衆議院

メインへスキップ



第5号 平成17年4月5日(火曜日)

会議録本文へ
平成十七年四月五日(火曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 小沢 鋭仁君

   理事 大野 松茂君 理事 桜井 郁三君

   理事 竹下  亘君 理事 西野あきら君

   理事 奥田  建君 理事 近藤 昭一君

   理事 肥田美代子君 理事 石田 祝稔君

      井上 信治君    宇野  治君

      加藤 勝信君    城内  実君

      小坂 憲次君    菅原 一秀君

      鈴木 淳司君    砂田 圭佑君

      田中 和徳君    根本  匠君

      能勢 和子君    鳩山 邦夫君

      船田  元君    松宮  勲君

      荒井  聰君    佐藤謙一郎君

      田島 一成君    長浜 博行君

      松本  龍君    村井 宗明君

      吉田  泉君    白保 台一君

      高木美智代君    東門美津子君

      山本喜代宏君

    …………………………………

   環境大臣         小池百合子君

   環境副大臣        高野 博師君

   環境大臣政務官      能勢 和子君

   政府参考人

   (防衛施設庁業務部長)  土屋 龍司君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           岩田 悟志君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 桜井 康好君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   南川 秀樹君

   政府参考人

   (環境省環境管理局長)  小林  光君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  小野寺 浩君

   参考人

   (財団法人福岡県環境保全公社リサイクル総合研究センター長)        花嶋 正孝君

   参考人

   (早稲田大学大学院法務研究科教授)

   (早稲田大学法学部教授) 大塚  直君

   参考人

   (特定非営利活動法人環境安全センター専務理事)  小畑 嘉雄君

   参考人

   (弁護士)        梶山 正三君

   環境委員会専門員     遠山 政久君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月五日

 辞任         補欠選任

  大前 繁雄君     菅原 一秀君

  城内  実君     井上 信治君

  高木美智代君     白保 台一君

  土井たか子君     山本喜代宏君

同日

 辞任         補欠選任

  井上 信治君     城内  実君

  菅原 一秀君     田中 和徳君

  白保 台一君     高木美智代君

  山本喜代宏君     東門美津子君

同日

 辞任         補欠選任

  田中 和徳君     大前 繁雄君

  東門美津子君     土井たか子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 廃棄物の処理及び清掃に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第六七号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

小沢委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、廃棄物の処理及び清掃に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより質疑に入ります。

 本日は、本案審査のため、参考人として、財団法人福岡県環境保全公社リサイクル総合研究センター長花嶋正孝君、早稲田大学大学院法務研究科教授・早稲田大学法学部教授大塚直君、特定非営利活動法人環境安全センター専務理事小畑嘉雄君、弁護士梶山正三君、以上四名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。

 本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、参考人各位からお一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。

 なお、念のため申し上げますが、御発言の際はその都度委員長の許可を得て御発言くださいますようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。

 それでは、まず花嶋参考人にお願いいたします。

花嶋参考人 花嶋でございます。

 私は、昨年末まで環境省の中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会長を務め、今回、廃棄物処理法の改正案につながる審議の取りまとめを行ってまいりました。本日は、これまでの一連の審議に廃棄物・リサイクル部会の部会長として携わった立場から、今回の取りまとめを行うに至った経緯、その中で提議した制度改正の概要と今後の課題について説明し、御審議の参考に供したいと思っております。

 まず最初に、廃棄物の現状に関する背景データを簡単に紹介します。

 お手元の資料一、我が国の廃棄物処理の現状をごらんください。

 廃棄物の排出量は、依然として高水準で推移しております。一般廃棄物は年間五千万トン、産業廃棄物は約四億トン排出されており、ここ数年ほぼ横ばいの状態でございます。したがって、廃棄物の発生抑制、いわゆるリデュースは、残念ながら十分進んでいない状況でございます。一方、廃棄物の最終処分場については、住民の不信感もありまして、新規に埋め立てすることは極めて困難という状況が続いております。その結果、最終処分場の残余容量は、一般廃棄物十三・一年分、産業廃棄物では四・五年分しかなく、依然として非常に逼迫した状態が続いております。このような状況の中、残念ながら、不法投棄事案の発生に歯どめがかかっておらず、不法投棄される廃棄物の量も減少しておりません。

 このような深刻な状況を背景に、中央環境審議会でも継続して審議を重ね、制度改正が必要な点などにつき意見具申を行ってきました。これをもとに、昨年、一昨年と連続して廃棄物処理法の改正を行っていただいたところでございます。

 審議会における今回の制度的な検討に際しても、一連の廃棄物処理改正の効果について検討を加え、既に一定の効果を上げていることを確認してまいりました。

 具体的には、平成十五年の改正においては、欠格要件に該当した場合の許可の取り消しを義務化することにより、悪質な業者の排除を徹底するというようなことがございます。その結果として、例えば、許可の取り消しの義務化により、改正法施行後の許可取り消し件数が大きく増加して、悪質業者の排除が進んでおります。それから、自動二輪メーカーやパソコンメーカーなど、広域的なリサイクルを推進する業者の大臣認定が着実に増加しております。

 同様に、平成十六年の改正におきましては、硫酸ピッチの不正処理を禁止するとともに、不法投棄をさらに早い段階で規制するため、不法投棄を目的とした収集運搬に対する罰則を適用する。その結果として、昨年八月には不法投棄目的の収集運搬の罪が初めて適用されたのを皮切りに、相次いで適用事例が報告されており、その効果が早くもあらわれ始めております。

 このように、これまでの法律改正による効果が着実に発揮されている一方、昨年も重大な事案が発生し、廃棄物処理をめぐる新たな課題が提起されております。具体的には、昨年三月、我が国最大規模の不法投棄事案が岐阜市で発覚したのに続き、我が国企業が中国に輸出した廃プラスチックに再生利用できないものが混入していたため、我が国からのプラスチックの輸入が昨年五月から停止され、いまだ開始されない事態が続いております。

 そこで、審議会では、これら事案を含めて最近の廃棄物処理をめぐる状況を改めて点検したところ、制度改正を必要とする課題があり、早急な対応が必要との判断に至りました。そのため、審議を行った結果として資料二の廃棄物・リサイクル部会としての取りまとめを行い、これをもとに廃棄物処理法の改正案を早急に国会に提出するよう環境省にお願いした次第でございます。

 部会としての結論は、資料二にございますが、まず最初に「大規模不法投棄事案への対応」として、産業廃棄物にかかわる事務を行う行政主体の見直しと、産業廃棄物管理票、いわゆるマニフェスト制度の強化が盛り込まれております。

 行政主体の見直しについては、二ページにありますように、これまでの数次の法改正により、廃棄物の不適正処理を監視し、規制するための法律上の規定は格段に強化された一方、都道府県知事と同じ立場でその事務を行う保健所設置市の一部では、必ずしも十分な体制を整えていないという現状があります。従来、地域密着型の公衆衛生行政の範疇にあるものとして、保健所設置市は都道府県と対等の立場で産業廃棄物に関する事務を行ってきましたが、広域化する産業廃棄物の問題は、むしろ生活環境保全の性格が強くなっており、保健所設置市がこれを行うことが制度的には合理的と言えなくなっているとの認識でございます。

 そこで、保健所設置市になれば自動的に産業廃棄物に関する事務を行うという現行の制度を見直し、ほかの環境法と同様、事務を行う体制が整備できる市を廃棄物処理法の政令で指定する制度に改めるべきとの結論を得たものでございます。

 この改正内容については、部会審議においても、地方分権に逆行するのではないかとか、業務を行う意欲のある保健所設置市から一方的に引き揚げるのは望ましくはないのではないかといった指摘がありました。しかし、十分な体制の整備ができない自治体に事務を行わせることは、かえって地方分権の趣旨に反するものでもあり、また、現に事務を行っている保健所設置市については、その意向を十分踏まえて判断することを確認し、部会の了承を得たものです。

 次に、マニフェスト制度の強化についてですが、三ページにありますように、大規模不法投棄事案において、産業廃棄物の組織的な横流しと、これを隠ぺいするためのマニフェスト不正行為が後を絶たないのが現状であります。これに対して、現行のマニフェスト違反に対する罰則は五十万円以下の罰金であり、これを強化すべきとの意見が強かったことを踏まえて、罰則の強化を盛り込んだものであります。

 さらに、排出事業者責任の追及には、運搬や処分を受託した業者に対してもマニフェストを保存させることが必要であり、また、マニフェスト制度の徹底には、都道府県知事の勧告に従わない場合に公表できるようにするなどの措置が必要であり、制度全体の実効性を高める内容を盛り込んでおります。

 次に、廃棄物の無確認輸出への対応です。

 三ページにもありますように、現行の規制内容では、輸出通関手続の段階でこれを発見しても罪に問えないことが最大の問題と認識しています。そこで、このような無確認輸出の未遂の段階でも確実に罪を問うことによって抑制効果を高めるため、未遂罪と予備罪を新しく創設し、さらに、無確認輸出の罰則を不法投棄並みに厳しくする内容を盛り込んでおります。

 最後に、悪質な業者を排除し廃棄物処理に対する信頼性を向上させる観点から、その他の制度上の問題についても検討し、具体的な対応を図るべき点をまとめたものです。

 例えば、四ページにありますように、埋め立て終了後の最終処分について適正な維持管理を確保する有効な手段として、維持管理積立金制度があります。この制度が施行される以前に埋め立てが開始された施設は制度の対象となっておりません。しかし、そのような施設においても、適切な維持管理がなされず問題になっている事案が生じていることから、今回の制度の対象に追加することが適切と整理されております。

 また、四ページから五ページにありますように、罰則適用上の問題点や現行許可制度の問題点を点検した結果として、罰則の強化の必要な措置を盛り込んでおります。

 以上のような内容を受けて、今回提出されております改正法案は、部会として提案を漏れなく網羅していただいており、今後の廃棄物行政にとって非常に大きな力となるものと考えております。審議会の審議に携わった一人としても、ぜひ早期に成立させていただきたく心からお願いいたします。

 今回の部会の取りまとめでは、五ページの最後にありますように、今回の制度改正以外の施策についてもあわせて推進していくことが重要であり、これを最後の課題として取りまとめます。

 具体的には、地方自治体の実務体制の充実や処理業者の優良化の推進、電子マニフェストの普及促進等の課題を含めた諸課題について、全体として着実な進展が図られるよう、さまざまな政策手法を活用して対策の強化、推進を図るべきことを指摘しております。また、その際には、特に運用面で支援施策の充実を図るとともに、対策の進捗状況のモニタリングと評価並びに情報公開を通じ、対策の評価、見直しを継続することが重要となります。

 そして、悪質な違法行為に対する厳正な処置を徹底するため、廃棄物行政分野における長期的な展望に立つ人材の育成を含めた人事上の考慮、関係行政機関相互の連携、環境関連NPOとの連携などによる監視体制の強化も重要な点として指摘しております。

 今回の法改正とあわせてこれら施策が総合的に講じられることによって、不法投棄などの事案の根絶と循環型社会の構築が一層推進されることを期待するものであります。

 以上でございます。

小沢委員長 ありがとうございました。

 次に、大塚参考人にお願いいたします。

大塚参考人 大塚でございます。

 今回の改正廃棄物処理法案、二〇〇五年改正案というふうに申し上げさせていただきたいと思いますが、これにつきまして、環境法の研究者の立場から、その考え方と今後の課題について扱っておきたいと思います。

 まず最初に、これまでの廃棄物処理法、廃掃法と呼びますが、廃掃法改正の経緯、背景について簡単に申し上げておきたいと思います。

 廃掃法に関しましては、一九九一年、九七年に大改正がございましたし、その後も数次の改正がございますが、二〇〇〇年以降におきます改正としては重要な点が幾つかありますので、そちらについて申し上げます。

 まず、二〇〇〇年改正におきましては、この年に循環型社会形成推進基本法が制定されまして、いわゆる三Rと呼ばれるリユース、リデュース、リサイクル、その中でも、リサイクルの中でもマテリアルリサイクルの方を優先いたしますが、この順序について規定が置かれましたし、いわゆる拡大生産者責任についての規定も置かれたわけでございます。

 このときに、廃掃法に関しましても幾つかの重要な修正、改正がございまして、その中でも特に申し上げておきたいのは、排出業者の責任の強化でございます。産業廃棄物の管理票制度が見直されたのと同時に、排出事業者が適法な委託をしていても一定の場合には原状回復の義務を負う、すなわち措置命令の対象になるということにこのときからなったということでございます。

 その後、二〇〇三年、二〇〇四年の改正を経ているわけですけれども、まず二〇〇三年の改正につきましては、大きく分けて二点ございます。

 一つは、不法投棄の未然防止等の措置といたしまして、都道府県等の調査権限が拡充されたということ。それから二つ目に、不法投棄、不法焼却の未遂罪がつくられたということでございます。それから三つ目に、国の関与が強化されたということ。それから四つ目に、特に悪質な業者に関しまして、先ほどお話もありましたように、許可権者は必ず許可を取り消さなければならないというふうにされたことでございます。

 それから、大きく分けて二つ目につきましては、リサイクルの促進等の措置がとられまして、いわゆる広域認定、広域的なリサイクル等の推進のために、環境大臣が認定した者は廃棄物処理業の許可を必要としないということなど、特例制度が整備されたということでございます。これによって、その後、二輪車、パソコンなど広域的なリサイクルを推進する業者の大臣認定がふえてきているという状況でございます。

 さらに、関連して、特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法もこのときにつくられております。

 次に、二〇〇四年改正でございますが、二〇〇四年改正におきましては、大きく分けて三つのポイントがございました。

 一つは、やはり国の役割の強化ということでございまして、環境大臣は、産業廃棄物の不適正処理によって生活環境の保全上の支障が生じることを防止するために、緊急の必要があると認めるときには都道府県知事に対しまして指示ができるということが規定されたということでございます。

 それから二つ目は、廃棄物処理施設をめぐる問題の解決についての問題でございます。

 三つ目は、罰則の強化などによる不法投棄の撲滅でございまして、硫酸ピッチを指定有害廃棄物として指定いたしまして、これについての不適正処理が禁止されたということでございます。それから、罰則が強化されまして、中でも、(4)に挙げておきましたように、不法投棄、不法焼却の目的で廃棄物の収集運搬をしている者に対して罰則がかけられるようになったということがございます。先ほど未遂罪の創設ということがございましたが、ここで、それよりもまた前に、不法投棄等の目的で収集運搬をしているだけで犯罪になるということになったわけでございます。

 二〇〇四年の廃掃法改正と直接関連しない施行令、施行規則の改正としても重要なものがその後出てきております。そちらに挙げましたとおりでございますけれども、一つは、産業廃棄物の運搬車に係る表示及び書面備えつけについての義務づけがなされたということがございます。それから、最終処分場の残余容量の定期的な把握、記録閲覧の義務づけがなされたということもございます。

 さらに、つい最近、三月二十八日に省令が改正されまして、産業廃棄物処理業者の優良性の判断に係る評価制度がつくられたということがございます。この評価基準に適合する産業廃棄物の処理業者に対しましては、都道府県知事等の判断によって、産業廃棄物処理業の許可の更新、変更の際に提出する申請書類の一部が省略できるようになったということでございます。

 さて、今般の廃掃法改正案でございますけれども、その背景といたしましては、先ほどお話がございましたように、一つは大規模な不法投棄問題というものがございます。もう一つは中国の廃プラスチックの輸入の停止措置ということがございます。中国の廃プラスチックの輸入停止措置につきましては、我が国の企業が中国に輸出しました廃プラスチックに再生利用できないものがまざっているということが発覚して、昨年の五月、我が国から中国への廃プラスチックの輸入停止措置がとられたということがあります。中国から再発防止対応が求められているということもございまして、今回の改正案はこの点と関連しているということでございます。

 次に、改正案の主要点でございますが、まず、大規模不法投棄事案への対応についてでございます。これにつきましては、四つほどございます。

 第一は、産業廃棄物関係事務等を行う行政主体の見直しがなされるという提案でございます。これは、保健所設置市であれば必ず産業廃棄物の関係事務を行うという考え方を改めていくべきではないかということでございます。十分実施体制が整っていない自治体に事務を負わせるということは必ずしも合理的ではないという面があるということが一つございますし、もう一つは、先ほどもお話がございましたように、産業廃棄物行政というのは、従来は地域密着型の公衆衛生行政の範疇に入るというふうに考えられておりましたが、産業廃棄物問題が広域化するに伴って、これを生活環境保全行政というふうにとらえる立場が一般化しておりまして、この立場からは、保健所設置市であれば一律に事務を負わせるという議論には必ずしもならないということになってきたということでございます。

 改正案では、事務を行う体制が整備されていると判断される市を廃掃法の政令で指定するということが提案されておりますが、実際には、中核市でない保健所設置市について権限を調整するということになると思われます。

 第二は、マニフェスト制度の強化でございます。大規模な不法投棄事件に関しまして、産業廃棄物の組織的な横流しとそれを隠ぺいするためのマニフェストの不正行為が行われております。これに対しましては、三つの点が改正案として提案されております。

 一つは、マニフェストに関する罰則の強化でございます。

 もう一つは、運搬または処分を受託した処理業者のマニフェストの保存義務を設定するということでございます。これは、青森・岩手の県境不法投棄事件におきましては、処分を受託した処理業者にマニフェストの保存義務がなくてマニフェストを焼却してしまったということが問題視されたということが関連しているわけであります。

 さらに、マニフェストの違反行為に対する勧告に従わなかった者に対して都道府県知事がその旨を公表できるようにしようということであります。そして、公表をしても正当な理由がなくて勧告に係る措置をとらないという者に対しては、命令、命令違反の場合は罰則ということが考えられているわけであります。勧告だけではそれに従おうとしないという者が多いわけでございまして、処理業者が社会的なイメージを大事にしているということからも、公表の制度というのは重要であると考えられるわけでございます。

 第三は、無許可業者に対する抑止効果を強化するために、法人重課をする、罰金を一億円にするということでございます。

 第四は、収集運搬業者と処分業者が廃棄物の処理をほかの人に委託する場合の規制を明確化するということでございます。

 以上が、大きく分けて一つ目の不法投棄の未然防止の問題でございます。

 大きく分けて二つ目の問題といたしましては、廃棄物の無確認輸出に対する取り締まりの強化ということがございます。

 従来、輸出の通関手続の段階で環境大臣の確認を受けていない廃棄物を発見しても、未遂段階なので犯罪が成立しないという問題があったわけでございますけれども、これに対して未遂罪と予備罪をつくるということが今回の提案でございます。さらに、罰則も強化するということでございます。

 三つ目に、その他の制度上の問題に対する対応でございますが、先ほどもお話にありましたように、一つは、最終処分場の維持管理積立金の制度を拡充するということがございます。

 これは、平成十年六月以前に埋立処分が開始された最終処分場についても維持管理積立金制度の対象といたしまして、積み立てを義務づけるという提案でございます。平成十年以前に埋立処分が開始された最終処分場につきましても、倒産をして適切な維持管理がなされていないという事例がございますので、施設に対する不信感を払拭するためにも、このような改正が必要ではないかということでございます。

 この場合の積立金の金額につきましては、その処分場の残余容量に見合った金額に、必要なモニタリングの費用を加えたものになると思われます。したがって、過剰な規制にはならないということでございます。

 さらに、欠格要件の厳格化については、レジュメに書きました三つの点が改正案として提案されているわけでございます。

 最後に一言だけ申し上げておきますけれども、今回の改正案は、二〇〇〇年以降の産業廃棄物処理のあり方についての構造改革ということと大いに関係しているわけでございます。

 二〇〇〇年以降の廃掃法改正の大きな流れとして三つの点が挙げられると思いますけれども、その第一が、不法投棄等の未然防止等の規制の強化をしているということであります。そして第二に、リサイクルに関しまして不必要に厳格な規制を改めて、規制の合理化を図ったということがございます。第三が、国の役割の強化ということがございます。

 今回の改正は、このうち第一点に関する不法投棄等の未然防止等の規制を強化するということとともに、廃棄物の無確認輸出の取り締まりを強化するという新しい観点を加えたものでございます。最近の事件から得られた教訓をもとにして、地道ではありますけれども、きめ細やかな制度的な対応がなされつつあると言ってよいと思われます。

 この第一点の未然防止等に関しましては、先ほどもお話がありましたように、電子マニフェストの普及ということが一つの大きな課題となっているわけでございますけれども、現在、普及率が二%にとどまっているために、直ちに法律上の義務ということにするのは時期尚早ではないかと思われます。しかし、早急な普及率の拡大が望まれるところであります。

 さらに、産業廃棄物の優良業者の育成という観点については、先ほど申し上げたような新しい省令ができたところでございまして、こういうことも相まって、先ほど申し上げたような産業廃棄物処理の構造改革というのは徐々に進んできていると言ってよいと思います。

 このように、廃掃法の制度としては、コアの部分はでき上がってきているわけでございますけれども、不法投棄というのは極めて利益の多い経済犯罪となっておりまして、制度面を含めた対策の評価、見直しというのが今後も必要となってくると思われます。また、自治体の実施体制の充実、関係行政機関や住民との連携による監視体制の充実の必要など、運用上の問題はなお残されていると考えております。

 以上でございます。

小沢委員長 ありがとうございました。

 次に、小畑参考人にお願いいたします。

小畑参考人 ただいま御紹介をいただきました小畑です。

 NPOで環境問題にかかわっている、そういう立場から意見を述べたいと思います。

 よく、環境は祖先から譲り受けたものではなく子孫から借り受けたものであると言われますが、私たちももうこの辺で不法投棄等による廃棄物による環境汚染を防止して、きれいな地球環境を取り戻し、次の世代に申し送るべきときに来ているのではないかなというふうに考えます。産業廃棄物による不法投棄、不適正処理を本当になくするには、今回改正されます産廃の規制、罰則強化だけでなく、産廃の流れをガラス張りにする施策を考えていただきたいという立場で意見を述べたいと思います。

 産業廃棄物の現状ですけれども、産業廃棄物行政につきましては、法律的には、最近だけでも、平成九年、十二年、そして十五年、十六年、本年と改正を重ねて整備されてきております。ところが、不法投棄事件や不適正事例は後を絶たず、平成十一年には青森・岩手県境で八十二万トンという国内最大規模の不法投棄事件が発生し、昨年には岐阜県で五十万トンを超える不法投棄事件が発生しており、その他不法投棄、不適正処理は数え切れないほど発生をしております。

 このように、法整備が進んでいるのに不法投棄、不適正処理が多発するのは、法の仕組みと産業廃棄物の実務の間に乖離があるのではないかと考えられます。法改正による規制、罰則強化だけでは不法投棄や不適正処理の防止は限界に来ているのではないかなというふうに感じます。

 産業廃棄物に対する法律の整備は進んでいるにもかかわらず、不法投棄、不適正処理が続出しますのは、排出量に見合った処理・処分施設が不足しているために、産業廃棄物処理システムからオーバーフローした廃棄物が不適正処理につながっているのではないかと考えます。産業廃棄物処理の実態が正規ルートと地下組織に分かれて処理されているのは、中央環境審議会に出されました資料、図一を参考にしていただきたいんですけれども、そこからも明らかであって、問題は、年間四億トンも排出される産業廃棄物が正規ルートでどれだけ処理され、正規ルート以外にどれだけ流れているのか不明なところであります。この実態の解明は喫緊の課題であり、そのための対策を早急に行うべきではないかと考えております。

 廃棄物の適正処理は、実態を正確に把握した上で、その上に立って必要な処理施設の設置や不法投棄防止の対策を実施すべきであるというふうに考えます。ところが、産業廃棄物の実態把握につきましては遅々として進んでおりません。

 産業廃棄物の実態把握についてのこれまでの経過について触れますと、産業廃棄物の実態把握についての必要性は、今から二十四年前に、昭和五十六年、フェニックス法案がこの国会で審議をされたときに問題にされて、当時の厚生大臣が実態把握の約束をされましたが、なかなか進まず、その後、フェニックス計画は十年ほどたって稼働を始めたんですが、独自に努力して産廃の流れをつかむ対応をして、この間来ているところであります。

 その後、平成三年の廃棄物処理法改正で有害廃棄物対策として特別管理廃棄物が制度化され、同時に、特別管理産業廃棄物についてはマニフェスト制度が導入されて、排出事業者にはマニフェストの報告義務、それから、許可業者にはマニフェストを扱った場合、実績報告が義務づけられて、実態把握に向けて前進したと思っていたんですが、これは有害廃棄物に限定されておりましたので、全体の実態をつかむところまでは行かずに終わっております。

 平成九年に全産業廃棄物にマニフェスト制度が導入され、マニフェストの電子化も同時に採用されたため、実態把握に向けて大きく前進したと思っていたんですが、それが平成十二年八月の環境省の附則によりまして、経過措置としてマニフェストの排出事業者報告が一時猶予をされて封印がされております。それからまた、許可業者の業の実績報告も廃止されてしまったために、逆に、行政の産業廃棄物の実態把握については後退して今日に至っております。

 産業廃棄物の実態が非常に不透明であるために、残余容量、処理量の関係でも不明な点が見られます。資料一を見ていただきたいんですが、環境省は、産業廃棄物の排出及び処理状況を発表されている中で、残余容量と最終処分量を年度ごとに出されているのですが、それがうまくかみ合わないという問題が起こっております。

 本来ならば、年度当初の残余容量にその年度の新規開設されます最終処分場の受け入れ容量を足しますと、その年度の総受け入れ容量でありますが、例えば平成九年度を見ていただきますと、表にもありますように、その年度の左端のAは、四月一日の残余容量は二億七百六十七万トンであります。その年度の新規受け入れ量、Bの四千九百六万九千トンを足しますと、年度の総埋立量として、C、二億五千六百七十三万九千トンになるんですけれども、そこからその年度に最終処分されたDの六千七百万トンを引きますと、データではその年度末の残余容量は一億八千九百七十三万九千トンになるはずですが、環境省の発表されておる左端の、同じ欄の下の方の年度末の残余容量は二億一千百五万九千トンで、約二千百万トン近くが増加をしております。残余容量が増加しているということは、増加分が最終処分されずにどこかへ消えたということで、その解明が待たれるところであります。

 平成十年、十一年も二千万トン以上が不明になっております。それから二年間は年間の新規受け入れ量のデータがありませんので具体的な数字はわかりませんが、四千万トン以上最終処分されているのにほとんど残余容量が減っていないというのは、新規受け入れ量は四千万トンもなくて二千万トン以下だと思いますので、ここでも二千万トンぐらいの数字が合わないという状況になっております。そして、一番下の欄の平成十四年度では、ここは新しく年間新規埋立量のデータがありましたので、それを当てはめますと、ここでは三千百十四万七千トンの数字が合わないという、データ上はそういう数字になっております。

 二千万トン、三千万トンという数字は、年間処分量の半分近くの数字でして、平成十四年度の三千百万トン余りという不明な数字は、これは年間処分量四千万トンの七七・九%に当たる大変大きな数字の食い違いであります。このような数字をそのままにしておきますと、国民の産廃に対する不信はなかなか払拭できないのではないかというふうに考えます。済んでしまったことは今さら調べようがないと思いますけれども、今後はやはりこういうことがないように、早急に実態把握をして、その上に立った正確なデータを明らかにしていくことが重要ではないかなというふうに考えます。

 そのための方向として、産業廃棄物の適正処理につきましては、まず産業廃棄物の処理の流れを的確に把握できる体制の確立が急務であると考えます。そのためにはマニフェストの電子化を即時実施していただきたいと思います。今や紙のマニフェストはほとんど機能しておらず、特に業者間のところでは機能しておらず、岐阜県椿洞のマニフェスト偽造は、これが電子マニフェストであったならばもっと早い段階で不法投棄が発見されたというふうに思います。そういう意味で、一日も早いマニフェストの全電子化が望まれるところであります。

 しかし、マニフェストの電子化は、七年たちましてもいまだに二%少しという状況ですので、なかなか排出事業者全体のマニフェストの電子化というのは非常にこれから時間がかかると思いますので、そういうことであれば、それにかわる実態把握ができる体制の確立を急いでいただきたいというふうに考えます。不法投棄の防止には、あと何年も実態把握を待っているような余裕はありませんので、マニフェストの電子化が達成されるまで、何とか代替案を考えていただきたいというふうに思います。

 一つの案として、図二にお示ししましたように、マニフェストの制度が完全に電子化されるまで、それにかわる情報徴収方式として、紙マニフェストの報告を復活させて、その報告を排出者がするのはいろいろと零細等の関係もあって無理だということであれば、その報告を、紙マニフェストを受け取った収集運搬あるいは処理の各許可業者が、情報処理センターに電子で報告するという方式を一度検討していただきたいというふうに思います。

 産業廃棄物の実態把握ができれば、それに基づいて必要な量の産業廃棄物の処理施設の基盤整備を実施すべきであると考えます。それも、特に産業廃棄物は首都圏、近畿圏で日本全体の半分近くを排出されているわけですから、ブロック単位、特に首都園、近畿圏の施設整備計画を作成して実施すべきであるというふうに考えます。

 また、産業廃棄物のデータが情報センターにすべて蓄積されるようになりますと、そのデータに基づいて、不審な箇所がないか、その解析を行えば、不法投棄、不適正処理防止体制の確立も前進すると思います。

 もともと廃棄物事業は、マイナスの取引で、個々のチェック機能が働きにくいという特異性を持っています。そのため、廃棄物事業は競争経済になじみにくい要素を持っております。廃棄物の性質上、自分の手元から早く離れてほしい、また、その料金も、個々のチェック機能が働きませんので、できるだけ安い方がいい、安ければ一円でも安い方がいいという方に流れ、産業廃棄物事業では悪貨が良貨を駆逐する現象が起こったというふうに言われております。

 産業廃棄物事業を適正に進めるためには、個々の排出事業者以外が、追跡調査システムの確立など、個々のチェック機能の不足分をフォローする体制をつくることが重要ではないかと考えます。

 廃棄物行政については、安かろう悪かろうのコスト競争に流されることなく、地球環境あるいは生活環境保全の立場から、行政が産業廃棄物の一元管理ができるようなシステムを考え、不法投棄、不適正処理がなくなるまで行政も積極的にかかわって、適正処理の確保に努めていただきたいということを最後に申し述べまして、意見の陳述を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

小沢委員長 ありがとうございました。

 次に、梶山参考人にお願いいたします。

梶山参考人 梶山でございます。

 全国で、終わったものも含めて五十を超える廃棄物紛争に弁護士としてかかわっております。それから、各地の廃棄物関係の条例策定等にもかかわっております。そういう立場で私の意見を申し上げたいと思います。

 お手元に簡単なものがございますが、それをちょっと見ていただきたいと思います。

 まず、今回の法改正案をどう評価するか。包括的にまず申し上げますと、簡単に言いますと、毒にも薬にもならないというのが私の全体的な考えでありまして、それは全くならないというわけじゃないんですが、薬としても弱い、毒としても弱い。だから、特にここをこうすべきだという反対意見というのはないんですが、むしろ、こういうものよりもこちら、こういうところに目をつけてほしい、そういう観点からの話を申し上げたいと思います。

 今回の法改正は、テーマとしては、不法投棄の根絶、不適正処理の根絶、マニフェストの実効性の確保、それから、廃棄物の無確認輸出の未遂罪、予備罪の創設と重罰化、それから、業許可の取り消し要件の自主申告とか最終処分場の維持管理積立金制度の対象範囲の拡大、こういうものが挙げられています。

 このうち、不法投棄、不適正処理、この区別も大変難しい問題があるんですが、それは置いておいて、古くからのテーマで法改正のたびに言われている部分であります。

 それから、無確認輸出の問題は、これはそういう意味でいうと新しい視点があるんですが、基本的には、この無確認輸出については、平成四年にバーゼル法ができて、それに対応して廃棄物処理法の改正が行われたわけですが、法制度自体に大きな欠陥があると私は考えています。ですから、ここで無確認輸出の重罰化をしても余り意味がないだろう、もっと根本的なところに問題があるはずだ、そう考えております。

 そういう意味で、順番に申し上げておきたいと思いますが、基本的には、実はもっと重大で根本的な問題が見過ごされていて、それがいつまでも俎上に上ってこないというのは、私から見ると、大変問題になるところ、本当に大事なところにもっと早く手をつけてほしい、そう考えております。

 まず、不法投棄、不適正処理の問題ですが、私のレジュメの一ページの下の方に書いてありますが、まず何が原因かという原因分析が十分ではないのではないかと。

 これは、現場の廃棄物処理業者の方ともよく話をする機会がございますが、一番問題なのは、まず自社処理だと。自社処理という形でもって法規制をくぐり抜ける。それからもう一つは、国が一貫してとっているいわゆる有価物解釈のドグマ。この二つが不法投棄の温床になっているということは、現場で廃棄物処理に携わっている人が口をそろえて言うところでありまして、そこの根本的な問題に全く目を向けていないというのが、今回の法改正でもそういうことが言えるものだと思います。

 それで、ここに四つ書きましたが、一つが自社処理で、一つが処理施設のすそ切り、すそ切りは改善されてきていることは、これは事実であります。それから、排出事業者の責任が強化されたというお話もありましたが、現行法の強化程度では、とてもこれは不法投棄を防止する程度に至っていない。先ほどの安かろう悪かろうの廃棄物処理の実態というのは、まさに排出事業者が無過失連帯責任という形で、自分の手足として使いながらそこでも責任を免れる道が大きく開けている、それがやはり一番大きな問題であろう、私自身はこう考えております。

 それから、四つと言いましたが、実はあと二つここにつけ加えますと、現場から見ますと、規制担当者の圧倒的なマンパワー不足です。

 私自身、法廷で都道府県の規制担当者を尋問したことは何度もあります。数知れないぐらいありますが、いかに彼らがマンパワー不足に悩んでいるか、それから、簡単に言うと、彼らがいかに能力がないかということを身にしみて知っております。

 先ほど、保健所設置市に体制がないという話がありましたが、実は都道府県だって全然ございません。そういう意味でいいますと、まじめに人材を育てる工夫をすれば、むしろ市町村の方が対応できるというのが私の考えでありまして、その点はまず実態把握からきちんとしないといけないのではないか、そう考えております。

 それから、これは関連なんですが、結局、安かろう悪かろうという、排出事業者に責任がない結果として、どうしても安い業者の方に荷が流れる。安い業者というのはそれなりにダンピング競争の中で生き残ってきた人たちですから、結局は、適正処理をしてもらえるだけのお金をもらっていない。それは、会社の、企業の命運をかけて不法投棄に走るわけでありまして、これは、不法投棄をしないとつぶれちゃうという構造をそこでつくっちゃっているわけですね。ですから、ここは、その点をほっておいて規制ばかり強化しても、実は不法投棄はなくなるはずがない、こう私は考えております。

 二ページの絵をちょっと見ていただきたいんですが、ごく簡単な絵で、これは実際に私が代理人を務めた、左の方が長野県御代田町の事例、それから右の方が新潟県中頸城郡三和村の事件です。

 これは要するに、焼却灰にセメントを混練りして、有償取引の契約書だけつくっちゃう。実際には有償取引じゃないんです、裏でお金を流していますから。だけれども、有償取引の格好をつくっちゃうと、これは廃棄物じゃないよということで、廃棄物処理法の規制を一切免れて、谷間に大量に埋め立てることができる。これは廃棄物処理法でとめられないので条例でとめたわけですが、こういうことができる。

 それから、右の場合は、これも今のお話の中でも実は一番抜けていた部分だと私は認識しているんですが、例えば、排出事業者から木くずを受け取ってそのまま燃やすんだったら、これは焼却の業の許可が要ります。ところが、それを一たん破砕機にかけちゃうと、それを燃やすときに業の許可は要らない。

 これは現行法の解釈として国が一貫してとっているわけでありまして、木くずを破砕した後は自社処理だ、だから業の許可は要らないよ、こういう解釈をとられますと、幾らでも自社処理の範囲が拡大して、それから自主的報告書にも載らない。それから、廃棄物処理の実態としても、数値としてみんな出てこない。幾らでも拡大ができる。実際にこの新潟県中頸城郡の事件では、破砕機は置いただけ、行政が来ると使う、後は直接燃やしているわけですね。実態は全く変わらないのに、これは自社処理として焼却業の許可なしで幾らでもできる。

 こういう中間処理を経ると、それから後は自社処理であって、マニフェストも何も機能しないという今の制度を維持している限り、幾らその周辺を規制強化してもむだであります。その点にぜひ目を向けていただきたいということでございます。この二ページの下の方に書きましたが、ごみがごみでなくなったり、業の許可も施設の許可も受けずに合法的に商売ができるというのが、今の廃棄物処理法の根本的な欠陥であります。

 それで、今回の改正案について簡単にコメントしたいと思います。

 一つは欠格要件の厳格化で、まず欠格要件に該当するに至ったときの自主申告というのがございます。自主申告することを義務づけること自体の是非は、これはやはり議論のあるところだと私は思います。

 もう一つは、この欠格要件の中に、例えばおそれ条項とか黒幕規定というのがございます。これは、おれは黒幕だよなんて名乗る黒幕はいないわけで、名を名乗らないから黒幕なわけですね。ですから、そういうことがほとんど期待できない欠格要件というのは、まずたくさんあると。明確なものは、これは申告しなくたって実はわかるということがありまして、この規定の意義は、私にとって大変疑問です。

 それから、現実には、先ほどから許可の取り消しの義務化というのがございましたが、これは特に悪質な業者でありまして、実際の現場で見ておりますと、七回違法行為をしても見逃してあげますよ、行政指導で済ませますよ、八回目からはこれは刑事告発をしますよ、そういうことを実際に運用している都道府県があるわけでありまして、そういう実態をまず見ないと、特に悪質な業者なんという認定を今の行政担当者がやるとは思えない、これはめったなことでないとやらないだろうということでありまして、その実効性にはやはり私は大変問題があると思っております。

 それから、不正の手段による処理業または処理施設設置許可を受けた者について取り消し処分の対象となる、これも、不正の手段というのはこれから具体化されるんだと思いますが、大変あいまいな規定のつくり方でありまして、ある意味ではこれは当然のことなんですが、これも、実際にはどこまでいくかというのは、後の規定を見てみないとわからない。

 それから、暴力団員等がその事業活動を支配する場合を欠格要件に追加、これは黒幕規定の要件が追加されたときにも議論になったところなんですが、その事業活動を支配するというのは一体何かと。

 何でこんなことを私は申し上げるかというと、やはりこの欠格要件が明確化される前に、我々は、実際にはAさんがこの企業を支配しているんだ、Aは欠格要件該当者だという主張を裁判上さんざんやりまして、この欠格要件が明確化される前に裁判所で随分その主張をしたときに、結局、Aさんは徹底してそれを否定したわけですね。そうすると、徹底して否定されると、これはどこでだれが認定するかという大変難しい問題が出てきまして、実際にはもっと簡単な要件設定をしないと、法を適用する現場では生きませんよ、生きた規定となりませんよということを私は申し上げたいということです。

 それで、先ほどの、保健所設置市から政令で定める市への事務の移管。事務が、従来、保健所設置市に一律に都道府県知事の権限が任されていた分を、今度は政令で定める市にすると。ここに私が三ページから四ページに書きましたとおり、基本的には、私はこれは地方分権の方向に反すると思っております。それは、さっきも申し上げましたが、では、都道府県とか政令市が十分な体制を持っているかというと、これは決してそういうことはない。

 例えば、神奈川県の例でいきますと、神奈川県は相当に広い県ですが、あの中で、例えば西部なら西部でもって、実際に現場で動く技術系の担当者というのは一人しかございません。それぐらいお粗末なところです。しかも、その一人も、尋問したときに、本当に基礎的な知識もないということが明らかになった、その程度の話でありまして、これは神奈川県だけに限らず、全国の規制行政の実態としてぜひ見ていただきたいと。それを見ないで、保健所設置市とか政令市というのを国のレベルで決めて、これは政令で定めたからできるというような認定が到底できるとは私には考えられない。

 むしろ、本当に住民と接していて、しかも地域に密着型という意味でいきますと、やはり市町村に権限を与える、これは一つ必要だろうと。広域化ということは当然あり得るわけですが、広域化があったとしても、地域の、そこに処理施設があり、そこに例えば焼却炉があるところがやはり一番密接に環境破壊、環境汚染を受けるわけでありまして、その視点からいっても、まず都道府県よりも市町村、さらに、それを支援する体制を考えた方がより合理的である、こう考えております。

 マニフェストのことについて申し上げますが、マニフェストについては、私は、現行法上二つ大きな欠陥があると思っております。これは、四ページのところに書きましたが、まず第一には、自社処分には一切適用がない。この自社処分の範囲も物すごくあいまいでして、先ほど例に挙げましたが、焼却したり破砕したりすると、後は全部自社処分だよと、他人から荷を受けてもですね。ですから、そこでマニフェストは切れてしまう、自社処分にはマニフェストはありませんから。そうすると、最終処分までの確認ができないということで、いわゆる二次マニフェストができたわけですね。たしか二〇〇〇年でしたか。

 ところが、二次マニフェスト、役に立つかというと、これは全然役に立たない。例を挙げますと、どういうことかといいますと、AさんがBさんに焼却を依頼する、それで、焼却してそれを最終処分したと。ここから先は自社処理だからマニフェストはないんだけれども、排出事業者は、自分が預けた荷が焼却されてどこに埋め立てられたか、これを確認しろというわけですね。このAさんが、ある業者のものしか受けていなければそれはいいんですけれども、例えば三十社受けている。これは普通の規模です。三十社受けて、それをまぜて燃やすのは当たり前なんです。まぜて燃やして、ある日燃やした、その灰がどこの灰かなんてことはわかるわけがないですね。つまり、人の遺骨と他人の遺骨をまぜちゃっているものを、これはおまえの遺骨だということでこれを確認する、つまり漫画の世界です、この二次マニフェストというのは。こういういわゆる漫画チックな制度をつくったというのは、やはり実態を知らないからだというふうに私自身は思っています。

 四ページのところにケース一、ケース二と書きましたが、これは私がよく法令講習会で使う図をそのまま使わせていただいただけです。これはちょっと時間がありませんので説明いたしません。

 そういうことがありまして、今回の法改正で言われていますマニフェストまたはその写しの保管義務だとか、処理が終了していないのにマニフェストの写しを送付をしてはならない、それから、違反に対する是正勧告を受けた事業者等に対する公表、命令の制度化、これ自身は、冒頭に申し上げたとおり、特に反対する理由は全くございません。ただし、重大な、基本的な欠陥をほっておいて、こういうものに手をつけて何の意味があるのかということが私の大きな疑問です。

 電子マニフェストについても、これは我々も随分議論したことがありますが、その実効性の前提として、やはりマニフェストの基本的な部分、自社処理をどう扱うのか、それから自社処理の範囲はどういうふうに明確化するかということをまず拾い上げないと、マニフェストばかり発達させてもしようがないだろう、こう思っています。

 それから、国庫補助金の廃止の問題がありますが、これはちょっと時間の都合で省略いたしまして、後で読んでいただきたいと。

 それから、最後に、無確認輸出の問題について申し上げたいと思います。

 無確認輸出の罰則の強化、六ページから七ページについてなんですが、実は平成四年十二月にバーゼル法ができまして、それを受けて廃棄物処理法の規定が改正された。バーゼル法の方は、特定有害廃棄物について、つまりバーゼル廃棄物についての規定であって、それから、廃棄物処理法の規定の方は、それ以外の一般廃棄物等についての規定。問題は、いずれもこの規定では到底適正な輸出入の確認あるいは承認等の手続ができないということになります。

 時間がなくなったので詳しくは申し上げられませんが、むしろ根本的な部分をやはり改めないと、この手の問題は今後も続発するだろうと思います。

 済みません、ちょっと時間を超過いたしまして。どうもありがとうございました。

小沢委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の方々からの意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

小沢委員長 これより参考人に対する質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。砂田圭佑君。

砂田委員 自由民主党の砂田圭佑でございます。

 きょうは、参考人の皆様におかれましては、大変お忙しい中、わざわざお時間をお割きくださいましてお話をいただきまして、まことにありがとうございます。心から御礼を申し上げる次第でございます。

 私は、もともと関西の舞子公園というところ、御存じかもわかりませんが、その辺の育ちでありまして、まさに白砂青松の地でありましたから、大変きれいな海の中で育ちました。六月ごろから十月ごろまでは毎日、学校から帰ったら海の中へ入っている、足の周りに魚が寄って来るというような、そんな海でございましたけれども、五、六年してから同じ海に入りますと、もう真っ黒な海で、底は見えませんし、そして上がってくれば重油に肌がべっとりぬれるというような、そんな海の中で、まことに自然というものの中で育った我々としては非常に残念な思いがしたものでございます。

 そういう点で、きょう先生方からもう既にこの問題について十分な御示唆、お話をいただいておるわけですから、わざわざ私どもが改めて質問を申し上げることもないのでありますけれども、やはり私は国民から選ばれた代表でございます。国民のために、あるいは国民が疑問に思うこと、そういう点について二、三お伺いをして、そして、我々、国民との間でどんな形で環境問題に取り組むべきか、あるいはどんな政策を打ち立てるべきか、どんな法律をつくるべきか、また、行政は当然その中でそれを普遍化して、国民すべてに良好な環境をもたらすということをやっていかなきゃなりません。そういう立場でぜひとも先生方に御質問をしていきたいと思っていますので、重複する部分もございますけれども、どうぞよろしくお願いを申し上げる次第でございます。

 まず最初に、環境問題の将来、いろいろな形で今環境処理を、あるいは環境をしっかりするためにいろいろな、ごみやらちりやら、あらゆるものを国の方でも考えながら、その処理を早めていかなければならない。きょう市民が出したごみは、あしたには十分片づいて、きれいに処理をされているということを国民は望んでいるわけでございますけれども、いろいろな状況から拝見して、この日本のごみ処理の問題は極めて厳しい環境に置かれている。ごみが多い、そういうことに対してそれを処理する能力は小さい、そのアンバランスがいろいろな不正を呼んだりしていることも事実ではないかという気がいたします。

 そういう点で、四人の先生方に、日本の将来、ごみというのはどんな形で処理をされていく、あるいは先生方のそれぞれのお立場でどうやってごみ処理をしていくことが理想的なのか、そこら辺をぜひともお聞かせいただきたいと思います。

花嶋参考人 環境問題というのは、今日、その意味で非常に喫緊の課題でございますので、殊にその中でもごみ処理というのは非常に喫緊の課題でございます。そういう意味で、どういうふうにすれば国民が安全、安心を担保できるかという話になると、非常に難しいわけでございます。

 私は、実は最終処分をずっと四十年近くやってまいりましたので、余り法律的なことはよくわかりませんけれども、技術的な問題として、最終処分場が足らないということが盛んに言われます。最後の受け皿ですから、今日の問題としては、非常に災害が多発しております。そういうときに、それをどういうふうにしてきちっと早急に片づけるかということになりますと、そういう片づける場がないということが非常に大きな問題になっております。

 御存じのように、神戸の震災のときに約二千万トン近い廃棄物が出てまいりました。それが割と速やかに排除されたのはなぜかといいますと、あそこに大きな処分場が三つございまして、神戸市に二つ、大体一千万トン以上の大型の処分場がございます。それから、もう一つ、御存じの海面処分場でございます。その三つに分散して、そこで整理をして、早く片づけたというようなことがございますので、私は必要最小限、今まで日本に五千カ所もあったような小さい、本当に一万トン以下のような処理場がたくさんできることは非常に問題がありますけれども、国がそれを総合的に、ただ処分場だけじゃなしに、中間処理施設あるいはリサイクル施設も兼ねた大型の都市施設としてそれをきちっと整備していただくということが、私は一番大事じゃないかと思っております。

 そういう意味では、そういうものに国の方の御援助をいただければ、技術としては、今も皆さんが御心配になるようなことは、最終処分場についてもここ三、四十年の間に非常に進歩いたしております。一番新しいところでは、ごみを洗うというような話までやっております。現に、私どものところの研究所では、ごみを洗う施設をつくって、WOWという研究会をつくって研究をいたしております。

 ちなみに、今、大阪湾なんかで、尼崎だとか泉北の海面処分場がそろそろ満杯になって、閉鎖をする。閉鎖して土地をできるだけ速やかに売りたいわけでございますけれども、それがなかなか売れない。なぜかというと、何が入っておるかわからない、それから法律上のいろいろな規制がございまして、もしそれを買ってから事が起きた場合には、その所有者の責任になるというようなことも含めて、土地が売れない。それなら最初から有害物を取り除いて埋めたらどうだというような、これはまじめに考えているんです。今度、大阪湾の新しい処分場をつくるときには、そういう施設を実際組み入れて処理を行っていこうというふうに考えております。

 そういう意味では、私の立場からでは、最終に受け皿をきちっと都市施設としてつくっていただきたいということが一つの方向だと思います。

 ありがとうございました。

大塚参考人 大塚でございます。恐れ入ります。

 三点申し上げておきたいと思います。

 一つは、処理の前提として、先ほども申し上げましたスリーRというのを進めていく必要があるということでございます。基本的には発生抑制、その次はリユース、それからマテリアルリサイクル、サーマリサイクルという順番を堅持していくべきだということがあると思います。

 基本的には、廃棄物の発生を抑制して、できるだけ処理をしないようにしていくということが重要であると思います。そのためには、EPRと呼ばれる拡大生産責任というのが一つございますし、その一例として、例えば家電製品の中での有害物質の含有量を減らしていくとか、それ以外の製品についても有害物質を減らしていくというような方策が、EUなどではRoHSなどと言って進められているところでございまして、非常に参考になるのではないかと思っております。

 第二点は、もちろん焼却も必要ですし、最終的に最終処分もどうしても必要な場合は残るわけでございますけれども、これに対しての管理とか監視を徹底していくべきだということがございます。そこで一番のポイントになるのは、排出事業者の責任ということがあると思います。

 そして、最終処分に関しましては、例えばアメリカでは、最終処分場をつくるとき、三十年間は管理をしていくということを前提として計画をつくっていくわけですけれども、我が国は必ずしもそこまでは行っていないということがございまして、すぐにそこまで行けるかどうかわかりませんけれども、できるだけ早い時期にそういう計画を立てられるようなところまでいくべきではないか。そのためには、処分場の設置者の財政的な基礎というのが非常に重要になるということがあると思います。それを許可基準の中で実質化していくべきではないかと個人的には思っておりまして、例えば、保険などをつけることを最初に財政的な基礎の証明として必要としていくべきではないかというのも一案であります。まだこれは実際にできるかどうかわかりませんけれども、そういうことが例えば考えられるわけでございます。

 第三に、最近の分権推進の中で三位一体改革などが進んでいるわけですけれども、処分場というのは迷惑施設ですので、どうしても地方自治体だけに任せておくというわけにはなかなかまいらない点がございます。今般、循環型社会形成推進の交付金が成立したということは、私は結構なことだと思っておりますけれども、完全に自治体に任せ切りにしてしまって、財源だけを移譲すればこの問題が済むというものではないということも特に申し上げておきたい点でございます。

 以上でございます。

小畑参考人 これからの最終処分のあり方ですけれども、やはりできるだけ中間処理なりリサイクルをするということをしながら、最終処分をできるだけ少なくしていくという方向が大事だと思います。

 それからもう一つは、日本の場合、地形的な関係で、やはり山の谷合いとかああいうところにはできるだけ処分場をつくらないようにすべきではないかな。したがって、中間処理なりリサイクルでできるだけ最終処分する量を減らして、そして、どうしても最終処分をしなければならないものは、むしろ海側といいますか、一番下流のところでつくれば、それまでの途中のところの汚染は防止されますし、それから、割合海側でつくります場合、そこから外へ流れ出る場合に、護岸をきちっとして、その周りの水質調査を定点を定めてやれば、かなりわかりやすく、何かそこから漏れて出るとそこの水位がぽっと上がるということで、大阪市はずっと埋め立てでやってきたんですけれども、もし何かあるときはわかりやすい、その場合はそこを掘り起こして補修すればいいということでありますので、そういう方向でひとつやっていく必要があるだろうということ。

 もう一点は、今やはり実態がわかりにくいために、どれだけのものをつくればいいかというのがなかなかわかりにくいということと、そういう意味で、今は余り公共はかかわらずに民間でやられているんですけれども、民間でやる場合、やはり、先ほども言いましたように、コストをかけた施設とコストをかけない施設がありますと、かけた方が絶対、環境上はいいんですけれども、搬入料の関係では、コストをかけたところは高い搬入料になりますし、それからコストをかけないところは安い料金になる。そうすると、持っていく人が、いや、わしのごみはどうしてもいいところで処理してほしいということで、コストの高いところに持っていってもらっていいんですけれども、どうしてもそれは安いところへ行く。そうすると、安いところ安いところへと流れていってしまうというのがありますので、その辺はやはり、そういうモラルがかなりきちっとよくなるまでは公共も一定かかわって、最低限こういう施設、こういうものは要るという形の処分場をつくっていかないと、なかなか環境という立場からはうまくいかぬのじゃないかなというふうに思います。

梶山参考人 ごみはたくさんある、しかし処理施設の能力は足りない、だから処理施設は必要だ、これが一般的にいう処理施設をつくる方の論理だと思います。これはもっともなようですが、実は私、その点にまず疑問を持っております。本当に足りないという解析をだれがどれだけまじめにやったのかということなんですね。

 私自身は、長野、千葉、その他で、約八十の市町村について、現実に、ごみ処理の原単位、それから人口予測等について自分自身で解析してみたことがあります。例えば長野の事例で、広域連合の処理施設については、原単位についても、それから人口予測についても、明らかに従来の趨勢を上回る過大予測をしております。

 これはごみ処理施設に限らず公共事業一般に言えることですが、それが本当に過大予測ではないのかどうかということについてやはり十分な吟味が必要であって、本当に必要なのかということについても、やはり基本的なところから洗い直していくべきであろう、こう思っております。

 それからもう一つは、これは現在も言われていることですが、かつてのごみ処理は、例えば十五センチ以下に破砕してから埋めなさいという埋立基準はほとんど守られておりません。東京湾の埋立処分場なんかについても、このぐらいの机だとか長いすがそのままぼんぼん投げ込まれて、大変乱暴な埋め立てをしてきた。これは実際の埋立容量の恐らく半分も使っていないのではないかという処分場が全国各地にいっぱいあるわけでありまして、まず、環境改善もかねて、従来の処理施設というのはいかにその地域に負荷を与えてきたか、その負荷を減らしながら、新しい処分場をつくるというよりも、日本国内ではほとんどが水源地でありまして、そういう適地というのは基本的にないと考えた方がいいわけでありますから、従来の施設の見直しがまず必要であろう。

 それからもう一つ申し上げますと、あと二年もすると日本全体で人口がピークを迎えて、それから八十年もすると日本の人口は半減する、何百年かすると日本人は絶滅危惧種になるということが、これは大まじめに考えなくてはいけない話でありまして、そういう趨勢を踏まえて、さらに右下がり経済が高齢化の中で避けられないものだとすると、それを織り込んだ本当の意味でのごみ予測をきちんとやるべきではないか。

 さらに、それに加えて、例えばペットボトルのことを例に挙げますと、ヨーロッパでは二十回のリターナブル型が標準です。これは、ヨーロッパに行って、例えばスーパーに行っておしりを見ると、一回ごとに刻印が押してある。刻印の数を見ると、これは十五回目のリターナブルだということがわかる。それが日本ではワンウエー型が基本になっている。これは本当の意味でリユースを全くやる気がない、きちんとやる気がない。そういう意味でいうと、ごみを本当の意味で発生抑制する行政的な努力というものも極めて欠けている。

 それらをすべて吟味した上で、本当に処理施設がどこまで必要なのかということを、きちんと将来予測を立てるべきだ。それがないと、私は、処理施設を足りないからつくれという議論にはすぐに乗れないということが基本にございます。

 それから、もちろんそういうものの必要性を私は全く否定するわけじゃなくて、仮に必要であったとしたら、どうやってつくるべきかというのは私なりの提案を持っております。

 それは、一つは、やはり環境に最も負荷を受ける地域住民を管理体制の中に必ず組み込むこと。それからもう一つは、大きい処分場はやはりどうしても環境負荷を……

小沢委員長 済みません、簡潔にお願いを申し上げます。

梶山参考人 済みません、つい長くなっちゃって。

 大きいものは、どうしても、そこが問題を起こしたときに対処できない。つまり、フェールセーフの考え方で処理施設というのはつくっていくべきだ、そう考えております。また、いつものとおり長くなって済みません。

砂田委員 大変短い時間の間に有益なお話をいただきました。ありがとうございます。

 ぜひとも、きれいな日本を我々の将来の子孫に残したいと思います。これからも御協力をいただきたいと思います。ありがとうございました。

小沢委員長 次に、山本喜代宏君。

山本(喜)委員 社民党の山本でございます。

 きょうは、参考人の皆さんには、お忙しいところ、貴重な御意見をありがとうございました。

 また、質問の順番を配慮いただきまして、大変ありがとうございます。

 まず最初に、花嶋先生にお伺いしますが、産廃の処理に関する国と地方の役割分担、これはどうあるべきかということでございます。

 国から地方へということで地方分権の流れがございますが、しかし、地方分権推進会議なんかでは、産廃行政は地方分権の例外分野というふうなことで、国の責任の明確化ということが定義をされております。しかし、不法投棄などに対する迅速かつ機動的な対応ということでは、やはり現場の自治体の役割というのが極めて重要なわけでございます。

 三位一体で自治体の財政は大変厳しい状況でありますし、事務処理能力ということもかなり厳しい状況ではありますが、この産廃の問題、迅速な対応ということにおける国と地方のあり方は、役割分担ということでどうあるべきか、まずお伺いしたいと思います。

花嶋参考人 非常に難しい質問で、私にはなかなか答えにくい問題なんでございますけれども。

 もちろん産廃というのは、やはりかなり国の権限が強くないと、どう申しましょうか、地方だけではやり切れない問題が私はあると思います。

 そういう意味で、国と地方のいい連携というか、少なくとも今、環境省の方は地方にこれから人を派遣しようという、何か地方駐在の環境省のお役人をふやそうという方向でございますが、やはり地方の実情を十分踏まえていただかないと。

 私らのように地方におりますと、話は全部中央の話になってまいりますので、そういう意味では、地方といいますか、これは今、何も地方だけじゃない、自治体の話と国の話でございますけれども、そういう連携をどういうふうにとっていくか、その辺の細かい仕組みについては、私は余りそういうことに関係しておりませんのでよくわからないんですが。

 地方がきちっとデータを、先ほどやはりデータがないという話で、まずそれだけの専門家が育っていない。だから、どういうふうにデータをとっていいのか、実は各自治体でも、幾つかの都市を除いてはほとんどわからないというような現状ではないかと思います。殊に小さい市町村では全くわかりませんし、そういう意味では、ことしは三千二百が千八百ぐらいに市町村が合併したということで、それなりの人材が供給されると思いますが、そういうことをわかる専門家を地方に育て、国がそれをもっときちっと指導をしていく、そういうシステムをつくり上げれば、私はこの産廃問題というのは割とわかりやすく解決できるんじゃないかと思っています。その程度しか私はこのシステムについてはわかりません。申しわけございません。

    〔委員長退席、近藤(昭)委員長代理着席〕

山本(喜)委員 ありがとうございました。

 次に、大塚参考人にお伺いします。

 先生は先ほど来、三つのRということでおっしゃられておりましたけれども、拡大生産者責任というもの、それからリデュース、リユース、リサイクルというこの優先順位、さらには排出者責任、これは最も重要な課題ですが、しかし、この実効性がなかなか伴わないというふうな状況でございます。これに実効性を持たせていくにはどうしたらいいのか、この点についての先生の御所見をお願いします。

    〔近藤(昭)委員長代理退席、委員長着席〕

大塚参考人 大変大きな問題でございますが、今答えられる範囲で簡単に答えさせていただきたいと思います。

 まず、拡大生産者責任の方につきましては、これは御案内のように、従来は、消費者が製品を購入した後、みずから消費をして廃棄をするという段階においては、もはや消費者のものになっていて、消費者のみがいわゆる排出者としての責任を負うという可能性がある、責任というのもおかしいですけれども、費用の支払いを負うかもしれないというようなことでございましたが、それだけではなくて、生産者が、その製品の消費された後の、廃棄された後のところについてまで追っかけていって責任を負う。そのための、例えばデザインをするということもありますし、場合によっては引き取ってリサイクルをするというような義務を負うというのが拡大生産者責任でございます。これは、従来の廃棄物のあり方とそれから製品の製造の段階という完全に二つに分かれていたものを統合する、くっつけるという、一体化するということを目指しているものでございます。

 しかし、同時に、引き取りをしてリサイクルをするということになりますと、生産者に極めて大きな負担をかける可能性もあるわけでございまして、例えば、現在、容器包装とか家電とか、このたびは自動車とか、については新しく個別的なリサイクル法ができたわけでございますが、そのように、現在自治体において、一般廃棄物の処理について大変困っていたり、あるいは産業廃棄物としても大きな問題を発生させているものに限って適用されてきているところがございます。

 どうしても、法制度としていくという段階におきましては、そして義務化していくという段階におきましては、比例原則といいまして、余りにも過大な負担を事業者、製造業者等に与えるというわけにはまいりませんので、その他の観点から、EPRの徹底というのは望ましいのですけれども、同時に限界、限度もあるというところがございます。したがって、徐々に進めていくしかないというところもありまして、その辺が、すぐにはスリーRが徹底しにくいというところが残念ながらあるわけでございます。したがって、これにつきましては、地道ではありますけれども、徐々に拡大をしていくということが必要ではないかというふうに考えております。

 もう一つの、排出者責任に関しましては、排出者責任の強化ということが、先ほど私が説明させていただきましたように、二〇〇〇年の改正においてなされまして、それがいわゆる産業廃棄物処理についての構造改革につながってきている、そのきっかけとなっているということだと思います。

 十九条の六という条文がそれに関係するわけですけれども、これは現在はまだ十分に発動されていませんけれども、具体的なあり方としては、国の方でこの十九条の六の措置命令が出されるための行政手続法上の基準をお決めいただくと、もっと使いやすくなるのではないかというふうに考えております。

 そして、排出業者の責任の徹底といたしましては、それ以外の、マニフェスト等についての配慮も必要になってまいりますので、これに関しては個別的な対応をどうしてもしていく必要というのが残っておりますので、具体的な問題に対応しながら徐々に拡大をしていくということが必要ではないかというふうに考えております。

 とりあえず、排出業者責任としては、十九条の六の行政手続法上の基準を示すということが国に現在求められているところではないかということを申し上げておきたいと思います。

山本(喜)委員 ありがとうございます。

 次に、小畑参考人にお伺いしますが、産廃特措法でありますが、十年間の時限立法ということでございます。しかしながら、現状では、処理費用も含めてかなりの金額になっておりますね。果たして、この十年間の時限立法、現状のこの体制で十分なのかどうか。今後、不法投棄、たくさんあります、減らないという状況の中での対応についてどう考えていったらいいのか、お伺いします。

小畑参考人 不法投棄の原状回復、十年の時限立法ですけれども、昨年豊島へちょっと行ってきたんですけれども、五十万トン、捨てられたいわゆる不法投棄の産業廃棄物を、今それを全部掘り起こして、そして無害化する事業をやられています。何かこれはやはり三百億近くかかるという話で、あと、青森・岩手の県境も、これはやはり五、六百億はかかると言われていますけれども、これ二つで一千億とかいう数字になります。それから、千葉県には、不法投棄されて現存している量が、豊島の大体十倍近くぐらいの量がまだ現存したままですので、これを全部原状回復していこうと思いますと、それは膨大な数字になると思います。

 私ども、もともと十年の時限立法のとき、これができて、恐らくこれはもうずっと、未来永劫続く法律になってしまうんじゃないかなというふうに個人的には考えていましたので、今の状況では、とても十年でおさまる状況じゃないだろうし、当然これは延長するか、何か次の手だてを考える必要があるだろうというふうに思います。

山本(喜)委員 ありがとうございました。

 次は、梶山参考人にお伺いしますけれども、廃棄物というものの定義の問題でございます。

 今の廃棄物の定義、これは、不要物であるということと、取引価値の有無あるいは占有者の意思等を勘案してということで、厚労省の判断となっているようでございますが、この定義が不十分なことが、産廃がどんどんふえていくということの原因の一つになっているんじゃないかというふうに思うんです。

 そういう意味で、この定義の問題についてどのように考えたらいいのか、お願いします。

梶山参考人 大変大事な問題提起をいただきまして、ありがとうございます。

 現場で私も常々その点を考えているところでありまして、やはり一番問題になるのは、不要物または汚物となっております、要するに、経済的な概念と汚染的な概念をごっちゃにした大変特異的な定義でありまして、不要物という概念は人によってまさに相対的でありまして、捨てた人にとって不要物であっても他の人にとっては有用物である、これが廃棄物全般に通じる特性でありますから、これを不要物という言葉でくくるというのはもともと無理がある。端的に申し上げますと、有償取引の対象になるものは廃棄物にあらずという、それほど単純に言っているわけじゃありませんが、たしか昭和四十六年でしたね、二回にわたって国が通達を出しておりますが、その通達自身大変わかりにくい。バーゼル法にあるように、基本的には、ヨーロッパにしてもアメリカにしても、不要物という、有償取引の対象になるものは廃棄物ではないという概念は既に克服しておりまして、要するに、排出者の時点でもってこれは要らないよと出されたものは、後、それが有用物になろうが、最終処分あるいは資源として生かされるまではこれは全部廃棄物として扱う、その方が合理的で明確であろうと思っております。

山本(喜)委員 済みません、もう一度梶山先生にお伺いします。

 先ほどの御意見の中で、マニフェストの強化、この実効、もともとこういうものはだめなんだというようなことでお話がありましたが、これが実効性を伴うにはどのような方策が必要か、お伺いします。

梶山参考人 一つは、今問題になっております自社処理という枠を一たん取っ払って、その自社処理の中でも、マニフェスト適用が可能なものと可能でないものとが、これはあり得るかと思うんですが、基本的には、今自社処理という枠でマニフェストがなくなっている部分をどうやってマニフェストに取り込むか、これがまず第一点必要だろうと思います。

 それからもう一つは、今の廃棄物の定義とも関連するんですが、やはり廃棄物の定義自体も、ある時点でごみになったり、ごみにならなかったりする。例えば紙でしたら、そのときの市況の状況によって、有償取引になったりあるいは逆有償になったり、それは揺れ動くわけですから、やはりそういうものにとらわれない廃棄物の定義、これは最低限必要だろう。

 まず第一点は、自社処理に対してもマニフェストの範囲を拡大する、これがスタートだろうと思っております。

山本(喜)委員 貴重な御意見、どうもありがとうございました。これで終わります。

小沢委員長 次に、石田祝稔君。

石田(祝)委員 公明党の石田祝稔です。

 参考人の四人の先生、大変に貴重な御意見、どうもありがとうございました。

 私もこれは率直に感じるんですが、例えば岐阜の椿洞ですか、あそこで何十万立米も埋め立てられてなかなか気がつかなかったということがにわかに信じがたいわけでございまして、ですから、これは担当の行政の方の数が少ないということはもちろん一つあるかと思いますが、それを補って何かしないと、何十万もたまって地形が変わるぐらいになってやっと動き出す。それ以前にいろいろな情報もあったのではないかというふうに私は思います。

 それで、参考人の四名の方の御意見、ペーパーでもいただいている中で、花嶋先生それから大塚先生、地域のNPO等と連携することが大事ではないかという、それぞれの文書で書かれているように思いますけれども、この点について具体的にどういうことをお考えになっておられるのか、順次お二人からちょっとまずお聞きをしたいと思います。

花嶋参考人 地域の連携としてNPOを利用するということは非常に大事だと思います。

 実は私もNPOを今三つほどつくっております。それで、一つは私どもの福岡県でつくっておりまして、あと二つは東京都ともう一つ、全国版としてランドフィルの国際的なNPOというのを実はつくっておるわけです。

 そういう意味では、一番大事なのは、人を教育し、かなりの専門家にしておかないと本当のことがわからない。そういう意味で、私はやはり人材の育成というのは非常に大事じゃないかなと思っております。そういうのをNPOが中心になって人材育成をしていただければと思っていますが、人材育成といったって、ただ単に講習会のようなものじゃだめなんで、自分で責任をとって、その場をコーディネートできるような人を育てていかないとこういう廃棄物問題というのは片づかないと思っております。

 そういう意味では、国の方も何か新しい方向づけとして人材育成を今考えておるようでございますし、私も北九州の支援を受けまして、私関係のことで、今埋立地を中心に、埋立地のリニューアルなどを中心にしました人材育成、九州環境技術創造道場という、道場としたのは、やはりただ単に技術を知っているだけじゃなしに、自分が主体を持ってその場をつくっていくような人をつくりたいということで今考えておりまして、こういう人ができてくれば地方の場合も、そういう今言われたような不法投棄の問題も何もかなり人的な供給ができるんじゃないか、そういうふうに思っております。

大塚参考人 大塚でございます。

 二点ほど申し上げておきたいと思います。

 一つは、自治体の具体的な運用が非常に重要になるということでございます。これは担当者の問題にもちろんかかわってくるわけでございますけれども、住民との連携を常に密にしている必要があるということでございます。担当者がどんどん交代をしているというような状態だとなかなかこれに対する対応がしにくいということがございまして、自治体の中で廃棄物に関するスペシャリストを育てるということが非常に重要だということでございます。

 それから、第二点として申し上げておきたいのは、では制度的な面で今お伺いいただいたことをどう考えるかということでございます。これに対しましては、違法な活動をしている者に対して住民が通報する、あるいは住民でなくてもよいのですけれども、関係者が通報するというようなことの制度をつくるべきではないかという問題がございます。これは長野県の方の条例案でも検討されているところでございますけれども、そのようなことが一つの方策として立法の関係では問題になってくるのではないかというふうに思っております。

 以上です。

石田(祝)委員 それでは、続いてお伺いをしたいと思うんですが、産業廃棄物はどうしても産業活動に伴って、量を減らしても、これは出ざるを得ないわけですよね。これは適正に処理をされれば全然問題ないと思いますけれども、結局、それが適正に処理をされずに不法投棄される、そこに大きな問題がもちろんあるわけです。

 これは考えてみたら、お金をもらって請け負って、それを処理せずに山の中にほうり捨ててしまえば、これは費用は要らないわけですから、一番もうかる仕事なんですね。そして表に出ないお金である。こういう形になったら、税金のこと等も含めて一番割のいい商売じゃないか、こういうふうにも思うわけです。しかし、それは最終的にどういうふうに回ってくるかというと、豊島の問題を含めて今お話がありました、千葉にその十倍ぐらいあるよ、そんなお話もございましたし、ほっておくわけにいかないから、最終的には行政が処分をする、それは何百億とかかる、しかし、それを本人には請求できない。香川県の豊島の場合も結局五百億とか言われておりますけれども、請け負ってそこに積み立てて残しておった業者は、最終的に発覚した段階で全然お金がない。それで、ない人から取れないわけですから、刑務所にほうり込むわけにいかない、ある一定の年数以上は。そうすると、結局それは公で処分をしなきゃならない。そして、だれかがもうけて喜んでいる。こういう形になるわけでありますけれども、我々が考えてみたら、何とも歯がゆい思いもいたします。

 ここの、不法投棄の、どこかでその輪を切っていかないと、これはもうかる以上はなかなかなくならない、こういうふうに私は思わざるを得ないわけですけれども、この点について小畑参考人と梶山参考人からそれぞれ、何かいいお考えがございましたら参考人としての御意見を承りたいと思います。

小畑参考人 なかなか不法投棄事犯はなくならないんですけれども、やはり役所の方で、取り締まる方も今はかなり、データ的にも十分なものがないし、それから、役所の場合、大体三年か四年に一度必ず異動が大概のところはありますので、異動があると、なかなかこういう複雑な、裏の、不法廃棄の世界というのは、ずっと長いことやってきた人でないとわかりにくいという面がありまして。どちらかというと、結局、不法投棄をされる人の方が、何かどんどん進んでいる、法律の裏も非常にうまくくぐっていく、こういう状況がありますので、やはりこれからの不法投棄というのは、行政がかかわっていかなければならないと思います。先ほども先生方が言われていますように、もっと専門家をつくる必要があるだろうなということ。

 それから、専門家というのは、そう一朝一夕にはつくれませんので、やはりそういう知識のある人を十分活用していくということで、僕は前から思っていますのは、不法投棄の防止については、ただ役所がそれぞれの自分の所管のところだけをするのではなくて、ある程度ブロック単位ぐらいで、法律の専門家、あるいは、物を見れば、これは有害なものが入っているか、あるいはこの物はどんなものかというのがすぐわかる産廃のそういう修練者。

 それから、もう一つの問題は、これは結構なかなか対等に物を言いにくいという立場のときもよくあるんです。ある不法投棄の事件のときには、相手の方が、何か、傷害十何犯の方でして、普通の地方公務員が立入検査に入りましても、そういう人になかなか対等に物が言いにくいような状況もありまして、それは僕も実際この目でその場を見たことがあるんですけれども、そういうようなので、やはりそういう専門のチームなんかも立ち上げて、そして徐々にそれをなくしていく。

 それと、今の場合、よく思いますのは、スピード違反でも、あっ、ここはいつもスピード違反のネズミ取りやっているというと、みんな飛ばすのをちょっと控える、ちゃんとちゅうちょするんです。これは本当はいいことじゃないんですけれども。やはり、今は、警察に捕まるまでは、もうほとんどチェックはされないというような状況で、好きすっぽうやられているような状況がありますので、やはり、そういうようなことがされぬような仕組みを、早いことデータもつかんで、その上に、どういうものをやれば一番うまく的確に対応するかということを考えて。これは変なことをしたら絶対取り締まりに遭う、あるいはいろいろと立入検査に遭う、こういう体制をつくることが今一番必要じゃないかなというふうに考えます。

梶山参考人 不法投棄に関して、私は申し上げたいことは山ほどあるんですが、また時間オーバーになるといけませんので、簡単に申し上げたいと思います。

 一つは、先ほどのマニフェストの話、廃棄物の定義、これも全部絡むんですが、私は、まず最初にやるべきことは排出事業者と受託した廃棄物処分業者との間での無過失連帯責任、つまり、自分の義務を、自分の手足として使う場合ですから無過失連帯責任は当たり前だろう、まずこれがぜひ必要だと思っています。

 それから、先ほど地域住民との連携という話が出ましたが、私はこれも大変大事だと思っておりまして、住民というのはそこに住んでいるわけですね、住んでいるわけですから二十四時間だれかいるわけですから。実は、岐阜の事案でも住民が気がつかなかったということは私は信じがたい。実際に行政の対応を見ますと、住民が幾ら情報を出しても、全然耳に入れてくれないというのが、私が数多く携わってきた廃棄物紛争の一つの特色でありまして、つまり、情報は山ほどある。私はスペシャリストはそんなに必要ないと思っています。

 長野県の条例の例が出ましたが、私は長野県の条例アドバイザーを今やっております。その中でつくってきた話の中で、地域に環境協議会という、緩やかな住民組織をつくりまして、その中で情報を常に行政と地域の中で共有するシステムをつくる、必要な支援は行政もやるという形で、まずそういう地域住民の緩やかな協議会というものを立ち上げる。これは、長野県では流域協議会という形で、治水問題では既にスタートしております。そういうものが、やはり最も情報を持っているのは地域住民だ、それで地域住民からの情報をもっと尊重するというシステムを、条例でも法制度でも、つくっていけば、これは、もっとずっと不法投棄の早期発見は可能だと思っております。

石田(祝)委員 これで終わります。ありがとうございました。

小沢委員長 次に、近藤昭一君。

近藤(昭)委員 民主党の近藤昭一でございます。きょうは、参考人の皆さんには貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございます。

 それぞれの参考人の方から、大変な不法投棄があるんだ、そういうことに対してきちっと廃掃法を改正していかなくちゃいけないんだというお話が前提としてあったと思います。

 私も地元の愛知県あるいはさまざまな場所に、不法投棄の現場に、視察に行ったことがあるんですが、本当に残念ながら、道路からちょっと入った森林の中とか、本当に、見えないところはどこでも捨てているんじゃないか。あそこにもここにも、ここも不法投棄現場ですと、よくわかるわけですね。もう一方でいうと、わからない。わからないというか、捨てられているだろうとは思うけれども、一見ではわからない、つまり盛り土、覆土がしてあるようなところ。本当にたくさんの不法投棄があるんだなと思うんです。

 ところで、どうなんでしょう。参考人の方からの御指摘の中で、どれぐらいの不法投棄があるのか、きちんとそういう現状把握はすべきだというお話があったんですが、まず参考人の皆さん、どうなんでしょう、年間にどれぐらいの不法投棄がされていると御推測であるのか、お聞かせいただければと思います。

梶山参考人 大変大事な問題を提起していただいたと思っております。

 検挙事例というのが年々公表されますが、私は、恐らく一%もいかないだろうと思っています、その検挙事例で出てくる量が。

 それは、幾つも根拠があるんですが、まず一つ申し上げますと、先ほど住民監視の話が出ましたが、例えば廃棄物処理施設でもってある日量ごとの焼却炉があると、大体その焼却炉は、私の知っている限り約十倍燃やしていると見て差し支えない。これはそれなりに根拠があって言っているわけで、地域住民は、そういう紛争の地点では、幾つも監視小屋をつくって二十四時間トラックの監視をいたします。そうしますと、まるっきり違う数字が出てくるのが普通。そうすると、オープンにやられているところでも、行政への届け出が五トンであっても、実際には五十トンというのが、ごく標準的な小さな廃棄物処理施設の実態だ。埋め立ても実はほぼ同様でありまして、つまり、公式に出てくる数字では、まず十倍のごまかしはあるだろう。

 それから、その次の問題として、では廃棄物の不法投棄はどれだけ発見されているかというと、先ほど千葉の例が出ましたが、銚子一体では、永年にわたって廃棄物の不法投棄と自警団とのイタチごっこがずっと続いておりまして、恐らく豊島の数倍はあるだろうと銚子付近だけで言われている量がそこに蓄積しているわけですね。実際に表にはほとんど出ていない。ですから、表に出てくるものはその十分の一もないだろう。

 両方掛け算すると百分の一、すごいどんぶり勘定ですが、そう思います。

小畑参考人 この数字は全くわからない世界だというふうに思うんです。よく世間では四千万トンぐらいは不法投棄ではないかと言われますけれども、僕は、先ほどちょっとデータも出しましたように、やはり二千万トンぐらい消えておるというあの数字は、みんなこういうことで調べられているというふうに思っていませんので、割合無防備に出されて集まった数字で出てきているのではないかなという気がしますので、やはり、一千万トンか二千万トンぐらいの量は消えてしまっているんじゃないかなという気がします。

 そうでないと、残余容量につきまして、いつももうすぐなくなるなくなると言われておって、本当ならもう早い時期に最終処分場はなくなってなければおかしいんですけれども、それが一つもなくならずに同じような数字で続いているというのは、やはり何か抜けているからくりがあるんじゃないかなという気がします。

大塚参考人 公式には年間四、五十万トンで最近少し下がってきたんですけれども、岐阜市の椿洞の問題が出ていますので、昨年度については七十万トン程度というのが公式の発表でございますけれども、先ほど来お話がありますように、氷山の一角にすぎないというふうに考えております。何千万トンかということははっきりいたしませんし、処分場の使い方も、昔と比べると少し違っているということとか、あるいは、そもそも廃棄物の発生量自体が少しは下がっているということもありますので、その辺は一応考慮しなければいけないと思いますけれども、非常に多くの不法投棄が見えないところでなされているということであると思っております。

 以上です。

花嶋参考人 私は昔、豊島にごみを捨てたときにちょっと関与いたしまして、そのときに香川県は十六万トンと言っておりました。それが、豊島で実際発見されたのが約五十万から六十万トンでございますので、それから勘定しますと、国が発表した量の五倍から十倍はあるのではないかと思っております。

 以上です。

近藤(昭)委員 そうしますと、なかなか実態は把握されていないところはあるわけです。

 先ほど参考人の方からもお話があったみたいに、地域住民の方がよく知っているんだという感覚でいきますと、私なんかも本当に見に行っても、多大な不法投棄の量があるんだなと。今お話を聞いていても、やはり公式に発表されているものの十倍とか、あるいはもっとたくさんのものがあるんだなと思うんですね。

 そうしますと、不法投棄がされないようにしていくというためには、やはり三つぐらい考えなくてはいけないことがあるのかなと思うわけです。つまりそれは、きちっとチェックをしていく、先ほど来から、きちっとした人材育成、あるいはもっと地域住民の人たちと連携していく、そういう部分と、あるいはきちっとした処分場をつくっていく、そういうことかなと。もう一つは、そういうところに行くものをまず減らすということだというふうに考えるわけです。

 その中で処分場についてちょっとお聞きをしたいんですけれども、日本の管理型の処分場というのは、閉鎖してから五年でしたでしょうか、管理をして、問題がなければそれで閉鎖ということなんですが、ドイツなんかは永久管理ということで、先ほど大塚参考人もそんなことをおっしゃったんですが、その永久管理等については大塚参考人はどういうふうに考えられますでしょうか。

大塚参考人 ドイツでは永久管理という考え方がございますけれども、永久管理というのが実際的かどうかということは、必ずしもよくわからないところもございますけれども、例えば、アメリカでは三十年というのが一つの基準になっているというところがございます。

 処分場の場合、つくって、埋め立てが終わったら、もう何も利益が入ってこないということがあって、つくったらつくりっ放しということにどうしてもなってしまうところが全くないわけではございませんので、先ほどの最終処分場の維持管理積立金などは、それに対処をしていこうとしているものでございますけれども、何十年かは排水処理を必ずしなければいけないということを含めて、もう少しきっちりと計画を立てさせる、それに応じた財政的な基礎をつくらないと許可をしないというような運用、あるいはそういう制度化を進めていくべきではないかというふうに考えております。

 処分場をつくるということは、別の言い方をすると、有害物質が貯蔵されているところをつくるということになるわけですので、かなり長い間管理をするということを前提とした制度設計をするということが必要だと思っております。

 以上です。

近藤(昭)委員 先ほど小畑参考人の方から、フェニックスの例でありましょうか、挙げられたと思うんですが、フェニックスのよいところと、もしかしたら、どこか課題が、例えば今の永久管理等とか、そういうところはどうでしょうか。

小畑参考人 フェニックスにつきましては、これは御承知のように、瀬戸内の中ですけれども、大阪湾に、近畿の二府四県、今百九十五の自治体が参加して処分場をつくっております。これは、今から二十四年前にできた広域臨海環境整備センター法という法律に基づきまして、二府県以上が臨海部に最終処分場をつくるという法律でつくっているんですけれども、今、これは二府県でなくて、近畿の場合は二府四県、六県でつくっているということで、非常に大きい処分場で、今のところ尼崎が百十三ヘクタールで千六百万立米、それから泉大津が二百三ヘクタールで三千百万立米ということでやってきております。

 御承知のように、処分場は管理型と安定型がありますので、この処分場は、二十四年前ですので、どっちかといったら非常に景気のいい、右肩上がりのときに、大量生産大量消費、大量廃棄という、行け行けどんどんのときにできていますので。

 もともとの計画は、大量に出るごみを大量に埋め立てて、短期で土地を造成して、そしてその埋め立て費用をペイにする、こういうことでやったんですけれども、結果的には、実際法案ができたのは昭和五十六年でして、それから後、平成二年に尼崎の埋め立てが開始した。それから二年後、泉大津が平成四年に開始しまして、管理型につきましては、どっちも昨年ぐらいに全部埋め立てが終わりまして、そして、今は、もう管理型、尼崎と泉大津は終わってしまっていますので、神戸市沖、今稼働はそこだけになっております。あと、大阪市沖にまた大体一千万トンぐらい入る処分場をつくっているところであります。

 ここのいい点といいますのは、当初、実態把握を何とかして、瀬戸内のああいう閉鎖水域ですので、絶対汚さない、環境汚染させないということを最重点課題にしていましたので、これはつくる当事者もそれから周りの住民もそれを中心にやりまして、絶対にそこには変なものは入れないということをこの処分場ではやっているところです。

 それは実際、年間百万トンぐらい処理する非常に大きな処分場ですけれども、やればできるということで、現在もうそれは完全なガラス張りのものしか入れない、こういうことをやっております。

 したがって、変なものは絶対入らない、こういう体制をとっていまして、それはまず、産業廃棄物につきましても、これを埋め立てしたいという人がありますと、その埋め立てをしたいという人と行政と、それから、受け入れをする大阪湾広域臨海環境整備センター、フェニックスの当事者の三者で審議会を持ちまして、そして排出者にもちゃんと工程表を出させて、こういう工程であればこういうものしか出ないということで、その品物を持ってくる。しかも、その品物は、途中で積み合わせをしますと、ほかは何やらわかりませんので、それはできるだけ一社単品で持ってくるということでやっていますので、ほとんど今変なものが入らないという形で、いい処分場になっているところであります。

 それと、もう一つは、先ほどから、閉鎖された後の管理の問題がいろいろと言われていますけれども、これにつきましては、一応一つが終われば次のものをまたやるということで、続けて継続していますので、ここの場合、埋め立てたところの管理についてもちゃんとされていくということで、続いていくと思いますので、そういう意味で、こういう形で公共もかかわってちゃんとしたものをつくっていけば、それなりに実態もつかんでできるというふうになると思います。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 済みません、時間も限られていますが、最後にもう一つ。

 梶山参考人からもお話がありましたが、やはりごみを減らしていかなくちゃいけないということが一番大事なんですが、今は、排出しても排出しっ放し、あるいは排出しても安ければ安いほどいい、余り排出者が痛みを感じないということですが、どうしたらこの排出を減らすインセンティブが働くというふうにお考えでしょうか。

梶山参考人 これは一般廃棄物と産業廃棄物を分けて考える必要があると思っているんですね。

 それで、一般廃棄物については、これは極めて簡単で、処理の費用も責任も製造者負担にする。これはヨーロッパで基本的にもうそれがかなりきちっと実行されているわけでありまして、日本がなぜできないかというのは、これはそれなりにいろいろな理由があるんですが、きょうはちょっと時間がないので、それは省略いたします。

 それから、いわゆる産廃については排出事業者が責任を持つべきだ、これは私は当然そうだと思っていますが、この場合やはり一番問題になるのは、これは不法投棄とつながる問題ですが、処理委託先が、これは無許可の場合もあるわけですが、そういう場合の環境リスク、費用負担、これをすべて排出事業者が連帯して負担する。安かろう悪かろうという、悪貨が良貨を駆逐する世界からさらに不法投棄に走るというのは、彼らはむしろ、暴利をむさぼるというよりも、生き残るためにそういうダンピングした処理費用しかもらっていないというところに大きな原因があると思います。ですから、その辺がまず一番大事なところかなと思っております。

近藤(昭)委員 時間が来ましたので終わります。ありがとうございました。

小沢委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、参考人各位に一言御礼を申し上げます。

 参考人の皆様におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。

 この際、暫時休憩いたします。

    正午休憩

     ――――◇―――――

    午後二時一分開議

小沢委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 午前に引き続き、内閣提出、廃棄物の処理及び清掃に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として防衛施設庁業務部長土屋龍司君、経済産業省大臣官房審議官岩田悟志君、環境省大臣官房審議官桜井康好君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長南川秀樹君、環境省環境管理局長小林光君及び環境省自然環境局長小野寺浩君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小沢委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。加藤勝信君。

加藤(勝)委員 自由民主党の加藤勝信でございます。

 いわゆる廃棄物処理法の改正を含めて、関連する問題について質問させていただきたいと思います。

 午前中も参考人の方においでいただきまして、まさに廃棄物の抱えている問題、廃棄物行政の抱えている問題、いろいろな視点から議論をさせていただきました。今回もさまざまな事案、昭和四十五年に制定されて以来、過去七回にわたって、ここ数年は連続して改正がなされているわけでありますし、今回も、先般の岐阜での大規模な不法投棄あるいは中国に向けての廃プラの問題、こういった事案を一つの背景として改正がなされてきている、ある意味では追いかけっこというか、そう言ってもいいのではないかなということを感じるわけであります。そういう意味で、これまでの事案を踏まえた対応をしていただいているというふうにも思うわけでありますけれども、午前中の議論の中にはなかなか辛口な議論も、今回だけでは事の本質に迫っていないのではないか、こういう議論もあったところでございます。

 そういう中で、平成十五年度の不法投棄が先般発表されておりましたけれども、件数では前年度に引き続いて減少しているといえども、不法投棄量では七十四・五万トンということで、平成五年度以来最大だ、これには例の岐阜の椿洞の事案が五十六万トン近く入っているわけでありますけれども、こういう状況になってきている。

 こうしたことを考えながら、どういう状況で不法投棄が行われていくんだろうか。基本的には排出事業者からスタートするわけでありますが、通常は排出事業者から、許可を受けた運搬業者、処理業者へ、こういうふうに渡っていけば何ら問題がないということになるわけでありますけれども、しかも適正に処理がされれば問題がないということになるわけでありますが、実態としては、排出事業者の方がみずから不法に処理をしてしまう、あるいは、許可業者の方にしっかり渡しているんだけれども、許可業者の方が適正に処理をしない、あるいは、実際の実行者としては、そこに無許可業者、許可を受けていない業者の方が参画をしていく、いろいろなパターンが考えられるのではないかなというふうに思うわけであります。

 そういう意味で、実行者別といいましょうか、大きく分ければ、廃棄事業者、そして許可を受けた処理業者、そして許可を受けていない無許可業者、こういった対象が実行者として考えられるわけでありますけれども、そうしたそれぞれの実行者に対して、実際に不法投棄が初期の段階で防止をされるように、さまざまな対応が法律的にも担保されていると思いますけれども、具体的な対応について御説明いただきたいと思います。

南川政府参考人 お答えいたします。

 まず、御指摘のとおり、不法投棄の実行者という面で見ますと、一番多いのが排出事業者みずからでございまして、件数でいいますと約五割がそういったものでございます。続きまして、無許可のいわゆる白タク関係というものでございますが、これが約一五%、それから許可業者が七%、その他、実は三割程度ははっきり原因者がわかっていないということでございます。

 やはり圧倒的に件数が多いのが自社処理と称するものでございます。これにつきまして、当然ながら排出事業者に責任があるわけでございます。業者に頼む場合はマニフェストなどの管理をしっかり義務づけたわけでございますけれども、規制としましては、従来は、施設許可はだれであろうと要りますので、これにつきましては、その施設の許可の際の審査、さらに施設が動き出してからの立入検査などでチェックをいたしております。

 ただし、それでは弱いということで、ことしの四月からでございますけれども、自社の廃棄物を運搬する車に対しても一定の事項のステッカーを張りつけていただく、そして、どこからどこまでどういったものを運ぶといった書類の携帯をしてもらうということで、チェックをしやすくしたわけでございます。それから、自社処理の場合によく問題になりますのがその最終処分場でございまして、いわゆる古い処分場、また同じくミニ処分場という、非常に規模が小さいということで許可が得られなかったもの、そういったところについてよく自社処理をしていると言われます。これについて処理基準を強化いたしまして、そういった不法投棄がしづらくしているということでございます。

 それから、二つ目の無許可業者でございます。これにつきましては、全く無許可でやっているわけでございまして、実態がはっきりいたしません。基本的に罰則を重くして取り締まるしかないということでございますので、無許可でお金をもらってそういう営業をしている人については、法人重課ということでの罰金の追加といったことで対応をしたいと思っております。

 それから、廃棄物処理業者でございます。私ども、全国におよそ六万三千から五千の廃棄物処理業者がいると思っておりますけれども、これにつきましては、できるだけ、ふだんから報告徴収あるいは立入検査等を通じまして都道府県の職員が実態を把握していただく、その上で、その適正な管理がされているかということのチェックをしているところでございます。

 ただ、全体といたしまして、やはり現場でのパトロールが大事でございます。パトロールによって初めていろいろな物事の摘発ができるわけでございますので、苦情があればそれに迅速に対応するということが大事だと思います。

 私どもといたしましては、特に去年六月からは環境省自身にも不法投棄ホットラインを設置いたしまして、何か事があれば、情報があれば全部自治体にも流して、職員が一緒に現地に行くといったこともしておりまして、自治体にもまたそういったホットラインの設置をお願いしているところでございます。ことしの十月からは、予定では地方環境事務所もできるわけでございます。しっかりと連携をした取り締まりができるようにしていきたいと考えております。

加藤(勝)委員 それぞれ、排出事業者、許可があるかないかによって対応が変わってくるわけでありますが、いずれにしても、今お話がありましたように、実際にどういう運営をされているのか現場に行ってチェックをしていく、こういうことが非常に大事なことだろうと思います。

 そういう意味で、それぞれの対応は、今お話がありました環境省を初め国レベルでの対応、都道府県レベルでの対応、そして市、まあ町村も入るということになれば市町村レベルでの対応、それぞれあろうかと思いますが、具体的にこの産業廃棄物の監視といいましょうか、そういったものに取り組んでいる職員数というのは、それぞれのレベルごとに大体どのぐらいおられるんでしょうか。

南川政府参考人 職員の数だけ申します。

 私が今持っていますのは、恐縮ですが、職員の数でございますが、全体ではなくて県で割ったものでございますけれども、都道府県の産廃担当職員が平均しまして三十六人でございます。そのうち許可を担当しますのは十四名、監視指導を行いますのは二十名ということでございます。

 それから、現在、都道府県と並んで産廃行政を担っております保健所設置市でございます。ここは平均が十一名弱でございまして、許可担当が五人、監視指導担当が五・六人となっております。

加藤(勝)委員 そういう実情の中で、今お話がありましたように、これまでは、保健所が設けられている市に関しては権限が委任されている、こういう情勢から、いわゆる政令それ自体が今回の法律改正で削除されて、基本的に政令で指定するという形をとっているわけでありますけれども、実際、政令で指定する場合の具体的な基準というもの、資料を読ませていただきますと、政令においてもその基準については盛り込まれないというような記載もあったように記憶しておりますけれども、いずれにしても、どういう考え方といいましょうか、どういう基準でこれは指定をするかしないか。基本的には政令指定都市、中核市は対象になって、残余の、今の保健所が置かれているところが入るところと入らないところ、多分そんな形になるのではないかと思うわけでありますけれども、その辺の考え方をお教えいただきたいと思います。

南川政府参考人 若干追加して御説明させていただきますと、都道府県は、例えば職員の一人当たりの許可件数が年七十五件でございますけれども、保健所設置市は二百二十二件ということになっております。また、立入検査ですけれども、施設について言えば、都道府県は七・八回やっておりますけれども、保健所設置市は三・六回ということで、非常に体制が現在では差があるということから、今回の改正によりまして、政令で定める市にその担当をお願いすることにしたいと思っておりますが、中身としましては、政令指定都市、そして中核市というものはそれに該当すると考えておるところでございます。

 中核市につきましては、現在三十六あると思いますけれども、これについては、地方自治の中で、都道府県レベルまでその事務権限を上げようということで、特にその充実が現在叫ばれておるところでございます。これにつきましては、中核市についてはお願いしたいと考えております。

 その余の八の都市につきましてでございますけれども、これは、これまでの実績も十分考慮いたしまして、事務を行う意欲、さらに今後実施体制を充実しようというところについては引き続きお願いをしたいと考えているところでございます。

加藤(勝)委員 今のお話を聞くと、意欲がなくて体制が整わないところは対象にしないという、ある意味では大変厳しい評価ということにもなるかと思いますけれども、逆に今、市に移管している部分、今お話を聞きますと、市レベルでは許可件数では二百二十二件あるというお話でありました。そういったものが、逆に言えば、今度は県にまた戻っていくということにもなるわけであります。

 先ほどの参考人の中でも、都道府県もしっかりした体制が逆にできているんだろうか、むしろ現場に近い市町村の方が熱心だ、こんなような声も聞かせていただいたのでありますけれども、仮に幾つかの市において今やっている仕事が県に移行するというようなことになったときに、では、その移行された県に対して、どういうような指導といいましょうか、対応をしていこうと考えておられるんですか。

南川政府参考人 まず私ども、県も市もそうでございますけれども、ぜひ産廃についての体制の強化をお願いしていきたいと思っておりますし、どういった体制が望ましいかについての目安というものは今後相談をしてつくっていきたいと考えているところでございます。

 今回の扱いでございますが、具体的に、その許認可が県に上がった場合でございますけれども、私ども、中身を見ておりますけれども、保健所設置市で許可を得ておる業者さんについては、その大部分が県の許可も得ておるということでございます。そういう意味で、許可件数が多くふえるということはないと思います。また、都道府県の場合は監視指導も広域に行っております。もちろん、保健所設置市の部分についてはより詳細な監視指導が必要でございますけれども、地域は広くなるわけでございます。事務はふえますけれども、そこはぜひ何とか体制を強化してやっていただきたいと思います。

 それから、現場に近い方が熱心にやっていただけるということは、事実ではございますけれども、また必ずしもそうでない場合もございます。やはりそれは、県警との協力とか、いろいろなことがあって初めて監視指導が実を結ぶのでございまして、必ずしも、近ければ頑張って摘発できるかというとそうでもない場合が多うございますので、そのあたりは、いろいろな方のお話を伺いながら体制の充実を進めていただきたいと考えております。

加藤(勝)委員 いずれにいたしましても、実際に住民の方が、こういうことがあるといって最初に情報を持ち込むのは、一番近い市町村だというふうに思うわけでありますので、その市町村、また県、そして今回環境省さんは地方支分部局もつくられたわけでありますから、きちんとした連携をとっていただきたいというふうに思っております。

 続いて、不法投棄撲滅アクションプランというのを昨年の六月におつくりになられて、その中にもホットラインの話がございます。先般も、これだけの情報が提供されたというような発表もございました。実際、このホットラインを通じて情報がありました、都道府県に通知しました、これで終わったのでは、行政としては全く中途半端ということになるわけで、その後どういう形で処理されたかというところまできちんとフォローしなければ、ホットラインとしての意味がないというふうに思いますけれども、具体的に、いろいろホットラインで寄せられた情報、それをどう処理されて、具体的にどういう成果があったのか、ちょっとお教えいただきたいと思います。

能勢大臣政務官 不法投棄の対策に対しましては、今出ておりましたように、早期発見と迅速な対応が極めて重要でありまして、都道府県等がその中核となってやっておりますが、先ほど来出ておりますように、岐阜市のような大規模事案の発生とその発見のおくれを踏まえまして、住民からの不法投棄の情報、先ほども出ていましたように、そうした国民の皆様からの情報が大変大事ということで、環境省でも直接その情報を受けられるように、昨年六月に不法投棄のホットラインを設置したところであります。

 今御質問のありましたように、どういう成果が出ているかということでありますけれども、これまでにこのホットラインを通して四百件を超える情報が寄せられておりまして、そのうち、不法投棄の疑いがありますもの百十六件については、直ちに環境省の方から都道府県に連絡、情報提供をいたしまして、早期に対応をお願いしているところであります。

 その具体的な話になりますと、まず、県が立入検査した結果、敷地内で医療廃棄物等の埋め立てが確認されて業者に撤去させた事例、そして、野積みされた約八百立米の解体廃棄物を業者に撤去させた事例など、わかっている範囲でも五件において明白な改善措置をとったところであります。そのほか、環境省の指摘も踏まえて、環境省がやっていることが大変効果を出しているといいますか、対策が現在進行中のものを含めますと、環境省がつくった不法投棄のホットラインは一定の成果を上げているというふうに考えております。

 また、もとに返りますけれども、不法投棄は本当に早期発見、我々自身も岐阜の問題があんなに大きくなる前になぜできなかったかということを、皆さんと同じような気持ちを持つわけですけれども、未然防止のためには、行政機関のみならず、住民やNGOの皆様の協力、国民全体の監視をもって、その連携をとりながらやっていかなきゃいけない。環境省といたしましても、本年十月、地方環境事務所を整備いたしますし、より現地に近いところで対応が可能となってきました。よって、ホットライン等による情報を一層活用しながら、不法投棄の、撲滅まではいきますかどうかということでありますけれども、対策の充実に全力を挙げて取り組んでいきたいというふうに考えておりますので、よろしくお願いいたします。

加藤(勝)委員 撲滅まではいきますかと、撲滅をしていただかなきゃ困るわけでありますので、徹底してやっていただきたいと思いますし、また、情報をいただいた方にも、どう対応したかというのをしっかりとレスポンスしていただくことが大事なことであるということを指摘させていただきたいと思います。

 そして今、昨年では大変大きかった岐阜市の事案、いわゆる椿洞の事案でありますけれども、業者の不当利得はどのぐらいか、諸説紛々ありますけれども、十五億とか二十億ぐらいの不当な収入があったのではないかなというふうに言われているわけであります。この事案について、今回の法律においては重罰化の方向で改正がされているわけでありますけれども、現行法のもとでの罰則と、改正された後での罰則、どういうふうに変化していくのか、御説明いただきたいと思います。

南川政府参考人 罰則の点でございます。

 今回二つございまして、一つが、無許可営業あるいは無許可で事業範囲を勝手に変更して事業を行うということについては、法人重課ということを導入いたしました。一億円の法人重課を導入したところでございます。二つ目がマニフェスト制度の違反でございまして、現在は、中間処理業者でございますけれども、彼らについては実は全く罰則がございません。これについては、六月以下の懲役または五十万円以下の罰金ということで、新たな罰則を設けたところでございます。

加藤(勝)委員 具体的に、この事案についての使用前、使用後みたいな御説明はいただけないんですか。

南川政府参考人 今後このような不法投棄が行われました場合には、まず法人につきまして、無許可営業、あるいは事業範囲、許可範囲を偽って営業したということで、まず法人についての一億円までの罰金がかかります。

 それから、マニフェストの違反ということで、六月以下の懲役、五十万の罰金ということで、これまではそういった対応ができなかったものを新たにできます。

 もちろん、従前につきましても、例えば善商で申しますと、中間処理業者でございました。彼らがある意味で虚偽記載などを繰り返したわけでございます。そういう意味で、マニフェスト制度につきましては、例えば現行の五十万の罰金というものはかかったわけでございます。

 それから、不法投棄につきましても、無許可営業につきましても、一部、一千万円以下の罰金はあったわけでございますけれども、これが営業につきますと、一千万円が一億円になり、マニフェストについて申しますと、五十万の罰金が、罰金プラス懲役刑になったということでございます。

加藤(勝)委員 続きまして、電子マニフェストの話をさせていただきたいと思います。

 電子マニフェストの普及促進については、過去二回の法律改正のときにも、当委員会の決議等においても指摘がされているわけでありますけれども、いまだ二%程度にしか達していないというようなお話を聞いております。これの普及促進について具体的な取り組み、どういう取り組みをされているのかということと、あわせて、今は奨励的な話であろうと思いますけれども、私は、大規模な排出事業者とか許可を受ける運搬事業者、処分業者に対しては、もはや義務づけをしていくというところまで踏み込むべきではないかというふうに思っておりますけれども、環境省のお考えを教えていただきたいと思います。

小池国務大臣 御指摘のように、電子マニフェスト、これまで運用開始以来七年ということになるわけでございますけれども、着実に増加はいたしております。しかし、その利用件数は、マニフェスト全体の二%強というレベルでございます。マニフェスト全体というのは、約四千五百万件ということで、大変大きい数字、そもそもが大きいということでございます。

 早くこの義務づけをというお話でございましたけれども、今この二%の段階におきましてすべての業者に電子マニフェストを義務づけるというのは、中小零細企業にとりましても、電子化のコストの負担が大きいといったような事情もございます。よって、まだ少し早いのかな、時期尚早というふうに考えておるわけでございます。

 また、多量の排出事業者などに限って義務づけを行うということにつきましては、電子マニフェストが、一連の処理にかかわる排出事業者、収集運搬業者そして処分業者、すべてが加入して初めて機能する制度であるということにかんがみますと、そのような制度改正は適当ではないと考えております。

 環境省としては、まずその普及促進を図ることが重要であり、先月十四日に産廃処理業優良化推進委員会において取りまとめていただきました電子マニフェスト普及促進方策に従って、まず高速化、大容量化のためのシステムの改造、特定の地域、業種でのモデル事業の実施、料金体系の見直しなど加入者へのサービスの向上などを進めまして、平成二十年度に電子マニフェストの利用件数をすべてのマニフェストの二〇%以上とすることを目標として、その普及拡大に取り組んでいきたいと考えております。

加藤(勝)委員 二%からですから、次は二〇%というのも一つのステップだろうとは思いますけれども、いずれにしても、さまざまな情報処理のコストの低減を図るとか、あるいはこういった問題に対するさまざまな奨励措置等をとっていただいて――許可を受けるわけでありますから、少なくとも許可を受けて事業をする業者さんに対しては、しっかり電子マニフェストへの加入。中小規模の排出事業者さんまでというのは若干議論はあるかもしれませんけれども、そこはぜひ、許可を受ける際の基準にするというぐらいなところまでできる状況をまずおつくりいただきたいというふうに思います。

 それと同時に、やはり優良な事業者をどういうふうに育成していくかというのは、実は昨年もこの委員会で質問させていただいたときに、大臣からも積極的な御答弁をいただいたところでありますけれども、現在、具体的に優良な産業廃棄物処理業者、いわば育成というか、そういったものに対する取り組み。また、何か先般評価基準といったものもつくられたというふうにお聞きしておりますけれども、そうした状況をお教えいただきたいと思いますとともに、仮にそうした評価基準というものがある場合に、実際、今の業者さんのどのぐらいの割合がその対象になっていくのか。そういった目安みたいなものがおわかりになれば、あわせてお教えいただきたいと思います。

小池国務大臣 対象の数字については後ほど部長の方からお知らせいたしますけれども、まず考え方として、悪徳業者等については、例えば今回罰則を厳しくするということで、むちの部分だと思います。片や、優良な処理業者に対してはむしろそれをバックアップする、励ますということを目的として盛り込ませていただいているわけでございまして、排出事業者が信頼して処理を委託できる優良な処理業者の育成は極めて重要であると考えております。

 そこで、今月の一日でございますけれども、処理業者の評価制度をスタートさせていただきました。その中身は、まず関係法令の違反により行政処分を受けていないということ、それから、みずからの施設、処理実績に関しての情報を積極的に公開しているということ、こういった処理業者の優良性の判断に係ります評価基準を設定いたしました。この基準に適合する処理業者を広く一般に公開する仕組みを導入したということでございます。

 制度開始直後の現在でございます。なぜならば、数日前に始めたばかりでございますので、この評価基準に適合する業者の割合について、先ほど部長と申し上げましたけれども、なかなか難しいわけでございまして、評価基準に沿った情報を正しく継続的に公開するには、おのおのの業者において相当程度の努力を要するものであると考えます。

 それから、先ほどの電子マニフェストの件もそうでございますけれども、これを評価基準に盛り込むということも一つ後押しになるのではないかということで、積極的に取り組んでいきたいと思っております。

南川政府参考人 若干補足させていただきます。

 件数はこれからでございますが、私ども、四月から一斉に各種いろいろなメディア、媒体を通じまして早目に対応するようにということで、情報公開等を迫っております。それで、半年間待ちまして、この十月からは具体的に、許可の更新あるいは新規許可に際しまして、そういったことが証明できれば優良業者として書類の一部免除をする、また優良業者のレッテルを張るということをしたいと思っておりまして、そういう意味で、許可の年数が五年でございますので、五年たてば全部リストができるということで考えております。

加藤(勝)委員 ぜひ、悪質な業者、行為に対しては厳しく、そして優良な業者がしっかり残る。どうしても世の中逆に、悪いものが残っていいものが消えていくという形になってしまうわけで、そのために行政というのが必要になってくるわけでありますから、ぜひ徹底をしていただきたいと思いますし、先ほど大臣のお話がありました電子マニフェストもぜひ評価基準の中に、盛り込んでいただいているんだろうと思いますけれども、ひとつそういう方向でお願いをしたいと思います。

 最後に、補助金制度の見直しが三位一体改革の中でございました。いわゆる廃棄物処理とかリサイクル施設についての整備促進の補助金の、権限と財源をぜひ地方へという議論が地方からございました。私は、こうした迷惑施設といったものが本当に自分の財源で地方が、やるところはもちろんあるでしょう、しかし、きちんとやっていっていただけるんだろうかと大変懸念をしていたわけでありますけれども、最終的には交付金という形で、決着したというか、スタートするということで、循環型社会形成推進交付金ということで平成十七年度予算に盛り込まれているというふうに思います。

 ただ、実態はいささか、そういう議論があったから補助金を交付金化したというような側面も正直あったような思いもするわけでありますけれども、これまでの補助金から今度の交付金へ移行されることによってどういう効果を具体的に期待されているのか、お示しいただきたいと思います。

能勢大臣政務官 お答えいたします前に、先生に一言申し上げておきます。

 先ほど私も言葉が足りませんで、撲滅に向けて決意を新たに頑張ってまいりますことをつけ加えて言っておきまして、答弁させていただきます。

 今の御指摘のとおり、循環型社会形成推進交付金制度は、広域的な地域において、しかも廃棄物の発生抑制やリサイクルの推進、最終処分量の抑制等、いわゆるスリーRの推進のための目標といたしまして、この交付金を有効にと思っているわけですが、それを達成するための施策を内容とします計画を市町村が策定します。その計画に基づいて施設整備の事業等に対し国から必要な資金を交付する、いわゆる初めての交付金制度を私たちも大変期待しながら取り組んでいるところであります。

 この交付金制度は、御案内のとおり、計画に位置づけた事業については、事業間あるいは年度間の事業費の流用を可能とすることによりまして、地方の自主性と裁量性の高い制度、ここが大きく今までの補助金と違った自主性と裁量性が高い制度、そういう裁量性ができるということが地方にとってもやりがいがあるんじゃないかというふうに考えています。

 また、国と市町村、都道府県等が構想段階からともに協働して計画を作成することによりまして、より総合的、戦略的なスリーRの推進ができるというふうに考えております。

 環境省といたしましても、この交付金制度を最大限に活用することによりまして、循環型社会の形成に向けてさらに取り組んでいけるんだろうというふうに思っておりますので、今回の三位一体の改革になってから変わりました、補助金から交付金になった、この意義を大きく発揮していただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

加藤(勝)委員 いずれにいたしましても、不法投棄というのは、撲滅をするという意思と、それに向けての継続した努力というのが必要だろうというふうに思っております。これまでの施策に加えて、今回の改正によって整備されていく政策を含めて、不法投棄の撲滅に向けてさらなる努力をお願いして、質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。

小沢委員長 次に、奥田建君。

奥田委員 民主党の奥田でございます。廃掃法の改正で、続きまして質疑をさせていただきたいと思います。

 私もそうですけれども、大臣も、去年も何かこの法律を扱った覚えがあるわということを感じていらっしゃると思います。先ほど参考人の方も、それは、廃棄物の実態を把握してほしいというお願い、切なる声でしたけれども、二十四年前から言い続けているんだというようなお話もありました。

 私も、この法律に深くかかわるといいますか、勉強して、こちらの質疑に立たせていただいた覚えが、ちょうど二〇〇〇年の循環型社会形成推進基本法の法律案のときということで覚えていますので、そのときから、毎年とは言いませんけれども、三回か四回質疑に立っているかなという感じでおります。

 昨年、あるいはおととし起きた問題に迅速に対処しているということは認めたいと思いますけれども、やはり参考人の方から辛らつな御意見もありました。私も、廃掃法自身が、適切な処理、そして不法投棄をなくしたいという政策目標と願いの中でできていることと思いますけれども、今回の法改正の部分は、ほころびを縫っている、法のすき間につけ込まれた部分を何とかふさいでいるといったものに見えて、本当のメーンディッシュ、あるいは、洋服のほころびは縫ったけれどもそでがないじゃないかという、やはり最初の目的に対処する、そういった大きな、抜本的な、拡大生産者責任でありますとか、そういったところに沿った法改正というのを私たちとしても待ちたいですし、また党としてもそういった提案をどんどんしていきたいというふうに思います。

 先ほど、加藤議員の方で、法案の最初の見直しであります地方自治体への業務の政令指定といった部分の質問がありました。やはりこれは、ある意味地方の権限にもかかわることですし、しっかりした基準がないと、それをお任せする、あるいは、場合によっては取り上げるというところが難しい話でもあると思います。あるいは、分権の推進会議、そして中央環境審議会の方でも、そちらの方の調整といったものがしっかり行われないと、乱暴に、環境省だけの思いあるいは中央省庁だけの思いでそういった法律をいじるということは大変危険なことであるということを言われております。

 大臣に、ざっとでいいですけれども、こういった調整の部分、地方自治体あるいは総務省、こういったところとの調整がどのように行われて、そういった中でどういった意見が出されたかということをお尋ねしたいというふうに思います。

小池国務大臣 これまでの調整でありますけれども、総務省、そして地方公共団体と、主に今回の改正内容が地方分権に逆行しないかというようなことについても議論をさせていただいております。中央環境審議会の中には地方公共団体の代表の方々もおられまして、意見として御意見を伺ったという経過がございます。

 こういったことを踏まえまして、今回の改正内容については御了解いただくということと同時に、政令で定める市を指定する際には、産廃関係事務の処理に対しての体制なども勘案して、関係地方公共団体の合意も踏まえて指定をさせていただくということとなった、このような経緯がございます。

奥田委員 南川部長の方にお答えいただきたいんですけれども、いろいろと今の権限移行ということに関して調査を行われたというふうに聞いております。人員のことを聞いても、別に保健所設置市じゃなくても、都道府県でも、百人態勢のところもあれば何十人態勢というところもあったり、大変ばらつきが大きい。地方自治体に法定受託事務として行っているその事務というのは一体何なんだろう、権限をもらう監督の仕事、指導の仕事というものは何をするんだろうということが、法律はあるけれども、受け取り方がみんな自治体でばらばらなような印象を受けました。

 もう一つ言えば、例えば立入検査回数。現場をしっかり見て把握しておくことが大事だよということは多くの方がおっしゃっていますけれども、その立入検査回数一つにしても、ゼロ回というところもあるんですよね。何千回という自治体もあります。

 そういうことを考えると、自治体にやっていただかなければいけない業務というのはどういうことで、それは最低限、ミニマムの基準といいますか、そういったものは環境省も示さないと、この仕事を受け取る自治体の方も結構戸惑っている部分があるんじゃないかというふうに思います。そういった点で、この業務の整理ということについて、部長の方からお話をいただきたいと思います。

南川政府参考人 まず、産業廃棄物に関する業務につきましては、これは、業務の性格自身が法定受託事務ということでございます。私どもから都道府県なりにお願いをしておるということでございます。したがいまして、国として、環境省として、事務についての対応にはどういったことが必要かということについては当然ながらお示しをしていく、もちろん相談の上でございますけれども、示していく必要があると思っております。そういう意味で、単に法律を決めて適当にやってくださいということじゃなくて、ある程度の目安をつくって、お互い協力しながらやっていくということが大事だと思います。立入検査についても全くさようでございまして、むらがあることは事実でございます。

 それからもう一つは、これは事務の性格とは違いますけれども、私ども、やはりこういった事務をお願いする以上は、立入検査の手法なり、そういったことについてもわかりやすいノウハウを示していく必要がございますし、また、それを担う人材が育つような、そういったこともぜひ考えていきたいと考えております。

奥田委員 もう一つ部長の方に聞きたいことがあります。これは、関係省庁あるいは関係機関との協力という中で、廃棄物ということになると、どうしても今まで、仕事をしていながら結構怖い思いをした職員の方というのはたくさんいらっしゃると思います。先ほど県警の話も出ましたけれども、警察関係、公安関係との協力というものが大変重要なことになってくる。立入検査一つするにも、公安の方から見た専門家、そして廃棄物の方からの専門家、そういった方々がペアで動けるような体制というのが何とかできないものか。

 地方自治体では、自分たちの努力でそういった体制をつくっているところもあるというふうに聞いておりますけれども、環境省の方としては、こういった警察、公安関係との関係構築ということについての支援体制がどのようにできているか、応援しているかということを説明していただきたい。

 それと、もう一つお伝えしておきたいんですけれども、十五年の警察白書でも、暴力団の表の仕事として、看板を上げて堂々とやっているという中で、産廃、廃棄物処理業というのが第二の柱に警察から指摘されている。第一位は貸金業。その後ろに、いえばやみ金とか振り込み詐欺とかいろいろあるんでしょうけれども、もう風俗業を抜いて、第二の柱に産業廃棄物というのが警察から指摘されているということも含めて、お答えをいただきたいと思います。

南川政府参考人 御指摘のとおり、大変今暴力団の仕事になっておりまして、一位がやみ金で、二位がごみで、三番目が風俗という大変不名誉な状況でございます。

 これは警察の方も問題意識を共有していただいておりまして、現在では、まず都道府県の廃棄物部局に全体で百人の職員が警察から派遣されております。それから環境省も、警察、あるいは海でございますと保安庁でございますけれども、そういった役所と定期的に連絡会を行って、ふだんから情報をお互い交換しながら施策を進めております。

 また、今回、おかげさまで全国の地方事務所ができます。これにおきまして、ふだんから、警察あるいは公安関係者との連絡会、当然ながら地方自治体にも入っていただきまして、そこで頻繁に連絡会を行うことによって情報の共有をいたしますし、また地域によっては、七つのグループだけでは対応できないところについては、サブグループをつくりまして、できるだけ頻繁に関係者が顔を合わせて情報交換する、そして、その中で立入検査に一緒に行くようなルールをつくるとか、そういったことを働きかけていきたいと思います。

奥田委員 岐阜の大規模不法投棄でも、やはり現地の職員の方々が手薄だったという話もあります。そういった不法投棄あるいは不適切処理というものに気づきながら、何年も放置されたままであったということもありますし、豊島の方の話を聞いても、前科十何犯という用心棒みたいな人がそちらの現場、現場といいますか不法投棄現場を守って、にらみをきかせていたというような話も聞いております。そういった案件に職員の方が一人で悩んでいるとか、そういった形ではなくて、より強力な体制のもとで臨めるように力をかしていただきたいというふうに思います。

 次に、産業廃棄物統計の話にしたいと思います。

 これも多くの方がお話ししていますし、私も何回かやっているので、余りくどくどと何回も同じことは言いたくないんですけれども、この実態把握。参考人の方も、資料を提示して、空白で、一番大きな廃棄物の流れさえも埋まっていないところがありますよというお話もございました。

 この統計、どうも環境省さんのお話を聞いていると、統計というよりも推定値みたいに私には思えたんですけれども、ちょっとその統計を出す手法というのを、簡単でいいですから部長の方からお話しいただけますでしょうか。

南川政府参考人 御指摘の数の出し方でございます。

 これは、都道府県に対して毎年調査は行っておりますが、その際は、まず、都道府県がその年度に実態調査を実施したかどうかということからやっております。

 といいますのも、現実には、都道府県の実態調査というのは、廃棄物の処理計画の改定を目的として五年ごとに行われておりまして、おおよそ五年に一回、丸一年かけて行われているというのが実情でございます。したがって、それがあれば、そのままいただければいいんですけれども、ない場合につきましては、過去のそういうデータを、県内の経済活動など、それから都道府県職員が集めたデータ、そういったもので補正しまして、当該自治体のデータということで御報告をいただいているところでございます。

 したがいまして、ある意味で、五年に一回の実態調査をやっていないところについては、都道府県の職員の方の知見を得ながら、データを修正して、推定して出していただいているということが現状でございます。

奥田委員 私も確かに、都道府県の方に聞けば、その報告書を出すのは大変な事務量になって負担なんだという話も聞いています。だけれども、環境省さんも、毎年そういう資料を出しながら、五年に一回各都道府県がばらばらに出してくる資料をもとに産業廃棄物全体の流れを統計として出してくるというのは、かなり問題がある話だというふうに思います。

 例えば、一番新しいところでは、平成何年か忘れましたけれども、五年ごとに出すという中で、提出していた都道府県は五つだけというところがありましたよね。そして、過去五年、もっとさかのぼっていったんじゃないですかね。そういった何年分かの資料でやっと一年分の資料をつくっているというところは、やはり改善の余地がある。業者に電子マニフェストを出してもらうのと同じように、自治体からも電子情報で、環境省さんのそういう統計をつくっていくときの数字を、少しずつでも集めていくというような努力が必要なんじゃないかなというふうに思います。

 そしてもう一つ、自治体がその仕事をしようというときに、産業廃棄物の管理票交付者が都道府県に対して毎年の廃棄物の取扱量を報告するということが法律にも書かれております。

 ちょっと大臣にお伺いしたいんですけれども、この法律はありながら、施行令、そしてその施行令の後ろにくっついた附則というもので法律が凍結されている。条文の一部を読めば、自治体への報告というところで、この施行規則何条何々はしばらくの間適用しないという文章があるんですよね。これは、政令でいろいろなことを決めるのはもちろん構いませんけれども、法律で、立法の場で報告義務を立法として課したのに、施行令の附則でそれをとめているということ、こういうことが許されていいのか。大臣として、ちょっと見解をお伺いしたいと思います。

小池国務大臣 マニフェストの交付者が報告書を提出する、そこに対しての義務でございますけれども、その義務が課されている事業者数は極めて多数に上っているというのが現実でございます。また、その提出を受ける側である都道府県で、この報告書をチェックするための体制、仕組みが十分構築されていない、そういったことを背景として、当分の間、報告書の提出を猶予したわけでございます。

 こういった中で、それぞれの自治体は、廃棄物処理法に基づいて報告徴収を活用するということで処理状況の把握を行っているところでございますが、報告書はマニフェストが適正に運用されているか否かを把握する上で有用なものであることは当然でございます。よって、環境省としては、電子マニフェストの普及促進で、都道府県がいわゆる電磁的な記録でもって報告書を受領することが可能とするなど、報告書の提出の開始に向けて必要な環境の整備を進めていきたいと考えております。

 結局、また電子マニフェストの話に戻ってくるわけでございまして、先ほど来申し上げているように、七年たってまだ二%だ、次の目標は二〇%だということでございますけれども、この電子マニフェストは、使い勝手それからコスト、そういったところの問題点もございますけれども、これをやはり地道にふやしていって、そして、そうすることによって、この問題についても、より負担の軽減といいましょうか、労力としての負担の軽減ということにもつながっていく、このように考えているところでございます。

奥田委員 先ほど産廃の実態をよく知っている参考人の方からも、マニフェストがあったって役に立たぬよという話もありました。そして、いろいろな法律をつくって、罰則までつくったって守られていないんだ、義務にしたって守られていないんだと、そういった、ちょっと私たちも反省しなければいけない御意見もあったわけですけれども、確かに、義務にしても、罰則がなければ浸透しない。

 先ほど自民党の方からも御意見がありましたけれども、私も、許認可で業をなす人たちというのは、許認可の更新のときにはこういった電子マニフェストに参加する、そして、電子マニフェストに参加すれば、廃棄物の流れをそこにちゃんと載せてあれば、報告義務は免除する、報告はセンターが行ってくれるというようなシステムとか、そこに参加することで業者の人もメリットがある、あるいは明らかに業務負担が減るというような姿がないと、なかなか参加しないというふうに思ったりもしております。

 提出義務、報告義務ですよね、一年の間にどれだけの廃棄物を取り扱ったかという。一つ一つの報告じゃなしに、業として、会社として、あるいは施設としてどれだけの廃棄物を扱ったかという報告さえも、今の免除措置でとめてしまっているというのは、私はこれは大問題だと思います。せめて義務として、そこに出される報告書はやはり都道府県が作成する報告書のベースの一つにもなってくるんだと思いますし、それは、できるかできないかは別としてという言い方はいかぬけれども、きちんと義務として、法律に書いたことを義務としてやっていただきたい。先ほど優良業者の認定の話もありましたけれども、私は、もし環境省の廃棄物対策の優良認定をつけるなら、こういうことはステップとして上っていってほしい部分だというふうに思います。

 もう一つ、大変な問題があります。

 この凍結といいますか、報告免除というのが十三年の四月一日から施行になっています。ところが、これまであった特別管理廃棄物の報告さえも免除されているというふうに聞いているんですけれども、ちょっとその真偽のほどを部長の方から御報告をお願いしたいと思います。

南川政府参考人 御指摘のとおり、特管物についても、現在は義務として報告されておりませんで、必要な県においては報告徴収という形でとっておるというのが現状でございます。

奥田委員 先ほど分権の話もありました。これは、やはり都道府県の中で、条例で、うちの県ではしっかりと出してもらわないと、やはり許認可で仕事をしてもらっている人たちは困りますというようなことを省庁としても応援するとか、そういった意見はないのか、ちょっとお伺いしたいと思います。

南川政府参考人 これは条例の問題というよりはやはり法律の問題で、私ども、率直に言いまして、法律で「提出しなければならない。」と言っておるのを、省令でしばらくの間「適用しない。」と言うことについては、余り続けるべきじゃないと思っております。できるだけ早く客観条件を整えて、マニフェストがすべて報告が行くように、都道府県に提出されるように、本来の姿にまず戻すということが大事だと思います。ぜひ、早目にそうしたいというふうに考えます。

奥田委員 今、大臣の方から、この話をしていくとまた電子マニフェストの話になっちゃうんですよというお話もありました。電子マニフェストの話もさせていただきたいと思います。

 普及率一%だった、倍になって二%になって、今度は、五年後ですか、十倍にするんだというお話もありました。ただ、全体量からいえば、どうしても、移行したとはなかなか言えない目標数値でもあります。こうやって、三月に一応報告書が出ました。電子マニフェスト普及促進方策というような報告書もいただきました。

 ようやく、いろいろな立場の人たちが一堂に集まって電子マニフェストというものの話を始めたのかなというような感触を受けます。それじゃ困るんですけれどもね。最初に、制度をつくったときに、こういう集まりがあって、意見交換がなければいけないというふうに思うんです。

 まず最初に、大臣にお伺いしたいと思います。

 電子マニフェスト、七年目に入ったということですけれども、そもそもこの電子マニフェストの制度をつくったときの導入の目的といったものを再確認させていただきたいと思います。

小池国務大臣 電子マニフェストは、排出事業者、それから収集運搬事業者、そして処分業者、これらが情報処理センターを介したネットワークを通じて処理情報の一元的管理を行うということが目的でございます。また、これまでの紙によるマニフェストと比べると、まず偽造がしにくいこと、それから行政監視をする上での合理化、情報把握の迅速化につながるということで、平成九年の改正によって導入されたものでございます。

奥田委員 また部長の方にお尋ねすることになりますけれども、今、七年の間でどういった電子マニフェストの普及のための啓蒙あるいは依頼ということをしてきたのかなということ、ちょっとつらい質問になるかもしれませんけれども、確認したい。情報センターの業務でぽんと渡しただけで、本当にフォローアップがあったのかなというふうに思います。

 何でこんな質問をするのかなといいますと、こういった紙マニフェスト、ペーパーマニフェストがあるわけですけれども、この発行団体、まず、紙マニフェストの業者への配付というところで委託あるいはお骨折りをいただいている団体がどれだけあるのか、少し教えていただきたいということと、こうやって私も手元にいただいた中で、全国産業廃棄物連合会、こちらのホームページを開いてみましたら、一年間の事業活動とか紹介されています。ですけれども、電子マニフェストという言葉は、私は一句たりともぶち当たりませんでした。何万枚、何千枚かもしれません。廃棄物を業としてやっている方々が、各都道府県を中心に集まって全国組織になっている。多分、産業廃棄物を扱っている中では、業者さんの集まりとしては一番大きな団体だと思います。そこの団体が電子マニフェストというものには、否定的かどうかは知りませんけれども、少なくとも協力的な体制にはなっていない。

 もう一つ、建設関係の方、全国建設九団体副産物対策協議会、こちらを見ましたら、この推進委員会にも参加しておりますし、電子マニフェストへの取り組みの紹介というものは出ておりましたし、業界としてもしっかりと取り組んでいこうという、そういった組織もできておりまして、この熱の違いというものが大変困るわけです。

 例えば、では本当に都道府県に電子マニフェストについて推進、促進の依頼をされているんだろうか、そういったことさえちょっと心配になってくる加入者数なわけです。その点について、今までの反省も含めて、どんな普及策をやってきたのか、ちょっと教えていただきたいと思います。

南川政府参考人 まず、都道府県、関係の市に対しましては、私ども、年に数回一緒に会議をやっております。その中で、電子マニフェストの普及ということは、私が見る限りでも数年、頻繁に、かなりしつこく行っているところでございます。

 ただ残念ながら、特に、全国に大体六万三千から六万五千ぐらい産廃業者の方、許可を得られた方がいると思います。そういう方の大部分が、従業員が三人とか四人とか、そういったことであることもございまして、なかなか電子機器を使うということになれていない方も多いわけでございます。そういった事情もあって広まっていないというのが現状でございます。

 それから全産連のことでございますが、全産連も、六万三千、四千ある社の中の約一万五千がそこに加盟しておりますので、必ずしも全産連の意向だけですべてが決まるということではございません。ただ、全産連自身もメンバーが非常に零細でございまして、どちらかといいますと、電子マニフェストよりもそれ以外の、いかに法律の遵守をしてもらうかとか、そちらが主でございまして、必ずしも、私どもも全産連に電子マニフェストの仕事を頼んでおりませんこともございまして、外から見ますと不熱心のように見えるかもしれません。

 私ども、別のもっと技術的なノウハウのあるところにこの仕事をやらせておりますので、今後は、全産連も当然でございますけれども、各種団体、できるだけ早く電子マニフェストを導入して、透明度の高い中で仕事ができるように、これからさらに普及を促進してまいりたいと思います。

奥田委員 せっかくこうやって促進策というものをとりあえずまとめていただいたので、大臣もこれは陣頭指揮をとってほしいと思うんですよ。六万社いるか何百万社いるか知りませんけれども、参加しているのが三千社いないわけですよ。三千社といったら、大臣も私も、選挙運動で、あるいは政党活動で党員集めて一人一人歩いていたってそのくらい回っちゃうわけですよ。全産連にもお願いしていませんでしたと言うけれども、そんな実態で電子マニフェストに移行していこうという姿が現実なわけです。マニフェストは目的じゃなくて手段ですけれども、その目的を達成するのに一番有効な武器になるということで導入したと思いますので、ぜひこの普及のための力をいただきたいというふうに思います。

 そして、部長、ちょっとこの普及策について自信のあるところを二つ三つ御紹介ください。

南川政府参考人 電子マニフェスト、これはさっきの都道府県の報告ということを復活する意味でも非常に大事でございます。これから都道府県と会議をまた頻繁に行いますし、これはブロックごとにも、地方事務所を通じまして幅広くパンフレットなどをつくりまして広報いたしますし、またさらに、今後でございますけれども、優良化の問題についても、一つの大きな点検要素として検討していきたいと思っております。

 いずれにしましても、電子マニフェストを広げること自身が非常に大きな、事業者を通じる意味では大きな不法投棄対策になります。これが普及すれば、そういう意味での大きな一つの壁が越えられると思っております。そういう意味で、ぜひ徹底したいと思っております。

奥田委員 指摘すると、いろいろなところが出てくると思います。昨年も今も大臣の方から、このシステムは一気通貫じゃなきゃいけないんだ、みんな入らないとシステムとして動かないと。それは自慢じゃなくて欠陥だと思うんです、私は。自分のところだけでも自分の努力で加入してデータを打ち込むことで、自分たちのところでは少なくとも使えるというものにしないと。

 ですから、先ほどの報告義務があるということで、その報告義務を電子マニフェストがかわりにやってくれる、センターがかわりにそういう統計データは出してくれる、そういうふうな代行業務がセンターがちゃんとできるようになるというようなこともあると思いますし、私に言わせれば、さっき言った欠陥品に対して、何万円かの加入料を取って、年間使用料を取って、一件ずつの登録使用料を取っていくということも、欠陥、欠陥商品と言ったら違うと言うかもしれませんけれども、まだ完成していないシステムにお金を出しなさいというのもどういうものか。みんなが使えて、参加した人みんなの役に立つようになって料金をいただきます、それまでは、稼働するまでは皆さん参加してもらう方ですよ、環境省としては。

 そういった発想の中で、このシステムが、コンピューターは立派なのがあるんだけれども、中に入れるデータが全然ない、皆さんに参加してもらって多くのデータが集まることで初めて有用なものになってくるという発想を、情報処理センターに任せているだけじゃなくて、ぜひやっていただきたい。

 料金のことも考えるということをおっしゃっていました。こんな、もし一気通貫じゃなきゃ動かないシステムなら、参加率が五〇%あるいはマニフェストで五〇%を超えるころじゃないと、料金、恥ずかしくていただけないシステムなんじゃないですか。私はそういうふうに思います。

 あるいはこの中で、部長に聞きますけれども、政府調達とか、あるいは大臣も得意なグリーン調達というものもありますよね。そういうところの、その企業が産廃の取扱業者か、あるいは製造業で一つの排出業者の方になるのか別として、そういったいろいろな政府調達とか公共に絡んでくる、あるいは公共の産廃処理施設を使っている処理業者とかそういうところにどんどん一つの要件として、公共調達に入る要件として、そういうものを条件づけとしているとか、そういうことはやっているんでしょうか。

南川政府参考人 現在、特段やっておりません。

奥田委員 一番簡単にできるところだと思うんです。役所とすれば、自分たちは公の者なんです。公とおつき合いするときに、きちんとルールとそして規則と、あるいは啓蒙の部分で先進の姿でシステムを持っておつき合いいただきたいということは、法律にしなくても十分できる。業者審査というのはいろいろな方法がありますから、できると思うんです。

 私も昔は、コンピューターの仕事もやっていましたけれども、建設業もやっていたことがあるんです。建設業なんかはどうしても公共事業とかいうのがありますから、まだフロッピーが八インチですか、大きいフロッピーの時代に旧建設省なんかは、おれらとつき合いたいなら全部電子化して、経営情報や受注情報というのは全部、昔はフロッピーを郵送しろということでした。あるいは、次はオンラインに変えなさいということで、コンピューターが苦手な業界でしたけれども、そこにおつき合いする中で、仕事をちゃんとやっていく中で取り組まなきゃいけない、まあ小学生の宿題みたいなもので、その姿を少しずつ変えていったという経験があります。

 それで、やはりしっかりしなきゃいけないのは、これは環境省として、マニフェストは、そして次の時代の電子マニフェストは皆さんにやってもらわなきゃいけないことだということをはっきりと言わなきゃいけないんです。どっちでもいいです、紙も電子もありますと、まじめにやっているところは二度手間で両方ともやらなきゃいけないという、そんな姿が一番業者の人にも迷惑な姿になってくるんじゃないかなというふうに思います。

 あしたからやれと言っても、それは無理でしょう。やはり業界の人たちにしっかりと話を聞いていただく場を持って、そして、三年後あるいは五年後には完全義務化にします、三年後には、先ほど言った大手の業者の方は完全義務にします、中小の方はもう少し期間を与えますと、それはどんな法律だって、みんなそんな姿でやってきているんです。ぜひこの部分で、環境省としても、強い姿勢といいますか、強い方向性を示すということをお願いしたいなというふうに思います。

 最後に大臣の方に、話が全然変わりますけれども、一つだけ。これは社民党さんの方から質問があるかもしれませんけれども、沖縄の辺野古の問題について見解だけいただきたいんです。

 私個人としても、党としましても、普天間は、無条件返還といいますか、交換条件のない返還を願っているわけです。あの普天間基地の問題は、2プラス2が交渉の中心であるということは認めますけれども、大臣も、環境大臣そして沖北の担当大臣ということでもあるんです。あの問題の中で、その担当大臣のメッセージがしっかりと聞こえてこないというのは、私たちとしてもつらい部分もあるわけです。総理の方が先に自分の見解というものを述べたりしておりますけれども、大臣の方の辺野古沖の、ヘリパッドですかの基地についての見解をお伺いしたいというふうに思います。

小池国務大臣 普天間飛行場代替施設の建設ということで、環境省、環境大臣でございますけれども、これまで、事業者が防衛施設庁となっております、こちらに対しまして助言など、環境保全の観点からの必要な対応を行ってきたところでございます。

 これまでいろいろな方がいろいろな発言もしておられます。これまでのSACOの合意の中から、こういった形で辺野古が出てきているわけでございます。また、国務大臣とすれば、やはり抑止力をどうやって我が国の安全保障の分野で確保していくのかというのもこれはまた別途の問題としてありますけれども、そういった中で、今私が申し上げましたとおり、環境省、環境大臣として、こういった環境保全の観点というのは非常に大きいものがございますので、そういったことから、折に触れまして防衛施設庁の方に対しましての助言を行わせていただいている、こういう状況でございます。

奥田委員 防衛庁のお役目、外務省のお役目、それぞれありますけれども、やはり沖縄の担当大臣として、そして環境大臣としてのメッセージもぜひ堂々と行っていただきたい。やはりあの辺野古のサンゴ礁の価値というものを環境大臣として語ってほしいですし、沖北大臣として、やはり県民の方々の意見、あるいは県議会そして地元で座っている方々の声なんかも吸収しながら意見表明というのをしていただければありがたいというふうに思います。

 最後に質問が全然方向の違うところへ行きましたけれども、これで質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

小沢委員長 次に、吉田泉君。

吉田(泉)委員 民主党の吉田泉です。

 私の方からも、廃棄物の処理及び清掃に関する法律等の一部を改正する法律案に関連しまして質問をいたします。

 今回の改正は、三年連続ということであります。大きなきっかけは、例の岐阜県岐阜市椿洞の大きな不法投棄事件でございました。連続して大きな不法投棄事件が起こる。そして、午前中の参考人の御指摘、推測によりますと、恐らく発覚した量の十倍から百倍の未発覚部分があると推定されると四人の参考人の方がお話ししていました。

 きょうは、できましたら、その抜本対策まで含めてお伺いしたいと思います。奥田委員とテーマがちょっと重なるところもあるんですが、私の方はより具体的な質問にしたいと思いますので、よろしくお願いします。

 一番最初は、産業廃棄物の実態把握ということでございます。

 午前中、小畑参考人、資料を見せながらいろいろ御説明がありました。国は毎年、産業廃棄物の排出量それから最終処分量、そして最終処分場の新規容量そして残存容量、この四つの重要な数字を公表していることになっております。そして、今までの御答弁等を聞いても、それらの数字は、管轄元である都道府県及び保健所設置市から報告を受けて、それをベースに数字をまとめているんだということであります。

 そこで、最初の質問は、都道府県等は、今申し上げた四つの数字をどのような方法で把握しているのか。先ほど五年に一遍というお話もございましたけれども、もう一度確認したいと思います。

 そして、今までの数年度に及ぶ数字の一覧表を拝見しますと、十二年度、十三年度、この二年度に限っては新規埋立容量のデータがないということになっております。それはなぜなのかということもお伺いいたします。

 さらには、午前中も指摘がございましたけれども、年度初めの残存容量が新規で幾らふえて、廃棄物が幾ら処分されたので年度末はまだ幾ら残っていますということを、足し算、引き算の数字が毎年二千万立米から三千万立米ぐらい違っているということであります。そこで、環境省としては、その差について、どういう理由で差が出てしまうのか、どういう分析をされているのか、そこも含めて御答弁願います。

南川政府参考人 まず最初の、数字の把握の方法でございます。

 都道府県におきましては、まず最初の排出量それから最終処分量でございますけれども、排出量については、やはり五年に一回の実態調査を中心に、それをもとに推計しているというのが現状でございます。ただ、その場合も、一部の排出事業者あるいは処理業者についてのサンプリングを行った上で、他の活動の数字を参考にいたしまして推計で把握をしているというのが現状でございます。これは、残念ながら、指定統計でございません関係で、企業に対して強制力を持った調査が行えないという限界がございます。また、あとはマンパワーの限界でございまして、非常に残念でございますが、現状はこういう形になっております。

 それから、三つ目の最終処分量の新規容量でございます。これは、開業時の容量でございますが、開業時に設置許可申請が出まして、その後必ず検査をしますので、そこで把握をした数字の積み上げでございます。

 それから、残存容量でございます。これは、最終処分場の設置業者から都道府県への報告で把握をしておるということでございます。

 それから、二つ目にございましたように、十二年度、十三年度は、その中での新規埋立容量のデータについてはとっておりません。これは、産業廃棄物関係はとるべきデータが大変多うございまして、私ども大変悩んだんですけれども、結局、調査項目の数をふやさないという決断をしたときに、その中でこの調査項目から新規埋立容量のデータを落とした経緯がございます。ただ、いろいろ、大変重要だという指摘をあちこちから受けまして、十四年度からまたそれを再開した、そんな経緯がございます。

 それから、最後の、二千万立米以上の数字が合わないじゃないかということでございます。確かに合っておりません。

 理由は大きく二つあると思っておりまして、一つは、最終処分量は推計によるものでございます。そういう意味で、非常に振れが大きいということが想定されます。それから、残余容量については、これは処分業者からの報告でございますので、調査方法の正確度にかなり違いがあるということでございます。

 それから、もう一つ大きな要素は、残余容量につきましては、私ども実は必ずしも把握していない部分が多うございます。といいますのも、五十二年以前にできたものについては全く何の手続も要らなかったことから記録に残っておりませんし、また、たしか平成九年までですか、小さな処分場についても特に手続が要らなかったということで、記録がございません。まだこれが相当使われておりますので、そういう意味で、どれだけ本当に埋め立てがあって、容量があとどれだけあるのか、実は非常に不明な点も多うございます。そういったことが原因だというふうに考えております。

 そういった点から、私どもは、本年の四月からでございますけれども、最終処分場をつくる人には残余容量を定期的に把握をしてもらうということを義務づけました。これは、具体的に非常に簡易な測定の方法も決めた上で義務づけをしております。それからもう一つは、ミニ処分場あるいは古い処分場につきましても、これは従来は規制の対象にしていなかった部分が多いわけですけれども、去年の改正を受けまして規制を強化いたしまして、新しい処分場に近い形の排水規制などを実施したところでございます。そういう意味で、だんだんこれがペイしなくなって淘汰されると思いますので、そういう意味では、最終処分場の残余については非常に正確な数字が上がってくるというふうに考えております。

吉田(泉)委員 毎年二千万から三千万立米ぐらい差が出ちゃう理由が二つほどあるという御答弁だったと思います。

 もう一つ、先ほど申し上げた四つの数字、それぞれ単位が違うという問題もあると聞いております。つまり、最終処分量の方は、トン、重さで普通数字が上がってくる。ところが、処分場の残存容量とか新規容量については、今度は立米、がさで普通集計されている。では、どういうふうに換算するのかというと、一立米一トンということでやっているということですが、ここもひょっとしたら大きな誤差を生む一因になっているんじゃないかという指摘がございます。そこも、もう少し精度は上げられると思うんですよね。実態に合わせて精度を上げるというようなことも必要だと思います。

 いずれにしても、日本全体の産業廃棄物、幾ら出てきて幾ら最終的に埋められているんだ、どのぐらい行方不明、不法投棄分があるんだという数字がまだ非常に不明確と言わざるを得ません。

 そこで、奥田委員同様、私も、マニフェストの利用という質問に移っていくわけであります。

 管理票制度の問題であります。今回の法改正でも、産業廃棄物の管理票制度がいろいろな面で強化されるということであります。

 この管理票制度、そもそもは、排出事業者自身が、自分が出した廃棄物が最終的にちゃんと処分されたかということを把握するための制度として始まったと解説を受けました。ただ一方で、この管理票制度がうまくいけば、行政としては、それを使って実態把握ができる、それから、不法投棄が発覚したときに、一体これはだれが排出したものなんだ、だれが中間処理したものなんだというルートの解明のためにも非常に有効だというふうに言われておりますし、私もそう思います。

 それで、午前中の参考人のお話で、このマニフェスト制度も一番肝心な自社処分が入っていないというのが根本的な欠陥だという御指摘もありました。それもまことにそのとおりだと思いますが、大臣先ほどお話しになったように、既に四千五百万枚のデータはあるわけですよね。これを何とか有効に活用して、先ほど申し上げた実態把握に役立てたい。そのためには、四千五百万枚のデータ、さあ紙をどうするかということになると、どうしても電子化というのが有効利用のためには必要だというふうに思います。

 なぜ二%程度でその後進まないのか。先ほどの奥田委員からの質問にもいろいろありましたけれども、今までは、排出業者それから処分業者、三人、四人でやっている会社にとっては、コンピューターを買って操作を覚えてというのは大変負担が大きいんだ、そういうことを余り義務的にやらすわけにはいかないんだということだったと思います。

 そこで、それが実態なら、もう少し別の切り込み方でこの電子化を進められないかということで我々は相談したんですが、例えば、小さい業者、なかなか自分でコンピューターを使えない業者は、情報センターに対して紙のマニフェストをそのまま送る、情報センターが紙の管理票を受け取ってそこでインプットをする、そういう方式を併用すれば、今の二%が一気に一〇〇%にいくんじゃないかというふうに、理論的には、理屈の上では考えられます。

 先ほど、法律上は排出業者は毎年報告をしなければならないのに、省令でもってそれが一時猶予されている、なるべく早く本来の姿に戻したいという部長答弁もございました。これも、基本的には、センターにデータが集まるということであれば一気に解決するという可能性が出てまいりますが、この紙で送ってセンターでインプットという方式について、いかがでしょうか。御答弁願います。

南川政府参考人 御指摘のとおり、さっき申しましたが、やはり私ども、法律で決められておる届け出、提出がなされていないということは非常に残念でございますし、ぜひ正常な姿に早く戻したいと思っております。そういう意味で、情報が電子化されれば確かにそれが容易になるというふうに考えております。

 ただ、現実には、四千五百万枚の紙をセンターに送りましても、特別なスキャナーとか何かがあればいいんですけれども、まだそういったものはございませんし、技術的に非常に難しいと思います。

 とにかく、私どもとしては、さっきから大臣からもお答えしていますけれども、電子マニフェストを早く普及させたいということで、これは決して特定の団体に配慮ということではございませんで、実際に働きかけております。その上で、処理業者などが紙マニフェスト情報を電子化して提出した場合ということでございますけれども、電子マニフェスト情報を統合して何らかの方法で都道府県への電子報告ができないかといったことについての検討はいたしておるところでございます。

 いずれにしても、こうすればすぐ全部実態がわかるとはなかなかまいりませんけれども、できるだけ可能な分野から導入ができるように努めていきたいと思います。

吉田(泉)委員 もう一つの代替案なんですが、先ほど加藤委員それから奥田委員からも御提言という格好であったと思うんですが、排出業者まで含めて電子化するというのが大変ならば、とりあえず業者だけ義務化したらどうだろうという御提言がありました。これは先ほど私が申し上げた方式とまたちょっと違う方式ですが、これはいかがでしょうか。

南川政府参考人 業者は、さっき申しましたが六万以上おりまして、本当に三人、四人の企業が多いのが実態でございます。私どもよくお会いしていますけれども、会うと一生懸命ふだんまじめにやっていて、マニフェストを一生懸命書いて、我々は一切違反もしていないという方も実は多いわけでございまして、こういった方を法律で縛るということについてはなかなか難しいと思います。やはり料金制度とかそういったことで、そういった人がそれをやらなきゃ損だというふうな形に早くしていきたいし、そういったことの料金設定とか使い勝手のよさということを早く準備したいと思います。やはり簡単に、大した知見がなくてもできるようにしないと、なかなか参加してくれませんので、料金の問題あるいは容易さということを早く整備したいと思います。

吉田(泉)委員 何とか電子化ということにもう一歩踏み出していきたいと思います。

 三番目になりますが、例の岐阜市の椿洞不法投棄事件についてお伺いします。

 今、全国五大不法投棄事件という言葉があるそうでして、青森・岩手の県境、それから福井県敦賀、奈良県の西吉野、そして香川県豊島、そして今度の岐阜市の椿洞、これが五大不法投棄事件と言われております。

 椿洞の現場の写真を拝見しましたが、すぐ近くには、幼稚園、公園、畜産センター、こういう設備がございます。岐阜大学の専門家の先生がその不法投棄現場の近くの川の水質調査をしたところ、鉛が基準値の二倍出た、それからカドミウムなども検出された、こういう報告もございます。

 そこで質問ですけれども、幾つかしたいと思いますが、一つは、県道から丸見えの場所であります。そこで長年にわたって七十五万トンの投棄が続けられたわけですが、その原因をどう考えておられるか。行政、つまり岐阜市を中心とした行政の方に、怠慢、不作為、もしくは行政に対する圧力、行政と業者の間の癒着、そういったことはなかったのかどうか。

 それから、今、鉛のお話をしましたけれども、どういう汚染の可能性が考えられるのか。そして、発覚後一年以上たったわけですが、撤去、つまり原状復帰の進展ぐあいはどんなものでしょうか。

 さらには、排出業者の責任の問題です。これは、実は相場の三分の一ぐらいの非常に安い値段で排出業者は処分業者に委託をしたという指摘もございます。今回のこの大規模な不法事件で、排出者の責任というのは問えるものなのかどうか、廃掃法上、責任は問えるのかという問題があります。

 それから、管理票、私も今回初めて管理票というのを拝見したんですが、この管理票が不法投棄事件に当たって偽装されたわけでございます。最終処分が終わっていないのに最終処分をしたという記載を行ったということでありますが、最終処分を完了したサイン、私はてっきり、最終処分業者、会社の代表者が名前を書いて会社の代表者印を押しているのかと思いましたら、管理票上は担当者の名前を書けばよい、そして担当者の印を押せばいいということになっております。ここは、世間常識からいっても、しかもこれは非常に大事な判こでありますので、会社の代表権のある人の記載が必要ではないかと思ったりもしますが、いかがでしょうか。

南川政府参考人 まず最初の岐阜市の問題でございます。

 これ自身は、今、善商を初め数社が起訴されまして、裁判中でございます。それから、その他、それ以外にも十数社が書類送検されておりまして、詳しい事情の解明はこれから進んでいくと思います。

 ただ、岐阜市自身について申しますと、岐阜市の中でも、外部の委員会をつくって議論いたしましたが、相当な批判が出ております。具体的には、投棄者である善商という会社の本質、それを見抜くことができなかったということについて判断の誤りがあったんじゃないか。それからもう一つは、市の組織内でこの問題について情報が十分に共有されていなかった。それから三つ目としまして、特に幹部において産廃行政の重要さがよくわかっていなかったんじゃないか。例えばこの問題について言うと、部長を入れて担当者は四人ぐらいしかいないんですけれども、全員が善商問題を何とかしようということを議論したことがないというふうに聞いております。

 そういう意味で、非常に岐阜市の対応に、責任を持って遂行しようというところがなかった、体制だけではなくて気持ちの上でも責任を持って何とかしようということがなかったというところがあると思います。これについては、今後の対応を考える上でも、やはり岐阜市のこれまでの対応をしっかり見詰め直していくことが必要だと思います。

 それから、二つ目の点でございます。

 今のところ私どもが得ている範囲では、専門家で委員会をつくっておりますし、私どものメンバーもオブザーバーで参加しておりますけれども、その勧告を踏まえて調査をしております。ただ、敷地外の水質調査において、例えばダイオキシンとか鉛、水銀、カドミウム、砒素などをはかっておりますけれども、環境基準を超えるような結果は得られておりません。さっきの先生のデータについては、私ども残念ながら聴取をしていないというのが現状でございます。

 それから、後の対応でございます。委員会で検討しておりますが、これは、環境影響、あるいはどこまでやるべきかということの検討をしておりまして、年度内には結論を出したいということでございます。

 現状でございます。現地へ行ってみるとわかりますけれども、現地は本当に金華山のすぐ裏でございますので、名古屋からも車で四十分ぐらいで行けるようなところなんですけれども、行ってみますと、本当に、川があって幼稚園があって、何でこんなところに七十五万立米も入ったんだと思うようなところでございます。

 それで、まだ上の方に、実は、七十五万のうちの一万四千でございますけれども、ずっと埋めないまま残っております。これは風が吹いたりすると非常に危ない、火事も起きやすいということで、まずここから善商に措置命令で撤去を求めておりまして、現在、一万四千のうち九千六百が撤去されまして、何とか五月いっぱいには上のものはなくなる。ただ、問題は、山と積まれたものがまだ当然七十四万とかあるわけでございまして、これについては年度内に結論を出して対応を決めたいと考えております。

 それから、業者によっては通常の三分の一の値段で処理を委託したという場合でございます。これについては、当然ながら、大体の相場観は物によってわかっているはずでございます。適正処理はできませんので、その場合には、責任を問うことのできる可能性が非常に高いというふうに思います。

 今回、岐阜の件について、私ども、単に事業者、不法投棄した人あるいは運んだ人以外に、当然ながら排出業者にもぜひ責任を求めたいと思っておりまして、そういう意味で、厳しくこの部分は対応していきたいと思います。

 それから最後に、マニフェストの改善でございます。幾つか実は改善の余地があると思います。そういう意味で、虚偽記載が行いにくいような、そういった改善を今後早急に検討したいと思います。

吉田(泉)委員 ありがとうございました。

 今の部長のお話で、撤去関係、撤去の方針、一万四千トンのうち九千トンですか、残りをどうするかとか、年度内に結論を出したいということの、年度内というのはどういうことなんですか。

南川政府参考人 あとやはり十カ月程度かかると思います。

 といいますのは、これは当然ながら、私ども、できるだけ公費でなく、やはりまずもって、不法投棄の原因者あるいは不法投棄をさせてしまった排出業者、そういった人から、しかるべき責任を問うてまず金を出させたいと思っています。

 だから、あとは幾ら金が取れるかということと、それからもう一つは、どこまで事業をやれば、後が環境汚染のおそれがないとか地崩れのおそれがないとか、そういったことが担保できるか、両方見ながら作業を進めるわけでございます。そういう意味で、ある程度時間がかかることはお許しいただきたいと思います。

吉田(泉)委員 わかりました。

 そして、次に四番目の質問になりますけれども、先ほど政務官の方からも不法投棄撲滅というお話もございましたが、この抜本対策のやり方であります。

 去年の六月、アクションプランというのができまして、五年以内に、五千トン以上の大規模事案、これはゼロにしよう、撲滅しようという目標が環境省から示されたわけでありまして、問題は、ゼロにするにはさあどうするかということでありますが、今の仕組みではどうも極めて不十分ではないかという見方が大勢だと思います。午前中も参考人からいろいろな御提案があったと思います。

 その中から三つほどちょっと申し上げたいと思いますが、一つは、今回、県道わきの丸見えの場所でこれだけの期間にわたって不法投棄がされた。岐阜市は、何回か立入検査はしたようですが、気がつかなかった。周辺住民は、何となく怪しいと思っていた人もいたようです。しかし、なかなか、現場に立ち入って実際に確認するということはもちろんできないわけです。結局、実質的な不法投棄監視の目といいますか、それが非常に限られてしまっていたんじゃないかというふうな気がするわけであります。

 そこで、一つの抜本対策案として、県知事には立入調査権というのがもう既に認められているわけであります。したがって、立ち入り権のある知事が、利害関係者ということで周辺住民を同行して立ち入りできる、そこまで立ち入り権の範囲を広げたらどうかという提案があります。既に、例えば施設の中に入って処分の記録を閲覧する権利は住民に付与されているわけですが、それをもう少し進める、そうやって監視の目を広げるという提案が一つあります。

 それから二つ目は、有害な廃棄物、特別管理廃棄物が中心になると思いますが、この中間処理については今特定業者にさせるということにはなっているんですが、もう少し限定すべきではないか。有害な廃棄物の無害化、そこは、限定された、きちんと管理された処分場で処理をしなければならないという、その締めつけをもっとすべきじゃないかという提案があります。

 それから三番目は、きょうの梶山参考人も言っていましたけれども、排出者責任、これを問う法律上の仕組みがちょっと弱過ぎる、廃掃法十九条の六ぐらいしかない。ここに、無過失の連帯責任制度を導入すべきだ、排出者が無過失で委託しても、その委託したものが不法投棄されたら排出した人にも連帯責任がかかってくる、いわば政治家の連座制のようなものでありますけれども、それを導入すべきだ、こういう提案があります。

 私は、個人的には、今申し上げた三つ、それぞれもっともだなというふうに思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

小池国務大臣 今、具体的に三つの御提案をちょうだいいたしました。一つずつ考え方を申し述べさせていただきます。

 まず、立入検査の実施の際に利害関係者も同行させたらどうかという件でございます。

 周辺住民から、ここはおかしいぞということで、まず御意見をちょうだいするということがございます。しかし、立入検査の権限ということにつきましては、法令の円滑な執行を確保するという目的のためにも行政機関の職員に認められているものでございまして、利害関係者の同行につきましては、これはなお慎重に検討する必要があるもの、このように考えております。

 気持ちはわかります。言っているのになかなかやらないじゃないかとか、そういったお気持ちもあろうかと思いますし、また、環境省の方でホットラインを設けたというのも、近隣の市や県に言ってもなかなか動いてくれないじゃないかといったような、そういう声を受けとめたいという気持ちでつくらせていただいたものでございます。

 それから、御質問の中にもありましたけれども、設置許可対象の最終処分場そして焼却施設の設置者は、生活環境保全上の利害関係者の求めに応じて維持管理記録を閲覧させるということが廃棄物処理法において義務づけられているということでございます。つまり、周辺住民への情報公開が確保されている仕組みはひとまずあるということでございます。

 二つ目でございますけれども、有害廃棄物の特定事業場での処理の義務づけでございます。

 現在も、特別管理産業廃棄物に関しての処理業の許可制度それから処理基準の設定によってこれは担保されておりまして、まずはこれらの運用をしっかりと図っていくということが重要かと考えております。

 三つ目でございますが、わかりやすく言えば、例の政治資金などの連座制と同じ考え方かもしれません。排出者に無過失連帯責任を課すことについてどうかということでございました。

 排出事業者にとって、その廃棄物がいろいろなルートによって運ばれていく、結果として不法投棄になったというようなことになりますと、予見不可能な負担を負わせるということでございまして、その経済活動を不当に制約するおそれもあるということで、現時点でそのような制度を導入するということは適当ではないと考えておりますけれども、多分、導入すれば大変効き目はある。それだけに、そのリパーカッションというか、その辺のところは十分考えていかなければならないのではないかと思います。

 いずれにいたしましても、環境省として、不法投棄を実際に行う者、それから委託基準違反などのある排出事業者だけではなくて、適正な処理の対価を負担していないといったような必要な注意義務を果たしていない排出事業者に対しても、こういった今の制度に基づいた措置命令を積極的に活用して、その責任は徹底的に追及をしていくことが必要だと考えております。

 今、三つ御提案いただきました。不法投棄撲滅のためにこういった考えはどうだということで具体的にお示しいただいたものと考えまして、有効と考えられる方策につきましてはさらに学ばせていただきたいと思っております。

吉田(泉)委員 ありがとうございました。

 不法投棄の量が大したことなければそこまで抜本対策どうのこうのということにならないとは思うんですが、何せ四千万トン、最終処分されているのと同じぐらいの不法投棄がひょっとしたらされているという専門家の指摘でございます。五年以内にゼロにするという目標の達成のため、何とかもう少し踏み込んだ対策をともに考えていきたいと思います。

 ありがとうございました。

小沢委員長 次に、高木美智代さん。

高木(美)委員 公明党の高木美智代でございます。

 表は春らんまんになってまいりました。しかし、そうしたものを支える論議がありまして、そういう人たちがいまして美しい国が成り立つという、こういう誇りに燃えまして、短い時間ですけれども質問をさせていただきます。時間が限られておりますので、端的に御質問申し上げます。

 まず、今回の法改正につきましては三年連続の法改正ということで、まず一つお伺いしたいのは、全国に不法投棄がどれくらいあるのか、また処分費用はどのくらいを見積もっていらっしゃるのか、そしてまた、そうしたことにつきまして今後どのように処分する方針なのか。質問は順不同でございますけれども、お答えいただければと思います。

南川政府参考人 記憶の範囲で答えさせていただきます。

 現在、まだ不法投棄として毎年千件程度ございまして、四十万トン程度の不法投棄がずっと継続して行われております。その結果でございますけれども、現在、まだ未処理のまま残っておりますのが二千数百件、量としましては約千三百万トンというのが現状でございます。

 これにつきましては、対策としては、平成十年以前の埋め立て、それは要するに不法投棄、それ以後の埋め立て、不法投棄で対策は変わってまいりますけれども、私どもとしては、生活環境上支障があれば、これはやはり都道府県において速やかに計画を立てて原状回復をぜひしていただきたいと思います。

 ただし、これまでのところ、豊島あるいは青森・岩手、そういった数カ所だけでも全体で九百億円程度の金が要るという現状でございます。そういった意味で、原因者がわかるところは極力原因者を捜し出して金を負担してもらう、それ以外については、言ってみれば、経済的な方法で早く問題を解決して、少しでも不満をなくしていきたいと思います。

高木(美)委員 ありがとうございます。

 そうしたことを踏まえて恐らく今回のこの法改正につながるわけですけれども、事務のことにつきまして次にお伺いしたいと思います。

 不適正処理事案により的確に対応するためということで、これまで、保健所を設置する市、こういうふうにしておりました規定を、関係事務を行う仕組みを見直されまして、政令で定める市が行う、このようになっております。どのような市を想定していらっしゃるのか、また、それをどのように決めていくのか、基本的な考え方をお伺いしたいと思います。

 あわせまして、データでございますけれども、例えば、今この事務に携わる平均職員数は、都道府県では三十五・七人、ところが、その他の保健所設置市ということになりますと、五・一人という、大変少ない、七分の一の人数でいらっしゃる。にもかかわらず、職員一人当たりがどれだけの処理業許可件数をこなしていらっしゃるかというふうになりますと、都道府県では七十五件に対して、その他の保健所設置市では二百二十二件という、いわば三倍を超える件数をこなしていらっしゃる。したがいまして、大変これは手が足りないという事情であるかと思います。

 先ほどから、マニフェスト、当然これも大事なことであると私は思います。でも、そこに、一人当たりの許可件数、やはり検討を加えて、申請がありますそこの事務所なり現場に足を運んで立入調査をどのように日常的にやっていくか、ここのところが大変大きなポイントではないかと思っております。これがあって実効性のあるものになっていくのではないかと思っておりますが、都道府県、例えば産廃処理施設一カ所当たりの立入検査件数、こういうふうになりますと、都道府県では七・八件、その他の保健所設置市ではその約半分の三・六件、どう見ましても手が足りない、こういう状況がございます。

 こうしたものを是正して実効性あるものにするためにどのようにお考えか、お伺いをいたします。

南川政府参考人 まず、政令で指定する市の考え方でございます。

 私ども、これにつきましては、現在の都道府県以外の部分の保健所設置市につきまして、今度の政令では、政令指定都市、それから中核市をまず指定したいと思っております。

 それ以外の市、例えば今まで産廃をやっておりますので、函館、小樽、尼崎、西宮、呉、下関、大牟田、佐世保とあるわけでございます。これにつきましては、これまでも取り組んでいただいておりますけれども、今回、県も交えましてよく話をしまして、自分たちはこれまでやってきたんだから体制を整えてやると言えばやっていただきますし、これについてはよく相談をしていきたいと考えているところでございます。それ以外の市については、従来どおりやっていただく。

 ただし、私ども、単にやっていただくだけじゃなくて、これだけ問題が大きいわけでございますので、やはりその体制も十分に整えたいということで、その目安はつくりたいと思っております。

 それから、それ以外に、やはり立入検査なりをしっかりしていただくことも大事でございます。県の方にいろいろ伺いますと、産業廃棄物担当になるとみんな非常に嫌な顔をするというふうに言われるわけでございます。確かに不愉快なことも多い仕事ではございますけれども、やはりそこはぜひ使命感を持ってやっていただく必要がございます。

 そういう意味で、私ども、ある程度見れば定型的にわかるようないろいろなシステムをつくりたいと思っておりまして、そのために、産廃アカデミーとちょっと大げさに言っておりますけれども、かなり集中的な、専門的な研修を行いたい、ことしからスタートさせたいと思っております。そして、具体的な立入検査の手法などにおいて、どのようなことにすれば的確に行えるのか、そういった目安をきちんと示したいと思っております。

 また、別の方から御質問ございましたけれども、やはり警察との連携がないと怖くてなかなかやり切れないという部分が多いのも実態でございますので、警察にもぜひ協力をお願いして、都道府県と一緒になってやれるようにしたいと思います。

高木(美)委員 ありがとうございます。

 場所によりましては、もう既に、警察と人事交流で、警察の方が産廃の担当の課のところにしっかり座っていらっしゃる、何かあったらすぐに一緒に出動してくださる、そういうシステムを整えているところも多くあると伺っております。そうしたこともぜひ推進をお願いしたいと思います。

 今、産廃アカデミーというお話がありました。私も、これは遠い道のように見えますけれども、こうした不法投棄の問題をなくすためには、悪質な業者を駆逐しまして優良業者をどう育てていくか、これが今後の大きな課題だと思っております。

 これは、東京都のこうした団体指導業務というところに位置づけられる一つの例ですけれども、東京都では、産業廃棄物適正処理資源化推進協定、通称エコトライ協定、こういったものをつくりまして、これに賛同する建設事業者それから産廃物処理業者と協定を締結するわけです。そして、協定事業者が法令の基準を超える取り組みを実施する、努力をする、そのことによって、産廃物の適正処理、減量化を推進している。こういうことでありますとか、また、不適正処理の防止のために広域連絡協議会、通称産廃スクラム27という、なぜ二十七かよくわからないんですけれども、これは恐らく近隣の十一県十五市と東京都を合わせて二十七のスクラムということで、このようなことを開催をしながら、措置命令や許可取り消しなど、行政処分を適時に行っている。当然、それによります不法投棄対策係、通称産廃Gメンという、これは有名な言葉でございますけれども、こうした部門を設置しながら厳格に対処している。やはりこうしたいろいろな形の工夫が必要なのではないかと思っております。

 ちょっとこれに関連しまして、きょう、朝の参考人の方のお話の中で、東京都の最終処分場ではこうした机がそのままほうり込まれているとか、トレニアがそのまま処分場の中に捨てられている、そういった趣旨のお話がございました。私は東京所属の議員でございますので、東京都の名誉のために、今そういった処理をするところはないということを、恐らくその方の認識の、何年か前まではあったのかもしれませんけれども、今は適正に処理をしております。そこも全部私も視察させていただき、また、こうした産廃物の特別管理が必要なものにつきましても、もう今、PCB施設が間もなく完成する予定でもございますので、特別管理のそうした産廃物についても、本当に清潔に、適切に行われているということをあえてつけ加えさせていただきたいと思っております。

 また、こういう産廃物の受け入れにつきましても、自己処理がなかなかできない中小企業、ここをどうするかというところも頭の痛いところでございますけれども、やはり東京でも一定の基準を設けまして、一定量を東京都の埋立処分場、また清掃一部事務組合の処理施設に受け入れている、こうした工夫も行われております。

 そこで、環境省とされましても、今後、どのようにこうした優良業者を育てていくおつもりなのか、その方向性につきまして、高野副大臣にお伺いをさせていただきます。

高野副大臣 優良業者の育成は、不法投棄によって暴利をむさぼるとか、あるいはその筋の業界が主たる収入源にするとかということを防ぐとか、あるいは、何よりも国民の健康が損なわれることがないように、不法投棄を防ぐためにも、良心的で優良な処理業者を育成するということが極めて重要だというふうに認識をしております。

 そのために、環境省としましては、今月の一日から処理業者の評価制度をスタートさせました。どういう企業が優良かという評価基準を設けまして、そして、それに適合する業者を一般に公開するということを行っております。

 その基準でありますが、一つは遵法性、二つ目は情報公開をしているかどうか、三つ目は環境保全への取り組みを行っているかどうかという一応の基準を設けておりまして、遵法性につきましては、例えば行政処分を過去五年間受けていないということ、また、情報公開については、許可の内容、処理施設の能力と処理実績、あるいは財務諸表、処理料金の提示方法、組織体制等について情報公開を行っているかどうか、また、環境保全への取り組みとしましては、ISO14001の認証を取っているか、あるいは環境省のエコアクション21等の認証を受けているかどうか等の取り組みを行っているかどうかということを評価の基準にしております。

 そういう基準に合った業者を公開しておりまして、これは、財団法人の産業廃棄物処理事業振興財団において、産廃情報ネット、これで公開をしておりまして、一日からきのうまでの時点で既に三百五十二の業者がこのサイトを利用して情報公開をしております。

 環境省としましては、処理業者についてはこの評価制度に参加してもらうこと、そして排出事業者についてはこういう優良な業者を利用することを勧めるということを通じまして、優良な処理業者の育成に積極的に取り組んでいるところであります。

高木(美)委員 大変心強い取り組みであると評価させていただきたいと思います。

 そこで排除される、欠格要件に該当する人たちのことでございますけれども、当然やはりこの点は大変厳しくチェックしていただきたいと思っております。当然そこには、先ほど申し上げました立入調査であるとか、そういった課題もございます。

 ただ、今、こうした産廃業者は大変広域的になっているということもあります。また、県境を越えた場合、保健所設置市の場合はそこにも申告をする、またさらに、その先に、県にも申告をする、また、荷物をおろす県にも申告をする、幾つものそういうチェック体制は、あるといえばあるわけです。また反面、こういう優良業者が育ってきたそのときには、これは本当に先々の長い話になるかとも思いますけれども、当然、事務を簡素化するための特例措置とか、こうしたことも、今の段階ではまだとても考えられるところではありませんけれども、やがては必要ではないかと思っております。

 その辺の将来的な展望をぜひお聞かせいただきたいと思います。

高野副大臣 産廃物の収集運搬に当たりましては、積みおろしを行う場所での周辺環境への影響が生じる可能性があるために、それぞれの収集運搬を行う場合について、その場所が所在するそれぞれの自治体に許可を受けるということになっておりまして、その当該自治体が適切に監視指導を行うということが必要であると考えておりますが、今おっしゃられたように、産業廃棄物処理の広域化の傾向が続く、あるいは優良な業者がふえてきたというような状況の中で、今後何らかの措置を検討する必要性が生ずるということも十分考えられると思いますので、そういう場合には、廃棄物の適正処理によって生活環境の保全が確保されるということを前提として、許可手続の合理化に関しても検討してまいりたいと思っております。

高木(美)委員 そのような国になりますように、ぜひ強い指導力でお願いをしたいと思います。

 最後にお伺いしたいのですが、この産業廃棄物、これは、汚泥であるとか動物のふん尿であるとか瓦れき、これが八割を占めているということで、抜本的に不法投棄をなくすには、毎年の法改正を重ねるというのは余りにつらいものもございまして、継ぎはぎの一部改正では対応できないというお声も多くございます。やはり私は、これこそ遠い道かとも思いますけれども、ごみとなって出たものをどうするか、これも大事ですけれども、まず、いかにしてごみを少なくするか、あくまでも、ごみゼロへの飽くなき挑戦でございますが、これを研究する必要があるかと思います。これこそ政治のまさにリーダーシップではないかと思っております。

 例えば建築廃材を、これを直接リサイクルできないまでも、今、テレビでも、たくみとかなんとかといろいろやっていますけれども、そういった廃材を直接はできなくても、やはりこうした循環型社会形成のネットワークの中にそうしたシステムを組み込みまして、新改築をするときにリサイクル建材をどの程度使用すべきかとか、こういうような基準をつくるとか、設定できないかなという思いがございます。

 そこで、あわせてこれはぜひさらに推進をお願いしたいことですが、動物のふん尿につきましては、一つは、肥料として使用することもできる、またもう一つは、バイオマスエネルギーとして利活用することができる、こちらの方の研究を急ぐべきではないかと考えております。随分今進んではいるようでございますけれども、対症療法とあわせまして、今後の開発が大事であると思っております。

 こうした廃棄物リサイクルの推進のための現状と、技術開発がどのようにされているのか、大臣にお伺いをさせていただきます。

小池国務大臣 まず、ごみゼロ社会の推進でございます。

 お話ございましたように、建築の廃棄物というのは、全体の廃棄物の量の割合からいたしましても大変高率でございます。今、リフォームが盛んということでございますけれども、とにかく、物を捨てるということではなくて、これまで使っていたものもどうやってうまく活用するのかというような、そういったテレビ番組も大変参考になるなと。ぜひあの番組で、省エネの住宅を、そういった例を見せることができないのかなというふうにも思ったりもするところでございます。

 そういった意味で、再生資源の十分な利用を図るというのは大変重要なことでございますし、また、建築物の発注者に対して再資源化された建築資材の使用を促すというのは重要な課題で、御指摘のとおりだと思います。

 また、建設リサイクル法では、建設工事の発注者に対しまして、建設資材廃棄物の再資源化で得られた建設資材を使用する努力義務が定められているところでございますし、また、国であるとか独立行政法人においては、グリーン購入法によって、再資源化された建築資材を含む環境物品などの調達の推進を図っているところでございます。

 ですから、今後ともこれらの取り組みを着実に進めていくということが、まず建設資材廃棄物の再資源化の推進という点でございます。

 もう一つ加えて言いますと、我が国は、住宅の寿命が、基本的には木造ということだったのでしょうけれども、法隆寺は別にいたしまして、非常に寿命が短いですね。むしろ海外などの、ヨーロッパのアパートメントなんというのは、もう二百年前から住んでいるとか、そういったものが、これは石の建築物であるといったような、ベースが違う点もございましょうけれども、そういったことで、人間も長寿でございますけれども、家はもっと長寿であるべきではないのかなと。これまで土地にお金をかけていましたけれども、むしろこれから上物を誇る時代にしていくべきではないかと思います。

 それから、究極のバイオマスであります、し尿などについてはどうかということでございまして、環境省の方では、し尿、浄化槽汚泥等の有機性廃棄物の再生利用ということで、汚泥再生処理センターを整備する事業を平成九年度から進めております。ここにおいては、従来から行われております堆肥化であるとか、それから最近では、メタン発酵によってメタン回収を行う設備、炭をつくって土壌改良材などに利用する設備の整備を行っているところでございます。また、処理水の中の燐を回収して利用する新たな技術も対象に加えているということでございます。

 また、今年度創設させていただきました循環型社会形成推進交付金制度でございますけれども、対象事業費の三分の一を交付するということですけれども、生ごみなどから高い効率でメタンガスの回収を行う施設については、まさに循環型社会の形成をリードする施設だということで、交付率を二分の一といたしたところでございます。

 バイオマスの活用ということ、ごみゼロ社会、そして循環型社会の形成、さらには、もったいない精神をもう一度よみがえらせる、そういった幾つかのテーマでもってさらに後押しをしてまいりたい、このように考えております。

高木(美)委員 もう時間が終わりました。

 こうした欠格要件であるとか、また適正な処理であるとか、これは一つは、やはり悪を許さない、不正を許さないという強い決意の土台に立たれたリーダーシップが必要であるかと思います。そのことを環境省の皆様に御期待申し上げまして、質問を終了させていただきます。

 ありがとうございました。

小沢委員長 次に、東門美津子さん。

東門委員 社会民主党の東門でございます。よろしくお願いいたします。

 まず、今回、廃棄物処理法の改正でございますけれども、それに入る前に、違ったことになると思いますが、質問をさせていただきたい。

 これまで、恐らくこの委員会では何人かの先生方からも質問があったと思いますが、IUCNの勧告について、私、地元のことでもございますので、まずその件から質問をさせていただきたいと思います。

 二〇〇四年の十一月、タイで開かれた、世界自然保護連合、IUCN第三回世界自然保護会議で、日本のジュゴン、ノグチゲラ、ヤンバルクイナの保全を日米両政府に求める勧告が賛成多数で採択されました。

 日本政府への勧告の内容は、

 a ジュゴン生息海域における軍民共用空港建設計画に関する環境アセスメントでは、ゼロ・オプションを含む複数の代替案を検討すること、また、ボーリング調査、弾性波探査などの事前調査も環境アセスメントの対象にすること。

 b ノグチゲラ、ヤンバルクイナ生息域における米軍ヘリパッド建設計画に関しては、これを環境アセスメントの対象として、ゼロ・オプションを含む複数の代替案を検討すること。

 c 早急に、ジュゴン、ノグチゲラ、ヤンバルクイナの保護区を設置して、保全に関する行動計画を作成すること。

となっています。

 二〇〇〇年のアンマン大会に次いで二度目となる今回の勧告を踏まえて、環境省は何をなされたのでしょうか。

小池国務大臣 IUCNの勧告については、おっしゃるとおりでございます。環境省といたしまして、まず指摘された勧告については、沖縄の貴重な自然についての注目であるということとして受けとめさせていただいております。

 そしてまた、これまで、ジュゴン、ノグチゲラ、ヤンバルクイナの保全のために、さまざまな調査研究そして対策を行ってまいりました。また、普天間代替施設などの事業者に対しましても、必要に応じて助言を行ってきたところでございます。

 これからも、地元沖縄県を初めとする関係機関と連携を図りつつ、こういった種の保存のために必要な措置を着実に実施をいたしまして、また、事業者に対しては必要な助言を行うということで、環境保全の観点から対応をとっていきたい、このように考えております。

東門委員 勧告のaの中の「ボーリング調査、弾性波探査などの事前調査も環境アセスメントの対象にすること。」に関してはどう対応してこられたのでしょうか。

小池国務大臣 今回、IUCNからの勧告ということでございますけれども、先ほどから申し上げましたように、従来より、事業者であります防衛施設庁に対しての助言として、今後とも環境保全の観点からの必要な措置をとるということで助言をさせていただいてきた次第でございます。

東門委員 具体性がなくてよくはわからないんですが、時間がありませんので前に進みます。

 では、cで勧告されている行動計画の作成、それには着手しているのでしょうか。

小池国務大臣 ノグチゲラ、ヤンバルクイナについては、平成十年度、平成十六年、それぞれ種の保存法に基づく保護増殖事業計画を策定して、保護事業を進めてまいりました。特に今年度からは、沖縄県や関係機関と協力いたしまして、マングース、ノネコの捕獲など、山原外来種対策を強化することといたしております。

 ジュゴンについては、その生態に関するデータの収集はいまだ不十分でありまして、現在、保護対策の検討に必要なこれらのデータを収集するために継続的に調査を実施しているところでございます。また、ジュゴンについては、漁網にまざって捕まってしまった際のレスキュー方法の漁業関係者への周知など、こういった可能な対策を講じているところでございます。さらに、ジュゴンの保護対策については、現在実施しております調査の結果を踏まえまして、関係者の理解を得ながら検討してまいりたいということでございます。

 IUCNの勧告ということもございますが、これらは、従来の沖縄の環境を守るという観点から着実に実施をしております調査なりそれから山原における保護対策ということでございます。

東門委員 確認だけいたします。

 ノグチゲラ、ヤンバルクイナのお話はございましたけれども、ジュゴンのための保護区を設置して、保全に関する行動計画の作成、私が伺った行動計画の作成にはまだまだ遠いということでしょうか。調査中ということだったと思うんですが。

小池国務大臣 保護区の設定については地元との合意が不可欠でございます。現在実施している調査の結果を踏まえて、そしてまた、地元関係者の理解を得ながら検討してまいりたい、このような課題でございます。

東門委員 小池大臣は沖縄担当大臣も兼任しておられるわけですが、そのジュゴン、ノグチゲラ、ヤンバルクイナの生息地をぜひ視察していただきたいと私は常々申しております。

 三月十七日の沖北委員会でも、大臣に、ぜひ辺野古へ足を運んでいただき住民の声を聞いていただきたいとお願いいたしました。そうしましたら、大臣は、キャンプ・シュワブからごらんになったとおっしゃったと思うんですが、お答えとして、辺野古も一つ、「できるだけ多くの箇所を見て、私自身の目で見て、そして多くの人たちと話し合ってまいりたいと考えております。」と述べられました。

 一日も早くその日が実現することを願っている私ですが、大臣、いかがでしょうか。

小池国務大臣 沖縄の人々との交流ということについては、これからも続けてまいりたいと存じます。日程については、これはまたそれぞれ全体の日程の中で決めていかなければなりませんので、今、いつ何どきということについてお答えをするわけにはまいりません。

 いずれにいたしましても、すばらしい沖縄の島々も回っていく、このようなことも考えておりますし、そういったことを総合的に考えさせていただきたいと思います。

東門委員 では、次に移ります。米軍基地内の廃棄物について伺いたいと思います。

 沖縄県において、米軍基地内の家族世帯、兵舎などから排出される一般廃棄物は、生ごみと缶や瓶などの燃えないごみが混在しているため、リサイクルが困難だとの声があります。米軍から委託されている業者は、金属類であれば一〇〇%リサイクルできるが、基地内から排出されるごみの場合、生ごみが付着しているためリサイクル率は三〇%から五〇%でしかない、せめて燃えるごみ、燃えないごみの二種類に分別してほしいと話しています。

 沖縄県によりますと、基地内から出るごみの量は一日当たり県民の約二倍に上っており、量の多さがほぼ満杯状態にある民間の最終処分場を圧迫しているとのことです。二種類分別でもすれば、資源率が上がり、最終処分場の容量も圧迫しないことが期待できると話しています。

 そこで、お伺いいたしますが、米軍基地内から出されるごみが分別がなされていないのは沖縄県だけなのでしょうか、それとも、他の米軍基地所在県でも同様のことがあるのでしょうか。環境省は、在日米軍基地のごみ問題についてどのような認識をお持ちなのでしょうか、伺います。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 管理局でございまして、公害等々いろいろ担当してございます。

 廃棄物につきましては、もう委員御承知のとおりでございますけれども、個々の事業者について、どういった廃棄物が出てどれだけの量になっているかというのを集計して公表するといったような仕組みがなかなかございませんので、私ども、別に米軍だけに限ったことではございませんけれども、大変申しわけございませんが、米軍に関して言えば、その排出量あるいはその中身、どんな分別ぐあいかということはつまびらかにしていないのが現状でございます。

東門委員 では、環境省でなければ、どこがこれは担当するんですか。防衛施設庁ですか、外務省ですか。

小林政府参考人 基地の外に出ましたごみにつきましては、これももう委員御案内のとおりでございますけれども、我が国の国内法たる廃棄物の処理法に基づいてその処理がなされるということで、中につきましては、廃棄物については、日本の国内でもそうでございますけれども、排出者の責任ということでございます。

 特に米軍基地につきましては、これも御案内かと思いますが、JEGSという日本の環境管理基準というものを米軍が自主的に定めておりまして、これにのっとって対策をとるということになってございます。ですから、分別をもっとしてくださいというようなことをもし申し上げるとすれば、恐らくこの管理基準に照らして申し上げるというのが相当かというふうに承知をしております。

東門委員 JEGSに、環境管理基準に照らして申し上げると今おっしゃったんですが、どこがそれは担当するんですか。済みません、私、それがわからないから聞いているんですよ。

小林政府参考人 日米の合同委員会というのがございまして、いろいろな問題について分科会がつくってございます。環境の関係、廃棄物も含めまして、環境の分科会というのがございます。その担当は環境省でございますから、もしそういう問題があれば、私どもから申し入れさせていただくということになろうかと思います。

東門委員 いや、それをお願いしたかったわけですよ、ぜひそれをやっていただきたいと。環境省が担当になるわけですから、日米合同委員会のそういう専門部会というのでしょうか、そこでぜひ出してくださいと。そして、全国でどうなっているのかもぜひ把握していただきたいということをお願いしたくて、今この質問をしたんですね。

 次に移りますが、仄聞するところによりますと、米軍基地内に廃棄物の処理施設を設置することも検討されているとのことですが、そのような動きはあるのでしょうか。

土屋政府参考人 お答えします。

 今の先生の御質問は、一般的に、米軍の基地内においてそういう廃棄物の処理施設が、そういう仄聞して、お聞きになっているということなんですけれども、私どもが担当しております提供施設整備という観点からちょっとお答えを申し上げますと、沖縄における在日米軍のごみ処理施設の整備ということで、これまで、可燃ごみ、不燃ごみを含めまして、提供施設整備によりごみ処理施設を整備した実績というのはございません。そしてまた、現在、ごみ処理施設につきまして整備計画というものを持っておるわけでもございません。

東門委員 これは沖縄に限らず、全国どこにもそういう施設を設置したことはないということなんですね。

土屋政府参考人 お答えします。

 全国ということでございますが、これまで、横田飛行場、それからキャンプ座間、それから横須賀海軍施設の三施設につきまして、ごみ処理施設をつくったことがございます。

東門委員 ということは、その三施設はあるけれども、沖縄についてはそういう話はありません、検討しているところではありませんということなんですね。――はい、わかりました。

 これから検討されていくということはありますか。今現在はないけれども、これからということはあるでしょうか。

土屋政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもが担当しております提供施設の整備というものは、米側からこういう施設をつくってもらえないだろうかという提案がありまして、そしてその要望を受けまして検討するものでございます。

 先ほどお答えしましたように、これまで米側からそういう要望が出されたことはございませんけれども、今先生御質問の、では、もしそういう要望が出されたらということでございますが、その辺は、よく米側の希望を聴取するとともに、一般論になりますけれども、安保条約の目的達成であるとか我が国の財政状況であるとか、必要性、緊急性といったことを踏まえまして、日本側の自主的判断により適切に対応してまいるというふうに考えております。

東門委員 はい、わかりました。ありがとうございました。

 最後になると思います。今回の法案の中で、拡大生産者責任の拡充についてお伺いしたいと思います。

 二〇〇三年の通常国会に提出された廃棄物処理法改正案の検討段階では、エアゾール缶、注射針、消火器といった市町村による適正処理が困難な廃棄物について、拡大生産者責任の制度を拡充して対応することが環境省の中央環境審議会により提言されましたが、環境省は産業界との合意を得ることができず、法制化は見送られました。

 その後、二〇〇四年にも拡大生産者責任の拡充は盛り込まれず、その委員会審査では、検討中である旨が答弁されるにとどまっています。改正案に付された附帯決議にもこの項目に関連した柱が盛り込まれており、政府に対し、拡大生産者責任の拡充に関する取り組みを進めることを促しています。しかしながら、今回の改正案にも拡大生産者責任の拡充は盛り込まれていません。

 そこで、お伺いしますが、二〇〇四年の改正案の審議以降の検討経過はどうなっているのでしょうか。

南川政府参考人 委員御指摘のとおり、二〇〇四年の法案提出時に、特に適正処理困難物の問題を念頭に置いてそうした議論を行ったことは事実でございます。

 ただ、その結果でございますけれども、具体的に幾つか案件はあるわけでございます。例えば自動車の鉛バッテリーとか、それから廃二輪自動車とか廃消火器とか廃スプリングマットレスとかエアゾール缶とか、幾つか実はございます。これについて、個別品目ごとに検討を進めよう、そしてその上で本当にやはり法律でなければできないかどうかを考えたいということで当時結論を得て、その後、具体的な個別の検討に入ったわけでございます。

 その中で、例えば鉛バッテリーですと、これは、広域認定に加えようということで、現在、どのような形で認定して、その製造業者が専門家として集めて処理するのがいいかということの検討を進めております。また、廃二輪自動車につきましては、これも広域認定の対象に加えまして、製造業者がグループをつくりまして、具体的なリサイクルを進めております。また、消火器につきましても、具体的に広域認定の観点から対策を進めております。

 ただし、全部がうまくいっているわけではございませんで、例えば廃エアゾールということにつきますと、なかなか話が煮詰まってまいりません。エアゾール缶につきましては、業界の方は、やはりなかなか実際問題として対応が難しいということで、化粧品といったものもございますから企業イメージもございますけれども、なかなかこれについての対策が進みませんし、また、実際に処理する方は、市町村の方は事故が多いという苦情もございまして、このあたりは、今必死になって、私どもも場をつくりまして、その対策を詰めているところでございます。

東門委員 時間ですので終わりますが、ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

小沢委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

 次回は、来る八日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時二十九分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.