衆議院

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第8号 平成18年3月24日(金曜日)

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平成十八年三月二十四日(金曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 木村 隆秀君

   理事 石崎  岳君 理事 岩永 峯一君

   理事 加藤 勝信君 理事 松浪 健太君

   理事 山本 公一君 理事 田島 一成君

   理事 長浜 博行君 理事 富田 茂之君

      井脇ノブ子君    岩屋  毅君

      宇野  治君    小杉  隆君

      木挽  司君    近藤三津枝君

      坂井  学君    篠田 陽介君

      竹下  亘君    とかしきなおみ君

      並木 正芳君    根本  匠君

      馬渡 龍治君    近藤 昭一君

      篠原  孝君    高井 美穂君

      村井 宗明君    吉田  泉君

      高木美智代君    江田 憲司君

      野田 聖子君

    …………………………………

   環境大臣         小池百合子君

   環境大臣政務官      竹下  亘君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           深野 弘行君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局次長)           平工 奉文君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            高原 一郎君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           和泉 洋人君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局次長)           平山 芳昭君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            田村 義雄君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  小林  光君

   環境委員会専門員     齊藤  正君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四一号)


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     ――――◇―――――

木村委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として経済産業省大臣官房審議官深野弘行君、経済産業省製造産業局次長平工奉文君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長高原一郎君、国土交通省大臣官房審議官和泉洋人君、国土交通省総合政策局次長平山芳昭君、環境省総合環境政策局長田村義雄君及び環境省地球環境局長小林光君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

木村委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。馬渡龍治君。

馬渡委員 自民党の馬渡龍治でございます。

 大臣、よろしくお願いいたします。それから、きょうは深野審議官、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 きょうのニュースで、グリーンランドとか南極の氷が解けて、今まで考えていた以上に海面上昇のペースが速まっているというショッキングなニュースがありました。百年間で一メートル以上になって、将来的には四メートルから六メートル海面が上がってしまう。これも温暖化が原因だと思うんですけれども、昨年のアメリカのハリケーンや二〇〇三年のフランスの熱波、世界じゅうで、いろいろなところで本当に異常な気象が起きていて、多くの方がその被害に遭っている。

 ですから、私たち一人一人がこの地球温暖化防止に向けて頑張っていく、日本の国としてそれを世界に知らしめていく必要があろうかと思いますが、このたび議案になっております地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正するこの法律案というのは、いわゆる京都メカニズムの活用のためのインフラを整備する法律だと思います。

 いわゆるクレジット取得制度を構築していく上で、それをしっかり整えておこうということだと思うんですが、ここで一つ気をつけなきゃならないのは、これは私は特に考えているんですけれども、この京都メカニズムというのはあくまでも補助的なものであって、私たちの国、国民一人一人がこの温暖化を防ぐために頑張っていこうということで、その積み重ねによって、本来ならば京都メカニズムを使わなくても達成できるぐらいの勢いを見せなきゃいけないと思うんです。

 そこで、前に、我が国は世界に冠たる環境先進国家として、環境と経済が好循環する社会を形成し、地球環境温暖化問題で世界をリードするとの決意があったと思います。確かに、京都議定書の京都という、私たちの日本の国の千年の都、この名前を冠しているわけですから、これはもし約束が達成できなかったら世界じゅうで恥をかいてしまう、日本の国としての信頼を失ってしまうと思いますので、確実に達成をしていかなければならないと思います。

 そこで、小池大臣にお伺いいたします。

 自主的な手法とか規制的な手法、経済的な手法とか情報的な手法など、いろいろ合わせて総力でこの対策を今行っているところであろうと思いますが、これについて今後どのように展開していくおつもりであるのか、大臣の御所見をぜひお聞かせください。

小池国務大臣 御指摘のように、今回の法改正でございますけれども、京都メカニズムのシステムを動かすための法律改正でございます。そしてまた、それを補完的な意味に置くべきであって、より必要なことは国内でしっかりとこの温暖化対策を進めるべきであるという御説もそのとおりだ、このように思う次第でございます。

 また、地球温暖化対策の推進でございますが、先ほどのグリーンランドなどの氷山がばたんと倒れるシーンなどはよくテレビなどでも報道はされますけれども、何かまだ人ごとのように思ってしまうという傾向があるわけでございます。

 昨年、クールビズを皮切りにいたしまして、地球温暖化対策ということを一人一人のことであるということでキャンペーンを始めさせていただきました。今後ともこういった国民運動をしっかりと広げて、そして、地球温暖化の防止はみずからがまずスタートするんだというような共感を国民の皆様一人一人にお持ちいただけるような、そしてまた共感を抱くと同時に行動に移していただく、そういう流れをつくってまいりたいと思います。

 講演会、シンポジウム、パンフレット、DVDなどあらゆる方策を使いまして、この地球温暖化防止への協力の呼びかけ、みずからが始めるんだ、そういう思いを国民の皆様方と共有していきたい、このように思っている次第でございます。チーム・マイナス六%というのも、まさに一人一人が集まってチームになればその目的はかなうんだ、目標に近づくんだということを皆さんでその思いを共感していくという、これが大きな目的でございます。

 こういった形で、国を挙げて、まさに国そのものがチームになって地球温暖化防止に取り組んでまいりたい、最大の努力をしてまいりたいと考えております。

馬渡委員 いろいろやってみたけれどもだめだったということは許されないことだと思いますので、ぜひ全力を挙げて、総力を挙げて取り組んでいただきたいと思います。

 そこで、きょうは経産省の深野審議官にもお出ましをいただきましたが、経団連として自主行動計画を定めて、皆さん方、本当に物すごい努力をなされておられることには心から敬意を表します。

 ただ、私が思うに、目標達成計画という中の経団連の自主行動計画というのが七割とか六割とか言われているんですけれども、例えば、経団連に属さないものも含めて工場全体で見ると九〇年度比で〇・八%にとどまっていて、目達の工場についての目標八・六%には物すごいギャップが現時点であります。その中で、しかも、それに加えて、本社ビルなどの事業所なんかも含めると七・六%増加していて、これから六千七百万トンの削減が必要だということなんですけれども、そこで、経団連が定めた自主行動計画について、現在の状況、そして今後の見通しについてお伺いしたいんですけれども、よろしくお願いします。

深野政府参考人 お答えをいたします。

 経団連の自主行動計画でございますけれども、御案内のとおり、この計画には鉄鋼、化学、セメント、紙パルプといった非常に二酸化炭素の排出量でも大きな業種をカバーしておりまして、京都議定書の目標達成計画におきましても、産業・エネルギー転換部門の対策の中心的役割を果たすものと位置づけられているところでございます。

 したがいまして、その進捗状況につきましては、これは毎年私どもの審議会でフォローアップを行っておりまして、大学のあるいは研究機関などの外部の有識者、専門家から成る小委員会、さらには業種ごとの七つのワーキンググループを設置して評価をしているところでございます。

 ことしは一月にフォローアップを行っておりまして、その状況について申し上げますと、まず、製紙業でございますが、既存の目標を達成した上で、さらに新たな高い目標を設定して、新しい目標においても目標達成可能な範囲にある、そういう評価になっております。さらに、石油精製業、化学工業、自動車工業といった十五業種が目標を既に達成しており、十分に達成が可能であるという評価になっております。

 一方、現時点でまだ目標に達していない業種もございます。電機・電子機器製造業など八業種につきまして、目標は未達でございますけれども、順調に改善傾向にあって、十分に達成可能、そういう評価になっております。一方、電力、鉄鋼など六業種につきましては、目標が未達でございます。今後業界が予定しております省エネルギー投資など対策をさらに十分になし遂げることによりまして目標達成が可能な範囲にある、そういう評価になっておりまして、現時点で目標達成は困難であるという評価になっているところはございません。

 ただ、目標達成につきまして、その蓋然性あるいは透明性を高めていくためにきちんとフォローアップをしていく、さらには、業種によっては、これは鉄鋼とか電力などでございますけれども、仮に目標が達成できない場合には、自主的に京都メカニズムの活用もするといったことも検討するということになっておりまして、そういったことを通じまして、今後ともきちっとフォローアップをして、何とかこれが達成できるように努力をしていきたいと考えております。

馬渡委員 最後、二〇一〇年が終わって、お金で片をつけるようなことにならないように、ぜひともしっかりとしたチェックをしていただいて進めていただきたいと思います。

 昨年、原油が高騰したときに、ガソリンの値段も当然上がりました。ところが、消費量が落ち込まなかったことを取り上げて、環境税を導入してもこれと同じようなことで効果がないんじゃないかということを経済産業省の方から聞いたことがあるんですが、今でもそういったお考えをお持ちなのか、お聞かせいただけますか。簡潔にお願いします。

深野政府参考人 お答えをいたします。

 環境税の件でございますけれども、まず、私ども、京都議定書の目標達成計画におきまして、今、この排出量の削減をするためにいろいろな施策が講じられております。したがいまして、これをまず着実に実施していくということが大変重要であって、また、目標達成計画上も、それがどういうふうに行われているかということをきちっと評価するということになっております。

 したがいまして、まず、こういったことについて十分評価をする、そういった上で、さらに目標達成のために一体何が最も効果的な手段なのかということを十分検討を行っていく、そういうことが必要であるというふうに考えておりまして、環境税につきましては、目標達成計画の中で総合的に検討を進めていくべき課題ということになっておりますけれども、私どももそのように考えております。

馬渡委員 ちょっと私の質問と答えがずれたかなと思うんですけれども、原油が上がったり下がったりしたことによって、例えば、車を買いかえたり、ハイブリッドにしたり、排気量を下げたりということはなかなかしないと思うんですね。私は、先ほど申し上げたように、日本の国が環境先進国として世界にはっきりとアピールするためには、これを必ず達成しなきゃいけない、お金で最後に排出量を取引してやるんじゃなくて、ちゃんと削減の方向で頑張っていく姿勢を見せる、それには、国民一人一人の意識を高めていく上で、環境税というものが大切だと認識をしております。

 そこで、これは二〇〇四年の十一月四日の日に、これは質問じゃないです、私の意見だから聞いておいてください、経産省の方。当時の製造局化学課からメールが出ていて、環境税反対についての運動のお願いということで、中には、選挙区の議員に対して、工場関係者から環境税反対の陳情を行うことと。そのときに、十日に、きょういらっしゃっていないですけれども、たしか、竹下政務官もその一員だったと思います、増原代議士も一緒になって、若手の環境税を考える会を結成しようという動きがあったのを私もそのとき記憶をしておるんですが、それに向けて、出ないでくれという陳情をしたということを聞いたことがあります。

 当時、中川大臣は、これは適切じゃなくて厳に慎んでいかなければならないという発言をされて、これが翌年、五年の二月十五日の日の予算委員会で議事録に残っているんですけれども、実は私、小泉チルドレンと言われている新人議員です。昨年の十一月に経団連との懇親会があるよといって全員が呼ばれたことがあるんですよね。ちょうど税調の前だったので、私はすごい勘が働いて、ああ、これは環境税のことを言われるんじゃないかなと同僚に言ったことがあるんです。そこに呼ばれて、結局、案の定、環境税に反対しております、だから皆さん御理解くださいというのがまず一つありました。

 それから、次の日に、十一月十一日の日に私が名古屋に帰ったときに、ある大きな会社の支社長さんが会いたいと言うのでそこに行ったときに、私どもは環境税に反対をしております、ですからぜひ御協力くださいということをおっしゃった後に、例えば、パーティーなんかをなされたときには御協力も申し上げますというような誘いがありました。それで、私は、実は十一月十四日に私の政経パーティーを控えておったんですけれども、そこは意地でもその件は頼まずに、私は環境税賛成でございますとはっきり言ったことがあるんです。

 実は、これは何を言いたいかというと、これからの産業というのは、環境保護の意識が高くて、そして利益を上げていくことを車の両輪で企業というのは考えていかなきゃならないと思うんです。ですから、環境税を入れると、例えば税金を転嫁できないとか、例えば国際競争社会に負けてしまうとか、空洞化が起こるとかというような話というのは、私は物すごく近視眼的な見方じゃないかなと。これから人類が長く生きていくためには、やはりその土台である環境を守っていく。今いろいろな企業が、もういろいろなパンフレットを見ると、環境に対して取り組んでおりますという文言が入っております。ですから、私は、経済産業省の皆さん方が、経済と環境が共生するためにいい環境税というものができないかなと思っていただくところから日本の国が環境先進国の第一歩を踏み出していくんじゃないかな、そのように思っているわけであります。

 ところで、この環境税が効果があるとかないとかいう議論が前にありましたので、ある、ないで結構ですから、環境省の方、もう既に実施をしている国で、環境税を実施して効果があったかないかというのをお答えいただきたいんですけれども。

田村政府参考人 お答え申し上げます。

 諸外国でございますけれども、一九九〇年ごろから、地球温暖化防止の観点から、これはさまざまなタイプの環境税が導入されてきているものと承知をいたしておりまして、具体的には、フィンランド、ノルウェーといった北欧諸国、あるいはオランダで導入され、また、最近では、九九年でございますが、ドイツ、二〇〇一年イギリスといった欧州主要国でも導入されてきております。

 いずれも各国が置かれている経済、財政、社会状況に応じて、それぞれにふさわしい制度がさまざまな議論の中で選択され導入されてきているものと承知しております。具体的な効果、特に今御質問のコンテクストでいえば、やはり二酸化炭素の削減効果ということだと思います。それぞれの国におきまして、例えば価格弾性値等を用いまして、その具体的な評価がなされ公表されておりますので、一、二、事例だけ申し上げますと、例えばフィンランド、炭素税が導入されまして、それによる削減量、これは九八年時点でございますが、総排出量の約七%、四百万トンのCO2が減ったという推計がされております。ノルウェーでございますが、これは九九年の数値でございますが、炭素税によるCO2の排出削減効果は総排出量の二・三%、そのような推計がそれぞれなされているところでございます。

馬渡委員 今の答弁で、効果があったというように私は理解をするんですけれども、これは決して経産省の深野審議官に文句を言っているわけじゃなくて、いろいろ今まであったけれども、これから日本の国として、世界に環境先進国として技術を売って、これが将来的に日本の財政を支える一つの産業として世界に活躍できる可能性があるもので、そこのところを含めていろいろ前向きに御協議いただけないかなと。

 時間もないので急いで読みますが、実は月尾嘉男先生の本を私はいつも読んでいるんですけれども、この中の「拡大、拡張、増大、増加こそが進歩であり発展であるという理念は早急に見直さざるをえない。それでは転換する方向は何処かということになるが、それは拡大ではなく縮小、増加ではなく減少、拡張ではなく撤退である。 このような言葉は、過去には失敗を表現するものであったが、もうしばらく人類が生存するためには必須の言葉であるという哲学や理念を構築することを要求されているのが現在である。」という言葉を受けて、私はやはり、二重、三重にしっかりとこの目標を達成できるようにいろいろな方策を総動員してやっていく上で、環境税というものが私の意見としては必要だと思うんですが、これに対して大臣はどのようにお考えか、お答えいただきたいと思います。

小池国務大臣 京都議定書の我が国の約束というのは、第一約束期間の間に六%、九〇年と比べて下げなければならない、削減しなければならない。現実を見ますと、七・四%増、現時点でそういう数値となっているわけでございます。

 このためには、あらゆる政策手法を総動員して、そして国民も企業も皆が参加したすそ野の広い取り組み、そして実効ある成果を上げていかなければならない、その意味では、環境税というのは有効な政策手段であるということは言えると思います。

 また、環境税の理解は着実に歩みを進めているということだと思っておりますし、国民の皆様方、それから、きょう経産省のことをおっしゃっていますけれども、関係省庁、産業界、協力しながら、よりしっかりと御理解を得られるように、また日本のマータイさんと呼ばれる馬渡議員とも、ともにこの地球温暖化対策に取り組んでまいりたい、このように考えます。

 ありがとうございます。

馬渡委員 ありがとうございました。以上で質問を終わります。

木村委員長 次に、吉田泉君。

吉田(泉)委員 おはようございます。民主党の吉田泉です。

 私の方からも、地球温暖化対策推進法の改正案について質問をさせていただきます。

 いよいよ二年後、二〇〇八年から京都議定書の第一約束期間が始まるという段階まで来ました。目標を達成しないと、先ほど馬渡さんの方からもお話ありましたけれども、何か国の信用にかかわるということもあると思います。

 それから、罰則があります。超過した分の一・三倍が今度は第二期間に上乗せになる、これも大変重い罰則であります。何とか達成すべきであるというのが多くの国民の多数意見だと言っていいと思います。そこで、達成方法は三つあるわけですが、国内の排出削減、それから森林吸収源、そして京都メカニズム、今回の法改正でいよいよ京都メカニズムの活用が本格化されるということだと思います。

 そこで最初に、京都メカニズムの意義というものについて確認をさせていただきたいと思います。

 環境省の資料をいろいろ拝見しますと、温室効果ガスというのは、地球上のどこで削減されても地球全体としては同じ効果だと。それならば削減コストの低いところで削減をした方が費用対効果は高いはずだという説明があります。私もその点では同感であります。しかしながら、京都議定書上では、温暖化ガスの削減というのはあくまで国内の削減でやるというのがメーンなんだと。そして、京都メカニズムの活用というのはあくまで補完的なものであるべきだというふうに規定されているわけです。

 そこで、なぜ京都メカニズムが補完的とされたのか、つまり、京都メカニズムには何か欠陥があるのか、どういう欠点があるのか、それをまずお伺いします。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 御質問の点、二つあったかと思います。

 一つは、なぜ京都メカニズムが補完的なものというふうに位置づけられているかということでございます。

 世界の対策、全体の費用効果のお話、先ほど委員御指摘のとおりでございますが、あえて言わせていただきますと、今までたくさん地球を汚してきた先進国の責任といった、効率性とは違う、公平性というような観点もあろうかと思います。そういう意味で、今までたくさん排出をしてきた国が先に対策をするというのが、有名でございますけれども、共通だが差異ある責任という原則でございまして、それにのっとりますと、やはりそれぞれ、今まで地球を汚してきた国々が先に進んで削減をする、こういうことに相なったのかというふうに思っております。

 それから二点目でございますが、では欠点みたいなものはあるのだろうか、こういうことでございます。

 欠点というふうに申し上げていいかどうかわかりませんが、例えば、途上国で削減をするというような場合に、削減した分が先進国の今度は排出量になってくるということでございますから、そこをきちっと計算をして、そして差し引き本当に削れているのか、そこが担保されませんと、かえって、途上国で削ったこととして先進国で排出が行われる、こういった心配もございますから、そういった制度を動かすための手続、ちゃんと削れているか、こういったところがやや仕組みとしては煩雑になる、そういったところが強いて欠点と言えば欠点かなというふうに考えますが、そのためにそれを簡素化する取り組み等々これから行われていくのだろうというふうに考えてございます。

 以上でございます。

吉田(泉)委員 先進国の責任、それから仕組みが煩雑、おっしゃるとおりだと思います。

 それから、いろいろ政府の方でも、クールビズ、コマメちゃん、そういう国民運動をされておって、これはいろいろ経費はかかるかもしれませんが、そんなに大したコストはかからない。国民が自主的に、産業界、家庭がやってくれたら余りお金がかかりませんが、そういう意味では、京都メカニズムの方は、お金を払って買うわけですから、お金はある程度はかかるという問題はあると思います。

 それから、いつまでも途上国の削減に頼るというわけにもいきません。いずれ炭酸ガスを半分にしようかという動きもあるようですが、今、途上国に削減余裕が非常にあるときはこのメカニズムはいいと思いますが、将来的にどのぐらいこのメカニズムが使えるのかなという問題もあるように思います。

 そこで二問目は、日本の場合は、京都メカニズム活用の量を五年間で炭酸ガス一億トンという予定にしておりますけれども、よその国、オランダ、スペイン等のヨーロッパの国を中心にして、日本と比べて、京都メカニズムの利用状況、恐らく向こうの方が大変盛んだと思うのですが、どの程度盛んなのか、教えていただきます。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の場合には、御案内のとおり、国内対策を一生懸命やって、どうしても足らず前といいますか、差し引き足りない部分を京都メカニズムに依存しよう、こういうことでございます。外国も恐らく同じような考え方かなというふうに思ってはおりますが、日本の場合、今御指摘のとおり、五年間で一億トン。これに比べてみますと、偶然でございますが、数字は同じになりまして、ヨーロッパの国の中でもオランダそしてスペインが、五年間で一億トンのCO2を途上国からの削減で手当てをいたしたい、CDMで手当てをいたしたいというふうに言っているわけでございます。

 このオランダやスペインにとっての一億トンというのはどういう意味があるかというふうに比べてみますと、日本の場合は、先ほどの一億トンは、我が国の基準年排出量に比べまして一・六%相当というふうに言われておりますけれども、それに比べますと、オランダの場合には九・四%、そしてスペインの場合には七%ということで、排出量が日本より小さい国々でございますので、やはりCDMに頼る割合というのは一層高いものになってございます。

吉田(泉)委員 そうしますと、オランダの場合は、京都メカニズムの利用度というのは、ざっと日本の六倍、スペインの場合は四倍ぐらいということですよね。その二国を中心に、ヨーロッパではこのメカニズムが大いに活用されているというのが現状だと思います。

 京都議定書上も、これは補完的でなければいけないわけなんですが、定量的な制限をつけるところまではいっていなかったということであります。一・六%ということに今なっていますけれども、最終的にこの京都メカニズムを我が国として一体どのぐらい使うのがベストなのかということは、これからもよく考えていかなければいけないと思います。

 そこで、このメカニズムのコストについてお伺いします。

 排出権については、もう既に国際的なマーケットがあって、そこでいろいろな政府、企業が排出権の取引をしているわけでございます。日本政府はまだしておりませんけれども。

 そこで、国際的な市場における排出権の相場、もう数年にわたると思いますが、これが今までどのように推移してきたのか、そして、今後、二〇一二年へ向けてどのように推移すると予測されているかをお伺いします。

小林政府参考人 国際価格の推移でございます。

 どんなものでもそうでございますけれども、最初は安いものから順に取引をされますし、また、時期を追いますと、先ほども申し上げましたように、逆に制度等に習熟をする、簡素化があるというようなことで、場合によっては値段が下がることもないことはないということで、将来の需給見通しは大変難しいところがございます。

 ただ、実績を見ますと、これは直近のデータでございますが、二〇〇三年と二〇〇四年の一年間を比べてみますと、平均的な取引価格、これは世銀の調査でございますが、ドル建てで申し上げますと、二〇〇三年に四・六ドル、それが二〇〇四年に五・六ドルということで、二〇%の価格上昇を既に生じているというふうに言われてございます。

 また、二〇一〇年の平均的な価格がどうなるかというのを同じ世銀の調査で見ますと、十一・四ドルということでございまして、さらにもう倍ぐらい上がるのではないかというような予測がされております。

吉田(泉)委員 そうしますと、二〇〇四年で五・六ドルですから、今百十六円ですが、七百円ぐらいということですかね。これが二〇一〇年には十一ドルですか。ですから、六年間で約倍になるだろうというのが世界銀行の見通しだということですが、私も、短期的な上げ下げはあるかもしれませんが、五、六年のスパンで見ると上昇傾向にあるというのが妥当な見方かと思います。

 そこで次に、今度は京都メカニズムの、今教えていただいた七百円とか千三百円とかいうコストと比べて、残りのあと二つの対策、すなわち、国内の排出削減、省エネを中心とした国内対策、それから森林の吸収源対策、この二つの残りの対策のコストはどのぐらいになるのか、教えていただきます。

小林政府参考人 先ほど先生の方で整理していただきました三つの対策のそれぞれのコスト、こういうことでございます。

 IPCC、これは御案内と思いますが、気候変動に関する政府間パネルということで、世界の科学者がいろいろレポートをまとめております。それで各国を比較したような資料がございますので、それによりまして、そこで示された我が国の削減コストというもので申し上げたいというふうに思います。

 まず、排出削減のコストですが、限界削減費用と言われているものでございますけれども、CO2一トン当たりにしまして大体一万円強、一万五百円といったような、これは平均価格でございますが、そういったことが示されております。

 それでは、国内の森林吸収源の対策費用というのはどういうものか、一トン当たりどうなのか、こういうことでございます。

 林野庁の試算によりますと、これはほぼ同じと言ったらいいかと思いますが、一万一千九百円というふうに言われてございます。先ほど申し上げました国外のCDMの価格というものを考えますと、いろいろな価格がありますが、高い方をとりますと一千三百円とかそういうことになりますので、将来価格からしても、費用対効果にはCDMの方がすぐれているというふうに言うことができるかと思います。

吉田(泉)委員 そうしますと、その二〇一〇年度の世銀の予想価格十一ドルと比べても、これから倍に上がるという価格と比べても、今現在の国内の対策というのは、ざっと八倍ぐらいの差があるということは認識しておかなくちゃいかぬというふうに思います。

 それから、今度はちょっと予算の話ですが、京都メカニズムを五年にわたって活用しよう、一億トンの排出権をこれで買おうということですが、そうしますと、五年間全体では幾らぐらいのお金が必要か、予算措置が必要と考えられるか、教えてください。

小林政府参考人 これにつきましては、もう先ほどから委員御指摘のとおりで、価格の変化というものが将来に考えられますので、今あらかじめ申し上げるというのはなかなか困難でございますけれども、まず、その一億トンということが想定をされております。先ほど申し上げたような金額を掛けますと、これは五年間の分でございますが、七百億円から一千五百億円といったような費用がかかるのではないかというふうに考えてございます。

吉田(泉)委員 それから、それに対しまして、五年間全体では最大一千五百億円ぐらいということですが、来年度、十八年度、初めてこの排出権を買うため、予約するための予算措置がとられました。債務負担行為、これが百二十二億円であります。

 そこで、まず、なぜ百二十二億円という金額になったのか、数字の根拠といいますか、そこを教えてもらえますか。

小林政府参考人 基本的に、なるべく早く、価格が安いと言ったら恐縮でございますけれども、取得をいたしたいということも考えてございます。

 ただ、供給側の事情もございますから、すぐに買えるというものでもないということで、そこら辺の見積もりがなかなか難しいのでございますけれども、まず、基本的に、削減量をすぐ買えるお金として予算上提案をさせていただいておりますのは五十四億円、それのほかにといいますか、さらに先買い分を加えました、今御指摘のとおり、国庫債務負担行為として百二十二億円というのを予算案の中に盛り込ませていただいている、こういうことでございます。

 それをなるべく早く、実際にお金を払うのは後になっても、先に買う約束をして、そしてなるべく安い値段で取得するということをしていくことが必要かなということで配慮したものでございます。

 しかし、その百二十二億円というのは、実は、正確に申し上げますと、予算の査定といいますか、全体で必要となる将来の調達量あるいは価格動向、それから執行初年度でございますので、どれだけ執行できるかという点についてもなかなか十分でないということもあろうかということで、先ほど申し上げましたその一千五百億円に対しますと約十分の一になろうかと思いますが、そういった債務負担行為、契約の権限というのを与えていただいた、こういうふうに理解をしてございます。

吉田(泉)委員 執行初年度ということで十分の一程度ということだと思いますが、ちょっと確認ですけれども、先ほど五十四億円という実行予算の外に債務負担行為百二十二億とおっしゃいましたけれども、内数じゃないですか。

小林政府参考人 少し言い方が悪かったかと存じますけれども、百二十二億円の契約ができ、そして、その中で実際に買えるものがその五十四億円ということで、内数でございます。

吉田(泉)委員 そうしますと、五年間で一千五百億円ぐらい必要だ、その十分の一弱に当たる百二十二億円を来年度、十八年度で予算を計上した。そうしますと、残りが十分の九ぐらいあるわけですが、これは今後、二〇一二年までにどのように期間配分といいますか、年ごとに配分されるべきなんでしょうか。

小林政府参考人 今後のCDMの需給の状況等々を反映しまして、私どもとして、適時適切に要求をしていきたいというふうに考えてございまして、現在、その具体的な年度の配分等についての方針は持ってございません。

吉田(泉)委員 今回の法改正でやっと京都メカニズムが本格的に使えるという制度ができたわけですが、よその国、特にEUと比べると、私はちょっと遅いなと思います。

 それから、予算の計上の仕方も、先ほどおっしゃったように、単価はこれから倍にまで上がるという段階ですから、なるべく早く買った方が国益になるということであります。初年度ということで十分の一の予算しかつかなかったようですが、なるべく来年、再来年ぐらいで、この五年間の約束期間が始まる前ぐらいに何とかその債務負担額、残りの十分の九を獲得するべく財務省と交渉したらどうかなというふうに思うところでございます。

 そこで、今度はちょっと今までの施策について振り返ってみたいと思います。

 補助事業がいろいろ行われました。京都メカニズムの中のクリーン開発、それから共同実施ですか、その名前をつけた補助事業というのが、十五年度から十六年度、十七年度と三年にわたって行われました。

 毎年数十億の予算、環境省と経産省でつけてやってきたわけですが、十八年度からこの事業を環境省はもうやめるということであります。経産省の方も規模を大分縮小するということでありますが、今までのこの三年間の事業の実態、それから、やめるに至ったということは何か反省点があると思いますので、そこをお伺いします。

小林政府参考人 先ほどお尋ねありましたCDM予算の獲得、頑張ってまいりたいと思いますし、また大臣を先頭に鋭意頑張っていきたいというふうに思っておりますが、今までの予算についてということの御質問を賜ったわけでございます。

 今までの予算でございますが、私ども、CDM、それからJI等々を活用するために、いろいろな予算といいますか、措置を講じてはきていたわけでございます。いろいろな準備作業もあったわけでございますが、その中の一つとして御指摘の設備補助事業というのがございます。

 これは、例えば、実現性が高いCDMのプロジェクトを実施しようというふうに考えていらっしゃいます民間の企業に対しまして、実際に設備を整備する費用の一部を国が補助する、そして、その補助額に応じて、将来出てきます認証削減量を国が取得していこう、それを設備を補助することを通じて確実に取得しよう、こういう仕組みでございます。

 それに対しまして、今回予算の方で提案をさせていただいておりますのは、設備のところに補助をするのではなくて、削減量が出てきたときにそれを削減量として直接買おう、こういうことでございます。

 そういうことに乗りかえた理由といいますか、そこでございますけれども、いろいろ今までやってきたわけでございますが、やはりCDM事業はまだ始まったばかりでもございます。そういうことで、それを受け入れる側の関係者の調整といったことからそもそも非常に時間がかかる、まだなかなか機動的にできない、そして、設備の補助でございますので、設備整備の工期が実際に相当長い時間かかるということでございまして、実際に、クレジットと言っておりますが、認証削減量が出てくるまでの時間が大変かかって、単年度の予算の中で削減量にまでなかなかこぎつけられないというところがございまして、事業者の方々の辞退等々もあったということで、執行額自体が大変少ないものになっている。御指摘のとおりでございます。

 そういったことで、そういったプロジェクトの根っこのところから補助するのではなくて、実際に削減量が出てきたところで買うという仕組みの方が効率的、迅速だろうということで、今回そういった提案をさせていただいたわけでございます。

吉田(泉)委員 単年度主義の予算計上に合わなかったということのようですけれども、私が聞いている数字では、この三年間で百億円以上の予算をつけたけれども、結局執行されたのは一件、九億円のみ。執行率が十分の一を切るという状況であります。

 私、ちょっとこれはいかがなものかなと。相当反省していただかないと、これは財務省の方も、こういうことをされると次の予算をつけづらいということになると思いますので、ひとついい事業を捻出していただいて、しっかり予算をとっていただいて、一〇〇%執行していただきたい、それをお願いしておきます。

 それから、もう一つの補助事業ですが、自主削減目標設定に係る補助事業というのが、これは十七年度、ことしから始まったわけですが、これの実態、それから、こちらの方は今後一生懸命やるおつもりなのかどうか、それをお伺いいたします。

小林政府参考人 今委員御指摘の点は、実は、国内の削減取引といいますか排出枠取引といった形でございまして、実際に今回法律として提案させていただいております国際的な排出量取引とはやや趣の異なるところでございます。

 国内で排出削減をされる企業の方々に実際に削減のための補助金を差し上げる、そして、約束どおり削減できなかった場合には、ほかの排出枠を買ってでも約束をきちっと守ってもらう、そういう仕組みの事業でございます。

 平成十七年度から始めておりまして、まだことしが初年度、こういうことでありますが、既に三十二社の御参加を得ております。そして、その三十二社の排出量の削減見通しということでございますが、三十二社で二十七万六千トンということが予定をされてございます。これは、それぞれ対象になります三十二社の排出量は実は二一%の削減に当たるということで、大変大きな削減をこの制度の中で果たしていこうというふうに考えているわけでございます。

 さらに、その設備を一たんつくりますとずっと後まで削減は続くわけでございまして、少なくとも、法定耐用年数に限っても、合計で三百七十四万トンというような削減が、大幅でございますができる、こういうことでございます。

 そうしますと、こういった事業、大変効率的だ、こういうことでございますが、まだ始めたばかりで、御質問の点は、排出量取引がどれだけ行われたかということが恐らくお答えになるんだと思いますが、現在削減に取り組んでいる最中で、実際に今、もくろみが達成できなかった場合には取引、こういうことになるわけでございますが、その成果までには至っていないということでございます。

 そして、今後どうなのかということでございますが、今申し上げたようなとおり、たくさん多くの賛同を得て、また削減量としても多くが期待できますので、十八年度についても一層これを拡張していきたいというふうに考えてございます。

吉田(泉)委員 それから、政府系の金融機関、国際協力銀行、政策投資銀行が既にいろいろ国際的な基金に参加をしております。参加すればいずれ出資比率に応じてクレジットを獲得できるという仕組みでありますから、割と確率の高いクレジット取得がこの方式でできるんじゃないかなというふうに期待しておるんですが、その現状と今後のあり方についてお伺いします。

小林政府参考人 我が国におきましても、民間ベースでいろいろな取り組みは既に行われております。これは、民間会社あるいは国際協力銀行等々が出資をいたしました基金を設け、そして、例えば、国際協力銀行あるいは政策投資銀行等が融資をしますような案件で削減をされるような排出量といったものを早目に手当てするというような機動的な方法で削減量を調達するというようなことを考えていらっしゃるということでございます。

 この成果はいかんということでございますが、これも仄聞するところでございますけれども、既に一千万トンオーダーの削減の約束を取りつけているというような話も聞くところでございます。

 そういうことでございますが、今回提案させていただいております政府による調達制度は、基金に出資をするということではございませんで、基金の方で手に入れた削減量をもし第三者にさらに転売するというような場合には、基金を介して私ども政府の方がちょうだいをするということは考えられると思いますが、そういった基金の効率性といったものもそういった形で活用をしていこうというふうに考えてございます。

吉田(泉)委員 政府系の金融機関で、これは一〇〇%政府出資の銀行ですから、極力最終的に日本政府のクレジットになるような方向でやっていただきたい、やるべきだろうというふうに思います。

 それから、京都メカニズムの中で、今まではCDMを中心にお伺いしましたが、残りの二つがございます。共同実施というのと国際排出量取引。これもいろいろ、プラスの評価、マイナスの評価あるようですが、政府としては、この二つの制度をどう評価して、どう取り組むおつもりなのか、お伺いします。

小林政府参考人 御指摘の共同実施、そして排出量取引ですが、いずれもCDMとは異なりまして、先進国相手だという点でその二つが共通している、こういうことだと思います。

 それで、まず、そのうちの共同実施でございます。

 仕組みはCDMと同じでございますが、具体的な削減プロジェクトをしてその削減量をちょうだいするということでございます。でございますので、そういう意味でいいますと、私どもとして、CDMと特に差を設けてこれを取り扱う気はございませんが、現在、手続面の整備がCDMの方が先に進んでございまして、JIの共同実施の方がおくれてございますので、実際に削減量を調達するという場合にはCDMの方が先になるのかなと思っておりますが、繰り返しでございますけれども、JIについてはCDMと同様に扱っていきたいと思っております。

 他方、排出量取引でございます。

 これにつきましては、実は、例えば、排出枠を持っている東欧の国が実際の排出量はかなり少ないとなりますとすき間がある、そのすき間を日本に売るというようなケースでございますと、逆に世界全体の排出量がふえてしまうという懸念も実際はございます。

 そうしたことで、私どもとしては、ここについては慎重にしたいというふうに考えてございまして、そういった国々でもさらに追加的な削減にお金が使われる場合には、そういった国について排出量取引をするというようなことで運用していきたいというふうに考えてございます。

 以上でございます。

吉田(泉)委員 わかりました。

 そして、先ほどの補助事業、これからも積極的にやろうという自主削減目標設定に係る補助事業というのがあるんですが、これをやっていくと、必然的に削減目標が達成できなかった企業が国内で排出権を取引するということが予想されるんですが、EUではそれが進んでおります。日本も、国内の排出権取引というのですか排出量取引というのですか、その制度をつくることが必要であるというふうに思いますけれども、その導入にどういうふうに取り組むおつもりか、お答えください。

小池国務大臣 先ほどから、重要でかつ実質的な御審議をいただいております。ありがとうございます。

 御質問の国内排出量取引制度の導入についてでございますが、市場メカニズムを活用することで、いわゆるコストパフォーマンスのよい、費用対効果のすぐれた確実に排出削減を実現できる制度ということで考えております。

 また、EUでは、昨年の一月から、EU各国内とそれから各国間で排出量取引制度が導入されておりますし、また、カナダにおきましても国内の排出量取引制度を検討されております。さらにEUの制度とのリンクも検討するという状況でございます。

 我が国でございますけれども、国内排出量取引制度については、目標達成計画において、ほかの手法との比較をしてみたりまたその効果など幅広い論点で総合的に検討していくべき課題と位置づけられておりまして、今後とも議論を深めてまいりたいと考えております。

 また、こうした検討の一部としまして、平成十七年度から、環境省として、合計四十社の参加を得まして、現在、自主参加型の国内排出量取引制度を既に行っているところでございます。目標を持っている参加者が三十二社、三十二グループ、それから取引参加者が八社という状況でございまして、既に動き出しているということでございます。

吉田(泉)委員 ぜひそういう方向で国内の取引制度も構築すべきだというふうに思います。

 そろそろ時間がありませんが、最後に、京都議定書における日本の目標の達成の見込みについてお伺いいたします。

 一つは、原発の問題であります。

 二〇〇三年度実績というのは、大変温暖化ガスがふえた実績になりました。九〇年比で八・三%ふえてしまった、六%減らさなくちゃいかぬところが八・三%ふえちゃったという数字が出てびっくりしたわけなんですが、しかし、このうち原子力発電所の長期停止の影響が四・九%あったということであります。

 私の地元も原発があるところなんですが、その後、原発の稼働率は徐々にではあれ上がってまいりました。そうしますと、四・九%炭酸ガスがふえた分が最近ではどのぐらいまで減ったのか、それをまずお伺いします。

小林政府参考人 国内対策が大事だということでございまして、その中の原子力発電、こういうことでございます。安全の確保を大前提に進めていく、こういうことでございます。

 まず、御指摘の二〇〇三年度でございますが、このときの設備利用率が五九・七%ということで、先ほど御指摘のような九〇年比で四・九%分、それで悪くなっている、こういうことになるわけでございます。

 同じような計算をいたしますと、二〇〇四年の設備利用率が、上昇いたしまして六八・九%ということになってございます。これを計算しますと、九〇年比で二・八%分がなおまだ割を食っている、こういうことになるわけでございます。

 二〇〇五年度につきましては、まだ途中でございますけれども、昨年四月から十二月までの期間だけですと設備利用率が七一・七%まで上がってきているということでございまして、九〇年の排出量と比較しましても、さらに昨年度よりはロスが少なくなるというふうに考えているところでございます。

吉田(泉)委員 原発の稼働率というのは、いろいろと事故があったりちょっと不安定なところもあって一〇〇%当てにはできないわけですけれども、いずれにしても、稼働率がだんだんもとに戻ってきて、その分温暖化ガスが減ってきたという状況だと思います。

 最後になりますが、全体として、日本の目標と現状を見ますと、特に民生部門それから業務部門、こういうところで達成率が非常に危惧される、最終的な目標達成が危惧されるという状況だと私は思いますし、多くの識者がそういう指摘をしております。

 私は、今の分野別目標等に余り固執することなく、機を見て、ある意味では臨機応変に、例えば京都メカニズム等によってカバーしていくというセンスも政府には必要じゃないかというふうに思っているところでありますが、最後に、大臣から日本の目標達成のための重要なポイントを幾つか挙げていただきたいと思います。

小池国務大臣 目標達成計画におきまして、六%の削減約束を達成するために、何と六十項目にわたっての対策を講じているところでございます。

 また、その推進をしていこうということでございますが、おっしゃるように、省エネあり、新エネ、代替エネルギーの導入あり、それからクールビズなどの国民運動、さらには今御議論もいただいておりますけれども、こういった京都メカニズムの活用ということなどなど、総合的に進めていくということでございます。

 しかし、その中でめり張りをつけてということでありますと、やはり産業の分野でも頑張ってはいただいておりますけれども、一方で、家庭それから業務部門、ここでの対策、施策というのが、個々に分かれますので、比較的実行が難しいものが多うございます。

 ですから、六十項目、ありとあらゆることをありとあらゆる手段で取り組んでまいりますけれども、特に家庭部門、業務部門、このところで、つまり一人一人にどうやって実行していただくかという意識啓発もさらに続けて、六%の目標を達成してまいりたいと考えております。

吉田(泉)委員 全体として、京都メカニズムの評価、これはいろいろな御意見がまだあると思います。自分たちで努力しないでお金で買ってくるのかというような批判もあります。

 ただ、私は、基本は経済学で言う分業の原理だろうというふうに思います。メカニズムの意義もよく理解し合ってそれなりにこれを活用していく、補完的でなくてはいけませんけれども、補完的な中で柔軟な対応があってもいい、それが国益にもつながり地球益にもつながる、こんなふうに思っているところでございます。

 質問を終わります。ありがとうございました。

木村委員長 次に、村井宗明君。

村井委員 衆議院議員の民主党の村井宗明です。

 きょうは地球温暖化についての御質問をさせていただきたいと思うんですが、まずもって私の考え方を言いたいと思うんです。いろいろな考えはありますけれども、日本が排出している温室効果ガスをいかに減らすのか、それが最優先で、それができない分の補完的な措置として京都メカニズムがある、そういうふうに思うんです。

 では、どれだけ京都メカニズムを使って、どれだけ排出権取引でお金をたくさん出して、それで京都議定書を達成したからといって、それで地球環境が守れるのか。守れるわけないんですよ。

 大臣、まず確認します。これはあくまで補完的措置で、排出権、つまり取引をする、せぬじゃなくて、そもそも、CO2など温室効果ガスの排出量を削減することこそが一番重要だという認識でよろしいでしょうか。

小池国務大臣 そのとおりでございます。

村井委員 そこで、その考えに基づいての話をしたいと思うので、資料をお配りさせていただきました。今ここに出しましたのが、国民運動推進事業で、温室効果ガスを減らしていこうということで、去年からずっとやりました、去年はそういう形でやりました、これは非常に効果を上げていますというふうに言っています。

 そこで、一枚目をぱっと見たら、なるほど、事業評価調査費というのでしっかりと予算をとっておられる、四千九百万円もとっておられる。では、この四千九百万円で調査した結果の、どんな仕組みで評価したのかなどについて教えていただければと思います。

小林政府参考人 先ほど吉田委員からの御質問の最後のところでも、やはり国民の共感を得て取り組みにつなげていくことが大事だ、こういうことで今回この国民運動を展開しているわけでございます。初年度でございますが、これがやはりきちっと行動につながっていくかということを把握しながら事業を進めていこうというのがこの趣旨でございます。

 そういうことでございまして、例えば、具体的な行動の浸透度、そういったもののアンケートをするということでございます。これも先ほど御指摘のような金額でございまして、かなり頻度を高くしていく、こういうことでございます。

 やや長くなって恐縮でございますけれども、具体的に申し上げますと、まず一般国民向けの調査、これを行っております。全国の十歳以上の男女合計千二百名を対象に、毎月、実際にどんな行動をとっているかというようなことを聞いており、そして、その変化を探るということでございます。また、事業者向けの調査もしてございます。これは、全国の一般企業千社を対象に年二回実施をするということでございます。

 チーム・マイナス六%の認知度等々、具体的な項目、約三十項目の調査を行っているということでございまして、この結果で、例えばクールビズで何トン削れたはずだとかいったような推計をしていく、こういうふうに活用させていただいております。

村井委員 では、その四千九百万円かけた調査、それらから得られた評価で、具体的に何トンぐらい減ったんでしょうか。大臣、お答えください。

小池国務大臣 まず、この調査結果によりますと、例えばクールビズで、わずかな時間でございましたけれども、認知度は九六%に上りました。

 また、例年から、ここがみその部分ですが、冷房の設定温度を実際に高くした、二十八度と私どもは言っておりましたけれども、それぞれのところで高く設定をしたという事業所が約三三%に上ったわけでございます。

 これをもとにして初年度のクールビズによるCO2の削減効果を推計いたしますと、約四十六万炭素トン、すなわち、これをわかりやすく申し上げますと、約百万世帯の一カ月分の二酸化炭素排出量に相当する成果。百万世帯というのは、大体大阪か名古屋、名古屋が九十五万世帯ということで、大体その都市一つ分ぐらいのCO2の一カ月分ですけれども、排出量の削減につながったということでございます。

 よく、新商品などを出したり、お店のコマーシャルとかいろいろあって広告大賞をとりながら、そのお店はつぶれたというような例もございます。ですから、クールビズの何が目的かというと、このCO2の削減ということが究極の目的でございますので、またこれを大きく広げていって、そして、この国民運動、すなわち京都議定書の目標達成につなげていくような努力をこれからも続けてまいりたい。

 また、このキャンペーンの一つにチーム・マイナス六%、先生方もお入りいただいていると確信いたしておりますけれども、この認知度については約六五%。今、テレビコマーシャルとか新聞広告などをごらんになりますと、それぞれの企業が下のところに地球マークみたいなのをぽっとつけているのがこのチーム・マイナス六%のメンバーであるという証左なんですけれども、認知度が約六五%。

 それから、チーム員数というのは、これはカウンターがホームページについておりますけれども、約二十万人ということなんですが、二十万じゃまだまだ足りないと思っておりますので、さらに運動を拡大して、一人一人の行動がチームになれば大きくなる、チームとしてCO2削減につなげていって、目標達成にまで持っていこう、こういう考え方であります。

村井委員 せっかく四千九百万円もかけてレポートをつくったわけですから、少なくてもこの環境委員の人たちには、国民運動でこれだけやった、これだけ一生懸命CO2削減のことをやったというレポートが配られてもおかしくないと思うんですが、どうでしょうか。

小池国務大臣 チーム・マイナス六%に全部示してございます。紙ももったいないから配らないわけではありませんけれども、ぜひともホームページを御参照いただければと思います。

村井委員 せっかく大臣の方から、それだけテレビコマーシャルなどの話もされたので、よく出ておった話なので皆さんも知っておられると思うんですが、昨年の総選挙。私は別にそういうふうには思っておらぬのですけれども、昨年の総選挙で自民党が勝った最大の要因の一つとして、ほかの省庁と違って、環境省の予算は小泉さんや小池大臣などの宣伝にお金を使える、二十億円コマーシャル代を使えた。

 例えば、内閣府は今、構造改革日本のCMに竹中直人さんを使っている。それはちゃんと自粛している。政治家を使うというのは今まで遠慮していた。政府広報だったら、関口宏さんとか自転車の中野さんとか、そういった方々が使われておったじゃないですか。今回、選挙前、一カ月前から、小泉さんそれから小池さんをどんどんと使ったことによって、これは自民党の経費でやるのだったらもちろんだれも文句を言わぬ、私は別にそれでも構わないと思っているんですが、環境省の予算はそういう形で使えた。それが選挙に大きな要因を与えたという話がよく聞かれるんですが、大臣は、その点どう思われますでしょうか。

小池国務大臣 クールビズを実際に取り入れた自民党だったから勝ったという説もあるようでございますけれども、そういったことではなくて、政府のメンバーとして活動をやっているわけでございまして、党の宣伝をやっているわけではないということでございます。

村井委員 とすると、もちろんやってもらっても結構なんですが、これからも選挙前とかだと、環境省の場合だけは、宣伝でやはりそういう自民党の議員とか総理、大臣が使われると思ってよろしいでしょうか。

小池国務大臣 そもそも、いつ総選挙になるかはだれもわからなかったわけでございまして、それはなかなか難しいんじゃないでしょうか。

 ただ、やはり選挙中ということになりますと、さまざまな配慮はされるべきだとは考えております。

村井委員 ありがとうございます。

 こういった運動は、継続的であってこそ価値のあるものになると思います。それでは、これらの評価を受けて、本年度はどういった取り組みをされるのか、お聞かせください。

小池国務大臣 先ほども、チーム・マイナス六%、現在のカウンターでは二十万人ということでお伝えいたしましたけれども、具体的な目標を掲げるならば、これを百万人のオーダーに乗せていきたいというふうに思っております。それは、すなわち、意識がさらに広がるということを数字であらわすとそういうことになるかと思っております。

 それから、ターゲットでありますけれども、昨年、例えばクールビズで始めましたけれども、認知度は高かったのですが、いや自分は営業をやっているんだから、なかなかそうはいかないよ、それから、大企業は堂々とできるかもしれないけれども、我々零細はそうはいかぬのだよ、いろいろな意見がございました。逆に言えば、そういった昨年度でき切れなかったところに的を絞りまして、より皆さんが社会的にも安心してこの地球温暖化対策の一環でありますクールビズなども進めていただけるような方法をとっていきたいと思います。

 そのためにも、平成十八年度事業におきまして、産業界、労働組合、自治体、NPOなどの幅広い関係者との連携をさらに強めながら、この温室効果ガス削減のための具体的な取り組みを促します普及啓発の工夫、強化に一層努めてまいりたい、このように考えております。

村井委員 ありがとうございます。

 それでは、私が配った資料、一、二、三ページで、今言った国民運動をこうやってやってきたという話を配ったんですが、もちろんこれだけやっておられる、これは十分です。でも、やって、予算をとるだけじゃなくて、これからの政治というのはやはり結果責任を伴わなければならぬと思うんです。事業評価のレポートをつくるのに四千九百万円もかけたわけですから、せっかくですから、今度からは環境委員のメンバーには配っていただく、そして、どれだけ効果があるというのを出していただいてから、やはりこの地球温暖化について検討しなければならないんじゃないかなというふうに思って、次の質問なんですが、四ページ目へ行きます。

 皆さんに配らせていただいた資料、これは新聞記事なんですけれども、「排出減 十自治体のみ」。そうなんですよ。こうやって見たら、自治体ごとに温室効果ガス排出量の実態、ふえたところ、減ったところ、ばらばらになっています。

 さて、そこで、この地域の格差について大臣はどう思われますでしょうか。

小池国務大臣 現在の地球温暖化対策推進法におきまして、地方公共団体が、みずからの事務そして事業に関して温室効果ガスの排出を抑制するための措置を講じ、そして、その区域の事業者、住民が温室効果ガスの排出の抑制等に関して行う活動の促進に努めると。これは法律でございます。

 地方公共団体が、これらを実行するために、また実行するための計画を策定する、これは結構大変な作業なんですね。そこで、策定マニュアルの作成など技術的な支援を行っておりますし、また、その実行計画に基づいて率先的な施設整備に対する補助なども行ってまいりました。

 それから、あと、都道府県ごとに都道府県地球温暖化防止活動推進センターが設置されておりまして、ここで普及啓発事業への支援、センターの職員に対しての研修などを行っているところでございます。

 今後とも、地方によってこの取り組みに濃淡がございますけれども、これらが生じないように必要な支援を行ってまいりたいと思いますし、ある意味では、地方がそれぞれ、この温室効果ガスの取り組みに対して我が県が日本一であるみたいな、そういったいい意味の競争が行われるようなことも期待しているところでございます。

村井委員 それで、まず、これは通告していないので大臣じゃなくても結構なんですけれども、このデータのとり方の基準は一律共通なんでしょうか。もしくは、ここに出ているデータ以外に、環境省の方で全体、同じ基準で調査などをやっておられるんでしょうか。

小林政府参考人 実際のデータをとるのは、実は大変難しいものでございます。エネルギー統計等、全国統一でできております。

 それから、御指摘のとおり、いろいろ排出量の差があるというのは、例えばそこに新しく火力発電所をぼんと立地するとかいうことで、実際に地球の大気に与える影響はどこから排出されても同じでございますが、県ごとにそれを集計するというのはなかなか難しいというのが実態でございます。

 私どもとしては、県ごとの実施計画、対策計画のようなものをつくるための策定マニュアルというのをつくっておりまして、これを今二回、平成五年そして十五年というふうに地方にお示しをし、その中で、難しいながらもこのやり方で排出量を推計したらどうだろうかという示唆をしてございます。現在、そのマニュアルをなるべくよくするべきだということで、さらに新しい改定の準備についおとといぐらい入ったところでございます。

村井委員 そのつくられたマニュアルの中で、排出量の数字の報告、これは基準は統一されておられますか。

小林政府参考人 先ほど申し上げましたように、推計の方法について統一をしてございますけれども、御指摘の点は精度管理とかそういうことだと思いますけれども、これについては必ずしも信憑性については私どもチェックができない状況でございます。都道府県が自主的に算定するという形になってございます。

村井委員 そこで、物事をやる場合はセグメント戦略というんですか、一個一個、それから地域地域に分けて対策を打っていく、きめ細かい対策を打って初めてできるものだと思うんです。今、細かい精度を調査はできていないという話だったんですが、大臣、やはりこういうのは県ごとにちゃんと分析していくべきだと思うんですが、どうでしょうか。

小池国務大臣 今、小林局長の方からお答えさせていただいたとおりでございます。いろいろな支援は国としてやっていきたいと思っておりますし、先ほど申し上げましたように、それぞれの地域の特色などもございます。そういった特色を超えて、明確な数値でとらえられるような、そしてまたそれで競い合うような環境づくりもしてまいりたいと考えております。

村井委員 今後は、そうやって都道府県ごとにきめ細かく、そして事業区別ごと、それから、いろいろな形でセグメントで分けて細かく取り組むことによって初めて日本全体のCO2排出量そして温室効果ガスの排出量の削減ができるものじゃないか、そして、それに向かって取り組んでいただきたいと思います。

 さて、次の課題に移りたいと思うんです。

 やはり日本全体で省エネをしっかりやっていくためには、冷暖房、もちろんクールビズとかそういうものも大事なんですが、省エネ住宅の推進が非常に必要だと思うんです。それによって、実際のエネルギーの消費量を減らせるわけですから。

 そこで、この一般住宅、今、断熱住宅などをどんどん進めていかなければならないと思います。そして、断熱などの住宅の支援策をやっていく中で、同時に、シックハウスと呼ばれるような問題、健康面などの問題にも取り組んでいかなければならないと思うんですが、国土交通省の方はどのようにお考えでしょうか。

和泉政府参考人 お答え申し上げます。

 地球温暖化防止に向けまして、断熱性能にすぐれた省エネ住宅の普及に努めているところでございますが、同時に、今御指摘のように、居住者の健康に配慮することは極めて重要な課題であると考えております。

 住宅本体に関する省エネ化の基本は、断熱化、気密化、そして、今御指摘のような問題を防ぐための適正な換気の確保でございますけれども、従来、我が国の戸建て住宅は、委員御案内のように、気密性の低い在来木造軸組み住宅が中心であったことから、換気に対する配慮が必ずしも十分だったとは言えません。

 省エネ化住宅の普及を図るために、省エネ法に基づきまして、省エネ住宅の設計施工の方法を具体的に定めた設計及び施工の指針におきまして、カビの原因となる結露の発生を防止するために、グラスウール等の断熱材を使用する場合には、その室内側に気密性及び防湿性が高い材料で構成される防湿気密層を設けまして、断熱層への湿気や水蒸気の浸入を防止することを明示しております。

 また、省エネ住宅の設計施工に関する技術講習の実施とか、設計施工に関する解説書等の作成、配布等を行い、指針に基づく適正な断熱化工事が行われるように努めているところでございます。

 加えて、御指摘のシックハウスを防ぐためには特に適切な換気が重要でありますので、平成十四年の建築基準法の改正におきまして、原則として、居室では二十四時間の換気を行うように義務づけたところでございまして、今後とも、居住者の健康に十分配慮した省エネ住宅の普及に努めてまいりたいと考えております。

村井委員 その省エネ住宅をしっかり進めて温室効果ガスを減らすためには、国土交通省、厚生労働省、経産省、それから、もちろん中心となって環境省がしっかりと進めていかなければならない、そして、そのためのリーダーシップをとっていかなければならないと思うんですが、大臣はどのようにお考えでしょうか。

小池国務大臣 先ほどからクールビズ、クールビズばかり言っていますけれども、昨年は男性の夏の服装だけがクールビズだと思われていたかもしれませんが、私は、これはコンセプトとして、ライフスタイルそのものの話に通じると思っているんですね。ですから、例えばクールビス対応、ウオームビズ対応それぞれ、夏、冬それぞれのマイナス点をプラスに、温度が上がる西日の強いところは、夏はそれを遮断して、逆に冬はそれをプラスに生かすとか、ですから、車でも家でも町全体でも、全部このコンセプトは当てはまるんじゃないだろうか、そういうふうにとらえております。

 そこで、御指摘の住宅ですけれども、これも同じことでございまして、どうやって省エネを図るかという観点、そのほか今、シックハウスそのほかの健康の状態なども含めて、住宅というのはやはり広がりが大きいわけですし、また、最近の金利動向等々を考えますと、これからまた一つ刺激になるのかもしれません。

 そういった中で、冷暖房の効率を高め、そして断熱性能を高めていくということ、それから無駄なエネルギー消費を防ぐことというのは、結果として家庭部門、先ほどめり張りをつける際に家庭部門ということを申し上げました、家庭部門の温暖化対策として極めて有効であると考えております。

 また、目標達成計画でも、住宅の省エネ性能の向上であるとか、それから、ITを活用して照明とか空調などの最適な運転を行うエネルギー需要管理システム、HEMSというのがございますけれども、この普及を図ることといたしているところでございます。

 環境省としても、具体的な方策として、地域の一般家庭などが集団的に複層ガラスであるとか樹脂サッシなどの省エネ資材を導入する取り組みに対して補助を行う、それから、関係省庁や建築資材メーカー、それからハウスメーカーとの連携によりまして、住宅展示場を活用しました省エネ住宅、省エネリフォームに関する普及啓発事業などに取り組ませていただいているところでございまして、特に十八年度予算においては、新たな宅地開発などの機会に、街区内の住宅における省エネ設備などの導入を補助して、街区全体のCO2の排出を大幅に抑制する事業を盛り込んでいるところでございます。

 国交省を初めとして関係省庁としっかりと連携をとりながら、京都議定書の第一約束期間のみならず、住宅というのは特に何十年も住む、私は日本の場合もっと住んでいいと思っているんですけれども、長期的、継続的な排出削減に向けまして、おっしゃるとおり、住宅に対しての対策、力を入れていきたいと思っております。

村井委員 ありがとうございます。

 そうしたら、配った、新聞の次のページの話をしたいと思うんです。これは何かというと、住宅用の太陽光発電導入促進対策費補助金なんです。補助額を見てください、下の表なんですけれども。平成六年、一キロワット当たり九十万円だったのが、どんどんどんどんどんと下がってきて、平成十七年はついに一キロワット当たり二万円。

 太陽光発電というのは非常に環境に優しいと思うんです。そして、CO2の排出量も非常に少ない。ところが、こういった形でどんどん補助金が終了していっています。これは既に市場が自立して普及していっているからだと認識してよろしいんでしょうか、経済産業省の方でお答えください。

高原政府参考人 お答え申し上げます。

 太陽光の発電につきましては、かつては太陽電池が非常に高価でございまして、普及が進みませんでした。ところが、経済産業省としては、量産化などによるコストの低減を目指して、平成六年度から今年度、すなわち平成十七年度までの十二年間でございますけれども、住宅用の太陽光発電システムの設置費用の一部を助成してまいりました。

 このほかにも、民間の企業の方々が、当初非常にリスクが大きかったと思うんですけれども、今委員御指摘のとおり、非常に太陽光発電の重要性にかんがみて、事業化をリスクを顧みず進めてこられたこととか、あるいは国民の方々の環境意識が非常に高まっているということもございまして、我が国の太陽光発電の累積導入量は、助成開始前の平成五年の二・四万キロワットに比べまして、平成十六年には、四十七倍でございますけれども、百十三万キロワットに拡大をいたしております。累積の導入量では世界一でございます。この間システム価格も、需要の拡大と技術開発の進展によりまして、助成開始前の平成五年度の一キロワット当たり三百七十万円といったものが、昨年度の数字でございますと五分の一以下の一キロワット当たり六十七万円というふうに、相当下がってきております。

 そのことを踏まえまして、こうやって助成価格を下げてこさせていただいたわけでございますけれども、いずれにせよ、住宅用の太陽光発電につきましては、システム価格が大幅に下がっておりますので、また、さっき申し上げた環境意識の高まりといったこともありますので、普及は相当進んできているというふうに認識をいたしております。

 ただ、公共施設あるいは事業所などの太陽光発電の導入拡大でございますとか、さらに一層の低コスト化あるいは効率化といったものは依然として重要でございます。このため、生産性の向上でございますとか量産化を目指した技術開発でございますとか、あるいはもっと従来技術から大きく飛躍をした技術開発、そういうことを目指した事業も進めたいと思っておりまして、平成十八年度予算案につきましては、技術開発関係で二十八億円の予算を計上いたしております。

 いずれにいたしましても、太陽光発電につきましては、引き続き積極的な支援をしていくという姿勢で臨んでいきたいと思っております。

 以上でございます。

    〔委員長退席、松浪(健太)委員長代理着席〕

村井委員 もちろんこれで、よく進んできたというのはわかりました、今の答弁で。今後も積極的な支援をというふうに最後におっしゃられたので、ちょっと気になったんですが、これだけ補助額が減っているにもかかわらず積極的な支援と言われたのは、ここから先はさらに補助額はついてくるんでしょうか、それともなくなっていくんでしょうか。

高原政府参考人 今御指摘の住宅用については、相当これは普及が進んでおります。したがって、十八年度予算案ということには入っておりませんけれども、例えば公共施設、事業所と先ほどちょっと申し上げましたけれども、この導入拡大というのは進めていきたいと思っておりまして、平成十八年度予算案におきましては、公共施設あるいは事業所等でのフィールドテストの関連の予算ということで百十八億円の予算を計上しております。そのほかに、先ほど申し上げた技術開発関係ということで二十八億円の予算を予算案として御提出申し上げているというところでございます。

村井委員 さて、そういった形でやっていただいているのはすばらしいと思います。太陽光発電、それから断熱住宅、そういったものをしっかりと進めながら、CO2、温室効果ガスの排出量そのものを削減していくことを我々はしっかり考えていかなければならないと思うんです。

 そこで、この住宅問題について、最後、大臣にまとめていただければと思います。

 今後、住宅の場合、住宅金融公庫や証券化ローンの金利優遇、それから税制の優遇、そういったものも含めて、住宅の省エネ対策、太陽光発電への補助金、環境省が音頭をとって進めるお考えはありますでしょうか。

小池国務大臣 今も御説明ありましたように、ハードとしての太陽光発電というのは日本は世界一でございますし、普及についても世界一だと思います。ただ、これからさらに伸ばしていかなければならないというところに、あともう一歩後押しをする必要があるのではないか、私はこのように考えているわけでございます。

 ただ一方で、住宅の省エネ性能を上げるためには、住宅を建てる人、持っている人がそこに何らかのコストをかけなければならないわけでございます。コストをかけた分資産価値が上がるという話になって、結果として税額が増加するというような傾向もあるわけでございまして、今の住宅建設促進税制においても、環境対策分も含めて、住宅ローン残高に応じた減税措置はございますけれども、環境省としては、住宅における省エネ対策を大きく進めるためにも、エコ住宅の所有者に税制優遇などの経済的なインセンティブを与えるということは重要ではないか、このように思います。

 例えば、この類似の考え方で、ヒートアイランド対策として、屋上緑化の減税を関係省庁と連携をとって具現化させているところでございまして、今の御指摘の点も、こういった京都議定書の目標達成のためにも、また、資源のない我が国が太陽光発電をさらに研ぎ澄ませて世界のマーケットに広げるためにも、足元である我が国みずからでそれを実行していくというのは極めて大きな話ではないのかな、このように考えているところでございます。

    〔松浪(健太)委員長代理退席、委員長着席〕

村井委員 今後も、特に住宅の分野で、省エネ、断熱、それから太陽光発電などをしっかり進めていっていただければと思います。

 それでは、次の議題へ移りたいと思います。車の話をしたいと思うんですね。

 今、低公害車として、天然圧縮ガス車、それから液化石油ガス車、燃料電池ハイブリッド車など、いろいろあります。技術革新のことを考えたら、燃料電池の車などに力を入れていくというふうに聞いています。こういった開発投資の促進のための支援策、それから政府の具体的戦略などを教えていただければと思います。経済産業省にお聞きします。

平工政府参考人 お答え申し上げます。

 エネルギー問題や地球環境問題が深刻化する中で、世界的に自動車の技術や燃料を多様化する取り組みが加速化しております。そういった中で、先生御指摘のとおり、それぞれの国のエネルギー事情あるいは社会風土を踏まえ、さまざまな低公害車が開発、導入されております。ただ、世界的に見ましても、将来的には燃料電池自動車あるいは電気自動車などが低公害車の主流になるというふうに考えております。

 経済産業省といたしましては、そうしたさまざまな技術的な課題を解決すべく、産業界とも協力の上で、これらの自動車の開発に取り組んでいるところでございます。また、低公害車の規格に関しましては、例えば燃料電池自動車につきましては、ISO、いわゆる国際標準化機構の場等におきまして積極的に日本の規格を提案しておりまして、今後とも国際標準の構築に向けて働きかけを行ってまいる所存でございます。

村井委員 さらにお聞きします。

 新車に比べて既存車などからたくさんの二酸化炭素などが出ておると思います。そういった燃費基準の問題、それから、どうやって車からのCO2の排出量を減らしていくおつもりなのか、お答えください。

平工政府参考人 お答え申し上げます。

 自動車の二酸化炭素排出削減につきましては、自動車の燃費向上と燃費性能にすぐれた新車への買いかえ促進という二段階で取り組んでおります。

 新車の燃費向上につきましては、省エネ法に基づき、トップランナー方式による燃費基準を導入いたしまして、製造事業者による自動車の燃費向上への取り組みを促進しております。また、燃費性能にすぐれた新車への買いかえにつきましては、自動車グリーン化税制を導入いたしまして、燃費性能や排出ガス性能にすぐれた新車に対し自動車税を軽減すると同時に、一定の年数以上経過しました既存の自動車に対しましては税を重課すること等によりまして促進を図っております。

 これらの取り組みによりまして、自動車の二酸化炭素排出が削減されていくものと考えております。

村井委員 それぞれの車一台当たりの排出量削減の対策は進んでおるようです。

 それで、今度は自動車自身の走行距離を抑制していく対策というのはどのようになっておりますでしょうか。特に通勤時の公共交通の促進、それから市民意識などについて、国土交通省の方にお伺いしたいと思います。

平山政府参考人 お答えいたします。

 今先生御指摘のとおり、単体対策、経済産業省の方からもお答えをしましたが、いろいろ進んでおります。さらにまた、貨物関係でいきますと、営業用トラックに自家用トラックを、燃費は営業用トラックの方が非常にいいものですから、転換していく、いわゆる走行量を抑制する策、こういうことをかなり進めていまして、実は我が国のCO2排出量のうち約二割を運輸部門が占めているわけでございますが、実はこの部門につきましては一九九七年度をピークにほぼ抑制というところまで抑え込んできたという現実にございます。

 しかしながら、自家用自動車の分野につきまして申し上げますと、実は一九九〇年、運輸部門の中で約四割が自家用自動車からの排出だったんですが、これが二〇〇〇年には五割へと上昇している。全体が抑制している中で、自家用自動車の部分だけがふえている。そういう意味で、いかにこの自家用車対策を進めるかということが、運輸部門のいわゆるCO2抑制対策、非常に重要な課題だというふうに認識をしております。

 そういう意味では、今御指摘のとおり、マイカー通勤をどうするかということも非常に大きな問題でございまして、企業の中には、例えばトヨタ自動車さんでは、自分の工場に行くところを、マイカー通勤を抑制するために専用のシャトルバスを入れているとか、ヤマハさんでは社員が通勤のために使う電動用の二輪車を買うときに社内補助を出すとか、かなり先進的な取り組みを進めておられる企業もそろそろ出始めているという状況にございます。

 国土交通省は、こういうようないろいろなところの仕組みを一層促進するということが大事だというふうに考えておりまして、経済産業省さん、あるいは交通事業者さん、経済界、こういったところと一緒になりまして、公共交通利用推進等マネジメント協議会というのを全国に立ち上げております。それぞれの地域において関係者が一丸となって取り組んでいただきたいということを申し上げているわけでございますが、さらにそれだけではなく、平成十八年度からは独立行政法人の新エネルギー・産業技術総合開発機構、いわゆるNEDOの補助金制度を活用させていただきまして、従業員向けの低公害型のバスを買うような企業に補助金を出すとかいうようなことをやりまして、いわゆる公共交通機関等へ転換していただくためのモデル的取り組みといいますか、こういうものを積極的に支援していきたいと考えております。

 いずれにいたしましても、通勤交通マネジメントという名前で呼んでおりますが、こういう総合的な対策の取り組みの強化を通じまして、自家用自動車からのCO2排出の抑制、こういうことに積極的に努めてまいりたいと考えております。

村井委員 もう一つ、今のでつけ加えてお聞きしたいんですが、都会の議員さんたちは別だと思うんです。でも、ここの中には、私は富山なんですけれども、私同様地方から来た議員さんがおられる。そういうところで、公共交通の促進といいながらも、実は全然逆で、赤字額がどんどん進んでいく、そして廃線を求められるケースがふえている。そんなので本当にCO2削減になるのか。むしろ自動車の方へどんどん移されつつある。そういったところに対して、今赤字路線の問題などをどのように考えておられますでしょうか。

平山政府参考人 お答えいたします。

 先生がおっしゃるとおり、地方では特に鉄道関係が非常に厳しい状況にございます。特に先生の地元のところでも富山港線というJRの線があるんですが、ああいうところをいわゆる鉄道から、ライトレールと呼んでいますが、今LRTを整備させていただいておりますが、できるだけコンパクトなものにして、効率性の高い、地域の実情に合ったものに転換をしていくということに対する支援を積極的にとらせていただいておりまして、それまではできるだけ地域の公共交通の足が確保されるように努めてまいりたいというふうに考えております。

村井委員 今出していただいた、本当に、富山が全国で一番最初にLRTを入れていただいたのは非常にありがたいんです。

 そんな中で、私は、この富山のものから成功させないと、ほかの全国の赤字路線、これもみんな注目しておると思うんです。いや、富山は大赤字だったから、わざわざ工事してLRTにかえて、本数をふやした、だけれども赤字だったということになれば、では、ほかの全国の赤字路線、これはますますLRT化じゃなくて廃線の方向へ向かってしまうと思うんです。でも、本当に廃線化が進めば進むほど、自家用自動車ばかりふえて、公共交通が減っていく。

 そういった中で、今後、そういったLRTの推進の問題、それから、それを赤字じゃなくて黒字にするという具体的な戦略などがもしあれば、お答えいただいてよろしいでしょうか。

平山政府参考人 お答えさせていただきます。

 地方のローカル地域における公共交通を黒字にするということは、そう簡単な話ではないというふうに考えております。ただ、一番大事なことは、やはり地域の方々がその公共交通を使う、残す、特に今の、これからの高齢化時代を迎えたときに、マイカー依存からできるだけ、少々不便かもしれませんが、公共交通を積極的に使っていただく、そういう姿勢を地域の方々、地方自治体の方々、国、関係者がみんな一丸となって維持していこうと思わないと、なかなか維持していくことは難しいと思いますし、そういう方向に関係者一丸、努力をしてまいりたいと考えております。

村井委員 最後に、今までの話をまとめて大臣に、では一言だけ簡単な質問をしたいと思います。

 例えば私は富山だったんですけれども、高校時代とかは車を持たないですから、電車を使うんですね。でも、やはり電車は一時間に一本なんですよ。これは当たり前の話で、みんな一時間に一本。十一時台なんかは一本もないんですね。十時台に走ったら、もう次は十二時台までいってしまう。そんな中で、やはり、それはもう大臣は兵庫と東京を選挙区で移られてきた、都会の方ではわからない、公共交通を本当に推進していくためには、そういった赤字路線、そして一時間に一本しかないにもかかわらず、そういったところをしっかりと応援していかなければならないと思うんです。

 最後に、その大臣の所見をお聞きして終わりたいと思います。

小池国務大臣 お店が閉まる前日になると、やたらとさよなら何とかセールでぼっと人が来たりするのを見ていると、だったら前から行けばいいじゃないかとよく思うことがあるんですけれども、やはり今のお話も、どこかの段階から悪循環に陥ってしまって、結局余計お客さんが離れてしまうんだろうというふうに思います。

 ただ、地方の問題というのは、交通手段もさることながら、やはり、地域の核になる産業がどうなのかとか、そういったことを本当に総合的に進めていかなければならないのではないかと思います。また一方で、そういった電車がなかなか来ないところというのは逆に緑が多いところがいっぱいあるのではないかと一般的には思うんですね。そうすると、その緑はどうやって逆に生かすのかとか、これから地方自治の時代になって、ここは過疎で大変だ、そして交付金をというふうな話になってくるとまた先ほどの悪循環の一つのパターンになるので、これから、シティーマネジャーというか、それぞれの、例えば地域の地方自治体の長というのは知恵の時代に入ってくるんじゃないか。そういった知恵で何とか切り開いていこうというところはサポートしていくというような形にしないと、結局、お金、税金そのものが生かされなくなるのではないか。

 一つ、きょうはわかりやすい交通のところを挙げていただきましたけれども、そういったことを端緒に、地域活性化の総合戦略ということがより必要なのではないか、そしてその中でCO2を減らしていくための新しいスタイルはどうなのかといったような位置づけが必要なのではないかと思っております。

村井委員 これで終わります。

 最後に、やはり、京都メカニズムを使うことだけじゃなくて、きょうは住宅と公共交通の話をしましたけれども、そういった具体的な戦略、それから具体的な政策をもってCO2の排出量自身を削減していっていただきたいとお願い申し上げ、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

木村委員長 次に、富田茂之君。

富田委員 公明党の富田でございます。

 先ほど来、各委員から今回の法案の問題点について質疑がされておりますけれども、この法案の前提として、国内の温室効果ガス排出量の削減対策はきちんと強化していかなきゃいけないということが大前提だと思うんですね。この国内の対策強化の必要性について環境省としてはどのような認識でいらっしゃるのか。

 また、それを踏まえて、昨年四月二十八日に閣議決定されております京都議定書の目標達成計画では、二〇〇七年度に計画の定量的な評価、見直しを行うというふうにもされております。この見直しがどんな方向になるのか。削減対策の強化とあわせて、どんな方向になるのかをぜひ竹下政務官の方からお答えいただきたいと思います。

竹下大臣政務官 まず、基本的な認識でございますが、二〇〇四年度、平成十六年度の温室効果ガスの排出量は、残念ながら一九九〇年に比べまして七・四%増加ということで、六%の削減計画に比べて、本当にこれはこんなことで大丈夫かな、あらゆることをやらなきゃだめだな、改めてそういう思いになったわけでございます。

 しかし、そういう中で、去年の四月に閣議決定をいたしました京都議定書の目標達成計画、マイナス六%を達成するために必要なおよそ六十項目の対策というものをこの中に盛り込んでおるわけでございまして、これらの対策が確実に実施されて効果を上げていければ約束達成は可能である、基本的にはそう考えております。しかし、対策の実施を確保するために必要な施策というのは、毎年レビューをして強化を図っていかなければならない、こう考えております。

 また、見直しの件でございますが、目標達成計画は二〇〇七年度に定量的な評価、見直しを行う、こうされておるところでございます。この二〇〇七年度の見直しというのは、二〇〇八年から第一約束期間がスタートいたします。非常に大事な時期、本当にできるかどうかということをしっかりと見きわめなければならない、まさに温室効果ガス排出量に直結する極めて重要なプロセスであります。六%削減約束を確実に達成できるかどうかということを厳格に評価いたしまして、必要に応じて対策あるいは施策の追加を図っていかなければならない。

 先ほどお話ししましたように、規制的な手法、経済的な手法、あるいは国民の意識改革を含めてあらゆる政策を総動員して、何としても国際公約であるマイナス六%を達成しなければならない、こう考えておる次第でございます。

富田委員 ありがとうございました。ぜひその方向で頑張っていただきたいと思います。

 京都メカニズムの活用と補足性の関係について、何点か確認をさせていただきたいと思います。

 先ほど小林局長の方で、補完性という質問が出ていましたけれども、補完性ということについて、共通だが差異ある責任の原則ということを提示されて、先に地球を汚してきた先進国がまず努力するんだという意味で補完という観念なんだというふうにおっしゃいましたけれども、補足性も同じようなとらえ方でいいのか。ただ、京都メカニズムの活用につきましては、各文書に数量的な上限が設けられていないと思うんですが、補足性というのであれば、なぜ上限が設けられなかったのか。その点、理由があるのであれば、ぜひ教えていただきたいと思います。

小林政府参考人 まず、補足性、補完性についてのお話がございましたが、用語としては同じだというふうに認識をしてございます。例えばマラケシュ合意におきましては補完的というような言葉が使われていたり、京都議定書におきましては補足的、こういうことで言われておりますが、同じように国内対策をまずもってやらなきゃいけない、こういうことだというふうに理解をしております。

 そうであれば、どこまでが国内削減でやるべきであり、また国外に頼るのはどれだけかという、何か数量的なクライテリアがあってもよかったんではないか、それはなぜ設けられなかったのか、こういうことでございます。

 私は京都議定書のときの交渉担当者でもございましたが、当時いろいろな議論が実はございました。例えば一例を挙げますと、排出量と実際の目標削減量との間の半分ぐらいまでにしたらどうかとかいったような議論がありましたけれども、やはり国によっていろいろな事情があるということで、数量的なクライテリアを設けるということはできなかったということでございます。

 私ども、そういうことで考えてはおりますけれども、先ほど別の御質問がございましたように、国際的に見ても、我が国の京都メカニズムに頼るところは少ないというふうに考えてございます。そういう意味で、数量的なクライテリアはございませんけれども、補足的な取り組みだというふうに考えている次第でございます。

富田委員 今局長の方で、京都メカニズムに頼る部分は少ないんだというお話がありましたけれども、目標達成計画自体では、この一・六%という分について、「各種対策・施策の効果、経済動向等により、変動があり得る。」というふうにされていますよね。ということは、先ほど竹下政務官の方から国内対策の強化をしていただくというお話がありましたけれども、それがだめな場合にはこの一・六の数値も変わり得る可能性はあるんですか。

小林政府参考人 差分という言い方もしてございますので御指摘のような御懸念はもちろんあるわけでございますが、しかし、一・六%という数値、これは国内対策を基本として最大限努力する、それでもなお不足するものということで、国内対策を最重点に、そして確実に実施していくということが非常に重要だというふうに考えてございます。

 そういうことでございますので、御質問の点だけに限りますと、この一・六%という数字が増加することのないよう最善を尽くしていきたいというふうに考えてございます。

富田委員 わかりました。

 クレジットの取得に関して二点ほど質問をさせていただきますが、一億トンを目標に取得するんだというふうに言われているんですが、先ほど来吉田委員の質問に対しても、局長の方がオランダ等の例を挙げられていました。環境省の方からいただいた資料ですと、オランダも一億トン、スペインも一億トン、イタリアが六千万トン、デンマークが千八百七十万トンと、特にEUの国が中心にかなり大きな数字を出している。

 一億トンを目標にといいますけれども、実際に出てくる数字が世界でどのくらい予定されているのか。実際に今、日本政府の方でさまざまなプロジェクトを承認しているというのを、経済産業省の資料によりますと、今のところ三千五百八十一万トン、これも、このままこの数値を取得できるわけではないですよね。実際に、具体的なクレジットとなって出てくるのは百十二万トンくらいじゃないかというような報告もあります。この一億トンをきちんと確保できる見込みというのはどの程度あるんですか。

小林政府参考人 まず、削減量の需要側のお話の御指摘がございました。今御指摘いただいたような数字でございますが、足し合わせると、オーダー的には四億五千万トンくらいということに相なろうかと思います。このほかに民間で取得される方というのもいらっしゃるかと思いますが、一応国別では四億五千万トンくらい。

 他方、このCDMプロジェクトで出てきそうな認証排出削減量、これの見込みは急速に実は伸びてございます。それで、本年三月十五日現在で、CDM理事会で正式登録されたプロジェクトが、これは世界全体でございますが百四十件、それから生まれるであろう認証排出削減量の総量が今三億三千万トン。そうしますと、まだこれは四億五千万トンに足りませんが、さらに登録申請中のプロジェクトというのが五百件ほど出てきておりまして、仮にそれがそのとおり認められるということになりますと、先ほど申し上げました三億三千万トンに加えて、さらに五億トンくらい、合わせて八億五千五百万トンくらいのCO2の排出削減量というのが認定をされるのではないかという予想もございます。

 これから、もちろん、目減りをする、操業状況が悪くなる、いろいろなことが考えられますが、総量的には一応見合っているのではないかというふうに考えておりまして、その確実な取得というのを図ってまいりたいというふうに考えてございます。

富田委員 一応八億トンが出てくる、その中で一億トンを確保しようということですが、先ほど吉田委員の方からも予算の獲得の点について質問がありました。一体幾らくらいするんだということで、二〇一〇年には十一・四ドルという世銀の予想もあるというお話がありました。局長の方から、五年間で七百億円から一千五百億円かかるんじゃないか。それなのに、十八年度予算では五十四億円と債務負担が百二十二億だ。

 この債務負担行為ですけれども、予算単年度主義の例外として認められているわけですよね。あらかじめ債務負担内容を明らかにして、複数年度にわたる契約等の支出行為ができるようにというのが債務負担行為だと思うんですが、この債務負担行為で、十八年度予算で百二十二億だけ。次どうするかということについては、具体的な目標はありませんというふうに先ほど局長は答えられたんですけれども、一億トンをできるだけ早い時期に獲得するという意味では、債務負担行為の額もそれなりに膨らませておかないと、最大で、プロジェクトが最後、クレジットとして出てくるまで八年ぐらいかかるわけでしょう。そうなると、その八年後を見越して今のうちから、債務負担行為として認めてもらえる額をかなりふやさないと、七百億とか一千五百億という数字になったときに、結局、予算措置ができなかった、いろいろなプロジェクトをやってもらって、つばをつけておいたけれども、お金は払えないよという話になってしまう。そういう懸念があるんじゃないかと思うんです。

 その点、きちんと一億トンを確保するための予算は絶対とっていくんだ。まあ、単年度主義というのもありますから大変だとは思うんですけれども、そこに向けてどんな決意でいらっしゃるのか、お聞かせ願いたいと思います。

小林政府参考人 先ほど申し上げましたように、初年度、初めてこの予算の提案をさせていただき、また、法案の提案をさせていただくということでございます。そういうことで、多少勢いが足らないのではないかという御心配かというふうに受けとめました。

 先ほど来大臣の方からも答弁いたしましたとおりでございますが、予算の獲得、この一年度の実績を踏まえて一生懸命やっていきたいというふうに考えてございます。

 ただ、先ほど申し上げましたのは、余り需要側だけ先にふえても、供給のスピードというのもございます。そういう意味で、需給のバランスで価格が決定されることを考えますと、今申し上げましたように、これから先まだ供給量の方も伸びてくるということでございますので、その辺も参酌いただいて、ぜひ御理解を賜りたいというふうに考えてございます。

富田委員 あと一点、ちょっと確認しておきたいんですが、いろいろな資料をいただきましたら、グリーン投資スキームを、今後、排出量の枠を獲得するに当たって検討しておく必要があるんじゃないか。ただ、制度としてきちんとまだ枠組みができていない。ロシアとか東欧諸国なんかは余った分を売りたいというふうに思っているんでしょうから、こういったところを、環境省なり政府の方として、どんなふうな働きかけをして制度構成をしようと考えていらっしゃるのか、教えてもらえればと思います。

小林政府参考人 グリーン投資スキームは、今御指摘ございましたけれども、少し補足をさせていただきますと、先進国同士の削減ということになるわけでございまして、具体的なプロジェクトをなるべく導き出すような形で、ちょうだいした資金を、例えば東欧諸国が運用して、削減量を逆に日本に渡すということでございます。いわば、共同実施を少し簡便にしたようなもの、こういうことになるわけでございます。

 そういうことでございますので、今後のポイントといたしましては、そういった資金を受け入れる国で具体的に環境対策を、ではどうやってやっていくのか、単なる排出枠の余っているものを売るのではなくて、環境対策にどうやってつなげていくのか、また、それがどうやってつながっていくかということをきちっとモニタリングができるのか、こういったところがポイントになろうかと思いますので、この点について、私ども、削減量を取得する側としてもいろいろな提案をして、この実施ができるようにしてまいりたいというふうに考えてございます。

富田委員 ぜひ努力をしていただきたいと思います。

 先ほど大臣の方から、クールビズの周知度とか、いろいろ取り組んでいるという世論調査のお話がありましたけれども、これは内閣府の方で出している「月刊世論調査」、たまたま二月号が地球温暖化対策ということだったんですが、確かに数値は高いんですけれども、例えば京都議定書の周知度というと、「知っている」というのは二七%台で、「言葉だけは聞いたことがある」というのが五〇・六、ここまで合わせて「知っている」というふうに、どうも内閣府の方ではとらえちゃうんですね。では、京都議定書目標達成計画の周知度というと、「知っている」は一七・八で、「名前だけは知っている」が四二・三。「名前だけは知っている」まで入れればかなりのところまでいくんですけれども、やはり具体的な中身が知られていないと、チームを幾ら組むといっても、具体的に個々人がなかなかそこまでいけないんじゃないかな。そういったところをもう少し、広報を環境省としても考えていった方がいいと思うんですが、そのあたりはどうですか。これは通告していないので、局長で結構です。

小林政府参考人 今御指摘のとおり、今の、知っているという人、それから、言葉だけ知っている人、実はそれぞれの数字もふえてございます。ですから、そういう意味で、中身も知っていらっしゃる方はふえているのかなというふうには思っておりますが、まだまだ少ないということでございまして、これはむしろ大臣の指揮のもと、環境省におきましては、例えば講演会なんかはもちろん、シンポジウム、これも大臣出席ということで、非常にわかりやすく、具体的にお話をしておりますし、そのほか、DVDとかいろいろな教育ソフト等々さまざまな媒体を活用いたしまして、情報提供、普及啓発に努めてございます。

 そういう意味で、大臣からは、共感が得られるように、理解がちゃんとするだけでなくて共感が得られるようにということで工夫を凝らすようにという指示を受けております。さらにそういったことで努力をしてまいりたいというふうに考えております。

小池国務大臣 私は、大学受験を控えている方々に、京都議定書は何ぞやということを知ってもらったりするのは重要だと思うんですね。確かに覚えてもらえれば、それは最高だと思うんですが、それよりも、私は、アクションの方をより多くとってもらえるような方法を考えた方がいいんじゃないか。

 そもそも、議定書という言葉は人を近づけがたいニュアンスがあるんですね。ですから、京都議定書という言葉をずっと表に立てている間は難しいと思ったので、クールビズに変えたということであります。これはもう本当に、どうやって国民の側から考えたらアクションを起こしやすいか、すなわち、やはり楽しいとか涼しいとか、お金がこれで浮くとか、そういう極めて直観的な部分ではないのかな。

 そういうことを注意しながらも、ただ、目標達成計画についても、目標達成計画六十項目みんなに知ってもらう必要は私はないと思っているんです、そこは手法の問題で、目標と目的をしっかりと政府として持っていくということは、これは当然必要なことだと考えております。

富田委員 大臣のおっしゃるとおりだと思いますが、最後にもう一点、大臣に確認をしておきたいんですが。

 この第一期の約束期間を終えた二〇一三年以降、どういうふうに取り組んでいくかというのが大事になると思うんですね。アメリカをどう取り込むのか、または中国やインドにどう取り組んでもらうのか。そういったものを含めて、大臣がずっと取り組んでこられたこの問題について、二〇一三年以降の国際的な枠組みというのを、日本がリーダーシップを持ってつくっていく必要があると思うんですが、そこにどう取り組んでいかれるか、最後にお聞かせ願いたいと思います。

小池国務大臣 京都議定書という言葉がわかりにくい上に、今回の、モントリオールで開かれましたCOP11、すなわちCOP/moP1の最大のポイントは、三条九項というテーマがあって、これを今後どうするか、その検討を始めなければならないというふうに京都議定書で定められているわけなんですが、そこのところについて大変、最後までもつれ込んだということでございます。ただ、その中で、我が国としてリーダーシップを発揮できた、このように考えているところでございます。

 次期枠組みについては、すべての国がその能力に応じて排出削減に取り組むことを可能とし、かつ主要排出国による最大限の削減努力を促す実効ある枠組み、言葉はかたいですが、これが一番のあんこの部分になってくるわけでございます。

 その結果として、今回のモントリオールでのCOP11、そしてCOP/moP1で、京都議定書を批准していないアメリカ、それから、京都議定書上削減のための数値目標を有していない中国、インドなどの途上国を含むすべての国が参加する、長期的な行動に関する対話の開始が合意されたというのが今回のモントリオールでの会議の最大のフルーツであった、このように思います。それはすなわち、御質問にございます二〇一三年以降の枠組み構築に向けた成果、このように考えているわけでございます。

 今後、今回合意された対話プロセスを活用するということも当然でございますけれども、G8の気候変動、クリーンエネルギー及び持続可能な開発に関しての対話、それから、APPと呼んでおりますけれども、アジア太平洋パートナーシップなど国際的な取り組みの成果も生かしまして、そういった会議などを通じて、また二国間なども通じまして、世界をリードする日本の役割を果たしていきたいと考えております。

富田委員 ありがとうございました。終わります。

木村委員長 次回は、来る三十一日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三分散会


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