衆議院

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第2号 平成18年10月27日(金曜日)

会議録本文へ
平成十八年十月二十七日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 西野あきら君

   理事 石崎  岳君 理事 宇野  治君

   理事 桜井 郁三君 理事 鈴木 俊一君

   理事 竹下  亘君 理事 並木 正芳君

   理事 末松 義規君 理事 田島 一成君

   理事 江田 康幸君

      上野賢一郎君    小里 泰弘君

      北川 知克君    小杉  隆君

      木挽  司君    近藤三津枝君

      坂井  学君    杉田 元司君

      薗浦健太郎君  とかしきなおみ君

      中川 泰宏君    橋本  岳君

      藤井 勇治君    藤野真紀子君

      山本ともひろ君    太田 和美君

      加藤 公一君    村井 宗明君

      吉田  泉君    赤松 正雄君

      江田 憲司君

    …………………………………

   環境大臣         若林 正俊君

   環境副大臣        土屋 品子君

   環境大臣政務官      北川 知克君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  笠井 俊彦君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  坪井  裕君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 野村  守君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 辻   優君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房参事官)           中林 圭一君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房参事官)           實重 重実君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局企画部長)         齋藤 晴美君

   政府参考人

   (林野庁林政部長)    島田 泰助君

   政府参考人

   (水産庁漁政部長)    竹谷 廣之君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           伊藤  元君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            上田 隆之君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           安原 敬裕君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           和泉 洋人君

   政府参考人

   (国土交通省国土計画局長)            渡邊  東君

   政府参考人

   (国土交通省河川局長)  門松  武君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 寺田 達志君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   由田 秀人君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            西尾 哲茂君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局環境保健部長)       上田 博三君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  南川 秀樹君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            竹本 和彦君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  冨岡  悟君

   環境委員会専門員     齊藤  正君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十七日

 辞任         補欠選任

  篠田 陽介君     藤井 勇治君

  藤野真紀子君     杉田 元司君

  馬渡 龍治君     薗浦健太郎君

  長浜 博行君     太田 和美君

同日

 辞任         補欠選任

  杉田 元司君     藤野真紀子君

  薗浦健太郎君     馬渡 龍治君

  藤井 勇治君     小里 泰弘君

  太田 和美君     長浜 博行君

同日

 辞任         補欠選任

  小里 泰弘君     橋本  岳君

同日

 辞任         補欠選任

  橋本  岳君     篠田 陽介君

同日

 理事竹下亘君同日理事辞任につき、その補欠として並木正芳君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 環境保全の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

西野委員長 これより会議を開きます。

 理事辞任の件についてお諮りいたします。

 理事竹下亘君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 ただいまの理事辞任に伴う補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に並木正芳君を指名いたします。

     ――――◇―――――

西野委員長 次に、環境保全の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣参事官笠井俊彦君、内閣官房内閣参事官坪井裕君、警察庁長官官房審議官野村守君、外務省大臣官房参事官辻優君、厚生労働省大臣官房参事官中林圭一君、農林水産省大臣官房参事官實重重実君、農林水産省農村振興局企画部長齋藤晴美君、林野庁林政部長島田泰助君、水産庁漁政部長竹谷廣之君、経済産業省大臣官房審議官伊藤元君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長上田隆之君、国土交通省大臣官房審議官安原敬裕君、国土交通省大臣官房審議官和泉洋人君、国土交通省国土計画局長渡邊東君、国土交通省河川局長門松武君、環境省大臣官房審議官寺田達志君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長由田秀人君、環境省総合環境政策局長西尾哲茂君、環境省総合環境政策局環境保健部長上田博三君、環境省地球環境局長南川秀樹君、環境省水・大気環境局長竹本和彦君及び環境省自然環境局長冨岡悟君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

西野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上野賢一郎君。

上野委員 自由民主党の上野賢一郎でございます。

 今国会より環境委員会に所属させていただくことになりまして、今回初めて質問をさせていただくことになりました。どうぞよろしくお願いをいたします。

 きょうは、大きく申し上げまして、二つの点につきまして質問をさせていただきたいと思います。一つは、地球温暖化の問題であります。もう一つは、私、滋賀県の出身でございますが、琵琶湖の問題につきまして質問をさせていただきたいと思います。

 最初に、地球温暖化の関係ですが、最近、私たちがふだん生活をしておりましても、日本の気候が今までと大分変わってきたというような認識を持つ方も多いのではないかと思います。突然スコールのような大雨が来たり、あるいは台風が増加をして被害が発生するなど、異常気象が見られるのではないか、こうしたことも温暖化の影響ではないか、そうしたことを危惧いたしております。

 そしてまた、世界的に見ましても、北極海で氷河が大きく後退をするなど、いろいろな形で温暖化の影響が出ているのではないかというようなことを推察させる現象が多数起きているところであります。

 近い将来、社会あるいは生態系につきまして、温暖化の影響によって壊滅的な影響が生じる、そうしたことも現実的な危機として私たちは対応していかなければいけないのではないか、そうした思いを持っております。

 そこで、お伺いをしたいと思いますが、EUでは、工業化以前に比べましてプラス二度の気温の上昇幅に抑えるということをターゲットにいたしまして、より長期での削減努力につきましての議論が進んでいるというふうに聞いております。また、我が国におきましても、中央環境審議会におきましては、プラス二度を出発点にしてこれからの対応を考えていくというような考えが示されていると存じておりますが、このプラス二度ということにつきまして、これは我々の日常生活に具体的にどういったインパクトを与えるものなのかにつきまして御教示をお願いしたいと思います。

南川政府参考人 お答えいたします。

 上野委員御指摘のとおり、EUにおきましては、二〇〇五年のEU首脳会議におきまして、地球の平均気温の上昇が産業革命前と比べて二度Cを超えるべきではない、そういった結論が得られております。

 これにつきまして、私どもも国内で専門家に議論いただきましたが、それによりますと、二度Cを超えますと、水不足あるいはマラリアなどの病気、さらに農業生産の問題からの飢餓、沿岸洪水、こういった悪影響にさらされる人口が急激に増加するということでございます。また、こういった悪影響の拡大規模はおよそ二度Cで急激に上昇するという研究成果もございます。したがいまして、悪影響の大規模な拡大を防ぐ観点からも、二度Cには一定の意味が認められるというふうに考えております。

上野委員 この二度ということにつきましては、いろいろな説があるかと思います。一部の学者の中には、これはポイント・オブ・ノーリターンで、これを超えてしまうともう引き返すことができない、そういう限界だというような説をおっしゃる方もいらっしゃいます。そうしたことを踏まえながら、これからより長期の対策についても検討を進めるべきだと思います。

 先ほどお話をしましたEUにおきましては、温室効果ガスの排出量を、一九九〇年比ですが、二〇二〇年までに一五%から三〇%削減をする、そして二〇五〇年までには六〇%から八〇%削減をする、そうした道筋をつけることが必要だというようなことが、EUの環境大臣会合での結論文書でも明らかにされております。

 我が国におきましても、その第一約束期間後のポスト京都議定書というべきものにつきましても、もちろん国内対策を充実させることは必要ですが、より長期な視点から国際的な議論をリードするための準備を進めるべきだと思いますけれども、それにつきまして御見解をお伺いしたいと思います。

土屋副大臣 昨年の気候変動枠組み条約第十一回締約国会議、COP11や、京都議定書第一回締約国会合のCOP/moP1では、米国や中国、インドなどの途上国を含むすべての国が参加する長期的な行動に関する対話の開始が合意されたのを初め、京都議定書第一約束期間後の枠組みの構築に向け、さまざまな成果を得たと思っています。

 一方、気候変動が主要課題の一つでありました、ブレア首相が大変な強いリーダーシップをとって行われました昨年のG8、グレンイーグルズ・サミットにおいても、G8気候変動、クリーンエネルギー及び持続可能な開発に関する対話の開始が合意され、我が国が主催する二〇〇八年のG8サミットにおいてその結果が報告されることになっております。

 ことしはメキシコで主要二十カ国が参加して行われたわけでございますけれども、これに続けまして、我が国といたしましては、気候変動枠組み条約のもとでの交渉を中心に、G8プロセス等も活用しまして、すべての国がその能力に応じ排出削減に取り組むことを可能とするとともに、主要排出国による最大限の削減努力を促す実効ある枠組みの構築に向けて、さらに主導的な役割を果たしてまいりたいと考えております。

 こうした方針のもと、まずは、来月からケニアのナイロビで開催されます気候変動枠組み条約第十二回締約国会議、COP12、これは大臣が出席予定にしておりますけれども、国会等の関係もありますのでまだはっきりはしませんけれども、そのときに京都議定書第二回締約国会合、COP/moP2も開かれますので、そういう場を利用しまして議論の進展に貢献していきたいと思っております。

上野委員 ありがとうございます。

 そうしたことでぜひ頑張っていただきたいと思いますけれども、やはりはっきりとしたメッセージを世界に出していくということが非常に重要だと思います。先ほどプラス二度という話をしましたが、そうしたことも含めて、日本としてこれからどういうメッセージを世界各国に伝えられるか、そうしたことにつきましても十分な御検討をお願いしたいと考えています。

 そこで、今、アメリカその他の国のお話が少し出ました。この京都議定書をしっかりと実現していくためには、最大の排出国であるアメリカ、米国をしっかりと巻き込んでいくということが重要だと思いますが、これも残念ながら、ブッシュ政権におきましては、今のところ、これを批准しないというスタンスを変えておりません。しかし、一方、アメリカの各州の状況を見ますと、例えばカリフォルニア州では、シュワルツェネッガー知事が先導しまして、この温室効果ガスの削減に向けた独自の法規制を導入しているというお話もお伺いいたしました。

 そこで、お伺いをしたいのですが、こうした状況の中で、アメリカに対しましてどういった働きかけをこれから行っていくのか、それについてお伺いをしたいと思います。

 さらに、大臣の所信によりますと、アジア諸国との環境連携というのも十分考えていきたいということでありまして、二〇〇八年のG8サミットの機会を活用するというお話をお伺いいたしましたけれども、より具体的にはどういったことを考えていらっしゃるのかにつきましてお伺いをしたいと思います。

土屋副大臣 アメリカに対しましては、これまでも気候変動枠組み条約締約国会議、COPなどの場で、さまざまな機会をとらえ京都議定書の参加を働きかけてきました。私も、外務政務官のときにインドでCOP8が開かれまして、そのときもアメリカの次官とバイの会議で相当突っ込んだ話をしましたけれども、大変手ごわいというのを感じたのを思い出しております。

 そういう意味では、常に機会をとらえて対話、そして説得をしております。こうした働きを今後も続けていく予定でございますし、また、環境省では、日米ワークショップの開催などによって、政府以外のチャネルも利用しまして、米国に建設的な対応を促しております。先ほど委員がおっしゃいましたように、今、州レベルでは大分変わってきておりますので、やはり政府以外のチャネルを利用するということも、効果が少しずつ出てくるのではないかと思っております。

 また、アジアにおいてですけれども、中国やインドなど排出量が多い途上国を抱えたアジア、これは深刻でございます。日中韓三カ国大臣会合というのを開いておりますけれども、それが一つ。それから、アジア地域の二〇一三年以降の気候変動枠組みに関する非公式対話というのをもう一つ開いております。それから、地球温暖化アジア太平洋地域セミナー、こういうものを開いて、啓蒙、そして説得、いろいろな角度から対話を行っているところでございます。

 そして、二〇〇八年に我が国が主催しますG8サミット、これは大変重要な場だと思いますけれども、昨年英国が開始しましたG8気候変動、クリーンエネルギー及び持続可能な開発に関する対話、ことしメキシコで開かれたものの最後の結果を取りまとめるちょうど時期になりますので、我が国といたしましては、気候変動政策の観点から、リーダーシップを発揮して、重要な機会としてとらえていきたいと思っております。

上野委員 ありがとうございます。

 政府以外のいろいろなチャンネルも活用してというお話でございますので、そうした中でぜひ頑張って交渉を進めていただきたいと思いますし、特にG8サミットにつきましては、日本開催、これは開催地がどこになるのかということもありまして、関西でもいろいろな市が手を挙げているところでありますが、そうしたことも視野に入れながら、私どもも一生懸命協力をしていきたいと思いますので、ぜひ御検討をお願いしたいと思います。

 それでは、関連をいたしまして、国内対策についてお伺いをしたいと思います。

 これもEUの例ですが、大規模な発生源一万二千カ所を対象にしました排出量取引制度、これがたしか二〇〇五年から導入をされているところだと思います。一定の成果を上げているというふうに伺っておりますが、我が国におきましても、昨年四月の目達計画の中で、この排出量取引制度につきまして検討を深める、検討をすべきだというふうにされているかと思います。

 既に環境省さんの方では、自主参加型の制度につきまして、これを導入されていらっしゃいます。私の選出県でも、滋賀県におきましても、幾つかのメーカーがこの取り組みに主体的に参加しているということを地元からも聞いているところでありますが、この国内排出量取引制度、この実績、一体どういうふうな形になっているんでしょうか。それから、今後、これを一般的な制度として導入していくのかどうか。そうしたことも含めまして、今後の見通しにつきましてお示しをいただきたいと思います。

南川政府参考人 御指摘いただきました国内の排出量取引制度でございます。EUでは既に市場ができて動いております。また、アメリカでもシカゴで市場ができるというようなことで、実質取引の中で実際にその市場が動き、より安いコストでトータルなCO2削減ができるというシステムが動き始めているところでございます。

 我が国におきましても、平成十七年度からでございますけれども、排出量取引に関します知見、経験の蓄積を図る目的で、みずから定めた削減目標を達成しようとする企業に対しまして、経済的なインセンティブを与えた上で排出枠の取引の活用を認める、いわゆる自主参加型の国内取引制度を実施しております。現在、既に九十の企業が参加しておりまして、制度運用を始めております。環境省の登録簿上でございますけれども、既に何件かその売買というのも行われているところでございます。

 今後の見通しでございますけれども、私ども自主参加型の実験の蓄積を踏まえまして、義務的な取引制度ということを含めた排出量取引制度につきましては、必要な準備をしながら議論を深めていきたいと考えておるところでございます。

上野委員 ありがとうございます。

 今お話をお伺いいたしまして、今後またさらに検討を深めていただきたいと思いますが、今の制度というのはその参加企業に対してどういったメリットがあるのでしょうか。具体的な話があれば、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。

南川政府参考人 現在の制度でございますけれども、参加をしていただく企業に対しまして、一定量の排出削減を約束していただきます、そのかわりに設備の補助、それから設備に対する補助を一部行います、また、排出枠の交付を行うということでございます。私ども、トン当たり、例えば一トンCO2当たりの補助額としまして六百数十円といった金額を補助して、少しでも効率のいい削減をしていただこうと思っているところでございます。

上野委員 ありがとうございます。

 これは施設整備とセットで考えていらっしゃるというふうに思います。施設整備についての補助金については環境省の方から予算措置をされていると思いますが、今後、来年度以降、ますますその充実をぜひお願いしたいと思いますし、一方、設備投資につきましてはいろいろな税制上の措置も考えられると思いますので、これにつきましても今後御検討をお願いしたい。そうすることによって、より多くの企業の参加が容易になるのではないかなと思います。

 これを将来的に一般的な制度として義務づけるということになれば、恐らく経済界との相当な議論というのが生じてくるものだろうと思います。環境税につきましても、今いろいろな議論があるわけでございますが、そうした議論をしっかりと各界、特に経済界との議論というのを重ねていただく中で、よりよい方法につきまして見つけていただきたいと思います。今、九十カ所ということでございますが、EUに比べてまだまだこれからというような段階ですので、ぜひ前広な御検討をお願いしたいと思います。

 それでは、次の質問に入りたいと思います。

 大臣所信の中にもありましたように、これから環境分野というものが我が国の成長力、これを牽引していくというようなお話がありました。これは大変重要な観点だと考えています。現在の日本の自動車エンジン、これは世界のトップを独走しているわけですが、ここまでになりましたのも、これは一九七〇年代にいろいろな排出ガスの規制があって、その規制の中で企業が必死の燃料効率化の努力を続けてきた、その成果の蓄積があって今こうした世界のトップを走るだけの技術水準になっているというようなお話もお伺いしたことがあります。

 そうしたことを考えますと、環境問題、これは単に規制をやる、規制を強めるという種類の問題ではないと思います。むしろ、その中で、どういった成長力の源泉を見つけ出していくのかというような観点もこれからますます重要になってくるものだろうと思っております。これから、日本が環境分野で世界をリードしていく。先ほど来お話もありました。それは、経済の分野でも同じようなことが言えるのではないかと思っております。

 そこで、お伺いをしたいと思いますが、成長力強化という観点からいって、平成十九年度の予算におきまして、環境省としては今現在のところどういった検討をされているのか、予算要求をされているのかにつきましてお伺いをしたいと思います。

北川大臣政務官 昨今、各方面におきましては、経済と環境の両立ということがよく言われておりますけれども、この環境の分野におきましては、今後、より積極的に我が国の経済成長力を高める可能性を有するところであろうと考えております。

 そこで、本年七月に政府・与党により取りまとめられました経済成長戦略大綱におきましても、経済と環境の統合を実現する産業育成、事業展開の加速等によって成長力、競争力を牽引するということが盛り込まれているところであります。

 環境省におきましては、これを踏まえまして、平成十九年度の予算におきまして、まず、産業、ビジネスの環境効率性の向上のための予算、そして、スリーR技術・システムによる資源生産性の向上のための予算、そして、バイオマスエネルギーの導入加速化のための予算等の予算要求を行っているところでありますので、今後、予算等々の要望につきましては、また上野委員の御指導、御支援をいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

上野委員 ありがとうございます。

 今お話のありましたような幾つかの予算につきまして、非常に厳しい予算環境でありますけれども、ぜひ政府の方で前向きに対応していただけるように、私どもも力を尽くしていきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いをいたします。

 それでは、次に琵琶湖の問題につきましてお伺いをしたいと思います。

 琵琶湖は、滋賀県だけではなくて、近畿一千四百万人の水がめとして非常に重要な位置づけにあります。さらに、琵琶湖自体も四百万年前に生成した古代湖でありまして、固有種につきましても五十種類以上ということで、生態系の上からも、国民全体にとりましても、非常に貴重な資源となっているところであります。

 滋賀県におきましては、環境につきまして、これまで県、市町村、非常に前向きに対応してまいりまして、この環境委員会にも滋賀県選出議員が三名いるというようなことでございまして、これからもまた力を合わせてやっていきたいなと思っております。

 そこで、琵琶湖につきましては、これまで、農業集落排水あるいは下水道整備、そうしたものを通じまして徹底した点源の負荷対策を講じてきたところであります。しかしながら、そうした負荷対策はしっかりやってきたわけですが、水質、これに顕著な改善がなかなか見られないというような状況が発生をしております。さらには、琵琶湖の深層部での水温の上昇、あるいは、湖面での水草の異常な繁茂、そうしたことも今現実の問題として生じてきているわけであります。

 こうしたさまざまな異変の原因というものが、一体、どういった原因でこれらが発生しているのか、市街地、農地等からの面源負荷によるものなのか、あるいは、琵琶湖内のいろいろな蓄積、生化学反応、堆積、そうしたもののメカニズムによるものなのか、その実態がわかっていないというのが現状であります。

 そこで、水環境の状況というものをこれから総合的に把握していく、汚濁負荷のメカニズムや生態系のメカニズム、こうしたものをしっかりと把握していって、これからの対応というものを考えていくべきだろうと思っております。

 そこでお伺いをしたいのですが、そうした総合的な調査、メカニズム分析の総合的な調査について、環境省としての取り組みについて、今どういった状況にあるのかを御教示いただきたいと思います。

 それから、この琵琶湖の問題ですが、一省庁だけで対応できるような問題ではありません。環境省の方でしっかりとリーダーシップを発揮していただいて、各省の間をうまくコーディネートしていただいて、ぜひ対応をお願いしたいと思いますが、その点につきましてもあわせてお伺いをしたいと思います。

土屋副大臣 滋賀県出身の議員が三人委員会にいらっしゃるということでございまして、環境保全に関しては、滋賀県独自の施策も今まで大変積極的に行われてきたということを私も承知しておりますけれども、国におきましては、平成十七年度に湖沼法を改正しました。平成十八年度、四月一日より施行されております。

 これが今、先ほど委員がおっしゃいました、いろいろな施策を講じてもなかなか汚染の状況がいい結果が出ないということで、そのことにおいて改正されたわけで、農地、市街地など排出源を特定できない場所からの汚染の削減を図るために改正したわけでございます。流出水対策地区制度の新設をしたということ、これによって琵琶湖の水質保全に向けた一層の取り組みを推進されると確信しております。

 琵琶湖等の湖沼については、流入汚濁負荷が大きく削減されているにもかかわらず、今言った話ですね、COD、化学的酸素要求量などの水質の状態がほぼ横ばいであることなどの課題が残されている、これは委員が今おっしゃったことだと思いますけれども、生態系の観点を含め、汚濁メカニズムなどの一層の解明を進めることが重要と認識をしております。

 環境省では、これまで汚濁メカニズムに係る基礎的な調査を進めてきましたけれども、琵琶湖等の代表的な湖沼を対象に湖沼の水質汚濁メカニズム全体のさらなる解明を図るため、新たな総合的な調査を平成十九年度概算要求に盛り込んでいるところでございます。これは八千万円、要求に入れております。

 また、県による湖沼法に基づく湖沼水質保全計画の策定を毎年行っているわけですね。この策定に当たりましても、環境省も一緒になって、また、ほかの省庁とも一体となって参画をいたしまして、策定に当たっていく予定でございます。

 今後、関係省庁と十分な連携を図りまして、琵琶湖の環境保全のために対策を取り組んでいきたいと思いますので、委員におかれましても、地元のいろいろな声を拾っていただいて環境省の方に御提言いただければありがたいと思います。

上野委員 力強い御答弁をいただきまして、ありがとうございました。

 八千万円の予算要求をされているということでありますが、滋賀県においても独自の予算を来年度に向けて検討しているということでございますので、それとあわせて有効な活用ができますように御尽力をお願いしたいと思っています。

 この琵琶湖の問題ですが、滋賀県、近畿だけの問題ではなくて、むしろ、この琵琶湖というものをモデルケースにしていただいて、日本全国あるいは世界もそうですが、視野に入れながら、水質の保全、改善の問題のモデルケースとして活動していただきたいと思いますので、ぜひ、また今後とも引き続きお力をお願いしたいと思います。

 そこで、今お話がありました改正湖沼特別措置法の関係でございます。

 一点だけお伺いをしたいと思いますが、今、農地、市街地からの面源対策のお話もありました。これは各省との関係、いろいろなほかの法律の規制の問題が出てきますので、これもいろいろな形で調整をしていかなければいけないと思うんですが、地方自治体への取り組みの支援方策というものについて、今少し副大臣の方からもお話がありましたが、より具体的に、自治体を支援するということで、どういった方策があるのかにつきましてお伺いをしたいと思います。

寺田政府参考人 お答え申し上げます。

 副大臣から御答弁申し上げましたけれども、さきの通常国会で湖沼法の改正をいたしました。この改正後の手続でございますけれども、現在、滋賀県を初め全国五つの湖沼で、都道府県によりますところの湖沼水質保全計画の策定作業が始まっております。これが、策定作業が終わりましたら環境大臣が承認するということになりますけれども、その際には関係各省の大臣から成ります公害対策会議の議を経るということになっております。すなわち、言ってみますと、関係各省が連携してこの計画を協力する、こういうふうな枠組みになっております。こうした枠組みの中で、下水道の整備を初め、さまざまな対策について国としても必要な支援をしていくというのが基本的な枠組みでございます。

 また、あわせまして、先ほど、これもまた副大臣から御答弁申し上げましたけれども、改正湖沼法に基づきまして流出水対策地区の制度、あるいは、もう一つ例を挙げさせていただきますと、湖辺の自然環境を保全いたします湖辺環境保護地区の制度など新しい仕組みが導入されております。こうした仕組みにつきましても、これは環境省の方でさまざまなメカニズム、あるいはマニュアルをつくる等々の調査検討というのを県と連携して進めていく。

 具体的に一点だけ申し上げますと、例えば、これは平成十八年度、今年度でございますけれども、琵琶湖におきましては、流出水対策推進モデル計画策定調査ということを琵琶湖の赤野井湾地区というところでやらせていただく、そういった技術的な支援、これは、湖沼法の中でも三十七条におきまして、国がさまざまな技術的な支援をするんだということも規定されているところでございますので、精いっぱいやらせていただく、こういったことを考えているところでございます。

上野委員 ありがとうございます。

 そうした技術的な支援、ぜひお願いをしたいと思います。

 今、枠組みの話をされまして、もちろんおっしゃったとおりなんですが、現場の視点から見れば、例えば農地について、その流出する水をどうするかとか、あるいは市街地の道路から出てくる水をどうするかという話は、それぞれほかの各省との関係ももちろん出てまいりますし、そこで生活している皆さんにとっては非常に重要な問題であります。これは規制ではなくて、いろいろな協力を求めていくということだろうと思うんです。そうした全体の枠組みで各省が協力しているという話もそうなんですが、現場で実際に計画をつくる際に、またいろいろな観点から御指導いただければ、よりスムーズな計画策定ができるのではないかと思いますので、その点も十分に御理解をお願いしたいと思います。

 最後になりますが、もう一点だけ、カワウの問題を少しお話しさせていただきたいと思います。

 琵琶湖では今、カワウによるアユの食害の問題が多発しております。それから、琵琶湖の北部の島におきましては、カワウが営巣いたしまして、それで森林が枯れるという事態も発生しているところであります。こうしたカワウの対策、これは滋賀県だけではなくて全国でも同様の被害が発生しているというふうにお伺いをしております。これは一体どういう状況になっているのか、それからどういう対策を講じていかれるつもりなのかにつきまして、お話をお伺いしたいと思います。

冨岡政府参考人 お話のございましたカワウによる被害対策といたしましては、環境省におきまして、専門家の意見も踏まえまして、被害防除対策、個体数管理等に関する技術マニュアルを作成し、各都道府県にお配りするとともに、都道府県の担当者への研修を実施いたしております。

 各都道府県におきます実際の対応の内容を申し上げますと、えさをとる採食地ではロケット花火等で追い払うといった対策、それから繁殖地でありますコロニーにつきましては、このコロニーがふえないように対策を講ずる、こういったことが重要な対策となっております。

 ただし、こうした取り組みを進めるに当たりましては、カワウは、一日に十キロから二十キロ、広域的に移動し、河川や湖沼などさまざまな環境を利用する行動特性があります。これを踏まえますと、都道府県の行政界を超えた連携協力が極めて重要でございます。このため、環境省におきましては、関東地区十都県におきましては昨年四月、それから中部、近畿地区十五府県におきましてはことしの五月に、関係府県、内水面漁業関係機関等に加えまして、関係省庁、農林水産省、国土交通省の参加も得まして、カワウ広域協議会を設置し、広域的な保護管理に向けた取り組みに着手したところでございます。

 関東カワウ広域協議会によることし四月の一斉追い払いの取り組みで、昨年に比べまして飛来数が二〇%減少したという結果も得られております。中部、近畿地区におきましても、今後このような取り組みを進めまして、広域協議会を中心に、関係する府県等の相互の連携を促進しつつ、広域的な対応を効果的に推進してまいる所存でございます。

上野委員 ありがとうございます。

 何分、鳥の話なので、琵琶湖で生まれた鳥が仙台で見つかったという話もありますので、非常に難しい対応になると思いますけれども、ぜひいろいろな知見を集積していただいて、お願いをしたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

西野委員長 次に、近藤三津枝君。

近藤(三)委員 本日は、質問する機会をちょうだいしましてまことにありがとうございます。今回は、中山間地域などにおきます耕作放棄に伴う環境問題などについて質問をさせていただきます。

 過去十年で、農業の就業者はおよそ二割減少しました。しかも、その農業就業者に占める六十五歳以上の割合は、およそ六割にまで増加しています。

 一方、平成十七年時点の我が国の農地は四百七十万ヘクタール。日本の国土が三千八百万ヘクタールですから、国土の一二%が農地ということになります。このうち八%に当たります三十八万ヘクタールが耕作放棄地で、これは国土の一%。どれぐらいの広さかといいますと、ぴんときませんので、東京都が幾つぐらい入るのかと思いますと、一・八倍もの面積になっております。昭和五十年に比べますと、耕作放棄地は三倍も増大しているというのが現状でございます。

 農業の担い手が減り、高齢化し、耕作放棄地が拡大するという現象が中山間地域を中心として全国で起きています。耕作放棄地の拡大はさまざまな問題を引き起こしつつあります。

 例えば、水源の涵養、自然環境、生態系の保全、景観、国土保全、そして、前回の通常国会における鳥獣保護法の改正案についての本委員会での議論にもありましたように、鳥獣被害もその影響は非常に大きいと思われます。耕作放棄地の拡大は、中山間地域を中心とした上流部だけの問題ではないと思います。いずれは下流側の都市部にも、環境、そして災害などの問題を引き起こすのではないかと危惧いたしております。

 そこで、本日は、中山間地域を中心として拡大する耕作放棄地の問題について、環境省並びに農水省、国土交通省に質問をさせていただきます。

 国の農業政策の柱であります食料・農業・農村基本法の第二十一条によりますと、国は、効率的かつ安定的な農業経営を育成し、これらの農業経営が農業生産相当部分を担う農業構造を確立するとしています。すなわち、自立した競争力のある農業経営の育成、経営規模の拡大に重点が置かれていると言えます。

 我が国の食料自給率を見てみますと、カロリーベースで四〇%、これは欧米諸国に比べますと極めて低いです。さらに、二〇〇四年には、皆様御承知のとおり、中国は小麦の輸出国から輸入国に変わっております。中国が農産物輸出国から農産物純輸入国に変化するなど、中国だけではなく、食料をめぐる国際的な需給構造も大きく変化しているというのが現状でございます。

 こうしたことから、平成十七年三月に策定されました食料・農業・農村基本計画では、平成二十七年に食料の自給率を四五%に向上させる目標を立てました。担い手への農地の集積など、規模拡大に向けたさまざまな施策が展開されていると言えます。

 しかし一方では、中山間地域は平たん地がまず少ないです。農業の生産性を高めることが難しいです。その結果、特に人口減少、高齢化が急速に進んでいる中山間地域では、農業の集積、規模拡大どころか、急激に耕作放棄地がふえているのが実態でございます。

 我が国の各地で、長い時間、長い歴史の中で形成され、懸命に維持されてきた美しい田畑、そして用水路が今まさに原野に戻ろうとしているわけでございます。中山間地域の農地の機能を一度失ってしまうと、なかなか回復するのは難しいということも承知しております。中山間地域の環境を私たちの世代が次の世代にどのように引き継いでいくかが今問われているのではないかと思います。この問題は、単に農業問題だけにとどまらず、多くの問題をはらんでいると思います。

 現在、中山間地域を中心として起きている耕作放棄地の拡大などを環境省としてどのようにとらえておられるのか、環境大臣の御所見をお伺いさせてください。

若林国務大臣 近藤委員におかれましては、農林漁業、とりわけ食料生産としての農業に対しまして深い御理解と憂慮の認識を示していただきまして、私もその点を共有しているものでございます。

 御質問にございました中山間地域、これは、中山間地域をどうとらえるか、とらえ方によりますけれども、環境省側としましては、俗に里地里山といいましょうか、そういう地域を念頭に置いております。これは、国土の約四割を占めるということでございます。この里地里山地域におきますいわゆる雑木林などの二次林を中心に、水田、ため池、畑地、草地などからこれらは構成されておりますが、長い年月、農林業など、人間がここに働きかけをすることを通じて、特有の豊かな自然生態系が維持、形成されてきているものと思っております。

 しかしながら、近年、おっしゃいますように、過疎化などに起因する耕作放棄が増加しておりまして、雑草や灌木などが繁茂し、そこの中で生育していましたメダカだとか、その地域特有の身近な生き物が減少する。一方、シカとかイノシシなどが出没しまして、農業被害の拡大など影響が出ていると思います。

 平成十四年三月に作成されました新生物多様性国家戦略では、こうした里地里山における問題を生物多様性の危機の一つとして位置づけているところでありまして、その解消は重要な課題だと思います。

 基本的には、その地に居住しています人と自然とのかかわり合いでありますが、やはり生産資源としての土地というものをどのように農林業に活用していくかということが中心だろうと思いまして、農林水産省の中山間地域の農業助成策などと関連させまして、この地域の振興を図ってまいらなければならない、このように考えているところでございます。

近藤(三)委員 ありがとうございます。

 大臣の御所見のとおり、中山間地域を中心とした耕作放棄地の拡大は、本来の生き物の生態系を変えてしまう可能性があります。また、田畑、農業用水が従来担ってきた水環境を阻害する可能性もあり、中山間地域の美しい風景を傷めることにもなりかねません。環境省におかれましては、何としても耕作放棄地の拡大を環境問題と考えていただき、積極的に取り組んでいただきたいとお願い申し上げます。

 続きまして、平成十七年三月に農水省が公表されました「農業構造の展望」によりますと、平成十六年に二百九十三万戸でありました総農家数は、およそ十年後の平成二十七年には二百十万戸から二百五十万戸程度と、二〇%から三〇%減少する見込みとなっています。

 さらに、「農業構造の展望」では、効率的、安定的な農業経営、すなわち、農業で生計を立てることができる農家は、家族農業経営で三十三万戸から三十七万戸程度、集落営農経営が二万から四万程度、法人経営が一万程度と見込んでおられます。すなわち、農業収入によっておおむね自活できる農家は、合わせて四十万戸前後と見込まれているのではないかと思います。

 このような自立した農家経営を行うために必要な一戸当たりの耕地面積でございますが、水田などを中心とした単作地域では二十五ヘクタール、野菜では五ヘクタールから七・五ヘクタール、かんきつ類など果樹では二ヘクタール以上と農水省は計算されておられます。

 このような中、前回の通常国会におきまして、農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律が成立しました。農家の規模拡大を促す制度が創設されたわけでございます。このような大規模農業は、平野部でこそ可能だと考えております。

 そこで、農林水産省にお伺いさせていただきます。

 冒頭の質問で申し上げましたように、全国の耕作放棄地は三十八万ヘクタールと承知しておりますが、このうち、中山間地域の耕作放棄地が全体に占める割合をお示しいただきますように、また、新しい経営安定制度は中山間地域に対してどのような御配慮があるのか、お示しいただけますでしょうか。

齋藤政府参考人 耕作放棄地の割合でございますけれども、二〇〇五年の農林業センサスの結果によりますと、平成十七年の全国の耕作放棄地面積は三十八万六千ヘクタールとなっております。このうち、中山間地域の耕作放棄地の面積は二十万八千ヘクタールとなっており、全体の五四%を占めております。

 また、経営耕地面積に対する耕作放棄地の発生割合を見てみますと、全国平均の一〇%に対し、中山間地域は一三%となっております。

實重政府参考人 品目横断的経営安定対策についてのお尋ねでございます。

 品目横断的経営安定対策は、我が国農業の構造改革を加速するため、これまですべての農業者を対象として、品目ごとに講じてまいりました施策を見直しまして、意欲と能力のある担い手に対象を絞った施策に転換するものとして、平成十九年産から導入するものでございます。

 本対策の対象者の要件でございますが、土地利用型農業の構造改革を推進していくという観点から、第一に、個人または法人の場合には、市町村の認定を受けた認定農業者であって、都府県では四ヘクタール以上、北海道では十ヘクタール以上、こういった経営規模を有するもの、それから第二に、集落営農の場合には、経営実態を有すると認められる一定の要件を具備した上で、二十ヘクタール以上の経営規模を有するもの、この二つを基本としております。

 しかし、集落の農地が少ないといった場合には、この基本原則のおおむね八割まで緩和できることとしております。特に、中山間地域の集落営農組織につきましては、五割の十ヘクタールまで緩和できるなど、中山間地域などの状況に十分配慮した制度設計としているところでございます。よろしくお願いいたします。

近藤(三)委員 ありがとうございます。

 お答えいただきましたように、今回の法律によって交付金が交付される農家は、どちらかというと平野部の農家が中心であり、ある程度の御配慮があるにしましても、交付の対象となる中山間地域の農家はかなり少ないのではないかと思われます。一方で、耕作放棄地は中山間地域で発生している割合が高いということですので、今回の法律が中山間地域に一層の御配慮をいただけますよう、よろしくお願い申し上げます。

 さて、中山間地域を中心とした耕作放棄地の拡大の背景でございます。

 集落の崩壊など、地域のコミュニティーの崩壊を伴っているものと考えております。また、このような中山間地域を中心とした耕作放棄地の拡大は、国土保全上も大きな問題を引き起こすものと考えております。

 特に、国土交通省では、国土審議会におきまして、基礎的社会サービスの提供が困難な地域の拡大の懸念が指摘されています。全国の市町村へのアンケートを見ておりますと、今後十年以内に集落消滅の危機感を持つ自治体は、集落消滅の可能性がある、そしてどちらとも言えない、これを二つ合わせますと、市町村の五〇%にも当たります。

 集落の消滅は、地域コミュニティーの崩壊、耕作放棄地の増大、災害の増幅などを懸念させます。現在策定中の国土形成計画、またそれぞれの広域ブロックごとに策定される広域地方計画の中で、耕作放棄地の拡大や集落の消滅に対し、計画の中でどのような対応を行おうとしているのか、国土交通省のお考えをお聞かせいただきたいということが一点。

 また、これまでの過疎、豪雪、半島などの条件不利地域に対する支援は、公共事業の国の負担率をほかの地域に比べかさ上げすることが主体であったのではないかと思います。財政的制約などから、このような手法によって地域を支えていくには限界があると考えております。このような条件の不利な地域に対しては、地域特性を引き出すことができるインセンティブ型の支援方策を講じることができるよう、制度を抜本的に見直すべきと考えておりますが、あわせて国土交通省のお考えをお聞かせください。

渡邊政府参考人 お答えいたします。

 耕作放棄地の拡大は、国土保全上重大な影響を与えると認識しており、農地のみならず国土全体について、国民一人一人が美しい国土の管理と継承の一翼を担うよう、所有者等による国土管理に加え、多様な主体の、直接的、間接的な参画が重要であると考えております。

 また、今後の人口減少下で維持、存続が危ぶまれる集落の問題は、非常に大きな課題になると考えております。これらの問題については、現在策定中の国土形成計画の全国計画及びその後に続く広域地方計画において、耕作放棄地への対応を初めとする国土管理のあり方や、集落に対する必要な支援のあり方のほか、地域みずからの創意工夫と努力に基づく地域戦略を展開することの重要性について検討を深めてまいりたいと考えております。

 その際、条件不利な地域を含む各地域は、自然環境や景観、風土といった地域特性や、農林水産品等の地域資源を有しております。そうしたことから、それらのよさを活用し、各主体が知恵を結集し、連携、協働することによって地域の活性化を図ることが重要であると考えております。

 例えば、幾つか例を挙げさせていただきますと、福井県の今立町では、伝統産業である和紙を活用して、東京都港区との間で都市と農村の交流事業を行っております。国土交通省の支援により、今立町に体験交流の場となる宿泊研修施設を整備するとともに、港区において手すき和紙の体験などを行う交流イベントを定期的に開催し、双方向の交流が行われております。

 また、これまでの定住促進策に加えて、二地域居住に取り組んでおる地域もございます。例えば、福島県、茨城県、栃木県の三県が共同で二地域居住の推進について検討し、当面の目標といたしまして、団塊の世代が大量定年をします二〇〇七年を中心に据えて受け入れ体制を整備していくこととしております。

 国土交通省といたしましては、これらの多様な地域活性化に対し、そのための環境整備をするなど、各地域の取り組みに対してきめ細かい支援をしていきたいというように考えております。

近藤(三)委員 ありがとうございました。すばらしい事例を御紹介いただきまして、これが全国に広がるように期待いたしております。

 そして、国土交通省には、それぞれの中山間地域が抱える実態をよく御調査いただきまして、それぞれの地域の創意工夫が生かせる柔軟な制度設計、そして国土形成計画の策定に努めていただきたいとまた期待もいたしております。ありがとうございました。

 続きまして、耕作放棄地の拡大は、水循環そして土砂循環を阻害します。災害、国土保全上の問題はもとより、我が国の原風景であります棚田などの農村景観を損なうことにもなりかねません。耕作放棄地、そして、このまま放置していると耕作放棄地になってしまう、いわば耕作放棄地予備軍に対し、新たな環境の視点からこれを生かしていくことも考えるべきだと思っております。

 例えば、耕作放棄地を環境教育の場、それから環境研修の場などとしても積極的に活用していくことによりまして、生産緑地としての意味合いだけではなく、水循環、そして生態系の維持、美しい景観の保全など、国土全体の環境とのかかわりについて広く国民の理解を深めていく場としていく必要があるのではないかと思われます。

 このような観点から、環境省として、さらに施策を展開していく可能性について御所見をお伺いします。

冨岡政府参考人 環境省におきましては、新生物多様性国家戦略を踏まえまして、地元自治体、住民、NPO、専門家や農林水産省、国土交通省等と連携しまして、里地里山の保全、再生を進めるためのモデル事業を平成十六年度から実施いたしております。

 この事業は、林の手入れや水路の保全など、里地里山保全、再生のための実践的手法や体制づくり、御指摘のありました環境学習活動のあり方など、モデル地域において検討しているものでございます。

 今後は、その成果を全国に発信することによりまして、我が国における里地里山の保全、再生を推進していく考えでございます。

 さらに、新しい取り組みとして考えておりますのは、団塊の世代の都市住民の方々が里地里山におきましてボランティア活動へ参加することを促進する事業でございます。人材登録システムの提供や、研修の実施を総合的に行う里地里山・里親プラン事業費というものを平成十九年度の新規予算として要望しているところでございます。

 環境省といたしましては、今後とも、これらの施策の充実を通じまして、関係省庁ともよく連携いたしまして、里地里山の保全、再生に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

近藤(三)委員 ありがとうございます。

 例えば、食育の観点からは農水省、防災の観点からは国土交通省、そして教育機関との連携という観点からは文部科学省との連携も考えられると思います。省庁間の一層の連携に取り組まれることを期待いたしております。ありがとうございました。

 さて、農水省としては、安定的な農業経営を主体とした農地の集積や担い手の育成などの施策を展開することについては、先ほど申し上げましたように、理解しておりますが、中山間地域を初めとした耕作放棄地の拡大も一方で放置することはできません。このような問題に対し、農水省として今後どのように対応していこうとしておられるのか、見解をお願いいたします。

齋藤政府参考人 お答えいたします。

 議員御指摘のとおり、耕作放棄地を放置した場合には、病害虫の発生、有害鳥獣の潜入、繁殖、それから産業廃棄物の不法投棄、農村景観の悪化等の問題が発生することが懸念されます。一方、耕作放棄地の発生原因は、高齢化、後継者不足による担い手に関する問題、それから、土地条件が悪い、基盤整備が行われていないなど農地に関する問題、さらに農産物価格の低迷等生産環境に関する問題など多岐にわたっております。

 このため、農水省といたしましては、耕作放棄地の発生を抑制し、またその活用を図るため、担い手への農地の利用集積や、新規参入を通じた耕作放棄地の有効活用、それから、先ほど若林大臣からもございましたけれども、農業生産条件が不利な中山間地域におきまして、農業生産活動の継続のための中山間地域等直接支払交付金の交付、さらに、地域において農地等の適切な保全を図る農地・水・環境保全向上対策の実施、それから、放牧利用とか市民農園の推進等各般の施策を積極的に推進してまいりたい、このように考えております。

近藤(三)委員 ありがとうございます。

 中山間地域ならではの作付、また観光とあわせた農業の展開も考えられます。生産だけではなく、加工そして流通を視野に入れた付加価値の拡大など、地域の特性や創意工夫を生かせる施策のさらなる充実を農水省さんにも期待させていただきたいと思います。

 さて、国土交通省では、中山間地域におきまして、砂防事業、災害復旧事業、治水事業、道路事業など数々の事業を展開しておられます。二年前の平成十六年十月に発生しました新潟県中越地震のように、脆弱な地質構造の山間地における土砂災害などによって、中山間地域に点在した集落が孤立する可能性があります。また、耕作放棄地の拡大は、山間地から下流部までの一連の用水機能や排水機能が途絶えることによる出水、土砂災害の問題など、国土保全上の問題を引き起こす可能性があります。耕作放棄地の水管理、土砂管理を適正に行った上で、耕作放棄地を適正な形で再資源化していくための砂防事業なども重要と考えております。

 さらに、集落を移転し、通い作などにより中山間地の農地や林地を守っていこうとする地域の総意がまとまったときには、集落移転に伴う保全対象エリアの縮小などによる治山治水事業の軽減分、この軽減分を集落移転の支援に充てるなどの事業スキームは考えられないものでしょうか。また、道路整備、道の駅事業などの連携の中で、耕作放棄地になりかねない耕地を観光農園として活用する、また直売の場として、地産地消の場などとして生かせるよう間接的に支援していただくこともこれからは考えられるのではないかと思っております。

 今申し上げましたアイデアなども踏まえまして、耕作放棄地の拡大の防止、中山間地域の振興に向けた地域コミュニティーの維持増進などの観点からの国土交通省の御対応、さらなる事業の展開の可能性について、御所見をお伺いします。

安原政府参考人 御質問にお答えいたしたいと思います。

 中山間地域におきましては、従来より、道路などの社会資本の整備、砂防などの国土保全の対策、さらには住宅対策、観光施策など、地域振興に資するさまざまな施策を推進してきているところでございます。

 主な具体的例を申し上げますと、中山間地域におきましては、土砂災害からの避難場所や避難路を保全するなど、安全で安心できる生活基盤の確保のため、砂防事業を積極的に展開しております。また、中山間地域の農林業を中心といたします産業振興、救急病院へのアクセス改善など、中山間地域固有の問題を解決するための道路整備を進めております。さらに、沿線には、道の駅の整備促進に努めております。この道の駅につきましては、駐車場、トイレといった休憩機能、道路情報や地域情報といった発信機能、また地域の特産物の販売、都市部との交流等を促進する地域振興機能、こういった三つをあわせ持つ施設であります。また、これによりまして、地域のコミュニティー向上にも寄与していると考えているところでございます。

 国土交通省といたしましては、ただいまの御指摘も踏まえながら、関係省庁ともしっかり連携協力しながら、これまで以上の中山間地域の振興を図ってまいりたいと考えております。

 以上です。

近藤(三)委員 ありがとうございます。

 本件は、現在進行形の、待ったなしの、国土保全上、地域活性化上の問題でございます。どうぞ、一層の柔軟な御展開、御対応をお願いしたいと存じます。

 最後に、環境大臣にお伺いさせていただきます。

 これまでの各省庁からの御答弁からも、この件につきましては、一つの省で解決できる問題ではないと思われます。また、地方自治体にとってみますと、中山間地域の集落の意向などを踏まえ、今後十年から二十年の人口減少、高齢化などを視野に置きながら集落経営を考えていかなければならない問題です。ぜひ環境大臣にも、関係省庁との連携の中で、国を挙げた、将来を見通した課題としてお取り上げいただくようお願い申し上げます。

 また、中山間地域の自然や生産空間は、都市の人々にとっては非常に魅力的なものでございます。都市と農村との交流の観点から、都市住民、そしてNPOなどの活動が盛んになっていることが報道されております。

 そこで、例えば私、大都市を中心として活動している企業にもこれからは参加してもらいたいと考えております。例えば、社員、家族の自然と親しむ場として、環境体験、環境研修の場として、食育などの学びの場として、そして企業の地球温暖化対策に対する緑の育成など社会貢献の場、さらにバイオテクノロジーなど先端産業の創造の場など、企業が環境の側面から積極的に中山間地域との連携を図っていくような運動、施策が重要と考えております。

 このような運動や施策を実施させていくために、例えば、一つの企業と一つの市町村のニーズを合致させ、パートナーシップを築くことができるよう上手に両者を引き合わせる仕組みをモデル的に国が用意する、このようなこともこれからは必要ではないかと思われます。そうしたことが、耕作放棄地をよみがえらせる一つの国民運動に結びついていくことを期待したいと考えております。

 日本の農業を知り尽くしておられる若林大臣でございます。農業と環境を一体的に考え、中山間地などに広がる耕作放棄地問題を解決していただけると信じておりますので、中山間地域の環境の維持促進についての総括的な御所見をお伺いさせてください。

若林国務大臣 近藤委員が熱い思いを中山間地域にかけていただいていることに、敬意を表したいと思います。

 中山間地域は、先ほど申し上げましたように、農地の四割ぐらいを占めていますが、農業生産額及びそこに働く農林関係の人々の数もおおよそ四、五割というふうに考えていいでしょう。この中山間地は、やはり、日本の伝統、文化、風土の原風景を出しているわけですから、日本国家のあり方として、この中山間地の集落を中心にした生活のあり方というのは、このまま崩壊に任せていいというわけにはいかないと思います。ありとあらゆる施策を中山間地域の活性化に向けて集中しなければいけないと思っております。

 里地里山の保全につきましては、お話にございました、農林業の振興はもとよりでございますが、それに加えて、各種のNPO活動への期待がございます。NPO活動への支援とか、またエコツーリズムによる都市と農村との共生、交流の場、この中には、当然、企業がその地域との間でコミュニケーションをとって、社員の憩いの場をつくっていくというようなことも含まれていると思いますけれども、グリーンツーリズム、エコツーリズムといったような、都市と農村との共生、交流を図る諸事業を活性化する、その中で環境教育などを推進していくというような、さまざまな施策を総合的に講ずることが重要だと考えております。

 このために、これは環境省だけでできることではございませんので、農林水産省、国土交通省、お話がございました文部科学省など関係省庁との連携が不可欠でありまして、これまでも新生物多様性国家戦略を充実し、これを実施してまいりました各省との協力体制というものを今後一層強化してまいりたい、このように考えております。

近藤(三)委員 ありがとうございました。

西野委員長 次に、末松義規君。

末松委員 民主党の末松義規でございます。

 民主党の次の内閣で環境大臣、環境担当ということでこの職にございますので、きょうはやや緊張しながら質問をさせていただきたいと思います。今、環境の勉強中でございますので、ぜひまたいろいろな御指導をいただきたいと思います。

 まず、私の方は、幾つかの点についてお話をさせていただきますが、まず、民主党として、各委員会で聞いていることなんですが、最近、我が国が核兵器の保有、こういう議論をするということについて、若林大臣のお考えをお聞きしたいということと、もう一点、大臣御自身は核兵器の保有についてどのように考えておられるのか。最近、北朝鮮の関係で非常にその議論になっておりますので、まず冒頭、お伺いします。

若林国務大臣 外交の専門家であります末松委員からのお尋ねでございます。

 もう御承知のように、我が国は一貫してこれまでも非核三原則を維持しておりまして、これは変わらぬ基本方針でございます。私も大事なことだと考えております。総理自身も、一昨日ですか、そのような発言をしておりまして、政府としての方針も変わるものではない、このように考えているところでございまして、私自身についてお尋ねでございますが、私も、我が国は核を保有すべきでないという非核三原則は守っていかなければならないと思っております。

末松委員 ちょっとお聞きしますが、議論することも、そこは慎重であるべきというお考えですね。

若林国務大臣 国民各層がそれぞれの立場で議論をすること自身はごく自然なことだと思いますし、今までもそのような意見を言っておられる方がいますが、政府あるいは政府の政策関係者がこのことについて公に議論をするということは慎むべきではないかと考えております。

末松委員 ありがとうございます。はっきりとおっしゃっていただきまして、私もそこで安心しました。

 それでは、環境省に関係することで、北朝鮮の核実験の関連なんですが、まず、核実験があったというのは、これは確認を政府でいたしたんでしょうか。私はまだそのニュースに接してはいないんですが、もししていないのだったら、見通しというのはどういうふうになっていますか。大気汚染関係が環境省の所轄だと聞くので、そこを大臣にお伺いします。

若林国務大臣 十月九日の北朝鮮による地下核実験の発表、そして、これに関します気象庁による地震波の探知によりまして、内閣官房に放射能対策連絡会議代表幹事会が設置されまして、当面の対応措置を申し合わせたところでございます。

 これを受けまして、環境省は、従来から続けているわけでありますが、十月九日から二十四日まで、全国十二カ所でガンマ線などの測定をいたしておりまして、そのガンマ線の測定の間隔を、通常期のモード、測定間隔は一時間に一回、データ回収を一日に一回というのを、二分間に一回、データ回収は一時間に一回という緊急モードに切りかえて測定を行ってまいりました。しかし、御承知のような落ちつきの状況を示しておりますので、二十四日二十一時からこれを通常モードに切りかえたところでございます。

 このような測定に当たりまして、その結果は、文部科学省が各省庁の測定結果とともに取りまとめて、内閣官房が公表してまいりましたが、すべての測定内容に関して異常値の検出はなく、したがって、人体等への影響はないものと考えております。

末松委員 それでは、確認をしているのかしていないかはまだわからない、つまり、異常値がなかったということだけで、別に確認をできない、こういう発表をしたということですかね、政府として。

若林国務大臣 確認といいますか、ガンマ線などの放射線は少なくともかなり精度の高い調査をしておりますので、出ていないということについては把握をしているということでありまして、相手方に何か聞いてどうこうというようなことは、もともと私どもの測定では考えておりませんので。

末松委員 アメリカは、北朝鮮の核実験を確認したわけですよ。韓国も二十五日に確認をした。日本はどうなんだろうなとみんな思うわけですよ。それに対して、異常値は出ていないということは、これは核実験について確認したのかしなかったのか、これは国民の大きな関心なので、日本政府はどうなんだ、それについて聞いているわけです。

若林国務大臣 そのことにつきましては、政府としてこれを確認したといったような公式の発表はしていないと承知しております。

末松委員 ということは、大臣の方で、異常値は検出しなかったので、北朝鮮として核実験をされていない可能性も十分ありますねという含みがあるのかもしれませんね。私は、一応、きょうはここまでにとどめておきますけれども。

 それでは、逆に、人体に影響があるような異常値が、二回目、三回目、もし北朝鮮がやったとしましょう、それは容易に想像できることですけれども、そういったときの国民に対する対応マニュアルというか、どうするんだというようなことはきちんと想定されて、机上訓練なりされておられるんでしょうね。

若林国務大臣 内閣官房に放射能対策連絡会議というのを設けておりまして、そういう意味で、放射能によります測定結果が出てまいりました場合には、文部科学省が各省庁の測定値を集計するなどして内閣官房に提出をし、内閣官房が公表をいたします。その中で、異常値を見出した場合にどう対応するかということについて詳細は承知しておりませんが、それが人体に及ぼす影響がないように、あるいは軽減されるような対策は当然講ぜられるものと考えております。

末松委員 講ぜられるものと考えておりますという話ですが、これはどうなんですか、環境省はそこは講じていないんですか。あるいは、内閣の方でそういった形でできる、どこがこの国ではやるんですか。

若林国務大臣 それは当然、内閣が統合して、総合的に対策を講ずるということになると思いまして、環境省自身がその放射能による人体への影響に対してどのような対応策を講ずるかといった対応策は考えておりません。

末松委員 それでは、内閣の人、呼んでいますよね。ちょっとそれを簡単に、では、どういう形で、どうなるのか説明してください。

坪井政府参考人 内閣におきまして、放射能対策連絡会議というのを平成十五年から設置しているところでございまして、これは海外での原子力事故……(末松委員「経緯はいいんだよ、それは。端的に答えてよ」と呼ぶ)はい。

 まず、今回、地下核実験ということに関連しましては、内閣官房長官の方からも最初に声明を出させていただいているところでございますが、地下核実験というのは、基本的に、これに伴う放射能の影響ということは、過去の経験から照らせば人体や環境への影響がないと判断されるものと考えておりまして、冷静な対応をお願いするということも発表しているところでございます。

 ただ、念には念を入れますという観点で、万全を期す観点から、放射能のモニタリング体制を強化するということを講じてきたところでございまして、その結果としては、異常値が発見されていないということでございます。

 したがって、どういった異常値が出るかによって、どういう対応をとるかというのは変わってくるわけでございますが、いずれにしましても、地下核実験の場合、基本的に放射能や核分裂性の物質が漏れないということで、それがたとえ漏れたとしても、我が国は、ある程度距離が離れているものですから、実際の影響はないだろうというふうに考えているものでございます。

末松委員 核実験というのは、普通、アメリカがやるとかなんとかは、縦穴式の非常に深いところでやっているところがあるけれども、北朝鮮の場合は、ひょっとしたら横穴を使っているといういろいろな専門家の、可能性もあって、あなたが談じるように、一般の核実験と同じように扱っていいのかという問題があるわけですよ。

 だから、実は核実験、一般は影響ありません、でも、念のため調査して、それでないんだというようなことではなくて、まあ私は別に責めているわけじゃなくて、むしろ、そういったところも、もしこういったことが起こったらいけないということをきちんと想定して、ぜひ内閣の方でも、そういった机上訓練なりでも、そこは考え始めてくださいよ。今、やっていないということが明らかになったわけですから、ぜひそこはお願いします。

 これについては、これ以上、きょうは指摘をしません。

 それでは、これは、もし地下で核実験が起こったら、場合によっては水質なんかにも影響が起きる可能性が十分あるわけですよ。そうなると、北朝鮮から、その地表に生えているもの、あれはみんな水を吸っていますからね。そういったところから核物質あるいは放射能というところの影響があるかもしれないんですが、そういった場合、例えば、今北朝鮮とは直接の貿易は禁止をされましたけれども、第三国経由、迂回貿易で、いろいろな農産物とか水産物も含めてまた日本に来ることが予想されるんですが、そこはやはり厳格に、きちんとチェックをする体制がなければいけません。

 これについて、日本の体制は今どうなっているのか、それをお伺いします。

竹谷政府参考人 お答えいたします。

 今お尋ねの、北朝鮮産の農林水産物の第三国からの迂回輸入の問題につきましてでございますが、農林水産省といたしましても、関係省庁と連携を密にいたしまして、積極的に取り組んでいるところでございます。

 まず、通関時の段階におきましては、税関において原産地の確認をするということがあるわけでございますけれども、それに関連いたしまして、私ども、十月十六日の日に、関係業界、輸入業界、食品の加工あるいは流通に携わる業界の方々に、北朝鮮産のものがまじっていないかどうか、原産地の確認ということを徹底していただきたいということを強く協力要請いたしているところでございます。

 また、その後の、北朝鮮から過去に輸入されておりました農林水産物に関連いたします輸入動向なり需給動向なり、全般につきまして注視をしていっているところでございまして、その点をしっかり押さえていきたいというふうに思っております。

 次に、流通段階におきましてでございますが、流通段階におきましては、私ども、ことしの八月から、北朝鮮産の農林水産物が入ってきた際に、しっかりと表示がきちっとなされているかどうかということの監視、指導を強化してきております。特別調査というものを行ってきております。そうしたものの徹底を引き続き行うとともに、表示一一〇番というものを全国に設けておりまして、これを通じまして消費者の方々からも情報をいただきまして、北朝鮮産と疑われるものがないかどうかということについての監視に努め、また、そういった問題があれば適切な対応をとっていきたいというふうに考えている次第でございます。

末松委員 通関時に放射能のそういうのがもし北朝鮮、実際に特定できるのかどうか、そこが一番のポイントで、今徹底しているという言葉だけいただきましたけれども、そこはぜひ放射能を含めて一回きちんとチェックするようなことも、もしそれが入ってきたということであれば、それは念のため、国民の胃袋に入るものの話ですから、ぜひそこはチェックしていただきたいということをきょうは言っておきます。

 さて、二番目に、地球温暖化の点についてお話をさせていただきます。

 数日前、アメリカのゴア元副大統領の「不都合な真実」という映画を見て、ゴア元副大統領はやはり命がけで地球温暖化問題と取り組んでいるなというのを新たに深く感じ入りました。二十年前と比べて、写真を比較して、氷河がなくなったり、あるいは湖が干し上がったり、あるいはさまざまなハリケーン、あるいは台風なんかが急に大きなものが来たり、地球にやはり異常が起こっているなというのは本当に数々指摘されているところでございます。

 そういった意味で、さまざまな都市、マンハッタン島とかニューヨーク、そういったもの、あるいは東京もそうかもしれませんが、もしこの温暖化が進めば水没する危険性があるというようなことまで具体的に示されますと、背筋が恐ろしくなってくる。これも別に五十年、百年先の話ではなくて、十年、二十年先の話になるんだと聞かされると、本当に怖い思いがしております。

 そこで、お伺いをするんですが、先ほどから質問にも出ていますけれども、一九九〇年を基準年として、二〇〇五年ですか、日本の温室効果ガスの総排出量が八・一%増になっている。目標が一九九〇年の排出量の六%減ということですから、合わせると一四%もの排出量を再来年からの四年間ですか、そこで達成しなきゃいけないということなんですが、大臣の所信の表明にもございました、目標達成は極めて厳しい状況ですという、それが多分実感だろうと思いますし、ただ、担当の大臣としてそう簡単にそんなことを言わないでよという気持ちもございます。

 この京都議定書が九七年採択で、我が国はそれ以降に入ったわけですけれども、この十年間、それを約束するというのであれば、ふえてきた、こういったことに対していろいろな施策を打ったという話は、ここで言えば、本当に数十分ぐらい、羅列すればたくさん施策を打ってきたという話はあるかもしれませんが、結果としてそれがほとんど効果がなくて、逆に悪化している、こういった責任についてどういうふうにお感じになっておられるか、そこの感想からまずお聞きしたいと思います。

若林国務大臣 お話がございましたゴアの映画は、私も試写で拝見をいたしました。科学的に実証される、挙証される、科学的に根拠が明らかであるかどうか、どうしても科学者はちゅうちょしがちでありますけれども、世界各地で起こってきています諸現象が温暖化に関係があるのではないか、そういう認識のもとに対策を考えていくということは、私は政治家の責任だというふうに思いまして、ゴアがそのようなことを真正面からとらえて、各種のキャンペーン活動を通じて危機を訴えておられることについては敬意を表している次第でございます。

 お話がございました、我が国の京都議定書の目標達成に関しまして、六%のマイナスを目標にしているところ、むしろ直近の暫定値では八・一%の増になっているということはかなりショッキングな出来事でございます。あと一年有余の間に、とにかく六%マイナスを実現するための工程表プログラムを明らかにしていかなければなりません。

 そういう観点から、今の京都議定書目標達成計画、政府全体で決定をいたしておりますが、その計画を見直す作業を早急に開始する。七年中にこれを仕上げて、八年に見直した結果を明らかにしていきたいと思っております。その見直しは実はきょうから始めようというような段階でございます。前倒しをいたします。七年からやる予定のものを、もう前倒しをして始めることにいたしております。かなり詳細に、部門別に分けて目標を設定いたしております。

 おっしゃるように、もう膨大な、精密な計画を立ててきているわけでございまして、中にはそれをかなり効果的に達成している部分もあれば、なかなか達成できず、むしろ逆にふえているという部分もあるという意味で、一概に八%の結果が出たからといって全体の努力、効果がなかったというのではありません。特に気をつけなきゃならないのは、民生用といいますか、家庭の省エネルギー効果が出ていないということと業務用、業務用と申しますのは、スーパーでありますとかあるいは会社のオフィスビルでありますとか、そういうようなところで予想を超える大きな排出量が確認をされた、こういうことでございますので、一つ一つもう一度洗いざらい点検をいたしまして、それぞれに応じた対策を樹立していくということに取り組んでまいりたい。

 私も、これは実現しなければ世界に相手にされなくなる、日本が京都議定書の目標を達成するためにイニシアチブをとらなければいけないところ、日本自身がこれを守れないというような事態であるということは、世界的な日本の評価、世界の評価を著しく傷つけることになり、指導性を失わせることになる、こういう意味で、この問題を深刻に受けとめております。

末松委員 本当に、今大臣がおっしゃったとおり、当の日本が約束を守れませんという話になると、どうやってアメリカ、オーストラリアにも働きかけるんですかという話なんだろうと思うんです。

 主要各国、特にヨーロッパはどうなんですか、日本と同じように八%伸びたり、そういう悪い数字を出しているんですか、それを外務省に聞きます。

辻政府参考人 お答え申し上げます。

 旧EU、当初十五カ国で加盟したものでございますけれども、目標自体は九〇年比八%削減でございますけれども、二〇〇四年現在の達成度は、削減が〇・九%でございます。それが二〇〇四年でございます。

末松委員 〇・九%、要するにマイナスになっているわけですね。日本の場合は八%増になっていて、お恥ずかしい限りですという話なんですね。

 そういった中で、では本当に気合いを入れてやらなきゃいけないというと、環境税というものもやはりこれは導入すべきじゃないか。民主党の方はあえて税というのに対して、我々も非常に増税はアレルギーがあるんですけれども、環境に対する負荷をする人に対して、あるいはその者に対して、やはりしっかりした負担もしてもらうということ、そういうことをやらなければいけないと覚悟して、私たちもそこは思い切って提言をしたわけなんでありますが、どうも見ていますと、環境省がここ二年ぐらいその導入に対して失敗をしたとよく言われておりますけれども、やはりこれは政治指導部の責任だと思うんですね。そこは私どもも、民主党も応援をするわけです。

 また、安倍内閣もやはり未来を見据えた政治をしたいというのであれば、まさしく地球温暖化、こういったものに対してもしっかりとした足跡を残さないといけないと思うんですが、これは役所の方でやるのは本当になかなか難しいと思います。これは、政治レベルで決定をしていかないといけない。大臣の、その問題に対して、環境税の問題に対して、あなた個人の意気込みというものを聞かせてください。

若林国務大臣 私個人というよりも、今や環境省は環境税の導入につきまして一昨年以来本気で要求をいたしておりまして、私も、京都議定書の第一約束期間の達成のためにはこういうエネルギー消費に対して幅広く公平な賦課がかかるような形の税制は必要だというふうに認識をし、来年度の税制改正要望としても要望を出しているところでございます。

 もとより税制というのは、基本的には政治そのものであると思います。今までも自由民主党さらに与党の税制調査会の方が主導権を持って税制改正を進めてきているという経緯もございますので、政府として政府税調の中での主張及びその理解を求める努力はもとよりでございますけれども、与党内部におきまして、そのことに共感を持ち、そして主張をしていただける議員の皆さん方も多数おられますから、そういう人たちとの連絡を緊密にとりながら、環境税という形の税制を要望して今回は三度目になるわけですから、何とか実現したいと思います。

 一度目、二度目の同じパターンでいって大方の理解が得られるか、納得が得られるかということについては、強い抵抗を受けておりまして、それなりに反論を受けておりますので、それらも見据えながら、同時に、昨今、道路特定財源の論議がございます。そういう道路特定財源の論議とか、バイオ燃料関連の税制改正もございます。そういう税制のグリーン化の問題とセットにいたしまして、総合的な地球温暖化防止関連税制とでもいいますか、幅を広げて税制改正の中で環境対応をできるように努めていきたい、こう思っております。

末松委員 ちょっと突然の質問で恐縮なんですけれども、大臣自体、地球温暖化防止の税制というお話がありましたけれども、今、環境省が持っている予算規模、地球温暖化防止のための、それの額は御存じですか、年間。

若林国務大臣 突然のお尋ねで、予算額は承知しておりません。

末松委員 別に大臣に恥をかかせるために言っているわけじゃないんですが、今、石油特会で二百三十八億円、一般会計でたったの八億円ですよ。それが環境省が持っている予算という話なんですね。

 だから、正直言って、額からいけば、本当にこんな少ない額で、各省をしりをたたいてやらせなきゃいけないという話なんで、だから、そういった意味では、この地球環境温暖化防止については私どもも別に与党も野党もないですよ。そこは達成するためにお互いに頑張りましょう。そういった意味で、ぜひそこは本当に内閣も挙げてやっていただきたいと思いますので、そこは本当に心から応援しますし、ぜひ頑張ってください。

 それでは、次にちょっと話題をかえまして、アスベストの問題についてお話をさせていただきます。これはちょっと細かい問題が続きます。一応法律ができたので、これの改善点というものについて若干お話をさせていただきたいと思います。

 まず、本人が法律ができた時点で死亡した場合は、三年以内に申請すれば救済の対象になるという話なんですが、この三年というのは、いろいろと周知徹底されていない、例えばここにいるみんな、全員が、ひょっとしたらアスベストを吸って、あれは潜伏期間が三十年から四十年というので、ひょっとしたら我々も被害者なのかもしれないんです。国民もそういうことは、特定の人だけだろうということで実はわかっていません。これはもう少し年限を延ばして、五年とかそういう形にすべきではないかというのが一点。

 二点目が、この法律で私が一番問題だと思うのは、法律施行後に、生きている間に手続がされないと一切の権利がなくなる、こういう構造になっております。このために、自分が例えば中皮腫とかあるいは肺がんとかかかっていることを知らずにこの申請をしなかったという人が、結局救済できないということになっております。

 ですから、これについて周知徹底させるのと同時に、数年間きちんとそういった申請期間を設けたり、あるいは遺族が手続ができるような形でしっかりとやるべきだと思いますが、その点についてどう思っていらっしゃるのか、二点目。

 あと、三点目ですけれども、今、百七十人ほど申請したけれどもその間に死亡したんです、法律の施行後。こういう場合、やはりきちんと認定されるまでこういったところ、行政手続法にもあるように標準処理期間みたいな、あるいは一カ月とか二カ月とかそういったことをしっかりと、この辺については努力規定でもいいですが、そこをやる必要があると思いますが、そこについてお答えいただきたいと思います。

若林国務大臣 大変盛りだくさんの御質問を一度にいただきましたので、答弁漏れがありましたら、また御指摘をいただきたいと思います。

 まず第一の御質問でございます。法施行後三年以内に特別遺族弔慰金を請求しなければ受けられなくなるという、この三年というのは短いんじゃないかという点でございます。

 実は、いろいろな制度にこのような救済制度がございまして、公害健康被害補償制度の療養費、遺族補償費も、死亡したときから二年であります。労災保険の医療費給付金、療養費の支出も二年でございます。また、犯罪被害者給付金制度の遺族給付金も、死亡を知ったときから二年。どうも、この二年というのが諸制度における一般的な仕組みになっているのでございます。

 しかし、お話がございましたような特異性にかんがみまして、石綿の被害で既に亡くなられた方、法施行前に亡くなられた方につきましては、周知徹底を図るにしても、いろいろ調査ということもございますので請求期限を三年というふうにしたわけでありますが、いずれにしても、請求を行うべき者が適切に請求が行えるように、お話がございましたように、周知徹底に努めなければならないと思います。

 その周知徹底が十分じゃないじゃないかというような御意見もございますでしょう。しかし、どのようなことをしてきたかということを若干申し上げますと、広報活動として、ポスターやチラシは約百万枚を医療機関や介護施設、自治体保健所、都道府県労働局等に配布をいたしました。また、新聞、テレビ、雑誌及びラジオ等も活用して、このような制度が設けられた旨を広報いたしております。

 さらに、尼崎とか泉南市などの重点の地域、石綿の製造、加工などに関連をいたしました、被害が予想される、既に発生しているような地域、重点地域については、その地域のリビング誌などに全五段抜きの広告を掲載したり、新聞の折り込みをしましたりということで、周知徹底に努めているところでございます。

 申請につきましても、そういう期限がありますから速やかに申請をしてもらいたいというようなことを広報すると同時に、制度の仕組みとか申請の手続などのパンフレットを地方公共団体を通じて約四十万部配布し、さらに、医療機関や医師に、そのような疑いがあるというような場合には、患者の方にお話をいただいて、申請にこういう仕組みがあることを周知していただくということを申し上げてきているところでございます。

 また、健康被害者が生きている間に申請手続をしないまま亡くなった場合、一切の給付を受ける権利がなくなるというのはむごい措置じゃないか、救済措置を講ずべきじゃないかというお話でございます。

 御指摘のとおり、この制度では生前申請を基本としているために、制度の趣旨について今のような広報を行って周知に努めると同時に、現場の窓口でも、必要な書類が整っていない場合もまずは受け付けるというように柔軟な対応を求めてきているわけでございます。そしてまた、幸いにして、これまでのところ、生前の申請ができずに判定を受ける機会を失ったというような事例は聞いておりません。

 そもそも、この制度自身、御審議いただいて成立させたわけですが、医療負担の給付をするということが制度の骨格になっている仕組みでございまして、亡くなられた方の弔慰金も、特別葬祭料などを含めて出すようになっておりますけれども、医療をするということが骨格になっているという仕組みでございますので、こういう不幸な方が救済措置が得られないで亡くなられるというようなことがないように、引き続き周知徹底を図ってまいりたいと思います。

 また、申請から認定に至るまでの期間が非常にかかっているんではないか、もっと短い、一、二カ月の標準的な期間の設定をしたらどうかというお話でございます。

 実務を担当しております独立行政法人環境再生保全機構によりますと、幅広い救済を図るという観点から、CTの画像、病理検査結果など必要書類がそろっていない場合でも受け付けた上で、機構が個別に医療機関から必要書類を取り寄せるなど、個別の事情に応じた柔軟な対応を決めておりますので、そういう個別の患者対応ということに重点を置いておる観点から、むしろ、標準処理期間というのを決めますと、今のように、医療機関の方が十分でないまま受け付けて、それからだんだんと資料を補充していくというようなケースの場合は相当の期間がかかってくるわけでございますので、現時点で標準処理期間を定めるということは困難だというふうに現場の方の機構からは聞いております。

 いずれにいたしましても、被害者の迅速な救済が図られますように、適切な制度の運用にさらに一層努力、尽力をしなければならないというふうに考えているところでございます。

 なお、いろいろな制度にも、今のような行政実務の運用の面で標準処理期間を定めた例がございますが、労災保険の場合には六カ月、医療品副作用救済制度では八カ月、犯罪被害者給付金制度では一年、それぞれの標準処理期間は決めております。今直ちに標準を定めるほど事例が集約されておりませんので、一カ月、二カ月という期間は設定できませんけれども、そのような委員の御意見というものをしっかり受けとめて、現場での迅速な処理のさらに一層の推進を図ってまいりたいと思います。

末松委員 大臣、今非常に力強くおっしゃっていただいて、それはありがたいんですけれども、現場の方はそれほど何か、やはり患者の側から見ますと、かなり不満がたまっているんですね。そこはぜひ一層、ちょっとまだ私もこれからまた細かい質問を次の機会にでもやらせていただきますから、そこはきちんと今おっしゃったとおりやってください。

 つけ加えて言うと、石綿の肺がんというのはほとんど救済がされていない。こういうのは検査が非常に過酷で、そこは患者自身に非常に負担がかかる、そういったこととか、あるいは、もう少し検査のやり方、認定を、例えば胸膜プラークというんですか、これはアスベスト被害に非常に共通に出てくる症状という話がありますので、そういったものとあわせて肺がんがあれば認定をしていただくとか、認定基準の、患者に余り負担をかけないような形での、門戸をより広げるような形での認定をぜひお願いしたいと思っております。

 また、中皮腫、肺がんだけ、そこだけが対象になっているので、石綿肺とかそういったものはなっていない。それも、当然もうちょっと門戸を広げるべきだと思います。

 そういうことを私は言わせていただいて、特にまたこれから石綿の廃棄物を処理する、これについてもきちんとやっていただくということを、きょうは時間がないので指摘にとどめますが、そこはぜひお願いして、石綿、アスベストの問題についての質問を終わらせていただきます。

 では、次は、水俣病の関係でございます。

 これは、アスベストと一緒なんですね。日本の産業政策あるいは高度成長を支えるために、アスベストも、ヨーロッパがまずいということで全面禁止と八〇年代に決めたにもかかわらず、それで日本はだましだましやってきたというようなところがございます。そしてまた、水俣病も、チッソの、そういった産業を支えるものが必要だということで、被害はわかっていたけれども延ばし延ばしやってきた、そういうことが今五十年という期間になってきたわけであります。

 そういう日本の発展のいわば犠牲者になった方に対しては、国は幅広く面倒を見ていかなきゃいけない、そこが私は本当にこの国に欠けているところじゃないかと思うんですね。特に、拉致の問題でもそうですよ。あれも、問題が厄介だったから一切目をつぶってきた、それで後で国が裁かれるという話になっているわけです。今回も、五十年、いろいろなことを、法律もやったり、決議もやったり、いろいろな懇談会もやったりということをしておりますが、さらにここをもうあと一歩きちんとやらなきゃいけないと思います。

 まず、一昨年の十月の最高裁の判決、これについての評価を、簡単で結構ですから、大臣の方から評価をお願いしたいと思います。

若林国務大臣 一昨年十月に出されました水俣病関西訴訟の最高裁判所の判決は、国及び熊本県に、昭和三十五年一月以降、水俣病の被害の拡大を阻止できなかった不作為の不法行為責任を認める判決でございました。

 十六年の十月十五日でございますが、判決当日、小池環境大臣が談話を出しております。「水俣病を発生させた企業への対応に長期間を要しその被害の拡大を防止できなかったことについて真摯に反省し、」そして「本訴訟の当事者の方々をはじめ、多年にわたり筆舌に尽くしがたい苦悩を強いられてこられた多くの方々に対し、誠に申し訳ないという気持ちで一杯であります。」ということで、率直に反省をし、おわびをしながら、その気持ちをあらわしたところでございます。

 また、水俣病の公式確認、これは本年、十八年の五月一日でございますが、五十年の節目に当たります、その五月一日に内閣総理大臣の談話を出してございます。この中にも、「長期間にわたって適切な対応をなすことができず、水俣病の被害の拡大を防止できなかったことについて、政府としてその責任を痛感し、率直にお詫びを申し上げます。」このように申しているところでございます。

末松委員 厳粛に受けとめておわびをしてきたということなんですね。そこは非常に私なんかは評価するんです。

 ただ、そのおわびと、私も今資料で配っていますけれども、保健手帳の交付申請書というので、これは何をチェックしているかというと、この中段にあります、水俣病に係る認定に関する処分について不服申し立てをしていますかどうか、あるいは水俣病に係る認定に関する処分の取り消しの訴えを提起していますか、あるいは裁判等をやっていますか、こういったことをチェックして、これにはいという話があれば保健手帳が交付されないというのが実態なんですね。これは大臣御存じだと思います。これは熊本県庁のホームページからとったものです。

 結局、厚生労働省の認定基準というものを認めない、あるいは、最高裁はこれを覆して、そうじゃないと司法の判断を示したわけですけれども、これを認定しないとか、そういったことに異議を申し立てる人間はこの保健手帳を交付しない、これはおかしいんじゃないですか。そこは大臣としてどう思いますか。

若林国務大臣 二点、問題として指摘されているように思います。その二点はそれぞれ実は別の話だというふうに理解をいたしております。

 まず、高裁の判断、そして最高裁がこれを認めたわけですけれども、この判断、最高裁判決におきましても、認定基準が間違っている、認定基準とは別のものが必要だという意味で、公健法による認定基準の見直しを要求する判決ではないというふうに我々はまず理解をしているという点でございます。

 それからもう一点は、今の手帳の関係でございますけれども、この制度を決めましたのは平成七年の、簡単に言いますと政治解決、こう言われております。政治解決をいたしたわけでありまして、水俣病問題をめぐります紛争の状況をおさめていくために設けられた制度で、訴訟を通じて解決を図っていくというのとは別の道をもう一つつくって、別の道で救済を求め、そしてそのことによって早急に、そこで納得の上で決着をしていくというためにつくられた制度でございます。

 そういう制度の趣旨を踏まえて、先ほどお話を申し上げたような運用になっているわけでございまして、保健手帳の交付と裁判の提起というのは本人の意思による選択の問題でございまして、少し時間がかかっても裁判でいくんだということで訴訟を、裁判提起をするということで、これは保健手帳を受けたら将来の裁判を制限するというものではなくて、裁判を行っているときは保健手帳による医療費の給付を受けられないという制度にしているわけでありまして、裁判をやめて賠償が認められない、あるいはそれを求めないということになりましたら保健手帳の対象にするというふうに、選択的にしているわけでございます。

末松委員 それは人の救済という話で、命をどう考えているかということですよ。結局、政治決着を認めない人は、あなたは不健康なままでいいんですか、いいんですよというふうに言っているのと一緒じゃないですか。今大臣が、それは厚労省がそう言わせているのかもしれません、要は、政治決着を受けるんだったらあなたは健康になるような形で支援しますよ、でも、裁判を続けて政府と対決するんだったら、それはどうぞ自由に、あなたの健康がどうなっても構いませんと。これは国民を二分するようなやり方で、それこそ踏み絵を踏ませるおかしなやり方じゃないですか。むしろ、環境省はそういったことに対して敢然と立ち上がって、きちんとやるべきところが環境省の立場じゃないんでしょうか。

 私は、この保健手帳がそういった形で選択制となって受けられないという、非常にいろいろな方からこの問題提起がありました、それはおかしいと。それと同時に、それじゃ困るというので、何か今は医療事業受給者というので、半年ぐらいの幅、期間の後に、そういった不利益を設けながら、その訴訟をやっている人たちも認める、これも最高裁の判決が出てから渋々やってきたというようなことを聞いています。

 私、これは政府参考人に伺いたいんですが、保健手帳を持っている人と、今度の医療事業受給者、三千百七十三名いるという、これの違いというのはどういうことなんですか。ちょっと簡単に言ってください、時間がないので。

上田(博)政府参考人 お答えします。

 基本的には、医療費の自己負担分については、全く同じ制度で同じ負担ということから、自己負担分についてはすべて見るということでございます。それから、若干、はり、きゅうとか温泉療養費とか、その点での上限があるということで、これも非常にわずかなものでございます。(末松委員「それだけなの」と呼ぶ)それだけでございます。

末松委員 半年云々の話はどうなんですか。それを言ってくださいよ。

上田(博)政府参考人 認定申請をされている方がございます。その場合に、その結果が、処分が一年なりあるいは半年出ない、そういう方については、今おっしゃるように申請事業ということで、医療費、それからはり、きゅう等の費用負担を見ている、こういうことでございまして、その間、半年とか一年についてはおっしゃるとおり見られないという状況になっていることは事実でございます。

末松委員 何でそんな区別を設けるんですか。おかしいんじゃないですか。大臣、そこはちょっと政治家としてもぜひ考えていただきたいんですよ。

 それで、さらに最高裁は、もうそれでこの認定基準云々の話は吹っ飛ばしてもしっかりと司法判断をしているんですよ。だから、みんな、結局また裁判に持ち込めば、その最高裁の判例が前例となって、最高裁が出した、あるいは認定した形での基準というものが彼らの前例になっていくわけなんですね。そうすると裁判で勝っていくと。もう先が見えている話なんですよね。

 だから、そこはぜひこの機会に、もう余り役所の方で前の政治決着ということにこだわらずに、今もう五十年たっているわけですから、ここで、救済の中で新たな政治決着を、新たに第二次の政治決着をやっていくという形を早くしないといけないと思うんですね。大臣、そこはぜひお願いしたいと思うんですが、いかがですか、大臣。

若林国務大臣 先ほど、最高裁判断が示された判決が出ているんだから、行政上の、公健法上の認定基準はそちらに合わせていくべきじゃないか、それはそういう意味では二重基準ではないかという御批判だと思います。そう放置していると、今事実、訴訟が新たに提起されておりますが、それは、訴訟が提起されれば国の方が負けるのは明らかだというような意味合いのことを言っておられますけれども、私は決してそんなふうに思っておりません。

 大阪高裁の判決及びそれを受けての最高裁の判決は、訴えた人たち一人一人について因果関係を審査しているわけですね。そういう因果関係があることによって初めて、国の責任というものが、あるいは県の責任というものが明らかになるわけで、そういう因果関係が明確でないものについてまで拾うというのは、本来言えばいろいろ問題があるところ、平成七年の政治決着というのは、その辺を明確にしない、するのにも非常に時間がかかるので、そこのところは大方の納得が得られる形で平成七年の解決を図った、こういう性質のものでございます。

 私どもは、この訴訟について、やはりいわれなき給付というものは、かわいそうだなということだけでするわけにはまいらないので、加齢に伴っていろいろな症状が出てきます。それがみんな、水俣の魚食、メチル水銀との関係ができるだけ広くあるということで、広くあるということが決まればその責任を果たさなきゃいけませんけれども、そうでないものまで含めて救済をしていくというようなのは、やはり国民の税金を的確に、適正にするという観点も大事な観点でありますから、そういう意味で委員との認識の違いがあると思います。

 また、政治決着につきましては、そのことを大方の、いろいろな団体がございまして、もう既にこれで納得をし、裁判によって決着をつけている人もいるし、どうしてもそういう決着では納得できないとして訴訟を起こし、今また新たな訴訟を起こしている人もおります。決着といったときにも、大方、全員と言わなくても大体の皆さんが納得をし、そして地域の皆さん方も納得をする、そしてこれは当然、加害者でありますチッソがそれなりの納得の上で責任を果たさなきゃいけません、原因者でありますから。

 だから、そういう意味で、そういう決着に当たっては、当事者でありますチッソ側もその分を、裁判で負ければ払う、こう言っているんですが、裁判でなくてもそういうことで納得するならば、チッソ側も負担をするというような納得が得られなければなりませんので、関係者間の意見を聞きながら調整を続けているところでございますけれども、今ここで新たな政治決着をいたしますということを申し上げるわけにはまいりません。

末松委員 今大臣が言われた、裁判は当事者の全部、チェックをしていって一人一人やっているんだ、そう言われましたけれども、小池大臣の「水俣病問題に係る懇談会」提言書の中で、これは四十四ページ、「「認定基準」をそのまま維持するにせよ、この「認定基準」では救済しきれず、しかもなお救済を必要とする水俣病の被害者をもれなく適切に救済・補償することのできる恒久的な枠組みを早急に構築することであろう。」というふうに書いていて、そして四十五ページで、これは「新たな救済・補償に伴い、国は財政負担を強いられることになるが、国全体が経済成長の恩恵を受けその陰で犠牲となった人々への償いととらえるなら、「汚染者負担の原則」に基づく原因企業の負担は当然にしても、国民の税金を財源とする一般会計から応分の支出をするのも当然のことと考えるべきであろう。」そういうことはきちんと言っているわけですよ。だからそこは、大臣が言っていることよりも、これはこちらの方がきちんとしっかりここを踏まえている。いいですか、大臣、聞いてくださいよ、ちょっと、役人と話し合う前に私と話してくださいよ。

 それと同時に、今認定審査会というのが全く再開できない、それはなぜか。認定基準にずっとこだわってくるから、当然、今一年半ぐらい立たないわけですよ、その認定審査会なるものが。これからずっと立ちませんよ、そういったことで。だって、最高裁の判定が出ていて、それでまた覆されるかもしれない認定について一々言う人なんていませんよ。ぜひそこはある程度政治的な判断を加える必要があるんじゃないですかと私は申し上げているんですよ。

 何も、大臣がおっしゃるように、いや全く関係のない人がそれがここで焼け太りをしよう、そういうふうに言っている犠牲者の方なんていませんよ、ほとんど。そこを基準として考えるとこの問題を誤るということですよ。ぜひそこは、むしろ環境省の方が、それは財務省が反対するのはわかる、でも環境省の方がしっかりとそこは財務省に対して言うべき話、立場だと思います。

 もし何か大臣の方でさらにあるんだったら言ってください。ぜひ私は、大臣のそこの政治的な判断を期待します。

若林国務大臣 委員の御主張は御主張として承りました。また、懇談会でいろいろな意見が出されていることも承知いたしております。それらの意見を全体受けとめた上で判断をしていきたいと思いますけれども、財務省は査定側だから、それは厳しく言うのはいいけれども、環境省はそうではないんだから、むしろ被害者の立場に立って幅広く判断をすべきである、こうおっしゃっておられます。

 心情的には、そういう心情がないわけじゃありませんけれども、やはり国の機関として言いますと、払わなければならないものは払うけれども、どうしても払わなければならないということでないものまで払うということについては、やはり払えないものは払えないという判断を我々はしっかりしておかなきゃいけないという、私は常日ごろそのように考えて対処しているところでございます。

西野委員長 末松君、時間内でお願いいたします。

末松委員 払わなければならないかどうかの基準をしっかりともう一度考えろと言っているんですよ。そこで決まったことは、それは払うべきだし、あるいはそこで決まったことは払わなくてもいいということがあるかもしらぬけれども、基準についてしっかりと見直していけというのが私の主張なんです。

 そこは改めてまたお話しさせていただきます。

 ちょっと、最後の最後になりましたけれども、クマの問題をやりたかったんですが、できなかったんですが、昨日、民主党の何回も国選に出ている方のお父さんが富山でクマに襲われて亡くなった、そういうこともございますので、クマ問題、また大臣とお話しさせていただきたいと思います。

 以上です。終わりました。ありがとうございます。

西野委員長 次に、加藤公一君。

加藤(公)委員 民主党の加藤公一でございます。きょうは、身近な視点から環境問題、幾つかのテーマについて議論をさせていただきたいと思います。

 先ほど来、地球温暖化問題についても幾つか議論が交わされておりましたけれども、国内のCO2の排出量のざっと五分の一が自動車から出ているという状況にございますので、これに関連をして、まずエコドライブというこのテーマからお話を伺ってまいりたいと思います。

 私も実際に運輸業者の皆さんから御意見を承ったりしてまいりましたが、どうも認識が人によっていろいろ違っているようでありますので、まずは正確なところからお話を伺いたいと思いますが、このエコドライブというのは一体どういう運転の方法を指すのか、その定義とメリット、デメリット、それぞれ大臣からお話を承りたいと思います。

若林国務大臣 エコドライブにつきましては、環境省など関係四省庁から成りますエコドライブ普及連絡会というものを立ち上げておりまして、そこでエコドライブ10のすすめというものを策定して、その普及を進めてきたところでございます。具体的には、無用なアイドリングはしない、アイドリングストップ、急発進、急加速はしない、エアコンの使用を控え目にするといったような留意事項十項目でございます。

 これらを実施することによりまして、お話のように、燃料消費量が抑えられる、二酸化炭素や大気汚染物質の排出が削減される、自動車ユーザーにとっても燃料代を削減できるといったようなメリットがあります。一方、特段のデメリットについては、これを実行していただければ考えられないというふうに思っております。

    〔委員長退席、宇野委員長代理着席〕

加藤(公)委員 ちょっと確認をいたしますが、環境にも負荷が少なくなって、いわゆる地球に優しいということにもなるし、経済的にもメリットがあるということでありましたが、これは交通安全上もメリットはあるという認識でよろしいですか。

竹本政府参考人 エコドライブにつきましては、今委員からの御指摘のありました交通安全の観点、また円滑な道路の通行という観点から、警察庁などとも一緒になりまして推進しているものでございます。しかるべき注意を払った上でこのエコドライブを進めていくという立場で、エコドライブの推進を政府全体として進めているところでございます。

加藤(公)委員 余りこんなところで時間をとりたくないんですけれども、確認だけ。

 事故防止にもメリットがあるというふうにお考えなんですよね。

若林国務大臣 先ほどお話ししましたエコドライブ10のすすめの中に、交通の状況に応じた安全な定速走行に努めるとか、急発進、急加速をしないとか、いろいろと留意事項が出されております。当然、事故防止に効果的なもの、こう考えております。

加藤(公)委員 では、環境省としては、当然これは今後もさらに普及推進をしていくというお立場でよろしいですね。一言だけ、御確認をさせてください。

若林国務大臣 おっしゃるとおりでございます。

加藤(公)委員 では、そもそもこのエコドライブというのが、聞くところによりますと、平成十五年度からもうスタートをしているようでありますが、果たしてどれほどの方が御存じなのか、認識をしているのか、これが今後の普及啓発に対してどんな手を打ったらいいかというベースになろうかと思いますが、実際、このエコドライブの認知度というか、どのくらいの方が御存じかというデータがありましたらお示しください。

竹本政府参考人 エコドライブの周知状況につきましては、現在のところ、全国横断的に調査をしたものはございません。しかしながら、これまで、さまざまな機会を通じまして国民各界各層にエコドライブの実施を呼びかけてきたところでございまして、今後とも、可能な限りあらゆる機会を通じまして自動車ユーザーなどへの周知を図ってまいりたいと思っております。

加藤(公)委員 もちろん今後も周知徹底はしていただきたいと思いますし、先にお話をしておけば、私はもうどんどん進めてほしいと思ってこの議論をしているわけです。

 実は、これは大臣にちょっと聞いておいていただきたいんですけれども、環境省がエコドライブを進めるためにこういうDVDをつくっているんですね。貸し出しをしていて、私も拝見をいたしました。「主婦の節約術 エコドライブ」というDVDでございまして、この中で、レポーターの方が、たまたま通りかかった方かどうかはわかりませんが、いろいろな方にインタビューをしている、エコドライブって御存じですかと聞いているんですが、実は、全然知られていません。

 このDVDの中のコメントをそのまま申し上げると、たくさんの方に聞いたけれども、二人しか知りませんでした、こういうコメントが入っています。十分か十五分のものですから、お忙しいとは思いますが、もしお時間があったらぜひ大臣もごらんいただきたいんですが、そのお二方も、知っていると答えてはいるけれども、実際、後のインタビューを見ると、全く理解はされておりません。つまり、環境省が推進のためにつくったDVDでインタビューを受けている方は、結果的にだれも理解をしていなかった、そういう状態です。

 これまで何にもやっていなかったとはもちろん申し上げません。いろいろ普及活動をしていらっしゃったのは存じ上げていますが、結果として、データも何にもないし、どの程度の方が知っているかというのもわからない状況にあるんですね。

 これは、大臣、環境省の責任者として御感想で結構なんですけれども、これでは次の手を打てないですよね。お金をかけろとは言いませんが、やはり何か調査をするなり現状を把握するということが必要なんじゃないかと思いますけれども、どう思われますか。

若林国務大臣 まだそのDVDを見ておりませんが、早速見させていただきたいと思います。

 一般のドライバーや運送事業者等、エコドライブを浸透させるために、エコドライブコンテストだとか、エコドライブ推進月間なんというのを定めて努力をしていると承知いたしております。

 そういう意味で、さらに一般のドライバーや運送事業者などにこのエコドライブを積極的に推進するための行動を起こす意味で、アクションプランというようなものを関係省庁と連携して進めていかなきゃいかぬな、こんな印象を持っております。

加藤(公)委員 今お話しいただいたような普及啓発活動をしてきたことは、私も理解をいたしますし、それが意味がないということを言っているわけではありません。

 ただ、現実の問題として、せっかくいい話であるにもかかわらず、さっき大臣おっしゃったように、デメリットはないんですよね。デメリットがなくて、地球環境にもよくて、交通安全上もよくてという話であれば、もっと広めたっていいじゃないですか、こういう話をしているわけです。今まで広めようとして皆さんが努力してきたこともよく存じ上げています。でも、現実には余り知られていない。御自身でつくられたものの中でも余り知られていないとおっしゃっている、これは幾ら何でも寂しい話じゃないですかということを申し上げているわけです。

 そこで、例えば何かお金をかけて大々的な調査をするなんということになりますと、これはまたもったいない話になりますので、ドライバーの方に限定をして、どの程度知っているか、知らないかわかればいいわけですし、そんなに厳密な数字である必要もありませんから、例えば、免許の更新のときにちょっと簡単なアンケートをするとか、その程度でも目安になる数字はとれると思うんですね。方法は別に私が申し上げたことだけがいいとは言いませんけれども、一たんこの段階で何か調査なり現状把握なりしてみよう、ここでイエスとは言えないかもしれませんが、大臣、そのことを少し御検討いただけませんか。

若林国務大臣 委員の御提言については、しっかりと受けとめた上で検討してまいりたいと思います。

加藤(公)委員 私も、いろいろな議論の折に、どうしても正確なデータをもとにということをいつも気にしているものですから、費用をかけろとはもちろん言いませんが、一工夫、二工夫で大体の状態は把握できるはずでございますので、そこはぜひ御検討をいただきたいと思います。

 もう一点、別の視点でこの件のお話を伺いますと、今後さらに普及をしていこうと思うと、環境省だけでやることにはどうしても限界があるだろうと思いますし、先ほどの大臣の御答弁の中にもありましたが、他省庁との連携というのも当然必要になるだろうと思いますが、どのような連携の努力をしていらっしゃるのか、まずここを御説明いただけますでしょうか。

    〔宇野委員長代理退席、委員長着席〕

若林国務大臣 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、平成十五年度から、警察庁、経済産業省、国土交通省、そして環境省、これを関係省庁とするエコドライブ普及連絡会というものを設置をし、政府全体としてエコドライブの普及促進を図ってきたということを承知しております。

 また、昨年四月に閣議決定いたしました京都議定書目標達成計画においても、エコドライブが施策の一つとして位置づけられておりますので、目達計画を推進していくという角度から、これの一般的な普及に努めているということでございます。

加藤(公)委員 これはちょっと局長に確認をさせていただいた方がいいかと思いますが、今お話があったエコドライブ普及連絡会というのとエコドライブ普及検討会というのと、二つ平成十五年度からやっていらっしゃるということでありますが、これは別に通告していない質問ですけれども、簡単な話なので教えていただきたいんです。

 きちんと機能している、こういう理解でよろしいんですよね。会はつくったけれどもやっていないとか、動いていないというんじゃ困っちゃいますが、ちゃんと意思統一して、機能しているという理解でよろしいですね。確認だけさせてください。

竹本政府参考人 平成十五年度からエコドライブ普及連絡会が設けられておりまして、会は局長レベルでございますが、その都度、課長レベル、また補佐レベル、実務レベルも通じまして、頻繁に意見交換をやっておるわけでございます。当然、この連絡会、実質的に機能をしておるところでございます。

加藤(公)委員 では、その確認をさせていただいたことを前提に伺いたいと思いますが、先ほどからお話ししているように、せっかくいい話であるにもかかわらず、なかなかまだ広く知られていないのではないかというのが私の問題意識であって、これを広めるために、環境省だけではなくて、普及連絡会なり普及検討会に入っていらっしゃる経産省の方にも国土交通省の方にも、もちろん警察庁の方にも御努力をいただかなきゃいけない、こう思うわけであります。

 そこで、警察庁として、もちろん、環境に優しいとか環境省が重点を置く項目以外にも、先ほど確認をさせていただいたとおり、事故防止にも役立つ、交通安全にも役立つ、こういうメリットもあるわけでありますので、警察庁として、エコドライブはやはり重要な施策だ、こうお考えかどうか、改めてお話を伺いたいと思います。

野村政府参考人 お答えいたします。

 警察庁といたしましては、エコドライブの実践は、環境保全効果があるとともに交通事故防止上も一定の効果が期待できるものというふうに承知しております。このため、先ほど来お話が出ておりますエコドライブ普及・推進アクションプログラムに基づきまして、エコドライブの普及に努めておるというところでございます。

加藤(公)委員 これまでもやってきていただいているとは思いますが、では、警察庁としてはこのエコドライブの推進には積極的なスタンスをとっている、こういう認識でよろしいですね。一言、確認をさせてください。

野村政府参考人 そのとおりでございまして、少し具体的に申し上げますと、運転免許の取得、更新時の教材として使用されております「交通の教則」というのがございますが、ここにエコドライブについて記載いたしております。

 また、各都道府県警察に対しまして、こういったものを用いまして、交通安全講習会等の機会をとらえまして、運転者の教育の一環としてエコドライブの広報啓発を図るように指導しているところでございます。

加藤(公)委員 今、ちょうど「交通の教則」の話を出していただいたので、ちょっとそこを議論させていただきたいと思いますが、先ほども申し上げましたけれども、これはドライバーの方がよく認識をしていただければ非常にいい話でありますから、運転しない方は余り関係ないことなので、運転される方、ドライバーの方が理解をしていただければいいということになると、きっかけとしては、運転免許の更新のときに何か一工夫すれば非常に効果的なわけですね。

 今審議官もおっしゃったように、免許の更新時に配付される「交通の教則」、ちょっとコピーだけですけれども持ってきましたが、「交通の教則」という本の中に触れていらっしゃる、こういうお話でありました。確かに、何にも書いていないとは言わないんですが、見ると、これはエコドライブという切り口じゃないんですね。「交通公害、地球温暖化の防止など」という項目で、こういうことをすると地球に優しいですよ、ちびまる子ちゃんのイラストか何かを使って説明されているわけですよ。悪いとは言いません。ないよりずっといい。

 だけれども、さっき議論していたように、警察庁のスタンスからいえば、エコドライブがせっかく、交通安全につながるんだ、交通事故防止につながるんだ、しかも環境にもよくて。もう一つのエコは、エコロジーだけじゃなくてエコノミーの方のエコもあるわけですね。ドライバーの方にとって経済的に大きなメリットがあるわけじゃないですか、燃費が向上するわけですから。あなたにとって得ですよ、つまり、身の安全も確保されて、燃費がよくなって経済的にも得だ、もちろん地球環境にもいい。この一番大事なところを「交通の教則」の中だとどうも外してしまっているんじゃないか、触れていないとは言いませんが、ちょっとピンぼけなんじゃないかと思うんですけれども、どう認識されますか。

野村政府参考人 お答えいたします。

 教則に書いております言葉は、私どもとしては、内容としてはエコドライブの内容を書いておるつもりですが、御指摘のように、エコドライブという言葉そのものは出ておりません。

 したがいまして、更新時の講習におきましては、教則のほかに別途「人にやさしい安全運転」というふうな教本をつくりまして、今回はその中に、特集といたしましてエコドライブというのを特に取り上げまして、例えば、経済速度で走りましょうとか、無用なアイドリングはやめましょうとか、そういったものを書きまして、記述して教授しているというところでございます。

加藤(公)委員 確かに、「人にやさしい安全運転」という冊子も免許の更新のときに配られているようでありまして、そちらには「特集 環境を考える エコドライブ」こう書いてあるんですね。

 でも、これも今私が申し上げたように、環境にいいですよ、だからエコドライブ、こういうやり方でやってください、例えば、無用なアイドリングをしないとか経済速度で走るとか、今審議官がおっしゃったようなことが書いてあるんですけれども、さっきも申し上げましたけれども、それをやるとドライバーの方にとって何がいいのかがわからないんですよ、この教則本もそうだし、この安全運転という冊子もそうだし。この場で議論をするのはいいですよ、国会で、エコドライブとは何ぞや、それをするとこんなに社会にプラスだという議論をするときはこれでいいけれども、ドライバーの方がそのエコドライブと呼ばれる運転方法をとるとこんなにメリットがあります、安全に運転できて、燃費が上がるから物すごく経済的にもメリットがある、しかも地球環境にも優しい、このすごくいい話がわからないんですね。だから、これだとエコドライブをやろうというモチベーションがわいてこない。

 せっかく取り上げても、読んだ人はふうんで終わっちゃうんじゃないですか。場合によっては、自分にとって関係のないところだと思って読み飛ばしてしまうんじゃないですか。僕はそれを懸念している。せっかくこの冊子に印刷をして普及しようというのであれば、これを実践するとあなたにとってもこんなにプラスだし、社会にとってもこんなにプラスだということをきちんと書いてさしあげた方がよほどいい。エコドライブという言葉が大事なんじゃなくてそのメリットが大事なんですから、これは少し伝え方を工夫していただきたいと思うんですね。

 実際、これは講習のときに配られる資料には入っていますが、免許更新のときの講習そのものにはこの点は出てこないですね、講座というのですか、授業の中には。教本の中には入っているけれども、実際に講習を受ける段階では、内容には入っていないだろうと思います。私も通達というのを拝見いたしましたけれども、更新時講習というのは非常に細かく規定をされていて、講習科目とか時間割りとか、何と講師の自己紹介というところから全部細かく決まっていますね。もちろん、関連するところ、関連する項目がないとは言いませんが、今言ったような伝え方では残念ながら入っていないんですね。

 三十分なら三十分、せっかく講座を受講するのであれば、ほんの一分でも二分でも触れるだけでも全然違うんじゃないか。こういうDVDをつくるときに、インタビューをしたら十人のうち七人も八人も知っているという状態をつくるのはそんなに難しい話じゃないんじゃないかと思うんですが、警察庁として、一工夫、考えていただけませんでしょうか。

野村政府参考人 お答えいたします。

 第一点目の、エコドライブという言葉は出ているけれどもあなたにとって得になりますよということが書いていないという御指摘でございますが、私どもといたしましては、例えば、「急発進、急加速をしない」というところで、急発進、急加速をすると燃費が余分に消費されますよといった言葉を書きましたり、夏場のエアコンは控えめにと書きまして、燃料が多く消費されちゃいますよということは書いておりますけれども、先生御指摘のさらにいろいろ工夫するというところは、私どもも、少しでもエコドライブについてわかっていただくのが本旨でございますので、いろいろな工夫はしてまいりたいと思っております。

 それから、更新時講習のときには、この教本もそれから教則もすべて配っております。ただ、御指摘のように、若干時間が短いものですから、かなり講師の技量に頼っているというところはございまして、私どもとしても、通達等で、こういったエコドライブを含めまして、講習の場合には交通公害等について重点的に説明するようにというふうな指導もしておりますので、今後とも力を入れていきたいというふうに考えております。

加藤(公)委員 ちょっと時間が迫りぎみですからはしょりますけれども、これはぜひやっていただきたい、今の御答弁のとおりぜひやっていただきたいと思うんです。

 あわせて、そもそも、更新の前に、これから免許を取られる皆さんの教習の段階でもお知らせをしておけば、先々のことを考えればこんな効率のいい話はなくて、その教習の場面においてもぜひ同じように御検討をいただきたいと思います。別に法律を変えるような話じゃなくて、この通達にちょこっと書き足せばすぐに実行できる話だと思いますので、確かに、講師の方の技量とか事務の準備とか、多少の手間はもちろんあるとは思いますが、これだけ大きなメリットがあるのに比べて、それを求めるためのコストというのは非常に低い、いい政策だと思っているんですよ、私。だから、ぜひやっていただきたいということで、お願いをしておきたいと思います。

 では、残りの時間、ちょっと急ぎ足になりますが、あと二点、気になっていることについてお話を伺いたいと思います。

 一つは、先ほど末松委員もありましたが、アスベストの問題でありまして、アスベスト新法がことしの初めに成立をいたしまして、三月の二十七日から申請の受け付けが始まっているはずであります。ちょうどきょうで七カ月が経過をいたしました。

 ただ、私が仄聞するところ、その七カ月前の三月に申請をされた方がまだ認定されていない、こういう方もまだいらっしゃるというふうに聞いておりますが、現状についてお話を承りたいと思います。

上田(博)政府参考人 申請は三月の二十日から始まったわけですが、三月の下旬の十日間で約千名の方が申請されました。この申請の中で、療養中の方とそれから特別遺族弔慰金、こういう二つに分かれるわけでございますが、それぞれについて数値を申し上げます。

 三月中におきまして、療養中の方の申請は五百一件でございました。このうち四百二十一件については、認定等の事務処理が行われた、あるいは申請そのものが取り下げられたものがございます。残りは八十件でございますが、この残っている八十件の内訳ですが、現在機構の方から申請者等に不足資料の提出を依頼しているものが六十五件ございます。また、近日中に判定の申し出がなされるもの、これは環境省の方で処理をいたしますけれども、これは十五件ということでございます。

 また一方、特別遺族弔慰金に係る請求につきましては、三月中に四百八十三件の申請がございましたが、このうち四百二十件について、認定もしくは不認定の決定がなされ、または請求の取り下げが行われております。残りの六十三件でございますが、この内訳については、現在機構の方で、これは死亡診断書がなかなか、医療機関からも時間がたっていて出ないというようなこともございまして、法務局等へ個別に死亡診断書の照会を機構側から行っている、こういう手続の途中にあるものが五十六件、また、近日中に環境省の方に判定の申し出がなされる予定のものは七件という状況でございます。

 以上でございます。

加藤(公)委員 釈迦に説法だから細かなことは申し上げませんけれども、中皮腫など発症いたしますと、そうそう長く生きられる病気ではありませんので、私、二十七日の、ちょっと記憶違いで二十日だそうでありますが、三月二十日から申請が始まって、七カ月たってもまだ白黒ついていない方がいらっしゃるというのは、事情はいろいろあるにせよ、ちょっとスピード感が足りないんじゃないかなというのが私の率直な感想でありますので、ぜひそこは改めて御努力をいただきたいと思います。

 もう一つ、このアスベスト問題については、関係閣僚会合というのが前内閣でずっと実施をされてきておりますが、新しい内閣のもとではまだ開かれていないのではないかと思いますが、これは方針として今後も継続されるということでよろしいんでしょうか。これをいま一度確認したいと思います。

笠井政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねのアスベスト問題に関する関係閣僚会合というのは、関係する行政分野がアスベスト問題は多岐にわたりますので、関係省庁の緊密な連携のもと、スピード感を持って対応を行おうということで、事態の緊急性を踏まえて、関係閣僚が必要に応じて集まっていただくという形で開催しております。内閣官房が総合調整を行うという立場で、官房長官が主宰をしておりますが、関係各省庁がそれぞれの責任を持った対応を行い、政府全体の総合力でこの問題に適切に対応していこうというものでございます。

 それで、直近では、九月の八日に第六回の会合が開催されまして、昨年末の第五回会合で取りまとめた……(加藤(公)委員「これからの話」と呼ぶ)これまでの取りまとめました総合対策に基づく取り組みの状況を総点検いたしました。

 その会合の締めくくりに当たりまして、当時の安倍官房長官より、今後も関係閣僚会議は必要に応じて開催したいとの御発言がありましたので、この発言のとおり、今後も必要に応じて開催されるという方針でございます。

加藤(公)委員 アスベスト問題は救済法ができたからそれでおしまいじゃないことは、もう大臣、よく御存じだと思いますので、ぜひイニシアチブをとっていただいて、もちろん、この関係閣僚会合をやったからそれでいいという話じゃありませんけれども、政府の重要施策の一つとして、ぜひどんどん押していっていただきたい、このことは申し上げておきたいと思います。

 もう時間が迫っていますので、最後に一点、大臣に、医療廃棄物の漂着問題について御意思を確認させていただきたいことがあります。

 昨年とことし、立て続けに、日本海沿岸あるいは東シナ海沿岸に大量の医療廃棄物が漂着をいたしました。聞くところによりますと、それぞれ二万を超える数だと聞いておりまして、大変危険でもありますし、外交問題にも当然なり得る話だろうと思います。

 一般の漂着ごみは、場合によっては国内から出たものがまた日本に着くという可能性は否定できませんし、日本から出たものが海外に着いてしまうということもあり得るわけですから、断定はできませんが、医療廃棄物の処理は、日本国内は相当進んでいるはずですから、このごみはほぼ間違いなく海外から流れ着いた。しかも、中国語だと推測される表記も出ているものでありますから、これは環境省だけでできる話ではありませんので、内閣として、関係省庁に大臣から積極的にアプローチをしていただいて、もう二度、起きてしまいましたから、三度目、こうした事態が発生しないようにアプローチをしていただきたいと思いますが、その御決意を最後に伺いたいと思います。

若林国務大臣 これまでも、外交ルートを通じまして、近隣諸国に対し、我が国への医療廃棄物の漂着状況に関する情報を提供いたしまして、その中には、おっしゃられましたように、貴国のものと思われる表示があるものがありますよといったようなことを伝えまして、原因の究明も含めまして取り組みを進めてきています。

 国際会議等においても、本問題の解決に向けて、医療廃棄物の管理等に関する検討が進められるように働きかけていきたいと思いますが、おっしゃるように、環境省だけで取り扱われるものではございませんので、関係省庁に一層、これに積極的な取り組みをしてもらえるように求めていきたい、努力していきたい、このように考えております。

加藤(公)委員 きょうお願いした件、言ったら言いっ放しで終わりじゃなくて、ぜひ検討を進めていただきたいと思いますが、特に警察庁の方、よろしくお願いします。

 ありがとうございました。終わります。

西野委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 先ほどからの議論に引き続いて、私の方から一般質疑をさせていただきますが、本日は、時間も限られておりますので、地球温暖化対策から再生可能エネルギー、また漂着ごみ問題、そしてアジアにおける環境協力というような観点から質問をさせていただきたいと思っております。

 先ほどからありますように、地球温暖化問題は、人類の生存にかかわる大変喫緊な課題でございます。

 二〇〇五年度の温室効果ガスの総排出量というのが速報値で出ましたが、十三億六千四百万トンで、京都議定書の基準年の総排出量と比べて八・一%上回っている。前年の二〇〇四年度の総排出量よりもさらに〇・六%増加しておりまして、合計で一四・一%の削減が、大臣、必要となってきているわけでございます。

 先ほどからも質問があっているところではございますが、改めて確認をさせていただきますけれども、これは、森林吸収源対策とか京都メカニズムによる取り組みとあわせまして、国内の排出量を八・七%も削減しなければならない状況にあります。大臣も所信の中で、京都議定書の目標達成計画の達成は大変に厳しいということをおっしゃっておられるところでございますが、今後、我が国の温室効果ガスの排出及び吸収の量の状況等を勘案して、二〇〇七年度には目標達成計画の見直しが行われる予定でございます。これには実効ある対策を盛り込むことが求められるわけでございますが、この見直しというのが第一約束機関の直前でございます。見直された施策の効果が果たして第一約束期間内にあらわれるのか、また、計画の見直しをしても、企業とか国民がすぐに取り組むことができるのか、大変不透明な部分が多いと思うわけでございます。

 こういうことからして、この温暖化対策をより加速させて、この目標達成計画の見直しを前倒ししていくべきだと考えますが、いかがでしょうか。目標達成計画の見直しの議論の今後の検討の方向性とその策定の時期についても大臣に伺いたいと思います。

若林国務大臣 江田委員は、先ごろまで環境省の環境行政の責任者として大変御努力をいただいてまいりました。敬意を表するとともに、今後ともひとつ御指導をお願い申し上げたいと思います。

 おっしゃられましたのはそのとおりでございまして、前倒しをいたしまして、一日も早くこの問題に取りかかり、そしてまた、その効果が上がるようなきめ細かな対策を、工程表を含めましてつくっていかなきゃいけない、こう思っております。

 その意味で、本日、中央環境審議会の地球部会、評価見直し作業を開始するということにいたしておりまして、あわせて産業構造審議会の方との合同部会も進められるやに伺っておりますが、そういう産業政策の面と同時並行しながら、効果的な対策を樹立し、実行に移してまいりたい、こう考えております。

江田(康)委員 ちょっときょうは時間がございませんので十分な質問にはなりませんが、そのような中で、着実に目標達成計画を達成していくことが我が国に課せられた課題でございます。

 先ほどからありますように、二〇五〇年、二一〇〇年という段階において二度Cという危機的な気候変動が、二度C以上ということが起これば、これは大変な状況になるわけでございまして、そのためには、全世界で五〇から六〇%もの削減をしていかなければならない。その京都議定書は全世界でも五%の達成でございますから、これは焼け石に水と言われるかもしれないけれども、大変に重要な一歩だと思います。そういう意味で、我が国がマイナス六%、京都議定書の約束を達成するということが大変に重要な、世界的にも影響の出てくることだと思います。

 そういうような意味で、我が国が取り組むべき中で、私、再生可能エネルギーの導入促進ということが大変重要であるかと思っております。太陽光とか風力、バイオマスなどの再生可能エネルギーというのは、これは京都議定書の六%マイナスの達成の中でも、全体で千九百十万キロリッター、原油換算でございます、また、四千六百九十万トンCO2になります。それは結果的に三・七%の削減ができる、これが京都議定書の目標達成計画に盛り込まれているところでございます。

 そのような意味で、この再生可能エネルギーに関して、安倍総理も所信表明演説の中で、政府としても、太陽光発電の導入、バイオマスエネルギーの導入というのを進めるということを言っておりますし、また、環境大臣のあいさつにおきましても、太陽光発電の導入拡大などの対策を加速化していくということをおっしゃっておられます。

 しかし、現実には、二〇〇四年度現在で、一次エネルギーに占めるこの新エネルギーの割合は三%にとどまっているわけでございまして、二酸化炭素の排出削減を確保するためには、国内のあらゆる主体において、太陽光発電を初めとする石油エネルギーに依存しない新エネルギーの導入を促進することが求められておりまして、強力にこれを進めていく必要がございます。そういう認識をまずは確認をしたいわけでございます。

 私は副大臣の在任中に、再生可能エネルギー導入の現状視察のために、ドイツ、デンマークを訪問させていただきました。EUでは中長期的な目標として、二〇二〇年までに一五ないし三〇%、高い削減目標を掲げていますし、二〇五〇年までには六〇ないし八〇%という削減目標を検討しているわけでございます。これを達成するための主要な政策として、エネルギー効率向上と再生可能エネルギーの導入により、その削減を進めようとしているところでございます。

 私、風力発電を見せていただきましたけれども、風力発電のコストというのが最近二十年間で三分の一に下がっておりまして、一定の価格で買い取る制度というのがデンマークにはございます。こういうような制度のおかげもありまして、デンマークの全電力の約二〇%を風力は占めている。実際に洋上風力発電を、ミドルグルンデンというところでございましたけれども、視察しましたけれども、二メガワットの風力発電機が二十基、一連並んでいる、そういう風力発電なんですが、これは一気に五万世帯の電力を賄えるようなものでございます。我が国でもこの導入のポテンシャルは、いろいろと言われますけれども、風力発電というのは大変重要な再生可能エネルギーで、そのポテンシャルは大きいと思っております。

 さらに、太陽光発電の技術というのが、我が国は消費量も、またその技術も世界一であるわけでございますが、加速的な普及のためにはさらなるコストダウンが必要となってきております。この太陽光発電も、それこそ京都議定書の目標では、現在百万キロワットでございますけれども、これを二〇一〇年には四百八十二万キロワットまで、急速に五倍も拡大をしていくというような目標がございますが、このような加速的な普及のためにはやはりコストダウンというのが大変重要でございます。

 そこで、我が国におきまして、太陽光発電と風力発電を加速的に普及させるための今後の取り組みについて伺いたいんですが、今言いましたように、加速的な普及をするためにはさらなるコストダウンのための研究開発支援とか、大規模な発電施設への補助、さらにはEUのような一定の価格で買い取る制度の導入などのインセンティブがなければならないと思うんですが、いかがでしょうか。

 現在、日本ではRPS制度、これは一定の価格で買い取る制度ではございませんで、これは新エネルギー由来の電気を一定量以上利用することを義務づける制度でございます。二〇一〇年までに一・三五%まで導入するというような目標のかかっているRPS制度でございますが、このようなRPS制度から一歩やはり拡充した新たな制度というものの導入も思い切って考えていかなければ加速的な普及というものはないと思いますが、いかがでしょうか。

若林国務大臣 今、江田委員の方から非常に積極的な御提案を承りました。

 おっしゃるように、そのまま自然体で推移いたしますと、技術的にはもう実用可能な技術を持っていましても、それが現実化するには種々のコスト面の、あるいは経営安定面の障害がございます。議員が御提案なさいましたそういう新しい仕組みというものをインセンティブといたしまして、できるだけ自然エネルギー、バイオマスをも活用いたしました代替エネルギーに積極的に取り組んでいくということが必要だ、そういう認識を持っております。

江田(康)委員 大臣の決意をお伺いしたわけでございますが、再生可能エネルギー、先ほども申しましたように、その目標達成計画の中では大変高い目標が決められております。そして、その三・七%にも相当するような目標でございますので、こういうことを着実に実施して、普及に向けて実施していかなければならない、そういう大きな課題であると御認識いただきたいと思うんです。

 それで、もう一つは、バイオ燃料についてお伺いをさせていただきます。

 先ほどからもございましたと思いますが、このバイオエタノールというのは、サトウキビ、トウモロコシから生産される再生可能エネルギーでありますが、これは燃焼しても植物が大気中から取り込んだCO2を排出するだけでございますから、温暖化対策としては、カーボンフリー、カーボンニュートラルなものでございます。一〇〇%石油に依存しているガソリンを代替するもので、脱温暖化社会の決め手であるかと思っておりますが、このE3、すなわち三%エタノールを混合したガソリンがもう走行可能でございまして、この実証実験や生産というのが、沖縄県の宮古島とか山形県の新庄市とか大阪の堺市で実施中であることは御存じのとおりでございます。

 まず、御質問したいのは、京都議定書の目標達成計画では、二〇一〇年に五十万キロリットル、これはドラム缶でいえば二百五十万本に相当するものですが、これだけのエコ燃料を導入する目標を掲げておられます。さらには、環境省は二〇三〇年までに二百二十万キロリットルへと拡大していく、そして国内の自動車すべてをE10化するという青写真を描かれているわけでございます。

 ここで問題になってくるのは、この二〇一〇年の目標を達成するためだけでも国産のエコ燃料に加えて相当量の輸入燃料が必要になってくると予測されております。このエコ燃料調達の今後の見通しと確保策についてお伺いします。

 それとともに、もう一つ大きな課題でございますけれども、現状ではガソリンよりも製造コストがかさんでしまうという大きな問題がございます。技術開発のほかに流通体制の整備とか税制上の優遇策を、これはぜひともとっていかなければならない課題でございます。

 すなわち、今、ガソリンからE3ガソリン、エタノール混合ガソリンをつくろうとした場合に、まず、購入してくるガソリンに揮発油税がかかっているわけでございまして、そのガソリンを使って三%のエタノール混合ガソリンをつくろうとすると、そこでまたガソリン分に再度の揮発油税がかかる。すなわち、二重課税の問題が大きいところでございます。これを回避するための取り組みを宮古島等でもうやられているかと思いますが、その全国的な普及に向けての環境省の取り組み、今後の対応についてお聞きしたい。

 それとともに、もう一つ、バイオエタノール分の揮発油税の非課税化も実現していく必要があると思います。

 バイオエタノールの製造にはコストがかかっておりますので、やはり揮発油税の非課税化を実現すること。ガソリンの二重課税を回避して、バイオエタノール分の揮発油税の非課税化を実現する。ここが、このバイオ燃料の目標達成計画の達成に、また普及に必須の課題であると思っております。

 これは年末の税制改正に向けての取り組みになりますので、我々政治側としても最重要課題として、この温暖化対策の再生可能エネルギーの普及に向けた最重要課題として、何としてもこれはかち取らなければならないと思っておるんですが、環境省の御見解、いかがでしょうか。

南川政府参考人 まず、冒頭にございましたエコ燃料の調達の見通しにつきまして御説明をさせていただきます。

 エコ燃料、バイオエタノールにつきましては、当面、二〇一〇年を目途といたしまして、石油換算で五十万キロリットルのバイオ燃料というものをぜひ確保したいということで、輸送用バイオ燃料をそれで賄いたいと考えておるところでございます。現状が数千キロリットルということで微々たるものでございます。

 政府としましては、国産のバイオエタノールの生産拡大はもちろんでございますけれども、やはりそれには限界がございます。目標達成には相当量の輸入が必要だというふうに考えております。そのため、国内のバイオマス資源を活用することはもちろんでございますけれども、ブラジルなどにおける生産、利用ということが大事だと考えております。私の方には、ブラジルについては資源を得るための生産拡大は可能だというような話も入っておりますけれども、いずれにしましても、経産省、農水省などの関係省庁、さらに石油業界との連携が必要でございます。関係者と協力しながら、バイオエタノールの安定供給、安定輸入が確保されるように取り組んでいきたいと思います。

北川大臣政務官 税制につきまして、私の方からお答えをさせていただきます。

 江田委員には前副大臣としてこの税制の問題等にも取り組んでいただきまして、ありがとうございます。

 御指摘のとおりになりますけれども、原料となるガソリンが製油所から出荷される段階と、ガソリンにバイオエタノールを混合してE3を製造、出荷する段階とで、それぞれ全量に揮発油税等が課税されていることと理解をいたしております。

 このような問題に対処するために、関連法令においては、製油所からE3の製造場にガソリンが出荷される段階では課税を免除する未納税移出という制度があり、これを利用すればE3の製造場でのみ課税される。委員おっしゃるとおり、沖縄県宮古島で環境省が行っているE3実証事業では既にこの制度を利用しているところであります。

 今後、E3の導入拡大に当たりましては、ガソリンを供給する製油所側でこの制度を利用していただく必要があります。環境省としても、関係省庁と連携して、製油所側の理解と協力を得られるよう努めてまいりたいと考えております。

 また、バイオエタノールの普及を図る上ではコストが最大の課題でありまして、環境省といたしましては、技術開発や流通体制の整備のための予算措置とあわせて、平成十九年度の税制改正におきまして、農林水産省と共同で、バイオエタノール分にかかる揮発油税等の非課税措置の創設を要望しているところであります。

 今後とも、関係省庁と連携を図りながら、バイオエタノール混合燃料がガソリンと遜色のない経済性を有する燃料となるよう必要な施策の推進に努めてまいりたいと考えておりますので、江田委員のより一層の御支援をよろしくお願い申し上げます。

 ありがとうございます。

江田(康)委員 ぜひとも強力にこの点を推進していっていただきたいし、また、我々も、政治的な判断もしっかりとつけて、その推進をしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 ちょっと観点を変えまして、漂流・漂着ごみ問題というのもまた大変大きな、国境を越えて、環境問題に国境はないですが、この問題も大変大きな環境問題でございますので、質問をさせていただきます。

 本年七月上旬の台風三号の通過によりまして、我が九州・長崎県の沿岸海域に大量の流木が漂着いたしました。この漂着した流木は、直径一メーター、長さ五、六メーターに及ぶものもございまして、県下十五市町村における漂着本数は七万本以上に達しまして、地元住民による回収、撤去、処理作業が続いたわけでございます。このための回収、撤去、処理に多大な労力と経費もかさみ、また、漁業被害も起きたわけでございます。

 当時、環境副大臣として、私、現地を訪問、視察いたしまして、環境省としては、今回の流木処理に対して初めて災害廃棄物処理事業への適用方針を示させていただきました。これに従って、先般、財務省より補助対象になり得るとの回答を得まして、今後、現地査定が行われる予定と承知しております。

 今回のこの素早い対応に関しては、高い評価が得られているわけなんですけれども、この災害廃棄物処理事業というものの適用範囲は、まずは、災害に起因した漂流木や漂着ごみであるということでございます。しかし、どこからともなく流れてくるこの漂流木を含む漂着ごみというのは、災害に起因すると証明することは今回も大変難しかったんですが、これは環境省の努力によって、また関係者の努力によってそれをなし得ることができました。しかし、大変難しい。災害によらずとも、大量の漂着ゴミについては、生活環境の保全を守る上で大変重要かと思って、私も副大臣当時取り組んできたわけでございます。

 今回のこの対応と、今後の災害廃棄物処理事業費補助金の拡充につきまして、環境省の積極的な取り組みをお聞きしたい。

由田政府参考人 漂着ごみの適正な処理につきましては、生活環境の保全を図る上で重要な課題というふうに認識をいたしております。

 現在、海岸保全区域外に国内の災害により漂着いたしましたごみを市町村が処理いたします場合には、災害廃棄物処理事業費の補助制度によりまして当該市町村を支援しているところでありまして、今お話ございましたように、今回の長崎県の流木につきましても、御案内のように、支援の対象とさせていただいたところであります。この件につきましては、近々、査定のための現地調査も予定させていただいております。

 さらに、この海岸保全区域外に、必ずしも災害によらずとも大量に漂着したごみにつきましてもこの補助対象とすべく、来年度の予算の概算要求に盛り込ませていただいているところであります。

 環境省としましては、関係省庁と連携をいたしまして、今後とも適切な対応を行ってまいりたいというふうに考えております。

江田(康)委員 この漂流・漂着ごみ問題というのは、国境のない環境問題でございますので、災害に起因せずともこの災害廃棄物処理事業が適用できるという方向で今努力をしていただいておりますので、ぜひとも来年度からはそのような方向で対応をしていただきたいと思います。

 ちょっと、もう最後の時間になってきましたので、最後に一つ、これだけはお聞きをさせていただきたい。環境大臣にお願いをしたい。

 アジア及び中国における環境協力の点でございます。

 アジアとの環境パートナーシップの中でも、温暖化対策分野を初めとしまして、日中の二国間、日中間の協力というのは極めて重要であると考えております。

 承知のとおり、アジア各国では、急速な経済成長を背景に、廃棄物の発生量も、またCO2の発生も急増しておるわけでございます。特に中国は、この急速な経済発展の裏で、大気や水、土壌の汚染、大量の廃棄物の不適正な処理による健康被害や、ダイオキシンとか環境ホルモンとかいう問題、砂漠化とか、さらには黄砂の発生、生態系の破壊、さらには地球温暖化というような環境問題が相当深刻化している状況にあるわけでございます。

 このような中国の環境汚染というのは、アジアや地球全体への影響という観点から見ても、大変重大な問題でございますが、衆参の予算委員会では、我が党の同僚議員から、本格的な日中環境パートナーシップをきちんとつくって、環境汚染の防止や、省エネや循環型社会への転換、さらには環境教育というものを柱とする日中の環境協力や技術協力、人的交流とか人材育成に本格的に取り組むべきとの提言がなされております。総理も、今月初めの訪中の成果も踏まえまして、環境の分野は、まさに戦略的互恵関係が生かされる分野である、日中の連携の協議を進めるべきであると明確に答弁をなさいました。

 そこで質問したいのでございますが、アジアに関する環境パートナーシップとしては、クリーン開発に関するアジア太平洋パートナーシップ、APPとか、アジア環境行動パートナーシップ、またスリーRイニシアチブなどがございます。日中両国には、日中環境保護協力協定が結ばれて、日中友好環境保全センターなどの活動も進められてきたところでございます。

 今回の総理の訪中は、これらの既存のパートナーシップも活用しながら日中の環境協力の流れを本格的なものへと加速させる大きなチャンスと考えますが、大臣、具体的にどのように発展、加速させていくべきと考えておられるか、この御見解を最後にお伺いしたいと思います。

若林国務大臣 日中の間の環境協力は、二国間ではもう十数年にわたる実績がございまして、非常に緊密に情報交換をしながら、協力関係を大切にしながら進めているところでございます。

 しかし、近年、中国の経済成長は著しいものがございます。それに伴う環境への影響は大きなものがあると承知しておりまして、中国自身も、環境白書の中で、この問題を深刻に受けとめているというふうに報告をしている状況でございます。そんな状況にかんがみまして、アジア地域及び地球規模の環境保全という観点から、改めて日中二カ国間の協力の強化が重要だと考えております。

 今後は、これまでの環境協力の実績を踏まえながらも、委員御承知の日中韓三カ国の環境大臣会合がございます、それらの場を活用いたしまして、中国側の問題意識や取り組みなども十分に伺ってまいりたいと思います。

 なお、次回の日中韓の三カ国環境大臣会合は、ことし北京で開かれるということになっておりますので、こういう場を通じて、具体的に相互互恵によります協力関係の中に環境を位置づけてまいりたい、このように考えております。

江田(康)委員 ぜひとも日中環境パートナーシップをしっかり進めていただきたいと思いまして、これで質問を終わらせていただきます。本当にありがとうございました。

西野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時九分散会


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