衆議院

メインへスキップ



第11号 平成19年5月18日(金曜日)

会議録本文へ
平成十九年五月十八日(金曜日)

    午前九時三十八分開議

 出席委員

   委員長 西野あきら君

   理事 石崎  岳君 理事 桜井 郁三君

   理事 鈴木 俊一君 理事 竹下  亘君

   理事 末松 義規君 理事 田島 一成君

   理事 江田 康幸君

      安次富 修君    上野賢一郎君

      北川 知克君    小杉  隆君

      近藤三津枝君    坂井  学君

      篠田 陽介君  とかしきなおみ君

      中川 泰宏君    並木 正芳君

      藤野真紀子君   山本ともひろ君

      石川 知裕君    近藤 昭一君

      長浜 博行君    村井 宗明君

      吉田  泉君    田端 正広君

      江田 憲司君

    …………………………………

   環境大臣         若林 正俊君

   環境副大臣        土屋 品子君

   農林水産大臣政務官    福井  照君

   環境大臣政務官      北川 知克君

   政府参考人

   (農林水産省総合食料局長)            岡島 正明君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   由田 秀人君

   参考人

   (神戸大学大学院経済学研究科教授)        石川 雅紀君

   参考人

   (パレスホテルマーケティング部広報室室長)    笹本  猛君

   参考人

   (ジャーナリスト)

   (環境カウンセラー)   崎田 裕子君

   環境委員会専門員     齊藤  正君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十八日

 辞任         補欠選任

  馬渡 龍治君     安次富 修君

同日

 辞任         補欠選任

  安次富 修君     馬渡 龍治君

    ―――――――――――――

五月十六日

 アスベスト問題のすき間なく公正な補償・救済を求めることに関する請願(野田佳彦君紹介)(第九二七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五五号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

西野委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 本日は、本案審査のため、参考人として、神戸大学大学院経済学研究科教授石川雅紀君、パレスホテルマーケティング部広報室室長笹本猛君、ジャーナリスト・環境カウンセラー崎田裕子君、以上三名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人の各位に一言ごあいさつを申し上げます。

 本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見を述べていただきたいと存じます。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、参考人各位からそれぞれ十分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えを願いたいと存じます。

 なお、念のため申し上げますが、御発言の際はその都度委員長の許可を得て御発言くださいますようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願いたいと思います。

 それでは、まず石川参考人にお願いいたします。

石川参考人 おはようございます。神戸大学の石川でございます。

 食品リサイクル法改正について意見を述べさせていただきます。

 私自身の立場は、まず、環境省廃棄物・リサイクル対策部の部長の委嘱検討会として生ごみ等の3R・処理に関する検討会、これは平成十七年九月から平成十八年七月にありました。これの座長を務めました。その後、中央環境審議会、食料・農業・農村政策審議会の合同審議会というのがございまして、これの共同座長を務めました。これは平成十八年八月から平成十九年二月です。同時に、食料・農業・農村政策審議会の食品リサイクル小委員会、こちらの方は委員を務めました。そういう意味で、環境省及び農林水産省の両側の審議会に加わっておりまして、全体的なことを見てきた、そういう立場からお話しさせていただきたいと思います。

 まず、食品リサイクルの特徴として挙げられるもの、これは合同審議会で議論になった点ですが、まず第一に、再生された製品を使ってつくられるものが食品と関連が深い、食品から出てきたものが食品に使われるということを念頭に置くと、これはほかのリサイクル、鉄やアルミ、プラスチックのリサイクル以上に高度な安全性が要求されます。これがまず一つの特徴です。

 もう一つは、対象物が有機物、食べられるものですから、大変腐敗しやすい。そういう意味で、積んでおいて、置いておけばいいとか、そういうわけにいかないという性質があります。したがって、この面では、衛生面での配慮が非常に重要だという点があります。

 それからもう一つ、これはほかのリサイクルとやや違うところですが、消費者の二面性というのがあります。一つは、生ごみのリサイクルであるとか、食品産業から出てくるものもそうなんですけれども、分別して排出するという側面と、それから生産された製品を買う、食品産業から出たものの場合は主に買うところですけれども、そういう購入者としての側面がある。それから、分別を一生懸命やるということと物を買うというのは、実は、いろいろな調査をしてみると意識のギャップがかなりある。私が自分で調べた経験によると、物を買うときにごみのことだとか環境のことは余り考えない、正直に言うと余り考えていないケースが多いです。食品リサイクルの場合は、実はそういう二面性を持った消費者が、分別も一生懸命やるし、生産された、安全性を確保されたものですが、それもたくさん買ってくれないと成立しないという側面があります。これが特徴かと思います。

 見直し前の現行の食品リサイクル法の課題としては、まず、全体的な物量、全体的な量としての実施率は比較的高くて、着実に伸びているということが言えるんですけれども、実は、これは、大規模な、大量に排出する事業者の取り組みがそれを支えているのであって、事業者数のレベルの目標を達成しているかどうか。御存じのとおり、食品リサイクル法というのは事業者単位で義務が課せられておりますから、事業者単位で義務を達しているかどうか、それの達していない事業者の、未達率といいますが、これは大変高い。それが一つの課題です。

 ですから、未達率が業種や業態、事業者によって相当格差がある。全体的には五割近く実施していますが、法律に定められた義務が果たされていない事業者が、かなり格差があって、存在するという問題があります。特に、食品流通の下流に当たる小売であるとか外食産業、これは客観的な事情から難しい点があるんですけれども、未達率が高いという問題があります。

 それから、食品廃棄物からのリサイクルというと、えさとしての飼料化それから堆肥化というのが中心になりますけれども、こういうものは地域的な需給のアンバランスがかなりあるということがこの五年間でわかってきました。それが課題です。

 審議会の中で見直しの議論をしましたが、その中で浮かび上がってきた視点というのは、一つは、取り組みが進んでいない部分の底上げをしなければいけない。これは、いろいろな意味で取り組みに格差があるので、低い部分を上げなければいけないのではないか、また一方で、一律の目標でいいのか、そういうふうなことを議論しました。さらに、リサイクルを推進する上で、安全性を確保しなければいけないですから、リサイクルの推進と安全の確保を両立する形で進めていかなければいけない。それから、全体的に効率を改善しなければいけないという視点がありました。

 議論の結果、見直しのポイントとして上がってきた点が三点あります。

 一つは、事業者の取り組みを促すために、定期報告制度というのを導入しました。目的は、小売や外食産業における取り組みを何とか向上させたい、それが意図です。

 二番目は、リサイクルの入り口、出口問題への対応というのがありました。

 これは、実は大変大きな問題でありまして、まず出口の方から申し上げると、先ほど申し上げた、再生製品の需給のギャップが地域的にかなりある。特に、余ってしまう地域がかなりあるというふうな問題があります。ですから、一律な法制度をつくって、机の上の議論だけでやっていると、せっかくつくったものが利用されない地域が出てしまうのではないか、既に存在している畜産廃棄物からつくった厩肥などのマーケットを壊してしまうのではないか、そういう話も出ました。これにどう対応するのか。

 それから、入り口の問題。これはまた別な問題なんですが、原料を集めるところですね。これは、特に外食や小売産業のような、多店舗展開をしていて、一事業所から出てくる量が少なく、かつ出てくるものが食品製造業と違って多種多様である。典型的には、食べ残しのようなもの、それは御飯があったり、パンがあったり、おかずがあって、それが全部食品廃棄物として出ます。一方で、それの原料をつくっているところは、米穀を扱っているところはお米関係のぬかとかしか出ないわけですから、処理という立場からいけば、はるかにやりやすい。そういう難しさがありますので、最後の小売とか外食のところでの対応をよくしよう、底上げしようと考えたときには、そこでうまく動くようなシステムを考えないといけない。これに関しては、審議会の中でかなりいろいろなアイデアが出て、問題提起もあり、議論もしました。

 結論として、審議会の場で合意した点は、クローズドループリサイクル、顔の見えるリサイクルもしくはリサイクルループとお手元の資料に書いてありますが、そういうものに関してはぜひ促進しよう。

 これは、小売事業者が、収集事業者、それをコンポストに、堆肥をつくる事業者、さらに、それを利用して野菜や畜肉をつくる農畜産事業者と一緒になって、みんなが同時に顔が見える関係で計画をつくり、自分が排出した食品循環資源を使って生産された食品を当該の小売または外食産業が自分で販売する、このシステムであれば安全性の担保と両立するであろう。自分が出すということと、それを売るというリスクを自分で受けますから、全員が監視するインセンティブがあります。

 ですから、こういうケースに限っては、これまでなかなか課題があって進んでこなかった小売とか外食産業の課題の部分を解決するという意味で、廃掃法の収集運搬の特例を拡大して、収集しやすくする、実際に計画を立てやすくするということをつくりました。

 三番目に、有効利用の手法の見直しというのがあります。

 これは、審議会のごく初期に、手法の優先順位を議論しました。そこでは、まず、えさとして利用できるものはえさとして利用するべきである。内容の高度なリサイクルからやるべきだという観点からですが、まず飼料化、次に、堆肥化、メタン化、油脂・油脂製品というのを優先しまして、もとは廃棄物ですから、それができないものもあります。そういうものが困難なものに関しては、エネルギー回収を認めよう。

 ただし、エネルギー回収に関しては慎重な議論がありました。これは、一般廃棄物として燃やされてしまうのと同じことが起こると、コストはそちらの方が安いので、そちらに流れてしまう可能性があります。ですから、この点に関しては、メタンガス化と同等以上の効率のものに限って認めるべきであるというふうな慎重な配慮がありました。

 最後になりますが、基本方針として、今後、食品関連事業者の判断の基準などをつくったりする必要があるんですけれども、この中で、発生抑制が全体として進んでいないという課題がありますので、再生利用目標とは別に、発生抑制の目標を個別に切り出してつくる。それから、消費者に対する普及啓発が必要でして、環境省、農林水産省などの関係者が連携協力して、真剣に取り組んでいただきたいというふうに思います。

 これで終わります。どうもありがとうございました。(拍手)

西野委員長 ありがとうございました。

 次に、笹本参考人にお願いいたします。

笹本参考人 パレスホテルの広報室、笹本と申します。よろしくお願いいたします。

 私は、お配りしておりますが、パレスホテルの生ごみリサイクルシステムについて説明いたします。

 平成四年より、パレスホテルの資源リサイクルの取り組みとして、ホテル内で出る生ごみを肥料化する取り組みをスタートさせました。平成九年に二十四時間の発酵処理による肥料化に成功しました。その後、品質管理を進めまして、平成十二年、エコパレスという商品名で東京都に肥料として正式に登録いたしました。

 エコパレスの肥料は、製造、販売届を都に提出し、特殊肥料届としての許可をいただいております。これにより、他者に依存するのではなく、製造業として意識が芽生え、従業員の環境に対する意識が変わりました。

 エコパレスの肥料は、五百グラム百円で販売をしております。茨城の農家と提携し、エコパレスの肥料を使って、平成十三年、でき上がりましたお米をホテルのレストランで提供しております。肥料を使う農家との顔も見えるということも大切なことと思っております。これで循環型リサイクルシステムが完成をしたのであります。

 ごみを、皆様に配っております十四項目に分別をすることが大変必要でございます。といいますのは、生ごみを発酵するために他の有害なものが入ってしまいましたら有機肥料ができないわけになります。ですから、私どもは、従業員に対して分別を徹底するということをいまだにやっております。そうしまして、分別されました生ごみだけを発酵処理機に投入しまして、十八種類のバクテリアで二十四時間かけ処理をします。一日六百キロの生ごみが、二十四時間で約百キロになります。こんなに減量になるんですね。肥料の生産量は、月当たり三千キロでございます。

 会社一丸となった取り組みが多くの方々の賛同を得まして、年間に千人から二千人の見学者を受け入れております。当社の環境に対する取り組みを多くの方々に見学いただいております。

 また、リサイクルの形は異なるものの、パレスホテルの立川、パレスホテルの大宮、こちらは近隣に農家がございますので、同じシステムで野菜を買い取っております。

 ごみは業者の方に任せるのではなく、排出者が最後までかかわることが大切であります。リサイクル法があるから取り組むというのではなく、これからの企業として環境に対して責任を持つというのが当社の考えでございます。また、リサイクルシステムを持つことによって経費削減や収益につながり、従業員のモチベーションを上げることも可能と思っております。

 以上でございます。(拍手)

西野委員長 ありがとうございました。

 次に、崎田参考人にお願いいたします。

崎田参考人 おはようございます。崎田裕子と申します。

 私は環境分野のジャーナリストとして仕事をしておりますが、それとともに、環境分野は市民の暮らしの見直し、あるいは仕事の仕方の見直しというのが大変重要だと思い、環境カウンセラーとして普及啓発、環境学習の推進なども担っております。

 私は、この食品リサイクルのさまざまな検討に関しましては、平成十七年九月から開催されました環境省の審議会や、その後の昨年九月から中央環境審議会と農林水産省合同で行われました検討会、このような食品リサイクル制度の議論全般にわたって委員として参加させていただきました。その中で、特に消費者、生活者としての立場で参加をさせていただいてまいりました。

 今回、この長い議論を振り返ってみますと、大変強く印象に残っているのは、やはり循環資源の利用というのが大変広まってきているんですけれども、それには業界ごとに差がある、そして、特に私たち消費者に近い小売業や外食産業、このようなところでの進み方が弱いというようなことが大変強く印象に残っております。

 それとともに、私たち市民がこういうことに関心を持っていくということがこういう全体の食品リサイクルの制度の推進には大変重要なのではないかということを強く考えております。そういう意味を込めまして、これからの私からの意見につきまして、特に消費者からの視点ということを強調いたしまして意見陳述をさせていただきたいと思っております。

 特に、今回の見直しの中で出てまいりました二つの点に関して発言させていただきたいと思っておりますが、一番目は、食品関連事業者の方への定期報告の義務づけという新しい制度の創設を提案しております。これに関してと、フランチャイズチェーン事業を一体のものとみなす、こういう事業者の方に強く責任を求めている部分に関しまして発言させていただきたいということと、もう一つ、リサイクルループということで新たな再生利用事業計画制度というのを提案させていただいておりますが、この二点に関して意見を申し上げたいと思っております。

 特に、第一点目の食品関連事業者の方に対する定期報告の義務づけというのは、循環利用が大変進んでいくということは重要だというふうに思っていますけれども、それだけではなくて、私たち消費者への情報提供あるいは意識啓発、そういうものと直結するものとして期待しております。

 具体的に申し上げますと、私たちから見ると、私たちが食べている食材を購入するようなお店とか外食産業なんですけれども、こういうところの取り組みというところにまず関心を持つというのは当然のことだと思いますし、もっと関心を持たなければいけないというふうに思っております。

 それはどういう関心かといいますと、やはり売り手、買い手ということだけではなくて、積極的な取り組みをされているようなお店の商品を選択し、購入するとか、先ほどの発表のようなサービスをできるだけ関心を持って選ばせていただく、こういうようなすぐれた取り組みに対して消費者が評価して選択するということにつなげていくということが大事だと思っております。これが最近言われております環境に対する投資とか、そういうものを経済活性化につなげていく、こういうような消費市場をつくっていくことの重要性に直結するような動きだと考えております。

 どういうふうにこれを起こしていくかということなんですけれども、行政の皆さんがやはり私たちへの普及啓発を熱心にやっていただきたいというのはもちろんなんですけれども、先ほどのような事業者の皆さんの取り組み、こういうものをもっと積極的に発信していただく。今、環境報告書とかありますし、先ほどのお話のように、積極的に市民の見学会を受け入れるようなお話もありました。こういうふうに積極的に利用し、制度が厳しくなったということで大変だということではなくて、この制度によって事業者の方は、食品廃棄物の発生抑制とか再生利用、こういうものの数字を明確に出して発信していかなければいけないわけですけれども、これを逆に積極的に発信をして、信頼関係の醸成、ブランド価値の向上に使っていただければありがたいというふうに思っております。

 また、フランチャイズチェーンのことについてもかなり検討がありましたけれども、私たち消費者から見れば、同じお店、同じ看板を出しているお店というのは、やはり同じような視点で見ております。ですから、一軒一軒での排出量というのは少ない、そして再生利用は難しいということがもしあったとしても、本部がきちんと指導をするというような体制を整えれば、きちんと全体的に進めていただくということは可能になると考えております。

 そういう意味でも実はさまざまな動きが進んでいますということを、審議会の中でもかなり発表いただきました。そういうことをきちんと消費者もわかっていくということを考えるためにも、フランチャイズチェーンが一体となって取り組むというようなことも大事なことだというふうに思っております。

 次に、二点目なんですけれども、リサイクルループ、こういうような新しい制度の導入についてお話をさせていただきたいというふうに思っております。

 やはり食品関連事業者の方と、農業や畜産、こういうような事業者の皆さんが連携して、先進的な取り組みというのは既に進みつつありますが、そういう方のお話を伺っても、それを最後まで、収集運搬の業の方から、再生利用をしてそれをまたお店に戻して消費者に販売する、そういう全体のループをつくっていくのに大変な時間、労力、行政との交渉などもあるというふうに伺っております。こういうことがきちんとできるようになっていって、顔の見えるリサイクルループをきちんと早くつくれるように、そういうようなことは、消費者にとって安心、安全ということにもつながりますので、そういうような制度、積極的に取り組む方の制度というのは必要だというふうに思っております。

 そのときに、ぜひ、そういうきちんとしたリサイクルループをつないででき上がったものだということを私たち消費者にもわかりやすいように表示していただくとか、やはりそういうことをひとつ国の中で、環境省あるいは農林水産省などの制度の中で施策をきちんと展開していただければありがたいなというふうに思っております。

 今回、こういうような制度をもとに、例えば飼料の自給率の向上とか堆肥による土づくりをきちんとした環境保全型の農業、こういうものが全体的に広がっていけば、今、持続可能な循環型地域づくりということが大変重要だというふうに言われておりますが、そういうものをきちんとつくって、地域活性化を重視した環境立国の創造、こういう方向性にもしっかりと合うものではないかというふうに感じております。

 今、この二点に関して、私の消費者としての意見を申し上げたのですけれども、実際、今回の審議に参加をさせていただいて、強く感じたことが幾つかあります。

 それをお話しさせていただきたいのですが、第一点は、今度の審議に関しては、食品の事業者の方、そして廃棄物の処理業の方、行政の皆さん、私のような消費者の立場の者、さまざまな者が一緒になってテーブルを囲んで話し合うという状況だったんですが、それぞれがよりよくするために何ができるかということをきちんと話し合う、そういうような雰囲気で話し合いが進んだということを大変うれしく思っておりますし、そういう動きがきちんと反映できるような内容になっているのではないかというふうに思っています。

 こういうような動きというのは、結局は再生利用の取り組みがおくれているというのが私たち消費者に近い小売とか外食産業というところなんですけれども、そういうところが消費者と一体となってきちんと進んでいくということにもつながっていくというふうに感じております。

 ですから、この法律の範囲の外なんですけれども、今、食育とか環境教育、環境学習、こういったことが大変重要だと言われておりますので、こういうようなこともぜひ行政の施策としてもより強く取り組んでいただきたいというふうに考えておりますし、私たち、そういうものを地域で取り組んでいる者も一緒に取り組んでいきたいというふうに思っております。

 具体的に申しますと、やはり私たち自身がもっともったいないという気持ちをきちんと常に取り入れて、消費行動をとるとき、そしてお野菜とか食物を使ってお料理をつくるとき、そういうようなすべての生活の中で、きちんと食物とのつき合いというものを考えていけるようになればすばらしいのではないか、事業者の皆さんと消費者の取り組み、そういうものが一体となった食物を大切にする社会ができるのではないかなというふうに思っております。

 ここのところ、新聞などを拝見しておりますと、世界的な人口爆発の危険性とか途上国の経済成長によって、やはり食料が需要が増大しているということ、あるいは農作物をエネルギーに使うというようなことで、食料の重要性が高まっている、こういうことは皆さんももう十分御承知で御審議をされていると思いますけれども、食物の六割を輸入に頼っているというこの日本の中で、食物の大量廃棄というのが残念ながらまだ続いている。こういうことをやはり直していくというのは、国益とか地球環境益、こういうものを考えたときに大変重要なことだというふうに感じております。

 私ども、市民の身近な視点から考えましても、今関心のある人は、自分の身近なところで、生ごみを堆肥化して近所の方とお花をつくっていくとか、公園を整備する、いろいろな動きもできております。ただし、全体的に見ると、家庭の生ごみもきちんとリサイクルをするということが大変重要な施策となっております。こういう将来のことを考えると、将来の家庭の生ごみということも視野に入れながら、こういう今回の事業者の方を中心とした食品リサイクル制度ですが、今回の見直しをきっかけに、社会全体で食物を大切にし、そして循環利用していく、こういうようなさまざまな動きの盛り上がりのきっかけに、ともにしていただければありがたいというふうに思っております。

 どうもありがとうございました。(拍手)

西野委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の方々からの意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

西野委員長 これより参考人に対する質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。とかしきなおみ君。

とかしき委員 自民党のとかしきなおみでございます。

 本日は、崎田参考人、笹本参考人、石川参考人、お忙しい中、当委員会の審議のためにお力添えいただきまして、私の方からも厚く御礼を申し上げます。

 それでは、本日、審議の対象となっております食品リサイクル法のことについてお伺いしたいと思います。

 ちょうどきょうは石川参考人も、私、地方議員のときに、石川参考人と同じ環境の委員会で審議させていただきまして、まさかまたここで、今度は国政にかかわることで御一緒させていただくことになりましたこと、本当に私もうれしく思っております。きょうはどうぞよろしくお願いいたします。

 最初に石川参考人の方にお伺いしたいのですけれども、平成十三年に食品リサイクル法が施行されましたけれども、これについて、実際どんな評価を石川参考人は下されていらっしゃるのか。リサイクルの進捗状況、その辺についてお伺いしたいと思います。

石川参考人 平成十三年に施行された現行の食品リサイクル法については、全体の物量としては実施率はかなり上がっている。しかも、それが年々上昇しておりますから、前進はしていると思います。ただし、中身を見ていったときには実施率が低い。つまり、個別の事業者単位で二〇%という目標を達成していない事業者が数でいうと大変多い。

 このギャップは、大規模な部分、大規模な事業者でかつ食品をつくっていくときの川上部分、原材料を加工しているような部分では取り組みが大変進んでいます。特にビールであるとかですと、もうゼロエミッションをうたっている、それがむしろ常識になっているようなところがありますし、同様に、ほかの食品製造業においてはかなり対策ができています。これは、技術的には、単一のものを大量につくっているので、出てきたものもそれなりに処理がしやすいということです。

 一方で、下流の部分、小売であるとか外食産業ですと、それこそメニュープレートに載っているものが全部そのまま出てくるわけですから、大変種類が多いですし、加工されていてすぐ食べられる状態になっているということは、腐敗もしやすい。さらに、一カ所から出てくる量が大変少ない。これはもうすべてリサイクルの技術的な側面それから経済的なコスト構造からいって不利な構造です。そこが進んでいない。

 そこの格差があるということが大きな問題だというふうに思いました。

とかしき委員 ありがとうございます。

 今、川下の業界の方、外食産業や食品小売事業者の取り組みが少しおくれているというお話がございましたけれども、その原因はどこにあるとお考えで、そして今回の検討された法律ではそこら辺をどういうふうに補完していこうというお考えなのか、お聞かせいただけますでしょうか。

石川参考人 一つには、技術的には、大変多様なものが少量ずつ出てきて、かつ、ばらつきも大きい、変動が大きいわけですね。ですから扱いにくい。ですから、集めたとしてもお金がかかる。それから、集める側面からいくと、多数の、少量ずつ出る、広い面積で散らばったところを集めないといけないですから、集めること自体にコストがかかる。

 さらに、もう少し具体論を言いますと、そういうものを集めようとすると、集める段階では廃棄物ですから、一般廃棄物の収集運搬の免許が必要である。現行の食品リサイクル法ですと、積むところの自治体の免許がそれぞれに個別に要りますから、おろすところの免許は不要とされていますけれども、そういう形だと、再生資源をつくるところというのは大体限られていますから、一カ所か二カ所ぐらいしかありませんが、こういう星のような流通をすればいいんですけれども、これだとトラック一台に載せるのがその自治体から発生する分だけですから、大変少なくて効率が悪くなるという問題があります。

 一番うまくやろうとすれば、たくさん自治体をまたがって収集して、満車になったら戻ってくるというのができれば一番効率がいいんですね。それをやるためには行政手続としての許認可申請が必要で、これが大変時間的に多分手間がかかって進んでいなかったということがありました。それが問題点だったと思います。

とかしき委員 ありがとうございました。

 今回の法律では、今御指摘いただいた点は改善点に上がっていたので、効果が期待できるかと思います。

 それでは次に、円滑なリサイクルを進めていくためにいろいろな法改正が今回なされたんですけれども、再利用された飼料とか肥料を用いて生産された農作物、これを優先的に購入してもらう、ある意味消費者の支持というのが非常に大切だと思うんですけれども、消費者の皆さんに支持をしてもらう、購入してもらう。事業者の方々にも購入してもらい、消費者にも支持される。こういった市場にしていくためにはどういった方策をとっていったらいいのかということで、崎田参考人にお伺いしたいと思います。

崎田参考人 ありがとうございます。

 今、円滑なリサイクルの推進、そして、できたものをきちんと活用していく社会にするにはどうしたらいいかというお話がありました。

 やはり、基本的には、情報をきちんと整備をしていただく、そして、その情報をみんなで共有するような場づくりや流れを広めていくということが大事だと思うんです。その情報というのは、まず、食品の関連事業者の皆さんが今回のように報告制度のもとに発生抑制や再生利用、こういうものの数値をきちんと把握して、それを発信していくということが大変重要だと思うんです。それが、今回リサイクルループという話もありましたので、リサイクルループをつないだときに、消費者からもその情報がわかるように、お店に買い物に行ったときに、最近いろいろお店でも、POPというか広告でキーワードがきちんと書いてあるものに、非常に消費者もわかるというのがあります。そういうお店独自のものだけではなく、やはり政策的にきちんと表示制度などを考えていただければ大変ありがたいというふうに感じております。

 よろしくお願いいたします。

とかしき委員 ありがとうございます。

 今、崎田参考人にお話しいただきましたように、最近、スーパーでも、そういったリサイクルの仕組みの中でできた商品だよということで表示がしてあるところがちらほら見られるようになってきました。ただ、まだ情報量がかなり少なくて、多分今回も、いろいろ報告書を導入してもらったんですけれども、それを一般の人たちにどれだけ理解しやすくするか、ここが結構重要かと思いますので、その辺また今後考えていって、公な、非常に消費者にとってわかりやすい仕組みをここはセットで考えていく必要があると思います。ありがとうございました。

 次は、石川参考人にお伺いしたいんですけれども、リサイクルの入り口と出口の問題というふうにお話をいただきました。実際、リサイクルの商品を分別して、それから堆肥化したり飼料化して製品になるというサイクルを今回リサイクルループ、顔の見えるリサイクルということで御検討いただいたという話をいただきました。ここに至るまでにいろいろ検討なされたとお話しになっていらっしゃいましたけれども、どんなアイデアが出てきたのか。もしかしたらこのほかにももっといいアイデアがあるかもしれないので、ぜひその点を詳しくお聞かせいただければと思います。

石川参考人 それでは、審議会の中で行われた議論を思い出しながらお話ししたいと思います。

 まず最初のうちは、この審議会、割合と率直にかつ建設的な立場から議論されました。リサイクルループのこういうふうな議論になる前は、まずそれぞれのセクター、代表で来られている方が、課題の指摘、自分たちが持っている問題というのが指摘されました。

 まず、マクロな立場からは、農業サイドの学識経験者から、日本全体で窒素が余っている、それをさらに循環型社会という名前で、ごみ処理の一環としてまた堆肥をつくって農業に押しつけようとしているのではないかというふうな、そう解釈できるような立場から、そう簡単に堆肥をつくったからといって利用できるわけではないんだというふうな御意見が出ました。それは、日本全体のマクロの話です。

 一方で、小売の事業者などでかなりすぐれたというか先進的なことをやられている、我々が今回提案したようなリサイクルループに近い概念を実際にやろうとされていた、また部分的には実現していたような事業者の方からいくと、いや、実際にそれはやればできるんだと。具体的な課題として自分たちが直面している一番大きな課題は、市町村レベルの許認可事務の効率化というんでしょうか、そこがすんなりもし許認可が出るのであればすぐにでも自分たちのところはできるんだというふうな御意見がありました。

 さらに、いろいろなヒアリングを行っている過程で、実際に厩肥を使っている立場であるとか飼料を使っている立場の方からは、課題として、まず、異物混入の少ない、品質が担保されたものがいかに供給されるのかということと、もう一つ重要な指摘がございましたのは、消費者がそれをよいものであると認識することがキーである。

 つまり、例えば飼料を使ったとします。食品製造業の上流の方では質のいいものが出ますからえさとして使うことも可能なんですが、それを使うことによって生産された例えば豚肉が、これは消費者から見たときに、廃棄物でつくった豚肉であるとネガティブな評価を受けるようでは進まない。一方で、これは品質は担保されていて、ごみを少なくして、環境にいいことをしていて、かつ豚肉としての品質もよい、まあその部分は彼ら自身のビジネスの範囲内なんですけれども、そういうふうな認識になるようであればかなり進むし、その可能性は、実際にやられている事業者の方からはあるというふうな情報もありました。

 さらに、崎田参考人が来られていますけれども、審議会の中では、やはり具体的な地域の事例を見ていくと、顔が見える範囲内でやろうとしているところは、実際に、小規模ですができるんだというふうな御意見もいただきました。

 そういうものの中で、各セクターから来られている方が議論しているうちに、そういう部分であればこれは推進するべきであろう、そして実際にそれを推進するために必要な最も有効な対策は、収集運搬のところの許認可をどうするかという点であろうと。一方でまた、廃棄物処理をやられている業者の方からは、そうはいっても衛生的な配慮は必ず必要ですから、何でもいいというわけにはいかない、やはり安全性を担保するという意味でのシステム全体の監査とか監視は必ず必要になるというふうな御指摘もいただきました。その中で、リサイクルループという提案に至りました。

とかしき委員 ありがとうございます。

 私も、きのう実は早稲田の商店街の方とお目にかかりまして、あそこもちょうど顔が見えるという形で、そんなに大きくしないで、逆に、しっかりと信頼感を持ってやっていこうということで実際なさっているお話を聞いていたんですけれども、やはり顔が見えるというのがすごく信頼感につながる、リサイクルしていくときにそれがとても重要なんだなというふうに思いました。

 ちょっと話は違うんですけれども、私、カナダの方に一度視察に参りましたら、ちょうど生ごみの処理をしているところで、堆肥化をしていたんですけれども、そこに行きますと、ビニール袋とかいっぱい入っているわけです。それで、私がこんなビニール袋が入っている堆肥は大丈夫なんですかと言ったら、何が悪い、ごみからつくっているんだから当たり前でしょう、ビニールぐらいが何なんだ、肥料の性能には何の問題もないということをおっしゃっていて、国民性の違いなのかなと思ったんですけれども、逆を言えば、日本のように厳しい条件の中でしっかりとこういったリサイクルが回っていくと、このノウハウというのは世界に結構売っていくことができる、ノウハウを提供することができるのではないかなということで、逆に、日本は頑張れば国際競争力がつくのではないか、そういうふうに思ったわけでございます。

 ということで、こういう顔の見えるリサイクルシステムを今つくっていこう、もっと力を入れていこうというふうに考えておりますけれども、実際に先進的な事例として、パレスホテルの方で今頑張っていらっしゃる笹本参考人、実際やってごらんになって、この食品リサイクルの分野に定着させていくにはどういうふうにしていったらいいのか、その辺、経験談からお話しいただければと思います。

笹本参考人 今の話、よくわかります。

 定着させるためには、私が思うことは、いろいろな企業がありますが、そこで同じことをやっていて、特殊肥料届というのをとっていないところは、現実的に、リサイクルをやっても最終的にはそれが産業廃棄物としてまた出ていかなければいけない、こういうことがマイナスになると私は思いますので、特殊肥料届というのを、要するに環境に対してやっているところの事業所は必ずそういう届け出をとった上でやられた方がもっと伸びると思います。それを今ちょっと感じたものですから。

とかしき委員 ありがとうございました。その点もぜひ検討していきたいと思います。

 時間も少なくなってまいりましたので、最後にお伺いしたいんですけれども、やはり、こういったリサイクルというのは、いかに皆さんの意識を高めていくか、志を高く持って頑張っていただくか、ここが重要だと思います。さらに、善意だけで回しているとなかなかつらいものでございますから、ある程度社会的に評価され、さらにそれがビジネスにつながれば、もっと力になっていくわけでございます。

 ということで、頑張っている事業者、今パレスホテルの笹本様にお話しいただきましたけれども、このように頑張っている事業者の方々のやる気とか勇気がわいてくるようにするには、どういった施策を今回の法律と一緒にセットで動かしていったらいいのか、どんなサポートをしていったらいいのか、それぞれの参考人の立場で最後にアドバイスいただければと思います。よろしくお願いいたします。

石川参考人 まず、御指摘の点は非常に重要なポイントになると思います。

 まず第一に必要なのは、だれが頑張っているかということを判断しなければいけませんから、それのエビデンスになるようなものをそろえる必要があります。そういう意味では、今回、取り組みに関する報告義務、これは大変大きな力になり得ると思います。これでまず、一定の書式にのっとった報告がなされるわけですから、そこにはデータベースとして蓄積がなされます。

 あと、これをどのように利用するか。まず第一義的には、業種であるとか業態であるとか、場合によっては、地域によって格差があるようでしたら地域とかで整理をした上で、それを公表する。

 まず、ノー・メジャメント・ノー・マネジメントという言葉があります。これは定量的に評価できないものは管理ができないという意味です。これは経営学の方の言葉なんですけれども、社会システムでも当てはまると思います。まず最初に、はかる、現状がどうなっているか、自分の部門もしくは自分の地域、自社がどの辺のポジションにいるのか、それがわかるシステムにすることが大事です。

 今回の提案の中には、それのベースになるデータを集めるというところまでは盛り込んであります。ただ、これをどう利用するかという点に関しては、業種ごとに整理して公表するというものもあるでしょうし、さらに、優良な取り組みがあれば、かなりすぐれた実績があるところがあれば、それは公表して普及を図るというふうにも使うことができます。さらにもう一歩踏み込んで言えば、事業者ベースでデータが仮に公表されれば、かつそれを、とかしき先生のおっしゃるような、どういうふうにわかりやすく出すかという問題はありますけれども、消費者から見て、すぐれた事業者を見出すという意味では、データとしては法律の中でそろうでしょう。

 ですから、あと、それをどのようにわかりやすい形で出していくか。これは割と大きな問題でしょうから、両省の合同審議会などで今後議論した方がいいんじゃないかと思いますが、そういうことを具体的に議論していくことが大事だろうと思います。

崎田参考人 熱意のある事業者の皆さんがよりやる気を起こすというためには、すばらしい取り組みを評価していく、応援するという仕組みがあるということが大事だというふうに思っております。

 ですから、制度として、そういうすばらしい取り組みを評価する、応援する、あるいは優良事業者表彰制度のようなことをやっていただくといいと思うんですが、そこには、それを利用して消費者がきちんと消費行動をとるというような、そういう現実的なつながりというのも大変重要だというふうに思っております。

 特に、今回の審議をさせていただいて私も大変強く印象に残った一つは、ごみ問題や生ごみのリサイクルに関心のある市民やグループは大変ふえてきておりますが、まだまだ多くの方の中には、過度な鮮度志向で、食品リサイクルということにまだ余り関心のない方とかが非常に多い。そういうところにきちんと情報発信をしたり、環境教育の場づくりとか、そういうところをきちんとつくっていくというそもそものところも大変重要だというふうに感じております。

 よろしくお願いいたします。

笹本参考人 私が事業者としまして考えますのは、高速発酵機を導入しているところはかなりあるんですけれども、それがなかなかうまくいっていないというのも現状でございます。

 これはどういうことかというと、十八種類のバクテリアを入れて発酵させるんですが、バクテリアが嫌う食品が入っていれば機械がとまってしまう。そういうようなこともあるので、はっきり申し上げまして、やはりそういうところの教育をしっかりしませんと、現実は、機械は買ったけれども、もうとまってしまったというところもあるんですね。

 どういうものがいけないのかといいますと、例えば牛肉の脂の部分をその中に入れてしまうと一発でとまってしまいます。タケノコを入れたら、殺菌作用があるので、そのまま出てきてしまうとか、あと塩分がいけないだとか、いろいろとあるので、そういうような教育をしまして、それで一層普及させれば、もっとうまく回転するのではないかと思います。

 以上です。

とかしき委員 ありがとうございました。次の質問の参考にさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

西野委員長 次に、近藤昭一君。

近藤(昭)委員 民主党の近藤昭一でございます。

 きょうは、石川、笹本、崎田参考人におかれましては、貴重なお話をいただきましたこと、まずお礼を申し上げたいと思います。

 今、いろいろお話を聞いてまいりまして、今まで食品リサイクル法ができた、その中で生まれてきた課題があると。特に、フランチャイズのお店でしょうか、少量のごみが食品廃棄物として出てくる、そういったものをどうリサイクルしていくか、ここでなかなか進まなかった部分がある。それをさらに進めていくためにどうするかという観点から今回の法改正があった。そして、そこにかかわられた方も多いわけであります。

 それで、今お話を聞いておりましても、使いにくかった部分がある、許認可の部分だということが一つだったと思います。そしてまた、実際の部分で、食品廃棄物の安全性ということがあったと思う。そしてまた、そういったものを排出する、あるいはリサイクルをする、リサイクルというか活用されたものを買う、消費の部分、インセンティブといいましょうか、そういう三位を一体化していく、こういうことで、皆さんも現場で、あるいは今回の法改正でいろいろと留意をされたんだと思います。

 それで、私の勝手な思いかもしれませんが、今、三つが出たところ、どちらかというと、それぞれの皆さんが中心になって、石川参考人におかれましては、そういったシステム、許可制のところ、そしてまた、笹本参考人におかれましては、食品の現場での安全性、そして崎田参考人におかれましては、消費者、そういうインセンティブをどう高めていくか、そういうところを中心に、今回の法改正で留意なさった点、またこの法改正を見てどういうふうに思っていらっしゃるか、少しお聞かせいただければと思います。それぞれお願いいたします。

石川参考人 今回の法改正に当たりましては、まず最初に、大きな問題があるかもしれないと。

 最初、審議に入る前にお話を伺った段階では、一つには、ごみ問題としてこれをどうとらえるかという問題と、それからもう一つは、土づくりだとか環境保全型農業、または農業サイドの視点からどう見るかということになりますと、システムの問題として、これはぶつかる可能性があった話です。

 私が知っている限りでも、食品循環資源と言おうが廃棄物と言おうがいいんですが、それを堆肥にして利用するという話題は、農業サイドの研究者の中では、空気としては批判的な空気が大変多いということが言えます。これは、一つには、日本全体で窒素が余っているのにどうするつもりであるか、それから、端的に言うと、農地はごみ捨て場じゃないんだ、そういうふうな意見からくるものです。

 一方で、環境サイドからいくと、各種リサイクル法が整備されていく中で、一般廃棄物の中の家庭系の廃棄物の中では四割が生ごみですから、これは今回のらち外なんですが、技術的には同じ話ですから、ここに入っていかざるを得ないだろうというのが研究者の中にはあります。

 ですから、システムとして、安全性をどう担保しながらこれを進めるのか、一体どんな手段があるのかというのが難しい問題だろうと思って議論に入りました。実際、それぞれのセクターから出てこられているステークホルダーの方であるとか、また、研究者によってもそのバックグラウンドによって意見の隔たりがありました。

 ただ、それは、率直に意見を交わしている、闘わせている間に、やはり顔の見えるようなリサイクル、これは本当に小さな、本当に物理的に顔が見えるというのもそうでしょうし、一方で、スーパーマーケットチェーンぐらいの、実際に本当に顔が見えているかというよりはもう少し規模が大きいですが、ただし、事業者としては、自分が排出したものでつくられたものを自分がリスクをとって売りますという意味では、自分がリスクをとっているんですね。そういうふうな範囲内でやれば、実際に行われているし自信もあるんだなというふうなことが、皆が共有できてきた。

 その中で、なかなか、許認可であるとか難しい問題がある、微妙な点があるところなんですが、それぞれのステークホルダーが建設的な立場で問題を共有して解決してきた、そういういい議論ができた。結果としてできたものも、今後、食品リサイクル法をある種象徴するようなシステムができたのではないかというふうに考えています。

 以上です。

笹本参考人 私は、事業者としまして申し上げたいことは、生ごみが、一日六百キロというものが、二十四時間で高速発酵機にかけたときに、有機肥料が百キロ出てくるという、六百キロが百キロになるわけですから、要するに、こういうすばらしいことをどんどん普及させなければいけないと思っておるんです。先ほども申し上げましたが、機械を売るメーカーはあっても、それをちゃんと指導できる人というのは余りに少ないというのが現状でございまして、そういうところを、ちゃんとメンテナンスもできるところに紹介をもっとふやしていって、機械がとまらないような形で稼働するということが一番私は重要だと思いますし、そのことが一番大切だと思います。

 以上です。

崎田参考人 今回参加をさせていただきまして、私、強く感じたのは、先ほどからもお話をしておりますけれども、食品リサイクルの、同種のものが大量に出てくるところなどは、大変早目に、熱心に進んできているんですけれども、消費者に近いところの小売業とか外食産業のところのリサイクルの進展が遅いということが、やはり大変強く印象に残りました。

 それをどう改善するかというところが、結果的に、消費者への情報発信とか、消費者がかかわるということにうまくつながるような仕掛けを盛っていくというところが大変重要だというふうに感じました。

 今回、話し合いの過程では、それぞれ課題は整理をしましたけれども、小売店の方とか廃棄物処理業の方、皆さんが、自分たちは何ができるかという積極的な形で話し合いが進んでいったということで、今回のような見直しのまとめができたというふうに感じております。

 ですから、消費者としては、今後は、先ほどもお話ししましたけれども、身近なところで、食べ残しをしないような物の注文の仕方とか、ちゃんと買うときに、余りにまとめ買いというか、そういうものをし過ぎないとか、そういう暮らしの中のちょっとしたことにかかわってくるようなところが実はとても重要だということを認識しながら共有していくということが、これから大事なんじゃないかなというふうに思っております。

 よろしくお願いいたします。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 今回の、外食、小売産業から出ている少量のものを、どう現場の立場あるいは消費者の立場、インセンティブを働かせて、業者さんのリスクでリサイクルループをつくる、それであるならば、業者の人たちがやりやすいようなシステムをつくる、こういうことではなかったかと思うんです。

 それで、余り時間がないので、せっかくお見えですから、今回の法案の中でちょっと気になるというか、今後のことで気になるということで、少しお聞きをしたいわけであります。

 まだまだ課題が出てきた外食産業あるいは小売のところをどうするかがこの法案でありまして、それはまたこれからの審議の中でやっていきたいと思うんですが、気になりますのは、家庭から出るごみ、食品残渣ということであります。これについては、今回の法案改正の中でもまだまだなかなかとらえ切れていないところではないかな、こういうふうに思うんですね。

 そういう意味で、今度は、崎田参考人、笹本参考人、石川参考人とお話をいただきたいんですが、家庭から出てくる食品残渣について、ジャーナリストでもいらっしゃるので、掲載している雑誌とか、そういう原稿の依頼とかがどんな感じか。あるいは、石川参考人にはぜひお聞きしたいんですが、割と、自治体によっては、家庭から出てくる食品残渣をまめに集めて再活用しているようなところもあるのではないかと思うんですが、今回のところはそこまでなかなか法案改正の中では踏み込んでいないのかなと思うんです。

 家庭から出てくる食品残渣についてどんなふうに思っていらっしゃるか、お三人からお聞かせいただければと思います。

崎田参考人 ありがとうございます。

 まず、家庭から出る生ごみに関して、この法律との関連で一つ先にお話しさせていただくと、やはり消費者が、こういう情報に接して、関心を持って、熱心な取り組みの事業者さんから商品やサービスを買うようにというようなインセンティブが重要だというふうなお話をしました。それは、お店の取り組みを応援するというだけでなく、そういうふうに意識啓発、自己啓発が進むということは、自分たちの生活の中の生ごみというものへの関心も高めて、結果的には、家庭から出る生ごみの発生抑制や再資源化につながってくるというふうに私は思っています。

 なお、具体的に、家庭から出るものだけにスポットを当てますと、やはり地域社会の中で、容器包装のリサイクル法とか、さまざまなリサイクル法ができてきておりまして、そういうふうに分けてくると、家庭から出る生ごみをどういうふうにきちんと資源化するかというのを地域社会がつくっていくというのが、今最大の課題だというふうに思っております。

 ただし、いろいろなところで伺っていると、例えば、大都市部で割にその普及啓発がなかなか行き届かないところでどういうふうにやるべきか、あるいは、近くに農地があるような地域でどういうふうにすべきかというのは、地域によって随分違ってくるというふうに私は思っております。

 そういうことの検討のためにも、私は、今後、この食品リサイクル法に関して、都道府県行政や地方自治体が、自分が直接実施するという意味ではなくて、情報の集積とかそういうことに関して積極的な役割を担っていくということが、後々、この家庭の生ごみを含めた日本全体のバイオマス資源の有効活用を、地域を主体にしてつくっていくということにつながっていくと私は思っております。

 よろしくお願いいたします。

笹本参考人 私は、家庭からのごみ、残渣については、ここはもう基本的な問題でございまして、これは「混ぜればゴミ、分ければ資源」という、こういうテーマをとって徹底的に分別をしませんと、それを集めて堆肥化するといった場合にいいものができないと思いますので、ぜひこういうスローガンを掲げて、全国民がこの「混ぜればゴミ、分ければ資源」という言葉を、重要だと思います。

 簡単ですが。

石川参考人 家庭系の生ごみについて考えるところを述べます。

 一つには、家庭系といったときに、その自治体の置かれた状況、これを考える必要があると思います。現状でも、小規模な自治体、どのぐらいでしょう、数百世帯とか数千世帯ぐらいの規模で、生ごみの収集をしてそれを堆肥化して食料生産に戻しているというところは随分前から実績があります。これは、ある意味では、住民同士が顔が見えているし、生産者サイドの顔も見えている、人間関係があるという状況で成立しているものだと思います。

 では、東京都であるとか横浜市であるとか、この規模のところでそれが成立するだろうかというふうなことを考えると、現状では私は難しいと思います。それは、フードチェーンに戻すことが難しいというふうに申し上げます。資源化そのものは不可能ではない。これは、資源化という言葉の中には、現状の法律の中では、家庭系は対象ではありませんけれども、技術としては、メタン発酵であるとか幾つかの技術があります。これはフードチェーンに戻すわけではありませんので、有害物であるとか異物に対するハードルがかなり低い。好ましくはありませんけれども、ちょっとでも入っていたらだめだというものではありませんから、そういう技術で対応するのであれば十分対応可能である。ただ、その場合は、次のハードルは、生ごみを分けるということは、瓶、缶、ペットを分けるのよりはるかに手間のかかる、やる立場からすれば負荷のかかる話ですので、それをお願いしないといけない。

 それから、それの分別収集というのは、多分頻度を、二週間に一回というわけにいきませんので、一定の頻度はサービスとしてやらないといけないでしょうから、そうすると、コストサイドが、収集コストはどうしても上がるだろうと思います。ただ、もともとリサイクルというのは、現状の日本で行えば高くなるのは当たり前でありまして、環境目的であるとか別な理由でその費用を払うということになっておりますから、それを実際にやるかやらないかはその自治体の住民が判断すればいいことだというふうに思います。

 以上です。

近藤(昭)委員 ありがとうございました。

 これから各家庭からの食品残渣についての課題についてそれぞれお話をいただいて、そのことについてはきちっとやっていかなくちゃいけないんだと思うんです。

 それで、一つ、先ほど崎田参考人もおっしゃっていた、もったいない、まず、もったいないんだ、そしてまた、食料危機の問題がこれから出てくるだろう。そういうことで申し上げますと、私は一番重要なことは排出抑制だと思うんです、まずそういった無駄のない食生活といいましょうか。ところが、残念ながら、随分と時代の流れ、あるいはいろいろなものの変化なんでしょうか、もう非常に食品の廃棄物が多い。だからこそ、それをどう飼料とか肥料にリサイクルしていくか。でも、その前に、やはり食料としての危機があるなら、食料としての大事さを知るということが必要だと思うんです。

 そういう意味では、私は、今回、熱回収、いろいろと課題がある中でやむを得ずというところがあるのかもしれませんが、やはり熱回収で。ということは、とにかく出してしまった、その出してしまったものを何かが利用するというような観点が強過ぎて、あれは私は排出を抑制するというところとはちょっと違うのではないかと思うんですね。

 そういう意味で、石川参考人もおっしゃられたように、いろいろと前提条件というかハードルを設ける中で、慎重にやるんだというお話があったんですが、この熱回収についてどういうように思っていらっしゃるか。余り時間がないようですので、それぞれ簡単に。

 それと、笹本参考人には、簡単でいいんですが、先ほど特殊肥料届のことをちょっとお触れになりました。そのことについても少しお話しいただければと思います。

西野委員長 時間の関係で、恐縮でございますが、手短にひとつよろしくお願いいたします。

石川参考人 熱回収は、この法案に書いてありますとおり、プライオリティーは一番低いというふうに思います。熱回収そのものは、減量するとかいう意味であれば、焼却しても減量にはなっているわけですから、大して違わない。そういう意味では、優先するんだとすれば、それは、エネルギーが焼却よりもはるかにたくさんとれる、メタン発酵よりもたくさん効率的であるから行うということであるべきだというふうに思います。

笹本参考人 先ほどの方の特殊肥料届というものの許可をいただいておきませんと、これは販売することもできませんので、そのことを先ほど私は申し上げたんですが、こういう届け出をちゃんとした事業所は、それを製造業として販売をすることができるということでございまして、私どもはエコパレスという商品名をつけて販売をしています。地下一階の花屋さんで、その物を百円で今売っていまして、それが結構売れています。

 ですから、そういうようなことも非常に私は大切じゃないかと思うんですね。そうすると、事業者として、そういうリサイクルをやったものがなお自分のところで販売ができる、そういうようなことになると、どんどん積極的になってくるのではないかというふうに思いました。

 以上でございます。

崎田参考人 熱回収に関しての御質問なんですけれども、私も、循環型社会をきちんとつくっていくという上では、きちんと最初に飼料化そして肥料化、やはりこういう優先順位をちゃんとつくったということが大事だというふうに思っておりますし、発生抑制、みんなで食物を大事にするというのが基本だというのは、もう大前提だというふうに思っております。

 その上で、やはり単に単純焼却より、きちんと熱回収として効率のいい回収をすることを位置づけるということに意味があるというふうに思っております。特に、今は地球温暖化対策で、本当にバイオマス資源をきちんと有効活用していくというのは日本にとってもとても重要なことだというふうに思っておりますから、今回、それをきちんとそういう意味で位置づけたということは、大事だというふうに思っています。

近藤(昭)委員 ありがとうございました。

西野委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 本日は、参考人の先生方には大変貴重な御意見を伺わせていただいておりますこと、最初に感謝を申し上げます。

 私の方からも、この食品リサイクル法の改正に関して、参考人の先生方に御意見を伺い、また後半、審議がございますけれども、参考にしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず、先ほどもちょっとお触れになられましたけれども、やはり今、発生抑制ということが非常に大事かと思っております。

 そこでお尋ねしたいと思いますが、環境への負荷を減らすためにも、自然界から採取される資源をできるだけ少なくして、そしてそれを有効に使うことによって廃棄されるものを最小限に抑える、この循環型社会の実現に向けた取り組みを展開する我が国におきましては、ごみの発生抑制というのが大変重要な課題となっております。特に食品廃棄物の発生抑制は、もったいないの精神にも深くかかわるところでございまして、食べ物を粗末にしないという意味でも大事な取り組みと言えます。

 そこで、崎田参考人にお伺いをさせていただきますけれども、食品廃棄物の発生抑制を進めていくためには、やはり食に関する感謝の気持ち、もったいないという日本古来の物を大切にする心、こういうことを初めとして、食品廃棄物の発生抑制を行うための普及啓発というのが大変重要であると思っております。そこで、食育を推進するための施策との連携を図って普及啓発をしていくためにはどのような取り組みが必要と考えられるか、お答えいただきたいと思います。

崎田参考人 今、もったいないという気持ちを大切にするための環境教育はどういうふうにあるべきかというお話をいただきまして、これに関しては、やはり、地域側が取り組むものと、子供たちを身近に見ている学校側が取り組んでいただくことというのが、両面、大変強くあるというふうに思っております。

 特に今、食育の大事さというのが言われている中で、体験的にそれを子供たちが感じていくということが大事、そして健やかな食生活につなげていくということが大事というふうに言われておりますけれども、その中で一番大事な、例えば小学校での給食、こういうことをきちんと見直していっていただくというのが一つ大きなポイントだというふうに感じております。

 小学校は食品関連事業者ではありませんが、大切な教育機関として、例えば給食などの残渣をきちんと資源化して、それでできた食物をまた学校に戻すような、先ほどからの顔の見えるリサイクルの輪をつくっていただくのに一番ぴったりなところだというふうに思っています。

 そういう意味で、積極的に取り組んでいただいている学校も徐々にふえてきておりますけれども、それを積極的に発信して全国的に定着させていただくことが、子供たちの日々の暮らしの中で、食物の大切さを感じる大事なことなんじゃないかなというふうに感じております。

 よろしくお願いいたします。

江田(康)委員 続きまして、また崎田参考人に、食品リサイクルに対する消費者の役割について、お尋ねいたしたいと思うんです。

 食品廃棄物は、店舗での食品の売れ残り、また、パレスホテルさんもありますけれども、レストランなどでの食べ残しなど、消費者の行動に大きく影響を受ける面がありまして、そのため、食品関連事業者が食品廃棄物の発生抑制やリサイクルの取り組みを行う際には、消費者に理解を得ながら進めることが重要であるわけでございます。

 そこで、このような観点から、消費者の意識の変革なり購買行動の変革をどう進めていくことが適当と考えられるか、お伺いをいたします。

崎田参考人 やはり消費者の意識改革というのは、それの情報を整備し、情報発信をしっかりやっていただく、そこに尽きるというふうに常に感じております。

 まず、情報発信としては、特に今回、事業者の皆さんが自分たちのデータをきちんと集積するというところも見直しの中に提案させていただきましたけれども、その後、それを活用しながら、きちんと消費者に向けて、やっている取り組みを発信していただくということが大事だと思っております。

 特に、消費者への普及啓発というと、普通、行政がやること、そういう範囲で考えがちです。もちろん行政のそういう取り組みも大事なんですけれども、それだけではなく、先進的に取り組んでいらっしゃる事業者の方が積極的にみずからの取り組みを発信されたり、環境報告書で提案されたり、積極的に見学を受け入れるような、そういう動きをしてくださることが消費者の意識改革にも直結するというふうに思っております。

 よろしくお願いいたします。

江田(康)委員 大変貴重な御意見であると思います。

 次に、石川参考人と笹本参考人にお伺いしたいんですが、再生利用等の取り組み内容の定期報告についてお尋ねをしたいと思います。

 食品リサイクル法の改正案では、再生利用等の取り組み内容につきまして、一定規模以上の食品関連事業者に定期報告を義務づける規定が設けられておるわけでございますが、食品廃棄物の発生抑制やリサイクルを進めていくためには、食品関連事業者の意識向上を図るべく、定期報告を受けた取り組み内容について、行政も有効に活用することが必要と考えます。

 そこで、この定期報告を受けて行政は具体的にどう活用していくことが適当と考えられるか、御意見をお伺いしたいと思います。

石川参考人 先生のおっしゃるとおりだと思います。

 具体的な活用方法としては、まずデータを統計的に処理をする。業種、業態、地域も要るかもしれませんし、規模もあるかもしれません。適切な、必要なカテゴリーに分けて統計処理をして、毎年の進捗状況がどうであるか、これを社会的に発表する。それを見れば、自社がどのぐらいのポジションにあるのかということはわかります。

 まず第一に、自社のポジションがどの辺であるかというのがわかるのが第一でありまして、次の、別な利用の仕方としては、その中でのトップランナーを見つけてきて、それを紹介する、褒めるということでもっと進めるという利用の仕方もあります。

 さらにもう一歩進めますと、事業者ベースで、仮に、これは理想的に言えば、事業者ベースでデータが公開されれば、それは直接消費者が見るとは余り思えません、すべての人が見るとは余り思えないんですが、消費者団体の方であるとか研究者はそれにアクセスできますから、その中で、みずから思うような評価というのを社会に発信することができます。その発信された評価を通じて、事業者の中で廃棄物に対する取り組みの競争が起こりますから、そこでインセンティブが働けば、さらに取り組みが進むであろうというふうに思います。

 以上です。

江田(康)委員 私も石川先生のおっしゃったとおりだと思います。まさに、これは分析、評価して、それを手元に置くのではなくて社会に見える形で発信をしていく、それが消費者の環境配慮する企業への評価につながり、また適切な消費にもつながる。まさに、経済と環境が両立しながら、環境配慮の企業、事業者が評価されていく、そしてリサイクルが進む、そういうことが大変重要かと思いますので、政府にも申し上げていきたいと思っております。

 最後に、最後ではないかもしれません、リサイクルループについてお伺いをさせていただきます。

 改正案では、この再生利用事業認定計画制度を見直しまして、食品関連事業者が構築するリサイクルループの認定を行う制度としておるわけでございますが、このような取り組みを推進することは、顔の見えるリサイクルを進めていくために有効と考えております。

 一方、このような制度が不法投棄などで悪用されることのないように、確実にリサイクルがなされること、また、生産されるリサイクル製品の安全性が担保されることが必要不可欠でございます。

 そこで、できれば石川参考人初め三人の先生にお答えしていただきたいんですが、リサイクルループを安全かつ確実に構築するには、どのような取り組みが必要と考えられるか、お聞きしたいと思います。

 また、先ほどから、このリサイクルループでできた農畜産物というものが消費者にわかりやすく表示されることがまたブランド化につながって、経済的にも効果も出てくる。そういう環境と経済の両立を図る好循環の中で、このリサイクルループに関して、さらにその先、求めるもの、そういう公表とか表示とか、そういうようなことについて御意見があったらお伺いをしておきたいと思います。

石川参考人 リサイクルループにおける安全性の担保はもう大変大事な問題でありまして、ここで失敗すると全体が、せっかく変えたのが全部だめになってしまうということになります。

 ですから、私が思いますのは、担保する方法としては二つありまして、特に今は制度が実際に始まるところですから、この段階においては、まず、ある程度の監視というのが、モニタリングが必要であろうというふうに思います。これが長期的にも必要かどうかはわかりません。実際にたくさんのリサイクルループができていって、それほど問題がないんだということであれば、モニタリングはだんだん下げていくことができると思います。ただ、初期においては必要だろうと思います。

 もう一点は、情報の公開。やっていることをオープンにしていく。一たん公開した情報は隠せませんから、そういう状態でやっていくということで、事業者自体にリスクを感じてもらう。さらに、それにもかかわらず進めていただくためには、そういうふうにやっている事業者に対して、消費者にアピールするようなインセンティブを何らかの形で与える。これは恐らく公的セクターの役割だろうと思います。

 以上です。

笹本参考人 リサイクルについて、私どもは、パレスホテルの方には、敷地内にその工場がございまして、パレスホテルの中から出たものだけを高速発酵処理をしておりますので、他のところからのものが一緒にまじることはございません。ですから、大変クオリティーが高いと言われております。

 また、それと、見学会を定期的に、私、会社の中の環境プロジェクトチームということになっておりまして、今は二カ月に一回、新聞告知だとかそういうことをやりまして、一般の家庭の方たちの自由参加ということで見学会をやりまして、私どもの方は発酵している中身まで全部見ていただいて、出てきたものもすべて見ていただいています。

 その堆肥も見ていただいた中で、ちょうど私ども、森ファームという会社と提携をしておりまして、そこでお米をつくってもらっていたり、また野菜をつくってもらっていたりしますので、最後、見学会が終わって、その野菜とお米の食事会というのをやっているんです。

 大変評判がいいのは、最後に、デザートコースに入って、私どもがお料理の味を聞きに行きますと、さすがですよね、この野菜もおいしいし、御飯が大変甘くておいしいと言っていただけるのが、大変私ども、またやる気が出ますので、今そういう会社になっています。はっきり言いまして、いつでも見学会はオーケーというようになっておりますので、よろしくお願いします。

崎田参考人 今のリサイクルループをどういうふうに経済活性化につなげていくかというところのお話なんですけれども、先ほど来お話をしていたのは、消費者としては、消費行動をとるときに選択のきっかけになるような表示をきちんとしていただきたいというお話をしました。

 これは、もちろんそうなんですが、リサイクルループ全体像を考えると、今のパレスホテルさんのお話にもあったんですが、そのリサイクルループの一番最初の、全体像の仕組みづくりのところから一緒に考えさせていただけるような、一緒に苦労をともにするようなというか、参加型の形でそういうループづくりをしていただくというのは、一つ市民自身も、消費者自身も、みずからの責任がどこにあるかというのを自覚するのに大変重要だというふうに思っています。

 それは、一つの企業の中だけではなくて、地域社会などの循環型地域づくりということを考えたときにも、市民ができるだけ仕組みづくりの早い段階から参加をさせていただき、ともにつくっていくということが、最終的には、その苦労を共有しながら、最後の製品を自分がきちっと購入するという、そしてまた、もったいない精神でできるだけ食物を大切にするという全体の輪が回っていくということにつながっていくと思います。

 私は、今地域という言い方をしましたけれども、地域には本当に自分たちの暮らしを見直そうという市民グループもふえてきておりますので、行政の皆さんや企業の皆さんが、積極的にそういう市民の思いを活用して、リサイクルループを早目に信頼づくりにつなげていただくというのが重要だと思いますし、それが広くなって、循環型地域づくり、日本の活性化みたいな形につながっていくんじゃないかなというふうに思っております。

 よろしくお願いいたします。

江田(康)委員 大変参考になりました。また、このリサイクルループに大きな期待がかかるところでございますので、我々もしっかりと審議をこの後していきたいと思っております。

 最後ではございますけれども、やはりもう一つ問題になってくるのは、そうやって食品リサイクル法の適用されるものはよろしいんですが、その適用外に家庭からの生ごみがあるわけでございまして、これはもう、先ほどからも御質問があっていますけれども、食品関連事業者から発生する食品廃棄物とほぼ同量でございますね、一千万トンレベルで、同量。

 そこで、家庭から排出される生ごみの取り扱いについて、今後の大変重要な課題としてお聞きをしておきたい。

 崎田参考人に御意見をお伺いしたいと思うんですが、先ほど来ありますように、生ごみの分別の難しさ、リサイクルがしにくい、そういうことでなかなか進まないかと思うんですが、最後に簡潔に御意見をお伺いできれば。

崎田参考人 地域社会の中で、本当に、生ごみをどういうふうにこれから資源化していくかというのは、どこの地域でも悩んでいらっしゃる大変な問題だと思いますし、消費者として責任を持っていかなければいけないことだというふうに思っております。

 ですから、今回のこの食品リサイクル法、これは事業者さんの取り組みですけれども、こういうことをきっかけにしながら、地域社会の行政、市町村行政、あるいは都道府県の皆さんも、きちんとここに関心を持っていただいて、企業の皆さんがつくってくださったこういうリサイクルの輪が、地域社会の展開に、どういうふうにすばらしい資産になるのか、あるいは連携できるのか、そういうことをきちんと見きわめる上でも、積極的に情報交流に参加していただくということが今後大事だというふうに私は感じております。

 よろしくお願いいたします。

江田(康)委員 大変参考になりました。

 参考人の皆様、本日は大変にありがとうございました。

 以上でございます。

西野委員長 以上で、参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、参考人各位に一言御礼を申し上げます。

 参考人の皆様におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

西野委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省総合食料局長岡島正明君及び環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長由田秀人君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

西野委員長 これより政府に対する質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。とかしきなおみ君。

とかしき委員 ありがとうございます。自民党のとかしきなおみでございます。

 本日は、食品リサイクル法について質問させていただきたいと思います。

 私も、地方議員のころから、こういったリサイクル、かなり興味を持っておりまして、世界じゅういろいろ拝見させていただきましたら、一つのことに気づきまして、食品というもののリサイクルの方法が、国によって、地域によって物すごく違う。実に、ごみの処理というのは民度を反映しているとよく言われるんですけれども、その中で、多分一番極端に、皆さんの物の考え方、ごみに対する意識が、食品をどういうふうに扱っていくのか、これによって出ているのではないかなというふうに思いました。

 ということで、そういった経験も踏まえながら、昔から私は食品のリサイクルには興味を持っておりましたので、質問させていただきたいと思います。

 温暖化社会を迎えて、二十一世紀に向かって、いかに私たちは環境に配慮をした生活をしていくのか、ここがとても重要な使命というふうに考えております。

 特に食生活、私たち日本はとても豊かになってしまいまして、大量の食品が廃棄されて、大量の食べ残しということが、非常に浪費、無駄を生んでいるわけでございます。

 農水省のホームページによりますと、平成十三年で大体、廃棄した食品、一日で七百三十一キロカロリー、昭和五十年のころには三百二十六で、二倍以上にふえているということで、平成十六年そして十七年を見ましても七百十八キロカロリーでほぼ横ばいということで、食品の廃棄に関してはほとんど改善傾向は見られておりません。簡単に言いますと、私たちは、一日に何と一食分も食料品をごみとして捨ててしまっている、そんな状況になっているわけでございます。

 この無駄をいかに省いていくか、そして、無駄を省くだけじゃなくて、それをいかに循環させていくのか、これが今回の法律の一番のポイントではないかというふうに思います。

 ということで、質問に移らせていただきたいと思いますけれども、平成十三年から食品リサイクル法が施行になっておりますけれども、施行からこれまでの間の再利用、そして今お話ししました発生抑制、これがどのように進捗していったのでしょうか。現状をお知らせください。

由田政府参考人 食品リサイクル法は、御指摘のように平成十三年に施行されておりますが、食品関連事業者によります食品廃棄物等の再生利用等の実施率は、平成十三年の三七%から平成十七年の五二%へと着実に向上いたしまして、一定の成果が見られているところであります。

 その内容を再生利用量で追ってみますと、食品産業全体で平成十三年度の三百二十四万トンから平成十七年度の五百三十万トンと一・六倍に、各業種ごとに見ても堅調に増加をいたしております。

 しかし、再生利用が着実に進んだ一方で、食品廃棄物等の発生量は、平成十三年度の一千九十二万トンから平成十七年度の一千百三十六万トンへと、四%の増加を示しており、発生抑制が進んでいると判断できる特段の結果は見出しがたい状況にあります。

 また、基本方針に定められました再生利用等の実施率の目標、二〇%ということでございますが、これを達成している事業者の割合は、目標年度の前年であります平成十七年度におきましても、食品関連事業者全体の二割弱、食品廃棄物等の発生量が百トン以上の事業者に限って見ましても三割弱と低水準にとどまっている状況であります。

    〔委員長退席、桜井委員長代理着席〕

とかしき委員 ありがとうございます。

 今御報告を受けましたけれども、再生利用の方はかなり効果が上がったんですけれども、発生抑制の方がなかなか効果が上がっていない、そういったお話をいただきました。こういう結果の分析を通じて、いろいろな課題が見えてきたかと思います。

 ということで、再生利用や発生抑制等を進めていく上でどんな課題があって、そして、今後、今回の食品リサイクル法の見直しによって、業種や業態の特徴に応じた再生利用、発生抑制、こういった環境整備をどういうふうにしていったらいいのか。具体的な改善点、そしてどんな効果を期待しているのか、その辺のことについて、土屋副大臣にお伺いしたいと思います。

土屋副大臣 現状では、食品廃棄物等が大量に発生する食品製造業を見ましても、ごく一部の事業者が全体の再生利用等の実施率向上に寄与する一方で、食品流通の川下に位置する食品小売業や外食産業の取り組みは大きくおくれているわけでございます。その川下の事業者の底上げが今回の大きな課題であります。また、発生抑制については、業種、業態にかかわらず目立った進展が見られないのが現状で、食品関連事業者等に対する一層の意識の向上と取り組みを促す仕組みの整備が必要であるということでございます。

 それから、今回の改正案では、一つには、定期報告義務を創設いたしまして、食品関連事業者に対する指導監督を強化するものとしておりますが、これは年に一回を予定しております。それから二つ目、リサイクルループを構築する場合には、国の認定を受けて廃棄物処理法の特例の対象となる制度を設け、再生利用等の取り組みの円滑化を図ることといたしました。これらの措置によって、主として川下の事業者の取り組みが進展するだろうと期待しているところでございます。

 それから、発生抑制については、業種や業態の特殊性を踏まえた発生抑制の目標を設定することとしております。それで、食品関連事業者や消費者等の食の意識改革に関する啓発を強化する必要もあるので、これも予定しております。それから、発生抑制、再生利用を一体として推進することだけではなくて、発生抑制に焦点を当てることによって、食品関連事業者、消費者等の発生抑制に対する意識が向上すること、取り組みが進展することを期待しているところでございます。

とかしき委員 五年間の食品リサイクル法でいろいろ経験を積んできたわけでございますけれども、こういった川下の問題とか発生抑制の問題、この点をやはり重点的にぜひ今後も取り組んでいただきたいと思います。

 私も、この質問をするに当たりまして、地元の大阪そして東京の外食産業の方々、食品リサイクルに取り組んでいらっしゃるリサイクル業者の方、そして現場で実際にリサイクルループをなさっていらっしゃる方、そういった方々にいろいろお話を聞いてまいりました。いろいろなことでこういうことを聞いてほしいという依頼も受けましたので、幾つかちょっと疑問点が出てまいりましたので、まずその点について質問させていただきたいと思います。

 現場のリサイクル業者の方から言われたのが、実は、実際に管轄官庁が環境省と農水省、両方が管轄をしていただいているんですけれども、非常に役割分担がわかりにくくなっているということで、連携は一体どうなっているのか、どこで線引きをなさっていらっしゃるのか。現状二つの省庁がかかわっていて、具体的に改善点を考えていらっしゃらないのか、どういうふうなことをしていったらいいか、その辺のことについてお考えをお示しいただければと思います。

由田政府参考人 環境省は廃棄物・リサイクル対策、環境政策という立場から、それから農水省は農業、食品産業政策という立場から、食品廃棄物の再生利用等という共通の目的に向かって取り組んでおるわけであります。

 具体的には、例えば、食品廃棄物の環境保全上適正な循環利用を確保するというふうなことは環境省の役割でありますし、リサイクル飼料や肥料の安全性や、安定的な需要の確保でありますとか、食品関連事業の健全な振興というのは農水省の役割であります。こうしたそれぞれの観点から、本法の措置を共同で実施することとなっているところであります。

 今回の改正を検討するに当たりましては、両省の審議会を合同会合として開催するという形で連携体制を当初から構築し、検討を行ってきたところであります。

 また、食品リサイクル法の施行に当たりましても、現場におきまして地方環境事務所が地方農政局と十分に連携するなど両省の連携体制が大変重要だと考えておりまして、この点も今後充実させてまいりたいというふうに考えております。

 今後とも、両省におきまして十分な連携のもとで、食品リサイクルの推進に努めてまいりたいと考えております。

とかしき委員 ぜひ現場で十分な連携がとれるように御配慮いただきたいと思います。

 それから、もう一つ質問なんですが、今回の法改正によって、発生量を毎年報告させる対象として百トン以上の多量の発生業者ということなんですけれども、ここの百トンというのはどうして百トンというふうになったのか、その辺の理由をお知らせいただけますでしょうか。

岡島政府参考人 お答え申し上げます。

 年間発生量百トンという基準につきましては、まず、事業者数全体で見ますと、年間百トン以上排出されている事業者は全体の七%であるわけですけれども、量的に見ますと、発生量に占める割合が五割以上を占めている、まずその点でございます。それから、百トンという大量に食品廃棄物等を発生させる事業者ほど再生利用等に取り組んでいただく必要性が高いといったようなこと、また、大量の食品廃棄物等を発生させている事業者の取り組みの波及を通じて、それ以外の事業者の取り組みの促進が期待される、こういったことを考慮して設定したところでございます。

とかしき委員 ありがとうございました。

 次に、目標設定についてお伺いしたいんです。

 食品リサイクル法、平成十三年のときは一律二〇%ということで業種共通に定められておりましたけれども、実際にやってみますと、川下と川上では状況がかなり違いまして、一律ということがなかなか難しいのではないかというふうに思うんです。業種や業態の違いに応じた再生利用そして発生抑制の目標設定を行うべきではないでしょうか。この辺についてのお答えをいただきたい。

 もう一つ、リサイクル率。現場で聞いてみますと、リサイクル率をもっと高くしてほしいという声も出てきております。というのは、高くしてもらった方が、業界自身ももっと真剣に考えていく。二〇%ぐらいですと、ちょっと無理をすればまだまだできる。ただ、これが四〇%、五〇%ですと、根本から自分たちの仕事の仕方を考え直していかないと対応できない。しかし、やはりそれぐらいの気持ちでリサイクルというのは取り組んでいく必要があるのではないかということで、逆に目標設定をもっと高くしてほしいという声も出ておりました。

 こういった目標設定、これは五年に一回法律見直しなんですけれども、五年に一度見直すだけではなくて、随時、業種、業態に合わせて見直しが必要かと思うんですけれども、その点いかがお考えか、お伺いしたいと思います。

岡島政府参考人 御質問の点につきましては、環境省と我が省との合同審議会報告「食品リサイクル制度の見直しについて」においても、新たな実施率目標については、まず一点目、食品関連事業者の再生利用等の取り組みをもとに自己目標を各事業者ごとに立てていただく、二点目といたしまして、業種の特性等を考慮した上で、業種別の実施率に関する目標を定めるというふうに取りまとめられているところでございます。

 こうしたことを受けまして、今後、具体的な目標のあり方、水準につきましては、法施行時までに食料・農業・農村審議会及び中央環境審議会の意見を聞きながら検討していくこととなりますけれども、現時点において考えておりますのは、現行の全業種、事業者一律の実施率目標ではなくて、まず、各事業者ごとに毎年度の基準となる目標値を設定して、これに即した取り組みを促す。それから、すべての事業者が目標どおりに取り組みを行った場合に達成されるであろう業種別の業種全体の中期的な目標、これはある意味では意欲的なものになろうかと思います、そういったものを設定することを念頭に置いているところでございます。

 また、各年度見直すということについて、今も申し上げましたけれども、各事業者ごとには各年度の基準となる目標率を設定して、目標率がステップアップしていくようなことを考えているところでございます。

とかしき委員 リサイクル意識というのは、目標が、ゴールが高ければ高いほど高くなってまいりますので、ぜひ柔軟な対応をよろしくお願いいたします。

 それでは、今回の改正案、入り口の食品関連事業者には目標達成を強いているわけなんですけれども、出口である農家とか、それによって、農家から今度生成される食品の購入等の目標等は入っておりません。要は、今回、入り口の方はしっかりと目標設定の数値化をされているんですけれども、出口の部分を入り口にどうつないでいくのか、ここの目標設定がなされていないんです。

 本当は、リサイクルループということでしっかり円として回していくためには、入り口と出口の連携をいかに上手にとっていくか、ここがポイントだというふうに考えていますけれども、その具体的方策をいかがお考えでしょうか。福井政務官にお願いいたします。

福井大臣政務官 御指名ありがとうございます。

 まさに先生御指摘のように、入り口だけではなくて、出口との連携が重要であるという御指摘でございます。まことにそのとおりだというふうに思っております。

 食品循環資源の再生利用を図っていくには、製造された肥飼料が確実に利用されるという取り組みを確保することが重要でございます。したがって、今おっしゃいましたように、農業者等の参画が必要不可欠でございます。

 このため、今回の改正におきましては、食品循環資源由来の肥飼料を用いて生産されました農畜水産物を排出者であります食品関連事業者が引き取ることを再生利用事業計画に位置づけるということにしたところでございます。

 この新たな再生利用事業計画を活用することによりまして、肥飼料の確実な利用、そしてこれを通じました食品関連事業者と農業者との連携、これによりまして、まさにリサイクルループの形成を進めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。

    〔桜井委員長代理退席、委員長着席〕

とかしき委員 では、出口と入り口、うまくループが回るようによろしくお力添えいただければと思います。

 それでは次に、熱回収についてお伺いいたしたいと思います。

 今回の法律の中で、生ごみ、食べ残しを熱回収してもいいというふうに書いてあるんですけれども、これはどうやって熱回収をしていこうというふうにお考えなのでしょうか。そして、優先順位がもちろんあるんですけれども、どういった場合に熱回収を認めていこうとお考えなのか、その辺を明確に説明していただきたいと思います。

 そして、もう一つ、実は私、調べておりましたら、ドイツのハノーバー市、ここも実は、生ごみを焼却処理していいということを決めているらしいんですけれども、ただ、安易に焼却しないようにということで、なるべく生ごみから発生するバイオガスの発電施設とか堆肥化施設とか、そういった施設をぐっと一カ所に集めて、その横に焼却施設を建てて、これは機械性生物処理、MBA方式というらしいんですけれども、なるべく一カ所にまとめることによって効率よく回していって、最後の最後の選択肢として焼却を認めよう、こういうようなことを考えているらしいんですね。

 このようにしていくと、無駄なく、安易に焼却に回ってしまうというのもある程度は抑えられるのではないかなというふうに思うんですけれども、日本として、国としまして、今後、このような方式は検討なさる予定はないのか、その辺についてもお伺いしたいと思います。

由田政府参考人 食品循環資源の熱回収の具体的な方法としましては、食品循環資源の焼却によって得られる熱を熱のまま利用するというやり方、それからまた電気に変換して利用するというふうなやり方を想定しておりまして、具体的には廃棄物発電が考え得るものであります。

 熱回収は、循環型社会形成推進基本法の基本原則におきまして再生利用を優先し、再生利用がなされないものを熱回収されるべきとされていますことから、本法におきましては、食品循環資源の有効な利用の確保に資するものとして一定の基準に適合する場合にのみ、こうした廃棄物発電を熱回収として認めることとしているところであります。

 具体的には、まず、塩分濃度が高い場合や異物の混入の程度が著しく分別が困難である場合など再生利用が困難な場合でありまして、特に、現行制度で再生利用手法として位置づけられておりますメタン化と同等程度以上に高い効率で発電等のエネルギーが利用できる場合、この二点を満たすことを熱回収の基準として定める予定に考えております。

 それから、もう一つの御質問でございますが、いわゆるドイツのハノーバー市の例を挙げられましたが、この焼却施設と生ごみから発生するバイオガスによります発電施設や堆肥化施設の併設によりまして、例えば焼却施設におきまして得られる熱をバイオガスの発生あるいは堆肥化に必要な熱源として用いるなどエネルギー効率の面でより高度な処理を行うことができるというようなこともできるわけであります。

 環境省では、このような焼却発電とバイオガスや堆肥化施設のコンバインドシステムを目指すべき新しいシステムと位置づけておりまして、その導入を促進していきたいというふうに考えております。

 このため、今年度からバイオガスによる発電施設と熱回収を併設したシステムで高効率なものを、交付率を三分の一から二分の一に上げて支援するところとしたところでありまして、これらの措置を受けまして、現にこのようなシステムを計画中の自治体もございます。

 循環型社会及び脱温暖化社会の実現に向けまして、今後とも、このような施設の整備に対する支援に努めてまいりたいというふうに考えております。

とかしき委員 ありがとうございました。

 なるべく、せっかくリサイクルという仕組みを今つくろうとしているわけですから、安易に焼却に逃げてしまわないように、ぜひしっかりと仕組みをつくっていただきたいと思います。

 それでは、今度は再利用の優先順位についてお伺いしたいと思います。

 食品リサイクル法で認められている四つの利用法、肥料化、飼料化、メタン化、油脂・油脂製品化というのが四つ、主にあるんですけれども、今回は、優先順位をある程度決められたかと思いますけれども、どういった優先順位で、なぜ今回このようになっていったのか。そして、それの期待される効果、なぜ優先順位を決めたのか、その辺のことをちょっとお話しいただけますでしょうか。

岡島政府参考人 現状から御説明いたしますと、法制定当時に、新しい制度でございますので、食品関連事業者にまず制度を知ってもらう、それから各事業者が取り組みやすい手法から取り組んでいただくということでございまして、現状におきましては、再生利用手法についての優先順位という考えはなかったわけでございます。

 環境省との合同の審議会等で議論をしていきました際に、やはり優先順位が必要だろう、その際に、やはりまず飼料化、これが食品循環資源の有する成分でありますとかカロリーを最も有効に活用できる手段であるといったようなこと。それから、最近は、配合飼料の国際価格が高騰するといったようなことで、食品循環資源由来の飼料は利用者からの需要も高まっているといったようなことで、今後も利用の拡大がかなり見込まれるといったようなこと。また三点目として、食品循環資源から製造される飼料、いわゆるエコフィードでございますけれども、それには国産の食品も含まれておりまして、その利用拡大によって、輸入飼料原料に置きかわるならば、いわゆる飼料自給率の向上にも寄与する、こういったことから、飼料化について優先していくのが妥当ではないかというふうに考えているところでございます。

とかしき委員 ありがとうございます。

 現場のリサイクル業者の方々がこの優先順位をとても気にしていらっしゃいましたので、今回の法律で明確化されたことは非常に喜んでおります。

 しかし、今度、これ以外の挑戦をしているところもあるわけでございます。私もたまたま視察に伺わせていただきました、大阪のあるリサイクル業者の方、ここは、炭素固定とかカーボンニュートラルということで、新しい技術にどんどん挑戦しているところでございます。

 こういった新しい挑戦をどんどん頑張っていただく、これも私は大切ではないかと思うんですけれども、こういった再利用の方法、新しい挑戦をしている人たちに対してどういうふうにしていったらいいのか。これは、例えば今決まってしまった優先順位の中には入らないわけなんですけれども、どういうふうにしていったらいいのか、その辺のことについて北川政務官にお答えいただければと思います。お願いします。

北川(知)大臣政務官 とかしき委員の方からお話がありました、この四手法以外の新たな再生利用の方法の件についてでありますけれども、今、四手法を申されました。肥料化、飼料化につきましては、これは再生利用として法定化をされております。そして、油脂及び油脂製品化、メタン化、これについては政令において規定をされておるところであります。

 しかしながら、今委員の方から御指摘がありましたように、この四手法以外でも技術進歩に応じた手法の多様化等も求められておりまして、例えば今、カーボンニュートラルのお話がありました。炭化及びバイオエタノール化についても、再生利用製品の品質を確保できる再生利用技術が確立をされ、一定の需要が確実に見込まれること、また、基本的に不適正な処理がなされるおそれがないなど一定の条件に適合する場合には、新たな再生利用手法として、今後、政令に規定する方向で検討を進めていきたいと考えております。

とかしき委員 新しい技術挑戦、環境のこういう業界は、突然ある技術が出てきて、そちらの方が環境に優しいとか環境負荷がないという場合もよくありますので、ぜひこういった新しい挑戦の芽を摘まないで、むしろ後押しするような形で御配慮いただきたいと思います。

 それでは、最後に若林大臣にお伺いしたいんですけれども、先ほども政府参考人の方々からいろいろお話を伺っておりますと、やはり、こういうリサイクル、頑張った人たちが頑張ったなりにある程度評価をもらわないと、なかなかやっていく力が出てこない、そういったお話が出ておりました。

 ちょうど私も大阪のその業者のところに参りましたら、大臣から表彰状をことしの春にいただいたということで、物すごくうれしそうに、誇らしげに表彰状が飾ってありまして、その表彰状をいただいてから世間の評価が一変したということで、すごく仕事がしやすくなって、働いていらっしゃる皆様、私は休日にお邪魔をしたんですけれども、わざわざ全部あけてくださいまして、すごく生き生きとお仕事をなさっていらっしゃいました。

 やはり、こういった仕事をなさっている方は、褒めていただく、評価される、これが私はとても重要ではないかなというふうに思います。さらに、やはりこれがまたビジネスに結びついていく、これが継続力になっていくのではないかと思います。

 今回は、法制度の中で、どういうふうに頑張っているのか、だれが頑張っているのかということがわかるように、報告義務は入ってまいりました。しかし、この報告された情報をどうやって使っていくのか、そして、それをいかに世間一般、消費者の人たちにもっとわかりやすくこの情報を伝えていくのか、ここがまだちょっと弱いかなと正直思うわけでございます。

 大臣として、正当に評価されてこの食品リサイクルの業界の皆さんが一生懸命頑張って続けていくようにするにはどういうふうにしていったらいいのか、大臣のお考え、応援のお言葉をぜひいただきたいと思います。

若林国務大臣 食品のリサイクルの問題というのは、先ほど来いろいろ御議論いただいておりますが、まずは何といっても排出抑制というものをしっかりと徹底するということが大事だと思います。にもかかわらず、どうしても出てきます廃棄物については、これをできるだけリサイクルとして有効に利用していく。そういうことをリードしていくのはやはり消費者だと私は思うんですね。

 消費者の皆さん方にだんだんと循環型社会、特にもったいないという気持ちが浸透をしてきているように思います。消費者のそういう気持ちにこたえるような事業者、レストランなどの食品提供者、あるいはまたスーパーその他の商店なども、そういう消費者の評価というものに応じて事業努力をしていくということが必要なことだと思います。

 そういう意味で、今回、このような法律改正をいただきました。委員がおっしゃいますように、その関係の事業者が、従業員も気持ちを一つにして、元気を出してこの食品リサイクルに取り組んでいくということにするには、やはり優良な事業者についてこれを表彰する、褒めていくということは大変大事なことだと考えております。そういう意味では、表彰をし得るための客観的な基礎といったようなものも、今回の法律改正によりまして行政側もそれを得ることができるわけでありますし、その消費者の気持ちというものを生かしていくような、そういう立場から考えていかなきゃいけない。

 一方、これを再利用するという視点からいいますと、これをえさあるいは肥料などにきちっと利用されていく農業生産者の関係もあるわけでございますが、こういう皆さん方は、できてきた製品に対する信頼、安全、安心の食料をつくるわけですから、信頼というのが大事であります。行政側はそういう視点を表彰という形で公にすることによって、事業者が消費者あるいは農産物の生産者に対しても自分が得たる信用度というものをアピールすることができるわけであります。

 そういう意味で、この評価のためには、農林水産省の方では、第三者機関によりますリサイクル製品やリサイクルのシステムの優良な事業者に対してこれを評価、認定するルールづくりを行うということでこれを拡充することにしておりますし、環境省におきましても、これらの優良な事業について、従来も行ってまいりましたが、事業者の表彰をしっかりとしていくということを考えておりまして、今後、両省で協力、連携をして、こういう具体的な事例というものを発信することによりまして、優良な取り組みが社会的に評価され、そのことによって食品のリサイクルが促進されるように、さらに一層努めてまいりたい、このように考えております。

とかしき委員 ありがとうございました。

 私も世界じゅう見てまいりまして、日本は市民の協力度、やる気になるとすごく、その分別も一生懸命やって、そしてリサイクル技術もすばらしく、そしてでき上がってくる商品の精度も非常に高いということで、私、環境ビジネスのチャンスは日本は物すごくあるのではないかなと思います。皆さんが褒めて育てる、この環境ビジネスというのは褒めていただくというのが非常に大切でございますので、ぜひ褒めて育てて、日本の競争力のある産業に育てていただければと思います。

 どうもありがとうございました。

西野委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 参考人質疑に引き続いて、またやらせていただきます。

 今回の食品リサイクル法の改正案について質問をさせていただくわけでございますが、この食品リサイクル法につきましては、施行後五年を経過して、これら事業者全体のリサイクルの実施率というのは着実に向上して、一定の成果が認められている、そのように認識しております。

 しかしながら、この業種間、業者間で取り組みに格差が見られておりまして、特に食品流通の川下に位置する食品小売業及び外食産業においては、多種多様な食品廃棄物が少量ずつ分散して発生して、効率的にリサイクルを行うことが困難であるために取り組みがおくれているものと承知をしております。

 このような状況を踏まえて本法律案が提出され、審議をしているところであると思いますが、その法律案の内容は、指導監督の強化と取り組みの円滑化措置を講ずることとしておることと承知をしております。

 そこで、質問に入らせていただきますけれども、まず、先ほど来大臣も、この循環型社会、また食品リサイクルの中でも発生抑制が大事だということを御答弁なされておりました。その発生抑制について質問をまずさせていただきます。

 環境への負荷を減らすために、それこそ自然界からとる資源をできるだけ少なくして、それを有効に使う、廃棄されるものを最小限に抑える、これが循環型社会の実現に向けた取り組みで、大変重要なところであると認識しております。

 特に、この食品廃棄物の発生抑制につきましては、マータイさんがおっしゃっている、先ほど来大臣もおっしゃっている、この日本古来の物を大切にする心、もったいないという言葉と密接に関係するものでありまして、食べ物を粗末にしないという意味で大変重要な取り組みでございます。

 しかしながら、食品リサイクル法の施行後にこの発生抑制は進んでいないという状況にあることから、今後一層の取り組みが求められることでありますが、この食品廃棄物の発生抑制が進まない理由、またその対応策についてどうお考えになっておられるか、大臣にお伺いしたいと思います。

若林国務大臣 委員もおっしゃっておられましたが、食品廃棄物の再利用率というのは、この法律施行以来、非常に向上をしてきておるわけでありますけれども、しかし、排出量について見ますと、全体の消費量がふえているということもありますが、十三年度以降を見ますと、四%増、十七年度では千百万トンという水準になっているわけでございます。

 このような形でこの排出の発生抑制が進まないということにつきましては、農林水産省、環境省の合同の審議会でいろいろ議論をしていただきました。次のように指摘されております。

 まず、食品リサイクル法の発生抑制の把握の方法や推進の手法というものが、食品関連事業者の業種や業態の特徴を踏まえた発生抑制の促進に不十分だ。つまり、もう少しそれぞれの業種の特徴に応じたきめ細かな基準、考え方の基本というものを整理して提示していかないと、どのようなものが余剰のものとして廃棄されていくのが適当なのかといったような基準をきめ細かくつくっていかなきゃいけないんじゃないかということが第一点でございます。

 第二点目は、やはり、所得が上がっていきますと、飽食と言われておりますけれども、いろいろと食べ残しだとか買い過ぎだとかいうような現象が拡大したことは事実でございますが、食品関連業界の方も、そういう消費者の動向をにらみながら、見込みの生産、見込み発注とか、見込みの購入といったようなことがあったと思います。それは、さらに消費者の方が非常にナーバスになって、行き過ぎた鮮度志向ということもございますので、それだけ廃棄量が多くなっていくというようなことが指摘されているわけでございます。

 今後、こういうようなことを改めて、発生抑制を進めていくためには、食品関連事業者や消費者の食の意識改革、先ほどマータイさんの言葉を引用されましたけれども、やはり、食べ物について、これを無駄にする、廃棄するということはもったいないんだという意識を消費者が大分持ち始めておりますけれども、そういう意識の徹底ということをいろいろな機会を通じて進めていく。こういう消費者の意識改革、意識啓発を進めることとあわせまして、食品関連事業者の方も、そういう状況に応じた発生抑制の目標というものも、業種や業態の特性を踏まえて設定をして取り組みをしていただく。

 その意味で、今回の改正法の中で、一定の規模の業者については、そのような事業の進め方について、実績の報告、見通し、そういったようなことを報告していただくことを通じて意識を高め、また行政側も、その結果を整理して発信することによって、その業者が全国の中でどの程度、どの辺に位置づけられているかということを認識することもできるわけでございまして、業者が主体的に取り組めるような条件整備を行政側がしていくということが大事ではないかと考えております。

江田(康)委員 今大臣も御指摘がございました、その大事なポイントの中でも、食の意識改革というのが大変に重要である、食べ残しを減らしていく、食べ物に対する感謝の気持ちをはぐくむ、こういうことが必要とされるわけでございます。

 我が国では、平成十七年に施行された食育基本法に基づき食育の推進が図られているところでございます。国民の皆さんに、今大臣がおっしゃったような食の意識改革につながるような普及啓発を進めていくことが大変重要かと思っておりますが、そのため、消費者に対して、食育基本法に基づく食育推進施策との積極的な連携を図って普及啓発していく必要があるのではないかと考えております。

 この点について、農水省の政務官、お答えをいただきたいと思います。

福井大臣政務官 今先生から、食育との関連について御質問がございました。

 今御指摘のとおり、平成十七年七月、食育基本法ができまして、十八年三月に食育推進基本計画が立てられました。この中で、食育の推進に関する施策の基本的な方針の一つとして、今御指摘のありました、食に関する感謝の念、そして、理解の醸成が掲げられておるところでございます。

 さらにまた、具体の施策もこの基本計画に書かれておりまして、国は、食品廃棄物の地域循環システムの実用化、そして、食品リサイクルの必要性などに関する普及啓発をしなさい、そういう施策を講じなさいと書いてございます。そして、学校におきましては、農林漁業体験活動や食品廃棄物の再生利用等に関する体験活動などの推進に取り組むこと、二つが書き込まれているところでございます。

 これに基づきまして、例えばということで、先ほどの参考人質疑にもございました、先生からの御質疑もございましたけれども、例えば、仙台市、札幌市、千葉市におきまして、小学校、中学校で給食調理を行う単独調理校におきまして、生ごみ処理機を導入してコンポスト化する。そして、学校の花壇や菜園で作物を育てて、その観察や収穫を通じて、まさに食育、環境教育も実施する。そして、近隣の農業者にも堆肥として提供して、有機栽培で生産された農産物を学校給食の食材として自分たちがまた再び食べるというような取り組みもなされているようでございます。

 こういう取り組みをさらにまた推進して、まさに御指摘の食品廃棄物の発生抑制、そして、食品リサイクルの推進に当たるということで、これらの施策の積極的な推進を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。

江田(康)委員 食育の推進というものについて、地域でも学校でも種々取り組みが行われておりまして、私も承知しているところですが、この発生抑制というところが、循環型社会、また食品リサイクルの根幹に来る大変重要なところでございますので、それに向けて、国民にわかりやすい、本当に理解を得られるような普及啓発をさらに大きく進めていくべきだと思っております。

 引き続きまして、食品関連事業者等への対応としての一つでございますが、定期報告について質問をさせていただきます。

 この定期報告義務を新たに今回創設することにしたわけでございますけれども、食品廃棄物の発生状況を把握して、食品関連事業者の方々に食品廃棄物の発生抑制やリサイクルについて認識を持っていただくことで、その取り組みを推進していただくという意味で、大変意義のあることだと考えております。

 食品関連事業者の方々の中で、先進的な事業者には、環境報告書において食品廃棄物等の発生量や取り組みの内容を公表するなど、情報公開を行っている事例が既に多数見られます。このような情報公開を行うことは、事業者の取り組みについて適切に、先ほどからも御議論があっておりますけれども、頑張っているところは高く評価されるというような意味で、とても重要と考えます。

 そこで、定期報告の内容についても、広く国民に公表することが必要と考えますが、この点についての見解をお伺いしたいと思います。副大臣、よろしくお願い申し上げます。

土屋副大臣 先生がおっしゃるように、定期報告というのは非常に重要なもので、中身によっては、本当に、ほかの事業者が参考になるものがたくさん含まれていると思います。それとまた、国民に対して公表することによって国民の意識の向上も図られると思いますので、今後、この問題については、特段の企業秘密にかかわること以外については積極的に公表していきたいと思っております。審議会等を通じまして、事業者等からも、公表に関してはいろいろ御意見もいただきまして検討していきたいと思っております。

江田(康)委員 先ほど参考人の皆様方からも、やはり定期報告等について広く国民に公表する、発信するということが、それが努力している企業から物を買う、購入するというような経済にも結びつく、環境と経済が両立する非常に重要なことである。積極的に発信を消費者に向けて、また国民に向けてしていっていただきたい、それがこの食品リサイクルが大きく進む大事な観点であると思いましたので、ぜひとも強く進めていただきたいと思うわけでございます。

 次に、今回また新たに創設されます、システム化されるリサイクルループについてお伺いをさせていただきます。

 リサイクルループというのは、再生利用事業計画で認定するシステムでございますが、今回の法律案では、この再生利用事業計画について認定を受けた場合には、食品循環資源の収集運搬について、一般廃棄物に係る廃棄物処理法の許可を不要とされているわけでございます。このような規定というのは、食品関連事業者が取り組みを円滑に行うのに有効と考えられますが、一方、食品循環資源の収集運搬について、新規参入も予想されるところでございます。

 そこで、今回の特例によりこの分野に新規参入が予想されることについて、地域で地道に頑張ってこられた廃棄物処理事業者に不安はないのか、その点について政府はどのように認識をされているのか、政務官にお伺いをいたします。

北川(知)大臣政務官 委員御指摘の今回の特例による新たな認定制度についてでありますけれども、今回この認定制度をつくり上げるに当たりまして、有識者の方々を初め一般廃棄物処理業界及び食品産業界の代表者の方々、こういう方々を構成員として、環境省の検討会及び農林水産省、環境省の合同審議会において、平成十七年の九月から約一年半をかけまして慎重かつ率直な意見交換、議論がされてきたところであります。その結果、食品リサイクルのために効果的な手法で関係者が一致して取り組むべきとの共通認識が醸成され、合意形成に至ったところであります。

 関係者の議論を通じまして、食品関連事業者が最終製品である特定農畜水産物等を引き取ることが制度的に担保され、食品関連事業者の責任のもとでリサイクルの輪、すなわちループが完結をする仕組みに集約したところでありまして、こうした仕組みであれば、廃棄物処理法の特例拡大が不適正な処理を誘発せず、新たなビジネスチャンスになり得るとしたところでありまして、一般廃棄物処理業界からの納得が得られたところであります。

 なおかつ、平成十八年十二月二十八日から平成十九年一月二十六日までパブリックコメントを行いましたけれども、この中で、一般廃棄物処理業界からの反対等の意見もなかったということであります。

江田(康)委員 一般廃棄物事業者の理解は得られた上でのシステムの創設であるということでございます。

 このようなリサイクルループの取り組みで、生産された野菜や肉類を消費する消費者の理解を得ることも、この推進に当たっては大変重要でございます。そのため、消費者に理解をいただいた上で、食品循環資源のリサイクルループによって得られた野菜や肉類を利用していただく仕組みづくりが必要かと思います。

 そこで、再生利用事業計画に参画する事業者や、この計画に基づく取り組みの結果として生産された農畜水産物、そこまで含まれると思いますが、これを識別するマークの導入などは考えられないのか。ぜひとも検討をして、また広めていかなければならない問題だと思いますが、お伺いしたいと思います。

岡島政府参考人 食品リサイクル法に基づく取り組みを促進するため、今先生御指摘のように、取り組んだ実績の適正な評価、あるいは食品循環資源由来の肥料、飼料などを用いて生産した農畜水産物などを識別する表示など、まさに取り組んだ方々がメリットを感じる措置の導入が有効である、そういうふうに私どもも考えております。

 このため、農林水産省としては、円滑な制度運用を図る観点から、各事業者の取り組みの評価手法を構築し、優良な取り組みを識別できるような仕組みづくりを検討しているところでございます。

 具体的には、昨年度、食品関連事業者による食品リサイクルの取り組みを第三者が評価、認証する基本的なルールをつくったところでございまして、今年度は新たに、これからでございますけれども、食品循環資源由来の肥料などを用いて生産された農畜水産物などを識別するマークの試験的な導入、そういったこと、その認証方法の具体的な検討を行うこととしたいというふうに考えているところでございます。

江田(康)委員 先ほども参考人の方々から、これは大変重要であることが指摘されておりましたし、私も、この点、重要だと思うんですね。

 やはり、このリサイクルループでできた安全な、また効果的な、環境を配慮された、そういう農畜水産物が識別できる、そういうようなシステムがないと皆さん方の努力も評価されないし、また、それを適正に評価されることで、そういうリサイクルループ、リサイクルによってでき上がる農産物等が大変広まることにもなるでしょうし、まさに環境と経済の両立で食品リサイクルが進む、そういう非常に大事な観点でございますので、このマークの導入については、今、試験的な導入ということで検討がなされているということです。ぜひとも実現、また全国への展開ができるように、強く進めていっていただきたいことを申し上げておきたいと思います。

 次に、再生利用について、再び農水省にお聞きをいたします。

 今回の食品リサイクル法の見直しでは、再生利用等の実施率の目標を業種や業態に即して実効性ある目標を定めるなど、さまざまな検討を行っていると聞いております。目標値の見直しや、再生利用事業計画で認定するリサイクルループの進展などによりまして、食品循環資源のリサイクルがさらに図られるものと大いに期待しているわけでございます。特に、食料自給率の低い我が国日本におきましては、資源の有効利用が図られるという点においても、大変意義のあるものと考えております。

 そこで、今回の改正を初めとする一連の制度の見直しによって、この食料自給率がどのくらい向上するか、どのくらい見込まれるのか、その点について農水省のお考えをお聞きしたいと思います。

岡島政府参考人 委員御指摘のとおり、今回の制度改正によりまして、まさに食品リサイクルを促進するための各般の施策を盛り込む、あるいは再生利用手法の優先順位として飼料化を最優先にする、そういったことによって食品循環資源由来の飼料の利用が拡大するというふうに見込まれると思います。

 そのつくられましたいわゆるエコフィード、それについて、国産の原料が含まれておりますから、それが輸入濃厚飼料に直接置きかわるならば、当然のことながらその分の飼料自給率が向上するというふうなことかというふうに考えられます。

 また、再生利用事業計画認定制度の見直しによりまして、食品循環資源由来の肥飼料などを用いて生産された農畜水産物を食品関連事業者が引き取る取り組みの増加が見込まれます。こうしたことによりまして、国内の食品産業が国産の農畜水産物を継続的に利用する取り組み、これらの措置を通じて、また国産の農畜水産物の利用拡大も図られるだろう、そういうふうに見込まれるところであります。

 ただ一方で、では、量的に具体的にということは、なかなか現時点では見通すことは困難だというふうに考えております。いずれにいたしましても、エコフィードの増産でありますとか国産農畜水産物の利用拡大を通じて、食料自給率の向上に資するものだというふうに考えているところでございます。

江田(康)委員 量的には推測、予測するということは難しいかもしれませんが、やはりこの法案の成立をきっかけとして、消費者にも環境配慮された、環境保全型のそういう農畜産物がどしどし購入されていくことによって、そういう食料自給率にも大きくつながるようなものになるかと思いますので、大切にこのリサイクルループというシステムを育てていくことによって、環境にもいい、また農業の振興にもいいというものにぜひとも我々は仕上げていかないといけないなと思う次第でございます。

 最後ではございますけれども、食品廃棄物の発生抑制及びこのリサイクルの推進につきまして、大臣の決意をお伺いして終わりたいと思います。

若林国務大臣 この法案の審議を通じて、これからさらに分析、検討が深まっていくものと思いますけれども、基本はやはり消費者にあると思います。

 その消費者が、食の安全、安心を非常に強く求めております。そしてまた、新鮮な栄養価のあるおいしいものを食べたいという需要も大変強いわけでございます。

 そういうような消費者の需要に、食料の生産者、そして流通加工業者、またこれを販売いたしますレストランやあるいはまた小売店舗、こういう皆さん方がどのように連携をしながらこたえていくか。そのことによって大きな食料循環のシステムというものをつくっていくということが、日本の農業のためにも、また食品の流通全体の合理化のためにも必要なもの、こう考えているわけでございます。

 委員が御指摘になっておられましたように、そういう中にありましても、物を大切にする、そしてつくった人への感謝の気持ちを持つ、消費者が基本的にそういう認識をし始めております、もったいないという心、そして、食育基本法の成立によりまして食育推進基本計画といったようなものも行政側が策定をいたしまして普及いたしておりますから、そういうような需要の変化を念頭に置きながら、食料品につきましても、まずは発生の抑制、そしてなおかつ発生してきます廃棄物については、これを有効に活用する種々の活用方策、その中でも一番大事なものは、やはりそれをもう一度食料として循環していくループの形成だ、こう思っております。

 その意味では、生産者、流通加工業者、またこれを提供するサービス、小売業者、これらが一体になって、食料品の循環システムというものをつくり上げていこう、そういう運動を推進していくためにもこの法律は大きな意味がある、こう考えております。

 その意味で、成立をいただきますれば、この法律を受けまして、食品の廃棄物の発生の抑制、さらにはそのリサイクルの推進について、一層決意を持って取り組んでまいりたいと思うところでございます。

江田(康)委員 時間でございます。大臣また皆様、大変にありがとうございました。

 終わります。

西野委員長 次回は、来る二十二日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十六分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.