衆議院

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第2号 平成18年1月31日(火曜日)

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平成十八年一月三十一日(火曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 木村 隆秀君

   理事 石崎  岳君 理事 岩永 峯一君

   理事 加藤 勝信君 理事 松浪 健太君

   理事 山本 公一君 理事 田島 一成君

   理事 長浜 博行君 理事 富田 茂之君

      井脇ノブ子君    宇野  治君

      小杉  隆君    木挽  司君

      近藤三津枝君    坂井  学君

      篠田 陽介君    薗浦健太郎君

      竹下  亘君    とかしきなおみ君

      並木 正芳君    根本  匠君

      馬渡 龍治君    郡  和子君

      近藤 昭一君    高井 美穂君

      村井 宗明君    吉田  泉君

      高木美智代君    江田 憲司君

      野田 聖子君

    …………………………………

   環境大臣         小池百合子君

   内閣官房副長官      長勢 甚遠君

   厚生労働副大臣      中野  清君

   環境副大臣        江田 康幸君

   環境大臣政務官      竹下  亘君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           白石 順一君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  中島 正治君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局安全衛生部長)       小野  晃君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局労災補償部長)       森山  寛君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 寺田 達志君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   由田 秀人君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局環境保健部長)       滝澤秀次郎君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            竹本 和彦君

   環境委員会専門員     齊藤  正君

    ―――――――――――――

委員の異動

一月三十一日

 辞任         補欠選任

  岩屋  毅君     薗浦健太郎君

  篠原  孝君     郡  和子君

同日

 辞任         補欠選任

  薗浦健太郎君     岩屋  毅君

  郡  和子君     篠原  孝君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 石綿による健康被害の救済に関する法律案(内閣提出第二号)

 石綿による健康等に係る被害の防止のための大気汚染防止法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)


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     ――――◇―――――

木村委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、石綿による健康被害の救済に関する法律案及び石綿による健康等に係る被害の防止のための大気汚染防止法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省大臣官房審議官白石順一君、厚生労働省健康局長中島正治君、厚生労働省労働基準局安全衛生部長小野晃君、厚生労働省労働基準局労災補償部長森山寛君、環境省大臣官房審議官寺田達志君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長由田秀人君、環境省総合環境政策局環境保健部長滝澤秀次郎君及び環境省水・大気環境局長竹本和彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

木村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高井美穂さん。

高井委員 おはようございます。民主党の高井美穂です。どうぞよろしくお願いいたします。

 きのうの予算委員会、小池大臣も御出席でおられました。中川大臣の御答弁が二転三転したのは、多分だれが聞いてもおわかりになっただろうというふうに思います。原因は、アメリカの圧力に負けて早く輸入再開をしたことであろうと思いますが、余りにも、国民一人一人の、人間一人一人の安全に対して、考えや発言が軽率ではなかろうかと私は思いました。総理は当初、アメリカが悪いんだからアメリカに言ってくれというようなことをおっしゃっておられました。しかし、日本国民の安全は日本国の政治家が守るべきであって、BSE混入の肉を食べたとして、被害者が出たとしても、アメリカは何もしてくれない、そう思います。

 この法案も命にかかわる大事な問題です。政治家として一人一人の命の重さに想像力を働かせていただきたい。昨日は、二千五百人を超える患者さんや家族の皆さんが請願書を持って国会の周りに集まっておられました。今このときも、縮まっていく命を見ながら、患者さんと家族の皆さんは痛みに苦しんで闘っておられます。その思いを胸に、今回の質疑をしたいと思っています。

 この問題に取り組んでこられた方々の言葉をかりれば、公害病としてのアスベストの被害者に正義が実現されるかどうかを社会が見守っているということです。地域住民や一般生活者の中には、アスベストに暴露して、賃金等の利益を得ることもなく、その危険性どころか暴露した事実さえ知らされずに、みずからを守る機会を奪われたまま被害者となった方が多くいるわけであります。

 私は、国の責任といっても官僚の皆さんや公務員の皆さんに責任があるとは、すべての責任があるとは思っておりません。先般の近藤議員の質疑の中でも、寺田審議官が、公務員の不作為違法につながるような責任はないと発言をされておられました。官僚としては、省としては、一九七二年以降、ILOやWHOの指摘を受けて、許される裁量内で精いっぱいの使用規制をしてきた、危険性周知をしてきた、そういうことであろうと思います。だから行政としての不作為はない、だから補償ではなく救済だ、助けてあげるんだということなんでしょうけれども、私は、役所の方の、省の方の言い分としては理解できなくもないんです。だから、政治の責任でこの問題を解決していただきたい、政治で解決するしかないと、省庁横断的な施策をとって、政治の場で被害者の命を救うということしかないと思っております。

 だから、大臣の御答弁と役所の方の御答弁は重みが全く違います。大臣がやりますとおっしゃれば、行政は動くと思います。どうか、衆議院では最後のこのアスベストに関する質疑、前向きな大臣の御答弁をぜひとも期待を申し上げます。責任を持って、体を張って、皆さんの命と生活を大臣が預かっているというお気持ちで答弁をいただけますでしょうか。

小池国務大臣 今回のこのアスベスト法案、救済法と、そしてまた、今後の被害が発生しないということから、それを防ぐための廃棄物等の法律の改正ということの二本セットになっているわけでございますけれども、今委員まさに御指摘になりました、これまで労災によって救済されない、そしてその対象にならない方々、その方々に対して、一日も早く救済できるようなスキームをこのたび御提出させていただいているわけでございます。

 そしてまた、振り返ってみますれば、関係省庁間の連携が必ずしもよくとれていたとは言えない、まさにここは政治主導という形で、関係閣僚会合を即開いて、そして、それぞれの省庁のなすべきこと、またやってきたことなどを精査した上で、このスピード、かなりスピードある法律案の提出になったかと考えております。

 政治家の責任として、一日も早く救済ができるように、被害者の方々に対しての救済ができるような形で、今回の法案の御審議も皆様方の御協力も得て進めさせていただいているところでございますし、また、今後、こういった形でアスベストの新たな被害が出ないためにも改正案をもって臨むというのが、まさに政治の責任だと考えております。

 御協力のほど、よろしくお願いいたします。

高井委員 もちろんスピードがある解決は大事でございます。しかし、スピードだけを重視して、低水準で低給付で被害者の方が苦しむようなことになれば、ますます汚点を残す。そのために、我が党は修正案を用意しております。そこら辺もぜひ御配慮を賜りたいと思っています。

 時間がございませんので、早速法案の方の質疑に移らせていただきます。

 尼崎市から出された要望書にも、「職業上アスベストによる健康被害を受けた方の補償と工場の周辺に居住していただけで健康被害を受けた市民の補償に大きな差があってはならない」というふうに書かれておりました。このままの法案では、この差によるトラブル、運用に当たってトラブルが発生することが予測されるというふうに思います。

 まず、不服審査や紛争の円満な解決をどういうふうに行うのか、そのスキームを考えておられるのか。公害健康被害補償不服審査会に専門委員を新設というふうに書かれてございますが、どういう人をだれが選任するようになっているんでしょうか。

滝澤政府参考人 この法案に基づきまして、環境再生保全機構が行いました認定あるいは救済給付の支給に係る処分に不服があった場合でございますが、公害の関係の不服審査会に対しまして審査請求を行うことができるという規定がございます。

 そして、この不服審査会におきましては、迅速に処分を行うために、公害に係る不服審査を行う既存の委員に加えまして、石綿に係る医学的な専門知識等を有する学識経験者を環境大臣が専門委員として任命することとしております。

高井委員 労災認定に関して、再審査請求を公害健康被害補償不服審査会に対し行うことになっておりますが、このアスベストに係る審査については、公開かつ弁護士等の同席による本人または遺族からの意見聴取というのはなされるんでしょうか。

滝澤政府参考人 公害健康被害補償審査会に対して審査請求をすることができるわけでございますが、その場合の審査の手続関係でございます。

 行政不服審査法に基づきまして、書面によることを原則とし、非公開とされております。しかしながら、審査請求をされた方、すなわち被害者御本人または御遺族が希望すれば、その意見を聴取する機会を設けなければならないこととなっております。また、その際には弁護士等の補佐人の同席が可能となっております。

 これらの手続においては、審査請求をされた方の御意見が正確に反映されるように、その運用を図ってまいりたいと考えております。

高井委員 ぜひとも本人や遺族からの意見聴取をしっかり行っていただいて、その意思が反映されるようにしていただきたいというふうに思います。

 この法案の救済給付は水俣病の未認定患者に対する給付策に大変似ておりますけれども、御承知のとおり、行政認定されない患者さんが一万人以上にも上って、いまだに訴訟が続いております。新たな認定申請が相次いでいる状態の中で、新たな訴訟まで起ころうとしておりますが、やはり、公害として認定せず低額の一時金や医療費で対応しようとすると、このようなことがこれから起こってくるのではないかというふうに懸念をしております。

 現実的なトラブルを避けていくために、何とぞこの給付策に対してもう少しの配慮をお願いしたいと思いますと同時に、この現実的なトラブルをどう避けていくか、お考えがあったら教えてください。

滝澤政府参考人 やはり一連の審査請求の手続の関係でございますが、審査請求をした被害者御本人あるいは御遺族からの意見聴取の機会を設けることのほかに、審査を行う不服審査会の専門委員の側から、例えば主治医などの必要な方の意見を聞くこともできるということになっておりまして、被害者本人あるいは御遺族の権利利益の救済の観点から、公正な審査が確保されるように努めてまいりたいと考えております。

高井委員 人間としての生きる権利の確保ですから、しっかりと対応の方をよろしくお願いします。

 この労災給付と新法による給付では格差があり過ぎるということは、先般、金曜日の質疑でも多くの議員からの指摘がございました。

 田島議員の質問の中で、新法による救済と労災補償の併給は不可能というふうなお答えがございましたけれども、この新たな救済制度を適用した後に職業暴露が明らかになって労災認定に該当する事実が出てきた場合、こういうことは想定されておられますか。また、その場合の切りかえ等は可能なんでしょうか。

寺田政府参考人 お答え申し上げます。

 この新たな制度は、すき間のない救済ということで、アスベストによって肺がん及び中皮腫に罹患された方を幅広く救済する、だれにも門戸の開かれた制度ということで考えておりますので、そうした制度で認定された方がその後に労災の申請をされる、そしてその上で労災が認められるということは当然想定しております。

 その場合には、ただしこの制度、そもそもが労災の補償が受けられない方々のための制度でございますので、当然のことながら、労災認定を受けられた場合には本制度からは離脱するということになろうかと思います。

高井委員 例えば、労災認定されないことになるのであれば、石綿暴露作業に少しでも従事したことがあるという覚えがあれば、労働基準監督署の方に申請した方がいいということになりますよね。今回の法案では保健所の方と別になっておりますが、そうした、つまり労災の方がかなり手厚い補償がされるわけですから、一たん保健所に申請をして許可されて、いや、労災にしたいというふうな切りかえ、労災にするならば労働基準監督署に行かなきゃいけない、そういう情報提供を患者さんや遺族の皆さんにもちゃんとしていただけるんでしょうか。

寺田政府参考人 お答えいたします。

 先ほどちょっと私の答弁が説明不足であったのかもしれませんけれども、労災認定をされないということではございませんで、本制度で、新しい制度で認定された方々もその後労災認定を受けることは十分可能だ、ただし、その労災認定を受けた場合には本制度の救済対象から外れるということを申し上げただけでございます。

 その上で、ただいまのお尋ねでございますけれども、もとより、本制度の窓口、保健所でありましても労災制度等についての周知徹底をして、本来、労災制度で救済を受けられる方々は労災制度で救済を受けられるべきだということが基本であろうかと思いますので、今後、厚生労働省とよく連絡をとりまして、そういった情報提供に遺漏なきよう努めてまいりたいと考えております。

高井委員 併給されないということなので、必ずちゃんとした形で情報提供がなされるように、できるだけ労災で給付されるような形もお願いしたいと思いますし、本当ならば、でき得ることならば、この新法の給付案も労災と同じだけの補償がなされるのであれば、このようなことを聞かなくて済むんです。同じ人間で、同じ病気にかかって苦しんでいるわけですから、できる限り同じだけの補償、救済をと願うのが普通であろうかと思います。低給付で泣き寝入りすることがないように、何とか患者の皆さんのお気持ちを酌み上げて対応していただきたいとお願いをいたします。

 アスベスト以外の原因がほとんど考えられないという中皮腫は、その八〇%が職業暴露であろうというふうに考えられているみたいですが、労災補償でカバーされない自営業者等が含まれるとしても、中皮腫の七〇%は、本来、労災で補償できるというふうに考えます。しかし、実態としては、今、労災保険による補償はようやく一割を超えた程度というふうに聞いていますが、安易な、新法での対応に流れることがないように、新たなこの救済給付にかえて労災補償を受ける仕組みをもう少し丁寧に確保する必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

森山政府参考人 お答え申し上げます。

 労災の認定患者数とそれから人口動態調査の中皮腫の患者数、この乖離につきましては従来から御指摘を受けるところでございまして、これに関しては、私どももいろいろな形で周知を徹底していく必要があるというふうに思っています。

 具体的には、これまでも、相談窓口の開催とか、あるいはリーフレット、パンフレット等の周知等をやっていたわけでございますけれども、今後、さらに一層の周知、広報を行ってまいりたいというふうに考えているところでございます。

高井委員 厚生労働副大臣、いかが思いますか、これだけ給付差があることと、労災適用が今少ない状況の中で、できるだけ政治家同士の折衝で給付水準を近づけていただきたいと思うんですが、不可能なんでしょうか。

中野副大臣 高井委員の御質問にお答えいたしますが、御承知のとおり、労災制度というものは、一般の方、住民の方の救済については制度そのものが違うということと、それからいわゆる今までの掛金とかそういうものもありますので、御希望についての御意思というものについてはよくわかるんですけれども、現実問題としてはなかなか、まだすぐにというわけにはいかないと思いますが、その点について、またよく勉強したいと思います。

高井委員 できるだけ早期の見直しも含めて、政治家同士の折衝で、ぜひとも同じだけの給付、救済、補償がなされるように検討していただきたいというふうに思います。

 それから、今回、私もいろいろなことを調べるに当たって、昨年六月から起こったアスベストの問題は、一九八七年の、学校校舎にアスベストが使われていたということに端を発したアスベストパニックとも言われるような現象の第二弾であるというふうに感じています。

 実態調査や被害の拡大防止策が今までずっと中途半端で、省庁の縦割りの中で特に中途半端であったと思いますが、それによる国の監督行政の怠慢という部分は、行政の不作為責任というか怠慢ということはあるというふうに考えています。だからこそ省庁を超えた対策をとるのは政治がすべきことであるというふうに、政治の怠慢であるというふうに私は感じています。

 保育所の近くで飛散が疑われる地区があった、保育所自体にアスベストが使われていて、それが問題になったということを聞いておりますが、そのような事実は御存じでしょうか。

中野副大臣 今御質問の保育所におけるアスベスト被害の問題でございますが、厚生労働省といたしまして、昨年、保育所におけるアスベストの使用実態の調査をいたしました。十一月二十九日にこの結果を公表したわけでございますけれども、その中では、アスベストを使用されていると回答した施設は千二百六十五施設でございます。そのうち、いわゆる暴露のおそれがある施設と言われるのは三十六施設ございました。その中で、特に、利用者が日常使用するといいましょうか、そういう場所にアスベストがあるというところが八施設ございまして、そのうちの一施設はもう措置済みでございますが、残りの七つにつきましては今年度中に措置をする予定になっております。

 今、委員がお話しのとおりの問題意識でございますが、この昨年の十一月の調査結果を踏まえまして、いわゆる未措置であるところの施設につきましては直ちに除去を行うなどの措置を講ずるように、調査を実施した八月と、それから結果の公表をした十一月、二度にわたりまして各自治体に指示をいたしたわけでございまして、今後とも、御意思のとおり、我々としましても全力でこの点については努力をしたいと思っております。

 また、多分、今委員がおっしゃったことは、文京区で平成十一年の七月に、保育所の改修工事を実施した際にアスベストの被曝の被害があった事件だということだと私は承知しておりますけれども、これにつきましても、いわゆる健康相談の実施など、継続的な健康管理などの指導の措置を、検討会なんかも設置してやったようでございますが、文京区がその措置を講じたということについては聞いております。

 厚生労働省といたしましても、施設におけるアスベストの除去工事の際の飛散防止ですか、これはもう今現実に大きな問題でございますが、これを含めまして、今後の施設における子供の安全の確保についても万全を期してまいりたいと思いますので、御理解願いたいと思います。

高井委員 私も、調べてみて、この文京区にあるさしがや保育園のアスベストばく露による健康対策等検討委員会の報告書を読んで、大変に驚きました。

 アスベストは閾値のない発がん物質と言われます。暴露量がどんなに微量であっても発がんの可能性はある。幼少のころに暴露した可能性があるということは、その潜伏期間が十年から四十年と言われますので、いつ発症するかわからない、さまざまな不安と不信におののきながら、これから長い生活を送らなくてはならない。子供の精神的、身体的なものに与える影響というのははかり知れない。

 私も、二児の母親でございますので、想像するだに胸が痛むものでございます。ぜひとも、省庁横断的に、急いで、全力で取り組んでいただけますように心からお願いをしたいというふうに思っています。

 多くの質問があるんですが、だんだん時間がなくなってまいりましたので、はしょって質問をさせていただきたいと思いますが、このアスベストを調べるに当たり、私も大変にびっくりしました。多くの一般の家庭用製品にも使われている。トースターやアイロンといったような、本当に皆さんのどこの家にもあるものから始まって、ベビーパウダーにも入っていたということを私は知りまして、ベビーパウダーを使っていた人間として、大変に驚き、使うのをやめました。

 そういう意味でも、一般家庭の皆さんに、まだ、周知徹底なり、さまざまな危険性の報告、知らせが十分になされていないのではないかと思います。さらには、このアスベストが含まれる家庭用廃棄物等のこれからの処分の仕方、そこら辺も、さまざまな自治体や家庭に向けてもまだまだ周知が足りないというふうに思いますが、これからどのように周知徹底をなされていくのか、また今までの反省事項も含めてお願いをしたいと思います。

由田政府参考人 お答えいたします。

 石綿を含有する家庭用品は、通常の使用状態では飛散のおそれはほとんどないものの、廃棄される場合には、万一にも石綿が飛び散ることのないように適切に対応する必要があるわけであります。

 このため、市町村に対しまして、約七百七十製品に及びます石綿含有家庭用品の情報や、市町村の行う広報に活用できるようなパンフレットの例を提供いたし、また、石綿含有家庭用品をできるだけ破砕しないなど、当面の処理方法について示したところであります。

 さらに、より安全な処理方法、システムにつきまして、専門家の意見を聞きながら検討を進めておりまして、年度内にも考え方を取りまとめ市町村に対して提示したいと考えているほか、廃棄物処理施設の改造や溶融施設の整備などが必要となった場合には、昨年、改革、創設させていただきました循環型社会形成推進交付金によりまして、しっかりと後押しをさせていただきまして、国と地方が一体となって石綿含有家庭用品の処理を進めてまいりたい、このように考えております。

高井委員 アスベストの不法投棄が全国で起こることのないように、どうぞよろしくお願いをいたします。

 一九七〇年代から、今、二〇〇六年に至るまで、全面禁止がなされたのは実質的にこの二〇〇六年というのは中野副大臣の御答弁の中にございました。その間、三十五年以上四十年近く、少しずつさまざまな規制やさまざまな形で危険性周知をしながら、徹底した形でなされなかったがゆえに、まだまだこのアスベストの被害はこれから広がっていくと思います。アスベストの問題はまだ始まったばかりと思っています。

 これから、私も注視をしながら、できればこの法案の見直しをしていただきたいというふうに思うんですが、私もずっとこの問題にかかわっていきたいと思いますので、どうか今後とも注視の方をよろしくお願いいたしたいと思います。政治家として、過去にも未来にも、これから責任を持っていかなくてはなりません。大臣ももちろんその覚悟でおられるだろうとは思いますが、これに端を発した問題に、大臣がかわられたとしても、ぜひとも今後とも引き続き御協力いただけますようによろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

木村委員長 次に、長浜博行君。

長浜委員 民主党の長浜博行でございます。

 まず冒頭、御関係者の皆様に二点についておわびを申し上げなければなりません。

 一点は、昨日の予算委員会において、私はアスベストの質問をする予定でございました。二時間弱の質問を行ったわけでありますが、ほとんどBSEということになりました。こういった状況で、ちょうどその時間を合わせるように、日比谷公会堂を出発して、二千五百人の方々がちょうど私の質問と同じ時刻に国会周辺を歩いていただきました。委員会が中断をしておりましたので、その模様は控室でよく聞こえたわけでございます。きのうの質問を受けて本来は立つ予定だったわけでございますが、こういった形になりましたことを大変おわび申し上げます。

 もう一点は、この委員会の設定の中において、国会の決まりというのがなかなか皆様方にはわかりづらいということでございます。きょうのこの設定は、きのうの夜中、夜中といいますか、さまざまな委員会立ての最後に行われる予定でありましたので、この時間取りは、与党と野党とのお話し合いの中で、物理的制約の中で決めたものでございます。ですから、どうしてきょうは午前中やって短い時間と思われるかもしれませんが、これも国会の決まりの中で行われておるということを御了解いただければと思います。

 そして、さまざま、金曜日からこの法案に関する質疑が行われておりましたが、こういった問題については、今後、被害の拡大が残念ながら予想される状況の中で、この委員会には、与野党問わず、この問題で大変心を痛めている良識ある議員がおります。環境と福祉の問題に積極的な政党もありますし、そういった良識ある皆様方と一緒になってこのアスベストの問題に今後も当たらせていただきますことを、冒頭に申し上げさせていただきます。

 また、大臣ほかにおかれましても、そういった事情でちょっと質問の形態が変わってまいりますが、御了解をいただければと思います。

 私の部屋にも、アスベスト公害の対策をということで、随分、毎日お電話、はがき等々をいただきます。

 アスベスト公害の対策を求めてということで、「政府の不作為で多くの被害者がでているにもかかわらず、その患者と家族の声を聞くこともなく新法が制定されようとしています。困窮している患者と家族の実態を無視した法律は怠慢な立法作業でしかありません。よって以下を要望します。

 一、労災・環境曝露被害者の現実的な生活の保障(環境曝露においてはもちろん、現実の労災でも若年曝露の為に最低額の補償しかありません。)」これはもう今まで質疑でやったところです。

 「二、政府は過去、現在、未来の被害の責任を負うこと。」これが、救済と補償の問題にかかわると思います。

 「三、アスベスト曝露証明手帳の交付」これは、中皮腫や何かの、要するに管理制度等々の不備の問題も含まれていると思います。

 「私の夫は苦しい呼吸困難の中、こんな形で終るとは思わなかった、くやしいと無念な思いで死んでいきました。何故あのように苦しみながら死ななければならなかったのでしょうか。むごいことです。長浜様はそんなことをお考えになったこと、おありでしょうか。患者や遺族の側に立って、もっと真剣に考えて下さい。もし自分自身のことならばと、失った命は二度と返らないのです。返らないのならばせめて十分な補償をと願っています。」

 個人情報保護の関係でお名前は避けますが、ちゃんとはがきでございます。

 「母を中皮腫にて平成十五年十一月一日奪われ、私自身も胸膜肥厚斑に身体肺を冒され、毎日怯え、生活をしています。一日も早く治療法を発見して欲しいです。国は三十数年前より石綿の危険な事を知っていて、官公庁の建物には安全な材料を使っていたとの事を知り茫然としました。国民をないがしろにしていたら、国が滅びます。長浜さん他皆様方には本当に私達の身になって対策がなされていきますように声を大にして要望します。」というようなものがいっぱいありますし、DVDも、多分与党の方も行かれているかもしれませんが、「もっと人生を歩みたかった」という、大変、DVDですからその模様があられているのが、私もちゃんと見させていただいております。

 そういった中において、この問題もBSEも、高井さんがさっきおっしゃったように、民主党も自民党も公明党もなく、この時代に生きているときに生じた、しかしその要因が過去にあるという中において、今政治家をしている人間が考えなければならないことではないかなということを思っているわけでございます。

 民主党は、二〇〇五年十月二十五日、昨年でありますが、石綿対策の総合的推進に関する法律案、第百六十三回国会衆法二三号、これは継続審議の案件ですが、国会に提出してあります。アスベストに関する施策は、多くの官庁にかかわる問題であり、これはもう今までの政府答弁でもありました。石綿対策全国連絡会議の指摘にもあるように、アスベスト暴露者の健康管理や治療方法、体制の確立、最終的には健康被害の根絶、また、私たちの身の回りに残された既存アスベストの把握、管理、除去、廃棄等、安全な無害化処理等々、戦略を立てての有効性の検証及び不断の改善に努めなければならず、そのためにもアスベスト対策基本法の制定が不可欠であると考えているわけであります。

 私は、関係閣僚の方々もそうであることを期待しますが、この問題にずっと取り組んでおられる石綿対策全国連絡会議や連合の総合労働局を初めとする多くの関係者の方々の御意見を聞きながら、人の命とは、国民の健康にはだれが責任を持つのかという観点で、この場に立たせていただいております。

 翻って顧みれば、すなわち歴史のある話でございます。そういった対応をとらずに、場当たり的な対症的療法しかとれなかったことにこの被害があるということは、金曜日の本会議の壇上で私が代表質問で申し上げたことでございます。

 そのため、私どもの考え方としては、この提出をしました、このというのは先ほど申し上げた先国会で提出をした法案でございますが、これに基づき、基本方針の策定、実施のため、内閣総理大臣を長とするアスベスト対策会議を設置し、この会議は重要事項の決定に当たってはアスベスト対策委員会に諮問する、こういうふうにうたっているわけであります。

 この委員会は、アスベストによる健康被害を受けた方々、例えば中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会の皆様、こういった方を初めとして、遺族、労働者、NPO、事業者、学識経験者、そしてもちろん行政関係者の代表により構成し、必要な調査、検証、政策提言等を実施すべきだということが、そもそものこのアスベスト問題を解決しなければいけないということを考えている理由でございます。ここの基本を踏み間違えてスタートし出しますと、過去何回も学校パニックがあったというお話もありましたけれども、何回もところどころにおいてこういった問題が報じられているこの現象を変えることはできないということを思っているわけでございます。

 そこで、この政府から提案をされているところの新法の大もとは、昨年の七月、八月、九、十一、十二でしたか、五カ月にわたって行われたアスベスト問題に関する関係閣僚会合ということに端を発していると思いますが、この会合の位置づけとそして環境大臣の位置づけを御説明いただきたいと思います。

小池国務大臣 このアスベストに関係する関係閣僚会合でございますけれども、今お話ございましたように、この問題がさらに社会的に大きな意味を持ってきたときに、関係閣僚会合が即集まりました。そして、回を重ねまして、これまでに何をしてきたのか、そして問題点は何であったのかということを洗い出すとともに、この被害者である方々をどのようにして救済できるのかということから、新法の法案を作成という作業に移ったわけでございます。

 被害者の救済制度についても、この疾病の特質ということも考えまして、一日も早く救済をしていかなければならないという考えのもと、また、過去の反省を踏まえまして、各省庁間の連携がよくとれていなかったということにかんがみて、まさにここは連携を持って、スピード感を持って、そしてすき間なく対応できるような、そういった新法、そしてさらに、今後起こるであろう問題についての予防的措置ということを盛り込ませていただいたわけでございます。

 関係閣僚会合、さまざまございますけれども、この新法を編成するまでには、かなりのスピード感で臨めたのではないかと思っております。

 これまでの、大変御心配である被害者の皆様方に対しまして、一日も早く、まず基本的な救済ができますことを願っているところでございます。

長浜委員 直接の質問に対するお答えではなかったと思いますが、官房副長官がせっかく来ておられますので、この会議の主催者と環境大臣の位置づけについて、いかがですか。

長勢内閣官房副長官 アスベスト問題につきましては、御案内のとおり、関係する行政分野が多岐にわたりますので、これをスピード感を持って総合的に遺漏なく進めていかなければならない、しかも緊密な連携をとらなければ、すき間なくということもありましたので、今大臣からお答えいたしましたように、関係閣僚が随時集まって早急に結論を出していくという体制をとったところでございます。

 総合調整ということになりますので、内閣官房が事務方を務めることになりますので、官房長官が主催をする形になっております。当然、その中で環境行政の占める割合も大変高いわけでございますので、環境大臣、当然のことながら、中心的な役割を果たしていただいておる次第でございます。

長浜委員 今のお話にありましたように、だれが集めたのかよくわからない。官房長官だというお話でありましたが、その官房長官に、ですから、本会議でお尋ねをしましたが、あの程度の回答しか返ってこないわけでございます。

 これは、きのうのBSEとも関係しますが、属人的に小池さんという問題ではなくて、環境大臣という位置づけの中において、各省、多岐にわたる分野を環境大臣がそのポジショニングの中においてすべてを統括するということは不可能なんです。この所管大臣として環境大臣がなられていて、環境省だって人員が少ない、予算もはっきり言って少ない、そういった状況の中でこの問題の統括をしていくということは、事実上、このアスベストの問題の対処において、将来において大きな弊害になってくると私は思います。能力の問題じゃないです。物理的にどうかなということを申し上げているわけでございます。

 そういった中においては、当然、内閣府の下に今でも内閣府担当、例えば少子化対策何とか大臣というのが現実につくられているわけでありますから、アスベスト対策特別大臣、そしてそれは特別委員会で議論をしていくという手法をやはり考えなければならなかったのではないかなというふうに思います。

 十年ほど前に、とにかく国の形を変えていくときに、昔は、ある大統領とか、総理大臣がトランジスタを売りに行った、トランジスタの売り込み屋か、こう言われた時代もありました。経済優先の時代もありました。今は、環境を優先させるという国づくりをするのであれば、これは総理大臣が環境大臣を兼ねて、この国の形は環境を大切にしていくんですよ、そういう上位に立たないと、組織ですからうまくまとまってまいりません。

 小池環境大臣が総理大臣となってしっかりとこういう行政をつくっていけるのかどうか、そういった問題は別にしまして、環境行政が上位概念となってやっていくためには、今の基本的な部分をおろそかにするとなかなか目の前の対処ではできないということを申し上げて、環境省、どうぞ頑張ってください。よろしくお願いします。

 どうもありがとうございました。

木村委員長 以上で両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

木村委員長 この際、内閣提出、石綿による健康被害の救済に関する法律案に対し、長浜博行君外五名から、民主党・無所属クラブ提案による修正案が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。近藤昭一君。

    ―――――――――――――

 石綿による健康被害の救済に関する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

近藤(昭)委員 ただいま議題となりました石綿による健康被害の救済に関する法律案に対する修正案につきまして、民主党・無所属クラブを代表し、提案理由を説明いたします。

 私どもは、政府が提案している新たな救済制度は、労災補償とのさまざまな格差が歴然であり、政府がうたうすき間のない救済になっていないと考えます。たまたまアスベストを扱う工場のそばに住んでいただけで、何の落ち度もない人の生命や健康の代償として、総額三百万円というのは余りに低過ぎ、不十分であります。ましてや、中皮腫の専門医療機関は限定されており、居住地によっては通院費が大きな負担となるケース、被害者のお子さんの中には学業や進学を断念するケースも出ております。何としても避けるべき事態であります。

 そこで、私どもは、こうした個々の切実な悩みに的確に対応するため、最低限の立法的措置による解決が急務であると判断し、本修正案をここに提起させていただくものであります。

 以下、その内容を御説明いたします。

 第一に、療養手当の額について、請求に係る月の被認定者の病状の程度が政令で定める病状の程度に該当するものであるときその他政令で定める特別な事情のあるときは、その月分の療養手当の額は、第十六条第一項の額に政令で定める額を加えた額とするものといたします。

 第二に、国は、この法律の施行後速やかに、石綿による健康被害を受けた者の遺族の就学の援護その他石綿による健康被害を受けた者及びその遺族の援護を図るために必要な措置を講ずる旨の規定を追加するものといたします。

 第三に、政府は、必要な見直しを、この法律の施行後三年以内に行うものとすることといたします。

 以上が、本修正案の提案理由及びその内容の概要であります。

 このアスベスト健康被害者への救済問題について最低限できる法的手当てがこの修正案であり、党派を超えて取り組むべき課題としてここに提起させていただきたいと存じます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)

木村委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。

 この際、長浜博行君外五名提出の修正案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣の意見を聴取いたします。小池環境大臣。

小池国務大臣 ただいまの石綿による健康被害の救済に関する法律案に対する修正案につきましては、政府として反対をいたします。

    ―――――――――――――

木村委員長 これより両案及び修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。村井宗明君。

村井委員 私は、大気汚染防止法等の一部を改正する法律案については賛成します。しかし、政府が出した原案に反対し、本当に多くのアスベスト被害者が望んでいる修正案に賛成の方向で討論を行います。

 今、マスコミの方々がたくさん来られています。そして、アスベストの被害者の方々もたくさん来られています。大臣は今、目を見て答えられませんでした。明らかにこの原案は、アスベスト被害者ですら納得していない。だれもが反対しているすき間だらけのこういった救済法案で、だれが救われるんでしょうか。

 私たち政治家の使命は、国民の安全と安心をしっかり守ることなんです。今多くの国民が注目して見ているのは、この政府に責任があったアスベストの問題で、こういった中途半端で金銭的に不十分な原案を通すのか、それとも、私たちが良心に基づいて、しっかりとしたアスベスト被害を補償する、そして就学援護などもちゃんとやる、そういった修正案を通すのかどうなのか、まさに私たち政治家のモラルが問われています。ぜひ、私たちが信念を持って国民の安全、安心を守っていこうではありませんか。

 以上で討論を終わります。(拍手)

木村委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

木村委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、石綿による健康被害の救済に関する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、長浜博行君外五名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

木村委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決いたします。

 原案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

木村委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

木村委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、岩永峯一君外二名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。岩永峯一君。

岩永委員 私は、ただいま議決されました石綿による健康被害の救済に関する法律案に対する附帯決議につき、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党を代表いたしまして、その趣旨を説明申し上げます。

 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。

    石綿による健康被害の救済に関する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。

 一 指定疾病については、中皮腫及び肺がん以外の疾病についても被害の実態の把握に努め、必要に応じて対象に加えること。

 二 石綿に暴露した可能性のある周辺住民に対する健康相談及び問診の実施や、さらに医学的に必要と認められる住民に対する定期的な経過観察等、健康管理対策を図るよう努めること。

 三 本法に基づく政令の制定に当たっては、国会における論議を踏まえ、被害者救済の趣旨が損なわれないよう十分に留意すること。

 四 中皮腫について、臨床データを収集・共有するための情報システムの整備等、早期診断・治療法の開発のための基盤整備を行うこと。

 五 石綿関連疾患にかかった労働者については、今後、労働者災害補償保険法による保険給付を受ける権利が時効により消滅することがないよう、労使や医療関係者等に対する効果的な周知活動を行うこと。

 六 政府は、石綿による健康被害の実態について十分調査・把握し、本制度の施行に反映させるよう努めること。

 七 政府は、本制度の施行状況につき毎年とりまとめて公表するとともに、併せて最新の医学的知見、海外の状況その他の情報の収集と因果関係の解明に努め、その結果を踏まえて、必要があれば、施行後五年を待たずとも本制度について適宜適切に所要の見直しを行うものとする。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。(拍手)

木村委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

木村委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

    ―――――――――――――

木村委員長 次に、内閣提出、石綿による健康等に係る被害の防止のための大気汚染防止法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

木村委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

木村委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、岩永峯一君外二名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。富田茂之君。

富田委員 私は、ただいま議決されました石綿による健康等に係る被害の防止のための大気汚染防止法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につき、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。

    石綿による健康等に係る被害の防止のための大気汚染防止法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。

 一 従来の建築物の解体等におけるアスベストの飛散防止対策に加え、新たに工作物の解体等の際にも対策の徹底が図られるよう、国においては関係府省が密接に連携しつつ、各地方公共団体等におけるアスベストの使用実態等の情報の共有化に努めること。

 二 地方公共団体が行うアスベスト対策に要する経費について、適切な財政措置を講ずること。

 三 建築基準法による規制の実効性を確保するため、アスベストを使用している建築物の実態調査を進めるとともに、建築物所有者等に対する相談体制等の環境整備を行うこと。

 四 アスベスト廃棄物が大量に排出されることに伴い処理費用の高騰が懸念されることから、不法投棄など不適正処理を招かないよう、アスベスト廃棄物の追跡管理を強化するとともに、国と地方公共団体が連携して規制の徹底、監視の強化等に万全を期すること。

 五 アスベストによる被害の未然防止に万全を期すため、本法案による関係四法律の改正のみならず、「アスベスト問題に係る総合対策」(平成十七年十二月二十七日アスベスト問題に関する関係閣僚による会合)に盛り込まれた施策について、政府は地方公共団体、事業者、国民と一丸となって実施していくとともに、適切な時期にフォローアップを行うこと。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。(拍手)

木村委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

木村委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいま議決いたしました両附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。小池環境大臣。

小池国務大臣 ただいま御決議のございました両附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重いたしまして、努力する所存でございます。

    ―――――――――――――

木村委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

木村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十時五十六分散会


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