衆議院

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第4号 平成19年10月30日(火曜日)

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平成十九年十月三十日(火曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 小島 敏男君

   理事 小野 晋也君 理事 大前 繁雄君

   理事 木村 隆秀君 理事 北川 知克君

   理事 西野あきら君 理事 岩國 哲人君

   理事 伴野  豊君 理事 江田 康幸君

      あかま二郎君    小杉  隆君

      木挽  司君    近藤三津枝君

      坂井  学君    鈴木 俊一君

      土屋 品子君  とかしきなおみ君

      冨岡  勉君    中川 泰宏君

      並木 正芳君    西本 勝子君

      広津 素子君    藤野真紀子君

      牧原 秀樹君   山本ともひろ君

      渡部  篤君    末松 義規君

      田島 一成君    田名部匡代君

      村井 宗明君    吉田  泉君

      高木美智代君    江田 憲司君

    …………………………………

   環境大臣         鴨下 一郎君

   環境副大臣        桜井 郁三君

   環境大臣政務官      並木 正芳君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 小野 正博君

   政府参考人

   (消防庁審議官)     寺村  映君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房官庁営繕部長)        藤田 伊織君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 白石 順一君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   由田 秀人君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  櫻井 康好君

   環境委員会専門員     齊藤  正君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月三十日

 辞任         補欠選任

  上野賢一郎君     冨岡  勉君

  渡部  篤君     広津 素子君

同日

 辞任         補欠選任

  冨岡  勉君     牧原 秀樹君

  広津 素子君     西本 勝子君

同日

 辞任         補欠選任

  西本 勝子君     渡部  篤君

  牧原 秀樹君     上野賢一郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 温泉法の一部を改正する法律案(内閣提出第四号)


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     ――――◇―――――

小島委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、温泉法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房審議官小野正博君、消防庁審議官寺村映君、国土交通省大臣官房官庁営繕部長藤田伊織君、環境省大臣官房審議官白石順一君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長由田秀人君及び環境省自然環境局長櫻井康好君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小島委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。坂井学君。

坂井委員 自民党の坂井学でございます。温泉法の一部を改正する法律案につきまして、質疑をさせていただきたいと思います。

 質疑に先立ちまして、本年六月でございますが、渋谷区にあります温泉施設におきまして発生した爆発事故、その事故では三人の方がとうとい命を落とされておりまして、まず、御冥福を心からお祈りしたいと思います。

 また、温泉というのは、もう日本人は温泉好きというように好きな方が大変多いということでございますが、私たちがリラックスをし、そしてまたリフレッシュをして、あすへのエネルギーを充電する場が温泉でございまして、そういう場で悲惨な事故が起きたこと、これを忘れることなく、二度とこのような悲惨な事故を起こさない、こういう思いのもとで質問をさせていただきたいと思っております。

 まず最初に、副大臣に確認をさせていただきたいと思いますが、今回改正される温泉法ということでございますが、今までの温泉法が制定されております目的やねらいというもの、そしてまた、この内容を説明いただいた後に、それに加え、今回の改正はどの部分をどういう目的で加えるのか、改正するのかという御説明をいただきたいと思います。

 よろしくお願いいたします。

桜井副大臣 坂井委員にお答えを申し上げます。

 現行の温泉法は、温泉の掘削や公共の利用への提供を許可制として、温泉成分の掲示などを求める、温泉の保護、衛生面の利用の適正を目的としているところでございます。

 今回の改正案は、今お話しありましたように、ことし六月の東京都渋谷区における死者三名、負傷者八名という重大な爆発事故の教訓を踏まえ、法の目的に可燃性天然ガスによる災害の防止を加えるとともに、新たに、温泉の採取を許可制とし、安全対策を義務づける、このことによって、あのような悲惨な事故が繰り返されないように、国民が安心して温泉を利用できるようにするためのものでございます。

坂井委員 今、副大臣から御説明をいただきましたとおり、今までの温泉法というのは、要は温泉の枯渇等を防ぐための資源を保護するための観点、また適切な利用ということで、衛生的な面等々に関しましてのさまざまな取り組みはありましたけれども、可燃性ガス、そしてその危険性に関しての部分というのが全く落ちていたということでありまして、その部分を今回新たに加えるということに関しては、私も大変必要だ、こう思っております。

 しかし、安全に温泉を利用する、こういったときに、私は、まず二つ方向性があるのではないかと思います。一つは本改正案、今、副大臣が述べられたように、要は安全対策、この可燃性ガスへの安全対策をしっかりとろうということでございますが、もう一つは、やはりもっと根本的に、メタンガスが出る温泉というもの、源泉というものは危険であるから、これはもう使わないということにしよう。これは、もともとメタンガスが出るものを使うから安全対策をとる必要があるのであって、では、それを使うのをやめよう、こういう考えが当然根本から出てくるのではないかなと思うわけであります。

 聞きますと、大体二万近く、一万九千以上ある温泉、源泉のうち、メタンガスが発生するという形で報告をされておりますのは千四百程度ということでございまして、これは全体の七・三%ということだそうであります。裏返すと、要は九〇%以上の温泉はメタンガスが発生しない温泉でありまして、今、温泉の数からいっても、個別に大変困るという地域はあるにしても、全体の国民が温泉を利用する観点からはさほど支障はないのではないか、こういう意見が当然出てくるのではないか、こう思っております。

 この点に関連いたしまして、櫻井局長にお伺いをしたいのですが、メタンが発生する温泉、源泉、これを使用しないという選択肢が当然あると思いますが、この選択肢については今まで政府は検討されたのかどうか、されたのであればどういう結論が出たのかということをお聞きしたいと思います。

櫻井政府参考人 お尋ねの、メタンを含むような温泉は使用しないという選択肢があるのではないかということでございます。

 委員御質問の中で触れられましたように、私ども、可燃性の天然ガスが含まれているような温泉というのは、源泉、約二万ある中の一割程度にはそういったものが含まれているのではないかというふうに考えておるところでございます。したがいまして、それだけの数の事業者の方が営業をしておられるということだろうと思います。

 そういったメタンを含むような温泉を使用しないという選択肢でございますけれども、これは、法律的にはそういった温泉の採取を禁止するというような措置かと思いますが、可燃性の天然ガスを含む温泉でありましても、採取設備の構造あるいは採取の方法について十分な対策を行えば、安全に温泉を採取することは可能であるということを考えておりまして、採取を禁止するまでの必要はないのではないかというふうに結論を得たところでございます。

 今回の法改正によりまして、温泉の採取に当たっては、可燃性天然ガスの分離及びその屋外への放出、あるいは換気の実施、ガス検知器の設置というような対策を義務づけることとしておりまして、この対策を確実に実行することによって安全性が確保されるようにしてまいりたいというふうに考えております。

坂井委員 まずは禁止をしたらどうか、こういう選択肢も十分御検討いただいたというお話でありまして、その中では、温泉の安全対策というのが技術的には完全にできる、こういう結論が出ているものと私も今の答弁を伺いまして思います。

 それを、今後も当然、温泉の安全性に関して、技術的にも、具体的な方法、実現する方法でも、また御尽力をいただきたいと思いますが、今の答弁を受けまして、基本的に、使いながら、そしてより安全対策を進めていくという方向で私も質問をさせていただきたいと思います。

 もう一点、このメタンガスの発生ということに関連いたしまして、大深度、大変深いところから温泉を掘り上げる、そのときにはメタンガスが大変発生をしやすい、こういうような話を聞いたことがございます。

 大深度の温泉というのは大変深いところまで掘り下げるわけでありまして、これは地球環境的にも実は余りよろしくないのではないか、こういう意見もある中で、大深度の温泉に関して、メタンガスが発生しやすいというのは本当かどうか。

 そして、それに関して、要は大深度から掘り上げる温泉というものが必要かどうか。先ほども言いましたけれども、メタンガスが発生するだけではなくて、大深度の温泉というのは要らないのではないだろうか。これは今後使用を制限すべきではなかろうか、こういった意見もあるかと思いますが、この点については検討されましたでしょうか。局長にお伺いをいたします。

櫻井政府参考人 大深度の温泉に関してでございますが、温泉法では、温泉の掘削、最初のボーリングを許可制としておるわけでございますけれども、深度一千メートルを超えるような大深度の温泉開発であっても、必ず可燃性の天然ガスが湧出するというわけではございません。一律に深さを制限して、メタンが混入しやすいということから許可を与えないんだというようなことは、そういうことにつきましては、なお慎重な検討を要するのではないかというふうに考えておるところでございます。

 仮にガスが湧出することがありましても、先ほど申しましたように、今回の法改正で新たに規定することとしております可燃性天然ガスによる災害を防止するための技術基準をきちっと守っていただく限りは、安全面からの問題は生じることはないのではないかというふうに考えております。

坂井委員 引き続き、この大深度の温泉の必要性についても検討を続けていただきたいと思いますが、一方で安全対策ということでございます。

 今まで、お話の中で、一万九千何ぼある、約二万ある源泉の中で、千四百幾つという数が、約一割が天然ガス、要は可燃性ガス、メタンガスを含む、こう考えるということでありますけれども、環境省さんのペーパーによりますと、そのうちでも特に危ない、危険な、こう言われているものは四百九十ぐらい、こういうふうに聞いております。

 というのは、屋内にある、もしくは地下に施設があるということで、特に対象にしなければいけないのは四百九十ぐらい、こういうことでございますが、要は、これらの温泉の施設というものは、六月に事故が起きて、そして安全対策というものをとる必要がある、こういうことになった今でも、当然使われているわけでありますし、そして、この部分は今ここで議論しているわけでありますから、法律としてはカバーをしていない部分だということでございます。だからといって、行政としてそのまま、要は危ないのはわかっていて、ほったらかしにしておく、こういうことはできないわけでございますが、今時点でどういう対策を講じているかということをお聞きしたいと思います。局長、お願いいたします。

櫻井政府参考人 委員御指摘の四百九十余りの温泉につきましては、これは源泉からのくみ上げあるいは貯湯の部分が屋内に置かれているというものであり、なおかつ可燃性の天然ガスが発生しておるというものでございます。

 したがいまして、私どもとしましては、この事故を受けまして、七月の二十四日に、今回御議論いただいております法改正を含みます恒久的な対策が実施されるまで、それまでの当面の暫定的な対策というものを事業者に要請していただきたいということで、都道府県知事に対して依頼をしたところでございます。

 具体的には、可燃性の天然ガスを含む温泉を対象として、既存施設については、十分な換気あるいはガス検知器の設置、周辺における火気の使用禁止などを求め、新規施設につきましては、源泉等を屋外に設置するということを求めたところでございます。

 この暫定対策につきましては、九月末までの状況といたしまして、すべての事業者さんがその暫定対策には応じますという御返事をいただいているところでございまして、ただいま御議論いただいております法改正以前におきましても、各事業者において、非常に安全対策についての意識が高まると同時に、自主的な取り組みといいますか規制前の取り組みも進められつつあるということであろうかと思います。

坂井委員 今のお話を聞いて、今現在、危険というか、可燃性ガスを発生する泉源も安全な状態で運用されているというお話を聞きまして、まずは安心をしたところでございます。

 しかし、今お話がありましたように、恒久的な対策というものを今回考えているわけでありまして、恒久的な対策というのは、当然、各事業所に、これが恒久的な内容ですよというのを選別をするなり、もしくは選ばせてするのではなくて、一定のガイドラインというようなもの、政府の方でこういう施設がこういうふうな形で必要ですよというものを、やはりガイドラインというものが必要になるかと思います。

 そのガイドラインとなるもの、また義務づけとなるような政府が考える安全基準というものの内容、どのような危険に着目をして、またどのような対応をしろということになっているのか、具体的にこれをお示しいただければと思います。

並木大臣政務官 既に局長答弁という中にもございましたけれども、可燃性天然ガスの爆発事故というのは、まず五%から一五%のメタンが滞留するということ、それと裸火とかスイッチ等の火花、こうした着火源が存在する、この二つの条件がそろったときに発生するということなので、これを発生させないということが安全対策になるわけであります。

 したがいまして、整理してお答えしますと、可燃性天然ガスを分離して、それを屋外に放出して拡散してしまうこと。そしてまた、周辺での火気の使用を禁止すること。さらには、屋内に採取設備を置く場合には、十分に換気して、ガス検知器を設置すること。あるいは、これは細部にわたってはこれから省令で詰めるところですけれども、防爆型蛍光灯、火花が出ないような蛍光灯ということですけれども、そういうような対策を行わせることを予定しております。

坂井委員 今も話にありましたメタンのガス、温泉の場合、可燃性の天然ガスのほとんどがメタンガスだということをお聞きいたしました。

 メタンガスというのは、引火をするという危険性があると同時に、やはり温暖化の観点からいいましても、CO2、要は二酸化炭素の二十一倍もの温暖化の効果があるという温暖化効果ガスと言われておりまして、温暖化のためにも、実はこれを拡散して放出するのはよろしくないのではないか、こういう意見もあるかと思います。

 このメタンを発生する泉源も使っていく。そして、それをそのまま、メタンを放出するということは安全対策ではいいわけでありますが、当然、温暖化の問題からいけば、一方では問題があるということでありまして、要は、メタンのガスを集めて有効利用したらどうか。このメタンのガスを集めて使えるようにしまして、そして有効利用して、これをエネルギーとして使ったらどうかという意見が当然出てくるかと思います。

 そこでお聞きをしたいと思いますが、このメタンガスの有効利用の方向性、また可能性というもの、そして可燃性の天然ガス、メタンガスが出るところもすべて使うというわけでありますから、使うところにはせめてメタンガスを有効利用するように義務づけをしたらどうか、こういう意見に関しての見解をお聞きしたいと思います。

 また同時に、全体で千四百程度の源泉でメタンガスを発生しているわけでありますが、このメタンガスの年間の推定の放出量、それが大体どのくらいか。それから、大体一分間に百リッターくみ上げているというのがよくあるような温泉の量かと思いますが、そういうところでの放出量がどのくらいになって、そこでそのメタンガスの有効利用の設備をつけた場合、大体どのくらいのメタンガスを有効利用できるのか。それは、具体的にお示しをいただきたいと思うんですが、要は、何立方とか何立米とか言われてもぴんとこないので、例えば、私たちのような核家族が、家族三人、四人、五人、こういった家庭が一年間に使う量のどのくらいの、何倍、何人分の、何家庭分の量が放出することになるのか、また使えるようになるのか、こういったところをお聞きしたいと思います。

櫻井政府参考人 まず、メタンガスの量についての御質問がございました。

 温泉から湧出するところのメタンガスの量につきましては、これはいろいろな前提を置いて推計せざるを得ないところでございますが、ちょっとその推計のプロセスをはしょりまして、私どもが得ました結論といたしましては、五十七万から百六万トンぐらい、年間でございますが、これは日本の温室効果ガス排出量十三・六億トンの約〇・〇四%から〇・〇八%ぐらいになるのではないかということでございます。これは、最初に申しましたように、いろいろな前提を置いて計算をしてみたものでございます。

 これは一体どのくらいの家庭での利用量というようなことになろうかと思いますが、メタンガスの含まれます量というのも地域によって全く差異がございますので、例えば、メタンガスの割合が比較的高いと言われております南関東ガス田の地域、この南関東地域というふうにお考えいただければいいと思いますが、メタンガスが含まれます温泉百リットル中には、九十五ないし百四十三リットル程度のメタンガスが含まれると考えられます。これはあくまで平均値でございますので、個々にはばらつきがあろうかと思います。

 これは家庭でどのくらいの数になるかというのは、直ちに手元に数字を持っておりませんけれども、エネルギーの供給事業として行うほどの量にはならないのではないかというふうに考えております。

 それで、御質問の趣旨でございます、そういったメタンの利用を義務づけるということに関してでございますけれども、御指摘のとおり、メタンを利用して、大気への放出ということを抑制するというのは、地球温暖化対策上望ましいものであることは間違いございません。

 他方、そういったメタンが利用できるほど多量には発生しない場合というのもありますし、あるいは発生したメタンを利用するほどのエネルギー需要がない、つまり、温泉を加温するとか、そういった熱に使うという需要がない場合もございます。

 メタンの利用がそういう事業として成り立たない場合があるということでございまして、こうしたことから、メタンの利用について、一律に義務づけるのではなくて、技術ガイドラインを策定する、あるいは助成制度の活用を推進するというようなことによって事業者の方々の自主的な取り組みの普及を促進してまいりたいというふうに考えているところでございます。

坂井委員 もちろん、メタンガスが温泉のところで危険だからといって、ただ放出すればいいというだけではなくて、各事業者やその他の方々が有効に利用ができる方向性とか、またそのバックアップというものを今後も政府の方で十分考えていただきたい、このように希望するものであります。

 また、具体的に、要は家族何人が使って何世帯分みたいな形でイメージするときにも、やはり、そういう数字をなるべく具体的な形で押さえて、そして国民に対してアピール、またメッセージを発信していくということが大変大事だと思っておりますので、こういった数字などもこれから、もちろんこの温泉法の改正に関してもいろいろなところでまた各事業者等に説得したり説明をされたりすることがあると思いますが、ぜひともわかる形、わかりやすい形で説明をしていただきたいな、このように思っております。

 そこで、先ほどからお話しさせていただいております安全対策でありますが、メタンガスの有効利用の設備をつけるにせよ、それから、さまざまな、今お話をいただいてまいりました探知器等、そういった設備をつけるにせよ、当然つけるには新たな設備投資が必要、お金がかかると思います。

 温泉の事業者の中には零細企業や中小企業というところもあるかと思いますが、そういったところに、あなた方、これで必要になったんだから全部自分でやりなさいというのは、なかなか費用的に難しいところもあるかと思います。これは、中小零細企業等々に関して、やはりその資金的な支援というもの、またその他の政策的な支援というものも必要になってくるのではないだろうか、こう思っております。

 そこで質問ですが、メタンが発生をすると言われているところの安全対策をするのに、もちろん大小ございますけれども、中小零細企業がつけると思われるような設備というのは大体幾らぐらいするものかということ、それから、それに対して、要は支援体制というものをどうお考えになっているのかという二点をお聞きしたいと思います。

櫻井政府参考人 安全対策に要する費用の問題でございます。

 これは、建物の構造とか事業の規模とか、個別の事情によって大きく異なってくるだろうとは思いますが、私どもの推計しておりますのは、まず一つは、井戸や源泉タンクなどの採取設備がすべて屋外にあるという場合には、これはガスを分離する装置等を追加的に設けるということになりますが、その場合の費用は十数万円から数十万円程度で済むのではないかというふうに考えております。

 また一方、採取設備がすべて屋内にあるという場合には、先ほど申しました確実な換気を実施する、あるいはガス検知器を設ける等々の設備が必要になってまいりますので、数百万程度の費用がかかるのではないかということでございます。

 ただ、いずれにいたしましても、個別の事情で、そういった工事に伴っていろいろな配管をいじるとかあった場合には、またさらに費用はかかるだろうとは思います。

 こういった安全対策に関する設備投資につきましては、国民生活金融公庫で低利融資の制度が現にございますので、その活用を促すことなどによりまして事業者への支援を行ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。

坂井委員 今回の改正案を見てまいりますと、もちろん今までもそうだったわけでありますが、都道府県知事がさまざまな許可を出すということになっております。知事の役割というものが大変重要ということであろうかと思いますし、また、今回は、安全性を確保するという観点から、当然消防やその他の関連機関というものもあるかと思います。

 国がこういった法律をつくり、そして、現場、実際の許可というものを都道府県が行って、また、その運営、運用等々に関しましては当然消防等々の関連機関が連携をとってやっていかなければならないということになるかと思いますが、国そして都道府県等々の役割、要は責任分担、役割分担がどのようになっているかということや、また、国や都道府県、そしてまた関連機関との連携に関してどのようにお考えになっているかということをお聞きしたいと思います。

桜井副大臣 今回の改正案により、都道府県においては、温泉の掘削、採取の開始前に、安全対策に関する技術基準に合致するような審査をして許可を行うとともに、掘ったり、とったり、くみ上げたりというような実施中に、温泉事業者への指導監督を行うこととなっております。これにより、都道府県は、温泉事業者による安全対策の実施を確保する重要な役割を担っておるということであります。

 環境省といたしましては、都道府県に対して、これらの事業の実施に当たって、火災の予防を役割とする消防機関と立入検査を合同で行ったり、労働基準監督署などその他関係機関と連携して、天然ガス安全対策を確実に行うよう助言をしてまいりたいと思います。

坂井委員 それでは、最後の質問にさせていただきたいと思いますけれども、温泉を安全に多くの人が楽しんで、そしてまた、使用していただきたい、こういう思いから、今回の温泉法の改正が出ているわけでありますが、この安全対策、またこれを徹底するぞ、こういうことに対して、副大臣の方から決意というものがあればお聞きをしたいと思います。

桜井副大臣 今お話がありましたように、温泉というのは、人のいやし、安らぎの場でございますので、爆発事故というような人に危害を与えるようなことはあってはならないというふうに考えておるわけであります。

 事故の再発防止に向けて、消防庁など関係省庁とともに連携し、温泉事業者の実情も踏まえ、必要な規制を行うこととなっております。

 安全対策が確実に行われるよう、国民の温泉に対する信頼、安心、これをしっかり確保していかなければならないと思いますので、そういう決意で臨んでいきたいというふうに思っております。

坂井委員 どうもありがとうございました。

小島委員長 次に、吉田泉君。

吉田(泉)委員 おはようございます。民主党の吉田泉です。

 私の方からも、温泉法改正に関連しまして、質問をさせていただきます。鴨下大臣初め皆様、どうぞよろしくお願いいたします。

 ことしの四月、この環境委員会で温泉法改正の審議がありました。私もその質問に立ちました。今から考えますと、そのとき、温泉の採取時にガス爆発の可能性があるということが全く私の頭にはありませんでした。

 そうこうしているうちに、六月に渋谷のシエスパで事故が起こって、三人の方が亡くなり、八人の方が重軽傷、こういう事故が起こってしまったわけであります。つくづく、この四月の改正のときに、何らかの対応、対策が法案に盛り込まれておれば事故は防げたかもしれないという、私自身も内心じくじたる思いが続いているところであります。

 ところが、一方で、その後、今回の法改正の審議の準備でいろいろ資料を見ますと、実は、平成元年以降だけでも、温泉の掘削のときですけれども、ガスの爆発事故は全国で十四件起こっていた。それから、昨年十月に温泉懇談会の報告書というものが出ておりますけれども、ここでは、メタンガスの安全対策も推進すべきだという文章が載りました。また、ことしの二月、法案審査の直前ですが、中央環境審議会答申、ここでも、可燃性ガスの危険性については明確に指摘されていたところであります。

 そこで、最初にお伺いしたいのは、今申し上げたように、この審議会の答申等で指摘があったにもかかわらず、ガス爆発対策というものが四月の法改正に盛り込まれなかった。何らかの事情があったんだろうと思うんですが、そこをお伺いいたします。

櫻井政府参考人 委員御指摘の平成十八年の十月の温泉懇談会の報告、それから、平成十九年、ことしの二月の中央環境審議会答申におきまして、それぞれ可燃性天然ガスに対する安全対策についての議論はございました。

 ただ、いずれも、これは平成十七年の二月に東京都北区で掘削中に発生した事故を取り上げて、掘削時の危険性についての指摘、あるいは掘削時の公益上の判断という観点から議論がなされたところでございまして、いずれにしても、今後の検討課題だというふうにそれらの会議では位置づけられたものと理解をしております。

 しかし、一方、今回の事故を契機に、改めて温泉における事故情報の調査を行ったところでございまして、委員御指摘のように、最近二十年間で十五件の事故が発生をしておるということを確認いたしました。これらは、死傷者が出たものはごくわずかではございますけれども、調査をしてみると、そういった可燃性の天然ガスに起因する小規模な爆発のようなものはあったということでございまして、こうした点を踏まえまして、今般、安全対策を進めるべく改正法を提出したものでございます。

 今後は、その改正法に基づく安全対策を進めることはもちろんでございますけれども、温泉における事故情報を適時適切に把握するように努めてまいりたいというふうに考えております。

吉田(泉)委員 そうしますと、掘削時の危険性の指摘だったというイメージで、それが採取時までという可能性にイメージが膨らまなかった、そこに一種の落ち度があったんじゃないかと思います。

 いずれにしても、人身事故の可能性を我々が見落としたということは、行政府であれ立法府であれ、ひとつ大いに反省して、今回の改正で、今後これを防げる改正としたいというふうに思います。

 さて、つい先日ですが、同僚議員と一緒に渋谷のシエスパの事故現場を視察に行ってまいりました。自然環境局長にも御同行、説明をいただいたところであります。

 ただ、爆発現場の温泉くみ上げ施設の方は、大変高い塀で覆われていて、ブルーシートもかかっておって、捜査中でもあり、中には入れませんということでしたので、内部までは我々も見ることはできませんでした。道路に立って、いろいろ警視庁の方も含めて説明を聞いただけでございますが、この渋谷のシエスパの事故から既にもう四カ月たったわけでありますが、環境省としては、このシエスパの事故の原因、どこまで判明しているのか、お伺いします。

櫻井政府参考人 この渋谷の温泉利用施設シエスパの詳細な事故原因につきましてでございますけれども、現在、関係機関、これは警察と消防でございますが、捜査中あるいは調査中ということでございまして、まだ詳細なところは明らかになっておりません。

 しかし、大筋としての原因というのは、温泉から分離した可燃性の天然ガスが滞留をして、何らかの着火源から引火、爆発したというふうに考えておるところでございます。

 この間、このシエスパの施設の配管とか換気の情報に関しまして、ガスが屋外に放出される配管構造となっていなかったのではないかとか、あるいは換気装置の構造に問題があったのではないかとか、あるいはガス抜きの配管が結露による水で詰まったのではないかといった報道がなされておることは承知をしておりますけれども、いずれにしましても、繰り返しになりますが、詳細な原因については、まだ警察及び消防による調査、捜査が継続中であるということでございます。

吉田(泉)委員 詳細な事故の原因がわからないままに、法改正をして対策を考えなければいけないというのも大変我々にとってもつらいところでありますが、新聞情報等を総合的に見ますと、今局長がおっしゃった中でも、特にガス抜き配管のあり方が問題があった、新聞報道ではそこに水がたまってガスがうまく抜けなかったというような報道もあります。そこは基本的な大きな問題だったような、そういう可能性が強いというふうに私は思っているところでございます。

 渋谷の現場に行って、改めてちょっと不思議だなと思ったのは、これは新聞でも報道されておりますが、実は、道路を挟んで本館と温泉のくみ上げ施設というものが別棟になっているということであります。どういう事情でその二つを道路を挟んで分けたのか、これはちょっとわかりませんけれども、その結果、くみ上げ施設でくみ上げた温泉、並びに、そこでガスを分離しているわけですが、分離したガス、これを別々の管で道路の下を通して本館の方に送っているわけですね。そして、その途中でガス抜きの方の管に水が一部たまって逆流したんじゃないか、こう言われておるわけであります。

 本館の方は、地上九階建て、地下一階建てのビルディングであります。くみ上げ施設の方は、地上一階、地下一階の平屋づくりという構造になっておりますが、いずれにしても、この建物をつくるときに、建てるときには建築確認というのが要ったはずだと思います。そのときには、これは渋谷区の方ですが、渋谷区の消防のチェックも受けたはずではないかというふうに推測します。また、道路の下を、これは公の道路ですが、ガス管、温泉管を通すわけですから、その配管をするに当たって道路占用許可というものも必要になったろう、そういう手続もしたんだろうと思います。

 いわば、幾重にわたるチェックがそれなりにあったはずなんですが、なぜそれらの許可の際に、一番問題とされている水のたまるようなガス抜き配管のあり方、これを問題にできなかったのかどうか、その辺の状況をお伺いします。

櫻井政府参考人 渋谷のシエスパという温泉施設は、当然、営業に至るまでに、温泉法の利用の許可ですとか建築確認等々あるいは道路の占用許可などの手続を経ていたものだろうと思いますが、いずれの手続につきましても、温泉法は、従来というか現行では、そういった可燃性天然ガスに関する安全対策というものがないということもございますし、いずれの手続についても、天然ガスの安全対策がとられているかどうかを審査するということはなされていなかったのではないかと思われます。

 また、本年六月の事故以前は、温泉の採取に伴って天然ガスの爆発事故が発生する危険性というものをそれらの手続の関係行政庁が十分認識していたということは考えにくいのではないかと思います。

 このようなことから、今御指摘のありましたガス抜きの配管のあり方については、天然ガス安全対策の観点からチェックがなされるということを期待できる状況にはなかったのではないかというふうに考えているところでございます。

吉田(泉)委員 そうしますと、いろいろな法律に基づくチェックが現場ではあったにもかかわらず、それぞれの法令の範囲でチェックしているだけということで、ガス配管のところまでは目が届かなかったというようなことだろうと思います。

 結局、これは難しいことかもしれませんが、何か法令を超えて危険性に気配りするといいますか目配りするといいますか、そういうベテランの目ききの目がなかったんだろうというふうに思います。今はマニュアル時代ですが、何かマニュアルを超えた、建築常識といいますか道路常識といいますか、そういうものも培っていく必要があるんじゃないかというふうに思うところであります。

 それで、これに関連しまして、今度は大臣にちょっとお尋ねしたいんですが、今回、温泉法が改正されます。そして、ガスの問題が正面から温泉法の対象になるわけでありますけれども、今、渋谷の事故で一番問題になったと思われるガス抜き配管のあり方について、改正温泉法、それからそれに関連する建築基準法とか消防法とか道路法とかいろいろありますが、それぞれの関係法令、どういうふうに連携し、組み合わさって、ガスの爆発事故対策に働きかけることになるのか、お伺いいたします。

鴨下国務大臣 先生御指摘をいただいていることは、いわば一番重要なことだろうと思います。私も現場を見てまいりまして、たまたま、あれは地下にガスセパレーター等も設置してある、こういうようなことも、いろいろな意味で不運が重なったんだなというふうなことも印象を受けてまいりました。

 今回の改正温泉法の主眼は、可燃性天然ガスを確実に分離するということと、それから屋外に排出する、こういうようなことを主眼に置いているわけでありまして、この法施行後には、もちろん先生御指摘のガス抜き配管のあり方、これも、たまたま、あのケースにおいては、折れ曲がっていたところに結露して、そこに水がたまったということでなかなかガスが抜けなかった、こういうようなこともあったようでありますけれども、今まさにその原因については捜査中であるわけでありますから、私が予断を持っては申し上げられませんけれども、そういうことも含めて、温泉の採取のための施設の構造については温泉法においてチェックする、こういうようなことを厳しくさせていただきたいというふうに思っております。

 具体的には、これは温泉の採取施設に満たすべき基準を環境省令として定めまして、その基準に適合しているかどうかにつきましては、温泉法に基づきまして都道府県知事が審査する、こういうようなことで万全を尽くしたい、こういうふうに考えております。

吉田(泉)委員 私の質問は、温泉法以外の道路法とか建築基準法とか消防法とか、そこの連携もお尋ねしたんですが、いずれにしても、ここで今我々がつくろうとしている温泉法がガス対策の最大の武器になるということだと思います。

 今大臣がおっしゃったように、ガス爆発対策で一番大事なのは、ガスを早く確実に分離して空中へ発散させてしまう、そのためにはガス抜きの配管を正しく設計施工すること、そこだろうというふうに思います。これが今のところ渋谷の事故の最大の教訓ではなかろうかというふうに思います。これを、温泉関係者だけじゃなくて、建築関係者のだんだん共有の常識にしていきたいというふうに思うところであります。

 続けて大臣にお伺いしますが、今回渋谷へ行って、現場で改めて怖いというふうに感じたのは、シエスパのあった場所なんです。繁華街から一本入った住宅地にこれだけの施設があったわけであります。爆発した平屋建てのくみ上げ施設の両隣は、片方がマンション、片方は一戸建ての住宅ということであります。一つ間違えば、この地域の住民も引き込んで、何十人、何百人という被害になっていたかもしれません。

 つくづく思いますが、やはり住宅地においては、こういう温泉の掘削、採取に当たって特別厳しい条件を何か課すべきではなかろうかというふうに思ったんですが、いかがでしょうか。

鴨下国務大臣 先生がおっしゃるように、シエスパの現場のお隣にはまさに民家があるわけでありまして、被害も当然巻き込まれていたわけであります。そういう意味において、住宅密集地において温泉の安全性の確保というようなことが図られる、こういうようなことは、温泉の施設だけでなく、周辺の住民にとっても極めて重要なことであることは間違いないわけであります。

 今回の法案によりまして安全確保の枠組みができましたら、今後は具体的な安全対策基準を検討していくわけでありますけれども、その際に、いわゆる住宅密集地では、温泉開発については、環境省に設置している有識者会議、これは温泉に関する可燃性天然ガス等安全対策検討会という名称でございますけれども、その中間報告におきましても、温泉井戸を住宅等から一定距離離すことの必要性、こういうようなことについて指摘を受けているわけでありまして、この指摘を踏まえまして、今後、具体的な検討、例えば何メーター離すとか、こういうようなことも含めて検討をさせていただきたいというふうに思っております。

吉田(泉)委員 ぜひその方向で検討していただきたいと思います。

 続いて、先ほど坂井委員の方からも出ましたが、暫定対策の件で一つお尋ねいたします。

 千四百カ所ぐらいでメタンガスが出ておって、そのうち室内でくみ上げているのが約四百九十ということでありました。それに対して、換気とかガスの検知とか火気使用禁止、さらには安全担当者を指名してくれ、この四つの暫定対策をお願いしている、要請しているわけであります。

 この四百九十余りのうち、大体三分の一ぐらいは既にこの四つの暫定対策を終えたということでありますが、三百三十三件については、九月末の段階でまだ暫定対策がとれておりませんという報告が来ているわけであります。

 この三百三十三件がとりあえず大変心配なんですけれども、今後、法の施行まで、この三百三十三件に対するフォローをどのように行うのか、お伺いします。

櫻井政府参考人 法の施行までの間の暫定対策の件でございます。

 委員御指摘のように、九月末の時点で、源泉など採取の設備が一部でも屋内または地下室に設置されている源泉のうち、可燃性の天然ガスが検出された源泉数が四百九十二ございました。そのうち、今回、換気の実施ですとか、あるいは火気の使用禁止等々、要請をいたしたわけでございますけれども、その要請については、四百九十件は要請に応じるという御回答をいただいているところでございます。ちなみに、二件は、この際、くみ上げをもう停止しますというのもございました。

 それで、これも委員御指摘のように、九月末の時点では、対策が完了したのは百五十七件ということで、残り三百三十三件があるわけでございますけれども、先ほど申しましたように、暫定対策には応ずるという回答をいただいているところでございますので、順次、換気設備とか検知器の設置などの対策が行われるものというふうに考えておりますが、利用者あるいは地域の住民の方々の安心を得るためにも、できるだけ早く暫定対策が実施されるように、都道府県を通じまして事業者に対して促すとともに、随時その状況についても把握をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

吉田(泉)委員 できるだけ早くということはそうでありますけれども、全国で三百三十三件に絞られたわけですよね。法施行までこれから一年ぐらいあるかもしれませんが、私は、この三百三十三件についてはやはり数カ月単位で環境省としてフォローをしていくべきではなかろうか、そのぐらい、周りの温泉利用者の話を聞いても、ちょっと不安に思っている人が多いんですね。

 この三百三十三件の数カ月単位のフォローというのはどうでしょうか。

櫻井政府参考人 先ほどお答え申しましたように、暫定対策に応じるという事業者の方の御回答は得ているわけですが、それぞれいろいろな事情があろうかと思います。

 例えば、換気とか検知器の設置ということには当然費用もかかります。あるいは、設計をするのに時間がかかるというようなものもございまして完了していないということですので、それは順次進んでいくだろうとは考えておりますけれども、御指摘のように、そのフォローをきちっと定期的に行っていくということについては、ぜひそういった対応をしてまいりたいというふうに考えております。

吉田(泉)委員 続いて、今回の法改正の中身について少しお伺いいたします。

 今度は新しく温泉の採取が許可制になるわけでありますが、そうかといって、全部が全部ということではなくて、ガスが出ないところでは、出ないということが明らかなところでは、災害防止措置必要なしという確認を都道府県知事からとれば、その上の許可は要りません、こういう構造になっております。

 そこで、大事なことは、この都道府県知事による許可不要の確認というものが一体どういう基準でなされるのかということだと思います。その基準をお伺いします。

櫻井政府参考人 ただいま委員御指摘のように、すべての温泉について採取の許可というものを制度上はかけるわけではございますが、一方、可燃性の天然ガスが発生しない温泉につきましては、安全対策を義務づけるということが必要がないことから、そういった許可が不要だという確認をいたすこととしておるところでございますけれども、この確認は、採取場所におきまして天然ガスの濃度が環境省令で定める基準を超えない温泉というものについて確認をするということになっております。

 そこで、具体的には、天然ガスの測定方法というものを、まず方法を設定しなければいけません。その方法に沿って測定した結果、一定の濃度以下であった場合というのは、そこの確認をするということになろうかと思います。また、そういった濃度の測定だけではなくて、過去の調査の結果、あるいは周辺の温泉の調査結果等から、天然ガスを含まないというふうに判断される場合も、これもあろうかと思います。そういったことで、その詳細な判断基準につきましては、今後さらに検討を進めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

吉田(泉)委員 原則測定をしながらということだと思いますが、いずれにしても、許可をするときの技術基準がこれからつくられるということであります。先ほどから申し上げている渋谷の事故の詳細がまだわかりませんが、事故の教訓を極力反映した基準をつくっていただきたい。基準どおりにやったけれどもまた爆発事故が起こったということでは困りますので、そういう姿勢でやっていただきたい。

 そこで、技術基準について、これがまだ明確にはなっておりませんけれども、幾つかお伺いいたします。

 当然この暫定対策にも入っていますが、室内でくみ上げているところについては火気使用禁止、周辺の火気使用禁止というのが基準の一つに盛り込まれるということでありますが、一体、この周辺というのはどのぐらいを考えておられるのか。例えば渋谷の場合でいうと、地下室のことなのか、もしくは別棟全体のことなのか、さらには道路を挟んだ本館の方も含めてなのか、さらには、ある程度の住宅地域を含めた地域で火気を禁止しようとしているのか、その辺の範囲をお伺いしておきます。

櫻井政府参考人 周辺の火気の使用禁止の範囲でございます。

 これにつきましては、今委員御指摘のように、源泉から、あるいはそれに続くガスの分離装置、あるいはそれからのガスを抜く配管等々ございます中で、どの範囲を火気の禁止にするかということにつきまして、今後の検討が必要なところでございます。

 また、その範囲、距離といいますか、何メートルの範囲とかというような議論も、これは他法令での取り扱いなどを参考にし、また専門家の意見も聞きながら、その詳細な基準を検討してまいりたいというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、掘削時において温泉井戸周辺の火気の使用を禁止する、これは掘削時にガスが噴出して火柱が上がるというようなことのないようにでございますが、そういった掘削時の対策。それから、温泉のくみ上げ時において、これは、屋内に温泉の井戸、源泉、あるいはその分離装置、貯湯槽等、可燃性の天然ガスの発生源となり得る設備が設置されている場合には、当然のことながら、その当該室内においては着火の原因となるようなおそれのあるものは排除するということが考えられるところでございます。

吉田(泉)委員 さらに、電気器具の防爆化という基準も盛り込まれるとされております。

 先ほどの御答弁で、実は、いろいろそういう施設をつくると、屋内の場合については数百万円ぐらいのコストがかかるんじゃないかという答弁がありました。私もそういう事業をやっている方に聞くと、この電気器具の防爆化というのは結構お金がかかるんだという話でありました。ただ、大変大事な対策だと思います。

 そこで、一体、電気器具の防爆化という場合には、どのぐらいの場所で、どういう電気器具について防爆化を義務づけるのか、それをお伺いいたします。

櫻井政府参考人 電気器具の防爆化についてのお尋ねでございますが、電気器具が、屋内で可燃性の天然ガスが充満している場合におきまして、そこから発生する火花が着火の原因となるというおそれがあることから、これを防爆化するということは安全対策の一つになるのではないかというふうに考えているところでございます。

 電気器具の防爆化につきましては、どういう防爆の方法を義務づけるか、あるいはどういった器具を対象に義務づけるかということにつきましても、これは先ほどと同様でございますが、他法令での取り扱い、あるいは専門家の意見を聞きながら、詳細な基準を今後検討してまいりたいというふうに考えておるところでございます。

吉田(泉)委員 いずれにしても、これから検討ということですが、もう一つ、暫定対策、先ほど四つの暫定対策を今要請しているということですが、これには安全担当者の指名というのが入っております。

 渋谷の事故を考えても、この安全対策をだれが責任を持ってやっているのかというところがはっきりしませんでした。親会社なのか、下請会社なのか、孫会社なのか、役割がはっきりしなかった、これが非常に悔やまれるところであります。

 今後つくる我々の技術基準においては、この安全担当者の指名というものも盛り込むべきだと思いますが、どうでしょうか。

櫻井政府参考人 安全担当者の指名に関してでございます。

 そういった安全対策の担当者をあらかじめ定めておくということは、その温泉施設の経営主体、あるいは設備の管理委託を受けた者など、複数の事業者といいますか、複数の方々がかかわった場合の責任の所在を明らかにする、あるいは事業者内部での一体だれが責任を持つかということを明らかにするということで、安全対策を確実に行うためには重要なことではないかというふうに考えております。

 したがいまして、今回導入しようとしております温泉の採取の許可申請に当たりましては、安全対策の担当者を明らかにするということを事業者に義務づけるというふうにしたいと思っておるところでございます。

吉田(泉)委員 ありがとうございました。

 今回の法改正が成功するかどうか、つまり事故を今後防げるかどうかというのは、この技術基準が適切につくられるかどうかということに大きくかかっていると思います。ぜひ、十分な対応をしていただきたいと思います。

 時間もなくなりましたので、一つ飛ばしまして、ちょっと消防の方のお話を伺います。

 ガス爆発事故があったわけですが、その原因が温泉であれ何であれ、爆発事故で火災事故があったということは、消防の方の支援、協力が不可欠でございます。

 ひとつ消防庁として、今後、温泉におけるガス爆発対策、我々も環境の方は環境で温泉法の改正をしますが、消防の方は一体この対策をどういうふうに考えておられるのか、お伺いします。

寺村政府参考人 お答え申し上げます。

 ことし六月十九日に東京都渋谷区の温泉施設で発生した爆発火災を受けまして、消防庁におきましては、温泉採取施設の実態調査を行うとともに、有識者などから構成されます検討会を開催し、火災予防上の観点から安全対策の検討を行っているところでございます。

 全国調査の結果からは、温泉採取に伴い発生する可燃性ガスの爆発対策は、現状においては十分確保されていないと認識しているところでございます。

 したがいまして、温泉におけるガス爆発対策として、ガス爆発により在館者の人命被害が生じるおそれのある屋内施設につきましては、消防法令においても、ガス漏れ、火災警報設備の設置など、所要の防火安全対策の確保が必要であると考えているところでございます。

 今後、検討会の結果を踏まえまして、環境省とも連携を図りながら、消防庁として速やかに必要な措置を講じ、今後の温泉におきますガス爆発対策を推進してまいりたいと考えているところでございます。

吉田(泉)委員 そうしますと、消防の方でもこういう温泉のくみ上げ施設等にガス検知器等の設置を義務づけるとか、そういう方法でもって、いわゆる消防法の対象にしていくということだと思います。そうしますと、一番最初に申し上げた建築確認のときなどにも、そういうチェックを入れることができるということにつながっていくんだと思います。ひとつよろしくお願いします。

 最後に、大臣の方にお伺いしたいと思いますが、先ほどの質疑にもございましたけれども、大深度掘削の問題であります。

 渋谷の場合も千五百メーターの大深度でした。この十年ぐらいの期間の統計を見ると、全国では毎年二百件近く大深度の温泉が掘削されています。大深度というのは千メートル以上の地下からくみ上げる温泉ということだそうですが、千メートル下にあるいわゆる化石水というのが人間にとって安全なのかどうか。それから、温泉資源や周辺の地盤への影響とか、毎年二百件近く掘っているわけですから、影響がないのかあるのか。さらには、今回のこういうガス噴出と大深度とは一体どういう関係にあるのか。大変、新しい事態だけに不明な点も多いわけであります。

 結局、とりあえず大深度掘削泉について調査を急ぐべきじゃなかろうか。そして、場合によっては、規制の対象、規制も加えていくということじゃないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

鴨下国務大臣 先生の御懸念は私も共有するところでありまして、特に、一千メーターを超えるいわゆる大深度掘削泉が増加してくるということで、自噴の湧出量が減少傾向にある、こういうことも指摘されているようであります。そういうような結果として、今おっしゃっているように、化石水というのはもしかすると有限のものかもわかりませんから、そういう意味で、枯渇化、こういうことも懸念されるんだろうというふうに思います。

 そういう意味で、大深度掘削泉の開発に伴ういわゆる温泉源への影響や、それから未利用の自噴源泉による周辺の源泉あるいは周辺環境への影響、こういうようなことというのは、やはり科学的に調査をしなければいけないだろうというふうに思います。

 加えて、今お話しになったように、では、その泉質についてどうなのか、こういうようなことも含めてまだまだ未知の部分もございますので、こういう分野について、来年の予算要求でもさせていただいているわけでありますけれども、この調査検討をしっかりとさせていただきたいと思っておりますので、先生の御指摘を生かしてまいりたいというふうに思います。

吉田(泉)委員 ありがとうございました。

 これで質問を終わりますが、我々は今回の事故を踏まえて、私は、やはり自然を恐れる敬けんな気持ちに立ち返るということがまず必要じゃなかろうかと思います。これから技術基準をつくっていくことになりますが、ひとつ慎重にやっていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

    〔委員長退席、木村(隆)委員長代理着席〕

木村(隆)委員長代理 次に、田名部匡代さん。

田名部委員 おはようございます。民主党の田名部匡代でございます。

 大臣、厚生労働委員会のときも大変お世話になりました。どうぞよろしくお願いいたします。

 ことしの春にこの温泉法については一度審議をされているわけでありますので、以前にも同じような質問等があったのかもしれませんけれども、ちょっと私の感じたことをまずお伺いさせていただきたいと思うんです。

 今回、この法律を読ませていただいて、私、非常にびっくりというか疑問に思ったということがありました。それは温泉についての定義でありますけれども、これは大臣も驚かれたんじゃないかなというふうに思うんですが、例えば、大量の水道水の中にほんの少量の源泉水が入っただけでも温泉、また、これは冷泉、温度が零度であっても温泉というような定義になっております。本当にこれが温泉と言えるんだろうかということもあるんですけれども、特に温泉を利用する多くの方というのは、こういう定義が定められているというふうなことは知らないんだろうというふうに思うんです。

 温泉法のみならず鉱泉分析法指針で、鉱泉の定義、さらにその中に療養泉というのがありまして、これは前回、今御質問された民主党の吉田泉委員からもこの委員会の中で御質問があったように、議事録を読ませていただきましたけれども、私も同じような疑問を持たせていただいて、そのときの政府の御答弁を見てもどうもなかなか理解がしがたいなというふうに思いましたので、再度御質問をさせていただきたいと思うんです。

 療養泉とは、特に治療の目的に供し得るものというふうになって、適応症の掲示が可能となっているんですね。でも、その定義も、先ほど言ったように、成分が一定量、それはほんの少量、私からすると少量ですけれども、少量を含有している、また温度が二十五度以上あればそういう治療に役立つというふうになっているんです。

 まず、この温泉の定義について、大臣はどのようにお考えかお聞かせください。

鴨下国務大臣 先生がおっしゃっている趣旨は理解をするのでありますけれども、この温泉法の第二条に定義がございます。その中では、「「温泉」とは、地中からゆう出する温水、鉱水及び水蒸気その他のガス(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く。)で、別表に掲げる温度又は物質を有するもの」というようなことで、今お話しになったように、温度については、これは摂氏二十五度以上、あるいは物質についてはさまざまな物質がございますけれども、そういうようなものを含んでいるものを温泉、こういうふうにいうわけでありまして、それがどういう効能、効果を有するのか、あるいはそれに対して科学的なエビデンスをどういうふうに求めていくのかということについては、これはなかなか難しい部分もあります。

 私もそういうことを勉強する学会に所属していたこともありますけれども、温泉だけが効果があるかというと、むしろ、例えば療養なんというのは大気、安静、栄養療法といいまして、空気のきれいなところでゆっくりとくつろいで、そしておいしいものをいただいているとおのずと体はいやされてくる、こういうようなこともありまして、そういうトータルのもので温泉というのは効能があるんだなというふうに古来言われていたんだろうというふうに思います。

 ただ、この水を持ってきて、温泉を持ってきて、飲んだらあるいは皮膚に塗ったら病気が治る、こういうものというふうに証明するのはなかなか難しいんだろうというふうに思っております。

田名部委員 私も温泉が好きで、最近はないですけれども、時間があるときはよく温泉に出かけておりました。

 今大臣がおっしゃられたように、含まれている成分がどうかというその効能だけではなくて、やはり自然の中でゆっくりとくつろぐこともまた療養の一つであろうというふうには思うんですけれども、例えば、そうであるならば、もうちょっと情報の提示の仕方を考えてもいいんじゃないかなというふうに思うんですね。

 例えば、成分が一キログラム中一ミリグラムとか何ミリグラムと書いてあっても、それがどのぐらい薄められているのかによってはまた少し変わってくるのでありましょうし、それが加熱ですとか殺菌処理、循環というものを繰り返していくと、またその効能というのも、これは専門的なことなんでしょうけれども、変わってくるんじゃないだろうかというふうに思うんですね。

 私、地元の方から「温泉法改正のあらまし」というパンフレットをいただいたんですけれども、この中で、「温泉利用事業者が掲示しなければならない項目」というのが十二項目義務づけられています。そのほかに、「自主的に掲示することが望ましい項目」という中に、どのぐらい加水しているのかとか、入浴剤、消毒処理の程度というのも自主的に、事業者に任されているわけなんですね。お湯がどのぐらい入れかえられているのか、浴槽の掃除はどのぐらいの状況なのかというようなことが自主的な掲示というふうになっているんですけれども、大臣、これは、利用者の立場に立って考えると、もう少し丁寧に情報を提示してあげることが必要なんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

鴨下国務大臣 前回の温泉法改正において、温泉利用事業者が提示しなければならない項目というようなことで、今委員が御指摘なさったような、源泉名だとか温泉の泉質あるいは温泉の成分、それから成分の分析の年月日等々、十二項目において義務づけられているわけでありますけれども、例えば、温泉を業として専らやっている部分と、それからその村の一角にわいている温泉と、本当にさまざまな温泉があるものですから、そういうものを一律に、例えば、より厳密にというようなこともなかなか難しいでしょうし、河原にわいている温泉に少し川の水が入って、それで薄まったら本当に効能が落ちるのかどうかというようなことも、かなりある意味で心理的なものもあってというようなこともあるものですから、できるだけ厳格にするべきだという一方、やはり自然発生的に温泉を利用してくださる方々の妨げにはなってはいけない、こういうような二つのバランスの中で今やらせていただいているわけでありますけれども、いろいろと検討するべきこともあると思います。

 例えば、入浴剤のようなものを添加して、いかにも温泉でございますというふうに言っていたところもありました。あるいは、かけ流しの一〇〇%温泉だといいながら沸かしていたり、それから水を加えていたり、これが、どこまでが許されて、どこまでがそれは温泉を利用する方を欺くことになるのか、こういうようなことについてもう少し勉強させていただきたいというふうに思います。

田名部委員 今御説明いただいたように、いろいろと難しい問題もあるんだろうというふうに思いますけれども、大臣のお言葉どおり、温泉を利用する側が欺かれないような、的確な情報提供に今後も努めていただきたいというふうに思います。

 それと、安全対策の質問に入る前にもう一点お伺いしたいんですけれども、近年、健康ランド等の公衆浴場というものが大変ふえておりまして、十七年度で新規掘削の申請が五百三十五件、そのうち許可されたのが五百十二件、不許可が十件。言ってみると、ほとんど申請をしたら許可がされるということなんですが、環境省の立場として、温泉の保護、利用の適正という観点から、これは妥当な数値、妥当な許可なのだろうかなというふうにちょっと思うわけであります。

 先ほど吉田委員の御質問に、大臣は温泉も枯渇が懸念されるというふうにおっしゃっておられました。実は私、いろいろ御説明を役所の方に聞いたときに、温泉は循環型資源であるので余り心配がないんじゃないだろうかというような御説明をいただいたんですね。それで、ある一定の、調査も含めて、国として基準を設ける必要がないんだろうかというふうに思ったわけです。

 この温泉法の中を読みますと、「許可の基準」というところで、「当該申請が次の各号のいずれかに該当する場合を除き、同項の許可をしなければならない。」しなければならないというような書き方をしてありまして、それがどういうものかというと、「掘削が公益を害するおそれがあると認めるとき。」この公益というものがどういうものなのか、それは地下資源の保護ということも含めて、また地盤沈下ということも調査をした上で、この公益が守られているのかなというふうにちょっと疑問を持ったんですが、その辺、おわかりになれば教えてください。

櫻井政府参考人 温泉法におきます温泉の資源保護の観点、あるいはそれについての基準という御質問かと思います。

 温泉の掘削等の許可に関しましては、今御指摘ありましたように、法律におきまして、温泉の湧出量あるいは温度または成分に影響を及ぼすということが認められるとき、あるいはその他の公益を害するおそれがあると認めるときには許可を与えないということができることとなっております。

 多くの都道府県におきましては、この不許可の要件に該当しないということを確認して許可をすることになるわけでございますが、具体的には、温泉資源保護に関する要綱を定めまして、原則として新規の温泉利用を認めない温泉保護地域を設定するとか、あるいは既存の源泉から一定距離以内での新規の温泉利用を認めないというような距離規制を行うというような手法によって、温泉資源の保護を図っているところでございます。

 先ほど御指摘のありました許可件数でございますけれども、こういった、既に都道府県が要綱等で明らかにしております基準に沿って申請がなされているということから、ある意味、それに当たらないようなものは申請にもう上がってこないということもあって許可に至っているのではないかと推測しておるところでございます。

 こういった不許可とすることについて、国としてどういうふうに基準とかを考えるかということでございますけれども、先ほど申しましたような不許可の要件については、科学的あるいは客観的な判断に照らして行われる必要があろうというふうに考えておるところでございます。これは、前回の改正時におきまして、この委員会でも答弁をさせていただいているところでございますが、環境省におきましては、現在、掘削等の許可の判断のガイドラインというものの策定の作業をしておるところでございます。都道府県が的確に温泉資源の保護の観点からの判断ができるように、そういったガイドラインを通じて技術的な助言を行ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。

田名部委員 ありがとうございました。

 一例で、群馬県で温泉掘削許可をめぐる訴訟がありまして、これは今御説明あったように、各自治体が、都道府県が規定をつくっているわけですけれども、県が敗訴してしまったということがありまして、こういったことは、今ガイドラインを策定しているということですので少し安心しましたけれども、国全体として、自然保護、環境保全という観点から一定の基準が必要だと思ったものですから、御質問させていただきました。ぜひ、ガイドラインをもとに環境省らしい基準の設定をしていただきたいなというふうに思います。

 それでは、次の安全対策の質問に移らせていただきます。

 先ほど来ありましたけれども、ことしの六月、渋谷の温泉施設で爆発事故が起こりました。事故で亡くなられた方に対しての御冥福と、また負傷した方々の一日も早い御回復をお祈り申し上げたいというふうに思います。

 先週、私も事故現場を実際に見てまいりました。本当にすごい繁華街の一本裏に入っただけで住宅街というふうになっているわけなんですけれども、そう広い幅の道路ではないところに、その一角に温泉施設が建ってありました。もっと被害者がふえた可能性も十分にあっただろうなというふうに、非常に恐ろしいなと思ったわけなんですけれども、この事故については、可燃性のガスが漏れて、何らかの理由で引火をしたのではないかというふうに考えられておりますけれども、これはまだ調査中の段階だというふうに思います。

 もちろん、これは人命のかかったことでもありますし、危険を少しでも早く回避するために法の整備というものは必要だと思うんですけれども、まだこの調査中の段階ではっきりした原因がわからない中で今対策をとろうとしているわけですけれども、それで十分な対策がとれるのかなと思うんですが、大臣はその点はいかがお考えですか。

鴨下国務大臣 調査中のところは、例えばメタンガスがどこからどういうふうに漏れてどこに貯留したのか、それから、どこの何がそれにいわば発火をするような原因になったのか、こういうようなことについての具体的な話については調査中であるわけでありますから、例えば建物の構造、あるいは排気のための装置、あるいはガスセパレーターの機能、こういうようなものについて個別の話としてはあるわけでありますけれども、少なくとも、可燃性のメタンガスが温泉の掘削、採取と同時に出てきて、それが貯留して火がついて爆発をした、このことについては間違いないわけでありますので、我々は、もうそのことについてはいわば早目にしっかりとした対策をとるべき、こういうようなことが今回の法律改正の最も主眼になっているところでございます。

 具体的な話の、シエスパのことについては、今調査中であることは間違いないわけでありますが、そういう趣旨でございますので、御理解をいただきたいと思います。

田名部委員 今回、この対策を、今後、事業者に対して、また利用者に対してもなのだと思いますけれども、この危険性に対する理解だとか周知徹底というのは、環境省としてどういうふうな取り組みをしていくおつもりなんでしょうか。

櫻井政府参考人 今回の法改正によりまして、事業者には可燃性の天然ガスが発生している場合に安全対策が義務づけられるということでございますが、既に、この事故の後、七月の段階で、暫定対策ということで、法の根拠に基づくものではございませんけれども、公共団体を通じて、事業者の皆様方に安全対策を実施してほしいというような要請を行っているところでございまして、現実に、そういった事業者の方々から暫定対策については実施をするという御回答をいただいているというのは、この事故を通じて非常に意識が高まってきているというふうに考えているところでございます。

 もちろん、この法改正の後、この法の趣旨を十分事業者団体等を通じまして周知をすることによって、安全対策が確実に実施されるようにしてまいりたいというふうに考えております。

田名部委員 本当に周知徹底をして、安全対策がしっかりとられていくのかという点検をしていくことも必要だというふうに思うんですね。ただ安全対策を投げかけて、信頼して、やってくださいね、やっているでしょうねという判断ではなくて、ぜひともその辺も徹底をしていただきたいというふうに思います。

 今回、この法律をいろいろ調べていて、実際、もっと未然に防ぐことはできなかったのかなという疑問も持ちました。例えば、ガスの突出、爆発、自然発火等については鉱山保安法でもいろいろな規制がありまして、これを見ると大変厳しい規制となっています。例えば、定期検査の記録、保管の義務、保安統括官を置き、さらに保安管理者の常駐もさせるということであります。

 そもそも可燃性の天然ガスの噴出が確認されている施設、今回の事故も施設であったわけなんですけれども、これは、ほかの省庁がどういう取り組みをしているか、環境省として対策が十分かという検討がなされていたんでしょうか。その辺、お答え願います。

櫻井政府参考人 この渋谷の六月の事故以前におきましても、平成十七年二月には東京都北区で可燃性天然ガスの噴出事故がございました。東京都は、それに対応して、掘削時の可燃性ガスの安全対策ガイドラインを定めるというような形で対策を開始していたということは承知しているところでございます。

 ただ、御指摘の、例えば鉱山保安法に基づく安全規制というのがございますけれども、鉱山として、具体的にはガス事業という形で実施をされる場合と、温泉のように、中小零細と申しますか、旅館を経営しているというような形態の中でガスが出ているという場合、あるいは、利用するためには、ガス事業の方では当然、ガスをガスタンクに貯留する、言ってみれば、危険をさらにため込むというようなことをするわけですが、温泉の場合には、そういった危険をわざわざため込むということは基本的にはしない。利用する場合は別でございますけれども、そういったガスを分離して排出するというようなことから考えますと、その安全対策の程度には当然違いが出てくるんだろうと思います。

 こういったものについて、私ども、先ほど申しました、噴出、掘削時の事故に関しての、十七年二月に起きました事故を契機に、そういった対策についての認識は、東京都の方で先導的に行ったこともあり認識をしておりましたところですけれども、この採取時のことにつきましては、他省庁の取り組み等も含めまして、十分その認識が至らなかったという部分があったのではないかというふうに思っておるところでございます。

    〔木村(隆)委員長代理退席、委員長着席〕

田名部委員 確かに、危険をため込むところとそうじゃないところで対策に違いがあるのかもしれませんが、やはり、どちらも人がかかわっていることで、人の命を守るという観点からすれば、厳しく、きっちりと安全対策をとるにこしたことはないと思うんです。

 今申し上げた鉱山保安法の中に、鉱業権が消滅した後でも五年間は、鉱業権者であった者に対して、それによって生ずる危険または鉱害を防止するための必要な設備をすることを命ずることができるという規定があります。

 今回の改正で、温泉法では事業を廃止した者に対しては二年間の措置というふうになっておりますけれども、これは十分な措置なんでしょうか。

櫻井政府参考人 事業を廃止した後にその事業者に対して措置を命ずるということの年限といいますか、これは、法的な安定性という観点からは、未来永劫そういった措置ができるということはなかなか難しいだろうと思います。今、鉱山保安法は五年という御指摘がございましたが、先ほど申しましたように、安全対策のレベルといいますか、度合いがやはり違っている部分はあろうかと思います。

 私ども、二年という規定を設けましたのは、これは採石法という法律におきまして、採石行為を終了した後にそういった措置を命じることができるという規定がございまして、そういったものとの均衡も考えながら、二年という規定を提案させていただいているところでございます。

田名部委員 事業者がやめた後、二年間、危険がそのまま放置されることがないように、それも徹底をしていただきたいというふうに思います。

 今回、何でこういう事態になったかというと、もちろん法の整備が十分ではなかったということもあるんだと思いますが、ただ、事業者側の認識不足、また対策の仕方というのが非常に欠陥があったということを思いますし、報道によると、さっきも御質問にあったようでありますが、配管の設計が予定と全く違うような設計になっていたというような報道もなされているわけであります。

 先ほど来お話があるように、事業者に対しての周知、危険性の周知徹底をして安全対策を確立していくということももちろんこれから大事なんですけれども、なぜこの問題を未然に防げなかったか、役所でいろいろな規制があったり、取り組みをしていたにもかかわらず、なぜこの温泉についてだけこの安全対策というものができていなかったのかなということを含めて、皆さんに少しお伺いをしたいと思うんです。

 私の手元に、国土交通省関東地方整備局発行の「施設整備・管理のための天然ガス対策ガイドブック」というものがあります。これはことしの三月、爆発事故より三カ月も前に発行されているんですけれども、環境省はこのガイドブックのことを御存じだったでしょうか。

櫻井政府参考人 国土交通省の作成されましたガイドラインにつきましては、本年六月の事故以前には、私どもとしてはこの情報については把握しておりませんでした。

田名部委員 では、このガイドブックについてだけではなくて、その二年前にも、九十九里のいわし博物館で起きた天然ガスの爆発事故を受けて、国土交通省で「国家機関の建築物等の保全の現況」という概要をまとめて出しているんですけれども、それも御存じなかったですか。

櫻井政府参考人 同様に、その件につきましても、私どもとしては把握しておりませんでした。

田名部委員 では、いわし博物館の事故は御存じでしたか。

櫻井政府参考人 いわし博物館の爆発事故につきましては、大きく報道されたこともあり、その時点での担当者は認識していたと思います。

田名部委員 そのときに、同じような可燃性の天然ガスが出ている温泉施設においても、同様の事故が起こる危険性があるというふうには考えなかったんでしょうか。

櫻井政府参考人 いわし博物館の事故は温泉の掘削に伴うものではなくて、千葉のあのあたりでは非常に浅い深度でもガスが発生するということがあるようでございます。何らかの形で建物の中にガスがたまって爆発をしたというふうに聞いております。

 一方、温泉の場合に、可燃性の天然ガスに基づく安全対策が必要ではないかという議論につきましては、これは今回の渋谷のシエスパの例でもございますが、そういった掘削に伴って可燃性の天然ガスが出てくる場合には、業界のいわば常識といいますか、業界で渋谷の場合にもガスの分離装置をつけておったというようなことがございますので、すべてを安全対策として規制するというところまで思いが至らなかったということはございますけれども、業界においては、多くの場合にそういった対策が行われていた場合もあったのではないかというふうに考えております。

田名部委員 ガスが深いところから出ているとか、掘って出たとか浅いところから出たとかということではなくて、こういう事故が本当は想定できたんじゃないだろうかというふうに私は思うんですけれども、ちょっと国土交通省の方にお伺いいたします。

 今申し上げた天然ガス対策ガイドブック、これはどのような活用方法、どういったところに配付をされていたんでしょうか。

藤田政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十六年の七月に起こりました九十九里のいわし博物館の爆破事故を契機に、南関東のガス田エリアで危険と考えられる地区に位置する官庁施設につきまして、同様の事故が発生するという、既存の建物、温泉ではなくて、そういう危険性があると認識しておりましたので、その地域にある官庁施設の施設管理者にお伝えをして、それで二年ぐらいかけましていろいろ知見を集めて、先生御指摘のハンドブックをつくって、これもそういった関係者にお配りしたのと、その後、インターネットで公開をさせていただいて、どの方にということではないんですけれども、広く一般の方々に見ていただけるような方策をとらせていただいたところでございます。

 以上です。

田名部委員 環境省は、掘削時のいろいろな安全対策ということは考えたけれども、しかし、建物については安全対策というのがなくて、国土交通省さんでは、施設に対してこういう危険性があるということを認識していたわけですよね。それは、役所の建物かどうかということではなくて、あらゆる施設においてそういう危険性があるというふうにはお考えにならなかったんですか。

藤田政府参考人 私、官庁営繕部長としましては、まず担当するのが国の官庁施設ということです。

 ただ、研究したといいますか、千葉県の皆様方と一緒にいろいろ研究した成果をハンドブックにまとめさせていただきましたので、これは当然ながら、関係するというか皆様に見ていただけるというつもりでインターネットで公開させていただいたということであります。

田名部委員 もしもそういう認識があってインターネットで公開をしていたというのは、私はそれは不十分だというふうに思いますよ。もちろん、その危険性がある以上、役所の建物だろうが何だろうが、人の命にかかわることであれば、きっちりとその施設に対して指導を行うべきだったと思いますし、それは温泉を管轄している環境省さんにも、その情報はしっかりと提供するべきだったんじゃないだろうかというふうに思うんです。

 このガイドブックの「はじめに」のところで、「天然ガス発生地域において、施設の安全を図るには、」というふうに書いてあるんです。渋谷の爆発事故があった施設も天然ガスの発生する地域なわけですね。であるならば、私は先ほど未然に防げたんじゃないかというふうに申し上げましたけれども、これは未然に防げたというふうに断言していいんだろうと私は思うんです。

 大変すばらしいガイドブックなんです。大臣はこれをごらんになったことがありますでしょうか。大変すばらしいガイドブックで、具体的な安全対策がしっかりと書かれております。施工時の安全対策、そして、その後の施設の管理に対しての安全対策も書かれております。

 この中の施設管理というところ、「天然ガスに留意した施設管理」に、天然ガスの対策設計は確立された手法ではない、設計の妥当性というのは竣工後の検証によって初めて確認できる。ですから、調査、計画、設計、施工時に得られた情報を施設にしっかりと伝えて安全対策をとらなければ安全は確立できないんだというようなことが書いてあるんですね。

 そのほかにも、日常の点検として、ガスの湧出量というのは時とともに変化をするんだ、ガスが施設内にたまっていないか定期的に検査をする必要があるということまで書いてあるんです。

 確かに、先ほど私の担当はここですということをおっしゃっておりまして、実は、きのう私も御説明をいただいたときに、どうしてこれはもっと広く安全対策として配付しなかったんですかというようなことを伺いましたら、自分たちの権限外のところにはそういうことができないというか、権限外のところなのでというお話があったんです。

 大臣、これはどこの役所もそういう風潮というか、自分たちのところのことはやるけれども、危険性があっても、それは他省庁、そこの管轄の人がやればいいよというような発想で取り組んでいらっしゃるんでしょうか。大臣、どうですか、役所の中を見て。

鴨下国務大臣 今先生の一連のお話を聞いていまして、例えば、温泉の掘削に伴うメタンガスあるいは可燃性の天然ガス、そういうようなものと、それから今お話しになったいわし博物館等で起きた事故、こういうようなものを結びつける、いわばある種の想像力というのがそれぞれ各省に必要なんだろうというふうに思いますし、これからは、特に、すべての情報はインターネット等でも我々もとれるわけでありますけれども、各省庁間でももっと連絡を密にして、メタンガスあるいは爆発、こういうようなキーワードがあったときにはお互いに情報を共有できるようにする、こういうようなことは本当に先生がおっしゃるとおりだろうというふうに思います。

 今後も、そういうようなことで想像力を働かせて、そして、しかるべき危険に備える、こういうようなことは本当に不可欠だろうというふうに思っておりますので、御意見を承らせていただきたいと思います。

田名部委員 ありがとうございます。

 これは何も国土交通省さんだけのことではないですし、温泉というか施設にかかわった、また、可燃性天然ガスの爆発、危険物にかかわったところというのは、厚生労働省さんもそうですし、消防庁さんもそうですし、いろいろな役所がかかわっているわけでありまして、今大臣がおっしゃったように、もっと連携がとれていれば未然に防げたんじゃないだろうかなというふうに思うんです。これもいろいろ伺うと、それはこっちの役所で、これはここの担当でという話になって、一つの回答にたどり着くまでになかなか時間がかかったりもしたんです。

 例えば、可燃性天然ガスが発生する施設においては耐震性の問題なんかもかかわってくると思うんですけれども、そういうことも環境省がきっちりと主導権を持って、連携をとりながら確立していくということでよろしいんでしょうか。

櫻井政府参考人 耐震性についても、温泉施設に地震がありますれば、配管についての事故、破損等が生ずる可能性はあろうかとは思います。

 ただ、耐震性の全体につきましては、建物の耐震性という観点になりますと、恐縮でございますが、やはり建築基準の世界ということになってまいります。配管等の中でどの程度の耐震性を持たせるかという議論になりますと、やはり温泉法の中でも視野に入ってくる部分があろうかと思いますが、さらに検討させていただきたいというふうに考えております。

田名部委員 わかるんですよ。建築基準法で今度はまた国交省さんの方になるんだと思うんですけれども、先ほど大臣がおっしゃられたように、いろいろな想像力を働かせて、温泉施設に関しては環境省さんの管轄なわけですから、それは、建物の基準はもちろん国交省であろうとも、こういうこともチェックしてもらわなきゃいけない、こういうところは厳しくしてもらわなきゃいけないということは、やはりしっかりと考えて対策をしていかなければならないと思うんですね。

 実は、ちょっと余談でありますけれども、先日も私、青少年特別委員会で質問したときに、子供たちの義務教育、子供たちの教育に関して、本当にこの国にとって非常に重要なことであるにもかかわらず、大変いろいろな省庁にまたがって、目の行き届かないところが出ているんです。話を聞けば聞くほど、いや、ここまでは自分たちだけれども、そこから先は違うお役所さんですよという説明で、ではどうするのかという議論になかなかたどり着かないんですね。

 今回の事件を踏まえた法改正も、やはり人の命のかかわったことでありますから、それぞれ担当があるのは十分に理解をしておりますし、これから連携を深めていくということなんでしょうけれども、事が起こってから、いつも、いや、もっと連携を深めて、もっとこういうことをやりますというのでは、失われた命は返ってこないわけなんです。

 ですから、先ほど、何度も申し上げますが、大臣のおっしゃられた言葉が、本当に想像力を働かせて、どんなささいなことでも見逃さないように情報を共有しながら対策をとっていかなければならないというふうに思うんですが、その御決意をまず担当のお役所の方からお伺いしたいと思うんです。

櫻井政府参考人 今回の渋谷の事故につきましては、温泉行政にとっても非常に重大な事故であったということから、今回の法改正を提案させていただいているところでございます。

 関係省庁とも省庁連絡会議を設けまして情報の共有を今図っておるところでございますが、今後、この法律の施行に当たりましても、消防庁あるいは建築確認部局あるいは労働安全衛生部局等々と連携を十分密に図ってまいりながら、安全対策に万全を期してまいりたいというふうに考えております。

田名部委員 時間が来ましたので終わりますけれども、温泉法の問題だけではなくて、この縦割り行政の弊害というのはいろいろなところにあると思うんです。

 ぜひ鴨下大臣には、この各省庁の縦割り行政の弊害で、人の命、また国家にとって重要なことが手抜きになるようなことのないようにしっかりと取り組んでいただきますことを御要望申し上げ、最後に何か一言いただければと思います。よろしくお願いします。

鴨下国務大臣 委員おっしゃるように、特に人の命、これにかかわることにつきましては、省庁を超えて、我々政治家であり、今大臣をさせていただいておりますけれども、気がついたこと、あるいは専門性でほかの省庁にかかわることについても、ある意味で遠慮なく申し上げていきたいというふうに思っておりますので、またそういう意味ではアドバイスもいただきたいというふうに思います。

田名部委員 ありがとうございました。終わります。

小島委員長 次に、末松義規君。

末松委員 民主党、末松義規でございます。

 きょうは久々に環境委員会で質問させていただきます。

 まず、私も、さきに質問に立たれた吉田先生、そして田名部先生等含めて、皆さんと一緒にこの現場に行ってまいりました。本当に繁華街で、密集地でございました。ただ、現場は、ビニールシートとかいろいろ塀がしてあって、中が見えないようになっていたわけです。

 先ほど大臣からも御説明をいただいたんですけれども、この原因究明は今警察の方が行っているということで、まだ結論が出ていないと伺っておりますけれども、それは事実でしょうか。

櫻井政府参考人 御指摘のように、渋谷の事故の詳細な原因につきましては、現在、関係機関、警察、消防で捜査、調査中でございます。

 大筋としての原因というのは、温泉から分離した可燃性天然ガスが滞留をして、何らかの着火源から引火、爆発したということではないかというふうに考えておるところでございます。

末松委員 推測原因として、メタンが充満した、それに何らかの着火原因があって、そして爆発してああいう悲惨な事故になったと。本当に、犠牲者になられた方には心から哀悼の意を表するわけでございます。こういうことが二度とあっちゃいけないなと思うわけでございます。

 そのときに、爆発ということを繰り返しちゃいけないということ、当然これはそうなんですけれども、ただ、私どもが行ったときに、警察の方が仕切っておられて、我々も、議員も中に入らせてもらえなかった。話を聞くと、環境省の専門家も実は現場を子細に見ていない、そういうことなんです。法案ということで、推測原因でおおむねそうだろう、多分九九%そうなのかもしれないけれども、この爆発という原因、これが実は、環境省の専門家が見る前にこういう対策が出てきたんだと。警察庁も少し考えてもらって、そういった温泉の専門家もしっかりいるわけですから、そういったことで調査のためのいろいろな原状復帰というものをやって、それで原因というものを探求してみるというのはそれなりに意義あることなんですが、ただ、現場の爆発の大きさとか、どういうものなんだと、やはり肌で感じるものがあって、初めて対策というのは出てくるんだろうと思うんですね。

 ですから、私は、この点については警察庁の方もしっかりと考えていただいて、そういう専門家で、本当にそんなに支障はない話ですから、そこはもう少し協力的に、あるいは議員の視察についても、こういった公の議論の場で対策について議論をしていく責任のある人間でございますから、そこは視察等に応じていくべきだと思っていますが、警察庁の方はいかがでしょうか。

小野政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、本件につきましては、警視庁におきまして鋭意捜査中でございまして、現在も検証を継続中でございます。検証を実施中でございますので、基本的には、捜査関係者以外の方につきましては立ち入りについては御遠慮いただいているという状況でございます。

 ただ、そう申し上げましても、特段の必要性の認められる方もおられると思います。そういう場合につきましては、捜査の進捗状況にも実はよるところでございますけれども、あらかじめ時間的な余裕もいただいて、御要望いただきますれば、私どもで、捜査上支障のない範囲で、可能な限り対応させていただきたいというふうに考えております。

 今回、委員お出かけいただいて、まさにそのときはちょうど間の悪いというところでございまして、実は現場状況を再現した検証、配管等につきましてやりまして、現場状況について今確認をやっている最中でございまして、ちょうどそういうときに急にお出かけいただいたという状況でございますので、今回は大変恐縮しておりますが、残念でございました。

 また、今後、必要な場合につきましては、あらかじめ余裕を持っていただきまして、また捜査のそういう状況にもよるんですが、対応させていただくことはあるというふうに考えております。

末松委員 基本的な態度は、その必要性をできる限り広くとらえながらやっていくということですね。私たちがまた行こうとしたら、また間が悪いなんて言われると困っちゃうんですけれどもね。

 そこは、基本的には捜査を、特段の著しい支障がない限りにおいてやっていくという御答弁を、オープンに、必要のある人たちに対してはやっていくということでいいですね。うなずいておられますけれども、もう一度確認します。

小野政府参考人 まさにそういう考え方で対応させていただきたいと思っております。

末松委員 それは正しい対応だと思います。

 それから、メタンですね。実は都会の密集地で、メタンが常時二十四時間ずっと出てくるわけですね。これの対応で、室内にたまって爆発したんだというところですけれども、どんどんどんどんメタンは、付近の住民、いやが応もなくどんどんどんどん出てくるわけですね。

 このメタンというのは、聞いてみると、温暖化ガスの、CO2の二十一倍も温暖化に対して悪いというようなことも言われているわけなんですね。しかも、それが都会の物すごい密集地なんですね。そういった場合に、付近の住民の健康被害を考える必要はないのかなという気がするわけです。

 そこについて、この対策では何ら出ていないんですけれども、この法の改正の中、これはアウト・オブ・スコープというか、そういう対象外だったんでしょうか。

櫻井政府参考人 メタンガスでございますが、これは無色、無臭、無毒というふうに言われております。無毒といいますのは、もちろんメタンガスが高濃度で酸素が不足すれば窒息という危険はございますけれども、メタンガスそのものの危険というよりも、それは酸欠という状態の危険だと思います。そういった意味で、メタンガスそのものに毒性はない、そういうふうに言われております。

 それで、近隣の住民の方の健康被害の防止という観点から、そういったことも規制の対象ということは考えられるのではないかという御指摘でございますが、今申しましたように、メタンについては、毒性というものはないということから、そういった健康被害の防止という観点からの規制は必要ないというふうに考えております。

 なお、メタンは空気より軽いということでございますので、放出と同時に急速に上方に拡散をされる、したがって、先ほど申しましたように、酸欠の状態になるといいますか、高濃度のメタンを吸引して酸欠になるというようなことはないのではないかというふうに考えております。

末松委員 二十四時間ずっと休みなく出てくるわけなんですね、ああいう極めて密集した住宅街に。それがそんなに低濃度であるとも思えない。例えば、拡散する中で、ほかの家にもすき間から入ってくる、それが二十四時間、昼も夜もずっとたまっていくわけですね。

 こういった場合に、メタンそのものは無毒、これは本当に無毒なのか私はよく知りませんよ、でも今無毒とおっしゃった。でも、自然界のバランスを逸したような形でどんどんどんどんそれがたまっていく。そうすると、健康は全く関係ないんですかね。私なんか正直言って、すぐ横に、ずっと二十四時間メタンが上がってくるという横には住みたくないですね。

 そういった意味で、直接的な、長期間ずっとやっていく、それについても問題なしと環境省は判断したんですか。

櫻井政府参考人 先ほど申しましたように、メタンについて大気中に拡散しているものを吸引するリスクという議論だろうと思いますが、現行の大気汚染防止法においても、メタンを健康被害という観点から規制するということはしておりませんし、それはもちろん、そのもとには、メタン自体に毒性がありやなしやというところにあるんだろうと思います。

 もう一つは、先ほど御答弁させていただきましたけれども、空気より軽いという性格上、閉鎖された空間に滞留して爆発するという議論はあっても、外に出れば急速に拡散をする。その辺に滞留する、外で、大気中で滞留するというものではないというふうに考えておるところでございます。

末松委員 そういうふうに環境省が判断していると今明らかにしたということで、私もそれ以上に裏づける証拠も持っていませんので、今回、これはこの程度にしておきます。

 目先を変えて、都会の温泉の排水対策というのはどうなっているんですか。いずれ川にどんどん流れていくんでしょうけれども、これも常時ずっと温泉の成分がかなり流れていくわけですから、まあ魚なんか、これはかなり影響を受けるということもあるんでしょうけれども、その辺については、いわゆるずっと流して、常時流していくということに対して、特段の危険性あるいは影響もないというお考えでしょうか。

白石政府参考人 お答えいたします。

 温泉からの排水でございますけれども、水質汚濁防止法におきまして、温泉というよりは、厨房あるいは洗濯施設を持つということもありますので、大量の排水により水環境に影響を及ぼすという観点から旅館業という形で規制の対象に加えております。

 したがって、水質汚濁防止法の基準というものは旅館をやっている温泉についてかかるわけでございますけれども、自然の中にも、例えば硼素であるとか弗素であるとか含まれているものもございますし、また、排水処理技術、なかなか確立が難しいというものもございますので、今申し上げました硼素、弗素に関しましては暫定の排水基準値、すなわち本来の、ほかの業種なりにかかる排水基準よりは若干配慮をした基準値という形で現在対応しております。

末松委員 そこでいけば、川等について特段の影響は出ないということを今あなたは言ったということですか。それとも硼素でしたか、そこについては規制しているけれども、ほかについては別に規制しなくてもいいんだという判断だということですか。

白石政府参考人 ただいま硼素と弗素につきまして暫定基準を設けておるということを申し上げた趣旨は、本来であるならば、理想的な状態は、きちんとした本来の暫定でない基準値の適用が望ましいわけでございますけれども、実現の可能性とかそういうことを考えればやむを得ない措置として暫定基準というのは適用しておるわけでございますので、本来、水質基準という観点からすれば本来の基準がいいわけでございますけれども、どうしても、健康あるいは生活環境に重大な支障が生じない範囲においては、やむを得ざる措置として暫定基準がある、こういう考え方でございます。

末松委員 早くそれについてもきちんと暫定じゃない基準をつくってくださいね。

 要は、ああいう渋谷とか密集したところ、住宅地域で、ああいうお湯がどんどん、温泉というか、ガスと水がどんどんどんどん排出されるということ自体、本当に都市環境にとっていいのかというのがやはりあるわけですね。だから、民主党の中でも同僚の議員が、こういう温泉等は都市ではなくて地方、そういったところにより活性化させるべきであって、余り都市に集中するような形でいろいろなものをつくっていくのは都市環境の観点から非常に問題である、だからそれはよくないというようなことを言っておられる同僚もいるわけです。

 そういったところを踏まえて、ぜひ環境省も、排水それから大気の汚染、そういうことも含めて抜本的な、総合的な対策をぜひまた打ち出していただきたいと思います。

 この排水の関係がございまして、その関連で、別途私の方で、常々問題意識を持っております合併浄化槽の話についても質問で触れたいと思います。

 質問通告はしてあるわけでございますけれども、今どういうことが問題になっているかというと、これは昨年の五月、実は同じような問題をさきに指摘されていまして、どういうことかというと、全国で岡山県と岡山市、あと倉敷市だけなんですが、合併浄化槽のチェック、検査を、環境省の基準では、例えば処理対象人員が二十人以下の浄化槽では大体年三回、これは浄化槽法の環境省関係浄化槽法施行規則というのに書いてあるんです。チェックは年三回以上だ、それぐらいあればいいんだというふうに言っているんですが、その岡山県の要綱では、市が設定している要綱では、正式に言えば浄化槽水質管理実施要綱、これで年十二回の点検を義務づけているんですね。本来、法律は三回以上でいいと言っていることを年十二回義務づけている、それはおかしいじゃないかということで裁判も起こったんですね。差しとめ訴訟が起こっております。そこで浄化槽法の違反であるという判断まで出ているわけなんです。

 それの観点から、昨年、環境省の大臣官房廃棄物・リサイクル対策部廃棄物対策課の浄化槽推進室長通知というところで、保守点検の技術の基準を踏まえながらその必要性と作業内容を詳細に説明すべきであり、定められた期間中に一回を超えて保守点検を行うにもかかわらず当該基準に照らし説明できないことは望ましくないということが、中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会浄化槽専門委員会における議論であったということが紹介されているわけです。

 それで、岡山県、岡山市、あるいは倉敷市ですか、そういうことはちょっとおかしいんじゃないか、見直しをすべきじゃないかという話があったんですが、実は、何ら改良あるいは改善もされていないという実態があるわけです。これについて、実際に環境省として何らかの働きかけはしたんですか。

由田政府参考人 公共用水域の水質保全の観点から、浄化槽の機能を正常に維持し、その放流水の適正な水質を確保するために、浄化槽法第十条一項におきまして、浄化槽管理者は、浄化槽の保守点検をしなければならないことを規定しているわけであります。

 御指摘のように、この規定に基づきまして、環境省関係浄化槽法施行規則第六条におきまして、浄化槽の処理方法及び種類に応じまして、浄化槽の保守点検回数が規定されているところであります。

 ただし、駆動装置またはポンプ設備の作動状況の点検及び消毒剤の補給につきましては、個々の浄化槽の処理方法や使用状況等に応じまして適宜行うことが浄化槽の機能を正常に維持する上で望ましいというふうなことから、規則第六条四項におきまして、これらの項目の点検につきましては、必要に応じ行う旨規定されているところであります。

 岡山県、岡山市におきましては、規則第六条四項に規定する駆動装置またはポンプ設備の作動状況の点検及び消毒剤の補給につきまして、毎月一回以上行うことを要綱で規定しております。

 この要綱につきましては、岡山県または岡山市がみずからの判断により定めているものでありまして、その必要性につきましては、県や市におきまして説明すべきことではないかというふうに考えております。

 なお、岡山県などにおきましては、湖沼水質保全特別措置法や瀬戸内海環境保全特別措置法等の対象地域を抱えていることから、各法律に基づき定められた水質保全等に関する目標が達成されるよう各種施策に取り組んでいるものと理解をいたしております。

 このようなことにつきまして、先生御指摘の中央環境審議会に設置いたしました浄化槽専門委員会におきまして、浄化槽の保守点検の望ましいあり方等について議論を行い、中間取りまとめを行いますとともに、その中で、定められた期間中に一回を超えて保守点検を行う場合には、保守点検の技術上の基準を踏まえつつその必要性と作業内容を詳細に説明すべきである旨を記載した通知を、御指摘の昨年五月に都道府県に発出したところであります。

 通知の内容につきましては、今後とも、担当者会議等を通じまして、引き続き、各都道府県に周知を図ってまいりたいというふうに考えております。

末松委員 岡山との説明はあったんですか。そして、それに対して、環境省は何か言ったんですか。その説明をして、それで終わりですか。

由田政府参考人 岡山県の件につきましては、私どもが直接その趣旨等について説明を受けているものではございません。

末松委員 中央環境審議会の議論を紹介して、もうそれで一切岡山に何も言っていないということですか。それで、チェックをしたんですか。何もチェックしていないんですか。

 これは、公明党さんとかが中心になってそちらの方に働きをかけたと私も聞いていますけれども、そういうことに対して、何も岡山に対して言っていないんですか。

由田政府参考人 岡山県だけではございませんで、通知書の趣旨に関しましては、全国の担当者会議などを通じまして、都道府県には周知を図っております。

末松委員 一般論を聞いているんじゃない。

 岡山が今問題になっているんでしょう。ちょっと答えてよ。何も言っていないの。チェックもしていないの。

由田政府参考人 岡山県には言っておりません。

末松委員 国からこういう議論の紹介で通知があったということをやって、それで何もやっていないなんて、一体何をやっているんですかと私は思うわけです。一般論で言ってもしようがないですよね。

 私は、三回質問主意書をやったんですね。木で鼻をくくったような答弁しか返ってきませんでした。思うんですけれども、環境省からいただいた、実施要綱について紙を求めたら、何でそれがやられているんだといったら、岡山県あるいは岡山市が消毒剤の補充等を月一回行うことを浄化槽の管理者に指導してきたので、だから、これを条文化した方がいい、明文化した方がいいということで要綱ができたという経緯はいただいたんですよ。でも、消毒剤の補充というのは、大体、今、年に何回やればいいと思っていますか。答えてください。

由田政府参考人 消毒剤の補給につきましては、通常、好気性の処理が行われた場合には、場合によれば年四回ということで大丈夫な場合もありますが、従来設置されたものの中で嫌気性処理などを行った場合には消毒剤の消費量が多くございまして、アンモニア等できましたものを消毒剤が消費いたしましてクロラミン等が生成いたしました場合には、回数が相当数ふえるというふうなことになろうかと思います。

末松委員 私もいろいろと業界の専門家にも聞いてみたんですよ。そうしたら、昔はそうだけれども、今は、日本建築センター浄化槽審査委員会浄化槽審査ガイドラインでは、「設計上の塩素注入量は五ミリグラム・リットル以上とし、消毒剤は保守点検頻度内貯留できる構造とすること。」とされているので、浄化槽メーカーも、通常の使用状態での消毒剤は四カ月間はもう維持できるんだと。つまり、年に三回、最低でも四カ月間以上という話を実際の人から聞いていますから、四カ月以上もつものを、何で消毒剤等を理由に毎月点検しなきゃいけないんですか。

 なぜ私がこんなことを言うかというと、年十二回というのは住民負担が非常に強いということですよ。場合によっては利権だというようなことを指摘する向きもあるわけですよ。だから、住民負担を軽くするためにも、そういう通常の常識や慣行ではないところは、それは国の方でもチェックすべきじゃないですかという観点から申し上げている。そこを答えてくださいよ。

 大体四カ月程度もつというのが常識で、今やっている業界の生の専門家の方々からそういう指摘を受けているんですけれども、それは違うということですか。

由田政府参考人 全体的な保守点検につきましての回数は、先生おっしゃるとおり、年四回以上ということで定めさせてもらっているわけでございます。(末松委員「では、岡山県は」と呼ぶ)今、先生御指摘の、いわゆる駆動装置あるいはポンプあるいは消毒剤のところの点検ということでそのように定めていると承知しておりますが、私ども、まずここの部分について、岡山県が、先ほども申し上げましたように、湖沼水質保全特別措置法でありますとか瀬戸内海環境保全特別措置法の対象地域を抱えているというふうなことから、このような形で一律的に、先ほども先生に御説明しましたように、いわゆる嫌気性タイプの浄化槽などもありますから、これは最近の新しい設置された浄化槽ではないんですが、今はみなし浄化槽ということになっているものでございます。こういうふうなものもございます。

 それから、消毒剤も必要に応じて点検ということは、必ずしも年四回やればいいというものではございませんので、場合によっては必要に応じてその回数をふやすというふうなことも省令の中で定めておるわけであります。

末松委員 一般論を聞いているんじゃないんですよ。あなた、岡山県の事情を知らないで言わないでくださいよ。調査していないんでしょう。調査したの。調査してから言ってください、それは。こっちは岡山県の調査をして言っているんだよ。

由田政府参考人 岡山県を特定して調査はいたしておりません。

末松委員 私は現実に一回チェックをしてもらいたいと思っているんです。

 二点目に聞きますよ。

 今、点検にかかる時間、岡山県でどのぐらいか、何分かわかっていますか。一回の点検、月一回やるという点検。

由田政府参考人 具体的に何分かかっているかということについては承知しておりませんが、浄化槽のタイプその他におきまして少しずつ違うのではないかと思いますし、年十回ということになりますれば、全体を点検する以外の、駆動装置とか消毒剤のところの点検だけということになりますときには、大変短い時間だというふうに……(末松委員「何分ぐらい」と呼ぶ)少なくとも、マンホールのふたをあけて中をチェックしてのぞいてということで、三十分以上かかることはないと思います、そのような場合には。

末松委員 由田さん、実態をぜひチェックしてくださいよ。今、全国で調べたところがありまして、実際に全国で調べたら、平均保守点検作業時間は三十五・八分ということで、これは社団法人の全国浄化槽団体連合会が試算で出しているんですよ。三十分以上かからないということですが、平均は三十五・八分なんですよ。実際は大体四十分から五十分ぐらいかかると言われているんですよ。

 それで、これは非常に子細な試算がありますから、そこは見ていただければいいと思うけれども、岡山で、では、今どのくらいの分数でやられているか御存じですか。

由田政府参考人 岡山で具体的に何分かかっているかということにつきましては、承知いたしておりません。

末松委員 これはちょっと意地悪な質問かもしれない。調査をしていないんだから、答えられるわけがないですね。

 ただ、ここで、この試算、要するに、訴訟が起こっているわけですよ、差しとめ訴訟が。これは岡山の方である大学教授が、これはおかしい、こんなことはあり得ないという話で訴訟をしたわけですよ。そこで、そのときに裁判で争った。業界の専門団体が委託調査を受けてやったら、大体そこが三分から五分ぐらいしかかけられないというのがわかったわけです。

 というのは、どういうことかというと、今、岡山で、ある業者、非常に大きな業者なんですけれども、その業者の方が、実は岡山で大体七万基ぐらい浄化槽があるわけですよ。そのうちの三万九千基ぐらい、A社ならA社としましょう、それが、人数が四十五人いるというんですね。それで、一カ月間、四十五名体制で、月一回ですから、この三万九千三百十八基を四十五人で割って、しかも一カ月に二十四日働く。つまり、週休一日で働くとして計算したら、三十六・四基、大体一人が一日に見なきゃいけない。これを、一日の作業時間を八時間ということで、昼食の時間を除いて八時間として、この時間でやると、大体一基当たり十三・二分というんですね。これに、移動時間と準備時間が大体十分ぐらいかかるわけですよ。それを差し引くと、十三・二分から十分引くと、三・二分がチェックの時間なんですね。これは業者もその裁判の中で言っているわけですよ、保守点検業務に五十二名従事していたと。だから、四十五名じゃなくて五十二名体制でやっていますと業者側はそこで言っているわけです。それから試算すると、同じく十五・二分になるわけですよ、一基、一人が。そうなると、やはり移動とか検査準備に十分かかるとしたら、大体五・二分ぐらい。このくらいしかかけていないんです。かけられない計算になるわけですね。

 それで、環境省が定めているチェックができるんですか。今、由田部長が言われたように、三十分はかからないと言ったけれども、環境省が、保守点検技術上の基準に照らして、浄化槽の保守点検の基準というのがこの施行規則二条で基準を定めているわけですよ。それは一番あなたが御存じだと思うけれども、これが、どのくらいの項目があるかというと、約十八項目にわたって事細かに定めているわけです。例えば、「第一条の準則の遵守の状況」、「流入管きよと槽の接続及び放流管きよと槽の接続の状況」、あるいは、どこをチェックするかというと、「槽の水平の保持の状況」、「流入管きよにおけるし尿、雑排水等の流れ方の状況」、「単位装置及び附属機器類の設置の位置の状況」云々かんぬん云々かんぬん、ここで十八項目というものすごい、これ一枚全部読まなきゃいけないぐらいのことをチェックするんですね。チェックしないと実態的なチェックにならないと、環境省自身が定めているわけですよ。これを全部読んでもいいですよ、読むだけで五分かかっちゃうんですよ、ここでは読みませんけれども。これだけ定めているにもかかわらず、三分から五分でちょっとだけやった、これが点検になるんですかという話なんです。

 だから、そういうのをきちんと調べて、そこで、これはあなたが言われたように、まさしく中央環境審議会で説明できないとだめですよという話、そこを指導するんだったらいいけれども、本当に指導はしていないんじゃないんですか。そこについて、あなたの感想をちょっとお聞きしたいですね。

由田政府参考人 今先生御指摘のとおり、浄化槽の保守点検のすべての項目をやった場合に、先ほど申し上げました、三十分を超えないとかいうふうなことではなくて、それではもうできる作業量ではないというふうに認識をいたしております。

 ただ、いわゆる消毒剤とか駆動装置のチェックということだけであれば、具体的に時間というのはそうかからないと思いますが、ただ、先ほど御指摘の岡山での裁判の件に関しましては、そのような裁判が行われているということは仄聞したことはございますが、詳細に調べておりませんので、また調べたいと思います。

末松委員 ここで問題になって、きちんと国会の場で言われているわけですから、そこはそちらでもきちんと調べてくださいよ。調べて物を言ってほしいんですよね。

 それで、さっき言いました施行規則の第四項ですよ。「駆動装置又はポンプ設備の作動状況の点検及び消毒剤の補給は、前三項の規定にかかわらず、必要に応じて行うものとする。」だから、「必要に応じて」というんだから、岡山県が、あるいは岡山市あるいは倉敷市が「必要に応じ」と考えてやったのかもしれないねという解釈があるかと思うんですが、ここでいう「必要に応じ」という、この主体は何ですか。だれですか。

由田政府参考人 これは、浄化槽管理者が責任者ということになっておりますから、浄化槽管理者が主体になりまして、それから委託を受けている保守点検業者……(末松委員「浄化槽管理者というのは。具体的に」と呼ぶ)浄化槽を持っている、使っている人が浄化槽管理者ということで責任者になります。(末松委員「では、利用者ですね」と呼ぶ)利用者であります。

末松委員 今の答弁で、利用者が必要と思ったときに、年三回以上のチェックができるんですよということですよね。利用者は少なくとも年三回はチェックしなきゃいけませんよ、これが法律、施行規則の要求ですよね。でも、利用者が、では年三回以上要らないよ、自分でチェックしているもの、あるいは専門家に、年三回来たらそれで十分なんだ、故障もしていない、何にもやっていないといったときに、どうして年十二回やらなきゃいけないんだというのが、この前、先ほど言った、教授の見解だったわけですよ。そこに県とか市が入ってくるんですか。

由田政府参考人 いわゆる浄化槽管理者を指導するという立場から、岡山県なり岡山市が指導要綱を定めているものというふうに認識をいたしております。

末松委員 それがおかしい、その実態をきちんと調べてくれと私は言っているわけですよ。

 では、もし岡山県と市が、何か地方自治だ何だかんだという一般論だけ並べられて、では、毎日点検しろと言ったら、そこはどうなんですか。それは国として、いや、県と市がそういうふうに定めたから仕方ないんですと言うんですか。

由田政府参考人 地方の事務ということでありますが、一見、明白におかしいということがありますれば、指導助言をするということは可能だというふうに思っております。

末松委員 一見、明白におかしいということは、それはチェックをしてから、おかしいということで去年からこの話は出ているわけですよ。それを一回チェックもしないで、一見おかしいと一般論だけでやられると、こういうことがそのままずっと野放しになるんですよ。

 時間もなくなってきましたから、大臣、今までのお話を聞いて、私はこういったことで、専門の業界でも、そこはやはりおかしいじゃないか、浄化槽を使う方々が、何か悪宣伝に使われて、あそこは非常に負担が大きいんだ、月に一回チェックしないといけないんだ、こういうふうに言われると、年三回でいいものを毎月なんだと言われると、ちょっとおかしいじゃないかと。これは別に条例でも何でもないですから。議会を通しているわけじゃない。県と市がそういうふうに要綱で定めているだけですからね。そこはきちんとチェックをしてください、国会で問題になっているんだから、それで対応したんだから。それを私はフォローアップの意味できょうは答弁を求めているわけですよ。ぜひ実態を子細に調査してください。

 それでは、今言ったような実態があるんだということを確認して、由田さんの言われるように、一見おかしいのかおかしくないのか、そこを判断してもらいたいと思いますが、大臣、いかがですか。

鴨下国務大臣 今ずっと議論を拝聴しておりましたけれども、先生おっしゃるように、住民にとって最もふさわしいことはどういうことなのかというようなことの御主張でありますから、浄化槽が正常に機能するというようなことは、もうこれは大前提でありますけれども、加えてそれに、費用負担がどれだけ軽減されるか、このバランスの中で、先生おっしゃる議論になっているんだろうと思います。

 全国と比べて岡山県がどうかということも、今答弁の中で十分に把握していないようでありましたので、早速でありますけれども、環境省の職員等も調査に赴かせまして、そして実態をしっかりとまず把握させていただきます。その後にまた、判断は大臣がさせていただきます。

末松委員 今大臣が本当に貴重なことを言っていた。確かに正常に動くことが大前提。その中で、本当に不必要な、例えば年四回でいいのに、あとの八回が不要といった場合、何か岡山県ではやっているらしいんですね。それが八回で、十年間で、そして基数を全部掛けたら大体百億円以上、岡山市で住民が過大な負担をしている可能性があるわけです。岡山県全体では三百億円以上過大な負担を住民にさせているというような試算があるわけですよ。

 そういったことも踏まえながら、中央環境審議会は本当にいいことを言っておりますよ、説明できるようなことをきちんとやれと。それを環境省の方でも、これは環境委員会で問題になっているんだ。

 大臣、今おっしゃられました、そこは私も評価します。この議論は、調査をした後に、ぜひまたさせていただきます。そういうことでよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

小島委員長 次に、高木美智代君。

高木(美)委員 公明党の高木美智代でございます。

 一年ぶりに環境委員会に戻ってまいりました。かつては、環境と経済は両立するのかとか論議もございましたけれども、今地球環境問題、国民の大きな意識の高まりにもなっております。国際的なイニシアチブを目指す当委員会の委員の一員といたしまして、責任ある働きをしっかりとさせていただきたいと思っております。

 本日は、温泉法の一部を改正する法律案ということで、これはいつも最後の質問者の宿命的なものでございますが、ほとんど、細かいことも含めまして質問は終わっているようでございますので、私は、我が党におきましても、この法改正、後押ししながら、またあるときはリードさせていただきながら、大変スピード感のある対応をさせていただいたつもりでございます。これをまた御紹介申し上げながら、何点か質問をさせていただければと思っております。

 御存じのとおり、六月十九日、私も東京の議員でございますので、渋谷区の温泉施設シエスパにおきまして、温泉施設に隣接する、別棟の従業員更衣室、地上一階、地下一階におきまして爆発事故が発生をしたことは大変残念に思っております。三人の方が亡くなられ、八人の方が負傷されるという事故でございました。

 生命の安全、安心を守るという、これこそ政治家である私どもの第一義の課題であると思っております。

 この日、地元の渋谷区議、私どもの地元の議員でございますが、もう全員、現場に駆けつけまして、救援活動に遅くまで当たったと聞いております。

 そして翌々日、二十一日、すぐに公明党の太田代表、また山口那津男参議院議員、東京都本部代表でございます、現場を訪れまして、犠牲者の冥福を祈り、献花するとともに、現地を視察、調査いたしました。その足で、直後、総理に要請をいたしまして、再発防止策を検討することで意見の一致を見たわけでございます。

 さらに翌日、正式に申し入れを総理に対して行わせていただきました。一つは、都市型温泉の開発や利用に関する緊急安全対策の早期策定と全国への周知、また二つ目に、同種の温泉施設の実態調査、総点検の実施、また三点目に、天然ガス対策として、新規立法を含め関連法制度の整備、検討の着手など申し入れたわけでございます。

 特に、関連法制度の整備に関しましては、先ほど来、各省庁にまたがるというお話もございましたとおり、消防法、鉱業法、温泉法など、また国土交通の所管も含めまして、省庁横断的な対応を要請いたしました。総理からは、法改正を含めて政府として取り組みたいとの御意向を伺ったわけでございます。

 私も、海外出張で不在でございましたので、翌二十三日、献花、また視察をさせていただきました。

 早速、一週間後の二十九日、党といたしまして、都市型温泉施設の安全対策プロジェクトチームを設置いたしまして、第一回の会合を持ったわけでございます。何よりも、施設の利用者、事業者、また従業員、近隣住民に配慮した安全対策につきまして、協議することを申し合わせたわけでございます。

 以来、随時、環境省を初め各省から御報告を受けながら、また、要請そしてまた協議を重ねながら、この法改正に至ったわけでございます。

 今、温泉ブームを背景に、都内ではこうした温泉施設が毎年十カ所近く新設をされております。若い女性も多く利用しております。

 しかしながら、東京、千葉など南関東一帯の地下千メートルから二千メートルには、南関東ガス田が広がっております。近年、掘削技術の進歩によりまして、大体千メーターから千五百メートルぐらいまで掘削するようになりました。そのために、温泉水と一緒にくみ上げられるガスの危険性はどの施設も抱える問題だと言えます。

 しかしながら、渋谷の温泉施設におきましては、近隣住民に対して十分な説明もないまま繁華街に建設されたこの施設は、狭い土地のために、温泉くみ上げ設備も密閉されたつくりになっておりまして、かねてより、事故を懸念する声が周辺住民から上がっていたと伺います。

 そこで、大臣にお伺いいたしますが、今回の法改正によりまして、施設の利用者、また従業員、近隣住民の安全対策に対しまして万全を期すという当初の目的が達成されているのかどうか、その御不安を払拭できる内容となっているのかどうか、大臣の御所感を伺いたいと思います。

鴨下国務大臣 先生おっしゃるように、犠牲になられた方には本当に御冥福をお祈りしたいというふうに思いますし、加えて、あの周辺の方々には多分大変な迷惑とある意味での不安を与えたんだろうというふうに、私も現場に伺いまして、つくづく思いました。

 そういうような意味において、今回の改正によりまして、温泉の採取を許可制として、許可基準として、可燃性天然ガスの分離及び屋外への放出、そしてガス検知器の設置及び十分な換気の実施等を定めまして、温泉の採取事業者に義務づける、こういうようなことを一番の目的とさせていただいております。

 事業者にこの技術基準を遵守させる、こういうようなことによりまして、可燃性天然ガスの爆発事故は防止できるものと考えております。温泉の利用者あるいは従業員の方々、そして近隣の住民の皆さんの安全、安心をしっかりと確保する、こういうような方向に向けまして、法律の施行に万全を期してまいりたいというふうに思っております。

高木(美)委員 この改正法が成立した場合の施行までのスケジュールがどのようになるのか、伺いたいと思います。

櫻井政府参考人 この改正法の施行についてでございますが、施行日につきましては、改正法の公布の日から一年以内で政令で定めることとされておるところでございます。その間に、技術基準などの必要な規定を早急に定めまして、その後、事業者及び都道府県が対応できる範囲内で、これもできる限り早期に施行することといたしたいと考えておるところでございます。

 なお、既存の事業者さんにつきましては、安全対策の実施に相当の期間を要する場合があることから、施行日から六カ月以内は許可を受ける必要がない、つまり、許可を受ける前も営業は継続できるということなどの経過措置を設けることによりまして、規制に十分に対応できるように配慮をしてまいりたいというふうに考えております。

高木(美)委員 恐らく、この改正法が施行されるまでの間、また次々と新たに温泉施設が建設されることが十分に考えられます。今とっていただいています暫定対策につきまして、その間も確実に実施するなど、安全対策を徹底することが必要であると思います。このことにつきまして答弁をお願いいたします。

桜井副大臣 可燃性天然ガスによる災害防止に関する仕組みを温泉法に導入することでありますが、温泉の安全性を十分カバーできることになると考えております。施行までの間に、今お話がありましたように、再度事故が生じれば、我が国の温泉の信頼を大変損なうということでございますので、しっかりした対応をしたいということでございます。

 このために、法が施行されるまでの間において、新法の趣旨を十分事業者に周知して安全対策の意識を高めることや、七月に暫定対策が引き続き確実に実施されるよう都道府県を通じ事業者に促すことなどにより、温泉に対する安全、安心の確保に努めてまいりたいと思います。

高木(美)委員 実効性ある安全対策をお願いいたします。

 この渋谷の事故におきましては、温泉くみ上げ施設内の配管につきまして、先ほど来お話がございましたとおり、設計図どおりに設置されていなかったということがほぼ明らかになっております。換気扇が正常に稼働していながらも、構造上の欠陥によりまして換気が不十分であった、このことも指摘されているわけでございます。

 そこで、我が党といたしまして申し上げたことでございますが、許可申請の図面と異なった工事を行っていないかどうか、実際に現場で確認することが大事なポイントではないかと申し上げさせていただきました。やはり、図面それから実際にでき上がった配管、そしてまたさまざまな安全設備等々、これをきちんと現場で点検しませんと改正法が空洞化してしまう、このように強く申し上げたところでございます。

 こうした点がこの法改正におきましてどのように盛り込まれたのか、許可の判断材料となります災害防止に関する技術基準への適合性をどのように今後確保される御決意なのか、その点につきまして答弁をお願いいたします。

並木大臣政務官 先生御指摘のとおり、シエスパの事故原因については、調査中ということで、予断をすべきではないわけですけれども、確かに、当初、直接外に放出するという構造が、中で一回換気扇によって換気するような、そういうことに変えられたということが原因ではないかという指摘もあったということで、いろいろ調査しているわけです。

 そのようなことにおきまして、まさに先生おっしゃるとおり、温泉の採取の許可に当たりましては、書類申請のそういう審査だけでなくて、必要な場合には工事完了後に実地の検査を行う旨の許可条件を付して、そして検査の結果、基準に適合していなかった場合は、許可の取り消しや措置命令を行うことによって、施設の構造等が技術基準に適合することを確認することが重要であると考えております。

 これらの手続が確実に行われることは、環境省としても、十分必要であり、重要であると考えております。技術基準への適合が確保されるよう、省令において必要な規定を設けることにさせていただきたいと思っております。

高木(美)委員 恐れ入ります、再度確認でございますが、現場で確認というのが必ず行われる、これをいわば義務的な措置というふうに考えてよろしいのでしょうか。

並木大臣政務官 先生はもう御存じのとおりなので、構造によってさまざまに違うというか、特に屋内の場合、そうした条件が必要かと思います。

高木(美)委員 ありがとうございます。

 こうした温泉施設におきます事故防止対策をより強化するためには、各施設におきまして、一定の資格、経験等を有する安全管理担当者といいますか、そういう人物を配置することを義務づけるべきではないかと考えております。

 今回の渋谷の事故におきましても、管理会社は、委託されたけれどもそこまでは自分たちの範囲ではない等々の、こうした責任転嫁といいますか、すき間が多くあったと思っております。

 そういう点から考えますと、安全管理担当者が果たしてその施設においてだれなのか、これもあわせて、現場でこうした条件を確認する際に、許可をするための現場確認の際にあわせて確認すべきではないかと思いますが、この点につきまして答弁を求めます。

櫻井政府参考人 安全対策の担当者をあらかじめ定めておくということは、御指摘のように、温泉施設の経営主体あるいは設備の管理委託を受けた者など、その温泉の安全対策にかかわる複数の事業者間での責任の所在を明確にする、あるいは事業者の中での責任者を明らかにするということから重要なことであろうと考えております。したがいまして、温泉の採取等の許可申請に当たって安全対策の担当者を明らかにするということを事業者に義務づけることを考えております。

 なお、一定の資格とか経験を要求するかどうかということでございますが、今回の安全対策は施設の構造に関するものが中心でございまして、運転段階で特別の技能が必要なものではないということ、さらには、大規模な温泉施設から個人所有の温泉に至るまで事業形態が非常にさまざまであるということから、一律の資格あるいは経験というものを要求するということはなかなか難しいのではないかということで、責任者を明らかにするという形で対応したいというふうに考えておるところでございます。

高木(美)委員 よろしくお願いいたします。

 実は、この渋谷の事故の二年前、平成十七年二月、東京北区におきまして、これも温泉の掘削現場でございますが、可燃性ガスが噴出をいたしまして、高さ二十メートルに上る火柱が上がりまして、二十四時間以上にわたって燃え続けるという事故がございました。

 それを受けまして、東京都は独自の安全対策ガイドラインをつくりまして、深度五百メートル以上掘削する場合には、天然ガス噴出を防止する装置をつける、また、ガス検知器で常時ガスを測定する等の指導を行うようになりました。

 実は、この背景といたしまして、この北区の事故のとき、我が党の都議会議員も駆けつけまして、この後、都ともさまざま申し入れをしたり検討いたしましたが、やはり法の規制というものが、各省庁横断、なかなかそこが成り立たず、各省庁の壁の中でここが法がないような状態に置かれていた、むしろ、法がない状態の中で東京都に対して温泉の許可が求められ、また、ほとんどそれを通していた、そういう現実もここで浮かび上がったわけでございます。

 こうした北区の事故、また東京都のこうした安全対策ガイドラインへの取り組み、こういうことを踏まえまして、今回の法改正におきましては、掘削中の事故を防止するために多くの内容も盛り込まれております。実際にどのような安全対策を義務づけることとしたのか、答弁をお願いいたします。

櫻井政府参考人 温泉の掘削時の事故及び安全対策でございます。

 御指摘のように、平成十七年二月に、東京都北区で温泉の掘削中に火柱が上がるという事故がございました。幸いにして、あのときは死傷者はございませんでしたけれども、この問題の重要性にかんがみ、東京都におきましては、御指摘の安全対策のガイドラインというものを設けたところでございまして、また、環境省におきましても、そのガイドラインを各公共団体に参考にするように配付したところでございます。

 今回、法改正を行うに当たりまして、掘削時においても安全対策を行うということを、採取だけではなくて掘削の時点でもそういった安全対策を義務づけるということを導入したいというふうに考えております。具体的には、ガス噴出防止装置を設置すること、あるいは周辺での火気の使用を禁止するというようなことを義務づけることを予定しておるところでございまして、その詳細な内容につきましては、今後さらに検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

高木(美)委員 これは大変苦言を呈するようでございますが、やはり北区でこれだけの大きな事故が発生をしたわけで、当然、先ほど来論議がありましたとおり、それぞれ、これほど多岐にわたる、しかも、この労働者というふうになりますと厚生労働も絡んでくるという、大変多岐にわたる省庁の内容になっておりますので、それをつないでいくのも私たち政治家の役割でもあるとは認識しておりますが、やはりもう一歩、環境省の皆様におかれましても、そこの足を踏み込んでいただいて、未然に事故を防ぐためにどうしたらいいかという、この安全、安心の対策のためにもう一段の御努力をお願いするものでございます。

 ちょっと時間は早いのですが、最後の質問にさせていただきたいと思います。

 ただいまの各省にまたがる、これにつきましても、今後とも、環境省がかなめとなりまして、こうした都市型温泉施設または全国各地にあります温泉施設につきまして、取り組みを期待するものでございます。

 今、温泉につきましては、日本人だけではなくて、特に台湾とか香港とか、また中国系の方たちもそうでございますが、海外からの観光客を呼び込む我が国の重要な資源でございまして、おとといでしたか、私も青森に行かせていただきました。ここは、農水産物と温泉、こういう地域資源しかないんだ、なかなか企業誘致が進まないんだと大変悩みの声を多く受けとめたところでございますが、温泉があるということは大変大事な地域の力でございますし、これをまた活用する、また、そこに例えば外国人の観光客の方が来やすいような通訳の方を配置するとか、まだまだ日本では活用できる範囲が広がっていると思っております。今回の法改正によりまして、そうした世界の方たちも含めて、安心して温泉が利用できるような安全対策を望むところでございます。

 この安全対策に対します大臣の御決意を伺わせていただきたいと思います。

鴨下国務大臣 今お話しになっていましたように、温泉は、ある意味で、国民の皆様みんなが温泉に入ることを好まれますし、具体的には、例えば療養、湯治、こういうようなものも古来からあるわけでありまして、そういう意味では、いわば我が国の文化にすっかり浸透しているわけであります。

 加えて、先生おっしゃっているように、今はむしろ外国からも観光資源の一つとして温泉を目的においでになってくれる、こういうような方々もいるわけでありますから、そういう意味で、全体的なインフラを整えて、安全でしかも楽しく入っていただく、こういうような施設を整えていくというのはまさにそのとおりだというふうに思います。

 ただ、先ほどからお話がありましたように、温泉に関する、特にこの南関東のガス田の上にあるような温泉掘削に際しては、可燃性の天然ガス、こういうようなことで、実際に渋谷区のシエスパでは悲惨な事故が起こったわけでありますので、こういうようなことを二度と繰り返さないということで、先ほど来ずっと議論になっております、例えば建築の問題あるいは消防の問題、そしてこの温泉法、こういうことを総合的にいわば連携して、そしてその安全対策に関する規制をしっかりとしていく、こういうことなんだろうというふうに思っておりまして、ぜひ国民の皆さんが温泉に対して信頼あるいは安心をして利用いただける、こういうようなことのために全力を尽くしてまいりたい、こういうふうに考えております。

高木(美)委員 よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

小島委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    正午散会


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