衆議院

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第14号 平成18年5月23日(火曜日)

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平成十八年五月二十三日(火曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 木村 隆秀君

   理事 石崎  岳君 理事 岩永 峯一君

   理事 加藤 勝信君 理事 松浪 健太君

   理事 山本 公一君 理事 田島 一成君

   理事 長浜 博行君 理事 富田 茂之君

      井脇ノブ子君    岩屋  毅君

      宇野  治君    小杉  隆君

      木挽  司君    近藤三津枝君

      坂井  学君    篠田 陽介君

      竹下  亘君  とかしきなおみ君

      並木 正芳君    根本  匠君

      馬渡 龍治君    水野 賢一君

      近藤 昭一君    篠原  孝君

      高井 美穂君    村井 宗明君

      吉田  泉君    高木美智代君

      江田 憲司君    野田 聖子君

    …………………………………

   環境大臣         小池百合子君

   環境副大臣        江田 康幸君

   経済産業大臣政務官    片山さつき君

   環境大臣政務官      竹下  亘君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           深野 弘行君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   由田 秀人君

   環境委員会専門員     齊藤  正君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十三日

 辞任         補欠選任

  宇野  治君     水野 賢一君

同日

 辞任         補欠選任

  水野 賢一君     宇野  治君

    ―――――――――――――

五月二十三日

 鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第七〇号)(参議院送付)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第七九号)


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     ――――◇―――――

木村委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として経済産業省大臣官房審議官深野弘行君及び環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長由田秀人君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

木村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。水野賢一君。

水野委員 自由民主党の水野賢一でございます。

 きょうは、容器包装リサイクル法の改正についてお伺いをしたいと思います。

 今回の容リ法の改正の中で一番焦点、争点、論点になったものというのは費用負担の割合の話なわけでございますけれども、これは、費用負担というときには、地方自治体と企業の費用負担の問題もあれば、企業の中でも容器包装の製造メーカーと利用事業者の負担割合の話もある、はたまた、ちゃんと払っている事業者があるのにもかかわらずただ乗りをしている事業者もある、いろいろな論点があるわけなんですけれども、その中で、この問題が高じて、費用の支払いを拒否する動きなんかも一部のスーパーなどにありましたし、ライフなんかは訴訟を今起こしているわけですね。

 どの事業者であっても自分の負担というものは少なければ少ないほどいいわけでしょうから、その意味においては、いろいろなことを言いたくなる気持ちというのはわからなくはないんですけれども、私がおかしいと思うのは、現在どの事業者がどれだけリサイクルの費用を負担しているかということ、これが明らかになっていないんですね。では、例えば、ジャスコは幾らだとか、イトーヨーカドーは幾らだとか、コカコーラは幾らだという、個別の企業の負担の数値というのは明らかになっていないと思うんですけれども、この数字というもの、これは公表されていないと思いますけれども、これは参考人で結構ですが、確認をしたいと思います。いかがでしょうか。

由田政府参考人 お答えさせていただきます。

 指定法人であります財団法人日本容器包装リサイクル協会では、既に、同協会に再商品化を委託しております特定事業者の名前をホームページ上で公表いたしております。ただ、個々の事業者がどれだけの再商品化費用を支払っているかについては公表していません。

水野委員 つまり、名前は公表しているけれども幾らかということは公表されていないということですけれども、これは、私は、普通こういう問題を議論するとき、今幾ら払っているから、だから多過ぎるんだとか、もしくはもっともっと負担できるとか、このデータが明らかじゃないとやはり議論というものは進まないと思うんです。しかも、このデータというものは、何も新たに企業に報告せいと言っているのではなくて、既に財団法人の容器包装リサイクル協会が、どこの事業者がどれだけ払っているかということは把握をしているわけですよね。ですから、私は、このデータというのは公表されていくべきものじゃないかと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

小池国務大臣 水野委員におかれましては、久々の環境委での御質問ありがとうございます。

 おっしゃるとおり、容器包装リサイクル協会はデータを把握しているわけですね。そして、それぞれの事業者によっては、公表してもいいよというか、うちはただ乗りしていませんよと言いたい事業者もあるかと思うんですね。そういったことで、公表をする意向がある事業者については、日本容器包装リサイクル協会でこれを取りまとめて公表を行うということを検討していきたいというふうに思っております。先生の御指摘、受けとめていきたいと思っております。

水野委員 最近の環境行政というのを見てみると、ただ単に規制を加えるというだけではなくて、やはり情報を公開することによって、企業なり社会の行動というものを望ましい方向に向けていくというものも多いわけですね。例えば去年成立をした改正温暖化対策推進法では、どこの事業者がどれだけのCO2その他の温室効果ガスを排出しているかということを公表させるようにした。こういうような情報公開というのが最近の環境行政の一つの傾向になっていると思いますし、その意味でもこれを進めていただきたい。

 しかも、このリサイクルの費用を公開するということは、ただ乗り事業者対策にもなるはずなんですね。というのは、同業他社が見れば、ここがこれしか払っていないというのは過少申告じゃないかとかということはわかる、まあ、そういう目で見るでしょうから。ただ乗り対策としても、そういうただ乗り事業者を牽制するためにも、今大臣がおっしゃられたように前向きな方向で検討していただきたいな、そんなふうに思っております。

 さて、レジ袋の有料化の問題についてお伺いをいたします。

 レジ袋の有料化というのは、今回の法改正では別に義務ではないけれども、しかしながら、有料化をしていく方向には多くのところで向かっていくと思うんですね。この有料化したその料金というものがどこに行くかという話なんですけれども、先日同僚の松浪健太議員もこのことを指摘されていらっしゃいましたけれども、基本的にはこの収入というのは小売業者に帰属をするということになるわけですけれども、しかし、ただ単に小売業者に帰属をしてしまっては、いわばスーパーとかそういうところがただもうけてしまう形に、彼らの利益がふえてしまうという形だけになってしまうわけですね。

 今までこのレジ袋有料化などで取り組んできたところというのは、かなり環境意識の高い、先進的にそういうことに取り組んでいたところでしょうから、そういうところでは基金をつくったりしてそのお金というものを社会に還元することが多かったわけですけれども、今後、この有料化というのがどんどん進んでいくと、ただ単に事業者のもうけになってしまうというような疑いを多くの人に持たれてしまっては、この法律に対する信頼性にもかかわることだと思いますので、私は、有料化して上がった収益というものはやはり社会に還元する方向で考えるべきだと思いますけれども、これは廃リ部長で結構ですけれども、いかがですか。

由田政府参考人 今回の改正につきましては、事業者によるさまざまな自主的取り組みを促すものでありまして、御指摘のようにレジ袋の有料化そのものを義務づけるものではございません。仮に事業者がレジ袋を有料化した場合には、その収入はスーパーなどに帰属するものでありまして、得られた利益の使途については、基本的には事業者の判断にゆだねられるものではないかと考えております。

 しかしながら、実際にレジ袋の有料化が導入されている事例を見ますと、環境対策に使われているケースがあるわけであります。また、容器包装リサイクル法の見直しに関します審議会の場におきましても、小売業界の委員から、レジ袋が有料化された場合、その販売によりまして得られた利益につきましては環境対策に使用したい旨の発言がなされております。

 他の小売業者につきましても、レジ袋の販売によって得られた利益につきましては、地域での社会貢献の観点などから環境対策などに活用することや、そういった使用方法を消費者や地域住民に説明していくことを期待しておりまして、事業者に対しましては、業界団体を通じまして周知することなどを含めまして、このような方向性を示してまいりたいというふうに考えております。

水野委員 この問題で今後目を光らせていただきたいと思うのは、これは消費税が導入されたときの益税の話に似ちゃうような感じのところがあると思うんですね。要するに、小売業者の手元にそれが利益として残ってしまうということに対して、益税に対する批判というのはいろいろあったわけなんですけれども、もちろんこれはレジ袋の有料化の話とはイコールではないですよ、益税の話は。今回のレジ袋の場合は、買いに行く人はマイバッグを持参するとかという形でそれを避けることができるわけですから、税金のとイコールの話ではないけれども、やはり制度の信頼性ということを高めていくためには、有料化したレジ袋の収益というものが小売業者の手元に残ってしまう、これでは釈然としないという人が多いでしょうから、この辺はしっかりと目を光らせていただきたいな、そんなふうに思っております。

 さて、大臣に伺いますけれども、プライベートなことに立ち入るつもりはないんですけれども、大臣は、家庭でのプラスチック製容器包装については分別排出をしていらっしゃいますでしょうか。

小池国務大臣 昨年の八月までは分別をしておりました。というのは、選挙区が当時兵庫県でございまして、そこでは、それぞれごみの出し方などかなり細かく定義づけられて、それは習慣になっていたわけでございますが、事情がございまして、選挙区が変わって今度東京になりますと、これが、何かこれまでの私がやっていた当たり前のことが全然当たり前じゃないというか、何か一世紀前の話みたいな話になっておりまして、プラスチック製の容器包装の分別収集そのものが行われていないわけですね。商店街でペットボトルなどの回収をして、それによってポイントがもらえて五百円の商品券にかえてくれるというような形であるんですけれども、区の方としてのごみ行政ということになりますと、単に不燃ごみとしての排出という形になってしまいます。

 今、プラスチック製の容器包装の分別収集を実施している市町村は、全体の約六割ということになるんですけれども、まだまだこれが実施されていない、それも東京で行われていないというのが現実でございます。

 ただ、今回の改正で創設されます事業者から市町村に資金を拠出する仕組みということもございますので、これらを活用して分別収集の実施がさらに促進されるもの、このように考えております。

水野委員 まさに今大臣がいみじくもおっしゃられたとおり、東京二十三区はプラスチック製容器包装の分別収集をしていないわけですね。そうすると、幾ら排出をする側が分別排出をしたいというふうに思っていても、当該自治体がそれをやっていなければ分別排出のしようがないという問題があるわけですね。

 しかも、今答弁の中にもありましたように、まだ四割ぐらいの自治体がプラスチック製容器包装については分別収集をしていないわけですから、この率を高めていく必要があるわけですね。しかし、自治体側は、余り細かくやるとリサイクル貧乏になるというようなことを言うわけですから、そうやって反発をする向きもなきにしもあらず。

 その意味では、一つの考え方としては、自治体ではなくて、事業者が収集の段階から責任を持つという考え方も一つの透徹した考え方だとは思うんですけれども、今回の容リ法の改正の中で、事業者が一定の費用というものを自治体の方に拠出する仕組みができたということ、これは大きい前進だというふうに私も評価をいたしたいというふうに思います。

 さて、今回の法改正の中で、容器包装の多量利用事業者は、排出抑制の取り組み状況を主務大臣、これは経済産業大臣だったり厚生労働大臣だったりするわけでしょうけれども、そこに報告をすることになりましたね。これは、単に主務大臣に報告をするというだけではなくて、このデータというものは最終的には国民に広く積極的に公表すべきじゃないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

片山大臣政務官 水野委員におかれましては、いろいろな場で環境行政に対する大変な御見識、私どもいつも大変勉強させていただいております。

 御指摘のとおり、この法案におきましては、排出の抑制促進のために国が判断基準を定めまして、これに基づいて事業者による取り組みを推進するということで、その取り組みが不十分な事業者に対しては勧告や命令などによってその実効を確保することとしております。

 その事業者に対する措置を行うためには取り組み状況について十分把握しなければいけませんので、御指摘のように、事業所管大臣が事業者からの毎年度の報告を受けるということにしたものでございます。この定期報告というのは、個々の事業者に対する措置の必要性を判断するためのものでございますが、報告された内容には容器包装の使用の合理化に関する取り組みの全般的な評価を行っていく上で役立つようなものも含まれるであろうと想定されますことから、今後、実際に緒につきましたら、集計、整理した上で適切な形で公表するということも考えております。

水野委員 私は何でこの質問をするかというと、今までもいろいろな取り組みとかというものを、容器包装リサイクル法に限りませんけれども、事業者とかが政府に対して、主務大臣に対して報告をするというような仕組みというのは、ほかのものでもいろいろあるわけですね。ところが、実際に報告したものが生かされているかというと、どう生かされているのかよくわからないというケースがたくさんあるわけですね。そして、数年するとそのデータというものは廃棄をされてしまっている。これでは一体何のために報告をしているのかさっぱりわからないということが多くありますので、この辺は、今後きちんと、それならば積極的に国民にも公表をする必要があるんじゃないか。政府だけが情報を持っているんじゃなくて、国民にも明らかにしていただきたいと思います。

 これは政府参考人でいいんですけれども、そもそも政府にデータが上がってきた以上、これはもう情報公開法の対象になるわけですよね。

深野政府参考人 御指摘のとおりでございまして、私どもが入手したデータは、情報公開法の手続に沿って開示ということになります。

水野委員 だからこそ、積極的に公表しなくても情報公開請求すれば出てくるじゃないかという意見もあり得なくはないんですけれども、しかし、せっかく情報公開請求をしたりして出てくるものであれば、政府の方から積極的に、例えばホームページとかその他のいろいろな方法で手軽に国民がアプローチできるような情報にすべきじゃないかというふうに思います。

 さて、竹下政務官にお伺いをしたいというふうに思います。

 容リ法の問題というのは、環境省も所管をしていれば経済産業省も所管をして、いろいろと所管の関係があるわけですが、例えばこの質疑をする委員会も、前に容器包装リサイクル法を制定するときは衆議院商工委員会で議論したわけですね。今度は環境委員会で議論をしているわけですけれども。同じように、例えば審議会も、関係する審議会として、産構審だとか中環審だとかいろいろあるわけですけれども、今まで具体的な企業とかの負担額の算定、つまりリサイクル事業費の算定などは産業構造審議会で決められてきたわけですね。産業構造審議会でやるのが悪いと言うつもりは別にないんですけれども、こうやって衆議院の委員会でも環境委員会が今度受けることになったとかということを考えると、中央環境審議会などでもこの算定式などについても議論をしていくべきじゃないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

竹下大臣政務官 水野先生御指摘になりましたように、この法律自体、かつては経産省の担当であった。多くの官庁がこれにかかわってきております。

 容器包装リサイクル法では、先ほど御指摘ありました、特定事業者に課せられる再商品化義務量を算定するための必要なさまざまな係数について、毎年度、容器包装の排出にかかわる実態調査を実施し、主務大臣が定めるということになっております。この主務大臣というのは、環境大臣であり経済産業大臣であり財務大臣であり厚生労働大臣であり農林水産大臣である場合があるわけでございます。この場合に、主務大臣は利害関係者の意見を聞くものと定められておりますので、こうした場として、産業構造審議会において関係の事業者の代表である委員から必要な意見が聴取され続けてきたというものでございます。

 もちろん、環境省の中央環境審議会においても、こういった制度の運用面における課題も含めて、今後、御指摘のように取り組んでまいりたいと考えております。

水野委員 次は、ちょっと通告していないので、参考人で結構なんですけれども、各種リサイクル法というのが、容器包装リサイクル法が制定された後、いろいろ出てきたわけですね。その中で、例えば家電リサイクルとか自動車リサイクルとかあるわけですけれども、容器包装リサイクル法だけが収集とかの段階では事業者の負担でない、つまり自治体の負担になっているわけですけれども、これはほかのリサイクル法とちょっと整合性がないという指摘も中にはあるわけですね。何で、容器包装リサイクル法だけは自治体が収集段階で費用負担などをするのか。ほかのリサイクル法との違いについてはどういうふうにお考えでしょうか。

由田政府参考人 OECDのガイダンスマニュアルでは、政策に拡大生産者責任を取り入れるか否かに関しましては、国ごとあるいは製品ごとに最も効果的なシステムとなるように判断すべきというふうにされております。

 したがいまして、我が国の容器包装リサイクルのシステムにつきまして、他の製品や他の国と同じようにすべきというふうに考えることは適当ではないというふうに考えておりまして、ただいま御指摘の自動車に関しますリサイクルの推進策に関しましては、購入時の選択などを通じました消費者の取り組みが限定的であることや、それから自動車メーカーがみずから製造する事業者に対しましてリサイクル配慮設計などを行う上で大きな役割を果たし得ること、これまでにも市町村が介在することなく、自動車の解体業者などが最終消費者から使用済み自動車を引き取り、リサイクルを行っていたことなどを考慮しまして、今の自動車のリサイクルシステムが整えられておるわけであります。

 それから、容器包装に関しましては、例えば詰めかえ商品の購入とか分別排出の徹底におきますように、いわゆる消費者の商品の購入時でありますとか、あるいは廃棄物の排出時の取り組みもかなり重要な要素でありまして、市町村が中心としてやっていきます容器包装のリサイクルのシステムに関しまして、消費者、市町村の方の担う役割が、スリーRに関して大きな役割を果たすものというふうに考えております。

 したがいまして、市町村、消費者という立場における取り組みもスリーRの推進ということでは大きくかかわってまいりますし、それから事業者の方の役割も大きくかかわっているわけであります。したがいまして、双方が容器包装リサイクル法におきましては役割を果たすということにいたしております。

 今回の見直しにおきましては、事業者から市町村へ資金を拠出する仕組みを設けまして、さらにこれを具体化して、より一層のスリーRが進むように措置をさせていただいたということでございます。

 以上でございます。

水野委員 時間ですので、終わります。

木村委員長 次に、吉田泉君。

吉田(泉)委員 おはようございます。民主党の吉田泉です。

 私からも容リ法改正案について御質問をさせていただきます。

 十年前にできた容リ法ですが、日本で初めて拡大生産者責任を導入したという意味で大変画期的な法律だったと思います。今回の改正に当たって、最大の論点は、何度も出ておりますけれども、拡大生産者責任をもっと強化するのかどうかということでございましたが、結果的に法案にはそれは明記されなかった、かわって資金拠出制度が導入されたということだと思います。

 この新しい拠出制度について、先日の委員会答弁で、これも拡大生産者責任をより具体化した制度であるという答弁がありました。確かに、制度が導入されますと当初は事業者の負担がふえるようなぐあいになるだろうというふうに思います。しかし、その分が価格に転嫁されたり、もしくは川上の製品設計に影響を与えるというようなことは非常に考えにくい。拡大生産者責任の場合は価格転嫁と製品設計の見直しということが二つの条件になるわけですが、それが満たされないということであるならば、基本的には今回の改正は現行の枠組みを維持したことになるというふうに考えるんですが、いかがでしょうか。改めて御見解をお伺いします。

小池国務大臣 今回の考え方、基本的な考え方についての御質問だと思います。

 今回の仕組みですけれども、拡大生産者責任の考え方を踏まえてそれをさらに具体化したものであると前回お答えした、まさにそのとおりでございます。今回の改正で創設いたしました仕組みによって、再商品化の費用の効率化分が、より質の高い分別収集など、市町村による寄与分について事業者が市町村に拠出するということでございまして、これによって、分別収集、そして事業者による再商品化の質を一体的に向上させる、そして、あわせて容器包装廃棄物のリサイクルに係る社会的コストの効率化を図るという意味で、文字どおり拡大生産者責任の考え方、それをさらに具体化したものである、この考え方に立って設計をしたものでございます。

吉田(泉)委員 私は、国際的に言われている拡大生産者責任の条件を満たさない限り、今回具体化したんだということはなかなか言いがたいというふうに思っておるんです。

 それはさておいて、外国の例を見ますと、ドイツそれからオーストリア、ここでは既に分別収集の費用を事業者が一〇〇%負担している、フランスは五〇%ということであります。日本でも、家電とかそれから食品、建設資材、自動車、こういうものにおいては、分別収集も含めて、事業者が負担するようにだんだんなってきたわけですが、今回、容器包装についてはなかなかそこまでは踏み込めなかったというふうに理解するところでございます。

 先ほど水野委員からもお話があったことと関連するんですが、今回、なぜ事業者側の抵抗が非常に強くてそこまで踏み込めなかったか、強化できなかったかということの背景に、やはり事業者側がコスト増大に対して非常に危機感がある、なかなか価格転嫁できないんじゃないかという危機感があるということが一つあると思いますが、もう一つは、自分のところの会社で負担している割合が本当に公平なのかという不信感があるというふうに思います。

 例えば個々の事業者の再商品化を負担する負担量の計算の仕方ですけれども、まず、昨年度の実績をベースにして、ことしはうちはこのぐらいの排出をしますという排出見込み量を個々の事業者が出す、それに、先ほど出ましたけれども、産業構造審議会、国が決めた算定係数を掛け算する、そして、あなたのところの負担量はこれこれです、何トンですということが決まるわけであります。

 チェーンストア協会、昨年の夏、意見書というのを出しました。この五年間を振り返ると、国が今決めている算定係数、この伸びが容器包装の製造メーカーでは一・五倍である、しかしながらチェーンストア協会を含む利用業、利用する小売業サイドは四・五倍になっている、つまり同じ排出をしていても業種によって負担量の伸びが三倍ぐらい開いてしまったというのですね。私もこれがよくわかりません。何でそんなに差が出たのか、よくわからないんですが、御説明をいただきたいと思います。

深野政府参考人 お答えをいたします。

 今御質問ございましたのは、いわゆる簡易算定係数というものについてかと思います。これにつきましては、今御指摘がございましたように、各事業者が自分の義務量を計算するときに用いる係数でございまして、各事業者が自分の排出見込み量にこの係数を掛けることによって、自分の義務量が幾らになるか、そういうことがわかるようにするためにあらかじめ計算をして公表しているものでございます。

 この計算の仕方につきまして、これは非常に技術的でございますので、詳細はちょっと省略をさせていただきますけれども、一言で申し上げますと、容器包装ごとに見た業種別の容器包装の事業者からの排出見込み量、実際には排出されるものすべてが再商品化されておるものではございませんで、その中で、市町村によって分別収集を通じて再商品化の対象となる、そういったものの割合を示すものでございます。

 また、この係数の中に、今御指摘がございましたように、それぞれの業種ごとに利用業者と容器包装の製造事業者で責任を分担しております。この両者の分担比率というのもこの計算の中に入れて計算をしているわけでございます。

 この積算の根拠になりますものは、私どもが毎年調査をいたしまして、その調査の結果から出しているわけでございますけれども、今御指摘がございましたように、平成十二年度と平成十七年度を比較いたしますと、この両者の算定係数は両方とも増加しております。これは、プラスチック容器包装の分別収集が進むことによって全体の再商品化される量がふえる、そういったことによって全体の量がふえておりますためにこの係数はふえておりますけれども、ふえ方は小売業者の方が大きくて製造業者の方が小さいということでございます。

 この理由につきましては、この調査につきまして、平成十二年度にプラスチック容器包装のリサイクル制度が始まったわけでございますけれども、この開始初年度の積算の根拠になっておりました調査結果、それが、製造事業者の販売額の調査結果に対して利用事業者の販売額に関する調査結果が非常に低い数字が出ておりまして、この結果、平成十二年度の利用事業者と製造事業者の負担比率というのが、やや製造事業者に重く、利用事業者に低い数字になったわけでございます。それ以降につきましては、小売業者の販売額の調査結果ももう少し大きい数字になっておりまして、その結果、むしろ販売業者の方の係数が大きくなった、そういうことでございます。

吉田(泉)委員 そうしますと、初年度の小売業の係数が実態よりも小さかったということですよね。

 そうしますと、小売業が意見書を出してきたのは、去年の夏に、こういうことでおかしいじゃないかと言っているんですが、この平成十二年度、初年度の、間違いなのかどうかわかりませんけれども、何か実態と違う係数を、小売業の方に有利にしてしまったんだよという説明は、これは小売業になされているんですかね。

深野政府参考人 この容器包装リサイクル法の見直しの過程で小売業の関係者ともいろいろな意見交換をしておりまして、その中で、この問題についても、要望書にもございましたように、問題提起をされております。その中で、私どもとしては、こういうアンケートの数字でございますので、いろいろ変動することはございます。その辺の事情については説明をしてございます。

 いずれにいたしましても、できるだけ丁寧にこの実態調査を行うことにより、こういった数字の精度の向上のために努力する、そういったことについてもお話し申し上げたところでございます。

吉田(泉)委員 それからもう一つ、事業者側が不信感を持っておるのが、自治体の分別収集費用三千億でございます。つまり、三千億というけれども、中身がよくわからない、費目ごとの数字の開示が不十分だ、そういう不信感があります。それからもう一つは、自治体によって分別収集の単価というのが非常に違う。例えばペットボトルなんかですと、一万倍ぐらいの単価差がある。これは私もおかしいなと思うんですが、そういう指摘があって、事業者側が非常に不信感を持っているということだと思います。

 そこで、現在のこの自治体の三千億円と言われている分別収集費用の集計上の問題点、そしてさらにそれをどうやって解決していくか、お伺いします。

由田政府参考人 お答えします。

 市町村の分別収集費用につきましては、各市町村が費用の把握を行う場合にそれぞれ独自の方法で行っておりますために、市町村によりましては、費用の対象範囲や計算方法、計算区分が異なっております。このため、この全国的な把握や集計に困難な面があったことは、これは事実でございます。

 このため、環境省としましては、市町村の分別収集費用を含めます一般廃棄物処理費用の算定の手法を含めましたコスト分析手法につきまして、平成十八年度内を目途に取りまとめることといたしておりまして、各自治体に周知を図っていくことにいたしております。

吉田(泉)委員 この不信感を解くというのは大変重要なことだと思いますので、ぜひ真剣な取り組みをお願いしたいと思います。

 それから、今回の改正の目玉でございます資金拠出制度についてお伺いします。

 この間、参考人のときにもお話が出ましたけれども、審議が行き詰まったときに事務局の方が提案した制度だと。そういう意味では苦肉の策だったんだろうというふうに想像しておりますが、結局、何か、自治体と事業者と両方の顔を立てるといいますか、そういうことになってしまったために、全体の、今回の法改正のスケールが小さくなってしまった、透明感が下がってしまった、そんなふうな感じを私は持っておるところでございます。

 質問は、この制度というのは、再商品化する費用の実費が基準年における見込み額よりも改善された場合に、その改善分の半分について自治体に拠出するという仕組みであります。そこで大事になってくるのは、基準年の見込み額という数字でございます。つまり、想定される再商品化費用総額、こういうふうにも呼ばれますが、その数字がすべてを左右する一番大事な数字になってくるわけなんですが、一体その見込み額というのは、どなたが、いつ、どのように算定するものなのか、教えていただきます。

由田政府参考人 想定される再商品化費用総額と申しますのは、条文の中では、「再商品化に要すると見込まれた費用の総額」ということでありますが、これは、ある年度を基準の年度として、その時点から、市町村、事業者の再商品化を合理化するための取り組みがなかった場合に想定される再商品化費用総額のことであります。

 したがいまして、具体的な算出方法につきましては、今後省令で定めることといたしておりますが、例えば、基準年度の再商品化単価を基礎に主務大臣が基準単価というのを定めまして、その基準単価に市町村の分別収集計画量などを基礎に算出した再商品化の予定量を乗じることによりまして、再商品化に要すると見込まれた費用の総額を算出することを検討しているところであります。

 ここでいいます分別収集計画量と申しますのは、各市町村が算定する分別収集計画に計上されました分別収集計画量を全国集計したものであります。また、算出する主体そのものは政府ということでございますが、具体的な時期などに関しまして、今後の制度運用の実務を念頭に置きながら、関係者の御意見を承りながら検討してまいりたいというふうに考えております。

吉田(泉)委員 先日の委員会答弁で、この拠出金の額ですけれども、今のような方法で計算されると、一定の前提のもとにということですが、初年度においては大体三十億円から六十億円ぐらいだという答弁もございましたが、今のような考え方で、差額といいますか拠出額を計算するとすると、一体どんなときにその拠出金というのはふえるものなのか、どんなときに減るものなのか、そこをお伺いします。

由田政府参考人 今回導入を検討している資金拠出の仕組みにおきましては、再商品化に要します費用が当初の想定額を下回った場合に、その低減額の二分の一を事業者から市町村に拠出することとしておるということであります。

 したがいまして、市町村におけます分別基準適合物の質的向上の取り組みということが一つでございます。それから、事業者によります再商品化の高度化等の取り組みということ、これと合わせまして再商品化に要する費用が低減することになるわけでありますが、このことによりまして、事業者から市町村に拠出される金額が増加するということになるものであります。

 先ほどお話ございましたように、仮に平成十七年度の単価を基準といたしまして、再商品化に要します単価、それから実際に再商品化される量がそれぞれ五から一〇%減少すると仮定いたしました場合、平成二十年度分の低減額は六十億から百二十億円ということになりまして、拠出額はその半分の三十億から六十億円程度になるということで前回お答えさせていただいたものでございます。

吉田(泉)委員 そこがよく理解できないんですが、結局、単価と量と両方でこの見込み額を決めるわけですから、その両方がこの差額に影響する。実際の単価が下がれば差額はふえるわけですが、単価が下がった以上に量がふえたようなときは、何かこの差額が変わらないというようなことも考えられるんじゃないかというふうに思うわけですが、ちょっと細かい話になりますので次に行きたいと思います。

 そういう格好で、今、拠出金が三十から六十という数字が出ましたが、計算されて、これを配分しようというときの配分基準ですね。先日の委員会でもこの答弁はあったんですが、私はよく理解できなかったものですから、改めてその配分基準をお伺いします。

由田政府参考人 個別の市町村への支払いにつきましては、より効果的に容器包装に係りますスリーRの推進をしまして、容器包装のリサイクルシステム全体を効率化する観点から、分別基準適合物の質や、これによる再商品化費用の低減額を勘案して決定することが考えられるわけであります。詳細な制度設計に際しましては、これらの要素を的確にあらわす指標につきまして、関係者の御意見も承りながら今後検討をしてまいりたいというふうに考えております。

吉田(泉)委員 ちょっと具体的にはよくイメージができませんけれども、要するに、ごみの質を、例えば汚れを少なくする、そういった努力をした自治体については何らかの基準で重く配分しようということだと思うんですが、そうしますと、容リ法に参加している三千近い自治体のごみの質をチェックせないかぬですよね。結局、汚れを一々チェックせないかぬということになると思うんですよね。大変な手間がかかるんだろうというふうに思いますが、それをやりながら、最後は何か役所のさじかげんで配分量が決まりそうな危惧もございます。先ほどの三十から六十という金額を三千自治体で割れば、一自治体当たりの金額というのは数百万だという可能性もあります。数百万のお金をめぐって自治体間で何か非常に不公平感が出てけんかが始まるというようなことがないようにと願うばかりでございます。

 それから、もう一つの目玉はレジ袋の有料化。先ほども御質問がございましたが、ちょっとお伺いしたいと思います。

 事業者が今回負担増加に反対する一番大きな理由は、価格転嫁ができない、収集費用、分別費用を事業者が持てと言われても、それを消費者につけかえができないというのが最大の理由だったと思います。しかし、今までは無料であったレジ袋を今度は有料にするわけですよね。まあ義務ではないですけれども、ほとんどこれは行政指導で足並みがそろうと思います。これは価格転嫁ではないでしょうか。私は、これは一種の価格転嫁だと思います。今までただだったものを消費者に持たせるわけですから。

 そうしますと、こういうことができるということは、何かルールをうまく決めれば価格転嫁というのは実現できるんだという一つの例じゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

由田政府参考人 お答えさせていただきます。

 今回の改正は、事業者によりますさまざまな自主的取り組みを促進することによりまして、レジ袋の使用の合理化を図るものであります。したがいまして、御指摘のようにレジ袋の有料化を義務づけるものではございません。したがいまして、今回の改正によりまして策定されます事業者の判断の基準となるべき事項によりまして、レジ袋の再商品化費用について価格転嫁ができるようになるということではないというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、再商品化に要する費用の価格への反映につきましては、現在の容器包装リサイクル法の第三十四条におきまして、再商品化費用の円滑かつ適正な転嫁に寄与するため、国が法の趣旨及び内容について広報活動等を通じて国民に周知を図る旨、規定されております。政府としましては、この規定の趣旨を踏まえまして適切に対応してまいりたい、このように考えております。

吉田(泉)委員 レジ袋の有料化に当たっての具体的な方法でありますけれども、御説明を聞くと、まず、主務大臣がガイドラインをつくる、そして個々の事業者が目標を立てる、そして大口の場合についてはその後の状況報告を政府が受ける、そして勧告、命令、果ては罰金までの担保措置をとりながら実行するんだということだろうというふうに思いますが、質問は、最初の、主務大臣がつくるガイドライン、この中身というのはどういうものになるのか、お伺いします。

深野政府参考人 お答えいたします。

 事業者が取り組むべき事項を判断基準として定めるというのが今回の改正の一つのポイントになってございます。

 この具体的な中身でございますけれども、これにつきましては、さらに今後、関係方面の御意見を聞いて検討することが必要かと思っておりますが、今考えておりますのは、今のレジ袋の有料化等による消費者の買い物袋持参の促進、あるいは過剰包装の抑制、薄肉化、軽量化された容器包装の使用といった容器包装の使用についての合理化、それから容器包装を採用する際に排出抑制の観点から事前にきちっと評価する、そういった取り組み、それからさらに消費者に対してこういった取り組みの資源節約等における効果の周知、それから事業者みずからが具体的な目標をつくる、こういったことをその内容として定めるというふうに考えております。

 ただ、具体的にどういった取り組みが効果的であるかといったことにつきましては、業態によって、例えば立ち寄り客が多くて、家からマイバッグを持ってきてほしいと言ってもなかなか対応が難しい、そういった業種も中にございますので、できるだけ業種、業態の実態に即した、そういった個々の事業者にとって理解のしやすいものにしたい、そのように考えております。

吉田(泉)委員 いずれにしましても、判断の基準を示して政策目標を実現しよう、大変大事な手法でございますので、何とか知恵を絞って大事にこの手法を育てていただきたい、こんなふうに思います。

 次は、プラスチック容器のことについて何点かお伺いします。

 横浜市、ここは分別収集しておりますけれども、ペットボトルの三分の二を国内業者に販売するということをことしからやっているようであります。よその市では中国へ輸出するということも盛んなようであります。それに対して、輸出なんかしちゃうと国内でせっかく育ったリサイクル業者が大変だ、それも保護せないかぬという危機感があります。そのために今回の改正でも円滑な引き渡しをすべしという基本方針が入ったんだろう。確かに、短期的にはそういう危機感があるというふうに私は思っております。

 ただ、これは将来的にはどうなんでしょうか。既に、アルミ缶、スチール缶、段ボール、紙パック、こういうものは再商品化不要、やる必要はない。もう資源ごみとして有償で引き取られる経済的なルートがあるわけです。ペットボトルも将来的にはそういう仲間に入る可能性があるんだろうというふうにも考えるわけですが、ただ、その場合、事業者の負担は全くなくなってしまう。分別収集は自治体が見てくれる、再商品化の費用は、事業者は負担する必要がなくなる。これもちょっと問題だなと思うんですが、そういう場合に事業者の負担はどうあるべきか、お伺いします。

由田政府参考人 容器包装リサイクル法におきましては、アルミ缶、スチール缶など、分別収集後に有償で取引されることが明らかなものにつきましては、再商品化義務の対象から除かれているわけであります。

 使用済みペットボトルにつきましては、近年、有償による入札が進んでおりまして、再商品化の義務対象から除かれる容器包装廃棄物に近づいている過渡的な状況であるのではないかというふうに認識をいたしております。

 仮に、使用済みペットボトルの再商品化義務が免除されることとなった場合、再商品化費用自体が生じないこととなりますので、今回の改正により創設されました事業者から市町村に対する拠出も行われないこととなるわけであります。

 ただ、この使用済みペットボトルが再商品化義務対象から免除された場合は、市町村が分別収集を行った使用済みペットボトルは有償で取引されることになるわけでありまして、この場合には、市町村が使用済みペットボトルを売却することによって利益が生ずることになります。したがいまして、市町村への資金拠出が行われなくても特段の不公平が生ずることはないというふうに考えております。

吉田(泉)委員 それから、今度はその他プラスチックのリサイクルの方法ですが、従来は、マテリアルリサイクル、ケミカルリサイクル、この二つが認められているわけですが、マテリアルの方が一〇%、二〇%程度、ケミカルが八割、こういう方法でやってきたんですが、このところ、マテリアルリサイクルが非常にふえて、五割近くになっているということであります。

 そこで、マテリアルを近年ケミカルよりも非常に優先している根拠を伺います。一番大事なのは環境負荷、どちらが環境負荷が重いのか軽いのかということだと思いますが、その辺も含めてお伺いします。

深野政府参考人 リサイクルの手法の点でございますけれども、プラスチック容器包装のリサイクルというのは平成十二年度から始めたわけでございます。これに先立ちまして、その手法について産業構造審議会で議論を行ったわけでございます。

 その中で、当時、環境基本計画において、原材料として利用するリサイクルを優先的に行うこととされている、そういった点も踏まえまして、材料リサイクルを優先することにしたものでございます。また、高炉還元剤の代替物、コークスの代替でございますけれども、こういったものとして利用するケミカルリサイクルについては、プラスチックの原材料としての再商品化が困難な場合に行うということにされたものでございます。

 平成十二年当時は、いわば材料リサイクルというのは始まったばかりでございまして、これによって出てくる製品の需要の確保といった点でも非常に困難があるんじゃないか、そういったこともこの背景にあったんではないかと思いますが、最近、プラスチックリサイクルの拡大の中で用途開発も進みまして、一方でその能力も大変増強されてきて、その結果、プラスチック製の容器包装再商品化の約五〇%に達する状況になったものでございます。

 一方、今回の産業構造審議会での検討の中で、現在のプラスチック容器包装の再商品化について、必ずしも付加価値の高いリサイクル製品が製造されていないのではないか、あるいは、品質の向上、再商品化の過程で生ずる残渣の量を低減させることが必要じゃないか、そういった指摘もございまして、そういった点も含めて今後さらに検討を進めていくべき課題であるというふうに私ども考えております。

吉田(泉)委員 その他プラスチックの再商品化、単価がなかなか高どまりして下がらないという問題があります。環境負荷はよく検討せないけませんけれども、汚れたものはケミカル、汚れないものはマテリアル、何かそういう方が、非常に消費者にとってもわかりやすく、かつ単価の合理化にもなる。よく検討していただきたいというふうに思います。

 それから、先ほど大臣の方からもお話があった件ですが、東京のリサイクルの問題でございます。

 去年の十月、東京都の二十三区の区長会が、二十三区の廃プラスチックのサーマルリサイクルをやる、熱回収ですね、これを平成二十年度からは本格的にやるということを決めたわけであります。

 確かに、循環基本法上は、スリーRの後に熱回収という方法が入っておりますが、容器リサイクル法上は、あくまでマテリアルとケミカル、この二つしか認めない、サーマルは認めない、こういうことになっているわけであります。

 今回の東京都二十三区長会の決定は容リ法の趣旨に抵触すると思いますが、いかがでしょうか。

由田政府参考人 東京都都下二十三区におきましては、先ほども委員の御質問にもございましたし、大臣もお答えしましたように、現在、これまでそのまま埋め立て処分を行っておるのが廃プラスチックの大宗を占めている部分であります。一方で、最終処分場は、それはそれなりに逼迫している状況でありまして、この最終処分量を減していこうということは大切な方針だというふうに考えております。

 この東京都二十三区が示しました方針は、今までそのまま埋め立てられておりました廃プラスチックにつきまして熱回収を行おうとするものというふうに理解をいたしております。

 市町村が分別収集をいたしますプラスチック製の容器包装廃棄物につきまして、御指摘のように再商品化の手法として熱回収、すなわちサーマルリサイクルを行うことは、現制度では認めていないわけであります。

 一方、プラスチック製の容器包装廃棄物につきまして分別収集も行わず、容器包装も含めたすべての廃プラスチックを燃えるごみとして収集し、熱回収による処理を行うことは、容器包装リサイクル法の趣旨に反するものではないということであります。

 ただ、環境省としましては、廃プラスチックの中でも容器包装廃棄物については、再商品化を促進し、最終処分場の確保等を図るために、分別収集を行っていただくことが望ましい、このように考えております。

吉田(泉)委員 私は、スリーRの優先順位を地方自治体が守らなくなる、それをほっておくということはやはり混乱のもとだというふうに思います。何か国が指針を出すべき問題じゃなかろうかというふうに思います。

 最後になるかもしれませんが、先ほどから出ておりますけれども、いわゆるプラスチックごみについては、自治体によって非常に処理方法が違います。容リ法でやっているところもあるし、不燃ごみでやっているところもある。一般の住民、消費者にとって大変わかりにくい、環境大臣でさえ戸惑ったという仕組みであります。

 日本は環境立国を目指すわけでございますから、早くこの廃棄物処理の方法を全国的に標準化するといいますか統一化するといいますか、そういう方向を目指すべきじゃないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

由田政府参考人 プラスチック類の扱いなど一般廃棄物の収集区分につきましては、各市町村の焼却施設などの処理能力や歴史的な経緯、住民の意識の高まりなどの状況に応じまして、市町村により対応が異なっているのは事実でございます。これによって、住民が廃棄物を排出する際の混乱の要因になるとの御意見があることは承知をいたしております。

 このような状況も踏まえまして、環境省としましては、市町村に対しまして、地域の実情や処理施設の整備状況などを踏まえた適切な分別収集区分の検討に資するために、現在、望ましい一般廃棄物の分別収集の方法に関するガイドラインの作成に向けた検討を進めているところであります。このガイドラインは、平成十八年度中に取りまとめまして、各市町村に周知をしたいというふうに考えております。

吉田(泉)委員 もう時間だと思いますので終わりますが、いずれにしても、五年後にまたこの法律が見直されるということになっております。本来の姿は拡大生産者責任ということですから、それをより実質的に強化するような仕組みを五年後にまた目指すことになると思いますが、今からそのための環境整備に取り組むべきだということを申し上げまして、終わります。

 ありがとうございました。

木村委員長 次に、近藤昭一君。

近藤(昭)委員 民主党の近藤昭一でございます。

 今回の法改正について幾つか質問をさせていただきたいわけでありますが、この間、委員会で多くの議員の方が触れられていること、共通認識だと思います。つまり、排出抑制、発生抑制。何人かの方が聞かれて、排出抑制の中に発生抑制も含まれているんだ、こうはおっしゃるわけでありますけれども、やはりどうしても腑に落ちないといいましょうか、危惧を感じるわけであります。

 リサイクルという法案、リサイクルという言葉だけとって考えると、排出物が出る、そのリサイクルをしているんだから、ごみとして出ようが、リサイクルをしてしまっているんだから、リサイクルさえすれば排出は抑制されているんだ、どうしてもこういうふうに聞こえてならないわけであります。

 そこで、もう一度大臣に確認をさせていただきたいわけであります。

 今回の法案、リサイクル促進、ごみが出てもそれをリサイクルすればいいということなのか、そうではない、やはり、循環型社会形成推進基本法、また他のリサイクル法、先ほどいろいろと、自動車リサイクルについて触れられる部分もありましたけれども、食品リサイクル法、家電リサイクル法、さまざまな法案の中で事業者の責務となっている発生抑制という言葉があったわけでありますから、この点について、この法案の中でどういうふうな御認識をお持ちなのか、改めて小池大臣にお伺いをしたいと思います。

小池国務大臣 発生の抑制、まずはごみを出さないということ、これについては容器包装に関する取り組みにおいて極めて重要であるということは言うまでもない、またさらに、順序をつけるわけではありませんけれども、それでもやはり優先的に取り組む課題であるということでございます。

 今回、レジ袋の有料化、義務化ではありませんけれども、このテーマも上がっている中において、例えば、私、今ふろしきの復活というのを皆さんにお勧めしているわけでありますけれども、それこそ発生の抑制でありまして、そもそもごみにならないようにしていきましょうということを呼びかけさせていただいているのは、まさしく発生の抑制に優先的に取り組んでいる姿そのものである、このように申し上げておきたいと思っております。

近藤(昭)委員 くどいようで申しわけありませんけれども、そうすると、スリーR、リデュース、リユース、リサイクル、そういう中で、やはり発生の抑制につながるリデュース、これが最も優先されるべき責務だ、こういうふうに大臣も御認識だということでよろしいでしょうか。

小池国務大臣 それは、まさしく循環型社会形成という考え方の一番先に来るものであると考えております。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 いろいろと排出抑制、発生抑制という言葉にやはりこだわりがあるわけでございまして、そういう中で大臣が、とにかくスリーRの中でもまずリデュースだ、こういう御認識を持っていただいているということであります。

 ただ、そういう中で、実際今回法改正をする、また、大臣がそういう御認識を持っていただいているという中でも、事業者が、発生抑制という部分で取り組みが不十分という場合には、この委員会でも何回も言われております拡大生産者責任、これについて、今後やはりそういうものをもっと強化していかなくてはならない、取り組みの効果が不十分だ、こういうことが前提でありますが、そういうことはお考えでしょうか。大臣、お願いします。

小池国務大臣 済みません、もう一度質問の意味を確認しておきたいんですけれども、拡大生産者責任の考え方が不十分であるという御指摘でよろしいんでしょうか。そして、そのことについて私の認識を問うていらっしゃるということでよろしいのかどうか。

近藤(昭)委員 ええ。拡大生産者責任の部分についてまだ不十分だ。そして、そういう中で今回法改正が行われる。しかしながら、結果的にうまくいけばいいわけですけれども、結果的にうまくいかず、十分な廃棄物の発生抑制の効果が見られないという場合、より拡大生産者責任について強化、見直しをするおつもりがありますかということです。

小池国務大臣 今回の法案でも、拡大生産者責任、つまり、製造業者が物理的、財政的責任を製品が廃棄された後でも負うということでございますけれども、これはそもそも循環型社会形成推進基本法にも規定されている概念でございますし、それをまた踏まえまして、今回、より具体化した基金の創設なども行っているわけでございます。これによりまして、拡大生産者責任の考え方を踏まえた今回の法案を実施することによりましてこの循環型社会の形成がさらに進むもの、これを期待しているところでございます。

近藤(昭)委員 この間も委員会でいろいろ議論しておりますので、これ以上申し上げないというか、ちょっとこの後の私の質問の中で、その拡大生産者責任については私はまだ不十分ではないかという認識を持っているわけですけれども、ただ、小池大臣の中では、今回の法改正の中で、レジ袋の有料化等々、そういったことも含めて、拡大生産者責任については重く認識をしてこの法改正に取り組んでいる、拡大生産者責任の重要性ということについては重くとらえているということでよろしいでしょうか。

小池国務大臣 重くとらえるのは基本法にも定められているところでございますし、では、それをどうするのかということで、今回の法案にその具体的な方針、これを盛り込ませていただいたところでございます。

近藤(昭)委員 拡大生産者責任の重要性については御認識をいただいているということであります。ぜひそのことを十分御認識いただいて、やはり先ほど申し上げた、前提としましては、その御認識をいただいた中で法改正をしている、しかし、具体的なところでは不十分ではないか、あるいは、これからその結果として出てくる中での効果が不十分であった、認識は別として、具体化の部分でぜひより拡大をしていただきたいというふうに思うわけであります。

 ところで、先般の委員会で私どもの村井宗明議員が質問した件であります。

 容器包装廃棄物の削減の目標と今回の改正の目玉とも言えるレジ袋の使用削減効果、この点について具体的にどうだったかということをお知らせいただきたいと思います。

由田政府参考人 容器包装廃棄物の排出を抑制いたしますには、事業者や消費者など、関係者が連携協力して取り組むことが不可欠であります。容器包装廃棄物をどの程度減らせるかにつきまして確定的なことを申し上げることはできませんが、廃棄物処理法の基本方針におきまして容器包装廃棄物を含めます一般廃棄物全体を平成二十二年度までに平成九年度比で約五%削減することが目標とされていることを踏まえまして、平成二十二年度におきまして容器包装廃棄物を約五%減らすことができるよう取り組んでまいりたいというふうに考えております。

 それから、レジ袋の削減効果の件でございます。

 今回の改正により創設されます、事業者に対する排出抑制を促進する措置に基づきますレジ袋の削減効果につきましては、地域や業種の状況にもよりますが、おおむね一〇%程度と考えております。

 以上でございます。

近藤(昭)委員 平成二十二年度までに五%の目標、そしてレジ袋の使用削減効果一〇%ということであります。

 先ほど、これもまた同僚議員の吉田泉議員の質問の中にもあったわけでありますけれども、今、由田部長は連携のもとにというお話をされたわけでありますけれども、もちろん、それぞれ国民一人一人が環境を守っていくんだ、そういう中でごみの発生を抑制していくんだ、こういうことを一人一人が考えていく、これは大事なことでありますし、基本のことだというふうに思います。

 しかしながら、先ほど吉田議員は転嫁という言葉を使ったわけであります。レジ袋を有料化する。しかし、そのレジ袋を有料化することによって、それを販売することによって、先ほど自民党の水野議員も触れられましたけれども、そこで収入というか入ってきたお金をどう使うか、これも重要なことだという御指摘があったわけであります。

 今の一〇%の削減効果というのを聞いていますと、レジ袋の有料化、これを今回の法律でやるんだとおっしゃるわけでありますが、一〇%程度と言っていいのか、一〇%もと言っていいのか。私は一〇%程度ではないかというふうに思うわけでありますけれども、先ほど申し上げたように、それぞれの消費者が意識を持って減らしていくということが大事だ。しかし、その中でまだまだなかなか進まないところがある。だから、有料化ということでモチベーションといいましょうか、促進を図ろうということだと思うんですが、非常に厳しい時代ではあります。

 ただ、私が思うのは、大変ではありますし、消費者が意識を持たなきゃいけないんですけれども、どうしても一〇%とお聞きしていると、やはりその負担は必ずしも大きくない。だから、五円か十円とかそういう程度、大変だとは思いますが。一方で、今の削減目標一〇%程度というと軽いと思われる方もいて、一〇%の削減効果をして、有料になって、結局、今まで無料で渡していたところにだけある種の益が多くて、大きな効果とは言えないんではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

由田政府参考人 レジ袋の削減効果が一〇%といいますのは、現在先駆的な取り組みを実施している自治体の数値を踏まえた数値でありまして、必ずしも小さ過ぎるとは考えてございません。

近藤(昭)委員 やはり一〇%というのは大きくはないんじゃないんですかね。一〇の一ということですよね。過半数、一〇の五とか、いや、それはもちろん今まで一〇あったものが一減るんだから、減ってはいるのかもしれませんが、有料化をして、先ほど申し上げたそういった費用がどこへ入っていくか、それはこれからいろいろと検討していくとさっきも答弁なさいましたけれども、一〇%ではやはり多くないと思うんです。

 大臣、どうでしょうか。

小池国務大臣 これは意識改革をしていかなくては一〇%もおぼつかないというか、そういうことになるのではないか。ある意味では、有料化というのは意識改革の一つの大きなきっかけになろうと思っております。

 私は北方領土も担当しているんですが、択捉島に行ったときに、銀座通りといって、数軒しかお店はないんですけれども、そこのスーパーに行きましたら、有料化していたんですよね。択捉でも有料化していると思って、私は大変ショックを受けたんですけれども。

 ですから、択捉でさえ有料化しているので、これから国内的、日本国内で有料化のそういう流れが、おたくはまだ有料化していないのみたいな、そんな会話が今回の法改正をきっかけに進んでいくような、そんな仕掛けもあちこちやっていきたいなとは思っております。

 とにかく、やはりもらって当然という今の消費者の態度、意識をどうやって変えていくかというのが今回の一番大きな勝負になってくる。私がよく聞くドイツでの例は、お店に入って、そしてそのままレジ袋に入れて持って帰ってくる人は、非常に、通り過ぎる人から、ああ、あの人はレジ袋をもらう人なんだと烙印を押されるというんですよね。

 それぐらいの消費者としての意識を高めていくというのもこれから総合的に進めてまいりたいし、その一環として、私はあっちこっちでふろしきばかり広げて大ぶろしきだと言われているんですが、ふろしきであれエコバッグであれ、何でもいいんですよね、とにかく、もうレジ袋はもらわない、きょうこよい限りこの環境委員の皆様方はそれを率先してやっていただく、そういったことから進めていく。

 一〇%といっても、三百億枚のうちの三十億枚で、これは決してばかにはならない数字だと思っております。革命的に、しかし着実に進めていくのがいいと考えております。

近藤(昭)委員 大臣がおっしゃったことでいうと、あなたのところはレジ袋を有料化していないのというと、レジ袋を有料化することが先進だというふうに私は思わないわけでありまして、有料化している、しないじゃなくて、今回も、モチベーションといいましょうか、推進するために有料化せざるを得ないということだったんだというふうに思うんです。ですから、有料化することは、逆にやむを得ずみたいなことではないかなと私は思うんです。

 別に有料化しなくても、提供者であるお店の方がこれは出さないんですというふうに申すのがより私はいいと思うのであって、有料化することは、これはやむを得ないことであって、おたくはまだ有料化していないのというのはちょっと逆ではないかなというふうに思うんですが、大臣、どうでしょうか。

小池国務大臣 お店の方々も、これまでの流れで、レジ袋は当然と思って、サービスの一環としてやっておられるんだろうと思います。

 これまでも、レジ袋を有料化するしないで、例えば杉並区など、いろいろな例がございます。お客をとられてしまうのではないのかというようなお店の側の不安なども実際あるわけですね。

 ですから、そういったことを考えますと、有料化という一つの選択肢を示す商店街が出てきてもよし、それから、お店一軒一軒が有料化を、うちは環境のことを考えて、お客さん済みません、ここは協力してくださいというようなお店が個々にあってもいいだろうと思っております。

 ただ、今この法案を改正するということは大きく国としてレジ袋に対してかじを切るということでありますし、個々の有料化の選択というのはそれをさらに推し進めていくものである、このように確信しております。

近藤(昭)委員 なかなか進まない中で有料化というものに踏み切った、踏み切らざるを得なかったということの認識は似ているのかなと思うんですが、ただ、お店の中に、有料化することによって売り上げが減らないかという懸念がある中で踏み切ったということであるならば、一〇%の削減効果は少ないと私は思うんですよ。

 効果は一〇%であっても、目標はどれぐらいに置いていらっしゃるとかあるんですか。

由田政府参考人 削減の目標は、先ほど御答弁させていただきましたように、容器包装リサイクル廃棄物につきましても、全体は五%を念頭に置きまして頑張ってまいりたいというふうに思っております。レジ袋に関しましては、そのうち一〇%程度というふうに答弁させていただいたとおりでございます。

近藤(昭)委員 いや、だから、全体の中で目標をやっているからということですが、レジ袋の使用削減効果は一〇%。

 だから、先ほど大臣もおっしゃった。今までやっていなかった有料化をやるんだ、大変なことなんだ、いろいろなところではまだやっていないのかとも言われている、そんなことをやるんだからということですし、一〇%と言っても三十億枚だ、大変な量だと。でも、逆に見るとまだ二百七十億枚出ているわけですから。三十億枚は多い、でも二百七十億枚の方がもっと多いわけですから。一〇%だからいい、もうそこで甘んじてしまわれるつもりなのか。そうじゃなくて、もっと目標を高く持っていて、今算出している効果は一〇%ぐらいだけれどももっと頑張りますよということなのか。甘んじるかどうかということです。

由田政府参考人 容器包装廃棄物全体も、一般廃棄物それから容器包装廃棄物の排出量が平成九年度比でそれぞれ実は二・二%、一・五%増加している中で、五%を一般廃棄物全体と同様のことでやっていこうということであります。

 レジ袋に関しましては、削減の目安というものを申し上げさせていただきましたが、レジ袋に関しましては、実際にレジ袋を使用するかしないかの最終的な判断というのは消費者が行う場合が多いわけであります。したがいまして、有料化の他の事業者の方策に関しましては、消費者をレジ袋の使用を抑制する方向に誘導することになるものの、決して一定の効果が約束されるというものではないわけであります。

 削減効果に関しましては、地域の住民の意識などにも依存すると考えておりますし、それから、例えばコンビニエンスストアとスーパーマーケットなどでは、扱う商品や顧客による利用の形態なども異なりますので、レジ袋の削減効果にある程度差がつくことはあるというふうに考えております。

 したがいまして、レジ袋に関しては、目標ということではなく、申し上げました削減効果一〇%程度ということでありますが、初めての試みでございますので、頑張ってまいりたいと思います。

 全体の目標は、容器包装廃棄物ということで、一般廃棄物の目標の五%ということで、これを目標に頑張らせていただきたい、このように思っております。

近藤(昭)委員 具体的にレジ袋の使用削減効果単体では目標を置いていらっしゃらないのかなと思ってしまうわけでありますが、とにかく、今、廃棄物削減目標の中で頑張るということでありますので、使用削減効果、効果の予想でありますから、その中できちっとフォローしていただきたい。頑張るという言葉をいただいたので、頑張っていただきたい。頑張って、ちゃんと実績を上げていただきたい。実績が上がらないときは、また質問したいと思います。

 それでは、次に行きたいと思います。

 リサイクルだけではなくて、リデュース、そしてもう一つリユースというところがあるんだと思いますが、そういう中で、リユース、リターナブル瓶のシェアが非常に減少しているということを懸念するわけでありますが、リターナブル容器の利用促進についてはどういうふうにお考えか、お答えいただきたいと思います。

由田政府参考人 現在、リターナブル容器につきましては、飲食店での利用が中心でありまして、一般家庭向けでリターナブル容器を利用した製品の数というのは少ない状況でございます。

 このような状況に対しまして、現行法におけますリターナブル容器の使用促進策としましては、自主回収に係る認定制度がございます。

 これまで、この認定に関します要件は、回収率がおおむね九割以上というふうにしてきておりますが、このリターナブル容器の促進などを強化するために、この要件を一定程度緩和することを検討いたしております。

 また、今年度からは、容器包装に係りますスリーRの推進に資するモデル事業を実施することといたしておりまして、この事業におきまして、例えば、市町村によるリターナブル瓶の分別収集を促進するための事業を実施することを検討いたしております。

 さらに、グリーン購入法に基づきます特定調達物品などといたしまして、繰り返して使用できる食器の使用を追加することがことしの二月の閣議において決定されたところであります。

 以上のようなさまざまな施策の充実を通じまして、今後ともリターナブル容器の使用促進を図ってまいりたいと考えております。

近藤(昭)委員 そういうモデル事業もやるということでありますが、そういう中で、やはりデポジットのようなものもモデル事業としてやる、あるいは将来的にそういったデポジット制度を取り入れていくというようなことはお考えでしょうか。

由田政府参考人 デポジット制度の導入につきましては、市町村による回収から店頭回収への仕組みに転換する回収率等への影響、あるいは小売店におけます回収コストの増大など課題が大きいことから、引き続き、分別収集の徹底によりまして、回収率の向上を図るべきではないかというふうに考えております。

近藤(昭)委員 ちょっとこの問題はまた次回に譲るとして、ぜひそのリターナブルの促進に努めていただきたいというか、我々もそういった法案について積極的に取り組んでいきたいと思うわけであります。

 先ほども、各市町村の分別収集の問題、その費用の透明化、効率化等々について、これから一つの算出法を平成十八年度を目途に周知していくんだということがありました。そういったものをきちっと透明化、効率化していくということにぜひ取り組んでいっていただきたいわけであります。

 そういう中で、市町村における質の高い分別収集、選別保管体制の構築を図るために、国も支援といいましょうか、国がガイダンスを出すというか、国も協力してということでしょうか、そういったより質の高い体制をつくるために整備を推進する必要があるのではないかと思うんですが、その辺についてはいかがお考えでしょうか。

由田政府参考人 先ほど答弁させていただきました市町村の分別収集費用の透明化の問題に加えまして、市町村におけます質の高い分別収集、選別保管体制をつくる、こういう御質問だというふうに思いますが、地域の実情に応じまして、選別施設やストックヤード等の施設整備を進めることが重要ではないかというふうに認識をいたしております。

 このために、分別収集拠点、選別・こん包施設、ストックヤードなどの施設整備に取り組む市町村に対しまして、循環型社会形成推進交付金等による支援に努めてまいりたいというふうに考えております。

 また、それぞれの市町村が個々に取り組むよりも複数の市町村が共同して広域的に分別収集、保管体制を整備する方が、分別収集、リサイクルを進める上でより効率的、合理的な場合も考えられるわけであります。このような場合も含めまして弾力的に支援をいたしてまいりたい、このように考えております。

近藤(昭)委員 後半の部分で少し、広域的な施設の整備についてもお答えをいただいたというかお話に触れていただいたわけであります。

 日本ほどごみを燃やす国はない、燃やすだけじゃなくて、燃やすための施設がやたらと数が多い、世界一だと言われるわけでありまして、もちろんごみを減らす、燃やす、処理する量を減らすということが前提でありますけれども、そういう中でも、より効率的な収集あるいは選別また処理の促進について、国が関与することは少ない方がいいと思うのですが、こういった問題について、環境の問題等については、ぜひ規制あるいは支援を進めていくべきだというふうに思うわけであります。

 そういう中で、先ほども水野議員からも関連で質問がありましたけれども、いわゆるただ乗り事業者ということであります、負担金のただ乗り事業者。今までどのような対策を講じておみえになったのか。その中で、命令というシステムがあるわけですが、命令にまで至った件数やその効果はどうか。また、厳格な対応が必要だと思うわけでありますが、どのようにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。

深野政府参考人 ただ乗りの問題でございますけれども、これは、この容器包装リサイクルの制度の信頼を揺るがしかねない問題でございまして、非常に大きな問題であるというふうに私ども認識をしております。

 したがいまして、その把握に努めておるわけでございますけれども、その中で、これは義務があるにもかかわらず義務を履行していない、ただ乗りであるということを確認したものがこれまでに二百八十社ございまして、それらにつきましては、法律に基づきます指導をまず行ったわけでございます。

 その後、勧告も行ったわけでございますが、これにも従わないところが六十九社ございましたので、これにつきましては、事業者名の公表を法律に基づいて行い、義務の履行を求めたところでございます。

 しかしながら、そのうち三十六社につきましては、なおことしの一月に至りましても義務の履行が確認されなかったということでございますので、これらの事業者について義務を履行すべきという命令をかけたところでございます。

 これらの中で、大部分につきましては、既にこの義務の履行に向けて手続を進めているところでございます。今私どもとしてはその様子を見ているところでございますけれども、なお命令に従わない事業者が残る場合には、告発といったことも含めて考えざるを得ないというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、こういうことで、ただ乗り対策は非常に重要でございますので、これまでとったものと別に、今引き続きその実態把握には努めておるところでございまして、もし、そういうただ乗りといったことが確認された場合には、また勧告、命令等の法律に基づきます措置を的確にとって、厳正に対応していきたいと考えております。

近藤(昭)委員 刑事告発も考えているということでお答えをいただきました。先ほど、負担金の公表も検討中であると。とにかく、透明性を高めて、公の中で監視をしていく、また今、指導、公表、命令、また告発も辞せずということで、ただ乗りに対して厳しく対応していただきたいと思うわけであります。

 ところで、こういう話を聞いたことがあります。韓国でありますけれども、一回限り使用する使い捨て容器などを制限する法律があると聞きました。事業者に対する使い捨て容器などの使用制限措置について、これについてはどういうふうにお考えか、お聞かせをいただきたいと思います。

竹下大臣政務官 近藤先生御指摘のように、韓国にあるんです。私知らなかったのですが、一回用品使用規制という制度がございまして、事業者の自主的取り組みによりという部分もかなりあることはあるんですが、明らかにこの規制が韓国にあることは事実でございます。

 そこで、お尋ねにありました使い捨ての食器などの使用抑制措置についてどう考えるかという点でございますが、我が国では、多くのスーパーなどで既にレジ袋の使用量を削減するための自主的かつ多様な取り組みが進展をいたしております。キャッシュバック方式とかいろいろやっているところ、名古屋にもございますし、いろいろなことが進んでおります。

 このような状況を考慮すれば、今回の改正により判断の基準を策定することで、個々の事業者の自主的な取り組みを尊重しつつ、取り組みが不十分と考えられる事業者に対しましては、勧告、命令、罰則などの措置を科すことによりまして、容器包装廃棄物の排出抑制を促進するための取り組みを進めることが適当であるというふうに考えております。

 また、コーヒーショップやファストフード店においても、店内で使用する使い捨て容器を徐々にリユース容器に切りかえるなどの自主的な取り組みが進んできております。このため、国や地方自治体と事業者との、いわゆる自主協定の締結を促進することが有効であるというふうに考えます。

 これらの取り組みによりまして、使い捨て容器の使用の合理化を促進すると同時に、韓国を含めた諸外国の制度も参考にしながら、事業者に対する容器以外の使い捨て食器、例えばナイフ、フォークなども含まれますが、などの使用抑制措置の必要性等についても検討を進めてまいりたいと考えております。

近藤(昭)委員 竹下政務官、どうもありがとうございます。

 そうすると、今の法律の体系の中で、勧告、命令、罰則を科すことができる、しかしながら、十分な効果が、取り組みがあらわれてこなかった場合については、さらなる対応も検討していく、こういうことでしょうか。

竹下大臣政務官 この法律も、五年前につくっていただきました法律を見直す、強化する、さまざまな社会の進展に合わせて、今できることは何か、そして、どういう方向を示さなければならないかという思いを私たちとしては盛り込んだつもりでございます。

 その意味で、先ほど先生がおっしゃいましたように、まだ不十分だという思いが強まったときには、もう一歩踏み込んだことももちろん考えていかなければならないというふうに考えております。

近藤(昭)委員 ぜひ、積極的にお取り組みいただきたい。いいものは取り入れていただきたい。どうもありがとうございました。

 ところで最後、もう時間がありませんが、この法律の対象とはならないわけでありますが、事業系の容器包装廃棄物に係るスリーR、これは今後どのように促進していこうというふうにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。

由田政府参考人 環境省の調査によりますと、事業系の容器包装につきましても、スチール缶やアルミ缶、瓶、ペットボトルなどを中心に資源ごみとして回収されて再生利用されておりますが、このような事業者の自主的な取り組みをさらに促進するために、今後は、国や地方公共団体とコーヒーショップなどとの自主協定の締結などの取り組みも検討してまいりたい、このように考えております。

近藤(昭)委員 時間が来ましたけれども、自主的な取り組みも、もちろんそれでうまくいけばいいわけでありますが、ぜひ、そういう提携をしながら、また、不十分な場合には対応を御協議いただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

木村委員長 次に、高木美智代さん。

高木(美)委員 公明党の高木美智代でございます。

 今回の容器包装リサイクル法の審議につきましては、恐らく私が最後の質問かと思っておりますので、今までのことも含めながら、確認の質問も含めてさせていただきたいと思っております。

 十年前に大量生産、大量廃棄、そういう時代から、やはり、リデュースそしてリユース、リサイクル、このスリーRが大事であるという原理を踏まえまして、容器包装リサイクル法が制定をされたわけでございます。当時は、劇薬である、こういうような発言があったとも伺っております。

 今回、見直しに当たりまして創設されました、事業者が市町村に資金を拠出する仕組み、この新たな仕組みにつきまして、今までも何度もお話がございましたけれども、どのような必要性や考え方によるものなのか、改めて簡潔に説明をお願いしたいと思います。

由田政府参考人 現行法におきまして、容器包装廃棄物の分別収集は市町村が、分別基準適合物の再商品化は事業者が行っておりますが、市町村が質の高い分別収集を実施した場合、再商品化の質の向上などを通じまして、実際の再商品化費用が当初想定した額を下回ることになります。

 このため、市町村によります分別収集の質を高め、再商品化の質的向上を促進するとともに、分別基準適合物のリサイクルに係る社会的コストの効率化を図るため、実際に要した再商品化費用が想定額を下回った部分のうち、市町村の分別収集による再商品化の合理化への寄与の程度を勘案いたしまして、事業者が市町村に資金を拠出する仕組みを創設するものであります。

高木(美)委員 途中の、中環審そして産構審の意見の中でも、この市町村と事業者の役割分担、またそれを支える消費者の役割、こうした論議がありましたとおり、拡大生産者責任の徹底等の観点から見直しを行うべきではないか、これによってコストの内部化が図られ、発生抑制に向けた動きが促進されるのではないか、こうした論議。それに対しまして、一方では、経済状況が厳しい折柄、もう各主体が取り組みを進化させることが必要であって、現行の枠組みを変える必要はないという、この両方の意見が強く主張されたと伺っております。

 そこで創設されたのが今答弁いただきましたこの新たな制度でございますけれども、ここにあります、ある年度を基準年度としてという、この再商品化費用の想定に係る基準年度、どの年度を設定するのか、重ねてお伺いいたします。

由田政府参考人 お答えいたします。

 事業者が市町村に資金を拠出する仕組みにおきましては、ある年度を基準年度といたしまして、その翌年度以降における市町村、事業者の取り組みがなかった場合に想定される費用の総額と実際の再商品化費用の総額の差額をもとに、市町村への拠出金を算定することとなります。

 したがいまして、この仕組みにおけます基準年度といいますのは、再商品化費用の効率化分を考えるに当たりましての起点となる時点のことであります。

 具体的には、本制度の施行が平成二十年度であることから、平成十九年度が基準年度となるものと考えております。ただし、拠出額の計算に用いる再商品化単価につきましては、今後、関係者の意見を聞きながら検討してまいりたいと考えております。

高木(美)委員 今、十九年度を基準としてというお話がありましたが、単年度だけですとどうしてもバランスが悪いという御意見もあります。もう少し幅を持たせて、二、三年度見ていくべきではないかという論議もございますが、その点につきまして重ねてお伺いいたします。

由田政府参考人 平成二十年度からの施行ということで、十九年度がこの場合基準年度というふうに申し上げましたが、いわゆる分別収集計画が三年単位で計画を策定することとなっておりまして、今回の改正を機に、二十年度を初年度として三年の計画、このようになろうかと思います。

 そうしますと、その基準年度も、三年後に、その次の年度の計画の前年度が基準年度ということになりますので、三年ごとに見直していく、このような形になろうかと考えております。

高木(美)委員 ありがとうございます。

 今、再商品化費用の単価につきまして、今後関係者の御意見を聞きながらというお話がございました。この手続につきまして、お伺いをさせていただきたいと思います。

由田政府参考人 事業者が市町村に資金を拠出する仕組みの具体的内容に関しましては、今後関係省庁において検討を行っていくこととしておりますが、この内容につきましては、事業者、市町村を初め多くの方から強い関心をいただいていることは承知をいたしております。

 この改正法案におきましても、必要があると認めるときは関係者の意見聴取を行う旨規定されておりまして、今後、幅広くさまざまな関係者の御意見を伺いながら、審議会なども含めて慎重に検討をしていきたい、このように考えております。

高木(美)委員 ありがとうございます。

 先般の石井参考人の御意見にもありましたけれども、やはり市町村の分別収集費用の透明化、コストの透明化、また効率化が大きな課題であるということが浮き彫りになったわけでございます。そことも関連してまいるかと思いますので、ぜひとも今後の慎重な検討をお願いいたします。

 今申し上げました市町村のコストの透明化、効率化につきまして、取り組み推進のために今度どのような支援を国として行うおつもりなのか、伺わせていただきます。

由田政府参考人 環境省におきましては、市町村の一般廃棄物処理事業が社会経済的に効率的なものとなるように、容器包装廃棄物の分別収集も含めまして、事業のコスト分析手法の策定を進めているところであります。コスト分析手法の策定に当たりましては、容器包装廃棄物の分別収集費用の算定が的確に行われるものとなるように検討を行っているところであります。

 このコスト分析手法につきましては、平成十八年度中に取りまとめまして、各市町村に対しまして周知をさせていただきたいというふうに考えております。

高木(美)委員 今お話がありましたコスト分析手法につきまして、これから想定されますのは、小分けであるとか、また、さまざま高齢化に伴います現象が生まれてくると思っております。

 先般も、私、昔住んでおりました、そこのスーパーに伺いましたらさま変わりしておりまして、パックが、大変小さなパックに分けられている。どちらかというとニューファミリーの多い地域でございましたけれども、それを見ましたときに、高齢化、また単身世帯の増加、このことをひしひしと感じる思いでございました。

 現実に、統計によりましても、これは二〇〇三年度までの統計でございますけれども、高齢の単身世帯がこの五年間で四〇%ふえている、二〇〇三年には九十四万世帯、そしてまた高齢夫婦の世帯につきましても五年前に比べましたら二六%ふえている、こういう状況がございます。

 今お話がありましたコスト分析手法の中には、そうした高齢化に伴います勘案、そしてまた当然地形というものもあるかと思います。また、市町村が今実施をしておられる政策的費用という点もあるかと思います。ステーション回収なのかドア・ツー・ドアの回収なのか、あえて市町村として配慮をしてやっている。また、障害者が地域で住めるようにという政策との関連もあるかと思います。そうした状況を当然勘案された上で検討されるべきだと思います。

 またもう一つ、こうした決められました算定に基づくデータが後に出てまいると思います。このデータにつきましても情報公開を速やかにお願いしたいと思いますし、また重ねて、このような市町村がどのような取り組みをされていて、どこが理想的に推進をしておられるのか。それぞれ知恵を絞ってされると思いますけれども、この取り組み例を環境省としてもさまざま発信していただき、全国に広く紹介していただきたいということを要望いたします。

 以上の点につきまして、重ねて答弁をお願いいたします。

江田副大臣 先生の御指摘、これまでの御質問も大変重要なことかと思います。

 ただいまの御質問の中で、市町村、事業者また消費者に求められる取り組みということで御答弁をしてよろしいでしょうか。

 今回の改正によって創設される仕組みでございますけれども、効果的、効率的な容器包装廃棄物のスリーRを推進するために、市町村、事業者、消費者の連携のもとで分別収集の質を高めて、再商品化の合理化を促進することを目指すものでございます。

 この仕組みを進めるに当たりまして、市町村には、分別排出の徹底に関する住民への周知、また異物等が混入した容器包装廃棄物の収集見合わせ、さらには市町村の選別工程における異物等の除去等を徹底することが求められます。

 例えば、名古屋市等では大変に進めておられまして、適切に分別されていないごみ等におきましては注意シールとか警告シール等を張らせていただいて、取り残しを実施しておられるようでございます。また、分別推進員等がごみの排出場所を巡回されておりまして、こういう取り残しシールを張ったものに関しては適切な排出方法まで指導されるとか、このような徹底がなされているところもございます。

 また、事業者につきましては、容器包装の構造の合理化、さらには単一素材化、新素材の開発等、再商品化を容易にするための技術開発等が求められるわけでございますが、これにつきましては、ティッシュペーパー等において、例えば真ん中の取り出し口にフィルムがない、紙だけでつくられているものとか、使い終わった後は簡単に折り畳めて廃棄しやすい構造、さらには、ペットボトル等で肉厚を薄くしてつぶしやすくしているようなもの、こういうものが開発努力されているところでございます。

 消費者につきましては、異物を除去して分別して排出する取り組みの徹底等が求められております。

 環境省としましても、これらの取り組みがさらに進展しますように、各主体に対する指導、普及啓発等を先生御指摘のように努めてまいりたいと思っております。

由田政府参考人 今の副大臣の答弁、少し補足だけさせていただきます。

 ただいまの副大臣の方からの、市町村も含めた容器包装リサイクルの中での役割に関しまして、先ほど私の方から市町村のコスト分析手法の策定ということで申し上げましたが、これに加えまして、将来的には、規模等が類似する市町村間での費用や分別回収量の比較、解析も市町村と協力して行うなどによりまして、市町村における容器包装廃棄物の分別収集費用の透明化や効率化を促進してまいりたいというふうに考えております。

 特に、先ほど御指摘のありました高齢者の多い地域とかあるいは小規模な市町村でありますとか、さまざまな規模などの類似する市町村がそれぞれ比較しながらやっていくことになりますし、これらのいわゆる廃棄物会計とでもいうようなものに基づきまして出てきました市町村のデータに関しましても、必要に応じ解析等いたしまして、必要な情報を発信してまいりたい、このように考えております。

高木(美)委員 ありがとうございました。

 実効性ある速やかな取り組みを心よりお願いいたします。

 もう一つお伺いいたしたいんですが、済みません、これは質疑通告をさせていただいていないんです。容器包装の定義というところに戻るんですけれども、よく言われておりますのは、同じ素材でも法の対象にならないという、この分類の仕方の問題なんです。

 例えば、今回の容器包装リサイクル法の内容につきましては、商品そのものは対象外でありまして、例えば、家庭用の使い捨て商品、ラップとか弁当パックとかまた紙コップとか、そうしたものは当然対象にならない。また、サービス業等の容器包装は対象外である。クリーニング店の袋であるとか病院の薬袋、そしてまた、附属品も対象外である、トイレットペーパーのしんであるとか飲料パックのストローであるとか。

 同じ状況であっても法の対象とならないというものがこのような例外として入っているわけですけれども、消費者の方から、やはりわかりやすい素材別のリサイクルにしていくべきではないか、こうしたお声も聞こえてまいります。

 この点につきまして、通告をさせていただいておりませんので、わかる範囲で構いませんが、御見解を伺いたいと思います。

由田政府参考人 容器包装リサイクル法の十年前の制定の背景の一つでありますが、市町村の現場におきます最終処分場などの確保難ということ、あるいは、分別して集められる缶、瓶などが、特に瓶などでありますが、いわゆる逆有償になる、あるいは、逆有償になったとしても引き取り手がないということで最終処分場に逆戻りするというようなところを背景に、市町村が分別収集を行えば事業者の方で再商品化を行う、こういう制度が制定されたものと認識をいたしております。

 このときに対象といたしましたのが、特に物をくるむということで、実際には中身が欲しいんだけれども、外側がくっついてくるということで、ややもしますとそれが過剰包装となりがちなようなもの、こういうパッケージを対象にしまして、これがいわゆる一般廃棄物の中の大宗を占め始めた、容積で半分以上を占め始め、重さで四分の一近くを占め始めた、こういうふうな実態を踏まえまして、この容器包装を対象に制度化したものであります。

 したがいまして、この容器包装に関しましては、いわゆる中身を伴って購入してきたものが廃棄物となったものというところを制度の対象といたしておりますので、今のような形になっております。

 その中でも、素材をそれぞれ、今回も、いわゆる分別収集のときに、例えば、その他プラスチックの中でもう残飯とかがまざっていてどうしようもないというふうなものは、いわゆる市町村でサーマルリサイクルをあらかじめして、きちんとリサイクルされるものだけを集めることになりますが、その他の容器包装に関しましてはすべて再商品化義務をかけまして、チャージの対象としておる、こういうことにいたしておりますので、この容器包装に関しましては、ここで言います容器と包装ということに限定させていただいておるということであります。

 今回の改正におきましては、これに対しまして、有料で売られる場合のレジ袋などにも拡大するという措置は講じさせていただいております。

高木(美)委員 ありがとうございました。

 また、今後の検討として引き続きお願いできればと思います。

 最後に、大臣に伺わせていただきます。

 今回のこの法改正、今回だけではなく、絶え間ない取り組みの実施が必要であるかと思います。先ほど申し上げましたように、高齢社会の進展など、今後の社会情勢の変化も視野に入れまして、絶え間ない協議、そしてまた対応が必要であるのではないかと思われます。

 また、今回のこの法改正で、これまでありますさまざまな容量につきましてどの程度までの削減を目標と掲げておられるのか、大臣のこのスリーRの推進に対する御決意とあわせまして、ここまで削減をしたいという大臣の御決意がありましたら、あわせてお伺いをさせていただきます。

小池国務大臣 今回の改正によりまして、これはいずれの法律もそうでありますけれども、事業者、消費者それから地方自治体、こういったそれぞれの主体がうまく連携をしていく、そしてお互いに意識改革なり、それぞれの持ち場持ち場の技術革新であるとか、それを進めていくことによって、スリーRがより効果的、効率的に推進していくのだろうと考えております。

 そこで、今回の改正案で、排出抑制に向けました消費者の意識の向上、それから事業者に対しての排出抑制を促進するための措置、これを盛り込んだ上で、市町村と事業者が連携をして、より合理的な再商品化を可能とする仕組みを構築していく、これらを促していくことを目的としているわけでございます。

 つまり、それぞれの主体が、大量消費、大量廃棄、その前の大量生産といった二十世紀型から二十一世紀型に変えていく、さらには、日本の現在の社会を見ますと、御指摘のように高齢化が進む、それからさらには、今後、人口減少などによってごみが減るかと思いきや、逆に一人一人の使い勝手がある意味でよくなるということを考えて個別の包装になってしまった、これが結果的にむしろごみをふやすのではないかというようなことにつながってしまってはいけないわけであります。

 また、そういった高齢化をにらんで、ごみ捨てが便利で、そして利便性が確保できるような商品が差別化して出てくるというようなこともあるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、ごみの発生から抑えて、そして、ごみの分別収集などもより効率的に行われ、そしてさらにそれによってリサイクルということがより活発に行われて、資源を大切に使っていくというその考え方も守られていく、これらを総合的に考えまして、この法律案を皆様方の御支持をいただきながら法律として実行して、そしてスリーRの実現を一歩でも進めてまいりたいと考えております。

 また、量につきましては、先ほど来いろいろ御議論がございました。これは大きなパラダイムの変更ということを軌道に乗せて、そして量的にもこの効果が見られるような努力を重ねてまいりたいと考えております。

高木(美)委員 ありがとうございました。

 以上で質問を終了させていただきます。

木村委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

木村委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

木村委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

木村委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、岩永峯一君外二名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。富田茂之君。

富田委員 私は、ただいま議決されました容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につき、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。

    容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。

 一 循環型社会形成推進基本法の基本原則に則り、発生抑制を最も優先すべきであることを、地方公共団体、事業者、消費者等に徹底するとともに、レジ袋の使用の合理化等に関する事業者の取組状況について十分に把握し、適切な指導を行うこと。また、発生抑制・再使用の取組みについて、積極的に推進し、その取組状況について公表すること。

 二 コーヒーショップやファストフード店等販売施設内で供される容器などについて、再使用容器の利用が望ましい形態について事業者及び消費者双方の立場から幅広い検討を行い、必要な措置を講ずること。

 三 再使用容器と使い捨て容器とのコスト・環境負荷等について比較を行い、本法に基づく再使用容器の利用促進措置について検証を行うとともに、必要な措置を講ずること。

 四 ペットボトルの再使用について、諸外国の実情と課題を勘案し、国内における定着の可能性について検討すること。

 五 海外への輸出や不法投棄等、リサイクル名目で不適正な処理が行われることがないよう、現行の規制を徹底するとともに、必要に応じて規制の在り方等について検討すること。また、国内のペットボトルなどのリサイクル体制の確保を図るため、市町村によるペットボトルなどの安易な輸出を抑制するための措置を講ずること。

 六 様々な再商品化手法に係る環境負荷の程度について調査を行い、その結果を公表すること。

 七 プラスチック製容器包装の再商品化手法については、循環型社会形成推進基本法の原則を堅持すること。

 八 質の高い分別収集及び再商品化を推進するため、排出方法等の周知を消費者に徹底するとともに、市町村間における分別方法の標準化など、消費者にわかりやすい回収の在り方についても検討すること。また、消費者による適正な分別排出を促進するため、事業者における素材ごとに分離しやすい容器等の開発及び利用の推進を図ること。

 九 リサイクル製品・再使用容器に関し、特に公共事業におけるリサイクル製品の調達の拡大など、国・地方公共団体におけるリサイクル製品等の調達を更に進め、リサイクル製品等の市場拡大を促すよう努めること。

 十 事業者による容器包装廃棄物の排出抑制促進措置を実効あるものとするため、自主的取組が不十分な事業者に対しては勧告・公表・命令等の措置を的確に講ずること。

 十一 各市町村の分別収集費用の透明化・効率化に資するため、容器包装廃棄物を含めた一般廃棄物の処理コストの分析手法を示す等、技術的な支援に努めること。また、再商品化の合理化に資する分別収集が促進されるよう、資金拠出制度の運用を工夫するとともに、その制度の検討に当たっては、透明性を確保すること。

 十二 市町村における質の高い分別収集・選別保管体制の構築を図るため、循環型社会形成推進交付金等を活用した財政的支援により必要な施設の整備を推進すること。また、プラスチック製容器包装の分別基準適合物の質の向上を図るため、循環型社会形成推進交付金等の仕組みを活用して都道府県又は地方ブロック単位で廃プラスチック選別保管施設の整備を行うこと。

 十三 消費者が環境負荷の少ない消費行動を行うことが重要であることにかんがみ、関係者に対し本法の内容等について周知徹底を図るとともに、事業者に対して、製品に分別排出やリサイクル製品の利用の促進等に資するような表示を行うなど、必要な情報提供を積極的に行うよう促すこと。

 十四 再商品化義務を果たさない「ただ乗り事業者」に対して、法に基づく公表、命令等の措置の迅速な実施など、厳格な対応を行うこと。また、「ただ乗り事業者」対策として、本法に基づく再商品化義務を履行しているかどうかを表示する等の取組みの促進を図ること。

 十五 事業者に対する使い捨て食器などの使用抑制措置の必要性について、諸外国の法令も参考にしながら検討を行うこと。

 十六 本法の対象ではない事業系の容器包装に係る3Rについても、事業者による自主的な取組みの促進等を積極的に推進すること。

 十七 特定事業者の委託を受けて分別基準適合物の再商品化を行う指定法人は、平均落札単価や、市町村の保管施設ごと・品目ごとに落札した事業者の名称、再商品化手法等の公開を行っているが、関係省庁の連携協力の下に、指定法人の業務の効率化・透明化を一層徹底するよう努めること。

 十八 本法附則第四条に基づく次回の見直しにおいては、より効果的な容器包装廃棄物の3Rの推進を図ることができるような各主体の役割分担の在り方について検討を行うこと。

 十九 レジ袋の有料化に伴い発生した収入について、その使用方法について透明性を確保しつつ社会貢献の観点等から環境対策等に資する使途となるよう事業者に対し必要な助言を行うこと。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。(拍手)

木村委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

木村委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、政府から発言を求められておりますので、これを許します。小池環境大臣。

小池国務大臣 ただいま御決議のございました附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重いたしまして、努力する所存でございます。

    ―――――――――――――

木村委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

木村委員長 次回は、来る二十六日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十七分散会


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