衆議院

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第6号 平成18年3月14日(火曜日)

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平成十八年三月十四日(火曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 木村 隆秀君

   理事 石崎  岳君 理事 岩永 峯一君

   理事 加藤 勝信君 理事 松浪 健太君

   理事 山本 公一君 理事 田島 一成君

   理事 長浜 博行君 理事 富田 茂之君

      井脇ノブ子君    岩屋  毅君

      宇野  治君    小杉  隆君

      木挽  司君    近藤三津枝君

      坂井  学君    篠田 陽介君

      竹下  亘君  とかしきなおみ君

      並木 正芳君    林   潤君

      馬渡 龍治君    近藤 昭一君

      篠原  孝君    高井 美穂君

      村井 宗明君    吉田  泉君

      高木美智代君    江田 憲司君

      野田 聖子君

    …………………………………

   環境大臣         小池百合子君

   環境副大臣        江田 康幸君

   環境大臣政務官      竹下  亘君

   政府参考人

   (総務省行政管理局長)  藤井 昭夫君

   政府参考人

   (総務省行政評価局長)  福井 良次君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            田村 義雄君

   参考人

   (独立行政法人国立環境研究所理事長)       大塚柳太郎君

   環境委員会専門員     齊藤  正君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十四日

 辞任         補欠選任

  根本  匠君     林   潤君

同日

 辞任         補欠選任

  林   潤君     根本  匠君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 独立行政法人国立環境研究所法の一部を改正する法律案(内閣提出第四〇号)


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     ――――◇―――――

木村委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、独立行政法人国立環境研究所法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として独立行政法人国立環境研究所理事長大塚柳太郎君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として総務省行政管理局長藤井昭夫君、総務省行政評価局長福井良次君及び環境省総合環境政策局長田村義雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

木村委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木挽司君。

木挽委員 おはようございます。自民党の木挽司でございます。

 独立行政法人国立環境研究所法の一部を改正する法律案について、質問させていただきたいと思います。

 平成八年、橋本首相の施政方針演説であったと記憶しておりますが、社会党との連立内閣のもと、一人も解雇することなく行政改革をやるという旨のお話を聞いたとき、当時機械メーカーを経営していた私は、そんなことができるのだろうかと思ったものです。

 たしか、そのころはエージェンシーという言葉を使っていたと思いますが、当時イギリスのサッチャーさんが実行した行政改革の中で、政策立案する者と現場の者とに公務員を分けて、現場の公務員をエージェントをつくってアウトソーシングした、そういった形を参考にして、その後紆余曲折を経て平成十三年に独立行政法人ができたわけです。

 大体が単年度主義の予算制度になじまないなどの問題を抱えていた試験所とか研究所とかが独立行政法人化されたんですが、私は、最終目標は、本当の意味での民営化を見据えて、民営化か廃止か、そういったことを選別することが必要と考えております。

 事環境研究所においては、逆に国の機関に戻すべきではないかとの意見も聞こえております。そのあたり、まず田村総合環境政策局長はどのようにお考えか、お聞かせください。

田村政府参考人 お答え申し上げます。

 国立環境研究所自体を民営化すべきである、あるいは国の機関にすべきである、さまざまな議論がございました。特に、独立行政法人として十三年にスタートしたときには、おっしゃるようなエージェンシーの議論から始まって、国環研についてもさまざまな議論があったところでございます。

 やはり国立環境研究所というものが環境行政の科学的基盤を支えているわけでございますし、何か、民営化するということでありますと、通常は、業務の採算性とか、かつ国の関与の必要性がどうかとか、企業経営による方が業務をより効率的にできるのではないか、そういうような基準から普通民営化というものを考えているわけですが、明らかにそれになじむものではないということから、民営化の議論というのは国環研についてはほとんど取り上げられていないというふうに考えております。

 また、それでは直接国の機関にすべきではないかという議論でございますが、これについてもさまざまな観点、例えば、私人の権利義務に直接かつ強度の制限等を及ぼす公権力の行使を行うような機関とか、あるいは、その性質上国がみずからの名において行う、そうしなければ成立しない事務事業であるとか、あるいは、災害等国の重大な危機管理、それに直結して直接国の責任において行うということ、そのようなことについてはそのまま国の事業としてということでございます。

 国立環境研究所の業務全体を考えた場合に、今申し上げたように、全く民間にゆだねることは適切でございませんけれども、今のようなことから、国が直接主体となってこれを実施していかなきゃならないという必要性も必ずしもないのではないかということ等を総合勘案いたしまして、この独立行政法人制度にまさに乗るものとして、独立行政法人化することが適当である、そのように考えた次第でございます。

木挽委員 この独立行政法人、全般的に、国の行政機関であったときと比べてその長の裁量に任せる部分がふえて、財政面でも年度を越して支出ができ、政府の補助金ではなく交付金で支給するといったことになりましたね。つまり、国の行政機関であったときと比べて相当な自由裁量を持つことになったわけです。

 当然、しっかりやってもらわなければならない。中期目標をつくって、主務省である環境省に評価委員会を置いて、その上で総務省にもう一つ、ダブルチェックの形で評価委員会がつくられました。

 平成十七年七月の時点で十五人の評価委員で構成されている環境省独立行政法人評価委員会と、総務省の評価委員会とのこのダブルチェック体制、それぞれどのように現在機能しているのでしょうか。田村局長、もう一度御説明いただきたいと思います。

田村政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、環境省の独立行政法人評価委員会でございますが、これは、今お話がございましたように、専門的な知識を持つ第三者で構成されておりまして、環境省所管の独立行政法人について客観的そして専門的な見地から、各事業年度及び中期目標に係る業務の実績に関する評価を行う、あるいは中期計画の認可等の主務大臣の処分等に当たりまして意見を述べるということがその中心でございます。

 他方、今御質問にございました総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会の方は、それぞれの各府省に置かれております独立行政法人委員会が行います独立行政法人の業務の実績に関する評価等につきまして、その適正性を確保するため、今ダブルチェックというお話がありました、まさにダブルチェックということでございますが、独立行政法人制度に関する専門性を持ちます外部有識者から構成されます第三者機関として、いわば専門的、客観的そして中立的な立場からダブルチェックを行っているわけでございます。

 独立行政法人の業務運営自体は、基本的に独立行政法人という性格から自主性、自律性にゆだねられているわけでございますけれども、事後の評価が何よりも重要とされているところでございますので、各府省、私ども環境省の独立行政法人委員会と総務省の政策評価・独立行政法人委員会によるダブルチェックによりまして、まさに業務の効率性を担保している、その確保を図っているという仕組みになっております。

木挽委員 田村局長に続いてお聞かせいただきたいんですが、このダブルチェック体制、今現在総務省にもう一つの評価委員会が置かれておりますけれども、会計検査院とか内閣府に独立した評価委員会を持っていった方がより厳しくできるのではないかというような意見も私承ったことがあるんです。

 その辺、当然会計検査院ともかかわりはございますが、そういったところの役割分担についてもちょっと触れていただけたらと思います。

田村政府参考人 お答え申し上げます。

 会計検査院というお話でございます。

 この会計検査院自体は、御承知のように会計検査を行う独立機関でございまして、これは、会計検査院は独立行政法人に対して検査を行っているわけでございますけれども、基本的には、やはり会計検査院という性格から、国からの支出が適正に執行されているかという観点、あるいは国民からの税金が財源である以上その資金が経済的、効率的に、有効に使用されているかという観点からチェックをしているわけでございます。

 他方、今申し上げました環境省の独立行政法人評価委員会、あるいは総務省の、その上に立つ独立行政法人評価委員会自体は、独立行政法人の会計のみにかかわらず、全体の業務の実績に関する評価、あるいは業務運営の改善その他の勧告を行うということでございますので、業務全般を対象として行われるものでございますし、また、資金という経済性の面だけでなく、国民に対するサービスといいますか、全体の向上のために何をなすべきかといった観点からも行われるわけでございますので、その対象あるいは観点を異にするものでございます。

 ただ、いずれにしても、御質問にありましたように、会計検査の観点からのチェックというのも非常に大事でございますので、独立行政法人にとってこれらの、いわば三重になりますけれども、それぞれの向上の確保を図るために行われるものである、そのように考えております。

木挽委員 引き続き、また聞かせていただきたいんですが、会計検査院の件についても今述べていただいたんですが、もともとこういった総務省に置かれている評価委員会、ダブルチェックの部分を会計検査院とか内閣府の独立したところに持っていったらどうかというのは、結局、同じ分野の研究に携わる人たちが評価委員のメンバーの中にいらっしゃいますよね。そういったかかわりの中で、なれ合いになってくるのではないかという懸念をもとに言われているのではないかと私は思うんですが、その辺の懸念について払拭しているものがあれば、ひとつ述べていただきたい、ちゃんとできているのかというようなことですね。

 それともう一つ、最後に局長に、独立法人を非公務員化するということがございますが、労使関係においては、先ほどの論調と並行して、より民間並みにしていくことによって、民営化という最終目標が見えてくるのではないかなどと私自身思っているんですが、非公務員化するということの優位性は何だと局長はとらえていらっしゃいますか。

 その件についても、二点、お聞かせいただきたいと思います。

田村政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず最初の点でございますけれども、やはり基本的には人選だと思います。環境省の独立行政法人評価委員会のメンバーを人選するに当たりましては、何よりも、さっき申し上げましたように、その評価委員会の性格にかんがみまして、その分野の専門家である必要もあるし、あるいは客観的な中立性を保たなきゃいけませんので、例えば、国立環境研究所とは、研究の分野とかいろいろな分野を通じて直接つながりができるだけないことが好ましいと思います。といって、全然そういう環境研究を評価できるような能力がないというのも困りますので、そういう意味で、専門家であるとともに、国環研とはできるだけ客観的な立場にいられる方というのを中心に選んでおりますし、また、そういうことは絶えず私どもも配慮しているつもりでございます。

 それから、二番目の、非公務員化することの優位性、メリットということでございますけれども、御承知のように、今般、国立環境研究所が非公務員型の独立行政法人に変わるわけでございます。そして、基本的には、より自由度が高い、弾力性のある組織運営が確保されることになるのではないかと考えておりまして、具体的には、例えば、法人が独自に定めます柔軟な採用制度、公務員型の場合では国家公務員試験や選考になるわけでございますけれども、より柔軟な採用制度によります、いわば優秀かつ多様な人材の確保が図れるのではないか、あるいは、民間を含めました内外の研究機関とのより活発な人事交流が行われるのではないか、あるいは、弾力的な兼業制度、これも国家公務員の場合には制限がございますから、そういうことを設けることによります研究成果の普及促進が図られるのではないか、そのようなメリットがあると考えております。

木挽委員 局長、ありがとうございました。

 今、非公務員化することで、自由裁量の幅が広がってくる、あるいは、人材の採用制度などにも柔軟性が出てくる、人事交流が広がるなどというふうな形でコメントをいただきましたが、ここで、ちょっと視点を変えて質問をしたいと思います。

 当然、この環境の分野については、地球環境の維持にとって環境研究が重要なのはもう言わずもがなです。先端研究を伸ばしていくには、そのすそ野をいかに広げていくかが大事と考えております。

 私は、日ごろから環境分野で頑張っている若手研究者の方々と交流を持っております。環境研究所もそうした人材育成の役割を積極的に担っていただきたいと考えているものですが、そうした若手研究者たちに直接聞いてみますと、研究所の認知度といいますか、意外にも低いんですね。環境研究所という名称が知られていないだけで、知らないうちに何らかの形で研究の分野だとか学会なんかで接触しているのかもしれませんけれども、そういった学会の発表などを通してアプローチは十分と言えるのかどうか。

 また、研究所の概要資料の業務内容を見ているだけですと、これはほかにもいろいろ資料があるのかもしれませんが、私が拝見をさせていただいた業務の内容、一番から五番まで書いてございました。そこの部分をずっと見ておりますと、業務内容を見ているだけでは、そうした視点が欠けているように思うんです。その辺、いかがでしょうか。

 まず、大塚理事長から御説明いただいた後、そうした、若手研究者を育てる、環境分野のすそ野を広げるという観点から、やはり研究の分野で、先般、予算の分科会で力強いお言葉をいただきました江田副大臣からもコメントをちょうだいしたいと思います。

大塚参考人 お答えいたします。

 国立環境研究所といたしましては、人材育成について、科学技術基本計画にも定められておりますように、特にすぐれた若手研究者の育成、能力を最大に発揮して環境政策に貢献できるよう、研究環境を整えることが重要であるという認識で参っております。

 現在、国立環境研究所では、いわゆる若手任期付研究員を二十二名、そして、博士課程を修了し常勤研究者になる手前の研究者と言える、いわゆるポスドクですね、ポスドクを八十三人雇用しております。これらの若手研究者に対して、日々の研究業務において必要な指導助言を行うほかにも、教育訓練の場を与えるという意味合いも込めまして、所内で行っております若手研究者を主たる対象とした公募研究制度への積極的な応募を促すなど、その育成に努力をしてきているつもりでございます。

 加えまして、御指摘がございましたように、これまで、任期付研究員法により雇用される若手研究者については原則として更新ができない等の制限があったわけでございますが、本国会において国立環境研究所法が改正され、非公務員化されることになりますと、その制約がなくなりまして、任期等の面でより柔軟な雇用制度を設け、そして、若手研究者がより安定した身分で研究業務に従事することが可能になるというふうに考えております。

 今後とも、これらの制度の充実と若手研究者の育成、そして、さらに国環研の活動が広く世に知れ渡るように努力してまいるつもりでございます。

江田副大臣 御指摘の環境研究というのは、第三期の科学技術基本計画におきましても、引き続き重点四分野の一つということで、これからの環境と経済の好循環を目指して持続可能な社会を実現していく上では、この環境技術、また環境ビジネスというのが大変重要になってくるかと認識しております。とりわけ、資源の多くを我が国は海外に依存しているわけでございますので、資源を節約して環境への負荷を少なくしていくこの環境技術・研究というものは、我が国の産業の強化に大きな役割を果たすものと考えております。

 先生御指摘されました、すそ野を広げて、中小企業における環境研究のノウハウをまた育てていくという御指摘がございましたが、我が環境省におきましても、中小企業を含む民間企業の研究、技術開発を推進するために、競争的研究資金制度を設けております。種々のものがございますが、環境技術に関するもの、また廃棄物処理に関するもの、さらには地球環境保全に関するもの、さらには地球温暖化対策に関するもの、そういうような競争的研究資金制度を設けております。そのほかにも、ナノテクノロジーを活用した環境技術開発事業というものにおきましても、国立環境研究所を中核としまして、ベンチャー企業を含む民間企業との産学官連携体制を整備しまして、新たな環境技術の実用化に取り組んでおります。

 御指摘の若手研究者の育成におきましても、また、こういう中小企業を含めた、すそ野の広い環境技術の推進のためにも、このような環境分野の研究を大いに進めていく所存でございます。

木挽委員 副大臣のコメントの中で、環境と経済の興隆、それから環境ビジネス、中小企業というワードも出てまいりました。そういった観点から一つ。

 月刊環境ビジネスという雑誌の二月号の特集で、「環境キーパーソン100」として、アンケート結果が掲載されておりました。小池大臣、江田副大臣を初め、各省庁、知事、市長、企業経営者などの答えが書かれておりましたが、専門家、研究者の分野で、環境研究所の大塚理事長も回答をなさっておられます。

 今の日本の環境対策に点数をつけるとしたら、百点満点で何点ですかという問いに「五十点」とした上で、今後、日本で環境関連ビジネスが興隆するためにはどのような施策が必要だと考えますかとの問いに、大塚理事長は、「民間のノウハウと力を活用する工夫」そして「優良な「もの」を識別し、推奨する制度」と書かれております。研究所として、そうした考えとリンクして大いに裁量を振るっていただきたいと思います。

 内容についてもお聞きしたかったんですが、時間の関係もございますので、最後に、小池環境大臣にお答えいただきたいと思います。

 特に、今、副大臣からもお話がありました産学連携は非常に重要なことになってくると思います。ただ、私は、先ほどから何度も言っておりますが、そのすそ野の拡大においては、中小企業の持つアイデアも大切にしていかなければならないと思っております。民間企業とのネットワークに力点を置き、なお、大企業だけではなくて、そのすそ野の拡大をねらった中小企業の育成の観点から、環境施策をどのように展開していこうとしておられるのか、小池環境大臣にお答えいただきたいと思います。

小池国務大臣 環境と経済の好循環を進めるという意味でも、産官学の連携、また、今御指摘のように中小企業との連携ということも大変効果的ではないか、このように思います。競争的研究資金などを活用しまして、環境省としても、これまでも中小企業を含めました産官学連携の推進を図ってきたところでございますし、また、これまでの成果も数多くございます。

 そういった意味で、競争的な研究資金を一層拡充していく、そして、今回御議論いただいております国環研の職員の非公務員化ということ、これも契機といたしまして、環境分野におけます我が国の中核的な研究機関として、研究所における民間企業との共同研究により一層弾みをつけていきたい、このように考えているところでございます。

木挽委員 これで質問を終わります。どうもありがとうございました。

木村委員長 次に、高井美穂さん。

高井委員 民主党の高井美穂です。

 私も、引き続き、独立行政法人国立環境研究所法の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願いをいたします。

 大臣に、まず、そもそも今なぜ非公務員化しなければならないのか、つまり、今までの現行制度に問題点があったのか、何のためにするのか、教えていただきたいと思います。

小池国務大臣 先ほど木挽議員の方から、これまでのいろいろな経過についてもお話がございました。それと沿う形になるかと思いますけれども、この独立行政法人制度というのが、中期目標期間を終了するそのたびに、組織であるとか形態、業務全般の見直しを行うということをその制度の中核と位置づけまして、これによって、組織や業務のあり方などについて、これまでも機動的、弾力的な対応を行う、このようになっているわけでございます。

 そして、この見直しの考え方でございますけれども、いわゆる骨太の方針という中にも盛り込んだんですけれども、公務員型の独立行政法人について、その業務の内容によって非公務員型の独立行政法人化を進める、このような指針をつくったわけでございます。

 ところで、この国立環境研究所でございますけれども、この国環研を初めとして、十七年度末に中期目標計画が終了する独立行政法人というのが幾つかございまして、それぞれの所管する府省の方で、どういう形がいいのかということで議論を進めてきたわけでございます。最初は、特定独立行政法人の非公務員化は難しいといったような意見がございました。これは事実でございます。

 ただ、十六年中に、既に先行して、この独立行政法人の公務員、非公務員化のあり方などに結論を出していたという独立行政法人がございまして、最終的には、原則として非公務員化すべきという考え方が出まして、そして、ほとんどの法人が非公務員化するに至ったというような経緯がございました。

 国環研につきましては、本格的な議論は平成十七年度から始めたんですけれども、その際に、先行して見直しを行いました幾つかの法人の議論がもう既にあったということと、それから、見直し作業をしておった最初にいろいろな懸念もあったことは事実で、例えば、非公務員化してしまうと職員のモラルが下がってしまうのではないか、それから、緊急時の対応を一体どうするのかといったような幾つかの課題がございましたけれども、それに対応して必要な措置をとっていこうということがございまして、それによって、幾つかの課題、先ほど申し上げたような課題についても対応が可能である、このように考えたところでございます。

 そこで、済みません、長くなりましたけれども、では、メリットは何かというと、例えば、民間そして大学との人事交流の促進などが、より一層効率的になる、また効果的になるといったような業務運営が進むということ、これを積極的に評価いたしまして、非公務員型の独立行政法人に移行しよう、そして、今御審議をいただいているということでございます。

 長くなって済みませんでした。

    〔委員長退席、松浪(健太)委員長代理着席〕

高井委員 今、まさに大臣がおっしゃった懸念の部分について、私も同様に懸念を持っておりますので、そこら辺を詰めた質問をしていきたいというふうに思います。

 今、経過の説明はよくわかりました。ありがとうございます。ただ、その平成十六年の九月六日に総務省に提出した「組織形態の見直しに係る素案」という環境省の資料の中で、「国立環境研究所は、国の環境政策の根幹にかかわる政策研究機関としての性格を有しており、また、緊急時等における業務の停滞が、国民の生活等に著しい支障を生じさせる懸念があること等から、職員の身分については、引き続き公務員とすることが適当。」と、十六年の九月ですから、ついこの間まではこういう見解を出しておられた。

 今回の法案は、この見解が変わったということなんでしょうか。この素案に書いてあった懸念を払拭されたということで、方針が変わられたのでしょうか。

田村政府参考人 お答え申し上げます。

 経緯については、ただいま大臣から回答申し上げたとおりでございますが、今おっしゃられた、十六年夏の、私どもから提出いたしました「組織形態の見直しに係る素案」、この中では、確かに私どもは公務員型を引き続き維持するということが適当であるという考え方を示したのは事実でございます。

 特に素案で強調いたしましたのは、先生が今読まれた部分でございますけれども、一つは、やはり公務員としてのモラル、使命感に裏打ちされた組織形態が必要なのではないか、あるいは、緊急時における業務停滞というような懸念がどうしてもある、あるいは、調査研究の際の情報提供者における、やはり公務員型だと安心感とか信頼感が確保されるんではないか、その三点が中心だったかと存じます。

 しかし、それらについても、今、大臣からも御答弁申し上げましたように、一つは、やはり他の先行して見直しの結論を得るとされた特定独立行政法人が、いずれも非公務員化ということで最終的には結論を出していったこと。そして、その中で、特に、私どもも本格的議論が平成十七年から始まったわけでございますが、これらの懸念に対して、例えばモラルや使命感の問題、あるいは情報提供者にとっての安心感や信頼感の問題につきましても、今回措置いたしましたように、国家公務員と同様の秘密保持義務を課すとか、あるいは刑法等の罰則適用に関するみなし公務員の規定をその中にあわせて入れるとか、そういった措置を講ずることにより、それらの確保を図ることが可能であると考えられますし、また、緊急時における対応につきましても、これは国環研法の中の法律の中に規定されております、緊急時は環境大臣によって国立環境研究所に対する調査研究の実施命令を活用することができますから、こういうことを十分頭に置きながら、その活用をするというふうなことによって、今三つ懸念を申し上げましたが、いずれも克服できるんではないか。

 そして、克服できるとともに、むしろ非公務員化のメリットでありますところの人事交流等、それらのより弾力的な運営ということをむしろ積極的に評価して、そして非公務員型の独立行政法人に移行ということを十七年度の結論として出し、法律を提案しているところでございます。

高井委員 さまざまな御努力をするという御回答はよくわかるんですが、実際に、ただ情報漏えい等に関しても、官民交流がたくさんになれば、やはりその危険性はあるんではないかというふうに思います。

 具体的に少しずつ話をさせていただきたいと思うんですが、まず、非公務員化するということで、より民間に近い形というか、近づいていく方向に向かっているのではないかと思うんですが、今回、方向を変えることで、具体的に歳出削減なり人員削減なりを予定しているんでしょうか。出向や非常勤の今後の必要性というか、あり方というか、どういうふうになっていくんでしょうか。

田村政府参考人 独立行政法人におきます行政改革の推進ということにつきましては、昨年十二月に閣議決定されました行政改革の重要方針におきまして、独立行政法人の役職員の身分の非公務員化という組織形態、これだけではなく、今の御質問と関連いたしますけれども、例えば一般管理費とかあるいは事業費の具体的な削減・効率化目標を示すということによって、一層効率的な業務運営、歳出削減を目指すこととされているところでございます。

 また、御質問の人員削減につきましても、特に人件費につきましても、十八年度以降の五年間で五%削減をするということが基本方針として出されておりまして、国環研におきましても今策定中でございますが、新しい中期計画におきまして、この五年間で五%削減ということを盛り込む予定にしております。これらの基本方針に従いつつも、一方でやはり、行政ニーズに対応した環境研究等が着実にできるように、必要な予算は何とか運営交付金によって措置していきたいと考えているところでございます。

 また、出向者でございますけれども、国から国環研の方への出向者につきましては、国環研は中心が研究者の主体でございますが、研究者としての出向者はおりませんけれども、やはり研究所の研究と環境行政との間の密接な連携を図るという観点から、主に研究の企画部門あるいはその会計といったような総務部門、あるいは環境情報センター等におきまして、いわば研究の支援業務あるいは所内の管理業務に携わっている出向者を出しております。

 こうした現状につきましては、業務の円滑な推進という観点から、急にこれをどうというようなことではなくて、当面は現行の体制を維持する必要があると考えますけれども、今後につきましては、これは研究所とともに、業務運営や人材の確保、育成についてはよく検討することといたしたいと思っております。

 それから、非常勤の件でございますけれども、非常勤の研究者等につきましては、人件費には御承知のように含まれるわけではありませんけれども、そして、国環研として個別の研究実施に必要な非常勤の人員を雇用しているものでございますけれども、これも引き続き研究ニーズにこたえることのできる必要なという意味での人員の確保には努めてまいりたい、かように考えております。

高井委員 私は、これは、政府が言う純減、人件費、五年で五%削減するというこの中に、てっきり今回のこの国環研の件も含まれているんだと思ったら、実はよく見るとそうではない。国環研の人件費は運営費交付金から出されているということなので、その部分には当てはまらないということだったんです。

 総務省さんにお聞きしたいんですが、この行政改革の重要方針という平成十七年十二月二十四日の閣議決定の中で、恐らく、今回の非公務員化の人件費の件は、この純減の五%の中に入らないんですよね。確認をいたします。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 昨年末閣議決定されました行革の重要方針の中で、各独立行政法人は、今後五年間で五%以上の人件費の削減を行うことを基本とするということを定めているところですが、御質問の趣旨は、その人件費の削減というものはどういう意味かということかと思います。

 この場合は、人件費というのは、通例、給与掛ける人数ということになっております。したがいまして、給与の水準で減らされるのか人数で減らされるのか、それは基本的に各独立行政法人の御判断にゆだねられているということでございます。

 この分の五%削減については、今申し上げましたような各独立行政法人、それは、公務員の身分を有している独立行政法人であるか非公務員化された独立行政法人かによって違うものではなくて、すべてそういうことでやっていただくということになりますので、今回の非公務員化という措置は、この五%の数字とは別の数字ということで御理解いただきたいと思います。

高井委員 まさにこの行政改革の重要方針の中に、「その他の公的部門の見直し」というところで、独立行政法人及び国立大学法人法に基づく法人は、主務大臣が国家公務員に準じた人件費削減の取り組みを行うということを中期目標において示すというふうに書かれております。その次に、今後五年間で五%以上の人件費の削減を行うことを基本とすると。だから、準じてやってくださいということなんだろうと思うんですが、さらにその下には、運営費交付金を抑制するということも取り組んでくれというふうに書いてあります。

 ということは、今、国環研の収入というのは、ほとんど運営費交付金であると思います。そういう中で、まさに最初に懸念した大事なこの環境政策にかかわる研究等が、運営費交付金が減らされることによって停滞していかないか、研究自体に支障が出ていかないか、プロジェクトの継続が不安定になりはしないか、こういった懸念というのはないんでしょうか。

田村政府参考人 お答え申し上げます。

 独立行政法人として国立環境研究所だけが例外というわけではございませんので、国立環境研究所も、やはり今御質問がございました、例えば、人件費の五年間で五%削減とか、あるいは一般管理費とか事業費等の削減、効率化目標というのは示すこととされておりますので、基本とするとありますけれども、国環研もこれに従って中期計画の中に盛り込む予定であると今申し上げました。

 したがいまして、そういうことの中から、歳出削減やあるいは人件費の削減ということについては努力していく必要があるし、きちっと計画の中に目標として盛り込み、かつフォローアップしていく必要があると思っておりますけれども、やはり国環研として、必要な研究ニーズに対して、必ず要る人件費あるいは必要な業務費や事業費、研究費、これらについてはやはりきちっと確保する必要があるわけでございますから、そこは、こういうような状況の中でございますけれども、国環研の研究に支障を来さないように確保についてはきちっと図ってまいりたい、そのように考えております。

高井委員 まさに国環研は、地球温暖化から始まって生物多様性、内分泌攪乱化学物質、廃棄物管理とか、大変に時間のかかる大事な大事なプロジェクトをたくさん抱えておられます。

 そういう中で、今大臣の方針は、政府の方針に従って運営費交付金は削減していかなくてはならない、しかし、国環研としては、環境省の皆さんとしては、確保のための努力をすると。非常に矛盾をしているような気がするんですね。方針は削減していく方向でありながら確保していくというのは、どういうふうなやり方があるんでしょうか。

田村政府参考人 お答え申し上げます。

 ケース・バイ・ケースでさまざまな事例が考えられると思いますが、例えば人件費でいいますと、人員はきちっと確保しても、退職者と入ってくる人たちのバランス上、例えば、給与としての全体の人件費、人件費という場合は、これはもちろん常勤職員に対する手当でございますが、これが減るということは十分考えられますし、必要な人員を確保しつつも、給与体系のいわば年齢構成の相違が少しずつ図られることによってというふうなこともあろうかと思います。

 いろいろな手段があろうかと思いますので、一般管理費や事業費につきましても、研究費という大事なところはともかくとして、一般管理費の中でもやはりかなり効率化できるようなこともあるし、アウトソーシングをもっとふやすとか、さまざまな工夫もあると思いますから、研究の質とか量は落とさずに、かつある程度のそういう意味での削減を図るということも可能であるかと存じますし、またそういうものを目指したい、そのように思っているわけでございます。

高井委員 私は、さまざまな御努力をなされるだろうというのはよくわかります。しかしながら、やはりすべての独法に同じように一つの枠組みをかけるのではなくて、その組織のあり方とかその組織ごとに、また独法ごとに、やはり方向を決めていくという丁寧な作業が本当は必要だったんではないか。ほかのところが全部非公務員化するからうちも仕方がないなということで非公務員化するのは、ちょっとやはり拙速ではないかというふうに考えているところであります。

 独立行政法人評価委員会の国立環境研究所の部会の議事録も拝見いたしますと、石井部会長も本音のところではさまざまな議論をして、大変格調の高い議論をやったと思いますが、よそはこうだからこうであるというようなことではいささか引っ込みもつきにくいと思いますが、かといって勝ち目のない戦争をやってどうなるかということもございますので、仕方なく受け入れましょうというような感じの部会の中での御発言でございました。

 だから、今回の非公務員化によって本当にさまざまな懸念が私自身もやはり消えないんです。さまざまな削減努力はするでしょうけれども、やはり国環研というところは、こういう長期プロジェクトにわたるところは、本来ならば公務員のままでやるべきだったんじゃないか。まあ今さら言っても始まらないかもしれませんが、さまざまな懸念がある部分を、もう少し詰めてお伺いしたいというふうに思っています。

 官民交流が進むということがメリットの中に挙げられるということが先ほどの答弁でもございました。ただ、運営費交付金を現実的に収入の基礎としている中で、特定の営利企業と兼業していくということが国民に本当に納得されるのか。営利企業というのは、やはり自分の企業の収益のために協力をしたり、さまざまな、出向させたりする、交流したりするようになるんだろうと思いますが、それがまた癒着につながっていくおそれはないのか、情報漏えいのおそれはないのか、そこら辺をお伺いしたいと思います。

田村政府参考人 営利企業との関係でございますが、営利企業等との兼業の禁止、これにつきましては、これまでは国家公務員型でございましたから国家公務員法あるいは人事院規則等によって国環研も遵守が義務づけられてきたわけでございますが、非公務員化ということになりますと、これらの規定は適用されなくなるわけでございます。

 したがいまして、これは研究所が独自で定める就業規則におきまして、例えば職務専念義務や兼業の取り扱いをどうするかということについてこれから定めるわけでございますけれども、今考えられておりますのは、具体的には、就業規則におきまして、兼業につきましては、職務遂行に支障が生じるか生じないか、あるいは業務の公正性、信頼性をそれによって損なうことがないかどうか、あるいは特別な企業との利害関係の有無とかあるいはその可能性などを慎重に審査の上で、兼業をするかどうかということを判断する仕組みを設けるというように聞いております。

 こうした仕組みが設けられることによりまして、国環研、非公務員型ですが、独立行政法人としての公的な存在でございますから、国民の納得が得られるように、かつ、今御質問にございましたような企業との癒着の問題が生じないよう、就業規則においてきちっと定め運用がなされていく必要がある、そのように考えます。

高井委員 仕組みを設ける、就業規則において定めるという御回答だったんですが、先ほど申し上げた平成十六年九月の六日に出された素案の中に、「調査研究においては、住民の健康被害や企業等の利害に直接つながる事項を扱う場合も多いため、提供者にとっての安心感や信頼感を得られやすい、国家公務員身分の者が行うことが適当」というふうに出ております。

 この懸念を払拭するように、違う仕組みをつくる、就業規則をつくるという御回答だったと思うのですが、どうしてもその仕組みというのが具体的に私はよく見えてきません。やはり懸念が消えません。もう少し具体的な仕組みづくりというのは、いつごろ出されて、また、もう少し踏み込んだ仕組みづくりというのはあるんでしょうか。

    〔松浪(健太)委員長代理退席、委員長着席〕

田村政府参考人 第一点はやはり、今申し上げた繰り返しでございますが、就業規則の中にきちっと具体的な兼業の運用について書き込むということでございます。これは、この法案成立後でございますけれども、成立させていただいた後に、新しい、いわば中期目標年度が四月一日から始まりますので、できればそれよりも前にきちっとした形でつくっていくことになろうと思いますし、ある程度は新しい中期計画の中にも盛り込むことになろうと思います。

 それからもう一点は、やはり今回の法律の中にもきちっと、例えば、今おっしゃられたように、秘密漏えい等のことに対しては守秘義務の保持とかあるいは盗用禁止というような規定をはっきりと盛り込んでおりますので、そのようなことによってもおっしゃられるような懸念は払拭されるのではないかと考えております。

高井委員 さきの先生の御質問の中でも、研究者の現状、大変な立場にあるというお話もございましたけれども、つい最近、二カ月ほど前ですか、ソウル大学でも、有名になった、ヒトクローン胚からES細胞をつくるという研究が捏造だったという衝撃的なニュースがございました。日本でも昨年からことしにかけて、東大や阪大、また理化学研究所、これは独法ですけれども、研究不正が発覚したり、さまざまなこういうニュースがここ急に起きているのではないかというふうに私は思います。今とても、ある意味で不正が発生しやすい環境にあるのではないか。

 やはり、研究者同士の競争が近年激しさを増していることが背景にあるような気がいたします。大学は二〇〇四年に国立大学法人になって、さらに、先ほどそれこそ大臣もおっしゃった競争的資金が導入されたことにより、やはり研究成果を強く強くアピールしないと、広く認められないと研究資金そのものが獲得できなくなる。研究資金を獲得するためにアピールする、成果をアピールしないと研究資金が取れない、立ち行かなくなるというふうに本末転倒のことが起きているのではないか。そういうことによって、やはり不正や情報漏えいというのが最近ふえてきているのではないかという懸念が私にはあります。

 成果へのプレッシャーというか、成果を明らかにする、目に見えるようにするということへのプレッシャーが余りにも強く、それでつい不正を引き起こしてしまうという環境に研究職員の皆さん自身がなりつつあるのではないかという懸念がありますが、そういった懸念はございませんか。

田村政府参考人 不正行為でございますけれども、これは現在総合科学技術会議においてもそのような観点からいろいろ議論が行われているところでございますが、その中で、主として、研究の提案や実行、研究成果の発表等におきます捏造とかあるいは改ざんとか盗用を一般に不正と指しているわけでございます。

 こうした研究所の不正が発生する理由につきましては、ただいま委員からもお話があったように、できるだけ話題性のある研究論文を早く発表することが、やはり研究者としての地位向上とか、あるいは、今競争的研究資金のことをおっしゃられましたけれども、確かに研究資金の獲得にそういうことが直接結びつくようになってきている。あるいは、まさに目に見える研究成果を上げて評価を受けなきゃならないというようなことなど、いわば科学技術全般の状況が関係しているのではないかと認識をしております。

 国環研におきましては、従来から、研究の成果自体につきまして、所内に研究推進委員会というのを設けましてそこで評価をする、あるいは外部の専門家から成ります評価委員会というのをつくっておりまして、そこでも厳しく審査し評価を行ってきたところでございまして、さらに、その研究成果を公表するに当たりましては、所属長がさらなる審査を行っているということによって、研究におきます不正等はこれまで抑止されてきたと理解しております。

高井委員 研究推進委員会と評価委員会等、さまざまな委員会、委員会でさらにその評価なりチェックをかけるのだろうと思いますけれども、それがやはり研究者にとって大変プレッシャーになることは事実であると思いますし、競争的資金獲得のためにやはり激しい競争が起こるだろう、恐らくそうなっていくのではないかというふうに思います。

 不正が起きたときの対応も含めて、やはり研究者の心の問題、メンタルヘルスのケアが大事なのではないかというふうにも思います。成果主義を徹底すればするほど、目に見える成果を求めて、人間関係自体も殺伐とするし、競争を余りにも研究等の分野で促進すると、人間関係も非常にひずみが逆に生じてしまう。大変その部分で、私は、今回の非公務員化というのは、この国立環境研究所自体を国の機関から外していくということに対して、やはり問題があるというふうに感じています。

 特に、アメリカで経済スパイ罪ということで逮捕された理化学研究所の方が、ついこの間、これは二〇〇四年三月でしたか、事件がございました。理化学研究所の職員の方が、自分がDNAの研究をしていた資料を自国に持ち帰ったということでアメリカから訴えられたということだったんですが、結局、この事件、よく私も読んでみますと、何と、問題の資料を、同じ研究室でやっていた仲間と仲が悪かったもので、それを残したくない、自分が研究したものは自分で持って帰りたいということで持ち出したようで、ほかの外国の政府やほかの機関に利益を与えることを目的に持ち出したものではないということで、さほど大きな国家間の問題にならずにおさまったということなんだろうと思います。

 研究者自身が、そういうふうな人間関係のひずみとか、うかつな行動をとることによっていろんな問題を引き起こすという現状が起きておりますので、いろんな意味で、それでもまだ私は懸念は消えないんですが、チェックなりをしていただきたいと思います。

田村政府参考人 まず、競争的資金の確保、これはやはり国環研にとってこれからも必要であり続けるポイントだと思います。運営交付金が先ほど申し上げたような事情にある中で、一方で、国環研が努力をして、それぞれの研究者が競争的資金を引っ張ってくるというのは非常に大事なことでございますし、ただ、それはそうですが、それによって今おっしゃられたようないろんな、メンタルヘルスに与える影響とか全体の研究所内の人間関係も含めた環境というものが悪化しては何をやっているかわからなくなりますから、そこはやはりきちっと見ていく必要性はやはり十分にあると思います。

 ただ、そういうことが非公務員化によってより増す、そういう不正が非公務員化することによってより増すような環境を憂慮するということは当たらないのではないかと私は思います。非公務員化することによって変わるものではなくて、先ほど申し上げたように、例えば、情報の漏えい等のことについては法律で、あるいは就業規則で、さまざまなところで担保しながら、また、先ほどちょっと一つ言い忘れましたけれども、万が一不正が生じた場合の調査及び処分の手続等も実は定められていなかったんですけれども、これも今般、総合科学技術会議が「研究上の不正に関する適切な対応について」という意見具申を出されましたので、それを踏まえまして、国環研におきましても、どのような問題があって、またどんな手続でその不正を見つけ、かつそれを抑止していかなきゃいけないかということにつきまして、夏ごろになると思いますけれども、めどに、こういう規程を設けて、実際につくろうとしておりますから、そういう手続的なものも含めて対応していくというように考えております。

高井委員 私も、非公務員化することによって直接不正がふえる、そういうことではなくて、やはり長期的に見るとそういう可能性があるのではないかということを申し上げているのです。

 官民交流が増すことによってやはり民の側も近づいてくる、民の側も、やはり企業にとってのメリットがあるということで来られることがこれからあるでしょうし、そういうときに、やはり人材確保のあり方、研究者の皆さん、企業に勤められる方、だれを官民交流のメンバーに加えていくかということを大変丁寧に、やはりよく調べてやっていただかないと、この情報漏えいの危険というか、流用の危険もさまざまな部分があるというふうに思います。

 人材確保、人材交流に当たっての丁寧な情報公開とか説明があるとは思うんですが、そういう点ではきちんと公開をしていただけるんでしょうか。

田村政府参考人 先ほど国環研の理事長も人材確保について答弁をされておられましたけれども、一つの研究所の能力を高めるという観点からは、やはり優秀な人材の確保というのは不可欠だろうと思います。

 国立環境研究所におきましても、これまでもすぐれた研究者の登用を図るべく努力してきたところであると考えております。十八年度から新たな第二期の中期目標期間が始まるわけでございますが、非公務員型ということで、この非公務員型としてのメリット、これも申し上げたように多々あると思います。このメリットを生かしながら、例えば任期の問題あるいは給与の問題、そういうさまざまな面におきましてより柔軟な雇用制度を設けることによりまして、そういうようなメリットも生かしつつ優秀な人材の確保に一層努めることとしたいと思っておりますし、また、今申し上げた、それをまた広く認知し、普及し、または周知せしめるという点も重要な点でございますから、それらの面についても対応する必要があろうかと感じております。

高井委員 やはり見かけ上の公務員数を削減するということを実現するためだけに数合わせの非公務員化をしていくということは、かえって国民の利益を損なうのではないかというふうに思います。事業の性格に応じて組織のあり方とか職員の身分を本来ならば定めるべきであって、やはり非公務員化したことによって今後の環境研究に何か悪い影響を及ぼすというようなことが決してあってはならないというふうに思っていますし、そうならないような御努力を皆さんでされるんだろうというふうに信じております。

 本来ならば、独立行政法人ということの意味は、役所から独立性を高めて、より効率的に質の高い成果を得るためにそういうふうにするはずであったのに、それが逆になってしまってはとんでもないことになる、事業そのもの、組織そのもののあり方をもう一度、再度丁寧に検討すべきではないかというふうに私は思います。

 大臣、今後、この国環研という組織はどういう存在を目指していき、より民間に近い形を目指していくのではないんですよね、どういうふうに収益を上げていくというか、独立採算制を目指すのではないですよね。

小池国務大臣 御質問、また原点に戻ってどうあるべきなのか、ミッションとは何かという御質問ではないか思います。

 改めて申し上げますと、国立環境研究所というのは、我が国のまず中核的な環境に対しての研究機関であるという事実、そして環境研究を総合的に推進して、その科学的な成果をもって、国内そして世界に対してもその環境政策を通じて貢献するということが何よりも大きな使命であると思います。

 今、独立採算制についてのお話でありますけれども、そもそも一般的に、その独立行政法人という組織の資金はどうなのかということで申し上げるならば、独立採算制は前提としておりません。政府は法人に対して必要な財源措置を講ずるということになっておりまして、また、独立行政法人通則法においても、政府が法人の業務運営の財源に充てるための必要な金額を交付することができる、このように定められております。

 そういったお金の面、それから目的でございますけれども、こうした独立行政法人制度の考え方であるとか、さきに申し上げましたような研究所の使命、それから役割の公共性、公益性、その業務の重要性を考えますと、独立採算で国立環境研究所が収益を上げていく、そこに対してぎりぎりやっていくということもさることながら、業務に必要な予算については運営費交付金で確保した上で、その上で、今回、非公務員化という流れも踏まえまして、効率的、効果的に活用していく、そしてまた競争的な外部研究資金の獲得も図っていくという中で、さきに申し上げました最大のミッションに到達するように日々尽力していただきたい、このように思っているところでございます。

高井委員 政府全体の方針が運営費交付金を削減していくということを掲げている中で、さっき大臣がおっしゃったように、できるだけ運営費交付金を確保していくという大変厳しい折衝が恐らく始まるんであろうと思いますし、その競争的資金を得るために、またそれなりにやはり厳しい競争がなされるんだろうというふうに感じています。

 この独立行政法人の国立環境研究所のラスパイレス指数を調べてみますと、さほど高くない。きょう資料をお配りしなかったので大変申しわけないんですが、少し読み上げますと、対国家公務員のラスパイレス指数は九四・四。他の独立行政法人と比べると、ラスパイレス指数は八八・三ということになっています。

 ほかのところより大変低い給与で頑張っておられる。これは、事務・技術系の職員の方なんですが、比較的すごく努力をされているんじゃないか。それでもさらに恐らく削減するべきところは削減していかれるということになれば、本当に働いている皆さんの士気がこれでも低下していかないのか、不安が払拭されているのか、私だったらなかなかそうは思えないんですが、その働いている皆さんの懸念というのはそれなりに払拭されているんでしょうか。

田村政府参考人 国立環境研究所のラスパイレス指数についてでございます。

 ラスパイレス指数は、独立行政法人の運営の透明性を確保していく、国民に対する説明責任を果たしていくという上で、これは毎年度、十六年度以降でございますが、総務省において、各法人から提出されたデータをもとにして算出しておりまして、その結果を取りまとめられて公表されております。

 ただいま委員がおっしゃられたとおり、国環研のラスパイレス指数、これは事務・技術職員でございますが、国家公務員と比較して九四・四、他の独立行政法人と比較して八八・三と低い値にとどまっているわけでございますが、これは他の法人と比較して、いわば管理職相当の者が少ないということも一つの原因ではないかと考えております。

 また一方で、研究職員、これは国環研の二百六十数名のうち二百名強は研究職員でございますが、研究職員の方は国家公務員と比較して逆に一〇五・三、他の独立行政法人と比較して一〇二・三と比較的高いものとなっておりますが、これは国環研におきます研究職員の博士号取得率、これは実は九割を超えているということで、博士号取得率が極めて高いということから、他と比較して高目の数値が得られたのではないかと考えております。

 トータルとしてどう考えるかということでございますけれども、ラスパイレス指数自体は独立行政法人の透明性ということを考える一つの大事な指標ですから、これからもきちっとフォローしていきたい、そのように考えております。

高井委員 給与、賞与ともに独法の方が国家公務員より優遇されているというようなことがあればおかしいですけれども、むしろ国環研の場合は優遇どころか、低遇とまでは言わなくても、それより低い値で頑張っておられるということですから、もともとモチベーションが高いんだろうというふうにも考えますが、それ以上に、今以上にモチベーションが下がったり、職員の皆さんが不安にならないように、さまざまな点で御努力を重ねてお願いしたいと思います。

 私は、官から民へ、もちろん民にできるものは民に任せたらいいんだろうというふうに思うんですが、何を民に任せて何を官にするのか、やはりきちんと丁寧に精査をする必要があると思っています。

 私が尊敬する東京大学の神野先生の言葉によりますと、ニーズとウオンツは違うんだと。ニーズというのは、社会的に生活する上で必要不可欠のもので、例えば教育とか介護であったり、ここの部分は市場原理に任せて、購買力に任せて提供されるものであってはならない。それに比べて、ウオンツ、ある意味で欲望というものは、購買力に任せて、欲しい人がたくさん買えばいいというものはやはり民に任せていけばいいんではないかと思うんです。

 環境政策全般は特に、やはりニーズというよりも長期スパンで、割と大きな利益のために、広い意味で公共の利益のために長く広く取り組まなくてはならない分野であろうと思います。

 できるだけ私どもも努力していきたいと思いますが、環境の研究が滞ることのないように、引き続き大臣を含めて皆さんに御尽力いただけますようにお願いを申し上げて、同僚議員に譲りたいと思います。

 ありがとうございました。

木村委員長 次に、田島一成君。

田島(一)委員 質問の機会をいただきましたので、大臣以下関係各位に御答弁を賜りたいと思います。

 私たち、この環境委員会で昨年、十月の十九日でしたか、今議題となっております国立環境研究所に視察にお邪魔をいたしました。私も、もちろん初めての視察だったのですけれども、現地にお邪魔をして、この日本の環境政策を国家戦略としてとらえていただいている、そんな前向きな姿勢と、そしてお取り組みの現状に触れさせていただき、学ばせていただいたところであります。とりわけ、私自身の関心の高い野生生物の保護という視点からも、絶滅種でありますトキを初め、絶滅危惧種等々の遺伝子そして体細胞を冷凍保存するという、日本はおろか世界にとっても非常に大きな役割を果たしていらっしゃる、そんな施設を拝見いたしました。

 本来ならば、リスク分散という観点から、万が一つくばのあの研究所が大災害に見舞われ、この冷凍保存が壊滅状態になったりすることを考えれば、もう一つ違うところにでも同じような施設をつくるべきではないかと、私も質問を交えて提案をさせていただいたところであります。

 それくらい日本の環境政策を背負って立っている、その中枢機能である国環研、これが今回、この独法の中でとりわけ非公務員化となるわけでありますが、果たして本当にいいのかどうか、いろいろと検証しながらお尋ねをしていきたいと思います。

 一番最初に、平成十六年の九月六日、総務省の審議会であります政策評価・独立行政法人評価委員会の独立行政法人評価分科会に対して環境省が見直し素案を提出されました。確認の意味で、どのような内容についてお記しになられたのか、御披露いただけますか。

田村政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の平成十六年九月六日の見直し素案でございますけれども、ポイントは、国立環境研究所は国の環境政策の根幹にかかわる政策研究機関としての性格を有しておりますし、また、緊急時等におきます業務の停滞、これはやはり国民の生活等に著しい支障を生じさせる懸念があることなどから、職員の身分については引き続き公務員とすることが適当だという考えを示した素案でございました。

田島(一)委員 今おっしゃっていただいたように、引き続き公務員のままでいくべきだというお考えでありました。

 このように、公務員のままであるべきだというお考えをお示しになられていながら、どういうわけだか、今回提出された法案では非公務員化になる。問題となりますこの審議会の方から何らかの圧力があったのかというようなうがった見方をしなければならない、そんな結果になったように私は感じるわけであります。

 そこで、総務省にきょうお越しをいただいているんですけれども、この有識者会議に対して環境省が、十六年の九月には、公務員のままでいくべきだというふうに意見を提出されているんですけれども、それがまた改まって、十七年度になると、今度は百八十度転換するような、そんな見直しの考え方を示されるようになっております。

 この辺、一番最初に十六年の九月に意見が出されてきた、環境省のこの意見をどのように受けとめられたのか、そのことについてちょっと御報告と御説明ください。

福井政府参考人 お答え申し上げます。

 国立環境研究所の中期目標期間終了時の見直しは、平成十七年度に行われたものでございます。総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会における見直しの議論の土台となりましたのは、平成十七年八月に環境省において取りまとめた見直し素案でございます。

 そこでは、御承知のように、研究所の組織形態に関する見直しに係る具体的措置といたしまして、非公務員型の独法に移行する旨の方針が示されておりまして、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会におきましては、この環境省の方針をもとに議論をしたというところでございます。

田島(一)委員 環境省にお尋ねいたします。

 十六年のときには、公務員のままでやるべきだという意見を出されたんですけれども、なぜ十七年になって、非公務員で進めてもいいというふうに御判断されたんですか。その考え方の転換はなぜ行われたのか、その経緯を御説明ください。

田村政府参考人 お答え申し上げます。

 十六年に議論した際に、公務員型維持ということで素案として提出いたしました。

 その背景にありましたのは、一つは、公務員としての高いモラルとか使命感に裏打ちされた組織形態が必要であるということ、あるいは、緊急時の対応が必要であるといった、そういった懸念がどうしても非公務員型になるとあるのではないかというようなことが、環境省の独立行政法人評価委員会でもいろいろな議論が出まして、そういうようなことを背景に公務員型維持の考え方を提出したわけでございますが、私どもの国立環境研究所の見直しについての最終的な結論といいますか、議論自体は、十七年度に持ち越しました。むしろ十七年度にきちっと本格的に議論をしようということでございました。

 そして、十七年度において引き続き行った議論におきましては、一つは、平成十六年に既に、十七年度末に期限が来るけれども、先行して見直した他の法人がございます、三十ぐらいの法人がございます。これらがいずれも非公務員型になったことが一つはあります。特に、研究関係機関はすべて非公務員化したというようなことが一つあります。

 それとやはり、私どもといたしましても、国環研といたしましても、今申し上げたような懸念の一つ一つが、例えば秘密保持規定を置くとか盗用禁止規定を置くとか、あるいは緊急時であっても環境大臣の調査命令権限をより活用するとか、そういうことによって十分対応できる、懸念が払拭できるという議論を十七年にいたしました。

 そういうようなことであれば、やはり十分公務員型から非公務員型に移れるし、そしてなおかつ非公務員型としてもメリットもあるわけでございますから、そういうメリット、意義を積極的に評価して、そして独立行政法人委員会として、環境省として、非公務員型の方に移った方がよいという結論を出した、そういうことでございます。

田島(一)委員 ということは、十六年に出されたこの考え方は間違いだったというふうにお認めになるんですね。十七年に考え方を改められたその経緯の中に、今、他の独法も非公務員化してきたというお話を御答弁されました。

 私は、他の独法と今回のこの国立環境研究所とは、同じ独法でありながら、同じような視点でとらえられるものではないというふうに考えています。言ってみれば、こちら環境省の方でも、いわゆる環境再生機構という独法がもう既に非公務員化をされていますけれども、この環境再生機構と今回の国立環境研究所と全く同じような位置づけの独法かといえば、私は全然違うと思うんですね。だから、よその独法が非公務員化したからというのは、今回この考え方に当てはまるべきなのかというふうに私は思うわけです。

 だから、よそはよそだ、当然やはりそうあるべきですよね。それだったら、いっそのこと、その前の独法を非公務員化したときに出すべきだったんですよ。それも出さずに今になってきた。それにはやはりきちっとした説明と、そしてどうしても非公務員化でなければならないんだというところを御説明いただかないと、苦肉の策で、結局非公務員化しよう、仕方なしにしよう、総務省から言われたのかその評価委員会から言われたのかわからないけれども、消極的にやろうというような考え方では、私たちは本当にこれでいいのか悪いのか、賛成していいのか悪いのか悩みますよ。どうですか。

田村政府参考人 お答え申し上げます。

 仕方なしにということでは全くございませんで、非公務員化が適切であるという判断のもとに非公務員化の改正法案を出しているわけでございます。

 確かに、おっしゃられたように、よそのところが非公務員型になったからというのは、ただ背景説明として私は申し上げました。背景説明としてそういうことはございます。ただ、特に研究開発機関がすべて非公務員化したということも大きな要素だと思いますが、他がしたからこれもしたというようなことの、いわば基本的な説明ではございません。

 背景としては申し上げましたけれども、基本的には、さまざまな懸念、もう繰り返しませんけれども、それらの懸念の一つ一つが今回のいろいろな法律的措置、あるいは法律に基づかない就業規則等ございますけれども、それら全体でクリアできるし、それらがクリアできるなら、むしろ非公務員化のメリットを最大限生かして新しい中期目標期間に臨もうという判断から行ったということでございます。

田島(一)委員 総務省にもう一度ちょっとお伺いします。

 十六年の九月に開催された独法の評価分科会、この時点に環境省から説明を提出させましたね。そのさせた段階での評価、検討というのはどのような視点でなされたのか、お答えください。

福井政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十六年の九月に環境省から出された経緯でございますが、先ほど環境省の御答弁にもありましたように、当時、平成十六年、十七年に見直しの期限が到来する法人の数が相当ばらつき、アンバランスがございました。具体的に言いますと、平成十六年に三法人、それから平成十七年にたしか五十三法人ということで、見直しの平準化を図るために、平成十七年度に到来するもののうち約半数程度を前倒ししようという方針を政府で決定いたしました。

 ただ、当時はまだどの法人を前倒しするかということが決まっていない段階でございましたので、全法人から総務省の評価委員会に対して、当時の段階の案が提出されました。

 その後、環境省とも御相談の上、国立環境研究所につきましては、当初の予定どおり、平成十七年度の見直しの段階で議論をするということになりましたので、当時出されたものについては、その段階で評価委員会としては審議を行っておりません。

 以上でございます。

田島(一)委員 大臣、今お話があったように、平成十六年の段階では、この国立環境研究所で働く皆さんは公務員のままでやるべきだという環境省としての見解をお示しなされたんですよね。それが、公務員であるべしと言っていたのが非公務員化すべきだというふうに一転された。まるで刀折れて、矢が尽き、敗れ去ったかのような、私はそんな印象を持つんです。

 大臣はその辺について、国環研の今持っている評価も含めて、大臣としての評価も含めてお答えをいただけませんか。

小池国務大臣 私は、かねてより行革はかなり急進派でございまして、個人的には、途中で破産で非公務員化よりも、すとんと非公務員化をむしろ考えておりました。

 しかし、職員とすれば、やはりこれから自分がどうなるのかとか、いろいろ心配事もあるわけですね。それによってモラルが低下するということでその研究に支障があってはいけないというようなこともございましたので、そして、今御質問にありますように、この平成十六年の、今総務省からのお答えなども求めておられましたけれども、そういった経過を経て、そして今回の非公務員化ということでの御審議を行っていただいているわけでございます。

 平成十六年夏の評価委員会での議論で、公務員としての高いモラルそれから使命感に裏打ちされた組織形態の必要性、さらには緊急時の対応や環境汚染に対する不断の取り組みということにおける業務停滞のおそれなどなど、そういった懸念を出されていたわけでございます。

 そして、その後の、引き続き行った平成十七年度の議論でございますけれども、環境省として、今申し上げたような懸念に対しての検討を行いました。そして、必要な措置を講ずるということによって対処は可能であるという結論に至ったわけでございます。

 研究所が独自に定める柔軟な採用制度ということ、それから優秀かつ多様な人材の確保が、今もやっておりますけれども、さらにそれが可能になるのではないか、それから民間を含めた内外の研究機関との活発な人事交流、これも現在もやっておりますけれども、さらにその自由度が広がっていくといったようなメリットもございますので、こういったことを積極的に評価いたしまして、今回の国立環境研究所においても、非公務員型の独立行政法人へ移行するというような結論に至ったわけでございます。ようやくその結論に達したかというのが私個人としての感覚でございます。

田島(一)委員 大臣が行革推進派かどうかは私は何も関心はありません。正直、今回のこの国環研の中身をどこまで御存じなのかということの方に関心を本当は向けたいと思っております。

 今御答弁でおっしゃってくださいました、優秀な研究員をさらに入れていきたい、官民交流促進という言葉に置きかえられるのかもしれませんけれども、本当に官民交流が、今やっておりますけれどもと言いわけのように御答弁の中に入れられましたけれども、今やっているだけでも本当にこれで十分ではないというふうに御判断されるのか、今やっているのでは足りないからさらにやりますよ、自由度を高めるとおっしゃいますけれども、今問題点があるからこそ非公務員化するんだという言い方をしなければ説得力はないですよ。現在もやっておりますけれどもさらになんて、では、一体これから先、客員研究員だとか何人ぐらいふえていくのか、その辺の数字が果たして示せるでしょうか。まだそんなことは多分無理だと思います。

 きょう、実は、皆さんのお手元に資料としてお配りをいたしました。実際に今、国環研で働いていらっしゃる研究員の構成比であります。実は、役職員、構成員として二百七十五人いらっしゃるんですけれども、その二百七十五人の約七割を超える二百一人が研究職員としていらっしゃいます。その研究職員二百一人の三倍に相当する六百六十八人が客員研究員等として実際にこの国環研でお仕事いただいております。

 この分布を見ていただいても、Aの部分が二百九十七人、約五〇%近い数字で、外部から来ていただいている。そして、Bの研究生というのも、学生であったりドクターの方であったり、それからCの流動研究員というのは、いわゆる年限のある非常勤研究員ということで、もう六百人以上の客員研究員ということで、外部から優秀な、優秀であろう研究員が実際にこの国環研で仕事をされているわけです。

 何か今、これでは、このままではだめだ、もっと優秀な人を集めなきゃならないということは、今集まっていただいているこの客員研究員等々がそこまで、大臣が思っていらっしゃるほど優秀ではないというような裏返しにもどうしてもとれてしまうんですけれども、客員研究員ですらもう既に六百人以上が来ているんですね。

 では、一方の環境再生機構、人事交流をどれくらいやっているのか。あそこは既に非公務員化されているわけですから、もっとこの国環研以上に人事交流されてもいいなと思うんですけれども、ふたをあけてみたら、何とわずか五人しか人事交流がなされていないという、そんな実態もあります。

 下の方の表を見ていただきたいんですけれども、実際に今、国立環境研究所と民間の研究所とでどのような共同研究がなされているのか、数字をお示しいたしました。平成十六年のこの資料、これは年報からお出しをいただいたものなんですけれども、他の国研等との共同研究が十五件、民間との共同研究も既に十四件やっているんですね。

 こちらの裏のページに、具体的に、十七年に実施した共同研究の名前と契約相手、それから国環研の予算を書かせていただきました。もうこういう法案審議に入っているから、私、すべてデータが御用意されているんだろうなと思って、きのうお願いしたんですけれども、残念ながら、時間がかかるということで、きょうのこの質疑には、費用負担の割合であるとかはちょっと出てきませんでした。

 これはこれで非常に残念なんですけれども、実際に民間の企業とも、十七年度では十一件、共同研究をやっているんですね。ホームページの方もチェックさせてもらいました。ホームページの方では平成十四年のデータしか載っていないんですけれども、平成十四年の段階でも民間企業とは二十二件、既に共同研究を実施されているという数字を示しているんですね。

 こういう状況があるにもかかわらず、まだこれでも、今大臣がおっしゃったように、優秀な研究員が集められなかったり、こういう官民交流がまだ滞っているというふうにお考えですか。

小池国務大臣 まず、二点申し上げたいと思います。

 やはり、大臣として行政改革に対しての姿勢がどうかというのは極めて大事なことであって、御関心がないんでしょうけれども、私は、そこはまず第一に重要であるということを申し述べたいと思います。

 二点目には、国環研で研究をされておられる方は、世界的な研究をたくさん、数多くやっておられるわけで、十分資質にすぐれた方がたくさんいらっしゃるわけでございまして、その辺を、そういう言い方をされるのはひどいじゃないかと私はまず思うということを、その二点を申し上げておきます。

 現在の国立環境研究所でございますが、大学、研究機関などからの委嘱であるとか招聘などの受け入れは数多く行っているんですけれども、また民間企業からの受け入れも行っております。ただ、民間企業と研究者の文字どおりの人事交流、職員となってという形のものについては、最近五年間の実績はございません。

 それから、研究所におけます研究水準をさらに向上させていくということからは、官民連携が極めて有効な手段であるということは、これは認識を共有できるかと思っております。その連携の一つのあり方である官民の人事交流ということについても、国立環境研究所において適切に進めていく必要がある、このように思っております。

 それから、まだ足りないと考えるのかということでございますけれども、環境研究というのは非常に学際的であります。そういった特性を考えますと、非常に幅広い専門分野を必要とする研究から成り立っているわけでございまして、その意味でも、十分な成果を得るためには、ほかの研究機関との連携というのは極めて重要だと考えております。

 これまでどうだったかといいますと、まず、地方自治体との共同研究ですけれども、例えばダイオキシン類の分析法に関するものなど、これを一例といたしまして、積極的に連携を進めてまいりました。数ですけれども、平成十七年度には、二十五の機関との間で六十三の課題が取り上げられたところでございます。

 今のが地方公共団体との連携。そして次に、民間企業との共同研究でございますけれども、現地にいらしてごらんになったかと思いますけれども、例えば自動車の排出ガスに関するものなども行われておりまして、数からしますと、平成十七年度でおよそ十一の課題となっておりまして、数とすれば比較的限定されているのかなと思います。

 しかし、例えば化学物質問題一つとりましても、対象となる化学物質、世界で十万種、それから国内でも五万種と言われているような化学品が流通しているといったような現状を考えますと、今後、まだまだ莫大な調査研究というのが必要になってくるわけでございます。よって、環境分野においては、これからも民間研究機関の研究資源をさらに活用していくということ、これが必要になってくるかと思っております。

 結論から申し上げれば、環境という分野にかんがみまして、そのほかの分野もそうかもしれませんけれども、やはり、これからもそのほかの研究機関との交流ということを積極的に図っていくことが、環境の研究のさらに質の向上であるとか、それから分野の拡大といったことに資していくのではないか、このように思っているところでございます。

田島(一)委員 私も、環境政策のパイオニアだという位置づけは認識をしているところであります。ですから、今でも十分にやっているのに、なぜこれをわざわざ非公務員化しなきゃいけないんだろうと。目的とおっしゃっている人事交流だとかの自由度を高めていくというのですが、今それほど自由度がないのかな、そんな気がしてなりません。

 ついこの間、私どもの事務所の方にもお届けをいただきました国環研ニュース、二〇〇六年の二月に発行されたそのニュースの中にも、地方環境研究所等との共同研究の応募状況が発表されていました。二十二の地方の環境系の研究所から四十四の課題について出されています。どれもこれも恐らく地方の研究所だけではなし得ない課題であり、それを中枢的な国の研究所である国立環境研究所とコラボレートする中で解決していこうという姿勢のあらわれであろうかというふうにも思います。

 それだけに、この中枢的な環境の研究機関の位置づけを、独立行政法人という形ではあるものの、非公務員化とすることが、本当にこれからの環境研究にしっかりと、公平中立で、そして先駆的に取り組むことができるのかどうか、私は、今大臣以下皆さんがお答えくださっておりますけれども、十分それにこたえ得るだけの御答弁だったようには思えません。

 例えば、きょう、ホームページを拝見いたしました。そうすると、独立行政法人国立環境研究所の循環型社会形成推進・廃棄物研究センターの研究職員一名を募集されています。これはちょっと通告もしていませんから御披露だけにとどめたいと思うんですけれども、研究職員を募集するというのは、これは明らかに公募ですよね、ホームページで募集をかけていらっしゃるということですから。一般の方に、いわゆる応募資格としては、博士の学位を有することであるとか条件が当然ありますけれども、その条件をクリアした方ならばだれでも申し込めるし、その研究の業績を提出されて採用されるチャンスというものはあるわけであります。

 これほど自由度の高いものは、私は現実にないと思うんですね。優秀な方をこうして一般から公募していこうという姿勢のあらわれが、私は、この採用案内の一つではなかろうかというふうにも思います。こういう、民間の方からも人材を入れよう、研究も進めていこう、これほど前向きに、これまでからも同じように取り組んでいらっしゃるのに、なぜわざわざ非公務員化するのかなと。

 その中で、やはりどうしてもひっかかってしまうのが、この組織の名称であります。独立行政法人と、その法人形態が冠についておりますが、この研究所の名前には国立環境研究所とあります。国立とは大体どういう意味なのか。独立行政法人になって、しかも働く方々は公務員ではないと今回位置づけされるのならば、私は、これは名前も変えるぐらいされた方がいいんじゃないかなと思うんですね。元国立環境研究所もしくは国立を取る。

 今海外に向けても、NIES、ナショナルという冠がついているから世界的にも信頼される研究所として位置づけられていたと思うんですね。この名称の問題について、私は、国立であるならば国立として、国がきちっと面倒を見ていくのが当然だと思うんですけれども、このあたりはどうお考えですか。

小池国務大臣 まず、非公務員化されることについていろいろと反対の意見を先ほどから述べておられるわけですけれども、今後、いろいろな多様化、複雑化が見込まれます環境分野でございますけれども、環境研究を一層推進していくということが不可欠であることについては否定される方はないと思います。

 その中で、官民の協力をさらに進めていくということは極めて重要でございまして、そして、この非公務員化は、すなわち、民間を含めました内外との活発な研究交流を行うであるとかそれから人事交流の促進を進めていく、そういったことを通じて、環境研究分野におけます官民協力をさらに進めるということだけでなくて、例えば、研究所のみずからの能力を高めることで環境分野におけます中核的な役割ということ、その位置づけを強化することにつながる、このように考えております。

 それから、今国立という名称について、取っちゃったらいいというお話、取れということでしょうか。(田島(一)委員「取れというか、名前を変えるべきじゃないですか」と呼ぶ)はい。独立行政法人となりました際に、国立の名称がついているところ、国立環境研究所だけではございませんけれども、この語句は意識的に維持された経緯というのがございます。

 いろいろ議論があって、その結果としてそれを残そうということになったわけでございますけれども、研究所が、調査研究などその業務を実施する際に、より広く国民の協力を求めるという観点からも国民の信頼を確保することが不可欠として、国立の名称をつけることが適当だという整理がそのときに行われたということでございます。

 非公務員化を図ります今回の法改正でありますけれども、研究交流それから人事交流の促進といった人的な側面、それから、研究所の効率的な業務運営のために行うということでありまして、研究所の事務事業、その内容を変更するものではございません。よって、国立の語句をその名称に用いる意義であるとか必要性は変わらない、このように考えているところでございます。

 国立オリンピック記念青少年総合センターとか国立女性教育会館、国立科学博物館等々の国立という冠をしょっているところはそのほかたくさんございますけれども、この名称を外すということを打ち出しているところはございません。

田島(一)委員 私は、やるならば堂々と国立環境研究所と名乗ったらいいと思うんですね。しかしながら、働いている人が公務員じゃない、それでも名前だけは残しておこうというのは、看板に偽りありじゃないですかという、そんな思いがあるんですね。

 国立でずっとやるべきですよ。先ほども申し上げたように、遺伝子の冷凍保存等々国家プロジェクト的な非常に大きな役割も担っていただいております、もちろんこれは環境省からの委託事業ですけれども。こうした意義というものを考えれば、国立として、名実ともにこの日本を代表する中枢研究機関、それが国立環境研究所だと胸を張っていただきたいんですね、研究されている先生方にも。

 それがあるからこそ、地方や民間とのいろいろなコラボレートをやった場合でも、国立環境研究所としての立場、そして機能、そして誇りを持って堂々とやっていただけるんじゃないかと思うんですが、これまでに、実際にお仕事をしていただいている研究者の皆さんから意見というのはヒアリングされてきているんですか。

田村政府参考人 今の御質問の前に、名称の件に関してちょっと補足をさせていただきます。

 国立という名前は、今回の見直しで非公務員化を打ち出しているところにおいても国立というものでそのまま維持する、例えば国立青年の家とか、そういうような例もあるということを申し上げておきたいことと、独立行政法人化されたときにいろいろ議論があったという大臣の御答弁がございました。

 例えばの例でございますけれども、環境研究所といっても、各県にも多々、たくさんのいろいろな地方の環境研究所があることはもう先生御承知のとおりでございます。そういうようなものとの区別というような問題もありますし、あるいは国際会議等におきましても、国全体としての環境研究所として、一つの中核研究所として行っている等、いろいろな議論の中で国立という意味をそのまま持たせて、また、運営費交付金はそのまま出ていくわけでございますけれども、そういうような観点から名前をそのまま置いた、またそれが適正であるというように思っております。

 それからもう一点、国環研の職員の方々、研究者の方々とヒアリング等についての御意見でございます。

 それは、環境省の独立行政法人の評価委員会にも、実は国環研の方々、毎回必ず来て一緒にいわば議論をし、また評価委員からも、私どもよりもむしろ国環研の方にこれはどうなんだということはさらに聞いて、そういう雰囲気の中でこれはつくられていったものでございまして、またそれを国環研の幹部の方も戻られて十分所内に周知をしておりましたし、三回ほどにわたって職員全体を対象にした説明会も行われたと聞いておりますので、そういうふうな全体からして、今回の非公務員化への決定についても、職員からそれは反対であるというような異論は特になかった、そのように承知をいたしております。

田島(一)委員 職員の皆さんにとってみれば、研究を妨げない予算そして研究環境をきちっとやはり整えていくということが、何より一番求めていらっしゃることかもしれません。しかしながら、表向きは非公務員化であるものの、その実態は公務員と何ら変わりもないというようなものもたくさんありますね。

 例えば、先ほど私、研究系の職員の採用案内をホームページで拝見したんですけれども、どのような採用条件になっているのか。これを見ますと、「処遇等」「身分 現時点では国家公務員」。なお、「十八年四月以降、非公務員型の独立行政法人に移行することが想定されます。」これは正しい説明書きだと思います。「その他」、非公務員型になるかもしれませんとありながら、「国家公務員宿舎の貸与」というふうに挙がっているんですよね。非公務員型とはいいながら結局宿舎は国家公務員宿舎を貸与されるという、要は、国家公務員宿舎法がそのまま適用されていくわけであります。

 これというのは、国民から見たとき、今それこそ国家公務員の宿舎が随分ちまたで話題になっておるんですけれども、この辺はどのように理解をさせていただくといいんでしょうか。通告にない質問でしたけれども、もしできれば、局長、お答えいただけませんでしょうか。

田村政府参考人 今回、非公務員型になる。その際に、二つおっしゃられました。一つは国家公務員宿舎の問題、もう一点は採用の問題にもお触れになりましたので、ちょっと申し上げます。

 採用につきましては、国家公務員型、つまり現在の場合には確かにそういう公募もやっております。やっておりますけれども、基本的には国家公務員試験ないしは研究者の場合ですと選考という手続でございますが、選考という形で随時行っておりますけれども、ここら辺につきましても、非公務員型になるともう少し弾力的な採用方法というのが恐らく今考えられていると思います。まだ詳細は固められておりませんが、そういう面があります。

 それから、国家公務員宿舎につきましては、実は、公務員型であろうとあるいは非公務員型の職員も国家公務員宿舎法が適用されるということになっておりまして、これは国家公務員型であろうと非公務員型であろうと同様でございます。

田島(一)委員 看板は非公務員型だ、しかしながら、国家公務員としてのいろいろな生活にかかわる項目はそのままですよと。国民から見ると本当にわかりにくい今回の法案の中身ではないかなというふうに思うんですね。

 私は、今他の省庁でも同じように非公務員型に移行するという法案が提出されていますけれども、少なくとも、この環境委員会の中では国立環境研究所の非公務員型ということを今議論しているわけでありますから、よその独法がどうのこうのというのはさておいた形で議論をさせてもらってきたつもりであります。国立の名称をそのまま引きずることも、青年の家であるとかオリンピック云々とはおいた形でやはり考えてきたところであります。

 国立環境研究所として、この先まだまだテーマとしなければならない環境政策の課題は、想像を超えるほど広がっていくんだろうと思います。そういった中で、この先、こうした問題点が多い中で、本当に非公務員化とすることがいいのだろうか、民間とこれだけ交流をしている中で、先ほどの高井委員の方からは、秘密漏えいであるとか、さまざまな懸念される問題の指摘もありました。こういったところもこれからますますわかりにくくなってくるような、そんな気がしております。

 国の中枢機関、環境政策の国家戦略を担う、そんな機関として、私どもも、まだまだこれから先、研究はどんどん深めていただきたいと思いますし、お金をもうけることができるような独立行政法人ではありません。それだけに、きちっとした資格を与える中でやっていただきたい、そんな思いでおります。

 時間も参りましたので、質問をこれで終わらせていただきますが、どうぞ研究所で仕事をしていただいている研究員の皆様に、これから先、懸念するような問題が本当に起こらないように祈りながら、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

木村委員長 次に、富田茂之君。

富田委員 公明党の富田茂之でございます。

 今、田島委員の方から、昨年の十月、委員会として国立環境研究所を視察されたというお話がありましたが、私も高木美智代議員も当時参加できませんでしたので、昨日午前中、国立環境研究所を視察させていただきました。大変感動いたしました。

 幾つか御説明をいただいたんですが、特に気候モデルによる地球温暖化研究の到達点、また、温室効果ガス観測技術衛星の精度、先ほど田島委員の方からもお話がありましたけれども、環境資料のタイムカプセル化事業等、最先端の研究成果には本当に驚きました。

 また、循環型社会形成推進・廃棄物研究センターにおける政策形成に直結した研究、例えば、有機臭素系難燃剤などの廃棄物処理・リサイクル過程における発生挙動研究とか、熱処理プラント実験室の埋立処分シミュレーターによる実験等、これは公明党としても、これから環境政策を検討する上で大変勉強になりました。

 五名の研究責任者の方から御説明をいただいたんですが、本当にわかりやすくて、知的レベルが高いなというのを率直に感じてまいりました。

 昨日、研究所の大塚理事長等にお話を聞きましたら、江田副大臣も五時間以上にわたって全施設を視察されたというふうに伺いました。副大臣はもともと同じような研究者ですから、興味を持って見られたと思うんですが、研究者という立場で環境研究所を視察されて、どういった感想を持たれたか、また、独法化に加えて非公務員化されていくわけですけれども、そういう中で、研究者の目から見たら、今後この国立環境研究所がどういうふうな方向に行ったらいいかというふうに感じられているか、まずアドバイスをいただければと思います。

江田副大臣 富田先生初め公明党の議員の先生方、国の中核的な機関でございます国環研を視察いただきまして、大変にありがとうございました。

 私も、御指摘されましたように、昨年の十二月に五時間以上視察を、丁寧に見させていただいたわけでございますが、今先生がおっしゃいましたように、非常に大事な地球温暖化とか、そして循環型社会の形成に関する研究が、極めて幅広く、また大規模に、さらには総合的に取り組んでおられることに大変に敬意を表するとともに、私も感動を改めていたしました。

 先生もいろいろなところを見られたかと思うんですが、私もほとんどすべての部署を見させていただきました。地球温暖化研究棟や低公害車実験施設、また大気拡散実験棟、さらには、私の専門的なところでもあります遺伝子工学実験棟とかタイムカプセル、あらゆる環境政策の研究の分野にわたっているところでございました。

 国際的な研究また提言もこの地球温暖化等に関してやられておりまして、私は、研究されている内容が、例えば地球温暖化の影響とか対策、効果に関する予測モデルというのが我が国の温暖化対策にも即刻活用されているということが非常に大事だったと思います。

 例えば、国際的にも、IPCCの気候変動に関する政府間パネル、また、京都議定書の締結やその目標達成計画にも即刻そのエビデンスが用いられておるというところが、やはり国の機関である国立環境研究所であるなという率直な思いがいたしました。

 今回、研究所の役職員の非公務員化を提案しているところでございますけれども、このメリットは最大に活用していくべきだと思います。民間との自由な人的交流や共同研究が公務員に縛られずに大きく進むこと、これは私が研究を長年進めてきた中で特に重要なことでございまして、このような国立環境研究所が、そういう幅広い研究交流、共同研究でもって進んでいくことは、これからの環境政策に提言していただく上でも大変に重要である、そのように実感した次第でございます。

 これまでも、環境分野の中核的な研究機関として、国際的なリーダーシップを発揮しながら、研究成果の活用を、環境と経済の好循環を目指して進めていかれることを大いに期待しております。

 以上でございます。

富田委員 ありがとうございました。

 この国立環境研究所の研究業績等に対して、平成十六年度独立行政法人国立環境研究所業務実績の評価というのがされています。資料をいただいて見させていただいたんですが、「概評」として、「国立環境研究所の研究活動は、多様な専門分野に関する基盤的研究推進を縦軸とし、社会的な必要性の強い問題に応じた分野横断・分野融合型プロジェクト研究推進を横軸とするマトリックス・マネジメントを導入して、効率的かつ機動的な組織及び支援体制を構築しつつ順調な発展を見せている。」として、「六つの「重点特別研究プロジェクト」」及び「二つの「政策対応型調査・研究」は、年次計画に従い概ね順調に進行している。これらのプロジェクト、調査・研究の平成十六年度の成果に対する外部評価の結果は、一課題を除きA(大変優れている)またはB(優れている)が八五%以上となっており、全般的に高い評価を受けている。」というような評価書でありました。

 この「一課題を除き」というのは、これは一体何なのか、非常に興味あるところですが、こういう評価を受けて、今後、国立環境研究所の研究方向というか、この評価を受けての課題はどんなところにあるというふうに環境省としては認識されているんでしょうか、ぜひ教えていただきたいというふうに思います。

田村政府参考人 お答え申し上げます。

 国立環境研究所の業務実績につきましては、今御指摘ございましたように、毎年度、独立行政法人通則法に基づきまして、独立行政法人評価委員会において評価が行われておりまして、この評価におきまして、各項目ごとの評価を行っておりますが、平成十六年度におきましては、すべての項目について、S、A、B、C、Dの五段階評価のうちのA評価となっているところでございます。

 この評価結果は、今御説明ございましたように、国環研が我が国の環境行政の科学的、技術的基盤の提供機関として重要な役割を果たしてきている、そして、十分にその使命を果たしてきているというふうに受けとめているところでございます。

 今後の課題ということでございますが、引き続き、環境政策に貢献する成果を出すために、特に研究業務において一層の重点化、今、六分野、二分野ということをおっしゃいました、それをもう少し重点化を図って、整理して、きちっとした重点化を行うことが課題であると我々は受けとめておりますし、現在検討中でございますが、次期中期目標の策定の中でも、こうした観点から特に研究業務分野の重点化ということについて議論をしているところでございます。

富田委員 今、局長の方から次期中期目標のお話が出ましたけれども、昨日、大塚理事長から御説明をいただきました。

 重点分野、四つ挙げていらっしゃいまして、第一点として、地球温暖化対策、第二点として、循環型社会、第三点として、環境リスク、そして第四点として、アジア自然共生プログラムというのを今検討しているというお話でしたけれども、次の中期目標とか中期計画というのは今どの程度まで審議が進んでいるのか、今挙げた四つの課題に重点的に絞られて決められていくのか、その点を伺いたいと思います。また、加えて、今後の国立環境研究所の役割を環境省としてはどのように考えているのか、この時点でぜひ伺っておきたいと思います。

 これは、調査室の皆さんからいただいた資料に大変重要な指摘がありました。読ませていただいて、本当にこのとおりだなと思ったんですが、「今後の国立環境研究所の役割」ということで、このように記載がありました。「国立環境研究所においては、国の研究機関として、民間で行われないような利潤の出にくい地道な基盤的研究や、成果が出るまでに時間がかかる研究などに対して、長期的将来像や社会的貢献を見据え、確実にその役割を担うことが期待される。」もうこのとおりだと思うんですね。ただ、「しかし、社会的に早急に解明が求められる問題の研究や、政府の政策資金によってたつ研究については、比較的短期間に成果を上げることが求められる傾向にある。また、非公務員型の独立行政法人への移行によって、競争原理の拡大及び法人の長への権限と責任の集中なども想定される。」と。

 この「競争原理の拡大」ということは、先ほど高井委員がこういう懸念があるんじゃないかというふうに鋭く質問されておりましたが、やはりこういう問題が出てくるんじゃないか。「研究所は、重点分野や採算性が高く評価を得やすい分野等の研究に偏り、基盤的研究等との適切なバランスに影響がおよぶことのないよう、研究テーマの設定や研究費配分に対しては、引き続き十分な配慮を講ずるべきである。」というふうに調査室の方がつくられた資料の中に指摘がありました。

 もう本当にこのとおりだと思うんですが、この指摘も踏まえて、今後の研究所の役割について環境省としてはどのように考えているか、また、先ほど質問しました、中期目標、中期計画がどのような審議状況にあるのかを教えていただきたいと思います。

田村政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、中期目標、中期計画の今の審議状況でございますが、独立行政法人評価委員会におきまして今何度も議論を重ねているところでございまして、ほぼ今最終段階にあると言って差し支えないと思いますし、先ほどお話がありました例えば研究分野の四分野に重点化を図るというようなことについても、おおよそのコンセンサスが得られつつある状況でございます。

 そして、具体的には、四月一日には新しい中期計画目標年度に入るわけでございますから、それも踏まえて、この改正法案が成立次第、中期計画については取りまとめ、公表いたしたい、そのように考えております。

 それから、今後の研究所の役割ということでございます。

 今調査室の紙をお読みになりましたけれども、まさにそういう観点は私どもも賛成でございまして、国環研は、何よりも、幅広い環境研究につきまして、一つは、学際的であるということと、かつ総合的に取り組む、国内ではまさに唯一の研究所と言って差し支えないんだろうと思っておりますし、今後、環境問題が、もう言うまでもありませんが、より複雑化し国際化して多様化していくわけでございますから、そういう中にありまして、我が国の環境政策に貢献いたします科学的、技術的基盤の提供機関といたしまして、また、国際的にも環境分野における中核的な機関の一つといたしまして、これまで以上にこの国環研は重要な役割を果たすのではないか、またそれが求められている課題ではないかと思っております。

 そういう観点から、今申し上げたような、研究資源のさらなる重点配分化、あるいは一層の業務運営の効率化、そういったことに努める必要がある、このように考えております。

富田委員 よろしくお願いします。

 あと五分ぐらいになりましたので、もう二点質問したいんですが、先ほど来、民主党の先生方から研究者の身分保障についての御質問が続いていました。私も、この点は非公務員化になったとしても大変大事だと思うんですね。

 実際に研究されている方たちが受け取っていらっしゃる給与がどの程度なのかということをきのうもお尋ねしたんですが、国家公務員の俸給表に準拠していると。行政職に比べたら、やはり研究職だということ、また、先ほど来御説明があったように、博士号を持たれている方が九割以上もいるということで、やはりそれなりに給与的にも保障されていますと。先ほど、ラスパイレス指数を指摘されて給与が安いんじゃないかという御指摘がありましたけれども、現場の方たちから伺った限りでは、それなりにきちんと保障されて、きちんと研究に打ち込めるような状況にありますということでした。その点は安心したんですが、これが非公務員化になることによって、身分保障的に見たときに、給与が下がるとか、何か隠れてアルバイトしなきゃならないというようにならないように、やはり配慮が必要だと思うんですね。

 先ほど来の質問の中で、十八年度以降五年間で人件費は五%削減するんだと。人件費はどういう意味だということで、総務省の藤井行政管理局長が、人件費というのは給与掛ける人数だ、どちらで減らされるのかは各独立行政法人の判断だというふうに言われていたんですが、これが、実際研究に当たられている方が研究に打ち込めなくなるような形での人数の削減とか給与の削減というふうにならないように、ぜひ環境省の方としても配慮していただきたいんですが、この点はどうですか。

小池国務大臣 御指摘の点は極めて重要なことかと思います。

 まず、行革の重要方針ということで、主務大臣が、独立行政法人について、国家公務員に準じた人件費削減の取り組みを行うことを中期目標で示すこととされているんですね。そして、今御指摘ありましたように、これから五年間で五%以上の人件費の削減を行うことは基本とされているわけでございますけれども、国環研においてもこの中期計画を策定します。そして、その計画に従って、人件費の削減ということも含めて一層効率的な運営をしていかなければならないと考えておりますけれども、環境というこれからも重要な分野でございます。中核的な研究機関として、その行政ニーズにも、また国民のニーズと言った方がいいかもしれませんが、それにも対応していけるようなそういう体制をとれますように、必要な予算の確保には努めてまいりたい、このように思っております。

 そして、研究者の方々はもう研究に励んでいただく、そしてまた、我々はそういった必要な予算の確保ということに努力をする、このお互いの連携なども進めることによって、今の御質問にあるような御懸念がないようにしてまいりたいと考えております。

富田委員 大臣にちゃんと必要な予算を確保すると言っていただいたので、もうこれ以上質問する必要はないんですが、一点だけ、局長にちょっと確認をしておきたいんです。

 財源の確保という意味で、先ほど来の質問で、運営費交付金が国立環境研究所の財源のほとんどだというようなお話がありましたけれども、昨日いただいた資料ですと、運営費交付金、平成十七年度は九十二億五千四百万で、そのほかに、自己収入というか、受託業務あるいは競争的資金、寄附等で三十八億四千五百万の収入がある。半分ぐらいは運営費交付金以外のところで来ているということです。その中でも特に競争的資金が三十億円弱だというようなお話を、きのう、環境研究所の理事の方からいただきました。

 そうなると、この競争的資金を国立環境研究所の研究者の皆さんがとれるように環境省の方としてもいろいろ配慮はできるんじゃないかと思うんですが、その点についても、今後、環境省の方できちんと配慮していくという点について御答弁をいただいて、終わりたいと思います。局長、どうですか。

田村政府参考人 ポイントのみお答え申し上げたいと存じますけれども、数字は今申されたとおりでございます。運営費交付金が中心ではございますけれども、いわゆる受託等の経費、中心はこの競争的資金でございますが、これが三十八億ほどございます。

 競争的資金の確保というのも重要でございますし、国環研自身も、新しい中期計画においてもそのようなことをきちっとうたいたいと言っておりますけれども、これはやはり競争的資金でございますから、環境省が配慮をといいましても、環境整備とか広い面での配慮はできますけれども、これはやはりきちっとした審査のもとで客観的に行われるものですから、そういう意味での配慮は可能でありませんけれども、全体としての、今後の国環研の、例えば私どもとしては、運営費交付金をどうやってとっていくか、施設整備費をどういうふうにやって確保していくかというようなことを含めて、自己資金の確保等についても十分留意していきたいと思いますけれども、直接的な配慮というのは適切でないと思います。

富田委員 ありがとうございました。終わります。

木村委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

木村委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。高井美穂さん。

高井委員 私は、民主党・無所属クラブを代表して、独立行政法人国立環境研究所法の一部を改正する法律案について、反対の立場から討論をさせていただきます。

 独立行政法人は、国民生活及び社会経済の安定等の公共性の見地から確実に実施されることが必要な事務事業を政府から独立した主体が行うことにより、その効率かつ効果を向上させることを目的としており、業務の実施に当たっては、公共性、透明性が必須であると考えます。

 業務の効率性、透明性、公共性などを確保、向上するために、三年から五年の期間の中期目標を主務大臣が定め、この中期目標を達成するための中期計画を独立行政法人が定めることとしています。国立環境研究所についても設立後初めて中期目標の見直しを迎えたものですが、職員の身分に過度に焦点が当たり、本来の適切な事業執行という観点からの見直しが欠落しており、政府の監督が十分に機能していないと言わざるを得ません。

 独立行政法人化により、政府の監督を離れ、また、市場の評価の対象にもならない以上、その事業の妥当性、効率性をチェックするためには、情報公開、第三者による評価が不可欠であると言えます。政府は、見かけ上の公務員数削減に固執することなく、事業そのもののあり方を検討すべきであり、まずはその第一歩として、独立行政法人の情報公開、第三者評価のあり方を根本的に見直すべきではないでしょうか。

 独立行政法人国立環境研究所法の一部を改正する法律案は、独立行政法人の職員の身分を公務員から非公務員に変更することを内容としております。本来、非公務員化するのであれば、国の関与、運営費交付金を減じ、さらには民営化等を検討すべきであると考えますが、環境に関する研究はそのほとんどが採算の合わないものであり、むしろ国の関与等を強化して、国の機関として国会の監視下に置くべきであると考えます。事業の性格に応じて組織のあり方や職員の身分を定めるという基本的な検討が欠落しているため、設立後わずか数年で職員身分の変更を提案するというお粗末な結果になっていると言えます。

 独立行政法人の職員の身分を単に非公務員化するだけの政府提案は、天下り隠しの非公務員化のそしりを免れない。民主党は二〇〇三年に独法職員の天下り規制法案を提出しておりますが、この天下り規制に加え、独法の長の公募など、独立行政法人の性格を抜本的に改める環境整備が必要であると思われます。

 政府法案のこのような矛盾は、小泉政権の進めるいわゆる小さな政府の実現に固執したためと考えられますが、その結果、今回の一連の改正法案で、独立行政法人の運営が効率化し、財政の負担が軽減され、あるいは国民に対するサービスが向上するといった成果は全く期待できないばかりか、非公務員化によって、国会の統制が及ばなくなるなどの弊害が懸念されます。政府の掲げる公務員数削減を実現するための数合わせ的な非公務員化には意味はなく、かえって国民の利益を損ないかねません。

 現在の独立行政法人国立環境研究所は、本来、独立行政法人制度に期待されている効果を発揮しているとは思えませんし、非公務員化することが今後の環境の研究によい結果をもたらすとも思えません。むしろ研究者のポテンシャルが下降することや、これまでの研究成果が流出するなど、国内における環境に対する研究が衰退してしまうのではないかと危惧しております。民主党としては、改めて、独立行政法人制度の意義、独立行政法人化に適当な事業、機関の吟味などの根本的な検討を行い、さらに環境に関する研究を維持発展させるために、国立環境研究所をどのように位置づけていくのかを真剣に検討すべきであると考えております。

 以上で反対討論を終わります。(拍手)

木村委員長 以上で討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

木村委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、独立行政法人国立環境研究所法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

木村委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

木村委員長 次回は、来る十七日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時七分散会


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