衆議院

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第18号 平成18年6月13日(火曜日)

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平成十八年六月十三日(火曜日)

    午前十時一分開議

 出席委員

   委員長 木村 隆秀君

   理事 石崎  岳君 理事 岩永 峯一君

   理事 加藤 勝信君 理事 松浪 健太君

   理事 山本 公一君 理事 田島 一成君

   理事 長浜 博行君 理事 富田 茂之君

      宇野  治君    小杉  隆君

      木挽  司君    近藤三津枝君

      坂井  学君    篠田 陽介君

      竹下  亘君  とかしきなおみ君

      並木 正芳君    根本  匠君

      馬渡 龍治君   山本ともひろ君

      岡本 充功君    篠原  孝君

      鈴木 克昌君    高井 美穂君

      村井 宗明君    吉田  泉君

      田端 正広君

    …………………………………

   環境大臣         小池百合子君

   環境副大臣        江田 康幸君

   厚生労働大臣政務官    岡田  広君

   環境大臣政務官      竹下  亘君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  笠井 俊彦君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部技術参事官)  舌津 一良君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  中島 正治君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局安全衛生部長)       小野  晃君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局労災補償部長)       森山  寛君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           中村 秀一君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局次長)           塚本  修君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           川本正一郎君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           和泉 洋人君

   政府参考人

   (国土交通省土地・水資源局次長)         日尾野興一君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 寺田 達志君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   由田 秀人君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局環境保健部長)       滝澤秀次郎君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            竹本 和彦君

   環境委員会専門員     齊藤  正君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十三日

 辞任         補欠選任

  井脇ノブ子君     山本ともひろ君

  近藤 昭一君     岡本 充功君

  吉田  泉君     鈴木 克昌君

  高木美智代君     田端 正広君

同日

 辞任         補欠選任

  山本ともひろ君    井脇ノブ子君

  岡本 充功君     近藤 昭一君

  鈴木 克昌君     吉田  泉君

  田端 正広君     高木美智代君

    ―――――――――――――

六月八日

 アスベスト対策基本法の制定、すべての被害者の補償に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二七八二号)

同月九日

 アスベスト対策基本法の制定、すべての被害者の補償に関する請願(吉井英勝君紹介)(第三〇二九号)

 鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律の改正においてとらばさみ・くくりわなの全面禁止を求めることに関する請願(近藤昭一君紹介)(第三一二九号)

同月十三日

 野鳥密猟根絶に関する請願(松岡利勝君紹介)(第三九五六号)

 アスベスト対策基本法の制定、すべての被害者の補償に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三九五七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 環境保全の基本施策に関する件(アスベスト問題)


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     ――――◇―――――

木村委員長 これより会議を開きます。

 環境保全の基本施策に関する件、特にアスベスト問題について調査を進めます。

 この際、政府より報告を求めます。小池環境大臣。

小池国務大臣 石綿問題に係る総合対策の主な進捗状況について御報告させていただきます。

 昨年六月以降、石綿問題の広がりと深刻さへの国民の関心が高まる中、政府においては、七月以来、関係閣僚による会合において石綿問題への対応を検討し、昨年十二月、アスベスト問題に係る総合対策を取りまとめました。

 この総合対策を踏まえ、本年一月に、石綿による健康被害の救済に関する法律案及び石綿による健康等に係る被害の防止のための大気汚染防止法等の一部を改正する法律案を国会に提出し、二月三日に成立させていただいたところでございます。

 石綿健康被害救済法については、迅速な救済の実施に向け、全国的な受け付け体制を整え、三月二十日から申請の受け付けを開始いたしました。

 速報値でございますが、労災補償等の対象以外の方に対する救済給付については、これまでのほぼ三カ月間に約二千五百件の申請を受け付けております。これらについて、独立行政法人環境再生保全機構において、特別遺族弔慰金等に係る請求については、先月末に六十四件の支給決定が行われ、現在療養中の方々からの認定の申請については、近々二十七件の認定決定が行われると聞いております。また、時効により労災補償を受ける権利が消滅した御遺族に対する特別遺族給付金についても、これまでに千二百件を超える請求がなされ、百件を超える支給決定がなされていると聞いております。

 また、石綿の飛散防止対策については、大気汚染防止法の改正により、石綿を使用している工作物の解体等作業を規制対象に追加したところであり、本年十月からの施行を目指し、準備を鋭意進めているところであります。

 さらに、石綿を含む廃棄物については、廃棄物処理法の改正により創設された無害化処理認定制度を八月上旬に施行する予定であり、この認定制度の施行に向けた準備を進めているところでございます。

 また、廃棄物の処理に伴う石綿の飛散を防止するため、廃棄物の処理に当たって遵守すべき基準の強化なども行う予定であります。

 今後とも、石綿問題について、被害者救済や新たな被害の未然防止などに全力で取り組んでまいりますので、関係の皆様方の一層の御協力をお願いいたします。

木村委員長 以上で政府の報告は終わりました。

    ―――――――――――――

木村委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣参事官笠井俊彦君、文部科学省大臣官房文教施設企画部技術参事官舌津一良君、厚生労働省健康局長中島正治君、厚生労働省労働基準局安全衛生部長小野晃君、厚生労働省労働基準局労災補償部長森山寛君、厚生労働省社会・援護局長中村秀一君、経済産業省製造産業局次長塚本修君、国土交通省大臣官房審議官川本正一郎君、国土交通省大臣官房審議官和泉洋人君、国土交通省土地・水資源局次長日尾野興一君、環境省大臣官房審議官寺田達志君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長由田秀人君、環境省総合環境政策局環境保健部長滝澤秀次郎君及び環境省水・大気環境局長竹本和彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

木村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。篠田陽介君。

篠田委員 自民党の篠田陽介でございます。

 本日は、アスベスト関連法案施行後の進捗状況についての質疑ということでお時間をいただきまして、大変ありがとうございます。

 通った法案について今の時期にまたこうやって質疑をするということ、これは大変いいことだなと私は思っております。私もバッジをつけさせていただきましてたちますが、国会においては次から次に新しい法案が通ってまいります。新しいこと、新しいことに取り組んでまいりまして、通った法案に対してきちんと、アフターフォローといいますか、フォローアップする作業がなかなか国会ではやりづらい環境なのかなというふうな感じがしておりますので、ですから、こういったアスベスト問題、これから被害者がどんどん出てくるだろうと言われております。そういった中、随時、必要に応じてこういった委員会を開いていただいて質疑をするということは大変いいことだなと私は思いますので、これからもそういった質疑を長い間やっていただきたい、また必要に応じてやることが必要だなと私は思っています。

 ですから、私も、こういった長い問題でありますので、長くそういった質疑に参加できるように何とかバッジをつけ続けなければなりませんので、そのための選挙の洗礼もしっかり受けて、またずっとこういったアスベスト問題の審議に参加できるよう頑張りたいと思っております。

 それで、本日は、このアスベスト問題について、今の認定状況について環境大臣の方から今御説明をいただきましたが、私は、これを聞いておりまして、特に、申請者に比べて認定数が現状では少ないというふうに感じておりますが、今、認定作業は大変だと思います。過去にさかのぼってまでいろいろ調査してそれで初めて認定となる、そのスキームは承知をしておりますが、これがスムーズに行われるよう環境省はより一層の努力が必要かと思われますが、これについて環境省の見解を聞かせてください。

竹下大臣政務官 篠田さん御指摘のとおりでございまして、もともとこの法律は、迅速に、スピード感というのを一つの使命にしておりますが、今我々もそこに非常に悩んでおります。中央環境審議会を毎週開催していただいておりまして、認定作業あるいは医学的判定といったような作業を急いでおりますが、残念ながらといいますか、先ほど大臣から御報告させていただきましたように、まだまだ数はそう多くいっていないというのが実情でございます。

 といいますのも、国に対するほかの申請というのは、こういう書類がそろってなきゃいかぬとか、こういうものがなきゃいかぬということがあるんですが、この申請は、まず紙一枚でも受けて、そして保全機構が中心になって調査をして、いろいろな資料の補足をしていく、そういう形で申請を受け付けておる、国に対する申請の中では極めて珍しいものでありますので、そういうことも時間がかかっておることの一つでございます。

 ちょっと長くなってしまいましたが、まず、御存命の方々につきましては、機構から環境省に提出された事案八十四件のうち、書類が全く不備である、これではどうにもわからぬという三件を除く八十一件につきまして、中央環境審議会石綿健康被害判定小委員会における審議を経まして医学的判定を行っております。このうちの二十七件が間もなく認定をされる、そして五十三件が保留、もう一回やる。調べてみたら食道がんだったという一件だけはバツということになりそうです。

 それから、亡くなられた方についてでございますが、これは、受給権がだれにあるか、奥さんが第一位、それからお子さんが第二番目、両親が三番目、こうなっております。ですから、お子さんから申請があった場合、奥さんがいらっしゃるのか、もうお亡くなりになっているのかということの確認から始めなければいけないということもございます。

 それから、死亡診断書の照会というのが手間取っております。これは法務局が持っておるのでありますが、守秘義務がありますので、めったやたらに出てまいりません。ですから、環境再生保全機構は、守秘義務がかかっておりますので、機構の方から一件一件照会をする。それも、法務省に一発じゃなくて、申請があった住所から見て、ここの法務局じゃないかということで行くと、いや、それは住所が移ってうちは持っていませんというようなこともありますので。

 申しわけございませんが、こうしたことに時間がかかっており、現時点では決定件数が請求数に比べて少なくなっているという状況に残念ながらございます。制度発足時という要因もあるかもしれませんが、いずれにいたしましても、被害者の迅速な救済を図るという目標を達成できるように、機構と協力をいたしまして努力をしていきたい、こう考えております。

篠田委員 大臣政務官、どうもありがとうございました。

 私、申請とその結果を見まして、特に、既に亡くなられた方に対して、これをどうやって判断して認定をしていくかという作業は本当に大変だなと思います。その中で、特に、中皮腫でなくて肺がんで亡くなられた人、あるいは原因が不明で亡くなられた方々からも申請が出ております。これは、まだ一件も認められておらないというふうに承知はしておるんですが、これを認定させるという作業について、これは可能なのかどうなのか、その辺、ちょっと環境省の見解をお尋ねしたいと思っているんですが。

滝澤政府参考人 肺がんについてでございますが、石綿に特異的な疾患であります中皮腫と異なりまして、さまざまな、たばこ等の多くの原因が指摘されております。石綿によるものはその一部ということになっておりますが、肺がんが石綿に起因するものであることを確認する必要がございます。

 そのために、一定の基準的な考え方を設定しておりまして、石綿由来の肺がんを発症するリスクを二倍以上に高める暴露があったとみなされる場合、それを客観的にさらに医学的資料を求めるわけでございますが、そうした医学的資料を申請に当たって提出していただく必要がございます。

 また、病名が不明での申請者でございますが、まず、死亡診断書でありますとか、当時のカルテでありますとかを確認いたしまして、死亡の原因として中皮腫の記載がある場合には認定を行いますし、また、肺がんの記載がある場合には、先ほど申し上げましたように、石綿に起因するものであることを確認するプロセスがございます。

篠田委員 どうもありがとうございました。

 肺がんで亡くなられた方、あるいは死因がよくわからないけれども申請された方についての認定は大変難しいと思います。

 ちょっと話はそれますが、私は、国会議員としてやりたいことが一つありまして、それは、今の日本の死因究明制度というのが非常にずさんであるというふうに感じています。

 毎年百万人ぐらい、いろいろな原因で亡くなられます。そのうち大体十四万人の人たちが、死因がきちんと究明されないうちにだびに付されているという現状があります。お巡りさんが見て、ああ、死んでいるね、心不全だね、お医者さんが診て、解剖しないまま、心不全だねというようなケースでだびに付されて、死因がはっきり究明されないまま亡くなられている方々が年間十四万人います。

 これに使っているお金、解剖制度に使っているお金が、国として四億円だと聞いております。諸外国の予算規模、経済規模と比較しますと、大体三百億から四百億円使ってもいい事業だというのに、四億円である。他方、BSEが発生しまして、今、死亡した牛に対してBSEにかかっていないかどうか検査しておりますが、これは、国と地方を合わせてお金を四十億円使っていると言われています。

 私は、BSE検査に対して批判するわけではありませんが、牛に四十億円使って、人に四億円かというような疑問を非常に感じておりますので、この制度を何とか改めたいということで、今、同僚議員とワーキングチームをつくって、すぐできることからやっていこうと思っています。

 ですから、例えば、亡くなられた方、原因がわからない方の、一定期間、血をとっておく、尿をとっておく、あるいはCTスキャンをとっておく等々のデータを保存しておくような制度ができないかとか、そういった死因究明制度を、私は、今のこの国の制度の中では一番おくれているなというふうに感じていますので、こういったことも改めながら、亡くなられた方々について認定がしっかりできるように制度改正が必要かなというので、私も頑張りますので、どうぞ、これから認定基準について頑張っていただきたいと思っております。

 話がそれましたので、もとに戻します。

 今回のアスベスト関連なんですが、建築物のアスベストの除去の進捗状況についてお教えをいただきたいのです。

 まず、公共施設について、特に学校施設、昔、学校パニックということで一時期ありましたが、また今回調査をしまして、まだアスベストが使われている学校施設がかなりあったというふうに承知をしております。今、どのような進捗状況でアスベストの除去が進んでおるのか、具体的な数値と、あと、公共施設、学校施設以外にも、市場であるとかいろいろな公共施設、自治体の建物であるとかいろいろな建物があると思うんですが、その他の公共施設について、環境省は、どの程度アスベストが使われていて、これからどのように除去していくのかというようなデータをお持ちなのかどうか、その辺の質問をさせていただきます。

 まず、文部科学省さん、お願いします。

舌津政府参考人 お答えいたします。

 文部科学省では、子供たちの安全対策に万全を期すというような考え方から、昨年七月末から、吹きつけアスベスト等の使用実態調査を実施いたしまして、公立学校施設約四万四千校につきまして、この三月に調査をほぼ完了したところでございます。

 この調査の結果によりますと、石綿等の粉じんの飛散によりまして暴露のおそれがある部屋、これらを保有する学校は四百十八校というふうに報告されております。これらの部屋等につきましては、緊急に使用禁止にするなどというような応急措置が現在講じられているわけでございます。

 文部科学省では、この調査結果を踏まえまして、平成十七年度補正予算におきまして、公立学校のアスベスト対策といたしまして、二百八十一億円を確保いたしました。これによって、暴露のおそれがある部屋等について、除去等の対策を速やかに現在進めてもらっているところでございます。

 また、その後の具体的な対応状況を把握する必要があるという観点から、今後、定期的にフォローアップ調査を実施することにしているところでございます。

 今後とも、関係省庁と連携しつつ、学校の設置者に対し、きめ細かな指導あるいは支援を行い、安全対策に万全を期してまいりたいと考えておるところでございます。

由田政府参考人 環境省におきましては、昨年七月二十九日に開催されましたアスベスト問題に関する関係閣僚会合におきまして、公共建築物などの吹きつけアスベストの使用状況を把握し、公表を行うとした対応策の一環としまして、地方公共団体が設置した環境省関係施設におけます吹きつけアスベストの使用状況を調査いたしております。

 その結果、地方公共団体が設置主体となりました博物展示施設や公衆トイレなどの自然公園等施設は、平成十八年三月末現在で六千四百六十五件でありまして、このうち、吹きつけアスベストなどを使用していた施設が九件でありました。

 九件のうち、既に除去等の措置済み施設が四件、現在除去作業中の施設が一件、閉鎖中の施設が四件でありました。閉鎖中の四件につきましては、現在、地方公共団体において今後の対応を検討中であります。

 それから、地方公共団体が設置いたしました環境大気測定局舎は千六百二十九局ございまして、このうち、吹きつけアスベストなどを使用していました施設が十三局でありました。

 十三局のうち、平成十八年三月末現在、既に除去等の措置済み施設が十一局、措置予定あるいは対応検討中の施設が二局ということでありました。

 また、廃棄物処理施設につきましては、通常、一般住民がアスベストに暴露することはほとんどないものと考えられますが、十八年三月時点での調査によりますと、千八百十七施設のうち、吹きつけアスベストを使用していたか現在も使用の可能性がある施設は全体の二三%に当たります四百二十施設でありました。

 このうち、除去などの措置が終了しております施設は八十七施設、現時点で廃止されており従事者に暴露のおそれがない施設が百二十六施設、措置が終了していないなどの施設は百二十四施設、調査中で使用の有無を確認できていない施設が八十三施設となっております。

 措置が終了していない施設の多くは、吹きつけアスベストが使用されている箇所が機械室等の限られた場所でありますため、入室制限とか入室の際の暴露防止対策を図っているとの報告を受けております。

 今後とも、措置状況の把握に努めまして、必要な措置を適切に講ずるよう、都道府県、市町村を指導してまいりたいと考えております。

 なお、廃棄物処理施設は、建築物の吹きつけアスベストだけではなく、プラント施設などにも非飛散性アスベスト製品が使用されておりますことから、改修、解体時の作業員の安全確保の観点から、アスベスト飛散防止のためのマニュアルを作成いたしまして、都道府県に通知をいたしたところであります。

篠田委員 どうもありがとうございます。

 公共施設といっても各省庁にわたる建物が多くありますので、例えば市場であるとかそういったところは農水省の管轄になるかと思うんですが、環境省さんがしっかり各省に徹底して実態調査をしっかりしていただいて、環境省からハッパをかけていただくような、決して縦割り、縦割りというふうにならないような対策をぜひお願いしたいと思っております。

 また、民間の建築物のアスベストの除去状況についてお尋ねをさせていただきますが、特に、日本建築センターというところでアスベストの飛散防止処理技術について審査証明をしているというふうに聞いておりますが、実際、その審査を受けるということは認定を受けるということになりますので、その技術についてそれを持っている業者さんは、やはり率先して、多分いろいろなそういった受注ができる、撤去作業ができるとは思うんですが、これは審査を受けなくても撤去作業はできるというふうに聞いております。

 しかしながら、その審査証明、例えば申請するまで費用負担がかなりかかるとか、あるいはそれなりの実績がないと、その申請が認められないというふうに聞いておりますが、私は多分、これは民間同士がやられていることなので、民間のその機関が申請されて認定をしているとはいいますが、実際、人の健康にかかわる問題でありますので、きちんと行われるために積極的に、こういった問題については民間と民間の問題だから国は関与しないという考え方ではなくて、しっかりと国が何らかの業者の育成制度といいますか、全体のレベルアップのために、口を出すところはしっかりと口を出した方がいいとは思うんですが、この辺について、今国として、何かそういった撤去業者全体への啓発活動だとか、さらにはいろいろな技術を習得させるためのそういった事業、取り組み、これからされるつもりがあるのかどうなのか、そういったことを、これは国土交通省になりますか、お尋ねさせていただきます。

和泉政府参考人 お答え申し上げます。

 アスベスト処理を適正に行うためには、関係法令をしっかり守って適切に工事が行われることが重要でございます。

 昨年の七月十四日に、建設業団体に関係法令を遵守するように周知徹底を行いました。さらに、この徹底を図るために、昨年九月に、建設業関係団体において関係法令遵守のための行動計画を取りまとめたところでございますが、三月末までのところ、特別教育の受講者は約九万九千人の実績があったところでございます。

 また、法令を前提とした上で、より具体的な除去等の技術については、昭和六十三年に当時の建設省が、関係団体の協力を得まして、既存建築物の吹付けアスベスト粉じん飛散防止処理技術指針というものを定めまして、そういったものについての周知徹底を図るほか、今先生御指摘の日本建築センターにおきまして、申請者の申請に基づきまして、処理技術が適正なものであるか、学識経験者による審査を行う審査証明事業の実施など、除去等の工事を円滑に進めるための一定の対策を講じてきたところでございます。

 今般の建築基準法等の改正を契機としまして、現在、この処理技術指針の改定作業を進めているところでございますが、今後、積極的に講習会の実施等を関係業界と連携してやりまして、適正な処理等が行われるように努めてまいりたい、かように考えております。

篠田委員 どうもありがとうございました。

 民間の問題ではありますが、国が、行政がすること、やはりきちんと行われていない、あるいはどこか変な方向に行きそうなときにはきちんと口を出すことも私は必要だと思いますので、そこをどうぞよろしくお願いします。

 ほかに質問を用意しておりましたが、時間となりましたので、最後に、環境大臣に、このアスベスト問題全体について、これからの決意をお尋ねさせていただきたいと思っております。

小池国務大臣 これまでの経緯につきましては冒頭御報告をさせていただいたところでございますけれども、十七年度の補正予算、そして十八年度の予算などにおいて必要な措置を講ずる、そしてまたこの法律の整備をさせていただいた、今はそれを踏まえまして、この制度の着実な施行、あるいは施行に向けました準備作業に鋭意取り組んでいるところでございます。

 これからまた夏など、さらなる次の年の概算なども出てまいるわけでございますので、関係省庁と密接な連携を図りながら、アスベスト問題に係る総合的な対策の実施を着実に進めてまいりたいと考えております。

篠田委員 どうもありがとうございました。

 時間になりましたので、終わらせていただきます。小池環境大臣には引き続き、環境行政、しっかり頑張っていただきたいと思っております。

 今国会最後の自民党の質問の機会を与えていただきまして、理事の皆さん、大変ありがとうございました。

 終わらせていただきます。

木村委員長 次に、岡本充功君。

岡本(充)委員 民主党の岡本でございます。

 まずは、時間がありませんので、事実確認を最初にやらせていただきたいと思います。

 まず、今回の新法による救済、もしくは、例えば新法施行時点で療養中であり、この方が非常に末期の状態で三月二十七日を迎えられた、その後に死亡した場合、この生存中に本人からの申請がなければ今回の新法ではいわゆる救済の対象にならないのではないかというふうに考えておるわけですけれども、この点について確認をしたいと思います。

 三月二十七日時点では御存命であったけれども、本人から申請がなく、三月二十七日の後に亡くなられた方については、この方には治療費等についてはどのような対応がなされるのか、お答えいただきたいと思います。

寺田政府参考人 お答え申し上げます。

 本法におきましては、生前に認定の申請が行われていなければ救済金は支給されないという扱いになっております。

岡本(充)委員 そのとおりですね。

 それで、こういう形で生前に末期的な状況を迎え、なかなか申請に行く余裕もなく直後に亡くなられたような方というのは一体何件ぐらいあるのか、環境省や環境再生保全機構として把握をしているのでしょうか。

寺田政府参考人 現時点で、環境再生保全機構によりますれば、これまでのところ、施行後、申請前に死亡した方についての申請の事例もなく、また、それらについて御遺族等からのさまざまなお話というのもないというふうに聞いております。

岡本(充)委員 それは、申請していないから救済金が支給されない、認定されないということで相談にも行っていないんじゃないかと思うんですけれども、かなりの数みえるんじゃないかと思うんです。

 これについて把握をされる、調査をされるおつもりはありませんでしょうか。

寺田政府参考人 もとより、そういう方が絶対いないのかどうかということはわからないわけでございますけれども、今のところ、私どもとして、環境再生保全機構からそのような調査をする予定があるとは聞いておりません。

岡本(充)委員 お配りをした資料によると、平成十六年でも中皮腫の死亡者数というのは九百人を超える死亡者数が出ていまして、一日平均すると、まあ平均するのが妥当かどうかわかりませんけれども、かなりの方が亡くなられているのが皆さんおわかりだと思います。

 と考えると、私が今お話をしたような、三月二十八日にお亡くなりになられた方、二十九日にお亡くなりになられた方も、私は調査をすればみえるんじゃないかと思うんです。大臣、それもかなりの数がみえると思うんですが、この方についてお調べをされる御予定はありませんか。

小池国務大臣 申請を始めるときに、周知徹底ということでさまざまな方法でお知らせを出させていただきました。ホームページそれからポスター、私自身の会見。その際も、これはとにかくまず申請をしてください、それが大事なんだということは何度も何度も申し上げさせていただきました。

 また、今、機構の方でとり行っておりますけれども、これについて、網をかけてそして調査をするというところは、現時点では考えておりません。

岡本(充)委員 三月二十八日に亡くなられた方も三十人ぐらいいるんじゃないか、こう思われる、二十九日に亡くなられる、非常に重症の中で申請に来いということ自体がナンセンスだ、小池大臣、入院されたことがあるとお聞きしておりますけれども、入院をして自分がしんどいときに、家族もそばにいてほしいときに、申請に来いということの方がナンセンスだということを私は改めて指摘をしておきたいと思います。ここは漏れますね、必ず。

 次が、中皮腫診断が死後についた場合、生前の認定申請がなくてもこれは救済可能なんでしょうか。例えば、同じく三月二十七日を境にして二十八日、二十九日に亡くなられた。亡くなられた結果、死後の病理解剖等で中皮腫だと判明した、この場合はどのように考えればいいんですか。

滝澤政府参考人 現行法上では、法の施行日後に中皮腫等に起因して亡くなられた場合、生前に認定の申請が行われていなければ救済給付の支給はされないという制度となっております。

 したがいまして、中皮腫にかかっている可能性がある場合には早急に申請を行っていただく必要がありますので、これまで広報も行ってまいりましたが、引き続き周知徹底をしたいと考えております。

岡本(充)委員 なかなか中皮腫の診断は難しいわけです。検査も苦しいんです。そういった中で検査をして、その検査結果で残念ながら中皮腫という確定診断が得られない、こういう方はたくさんみえる。これも同じく救済されない、現法の中では救済されないということを今いみじくも部長は認められましたけれども、これもすき間ができているところの指摘の一つであります。

 では、ちょっと今度は観点を変えて、労災申請中は新法の救済対象にならず申請が不可能なのか、また、生前に労災を申請し、その結論が出る前に死亡した場合は救済されるのか、それについてお答えをいただきたいと思います。

寺田政府参考人 この救済法でございますけれども、そもそも労災補償制度等による補償を受けられない方が多数いらっしゃるということでこういう制度をつくったということでございますので、労災補償制度等によりまして同一の石綿による疾病に対する補償が行われるべき場合には、今回の救済制度による救済給付の支給の対象とはならない。ただし、これは、決して労災補償制度等と並行してこの制度に申請するということを否定するものではございません。これは法案審議時においても御質問にお答えしたところでございますけれども、現実問題といたしまして、この救済制度と労災に並行して申請されている方がかなりいらっしゃると聞いているところでございます。

 いずれにいたしましても、今後とも、石綿による健康被害の迅速な救済のため、救済給付の申請があったものについては迅速な対応を行ってまいりたいというふうに考えております。

岡本(充)委員 現場で、環境機構の方で、労災申請しているのであれば、新法の対象にならない可能性があるから申請は待ってくれという話があるやに聞いておるんですけれども、そういうことがないように徹底をしていただけますね。

寺田政府参考人 そのような指導は再三行っておりますけれども、改めてやりたいと思います。

岡本(充)委員 続きまして、申請から認定までの平均処理期間はどのくらいと想定をしているのか、また、標準処理期間というのは定めてみえるのかどうか、それについてお答えをいただきたいと思います。

寺田政府参考人 標準処理期間につきましては、これは環境再生保全機構が定めるというものであろうと思っておりますけれども、ただ、現時点においては、本制度につきまして、制度発足間もない段階で非常に多数の申請が今現に出ているということが一つ。それから、認定を行うに当たりまして、必要な医学的資料等を整えるために必要な時間が、それぞれ個々の方々によってさまざま区々であるというようなことから、現時点で標準処理期間を定めるにはまだ至っていないというふうなことと承知しております。

 なお、現状では、三月中に提出された申請の一部につきまして、五月下旬から六月上旬にかけて認定、判定等の手続が行われたところでありまして、環境省といたしましても、機構と協力いたしまして、着実かつ迅速な事務の遂行に努めてまいりたいと考えております。

岡本(充)委員 では、近々、平均処理期間もしくは標準処理期間を定めるということでよろしいんでしょうか。

寺田政府参考人 機構と十分相談してまいりたいと考えております。

岡本(充)委員 十分相談をした結果、期間は決まらなかったということでは納得できないんですが。結局これは認定されて、そこから治療費を面倒見てもらえるというか、さまざまな、医療費を含めて救済されるということなんでしょうけれども、今回のこの新法ですよ、新法で認定をされなければスタートしないわけでしょう。認定をされる前からスタートされるんですか。

寺田政府参考人 正確に申し上げますと、認定された場合には、救済給付等の支給は申請時にさかのぼって行われます。

岡本(充)委員 私が言っているのは、認定をされるまでの間は自分で払わなきゃいけないんでしょう。後から自分で環境再生機構に申請をして、そのお金を払ってくださいということを自分で申請しなきゃいけないんですよね。その間、ずっと立てかえという形になるんじゃないですか。そう聞いております。そこは正しいですよね。

寺田政府参考人 その間、立てかえ払いという格好になるということは事実でございます。

岡本(充)委員 それが何カ月にも及ぶという話になると、これはこれでかなりの医療費の負担ということになるわけでありまして、それは早く処理が進むにこしたことはない。そういった意味で、そもそも行政手続なんだから、平均的な処理期間を大体定めるべきだ。行政手続なんでしょう。であれば、定めなければいけないと思うわけなんですけれども、明確な期間をいつまでに定めるか、お答えをいただきたいと思います。

寺田政府参考人 迅速な救済を図らなければならないというのは、御指摘のとおりだと思います。

 ただ、冒頭申し上げましたように、現時点で非常に申請内容も区々でございますし、大量の申請が来ているということがございますので、処理期間について一定のめどを立てるには、いましばらくお時間をちょうだいしたいと考えているところでございます。

岡本(充)委員 いましばらくと言いますけれども、では定めるんですね。それだけ答えてください。定めるということでいいですね。

寺田政府参考人 機構において定めていただくような方向で、御指導申し上げたいと思っております。

岡本(充)委員 続きまして、六月七日の医学的判定の結果、指定疾病と判定された件数が二十七件にとどまったことにつき、環境省としてどのように考えているのか。

 それから、判定保留とされた事例は診断の確からしさが担保されていないと考えたのか、判定に足る資料がなかったと言うが、判定に足る資料とは何なのか、これを明確にまず例示されたいと思います。

滝澤政府参考人 六月六日に第三回の判定小委員会が開かれました。結果、多くの申請事案について十分な医学的資料が整っていないということが指摘されまして、これらの事案については、現時点では医学的な判定が行えない、追加資料を求めるということが決まったわけでございます。

 あわせまして、この同小委員会では、申請者が医学的資料を提出するに当たりまして、医療機関や医療関係者が留意すべき事項を取りまとめまして周知したところでございます。迅速かつ適切な医学的判定の実施にさらに努めてまいりたいと考えております。

 二点目の、診断の確からしさが担保されていないと考えたのはどういうことか、あるいは、判定に足る資料が、どういう資料がなかったからという議論だったのかという御指摘でございます。

 同じくその判定小委員会におきまして、判定に必要な医学的資料が不十分であるという指摘の具体的な内容でございますが、例えば、中皮腫の確定診断に必要な病理組織学的検査における免疫染色の実施が不十分であるとか、あるいは、確定診断から申請までの間が非常に長期間にわたって、その間の臨床経過の記載が不十分だ、そこをもっと知りたいというような、個別のかなり具体的な指摘を小委員会からしたものでございます。

岡本(充)委員 現場の医師としては、これで十分だろうと思って出した資料で不十分だと言われる。それを第三者というか素人である申請者並びにその家族で、口伝えにこういう資料が要りますよと言ったって、その人が的確に医療機関にこういう資料が必要だと言えない可能性がある。

 ここで明確にしていただきたいのは、いま一度この場でどういう資料が必要十分な資料なのか、これがあれば大丈夫ですという、それを明確にお答えいただきたい。

滝澤政府参考人 中皮腫と肺がんの診断にどのようなものが基本的に必要かというのは、様式を示しまして、申請までに既に示しておるところでございますが、実際に申請がなされまして、個々のケースを検討するに当たりあるいは検討した結果、まさに留意事項を示したわけですが、さらに、留意事項として幾つかの点が指摘されたわけでございます。

 先ほど例示を二つ申し上げましたけれども、さらに申し上げれば、中皮腫につきましては、病理組織学的診断記録がない場合には、細胞診について陽性抗体あるいは陰性抗体というような免疫染色の結果の確認が重要であるということの指摘でありますとか、肺がんにつきましては、エックス線所見あるいはCT所見についてそれぞれの所見をさらに具体的に確認、例えば胸膜プラークの確認に当たっては、限局性で斑状に肥厚していることを確認すべしというような、かなり具体的なポイントといいますか留意点を示しまして、これから申請される方、あるいは個々にさらにそういうことを追加してほしいというような要望と相まって、留意事項をまとめたところでございます。

岡本(充)委員 そういう場合、追加の検査が必要になる可能性があるわけなんですけれども、もしこの追加の検査が必要になった場合、その費用はだれが負担をするのか。結論として認定されなかった場合でも、追加の検査をする可能性があります。その結論として認定をされない場合を含めてだれが負担をするのか、お答えいただきたいと思います。

滝澤政府参考人 今回の救済法に基づく認定申請等に必要な書類につきましては、申請主義を原則とっておるわけでございまして、同法の性格上、申請者の負担で整えることが原則であります。形式的、内容的に不備があるものにつきましても申請者の負担で追加資料を提出いただくということに原則なるわけでございます。

 しかしながら、今後はさらに、先ほど来申し上げていますように、留意事項ということで医療機関等が留意すべき事項を周知徹底することによりましてより適切な、かつ十分な医学的資料が提出されるであろうということを期待しているわけでございます。

 ただ、当面、既に現に申請されているものにつきましては、中皮腫等が重篤でしかも予後が悪い、そういう事情も踏まえまして、環境再生保全機構では、迅速な認定のために、最終的に認定されるか否かにかかわらず、緊急避難的な措置として、病理所見等の医学的判断に必要な資料の費用については負担することについて検討していこうというふうな状況にあると聞いております。

岡本(充)委員 もう一点確認したいんです。

 民間の保険会社や損保の会社では委任状をもとに必要な医学的所見を病院に求めに行きますが、迅速な対応が必要であるならば、環境保全機構の方から、どういう資料が必要か、直接医療機関に話をする方がより具体的で、第三者を介さないということでより的確な資料が手に入ると思うわけなんですけれども、そのような調査をされることはなぜできないのか、もしくはこれからしていくおつもりがあるのか、お答えをいただきたいと思います。

滝澤政府参考人 御指摘の点は、法律の第五十六条に、機構は、認定あるいは給付の支給に関して必要があると認めるときは、診療を行った者等に対する報告の徴収等を行うことができるという規定がございます。

 そのため、本制度では、医学的判定に係る追加資料につきましては、機構は、申請者の承諾書を求めた上で、医療機関等に対して資料の提出の請求を行うという運用について検討を進めておるところでございます。

岡本(充)委員 当然そうあるべきだと思いますね。

 では、今度はすき間なく救済というのですが、労災とこの新法との救済の範囲について少し確認をしたいと思います。

 きょうは、厚生労働省からも来ておられます。小野安全衛生部長さんが御存じなのかなと思いますが、石綿肺、良性石綿胸水、びまん性胸膜肥厚、こういった疾病に石綿によらずに、石綿が原因以外でなることがあり得るというふうにお考えなのかどうか、ちょっとお答えをいただきたいと思います。

小野政府参考人 お答えいたします。

 あり得るというふうに考えております。

岡本(充)委員 それはどういった場合に、そういった疾病にかかるとお考えなんですか。

小野政府参考人 例えば肺がんですと、当然喫煙等によって……(岡本(充)委員「いや、肺がんと言っていない、石綿肺、良性石綿胸水、びまん性胸膜肥厚」と呼ぶ)びまん性胸膜肥厚ですと、石綿以外でそういう可能性があるというのは、先ほど申し上げたとおりでございまして、具体的にどういうものがどういう形でというのは、ちょっと今のところ資料等を持ち合わせておりませんので……。

岡本(充)委員 石綿肺というのはどうですか。石綿肺、良性石綿胸水。これは石綿以外で罹患する可能性があるというふうにお考えなんでしょうか。

小野政府参考人 石綿肺はじん肺の一種でございますので、石綿肺ということであれば石綿による症状ということだろうと思います。

 私が全体として申し上げましたのは、石綿肺以外にも胸膜肥厚ですとかいろいろなものがありますのでほかの要因があるというふうに申し上げた、石綿肺ということに限ってみれば、当然石綿によるものだというふうに思っております。

岡本(充)委員 そうなんですよ。石綿肺といえば当然石綿が原因に決まっているのです。

 では、良性石綿胸水、これも同じく石綿が原因であろうと思われるわけですが、こういった疾病は当然石綿が原因だと厚生労働省が言っているにもかかわらず、何で新法では石綿が原因だということを認めないのか。周辺住民で、石綿肺や良性石綿胸水、作業経験があったり、労災の対象となるようないわゆる環境に暴露した経験がない人では起こり得ない病気だというのがこれまでの環境省の説明でした。

 しかし、六月六日の毎日新聞の夕刊、こちらでは、ニチアスの全国五工場で実施をした住民検査で、三工場でかなりの高率で胸膜肥厚斑が確認をされた。その中でもまた、ことしの五月二十三日の同じく毎日新聞では、ニチアスの子会社とニチアスが実施をした健康診断で、受診をした周辺住民二百二人のうち一七%に当たる三十五人が胸膜肥厚斑や、中には肺線維症にまで至っている人がいる、こういうような話が出てきている。

 この人たちは、基本的に考えると、石綿肺かどうかまでは確定診断は至っていないけれども、かなりの高率で肺病変を発症していることが推認されるわけなんですが、周辺にこれまでそういった発症事例がなかったということでは、これは説明がつかないと思うんだけれども、この点について明確なお答えをいただきたい。

滝澤政府参考人 御指摘の、今回救済給付の対象となっていない関連疾患でございますが、今後の指定疾病の見直しを検討するための基礎資料として、さまざまな情報収集をいたしましたり、調査をしたいと考えております。

 目下、一般環境経由による石綿健康被害の可能性があったと報告があった地域三地点を特定いたしまして、健康リスク調査として住民を対象とした胸部エックス線あるいはCT検査を実施し、石綿肺も含めた関連疾患の発症リスクに関する実態把握を行い、国内の石綿健康影響に関する事例についても積極的に情報収集に努めてまいりたいと考えております。

岡本(充)委員 それで、認められた場合には、新たに疾患を追加するんですね。

滝澤政府参考人 指定疾患につきましては、中央環境審議会の御答申をいただき、中皮腫及び肺がんということが適当であるという御答申をいただいております。

 しかしながら、今申し上げたように、さまざまな医学的な知見でありますとかデータの集積、あるいは海外の状況の把握等に引き続き努めまして、改めてそういう指定疾病の見直しの必要性が生じた場合には、中環審の御意見を承って見直していくという作業になろうかと思います。

岡本(充)委員 海外のデータと言われましたけれども、アスベスト、石綿とほかのがんとの因果関係については、今環境省はどのような情報を把握していますか、肺がんと中皮腫以外で。

滝澤政府参考人 ほかのがんとの因果関係ということでございますが、アスベストとほかのがんとのということかと思います。

 そういう疫学的な情報あるいは病気の発症、罹患状況等も含めて関連情報と我々は認識していますので、その収集……(岡本(充)委員「具体的に」と呼ぶ)ちょっと今、具体的に私の頭にございませんけれども、基礎情報は収集したいと考えております。

岡本(充)委員 皆様にお配りをした最後の二枚、英語のもの。済みません、和訳をしている時間がなかったものですから。

 これは、六月七日だったと思いますけれども、アメリカの科学アカデミーで出版をされた、「アスベストズ セレクテッド・キャンサーズ(二〇〇六)」と書いています。これはサマリーだけ出してきました。全部で四百ページ近いデータが出ている。ここの中で、冒頭の方で、二段落目を見ると、右側の方なんですが、「ザ・コミッティー・ファウンド・ザ・エビデンス・ツー・ビー・サフィシエント・ツー・インファー」云々かんぬんと出ています。ここのところを簡単に訳すと、十分な根拠、それ相応の根拠をもって喉頭がんとアスベストとの関係を、それから、十分とは言えないんだけれどもそういう可能性があるということで、咽頭がん、胃がん、それから大腸、直腸がんについても可能性がある、ちょっと食道がんについては可能性は乏しいんじゃないか、こういう話になっているけれども、新たな知見として出てきている、疫学的調査として。

 さらに追加をして言うと、その次のページの三行目には、「ザ・ファインディング・オブ」から始まる、右側の方から始まるところですが、たばことアルコールの消費と今回の喉頭がんとの関連についても指摘をされている。

 さらに、一番下、「レコメンデーションズ」お勧めとして、三行目に、一番右ですが、「ハウエバー」から始まっているところに、これまでの肺がんと悪性中皮腫の関係についての検討はなされてきているけれども、「リトル・エフォート・ハズ・ゴーン・イントゥー」何とかかんとかと書いていますが、ここの部分、読みませんけれども、簡単に言うと、そのほかの部位のがんについては余りこれまで疫学的検査をされてこなかったということが指摘されている。これをすることをお勧めされているわけですね、アメリカでは。

 環境省としても、こういったデータをもとに、ほかのがんについても前向きなコホート研究をしていく、もしくは疫学研究をやっていく、調査をやっていく、そのお考えをお聞かせいただきたい。

滝澤政府参考人 先ほどは失礼いたしました。

 この二月にまとめていただいたこの関係の検討会、医学的判断に関する検討会の報告書の中に記載がございまして、「その他の部位のがん」ということで、この検討会としての知見を記してございます。「中皮腫、肺がん以外のがんについて石綿の関与を疑う研究報告もあるが、中皮腫、肺がんのように確立した知見といえるものは、現時点ではまだない。」という記載がございます。

 ただ、先生御指摘のそういういろいろな研究報告もあるようでございますので、私ども、そういうものをもちろん勉強しながら、関連疾患について基礎的な調査研究は進めたいと考えております。

岡本(充)委員 最後に一点ですけれども、きょうお示しをしたこの中皮腫の死亡者数のデータ、一番最初ですが、中皮腫というのは、平成七年ぐらいから急激にその認知が広まってまいりまして、中皮腫だと認定をされる方がふえてきています。実際には、恐らく昭和六十年前後は、中皮腫だという診断がつかないまま肺がんという病名で亡くなられている方も多いと私は推認をする。しかし、こういった方は、カルテのデータもなければ、写真も残っていない。今回の救済の対象になりようがない人たちはたくさんいると思うんですね。

 こういう人たちを救うために、より広い解釈をもってアスベスト由来の肺がんと認定する仕組みをつくっていかなければ、私はこの推移は極めて不自然だと思うんですね。この部分をもう少し何らか救済していく方法をとらなければ、何で平成七年が五百人、もっと言えば、平成十六年が一千人というような推移で中皮腫の死亡者がふえてくるのか。

 また、実際のところ、石綿の使用量の推移と関連するんだと言われるが、その後ろにつけたデータ、「日本におけるアスベストの輸入量」としかわからないけれども、使用量が特段にふえたからというよりも、ずっと輸入は続いているし、それから日本でも石綿は産出をされていたやに聞いておりますから、そういう意味でいったら、人口当たりの使用量としては特段ふえたというふうな印象を持たないわけなんです。

 こういった、肺がんという診断のもとで亡くなられ、カルテもない、写真もない、だけれども、客観的な状況、例えばアスベストを使う会社の総務部にいただとか、それからアスベストを使う会社の周辺に住んでいた、もしくは御家族がアスベスト由来と認定される疾病で亡くなっているとか、こういうような条件をもとにもう少し広く救済をしていくべきじゃないかというふうに考えるんですが、その点について改めてお考えをお伺いして、きょうはちょっと、いろいろな方にお越しをいただきましたけれども、質問できなかった皆様には申しわけありませんでしたが、それで質問を終わりたいと思います。

寺田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、中皮腫という病気の認知度が近年になって上がってきたということから、仮に今の目で見れば中皮腫であったとしても、過去、中皮腫という病名がつかなかったというような事例があったかもしれないという可能性を否定するものではございません。

 ただし、本制度は、アスベストによる被害者の方すべてを損害賠償的にお救いするというものではございませんで、何よりも、今まさに重篤な疾病でお苦しみになっている方々を、国、地方公共団体あるいは事業者、すべての負担において少しでも救済をする、こういう制度でございますので、当然そこに一定の合理性というものが必要である。そこにおいて、中環審におきましては、肺がんにつきましては、アスベスト起因の肺がんであるということを発症リスク二倍というラインで証明する、こういうところを基準としてお示しいただいたわけでございますので、これが基本になるものと考えているところでございます。

岡本(充)委員 どうもありがとうございました。終わります。

木村委員長 次に、田島一成君。

田島(一)委員 今御質問いただいたことと重複する部分を避けながら、二十五分間という短い時間ですので、早口で申し上げたいと思います。

 まず冒頭、今回のこの環境省の対策とは別に、企業側の救済状況を照らし合わせながら、救済格差の是正についてお尋ねをしていきたいと思います。

 四月十七日、クボタが、旧神崎工場から一キロ、まあこの一キロというのも非常に疑問のある線引きなんですけれども、半径一キロ以内の石綿関連疾患になった住民に対して、二千五百万円から四千六百万円の救済金を支給するということを表明しました。後を追うようにして五月二日には、ニチアス、そしてニチアスの子会社であった竜田工業が、同じく住民に対して、ニチアスは千五百万円から三千万円、竜田工業は一千万円から二千万円という救済金を支給することを発表しました。

 このクボタとニチアスや竜田工業の救済金支給の額、おわかりいただくとおり、もう明らかに企業の体力差だというような見方で片づけられてしまいがちなんですけれども、残念ながら、この五月二日に発表したニチアスと竜田工業、こちらの救済金の決定の過程では、クボタのように患者団体等との交渉が一切なされなかったというふうに聞いております。それだけならまだしも、もう既に廃業してしまった会社、それから支払い能力がない事業者などはこうした住民に対しての救済金すら支給できない、そんな現状にあるわけであります。

 こうなってしまうと、結局、この石綿新法の救済措置だけが頼りでありまして、患者にとって、療養手当それから医療費の自己負担分、また遺族には弔慰金等々が支給されるわけですが、この新法の審議を重ねてきた段階でも、明らかにこれだけでは生活できないぞということを口を酸っぱくして申し上げてきたところでありますが、やはり被害者の不満が徐々に高まってきていることも聞き及んでいただいているかというふうに思います。

 たまたま住んでいたこの場所がクボタの近くだったから二千五百万円から四千六百万円の救済金が支給される、これはこれでラッキーだというふうにお考えになられる方が多いかもしれませんけれども、同じように石綿関連疾患にかかっていた住民が、たまたま住んでいた場所が違うということで救済金の額に差がある、救済金がもらえる、もらえない、このような救済格差というものが現実に出てきていること、恐らく大臣も御認識をいただいているかというふうに思います。

 やはり、クボタの交渉過程であるとか救済金額に準じた形でこの先患者の救済策を見直していく必要があるのではないかというふうに考えますが、大臣、この現実をどのようにお受けとめいただいて、御感想を持っていらっしゃるか、お答えください。

    〔委員長退席、石崎委員長代理着席〕

小池国務大臣 今アスベスト関連の各社の名前を挙げられまして、そして金額なども幾つか挙げておられましたけれども、実際はどういう形で支払いが行われるのかなどまだまだ確定していない、このように聞いております。いずれにしても、これは民と民との間で行われるものでありまして、それぞれ各社の考え方、その思想をもとにお決めになっているんだろうと思います。

 それから、こういったいわゆる大企業ではなくて、もうつぶれちゃった会社もあったところで影響を受けた人たちは何もないじゃないかということですが、そもそもこのアスベスト新法を御審議いただいたときに引き戻して考えていただければ、そういった事象で救われない人が出てきてはそれは大変だということからこの新法をつくり上げてきたわけであります。

 今御質問は、民間企業でそれに対してある種の救済措置を出そうとしているところと、では今度は差があるじゃないかということのお話ではございますけれども、そうすると、民間企業がまた引き上げますと、それに伴って国がその差額をどうということは、これは基本的に本末転倒ではないのかなと思っております。

 それでまた、国の救済制度というのは、個別的な因果関係を明確にすることが困難であるといったような石綿による健康被害の特殊性ということにかんがみて、そしてまた民事上の賠償責任から離れて被害者の救済を図ろうというものでございまして、その意味では、民とはまた別のというか、今申し上げたのがこの新法のある意味すべてのところでございまして、また予後の経過が思わしくない、そして期間が短いというさまざまな観点を盛り込みまして被害者の救済を図ろうとするものでございます。

 よって、今お話がありました民と民とにおけます個別の救済制度とは今回の新法によります救済制度は性格を異にするものでございまして、その意味ではなかなか比較対照というのは難しいのかと思っております。

    〔石崎委員長代理退席、委員長着席〕

田島(一)委員 一定の限界を当然感じながらも、こうした救済の格差が出てきているという現実は、やはり全く民対民の話だと切り捨ててしまうには余りに残酷な現実であります。だからこそ、こうした新法ですき間のない救済を図っていこうとされたのですが、現実問題、生活できるような、十分に足りる金額ではないということも御認識をぜひいただきたい。実際に苦しんでいる被害者の方々の不満も受けとめるその仕組みというのを、やはり環境省なりで工夫をしていく必要が絶対あるのではないかというふうに考えます。現実問題としてのことを披瀝させていただきながら、この点については、これから先、取り組みのあり方も含めてお考えをいただきたい、ぜひお願いをしたいと思います。

 先ほど岡本委員の質問の中で、最後に、石綿による肺がん患者数が中皮腫患者の二倍だという数字を示していただき、先ほど審議官の方も、それを認識した上で進めていくような御答弁をいただいたというふうに考えているんですが、疫学調査、イギリスの安全衛生庁なんかでもしっかりと数字を示していらっしゃることを環境省としては認識しているというふうに考えていいのか、もう一度お答えをいただけますか。

寺田政府参考人 お尋ねは、中皮腫と肺がんの対比ということで申し上げますと、たしか法案審議時に申し上げましたように、現在、労災においては中皮腫対肺がんが一対〇・七、それから、学説ベースでは、むしろ肺がんの方が多いのではないか、一・六という論もあったやに記憶しておりますけれども、そういったさまざまな状況から、とりあえず予算積算上は大体一対一と考えたというふうに御説明したと考えております。

田島(一)委員 まだ日本においては疫学調査が十分に進んでいないという現実も理解をした上で、ただ、さまざまな科学的知見であるとか疫学調査というものを根本的にいろいろと拾い集めて、そのもととなるデータ、根拠というものを当然洗い直しをしていかなければならないんだと思います。

 強引に一対二という数字を前提としてお話をすると、もうそこで前段階が違うからといって話がすれ違うかもしれませんけれども、例えば、この五月三十一日現在で、実際に出てきた認定申請数、それから特別遺族弔慰金等の申請の数、中皮腫と肺がんの患者の比率というものを考えても、明らかに肺がんの患者数の申請数が少ないということも実際の数字として出てきていますし、また、認定の数にしても、認定申請、いずれこの二十七件を出そうということでありますが、中皮腫患者が二十五に対して肺がんが二人ということで、明らかに肺がん患者の方がやはり少なくなっている。

 この現実を考えると、労災の方でも明らかに少ない現実が今来ているわけですが、一対二という数字、もしくは一対一・六でも結構です、この数字にするならば、本当に、肺がん患者がもっともっと出てこなきゃいけない、出てきてもおかしくないんだろうというふうに考えるんですけれども、実際は随分下回っている。この下回っている理由というものを大体どう考えていらっしゃるのか、今のお考えとしてお聞かせをいただけませんでしょうか。

寺田政府参考人 事実の問題といたしまして、中皮腫の患者さんよりも肺がんの患者さんが本制度への申請が少ないということは明らかな事実でございます。この理由でございますけれども、幾つか考えられようかと思います。

 というのは、一つは、昨年六月以来、いわゆるアスベストが国民的関心事になった中で、中皮腫といえばアスベストというのが極めて人口に膾炙したと言うとちょっと丸い言い方ですけれども、中皮腫だったらやはりアスベストなんじゃないかということが非常に広く知られたということは一つあろうかと思います。

 それから、これは本制度の問題ではございますけれども、中皮腫であれば、とにかく中皮腫という確定診断ないし死亡診断書にその記述があればこれはすべて認定をするというスタンスをとっているのに対して、肺がんについては、かなりの医学的資料を求めるということですから、当然医学的資料を求めるのに一定の時間が必要であるということが考えられます。

 それから、石綿による肺がんというのは高濃度の暴露によって発症するというふうにされておりますので、この救済制度と労災などを比べると、どちらかといいますと中皮腫による肺がんの方は労災の方に多くいくというふうな要素もあろうか。

 ただ、いずれにいたしましても、今の数字を見る限りにおいて、我々としては、肺がんにつきましてもさらに一層の広報をしていかなきゃならないというふうには考えておりますので、一層努力してまいりたいと考えております。

田島(一)委員 恐らく、今おっしゃってくださったのが原因として、私も同じように実は思っています。

 中皮腫に対する認識が随分高まってきた、これは事実としてこの数字にもあらわれているでしょう。しかしながら、肺がんというものに対しての認識が、アスベスト起因なのか、たばこ起因なのか、このあたりが、医学的判断基準というものにもやはり問題があるのではないかなというふうに考えるわけであります。

 例えば、肺がんだというふうに診断される方がどのように問診をされているのか。この現実を、喫煙の経験はあるかということは聞かれても、アスベストに関係する職場で働いていた経験があるかというようなことを問診で問われるケースがどれぐらいあるのかということも実はもっと細かく分析をしていかないと、結局、現場のところでそこまで認識をされていないことが原因になっているのではないかな、そんなふうに実は思ったりするわけであります。

 それと、今おっしゃってくださった、中皮腫の認識が随分高まってきたけれども、中皮腫だけではなく、肺がんも実はアスベスト起因による肺がんがあるんですよということがまだまだ伝わっていないということも、これは一方であるんじゃないかというふうに思います。

 この医学的判断基準について問題があるのではないかという私の提起、それと、これから先、この肺がんについての患者数が本当はもう少し出てくるはずだ、だから出すためにわざわざ言う必要はないというふうにお考えになるかもしれませんけれども、どのようにしてこれから、本来言われている一対一・六もしくは二という数字に近いような申請者数が出てくるような広報活動をされようとしているのか、お答えいただきたいと思います。

滝澤政府参考人 今までのお話にも出ましたように、まさに制度上の指定疾患として、石綿由来の肺がんというものも二つ目の疾患として入ったわけでありますし、当然、制度全体のPRはもちろんですけれども、そういったことも含めて周知徹底をさらに図るというのは大事だと思っています。

 それから、先ほど来申し上げていますように、申請の際の留意事項ということで、肺がんの場合には特にこういうところがポイントだよというようなことを医療関係者にもこれから周知していくというアクションがとられました。

 さまざまなツールを活用して、制度への理解、あるいは石綿由来の肺がんという病気への理解をさらに深めて、医療現場において認識を持っていただくという意味で深めていきたいと思っております。

田島(一)委員 ぜひその点は力を入れてやっていただきたい、お願いを申し上げたいと思います。

 この法案審議のときから、大臣は、答弁に立たれるたびにすき間のない救済ということを随分おっしゃってこられました。今し方、岡本委員の方からも随分、このすき間の、現実に起こっている救済措置について指摘をいただいたところでありますが、実際に、これは関西の方です、保健所の窓口に申請に行って、労災申請中は新法の認定決定を保留するという説明を受けて非常に困っているという相談が寄せられています。

 現場に対して、先ほど審議官は、しっかりともう一度改めて注意を促すということをおっしゃってくださいましたけれども、窓口によって対応が違うというようなことがあっては、これはもう患者にとってはどこを頼りにしていっていいのかわからない。駆け込み寺というものが本来駆け込み寺になっていないという現実をぜひもう一度改めて洗い直しをしていただきたい、このことだけ強く要望しておきたいと思います。

 きょう、実は厚生労働省の方にもお越しいただきましたので、定期健診の実施についてちょっとお尋ねをしたいと思います。

 潜伏期間が平均四十年というふうに非常に長い石綿関連疾患ですけれども、一度発症すると急速に進行してしまうという特徴を考えると、より早く石綿関連疾患であるかないかという健診を受けること、それで明らかにすることが何より重要だというふうに思うわけであります。

 これまで、石綿を過去取り扱ってきた職歴をお持ちの方というのは、申請をされれば健康管理手帳が交付をされ、年二回、無料で専門医の健診を受けられるという対応がされているわけでありますけれども、実際に、この健康管理手帳の制度の周知についてどこまで徹底されているのかなというふうに考えるわけです。私、この数字を聞かせていただいたんですけれども、非常に少ないような気がするわけであります。

 実際に、この健康管理手帳の周知徹底等についてどのように対策を立てていらっしゃるのか、お示しをまずいただきたいと思います。

小野政府参考人 お答えをいたします。

 石綿についての健康管理手帳制度につきましては、これまでも、周知のためのパンフレットを作成いたしまして、全国都道府県労働局それから労働基準監督署を通じまして配布いたしますとともに、事業主団体を通じてこの制度の周知を呼びかける等の広報を行ってきたというところでございます。

 それからまた、全国の労災病院それから各都道府県にございます産業保健推進センターで、昨年来、石綿に関する健康相談窓口を設けました。そういう窓口の相談を通じても、健康管理手帳制度の周知ということを行っているところでございます。

 今委員御指摘のように、やはりこういう制度が該当される方によく広報がされるということが大事でありますので、今後ともいろいろな機会を通じまして、その周知が図れるように努力をしてまいりたいというふうに思います。

田島(一)委員 どうぞいらしてくださいねという受け身の姿勢では、自分が何の病名なのかとか、何が、どこのぐあいが悪いのかというのはなかなかわからないんですね。まず行くのは当然医者、病院であるわけですから、その広報、周知徹底の窓口というのをもう一度検証された方がいいかと思うんですね。当然、労使に対して、きちっと会社側から、こういう制度がありますよということを知らせていくことも大切ですから、企業に対してもそのようなPRをきちっとやられることが何より大切だというふうに思います。

 それと、先ほど申し上げましたけれども、石綿を過去取り扱った職歴があればという前提が当然ついております。だれでもかれでも交付することができない、それはもう当然のことだというふうに思いますが、残念ながら、直接石綿を取り扱っていない労働者、働いていた方々に対してどのような手が打たれてきたのか。

 例えば、石綿を直接加工したり製造したり云々にかかわっていなかったけれども石綿を運んできた労働者の方々、荷揚げ等々の港湾労働者や実際に石綿が使われていた船等に乗っていらっしゃった乗組員の方々、また、水道管等には石綿管というものが使われていたわけですから、その石綿管の撤去であるとか加工等々に携わっていらっしゃった方、もっと言うと、消防服、消防の防火服にもかつて実はこの石綿が織り込まれていたという事実があります、こういう織り込まれていた石綿の防火服を着ていた消防関係者、もっと言い方を変えれば消防団の職員なんかでも、同じように経験があったかもしれない。

 そういうことを考えると、石綿を使っている製品を使用されていた方々というのは、発症してもおかしくないような環境にあったわけであります。しかしながら、直接石綿を取り扱っていないということで切り捨てられてしまう。定期無料健診が受けられないのではないかという心配もあるわけですけれども、どのように線引きをされているのか、お答えをください。

小野政府参考人 お答えをさせていただきます。

 石綿についての健康管理手帳につきましては、石綿を製造する業務はもとよりでございますけれども、今委員御指摘されました、幾つかの例を挙げられたと思いますが、例えば、その中でも石綿の原料を運搬するような作業、これは別に製造ということではありませんけれども、当然、今の運用では石綿を取り扱う業務ということで取り扱っているということでございます。ですから、この手帳そのものは、製造あるいは取り扱う業務に従事して離職をした労働者の方が一定の条件を満たした場合に交付される。

 それで、今委員がお尋ねになりました、とりわけ申請の段階で、石綿を取り扱う業務に従事していたかどうか必ずしもはっきりしないというような事例がございます。そういう場合につきましては、申請者に対してよく確認をする。それは、御本人からいろいろな申告をしていただいて実際の業務の状況を聞く、あるいは職場に問い合わせるというようなことで、実際にどういう従事歴があったのかということをできるだけ細かく丁寧に聞き取るということを窓口であります労働局で行っているところでございます。

 どちらにしても、健康管理手帳の申請があった際の窓口における確認につきましては、適正に処理をするということが大事でありますけれども、個々の実情に応じて要件の確認方法をいろいろ工夫する、あるいは考慮するというようなことを通じて、本来要件を満たす方が、手帳が発給されないということがないように対応していきたいというふうに思っております。

田島(一)委員 窓口によって対応が違うというようなことがまたぞろないように、その点だけはぜひ周知徹底をお願いしておきたいと思います。ありがとうございました。

 時間がなくなってまいりました。最後に、この石綿の除去対策の現状について、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

 冒頭、他の委員からも質問がありましたけれども、もう個別の施設云々の数字をわざわざ示したりもいたしませんし、それこそ、例えば総務省では五月十日に、まだ公共施設でも四割以上が除去であるとか飛散防止対策等がとられていない、そんな数字も発表されてきたところであります。

 こうした状況、例えば自治体の状況等々を振り返ってみますと、私たち環境委員会でこの議論をしたときの附帯決議の中でも、「地方公共団体が行うアスベスト対策に要する経費について、適切な財政措置を講ずること。」というふうに求めさせていただきました。しかしながら、その一方では、地方自治体の議会からも、この公共施設のアスベスト除去に対する経費について、従来の補助にとどまらない、必要な支援措置に対する強い要望が寄せられているというのが現状で、恐らく環境省の方もその辺の話は聞いていらっしゃるのではないかと思います。

 窓口が総務省ですから当然総務省がやるべきことだというふうに縦割りでお考えになられるかもしれませんけれども、今回、このアスベスト新法については、この環境委員会で議論もし、そして環境委員会として附帯決議もつけさせていただきました。関係閣僚会議はもちろんのことですけれども、関係省庁による課長の連絡会議であるとか、そういったところで、このアスベスト除去が遅々として進んでいない部分に対してどうメスを入れていくのか、この辺イニシアチブをしっかりとって、大臣の方から発言、また申し入れ、要求をどんどん私は出していただきたいというふうに思うんですけれども、そのあたりを取りまとめて、どのようにまずお考えか。

竹本政府参考人 ただいま御指摘のございました地方公共団体における所要の措置ということで、御指摘のとおり総務省の方で御指導されておるということでございますが、私どももアスベスト全体を管轄するという観点から大変関心を持って見ておるところでございます。

 御案内のとおり、この委員会でも御審議いただきました、地方財政法一部改正法の施行によりまして、石綿の除去に要する経費につきましては、その財源に地方債を充てる、同時に補正予算の措置をいただきまして、石綿対策関連事業につきまして、その地方の負担額が充当率一〇〇%の補正予算債により対応されるということでございまして、地方公共団体が行う対策事業につきまして、総務省としても必要な措置を行っているというように承知しているところでございます。

 また、先生御指摘の未処理の箇所約四割になるということでございましたが、吹きつけ石綿使用施設のうち、石綿の粉じんの飛散によります暴露のおそれのない施設もその中に含まれているというように承知をしておるところでございますが、なお、総務省におきましては、未処理のうち暴露のおそれのある施設について、速やかに除去、封じ込め措置を行うよう要請を行っていると承知しております。

 いずれにしましても、環境省、先生御指摘のとおり、石綿対策全体を眺める立場としましても、総務省を初めとする関係省庁がそれぞれの所管において一生懸命やっておられる、こういったことも踏まえながら、ぜひ地方公共団体におきます石綿除去が進むことを環境省としても期待をしているところでございます。

田島(一)委員 ありがとうございました。

 附帯決議で、この衆議院の環境委員会で、七項目つけさせていただきました。どれをとっても、今さら言うまでもありませんけれども、一番最後に、「必要があれば、施行後五年を待たずとも本制度について適宜適切に所要の見直しを行うもの」ということをつけさせていただいた。そういう点では、まだスタートをして時間がたっていないということももちろんですけれども、これから適宜この委員会の方には報告をいただきながら、問題点をしっかりと洗い、すき間のない本当の救済ができ、また、このアスベストを根絶することまでつなげることができるような対策をぜひとっていただきたい、このことを強く要望して、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

木村委員長 次に、長浜博行君。

長浜委員 長浜博行でございます。

 この国会、環境委員会も実質質疑ができるのはきょうが最後というようなことになると思います。先ほど来拝聴しておりまして、自民党の委員からも、ふだん忘れそうになりそうな、法案はつくればいいとか審議すればいいということだけではなくて、それを見直していく作業も大事だよ、目からうろこでありますが、こういう指摘も受けましたし、岡本ドクターとか、それから田島さんからも、田島さんは民主党の中でのこのアスベストの責任者でありますが、こういった問題に関しても細かい指摘を幾つか受けてきたわけでございます。

 振り返れば、フロンのときの山本さんとか容リの方の岩永さん、この委員会はさまざまなその法案における問題点を、環境にとって良識あると言ったらいいんでしょうか、問題点を党派性はなくして追及するというような部分がありますので、こういったよき伝統を維持していかなければいけないなとは思っております。

 このアスベストの問題も、考えれば補正絡みでスタートをして、私は補正絡みの扱いにすることを一貫して反対しておりました。要するに、この法案をつくることによって問題が収束するんだということであれば、まあ、そうかなとも思わない部分はないわけではないわけでありますが、しかし、これから潜伏期間の問題等、あるいは救済でなく補償というスタンスに立たなければならないのではないか、政府が、困っているから救済をしてあげるということではなくて、基本的には行政の不作為等を含めて、責任を感ずるならば補償をさせていただく、御迷惑をかけましたという視点を、根本的な部分を正していかなければならないのかということを感じるからでございます。

 私は、今国会を振り返ってみても、水俣の問題、五月一日に水俣に、患者が認定されてから五十年ということでも行かせていただきましたし、今はカネミの問題も出てきておりますけれども、このアスベストの問題、いわば公害等が克服されたことによって、国際貢献のあり方としては、発展途上国に対して、公害を克服した日本の技術による国際貢献もあるんではないか、つい私などもこの論調で街頭演説などをしますが、克服をされていない問題があり続けるという観点から、私自身としては、現在でも大変苦しんでおられる方々、それが環境委員会として何ができるかという視点で今国会はやらせていただいたつもりでございます。

 きょうは質問通告をしておりますが、あれは一月三十日の衆議院の予算委員会の総括質疑、小泉総理以下出席されているところで各大臣に質問通告をした事項でございます。国会というのは本当にいろいろなことがあるもので、あのときもその質疑のために委員会室の方に行ったら、BSEの問題で紛糾しているということで、直前になって、一時間アスベストをやるつもりで準備をしてきたんですけれども、約二時間にわたってBSEをやれということでありますから、BSEをやらせていただきました。

 そういったことからすれば、暮れからアスベストの問題をやらせていただいた、あるいはやらなければいけない。あの日は二千人ぐらいの国会周辺でのデモ活動があったんです。それは、アスベスト対策基本法を制定してくれという百万人署名ですね、一億二千万の人口でありますが、百万人署名を持って二千人のデモ行進、アスベスト基本法案を国会で策定してくれ、制定してくれ、こういう願いに満ちた状況の中での大きなプレッシャーを抱いての質問を用意していただけに、若干、内心じくじたるものがあったわけでございます。

 今回の質疑を拝聴しておっても、あのアスベストのときの、さっき環境省からの答弁にもありましたけれども、今目の前で苦しんでいる皆様方を何としても即刻救わなければならない、なるべく多く救わなければならない、そういった中においては新法の策定が必要なんだ、しかも一刻を争うので補正対応をしなければいけない、悩みに悩んだあげくに、そうだろうなということで賛成をしていった経緯がございます。

 ですから、ここで先ほどの質疑を聞いて、結果、本当に迅速な対応になっていたのかなと。あるいは、より多くの方々を、疑わしきは罰せずというのが何か司法の場ではあるようでありますが、疑わしきは救済をする。補償しろと言っているんじゃないですよ。言葉は、救済しろと。救済するということで、この法案を生かしていっていただければよかったのではないかな。終わっておりませんが、そういう姿勢で、ぜひもう一度、あの一月のころの、この通常国会が始まったころの、与野党ともでありますが、原点に戻って考えていっていただきたいと思います。

 民主党は、昨年の百六十三回特別国会にアスベスト総合対策推進法案を既に提出しております。アスベスト被害者に対する総合的な推進策を示し、その中で、健康被害者に対して政府の不作為責任を含めた補償をすべきとの考えを明らかにしてまいりました。一方、政府案は、あのときの法案は、お見舞い、救済を行うにすぎず、基本的な補償というようなことにはなっていないわけであります。

 こういったことから、私は、内閣総理大臣を長とするアスベスト対策会議、名前は何でもいいですが、患者やその遺族なども参加するアスベスト対策委員会を設置し、過去の検証を行って基本法をつくっていくべきだということを、この法案の中でお訴えをするというか、質疑の過程の中で明らかにしていきたいというふうに思ったわけでございます。

 後ほど質問をさせていただきますし、また先ほどの大臣の二分間の御報告の中でもありましたけれども、関係閣僚会合なるものも存在をしているわけでございます。皆様にもこの座席表を配らせていただきました。御丁寧に入り口まで書いてありますが、入り口から入っていってこうやって座るんだろう。こういう会議というのは座り方も大変意味があるようでございますが、こういった形で、この新法をつくる前にアスベスト問題に関する関係閣僚による会合が開かれていたようでございます。

 限られた時間の中で、自民党の委員含めてのダブりを避けて質問をしますが、この後には田端さんがやられますが、田端さんもこのアスベストには専門的でございますので厳しく質疑をしていただければいいと思いますが、このアスベスト問題に関する関係閣僚による会合なるものは、内閣官房からも来ていただいておりますが、一体どういう会合の性格を持つんでしょうか。

笠井政府参考人 お答えいたします。

 アスベスト問題については、関係する行政分野が多岐にわたりますので、関係省庁の緊密な連携のもとにスピード感を持った対応を行うということで、設置要綱のような文書を持ったものではございませんが、例えば、大気環境保全の観点から環境大臣、労災補償等の観点から厚生労働大臣に入っていただくなどして、事態の緊急性を踏まえて関係閣僚が必要に応じて集まっていただくという形で開催をいたしました。内閣官房が総合調整を行うという立場で、官房長官が主宰をしております。

長浜委員 今のお話でも、迅速、機敏に対応していくという話がありましたけれども、それで新法が成立をしたわけでありますが、今、この閣僚会合なるものは一体どういう位置づけになっておるんでしょうか。

笠井政府参考人 閣僚会合自体は、昨年の七月、八月、九月、十一月、十二月と開きまして、その後、国会での法案の審議、成立した法律を受けた施行準備などに入りまして、それで、閣僚会合ではございませんが、三月の初めには、もう一度、課長レベルで集まって施行状況を確認するというようなことをやっております。

長浜委員 開かれてもいないで、新法をつくってしまったからそれでいいやということになるのかどうか。

 先ほど来申し上げているように、この種の法案は、人の命とか健康が絡む問題は、先ほど御入院をされたから大臣もおわかりでしょうという発言がありましたが、人の生命、命にかかわる問題は、その都度見直しを図っていくというのが常識的に考えられる部分であって、最初から完璧な法案なんというのはできないわけですね。現実に対応していく中で問題点を見つけて直していくということで、もう関係閣僚会議は開かれていない。現実には開かれていない状況の中において内閣官房がリーダーシップをとっているというような形になっておりますけれども。

 この質疑を行うに当たっても、さっき山本さんから、随分あなた呼んでいるねという話が出ましたが、呼んでいるわけじゃないんです。アスベストの問題を質疑するときに必要だから来られているわけでしょう。経産省がおられたり、この座席表を見ますか、防衛庁長官までいて、経産大臣、文科大臣、国土交通、財務、農水、総務、こういった方々が集まって、普通は、これほど多省庁にまたがる場合は特別委員会などを設置して、今は多省庁にはまたがらないと思いますが、教育問題を特別委員会でやっておるようでございますが、この問題はまさに多省庁にまたがる。きょうも、不幸にして委員会が多数開かれているということで、私は基本的には政治家答弁をいつも求めておりますけれども、委員会ということで皆様方が来られているんだというふうに思います。

 ですから、こういった問題を担当するのは、環境省は環境省の役割があるでしょう。それから、さっき岡本ドクターがやっていましたけれども、厚生労働省は厚生労働省の役割があるし、学校の校舎、夏休みに入ってアスベストの撤去なんかするけれども、周辺住民や何か、あるいは校庭開放で遊んでいる子供たちにどういう影響があるかなんというのはやはり文部科学省になるし、あるいは、皆様のおうちもそうかもしれませんけれども、公共施設ばかりやっていますが、一般の家庭の中においても、アスベストをまぜながら補強した屋根材ですね、かわら、普通のかわらじゃなくて、雪が落ちやすいようになっているあのかわら、スレートみたいなもの、こんな製品をやるのなら経産省になるし、これだけまたがっているものを、なぜこの関係閣僚による会合の中で環境大臣にこの取りまとめをさせるという状況になっているのか。

 私は、時代の流れの中において、環境権とか環境税をきょうは論じるつもりはありませんけれども、一九四五年とは今の環境における位置づけが違うので、今の内閣のあり方からすれば、前にこの委員会でも言ったことがありますし、本会議でも言ったことがあります。環境大臣は総理大臣が兼ねるべきではないか、あるいは、総理大臣が環境行政の最高責任者として、すべての省庁にまつわる環境の問題についてはリーダーシップを発揮すべきではないか、あるいは、それができないのであれば、環境大臣にそれだけの、各省庁にまたがる部分の中で優越的地位を与える、法律的にどうなっていくのかわかりませんが、そういうことを訴え続けているわけであります。

 このアスベスト問題で環境委員会への付託は、これは議運で決めることですから言いませんが、主務大臣が環境大臣というふうになっているのは、どういったことでございましょうか。

小池国務大臣 各関係省庁にまたがる事項というのは、もう多々あると思います。このアスベスト問題について環境省としても取り組みをしていくというのは、これは有害物質によって環境が汚染されて、そこから人の生命、健康が害されるというようなことがあってはいけないということで、これはある種、最も基本的な環境政策の一つであろうと考えております。

 また、この問題の中身を考えますと、まさに労働災害の部分とそれから環境の部分とそれぞれあります。ここで内閣という考え方もありましょうけれども、しかしながら、環境省が主な役所となって、そして各省庁に必要な事項を出してもらって、またそれを実行してもらって、そして総合的に進めていく。

 今回、最大の反省事は、関係省庁がばらばらな対応をしていたがためにおくれてきたことではないかということは、再三再四、反省として申し上げているわけで、だからこそ、それぞれの省庁がばらばらに取り組まないで、環境省が今回ベースにさせていただいていますけれども、連携を密にとって、そして、先ほど来お話ありますように、労災の方に申請をしたけれども、いやいや、これはあっちの方じゃないかといってたらい回しにならないように、私は、このことについてワンストップサービスでできるようにとお願いしている中で、現実には、いろいろな問題も実際にはあるんでしょう、そうでないようにということを、きょうの質問をベースにして、必要なところにまた環境大臣としてのお願いというのを出せばいいなと思っているところでございます。

 いずれにいたしましても、政府としてきっちり責任がとれる体制をどうやっていくのか。ですから、形とそれから実効性、その両方が整わなければならない。その意味では、今回、関係閣僚会合をスピーディーに何度か開いていただいて、家の設計図をかいていただいて、そしてそれぞれの必要な案をもとに家を設計し、今、それをつくった上で活用し始めたところでございます。

 いずれにいたしましても、環境省として、また環境大臣として、このアスベストの問題で、再びまた関係省庁との連絡の悪さから被害者の方々の救済に対して何か問題があってもいけないし、そういったことは、これからも連絡を密にとりながら進めていきたい、このように思っております。

長浜委員 スティーブ・マックイーンという映画俳優がおりまして、好きか嫌いかは別にして、一九八〇年に五十歳で亡くなられました。たまたま、日本医師会提供のテレビ番組を見ていました。スティーブ・マックイーンの特集じゃなくて、アスベストの特集です。日本医師会が提供していました。偶然見たんですが、死因は、一九八〇年、アスベストが原因の中皮腫が発症しているのが見つかり、余命数カ月を宣告された後、亡くなった。海兵隊で乗務した戦艦の船室の内装に多用されたり、趣味のレースで当時使われたアスベスト製の耐火服、耐熱フェースマスクから長期にわたりアスベスト繊維を吸引したのが原因ではないかというふうに言われて、一九八〇年、あのスティーブ・マックイーンは亡くなっているわけでございます。

 それから、WHO、世界保健機関の石綿の発がん性の指摘は、それに先立つ八年前の一九七二年、昭和四十七年でありました。また、ILO、国際労働機関によるところの青石綿の原則使用禁止、これは一九八六年、昭和六十一年でございました。

 こういった状況のときに、環境省とは言いませんが、この問題を扱うときには、一九九二年のリオデジャネイロのサミットの予防原則のことをいつもおっしゃって、いわゆる行政、国の不作為責任というものはないんだというとらえ方をします。現実には、世界の中において、関係閣僚会議なるもので、八月、九月、それから十月を飛ばして十一、十二ですか、やっておられた中での、予防原則が確立をされていなかったために、これは大気汚染防止法にも、大防法にも触れないというか、責任をとるものではないという指摘があります。

 私は、また申し上げて恐縮ですが、水俣にしろ、こういった問題にしろ、世界各国の潮流の中でこうだった、しかし、その潮流も、今とらえれば、八〇年にあれだけ有名な映画俳優もアスベストで亡くなっている等々、あるいは国連機関等々もアスベストの問題を指摘する中において、なお強弁と思われるごとく、国の行政の不作為責任というのを認めないのか。

 実は、きょうは多くの官庁の方が、さっきも申し上げているように、来ております。大変失礼で申しわけないんですが、実はこの質問時間で、おわかりのように、とても質問ができるだけの時間ではありません。つまり、今の質疑を聞いていただいて、ぜひ、御所属のところに戻っていただいて、アスベストの問題で環境委員会でこういう質疑をしていたということを御報告いただければありがたいなというふうに思っております。そういう失礼をおわびします。

 環境大臣、行政の不作為、国の責任について、どうお考えになりますか。

小池国務大臣 行政の不作為の責任についてということで、環境省、この問題が昨年の六月でしたか再びクローズアップされましたときに、改めてこれまでの行政のあり方はどうだったのかということで検証をさせていただきました。そして、その結果については、御報告をさせていただいたとおりでございます。

 旧環境庁の時代でありますけれども、昭和四十七年から、石綿に関しての科学的知見の収集、環境モニタリングなどに努めて、そしてまた、それに必要な事項ということに対しての対応を講じてきております。よって、不作為がないとは言えないのではないかという御質問だと思いますけれども、こういった過去の検証ということからいいますと、不作為があったということはない。

 しかしながら、大気汚染防止法によります規制の導入が実際には平成の元年まで行われておりませんので、当時においては予防的アプローチの考え方というのは欠如していた、十分に認識されていなかったということもございましょうし、さらにまた、私はここがやはり日本の中で一番大きな問題であろうと思いますのは、関係省庁間の連携が必ずしも十分ではない、それぞれの知見、それからさまざまな情報についてもそこどまりといった事項のことについては、残念ながら多々あるわけでございます。

 こういったことは、今後はそうあってはいけないわけでございまして、だからこそ、今回のアスベスト問題についても、関係閣僚会合などを開きながら、省庁間での連携を密にして進めてきた。また、今後も、運用においてはそういった姿勢は変わらず続けていくのが必要ではないかと考えているところでございます。

長浜委員 終わります。ありがとうございました。

木村委員長 次に、田端正広君。

田端委員 きょうは、久しぶりに環境委員会で質問させていただく場をいただきまして、ありがとうございます。また、こういうアスベストの総合対策に関する集中審議といいますか、こういう場を設けられたことについては私も非常に評価したいと思っております。

 昨年、この問題が起こって以来、与党の中でアスベストに関する与党のPTというのが立ち上がりまして、私もそのメンバーの一人として、尼崎の視察から始まって、ずっと一貫してやってまいりました。そういう意味で、きょうはそういう観点から幾つかの点について確認させていただきたいと思っております。

 私は、率直に言って、この国会の冒頭で新法を制定させていただいたということは、非常に敏速な対応ということで、よかった、また、関係者の方にも大変喜んでいただき、評価していただいていることだろうと思いますし、それがまた民間の企業にもいろいろな形で影響を及ぼしているという意味では、これは画期的な法案の成立である、こういう評価をしているところであります。

 そういう流れの中で、しかし、三カ月たちまして、それが今どういう状況かということは、これはまたいろいろな問題点も出てきているのではないかと思いますので、その点について少し確認したいと思います。

 特別遺族給付金について、五月二十六日、六十四人の方を認定されたと思いますが、これはちょっと少ないんじゃないかな、こういう感じを率直に持っております。そして、六月七日に療養患者の周辺住民の判定がありまして、二十七人が認定されて保留が五十三名、これは、二十七人の認定に対して保留が多過ぎるのではないかというふうに率直に感じるわけであります。

 これは非常に医学的なことですから、立証責任といいますか、そういうことが難しいんだろうと思いますが、腫瘍マーカーとかエックス線の画像とか、そういう医学的資料を添付するように、こういうことなんでしょうが、この判定小委員会の報告を見ましても、胸部エックス線あるいはCT検査のフィルムを添付するとか、こういう非常に厳しい条件が幾つかあるわけであります。しかし、現実に遺族の方なり患者の方というのは、実際に自分でそれを立証するというのは非常に難しいのではないかと思います。

 もう一つは、それを証明する側のお医者さんの方も、ここのところはなかなか周知徹底されていないのではないか。そういう中で、被害者にとれば早く解決してもらいたいという思いもありながら保留とかこういうことになっていって非常に滞っていくということについては、せっかくの新法というものが十分に生かされていないのではないかという危惧をいたしますが、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

小池国務大臣 まずは、何よりも田端先生を初めとする皆様方が大変熱心な取り組みをいただいたおかげで、この新法は本当に驚異的なスピードでまず法律として成立をしたわけでございます。それだけに、この新法を早く活用して、そして救済に当たれという御趣旨であったかと思います。まさにそのとおりだと思います。

 認定などについては、実際始めたばかり、三カ月ということでございますけれども、石綿に起因する疾病を患っておられる方々、御遺族の一刻も早い救済ということを考えますと、引き続き全力で取り組む、さまざまな問題点、それから技術的な課題などございますが、私の方からといたしましては、一刻も早く全力で救済できるような体制を整えてまいりたいと考えております。

 必要ならば、保健部長の方から加えての説明をさせていただきます。

滝澤政府参考人 お話にありましたように、療養関係で申請されている方、必要書類が多少完璧でなくても広く早く受け付けるというような初期の対応を機構の方でおとりいただいたという状況もあるやに聞いております。そうしたことも含めまして、審査に供した場合に、もう少しこういうデータがほしい、医学的資料がほしいということで保留が結果的にふえたという状況と認識しております。

 また、亡くなられた方の給付の関係でございますが、六十四件の認定、これも一つ一つ死亡診断書関係を法務局に機構が代行して問い合わせるという手続が一つございまして、それがお一人お一人やるということで結果的にスタートということで時間がかかり、件数も少のうなっておりますけれども、循環が好循環に転じていきますと、死亡の関係の認定も速やかに進むのではないかと考えております。

田端委員 労災の方の認定も、少し保留が多過ぎると私は思うわけです。例えば〇五年度で七百二十二名というふうに、非常にたくさんの認定がされるようになってまいりました。それは、石綿の問題が大きく問題になった、そういう社会的背景もあってふえてきているんだと思います。ところが、ことし、今年度に繰り越された件数が八百件ぐらいあると言われておりまして、認定作業に非常に時間がかかっているのではないか。

 そういう意味では、〇六年、労災のこの新法によって、さかのぼって申請できるというこの制度を利用して千二百件の方が申請していながら百件ぐらいしか認定されていないという意味では、ここのところも、大変会社が倒産していたりとか、いろいろな資料が足りないということで認定ができないということになっているんだと思いますが、せっかくの新法を用いてさかのぼっても申請できますということをしていながら、千二百件で百件というのでは、やはり全体的な意味で対応をもう少しきちっとした方がいいのではないか、こう思うわけですが、いかがですか。

森山政府参考人 お答え申し上げます。

 先生今御指摘されましたように、労災の請求件数、十七年度は千七百九十六件でございまして、昨年に比べまして八・六倍と急増いたしております。また認定件数、決定件数でございますと八百四十件でございまして、これも四・四倍でございます。大変に急増しておりまして、私ども、このために実施処理体制、例えば署の応援、あるいは石綿暴露の事実確認の方法の簡素化等行いまして、できる限りの迅速な認定のためにやっておるわけでございます。

 ことしに入りまして三カ月間では、約四百五十件の支給決定を行っているところでございます。また、石綿新法に基づきます件数、これも先生今御指摘のように、百件ちょっとございまして、まだなかなか少ないわけでございますけれども、これもいろいろな迅速処理化、今後とも引き続きその迅速な処理について努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

田端委員 健康診断の方も、先ほど来、いろいろな議論がございました。

 それで、全国の労災病院を軸にアスベスト疾患センターというのが設置されて、そして七つの病院にブロックセンターというものがつくられて、健康相談あるいは健診あるいは治療等々やっていただいているわけですけれども、しかし、労災病院と健診機関で健診を実施するということの周知徹底がどこまで行われているのかという意味では、下請の方とか一人親方の方とか、そういう方々はなかなか周知徹底されていないのではないかと思います。

 例えば胸膜肥厚斑とか石綿肺とか、こういう暴露のおそれのある方も相当いるわけですね。そういった方については、御本人自身が非常に心配している、こう思うわけでありまして、周辺住民、元従業員、あるいは家族の方、そういった方々がやはり健診を受けたいということに対してどこまで周知徹底して対応できるのか、この点についてもお答えいただきたいと思います。

小野政府参考人 お答え申し上げます。

 私の方からは、石綿作業に従事したことのある退職労働者についての健康診断ということで御説明をさせていただきます。

 石綿を取り扱う作業に従事して退職された方の継続的な健康管理というのは非常に重要だというふうに考えておりまして、健康管理手帳制度を設けて毎年二回無料の健診が行われる。この制度については、いろいろな業界団体、あるいは都道府県の労働局、監督署等を通じて、こういう制度があるので活用していただきたいということでいろいろな広報活動も今まで実施をしてきております。

 それから、要件に該当せずに健康管理手帳を所持されていない方で以前に石綿を取り扱う作業に従事されていた、そういう方もいらっしゃいますので、こういう方々にも、特に事業者の方でこういう方に健康診断をしていただくように、昨年来、要請を行ってきたところでございます。

 それから、以前石綿を取り扱う作業に従事していた事業場が廃業とかあるいは倒産とか、そういうことによりまして事業者の方で健康診断がなかなか実施できないというようなケースもございます。そういう離職者の方につきまして、一定の要件を満たしている方につきましては、この平成十八年度におきまして約二億円の予算を確保しておりますので、これによりまして無料の緊急特別健康診断を実施することとしております。

 こういった新しい事業も含めてよく周知を図りまして、こういう制度を活用していただいて、健康管理、健康確保に資するようによくPRをしていきたい、こういうふうに思っております。

田端委員 国会審議の附帯決議の中に、指定疾病について追加するという意味のこと、「被害の実態の把握に努め、必要に応じて対象に加える」つまり、中皮腫以外のことについても今後考えていこうという趣旨の決議をされているわけであります。

 例えばニチアスが、周辺住民の健康診断の結果、奈良の王寺、岐阜の羽島、静岡の袋井、この三工場周辺で七十六人の方の石綿病変、胸膜肥厚斑という住民の方がいたということが出てきたわけでありまして、こういった意味では、こういう方々は大量の石綿を吸い込んだという一つのあかしでもあろうかと思いますし、この人たちは将来中皮腫とか肺がんに移行する危険性といいますか、そういう危惧を持っているわけでありますから、こういう方々こそ、経過観察という意味での健診ということが大事になっていくのではないかと思います。

 つまり、そういう仕組み、体制がどこまでできているのか。この健康診断は二万円ぐらい今かかると聞いておりますので、そういう意味では、企業だけに任せておくのではなくて、こういう方々をできるだけ広く救っていくという意味で、厚生省の方もまた環境省の方もぜひ知恵を絞っていただきたいと思います。

 この点については今後どういう取り組みをされていくのか、お願いしたいと思います。

滝澤政府参考人 御指摘のニチアス工場の関係で七十六名が要経過観察者という情報は承知しておるところでございまして、お話しのように、こうした方々の健康管理は極めて重要だというふうに思っております。

 そこで、環境省といたしましても、尼崎市等の三地域におきまして石綿製造工場周辺地域における住民を対象とした健康リスク調査というのを実施いたしまして、石綿暴露に関する実態把握を行う予定であります。また一方、厚生労働省におきましても、一般住民を対象とした調査研究の実施に向けた検討を進めていると聞いております。全国的なレベルでの健康管理に向けた体制を整えつつあるというふうに私どもは認識しております。

 このような調査を行う中で、住民の安全、安心の確保に努め、早期発見、早期治療へ結びつけるというシステム化を構築していきたいと考えております。

田端委員 公費負担の問題については、我々与党PTでも相当議論してきたところでありまして、ぜひ配慮していただきたいと思います。

 一つ提案したいことは、例えば昔石綿を扱っていたという工場の地図というものを、過去にそういう形跡があるという、それの地図をつくっていただいて周辺住民にもわかるような仕組みというものをつくらないと、自分がどこでその接点があったのかということすらわからない人が出てくるのではないかと思いますから、それはぜひ一回お考えいただきたいと思います。

 それから、この附帯決議の中に、被害の実態の把握に努めるということが求められておりまして、そして、五年以内に行われる制度の見直し、こういうことも重要であるということが付記されているわけでありますが、そういう、将来改めなければならない点が出てくるかと思いますが、実態調査と、そして今後どういうふうに取り組んでいくかについて環境省にお尋ねしたいと思います。

江田副大臣 田端先生には、それこそ、与党PT等で法案の作成の段階から成立に至るまで尽力していただきました。

 先ほどの質問にお答えさせていただきますが、環境省では、平成十七年度から中皮腫の死亡者を対象としまして石綿の健康影響に関する実態調査を実施しております。初年度は兵庫県における調査を実施いたしました。また、今年度も引き続き大阪府と佐賀県においても実施する予定にしております。

 兵庫県における調査におきましては、職域に関する暴露を受けた者が多かったのが神戸市でございました。しかし、それと比較して、尼崎市の方では暴露経路が特定できなかった者が多いという結果でございました。

 このため、今年度からは、尼崎市についてのより確度の高い疫学的調査も実施する予定にしております。これは、中皮腫死亡者と地域的な傾向に関する知見をさらに深めるものでございます。

 また、被害の実態把握の一環としまして、一般環境経由による石綿の健康被害の可能性があったとの報告がありました大阪府泉南地域、尼崎市、鳥栖市の三地域においては、住民を対象とした健康リスク調査を実施する予定としております。

 具体的には、対象地域の自治体の広報媒体を通じまして、石綿暴露の可能性があった住民を募集します。調査の協力に同意いただいた上で、職歴や居住歴等の詳細な問診を行って、胸部エックス線並びに胸部CTの検査を実施いたします。何らかの石綿による医学的な所見が確認されて、経過観察が必要な方に対しましては、定期的に検査を行って経過を把握するものでございます。

 こうした調査によりまして、石綿暴露の地域的広がりや石綿関連疾患の発症リスクに関する実態を把握しまして、救済制度の見直しに必要なデータを蓄積していくほか、対象地域住民の健康増進にも資することができると考えております。

田端委員 ぜひ積極的にお取り組みいただきたいと思います。

 今お話があった大阪の泉南ですけれども、ここはかつては紡績工場がたくさん集中していたところでありまして、その下請の下請の下請といいますか、例えば先ほども問題になった防火服とか防火のための消防団が使う手袋とか、石綿の入った、そういう防火対策のものを家内工業といいますか、むしろ内職として、手内職として一般家庭の主婦の方が夜なべをしてつくっておられたということが過去にあるわけで、そういう人にとったら、自分がどこでその接点になっていたのかということがほとんどわからない状況で今日まで来ているのではないかと思います。だから、そういう意味では、泉南をそういう形で地域に入れていただいておりますので、ぜひそういうことも配慮して健康診断をお願いしたいと思います。

 もう時間がないので、意見だけ申し上げますが、もう一つは費用の問題です。

 労災に加入しているすべての企業から薄く広く費用を充てるということになっておりますが、この方向性で、来年から、十九年から行うんだというふうに聞いておりますが、拠出金についてはどういう形でどうするのかということをぜひ早くおまとめいただいて、そして企業の皆さんにも気持ちよく協力していただくような、そういう仕組みをつくっていただきたいことをお願いして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

木村委員長 次回は、来る十六日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時九分散会


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