衆議院

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第2号 平成17年2月23日(水曜日)

会議録本文へ
平成十七年二月二十三日(水曜日)

    午前九時十分開議

 出席委員

   委員長 小沢 鋭仁君

   理事 大野 松茂君 理事 桜井 郁三君

   理事 竹下  亘君 理事 西野あきら君

   理事 奥田  建君 理事 近藤 昭一君

   理事 肥田美代子君 理事 石田 祝稔君

      宇野  治君    加藤 勝信君

      城内  実君    小坂 憲次君

      菅原 一秀君    鈴木 淳司君

      砂田 圭佑君    根本  匠君

      能勢 和子君    船田  元君

      古川 禎久君    松宮  勲君

      荒井  聰君    川内 博史君

      佐藤謙一郎君    鮫島 宗明君

      田島 一成君    松本  龍君

      村井 宗明君    吉田  泉君

      高木美智代君    土井たか子君

    …………………………………

   環境大臣         小池百合子君

   環境大臣政務官      能勢 和子君

   政府参考人

   (防衛施設庁建設部長)  河野 孝義君

   政府参考人

   (外務省大臣官房国際社会協力部長)        神余 隆博君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           染  英昭君

   政府参考人

   (水産庁増殖推進部長)  中前  明君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           深野 弘行君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            岩井 良行君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      安達 健祐君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   南川 秀樹君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            田村 義雄君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局環境保健部長)       滝澤秀次郎君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  小島 敏郎君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  小野寺 浩君

   環境委員会専門員     遠山 政久君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十三日

 辞任         補欠選任

  大前 繁雄君     菅原 一秀君

  鳩山 邦夫君     古川 禎久君

  長浜 博行君     川内 博史君

同日

 辞任         補欠選任

  菅原 一秀君     大前 繁雄君

  古川 禎久君     鳩山 邦夫君

  川内 博史君     鮫島 宗明君

同日

 辞任         補欠選任

  鮫島 宗明君     長浜 博行君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 環境保全の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

小沢委員長 これより会議を開きます。

 環境保全の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として防衛施設庁建設部長河野孝義君、外務省大臣官房国際社会協力部長神余隆博君、農林水産省大臣官房審議官染英昭君、水産庁増殖推進部長中前明君、経済産業省大臣官房審議官深野弘行君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長岩井良行君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長安達健祐君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長南川秀樹君、環境省総合環境政策局長田村義雄君、環境省総合環境政策局環境保健部長滝澤秀次郎君、環境省地球環境局長小島敏郎君及び環境省自然環境局長小野寺浩君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小沢委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。城内実君。

城内委員 自由民主党の城内実でございます。

 環境委員会におきまして初めて質問させていただきます。持ち時間が限られておりますので、早速本題に入らせていただきたいと思います。

 先日、二月十六日でございますが、京都議定書がようやく発効いたしました。小池環境大臣を初め歴代環境省の政府高官、環境省の省員の方々、関係省庁の方々、また外交交渉に当たりました外務省員に衷心より敬意を表したいと思います。

 地球温暖化を食いとめるためには、温室効果ガスを安定化する必要があることは言うまでもありません。すなわち、温室効果ガスの排出速度を低下させると同時に吸収速度を高めることが重要であります。ロシアのみならず米国、中国を含む国際社会が一体となって、これを着実に実施しなければなりません。

 我が国としても、国際約束としての京都議定書の六%削減目標を遵守しなければならないわけでありますが、この削減目標達成の見通し及び環境省としての今後の取り組みについて、小池大臣の御見解をお聞きしたいと思います。

小池国務大臣 京都議定書、おっしゃいますように、これまでの長い長いさまざまな交渉などを経まして、二月十六日にいよいよ発効ということでございます。

 おっしゃいましたように、これまでかかわってこられました多くの皆さん方の力がここでようやく実って、これから花開かせようということでございますけれども、しかしながら、御指摘のように、二〇〇三年度における我が国の温室効果ガスの排出量が、京都議定書の基準年の九〇年と比べますと八%上回っている。そして、目標はマイナス六%であるということで、一四%という開きがあるわけでございます。議定書の約束の達成というのは容易ではありませんけれども、決して達成できない目標ではない、このように考えているところでございます。また、何よりも当時の議長国であった日本でございます。京都議定書の発効とそれに伴います我が国の責任というのは大変大きいものがある、このように考えているわけでございます。

 そこで、政府におきましては、各種の温室効果ガスの排出抑制の対策、そして吸収源対策、京都メカニズムの活用といったような必要な追加的対策、施策を盛り込みました目標達成計画を策定することとなっておりまして、今、鋭意関係省庁などとの協議を進めているというところでございます。

 これからの流れでございますが、三月に地球温暖化対策推進本部を開催いたしまして、この計画案を取りまとめる、そして、パブリックコメントを経まして、四月から五月までの間に閣議決定をする予定でございます。

 ただ、計画ができたけれども、問題はそれを実行するということでございますので、目標達成の計画を官民挙げまして確実に実施することで、この議定書の約束を確実に達成するためにも、国民、国を挙げてこの実施に向けて御努力いただきますように、これからもしっかりと発言もし、そして、皆さんにも御理解をいただけるように努力してまいりたい、このように考えております。

城内委員 大臣の御答弁をお聞きしまして安心しました。ぜひ、各種施策を通じて削減目標を達成していただきたいと思います。

 次の質問に移ります。

 昨年末、環境税をめぐる議論がございました。私自身は、環境税を導入すべしという立場でございます。しかしながら、環境省の当初の案は、税収を社会保障費に回すとか、あるいは環境省の縦割り行政を反映したような、ちょっと幕の内弁当的な細々した施策が羅列していた、そういうことで、ちょっと効果に疑問を持っておったわけでございます。

 また、経済界は、既に炭素税やエネルギー関連税の過重負担にあえいでおります。また、過酷な国際競争にもさらされております。経済界への配慮が若干欠けていたんじゃないかなと今考えているところでございますが、私としては、環境税は広く薄く企業及び各家庭が負担すべきであると考えております。

 例えば、将来、消費税を上げた場合には、その一部を森林吸収源対策として環境税に充てるということも考えられるのではないかと思います。特に、私は、環境税を導入した場合に、細々とした施策ではなくて、思い切ってその税収の大部分を森林吸収源対策に使ったらどうかというふうに考えておりますが、この点についての御見解をお聞きしたいと思います。

田村政府参考人 お答えを申し上げます。

 政府におきましては、京都議定書に基づきます削減約束を達成するために、今お話しの森林吸収量、基準年総排出量比マイナス三・九と、三・九%分確保することを目標としておりますけれども、現在の時点におきましては、平成十六年度の予算規模、経済対策として補正予算がずっとこれまで措置されてきました平成十年度から十四年度と比べまして縮小をしてきておりまして、実際には、このままの水準で推移した場合には、二・六%程度しか確保できないということになりますと、三・九引く二・六ですから、一・三%分足りないということになるわけでございます。

 したがいまして、この京都議定書の目標達成のためには、このギャップを埋めるために安定的な財源を確保する必要があると考えております。

 今お話しの環境税でございますけれども、環境省といたしましては、環境税が、二酸化炭素の排出量に応じまして、企業、家庭など、まさにお話しのように幅広い主体に公平に負担を求めることができますし、またその税収を温暖化対策に活用することができるわけでございますので、このマイナス六%という削減約束の確実な達成のために必要な有力な追加的施策である、そのように考えておりますし、また、昨年提案いたしました環境税案、今いろいろ御批判ございましたけれども、この中にも、その税収の一部を、その使途として森林吸収源対策ということをしっかりと明示をいたしているところでございます。

 今後とも、引き続きまして、昨年の政府の税調答申あるいは与党の税制改革大綱、ここでこれをしっかりと受けとめまして、今お話ありました京都議定書目標達成計画、これの策定作業を通じまして、環境税の果たすべき役割を十分検討を行いまして、早急に検討を進めていきたい、そのように考えているところでございます。

城内委員 ぜひ、森林吸収源対策に重点を置いていただきたいと思います。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。

 現在、環境省は、グリーン購入法の整備に当たられているというふうに伺っておりますが、これは本当に歓迎すべきことであります。

 その中で、間伐材の利用促進が図られておりますが、私としては、これをやるのであれば、もっと徹底してやっていただきたいというふうに思います。まず、環境省はもとより、霞が関の中央官庁のすべての部局で、間伐材あるいは古紙パルプをまぜたそういう名刺を全員使う、文房具は基本的に間伐材を使った紙を使う、それを徹底してやると。そして、その後に、地方団体にもそれを徹底させる、あるいは公共施設にも徹底させると。もう少し思い切って改革していただきたいと思います。

 そして同時に、間伐材の利用促進については、こういうものを使うと実は自然を破壊しているんじゃないかという誤った認識がまだまだございますので、豊かな森林の保全のためにも、また二酸化炭素の排出削減のためにも、間伐材を初め地域材の利用促進がぜひ重要であるということをきちんと教育の現場で教えていただきたいと思いますが、これについての御見解をお伺いしたいというふうに思います。

田村政府参考人 グリーン購入法の基本方針におきましては、今お話しの木質の文房具あるいは家具類を初めといたしまして、公共工事で使用いたしますいわゆる小径丸太材あるいは製材、集成材、合板等につきまして、間伐材の使用等を基準としております。例えば、環境省におきましても、国立公園における標識とか歩道とかさく等の整備におきましても、間伐材を積極的に使用しているところでございます。

 また、国民に対しましても、地方におけるグリーン購入セミナー、これを開催したり、あるいはグリーン購入ネットワークという環境NGO、大きなものがございますが、この活動支援等を通じましてグリーン購入の推進を行っております。この中でも間伐材の使用等を基準とした基本方針についても紹介しているところでございまして、環境教育の観点からも、環境省が実施しておりますこどもエコクラブ、この全国フェスティバル等におきまして、間伐材を利用したワークショップ、こういうものを開催すること等を通しまして、間伐材の有効性について啓発を行っているところでございまして、今後とも、これらを通じまして、間伐材の利用促進をしてまいりたい、そのように考えております。

城内委員 ぜひ環境教育の一環として間伐材の利用促進を進めていただきたいと思います。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。

 先般オオクチバスの問題については、大臣の御英断、本当に敬意を表します。この点については、後ほど宇野先生の方から御質問があると思いますが、私は、生物といってもちょっと違う観点から質問させていただきたいと思います。

 私の選挙区の面積の約半分が山村でございます。中山間地域に住んでおられる地元の方々から害獣の被害について本当によく聞かされます。イノシシとか猿が農作物を食い荒らす、そしてまた、植林した苗木や下草をニホンジカが食い散らかす、また、カワウがアユなどの川魚を食べて困る、こういう声が内水面の漁業者からよく聞かされております。例えば、龍山村というところに白倉地区というところがあるんですが、およそ二千万円かけてさくを周りにずっと張りめぐらしたんですが、それでもイノシシなどの害獣の被害が後を絶たない、そういう状況でございます。

 絶滅の危機に瀕している野生動物の保護はもちろん大切でありますが、そうではない動物、害獣、農業に従事している国民の生活を守るということも大事でございます。各都道府県、市町村における害獣の捕獲を一層奨励するとか、あるいは猟期を一カ月前倒しするとか、積極的な措置を講ずるべきではないでしょうか。

 この点について、地方、特に中山間地域の人々の生活の改善について御理解ある能勢大臣政務官からちょっとお聞きしたいというふうに思いますが、どうでしょう。

能勢大臣政務官 城内先生の御質問にお答えしたいと思います。

 今御指摘のありました、近年、シカとかイノシシ等の鳥獣による全国の農作物の被害額は、約二百億円で推移してきておりまして、その対策といたしましては、今言われたさくなどの防除、それから捕獲などが講じられているところであります。

 捕獲につきましては、農林水産業や生態系に被害を与える鳥獣は、鳥獣保護法に基づき、許可による捕獲が可能となっています。具体的には、都道府県知事が、被害の状況などに対しまして、地域の実情に応じて個別にその許可を与えている現状でございます。

 さらに、平成十一年、特定鳥獣保護管理計画制度を創設いたしまして、イノシシなど著しい増加により農林水産業被害を発生させている種につきましては、地域全体としての捕獲総数の決定、そして狩猟期間の延長などによりまして、都道府県が計画的に捕獲できるように措置いたしております。

 特定鳥獣保護計画につきましては、本年一月現在で三十八道府県で六十二の計画が策定されておりますし、今後さらに十六都府県が策定を予定しているところであります。さらに、環境省といたしましては、計画策定や実施の促進のためのマニュアルの作成、さらに研修などを実施し、支援していきたいと考えています。

 このように、環境省といたしましては、地域の実情を踏まえて捕獲が可能となるよう措置してきておりますが、例えば、今御指摘ありましたイノシシについては年間二十二万頭、そしてシカは十五万頭捕獲いたしております、そして御指摘のありましたカワウにつきましても約一万羽を捕獲しているという状況であります。

 なお、鳥獣被害対策につきましては、このような捕獲のみではありませんで、先ほどのさくによる防除と同時に、鳥獣の隠れ家になっている耕作放棄地のところに手入れを加えながら、ここにも総合的な対策を講じなきゃいけないということで、今後も、関係省庁と連携をとりながら、しっかりとそれについて取り組んでいく姿勢でございます。

 よろしくお願いいたします。

城内委員 前向きな御答弁、ありがとうございました。

 それでは、時間もないので次の質問に移らせていただきます。

 私は、幼少時も含めますとドイツに約十年ほど滞在しておりましたが、ドイツでは、八〇年代以降に、緑の党の躍進もございまして、リサイクルを中心とする循環型社会の形成に向けた積極的な取り組みが行われております。有名なのは、デュアル・システム・ドイチェランド、DSDというのがありますが、その会社がパッケージに緑の点、いわゆるグリューネプンクトというのですが、それを表示して、包装材を回収し、リサイクルしているということでありますが、また同時に、飲料用のリターナブル瓶についてはデポジット制度が相当浸透しているわけであります。ただし、リターナブル瓶については、これを洗浄して再利用するわけでありますから、それに伴うエネルギーの消費、そして水質汚染の問題もございます。

 このような取り組みを我が国がもろ手を挙げて導入すべきかどうかということについては、十分ライフサイクルアセスメントをした上で考えるべきだとは思うんですが、環境省にこの点についての御見解を問いたいと思います。

南川政府参考人 城内委員御指摘のとおり、ドイツは世界に先駆けまして循環型社会づくりを国の基本政策に掲げております。九四年に循環経済・廃棄物法が制定されまして、その後もそれに基づいて、要は包装廃棄物、廃車といった個別品目ごとの制度も設けられております。ごみの減量化、あるいはリユース、リサイクルといった分野におきまして、大変先進的な取り組みが行われております。我が国もこれを非常に参考にしております。循環型社会形成推進基本法はまさしくこれを参考につくられたものでございます。

 御指摘のとおり、具体的な取り組みの中で最も注目されておりますのがDSDの取り組みでございますし、またリターナブル瓶の強制的な導入ということでございます。特に、二〇〇三年に強制的なデポジット制度が発動されまして、それ以降、リターナブル容器の利用率が大変上昇をしたということは、私どもも把握をしております。

 御指摘のとおり、こういう新しい取り組みについて批判もございます。輸入障壁になっているんじゃないかという御批判もございますし、また、デポジットがワンウエーの缶などにかけられる関係から、結果として、リサイクルが可能、リユースが可能と言われていますペットボトルビールがふえたということもございまして、これ自身も実はいろいろ御批判がございます。

 ただ、新しい取り組みでございますので、やはりそれはそれで大変立派な取り組みだということで、私ども、それをぜひ参考にした上で、現在検討を進めております容器リサイクル法の見直しに生かしていきたいというふうに考えております。

 そういったプラス面、マイナス面、そのドイツの制度などを十分参考にした上で、ぜひ来年の国会に新しい制度を提案できるように努力をしたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

城内委員 ありがとうございました。

 それでは、最後の質問に移らせていただきます。

 最近話題になっている廃棄物の処理及び清掃に関する法律等の一部を改正する法律案ですが、大規模不法投棄、廃プラ等の無確認輸出を取り締まるという観点から、私はこれは歓迎すべきものだと思っております。また、産業廃棄物管理票、いわゆるマニフェストの虚偽記載や偽造は、これは本当に論外でありまして、罰則の強化は当然であります。

 しかしながら、他方で、法令を遵守している優良な企業も存在しております。こうした業者に対しては、優良企業の認定証を与えるとか、あるいは通常煩雑な許可更新時の申請等を簡略化するなどのメリット措置を積極的に講ずべきではないかと考えます。したがって、悪質業者と優良業者をちゃんと区別して扱うということが重要だと思いますが、この点について、小池大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

小池国務大臣 産業廃棄物の適正処理というのは大変大きなテーマでございます。

 業界もいろいろでございまして、悪質な廃棄物処理に対しましては規制強化をする、同時に、排出事業者が信頼して処理を委託できる優良な処理業者についてはしっかりと育成をしていきたい、これは極めて重要な課題であるというふうに認識をいたしております。

 そこで、ことしの四月に処理業者の評価制度を創設するということにいたしておりまして、これは三点ほどございます。まず、関係法令の違反で行政処分を受けていないこと、これはまず当然かと思います。二番目には、みずからの施設そして処理実績に関する情報を積極的にディスクロージャー、公開しているということ、それから三番目には、環境保全の取り組みを積極的に行っていることといったような主な三点でございますけれども、処理業者の優良性の判断に係るこういった評価基準を設定いたしまして、この基準に適合する処理業者を広く一般に公開する仕組みを構築していこうと思っております。

 この評価制度が円滑に運用されますように、評価基準や評価制度に関する解説書を作成する、そしてまたインターネット上で情報を提供するということで、優良な処理業者の育成、これは大変重要なことだと思っておりますので、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。

城内委員 大臣、よろしくお願いいたします。

 以上をもちまして、私の質問を終了させていただきます。ありがとうございました。

小沢委員長 次に、宇野治君。

宇野委員 自民党の宇野治でございます。

 きょうは、私の地元、琵琶湖で今大変被害が大きくなっておりますブラックバスについて、小池環境大臣にお伺いをさせていただきたいと存じます。

 昨年の六月に特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律というのが公布されました。それに基づきまして今パブリックコメントをやっているということでありますが、昨年の末から、この法律に基づいてどの生物をリストに上げるかという専門者会議が開かれておったわけでありますが、この専門者会議、魚類なり鳥類なりという、大きく六つの部類があったと聞いております。

 その中に、特に、魚類についてはブラックバスの小委員会というものも設けられて、大きな議論をしていただいたわけでありますが、残念ながら、小委員会の結論としては、六カ月先送りにしようかというような結論が出た。しかしながら、その後開かれました魚類の専門家会合においてはこれを百八十度変えまして、やはりブラックバスは指定をしなければならないという形で、最終、一月の三十一日の全体会合の際、ブラックバス、すなわちはオオクチバスでありますが、オオクチバスを指定リストに入れるということで、三十七種類の対象リストというものが公表されたわけであります。

 今、この指定リストに基づきましてパブリックコメントを三月の一日まで募集をするということで今やっているわけでありますが、この後、終了した後、具体的にどういう形になっていくのか、また、環境省としてはどういう考え方でこの法律に基づいた指導をしていくのか、少しお知らせいただきたいと思います。

小池国務大臣 これまでの経緯について委員の方から御指摘がございました。まさにそのとおりでございます。

 一月三十一日に特定外来生物等専門家会合が開かれまして、こちらの方で、特定外来生物の第一次指定対象にオオクチバスなどを含めて三十七種類の生物が指定をされたわけでございます。それについて現在パブリックコメントを募集させていただいておりますが、と同時に、WTOの通報等の手続を進めるということが手順となっておるわけでございます。その上で、四月下旬ごろに特定外来生物の指定について閣議での決定を得たい、このように考えております。

 法の施行後でございますけれども、特定外来生物につきましては、輸入、売買、そして飼養することに係る規制を的確に実施するということになるわけでございますし、また、必要な地域においては防除の取り組みが進められるようにしてまいりたい、このような流れを考えているところでございます。

宇野委員 ありがとうございます。

 今お話しいただきましたように、今パブリックコメントをやって、その結果を見てまた会合が開かれるということでありますが、私、ちょっと心配をしておりますのが、御承知いただいていますように、滋賀県におきまして、琵琶湖におきまして、琵琶湖のレジャー条例というものを平成十五年に施行させていただきました。私も県会議員という立場でこの条例作成のための協議に入っておったわけですが、このときに、やはり今と同じように公聴会なりまたパブリックコメントなりというものをとっておりました。

 そのパブリックコメントをとったときに、結果でありますが、残念ながら、ブラックバスが有害ではないという反対意見というのが大多数、約二万通あったうちのたしか三%ぐらいしか賛成、有害魚であるということを示すパブリックコメントがなかった、こういうことになったわけでありますが、しかしながら、知事の英断というか、また議会の英断ということで、これはやはりだめだということで指定させていただいて、琵琶湖の条例という形で、今はキャッチ・アンド・リリースの禁止という形で、釣った魚はお持ち帰りくださいということが、おかげさまで県民また琵琶湖での釣り人に周知徹底ができつつあるという状況になっているわけです。

 今回も、今度は国でやっているレベルでありますので、大変な大きな反響があるようなことを聞いております。特に、スタート当初、約一万通が一挙に入ってきたというようなことも聞いておりますし、その中身がどうであるのか、賛成なのか反対なのかはよくわかりませんが、多分、私の思いでは、反対というのが多いんだと思います。

 そういう中で、この結果を見て専門家会合がもう一回開かれるわけでありますが、ここで最終のことで閣議決定等々に持っていく、そのときに、反対票に投じられた数、この数と、賛成の数というものの重みというものをどの程度考えられるのか。

 私は、このパブリックコメントというのは、あくまで多くの意見を聞くということで、数の話ではない、本当に大切な意見であればそれを重視するということは必要だと思いますが、数というものはやはり出てくるのではないかなと思いますが、この数について、環境大臣という立場で、また専門者会議に対して何かお話しいただくことができるのか、お考えを聞かせてください。

小池国務大臣 おっしゃるとおり、パブリックコメントのそもそもの趣旨でございますけれども、行政が意思決定を行う際に、広く国民から有益な意見そして情報をお寄せいただくということにあるわけでございます。今回のパブリックコメントにおきましても、単なる賛成、反対の数の多さで競うものではございませんで、それによって特定外来生物の指定の是非を判断するということは適当ではないというふうに考えております。

 また、一般論でございますけれども、指定に対して賛成される方は、一たん指定ということが既に言われているということで、そこでもうアクションはとらないというケースが考えられるわけでございまして、むしろ反対が多いのかな、琵琶湖の例かなというふうにも思ったりいたします。

 いずれにいたしましても、パブリックコメントにおいて寄せられました有益な意見、情報を十分に踏まえて適切な対応を進めてまいりたい、このように考えております。

宇野委員 ありがとうございました。

 ぜひ、そういう形での指導をよろしくお願い申し上げ、確実に指定ができるようにお願いをしたいと思っております。

 この法律ができて施行されるということになったとき、この法律の目的の中に、農林水産業に係る被害を防止するということをきっちりとうたわれているわけであります。

 まさに、私ども琵琶湖にとりまして、このブラックバス、オオクチバスの漁業被害というものは大変大きくなっている。ちなみに、昭和四十九年の漁獲量を言いますと、六千トン余りあったわけでありますが、昭和六十年三千八百トン、平成十一年二千トン、一昨年二千四百五十トンと若干ふえました。昭和四十九年に六千トン強あったものが三分の一ぐらいになってしまったというようなことで、内水面漁業に対して今大変厳しい打撃を受けているわけであります。

 そういうことからして、県の方では琵琶湖条例をつくりまして、捕獲をする、また釣り人に釣った魚をお持ち帰りいただきたいというような形で、いろいろな施策をさせていただいたわけであります。ちょうど昭和六十年から捕獲事業ということでやらせていただきまして、昭和六十年には約七百五十万程度しか出ておらなかったんですが、平成十一年には四千二百万、平成十五年には一億七千七百万という大きな予算をつけまして、捕獲を進めてきているわけでございます。

 そういう中で、先ほどもお話ししましたように、平成十一年から平成十五年には若干ふえて二千トンから二千四百五十トンと、これが若干の効果があったのかなという思いをしておるんですが、これから施行されて、先ほどお話がありました、防除をやっていかなきゃいけないというお話をいただきましたが、この防除について、やはり、これは釣り人だけにお願いをするわけにもいかないと思うんですが、積極的な対策をとっていかなきゃいけない、予算面でもバックアップをしていただかなきゃいけないという思いでございますが、この件につきまして、環境省また農林水産省の方からも、具体的にどういう予算措置を、とりあえず十七年についてどうなっているのか、お知らせください。

小池国務大臣 一月三十一日の全体専門家会合におきまして、オオクチバスについては「防除をどのように進めていくかについての早急な検討が重要である」というふうに指摘をされているところでございます。よって、施行に向けまして、必要な検討を迅速に進めてまいりたいと考えております。

 予算でございますけれども、この防除事業、今御審議いただいております平成十七年度の予算案では、このオオクチバスのみならず、外来魚全体、それからマングース、アライグマなどに関しまして、全体で約二億円を計上しているところでございます。

 今後、防除の取り組みに当たりましては、農林水産省などの関係省庁とも十分連携をして、効果ある実行をしてまいりたい、このように思っております。

中前政府参考人 農林水産省からお答えいたします。

 オオクチバスにつきましては、現在、国内の在来の魚類やエビなどの甲殻類を捕食することによりまして、生態系とか内水面漁業に悪影響を及ぼしていると指摘されております。

 農林水産省では、漁業被害の軽減を図るために、都道府県それから漁協が行います外来魚の生息状況の調査、駆除などの事業に対しまして支援を行ってきております。

 平成十七年度におきましても、こうした支援を継続することとしておりまして、都道府県の要望を踏まえ、漁業被害の軽減に向けて駆除や防除の対策を推進してまいりたい、かように考えております。

宇野委員 どうもありがとうございました。

 農水省の方も、これは内水面漁業等を守るということで、しっかりとした対応をしていただきたいということをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

小沢委員長 次に、佐藤謙一郎君。

佐藤(謙)委員 おはようございます。民主党の佐藤謙一郎でございます。

 きょうは、大臣所信に対する質疑ということで、主に沖縄の生態系をどうやって守ったらいいか、ジュゴンを中心に質問をさせていただきたいと思います。

 その前に、ちょっと私、大変うれしかったことがこの間あったので、御披露させていただきたいと思います。

 この十三日、十四日の二日間にわたって、私は宮城県の蕪栗沼に行ってまいりました。日本に飛来する十万羽のマガンのうち六万羽が隣の伊豆沼と蕪栗沼に飛来をして越冬する。私も、前日のねぐら入りから、朝早く、氷点下の中で、数万羽のマガンが一斉に飛び立つ姿を見て、本当に感動して心洗われる思いだったんです。

 実は、こうした風景が見られるようになったのは、私は、環境問題をずっと担当してきて、いつも頭の中で悩み苦しんでいた問題に、自然や野生生物の保護と農林漁業者との対立というのが常に頭にあったんですけれども、この宮城県の蕪栗沼は、農業者の方が自然を守っていこう、生態系を守ろうという、そうした先進的な地域で、これは呉地正行さんという雁を守る会の会長が、十年前に、何とか農業者と一緒にやっていこうということで、この蕪栗沼の隣に五十ヘクタールぐらいある田んぼを沼地に戻すということをやった。これは日本でも初めてだろうと言われていますけれども。そして、冬も田んぼに水を引いて、越冬しようとしているそうしたマガンを初め水鳥のえさ場にしていくという、私は、こうしたところから何か日本の未来が見れるのかなという、そんな思いであります。

 この「ふゆみずたんぼ」、冬季湛水不耕起栽培というのは、まさに田んぼをビオトープ化して、ラムサール条約に田んぼごと登録をしていこうという、そういう流れの中に、さらにうれしいことに、これは行政も全面的な支援をしている。堀江さんという町長さんが先頭に立ってこのモデル事業を推進しているわけですけれども、まさに人類の生存の基盤というのは生態系なんだということを強く感じ取りながら宮城県から帰ってきました。

 それからというもの、何か浮き浮きしていて、やはり我々がやらなければいけないことは何かを常に頭の中で感じながら、実は、冒頭、小池大臣に心から敬意を表さなければいけないことがあります。私は余り人を褒めるということはないんですけれども、特定外来種の選定に対して小池大臣のリーダーシップというものを目の当たりに見て、これが政治だという、そんな思いでした。

 実は、所信表明、これは総花的なのはやむを得ない。これは、あれもこれもということですけれども、私は、キーワードは、大臣のリーダーシップ、決断というものが一ページの最初にあると本当によかったな、こう思うんですね。

 今の環境問題というのは、いろいろと複雑に絡み合った利害の中で、ここは官僚にすべてを任せるということの難しさ、困難さを考えると、大臣がよしという決断を持って、リーダーシップを持つことが私はすごく大事なんじゃないかと思うんですね。それが、水俣病の解決と、それからもう一つ、これから後段で申し上げる、沖縄のジュゴンを中心とした生態系をどうやって守るかということなんだろうと思います。その水俣病とこの沖縄の生態系を守る、これを大臣のリーダーシップで実現できたら、私は、確実に名を残す大臣になられると。名を残すということは別にどうでもいいということかもしれませんけれども、やはり日本の将来を救う大きなものになるのではないかなというふうに私は考えております。

 そこで、前ぶれはこの程度として、質問に移らせていただきます。

 一点だけ、特定外来生物被害防止法について、大臣のリーダーシップに私は敬意を表したわけでありますし、また、予算委員会の答弁でも、大臣は生態系を守ることは使命だという強い決意を披瀝していただきました。一方で、きょう、小野寺局長おいでですけれども、事務方では大変いろいろな苦労を克服して積み上げてきた、そうした努力も私はまた多としなければいけません。

 この大臣の決断によって一番危惧されるのはゾーニングの問題。これは国土交通省河川局が、河川水辺の国勢調査、二〇〇三年度にやっておりますけれども、オオクチバスは、調査河川で前回調査比五・三ポイント増の五八・一%、ダム湖で同一・八%増の五五・六%、それぞれ生息域を拡大しているわけです。こうした生息域拡大に対して、私は、広範に分布しつつあるこうしたオオクチバスの実態、防除をどのように進めていくかということが今一番大事なこと、急務ではないかと考えているわけです。

 その中で、ゾーニングの問題が今出てきています。決断をしていい方向に進むと思ったら、結果として、妙な、安易なすみ分けという問題が出てきて、結果としては、半年先送りの方がよかったじゃないかというような結論が出てこないために、環境大臣の実効ある対策に向けての決意と、ゾーニングに関する御見解をお知らせいただきたいと思います。

小池国務大臣 最初に宮城のお話、承りました。

 最近は、農業者の皆様方も、むしろ農業を守るためには生態系を守らなければならないと。例えば、最近、農業をなさる方であるとか、それから、特に漁業をなさる方は、むしろ山へ行って木を植えるというような状況が出てきているというふうに聞いております。

 ですから、目の前のことだけではなくて、全体を考えて初めて目の前のことが生かされるんだということがかなり浸透してきた、そういう時代に今日本は入りつつあるのかな、このように思うところでございます。

 それから、今御指摘のオオクチバスの件でございますけれども、専門家会合の方で、オオクチバスの防除をどのように進めていくかについて早急な検討が重要であるという御指摘を受けているところでございます。そしてまた、今ゾーニングについての御質問をいただいたわけでございますが、確かに生態系というのは大変複雑系でございます。こちらを駆除したら、今度別のものが別の生態系バランスの中で、また違うものが出てくるといったような例も身近にもあったりするわけでございますけれども、そんな意味で、この生態系に係る被害の防止を第一義に考えた上で、今のゾーニングのお話も含めまして、必要な対策を関係の方々のお話も十分聞きながら迅速に進めてまいりたい、このように思っております。

佐藤(謙)委員 ありがとうございます。

 私自身が考えております、このゾーニングが安易に行われないことがよいことだと私は思っておりますが、特定外来生物被害防止法の基本方針にも、今お話がありましたように、生態系に係る被害の防止を第一義にと、こう書いてあります。ぜひとも、そうした基本方針に沿って、これから実効ある対策に向けて大臣のリーダーシップを期待したいところでございます。

 それから、これから本題といいますか、沖縄の生態系に移らせていただきます。

 昨年の二〇〇四年の十一月二十五日に、タイ・バンコクで開催された第三回の世界自然保護会議、これはこの後はIUCNと略させていただきますけれども、日本のジュゴンやノグチゲラ、ヤンバルクイナの保全に対する勧告が出されました。賛成二百五十五、反対二十六、棄権六十六ということでありますが、実は、このIUCN、世界自然保護会議というのは四年に一度行われるわけでありますけれども、四年前のヨルダン・アンマンの第二回会議に引き続いて全く同じ内容の二回目の勧告ということでありまして、大変悲しいことに、IUCNの決議委員会が二回目のこの勧告を議事に取り上げる際に、同種の勧告がアンマンで採択されているが、これまでほとんど進展がないので本会議で検討することにしたとコメントを出しているわけでありますが、大変不名誉なことだと考えております。

 そこで、これは外務省にお聞きをしたいのですが、まず事実関係として、日本政府はこのIUCNに国家会員として参加していると理解していますけれども、それがそのとおりなのかという点。それから、二〇〇〇年十月、今申し上げましたアンマン会議の後、IUCNの事務局長から小泉総理大臣あてに、採択決議の送達と決議内容の早期改善を求める書簡が送られたと聞いておりますけれども、日本政府から何らのレスポンスもなかった、そういう話であります。これが事実であるかどうか、お答えいただきたいと思います。

神余政府参考人 お答え申し上げます。

 国際自然保護連合、IUCNでございますけれども、これは自然保護等の環境分野において活躍をいたしておりまして、国際的に影響力を有しております。日本がこれに加盟することは、日本の環境重視の姿勢を表明するということの一環として大変有意義であるということから、日本政府としては、一九九五年に国家会員として加盟をしております。なお、これに先立ちまして、一九七八年には当時の環境庁が政府機関会員として加盟をしております。これが第一のお答えでございます。

 次に、先生御指摘の書簡は、二〇〇一年十月二十五日付の海上の森、愛知万博の会場近辺の森でありますけれども、海上の森の保全を要請するというシュタイナーIUCN事務局長の小泉総理あての書簡のことではないかと推測をいたします。

 この書簡につきましては、シュタイナー事務局長より、採択された決議、勧告についてこのような書簡を発出するのはIUCNでは特別のことではなく、IUCNメンバーの意向を関係者に伝えるのは事務局長の職務であるという御発言がありまして、これを受けまして、特段総理から事務局長に対して返書を出すということはしておりません。

 ただ、第二回世界自然保護会議の決議、勧告のフォローアップに関する事務局長の報告では、この海上の森の保全を要請する勧告につきましては完全に実施されたという評価を受けております。

佐藤(謙)委員 今、事実関係を伺ったわけですけれども、大体同じ内容の勧告が二大会続けて行われるというのは極めて異例なことで、一九八九年二月と一九九〇年十二月、そのときのIUCNの総会で、石垣島の新空港建設に係る白保のサンゴ礁保護勧告があって、日本政府以外に余り例がない、極めて残念至極なことだと思っております。

 そこで、再び外務省にお聞きをしますが、この内容の勧告と同じ内容の勧告を二大会続けてされたということを政府はどのように受けとめているのか、また、昨年の勧告議決に際して、反対ではなくて棄権したのはいかなる理由なのか、お答えいただきたいと思います。

神余政府参考人 第一の点に関しましては、事務局長のその後の報告におきまして、この問題については満足のいく解決を見たという報告が事務局長から出されております。したがって、それは完全に日本政府としては実施をしたという評価を事務局長の方が与えているということでございます。

 それから、ただいまの御質問につきましては、二〇〇二年の十月のアンマンにおけるIUCN第二回世界自然保護会議では、ジュゴン、ノグチゲラ及びヤンバルクイナ保護のために適切な措置を講ずることが、そしてまた、二〇〇四年の十一月のバンコクにおけるIUCN第三回世界自然保護会議では、普天間の飛行場代替施設の建設予定区域におけるジュゴン、米軍ヘリ着陸帯移設事業予定地におけるノグチゲラ及びヤンバルクイナを保護するために、建設計画の中止の可能性の検討を含む環境アセスメントを行うということなどを日本政府に求める内容の勧告がそれぞれ採択されております。

 政府としましては、これら三種の保全のために、これまでさまざまな調査研究や対策を行い、また、これらの施設の建設に当たっては、自然環境に著しい影響を及ぼすことのないように最大限の努力を行うという方針を既に決定して、環境アセスメントの手続に着手しているところであります。

 こういう政府の方針を踏まえて、二〇〇四年のIUCNの会議の会期中、外務省は環境省とともに勧告案の内容について関係者と協議を行いました。数度にわたり行ったわけでありますが、残念ながら調整が整わなかったため、勧告の採択に当たりましては棄権をしたということであります。この勧告の中に、日本政府がとってまいりましたさまざまな措置や考え方が反映されていなかったということは大変残念でありました。

 もちろん、政府といたしましては、今後とも、これら施設の建設に当たっては、自然環境に著しい影響を及ぼすことのないように最大限の努力を行ってまいる所存でございます。

佐藤(謙)委員 ちょっと確認したいのですが、アンマン会議は二〇〇〇年だと思うのですけれども、今二〇〇二年と言われたように聞いたのですが。

神余政府参考人 私の発音が悪かったのかもしれませんけれども、二〇〇〇年十月でございます。御指摘のとおりです。

佐藤(謙)委員 私の耳が悪かったのかもしれません。その辺は御容赦いただきたいと思います。

 このIUCNの会議では、例えばアメリカの政府代表は、海生哺乳類がわかっている人であったり、一方、アメリカの海洋哺乳類委員会、MMCといいますが、アセスメントに協力する用意があると、非常に前向きな姿勢を出してきているわけでありますが、こうした二大会続けての勧告というのが極めて異例であるということは我々確認しなければいけない。

 その中で、今海上の森の話が出てまいりましたけれども、一方で、こうしたヤンバルクイナ、ノグチゲラあるいはジュゴンといった沖縄の生態系については同趣旨の、今回のバンコク大会の会議での勧告と同様のそうした指摘がなされているわけでありますので、この辺については真摯に受けとめて、この四年間ほとんど手つかずではなかっただろうかというそうした指摘に我々は謙虚に耳を傾けなければいけない。先ほど、ほとんど進展がなかったという、そういう言い方に世界じゅうの世論の怒りというものを受けとめるべきだろうと考えています。

 そこで次に、環境大臣にお伺いしたいのですが、バンコク会議での勧告採決の席上、環境省の代表が、日本の現行法では、環境アセスメントの結果、事業を行わない、つまりゼロオプションの選択があり得る、これは提案団体の発言にはその点に誤解があると発言されたと聞いております。どのような誤解があったと主張されたのか、御説明をいただきたい。

 それからまた、これまで、法に基づく環境アセスメントの結果、事業を行わない、ゼロオプションが選択された事例について教えていただきたいと思います。

小野寺政府参考人 我が国の環境影響評価法においては、事業の実施に伴う予測結果と現況の環境の状況、すなわち、事業を実施しない場合の両者を比較することにより、事業の実施による環境影響がどのくらいあるかを評価することになることから、ゼロオプションを排除していないと考えております。

 昨年十一月二十五日のIUCN総会において、勧告案の提案者であるNGOの代表から、日本の環境影響評価法ではゼロオプションが対象に含まれていない旨の発言がありまして、その点に事実誤認があると考え、環境省から行っていた人間から、日本の現行法でも環境アセスメントの結果、ゼロオプションの選択がある旨発言したものでございます。

田村政府参考人 ゼロオプションが選択された事例があるかどうかというお尋ねでございます。

 環境影響評価法に基づきますアセスメントにつきまして、これまで事業者からゼロオプションを明示した環境影響評価方法書が提出された事例はございません。

 なお、事業を実施するかどうかについては、これはもう委員御承知のとおり、事業者が環境影響評価の結果等を踏まえまして、総合的な検討を行って、そして判断をするわけでございます。事業者の判断によって事業を中止した事例は幾つかございますけれども、ゼロオプションというものを明示したものはございません。

佐藤(謙)委員 私はそこに問題があると思うんですね。安易にその提案団体の発言には誤解があるという言い方をされたわけでありますけれども、現実にゼロオプションを選択した事例が一つもないということは、法自身がまさにその趣旨どおりに運用されていない、私はこれは大変大きな怒りをもってここで訴えたいと思うのですけれども、これはもう誤解であるとかないとかじゃなくて、実態として全くそうした事例がなかった、ないということは、これはたとえ事業者の問題であろうとしても、今の制度そのものに私は問題があるだろうと考えています。

 ここでこの点について争うことはまた別の機会に譲りたいと思っておりますが、ここからいよいよ、昨年十一月の防衛施設庁によるボーリング調査、これは今地元住民の反対を押して強行されているのが辺野古の普天間基地代替施設建設問題でありますけれども、この点についてお伺いをしたいと思います。

 これは言うまでもなく、米軍普天間基地の代替施設の建設予定地、この辺野古の海は、絶滅が危惧される北限のジュゴン生息地として厳正な保護のもとに置かれるべき海であって、また開発等の影響で大規模な崩壊状態、九〇%が破壊されたと言われている沖縄本島のサンゴ礁の中でも極めて順調な再生過程にあるサンゴ礁である。ここは何をおいても保全されるべきであると私は考えております。

 今この現地は、反対派の住民支援者、三百日を超える反対の座り込みをしていて、ボーリング工事が強行されて以降は、足場にしがみついての抵抗をしたり、住民支援者の反対の輪が広がっているわけでありますけれども、この反対派住民からは現場作業員や警戒船の乗員から行き過ぎた暴力的行為があるという訴えが次々に出されています。押さえ込まれた、引きずりおろされた、ダイブ中の者のレギュレーターを引き外したりとか水面に上がってきた者を上から押さえつけるといった、そうした証言が多数あるだけではなくて、海上保安本部が危険回避で介入した事例、昨年だけでも、十一月二十六日、十二月七日、十二月十日と三回のトラブルが報告されて、けが人が病院に運ばれる事例もあると聞いています。

 そこで、ジュゴンの保護対策と環境アセスメントの問題について質問をさせていただきたいと思いますが、実は、ジュゴンと藻場の広域的調査、これは内閣府のSACO関連予算から進められてきたわけでありますけれども、航空機をチャーターして空からの目視調査をするといったことで、これは自然保護団体等からは、最初から移転ありきが前提になっていてアリバイづくりの調査にほかならないと指摘されていたものでありますが、環境大臣に御質問をいたします。

 この三年間にも及んだジュゴンと藻場の広域的調査報告が出され、今補足調査が行われているわけでありますけれども、肝心なのは、調査以上にこれからの保護ということだと思います。今後、沖縄本島周辺海域に生息するジュゴン保護のための具体的な計画の策定とその実施をどのように進めていくのかを明らかにしていただきたいと思います。

小池国務大臣 御指摘のように、環境省では、まず沖縄本島周辺の海域に生息しておりますジュゴンの保護方策の検討に必要な情報、そしてデータを収集しようということで、平成十三年度からジュゴンと藻場の広域的調査を実施してきたわけでございます。

 これまでの調査を通じまして、ジュゴンは、沖縄本島東海岸の中北部と西海岸の北部を主に利用していることなど、はみ跡などを集計いたしましてそういった知見が得られたわけでございます。ただ、ジュゴンの生態に関するデータの収集はいまだ不十分でございまして、現在、保護対策の検討に必要なこういったデータを収集するために、今後とも継続的に調査を実施していこう、このように考えております。

 また、環境省としては、ジュゴンが漁のときの網に混獲された場合、一緒にまじって捕まえてしまった場合などのレスキュー方法の漁業関係者への周知などを行っておりまして、これらを含めて現時点で可能な対策を講じているところでございます。

 さらなるジュゴンの保護対策につきましては、こういった調査の結果を踏まえまして、関係者の理解を得ながら検討してまいりたい、このように考えております。

佐藤(謙)委員 これは、例えば平成十三年三月の参議院の予算委員会もそうですし、これまでの委員会質問での調査中、検討中というのはもう嫌というほど我々は聞いてきたわけで、このまま行って、本当にジュゴンが絶滅するまで、とにかく具体的に検討する、検討するということの羅列なのかと情けない思いをするわけでありますけれども、ここでジュゴンを種の保存法の国内希少野生動植物種に選定すべきだという意見が多く出ています。政府は、今いろいろと大臣から御答弁ありましたけれども、その選定には、生態等の保護対策の検討に必要な情報やデータの収集とともに関係者の理解を得る必要があるということで選定をしてこなかったということであります。

 蕪栗沼で農業者とそれから自然保護をやっている市民グループが一つになったという、私はこれはすごく示唆に富んだケースだと思いますけれども、漁業者とも、現実にはジュゴン・レスキュー・マニュアルを踏まえた実地研修も行っているという現状があって、これは非常にうまく機能していると私も聞いております。

 三年間の調査報告も出されたし、これは政府の主張してきた必要条件を十分に満たしているんじゃないかと思うんですね。ここで、二大会続けての勧告などの低評価をひっくり返すような大臣のリーダーシップというものが求められているというふうに私は考えておりますが、こうした国内希少野生動植物種に選定すべき、こういう時期に来ていると考えている多くの市民の考え方に対して、環境大臣の御認識をお伺いしたいと思います。

小池国務大臣 種の保存法に基づきます国内希少野生動植物種について、特にジュゴンを指定してはいかがかというお話だったかと思いますけれども、指定要件に該当すると考えられる種のうち、その指定に関して関係者の理解が得られたものから順次指定をしていく、そしてまた、その保護のための施策を講じていくという、こういう順番になるわけでございますが、ジュゴンについてはどうなのかという御質問でございます。

 先ほども答弁させていただきましたけれども、現在、必要な情報、データを収集している最中でございまして、加えて関係者の理解を得ることが必要と考えております。

 いずれにいたしましても、今後とも、国内希少野生動植物種の指定に向けては、必要な検討を進めてまいりたいと考えております。

佐藤(謙)委員 非常に残念な答弁で、承服しかねるところがあるんですけれども、特に漁業関係者との連携というのは、私は非常に今うまくいきつつあると思いますし、大臣が督励してそれをさらに進めるという、そういう方向を示していただければ、そう期待をしているところでございます。

 次に、時間が余りなくなりましたので、環境アセスメントについてお伺いします。

 那覇の防衛施設局が県に提出した方法書に関して、沖縄県の環境影響評価審査会が、これは審議にたえ得るような具体的な事業内容が見当たらなかったとして、資料の提出を求める異例な審査を行ったわけであります。結果として、委員の中からは受け取りを拒否したいほどの不備が多いという指摘がありながらも、これを昨年の十一月十九日、県に答申をされたわけでありますけれども、ここで大臣にお尋ねをしたいと思います。

 この方法書の妥当性を審議するに足る基礎データの不備を指摘して、方法書への意見を述べることは困難とした県の環境影響評価審査会の意見は、知事意見に盛り込まれなかった。県知事意見では、これら方法書の不備を準備書に記載すればいいという運用を行おうとしていますけれども、これは法の趣旨から考えて誤った運用ではないかと私は考えておりますが、大臣はどういう御所見でしょうか。

小池国務大臣 環境影響評価制度におけます方法書手続でございますけれども、事業者が、環境影響評価に係る調査などを開始する前に、事業や調査手法などに関する情報をわかる範囲で公表する、そして、地方公共団体、一般の方々、専門家の方々の意見を求めて準備書に反映するという、こういう手続でございます。

 この方法書手続の段階においては、事業についてできるだけ具体的な内容を方法書に記載することが望ましいものでありますが、一方で、事業計画の詳細を記載することは要件とはなっておりません。このため、今回の方法書は要件を満たしたものだと考えております。

 また、方法書手続において、方法書に対して提出されました関係者の意見を踏まえた上で方法を確定することが重要である、このように考えておりますし、また、肝心の事業者であります防衛施設庁におかれましても、この点を踏まえて適切に対応していただけるもの、このように考えているところでございます。

佐藤(謙)委員 これももう少し前向きなお答えがいただけるかな、こう思ったんですが、例えば、県の環境審の津嘉山正光会長は、方法書を出す段階で内容が具体化していないと審議は進まない、熟度に問題があり、出す時期が少し早過ぎたのではないかということ、審議にたえ得るような具体的な事業内容が見当たらなかった、こう指摘しています。法で規定された記載事項は書かれているので、手続上審議しなければならず、差し戻しはできなかったという、そういう言い方をしているわけでありますけれども、この苦渋に満ちた会長の一言を聞いて、やはり私は、環境大臣はもう少し前向きな答弁をしていただければ、そう考えたところでした。

 次に、防衛施設庁おいででございますが、防衛施設庁に、時間がなくなりましたので、予定をしておりました三問を続けて質問させていただきますので、御答弁をお願いしたいと思います。

 第一点目は、方法書に対する知事意見には四十項目への対応が挙げられている、これら知事意見に対する事業者、つまり防衛施設庁の認識はどういうものかをお伺いいたします。さらに、アセスメントの実施方法、準備書作成のスケジュール等についても明らかにしていただきたいと思います。

 次に、施設局は、知事意見の翌々日には環境アセス業者選定手続を開始したと聞いています。環境アセスメントの現況調査会社を選定したとの報道がありますけれども、これが事実かどうか。それから、委託した業務内容を明らかにしていただきたいと思います。さらに、運用する飛行機の種類や飛行回数、施設全容など未記載の状態での現況調査が、あるいはさらに、ボーリング調査工事をしながらのサンゴ礁や藻場の現況調査というのは本当に可能なのかどうか、この点。これが二点目。

 三点目が、方法書について、那覇防衛施設局は閲覧を厳しく規制したと聞いています。コピーもままならないという、そういう対応をとったのは一体どういう考えからなのか。形式手続ではなくて、関係者間の合意形成のための一手段として、科学的根拠に基づく環境アセスメントを広く共通の討議材料とすることが求められていると私は考えますけれども、説明責任に欠ける姿勢と批判されてもおかしくない今回のこうした対応をどう抗弁されますか。この点についてお答えをお願いします。

河野政府参考人 お答えいたします。

 まず、一点目でございますけれども、環境影響評価につきましては、昨年四月より手続を開始しまして、昨年十一月、沖縄県知事から方法書についての意見が提出されております。

 知事の意見には、準備書への記載事項、環境影響評価項目への追加、環境影響評価の調査の手法の追加に関する意見など四十項目にわたっておりまして、私どもは、知事意見や一般の方々の意見を踏まえ、追加すべき手法などを選定し、今後、環境現況調査を実施することと考えております。

 なお、今後のスケジュールにつきましては、環境現況調査の結果を踏まえ、建設工事が環境に及ぼす影響などについて予測評価を行うとともに、環境保全のための措置を検討した上で準備書を取りまとめる考えでございます。

 二点目につきましては、知事意見の提出は十一月二十九日になされておりますけれども、環境現況調査を実施するためには、契約手続や調査機材等の準備等に相応の期間を要するということもあり、去る二月一日に環境現況調査の入札、また、二月七日にその契約を行ったところでございます。

 契約の内容につきましては、大気質、騒音、水質、海生生物、陸生生物等の調査実施に関するもの、これらは、具体的には昨年四月に作成した環境影響評価報告書に記載しているところでございます。施設配置等、現時点で確定していないような事項につきましては、環境影響評価に必要な事項は準備書の段階で明らかにする予定でございます。

 また、同時にできるのかということでございますけれども、環境現況調査は、ボーリング調査海域のみならず、環境影響を受けるおそれがあると認められる地域など、広範な範囲を対象として実施するものでありまして、時期が重なることをもって特段の支障があるとは考えておりません。ボーリング調査海域での環境現況調査に当たっては、それぞれの調査目的に従って、適切なデータを得る観点から、双方の調査時期等を調整するなど、適切に実施してまいりたいと考えております。

 三点目につきましては、昨年四月二十八日に方法書を公告縦覧しているわけですが、私どもは、閲覧者の便宜を図るために、閲覧場所に当たっても八カ所で設置する、また、縦覧期間は法定期間で一カ月でございますけれども、ゴールデンウイークを考慮して三十六日とっております。

 それで、方法書のコピーを希望する方に対しては、方法書の分量が四百ページを超えるということもございまして、多くの閲覧者に効率的に閲覧していただくために、情報公開法の定める手続に従って、那覇防衛施設局においてコピーし配布することが適切であると考えたものでございます。

 今後の手続につきましては、環境影響評価に関係する文書をホームページへ掲載するなど、より多くの方に理解していただけるよう、不断の努力をしていきたいと考えております。

佐藤(謙)委員 時間が来てしまいました。アセス抜きのボーリング調査工事の結果について、県の環境影響評価審査会でも、ボーリング調査をアセス対象とすべきだという、そういう意見があったわけでありますが、こうしたことについての大臣のお考えもお聞きしたかったんですけれども、時間が来てしまいました。また改めて、これから戦略的アセスをどういうふうに検討すべきか等々について議論ができればというふうに考えております。

 私は、大臣のリーダーシップが時代を確実に変えていけるものだということを確信して期待しているものであります。どうかこれからもよろしく御指導をお願いしたいと思います。ありがとうございました。

小沢委員長 次に、川内博史君。

川内委員 川内であります。時間が二十分しかございませんので、大臣には簡潔で明快な御答弁をお願いをいたします。

 まず、昨年の十月十五日、いわゆる水俣病の関西訴訟に関する最高裁判決があったわけであります。その判決の中で、国は、水質保全法、工場排水規制法による排水規制を行うべきであったにもかかわらず、規制権限を行使しなかった不作為は違法であるというふうに判決文の中に書いてございます。

 大臣はこの最高裁判決で示された国の責任というものをお認めになられるか、政府見解をお示しをいただきたいと思います。

小池国務大臣 昨年の十月、水俣病関西訴訟の最高裁判決が出ました。そこでは、国そして熊本県に対して、今御指摘ありましたように、不作為の不法行為の責任を認めるということでございますが、詳細に申し上げると、昭和三十五年一月以降、水俣病の被害の拡大を防止できなかった不作為の不法行為の責任を認めたものでございます。チッソと連帯して賠償責任がある、このように判示されたものでありまして、司法の結論ということで私は厳粛に受けとめているところでございます。

 また、その日に、判決当日に環境大臣談話を表明させていただきました。先生のお手元にもお届けしてあるかと思いますけれども、何よりも、この水俣病を発生させた企業への対応に長期の時間を要したということ、そしてまたその被害の拡大を防止できなかったことということは、これは真摯に反省しなければならないと思っておりますし、またさらに、こういった悲惨な公害を再び繰り返すことは決していけないということで、その決意を新たにしたということでございます。

 また、この訴訟の当事者の方々はもちろんでございますけれども、長年にわたって苦悩を強いられてこられた方々に対しても、まことに申しわけない気持ちでいっぱいであるという、率直な私の反応をこの談話に盛り込ませていただいたわけでございます。

 現在でございますけれども、最高裁の判決、さらには、御承知のように平成七年に政治解決が行われたわけでございます。そういった経緯などを踏まえまして、さらには来年が水俣病の公式確認から五十年という節目に当たるわけでございまして、今、国として何ができるのかできないのか、その検討を鋭意進めさせていただいているところでございます。できるだけ早くその対応案をお示しできるように私としてもしっかり努力してまいりたい、このように思っております。

川内委員 今、大臣は重大なことを冒頭の部分でおっしゃられたんですが、国には不作為の不法行為の責任があるというふうにおっしゃられた。私が聞いたのは、不作為の違法行為を認定されましたねということをお聞きいたしました。不法行為と違法行為は明らかに違う行為であります。

 不法行為を広辞苑で引きますと、これは大事なことですから聞いてくださいね。不法行為は「故意または過失により、他人の権利を侵害して損害を与えること。」これは、損害賠償に直結するのが不法行為ですね。違法行為は「法秩序または法令に反する行為。」違法行為、すなわち損害賠償には直結いたしません。

 私は、したがって、最高裁の判決の中で国は不作為の違法行為を認定されていますねということをお聞きした。それに関して、大臣は、不作為の不法行為の責任がありますということをみずからお認めになられました。政府見解として、これは答弁を確定させていただけますか。不法行為の責任があったということを確定させていただけますか。

小池国務大臣 今、私はもう既に発言をしたわけでございますので、そしてまた判決文をよく理解した上で申し上げているところでございます。

川内委員 それでは、水俣病全体に対して、水俣病の被害の拡大を防げなかったことに関して不法行為の責任があるということでよろしいですね。

小池国務大臣 先ほど申し上げましたように、昭和三十五年一月以降の水俣病の被害の拡大を防止できなかった不作為の不法行為の責任を司法は認めたということでございまして、それを私どもは厳粛に受けとめているということでございます。

川内委員 私がこの間環境省の皆さんと累次にわたっていろいろ議論をさせていただいたところでは、この不法行為の、もちろん水質二法の規制権限を行使しなかったことは違法ではある、しかし、不法行為とまで言えるかどうかは、損害賠償を認定をされた人たちにのみ不法行為を認めますというふうに環境省の事務方の方々はおっしゃっていらっしゃいました。

 大臣は、政府の環境部門を統括する大臣として、判決で損害賠償を認容された人々に対してのみではなく、水俣病全体に対して不法行為があったということでよろしいですね。これは大事ですから、よく考えて答えた方がいいですよ。

小池国務大臣 これは賠償責任ということでございますので、判決はその当事者に限ってのみ対応されるというものでございます。

川内委員 私は賠償のことを聞いたわけではなくて、水質二法の規制権限を行使しなかったことは、水俣病という全体の被害の拡大を防げなかったということに関して不法行為の責任があるんですねということをお聞きしているんです。

小池国務大臣 もう一度申し上げますけれども、最高裁の判決は、国及び熊本県に、昭和三十五年一月以降、水俣病の被害の拡大を防止できなかった不作為の不法行為の責任を認めたものでございまして、チッソと連帯して賠償責任が国にもあるということが判示されたものであって、それをさらに私は厳粛に受けとめているということを先ほどから申し述べさせていただいております。

川内委員 それでは、政府の正式な見解として、水俣病の被害の拡大を防げなかったことに関して国は不法行為の責任があるということで答弁を確定をさせていただいたものと理解をして、次の質問に進ませていただきます。

 そうすると、公健法は国の不法行為を前提とした立法ですか。

小池国務大臣 今回の最高裁の判決で、国とそして熊本県に対しましては、賠償総額の四分の一を限度としてチッソと連帯して賠償責任があるというふうにされたわけでございます。

 また、チッソの賠償責任という観点から見ますと、チッソが賠償額全体について支払い義務を負うというものでありまして、原因企業の負担によって補償給付を行うということとしております御指摘の公健法でございますが、公害健康被害補償法、このような最高裁判決の趣旨と矛盾するものではございません。

 よって、今回の最高裁判決によりまして公健法の前提は崩れたとは私どもは考えておりません。

川内委員 そうすると、公害健康被害補償法というのは、国の不法行為をも前提としていると。国が出してきた法律が、国が不法行為をするということを前提にした法律であるという理解でいいんですか。

小池国務大臣 公健法につきましては、今申し上げましたけれども、前提とはいたしておりません。

 先ほどの答弁でございますけれども、国と熊本県に対して、賠償総額の四分の一を限度としてチッソと連帯して賠償責任はあるとされておりますけれども、しかしながら、チッソの賠償責任という点から、チッソが賠償額全体について支払い義務を負うというものでありまして、原因企業の負担で補償給付を行うということとしています公健法は、このような最高裁判決の趣旨と矛盾するものではございません。そして、今回の最高裁判決で公健法の前提は崩れたというものではない、このように判決が出ました当日から申し上げさせていただいているところでございます。

川内委員 第一問目で、国は不法行為の責任があるとお認めになられました。損害賠償の責任については、原告の損害賠償を認められた方たちにのみの損害賠償の責任であるが、水俣病の被害の拡大を防げなかったことに関して不法行為の責任があるとお認めになられた。

 私は、第二問目として、公健法は国の不法行為を前提としていますかと。それに対しては、不法行為を前提としてはいないが公健法に矛盾するものではないという御答弁であったと思います。前提としてはいないが矛盾はしていない、公健法に矛盾はしていないと。これは私はどうにも理解ができないんですが、不法行為を前提としていない法律、不法行為があった国と公健法との関係。

 そうすると、お聞きすると、大臣は、いや、チッソが一〇〇%悪いんだと。国も県も四分の一チッソにかぶさって責任があると最高裁に言われているんだから、国、県の責任はないと。不法行為の責任はないとあたかも言うかのような御答弁を今されたんですが、責任はあったと冒頭言われたわけですから、公健法と今回の最高裁の判決の関係というのは明らかに矛盾すると私は思いますよ。そう思いませんか、大臣。もう一度答弁してみてください。

小池国務大臣 よくお聞きいただければと思うんですけれども、今回の最高裁の判決は、国と熊本県に対して賠償責任がある、そして、その中身は、賠償総額の四分の一を限度としてチッソと連帯しての賠償責任であるということでございます。

 チッソが一〇〇%、そして、それにかぶさって四分の一、四分の一という御指摘でございますが、そのとおりでございまして、チッソの賠償責任という観点から、チッソが賠償額全体について支払い義務を負うというものでありまして、原因企業の負担で補償給付を行うというふうにしておりますのはこれは公健法でございますけれども、このような最高裁判決の趣旨と矛盾するというものではございません。

 よって、今回の最高裁判決で公健法の前提が崩れたとは考えていないということでございまして、おわかりいただけましたか。

川内委員 それは私には全く理解ができないんですけれども。

 では、別な聞き方をすると、今回の最高裁の判決は、公害健康被害補償法の認定基準、いわゆる五十二年判断基準では認定されない魚介類摂取によるメチル水銀中毒症の公害健康被害者、法令上の水俣病ではないいわゆる水俣病が存在するということを明らかにしたわけであります。

 大臣、では、このことはお認めになられますか。

小池国務大臣 済みません、もう一度お願いします。

川内委員 今回の最高裁判決は、法令上の水俣病ではないが、魚介類摂取によるメチル水銀中毒症の公害健康被害者であるいわゆる水俣病が存在するということを明らかにしたわけでありますが、このことを政府見解としてお認めになられますか。

小池国務大臣 今の整理でよろしいかと思います。

川内委員 今まで政府は、メチル水銀中毒症による公害健康被害者である法令上の水俣病とは呼ばれないいわゆる水俣病があるということをお認めになっていらっしゃいましたか。

小池国務大臣 今回の最高裁の判決、私は何度も何度も読ませていただきました。司法の場合、その判決において明記していること、それからあえて明記していないこと、さまざまございます。ですから、これまでのずっと流れの中からどのようにして私ども判断をするかということでございますし、また、そういったことを踏まえて、今、どのような対応をするかということを政府として検討しているところでございます。

 おっしゃいますように、この最高裁の判決におきましては、メチル水銀中毒被害、中毒ということでこの判決文が書かれているわけでございまして、今御質問のあったとおりだ、このように考えております。

川内委員 今、正式に政府は、今まではいわゆる水俣病というものを認めてこなかったけれども、この最高裁判決によって、いわゆる水俣病というものを認めますというふうになったわけですよね。(小池国務大臣「違います」と呼ぶ)違いますか。では、もう一回答弁してください。

小池国務大臣 今回、これも長い間真剣に議論がされてきた、いわゆる病像論というところに話は行っているのだと思いますけれども、ここにありますのは、判決をもう一度確認させていただくと、「本件で問題となっている病像論は、五十二年判断条件とは別個に、被告チッソ水俣工場から排出されたメチル水銀中毒被害についての不法行為に基づく損害賠償請求事件である」このように述べておりまして、ここでは水俣病という言葉を使っていないわけでございます。

川内委員 もう時間がなくなってしまいますので、私が聞いているのは、では、国が今回の判決を受けて何をしようとしているのかということが見えないために、一生懸命いろいろなことからぐちぐちぐちぐち聞いているわけですね。そして、きょう、大きな成果としては、水俣病の拡大を防げなかったことに関する不法行為の責任はあるということをお認めになられましたし、また、大臣御自身も、これからさまざまな施策を講じてまいります、これはたびたび今までも言われていることであります。

 最後の部分でもうちょっと議論をさせていただきたかったんですけれども、法令上の水俣病とは呼べないが、いわゆる水俣病の皆さんに対する最高裁における判決が下されたというのは、これは、最高裁の判決というのは何か大きな重みを持つそうで、これからさまざまな裁判が引き起こされれば、これは次々に国は敗訴をするということの一つの証拠というか判例になるんだろうというふうに思うわけであります。

 だから、次々に裁判を起こされて、次々に敗訴をされることをお選びになられるのか、それとも、公健法という、私の認識で言えば、公健法の前提というのは国は法令違反がない、不法行為がないということが前提でありますから、しかし、これはハンセン病のときも一緒ですけれども、国の不法行為が判決によって確定をしたわけでありますから、別途の立法措置によって新たな解決策を講じるということが必要ではないかというふうに思いますけれども、今後の、今まで何回も御答弁をされていらっしゃると思いますが、環境大臣としての、政府としての今回の最高裁判決を受けての対処方針をもうちょっと具体的に承って質問を終えたいと思います。

小池国務大臣 大分話があちこちに行ったり来たりしたかもしれません。その意味でもう一度まとめさせていただきますと、今回の最高裁判決は、昭和三十五年一月以降に水俣病の拡大を防止できなかったことについて不作為の不法行為の責任があるということで、三十七名の原告に対して国そして熊本県の賠償の支払いを認めたものでございます。国及び熊本県の法的な責任については、一義的にはこの三十七名に対しての賠償責任、こういう結論でございます。

 しかしながら、今、ハンセン病の話も出されましたけれども、平成七年の政治解決という大きな節目がございます。ここにいらっしゃる先生方も、それに対して、これまでの経過措置についてはもう十分御承知のとおりでございますが、そういった平成七年の政治解決で、過去に公健法の認定を棄却された九千人を上回ります一万二千人をそれによって救済をさせていただいている。そしてまた、今後の対応をどうするんだということでございますけれども、最高裁の判決を行政として重く受けとめた上で、新たな認定申請者が増加をしているということも事実でございますので、そういった現状を踏まえて、救済が必要である方への対応などについて目下検討をいたしているところでございます。

 水俣病の歴史というのは本当に長い長い歴史的なものであり、また、日本の環境行政が、この水俣病をきっかけとして、そういった多くの方々の苦労、涙、それをきっかけとして我が国の公害対策ということを進めてきたことも事実でございます。そういったことから、できるだけ早く、一方で大変複雑な問題を長年抱えてきたということも含めまして、そうそう簡単に案をまとめるわけにはいきませんけれども、むしろここはスピード感を持って私は対応していきたい、そういう思いでいっぱいでございます。

川内委員 終わります。

小沢委員長 次に、田島一成君。

田島(一)委員 民主党の田島一成でございます。三十分の時間をちょうだいいたしましたので、大臣以下、関係の皆様に質問をさせていただきます。

 大きく二つにテーマを絞らせていただき、まず冒頭、外来生物の第一陣リスト選定と今後の方向性についてのお尋ねをしたいと思います。

 冒頭、佐藤委員の方からも質問があり、ゾーニングの問題を指摘されました。私も、大臣のオオクチバスの指定リスト入りについては高く評価をする者の一人であります。佐藤大臣以上に、余り人を褒めない私でありますから、その辺はぜひ深く受けとめていただきたい。しかしながら、一つが解決すればもう一つ、もう二つと視点を大きく広げていこうとするのも、悲しきかな、人間の習性であろうかと思います。そんな中で、一方では、被害が非常に危惧されているセイヨウオオマルハナバチがこの第一陣のリスト選定からは漏れたということを、せっかく大臣が御決断をされたことと矛盾しているんじゃないかなという心配もしたわけであります。

 この際、見送りから一転してオオクチバスの指定リスト入りをしたその経緯、それと、このセイヨウオオマルハナバチが規制種の選定から漏れたということについて、あわせてぜひ御答弁をいただけないでしょうか。

小池国務大臣 オオクチバスにつきましては、利害関係者も含めた小グループでずっと御議論が続いておりました。そこで、利害関係者を含めた意見が出てきたところでございます。その次に、魚類専門の会合が開かれたわけでございまして、そこでは魚類の専門の皆様方が長い間の経験であるとか知見を踏まえて、専門家としての意見を出していただいたわけでございます。そして、一月三十一日には、特定外来生物等の専門家会合で、魚類専門家グループ委員の意見、そしてオオクチバス小グループの報告、双方を材料として議論されたわけでございまして、結果として、専門家会合として、第一次の特定外来生物の指定対象にオオクチバスが加わったということでございます。私は、あくまでも、記者会見の場におきまして、環境大臣である私の考えを申し述べさせていただいたということでございます。

 一方で、セイヨウオオマルハナバチでございますけれども、これはなぜ外れたのかということでございますけれども、これからの適正な執行体制の確保であるとか、それから、いわゆる温室などのところから逃げ出さない防止措置の必要性を農家に普及啓発することなども必要だということでございます。

 それから、オオクチバスが、業界の方々はとにかく三百万人と連呼されているんですが、実際どれぐらいいらっしゃるかはよく存じません。釣りをなさる対象者の数が非常に多いということは、逆に、私、むしろ早くなすべきだと思ったのと、それと反対に、セイヨウオオマルハナバチの方は、それにかかわっておられる方が限定されてくるということで、むしろ先が明確にわかってくるのではないかといったようなことも踏まえまして、これからそういった農家の方々に、教育といいましょうか、お互いにそういったことを理解してもらう、そしてまた代替のものは何があるのかということを考えていただく、そんな時間をむしろ与えていた方がいいのではないかというようなことも判断材料になったことは事実でございます。

 いずれにいたしましても、このセイヨウオオマルハナバチでございますけれども、野外での被害に係ります調査の実施状況、それから農家への普及啓発状況を踏まえまして、できるだけ早く特定外来生物への指定について検討してまいりたい、このように思っております。つまり、今後どうなるのかということも含めますと、今回の第一次リストには入らなかったということでございます。

田島(一)委員 ありがとうございます。

 三百万人という数字、私も正直言ってどこまで信憑性があるのかなという気がしておりました。

 では、その一方、このセイヨウオオマルハナバチを利用されている農家、とりわけハウスでトマト、ナスの授粉関係に御利用いただいている農家の方々はどれぐらいいらっしゃるんだろうかと。当初、通告では、利用状況についてということで、面積であるとかをお尋ねしたいと思っておったんですけれども、農水の方で数字を把握していらっしゃると思いますので、もしわかれば、ぜひ農家の数もあわせてお願いいたします。

染政府参考人 セイヨウオオマルハナバチの利用状況についてお答えを申し上げます。

 セイヨウオオマルハナバチは、約二千七百ヘクタールの野菜の施設におきまして、トマトであるとかナスの授粉作業に利用されておるところでございます。特にトマトにつきましては、栽培面積が約八千ヘクタールありますが、その約三割、二千六百ヘクタールでセイヨウオオマルハナバチが利用されている状況でございます。また、ナスにつきましても、これは施設栽培面積は約二千四百ヘクタールありますが、その四%、約百ヘクタールで利用されておるという状況でございます。

 このマルハナバチを利用いたしますと、労力の軽減であるとか、いろいろなメリットがございますので、これを利用しないような農家につきましては、トマト、ナスの授粉作業につきましては主にホルモン剤を利用しておるというような状況でございます。

 いずれにいたしましても、セイヨウオオマルハナバチは、トマトを中心といたしました施設栽培におきまして、労力の軽減であるとかホルモン剤の代替等に大変大きな役割を果たしておりますので、農業上の利用は極めて重要であるというふうに考えております。

 御質問の農家数については、大変申しわけございませんが、十分把握できておりません。

田島(一)委員 農家の数、三百万人ほどもいないとは思いますけれども、その具体的な数字にあれこれ慌てるつもりはありませんけれども、また何かの機会にお示しいただきますように、後で調べてください。

 実は、私も先週末に、地元のトマト栽培をされていらっしゃる農家のハウスを訪問させていただきました。実際に、このセイヨウオオマルハナバチの利用状況、それからいかにトマト栽培に貢献をしているかというのもつぶさに見てまいりましたし、危うくかみつかれる、かまれるところも経験をしかけました。(発言する者あり)刺すんじゃないんですね、あれ。かむんですね。その辺はぜひ、どういう習性かというのを、やはり大臣、御存じあった方がいいかと思いますね。

 実際に、農家の方々、ハウスも立派なものをおつくりになられていますし、できるだけ逃げないようにしてくれという指導は、地方自治体の普及改良センターであるとか、またそのハチを販売している会社等から指導をしてもらっているように聞きましたが、残念ながら、なぜ逃がしちゃいけないのかというところが十分に行き渡っていない、徹底されていないというふうに思ったんですけれども、そのあたりの指導方法、どのように農水省の方からされているのか、お聞かせいただけませんでしょうか。

染政府参考人 セイヨウオオマルハナバチにつきましては、平成十五年の十二月に、中央環境審議会の答申におきまして、在来種のマルハナバチとの競合等の生態系への影響の懸念が指摘されたところであります。それを受けまして、当該生物の利用に当たりましては、平成十六年三月に「平成十六年農業生産の技術指導について」という通知を発出いたしまして、一つは飛散防止ネットの使用、それと二つ目は使用済みの巣箱の適正処理、これらのことにつきまして、施設外への逃亡を防止するための適切な措置を講ずるよう、都道府県、生産者団体等に対して指導を行っているところでございます。さらに、昨年の七月におきましては、生産者団体や輸入業者に対しまして説明会を開催いたしまして、飛散防止ネットの使用や使用済み巣箱の適正処理などの適正な措置を講ずるよう指導してきたところでございます。

 農林水産省といたしましては、今後とも、こうした指導内容の一層の周知徹底を図ることが重要と考えておりまして、平成十七年度の技術指導においても、引き続き適正使用、適正処理について指導いたしますとともに、輸入業者等への説明会を開催するなど、これは本年の三月一日に開催する予定でございます、そういうことで、引き続き本件に関しまして積極的に対応してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。

田島(一)委員 ハチばかりにかかわってもいられませんけれども、実際、農家の皆さんは本当に認識不足でいらっしゃるなということをつぶさに感じ取る、そんな現地視察でした。業者の方も、なぜ逃がしてはいけないのか、在来種に被害を及ぼすかもしれないという危険性の説明がやはりそれぞれの農家に十分に行き渡っていないという問題点を感じました。

 こうした適正使用の徹底をやらないと本当に使えなくなるという危険性を十分に農水省の方は認識をしていただくこと、それから環境省からもその辺はしっかりと要請をしていただくこと、この点をくれぐれもお願いを申し上げて、次の質問に移らせていただきたいと思います。

 次は、旧日本軍の毒ガス弾についての質問であります。

 折しも昨日、第十一回目を数えます国内における毒ガス弾等に関する総合調査検討会が開催され、引き続き夕方から住民説明会が開かれたというふうに聞いております。

 神栖での調査、随分おくれてのスタートとなり、ようやくここに来て、汚染源等の特定、また住民への説明がなされたというふうに聞いておるんですけれども、この特定ができたのかどうかということと、住民説明会でどのような質問等が出てきたのか。その辺を御説明いただけないでしょうか。

滝澤政府参考人 神栖町の汚染源の特定のことでございますが、環境省といたしましては、一昨年、神栖町で健康被害が発生して以来、閣議了解等を踏まえまして、さまざまな緊急措置事業、あるいは汚染メカニズムの解明に向けまして諸調査を実施してきておりますが、現時点におきましては、神栖町全体の汚染状況についての汚染源は特定できていないというふうに判断しております。

 それから、御指摘の昨日の住民説明会でございますが、どういうやりとりがあったかということでございます。

 重立ったやりとりを申し上げますと、年が明けましてからコンクリートの塊のようなものが出てまいりまして、そこを精査、発掘調査してきたわけですが、その結果が大分出てまいりましたので、それを説明いたしました。

 その塊につきまして、現在の掘削範囲にとどまっているのか、あるいは、もうちょっと横に広がっているのかというような御質問が出ました。また、今やっております掘削の地域からちょっと離れた地域でございますが、B地点における、我々はB地点と呼んでいますが、その調査の状況はどうなっているかというような御質問も出ました。それから、ジフェニルアルシン酸のそもそもの健康影響について、医学的な研究を早く進めてほしいというような質問、意見が出たというふうな状況でございます。

    〔委員長退席、近藤(昭)委員長代理着席〕

田島(一)委員 何か肝心なところをお答えいただいていないような気がするんですけれども、このコンクリートの塊から高濃度の砒素が出たというような数字だとか、本当はもう少し丁寧に御答弁いただくべきじゃなかったですか。

滝澤政府参考人 昨日検討会を開きました、具体的な内容についてでございますが、当初健康被害が発生いたしました、いわゆるA井戸と呼んでおりますが、そこから九十メーター南東の地域にコンクリートの塊が出てまいりまして、一月以降、掘削調査を鋭意進めてまいりました。

 昨日の検討会におきまして、専門家に、調査の現状を中心に御審議をいただきました。その御審議の結果といたしましては、コンクリートのような塊がこの地点での汚染源であるという専門家の検討会の一応結論を得たところでございます。

 しかしながら、この地域での汚染源といわゆるA井戸と称しております井戸の汚染源がどういう関係にあるのかということにつきましては目下不明の状態でございまして、引き続き、地下水のモニタリング調査でありますとか、揚水調査、水をくみ上げまして、いろいろ流動を観察するという揚水調査等も踏まえまして、地下水の流動の解析をさらに詳細に行いまして、このA井戸との関係等に係る汚染メカニズムの解明をしていきたい、このようなことを考えております。

田島(一)委員 住民から出た質問は何だったのかと聞いたわけですから、その質問内容だけで、どういうふうに答えたのかということまではお答えいただけなかったんですけれども、きのう、実は、この質問のヒアリングをさせてもらったときに、この調査結果の資料を私の方にもいただきました。

 この資料を拝見いたしますと、掘削エリアの範囲を十分に越えた、またがったところでこのコンクリートの塊が続いているような、そんな地図がありますね。ということは、少なくとも、このコンクリートのような塊がこの範囲を相当越えているわけですから、まだまだ調査を拡大していかなきゃならないだろうというふうに拝見するんですけれども、どのようにお考えですか。

 それと、この神栖全体としての汚染源は特定できないということですけれども、このコンクリートの塊が、いわゆる汚染源であることは間違いないというふうに理解をしてよろしいでしょうか。

滝澤政府参考人 まず一点目の、コンクリートの塊の広がりについてでございますが、今、矢板で四角く囲って、掘削調査の便宜上そういう形で掘削を進めておりますが、その矢板を取り除いた形で、さらにその広がりについて段階的に少し深めまして、確認をしたいという考え方で対応を検討しております。

 それから、先ほども御答弁いたしましたように、A井戸とこの地域の塊が九十メーターほど離れております。地下水の流動でありますとか、その専門家も検討会に入っていただいておりますが、地下水のモニタリング調査とか、それから揚水調査とか、いろいろな専門的な技法がございます。そういったことを駆使しまして、さらにA井戸との関係というものをきちっと科学的に解明したいと思っておりまして、そうしたことを踏まえて、これが一元的な汚染源なのかどうかという判断も、その後出てこようかと思っております。

    〔近藤(昭)委員長代理退席、委員長着席〕

田島(一)委員 この写真、コンクリートの塊の写真を拝見しますと、何やら空き缶のようなものが写っておりますね。この缶の正体は何なのか。この正体から、いつごろ埋められたものなのか、おおよそ推測ができるかと思いますが、その辺はどのような調査の結果として出てきたのか、御説明ください。

滝澤政府参考人 この地域の関係で、さまざまな、いわゆる地歴調査というものも同時に進めておりますが、特に、その空き缶の話が、今御指摘がございましたのでお答えいたしますと、今回の調査の結果、コンクリートのような塊の中に空き缶が埋め込まれていたものと、それから、別にもう一つ出てきておりますが、その空き缶の、それぞれの製造時期を調査しております。その缶のデザインから、製造年月日が一つは消えておりましたので、デザインからの類推になりますが、一九八九年から九三年に製造された可能性が高いということがわかってまいりました。

 それで、こうしたことを踏まえまして、いろいろ、さまざまな前後の地歴状況等の情報も踏まえて、さらに、この汚染源、こういった塊がどのような経緯でもってこういう状況に置かれたのかということも調査していきたいと考えております。

田島(一)委員 非常に新しい空き缶、コーヒー缶ですよね、これがこのコンクリートの塊の中に入っている。これは明らかな証拠として裏づけることができるかと思うんですけれども、こんな非常に新しい時期に埋められたコンクリートで、また、その中に、いわゆるイペリット、高濃度の砒素がやはり含まれているということは、ほぼこれが大きな原因の一つになっているんだろうなということは私たち素人でもわかるんですが、これを埋めた業者、またこの土地の地権者は特定できているのかどうか、特定できているとするならば、調査をされたのかどうか、その辺の結果をお聞かせください。

滝澤政府参考人 土地の所有者でありますとか砂利採取の業者でありますとか、あるいは、地歴調査によりまして、いっとき生けすの状態になっていたというようなお話もございます。それを埋め戻した業者でありますとか、関係業者は特定できております。その方々に、地歴情報の収集の一環としていろいろとお聞きはしておりますが、現時点で申し上げますと、確実な情報は得られていない状況でございます。

田島(一)委員 相手が特定できるのであるならば、もう少し徹底した調査に本当は入らなきゃいけないと思うんですね。まして、これは見方によっては不法投棄に十分該当すると思うんですけれども、その辺、どうお考えなのか。やり方によっては、警察も含めた強制捜査等に本当は踏み切らなきゃいけない状況にあろうかと思いますけれども、その辺の環境省としての姿勢をお伺いしたいと思います。

滝澤政府参考人 私ども、神栖の関係は、汚染源のメカニズムを解明するという一つの調査でずっとやってまいりまして、ようやく具体的な材料が出てきたわけでございます。

 御指摘のように、さまざまな可能性といいましょうか、こうした状態にどういう経緯でなったのかということの類推可能性というものは想定できるわけでございまして、関係部局あるいは関係省庁、いろいろと連携、情報疎通しながら対応していきたいと考えております。

田島(一)委員 これは、考えてみると、戦後処理から廃棄物の不法投棄まで、非常に大きな課題が浮き彫りにされてきた調査結果だというふうに思います。

 そもそも、この発掘調査、どういう形で行われてきたのか、いろいろな経緯があったかと思いますけれども、環境省が中心となって調査してきた根拠をちょっとお尋ねしたいんです。本調査の根拠となる法令、これは一体何に該当するのか、その辺の整理をもう一度改めて振り返りたいんですけれども、お願いできますか。

滝澤政府参考人 一昨年のちょうど今ごろになりますけれども、健康被害の関係が出てまいりまして、一昨年ですから平成十五年の六月六日だったかと思いますが、最初の閣議了解がなされております。さまざまな被害に遭われた方の緊急措置事業、それから、環境調査をきちっとせよという閣議了解がございました。

 その後、全国調査が行われまして、年末に、十二月でございますけれども、閣議決定がなされまして、いろいろな省庁が関係いたしますので、環境省が汚染源の調査あるいは緊急措置事業、この二本柱の主体になっておりますので、環境省が中心ではございますが、さまざまな省庁が加わった形で、連携してきちっと対応するようにという閣議決定がなされております。

 そうした節々での、政府のそういういろんな決定をいただきながら我々は対応を進めてきておりますので、法律云々というお話もなかったわけではございませんけれども、特定の法律がなくても一応今まで、約二年になりますが、対応はしかるべくできているというふうに我々考えております。

田島(一)委員 昨年、たしか省の方で、国内に遺棄された化学兵器による被害の未然防止に関する法律案という、仮称ですけれども、検討されていて、提出される準備にあったというふうに聞いておったんですけれども、本来ならばこの法案を早急に制定して、これに基づいた形で処理をされようとお考えだったのかなというふうに思ったんですが、これはこの先どういうふうに対応していこうと考えられているのか、お聞かせください。

滝澤政府参考人 若干繰り返しになりますが、一昨年の後半を中心に、与党、野党含めまして、当時この毒ガス問題でのプロジェクトチーム、委員会でいろいろお話がございました。いっとき立法というようなお話がなかったわけではございませんが、その後、その年末へかけての閣議決定がなされたということをいろいろと御説明もしながら、対応について法律という根拠がなくてもできるというような御理解を関係者にもいただいたというふうに私は認識しております。

田島(一)委員 確かに、なくてもできる。まあ、やっていらっしゃるわけですから、いいのかもしれないですけれども、せっかく提出までお考えになられていた、策定の方針で進んでいらっしゃったのに、どうしてやらなかったのかなという疑問がいまだに残っております。

 何かほかに理由があるのかとせんさくしたくなっちゃうんですけれども、もう一度ちょっと丁寧な御答弁いただけませんか。

滝澤政府参考人 ちょっと実務的な話になって恐縮でございますが、提出の予定があったと田島先生おっしゃる意味は、政府が法案提出する際に、いろいろなランクづけをして、まだ提出するかどうか判断が煮詰まっていないけれども一応エントリーしておこうというような形の中に、この毒ガスが確かにエントリーされておりました。今申し上げましたのは、年末にかけまして閣議決定がなされるという状況にあったことと、それぞれ、当時の与党の関係の方々にも当然我々相談しながら、法案の提出の是非についても議論しながら、当時最終的に判断したという状況でございます。

田島(一)委員 ぜひ法律で何らかの形を根拠として、これからの調査をやはりさらに深めていただきたい、そんな思いでおります。このあたりはしっかりと受けとめていただきますように、心からお願いをいたします。

 時間がない中で、随分中身のある話を申し上げてきましたけれども、実際に今回のこの調査の結果を踏まえると、おおよそその結論めいたものが見えてきたような気がいたします。埋め立てをした業者、また地権者等々へまだまだ積極的に働きかけ、調査をしていくこと。それから、それが果たしてどのような影響をこれから及ぼそうとしているのか。また、汚染源も、A地区、B地区の違いであるとか、まだまだ課題が多いように思います。とりわけ、警察を含めての強制捜査等に踏み切ろうと思ったときには、時効等の問題等にも大きくかかわりがあるだろうというふうに思います。相当なスピードと覚悟でやっていかないと、単に旧軍の毒ガス問題だけではなく、廃棄物問題など範囲が広うございますから、かなりの真剣な取り組みをしなければならないと思うんですけれども、この神栖に端を発した毒ガス問題、どのような姿勢でこの先臨もうとお考えなのか、大臣、お考えをお聞かせいただけないでしょうか。

小池国務大臣 住民の皆さん方は、汚染原因がわからない、その上で健康上いろいろと不安が出てくるということで、これまで大変お困りだったと思います。これまでも幾つかのボーリング調査をしてきて、今回、コンクリートの塊が出てきたわけでございますけれども、引き続き環境省として汚染源の解明に向けた調査を進めてまいりますし、また、体に不安を訴えておられる方々に対しては、治療法などの解明も含めた健康被害にかかわります緊急措置事業を着実に実施していくということでございます。

 だれが、どういう目的で、どうしたのか、これからまた引き続き調査を進めてまいりたい、そうやって原因をより明らかにすることが地域の皆様方の期待にこたえられるものであろう、このように考えております。

田島(一)委員 ありがとうございます。

 しっかりとした、また早急な対応を心からお願い申し上げ、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

小沢委員長 次に、鮫島宗明君。

鮫島委員 与党の出席者が少ないのが若干気になりますが、時間ですのでやらせていただきます。時間が限られているので、答弁を簡潔にお願いしたいと思います。

 初めに、小池大臣を初めとする歴代の環境大臣、関係者の方々の御努力で、二月十六日から京都議定書が発効することになって、御同慶の至りというか、これで長年の皆様方の御努力が報われたということで、私も大変うれしく思います。けさから何人かの方々が同様の趣旨の発言をしていますが、ある意味では文明の転換とも言える大きな出来事ではないかというふうに思います。

 もう今や、水と安全はただだと思っている人はいないと思いますが、まだ大部分の人は空気はただだと思っているようですが、二月十六日から実は空気もただではなくなった。近い将来、環境省認可で温暖化ガス取引業などというのもできるかもしれない時代に入ってきたというので、感慨はひとしおですが、ぜひ大臣にも頑張ってもらいたいと思います。ちょうど京都議定書が発効するときの大臣として、小池百合子の名前は歴史に残るんだと思います。かつて、歴史に残ることに非常にこだわっていた政治家がいて、歴史に名前が残った途端におやめになった総理大臣の経験者もいましたが、ぜひ、そういうことのないように頑張っていただきたいと思います。

 初めにちょっと確認なんですけれども、いつもこのことで聞かせていただいていますが、森林吸収三・九%というのが大変大きな意味を持つわけですけれども、科学的にいえば、日本の森林の二酸化炭素の吸収量は一九九〇年に比べて二〇一〇年は少なくなる。科学的にはそうなんだけれども、議定書上、特別に削減枠として使うことが許されている。ですから、科学的には九〇年より二〇一〇年は吸収量が減るんだという御認識はお持ちでしょうね。

小池国務大臣 国会でも、日本の社会の高齢化ということで、年金問題など取りざたされておりますけれども、森林の方も高齢化ということと無縁ではないわけでございまして、九〇年に比べますと二〇一〇年のレベルになると吸収量が少なくなるということは承知をいたしております。

鮫島委員 そのことはもう、やはり日本人としては、こういう吸収源の枠を特別に使うというのは、科学的には本当は逆なんだということはわかった上で常に論じる必要があるというふうに思います。

 京都議定書が発効したわけですが、二酸化炭素六%削減の目標というものは本当にできるのかどうかと、多くの方は不安に思っていると思います。二〇一〇年だとすると、あと五年しかないわけです。この約束期間というのがよくわからなくて、よく二〇一〇年までにこれだけという言い方をしますが、約束期間というのは一方で二〇〇八年から二〇一二年というふうになっていて、二〇一〇年の瞬間値でいいのか、あるいはこの五年間の平均をとるのか、あるいは約束期間の最後に滑り込んで六%ならいいのか。その辺はどういうことなんでしょうか。

小島政府参考人 京都議定書に基づきます日本の削減義務は、二〇〇八年から二〇一二年までの五年間の総量で判断をいたします。

 それで、現在作業中の計画で二〇一〇年を目標年としているのは、これはその五カ年の間の中間年でありまして、その五年間の平均で何トン、そういう目安であらわしているものでございます。

鮫島委員 はい、わかりました。

 それから、もしこの五年間の総量が目的量を超えた場合のペナルティーというのはどうなるのか。金を払えばいいのか。あるいは第二約束期間に持ち越されるのか。あるいは金を払ってさらに持ち越されるのか。どんなパターンなんでしょう。

小島政府参考人 このことにつきましては、二〇〇一年のCOP7におきますマラケシュ合意で合意がなされております。いろいろな議論がございましたけれども、京都議定書の目標が達成できなかった場合の措置としては、金銭を払うということではなくて、排出超過分の一・三倍、三割増しを次の約束期間の排出枠から差し引く、あるいは遵守行動計画を提出する、それから、排出量取引による売却が制限をされるというようなことが合意をされております。

鮫島委員 いずれにせよ、達成しないとかなり深刻なことになるということがよくわかりました。

 その六%削減が達成できるかどうか。特に私、個人的に不安に感じるのは、産業部門と、民生部門の中の家庭部門。今、京都議定書の目標達成計画を、多分きょう審議会で承認されるのかというタイミングだと思いますが、朝日新聞の二月十九日に割合詳しくその内容が出ていまして、それによると、産業部門で、一九九〇年に比べて八・六%減の二億三千五百万トンにしてくださいと。それから、家庭については、現在既に九〇年に比べて二八・九%ふえているわけですが、これを六%増というところまで抑えてくださいと。

 初めに産業部門についてお伺いします。日ごろから、もう絞っても一滴も出ないというようなことを言っていますが、産業部門で八・六%減という目標が、今、省エネ法である種のインセンティブがかかっていると思います。もう一つは経団連の自主行動計画。この省エネ法と自主行動計画だけで目標が達成できるというふうに経済産業省はお考えでしょうか。簡潔にお答えください。

深野政府参考人 今御指摘がございましたように、産業界の数字も含めて、目標達成計画の基礎になる数字は審議会の方で本日検討することになっております。

 産業界につきましては、現在、二〇〇二年で九〇年比一・七%の減というのが実績でございます。まだその目標までには差があるわけでございまして、これにつきまして、経団連の自主行動計画をちゃんと着実に実行する、さらに、省エネ法、それから省エネ機器の導入促進といったことを進めることによりまして、目標達成ができるんじゃないかというふうに私どもは考えております。

鮫島委員 省エネ法と自主行動計画だけで目標達成できますかと聞いて、ほとんどそれしかないようですが。

 では、別な聞き方をしますが、経済産業省としては、産業部門全体で環境税の導入がなくても数字の達成が可能というふうにお考えなのか。

深野政府参考人 これも政府全体で目標達成計画の中で議論していく点だと思っておりますけれども、私どもといたしましては、産業界について、さらに努力をしてもらう、それから、今エネルギー需要あるいは二酸化炭素の排出量がふえております民生、運輸部門につきましても、今後、省エネ法などによりまして対応を一層強化する、こういったことによりまして、国民、企業に新たな負担を求めることなく実効ある温暖化対策を講じていくことはできるんじゃないかというふうに考えております。

鮫島委員 ちょっと、イエスかノーかで答えてほしいんですが。産業部門のことを聞いたんですよ。産業部門の、今語られているところによるとマイナス八・六%という水準は、環境税の導入がなくても達成可能というふうにお考えですかと。イエスかノーかだけで。

深野政府参考人 導入がなくても達成できるんじゃないかと考えております。

鮫島委員 今度は環境省の方にお伺いします。

 家庭部門というのが非常に把握しにくいと私は思います。今、経済産業省の方でも、民生部門、家庭部門とか、そういう方で努力すべきだと。確かに非常に数字が上がっていて、二〇〇三年の速報値ですが、業務その他の部門というので三六・九%。家庭の部門は二八・九%もふえているので、確かにここのところは、絶対量としては産業部門よりはるかに少ないけれども、伸び率が高いので、どうやって抑えるかは苦労するところですが。

 この家庭のところを、二八・九の実測値を六%まで抑えるというのは大変難しいんだろうと思いますけれども、地球温暖化対策推進本部では、食器洗い機を導入しなさいとか、それから、テレビ番組をよく選んで、一日一時間テレビの利用を減らしなさいと。多分、与党の代表質問なんか見なくていいという意味かもしれませんが。それから、洗面所の節水、歯を磨いているときに水を出しっ放しにしないとか、家族が同じ部屋で団らんして、暖房と照明の利用を二割減らすというような。私も年ごろの娘がいますが、家族団らんで、最近彼氏とうまくいっているかと言うと、関係ないとかと言われて、大体五秒で団らんが終わっちゃうんですが。

 こういう大変家庭に踏み込むような話の努力目標というのがあるんですが、これは見通しはどうなんでしょう。この家庭部門の、今二八・九を六まで抑制するというのは。

小池国務大臣 私も環境大臣として各地へ回らせていただいて、電気消してください、プラグを抜いてください、トイレのふたを閉めてくださいと、いつも細かなことまで申し上げております。これはまず、一種、ライフスタイルをもう一度見直してくださいということの具体例として申し上げているのと、国民一人一人が心がけていくと、一億二千万の総数は、これはばかにできないなという思いで言っているわけでございます。ただモラルだけに頼るということには限界もあろうかと思っております。

 そこで、家庭部門の効果的な温暖化防止対策として、トップランナー基準によりますエアコンなどの家電製品の省エネ性能の向上であるとか、高効率の給湯器などの導入を促進したり、また、我が国では、北の北海道などを別にして、まだまだ二重ガラスが普及していない、樹脂サッシなども住宅の断熱性を向上させるという意味で、これも効果がある、さらには住宅用の太陽光発電の導入、こういったことが既に進められてきている項目でございます。

 そういった項目をさらに実効性を確保するという観点から、環境省の方では、地域でこれらをまとまって行います二重ガラス、樹脂サッシ、小型風力発電システムなどの導入に対して、補助制度を平成十六年度から開始をしているところでございますし、また、消費者に対しては、省エネ性能の高い家電製品への買いかえを促す、普及啓発なども精力的に努めさせていただいているところでございます。

 また、二酸化炭素を削減するモデル的な住宅の普及拡大ということで、先ほど申し上げた幾つかの項目をセットで、例えば、建てかえをしますとか、そういった住宅の購入者に対しての補助事業、これは今回の予算案の方に盛り込ませていただきました。

 御指摘のように、全体でのポーションは少ないですけれども、家庭部門の対策の実効性を上げるというのは大変重要なことでございます。また、啓発ということ、皆さんに参加を促すという意味で、春以降にも大規模な国民運動を展開いたすことによって家庭部門対策の実効性を上げる、このように考えております。一言で言えば、あらゆる施策を盛り込んでいきたい、このように思っております。

鮫島委員 今いろいろ項目を挙げていただきましたが、それぞれの項目の効果ですね、項目別の目標値というようなものが示されていないものだから、今言ったような項目だけあって、それがどのぐらいの家庭に普及したらガス量としてはどれだけ減りますというような、項目別の一覧表がないものですから、非常に不安になるんですが、この項目別の目標一覧表というのはいつごろ示されるんでしょうか。

小島政府参考人 御指摘のとおり、どの部門でどれだけ下げるというようなことを、ある意味では対策の土俵について、きょう審議会で御審議をいただきますが、それを実現していく具体的な施策、今おっしゃいましたように、どの施策でどれだけ減らしていくかということが明らかになって、それが、だれの目にも明確で、チェックができる、進捗状況もわかる、削減状況もわかるという対策の効果、施策の効果ということがわかるような仕組みにしていかなければならないと思っております。

 そのことにつきまして、現在、各省庁でも作業をしておりますが、スケジュール的には、対策の裏づけとなる施策も含めて三月末までに京都議定書目標達成計画の案を取りまとめて、国民にお示しをして、御意見を伺いたいというふうに思っております。

鮫島委員 三月末までに項目別の目標達成計画が示される。そうすると、それに基づいて初めて新たな財源がどのぐらい必要かというのが、それから多分出てくるんだと思いますが、その新たな必要とされる財源もほぼ三月末ぐらいに出てくるというふうに考えていいんでしょうか。今、既に平成十六年度でも総額で一兆二千五百八十六億円、温暖化防止を直接の目的とする分だけでも二千八百六十六億円の予算が一応計上されて使ったことになっていますが、これは、新たな財源、全部でどのぐらいの経費がかかるかというのは、この三月末ぐらいに出るというふうに考えてよろしいんですか。

小島政府参考人 予算は単年度主義でございますので、単年度の予算の削減効果というものについて今各省庁でも作業しておりますし、その数字は今整理をしているところでございます。

 御指摘の、二〇一二年まで対策を講じるわけでございますが、それにかかる費用がどれだけか、そのトータルでございますけれども、その作業を、それを計画にお示しするということはできないかもしれません、これは予算の単年度主義ということでございますので。しかし、それで幾らかかるかという数字をできるだけ出して御議論をいただく必要があるかと思っております。その作業も、現在鋭意進めているところでございます。

鮫島委員 小池大臣は所信表明の中で、環境税は有力な追加的施策であると考えるという記述がありますが、今その財源が確定していない中でいきなり環境税という話は順序が逆で、先ほど経済産業省の方は、産業部門は環境税の導入がなくても達成可能だと思うという話がありましたが、小池大臣の方は、環境税の導入がなくても京都議定書の目標達成計画に基づく目標は達成できるというふうに考えていますでしょうか。

小池国務大臣 環境税につきましては、いわゆるCO2の排出の削減ということに対して、まず負荷をかけるということでございまして、幾らかかるからその分の税収を幾ら稼いでくるというような発想には立っていないということでございます。

 その意味で、基本的な予算との整合性などの御指摘ではございますけれども、環境税の最大の目的は、まず価格インセンティブを導入することによって温室効果ガスそのものの削減を図る、そしてまた、アナウンスメント効果など、そしてまた、最後には税収を活用する、総合的な判断での環境税として盛り込ませていただいたところでございます。

鮫島委員 去年の十一月に環境省が環境税の具体的な姿というので出した説明書の中には、むしろ環境税の効果は、税をかけることによってエネルギーの使用量が減るという直接的な効果よりも、そのお金を省エネ対策等々に使うことによって出てくる、削減されるCO2の方がはるかに多いような見通しの説明ペーパーだったと思いますが。

 いずれにせよ、まず、項目別の目標達成計画を出して、財源がどのぐらい要るかを国民に示して、その財源をどうやって調達するかということがあって、環境税という話は、私は最後に出てくる話だろうと思いますよ、これからいろいろな、年金や福祉の方で国民に負担をかけなくちゃいけないときに。いきなり最初から、初めに環境税ありきみたいな議論は、私は、おかしいんではないか。

 だから、財源が幾らか確定した段階で、本当にそれがないのかどうか。土地改良法というのは昭和二十四年にできて、いまだに走り続けている。道路整備緊急措置法は昭和二十九年にできて五十年以上、まだ緊急措置をやっている。そういう戦後復興型、開発途上国型の公共事業が十五本、日本列島を暴走しているわけですけれども、そういうところを見直せば幾らでも出てくる話ですし、エネルギー関係諸税と言われている揮発油税、石油ガス税、石油石炭税等々四兆五千億ぐらいありますから、見直せばこういうところからも環境税は出てくるわけです。

 その意味では、文明が変わったんだ、いつまでも戦後復興型の、開発途上国のような公共事業をやっているんじゃないよと、もう今や空気もただではないんですよという意味では、大幅な予算の組み替えがあって、こういうところに、いきなり環境税という話にならずに、まずは本当に財源がないのか、エネルギー関係諸税もよく検討して、あるいは特定財源なんかも検討して、国民に提案しないと、いきなり全員に税金を払いなさいということでは、僕は納得されないと思いますよ。

 ましてや、いきなりそれを、先ほど言った、一番最初に確認した、怪しげな森林吸収対策に直接環境税を流して、全部森林の作業に使うというようなのは全く通らないと思いますし、私たちは、森林は森林で、きちっと地に足のついた森林管理の予算を組むべきだし、森林吸収は一回しか使えないわけですから、こういう一過性の、麻薬みたいな金に頼るべきじゃないという考え方です。これはまた、環境税の論議は多分今後もさせていただくと思いますが、初めに環境税ありきではなくてお考えをいただきたいというふうに思います。あと五、六年しかない中でこの達成ができるのかどうか、非常に危うい感じがするんですが。

 私はヨーロッパの国はなかなかうまく、EUはうまくやっていると思って、俗に言うキャップ・アンド・トレード方式。これは、各事業所ごとに、あなたの事業所はこれだけ出してもいいですよという枠を与えて、それをクリアすればというか、それより少なければその枠を売ることもできる、ところが、それを超えたら、罰金を払うか政府から枠を買わなければいけない。それを今一万二千の事業所で、全部その排出量を決めて、排出枠を与えて、これでEU全体の排出量の四五%をカバーするぐらいの事業所ですが、こういう方式でやると、予算は一円もかからないんですよね。政府は排出枠を与えて、オーバーすれば罰金を取ればいいし、あるいは罰金を払うのが嫌だったら政府から枠を買えばいいし。今、取引されているのは、EUでトン当たり七ユーロですから、約千円で排出枠が買えます、政府から。もしオーバーして、ペナルティーの方が五千四百円ですから、それは全員この枠を買うわけですよね。だから、ペナルティーを払おうが枠を買おうが、いずれにせよEUの政府はもうかるようになっている。これは、私はなかなかEU的な知恵だなと思います。

 ところが、これを、各事業所に、おたくはこれだけよと決めるのは、日本ではなかなかできない。冗談じゃない、そんなこと政府で決めないでくれと。これは日本の政府が信用されていないことのあかしだと思いますね、あるいは経済産業省にそれだけ業界をコントロールする、説得する力がなくなった。本当は、こういう、排出枠を一応決めて、御努力くださいというやり方が家庭でも必要なのかもしれないなというふうに私は思います。

 今、大体日本人一人当たり年間十トン出していますが、人間の数でいうと二十五人分のCO2を一人が出していますよね。これは全活動ですから。では、家庭ではそのうちの三分の一の三トンぐらい出していいですよ、四人家族だと年間十二トンですね。これを超えたら罰金を払わなくちゃいけないし、下回れば減税されるというようなことがないと、一生懸命環境調和型の生活をしようと思っている人にメリットがないんですね、今の仕組みだと。ただテレビの時間を一時間減らしなさいとか、歯磨きのときに水とめなさいとかということを言われても、メリットがないので、もうちょっとこの辺は工夫が要るし、EUの仕組みを私は大いに参考にすべきだと思います。

 ただ、少し希望が持てるかなというのは、今度環境省の方でも三月に、事業所からの温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度というのを、今法律をお考えだそうで、これはどのぐらいの事業所をカバーしようとしているのか、あるいは日本の産業部門の総排出量のどのぐらいをカバーしようとしているのか、今の段階で予告的に言えることがあれば聞きたいんですが。

小島政府参考人 今考えております排出量の算定・報告・公表制度というのは、工場だけでなくて、ビルでありますとか、あるいは運輸業も含めていわゆる企業活動の、今度省エネの方も拡大いたしますけれども、そういう部門にわたってそれぞれの企業あるいは事業所から出している温室効果ガスを算定していただく、これは、エネルギー起源CO2だけではなくて、六種類のガスについて算定をしていただくということになっております。そういう設計をしております。そういう意味では、工場だけでなく、広いわけであります。ただ、家庭はさすがに小さいので、その対象にはしておりません。

 これによりまして、現在の省エネ法で確保しております、企業数にして、ちょっと小さいものも入りますので、五〇%強、二倍ぐらいの事業所がカバーできるのではないかというふうに思っております。

鮫島委員 これが第一歩だと思いますね。各企業、事業所がいろんな活動で現状どれだけCO2を出しているのか、まずその数字を法律で報告を義務づけて、それを基礎にしてある種の排出枠を、三%減なのか四%減なのか、少し努力目標を加味した排出枠を与えるというのが一番有効に持っていく手だてだと思います。そういう意味で、なるべく多くの排出量をカバーするように頑張っていただきたいというふうに思います。この法律が出てくることを待っています。

 あと四分ぐらいなんで。

 皆さんのところにエネルギーのフローの図が配られていると思いますが、これは、前に東大工学部にいた平田先生がライフワークとしてずっとやっておられる仕事で、今芝浦工業大学にいますが。この絵は、一見簡単そうで実は大変な力作でして、あらゆる分野におけるエネルギーの損失と有効利用を合算してつくるので、この裏には膨大なデータがあるわけなんですが、これで見るとわかるように、一九七五年と一九九八年を比べていただくと、エネルギーの供給総量は四割増しぐらい、一・五から二・三というふうに大変ふえていますが、大事なのは、全損失と有効利用エネルギー、この比率が、損失六三、有効利用三七だったのが九八年になっても一向に改善されていない。六六、三四で若干悪くなっている。

 日本は、省エネ先進国と言われていますが、実は省エネ機器先進国で、社会システムとしての省エネという意味では非常におくれている。これは多分戦前からの構造に由来するんですが、電気は電気、熱は熱、電力会社は電気だけ供給します、ガス会社は熱だけ供給する、こういう別々の供給方式をとったために非常に損失量の多い構造になっている。例えば電気で、高圧の蒸気で回すときも千度以上の温度があって、出てきたってもう六、七百度あるわけですから。ところが、電気事業者としては電気だけで結構だといって、この熱は全部捨てちゃうわけですよ。ガス会社は本当はガスの火でタービン回しても発電できるんですが、発電しないで、いきなり熱だけ使っちゃう。この構造が日本の一番の弱みで、これに切り込んでシステムとして直していかない限り、本当の省エネなんかできませんよと。それがその下に書いてある参考図です。有効利用のエネルギーを四五%、損失五五%になった場合は、全体の供給総量は一九八〇年レベル、七五年が一・五に対して一・七ですけれども、この効率を上げるというのがいかに大事かということをこの図は示しているんですが。

 今急速に熱電同時供給の機器が普及しつつあります。もちろん燃料電池型の熱電同時供給装置もあれば、ガスのもあるし、ガソリンのもありますし。そういう熱電供給装置を普及させていく。そのために一番エネルギーとして使いやすいのは、私が前から言っているように、天然ガスなんですが、日本は、世界平均から比べても一次エネルギーの一二・五%、先進国の平均が二〇・七ですから、非常に少ない。そういう天然ガスのシェア、将来的にはそれも水素をまぜていくことになりますが、そういう天然ガスのシェアをふやして、今や日本が世界一と言われているさまざまなコジェネ、熱電同時供給の設備を普及させることによって、効率が二対一で、六割、三分の二捨てちゃっていたのが、半々ぐらいに近づいてくる。特に今ナショナルとかホンダとか荏原とかいろんな会社がつくっている熱電供給装置の平均のエネルギーの利用効率は六五から七〇%ぐらいですから、そういう熱と電気を電気会社とガス会社がばらばらにやっていた構造をどうつくり変えるかというところに切り込まない限り、私はなかなか本当の意味での六%削減は達成できないんじゃないかと思います。

 水について一言言いますと、水はとんでもないことになっていて、一九七七年に水道法が改正されてから、水道の事業者というのは全部で一万四千日本にあるんですね。電力は十社、ガス会社は二百三十社、水道がなんと一万四千、電気、ガス、水道とだんだんふえていくんです。それぞれが簡易水道も含めて地域独占でばらばらにやっていますから、渇水期対策というのをやっているので、日本全体だと二割ぐらい余っていて、七〇年代に立てた、人口も思ったほど伸びない、水の利用もいかない、しかし、計画は立てたんだからやるぞというのでどんどんダムをつくって、今、東京都は毎日約百万立米の水を捨てていると言われています。それから横浜市も三十万立米捨てている。大垣市は、余計なダムをつくったものだから、水道料金が九十円から一気に四百円に上がって、今住民と当局が裁判しているというような漫画みたいな話になっているんですが。

 システムとしてもばらばらに、地域独占で、水源確保みたいなことをやっているから、非常にむだが多くて、浄水場も空回りしている。だから、歯を磨くときに水をとめなさいと言うよりも、こういう仕組みそのものを直していくことが私は温暖化対策の急所だというふうに思いますが、最後に大臣の御意見、コメントをいただきましょう。

小池国務大臣 もっとシステマチックに、そして効率をよくやっていけということ、私はもうそのとおりだと感じております。

 特に、最後の水の部分などは、二十世紀は石油の世紀と言われていましたけれども、地球全体で見ると、二十一世紀、実は水の世紀なのではないかな、こんな感覚を持っているところでございます。また、少資源国日本ということを踏まえまして、今おっしゃいました点なども日本が率先してやるべきことはたくさんあるわけでございますので、しっかり対策を、総合的にまた中長期的に取り組んでまいりたい、このように思っております。

鮫島委員 ありがとうございました。以上で終わります。

小沢委員長 次に、石田祝稔君。

石田(祝)委員 公明党の石田祝稔です。最後になりましたので、よろしくお願いをしたいと思います。

 皆さんお触れになりましたが、二月の十六日に京都議定書が発効いたしまして、まさしくゴールというよりはスタートだ、こういうふうに私も思っております。そういう中で、まず、大臣の所信の文章の中、本文の中で、何点かお伺いをいたしたいと思います。

 今回、読ませていただきまして、また大臣の直接のお声も聞いたわけでありますが、その中で、社会経済のあり方、ここを大転換するんだというところが二カ所この中で出てまいりまして、まさしく、これはいわゆるパラダイムの大転換につながるような御決意のもとでお話をされたのかな、こういうふうな気もいたしておりますが、社会経済の大転換、大臣が所信で述べられたこの意味について、また大臣の御決意もあわせて、まずお伺いをいたしたいと思います。

小池国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、まさにパラダイムシフトしていかなければ間に合わないというような、私も大きな危機感を抱いているわけでございます。

 今日の環境問題の多くは、これまで当たり前のようにやってきた事業活動であるとか家庭における日常生活などが、実はこれそのものが原因であるわけでございまして、すなわち、私たちがこれまで前提としてきた大量生産、大量消費、大量廃棄型の社会経済そのものが実は原因なんだということでございます。

 そうしますと、環境問題を克服して、そして持続可能な社会を構築するためには、こういった事業活動、ライフスタイルを根本から見直してみましょう、そしてまた、環境の保全と経済の活性化が同時に実現できるような、そういう社会経済の仕組みに変えていかなければならないということで、盛り込ませていただいたわけでございます。

 また、物質的な側面だけでなくて、環境そして文化など生活の質を高めること、これも価値観、バリューの変化でございます。よって、生活の豊かさを維持しながらも、環境への影響ができる限り少なくなるような社会経済への変革を目指していかなければならない、こういった決意を所信に盛り込ませていただいたということでございます。これからも、そういった方向に向かいまして全力で取り組んでまいりたいと考えております。

石田(祝)委員 今、大臣の言わんとされるところと、また、御決意をお伺いいたしました。

 この所信の中で大臣は明確に、環境問題の多くは、通常の事業活動や家庭における日常生活など、私たちが前提としてきた社会経済のあり方そのものに起因する、まさしく、そういう問題意識の上でやはり大転換をしていかなきゃならない、こういうことでお述べになっただろうと思っております。今までも環境と経済の統合、こういうことは何度もあらゆるところでお聞きもいたしましたが、社会経済の大転換という大変大きな命題にあえて触れられて御決意を述べられたものと思っております。ですから、これは、私が最初に申し上げたように、いわゆる我々が立脚している基本のところをもう変えていかないと、考え方そのものを変えていかないと大変だよ、間に合わないよ、こういう問題意識だろうと思います。

 それで、ある新聞にも出ておりましたけれども、新しい政府の計画ですね、今度は議定書が発効いたしましたので削減計画と、こうなるわけでありますが、大きな見出しで「家庭での削減断念」、こういう見出しが出ておりまして、今までマイナス二%という予定であった民生部門を一〇・八%ということで、新たな計画に変えると。そうすると、大臣のおっしゃった、我々は、よって立つ日常生活そのものを支えている我々の考え方を変えていかなきゃいけない、こういうことと、今回の計画で、新聞紙上に出ておるだけの中身でありますけれども、「家庭での削減断念」ということとこれはどういうふうに結びつくのか。逆に、もうちょっと頑張ってくれというのが大臣の意図するところではないかと私は思うんですが、早々にこういう逆向きの話が出てきているというのはどうかなと。これについて大臣のお考えがありましたら、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。

小池国務大臣 私も、朝起きまして、この新聞の見出しを見てびっくりいたしました。これまで事務方といろいろと打ち合わせをしてきて、そしてまた、これから温室効果ガスを減らすためにはどのようにやっていけばいいのか、また、関係省庁とのいろいろな交渉などの話をつぶさに聞いている私にとりまして、「家庭での削減断念」というのは、このタイトルではミスリードなんじゃないかなと、私ははっきりそう思いました。

 なぜならば、環境省において、新聞報道ですけれども、二〇〇二年現在、民生部門において、三割以上、約九千万トン排出量が伸びているという中で、二〇一〇年までに二〇%以上、約六千万トンの削減を求めているわけでございまして、基準年の総排出量と比較すると約五%に相当する量を削減することが必要なものでございまして、したがって、家庭、そしてオフィスなどにおいて、ライフスタイルの見直しを含めてできる限りの対策を講じていく必要があることには変わりがないわけでございます。

 我が国が京都議定書の削減目標を達成するのは決して容易ではない。そして、すべての主体が積極的に取り組んでいただくことが極めて重要でございまして、これは削減を断念するどころではございませんで、所信どおり、国民一人一人の意識改革など、事業活動、そしてライフスタイルの見直しを促して、社会経済の大転換を加速して初めて実行が可能なんだろう、このように思っているわけでございます。

 いずれにいたしましても、現在、各関係省庁と最終的な調整を行った上で結論を出してまいりたい、このように思っております。

石田(祝)委員 これは、ぜひ、これから本格的な計画を立てて、二〇〇八年―二〇一二年に向けて日本としてしっかり取り組んでいかなきゃならない。本当に、これが結果として大変大きなミスリードであった、間違いの見出しであった、こういうふうに堂々と言えるように、これは取り組んでいかなきゃいけないというふうに思います。

 それで、京都議定書が発効いたしまして、私も発効の日に京都へ参りました。大変多くの方が喜んでいらっしゃいました。私は、そのときに感じたのは、諸外国の方もお見えになっておりましたが、地元の方でしょうか、高校生でしょうか、大変若い方々も参加をされて、ある意味では私たち以上にこれからの環境問題の影響を受けるのが若い世代でありますから、そういう方も参加をしての発効のいい行事ができたのではないか、こういうふうに思っております。

 それで、これは、計画について着実に達成をしていくということと同時に、残された大きな課題もあるわけなんですね。これは、一つは、言われているように、アメリカが入っていないではないか、また、発展途上国、中国とかインド、これから人口も大変ふえていくだろうという国が枠組みの中に入っておらない、これをどうするんだ、こういうお声もあるわけであります。

 ですから、この発効の日の環境省の大臣として、これからそういう大きな国、そういう国々をやはり枠組みに入れる努力をしないと、ああいう世界一排出している国が規制を受けずに、何で我々がやらなきゃいけないんだ、こういう声は必ず出てくると思います。

 大臣として、アメリカ、中国、インド、三つの国を挙げましたけれども、こういう国々に対してどのような働きかけをこれから強められていくのか、お伺いをいたしたいと思います。

小池国務大臣 二月十六日の京都での記念行事には、多くの公明党の皆様方に御参加いただきました。改めて、みんなで心を一にして、日本の約束、そして地球温暖化問題に立ち向かうというその目的を共有できたのは大変うれしい瞬間であったと思います。特に若い世代の方々が、一生懸命地球のことを考えるという、その意識を持つということ、これは非常に希望の持てるところでございます。

 また一方で、京都議定書の発効はゴールではなくてスタートだということを何度か申し上げさせていただきました。また、人類共通の問題であります地球温暖化問題に対してすべての国が対策に取り組むということは基本でございます。おっしゃいますように、まだ批准していないといいましょうか、京都議定書に参加していない国々、それからまた義務を負っていない国々、こういったところにどうやって日本として呼びかけをしていくのかという御質問であったわけでございますし、また、その意味では大変ポイントもついているというふうに思っております。

 アメリカでございますけれども、依然、京都議定書に参加しない方針は変更はしておりませんけれども、これまで我が国そして私自身も、さまざまな場におきまして、米国政府に対して議定書の締結を働きかけてきたわけでございます。例えば昨年十二月のアルゼンチンでのCOP10の際でも、アメリカの政府代表に議定書の締結を改めて働きかけをさせていただいた。日米ワークショップの開催などで、政府以外のチャネルも活用してアメリカに働きかけを行う。ちなみに、ブッシュ大統領再選の際には、お祝いの手紙に、PS、追伸で、京都議定書に入ってくださいということをあえて書き記させていただいたわけでございます。

 いずれにいたしましても、アメリカとの連携ということは、現実的な部分も含めて、これからも力を入れていきたいと考えております。

 それから、中国、インドなど排出量の多い途上国でございますけれども、御指摘のように、排出の削減対策、これを求めていくことは重要でございます。日中韓三カ国大臣会合などさまざまな機会を活用いたしまして、地球温暖化問題に関しての共通認識をしっかり醸成していきたいと思っております。

 また、京都議定書では、ことしじゅうにも次期約束の交渉を始めることというふうにされておりまして、五月には各国政府の専門家によりますセミナーが開催をされます。そして、御案内のように、ことしのG8サミットは、イギリスが議長国となりまして、クライメートチェンジ、地球温暖化問題を主要議題とする。こうした機会など、さまざまなチャンスを活用しながら、アメリカ、中国などについて、京都議定書以降についての建設的な対応、これもしっかりと促してまいりたいと考えております。

石田(祝)委員 これはぜひ御努力をお願いいたしたいと思います。

 今、ブッシュ大統領にもお手紙を出されたと、追伸で京都議定書のことにお触れになったということですが、どうも御返事はいただいてないように思いますが。

 それで、私も京都の会合に参加をさせていただいて、そこにケニアの環境副大臣のマータイさんがお見えになって、私、ちょっと時間の関係で直接お声を聞くことはできませんでしたが、いろいろと後で読ませてもいただきました、新聞記事等でも拝見をいたしました。マータイさんが日本に来られて、いろいろなことをおっしゃったんですが、特に日本の言葉のもったいないという言葉、この言葉にいたく感銘を受けた、ぜひこの精神を広めていきたいということをおっしゃったようでございます。

 日本の言葉でそのまま国際語になっているのは、最近では有名になった津波という言葉もあるようでありますけれども、これは災害のときの言葉ですから、本当は余り広まらない方がいいわけですけれども、このもったいないという思いは、私は大変大事だと思うんですね。ただいろいろなものを惜しむというよりも、大事にしていく心だというふうに思うんですけれども、ケニアから来られて、ノーベル平和賞をもらわれた方が、もったいないという言葉をぜひ広めていきたい、こういうことをおっしゃったようでありますが、このことについて、大臣のお気持ち、所感はどうでしょうか。

小池国務大臣 これって英語に訳すのがなかなか難しいんですね。このニュアンスをどうやって伝えるか難しいと思いますが、それを超えてマータイさんがこのもったいないという言葉に意義を感じ出されたというのは、これはマータイさん自身大変すばらしい方だなと、私はそのように思わせていただきました。

 もったいないというのはそもそも、そのものの値打ちが生かされず、むだになるのが惜しいという意味ではございますけれども、もともと我が国の生活に根差した、本来は美しい言葉でございますし、また、地球環境を次の世代に伝えるという観点からも、大変大事な精神を含んでいるというふうに思います。

 環境と経済の好循環ビジョンという中央環境審議会で取りまとめていただいたビジョンでございますけれども、HERB構想と呼んでおりますけれども、この中にも、「「もったいない」が生み出す資源」という項目も設けさせていただいて、ごみの発生を減らして、資源化を進める技術、そして事業の姿を提言させていただいております。

 また、スリーRというのも循環型社会の構築を目指す基本的な考え方、ここを貫くのももったいない精神ということになろうと思っております。

 私も祖母から、御飯を残すと、もったいないから食べなさいといって、何度もしかられたことなども思うわけでございまして、ケニアからはるばるいらしたマータイさんにこのもったいない精神をもう一度焦点を当てていただいた、もっともっと本来の日本が持つもったいない精神をこれからも広めていきたい、このように考えているところでございます。

石田(祝)委員 ぜひ、このもったいないスピリットを大きく広げていただきたいというふうに思います。

 最後に、特定外来生物法の問題でお伺いをしたいと思いますが、私も去年の法案審査のときに、セイヨウオオマルハナバチについては随分御質問をさせていただきましたが、きょうはオオクチバスについてお伺いをしたいと思うんです。

 現在、指定のリストに上がっているということで、パブリックコメントもやられているようにお伺いをいたしております。この状況と、それから、特に私どもがマスコミ報道等を通して知る範囲では、どうも、指定のリストに上げるときに、大臣の言動によってそれまでの議論が大きく変わってしまった、ツルの一声というふうなことを書いていたところもあると思うんですけれども、こういうふうなことも言われておりますが、この指定の状況、また、大臣のそのときの言動について、経緯と真意、あわせてお伺いをいたしたいと思います。時間がないので、ちょっと短くお願いします。

小野寺政府参考人 一月三十一日の専門家会合で、オオクチバスを含む三十七種の動植物について今回指定すべきであるという報告がなされました。現在、パブリックコメント、WTO通報、その他の手続をしております。六月一日の施行に向けて所要の準備を進めてまいりたいと考えているところでございます。

小池国務大臣 私の発言ということでございますけれども、多分、一月二十一日の記者会見で、まず指定をすべきではないかということを、記者の質問に対して答えたところでございます。ツルか何かよくわかりませんけれども、申すべきことは申したと私は考えておりますし、また、その後開かれました魚類の専門家の会合で、まさに専門的な見地から、指定をすべきであるという結論も出していただいた、そしてまた全体会合でもそのような結論に至ったわけでございます。

 私の発言がどこまで影響があったのかどうかわかりませんけれども、いずれにいたしましても、専門家の方々が専門の見地から出された答えであろうと思いますし、それでいいのではないか、このように思うところでございます。

石田(祝)委員 それ以上は申し上げませんが、具体的に、これから指定のリストに上がって、パブリックコメントを行って、それが指定をされる、こういうことになると思いますが、これは指定をされるとどういうことが禁止をされるのか。また、特に、キャッチ・アンド・リリースについて、明文的にこれを禁止されるのかどうか。この二点について、最後にお伺いをしたいと思います。

小野寺政府参考人 この法律では、特定外来種に指定されますと、輸入、飼うこと、運搬、保管、譲り渡しなどの行為は、許可を受けない限り禁止されることになります。

 ただし、釣りそのもの、捕獲後にその場で放つ行為、いわゆるキャッチ・アンド・リリースについては、この法律の規制の対象とはしておりません。

石田(祝)委員 ありがとうございました。終わります。

小沢委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十分散会


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