衆議院

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第10号 平成19年5月15日(火曜日)

会議録本文へ
平成十九年五月十五日(火曜日)

    午前九時七分開議

 出席委員

   委員長 西野あきら君

   理事 石崎  岳君 理事 宇野  治君

   理事 桜井 郁三君 理事 鈴木 俊一君

   理事 竹下  亘君 理事 末松 義規君

   理事 田島 一成君 理事 江田 康幸君

      上野賢一郎君    北川 知克君

      小杉  隆君    木挽  司君

      近藤三津枝君    坂井  学君

      篠田 陽介君  とかしきなおみ君

      中川 泰宏君    並木 正芳君

      野田 聖子君    藤野真紀子君

      馬渡 龍治君    松本 洋平君

      山本ともひろ君    石川 知裕君

      近藤 昭一君    筒井 信隆君

      村井 宗明君    吉田  泉君

      田端 正広君

    …………………………………

   参議院議員        川口 順子君

   参議院議員        福山 哲郎君

   参議院議員        加藤 修一君

   環境大臣         若林 正俊君

   環境副大臣        土屋 品子君

   環境大臣政務官      北川 知克君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            細溝 清史君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局参事官)            山崎 穰一君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局安全衛生部長)       小野  晃君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           和泉 洋人君

   政府参考人

   (環境省大臣官房長)   小林  光君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   由田 秀人君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            西尾 哲茂君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局環境保健部長)       上田 博三君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  南川 秀樹君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            竹本 和彦君

   環境委員会専門員     齊藤  正君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十五日

 辞任         補欠選任

  とかしきなおみ君   松本 洋平君

  長浜 博行君     筒井 信隆君

同日

 辞任         補欠選任

  松本 洋平君     とかしきなおみ君

  筒井 信隆君     長浜 博行君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 国等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する法律案(参議院提出、参法第一号)

 食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五五号)

 環境保全の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

西野委員長 これより会議を開きます。

 参議院提出、国等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として環境省大臣官房長小林光君及び環境省総合環境政策局長西尾哲茂君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

西野委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。坂井学君。

坂井委員 自民党の坂井学でございます。

 本日は、議題となりましたこの法律案についての質疑をさせていただきたいと思います。

 地球温暖化を防止するという大事な目的のための法律案ということでございまして、私も大変大事だと思っております。オフィスビル等の業務部門というのはなかなか削減が難しい、逆に大いにCO2の排出量が伸びている部分だ、こういうことでございまして、そこの部分の対策を目指したこの法律案というのは大変重要だと思っております。

 まず最初に、提出者の方にお聞きをしたいと思いますけれども、なぜこの大事な法案、これが、議員立法という形で提出をしよう、こういうことになったのかという理由をお聞かせいただきたいと思います。

 そしてまた、同時に、この法律がしっかりと施行されて機能するとするならば、大体どの程度のCO2の削減を見込んでいるのか。そしてまた、その規模、量をイメージでとらえたいので、それは、要は一九九〇年の基準時、CO2を削減するという基準年の排出量の大体何%に当たるんだろうか。要は、六%削減しろとか、全部で一四%削減しなきゃいけないという中で、大体何%ぐらいに当たる量を想定しているのかということを、これは環境省の方からお答えをいただきたいと思います。

 まず、提出者の方、お願いをいたします。

川口参議院議員 坂井委員がおっしゃられましたように、業務部門というのは、排出量も多く、どうやってこれをコントロールしていくかということが難しい点であると思います。

 政府というのがどこに属するかといいますと、この業務部門に属しているわけでございまして、その中で政府は、民間に先駆けて、率先して模範を示していくということが重要でございます。

 そのためにどういう手段を持つことが政府としてできるかということから、ここにいらっしゃるほかの議員の方々とも御相談をさせていただきながら、この法案を用意するということにいたしたわけでございます。

 それで、基本的なお尋ねの、何で議員立法であって閣法ではないのかということでございますけれども、これは、契約についてということで、官庁の予算の支出に関するルールを定めるものでございます。それを役所だけで決めていくということになりますと、例えば後ろ向きになるというような心配もあるわけでございまして、したがいまして、この骨格は、内閣の提出法案ではなくて議員立法で定めるということが適当ではないかというふうに考えたわけでございます。

 ほかに例といたしましては、例えばグリーン購入法、それからPFI法がございます。

小林政府参考人 数量的なことでございますので、役所の方から答弁をさせていただきます。

 この法律が施行されることによりまして、どのぐらいのCO2が減るのか、こういうことでございます。

 先ほど提案者の方から御説明ございましたように、この法律、率先垂範をするということでございますが、必ずしも量的なことではございませんけれども、政府全体が出しておりますCO2、これは十七年度が最新の値でございます、これは百九十七万トンということでございまして、日本じゅうが十二億トンぐらい出ておりますから、わずかということになります。

 そのうち、この法律がカバーできるものということでございますけれども、すぐ効果がありそうなものとなりますと、電気の契約に伴いましてなるべく排出係数の低い電気を購入する、こういうことに相なろうかと思います。この排出係数の変化によりますところの排出量の増加というものを計算いたしますと、先ほどの百九十七万トンに対しまして約一%分の二万トンということでございます。これは排出係数の悪化によりますものでございますから、この法案の効果として直ちに対処ができてくるのではないかと思います。

 そのほか、この法律自身は、庁舎の改良とか、いろいろ長期的に効果をあらわすものも含まれてございます。この部分は、長期的なことでございますから、計算はなかなか難しいわけでございますが、以上申し上げました直近の効果、二万トンということになりますと、日本の量が十二億トンあるいは業務部門は一億トン強ということになりますから、それに比べますと〇・〇〇一%程度といったオーダーに相なろうかというふうに思っております。率先垂範ということかと心得ております。

坂井委員 今、御答弁の中で率先垂範という言葉もございました。また、先ほど川口順子議員、提出者の方から、グリーン購入法という法律にも触れられたわけでありますが、私も、今回この法案を読んでおりまして、グリーン購入法というのは、国が率先垂範をするという意味では、ある意味似ているのかな、こういうような思いを持ちました。

 そこで、中身的にも、環境に配慮をする、こういうことで、似たような目的を持つこのグリーン購入法、これはもう既に平成十二年に制定されたということで聞いておりますが、このグリーン購入法と今回の法案と、似ている点、そしてまた異なる点というものを、これも提出者の方からお答えをいただければと思います。

川口参議院議員 大変に基本的な点についての御質問だと思います。

 委員おっしゃられましたように、グリーン購入法も、これも政府が率先垂範をするという意味で同じようなものでございますけれども、ほかに共通な点があると思います。まず、環境への負荷の少ない持続的な発展が可能な社会の構築を目的としているということが共通な点でございます。それからもう一つ、それを行うに当たって、消費者側あるいは需要者側がイニシアチブを持って、そして環境対策に熱心な供給側に対して働きかける、供給者を選択していくということで環境保全を進めるという、この点においてもグリーン購入法と共通点だと思います。

 違う点は何かということですけれども、幾つかございまして、一つは、対象として何を扱っているか。グリーン購入法は、大量生産をされた製品を中心といたしまして、製品あるいはそのサービスそのものを対象にしているわけでございますけれども、この環境配慮契約法は契約の結び方ということを扱っているということでございます。

 次に、仕組みといたしまして、グリーン購入法は、一般の製品等が最低限満足しなければいけない基準といいますか、その環境性能を決めているということでございまして、その観点から劣等物品は購入をしないということでございます。他方で、この法案は、優等物品やサービスを積極的に選択する、そのために、物品等の価格だけではなくて温室効果ガス等の排出コストをもあわせて評価をする、そして契約の相手方を決定するという方式を導入する。この二点が相違点かと存じます。

坂井委員 このグリーン購入法でありますけれども、もう既に実施をされてから数年たっているので、実際、これらの当初見込んだ効果がどの程度上がっているのか、それは予想どおりだったのか、それとも予想より上がっているのか、それともそこまで届いていないのかということも、ある程度把握をしているかと思います。その実施によるCO2削減量等々、具体的な数値があるのであればそれも挙げていただきながら、環境省の方にお答えをいただきたいと思います。

西尾政府参考人 グリーン購入法は平成十二年に制定されまして、平成十三年から実施されました。当初、これをどのように実施していけるかというのはかなり手探りのような状態であったと思っております。しかしながら、今日では非常に定着、効果が上がっていると思っております。

 国などの機関が、毎年度閣議決定する基本方針に基づいて調達を推進する、こういうことが義務づけられているわけでございますが、スタートのときは百一品目でスタートいたしましたけれども、現在はその倍の二百二十二品目について、環境物品としての判断を定めて調達を推進しております。

 平成十七年度の実績でございますが、ほとんどの品目におきまして、基準を満たす環境物品等の調達割合が九五%以上ということでございます。

 それから、調達による二酸化炭素の削減効果の試算ということも平成十七年度の実績でやっておりますけれども、これにつきましては、十二年度のころと、それから十七年度の調達物品、こういうもので比較をいたしまして試算をいたしました。年間では二万五百トン、これらが想定使用年数というようなことでこれから使われていくということを考えれば、合計六万一千五百CO2トンの効果が上がっておるということで、それなりの効果が上がっておるというふうに思っております。

 地方自治体につきましては努力義務ということでございますが、現在すべての都道府県及び政令指定都市において、国に準じた調達方針を作成して、調達の推進が図られるということでございますし、その他の自治体での取り組み状況も毎年上がってきているところでございます。民間にもそういう取り組みは広がっておるわけでございます。

 そういうようなことを含めまして、全体の市場にもよい効果が出ておるわけでございまして、コピー用紙では市場全体の三四%が、そういう環境に適合した、国の基本方針に定めた判断の基準を満たすような製品で占められるようになっています。自動車では六七・八%がそういう製品で占められるようになっているということで、着実な成果が上がっておるというふうに考えております。

坂井委員 今質問させていただきましたグリーン購入法と、本日質疑をしております法案というのは、提出者の御答弁の中にもありましたように、対象が違うということでもございますから、要は、今まで国等の機関が行っていた、または発注したり買ったりしていたもの、グリーン購入法で決められたものより幅広い部分を今回の法律でフォローするのではなかろうか、このように感じるわけでありますが、これらも、最終的には、今、西尾局長からも話ありましたように、地方自治体やそれから民間にも、この精神やまた制度、システムというものも広めていかなければならないだろうと思います。

 そこで、今回は、国等ということで主体が決められておりますけれども、今回の法律案で、地方自治体の扱いに関して、一点お聞きをしたい。

 それとまた、この法の精神をさっき申し上げましたように広めるためには、例えば国からの補助金というものに関して、地方に補助金を出すわけでありますが、そのときにも、例えば地方が、今回の法律に基づいた、またこの基準に基づいた契約をするというようなことを、ある種条件をつけて、そして補助金等を支給するというようなことができるのかどうか。この点についても見解をお聞きしたいと思います。

 それともう一つ、これら国の補助事業とは関係がないといった民間、先ほどグリーン購入法は民間にも広く広まっているということでありましたけれども、同様に、この法律案を広めていくためにどのようにお考えか、民間にも広めていくというためにどのような手法ややり方をお考えかということも合わせてお聞きをしたいと思います。

小林政府参考人 法の制定後の執行の話と思います。グリーン購入法につきましても、今御指摘のとおり、地方自治体、そして民間、企業にも広がりを見せている、こういうことでございます。

 今回の法案、私ども拝見させていただきますと、十一条におきまして、地方公共団体については努力義務、国に準じて、その自主性は尊重するわけでございますけれども、基本方針等々をつくって、そして、それに沿って実行するということが促されてはおりますが、義務づけてはおりません。また、ほかの法律、補助金適正化法等々、あるいは会計法というようなものにつきましても、地方自治体に補助金あるいは委託費を差し上げて国の事務をやっていただく、事業をやっていただく、あるいは地方の事務を助ける、こういう場合にも強制的に国のやり方を全くそのまま押しつけるということはできないという仕組みになってございます。

 しかしながら、グリーン購入法につきましても、普及啓発等々の力を使いまして、私どもとして、地方においてもそういったものが役立てていただけるように努力をしているわけでございます。今回のこのグリーン契約法が制定されました暁には、同じように普及啓発の中で、こういったいい方法があるということをお願いし、また、環境省自身の委託費等々におきましては、今委員御指摘のとおり、相手の合意ベースではございますけれども、そういったことをお願いし、納得をいただいた場合にはそういった執行をお願いするということでやっていきたいというふうに考えてございます。

坂井委員 どうもありがとうございました。

 それでは、次に、この法律の中で、法律の対象になっておりますESCO事業というものに対して、一点お聞きをしたいと思います。これはできたら提出者の方から御説明をいただきたいと思います。

 今回の法律でESCO事業というものが入ってまいりました。これはもちろん大事な事業であろうか、こう思うわけでありますけれども、このESCO事業に関して、国の支払いの契約期間というものが十年以内ということで、今回、この法律で書かれているということでございます。

 今まで、財政法のくくりということがありまして、国からの支出というのは五年以内ということでありましたけれども、それをわざわざこのESCO事業に関して十年ということで、ある種延ばしてきたというわけでありますけれども、その延ばしてきた理由と、延ばしたことによってどういうような効果が期待できるのかということをあわせてお伺いしたいと思います。

川口参議院議員 ESCO事業というのは、省エネ改修事業であるわけでございますけれども、期間を長く設定するということは、それだけ費用の回収期間が長くなるということでございまして、短いよりはより大きな事業ができる、したがって、より大きな省エネ効果を期待できるということであるというふうに思っております。

 おっしゃられたように、財政法上は今五年ということでございまして、それを十年に延ばしたということでございますけれども、民間で施行されている、実施をされているESCO事業につきまして、これを調べてみましたけれども、費用の回収期間というものの上限が十年であったとしても、相当効果が大きい事業が実施できているということでございます。

 したがいまして、回収期間を五年から十年に延長いたしまして、そして、一層大規模なESCO事業の実施が可能になるように、やりやすいようにしたわけでございます。

坂井委員 このESCO事業、発想やまたねらいは大変いい事業だと思いますが、国の施設、また国においての取り組み、実績というのがまだ数が少ないということも聞いておりますので、これは環境省の方も、また今後、こういう形で法律を変えた以上は、しっかりとした実績が出るようにこれを推進していただきたい、このようにお願いをさせていただきたいと思います。

 地球温暖化というのは、私たちが二十世紀、二十一世紀に入って初めて直面をした問題であり、今まで私たちの御先祖、先輩方は恐らく全く関係してこなかった、初めて私たちが直面をした課題だと思っております。これは、単に何かをしたから、一つ事を変えたから済むという問題ではなくて、私たちの日常の生活一つ一つから意識を変えていかない限りこれは解決しない問題であります。

 例えば、私の事務所におきましても、夏、冷房を例えば二十六度に設定をしよう、こう言っても、知らないうちにだれかが二十度に変えているということが多々あるわけでありまして、事務所の中におきましても意識を共有するということがなかなか難しいわけであります。そういった意味におきまして、この法律を一つのすばらしい契機にして、また地球温暖化の対策が進むことを私も期待をいたしております。

 最後に、参議院の先生方、また議員立法ということで提出をされました皆様方の御労苦に敬意を表しまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

西野委員長 次に、末松義規君。

末松委員 民主党の末松でございます。

 きょうは、参議院の議員の皆様方がおまとめいただいたこの環境配慮契約法ですか、それについて審議をするということで、まとめていただいた御労苦に対しまして改めて敬意を表します。

 民主党の方でも、脱温暖化、温暖化防止ということで、そこにおられます福山哲朗議員が中心となりまして、民主党の脱温暖化基本戦略というものをこの間まとめたばかりでございます。そういった意味から、一つ一つやれるところから脱温暖化を進めていくということが極めて重要だと思っております。その趣旨で、この法律は非常に意味があるというふうに私も考えております。まず隗より初めよということで、公的なセクターからしっかりとやっていくということが、時代の雰囲気を、またムードをつくっていく上でも非常にいいですし、それを実態として確保していくんだろうと思います。

 では、私の方は、順次この法案について質問させていただきます。

 まず、先ほども議論がございましたけれども、グリーン購入法というものとそれから今回提案されておりますこの法律の違いといいますか、むしろ、ちょっと対象範囲が広いのかなという御説明もございましたけれども、その辺のところから御説明をいただきたいと思います。

福山参議院議員 末松委員にお答えいたします。

 この法案は、大きな目的でいえば、官庁のCO2排出量を削減すること、それから、国民の税金を結果として無駄遣いに終わらせないようにすること、それから、安かろう悪かろうという製品やサービスの横行を防止していくこと、このことが大きな目的としてあります。この場合の安かろう悪かろうの悪かろうというのは、もちろんCO2の排出係数が高いということでございます。

 こういった観点から、本法案は、国等による環境負荷、いわゆる温室効果ガスの排出等を削減するために、国等が結ぶ契約について、競争を促しつつ、価格等をも含め総合的に評価をして、そして最善の環境性能を有する物品やサービスを供給するものと契約をしていこうという仕組みをつくるものでございます。ですから、本法案は、国等が行う契約行為を対象とさせていただいています。

 しかし一方で、グリーン購入法は、契約を対象としているのではなくて、いわゆる製品でございまして、具体的に申し上げれば、紙類や文具類やいす、OA機器、家電製品、そして、例えば制服、作業服、インテリア等の大量生産された製品を中心として、そのことを最低満たすべき環境性能を規定していまして、要は、その環境性能に届いていない物品は購入をしないという形になっておりまして、まず、先ほど委員がおっしゃられましたように、対象が全く異なっているということでございます。

末松委員 そうしますと、具体的にはどういうふうな事例といいますか、適用の範囲というのは、どういうふうな範囲の契約を含むというふうに考えればよろしいでしょうか。

福山参議院議員 お答えいたします。

 この場合には、今申し上げましたように、排出の効果を考えながら、物品等の価格だけではなくて、温室効果ガス等の排出コストもあわせて現実には評価をして、そして、総合評価方式という形の中で契約の相手側を決定する、それを導入するということになります。

末松委員 そうすると、そういう排出ガスのコストとか、それから、そういう総合評価をする際に、コストを算出するためのいろいろな前提がまた必要になってきますが、そういうことで社会のCO2の排出の意識というものを高めていこう、そういう趣旨でございますか。

福山参議院議員 御指摘のとおりでございます。

末松委員 本法案の対象となる、「国等」というふうなことが書いてございますし、また、「独立行政法人等」と書いてございます。この「等」、エトセトラについてなんですが、これにはどういうものが含まれることになりますでしょうか。

福山参議院議員 お答えいたします。

 今御質問にありました「国等」には、この法案の第二条第二項に定義をされていますように、国、それから独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人を指します。そして、そのうちの「独立行政法人等」というのは、やはり同条第三項に定義をされていますとおり、「独立行政法人又は特殊法人のうち、その資本金の全部若しくは大部分が国からの出資による法人又はその事業の運営のために必要な経費の主たる財源を国からの交付金若しくは補助金によって得ている法人であって、」具体的には政令で定めることとしております。

 また、国等の公的機関は環境保全の取り組みについて率先垂範が求められることから、国や公共性の高い独立行政法人、特殊法人等を本法案の対象としたものでございまして、ちなみに、グリーン購入法等の政令で定める独立行政法人等の中には、例えば、独立行政法人国立環境研究所や国際協力銀行なども含まれておりまして、グリーン購入法の範囲によれば二百の法人が今定められておるところでございます。

末松委員 そういう対象とした理由についてもお聞かせいただけますか。

福山参議院議員 済みません。今のはちょっと先に答えてしまったんですけれども、要は、国など公的機関はとにかく率先垂範をしなければいけない。先ほど末松委員が言われたように、まず国や地方公共団体や独立行政法人等がやるということによって、広く民間や国民にも示していきたいという思いで対象といたしまして、地方公共団体については、国に準じて、温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に努めるよう、この場合、努力規定になっていますが、それは公共団体の自主性を尊重し、この法案では一応努力規定ということにさせていただいています。

末松委員 今地方公共団体の話が出ましたけれども、この法案のように、二酸化炭素の排出量を考慮して契約が既に行われている、そういった全国の事例というのはございますでしょうか。

福山参議院議員 現在、横浜市、東京都、愛知県などで二酸化炭素の排出量等を考慮した電力購入契約が実施または実施予定であると承知をしています。

 ちなみに、その具体的な内容は、入札参加資格として排出係数の数値の上限を定めるなどの、いわゆるすそ切り方式で導入しているものがありまして、特に、例えば例を挙げますと、横浜市などでは、二酸化炭素の排出係数や新エネの導入状況や、それから未利用エネルギーの活用状況や、その他の環境配慮事項の合計値が一定以上のものに対して、入札参加資格を与えるというような工夫を凝らしているというふうに承知をしています。

末松委員 今、電力購入契約ですそ切り方式というのですか、そういうお話の例が出ましたけれども、この法律が適用された場合には、みんながそういったすそ切り方式という話になるんでしょうか。それとも、何か別途新たな方式というものがまた採用されることに予定されているんでしょうか。

福山参議院議員 先ほども申し上げましたように、この法案においては、地方公共団体については、その自主性を尊重して、基本方針の策定などは努力義務としていますが、この法案が成立をし、施行した後においては、国において環境に配慮した電力の入札が行われるということで、既に取り組みが行われている地方公共団体以外でも同様の取り組みが行われるというふうに、すそ切り方式も含めて、総合評価方式というようなものがそれぞれの公共団体で工夫をされて導入されるように期待をしているところでございます。

末松委員 できれば、この法律がある程度普及、ある程度じゃなくて普及をしっかりとして、その第二段階として、地方公共団体でも、努力義務ではなくて、そういったことをまたきちんとやっていただくような段階が来るのかもしれません。そういったところまで地方の自助努力というものをウオッチしながら、国から、新たな基準を設定するとか、あるいは、そういったものを押しつけるという言い方じゃないけれども、参考にしていただくような基準を定めるとか、そういうところまではお考えになられてはおられないでしょうか。

福山参議院議員 今のところは努力規定ということで、そこまでの考えはありません。

末松委員 もうちょっと具体的にお話をさせていただきますと、例えば建築設計の契約相手方を決めるのに、プロポーザル方式というのとコンペ方式、こういう方式があると聞いているんですけれども、その辺の違いと、このCO2削減という意味において、どちらがより望ましいと思われるのか、その点についてもお伺いしたいと思います。

福山参議院議員 これは、私も建築の専門家ではありませんので、うまく説明できるかどうかよくわかりませんが、プロポーザル方式というのは、建築物の基本設計を提案させて、企画というような形で技術力やノウハウや知恵をそれぞれの設計者に競わせて、現実にまずスタートする。その後、実施設計を行わせる者を選定していきます。しかしながら、コンペ方式ですと、設計図を含む実施設計を提案させて、建築物の設計そのものを競わせるので、選定された設計に沿って実際に工事も行われていくということになります。

 そうすると、例えばコンペ方式では、完成された設定図を求められるので、当初応募する設計者側の負担やリスクというのが非常に大きくなります。そういう点をかんがみて、新築の官公庁の施設の工事に対しての設計については、最近は原則としてプロポーザル方式を導入しています。

 このプロポーザル方式を導入しているということを前提にして、この法案に盛り込まれた例の基本方針の中に、環境配慮を仕様書に詳細に規定をしていくとか、価格競争ではなくてプロポーザル方式で建築設計者に環境配慮を求めていくというようなことが、我々としては期待をしているところでございます。

 一方、先ほど末松委員からお話がありました自治体の問題でございますが、地方の自治体の場合には、まだ建築物の設計業務の大部分はほとんどが価格競争入札方式になっています。そうすると、環境保全上の環境評価というものがなかなか評価として受けにくい形になっていますので、この法案を受けて、先ほどの話と同様になるんですが、より環境保全上の取り組みを評価することが組み込まれたプロポーザル方式を地方自治体においても実施されることを強く期待しているところでございます。

末松委員 この環境配慮契約法案が実施をされて、そして、先ほど契約でも何でも、脱CO2マインドですか、それが企業人の頭の中にしっかりと根づく、あるいは国民の間に根づいていく、こういうことを推進する上で、この法律は私もきちんと推進すべき法律だと思っております。

 そういったことを、さらにこれがまた起点となって一層のCO2削減に資することを期待いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

西野委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 本日は、この環境配慮契約法について、提出者の皆様、また政府の方に確認をさせていただきたいと思います。

 現状でございますけれども、我が国の温室効果ガスの排出量というのが、九〇年比で一四・一%も増加しておりまして、京都議定書の六%削減約束の達成というのは大変に厳しい状況ということでございます。しかしながら、我が国は、京都議定書を取りまとめた会議の議長国としても、また来年にはG8サミットがございます、その議長国としても、京都議定書の削減約束は何としても達成していかなければならない重要課題でございます。

 このような中で、民間に対しても十分な取り組みを求めるためにも、政府においてはこの取り組みにおいて率先垂範が強く求められているところでございます。

 このような中で、価格競争をしつつも、国等で結ぶ契約を環境に一層配慮したものとすることを目的とする本法律案が提出されたことは、まことに時宜を得たものであると思っております。私も、法案の取りまとめ段階でかかわらせていただきましたので、大変に思い入れが深いものがございます。

 早速質問をさせていただきますが、この法律案で対象とされる「国等」の「等」についてお伺いをさせていただきます。

 これは、提出者にお伺いをさせていただきますが、このことは、法律案の第二条第二項に定義がございますように、「国、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人」とございますけれども、対象範囲をここまでにする理由についてお伺いをしたい。また、あわせて、「国等」には我々立法府やまた司法も入ると思うわけでございますが、御答弁をお願いいたします。

加藤(修)参議院議員 江田議員にお答えいたします。

 今御指摘のありましたように、第二条第二項に定義されておりますように、「「国等」とは、国、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人」であるわけでありまして、国会や裁判所も、財政法上、政府とともに国の機関であり、この法律の対象になる。国立国会図書館も入りますし、あるいは議員会館、宿舎等もこの対象に入るわけであります。

 それから、「独立行政法人等」とは、同条の第三項に定義されておりまして、「独立行政法人又は特殊法人のうち、その資本金の全部若しくは大部分が国からの出資による法人又はその事業の運営のために必要な経費の主たる財源を国からの交付金若しくは補助金によって得ている法人であって、」具体的には、先ほどこちらからも答弁させていただいたとおり、政令で定めることになってございます。

 国等の公的機関は、環境保全への取り組みについて率先垂範が強く求められていることから、国やいわゆる公共性の高い独立行政法人、特殊法人等を今回の法案の対象としたものでございます。

 なお、先ほど来から答弁がございますけれども、地方公共団体、地方の独立行政法人については、国に準じまして、温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に努めるよう求めている、その自主性を尊重しているところというふうに考えてございます。

江田(康)委員 今加藤先生から御答弁がございましたように、本法律案では、国等がその対象になっているわけでございます。

 したがって、民間事業者は対象にしていないということでありますが、しかし、京都議定書の六%の削減約束を達成するということにおきましては、増加している民生部門等の、例えばオフィスビルとか家庭等、その排出削減が喫緊の課題であるわけでございます。

 そのような意味で、本法律が施行されることによりまして、私としましては、民間事業者への波及効果について大いに期待するところでございますけれども、この法案は民間に対してどのような影響を及ぼすことになるか、その点についてお答えをいただきたいと思います。提出者の加藤先生、お願いします。

加藤(修)参議院議員 本法律案は、国等の温室効果ガス等の排出抑制が十分に進んでいない、そういった現実を踏まえまして、国等の率先的な取り組みを推進する、そういう観点から国等の取り組みを求めるものでありまして、御指摘のように、民間事業者を対象としていないわけであります。

 ただ、民間企業も環境に配慮した取り組みを進めることが望ましいことは言うまでもない話でありまして、本法律案の制定あるいは施行を通じまして、いわゆる環境に優しい製品やサービスを提供する民間企業への需要がふえる。国が率先してやっていくわけでありますから、民間から購入するということを含めて、そういったことを考えてまいりますと、需要がふえること等を通して、民間の取り組みに対してもよい影響を及ぼすことが期待できるというふうに考えております。そういった意味では、ある種の広がりが出てまいりますので、意識の向上とかあるいは啓発効果としても十分あるのではないかな、このように考えております。

江田(康)委員 一層の民間への波及効果を期待していきたいと思うわけでございますが、それに加えて、私は、この法律案とは別ではございますけれども、省エネ型の建物、省エネ住宅を民間に普及させる方法としまして、一方では、省エネ建築物や省エネ住宅を新築した場合またはリフォームした場合に、所得税とか固定資産税を減免するなどの税制優遇措置を講じることは極めて有効であると思っております。そのような意味で、この環境配慮契約法の民間への波及効果を期待すると同時に、こういう省エネ建築物税制の創設等にこれからは大きく取り組んでいかなければならないということを政府にも申し上げたいわけでございます。

 引き続き、加藤先生、提出者に質問をさせていただきます。基本方針についてでございます。

 この法案では、グリーン契約の望ましい内容が基本方針へとゆだねられているように見受けられます。発議者として、電気の供給を受ける契約やESCO事業については、基本方針においてどのように定められることが適当と考えられますでしょうか。とりわけ、条文だけでは内容がわかりにくい、使用に伴い温室効果ガス等を排出する物品の購入や建築物に関する契約につきましては、基本方針においてどのように定めることが適当と考えられますでしょうか。

加藤(修)参議院議員 江田委員の、冒頭のいわゆるグリーン税制等を含めて、そういった税制優遇を考えていくということについては、この法案の関係じゃございませんが、私も全く基本的に賛同いたします。

 それで、お答えでございますが、仮に細かな契約手続を法律で規定した場合には、契約の方法が時代の変化に対応できない、そういったおそれもありますし、その詳細は基本方針ということに考えておりまして、これは閣議決定をするということに当然なるわけであります。

 それで、御指摘の点でございますけれども、法案の中におきましては、基本方針を政府が策定する場合に、いわゆる地球温暖化対策法の政府実行計画の実施の効率的な推進に役立つようにする、それとともに、エネルギーの安定的な供給に配慮する内容になることを求めております。さらに、国等の責務やほかの契約に関する施策あるいは温室効果ガス等の排出の削減等に関係のある施策との調和に配慮をして定めるというふうに考えておりますし、さらに、複数の大臣の関与のもとでの策定、公表等に関して、詳細な手続規定を置いてございます。そういった意味では、内容も適切なものになると考えてございます。

 それで、具体的に江田委員から御指摘がありました電力の購入契約の関係につきましては、当分の間、二酸化炭素の排出係数等の入札参加資格を定め、その上で、その資格を満たすものの価格について落札者を決定する、いわゆるすそ切り方式を採用することにしているわけでありまして、その排出係数は、購入予定の地域において競争が十分に成り立つ程度の数値にすることが必要でありまして、そういった意味では、庁舎管理者、入札実施者でありますけれども、地域の実情に応じて判断することができるようにする旨を基本方針に記載するということが考えられます。

 また、ESCO事業については、法律案によりまして、国の債務負担行為の特例といたしまして、先ほど来話がありますけれども、十年間の債務負担行為ができることとなるわけでありまして、基本方針においては、その対象となる契約の範囲、それから契約の相手方の選定方法などを記載することが考えられます。

 さらに、使用に伴って温室効果ガス等が排出される物品の関係でございますけれども、例えば、これは自動車を想定しておりまして、入札価格、これは車両価格ということでありますけれども、そういう車両価格だけではなくして、環境性能の指標としてランニングコスト、これは生涯の燃費、使用量とかあるいは自動車の重量税、そういったものを考えていくことに当然なってくると思いますけれども、そういった意味では、トータルにコストを評価して落札者を決定する、そういうことも基本方針の中に書くことになると考えてございます。

 最後に、先ほども建築物の関係に話が議論としてはあったわけでありますけれども、建築物の設計に関する契約を想定しておりまして、いわゆる建設設計段階において価格を競わせてしまいますと、安価だが質の悪い提案が選定されるおそれがある。こういったことを最大限回避するために今回の法案の一つの目的があるわけでありますけれども、このため、発注者が示す発注条件の中で、設計者が有する環境に配慮した設計ノウハウをどれだけ生かせるか、そういう知恵を競わせる、それで設計者を決める、いわゆるプロポーザル方式の方が適切であると考えておりまして、そういったことについても基本方針に記載するということが考えられているわけでございますので、この辺についても御理解のほどよろしくお願いいたします。

江田(康)委員 今御答弁がありましたように、基本方針において、適切な環境配慮の契約がなされていくように、その具体的な方向性が示されるということでございますので、それに向けて政府としても努力をしていっていただきたいと思うわけでございます。

 この環境配慮契約法、今回提出されて成立に向かうわけでございますけれども、このような法案が成立することで、政府が率先垂範して、温暖化対策に、環境に配慮した契約を政府内で結び、また大いに推進していくことができる、そのように大いに期待されるわけでございますが、最後に環境大臣にお伺いをさせていただきます。

 大臣は所信表明で、環境の知恵が報われるような社会をつくるということを述べられております。私も、エコビジネスなどを大いに伸ばしていく必要があると思っております。そのためには、お金を払うべきものには払うということが大事だと思います。安かろう悪かろうということではいけないわけでございまして、環境大臣とされまして、安かろう悪かろうではない消費者選択の実現に向けてどのように取り組んでいくおつもりか、その決意をお伺いさせていただきます。

若林国務大臣 委員がおっしゃっていただきましたように、私は、所信におきまして、環境への取り組みが経済や地域社会の活性化にもつながるような、環境、経済、社会の側面が統合的に向上するような社会を実現するためには、環境を守るための知恵や労力が経済的にも社会的にも報われるような仕組みづくりが重要だというふうに考えている旨述べたところでございます。

 このたびの法案を制定していただいた暁には、政府としても、その内容に即しまして国の省庁が足並みをそろえて環境に配慮した契約締結を進めることとなり、また、その結果、環境に前向きに取り組む企業の製品やサービスが有利となる、環境と両立する新しい経済づくりに役立つことが期待されているところでございます。

 環境省としては、環境の大切さについての学習や啓発を徹底することはもとよりでございますけれども、やはり議員立法でありましたグリーン購入法に基づき環境に優しい商品などを積極的に選択するということや、この法案に基づいて契約における環境配慮を率先して実施することによりまして、環境と経済を好循環させていく、そういう動きを地方や企業、国民に向けて大いに広げてまいりたい、このように考えております。

江田(康)委員 時間でございますが、この法案の成立、施行後、政府においては、みずからの温室効果ガスの排出量の削減に取り組むことは当然でございますけれども、このような取り組みが民間でも積極的に取り組まれることによって、環境がよくなれば経済がよくなる、経済がよくなれば環境がよくなるといった環境と経済の好循環づくり、今大臣が申されました、そのような環境づくりに積極的に取り組むことを大いに期待したいと思います。

 最後に、この法案の作成に御尽力をいただきました川口順子先生、また加藤修一先生、そして福山哲郎先生に大いなる敬意を表したいと申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

西野委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

西野委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 参議院提出、国等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

西野委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

西野委員長 次に、環境保全の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として金融庁総務企画局審議官細溝清史君、金融庁総務企画局参事官山崎穰一君、厚生労働省労働基準局安全衛生部長小野晃君、国土交通省大臣官房審議官和泉洋人君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長由田秀人君、環境省総合環境政策局長西尾哲茂君、環境省総合環境政策局環境保健部長上田博三君、環境省地球環境局長南川秀樹君及び環境省水・大気環境局長竹本和彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

西野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。筒井信隆君。

筒井委員 民主党の筒井信隆でございます。

 今採決された法案にも関係をいたしますが、環境省の施策としても、脱炭素社会、あるいはバイオマスエネルギー、再生可能エネルギーの導入加速化、これが重点項目として挙げられているわけでございますが、その点の関連でお聞きをしたいと思います。

 この再生可能エネルギー、新エネルギー、その二つの概念は違うという解釈もございますが、これらを、環境省としては、一次エネルギーの次元で結構ですが、どういう導入目標を掲げておられるんでしょうか。それをまずお聞きします。

若林国務大臣 太陽光でありますとか風力あるいはまたバイオマスエネルギーなどの新エネルギーは、地球温暖化対策に大きく貢献すると位置づけられておりまして、その導入の促進は低炭素社会の実現には不可欠である、大変大事なことだというふうに認識をいたしております。

 その新エネルギーの導入の目標でございますが、京都議定書目標達成計画におきまして、二〇一〇年度までに原油換算で千九百十万キロリットル、マイナスCO2で四千六百九十万トンと定めているところでございますが、まずはその達成に向けて全力で取り組む所存でございます。現実にはなかなかその導入に難儀をいたしておりますが、これはどうしても達成しなきゃならない、そういう目標を定めているところでございます。

 さらに、新エネルギーの導入の割合を中長期的には高めていくべく、新たな技術の開発も含めまして、その導入の促進に、引き続き積極的に取り組んでまいりたい、このように考えております。

筒井委員 原油換算で千九百十万キロリットル、これは、水力を含まない、新エネルギーに限定しての目標でございますね。これを一次エネルギーで換算しますと一次エネルギーの三%にしかならない、極めて低い目標なんですよね。しかも、二〇一〇年というとあと三年しかないんです。この短期の目標しかない。先進国の中でも最も低い目標ではないかと思うんです。それで地球温暖化に対する十分な対策と言えるか、極めて不十分ではないかというふうに考えているんです。

 これをもっと大幅に環境省としては延ばすべきではないか、あるいは二〇一〇年を二〇三〇年にして、二〇三〇年に関する一定の意見も出ているようですが、もう少し長期にしてでももっと大きな目標を掲げなければ、京都議定書の達成さえ不可能ではないでしょうか。

南川政府参考人 筒井委員御指摘のとおり、私ども、ぜひこの目標は達成したいと思っております。

 ただし、現実に、二〇〇八年から二〇一二年という五年間での京都議定書の議論を考えますと、技術それから経済性、そういったものを考えても、多分今の数字がぎりぎりだと思います。そこにつきましては、それ以外の省エネ技術なり、あるいはふだんの皆さんの国民運動ということで御協力いただいて省エネするとか、さまざまな工夫で乗り切っていきたいというふうに思っております。

 なお、当然でございますけれども、早晩、世界全体での排出量と吸収量を一緒にしなければ温暖化はとまらないわけでございまして、それに向けては、省エネだけではなくて再生可能エネルギーの開発利用ということもぜひ推し進めていきたいと考えております。

筒井委員 新エネルギーには、もちろん、今大臣も言われましたように、太陽光、太陽熱、地熱、風力、それにバイオマス、いろいろなものがあるわけでございますが、これから以後は、バイオマスに関して、バイオマスエネルギーについてお聞きをしたいと思います。

 今の地球温暖化が発生した最大の原因は、やはり、石油を初めとした地下の資源を大量に掘り起こして、そして地球温暖化ガスを大量に地球にまき散らした、これが最大の原因でございまして、石油からエネルギーをつくるだけではなくて、プラスチックを初めとした化学品も全部つくる、日常生活が石油の上に浮かんでいる、これが大きな原因になっているわけでございます。

 しかし、バイオマス、一言で言うと生物資源でございますが、植物は、エチレンというまさに石油と同じ成分を含んでいる。だから、バイオマスからエネルギーをつくることもできるし、あるいは、プラスチックを初めとした化学品をつくることもできる。このバイオマスを石油代替の原料として使えば、まさに地球温暖化ガスをふやすことがなくなる。これをもっとふやしていかなければいけないと思うわけでございますが、新エネルギーの中におけるバイオマスの比率とかバイオマスの重要性については、どう考えておられるでしょうか。

南川政府参考人 バイオマスにつきましては、先ほどの千九百十万キロリットルのうち三百八万キロリットルを想定しております。したがって、大体全体の六分の一程度ということになります。御指摘のとおり、私どもも、バイオマス利用は大変重要だと思っております。そういう意味では、ぜひこの分野にこれからは力を入れたいと考えております。

筒井委員 そのバイオマスエネルギーとしては、今非常に世界じゅうを騒がしているエタノール、バイオエタノールをつくってガソリンにまぜる、あるいは、ガソリンのかわりに車の燃料として使う。あるいは、菜種油、大豆油等からディーゼル燃料をつくって、これも車の燃料として使う。こういうふうな形のものが今実際に行われているわけでございますが、ブラジルの場合には、一〇〇%このバイオエタノールで走っている車が結構たくさんある。アメリカでは、ガソリンに二〇%ぐらいまぜて走らせている車がたくさんある。日本の場合にはE3、三%しかまぜることができない、こういう現状でありまして、極めておくれているとこの点でも言わざるを得ない。

 今、先進国で、三%しかバイオエネルギーをまぜることができない、そういう規定になっている国はほかにもありますか。

南川政府参考人 三%ということで法律上決められているという国は日本だけだと承知をしております。

筒井委員 日本だけしか先進国でそんな低いものはない、この現状は極めて不十分である。しかも、これをE10に今度変えるのが、あと二十年後を目標にしているんですか。その目標について答えてください。

南川政府参考人 私どもの計画では、E10については、二〇二〇年を目途にその全面的な導入を図るということを計画しております。

筒井委員 今現在、先進国では日本だけが三%しかまぜちゃいかぬという法的な義務づけをしている。それを一〇%に上げるのに二〇二〇年を目標にしている。余りにも遅過ぎませんか。

南川政府参考人 非常に残念なんですけれども、それが現状であります。

 ただ、御存じのとおり、E3も実は大変苦労しております。私どもとしては、まず三%を早く普及して、その後速やかにE10あるいはE20というところに移っていきたいと考えております。

筒井委員 今三%しかまぜちゃいかぬから、このバイオエタノールや何か、バイオエネルギーがなかなか進まない、こういう理由もあるんですよ。先進国では一〇%あるいは一〇〇%、二〇%、ここまでいっていれば大量生産も可能だし、需要も起こってくる。何でこんな、三%しかまぜちゃいかぬという義務づけをしているんですか。

南川政府参考人 この三%ということが決められているのは、揮発油等の品質の確保等に関する法律ということで、その数字が上限として決められているところでございます。これにつきましては、二〇二〇年という大分先でございますけれども、経済成長戦略大綱の中でも、E10に対応していくんだ、それに向かっていくんだということを明記しております。

 私どもも、御承知のとおり、既に幾つかの国内メーカーは、すべての生産車両についてE10も大丈夫だということでの安全対策を講じております。その旨、発表しております。実際に世界各国で使われておりますし、日本のメーカーが輸出をしておるわけでございますから、それに対する技術は十分あるわけでございます。

 私ども、現状が三%もなかなか普及ままならないという状況でございますので、それを踏まえつつ、なおかつE10につきましては、それが可能となるような必要な調査をしたい。やはり、まだ、自動車排ガスの影響についても我が国としてきちんと調べておきたいということでございまして、国交省及び環境省で排ガスの影響についてきちんと点検をして、近い将来のE10の対応ということが可能になるような基礎づくりを急ぎたいと考えております。

筒井委員 自動車メーカーは、ブラジルに輸出している車に関しては一〇〇%バイオエネルギーで走る車、既に日本の自動車メーカーもそれを製造して輸出しているでしょう。技術的には十分可能でしょう。それを日本の法律で、三%しかまぜちゃいかぬ、こういう義務づけして、枠づけしているんですよ。地球温暖化を防止する、防止すると言いながら、実際はそれを防止しないようにしているんですよ。だから、何で三%しかまぜちゃいかぬというふうに義務づけしているのかという実質的な理由を聞いているんです。

南川政府参考人 これにつきましては、先ほど申しましたが、揮発油等の品質の確保等に関する法律で、安全の観点から、現在、今の日本を走っている車種どれでも絶対大丈夫だというのが三%だということだけだと承知をしております。

 ただ、御指摘のとおり、当然ながら、日本のメーカーは世界に輸出をしておりますので、私どもとしては、まずE10について、それが問題ないんだということを環境面から証明できるような作業を急ぎたい、環境省としてはできるだけ早くその上のステップに移れるような準備をしたいと考えております。

筒井委員 アメリカ、イギリス等々の諸外国で、E3よりももっといっぱいまぜて走っている、あるいは、まぜなくて純粋なバイオエネルギーだけで走っている、そのことによって環境面で何か問題が起こっていますか。

南川政府参考人 私ども、現在、特にそういう情報は得ておりません。ただし、日本でやりますときには、日本としてきちんと安全面のチェックは行いたい、ぜひ急ぎたいと考えております。

筒井委員 こういうエンジン構造を持っている車でなければ安全面が不安であるとすれば、そういうエンジン構造の車だったら一〇%、二〇%まぜてもいい、こういう規定にすればいいんですよ、もしそうであれば、エンジンの品質基準を決めて、そういうこともやっていない。一律全部三%以上まぜちゃいかぬという、これは環境省としては、私は、地球温暖化防止対策について本当に真剣に考えていないことだと言わざるを得ないと思うんですね。

 そして今度、つい最近、石油連盟が、東京都でもってバイオエタノールをガソリンスタンドで販売を始めました。ただ、あれはETBEといってバイオエタノール純粋のものじゃないわけですが、石油連盟は前からバイオエタノールを使うことに反対をしている。そして、ETBEに限定をしている。

 環境省としては、この二つの関係についてはどういうふうに考えておられますか。

南川政府参考人 私ども、石連の事情について余り詳しくは承知をしておりません。ただし、この問題を担当しております資源エネルギー庁の幹部とは、私どもも頻繁に、私自身が頻繁に打ち合わせをしておりまして、何とか、現状の石連等の状況は踏まえつつも、いち早くまずE3が進むように、E3かETBEかはともかくとして、三%のエタノールの導入が進むように、それで次のステップに移るような話し合いをしていきたいと思います。

筒井委員 石油連盟が主張しているETBEは、これは石油の精製施設が必要だから、大規模な工場が必要になってくるわけですね。だけれども、エタノールであれば、例えば、後でもお聞きしますが、間伐材だとか、減反田における多収穫米だとか、あるいは雑草だとか、各地域に分散した施設が可能になる。

 私は、その意味ではエタノールを進めるべきだと思いますが、環境省としては、そのどちらかに限定して導入を促進しようとしているのか、二本立てでやろうとしているのか、その点をお聞きしたいんです。

南川政府参考人 まず、環境省としては、三%ということであれば、ETBEであってもエタノールであってもE3であっても、問題ないと思います。

 業界が主にETBEで今進めておりますのは、かつてMTBEを使った経緯がございます。これ自身は安全性の問題から今使えないことになっておりますけれども、その施設が使えるということで、当面ETBEを進めたいということで承知をしておりますが、ただ、これ自身が全部輸入をしております。そういう意味で、さらにこれからその規模を拡大するということが大変難しいと思います。

 そういう意味では、エタノールを使ったE3についても並行して導入をしてもらいたいということで考えております。

 また、委員御指摘のとおり、将来的にそれがE10、20ということを考えた場合には、エタノールがはるかに大きな可能性を持っているというふうに考えております。

筒井委員 今の答えは、基本的には私もそう思っています。

 それで、今輸入していると言われました。ETBEはほとんどフランスから輸入して、日本のガソリンスタンドで売っている。これはやはり日本国内において、日本国内のバイオマスを活用したバイオエネルギーをつくることが本筋だと思うんです。そのためには、やはりコスト的にガソリンに対抗できるものにならなければいけない。それが今非常に難しいわけでございますが、だから、バイオエネルギーの建設、販売に関するいろいろな支援が必要になってくると思います。

 実際、今支援があるわけですが、建設支援、今のところあるのは建設支援だけなんだよね。それは環境省はほとんどないかもしれないが、経済産業省やあるいは農林水産省において建設支援がある。

 しかし、それだけではなくて、流通に関する支援、販売に関する支援、それから税制上の支援、これらも必要である。これは地球温暖化対策の大きな手段になるわけでございますから、そういう支援制度全体を整備しなきゃいかぬと思いますが、その点についてはどうでしょうか。

南川政府参考人 筒井委員の御指摘のとおりだと思います。

 現状を申しますと、やはりバイオ燃料の価格、現状ではまだまだガソリンよりも高いということがございます。原料の調達、燃料の製造、流通、販売、これを考えますと、かなりコスト高になるということが予想されております。

 それにつきまして、私ども、各省と協力しながらでございますけれども、輸送用バイオ燃料の供給拡大、それから流通環境の整備、そういった面での支援を行っているところでございます。

 委員御承知の沖縄県宮古島における全島規模でのエタノール生産、E3供給の実証、それだけではなくて、今大阪で始めておりますけれども、大都市圏でE3ガソリンをつくるためのバイオエタノールの製造、それから、E3のガソリンスタンドでの販売、こういったことも行いたい、支援をしていきたいと思います。

 それから、バイオ燃料の製造施設、ガソリンスタンドなどの流通設備の整備についての民間事業者の取り組みの支援も行っていきたいと思います。

 御指摘のとおり、やはりコストを考えたときには税制が大事でございます。昨年度でございますけれども、農水省と共同で、バイオ燃料に付随してのガソリン税等の非課税措置を要求いたしました。残念ながら、今、引き続き検討課題ということになっております。

 支援それから税制含めて、ぜひ、私ども全面的にこれから強化をしていきたいと考えております。

筒井委員 ドイツでは、菜種油のバージンオイルからディーゼル燃料をつくって、それがガソリンスタンドでガソリン、軽油と並んで売られていて、しかし、その菜種油からつくったバイオディーゼル燃料の方が安い。安い最大の理由は非課税にしている。だから、そっちの方がずっと普及している。こういう事情があるわけでございまして、今、農水省と共同して、財務省の方に税制支援制度について要請をしたと言われました。それはいつしたんですか。そして、いつ回答があるんでしょうか。

南川政府参考人 要求をしたのは八月の末でございます。これは予算とセットで、税制についても要求を八月末日にいたしました。(発言する者あり)済みません、昨年でございます。昨年の八月でございます。

 これにつきましては、予算編成の少し前でございますが、昨年の十二月の中ごろまで調整をいたしまして、結局、引き続き検討しようということになったところでございます。

筒井委員 それらを進めていかなければいけないし、先ほどから強調しておりますように、環境省含めた日本の政府の対応は余りにもおくれ過ぎている、これを強調しなきゃいかぬわけですが、同時に問題点も起こっている。

 特に今、世界的に石油高騰の折、バイオエネルギーの方に、サトウキビとかトウモロコシとか、あるいは菜種、大豆関係がみんな回ってしまって、それらの食料に回す分の値上がりが世界市場で大幅に起こっている。砂糖も値上がりしているし、マーガリンも値上がりしているし、これらの問題点を日本においては解決しながらやっていかなきゃいけない。

 やはり解決する方法は、食料からバイオエネルギーをつくるのではなくて、セルロースを中心とした、間伐材とか稲わらとかあるいは雑草とか食料に回せないセルロースを原料としたバイオエネルギーをつくる、そういう方法しかないと思うんですが、そういう食料と競合するバイオエネルギーではない形をつくることについては、環境省はどういう方針でしょうか。

南川政府参考人 私ども、御指摘のとおり食料と競合してはいけない、そういう観点で、このバイオマス燃料の拡大を広めていきたいと考えております。

 実際に、私も職務柄いろいろなNGOの方にお会いしますけれども、例えば、アメリカが大量にトウモロコシを買い集めたという結果、メキシコの主食であるトルティーヤですか、これが何倍にも値上がりして、低所得者層が食料不足に悩んだとかいうことも聞きました。また、ブラジルで砂糖の値段が一気に上がったということも聞いております。

 そういったことも踏まえまして、私どもとしては、ぜひ国産のバイオ燃料の大幅な拡大という、政府のまとめの中でも、食料用、飼料用との競合に留意しながらやるんだということで考えております。例えばサトウキビでございますけれども、砂糖を搾った後の糖みつを原料として使いたい。それから、廃棄物につきましては、それを原料としますけれども、木質のセルロース系原料を使うということで、できるだけセルロース系のもの、あるいは、廃棄物として出てきてほかに使いようのないものからバイオ燃料をつくっていくということが必要だと考えておるところでございますし、私どもの予算をつぎ込んでみずから行うあるいは支援する事業も、そういったものに重点を置いてやっていきたいと思います。

    〔委員長退席、石崎委員長代理着席〕

筒井委員 バイオエネルギーあるいはバイオマスの活用に関してはまだ聞きたい点があるんですが、不法投棄問題について、既に被害も生じている面があって、そっちの時間がなくなると困りますので、そっちの方もお聞きして、時間の余裕があれば、またバイオマスの方に戻りたいと思います。

 環境省の重要な仕事として不法投棄対策がございます。不法投棄撲滅アクションプランというのもございます。環境省のそれらの報告を見ますと、近年、不法投棄は、四十万トン、千件前後で推移している。平成十五年当初、全国不法投棄の残存総量は千九十六万トン、二千五百件という報告がなされておりますが、十五年当初というのはちょっと古いものですから、まず確認したいんですが、現在の全国の不法投棄残存総量は、この千九十六万トンからどの程度ふえているんでしょうか、あるいはそんなにふえていないんでしょうか。

由田政府参考人 最新のデータによりますと、平成十七年度に新たに発覚いたしました産業廃棄物の不法投棄の件数は五百五十八件、投棄量は十七万二千トンとなっておりまして、平成十一年ごろと比べて、件数、投棄量ともおおむね二分の一程度に減少いたしているところであります。

 また、不法投棄等の残存量につきましては、平成十七年度末におきまして、一千五百七十万トンとなっております。

筒井委員 その現状の中で、平成二十一年までに大規模事案、つまり五千トン超の不法投棄をゼロにするという目標を環境省は掲げておりますね。

 この大規模な不法投棄をゼロにするという目標、これは、具体的にはどういう手段、どういう方法で実現されようとしているんでしょうか。

若林国務大臣 産業廃棄物の不法投棄対策につきまして、具体的な措置としては、やはりマニフェストを普及させていくということで、チェック体制が十分な体制をとらないと抑制ができない、ゼロに持っていけない、こう考えておりまして、平成十六年の六月に策定した不法投棄撲滅アクションプランに基づきまして、平成二十一年度までに、おっしゃるように、五千トンを超える大規模不法投棄事案はゼロにする、そのために、罰則の強化とか排出業者の責任強化などの規制強化や行政の対応体制整備等を進めてきておりますが、今後は、電子マニフェストの普及や優良処理事業者の育成に努めていくことに重点を置いてやっていきたいと思っております。

 さらに、安倍総理の指示を受けまして、関係省庁連絡のもとに、不法投棄対策を強化するために、去る二月五日に関係省庁連絡会議を設置いたしました。まず、五月三十日から六月五日を全国ごみ不法投棄監視ウイークというふうに設定をいたしまして、国、自治体などの連携のもとに監視活動、啓発活動を一斉に実施するというような活動によりまして、取り組みの強化を図っているところでございます。

筒井委員 それと、全国の不法投棄の現状把握の徹底ということも環境省は目標に掲げておりますが、この現状把握の徹底の具体的な手段、方法はどういうものを考えて、どういうものを実行されているんでしょうか。

由田政府参考人 産業廃棄物の不法投棄の現状把握につきましては、廃棄物処理法に基づきます産業廃棄物の適正処理の確保に関する事務の一環といたしまして、都道府県及び政令で指定する市におきまして、所管する地域の不法投棄の現状を把握しておるところであります。国としましては、各自治体の調査結果を取りまとめ、国全体の不法投棄実態を把握しているところであります。

 加えまして、国におきましては、不法投棄をより早い段階で把握し、適切な対策につなげるために、平成十六年度から、先ほどお話の出ました不法投棄撲滅プランに基づきまして、不法投棄防止ホットラインを設置いたしまして、ファクスやメールによりまして国民から広く情報を収集しているところであります。

 また、大規模な事案などにつきましては、自治体からの報告も踏まえまして、必要に応じまして、地方環境事務所による現地調査等によりまして状況把握を行っているところであります。

筒井委員 そうしますと、都道府県を通じた都道府県の調査をまとめるということと現地調査とホットライン、この三つということでしょうか。それ以外はないのか。

由田政府参考人 基本的には、そのとおりでございます。

筒井委員 その関係でお聞きしますが、栃木県足利市の松田町の山での不法投棄事案、これが県の方に情報として入ったのがいつごろで、環境省の方に情報として入ったのはいつごろでしょうか。

由田政府参考人 県の方に入りましたのが十三年の四月であります。環境省の方では、平成十五年に入っております。

筒井委員 そうすると、県の方に入ってから二年後ということになるのかな。今、不法投棄現状把握の徹底で、その第一の手段として、県が調査したものを取りまとめる。これは、二年間もかけて初めて環境省の方に入ってくるんですか。遅過ぎませんか。

由田政府参考人 県の方に入っておりますのは、そのような疑いがあるのではないかという情報が入っておりまして、県の方でその調査に入ったということでありまして、まだそれが不法投棄であるのかどうかということに関しての確認は、その段階でもなされておりません。

筒井委員 県の情報に基づく調査は、平成十五年の四月五日、二年後に初めてなされたようですね。その確認と、その現地調査の方法はどういうものでしたか。

由田政府参考人 栃木県によりますと、平成十五年七月と平成十七年三月に栃木県警と合同で現地調査を実施するなどしておりますが、産業廃棄物は確認されておりません。また、本年二月にも現地調査を実施するとともに、周辺の表流水と地下水の水質検査を実施しておりますが、産業廃棄物は確認されず、また環境基準を超える汚染物質は検出されなかったというふうに聞いております。

筒井委員 今の答弁ですと、三回現地調査を県がしている、あるいはその一回は警察と共同の調査である、しかし、いずれも産業廃棄物は発見されなかった、そういう答えを聞いて、その調査以外は今まで県が全く動いていない、そして環境省も動いていないので、それでさっき聞いたんですよ。その調査の方法はどういう方法でしたかという質問。

由田政府参考人 第一回目の調査に関しましては、現地の保健所などとともに目視でも監視をしておりますが、確認はされておりません。それから、第二の調査に関しましても同様に、現地の目視の調査等によりまして、確認されておりません。第三回目に関しましては、現地で七カ所の試掘調査をやっておりますが、同様に確認をされておりません。

筒井委員 産業廃棄物を埋めるのに、外から目視をして調査して、それで現地調査が終わったというのが、これはおかしいんじゃないの。表にそのまま置いていきますか、地中に埋めるでしょう。目で見て、なかったから、ないという調査を二回もやっている。これはおかしいんじゃないの。

    〔石崎委員長代理退席、委員長着席〕

由田政府参考人 まず、不法投棄の可能性として、最初の調査では、そのように目視の調査をやっておりますが、第三回目の調査におきましては、敷地内の七カ所を試掘の調査をいたしております。

筒井委員 だから、試掘の調査はまた聞くんだけれども、目視の調査で二回やったと言っていること自体がおかしいんじゃないのかという質問なんです。目で見て、なかった、それで調査が二回終わりましたと言っているのがおかしいんじゃないか。環境省として、どう思いますか。

由田政府参考人 場合によって、その場所の状況あるいはその状況によって異なるとは思いますが、不法投棄があるという情報を得た場合に、その現地に行って、まず目視でそれがあるかどうか確かめるというのは通例のやり方だというふうに思っております。

 ただ、それがどうもかつて底の方に埋めているんじゃないかというふうな情報が入ってきた場合に、このような試掘に入って調査をするというふうなことは当然あるわけであります。

筒井委員 本件は初めから、埋め立てられている、そういう訴えをしているんです。長期間にわたって埋め立てられている、そういう情報を寄せているのに、掘らないで、目で見て、ない、これで二回の調査は終わった、そういう判断自体がおかしいんじゃないかという質問なんです。

由田政府参考人 このように、不法投棄がまずあるといった場合には、そこに捨てられているということですから、そこで通常不法投棄の山が見えるというふうなこともあるわけでありますし、現にそれが進行しているということであれば、目視である程度わかるというふうなケースが多いわけですから、まずは目視で関係者、担当者が見に行くということは通例行われることだというふうに認識しております。

 ただ、御指摘のように、かなり、場合によって、汚水が出ているのではないかとか、そういう状況の疑いがかかった場合には、当然、試掘等の調査を行うことは通例あることであります。

筒井委員 汚水が出ているという訴えではないんです。埋め立てられているという訴えをしたのに、見て、ない、これで済ませている姿勢を問題にしているんです。

 三回目は、今度は掘った。どのぐらいの深さを掘ったんですか。何メートル掘ったんですか。何カ所掘ったんですか。

由田政府参考人 三メートルから七メートル掘ったということであります。

筒井委員 七メートル掘っていないでしょう。それは確認しているのか。七メートル掘っていないでしょう、三回目の調査のとき。掘りましたか。

由田政府参考人 栃木県の方からは、三メートルから七メートル掘っているという報告を受けております。

筒井委員 環境省は、民間の調査機関、固有名詞を挙げますが、ムラタ計測器サービス株式会社計測分析センター、これが二メートルから四メーター、現地で二カ所掘った。これでいろいろな産業廃棄物が発見されて、特に砒素に関しては基準を超過していた、こういう調査報告書が出されていることは知っていますか。

由田政府参考人 そのような報告があるということは承知しておりますが、そのような産業廃棄物が確認されたという事実に関しては、確認、報告を受けておりません。

筒井委員 私が今聞いているのは、その調査結果、民間の分析センターが報告書を出していて、それによりますと、カドミウム及びその化合物とか六価クロム化合物とか水銀及びその化合物とか、いろいろなものがずっと一覧表でどのぐらい入っているのか、これが出されているわけですが、この調査報告書は、環境省としては見ているんでしょうか、見ていないんでしょうか。それで、それのことは分析しているんでしょうか。

由田政府参考人 情報としては入手をいたしております。(筒井委員「最後ちょっと聞こえなかった。情報としては何」と呼ぶ)情報としては入手をしております。

筒井委員 そうしますと、県が言っていることと真っ向対立するわけですね。県が言っていることと民間の調査機関がやったことと、真っ向対立しているわけです、砒素の基準超過に関しても。それは、そのままほうっておくんですか。

由田政府参考人 栃木県としましては、今後も、必要に応じまして現地確認や周辺河川のモニタリング調査を実施するなど、適宜必要な対策を検討していくものと認識をいたしております。

筒井委員 いや、今後じゃなくて、私が今聞いているのは、民間の調査機関がそういう詳細な調査結果を出している。砒素に関しては、まさに基準を超過している。

 それで、さらにプラスして指摘しますが、この土地の所有者の関係者が十メートルを、県が全然深く掘ってくれないものだから、みずから掘った。そうしたら、硫化水素ガス中毒、これにかかった。硫化水素ガス中毒の診断書は、東京の労災病院が発行している。その現地で調査に立ち会った二名が硫化水素ガスの中毒にかかって、その診断書が東京労災病院から二名について出されている。

 この事実は把握していると聞いているんですが、そういう事実があって、十メートル以上掘った場合にそういう結果になって、民間の調査結果は、先ほど言ったような資料を出している。だけれども、県の方は一切そんなものありません。そういう場合には、環境省は県の言うことをそのまま信用しているんですか。

由田政府参考人 委員御指摘のような点も踏まえまして、栃木県の方ではこれまで調査もいたしておりまして、先ほど申し上げましたように、表流水、地下水等の水質検査も実施しておりますし、産業廃棄物も調べておりますが、確認されておりません。

 栃木県は、今のようなことも踏まえまして、今後とも、必要に応じまして現地調査とか周辺河川のモニタリング調査も実施していくということとしておりますので、適宜、環境省としましても、この水質検査等に関しまして必要に応じまして助言を行っていきたい、このように考えております。

筒井委員 そんな抽象的なことを聞いているんじゃないんだよね。

 そういうふうに、県が全くやる気がないんですよ、最初から。埋め立てていると言っているのに、二回の調査でただ見て、なかったという。それで、余り地元からも言われるし、当事者からも言われるものだから掘ってみた。場所にもよるんでしょうけれども、それでやはりなかった。露骨にやる気がないんです。

 しかし、県の調査と矛盾する事実が明確に出ているでしょう、当事者が言っているだけではなくて。民間の調査機関の詳細な報告、そして、硫化水素ガスの中毒にかかった事実。こういうときに、相変わらず環境省の方は県の言うことにそのまま任せてほうっておくというのはまさに怠慢そのもの、不作為による不法行為とさえも言えるぐらいですよ。

 大体、国は、先ほど現地調査をする場合もあるということを言われました。不法投棄の廃棄物を回収したこともあるでしょう。それから、不法投棄の実行者を特定して指導したこともあるでしょう。そういうことができるんでしょう。

由田政府参考人 不法投棄の現場につきまして、不法投棄者を特定し、指示をいたしたり、指導をしていくのは都道府県の仕事であります。都道府県が、一見明白に、都道府県の判断として、例えばそこに不法投棄の山が存在しているというふうな場合に、環境省の方から都道府県に対しましてさらに必要な調査をやる等の指示をする場合はございますが、この現場に関しましては、県の方がまず、今御指摘のようなことも踏まえまして、なお現状が不法投棄ということが確認されない、こう言っておりまして、さらに必要に応じて調査をするという状況であります。

 県の方の今後の調査を見守ってまいりたい、このように考えております。

筒井委員 だから、見守っているんじゃ不十分だから言っているんです、県がやる気がないから。県の方のやっていることに任せていたら全然進展しないから聞いているんです。

 そして、環境省としても、現地調査をして、不法投棄の当事者を本人を特定して、指導したり、あるいは不法投棄物を回収したり、それを県と共同しながら、県がやることだと言って任せておくんじゃなくて、県と連携しながら環境省もそのことをやる、そのことはできるんでしょう。今言った、現地調査をして、不法投棄者を特定して、不法投棄廃棄物を回収する。これはもちろん県や何かと連携しながらやることになると思うけれども、しかし、そのことは連携しながらでも環境省はできるんでしょう。

由田政府参考人 廃棄物処理法による権限としましては、これらの現場の生活環境保全上の措置につきましては、都道府県の権限であります。環境省の権限としましては、都道府県が二つ以上にまたがった広域的な事案、例えば、かつての事案でありますと、青森県それから岩手県にまたがりました事案のような場合には環境省の方が直接指示をしていくということがございます。

 今回の御指摘のようなケースにおきましては、県の方がしっかりとやっていただくということに関して、必要に応じ、環境省の方で助言をしていくということにとどまるというふうに考えております。

筒井委員 環境省が作成した「ごみ不法投棄対策の取組状況について」と題するこの一覧表によりますと、環境省は結構具体的に動いているんだよね、監視カメラを設置したり。

 高松市の事案では、高松市と連携して、不法投棄された廃棄物を回収、不法投棄実行者を特定して、指導等の所要の措置を講ずる、こういう具体的なことを高松市と連携して環境省はやっておりますね、環境省の、地元の環境事務所。

 こういう事実はありますね。

由田政府参考人 まず一点、地方環境事務所におきまして、都道府県あるいは市町村と連携をいたしまして、不法投棄の未然防止のための啓発ということは通常やっておることであります。それから、不法投棄現場などで自治体の方が権限を持ちましてさまざまな指導を行うときに、一緒になって、その求めに応じまして助言をしていくということもよくやることでありますし、このような場合に助言をしながら連携をしていくということもございます。

筒井委員 今は助言を聞いているんじゃなくて、ここでは環境省がやったことを書いてあるんだよね。そこで、回収し、不法投棄実行者を特定し、指導する。これは、環境省が高松市と連携しながらやったことが書いてあるんでしょう。環境省がやったことなんでしょう。助言ではないでしょう。

由田政府参考人 環境省は、あくまで現場の特定それから法律に基づく措置は直接的にやるものではありませんで、自治体と、助言等を含め、連携してやるものというふうに認識しております。(筒井委員「連携してやるんでしょう」と呼ぶ)助言等を行いながら。直接実行しますのは自治体の立場になるわけであります。

筒井委員 すると、この表現はうそかね。環境省が回収し、特定し、措置を講じた。今なければ渡すけれども、ほかにもそういう記載がある。今一つの例だけ挙げたんだけれども、では、この表現はうそですか。こういうことを助言したにすぎないのか。環境省がやったと書いてあるでしょう。これは、やったんじゃなくて助言したんですか。それで、これは高松市がやったことなんですか。

由田政府参考人 自治体において実行する場合に、環境省も助言等によりまして、形式上御一緒にやるというふうなケースがあるわけであります。

筒井委員 何か意味がわからないな。形式上一緒にやるというのはどういうことですか。

 この環境省作成の「ごみ不法投棄対策の取組状況」、ここでは環境省がやったと書いてあるんです、高松市と連携しながら。そうじゃないんですか。これはうそで、ただ助言しただけなんですか。それで、形式的に参加したという意味はちょっとよくわからないな。

由田政府参考人 高松市の事案で、現場における個々のやりとりそのものは直接的に把握はしておりませんが、通例、現場を片づけるのに、自治体が片づけますときに一緒に行きまして、行動をともにしながら、片づけるのは自治体の方になりますが、一緒に回収をして、そこに御一緒するということはよくあることだというふうに認識をしております。

筒井委員 この文章で、国土交通省や何かのことも書いてありますが、主催者として環境省の地方環境事務所と書いてあるんですよ。ほかにもいろいろなことで、監視カメラを設置したとか書いてあるんだけれども、それはみんな環境省が設置したことなんでしょう。みんな、これはうそを書いてあるのか。それから、さっき、形式的に参加したというのはどういう意味ですか。この二つ、答えてください。

由田政府参考人 形式的にと申し上げましたのは、法律上の直接権限に基づかずに、自治体の方の権限執行に対しまして御一緒にやらせていただいたことを形式的にと申し上げたわけであります。

 それから、二点目の監視カメラにつきましては、自治体が直接的にはつけるもので、これも指導助言を行いながら、こういうふうな場所がいいじゃないかというふうな自治体との御相談に応ずる、こういうことはやることであります。

筒井委員 監視カメラもいっぱい書いてあるんだけれども、これは環境省の監視カメラでしょう、政府の監視カメラでしょう。自治体のカメラじゃないんでしょう。それを、環境省が設置したんでしょう。

由田政府参考人 環境省が直接不法投棄対策のために現場に監視カメラを置くということはございませんで、自治体の方が直接は置いておりますが、環境省の地方事務所が指導と助言によりまして置いているケースはございます。(筒井委員「どこの監視カメラ。環境省のカメラでしょう」と呼ぶ)自治体がつけます監視カメラになります。

筒井委員 監視カメラの貸与とかそれから計測器の貸与とか、こういうことを環境省がやる仕事として載っていませんか。

 要するに、化学物質の計測器、監視カメラ、これはもう一度確認しますが、自治体所有のものなんですか。環境省のものじゃないんですね。

由田政府参考人 環境省の所有のものは、あくまで自治体に貸し出しまして自治体が設置をする、こういうことになります。

筒井委員 ここで、主催者が環境省として書かれて、環境省がやったものとして監視カメラ設置と書いてある。これは、要するにみんな本当は正確ではないんだ。みんな環境省がやったこととして書いてあるのはいっぱいあるんだけれども、これはいずれも正確じゃなくて、自治体に対する助言で、自治体がやったことを書いてあるんですか。

由田政府参考人 先ほどから御説明いたしましたように、不法投棄に対します生活環境保全上の措置を講じます権限は自治体にございますことから、直接行いますのは自治体になるわけでありまして、環境省としましては、この指導助言を行いましたり、必要な器具、機材を貸し出しまして御一緒に一体的にやらせていただく、こういうことになるわけであります。

筒井委員 この中に環境省が直接やったことは一つもない。先ほど、不法投棄の回収とか不法投棄の実行者の特定とかをしたというふうに書いてあるのは、これは環境省がやったことではない、ここに書いてあるのは不正確だ、こういうふうにお聞きしてよろしいんですか。

由田政府参考人 自治体からの相談を受けまして、環境省の方が自治体に対して、そのことに対して自治体に必要な特定をするための助言をし、そのことによって特定などがされるというケースは当然あることでございます。

筒井委員 いずれにしても、何回も同じことを聞いてもあれだから。

 本件の場合は特にそうですが、自治体が初めから全然やる気がない場合、この栃木県足利市松田町の件はまさにそうです。しかし、ただ本人が、何の証拠もなくて、明確なものは何もなくて、ただ廃棄物が入っているという主張だけだったら別ですよ。しかし、具体的な入っているという証拠がある場合に、本件でいえば民間の調査機関の詳細な報告書、それから掘り起こした人の硫化水素ガス中毒の症状発症、これらの具体的な証拠がある場合に、環境省としては独自の行動をやはりやるべきではないですか。あるいはもっと強く県に対する要請を行うべきではないですか。

由田政府参考人 廃棄物処理法上、産業廃棄物の現場の生活環境保全上に係ります権限は自治体の事務ということになっております。法律上そうなっておりますし、都道府県、自治体を信頼もしております。

 先ほどから御指摘のある情報に関しましては、県もそれを踏まえた上で必要な調査などを行っているものと考えております。自治体に助言を今後もすることによりまして、適切な現場の改革を図っていきたいと思います。(発言する者あり)

西野委員長 由田部長、具体の、個々の質問に確実にお答えください。

由田政府参考人 環境省としましては、県の求めに応じまして適切な助言を今後とも図ってまいりたいというふうに思っております。

筒井委員 県の求めに応じて適切な助言ですか。県が求めない限り何もしないという今答弁ですか。

由田政府参考人 県の方にも事情は聞くことにしておりますが、さらに県の方からの権限として、環境省の方にその行使に関しまして御相談がありますればきちんとした助言をしていきたい、このように思っております。(筒井委員「前段で何て言ったの、今。県の方にも何」と呼ぶ)現場における判断の求めに応じまして、県の方からの要請がございますれば適切な助言をしていきたい。

筒井委員 だから、私が確認したいのは、県からの要請、求めがなければ、環境省としては何もしないということですか。

由田政府参考人 先ほどから御指摘のあるような指摘も県の方にも情報提供しつつ、県の方も主体的に調査をするというふうに認識をしております。その必要に応じまして環境省も適切な助言をしてまいりたい、このように思っております。

筒井委員 だから、私が確認しているのは、県の求め、要請がなくても、環境省の方では当然、必要な助言、要請はするんでしょうという質問なんです。先ほどの答えですと、要請、求めがなければ何もしないという答えだったから。そうなのか、それとも環境省として独自に判断して、要請あるいは依頼、その行為をするのかという質問なんです。

由田政府参考人 先ほどからの御指摘の点も含めまして県の方には情報を提供いたしまして、さらに調査をするようなことも求めてみたいと思いますが、あくまで判断するのは県でございますので、その過程の中で県の方が助言を求めてくれば必要な助言をしていきたい、このように思っております。

筒井委員 あいまいではありますが、環境省独自にも要請あるいは依頼をする、今の答えはそういう趣旨だったからいいんですが、その場合に、先ほど言いました県の判断と、それから全く真っ向から矛盾する明白な証拠が出ているわけです。民間の調査結果と、それから二人が現実に硫化水素ガスの中毒にかかっているという事実、そして、これは今まで言いませんでしたが、地元の自治体、五自治体から、埋め立てられている、だから調査を要請する、こういう要望書が県の方に出されている。

 それの一部を見てみますと、その要望書、自治会長が八人、要請を出しておりますが、それを見ますと、「掘っていると悪臭がし、目、鼻、のどが痛くなり帰宅してから嘔吐した」という証言、それから、財産区議員よりの話で「四、五年前、松田財産区の山の調査の時に足利開発(株)にことわりのうえ」、これは産業廃棄物を埋め立てたと思われる会社ですが、「作業場から山の尾根に登っていったときに、深く掘り下げた場所に約三百本前後のドラム缶が並べられているのを見た」との証言があった。深く掘り下げられた、そこに三百本ぐらいのドラム缶が並べられているのを見た、地元の人たちはそう証言している。

 これら県の調査結果と明白に矛盾する証拠がある。その矛盾する証拠に関して、環境省としては独自にどう判断されていますか。

由田政府参考人 ただいまの御指摘の情報に関しては、県の方を通じまして私どもの方も承知をいたしております。これらも含めまして、県の方で今後適切な判断をしていくものと考えておりますし、県の持っている権限というのは重いものと認識をしております。したがいまして、それを踏まえまして適切な助言をしてまいりたい、このように思っております。

筒井委員 全然答えていませんが、時間が来ましたので、これで終わります。

西野委員長 次に、近藤昭一君。

近藤(昭)委員 民主党の近藤昭一でございます。

 幾つか、幾つかというか少し具体的な、個別のことでありますが非常に重要な、また、かなり普遍的な問題にかかわってくるという問題をきょうは質問させていただきたいと思います。

 また、今筒井委員の質問を聞いておりましたが、この間、私も環境委員会に所属をして法案の審議等々をさせていただいておりますが、とにかく環境委員会、環境省として、やはり環境問題をしっかりと実質的に守っていくということが重要だというふうに思います。

 そして今、これから私が質問する問題もそうなんですが、環境問題というのは、本当に人の健康という重要な、場合によっては取り返しもつかないようなことにかかわってくるわけでありますので、しっかりと環境省におかれましても頑張っていただきたいというふうに思うわけであります。

 実は、ここの環境委員会でアスベストの救済の法案が審議をされました。私どもは閣法に対して民主党案を出して、結果的に閣法には反対をした。しかし、それはやはり不十分だ、そして本当に問題が大きい、こういう認識なんです。そして、そういう中で、きょう質問させていただく問題、重要だと思っております。

 実は、私の地元であります愛知県稲沢に、トーヨーボールというボウリング場がありますというか、ありました。かつて、ワンフロア八十レーン、東洋最大のボウリング場として一九七一年に建てられたわけであります。もともとのオーナーといいましょうか、最初つくったのは、亡くなられたホテルニュージャパンの横井英樹さんだったということでありますが、営業不振になり、閉鎖をされた。しかしながら、その建物がそのまま放置されておる。そして、どうも廃墟というふうになっている、廃墟なんですけれども、そこに飛散性のアスベストの問題があるわけであります。その建物にアスベストが使われていた。

 今、その廃墟、近隣の住民の方も大変にアスベストが飛散をしていると心配をしておられる。そして、もう近隣の方だけではないんです。近隣の方が見ていると、そこに心霊スポット、廃墟みたいなところですから心霊スポット、若い人たちはそういうものを楽しむんでしょうか、もうだれもいない廃墟になったところに忍び込むというか入っていって、それは違法なわけでありますけれども、そういうところに実質問題として入っていっている。そして、住民の人からすると、そんなところに入っていってアスベストを吸うことにならないか、そういう大変な心配をしている、こういう状況なんです。

 そういうことで、地元の近隣の人たちはこの問題に大変に注意を払い、先ほどからいろいろと自治体の問題、自治体のことが出ておりますが、地元稲沢あるいは愛西市そして愛知県にいろいろと要望を出しているわけであります。しかしながら、なかなかはっきり進んでいないところであります。

 どうでしょう、若林環境大臣、こういった非常に危険な、建物自体が古い、そしてそこにアスベストが使われている、周囲に飛散をするばかりではなくて、そこに若者が入っていって何も知らずにアスベストを吸い込んでいる。そういう危険な建物が、実はこの建物、競売に付されているわけでありますが、所有者がある意味で不明確、または競売の買い手がつかないということから、放置されている。しかし、大きな問題だ。どのように認識をされておられますでしょうか。

若林国務大臣 アスベストの飛散防止を徹底するということは、大変重要な課題だというふうに認識をいたしております。

 本件については、委員がいろいろと現場の状況の御説明をされまして、その現場に立入禁止はしているにしても、非常に荒れていて、人の出入りも、入ろうと思えば入れるとか、あるいはまた風等によって飛散をする危険があるとかいった御心配の御指摘がございました。

 現在、愛知県もこの問題は非常に熱心に取り組んでいるというふうに私は承知いたしておりますが、愛知県が中心となりまして、周辺環境におきますアスベスト濃度の測定とか、立入禁止措置がきちっと講じられるかどうかというようなことについても、愛知県が積極的な取り組みをしているというふうに承知いたしております。環境省としては、愛知県など、それらに協力をしながら、アスベストによる周辺環境の汚染が発生することがないように努力をしてまいりたいと考えております。

近藤(昭)委員 大臣の御認識も大変に危険だ。何か、さっきの話にもちょっと似ているんですけれども、省としても地元自治体と協力をしながら、この問題については関心を持っている、愛知県は積極的だ、こうおっしゃるわけであります。

 しかしながら、本当にそうなのか。では、積極的であるということはどういうことなのかなというふうに思うんですね。

 近隣の住民の方が、もし本当に愛知県がそんなに積極的であられるなら、聞くところによりますと、非常にいろいろなところに、もちろん愛知県にも、また、いろいろなところに要望書を出している。しかし、なかなからちが明かない、進まないということで私のところにも相談があったということなんですね。

 それで、愛知県積極的だとおっしゃいますが、どうなんですか、こういったトーヨーボールの事案は、私も全部の事案をいろいろと精査したわけではないんですが、所有権が、所有の権利関係が大変に複雑だ、そしてそういう中でひどい状態で放置されている。かなり特異なケースなのかもしれませんが、決して全くゼロではない、幾つかあるのではないかと思うんですよ。

 それで、今大臣、愛知県積極的だとおっしゃいましたが、これはだれが最終的に責任を持って解決をするのでありましょうか。愛知県積極的だと言っても、どうも愛知県も、では、これはすぐ何かを、例えば調査をするだけで積極的だと言われると、いや、違うのではないかと思うわけですし、これは最終的に、こういう案件、トーヨーボールでなくてもいいんです、一般論としてこういうものがどこに責任があるのか、教えていただきたいと思います。

和泉政府参考人 私の方からは建築基準法の観点からの御説明をさせてもらいたいと思いますが、建築基準法第八条におきまして、建物の所有者、管理者または占有者は、建築物を常時適法な状態に維持するよう努めることとされております。建築物の安全管理は基本的にはこれら所有者等が責任を持って行うものと考えております。

 アスベストにつきましては、飛散による健康被害を防止する観点から、新築時の吹きつけアスベストの使用を規制し、増改築時にはその除去等を義務づけるよう建築基準法が改正されまして、昨年十月から施行されております。

 これにより、改正法の施行以前に建築されたいわゆる既存不適格建築物につきましても、特定行政庁から、今回事案の場合には愛知県でございますが、所有者に対しまして、法第十二条の規定に基づきまして、吹きつけアスベストの使用状況等の報告聴取及び立入検査を行うこと、あるいはアスベストの飛散により著しく衛生上有害となるおそれがある場合には、法第十条の規定に基づきまして、相当の期限をつけて、当該建築物の除却、修繕、使用禁止、使用制限等の措置をとるよう勧告、命令を行うこと、所有者等が命じられた措置を履行しない場合、あるいは命ずるべき所有者等を確知することができず、かつ、放置することが著しく公益に反すると認められる場合等には、行政代執行を行うことも可能になったわけでございます。

 個別の事案に対する措置につきましては、関係する特定行政庁におきまして適切に判断されるものと考えておりますが、国土交通省といたしましても、当該特定行政庁に対しまして適宜必要な助言等を行ってまいりたいと考えております。

近藤(昭)委員 建築基準法の観点からお答えをいただいたわけでありますけれども、そうすると、先ほどもありましたが、愛知県、自治体が責任を持ってやる。もし愛知県から助言を求められたら、ここはどこが責任者だと、まずそれをだれに言えというふうに助言なさるんでしょうか。

和泉政府参考人 私の方からは、建築基準法の観点から御説明させていただいたわけでございますが、要は、愛知県がこの案件等についていわゆる本当に勧告、命令等まで行くか行かないか。今の段階ではまだ十二条五に基づく報告等も求めていない段階でございますので、そういった相談があったときに、どういった状況が整えば一般論として勧告とか命令等に行くのがふさわしいかどうか、そういったことについては、個別事案に即しながら、よく相談をさせてもらいたいと思っております。

近藤(昭)委員 ちょっとよくわからないんです。つまり、愛知県が決意をして、これは問題だ、対応しなくちゃいけないということを決めて、そして相談をしてきたら、それに応じて、ここにまず対応、措置をするように助言するということですか。

和泉政府参考人 昨年建築基準法を改正して、そういった新しい権限が特定行政庁に追加されました。その中で、どういった場合に特定行政庁が具体的に勧告とか命令まで行くのかということについての技術的な助言をさせていただいております。

 一例を挙げますると、吹きつけアスベスト等について、繊維の崩れなどの劣化が著しいとか、こういった具体的な例を挙げて、こういった場合については極力そういった権限を行使してほしい、こういった助言をしておりますので、そういった技術的な助言に従って、個別事案について愛知県から相談があれば、しっかりと相談して、よい結果が出るように努めてまいりたい、そういった趣旨でございます。

近藤(昭)委員 なるほど。そうすると、近隣の住民の方は、なかなか愛知県に言っても進まない、もう愛知県には、どうも近隣の人たちは、先ほどもちょっと出ていましたが、民間の調査というのでしょうか、御自分たちで調査をした場合に、危険だというような調査結果が出た。ところが、愛知県に御自分たちの認識もお話しになって、一緒に調査をしましょうよ、リスクコミュニケーションというんでしょうか、一緒にやりましょうよという要請もしていたのにもかかわらず、県が独自で調査をして、県は、外部で近いところで調査をしたんでしょうか、大気中のアスベストの濃度というんですか、問題はない、こういうふうに答えているんですね。

 今そこをいろいろと言ってもなかなか進まないのかもしれませんけれども、そうしますと、国としては、そういう愛知県が問題だということであれば、その相談には乗って、そこにまず第一義的に措置するように命令する、こういうことなんでしょうか。

 それでは、もしその場合、でも、これも一般論で申し上げますと、どうも非常に、競売にも付されているわけですよ。そうすると、所有者から今RCCに移っている、差し押さえがされている。だから、所有者がいても、とても何かをやれるような状況ではない、それは想像にかたくないわけであります。そして、RCCが押さえている。しかしながら、競売が何回も失敗している。そうすると、どんどんと、実質的には責任を持って対応するところがないのではないかと思うんです。

 そういった場合、先ほどもちょっと御説明もありました、代執行もできるということでありますが、では、一般論として、代執行で処理、結局代執行だと、代執行するその費用がかかる、その費用は最終的に所有者のもとに行く、しかし、所有者は今のところはっきりしない、あるいはもしあっても払えない場合がある。そうすると税金で賄われていくわけで、なかなか大変だと思うんですが、一般論として、代執行で処理する場合、どのような条件を満たす必要があるのか、教えていただきたいと思います。

和泉政府参考人 最終的には愛知県が判断する、ある意味では裁量のある話だと思いますが、冒頭御紹介しました、私どもが勧告、命令等を行う、あるいは代執行を行うケースとして留意してほしいといった技術的助言がございます。

 先ほど一例だけ御説明しましたが、一応、三点ございますので、御紹介させていただきますと、吹きつけアスベスト等について繊維の崩れなどの劣化が著しい、あるいは、劣化の著しい吹きつけ石綿が大量に認められる、吹きつけアスベストが露出している空間で恒常的に人が活動しているか、こういった技術的助言を並べておりまして、こういったものに立って、今回の事案、今先生一般論でいいとおっしゃいましたが、愛知県が最終的には判断する、こう考えております。

近藤(昭)委員 そうすると、一般論で、そういう非常に危険な状況であるということが認識されて、愛知県が判断をして、国にも相談があれば、助言をし、代執行ができる。その条件は、今、人の出入りが大きいとか、本当に実質的に問題だという場合には、できるということですね。

和泉政府参考人 制度論的には、冒頭御答弁させていただいたように、できます、制度論的には。

近藤(昭)委員 愛知県が決めるわけですね。

和泉政府参考人 そうです。

近藤(昭)委員 わかりました。

 そうすると、愛知県がそういう判断をすれば、代執行もできる、こういう理解であります。

 そうしますと、愛知県を信用していないとか、そういう意味ではないんですが、ただ、今のところ、愛知県に言ってもなかなか進んでいないという状況なんですね。

 それで、ではもう一つ現実的な問題として、今のお話は現実的な問題として起きているんだから、責任者がはっきりしない場合でも代執行ができる、これはいいことだと思います。

 では一方で、愛知県が今度判断しなくちゃいけないわけでありまして、ところが愛知県はどうもきちっと調査、地元の住民の人たちが一緒に調査をしてくれといっても、それに応じていないというか、積極的に反応していないような、これはさっきの問題になってしまうんですけれども。

 では、どうですか。愛知県が判断する中で、例えばそれは問題ないとかそう言ってきたとき、国として何か、問題であるから指導、調査をしてみようとか、つまり、一緒に県もあるいは市民の人たちも含めて何か実質的に調査をしてみよう、こういうことに関してはいかがお考えになられますでしょうか。環境省にもお答えをいただきたいと思いますが、国土交通省。

和泉政府参考人 まず、建築基準法上の権限はすべて愛知県が持っておりますので、まず愛知県の判断を尊重したいわけでございますが、冒頭若林環境大臣がお答えしましたとおり、愛知県も決して手をこまねいているわけではございませんで、私どもが聞いている話だけでも、立入禁止措置をしたとか、立入禁止の啓発をしている、あるいは建物の内部調査をした、こういったことをいろいろやっております。

 先生御紹介のように、二回入札が不調に終わりまして、三回目の入札が近々あるというふうに聞いております。県としてはそういった形で、所有者等が明らかになったことを一つの契機として従来の努力をさらに深めてまいりたいというふうに報告を受けておりますので、そういった判断を見守りながら必要な助言をしてまいりたい、こう考えております。

近藤(昭)委員 一回目、二回目の調査はあった、今度三回目の調査をする、その三回目の調査を聞いてということでありますが、例えば、そういうような調査のときは、どんな調査をするかというのは報告が前もって来るんですか。

 ちょっと懸念をしておりますのは、建物の外でやっていて、中をちゃんとやるべきではないかという声が非常に大きいんですよ。そういうことに対して、例えば国としてチェックをするのか、国土交通省あるいは環境省においても、どうでしょうか。

竹本政府参考人 大気の環境の保全の観点からお答えを申し上げたいと思いますが、地方公共団体、地域の環境保全に責任を有しているという観点で、建物の周辺地域について環境調査をもう既に実施しております。愛知県は、地元の市と協力をいたしまして環境調査をしております。

 環境濃度の観点から申し上げますれば、先ほど来委員も御指摘のとおり、特に大きな問題になっていないということでございまして、我々も、アスベストの全国調査を緊急に十七年度、十八年度やってきておりまして、そういった調査結果と照らし合わせても特段大きな問題になっていない。

 あとは、建物の中ということになりますれば、実は、解体をするという意思決定がなされた後は、このような大きな建物については、大気汚染防止法に基づきまして一定の届け出が自治体に出てくる、そういう段階で実際の解体作業、適切な作業をしていかなければいけないという規制がかかります。それまでの間は、環境の観点から申し上げると、環境濃度の測定ということに限られてくるということでございます。

近藤(昭)委員 環境省としては、大気中の環境を調査する、その中では問題が、今のところというよりも、した調査の中ではというように私は思うんです。つまり、そのときの天候とかいろいろな条件によって随分影響がある、だから、絶対あったんだ、そういうような根拠のないことを私は決して申し上げるわけではないです。

 ただ、一つの要素として、大気中の濃度をはかるという非常に何らかの要因によって変わり得るというような調査だけでいいのか。また、住民の方が大変にそのことに対して、そのやり方についても懸念を持たれている、だから、県に対しても一緒にやってくれと。何も偏ったとかということじゃないんです。よりいろいろな目といいましょうか、公平性を持って、公平性というのはいろいろな見方があって、いろいろな見方というか、やはりいろいろなチェックをしてという意味ですが、と言っているんです。ところが、なかなかそういうことが行われていないんですよね。

 それと、住民の方からすると、見ていても、建物がどんどん老朽化していく、廃墟化をしていく。それで、大気をはかっても、今のところ決して濃度は濃くないから安心しろと言われても、それは安心できないということなんですよ。

 だから、私、二点聞きたいんですが、そういう大気中の調査の仕方、これに対して、例えば環境省の方から、こういうふうに住民の方にも納得できる方法でやるべきではないか、こういう助言をするとか、あるいは、根本的には内部の濃度が大変に問題だ。それは環境省からすると、いや、自分たちのかかわりは大気中なのでということかもしれませんが、もとがあるわけですから、もとが一番心配だ。関連して、そこから出てきて大気中に出てくるわけですが、ここに対してきちっとやるべきだとか、そういうような御助言をされるつもりはないでしょうか。

竹本政府参考人 大気の環境濃度の測定状況を先ほど申し上げました。適切な頻度であくまでも周辺環境の汚染が発生しないようにという観点から、地元の地方公共団体が適切に対処をしていくように私どもも指導する立場にあろうと思います。

 繰り返しになりますけれども、大気の濃度で申し上げますと、現在のところ特段大きな問題がないということにかんがみますれば、地方公共団体が判断をして、現状の環境濃度調査、また繰り返しといいましょうか、今後も実施されることになろうと思いますが、私ども、そういった結果も徴して、もし大きな問題があるようであれば、これは適切に対処しなければいけないということで次なる対策もまた考えないといけないと思っておりますが、現在のところは、そういうこれまで実施されております環境濃度調査を適切に実施をしていただく。環境調査をやる上においての心得といいましょうかマニュアルといったものは、もう既に私ども、昨年来具体的に指示をしておるところでございます。

 具体的な課題について、都道府県、県の方からまた御相談があれば、私どもとしても御相談に乗ってまいりたいと考えております。

近藤(昭)委員 今のところ問題がない。でも、今のところ問題がないという認識を環境省が持っておられても、住民の方はそういう認識ではないんですね。だからこそ、どうしたらいいんだろうかという話が出てくるわけです。

 そうすると、どうしたらいいんですか。環境には出てきていない。でも、室内にはあるんではないか。あるんだと思うんです。これは、環境省は、とにかく出てきてからでないと自分たちはわからないので、先ほどの話じゃないですけれども、外から見てじゃないですが、外にはまだ出てきていない、でも、開けてみればといいましょうか、大気でつながっているわけですし、住民の人たちは愛知県にも言っているわけですけれども、なかなか愛知県も進まない。

 では、国土交通省さん、どういう対応がありますでしょうか。

和泉政府参考人 近々三回目の入札と申しますか、その処分の動きがあると聞いております。そうしますると、仮にそれがうまくいけば所有者が確定する。そういう中で、建築基準法の立場でやれることは、冒頭御説明しましたような手続がございますので、そういったことを愛知県として、今までの調査も踏まえて的確に執行していただくということに尽きるのかな。その際、愛知県から相談があれば、私どもとしてふさわしい助言、指導等はしてまいりたい、こう考えております。

近藤(昭)委員 そうすると、では、国土交通省さんも、環境省も、今住民の皆さんが不安を感じておられる、このことについてのまず第一義的な責任は、愛知県がまず調査をして、愛知県が決定をして対応する、例えば代執行もあるでしょう、という御認識でしょうか。

竹本政府参考人 御指摘のとおり、地元の環境の保全に責任を有する立場として判断される、そういう自治体の御判断というのがまず第一義的にあるんだろうと考えております。

和泉政府参考人 基本的には全く同様でございますが、決して特定行政庁任せにするという意味じゃなくて、私どもも、そういった制度改正をしながらいろいろな技術的助言等を発出してきたわけでございますので、愛知県から相談があれば積極的に、真摯に相談に乗ってまいりたいと考えております。

近藤(昭)委員 なかなか制度的なものというのがあるのかもしれません。また先ほどのようなことになってもあれですので、これ以上申し上げませんが、今なかなか進まない中で、住民の方が大変に不安を感じていらっしゃる、それに対して、国としても責任を持って対応してほしい、こういうことだと思うんですね。

 ですから、私は、もちろんそれぞれ自治体がやるということであっても、やはり国がそこに、救済法もつくったわけでありますし、国のかかわりというもの、協力でもいいんです、連携でもいいんです、やってもらいたいと思いますし、そういう意味では、大臣あるいは環境委員会の皆さん方におかれましても、これは大変ひどい状況なんです、それを目の当たりにすると、やはり何かしなくちゃいけない。いや、もちろん、そう思っている方が県にもいらっしゃるし国にもいらっしゃるとは思うんですが、そういうことを実質的にやっていただきたい、いきたいというふうに思うんですね。

 それと、もう質問の時間がなくなりましたので、最後に一つだけ申し上げたいと思うんです。

 救済法ができました、施行されました。しかしながら、あれだけ報道され、いろいろと問題になっている、実質的に被害があるということですから、こういうことは余り起こりにくいのかなと思うんですが、でも、実際問題、幾つか、救済法の趣旨でいうと死亡されてからは申請ができないけれども、いろいろな状況で、亡くなってから申請をされている、そんなケースもある。

 私どもの認識としても、当時から、その施行法にいろいろな課題がまだあるだろう、こういうことだったわけでありますが、これはどうですか。早急に見直すべきところが大分出てきているんじゃないかと思うんですが、どういう御認識でいらっしゃるか、お話をいただきたいと思います。

上田政府参考人 石綿健康被害救済法について見直しのお尋ねでございますが、本制度については、法におきまして、施行後五年以内に見直しを行うこととされているほか、国会における御審議の中でも、必要があれば五年を待たずとも適宜適切に必要な見直しを行うべきであるとの御指摘を受けているところでございます。現在、必要な知見やデータの集積を進めているところでございまして、必要に応じて見直しを行いたい、このように考えているところでございます。

近藤(昭)委員 どうもありがとうございました。

 必要に応じて見直すという御答弁だと思います。ですから、必要に応じて見直す、まさしくそうだと思いますし、先ほどの話で、やはり必要に応じて国が自治体ときちっと連携する、その連携するという中には、私は、強い指導といいましょうか、環境省あるいは国土交通省、国としての認識をぜひしっかりと持っていただきたいと思います。

 以上です。ありがとうございました。

西野委員長 次に、村井宗明君。

村井委員 民主党の村井宗明です。

 本日夕方、民主党は記者会見を環境省にて開くことになっています。その内容は、民主党独自のCO2の削減、地球温暖化防止に対する対策案を発表させていただくことになっています。詳細はまた後でになるんですが、民主党の中身を簡単に説明しますと、政府案に比べて三本、入っていないものが入っています。それは、一つは環境税、二つ目はキャップ・アンド・トレード、そして三点目が、今から、きょう私が質問をさせていただきますカーボンディスクロージャーです。私たちは、二〇五〇年までに温室効果ガスを半減すること、そして二〇二〇年までに二〇%削減することを民主党として打ち出しました。

 そんな中で、まず大臣にお聞きしたいと思います。

 きょう配らせていただきました参考資料に新聞記事を載せさせていただきました。朝日、毎日、読売それぞれ、政府の方もサミットにてCO2の削減を、半分にするというふうに打ち出すとあるんですが、その真偽について大臣にお答えいただければと思います。

若林国務大臣 御指摘のような新聞報道の、政府としてそのような方針を固めたという事実はございません。

 地球温暖化の問題はハイリゲンダム・サミットの重要な課題になるというふうに考えられているわけでありますから、我が国としても、この問題に積極的な貢献を果たすことができるように、関係省庁との間で鋭意検討を進めている状況でございます。安倍総理がハイリゲンダム・サミットに当然出かけていくわけでございますから、その際に、日本としての考え方を述べることができるように今検討中でございますが、その検討の具体的内容については今お答えすることはできません。

村井委員 では、今この新聞記事が大臣が言うとおり本当に誤報だとしたら、いつごろ政府としての世界的な長期目標、そして日本の長期目標を決められるんでしょうか。大臣、お願いします。

若林国務大臣 誤報といいますのは、政府として決めたという事実はないという意味でありまして、いろいろな中身にわたってのことはいろいろな検討を行っておりますので、それなりの今の内部の検討状況の一部が報道されているようにも思います。

 いつまでにということは、総理がハイリゲンダム・サミットに出かけていって日本としての貢献が果たせるように、出かける前でありますのか、出かけていった現場でお話しになりますのか、その辺のところを、一番効果的な形で総理が御発言になるということを今念頭に置いて検討しているところでございます。

村井委員 ここに出ている新聞記事の数字は、とりたてて日本がすばらしいことを言っているわけじゃなくて、IPCCの国際会議の中では常識になっていることを日本が提言する。それはそれで一歩進むのかなと思ったら、それすら決まっていない。私はちょっともったいないかなと思います。

 その上で、ぜひ大臣にお願いなんですが、世界全体で半減というときには、当然日本の長期目標というものも打ち出していただければというふうに思うんですが、どうでしょうか。大臣、世界の長期目標だけじゃなくて日本の長期目標というのもありますでしょうか。

若林国務大臣 まずは、世界の主要な排出国を含むできるだけ多くの排出関係の国が参加をいただくということで全体の効果がどうであるかということが決まってくるわけでありますから、それらの参加の状況を見きわめつつ、どこまで日本は貢献するかということを決めるのでありまして、全体として半減をするという長期目標を決めると同時に、日本はこうだというようなことを決めるような、今状況にはないと考えております。

村井委員 さて、今世界各国では自分の国がそれぞれ何%削減するという長期目標をどんどんと打ち出して積極的になっている中で、日本は、世界全体での半減すらまだ決定事項じゃない上に、日本の長期目標もまだ定められていない、そして定める状況にないというのは、私は非常に残念なことだと思います。

 マスコミが言っているのと違って、大臣の今の答弁は、残念ながら、今のところ慎重過ぎて、消極的にもとられかねない状況にあるんじゃないかなと思います。ぜひ今後、積極的に大きく打ち出して、そして政策を進めていっていただければさらに幸いかなというふうに思っています。

 さて、本論の方に入らせていただきます。

 きょうは、民主党が打ち出した三本、国内排出権取引制度、環境税、カーボンディスクロージャーのうち、三本目のカーボンディスクロージャーについての質問をさせていただきたいと思います。

 資料の次のページ、「環境等に配慮した「お金」の流れの拡大に向けて」という資料を配らせていただきました。あえて環境省の資料を配らせていただきました。

 今回、民主党は、有価証券報告書などにおいて、それぞれの各企業の二酸化炭素排出量を算定し、公開することを政策の中に盛り込む内容で、本日、発表する予定となっています。

 そんな中で、環境省の中でも、このようにお金の流れの中に環境の視点を入れることを打ち出しています。特に、そういったこの資料をあえて入れたんですが、金融の果たすべき環境への役割の重要性が述べられています。環境省として、投資家向けの二酸化炭素情報が開示されるための具体的制度の検討の状況について、副大臣、お答えください。

土屋副大臣 お答えします。

 将来にわたって持続可能な経済社会を築いていくためには、企業の環境保全など社会的取り組みというのは非常に重要であり、積極的に評価される必要があると思います。環境に関する情報開示は、企業評価に当たって大きな役割を果たすと思っております。

 温室効果ガス排出量については、地球温暖化対策推進法の算定・報告・公表制度により、今年度から国への報告がなされています。今、徐々に上がってきております。これは六月末までにという期限があります。これに基づき、国は、事業者別、業種別、都道府県別の国内における排出量を公表することにしております。今、年度内に公表できるかどうか、まとめられるかどうかというところでございます。

 それからまた、大企業を中心に環境報告書の作成、公表が広く行われるようになってきておりますが、環境省が作成した環境報告書ガイドラインにおいては、温室効果ガス排出量を主要記載項目の一つとしております。これは二十五項目ある中の一つでございます。その記載に当たっては、子会社も含め、企業グループ全体を把握することが望ましいとしております。

 このガイドラインについては、議員も御指摘の環境と金融に関する懇談会報告書も踏まえまして、現在、その改定に向けた作業を行っているところでございます。報告の対象とする範囲を海外の子会社も含む連結決算対象組織全体とすることを基本とすること等も盛り込む方向で今検討しているところでございます。

 今後とも、こうした取り組みを通じて、投資家にとってより有用な環境報告書を作成することを促していきたいと考えております。

村井委員 さて、そうやって一歩進んでいただいていることを私は十分にすばらしいと思った上で、民主党はさらにもう一歩踏み込みました。当然、温対法で公開の対象になっていない企業も本当にたくさんありますし、業種によっては全く公開されない。そして、今副大臣がおっしゃられたように、連結決算をやっている場合、やっていない場合、また、温室効果ガスの算定の基準も不明確なところ、それぞれ係数もばらばら。結局、本当に公平にすべての企業が公開できているというわけではありません。

 民主党は、そんな中で、各企業が、自分たちがいかに二酸化炭素を排出しているのか、そして、次の年これだけ減らした、これだけふやしたというものは明確な基準ですべての企業がちゃんと公開できるようにするべきだと考えています。

 その上で、政府参考人の方にお聞きしたいと思います。

 今、その公開の方法は二つあります。環境報告書に入れるのか、有価証券報告書に入れるのかという方法です。残念ながら、環境報告書はすべての企業に義務づけられているわけではありません。一部の企業が出しているだけです。有価証券報告書だったら、上場企業すべてが出しています。

 そんな中で、この温室効果ガスの、特に二酸化炭素排出量については、二つの開示方法のうち、どちらかやらなければならないと思います。環境報告書をすべての上場企業に義務化するのか、もしくは、今、有価証券報告書の中にも二酸化炭素排出量を入れるのか。さて、環境省として、そういった二酸化炭素情報の開示媒体についてどのように考えておられますでしょうか。

西尾政府参考人 御指摘のように、温室効果ガスの排出量のような重要な情報でございます。環境に配慮したお金の流れを拡大していくというときには、こういう企業の環境情報が投資家の投資判断に資するように行われるということが望ましいということは、そうだと思います。

 今御質問がございました環境報告書あるいは有価証券報告書、それぞれ活用して、こういうものを義務化していくことはできないのかという御指摘でございます。

 環境報告書につきましては、投資家に活用されるように作成、公表されることが望まれるわけですので、先ほど副大臣お答え申し上げましたように、現在、ガイドラインをよくしていくというようなことでの前進を図っているところでございますが、ただ、環境報告書は、基本のつくりが企業の自主的な環境配慮、取り組み手法ということで考えておりますし、環境配慮促進法もそう位置づけられておりますから、これは自主的な取り組みを促進していく制度的な枠組みということでございますので、義務づけということではなくて、自主的な取り組みを進めるように、こちらを進めていきたいと思っています。

 それから、有価証券報告書の中には、もちろんさまざまな財務情報、非財務情報が記載されるというわけでございますから、その中で環境情報をどう位置づけるかということは、これからますます大きな課題になっていくとは思っております。しかしながら、そこに位置づけるというのは、義務的にやっていく、こういうことでございます。

 温暖化ガスというのは非常に求められているのではないかという御指摘、ごもっともでございますけれども、しかし、それが投資家にとって見れば、どのような形で、どのような範囲のもの、どのような方法で出されればいいかというようなこと、あるいは、それが実際に過度の負担にならないか、どういう意味を持つのかにつきまして、私どもは、やはりもう少しよく考えて、情報をもっと取り込まなければいけないと思っております。

 そういうこともございまして、環境と金融を進めるということで、ことしの新規の予算で環境と金融の普及促進事業というような予算もいただいておりまして、その中で、そういう投資についての調査ということもやろうとしておりますので、本年度、そういうことをしっかり調査して、よく考えていきたいというふうに思っております。

村井委員 よく考えていきますという答弁をいただいたことは非常にいいんですが、今、西尾参考人がおっしゃられたキーワードは私は二つだと思います。自主的と義務的というキーワード、まさにそこにこの二酸化炭素の排出量の問題、地球温暖化の問題があります。

 我が国は、さんざん言って、何で二酸化炭素の排出量はふえ続けていったのか。それは、自主的取り組みに頼っていたからです。企業には自主行動計画をやってもらう、自主的にやってもらう。私たち国民には自主的な取り組みを呼びかける。では、実際にどうなったのか。自主的取り組み、自主的取り組みとやってきた十年間は、残念ながら失敗に終わった中で、私たちは、これからは、一定の部分においては義務的な手法を導入しない限りは、本当に本格的な地球温暖化防止対策にはならないと思っています。

 その上で、もちろん、政府が今やってこられた自主的取り組みというのは、国民に負担をかけないという意味ではよかったと思っています。だからこそ、これからは、ある程度義務的な部分、つまり、二酸化炭素排出量の公開については義務的にしていくべきではないかというのが私ども民主党の主張です。

 さて、その上で、今のお話、二酸化炭素情報の公開については、環境省は金融庁とも協働した検討や取り組みはされておられますか、どうでしょうか。

西尾政府参考人 環境と金融という問題を前進させていくという点で、金融庁にも御協力をいただいていることはございます。それは、そもそも、この議論になっております環境と金融に関する懇談会、ここで議論いただく際にも、金融庁にオブザーバーで参加していただいております。それから、そういった物の考え方を世の中に深めていくべきではないかというようなことで、シンポジウムなんかもやっています。昨年の夏にやりましたシンポジウムの場合には、金融大臣にも一緒に出ていただいて、そういうことで、そういう物の考え方が浸透するという御協力をいただいておりまして、こういった普及啓発といったものについては協力をしていただく、そういう連携をお願いしていくということはもちろんでございます。

 ただ、今申し上げました有価証券報告書そのものの件につきましては、まだ私どもは、これから調査をして、それなりに考えをまとめて、できるものかできないものか、どういうようなニーズがあるのか、そういうことをきちんと整理した上でないと議論がなかなかできませんので、それを直に申し上げているわけじゃございません。

 しかしながら、金融庁は金融問題に関する総合的な知見を有しておられる役所でございますので、いろいろな局面で助言もいただいていきたいというふうに思っております。

村井委員 さて、きょうは、参考人として金融庁の方もお願いしました。今までは、環境は環境、金融は金融という要素が非常に強かったと思うんです。しかし、経済と環境は不可分で、地球温暖化問題を語る中で、経済活動にしっかりとメスを入れていかない限り、本当に地球温暖化対策をすることはできないと私たちは考えています。

 そんな中で、まず、金融庁の細溝審議官にお聞きしたいと思っています。

 カーボンディスクロージャープロジェクトという企画によって、三十兆ドルを超える投資家が、世界の二千百の主要企業に対してカーボン情報の開示を求めています。まず、そういったことを知っておられるかどうか。

 そして、日本の主要機関もこのプロジェクトに参加している。また、アメリカやイギリスでも、さまざまな投資家がカーボン情報の開示のための行動を起こしている。また、EUなどでは、カーボン情報は既に公開されている。今までになかったアクションが投資家から行われている中で、カーボン情報の投資家ニーズがあると考えますか、ないと考えますか。どうでしょうか。

細溝政府参考人 お答えを申し上げます。

 環境情報の開示につきましては、環境省の方でいろいろ調査をされておられまして、そういう環境情報を開示されている企業が上場企業の約六割を占めるということは、環境省からもお伺いしているところでございます。

 ちなみに、私どもの証取法上の開示制度といいますのは、まさに投資家が的確に判断するために企業に開示を義務づけているものでございますが、その中でも、特有の法的規制とか取引慣行ないしは重要な訴訟案件等で企業の事業の状況に大きな影響を与えるものについては開示するようにということになっておりまして、そうしたことにのっとって有価証券報告書等に開示をしている企業も多々あるというふうに承知しております。

村井委員 さて、きょうはもう一つ資料を配らせていただきました。環境省の資料の後に、日本公認会計士協会の経営研究調査会の報告も配らせていただきました。

 そういった中で、日本国内では、確かに今はまだ民主党の言っているキャップ・アンド・トレードの制度は導入されていませんが、EUでは既に導入されています。だとすると、国内企業でも、EUで大規模な工場を持っていれば、当然キャップ・アンド・トレードの対象になるわけです。キャップ・アンド・トレードの対象になるということは、当然、二酸化炭素排出量も公開されなければならないし、それも重要な財務状況の報告の対象になるはず、もしくは大事な経営情報になるはずなんです。

 さて、公認会計士協会などもそういったふうに情報開示などの案を提示されている中で、金融庁として、カーボン情報の開示ニーズがあるかどうか、開示するのであれば、どのような情報を開示するかについて、検討は必要ではないでしょうか。どうでしょうか。

細溝政府参考人 先ほども申し上げましたとおり、事業に大きな影響を及ぼす事柄については企業は開示をすることになっております。これは企業の事業の状況、財務の状況によってまちまちであろうかと思いますが、仮に議員御指摘のような、EUでのそういった規制によって企業の事業の状況ないし財務の状況に大きな影響を及ぼすというような企業にあっては、当然、そうしたものが適切に開示されているものと思っております。

 ただ、それでは、我が国におきまして一律にこういった開示を義務づけるかというのは、また別の視点での議論が必要であろうと思っております。

村井委員 先ほどの環境省に比べて、非常に金融庁の方がまだ慎重なこと、私はちょっと残念だなと思うんですが、その上で、この間、この問題、ほんの少し触れたときに、金融庁の方から、開示情報の信頼性がないんじゃないかという答弁をいただきました。

 そんな中で、先ほど副大臣がおっしゃられたように、温対法などで既に日本の企業は情報を開示する、そしてそれを算定するものをつくっているわけです。だから、私は、開示情報を明確にして、そしてその算定係数もきちんと法的に決めてしまえば、信頼できる情報になるというふうに確信しています。

 そのことは質問するはずだったんですが、時間がないので飛ばしまして、次に、金融庁の方にもう一つお聞きしたいと思っています。山崎参事官にお聞きします。

 地球温暖化対策について、当然、金融庁の果たすべき役割は大きいと私たちは考えています。そんな中で、環境省も先ほど、金融庁とも連携していくという話をいただきました。そういった環境に熱心なところに十分な資金が配分される必要があると思っています。地球温暖化対策についての金融庁の取り組み、今後の環境省との連携の取り組みについてお答えください。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 地球温暖化について金融が果たすべき役割の重要性については、御指摘の懇談会において、「投資や融資に際して財務上のリスクと収益のみならず環境などの社会的価値も考慮するようにしていくことによって、お金の流れを環境など社会に配慮されたものに変えていくことができ、このことが経済社会を大きく変えていく鍵になると考えることができる。」というふうに指摘されてございます。

 地球温暖化対策等を含みますCSRにつきましては、私企業である金融機関が自己責任原則にのっとった経営判断に基づき行うものではありますが、金融庁としても、環境と金融に関する懇談会にオブザーバーとして参加いたしましたほか、当庁にて策定、公表している各業態の監督指針がございます。これに、CSRについての情報開示を行う際の着眼点を明らかにし、最低限の枠組みを示すことで、利用者にとって有益かつ適切な情報開示を促す、あるいは、昨年三月末に金融機関のCSR事例集を取りまとめ、公表するといった取り組みを行ってございます。

 金融庁といたしましては、今後とも、環境省とも密接な連絡をとりつつ、環境と金融の関係といった観点から引き続き努力してまいりたいと考えております。

村井委員 ありがとうございます。

 その上で、では、大臣にお聞きしたいと思うんです。

 環境省も金融庁も、それぞれ、環境と金融を結びつけていかなければならないという意見は一致しています。その上で、では何が問題なのか。自主的か義務的かというところに大きな差があるわけです。

 今、ある程度公開しようというところ、例えば、日本の今の政府は、残念ながら、産業界には自主的に行動してください、国民にも自主的に行動してくださいと言っているだけじゃなくて、行動だけじゃなくて、今現在出している二酸化炭素の情報についても、非常に自主的な公開となっています。温対法も自主的な公開、算定基準も自主的、連結するかどうかも自主的、そして情報開示の会社の数の比率も、そして情報の内容も基準も、すべて自主的と、不十分な状況となっている中で、もちろん、環境省も金融庁も、やっていこうという意思はわかるんです。

 そんな中で、大臣にお聞きします。きちんと義務的に、もしくは基準を明確にして、それぞれの企業、上場企業が二酸化炭素情報を公開していかなければならないと考えるんですが、大臣はどのようにお考えでしょうか。

若林国務大臣 金融面におきまして、環境配慮型の投資あるいは融資が積極的に行われるということは極めて望ましいことでありまして、環境と経済の両立、そして、今後の社会の発展と一体になっていくためには、金融面におきます環境配慮というのが効果的だと考えております。

 そういう意味で、これを拡大する際に、さて、いろいろな企業のかかわり合いがあり、その企業にかかわっている投資家あるいは取引先、千差万別の中でありますから、そういう一般的な環境への関心が高まり、そして企業の社会的貢献というような意味合いからも、環境配慮の企業のいわば社会的価値というものが今高まっていく空気があります。

 これは大変好ましいことでありますので、私は、今の時点でどうだと問われれば、そういう一般国民の、企業の社会的貢献としての環境配慮の姿勢というようなものを高めていくことにより、企業側が、いわば企業を売り込むという意味で、積極的な対応をしていく、そういう流れをつくっていくのがまず当面必要なんじゃないか。

 その意味で、当面のスタートというのは、自主的な形でこれをかなり広げていき、これをしなければ社会的に評価されないよ、金融機関からも投資家からもユーザーからも評価されないんだというような状況をつくり上げていくということが大事なんだというふうに考えております。

村井委員 自主的な取り組みで積極的に広げていくという、もちろん大臣がおっしゃられることはわかるんですが、これまで日本の国はずっと、すべての政策が自主的に、環境報告書も自主的な基準で、自主的に出したいところが出すというので、うまくいかなかったということ。だからこそ、今大臣がおっしゃられたように本気で、では、自主的なら自主的であるにしても、積極的にどうやってその比率を広げていくのか、それと同時に明確な基準をどうやってつくるのかということも進めていただければいいと思っています。

 そして、次にお聞きしたいと思います。質疑時間が五分前になったので、参考人に最初に聞いてから同じ質問を大臣にすることになっていたのですが、頭から大臣にお聞きしたいと思っています。

 まず、光熱水費の請求書に、電気料金、ガス料金、ガソリンスタンドでの給油の領収書に、それぞれCO2の量を記載するべきだと私たちは考えています。そうすることによって、では、自分はどこどこの電力会社で電気をこれだけ使ったから、自分の家は電気でCO2をどれだけ使った、ガスでどれだけ使ったというふうになっていくんですが、そういったふうに、二酸化炭素排出量を自分でわかるように、家庭でわかるように、そして公開できるようにしていくべきだと思うんですが、大臣はどのようにお考えでしょうか。

若林国務大臣 国民の一人一人がみずからの家庭の活動に伴うCO2の排出量をまず把握するということは、非常に大事でございます。家庭における省エネの取り組みを積極的にするためにも、まずは把握するということが大事なことだと認識しております。

 環境省では、家庭向けに環境家計簿、えこ帳と言っていますが、環境家計簿をウエブページの上において提供したり、電気や燃料等の使用量を入力することで、できるだけ簡単にCO2の排出量が把握できるような形のものを進めております。

 十七年度からは、この環境家計簿というのは、我が家の環境大臣というような愛称をつけまして、これに取り組むということにしているわけでございますが、御指摘のような取り組みを進めるというのも、家庭におけるCO2を把握するという意味で有効な手段ではないかというふうに考えてはおります。

 ただ、それを直ちに実施するには、関係者間の理解と協力が得られなければなりません。その意味で、私どもとしては、国民がみずからの生活から排出するCO2量を知るということが、地球温暖化問題を身近に感じて、みずからの問題として考えていく第一歩として重要であるというようなことから、そういう国民運動を展開するための有力な手段だというふうに私は考えております。

村井委員 大臣からも有力な手段と言っていただいた方法、まさにきょうは三十分間、カーボンディスクロージャーという新しい視点での政策についてお話しいただいたんですが、まず企業もそれぞれ自分らで二酸化炭素の排出量を把握して公開する、そして、それぞれの家庭も自分の家がどれだけCO2を使っているのかを把握する、そういったことができる制度をつくることによって初めて、今政府が言っている自主的な取り組みができるのではないかということを申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

西野委員長 次に、内閣提出、食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。若林環境大臣。

    ―――――――――――――

 食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

若林国務大臣 食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。

 現行法が施行されてから五年が経過し、食品関連事業者全体の食品循環資源の再生利用等の実施率は着実に向上しており、一定の成果が認められるところであります。

 しかしながら、これは特定の事業場から食品廃棄物等が多量に発生する食品製造業等の一部の事業者の取り組みが全体の実施率の向上に大きく寄与した結果であり、食品流通の川下に位置する食品小売業及び外食産業においては、食品廃棄物等が少量かつ分散して発生すること等から、取り組みがおくれているところでございます。

 このような状況を踏まえ、食品循環資源の再生利用等を一層促進するため、食品関連事業者、特に食品流通の川下に位置する事業者に対する指導監督の強化と取り組みの円滑化措置を講ずることとし、この法律案を提出した次第であります。

 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。

 第一に、食品廃棄物等を多量に発生させる食品関連事業者に、食品循環資源の再生利用等の状況等に関し定期の報告を義務づけることとしております。また、フランチャイズチェーン事業を展開する食品関連事業者であって、一定の要件を満たすものについては、加盟者の食品廃棄物等の発生量を含めて定期の報告を求め、一体として勧告等の対象とすることとしております。

 第二に、食品循環資源を原材料とする肥飼料を利用して生産される農畜水産物等の食品関連事業者による利用の確保を通じて、食品産業と農林水産業の一層の連携が図られる場合には、食品循環資源の収集または運搬について一般廃棄物に係る廃棄物処理法の許可を不要とすることとしております。

 第三に、食品循環資源の有効な利用の確保に資する行為として、再生利用が困難な場合に熱回収を位置づけるほか、基本方針の策定等に際して意見を聞く審議会に中央環境審議会を加える等の措置を講ずることとしております。

 以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。

西野委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

西野委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、来る十八日金曜日、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る十八日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十九分散会


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