衆議院

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第3号 平成17年10月25日(火曜日)

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平成十七年十月二十五日(火曜日)

    午後二時四十分開議

 出席委員

   委員長 木村 隆秀君

   理事 宇野  治君 理事 大野 松茂君

   理事 加藤 勝信君 理事 桜井 郁三君

   理事 西野あきら君 理事 田島 一成君

   理事 長浜 博行君 理事 石田 祝稔君

      井脇ノブ子君    木挽  司君

      近藤三津枝君    坂井  学君

      篠田 陽介君    菅  義偉君

      竹下  亘君  とかしきなおみ君

      並木 正芳君    西本 勝子君

      根本  匠君    馬渡 龍治君

      山本ともひろ君   五島 正規君

      近藤 昭一君    篠原  孝君

      西村智奈美君    村井 宗明君

      吉田  泉君    高木美智代君

      江田 憲司君    野田 聖子君

    …………………………………

   環境大臣         小池百合子君

   環境副大臣        高野 博師君

   環境大臣政務官      竹下  亘君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 和田 康敬君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局次長)           平山 芳昭君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  谷口 博昭君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  山本繁太郎君

   政府参考人

   (環境省大臣官房長)   西尾 哲茂君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 寺田 達志君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            田村 義雄君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局環境保健部長)       滝澤秀次郎君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  小林  光君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            竹本 和彦君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  南川 秀樹君

   環境委員会専門員     齊藤  正君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十五日

 辞任         補欠選任

  近藤 昭一君     西村智奈美君

同日

 辞任         補欠選任

  西村智奈美君     近藤 昭一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 環境保全の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

木村委員長 これより会議を開きます。

 環境保全の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房審議官和田康敬君、国土交通省総合政策局次長平山芳昭君、国土交通省道路局長谷口博昭君、国土交通省住宅局長山本繁太郎君、環境省大臣官房長西尾哲茂君、環境省大臣官房審議官寺田達志君、環境省総合環境政策局長田村義雄君、環境省総合環境政策局環境保健部長滝澤秀次郎君、環境省地球環境局長小林光君、環境省水・大気環境局長竹本和彦君及び環境省自然環境局長南川秀樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

木村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。近藤三津枝さん。

近藤(三)委員 自由民主党、近畿ブロック比例の近藤三津枝でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 新人にもかかわりませず、本日、このような機会をいただきまして、本当にありがとうございます。感謝いたしております。

 私、これまでジャーナリストとして経済、環境問題をテーマに取材活動を続けておりましたが、その取材現場で壁に突き当たるのが、エネルギー供給、環境保全そして経済成長の三つの関係でございます。同時に達成することが極めて困難と考えられていますが、二十一世紀に暮らす私たちの大きな課題でもあります。ことしの二月、京都議定書が発効しましたが、四月にまた京都議定書目標達成計画も策定されました。この計画に従って、我が国は、九〇年に比べマイナス六%という削減目標を達成しなければなりません。しかも、その第一約束期間が二〇〇八年からですので、もうあと三年を切ったということでございます。まさに大きな宿題を背負ってカウントダウンが始まっているということでございます。そこで、きょうは、もう待ったなしの地球温暖化問題に絞って質問をさせていただきます。

 今年の夏、温暖化対策の一環として、クールビズキャンペーンが展開されました。小池百合子環境大臣みずから先頭に立たれてキャンペーンを推進されまして、そのかいがありまして、クールビズも国民的な広がり、そして浸透を見ました。電気事業連合会の試算では、六月から八月の販売電力量の削減効果は二億一千万キロワットアワー、これは七十二万世帯の一カ月分の消費電力に相当するというふうに伺っております。ある民間の研究機関は、ことしのクールビズによる経済効果を一千八億円と推計しております。クールビズは、本来の目的であります温暖化対策の効果を初めとして、経済効果にも大いなる効力を発揮したということでございます。ウオームビズに対しても非常に期待しているところでございます。

 しかしながら、クールビズで過ごしやすいとはいいましても、先ほど申しましたように新人議員でございますので、この秋は、私にとりまして、熱戦の衆議院選、そして初めての国会でございましたので、ひときわ暑く感じられました。それもそのはずで、実は気象庁は、今月の十四日、世界の九月の月平均気温が過去最高になったと発表しております。特に、ことしは六月にも世界の月平均気温が最高値を記録しています。

 カトリーナの傷もいえないうちに、今度は大型ハリケーン・ウィルマがフロリダに上陸しまして、メキシコのリゾート地カンクンでは風速六十七メートルを記録いたしました。科学的な立証はされていませんが、アメリカの国立大気研究センターは、地球温暖化がハリケーンの威力を増大し降雨量を増加しているという研究結果をまとめております。

 この地球温暖化について環境省が発表されました平成十五年度における温室効果ガス排出量の数字でございますが、CO2に換算しまして、十三億三千九百万トン、九〇年と比べますと八・三%上回ります。先ほど申しましたように、九〇年レベルよりもマイナス六%ということですから、足し算しますと一四・三%も削減しなければならない、大変な宿題を背負っているわけでございます。大きな削減目標でございます。排出量の内訳を詳しく見ますと、特に、民生・運輸部門でのCO2の排出がかなりふえております。

 そこで伺いたいのですが、京都議定書目標達成計画を着実に実施しますと議定書の目標は達成できることとしておられますが、これまでの実績を見ましても、かなり大きな削減目標を課せられているのではないかと思っております。非常に困難な数字というふうに感じております。本当に実効ある計画となっているのか、特に増加傾向にある家庭、運輸部門について詳しくお伺いさせていただきたいと思います。

小池国務大臣 お答えする前に、近藤委員におかれましては、あまたある委員会の中で、意志を持ってこの環境委員会に取り組んでいただきますことを心から感謝申し上げたいし、また、同じ中学、高校卒業の後輩としても頑張っていただきたい。二人、同じセーラー服を着て、とてもかわいかったのをよく覚えております。

 御質問でございますけれども、御指摘のとおり、二〇〇三年度の温室効果ガスの排出量というのは、九〇年と比べますと、八・三%増でございます。速報値で二〇〇四年度分が出ておりますが、こちらの方は、若干減ってはおりますものの七・四%。いずれにいたしましても、京都議定書のマイナス六%の達成というのは容易ではない、このように思っております。

 そしてまた、目標達成計画で、六%削減のために必要な削減量というのを積み上げました上で各種の対策を盛り込んでいるということでございますが、吸収源対策などを除きました排出削減の目標は、二〇〇三年度から八・八%減、そのために、約六十項目の対策を盛り込んだところでございます。

 今、業務、家庭、運輸部門、伸びているではないか、特にその部門においての対策はいかがかということで御質問いただいたわけでございますけれども、四点ばかり挙げさせていただきますと、まず、都市におけますエネルギーの面的な利用の促進ということを図ってまいりたいと思います。新しいビル、再開発などを行われておりますと、そこは今度は面として、一つ一つのビルだけではなくて、面としてのエネルギーを活用していこうという動き。それから二つ目が、いわゆるモーダルシフトで、荷主と物流事業者が連携した物流の効率化を図っていこう。三番目が、建築物、住宅など、家電などの機器の省エネ性能を向上させていこう。そしてまたこれは、低公害車の普及促進ということで、小泉総理みずから真っ先に取り組まれた件でもございますけれども、さらにそれらを促進していこうということでございます。

 一つ一つの部門で、計画に定めました目標に向かって努力を進めていくということで、その集大成としてマイナス六%が達成できますように最大限の努力をしてまいりたいと思っております。

近藤(三)委員 ありがとうございます。

 来月には、京都議定書が発効しまして初めての締約国会議が開催されます。いわゆるポスト京都の枠組みの国際的な議論が始まります。地球温暖化問題は地球全体で解決するべき問題であり、京都議定書の削減目標を達成するには、世界最大のCO2排出国であるアメリカの京都議定書への参加が不可欠です。

 これまでアメリカは議定書への参加を強く拒否していましたが、ことしの七月、G8サミットで、初めて、温暖化の原因は人為的なものであるということに同意しました。これは、非常に画期的なことだと思っております。そして、小池大臣も、九月の締約国会議の事前閣僚会合で、二〇一三年以降の国際的な温暖化対策につきましては、すべての国が参加する実効ある枠組みの構築が不可欠というふうに御主張なさっておられます。

 京都議定書、我々日本は生みの親でございます。アメリカに対して積極的に議定書への参加を呼びかける必要があると思いますが、今後、どのような方針で参加を呼びかけていかれるのか。

 また、中国やインドは、今、新興経済国のBRICsの一員として急速な経済発展を遂げていますが、こうした国々は京都議定書での排出削減義務のない国でもあります。二〇〇〇年のデータによりますとまだ数字はわずかではあると見受けられるんですが、IPCCの第三次報告によりますと、将来的にはアジア全体のCO2の排出量は現在の二倍になります、その六五%を中国とインドで占めるという予測がございます。CO2がアジア全体で排出されているという極めて困難な状況が将来見えてまいりました。これらの国に対しましても、もはや楽観視できる状態ではないと思います。

 こうした国々も排出削減義務など一定の責任を負うべきという意見が強く出ていますが、今後、中国やインドの排出削減義務についてどのように考えていくべきなのか、どのように協力を呼びかけていかれるのか、国際的な戦略をお聞かせくださいませ。

竹下大臣政務官 御指摘をいただきましたとおり、人類共通の問題でありますこの地球温暖化対策、まさに、アメリカや中国、そしてインドといったすべての国が参加することが必要であり、なおかつ実効ある枠組みを構成していくことが物すごく重要であると、基本的に同じ認識を持っております。

 アメリカは依然として京都議定書に参加はしないという方針を変更してはおりませんが、我が国は、これまでさまざまな場におきまして、アメリカ政府に対しまして議定書の批准を働きかけてまいりました。また、日米ワークショップの開催、こういった、政府間だけではなくてさまざま方法によりまして、政府以外のチャンネルも活用してアメリカに建設的な対応を促し続けておるところでございます。

 ことしの夏、メキシコ湾で多くのハリケーンが発生をいたしまして、その幾つかがアメリカに上陸をして大きな被害をもたらしております。私は、アメリカ国民が、これは地球がおかしいぞと文字どおり実感し始めてくれたんじゃないかなと、変な期待を持ってはいけないとは思いますけれども、政府もそうでありますが、アメリカ国民が実感し始めてくれるきっかけにこれがなってくれれば不幸中の幸いである、こう思う次第であります。

 中国、インドの問題でございますが、我が国として、具体的な取り組みが促進されるよう、例えば日中韓三カ国大臣会合、これは先日小池大臣が行って、会合に参加をしてまいられました。あるいは、日本とインド、日本と中国の間での二〇一三年以降の気候変動枠組みに関する非公式対話というものを既に開始いたしております。さらには、クリーン開発メカニズムに関する人材育成、あるいはフィージビリティースタディーを実施、こうしたことを通じまして、地球温暖化防止のための対策の支援を行ってきておるところでございます。

 このほか、アメリカ、そして中国、インドを含む多国間の取り組みといたしまして、地球温暖化アジア太平洋地域セミナー、これも開催をいたしました。それから、クリーン開発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップ、これはアメリカが主唱国で開催をしておるものでありますが、これへの参画などの取り組みも具体的に進めておるところでございます。

 今後とも、引き続きこれらのさまざまな取り組みを積極的に推進いたしまして、アメリカや中国、インドなどを含めまして、すべての国が参加する、実効ある枠組みの構築に向けて努力をしていきたい、こう考えておるところでございます。

近藤(三)委員 ありがとうございます。

 発展途上国へ日本の環境、省エネに関する先端技術をうまく移転して、国際貢献をしていくことも大切かと思っております。

 先ほど、小池大臣のクールビズ、大変評価が出たというふうに申しまして、ウオームビズにも期待していると申し上げましたが、私、少々先走りいたしましてきょうは、冬服を着込んでまいりまして、先ほど走ってこの会議場に参りましたので、緊張と、ウオームビズを間違えた、先取りし過ぎたということで大変汗をかいておりますが、非常に快くお答えいただきまして、ありがとうございます。少々緊張しておりますが、続けさせていただきます。

 さて、ことしの七月ですが、日本は、京都議定書に参加していないアメリカ、オーストラリアのほか、中国、インド、韓国との間でクリーン開発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップを立ち上げました。これは京都議定書を補完するものと位置づけられていますが、このことを踏まえまして、日本がこのパートナーシップに参加するに至った経緯をお伺いしたいと思います。また、このパートナーシップと京都議定書の関係を改めて御説明いただけたらと思います。

小林政府参考人 地球環境局長でございます。

 今御指摘のクリーン開発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップ、これに我が国も参加をいたしましたわけでございますけれども、その経緯いかん、こういうことだと思います。

 このパートナーシップの主目的は、クリーンで効率的な技術の開発普及、そして、移転を通じまして、気候変動問題を含みますところのエネルギー、環境問題、幅広く対処をするということでございます。

 我が国がこれに参加をさせていただきました理由といたしまして、この分野におきまして、地域、関係諸国、先ほど政務官の方から御説明させていただきましたように、アジアでたくさんの国々と環境の関係を取り結んでおりますけれども、こうした緊密な協力を進めてきた実績を背景に、こういった組み合わせで新しい環境の取り組みをするのであれば私どもも入っていた方がいいということだろうと思いますけれども、米国の方からお誘いがありまして、参加をさせていただいた、こういうことでございます。

 なお、御指摘の京都議定書との関係、こういうことでございます。京都議定書に今参加していない米国、オーストラリア等ございますけれども、しかしながら、本パートナーシップは別に京都議定書に敵対するものでは決してございませんで、これを代替するものという関係ではありませんで、むしろ補完をするものというふうに位置づけられております。そうしたことでございますので、我が国としては、このパートナーシップが京都議定書に基づく取り組みを補完する方向に発展していきますように、関係国と協力して、参加をし、役割を果たしていきたいというふうに考えてございます。

近藤(三)委員 ありがとうございました。

 今のお答えを聞いて非常に安心いたしました。一部の報道によりますと、このパートナーシップで主導権を握ったアメリカ、オーストラリアは、環境問題に後ろ向きだという国際社会からの批判をかわそうとしたとの見方もされていますけれども、ぜひ積極的に進めていただきたいと思っております。

 さて、最初に申し上げましたように、温室効果ガスの排出量、九〇年レベルよりも六%マイナスにするにはかなりの努力をしなければなりません。国、地方自治体、事業者、国民、それぞれのレベルで積極的、継続的な取り組みが求められています。ところが、エネルギーというのは目に見えませんので、省エネ意識を高めますのにはエネルギーが見えるようにするということは非常に重要だという御指摘、このごろたくさん出てまいりました。

 省エネナビという省エネの状況が目で見てわかる機器を家庭で使いますと、およそ一割の省エネが可能という結果が出ております。私も、ホームエネルギーマネジメントシステム、HEMSというシステムを以前に取材したことがあります。このシステムを導入したお宅に出向いたんですが、驚きましたことに、光熱費を六五%も削減していました。そこで、どうしてこのように頑張られたのか伺ってみますと、省エネを工夫しますと、エネルギー消費量の数字が下がって省エネの実感ができたということがまず第一、また、このシステムに加入をしています世帯の中で毎月省エネランクがつけられるんですが、一生懸命省エネすることによりまして、その順位がどんどんと上がっていくわけですね。これはゲーム性ということもありまして、省エネ心に火がついて、家族全員で楽しく省エネ生活を送っておられるという状況を見まして、エネルギーの消費が目に見えるということはこんなに効果があるものだということを実感いたしました。

 また、最近、交通経路を探索するソフト「駅すぱあと」というものがこの十月に発売されました。CO2総排出量計算機能が追加されたものなんですが、例えば、品川―新大阪間、新幹線を利用すると九・八キロのCO2の排出量で済むんだけれども、航空機だとどうなのか、乗用車だとその十倍近いCO2の排出量になってしまう、このようなことが一目瞭然で出てくるわけですね。

 このように、エネルギーの可視システム、いろいろな効果があるわけですから、一刻も早く普及するべきで、モニターや実証実験の段階を早く脱して本格普及を開始していただきたいとも思っております。効果的な普及促進策についてお伺いしたいと思います。

小林政府参考人 家庭におきます温暖化対策が大変重要だということは、もう御指摘のとおりでございます。

 一軒ずつは大変少ない排出量でございますけれども、四千七百万世帯というような家庭で対策をしていくというときには、心がけだけでは正直、なかなか削減量が稼げないということは、もうそのとおりだと思います。そういう意味で、電気の消費量などがわかりやすく表示できるメーター、これが今御指摘の省エネナビ、これは特定の商品の名前かと思いますけれども、こういったようなたぐいの製品かと思っております。私も個人的に家で使ってみておりますけれども、本当に有効なものだというふうに理解をしてございます。

 そういうことで、環境省でもこういった取り組みを後押ししようということで、石油特別会計の予算でございますけれども、こちらでそういった省エネ、家庭の、HEMSという言葉がありましたが、家庭の省エネのビジネスをする、こういったもののビジネスモデルをつくっていく支援事業というのを現在行ってございます。

 予算的には、例えばことしの実績で申し上げますと、三事業ほど支援をしてございます。その総額が一億円ということで、まだ微々たるものではございますけれども、今先生の御指摘がございましたような方向でこういった事業を発展できるように、引き続き取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

近藤(三)委員 現在のエネルギー利用状況を把握できた上で目標を設定して、家庭の一人一人が省エネ計画をつくれるようになる、そのようなシステムが導入されますと、環境問題に関心があるけれども行動がなかなか伴わないという、意識と行動にギャップのある人が環境行動をとる大きなきっかけになると思いますので、ぜひ進めていただきたいと思います。

 そして、済みません、最後にもう一問だけ質問をさせていただきたいと思います。

 かつては奇跡の鉱物と重宝されましたアスベスト、今は静かな時限爆弾と恐れられ、大きな社会問題になっております。前回の環境委員会でも多くの質疑が行われましたが、非常に重要な問題だと思いますので、改めてここでもう一度、環境省としての取り組みをお伺いさせていただきたいと思います。

小池国務大臣 アスベスト問題、国民の皆様方が大変不安に思っておられるということを重々承知をいたしております。それにこたえまして、安全、安心を確保するためにも、関係省庁と緊密に連携をとりまして、またスピード感を持って総合的にこのアスベスト対策に取り組んでまいりたいと思います。

 これまでの法律で救済できない被害者の皆様方を救済するための法案、新法を、次期通常国会、できるだけ早い時期に提出できるように、今検討作業を進めているところでございます。

 それから、解体作業がこれから行われる。その際に飛散する、飛び散るということに対して、どのようにして予防措置をするのか、その徹底強化をしてまいりたい。そしてまた、アスベスト廃棄物対策の推進、どのようにして、廃棄物でも、また溶融炉などを改良していかなければなりません。そういったことにつきましては、昨年つくりました循環型社会形成推進交付金なども活用して最大限の努力をしてまいりたい、このように考えております。

近藤(三)委員 どうもありがとうございました。

木村委員長 次に、田島一成君。

田島(一)委員 民主党の田島一成でございます。

 今期も環境委員会に入れていただき、こうして質問の機会をちょうだいできましたこと、大変光栄に存じております。時間も限られておりますので、早速質問に入らせていただきたいと思っております。

 まず、きょう発表をされた、来年度から導入を目指すとされている環境税の具体案について、お尋ねをさせていただきたいと思っております。

 きょうのこの委員会に合わせて発表したとは到底思ってはおりませんけれども、余りに、新聞でも随分早くから報道等なされた中で、今回のこの環境税の行方を随分関心を持って見させていただいておりました。

 この中身を拝見させていただきますと、昨年の案に比べますと、ガソリンや軽油、またジェット燃料については、「原油価格の高騰及び既存税負担の状況等にかんがみ、当分の間適用を停止する。」と課税対象から除外をする旨が記されていたり、また、そういったことから勘案すると、新エネルギーの導入など追加的な経済支援にかかる費用、最大で約七千億円というふうに見込まれていたにもかかわらず、今回のこの環境税の案の中では、結局、税収規模が三千七百億円程度におさまると。随分コンパクトな案になったように思うわけであります。

 この辺の流れでありますとか、今回とりわけそういう課税対象からガソリン、軽油、ジェット燃料等を除外していくという経緯に至った点等について、少し御説明をいただけないでしょうか。

田村政府参考人 お答え申し上げます。

 多岐にわたる論点をいただきましたが、一番ポイントとなりますことしの環境税案と昨年との相違ということで、今先生のおっしゃったことの若干繰り返しになりますけれども、お答え申し上げさせていただきます。

 まず、今回の提案、本日発表いたしました環境税案におきましては、昨今の原油価格の高騰、あるいは昨年の環境税を出したその後のさまざまな議論、これらを踏まえまして、まず、今コンパクトとおっしゃられました税収規模をできる限り低く抑えたということ、これが一つの特色だと思いますし、かつその全額を地球温暖化対策一本に絞って、温暖化対策に充てたという点だと思います。特に緊急性が高い温暖化対策に集中投入をしたということでございます。

 それから、今先生がおっしゃられましたガソリン、軽油等につきましては、確かに今の原油価格の高騰とか、あるいはおっしゃられた既存税負担、例えばガソリンですと揮発油税とか、軽油ですと軽油引取税等ございます。これらの税負担が相対的に他の油種に比べて非常に高いこと、それらを勘案いたしまして、ガソリン、軽油等については当分の間、課税の適用を停止するということ、これも昨年とは相違する点でございますし、また、今お触れにはなりませんでしたけれども、二酸化炭素の排出を非常に削減努力をされている方々につきましては、何らかの軽減措置を講じられるような仕組みもあわせて入れたというところでございます。

 最後にもう一点、今、特別会計やあるいは特定財源の議論は始められたわけでございます。私ども、地球温暖化対策という観点から、一つはエネルギー諸税等環境負荷に関連する税額、税率、それの水準、例えば暫定税率等の水準を維持するということに加えまして、特会や特定財源の改革に際しましては、その財源を地球温暖化対策にも充てるということも、この新税の創設とあわせて求めている、そこら辺が相違点であり、今回の特徴だと存じます。

田島(一)委員 当分の間、課税対象から除外をするという、その目安というものがどうも私たちにはわかりにくいんですね。原油価格の高騰は、当然、ガソリンスタンド等を御利用なさっていらっしゃる方々は随分骨身にしみていらっしゃるでしょうし、しかしながら、この原油価格もこのところ六十ドルを切るような状態も出てきたりと、非常に不安定な状況であります。

 では、具体的に一バレル何ドルぐらいを目安にして、それ以下になったら課税をしようとしているのかであるとか、例えば既存税制の負担との関係調整ということですけれども、では、既存税制の何がなくなれば環境税として軽油であるとかガソリン等に課税をしようとしているのか。この辺を、当分の間というちょっとあいまいな表現では、なかなかこれは理解も得られないだろうし、国民の皆さんにも納得がいただけないのではないかというふうに思うんですけれども、この辺の目安としてお示しいただけないでしょうか。

田村政府参考人 お答えを申し上げます。

 確かに、当分の間適用をと。それでは、いつからその適用停止を解除するのか、いつから開始をするのかということでございますが、今申し上げたように、二つの大きな基準ということで、やはり原油価格の話と、既存税負担が相対的に高いと申し上げました。

 したがって、これを見直す時期というのは、原油価格全体の動向、何ドルになったらということはまだこれからだと思いますが、そういう原油価格の動向もございますし、既存税負担の状況、例えば一方で特定財源をめぐる議論も行われているわけです。その中で、揮発油税や軽油引取税はどのような形になっていくのか。あるいは、それの、例えば税収みたいなものについて、どのような議論になるかということも関係してくると思います。

 あるいは、もっと温暖化対策の観点からすれば、運輸部門におけるCO2の排出割合が今後相変わらずとまらないでずっとふえていくというようなことになったら、やはり、御負担にはなりますが、ディーゼルやガソリンについても考えていかざるを得ないと思いますので、申し上げた原油価格、あるいは既存税負担、あるいはCO2排出量の運輸部門の動向、それらを見ながら総合的に判断していきたいと思いますので、今の時点で当分の間というのはいつということは、はっきりとは明示できないということは御理解願いたいと存じます。

田島(一)委員 これからその内容についてはさらに精査していかれると思いますから、この場でこれ以上申し上げるのは差し控えたいと思いますけれども、時を同じくして、二〇〇四年度の温室効果ガスの総量、CO2換算で十三億二千九百万トンということで、基準年であります一九九〇年に比べると七・四%上回る結果が発表されました。こうした経過の中で、部門別で見ても、運輸部門の排出というのが〇・七%増という、そういう結果も出てきております。

 通年で見ますと横ばいだというふうなお答えを御用意されるかもしれませんけれども、実際に前年に比べるとふえている、やはりこの事実は事実として受けとめていかなければなりませんし、本当にCO2、温暖化対策ということを考えるならば、こうした原油価格の高騰であるとか他の税制との状況を勘案しというようなことを言っていられるような、そんな悠長な状況ではないというふうに私は思います。

 あえてこれに答弁をいただいても、また、かけ問答になりますし、ぜひそういった状況を考えて、本当に何を目的にしてこの環境税をつくるのかというところに、もう一度目をしっかりと向けていかなければならないし、他の省庁やいろいろなところに配慮をする余り、環境税というものを、一番ピュアなものとしてしっかり前向きに取り組まなきゃいけないのは、とりもなおさず環境省だと私は思うんですけれども、この税収規模も、当初七千億円必要だと言われていたのが三千七百億円程度で、果たして本当にそれで実効性が上がるんだろうか、そんな疑問もやはりふつふつとわいてくるところであります。

 二〇〇六年から導入を目指すというふうにおっしゃっていただいているわけなんですけれども、最後に、この環境税について、大臣の方から、創設を目指すに当たっての決意とこれからの取り組みについての方針、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。

小池国務大臣 昨年、環境税の設計をする際に、社会保障の関係の費用をプラスして、前回、四千九百億ということでエントリーをいたしました。そういった昨年の環境税のさまざまな議論なども踏まえて、そしてまた、今回京都議定書の目標を達成するために何にどれぐらいということを積み立ててまいりましたのが今回の三千七百億円という数字でございます。今回、まさに地球温暖化対策一点に絞ったという形でございます。

 いずれにせよ、今回、環境税という有力な経済的な手段を組み込むことによりまして、そしてまた、経済的な手法のみならず、もちろん、経済界の取り組みの促進であるとか、それから省エネ法などの規制的な手法、そしてまたクールビズなどもそうですけれども、いわゆる情報として皆さんに参加してもらうといった、そういうあらゆる政策を総動員するということが必要なんだ、このように思っております。

 これからいろいろな議論が起こってくるかと思いますけれども、京都議定書の目標を達成するためにも、この環境税ということをしっかりとお訴えをし、また実現をしていくべく努力してまいりたいと考えております。

田島(一)委員 的を絞られた点について、私も正直評価をしておる一人であります。まだまだこれから委員会等々で議論も重ねていきたいと思いますので、ぜひしっかりとした取り組みを心からお願いをしたいと思います。

 次のテーマに移らせていただきます。男女共同参画会議からの答申についての質問であります。

 去る七月二十五日に、「男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の基本的な方向について」というタイトルのついた答申が発表されました。ジェンダー、いわゆる社会的、文化的に形成された性別についての表現についてはいろいろな議論があるからということで先送りをされたというので、非常にがっかりしたところではあるわけですけれども、この答申の中で、私たちのこの環境委員会でどうしても見過ごすことができない表記がありましたので、その一つを御紹介しながら、大臣の御意見をぜひ聞きたいと思います。

 今回、当然、基本計画の見直しということで、その中の大きなポイント、十二個のテーマに分けて、具体的な取り組み、そして施策の基本的方向ということが示されました。

 その一つ、「新たな取組を必要とする分野における男女共同参画の推進」という中で、引用いたしますと、「人々の暮らしの改善に直接つながる分野でありながら、女性の参画は後れている状況」にある分野ということで、一つ目には「科学技術」、二つ目には「防災・災害復興」、三つ目が「地域おこし、まちづくり、観光」、そして最後の四つ目が何と「環境」というふうに指摘をされたところであります。

 大臣もきっとこの答申をごらんになられているというふうに思うんですけれども、まずこの指摘をどのようにお受けとめいただいているか、その評価と所見をお伺いをし、また、この答申に対して男女共同参画会議に何らかの申し入れ等がされたのかどうか、その点についてお尋ねをしたいと思います。

小池国務大臣 余り御質問の内容に的確に答えられるかどうかわかりませんけれども、環境は新たな取り組みを必要とする分野の中の一つとして掲げられているということですが、その中で、女性は、環境問題の関心が高い人が多いけれども、現状では、このような知識や経験が十分に生かされていないなどの現状認識が示されているところだと思います。また、施策の基本的な方向として、環境保全に関する女性の高い関心や豊かな知識、経験がより広く生かされるように、環境の分野において男女共同参画を進めよといった方向性が示されているものだと思います。

 環境省としても、女性を含めまして社会を構成するあらゆる主体の環境分野への参画を図るということは極めて重要でありますし、実際に市民活動など、NGO、NPOなど活動されている方々を見ますと、女性のリーダーの方は既にたくさん活躍しておられます。その意味では、環境教育や自然体験活動の推進では、女性の環境保全活動への参加を環境省として支援をしてまいったと考えております。もっとやれということであるならば、もっとやりたいと思っております。

 それから、私は、環境ビジネスウィメンという私的な懇談会をつくっておりまして、これは環境ビジネスをみずから立ち上げている女性ベンチャーの方々にお集まりいただきまして、第一期の皆さんで本も出版して、多分お届けしていると思います。今回、もっといるぞということで第二陣の皆さんにも加わっていただきました。特に、経営者の方々でございますので、大変真剣に、そしてまたどうやって社員を食べさせていくかということで、その意味では真剣度が全く違うということで、その中からも大変貴重な参考になる御意見が出てきております。

 それから、男性の目線からは考えられないような新しいビジネス、環境モデルをどんどんつくっていらっしゃるということで、以前から私は、環境と経済の統合もしくは両立、また好循環ということの担い手は女性ではないかということを常々申し上げているところでございまして、ある意味では、このような指摘を受けるまでもなく、率先してやらせていただいていると思います。

 それから、男女参画で、よくメルクマールとして使われますのが審議会の女性委員の割合でございます。政府として、三分の一、三〇%ということを目指していくよう各省庁にその達成をということで促しているところでございますが、中央環境審議会の女性委員の割合は既に三分の一を占めているということでございまして、今後さらに、委員の異動などの際は、女性の環境についての専門知識であるとか、既にその分野で活動されておられる方々、こういった方々にも御参加いただけるように考えてまいりたいと思っております。

田島(一)委員 私も、この指摘を受けたのは非常に不名誉なことだなという感じを持っております。ぜひ、何らかの形で申し入れか何かをしていただくか、今お話しいただいたことを考えれば随分努力していただいているんだろうというふうにも思いますし、こうした状況の中でありながら、女性の参画が立ちおくれた四つの分野というように何かレッテルを張られたような認識を実は私は持ちました。また後々、この辺のことはぜひ議論をさせていただきたいと思っております。

 時間もないので、次のテーマに移らせていただきます。茨城県神栖における汚染メカニズム解明の調査の中間報告書についてであります。

 本来ならば、八月八日に解散がなければ、その翌日に予定されていた委員会でお尋ねしようと思っていたものだったんですけれども、この六月に、環境省の方が、国内における毒ガス弾等に関する総合調査検討会が取りまとめをされたこの中間報告書についてお尋ねをしたいと思います。

 想像を超える非常に分厚い報告書で、きょうまでの間、時間がありましたから、しっかり読ませていただくことができたわけなんですけれども、環境省として、今回、神栖町における汚染原因の全体解明というのが本当にできたのかどうか。

 例えば、今回問題になっております神栖町のA地区、B地区の地下汚染源というのは、A井戸から南東の約九十メートルの地点にあるコンクリート様の塊であるというふうにされているわけですけれども、これで、B地区も含めてすべての汚染源がほぼ解明されたというふうに考えていらっしゃるのかどうか、まずお答えください。

滝澤政府参考人 関係自治体、それから住民の皆様の御協力をいただきながら、六月二十九日に環境汚染メカニズムを中心とした調査結果をまとめていただきました。

 この報告書におきましては、今御指摘の、A井戸南東九十メートルの地点で発見されたコンクリートのような塊がこの地域の地下水汚染の汚染源である可能性が高いというふうに表現されておりますが、一方において、まだ別の汚染源が存在する可能性も完全には否定できないというふうに言及しておるところでございます。

 ちょうどきょう午前中にこの専門家検討会が開かれまして、我々、A・Bトラックと呼んでおりますけれども、A井戸とそれから御指摘のB地点を含めての半径五百メートルの円を二つ並べたようなトラックでございますけれども、その地域全体の地下水汚染のメカニズムを今後さらに調査すべく、方針をきょう午前中に御議論いただき、決定をしていただきました。この地域全体の汚染メカニズムの解明を進めるべく、引き続き調査検討をしていくという方針でございます。

田島(一)委員 ありがとうございます。

 今回の汚染物質のジフェニルアルシン酸、これは、旧日本軍の毒ガス弾の原料というふうに考えて差し支えないのかどうか、それをお答えいただけますか。

滝澤政府参考人 一月に発覚いたしましたこのコンクリートの塊の詳細な科学的な分析をしております。それから、実際、肉眼的にも、平成五、六年ごろ製造された缶コーヒーの空き缶が出てきたりというようなことがございます。したがって、どなたかがこの元生けすだった部分にコンクリートにまぜた形で投棄したのではないかという類推が成り立つわけでありますけれども、おっしゃるように、では、もととなるその物質そのもののルーツは何なのかという議論はまだはっきりと断定するに至っておりません。

 全体的に、例えば化学工場で使うとか、いろいろな製造の素材に使うとか、そういうこともいろいろ幅広く調べたんですけれども、そういった確かな、大量にこういうものを使うといういわゆる化学工業的な実績は国内ではないようでございますので、そういう情況証拠からしますと、やはり、かつて大量につくった旧軍毒ガス由来ではなかろうかということと、あるいは万が一そうでない可能性もということも頭に置きながら、まあ、この報告書の中では断定は避けた状況になっておりますが、旧軍毒ガス由来の可能性が相対的には高いのではないかというふうに思われております。

田島(一)委員 なかなか特定ができないという点で非常にお答えもいろいろと苦慮いただいているのはよくわかるんですけれども、ぜひ、この原因解明にはこれからも引き続きやはり頑張っていただきたいと思います。

 この報告書の中にあります、コンクリート様の塊、この組成というものが通常の生コンと随分違うんだ、そういう記載もあります。そうなりますと、やはりこの面からの投棄者の追及というものが行われてしかるべきだろうというふうに考えるんですけれども、この汚染源を投棄した責任の一端を持っていると考えられる埋め戻し業者であるとか直接の投棄者、こういったものの情報収集について、今回、どのあたりまで取り組んでこられたのか、お答えいただけますか。

滝澤政府参考人 御指摘のありました砂利採取業者でありますとか生けす埋め戻し業者、それから土地の所有者、こうした関係者に対しまして、私どもなりに地歴状況等含めましてヒアリングを行い、情報収集を行ってまいりました。もちろん、私が捨てましたというようなはっきりした答えはなかったわけでございますけれども、こうしたヒアリングの結果は、この間、茨城県警とも関係情報等について十分連携を図ってきておるところでございまして、今後とも引き続き、当局の捜査に関しても協力してまいりたい、このように考えております。

田島(一)委員 ありがとうございます。

 今お話にもありましたように、ことしの八月三日、健康被害を受けた住民が、殺人未遂、そして業務上過失傷害容疑で、茨城県警本部の方に告訴されました。現在、捜査をされている状況だというふうに思いますけれども、この告訴状受理の後、警察としてどのような対応をされてきたのか、また、捜査の方向性であるとか、これからの捜査に向けての思いあたりをちょっと御報告いただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

和田政府参考人 茨城県警におきまして告訴を受理いたしました。受理をいたしまして、現在、関係する方々から事情をいろいろ聞いております。それから、環境省を初めとする関係の機関からのいろいろな情報の収集を行っております。

 捜査の方向としては、これは当然のことながら、だれがどのような経緯でこれを投棄したのかということについて、これからも関係者等の取り調べを進めてまいりたいというふうに考えております。事案の解明に向けて、鋭意捜査を推進しているところでございます。

田島(一)委員 なかなか捜査の実態というのは情報公開されるものではありませんから、お話しできないのもよくわかりますけれども、何しろ徹底した真相解明についてやはり御努力をいただきたい、このことだけお願いを申し上げておきたいと思います。

 さて、今回、この汚染原因物質というものが解明されたにもかかわらず、その実行者、そして責任者の特定というものがなされておらず、それがまた明確になるまでの間、この健康被害に係る緊急措置等の継続についてどのようにお取り組みをいただくのか、この点はやはり被害者である皆さんにとっては一番の不安ではないかというふうに思います。

 この健康被害に係る緊急措置等の継続について、このままいきますと、月額二万円の健康管理調査ということで支給されていた、その期限が三年間ということになっておりますから、もう来年六月には切れてしまうということで、果たして、相手が特定できない段階で、もうこれで切れてしまってそれで本当にいいのかどうか、そういう点での不安を皆さんお持ちでいらっしゃるわけであります。

 この健康管理調査の実施について、当初、三年間と期限がつけられていたものですけれども、来年六月以降、もしこの実行者、責任者の特定がなされぬまま進んでいくのであるならば、その先、どのような対応をされていくのか。六月二十九日の国内における毒ガス弾等に関する総合調査検討会で諮られたというふうにも仄聞しているんですけれども、この方向性についてお答えいただけませんでしょうか。

滝澤政府参考人 二年前の六月に閣議了解でお決めいただきました緊急措置の関係、一部、健康管理調査についてのお話がございました。

 健康管理調査としての考え方でございますが、有機砒素化合物の環境暴露を通じた健康影響等を解明する見地から、汚染による影響を最も著しく受けていらっしゃると考えられる方々に対してその対象としたものでございます。これは、初期段階で集中的に調査をすることが有効であろうという考え方に基づきまして、先ほど申し上げた二年前の六月の閣議了解によりますと、年限を限って集中的に実施するという考え方が示されて、三年ということになっているわけでございます。

 しかしながら、現在、ジフェニルアルシン酸に係る健康被害を受けた方々の健康状況、あるいは基礎的な臨床研究、あるいは毒性等の研究、種々調査研究も並行して進めてきておりまして、そうしたことの結果も勘案いたしまして、さらに、関係省庁がございますので、よく相談して、来年六月以降の対応については決めていきたい、こういうふうに考えております。

田島(一)委員 もともと、この健康管理調査という名称自体が、私は何度も、これは不適切ではないかという指摘もさせてもらってきました。

 集中的に実施するための三年間だという、それは、位置づけとしては当然ルールとしてあったのかもしれませんけれども、やはりこの実態をしっかりと把握していただいて、前向きに対応していただけるように、ぜひ、これは強く要望をしておきたいと思っております。

 今国会の冒頭で大臣の方から所信表明をいただいたわけですけれども、その中に、今回は、アスベストについては言及をいただきましたけれども、この神栖の毒ガス問題については、残念ながら文言にも織り込んでいただけなかったということもありました。

 総括的な取りまとめとして、大臣として、今後、この問題にはどのように取り組んでいこうというふうにお考えなのか、最後にお考えをちょっとお聞かせください。

小池国務大臣 この問題の実態解明ということにつきましては、先ほど来部長の方からお答えをさせていただきました。

 汚染メカニズムの解明、そしてまた健康被害を受けた方々に対しての緊急措置事業の実施ということは、鋭意取り組んでまいりましたし、また誠意を持って取り組んできたと考えております。

 ことし六月の中間報告書、大変分厚いものをお読みいただいたということでございますが、汚染源をほぼ特定することができたということは一定の成果だと思いますが、ただ、全容、全体のメカニズムの解明ということまではいっていないという指摘もございます。汚染メカニズムのさらに解明をしていくということについては、引き続き努力を続けてまいりたいと考えております。

 それから、何よりも健康被害、健康を害しておられる方々については、私もお手紙をちょうだいしたりいたします。そういった方々については、健康診査の実施、それから医療費の支給などを内容とする緊急措置事業を続けてまいりました。これについても継続してまいりたい、このように考えているところでございます。

 これからもこういった、アスベストもそうですけれども、やはり一番嫌なのは、漠然とした不安というのが一番厄介なものでございます。原因究明などにつきましても、今後とも継続して、対応を着実に進めてまいりたいと考えております。

田島(一)委員 ありがとうございました。継続していただけるというお答えをいただいて、大変うれしく思っております。

 最後、残りの時間をおかりして、もう一題、次の通常国会に議論の中心となります鳥獣保護法の見直しに対する取り組みについて、お尋ねをしたいと思います。

 今、中環審の野生生物部会の中で小委員会がつくられて、鳥獣の保護及び狩猟の適正化について講ずべき措置ということで検討を進めていただいているようであります。

 ただ、この検討スケジュール等々を見ていると、来年の年明け一月に五回目の小委員会が設けられるというような、そんな内容になっておるようでありますけれども、果たして、この鳥獣保護法の見直しの大きな当たり年である来年、本当にそれがなされるのかどうかという不安が実はあるところであります。

 私、今回のこの改正に当たっては、くくりわなであるとか、とらばさみといった猟具の取り扱いについてだとか、狩猟事故が非常にふえてきている中での一つの狩猟のあり方、それから、保護管理を適正に行うために、人材育成、それと人材の確保、こういったところがポイントではないかなというふうに考えるんですけれども、環境省として、次の国会で、この鳥獣保護法の見直し、改正についてどのようにお取り組みをされようとしているのか、また、そのポイントについてどのように考えていらっしゃるのか、お答えをいただきたいと思います。

南川政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、九月の末に審議会に諮問いたしました。そして現在、来年の法改正に向けての議論をしていただいているところでございます。

 主な論点でございますけれども、例えばでございますが、今三つほど議論がなされております。

 一つ目が、シカ、イノシシといった中型あるいは大型の哺乳類、それからカワウなどの魚を食べる鳥類、そういった鳥獣の生息分布が拡大しまして、農林水産業に被害を与えておるという点が大きな問題でございます。また一方、地域的には絶滅のおそれのある鳥獣もございます。そういった意味で、よりきめ細かな鳥獣の保護管理を徹底する必要があるということが一点目でございます。

 二点目が、狩猟の関係でございまして、狩猟におけます特に網、わなの取り扱いにつきまして適正化を図っていきたいということが二点目でございます。

 三点目でございますが、国内で捕獲を禁止されております鳥につきまして、適正に海外から買ってきた、輸入するということで、いろいろ国内で混乱が起こります。こういったことについて混乱がなくなるような適正化を図りたいということで、今議論が進められております。

 ただ、いずれにしましても、実はきょうも小委員会の先生の方々、栃木県の方に猿とかカワウの実態調査に行かれていますし、また、来月には島根県に行ってイノシシの実態も調べたいと思っております。

 そういう中で、必要な論点を整理して、来年の通常国会にぜひ法案を提出したいと考えておるところでございます。

田島(一)委員 ありがとうございました。

 とにかく時間切れだとかということのないように、ぜひ十分に精査をいただきまして、いい内容が出てくることを大いに期待をして、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

木村委員長 次に、篠原孝君。

篠原委員 民主党の篠原でございます。

 きょうは二十分間だけですので、焦点を絞って質問をさせていただきたいと思います。

 もう既に、同僚議員、田島委員等が触れられましたけれども、私は、地球環境問題それから環境税の問題について質問をさせていただきたいと思います。

 つい先ごろ、温室効果ガス排出量の速報値というのが出まして、まだ確定値じゃないようでございますけれども、京都議定書の基準年、一九九〇年と比べますと、下げなくちゃいけないのに七・四%もふえてしまっている。一年前とは減っているわけです。理由として、原発の利用率が回復したとかいうのが書いてありました。しかし、中身を見てみますといろいろなことがわかってくるわけですね。

 いろいろ努力しておりますので、産業界、産業用の方は一・一%、これが割合としたら一番大きいわけですけれども、一・一%減っている。それから、最近ふえてきていたオフィス、これは小池環境大臣が先頭に立ってやられたクールビズの効果かどうかわかりませんけれども、オフィス用のも減っている。それから、家庭用も減っている。(小池国務大臣「二〇〇四年なんですよ」と呼ぶ)あっ、ではまだ効果が出ていない。これからもっと出るんですよ。済みませんでした。ちょっとずれているんですね。(小池国務大臣「来年なんです」と呼ぶ)二〇〇五年度になるとあれですね。済みません。ともかくオフィス用も減ってきている。ほかが全部減ってきているのに、一つだけふえているところがある。これは何かというと、運輸部門なんですね、自動車部門。これが問題で、〇・七%ふえておるという。これはやはり問題だと思います。

 私、予算委員会で二月二十二日にちょっと質問させていただきました。大臣、覚えていられると思いますけれども、私きょうも風邪ぎみなんですけれども、どうも小池さんと相対するときはいつも風邪ぎみになっちゃって、緊張するせいかどうかわかりませんけれども、ちょっとぼけていまして、環境庁長官とか言っちゃって、おしかりを受けている。

 ただ、あれは少々だらけていまして、自民党の議員の皆さんが、予算委員会なのに、珍しくいなくなっちゃって、中断したりしたんですが、内容は濃かったようでして、私が濃いと言っているんじゃないんですけれども、皆さんから濃いと言われたんですが、あの質問、覚えていられると思いますけれども、これは大事だから、なるべく輸送を少なくするということを地球環境時代を迎えて考えていったらいいんじゃないか、輸送量を少なくするんだということで、私は、これは私がつくった言葉なんですが、フードマイレージ、食べ物の輸送距離を少なくする、それだけじゃなくて、食べ物に続いて、ウッズマイレージ、木の輸送量も少なくする、それから、もっと言えば、自由貿易自由貿易と言っているけれども、CO2の排出を少なくするためには、そもそも輸送量を少なくしていったらいいんじゃないかというようなことを申し上げました。

 そうしたら、ちょっと資料を見ていただきたいんですが、私のペーパーというのは、予算委員会のときもお示ししましたけれども、三つのマイレージを掲げています。

 その次のページです、毎日新聞。これは大臣お読みいただきましたかね。えらい私を褒めて書いてあるんです。その四角のところを見ていただきたいんですが。私は全然面識ないんですが、東大の助教授の日本近現代史の加藤陽子さんという方、この方が地球環境問題についていろいろ調べていた。そうしたら、たまには衆議院のホームページ、ビデオライブラリーを見てもいいんじゃないかと、見たら、非常に立派な質問をしていると。一番下ですけれども、下の六行目、「そこでオーラの出ている議員を発見した。」と私を絶賛してくださいまして、同僚議員からしばらくオーラ議員と呼ばれておりましたけれども、しかし、オーラは自民党の方に移っちゃって、今は影が薄くなっているわけですけれども。

 これは、やはり女性の方が感覚がわかるわけですね。暴走を続けて、行け行けどんどん、物をつくってつくって、売って売って売って、道路もつくって何もつくってと。だから、節約して着るとかそういう発想は、やはり女性とかそういうところからしか出てこないんだろうと思います。

 こういったことを私は申し上げましたら、世の中はよくできていまして、だんだんそういう言葉がはやってきまして、きょうグーグルで調べてきましたら、フードマイレージというのが五百七十二、ウッズマイレージが四百二、グッズマイレージが十七。十七のうちの半分は私の著作でしたけれども、ありました。クールビズは六十八万件もありました。使われるようになっているんですが。こういった考え方、環境省の政策の中でも入れたりしてきておられるんでしょうか。大臣に見解を伺いたいと思います。

小池国務大臣 あの予算委員会でのやりとりを覚えております。

 また、地球温暖化問題の解決のためにも、どの分野であれ、地球環境にどうだろうかというような発想をまずベースに持つか持たないか、それによって、ビジネスでもその設計をするのかどうかということが求められている時代なんだろうと思います。

 たしかそのときも、シューマッハーの「スモール・イズ・ビューティフル」ということで、ロンドンから市外へ出ていくビスケット会社の車を見た、今度は逆に、全然違うところからロンドンに向けて別のビスケット会社のが走っていて、もともとのビスケット会社はロンドンで売ればいいじゃないかというような発想だったと思いますが、いわゆるライフサイクルアセス、アナリシスという観点と通ずるものがあるんだろうというふうに思います。また、物が動くことによって、先ほど御指摘ありましたように物流の部門でCO2が発生してしまう。

 いずれにいたしましても、地球環境問題にせよビジネス全体にせよ、やはり総合的な設計がちゃんと持てるかどうかということがこの時代、当然不可欠な、またそれはすなわちCSRで、企業がそういうコンセプトでやるんだということを、逆にそれを明確に打ち出すことがひょっとして消費者の大いなる共感を生むということだって考えられるわけであります。

 いずれにしても、運輸部門について、国内では荷主と物流業者が連携した物流の効率化などの対策を進めるということでございますし、また国際貿易に伴う排出については、どの国でどのように計上されるかということを、どこでどう計算するかということも現在検討もされていますけれども、また、我が国におけるそれを踏まえた削減対策ということを検討するものになろうか、このように思っております。

 あと、私は沖縄も担当しておりますけれども、沖縄の例えばこれからの農業振興という意味では、やはりマーケットが狭いものですから、どうしても東京へ持っていきたいというふうにも考えることになるわけです。

 なかなかその辺のところ、農業振興と、そしてこの地球温暖化対策と、両方加える、その二つが達成されるためには、さらなる科学技術の促進であるとか、ある種、三国貿易ではないけれども、そういったことも進めるであるとか、いずれにしても、発想を変えていくということを一番おっしゃっているのではないかと思います。

 ただ、できれば、これは委員部の方にお願いしたいんですが、資料をお配りになる際は、紙は両面お使いいただきたい、このように思っておりますので、つけ加えさせていただきます。

篠原委員 非常にいい御指摘です。

 ちょっと私のもついでに。私は、これはみんな裏で、山ほど来るペーパーのリサイクルペーパーで、使っております。

 今国際的な問題というのを大臣の方からもお答えいただきましたけれども、フードマイレージ、ウッドマイレージはもう農業白書、林業白書、それから環境白書でも使われているんですね。今度はグッズマイレージ、物全体についてなんですけれども、先ほどちょっと計算式とおっしゃいましたけれども、二〇一三年から以降の排出基準については、国際的な貿易に伴うのもちゃんとカウントされると。この前京都議定書のところで入らなかったんですから。

 ですから、それに準備すべくグッズマイレージというのを、国際的物流に伴うCO2の削減というのが問題になりますので。多分日本はこの分野では一番貢献していると思うんです、石炭専用船、鉄鉱石専用船、世界じゅうから原材料を輸入して世界じゅうに輸出していますから、一番大変になるんだろうと思いますけれども、これについて、ちゃんと環境省は把握したりしていく覚悟はできているでしょうか。事務方の方にお答えいただきたいんですが。

小林政府参考人 地球環境局長でございます。今大変貴重な御指摘をいただきまして、ありがとうございます。

 海上輸送によりますそういった物品等々の国際貿易があるわけでございますが、これに伴って、ライフサイクルとして二酸化炭素が出ている、こういうことでございまして、あらあら計算をいたしますと、二〇〇三年度で約四億トンぐらいが出ているということで、これはCO2トンでありますけれども、約二百四十億トンぐらいと言われている全世界排出量に対しまして一・七%程度ということで、やはり相当少なからぬ排出量ということになっております。

 そういう意味で、先ほど大臣から答弁申し上げました、その帰属をどうするかというようなこと等々、いろいろ国際的に解決しなければいけない問題はございますけれども、私どもとして、そういった国際的な議論を踏まえながら、こういった削減の計算のアイデアというものを詰めていきたいというふうに考えてございます。

篠原委員 今国際的なものというのをおっしゃいましたけれども、これ、いいポスターですけれども、ちょっとごらんいただけますかね。これはウナギが飛行機になっていまして、アスパラガスも飛行機になっていまして、飛行機で運ばれていく。これは五ページの輸送機関別の二酸化炭素排出原単位というのを見ていただきたいんですが、小麦なんかは、これはパンの船で運ばれてくる。これはスパゲッティーです。スパゲッティーでイタリアから船で運ばれてくる。もちろん距離が問題ですけれども、その次はどういったもので運んでくるかというのが問題なわけですね。そういうことを考えますと、やはり、先ほど大臣、環境に配慮するようなことを考えなくちゃならないということをおっしゃいましたが、そのとおりだと思います。

 国土交通省の皆さんにお答えいただきたいんですけれども、やはり日本の国内の交通体系も考えていただかなくちゃならない。国土交通省になりました、建設省の道路局、運輸省の鉄道監督局、一緒になっているわけです。ですから、どっちがどうかということを考えていただきたい。

 私、長野なんですけれども、長野の例で申し上げますと、行ったり来たりするのはどうするかということ。長野ではこう言われているんです、一人で行くときは新幹線で行った方がいいと。新幹線が七千九百七十円なんです。二人分になると一万五千九百四十円になる。高速道路になるとどうなるかというと、料金、普通の乗用車、四千九百円です。二百キロちょっと。ガソリン代、今高くなっていますけれども、大体二千六百円として計算しますと、七千五百円になるんです。だから、二人で行くんだったらもう車で行ったりした方がいいんだと。

 これはやはり問題で、地球環境に優しい交通体系というのをやはり考えていただかなくちゃいけないんで、それにはどうしたらいいかというと、鉄道の方、新幹線の方は借金を返さなくちゃならないというのはあるんですけれども、それは道路も同じでしょうから、高速道路の方をもっと高くして、拠点から拠点へは……(発言する者あり)民主党の方と反するって――これはまた後で説明しますから。例えばそういうことを考えるということをしてもいいんじゃないか。

 それから、同じ高速道路でも、ここのところが大事なんです、高速道路、我が党は無料と言っていますよね。ここからがちょっと違うんですよ。無料にするにはどういうところを無料にするか。生活道路みたいになっている首都高速のところはただにし、長距離輸送を抑えるというようなこと、こういったことを考えていくべきじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

平山政府参考人 環境に優しい交通体系をどうつくっていくのか、特に国土交通省はどう取り組んでいるかというのをお尋ねだと思います。

 本年四月に閣議決定されました京都議定書の目標達成計画でございまして、そこの運輸部門の対策というのは実は二本柱ございます。一つがいわゆる自動車単体対策を含めました自動車交通対策。これは環境自動車みたいなものをどんどん入れるという話。もう一つが、実は今お話ございましたいわゆる環境に優しい交通体系を積極的に進めていくということで、それを二本柱としまして積極的に進めたいというふうに考えております。

 まず物流について申し上げますと、特に長距離の分野、これについてですが、基本的にトラックが圧倒的に多いわけでございますが、トラックをできるだけ環境負荷の小さい鉄道とか海運、モーダルシフトと言っておりますが、そこに転換していく、これが非常にまず大きな役割を果たすというふうに思っています。

 さらに、いわゆる環境負荷の小さい分野である鉄道とか海運ですけれども、これについても、さらに負荷の小さいものを積極的に開発していくとか、そういうことにも積極的に取り組みたいと思っております。

 それとやはり、先ほど環境大臣の方からもお話がございました、荷主さんと物流事業者さん、これはお互いに話し合いをしていただいて、いわゆるグリーン物流パートナーシップ会議というのを持っておるんですが、こういう場で、ぜひ環境負荷の小さいものを積極的に使っていただきたいという話し合いを積極的に進めたいなというふうに一つ思っております。

 また、旅客分野について、今先生からお話がございました、車と比べてだんだん差がついちゃうじゃないかというお話がございました。一朝一夕にいかない話でございますが、いわゆる鉄道新線の建設とか、あるいは既存のバスとか鉄道、これが使いやすくするという対策をいろいろ打ちたい。さらに通勤関係も非常に、公共交通をたくさん使っていただきたい。マイカー通勤から公共交通利用の通勤にしていただきたいというようなことを、ソフトも含めて積極的に開発、促進していきたい。

 こういうのをいろいろ組み合わせまして、より環境に優しい交通体系を積極的に進めていくというのが国土交通省の方針でございますので、御理解いただきたいと思います。

篠原委員 道路関係の問題なんですけれども、時間になりましたのでちょっとスキップさせて、大臣にお伺いしたいと思います。

 先ほど田島委員も質問で触れておられましたけれども、今、特別会計なり、特定財源についての見直し問題が起こっております。こういったときに考えつくのは、道路特定財源は余剰があるんだということでしたら、新しい税を設けるというのはやはり反発があります。水源税のときも猛反発がありました。しかし、最近は考え方が違ってきていまして、ロハスという言葉があるのを大臣は聞いておられますか。ロハス、ライフスタイルズ・オブ・ヘルス・アンド・サステーナビリティーというので、女性中心にこういった、環境に優しい生き方をしようという。だから、環境に対してはお金を払ったっていいという人たちがふえてきているわけです。

 ですから、これは絶好の機会ですから、特定道路財源をめぐっていろいろ議論されています。きょう、環境税についての提言をされている。もうごちゃごちゃ言わずに、パワフルな大臣がおられるわけですから、特定道路財源、変なものに使わずに、財務省に一般財源なんかということで奪われずに、第一義的には国土交通省でまず環境に優しいのに使っていただくのが一番なんですが、それができないのだったら、思い切って環境目的税としてちゃんと使っていただいた方がいいと思うんですが、いかがでしょうか。

小池国務大臣 ぜひとも篠原委員には、この環境委員会でその御質問をされるよりも、これは当然でございますけれども、国土交通委員会であるとか財務委員会とか、そういうところでびしっとやっていただく方が、私はありがたいなと思って今伺っていたわけであります。

 揮発油税であるとか、それから、これから特別会計など、見直しが進んでいくということ、これも環境省としても横目でにらみながら、また環境省として、既存の税もそうですけれども、既存の財源との関係というのもよく留意して、幅広く公平な負担を求めていきたいと思っております。

 それは、何よりも、とにかくお金くださいというのではなくて、それをどうやって地球温暖化の対策に効率的に使っていって、社会全体として、より、まさにロハスではないですけれども、地球環境の保全、そして、何よりも大気などの問題の解決などにつながるのかといったこと。細かい話をすれば、受益者負担の考え方がどうなのかとか、それから今後の課税対象がどうなのかとか、いろいろございますけれども、今の御指摘、これからもますます議論が広がってくると思いますので、どうぞ委員の方からもよろしく御支援のほどをお願い申し上げます。

篠原委員 私は環境委員会の一員ですし、私よりも大臣の方がずっとパワフルですし、今揮発油税の話が出てきましたけれども、新聞報道でしか知りませんけれども、総理はそれを環境に使ったらどうだとかおっしゃっている。総理とツーカーの仲でおられる間にぜひ実現していただけたらということをお願いしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

木村委員長 次に、江田憲司君。

江田(憲)委員 冒頭、質問の機会を与えていただきました委員長並びに理事の皆さんに感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。

 一般質疑でございますので基本的なことを大臣にお聞きしますので、時間がございませんので、簡にして要を得た答弁をお願いいたしたいと思います。

 二〇〇一年に環境庁が省になったわけでございますが、私、ストレートに申し上げさせていただきますと、私も政府が長かったものですから、環境庁時代は、やれ弱小官庁だとか、政府内野党であるとか、色男、金も力もなかりけりとか、さんざん言われたわけですけれども、省になってもう五年近くたとうとしております。そのうち二年間大臣の御要職にあった小池大臣の、率直な今の環境省の位置づけ、政府の中の御意見、御感想がありましたらお聞きしたいと思います。

小池国務大臣 二年前に就任いたしましたときに、まず全体のブリーフというものを受けるわけでございますけれども、そこで示された最初のペーパーが、予算規模と人員の規模の違いで、各省比較でございました。

 いずれにしても、特に予算がそうですけれども、人員は棒グラフで見ますと一番端っこでありまして、とにかく一番少ない役所だということが一目瞭然でありました。二番目に少なかったのが、その他の項目であったのには愕然といたしました。どこの省庁よりも予算は少ないということですが、しかし、その役割は特に二十一世紀においては最も大きな役所なのではないか、その役割は極めて大きいということを感じているところでございます。

 これまでの大量生産、大量消費そして大量廃棄の時代から、循環型社会をつくっていかなければこの日本自体がなかなかもうもっていかない。そしてまた、温暖化の問題も、これほどエネルギーの、特に石油のない国でありますから、それは取り組んで世界をリードしていくのは当然である、そういう大きな役割を担っているということで、確実に時代のパラダイムは変わっている。だからこそ環境省というのは、より元気に、より自信を持ってやっていくべきだ、そういうことを念頭にこの二年間大臣を務めさせていただきました。

 クールビズなどで、広く皆様方に、環境省からの発信ということで認知もしていただき、その効果もこれからより感じていただけると思っております。職員一人一人も、色男か色女かは知りませんけれども、金も力もいまだにないかもしれませんけれども、より自信を持ってしっかりと環境行政に当たってまいりたいと考えております。

江田(憲)委員 私は、橋本政権で中央省庁の再編担当の秘書官をさせていただいたわけでございますが、今大臣もおっしゃったように、私も、二十一世紀は環境の世紀と言われて久しい、その中で中央省庁を再編するならば、やはり一つの夢というか政治的メッセージを出す必要がある。そういう意味では、環境省をつくり、もう一つ、実は科学技術省もつくりたかったわけですけれども、残念ながら、科学技術庁は文部省と統合されて文部科学省になってしまった。

 環境省も、実は当時の与党からは、農林水産省の生き残り策として食料環境省という案がかなり強力に出てまいりましたけれども、当時の橋本総理、環境政策に造詣も深かった。私もずっと環境庁の足を引っ張ってきた通産省という役所にいまして、その罪滅ぼしという意味もありまして、私が引っ張ったわけじゃないですが、そういう意味で、ぜひとも環境省をつくらにゃいかぬと思って、官邸の中で動いたわけでございます。

 しかし、残念ながら、国会議員の中に、本当に、本気で環境行政を後押ししよう、そういう方が少なかった。そして、政府の中でも業所管官庁を中心に猛烈な反対が起こったわけでございまして、そういう中で、私の反省としては、大環境省というか、もっと国民の安心、安全を総合的に担う官庁に実はしたかったわけですね。しかし、残念ながら、廃棄物行政しか当時の厚生省から移ってこなかったわけです。

 私としては、今食品安全委員会になっていますが、食品安全であるとか動植物の検疫であるとか消費生活安全であるとか、もっと言えば水行政、今の林野行政というのは業所管行政よりも水源涵養であるとか災害防止の観点の方が大きいですし、河川行政も利水というよりも治水の方が大きいですし、そして、厚生労働省が持っている上水道、これも水質保全という観点から、今、最近でも大変話題になっております。そうした水行政も含めて、大環境省、そして国民の安心、安全を総合的に担う省庁にしたかったわけですが、力不足もありまして、今はそういう状態になっております。

 小池大臣、官房長官という呼び声も強いわけでございますので、環境省だけじゃできませんので、そうした立場からも、環境省に中身を入れていくという努力をぜひしていただきたいと思うんですけれども、どうでしょうか。

小池国務大臣 今後のことについて、私は一切わかりませんので、お任せといいましょうか、今私自身が担っている役割というのを最後までしっかり頑張りたいと思っております。

 いずれにしましても、私は、環境省というのはもっともっと大きな役割があるのではないかという考え方で、時には、ほかの大臣からすれば、何かうるさいなと思われているかもしれません。例えばエネルギー行政など、我が国は、対外的には外務省で、そしてまたエネルギーそのものでは経済産業省、そして省エネとの関連では私ども環境省、そして原子力になりますと文部科学省と、非常にそれぞれが分かれて、なかなかその接点を見出しにくいというときも時折あります。特に、国家戦略を描く際には、やはり関連したところが総合的に国益とは何ぞやということで考えていかなければならない。そんなことから、何度か関係閣僚会合というのも開くようにお願いをし、また実現もしてきたところでございます。

 今、内閣ということがかなり強化されてきていると。これが、さらにより全体的な国家としての図というのを念頭にした中で各省庁が得意の分野を進めていくと。何か、省庁同士の戦いにエネルギーを費やせる時間はもう日本にはないというふうに私は思っております。

 そういう観点から、環境省、これからもしっかりと役割が果たせ、さらには、国のみならず地球全体の環境を考えられるぐらいの大きな役割をもっと務めてまいりたい、このように思っているところでございます。

江田(憲)委員 これは古い議論ですけれども、生産と保安行政の分離であるとか、そして業所管行政と安全・安心行政の分離独立であるとか、そういった観点から、しっかりと総合的、統一的な体制がとれるように、ぜひお願いしたいと思います。

 その一環として、一つ、これはもう時間がありませんので御答弁は要りませんが、環境庁も省になりましたからには、人事の独立性ということで、要するに、昔は一部強力官庁が植民地支配的に一方的な幹部人事の導入というのがあったわけですけれども、環境省が設置されてもう三十数年たちます。プロパーの職員の皆さんも育っておられると思いますので、個人的にどうこうじゃありません、環境省の主要な局、そして次官には、もう環境省のプロパー職員を据えられるように、これは大臣、人事権者としてぜひお願いしたいと思います。

 時間がありませんので、最後にアスベスト問題。

 これも、縦割り行政も指摘されておりますし、さっき言った生産と保安というせめぎ合いの問題もあります。そうした中で、工場、事業場で働く人たちやその周辺の住民の対策というのは、今、この前の環境委員会でも議論されたように、政府の中でも真剣に取り組まれておると思いますけれども、私みたいに一般の住宅地に住んでおりますと、その一般の住宅地におけるビルであるとかマンション等の集合住宅であるとか、そして、旧家ですね、お庄屋さんみたいな古い建物。こういったものが建てかえたり廃棄されるときのアスベスト被害というものを一般住民が大変心配しておるわけでございまして、この点、一部報道で、国土交通省は、こういった一般住宅についても設置者に何らかのアスベスト飛散防止の義務づけをするという報道がされていますけれども、具体的に御答弁願いたいと思います。

山本政府参考人 ただいま、社会資本整備審議会にアスベスト対策部会を設けまして、基本的な考え方としては、事柄の優先順位に従ってきちんと対策を打っていくという方針のもとに、今後の方針を検討していただいております。

 御指摘のポイントは、住宅に限ったことではございませんで、既存の建築物について建築基準法上どういう対策を講じたらいいかという点で御議論いただいているものでございます。

 アスベスト、特に吹きつけアスベストのような形で、むき出しで建築物に使用してはならないという規定を基準法上設けるべきではないかという御議論が行われております。

 これが、実は、新たに吹きつけアスベストを使ってはならないというのは労働安全衛生法でもう既に禁止されておりますので、その心配はないんですが、基準法上これを規定いたしますと、既存の建築物について改築をしたり手を加えるときに、そういったことが義務づけられるほか、特定行政庁がいろいろな調査を法律に基づいてできるといったことになりますので、その観点からアスベスト対策部会で御議論いただいているということでございます。

江田(憲)委員 時間が参りましたので、最後に一問だけ大臣に。

 今の御答弁ですが、大臣の前の地元である兵庫県では、一般住宅であっても、八十平米以上の住宅について、非飛散性の場合でもその届け出義務を課すというような先駆的な取り組みもしておりますので、環境省、大気汚染防止法を所管する立場からも、こういった一般住民の懸念というのをぜひ払拭していただきたいというふうに思うのでございますけれども、最後に御答弁いただきまして、私の質問を終わります。

小池国務大臣 今、大防法のお話がございました。一定規模以上の解体作業は自治体への届け出を義務づけるということでございますけれども、これまでの規制の対象をかなり広げまして、この規模要件などを撤廃するということで作業を急いでいるところでございます。

 おっしゃるように、最近は、隣で解体作業が始まると、その周囲の方々が血相を変えて飛んでくるというんですよね。ですから、住んでおられる方々も不安でしょうけれども、その周りの方々にも不安が伝播されるというために、例えば、アスベストを使っていない建築物の解体作業ですよということなどがわかるとか、この辺は国交省の方とよく詰めてまいりたいと思いますが、使っていないアスベストに不安を抱くことはないわけですから、そのあたりのところをどうすればいいのか。そして、それを証明するためにはどうしたらいいのか。

 幾つか課題はあろうかと思いますけれども、いずれにしましても、漠然たる不安に皆さんがおののく必要はないと思っておりますので、また、明確な不安に対してはきっちりとした安心策を練り、スピード感を持って進めていきたいと思っております。

江田(憲)委員 ありがとうございました。

木村委員長 次回は、来る二十八日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時八分散会


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