衆議院

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第3号 平成18年12月1日(金曜日)

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平成十八年十二月一日(金曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 西野あきら君

   理事 石崎  岳君 理事 宇野  治君

   理事 桜井 郁三君 理事 鈴木 俊一君

   理事 竹下  亘君 理事 並木 正芳君

   理事 末松 義規君 理事 田島 一成君

      上野賢一郎君    北川 知克君

      小杉  隆君    木挽  司君

      近藤三津枝君    坂井  学君

      篠田 陽介君  とかしきなおみ君

      中川 泰宏君    藤野真紀子君

      馬渡 龍治君   山本ともひろ君

      加藤 公一君    近藤 昭一君

      長浜 博行君    村井 宗明君

      吉田  泉君    赤松 正雄君

    …………………………………

   環境大臣         若林 正俊君

   環境副大臣        土屋 品子君

   環境大臣政務官      北川 知克君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           和泉 洋人君

   政府参考人

   (環境省大臣官房長)   小林  光君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 寺田 達志君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   由田 秀人君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局環境保健部長)       上田 博三君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  南川 秀樹君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  冨岡  悟君

   環境委員会専門員     齊藤  正君

    ―――――――――――――

十二月一日

 理事並木正芳君同日理事辞任につき、その補欠として竹下亘君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 環境保全の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

西野委員長 これより会議を開きます。

 理事辞任の件についてお諮りいたします。

 理事並木正芳君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 ただいまの理事辞任に伴う補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に竹下亘君を指名いたします。

     ――――◇―――――

西野委員長 次に、環境保全の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、気候変動枠組み条約第十二回締約国会議、COP12及び京都議定書第二回締約国会合、COP/moP2について、政府から報告を聴取いたします。若林環境大臣。

若林国務大臣 国会のお許しをいただきまして出席をいたしました気候変動枠組み条約第十二回締約国会議、COP12及び京都議定書第二回締約国会合、COP/moP2の結果について御報告をさせていただきます。

 同会議では、閣僚級会合に出席し、日本政府を代表して、温室効果ガス排出量の六%削減約束の着実な達成に向けた決意、G8対話などのプロセスとの連携の重要性などを表明するとともに、イギリスのミリバンド大臣、ドイツのガブリエル大臣、アメリカのドブリアンスキー国務次官、中国の姜副主任などと二国間の会談を行いました。

 会議では、温暖化への適応対策に関する合意、先進国の第二約束期間に関する作業や京都議定書の見直しに関する作業についての合意が得られるなど、一定の成果が得られました。

 しかしながら、京都議定書の第一約束期間後、二〇一三年以降の枠組みに対して、各国の見解の隔たりは大きく、今後の交渉の困難性を予測させる会議ともなりました。各国の基本的立場と注目すべき点は、概略次のようなものであるとの印象を持ちました。

 一 京都議定書を批准していないアメリカは、次期枠組みをつくることについて消極的である。しかし、中間選挙後のアメリカ議会は、温暖化対策に積極的な動きを示していることに注目する必要がある。

 二 中国、インドなどの主要排出途上国は、京都議定書の先進国の次期約束を迫る一方で、次期枠組みにおいて義務を負うことを恐れて、ことごとく消極的な姿勢を示している。中国には、高いレベルでの交渉も念頭に置いて対処していく必要がある。

 三 EUは排出量取引市場の世界的拡大を重視し、カナダ、アメリカ、オーストラリアにも積極的に働きかけており、世界の大きな動きをつくりつつあることに日本も注目していく必要がある。

 私は、今次閣僚会合を通じ、温暖化対策の次期枠組み交渉に日本がリーダーシップを発揮していくためには、次のことが必要であるとの認識を強くいたしました。

 一 京都議定書の六%削減目標の確実な達成は、国内的にも、また、中国やインド、さらにはアメリカに対して、次期枠組みにおいて排出削減の約束をさせるためにも必要な条件です。このため、京都議定書目標達成計画の見直しに当たって万全を期したいと思います。

 二 また、温暖化がもたらす影響は甚大であり、今や気候安全保障の問題として対処する必要があります。このため、

  イ 世界が取り組むべき温暖化対策の究極目的とその達成の道筋を示すことを通じて、日本や主要排出国による温室効果ガス排出量の削減の必要性を明確にすること

  ロ ODA政策に適応対策を明確に組み込むこと

  などが必要であります。

 三 G8グレンイーグルズ・プロセスの報告を受け取る二〇〇八年の日本でのG8は、温暖化対策の新たな地平を切り開く可能性があるものとして、世界的に注目されていると強く感じました。その成功は、日本にとって世界に誇るべき貢献となり得るものと考えます。ぜひとも成功に導けるよう、今から準備を開始していきたいと考えています。

 私としては、気候変動枠組み条約及び京都議定書の締約国会議に出席し、改めて温暖化問題の重要性を認識するとともに、今後、国内対策のみならず、次期枠組みに向けた作業も加速化していかなければならない、そのためには政治的リーダーシップが欠かせないという強い印象を持った次第です。

 引き続き、西野委員長を初め委員各位の御支援、御協力をよろしくお願い申し上げます。

西野委員長 これにて報告の聴取は終了いたしました。

    ―――――――――――――

西野委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房審議官和泉洋人君、環境省大臣官房長小林光君、環境省大臣官房審議官寺田達志君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長由田秀人君、環境省総合環境政策局環境保健部長上田博三君、環境省地球環境局長南川秀樹君及び環境省自然環境局長冨岡悟君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

西野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。末松義規君。

末松委員 民主党の末松義規でございます。

 気候変動枠組み条約に関する締約国会議、大臣におかれましては御苦労さまでございました。

 きょうは、この質疑に入る前に、私の方で、残念ながら一言報告がございます。

 これは、十月二十七日に開催されました環境委員会におきまして、環境委員会直後でございましたけれども、私が若林大臣の方にねぎらいの言葉をかけたところ、大臣より問題発言というものがございました。これは大臣の適格性を問うということまで私及び民主党の方で考えましたので、報告をさせていただきます。

 三点、大臣から指摘がなされました。一つは、通告のない質問をされては困るという御指摘。二番目に、私が行った大臣への質問が細か過ぎる、今回は質問を受けたが次回は考えさせてもらう、そういう御指摘。三番目に、私が前日、質問取りと通常言われていることが、私のスケジュールの関係で二十一時になってしまったんですが、この質問取りが、環境省全体が待機せざるを得ず、多大な迷惑をこうむった、こういう御指摘がございました。

 私、この三点について、私自身のコメントをさせていただきますが、一点ですが、通告のない質問をされては困るということでございましたけれども、あのとき一点だけ通告のない質問をさせていただきました。それは、大臣が強調されてこられた地球温暖化に対して、その対策で環境省の持っている予算というものが非常に少ないので、そういった少ない予算の中で環境省がこの地球温暖化の防止のためにやっていかなきゃいけない。そういうことを私の方も憂慮いたしまして、応援演説として、地球環境問題においては与党も野党もない、大臣頑張れという質問をしたわけですけれども、その中で、環境省が持っている地球温暖化防止のための予算というのは幾らか御存じですかということを質問させていただきました。

 これに対して、私の方は、大臣が答えられなくても、そのときに質問で明らかにしましたけれども、大臣は答えられませんでしたが、それに対して、別にこれは大臣に恥をかかすための質問ではないんだということを断りました。

 そういうことがあったんですが、ただ、これを論理的に突き詰めていけば、さらに質問をする場合とか、そういったことで質問権の制約になります。そこは、こういったことを言われるのはこれから非常に困る。審議の運営上、非常にこれはゆゆしき問題だと認識しております。

 二点目の、大臣への質問としては細か過ぎるというお話でございますが、私も、民主党の中で次の内閣の環境大臣というお役を今いただいておりますので、そこで大臣と大臣の、そういった政治家の大局的立場に立った質問をしたつもりでございますし、私がやった議事録を見せて何人かの専門家にも聞きましたけれども、細か過ぎるというものは全くないということでございます。

 ただ、私が申し上げたいのは、これを大臣から、この質問は細かい、あるいはこの問題は細かくないと言われると、これは大臣の見方であって、それは、質問者に対して不当な質問権の制約につながるということでございます。

 三番目に、質問取りが二十一時ということでございますけれども、この点について、環境省が多大な迷惑をこうむったということでございますが、私も外務省出身でございますが、二十一時というのは私の体験では必ずしも常識の外れたものではない。それは、夜中の十二時とか一時とかいう話になれば別ですけれども、そういったことを言われると、私たち質問者にとっても、ぎりぎりまでいろいろな質問を考えて、そして審議の充実を図ろうとしている、それを制約することにもなりかねないということでございますので、この際厳しく、大臣がどういうふうにこういったことに対してお考えになっておられるのか、ここを明らかにしていただきたいと思います。

 私は、そういう御指摘を受けたときには、いずれ何かこれはおわびが来るのかなと思ったら、数日たっても全然来なかったので、これを問題とさせていただいた次第でございます。

 では大臣、まず大臣のコメントをいただきたいと思います。

若林国務大臣 御指摘のありました、十月二十七日の当委員会終了後の私の末松委員への発言についてのことでございます。

 私の発言は、末松委員の質問権を制約するものと受けとめられかねないものでありました。その意図はありませんでしたが、みずからの発言は不適切で、私の不明のいたすところであり、心から申しわけなく思っております。

 通告外の質問は、質疑のやりとりの中で通告外の質問に及ぶのは当然あり得るものと私も考えておりますし、質問が細かいかどうかという判断は、最終的には質問者が判断される事柄でございまして、私の方からこれについてとかく申し上げるべき性質のものではない、このように考えております。

 また、レクの時間については、常識に照らして質問者が判断される事柄であり、これは、御質問をいただく立場とすれば、質問者の判断のもとで行われることであり、それに特段の異論あるいは批判をすべき性質のものではない、こういうふうに考えております。

 今後は、そのようなことがないようにみずからを律し、厳に注意をし、充実した質疑が常になされますように、審議の基本的なルールを尊重して、円滑な委員会運営に協力してまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いを申し上げます。

末松委員 大臣から、陳謝という形で今率直にコメントをいただきました。私の方は、大臣がそういうふうに思っていらっしゃるということをしっかりと受けとめさせていただきたいと思います。

 環境委員長におかれても、今のやりとりについて受けました印象を一言だけ、委員会の運営についての関係でございますので、おっしゃっていただければと思います。

西野委員長 先日の大臣と末松委員とのやりとりにつきましては、委員会が終了後の発言ではあろうかと思いますが、その内容が本委員会の運営にかかわります問題であるという御主張から、当委員会の理事懇談会等を開催させていただいて、その対応方について御協議を申し上げたところでございます。

 結果、本日の委員会でただいま若林大臣からの御発言もありまして、今後、委員長といたしましても、大臣、政府はもちろんのこと、委員長を初め各委員の先生方の御協力をいただきながら、本委員会の円滑な運営に資したいというふうに思いますので、どうぞ御協力のほどよろしくお願いいたします。

末松委員 委員長からもコメントをいただきまして、ありがとうございました。

 それでは、今回、京都議定書に関する見直しの会合についての質問をさせていただきます。

 大臣が御出張されたCOP12そしてCOP/moP2につきまして、今大臣から報告がございましたように、この問題、世界で一番大きな問題であろうと私も考えております。

 そこで、一番のポイントは、やはりアメリカそれから中国、この二カ国だけでCO2の約四割を占めている、これを引き入れなきゃいけないということだろうし、そういった意味で、会議が行われてもなかなかそこについての進展がないという御報告をいただきました。

 いずれこの二カ国、報告書にも書いてございますけれども、アメリカ議会が中間選挙後に変わってきたということで、これはある程度希望が持てるような兆しが出てきたのかなという気はいたします。いずれにしても、アメリカ、中国そしてインド、こういったものを含めた形での枠組みをつくらなきゃいけない、それはこれから環境外交としてがんがんやっていくしかない話でございます。

 ただ、そのときに、彼らの説得に当たっては、日本も真剣にやっているんだということを示す必要があります。その意味で、では、日本自身はどうなのかというと、六%マイナスということと同時に、その当時に比べて八%以上またCO2のレベルが上がっている、計一四%。これをどういうふうに進めていくか、本当に頭の痛い問題でもあり、ただ、日本が環境先進国として世界に模範を示すということが、私は日本人はできると思いますし、また日本に求められている一番大きなポイントだと思っております。

 そういった意味で、二〇〇六年はもうほとんど終わりましたけれども、二〇〇七年のスケジュール、それをどういった形で本当にやっていくのか、もう二〇〇八年からでございますから。そこを大臣にまず問いたいと思います。

若林国務大臣 委員が、この地球温暖化対策としての京都議定書、ポスト京都議定書の問題について非常に心配をしていただいておる、そしてまた、日本も今までの削減目標に対します取り組みの状況、余り効果が上がっていないということに憂慮を示しておられることについては、そのような強い関心を持っていただき、いろいろ御指導いただいておりますことに、私としては敬意を表し、今後ともいろいろな御指導をいただきたい、このような考え方でいるわけでございます。

 先ほど会議の報告をいたしましたが、さらにつけ加えて申し上げますと、これがアフリカのケニアで行われたということがある種の象徴的な事柄であったように思います。先進国及び途上国がこの地球の危機に対して共通の目標を定め、ともに危機意識を共有するということがいろいろな議論の出発点であろうかと思うんですが、やはり会議としては先進国と途上国の問題、いわば南北問題といったようなことに、会議の雰囲気としては非常に集中していたように思います。それは途上国の立場からすると理解はできるわけですけれども、枠組み条約を世界全体の共通の課題として取り上げていくということのためには、やはり共通の認識、危機の共有が必要だというふうに私自身は強く感じたわけでございます。

 特に、アメリカは、この中でも報告しておりますし、委員大変お詳しいことだと思いますが、中間選挙の後、この地球温暖化対策に非常に積極的な立場をとってこられました議員が有力な委員会の責任者になられるなど、動きが出ておりますし、また、カリフォルニアを初めとした地域の州のレベルで、枠組み条約をやはり進めていかなきゃいけないという視点で、州独自の規制のキャップ・アンド・トレードを前提にした検討が非常に積極的に進められているというようなことがございますので、これについて、さらに情報を共有しながらアメリカへの働きかけを強めていかなければならないというふうに感じた次第でございます。

 問題は途上国でございまして、途上国を代表するような立場で中国が、このような地球の汚染、地球の危機を招いているのは先進国のせいではないかということを前提にしながら、これは当然アメリカも含めてでありますけれども、先進国の責任で思い切った削減をするのが先であって、ポスト京都議定書に途上国まで巻き込んで削減のオブリゲーションを負うというような、そういう仕組みについては容認できないというかなり強い姿勢を示しておりました。

 ただ、途上国としても、そういう中国とかインドとかあるいは南アとか、かなり発展しておりますところと、LDCのようなところとは事情が違うわけで、会議が非常に膠着をしていく中で、やはり中国がやや途上国の中でも孤立してきているんじゃないかなという印象を私は受けました。

 これについては、外務省の西村大使が大変活躍をしていただきまして、外務省挙げてこの問題に具体的に説得に努めるなど努力をいただきまして、先ほども報告の中で申し上げましたが、二〇〇八年までの間の一つのプロセスというものには合意をいただいたところでございます。前途なかなか容易ではありませんけれども、中国を中心に途上国の皆さん方の説得に努めていくということであろうかと思います。

 私自身は、実はお許しをいただいて明日と明後日、北京に出かけますが、例年行っておりました日中韓の環境大臣会合の中でも、この問題を一つの課題として、中国との話し合い、説得を努めてまいりたい、このように考えております。

 それにしても、日本が六%をしっかり守らなければ日本のイニシアチブというものが出てこないわけで、国際的にも信用されないわけですね。その意味では容易ならざる課題を背負っているわけですが、私はスピーチの中においても、日本はこの六%の約束は必ず守る、信用してもらいたいということを申し上げてまいりました。それだけに、全力を挙げてこの六%の約束を守るべく具体的な対策を講じなければなりませんが、来年度の目達計画の見直しに先立って、もう既に前倒しで検討を始めることにいたしました。環境省の中央審議会とあわせまして経済産業省の産構審でも議論が行われますが、並行して行うと同時に、先般は合同会議を開きまして、合同の協議の中で具体的なレビューをして、六%の達成が確実になるように見直しを進めたい、このように考えているところでございます。

末松委員 その中身を実は問うたわけでございますけれども、きょうはちょっと時間がないので、そこはまたおいおいにお聞きをしていきたいと思います。

 大臣も御出席をされましたね。スターン・レポートですか、スターン卿のレポート。これは、国連大学でこの前スピーチをされておられました。そこに私も行って、環境とそれから経済というのは両立するんだ、むしろ、逆に対策を講じなければより大きなGNPの被害をこうむるんだということをレポートで出していただいた意義は大きいと思います。

 その中で、先ほど大臣が、先進国と途上国の共通の認識が必要だ、途上国を説得するには、一つは、地球全体の危機感というものを本当に共有して、しみ渡るような形で共有していくというのが、大臣もおっしゃられたように一点。

 二点目は、途上国に対して、やはりある程度のメリットがないとだめだなと思います。そこで私の次の質問に行くわけですが、クリーン・ディベロップメント・メカニズム、CDM、排出権の取引ですか、途上国にとってもそこが一つのメリットにもなってくるわけですが、これをどんどん進めていくということは全体にとっていいんだろうな、そこは極めて重要なことだと思います。日本国内においてもこの排出権の取引というものを、EUが行って成功しておりますけれども、それを我が国も一生懸命に進めていく必要があるのかなという気がいたします。

 排出権の取引というと、例えば、具体的なイメージでいけば、ある企業、Aという企業が、まず最初にキャップを定めるといいますか、これだけこの業界は排出しなきゃいけませんとか、こういうことを定める中で、いろいろこういった割り当てがきちんと、削減量が明らかにされる必要がまずあります。そして、CO2の排出という物差し、この物差しを、排出量というものをクレジットとして、しっかりとそこはやっていくということだろうと思います。三番目に、その排出量を達成したところが、さらにCO2の削減をやったら、それをクレジットとして売り買いできる、そういうことが極めて重要になってくる。

 なぜこれをやるかというと、CO2排出はまずい、こういうマインドをいろいろな企業が全部頭に焼きつける。そして、国民もそういうことを常に意識して、優良な企業というのはCO2の排出が少ない企業なんだ、地球環境に貢献する企業なんだということをブランドとして持っていくような形の施策をやっていく必要が私はあるのかなと。

 今聞きますと、自主的な形で百社ぐらいがこの排出権取引制度というものをやっているということなんですが、私は、先ほど申し上げた六%マイナス、それに今増加している八%の一四%を削減するためには、環境税の導入は必須であると同時に、こういった排出量の取引制度を日本も市場化していって、そして、そういった中で、よりそれを守っている企業あるいはより排出を少なくしている企業がメリットを受けるような仕組み、これに一生懸命に取り組んで、さらに、強制的なそういった取引制度というんですか、それを導入すべきではないかと思うんですが、大臣、いかがお考えでしょうか。

若林国務大臣 京都議定書あるいはポスト京都議定書を念頭に置いた炭素削減の進め方でございます。かなり基本的な問題を提起いただいたと理解しております。

 私は、ケニアでスターンさんともお話をいたしました。その後、来日されまして、ともに国連大学でパネルディスカッションがございました。御承知のとおりでございます。その後、スターンさんが私のところを訪ねてきてくださいまして、かなり突っ込んだ意見交換をいたしました。その後、スターンさんはすぐ北京の方に飛んだわけでございます。私もおっつけ北京に参りますということで、お互いに危機感を共有しながら、どのような形で進めていったらいいかというお話し合いをいたしました。

 スターンさんは、このキャップ・アンド・トレードの排出権取引というのは、おっしゃるように、途上国も含めまして、それぞれの国のメリットを生かしながら、全体の市場メカニズムの中でこれを進めていく方法としてはいい方法だと思うということでその説明をなされながらも、しかし、一つの方法でこれが達成できると思わない、多様性が必要だ、いろいろな形で取り組んでいくその一つだと考えていただいて、そのやり方も、義務的なキャップをかぶせて取引をするということも一つの方法だし、義務的なキャップをかぶせることなく、日本が今自主的に国内取引から経験を積もうということで始めておりますけれども、そういう日本のような行き方も一つの方法だと。これは、今まで全く価格がないところに価格をつくっていくということになりますから、経験をそれなりに積んでいかないと信頼度が出てこないわけですね。その意味で、それぞれの国の実情に応じて多様な取り組みをしていただくことがいいという意味で、スターンさんも我が国の今進めている進め方については理解を示しておられました。

 もう時間も限りがありますから、いろいろ御説明を省略せざるを得ないわけですけれども、私は、今日本が手をつけております、約束をしながら自主的な排出量の取引を進めていくという方法は、それなりに関係者の理解を深めていくために有効でありますし、その知見、経験というものは有効に働いてくると思っております。いつまでもこれでいいかどうかというのは、その実績を見た上でさらに次のステップに進んでいく、関係者の理解と合意のもとに進めたい、こんなふうに考えております。

末松委員 大臣のおっしゃることは、確かにうなずける点も多いんですね。確かに、新しいことなので、市場が成立するような、きちんとそのメカニズムをつくっていく。これは日本が一番不得意とするところなんですね。メカニズムづくりというのは、やはりそこはアングロサクソンが一番すぐれているなと私も思うんですけれども、ただ、EUでそういう形がもう成立しているわけですから、モデルはもうあるわけですよ。それを参考にしながらやっていくという話だろうと思います。

 私は、なぜそんなことをやるかというと、要は、地球温暖化防止マインドに国民一人一人あるいは企業一社一社がなっていただく、そのために問題意識を持つ、これがしみ渡れば、それはこれが一番の出発点だと思うんですね。だから、そこは、経済界からもさまざまに抵抗があると思いますよ。でも、そこを、環境省がやはり地球温暖化防止のための鬼となるというか、やはり環境省が悪役あるいは鬼とならないと、どこもやるところがないんですよ。そこは、憎まれても人類あるいは日本のためにもやるという覚悟でぜひやっていただきたい。大臣も、そのために、自分は鬼だというぐらいの覚悟でやらないと、これはなかなか進まない。

 そういった意味で、だから、五年間で全部、一四%なんてとんでもない話ですよ。環境省の幹部に聞いてもやはり下を向きますよ、あなた、本当に実現できるんですかと言ったら。やはり、そのくらいのひたむきさと、それから真剣さがないと、そしてあとパワーがないと、こういうことは私はできないんじゃないかと率直に思うんですね。

 ただ、それで、言葉だけ言ってもなかなか信用できませんので、これから行動で一歩一歩クリアをしていく、そこをぜひお願いを申し上げまして、私のきょうの質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

西野委員長 次に、田島一成君。

田島(一)委員 民主党の田島一成でございます。

 質問の機会をちょうだいいたしました。三十分間ではございますが、よろしくお願いいたします。

 まずは、大臣、COP/moP2、大変お疲れさまでございました。先ほどの御報告をいただいた中身にも、大臣が今の地球温暖化問題の重要性を相当強く認識をいただき御帰国いただいた報告を拝見し、大変心強く、頼もしく思った次第であります。

 その報告の中にもありました、きょうは、まず冒頭、中国の環境問題についての御認識等々から質問を始めさせていただきたいと思います。

 先ほどお答えもあったとおり、中国は、この地球温暖化問題については大変深刻な状況にあることは言うまでもありません。釈迦に説法と思いながらも、皆様に改めてこの数字を御理解いただきたく、きょうは、配付資料の二枚目に、世界の二酸化炭素の排出量を、とりわけカラーコピーでお配りをさせていただきました。世界第二位のCO2排出大国、中国、それこそアメリカに次いで一四・五%という、これは二〇〇二年の数字ですけれども、各国の排出割合をごらんいただいても、非常に大きなウエートを占めていることは言うまでもありません。現実、このCOP/moP2でのさまざまな意見、議論もあったとは存じますが、中国が二酸化炭素排出大国としての責任を自覚する中で、隣国である日本の、とりわけ環境大臣が果たすべき役割、また政治的なリーダーシップが相当求められていると私どもも認識しているところであります。

 そんな中で、先ほども少し触れられましたが、あすから北京で日中韓の環境大臣会合、TEMM8に出席をされるというふうに承っております。

 もう三巡目に入るこの会合でありますから、これまでに、さまざまな具体的なプロジェクトであるとか、いろいろなシンポジウム等々の取り組みの約束もされてきて、その進捗状況も気になるところでありますけれども、今回、とりわけ、COP/moP2からお帰りになられて、この中国、インドの、いわゆる発展途上国のCO2排出削減という大きな課題を目の当たりにし、また、耳にされてきた大臣として、今回のこのTEMM8に出席される意義は、ある意味で非常に大きいものがあるのではないかというふうに考えております。

 そこで、冒頭、どんな思いでこのTEMM8に臨もうとお考えなのか、このあたりの決意も含めてお聞かせいただきたいと思います。

若林国務大臣 委員が資料をもってお示しいただいておりますように、中国は、この排出量の割合でいいますと、アメリカに次いで世界第二位でございます。

 中国は、大変なスピードで経済成長、経済発展をいたしておるのは御承知のとおりでございまして、第十一次の経済計画の策定を中国はいたしました。その十一次の経済計画、経済成長をしていきますと、当然、それに伴ってエネルギーの消費が拡大していくわけであります。そのことは環境問題に大きな影響を与えていく、それは中国も深刻にこれを受けとめておりまして、そういう環境に及ぼすいろいろな影響について、中国独自で環境白書を作成するなど、真剣に中国も取り組んでいると承知いたしております。

 そういう中国の環境問題への取り組みについて、中国側から直接、まず、その状況をお聞きして意見交換をしたい、こう思っておりますが、それにしても目覚ましい成長率なものですから、全体として抑制にまではなかなか及ばない。中国側も、抑制としては二〇%減、減というのは成長の中で、環境負荷の部分については、自然体に比べて二〇%減は確保したいというようなことを非公式に言っておりました。しかし、成長が大きいものですから、二〇%減にしても、全体としてはかなりの排出量になる。特に石炭の使用が大きいですから、そういう意味で、中国側がこれを乗り越えていくには、相当の技術革新をして、省力技術あるいは環境の新しい技術を導入していかなければいけません。中国側も、そういう技術の供与について、日本の進んだ環境技術をぜひ取り入れていきたいという意向も示しておりますので、それらについても、お互いにどのような協力ができるか話し合っていきたい、このように思います。

 ただ、経済計画部門と環境を担当している行政部門とが実は分かれておりまして、ケニアでお会いしたのは、経済計画を担当している部局の責任者とお会いをしております。それと別に、空気でありますとか水でありますとか土壌でありますとか、それらの排出されたものの汚染を規制する、あるいは、排出自身を規制していくという立場は環境部門の行政の責任者であります。今度お会いするのは、その環境部門の行政の責任者とお会いをしてくるわけでございますから、それらは、今申し上げましたようなケニアでの状況も私から改めてお話ししながら、お互いに、経済計画と連携をして両立するような進め方を模索していきたい、こんなことを話し合っていきたいと思っております。

田島(一)委員 ありがとうございます。

 日本と同じように、行政の縦割りが、ややもすれば大切な目的遂行に大きな障壁になりかねない。そのことは大臣も、今の御答弁から御認識いただいているというふうに理解をいたしました。

 一方、このTEMM8、漏れ聞こえるところによりますと、いわゆる黄砂の問題等々が主要のテーマになるのではないかというふうに承っているわけであります。当然、砂漠緑化であるとか大地のいわゆる砂漠化という問題からすると、言ってみれば、中国だけではなく、その先の奥地のモンゴルであるとか、アジア全体で本当は考えていかなきゃいけない課題でありますが、せっかく三巡目にまで入ってきたというこの会合を形骸化しないためにも、実効性を何かやはりつかんでいただきたい、そんな思いであります。

 一方、中国や韓国がどのような思いでTEMM8に臨んでくるのか、このあたりが非常に関心のあるところでありますけれども、情報としてつかんでいらっしゃるレベルで、この韓国、中国の姿勢というものを御存じの範囲で教えていただけますでしょうか。

若林国務大臣 土日と二日間しかございませんで、実質的な協議、三者の協議とあわせてバイの話し合いもするんですけれども、非常に時間が限られております。お互いにどういうことが主要な課題であるかということを事務レベルでも話をしているんですけれども、範囲が非常に広くて、果たして、それぞれについてどこまで突っ込んで話ができるかということを危惧いたしておりますが、黄砂の問題は韓国が大変熱心でございまして、これでぜひともそれなりの成果を得たいということのようでございます。

 私の方は、今一般論として申し上げました、環境対策としての環境技術の交流の問題というものを一つお互いの課題として、これは中国側も望んでおりますから、そういうことも話をしたいと思うと同時に、あと、日本海方面に流れ出てきております漂流物、そういうような海洋漂流物の互いの規制、適正化といったような問題も一つの課題として挙げたい、こんなふうに思っております。

 いろいろな事項別に見れば、十項目ぐらいに及ぶような範囲の課題が出されております。

田島(一)委員 温暖化問題という緊急性の高い課題は、この三国間でしっかりと前向きな議論が進むことをぜひ念願するところでもありますし、いい成果を上げてこられることを心から期待をしたいと思っております。

 さて、この中国、先ほどもお話があったとおり、異常とも言える経済成長のしわ寄せがかなり日本にも及んでいることは御承知のとおりであります。

 先日、十一月の一日でしたか、原油それから石油コークスなど百十品目において輸出関税をかけるというニュースが伝わってきたところであります。これのあおりも受けまして、実は我々の暮らしの中にも大きく影響を及ぼしてきているものが幾つかあります。例えば、割りばしの価格が約一・五倍になっているというニュースであります。割りばし自体は、いわゆる森林伐採であるとか環境破壊の代名詞のように扱われてきたわけでありますし、中国自体が、経済発展に伴って、いわゆる資材、エネルギー、資源を囲い込みしているというようなニュースも上がっています。

 こういう現実を環境問題とリンクさせるのは、ちょっといささか乱暴で、また複雑かもしれませんけれども、少なくとも、この割りばしが割高になってきたということを含めると、今こそ、洗って何度も使えるはしに切りかえていこうというような、そんな資源リサイクルへのいいチャンスではないかというふうに私はとらえているわけであります。

 これから、こうした中国の輸出関税の問題等も絡めて、今、資源リサイクルへの波及というものをどのようにとらえていこうと環境省の方は考えているのか。これは、あくまで経済の世界で、貿易の世界だというふうに割り切っていらっしゃるのかどうかも含めて、お答えをいただきたいと思います。

土屋副大臣 委員が今おっしゃったように、十一月一日より関税がかけられたわけでございますけれども、これは国内資源、エネルギーを保護することを目的として決定したということを聞いております。我が国が使っている割りばしの九八%が中国からということでございますので、中国の森林資源から供給されていることは深く受けとめなきゃいけないのかなとも思っております。

 それで、中国政府は、長江の大洪水がありました、あの大洪水の後に、やはり森林を保護していかなければいけないということを非常に懸念しておりまして、森林造成、保護を進めていると聞いています。日本としましても、日中緑化交流基金というものがございまして、これは小渕基金と呼ばれていますけれども、これで中国に緑化を支援しております。それから、地球環境基金を用いて我が国のNGOを中国に派遣して緑化運動も推進しております。

 私自身、料理研究家でもございましたので、はしの文化ということを考えますと、日本のおそばとかうどんとかというのは、つるつるしたはしはなかなか食べにくい。そして、木のはしで食べると大変おいしいかなというものもありますけれども、ただ、環境面で考えますと、今後、国民的に循環型社会を形成するには、マイはしというのも考えていく時代が来るのかなと個人的には考えております。

田島(一)委員 土屋副大臣がマイはしブームを個人的にとおっしゃっていただいたんですけれども、私は、やはりこれは環境省ででも大々的に取り組んでもいいんじゃないかと思うんですね。さきの小池大臣は、それこそアイデアマンだったというふうに結論づけるにはちょっと短絡的ですけれども、ふろしき文化を広げようとマイふろしきを奨励されたりと、随分派手に宣伝もいただいてきたところであります。小池さんがふろしきだから、では大臣、今度ははしでもやるかというのはちょっと短絡的かもしれませんけれども、何かやはりこういうチャンスをとらえて、きっかけとしてマイはしブームをやられてはいかがかなと思うんですね。

 先ほど、おそばやうどんもおはしの方がいいなんて料理研究家の副大臣からお話をいただきましたけれども、最近では、溝がしっかり切ってある、何度も使える洗いばしも出ておりますし、ある意味では、おいしいからといって、環境とどのように分け合って考えていくかというのは、これは、おいしいからだけで使い捨て文化を大事にしていくことがいいかどうかは、やはり料理研究家の皆さんが先頭を切って本当はやっていただかないとだめかなという気もしております。どうですか、そのあたり、大臣のお考えをお聞かせください。

若林国務大臣 ふろしき運動に対抗してマイはし運動を展開するかどうかということにつきましては、突然のお話でございますし、その効果をいろいろ考えながら検討させてもらいたいと思いますけれども、使い捨て文化の見直しということは非常に大事なことだと思います。

 実は、ケニアに行きました機会に、例のノーベル平和賞を受賞されましたマータイさんにお会いしました。マータイさんはケニアの環境副大臣でもあるんですね。マータイさんといろいろなお話をいたしましたが、皆さんも御承知のとおり、マータイさんの方からむしろ、もったいないという日本の言葉はすばらしい言葉だけれども、これは、ただ物を大切にしようというだけじゃなくて、その物をつくった人、その物自身の提供されている状況、背景にまで思いをいたして、やはり感謝の気持ちが必要なんだというふうに理解をしておりますというお話がありまして、やはりもったいないという考え方を、ぜひとも心の問題まで含めまして、いわば委員がおっしゃられました文化の問題として、もう一度しっかり見直していかなきゃいけないんじゃないかという思いを強くさせていただいたところでございます。

 そのために、スリーR運動などでも、マータイさんのことがきっかけになりまして、もったいない研究所とかいろいろな動きがございまして、リユース、リサイクルといったような、いろいろな商品にまで及んでおりまして、ふろしきはその一つでございます。また、はしも、私、そこの展示を見てきましたけれども、いろいろな工夫を凝らしたはしも出ております。

 だから、いろいろな形で、生活の身近なところから、使い捨て文化に対する見直しという国民運動が必要になってきているのではないかというふうな思いをいたしておりまして、委員の御指導もいただきながら、そのような広い運動の中でとらえていきたい、こんなふうに思っております。

田島(一)委員 最近、本当におしゃれなマイはしがデパートなんかにも売っています。胸ポケットに簡単におさまるものも、また結構高価なおはしも出ておりまして、売れているそうであります。大臣の胸ポケットにいつもマイはしが差さっているなんてことが、私は、環境行政のトップとしては当然と言ってはちょっと大げさかもしれませんが、やはり理想かな、そんなふうにも思っております。

 次の質問に入らせていただきます。

 資料の一枚目につけさせていただきました、ひろしまドッグぱーくにおける動物愛護、管理の問題についてお尋ねしたいと思います。

 ごらんください。余りにも悲惨な状況に目を奪われる方が多いのではないかと思いますが、平成十五年の四月に開園したこのひろしまドッグぱーく、広島市の佐伯区にあった民間のテーマパークでありますが、経営難から平成十七年の六月に閉園をいたしました。四百八十頭の犬が実際に九月の二十六日に発見されて、十月六日には、栄養失調から衰弱死した疑いのある三十四頭の犬の死骸が敷地内に埋められているのが発見されました。健康な犬の半分以下の体重にまでやせ細った犬、そして栄養失調等により皮膚病など疾病にかかった犬など、見るも無惨な状態の犬の写真をこのようにコピーをさせてお配りしております。

 このように、犬舎の中に、小型犬舎のバリケンも既に破れているような状況で、逃げ出したいのに逃げ出せない様子もおわかりいただけるかと思いますが、大臣、この惨状をごらんいただいて、これは動物虐待と思われるかどうか、お聞かせをください。

若林国務大臣 本当にむごい写真だと思います。

 犬の例でお話をいただきましたが、私はとりわけ犬が好きでして、このワイシャツのこれも犬のマークでございまして、ネクタイも、できるだけ犬のネクタイを締めております。犬のみならず、動物が好きでございます。

 やはり動物と人間との共生の社会というのが大事だと思います。そのことが、やはり心の豊かさを養っていくわけでございますし、命を大切にするということの基本につながっているわけですから、動物愛護という活動、運動というのは強めていかなきゃいけないし、現に非常に強くなってきているように感じております。

 この広島のドッグぱーく自身がどうであったのかということについては、いろいろと報告を受けておりますが、極端なケースですけれども、しかし、このようなことが実際に行われているということにショックを受けます。こういうような事態に至らないようにするにはどういう対策を講じていったらいいか、真剣に取り組まなきゃいけないと思っております。

田島(一)委員 端的にお答えいただきたいんです。この状況、写真だけでは判断できないかもしれませんけれども、これは動物虐待に当たるとお思いになられますかどうか。それだけ、ちょっと大臣、もう一度お答えください。

冨岡政府参考人 私の方から事務的にお答え申し上げたいと思います。

 法律の虐待に当たるかどうかにつきましては、平成元年に基本的な考え方の通知をお示ししております。これによりますと、動物にえさや水を与えないようなケースについて、動物の態様、えさや水を与えなかった理由等の点について、また、治療行為等を施さないというような不作為のケースについて、一般に疾病にかかった動物について飼い主に治療義務があるとの社会通念が成立しているかどうか、治療等を施さない正当な理由があるかどうか等の点について、十分検討を加えた上で、虐待に当たるか否かを判断すべきものと思料するというのが基本的な考えでございまして、この考えに基づきまして、この動物愛護の事務を実施しております広島市におきまして、個別案件につきましては個別に判断される性格のものである、そのように……(田島(一)委員「だから、虐待と思うかどうかと聞いているんですよ」と呼ぶ)個別案件につきましては、ただいま申し上げた考え方でございます。

若林国務大臣 今局長がお話しいたしましたけれども、動物虐待の判定基準ということでございます。これはもう非常に抽象的にならざるを得ないんですね、判定基準自身は。

 御承知のように、動物の愛護及び管理に関する法律というのがございます。その四十四条に、愛護動物をみだりに殺し、または傷つけた者は、一年以下の懲役または百万円以下の罰金に処する、また、愛護動物に対して、みだりに給餌をしない、あるいは給水をやめるということによって衰弱させるなどの虐待を行った者は、五十万円以下の罰金に処する、こういう刑罰の対象になるわけでございます。

 そこで、今のこのケースはどうだということになりますと、先ほど私は、非常にむごい仕打ちだなということで、ショックを受け、怒りを感じていますが、しかし、この案件が虐待なのかどうかとなると、これは刑罰に係っていく話でございますので、その点は、直接この事案を取り扱って、これを告発、告訴するかどうかといったような立場にあるところで御判断いただきたいと思いますが、大変、極端にむごい事案だという認識はいたしております。

田島(一)委員 確かに、そういう事犯でありますから、言いにくいことも察していきたいと思います。

 もう一度、参考人の方で結構ですから、このひろしまドッグぱーくの事業所の届け出業者はだれか、おわかりになっていらっしゃいますね。明らかにしていただけますか。ドッグプロダクションという事業所に加えて、共同経営の届け出者はだれか、明らかにしていただけますか。

冨岡政府参考人 私どもが広島市から聞いておりますところでは、平成十五年に、犬との触れ合い施設として開園したひろしまドッグぱーくに、開園者は山陽工営で、犬を提供するために、ドッグプロダクションが広島県知事に動物取扱業の届け出をしているというふうに聞いております。

田島(一)委員 ありがとうございます。

 この山陽工営の社長が、実は、平成十八年度の地域環境保全功労者として、環境省から表彰を受けているんですね。中身が違う、当然、お立場は社団法人の広島県産業廃棄物協会の顧問でありますけれども、非常に、この環境保全功労者という賞の名前にふさわしくない行為をなさっていらっしゃるというふうに、私、それを聞いて本当に驚いたんですけれども、この事実は環境省としては把握されてますか。

冨岡政府参考人 ことし表彰されているという事実がございます。

田島(一)委員 このような事実が発覚していても、表彰の対象の中身が違うからといって、本当にこのまま表彰をしていいものかどうか、一般的にはなかなか理解しがたいことだと私は思うんですが、大臣、個人的な感想で結構です、お聞かせいただけませんか。

若林国務大臣 表彰の制度の趣旨とか表彰対象として取り上げられております事案の中身なども、よく検討、調査して判断しなきゃならないと思いますので、一概に、その人がこういう動物虐待にかかわっているからという理由で、他の部分も一切、その責任を負わなきゃいけないというふうに一義的には言えないように思いますが、検討したいと思います。

西野委員長 田島君、質疑時間が過ぎておりますので、手短にお願いします。

田島(一)委員 ことしの六月の表彰は、地域環境保全功労者表彰で、地域環境保全の推進のため、多年にわたり、顕著な功績のあった者、団体に対して贈られています。もう一度、これはやはり見直すべきだと私は考えます。

 折しも、私どもの同僚議員であります松本大輔議員が、実は、質問主意書、ひろしまドッグぱーくの動物愛護管理法上の取扱い等に関する質問主意書というのを提出しています。事細かに現地も見に行った同議員が出している質問でありますが、ぜひ速やかにこの質問の答弁をお書きいただきたいと思います。

 質問の時間が参りました。もう一問残っておりましたけれども、また、次回に回させていただきたいと思いますので、これで終わります。

 ありがとうございました。

西野委員長 次に、村井宗明君。

村井委員 民主党の村井宗明です。

 きょうは本当に、こういう質問の時間をいただいたことを感謝します。

 私、本当にきょう感謝しているのは何かといえば、北陸の人、そして東北の人がクマの問題で本気で困っています。ことしは、何と百四十人に上る死傷者を出しました。ところが、政府は今、本当に手つかずで無策のままなんです。

 去年は、当然無策でよかったと思うんです。ほとんど被害がないんです。二年前に初めて百人に上る死傷者を出したときも、その年だけ、台風がたまたまあったから、たまたま異常気象で異常出没したんだで済まされました。数年前までは余り出なかったんです。だから、今まで予算がつけられていないのは当然だと思うんですが、このクマの異常出没、そして北陸の人たち、我々富山県民も含めて、毎日のように死傷者を出していく今のこの事態を大臣はどうお考えなのか。

 そして、まず、自然環境局長に私はお聞きします。二年前とことし、異常出没しました。今後もこういう異常出没の年があると考えられますか。それとも、この二年間、たまたまこうなったと考えられますか。今後の予想についてお聞きします。

冨岡政府参考人 先生御指摘のクマの出没、それからクマが実際どれぐらいいるかという点については、専門家の方にお伺いしても、これはかなり難しい面があるということは確かであるということのようでございます。

 ただ、お話がありましたように、二年前に、それまでに比べましてかなり多くの捕獲がありましたが、それに比べましてもことしはさらに多くなっておりまして、そういうことを踏まえて、私どもは、将来の予測ということにつきましてはなかなか困難な面がありますけれども、対策を講ずるとともに、そういった面についても、いろいろな関係者の知恵をかりながら、そういう客観的な推計を踏まえた上で対策を講じていく必要があると感じております。

村井委員 おととしとことしだけの異常出没と異常災害だったというふうに、私は考えづらいと思うんです。ですから、ぜひ、環境委員の皆さんにも、こういった北陸や東北で百四十人、ことしだけで百四十人の死傷者なんです、今大騒ぎになっている拉致被害、これも大変な問題なんですが、一年でそれを上回る死傷者を出しているのに、本当に、我々環境委員会や国会でこれを見過ごして、手つかずのままでいいかどうかを私は問いかけたいと思うんです。

 そこで、大臣にお聞きします。

 ことしはもうすぐ冬眠しますのでしようがないにしても、今後ちゃんとした予算措置をする意欲があるのかないのか。そして、特にその予算措置、会議費用と調査費用だけで四千二百八十万円をとっています。対策費用は全く盛り込まれていません。そんな中で、今後、予算措置の中で対策費用を盛り込まれる気があるのかないのか、大臣にお伺いします。

若林国務大臣 委員も御指摘になっておられますが、クマの人里への出没というのは、何もおととし、ことしに限ったことではありません。私、長野県でございます。ことしを見ましても、多分一番死傷者の多いのは長野県であると思います。しかも、私自身がかなり山手の方でございますので、いろいろな関係者から状況を聞いております。

 やはり対策というのは、短期的な対策と中長期的に腰を据えて取り組まなきゃいけない対策とがあると思います。

 短期的な対策につきましては、村井委員も御承知かもしれませんが、ことしの異常な出没及び事故の発生にかんがみまして、この十一月に、野生鳥獣の専門家に急遽集まってもらいまして、その中には長野県とか、富山県とか、福島県とか、それぞれクマの生息が多いと予想されるような地域、かつまた今までこれらによって事故が発生しているような地域で、クマの生態あるいはこれらの対策に詳しい人たちに集まってもらいまして、専門家会合を設置して検討しているところでございます。そして、中間的な取りまとめをした上で、年内にもこれへの短期的な対応としての対応マニュアルをつくりまして、これを徹底したい、こう考えているところでございます。

 ただ、中長期的に見ると、やはりクマが生息している地域の山の変化というのがあると思います。特に、ドングリなどの堅果類、つまりえさになるものですね、これが非常に少なくなってきているんじゃないか。これは、やはり林業の衰退とともに、これらのえさになる堅果類が少なくなってきている。それで、やはり冬を前にして人里に出てくる。出てくると、人里の方も過疎地域になっていますから、今までは、すぐ追われたりして、怖いという思いがあるんでしょうけれども、だんだんと大胆になってきて、人里に出てくるようになっているということだと思います。中長期的には、やはり山の整備の進め方として、落葉樹のそういう堅果類が出るようなものを奥山の方に植栽して、そこでえさが食べられるようにしていくということが大事だと思います。

 戦後のある時期、特にツキノワグマについてはもう絶滅するんじゃないかと思われるほど少なくなりました。むしろ、増殖することを期待しながら保護した時期がございます。やはりツキノワグマは非常に親しまれているものでもあるわけですから、人間と共生するシステム、環境というものをつくって、クマが安定して一定の生息地で生息できるような状況をつくっていくということ、やはり人間とともに生きていけるような環境をつくるということは、中長期的に取り組まなければいけないことだと思っております。

 短期的に、すぐどういう措置を講じたらいいのか、今どんな措置があるのか、私もつまびらかでないんですけれども、捕獲をして殺してしまうというよりも、どちらかというと、ことしもかなり捕らえておりますけれども、それをもう一度山に逃がすんですね。それで、学習効果といいますか、からしのものだとか、音を立てるとか、人里に来ると非常にひどい目に遭うぞというような体験学習をさせまして、遠くにもう一度連れていって放す。ところが、地域の人は放すのに反対するんですよ。

 そういう保護論者と、生活がかかって、命がかかっているという人との間の地域社会の中の対立というのもありまして、なかなか一義的には決めにくいんですが、今捕殺しているのは、たしか捕まえたもののうち一割ぐらいじゃないでしょうか。あとは、大体放しているんですね。(村井委員「四千三百頭捕まえて、三百頭学習放獣している」と呼ぶ)反対ですか。学習放獣が約一割弱ですか。そうですか。

西野委員長 質問と答弁は、指名した人に限ります。

若林国務大臣 どうも失礼しました。それは失礼いたしました。僕は、逆だと思っていました。

 やはりどうなんでしょうか。捕殺してしまった方がいいのかどうかというのは、ちょっと私、今判断できないんですけれども。

村井委員 私、大臣、本当に今すばらしいなと思ったんです。官僚の書いたマニュアルをそのまま読むのかと思ったら、自分の言葉で声をかけていただいて、本当にその部分はすばらしいと思うんですが、今ちょっと言わせていただくと、一割学習放獣なんです。逆で、四千三百頭捕まえていて、四千頭を殺して、三百頭学習放獣している。

 それで、私の質問は、大臣にと言ったのは何かというと、予算措置をする気があるかどうかの話を問いかけさせていただきました。大臣、そのぐらい認識があって、自分の言葉でクマ問題を話される。だけれども、御存じのとおり、会議費用はたくさんとっているんです。調査費用もとっているんです。でも、対策費用は今ないんです。大臣は、今後、まさに今こうやってクマのことを知っておられるわけですから、対策費用を盛り込むことについて検討する気はありますか、どうですか。

冨岡政府参考人 先生、数字について先ほどお話がございましたが、数字につきましては、今年十月までにクマ四千三百十八頭を捕獲しておりますが、そのうち殺さないで放したのは三百六十二頭でございまして、ほぼ一割ということでございます。

 それから、予算につきましては、制度的に見ますと、自治事務ということで、実際の事務に要する費用は自治体の方で賄っていただいて、私どもはガイドラインをつくるとか、いろいろな調査をするとか、そういう方針をつくるための分野を担当しているということでございます。

村井委員 もちろん、官僚の方の答弁としたら、いや、予算は地域に任せます、それは建前としてはそうなんです。でも、大臣に私が問いかけたのは何かといえば、政治判断が求められるからなんです。

 大臣、聞いていただいていいですか。答えていただいていいですか。会議費用、調査費用は国で出すけれども、対策費用は地方に任せます、だから、地方はやっていない、地方が悪いんだという話じゃ済まぬはずなんです。来年が異常出没するかどうかは別として、もし今後することがあり得るとするならば、今後は対策費用も盛り込んでいく必要があるんじゃないかと考えるんですが、大臣はどう考えますか。検討する気はありますか。

若林国務大臣 これは、イノシシとかいろいろな野生鳥獣に対する管理、対策というものの国と地方との分担関係が決められているわけですね。その場合に、クマについてだけ特別な措置を講ずるかどうかということも含めて検討しなければならないと思いますけれども、今ここで、対策費を国が直接措置するかどうかということについては、ちょっと直ちにはお答えしにくいんですが、地方で措置をした場合における鳥獣被害対策として地方交付税などにどのように盛り込んでいくかということについては、さらに検討し、総務省の方にもそれを要請していきたい、こういうふうに思います。

村井委員 前向きな答弁、ありがとうございます。大臣の方からは、国としての予算はとらないけれども、地方交付税の増額の中に盛り込んでいくように検討していただくということでよろしいですね。

 今までだったら、狩猟税があるから、狩猟税は地方税だから勝手にやってくださいといってだれもやらなかった。地方は国にやってほしいといって、国は地方にやってほしいといって。だから、会議費用はある、調査費用はあるけれども、対策費用がないなんというばかなことになっていた。

 もちろん、異常出没しなかった年が多い。異常出没は、おととしと一年飛ばしてことし。だから、毎年じゃないから、簡単に予算をつけづらいのはわかるんです。それは十分わかった上で、では、異常出没したときは地方交付税の交付金をふやしてちゃんと対策費用を盛り込むという、大臣から今まさに総務省の方にお願いをしていただくという話になりましたので、一たんその話は終わらせていただきますが、ぜひ本当に今お約束いただいたことをやっていただきたいと思っています。

 では、わなの話をしたいと思うんです。

 今、わなで本当にこんなばからしいことがあっていいかどうかと思って私も困っているのは、わなをつくるときの補助金は農作物の被害対策予算の中に盛り込まれているんです。人の被害がクマの最大の問題であるにもかかわらず、イノシシやシカとかと一緒に農作物の被害対策予算になっているから、わなをつくるのは畑だとかそういうところばかりなんですね。山から住宅に来る、ここをどうやってとめるかということでわなをつけなきゃならないですよね。

 まず、わなをつくる場所、人身被害に対してきちんとわなをつくること、ここの部分に対しての予算措置などについて、自然環境局長、お答えください。

冨岡政府参考人 クマが人家の周辺に出没して人身被害のおそれがあるという場合には、そういった人家の近辺にわなを設置するということは、これはクマの生態等に詳しい人の協力を得る必要がありますが、有効な対策と考えております。

 では、この費用をだれが負担するかということでございますが、実際、クマの捕獲許可の申請及び実施主体は、ほとんどが市町村長さんがやっております。こうした市町村長さんに対しまして、おりの設置費用等について支援措置を設けている都道府県もございます。

 私ども調べてみたところでは、例えば、長野県、富山県、広島県がこういったわなに対しまして県独自で補助している、そういったような実態のようでございます。

村井委員 今質問したのは、都道府県や市町村がやっているかやっていないかじゃなくて、畑だけじゃなくて、民家、住宅街にもわなを設置できるようにするべきじゃないかという質問なんですが、もう一回お答えいただいて、どうですか。

冨岡政府参考人 失礼いたしました。

 人家の近くで出没して身体に危険を及ぼすおそれがあるという場合には、畑とかそういうところに限らず、人への被害を防止するための場所に設置するということも有効な手段でありまして、先ほど申し上げましたように、都道府県もそういったような費用負担をしている例もあるということでございます。

村井委員 いや、都道府県でやっているところがあるかもしれないという話じゃないですよね。七百万円もかけて緊急マニュアルをつくったんですよね。七百万円の会議費用でつくったんですよね。その七百万円で、この間見せてもらったら、一応A4四枚だけで、このA4四枚つくるのに七百万円使うんですかと聞いたら、いや、今後はちゃんともう少し盛り込みますという話でした。

 では、その盛り込みますという中身の中で、ちゃんと人家においても補助金を出してクマのわなをつけられるようにというマニュアルをつくらなければならないんじゃないですか、どうですか。それとも、これまでどおり、いや、都道府県に任せますとか市町村に任せますとか、場合によっては、農作物の被害対策予算だから畑のままなんだという話でいいか、マニュアルの中にちゃんと盛り込むかどうかという話をしているんですが、どうでしょうか。

冨岡政府参考人 現在、マニュアルは緊急にその被害を避けるための暫定版として、住民の皆様とか自治体の職員の皆様への留意事項ということでまとめました。今後、完成版を年度内に取りまとめたいと考えておりまして、その過程におきましては、例えば、実際にどのような実態にあってどう動いてきたかということを専門家が現地で調査して、そういったことを踏まえて最終版を取りまとめたいと考えております。その中には、今回は暫定版でございましたけれども、対策面といったことについての技術的マニュアルとして中身を充実したいと考えております。

 御指摘のございました費用負担面につきましては、技術マニュアルという中でというのが、なかなか検討しづらい面があるという点を御理解願えればと思います。

村井委員 自然環境局長の答弁だとそこまでだと思うんです。だから、あえて大臣にお聞きしたいと思うんです。

 大臣、今みたいな話で、七百万円かけて技術マニュアルをつくるというのは立派ですよ。ただ、実際地方ではお金がなくて、一生懸命七百万円かけてマニュアルをつくったはいいけれども、実際住宅街にはわなが全然設置されていない、この現状に対して、まさに今からマニュアルに盛り込む中で、予算の話も、そして実効性のある政策についても、一言だけでもコメントいただければと思います。

若林国務大臣 これら諸対策の国の費用負担のことについては、先ほど申し上げた以上のことを申し上げられないんですが、国と都道府県、さらに市町村、それぞれのやはり役割分担があると思うんですね。人体への、生命などの危険に対しても、全部国が見ているわけではありませんね。それは、具体的な諸対策については、第一義的には自治体の安全管理の責任というのがありまして、そこで対応していると思うんですよ。

 それに対して、自治体だけでは負担に耐えられないというような場合に、先ほども申し上げましたような、交付税の措置などによりましてこれを支援していくという仕組みが基本だと私は思っておりますが、それら委員の御指摘も念頭に置きながら、関係の地方公共団体の意見もよく聞いて対応を考えたいと思います。

村井委員 さて、さらに具体策の話をしたいと思うんです。

 普通の町のごみ集積所があります。普通の町とか村のごみ集積所に、各家から持っていったごみが捨てられるんですね。クマのほとんどは、家にまで入ってくる例というのはまれなんです。ところが、ごみ集積所なんかに朝早くとか夜遅くにやってきて、一回人間の世界の残飯を食べる。中には砂糖も入っておって、油も入っているんです。ふだんドングリとか淡泊な味しか食べていないクマが、そんなおいしいものを食べて舌に入れてしまったら、二度と味が忘れられなくなる、だから何度も何度も人里におりてくるという中で……(パネルを示す)これが先生の御地元、長野県軽井沢でやっているごみ箱なんです。こういった形で、クマにあけられないごみ箱の例なんですが、横にあるものだとかち壊してあけてしまうんですね。ところが、上から引っ張って指の長さであけるようなものだと、クマはなかなかあけられない。ごみ箱対策などもしっかりやっていかなければならないと考えるんですが、どうお考えでしょうか、環境局長。

冨岡政府参考人 今、先生御指摘がありました軽井沢での実例、私どもも非常に注目して見ております。

 先日も、実際に私ども職員それから私一緒に参りまして、向こうの専門家と実態をいろいろ聞きまして、実際に目で見て、どんなものかという勉強もしてまいりましたけれども、確かに軽井沢のような、本当に町が森に囲まれて、クマと人間との境界が非常に近いと申しましょうか、そういう地域におきましては、油断しているとすぐ入ってきてしまうということで、その誘因となる最大のものが放置されているごみである。

 それで、先生おっしゃいますように、一たん味を覚えると、その味が忘れられなくて何回でも出てくる、非常に危険だということで、ごみ対策は非常に重要、まず、誘因対策として、ごみ、それから果実、カキとかクリとか残しておくのは非常に危ない、コンポストといったものも危ない、そのような認識でございます。

村井委員 さらに、先ほどから話をしているとおり、もう調査費用と会議費用ばかり予算つけておったってだめなんです。具体的な対策に予算をつけなきゃならないという話の一環の中で、このような犬もあるんですね。

 これは何かというと、クマが出るのは大体朝早くか夜遅く、暗くて目に見えぬときなんですけれども、犬を訓練するんです。クマが三百メートル以内に近づいたらにおいでわかる、そういうふうに犬を訓練すれば、まさしくそうやって具体的にパトロールができるんです。こういった具体策などもしっかりと予算取りをしていくべきだと考えるんですが、どうお考えでしょうか。

冨岡政府参考人 御指摘ございましたベアドッグにつきましては、あそこでNPO法人が活躍している大きな手段といたしまして、ベアドッグを活用しているということでございまして、専門家がいろいろな対策を講ずる中で、御指摘のように、追い払い、それから自然放獣でございましょうか、そういう場合に、人間に近づくと怖いよということを学習させる上で犬というのは非常に有効である、そういうふうに認識しております。

 ただ、あの犬は、アメリカからノウハウも犬も導入して、なかなかそのまま普及するということは難しい点もあるというふうに聞いております。日本犬を訓練すれば可能性があるのか、それからどうやって訓練するマニュアルを開発するかとかいろいろな課題はあるということでございますが、こういった進展を見て今後のクマ対策にどのような役割を果たしていくのかを研究してまいりたいと考えております。

    〔委員長退席、桜井委員長代理着席〕

村井委員 先ほどちょっと出ました、今、一万二千頭から一万五千頭、クマが日本国内にいると言われていて、ことしは四千三百頭も捕獲しました。そのうち四千頭ぐらいを殺しました。考えてみたら、三分の一から四分の一ぐらい、おりてきたから仕方ないにしても、捕殺をしてしまったんです。でも、本当に殺さなければならなかったかといったら、そうじゃないですよね。大臣がおっしゃられたように、学習放獣をやる手はあったんです。でも、学習放獣なんてだれでもできるわけじゃないですよ。車に乗っけて、十二キロ以上の山奥に行って放つのも怖いですよ。やはり、専門家が要るんです。

 まさしくそういった中で、学習放獣をやるために、一頭当たり費用が幾らぐらいかかるのか、そしてそれに伴う予算が本当にあるのかどうなのか、どうお考えでしょうか。

冨岡政府参考人 学習放獣につきましては、御指摘のように、専門家のチームが必要でございます。麻酔をかけるための獣医さん、そしていつごろ覚まさせるとか、それからハンター一、二名、それからおりを運搬する人、そういうことで、五、六名とかいうチームで、しかも専門的な知識を持ったチームが必要だというふうに承知しております。

 そういうこともありまして、現在、殺さないでこういう学習放獣する体制をとっているのは、全国で約二十府県ぐらいあるんじゃないかと思っております。(村井委員「いや、質問は、費用は幾らぐらい、その予算はありますかということです」と呼ぶ)

 それで、費用でございますが、先ほど申しましたチームをつくりまして対応するには、一頭捕まえて放すのに二、三十万円かかるんじゃないかということでございます。その費用につきましては、先ほど来の答弁でまことに恐縮でございますが、自治事務として、事務を執行するところが負担しているということでございます。

村井委員 さて、あと二問させていただきたいと思います。

 春クマ狩りについてのお話をしたいと思うんです。

 ことしは、四千頭もやっちゃいました。つまり、春の方がクマの値段は高く売れるんです。有害でおりてきたもの以外でも春捕獲することがあるんですが、余りにも大量にやった年は、次の年の春クマ狩り、山奥まで行って狩猟することを制限する年があってもいいと思うんですが、どうでしょうか。イエスかノーかだけでお答えください。

冨岡政府参考人 簡単にお答えしますと、ことしのようにたくさん捕獲されました年におきましては、各都道府県の計画を超えて殺されておりますので、春クマ狩りは抑制すべきものと思っております。

村井委員 最後の質問に入らせていただきます。

 ぜひ大臣も、今言った来年の春クマ狩りについては抑制すべきだと環境省としておっしゃられたわけですから、本当に抑制するための具体的な手段をとっていただけますか、どうでしょうか。

 そして最後に、私たち民主党としても、ぜひ本当にこのクマ問題、真剣に向かっていかなければならないということで、「ヒトとクマとの共生プラン」というものを皆さんにお配りさせていただき、こうやって国会に提出させていただきました。この共生プランについての感想、及びクマ問題に取り組む大臣の決意についてお答えください。

若林国務大臣 春クマ狩りを抑制するということについては、専門家の立場でそのような判断が必要だという判断をされたわけですから、大臣としては、そういう専門家の判断を尊重してそれが周知されるようにしていかなきゃいけないと考えております。

 民主党の対策、「ヒトとクマとの共生プラン」、実はきのう見せていただいたところですが、詳細はわかりませんけれども、よく詰めて検討された提案だというふうに敬意を表しながら拝見したところでございます。実際これからの、まさに人とクマとが共生をしていくための条件整備というのは、いろいろな短期的な対策あるいは中期的、長期的な対策、環境整備が必要になってまいりますが、有効にどこまでの対策がとれますか、真剣に取り組んでいくべき課題だと受けとめております。

    〔桜井委員長代理退席、委員長着席〕

村井委員 大臣、自分の言葉で答えていただいて本当にどうもありがとうございます。このクマ対策というのは、まさしく調査費用と会議費用ばかりあるけれども、そして具体的な対策はみんな見えているのに、実際、対策費用は、国は地方でやってくれ、地方は国でやってくれといって、全く進んでいないのが現状です。ぜひ大臣が総務省などに地方交付税の増額も含めてという話をしていただいたことを期待し、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

西野委員長 次に、宇野治君。

宇野委員 自由民主党の宇野治でございます。

 きょうは、私は、日ごろ琵琶湖を抱えているという思いから水問題についていろいろお話をするわけですけれども、きょうは観点を変えて、水銀の関係で少しお話をさせていただきます。

 ただ、その前に、これは私の思いということでお聞きいただきたいんですが、この委員会での大臣の所信の表明の中に、いろいろと述べられているわけですけれども、残念ながら、水という字が三文字しかない。そのうちの水は、水俣の水が一つ、それからあと、水環境だとか水循環ということで、たったそれだけの思いというのに非常に私は寂しい思いをしております。

 人類は、要は、水の中で生まれて育って、水がなければ生きていけない。その水は、今〇・〇二%しか使える水がないというようなことにもなっているわけです。その貴重な水を、しっかりとやはり我々は守らなきゃいけない。その守るということに対しては、やはり環境省がしっかりとやらなきゃいけないということ。確かに今は地球温暖化の方が大変に大きな問題になっていると思いますけれども、世界水フォーラムという大きな大会もあります。やはり、水というのは世界にとっては大変大きな問題なのであります。

 私は、日本は水の量という部分では世界各国から比べたら非常に恵まれているわけですけれども、水質という部分については非常にまだまだプアな部分があるのかなという思いをしておりますので、今後のいろいろな政策の中で、水というものをぜひ大事にしていただきたい。昨年、水・大気環境局という、水を前に出した局までつくっていただいたわけでありますから、その水の思いをしっかりとやっていただきたいということだけをまず冒頭、要望でお伝えしておきたいと思います。

 そんな中で、ことしは水俣病が五十年ということでの、いろいろなマスコミだとかフォーラムだとかというものが開かれているわけであります。水俣の患者の皆さん方には大変厳しい状況にあるということを、私はお見舞い申し上げる次第でございます。

 この水俣病の原因というのは、御承知のように、有機水銀が体内に入ってきた、特に妊産婦の方々から生まれた子供たちがそういう形になるのが多かったということであります。この有機水銀、別に有機水銀を流そうと思って流したわけでなく、無機水銀だったものから有機に変わってきた、これを魚が食った、その魚が人の口に入ってという食物連鎖が起こって、結果としてああいう形になってしまったわけであります。水銀というのは非常に怖いものだということを、もう一度やはり理解をしなければいけないということであります。

 特に、水俣のことを考えますと、五十年を迎えてということではないんだと思いますが、水俣のあの湾の中に入っていたヘドロを全部すくい上げて、約百五十トン余りあると聞いております、その中に当然水銀が含まれているヘドロがすくい上げられて、今矢板で囲まれて、水俣エコパークという公園になっていると聞いておるわけでありますけれども、まだその公園の下は水銀だらけと言ってもおかしくない状況であります。それを矢板で囲っている。当然何かトラブルがあれば、すぐ海に流れ出てしまうというような状況にある部分です。

 これは、熊本県が一生懸命調査もしていただいて、何かあればということで常に調査をしていただいているようでありますけれども、何かがあったらもう遅いというようなこと、また同じ二の舞をしなければならないということで、矢板もそんな何百年ももつわけじゃない、通常は十五年とか二十年とかいうものですけれども、熊本県はどうも五十年ぐらいということも言っているようでありますけれども、その矢板工法で本当に大丈夫なのか。特に、今は地震の問題があります。地震が起こったらすぐもうばらばらになってしまう。そうしたら漏れ出してしまうということがあって、そのときに、ああと思っても、もう流れてしまったものはなかなかまたとめることができなくなるということがある。

 そんなことについて、私が一番心配しているのは、その百五十トン余りの水銀を含んだヘドロが流出しないのかということなんですけれども、これについての考え方を少しお知らせ願いたいと思います。

北川大臣政務官 宇野委員の質問に答えさせていただきますが、宇野委員におかれましては、常日ごろから水の問題や琵琶湖の環境保全に尽力をいただいておりまして、まずもって敬意を表する次第であります。

 ただいま御指摘をされました水俣のこの問題は、五十年がたちまして、我が国の公害の原点とも言われておりまして、政府も一体となって今取り組んでいるところであります。

 昭和五十二年から平成二年にかけまして、今おっしゃられましたように、水銀を含むヘドロのしゅんせつをいたしまして、埋め立てが行われ、約五十八ヘクタールの造成が行われたところであります。

 この埋め立てに当たっては、今おっしゃられたように、鋼矢板を立てて、水銀が外に漏れないよう万全を期しているところであります。そして、埋立地におきましても、しゅんせつをしたヘドロ、土砂の上にシートをかぶせて、四メーターから五メーターの盛り土をして、シートも固定し、万全の形で対応しているところであります。そして、熊本県におきましても、年一回、定期的な点検を行っておりまして、ヘドロの漏れがないかということをしっかりと監視しているところであります。今後とも適切な維持管理を、熊本県にも要請しながら、していっていただきたいと思っております。

 さらに、水俣湾の水質、そして底質、海の底でありますけれども、こういうところ、そして魚類中の水銀濃度の調査が熊本県において継続的に、年四回行われておりまして、水質については現在のところ水銀の検出は見当たりません。そして、底質及び魚類中に含まれる水銀につきましても、特に問題となるレベルの魚は見つかっていないというところであります。

 いずれにいたしましても、この問題は、水俣湾の埋立地に高濃度の水銀を含む土砂が依然として封じ込められていることでありますから、環境省といたしましても、熊本県初め関係機関と引き続き密接な連携を図ってまいり、この問題については万全を期して対応していきたいと思っておりますので、御理解をいただきたいと思います。

宇野委員 決意表明というか、要は、熊本にお任せをするわけでありますけれども、しっかりと、万が一のことがあったときでは遅いということを肝に銘じて、常にそこに水銀があるんだということを熊本の皆さん方も理解をしながら、早目な対応をしていただく。鋼矢板で本当に大丈夫なのか、コンクリートにしなきゃいけないんじゃないかというような思いもありますので、その辺の検討もしていただきたいと思います。

 次なんですが、また水銀の関係で、実は私、ことしの初めにある方からの通報で、ごみ焼却場の中で、特に加熱脱塩素化処理をやっている焼却場、ここにおいて水銀の、本当に生の液が焼却場の下にたまっているんだという話を聞かせてもらいました。

 いろいろ環境省の皆さん方とお話をしながら、やはりこれはちゃんと除去しなきゃいけないぞということから、二月の二十八日に通達が出まして、そのものは北海道の方で処理をしなさいという通達をしてくれたわけであります。

 そこで、私がびっくりしたのは、要は、ごみ処理場で生の水銀が本当に出ているんだということ。ということは、それだけ世の中には水銀の物質があるんだ。どういうものがあるか、いろいろな見方があるでしょう。例えば、水銀体温計がそのままごみの中にほうり込まれて、そのまま出てくるのもあるでしょうし、また、蛍光灯の蛍光管に水銀が入っているということもある。一時は乾電池が大分言われたわけですけれども、もう最近は乾電池も、日本でつくる乾電池は無水銀という形になっておるわけですけれども、海外でつくられている乾電池についてはまだ水銀が残っている部分がある。いろいろなところにこれは使われているということが、まさに最後の、ある意味では墓場のところで水銀が出るということが実際起こっているわけですけれども、これについて、やはり相当私も肝に銘じて、水銀対策をしなきゃいけないのかなという思いをしております。

 そういう中で、まず、今全国でこの加熱脱塩素化処理をやっているところが大分あると思うんですが、そういうところでどの程度この通達以降、量が出たのかということがおわかりであれば教えていただきたいと思いますし、また、この装置をつけていないところというのは、ではその水銀はどうなっちゃっているのだということも心配でありますので、それもあわせてお聞かせ願います。

由田政府参考人 ごみ焼却施設におきましては、ばいじん中のダイオキシン類の削減対策といたしまして、加熱式のダイオキシン分解装置、いわゆる加熱脱塩素化処理というのを御指摘のように行っている場合がございます。この場合には、固形状の水銀が気化しまして回収できるということにシステム上なりますので、回収されるわけであります。これにつきましては、先生御指摘がございまして、回収された水銀については、リサイクルが行われるようにことしの二月に地方公共団体に通知しまして、リサイクルを推奨いたしているところであります。

 水銀の回収量につきましては、例としまして、一日三百トンの能力を持つ炉で、一年間に大体六グラムぐらいたまる。水銀は重いものですから、比重が一三ぐらいございますので、やはり六グラムといいますと、一升瓶の五分の一ぐらいの感じでしょうか、そのぐらいたまることになります。まだ量的に少ないもので、回収してどこかへ持っていこう、こういう形になっているという状況については、新たに始めたところについては把握していない状況でありますが、この通知を受けまして、各施設におきましては、回収あるいはリサイクルの検討を開始したところが出てきております。従来やっていたところに加えて、やってきております。

 環境省としましては、引き続き、回収された水銀のリサイクルが適切に行われるよう努めてまいりたいと思っております。

 なお、この加熱脱塩素化装置を持っている市町村、これはダイオキシン対策ということでやっておりますが、五十九市町村で九十二基設置をされております。したがって、ここの場合には先生の御指摘のような形になっていく、こういうことになります。

 それから、実は水銀に関しましては、御指摘のように、従来、アルカリ電池に使われておったもの、それからボタン形の水銀電池に使っておったものが大変多うございますが、これに関しましては、かつてからの乾電池工業会への指導もございまして、いわゆる水銀を使用した乾電池、アルカリ電池につきましては、平成四年から国内でつくる製品はゼロ水銀化ということになっております。また、ボタン形の水銀電池に関しましては、平成七年に製造を中止いたしております。また、水銀体温計につきましても、水銀を使わない製品への転換が進んでおる状況であります。したがいまして、平成十五年度の水銀の需要量につきましても、平成元年の比で見てみますと、百八十トンから二十トン以下と九〇%の減、こういうことにはなっております。

 したがいまして、全体的にごみ一トンに対しまして一グラム程度と下がっている、こういう状況ではありますが、御指摘のように、回収していない場合には微量にフライアッシュの方に入るではないか、こういうことがございます。

 いわゆるこのばいじんにつきましては、廃棄物処理法上、特別管理廃棄物という指定をいたしておりまして、薬剤処理とかセメント固化によりましてこういう重金属の流出防止をした後に最終処分場で埋め立ての処理をするということ、あるいはさらに、最終処分場での放流水の排水規制によりまして、環境汚染の未然防止を図っている、こういう状況でございます。

宇野委員 いろいろと対策をしていただいた結果、こういうことが新たに出てきたということなんです。ダイオキシン対策というのは一時世の中を非常に騒がせたわけでありますけれども、その陰に隠れてこういうものがまた出てきたということ。

 今、ちょっとお話がなかったのではないかと思うんだけれども、この処理がないところというのは、結果としては空気中に飛んでいっているという可能性がありますし、またその残った灰に入り込んでいるということがある。この加熱脱塩素化装置を持っているところは、飛灰と言われるものについてはちゃんと固形化するということを通達で出していただいているわけですけれども、それ以外の焼却炉は、灰の中に入っていたり、飛んでいったりすることになっているのではないか。そうなると、灰というのは一般の埋め立てのところに持っていってそのまま捨てられている、それがまた、行く行くは溶け出して、何か今度悪さをするのではないかなということも心配をするわけです。

 ぜひ、今、具体的にどうすると言うことはできないと思いますけれども、これだけのものがあるんだということはやはり相当認識をしなければいけない。水銀被害というのは、水俣病ということで、一時大きなセンセーショナルなことになったわけですけれども、これを忘れないようにする。それを忘れないようにするということは、まさに我々の健康管理をしていただくことにつながるわけですから。

 特に、ちょっと一時言われたのは、マグロを妊産婦が食べるのをやめた方がいいよというような話があります。これはまさに食物連鎖で、普通の海にいるマグロですらそういうものに汚染されるものがあるんだ。確かに量は少ない、許容量かもわからないけれども、それをぱくぱくぱくぱく食べたら、やはり許容量以上のものになってしまうということも言われているわけですから、この水銀というものの怖さをしっかりと認識して、これからの対策をしていただきたいと思います。

 そんな意味で、大臣、最後にお伺いしたいんですが、今私がいろいろお話をさせていただいた、水俣に発していろいろなことを日本は経験しているわけであります。世界各国でも、いろいろこれに類するものが起こっているようでありますけれども、日本の環境省として、この水銀というものについての考え方を、しっかりと対策を立てていく、何か起こらないうちに対策を立てるということを指示していただきたいと思いますけれども、その辺の決意についてお聞かせいただきたいと思います。

若林国務大臣 宇野委員が水銀が人体に及ぼす影響の深刻な状況の認識のもとにいろいろと御指摘をいただきましたのを、しっかりと伺ったところでございます。

 我が国は、お話がございました水俣病という大変不幸な、悲惨な体験をいたしまして、その学習効果といいますか、それをしっかり学習した形で、非常に力を入れて水銀汚染対策をしてきたと認識しております。

 そこで、国際的に見ますと、UNEP、国連環境計画管理理事会の決定によりまして、地球レベルで水銀汚染対策に取り組むために水銀パートナーシッププログラムというものが開始されておりまして、我が国も地球規模の汚染を解明するそのプロジェクトに参加し、我が国の経験からこの問題に真剣に取り組んでおります。

 開発途上国等においては、水銀による環境汚染が現にまだ生じているわけでございますので、環境省は、国立水俣病総合研究センターというのがございますが、そこを通じまして、研究員を現地に派遣したり、あるいはまた現地の途上国の方々を研修にお招きしたりして、水銀被害を抑制するために、こういう被害が起きないように努力をしております。

 当然のことながら、水銀による環境汚染を防止するために、今後とも、国内対策はもとよりでありますが、国際的にもその責任を果たしてまいらなきゃいけない、このように考えておりまして、一層協力に推進したいと思います。

宇野委員 どうもありがとうございました。

西野委員長 次に、藤野真紀子君。

藤野委員 自由民主党の藤野真紀子でございます。

 やっと環境委員会に入れていただきまして、自分の居場所を見つけたような気がしておるところでございます。ずっと財務金融というところで、非常に苦しい思いをしてまいりました。

 きょうは、私は、動物愛護の観点から質問をさせていただきたいと思います。

 時間が許せば、三項目にわたってお話を申し上げたいと思っております。

 ただいま資料の方をお配りしているかと思いますが、第一点目でございますが、公営住宅におけるペットの飼養についてでございます。

 お配りいたしました資料の一番最初にあるかどうかでございますけれども、「ペットの処分について」という、ある市からの通告書でございます。これは、ある市の市営住宅における犬、猫飼育をめぐる自治体からのペット処分の通告文でありますが、動物愛護の観点から考えましても、また人へのいたわりの面でも対応が幾分厳しいのではないかと思うところでございます。

 この通告文を見ていただきますと、この通告文が渡されましたのが八月でございます。この八月のちょっと前にちょっとしたトラブルが住民の間であったということで、市の方で急遽こういった対策をとったというふうに思われるところでございます。

 文面を見ていただきますと、市営住宅では動物の飼育は禁止されていることは承知のことと思いますが、最近、特に入居者よりペットの苦情が多く寄せられていると書いてございます。つきましてはペットを飼育している入居者は、平成十八年十二月三十一日までに、もう年末わずかのところに来ております、ペットの処分をお願いいたしますと書いてございます。この処分をしなかった場合には、その市営住宅から出ていかなければいけないんだということをここに書いてございます。そして、この苦情が寄せられましたのは平成十八年の中で四件というふうに聞いております。そして、その下でございますが、ここがちょっと私は問題かなというところですが、ペットを飼育している入居者または部屋を知っている方は、下記まで正確な情報提供をしてくださいということでございます。これに関しましては、何ら苦情がない、近隣の方に迷惑をかけてはいない、それでもその情報を提供してください、そういった文言が書いてあるということでございます。

 まず、極めて重要なことは、規則ということがございまして、市営住宅はペット不可ということは歴然とした事実でございまして、規則は規則でございます。しかし、ここ二十年来、この市営住宅はペット飼育への一度のおとがめもなかった。生き物というのは一度飼いますと、十年、ある猫なんかは二十年ぐらい生きる猫もおります。そうすると、二十年来何のおとがめもない中で猫を拾って飼っているという場合には、大変ここで厳しい状況が生まれていると思います。近隣の苦情がない限り、あえて厳しい対応はされてこなかった、そういう状況の中での対応でございます。

 さらにでございます。これは、ある市でございます。ただ、市長さんから、これは一応許可をいただいております。福祉事務所より生活保護の停止、これはトータルを申し上げますと、ペットの苦情が寄せられたのは四件、そして要するに情報提供に関しましては十五件、トータル十九件でございます。その十九件のうちのほとんど、三分の一以上が生活保護世帯ということでございまして、この十月には福祉事務所より、ペットを処分しない限り生活保護を停止する、そういった通告もされているといった状況の中でございます。

 特に、生活保護を受けていらっしゃる方々は、独居老人でございましたり、高齢者の方、そしてハンディキャップの方、そしてまた病弱の方が多くおいでになりまして、自分の境遇になぞらえまして、捨てられている猫ですとか犬ですとか、傷ついている動物たちを拾い上げ、そして世話していくことで生きる気力と生活の張り、そして生きる喜びを得ていらっしゃるというところだと思います。

 私自身、実際に十二軒のお宅を訪問させていただきました。そして、皆様のお気持ちをお一方ずつ伺ったところでございますが、そのうち、飼い方のマナーに問題があったお宅は三軒でございます。多分、このお宅が苦情が出た、そういったことだと思います。その他は、犬も猫も避妊、去勢はもちろんのこと、悪臭もなく、おふろにも入れている。ある九十歳近い御夫婦は、十歳と十六歳のまさに老猫を子供がいないということで子供がわりに大切に育てていらっしゃいます。そして、この子たちの命もあと数年、十歳、十六歳の猫があと何年生きるかということでございます。そして、御自分たちも九十近い、寿命、あと老い先何年かもわからない、どうか今取り上げないでほしい、そういった必死なお訴えがございました。また、ある六十四歳の御婦人は、まさにおひとり暮らしで、年老いた猫を家族と思い、取り上げられる不安から不眠症になっていらっしゃる、そういったことがございます。

 近隣住民が迷惑をし、明らかに苦情が寄せられているものに関しましては、市の担当職員の方々、そして職務を全うしなければならないということは当然のこととして、これは仕方のないこと、その職務にある場合には仕方がないと理解できることではございますが、しかし、近隣からの苦情がないという場合、これは規則に違反をしているとはいえ、ひっそりとペットと暮らしている方々までシラミつぶしに通報をし、そしてその生きるよすがとなっているペットたちの処分というものを突きつけていくということは、なかなか心が痛むところだと思っております。

 また、改正された動物愛護法の中では、ペットは何よりも命があるものとして定義づけられているところでございます。さらに、終生飼養の義務づけもされておりますし、第六章第四十四条では、ペットの遺棄に関しましても禁止されているところでございます。

 処分という一言の通告から連想されますのは、センターでの致死、殺処分でございましたり、譲渡でございましたり、また期日が迫ってくることによって追いつめられました住民の方々はこれを遺棄してしまう、そういった状況も出てきかねない、そういったところでございます。

 繰り返しますが、市のお立場ですとか職員の方々はそのお立場上通告をせざるを得ない、そういった苦しいお立場ではいらっしゃるとは思いますが、それにいたしましても、動物愛護の考え方ですとか、せっかく改正をされました精神というものが地方自治体の中に余り理解されていないのではないか、または、理解する、しない以前に、愛護法の普及そのものが自治体に向けてしっかりとされているのかどうかというところに少々疑問を感じているところでございますが、この点につきまして、環境省の御意見をお聞かせいただきたいと思います。

冨岡政府参考人 ただいまお話がございました動物愛護につきます理解の浸透という点につきましては、国民に幅広く動物愛護管理の考え方が浸透していくということが非常に重要であると思っておりまして、私ども、自治体と一緒になりまして、積極的に普及啓発活動を行ってまいりますし、これからも力を入れてまいりたいと思っております。

 具体的に申しますと、環境省におきましては、動物愛護週間でのさまざまな行事とか、適正飼養講習会を実施する、この対象となる方は自治体の職員とか動物愛護推進員等でございます。それから、各種資料を作成して法律改正の趣旨等を普及する、こういったことを実施しております。

 このような取り組みを国のみならず自治体と連携しながら一層進めていくことによりまして、昨年改正していただきました動物愛護管理法に基づく各都道府県の計画の策定も通じまして、自治体職員の間にも動物愛護管理の認識が浸透していくように努めてまいりたいと考えております。

藤野委員 今、地方分権が大変進んでいく中で、地方と中央との距離感というものを私は大変危惧するところでございます。今後とも、なお一層の御尽力、国民の皆様に浸透する、しない、それ以前に、自治体の行政サイドの方々がしっかりと把握していくというところを希望している次第でございます。

 時間がなかなかございませんので、次に、市営住宅での犬、猫のことでございますけれども、さらにお配りいたしました自殺の件数、三万人を超えたということ、それから犬、猫が心のいやしになっている、そういった資料をお渡ししているところでございますけれども、今の世の中は大変おかしい、そんなことを感じている次第でございます。

 そんな中で、自殺者の方たちはうつになったりということで、ペットが非常に心をいやしてくれる、そんなことを聞いております。そして、この世の中にしっかりと自分が大切に思うものがあるという方たちは死というものを余り考えず、生きることへの執着の方が強いというふうに私は認識をしております。

 こういったことも含めまして、今、市営住宅の中でペット可のところがなかなかないということも思っているところでございますが、今民間では六割がペット可の集合住宅というようなことも言われている中で、今これほど世の中が殺伐としてしまっているその中で、ペットが欧米並みに人が生きる上での大変大切な伴侶であるという認識のもとで、市営住宅、都営住宅でしっかりとペットも飼えるという状況ができないものかということをお伺いしたいと思っております。

和泉政府参考人 お答え申し上げます。

 公営住宅において犬、猫等のペットを飼うことは近隣の住民に迷惑がかかるおそれがあることから、ほとんどの公共団体において、原則としてペットの飼育を禁止しているところでございます。

 しかしながら、御指摘のように、犬、猫等のペットを飼育することは生活者あるいは高齢者にとっていやしとなり、あすへの活力となる面もあることから、公共団体の中には、ペットの飼育を可能とする住棟を部分的に設定するなど、モデル的な取り組みを行っているところがあると承知しております。

 例えば、兵庫県営住宅とか神戸市営住宅におきましては、阪神・淡路大震災を受けて整備した災害復興公営住宅の一部についてペットの飼育を可能としまして、そういったことをしたときに、近隣住民への影響とかあるいは必要な飼育のルール、こういったものを検討するためのモデル的な事業を実施しておりますし、このほか、東京都営住宅においてもモデル事業による検証を実施しているところでございます。また、大阪府営住宅におきましては、団地内の住民の八割以上の合意があって、なおかつ適切な飼育のルールの設定を条件として、そういったところについてはペット飼育を認めるというようなことの運用をしてございます。

 いずれにしましても、国土交通省としましては、このような公共団体における先駆的、モデル的な取り組みに関する情報を収集しまして、それを各地の事業主体に周知するというようなことを通じまして、公営住宅におきまして、ペット飼育に関し適正な管理が行われるように努めてまいりたいと考えております。

藤野委員 公営住宅ではやはり犬、猫が好きな人、嫌いな人がいるということで、随分それは言われていることだとは思いますが、東京都のように認めることによって、集合住宅の一部をすべてペット可にしてしまうということによって、逆にトラブルをなくせるのではないかという取り組みもされているところだと承知しております。

 そういったことも踏まえまして、今後ともその取り組みにますます頑張っていただきたいと思っているところでございます。

 また、今、新聞の切り抜きをお配りさせていただいておりますが、十一月一日の朝日新聞の切り抜きでございます。これは、いろいろな被災地、災害に遭われた方たちがいかに心のダメージを埋めていくのに自分が飼っておいでになったペットたちの存在が重要な役割を果たしているかという実例の一部でございます。

 時間がもう切れてしまいますので、三つはちょっと無理でございますので、殺処分と言われている、このことに移りたいと思っております。第二項目めでございます。

 今は、犬、猫の処分数はかなり減ってはきておりますけれども、まだまだというところでございます。そして、この中で、安楽死、そういった定義がされているところでございますが、この安楽死というのは、まさにその言葉だけであり、昔の大量に処分しなければいけないというものの名残ではないかということも思っております。精神的な恐怖と肉体的な苦痛というものをさらに軽減するためには、もう少し改善の余地があるのではないかということを思っている次第でございます。

 まず、茨城県でございますが、子犬にはすべて睡眠薬を飲ませる、そういった取り組みをしておりまして、完全に眠ったところでガス室に入れる。そういったことも含めまして、今後、どういった形で考えていらっしゃるかということをお聞かせいただきたいと思います。

冨岡政府参考人 引き取りました動物の処分方法につきましては、「化学的又は物理的方法により、できる限り処分動物に苦痛を与えない方法を用いて当該動物を意識の喪失状態にし、心機能又は肺機能を非可逆的に停止させる方法によるほか、社会的に容認されている通常の方法によること。」として、可能な限り苦痛を与えない方法ということを私どもは指針としてお示ししております。

藤野委員 ガス室での処分の仕方というのは、欧米諸国ではやっていないことだというふうに承知をしております。

 もともと、捨てられてしまった、しかもセンターに預けられている動物たちは、恐怖の中で精神的苦痛を味わっております。そして、その中でまた肉体的苦痛を味わっていくということは、やはりこれはすべて人の勝手でされていることなので、せめてそれをどうにか私たちの人としての責任として少しでも苦痛を軽減するということを前向きに取り組んでいかなければいけない。これは、私たちの人としての責任ではないかというふうに考えております。

 そのためにも、まず、子犬、子猫に関しましては、一つにつき数十円と言われております睡眠薬の投与、また、成犬の場合は、飼い主が立ち会いのもと、まず飼い主に抱かれて睡眠薬の注射をするというような義務づけ、そういったところも考えられるのではないかと思います。

 私は、実際に何カ所か行ってまいりました。注射を打つにしても、これは誘拐された子供が知らない大人に注射を受ける、そんな状況でございまして、犬たちは大変恐怖の中で騒いでいくということでございます。ですから、できれば飼い主の立ち会い義務というものをつける、そういったことが考えられたら、せめてもの責任が果たせるのではないかということを考えております。

 そして、もう最後になってしまいますけれども、一つ大きく、新聞記事をもう一つ。全部は結局きょうはできませんでしたので、最後に、副大臣にちょっと見解をお伺いしたいと思っております。

 「ペットは大切に飼おう」ということで、これは、十七歳そして十三歳の若い子供たちがこうやって命を大事にしている、そういった記事が出ております。こういった子供のまさに命を大切に思うという心を、この純粋な心を大人がしっかりと受けとめて、裏切らない、失望させない。国も、この子供たちの思いを失望させないということを考えまして、これからの法律改正を五年かけてまたさらに改正をしていく、もっともっときめ細かな改正をしなければならないというふうに思っているところでございます。

 また、副大臣でございますが、動物を命あるものとしてとらえ、そして動物を愛護する考えが世の中の人々に共有されております。また、命は生かすものとの認識のもとに、人と動物が共生する社会が実現することを願ってやみません。ただ、現実には、私は本日ほんの数点しか申し上げられませんでしたけれども、いろいろな課題が山積しております。環境省には、さらに頑張っていただきたいというふうに思っております。

 土屋副大臣は同じ学びやで学び、そしてすべての隣人への愛と奉仕の精神、そして生きとし生けるものの命の大切さを心の中にともに培ってきた同窓生でもございます。そういった中で、命あるものを扱う行政でもあり、ぜひとも土屋副大臣に、動物愛護管理行政のさらなる前進に向けた御決意を一言お伺いしたく存じます。

土屋副大臣 藤野議員には、日ごろ動物愛護の活動に積極的に、また本当に心より活動をいただいておりますことに敬意を表する次第でございます。

 私自身、ラブラドールレトリバーを二匹飼っておりまして、犬が大好きでございます。本当に動物に対する気持ち、小さいころから子供たちがしっかりと持っていくことがやはり人に対する愛情にもつながると思いますし、今後、行政で扱う人たちにも同じような精神が共有できるように、私たち、省の立場からもしっかりと啓蒙していきたいと考えております。

 今後とも、いろいろな御示唆をいただきたくお願い申し上げます。

藤野委員 大変温かいお言葉をいただきまして、心強く思っております。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

西野委員長 次に、赤松正雄君。

赤松(正)委員 公明党の赤松正雄でございます。

 大臣、気候変動枠組み条約第十二回締約国会議及び京都議定書第二回締約国会合、御出席大変お疲れさまでございました。きょうは私、いただいた時間で、先ほど、冒頭にあった環境大臣のこの会議に対する報告、この問題について御質問をさせていただきたいと思います。

 私はこの環境委員会に所属するのは初めての経験なんですけれども、いわゆる京都議定書という問題につきまして、かねがね疑問に思っていたことがございます。要するに、何でアメリカがこの京都議定書に参画をしないのかということであります。

 この問題を若干調べていきますにつれて、さまざまな問題というものが今日までいろいろな角度で議論はされてきている。ただ、私なんか真正面から腰を落としてしっかりとこの問題について真剣に勉強してこなかった人間にとってみては、表向き、アメリカが、経済開発といいますか、いわゆる歴史は浅い国であるけれども、二十世紀前半から半ばにかけて世界を席巻する国になった、そういう歴史が浅く、かつ自由主義社会、競争社会、こういう中でぐんぐん力をつけていった、そのアメリカの論理というものが表に出ている、こういうことかなと思っていたわけであります。

 冒頭、きょう、末松委員の質問の中で、環境に対する意識というものを、日本の社会の中にもしっかりそういうマインドを持った経済人、さまざまなそういう企業人、こういったものをしっかり培っていくことが大事だという御指摘がありましたけれども、そういう問題もおいおい、それに関連することはお話し申し上げていきます。

 その前に、要するに私なんかが思います京都議定書における大きなネック、二つネックがあって、一つは、アメリカ。先ほど申し上げましたように、歴史は浅い国であるけれども、自由主義経済競争という中でトップの座を占めている国。それともう一つは、歴史は古いけれども、人類における経済競争といいますか、開発競争というべきでしょうか、そういう部分に後発の国、中国。この二つ。言ってみれば、あえて大胆に言うと、ならず者国家とは申しませんけれども、環境破壊に理解のない環境破壊ならず者国家とあえて言っちゃいますけれども、そういう二つの国が大変大きな災いをなしている。

 先ほど、冒頭の大臣の報告の中に、気候安全保障という言葉、これはだれが造語されたのか知りませんが、どこかでだれかが使ったんでしょうけれども、気候安全保障、なかなかいい言葉だなと思ったんです。その気候安全保障に、言ってみれば災いをなす二つの存在というのが、アメリカと中国だろう。まあインドもあるわけですけれども、あえて米中。

 かつて、私なんか若いとき、いわゆる米ソの対決、ソ連脅威論というものを認めるかどうかと、随分今から思えばおもしろい話ですけれども、ソ連を脅威と言ってはいけないんじゃないかなどといったことを一生懸命考えた時代がありまして、ソ連脅威ではなくて米ソ対決の脅威だ、これが正確な物言いだというようなことを言った時期もあるんです。そういうことからすれば、今、地球の問題というのは気候安全保障というものに対する米中環境破壊国家による競争の脅威、こういうふうな位置づけができるんじゃないかというふうに思います。

 そういうふうな大枠の位置づけの中で、私が冒頭言いましたように、アメリカが参画しない、何でだろうなという疑問があった。

 それは、要するに、先ほど来申し上げていますように、経済至上主義的論理の中でそういうことにはかかわっておれないというのが今のブッシュ政権、並びにその背後にある物の考え方だろうと思っていたんですが、実は勉強していくにつれて、それだけじゃないというか、そうじゃないというのか。

 つまり、環境省の皆さんには自明のことなんでしょうが、私にとってはちょっとばかり、今までよくわからなかった、知らなかったことなんですが、CO2の排出ということについて、人為的原因説対自然原因説、人為的なものを原因とするか、自然が原因、例えば太陽の黒点の増加というものと非常に深いかかわりがある、こういうふうな論争というものが実はずっと続いてきているんですね。

 私なんかちょっとへそ曲がりなところがありますので、多数派対少数派になると少数派を応援したくなるというところがあったり、世の中で全体的に流れだというものがあると、ちょっと流れに外れた方を応援したくなる、そういう性癖が実はございまして、この論争、結構、人為的原因説よりも自然原因説の方に非常に引かれるものがあるな、こういうふうに思ってきたわけでございます。

 実は、その論争、幾つかの観点、例えばIPCC対一部研究者、数百人いるIPCCの研究者対数十人の一部の研究者の対立、こういうとらえ方もあります。また、約半年ぐらい前でしたでしょうか、最近の新聞記事のコピーで見たんですが、毎日新聞の科学部の記者対経済部記者が非常におもしろい、同じ新聞社内における科学担当記者と経済部記者との激しい対立、この問題をめぐる意見の対立。あるいはまた、環境派対開発派、こういう言い方ができるかもしれません。

 そういうふうな観点で、言ってみれば、表向きのそういう、日本の場合、京都議定書から一段と加速して、先ほど来お話があるように、一生懸命世界の模範生としてまさにリーダーシップをとる、そういう仕事、闘いをしてきておられることは十二分に承知しているわけです。私どもが所属する公明党、私は極めて少数派で、ほとんど大半の人間が一生懸命この問題に対して環境省の皆さんと一緒にタイアップしてやっている、これはもう重々承知しているんですが、私は、ちょっと待てよという、先ほど来申し上げているような視点で実は考えてきているわけです。

 先回の委員会で、大臣と末松委員との、場外バトルは別にしまして、この委員会の中の質疑は非常にお二人とも息が合っている、むしろ私の方が合っていないなという思いを実は持ったぐらいに、お二人の話は、アル・ゴアの話をされたり、なかなかよく呼吸が合っておられる。エールの交換を自民党と民主党で、環境大臣そしてあすの大臣がやっておられるなと思ったんですが、私は、先ほど来申し上げましたように、ちょっと待てよの方でございます。

 そこで、いろいろあれこれ御託を並べましたけれども、まず冒頭お聞きしたいのは、要するに、そういう赤松が言ったこと、かつてアメリカはそんなこと、そういっためいたこと、つまり自然に原因があるのであって人為的原因ではないというスタンスをとって、幾つかの理由の中にアメリカはそういうものを挙げて、そして京都議定書なるものに対してはすんなりとついていけないというようなことを言っていたと私は理解していますが、そのアメリカが最近落ちた、つまり、人為説か自然説かといった場合、人為説というものの旗をおろした、こんなふうに環境省の担当の方が言っておりました。

 私は、そういう側面もあるのかな、すとんと落ちたわけではありませんが、そのアメリカの従来のスタンスというものに劇的な変化があったのかどうか。まず、今回の会議等を通じて、その辺のアメリカのスタンスというものについて的確に局長の方からお願いいたします。

南川政府参考人 お答えいたします。

 まず、IPCCでございます。これは、国連の機関でございます国連環境計画と世界気象機構というところが、世界の気象関係などの科学者を集めてIPCCというパネルをつくりまして、研究をしました。そして、世界各国の政策決定者に対して信頼のできる科学的知見を提供いたしております。

 その中ででございますけれども、過去の気候変動の観測結果は、太陽放射などの自然起源の因子だけでなく、温室効果ガスなどの人為起源の因子も考慮しなければ説明できない、特に過去五十年間の温暖化については、その原因のほとんどは人間活動に起因するものであるとの報告がございます。

 これにつきまして、そもそも、アメリカがブッシュ大統領になったときに京都議定書に入らないという表明をした理由は大きく二つございます。一点は、御指摘のとおり、中国なんかも入っていないじゃないかということで不平等だということが一点でございます。もう一点は、非常に経済的にも大きな影響を及ぼす可能性があることだ、まして七%削減というのは大変なことなんだ、それについては、この地球温暖化というのは、人間活動の影響かどうかについて不明確な点が多い、そういった点が理由でございました。

 これにつきましては、昨年七月までにその話し合いが行われまして、昨年七月のG8、イギリスにおけるサミットにおきまして、地球温暖化というのは現実の問題であり、人間活動が主因であるということが、具体的にその成果文書に合意の上で書かれたわけでございます。これによりまして、政治的にもこうした科学的な知見が共有されたというふうに考えております。

赤松(正)委員 アメリカも、そういう意味で、私が冒頭に言った、劇的に認識を変えたということではないんでしょうけれども、当初の観点よりは少し変わってきたんだろうなという印象を受けております。

 もう一方の中国でありますけれども、大臣はあしたから中国にいらっしゃるということで、中国の主張というのは、要するに、ありていに言えば、先ほど来話が出ておりますように、アメリカを初めとする先進国というものがどんどん今まで自由自在にやってきたものを、後発の我々に押しつけるというのはけしからぬ、今の温暖化は先進国の責任である、したがって、おれたちに第一義的な責任はない、こういうことなんでしょう。

 その中国には、私に言わせれば、やはり人為的原因説、またこだわってしまいますけれども、これに立つ限り、そういう観点で主張する限り中国を説得することは難しい。それは、その論理に一理あるということになるわけで、中国は必ずというか、恐らく、大臣もいろいろな場面で実感をしておられるというか、もう予測をしておられるように、被害を防ぐためにさらなる資金援助をくれ、ありていに言えば、もっと先進国はおれたちに援助をしろ、こういう論理で来ているんだろうと思うんですね。

 そういう観点で、中国に対して日本の立ち向かい方、これはもう時間がなくなってきちゃったので大臣にお聞きします。

 先ほど、田島さんに対する答弁でしたか、末松さんに対する答弁でしたか、中国に対する、行かれるについての基本的なスタンスをおっしゃっておりましたけれども、中国は何らかの援助、つまりODA絡みで日本にどういうことをしてほしいというふうなこと、つまり、きれいごとを言っても絶対に応じない国ですから、中国を動かすためにどういう手だてを考えておられるのか。相手のあることですから全部は言えないまでも、言えないとおっしゃるんだったら一点だけ。

 さっき環境技術の交流とおっしゃった。交流というのは、一方的に日本が何か与えるというのでなく、向こうからも何かもらうということだろうと思うんですが、何か向こうから環境技術でもらうものというのはあるんですか。その辺について。

若林国務大臣 大変基本的な御質問でございました。経過については、今委員がお話しになりましたとおりだと私も思っております。

 中国は、今大変な経済成長をいたしております。その経済成長を続けざるを得ない中国の国内の体制の問題、貧困の問題というのを抱えております。ですから、どうしても一〇%程度の成長をしていかないと国内の体制が安定してこないということがありまして、第十一次の経済発展計画をつくったんですね。この経済成長をしていくとすれば、どうしてもエネルギーの消費を伴うわけで、増加をしていくわけでございます。

 その増加していくエネルギーをどこまで抑制できるか。中国も環境白書を出しながら、抑制するんだという方向は出しておりますが、京都議定書で先進諸国がやりましたように、一九九〇年をベースにしまして、そこからどれだけ減らすんだというような形で、減らすというのが表に出ますと、とても中国はそれについていけないんだというのが本音であるんだろうと思うんですね。ですから、我々もポスト京都議定書の枠組みをつくるに当たりましては、もっと柔軟に、多様に対応をするんだという工夫を凝らしていく必要が私はあると思うんです。

 それでは、具体的に何があるんだというのは非常に難しいんですけれども、先ほどの質疑の中でございましたが、排出権取引がある程度の広がりを持っていきますと、例えば中国の石炭火力をほかの火力に変える、あるいは石炭火力の炭酸ガス排出量を少なくするような新しい技術を取り入れた火力発電の改良をしていくというふうになると、これはかなり排出が減っていくわけですね。

 だから、そういうようなことに技術的な投資をする先進諸国の方が、これは援助というよりも投資をするわけですけれども、共同事業としてそれを行うとすれば、パテントの問題だけじゃなくて、やはりノウハウの問題、鉄鋼なんかもそうですけれども、そういう形で技術移転が行われる、そういう可能性が私はあるんじゃないかと思うんですね。

 そのときに、そこで削減したものが例えば価値を持って売れるということになりますと、投資をする意欲もそこで出てくるということがあるのでありましょう。イギリスを中心としましたEU諸国が、排出権取引で炭素に価格をつけて、その取引をすることによって、中国などの途上国側で、まだまだ技術革新、新しい技術によって排出を削減できる可能性を持っているところに先進諸国が投資していくという道を開くことになる、そんな展望を持っているんだろうと思うんですね。

 だから、そういう意味で、京都議定書で今決めているようなルールではない多様なルールを取り入れていく、それで中国側はどういうものを望んでいるのか、どういうものであるならば一緒の枠組みといいますか、新しい枠組みに入ってこられるのか、本音を聞き出していきたいと思っております。

 ODAにつきましては、中国もさることながら、アフリカとかあるいは南米とかその他の途上国に対して、ODAの中で排出を抑制するための投資技術というようなものをどう扱っていくか、やはりこれは我が国のODA政策の中で位置づけをしていくべきじゃないかというふうに私は報告を申し上げているところでございます。

赤松(正)委員 もう時間が終わってしまいそうなんですけれども、今おっしゃったような、中国の本音を引き出したい、ぜひともしっかりとした協議に挑んでいただきたいと思います。

 この問題、私冒頭に申し上げましたような対立、いわゆる環境対開発、こういうとらえ方ではなくて、これもきれいごとになっちゃいますけれども、地球対地上派というんでしょうか、日本を含めて、地球の運命共同体としての中国でもあり、アメリカでもあり、インドでもあり、アフリカも含めて、それぞれのすべての国、同じ地球に生存する運命共同体だという観点に立たないと、やはりなかなかこの落とし穴から抜け出せない、そういうことだろうと思います。

 先ほど大臣がおっしゃったような、日本が持っているさまざまなそういう条件というものをうまく駆使しながら、また中国をうまく新しい枠組みの中に入れ込んでいく。それには、中印の関係は余りよくないわけですから、その二つの関係も競わせるということも大事でしょうし、さまざまな手だてを講じる必要があると思います。

 冒頭に言いましたように、また末松さんが一生懸命指摘をされていた、日本の中にもいろいろな、なかなか環境省だけで、ほかが全然また意識が違うという御指摘がありました。私も含めて、そういう観点に立つ人は結構多いと思うんですね。

 そういう中で、いわゆる京都議定書の枠組みをしっかり守ろうとする、またもう一方では、新エネルギーに対する取り組み、また外国のインフラの整備に対する協力、こういうものを恐らく日本は全部一つずつまじめに取り組もうとするんでしょうけれども、二兎を追う者は一兎をも得ずというのはありますが、結局、三兎を追う者は一兎をも得ずというようなことで、いずれもうまくいかないということになる可能性が極めて大きいというふうなことを言わせていただきまして、しっかり頑張ってくださいということを言って、終わりにします。

 ありがとうございました。

西野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四十一分散会


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