年以後、三年後、平成十九年はどないなるんですか。今の予算の百二十億強から四百何ぼになるんですよ。四百二十億、三・四倍になるんですよ。

 ですから、私の言いたいのは、現在の限られた百二十億足らずの予算も執行ができないで、来年これが、どんどん石特が上がっていくんです。三年で三・四倍も上がるんです。それを消化できますかね。にもかかわらず、それにプラスして、今度は新税、環境税なるものが必要なんですか、皆さん。まず今環境省がやらなきゃならぬことは、現行のCO2削減のための対策予算をきっちりと検証する必要があるんじゃないですか。効率、効果、限られた税金ですよ。この使い道を正すことが、まず私は先決だと思うんでございますが、小池大臣、いかがお思いになりますか。

小池国務大臣 明確な御議論をいただきまして、まことにありがとうございます。

 先ほど来出ておりますさまざまな省エネ、代エネの機器の導入ということ、私もいろいろとこれまでの検証を行いまして、これは地域との、例えば学校単位のコミュニティーで、そこをまず単位として、もっと取り入れやすくするためにはどうしたらいいだろうかというようなことを考えております。それは、今、三位一体で地域の方との補助率の問題などもまさにクローズアップされているわけでありまして、そこで使い勝手のいいものや、本当は欲しいけれども使い勝手が悪いとか、いろいろなことをやはり御指摘のように検証する必要はあろうかと思います。

 ですから、これからの目的が、温室効果ガスの削減というのは国家としてのお約束ということで、これはもう待ったなしの状況でありますので、そういった意味で、これからも公平性であるとか効率性であるとか確実性、それから納税者の面から見て透明性、こういったようなキーワードでもってこの地球温暖化対策そのものを進めてまいらなければなりません。

 また、先ほど機器の十五万円という具体的なお話もございました。何でも、何でもと言うとちょっと言葉があいまいかもしれませんけれども、太陽光発電などでも最初はむちゃくちゃ高かったわけで、こんなのはいつどれぐらい売れるんだというようなことがございましたけれども、やはり生活者の方々の御理解もあって、また政府としての後押しなどもこれまで重ねられて、そしてそれがスケールメリットを享受できるような段階にようやくなってきたということでございます。

 燃料電池についてもしかりでございまして、現時点でどうかということで言うならば、まさに開発中でございますけれども、そういったところを政府がしっかりと後押しすることによって、本来の技術が確立をし、さらには技術の改良がより進みということで、向かっている方向は正しい方向に行っているのであろうというふうに思っております。

 また、環境税そのものにつきましては、せんだって御報告というか発表させていただいたところでございますけれども、環境税のポイントは、基本的に、企業、それから国民、すべての主体に対して排出削減を促すということで、確実、そして効率的な手法だと考えておりますが、今御指摘のありましたような各点についてはしっかりと詰めて、また、これまでの点で何が使い勝手が悪いのかなどの検証も含めて進めてまいりたい、このように考えております。

西野委員 今大臣からお答えをいただいたとおり、やはり詰めていかにゃいかぬですよ。そしてやはり、検証するとおっしゃいましたから、まずこれをやらなきゃ、次の段階に行くということは、費用対効果でほかの問題でもやかましく言われているじゃないですか。この税金だけじゃないですよ。公共事業だって言われているんじゃないですか。ですから、今あるものを検証して、そして見直すものは見直すという作業をまずそこでスタートし、そして、その評価をした上で次の段階に入っていくという過程を踏まなかったら、何か飛び越えてしまったら私はいかぬというふうに思うんですけれどもね。

 そこで、具体の問題、環境税なるものの内容でちょっと聞いてみたいと思うんですけれども、まず価格効果というものですね、あるのかどうか。私は余りないと思うんですよ、これは。なぜかといいましたら、ことしの三月ごろから、ガソリンの例でとりましたら、原油が高騰してきましたね。そして、今日に至るまで何カ月ですか、半年強たって、ガソリンはリッター当たりでいいましてももう二十円近く上がっていますよ。私どもしょっちゅう使っていますからわかります。二十円近く上がっています。みんながそう思っているんです。では、二十円上がったからといって需要が減ったのかといえば、減っていない。これは逆にふえておるんでございますよ。

 ですから、ガソリンに、上流か下流か知りませんけれども、一円五十銭かけたから需要が減って、それに対する削減効果が出ると考えるんですか、まずそこをお答えください。

田村政府参考人 環境税の価格インセンティブ効果についてのお尋ねでございます。

 基本的に税で価格を割高にすると、結局、長期にわたって政策として取り入れる税による価格への影響でございますので、それはやはり市場とか投資家あるいは企業に一つのメッセージとして与えられるわけでございますので、大きなものがあると思います。

 今先生がおっしゃったエネルギーの市場価格の変動、市場価格はさまざまなことによって動くわけでございますが、それと同一次元で比較することは必ずしも適切ではないんだと思いますが、結局これは、一つはエネルギーの価格弾性値ということになるわけでございまして、エネルギーの価格変化が需要に与える影響、確かに短期で見ますとなかなかそうあらわれやすいものでないと思います。税によって価格が上がったからといって、すぐに車の走行距離を減らしたり、あるいは電気を消して回ったりすることはないと思います。

 短期ではあらわれにくいですが、例えば電気製品、設備の買いかえ時等あるいは低燃費車への買いかえ時等、そういう中長期にはやはりあらわれると考えておりまして、一つの試算でございますが、エネルギー価格が一%上昇した場合、エネルギーの需要量でございますが、一年というような短期では確かに〇・二ぐらいしかきかない、〇・二%程度ということでございますが、中期的にはやはり〇・五%程度減少するという試算もございます。また、環境税の導入によりまして、少しでも省エネ型のライフスタイルの必要性が広く認識されて消費者の行動に影響する、いわゆるアナウンスメントエフェクトというものも期待される、そのように考えております。

西野委員 今局長から言われて、短期はないけれども中長期的に考えたらこれは一定の、〇・五か何か知りませんが、効果があるということが試算をされると。一体この試算は何ですか。だれが言っているんですか、この試算。私は一遍教えてほしいですわ。そんな根拠ないですよ、これは。その人の説だと私は思うんですよね。だから、こういうことを、短期ではないけれども中期、長期ではあるという見方、試算、根拠不明確ですな。私は納得できませんね。要するに、効果があろうがなくても、とにかく税金さえ取ればいいんだというようなやり方は、これは昔の悪代官と同じやり方ですよ。こんなことが国民の了解なんかとれるわけないです。私は、まず冒頭それを申し上げたい。

 それから、もう一つお尋ねしますが、何か下流で電気料金に課税するとか言っていますね。ちょっとお尋ねしますけれども、電気というのは、例えば家庭、この部屋に配電されている電気は、私が聞くところでは、県とか地域によっては違いますよ、電力会社によっては違いますよ、大体火力が六割です、六〇%。原子力が大体三〇%、水力が一〇%です。これはおおむねですよ、ところによっては違いますけれども、そういうもので構成されているんです。

 ところが、この中には原子力も水力も四〇%ぐらい入っていると一般的には見られているんです。この原子力とか水力というのは、CO2を排出しているんですかね。こんな、何も関係ないものに税金をかけるんですか。これはどういう意味なんですか。あるいは、それとも電気は火力と原子力と水力で色分けして来ているんですか。おかしいじゃないですか。まとめて電気に下流で税金をかけるというのは、これはどういう意味ですか。教えてください。

田村政府参考人 電気につきましては、確かに先生おっしゃるように、火力、水力、原子力等によって発電が行われるわけでございます。そのウエートも大体先生のおっしゃったとおりでございますが、このうち、火力発電で化石燃料を燃焼させる場合に、当然CO2が発生するわけでございます。このため、火力発電によって発生するCO2の排出量を一般電気事業者の全体の発電量で除して、割り算をして、そしてCO2の排出係数を算出して、これを用いて電気の税率を出しているわけでございまして、電気につきましては、いわば発電用燃料の炭素分だけに着目して税率を設定しているわけでございますから、CO2を排出しない原子力発電あるいは水力発電等について課税している、そういう仕組みではございません。

西野委員 だから、これも今炭素分に着目をしてやるなんて言っているんですけれども、申し上げたとおり、要するに原子力とか水力というのは、これは関係ないんですよ。温暖化に関係ないんですよ。だから、本来の環境税の目的というのは一体何なんですか、これは。CO2削減のためにやるんでしょう。税の目的が明確じゃないじゃないですか。性格も何かあやふやじゃないですか。そんな、電気料金に課せる環境税なんて、国民に理解できますか、これは。私は全く理解できないと思いますね。

 それから、先ほどちょっと触れられました、アナウンスメント効果があるというふうにおっしゃいましたけれども、かけることによって国民の間に温暖化防止への意識が高揚してくるという考えのようでございますけれども、それではちょっと、私、これは非常にタイミングも悪いと思うんですよ。間もなく我が党では、党税調で所得税の軽減税率をやりますよ。それから、いずれ消費税の問題も大きく俎上に出てきますよ。環境税はいつからやるのか知りませんけれども、それも同じ時期じゃないんですか。所得税の軽減税率で増税感がある、消費税の問題が出てくる、プラス環境税ですか。私は、これはアナウンスメント効果、逆効果ですよ、悪い効果が出ると思いますが、いかがでございましょう。

田村政府参考人 先ほど大臣から御答弁ございましたように、基本的に、まず地球温暖化への対応、待ったなしの状況だと思います。また、本年は地球温暖化対策推進大綱の見直しの年に当たっていることも事実でございます。また、ロシアの対応によりまして、今京都議定書ももう来年二月には発効するというふうな状況が見出されているときでございます。そういう中にありまして、今の、先ほど先生もおっしゃいました現在のCO2排出状況を見れば、やはりきちっとした、しっかりとした仕組みを構築する必要がある、そういうしっかりした追加的対策を講じる必要があると思います。

 私どもの環境税の具体案は、再来年の一月からということになっております。確かに油種も多様でございますし、関係も多々及びますから再来年の一月ということになっておりますけれども、再来年の一月までにしっかりと私どものPRもして、そして、この環境税の具体案の中にはさまざまな、例えば産業界に対する配慮あるいは国民に対する配慮、低所得者、中小企業に対する配慮も含まれておりますから、そういうことをよくPRしながら、またよく関係省庁とも協議をし合いましてきちっとした税を構築する必要がある、そのように思っております。

西野委員 局長、余りあちこち配慮し過ぎなんです。大体、この税収の約三〇%といいますから、これは試算でいえば千五百億強ですね、これを何か雇用促進にも使うとか言っていますね。社会保障ですか。雇用促進なんというような美名を使って、これは何ですか、今、環境税じゃないんですか。社会保障のために環境税を使うんですか。これは目的は何ですか。おかしいですね。

 今環境省がやらなきゃならぬことは、そんな、環境省は厚生労働省でもないですよ、総務省でもないですよ、それを突然、雇用促進というような名目で、まず目的外使用ですよ、これは。環境省は真正面から地球温暖化防止という問題に全力を挙げるべきですよ。総務省だとか厚生労働省だとか、そんな五千億足らずのもので、そんなに気配りできますか。私はこれがおかしい。まず、その点についてお尋ねします。

能勢大臣政務官 西野先生の切々とした熱弁に対し、私ども十分こたえられるか不安でありますが、今回の環境税の作成に当たって、まず、待ったなしの議題になっておる地球温暖化問題の対策の効果を、過去幾らやってきても効果が目立たない、御指摘のとおり六%が、七・六がさらにまた〇・四ふえたという状況、これに対して何か打たなきゃいけないということも当然出てくるわけであります。

 先生の御指摘のとおり、もちろん地球温暖化問題への対策の効果を確保しつつ、そして雇用の促進等企業の活力も維持したい。それは大変、環境税導入によって企業が活力が衰えるのではないかという不安もあるわけでありますから、その維持向上を図ることとしまして、家庭と企業の実質的な経済的負担をできるだけ軽減するように考慮をしたところでございます。

 御案内のとおり、環境税を導入しております欧州諸国でも、多くの国におきまして、環境と雇用という二重の配当といいますか、得るために税収を使っているところであります。だから、その税収を他の国でも年金等社会保障の財源に充てているのも御存じのとおりでございます。これによりましてCO2の排出抑制ができますならば、経済と環境との両立ができるということをねらっているところでございます。こうした制度の利点につきましては、これまで中央環境審議会におきましてもるる審議されているところでございます。環境省といたしましては、これら欧州諸国の事例も参考にしながら、税収の一部を雇用の促進等企業の活力にも活用したいというふうに考えているところであります。

 その一例として社会保障はどうだろうかということでありますが、今後、これらにつきまして十分審議を経て、国民の御理解をいただく形に持っていきたいというふうに考えています。そのためにも、ぜひとも皆様方の絶大な御支援を賜りながら十分審議を重ねていって、正論を導き出したいというふうに考えておりますので、よろしくお願いいたします。

 以上でございます。

西野委員 能勢政務官にはこれ以上お尋ねをいたしませんけれども、余り気配りし過ぎです。今やらなきゃならぬことは、先ほど申し上げたとおりです。そして、我が国がやらにゃいかぬことは、大臣、私冒頭に申し上げましたけれども、やはりグローバルに、まずお隣の中国に対して、あれだけの排出があるんですから、義務がないから、我が国がそういう環境技術を積極的に展開すべきなんです。

 ところが、皮肉な話でございますが、私は大阪なんですが、この間、オリンピックの誘致の問題で北京と争うたわけですよ。IOCが現場を見に来て、大阪は渋滞で、これはインフラも悪い、北京は高速道路で一直線だ、ああ、これはいいと言って、北京に決まってしまったんですね。何と、そのインフラ整備の大宗は我が国のODAなんですよね。これは皮肉な話だと私は思っているんですけれども、だから中国に対しては、インフラ公共投資じゃなくてやはりこういう環境技術をどんどんと、環境税、新しい税金からではなくて、現在のODAで十分さらに対応していくべきだというふうに私は思います。

 そして、我が国内は、例えばガソリンなんかも何か新しいクリーンガソリンを今開発途上にあるというではありませんか。そういうことが進むことによって燃費が非常に制限をされてきて、いい効果が出る。そういう新しいエネルギー、クリーンエネルギーに対して、むしろ環境省が力を入れていく。

 そして、この環境税の議論を見ていますと、どうも急いでいるような気がしてしようがないんですね。今大事なことは、増税なき温暖化防止をやるべきなんですよ。税ありき論は、これはだめなんです。先ほど来申し上げたことを、検証を先行して慎重に取り組んで、温暖化防止を実効あるものにしていただきたいと思いますが、最後に大臣の所見をお願いします。

小池国務大臣 本日は、一貫して明確な御議論をいただいておりますことに感謝申し上げたいと思います。

 おっしゃるとおり、地球温暖化問題は地球規模であるということから、各国におけるさまざまな状況に対して、我が国の技術などを通じて地球全体でどのようにして温室効果ガスの削減を図っていくかということ、これはもう究極の目的になるわけでございます。

 アメリカの大統領選も終わりました。また、アメリカの説得ということもこれからも必要になってくると思います。そしてまた、アメリカでも、メタンの回収プロジェクトを一緒にやりましょうというようなことでも協力を進めていきたい。

 中国の問題は、もう御指摘のとおりであります。京都メカニズムの活用などということでも重要なポイントになってくるかと思います。そして、クリーン開発メカニズムの方、CDMを活用したプロジェクトの検討も進められているところでございますし、こうしたプロジェクトへ我が国の企業が参加するということも促していきたい。

 来月には、日中韓三カ国の、政務官として御承知のように、このトライアングルでどのようにして地域の協力を進めていくかという会合も東京で開かれることになっておりまして、気候変動問題という共通の問題に対して、お互いの認識をもっときっちりと持っていこうというように考えているところでございます。

 いずれにいたしましても、我が国の技術力というものを、これからこの環境税を生かしてさらに伸びていただくようにバックアップをする。それは中長期的に効果をもたらすということでございましょう。

 また現在、京都議定書の発効のこれからのタームを考えますと、二〇〇八年から一二年の第一約束、そしてその後の枠組みをどうするかという大きな問題もございます。ですから、まさに中長期的に今から取り組んでおかなければ、逆にその後の、御承知のようにペナルティーの問題もございます。そして、新しい枠組みづくりの際に、我が国が世界をリードしてそういう枠組みづくりに励むときに、みずからのことをやっていないでほかのリーダーシップが払えるかといったら、私はそうじゃないと思っております。

 ですから、まず我が国でできることをしっかりとやる、そして地域との連携で同じ方向に向かって進んでいく、それに対して我が国が協力する、こういう姿勢が一番必要になってくると思っております。そのためにも、環境税というのは私どもは大変必要であり、かつ効果のある方法だと思っておりますので、しっかり御理解いただけるように、御説明を重ねてまいりたいと思っております。

西野委員 きょうはこれで終わります。

小沢委員長 次に、佐藤謙一郎君。

佐藤(謙)委員 民主党の佐藤謙一郎でございます。

 今の、自民党とも思えぬ、胸のすくような西野議員の質問、最後の質問以外は本当に同感でございました。そうした京都議定書の発効を前にした脱温暖化社会の構築というところにつきましては、来年、通常国会で十分議論をさせていただくとして、きょうは私は、このたびの大臣のごあいさつに沿って、自分なりの考えを大臣に質問させていただきたいと思います。

 実は、最初の一ページに、「持続可能な社会を構築するためには、豊かさを維持しながらも環境への影響をできる限り抑える社会、」こう書いてあって、その「豊かさを維持しながら」という、ここに私は実はびっくりをしたわけであります。今必要なのは、豊かさの質的な転換というものが必要であるにもかかわらず、さらっとここに、無批判に今の豊かさをそのまま書き記していることに大きな疑念を感じました。

 その疑念のもとをちょっと申し上げたいと思うんですが、私がもしも環境大臣であったら、このごあいさつの冒頭は当然、水俣病の関西訴訟の最高裁判決を受けてのこの問題を取り上げただろうというふうに考えております。

 ここで私は、十月の十五日、関西訴訟、二十二年の大変長い御苦労の末に最高裁の上告審の判決が下された、そのときの私の日誌のようなものをちょっと読ませていただきます。

 原告勝訴を受けて、私は環境省への申し入れに立ち会った。合同庁舎二十二階の会議室は、川上敏行団長を初め、原告団、弁護団、取材陣で立錐の余地もない。喜びと達成感あふれる雰囲気を壊したのは、環境省官僚の最初の一言。謝罪よりも先に、大臣は次の公務のため最初の二十分間しかいられません。それに続いて、小池環境大臣も原稿を読み上げるだけだった。最後には心のこもった、私は謝罪と受けとめられるような、そういう生の声を聞かせていただいて実はほっとしたわけでありますけれども、居合わせた友人と私は顔を見合わせてしまった。二十二年間の怒りと悔しさが一気に爆発して、原告団は、あのときを思い起こしていただければ、遺影を示しながら明確な謝罪や認定基準の見直しを迫ったものの、環境大臣から新たな救済策をとるとの言質は得られなかった。

 これは、何も大臣だけを責めているわけではありません。私ども民主党も十分な議論もできておりませんし、だからこそ、水俣病に関するワーキングチームというのをつくったところでございますが、こうした関西訴訟の原告団、とにかくもう一度会って話をさせてくれ、そういう提案があったと聞いておりますけれども、今月の二十四日に予定されていると言われております、その彼らとの面会に大臣が御出席される、そういうお気持ちがあるかどうか、まずお聞かせください。

小池国務大臣 関西訴訟の判決が出ました当日は、私も原告団の皆様方と直接お目にかかって、そして胸からほとばしるような言葉を直接伺うということで、これまでの水俣病に関しての長い長い歴史を、私自身、改めて痛切に感じ取らせていただきました。

 ああいう場で大臣としてどのような立ち振る舞いをするのかというのは、そのときの人間を問われる場面でもあったか、このように思っております。私自身、十分にそれがきっちりと皆さんに伝わる形で言葉が伝わったかどうかわかりませんけれども、私は、やはりあの瞬間は非常に重いものだと、まさに真摯に受けとめさせていただいたところでございます。

 そして、当日御要望をちょうだいいたしました。実際に幾つかの御要請をいただいているわけでございます。次回の話し合いにつきましては、先方からの御要望も踏まえまして、今おっしゃいましたように、十一月二十四日でございますけれども、大阪の方に出向くということで、こちらの担当部長以下が直接にお会いをするということになっております。

 また、私自身は、直接私自身が参ることはできませんけれども、しかしながら、またその報告、そして実際にこれからの国としてなすべきこと、これらをきっちりとまずは部長の方に伝えた上で送り出したい、このように思っております。

佐藤(謙)委員 小池大臣の苦渋に満ちたそうした立場を私はわからないわけではないんですが、今ここで司法が判断をする、そして政治の責任が今まさに問われようとしているときだと思うんですね。私は、そうした逃げを打つことがさらにこの水俣病の問題を深刻化させていくことになるんだろうと思うんです。

 ここで次の質問をさせていただきたいんですけれども、この最高裁の判決というのは、環境省というものが被害者と加害企業との外にいる第三者ということではなくて、加害者としての共同不法行為の責任を負うということが断ぜられたわけでありますが、この最高裁判決と国の責任を改めてどう認識しているかということが第一点。

 それから、私は、なぜ大臣が直接大阪に出向いていただきたいかと申し上げるその根拠は、このごあいさつの中で、「環境省としては、平成七年の与党三党による政治解決に基づく取り組みなどの水俣病対策を今後とも一層着実に実施をしてまいります。」と書いてありますが、私は、ここで謙虚に司法の判断に、一度ゼロベースに戻って、平成七年の政治的な決着も含めて真摯に検証していくことが必要なのではないのかな、こう考えます。

 と申しますのも、平成七年の政治解決というのは、国や県の加害責任が存在しないということと、御承知のように、昭和五十二年の判断条件は妥当であるというものを前提にして一定の救済を実現したわけであります。それはその当時として一定の成果であったんだろう、私はこう評価するわけでありますけれども、今ここで改めて最高裁のそうした判断は、政治解決というのはあくまでも和解であります、責任が確定していない第三者的な立場から、公共福祉を増進するというあくまでも一般的な救済からの対策というのが前提でありますから、それが崩れた以上、私たちは政治家として、環境大臣としてと同時に政治家としての責任が問われているんじゃないか。これは野党である我々も逃れることのできない問題だというふうに考えております。

 これを官僚に任そうとするのは無理な話です。平成七年に政治的な決着をしたもの、例えて言えば議員立法でつくられた法律を官僚に改正させるなんということは、これはなかなか難しい話であって、そういうことであるならば、我々政治がそれに対する解決の糸口を必死で必死で見つけていくことが、私はこの水俣病の解決につながっていくんだろうと思います。御所見をお伺いします。

小池国務大臣 御質問にありましたように、被害者と加害企業の外にいる第三者ではもはやないという御指摘だと思います。

 今回の最高裁の判決をよく読みますと、国、そして熊本県には、水質二法などの規制権限を行使しなかったということで三十五年以降水俣病の被害の拡大を防止できなかったことについて、その賠償責任がチッソの四分の一を限度として連帯責任があるという、そういう内容であったわけでございます。

 私は、今いろいろお話を聞かせていただきました。そしてまた、政治家としてどうあるべきかということで、今、私自身ずっとこの水俣病の長い歴史で、例えば石牟礼さんの御本を読ませていただくとか、それから前回の政治解決の際に検証が行われておりますけれども、そのときに何が欠けていたのかといったことを今まさに勉強して、遅まきながらとしかられるかもしれませんけれども、改めてこの水俣病を、そういう今の時点に立ちどまって考える必要があろうかというふうに思っているわけでございます。

 ただ、今、現時点で申し上げられることは、やはり真摯な反省を国もしなければならない。そしてまた、我が国の検証の中にもいろいろあるんですけれども、各省庁のやりとりなどもございます。そういったところで、国策としての、さっきの豊かさの質問にもつながると思うんですけれども、物の豊かさをこれまで追い求めてきた、それが至上の豊かさだと勘違いをしていたところが、今はそうではないと、多くの皆様、国民の皆様もかなりそのあたりは変わってきているのではないかと思っております。

 ですから、ごめんなさい、話が長くなってしまいますけれども、いずれにいたしましても、与党三党の平成七年の政治決着ということも踏まえて、今国として何ができるのかということ、そしてまた長きにわたっての御労苦に耐えてこられた方々にできること、それをしっかりと考えてまいりたいと思います。

佐藤(謙)委員 今、質問の原稿の中に官僚が書いた答弁なら答えは要りませんと言おうとしていたのを、僕はとどまってよかったと思います。本当に、今、政治家として葛藤されている姿を私なりに感じ取ることができました。

 なればこそ、だから平成七年、我々は行政の無謬性ということを盛んに言いますけれども、ひょっとしたら政治も間違えることがあるんだろう、そうしたものをもう一度自分の体に入れて、そしてさらに前に進めていくというそうした作業。禅の言葉で大疑という言葉があります。絶対に自分は正しいと思う自分をもう一度疑ってみろという、今の政治にそれが必要なんじゃないかなと思っておりますときに、このごあいさつで一方的に「与党三党による政治解決に基づく取り組み」というところからスタートするのではなくて、もう一度、その先、その基に戻った対応をしていただきたいと私は考えております。

 そこで、私は豊かさということになぜこれをつなげていきたいかと申しますと、もう一つ環境問題の原点に足尾銅山の鉱毒事件があります。

 私は、つい最近、新潟大学の大熊孝先生が書かれた「利根川治水の変遷と水害」という本を読んで、実は慄然としたんです。これは、利根川が全く異なる二つの水系を結合して、常陸川から銚子になぜ利根川の水を流していったかということを克明に書いてあるんですけれども、実はその最大の理由が、足尾銅山の鉱毒が東京府、東京都を直撃することを恐れてその水を必死で東に流していく。そうした作業を、実はこういうふうに書いてあります。

 これは田中正造の口述筆記をもとにしたものですけれども、明治二十九年の大洪水によって「渡良瀬の毒水利根川を犯し、其運河を遮りて江戸川を横切り、氾濫して東京の府下なる時の農商務大臣榎本武揚の邸を浸す」、大臣はびっくりしてその実態を調査して、そして彼は即座にその流毒の激甚なるに驚いて農商務大臣をやめた、こう書いてあるんですね。

 その数年前、明治二十四年に、この足尾銅山の鉱毒加害に関して田中正造は非常な危機感を持って質問をしております。そのときに、そのときの農商務大臣の陸奥宗光が、渡良瀬川沿岸の耕地、つまり田畑に被害があるのは事実であるけれどもその原因は不明であり、目下専門家に調査させており、こう言っているんですね。その翌年の明治二十五年には、古河市兵衛という人が、被害農民と「永久苦情申上間敷」という一カ条を含む契約書を取り交わして、もうこれ以上文句を言いなさんな、そうした文書を取り交わしている。何か、東京府を守らなければいけない、あるいは江戸川の河口にあった当時の行徳の塩田を守らなければいけない、そうした経済的な動機で、我々が本当に目をそらせてはいけない鉱毒をほかに逃すことを必死でしてきた歴史、実は、そういうことの積み重ねが今日の豊かさではないのかと私は感じてならないのであります。

 そうしたことで、豊かさということについて御質問をさせていただきたいと思いますけれども、こうした鉱毒事件、実はその鉱毒事件の毒液が、例えばアサザ基金で有名な霞ケ浦だとか、それから大谷川の水を南摩ダムに取り込む思川開発だとか、それから一兆円の巨大なむだ遣いと言われている群馬県の八ツ場ダムですとか、さらには道路問題で大変苦しい思いを市民にかけている千葉の三番瀬の問題だとか、ついきのういただいた廃棄物・リサイクルの、不法投棄の現場、その巨大な不法投棄現場全国十八カ所のうち九カ所は千葉県に実は集積されているわけでありますけれども、そうした公害だとか環境の被害というものが広く覆われている。そういうものを座視して、豊かさだけを維持するということは到底成り立たない時代なんだろう、私はこう考えています。

 とりわけ、食料問題あるいは人口問題、いろいろな問題、エネルギーも含めて、今の日本はこの豊かさというものを質に転換して、質的には何とか守ろうとしつつも、どのようにしてこの豊かさを世界に分けていくかということを我々は環境の視点から考えていかなければいけないのに、なぜこのように平たい、無批判な、そうした豊かさというものをここで最初に挙げられたのか、その辺について御質問させてください。

小池国務大臣 先ほども若干お答えさせていただいたかと思いますけれども、とにかく経済最優先ということで、それはすなわち大量生産、大量消費、大量廃棄ということがむしろ是とされてきた、そのまま突っ走ってきた。水俣の悲劇というのはそういったことに、いろいろな意味で、環境省なるものの前身である環境庁ができたのも、そういった公害の歴史などを踏まえて出発をしたもの、このように感じております。

 その意味では、これまでの豊かさを環境という観点から見直すということは、この数年来、大分方向性は変わってきたのではないか、このように感じるところでございます。今、いろいろと御指摘がございましたけれども、真の豊かさということについて、国民全体で考えるような、そういう問いかけも環境省として今後もなしていきたい、このように思います。

 ただ、私は、環境と経済の統合というのはやはりそれでも重要な部分であり、片方にこれまで振れ過ぎていたというのを今一生懸命真ん中に戻そう、戻そうという努力、もしくはそれ以上に行ければ、ケース・バイ・ケースでございますけれども、進められるというのが環境省の役割であるということは思っております。

佐藤(謙)委員 環境と経済の統合、これは耳ざわりのいい言葉ですけれども、振れ過ぎたものを真ん中に戻そうというのは、私は統合という言葉ではないと思うんですね。もうちょっとニュートラルな、五分と五分の闘いの中で今まで闘ってきたことをやめようというのは、これは統合かもしれません。余りにも経済優先の、そういう社会の中で環境というものが今力を持とうとしている。その力を、しっかりと環境大臣が先頭に立って、統合という言葉を超えた何かを我々は見つけ出さなければいけない時代ではないかなと思うんです。

 水俣に戻って恐縮ですけれども、一九五九年、あの厚生省の水俣病食中毒部会が、水俣病の主因をなすものはある種の有機水銀化合物であるということを十一月の十二日に報告したその翌日に、閣議で、御承知のように、水俣病の原因が企業の公害であると断定するのは早計であると異例の発言を時の通産大臣の池田勇人さんがされたわけですね。その翌年の一九六〇年には池田勇人氏が総理大臣になって、何をやったかというと農業基本法と全国総合開発計画というものを一九六一年と一九六二年、相次いで打ち出した。

 御承知のように農業基本法は、まさに農業土木を日本じゅうにばらまく、そうしたことをやったし、農村の小農民を低廉な労働者として都市に送り込むことをしてきた。そして、全国総合開発計画は、御承知のように日本じゅうの緑を、環境を全く理不尽に踏みつぶしてきた歴史というのがあるわけでありますから、もしもそうしたものを全く頭に入れないで豊かさということを維持しようとする今の環境省があるとすれば、私は大変な間違いだというふうに考えざるを得ません。

 そこで、私はここで、宇井純沖縄大学の前教授がついこの間言われた言葉にいたく共感を覚えたので、お話をさせていただきます。

 今、沖縄は環境破壊のデパートと言われています。石垣空港の白保もあります。それから中城湾の泡瀬干潟も今壊されようとしている。さらには辺野古やあるいは西表島のリゾート開発という、そうした問題の中で、宇井純さんは、その開発によって、その開発は実は基地の補償による公共事業によってかき出された赤土がもちろんサンゴや自然を破壊するわけでありますけれども、その赤土で染め抜いたシャツを着てシンポジウムに来られて、私は、今沖縄で抱えている環境破壊の現場というものをずっと聞かされたわけであります。

 そのときに宇井さんは、その後に各省庁、環境省を初め、あるいは国土交通省それから防衛施設庁、いろいろな役所の若手の官僚を前に、昔の環境省、環境庁ですね、一九七一年に庁になった、あのときの高揚感というのが、二〇〇一年に環境省になって一体あったんだろうかと。それと同時に、環境庁ができない前からも必死で環境を守ろうとしていた人たちがいたじゃないか、海上保安庁の田尻宗昭さんの例を挙げて、法律が整備されていなくて、そして全く環境を守るという体制がなくても四日市の海を救った人たちがいたじゃないかと。

 実は今の環境省のOBにも、現実にこの環境省の役人の中にもいます。そういう人たちが、なぜか今、私が自然破壊を初めとしたいろいろな環境問題で各地を飛び回ると、みんな及び腰で、いや、これは意見を求められれば私は意見を申し上げるとか、それはもう自治事務になったからとか、そうした根拠になる法律がないということで、みんな逃げようとしているんです。

 そのケースを三点だけ申し上げます。

 一点は、さっき言った沖縄の辺野古、泡瀬干潟、石垣島白保、西表島。これはまさに経済と環境の統合どころじゃありません。しゅんせつした泥をあのすばらしい砂州干潟、泡瀬干潟のその上にかぶせようとすることが本当に経済と環境の統合と言えるんでしょうか。

 そして、あと二点だけ申し上げます。

 秋田県男鹿半島の芦の倉沢の治山ダム、これは、実はきょうその治山ダムの工事が林野庁によって始められました。男鹿半島において自然の景観、生物多様性に最も富んだ国有林、私も行ってきました。国定公園第一種特別地域、そして国有林ケヤキ遺伝子保存林に指定されている、これだけすばらしい生態系、しかもつい最近、地元の自然保護、市民の方々が新種のアザミを発見しました。三十三種の環境省や秋田県のレッドデータブックの登録種が分布していて、新種のアザミも同定されている、そうしたところに東北森林管理局が治山ダムをつくる。

 三年前に観光道路にその沢から土砂が流出した。土砂が流出されたのでありますから、道路の排水をしっかりとすれば何でもない。それを四つの治山ダムをつくろうとしていて、地元で工事中止を訴える自然保護グループだとか生態系や植物学者の声を無視して、きょうから工事が始まります。環境省のカの字もそこには見当たらない。それどころか、環境省のOBがそうした工事をバックアップするかのように地元の自然保護団体からとられる、そういう不幸があるわけでありますけれども、これに対して、この治山工事を許すんだろうか。これはもう氷山の一角です。

 もう一つだけ。愛知県の瀬戸市、ここは環境を掲げる愛知万博が開かれるところです。私はここは何度も行ってきましたけれども、小牧会場と瀬戸会場、環境万博と言われているけれども、これはとんでもないうそです。なぜならば、経済産業省の担当者が、実は、積極的に会場を誘致した瀬戸市のメンツを立てて二会場にしたんだということを公然と言い放っているんですよ。

 瀬戸の会場は、たった三つのパビリオン。それは何も、一つの会場にすることはできたはずです。だけれども、瀬戸市があれだけ誘致に熱心であった。そして、海上の森が守られて、やむなくこうした会場の設定になったときに、瀬戸市の顔を立てるために、保安林がどんどんどんどん今壊されているんです。私が行ったところは、その二会場を結ぶためのゴンドラ工事が進められています。そのために、壊さなくてもいい保安林が壊されて、モンゴリナラだとかそのほかカザグルマの群生地がどんどんどんどん破壊されていって、百軒足らずの町内会は、毎日一万二千人のお客さんがゴンドラから日常生活をのぞき込むなんということを平気でやらせるような、そういう計画が行われています。

 それからもう一つ。五十を超える産廃処分地のある瀬戸市、ここでは、ガラスの原料の珪砂採掘のために保安林指定が解除された、これは林野庁の話ですけれども。そして、採掘後の穴に産廃の処分場ができるのではないかといって、市民がおびえています。

 これは、茨城県のふじみ湖、あの笠間のふじみ湖が見事に採石場の穴に、県がニューフロンティア計画といって、そこに産廃の処分場をつくった。もう日本全国採石だとか鉱業権で穴をあけて、そしてそこに処分場をつくるという、そうしたことがあちこちに見られるときに、我々は大都市近郊の本当の環境をどうやって守ったらいいのか。それをもう必至で環境省に頼み込んでいるけれども、環境省のカの字が見えてこない。

 どうかここで、法的には多少の勇み足があったとしても、自分が責任をとるからと言って環境省の役人を鼓舞する、そうした一言をここで聞かせていただきたいと思います。

小池国務大臣 各地域における環境問題について、今、時間の関係もございますでしょうから、一つ一つお答えは控えさせていただきたいと思います。

 今も、県道、芦の倉沢ダムなどの話もございました。沖縄の問題もございます。それから、瀬戸会場の問題もございます。今、法を乗り越えてというお話もございました。

 ある意味で私は、環境に対しての調査などをする際に、ちょっと地方分権をやり過ぎちゃった部分があるのかなと実際思うところはございます。ですから、今、三位一体でお金の話ばかりしているんですけれども、私は、むしろそういう環境の観点から国と地方の役割の分担というのをもう少し見直した方がいいんじゃないかなと大臣としては思っているところでございます。

 それでお答えにかえさせていただきたいと思います。

佐藤(謙)委員 時間が来て、この後同僚議員の質問があるわけでありますけれども、ちょっと余りにも簡単な答弁といいますか、私が力んで質問した分、質問をした力みがこっけいにさえ思えるような、そういうことでありますが、私が一言言いたいのは、とにかく環境省の役所には本当にすばらしい人たちがたくさんいる、法律を乗り越えろということは語弊があるかもしれませんけれども、やはり市民と手を組んで知恵を出していく、そうすれば、おのずと市民の側からも知恵が出てくるし、環境省の役所の人たちにも勇気が出てくると思うんです。実はそれがあって初めて環境と経済の統合が成り立つわけで、それを全く我々が見かけない中で経済と環境の統合と言っても、取り込まれるだけではないかなということを最後に申し上げて、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

小沢委員長 次に、吉田泉君。

吉田(泉)委員 民主党の吉田泉でございます。

 私は、この秋の臨時国会から環境委員会に所属させていただきました。どうかよろしくお願いいたします。

 私は、もう八年前になりますが、地元の市会議員として政治の世界に入ったんですが、そのときの大きなきっかけが、最終処分場の建設、それに伴う水源汚染の心配、そういうことがきっかけになりまして政治の世界に入った人間でございます。

 そこで、先日の小池大臣の所信表明の中の二本柱の一つ、循環型社会の構築、これについてきょうはお伺いしたいと思います。

 つまり、廃棄物リサイクルの政策ということでありますけれども、今から三年前、政府は、廃棄物減量化の目標量というのを決定いたしました。これは、十年余りで廃棄物の最終処分量を半減しようと、非常に意欲的な目標になっていると思います。

 数年たちました。そこで、その目標をつくったときの基準年、これは平成九年でありますけれども、それと最新の実績値、これは平成十三年度の数字ですが、その数字を両方にらみながら、現状とそれから今後の課題ということについてまずお伺いしたいと思います。

 質問の前に、私、今回ちょっと驚いたのは、今は平成十六年度でありますけれども、廃棄物リサイクル関係の最新のデータというのが、平成十三年度の数字なんですね。三年前の数字であります。去年の数字は難しいんでしょうが、おととしの数字もまだ集計されていない。これは、市町村、県から上がってきた数字を全体でまとめるんだという事情はあるようでございますけれども、ちょっとやはり余りに古いデータである、大いにこれは改善の余地があるのじゃないかということを指摘させていただきたいと思います。

 それで、質問ですが、まず一番目に一般廃棄物の問題です。

 この数年間に五つほどリサイクル法というのが施行されました。そして、リサイクル率が増加しました。この四年間でリサイクル率は四%増加であります。その一方で、最終処分率、つまり、埋め立てする率が今度は四%減りました。非常に改善が動き出したということだと思います。しかしながら、一般廃棄物の総排出量、それ自体は減っておりません。基準年が五千百二十万トン、最新データが五千二百十万トン、ふえているということでございます。

 そこで、まずこれらの数字をどう評価されるか。それから、目標は六年後に総排出量を四千九百万トンまで減らすということになっておりますが、そこにどう向かっていくか。さらには、大臣の所信表明には、ごみゼロ社会の実現を目指すという言葉がありました。ごみゼロ社会とは一体具体的に何を考えておられるのか。そこも含めてお伺いいたします。

小池国務大臣 ごみの問題は、我が国の本当に大きな環境問題の一つであるという認識に立っての御質問、ありがとうございます。

 ごみの総排出量でございますけれども、昭和六十年ごろから増加いたしております。平成に入ってからは横ばいないし微増傾向というのが全体の基調でございます。その背景は何かと考えますと、ごみの排出量が、国民、生活者の皆様方のライフスタイル、それから社会経済システムと密接に関連をしているわけでございますけれども、それらの変革がまだ十分に進んでいないということもあろうかと思います。

 先ほどの御指摘もありました、廃棄物処理法に基づきます基本方針に定められた排出量の五%削減ということでございますけれども、このままいきますと、それにはまだまだ届かないということで、これは中央環境審議会の方で、一般廃棄物でございますから市町村単位になるわけで、市町村が進めるべき処理のあり方ということで御審議をいただいているところでございます。

 それから、ごみゼロ社会とは何かというのは、読んで字のごとしではございますけれども、これがまさに循環型社会の構築というと漢字だらけでなかなか伝わりにくいということで、ごみを減らしましょう、ごみをゼロにしましょう、それでまた一たん使われたものも再使用する、それからまたリサイクルをするということで、捨てればごみ、分ければ資源ということはよくありますけれども、そういう中でぐるぐると回していくことによって、文字どおり循環型の社会を構築していこう、そういう思いでございます。

 具体的には、ごみの有料化を初めとする、まず発生を抑制するという意味でのリデュース、それから、これからの見直しに入りますところの容器包装リサイクル法、この推進の施策の充実にも努めていく、こういうことを一つずつ重ねてまいりたい、このように考えております。

吉田(泉)委員 ごみゼロという言葉ですが、実態としては、一般廃棄物、産業廃棄物、合わせて四億五千万トンですか、ごみが出ているわけであります。これをゼロにするということは、大臣がおっしゃったいろいろな方法がございますけれども、よっぽどの覚悟で踏み込まざるを得ないと。先ほどの答弁でも、大量生産、大量消費、大量廃棄という社会の仕組みを、これはよっぽど抜本的に直す決意をしないと、ごみゼロというわけにはいかないということだと思います。

 それから二番目ですが、今度は産業廃棄物の数字であります。

 これも、この四年ほどでリサイクル率が五%ばかりふえました。そして同じように、今度は埋め立て量が、最終処分率が五%減ることができました。そして一般廃棄物と違って、産業廃棄物の方は、排出量も基準年四億一千万トンだったものが、平成十三年は四億トンということで若干減少という数字になっております。引き続きまして、これらの産業廃棄物の数字をどう評価しておられるか。

 そして、実は目標は、基準年よりも一二%増、そこに抑えるということが目標になっておるんですが、実態としては少しずつ減りつつあるという実態を踏まえて、この目標がちょっと甘いんじゃないかというふうに思うところでございますけれども、その見直しについてもお伺いしたいと思います。

小池国務大臣 数字についてはもう既に御承知のとおりでございます。

 廃棄物、平成九年度で四億一千万トンが、平成二十二年度が四億五千万トンで、一二%の増加に抑えるとしておりますが、先ほど御紹介いただきましたように、平成十三年度の数字で見ますと四億トンで、むしろ排出量を下回っているということでございます。

 産業廃棄物につきましては、各企業が大変積極的に取り組んでいただいているということでございますし、また、そもそも製品などを製造する際に、その後どうなるかというような、そういう製造過程などにも大変工夫を凝らしておられるということと、加えて、さまざまなリサイクル法が効果をもう出してきているんだろう、このように思うわけでございます。

 目標値、甘いじゃないかということでございますけれども、廃棄物に関する基本方針に基づいて、平成十七年度以降、これが中間目標年度になるわけでございますけれども、達成状況それから社会経済情勢の変化などを踏まえまして、必要な見直しを行っていきたいと思っております。

吉田(泉)委員 平成十七年度に目標見直しという予定だということでございます。

 いずれにしましても、ごみゼロ社会を目指すというからには、総排出量、まず、ふえてもいいんだという目標を修正していくところから一歩になるだろうというふうに思います。

 三つ目の質問は、最終処分場の問題であります。

 ここ十年以上にわたって、全国各地でごみの処分場の建設に係る紛争が減っておりません。私は、今の法律、廃棄物処理法に処分場の建設に係る立地規制が入っていないからだというふうに思っております。法律では、地元の首長さんの意見を聞くとか、それから住民の同意をとるとか、これは各地の条例でそういうことが決められているところもございますけれども、法的な拘束力は非常に弱いんですね。

 それで、例えば私の地元の話をしますと、うちの市は広大な市なんですが、真ん中に森がありまして、これを二十一世紀の森公園としてこれからも維持しようという行政の計画があります。ところが、ここに産廃の最終処分場が計画されました。今地元で非常に激しい議論が起こって、環境アセスメントの手続が入っているところでございます。こういう問題があります。これから公園として維持しようというところに処分場をつくっちゃっていいのかという問題であります。

 私は、処分場というのは、どこにつくってもいいというわけにはいかないというふうに思っております。例えば、土地利用計画などで、処分場に適当な場所、不適当な場所というようなことを示していく、そういうことを含めて、何か制度上の工夫、法律上の工夫が必要ではないかと思っているんですが、いかがでしょうか。

南川政府参考人 お答えいたします。

 廃棄物処理法、先生御指摘のとおり、最終処分場をつくろうとする場合には、まず厳格な環境アセスメントを行っていただくということになっております。大気はもとより、その水質、特に地下水関係を含めて、厳密な影響評価を行っていただきますし、また、地崩れが起きないかとか、そういったことも調査を行っていただくわけでございます。

 そして、知事は、こういった審査を行う際には、関係市町村あるいは関係住民からの意見、さらに専門家からの意見も聞くということで、十分に環境保全上の担保ができるかどうかということを見ていただくわけでございます。

 実際問題、これによりまして、それまでは、昭和八年、九年ごろまでは毎年百五十件程度ございました産業廃棄物埋立処分場が、最近では年に二十件あるいは三十件ということで、極めて厳正に審査が行われているというふうに考えているところでございます。

吉田(泉)委員 私は立地規制の必要性を聞いたつもりなんですが、基本的に、今行われている環境調査をきちんとすれば、それが担保になるんだという御答弁だったと思います。

 そこが私は実は問題だと思っているんですが、やはりその調査を通れば処分場は一〇〇%未来半永久的に安全なんだという今の行政サイドの考え方、ここに非常に国民は不信感を持っているわけであります。一〇〇%安全ではないんだという前提でこれから対処していく必要があるというふうに思っているんです。

 質問としては四番目になりますが、中間処分場の質問をいたします。

 ダイオキシンの問題が出まして、それを踏まえて、中間処分場の焼却炉を大型化しようということで施策が進められてまいりました。全国的に、炉の大型化というのは大体一通り行き渡ったようでありますけれども、結果的に建設の費用が大変高くなってきました。

 そこで、国全体の焼却炉の建設費の推移ないし一炉当たりの推移をお伺いします。そして今後、炉の建てかえ費用、新設費用、一体どういうふうにお金が動いていくのか。非常に厳しい自治体財政でありますけれども、一体、今のこの大型化という方向で、自治体の財政は耐えられるのかという問題でございます。

南川政府参考人 まず焼却施設でございます。

 御指摘のとおり、ダイオキシンの規制が平成十四年十二月から強化されたということで、それ以前の、例えば平成十二年度、このころは焼却炉の設置のピークでございました。継続分、新規分入れますと全国で百件以上の工事が行われまして、補助金額で約八百五十億でございますので、その四倍程度の事業も行われたと思います。現在は相当落ちつきまして、件数、金額とも半分以下というのが現状でございます。

 それから、コスト関係でございます。

 コストは、技術開発もございまして徐々に下がっております。例えば、人口二十万から三十万の都市でございますと、炉でいいますと三百トン以上の炉が多いわけですけれども、平成十年度には一つの炉に百三億円かかっておりましたけれども、それが平成十五年度では約六十九億円ということで、徐々に単価が下がってきております。それから、ごみ一トン当たりの単価も相当程度、二割から三割下がってきておるということで、技術開発とあわせてコスト縮減も進んでいると思います。

 私どもとしては、ぜひ循環型社会の構築に役立つような技術開発を急ぎますと同時に、コストの低廉化ということにも十分配慮した開発が行われるように、関係業界とも連絡をとりながら、また、自治体が何とか対応できるような財政支援ということも考えていきたいと考えております。

吉田(泉)委員 ちょっと確認ですけれども、三百トンの炉が今六十九億円でできるということでよろしいですか。

南川政府参考人 平成十年度が百三億円、現在は六十九億円ということでございます。

吉田(泉)委員 大分値段も下がってきたようではございますけれども、いずれにしても、焼却炉というのは、いろいろなごみが一遍に燃されるわけで、非常に複雑な化学反応が起こるというふうに言われております。後ほど触れますけれども、一体、この焼却という考え方を、今までのように安全面、コスト面を踏まえて、このまま進めていっていいのかどうかという問題を今後勉強していきたいと思います。

 五番目に、今度は遮水シートについて伺います。

 紛争が各地で起こっておりまして、今、五十八件、裁判が訴訟中だそうでございますけれども、一般の地域の住民の方が今の最終処分場に一番不信感を持つのは、この遮水シートの問題であります。

 私の近くの町の処分場、今操業中ですけれども、この処分場の周りの沢の水から、その沢の底質、下の泥ですけれども、ここを市民団体が調査したところ、ダイオキシンがやはり検出されていると。処分場というのは完全に守られているはずなんですけれども、その沢から出ているということは、これは遮水シートに穴があいたんじゃないか、まだ操業して間もない処分場だ、そういう疑惑が、疑問が出ていたりいたします。

 そこでお尋ねは、今の遮水シートを使った処分場の仕組みというのは、廃棄物処理法、それに基づく省令等で規定されているわけでありますけれども、政府としては、この遮水シート、数ミリの遮水シートを何層かに重ねるということで廃棄物をよその環境から隔離する、遮断するという効果が、永久的にその効果があると思っておられるのかどうか、お伺いします。

南川政府参考人 お答えいたします。

 まず前段、先生御指摘ございました、漏れている場合があるじゃないかということでございます。これは、遮水シートそのもの自身はかなりしっかりしたものでございますけれども、継ぎ目の問題とか、そういったこともあるように思います。

 いずれにしましても、埋立処分場は、埋め立てを行っている期間プラス、その後放置しても大丈夫という廃止までの期間全体を使用期間と見ておりますので、トータルとして問題がないような形の制度でなければいけないと思っております。

 それで、お尋ねの遮水シートでございますけれども、現在は、粘土層に加えてゴム製の遮水シートを敷く、あるいは遮水シートを二重に敷いていただく、そういった構造を義務づけておりまして、これによって排水問題ということに主に対応しておるところでございます。

 埋立期間、おおむね十年とか十五年でございますけれども、その後、十年程度は排水の管理をする必要があると思っております。これが終わりますと廃止ということになるわけでございますが、その時点では排水処理などを一切しなくてもいい、ほうっておいても大丈夫だという状態になるまでは使用期間ということで、その廃棄物処分場をつくった者に管理を義務づけておるところでございます。

 したがいまして、その後は何もしなくても大丈夫ということであるわけでございますけれども、いろいろな方から、その後のいわゆる土に返った処分場というものは、ほうっておいていいのかという御指摘をいただきました。したがいまして、先国会で法律を改正させていただきまして、提案をいたしまして、跡地につきましてはノミネートをして、それが無用のくい打ちをしたりとか、あるいはほじくり返したりするということで、安定したものをまた問題を起こすようなことがあってはいけないという措置もさせていただいたところでございます。これについては来年の四月一日施行ということで準備いたしております。

 したがいまして、遮水シートプラスそういった跡地の規制ということで対応していきたいと考えておるところでございます。

吉田(泉)委員 埋め立てが終わって、ある程度の期間が過ぎると、一応、廃止という言葉でしたけれども、そういう手続になって、それ以降は事業者、処分場の管理をしていたサイドの責任がなくなるというのが日本の現況だと思います。ここが私は、やはりちょっと国民の納得いかないところだと思うんですよね。ヨーロッパ等では、処分場については永久に管理するという仕組みがつくられている国もあるようでございますけれども、やはり、十年埋め立てして、その後何年かで廃止して、後は大丈夫だ、土に返るんだというのではいかがなものかなというふうに思っているところでございます。

 時間の関係で、これからの方向性について二点ほどお伺いしたいと思います。

 まず一つは、拡大生産者責任という話であります。

 目標値に向かって、ごみの総排出量をどんどん下げていこう、ごみゼロを目指すんだ、限りなくゼロを目指すんだというからには、やはり経済的な動機をもっと強めるということが必要であるというのは当然であります。そのためには、廃棄物を処理する費用を生産者に負担させる、そして、しかもそれを、物を販売する時点で価格に織り込ませるという方法が極めて有効である。これは政府の年次報告書にも書いてあることでございます。そういう仕組みが確立されれば、処理のときにお金がかからないわけですから、不法投棄の防止にもなるということであります。

 そして、来年一月から新しく施行される自動車のリサイクル法においては、カーエアコンそれからエアバッグがこの拡大生産者責任というものを実現した格好に、そういう扱いになったというふうに思います。

 その一方で、今施行されている容器包装については、今、容器包装のごみを集めて分別して保管しておくという費用を、これは行政が税金で負担しているわけであります。したがって、生産者ないし消費者にとって、ごみを何とか減らそう、減らさないと損をしてしまうという動機が余り強く働いておりません。また、自治体としてみれば、一生懸命収集、分別をやればやるほど自分の財政負担がふえてくるという矛盾もございます。

 そこで、今後は、間もなく容器包装リサイクル法の見直しという手続に入りますけれども、この容器包装の収集、分別、保管の費用、これを、生産者が、そして結果的には価格転嫁をされた消費者が負担していく、そういう仕組みに変えていくべきだ、それが今後の方向性だと思いますが、いかがでしょうか。

小池国務大臣 容器包装リサイクル法、現在施行されているわけでございますけれども、確かに、今御指摘ありましたように、一生懸命リサイクルに励んだ市がかえって財政負担がふえてしまうというような、そういった現実があるということも重々承知をいたしております。その意味で、拡大生産者責任の考え方のもとで、事業者に応分の負担を求めるべきだという議論もあるわけでございます。

 先ほども、平成十七年度、何か遠い将来のことのように聞こえるかもしれませんけれども、来年です。平成十七年度におきまして、容器包装リサイクル法も、評価、検討をいたすところになっておりまして、それに先駆けまして、ことしの七月の段階から、既に中央環境審議会の方の廃棄物・リサイクル部会でこの制度に関しての御審議を開始していただいたところでございます。

 この拡大生産者責任の考え方の取り入れ方については、議論の一つの大きなテーマにもなろうと思っておりますので、注視をしてまいりたいと思っております。

吉田(泉)委員 最後の質問ですけれども、日本のごみ行政のこれからの方向性、もう一つの大きな柱が、脱焼却、脱埋め立てという方向じゃないかと私は思っております。

 今のところ、一般廃棄物に限っても、この焼却施設、全国に千六百八十カ所あるということであります。世界の焼却炉の三分の二が日本に集中しているということだそうです。最終処分場については二千五十九カ所。いずれも、長い目で見ますと、この処分場自体が環境汚染源になり得るという心配をしているところでございます。

 それから、今のような最終的には燃やせばいいんだという焼却に依存する形では、ごみ自体を減らしていくんだという強い動機がなえてしまう、ごみ問題を根本的に解決するんだという、そちらの道につながりにくいというふうに私は感じております。

 数年前、オーストラリアの首都キャンベラ市では、二〇一〇年までに焼却炉なしでごみゼロを実現するということを宣言して世界を驚かせたわけであります。それからもう八年ぐらいたちますが、各地の都市、そして国家で同じような考え方がふつふつと出ております。脱焼却、脱埋め立てというのが新しい世界の趨勢になりつつある、なり始めたというふうに思いますが、小池大臣の基本的な御認識を伺いたいと思います。

小池国務大臣 この夏も、モンゴルに参りまして、あのすばらしい環境の一方で、ごみの山が無残にさらされているというような実態なども見てまいりました。また、各国回ってみまして、我が国は、これだけ都市があって、そこで大量のごみが出て、そしてそれを近くで処理をしなければならない、しかし、土地がないというようなことで、多くの広い国々などはそのまま埋め立てをがあっとやってしまうというようなことで、その結果、御質問にもありましたように、我が国の焼却施設がやたらと多いという結果になってきているんだろうと思います。

 ごみゼロ社会のときにもお答えいたしましたけれども、私どもが目指す二本柱の一つが、循環型社会の構築ということでございます。これの基本的な考え方とすれば、やはりまず第一に、ごみの発生そのものを抑えていこうという点、それから第二に、排出されたごみはできるだけリサイクルさせていく、リデュース、リサイクルですね。そして三番目に、リサイクルに適さないごみについては焼却をする、そしてまた、その焼却の際の熱回収をしていく、そして最後に残ったごみは適正に処分をする、このような段階になっているわけでございます。

 廃棄物の全量リサイクルをするということは、これは、言うはやすし行うはがたしで、現実的にはなかなか難しいということでございまして、例えば最近のEUの国々を見てまいりますと、生ごみなどの直接埋め立てを削減する方針とともに、廃棄物の焼却処分、サーマルな処分ということも増加傾向にある、このように聞いているわけでございます。

 また、ことしはとにかく災害があちこちで起こって、水害、地震、いっときに、どばっとというのは余り国会の答弁にはふさわしくないですね、大量に出てくるわけでございますけれども、この際、現実には焼却、そして埋め立てが主たる処理方法となるわけでございまして、そういったときに必要な焼却、埋立能力の確保ということも頭に入れておかなければならないわけでございます。

 いずれにいたしましても、まずは発生を抑制する、そしてリサイクルを徹底する、その上で、残る廃棄物について焼却プラス熱回収という形で循環型社会の形成に適する流れをつくってまいりたい、このように私どもは基本的に考えております。

吉田(泉)委員 終わります。ありがとうございました。

小沢委員長 次に、村井宗明君。

村井(宗)委員 民主党の村井宗明です。

 私は、今話題になっているクマの問題についてお話しさせていただきたいと思っています。

 私は富山市の月岡というところに住んでいるんですが、先日、朝七時ごろでしょうか、町内で放送がかかりまして、ピンポンパンポーン、ただいまクマが出ておりますので御注意くださいという放送がかかったんですね。クマが逃げておりますと言われて、いや、本当かなと思って、何を言っているのかなと思ったら、その後、やはり本当に近所でクマが出まして、それで、警察の方が家に来られまして、いや、村井さん、今クマがこの辺に逃亡したので御注意くださいと言われて、それで、その日の夕刊を見たら、やはりわっと三頭あらわれたと出ているんです。今、私たちの地元の近所の皆さん、もう毎週毎週クマがあらわれて、マスコミも来て騒動になっていて、皆さん非常に不安に思っています。

 そんな中で、今、いろいろな新聞の投稿にしても、専門家にしても、二つの意見に分かれているんじゃないかと思うんです。一つは自然保護。クマの保護のためにクマを射殺するのをやめてほしい、それから、自然を回復してほしい、そういう意見。もう一つは、もうこれ以上クマが出てくるのはかなわぬから取り締まってほしい、安全を守ってほしい、そういう意見。これは相矛盾するような意見が二つとも出ています。

 私は、それは二重の基準をつくって対応するべきだと考えています。つまり、住宅街の基準、それから山林の中での基準、これを二つ分ける。二重の基準ということに分けることによって、人間と自然との共生、そして人命、それから人身事故を防ぐということを考えていきたいなと思っています。

 今、私たち富山県、もう毎週毎週クマの事件が起こっていまして、被害者数は総勢二十二人になりました。全国を見ても、人身事故件数は八十一件、被害者数九十五人。もうそんな量になっています。

 そこで、まず、ことしはどうしてこんなにクマが発生したのか、今、環境省、林野庁などでいろいろブナの結実状況などの因果関係などを調査しているというふうにお聞きしています。また、夏の猛暑や台風などと関係があるんじゃないかという説も出ています。そういったところについて、被害の状況、そしてその原因についての最新情報を教えていただければと思います。

高野副大臣 村井委員にお答えしたいと思います。

 まず、このクマの問題というのは、本質は一体どういうことなのかということも深く考える必要があろうと思いますし、今先生がおっしゃったように、自然保護という観点、あるいは取り締まり、安全という観点から、二つの基準をつくったらどうか、私もそういうこともあるかなという感じがしております。

 原因は、えさが不足している、あるいは山がすみにくくなった、それから人を恐れなくなってきている、いろいろな原因が言われております。本当のところはクマに聞かないとわからないかもしれませんが、私、実は、数年前に石川県の白山公園の近くに行きまして、あるレストランというか食堂でクマの刺身を食べたことがありまして、これは冬眠前にとったクマだということで、脂肪が相当ついておりました。今ちょうど冬眠に入る時期なものですから、相当えさが不足しているということで、クマの方も相当空腹なのかなという感じがいたします。

 一連のクマの問題というのは、クマの方から人間社会にある意味で警告を発しているのかなという感じを私は持っております。その原因については、相次ぐ台風とか、あるいは猛暑とかということで、このえさ不足というのは一時的なものなのかどうか、あるいは生態系が変化しているという、それは地球温暖化によるものなのかどうか、こういうことも含めて、あるいは森が、山が荒れたままで放置してきたせいであるのかどうか、こういうところも含めて十分総合的に調査をする必要があるんではないかなと思っております。

 もう一つ、私が若干懸念しているのは、一連のクマの報道、クマに関する報道というものが若干偏ってはいないかなということがあります。クマをより深く理解する上での報道になっているかどうかということも若干懸念をしております。

 生物の多様性ということが叫ばれていますけれども、一日百種類以上の種が絶滅しているという現状もあるわけでありまして、今先生がおっしゃったように、クマとは共生できないものかどうか、これも十分考える必要があるんではないかと思っております。

 自然の中でクマを発見した人が、この世の中にこんなにも美しい神秘的な黒色というのがあるのかと感動したという報告もあります。クマの問題を単なる事件として片づけていいのかどうか、私は疑問があると思います。クマの次はイノシシなのかシカなのか、あるいはスズメバチなのか、これも深く総合的に調査する必要があると思います。

 それで、お尋ねの件ですが、事件の被害件数は十月三十一日現在で全国で八十八件、被害に遭った方は百三名に上っております。環境省としましては、先ほどおっしゃいましたように、この被害の回避あるいは適切な保護管理のために、今回の出没増加の原因の解明に向けて調査を行っているところであります。

 以上です。

村井(宗)委員 ありがとうございました。

 今副大臣がおっしゃられたような山林でのクマの保護、そして生態系の回復という問題も後で取り上げますが、それは後半に回しまして、最初に、クマの被害をどうやって防ぐか、そちらの方に重点を置いて話をしたいと思います。

 私が先ほど述べた数字よりもさらに更新されまして、副大臣がおっしゃられたように、八十八件、百三人、そういった人身事故が起こっています。

 そこで、それをどう防ぐかの話なんですが、この間も、実はちょうど私のうちの向かいのうち、田んぼを挟んで向かいのうちでクマが出まして、カキの木にがあっとつめ跡が残っていました。ぱっと見たときに、どこにどう連絡したらいいかわからないという話があったんですね。消防へ電話したらいいのか、警察へ電話したらいいのか、市役所へ電話したらいいのか。そして、その駆除の許可をどこでどうおろしたらいいのか。その危機管理対応、そういったところについて教えていただければと思います。

小野寺政府参考人 クマを発見した場合の連絡先については、一般的には市町村役場に連絡するということになっていますが、都道府県によっては、あるいは事情によっては、警察、県の出先機関といったようなところにやることになっているようです。特に被害の多い県については、体制をつくって、いずれに通知をしても、連絡をしてもネットワークになるということだと思います。また、十分かどうかは別にして、チラシ、それから先生がお聞きになった放送などで住民にその旨の通知を徹底しているところだと聞いております。

 それから、捕獲に当たってその意思決定を行う者は、鳥獣保護法上は原則は都道府県知事、それから、場合によって市町村に委任というんですか、ゆだねている場合もあります。

 しかしながら、人命に危険が及ぶような場合、緊急捕獲の場合については、それぞれの県でいろいろなパターンを用意しておりまして、そういう緊急性がある場合には、その場合だけ捕獲許可権限を、本来は知事であるけれども市町村長におろす場合、これは福井県などがそうだと聞いております。それから、通年の捕獲許可を受けている県の非常勤職員の鳥獣保護員というのがどの県にもおりますが、その鳥獣保護員が県職員の了解を得て捕獲する、これは富山県の場合はそうだというふうに聞いております。

 いずれの場合においても、許可権者と速やかに連絡をとって緊急に判断されるということをより心がけたいと思います。

村井(宗)委員 そこで、今一般的には市役所、そして緊急捕獲の場合、市町村長に権限をおろしているというケースが非常に多いというふうに話は聞いたんですが、例えば土日に出没した場合はどうなるのか。その意思決定をする方に連絡がとれない場合、もう住宅街にあらわれているんだけれどもどうしたらいいかとか、そういったところも考えなければならないのではないかと考えるんですが、いかがでしょうか。

小野寺政府参考人 土日の場合も基本的に同じであります。しかしながら、役場にその担当の者がいない場合もあると思いますが、今までの例を聞きますと、役場の代表電話に出た人が何らかの形で連絡のつく体制をつくっているというふうに聞いております。

村井(宗)委員 そこで、私は二重の基準というものをやはり適用すべきではないかと思うんです。

 その鳥獣保護法、確かに立派な法律だし、保護という意味では私は必要だと思う。ただ、山林でクマを保護するのは必要だと思うんですが、例えば住宅街に出た場合は、もっと基準を緩くして、緊急対応を優先するような形でもいいのではないかと思うんです。

 例えば、鳥獣保護法三十八条にある話なんですが、日の出前と日没以後は銃を撃ってはいけないという話があるんですが、この間も、実は私の近所のうちだったんですけれども、軒下にクマが入ったんですね。それで、軒下にクマが入ったんですけれども、もう日没後だからきょうは銃を撃てぬという話です。いや、銃を撃てぬといってそのまま帰られたって、あんた、そのままクマを置いて帰るのかと。そういうわけにいかぬから撃ってしまえという話になったんですけれども、いや、でも罰則があるしと。罰則があるでも何でもいいけれども、ほっておくわけにいかぬのだからという話をしたんですけれども、今そういう中で、住宅街と本当に山奥の場合、もちろん私は、山林などの場合は、クマを保護する必要、それから生態系の保全の必要があるので、そういうのはきちんと厳格にする必要があると思うんですが、住宅街においては、やはりそういった文じゃなくて、別のルールというものをつくっていく必要があるんじゃないかというふうに考えています。

 そして、話は次へ移るんですが、クマによる被害は我々人間だけではありません。農作物や林業の被害というものもどんどん発生しています。そこで、ことしのクマの異常な出没によって農作物や林業の受けた被害の状況はどうなっているか、そしてその対策である、わなの補助などについても御説明ください。

皆川政府参考人 クマの被害についてですが、クマによります農作物被害ということでございますが、まず全体としての野性鳥獣によります被害ということでいいますと、ここ数年の傾向といたしまして、被害面積でいいますと十四万ヘクタールぐらい、被害金額でも二百億を超えるような水準ということでございます。ただ、その中で特に被害が大きいのはイノシシですとかシカというのが多うございまして、クマだけで見ますと、被害面積は約一千ヘクタールぐらい、被害金額自体は三億円ぐらいということでございます。果樹ですとか飼料作物、野菜等が被害を受けるというケースが多うございます。

 そういったことでございますので、農林水産省といたしましては、鳥獣によります農作物被害を防止するために、まず被害防止技術を開発するというような試験研究、それから、都道府県、市町村、農業団体によります電気さく等で侵入の防止をする、さらには被害防止のための普及啓発、例えば刈り残しを放置しておかないとかいったようなことについての普及啓発といったようなことで、今対策をやっているわけでございますが、クマにつきましても、被害防止のための普及啓発活動のほか、特に電気さくがクマについては有効だということもございますので、被害の実態を把握しながら適切に対策を講じていきたいというふうに考えてございます。

黒木政府参考人 クマによる林業被害の現状と対策についてのお尋ねでございますが、クマによる林業被害は、これはどんなものかと申しますと、杉とかヒノキ等が立木として立っているわけなんですけれども、その根元付近の木の皮をクマがつめとか歯で大きくはがす、こういう被害でございまして、いわゆるクマはぎ、こう呼ばれているものでございます。このクマはぎに遭いますと、その樹木の材質が劣化するというばかりではなくて、ひどい場合になりますと、その被害木が枯れてしまう、こういうケースもございます。

 それで、被害の状況でございますが、クマによる全国の林業被害面積、過去五年間、これは十一年度から十五年度の五年間でございますが、三百三十ヘクタールから六百四十ヘクタールで推移している、こういう状況でございます。

 なお、平成十六年度北陸三県、これは人的被害が大きいところ、富山、石川、福井について聞いてみたんですけれども、林業被害について、この十六年度は特に増加しているという状況にはない、こういう報告を受けております。

 それから、このクマはぎの被害を防止するための対策でございますが、対策としましては、これは樹木の根元付近の幹の周囲にテープとか防護ネットを巻きつけるというのが効果的だと言われておりまして、林野庁においてはそれらに要する経費を補助している、こういう状況でございます。

村井(宗)委員 今、農業、林業の対策の話を教えていただきました。

 そんな中で、例えば電気さく、これは一部の畑とかそういうところだったら電気さくでできると思うんです。ただ、住宅街というのは非常に広くて、電気さくで防護するというわけにはなかなかいかない。

 そして、私は、わなについてもやはりちょっと考えたいと思うんです。きょうも実は、米田さんというツキノワグマの専門家の方々などとも、民主党はクマワーキングチームで議論させていただいたんですが、トラ挟みのわなだとか、くくりわなとかではなくて、ちゃんと捕獲をして学習放獣をするようなわながいいのではないかという話をさせていただきたいと思うんですが、その前に、今のわなの部分で、ちょっと一点疑問に思っていることがあるんです。

 例えば、農林水産省の方で農林業に対するわなには補助が出ているというふうに聞いているんですが、今まで住宅に出てくることを想定していなかった、だから住宅に来るのを捕まえるようなわなには補助が出ないんではないかという話をちょっと聞いたんですが、その辺、住宅へのクマの出没への対策はどのようになっておりますでしょうか。

小野寺政府参考人 住宅地に出没するクマを捕獲するためのわなの補助金については、現在ございません。

 しかしながら、狩猟者が納める狩猟税という目的税がありまして、都道府県の目的税でありますけれども、これを活用してわなを設置するということは可能ではないかというふうに考えております。

村井(宗)委員 できれば、その狩猟税を都道府県が使う、その中で、今まではもちろん農作物被害の方が多くて、そこが対象になっていたから、そして、住宅に出てくることはそもそも想定されていなかったので、私はそれでよかったと思うんですが、こうやって住宅に頻繁に出てくる、そして、人身事故も百人を超えるようになってしまった今、そうやって各都道府県に指導いただいて、何とか、住宅に来るクマを捕まえるようなわなということにも、補助金なり、もしくは都道府県が直接設置するようにされたらいかがかと思っています。

 そして、私たち民主党は、特にそうやって、くくりわなだとかトラ挟みのわなではなくて、ドラム缶わなで学習放獣をすべきだというふうにワーキングチームでちょっと話をさせていただいたんですが、その学習放獣の有効性についてお伺いをしたいと思っています。

 今まで、例えばドラム缶わなで捕まえて、トウガラシスプレーなどでおどかして学習させてから奥山の方へ帰すというふうにやってきていると思うんですが、これで、学習放獣をした後、もう一回戻ってくることはどのぐらいの比率であるのか、そして、本当に有効で、これでうまくいっているのかどうなのか、研究中のものがあればその辺も含めてお答えください。

小野寺政府参考人 学習放獣は、委員が御指摘のように、においに関するスプレーあるいは爆竹の音で、あるいはいろいろな、要するにクマにある種の恐怖感を刷り込んで、人間あるいは人里に近づかないようにある種の記憶をさせるということを目的としてやっているものでございます。

 この効果については専門家の中でもいろいろな意見があって、必ずしも確定したものはありませんが、一定程度の効果はあるというふうに今のところは我々も考えております。

 なお、岩手県において発信機をつけて奥山放獣した場合の追跡調査をやった例がありますが、その結果を申し上げますと、捕獲場所から放獣場所の距離が七・五キロ以下の場合は、六個体中四個体がもとに戻ってきた。しかし、十二キロ以上とした場合には、六個体のうち一個体しか戻ってこなかった。つまり、どうも十二キロぐらいに一つの放し方の何か基本というかセオリーがあるようであるというふうに考えております。

村井(宗)委員 そういった学習放獣について、そうやって距離を離せば戻ってくることが低いということだったら、今後はそういうふうな奥山放獣をやっていただければと思っています。

 そして、クマの生態について、それで取り締まるだけの話ではなくて、どうしておりてきたのかの根幹、つまり、えさがなくなったから大分里山におりて、そして民家におりてくるようになったんじゃないかという話があります。

 そんな中で、今後、クマも維持できるような生態系、そしてクマの保護のために、森林保全の問題、広葉樹林の維持管理なども何とか進めていっていただきたいと思うんですが、その辺についてどのようにお考えでしょうか。

黒木政府参考人 クマ等の野生鳥獣の生息環境となる広葉樹林の整備を推進していくべきではないか、こういうお尋ねでございますが、私どもも今後の森林整備に当たりましては、野生鳥獣の生息の場としてすぐれた機能を持つ広葉樹林、また、広葉樹と針葉樹がまじった森林、私ども、針広混交林と呼んでいますが、こういったものの整備を推進するなど、人間と野生鳥獣の共生に配慮していくことが重要であると考えてございます。

 こうした観点を踏まえまして、平成十三年に、これは林業基本法が森林・林業基本法に変わった年でございますが、この新しい森林・林業基本法に基づきまして、森林・林業基本計画というのが策定されております。これは森林を重視すべき機能に応じて三区分することになっておりまして、水土保全林、それから森と人との共生林、資源の循環利用林、この三つでございますが、この一つであります森と人との共生林、これを中心にしまして、針葉樹林への広葉樹の導入、また、その広葉樹林の造成、こういったものを推進しているところでございます。

 具体的に、森林整備事業等の中におきまして、こういう広葉樹の植栽だとか針広混交林化のための助成等の措置を講じている、こういう状況でございます。

村井(宗)委員 最後に、まとめる意味で大臣にお聞きしたいと思います。

 私自身としては、そういう意味で、まず二重の基準をつくるべきだと。一個の法律ですべて適用するんじゃなくて、急に住宅街にあらわれるようになったクマについては、今後、人命、それから国民の生命財産を最優先するような方向で取り締まっていく。それと同時に、それだけではなくて、今国論が二分していますが、二重の基準をつくって、やはり山林では生態系を維持する、そしてクマを保護する、そしてクマがすめるような山林をつくっていくということをやっていただきたいと考えるんですが、大臣はいかがお考えでしょうか。

小池国務大臣 まさにそのとおりだろうと思います。

 生態系があって、その中でクマという存在がいて、そしてまた人間がいてということで、ことしは特にそれが重なりました。クマも人間を襲いたくて襲うんじゃないと思うんですね。向こうだって多分怖いと思うんですよね。人間の方も怖がっている。クマがおりてくるなんということを考えていないから、あちこちにクマにとってのえさをそのままほったらかしにしているというようなことで、ことしは本当に被害が相次ぎました。

 そしてまた、冬眠前は特にいっぱいえさを求めるというので、これからも注意を払っていかなければなりませんが、いずれにいたしましても、さまざまな地域でことし起こったこと、これをよく研究、検討して、生態系保全という、そしてまた、人間とクマとそして森といったような総合的な観点からのさまざまな検討を引き続き行いたいと思っております。

村井(宗)委員 どうもありがとうございました。

小沢委員長 次に、東門美津子さん。

東門委員 社会民主党の東門でございます。

 済みません、日ごろはもう少し美声なんですが、ちょっと声をからしておりましてお耳ざわりかと思います。二十五分間だけですので、よろしくお願いいたします。

 私、最初に、関西水俣病判決のことから御質問させていただきます。ひょっとしたら重複することもあろうかと思いますが、よろしくお願いいたします。

 水俣病の公式発見から四十八年余りを経て、十月十五日、行政の責任を認める司法判断が確定しました。国は、長きにわたり責任を認めてこなかったことについて、被害者や家族の方々に謝罪すべきであると思いますが、改めて、まず見解からお伺いいたします。

小池国務大臣 今回の判決は、極めて厳しい内容でございます。私ども、厳粛に受けとめているところでございます。

 当日、大臣談話という形で、これは今環境省のホームページにもきちっと出させていただいておりますけれども、そこで申し上げたんですが、水俣病の拡大を防止することができなかったということについては真摯に反省する、これが第一でございます。そしてまた、このような悲惨な公害を二度と再び繰り返してはならないという決意を新たにしていくということ、そしてまた、この訴訟の当事者の方々を初めといたしまして、本当に多くの方々が苦悩に満ちた生活をなさってきた、そういうことで、そういう方々に対してまことに申しわけないというこの気持ち、もうそれに尽きるということでございます。

東門委員 今の大臣の御答弁、謝罪はしましたということのように承りました。

 厳粛に受けとめる、そして真摯に受けとめるというお話があったんですが、それを受けとめて、何か目に見える形での動き、そういうことは起こさないのでしょうか。例えば基準の見直しだとか、政治決着した患者への追加補償など、そういうことを行う考えはないのでしょうか。国が認定基準を見直さない限り、水俣病問題は解決しないと思うわけですが、済みません、大臣、いかがでしょうか。

小池国務大臣 先ほども御質問がございました。

 これは政治解決の方でございますけれども、平成七年、与党三党で政治解決がされて、このときも大変重みのあるものであったと思っております。そこで政治解決に沿った取り組みの仕組みがつくられているわけで、これを今後とも誠実に実施をしていくというのが行政の責任かと思います。

 また、将来にわたりまして、水俣病総合対策医療事業、そして地域振興のための施策を着実に実施していくという、これも変わらないところでございます。また、先ほども御質問にありましたように、再来年がちょうど公式発見から五十周年ということになっていくわけでございまして、改めてこの水俣病の教訓を国内外に発信していきたい、そしてまた、水俣病の対策の一層の推進に努めていくということでございます。

 また、今月末には、関西訴訟の原告団の皆様方との話し合いということで、大阪にてその機会を持つこととなっていることを加えておきたいと思います。

東門委員 最高裁判決で、現行の認定基準より幅広く救済するという大阪の高裁判決が確定したことを受けて、潮谷熊本県知事さんは、公害健康被害補償法、いわゆる公健法に基づく認定業務について、従来のように続けていいのか疑念を持っていると述べられ、認定基準見直しについて、認定業務をする立場から今後国と話し合いたいとおっしゃっておられます。政府としてはどのように対応されるつもりでしょうか。

滝澤政府参考人 認定基準の関係でございますが、今回の最高裁判決におきましては、大阪高裁におけます判断が踏襲された結果となっております。

 その高裁の考え方でございますが、昭和五十二年、いわゆる五十二年判断条件と呼んでいますが、五十二年判断条件は、公健法の水俣病認定要件として認めておりまして、これとは別個に、訴えられた方々の賠償を行う判断準拠として新たな裁判判断がなされた、それを今回の最高裁の判決では踏襲したということでございまして、私どもの解釈といたしましては、五十二年判断条件がこの裁判によって、最高裁までの裁判によって否定されたものではないというふうに考えております。

 御指摘の県知事さんの発言でございますが、私ども、県庁を通じましていろいろ情報もいただいておりますし、県知事さんのお考え、情報としてはつかんでおりますけれども、今後どのような形で私どもとお話し合いをするという御意向なのか、その辺も確かめながら協議してまいりたいと考えております。

東門委員 では、県知事さんからそのような申し出があれば、しっかりと国は、環境省は受けとめていくということだと私は思います。

 もう一点だけ、その件に関してなんですが、汚染度が低いヘドロはまだ海に残されているというふうに言われております。妊婦や胎児への健康問題はどうなるのかという、現実の今起きている不安もあるわけです。関西訴訟原告団が要請した不知火海沿岸一帯での健康調査についてもきちんと対応すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

滝澤政府参考人 先ほど大臣の答弁でも申し上げましたように、平成七年の政治決着以降、総合対策事業ということで、さまざまな健康チェックを含めて事業を展開してきております。これは対象者といたしましてもかなり広範にわたりまして、そういう実態を事業として調査していくという機能もあわせ持っておるわけでございまして、そうした事業の成果、結果を十分に踏まえていくということで、かなりの部分が網羅できるのではないかというふうに考えております。

東門委員 それでは、ジュゴンの方に質問を変えていきたいと思います。

 沖縄本島で生息が確認されているジュゴンは、北限の個体群としては世界的にも極めて貴重な野生生物であり、IUCN、国際自然保護連合のレッドリストにおいて、絶滅のおそれがある種として、1類に次ぐ絶滅危惧種2類に掲載されています。二〇〇〇年のIUCNの勧告では、ジュゴンの絶滅防止対策を可能な限り早期に実施すること等が要請されていますが、これまでどのような保全対策を環境省としてとられたのか、一点まずお伺いします。

 また、二〇〇二年、UNEP、国連環境計画の報告書においても、日本近海に生息するジュゴンに関して、保護措置がとられない限り絶滅するだろうと警告をしています。ジュゴンは絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約、ワシントン条約で附属書1に掲載され、国際希少野生動植物種に指定されていますが、国内希少野生動植物種には指定されていません。さらに、国内で特別天然記念物にも指定され、鳥獣保護法の中でも希少鳥獣として指定されていながら、環境省が指定した国内希少野生動植物に入っていません。

 国内希少種に入っていない理由、それは何なんでしょうか。国内で七十三種類が指定されているにもかかわらず、ジュゴンが指定されていないその理由、それは環境大臣にお答え願いたいと思います。

小池国務大臣 まず最初の部分でございますけれども、平成十四年の鳥獣保護法の改正で、これまでこの対象とされていなかった海生哺乳類、海にすんでいる哺乳類の一部についても対象化されたわけでございます。

 これで、ジュゴンについてもその対象になったということで、捕獲、殺傷は原則禁止、学術研究や傷病鳥獣の保護のための捕獲に関しては環境大臣の許可が必要、このようになっているわけでございますが、ジュゴンについては、まだまだ生態系に関しましての基礎的な情報が十分得られていないということで、現在、保護対策を検討するために必要な生息状況、それから、えさ場となります海草藻場の状況などについての情報を収集しているところでございまして、こういった調査をしっかりさせていただいたその結果として、必要な保護対策を検討してまいりたいというのが一点でございます。

 それから、種の保存法に基づいての国内希少野生動植物についての方でございますが、指定要件に該当すると考えられる種のうちで、その指定に関して関係者の理解が得られたものから順次指定をして、保護のための施策を講じているというのが手続論でございます。

 このジュゴンにつきましては、まず生態などの保護対策の検討に必要な情報、先ほどと絡んでくる、シェアできるものだと思いますけれども、その上で関係者の理解を得るということが必要だと考えております。

 環境省といたしましては、現在、沖縄本島の周辺海域に生息するジュゴンの生態などに関しての調査を実施していることは先生も御承知だと思いますけれども、引き続いて国内希少野生動植物種の指定に向けて必要な検討を進めてまいりたい、このように考えております。

東門委員 今の大臣の御答弁、国内の希少野生動植物種に指定をしていく、その方向で考えておられるということでしたよね。確認だけ、もう一度。済みません。

小池国務大臣 現在、そのために必要な調査を行っているということであります。

東門委員 本当に、ぜひその方向で進めていただきたいと思います。

 どんどんどんどん減っているジュゴン、やはりこれは、沖縄だけではなく、日本だけでなく、大事な世界の宝だと思うんですね。そういう意味で、そのジュゴンの保護というのは環境省が本当に積極的に取り組んでいただかなければ、もう本当に絶滅というのは目の前に来ていると思いますので、ぜひ取り組んでいただきたいと思います。

 次に、ジュゴンのすんでいる海が飛行場の建設予定の場所として埋立工事が進められる、そういう状況になっているということは、もうよく御存じのことだと思うんですが、それが入ると、ジュゴンはそこにすめなくなる、藻場も全部やられてしまう、そういう状況にあるということもぜひ念頭に置いていただきたいと思うんですが、その普天間代替施設建設の方法書について伺いたいと思います。

 アセス方法書を審査する沖縄県環境影響評価審査会は、十月の十五日、防衛施設局の情報、これは、方法書等に関して不十分として出席委員の九割が批判、環境専門家も、事業ありきで手続が形骸化しているというふうな批判が続出しているという報道がなされております。

 また、翌日の十月十六日には、那覇市で環境アセスメント学会の公開シンポジウムが開かれ、その中でも方法書の問題点が指摘されております。そこでは、方法書は欠陥方法書であるとか、事業ありきで手続が形骸化している、先ほども申し上げましたけれども、そういう問題が、専門家、自然保護運動を担っている活動家から指摘されているということです。

 このように相次ぐ環境アセスメント批判に対して、環境省として、今大臣は国内希少種ということもおっしゃったんですが、ボーリング調査が行われますと大きな影響が出てくるというのは本当に明らかなんですね。それを今の段階で、ちゃんとその調査が終わるまで、環境省としての見解を出すまでとめるということに踏み込んでいただけないかということも含めて、方法書についてもお伺いいたします。

小池国務大臣 方法書についてまずお答えいたします。

 方法書の内容というのは、事業のプロジェクトの種類ごとに主務大臣が定めます技術指針などを定める省令で定めるところにより作成されることとされています――ひどい日本語ですね、今のは。

 要は、この場合、防衛庁所管の飛行場に関します技術指針などを定めます省令があるわけですけれども、この方法書が不十分であるということで、例えば、航空機の種類とか飛行経路とか、飛行場の施設などの記述がないじゃないかということで欠陥だという御指摘があるわけでございますけれども、この方法書の場合におきましては、これは必要な記載事項とはされておりませんし、その記述がないということだけで方法書の要件を満たさないということではないと考えております。

 いずれにいたしましても、こういった航空機の種類、そして飛行経路などについては、今後、環境影響評価の作業の中で明らかにされるもの、このように考えております。方法書に何を書くかということは、できるだけ情報開示をこれまでもしてきたわけで、それによってさまざまな御意見もそこからまた集まってくるという考え方で書かれる、盛り込まれるもの、このように承知をしているところでございます。

 私からは以上です。

東門委員 簡潔にお願いします。

田村政府参考人 お答え申し上げます。

 方法書については、今大臣が申し上げたとおりでございますが、もう一点、現地の技術調査の関係でございますけれども、現地の技術調査、御承知のように、護岸構造の検討に必要なデータを収集するために実施するものでございまして、調査の実施につきましては事業者が判断するべきものでございますけれども、その際に、環境への影響についても当然検討されるべきものと思っておりますので、環境省といたしましては、防衛施設庁に対しまして、現地技術調査の実施につきましては、今お話しになったジュゴンあるいは海草藻場、サンゴ等への影響をできるだけ回避、低減するように助言してきたところでございまして、これを踏まえて適切に対処していただく、そういうことを期待しているところでございます。

東門委員 先ほどの大臣の御答弁の中に、情報開示、これまでもやってきたとおっしゃるんですが、大臣、一点、本当におわかりでしょうか。専門家と言われる人たちが方法書作成のときにいろいろかかわったと言われていますが、その方たちの名前が我々には開示されていないんです。公開されていない。ですから、どういう専門家がそこにいて、どういう発言をしたか、何をもってこれが大丈夫なんだと言い切れるのかわからない。おかしいと思いませんか。大臣、どう思われます。

小池国務大臣 方法書についても、必要な要件としてこれまで盛らせていただきました。それがどういうメンバーであるのかというのは、これは事務方の方からお答えさせます。

田村政府参考人 お答え申し上げます。

 先生おっしゃるように、ボーリング調査の作業計画についての専門家の名前は開示されておりませんが、これは相手方とのことで開示されないということでしておるわけでございます。

東門委員 開示されない。環境省として、本当にそれでいいのでしょうか。ジュゴンの保護も向けていく、国内希少種にも指定するように検討するとおっしゃりながら、そういうこと。私たちに何を信じろというんでしょうか。環境省ならば、そこをしっかり開示しろ、県民にわかるようにしろ、国民にわかるようにしろと言うべきではないんでしょうか。そういう形ではまずいと思います。

田村政府参考人 お答え申し上げます。

 そこは、やはり基本的には事業実施主体たる防衛施設庁の判断だと思います。防衛施設庁が開示しないという方針でございますので、そのように考えております。

東門委員 確かに事業主体は防衛施設庁です。政府ですよ。政府じゃないですか。環境省もそうでしょう。環境保全が皆さんの役目でしょう、役割でしょう。なぜその点から、こうですよと県民を納得させてください、国民を納得するようにしてくださいと言えないんですか。そういう専門家って、専門家と呼べるんでしょうか。とても腹が立ちます。ぜひそこのところを検討していただきたい。

 小池大臣、いかがでしょうか。その件に関して一言、ぜひ検討していただきたいということを要望しますけれども。

小池国務大臣 事業主体である防衛施設庁の方と話し合います。

東門委員 ぜひ話し合っていただいて、納得のできるような御答弁をいただきたいと思います。

 次に、ラムサール条約関連についてお伺いします。

 環境省は、一九九九年にコスタリカのサンホセで開かれたラムサール条約第七回締約国会議の決議に従って、二〇〇五年の第九回締約国会議までに国内の登録地を倍増することを目標として掲げました。現在の十一カ所を二十二カ所にするとかという話のようですが、本年九月二日、環境省は、国際的に重要な湿地を保全するためのラムサール条約登録湿地候補地として、五百カ所の重要湿地から五十四カ所に絞り込みました。しかし、その中に沖縄市にあります泡瀬の干潟が含まれていないというのはすごく意外でした。あの干潟の大きさ、規模、それから価値、重要さを考えて、なぜこれが含まれないのだろうかというのは、もう本当に単純な疑問です。

 環境省が発行していますラムサール条約に関するパンフレットによりますと、「ラムサール条約に登録できる湿地」として、「湿原、湖沼、河川、干潟、藻場、地下水系等の中で、生物多様性の高い湿地、水鳥の渡来地として重要な湿地、希少種の生息する湿地、魚類の生息地として重要な湿地等、国際的な基準に合致する湿地」とされています。

 泡瀬干潟はそのすべてが合致するのではないでしょうか。泡瀬干潟がなぜ抜けているのか、環境大臣、なぜでしょう。教えてください。

小池国務大臣 御指摘のように、泡瀬干潟を含みます中城湾、シギであるとかチドリなど渡り鳥の渡来地であって、また、絶滅のおそれのある動植物がそこにすんでいて、また、そこで生まれたり、生育の場としてすばらしいということで、平成十三年の十二月に環境省が選びました日本の重要湿地五百の中にカウントさせていただきました。

 ラムサール条約の方でございますけれども、これには幾つかの条件があることは既に先生御存じだと思います。まず一つが、ラムサール条約で示された国際的な基準を満たすという点。それから、国の指定鳥獣保護区の特別保護地区など、自然環境保全を目的とした保護区に指定をされるということ、保護区の指定ですね。三番目に、地元の関係者の賛意が得られていること。これらが必要不可欠な条件となるわけでございます。

 では、この泡瀬干潟のラムサール条約湿地の登録に対してのこの三つの条件、何が問題かといいますと、現時点では保護区の指定がないということでございまして、そのためにまだ登録に向けての候補地とされていないというのが現状でございます。

 保護区の指定、これは結局、また地元関係者の御意向ということにも絡んできて、だから、さっきの三つのポイントのうちの二と三に絡んでくるというふうに申し上げてもいいのかもしれません。そういったことから、保護区の指定も含めて、地元関係者の意向についてはこれからも十分把握をしてまいりたい、このように考えております。

東門委員 沖縄県で干潟ってどれくらいあるんですか。泡瀬の干潟のような干潟がまだありますか。あの干潟を埋め立ててしまって失われてしまったら、本当に沖縄に干潟らしい干潟が残りますか。どなたか答えてください。

小野寺政府参考人 泡瀬干潟は、沖縄においては最も大きくて重要な干潟であると認識しておりますし、また、自然環境の質からいいますと、ラムサールの基準と照らして申し上げますと、渡り鳥に最も特徴がありまして、そういう自然の質の観点からいけば、ラムサールの登録基準に合致しているものだと考えております。

東門委員 そうであれば、環境省はやはり、それもジュゴンと同じなんですけれども、保護する、環境を保全する、自然をしっかり保護する。

 これは、環境大臣が川口さんのときも同じだったんですね。オーストラリアの環境大臣から直接私信が届けられるほど、泡瀬の干潟の重要性、渡り鳥のフライウエーであるということでかなり指摘をされて、その方向でということだったと思うんですが、どんどんどんどん工事が進んでいく。今、本当に見るにたえないような状況になってくる。

 泡瀬の新港地区では、埋め立てたためにヘドロがたまっている状況が出てきています。恐らく干潟が埋め立てられたときには完全に死んでしまうだろうというのが専門家の意見なんですね。

 環境省は専門分野としてそれを御存じのはずなんですが、いかがでしょうか。その対策として、やはり今、工事をとめる、まず待ってもらう。本当にちゃんといろいろなことが判明して絶対に大丈夫だという時点で、関係省の立場で、そのときは、はい、我々も、そのときは理解いたします、ぜひ一歩踏み込むようなことをしていただきたい。

 今のままでは、県民は、いや、もう私は沖縄市に住んでおります、泡瀬の干潟の近くに住んでおります。ですからよくわかるんです。そこを、大事な干潟で、子供たちの教育の場であり、いやしの場であり、安らぎの場なんですよ。本当に小さな小さな動物たちがたくさん出てきて、とてもすばらしいところなんです。環境省の皆さんでそこへ行かれた方はみんなそういう意見だと思います。そこを埋め立てることに本当に何の危惧も抱かないのか。いや、もう進んでいますからそうです、仕方がないと、環境省があってそういうことができたのか、やらせたのかということになると、私は恥だと思いますけれども、いかがでしょうか。

小池国務大臣 私も実際に泡瀬の方に参りました。確かにすばらしいところでございます。そしてまた一方で、さまざまな町の方々も望んでおられるという事業が進んでいるということを、実際に工事現場まで行って見てまいりました。

 これからも、環境影響評価の手続などで必要とされた泡瀬の環境保全ということについてしっかりと目配りをしながら、この環境保全という観点からも見守っていきたいと思っております。

東門委員 小池大臣の積極的な関与をお願いしたいと思います。

 ありがとうございました。

小沢委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十八分散会


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