衆議院

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第7号 平成18年3月17日(金曜日)

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平成十八年三月十七日(金曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 木村 隆秀君

   理事 石崎  岳君 理事 岩永 峯一君

   理事 加藤 勝信君 理事 松浪 健太君

   理事 山本 公一君 理事 田島 一成君

   理事 長浜 博行君 理事 富田 茂之君

      岩屋  毅君    宇野  治君

      小杉  隆君    木挽  司君

      近藤三津枝君    坂井  学君

      篠田 陽介君    竹下  亘君

      とかしきなおみ君    並木 正芳君

      根本  匠君    馬渡 龍治君

      松本 洋平君    川内 博史君

      近藤 昭一君    高井 美穂君

      村井 宗明君    吉田  泉君

      高木美智代君    江田 憲司君

      野田 聖子君

    …………………………………

   環境大臣         小池百合子君

   環境副大臣        江田 康幸君

   環境大臣政務官      竹下  亘君

   政府参考人

   (内閣法制局第一部長)  梶田信一郎君

   政府参考人

   (内閣府国民生活局長)  田口 義明君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 巽  高英君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青少年局スポーツ・青少年総括官)          西阪  昇君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  中島 正治君

   政府参考人

   (林野庁国有林野部長)  梶谷 辰哉君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務流通審議官)       迎  陽一君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         伊藤  茂君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   由田 秀人君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局環境保健部長)       滝澤秀次郎君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  小林  光君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  南川 秀樹君

   環境委員会専門員     齊藤  正君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十七日

 辞任         補欠選任

  木挽  司君     松本 洋平君

  篠原  孝君     川内 博史君

同日

 辞任         補欠選任

  松本 洋平君     木挽  司君

  川内 博史君     篠原  孝君

    ―――――――――――――

三月十五日

 地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四一号)

 環境保全の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

木村委員長 これより会議を開きます。

 環境保全の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣法制局第一部長梶田信一郎君、内閣府国民生活局長田口義明君、警察庁長官官房審議官巽高英君、文部科学省スポーツ・青少年局スポーツ・青少年総括官西阪昇君、厚生労働省健康局長中島正治君、林野庁国有林野部長梶谷辰哉君、経済産業省大臣官房商務流通審議官迎陽一君、国土交通省大臣官房技術審議官伊藤茂君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長由田秀人君、環境省総合環境政策局環境保健部長滝澤秀次郎君、環境省地球環境局長小林光君及び環境省自然環境局長南川秀樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

木村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。坂井学君。

坂井委員 自由民主党の坂井学でございます。よろしくお願いをいたします。

 昨日、本会議におきまして、この国立環境研究所の法案、これが成立をいたしましたけれども、実は、私も昨年の十月にこの研究所に視察に行かせていただいておりまして、大変すばらしい研究をされているといったことを実感しながら帰ってきたことを思い出しておりました。今回は、そのときに、地球温暖化プロジェクトの担当、原沢先生からお話をいただいた中、この資料を使いながら質問させていただきたいと思っております。

 気候変動枠組み条約、地球温暖化ということでございますが、この条約の目的は、温室効果ガスの濃度を安定化し、そして気温の上昇を抑えること、こういうことであろうかと思います。

 そして、きょう、この資料を一枚の裏表でつくらせていただいておるんですが、その裏側、「メッセージ」という部分が一番最後についておりまして、この「メッセージ」、すなわち、そのとき説明をされた原沢先生の結局言いたいことだと思うんですが、これを見てまいりますと、こういうことではないかと思うんですね。

 一つは、最近、研究が進み、この不確実性が小さくなっている。すなわち、研究してきた、出てきたデータというものは間違いはありませんよ。こういうことを言いながら、また一方で、大幅な温暖化をするこの効果ガス、これの排出量削減が必要です。これは、わずかでありません、大幅に必要ですよ。ここには六〇から八〇%という数字が出ておりますけれども、こういった形で大幅な削減が必要だ。そしてまた、温度上昇、これを抑えるということでありますが、この温度上昇に関しては、二度ということが目安で出ております。そしてもう一つは、大がかりな、ドラスチックな改革やドラスチックな対策をしないと間に合わないぞ、その中心を日本が行っていこうではないかと。こういうことが、この「メッセージ」ではないかと思っております。

 そして、この説明をいただいたときに私大変びっくりしたんですが、やはりこの数字ですね。二度Cという温度上昇に抑えるためには、温室効果ガスを何と六〇%から八〇%削減していかなければ実現ができない、こういったことに大変びっくりしたわけであります。

 そして、表の上のこの資料にちょっと移っていただきたいんですが、これが中に入っておりました資料の一つでございます。この温室効果ガス、GHGという略称で書いてありますけれども、このGHG濃度を四七五ppm以下にしなければならない、そして、世界全体で五〇%以下、ここに、日本はそれ以上、すなわち六〇から八〇%の削減が求められる、そして、欧州諸国でも、英国六〇%、ドイツ八〇%、フランス七五%、こういうふうに書いてありますけれども、相応にかなり多くの削減をしなければならい。

 これは、こちらの環境省の地球環境局が出しておりますパンフレット、「二〇五〇年からのバックキャスティング」、こういった資料の中にも、具体的にここに表が書いてありますけれども、このような数字が出ているわけであります。これは大変な数字だと思うわけでありますし、これから本当に大変な覚悟を持ってやっていかなければならないと思うわけであります。

 そこで一つ質問でございますが、今現在、CO2、二酸化炭素だけで約三八〇ppmだ、こう言われているわけでございまして、この現在のGHGの濃度、これは一体今幾らということで押さえていらっしゃるのか。また、この研究に対してこういう数字が出ておりますけれども、これに対する環境省の判断や、またその取り扱い方、こういったことをお聞きしたいと思います。

小林政府参考人 今御指摘の点、多数にわたっておりますけれども、まず一つ、その前提になります二度の上昇、これを目標とすることで進めていく、こういうことに関してどうだろうかという点が一つ、それからもう一つは、それを実現するために排出量をどれだけカットしなきゃいけないんだろうか、それについての認識はどうなんだろうか、こういう御指摘だというふうに承りました。

 まず、第一の点でございますけれども、どれだけの温度上昇が甘受できるのか、許容できるのか、あるいはスピードが問題じゃないか、いろいろな議論がございます。そうした中で、私ども、この検討をしていただくために、中央環境審議会に、先ほど御指摘ありました国立環境研究所の先生方等々もお招きいたしまして、専門の委員会をつくり、そして審議をしていただいた。その結果、産業革命移行の話でございますけれども、それを二度の上昇に抑えるという考え方は、長期的な目標の検討に当たって、現段階でこれから検討を進めるわけでございますけれども、出発点になるものだというふうに評価をされております。

 私どももそのとおりだと思っておりまして、こういった考え方も踏まえながら、条約の究極目的でございます、適切なレベルでの温室効果ガスの濃度の安定化ということの実現に向けまして、政府部内そして関係方面の議論を重ねていきたいというふうに思っております。

 しからば、そのレベルを実現する、二度といったような上昇を実現するための排出経路といいますか、排出量を絞っていくわけでございますけれども、その濃度としてどのぐらいを目標に、そしてどれだけ絞っていくのか、こういうことでございます。

 今委員御指摘のとおり、現状の濃度、最新の値で気象庁が発表しております日本のオリジナルのデータですと、正確に申し上げますと、CO2についていえば三七七ppmというのが、二酸化炭素の濃度としては測定をされております。

 そして、これが気温上昇二度以下に抑えるということになりますと、これはいろいろな排出経路が予想されます。最終的に、温室効果ガスの積分値といいますか、大気中にたまった量が問題でございますから、ある年何トン出すということだけに左右されるわけではございません。その合計量でございますけれども、今御指摘のとおり、国立環境研究所のAIMモデルというものによりますと、温室効果ガス全体を四七五ppm以下に抑える必要があって、そしてそのためには、今御指摘のとおり排出量を五〇%、七五%、これは二一〇〇年の値でございますが、そういった大幅なカットをしていかなければいけない、こういうふうに計算されてございます。

 なお、最後の御指摘の点で、温室効果ガスとしてはどうなのかということで御指摘がございました。

 温室効果ガスの範囲は大変広うございまして、場合によっては温室効果をとめるガスみたいなものもございます。なかなかこれの測定というのは難しいわけでございますが、言われているところは、現状でもここの三七七に対しましてもうちょっと高い、例えば四〇〇とかそういうような数字があるのではないか、フロンだけでも一割以上これに加えなきゃいけないんじゃないかというような議論もございます。なかなかこれの測定については、今、私どもの方としてはつまびらかにしていない、このような現状でございます。

坂井委員 この目的、目標の一つとして、GHG濃度を四七五ppm以下にする必要がある、こういった形で、例えば研究にも出てきています以上、やはり難しいといえども、GHG濃度というものも把握をしながら、ぜひとも今後環境省として政策に当たっていただきたい、こう思います。

 今のお話でございましたけれども、環境省としても二度Cは出発点であり、そしてまたこれを達成するのが必要だ、こういうことでありました。

 一方で、五、六〇から八〇というこの数字がショッキングだったのは、今、京都議定書で日本が負っているノルマというのが六%減ということでございます。しかも、この六%減というのは、例えば、森林の吸収源を想定したり、それから京都メカニズムというような手法を用いたりというようなことも取り入れながら、そして六%という数字を達成しよう、こういうことでございまして、これはいわば純減、純粋に、要は日本の国土の上の大気の中におけるこの濃度もしくは物質、CO2の量を減らすというわけではない、純減ではないということではないかと思います。

 そういうことをしながら六%を達成するという大変な今努力をしているわけでございますが、この六%では実は、この研究、数字がいっていますことは、この六%を達成しても温室効果ガスの濃度は上がり続け、そして温暖化は全くとまらないという宣言であろうかと思うわけです。

 そうなりますと、すなわち六%という数字、今回、二〇〇八年から一二年の平均値ということで出ているわけでございますが、この数値がどういう意味を持っているのかといったことが大変難しくなってくると思うんですね。通常、数値を設定するときには、その設定した数値が達成した場合には目標が達成できるというものを基本的には数値目標として立てるのが普通だと思うわけですけれども、今回目標として立てた六%は、これを達成しても、目的であります温暖化をとめることができないということでございまして、それではこの六%という数字は、GHG濃度、そして地球温暖化をとめる、こういった目的の中でどういう意味を持っているのか。これは大変不思議な数字だと思うんですが、その点、どういう意味を持っているのか、お答えをいただきたいと思います。

小林政府参考人 私、たまたま、個人的な話で申しわけございませんけれども、この京都議定書をまとめるときの担当課長でございました。それで、この六%の意義というのはどういうものだろうかというのが御指摘の点でございます。

 まず一つ、とても大事だと思いますのは、それまでふえる一方でございました温室効果ガスにまず守らなきゃいけない枠をはめる、先進国だけではございますけれども、これをふやさない、そして減らすという法的義務のある制限をかけたということがまず第一歩の意義としてあると思います。

 それから、数字が小さいじゃないか、こういうことでございます。

 この点について申し上げますと、先ほどもう委員御指摘のとおりでございますが、数十%、五〇%、六〇%とかいう数字を、数十年かけて、場合によっては百年でございますが、達成していこうというときに、そのスピードといたしましては、例えば十年間あたりで見ますと、五%の削減、六%の削減というのは決して小さな数字というふうには言えないのではないか。今後その数字を強くしていく、そしていろいろな国々の参加を求めなければいけない、それはもうそのとおりだと思いますが、そういったことの道を開いていく前提といたしまして見ると、その数字は決して意味のない数字だというふうには思っておりません。

坂井委員 そこで、今答弁いただきましたように、小さな数字とは言えない、これからしっかりと積み重ねてこの数字を大きくしていくんだ、こういう御答弁でありましたけれども、それでは、この六〇%から八〇%という数字を実際に実現するとなると、要は、今六%でこれだけ苦労しているという現状を考えると、本当にできるんだろうかという思いもするわけでありますし、実際にこれは無理だ、こういうふうに言っている方々もいらっしゃると思うわけであります。

 それで、今現在をとっても、一九九〇年当時と比べて、これだけ話をして、また例えば努力をしても、いまだにまだ当時と比べてふえているという状況の中で、例えばCO2に限っていいましても排出量がふえているという中で、それでは、本当に六〇%なり八〇%という大きな目標を達成するのか、こういうことでございますが、それを達成するためにはやはりバックキャスティング、こういった考え方が大変必要だと思います。

 これは、当然我々普通の生活では、目標があって、目標を達成するために、こちら、手前手前に時間をずらしてきて、じゃ、今何をするか、一年後何をするか、三年後何をするか、じゃ、今は何をするかということを、先から返って考える考え方でありますが、これをしていかなければならないと思います。先ほど答弁でありましたように、少しずつふやしていくということであれば、例えばどのくらいふやしていくのかといったことをお聞きしたいと思うわけです。

 例えば、今の資料の下の図を見ていただければ、これはバックキャスティングということで書いてありまして、「脱温暖化対策ケース」、こういったものが一番下にありますけれども、この一番上のラインをとってみましても、この表から見れば二〇二〇年には一〇%はもう削減をしなければならない、三〇年には三〇%超、そして五〇年には六〇%近く削減していかないと間に合わない、これを見てもこういう数字が出ているわけでありますが、今環境省が考えておられますこの削減目標、例えば二〇二〇年、三〇年、五〇年、こういった場合での削減目標というものをお答えいただきたいと思います。

 また同時に、京都議定書、これが行われると第二の今度は約束期間、またこういったものも入ってくると思いますが、これに対する枠組みに関しても数値的なものをどのようにお考えか、お答えをいただければと思います。

小林政府参考人 二〇五〇年プロジェクトということを始めてございます。そして今おっしゃったような大変高い削減率を前提に将来を描いて、その上で、現実からどういったことをしていけばいいのかということで、現実の制約を前提にしないでむしろ望ましい未来から考えていくということの新しい手法でございます。

 答えから申し上げますと、そういうことでございますので、まだ具体的に、例えば次の京都議定書の約束期間、仮にあったとして、そのときに何%ぐらいの目標が適切なのかというところの研究の成果を得るにはまだ至っていないというのが現状でございます。

 しかしながら、私どもとして、今、必ずしも易しいことじゃないじゃないか、こういう御指摘ではございますけれども、例えば先生のお配りになられました資料にもございますように、エネルギーの供給側の対策だけでなくて需要の方も大きく変えるとか、それを組み合わせるとか、いずれにいたしましても、環境上の配慮を経済が自由に動いた後に加えるのではなくて最初から組み込んでいくというやり方でいきますとかなりの削減率が稼げるのではないかということで、今研究を始めたところでございます。その成果につきましてはまた御披露させていただきたいと思いますが、そういった現状であるということを御認識賜りたいと思います。

坂井委員 目標をたとえ決めてもすぐそれを実現できるわけではありませんので、なるべく早い時期にこういった研究成果、今得るには至っていないということでございましたけれども、得られるように努力をしていただきたい、このように考えております。

 そこで、私大変びっくりしたわけでありますけれども、ただ、こういったことが実際に今一般の社会の中で、例えば国民の中でどれだけ浸透しているかといったことに対して、私、今非常に不満というか不安を持っているわけであります。

 例えば、京都議定書の六%を達成すればもうこれで温暖化はとまるのではないかと考えている方が大変多い、私の周りでも多いというのが現実でありまして、しっかりとそれを国民に知らせていく必要があると思いますし、例えば、昨年の環境税の議論の際にも産業界がよく言ってまいりましたのは、この京都議定書の目標達成ができるんだ、六%達成できるんだから環境税は要らない、この六%が達成できるんだから何を言うのか、こういった議論が大変あったわけでございますが、この六%が決して免罪符にはならないということがこの調査結果から出ていると思います。

 こういった観点から、環境省としての立場をしっかりと、またこういう研究成果をしっかりと国民に訴えていく必要がある、こう考えておりますが、環境大臣、お答えをいただければと思います。

小池国務大臣 地球温暖化問題というのは、二度Cであるとか、それから先ほどから出ておりますGHGガスのppmの問題であるとか、なかなか科学的な部分をしっかり伝えようというのは難しい部分もございます。

 ゆでガエルの理論というのがあって、それは、ずっとぬるま湯につかっているゆでガエルが、だんだんと温度が上昇していってもぴんとこない、だけれども、突然熱いところにぽちゃっと入れられたらぴょんと跳び上がるというようなことで、七〇年代のあの石油ショックというのはそれに匹敵したところではないかなと思います。それが日本の物づくりをして大変な省エネの技術の革新につながった、イノベーションにつながった、それが今日本の環境立国としての一つの大きな支えになっているというふうに思います。

 今御指摘のような点を、理路整然と説明してもなかなか難しい点があるということは認めざるを得ないと思います。そこは工夫の部分であると思っております。例えば、例のクールビズにしましても、あれはある種ゆでガエルの理論で、皆さんびっくりされて、えっと思った方が、今地球温暖化に対しての感覚、意識を持ち始めたということもございます。

 環境というのは、往々にして、暑いとか寒いとかきれいとか汚いとか、感性の部分に訴える部分がございますよね。ですから、そこをむしろ逆手にとった形で、暑い、寒い、そしてきれい、汚い、それに加えて楽しいとかおもしろいとか格好いいとか、そういった感性の部分をどううまく、そういった科学的な大きな課題を組み込ませて、そして国民に知らせていくのか。

 私は、よくよらしむべし、知らしむべからずという言葉がありますけれども、そういったことで行政が往々にして批判されたりしますけれども、この観点からいいますと、よらしめて、そして知らしめる、両方のことからいろいろな工夫をして、今御指摘のような人類としての大きな課題について、国民の意識をさらに啓発していく努力を続けてまいりたいと考えております。

坂井委員 時間になりましたので、私の質疑を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

木村委員長 次に、川内博史君。

川内委員 おはようございます。川内でございます。

 きょうは、委員長そして理事の先生方にお許しをいただきまして、発言の機会をいただきましたことに心からの感謝をさせていただきたいというふうに思います。

 本日は、本格施行が間近になった、これは経済産業省所管の法律でありますが、電気用品安全法が環境面に対していかなる影響を与えるのかということを論点にいたしまして、質問をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、環境省の廃棄物・リサイクル対策部長にお運びをいただいておりますので、伺います。

 先ほど申し上げたように、四月一日から電気用品安全法が本格施行されます。この法律を所管するのはもちろん経済産業省でありますが、中古電気用品販売事業者である古物商、質屋、リサイクルショップの皆さんへの周知が非常におくれたというか、周知をしていなかったということで、今大変に混乱をしております。これはもう委員の皆さんもよく御案内のところだというふうに思います。

 法律が制定されて六年半がたちました。施行されてから経過措置期間の五年が過ぎようとしているわけでありますが、ことしの二月十五日に経済産業省は、警察庁に対して、初めて全国の六十万店の古物商、質屋の皆さんへの周知を依頼した。ことしの二月十五日ですね、ほんの一カ月前であります。その周知活動は始まったばかりであります。

 経済産業省の古物商、質屋、リサイクルショップの皆さんへの周知が非常におくれて不十分だという事実に対して、環境省としてはどのような見解をお持ちになっているか、由田部長から御答弁をいただきたいというふうに思います。

由田政府参考人 循環型社会形成推進基本法におきまして、廃棄物のリデュース、リユース、リサイクルを推進することとされておりまして、循環型社会を図る上で、電気用品を含めましてさまざまな製品をリユースすることは重要というふうに認識しております。

 一方、製品を使用する際の安全性の確保も重要な課題でありまして、この観点から、経済産業省が所管いたします電気用品安全法が制定されているものと認識いたしております。

 これに関しまして、安全性を確保しつつ、リユースやリサイクルなどを通じまして循環型社会を進めていくことが重要である、このような基本的な認識の上で、PSE法の周知に関しては、さらに経済産業省の方でも徹底していただけるものと考えておりますし、我々としても、できる限りのことをやっていかなくてはいけないというふうに認識しております。

川内委員 大臣はこの周知がおくれたことに関して遺憾だというような御発言を会見か何かでされているというふうに私は認識しているんですけれども、環境省としては、大臣のその御見解ではないということなんですか。

由田政府参考人 同様の見解で、全く同じ見解でございます。

 この電気用品安全法の施行によりまして消費者等が混乱しないよう、また、安全に、安心して電気用品の使用やリユースができるように、この法律がどのような場合に適用され、どの場合に適用されないかにつきまして十分にPRされることが重要であります。環境省としても、経済産業省に協力しまして、必要なPRに努めているところであります。

川内委員 環境省としても、リユースやリサイクル、リデュースは環境省が大事に大事にしなければならない認識であるということですよね。それに対して、電気用品安全法の周知がおくれたことは、経済産業省のやることだからいいともいけないとも言えないが、しかしとにかくしっかり対応していきたいということでいいわけですよね。今、うんと言いましたから、これは政府見解として、環境省の見解として確認します。

 この電気用品安全法が施行されると大量に廃棄物が、要するにPSEマークが張ってなければ物を売っちゃいけないということになるわけですから、大量に廃棄物が出ると思われる。それでは、現在中古電気用品販売事業者が持っている在庫品の金額、点数、重量、それぞれどのくらいになるかということを、見込みで結構ですから、経済産業省からも来ていただいていますから、御答弁ください。

迎政府参考人 お答え申し上げます。

 中古電気製品の在庫に関する公的な統計はございませんので、在庫金額ですとか点数あるいは重量についての正確な実態は把握しておらないところでございます。全体もそうでございますので、PSEマークなしの中古家電製品の在庫に関して、在庫金額、点数、重量についてのデータは持ち合わせないわけでございます。

 ただ、私ども、昨年の十一月に、先生御指摘のように周知がまだ行き届いていないというふうなことで、中古リサイクル店への周知も兼ねまして、調査を実施したことがございます。その際には、六百五十九のリサイクル店舗から聴取を行いまして、その結果として、それらの店では二十二万台、四十六億円ぐらいの、PSEマークの付されているもの、付されていないもの、両方含んで在庫されている数字が四十六億というふうな数字がございました。

川内委員 六百五十九店で四十六億。全国で、中古の電気用品を扱う中小の業者は三十万社ですからね。六百五十九のお店で四十六億であれば、三十万社あればどのくらいの金額になるか、公的な資料はないということでありますが、どのくらいの金額、規模、点数そして重量になるか大体想像がつくわけであります。それらがPSEマークが張ってなければ販売できないということになるわけでありまして、これは大量の廃棄物にならざるを得ないということになるわけで、周知のおくれというのは致命的だというふうに思います。

 そこで、何でこんなことになったのかということに関して、経済産業省にもう一つ聞かせていただきます。

 平成十一年の十一月に、電気用品安全法の施行に係る政令に対するパブリックコメントをしていらっしゃいます。電気用品安全法に基づく電気用品及び特定電気用品の指定についての意見募集ということですね。この意見募集は、平成十一年三月二十三日閣議決定の文書、規制の設定又は改廃に係る意見提出手続にのっとったものというふうに理解してよろしいですか。

迎政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、平成十二年の三月の電気用品安全法施行令の改正のうち、電気用品安全法に基づく電気用品及び特定電気用品の指定については、平成十一年の十一月四日から二十六日を公募期間といたしまして、パブリックコメントを実施しております。

 これは、平成十一年三月二十三日の規制の制定又は改廃に係る意見照会手続というふうな閣議決定に基づいて実施をいたしたものでございます。

川内委員 そうすると、この閣議決定文書には、「行政機関は、次のような公表方法を活用し、積極的に周知を図る。」というふうに書かれておりまして、一番から六番まで、「ホームページへの掲載」「窓口での配付」「新聞・雑誌等による広報」「広報誌掲載」「官報掲載」「報道発表」というふうに書いてあります。さらには、「また、専門家、利害関係人には、必要に応じ、適宜周知に努める。」というふうに書いてあります。

 電気用品安全法の施行令、政令を定めるに当たって、最も影響を受けるであろう中古電気用品の販売の事業者の団体というのは、この施行令に関しては最も密接に関係を持つ利害関係人であるというふうに思われますが、この利害関係人に周知をしていない、この政令のパブコメをしますということを周知しなかったということをお認めになられますか。

迎政府参考人 パブリックコメントの実施に当たりましては、広く、消費者あるいは関係事業者等の方々から御意見をいただきたいということで、通商産業省公報、それから通商産業省のホームページに掲載をすることによって意見の公募の告知を行っております。

 それから、団体等への個別の周知を行ったかどうかについては、既存の資料からは判断ができませんので、ちょっとお答えすることは困難でございます。

川内委員 何、ふざけたことを言っているんですか。私は、きのう、質問通告で、どのような人たちにパブリックコメントをやりますよということを通知しましたかということをあしたの質問で聞きますから答えてくださいねというふうに申し上げていますよ。それに、これだけ問題になっていることを、いまだに、昔のことだから答えられないというのは、どういうことですか。委員長、ちょっと注意してくださいよ。

 こんなにみんなが騒いでいるんですよ。三十万社の人たちが、そして消費者も本当に大きな問題だと思っていることを、過去の資料だからわかりませんというのは、どういうことですか。調べているはずですよ。周知していないでしょう。周知していないということを言わなきゃだめですよ。

迎政府参考人 パブリックコメントの実施に当たっては、今申し上げましたように、掲載を行ったわけでございますけれども、団体等への個別の周知を行ったというふうな記録は、既存の資料の中には残っていないということでございます。

川内委員 わからないじゃなくて、残っていない。したがって、していないということでしょう。ちゃんと答えてくださいよ。大事なことなんですから。

迎政府参考人 残っておらないので、したというふうな記録はないということでございます。

川内委員 そうすると、「利害関係人には、必要に応じ、適宜周知に努める。」というこの閣議決定文書どおりにしていないということですね。

迎政府参考人 この点につきましては、広く公募を募るという意味で、先ほど申し上げましたように、公報への掲載ですとかホームページへの掲載というのをやっておるわけでございまして、これは、必要に応じ、いろいろ、消費者もおられるし、あるいは、この場合には新品の製造者もおられるでしょうし、流通関係もおられるでしょうし、そういうふうな中で、むしろ、広くということで、こういう広報をやったわけでございまして、個々に問い合わせなかったからといって、閣議決定の違反というふうなことではないと理解をしています。

川内委員 委員長、PSEマークが張られていないと、四月一日以降、売れないんですよ、販売できないんですよ。それが大量にあるわけですね、大量にあるんです。これは廃棄物になっちゃうわけですよ。これは、物すごく環境に負荷がかかりますよね。

 なぜこんなことになったのかということを、環境省としても多分知りたいと思うし、今後の対応のためにも。経済産業省は、全く誠意ある御答弁をされないですよね。それが今日の混乱の大きな原因ですね。(発言する者あり)いやいや、経産委員会でもやりますが、環境委員会でもやっておく必要があるわけですよ。大変な問題ですよ、これは。

 六百五十九のお店で、大量の廃棄物、四十六億円分ですよ。三十万社だとどのくらいになるか、想像もできない数字ですよ。そのくらいの中古電気用品が、今売れなくなるかもしれないというところに来ている。

 では、何でこんなことになったのか。周知も全くしていない。利害関係人には周知に努めると閣議決定文書に書いてある。しかし、していない。していないことを、いや、ホームページに掲載しましたとか言いわけをするわけですよ。全く誠意ある仕事をされていたとは思えない状況ですよね。

 では、この問題をどうすればいいのか。(発言する者あり)そうですよ、そこですよ。では、それをこれから残りの二十分でやりましょうね。

 では、家電リサイクル法上の製造事業者、家電リサイクル法上の製造事業者は、電気用品安全法上の製造事業者とイコールですか。

由田政府参考人 お答えします。

 家電リサイクル法におけます製造事業者等は、対象の家庭用機器を製造または輸入している者を指しております。また、委託により他の者に製造、輸入を行わせている場合におきましては、その製品の仕様等に決定権のある委託を行った者が製造事業者等に該当いたします。

 これらの者は、みずからが製造などをした家庭用機器につきまして最も情報を有しており、リサイクルしやすいものを製造、輸入し得る立場にありますことから、家電リサイクル法におきまして、製造事業者等にリサイクルの実施義務を課しているところであります。

 したがいまして、電気用品安全法におけます製造等事業者の届け出を行い、PSEマークを付して家庭用品を販売する古物商が家電リサイクル法におけます製造事業者等に該当することは、通常はあり得ないというふうに考えております。

川内委員 通常はあり得ないと。

 では、製造物責任法上の製造業者と電気用品安全法上の製造事業者は、どのような関係でございますか。

迎政府参考人 今の点でございますけれども、そもそも法令上の用語の概念というのは、個々の法令によって、それぞれの目的に応じて解釈されるものでございまして、製造概念についても、それぞれ各法律で合理的に解釈されるべきものと考えております。

 したがいまして、電気用品安全法の製造事業者に当たる者が、必ずしも、他法令、今お話しの家電リサイクル法ですとか製造物責任法の製造事業者に該当するとは限らない、こういうふうに思っております。

川内委員 だから、個々のケースによって判断されるということでよろしいですね。

 内閣府からも、来ていただいていますから。

田口政府参考人 お答え申し上げます。

 製造物責任法第二条第三項第一号で製造業者を規定しておりますが、ここでは「製造物を業として製造、加工又は輸入した者」というふうに規定されております。

 中古品販売業者が中古品に対しまして、例えば改造、修理を行った場合等について、この規定に該当するかどうかが問題になるかと思います。これは、個別具体の事例に即しまして判断されるべきものでございますので、一概には申し上げられませんが、一般論として申し上げれば、例えば中古品を改造した場合でございますが、この場合につきましては、当該製品に新しい属性が加えられるものとして、製造または加工に当たり得るというふうに解されます。

 一方、例えば修理を行った場合等につきましては、基本的に、ある製品に本来ございます性質の回復や維持を行うものと考えられますので、製造または加工には当たらないと解されるところでございます。

川内委員 当たることもあるし、当たらないこともあると。長々と御答弁いただいたが、そういうことなんです。

 小池大臣、なぜ今日のような混乱が起きているかというと、そもそも、大量の廃棄物が出るかもしれない、出かねないというこの問題は、電気用品安全法が中古電気用品の販売ということを想定していなかったというか忘れていたわけですね、そういう市場があるということを。だから、中古電気用品でPSEマークを張っていない人で、それをまた売りたいという場合は、PSEマークを新たに張りなさいと。PSEマークを張るためには技術基準適合確認という物すごく難しいことをしなきゃいけないんです、販売する人がですよ。技術基準適合確認という物すごく難しいことをした上で、絶縁耐力検査という検査をして売るわけです。

 しかも、そのときには製造事業者という届け出をしなきゃいけないんですよ。そんな届け出なんか無理ですよ。製造事業者じゃないんだから、販売する人は。そもそも法律の中で、販売事業者が製造事業者の届け出をしなければ中古のものが売れないという法の仕組みになっているわけです。

 これは、法律の中で、中古の電気用品を売る人たちはこうしてくださいね、中古のものを売る人たちはこうしてくださいねということさえ書いておけば、こんな事態にはなっていないんです。

 そこを、審議会の議論でも、もちろん国会でも、我々も忘れたんですよ。我々も反省しなきゃいけないんですよ、そこを忘れていたわけですから。パブコメでも、結局通知もしていない。今になって、あるリサイクルの会社から我々はどうなるんだという問い合わせが来て、今慌てて騒いでいる。それで、この前対応策を出したが、あの対応策でも極めて不十分なんですよ。

 抜本的に法律の中身を変えないと、変えないとというより、中古の電気用品を売る場合にこうしてくださいということを書かないと、これはもう混乱を回避することはできない状況だというふうに思います。

 内閣法制局にも来ていただいていますから、お伺いします。

 この電気用品安全法上の製造事業者の定義、中古の電気用品を販売する方たちも製造事業者としての届け出をしなければ電気用品を売ることができないという製造事業者の新たな定義ですけれども、これは、電気用品安全法の前の法律、電気用品取締法、電気用品取締法が電気用品安全法に改正をされたんですが、安全性の基準においては、この二つの法律は旧法も新法も全く変わっていないんです。安全性の基準は一緒なんです。規制緩和の一環として今までは国が検査していたのを自主検査にしましたというだけなんですよ、電気用品取締法から電気用品安全法に変わったというのは。

 その変わった中で、製造事業者という言葉の定義が、取締法のときは普通に部品を加工して製造する製造事業者だった、それが、電気用品安全法上は、部品を加工して物を製造する製造事業者、本来の意味の製造事業者と、中古を売る人たちも製造事業者として届け出ろというふうに変わったんですよ。もとの法律にもない、政令にもない、これまでの日本語にもないと思いますよ、販売する人たちが製造事業者の届け出をしなければ物を売れないなんというのは。

 内閣提出の法律について、こんな珍妙な解釈を行政府が勝手につくり出すことが許されるんだろうかと私は思うんです。こんな前例が過去にありますかね。どうですか、法制局。

迎政府参考人 その点については、ちょっと私の方からお答え申し上げます。

 販売事業者と言いますが、新品を販売するような場合には、別に製造事業者の届け出なんてするような人はおらないわけでございます。ただ、中古品の販売をされる場合には基準に適合したものを売るというふうなことで、手を経て毀損したものとか、いろいろ手を加えて売らなければならないようなものが中古品の中にはあるわけでございまして、そうした場合にはその届け出をするというふうなことで対応される。それは何ら、製造事業者の届け出をされるということはおかしなことではないというふうに私は思っております。

川内委員 今、おかしなことではないと。おかしなことではないとおかしなことを言うわけですよ。(発言する者あり)いや、全然違います。これまでと全然違うんだから。だから、そこを与党の先生方も、政府を、霞が関を守ることは大事だが、しかし、霞が関が間違ったことをしているんだったら、きちんとしなきゃいかぬわけですよ。三十万社の人たちが、どうしようかとあたふたしているんですよ。大量の廃棄物が出かかっているんですよ。

 それはなぜかというと、今までの法律とは全く違う電気用品安全法、取締法が電安法に改正されて、販売事業者が製造事業者の届け出をしなければ売れなくなったんですよ。それをおかしなことではないと言うわけですよ、経済産業省は。おかしなことですよ。販売する人は販売する人であって、製造業者じゃないですよ、絶対。

 だから、製造事業者という言葉の中に、実際には製造業者ではないが、販売しかできない人たちを含めるというような解釈が成り立つのかどうか、法制局にちょっと聞いてくださいよ。

梶田政府参考人 一般的に言いまして、製造事業者、製造という概念と販売という概念は違います。

 今、経産省の方からお話があったかと思いますが、販売事業者が同時に製造事業者としての立場、それぞれの要件がございますが、立場に立つということは、およそ一般的に許されないというわけではないと思っております。

川内委員 だから、およそ一般的に許されないことではないというのは、それは私もわかりますよ。

 しかし、この電気用品安全法上の製造事業者になるには、技術基準適合確認という物すごく難しいことをしなきゃいけないんですよ。法律は強制力があるわけですからね。その下にある、この電気用品安全法の下にある施行令とか施行規則とか細則とかで、技術基準というのは全部細かく定められています。細かく定められているんですよ。販売事業者はそんなことできるわけないじゃないですか、販売する人たちなんだから。

 でも、経済産業省は、ホームページ上で、経済産業省のウエブサイト上で、技術基準適合確認の方法は問いませんとか、記録は残さなくていいですとか、脱法的行為を指導しているんですよ。そんな言いわけまでして、無理無理この法律を施行しようとしている。

 しかし、世の中の人はみんな正直ですから、みんなまじめに生きていますから、この法律をきちんと守ろうとすればとても無理だと。だから、みんな騒いでいるんですよ。だから、延ばしてくださいということを我々はお願いしているわけですよ。

 何か言いたいことがありますか。どうぞ。

迎政府参考人 技術基準適合という点につきましては、今回議論になっておりますのは、まさに旧法の表示が付された製品であるわけでございます。

 それで、旧法の、適法に表示が付されているというのは、それが製造された時点においては、その後、技術基準がそれほど大きく変わったわけではございません、その場合には、その時点においてはその基準に適合していたわけでございます。ただ、その後、壊れているかとか、そういうところはちゃんと壊れていないのかというのを見て、壊れていれば、それはさっき申し上げましたように基準に適合するように直すとか、そういうふうなことは必要です。

 さらに言えば、旧法下において、個別の品目について行われていなかった検査というのは、これはその実施をしなければ新法の新しいマークは付せない、こういうことでございます。

川内委員 今、経済産業省の審議官はでたらめなことを言っているんですよ。旧法はもうないんだから。電気用品安全法しかないんですよ。何が、旧法で技術基準適合を確認されていれば確認しなくてもいいんだみたいなことを言うんですか。

 電気用品安全法上の技術基準適合を確認しなければ製造事業者ではないですよ。それが法律でしょう。何を言っているんですか。旧法で確認されたものは新法でも確認されたものとみなすとか、そんな人に誤解を与えるような法律の解釈を、行政府みずからがそんなでたらめな解釈をするようなことを言っちゃだめですよ。電気用品安全法上で技術基準適合を確認するわけでしょう。そんなことが中古電気用品の販売事業者にできますか。できないですよ。

 さらには、消費者の皆さんだって、みんなテレビや冷蔵庫が家にあるわけですよ。それを、PSEマークが張ってないものをリサイクル業者に持っていきました。買い取ってもらえないんですよ、もう。買い取ってもらえないんですよ。じゃ、買い取ってもらえないとどうなるか。家電リサイクル法に基づいて、まだ使えるものをお金を払って処分するということになるんですよ。そんなもったいない、もったいない運動に反するようなことをやるんですか。

 さらには、中古の流通市場に大きな影響を与えますよ。(発言する者あり)いや、難しいんですよ、法律どおりやろうとすれば。法律どおりやろうとすれば難しいんですよ。岩永先生、法律どおりやろうとすれば難しいんですよ、本当。委員長、本当に難しいんだから。法律というのは強制力があるわけですよ。適当にやればいいんだということを経済産業省は指導しているんですよ。そんな法律がありますか。

 だから、電気用品安全法の中にきちんと、中古の電気用品についてはこうするということを入れるだけでいいんですよ。経過措置期間は、流通在庫、すなわち新品だけしか対象にしていないわけです。電気用品安全法の附則五十条で、流通在庫、すなわち新品だけを経過措置期間の対象にしているわけです。中古についてはこれから製造が始まるんだから。「製造から販売」と書いてある。その中古について、しっかりと経過措置期間を設けて、その間に対応策を協議するということをどうしてもやらなければ、大変な廃棄物の山になる。どうですか。

迎政府参考人 お答え申し上げます。

 電気用品安全法は電気用品の安全を確保するというのを目的にやっておるものでございまして、リユースというのは大変重要なことでございますけれども、一方で、安全な製品がリユースされるというふうなことを実現することが大事であるというふうに思っております。

 その点につきまして、廃棄物になるではないかというふうなお話でございますけれども、私ども、そういうふうなことがないように、円滑に法律が執行される、あるいはまだ使える製品がリサイクルに回る、あるいは廃棄物になるというふうなことがないように、先般、検査機器について無料で貸し出しをする、あるいは検査について無料で出張検査をやるというふうなことで、まさに新しいマークがつけられた安心な製品がリユースされるというふうなことに全力を挙げて努めてまいりたい、こういうことでございます。

川内委員 本当に、委員長、今聞いていても言っていることはでたらめでしょう。電気用品安全法は安全のためです。うそついちゃだめだよ。電気用品取締法も電気用品安全法も安全性の基準は一緒なんだから。PSEマークが張ってあろうがなかろうが、安全性は一緒なんですよ。PSEマークが張ってある方が旧法よりより安全であるという立法事実がありますか。具体的な事例を挙げて述べられますか、ここで。PSE法が施行されてからの方が事故は多いでしょう。何を言っているんですか。そんなでたらめばかり言って。

 自分たちのミスをそうやって言い繕うことをしちゃだめですよ。みんなが迷惑するんですよ。廃棄物の山になるんですよ。過ちを過ちとして認めて、私や、そして民主党や、もちろん与党の先生方も、経済産業省が今から中古電気用品のことを法律の中に入れるので法改正しますと言ったって、だれか責任とれとか、おまえら何やっているんだとか言いませんよ、だれ一人。それはいいことだ、そうすればみんながハッピーだ、ウイン・ウインの関係になれるということになるわけですから、こんなことをだれが責めるんですか。だれも責めませんよ。やるべきことをやるというのが行政としての仕事でしょう。周知がおくれたこと、法律の中に入れ忘れたことをごまかして、法律をどうでもいいから施行することがあなた方の仕事じゃないはずですよ。

 大臣、これは環境に大きな負荷を与えると思われるんです。ぜひ閣議の中でも、時間はないですけれども、もう一度御検討をいただければというふうに、私はたくさんの人々が思っていらっしゃると思うので、ぜひ御配慮をいただけるように心からお願いをして、最後に御決意を聞かせていただきたいというふうに思います。

小池国務大臣 電気用品安全法、先ほど来御答弁ございますように、安全な製品をリユースして使っていただくということが円滑に進みますように、私どももPRに、経済産業省と連携いたしまして、しっかりとお伝えしてまいりたいと思っております。

 ホームページにも既に、私どもの観点は、むしろ消費者の方々がどう思っていらっしゃるかという観点から、ホームページを通じて周知をさせていただいているところでございます。例えば、フリーマーケットに出したいとき、それはどうするのというようなことでございますが、これはたしか生業ではないということから認められるなどなど、消費者の観点からわかりやすくお伝えできるように努めてまいりたいと思っております。

川内委員 終わります。ありがとうございました。

木村委員長 次に、近藤昭一君。

近藤(昭)委員 民主党の近藤昭一でございます。

 幾つか質問をさせていただきたいと思いますが、まず、水俣病対策について質問をさせていただきたいと思います。

 二〇〇四年の十月十五日に、水俣病関西訴訟最高裁判決で国の責任が認定をされたわけであります。環境大臣は、当日声明も出されまして、真摯に反省をするとお述べになった。それを受けて、環境省で行われたことは二つあるわけであります。一つは、新保健手帳を交付すること。一つは、懇談会、これは大臣の私的な諮問機関ということであります。

 それで、それぞれについてお伺いをしたいのですが、この新保健手帳ですけれども、大変に申しわけないのですが、失敗に近いのではないか。認定申請、いわゆる水俣病患者の水俣病としての認定を申請している人が、今は大体三千七百名を超えていらっしゃる。しかし、その新保健手帳を受ける、そういう申請をされている方は一割にも満たない。これは、新保健手帳を申請して交付を受けると、いわゆる水俣病の認定の申請を取り下げなくてはならない、こういうことからきているんだと思いますが、こういうことではとても展望が開けないと思うんですが、いかがでありましょうか。

    〔委員長退席、松浪(健太)委員長代理着席〕

滝澤政府参考人 御指摘のように、新保健手帳を、さまざまな関係者の御意見を拝聴しながら、昨年の四月七日に対策を取りまとめまして、十月十三日から受け付けを開始したわけでございます。

 医療費自己負担分を全額見るという内容でございまして、やはり地元の直接の関係者の方々の御要望が一番強い、医療費を見るということを優先度の高い課題として対応してきたものでありまして、さまざまな場面を通じて、今後、その趣旨について十分PR、説明をしていきたいと考えております。

近藤(昭)委員 PRをしていきたいということを滝澤部長はおっしゃったわけでありますが、これはPRというよりも、先ほど申し上げましたように、いわゆる新保健手帳を受け取ると認定の申請を取り下げなくてはならない、こういうことですよね。そこに原因があるのではないかと思うんですが、いかがでありましょうか。

滝澤政府参考人 若干細かな言い方になって恐縮でございますが、認定申請を出されている方がこの新手帳をあわせて申請する、一応審査がございますので、その結果、新手帳の交付の対象になります、こういう最終的な段階で、その当事者に最終的にどちらにするか選んでいただくということで、入り口で取り下げてから申請してくださいということではございません。

近藤(昭)委員 少し私の誤解があったかもしれませんが、いずれにせよ、その時点で選択をしなくてはならない。

 多分、これは想像になるかもしれませんが、多くの方が確かに大変に困っている、きちっと自分は水俣の患者だということを認定してほしい、そして医療費あるいは補償をしてほしい、こういうことだと思うんですね。ところが、認定をされれば、そこで選ばなくちゃいけない。

 しかし、新保健手帳というのは、確かに今までの医療費の自己負担分については上限がなくなった。今までは上限があったと思います。そういう意味では、上限はなくなったかもしれないけれども、かつてあった。これは平成七年のときの政治的な救済だと思いますが、そのときには医療手帳と保健手帳という二段階があった。そして、医療手帳の交付を受ければ一時金の二百六十万円ももらえる。また、そうでない方は、保健手帳で医療費の負担等についての補てんがあった。しかし、今度の新保健手帳については、そういった一時金もない、確かに上限は撤廃されたけれども、ないということであります。

 そうすると、選ぶ際に、やはり平成七年のときと比べる、あるいは患者と認定されることとの差を比べる。まして、同時に、この間、裁判で国が負けている、こういうことでありますよね。そうなると、やはり患者の方としては、確かに現実に困っているわけですから救済は必要ですけれども、新保健手帳を選ぶか、引き続きその申請を選ぶかということでいうと、通常は非常に悩まれるんではないでしょうか。いかがお考えでしょうか。

滝澤政府参考人 個々の方々が最終的にどのような選択をされるか、さまざまかと思います。

 私ども、先ほど申し上げたような申請の手続も含めて、新しい手帳をスタートさせたわけでございまして、繰り返しになりますが、新手帳の趣旨を十分に説明をし、少しずつでも御理解をいただきたいということで、県と連携して推進していきたいと考えております。

近藤(昭)委員 私が申し上げるまでもなく、環境省また関係の方は皆さん御認識だと思いますが、やはり認定基準ということが非常にキーポイントになってくるんだと思うんです。

 大阪高裁の判決で国が敗訴して上告した際、上告理由書でも国は、昭和五十二年の判断基準が水俣病の認定基準として正しいという主張を行われた。しかしながら、今度、最高裁で国が敗訴をした。これは、認定基準が否定されたのではないかと私は思うわけですね。

 関西訴訟だけでなくて、何回もその認定基準は否定されている。そして、その認定基準が否定されているという裁判の歴史の中で、先ほども申し上げたように、患者の人たちは、この認定基準は合わない、そして裁判所もそう認めているんだという思いの中で、新保健手帳を受けてしまう、つまり、新保健手帳を受けるということは、その認定基準を認める、こういうことになるということで、とてもためらわれるのではないかと思うんですが、この認定基準についてというか、こうして裁判所で認定基準が否定され続けてきた歴史について、その辺はどういうふうにお考えでしょうか。

滝澤政府参考人 御指摘の裁判と基準の関係でございますが、昭和六十年の水俣病第二次訴訟福岡高裁判決では、確かにこの認定基準が厳格過ぎるというふうに直接批判を受けたわけでございますが、そういうことを受けまして、医学専門家会議を開きまして、再度その時点での意見をまとめていただいたわけでございまして、現行の判断条件による判断がその当時は妥当であるとされています。

 また、その後、平成三年の中央公害対策審議会でございますが、そこでも御議論を再度いただきまして、判断条件は医学的知見をもとにまとめられたものであり、これを変更することが必要となるような新たな知見は示されていないという答申をいただいています。

 それからさらに、裁判で申し上げますと、平成九年でございますが、水俣病認定棄却処分取り消し訴訟福岡高裁判決でございますが、この判決の中では、五十二年判断条件は医学的知見に合致しており、それ自体不合理であると評価することはできないとの判断が下されておるわけでございます。

 この五十二年判断条件は、公健法の水俣病の適切な認定基準であると現時点でも認識しております。

近藤(昭)委員 しかし、この間の問題というのは、やはり認定基準の問題ではないかと私は思うんです。今、滝澤部長がそういう見解は出ていないというふうにおっしゃるわけでありますけれども、この間、国が裁判に負けてきたということは、この基準の見直しをやはりすべきではないか、こういうメッセージだと私は思うんです。

 今部長も、認定基準は間違っていない、見直す必要もないんだということでおっしゃっているわけですから、お答えはおのずと出てくるのかもしれませんけれども、先ほど冒頭申し上げた最高裁の判決を受けて新保健手帳の交付を考えた、もう一点は、懇談会を設けた、しかし、この懇談会の委員の中からは、認定基準を変えないとどうしようもないという意見も出ているというふうに聞いております。

 どうでしょうか、この懇談会、環境省が考えているように進んでいるのかどうか、また認定基準の見直しについてはどう思われるか、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

小池国務大臣 懇談会におきましては、有識者の皆様方から、水俣病を取り巻きますさまざまな問題点、そしてこれまでの、何が起こって何が問題であったかというようなことで御意見を承っているところでございます。

 また、御指摘のように、一部の委員からは、現在の認定基準のままで問題解決できるのかといった不安視する意見なども出ていることは聞いているところでございます。委員の皆様方それぞれ、率直な御意見をちょうだいしている会であるということでございます。

 また一方で、公健法の認定基準ですけれども、委員御承知のように、平成十六年の十月に最高裁判決が出て、そしてそのときに、五十二年の判断条件が公健法の水俣病認定要件として、これとは別個の判断で被害を認めた平成十三年の高裁判決を踏襲したものであるということから、公健法の認定基準としての五十二年判断条件の見直しを要請したものではないと考えております。したがいまして、今御指摘あります認定基準の見直しということについては、環境省では考えておりません。

 また、懇談会においても、可能な限り先生方との率直な意見交換などを通じまして、御理解を得るべく対応してまいりたいと考えております。

近藤(昭)委員 そういう意見も出ているけれども見直す状況ではないということですが、冒頭申し上げましたように、せっかくといいましょうか、最高裁の判決を受けて、やはりこのままでは済まない、対応しなくてはということで、先ほどの新保健手帳と今の懇談会が出てきた。しかし、新保健手帳が、先ほど申し上げたように、認定患者としている方が三千七百名もいらっしゃるのに、結果的に一割にも満たない方しかその新保健手帳の交付を受けていらっしゃらない。そこに介在する問題は、やはり認定基準だと私は思うんですね。

 どうでしょうか、例えば、そういったことについて、訴訟に関与をした医学者の中にはやはり変えるべきだと裁判で言っていらっしゃる方もいらっしゃるわけですから、訴訟に関与した医学者の方とか弁護士の方とかその他の学識経験者を含めた、懇談会でできないのでほかのところでできるのかというのは難しいのかもしれませんが、そういうことを検討されるということはお考えにならないでしょうか。

    〔松浪(健太)委員長代理退席、委員長着席〕

滝澤政府参考人 五十二年の判断条件につきましては、今大臣からも申し上げたとおりでございまして、水俣病の認定を行うための公健法上の判断条件ということで、最高裁も否定されていないわけでございます。

 水俣病に関する医学的な各分野の専門家による検討結果、先ほどの答弁でも申し上げましたように、昭和六十年、平成三年と二度にわたりまして検討を重ねてきておりまして、その都度、判断条件の妥当性が確認されてきておる状況でございます。

 そうしたことの経緯を踏まえまして、新たな検討会を開催する、見直しを前提とした検討会を開催するということは考えておりません。

近藤(昭)委員 しかし、先ほど申し上げたように、手帳を受ける方の数が一割にも満たない。一方で、熊本ではまた国を相手にした裁判が始まっているわけで、原告も千名に近づこうとしている。また、鹿児島でも提訴の方向で動いている。最高裁判決もあるわけでして、国の責任は争いようもないと思うわけであります。

 そうすると、判断基準を認めない、そして新保健手帳も交付を受けない、しかし、困っていらっしゃる方がいる、病症が出ていらっしゃる方がいる。いつまでこういうことをお続けになっていくのか。きちっとした救済システムについてはどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、大臣、ちょっとお考えをお聞かせいただけないでしょうか。

小池国務大臣 今、訴訟についての話がございました。

 昨年十月から、新たな国家賠償等の請求訴訟、熊本地裁に順次提訴されておりまして、その累積は原告が九百人近くになっているという状況であることは、当然のことながら承知をいたしております。

 ただ、環境省といたしましては、最高裁判決で認められました行政の不作為の責任について重く受けとめておりますし、また、真摯に反省をしているということについては、繰り返しお伝えをし、また心からそう思っております。そして、この責任について争うということは考えておりません。

 現在、裁判所が原告個々の症状についての資料の提出を求めている段階でございまして、その動向を注視してまいりたい、また、法務省とも相談しながら、政府としての訴訟対応を進めていきたいと思っております。

 行政の責任ということを痛感しているわけでございますが、それを踏まえました被害者への対応として、昨年の四月に、今後の水俣病対策について、関係県との協力のもとに、医療などが必要な方に対しまして、その医療等の給付を図るために保健手帳を交付してまいりました。その数は既に千五百人以上の方々に行わさせていただいたところでございます。

 それから、今、参議院の方で予算の御審議をいただいているところでございますけれども、この十八年度の予算について、胎児性の患者さんへの支援であるとか、被害者の皆様が高齢化しているといったことなどに対応した地域的な対策を始めることを準備いたしております。

 こういった取り組みを通じて、もともと申し上げております、すべての被害者が地域社会の中で安心して暮らしていけるように行政の責務を果たしていきたい、このように考えているところでございます。

近藤(昭)委員 国としては、不作為、当時きちっとした規制をしなかったという責任は認めるけれども、その認定基準は変えないということでしょうか。

 しかしながら、繰り返しますけれども、認定基準を変えないことにはとても前に進まないのではないか。そして、少なくとも認定基準を変えることの検討を進めていただきたい。検討しても変えないということもあるのかもしれませんけれども、少なくとも検討する会を始めていただけないでしょうか。

 と申しますのは、今、新保健手帳を給付を受けている方以外は患者の認定の申請をしている、しかし、認定の審査会というのは動かないわけであります。その動かない最大の理由は、認定をしても、患者かそうでないかを判定しても、その後、裁判で負ける歴史が続いてきた、それでは審査会をやっても意味がない、こういうことではないかと思うんです。

 報道によりますと、なかなか県の審査会が動かないということで、自民党の方でも、国の審査会を動かそう、こういうようなお考えもあるようでありますけれども、やはり水俣病に関する専門家というのは決して多くない、ですから、県でやろうが市でやろうが、大体専門家の方が重なっている、県がやるときに開けなくて、国がやったときにやれるととても思えないんですね。どうでしょうか、そこのところは。

小池国務大臣 御指摘ございましたように、自民党水俣問題小委員会におきまして、今月の九日にその小委員会が開かれたわけでございます。そこで、国におきましても認定審査業務を行えるようにするために、議員立法で臨時措置法の改正を目指したらどうだという方針が示された、このように承っております。

 臨時措置法は、水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法という名称でございますけれども、この臨時措置法に基づく国の審査会というのは、県の審査会と連携して審査を行うことになるものと承知をいたしております。県の方も、審査会の再開ということで引き続き努力をされるということを聞いております。また、法改正がなされましたら、国と関係県が一致協力いたしまして水俣病の認定審査に当たることになる、このように考えているところでございます。

 国としては、県の審査会の再開と、そして今回の国の審査会の立ち上げということが行われましたら、その両面にわたって、引き続き県と協力して取り組みを進めて、そして早急に認定制度の機能を回復させまして、円滑な認定業務が行えるようにしてまいりたいと考えております。

    〔委員長退席、加藤(勝)委員長代理着席〕

近藤(昭)委員 まず、審査会を動かしていただくこと、その努力はぜひしていただきたいという思いと、もう一度申し上げますように、開いても、同じ認定基準の中では、私はやはり引き続き裁判が継続をしていく、また、裁判で国が負けるということの繰り返しになるのではないかと思うんですね。

 そしてまた、今、一方で、国での審査会の開催も進めていくけれども、自治体と協力してということがありましたが、聞くところによると、これは、一つの救済方法として評価はするわけでありますけれども、申請をして認められないでいる方たちに対して、治研手帳というものをお渡しになって、当面の医療費等々をお支払いになっているようですが、これが国と県の半分半分の負担だということで、大変に県として、自治体として負担になってきている。この一年で随分とその額がふえているということのようですが、この辺についてはいかがお考えでしょうか。

滝澤政府参考人 申請者医療の話がございました。これは、昭和四十九年からの制度でございまして、審査が非常に順番待ちといいますか、時間がかかる時代に、補完的に六カ月あるいは一年を超えた方々に医療費を見ようという趣旨の制度でございまして、御指摘のように、県と国の負担が一対一でございます。

 ちなみに、今回、新保健手帳という意味では、八対二の、国の責任が重いという御指摘もありましてそういう比率になっているわけでございまして、制度的な経緯、あるいは昭和四十九年からずっと引き続き行ってきた手帳という性質もございまして、この比率についてはなかなか変えることは難しいのではないかと。審査会の再開はもちろんでございますが、前提といたしまして、新しい手帳の普及ということに相まって推進していきたいと考えております。

近藤(昭)委員 先ほどちょっと申し上げませんでしたけれども、例えば、鹿児島県の場合は、平成十六年度がこれは五十万円の予算だったのが、平成十七年度には三千二百万円に上がっている。大変に財政を圧迫しているということでありますので、私は、財政的なことよりも、もっと患者さんたちの状況、苦しんでいらっしゃるということがもちろん一番の問題でありますけれども、やはりこの問題を早く解決する、しなくてはならないと思うんですね。

 ただ、そこで、認定基準なんだと思うんですが、なかなか認定基準はお変えになるという意思がない。でも、私はぜひ御検討いただきたいことがあります。それは、熊本県でも水俣でも、すべての被害者の健康調査をしようという方針であると。これはぜひ進めていただきたいと思うんですよ。

 つまり、ことしは、水俣病患者が認定されて、お困りになっていたのはもっと前からでありますが、初の患者が認定されて五十年という節目の年であるわけであります。五十年もたって、しかしながら、これだけ多くの方がまだ認定を求めて裁判を争っておる、そして、裁判で国が負けている。私は、やはりこの水俣病という病気が持ってきている、先ほど申し上げたように、専門家が少ない、非常にいろいろな病症が出てくる。ですから、五十年前わからなかったことがやはりわかってきていると思うんです。

 つまり、患者の方、患者と見られる方がどういうふうに苦しんでいらっしゃるか、そういうことをもっともっときちっと精査をしていけば、これだけの方がこういう病症で苦しんでおられるんだ、では、こういう認定基準に変えようじゃないか、あるいは、こういう病症の方にはこういう施策をしようじゃないか、こういうことをやれると思うんですね。

 ところが、随分昔につくられた認定基準を変えようとしない。私は、そうであるならば、まず、この健康調査は少なくとも実施をして、どういう方がどういう健康状態、病症で苦しんでおられるか、これをやるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

滝澤政府参考人 国といたしましては、十数年前からでございますが、水俣病総合対策事業の一環といたしまして、地域住民の健康状況の把握のために健康管理事業等を実施してきております。

 御指摘の健康調査でございますが、昨年来、熊本県と協議を続けてきておりまして、当面、十八年度は、健康管理事業の一環として、過去に熊本県で実施された健康調査がございますが、それを専門的に再度分析、解析を行う、そこから何か新しい知見が出てくるかどうかということを、十八年度、県と国と一緒になって進めたいと考えております。

 十九年度以降につきましては、こうした分析、解析等を含めまして、どのような形で健康調査というものが実施できるのか、あるいは、してもなかなか結果的に意味があるのかないのか、そういう吟味も踏まえて、引き続き県と十分検討をしていきたいと考えております。

近藤(昭)委員 余り時間もないので多くは申し上げませんが、やはり早くそれをきちっとやっていただきたい。検討して、それが効果があるのかということではなくて、これはやはりやらなくちゃいけないと思うんです。いわゆる道路の排気ガスの問題、ぜんそくの問題でもそうですが、そういう健康調査をするかどうか、する、するに当たってどういう基準でするか、そのための調査をするとか、余りにも時間がかかり過ぎている。やはり今、目の前で本当に多くの方が困っていらっしゃるわけですから、私は、ぜひ認定基準を見直す、そして、先ほど申し上げたように、まずそういった、長い間でわかってきていることがあるはずです、出てきていることがあるはずです、ぜひ健康調査を全面的に実施をしていただきたいと。

滝澤政府参考人 若干つけ加えさせていただきますが、県が、それなりの健康調査のデザインといいましょうか御提案はございます。ただ、実際にいろいろな方を健康調査して、神経症状があった、それが具体的に有機水銀の暴露歴等々と分析して結果が出せるのかというようなかなり医学的、疫学的な入り口論がございまして、そういうことも含めて県と十分今議論をしているところでございます。

近藤(昭)委員 ぜひきちっと早急に検討をしていただいて実施をしていただきたいと思うわけです。

 それでは、次の質問に参りたいと思います。

 国有林野の伐採の問題ということであります。余り時間がなくなってしまいましたので簡単に質問させていただきたいと思いますが、我が国は非常に貴重な価値のある天然林を持って、豊かな森林体系を持っている。そして、そこにかなりの部分が国有林として存在をしている。これは世界に誇るべき非常に貴重な財産だと思っているわけであります。

 そして、国の方も、国有林の林野事業というのは、この間、経営方針を変えてきた。ちょっと読みますが、管理経営の方針を木材生産機能重視というところから公的機能の重視、つまり、公的機能というのは、災害が起きにくいようにする、あるいは自然を保護する。昨今言われております地球温暖化についてのCO2の吸収という部分もあると思うんですが、いずれにせよ、一九九八年、基本計画を策定した以前と後ではそういった公益性のパーセンテージを随分変えた。以前は四六%ぐらいが公益性の森林であって、あとは木材としての生産林、木材を切って、植林をして、それを販売してやっていく。それを、なかなか森林事業というものが、販売事業というものが成り立たないということとともに、やはりもっと災害を防ぐ等々の公益のために、水土保全等々のために使っていこうということで見直しをしたわけであります。そして、そういう公益林としてが約九一%、循環利用林ということで伐採をして植えてまた使っていくというのが九%、こういうことのようであります。

 しかしながら、これはぜひ調査をしていただきたいと思いつつお伺いをするんですが、九%の循環利用林はあるわけですけれども、林野庁として、今までの累積の借金といいましょうか負債がある、こういうものを大分少なくしたわけでありますが、それでもまだ一兆円の負債がある、この負債を返していかなくちゃいけない、こういう状況の中で、本来公益林として残さなくちゃいけない、こういったところの、特に原生林ですね、こういうところにこそ非常に高値で売れる天然林がある。こういうところが伐採をされているのではないか、こういう危惧を言われる方がいらっしゃるのでありますが、その点については、環境省また林野庁、どのように把握していらっしゃるでしょうか。

    〔加藤(勝)委員長代理退席、委員長着席〕

南川政府参考人 御指摘のとおり、我が国の多様な森林というのは大変生態的にも価値があるものと思います。したがいまして、これをしっかり守っていく、あるいは林野庁とも協力しながら守っていくことは大事だと思っております。

 御指摘のとおり、我が国の森林の三割は林野庁が所管する国有林野でございますし、その中には原生的な森林あるいは多様な動植物のすみかも多いわけでございます。

 私ども、さまざまな国家戦略の中で生物多様性も大事なことだと思っております。林野庁と協力しながら、森林生態系をいかに守っていくか、今後よく検討してまいりたいと思っております。

梶谷政府参考人 林野庁が抱えております国有林野事業につきましては、先生御指摘のとおり、公益的機能の維持増進を旨とすることを第一義的な目標としたわけであります。そうした中で、あわせて木材需要にもこたえまして、林産物を持続的に計画的に供給して、地域の産業の振興にも寄与しているというところであります。

 こうした考え方に基づきまして、特に原生的で自然環境保全上重要なものにつきましては、原則として伐採を行わない保護林というものに設定をいたしまして、厳格な保全管理を行っているところでありまして、その面積は国有林野全体のおおむね一割に達しております。

 また、こうした保護林以外の森林につきましても、天然林につきましては、皆伐して人工林に転換するといったことは原則として行わないで、抜き切りによって天然力を活用して後継樹の育成を図って、将来的にも天然林として維持していくということを基本としているところであります。

 今後とも必要な箇所につきましては保護林の設定を進めるとともに、長期的な視点に立ちまして天然林資源の保続に努めてまいりたいと思っております。

近藤(昭)委員 林野庁の方に二点確認をしたいわけでありますが、基本的に、公益林のパーセンテージを見直したというときは、大きな眼目として、災害を防ぐ、防災の部分があると思うんですね。ですから、そういう中で、やはり伐採等々のためには林道の建設も必要だと思うんですが、基本的にはやはりこの林道建設も極力少なくしなくちゃいけない、また防災の部分からきちっとした配慮をしなくちゃいけない、こう思うわけであります。その辺はどういうふうに配慮をしていらっしゃるのか、あるいはチェックをしていらっしゃるのか、お聞かせいただきたいのと、もう一つは、約一割を、伐採して販売するというところに充てているけれども、そうでないところはきちっと切らないようにしていると。これは大丈夫ですか。ちゃんと現場でここからここまでと線を引いていらっしゃると思うんですけれども、きちっと、ここは切ってはならないというところは切らない、その方針をどういうふうに立てていらっしゃるのかということと、それをどういうふうにチェックをしていらっしゃるのか、お聞かせをいただきたいと思います。

梶谷政府参考人 お尋ねの二点でありますけれども、まず一つ目は、林道の建設のことの御質問というふうに承知しますけれども、林道に当たりましては、当然のことながら環境に配慮した形で工事を進める、あるいはそうした形の林道を整備するということで対応していっているところであります。それから、特に林道建設に当たっては森林施業と連動した形で進める、むやみに林道をつくるということではなくて、森林施業があって、それが必要なところについてはそうした道を入れていくという方針で臨んでいるところであります。

 それから、保護林の管理でありますけれども、これは厳格に運用しているところでありまして、現場におきましても、林野庁の組織としては森林官という者を配置されておりますし、そうした者たちの見回り等を通じて、しっかり守られているかどうかチェックをしているところであります。

近藤(昭)委員 質問時間が来ましたので。

 ただ、最後、大臣にもちょっとお伺いをしたいんですけれども、先ほど申し上げた公益林の部分というのは、環境保護という部分だと思うんですね。いわゆる林業というなりわいではなくて、もっと環境保護の部分からこれを守っていくということだと思うんですが、環境省としても、そういうものに対するチェックといいましょうか、守っていくということについて、どういうふうに考えて、例えばどういう仕組みとかを考えていらっしゃるのか、お聞かせいただきたいと思います。

小池国務大臣 そもそも国有林は、国の財産というもの、そして私たち日本人としての宝と言ってもよろしいかと思います。また一方で、生物多様性の国家戦略の枠組みなどを活用しまして、森林の生態系を守っていかなければならない。どうやってということでございますと、今申し上げました生物多様性国家戦略の枠組みを活用いたしまして、そしてまた林野庁としっかりと連携しながら進めてまいりたいと考えております。

近藤(昭)委員 質問を終わります。ありがとうございました。

木村委員長 次に、高木美智代さん。

高木(美)委員 公明党の高木美智代でございます。

 まず、これはお願いでございますが、アスベストに関しまして、いよいよ三月二十日から支給の申請が始まると伺っております。環境省が所管されます大事な法でございますので、この施行状況につきまして今質問させていただくというのも、これからでございますので、施行状況を見合わせた上で、また時期を考えさせていただき、そしてまた、いいときに、ぜひまたアスベストのこうした認定、そしてまた労災以外の方たちがどのように申請をされているのか、そうしたことにつきまして、ぜひとも集中審議といいますか、また御検討の機会をつくっていただければと思っております。

 こうした施行の今後の検証につきましてどのようにお考えか、恐縮でございますが、大臣にお願いいたします。

小池国務大臣 アスベストの問題につきましては、委員各位におかれまして、新法に対しての御審議を賜りました。いよいよ三月の二十日から申請受け付けが始まるところでございます。

 まずは、この申請受け付けについての周知徹底ということで、二十日のスタートの日には、私自身、川崎の方にございます今回の保全機構の方に出向きまして、職員を激励すると同時に、いろいろな準備段階、準備がどのように整っているのか、改めて見てまいりたい、そしてまた電話も受けてみたい、このように思っているところでございます。これによって、フリーダイヤルなどの周知徹底であるとか、そういったことを進めてまいりたいと思います。

 何よりも、受け付け申請をして、そしてその受け付けをすることが、そこからスタートいたしますので、できるだけ早く多くの方々、御心配になっている方々には受け付けをしていただきたい、このように思っているところでございます。

高木(美)委員 ありがとうございます。

 もう既に、この受け付け申請につきましても、労働基準監督署等は今かなり労災申請の件数もふえているという事務の状況もあるようでございます。恐らく、これが施行されるに当たりましては、また多くの調整が必要かと思います。

 大臣のこうした先頭に立っての御努力にも心から敬意を表しますとともに、また、そうしたことにつきましても、ぜひともこちらも全面的に協力をさせていただきながら、円滑な運営のために努力をさせていただきたいと思っております。

 そこで本日は、一つは、バラスト水による海洋汚染につきまして、それからもう一つは、ミドリガメとサルモネラ菌につきまして、伺わせていただきたいと思います。

 まず、バラスト水による海洋汚染の問題につきましては、これはもう皆様御存じのとおり、船舶が空で航行するときに、船体を安定させるために出港地で積み込む海水でございます。目的地に入る直前に排水するという、距離も取り決めになっております。大体これは一年間のうちに百億トンと推察されておりますけれども、東京ドーム約八百杯分が地球上を移動していると言われておりまして、特にその中でも日本は、海外からの持ち帰りは千七百万トン、反対に持ち出しは三億トン、どちらかというと、要するにこれは輸入が多いということになるんですけれども、空で行って、そしてそこで排出をしまして、三億トン、そして荷物を積んで帰ってくる。大変これは輸入が多いということになるわけでございますが、いかんせん、生命の起源は水でありますし、海でありますし、この中に含まれます海洋生物であるとか、また病原菌の移動によりまして、今、生態系の破壊が懸念されているという、こうした状況がございます。

 これは二年前でございますが、国際海事機関、IMOでバラスト水規制条約が一たん採択をされまして、今、細則についての準備がされていると伺っております。日本は一番の当事者でありますし、当然この条約批准に向けましても準備をされているであろうと伺っております。

 この問題につきまして、今、環境省そしてまた国土交通省の皆様、どのような取り組みをしていらっしゃるのか、また、今後の見通しにつきましてもお伺いをさせていただきたいと思います。

小林政府参考人 環境省の取り組み状況について御報告申し上げます。

 御指摘のバラスト水に伴います生態系への影響等々については、大変重要な地球環境問題だというふうに認識をしてございます。そうした立場から、環境省におきましては、このバラスト水条約の締結に向けました検討を進めるということで、平成十六年から、バラスト水条約対応基礎調査という名称でございますけれども、国内外の沿岸地域におきますところの外来種による環境影響に関する情報収集等を行ってございます。

 ちなみに、その結果によりますと、現時点では、バラスト水のみで、これは日本の場合でございますが、それを経路として我が国に移入したことが確実な海産生物というものは確認をされていないわけでありますけれども、しかし、船舶によって我が国に移入されたと推定されますところの外来種も存在しております。これにバラスト水がかかわっていたということも考えられないわけではございません。

 そういうような成果を得てございますが、こうした環境影響の調査に加えまして、条約の締結に向けまして、各国の動向、そして、御指摘の、条約の実施のための国際的なガイドラインの作成に関する動きがございますが、これに関する情報収集等を進めているところでございます。

伊藤政府参考人 ただいまバラスト水規制条約の国土交通省の取り組みについてお尋ねがございました。

 先生も御高承のとおり、我が国は四方を海に囲まれておりますし、また世界有数の海運国でございます。こうした点からも、地球規模の海洋環境の保全という国際社会での重要な責務を果たすという意味で、この問題は大変重要な問題であり、また国土交通省といたしましても、積極的に取り組んでまいるものだと考えております。

 御質問のありました国土交通省の取り組みでございますけれども、私の方から幾つかの例を御紹介させていただきます。

 まず、バラスト水規制条約、この条約を的確に実施するためには、まずバラスト水を処理する装置が必要不可欠でございます。これは、船舶から排出されますバラスト水の中の有害生物が条約に定められました基準以下に処理されるものでございます。国土交通省は、このバラスト水処理装置の試験基準の案というものを、国際海事機関、IMOと称しておりますけれども、ここに提案するなど、国際的な試験基準の策定に積極的に取り組んでまいりました。

 また、我が国の民間の方々が行っておりますバラスト水の処理装置の開発につきましても支援をしてまいりました。この装置でございますけれども、この有効性につきましては、国際海事機関と締約国政府が承認をするという手続になっております。現在、我が国で開発されました装置の承認につきまして、IMOの承認が受けられますように準備を進めている途中でございます。

 また、視点を変えまして、海洋環境に悪さをする可能性のあるバラスト水を発生させないということがこの問題の抜本的な対策となるわけでございます。バラスト水を排出しない船舶、これをノンバラスト船と呼んでおりますが、こうした開発が民間を主導に進められております。我が省といたしましても、この民間の取り組みを支援しているところでございます。

 今後でございますけれども、我が国のこうした技術開発の成果につきまして、国際海事機関の会議やその他のさまざまな機会を通じまして、広く周知をいたしまして、世界各国の理解を含めまして、この条約の早期発効のための環境づくりに努めていく所存でございます。

高木(美)委員 貴重な答弁をいただきましてありがとうございました。

 今のお話、国土交通省の伊藤審議官からお話あられましたとおり、やはり、まず一つは、バラスト水の中の有害生物を基準以下に抑えるための装置、これの承認を求めている。そしてまた、もう一つは、ノンバラスト船の開発。この二つとも、環境立国である日本にとりまして大変大切な技術であると思いますので、ぜひとも早急の実施を心からお願い申し上げるものです。

 さらに、昨今、報道などでいわゆる上海ガニのことが取り上げられております。外来生物に関しましての質問でございます。

 例えば、アメリカでは上海ガニが大発生しまして、これは、土手に穴を掘るという習性などから、河川や海岸の土手や護岸に影響を与えているという、そういう事例も伝えられております。また、オーストラリアでは、世界一美しい海、タスマニア海と言うんですけれども、ここでヒトデが大繁殖をしまして、DNA鑑定をしたところ、東京湾、駿河湾のものと一致したという、まさにグローバル化を実感するわけでございますけれども。またさらに、日本でも、上海ガニのことにつきましては、今食用でございますので、また少しバラスト水由来とは違うようですけれども、こうした食用の問題、そしてまた、地ガニの養殖も各地で行われているようでございます。

 そうした、一つは、バラスト水と生態系の破壊について、先ほどまだ解明されてはいないというお話がございました。この解明につきましてもぜひとも取り組んでいただきたいと思います。これをどのような方向で進められるおつもりなのかということと、あともう一つは、例えば、上海ガニの、地ガニの養殖にしましても各地で行われております、この野生化の防止策につきまして、この二点、お伺いをさせていただきたいと思います。

江田副大臣 皆様が大変お好きな上海ガニでございますが、大臣もお好きだということでございました。

 我が国に持ち込まれます上海ガニ、これはチュウゴクモクズガニと申しますけれども、食用として輸入されるものがほとんどでございまして、バラスト水によるものは報告はございません。

 なお、我が国におけます上海ガニの野外発見事例というのは、東京湾において二例のみでございます。

 上海ガニは、先生が御指摘のとおり、ヨーロッパまたはアメリカにおいて生態系への影響が非常に重大との報告がなされておりますほか、日本在来のモクズガニとの交雑のおそれがあることから、外来生物法に基づく特定外来生物に指定しまして、原則として飼うことや輸入等を禁止しているところでございます。

 ただし、生業の維持を目的とした上海ガニの養殖につきましては、基準を満たす施設で扱う場合に許可を得ればできることとされております。その際には、養殖池の周りにフェンスを張るなど、逃げ出さない措置がとられているかどうかというところが審査のポイントになるということでございます。

 環境省としても、外来生物法を適切に運用しまして、上海ガニの野生化防止を図ってまいりたい、そのように思います。

高木(美)委員 この解明も含めまして、外来生物による生態系の破壊、大変大きな課題でございます。アサリとそれからサキグロツメタとか、これも果たして、輸入の貝の中にこれがまじっていたので今アサリが絶滅しかけている、そういう湾があるとか、これは本当に、原因とそれから今の状況との関連性とか、この解明は待たれるところでございます。ぜひともまた早急な対策をお願いしたいと思います。

 次に、ミドリガメとサルモネラ菌につきましてお伺いをいたします。

 昨年の三月と十月に千葉県内で、ミシシッピアカミミガメ、いわゆるミドリガメのサルモネラ菌に感染した少女が一時期重体に陥るという、こうした事例がありました。早速、文科省は、各都道府県の教育委員会に対しまして注意を喚起するという指示を出されました。

 このアカミミガメに限らず、爬虫類は何らかの菌を保有している、ペットは全部そうでございますけれども。人間への病原性は必ずしも高くない、そういう指摘をする学者もおります。しかし、こうした被害につきまして、危険性も無視できないと思います。

 まず、この危険性につきましての認識を、恐縮ですが、時間が少なくなってまいりましたので簡潔に、厚生労働省、教えていただければと思います。

中島政府参考人 国内外の文献を見てみますと、カメなどの爬虫類のふん便中のサルモネラを検査しましたところ、その保菌率、菌を持っている割合が五〇から九〇%であるというように報告されております。

 人は、飼育中の爬虫類をさわったり、飼育箱を洗浄したりした際に、手、指などに付着をしましたサルモネラを経口的に、口から摂取をしてしまうということになって、これで感染をする。その結果、胃腸炎症状を起こしたり、まれに重症化する危険があるというふうに認識をしております。

 こういったことから、爬虫類にさわった後は、十分に手、指を石けんを用いて洗浄すること、また、爬虫類の飼育環境を清潔に保つこと、飼育水などを交換する際には、食品を扱う台所等は避け、排水により周囲が汚染されないような注意をすることなどにより感染を防止することが重要であると考えておりまして、こういったことを普及啓発に努めているところでございます。

高木(美)委員 このミドリガメにつきましては、要注意外来生物として特定外来生物への指定が検討されていると伺っております。その点につきまして、環境省に今後の見解を伺います。簡潔で結構です。

南川政府参考人 二点ございます。

 一点は、このミドリガメ、動物愛護管理法の対象でございます。それにつきまして、私ども、通達をいたしまして、今回の騒ぎでミドリガメを捨てることのないように、終生飼うようにということについて、自治体あるいは関係業界に周知を図ったところでございます。

 また、二点目の御指摘の外来生物の問題でございます。これにつきましては、特定外来生物に選定して各種規制を加えるということにつきまして、専門家の方と相談して検討を進めたいと考えております。

高木(美)委員 よろしくお願いいたします。

 最後に、文科省にお伺いいたします。

 この指示を出された中に、小学校や幼稚園では、こうした爬虫類は本来ふさわしくないので飼育を控えるべきだ、こういうことも含まれておりますが、今飼っている場合は、獣医師等の専門家とよく相談して、適切に取り扱うことという文言がございます。

 これは、あるマスコミが誤解をしまして、殺処分もというような報道をしたところがあるようです。先般のあの鳥インフルエンザのときのように、学校で飼っている鶏を全部殺してしまったとか、これはまさに命の大切さを教える教育からはまた遠いわけでございまして、正確な情報、そしてまた適切な現場での措置、これが大事であると思っております。

 これにつきまして、文科省の見解をお伺いいたします。

西阪政府参考人 私どもの通知も、特に幼児、小学生は口に手を入れるということがございますので、できるだけ差し控えるようにということではございますが、既に爬虫類を飼育している場合には、獣医師等々の専門家とよく相談して、適切に取り扱っていただきたいということで、現在飼育しておりますミドリガメなどの爬虫類を安易に処分するということを求めているわけではなく、保健衛生上の課題への対応や適切な飼育方法の指導など、専門家の獣医師と十分相談をして、適切に対応するようにということでございます。

 また、一般論といたしましては、動物を飼育するということは、先生も御指摘ございましたが、自然や生き物への親しみを持ち、大切にするとともに、生命を尊重する心情や態度を養うということで、大変重要なことであるというふうに考えております。

高木(美)委員 大変適切に対応してくださっているわけですが、また、そうした現場での状況も確認をしていただきながら、やはり命の大切さを教える教育、これはまたぜひとも推進をお願いしたいと思います。まして、大量の捨てガメにつながるような、そういったことのないように再度お願いをさせていただきまして、終了させていただきます。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

木村委員長 次に、内閣提出、地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。小池環境大臣。

    ―――――――――――――

 地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

小池国務大臣 ただいま議題となりました地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 地球温暖化は、地球全体の環境に深刻な影響を及ぼし、その対策は人類共通の課題であります。このため、平成六年三月に発効した気候変動に関する国際連合枠組条約に基づき平成九年十二月に採択された、二酸化炭素等の温室効果ガスの削減についての法的拘束力のある約束等を定めた京都議定書が、昨年二月十六日に発効し、世界の地球温暖化対策は新たな一歩を踏み出しました。

 我が国は、温室効果ガスの総排出量を、平成二十年から平成二十四年までの期間に、平成二年度と比較して六%削減するとの京都議定書に基づく約束を達成するため、昨年四月に京都議定書目標達成計画を閣議決定いたしました。同計画においては、国内の産業部門、運輸部門、民生部門その他の部門における温室効果ガスの排出削減対策及び森林管理等の国内の吸収源対策を徹底して行うことはもとより、これらに加え、国内対策を補完するものとして、他国における温室効果ガス排出削減量等を算定割り当て量として自国の約束達成に利用できる京都メカニズムを活用することとしております。諸外国においても、京都メカニズムの活用のための国内制度づくりが進められており、平成十八年度中にはそれらの国が排出削減量を取得し始める見込みであります。

 このような状況を踏まえ、京都議定書目標達成計画において京都メカニズムの活用に関する事項を定め、かつ、政府及び国内の法人が京都メカニズムを活用する際の基盤となる割り当て量口座簿を法制化する必要があることから、本法律案を提案した次第であります。

 以下、この法律案の主な内容について御説明申し上げます。

 第一に、国の責務として、京都メカニズムの活用のために必要な措置を講ずることを追加いたします。

 第二に、京都議定書目標達成計画の規定事項として、京都メカニズムの活用のために必要な措置に関する基本的事項を追加いたします。

 第三に、環境大臣及び経済産業大臣が割り当て量口座簿を作成し、当該口座簿上で、政府及び国内の法人の算定割り当て量の取得、保有及び移転を行うこととするほか、算定割り当て量の移転について、割り当て量口座簿上の記録をもって当該移転の効力発生の要件とするなど、算定割り当て量の取引の安全が確保されるよう規定を整備いたします。

 以上が、この法律案の提案の理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

木村委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時六分散会


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