衆議院

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第3号 平成18年2月17日(金曜日)

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平成十八年二月十七日(金曜日)

    午後零時十分開議

 出席委員

   委員長 木村 隆秀君

   理事 石崎  岳君 理事 岩永 峯一君

   理事 加藤 勝信君 理事 松浪 健太君

   理事 山本 公一君 理事 田島 一成君

   理事 長浜 博行君 理事 富田 茂之君

      宇野  治君    川条 志嘉君

      小杉  隆君    木挽  司君

      近藤三津枝君    坂井  学君

      篠田 陽介君    竹下  亘君

      とかしきなおみ君    並木 正芳君

      根本  匠君    馬渡 龍治君

      近藤 昭一君    篠原  孝君

      高井 美穂君    村井 宗明君

      吉田  泉君    高木美智代君

      江田 憲司君

    …………………………………

   環境大臣         小池百合子君

   環境副大臣        江田 康幸君

   環境大臣政務官      竹下  亘君

   政府特別補佐人

   (公害等調整委員会委員長)            加藤 和夫君

   環境委員会専門員     齊藤  正君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月十七日

 辞任         補欠選任

  井脇ノブ子君     川条 志嘉君

同日

 辞任         補欠選任

  川条 志嘉君     井脇ノブ子君

    ―――――――――――――

二月二日

 アスベスト対策基本法の制定、すべての被害者の補償に関する請願(阿部知子君紹介)(第六九号)

 同(赤松広隆君紹介)(第七〇号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第七一号)

 同(荒井聰君紹介)(第七二号)

 同(石井郁子君紹介)(第七三号)

 同(市村浩一郎君紹介)(第七四号)

 同(岩國哲人君紹介)(第七五号)

 同(枝野幸男君紹介)(第七六号)

 同(小沢鋭仁君紹介)(第七七号)

 同(大島敦君紹介)(第七八号)

 同(大畠章宏君紹介)(第七九号)

 同(岡本充功君紹介)(第八〇号)

 同(奥村展三君紹介)(第八一号)

 同(笠井亮君紹介)(第八二号)

 同(川内博史君紹介)(第八三号)

 同(川端達夫君紹介)(第八四号)

 同(河村たかし君紹介)(第八五号)

 同(菅野哲雄君紹介)(第八六号)

 同(小宮山洋子君紹介)(第八七号)

 同(古賀一成君紹介)(第八八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第八九号)

 同(近藤昭一君紹介)(第九〇号)

 同(近藤洋介君紹介)(第九一号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第九二号)

 同(志位和夫君紹介)(第九三号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第九四号)

 同(重野安正君紹介)(第九五号)

 同(末松義規君紹介)(第九六号)

 同(鈴木克昌君紹介)(第九七号)

 同(仙谷由人君紹介)(第九八号)

 同(園田康博君紹介)(第九九号)

 同(高木義明君紹介)(第一〇〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一〇一号)

 同(高山智司君紹介)(第一〇二号)

 同(武正公一君紹介)(第一〇三号)

 同(辻元清美君紹介)(第一〇四号)

 同(筒井信隆君紹介)(第一〇五号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第一〇六号)

 同(土肥隆一君紹介)(第一〇七号)

 同(中川正春君紹介)(第一〇八号)

 同(仲野博子君紹介)(第一〇九号)

 同(永田寿康君紹介)(第一一〇号)

 同(長浜博行君紹介)(第一一一号)

 同(長安豊君紹介)(第一一二号)

 同(西村智奈美君紹介)(第一一三号)

 同(羽田孜君紹介)(第一一四号)

 同(鉢呂吉雄君紹介)(第一一五号)

 同(伴野豊君紹介)(第一一六号)

 同(日森文尋君紹介)(第一一七号)

 同(平岡秀夫君紹介)(第一一八号)

 同(古川元久君紹介)(第一一九号)

 同(保坂展人君紹介)(第一二〇号)

 同(細川律夫君紹介)(第一二一号)

 同(細野豪志君紹介)(第一二二号)

 同(馬淵澄夫君紹介)(第一二三号)

 同(前田雄吉君紹介)(第一二四号)

 同(牧義夫君紹介)(第一二五号)

 同(松木謙公君紹介)(第一二六号)

 同(松原仁君紹介)(第一二七号)

 同(三日月大造君紹介)(第一二八号)

 同(三井辨雄君紹介)(第一二九号)

 同(村井宗明君紹介)(第一三〇号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一三一号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第一五三号)

 同(石井郁子君紹介)(第一五四号)

 同(笠井亮君紹介)(第一五五号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一五六号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一五七号)

 同(志位和夫君紹介)(第一五八号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一五九号)

 同(下条みつ君紹介)(第一六〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一六一号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一六二号)

同月九日

 アスベスト対策基本法の制定、すべての被害者の補償に関する請願(吉井英勝君紹介)(第二二四号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二五八号)

 同(吉井英勝君紹介)(第三四三号)

 アスベスト対策の推進を求めることに関する請願(菅野哲雄君紹介)(第三一二号)

 同(重野安正君紹介)(第三一三号)

 同(辻元清美君紹介)(第三一四号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第三一五号)

 同(保坂展人君紹介)(第三一六号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第三四四号)

 同(石井郁子君紹介)(第三四五号)

 同(笠井亮君紹介)(第三四六号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三四七号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第三四八号)

 同(志位和夫君紹介)(第三四九号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三五〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三五一号)

 同(吉井英勝君紹介)(第三五二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 環境保全の基本施策に関する件

 公害紛争の処理に関する件


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     ――――◇―――――

木村委員長 これより会議を開きます。

 環境保全の基本施策に関する件及び公害紛争の処理に関する件について調査を進めます。

 この際、環境大臣から所信を聴取いたします。小池環境大臣。

小池国務大臣 環境大臣及び地球環境問題担当大臣の小池でございます。第百六十四回国会における衆議院環境委員会の御審議に先立ち、環境行政に対する私の所信を申し述べ、委員各位の御理解と御協力をお願いしたいと存じます。

 初めに、石綿対策について申し上げます。石綿による健康被害の救済に関する法律及び石綿による健康等に係る被害の防止のための大気汚染防止法等の一部を改正する法律につきましては、本委員会での御審議を経て、去る二月三日に成立させていただきました。この間の委員各位の格別の御指導に対し心から御礼申し上げます。今後は、これらの法律の一刻も早い施行に向け、全力を挙げてまいります。

 私たちは今、地球から絶え間ない警告を受けています。世界各地で熱波、洪水、干ばつ等の異常気象が発生し、我が国でも強大な台風による被害が発生しました。この冬の豪雪被害をもたらしている寒波も、東南アジアの上昇気流の活発化と、北極周辺の気圧変動などの要素が複雑に関係していると言われています。

 これらの自然災害と地球温暖化との関係を個別に実証することはできませんが、今後、地球温暖化が進行すれば、このような異常気象が頻発することが予想されています。

 就任以来私は、環境問題の原因となっている事業活動やライフスタイルのあり方を根本から見直し、環境をよくすることが経済を発展させ、経済の活性化が環境を改善する社会づくりを進めてまいりました。

 チーム・マイナス六%の国民運動は、多くの国民の皆様、企業、団体などに参加、御協力をいただき、小さな取り組みをこつこつと積み上げて大きな成果を上げています。

 昨年夏に取り組みを始めたクールビズは、国民各界各層の御賛同を得て、オフィスの省エネを進め、二酸化炭素の排出削減に寄与しただけでなく、経済的にもプラスの効果をもたらしました。また、この厳冬の中、ウオームビズにも幅広い御賛同をいただいており、一年を通じた職場や家庭での温暖化対策が根づいてきています。

 二十一世紀は環境の世紀であり、今こそ地球からの警告と国民の共感の高まりを受けとめ、社会経済の変革をさらに加速することが必要と考えます。環境省では、地球社会への発信力を高めること、地域社会において国民の知恵と行動力を結集することの二つの視点を持ち、脱温暖化社会の構築と循環型社会の構築を二本柱として施策を推進します。

 脱温暖化社会の構築につきましては、我が国は、国際社会の一員としての責任を果たすため、他国のモデルとなる環境先進国として、議定書の削減約束達成に向けて確実に前進していかなければなりません。

 このため、世界最高水準の我が国の太陽光発電システムを生かし、その導入拡大を目指したソーラー大作戦の展開、クールビズの定着はもちろん、チーム・マイナス六%等の大規模国民運動の推進、温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度の基盤整備などに取り組みます。さらに、京都メカニズムのクレジットの取得を計画的かつ効率的に進めるため、地球温暖化対策推進法の改正案を今国会に提出したところであり、また、業務用冷凍空調機器からのフロン類の回収率を向上させるため、フロン回収破壊法の改正案を提出いたします。

 将来的には、すべての国が参加する実効ある枠組みの構築が必要です。このため、昨年モントリオールで開催された気候変動枠組み条約第十一回締約国会議及び京都議定書第一回締約国会合の結果を踏まえ、米国や中国、インドなどの途上国との長期的協力に関する対話を強力に進めてまいります。アジア太平洋地域については、同地域を中心とした気候変動影響モニタリング・評価ネットワークの構築により地球温暖化対策への積極的参加を促すほか、さきにシドニーで開催されたクリーン開発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップ第一回閣僚会合の成果を受け、エネルギー、環境技術の開発などを促進するための官民協力を進めてまいります。

 環境税については、平成二十年から京都議定書の第一約束期間が始まることを踏まえ、既存の税制との関係などに考慮を払いながら早急に検討してまいります。

 我が国の経済社会は、膨大な量のエネルギーと天然資源の投入によって成り立っており、脱温暖化社会の構築と並んで循環型社会の構築が課題となっています。

 リデュース、リユース、リサイクルのいわゆるスリーRの取り組みの推進については、レジ袋の削減策などを盛り込んだ容器包装リサイクル法の改正案を今国会に提出したいと考えております。私は、レジ袋や紙袋にかわるものとして、日本の伝統文化であるふろしきが循環型社会を考えるきっかけになると考えています。もったいないふろしき、もったいないバッグの利用など、国民運動を展開してまいります。

 国内でのごみゼロ社会の実現のみならず、アジアを中心とした国際的な視点でスリーRを推進することも重要です。昨年四月に我が国で開催されたスリーRイニシアチブ閣僚会合の成果を踏まえ、東アジア地域における循環型社会の構築のための施策を進めてまいります。

 また、昨年創設した循環型社会形成推進交付金制度の一層の充実、改善を図り、地域からの循環型社会への変革を進めます。さらに、優良な産業廃棄物業者の育成や電子マニフェストの普及啓発などを通じて、不法投棄対策と適正処理対策を推進していきます。

 こうした、脱温暖化社会の構築と循環型社会の構築を目指して、経済や地域コミュニティーの活力を向上させながら環境を保全するための道筋を示す第三次環境基本計画を策定します。さらに、これも踏まえて、二〇五〇年ごろの日本、アジア及び地球の環境を見通した上で、あるべき社会の姿を提示し、その実現を目指す環境政策の超長期ビジョンの策定に取り組みます。また、環境ビジネスの振興、環境配慮型の契約の活用などを通じた経済のグリーン化の推進や、環境研究、環境技術の戦略的推進、我が家の環境大臣事業などによる家庭、学校、地域における環境教育の推進、地域のパートナーシップの促進を図ってまいります。

 生物多様性の保全と自然との共生の推進も、我が国の環境政策を進める上で重要な課題です。全国二十八カ所の国立公園や、世界自然遺産である屋久島、白神山地、知床などのすぐれた自然環境の保護と適正な利用に努めるほか、外来生物対策としてジャワマングースやオオクチバスなどの特定外来生物の防除事業などを進めます。また、鳥獣の生息状況や農林水産業などへの被害を踏まえたきめ細かい保護管理を可能とするため、鳥獣保護法の改正案を今国会に提出いたします。

 このほか、安全、安心な社会の構築をより一層進めるため、ヒートアイランド対策を進め、交通環境対策を推進します。また、水環境の目標や監視手法の再検討など、水環境保全施策の枠組みの再構築を初めとする水・土壌環境対策に取り組むほか、有害物質の監視や国際的な情報交換も踏まえた化学物質対策、公害健康被害対策、被害の未然防止のための毒ガス対策を進めてまいります。

 水俣病問題については、本年、水俣病公式確認五十周年の節目を迎えるに当たり、一昨年の関西訴訟最高裁判決や平成七年の政治解決も踏まえ、すべての水俣病被害者が地域社会で安心して暮らしていけるよう対策を進めます。

 これらの政策を進めるためには、その基盤的な研究と技術開発のための体制を整備し、専門家や技術者の育成を進めることが必要です。

 国立環境研究所においても、独立行政法人改革の趣旨に沿い、研究、人事交流の促進等を通じて効率的な運営を確保するため、研究所の役職員の非公務員化を図る独立行政法人国立環境研究所法の改正案を今国会に提出したところです。

 また、国民のニーズ、地域の実情に応じた環境政策を展開するため、昨年十月に発足した地方環境事務所を最大限活用します。

 さて、我が国はついに人口減少社会に突入し、明治以来の人口増加を前提とした社会システムを見直す必要があります。そこで、先般、私は、子や孫に自信を持って引き継げる国土環境・都市環境づくりに向けた考え方を、「自然資本 百年の国づくり」として取りまとめ、発表いたしました。

 今、政府、事業者、国民のそれぞれが、我が国の未来に思いを至らせ、大胆な発想で環境保全と経済発展が両立する国づくりに向けて取り組むことが必要であり、私としても、こうした環境立国が実現されるよう、全力を挙げてまいります。

 委員各位におかれましては、環境行政の一層の推進のため、今後とも御支援、御協力を賜りますようお願いを申し上げます。

 ありがとうございました。(拍手)

木村委員長 以上で環境大臣の所信表明は終わりました。

 次に、平成十八年度環境省所管予算及び環境保全経費等の概要について説明を聴取いたします。江田環境副大臣。

江田副大臣 昨年の十一月二日に環境副大臣を拝命いたしました江田康幸でございます。

 二十一世紀は環境の世紀と言われ、環境と経済の好循環を目指して新たな社会の構築が求められておるところでございますが、環境省が、小池大臣のもと、その責任を十分に果たしていくことができますよう、全力で環境行政に取り組む所存でございます。木村委員長初め委員各位の御指導、御鞭撻をよろしくお願い申し上げます。

 続きまして、平成十八年度環境省所管一般会計予算及び特別会計予算について御説明申し上げます。

 まず、一般会計予算では、総額二千百七十四億二千九百万円を計上しております。

 以下、その主要施策について御説明申し上げます。

 第一に、地球環境保全対策につきましては、まず、京都議定書の削減約束の達成に向けた地球温暖化対策に取り組んでまいります。あわせて、環境税につきましては、平成二十年から京都議定書の第一約束期間が始まることを踏まえ、既存の税制との関係などに考慮を払いながら早急に検討を進めます。また、アジアを中心とする環境協力を含む地球環境保全対策の推進を図ります。これらに必要な経費としまして二百二十三億四千四百万円を計上しております。

 第二に、廃棄物・リサイクル対策につきましては、リデュース、リユース、リサイクルのいわゆるスリーRの取り組みの推進、不法投棄対策や適正処理対策の推進などに必要な経費としまして七十三億八千六百万円を計上しております。

 また、昨年創設しました循環型社会形成推進交付金などを活用した廃棄物処理・リサイクル施設や浄化槽の整備に必要な経費として九百二十三億二千万円を計上しております。

 第三に、総合的な環境政策の推進につきましては、環境政策の超長期ビジョン策定に向けた取り組み、環境ビジネスの振興などを通じた経済のグリーン化、環境教育の推進や地域のパートナーシップの促進などに必要な経費として八十五億三千三百万円を計上しております。

 第四に、自然環境の保全対策につきましては、全国二十八カ所の国立公園や、世界自然遺産である屋久島、白神山地、知床などのすぐれた自然環境の保護と適正な利用、外来生物対策などの推進に必要な経費として百四十七億八千四百万円を計上しております。

 第五に、公害による健康被害者の救済等につきましては、石綿による健康被害に係る救済制度や公害健康被害補償制度の適正かつ円滑な実施、水俣病対策や国内における旧軍毒ガス対策などの着実な推進に必要な経費として二百四十二億九千四百万円、大気汚染等の防止につきましては、ヒートアイランド対策や交通環境対策などの推進に必要な経費として二十二億二千八百万円、水質汚濁等の防止については、水環境の目標や監視手法の再検討など水環境保全施策の枠組みの再構築、土壌環境対策などを進めるために必要な経費として二十八億七千七百万円、環境保全に関する調査研究、技術開発につきましては、環境汚染の監視と防止、地球環境の保全、廃棄物の適正な処理に関する調査研究、技術開発の推進に必要な経費として百二億六千百万円を計上しております。

 第六に、国民のニーズ、地域の実情に応じた環境政策を展開するため、昨年十月に発足しました地方環境事務所における経費として五十六億九百万円を計上しております。

 次に、特別会計予算につきましては、世界最高水準の我が国の太陽光発電システムを生かし、その導入拡大を目指したソーラー大作戦の展開、大規模国民運動の推進、京都メカニズムのクレジットの計画的かつ効率的な取得などに必要な経費として、石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計に一般会計から二百五億円の繰り入れを行い、総額二百三十八億五百万円を計上しております。

 以上が、平成十八年度環境省所管一般会計予算及び特別会計予算の概要であります。

 次に、各府省の平成十八年度環境保全経費等の概要について御説明申し上げます。

 まず、政府全体の環境政策を効果的に実施することを目的として取りまとめております環境保全経費につきましては、平成十八年度におけるその総額は二兆一千三百四十二億円であり、前年度の当初予算に比べ二千三百十二億円、九・八%の減となっております。

 これを事項別に見ますと、地球環境の保全のために四千六百一億円、大気環境の保全のために三千三十六億円、水環境、土壌環境、地盤環境の保全のために八千百八十三億円、廃棄物・リサイクル対策のために一千四百四十二億円、化学物質対策のために百二十三億円、自然環境の保全と自然との触れ合いの推進のために三千百七十四億円、各種施策の基盤となる施策等のために七百八十二億円が計上されております。

 次に、財政投融資計画における環境保全関係経費につきましては、主なものとして、地方公共団体の下水道整備、廃棄物処理施設などの事業を推進するため、地方債計画において所要の額を予定しているほか、日本政策投資銀行などにおいて地球環境対策、環境配慮型社会形成促進対策など所要の融資を引き続き行うこととしております。

 以上、平成十八年度の各府省の環境保全経費等の概要について御説明申し上げました。

 よろしくお願い申し上げます。

木村委員長 以上で説明は終わりました。

 次に、平成十七年における公害紛争の処理に関する事務の概要等について説明を聴取いたします。加藤公害等調整委員会委員長。

加藤政府特別補佐人 公害等調整委員会委員長の加藤でございます。就任以来三年数カ月になりましたが、ことしもまたよろしくお願いいたします。

 公害等調整委員会が平成十七年中に行った公害紛争の処理に関する事務及び平成十八年度公害等調整委員会の歳出予算要求額について御説明申し上げます。

 まず、公害紛争の処理に関する事務について申し上げます。

 第一に、平成十七年に当委員会に係属した公害紛争事件は、平成十五年に、福岡、佐賀、長崎、熊本の四県の漁民及び漁業協同組合連合会から国を相手方として申請があり、平成十七年八月に棄却の裁定を行った有明海における干拓事業漁業被害原因裁定申請事件、富山地方裁判所に係属中の出し平ダム排砂差しとめ等請求事件に関し、同裁判所から嘱託のあった富山県黒部川河口海域における出し平ダム排砂漁業被害原因裁定嘱託事件等合計二十件であって、従前に比して裁定申請事件の増加の傾向が顕著であります。これらのうち、平成十七年中に終結した事件は、さきに述べました有明海における干拓事業漁業被害原因裁定申請事件、同年六月に調停が成立した東京都地下鉄等騒音・振動被害防止調停申請事件等九件であります。

 以上のほか、水俣病損害賠償調停申請事件の調停成立後に申請人の症状に変化が生じたとして慰藉料額等の変更を求める事件が八件あり、これらのうち、六件は終結し、二件は現在鋭意手続を進めているところであります。

 第二に、平成十七年に都道府県公害審査会に係属した公害紛争事件は七十七件であり、工場、事業所、道路及び廃棄物処理場に係る事件が多くなっております。これらのうち、同年中に終結した事件は三十四件であります。

 公害紛争処理法においては、当委員会と都道府県公害審査会はそれぞれが独立の機関として職務を遂行することとされておりますが、公害紛争の迅速かつ適正な解決のため、審査会との間に情報の提供や事件の引き継ぎ等において緊密な連携を図っているところであります。

 第三に、平成十六年度における全国の地方公共団体の公害苦情相談窓口に寄せられた公害苦情は、調査開始以来初めて十万件を超えた昨年から六%減少し、約九万四千件となっております。

 これを苦情の種類別に見ますと、大気汚染、水質汚濁、騒音、悪臭などいわゆる典型七公害に関する苦情は約六万六千件で、それ以外の苦情は約二万九千件であります。

 公害苦情につきましては、都道府県及び市区町村がその処理に当たっておりますが、当委員会としては、この事務を担当する職員の研修、苦情処理に必要な情報の提供等を積極的に行っているところであります。

 続きまして、平成十八年度公害等調整委員会の歳出予算要求額について御説明申し上げます。

 当委員会の歳出予算要求額は五億九千五百万円であり、これを前年度の当初予算額六億八百万円と比較いたしますと、二・〇%、千三百万円の減額となっております。

 次に、その内訳でありますが、第一に、当委員会に係属する公害紛争事件の審理経費等として五億八千万円を計上し、第二に、公害紛争の処理を担当する都道府県公害審査会委員及び担当職員との連絡協議のための経費等として千五百万円を計上しております。

 以上が、平成十七年における公害紛争の処理に関する事務の概要及び平成十八年度公害等調整委員会の歳出予算要求額の概要であります。

 公害等調整委員会といたしましては、今後とも、これらの事務を迅速かつ適正に処理するため、鋭意努力してまいる所存であります。何とぞよろしくお願い申し上げます。

木村委員長 以上で説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十三分散会


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