衆議院

メインへスキップ



第4号 平成20年4月11日(金曜日)

会議録本文へ
平成二十年四月十一日(金曜日)

    午前九時三十四分開議

 出席委員

   委員長 小島 敏男君

   理事 小野 晋也君 理事 大前 繁雄君

   理事 木村 隆秀君 理事 北川 知克君

   理事 西野あきら君 理事 岩國 哲人君

   理事 伴野  豊君 理事 江田 康幸君

      あかま二郎君    上野賢一郎君

      亀岡 偉民君    小杉  隆君

      木挽  司君    坂井  学君

      鈴木 俊一君    土屋 品子君

      とかしきなおみ君    中川 泰宏君

      並木 正芳君    藤野真紀子君

      山本ともひろ君    末松 義規君

      田島 一成君    田名部匡代君

      松野 頼久君    村井 宗明君

      吉田  泉君    高木美智代君

    …………………………………

   環境大臣         鴨下 一郎君

   環境副大臣        桜井 郁三君

   厚生労働大臣政務官    伊藤  渉君

   環境大臣政務官      並木 正芳君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 深田 博史君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 大江  博君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           本部 和彦君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           小川 富由君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   由田 秀人君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            西尾 哲茂君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  南川 秀樹君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            竹本 和彦君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  櫻井 康好君

   環境委員会専門員     齊藤  正君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十一日

 辞任         補欠選任

  近藤三津枝君     亀岡 偉民君

  吉田  泉君     松野 頼久君

同日

 辞任         補欠選任

  亀岡 偉民君     近藤三津枝君

  松野 頼久君     吉田  泉君

    ―――――――――――――

四月十日

 地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第七二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第七二号)

 環境保全の基本施策に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

小島委員長 これより会議を開きます。

 環境保全の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官深田博史君、外務省大臣官房参事官大江博君、経済産業省大臣官房審議官本部和彦君、国土交通省大臣官房審議官小川富由君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長由田秀人君、環境省総合環境政策局長西尾哲茂君、環境省地球環境局長南川秀樹君、環境省水・大気環境局長竹本和彦君及び環境省自然環境局長櫻井康好君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小島委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大前繁雄君。

大前委員 自由民主党の大前繁雄でございます。

 前回、公健法の質問が時間不足で流れてしまったおかげで、今回、一般質問の機会を与えていただきました。御配慮に厚く御礼を申し上げたいと思います。

 私に与えられた質問時間は三十分と極めて限られておりますので、アップ・ツー・デートといいますか、今日的な問題に絞って数点お尋ねしたいと思います。

 最初の質問は、そういった中でも最近の最もホットなテーマでございます道路特定財源の一般財源化に関するものでございます。

 福田総理は、先月末の三月二十七日、緊急記者会見を行い、道路特定財源の平成二十一年度からの一般財源化を提案されました。そして、暫定税率の上乗せ分については、今後、税制抜本改革の議論の中で、環境問題への国際的な取り組みを考慮し、税率を検討の上、環境対策にその財源を使う旨、明確にされました。

 この提案は、一見すると、これまで環境省が悲願として求め続けてきた環境税の導入がいよいよ実現にこぎつけたように受けとめられるかもしれませんが、実はそうではございません。と申しますのは、福田総理の提案は、ガソリン税などの道路特定財源を環境税的なものとして位置づけておられますけれども、使途はあくまで一般財源であって、環境省がこれまで求めてきた環境税ではございません。

 この点について、環境大臣は福田総理の提案をどのように受けとめられているのか、お聞きしたいと思います。つまり、仮に総理の提案が実現されたとしたら、環境税でもくろんでいたCO2の抑制や十分な温暖化対策の財源が確保されると考えて、それでよしとされるのか、それとも、引き続きこれまでのような環境税の導入を求め続けていかれるのか、お聞きしたいわけでございます。

 よろしくお願いします。

鴨下国務大臣 ガソリン等の燃料課税につきましては、地球温暖化対策上一定の役割を担っているというふうに考えております。そういう意味では、広義の意味では環境関連税制であるというふうに解釈をしております。

 世界全体で見ますと、全体的なトレンドとしましては、地球温暖化問題への対応として、ガソリン消費の抑制効果を勘案してガソリン税等を引き上げていく、こういうような傾向は特にEU諸国においては明確であります。そういうような状況を踏まえますと、暫定税率の税率水準を下げるということは、これは地球温暖化対策というような観点に立ちますと逆の方向だというふうに考えざるを得ません。

 また、今先生御指摘の、環境省がこれまで要望してきた環境税ということで申し上げますと、自動車燃料のみならず、石油や重油などを含め広く化石燃料全体に課税をし、あらゆる主体に対してCO2排出抑制のインセンティブを与えるようなものにしたいというふうに考えております。

 ただ、その税収につきましては、これは一般財源として使途については特別な制限を与えずに、我々としては、地球温暖化対策に重点的に充てていただきたいということは思いとしてはございますけれども、使途は一般財源化する、こういうようなことをかねてから申し上げているところであります。

 ですから、環境税につきましては、地球温暖化対策全体の中で具体的に位置づけ、その効果、あるいは国民経済や産業の国際競争力に与える影響、諸外国における取り組みの現状などを踏まえまして、これからも総合的に検討を進めていきたいというふうに考えております。

 私たちは、かねてから申し上げている、いわゆる炭素に課税するような広範な環境税というようなお願いについては旗をおろしているわけではございませんので、ぜひそういうような広範な議論が行われることを私としても望んでおります。

大前委員 私は当初、環境税というのは、国土交通省の道路特定財源のように環境省の特定財源になるのではないかと思っておったのでございますけれども、今大臣の方から、そういう考えはない、あくまで環境税は環境省が独占的に使う予算ではなしに一般財源として考えているということでございます。それはそれでよしといたしますけれども、国民の意識づけあるいは啓発的な意味も大変重要でございますので、やはり環境税という名目で税が施行されるということが私は大変重要だと思っております。

 ですから、福田総理が暫定税率を、税率はいろいろ今後検討するということでございますけれども、それを環境対策に使うからといって、必ずしも環境税が実現されたとは私も思いませんので、ぜひとも今御答弁いただいたような考えで進んでいただきたいと思います。

 それでは、次に移りたいと思います。

 同じくアップ・ツー・デートなテーマであり、現下の喫緊の課題でございます地球温暖化対策、これは次回の委員会で温対法が審議されることになるのでございますけれども、それに先立つような格好でちょっと入り口の質問をしてみたいなと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。特に、本年から約束期間に入りました京都議定書の問題について、一、二質問をさせていただきたいと思います。

 最初に少しショッキングな話から入りたいと思うのでございますけれども、今月初めの四月三日に、私は、自由民主党の本部で行われました党の環境調査会に出席をしました。その日のゲストスピーカーは、地球規模の気候変動に関するピューセンター代表のアイリーン・クラウセンさんという方、この方のお話を伺ったわけでございます。御存じの方も多いと思いますけれども、クラウセンさんは、クリントン政権時代に国務次官補を務められた、地球環境問題では大変影響力のある著名な女性でございます。

 このクラウセンさんが、そのスピーチの中で大変注目すべき発言をされました。一つは、これはよく知られていることなんですけれども、ことしの秋行われる大統領選挙で共和党のマケイン氏がなろうと民主党のオバマ氏あるいはクリントン氏がなろうと、全員、温暖化ガスの排出規制について強力な推進者であるので、米国の排出規制対策などは連邦政府レベルで大きく前進するだろうということでございます。

 これは大変喜ばしい話でございますけれども、問題は、それに加えて、京都議定書の米国の態度について触れられたくだりでございます。クラウセンさんは、京都議定書は、数字的に余りにも無理があるということ、さらには政治的に傷つき過ぎている、こういう二つの理由から、米国の復帰はあり得ないと述べられたわけでございます。

 前民主党クリントン政権の国務次官補であり、気候変動問題についての米国の政策決定について最も影響力をお持ちのクラウセン代表が、言うなれば京都議定書を全く問題にしていないという言葉をストレートに述べられたのを聞きまして、私は少なからずショックを受けたわけでございます。

 今私たちが莫大な労力と資金を費やして目標達成に取り組んでいる京都議定書でございますけれども、将棋でいえば飛車角に相当する米国、中国という二大温室効果ガス排出国が参加しない国際条約に我が国がこれからも真剣に取り組んでいって果たしてよいのかどうか、京都議定書の達成よりも、米国、中国を含んだ新しい国際的な枠組みを模索、実現することの方が現実味があるのではないかという思いに駆られる人も多いのではないかと懸念されるわけでございますが、この点について環境省のお考えをお聞きしたいと思います。

南川政府参考人 お答えいたします。

 クラウセンさんとは私も数回お話をする機会を得ました。彼女自身は、京都議定書自身は大変評価をいたしております。ただし、現在の米国の現状が、余りにも高いところに排出量が行き過ぎているということを言っておりました。また、日本の努力については大変評価をされております。

 この京都議定書、さまざまな意見がございますけれども、環境省といたしましては、温暖化対策ということで数値目標を初めて定めて対策を進める、そういう意味で極めて重要な地球温暖化対策の第一歩であるというふうに受けとめております。そして、国際約束でございます。何とかしてこの六%削減を達成したいということで努力をしたいと思っておりますし、また、多くの方々の御協力を得たいと考えておるところでございます。

 次期枠組みの議論を見ましても、カナダのようにギブアップ宣言をしますと、例えばCOPの場においてインナーサークルのごくごく少数の会議には入れてもらえないということも現にございます。やはりここは、しっかり努力するということを示しながら、米中を含めた次期枠組みの構築に向けて努力するということが最も望まれる対応であろうというふうに考えております。

 福田総理がことしの一月にクールアース構想を出されまして、主要参加国とともに日本も総量目標を掲げて対策をとるんだ、また十年から二十年でピークアウトさせるんだ、二〇五〇年世界半減も達成するんだということもおっしゃっているわけでございます。私ども、こういった福田総理の姿勢もしっかり受けとめまして努力をしていきたいと考えているところでございます。

大前委員 今お答えになりましたとおり、現在のところ、地球温暖化に対処するための権威ある国際的な枠組みというのは京都議定書しかないわけでございまして、米国の態度いかんにかかわらず、我が国としては京都議定書の目標達成に向けて全力を尽くすべきだと私も考えておりますので、ぜひともよろしくお願いしたいと思います。

 もう一つ、入り口の問題でショッキングな話題を取り上げさせていただきたいと思います。

 これは、ことしの二月だったと思いますけれども、超党派で行われた勉強会、たしか民主党の先生が中心になって開催された講演会だったと思いますけれども、中部大学総合工学研究所教授の武田邦彦先生が講師としてお話をされました会に出席させていただいたときのことでございます。武田先生と申しますと、現在ベストセラーになっております「環境問題はなぜウソがまかり通るのか」というセンセーショナルなタイトルの著作で大変有名な方でございますけれども、その日も、「環境、三つのポイント」というテーマで、一、ダイオキシンを要注意リストから外すときが来た、二、日本人の誠実を汚したリサイクル、三、温暖化、災いを転じて福となせという、この三項目についてお話をされたわけでございます。そして、結論部分の三番目で、日本は一刻も早く無意味な京都議定書を脱退すべきだと述べられたわけでございます。

 私はかねてから、この武田教授のような異端を売り物にする一部の学者の言動が、まじめに温暖化対策に取り組もうとしている私たちの動きに水を差しているのであり、絶対許せないと考えておりましたので、今回、ちょうどいい機会だ、出席して一言文句を言おう、あんたのような曲学阿世のやからがいるから温暖化対策が前へ進まないのだと言ってやろうと思って、構えて一番前に座っておったのでございますけれども、話を聞いておりますと妙に説得力がございまして、我ながら情けない限りでございますが、結局、一言も発言せずに、すごすご会場を後にした次第でございます。

 ここで武田教授の言説を改めて紹介するのには時間的な制約もございますし、また多くの方は既に御存じだと思いますのでいたしませんけれども、環境省は、武田教授のような環境行政悪玉論あるいは温暖化対策軽視論、こういった議論についてどのように考えておられるのか、お尋ねをしたいと思います。

南川政府参考人 武田先生御自身についてのコメントは避けさせていただきますけれども、私どもとしましては、科学者と称される方の議論の中で、温暖化について対策は必要ないんだということを聞く場合もございます。そのたびに、そのもの自身は職員が分担して見るようにしております。

 ただ、いろいろ点検しますと、反温暖化を訴える文章の中には、批判のための批判というものが非常に多いということがございます。それから、内容的にも、科学的な観点から間違っているものも少なくないということで、多くの方に正確なメッセージが伝わっていない、混乱させているということも多いと思います。

 したがいまして、私どもとしましては、例えば、IPCCのような形で世界の第一線の科学者の参加を得てまとまったレポートがございます。こういったレポートを中心に、できるだけ広範に、正しいと世界でとらえられている知見が広まるような、そういう努力を逐次いたしておるところでございます。今後とも、そういった姿勢を持ち続けたいと考えております。

大前委員 私もそのとき出席して思ったんですけれども、武田教授がおっしゃっておられる主張というのは、部分的には非常に貴重な意見もあるんですね。

 例えば、再生紙の問題、コピー用紙の問題がございますけれども、ああいうのも、日本では森林が豊富で無限資源としての紙パルプ資源というのはいっぱいあるのに、外国からどんどん輸入して、日本で物すごく厳しい法律をつくって規制をかけているけれども、肝心なのは、外国から持ってこずに日本のものを使うことが大事なんだ、言ってみれば、今の日本の政策というのは、足の骨を折っているのに手に包帯を巻いているみたいなものだというような、そういう議論を展開されておりまして、私もなるほどなと思ったんです。武田さんというのは、とんでもないことを言っているんじゃないと思うんですね。

 ただ、地球温暖化については、もし武田さんの言っていることが本当に正しいのであれば、我々は楽ですからね、京都議定書を守ったりする必要はないわけですから。ですから、そっちに流れやすいんですよね、国民というのは。ですからここは、きちっと反論すべきところは反論して、そして武田先生のような意見を取り入れるべきところは取り入れてというような、そういう姿勢が大事なんじゃないかと思っておりますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。

 そういうことで、温暖化の問題につきましては、今、武田教授のようないろいろな異論がございましても、現実に年々急ピッチで温暖化現象、気候変動現象が進行しているわけでございますので、我々は、取り返しのつかない段階に進むまでに、世界の大多数の学者の支持する考えに従って対策を進めていくべきだと私も思っておりますので、以下、具体的な温暖化対策について質問させていただきたいと思います。

 まず一点目は、吸収源対策についてでございます。

 今の温暖化対策を見てみますと、主流は大半がCO2の排出抑制策でございます。しかし、経済は常に成長していくものでございますし、特に開発途上国は成長するにつれてCO2の排出量が増大するのは避けられないところでございまして、排出量抑制だけに頼っておるとおのずと限界があるのではないか。ですから、どうしても吸収源対策にもっと力を入れるべきじゃないかと私は思うわけでございます。ところが、京都議定書を見ましても、吸収源対策として挙げられているのは森林整備以外何にもないわけでございますね。

 そこで、この点に着目して、もう一つの巨大な吸収源と言われております海に目を向けて、海洋植物培養によるCO2吸収を研究している方が私の地元におられます。その人は、大学の理学部生物学科を卒業されて、現在は環境関連コンサルタント会社を営んでおられるわけでございますけれども、言うなれば民間の研究者でございます。

 その人の書かれた、「今、この危機を海に助けてもらうこと」という副題のついた地球温暖化防止のための提案書を読ませていただいたのですが、それによりますと、一、地球温暖化問題解決には排出抑制だけでは間に合わない、二、地球の七割を占める海水に現在でも人間が排出するCO2の五〇%が吸収されている、三、このCO2吸収の宝庫ともいうべき海に人工的な海草藻場を設けて吸収源とするとして、具体的な海上プランターによるCO2吸収を提言されているわけでございます。

 そこでお聞きしたいんですが、まず、こういった独自の案に基づく吸収源対策を実行したと仮定した場合、京都議定書ではどのようにカウントされるのか、それをお尋ねします。

南川政府参考人 現状の京都議定書では、新規の植林あるいは再植林といった森林経営、植生回復の活動を吸収源として認めております。

 したがいまして、科学的な議論は引き続き行われるといたしましても、現状では、海洋において吸収源対策を実施したとしましても、その吸収量は目標達成にカウントすることはできないということになっております。

大前委員 そういう答えになるとは思いましたけれども、京都議定書ではやむを得ないといたしましても、どんどん砂漠化していっている森林だけに吸収源を頼るというのはやはり限界があると思うんですよ。

 そこで、我が国も、京都議定書以後のことを考えて、こういった海を利用したCO2吸収についてもっと積極的に研究あるいは開発を進めるべきと思うのでございますけれども、この点についてどのようにお考えか、お尋ねしたいと思います。

南川政府参考人 海洋におきます人為的な吸収源開発については、残念ながら、IPCCなどにおきましても、これまで特に議論として取り上げておりません。

 ただ、私ども環境省といたしましては、次期枠組みの議論もこれから本格化いたしますので、海を利用したCO2の吸収について、今後とも世界の研究というものをぜひフォローアップしたいと思いますし、また、温暖化対策としての海洋の活用についての科学的な評価ということも、ぜひきちんと情報収集したいと考えておるところでございます。

大前委員 ありがとうございました。ぜひとも海水を利用した吸収源対策について検討、研究を進めていただきたいと思います。

 次に、ヒートアイランド対策についてお聞きしたいと思います。

 ヒートアイランド現象というのは、温暖化の悪循環現象として、CO2の排出量をふやすのみならず、都市の居住環境の劣化としても大変困った問題でございます。この対策には、これまで、屋上緑化や壁面緑化、あるいは建物の断熱材の開発など、いろいろ対策が講じられておりますけれども、最近注目されているのが、ミスト、つまり霧を利用した空気の冷却でございます。

 昨年大阪で行われた世界陸上選手権大会のマラソン競技で、ポイント、ポイントで、ミスト、霧の回廊をつくり選手に清涼感を提供している場面がテレビで報道され、注目を集めておりましたけれども、このミストによる空気の冷却というのは日本ならではのものと言われているのでございますね。

 と申しますのは、日本は山河に恵まれ、水だけはほぼ無尽蔵と言われておりまして、特に大阪市などは、節水思想の普及と節水型水洗トイレ、今の私の赤坂宿舎のトイレなんかでも、昔の六分の一ぐらいの水でばっと流すんですね、そういった機器が進歩した。その一方で、ダムのつくり過ぎで水余りが続いて、もう水が余って余って仕方がない、そういうことで頭を痛めておるわけでございます。

 一方で、我が国は、ミスト、つまり霧を噴射する器具では世界一の技術水準にあると言われております。ほとんど目に見えないほど細かいミストを大量に噴出できる技術を持っているのは日本だけでございまして、この二つの要素が相まって、大阪の世界陸上選手権でのミストの回廊となったわけでございます。

 そこでお尋ねでございますけれども、この水余りを利用したミストによる空気冷却を屋上緑化や壁面緑化とともに今後のヒートアイランド対策の柱の一つに取り入れるべきと考えているのでございますけれども、いかがお考えか、お聞きしたいと思います。

 時間がないので次の質問も一緒にやってしまいますけれども、このミストによる空気冷却の原理は、昔から我が国で行われている打ち水と同じで、細かい霧状になった水が蒸発するときに気化熱を奪うことによって温度を下げるということでございます。

 そこで、具体的な提案ですが、ことしの夏行われる洞爺湖サミット及びそれに先立って神戸で開かれる環境大臣サミットで、この日本の誇るミストによる空気冷却のデモンストレーションをぜひ実施していただきたいと考えるのですが、この点についても外務省並びに環境省はどのようにお考えか、お尋ねしたいと思います。

竹本政府参考人 ただいま御指摘のございましたヒートアイランド対策でございますが、私ども政府一体となって取り組むべき施策と認識をしておりまして、平成十六年の三月、政府におきましてヒートアイランド対策大綱を策定いたしまして、この大綱に盛り込まれました各種施策を積極的、総合的に展開しておるところでございます。

 先生御指摘のございました霧により空気を冷却する装置につきましては、屋外の空気を冷却する効果がありまして、ヒートアイランド対策技術の一つであると認識をしておりまして、今後とも十分調査研究を幅広く進めてまいりたいと思っておるところでございます。

深田政府参考人 来る北海道洞爺湖サミットにおきましても地球環境問題が重要なテーマになるわけですが、実施の面、運用の面におきましても環境配慮を徹底していくとともに、我が国の誇る環境技術というものを世界に向けてアピールしていきたい、こう思っておるわけです。

 その一環として、ルスツリゾートに国際メディアセンターと申しますプレスセンターを設けるべく今建物を建てておるわけですが、その建物についても徹底した環境仕様でやるということで、今建設の途上でございます。その一環として、まさに御指摘のミストによる空気冷却についても導入するということで、具体的には、建物の外壁に霧を発生させる装置を設置しまして建物を冷却する上で活用するということで既に計画に盛り込んでおりまして、これから建設の過程で取り入れるということでございます。

南川政府参考人 恐縮でございますが、神戸の環境大臣会合は五月末でございますので、実は暑さ対策を余り考えておりません。したがいまして、霧の噴霧によります空気冷却につきましては、夏に行いますさまざまな行事の検討課題とさせていただきたいと思います。

大前委員 神戸の五月の終わりごろというのは北海道の七月と似たようなものですから、ぜひとも神戸の環境大臣サミットでも考慮していただきたいと要望しておきます。

 最後に、これも講演を聞いた話なんですけれども、哲学者の梅原猛さんを招いて超党派の勉強会がございまして、これは新聞にも報道されました。私もそれに行ったんですが、ことし八十三歳になられる梅原猛先生は「この国のかたち」というテーマで約四十五分間話されましたが、さすがに、年輪を感じさせる含蓄あるよいスピーチでございました。

 中でも私が一番興味を引かれましたのは、最後にお話しされた太陽の思想、太陽信仰についてでございます。太陽崇拝はすべての農耕文明に共通の信仰、太陽崇拝は自然崇拝、それを忘れて近代文明は人間の理性を神とした、もう一度太陽崇拝、自然崇拝に人類は返らなければならない、それはエネルギー革命にもつながるとして、太陽エネルギーを最大活用できるようになれば環境問題は半ば解決されると述べられたわけでございます。

 ところが今、我が国では、この太陽エネルギーの開発が、補助とかそういうものが打ち切られたりして停滞していると言われているんですね。ぜひともこれを機会に太陽エネルギーの開発についてもっと力を注いでもらいたいと思いますけれども、一言だけ、もし御意見がございましたら、環境省の御意見をお聞きしておきたいと思います。

桜井副大臣 環境問題というのは、今お話がありましたように、人間がどれだけ自然に返れるのかということがやはり私は基本だろうと。そういう中では、太陽光発電の導入は大変重要な一つになるんだろうと私は思っております。京都議定書目標達成計画においては、二〇一〇年度において、太陽光発電の利用を進めることにより二百五十五万トンCO2の削減ができるということでございますから、この普及というのが不可欠だろうというふうに思っております。

 なお、環境省としては、太陽光発電を地域ぐるみで導入する場合の支援策として、メガワットソーラー共同利用モデル事業や街区まるごとCO2二〇%削減事業などを実施してきたところでございます。さらに、二十年度からは、地方公共団体が、再生可能エネルギーの導入促進のために、例えば一般住宅での太陽光による発電量に着目した支援など新たな制度を実施する、これに国が地方公共団体を支援することによって、事業を積極的に推進していきたい。

 今後とも、太陽光発電の導入拡大施策については積極的に取り組んでまいりたいと思っております。

大前委員 時間が参りましたので、終わります。

小島委員長 次に、岩國哲人君。

岩國委員 民主党の岩國哲人でございます。

 本日は、鴨下環境大臣に環境保全の政策一般について質問いたします。

 まず最初に、地球温暖化現象に関連して、生物の多様性を保存すべきである、そういった議論がしょっちゅう行われ、大変大切なことだと私は思います。この地球というのは、言うまでもなく、我々人類だけのためのすみかではなくて、あらゆる生物にとっても大切なたった一つのすみかが地球である、こういう認識を私は持っておりますけれども、鴨下環境大臣は生物というのはどういうものを生物と認識していらっしゃいますか。生物の範囲について。

鴨下国務大臣 生物というのは、無機物以外のもので、これは議論があると思いますけれども、微細なものでいうと特にシンプルなビールスまで含めて生物だというふうに私は思っております。加えて、今地球全体を生物として考えるべきだというガイアというような思想もあるわけでありまして、地球上にある自己再生産できるものすべてが生物だ、こういうような認識で私は考えております。

岩國委員 私は、よく小学校、中学校の子供たちに話をするときに、この地球の上で一番大きな生物、一番長生きする生物は何だろうかと。子供たちは手を挙げて答えます、象です、鯨です。子供たちの頭にはすぐそういうものが浮かぶんですね。私は、それは違うよ、地球の上で一番大きな生物は象ではなくて森だよと。森が一番大きくて、生物の中で一番長生きだよ、象よりもカメよりもツルよりも。私はよくそういう話をしてやりました。

 この国会の中で生物多様性と言うときに、とかく動く動物が中心になって議論されているような気がしてならないんです。環境問題、地球温暖化を論ずるときに、動けない生物、動くことができない生物、そういう、地球の環境変化をじっと耐えて、どこへ移動することもできない。我々はとかくホッキョクグマがどうなった、エゾシカがどうなったと動くものが一番最初に頭に来て、それに限定したような対策を考えがちですけれども、ぜひ環境大臣は、この地球環境元年とも言えることしから、生物と言うときには植物も含んでいるということを、学校の生物の教科書もそうでした、我々は植物についても同じ教科書の中で生物として習ってきたんですから、環境省のあらゆる出版物、広報体制の中でも、植物を忘れてはならない、黙っている、動けない、そういう生物がたくさんあるんだということをぜひ徹底していただきたいということを最初にお願いして、質問に入ります。

 サマータイムが世界のいろいろな国で実行されております。なぜ日本では実行されないのか。ことし、環境サミットと言われるようなサミットが北海道で行われるとき、日本でも今までの議論を脱却してことしからサマータイム元年とすべきだったのではないかという思いを私は非常に強く持っております。

 このサミット会議に集まる国の中でサマータイムを実行している国はどこなのか、実行していない国はどこなのか、お答えください。

南川政府参考人 お答えいたします。

 サマータイム自身は、第一次世界大戦のころからイギリス、フランス、スウェーデンなどで始まりました。その後、同じく戦争中にアメリカ、カナダでも入りました。現状で申しますと、サミット国では、アメリカ、カナダ、ロシア、フランス、ドイツ、イギリスが入っております。そういう意味で、G8国で入っていないのは日本だけだと承知をしております。

岩國委員 G8の中で日本だけが入っていない。

 日本だけがエネルギーをあり余るほど持っている、資源をあり余るほど持っている、だからサマータイムをやらなくてもいい、それぐらいの余裕があるならわかります。しかし、G8の国を並べた中でも一番エネルギーを必要とし、それに引きかえてエネルギーと言われるものがほとんどない、エネルギー資源小国でエネルギー消費大国の日本ほどこのサマータイムというものにもっと積極的に取り組むべきじゃないかと私は思います。大臣の所感をお願いいたします。

鴨下国務大臣 かつて、我が国においても昭和二十三年から二十六年まで四年間サマータイムが導入された、私もちょうど生まれたころでありますから余りよく覚えていませんが、そういう中で国民の半分ぐらいが受け入れがたいというようなこともあって、結果的には電力事情が改善したというようなことで廃止されたというふうに理解をしております。

 そういう中で、昨年の八月に行われた世論調査によりますと、賛成が五七%、他方、残業がふえるおそれがある、生活時間の変更によりさまざまな問題が起こるというようなことで約三割の方が反対しているということでありますけれども、今先生がおっしゃったように、私も、どちらかというとサマータイムを導入することには賛成であります。

 確かに、デメリットは、例えば働く時間、残業がふえるとか、朝早く起きなきゃいけないとか、こういうようなことも少し言われているようでありますけれども、それを制度的に乗り越えていく工夫があれば十分に実現可能なのではないかというふうなことで省内でも何度か議論させていただきました。私は、先生の方向性は全くそのとおりだと賛同をするところでございます。

岩國委員 いろいろな不便が生ずる業界もあろうかと思いますけれども、しかし、エネルギーがあってこそ日本の活力はあるわけです。職場もまたそこから生まれてくるわけですから、これは、やはり教育、あるいは広報によってこの賛成比率は随分変わってくるのではないかと私は思います。

 かつて一時的に実行されたころには子供でわからなかった、その子供が今や大人になって環境大臣をおやりになっている、これぐらい目まぐるしい変化があるわけですから、環境に関する認識もこの何十年間の間に随分変わっているんじゃありませんか。

 例えば、竹下登総理大臣は、リオデジャネイロの環境国際会議で、今や環境を語らずして政治家と言うことはできない、環境を語らぬ政治家は勇気のない政治家だと、それぐらい思い切ったことをおっしゃった。もう環境に関する意識は変わってきている。

 私は、エネルギー資源小国で消費大国の日本こそ、G8へ出席しながらいつまでもサマータイムもやらないでエネルギーの大切さを説き、温暖化対策の大切さを説き、お笑いではありませんか。日本も実施国の中に入るべきだとぜひ福田総理大臣を説得して、そういうことを実行する方向に御努力いただきたい、そのように思います。

 次に、資源に関連いたしまして、自販機、自動販売機ですね、この自動販売機はエネルギーを消費します。これも、日本は、石油がたくさんある、石炭がたくさんある、エネルギーが余っている、だから自動販売機をどんどんいろいろなところにつけてエネルギーを垂れ流してもやっていけるような国、全くそうではないんですから、この自動販売機についてもある程度ユーザーとしての国民を啓蒙することも必要だと私は思います。

 先般申し上げましたけれども、出雲市はお酒の自動販売機を撤去いたしました。出雲市だけが電気がないわけじゃありません、中国電力の電気はしっかりと流れてきておりました。しかし、ちょっとした不便を忍ぶことによって自動販売機の数を減らすことができるならば、そういう努力を政府が主導してやるべきじゃありませんか。

 半分の酒屋さんは自動販売機をつけていました。半分の酒屋さんはそれを拒否していました。私は三百軒全部集めてエネルギーの大切さを説明しました。そして、便利だからつける、またつける、またつける、山の中にもつける、お店の前にお酒の自動販売機があれば、若い人が来て缶ビール二つをカランと音をさせるだけで店の中に入りもしないで去っていく。ありがたいお客さんが店先まで来るのであれば、自動販売機がなかったら中へ入ってくるでしょう。福は内。そういうありがたいお客さんには中へ入っていただいて、ビールだけではありませんよ、おいしい日本酒も入っています、おつまみはどうですか、お子さんにジュースはどうですかと。売り上げがふえるんです、おかみさんの笑顔で。それこそ商人の喜びにつながっていくんだ。売り上げをふやすためには自動販売機をなくすこと、売り上げを減らしたい人は自動販売機をつけること。三百人の酒屋さんが自動的に撤去することになったんです。私はそういうことを全国で広めていただきたいと思います。

 今から二十年近く前に、WHOから日本政府に対してお酒の自動販売機はやめなさいと警告が来ておりますでしょう。ライセンスも持たない機械がなぜお酒を売る権利を持っているのか。世界の国の中で自動販売機にお酒を販売させている国がありますか、お答えください。

南川政府参考人 これについては、私ども調べましたが、特段、情報はございません。日本以外にどこが売っているということについては承知をしておりません。

岩國委員 韓国は日本をよく見ています、お客さんも来ます、交流もあります。日本がやることはすぐまねをすると言うと大変失礼ですけれども、その韓国でさえも、さえもという言い方はどうかと思いますけれども、これだけはまねをしないんです。日本は二十年前にWHOから受けた警告、助言に対して返事をしたんですか。いまだにしないでほったらかしですか。お答えください。

南川政府参考人 恐縮でございますが、これにつきましては、エネルギーというよりは純粋の健康問題でございまして、環境省としては特段の知見を持ち合わせておりません。

岩國委員 私は、環境省の仕事というのは、狭く狭く考えるんじゃなくて、環境に影響がある問題であれば広く広く解釈して、いろいろな省庁と連携しながらどんどんこういうことについては発言していくべきじゃありませんか。それは経済産業省の仕事でしょう、どこかの仕事でしょうと、丸投げ、下投げ、ほうり投げばかりやっておったのでは、環境庁を環境省にした意味がないじゃないですか。もっと意識を広くして、国内だけではなくて世界に視野を広げてほしいという願いで我々は環境庁を環境省にすることに賛成いたしました。しかし、依然として、どこかの省がやっているで省(しよう)ぐらいの話では省(しよう)がないんです。

 この自販機について私は通告しました、国別の自販機の数を調べてほしいと。人口当たりどこの国が一番多いのか、アメリカはどれだけなのか、ヨーロッパはどうなのか、比較して日本はどうなのか、お答えいただけませんか。

南川政府参考人 これにつきましては、実は正確なデータは日本しかございません。日本の場合は、全体で約四百三十万台でございまして、年間の電力消費が六十億キロワットアワーでございますし、また、CO2も約三百万トン出ております。その他の国につきましては、ほとんど例がございませんので、よく承知できなかったというのが現状でございます。

岩國委員 いただいた資料の中にはアメリカやヨーロッパの数が書いてあるじゃないですか。日本の台数も違っていますよ。もう少ししっかりと調べて、人口当たりで見れば、日本の自販機の数よりもアメリカの自販機の数が少ない。ということは、人口が倍であるアメリカは、人口当たり日本の半分である。ヨーロッパはもっと少ない。ヨーロッパは全部の国を合わせても日本より少ない。異常に突出して自販機を使っている、使い過ぎの国は日本なんです。

 なぜ日本人は自販機がなければ暮らしていけないのか。原始の時代、太古の時代から、自販機のないときから日本人は健全に生きておったじゃありませんか。なぜ、いつごろから自販機なしでは生きていけない日本になってしまったのか。そういう反省を込めて、もっとまじめにしっかりとこういうことを啓蒙し、そして、無駄遣いの一つの大きな原因になっている自販機について他の省庁と連携してしっかりと対策を打ち出す、そういうことをやるべきではないかと思います。

 これは、家庭に、自治体に、そして子供たちにも環境の大切さをしっかりと教えていくためにも、私は大切なことだと思うんです。学校でいろいろ教え、新聞で教え、あるいは役所からいろいろなパンフレットを流しながら、周りには自販機が一向に減っていかない。あそこにあった自動販売機がなくなったのはなぜだろうか、子供たちに、そして市民にも考えさせることも大切な環境教育だと思いますが、大臣、いかがですか。自販機を減らす努力をされますか。

鴨下国務大臣 今の御議論を承っておりまして、環境省が今まで例えば経済活動あるいは個別の商行為に介入することについてはなかなか難しいこともございましたけれども、今先生おっしゃるように、全体的な地球温暖化の問題、あるいは、これは環境省の所管ではございませんけれども、酒の自販機での販売による例えば健康の問題、青少年の教育の問題、こういうような問題を兼ね合わせて自販機がどうあるべきかということについて、私は、一つの切り口として環境問題から問題提起をするというようなことは非常に意義があると思います。

 今承ったことを省内でもう一度詳細に検討をして、関係省庁ともどういうような形で何かできるものがあるか、こういうようなことについて少し勉強させていただきたいと思いますし、自販機がどのくらいあるのが便利なのか、あるいは環境負荷という意味においてデメリットがあるのか、こういうようなことの功罪をしっかりと冷静に検討させていただきたいというふうに思います。

岩國委員 ぜひ調査検討してそういう方向に持っていくんだと。いつまでも世界の中で自販機を一番たくさん使っているのは日本人だと言われるようなことは、これは決して美しい国の日本ではないと思うんです。むしろ自販機の少ない国の方が美しい国ではないかと私は素朴な考えを持っておりますので、ぜひ実行に早くこぎつけていただきたいと思います。

 次に、我が国の周りの韓国、中国、このアジア地域における環境汚染ということがよく話題になります。私の出身地であります島根県におきましても、酸性雨がやってくる、黄砂現象が起きる。酸性雨で山が被害を受ける、黄砂現象で都市が汚れる。この黄砂と酸性雨について端的にお答えいただきたいんですけれども、環境省として十分な調査体制はしいてありますか。黄砂がどれだけふえたか、減ったか、それが的確にわかるように国民に公表できるような体制はできていますか。酸性雨についてもお答えください。

南川政府参考人 お答えします。

 酸性雨につきましては、昭和五十八年度から具体的な調査を実施しております。全国に観測網を置きまして、それを全部ネットで結ぶということで、空をまめに見ようということで「そらまめ君」という名称をつけまして、すべてネットで最新の情報がわかるようにしております。二十年間以上の具体的な酸性雨の状況について全部報告をし、公表しております。

 黄砂につきましては、元来は、黄砂の頻度自身は気象庁が調査をいたしております。環境省では平成十四年度から具体的なサンプリング調査を実施しまして、その物理的、化学的性状について把握し、その公表を行っているところでございます。

岩國委員 その黄砂、酸性雨はどこから来ますか。台湾からですか。韓国からですか。中国からですか。どこから来ているかという、そこまで大体推測はつけて調査していらっしゃるかどうか。その「そらまめ君」はどっちの方を向いて調査しているんですか。

南川政府参考人 まず、酸性雨の「そらまめ君」でございますけれども、これにつきましては、中国はもとよりでございますが、ベトナムとか、そういった東アジアの国々、韓国も含めてでございますけれども、すべてカバーする形で観測網をつくっております。また、多くを日本の援助によりまして設備を整備しまして、そのデータを日本に送ってもらうということで対応しております。

 黄砂につきましては、中国が専ら一番大きな発生源だと思いますけれども、それ以外にモンゴルもございます。ただし、これにつきましては、日中韓モンゴルの四カ国で共同のモニタリングネットワークをつくりたいと思っております。

 残念ながら、中国につきましては去年の四月から情報が途切れておりますので、ぜひ、その発生源の一つと思われます中国からの情報が早く手に入りますように、公表できますように、今働きかけを行っているところでございます。

岩國委員 中国の温家宝首相は、ことしに入って自分のことを環境首相と呼んでほしいという発言まで踏み込んでしていらっしゃるんです。

 世界のいろいろな先進国あるいは発展途上国の中で、中国は大きな国であり、成長率は高い、経済開発に熱心だ、したがってこういう公害問題が起きるに違いない、その中国は環境問題への取り組みが非常におくれているんじゃないか、こういう印象を持っておりましたけれども、温家宝首相自身が自分を環境首相と呼んでほしいと、そこまで意識を持っておられる。私は、こういう時期に、ぜひ今の黄砂、酸性雨について両政府が緊密な連絡、調査体制をとっていただいて、そして、胡錦濤主席もおいでになる、七月には世界の会議が行われる、こういうときにこのアジアにおける環境をどうするかということについての調査協力体制ということをしっかりと打ち出していただきたい、そのように要望して、この質問を終わります。

 次に、日本の自治体について申し上げたいと思います。

 日本、日本といいますけれども、日本には四十七都道府県があって、CO2を出す県とCO2を黙って吸収している県、いい県と悪い県と言うと言い過ぎですけれども、お配りした資料1をごらんください。これはCO2を各都道府県がどれだけ出しているかということです。県名の右半分の方は、各県の森林面積とCO2の吸収量。そして、県名のすぐ右のところがその寄与率です。北海道が一番森林面積が多いから、一六・九%と書いてあります。

 この中で小さな県の割にわかりやすい、私にとってですけれども、島根県の場合には三・五%。岡山県は一・四%。中国地方といいましても、これだけばらつきがあります。岡山県は、出す方はしっかりと出して、吸う方は一・四。島根県は、出す方は余り出さないで、吸収する方だけはしっかりとこれだけの貢献をさせられる。こういうところに対して、やはり環境平準化交付金というものを私は考えるべきではないかと思うんです。

 経済発展する県、岡山県、愛知県、神奈川県、兵庫県、東京、そういったところで産業活動がしっかりと行われることも日本にとって大切なこと。しかし、その陰では黙々と、森林を大切にして、CO2を吸収して日本の環境に貢献しているところ。環境省の立場から見れば、経済産業省は左側です、環境省の立場は右側です。この右側のこういう都道府県に対して、自治体の自主的な努力だけに任せておっていいものかどうか。やはりこれに対して何らかの補助というものをやっていかなければ……。これからいろいろな県でどんどん開発が進んでしまった場合、開発すればメリットがある、税収がふえる。しかし、森林を守っても税収はふえない。どちらを選ぶか。知事さんとして考えることは左側ですよ。右側で努力しても報われることがないんですから。こういう政治の不公平というものに対して、環境という切り口、環境という目線から、何か考えなきゃいけないんじゃないんですか。

 森林の吸収能力というものが大切だといいながら、そちらに対してはほとんど助成金、交付金はない。左側に努力すれば自然に法人から、あるいは個人の所得から、職場がふえて税収がふえる、消費税の収入も入ってくる。右側は何も入ってこないんですから。私は持論として森林にも給料を払えと言っているのは、こういうことなんです。

 同じ山林でも、岡山県の山林、岡山、岡山と言って申しわけありませんけれども、表の上で並んでおりますから。岡山は一・四、島根県は三・五。森林面積はほとんど同じでありながら、岡山の山よりも島根県の山の方がしっかりと仕事をしているんです、二倍ぐらい。こういう違いもこの山の中にはあります。よく働く山とそれほど働かない山、同じ国の中にもいろいろありますから、そういうよく働く山に対してはやはりそれだけの能力給というものが必要じゃないでしょうか、こういうことに対して貢献するのに。

 私は、そういう切り口から自治体間にいい意味の競争を誘導する、そうすることによって日本の環境を守り、森林を守り、吸収能力を全体として高めていく、こういう政策が今必要ではないかと思います。大臣、お答えください。

鴨下国務大臣 多分、今先生がおっしゃったことは、一番最初の生物とはというようなこととつながるんだろうと思います。

 私も、今回の温対法の改正等でも自治体の取り組みが強化されておりますけれども、各自治体が努力をなさっていることを各自治体間で比較することは重要なんだろうというふうに思います。

 これは排出量そのものについてもそうですし、加えて今お話しになった森林の吸収等、これも地域によって差があります、ですからそれがどういうような形で貢献をしているかというようなことについてはきちんと考えなければいけない部分があると思いますけれども、先生がおっしゃるように、例えば森林について何らかの形で傾斜配分していくというのはこれから考えるべき部分の一つなのかもわかりません。

 今まで、環境分野の政策の優先順位というのは、残念ながらかつては決して高くないときがありましたけれども、今先生おっしゃるように環境元年という位置づけであれば、まさに環境というようなことが自治体の評価の優先順位が上がってきた、こういうような認識もあるわけでありますので、ぜひそういうようなことも勘案しながら我々も政策を進めていきたいというふうに思います。

岩國委員 今、地球は病気になっています。その病気になっている地球を治療するためには、やはり自然の力をかりなければならない。その自然の力はどこにあるか。森です。森だけというわけではありません。日本が誇るこの山林、緑、その緑の力を環境対策にしっかりと生かすためには、それを誘導するような政策が打ち出されなければならない。今から考えます、検討しますではいけないと思うんです、実行しますというところへ早く踏み切っていただきたい。

 時間は余り残されておりません。そういう都市別の貢献度というものも参考にしながら、また、東洋経済新報社が各市町村別のいろいろな環境ランキング、七百の都市を環境についてランキングをつけております、それも参考にし、それから、時間がなくなりましたから次回に譲りますけれども、排出権取引についても、企業だけの排出権取引のマーケットではなくて、自治体も排出権取引のマーケットに参加させる。島根県は売り手に回る、愛知県は買い手に回る、そういう自治体も排出権取引に参加させることによって自治体のコスト意識も高まるでしょう、また、環境意識も高まるでしょう。ぜひそういう政治を実行していただきたいということを要望して、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

小島委員長 次に、松野頼久君。

松野(頼)委員 民主党の松野頼久でございます。

 きょうは、この環境委員会におきまして、こうしてお時間をいただきますことを委員長初め各党の皆さんに感謝を申し上げます。

 鴨下大臣、昨年の十二月、動物愛護で一回議論をさせていただきました。きょうは再びそのテーマについて幾つか議論をさせていただきたいと思うんですが、実は私は、若林環境大臣の時代から約一年半ぐらい、今回で五回目になるんですけれども、幾つか質問をさせていただいて、そのときに大臣の方からいただいた答弁がその後どうなっているのかということを中心に質問をさせていただきたいというふうに思っています。

 まず、お配りをしました資料の一をごらんください。

 これは、昨年の四月十日にさせていただいた質問を受けて、五月一日に厚生労働省が各保健所に送っていただいた通知であります。その後、環境省も各愛護センターなり保健所に送っていただいたのが続いております。

 そういう中で、狂犬病予防法という法律、動物愛護法という法律、これは前回も触れましたけれども、重なりがあるということで、これはおかしいじゃないかといって、一回、チャート図、これは資料の四ページ、このように整理をしていただきました。お配りをした四枚目の資料でございます。

 要は、この間も申し上げましたけれども、首輪をせずに、注射済み票をせずに表をうろうろ歩いていたらば、狂犬病予防法では、捕まえてきて二日間抑留をして、三日目に殺処分。この処分は殺処分だけではないという通知を厚生労働省の方からは送っていただきました。動物愛護法は、逆に、犬、猫の引き取り措置というものが法律で決まっておりまして、本当にどうしようもない理由で飼えなくなった犬、猫を自治体に持っていくと、自治体はその犬や猫を引き取らなければいけない、そして、できるだけ生存の機会を与えて、譲渡をしたり、譲渡する人を探したり等々、なるべく生存の機会を与えるようにという法律。ある意味では、同じ犬に全く逆の法律がかかっているというお話を前回させていただきました。

 そういう中で、厚労省も、こういう九十日以内の子犬に関しては狂犬病予防法の対象ではない、抑留の対象にはならないという通知を送っていただいたんですが、実は、昨年、茨城県の施設に行ってまいりました。資料の六に写真がつけてあります。これは私が撮った写真ですけれども、子犬が箱に入れられて、これからガス室に入る寸前の写真であります。明らかに九十日以内の子犬なんですね。

 環境省の方も厚生労働省の方も、九十日以内の子犬に関してはできるだけもらってくれる人を探して、譲渡をして、生存の機会を与えるようにという通知まで送っているわけですけれども、これが守られていないという現状を、大臣、このことをどうか各自治体に再度徹底していただけないでしょうか。

鴨下国務大臣 今、先生がお示しになられた写真も含めてですけれども、本当に小さな子犬が殺処分される、こういうようなことについては私も大変胸を痛めているところであります。

 環境省としては、自治体に対して、御指摘の生後九十日以内の子犬の取り扱いにつきましては、昨年二月それから五月に通知をしております。この通知の趣旨につきましては、ことし一月に開催した全国の関係自治体会議の中でも改めて説明する、こういうようなことで周知の努力をしているところであります。

 自治体では、これらを踏まえて、可能な限り生存の機会を与えるよう努力しているということでありますけれども、残念ながら、まだそれに沿わない事例がある、こういうようなことが先生からの御指摘でもありますので、再度、周知徹底についてさらなる努力をしたいというふうに考えます。

松野(頼)委員 ありがとうございます。

 といいますのは、実はことしの一月にも、大阪の犬管理事務所に私も行ってまいりました。それは後でまたお話をいたしますが、そういう動物愛護の意識というものがないんですね。

 これは写真をつけてありますけれども、資料の十五ページの写真です。これはことし一月に大阪に行ったときの私が撮った写真ですけれども、真冬で物すごい凍りつくような日に、ずっと水が流れている、こういう状態でぬれているんです。ここはすべて殺す施設ですと言い切るわけですね、譲渡はしておりませんと。次のページ、十六ページの写真も見ていただければありがたいんですけれども、こうやって明らかに首輪をしているんですよ。これはこの大阪の犬だけに限ったことではなくて、こういう施設に行くと、首輪をしている犬がたくさんいるんです。首輪をしていて注射済み票をつけているということは、明らかに狂犬病予防法の対象ではないんですね。動物愛護法の適用範囲なんです。まして、前のページのチワワなんというのは、野犬はいません。もしかしたら病気とかいうことはあるかもしれませんけれども、チワワの野犬というのはいないんです。これも動物愛護法の運用でしなければいけない事例だと思うんですが、これが狂犬病予防法と動物愛護法とごっちゃで同じ運用をされていて、この犬たちは次の週の月曜日にガス室で殺されました。現実はこうなんです。

 ですから、前回も申し上げましたけれども、現場に行けば、狂犬病予防法で運用をしている施設、動物愛護法で運用をしている施設、そしてそこの職員の区別はないんです。首輪をつけていようが注射済み票をつけていようが、こういう明らかに野犬ではない、チワワであろうが九十日以内の子犬であろうとも、同じように集められて、二日か三日で今処分をされているという現実があるんです。ここのところ、国は、環境省は、ある程度頑張ってくれていると思います。実際に処分数も、昭和四十年代には五十万頭、六十万頭処分されていたのが、犬に関してはもうあと十万頭ぐらいまで来ています。

 ですから、国はすごく頑張ってくれているんですけれども、特にこの間のいろいろな、私が質問をしてすぐに対応していただいて、自治体に通知を送ったりということはしているんですが、実際に運用をしている自治体の中がまだそこまで至っていないという現実をどうか御理解いただいて、そういう意味で徹底をしていただきたいというふうに思っております。

 資料の十につけていますけれども、ちょうど昨年の五月二十五日、私が環境委員会で質問をして、狂犬病予防法で運用している施設、動物愛護法で運用している施設、これを環境省と厚労省、双方の役所が、菅原政務官と若林環境大臣がよく両省で相談をして、どういう状況か調査をするというふうにおっしゃっていただいているんです。もう一年たっていますので、その調査結果があれば、どうかお答えいただきたいと思います。

鴨下国務大臣 狂犬病予防法の抑留施設と動物愛護管理法の収容施設の重複状況につきましては、これは各自治体に調査しましたところ、多くの自治体で、施設が同一で両者を区別することなく一体の施設として設置、運営されているという結果でありました。

 どういうような施設にあっても、これは動物愛護管理法上の飼養保管基準が適用され、動物愛護の精神に基づく適切な運用がされるべきというふうに考えております。環境省としては、そういう意味で、自治体に対しましてさらなる周知徹底を図っていきたいというふうに考えます。

松野(頼)委員 きょうは厚生労働政務官に来ていただいているんですけれども、現場では、狂犬病予防法を運用する職員だけしかいないところもあるんですね。

 政務官に御答弁いただきたいんですが、狂犬病予防法の世界では、殺処分をするということについてどういう観点でお考えになっているか、ちょっと述べていただきたいと思います。

 あと、ついでに、狂犬病予防法では、収容して抑留をした犬を殺処分する前に三人以上の評価人に評価をさせるというくだりがあります。それはどういう基準で判断をしているのかというのもお答えいただけますでしょうか。

伊藤大臣政務官 今の御質問に対して合わせてですけれども、改めてですが、狂犬病予防法では、抑留されている犬を処分後に飼い主があらわれた場合など、その処分によって損害を受けた所有者に対して、各都道府県が損害を補償することというふうになっております。よって、そのような視点から、例えば犬の殺処分前に評価人が当該犬の評価を行わせていただいているというのが現状でございます。

松野(頼)委員 今聞いていただいたように、要は、殺したときに、もし持ち主があらわれたらば、どれだけの価値を返済しなければいけないかということだけしか評価人は評価をしないんです。さっき切り分けていただいたチャート図でいうと、いわゆる動物愛護法に基づく引き取り犬、狂犬病予防法に基づく捕獲をして抑留犬、それを二日間公示した後にはすべて動物愛護法のもとに入れて、そこで、飼養に適する犬、飼うに値する犬、例えば人畜共通感染病を持っていたりというのはだめです、例えば物すごく負傷を受けていて、これはちょっと飼い主があらわれないなというのもそれはだめかもしれません、そういう判断をして、要は、飼養、飼うことにたえ得る犬に関しては譲渡を含めてできるだけ生存の機会を与えるようにと。

 今、その評価人がいないんですよ。狂犬病予防法の評価人は、今聞いていただいたように、価値を判断して、毀損した財産を戻すということだけしか評価をしない。この犬が譲渡に適するか適さないか、だれかにあげて命を助けられるか助けられないか、新しい飼い主を探すか探せないか、その評価をする人間というのが今定まっていないんです。

 ぜひ大臣も、現場で、国の方はだれがそういう評価をするようにというふうに指導しているか、お答えをいただければありがたいと思います。

鴨下国務大臣 狂犬病予防法に基づき抑留された犬であっても、譲渡の適性があると認められるものについては、できるだけ生存の機会を与えられるように努める、こういうようなことが重要であると考えています。

 自治体では、この点を明示した昨年の国からの通知を踏まえまして、狂犬病予防法に基づき抑留された犬も含め、専門的な知見を有する獣医師等が譲渡に適するかどうかを評価し、可能な限り譲渡等によって生存の機会を与えるよう努力している、こういうような認識を私どもは持っております。

 ただ、環境省としては、譲渡可能性の評価を含む譲渡支援のためのガイドラインというようなものを作成しまして、全国の自治体に配付するとともに、職員の対応能力の向上のための適正譲渡講習会、こういうようなものを開催しまして、今後とも自治体における譲渡を一層促進していきたいというふうに考えます。

松野(頼)委員 今答弁いただいたように、飼養に適すか適さないかの評価、要は専門の獣医師等々がということですけれども、各愛護センターなり保健所なりに、飼養に適するか適さないかということを動物愛護の観点から判断する人間を必ず置くというような縛りというのは今あるんでしょうか。

鴨下国務大臣 今おっしゃったような、必ず判断ができる、こういうようなことの法的な縛りはないわけであります。

松野(頼)委員 そうなんです。ないんです。

 ただ、環境省としては、全国の自治体に動物愛護推進員だとか動物愛護担当職員を置くという条文があるんですよね。ですから、せっかくそういうものを置くということをしたので、各保健所、愛護センター等々には、動物愛護の観点から、できるだけ生存の機会を与えるような判断をできる職員を置く必要があるんじゃないか。要は、狂犬病予防法の評価人ではなくて、その担当職員は必ず一人置く、その人間ができるだけ生存の機会を与えるという立場から評価をして、なるべく譲渡に回せるような状況をつくるべきではないかというふうに思っているんです。

 本来は、きちんと国庫補助をして、愛護法に基づく保管、譲渡専門の施設をつくるのが一番ベストなんですけれども、それはそれでまた将来の話として、いわゆるシェルターをつくるのがベストなんですが、今、現状でそこまで行き着けないならば、動物愛護法に基づく施設と狂犬病予防法に基づく施設が混同してその施設を使わなければいけないならば、せめてソフト面として、せっかく動物愛護の観点を持った職員を置いたわけですから、その人間をそこに置くことによって、譲渡できるかできないかを動物愛護の観点からその人間に判断させるということが早急の解決の手段ではないかというふうに私は思うんですが、その辺、大臣、いかがでしょうか。

鴨下国務大臣 先ほども答弁申し上げましたけれども、残念ながら、狂犬病予防法の抑留施設と動愛法の施設が一緒になっているところが多い。こういうような意味においては、改善の一つの方法として、先生おっしゃるように、ソフト面で、判断をする人間をしっかりとそこに配置するということなんだろうと思います。

 環境省としては、先ほども申し上げましたけれども、譲渡可能性の評価、こういうようなことについてできるだけ各自治体に認識を持っていただく、さらには職員の対応能力をしっかりと向上してもらう、こういうようなことをさらに進めたいというふうに思っております。

 そして、今言ったような御趣旨にかなうような方向性を我々としても自治体の方にお願いしていきたいというふうに思います。

松野(頼)委員 それができていないから、この場でお願いをしているのであって、資料の八をごらんください。これは東日本だけの部分を抜粋したんですが、これが現状の引き取りだとか捕獲の、あと殺処分の、ページ数が多くなるので東日本しか入れませんでしたが、全国の状況なんです。七ページ、八ページ、二枚ついているんですが、例えば八ページの一般譲渡を見ていただくと、ゼロという自治体もまだあるんですね。例えば、七千頭捕獲、収容されていて、一般譲渡は二百五十六頭という自治体もあるんです。九四%が全国でまだ殺処分されているんです。

 例えば、大阪もそうだったんですけれども、一緒に行った愛護団体は、この犬とこの犬とこの犬を引き取りたい、飼い主は絶対見つかるはずだといってじかに交渉すると、うちは一切譲渡はしていませんと言って断ってしまうんです。

 そういう現状があるので、やはり動物愛護の観点を持った職員を一人置いて、その観点から公開をして譲渡を募集すれば、今十万頭なんですけれども、これは半減、もしかしたら本当に殺処分ゼロも夢ではないのではないかというふうに私は思っておるんです。今、全国に大体千三百万頭ぐらいの犬が飼われていると言われています。その中で、殺処分されているのがあと十万頭ですから、これは十分に吸収できるし、また、公開さえしてくれれば、もらいたいとかもらい手を探せるという人たちはたくさんいるんです。

 ですから、そういう意味で、自治体によってばらつきがある、全く譲渡をしていない、そういう観点で運用していない、そこを何とか改善してもらいたいと思うんですが、大臣、もう一回御答弁いただけないでしょうか。

鴨下国務大臣 今先生がおっしゃった趣旨について、環境省としてさらなる努力をしたいと思います。

松野(頼)委員 ありがとうございます。

 もしそういう観点があれば、例えば動物愛護法では、さっき水浸しのチワワの写真を見ていただきましたけれども、以前、私も菅原厚生労働大臣政務官と議論をしたときに、狂犬病予防法で抑留をしている二日間の公示期間には、動物愛護の観点を排除するものではないと。ですから、その二日間、殺すまでの期間かもしれませんけれども、本来は殺すまでの期間ではなくて、次の三日目からは動物愛護の世界に入れて譲渡をする期間なので、その間に、例えば真冬の寒いときに犬が水浸しになったり、えさを与えなかったり、例えば極論を言うとけ飛ばしてもいいんですかと言ったらば、厚生労働省は、もちろんそういうことはだめですというふうに答弁をいただいているんです。

 ただ、現実に、この写真はことしの一月ですから、大阪はその後改善したそうですけれども、でも、気づくまではこれでいいんだという意識でいる自治体が多々あるんです。

 要は、保管収容期間という、健康が保てるような状態で保管をすることとか、家庭用動物の飼育の決まりというのも動物愛護法できちっと定めておりますので、自治体だけがこういう扱いをしていていいのかというところのそごがあるんですね。一般の家庭ではこういうふうに飼いなさい、またやりなさいということのそごがあるので、現実にこういう例があるので、ぜひここは再度徹底をしていただきたいと思うんですが、もう一回御答弁いただけますでしょうか。

鴨下国務大臣 何度も申し上げますけれども、譲渡可能性の評価、こういうようなことも含めまして、自治体等における譲渡を一層促進するために私どもとしても努力をいたします。

松野(頼)委員 どうもありがとうございます。ぜひよろしくお願いをいたします。

 最後になると思いますが、資料の二十一ページをごらんください。これは鴨下大臣と議論をさせていただいたんですが、去年の十二月、その前のページの二十ページにそのときの議事録が残っております。要は、自治体の引き取りにもう少し縛りをかけるべきではないですか、全国統一のフォーマットをつくって、何度も何度も引き取りに来る人に関してはきちんとペナルティーを科せるような、またこういうことはだめだということをちゃんと言えるような状態にするべきなんじゃないですかということを去年の十二月に議論させていただきました。先進的な取り組みをしている自治体もあるわけですから、全国的に普遍化するためのいろいろな方法については環境省としても努力をしていきたいというふうに御答弁をいただきました。

 実際に、犬の引き取りというのは、法律では、自治体は引き取らなければいけないという決まりがあるんですけれども、ただ、国会の附帯決議でも、飼い主の終生飼養の義務に反し、やむを得ない事態として所有権放棄に伴う緊急避難的な措置である、飼い方については徹底的に、引き取りのさらなる検討を行うという附帯決議もありますし、法律の中でも、やむを得ない措置だ、緊急避難的な措置だということなんです。

 二十二ページをごらんください。実際の自治体の引き取りのフォーマットですけれども、どこにも、今回は緊急避難なので、どうしようもないので引き取ってくださいとか、次回からは以後気をつけます等々のただし書きもありません。そして、二十二ページで見ると、三月四日に飼い主が見つからないからという理由、次のページには子犬は余り育てられないのでという理由だけで引き取っていて、まして二十二ページのものは、三月四日に引き取って三月四日に処分しているんです。

 こういう事例があるので、やはり出口を愛護団体の人がボランティアで一生懸命やっても、入り口ももう少し縛る必要があるし、現実に何度も何度も子犬を産ませて処分に持ってくる人がいても、今の法律ではそれを断る、排除できる決まりが現実に自治体にはないんですね。

 それは国である程度縛って、悪質なものに関しては、動物愛護法の中でも虐待とかのペナルティーがあるわけですから、何らかの縛りをかけてそれを排除するなりペナルティーを少しかけるなりということを考えていかなくては引き取りが一向に減らないのではないかというふうに思うので、これを最後に御答弁いただきたいと思います。

鴨下国務大臣 安易にまたは何度も動物の引き取りを求める、こういうような人は、少なくとも動物愛護の精神に沿わないわけであります。

 自治体においては、いわゆるリピーター対策と申しますか、引き取りの有料化だとか引き取り依頼者の本人確認の徹底、あるいは適正飼養の指導書等による指導など、先進的な取り組みを行っているところもございます。

 そういうような中で、環境省としましても、犬、猫引き取り基準において、自治体は、引き取りを求める理由等に応じ、依頼者に適切な助言を行う、こういうようなことを定めているわけであります。

 規則としては、できるだけそういうようなことをやりたいというふうに思っておりますが、加えて、今松野議員がおっしゃっているように、飼う人たちの意識、こういうようなものも、例えば子犬を預かったら少なくとも十数年は一緒にいる、こういう覚悟が必要なわけでありますから、そういうような意味で、すべての人たちに、生命を大事にして、そして子犬等を飼うには責任を持つ、こういうような認識を持っていただくように、さまざまな点で私たちとしても働きかけてまいります。

松野(頼)委員 時間が来たので終わりますけれども、ただ、もう何十年も前から、動物愛護週間をつくってポスターを張ったりチラシを配ったりやっているんです。それでも直らないから、こういう場所で言わせていただいておるわけです。

 いつも当委員会に来てこの問題でいろいろ厳しい指摘をさせていただきますけれども、目的は殺処分される犬が少しでも減るというのが目的で、野党がうるさいからなといって改善をしていただければありがたいという思いでこういう質問をさせていただいておりますので、どうかお許しをいただければありがたいというふうに思います。

 時間が参りました。ありがとうございました。

小島委員長 次に、田名部匡代君。

田名部委員 田名部匡代でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。

 きょうは、大きく分けて二点、不法投棄の問題、生物多様性の問題についてお伺いをしたいんですが、その前に、ちょっと私の地元で問題になったことがありましたので、そのことについてお考えをお伺いしたいと思うんです。

 昨年、私の地元、青森県八戸市におきまして、大気中に含まれる砒素と砒素化合物の濃度の平均値が全国平均を上回っているという報道がありました。去年の大気中の濃度がその前年、つまり二〇〇六年の全国平均値を大幅に上回る結果でありました。その大幅に上回っている中でも、一時期は非常に高濃度の排出量があったという報告がありました。

 その後の調査で発生源も推定をされまして、その事業者も新たな排ガス処理施設の設置などの対策を講じた結果、現在の排出量というのは、平成十三年から十七年の平均排出量と比較して六割削減されております。今後は九割削減するという計画も出されているんですけれども、県の調査では、これは一時的なものであるという確認がなされまして、また、国の方から紹介をされた専門家の方によりますと、一時的な高濃度による健康に対する影響はないと考えられるという御意見もいただいているようでございます。

 ただ、一時的といっても、一九九九年から二〇〇五年まで全国平均を一・三倍から四・六倍も上回る状況が続いておりまして、住民が心配するのは当然のことだというふうに思います。

 私の県、青森県から、早急に環境基準や指針値を設定してほしいという要望が出されていると思うんですけれども、その結果がどうなっているか、教えていただけますでしょうか。

竹本政府参考人 ただいま先生から御指摘のございました青森県八戸地域の事案につきましては、県の方からも御要望がございまして、私どもなりに承知をしております。

 お尋ねのございました指針値の策定に向けた国の対応ぶりでございますが、砒素そのものにつきましては、中央環境審議会の方でも有害大気汚染物質の優先取り組み物質と認められておりまして、人の健康に係る被害を未然に防止する観点から、現在、中央環境審議会におきまして、指針値の策定に向けた検討を行っておるところでございます。

 現在、専門家におきましてリスク評価の作業を進めていただいているところでございまして、私どもといたしまして、指針値の策定に向けて取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。

田名部委員 現在進めているというお答えでありましたけれども、いつぐらいにその結論は出る御予定でしょうか。

竹本政府参考人 今まさに検討を進めておりまして、具体的な日時といいましょうか時期について現在お答えはできないわけでございますが、できるだけ早く検討そのものを進めていきたいということで現在取り組んでおるというところを御理解いただければと思います。

田名部委員 できるだけ早くというお気持ちはわかるんですが、そのできるだけ早くというのが、早くやりたかったけれども二年も三年もかかっちゃったんだというのでは不安は払拭されないわけでありまして、健康の被害にかかわる問題であるということであれば、この手の問題というのは、公害でもそうですけれども、やはり早く調査をして実態を把握して結果を出す、未然にその被害を防ぐということが大事なわけであります。

 きょうは、いつまでというお答えは何度聞いても出ないんでしょうが、できるだけ早く、いつまでという大体の期限を決めて、それに向けて取り組んでいくということが私は非常に重要だと思っておりますが、大臣、今のことについてどう思われますでしょうか。

鴨下国務大臣 今先生おっしゃっているような砒素それからその化合物は、長期間摂取することで健康への被害を生じるということでありますので、人の健康に係る被害を未然に防止するという観点から、まさに中央環境審議会において指針値を検討しているところであります。

 先生がおっしゃるように、できるだけ早くというのが何年もかかったら早くではないわけでありますから、できるだけ地域の住民の皆さんが心配がない、そういうようなスピード感でさせていただきたいというふうに考えます。

田名部委員 ありがとうございました。

 できるだけ情報を細やかに報告していただいて、地域住民が少しでも安心できるような取り組みを率先して行っていただきたいと思います。そのことを御要望申し上げまして、次の質問に移りたいと思います。

 昨日、民主党の田島一成委員を中心に我々が取り組んでおりました生物多様性基本法案を国会に提出させていただきました。生態系を守るということは、私たちが今後も地球上で生きていく上で非常に重要なことだというふうに考えておりますし、自然との共存を図っていくためにはどうあるべきか、このことを考えるよい機会だというふうに思っております。

 そこで、生物多様性保全のための法律に、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律、いわゆる種の保存法がありますけれども、これは、我が国に生息、生育する絶滅のおそれのある野生動植物を国内希少野生動植物種に指定し、捕獲、採取を制限したり、また、その生息地などを保護したり、そういうことによって絶滅の危機に瀕した動植物を守っていくという法律でありますけれども、自然との共生という意味においてはこれこそまさに非常に重要な法律だというふうに考えております。

 一方、環境省が公表しているレッドリストというものもございまして、この中には、絶滅のおそれが非常に高いと分類されているものが三千百五十五あるんです。しかし、この中に記載されている動植物で、先ほど申し上げた種の保存法で守られているのは七十三種類、そして場所でいうと九カ所しか設定をされていないというのが現状でありまして、多様な生物とともに共生を図り生存していくという観点からいうと、この三千百五十五の中のたった二・三%しか法で守られていないというのは、私は少ないんじゃないだろうかというふうに考えます。

 このレッドリストに登録されているものを国内希少野生動植物種として指定を進めていくことが重要なんではないかと思うんですけれども、この点について、大臣、いかがお考えでしょうか。

鴨下国務大臣 環境省では、絶滅のおそれのある野生生物の保護対策を進めていく上で最も重要な基礎資料としてレッドリストを作成、公表しておるわけでありまして、最近では、平成十八年十二月と平成十九年八月に改訂版を公表いたしました。

 また他方、人為の影響により存続に支障を来す事情が生じていると判断される種のうちから、種の保存法に基づき国内希少野生動植物種を指定しておりまして、捕獲規制等が行われているわけであります。

 環境省としましては、新しいレッドリストの内容を踏まえて、特に保護の優先度が高い種については、詳細な情報を収集して、それぞれの生物種ごとに絶滅のおそれの状況に応じた対応をする、こういうことでしっかりと種の保護をしてまいりたいというふうに考えております。

田名部委員 もう周知のとおり、生物多様性条約の関係で二〇一〇年目標というものがあります。これは日本も入っているんですが、締約国は現在の生物多様性の損失速度を二〇一〇年までに顕著に減少させるという目標でありまして、生物多様性条約第六回会議の中で採択されております。

 資料を拝見しますと、我が国は、二〇一〇年、第十回の会議を名古屋で開催すべく努力をされているということでありますけれども、その二〇一〇年というのはまさに節目の年になるというふうに思いますし、また、開催国を目指して今取り組んでいるわけでありますから、開催国となれば、やはり世界のリーダーシップをとって率先して取り組みをしていかなければならないというふうに思います。世界に対して説得力のある、世界が日本に続いて生物また自然との共存を図っていくような形を示していくことが必要だというふうに思っております。

 先ほど、最も重要なとか人為の影響がというお話がありましたけれども、先ほど申し上げましたように、レッドリストに掲載している中の、絶滅のおそれが非常に高いと分類されているものだけで三千百五十五あるわけです。ですから、こういったものも、ただいたずらに時間をかければいいということではなくて、先ほど岩國先生が御質問の中で、狭い視野ではなくて広く物事をとらえるべきだというふうにおっしゃっておられましたけれども、やはりそういう危機的な状況にある以上、その枠の中にかけて守っていく、それが法的なもので守らなくても大丈夫だと判断したのであればそこから抜いていくという方法もあるわけで、たった二・三%しか法的に守られていないというのは非常に不十分だというふうに私は思います。

 この二〇一〇年に開催される会議に向けて、もう少し具体的なお答えをいただきたいと思います。

鴨下国務大臣 二〇一〇年の生物多様性のCOP10、これはまだ正式に決まったわけではございませんけれども、多分名古屋になるだろうということでございます。私も、お許しがいただければボンに行ってきたいというふうに思っております。

 そういう中で、今先生おっしゃったように、私も、生物多様性あっての自然環境だという意味においてもそのとおりでありますので、しっかりと取り組みたいというふうに思っております。

 ただ、このレッドリストと種の保存法による指定種については、おのずとそれぞれの状況で判断されるべきことがあります。三千百五十五種すべて種の保存法による指定をすべきかどうかということについてはいろいろな議論もございますので、少なくとも多様性を守るという意味においては、必要があれば速やかにそういうような手続を進めるということだろうと思いますけれども、この間には、いろいろな種類の、それから絶滅の危機に関してのそれぞれの状況というのがあるんだろうというふうに思っておりますので、先生おっしゃる趣旨にのっとってしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えます。

田名部委員 大臣、ここはもう少し私も食いついて、何とかもう少し具体的な数字、二〇一〇年までにはこのぐらいを目標にやりたいんだというお答えをお伺いしたいところなんですが、一気に三千何種というのは無理だとしても、段階を踏みながら、絶滅のおそれがあるものに関しては早急に法的に守っていくという作業に入っていただきたいと思いますので、その辺も専門家の皆さん方と情報をしっかり交換していただいて、これはまた次回、もう少し進展があるように、具体的なお答えをいただけるように質問させていただきたいと思います。

 次に、きょうは家電リサイクルに関しての御質問をさせていただきます。

 現在、各種リサイクル法があるわけでございますけれども、家電リサイクルに関しては、二〇〇一年四月に施行されましてから、五年後に法改正を検討するということが定められておりまして、五年後というのは二〇〇六年、既に二年が経過をしているわけであります。

 これまでも家電リサイクル法に関しては、その制度の状況、また評価、検討というものが会議の中でなされてきたと思いますし、その都度報告書も出されているようであります。そういった流れからいっても、今国会あたりに家電リサイクル法の改正案が提出されるんじゃないかということが予想されたわけでありますけれども、提出されませんでした。

 何度も議論が行われてきたにもかかわらず提出されなかったことに何か理由があるのか、その理由があればお答えをいただきたいのと、あわせて、今後提出をされる予定なのか、予定であればそれはいつごろの予定なのかということをお答えいただけますでしょうか。

鴨下国務大臣 家電リサイクル法につきましては、施行五年後の見直し規定を踏まえまして、平成十八年六月から、中央環境審議会と産業構造審議会の合同会合において制度の評価、検討が行われ、本年二月に報告書がまとめられたわけであります。

 この報告書においては、再商品化等費用の透明化、小売業者の引き取り、引き渡しに関するチェック体制の強化、対象品目の追加等の措置を講ずるべきというような提案がされました。

 これらの措置につきましては、これを詳細に検討した結果、法律改正を要さず、現行法の報告徴収等の権限の活用や政令の改正等により実施することができるというような判断に至ったわけでありまして、環境省としては、合同会合の報告書に盛り込まれた措置にしっかりと取り組んでいきたいと考えているところでございます。

田名部委員 先般、この家電に関しては、廃家電の不法投棄の問題であるとか、不正な流通によって海外に流れているだとか、いろいろな問題が取り上げられてきたわけでありますので、この点に関しても、改めて法改正が必要なく、もう少しきちんと強化したものになるのであれば、これもまた早急に取り組むべき問題だというふうに思います。

 これまでの議論の中で、四品目に限定してきたものをもう少し追加しようという議論がなされたと思いますけれども、それに関してはどういう議論がなされて、今後どういうものが追加されることになっているのか、お答え願います。

由田政府参考人 お答え申し上げます。

 本年二月の家電リサイクル制度の評価、検討に関する審議会報告書におきましては、家電リサイクル法の対象品目としての要件を満たします液晶テレビ、プラズマテレビ及び衣類乾燥機につきまして、対象として追加すべきとされているところであります。

 この報告を受けまして、本年三月から、中央環境審議会及び産業構造審議会の合同会合におきまして、液晶、プラズマテレビなどの対象品目への追加、それからその適正なリサイクルのあり方について検討を開始いたしております。

 今後、合同会合の議論を踏まえまして、必要な措置を講じてまいりたいというふうに考えております。

田名部委員 この議論の中で電子レンジというのは出てこなかったんでしょうか。

由田政府参考人 この議論、先ほどもお話ございましたように二年近く議論が続きましたが、当初の段階で電子レンジの対象の議論がございましたが、その後、電子レンジは実は金属部分が大変多うございまして、廃電子レンジに関しましては、スクラップとして流通をして、市町村で適正な処理に困っているという状況がほぼ解消されたような状況になりまして、自治体側からも途中で議論がされなくなったというふうな経緯もございまして、電子レンジに関しては今回の対象にはなっていないという状況でございます。

田名部委員 そうですか。私の手元にある資料によりますと、資源有効利用促進法の中で、追加になる衣類乾燥機と電子レンジというのは同じ分類のところにありまして、電子レンジも衣類乾燥機も、リデュース配慮設計、またリサイクル配慮設計というものに区分けがしてあるわけなんですね。

 専門家の皆さんがいろいろなことを御検討なさった結果だとは思うんですけれども、しかし、廃家電の不法投棄の件数というのが非常に多い中にあって、そういうことを防止する意味においても、もう少しきちんとした取り組み、また品目をふやしていくということも考えなければいけないのかなというふうに思っておりまして、また、処分の仕方も、ごみの処分もできるものとできないもの、自治体によって違うところもあると思うんですけれども、やはりそういったことをどうしていくかということもあわせて取り組む必要があるのかなというふうに思っております。

 ちょっとここで、廃家電の不法投棄の件数がどのぐらいあるか、数字がおわかりになる方がいらっしゃれば教えていただけますか。

由田政府参考人 手元に数値を用意しておりませんので正確かどうかはわかりませんが、当初、家電リサイクル法施行当時一万数千台であったものが、家電リサイクル法の施行とともに若干増加をしてまいりましたが、ここ数年間、これがさらに減少するという傾向にございます。

 これに関しましては、実は、家電リサイクル法制定の前に、平成九年の廃棄物処理法の改正におきまして、産業廃棄物の不法投棄に関しまして、例えば罰金を五十万円から法人の場合一億円に上げるというような措置をしていただきましたが、家電リサイクル法施行後に、平成十二年の廃棄物処理法の改正におきまして、廃家電のような一般廃棄物に関しましても同様のレベルの不法投棄対策を行いまして、これらによりまして、家電の不法投棄、現在は減少傾向を呈しておる、こんなふうに理解しております。

田名部委員 私の手元の資料によりますと、四品目の合計で、不法投棄されているであろうという数字が十六万台というふうに出ているんですね。それともう一つ、廃家電の不法投棄状況について、これは不法投棄台数のデータを有している自治体の数字だと思うんですけれども、平成十八年では、四品目の合計、たった半年間で六万八千あるんですね。これはやはり非常に多い数字だというふうに思っておりますし、これですべてではないと思っています。調査にも限界があるかもしれませんし、わかる限りでこれだけあるということなんですね。ですから、今後法律の中身を見直していくときに、こういったことも視点に入れてしっかりとした強化をしていただきたいというふうに思います。

 また、あわせて、ごめんなさい、これは質問通告していないんですけれども、不正な流通で海外に出されていると思われる日本の家電はどのぐらい台数があるか、わかりますでしょうか。

由田政府参考人 済みません、今の御質問にお答えする前に、先ほどの不法投棄の数値、先生がおっしゃったように数値が一けた違っていまして、十二万台が最初でありまして、その後に増加して、それが今減少中、こういうことに改めさせていただきます。

 それから、海外へ出ているものでありますが、全体では、リユース向けの輸出ということで今私どもが承知している範囲では、五百九十四万台が海外に輸出しているというデータを持っております。

田名部委員 五百九十四万台。日本貿易統計によると、家電四品目の輸出は約三百三十七万台。数字が合わないということは、きちんとしたルートでの輸出ではないものが含まれているというふうにとらえてよろしいですか。

由田政府参考人 今の先生の数値と直接どういう違いがあるかの整合性は別にいたしまして、十八年度に私ども、経済産業省、環境省でこの検討に際しまして行った調査の結果によりますと、リユース向け販売すべてで六百九十七万台のうち、輸出が五百九十四万台、リユースということで国内でやっておるものが百三万台ということになっております。そのほか、実は、資源回収ということでリユース以外で輸出しているものも若干見られるかもしれないということもございまして、先ほど申し上げました家電リサイクル法の審議会の結果を受けまして、リユースとリサイクルの仕分けなどのガイドラインをつくろうということで現在検討をいたしておるところでございます。

田名部委員 これはことしの二月十七日の新聞なんですけれども、二〇〇五年度に排出された使用済み家電四品目二千二百八十七万台のうち約三四%の七百七十一万台が輸出され、かなりの部分が偽装中古と見られるという記事がありました。海外へ横流しをされていると。

 海外で有効利用といっても、技術が伴わない国で環境汚染が発生するというものが非常に問題になっているんですね。大臣も御承知かもしれませんけれども、これは昨年二月の新聞の記事ですけれども、河原や田んぼ、畑でプラスチックやビニールが野焼きをされていたり、村の中心部の一角でパソコンが家々からあふれ出している、そこには日本のシールが張られたパソコンもあった、大気中に有害物質が飛散したり、住民の健康被害も深刻である、一歳から六歳までの子供百六十五人のうち百三十五人が鉛中毒であったというような記事がありました。これは中国でのことであります。

 そのほかにも、水銀、カドミウムなどを吸い込むことで脳や内臓に与える影響が非常に懸念される、また、妊婦の方々がそれを吸うことによって奇形児が生まれる、こういうことが報道されていました。

 不正な横流しというものもきっちりと取り締まっていかなければならないと思うんですね。ですから、このリサイクル法の見直しに関しては、先ほども申し上げましたが、それにあわせて海外との協力というのも非常に重要になってくるのかなというふうに思うんです。この点に関して、大臣、いかがお考えでしょうか。

鴨下国務大臣 家電につきましては、特に、リサイクルするかリユースするかというような判断も難しいわけでありまして、日本でリサイクルされるべき廃家電が、実は海外ではリユースされる価値をまだ有しているということもあるんだろうと思いまして、そういうようなことについては少し整理をしないといけないというふうに思います。

 また、今お話しになったように、最終的にどちらかで、それはアジアのどこかの国かもわかりませんが、そういうところで結果的に最終処分をされるときに、単純に言えば野焼きされてダイオキシンが出てというようなことも場合によると想定されるわけでありますので、しっかりと日本の中で、その仕分け、リユースそれからリサイクルというようなことについても十分に監視をしていかなければいけないんだろうと思っています。

 加えて、廃家電に関するいわゆる横流しというようなことについては、私からもそれぞれのところに指示を出してありますけれども、万全を期して未然に防いでいくということについてさらにしっかりと取り組んでまいりたいというふうに思います。

田名部委員 済みません、時間が来たのですが、早口で一個だけ、最後に大臣、大事な問題なのでお伺いしたいんですが、アスベストの廃棄物についてお伺いします。

 今後、アスベストを使った建築物の解体工事というものが進んでいくわけでありますけれども、アスベストの廃材の処理ということに関して、経費もかかりますし、また、これが不法投棄される懸念というのはぬぐい切れないというふうに思っております。

 不法投棄に関してのいろいろな取り組み、規制の強化なども国が環境省挙げて取り組んでいると思うんですけれども、このアスベストの問題というのは、不法投棄をされることによって、さらに地域の周辺住民の健康被害ということに非常に大きな影響を及ぼす、さらに被害が拡大するおそれがあるわけでありますので、この不法投棄に関して、アスベストの廃棄物に特定したしっかりとした防止策をとる必要があるというふうに思います。

 大臣、最後にこの件について一言お答え願えればありがたいんですが。

鴨下国務大臣 アスベストの廃棄物の不法投棄、これはまさに先生おっしゃるように絶対許されないわけでありまして、これについては、昨年度から、全国ごみ不法投棄監視ウイークの中でもしっかりと取り組ませていただいておりますけれども、加えて、これは取り締まりと国民運動の両面からさらに強化してまいります。

田名部委員 時間が過ぎているのにお許しをいただいてありがとうございました。ぜひ具体的、実効性のある取り組みを期待いたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

小島委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 本日は、地球温暖化対策について、一般質問ではございますけれども、焦点を当てて質問をさせていただきたいと思います。

 最初に、基本認識ということで、これは質問ではないんですが、ちょっと述べさせていただきたいなと思うわけでございます。

 公明党も、地球温暖化対策本部を活発に開催して、そしてさまざまな分野の皆様から地球温暖化対策についてお話を聞いて、また検討を続けているところでございますが、先日、環境経済学で大変有名な植田和弘先生をお呼びして、お話をさせていただいたところでございます。低炭素社会への課題と展望ということで話を聞かせていただいたんですが、大変わかりやすく、またインパクトの高い内容でございました。そういう中で、私もこういう基本認識に立たなければならないなとの思いがございますので、まずお話をさせていただきたいと思います。

 昨年のハイリゲンダム・サミットで、安倍総理が提案されましたクールアース50の持つ意味について、よく考えなければいけないなということでございます。この提案というのは、温室効果ガスの排出量を二〇五〇年までに世界全体で半減するという大胆な提案でございますが、この提言の持つ意味を正確に認識している人は少ないのではないかという御指摘がございました。

 それは、温室効果ガスの排出量で見ますと、先進国の排出と途上国の排出は、排出量はほぼ五〇対五〇で拮抗しているわけであります。二〇五〇年に中国やインドなど途上国も飛躍的な経済発展をしていると十分予測されるわけでありますので、先進国と同様の大量消費、大量廃棄型の生活スタイルをとっていくならば、環境負荷は大幅に増大をすることになるというのは、だれもがわかることです。

 二〇五〇年時点で、途上国が現在の排出量と同じ水準で維持されると仮定すると、すなわち、途上国はかなりの経済発展をしていくわけでありますから、当然のことながら温室効果ガスは急速に増大する。しかし、先進国を初めとする国際的な協力によって温室効果ガスの排出量を全体として増加させずに維持させると仮定した場合ということなんですが、そうした場合に、二〇五〇年に世界が半減をするということは、先進国の排出量はゼロにならなければならないという点でございます。我々も理解しているかどうかというのはこの一点でありまして、安倍総理の提言、二〇五〇年に世界の温室効果ガスを半減するということは、先進国の排出量をゼロにするということを意味する。

 温室効果ガスがゼロに近い、こういう社会を低炭素社会と呼ぶようでございますけれども、温室効果ガス排出がゼロに近いということは、発電とか熱供給などの化石燃料を前提にした活動の大部分を化石燃料以外のエネルギー源で賄うことを意味するというわけでありまして、そのためには、日本における経済運営にかかわるあらゆる主体に温暖化防止を動機づけることが大前提になるであろう。そのことは、大胆な温室効果ガス削減目標を設定すると同時に、炭素に価格をつける制度を、例えば排出量取引制度等を市場に組み込まなければ絶対に達成できないということを意味する。

 このような講義を私もお聞きいたしまして、改めてこのクールアース50の持つ意味というのを考えなければならないと思ったわけでございます。

 このような観点から、以下、質問をさせていただきたいと思っております。

 まず最初に、ずばり環境大臣にお聞きさせていただきますけれども、いよいよ第一約束期間がスタートをしたわけでございます。しかし、もう六・四%増という、六%削減どころかふえている、一二・四%を削減しなければならない。これに向けて、京都議定書目標達成計画は見直されたわけでございますが、この改定目標達成計画に基づく京都議定書の六%削減目標の達成の見通しはいかがでしょうか。環境大臣、お願いします。

鴨下国務大臣 ことし開催されます北海道洞爺湖サミットなどの場において、我が国が国際的なリーダーシップを発揮する、こういうような意味においては、京都議定書の六%削減目標は必ず達成しなければいけないというふうに考えています。

 そういうために、今先生おっしゃったように、あらゆる分野において対策を強化すべく、三月に京都議定書目標達成計画を改定したわけでありますけれども、中では、自主行動計画の強化、あるいは業務用エアコン、電球型蛍光灯等のトップランナー基準の強化、自動車の燃費のさらなる改善、また国民運動としての一日一キログラムのCO2削減、こういうようなことをお願いしているわけであります。

 加えて、今般提出させていただいております温対法の改正案の中におきましても、事業者に対する排出抑制等の指針の策定や、地方公共団体の実行計画の拡充、こういうような措置を盛り込んでおります。こういうようなことで、すべてのステークホルダーといいますか、すべての主体が全力で取り組むというようなことでなければ六%すらも実現できないわけであります。

 ただ、この六%実現に対しても、追加対策や既存対策が、仮にどういうふうに進んでいるか、こういう進捗状況についてもしっかりと点検をして、場合によっては機動的な見直し、その中には経済的な手法や規制的な手法、こういうようなものを速やかに考えなければいけないというような時期も来るかもわかりませんので、そのことも含めて、我々は今緊張して対応しているところでございます。

江田(康)委員 ありがとうございました。

 続けて、その六%削減目標の達成に当たって、今回の目標達成計画の見直しにおきまして、実は産業界の自主行動計画が極めて大きな位置を占めていることがわかります。産業部門で千九百万トンとかなりの追加削減効果が見込まれる等々、産業界の自主的な努力には敬意を表するところではありますけれども、他方で、自主行動計画の目標というのはあくまで産業界が自主的に設定するもので、そのレベルも自主的に決める上に、指標も、多くは総量削減目標ではなくて、生産量当たりのエネルギー使用量など、生産量がふえれば総量もふえるというような効率の指標になっております。

 今後、世界全体の未来に目を向ければ、我々は、十年から十五年で温室効果ガスの排出をピークアウトさせて、そして、二〇五〇年には少なくとも半減していかなければならない、こういう現実を目の当たりにしているわけでございます。したがって、こういうような状況の中で、いつまでも産業界の自主的な努力に依存していていいのか、このことについてお伺いをさせていただきたいと思います。

 また、自主行動計画のうちに、大口の排出源である電力、鉄鋼につきましては、国内の排出削減努力のみでは目標達成が厳しい状況にあるかと思いますが、我が国の六%削減目標の達成は難しくなっていくのではないかという懸念がございますが、いかがでしょうか。

南川政府参考人 御指摘のとおり、京都議定書目標達成計画におきまして、自主行動計画を深掘りする、そしてそれを速やかに実行するということが極めて大きな役割を占めておるところでございます。

 今般、見直しの中で、従来からつくっておりました経団連中心の団体につきましても深掘りをいたしましたし、また、それ以外の関係業界につきましても、新しく、相当程度、その自主行動計画をつくってもらいました。多くの専門家の意見も見ながら、その点検をしてきたところでございます。特に、産業のみならず、業務部門につきましても、かなりその対策を拡張できつつあると考えておるところでございます。

 ただし、あくまで京都議定書目標達成計画の中で現在考えておりまして、その範囲でございますけれども、とにかく現状は、業界もかなり問題意識を持ってやっていただいています。大いにそこに期待しつつ、なおかつ、私どもとしては、毎年二回のこの点検を厳しく行いまして、必ずそれが達成できるようにしたいと考えているところでございます。

 また、具体的にお話がございました電気と鉄関係でございます。

 言ってみますと、この二つだけで全体のCO2の半分以上を出すということでございまして、大変ウエートが高いわけでございます。この二団体につきましては、その排出削減努力の中で、京都メカニズムのCDMの購入ということも、相当大規模にやっていただくということも現在相当進められておりますし、またさらに引き続いて行っていただくということでございます。

 こういった団体の協力を得ながら、なおかつ、他方、厳しく状況を点検しながら、ぜひとも京都議定書の目標が達成できるように、政府として万全を期してまいりたいと考えております。

江田(康)委員 この京都議定書目標達成計画は、これから大変重要な時期を迎えていきますけれども、世界でリーダーシップをとっていくためにも、是が非でも達成しなければならない目標でございます。年に二回見直しを行いながら、二〇〇九年度には第一約束期間全体の排出量の見通しを示して総合的に評価というようになっているのが改定の目標達成計画でありますけれども、これは徹底して取り組んでいかないと本当に危機的な状況も来るのではないか。

 次に、経産省に質問をさせていただきます。

 第一約束期間が既に始まっておりますけれども、例えば、いまだにバイオ燃料の本格供給に向けた動きは見えてこないし、太陽光発電については、先ほどからも言われておりますけれども、私も何度も申し上げますけれども、国内導入量のみならず、今回は生産額も我が国の企業はドイツ企業に追い抜かれてしまった、こういう状況にあります。

 三月に発表された長期エネルギー需給見通しにおきまして、二〇二〇年において再生可能エネルギーの導入量をどれくらいと見込んでいるのでしょうか。太陽光発電、バイオ燃料の導入量を含めて、総量と内訳について具体的に示していただきたいと思います。

 あわせて、コストの高い再生可能エネルギーは、市場に任せていては大量導入が難しく、制度的な対応が必要であるかと思いますが、現行のRPS法では導入目標が私は低過ぎると思うのであります。また、ドイツでは、固定価格買い取り制度等で飛躍的に太陽光発電が普及したということもございます。今回、大変重要な時期を迎える中において、制度の見直しを含めて抜本的な対策が私は大変必要だと考えますけれども、経済産業省、今後の対策強化をどうしていかれるのか、お聞きいたします。

本部政府参考人 先般発表いたしました長期エネルギー需給見通しでは、二〇二〇年度の再生可能エネルギーにつきまして、水力、地熱発電を含めまして、最大、原油換算で四千五百九十八万キロリットル、一次エネルギー国内供給の約八・二%と見通しております。

 そのうち、太陽光発電は原油換算で三百五十万キロリットル、風力発電は二百万キロリットル、バイオマス発電などは三百九十三万キロリットル、バイオマス熱利用は三百三十万キロリットルでございます。

 なお、RPS法におきましては、二〇一四年度に現在の三倍弱に当たります百六十億キロワット時の利用目標が定められております。この利用目標は、現実的な導入可能性を踏まえながら、導入に伴う費用負担なども考慮に入れて定めたものでございまして、妥当なものと考えております。

 いずれにいたしましても、今後、再生可能エネルギーのさらなる普及を図る必要があります。このため、経済産業省では、現在、総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会におきまして、再生可能エネルギー対策の抜本的な強化についての議論を進めているところでありまして、速やかに総合的な検討を行ってまいりたいと考えております。

江田(康)委員 今、経済産業省からの御回答でございましたけれども、夏にはG8サミットを迎えて、そして二〇〇九年には、それこそ国際的な交渉も非常に重要な時期を迎えていくわけでございます。

 特に新エネルギーの、また再生可能エネルギーの導入については、国際的に見てもかなり厳しい、低い水準であるということは、目標としても、これはもう共通認識だと思います。そういう意味で、太陽光にしても、それを普及していく、そういう支援策等を含めて抜本的に進めていくべき、そのように強く申し上げておきたいと思うわけでございます。

 次に、排出量取引制度のことについて、大変大きな問題でございますので、環境大臣にお伺いをしたいと思っております。

 先ほども私申し上げましたが、これから国際的な新たな枠組み、また中期目標、そして長期目標というのが、二〇〇九年へ向けて審議が活発化されるわけでございます。先ほども申しましたように、二〇五〇年に世界が半減するということは、先進国の排出量はゼロにならなければならないというショッキングな現実を見据えていけば、炭素に価格をつける制度、排出量取引制度、また環境税等の導入があるかと私は思うんですけれども、ここを本当にやっていかなければ、これは達成し得ない目標ではないか。そういう認識から、産業界における確実かつ効率的な削減のための政策手法として、排出量取引制度というのは、主要先進国においては、EUは既に導入しておるわけで、またアメリカにおいても法案の審議が着々と進んでおります。

 このような中で、我が国のみが、これまで導入の是非という入り口論で足踏みをしてきたという現実がございますが、今後、この導入時期とか、また対象ガス、オークション、さらには上流規制か下流規制か、さまざまな制度設計の具体的な議論を活発化して、早急に日本型の制度というものを立案して世に問うべきであると考えますが、大臣、いかがでしょうか。

鴨下国務大臣 環境省としましては、国内排出量取引制度については、今先生おっしゃったように、カーボンに価格をつけるというようなことも含めまして、温暖化対策の最有力な選択肢の一つである、こういうふうに認識をしているわけでございます。二〇〇五年から既に自主参加型の国内制度を実施しているわけでありますが、その中で蓄積した知見や経験を生かして、さらにしっかりとした形での制度設計をする、こういうようなことで今勉強を始めたところでございます。

 また、諸外国においては、EUが二〇〇五年から国内排出量取引制度を導入しておりまして、ニュージーランドが本年から導入するようなことを聞いておりますし、米国議会においても検討が活発化しているというようなことでもありますので、既に世界のトレンドはそういう方向にあるんだろうというふうな認識でございます。

 環境省としては、産業界や学識経験者から成る局長諮問の検討会、こういうような位置づけでありますけれども、国際的な動向も踏まえまして、我が国の実情に合った排出量取引制度の具体的な制度設計のあり方について検討を始めております。

 加えて、それぞれ、例えば東証あるいは政府の中でも、いろいろとそういうような動きもあるようでございますので、環境省としては、さらに加速をして、この制度設計の検討を進めてまいりたいと考えております。

江田(康)委員 この排出量取引制度については、また環境税等も含めて、経済的な手法というものについては、中環審また産構審の合同会議でも、これは残された課題ということであったわけでございます。総理諮問の有識者懇談会でも、さらに環境省でも、また経済産業省でも専門家会議で検討が進められているとお聞きしておるところでございますので、今大臣から、加速して審議を行っていくという力強い御答弁もございました。我々も真剣に協議して結論を得ていくべき大変重要な課題であると思います。

 もう一つ、今注目される重要な課題というのは中期目標でありますけれども、我が国の中期目標について、世界全体の排出量のピークアウトに貢献するようしっかりした削減目標を立てるべきと考えます。この中期目標の設定に当たっては、我が国は、セクター別アプローチという科学的な積み上げを基礎とすべきことを提案しているわけでございますが、IPCCにおいても、中期の目標として、二五%から四〇%の削減が必要とされていることも踏まえて、我が国としてはどのような考えで中期目標の設定というものを検討していくのか。これについて、大臣のお考えをお聞きしたい。

鴨下国務大臣 中期目標につきましては、福田総理がダボス会議で、我が国が国別総量目標を設定することを表明しまして、公平性を確保するというような観点からセクター別に削減可能量を積み上げる方式、こういうようなものを提案いたしました。

 同時に、今先生おっしゃった、十年から二十年の間に世界全体で排出量をピークアウトさせるというような必要性について提言しておりまして、これらが実現できるように必要な削減量を確保しなければいけない、こういうようなところが基本的な考え方でございます。

 具体的には、今後十年から二十年でピークアウトが可能となるような排出量を明らかにしまして、その排出量に到達するよう削減可能量を積み上げていく、こういうようなことが必要であります。

 そして、世界全体の排出量のピークアウトと各国間の公平感が同時に達成されるような国別総量目標を設定する方式、今先生は日本型というふうにおっしゃいましたけれども、私もそういうふうに思います。

 そして、EUでは排出量取引全体が今フェーズ2に入ってきておりますけれども、そういう中で、いわゆるトップダウンのグランドファザリングについて制度的にやや問題がある、こういうようなこともいろいろ各国から出てきたようでありますから、こういう時期において、日本は福田総理がダボスで発言したことを基本に、しっかりとした日本のルール、こういうものを提案して、国際的な標準になるような、こういうような努力を私どもとしてもしっかりと取り組んでいきたいというふうに考えております。

江田(康)委員 夏の洞爺湖サミットは、二〇一三年以降の枠組みを来年中に構築するに当たって非常に重要なステップになるわけでございます。議長国として、主要排出国のすべてが参加する枠組みに向けて主導的な役割を果たしていくべきと考えますが、サミットに向けて、大臣、今後どのような取り組みを行っていくか、お聞きをさせていただきたいと思います。

 あわせて、世界全体で大幅な削減を実現するためには、途上国、なかんずく中国やインドなどの新興国が将来枠組みに参加して、実効ある取り組みを進めていくことが不可欠でありますけれども、洞爺湖サミットにおいては、クールアース推進構想をさらに具体化して肉づけしていかなければならないと強く思っております。

 我が国がリーダーシップを発揮するためにも、サミットの開催に先立って大胆な政策と将来枠組みの構築に向けた具体的な提案、例えば福田イニシアチブというようなものを世界に発信すべきと考えるわけでございますけれども、この点についていかがか、お聞きしたい。

 昨日、我が党の田端議員が本会議で温対法の質問に立たれましたが、その際、新たな提案をしました。それは、二〇二〇年を目標年として、日本としての中長期目標を早期に明らかにして、しっかりとしたビジョンを示す。二〇二〇年をピークアウトの年にするという、理念法になるか、基本法的なものになるのか、そういうような法制度、我が国の意思というものも必要かと思いますけれども、これも含めて、大臣、いかがお考えでしょうか。

鴨下国務大臣 ことしは我が国にとって重要な年であります。特に、洞爺湖でサミットの議長国を務める、こういうようなことでもありますし、昨年のバリでのCOP13を受けまして、バリ・アクションプランが、これから来年のコペンハーゲンのCOP15に向けて、今まさに議論が始まったところであります。それのいわば中間点というような意味においては、ここでしっかりとした日本のリーダーシップを示す必要がある、こういうふうに考えております。

 そういう中で、今先生お触れになりましたけれども、一つは、長期目標については、ハイリゲンダムで安倍前総理がクールアース50、すべての国が排出量を半減する、こういうようなことを提案されましたけれども、それに対して、ダボスでクールアース推進計画というのを福田総理がさらに表明されて、肉づけをしたわけですけれども、中身については、バリでも議論がありましたけれども、特に途上国に対して先進国がどういうふうな、例えば、適応あるいは技術、こういうような分野で貢献できるかということが一つ。

 加えて、今度は先進国間の問題として、例えば中期目標について、IPCCは二五から四〇というふうに言っておりますけれども、こういうようなことを踏まえて、中期目標をどういうような形で、要するに先進国が努力ができるかというようなことでありますから、そういう中で、日本はまさに議長国でもあるし、省エネ技術の先進国でもあるわけですから、しっかりとした日本としての目標を立てて、そして臨むことが必要なんだろうというふうに思っております。

 ただ、その内容については、しかるべき時期というのが一体どこにあるのかというのはさまざまな高度な判断が必要なんだろうと思いますから、そういうようなことを踏まえまして、我々としては、しっかりと長期目標あるいは中期目標、そしてマイナス六%の第一約束期間の確実な実現、こういうようなことを環境省として準備を進めていきたいというふうに思っております。

江田(康)委員 時間でございます。大臣、大変前向きな御発言を聞かせていただき、ありがとうございました。

 これで終わります。

     ――――◇―――――

小島委員長 次に、内閣提出、地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。鴨下環境大臣。

    ―――――――――――――

 地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

鴨下国務大臣 ただいま議題となりました地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 地球温暖化は、地球全体の環境に深刻な影響を及ぼし、その対策は人類共通の課題であります。IPCC、気候変動に関する政府間パネルの報告書によれば、地球温暖化の進行は疑いようがなく、ここ数十年間に、温室効果ガスの排出量を大幅に削減する必要があります。気候変動に関する国際連合枠組条約に基づき採択された京都議定書が、平成十七年二月十六日に発効し、世界の地球温暖化対策は新たな一歩を踏み出しました。そして、本年から、その京都議定書の第一約束期間が開始されています。

 また、我が国は、クールアース推進構想に基づき、地球全体の温室効果ガス排出量の早期のピークアウトと二〇五〇年までの半減を目指し、北海道洞爺湖サミットの議長国として世界の議論をリードしていく必要があります。

 しかしながら、我が国の温室効果ガスの排出量は、平成十七年度には基準年度に比べ七・七%の増加となっています。国際約束の達成はもとより、世界の議論をリードするためには、国内における排出削減に加えて、京都メカニズムの活用、森林の整備等により、京都議定書の目標との差となる一三・七%を埋めることが喫緊の課題です。この中でも、特に国内の排出削減のための対策努力が必要であり、特に、温室効果ガスの排出量が伸び続けている業務部門や家庭部門における対策を抜本的に強化することが必要です。

 このような状況を踏まえ、京都議定書の六%削減約束の確実な達成を担保するために必要な、国内における排出削減対策の追加的措置を講じるため、また、京都議定書の第一約束期間以降を見据え、さらなる長期的かつ継続的な排出削減のための基盤を整備するため、本法律案を提案した次第であります。

 以下、この法律案の主な内容について御説明申し上げます。

 第一に、都道府県、指定都市、中核市及び特例市は、地方公共団体実行計画の中で、その区域の自然的社会的条件に応じた温室効果ガスの排出の抑制等のための施策についても定めることといたします。また、都市計画などの策定及び実施に当たっては、地方公共団体実行計画との連携を図りつつ、温室効果ガスの排出抑制に配意することといたします。これにより、今後、地球温暖化対策を念頭に置いた地域づくりが各地で進められることが期待されます。

 第二に、事業者は、その事業活動に伴う温室効果ガスの排出の抑制に資する設備の選択など、必要な措置を講ずるとともに、国民の日常生活における排出抑制の取り組みに寄与する措置を講ずるよう努めなければならないことといたします。国は、こうした措置の適切かつ有効な実施を図るために、排出原単位の望ましい水準などを示した指針を策定、公表し、必要に応じて助言などを行ってまいります。

 第三に、温室効果ガスの排出量の算定・報告・公表制度について、事業者単位、フランチャイズチェーン単位の算定、報告の仕組みへと変更いたします。これにより、業務部門を中心に、温室効果ガス排出量のカバー率が大幅に拡大することになります。

 第四に、現行の都道府県に加え、指定都市、中核市及び特例市においても、地球温暖化防止活動推進センターの指定や、地球温暖化防止活動推進員の委嘱を可能といたします。また、地球温暖化防止活動推進センターの業務内容も見直し、地方公共団体実行計画の達成のために行う施策に必要な協力をすることも業務内容に加え、国民に一層身近な形で対策の推進を図ります。

 第五に、CDM事業のうち、途上国における植林により吸収源を強化する活動から発行されるクレジットについて、その森林が滅失した場合などに求められる国際合意に基づく補てん義務を履行するため、その主体、当該義務の履行方法などを定めることといたします。また、国は、クレジットの事業者による自主的な取得及びその国への移転などが円滑に進められるよう配慮することといたします。

 以上が、この法律案の提案の理由及びその内容の概要であります。

 なお、これらの措置は、改正後の京都議定書目標達成計画に掲げられた対策を的確に実施するための措置であり、関係法令と相まって京都議定書の六%削減約束の確実な達成を図るために必要不可欠なものであります。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

小島委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十五日火曜日、午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十一分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.