衆議院

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第16号 平成18年5月30日(火曜日)

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平成十八年五月三十日(火曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 木村 隆秀君

   理事 石崎  岳君 理事 岩永 峯一君

   理事 加藤 勝信君 理事 松浪 健太君

   理事 山本 公一君 理事 田島 一成君

   理事 長浜 博行君 理事 富田 茂之君

      井脇ノブ子君    宇野  治君

      小杉  隆君    木挽  司君

      近藤三津枝君    坂井  学君

      篠田 陽介君    竹下  亘君

      とかしきなおみ君    並木 正芳君

      根本  匠君    馬渡 龍治君

      近藤 昭一君    篠原  孝君

      寺田  学君    村井 宗明君

      吉田  泉君    高木美智代君

      江田 憲司君    野田 聖子君

    …………………………………

   環境大臣         小池百合子君

   環境副大臣        江田 康幸君

   環境大臣政務官      竹下  亘君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           吉田 岳志君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  南川 秀樹君

   環境委員会専門員     齊藤  正君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月三十日

 辞任         補欠選任

  高井 美穂君     寺田  学君

同日

 辞任         補欠選任

  寺田  学君     高井 美穂君

    ―――――――――――――

五月二十九日

 鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律の改正においてとらばさみ・くくりわなの全面禁止を求めることに関する請願(阿部知子君紹介)(第二四六九号)

 同(保坂展人君紹介)(第二四七〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第七〇号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――

木村委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房審議官吉田岳志君及び環境省自然環境局長南川秀樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

木村委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。馬渡龍治君。

馬渡委員 自民党の馬渡龍治でございます。

 鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律の一部を改正する法律案に関して質問させていただきます。

 きょうの資料、何枚か写真の入っているものがあるんですけれども、これは皆さんにお渡しするともったいないので、回して読んでいただきますように。内容については、猟犬がハンターから散弾銃で撃たれてしまったレントゲン写真と、とらばさみにかかって死んでしまったオジロワシの写真なんですけれども、後でぜひごらんください。

 いよいよこの六月一日から、昨年改正されました動物愛護管理法が施行されることになりまして、関係する方々は大変期待をされていると思います。その中には、やはり動物を大切にして人と共生を目指していくという理念が根本に盛り込まれているものだと思いますが、今回この委員会で審議されますこの鳥獣保護法についても、やはり同じような理念を持って、動物愛護管理法と鳥獣保護法が整合性があるようにしなければいけないんじゃないか。中央環境審議会では、「鳥獣は自然環境を構成する重要な要素の一つであり、国民共有の財産である」とも述べております。ここのところをお聞かせいただけないでしょうか。

南川政府参考人 お答えいたします。

 鳥獣保護法、動物愛護管理法でございます。今、環境省の私どもの局におきまして一体として所管をしております。元来、この動物愛護管理法は総理府に属しておりましたけれども、やはり野生生物の問題と愛護動物の問題を一体として考えることが適当だということで、環境省が設置の際に一体的に所管することになったわけでございます。

 六月一日から、先生方の大変な御尽力でできました改正動愛法が施行されるわけでございます。私どもは、そういったことも十分留意しながら、この鳥獣保護法についても運用を考えていきたいと考えております。

馬渡委員 そこで、動物を守る、鳥獣を守るというのは、一つは、同じ動物の仲間である人間も共生していかなきゃいけない。片方で、人が生活している以上は、必要最低限、動物の命を奪ってしまうことがあるわけです。

 ここで、まず鳥獣は国民の共有財産であるということでありますから、この鳥獣を適切に保護管理していく責任というのは国にあると思うんですけれども、そこのところはいかがでしょうか。

南川政府参考人 御指摘のとおり、国の責任は大変重いと感じております。国の役割としては、直接には国際的または全国的な鳥獣保護の見地からの鳥獣保護区の指定あるいは希少種に関する捕獲許可などとなっております。

 ただ、その他、都道府県が一般的に責任を負うもの、例えば、一般鳥獣の保護管理、狩猟制度の運用につきましては、地域ごとの鳥獣の生息状況等に応じるところが多うございます。したがって、これは法的には都道府県の自治事務というふうになっておるところでございますけれども、私どもとしては、指針、基準を示して、技術的な指導助言を行っているところでございます。

 私ども国としては、都道府県と十分な連携の上で進めていきたいと考えております。

馬渡委員 そうなると、例えばけがをしたり病気をして保護された鳥獣、これを助けたいと思ったときには、どこに連絡をすればいいんでしょうか。そして、それにかかる費用というのは国が責任を持ってやっていただけるのか。今のところどういう形になっているのか、教えていただきたいと思います。

南川政府参考人 傷を負ったり病気のいわゆる傷病鳥獣でございますけれども、これは、私ども、基本指針の中で、都道府県が設置する鳥獣保護センターを中心として、地元の獣医師会と連携をしながら対応していただくということになっております。この鳥獣保護センターでございますけれども、全体としまして二十四都県三十五施設が運営されておるところでございます。

 私ども、できますれば、こういったものを、例えば設置を義務づけてそれを財政的に支援するということをしたいわけでございますけれども、残念ながら、現在の三位一体改革の中で大変それ自身は難しいわけでございます。

 したがいまして、私どもとしては、傷病鳥獣から収集すべきデータ項目の基準の作成とか、そしてデータを収集、分析して得られたその鳥獣の回復のためのデータとか、あるいは鳥獣の生息状況に関するデータというものを提供して、都道府県の取り組みを側面から支援していきたいと考えておるところでございます。

馬渡委員 そうなると、国が都道府県にある程度お願いをして、その鳥獣保護のためのセンター、今四十七都道府県のうちの約半分の設置ということになります。私がなぜこの質問をしたかというと、これから続くんですけれども、やはり国としての強いメッセージを発信していただきたい。特に、次の質問に関連することなんですけれども、やはり人が生きていくために、異常にふえすぎてしまった鳥獣による農林業や自然植生への被害がすごく多発しているというのがこちら側であります。

 今回の改正の一つとして、網とかわなの免許を分けて、それに対応してわなの免許を取りやすくして被害への対策をしていこうという趣旨があると思うんです。ということは、このわなの免許が取りやすくなれば、当然全国で、至るところでわなが仕掛けられる、その数が多くなっていく。今、住宅街に近接したそういった畑とかがいっぱいあるでしょうから、ちょっと入っていったときにわなにかかってしまう。動物だけではなくて、人もその被害に遭ってしまう可能性が多いんじゃないか。ですから、国として、ここには仕掛けてはいけない、またはその仕掛けるわなも、これはいけない、これは許す、そういった意思を、都道府県任せではなくて、はっきりと表示していただきたい。

 ですから、安易にわなを仕掛けていけば、当然人にも生態系にも悪影響を与えていくわけでありますし、やたらめったらかけたとして、残されたわなで、放置されたわなで、その山林に入ったときに事故に遭ってしまった例が、ほかのこともありますが、この八十二ページの中にかなりの例が載っていると思います。わなの免許を取りやすくして設置する数がふえれば、当然この事故の事例も、よっぽど対策を講じないと、もっともっとふえることになろうかと思います。

 私は、そこのところを、例えば設置の制限地域を設けて、住宅地や公園、子供の通学路は当然のこととして禁止できることになっておりますが、これは、現行の銃の制限ないし禁止区域と重なるんでしょうか。

 しばしば住宅地などでとらばさみが仕掛けられていて、飼い猫、飼い犬がそのわなにはまってしまう、かかってしまうということも聞いております。であるならば、今回の改正で、住宅地に仕掛けられるとらばさみは違法ということになるんでしょうか。

南川政府参考人 幾つか質問があったと思います。

 まず、考え方でございますけれども、私ども、今回の改正におきまして、確かに、わなと網の免許を分離するという大きなねらいは、高齢化する狩猟者の問題に対応するために、わなの免許をもっと取りやすくしたいということで分離するということで、イノシシ、シカなどが被害を及ぼした場合に、よりとりやすくしたいということがあります。

 ただ、当然ながら、それによって一方的にわながふえればいいということではございませんので、そのために、御指摘のように、わなの設置を制限または禁止できる制度というものをつくりましたし、また、わなを置いた場合には必ず、よく目立つ形で氏名等を明らかにしたものをつけるということで、より違法のわなが設置できないような仕組みをつくっておるところでございます。

 また、もちろん、わな、網の免許を区分した場合には、知識がその分少なくて済むわけですから、その必要な専門性あるいは技術の向上が図れるようなわなの研修というものをしっかりやりたいと思います。

 それからもう一つは、わなを置く場合に、やはり錯誤捕獲ということはあり得るわけでございます。委員からも御指摘がございましたけれども、錯誤捕獲の場合に致命傷を負わないようなことが必要なわけでございまして、とらばさみにつきましては、例えば、現在でも内径が十二センチのとらばさみは使用禁止とか、のこぎりの歯の形をしたとらばさみは使用禁止とか、構造基準を決めておりますけれども、よりこれをきめ細かくした上で、例えば、そのとらばさみであればソフトキャッチ化でゴムがついたものにするとか、それから、くくりわなであれば食い込まないような線径が太いものにするとかストッパーつきにするとか、そういったことも講じてまいりたいと思っていますし、とらばさみは使用禁止にするということも検討していきたいというふうに考えております。

 それから、この制限地域でございますけれども、当然ながら、銃猟禁止区域等と重複すると思います。ただ、御指摘のとおり、住宅地にわなを置くということについては余り想定されませんので、できれば、都道府県知事さんともよく相談をしますけれども、広範にこういった規制地域が設定されまして、当然それが制限されれば、そこにとらばさみを置けば違法になるわけでございますので、そういった残念な出来事が起きないような措置ができるだけ講じられるように努力をしていきたいと考えております。

馬渡委員 できればとらばさみは、私は全面的に禁止をしていただきたいなと思っているんですね。それは、イノシシをとるとらばさみに小さな犬や猫がかかったときに、幾らソフト化しても足の骨に与える打撃は相当なものがあると思いますし、それから、先ほどお配りしたあの資料の中で、オジロワシが、これは木の高さ四、五メートルのところにかかっていたというんですから意図的にねらったんじゃないかと思うんですけれども、これが死んでしまったんですね。

 それから、ツシマヤマネコ、今個体数が数十だと思いますけれども、これの三匹が、たしか二〇〇二年にとらばさみにかかって死んでしまっているんです。だから、地球の人口に例えると、地球の人口でアメリカの国民が死んでしまったぐらいの比率ですよね、八十分の三ぐらいでしょうから。だから、かすみ網がなぜだめかというと、あれは混獲というんですか、何でもかんでもとってしまう。それは、かすみ網は量が多いですけれども、やはりとらばさみというのも混獲になると思うんですね、何をとるのか決められない。

 それから、くくりわなというのがあるんですね。これはかかった動物は逃げれば逃げるほどどんどん締まっていって、最後は直径数センチまで絞られて体が半分にちぎれそうな犬が助かったことがあるんです。クマなんというのはこれで大体手首壊疽、壊死で落ちてしまったり。だから、例えばイノシシとかシカを対象にくくりわなを仕掛けるんだとしたら、それは当然ある直径の中で捕獲ができるわけですから、例えば、何センチが適当か私はわかりませんが、仮に二十センチのところでストッパーがきくようになっていれば、それ以上締まって残虐なことが起こらないようになると思います。二十センチだったらウリ坊は逃げられますから、ウリ坊は逃がしてあげて、ウサギだとか犬や猫が逃げられるし、そういった指導を国の意思でぜひともはっきりやっていただけないものか、そう思います。

 それから、同じく写真を載せていただいたんですが、今回のこの鳥獣保護法がきちんと運用できるようにするためには、ハンターの法を守るという精神、マナーもやはり国の方からしっかり指導していただけないか。猟期が終わると猟犬を捨ててしまうんです。

 現にここに、茨城県の動物指導センターからのチラシがあるんですけれども、「毎年、狩猟期間が終了すると飼主不明の猟犬が多数出没するようになり、動物指導センターに困りごと相談がふえるようになります。これは、狩猟中に飼主からはぐれ、飼主の元に戻れない犬が大部分を占めています。」と書いていますが、このすぐ次の行に、「また、狩猟期間後に、捨てられたり、故意に置き去りにされたと思われる犬もあります。」と。これはかなりあるらしい。

 ところが、もっとひどいのは、猟が終わって、さあ御苦労さんと褒めてあげたいのに、このように体に向けて散弾銃を撃ち込んで殺してしまうという心ないハンターがいるんです。たまたまこの犬は本当に命からがら地元の方に助けていただいて、今、回復したそうなんですけれども、こういったことも含めてぜひ国が強く指導していただきたい、そう思いますが、そこのところをお答えいただけますか。

南川政府参考人 お写真見せていただきました。確かにひどい扱いだと思います。

 それで、制度的には、銃器を使用して狩猟を行う人の場合は必ず銃猟免許の取得が必要になります。そうしますと、その方が銃を扱うときには銃刀法の適用があるわけでございます。その人が狩猟または有害鳥獣駆除以外の目的で発砲するということであれば、それはその銃刀法に違反するということになります。また、その飼い犬でございますので、動物愛護管理法におきまして、愛護動物をみだりに殺したり傷つけるということは残虐行為になるわけでございますので、当然ながら動物愛護管理法にも違反するということでございます。

 私もきょうの先生の御指摘で初めてこういうことを知りましたけれども、こういった法令をきちんと遵守していただくということで、ハンターのモラルの向上にぜひとも努めていきたいと、強く私ども、直接また間接にそういったマナーの向上を要請していきたいと考えております。

馬渡委員 ぜひ厳しくお願いいたします。

 最後になりますが、重なることが多いんですけれども、大臣に改めて、趣味でハンティングする人は当然ですけれども、農業や林業の被害を防ぐためにやむを得ず鳥獣を捕獲する場合であっても、やはり法律は、しっかりとルールは守っていただかなければなりません。環境省として、この改正後、違法わなが野放しとなって多くの動物や生態系に悪影響を及ぼさないように、ここのところはぜひともしっかりとした対策をとっていただきたく、大臣の御決意をお聞かせいただきたいと思います。

小池国務大臣 そもそも違法なわなの使用というのは野生鳥獣の保護にも重大な支障を及ぼすわけでございますし、また、人そしてペットにも危害を与えるということで極めて遺憾なことになる。そのためにも、環境省として厳しく取り締まりを進めるように、都道府県が鳥獣保護員を決めますので、それによる巡視の徹底なども国の方から、さらに、また警察とも連携した上で行ってまいりたいと考えております。

 また、今回の法改正によりまして、住宅地の周辺などで危険なわなの設置を禁止する区域を指定することであるとか、それから、都道府県の職員などによります違法なわなの撤去が促進されるように、すべてのわなに設置者の名前を書いて責任をとってもらうということでその表示を義務づけるようにいたしました。

 この法律改正によりまして、守られるものは守られ、そして駆除していくものは駆除されるような適切な措置ができますことをこれから進めてまいりたいと考えております。

馬渡委員 ぜひしっかりとお願いいたします。

 これで質問を終わります。ありがとうございました。

木村委員長 次に、篠原孝君。

篠原委員 民主党の篠原でございます。

 今の御質問に関連してちょっと一言だけ述べさせていただきますと、公海流し網漁業というのがかつて太平洋の真ん中で行われていたんです。御存じの方もいっぱいあるかと思います。イカ流し網なんですが、それは今と同じでして、イカだけじゃなくてカメとか鳥とかみんなかかってしまう、よくない、では、網目を大きくするかと。あるいは、流し網というのは何キロもあって、三十キロぐらいになるんだそうです。ですから、外国の環境保護団体からは、デスウオール、死の壁だというふうに批判されて、国連でさんざん議論されておりましたけれども、ターゲテッドスピーシーズ、イカだけに限定するんだったらいいけれども、ほかのものが混獲されるのはまかりならぬということで、とうとう漁業の場じゃなくて国連の場で禁止になりました。

 そういうことを考えますと、やはりとらばさみとかくくりわなというのは、無差別になって、とろうとした動物じゃないものまでかかったりするわけですから、そのルールがそのまま適用されれば、当然それは禁止されてしかるべきものなんじゃないかなという気がいたしました。しかし、この問題についてはほかの皆さんもいっぱい聞かれるので、私はもっと根源的なことについてちょっと質問させていただきたいと思います。

 鳥獣保護法、いろいろ問題があるんだろうと思いますけれども、私は、今の問題、それほど大騒ぎする必要はないと。どういうことかといいますと、今我々騒いでいますけれども、もともと、昔からシカとかイノシシとかいっぱいいたんですね。イノシシとかシカというのが、どれだけいて、どういう文学作品に載っているかというのをちょっと調べてみました。私、余り教養がない方なんですけれども、万葉集に四千五百首ぐらいあるんですが、調べてみましたら、そこにシカが入っているのが六十八ありました。イノシシが十九、猿とクマは一首ずつです。それから、イノシシとシカが身近なのは、猪鹿蝶というので、花札で庶民の遊びとしてありました。やはり身近にちょろちょろいたから猪鹿蝶で、チョウチョウも飛んでいて、それだけ日本は環境が豊かだったんだろうと思います。

 それから、ししおどしがありますね。あれは、シカが本当に近づいてきて農作物を荒らす、だから、竹を水でとん、とんと落としてシカを追い払う、シカというかシシを追い払うというもので、それだけ昔から身近にいたんです。かつて、我々の祖先はそれとまさに共生していたわけです。それを我々は今忘れてしまって、多分人間が僣越になり過ぎたんだろうと思います。

 環境委員会にいますと、いろいろ我々の生きざまというのを考えさせられます。容器リサイクル法は、文明の利器というか、ペットボトルとかあんなものが出てきたわけですが、これでいいものかどうかというのを。今度は動物とのかかわりですけれども、これで制度ができて動いているわけです。

 特定鳥獣保護管理計画というのができました。もうこの制度ができて五年たっているはずです。参議院の審議、議事録をみんな読ませていただきましたら、羽澄俊裕参考人は、ほとんど機能不全に陥っているということを言っておられました。どれをもってそういうことを言っておられるのか、具体的なものは余り指摘がなかったんですが、これについて、環境省はどのように評価、あるいは考えておられますでしょうか。

江田副大臣 お答えいたします。

 鳥獣保護法の平成十一年の改正によりまして、野生鳥獣の個体数の管理、生息環境管理、また被害防除対策を科学的、計画的に実施するために、都道府県が策定する特定鳥獣保護管理計画、特定計画と申しますが、その制度が創設されたわけでございます。本年四月現在、五種類を対象として、四十二都道府県で七十九計画が策定されております。

 環境省におきましては、特定計画の実施状況や評価に関する調査を都道府県に対して行い、その結果を取りまとめてフィードバックするなどして、特定計画の改善が進むように技術的な支援を行っているところでございます。

 この調査の回答からは、計画対象種によって異なるものの、策定から年数を経ている計画ほどよい結果が得られるという傾向が見られております。その一方で、現段階では、先ほどの参考人の質疑の中でもあった批判かもしれませんが、評価が困難であるとの回答や具体的な効果が見られないとの回答もございました。

 このような調査結果を踏まえて、現在、適切な生息密度の基準になるように管理する方法を策定した特定計画の技術マニュアルの見直しに取り組んでいるところでございまして、引き続き特定計画の効果が向上するように努力してまいりたいと思います。

篠原委員 私は、この計画というのは非常にいい手段だと思っております。これはいろいろな意味があるんでしょうけれども、一番大事なのは、私は個体数の管理だと思っております。

 ツキノワグマみたいに、減っているもの、そんなにふえないようなもの、ああいう絶滅の危機に瀕しているようなものについては個体数管理というものは余り意味がないかもしれません。生息環境の維持の方が大事なのかもしれませんけれども、今ふえ過ぎて困っているもの、シカとかイノシシについては、どこまでの数が適切か、これ以上ふえたらよくないという数はおのずとあるわけですね。

 皆さん、ちょっと安心があるんじゃないかと思います。どういうことかといいますと、農作物の被害額が二百億円ちょっとで、そんなにふえていない、ふえるのがとまった、だから、この特定鳥獣保護管理制度が動いているんじゃないかというふうに思っておられる方があるかと思います。これは違うんですね。私なんか現場を見て回っていますと、違うんですよ。多分竹下政務官も同じ考えだろうと思われますけれども、減っているんじゃないんです。もうやめちゃったから数字に出てこないんです。

 中山間地域でもうめためたにシカやイノシシにおどされて、二年、三年続けてそういうふうになったら、もうやる気がうせるわけです。台風だったら、ことしは台風で被害を受けたけれども、来年は台風は来ないんじゃないかと。私、長野県ですけれども、長野県は台風の被害に遭うのはそんなにないんですね。伊勢湾に直撃したときぐらいしか大被害が起きない。しかし、鳥獣被害は一年、二年と、この精神的ダメージたるや大変なものです。それでやめちゃっている。

 ですから、私は農林水産省なり環境省にこの数字もぜひ調べてみていただきたいんですけれども、なぜ遊休荒廃地に中山間地域がなったか。もちろん総合的な理由がありますよ。跡取りがいないとかいうのもあると思いますけれども、直接のきっかけとして、鳥獣によりめためたにやられてしまったというのがあるんですね。こういったことを本当に、実情はそういうことだということを認識していただきたいと思います。これは数字に出ているよりもずっとずっと問題なんです。ですから、幾ら中山間地域に直接支払いをしたりとかあるいは何かしたとしても、この部分が抜けていると、もうがっくりしてしまうんです。ここのところもよく考えなくちゃいけない。

 これでまた悩ましいのは、片一方で、野生動物をちゃんと保護しなくちゃいけない。ですから、非常に環境委員会というのはいつも悩ましい。ちょっと哲学的な人じゃないと務まらない委員会じゃないかと私は思いますけれども、ぽっとした人だとやっていられない。

 それで、問題なんですけれども、個体数の管理、一体どうやってやっているのか。人はいない、予算は少ないというので。これがもとのはずなんです。例えば、これだけだと荒らしたりしない、あるいは、これ以上とるとまた変になってしまう。例えば、カワウが典型的な例だと思う。カワウはかつてレッドデータブックに載るとかなんとか、あとちょっとで絶滅してしまうんじゃないかと言われて保護した、そうしたらふえ過ぎて困っている。一体どのぐらいが適当か。適当なものだったら、被害があったりしてもしようがないんだろうと思います。それは、もう農林水産業にはつきものですけれども。

 一体この個体数管理というのは、現場ではどのようにやっておられるんですか。そして、環境省はこの点についてどういう方向に持っていこうとされているのかお伺いしたいと思います。

南川政府参考人 個体数管理をするためにも、私ども特定管理計画という制度をつくって、現在都道府県において制定し、運用していただいているわけでございます。

 御指摘のとおり、うまく動いている地域とうまく動いていない地域がございますけれども、私ども、全体としまして、いろいろなデータをとれれば、そのデータあるいはそこで得られた知見、そういったものがフィードバックできるようにぜひしていきたいと思っております。

 それで、具体的に、今年度で五カ年の制度が過ぎますので、来年度から新しい特定鳥獣の保護管理制度が動き出します。それに向けて年内にも基本指針をつくり、来年度から新しい管理制度ができるようにしていきたい、その中で、より個体数の管理というものをしっかりしていきたいと思っております。

 その際には、委員御指摘ございましたけれども、なかなかその実態把握が難しいという点がございます。私ども、これにつきましては、狩猟者からの報告、あるいは、地元での調査で一定地域のふん塊の数あるいは調査時の目撃数といったデータから推定した数字をもって生息頭数、生息密度に関する数字を出した上で目標を設定するということでございまして、これが、こういった方法も含めて新たな管理計画の中で生きるようにしていきたいと考えております。

篠原委員 やはり生き物ですから難しいんだろうと思います。大体一頭でどのぐらい子供を産むか。イノシシなんかはいっぱい産むわけですね。シカはそれに対してそんなに産まない。ツキノワグマになればもっと産まなかったりする。だから、クマでも、前の年にドングリとか、ブナとかそんなのがいっぱいあって実が多かったりすると冬の間に二頭も産めるとか、そういうのがあって非常に専門的になってくるんですよね。

 ですけれども、こういう個体管理の先輩として、この資料、例によって皆さんのところにお配りしてありますけれども、五ページのところを見ていただきたいんです。これは本来はもっと後ろの方の質問で使うものなんですが、ちょっと見ていただきたいんです。

 先輩がありまして、これは行為規制と総量規制というので比較しているんですが、真ん中よりちょっと下の、「漁獲漁業における資源保護」というのを見ていただきたいんです。これは漁業ですよ。漁業の資源管理をどうするかというと、これは前のときちょっと申し上げたりしましたけれども、一番簡単なのは船の数を減らす、コントロールする、これ以上はやっちゃいけないと。だから、これを我々のところへ持ってくると、狩猟者の数を二十万人いたのを十万人減らす、許可を出さない、それから、このわなや網は使ってはいけないとかいう投入量規制ですよ。しかし、やはりこれだけじゃだめなんですよね。どんどんどんどん技術が発達していきますから、結局イタチごっこになってしまうんです。

 それで、もう一つ、絶対必要で、右にありますように、「総量規制」というのがある。これ以上の数、魚だと何トンですけれども、とっちゃいけないというのが必要なわけです。しかし、これを漁業者に納得させるには大変なわけです。漁業者は、そこに魚がいるからとるのは当たり前だと言ってとるんです。これは、しがない習性だと思います。私はちょっとかかわったことがあるので説得しましたけれども、だめでしたね。サンマがいっぱいとれる、山ほどとれる、いるからとりに行く、そうすると、サンマが倉庫に山のようになってあるんですよ。それで、値段が二束三文になっている。とりに行ったってしようがない、とりに行かないでおけばそんなにもう値段は下がらないで済むんだからと言っても、いや、漁師は魚をとりに行くのが役目だと言って、来年もうとれなくなるぞと言ったら、いいんだ、こういうふうになっちゃうわけです。ですから、科学的根拠というのは絶対必要なんですね。

 これは、漁業のところではできるけれども、では、この野生生物、野生動物についてはできないかというと、そんなことないんです。ただ、難しいんです。私は、こういうのをそこそこ知っているんですけれども、それはプロの環境省の皆さんにぜひ調べていただきたいんです。フランス、ドイツも同じですけれども、あちらは平らです。ほとんど森をだめにしてしまったんですね。それで、森を人工的に復活して、有名なのではブーローニュの森、バンセンヌの森とかありますけれども、そんな森だけじゃなくて、あちこちに何とかの森があるわけです。ですから、全部畑で、その中に森がぽつんぽつんぽつんとある。そこに野生生物がいるんです。

 どうやって野生生物、動物を管理しているかというと、まさにここの漁業における資源管理と同じです。個体数を把握して、そして、長年見ていますからわかるわけですが、これ以上ふえると畑に出てくるということで、いる動物がちょっと違うんですが、日本に合わせていいますと、総数で、シカならこの森は二百頭、イノシシなら四百頭、クマなら五頭とかいうふうに決めて、それを維持するようにする。

 それで、どうするかというと、念が入っているわけです。やはりハンティングなんです。ハンティングは、日本と違って、あちらでは高貴なレジャーというふうに考えられています。それで、狩猟権を与えるわけですけれども、これも漁業よりも念が入っているわけです。一人当たり、シカは二頭、イノシシは三頭毎年撃たないと翌年許可が与えられないんです。病気で行けなかったといったら、ほかの人にそれを渡して、そして同じように二頭、三頭という義務を果たさなければいけないんです。そうすることによって個体数を維持しているんです。それ以上ふえると畑を荒らす、それ以上とると逆にいなくなってしまう。これが、小さな森だからできるんです。

 それが日本は逆でして、人間の住んでいるところがちょっとだけでして、山が七割近くある。こういうのを全部見て、適切な個体数というのを割り出すのは難しいと思っておられるのかもしれませんけれども、それは違うので、きちんと人がいて予算をつけてやったら私はできるような気がするんですけれども、そういう努力は今までされてきているんでしょうか。

江田副大臣 私が答えさせていただきます。

 先生の御質問、幅広くあったかと思うんですが、科学的な、経験的な知見を踏まえたそういう保護管理というものが大事であるということだと思います。

 都道府県では、この特定鳥獣保護管理計画、特定計画に基づきまして、その個体数の管理、それから生息環境の管理、また被害防除対策を科学的に、計画的に実施して保護管理の推進を図っているところであることは先生も御承知だとは思いますが、この個体数の管理におきましては、まず現状の生息数などを把握した上で、それをもとに個体数や生息密度に係る目標を設定しております。また、必要な捕獲や保護が行われることとなっております。

 例えば、農林業被害を防ぐために、一定の地域で生息数は限られるわけでございまして、シカであれば、例えば一平方キロメーター一ないし二頭というような基準がございます。イノシシは、子供も多く産まれて生命力も強いというようなことからなんでしょうか、私もさほど詳しくはないんですけれども、現状ではなかなかその基準が難しいようでございまして、これらはとりながら考えるというようなことも言われているようでございます。

 これらの目標というのは、各種対策の実施状況や先ほどのモニタリング調査の結果等で、あるいは新たな調査方法の開発などを踏まえまして、柔軟にその見直しは必要でございますので、これを行うことによって妥当な目標にそれぞれを近づけていくということがとられております。

篠原委員 副大臣のおっしゃるのもよくわかるんです。今、シカは一平方キロメートル一頭か二頭、イノシシはわけがわからないと。長野県のイノシシと西日本のイノシシと、えさも違いますし、自然の豊かさも違いますからちょっと違ってくるんですね。そういう点では非常に難しいんだろうと思います。

 海の方がだだっ広くて、大体似通っていますから簡単に計算できて、ちょっとやって、ある部分のところで資源量を把握すれば、それを全体に引き伸ばしてというのは簡単にできると思うんですが、日本は山あり谷あり、ちょっと違うともう交流がなくて全然習性が違ったりするので、非常に難しくなってくるのはわかるんです。

 やはり私は、究極のものは、こういう網とわなの免許を、もちろんこれは大事ですよ、大事なんですが、こういったものを直して、現実に合わせて、網なんてほとんど使わないんだ、わなだけだったら簡単に免許を取れると。島根県では、特区でやったりしたら、わなの取得者が三倍にふえた。そういうのがあって、これもある程度やってみないと、それでふえ過ぎた、また減ったとかいって、多分繰り返されるんだろうと思います。そういう経験から、一体この地域には何頭ぐらいいるのが妥当なんだ、これ以上ふえるといけない、逆に、わながこれ以上ふえるといけないとかいうのが出てくるんだろうと思います。それをきちんともとにしてやっていけば、私はいろいろなことがうまくいくんじゃないかと思います。

 それで、この法律に関連して、三つだけ具体的なことを事務方の方に続けてお伺いしたいと思います。

 まず、平成十四年の改正で片仮名から平仮名に法律を変えた、これは非常にいいことだと私は思いますけれども、鳥獣保護法という名前がちょっと時代おくれなんじゃないかと、ずっと見ていて気分が悪くて、鳥獣戯画を鳥羽僧正がかいたとかいって日本史で覚えさせられたんですが、それを思い出しましたけれども、何か平安時代に返ったようで、今は、けだものとかけものというのは言わない。老人、年寄りと言っちゃいけない、失礼だから高齢者にしろとか、私は本当は余りこういうのは好きじゃありませんけれども。こんなことをしたってしようがないので、気持ちを変えなくちゃいけないんです。

 鳥獣保護法、けだもの、けものというのでやはりよくないので、もっとナウい名前にして、親しみやすい名前にしていただいた方がいいので、そのときに何で野生動物とかそういうのに変えたりされなかったのか。私は、考えていいんだろうと思います。だれも反対しないと思います。その点について議論はあったのかどうか。なかったら、私はこの次期の改正に向けて考えていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

南川政府参考人 十四年の改正でございます。これは、前の十一年改正から三年たって見直すという規定に基づいて見直し作業をその前の年から行いました。

 それで、私ども、作業をじかに隣で見ておりましたけれども、まず、とにかく片仮名を平仮名にしたいということと、それから内容で点検すべきことと二つに分けて検討したわけでございます。

 後者につきましては、十一年改正が十二年から施行されて、事実上、一年ぐらいしかデータがないということで、その中での作業でございましたので、なかなか新しい話について本格的な変更が難しいということで、ごく幾つかの、鉛散弾の問題とか非常に特定の問題で修正をいたしました。

 それから、片仮名を平仮名に変えるというのは、実はこれは大作業でございました。単に片仮名から変えるだけじゃなくて、何せ古い法律でございますので、今の行政法の体系に沿って順序を見直すとか条文を入れかえるということで、実は徹底的にやりまして、これだけでその担当、数人いたのが、三月、四月、朝から晩までずっと時間を使ってしまった、そんなこともございます。それでも、とにかくそれ自身大事でございますし、何といっても読みづらい。読みづらいと、やはり多くの方に議論していただきにくいということであえて踏み切りました。

 したがいまして、そのときは、基本的に中身はごく最小限でもやむを得ないということで、平仮名に改正することを最優先しておりまして、野生動物にするということの検討はいたしておりません。

篠原委員 環境問題はしようがない。昔はそんなに問題がなくて、一部の人がやっていればよかった。今は、環境問題ほど国民に理解してもらわなくちゃ進まない問題はないんじゃないかと思うんです。ですから、なるべく易しい言葉で、センスのいい方がいっぱいおられて、クールビズとかウオームビズとか次々片仮名語がつくられるんですから、日本語の方にもちょっと工夫をしていただいて、もっと親しみがわくような法律の名前にぜひしていただきたいと思います。

 次に、輸入問題というのがあって、今回も改正されていますけれども、けしからぬと思うのは、愛玩動物、ペットとして飼っていた人たちがほったらかしにする。最初はかわいかった、だんだんでかくなって手に負えなくなって、だんだん憎たらしくなってきてぽんと、人間も同じようなところがありますけれども、それでほったらかしにする。これで被害を受ける方はたまったものじゃないですよね。私は、こういうのは厳罰に処していいと思うんですね。こういうのをちゃんと登録制度にして、それで亡くなったら亡くなったでそれをきちんと確認するとか、そういうのをさせたっていいと思うんです。

 環境は、もうこういう規制でやっていかなくちゃ守れません。アライグマの例ですけれども、物すごく被害が起きているわけです。外来種の問題で去年は何かいろいろ環境省、大臣も含めて苦労されたわけで、法律ができ上がってからわあっとなって、ごちゃごちゃしたのがありますけれども。私は、ペットを飼っている人たちにもちゃんとモラルを持っていただくべく、罰則を強化したりすることも考えていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

南川政府参考人 御指摘のアライグマでございますが、我々は大変困っております。二十七、八年前でございますが、「あらいぐまラスカル」とかいう漫画がございまして、そのときに一気に実は輸入がふえました。その後もテレビドラマだと思うんですが、結構何回もやっておりまして、その都度輸入がふえるということが言われております。

 御指摘のとおり、最初はかわいいんですけれども、だんだん凶暴さが出てきて飼い切れなくなって、言い方は悪いけれども、殺せばいいものを放してしまうということで、大変実はあちこちで被害を起こしております。大変野生化して、繁殖力が強いし天敵がおりませんので、どんどんふえておりまして、生態系のみならず、神奈川県などでは、鎌倉の神社とかそういうところまで実は被害が及んでいます。

 したがいまして、私どもは、まずそれについては防除しようということで、とりあえず神奈川県からやりますけれども、兵庫県等でも、被害の目立ったところで防除を今始めているところでございます。

 その根拠が昨年の六月に施行されました外来生物法でございまして、その中でアライグマを特定外来生物に指定いたしました。これにつきましては、野外に放すという行為については例外なく禁止をしておりまして、違反した場合には三年以下の懲役もしくは三百万円以下の罰金ということでございますが、いかにその規制を担保するか、警察とも連絡をとりながらしっかり対応してまいりたいと思います。

篠原委員 アライグマとかそんなのだけじゃなくて、私が長野の山の中を支持者訪問していきますと、分不相応のなんて言っちゃ悪いんですけれども、とてもひなでは見られないようなしゃれた犬が飼われているんです。この犬は何という犬ですかと言ったら、ポインターというんだそうです。どうしたのですかと言ったら、いや、山の中で困っていたから飼ってやったんだと。ハンティングに来た人たちがもう面倒くさくなってほったらかしにしていくんです。それで、かわいそうだから家に連れてきて、家で飼ってやっているわけですね。田舎の人たちは優しいんです。都会の人たちのわがままで、これは被害を出したりしていませんけれども、こういうこともあるので、こういうことには何かきちんと罰則をしていくべきじゃないかと思います。

 もう一つ、輸入問題、二十六条のところで法律改正になったりしていますけれども、これはただし書きで、アメリカとかそんな国があって、輸出証明書を発行できない国があるというようなどうも問題があって、日本にいる野鳥、メジロや何かをインチキで、本当は密猟しているのに、輸入したものだというような感じに使われていたりするというようなのが私のところに寄せられて、この点は絶対聞いてくれと言われているので、この点についてはどういうお考えで、どうやっていくつもりなんでしょうか。

南川政府参考人 私どもも同じ問題意識を持っております。

 こういった証明書の出ない国から輸入されることによって、それがその国内での違法捕獲を助長しておるということは、私どもも大変大きな問題だと思っております。

 そのため、私どもは今回の改正で、鳥については順次指定をしてまいりますけれども、輸入する鳥獣について、証明書を発行していない国であっても、その輸出国がわかれば、税関を終えた段階で足輪をはめるということをしたいと思っております。それで、その足輪につきましては、一度外しますと折れてしまうということで、一回はめたら外せない。ですから、後は、国内で飼う、飼養する場合には、足輪がはまっていないものは違法ということがわかりやすくなるということで対応していきたいというふうに考えております。

篠原委員 はい、わかりました。

 では、また農作物の被害問題にちょっと触れさせていただきたいと思います。

 農林水産省は、いろいろな補助事業をつくってやっていくのが環境省よりずっと得意ですね、予算をとるのは。それにもかかわらず、この問題というのは、環境省がかかわっていたりしてあちらの話だというふうにたかをくくっているのかもしれませんけれども、十数年前から大問題になっていて議論されているはずなんです。ところが、なかなか対策が進んでいないんです。シカとかイノシシとか猿とかの被害は膨大なわけですよ。中山間地対策の一環として、こちらの方が私は大事じゃないかと思うんです。さっき言いました、精神的なダメージが物すごく大きいですから、これが原因になって耕作放棄地になっているのが非常に多いんですよ。

 私なんかも実情を聞くと、涙が出てきて笑える部分もあるのは猿なんかが多いわけですよ。地獄谷温泉というのは御存じだと思いますけれども、あそこではえづけじゃなくて温泉づけにして、観光客が来ているから少しは役に立っているんでしょうけれども、あれも余りふえ過ぎるとよくないんだろうと思います。あのあたりに猿が出てくるわけですよ。リンゴ、桃とかいっぱいつくっているわけです。賢くて、ちょうどあした収穫だという朝、ちゃんととっちゃうんですね。決して前の日にはとらないんです。そこは賢いんです。それで、人間が追いかけていくと、人間が上れない屋根の上で食べているんです。そして、本当に種を投げつけるんだそうです。腹が立つといったらないんです。猿カニ合戦そのものなんです。

 それで、うるさいおばあちゃんが私に苦情を垂れるんですが、その人の言いますのには、そのおばあちゃんが出ていくんじゃだめなんだそうです。女だと思ってばかにしている。済みません、男女差別で。猿はちゃんと男女差別をしているんですよ。そして、おばあちゃんは頭にきて、長靴履いてほおかむりして、そして棒を持って、男のような格好をして行くとばあっと逃げていくんだそうです。猿も、猿知恵じゃないですけれども、あるんです。だんだん覚えていっちゃうんです。

 だから、これはばかにできない問題でして、本当に本格的にやらないと中山間地域の農業はこれでつぶれちゃうんじゃないかと思いますけれども、農林水産省はこの点についてモデル事業とかパイロット事業で真剣に取り組んでこられたんでしょうか。

 それから、これは環境省と本当にタッグマッチを組んでやらなければいけないわけです。財務省も、今はどうか知りませんが、二、三年前までは、省庁連携とか、縦割りを廃すというので、省庁が仲よくやるというと、内容が大したことなくてもさっと予算をつけたとかいうのがあったりしたはずですから、今もその傾向は多少、これは財務省に聞かれると困るんですけれども、そういうのはあるはずですし、連携というのはどうやってこられたんでしょうか。それで、どうやっていかれるつもりかというのをお伺いしたいと思います。

吉田政府参考人 今委員御指摘のように、農業現場における野生鳥獣、特に今話に出ていますシカ、イノシシ、猿の被害というのは非常に深刻でございまして、営農意欲の減退、それが高じて耕作放棄地の一因にもなっておるという実態はまさにそのとおりだというふうに思っております。

 このような被害防止を図るためには、個別の対症療法的な措置ではなくて、やはり動物の行動様式なり生態特性、こういうものに立脚した技術体系を構築する必要があるだろうというふうに考えておりまして、農林水産省の方でも野生動物の生態特性に応じた技術体系の確立ということに取り組んでまいっております。

 例えば、GPSあるいはGISを活用して野生動物の行動域を把握する手法ですとか、あるいは侵入防止効果の高い猿用の電気さくですとか、イノシシ用の返しつきのワイヤメッシュさく、こういったものの被害防止技術といったような成果も既に出てきておるところでございます。

 今年度から、こういう成果を踏まえまして、新たなモデル事業としまして、環境省とも連携いたしまして、県域をまたがる広域地域を対象にしまして地域参加型の鳥獣害情報マップをつくりまして、それをもとに総合防除技術体系を確立していこうというモデル事業を立ち上げたところでございます。

 もう一つ、今もちょっと申し上げましたけれども、関係省庁との連携というのは非常に重要だと思っております。後ほど環境省の方からも御発言があるかもしれませんけれども、関係省庁連絡会議というものを平成四年度から、これは事務局は環境省でございますが、まさに農林水産省も一体となってそれをやっておりますし、中央だけではほとんどこれは意味がありません。現場でやらなきゃ意味がありませんので、地方農政局単位でもそのような関係機関を集めての野生鳥獣対策連絡会議というものを設置してやっておるところでございます。

 それから、こういった連携の一環といたしまして、昨年度、農林水産省では、環境省の参画も得まして、鳥獣による農林水産業被害対策に関する検討会を開催しました。まさに環境省との連携のもとでこういう検討会を開催させていただきまして報告書を取りまとめたところでございまして、こういった報告書に立脚して十八年度以降もしっかりと取り組んでいきたいというふうに思っております。

篠原委員 仲よくやっていただきたいと思います。

 今伺っていますと、農林水産省も大変だろうと思います。農業改良普及員が多分技術対策なんかでは中心になっていると思うんですが、人数も予算も減らされるばかりで、これは非常によくないことだと思っております。

 この鳥獣保護、野生生物保護にしておきます。鳥獣というのはちょっとよくないので、もうこの言葉は私は使いません。これは、工夫すれば幾らでも人は集まるし、行政が変わるんですよ。やはり人なんですよね。いろいろな検討会の報告なんかでもそれが書かれている。例えば、このまま十年後になったらこんな野生生物の保護の検討会も開かれなくなってしまうんじゃないかという議論もあったというふうに伺っております。

 これはいい例がありまして、食育基本法というのができました。あちらの方で、では食育をやる人をどうしているかというと、栄養教諭というのを置こうと。養護教諭というのがいましたけれども。でたらめな食生活に堕している、それで学校給食を直していかなくちゃいけないということで、栄養士さんじゃなくて栄養教諭というのを置こうと。そこは、ですから、女子大の食物科学科とか食物学科の人たちは意気が上がっているわけです。私たちの出番だということですね。それと同じことをやっていただきたいんです。

 それで、その母数になるものですけれども、ちょっと調べましたら、今、獣医関係学部は十大学ありまして、六千四百八十四人が在学している。六千人強ですよ。そして、女性が何と二千九百七十八人、三千人近くです。女性は何で獣医さんに、これは獣医さんになりたくてじゃないんですね。これはまたちゃちなんて言っちゃ悪いんですが、動物がかわいいので獣医学部という、これでそのままいって職業にちゃんとつけるか私は疑問に思うんですが、しかし、そういうけなげな人たちがいるので、そういう人たちにちゃんと働き場所も確保してやらなくちゃいけない。

 こんなところで先進地なんて言っちゃよくないかもしれません。大変なところということですけれども、島根県、兵庫県、三重県というのはこの関係の先進地で、ちゃんと中山間地域研究センターがあって、鳥獣対策チームとかいうのがあって、この前参議院の参考人質疑で金森弘樹さんという方が来て、いろいろ述べておられました。だから、簡単でして、こういう人たちを、県でもいいです、国でもいいですよ、職種でちゃんと採用する。南川局長はさも知ったかぶってぺらぺら答えていますけれども、科学的な知識なんかそれほどないと私は思いますよ、言っちゃ悪いんですが。

 やはり、ちゃんと技術的な知識を持った人たちをいっぱい採用しなかったら進んでいきません。国が率先し、県が率先してこういう人たちを採用するんだ、職種を設けて。今鳥獣保護員なんていって、臨時でやっているんじゃなくて、私は猟友会の人でもいいと思います、ちゃんと処遇して採用する。それから始めて地方の、農業ばかりじゃなくて自然も守らなくちゃいけない、地方の雇用の確保にもなって、市町村や何かにも置いていくようにすればいいんですよ、栄養教諭と同じように。多分、栄養教諭はこの五年で相当小中学校に置かれていくと思います。それと同じことをこの野生動物の保護の分野でもやっていいと思うんですが、いかがでしょうか。

竹下大臣政務官 確かに先生がおっしゃるように、島根県には中山間地帯の研究センターがあって、さまざまな研究者が集まっていろいろなことを研究しております。イノシシの肉をうまく食えるかというところまで踏み込んでいろいろ議論してはいるんですが、研究センターをつくっても、いい学者を集めても、では中山間地帯をどうするんだ、どうすれば本当に活力が出てくるのかという方向がなかなか見えないという悩み。

 ただ、一つだけ言えることは、集落営農なんかを考えるに当たって、中心になってやれる人がいる集落は動くんです。中心になってやれる人がいない集落は、残念ながらどんどん衰退をしていくという実態もあります。

 ちょっと前が長々となりましたが、鳥獣保護員の件でございますけれども、狩猟期間の関係もありまして、取り締まり事務の補助が必要な期間は、どこでも一緒というわけではない、あちこちによって違っております。ですから、柔軟に対応できるということもやはり考えていかなきゃならぬ。全員が常勤の鳥獣保護員ではなくて、非常勤という対応もやむを得ないかなというふうに思っております。

 今、基本指針では、おおむね一市町村一人というのがめど、これはほぼ三千三百市町村あったときのめどが一市町村一人でございますので、現在のところ、三千二百三十四人鳥獣保護員の方がいらっしゃるわけですが、合併でどんと市町村の数が減りますから、減れば減ったでいいじゃないかというわけになかなかいかない。相当広い地域もカバーしていかなきゃならぬものでございますので、これをどうするか。合併への対応というものも考えていかなければならない。

 ひどい言い方をしますと、道路担当者が兼任でやっているというような田舎もないわけじゃないんです。ですけれども、例えば東京都の場合は、公募制で、文字どおり、知識あるいは経験のある人を採用していこうというような動きも出始めております。資質の向上というのは重要な課題でありますし、専門的な知見を有する人材を、鳥獣保護員とは別の形で常勤職員として都道府県に配置することも促進する必要があると認識をいたしております。

 環境省におきましては、そうした状況を十分検討いたしまして、各都道府県に対しまして、先ほどお話ししました基本指針、今のところは一市町村一人をめどということになっておりますが、新たなものを提示していかなきゃらぬ、こう思っております。

篠原委員 人の確保というのに全力を挙げていただきたいと思います。

 それから、今もそうなんですけれども、これからは提案の質問をいたします。

 犬の問題があるんです。ちょっと資料を見ていただきたいんですが、資料の1、2、3、1と3が特にそうですけれども、私の地元の信濃毎日新聞の一番最新の五月二十五日版。こんなのはしょっちゅう載っているんです、あちこちの被害が。これはいい方でして、モンキードッグ、猿犬というんですけれども、何だかわけがわからないのですが、猿を追い払う犬というので大町市がやり始めたんです、ほかのところもそうなんですが。それで、三ページ目にそのことが書いてあるわけです。犬を公募して訓練してやるというんです。公募というのは、政治家だけじゃなくてやっているんだなと。

 私は、これは非常に疑問に思うんです。小さいころ、私も飼っていました。犬なんか鎖につないだことはないですよ。畑に行くときはのこのこついてきて、それが悪さをして、たまに鶏小屋を襲ったりして、このばかと言って、さんざんひっぱたいて、そうすると二度とやらなくなる。別に訓練士でも何でもないんですけれども、そんなのは簡単に訓練できるんですよ。

 ところが、これまた都会の論理で、いつのころからか鎖につないでおかなくちゃいけないという法律ができて、それで、きのうの夜、すったもんだしたんです。いや、それは厚生労働省の所管だ、いや、環境省だとか、さっぱり答える人も決まらないんです。おかしいと思うんです。田舎と都会とを分けて考えてもらわなくちゃ困るじゃないか。犬がその辺でちょっと小便をして、小便なんて使うのはいけないのかもしれませんけれども、犬のにおいがしたら猿なんか来ない。それが今できなくなっちゃっている。そういうのを考えたらいいんだ。

 それで、私のところに、「北越雪譜」を書いた鈴木牧之という人が、栄村という豪雪地帯、「秋山紀行」という秋山郷を書いたものがあるんですけれども、こんなのはどこでも同じですよ。我々は今初めて知ったような感じで猿を追い払うのに犬を使えばいいなんて言っていますけれども、ししおどしじゃないですけれども、同じことを言っているわけです。その中にもう、中山間地域、山の中に行くと犬が全部飼われている、そして、それは何のためかというと、イノシシを、猿を、シカを追い払うためだと書いてあるんです。だから、昔の知恵をそのまま生かせばいいんですよ。

 それを、かまれて亡くなる人がいると。では、何人いるんだと言ったら、かまれるのが六千六十七件あって、死亡が七件あったと。これは大事な問題だと思いますけれども、だからといって、全部犬を鎖につなげておかなくちゃいけないというのは、それは非犬道的な措置だと私は思います。動物愛護の点から私はいけないことだと思います。

 それで、こういうのをちょっと工夫したらいいんですけれども、この点はどのようにお考えでしょう。私は、これは全く都会の論理を田舎に押しつけている悪い例だと思うのですけれども。

南川政府参考人 飼い犬を放すことについての直接の規制はございません。

 まず、狂犬病予防法でございますけれども、これにおきましても、犬の放し飼いというのは禁止をされておりませんが、ただ、公衆衛生の観点から、狂犬病予防法の登録を受けていない犬を抑留することができるというふうになっておりまして、登録を受けていない犬が歩いていれば、それを担当の人が捕まえることができるという規定だけでございます。

 それから、動物愛護管理法でございますけれども、この中でも犬の放し飼いについて禁止するという規制措置はございません。

 したがいまして、法律上、直接犬の放し飼いを禁止する規定はございませんが、現実には、地方公共団体の条例で、都市部中心に多くの場合がリードがなければだめだというふうな規制がなされているというふうに承知をしております。

篠原委員 こういう答えだから私は頭にくるわけですね、国は規制していないと。これはほかのところにもあるんですけれども、私はいつも穏やかに質問をしているんです。しかし、今、現実にそうなんだろうと思います。

 それで、長野県はまじめな県ですから、私もその一人ですけれども、昭和三十三年に飼犬管理条例というのをちゃんとつくっているわけです。「飼育者は、次の各号に掲げる場合を除き、飼犬を常にけい留しておかなければならない。」と。次というのは三つあって、警察犬、狩猟犬とか、それから競技会に出すときとか訓練するときとか、それ以外はつなげておかなくちゃいけないと条例でやっているんですよ。だから、まじめな人たちはこれをずっと守ってきているわけです。

 やはりこれはおかしいので、もし本当に国がやっていないんだったら、それでいいんだと言ってもらわないと、逆に、まじめな人たちはいけないんだと、県の担当者もまじめですから、国が言ったことに従ってということでやっているわけですから、これはぜひ直していただきたいと思います。

 これは、放し飼いにしてというか、畑に行っているときに犬が周りでうろうろうろうろしている、それで、帰りにまた一緒に、鎖なんかにつながなくても家は知っていますから帰ってくるわけですよ。それだけで全然違うんですね。そういう風習が、私はその因果関係は完全に把握しているわけじゃありませんけれども、そういうのが絶対にあるかと思います。

 次ですけれども、もう一つ資料を見ていただきたいんです。私は、これは激励の提案ですけれども、この前、入れたのに説明し忘れましたので、資料の4のところを見ていただきたいんです。

 一九九六年、まだ環境庁時代に霞が関ペンの会というのがあって、これはちょっと物を書いていたりする役人が集まりまして、霞が関から世の中を変えるというのを役人稼業だけやっていたんじゃだめだから発信していこうということで、この会長は、環境省の皆さんは皆御存じだと思いますけれども、山内豊徳さんでした。どういう亡くなり方をされたかというのは皆さん御存じだと思うんです。立派な先輩で、企画調整局長でして、水俣病の関連のことをやっておられました。この方が会長で、私はその中の末席を汚しているペンの会の会員で、弁が立って政治家にもなってしまったんじゃないかと思いますけれども。済みません、つまらない冗談で。

 「環境庁が最大の公共事業を担う」というのは何を申し上げたいかというと、この前の地球温暖化防止対策や何かの延長のことなんです。やはり環境問題というのは、すべての行政にかかわる大問題になってきているんです。そして、この法律は、生物の多様性の確保というのをきちんと法律の目的に入れたわけです。ですから、このことを念頭に入れて、公共事業についても、いかがわしい公共事業はチェックする。

 いかがわしいというのはどういうのかというと、三面コンクリートにしてドジョウもフナもすめないようにする公共工事はやめろ、それから、海岸線保全事業だといって、ウミガメが来る海岸を全部だめにするとか、そういうようなことに常に目を光らせていく。そんないかがわしい公共事業をやっているところは、環境省がミティゲーションとかいうので環境回復とかをやっていますけれども、環境省がもっともっと前面に押し出していっていいような気がするんです。

 それで、地球環境を守るというのも一つありますけれども、野生生物の保護というのは住民の理解が私はもっと、身近だから得られやすいんじゃないかと思います。田舎にも、それは農作物の被害で困っている人もいます。それはちゃんとしてほしい。しかし、その人たちだって、農家だってむやみやたらに殺していいなんて思っていないんです。被害さえ生じなかったらいていいんだ、そういうことがあるわけですから、環境省が前面に出て、行政に口を挟んで、生物の多様性の確保、この法律の場合でいうと、野生生物の保護に力を発揮していくべきだと思いますけれども、この点について大臣の御決意をお答えいただいて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

小池国務大臣 今回の鳥獣法の改正ということで、まずはネーミングから変えよというお話でもございましたけれども、私は、でも、鳥獣でそもそもいいんじゃないかなと。特に今回、鳥であるとか、まあ、けものということにひっかかっていらっしゃるのかもしれませんけれども、両方相まってカバーしているのではないかなとまず思っているのが一点。

 それから、ここでSIIの話などがございますけれども、いずれにしても、予算の分捕り合戦のために、SIIだとかそれからウルグアイ・ラウンドだとか、何だかその看板はばんと立てるんだけれども、どうもそれに使われるのにフィロソフィーがないということなんだろうと思うんですね。そこにこれからは、まさにフィロソフィカルなお集まりであるこの環境委員会におきまして、環境ということを柱にして必要な公共事業をもっと進めていくというのは、それは一つ明確なお考えだと思っております。環境保全のために何をすべきかというところから発展をしていくことが結局、今、持続可能な社会づくり、サステーナブルというキーワードがありますけれども、これを実現していく一つの考え方になるのではないかなと思っているところでございます。

 それから、今回の法律の改正でありますけれども、そもそも、イノシシやシカや何やかんやは、別に人間の農産品をぐちゃぐちゃにしてやろうとかそういうことを考えているんじゃなくて、彼らも生きるのに必死なわけで、それが何か生きづらい社会になっているということ、それこそが、環境破壊であったり里地里山が放棄されているという現状なのではないのかなと思っております。

 ですから、この法改正もさることながら、全体的に、日本の自然環境はどうやったら守られるのか、そういう大局の論からも進めて、そして、この今回の法改正とうまく合致するような点を見つけていくことが必要である、このように思っております。

篠原委員 いきなり地球温暖化防止とか言ってもぴんとこないので、私が申し上げたかったことは、野生生物の保護という具体的なことを前面に出してやっていったらもっともっとうまくいくんじゃないかなという気がします。人材の確保と、この点について全力を挙げて取り組んでいただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

木村委員長 次に、田島一成君。

田島(一)委員 民主党の田島一成でございます。

 本日は三十分という非常に短い時間でございますので、またこの後質疑も引き続き行われるということを前提に、私の方からこの鳥獣保護法改正について質問を始めさせていただきたいと思います。

 振り返りますと、先週、私たちこの環境委員会では、容器リサイクル法の改正を全員賛成という形で通したところでありました。その折には、附帯決議として前代未聞と言われた十九項目をつけさせていただくことができました。大臣も、その全員一致の附帯決議が通った段階で、その実現に向けて努力をするという決意もお述べいただいたところでありますから、私ども、十九項目という非常に大きな量の宿題と申しますか、お願いとして、環境委員会として示したところでありますから、ぜひ頑張っていただきたいな、そういう意味では、改めて国会の権威としてこの附帯決議を十分に尊重していただきたいという思いでいたところでありますが、今回のこの鳥獣保護法、実は、議論するのは今回の改正が決して初めてではございません。これまでも、それこそ一九九九年また二〇〇二年にもそれぞれ議論がなされる中で、附帯決議がつけられてまいりました。この附帯決議を一つ一つ項目別にひもといていくには時間が、多分今週いっぱいあっても足りないような気がいたしますけれども、振り返ってみますと、この一九九九年また二〇〇二年につけられた附帯決議、実効性はどこまで高まったのだろうか。

 当時は小池大臣はまだ大臣ではありませんでしたから、私は知りませんで済むかもしれませんけれども、やはり国会の権威というものと、それから委員会で決議をされたということの重さを考えると、この附帯決議の進捗というものを振り返ったとき、非常に残念な気がしてなりません。その点、冒頭、まずどのようにお考えか、お聞かせをいただけますか。

南川政府参考人 私自身は、九九年、二〇〇二年、直接担当ではございませんでしたが、官房におりましたし、経緯も含めて承知をしておるつもりでございます。その上で、今回でございますけれども、見直し期限が来たということで、その附則に忠実に、職員を督励しまして、附帯決議についての対応はもちろんでございますし、その他さまざまな方面からの指摘がこの問題でなされておりますが、それをすべて点検した上で、とにかく今できることを全部やろうということでやってきたところでございます。

 附帯決議、ちょっと今、逐一は私申しませんけれども、私どもとしては、一つは、今回の法律である程度はお答えをしているつもりでございますし、当然これから、年度内あるいは年内に基本指針を見直し、また来年度からの特定計画策定に向けてのマニュアルも改正していくということでございます。

 それから、この法律が制定すればということでございますけれども、通りますれば、それを受けたさまざまな規則の改正を行いたいと思っておりまして、その中では当然、わなの扱いの問題とか構造基準とかそういったことも対応していくということを考えておりまして、もう少し長い目で見ていただければ、私どもとしては、あと半年ぐらいのタームをもって見ていただければ、私どもなりに精いっぱい対応をしているということがきっと御理解いただけると思いますし、そのように努力をしていきたいと考えております。

田島(一)委員 精いっぱい対応をということで、また後々、その項目で特筆すべきことについては質問の中に織りまぜていきたいというふうに考えるんですけれども、私が先ほど申し上げたのは、この国会、この環境委員会で決議をされたということをどれぐらい重きを置いていらっしゃるのか、議決されたことがどれほど重要性を認識していらっしゃるのかという点について少し疑問に思う点がほかにもあります。

 と申しますのは、中央環境審議会の野生生物部会、そしてその野生生物部会の中に設けられている鳥獣保護管理小委員会についてであります。実は、環境省がもう報道発表されているわけで、この資料、ホームページで拝見いたしますと、野生生物部会が五月三十一日の十時から、そしてこの鳥獣保護管理小委員会が同日の十三時から開催をされるようになっています。何が議題かなというふうに見てみますと、鳥獣の保護を図るための事業を実施するための基本的な指針についてということが議題に上っているんですね。

 三十一日といえばあしたです。まだこの委員会で鳥獣保護法の改正法は審議が終わっていないにもかかわらず、なぜこの野生生物部会であるとかこの小委員会でこれが議題に上るのか。この先、私たちのこの委員会でいろいろな意見がまだ出てくるでしょう。検討課題も浮上してくると思います。にもかかわらず、この審議の中途で、いきなり審議会の部会に、小委員会に諮られるということは、本当にこの国会の審議というものを尊重していただいているのかどうか、私は非常に疑問に思うんですけれども、どのようにお考えですか。

南川政府参考人 済みません。あしたの審議会の材料を今持っていませんので、一字一句覚えておりませんけれども、審議事項が幾つかございまして、その中では、特定の、例えばサンショウウオの生息地の保護計画とか、三つほど実は個々の鳥獣保護のマターがございます。これは、したがって制度論とはまた別でございます。

 それから、最後の一点は、いずれにしましても、今年度で特定計画が一たん失効します。その上で来年度から新しい特定計画をつくっていただくということになりますので、それに向けての指針ということについては今回の法改正とは別にやらざるを得ないということで、私どもはその見直しをスタートするということでございます。

 もちろん、法律が通りますれば、それについては後々、検討内容にはそれを受けた検討が加わってくると承知しておりますけれども、当座のスタートとしては、当然ながら、今回の法制度と離れた形でまずスタートをしたいというふうに考えておるところでございます。

田島(一)委員 先ほどおっしゃったサンショウウオであるとかアホウドリ云々については、これは野生生物部会の中で議題として確かに上っています。しかしながら、小委員会の中では、「鳥獣の保護を図るための事業を実施するための基本的な指針について」ということで、検討課題、検討体制、検討スケジュールということで、今回のこの法改正も絶対考えていかなければできない話ですよ。

 こういうような中身が小委員会の中で早速、まだ議論が終わってもいないあす開かれる、これは国会を冒涜しているとしか私は思えないんですけれども、本当にあしたはこの改正の中身について触れないとお約束できるんですか。

南川政府参考人 当然ながら、今回の法改正についてはまだ審議途中でございますので、そのようにするつもりでございます。

田島(一)委員 いずれにせよ、こういうややこしく、まだ審議の最中のときにこうやって開催をされるということが、こういうような誤解だとかも招くわけであります。急いで何としてでも開催をして進めていかなきゃいけない、その誠意と前向きな姿勢は評価をいたしますが、どうぞその辺、今どういう時期にあるのかということを踏まえていただいた日時の設定にぜひ配慮をしていただきたい、これは私からの要望であります。

 さて、本題の方に入らせていただきたいと思います。

 九九年の鳥獣法改正論議の際に、広域調整の仕組みというものが議論されてきたと聞いております。中国山地におけるツキノワグマについては、三県が合同して特定鳥獣保護管理計画が策定もされました。また、この後話を出したいと思っておりますカワウについても、去年の四月に、環境省、国交省、水産庁が、関東近辺一都九県に声をかけられて広域協議会をつくられましたし、私の地元、滋賀県の琵琶湖でも大きな被害が出ておりますが、近畿、中部地方の十五府県がこの五月から広域協議会をつくろうという動きに入っているように聞いております。

 十八年度まではこの広域協議会に国の予算がしっかりとつけられていたんですけれども、果たしてこの先どうなっていくのか。ツキノワグマであるとかカワウといったような県境を越えた取り組みが必要なものについて、果たして環境省がどこまで思い入れを持って取り組もうとしているのか。具体的にカワウであるとかツキノワグマ以外に広域協議会をつくろうという動きがほかにあるのかどうかもあわせて、ぜひ現状をお聞かせいただけますか。

南川政府参考人 お答えいたします。

 まず、この協議会、田島委員御指摘のとおり、関東地域と中部、近畿地域で設立をしております。

 それで、これ自身は、私ども、できますれば鳥獣保護法三条に基づきます国の基本指針という中で位置づけたいと。

 従来のように、これまでは、大事であるけれども制度的にどこを見てもない、要は、実質的に十都県あるいは十数県が集まって、それに国が入って対応しておるということでなくて、明確に基本指針に位置づけたいと思っております。そうでなければ、保護及びその管理というものは図られないというふうに考えておるところでございます。

 予算は、広域分布型鳥獣保護管理対策事業ということで、十八年度七千六百万でございます。来年度以降につきましては、新年度でございます、単年度予算の建前でございますので、これについてはどういった形で対応するか、これからよく検討してまいりたいと思っております。

 いずれにしましても、カワウなどの問題、大変大きな問題でございます。現時点でカワウとツキノワグマ以外を具体的に想定はしておりませんけれども、当然ながらふえてくることもあるというふうに思っておりますので、こういったこれまでの検討を大事にした上で、さらに来年度以降のことを考えていきたいと思います。

田島(一)委員 ぜひこの基本指針に書き込んでいただいた上で、環境省として、県域を越える被害対策であるとか広域協議会のあり方というものをしっかりと位置づけていただいた上で予算を確保していただきたい、このことは強く要望をしておきたいと思います。

 さて、今話に出しましたカワウでございます。

 きょうは珍しくカラーコピーをした資料をつけさせていただきました。大臣も、かつて琵琶湖には何度かお越しになられたというお話を他の法案審議でさせていただいたと思うんですけれども、竹生島というのは、上陸されたことはありますか。

小池国務大臣 行ったことはありません。

田島(一)委員 実は、簡単に申し上げたいと思うんですけれども、この資料の一番、これは、琵琶湖の北部に浮かんでいる面積約十四ヘクタール、周囲が約二キロぐらいの小さな島でありますが、この小さなひょうたん形の島に国宝の建造物が二つある、そんな島であります。

 今現在、人はだれも住んでいらっしゃいませんが、一枚めくっていただくと航空写真が目に入るかと思います。この真ん中から右に写っている屋根、これが神社とそれから寺、仏閣でありますが、この左からずっと湖岸線に沿ったところの、緑の色が随分変色しているのをごらんいただけるかと思いますが、この緑色でない部分がカワウによる樹木の被害であります。

 どうしてカワウでこんな被害が起こるのか。カワウが営巣のときにこの樹木を巣に使って、木をとる、それだけではなく、ふん害が余りにきつ過ぎるからということで樹木が枯れ果てております。もう一度表の写真をごらんいただきたいと思いますが、四番のこの写真、もう完全に木は枯れておりますけれども、カワウがこのようにして巣をつくっております。

 三番の写真、これは実は二十八日に、私、地元の漁協の方の協力をいただいて、漁船で現地を一周回ってきたときに撮った写真なんですけれども、まだこんな数では御理解いただけないと思いますが、ヒッチコックの「鳥」という映画を思わせるような、それこそ空一面、真っ黒になると言っても大げさではないぐらいの数のカワウが、コロニーと化した竹生島をねぐらにしております。

 夜明けとともにこの巣を飛び立ち、琵琶湖の湖魚、とりわけグルメだと言われておりますから、アユそれからモロコ、ニゴロブナ等々、高級魚と言われているものを食って生き長らえておりますが、実は、滋賀県の漁獲高とほぼ同じぐらいの量をこのカワウだけが食べております。琵琶湖のアユそれからニゴロブナ等々、カワウと人間が半分ずつ分け合っているような状況に今あります。

 次のページの五番をごらんいただきますと、四番を大きく引いた写真でありますが、このように樹木は完全に枯れ果て、そして黒々としたカワウだけが点々と見えるような状況であり、下の六番をごらんいただきますと、まだ緑、木があるじゃないかと思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、これは実は完全な下草であります。雑草が生い茂っているだけで、樹木はごらんのとおり、立ち木は全部枯れ果てている、そんな状況でありますし、下の写真でもおわかりのとおり、岩ばかりで成り立っているような島ですから、この樹木が枯れてしまうと、支えていた根が枯れ、ついには崩落の危機にも瀕しております。

 あげくの果て、国宝級の神社仏閣のひわだぶきに穴があくというような被害も出てまいりまして、表の二番の方にあるように、実はワイヤでネットを張りめぐらして岩の崩落を防ごうとしているような状況であります。

 かつては深緑の竹生島と親しまれ、謡曲をやっていらっしゃる方はだれもが御存じのこの竹生島も、もはやこの緑がなくなっていくのは時間の問題であろうというふうにも言われていますし、漁業関係者は、それこそ、花火であるとかパチンコであるとか、またいろいろな手を尽くして追い払おうとしても、結局は何ら効果のない状況であります。

 こういう状況を見るにつけ、地元だということはもちろんでありますが、漁業被害だけではなく、この国宝級の文化財を守るという点からも、また、深緑豊かな竹生島の自然自体、今、このカワウによる被害がここまで大きく拡大をしてきたということをどのように受けとめていただいているか、ぜひ御答弁をいただきたいと思います。

南川政府参考人 カワウ、私も、実は、三十一年も前に役所に入りましたけれども、そのときに、カワウというのは三千羽程度しかいないということで、日本からはいなくなるんじゃないかという話もございました。そういうことだったんですけれども、その後、一つは、随分水がきれいになったということで食べ物がまたとれるようになったということと、あとは、幾つかの自治体が中心になりまして、随分人工的にコロニーをつくった、そういったことが、結局、功を奏しまして、現在では、最低でも六万羽、それを大幅に超える十万羽程度いるという説もございまして、三千から十万ですから相当の数に、倍数にふえたということでございまして、その結果、大変な影響を今及ぼしているということでございます。

 私は、実は、竹生島、最近は行ったことはないんですが、数年前に伺ったことがございます。今の写真を見ると、その当時と随分違う、五年か六年前ですが、随分違うという印象を受けます。それから、今回の法改正に際しまして、幾つかの川、漁場を見に行きまして、淡水養魚場でいかに漁師の方が苦労してカワウを追っ払っておられるかということも拝見をいたしております。

 したがいまして、先ほど申しましたように、広域ベースで対応する。カワウは、すむところとふんをするところと随分違います。魚をとるところも違いますので、広域で対応できるようにするということもございますし、また、心理的に、カワウをとることについてちゅうちょするという向きもございます。

 先日、滋賀県の幹部の方ともお話ししたんですけれども、狩猟鳥獣化するということも一つの案だと考えておりまして、そういったことも法律が通ればぜひ議論をしていきたいということでございます。カワウについて大変大きな問題意識を持っております。

田島(一)委員 カワウ対策の予算というのが打ち切られたというふうにも聞いております。言葉では重大だというふうに認識をおっしゃるわけなんですけれども、本当に、これは滋賀県だけで手を打っていてもどうしようもないことなんですね。バンディングをされたカワウが全国でどこまで散らばっているかという調査の結果を聞かせていただくと、西は広島、四国、そして東は栃木県にまで及んでいる、そういう広域的な移動性の鳥獣のカワウであります。

 こう考えると、本当にこの広域協議会というものが十分に機能するのかどうか。そして、例えば愛知県などではレッドデータブックにまで上げられている鳥、それがこのカワウでありますから、よその府県の被害を防ぐためにその地元の県民税等々を使うわけにはいかないというのも、これまたうなずける、道理の通るような話であります。そうなると、だれがこの被害対策をするのかといったら、やはり広域的な観点から、環境省なり、水産庁なり、農水省なりが本当は手を打っていかなきゃどうしようもないことではないかと思うんですね。

 竹生島にまだお越しでない大臣、このあたりの状況というものを、この写真の数枚では御理解いただけないかもしれませんけれども、この被害対策についてどのようなお考えかをぜひ聞かせていただきたいと思います。

小池国務大臣 カワウについては全国的に被害が及んでいるということ、自民党では、宮路先生が私とすれ違うたびにカワウ、カワウといって叫んで、だんだん宮路先生がカワウに見えてしようがないんですけれども、そんなことを言ってはいけませんね、大変な被害であるということはよく認識をいたしております。

 そこで、環境省としても、中部近畿カワウ広域協議会、全国そのほかございますが、において検討されております広域的な保護管理指針を、今後国の指針に位置づけるといったことであるとか、今年度、十八年度から着手している広域分布型鳥獣の保護管理対策事業の活用といったことを通じまして、カワウの適切な保護管理に努めてまいりたい、このように考えております。

田島(一)委員 カワウで随分時間をとってしまいました。申しわけありません。

 実は、この今回の特定鳥獣保護管理計画、これからまた策定もされていくと思いますけれども、それぞれの各地でいろいろな検討会が開かれているかというふうに思います。

 どちらかというと、この鳥獣保護員も、ほとんどがいわゆるハンター、猟友会の方々であったりと、その専門性の部分では随分偏りがあるのではないかというような気がしております。ある意味では、この鳥獣保護という観点に立って活動を続けていらっしゃるNPOだとかNGOの皆さんの参加をさらに促していく必要があろうかというふうに思うわけですけれども、今後、どのようにして、こうした民間で頑張っている方々の意見を取り入れるような場をつくっていくか、その辺の思い入れがありましたら、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。

南川政府参考人 御指摘のとおり、私ども環境省で決めます基本指針の中で、特定計画をつくっていく、また実行手続をするという中で、その科学的知見及び地域に根差した情報に基づいて合意形成を図るんだということで、学識経験者、関係行政機関、農林水産業団体、狩猟団体、自然保護団体、地域住民などから成る検討会を設置して、検討、評価するんだということで定めるところでございます。その中で、当然ながら自然保護に関するNGO、NPOが含まれ、その役目を果たしておるというふうに感じておるところでございます。

 この特定計画の目標達成につきましては、個体数管理、生息環境管理、被害防除対策を総合的に行うことが必要でございまして、こういった事項に関する知見あるいは技術を持つNGOも含めた関係主体の参加を得ることは大変望ましいことでございますので、こういった参画についても、今検討を始めます基本指針の中でもきちんと位置づけていきたいと考えております。

田島(一)委員 ありがとうございます。

 この鳥獣保護並びにこの世界での専門家といいますと、やはりまだまだ底辺が広がっていない現状にあろうかというふうに思います。

 そんな中で、この鳥獣害対策では普及指導員が関与しているということも聞いておりますし、その普及指導員の仕事の割合というのも随分幅広くなってきて、専門性が要求される状況にあろうかというふうに考えるわけですけれども、普及指導員が参加して、具体的に鳥獣保護の管理計画を立てたというようなケースはありますか。

南川政府参考人 恐縮ですが、どのような形で正式に参加しておるかについては、しっかりとしたデータは持っておりません。

 ただ、私ども、担当ベースで都道府県とは連絡をとっておりますけれども、その中で、普及指導員という方に、例えば、侵入防止さくの防除技術の実証をしていただくとか、それからその特定の鳥獣が嫌いな食べ物を周囲に植えて、核心部のおいしいもののところに入れないようにする技術とか、そういう作付体系の見直し、そういったことがモデル的に行われておりまして、そういったノウハウを持った普及指導員の方が具体的な技術の普及に努めていただいているということで聞いております。もちろん、特定計画を来年度からまた新しくし出しますので、その際には、こういった方が参加できるようなことをぜひ考えていきたいと考えております。

田島(一)委員 時間もありませんが、最後に被害対策についてちょっとお尋ねをしたいと思います。

 先ほど鳥獣保護員の公募制という話、政務官の方から御答弁をいただいて、既に東京都でも実施されているこの公募制は検討をしていかなきゃいけないというような趣旨の内容だったかというふうにも思いますし、鳥獣保護員という形ではなく別の形で配置を促進していきたいという御答弁をいただいたかというふうに思います。

 政務官でなくても結構です、具体的にどういう形でこの鳥獣保護員の役割を担うような方々を配置しようと考えているのか、お答えいただけますか。

南川政府参考人 鳥獣保護員の公募につきましては、東京都のみならず三重県でも現在進められておりまして、これから徐々に広がっていくというふうに考えているところでございます。

 ただ、鳥獣保護員だけでは限界もございますので、私どもとしては、鳥獣の保護に関する普及啓発あるいは地域的なアドバイスを行っていく、そういった専門的な人材の確保ということも必要だと思います。例えば、登録制のような形をとって、より現場に近いところでアドバイスできる人のリストをつくって、その方に応援していただく、そういったことも含め、今、見直しをしたいと思っています国の基本指針の中で明らかにしていきたいし、そこをぜひ活発に議論していただきたいと考えております。

田島(一)委員 時間も参りました。

 とにかく今回の法案で一番議論しなきゃいけないのは、人材をどのようにして養成していくのか、それと、予算をどのようにして確保していくのかという点が一番大きな問題点であろうかというふうに私は思います。

 鳥獣保護員も、合併の話を先ほど政務官もおっしゃいましたけれども、合併しようがしまいが、鳥獣の状況は何ら変わりがありません。ましてや、一人当たり見なきゃいけない地域、現場を見なきゃいけないその範囲は何ら変わるわけはありません。鳥獣保護員という形で人員をふやすことができないのであるならば、先ほどおっしゃった登録制なんかで本当にふやせるような足場をしっかりとつくっていただかないと、今、ハンターも高齢化してきている、それから今の鳥獣保護員も高齢化してきているという現状からすると、本当に一日も早く手を打たなければなりません。

 これに到達するまでの科学的な知見を踏まえていただくことも考えると、大変だと思います。どうか一生懸命そのあたり取り組んでいただくことをぜひお願いし、きょうのところはこれで質問を終わりたいと思います。

木村委員長 次に、富田茂之君。

富田委員 公明党の富田茂之でございます。

 先ほど来の質疑を聞いておりまして、特定計画制度の充実とか、鳥獣保護員の機能の充実強化、また輸入の規制強化等について、同じような質問を予定していたんですが、ダブってしまいますので、できるだけダブらないように御質問をさせていただきたいと思います。

 最初に、国境を越えて移動する渡り鳥の保護をどうしていくかというような観点から、国際的な生態系ネットワークの形成が必要なんじゃないかというふうに考えます。

 調査室の方からいただいた資料にそこの部分が載っておりまして、「鳥獣保護区における保全事業」というような題をつけていただいて、十二ページに、実は私の地元のことが書いてありました。「国際的な取組に目を向けると、ラムサール条約登録湿地を増加させるとの国際的な取決めに基づき我が国においても登録湿地が増加しており、国指定鳥獣保護区については六十六カ所中二十一カ所が登録されている。このため、こうした鳥獣保護区については、国際的な責務を果たす意味からもより適切に管理していくことが求められている。」というふうに書いて、その後に、「例えば、千葉県習志野市の谷津干潟は、国指定鳥獣保護区に指定されているが、アオサの繁茂、腐敗による貝類やゴカイ等底生生物の死滅により餌資源が減少し、シギ・チドリ類の飛来数が平成十五年は同二年に比べると半分以下にまで減少しており、有効な対策が求められている。」というふうに指摘をしていただいております。

 実は、谷津干潟、私、昭和六十一年から六十三年までこの干潟の真ん前に住んでいまして、本当に多くのシギ・チドリが飛来して非常に雰囲気のいいところでしたが、今の調査室の方の指摘にありましたように、ぐっと減ってきている。この調査室の資料を見ますと、「環境省資料」というふうに書いてありますので、恐らく環境省の方で出した数字だと思うんですが、今、この谷津干潟に谷津干潟自然観察センターというのを習志野市の方で設置してあります。その観察センターの方にちょっとこの点はどうなっているんだというふうにお尋ねしましたら、環境省の調査よりもっと厳しい数値が出ていました。

 シギ・チドリも含めて、実は平成二年に八万三千二百七十九羽飛来していたのが、指摘のように、平成十五年には四万一千五百三十六羽と確かに約半分になっています。ところが、実は、平成五年、一九九三年には九万五千二百七十五羽、ここまでふえてきているんですね。平成五年までふえまして、昨年の数字をいただきましたら三万六百二羽。半分どころじゃない、もう三分の一以下に減ってきてしまっている。

 これは原因は何なんだということで、センターの方でも、環境省あるいは千葉県といろいろ連携して保全に当たっているわけですけれども、平成十三年から十五年まで、シギ・チドリ類の採餌環境調査、えさをどういうふうにとっているのかの調査をした。そうしましたら、アオサ発生部分での採餌行動が少ないことが判明した。採餌行動にアオサが影響していると認められるというような結果が出たようであります。アオサが繁茂して腐って、えさがどんどんなくなっていくからだんだん渡り鳥も来なくなるんだというようなことがわかった。習志野市でも環境省でも、このアオサの除去にいろいろ協力をしていただいて、いろいろな事業が進んでいるようなんですが。

 渡り鳥ですから、渡ってくる先の方の環境変化もあるので、この谷津干潟だけが環境が悪化しているから来なくなったんだということではないと思うんですけれども、やはりラムサール条約とか、二国間渡り鳥等保護条約・協定、あるいはアジア太平洋地域渡り性水鳥保全戦略等、いろいろな国際的な連携協力体制があるようですが、こういった中で、渡り鳥の追跡調査の調査研究とか、鳥獣の保護に関する情報交換、そういった協力体制をきちんとつくっていく必要があると思うんですが、そのあたりは環境省はどのように取り組んでいるんでしょうか。

南川政府参考人 お答えいたします。

 まず、千葉県の谷津の問題でございますけれども、これにつきましては、御指摘のとおり、ここ七、八年で急激にアオサが繁茂しまして、シギ・チドリの数が激減をしております。理由は、私ども現在調査中でございますけれども、多くの方が言われるのが、むしろ下水道の整備によって、かつては一部浄化槽あたりから流れておった水が流れなくなったということで、結局雨水以外が入らないということから、アオサがどんどん繁茂した。それで、窒息して貝類等がいなくなったというふうに今のところ聞いております。詳細にまた調べたいと思っております。

 そこで、御指摘の渡り鳥の追跡などでございますけれども、私ども、アメリカやオーストラリア、中国、ロシアとの間での二国間の渡り鳥についての条約あるいは協定を結んでおりまして、その中で、鳥類の保護あるいは共同調査を実施しております。

 具体的に、例えば、アメリカとでございますと、人工衛星を用いたアホウドリの渡り経路の解明調査を行っておりますし、日中間では、サギ類あるいはカモメ類について渡りの経路やあるいは越冬地、繁殖に関する調査を行っているところでございます。そのほか、さっき指摘ございましたアジア太平洋地域渡り性水鳥保全戦略というものを豪州などとつくりまして、その中で、シギ・チドリ類、ツル類、ガンカモ類についてのネットワークをつくっていまして、それについてもさまざまな調査研究を行っております。

 ぜひ、そういう渡りの経路を把握した上で保護をしていきたいと思っていますし、また別件でございますけれども、今言われています鳥インフルエンザの問題を起こさせないためにも、渡り鳥の経路というのははっきりと把握をしていきたいと考えております。

富田委員 これからもぜひしっかり取り組んでいただきたいと思うんですが、先ほど、谷津のセンターの方からファクスをいただきまして、ことしの谷津干潟は、冬季から春にかけて、昨年まで発生したアオサがほとんど発生しなかったと。このせいなのかははっきりはしないけれども、春の渡りの期間、三月から五月の時期にこれまでになく多くの水鳥を見ることができたというようなファクスをセンターの方で流してくれました。一時過ぎにいただいたんです。ただ、カウントデータがまだないので、どういうふうになるかわからない。ここもしっかり環境省の方と連携していただいて、去年どんと減っていますので、またそこがアオサが発生しなくてことしふえたということであれば、アオサ対策というのもまた取り組む必要があると思いますから、そのあたりについても、ぜひ千葉県や習志野市の方としっかり連携をしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 次に、特定計画制度の充実という観点で御質問させていただきたいと思いますが、先ほど副大臣の方で、都道府県の方がどのように取り組んでいるか、きちんと環境省の方で調査してフィードバックしています、また、技術マニュアルの見直しに今取り組んでいるので、そのあたりについても今後きちんとやっていけますというような御答弁をされていました。知事が策定する話ですから、余り環境省の方でこれやれあれやれと言うわけにはいかないんでしょうけれども、やはり国の役割というのを明確にしておく必要はあると思うんですね、この基本指針をつくっていく中で。

 科学的、計画的な保護管理を進めるためには、先ほど副大臣が言われたように、今見直しされているようですけれども、マニュアルをきちんと整備していく、また広域的な鳥獣保護管理に関する指針もきちんと国の方から提示する、またその上で、モニタリング手法もちょっと先ほど副大臣が述べられていましたが、そういうモニタリング手法等の調査研究についても、国でやっているものをきちんと都道府県に情報提供していく、こういったことが大事だと思うんですが、このあたりは今後どのように取り組まれていかれるのでしょうか、ぜひ教えていただきたいと思います。

江田副大臣 結論は、先ほど先生がおっしゃったように取り組んでいくつもりでございますが、都道府県が策定する特定計画というのは、野生鳥獣の個体数管理、生息環境管理、また被害防除対策を科学的、計画的に実施するための制度でございますので、環境省としましては、この特定計画の策定と実施を支援するために、ニホンジカ、ツキノワグマ、ニホンザル、イノシシ、ニホンカモシカ、カワウ、この六種類の鳥獣につきまして技術マニュアルを作成しているところでございます。

 この特定計画につきましては、平成十六年の十二月に取りまとめました野生鳥獣保護管理検討会の評価において、調査モニタリング手法の改善、また広域保護管理指針の検討、特定計画の技術マニュアルの見直し等の必要性が指摘されているところでございますので、この評価を踏まえまして、現在、特定計画の技術マニュアルの見直し、先ほど申したようなところでございます。また、広域保護管理指針の策定に取り組んでいるところでございまして、引き続き、この特定計画の効果が向上するように努力してまいりたいと思います。

富田委員 次に、鳥獣保護員の機能の充実強化についてお尋ねをしたいと思います。

 篠原委員また田島委員の方から質問がありましたけれども、やはり鳥獣保護員の活動というのは、本来の狩猟の取り締まりに加えて、鳥獣の保護管理に関する普及啓発や地域的なアドバイスが可能となるような、そういった意味での専門的な指導を含めた活動内容が必要なんじゃないかというふうに思います。

 先ほど来、専門性のある人材をどう確保するかという御指摘がありましたけれども、今のように、実際には猟友会所属の方、ハンターの皆さんが地域でやられている。そういった方が三千二百三十四名のほとんどを占められている。また、NGOの方からいただいた資料ですと、非常勤で、年間平均で五十日ぐらいしか活動していないんじゃないか、その資金も年平均で十四万円だということなんで、やはりそういった金額また活動日数では、こういう地域で十分な活動をしていくのは無理だと思うんですね。

 先ほど政務官の方から、鳥獣保護員という名前じゃなくても、別な形でも専門性のある人を活用していきたいというようなお話がありましたけれども、鳥獣保護員の中にある程度常勤の方、全員とは言いませんけれども、都道府県で何名かとか、特に必要な地域で専門性を持った方を常勤にするとか、そういった工夫がやはり必要になるんじゃないかと思うんですね。一般の方は非常勤でも結構ですけれども、やはり専門性を持った方をということになると、ある程度の常勤化というのを考えざるを得ないと思うんですが、そのあたりはどんな考えでしょうか。

南川政府参考人 これはさまざまな方法を考えていかないと、なかなか現場におけるスタッフの充実ということは難しいと思います。

 確かに、富田委員おっしゃられましたとおり、従来、狩猟者が多かったわけでございますけれども、普及啓発あるいはアドバイスということを考えますと、より専門的な知識が必要ということでございまして、東京都、三重県などでは実際に公募をしております。

 私ども、東京都の実例を見てみましたけれども、実際に、知識を有しているとか、熱意を有しているとか、あるいは時間的制約が少なくて、いざとなれば当初予定された時間以外にもかなりこの保護員の職務に従事できるとか、原則六十五歳未満でがんがん歩けるとか、そういった方を、これは文献と面接両方やりまして選んでおります。

 ただし、これ自身は、私ども、ぜひ今見直しをしたいと思っています国の基本指針の中に入れようと思っております。それ以外にも、現場でアドバイスできる者をたくさん置きたいと思っておりまして、何とか専門の方の登録を含めて考えたいと思っております。

 こんな時世でございまして、なかなか公的な仕事の方をふやすのは難しゅうございますけれども、やはり現場の手足がないと、実際の現場の知見がないと、なかなか状況の改善が難しい分野でございますので、それを踏まえた上でぜひ考えていきたいと思います。

富田委員 今局長の方から、現場を大事にするんだという御答弁をいただきましたけれども、現場でそういう保護員の方がふえていくのが必要だと思いますし、加えて、やはり行政側にも同じように専門的知識あるいは経験が豊富な人材というのが必要になると思うんですね。

 先ほど竹下政務官の方で、道路担当が一緒に鳥獣の担当もやっているんだというような、地方に行くと人手が足りないからそういうことをやっているというお話がありましたけれども、やはり専門性を持った方が都道府県でこういう行政を担当しないで、普通の事務職をやっていた方が突然ここに振られて、二、三年たつとまた別の部署に行ってしまう、幾らたっても専門性を持たないというようなことも相当あるようです。また逆に、本来は大学でこういったことをやりたいということで勉強されている方は大勢いらっしゃると思うんですね。そういった方たちを行政側で今度どういうふうに確保していくか、ここが大変大事になると思うんです。

 都道府県で職員として雇っていただくわけですから、環境省でどうこうしろと直接は言えないと思いますが、こういう基本計画の中に環境行政での人材の確保のあり方というのをきちんと提示していく必要があると思うんですが、大臣、そのあたりはどうですか。

小池国務大臣 おっしゃるとおり、人事異動によってずっとぐるぐるとみんなが経験していくというのも重要かと思いますけれども、やはり専門性を深めていくということは、これほど重要なことはないと思っております。

 そこで、鳥獣行政に従事する地方公共団体の職員を対象とした研修などの実施を環境省が毎年行って、そしてそういった専門の知識を少しでも得ていただくということのバックアップもしてまいりました。

 一方で、中環審においても指摘されておりますけれども、職員向けだけでなくて民間の方々も含めた人材の育成、確保が必要だというふうな指摘もあるわけです。ですから、地方公共団体それから民間の方々、さらには、先ほどから出ておりますように登録制にするとか、研究機関とか大学などと連携しながら、こういった人材を例えば登録制という形でバックアップしていく。まず人数もそうですし、今御指摘のような専門性という質の問題、質の確保ということも重要かと思っております。

 いずれにいたしましても、人材をどのようにして確保していくのかがこの法改正の一番大きなポイントになってくるのではないかということを認識いたしております。

富田委員 もう時間がありませんので最後の質問になりますが、鳥獣の輸入の規制、法文の第二十六条について、最後にちょっと一点だけ質問したいと思います。

 先ほど局長の方は、輸入した鳥獣には足輪をつけるから、輸出証明とか出せない国があっても今後はそういった取引ができなくなるんだというふうに御説明をされていました。罰則もあるから担保されているということだと思うんですが、この二十六条の法文自体がやはりちょっと問題なんじゃないかなというふうに思えるんですね。

 法文を見ますと、「鳥獣又は鳥類の卵であって環境省令で定めるものは、当該鳥獣又は鳥類の卵が適法に捕獲若しくは採取をされたこと又は輸出が許可されたことを証する外国の政府機関その他環境大臣が定める者により発行された証明書を添付してあるものでなければ、輸入してはならない。」これが本則で、「ただし、当該鳥獣若しくは鳥類の卵の捕獲若しくは採取又は輸出に関し証明する制度を有しない国又は地域として環境大臣が定める国又は地域から輸入する場合は、この限りでない。」と。

 そうすると、このただし書きのところからどんどん輸入されて日本の中で広まっていってしまうんじゃないかというふうにNGOの皆さんは大変危惧されている。もともとこういうただし書きがなければ、本則でやれば何も問題はない。ただ、こういう証明書を出さない国があるのも事実ですから、ここの部分をどうするかということを考えていかなきゃいけないと思うんですが、このただし書きが本来の二十六条の本文の有効性を阻害しているんじゃないかと法律家出身の私としては思えるんですが、そのあたりはどうですか。

南川政府参考人 御指摘の議論を私も何回も伺っております。そういうことも十分踏まえた上で今回の改正を提案させていただいたわけでございます。これは実は相当長い経緯がございまして、前々からこの問題意識は持っておったところでございます。

 ただ、ただし書きにつきましては、結局、これを削除しますと、その制度を持たない国からの輸入が全面的にできなくなるということでございます。私ども、輸入を禁止する場合には、国内に明らかに生態系を乱すような外来生物とかワシントン条約で規制されたような絶滅危惧種とか、そういった場合には貿易を、輸出入を禁止できますけれども、そうでないものについては、自由貿易が前提であるという国際社会の理解がなかなか得られないということで、今までこうやって来てしまったわけでございます。

 したがいまして、今回、それを改めまして、私どもで、通関したものについて輸入国が確認できれば、直ちにそこで足輪をはめて、国内での違法捕獲等の混在がないようにしたいということで御提案しているものでございます。

 どうぞよろしくお願いします。

富田委員 何か答弁にならなかったと思うんですが、この点もこれからまたしっかり議論をしていきたいと思いますので、これで終わります。

 ありがとうございました。

    ―――――――――――――

木村委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る六月六日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時三分散会


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