衆議院

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第15号 平成17年6月10日(金曜日)

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平成十七年六月十日(金曜日)

    午前十時十分開議

 出席委員

   委員長 小沢 鋭仁君

   理事 大野 松茂君 理事 桜井 郁三君

   理事 竹下  亘君 理事 西野あきら君

   理事 奥田  建君 理事 近藤 昭一君

   理事 肥田美代子君 理事 石田 祝稔君

      宇野  治君    大前 繁雄君

      加藤 勝信君    城内  実君

      小坂 憲次君    鈴木 淳司君

      砂田 圭佑君    根本  匠君

      能勢 和子君    鳩山 邦夫君

      船田  元君    松宮  勲君

      荒井  聰君    佐藤謙一郎君

      田島 一成君    高山 智司君

      長浜 博行君    松本  龍君

      村井 宗明君    吉田  泉君

      高木美智代君    山本喜代宏君

    …………………………………

   環境大臣         小池百合子君

   環境副大臣        高野 博師君

   環境大臣政務官      能勢 和子君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           染  英昭君

   政府参考人

   (海上保安庁警備救難監) 坂本 茂宏君

   政府参考人

   (環境省大臣官房長)   西尾 哲茂君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   南川 秀樹君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  小島 敏郎君

   政府参考人

   (環境省環境管理局長)  小林  光君

   政府参考人

   (環境省環境管理局水環境部長)          甲村 謙友君

   環境委員会専門員     遠山 政久君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十日

 辞任         補欠選任

  村井 宗明君     高山 智司君

  土井たか子君     山本喜代宏君

同日

 辞任         補欠選任

  高山 智司君     村井 宗明君

  山本喜代宏君     土井たか子君

    ―――――――――――――

六月九日

 動物の愛護及び管理に関する法律の改正に関する請願(枝野幸男君紹介)(第一七七六号)

 同(山下貴史君紹介)(第一八七六号)

 同(玄葉光一郎君紹介)(第一九五三号)

 同(村井宗明君紹介)(第一九五四号)

 日本のジュゴン、ノグチゲラ、ヤンバルクイナの保全に関する請願(松野信夫君紹介)(第一七七七号)

 同(奥田建君紹介)(第一八一〇号)

 同(近藤昭一君紹介)(第一八一一号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第一八一二号)

 同(河野太郎君紹介)(第一九五五号)

 行政ができない野鳥密猟問題解決に関する請願(松岡利勝君紹介)(第一九五二号)

同月十日

 動物の愛護及び管理に関する法律の改正に関する請願(水島広子君紹介)(第一九九八号)

 日本のジュゴン、ノグチゲラ、ヤンバルクイナの保全に関する請願(武山百合子君紹介)(第二一一七号)

 同(荒井聰君紹介)(第二二〇〇号)

 同(城井崇君紹介)(第二二〇一号)

 同(小林千代美君紹介)(第二二〇二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 湖沼水質保全特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第六九号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――

小沢委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、湖沼水質保全特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房審議官染英昭君、海上保安庁警備救難監坂本茂宏君、環境省大臣官房長西尾哲茂君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長南川秀樹君、環境省地球環境局長小島敏郎君、環境省環境管理局長小林光君及び環境省環境管理局水環境部長甲村謙友君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小沢委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宇野治君。

宇野委員 おはようございます。自由民主党の宇野治でございます。

 待望の、湖沼法が二十年ぶりに改正をされるという、いいときに私がこの委員をやらせていただいて、本当にいいめぐり合わせだったかなという思いをしております。きょうは、湖沼法について、私の十二年間の県議会の経験も踏まえて、琵琶湖を中心にした水問題についても、あわせて聞かせていただきたいと思います。いろいろと項目が多いものですので、どうか簡潔に御答弁をお願いしたいと思っております。よろしくお願いします。

 今回の湖沼法、要は、昨年の八月に総務省が政策評価をされたときに、まだ十分ではないよというようなお話があった、それを受けて中央環境審議会が開かれまして、ことしの一月に「湖沼環境保全制度の在り方について」というものを答申され、それに基づいた法律だと私は解釈をしております。その中で従来と大きく違いますのは、追加されたというのが、湖辺環境保護地区指定をしなければいけない、それから流出水対策地区指定もできるようにしましょうというような、大きな二つの項目が入ったということになります。

 まず、湖辺環境保護地区指定と呼ばれるものについて、少しお話を聞かせていただきたいと思います。

 法案を見まして私ちょっと気になりましたのは、これは植物を指定していこうという話になるわけですが、その植物がどうも、水生植物、要は水につかっている部分の植物に対してということをうたっているようでありますが、私は、水につかっている部分だけではなく、やはり湖沼の湖辺というところまでひっくるめてやるべきではないだろうか。ですから、例えば植物の指定をするに当たっても、柳やハンノキだとかいう樹木についても指定をする必要があるんではないかという思いがありますけれども、この辺について、陸域についてはどの辺までを考えているかということをお聞かせください。

 それから、今言いましたように、植物の指定をするということになるわけですが、具体的にどういう形で植物を指定していくのか。

 せんだっての外来生物法については、審議会を開いたり専門家委員会を開いたりと、非常に重厚に審査をした結果で指定をして、三十七種が決まったわけでありますが、二次指定もそろそろということであります。ただ、それでもまだ漏れているものとか、いろいろ問題があるわけでありますけれども、今回、湖辺の環境保護に指定をするといった場合には、どんな形で指定をしていくのか。知事がという話もあるわけでございますが、やはり余りにもがちがちに環境省が、国として全国、北海道から沖縄まで同じ植物を指定するというのがいいのか悪いのか、そんなこともひっくるめて、具体的な指定方法についてお知らせください。

 それから、今お話ししました外来植物の問題でありますが、外来の植物でも水浄化をするのに非常に大きな役に立っているものがある。例えば、ホテイアオイなんというのはこの一つになると思います。ただ、外来生物法がある。要は外来生物は駆除していこうということになるわけですが、水質浄化がいいからといって、これを指定するということはいかがなものかなという思いは持っております。

 そんなことからして、外来生物を、水質浄化の作用があるからといって、生物として指定をすることが可能かどうか。私は、これはもう明確に禁止をするということを言わなければいけないんではないかという思いをしておりますが、この辺についても御見解をお聞かせください。

 それともう一つ、植物ではないんですが、生物という意味で、貝類。貝も水質浄化に大変大きな役割をするというのは、琵琶湖の研究所ではある程度出ているわけでありますが、こういうものを指定するのも必要なんではないだろうか、こんなことでの見解ですね。貝類の浄化機能というのがどの程度あって、これを指定することが可能なのかどうか、こんなことも教えていただきたいと思います。

 さらに、指定された植物でありますが、基本的にはヨシというものを目指しているということはわかるんですが、ヨシは確かに利用価値がある。よしずだとか、すだれだとかというものに使うということで、ヨシ業者というのがあって、積極的にヨシを刈り取って使うということになるからいいわけですけれども、植物、生物が水の浄化作用があるというのは、植物が窒素だとかリンを根から吸い上げて茎にためるわけですね。ためるから水からなくなるのであって、これをほっておいたら枯れる、枯れたら水にまた戻る。戻ったら何の意味もないということで、これは伐採なり採取なりしていかなければいけないというのは基本なんですね。ただ、そのことについては何にもうたわれていないということなので、この辺どう考えているのか。

 私は、生物、植物を指定していくのであれば、伐採までひっくるめて管理をしなければならないというふうにしていかなければいけないと思っておりますが、その辺の見解をお聞かせください。

 それから、この項の最後ですが、今この法律の中でうたわれていますのは、植物がある部分を指定するということになるわけです。今生えている植物、これが有効だからということで指定をするということはよくわかるんですが、ただ、琵琶湖のように、琵琶湖総合開発をやって湖岸を大分荒らしてしまった、ヨシがなくなった、なくなった地域にヨシを復活させよう、再生させようといったときに、再生をしたときに指定をするのでは遅いわけで、この地域をこれから再生させるんだということでの保護指定というのもあっていいんではないかな、そんな思いをしております。これについてどんな御見解をお持ちなのか、あわせてお知らせください。よろしくお願いします。

甲村政府参考人 湖辺環境保護地区の指定並びにそれらの植物あるいは生物等のお話でございます。

 まず、湖辺環境保護地区の区域でございますが、これにつきましては、湖の周りの水辺の土地、それからそれと隣接する水域、その中で、湖沼の水質の改善に資すると考えられるヨシ等の植物群落が存在し、それらが一体として保護できる区域を対象としていまして、したがって、指定は水の中だけじゃなくて、水辺の陸域も含めて行われるというふうに考えております。

 なお、保護対象とする植物につきましては、今回の法改正におきましては、湖沼周辺に生育している植物の水質浄化機能に着目いたしまして、ヨシ等の水生植物を指定することといたしております。

 委員御指摘の柳あるいはハンノキなどの樹木につきましては、現時点では、直ちに保護地区の保護対象に加えるほどには水質浄化機能の解明が進んでいない状況にございますが、ただし、保護対象として考えられますヨシ等の群落の中にこういう柳やハンノキの樹木がある場合は、そういうヨシと一体として、区域として指定するということを考えております。琵琶湖など現地を見させていただきますと、ヨシ原の中によく柳とかハンノキの木が一体として生えている、そういうものがございます。

 今後とも、各種の植物の水質浄化機能の研究の進展状況に注目いたしまして、必要に応じまして保護対象の追加を検討してまいりたいというふうに考えております。

 続きまして、湖辺環境保護地区の保護対象植物の指定についてでございますけれども、その保護対象植物につきましては、湖沼の水質の改善に資するものとして、今後、環境省令におきまして定めることといたしております。

 その際に、いわゆる各地域の実情あるいは特殊性、いろいろございますので、ぎちぎちに定めるということではなくて、これは省令の作成上の、かなり法文上のテクニックになるかと思いますけれども、都道府県知事が柔軟に対応できるような省令にしていきたいというふうに考えております。

 次に、ホテイアオイ等の外来植物も指定するのかということでございますけれども、これにつきましては、ことし一月の中央環境審議会の答申におきまして、湖辺の自然浄化機能の活用に当たって、水質が汚濁する以前にはどのような生態系であったかを検討した上で、本来その場に生育していた種を原則とする、そういう答申をいただいております。

 先ほども申しましたように、湖辺環境保護地区の保護対象になる植物は今後環境省令で指定していくことになりますけれども、環境省令の作成に当たりましては、この答申の内容を踏まえまして、水質浄化機能に加えまして、地域の生態系を損なうことのないよう十分注意して指定してまいりたいというふうに考えております。

 次に、植物だけでなくて、生物の浄化機能の観点でございます。

 まず、植物の水質浄化機能につきましては、各地で実証的な調査や研究が行われておりまして、その解明が進められているところでございます。貝などの水生生物につきましていろいろ調べましたけれども、例えば、滋賀県の水産試験場等でイケチョウガイだとかドブガイとかセタシジミのそういう浄化機能の実験研究も行われておりますが、依然、まだ全体としてそういう生物を指定するほどの熟度には至っていないというふうに考えております。

 今後、貝類の有する水質浄化機能につきましても積極的に調査研究の推進を図りまして、その機能について科学的知見の集積に努めてまいりたいというふうに考えております。

 次に、湖辺環境保護地区における保護対象に指定された植物の伐採、採取を義務づけるべきではないかということでございます。

 まず、今回の法改正の湖辺環境保護地区では、湖辺の水質環境の保全を図るため、ヨシなどの湖沼の水質改善に資する植物が生育している地域を指定しまして、その機能を損なう行為に対して届け出を義務づけているところでございます。

 委員おっしゃるとおり、ヨシなどの水生植物は、水質浄化機能の維持のために定期的に刈り取りを行って、そのヨシに蓄積された窒素や燐等の栄養塩類を除去することが適切と考えております。このため、湖辺環境保護地区におきましては定期的な刈り取り等適切な管理が行われるよう、ガイドラインの策定などの努力をしてまいりたいと考えております。

 なお、この際には、定期的な刈り取りということになりますと、先ほどの湖辺環境保護地区の届け出行為との関係が出てくるわけですが、これにつきましては、これらの行為は通常の管理行為として届け出の対象から除外するということといたしております。

 続きまして、既にある水生植物の保護だけじゃなくて、積極的な植栽、造成、そういうところも指定していくべきではないかという御質問でございます。

 御指摘のように、湖沼の水質保全のために、植生の保護だけではなくて、回復とか規模を拡大していくということは非常に重要だと考えております。

 御存じのように、環境省を初めといたします関係省庁におきましては、自然再生のための事業を積極的に推進しているところでございまして、自然再生推進法に基づく事業として琵琶湖の湖岸植生の再生に向けた取り組みなどが行われているというふうに承知しております。一つは、自然再生事業によって再生された湖辺の環境を湖沼法の湖辺環境保護地区に指定するという連携も可能でございまして、今回の法改正は、自然再生の観点から見ても極めて有効なものと考えております。

 なお、全く何もないところを指定するわけにもいきませんけれども、ある程度、少し植物があって、それをさらにふやしていこう、そういう部分につきましても、この環境保護地区の指定に対しましては柔軟に対応してまいりたいというふうに考えております。

宇野委員 いろいろと問題点があるようなんですけれども、最後の、ないところにということ、全くないというのもあり得ないんでしょうけれども、要は、新しい植物をそこに植える、例えばヨシを植えていくというような行為をやはり認める、認めるというか、それを保護地区に指定していくということにしないと、ヨシというのは波に洗われたらすぐにだめになってしまうということですから、やはりそのためにいろいろな、さくをつけたりしなきゃいけない。そういうためにも、地区指定をすることによっていろいろな施策ができると思っておりますので、その辺十分に検討していただきたいと思います。

 次に、流出水対策地区の指定の関係でございます。

 この流出水対策、俗に言う面源対策とか言われているわけですが、やっとこれがこういうところに入ってきた。本当にいいことでありますが、その中で、私は常日ごろ、流出水対策、面源対策で一番の大きな影響を及ぼしているのは農業の農業排水それから雨水、こんなのが大きく言われるんではないかなというふうに思っております。

 まず農水省、きょう来ていただいておりますので農水の方に、ことしの三月に環境と調和のとれた農業生産活動規範というのを策定されて、現在農家向けに手引書を作成中と伺っておるわけですが、滋賀県の場合にはこれを、水質改善農家に対して奨励金、年間十アール当たりに五千円ずつ、そういう形で排水対策をしていただいているというようなところには積極的に奨励をしているわけですが、こういうものを全国的に考えることがあり得るのかどうか。ぜひやっていただきたいなという思いでありますが、ぜひ考えていただきたい。

 それから、今お話ししました農業濁水と呼ばれるものがあります。これは代かき時の濁水ですけれども、この濁水がぼんぼんぼんぼん流れてくると、本当に湖底をどんどんどんどん埋めてしまうということで、特に代かきの濁水というのは粒子が非常に細かいということもありまして、非常に厄介なものであります。これをやはりとめなければいけないということで、何らかの対策をしていくべきであろうということ。

 さらには、ちょっと意味合いが違うかもわかりませんけれども、動植物の保護とか生物の多様性というものについてもこの環境活動規範の中に盛り込んでいただくべきだと思うんです。結果として、今田んぼを使ってアユだとかフナだとかモロコだとかというものを生育していこうということをやっている部分があるわけですが、こういう形で、水がきれいになれば、きれいなところには生物が自然とふえてくるわけなので、やはり生物の多様性という文言もぜひ入れていただきたいなということで、いかがなものか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。

 それから、もう一つは雨水対策でありますが、雨水対策、これは、要はもう今酸性雨と呼ばれているものもあります。どんどんどんどん雨が降れば、どんどんそれが直接湖に入ってくる部分。それと、一番大きなのは、やはり都市部にあるコンクリートに降った雨がそのまま流れ込んで、コンクリートにあるごみを流し込んだり、特に屋根にあるごみを一挙に流してしまう。それが湖、川に入ってくるというようなことが非常に問題になっているわけであります。

 ですから、この雨水というものを、今国交省では、最近、下水道を雨水下水という形で、雨水専用の下水もどんどんつくっていこうという形でやっております。これをやっていただくんですが、大変な膨大な費用がかかるんで、私は、この雨水を各家庭なり企業なりの屋根だとかそういうものに、やはり降ってくる雨水をまずそこでとめるような方策をするべきであろうというようなことを思っております。

 実は、国交省の方にそういう制度があるわけですけれども、これは地域指定をされております。都市圏だとか近畿圏だとかという地域指定をされているわけで、そこにある分については、雨水の貯留施設をつくるというようなことに対しては税制措置をするということになっているわけですけれども、私は、ぜひこの流出水対策地区指定を受けたところにもこういうようなものができるようにしてあげるというのも必要なんじゃないかということを思いますので、その辺のことを副大臣、ちょっとお聞かせいただきたいなと思っております。

 それから、流出水対策ということで、もう既にいろいろ琵琶湖では、水質保全計画というものをつくって、もう何年か前からやっているわけですけれども、六省庁連携ということで、農水なり国交省なり環境省なりというのが連携してうまくやっていこうということで動いています。今回も水質保全計画をつくるわけですけれども、計画をつくるまでは簡単だと思うんです。ただ、計画をつくっていざ実行しようとすると、省庁間のやはり縄張り争いみたいなのがあってとか、また法律の問題があって、なかなかうまくいかない。

 具体的に言いますと、琵琶湖の湖岸で循環かんがいをやろうという話がありました。循環かんがいをやるんですから、流れてくるかんがい排水をどこかで受けとめて、それをまたポンプアップしてやるということになるわけですけれども、受けとめるために池をつくらなきゃいけない。琵琶湖ですから、琵琶湖の真ん中に流すわけにはいかないです。琵琶湖には内湖というのがあって、閉鎖性水域が結構あるものですから、それを使ったらどうかという話を言っているんですけれども、これは国交省の河川法の問題でなかなか使えない。ですから、農水は、結果としてせっかく圃場整備でつくった田んぼをだめにして池を掘って、そこにためてやるということで、せっかく圃場整備でつくったものがだめになってしまった。それを六省連携という形でうまく国交省と農水がやっていけば、このことがうまくいったはずなんだけれども、これはできなかった。おかげさまで、何回か言った結果やれるようになって、最近の第三弾のときには内湖を使うようなことになってきましたけれども、こんなことがほかでもいろいろあると思います。

 ですから、六省庁連携というのをうまくやっていかなきゃいけないということなんですが、やはりだれが管理をするのか、まとめ役になるのか。一応環境省ということになっているようでありますけれども、予算も持っていないし発言力もないしということになって、なかなかうまくいかない。だから、この連携ということは、言葉はいいんですけれども、なかなかうまく動いていないということで、この辺についてどういうふうにお考えいただけるのか、ちょっとお聞かせを願いたいと思います。政務官にお願いします。

能勢大臣政務官 今先生から御指摘の点、私どもも大変大事な問題だと思っております。

 湖沼の水質保全を図る上では、湖沼水質保全計画に位置づけられました各種施策を着実に実施することが大変重要でありますけれども、そのためにも関係府省との連携は大変重要である、同じ認識を持っております。このため、環境省といたしましても、個別の事業の実施に当たりましては、地方自治体の関係部局、そして事業実施者等々との連携を円滑に進めていくよう、今後も努力してまいりたい。

 先生は今具体的におっしゃいましたけれども、かつてそうした各省の縦割りというのはあったことも事実でありましょう。しかし、これからはそんなことではうまくいきませんで、連携強化のために生き生きとした形の連携をとっていかなきゃいけない。

 例えば、今回の汚水処理の施設整備につきましては、国土交通省、農水省、そして環境省、三省が、例の交付金が決まりましたことは、共同でといいますか、互いに協力し合ってできていくと思いますし、それから人事交流にいたしましても、現在の私どもの水環境部長、甲村部長は、御案内のとおり、国土交通省から来て御活躍いただいておるわけでありますし、それから滋賀県にいたしましても、環境省との人事交流をやっております。さらに、ことし皆様から承認いただきました地方環境事務所ができました。そこも十分活用しながら、地元におけるより一層の連携をうまくやっていきたい。

 先生の御指摘については、今後そのようなことのないように頑張ってまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

染政府参考人 農林水産省関係についてお答えをいたします。

 先生御指摘のとおり、滋賀県におきましては、県の農業の振興、それと琵琶湖の水質保全というような観点から、環境に優しい農業をやった場合の支援対策ということで、農業環境直接支払い的なことをやっております。

 農林水産省におきましては、これは平成四年から、もう既に、環境保全型農業を推進するということで、いろいろな推進体制の整備であるとか、あるいは技術指針の策定等、これでいろいろ各地域の農業者を指導しているところでございます。また、特に平成十一年からは、持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律に基づきまして、堆肥などによる土づくりであるとかあるいは化学肥料、化学合成農薬の使用低減に一体的に取り組みます農業者に対する金融、税制上の支援を行っているところでございます。

 さらに、今後におきましても、この三月に策定されました食料・農業・農村基本計画に基づきまして、環境問題に対する国民の関心の高まりが非常に高いということもございますので、我が国農業生産全体のあり方を環境保全を重視するものに転換していこうということを考えておるところでございます。

 具体的には、農業者が環境保全に向けて最低限取り組むべき農業環境規範の普及、定着を図る、これは先生の御指摘にあったところでございます。また、環境保全が特に必要な地域におきまして、農業生産活動に伴う環境への負荷の大幅な低減を図る先進的な取り組みに対する支援を導入することとしておるところでございます。この先進的な取り組みに対する支援につきましては、平成十九年度から実施するということで検討を深めていくことにしておりますが、そのための必要な調査をこの十七年度から実施して、その結果に基づきましてやろうということでございますので、そのときに、今御指摘のような滋賀県の例等も十分参考としながら検討してまいりたいというふうに考えております。

 それと、二点目の農業用水による汚濁の問題でございますが、水田によります流出水の汚濁というのは、特に春作業、春の水田の代かき作業後の濁水が非常に問題になっているところでございます。

 そういう意味で、御指摘の中の農業環境規範の中でも、そういう実施状況を現場で点検するための手引の中に、水田からの濁水流出防止に資する負荷、いわゆる浅い水を張って代かきをする、そうしますと環境負荷が少ないという点がありますので、そういうふうなやり方であるとか、あるいはあぜ塗りなりあぜシートの利用等、望ましい取り組みを指導しているところでございます。

 また、農林水産省といたしまして、さらに全体としては、都道府県等に対しまして平成十七年の農業生産技術指導というのを通知しております。この中で、「環境負荷低減の観点から、特に、代かき時の濁水の流出防止に努める」ことを明記しておりまして、これで指導を行っているというところでございます。

 それと、三つ目の、いわゆる生物の保護、動植物の保護、生物多様性等の問題でございます。

 御指摘のとおり、水田や用排水を、あるいはその周辺では多くの野生動植物などが生息の場になっておるということで、農業が生物多様性の確保に大変重要な役割を果たしておるというふうに認識しております。

 ただ、一方、農業環境規範では、やはり、すべての農業者が環境保全に向けて最低限取り組むべき営農上の行為ということで、具体的に土づくりであるとか、施肥や防除、あるいは廃棄物処理などについて示したものでありますので、直接的には水田や湖の生物の保護などに関する具体的な取り扱いまで含めることはなかなか難しいという点がございます。

 ただ、しかしながら、農業環境規範の着実な実践によりまして、農業生産がより環境と調和したものとなることによりまして、水田や湖の生物保護などにも資するものになると考えておりますので、そのような方向で積極的に指導してまいりたいというふうに考えております。

    〔委員長退席、近藤(昭)委員長代理着席〕

宇野委員 ありがとうございました。

 大分時間がなくなったのでまとめてお願いをしたいんですけれども。

 次に、汚濁メカニズムの解明ですけれども、先ほどの私の質問のノンポイントの対策について、後で副大臣にまた答弁をお願いします。

 それから、メカニズムの解明なんですが、要は、二十九条に「国は、湖沼の水質の保全に関する研究及び技術の開発を推進し、その成果の普及に努めなければならない。」となっているわけです。これは二十年前にもう出ているんです。ですが、先ほどのお話にもあったように、まだまだいろいろなこと、わからないものがいっぱいあるんだというような話があった。では、二十年間何をやっていたのという話になるわけですけれども、この辺についてどういうふうなことをこれから本格的にやっていくのかということをぜひ教えていただきたい。

 特に、先ほどもちょっとお話ししたんですけれども、雨水の関係で、今、自動車のタイヤ、これはもう皆さんが乗っている車、やはり二、三万キロぐらいで交換をしなきゃいけないというような話になっている。それは減っているからということです。減るということは、そのタイヤのかすがどこに行ってしまったのか。要は、雨で降った水は全部川に流れてしまう、これが大きな原因なんですけれども、この辺が、どのくらいの量が入っているのかというのはまださっぱりわからないというようなこともおかしなことなので、このメカニズムの解明というものはぜひ早急にやっていただきたいということをひとつお願いしたいと思います。

 それから、大臣が来られたので大臣にお聞かせ願いたいんですが、この十月に組織改正がありまして、水環境部が水・大気環境局という形に名称変更をされると。おかげさんで水というものが局ということになって、私がここに上がらせていただいてから水の話ばかりをしておったんですけれども、やっと御理解をいただいたなという思いをしておるんですけれども、この水・大気環境局になったときの水の位置づけというものはどのぐらいに重要視されているのか、意義というのをぜひ大臣の方からお聞かせ願いたいと思います。

 それともう一点は、国連の機関であるUNEP、国連環境計画というのがあるわけですけれども、このUNEPについても少し問題点が多いのではないかなと。基本的に、大気関係、都市環境という形では大阪に分室があります。それから水関係では滋賀に分室がある。日本にUNEPがあるわけですけれども、これが余り表立った活動が我々に見えてこない。見えてこない以上に、滋賀県なり大阪市なりは相当な費用負担をさせられている。具体的にどんな動きをしているのかということも大変気になるところでありますので、この辺の運営についてもお聞かせ願いたいと思います。お願いします。

小池国務大臣 最初の御質問でございます。

 これまで、環境管理局で大気関係、そして水環境部の方で水関係を、それぞれ区分けして取り扱ってまいりましたけれども、今日、大気そして水など、環境媒体とでもいうんでしょうか、全体を見渡して汚染の未然防止を図るということは必要である、それに加えて、本日御審議いただいております湖沼法の改正とも関連いたしまして、湖沼そして閉鎖性海域などでの有機汚濁の一層の削減を図る、さらには、御記憶のように、世界水フォーラムで国際的に関心が高まっている水環境に関しての議論へより積極的に参画をしていくということで、水環境についてさらなる取り組みの強化が必要である。そういったことから水・大気環境局を設置するわけでございます。

 これによって水環境行政と大気環境行政をともに局長が指揮をするということと同時に、国際的にもハイレベルで機動的に対応できます審議官を大臣官房に新設することによって、国内外のこういった環境行政の推進に大きな役割を果たしていく、このように考えているところでございます。

 ちなみに、水に関しましては、私は、二十一世紀は水の世紀であるという、そういった大きなとらまえ方をもとにこれから確実な行政を進めていかなければならない、このように考えております。

 また、UNEPでございますけれども、UNEPとは環境省としても緊密な連携強化を図ってまいりました。せんだってのスリーRにいたしましてもエコ・アジアにいたしましても、テプファー事務局長、そしてそれぞれのUNEPの職員のスタッフの方々との連携というのは極めて密に行わせていただいております。

 これまでUNEP・IETCに対して外務省、環境省から任意拠出金を支出してまいりましたし、また御指摘の、それぞれの地元での支援組織がございますけれども、これらに対して国として支援事業を行ってくるという形で、直接、間接、いろいろな形でこのUNEPの日本における活動にバックアップをさせていただいてきた。そしてまた、国際的な連携を図って、このUNEPの存在というものがよりクローズアップされるという意味では、環境省との連携を強化していくこと、これに尽きるのではないかと考えております。

    〔近藤(昭)委員長代理退席、委員長着席〕

小沢委員長 高野副大臣、済みません、質疑時間が終了していますので簡潔にお願いをしたいと思います。

高野副大臣 雨水等のノンポイント対策、いわゆる面源対策につきましては、湖沼の水質保全を図る上で極めて重要だというふうに認識をしております。

 ノンポイント対策に関する支援として、例えば、国土交通省では、ノンポイント汚濁負荷の削減を行う下水道管理者に対して国庫補助を行う制度を設けておりまして、これを積極的に支援をしております。現在二カ所でありますが、これを全国的に広げていくということであります。農水省でも、先ほどお話がありましたが、エコファーマーに対して金融、税制上の特例措置を実施しております。

 環境省としましても、必要に応じ、関係する補助事業や各制度が活用されるように、関係府省と連携して流出水対策の推進に努力してまいりたいと思います。

宇野委員 どうもありがとうございました。

小沢委員長 次に、奥田建君。

奥田委員 民主党の奥田でございます。

 ちょっと、政府参考人の方々が入れかわるまで余談を入れたいと思います。

 大臣の方は七月に北方領土の視察というのが日程に入っていらっしゃいましたですね。こちらの方では国内出張と聞いていますけれども、ロシア側の関係者や、あるいはサハリン州の方々と面談をなさるような日程というのはおありかどうか。まだ御自身でその日程の中身まで聞いていませんか。

小池国務大臣 まさに国内出張でございまして、ビザなし交流で、私自身としては初めて北方領土、国後、択捉の二島に、これは国会の御許可次第でございますけれども、足を踏み入れることになろうと思います。

 今、まさに日程の精査中でございます。先方がどういう人物があらわれてくるのか、これについては、まだ明確なところはわかっておりません。

奥田委員 きょうは法案の質疑の前に、一つ海洋汚濁のことで聞いてみたいと思います。

 海上保安庁の方に来ていただいていますので、今の海洋汚染、油濁防止の対策についての質疑を行いたいというふうに思います。

 皆さんも御存じのとおり、サハリンの方で、サハリンの石油天然ガス開発プロジェクト、大変大きなプロジェクトが進行しています。国際協力銀行の融資、あるいは現地での環境問題などもいろいろと話題に上っている。けさもFoEの皆さんの、現地のプロジェクトでの環境破壊といった話を聞かせていただきまして、きょう聞きたいのは、それに関連して、サハリン州自身が海洋汚濁防止への取り組み、油流出緊急時計画プログラム策定といった事業があって、それが欧州復興開発銀行、EBRDを通じた融資、そしてその融資の原資としては日本の欧州協力基金、これが使われているということなんです。

 このサハリン州の油流出の対策プログラムをつくるときには、当然サハリン州全体のものでもありますけれども、宗谷海峡を挟んでの北海道、オホーツク沿岸の関係者あるいは関係部署といったところとも打ち合わせ、調整をするということがその融資の目的の中にも書かれているんですけれども、きょうはそういった金融関係の方々が出張とかでいらっしゃいませんでしたので、海上保安庁の方にお尋ねしたいんです。

 ロシア側、サハリン州が進める国際融資のもとでの油流出対策に関しての接触といいますかヒアリング、日本での防油、油の防除体制、そういったことについての接触というのはございますでしょうか。

坂本政府参考人 お答えします。

 海上保安庁は、サハリン州が委託、策定する地域排出油対応計画の案につきまして、協議を実施するよう申し入れを行っているところであります。しかしながら、現状では、技術支援を実施すること自体は決定しているものの、具体的な条件等についてサハリン州と欧州復興開発銀行との間で協議がなされている段階であり、コンサルタントも決定していないと聞いております。

奥田委員 海上保安庁さんからのお話を聞かせていただきましたけれども、私の情報も、先ほど言った担当者が海外出張ということで確認ができなかったんですけれども、昨年の八月にもう欧州復興銀行からの今のプロジェクト、プロジェクトといってもコンサルタント業務ですけれども、そういったものは昨年の八月に落札されているというふうに聞いているんです。まだ一年はたっていませんけれども、それまでいろいろ日本側に対しての調査あるいは意見聴取といったものが行われないということは、国際協調融資が絡んでのことでもありますので、環境省としても非常に関心を持って見ていただきたいなというふうに思います。

 そして、JBICさんが主催するフォーラムなんかで、九回開かれたと聞いています。そして八回目、九回目にはサハリンエナジー、現地での企業も参加してのフォーラムが開かれたということなんですけれども、オホーツク海沿岸の方々たちというのはやはり、もし事故があったときに、自分たちにどういう事態が起こるのか、あるいはどうやって、どういう体制でその被害の拡大を防いでいただけるのかということが一番大きな心配であるかと思います。

 私も、素人考えの中でも、自分たちの地元の方では八年前にナホトカ号の重油流出事故ということで大変な被害を受けて、そしてまた、多くの方の協力のもとで復興作業に入ったわけですけれども、今度の場合は国際海峡ということもありますし、そして氷結するということがあります。サハリン・プロジェクトが進んでいったときには、通年生産、通年出荷ということで、サハリンの地から宗谷海峡の西側を回って日本海側をタンカーや、あるいはLNG船がたくさん航海するということになります。

 海上保安庁の方では、関係省庁会議などは開いているということは聞いていますけれども、海上保安庁が直接の窓口にはならないかもしれませんけれども、こういった国際的な油濁汚染対策といったものについての対策がとられているのか、どういう体制なのかということをちょっと簡単に聞かせていただきたいと思います。

坂本政府参考人 お答えします。

 サハリン・プロジェクトにおける油排出事故に関しましては、原油輸送タンカーからの流出とサハリンの油田施設における排出事故との両方を想定して取り組んでおります。

 海上保安庁といたしましては、これらの事故想定に対応するため、北海道沿岸における排出油防除計画で、巡視船、航空機等の動員体制を確立するとともに、大型油回収資機材の整備等にも努めております。また、ロシア側とも協力して油防除訓練等も行っております。今後、サハリン2のプロジェクトにおいて通年生産が開始された場合においても、万全の対応がとれるよう努めていく所存であります。

 また、日ロの合同訓練に関連してでありますが、日ロ合同の流出油防除訓練は、一九九九年にサハリン沖で原油生産が開始されたことに伴い、二〇〇〇年の九月に当時の森首相とプーチン大統領との間で行われた油防除の協力に関する日ロ共同声明に基づき行われております。第一回の訓練は二〇〇一年の七月に北海道の紋別沖で実施されており、また第二回の訓練を来年五月にアニワ湾において実施する方向で現在調整しているところであります。また、そのほかにも、毎年日ロの油防除専門家会議等を開催して、連携の強化に努めているところであります。

奥田委員 ただ、日本の場合、氷結した冬の海でそういった船を運航することあるいは回収に出ることというのは、経験の面でほとんどないことだというふうに思います。日ロの話し合いはもちろんですけれども、アラスカ沖だとか北海、バルト海、そういった荒れた海あるいは氷の海での作業といったものをぜひしっかりと参考にして、そういった防除体制というものを組んでいただきたいというふうに思います。

 大臣の方には、もしロシア側あるいはサハリン側と接触することがあれば、こういった融資の中で新しい防除体制、シミュレーション、ガイドラインですけれども、そういったものをしっかりとつくっていただきたい、そしてまた、サハリン・プロジェクトに対して多くの環境破壊の懸念の声が上がっている、このことに対しての対処をぜひお願いしたいということも伝えていただきたいと思います。大臣の方から、一言、お願いいたします。

小池国務大臣 このサハリン2プロジェクトに関しましては、関係省庁連絡会議という中で環境省も役割を担っております。今御指摘ありました、例えばオオワシの営巣地をどうやって守るかといったような問題など、こういった体制の整備、情報の収集、整理といった形で役割を担わせていただいております。

 今御指摘のありましたロシアの油濁防止については、もともとロシア極東海域における油汚染事件、ちょうどお地元でしたけれども、発生時の措置としても、日ロ韓中、これが参加しまして、NOWPAPという組織がございます。日本では富山に事務所がございます。あと、韓国の釜山の方でございますが、この中で、NOWPAP地域油流出緊急時計画というのを定めておりまして、これらの関係国間の協力を図っているところでございます。また、この緊急時計画というのは、実は、これまではサハリンの西岸まではカバーされていた、ただ東岸の東側の方が抜けているということで、これについては適用地域の拡大ということを我が国から提案しているわけでございます。

 先ほどのNOWPAPは、ごみがずっと、能登半島のところまで漂着するといったようなことも担当しているところでありますけれども、逆に、ロシアからの今御指摘があったような問題についても今お答えさせていただいたような体制をとらせていただいているということでございます。

奥田委員 NOWPAPにも触れていただきまして、ありがとうございます。

 サハリンの東側の方というと、どうしても北方領土の問題が、ナーバスな問題が絡んできますので。

 ただ、であるからそういった一つの協定といいますか、行動計画の中、範囲に入らないという理由にはならないと思いますので、ぜひ協力体制を強固にしていただきたいというふうに思います。

 それでは、法案の方の質疑に戻らせていただきたいというふうに思います。

 二十年ぶりの改正ということであります。この法案を読めば読むほど、少しため息が出たりもしておったんですけれども、環境省の方から、この二十年の、大臣の方から、湖沼水質保全特別措置法、この法案の一つの評価をいただきたいし、また、総務省からの行政評価といいますか、政策評価もありましたし、そして中環審の方でも答申をいただいている、そういった答申も踏まえて、この今までの二十年間の法案の評価についてお話をいただきたいと思います。

小池国務大臣 これまで、湖沼法に基づいてのいろいろな施策を実施してまいりました。その結果、指定湖沼に流入する汚濁負荷の量は着実に削減はされてまいりましたけれども、一部の指定湖沼では残念ながら水質の改善が見られなかったということで、指定湖沼全体の環境基準の達成率は依然芳しくない状況となっていたわけであります。

 そしてまた、昨年、総務省によります政策評価においても、一定の効果は認められるが、期待される効果が発現しているとは認められないという旨の評価がされたわけでございます。

 こういったことも踏まえまして、環境省として、湖沼水質保全対策の一層の強化が必要と認識をしてまいったわけでございます。

 ことしの一月に中央環境審議会の方から「湖沼環境保全制度の在り方について」の答申をいただいたわけでございまして、この答申の内容を踏まえまして今国会に湖沼法の改正案を提出するに至った、これが過去二十年間の動きでございますが、私とすれば、もう少し早くやればよかったと率直に思っております。

奥田委員 いろいろな周辺環境が激しく変化している。例えば、改善があったというようなお話もありましたけれども、確かにほんの一部ではあったでしょう。そして、市街地の発展などで、改善されない、悪化する要素が周辺に出てきたのも確かだと思います。だけれども、温暖化の話なんかでもそうですけれども、どんなにクーラーの性能をよくしても、クーラーの台数が二倍以上、三倍近くになってきている中で、総量としたら改善にならないといったようなのと同じような問題を、内水面といいますか、こういったところが抱えている部分がやはりあるのかなというふうにも思います。

 環境省の水環境部の方のお話を伺っていて、この態勢や予算といったものが、何人で幾らだということは言いませんけれども、本当にこの法を執行していく、あるいは新しく事業を行っていくような態勢になっているんだろうかというような危惧も少し覚えたわけです。

 ちょっと副大臣にお尋ねしたいんですけれども、これまでの二十年間の経緯も踏まえて、今までの湖沼の水質保全といったところでの予算関係あるいは人員態勢についての認識、そして、これからまた、法案の改正とともに、新たな取り組み、態勢や予算、事業の面について、意気込みと方針を聞かせていただければというふうに思います。

高野副大臣 二十年間のこれまでのいろいろな経緯がありましたけれども、大臣がおっしゃられたように、もう少し早目に手を打つことができたのかなという感じは、私も率直に思っております。

 お尋ねの点でありますが、今回の改正案では、農地、市街地等のいわゆるノンポイント、面源から流出する汚濁負荷の削減を図るための流出水対策地区の指定制度、あるいは湖沼の水質改善に資する植生を保護するための湖辺環境の保護制度の整備を盛り込んだところでありますが、環境省としましては、これらの制度が都道府県により有効かつ適切に実施されるように今後技術支援等の必要な措置を講ずる予定でおりますし、そのための必要な予算の確保にも努めてまいりたいと思っております。

 また、施策の実施に当たりましては、本年十月から設置します予定の地方環境事務所の十分な活用によりまして、地元における一層の連携の円滑化を図ってまいりたいと思っております。

奥田委員 今、地方環境事務所の活動、取り組みの中でしっかりとやってほしいというお言葉がありましたけれども、ぜひやってほしいんです。

 この法案を見るとため息ばかり出ると最初に言ったのは、十個の湖沼に対しての法律なんですよね。そして、水質基準というものがどこで設けられているかというと、水質汚濁防止法の中でほかの湖沼については設けられている基準なんだということで、この特別措置法では、都道府県が申し出て、保全計画を認めていただいた十湖沼に対してのものだと。そうしたら、別個の法律じゃなくても、水質汚濁防止法の中の一つの制度としてやっていってもおかしくないような法律に私には見えるんです。

 局長さんの方にお伺いしたいんですけれども、湖沼特別措置法において、そして中身を見ても、これは都道府県がやりなさい、都道府県がやりなさい、地元でやりなさいということをいろいろ書いてあるだけで、環境省は何の役割なんだと。基本計画の策定、マニュアル、ガイドライン、それを策定するのが仕事、そしてこういった対象地域の基準をつくるのが仕事ということであれば、その時点で、何か手を離れて、あとは監視だけなのかなというような感じもいたします。

 この法案のもとでの環境省の役割というものを局長さんに力強く語っていただきたいと思います。

小沢委員長 どちらですか。

奥田委員 失礼しました、水環境部長さんです。

小沢委員長 甲村部長。

甲村政府参考人 湖沼法における環境省の役割でございますけれども、議員御指摘のように、湖沼計画の策定、その他指定湖沼の水質保全のための施策に関する基本的事項を定める湖沼水質保全基本方針を策定するという国の役割が一つございます。それからまた、都道府県によって作成された湖沼計画について、公害対策会議の議を経て同意を行うという役目がございます。さらに、各現地で定められます湖沼水質保全計画の着実な推進のための研究及び技術開発の支援を行っているところでございます。

 この技術開発の支援の予算、昭和五十九年以降を顧みますと、最初のころは大体年間二千万円程度でございましたけれども、平成十五年からは五千万レベルに引き上げまして、特に平成十七年は約九千万近く増額いたしております。

 その十七年度におきましては、汚濁機構の解明を推進するとともに、より効果的な湖沼計画の策定に必要な指針の整備を行う、非特定汚染源対策等のガイドラインの策定など湖沼流入負荷削減対策の強化を図る、あるいは湖沼水質浄化に向けた住民のより積極的な運動を喚起する、そういったためのものを計上しているところでございます。

 なお、前段の方で議員が御指摘の、湖沼の環境基準の話でございます。

 確かに、湖沼の環境基準は一般の水域と同様の基準を使っておりますけれども、中央環境審議会からの答申におきまして、水環境の評価として、現在のCOD、全窒素、全燐の項目だけでは必ずしも施策の効果を適切に反映できないし、また地域住民にとってもわかりづらいという指摘がなされておりますので、今後、モニタリング体制の拡充あるいは補助指標の検討を行いながら、水質目標についてもわかりやすい目標を設定してまいりたいと考えております。

奥田委員 もう一つため息をついた理由が、きょうは私の前後に琵琶湖のほとりの方々が質疑に立って、そういうところは、こういった内水面の対策では、世界でもいろいろと参考になるような取り組みをしているような地域だと思うんですけれども。

 私の地元の方にも、四平方キロぐらいですけれども、河北潟という潟がありまして、昔は大きかったんです。一九六〇年代に全国で行われた干拓事業で、農地をつくるということで三分の二以上が埋められて、昔は十二から十四平方キロあった、そのくらいならかなり大きな湖なんですけれども、今はその三分の一以下になって、潟として残っています。それでも、私たちから見れば大変大きな湖、湖といいますか、潟なんですけれども。

 海とつながっていた汽水湖だったんですけれども、水位調整のためにつくられた水門なんかで淡水湖化していったりして、そして、当然海の近くということで、いろいろな流域の下流部ということで、水質も悪化してきている。

 ただ、私も、ちょうど自転車に乗れるようになったころには、さおを持ってフナ釣りに行ったり、そういった思いもありますし、地域では、二つの市と二つの町に囲まれたようなところにあって、多くの方の一つの思い出、ある種成長の過程、あるいは生活の隣にあるという潟でもある。

 水質が悪化していったことはありますけれども、それでも、そういった昔の潟に近づけられないものかというような思いで、二〇〇二年には、環境の再生協議会というものが地域団体などで自主的に活動を開始いたしました。二十六の地域の町会だとか、あるいはボランティア団体、環境NPO、そして、当然、漁業関係者といった方々が入って活動しています。そういったところで、では、どういう取り組みをしようと。そこに、行政は行政でまた別に協議会を持っていて、時々話し合いはしているんですけれども、行政と一体になった取り組みはなかなか打ち出せない。もちろん定点モニタリングとかそういうことは、環境NPOの方々なんかが、結構地道に、またしっかりと取り組んでいただいている。

 湖沼法の中で指定湖沼にしてもらおうという話は聞かないんですけれども、それだけ汚れた湖でも、ラムサール条約の指定をもらうような活動をしようなんということを言っている方もいます。

 干拓地と湿地と両方あるので、案外いろいろな種類の鳥がいます。私も、見てくると、鳥の声がうるさいくらい。環境省の専門家の方に聞いていただいて評価していただきたいんですけれども、大体百六十六種の鳥が見られる。僕も行っていてうるさいと言っていたのが、ちょうど今ごろの季節ですと、ツバメがびゅんびゅん飛んでいて、どうやって数えるのか知りませんけれども、ツバメだけでも三万羽以上確認されるというような話も聞いています。

 そういった中で、では環境省さん、どういったかかわり方をしてもらえますかとお願いに上がったんです。そういうときに、さっき言った、指定湖沼じゃないといろいろとできることが少ないねというか、ほとんどないねという話になって、ちょっとこの法律に関して私は疑問を抱いたというようなわけなんです。

 ですから、地方事務所の方が積極的にそういった市民団体のところに入っていっていただきたいなというふうに思うんです。ここまで市民活動が実を結ぶまでには、やはり地道な地方の方々の活動があって、そこまでいく。都道府県から計画が出て、そしてそれを承認するというときは、ある意味で事業が一つ花開いた段階なんですよね。その前に、やはり環境省さんの地方の方、地方事務所の方でもいいですよ、いろいろな働きかけによって全国に種をまいてほしい。種の段階から環境省が参加する。

 いろいろな案文の中には、地方との調整とか、理解を求めるということは書かれていますけれども、ぜひそういった中で、これも、条文にしようとか事業にしようというと難しいですけれども、エコツーリズムとかそういうので出てきますけれども、多くの人が水辺に戻ってくるような、今みたいに、川で遊んじゃいけないとか、池の近くは危ないから行っちゃいけない、やはり今のPTAの方々も、そういう中で指導していらっしゃったりしていますけれども、私は、川で泳いで育っていましたし、魚もとったり、あるいは、先ほど言った潟で遊んで、海で遊んでという育ち方をしてきていますので、ぜひ水辺に戻って、水辺が自分たちにとって心地よいものだということを、愛着を持たないと、やはりこういった環境を守っていく、水辺を守っていくというような行動にもつながってこないんじゃないかと。

 ですから、種をまくこと、そしてまた、多くの方が水辺、親水空間での活動に参加できるような、そういった道筋をつけていただければというふうに思います。

 最後に、こちらで浄化槽の質問を一つして、質問を終わらせていただきたいというふうに思います。

 浄化槽法の改正が本国会の初めの方でありました。新しく、国土交通省、農水省と、三省庁で調整しての交付金カットというものも一部取り上げられました。そして、その前からですけれども、合併浄化槽の技術の進歩とともに、市町村設置型というような形で、個人負担を大きく下げたという施策も大変評価できるし、もっと早くやってほしかったなというような施策でもあります。

 こういった中で、ずっと前には、中川治議員も地方自治体の経験者としての話でありましたけれども、今残っている市街地と山間部や過疎地の間のところというのは、どういう手法をとるかということで費用、効果も大きく変わってきます。

 湖沼法に絡んででもありますけれども、今のこの浄化槽の普及の仕組み、個人負担、行政負担という中でいろいろな工夫が行われていますけれども、一番大きいのは、何で公共下水道とコミュニティープラントや農業集落排水、個人の浄化槽の中で補助率や補助制度が変わるんだろうというようなことがあるんです。公共の水管理に資するものだという形で、同じ資金のもとで、同じ比率で一般の世帯に対して補助されるというところまで、もう一頑張りしてほしいというふうに思う。

 そして、普通の公共下水道を使う方は下水道使用料を当然払うわけですから、法定検査がなかなか実施率が上がらないというような問題なんかも、市町村をさておいて勝手に言えませんけれども、使用料として検査料あるいは清掃料といったものを行政が徴収するような、あるいは行政にかわるところが徴収するといったシステムで普及をお願いしたいというふうに思います。

 そのことについて、担当者から一言お願いいたします。

小沢委員長 質疑時間が終了していますので、簡潔にお願いします。

南川政府参考人 御指摘のとおり、市町村が維持管理します市町村設置型について、ぜひ拡大を図っていきたいと思っております。予算について見ましても、市町村設置型は、平成十二年度が十五億円の枠でございましたが、十七年度が百十四億円ということで、格段に充実をしております。

 もちろん、究極の民活でございます個人設置型もあわせまして、ぜひ浄化槽の活用を図っていきたいと思っております。補助の充実にも努めてまいりたいと思いますし、また、タウンミーティング、トップセミナー等を通じた普及も行ってまいりたいと思います。

奥田委員 終わります。ありがとうございました。

小沢委員長 次に、田島一成君。

田島(一)委員 民主党の田島一成でございます。

 今週は、二回もこうして質問させていただく機会をちょうだいしました。大変ありがたいことだと思っておりますが、どうぞ火曜日に引き続きの答弁、明確にぜひお願いを申し上げたいと思います。

 今回のこの湖沼法の一部改正、冒頭で質問に立たれた自民党の委員とも同じように、私も滋賀県の県議会で、琵琶湖の水質浄化、また、さまざまな植生物等々の問題、条例案化に力を注いできた一人であります。それだけに、今回、この上位法である湖沼法がどのような形で改正をされるのか、大きく注目を寄せ、また期待を寄せてきた者の一人であります。

 しかし、この湖沼法自体が、制定されてから二十年経過をしてきた。参議院等ででも言い尽くされてきた部分でもありますけれども、もう一度確認をさせていただきたいんですが、なぜこの二十年間も手をつけずに、今になってこの改正に至ったのかという点であります。

 平成十六年の八月に、総務省の行政評価局から、「湖沼の水環境の保全に関する政策評価書」、これが通知をされて、湖沼の水質が全くよくなっていないという指摘を受けたわけであり、ある意味では、この指摘があったからこそ、今回改正になったのかというふうにもとれるわけであります。

 ある意味、環境省はいわゆる水政策のトップで走っていかなきゃいけないのが、総務省から指摘を受ける、これは非常に恥ずべきことであり、環境省の名折れ、何のために環境省としてこれまで対策を打ってきたのか、そういう立場にありながら、本当に恥ずかしいことだというふうに私は思うわけであります。参議院の質疑の中ででも、いみじくも小池大臣が、総務省からおしかりを受けたと判断しているというような御答弁もされました。本当におしかり程度で解釈していていいのかなと。ある意味では、これまでの環境省の取り組みが後手後手になっていたことによって小池大臣の顔に泥を塗られたような、私はそういうような気がするわけなんですね。

 さて、こうした法律がなぜこの二十年間も、言い方は悪いですけれども、放置をしたまま来たのか。このあたり、大臣はどのようにお考えか、まずそこからお答えください。

小池国務大臣 湖沼の水質、そしてそれを保全するための施策ということについては、環境省としましても以前から検討を重ねてきたところであります。そして、施策の効果の把握、評価に一定の時間が必要であった、そしてまた、湖沼の汚濁の原因の一つであります農地、市街地からの流出水への対策について技術的な検討に時間がかかったといったようなことから、これまで大きな見直しをするには至らなかったということで、私も聞いたんですけれども、流れる川と、そしてまた湖沼、閉鎖性というのは水の流れの関係が違って、なかなか時間的にも、むしろ湖沼の方がかかるというようなことでございます。

 また、私自身は、総務大臣からのお呼び出しについては、やはりこれは、おしかりであると同時に、まさに、しっかりやりなさいという励ましをいただいた、このように考えているところでございます。そういったことも踏まえて、今回、この湖沼法の改正に至ったということでございます。

 今後ますます、先ほども私申し上げましたように、水の世紀ということで位置づけたいと思っているわけでございますけれども、その意味でも、湖沼の対策、水質の改善というのは極めて重要な課題であり、また、この湖沼法の改正により、それを一歩、二歩前進をさせていきたい、こんなふうに考えているところでございます。

田島(一)委員 評価に時間がかかった、また、閉鎖性とそれから河川との違い等々のいろいろな問題があったというようなことも今おっしゃいました。恐らく担当からそのようなレクをお受けになって大臣は今お答えいただいたと思うんですけれども、これは明らかに、大臣は部下から言いわけで何かレクを受けていらっしゃるような、私、そんな気がしますよ。やはり、はっきり言わなきゃいけないですよ。大臣もやはり環境省のトップなんですから、遠慮せずに、そんなことで田島が我慢すると思っているのかぐらい、本当は答弁書を突き返すぐらいの意欲を持っていただきたいんですね。

 さっき、本当にいみじくも、奥田委員への答弁でぼろっと、原稿にない、もう少し早くやればよかったとお答えになられました。私は本当に、もっと早くやるべきだったと思うんですよ。その証拠をこれからちょっと質疑の中で明らかにしていきたいと思います。

 二十年間も本当に必要だったのかというところに問題があるんですよ。もう既に、この二十年の間に、指定湖沼を抱えた自治体はもっともっと先進的な取り組みをやってきていますよ。例えば、その一つを挙げましょう。水生植物群落の保護、修復、復元であります。

 私が住んでいる滋賀県では、もう既に、平成四年に、この二十年間の間に、琵琶湖のヨシ群落の保全事業というのを条例化いたしました。このことによって、水辺の植物群落を保護、修復していくことによって浄化をもっともっと進めていこうという取り組みであります。では、なぜこれでも、滋賀県が既にやっているのに環境省はやらなかったのか、そのことに取り組もうとしなかったのか。ここにどうしても疑問が出てくるんですね。

 このやりとり、実は先議であった参議院でのやりとりにもありました。甲村部長が、この水生植物群落の保護、修復それから復元というのは、近年、この機能の科学的な知見というものが明らかになってきたと。多分これも言いわけ的な答弁だと私は思うんですけれども、何か、それまでは全然この科学的な知見というものを得ることができなかったというような、そんな言いわけでこの二十年間手をつけなかったというふうなお答えを御用意されるのかもしれませんけれども、では、果たして、この水生の植物群落というものの機能が明らかになったのは具体的にいつなのか。そして、それがどういった論文、どなたの、いつ発表された論文等で明らかになったというふうにお考えなのか。まずそこからちょっとお答えいただけますでしょうか。

甲村政府参考人 水生植物の水質浄化機能についてのお尋ねでございます。

 おおむね一九九〇年代から、いろいろな調査研究事例が見られるようになっております。例えば、ちょっと順序不同で申しわけございませんけれども、二〇〇〇年には「植生浄化施設の現状と事例」ということで、河川環境総合研究所から報告が出ております。あと、一九九八年には「生態工学を導入した農村地域の水質改善」というのが雑誌に出ておりますし、あと、同じく一九九八年に「生態工学を活用した水環境修復技術の開発動向と展望」というものが出ております。

 このほかにもいろいろな論文が出ておりますし、あと、実際に現地での実施事例といたしまして、私どもが把握している段階では、二十六事例が実際に現地でそういういろいろな水生植物を植えて、それの効果を把握しているところでございます。

 そういうものを総合的に検討いたしまして、中央環境審議会でも検討していただきまして、今回、法律の中で、水生植物につきまして保護地区を設けて、湖沼の環境をよくしていこうということとしたわけでございます。

田島(一)委員 部長、今おっしゃった話は、では、裏を返せば、この二十六の事例の効果を確証するにはきょうまで時間がどうしてもかかってしまったということですか。それをはっきりお答えください。

甲村政府参考人 非常に難しい、かつ厳しい御質問でございます。

 いろいろな結果を、どの段階で判断をして法律として制定するか、非常に難しいレベルのお答えでございまして、私どもといたしましては、今回はそういうことで今回に、判断の資料等の吟味等をする関係上、今回になってしまったということでございまして、委員おっしゃるように、もう少し早く、あるいはもう少し少ない事例でやるべきであったかというのも御意見としてあるかと思います。

田島(一)委員 部長は国交省からいらっしゃっているから、私は申し上げるのも本当に気の毒に思うんですね。環境省がもっとしっかりやっていたら、甲村部長がそんな答弁に窮するようなことというのはなかったんだろうなと本当に思うんですよ。

 今回のこの湖沼法の改正、それこそ心の中で、言葉にされませんでしたけれども、大臣もおっしゃったように、もう少し早くに取り組んでいたら、総務省の評価なんかもこんなふうに言われることはなかったんですよね。

 では、どこに責任があるんでしょう。大臣、どう思われますか。だれに責任があるんでしょう。

小池国務大臣 それぞれ職員は一つ一つの課題にしっかり取り組んでまいったと思います。それは、環境省の職員の労働時間というか、少ない人数で実によくやってくれていると思います。

 要は、やはり、プライオリティー順をどうつけるかということの中で、残念ながら、この湖沼の問題が、ほかの緊急を要するような課題がこれまでも環境の場合たくさんあったのではないか。これは、私がこれまでのことを推察するだけでございますけれども。しかしながら、やはり、プライオリティーをどうつけていくのか、そしてまた、それを実行していくための必要な人員であるとか、配置であるとか、予算であるとか、総合的なものであろうと思います。

 確かに、地球温暖化の場合もそうなんですけれども、科学的な知見を集めたりするのには、大変な労力と、それから時間がかかるときがあります。早々に結論を出すことによるプラスとマイナスも両方あるかというふうに思うわけでございます。

 いずれにしましても、私は、総務大臣から今回この評価をいただいた際には、やはり率直に、どうしてこれまでやらなかったのかなというのは大臣として思った次第でございますし、そのためにも、今回のこの湖沼法の改正ということで、この水質改善という大きなテーマに向かっての方法としての法律改正、これをぜひともなし遂げてまいりたいと考えているところでございます。

 やはり、政策にしても、いろいろと、世の中のニーズの変化もありますし、絶対的な環境のニーズの変化もそれぞれある、また変わらないものもある、それをどのようにして精査していくのか、それをしっかりと見きわめて、そして、スピーディーに、かつ的確な政策を行っていくというのが、環境省が今後ますます求められる姿勢ではないか、そんなことを考えながら、努めてまいりたいと考えております。

田島(一)委員 おくれたことについてこれ以上追及しても時間がもったいのうございますから、どうぞ、こうした同じような過ち、過ちと言うと怒るかもしれませんけれども、また同じような評価が出てくるようなことのないように、先ほどおっしゃった地球温暖化も含めてそうです。ありとあらゆる部分でこういった政策評価書が出てくることのないような、ぜひ全庁的な取り組みを心からお願いをしたいと思います。

 では、実際に今回のこの改正法、二十年もじっくりとかけてお取り組みをいただいてようやく日の目を浴びたこの改正法、中身の議論に入っていきたいと思うんです。

 今回のこの湖沼法の改正のポイントを、私なりに幾つか絞らせていただきました。まず、ノンポイント、面的対策。それから、未規制の小規模事業場の排水規制がどうなっていくのか。あと、自然生態系の地域指定による保全、ヨシ群落とか水生植物の植栽。それから、湖沼の水質保全計画の策定。この辺がポイントになってくるのかなというふうに思っているんです。

 では、この一つ一つ、環境省としてお取り組みをいただくについて、今指定されている十の湖沼、それぞれ、どれぐらい水環境が、また水質が改善されていくんだろうかと考えたとき、残念ながら、この改正法よりももうずっと先に進んでいる都道府県の対策、取り組みというのがあるわけですね。

 例えば滋賀県。負荷量の規制の強化というのが今回出ました。改正法では、既設の事業場も対象とするということになっているわけですけれども、残念ながら、排水量五十トン以上という規定が入っております。しかしながら、滋賀県の方では、もう既に上乗せ条例を制定されていて、小規模事業場の排水規制というのも、もう既に実施をされているんですね。今回、湖沼法が改正されても、この負荷量の規制の強化には何にもプラスにならない。

 それだけではありません。先ほど申し上げたように、自然生態系の地域指定による保全、これについても、もうヨシ保全条例というものを既に指定をしています。とりわけ、今回、国は届け出制になっているんですけれども、滋賀県というのはもう重要地域においては届け出制を指定している。さらに、ことしから、六カ年間で四・八ヘクタールという目標を定めて、年間、例えば平成十七年度ですと五千七百二十万円の総額でこのヨシ群落の保全管理事業というものが予算化されているんですね。ところが、今回のこの湖沼法の改正は、先ほど申し上げたように届け出制でとどまっている。しかも、予算措置なんというのは何にもない。努力目標で終わっている。

 どれをとっても、滋賀県が琵琶湖に対して注いでいるエネルギー、予算、そして条例制定等々を比べても、今回の改正は何一つそれを上回っているものというのはないんですよね。果たしてこれで上位法としての湖沼法の改正と言えるのか。二十年間も温め続けてこられた割には何でこんな安っぽいものしか出なかったのかと私は情けなくて仕方がないんですが、どなたがお答えくださるでしょうか。

甲村政府参考人 まず、負荷量の規制についてでございます。

 負荷量と申しましても、濃度というのと、それから濃度掛ける水量という意味の負荷量と、その両方がございます。

 まず、水質汚濁防止法におきましては、日排水量五十立方メートル以上の事業場に対して濃度として排水の規制を行っております。かつ、滋賀県さんの場合は、それよりも、五十立方メートルよりも少ない小規模事業場に対しても濃度として規制を行っておられます。

 今回、私どもの改正の湖沼法で行いますのは、負荷量、濃度掛ける水量の規制でございます。

 なぜこういう負荷量規制をするかと申しますと、川の場合ですと、どんどん水が流れていきますので、ある一定の濃度であれば川の水質は守られるわけですけれども、湖沼の場合は、どうしても水がたまってしまいますので、単に濃度の薄い水を出せばいいということじゃなくて、それも、濃度の薄い水が大量に出ていきますと、やはり負荷量としては湖沼に悪さをするということで、濃度の規制を行うということで、これは、滋賀県さんもまだ、いわゆる小規模事業場に対して濃度の規制を行っておられないと思います。従来は新増設の事業場に対してだけ行っておったのを、今回は既設の事業場に対しても行うということで、これは新しい部分でございます。

 それから次に、ヨシ群落の保全でございます。

 おっしゃるように、滋賀県では平成四年から保全条例をつくっておられまして、非常にすばらしい取り組みだと思っております。

 ただし、滋賀県さんは非常にすばらしいんですが、そういう事例がほかにもあるかと申しますと、まだまだ他県でも制度化されていない状況にございます。このため、今回の法改正におきましては、滋賀県さんで取り組まれておられる先進的な事例を参照といたしまして、湖辺環境保護地区の指定制度を設けるものとしたものでございます。

 なお、今回の湖辺環境保護制度でございますけれども、法律の用語上、いわゆる届け出ということになっておりますけれども、さらに、届け出の後、都道府県知事による行為の禁止、制限の命令、それから原状回復命令、それから報告、検査等、その実効性を担保する仕組みがつくられておりまして、実質的には滋賀県さんの条例でいいます許可制と同等の効力を持つものと考えております。

田島(一)委員 上位法の位置づけというのは一体何なのかなと私は思うんですね。同等であるとかそれと肩を並べるとか、そういうものあたりで本当にいいのかなと。

 ことしに入って滋賀県の方にも部長は行っていらっしゃいますよね。どんな議論をなさって、また連携の議論を重ねてこられたのか。私は詳細まで決して聞いていませんし、そんなことを求めるつもりもありませんけれども、現にそれだけ滋賀県の施策を評価していただいているのは大変私もうれしい話ですけれども、それを超えるものをやはりきちっと環境省でやろうじゃないかぐらいの意気込みを持って二十年ぶりのこの改正に当たっていただきたかったな、そんな気がするわけであります。

 琵琶湖は、それこそ国交省に随分お世話になって環境対策をこれまでずっと重ねてきた。その歴史的な経緯は私たちもずっと見届けてまいりました。しかし、環境省というものが庁ではなくて省としてこうやってスタートをして、今ここで本当に湖沼の水質保全、水質改善を何とか全面的に取り上げていこうというのであるならば、ぜひ国交省で培われたノウハウをもっともっと発揮してやっていただきたかったというのが私の切なる、残念な思いでもあります。

 地方でできることと国でできること、地方がやらなければならないことと国がやらなければならないこと、このすみ分けだけは絶対にあいまいにしてはいけないな、滋賀県だけでもできていることを同じようにやっても、これは私は意味がないと。

 おっしゃったように、まだまだそこまで取り組みができていない指定湖沼も当然あります。ですから、そういったところには確かに今回のこの湖沼法の改正だけで十分なのかもしれませんが、上位法という位置づけからいけば、もう一歩上に、滋賀県からも、あっ、環境省がようやく本腰になったなと思われるようなものをぜひつくっていただきたかった、これが私の率直な感想であります。

 さて、では、地方と国、こうして今日、それこそ関係が大きく変わってまいりました。補助金が廃止をされたり、環境省の立場というものが逆に本当に地方に対してアピールができなくなってきたというのも思います。

 そう考えていくと、本当に国が何をやらなきゃいけないかといったら、私は汚濁負荷の仕組みを把握していくことだろうというふうに思うんですね。これは地方でどんなに頑張っても、科学的知見の集積をすることであるとか、また技術を蓄積していくということには自治体の限界というものがどうしてもあります。それぞれまた湖沼ごとにその特性も違うわけですから、その辺はやはり国レベルでしっかりと取り組まなきゃいけない、そんなふうにも思います。

 ひもときますと、昭和四十七年、琵琶湖総合開発特別措置法の国会審議の中でも、当時、環境庁がこの汚濁負荷の仕組みを把握していくということを、環境庁の時代ですよ、しっかりお約束をなさっているんですよ。しかしながら、まだこれは果たされていないんですね。こういう現状。それこそ、もう四十七年の話ですわ。三十二年前の話です。こういったところにまでもう一度さかのぼっていただいて、いまだに課題を積み残して庁から省にこれは格上げされてきたということを、私はどうか真摯に受けとめていただきたいというのがお願いであります。

 本当はもっと細かいことでいろいろとお話もさせていただき、聞かせていただくのがいいと思うんですけれども、今し方滋賀県のお話も出していただきましたが、それこそ、霞ケ浦でも同じようにアサザプロジェクトだとか、随分前向きなお取り組みをされていました。しかしながら、だんだんだんだん、自治体がかかわっていない、要はNPOなんかではそこのやる気等々で随分活動量が下がってきたりしている、そんな事例もあるわけでして、住民参加という意味で盛り上げていき、また、力をかしてもらうということは非常にいいことだと思うんだけれども、どうもその住民中心、主導で、この湖沼の水質保全にはやはり限界もあるのかなと、私は残念ながら感じたりもしている昨今であります。

 この先、自治体がどのような形でこの改正された湖沼法に基づいて取り組みを進めていかれるのか。ある意味では、これまでの自治体の取り組みの評価も含めてなんですけれども、この先、この湖沼法の改正について、自治体との連携をどのように深めていこうとお考えなのか、このあたりのお答えをいただけないでしょうか。

甲村政府参考人 まず湖沼の環境を守るために、最初委員がおっしゃったように汚濁メカニズムの解明が非常に重要でございます。この汚濁メカニズムの解明のもとに、地域の住民の方々の協力を得て、生活排水だとかあるいは面源からの流出の負荷だとか、それを着実に削減していかなければならないと考えております。

 汚濁メカニズムの解明につきましては、昭和五十九年以降の予算を先ほども申しましたけれども、大体二千万程度で推移しておったわけですけれども、十五年からは五千万にふやしまして、ことしは約九千万近く予算を用意いたしまして、各自治体において、指定湖沼の中で一番メカニズムの解明に役立つ総収支がわかる全有機体炭素、TOCと申しますが、そういうものの計測を行って汚濁メカニズムの解明に取り組んでいるところでございます。

 このような調査を通じまして、都道府県と連携いたしまして、まずメカニズムの解明を行うというのが必要であるし、あと、やはり後段に申しましたように、地域住民の方それからNPOの方が、汚い水を家庭から流さない、あるいは面源、道路の清掃をやっていただく、あるいは植生の維持をやっていただくということは非常に重要だと考えております。そういう面につきましても、今まで環境省はなかなか現地レベルの力がなかったわけでございますけれども、ことしの十月から地方環境事務所も活用いたしまして、より一層地域の方々と密接に連携してまいりたいと考えております。

田島(一)委員 時間も参りました。

 ぜひ、今回の法改正によって、私、これは滋賀県自体の取り組み、そこそこやっているというふうに評価をしておりますから、琵琶湖にはさほどこの法改正によって水質改善にはつながらないんだろうなというふうに思うんですけれども、最後、大臣、今回の法改正によって、水質は、また指定湖沼は、この先どれぐらいきれいになっていくというふうに思われるのか。本当を言うと、やはり数字を示して、目標値をきちっと達成していくようなわかりやすいものを示していくことが大事だと思うんですが、今回の法改正ではなかなかそのあたりが読み取れないんですよね。

 二十年間もほうっておきながらこの程度と、私、本当にひどい言い方をしたかもしれませんけれども、でも、やはり湖沼に対する水質改善、もっと環境省が真剣に本腰を上げるんだというその意気込みも含めて、ぜひお答えをいただきたいと思い、最後の質問とさせていただきたいと思います。

小池国務大臣 湖沼の問題も、それから全体の水の問題も、これは大きな課題でございます。

 湖沼法の改正をきっかけに、さらに湖沼の水質が改善できますように、今回の改正部分をフルに生かせるように、それぞれの自治体とも連携をとりながら進めてまいりたいと考えております。

田島(一)委員 これで終わります。

 どうぞ、これから実効性のある取り組みを心からお願いをし、地域の実態を本当にしっかり把握してください。あと、それこそ予算措置などとかも、モニタリングなんかに本当にきちっと手厚くやるべきなんですよね。そのあたりが本当に完全に抜けている。このこともよく踏み締めて、これからの取り組みをぜひお願いしたいと思います。

 ありがとうございました。

小沢委員長 次に、近藤昭一君。

近藤(昭)委員 民主党の近藤昭一でございます。

 今回の法改正について幾つか質問をさせていただきたいと思います。限られた時間でございますので、端的にお答えをいただければと思います。

 まず水の浄化対策であります。もう先ほどから何回も出ております総務省からの勧告、十分な水質改善が行われていない、できていない、こういうことでありますが、これは、湖沼や内湾等の汚濁負荷の七〇%近くを生活排水が占めると言われています。ところが、この対策について、従来の有機物を指標とするBODでは水環境再生が不可能ではないかと。そういう側面からなかなか対策が進んでいないのではないかというふうに危惧をするわけであります。

 一月の中環審、「湖沼環境保全制度の在り方について」においても、生活排水対策として、窒素・燐除去型合併処理浄化槽、長い名前でありますが、その重点整備を進めることが適切であると位置づけられておりますし、先般、浄化槽法の改正も行われたわけであります。そしてまた、この浄化槽対策については三百億円近くの税金も補助金として使われている。また、先般、報道で見たのでありますけれども、窒素、燐酸がふえることによってアオコが発生する。このアオコが毒性を発生して、ブラジルか何かだったと思いますが、人も亡くなっているということで、大変に大きな懸念を抱いているわけであります。

 そういうことで、この小規模浄化槽に窒素、燐酸の水質基準をきちっと設定することが必要だというふうに思っていますが、いかがでありましょうか。

南川政府参考人 おかげさまで法律が改正いただきました。それを受けまして、私ども、浄化槽からの放流水に関する水質の基準につきまして、中央環境審議会に専門の委員会を設けまして、現在、技術的事項等を含めて検討をいただいております。その中で、当然ながら、その水質基準として窒素、燐を含むものを設定するかどうかということも大きな論点になっているところでございます。

 その中では、富栄養化対策としての浄化槽の役割をどうするか、また既存の浄化槽の浄化能力をどう評価するか、さらに浄化槽自身は目の前の小川に入れるわけでございますので、その放流水が湖沼に流れ込むまでの間に自然浄化がどう働くか、そういったさまざまな内容を総合的に勘案して検討をいただいているところでございます。

近藤(昭)委員 検討いただいているということでありますけれども、先ほどからいろいろと議論になっておりますが、もう二十年近くもたってきちっと対策が進んでいないということの中には、いつまでも検討していただいていても困るということと、その検討の中で、もしかしたらどこかにいろいろな課題があって、すぐには決められないというようなこともあるのかもしれませんが、やはり個別具体的に、きちっきちっと一つ一つ、いろいろなハードルがその議論の中で出てくるのかもしれませんが、基準を設けていってやることが大切だ、そういうふうに思っています。そういう意味で、いろいろと考慮すべきところがあるかもしれない、あるいは、もしかしたら反対する、そうではないという意見があるのかもしれませんが、ぜひ、この水質基準をきちっと設けていただきたいというふうに思うわけであります。

 続きまして、少し今回の法改正とは違うのでありますけれども、やはり環境の汚染という問題でちょっとお聞きしたいことで、これも実は環境省さんの方が、総務省の勧告の中で少し懸念が出ているという関連であります。

 PCB法ができまして、この処理に当たって、先般の総務省の勧告、PCB廃棄物全体の保管の実態は不明という結果が出て、せっかく特措法をつくっても、都道府県への届け出がされていなかったり、そして、そういう中での実態が把握できていないというようなことでは、これもまた意味がないということになってしまうと思います。特に、中小企業者にとっては、国からの支援策があるといっても、処理費用の負担が大変な問題となっており、きちんとした処理や届け出を行っていないのではないか、こういう危惧をしておるわけであります。

 日本環境安全事業株式会社、JESCOは、民間処理業者が新規参入して中小企業者からの委託処理をする場合も、補助金の面で優遇されているわけでありますから、もっと積極的に中小企業者に対しても働きかけや営業をすべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

南川政府参考人 私ども、総務省の勧告を受けまして、直ちに地方公共団体と全国会議を行いました。その中で、埋もれているものについて掘り起こしをして、きちんと、拡散をしないように、できるだけの対策をとろうということを申し合わせておりますし、また、実際にJESCOにおいてその後のフォローアップをしております。

 具体的には、私ども、早期にどれだけ処理をする必要があるのか把握したいと思っておりまして、早期受付ということで、若干、値引きも含めて、早期に全部届け出れば何らかのサービスはするということも含めて宣伝をいたしまして、それによりまして、現在、全国各地に散らばっておりますPCBの関係の機器につきましての商品ごとの張りつけといいますか、そういったことも進めておるところでございます。ぜひとも、早期にこういった対応をとりまして、拡散を防ぎたいと考えております。

近藤(昭)委員 ぜひ、せっかくつくった法案でありますから、これをチェックしていっていただきたいと思いますし、聞くところによりますと、平均して百万円ほどの処理費、中小企業対策としては七割ほどの補助金、つまり、それでも三十万、この三十万は今の中小企業にとって大変に、それでも負担になる。そういう中で、やはりきちっとJESCOさんが働きかけていって、また環境省の方でもチェックをして頑張って処理を進めていただきたいというふうに思うわけであります。

 これは、私もこの特措法の論議には参加をしたわけでありますが、JESCO、当時の環境事業団がやることについては、ある種の民業圧迫ではないか、あるいは民間でやった方がいい、効率よくできるのではないか、こういう意見もあったわけでありますが、やはり大変に毒性を持ったものがある、かなり放置をされてきている、そういう意味で、環境事業団、公のところでやらなくちゃいけない、こういう議論があったというふうに思います。

 そこで、少しお伺いをしたいわけであります。

 公共性を持ったものは、事業団あるいは公社のようなところ、そういうところでやるべきだというふうに思うわけであります。それとも関連して、今郵政民営化の問題が非常に論議をされております。公共性のあるものは公でやるべきだ、こういうふうに私は思うわけでありますし、もう一方で、私どもこうして委員会で質問をしておる。それはやはり内閣に対して質問をするわけでありまして、内閣で一致していただいていなければ、委員会というものが成立しないというふうに思うわけでありますね。

 そういう意味で、能勢政務官は、先般の郵政事業懇話会の総会及び拡大役員会に関する報道がありましたが、この勉強会、くしくも綿貫民輔先生の絵もありますが、この会に何回出席をされておられますでしょうか。

能勢大臣政務官 政務官として出席したことはございませんけれども、議員という立場で、ちょっと数ははっきり覚えていませんが、何回あったんですかね。(近藤(昭)委員「では、あったかなかったかはどうでしょう」と呼ぶ)ただ、法案が政府に移ってからは出ておりません。衆議院に参ってからは出ておりません。勉強会に何回行ったか、何回あったか、全部覚えておりませんが、そういうことであります。

近藤(昭)委員 もう一度。

 なかなか回数ははっきり覚えていらっしゃらないかもしれませんけれども、政務官になられて、いわゆる内閣の一員になられてから行かれたことがあるのかどうか、それをもう一度お聞きします。

能勢大臣政務官 今お答えしましたように、法案が政府に移ってからは、行っておりません。(発言する者あり)

近藤(昭)委員 行っておられないということでありますが、ただ、先般の報道によりますと、政務官は総会前に顔を出して、別の会に出席するという苦肉の策をとられた、こういう報道があるわけであります。そしてまた、問題ないというような声も今ありましたが、それに関して、小池環境大臣が何かおっしゃったというような報道もあるわけでありますが、いかがでしょうか。

小池国務大臣 私は、政務官に対しましては、内閣の一員であるということを何度か申し上げていたわけでございます。その後の行動については、御本人がこれまで的確に判断をされてこられた、このように感じているところでございます。

近藤(昭)委員 的確にという判断でありますが、冒頭申し上げましたように、内閣が一致していただいていないと困るわけでありますから。ですから、結論でいえば、どうなんですか、政務官は、今議論されている郵政民営化関連法案に対して、賛成なんですか、反対なんですか。

能勢大臣政務官 環境委員会で答えるべきかどうかわかりませんけれども、私も、政府の一員として政務官としての責務を果たしていきたいと思っております。

近藤(昭)委員 政府の一員として。そうすると、政府の一員でありますから政府と一致してやっていかれると。ですから、勉強会にも、法案が提出されてから出ていない、こういうことなのかもしれませんけれども、勉強会の方では反対を貫くという方針を七日の総会で固められたそうでありますし、郵政事業懇話会は、党議拘束はかかっていないと確認されておられるようでありますけれども、どうですか、政務官は、これは党議拘束はかかっていない、そういうような認識でいらっしゃいますよね。

能勢大臣政務官 党議拘束がかかっているかどうかという立場ではありませんで、私は、政府の一員として、これからも政務官の仕事をしていくと言っております。

近藤(昭)委員 政府の一員として。そうすると、どうですか、政務官は、では、個人の政治家としてはどういうふうに、一員としてではなくて、一人の政治家としてはどう思っていらっしゃるんでしょうか。この法案が万全かどうかと。どうでしょうか。

能勢大臣政務官 そのようなことを、私の意見がどうこうということをこの環境委員会で答える必要もないと思いますけれども、あくまでも、何遍も同じことを言っておりますけれども、政府の一員として行動をとってまいります。

近藤(昭)委員 そうすると、政務官は、政府の一員としてこの法案に一致して賛成をしていかれる、こういうことなんでございますね。

 ただ、大変に危惧をしておりますのは、報道ではありますが、そういう内閣の不一致と出るような、そういう報道があったということで危惧しておるわけですし、私は、そこにやはり、これは私の推察で申しわけないんですが、政務官としては幾らかのこの法案に対する危惧を持っておられたんではないかと思うわけでありまして、私は、内閣の一員としてというところと、政治家として御判断いただくところもぜひ示していただければなと思っております。

 以上です。ありがとうございました。

小沢委員長 次に、山本喜代宏君。

山本(喜)委員 社民党の山本です。

 環境委員会に戻って質問していきたいというふうに思っております。

 先日、ある新聞で、中国の黄河の渇水が大変深刻になっているという報道がございました。二十一世紀は水の世紀というふうに言われております。水資源をどのように保全をしていくのかということは極めて重要な課題になっているというふうに思います。

 そこで、総務省の行政評価でございますが、非常に低い点数でありました。政策目標である水質環境基準や湖沼水質保全計画の水質目標が大半の指定湖沼で未達成、こういう評価について環境省はどのように受けとめているのかということ。それから、先ほど来、なぜもっと早く改正されなかったのかということが再三言われておりますが、この二十年間にわたった取り組みの成果が不十分だった理由としてどのように考えているのか、答弁をお願いします。

小池国務大臣 昨年の総務省によります政策評価で、これまでの湖沼の水質保全政策に一定の効果は認められるが、水質目標が大半の湖沼で未達成であるなど、期待される効果が発現しているとは認められないという御指摘をちょうだいいたしました。

 今申し上げた政策評価で既に言い尽くしているのかもしれませんけれども、湖沼法の制定から二十年以上が経過したわけですけれども、湖沼の水質の改善は停滞しているということでございます。湖沼の水質保全というのは国民生活にとっても重要なものでございます。環境省として、この政策評価を重く受けとめたわけでございます。

 そして、今回、この政策評価も踏まえまして、今回の湖沼法改正を含めて、湖沼の水質の一層の改善に向けました取り組みをさらに進めてまいりたいと考えております。

 また、冒頭にありましたように、黄河の渇水ということもそうですし、インダス川も最初の水はもう海の方には到達しない、アラル海の干上がりなど、水の問題は、まさに農業のみならず、私たちの命そのものにもかかわってくる世界的な問題である、このように考えておりますので、湖沼法も、これもまた新たなきっかけといたしまして、水の問題にしっかり環境省としても取り組んでまいりたいと考えております。

甲村政府参考人 湖沼法が、制定から約二十年、今日まで改正が行われなかった理由でございます。

 幾人かのさきの委員の方々にもお答えしておりますけれども、湖沼の水質とこれを保全するための施策につきまして、環境省としてもいろいろ検討してきたところでございますけれども、施策効果の把握、評価に一定の時間が要するということ、それから、湖沼の汚濁原因の一つでございます農地、市街地からの流出水への対策について技術的な検討に時間を要したこと等の理由から、これまで大きな見直しをするには至らなかったものでございます。

 今般、流出水対策など、湖沼の水質保全にさらに盛り込むべき施策が明らかになったことから、また調査や対策の技術が進展したことから、湖沼法改正案を提出したものでございます。

 また、従来の湖沼法が十分な成果を上げなかった理由でございます。

 従来の湖沼法は、要は、いわゆる生活排水、下水道整備や浄化槽設置の推進、それから、工場、事業場からの排水規制、こういう二点につきましてやってきたわけでございます。その結果、汚濁の負荷量は減っておるわけですが、今言った生活排水や工場、事業場からの排水のほかに、いわゆる面源、市街地や農地からの流出水、それから、湖沼の中での浄化機能の能力のアップ、そういう施策が盛り込まれておりませんでしたので、改善状況がはかばかしくなかったというふうに考えております。

山本(喜)委員 次に、指定湖沼の実態の把握の件についてお伺いしますが、都道府県の知事の申し出に基づいて指定をするわけでありますね。その水質環境基準が現に確保されておらず、または確保されないこととなるおそれが著しい湖沼、それから、当該湖沼の水の利用状況、水質の汚濁の推移等から見て、特に水質の保全に関する施策を総合的に講ずる必要があると認められるもの、この基準でありますが、参議院の委員会での質疑を見ますと、平成十五年度では、百六十五の水域のうち環境基準を満たしているのは九十一水域ですね。七十四の湖沼はこの一つ目の条件に当てはまるわけですが、この指定湖沼の第二の要件、湖沼の水の利用状況、水質の汚濁の推移等から見てというふうなこの実態、これについては実態の把握が行われていないというのが参議院の委員会でお話しされておりましたが、国としては、この実態把握をする必要があるんではないかというふうに思います。

 これがなぜやられていないのか、わからないのか。それから、各湖沼が位置している都道府県はこれが基準に該当しているのかどうか、こういうことを知っているのかどうかは、都道府県はわかっているんですかね。

甲村政府参考人 まず、先ほども国と地方の役割といったような御指摘がございましたけれども、まず都道府県知事でございますけれども、水質汚濁防止法に基づきまして、公共用水域の水質の汚濁の状況を法定受託事務として常時監視されております。その中に湖沼の水質の汚濁状況も含まれております。ということで、先ほどの指定湖沼の要件の一点目、いわゆる水質の基準を満たしていない、あるいはおそれがあるというのは、都道府県知事がわかるわけでございます。

 それとともに、環境省でも、全国の水質状況を把握するために、各県ではかられた水質の状況をまとめて毎年公表しているわけでございまして、そういう中で、先ほど参議院で私が申し上げましたように、七十四の水域が現在環境基準を満たしていないとお答えしたわけでございます。

 それから、二点目の湖沼法指定の条件でございますけれども、いわゆる水質の保全に関する施策を総合的に講ずる必要性、これにつきまして、いわゆる個々の湖沼ごとにいろいろな特性がございます。周りの地域の産業、人口の張りつき方だとか、また湖沼の利用の仕方、あるいは湖沼自体にも大きいのも小さいのもございます。これにつきましては地先の都道府県知事さんが把握しておられるということで、それで現在の湖沼法でも、都道府県知事の申し出に基づき、先ほどの二条件をもって指定するということでございます。

 そういう中で、今回、さらに湖沼法が改正されますので、そういう趣旨も含めまして、そういう都道府県からの申し出が円滑になされますように、各都道府県に必要な情報提供を行ってまいりたいと考えております。

山本(喜)委員 二つ目の要件、湖沼にはそれぞれ特徴があるから、大きい、小さいがあるということで、地元が把握しておればよいというふうな答弁だったと思いますが、しかし、湖沼全体の環境基準の達成率は五五・二%と低いというふうな数字があるわけですね。そうすると、指定湖沼以外の水質保全についても、都道府県任せということでなくて、やはり国としてもちゃんとやっていくということが必要ではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

甲村政府参考人 委員おっしゃるように、湖沼の環境基準の達成率は五五・二%でございます。一方、河川につきましては八七・八%ということで、非常に年々ふえていっております。

 環境省としては、全国トータルとしての水質の改善を行っていくというのが環境省の役割でございまして、個々の湖沼あるいは河川の区域につきましては自治体がやっていただける。そういう中で、技術の支援、あるいは調査の支援、制度面での支援を環境省が行っていくということでございますので、そういう形で私どもやっていきたいと思っておりますし、その際に、やはり各自治体との連携、それから地域住民との連携が必要だと考えております。

山本(喜)委員 いや、そういうふうなことだと、各自治体に任せるということであれば環境省としての強力なリーダーシップということには、これは全然ならないんじゃないかと思うんですが、せっかく改正するわけですから、強力なリーダーシップが発揮できるような、そういう取り組みをぜひお願いしたいというふうに思います。

 それで、次に、今回の改正で流出水対策地区の指定ということが成るわけですが、これについても、政策評価では、湖沼水質保全計画の「基礎となる汚濁負荷量の把握方法が、技術的に必ずしも確立していない」というふうに指摘されていますね。今回の改正によって技術分野における対策がどのように前進するのか。

 それから、同じく汚水処理、水質保全のための事業費が「汚水処理施設整備等の特定汚染源に係るものが中心となっている。」というふうに政策評価で指摘されているわけです。ですから、流出水汚濁負荷割合と流出水対策事業費の割合が著しく乖離しているというふうな指摘があるわけですが、このような傾向がこの対策地区指定制度の新設によってどのように改善をしていくのか。

甲村政府参考人 まず、流出水対策地区の指定の実施に当たってでございますけれども、これは、単に指定して何らかの対策を行うということではございませんで、対策を行ってその効果をモニタリングして把握して、さらに効果的な施策につなげて、それを集中的に実施していくということでございます。

 そういう中で、モニタリングによりまして各種データが得られます。そして、このデータを有効に活用することによりまして汚濁負荷量の把握方法等について技術面での進展が図られ、それがさらに対策に対してフィードバックされていく、そういうプラン・ドゥー・チェック・アクションの形で技術と対策の進展を図ってまいりたいというふうに考えております。

 それから、非特定汚染源対策の事業費が少ないのではないかと総務省の政策評価でもなされておりますけれども、非特定汚染源対策の中身でございますけれども、もともと、適正施肥の実施、いわゆる肥料のやる量を少なくするだとか、あるいは道路側溝の清掃など、いわゆるかなりソフトの対策が今まで中心となってまいりました関係上、いわゆる点源の生活排水対策としての下水道あるいは合併浄化槽の整備といったようなハードに対しまして事業費の割合が少なかったというのは事実でございます。

 環境省といたしまして、今回の法改正を導入することによりまして、さらに流出水対策地区制度で非特定汚染源対策を推進するということで、その効果を検証しながらそういう非特定汚染源対策をさらに進めてまいりたいと考えております。

山本(喜)委員 余り有効な対処ができるようには、この法体系でできるのか非常に疑問があるんですが、最後になりますけれども、きょうは農水省からも来ていただいておりますが、環境と調和のとれた農業生産活動規範ということが出されましたけれども、一般論として、この規範によってどの程度環境に対する負荷が軽減されるのか。それから、随時見直しをしていくというふうになっていますけれども、この検証についてはどのようにされていくのか。最後にお伺いして質問を終わっていきたいと思います。

染政府参考人 先生御指摘の農業環境規範でございますが、この三月に閣議決定されました新しい食料・農業・農村基本計画に基づきまして、その政策の具体化の一つということで策定されたものでございます。

 農業環境規範は、農業者が環境保全に向けまして最低限取り組むべき基本的な事項を整理したものでありますので、そういう意味で、今後すべての農業者が環境と調和のとれた生産活動の重要性を理解しながら農業環境施策を実践していただくことによりまして、我が国の農業生産全体を環境保全を重視したものに転換することを目指すものであるということでございます。そういう意味で、これを農業者の方々が十分やれば、地域ごとに環境負荷の低減というのはかなり進展するというふうに我々は考えておるところでございます。

 それで、見直しの方でございますが、この環境規範につきましては、農林水産省が実施します各種の補助事業の要件といたしまして順次実践を求めていくというようなことを考えております。そうしますと、この補助事業の実施状況であるとかあるいはアンケート調査等によりまして農業者への普及浸透の程度が明確になってくる、それによっていわゆる農業環境規範の効果を検証したいというふうに考えておるところでございます。

 ただ、農業生産環境規範の見直しにつきましては、農業者への普及浸透の状況であるとか、あるいは農業生産活動に伴う環境への影響の程度、あるいは環境保全型農業の技術の開発状況等、この辺を総合的に見ながら随時見直しを行ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。

山本(喜)委員 ありがとうございました。

 終わります。

小沢委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

小沢委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、参議院送付、湖沼水質保全特別措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

小沢委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

小沢委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、大野松茂君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び社会民主党・市民連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。奥田建君。

奥田委員 私は、ただいま議決されました湖沼水質保全特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につき、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び社会民主党・市民連合を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。

    湖沼水質保全特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。

 一 湖沼水質保全計画の策定に当たっては、定量的な目標や補助指標の設定等により、地域住民等の理解が得られるようなものとなるよう、都道府県と十分な連携を図ること。また、流出水対策の実施に当たっては、対策の効果を把握するため、汚濁負荷の調査の実施及びモニタリング体制の構築・強化を図ること。

 二 負荷量規制が新たに適用される既設の事業場については、経済的な負担に配慮しつつ、その規制の在り方について適宜見直すこと。また、未規制の小規模事業場については、排出実態調査を実施するとともに、都道府県における排水規制の状況も踏まえ、その対策について検討を行うこと。

 三 湖辺環境の保護に当たっては、土地の所有者等の協力を得られるよう十分配慮するとともに、植生規模の維持・拡大を図るため、自然再生等の施策と十分連携を図ること。

 四 汚水処理施設の整備に当たっては、下水道、浄化槽、農業集落排水施設等の特性を勘案し、費用の効率性の検討も含め、地域の実情に応じた効率的かつ速やかな整備の実施が図られるよう、関係行政機関等で十分な調整を行うこと。

 五 湖沼の水質の効果的な改善を図るため、植物プランクトンの増殖等による汚濁物質の内部生産、底泥からの蓄積汚濁物質の溶出などの内部的要因まで含めた、総合的な汚濁メカニズムについての研究を推進するとともに、技術的評価を伴う施策を実施すること。

 六 現行の指定湖沼以外の湖沼についても、未然防止の視点も踏まえ、本法に基づく水質保全対策が実施できるよう、指定湖沼の指定の在り方等について検討を行うこと。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をよろしくお願いいたします。

小沢委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

小沢委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、政府から発言を求められておりますので、これを許します。小池環境大臣。

小池国務大臣 ただいま御決議のございました附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重いたしまして、努力する所存でございます。

    ―――――――――――――

小沢委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

小沢委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十一分散会


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