衆議院

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第5号 平成20年4月15日(火曜日)

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平成二十年四月十五日(火曜日)

    午前九時三十一分開議

 出席委員

   委員長 小島 敏男君

   理事 小野 晋也君 理事 大前 繁雄君

   理事 木村 隆秀君 理事 北川 知克君

   理事 西野あきら君 理事 岩國 哲人君

   理事 伴野  豊君

      あかま二郎君    上野賢一郎君

      岡下 信子君    小杉  隆君

      木挽  司君    近藤三津枝君

      坂井  学君    鈴木 俊一君

      土屋 品子君  とかしきなおみ君

      中川 泰宏君    並木 正芳君

      西本 勝子君    林   潤君

      藤野真紀子君    牧原 秀樹君

      山内 康一君   山本ともひろ君

      小宮山泰子君    近藤 昭一君

      田島 一成君    田名部匡代君

      長島 昭久君    村井 宗明君

      吉田  泉君    高木美智代君

      江田 憲司君

    …………………………………

   環境大臣         鴨下 一郎君

   環境副大臣        桜井 郁三君

   環境大臣政務官      並木 正芳君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            岳野万里夫君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         伊藤 健一君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           佐々木昭博君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           伊藤  元君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局次長)           内山 俊一君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁次長) 平工 奉文君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            上田 隆之君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 谷津龍太郎君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            西尾 哲茂君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  南川 秀樹君

   環境委員会専門員     齊藤  正君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十五日

 辞任         補欠選任

  土屋 品子君     岡下 信子君

  とかしきなおみ君   牧原 秀樹君

  渡部  篤君     西本 勝子君

  末松 義規君     長島 昭久君

  田名部匡代君     近藤 昭一君

同日

 辞任         補欠選任

  岡下 信子君     山内 康一君

  西本 勝子君     渡部  篤君

  牧原 秀樹君     林   潤君

  近藤 昭一君     田名部匡代君

  長島 昭久君     小宮山泰子君

同日

 辞任         補欠選任

  林   潤君     とかしきなおみ君

  山内 康一君     土屋 品子君

  小宮山泰子君     末松 義規君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第七二号)


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     ――――◇―――――

小島委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、来る二十二日火曜日、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として金融庁総務企画局審議官岳野万里夫君、農林水産省大臣官房総括審議官伊藤健一君、農林水産省大臣官房審議官佐々木昭博君、経済産業省大臣官房審議官伊藤元君、経済産業省製造産業局次長内山俊一君、資源エネルギー庁次長平工奉文君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長上田隆之君、環境省総合環境政策局長西尾哲茂君及び環境省地球環境局長南川秀樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小島委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小野晋也君。

小野(晋)委員 皆さん、おはようございます。

 冒頭、ちょっと横道に入るような話をいたします。

 実は、昨年でありますが、ちょうど花の咲き誇る時期、京都の哲学の道というところを歩いてまいりました。日本で一番美しい散歩をしたい道のランクづけがされている道でもありまして、非常に楽しみにしながら歩いてまいりましたが、その評判にたがわず大変に潤いのある美しい道でありました。この道を歩きながら京都学派と言われる哲学者の皆さん方が新しい思想、哲学を生み出しておられたのかと思うと、非常に感銘深いものがあったわけであります。

 その道のちょうど中間あたりのところでございますが、京都学派を代表する哲学者の碑がありました。「人は人吾はわれ也とにかくに吾行く道を吾は行なり」、こういう言葉でありました。西田幾多郎先生の歌碑でありました。それを見ながら、西田先生は、自己の主体性というものを非常に尊重されながら、海外のいろいろな思想、哲学を参考にはしつつも、みずからの道を追い求められた方なんだなということを改めて感じたわけであります。

 きょう、地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案がいよいよ審議入りということになるわけでありますが、この準備を進める理事会の席におきましても、野党の皆さん方も含めまして、やはり地球環境問題というのは人類共通の課題であって、国会の審議をめぐるさまざまな国会対策上の問題とは切り離して考えなくてはならないという意識が言葉の裏に脈々と流れていたことを感じたわけでありまして、岩國筆頭理事がきょう御臨席で、先ほども、じっくり聞かせていただきますぞというお話をいただいたところなのでありますが、さすが名にたがわず哲人(てつんど)、哲学者岩國先生であるなというような思いを新たにするところでございます。ちらっと言うのでありますが、しかし、先生の質問も、お聞きしていますと、岩國という名前なのでありますが、先生の質問はいつも森の国でありまして、このところも非常におもしろいなという気持ちがしたのも事実でございます。

 さて、前段の話はこのくらいにさせていただいて、本題に入らせていただきます。

 今、地球環境問題が非常に大きな国際的な問題になってきているというのは御承知のとおりでございます。大臣も、休日となると世界じゅうを駆けめぐりながら、世界各国の首脳と議論を重ねられながらこの夏のサミットに備えておられる状況なのでございますが、このグローバルな動きを見ておりまして、私は、もうこの問題は単なる二酸化炭素削減問題ではない、もっと大きく、この問題を通して人類社会は新しい天地を求め始めているのであるという気持ちがしてならないのであります。

 振り返ってみますと、十八世紀、十九世紀、二十世紀と、科学技術を中心といたしながら、工業を中心としたいわゆる工業化社会という形で人類社会が展開をいたしまして、工業に最適の文明社会を築くという形で人類はその歩みを進めてまいりました。

 しかしながら、その歩みに一定の限界が見え始めてきた、ないしは、その歩みの中で、二十世紀を称して科学技術と紛争の時代というふうに語った方もおられるわけでありますけれども、科学技術の二元的な考え方、そしてそこに生まれるところの対立的な現象、これが決して人類社会を幸福にしてこなかったのではなかろうかというような反省が生まれているところにこの環境問題があらわれてきて、この環境問題をてこにしながら人類は新しい二十一世紀文明をこれから築いていくべきではないかという、心のうずきに基づく大きな運動が展開されているというふうに見ることはできないだろうかという気持ちがしてならないわけであります。

 いわば、これまでの対立的であり競争的な形態をとりがちであった文明観から、今後はより調和型であり共生型を目指そうとする文明観が台頭してくるのではなかろうか、こんな気持ちがしてならないのでございます。

 博学で思想的に非常に深いものをお持ちでございます鴨下大臣、この点についていかがな御見解をお持ちか、お尋ねをいたしたいと思います。

鴨下国務大臣 いつもながら、いろいろと小野先生の教えをいただきながら、私も前に進めさせていただきたいと思います。

 先ほどお話ありましたように、グローバルな動きということで気候変動の問題は出てまいりましたけれども、IPCCのパチャウリ議長は、今回の第四次評価報告書の中の科学的な知見について人類は共有すべきだという話でありましたけれども、皮肉にも、それぞれ今起こってきたさまざまな問題、例えば温室効果ガスの排出量がふえたというような事実をしっかりと我々が認識するのは、科学でないと認識できないわけであります。

 では、それを今度はどういうような形で我々は克服していかなきゃいけないかというような問題については、これは私、十二月のバリのCOP13に出てつくづく考えたんですが、地球全体の中でCO2を排出することそのものがもう既に制限を受け始めたわけであります。これは、例えば化石燃料を燃して、そして工業を興して国民を豊かにし、経済を発展させる、いわばこういうような方法論が、そもそも地球温暖化あるいは地球環境というような制約要因の中ではある種の自己矛盾が出てきたというふうに思っております。

 ですから、先ほど先生は、人は人、我は我、そして自己の主体性という話がありましたけれども、それとは別の論理として、これからは、国一つ一つの論理だけで物が動かなくなった。むしろ、国際協調の中で、自分の国だけが勝手に発展すればいいということはもう世界が容認しなくなった、こういう次元に今入ってきたなということをバリでつくづく感じながら、例えば自分の国がこれから先進国の仲間入りして工業化をさらに進めるという段階でも、他国とのバランスの中でこれをやるべきだ、新しい枠組みの中でこういう合意ができるかどうかというところが非常に難しいわけでありますけれども、我々が果敢に挑戦しなければいけないのはそういうことなんだろうというふうに思っております。

小野(晋)委員 いつもながら大臣からは、深い見識に基づく御答弁、ありがとうございます。

 ただ、今大臣がおっしゃられた主体性の理解の部分については、私は異論を持っているところでございまして、真の主体性とは他との調和を尊重するものであるというのが私の考え方なのであります。

 自己を尊重することは、他にも尊重すべき自己が存在するということであるがゆえに、他との調和を希求するものであり、しかも、その他との関係というものが無限に広がる可能性を持つ場合において、それを一対一の関係で規定することが不可能であるがゆえに、社会における一般的な規律みたいなものをそこに打ち立てて我々は社会を築いてきたということではないでしょうか。自己尊重の思い、そして他人を尊重する思い、社会規範を尊重する思い、この三つがこれからの社会を考える場合の基本的なものであるような気持ちが私はいたしている次第であります。

 振り返ってみますと、この日本の国は、かつて大和の国と言われた。これは、大なる和、グレートハーモニーなのであります。恐らくこれは、単に法律によってこれを実現しようとしたものではないし、何かの道具によってこれを実現しようとしたのではなくて、むしろそれ以上に、主体的な日本人の意思においてこのグレートハーモニーを実現していこうということを宣明するような国の名前であったような気持ちがしてならないわけであります。

 今大臣がおっしゃられたような、他も尊重しながらやらねばならない、ほかの国との調和を考えねばならない、この信念というのは、まさに、私の思いのもとにおきましては、日本の伝統的精神ともいうべきものであるということに立脚をいたしましたときに、この夏のサミットで地球環境問題が大きなテーマとして取り上げられるということで準備が進められているわけでありますけれども、これは非常に大事な、日本精神に基づく新しい時代の文明を切り開く場になるのではないだろうか、こんな思いがしてならないところでございます。

 このサミットに向けて、環境省は非常に重要な役割を担う省として御準備を進めておられることと存じますけれども、この洞爺湖サミットにおいてこの国が果たすべき役割、使命についてどのような御見解をお持ちか、お聞かせをいただきたいと存じます。

鴨下国務大臣 あのサミットは、多分、気候変動問題が主要議題の重要な一つになるだろうというふうに考えております。

 そういう中で、今先生がお話しになったように、日本という国の置かれている地勢的なこと、それから歴史的なこと、そして環境技術を持っているという科学的なこと、こういうことをある意味で総合的に統合して、日本の国で行われるサミットの中でリーダーシップを発揮するべきだというふうに考えているわけであります。

 具体的には、先ほど申し上げましたように、これからバリでのアクションプランも、来年のCOP15までの間のプロセスの中でこのG8サミットというのは非常に重要な中間点に当たるわけでありますから、ここである方向性を出すということは非常に重要。ただ、残念ながら、途上国あるいは新興工業国、さらに先進国、こういう中でもそれぞれ意見の相違がございます。そういう中で、先ほど先生もお話しになったように、例えば、単純なグローバリズムではない、それぞれの地域の特異性といいますか独自性というようなものも発揮しつつ、なおかつ地球全体で調和をとって気候変動に当たっていこう、こういうような合意、少しでも先に行けるような、ある意味でモメンタムがさらに増強していくようなことが結果的に出せないだろうかというふうに今考えていまして、我々はその中の一部でありますけれども、環境省としても環境大臣としても、しっかりと努力をしてまいりたいというふうに思います。

小野(晋)委員 もう一点問題提起をさせていただきたいと思いますけれども、それはケニアのマータイ女史のことでございます。

 かねてより日本にも何度も来られまして、そのたびに、もったいない精神ということを語っていただきました。世界各地でその言葉を広めていただいた方だと私たちは評価をしているわけでありますけれども、このマータイさんがおっしゃるところのもったいない精神、これが必ずしもきちんとした体系化がなされていないのではないだろうか、国際社会にそれを訴える場合に、本当にその本質的な部分からきちんとした説明がなされているんだろうかというところにいささかの疑念を持っているところがございます。

 そもそもこのもったいという言葉、これは物体とほぼ同じ意味合いになるんですね。ですから、事の本質、物の本質、本体、これを指すのがもったいという言葉でありまして、もったいないという言葉はそこから引き出されるのでありますが、その本質というものを十分に見きわめて、その持っている力を十分に発揮していない状況がもったいないということなんですね。

 ですから、その状態では口惜しい、本来使えるべき力を使っていない、その姿が口惜しいんだというのがもったいないでありまして、ただ何らかのものの量的な削減をするというような表面的な意味ではなくて、その本質的なものは、日本の国は仏教思想等もありますから、山川草木すべてに命がある、価値がある、こういうふうな考え方に基づいて国づくりがなされてきましたけれども、すべてのものを生かし抜かねばならないという一つの強い信念に支えられた言葉がこのもったいないという言葉なのですね。

 ですから、これは二十一世紀の世界を考える上で非常に尊重すべき考え方であって、先ほど、工業社会というものがこれまでの世界を律してきたということを申し上げましたけれども、工業社会はある意味では生産側に立つ社会であり、生産をいかに効率化するかということを中心に据えて社会が構築されてまいりましたが、そのプロセスでは、至るところに、物を生かし切れていない、自分たちが役立てたいと思う以外の機能を切り捨てるという極端な一つの思想的な偏りがあったような気持ちがしてならないわけであります。

 それを今改めて、客体であるところのすべての存在の価値を改めて評価しよう、その価値を最大限に生かすために世界人類が持てる知恵の限りを尽くしていこう、そしてそれこそが、万物がともに生きていく、万物がともに輝き合っていける、そういう人類社会をつくることなんだという非常に深い哲理がここに宿っていると私は思うのであります。

 したがいまして、これからサミットまでとなるとちょっと時間的に厳しいかもしれませんけれども、このもったいない精神というようなものを急いで構築しまして、世界の人に理解される理念体系にした上で語りかけていく必要があるのではないだろうか、それを世界に広めることが世界人類の未来を切り開くことになるのではなかろうか、こういう気持ちがするわけでございますが、大臣の御所見をお伺いしたいと存じます。

鴨下国務大臣 先生かねてからおっしゃっている、例えば大量生産、大量消費、大量廃棄というようなことは、ある意味でそれぞれ物質的な豊かさをもたらしてきたわけでありますから、一概にそれを否定するものではなかったわけでありますけれども、こうした気候変動あるいは地球温暖化ということに現実に我々がもう既に直面し始めた段階においては、例えば物の本質をしっかりと見定めて使い切る、あるいは無駄にしない、こういうようなことを徹底することが必要なんだろうと思います。

 エコロジカルフットプリントという考えがありますけれども、これでいうと、私たちのような消費生活をしていると地球が三つか四つないと足らないぐらい地球に負荷をかけているわけでありますから、ある意味で、そういうもったいない精神のようなものを、もう一度世界に、特に先進国に知っていただくというのは重要なことだというふうに思います。

 ただ、先ほどから申し上げていますけれども、現実には、非常に貧しい国で物を大事に使っていらっしゃるけれども、でも電気も欲しい、テレビも欲しい、冷蔵庫も欲しい、自動車にも乗りたい、こういう人たちも圧倒的に世界にはあるわけでありますので、我々は、その発展段階に応じてそれぞれの国のあり方を尊重しつつ、今先生おっしゃったようなもったいないという精神をそれぞれの国に考えていただくということが重要なのかなというふうに思います。

小野(晋)委員 大臣から布石を打っていただくような御答弁をいただいたわけでありますが、言われるとおり、世界各国、二百近い国や地域が存在をいたしますし、その一つの国の中にもいろいろな文化を持つ人がいる、いろいろな民族が存在する。多様な存在がともにいるのがこの地球社会であろうと思います。

 この地球社会を一つの原理でまとめていこうという考え方を持ちながら挑戦してこられた方々もおられたわけでありますが、現状で見る限りは、それは恐らく頓挫をしておられる。一つの価値観に基づく、一つの法律のみに基づく国際社会の運営ということは、まだ現段階では困難なことであるというのが恐らく多くの有識者の現状認識であろうと思います。

 そこで、では、私たちは何を頼りにしながらこの社会を進めていくことができるのだろう。高速交通が発展をし、一日あれば世界の隅々ほぼどこへでも行くことができますし、また、瞬時に世界じゅうの人と通信回線を通して情報交換することができるというこの現状の中にあって、価値観の対立等を含むいろいろな個性というものが対立の概念でとらえられるならば、これは恐らくどこまでも続く紛争の流れを断ち切ることはできない、こういう気持ちがしてならないわけであります。

 そこで、私たちが学ぶべきは自然なのではなかろうかという気がしてなりません。法律にしろ、これは人間がつくったもの、いろいろな技術にしろ、これは人間がつくったもの、社会の仕組みも人間がつくったもの。ある文化に支えられた人間がつくったものが最善であると主張しても、よりよいものであるという別の人たちがいるわけでありまして、この対立は恐らく決着をつけることができないだろう。こう考えました場合に、私たちは、全人類が共通のものとして持っている自然界に目を向けることから英知を引き出す、これが二十一世紀人類社会における課題ではなかろうかという気がしてならないのであります。

 そこで、私自身の提唱する人間の森文明というのがあるのでございます。これはいかなるものであるかといえば、自然界の森の中に私たちが足を踏み入れるならば、上を見上げれば、そこには松の木がありヒノキがあり杉の木がある、いろいろな種類の高木がある。目を下に転ずれば、多種多様な灌木類があり、さらに多くの種類の草が生え、土の中を見れば、ほんの少しの土の中に百万種類にも及ぶような雑菌類があるというようなことが言われる。森の中を小動物が駆けめぐり、昆虫が飛び交い、さらに鳥類もその森の中を飛んでいる。

 こういう多種多様なものが同時に存在しながら、その同時に存在するものがたえなる調和の中に置かれているという姿が自然界の原理であるとするならば、私たちは、個々の文化が持ってきた人間の知恵を超える知恵としてこういうものを尊重し、そこに二十一世紀社会の新しい理想を見出すべきではなかろうか。

 人間が自然界の森のような意識を持って生きる社会、これを支える文明というものを提起すべきではないかということで提唱しているものでありますが、その主な項目、六項目取り上げているわけであります。

 一つは、人間の主体性を尊重する社会。今申し上げたものであります。

 二つ目が、個人の成長を尊重する社会。これは、我々、二十を過ぎると体力が衰えるだの四十を過ぎると記憶力が衰えるだのと言いますけれども、そういう一つ一つの現象ではなくて、人間というものは生きている限り成長し続けるものだ、人格的な意味を込めたり、またその人間が発するオーラと言われるような雰囲気のようなものも含めて、人間というのは亡くなる瞬間まで成長し続ける、自然界すべてがそういう性質なのだと。

 三番目には、個性の価値を重視し、千差万別の形態を認め合う社会。これはもう自然界そのものであります。

 四番目には、全体として大きな調和を尊重する社会。個々に別々であったとしても、それらが全部組み合わさったところが美しいと我々は認識する。美しいと認識するということは、その認識の奥にそれを好ましいと考える心がある。その好ましさというものは、それこそがお互いを生かし合う姿であるというような本性が働いていると考えるべきでありましょう。

 第五番目には、官僚的統制ではなく、自律的コントロールによって運営される社会。ある特定の人たちがいかに優秀な人であったとしても、それがすべてを席巻して動かそうというのではない。お互いの主体性において自律的に調整が行われながらたえなる調和を生み出すということを考えるべきだという主張であります。

 六番目には、譲り合いの精神でみずからを周囲にささげ合う社会。循環的に物事が動いていくということも含めまして、お互いがもっと譲り合う精神というものを尊重する。お互い、現在生きる者同士の間でも、未来に生きる人たちに対しても、また過去に生きた人に対しても、みずからが譲る、譲り合う、こういう気持ちを持って調和を生み出していくことが大事ではなかろうかという考え方でございます。この思想が新世紀の根本的な思想になるのではなかろうかと私自身は考えている次第なのであります。

 環境政策というものは、今大臣からも科学技術に基づいて解決せねばならないという御主張がございましたが、それのみならず、やはり人間の思想に足場を置かなければ本当の解決は生まれないのではないか、こんな思いを持つところにこんな提唱をしているわけでありますが、こういう人間の森文明という考え方に基づく環境ビジョンというものを描いてみようというお考えをお持ちか否か、お尋ねさせていただきたいと存じます。

鴨下国務大臣 先生の御高説、私も一度勉強会に参加をさせていただいて学生さんたちと話をさせていただきましたけれども、特に我が国は、古来より、自然と対立するのではなく調和的に生きるというような意味においては、先生おっしゃるとおりの思想が過去ずっと貫かれているんだろうというふうに思います。

 そういう中で、森というのがある意味で生物多様性の一つの象徴的なもので、要は、土壌の中の細菌から大木まで、あらゆるところがすべて関係をしつつ繁栄する、こういうようなことが多分先生おっしゃる原点であって、それを、人間社会の中でも同じようなことがあるべし、こういうようなことについても私も全く共感をするわけでありますし、加えて、そういう社会ができ上がっていくということが重要なんだろうというふうに思います。

 ただ、私たちはいろいろと乗り越えないといけないこともあるし、先生おっしゃっていることを理解しない人たちもいるんでしょうから、そういう人たちの中に、我々が考えて、今、私も共感するというふうに申し上げましたけれども、いかにわかっていただくかというようなことの中には、ある種の制約要因としての気候変動、地球温暖化というような問題に直面したという今の厳然たる事実、これからお互いに譲り合わなければ自己の生存さえも危ういというような事態になってきた段階で、先生の御努力もあって、先生おっしゃるようなことがこれから大いに広がることを私も望んでいるところでございます。

小野(晋)委員 残りの質問については、御提案だけさせていただきたいと存じます。

 今回の法案によりまして、地方自治体の役割が明記されました。大きな町また都道府県、こういうところがそれぞれ環境問題に配慮をした計画づくり等を進めるということになっているわけでありますが、この点については、短時間のうちに顕著な成果を上げるためには、地方においてかなり精力的に知恵を集める、ないしは関係者が努力を注ぐ、やはりこういうことが必要になるわけであって、その動機づけの中に何らかのメリットシステムをうまく組み入れる必要性について検討をいただきたいというのが一点であります。

 それから二つ目には、炭素税の問題については、これはもう日本の政治においても長年議論されてまいりましたが、国際競争力の衰退を恐れる産業界の反対等もございまして、なかなかこの導入に至っておりません。この環境問題に関して世界じゅうの人たちがこれから集まっていろいろな場で議論をしていこうという状況になっていることから考えますと、国際的な形の税の導入をこの際検討してみてはいかがだろうかということでございます。場合によれば、集められた税の一部分をそれぞれの国が拠出し合って、国連を中心にして行われておりますところの地球環境問題に振り分けていく。環境面での、発展途上国という言い方をしていいのかどうかわかりませんが、そういうところに対して、国連で集めたその環境税を活用して改善を図っていく、またさらに、大臣言われるところの豊かさを実現するためのお金にも使っていく、こういうような考え方を導入することを考えてはどうだという提案であります。

 それから三点目は、原油の価格高騰という問題が新しい要素として今加わってきております。これは私は非常に懸念しておりますが、実体経済の三倍に及ぶ貨幣が今世界じゅうで発行されている、その余剰資金が今オイルマネーの形で産油国に集まっていっている、そのお金がさらに間接的に石油価格引き上げにどうも使われているみたいだ、こういういびつな経済が実は生まれてきているということを懸念しております。

 こういう流れに対して、私の提案というのは、エネルギーの開発ないしは新しい環境関係の技術開発等々を通して削減できるお金があるとするならば、そのイノベーションに伴って生まれるところのメリットの一部分をエネルギー開発ないし技術開発に回すという形をこの際考えられてみてはいかがという、イノベーション対価制度というような言い方をしましたけれども、こんなことも提案したいと思って質問として準備させていただきました。時間の関係でこれは質問しないことにいたしますが、ぜひ各省で御検討いただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。

小島委員長 次に、上野賢一郎君。

上野委員 自由民主党の上野賢一郎です。きょうは、この環境委員会で質問の機会を与えていただきましてありがとうございます。

 小野先生が、大変高尚な御質問、哲学の道型の質問をされましたので少々やりにくいんですが、私としては、よりプラクティカルな形で、国際交渉のあり方につきまして確認をさせていただきたいというふうに思います。

 ことしから京都議定書の第一約束期間が始まりました。福田総理もイニシアチブをとって、大変意欲的な提案もされているところでございます。洞爺湖サミットを控えまして、地球温暖化問題の解決に向けて我が国としても強いリーダーシップを発揮していくことが求められていくところだというふうに思います。

 その中で、私は、この京都議定書の国内対策をこれから進めていくことも重要ですが、もう一つ、いわゆるポスト京都と言われている二〇一三年以降の枠組みにつきまして、これから日本がいろいろな形で国際交渉をしていくわけですが、これをより実効性を高めた効果的なものにしていくことが必要だろうというふうに思います。

 京都議定書の評価、私は、これは人類史的に見ても大変高いものがあると思っています。世界全体で温暖化の問題に取り組むという決意を確認した、それから主要な先進国に関しては法的な義務づけという形で排出削減を求めたという点で非常に高い評価ができると思うのですが、一方で、我が国の中においては、残念ながら、不公平感といいますか、どうも釈然としないなという気持ちが底流に流れているような部分も見受けられるかと思います。

 例えば、京都議定書の数値目標は、EUは基準年の設定というのが有利に働いておりますし、ロシアは枠が余っている、あるいはアメリカはもうやめてしまった、中国やインドはそもそも適用されないわけでございまして、結局、温暖化対策で今困難な状況に陥っているのは日本とカナダぐらいというような状況になっています。

 そうしたことを踏まえますと、これまでオイルショックなんかの経験もあって日本としては省エネの技術を一生懸命やってきたにもかかわらず、この段階においてどうして苦しむ必要があるのか、そうした声も聞かれるところでありますが、こうしたことがないように次の温暖化交渉はしっかりやっていかないといけない。

 この温暖化交渉ですが、これはあくまで、人類の命運を決める、先ほど小野先生からいろいろ哲学的、文明史的なお話がありましたが、まさにそうした観点も十分含まれているわけでございます。こうした中で、日本が先ほど申しましたような不平等感を抱えながらやるのではなくて、今までのそうした感情を克服してそれをむしろ前向きなエネルギーへと転換していくことが必要だと思いますし、そのためには、日本が枠組みづくりというものに積極的に関与していく、リードをしていく、そういう姿勢が必要ではないかというふうに考えているところであります。

 まずきょうお伺いをしたいのは、このいわゆるポスト京都の交渉に当たりましては、我が国としての原則というものを明確にしていくことが必要だと思っています。そういった意味で、福田総理がダボス会議でお話しされました三つの原則というのは非常に高く評価されるところでございますが、私は、さらにこれから国際交渉を進める上で、どうしても我が国の国益というものをもう一度確認していくことが必要だろうと思っています。どうしても守らなければいけない国益がある、私はそういうふうに思っているのですが、そうしたものについて大臣としてどのようにお考えでしょうか。

 例えば、私としては、これは大企業だけではなくて中小のまちづくりの現場も含めてですが、製造業が日本の経済の成長の源泉になっているのは間違いありませんし、もしこれが衰退していくようなことがあれば世界全体の温暖化対策に技術開発等でマイナスになることも考えられるわけでございます。この点につきまして、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

鴨下国務大臣 今先生おっしゃったことは私はほとんど同意するわけでありますけれども、我が国がポスト京都の次期枠組みの三原則として挙げている一つは、省エネなどの技術を生かし、環境保全と経済発展とを両立すること、これが我が国のすぐれた省エネ技術等をますます発展させていく、こういうようなイノベーションにつながるというふうに考えております。

 また、ダボス会議で福田総理は、我が国は国別総量目標を掲げて取り組むことを表明されたわけでありますけれども、目標設定に当たっては削減負担の公平さの確保が必要だということで、今おっしゃったように、例えば製造業、あるいは過去のオイルショック等で省エネ技術を磨き上げてきたものが損なわれてはいけないわけでありますから、そういう趣旨においては、私たちはしっかりと国益を守っていかなければいけないんだろうというふうに思っています。

 加えて、今先生もおっしゃいましたけれども、京都議定書が日本にとってなかなかつらいことではないかというような御指摘もありますけれども、私も、そういう趣旨においては、京都議定書は、すべての排出国が参加をするという意味では従前のものではないわけでありますから、ポスト京都においては、むしろ、日本が京都議定書を批准したような努力をすべての国にしていただくような方向になっていくべきだと私は思います。すべての国といっても、途上国は途上国なりに、それから新興工業国は工業国なりにの努力でありますけれども。

 そういうことをしっかりと日本が訴えて、最終的に日本の提案しているようなルールに合致するような枠組みをつくれるかどうかということについて、今我々は水面下でも努力をしているわけでありますけれども、先生がおっしゃっているように、国益を損ねない、しかし究極の目的は、人類すべてが気候変動あるいは地球温暖化によるさまざまな弊害にさらされないようにしっかりと地球温暖化を防止していく、この両方に資するような方向性をしっかりと我々としては目指してまいりたいと思っております。

上野委員 ありがとうございます。

 今大臣がおっしゃられたとおりだと思いますが、日本の提案しているルールに基づくような枠組みをぜひつくっていくことが必要だというふうに私も思います。

 その中で、国際交渉は、道徳的、文明的な意味ももちろんあるわけでございますが、国益と国益のぶつかり合いという面も非常に強いわけでございまして、自信を持って国際交渉の場で日本の国益を主張していく姿勢も必要だと思います。

 国際交渉を進めるに当たって、今し方大臣も少しおっしゃいましたが、私は、日本の持つ強みというものをもう一度再確認していく必要があるだろうというふうに思っておりまして、それを武器としてこれから交渉を進めていくことが必要かと思っています。

 例えば、これは産業界のデータになりますが、セクターごとに見た省エネ技術につきましても、日本は相当な分野で世界のトップを走っているわけでございます。例えば、鉄一トンをつくるのに必要なエネルギー指数は、日本一〇〇に対してEUは一一〇、アメリカは一二〇、セメントや銅あるいは石油製品についても同じであります。こうした日本の高い技術というものをどういうふうにこれから交渉に生かしていくのかということが必要ではないかと思っています。

 そういう中で、今、総量目標の設定の話がいろいろな点でございますが、私は、これは福田総理の提案とも同じだと思うんですが、設定自体を安易に進めるのではなくて、やはり現在の各国のエネルギー効率の達成状況を十分に反映したものでなければ総量目標の設定というのも十分ではないのではないかというふうに思います。公平性を欠くのではないかというふうに思っています。

 福田総理の提案にありましたセクター別アプローチの提案、私はこれは非常に合理的なものだと思いますし、日本の実力というものを正当にはかる上でも重要なものだと思っておりますが、これにつきまして、現在のところ各国ではどういった受けとめ方をされているのでしょうか。そして、洞爺湖サミットにおいて、このことも含めまして、ポスト京都に関しましてはどういった成果を獲得しようと考えていらっしゃるでしょうか。

鴨下国務大臣 我が国が提案しているセクター別の取り組みにつきましては、これは先週バンコクで開催されました次期枠組み交渉特別作業部会、条約AWGと言っていますが、そこにおきましても、公平な目標設定のために有効な手段であること、国別総量目標をある意味で丸ごと代替するものではないこと、さらには、先進国と途上国に一律の基準を当てはめるものではないこと、こういうようなことを前提にした上でこのセクター別アプローチをしっかりと理解をしていただきたいというふうに今考えています。

 ですから、今議員がおっしゃったように、私も、これから国別の総量目標を設定していく上でも、セクター別の積み上げという科学的な根拠に基づいたある意味でのベンチマークというようなものを一つのよりどころにしっかりとした積み上げをしていくことが必要なんだろうと思っていまして、これを世界の普遍的なルールにできないかどうか、こういうことで我々は今最善の努力をしているところでございます。

上野委員 ありがとうございます。

 今お話がございましたとおりでございますが、しっかりとした積み上げ型というのは我が国にとっても非常に望ましいものだろうと思いますし、これをぜひルール化していただきたいというふうに思います。

 言うまでもありませんが、国際交渉におきましては、ルールをつくる立場に立つというのは非常に重要でございます。WTOやいろいろな会計基準もさまざまな国際交渉の中ででき上がっているわけですが、ルールに従う側に立つよりは、ルールをつくる側に立つということがどれだけその後の展開が有利になるか、スムーズになるかということは言うまでもないというふうに思いますので、そうした意識をぜひ強く持っていただきたいというふうに思います。

 今お話がありましたセクター別アプローチにつきまして、少しお伺いをしたいと思います。

 これは、原単位のベンチマークをはかっていくという作業がこれから必要になってくるだろうと思いますが、これはどういったところで今検討が進められているのか。日本としても相当イニシアチブをとって検討を進めていくことが必要だろうと思います、研究していくことが必要だと思いますので、その点につきましてお伺いをしたいと思います。

南川政府参考人 セクター別の取り組みについての現状でございます。

 私どもとしましても、セクター別の取り組みを進めていく上で、ぜひ日本として国際機関などと協力をしてリーダーシップをとっていきたい、それが次期枠組みをより公平で効率的なものにするために必要だろうと思っております。ぜひ共通指標というものの策定を進めていきたいと思います。

 これにつきまして、IEA、国際エネルギー機関においてセクター別のエネルギー効率指標あるいは改善ポテンシャルといったことにつきまして分析が行われているところでございます。

 それから、APP、アジア太平洋パートナーシップでございますけれども、アメリカ、中国、インド、韓国、豪州、日本、そして今回新たにカナダが加わりました。こういった中で、具体的な業種、例えば鉄、セメント、電力など八業種でございますけれども、そういった分野での具体的な共通原単位の作成、共通の技術の指摘といったことを行っておりますし、その中で日本は非常に具体的な成果を上げていると考えておるところでございます。

 元来、このセクター別アプローチと申しますのは、目標設定において、京都議定書にある種の意義を認めながらも、非常に不公平感を持っている国は多うございます。端的に言うと、ニュージーランドがまずこれを言い出しました。ニュージーランド自身は牛のげっぷとかそういったものが実は多うございまして、中身を見て目標を決めてもらわないと達成できないということで、いわゆる原単位の下げようがない分野が多いわけでございまして、やはりその実態を見て中を分析して目標を決めるべきだということをもともと強く言っておりました。そういったことが流れにありまして、IEAとかAPPの作業になっていると思っております。

 私ども、ぜひ、こういった中で主体的に参加いたしまして、共通目標の指標が進むように努力をしていきたいと考えております。

上野委員 ありがとうございます。

 さまざまな国際機関で今そういった研究が進んでいるということでございますが、特にAPPという枠組みについては、アメリカあるいは韓国、中国などポスト京都の議論の中でも非常に重要な国が参加をしているわけでございまして、このAPPでの議論の成果というものをきちんと気候変動枠組み条約の中に盛り込む、持ち込むというような努力が必要ではないかというふうに思っております。今、日本としても頑張っているというお話でございましたが、このAPPでの議論というものをまさにリードできるような、そうした役割をぜひ環境省にはお願いしたいというふうに思っています。

 さらに、日本の強みということ、先ほど来話をさせていただきましたいろいろな技術の問題でございますが、では、その技術を使って日本がどういう貢献を世界に対してできるのかということにつきましてお伺いをしたいというふうに思います。

 国内対策としての国内の総量規制、つくったルールに沿ってこれをしっかりと守っていくということは必要でございます。それにプラスをして、やはり日本のすぐれた省エネ技術等につきましては、世界全体の温暖化にも非常に大きな削減効果がある、大きな効果があるんだという立場を明確に持つ必要があるのではないかというふうに思っています。

 この日本のすぐれた高い技術を今後世界の温暖化対策により具体的に使っていく、その結果として、具体的な目標を日本が宣言してもいいのではないかというふうに思っています。例えば、これから数十年の間に世界全体のCO2削減量の何%を日本の技術がカバーしますというぐらいの目標を提案してもいいのではないかというふうに思っておりますが、こうした点についてはいかがお考えでしょうか。

南川政府参考人 御指摘のとおりだと思います。

 私ども、次期枠組みを考えますときに、世界の温暖化対策を進めていく上で、やはり日本の技術、日本だけじゃございませんけれども、いかに先進国の技術が新興国あるいは途上国に取り入れられていくか、また、先進国におきましても、技術移転が進んでおくれた地域の対策が進むということが大事だと思います。

 福田総理はダボスでクールアース推進構想を発表されましたけれども、その中でも、すぐれた技術を多くの国に移転していくということで、具体的な省エネ目標等についても提唱されておるところでございます。また、その数字等につきましては、今後の交渉の流れなんかを見ながら、私どもとして検討させていただきたいと思います。

 ただ、いずれにしましても、委員御指摘のとおり、ポスト京都を考えますときに、バリ会議でも議論がございましたように、いかにして先進国の技術を途上国に円滑に移転していくか。また、当然ながら、先進国の企業も大変な努力をして技術をつくり出しているわけでございます。したがって、先進国の企業の努力が報われて、なおかつそれが世界全体の削減につながるような、ぜひそういった仕組みを次期枠組みの中につくっていきたい、またそういったインセンティブも入れていきたいと考えているところでございます。

上野委員 やはり国際交渉ですので、日本としてどれだけの貢献ができるかということを世界に対して数値目標で示すということは非常に重要なことだと思います。それは、自国の問題だけではなくて、世界全体にどれだけの貢献ができるかということを宣言することによって、国際交渉上も一つ有利な立場に立つのではないかというふうに考えます。

 今局長の方から御説明ございましたけれども、途上国への技術の移転あるいは供与を進めることによって、その成果を今度は国内対策のクレジットの一部に利用するというようなことも考えられるのではないかというふうに思います。

 ポスト京都におきましてもいろいろなメカニズムがこれから考えられていくだろうと思いますが、京都議定書のさまざまなメカニズムと同じように、ポスト京都のメカニズムの一つに海外への技術供与や技術移転が組み込まれるような新しい仕組みを考えるべきではないかと思います。

 これについてのお考えをお伺いいたしますとともに、今、中国やインドは非常に省エネの技術に対する関心が高いというふうに思っています。そうした部分で、先ほどAPPという話がございましたが、きちんとその二カ国も入っているわけでございますので、その枠組みをうまく使いながら中国やインドを交渉のテーブルに着かせるということを考えていくことも必要ではないかと思いますが、これにつきましてはどのようなお考えでしょうか。

南川政府参考人 御指摘のとおり、ポスト京都の中で、現在、CDMということで京都メカニズムがございますが、これをいかにより意味のあるものにしていくかということが大事だと思います。

 現在のCDM、先進国からも、また途上国の多くからも不満がございます。

 途上国からは、たくさんCO2を出している国がそれを減らすためにCDMがあるものですから、結局そのCDMの大部分が中国とかインドに行ってしまうということで、ほとんどの国がその恩恵にあずかれないということが実はございます。

 また、逆に先進国からいたしますと、実際に途上国に技術が移転できて、なおかつそれが途上国の削減につながる、しかも、その値段にふさわしい努力がなされる、設備投資がなされるということであればいいんですけれども、物によりましては別途のCO2の国際相場もございますので、そういう観点から仕入れの値段が決まってくる。そうすると、努力に要する費用と実際の売買の費用が違うということもございます。そういった意味で、次期枠組みにおいては、ぜひそういった企業の努力が報われるようなCDMにしていく必要があると思っております。

 それから、中国、インドにつきましては、特に中国でございますが、例えばきのう大臣も中国へ行かれましたけれども、やはり公害問題で大変困っております。実はCO2の前に大気汚染、水質汚濁で大変困っておりまして、そういった問題について日本がさまざまな技術協力を行う中で、それがCO2対策にもあわせてきくという対策がたくさんございます。具体的にそういったことを中国を初め将来インドにも進めながら、彼らが努力をすることが公害対策になるし、CO2対策になるんだということを少しずつわかってもらうようにしたいと考えているところで、そういったことも含めながら以後の対策を考えていきたいと思います。

上野委員 ぜひそうした方向でお願いをしたいと思います。

 途上国への技術供与だけではなくて、途上国の新しい法制度自体についても、日本が協力をしてつくるということが一つ考えられるのではないかというふうに思います。

 中国では、重量車の排気ガス規制については日本より高い基準をつくっているということでございますが、これについては、アメリカだったかと思いますが、NPOやNGOが協力をしてそういう制度ができたということを聞いたことがあります。単にその技術を使ってもらう、広めるだけではなくて、そういった制度自体をつくってもらえるような応援、支援を日本がやっていくということも考えられると思いますので、その点もあわせて検討していただきたいなというふうに思います。

 それでは、次の質問に入ります。

 温暖化対策だけではございませんが、五月にはG8の環境大臣会合が開催される予定でございます。これにつきましては、温暖化対策だけではなくてスリーR等についても議論が進められるというふうにお伺いをしております。

 スリーRの分野、これは日本が提案をして、今世界で最も進んでいるというふうに思っておりますが、こうした環境への取り組みについて、これを温暖化交渉と統合して、温暖化交渉の中でも一つの有利な材料として使っていくということは考えられるのでしょうか。

桜井副大臣 今、上野先生のお話のように、五月に行われるG8環境大臣会合において、気候変動問題のほかには、スリーRあるいは生物多様性を議題とすることとしておるわけであります。

 その際には、廃棄物管理と温暖化対策のコベネフィットについても議論することとしております。コベネフィットとは、一つの対策で二つ以上の利便が得られるということであります。例えば、スリーRを進めることによって最終処分場を少なくすることが可能となるわけであります。結果として、最終処分場からのメタンが削減され、温暖化対策にもなるということが事例として挙げられているところでございます。

 このような温暖化対策以外の利便も同時に得られるような取り組みは、資金や人的資源が不足するとともに、必ずしも温暖化対策のプライオリティーが高くない途上国にとって、特に有益なものであると考えておるわけであります。我が国はこのようなコベネフィットアプローチを促進しており、中国やインドネシアとも昨年共同文書を結んだところでございます。

 中国などの途上国の次期枠組みへの参加を促すために、このような取り組みを最大限生かしてまいりたいと思うわけでございます。

上野委員 ありがとうございます。

 今のコベネフィットアプローチは各国からも非常に好感を持って受けとめられているという話を聞いたことがございますので、ぜひそうしたこともポスト京都の枠組みの中でしっかりと議論されるような統合的な対応をぜひお願いしたいというふうに思います。

 それでは次に、排出権取引につきましてお伺いをしたいと思います。

 排出権取引につきましては、今、環境省あるいは経済産業省の中でそれぞれ検討会が設けられまして、精力的な検討が進んでいることだというふうに思います。あるいは、私どもの党におきましても、推進本部の中でそうした議論が現在進められているところでございます。

 現在、排出権取引につきまして、EUが、第一フェーズ、NAP1というんでしょうか、その中でいろいろな取り組みをやっておりますが、それ以外の国、例えばアメリカでも新しい法律が上院の環境委員会を通過したというような報道もございました。

 まず、各国の取り組み状況につきまして御説明をお願いしたいと思います。

南川政府参考人 EUにおきましては、二〇〇五年からこのキャップ・アンド・トレードのシステムを入れております。そして、二〇〇八年からは第二フェーズということで、具体的な減少策でより厳しいキャップを各事業に当てはめるということでその対策が進められております。もちろんトラブルも多うございまして、EU内で訴訟も大変ふえているというふうに聞いております。

 それからまた、アメリカでございますが、現在、二十三の州で州レベルでキャップ・アンド・トレードの制度をつくるということになっております。単なる構想ではございませんで、例えば東部五州におきましては、具体的なキャップを決めるときにオークションによることにしておりまして、そのオークションを九月にも行うということでございまして、かなり具体的な動きになってきているところでございます。

 それから、カナダ、オーストラリアにつきましては、導入を行うということが政府から既に発表になっておるというのが現状でございます。

 アメリカにつきましては、委員御指摘のとおり、民主党、共和党の代表から提案がされまして、環境公共事業委員会を通っているというのが現状でございます。

上野委員 世界各国でさまざまな動きが最近活発化しているようでございます。

 我が国でもいろいろな意見があって、今のところその方向性がまだ明らかでないわけでございますが、私は、一つ最近よく言われるのは、乗りおくれ論ということが言われるかと思います。日本だけが取り残されるということでございます。

 これは、そうした考え方もあろうかと思いますけれども、やはり今行われているEUでの試験的な取り組みの成果あるいは不成果というものをしっかり分析する、あるいはアメリカで今導入の動きが急速に広がっているということであれば、より現実的な理由というかその背景というか、そうしたものをしっかりと分析する、そうしたことをまずやらなければいけないと思っています。

 その上で、日本にとってどういったメリット、デメリットがあるのか、それを分析していくことが必要かと思いますが、この点、現在のところ環境省としてどのような分析を行っていらっしゃいますでしょうか。

南川政府参考人 一点目は、まず海外の分析でございます。

 海外におきましては、EUが主導権をとっておりますけれども、アメリカの州と連絡をとりまして、ICAPという世界共通のキャップ・アンド・トレードについてのルールをつくろうという動きが別途ございますので、これについては、私どももオブザーバーでございますけれども担当官を派遣しまして、動きは逐次把握しておるところでございます。

 当然ながら、海外の動きについては、より詳しい情報を常に把握してまいりたいと思いますし、また、それを社会にも公表していきたいと思うところでございます。

 国内でございますけれども、国内のあり方につきましては、抽象論を言っていても、門の外で入るのか入らないのかということをやっても意味がないと思っておりまして、やはり私どもとしましては、バーチャルではあっても家を六軒とか七軒建ててみて、おのおのについて、これに入ればどういうメリットとデメリットがあるかということをわかりやすく示したいということでございます。

 したがいまして、東証関係の方とか銀行の方、個別企業の方にも入っていただきまして検討会をつくっておりますけれども、その中で、その六つ、七つの構想についてどういうタイプがあって、それぞれどういう意味とプラスマイナスがあるのかということをぜひ広範に議論してもらいたいと思いますし、それを社会に公表いたしまして、世の中にどういうふうに御理解いただくかを定めていきたいということでございます。とにかく情報を全部出したいと思っております。

上野委員 ありがとうございます。

 今、情報を出したいということでございまして、そうした試みは非常に公平でわかりやすいと思います。例えば、今の産業界の自主行動計画をベースにしてキャップ・アンド・トレードをした場合にどうなるかというようなことも検討を進めるべきかというふうに思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 時間が来ましたので終わらせていただきますが、国際交渉におきましては、今後とも、しっかりと国益を確認し、日本の強みというものを武器にしてしっかりとした成果を上げていただけるようにお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

小島委員長 次に、近藤昭一君。

近藤(昭)委員 民主党の近藤昭一でございます。

 今回は、同僚議員また委員会の御理解をいただきまして、久しぶりにこの環境委員会で質問という機会を与えていただきました。まず感謝を申し上げたいというふうに思います。

 この地球温暖化の問題、京都議定書、京都会議というのがあったわけであります。一九九七年、私も初当選をさせていただいておりましたが、当時からこの問題に大変関心を持って、先ほど小野委員も、やはりこれから生き方が変わっていくんだと。もちろん、生活をしていく上で経済発展も必要であります。しかしながら、美しい環境は、心の部分だけではなくて、温暖化の問題、あるいはきれいな空気、水の問題、そういった人間が生きていく上にも絶対的に必要なものだと思います。

 そういう中で、環境が大事か、あるいは経済発展が大事か、それぞれ考え方が違う。しかし、社会全体としては、やはり持続できる社会をつくるためにバランスをとっていかなくちゃいけない。ただ、今の現状で申し上げますと、ゴア元米国副大統領がつくった映画も大変に世界で多くの人が関心を持って、現状に目を向けざるを得なくなった、こういう状況だと思います。

 そういう意味では、もちろん全体的に最終的なバランスをとるにしても、今は、こうした環境対策、温暖化ガスを削減していくことにより力を入れていかなくちゃいけない、そうでないと本当に取り返しがつかない、こういう場面に来ているんだというふうに思うんです。

 そういう意味では、もちろん政府におかれましても御努力をされているわけでありますが、我が党も昨年の五月には脱地球温暖化戦略を発表し、「中期的には二〇二〇年までに一九九〇年比二〇%、」ただこれは、先般のIPCCの会議に基づきますとより厳しいものにしなくてはならないのではないかと党内でも再検討しているところでありますが、二〇%。また、「長期的には二〇五〇年よりも早い時期に五〇%の温室効果ガス排出量の削減を目標とする。」こういうふうに表明しているところであります。

 また、先ほどから議論にもなっておりますが、キャップ・アンド・トレード型の国内排出権取引市場を三年以内に創設するんだ、風力や太陽光、バイオマスなどの再生可能エネルギーの割合を二〇二〇年までに一〇%、現状は一%以下でありまして、私もかつて環境委員会で、再生可能エネルギーの目標が低過ぎるのではないか、こんな質問もさせていただいたことを記憶しているわけでありますけれども、一〇%にすることを目指して、地球温暖化対策税、環境税の導入も検討すべしということを表明しているわけであります。

 そこで、まず鴨下大臣にお聞きをしたいというふうに思います。温室効果ガスの削減の目標値についてであります。

 先般、三月二十五日の参議院の方の環境委員会でも、我が党の議員の質問に対して大臣も答えておられるわけでありますが、IPCCのシナリオに基づいた場合、先進国がグループとして削減する幅を二〇二〇年までに一九九〇年比で二五%から四〇%の範囲で削減することが必要である、こういうことを認識すると述べておられます。

 そこで、政府としては温室効果ガスの中長期的な排出削減目標をどのように設定しておられるのか、このことについてまず確認をさせていただきたいと思います。

鴨下国務大臣 我が国は、クールアース推進構想に基づきまして、今後十年から二十年の間に世界全体の排出量をピークアウトさせるということを福田総理がダボス会議でも申し上げました。また、二〇五〇年までに世界全体の温室効果ガスを半減させるということを世界に呼びかけました。これは、ハイリゲンダムで安倍前総理がクールアース50ということで呼びかけたわけでございます。

 こういう中で、中長期目標の設定に当たりましては、これはすべての、特に主要排出国の参加を念頭に、世界全体の排出量のピークアウトと各国間の公平感というものが同時に達成できますように目標を設定する、こういうことを各国際会議でも申し上げているところでございます。

 こういう中で、具体的には、先ほども議論になりましたが、例えばセクター別にどういうふうに積み上げていくか、さらには、主要排出国の中でも中国、インドを初めいわゆるG5と言われているような国が参画してくれるような枠組みにならないと意味がないわけでありますから、こういうような趣旨において、それでは、日本がどの時点で何%というようなことを言うべきなのか、いつ言うべきなのかということについては、多少国際交渉の進展の状況を見ながら考えないといけないというふうに思っています。

 ただ、今先生おっしゃったように、最終的には究極の目的を達成しなければいけません。そうすると、世界全体で二〇五〇年に五〇%ですけれども、先進国はより積極的に削減しなければいけないわけでありますし、加えて、私たちが二〇一二年までにはこの京都議定書の約束を果たすという趣旨においては、多分、マイナス六%を発射台に二〇五〇年の五〇%以上の削減ということになると、これを線で結びますと、ある意味で二〇二〇年ごろの中期目標というのはおのずと類推できる、こういうことであろうと思っております。

 ただ、具体的な数字をいつのタイミングで申し上げるべきかというのは、これは国際交渉の進捗状況を見ながら慎重に戦略的にやるべきだというふうに考えております。

近藤(昭)委員 大臣、ありがとうございます。

 関連して二点ちょっと確認をさせていただきたいというふうに思います。

 一点は、今大臣がおっしゃった、京都議定書の目標がことしから始まるわけでありますが、九〇年に比べて六%削減をもとにしてということでよろしいか、あくまで日本は京都議定書を踏まえてということでいいかということの確認が一点。

 それと、全世界で地球温暖化ガスを減らしていく、その目標に向かって世界が協調していく、また、福田総理もおっしゃっている共鳴、環境外交でも共鳴をしてやっていくんだ、確かにこのことはよくわかるわけでありますが、ただ、それぞれ公平性を担保して、多くの国がきちっと参加できるということが必要だ。だからこそ、現実を踏まえた上での目標を立てていくということだと思うんです。

 ただ、そうしますと、いろいろそれぞれの国から出てくる。それで積み上げていって、しかしながら、先ほど申し上げたIPCCの言っていることも二五から四〇と大分幅があるわけでありますけれども、そういった現実を踏まえた上での各国の目標を積み上げていったときに、それでうまく足りるのかなと。それぞれの国が、いや、うちはこうだ、まあこれが現実だといったときに、余りにも低い数字だった場合にはどういうふうにして日本として世界でリーダーシップを発揮されていくお考えなのか。

 今の二点をちょっと確認したいと思います。

鴨下国務大臣 京都議定書での六%削減は国際約束ですから、この四月から始まった第一約束期間の間に必ず実現しなければいけないと思います。

 そのためには、既に京都議定書の目標達成計画の改定をさせていただきました。その中で、産業界も自主行動計画をさらに深掘りしてくださるということでありますし、業務部門、あるいはこれから国民生活全体でいろいろな意味で協力をして全力でやっていかなければいけないわけですけれども、それでもうまくいかない場合にはどうするんだと。これについては、進捗管理を厳格にして、次なる手を打てる準備をしっかりと今我々はしていかなければ、場合によってかけ声倒れになってしまったら大変なことになるわけであります。

 加えて、ポスト京都に向けて私たちはどういうような対応をするべきかについては、私たちの目標はありますけれども、それぞれの国益が激しくぶつかります。バリでの会合、本当に最後の最後までまとまるかどうかというようなこともあったものですから、それぞれの思惑、特に発展途上国あるいは新興工業国にとってみると、先進国はもう既に排出して豊かになったのに、何で自分たちだけはそういうような意味で制限を受けなければいけないんだというところが底流にございますので、そのことを踏まえつつ新たな枠組みをつくっていく、これは並大抵のことじゃありません。

 あらゆる手を打って、日本は日本として、先ほどからの議論にあるように、過去に蓄積した省エネ技術、あるいは公害等を乗り越えてきた経験、さらには伝統的にある自然との共生のライフスタイル、こういうようなものを訴えつつリーダーシップをとっていきたいというふうに思っております。

近藤(昭)委員 我が国の目標をまずクリアすることが世界に向かって協調していこうということのもとになるわけでありますから、そこはしっかりやっていただきたいというふうに思うんです。

 ただ、これからの質問に関連してくるんですが、その目標とは反対の方向で、今、一九九〇年に比べて排出ガスがふえているという状況で大丈夫なんだろうかと危惧するわけであります。そしてまた、今大臣もおっしゃったように、これからどこで中長期的な日本の排出削減目標を発表するかは様子を見ながらというお答えだったんですが、しかしながら、洞爺湖サミットがある、その洞爺湖サミットが来年のCOP15につながっていく重要な会議になってくる。

 そういうことで考えますと、残念ながら今のところ目標の反対の方向にふえてしまっているけれども、日本は日本の目標をこうしてクリアしていくんだ、日本はこうしていく、だから世界もこうしようというふうに中長期的な目標をきっちりと言うべきだと私は思うんですが、いかがでありましょうか。

鴨下国務大臣 一つの考え方としてはそういうようなことだろうと思います。

 ただ、日本は、今回は特にG8サミットにおいては議長国ですから、その議長国として、自分たちだけの目標を掲げて他の国がついてこられないような状況があれば、これは困った話になります。

 ですから、全体のいわば瀬踏みといいますか、各国が考えていることをうまく調整するというようなことも一つの役割として我々は持っているわけでありまして、枠を崩さない、しかし自分たちの目標は高目に掲げる、こういう二つの命題をしっかりと実現していくというのは容易なことじゃありませんけれども、ぜひそういうような立場に立って、この環境問題については、G8の環境大臣会合あるいはその後のサミットに向けて、我々としては努力をしていきたいというふうに思います。

近藤(昭)委員 いろいろなリーダーシップの発揮の仕方があるというのはわかるのでありますけれども、やはりこの問題に関しては、まとめるところが自分たちはこうやっていくんだということが必要だと私は思います。

 それと、もう一点。

 そうしますと、今の大臣のお言葉を聞いていると、日本の目標は非常に高いものが設定できる、みんながついてこられないと困るかもしれないということは、日本としては高い目標をもう既に想定しているということでしょうか。

鴨下国務大臣 これは、これから国内的な合意をとらないといけないということはございます。ですから、それぞれ、多分この環境委員会の先生方の意見の中にも、そういう国別総量目標、一概に高い目標を掲げるべきでないというふうなお考えの方もいらっしゃるし、いや、そういうものを掲げてしっかりとそれに向けて最善の努力をするべきだというふうにお話しになる方もいらっしゃるわけです。この委員会の中でもそれぞれの意見があるように、産業界あるいは環境を非常に重んずる方々、それぞれ意見がございますので、私たち環境省の立場としては、今申し上げましたように、高い目標を掲げてしっかりと取り組んでいけるような体制をつくるために全力を尽くしてまいりたいというふうに思います。

近藤(昭)委員 大臣としては、とにかく環境省としては高い目標を掲げてやっていくということであります。

 そこは、ぜひその決意のもと頑張っていただきたいという思いと、もう一方で、ちょっと先ほどの繰り返しになってしまうわけでありますけれども、洞爺湖サミットで、それぞれの意見も聞きながら、目標を達成できる中で話し合いをまとめていくんだというのはわかりました。ただ一方で、その前に日本国内でもまとめなきゃいけないというのでは少々心配になるわけであります。

 ですから、今回の法改正も、目標は環境省が目指しているところなんだとは思いますが、これは果たして政府全体としてちゃんとなるのかなという危惧を物すごく感じざるを得ないような法改正だと私は思うんですね。もちろん前には進んでいかなくちゃいけないけれども、目標があるわけでありますから、さっき申し上げたように、IPCCの掲げるところでも二五パーから四〇パーというふうに幅がある。でも、少なくとも最低ラインでは二五パーでありますし、私ども民主党が昨年発表したところでは二〇パーだったのであります。

 しかしながら、さっき御紹介をしたゴアさんが監修した映画でも、現実はもっともっと進んでいるから、もっと厳しく高い目標を掲げてやらなくちゃいけないという、現実が進んでいるんだと思うんですね。そういうことでいうと、国内をまとめて、それから国際社会にも発信していくということは、大変に危惧をするんです。

 そこで、例えば将来的に、こうやって日本も国内でまとめられるところでまとめてきた、そして国際社会でもまとめられるところでまとまった、しかし最終的に目標が達成できなかった。これはどういうふうにして責任をとっていくお考えなのか。

 国際社会での責任というのはなかなかすぐ御答弁ができないのかもしれませんが、では、来年のCOP15に向けて、今、洞爺湖サミットも大きなステップとなる中で、そういった過程で、日本としての責任、あるいは少なくとも国内における京都議定書の目標も達成するんだということを今大臣おっしゃったわけですから、そういったことが達成できなかったときはどうされるというふうに考えておられるのか。

鴨下国務大臣 再三申し上げていますけれども、京都議定書の国際約束は、必ず日本として達成しなければいけないと思います。

 それぞれの御意見はあります。京都議定書そのものが十全のものではないというようなことも含めて、いろいろ、国際的に不平等だ、こういうようなお考えもありますけれども、私は、これからのポスト京都に向けても、しっかりとマイナス六%を達成するということが、日本の発言力を増し、加えて、国内のさまざまな国民の皆さんの意識も、あるいは産業界のイノベーションも含めて飛躍的に前に進めることになるんだろうというふうに思っております。

 そのために、今回もこうして温対法の御審議をいただいているわけでありますし、目達計画を改定させていただきました。その中には規制的な手法あるいは経済的な手法が十分でないじゃないかというような御批判もありますけれども、これについては、今の段階では、このプロセスをきちんと実現していけば達成できるということで計画を立てているわけであります。

 ただ、何度も申し上げていますけれども、計画については適宜適切に進捗状況の管理、点検というようなことをやって、場合によっては機動的に新たな手法を入れていく、こういうようなことで、準備はできるだけ早くしておきたいというふうに思っております。そういうことをきちんとしていくことが、日本の国内での問題でありますけれども、国際的な責任でもありますし、環境省としての責任だろうというふうに思います。

近藤(昭)委員 これはここまでにしておきますけれども、きちっと目標をクリアするために日本が覚悟を示していくということがやはり非常に重要だと思います。それは覚悟だけではなくて、やはり実質的に、今大臣はきちっとチェックをしながらということをおっしゃったわけでありますから、そのことをきちっとお進めいただきたい。

 また、今回、それぞれ国内でもそういう議論をしているということでありますけれども、洞爺湖サミットがすぐ近いわけですし、来年のCOP15もすぐ近いわけでありますから、今回の法改正の中で、経済的な規制とか、ああ、日本は目標を掲げているだけではなくてこういう方法で具体的に進めていくんだというのがもっと見えるべきだったというふうに私は思うんですね。そういう意味では、先ほどいみじくも、環境省としては高い目標を掲げてやっていくんだということをおっしゃった。

 それで、キャップ・アンド・トレード方式についてお伺いをしたいというふうに思います。

 中央環境審議会と経済産業省の産業構造審議会が合同でやっていらっしゃる。そして、これからいろいろなディスクロージャーをしながら、どういう議論があるかということを公開しながらやっていくという先ほどの御答弁もありましたが、環境省また経済産業省、それぞれどういうふうにお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。

鴨下国務大臣 経済手法の中で、キャップ・アンド・トレードは極めて有力な方法論だというふうに私は考えています。

 その中で、特に国内での排出量取引制度というものを位置づけるということは、炭素に価格をつけるというような意味において、さまざまなイノベーションを進めていく上で最有力な方法論の一つだというふうに私は考えています。

 ですから、具体的には、環境省は二〇〇五年から自主参加型の国内制度を実施しています。そして、知見、経験というものを今蓄積しつつあります。そしてさらに、今回、さまざまなところで国内の排出量取引制度について勉強会が始まりました。環境省では、今まで自主参加型ということで知見を蓄積してきたわけですけれども、この自主参加型をとりまして、排出量取引制度についての勉強会をまた新たに少し増強して進め始めたところであります。

 そういう趣旨で、例えば具体的に申し上げますと、排出枠の割り当て方法や対象業種、あるいは国際競争下にある業種への配慮、それから我が国の実情に合った排出量取引制度のいわば具体的な制度設計まできちんと考える、こういうようなことを、今、それぞれの専門家に集まっていただいて勉強会を始めたところでありますけれども、スピードアップしてやってまいりたいというふうに思います。

 ただ、最終的には産業界あるいは国民の合意もいただかないといけないわけで、まだ二つぐらいハードルを越えないと実現はできないのかな、こういうふうに今考えています。

伊藤(元)政府参考人 国内排出量取引制度につきましては、自国の排出量を直接規制できる一方、個々の企業への排出枠の割り当てが前提となるものでございまして、企業の海外流出を招くおそれがないか、その公平な実施が困難ではないか等の指摘があります。

 それから、国内排出量取引制度の検討に当たりましては、自主行動計画によって大きな削減効果が上がっていること等を十分踏まえることが重要と考えております。その上で、産業活動や国民経済に与える影響などの幅広い論点について総合的に検討していくことが必要と考えています。

 このため、経済産業省といたしましても、主として二〇一三年のポスト京都以降を念頭に置いて、同制度や環境税を含む経済的手法についての検討会を先月省内に設置したところでございます。

 今後とも、このような場を通じまして、個別具体的な制度設計や前提条件等、制度の詳細にまで掘り下げた検討を行った上で論点の整理をしてまいりたいと考えております。

近藤(昭)委員 ありがとうございました。

 これからそういった経済的手法も有効な方法だという御認識を持っていただいておられると。ただ、それの実施にはまだ二つほど、その二つのハードルというのは何かなというふうに思うわけでありますが、ハードルがあるという御答弁でありました。

 それで、伊藤大臣官房審議官にもお答えをいただいて、私は別に悪いと言っているわけではありませんが、日本の企業の流出を招くことになるかもしれない、そういったことも現実的にきちっと検証しながらということをまず最初におっしゃったわけです。そのことを否定するわけではありませんが、ただ、私は冒頭に申し上げましたように、環境も守っていかなくちゃいけない、その中で経済も守っていかなくちゃいけない。では、どうやって守るか。

 そういうことで、経済産業省にもう少しお伺いをしたいわけであります。

 こういう中では、やはり目標として、そういった排出ガスを減らしていくという中で、私は、この有効な方法を何とか実現するような方向でぜひ考えていただきたいというふうに思うんです。

 そういう意味では、先般新聞に出ておりましたが、トヨタ自動車を初め幾つかの大手の企業が集まって、中小企業の排出するガスを削減する、そういう技術的なことも援助をする、そしてそこから出てきた削減の枠を大きな企業が買い取ってみたいなことがありました。そういうことについていかがお考えでしょうか。

伊藤(元)政府参考人 先生最後に御指摘になった点は、いわゆる中小CDMというものだと思います。若干御説明をさせていただきます。

 これは、自主行動計画の実施を大前提とした中で、それを達成する際に、仮に、大企業において省エネの余地が非常に限られている、これ以上省エネを進める場合には逆に非常に大きなコストがかかるという場合には、中小企業に対して資金的な支援等をすることによって、すなわち、中小企業にはまだまだ省エネの余地があるわけですから、安いコストでCO2の排出量を削減するという余地があるのであれば、そうしたところに資金を提供していただいて、そこで上がってきた成果を自主行動計画の目標達成の内数として計算するという制度を導入してはどうかということを検討している次第でございます。

 これにつきましては、現在、制度の詳細について詰めの作業をしておりまして、今年度中できるだけ早いタイミングで、自主行動計画の達成を実現するという観点から早期導入に努めてまいりたいと考えております。

近藤(昭)委員 自主行動計画の中でやっているというお話だったと思うんですが、鴨下大臣もおっしゃった、また経済産業省の立場だと余計だと思うんですが、日本は、かつてオイルショックがあったときにも非常に技術開発をしたわけでありますから、きちっとキャップをかぶせてその中で努力をしていく、そしてそれは中小企業も大企業も協力をしていく。

 そしてまた、先ほどおっしゃったことで言うと、海外に出ていくということも、だからこそ世界で協調して、こっちだったら許されるよ、こっちだったらだめだ、こういうことじゃないわけですから、そこは、きちっと全地球で目標を達成するために日本がリーダーシップをとっていくという意味でも、頑張ってやっていただかなくてはならないと思うわけであります。

 それでは、次の質問に行きたいと思うんです。

 私の雑駁な所感で申しわけないんですが、かつてヨーロッパなんかに行ったりしたことがあります。まだ会社勤めをしておったころに仕事で行ったわけでありますけれども、朝、自分が仕事をしなくちゃいけない現場に行く。夕方、宿泊しているところに帰ってくる。そうすると、朝早く出ますから、お店は全部やっていないわけですね。帰るときには、ちょっと遅目に帰るともうどの店もあいていない。例えば、滞在している間の日用品を買おう、あるいは帰る前にせっかくだからお土産をどこかのお店で買おうと思っても、全然買えないわけであります。そのことのいい悪いは別として、ヨーロッパはそういう中で生活をしているんだなと。自分は旅行じゃなくて仕事で行っていたわけでありますが、でも、そういうものだと思えばまたそういうやり方をできる。あるいは、観光地であれば、最近は多分ヨーロッパでもまたちょっと違う店の開き方もしているんだと思います。

 ただ、それを見たときに、今思いますと、日本は少しやり過ぎではないかなと。もちろん便利なことはだれもがいいかもしれませんけれども、エネルギー効率とかを考えると、早朝から深夜、あるいは二十四時間も開いている必要があるんだろうか。

 あるいは、これは働き方にも関係してくると思うんです。いろいろな統計を申し上げるまでもなく、大臣もよく御理解していると思いますけれども、日本は本当に最低賃金が低い、なおかつ、低いだけじゃなくて働く時間も物すごく長い、こういうところであります。先ほど小野委員もおっしゃったみたいに、生活スタイルを変えていく。みんな変えつつあるんだけれども、しかしながら、一方で競争があるから、店もお互いが二十四時間、二十四時間。私が記憶している限りでも、十数年前は元旦に店をやっているところなんかまだまだ少なかったのに、今はもうやっていないとというような状況。

 大臣、大きくこのことについてはどうお考えでしょう。

鴨下国務大臣 私も、二十四時間営業をすべてのコンビニがやるというようなことについては、今委員おっしゃったように、単純に環境負荷ということだけでなくて、むしろワーク・ライフ・バランスの問題も含めていろいろな点から、どうしても深夜に働かなければいけない方、そういうようなごく限られた人たちのためには一部はそういうことも必要なんでしょうけれども、全般的にそういうことが、本当にただ便利だけを追求していいのかなということはかねてから疑問に思っておりましたので、今も、そういうようなことは環境省の中でももう一度検討して、言うべきことは言おうじゃないか、こういうことにしております。

 あともう一つ、私は医者の立場から言いますと、やはり人間というのは、夜寝て朝起きて、そういう日内リズムというのが体の中にあるものですから、そういうようなことを原則的に守らないといけないんだろうと思っておりまして、あらゆる観点からいって、二十四時間ずっと起き続けるというようなことが本当に人間の生活全体にかなうのか、地球温暖化にかなうのか、こういうようなことについては、今まさに再考するいい時期なんだろうというふうに考えます。

近藤(昭)委員 やはり考え直さなくちゃいけないという気がします。随分とここ十年、二十年、私の学生時代のころはまだコンビニなんというのはやっとでき始めたところでしたが、今は本当にコンビニだらけ。どんどん深夜の生活に移っていくということは、鴨下先生は医師でもいらっしゃって、そういった意味で、本当に人間のリズムが崩れて、そういうものがさまざまなところに影響を及ぼしていると思うんです。

 ヨーロッパがそういうふうになっているのはどういうところかなと。宗教的なものとか社会的な通念とか、いろいろなことがあると思うんです。ただ、日本だって、早く起きて夜早く寝ようというのが、どうしてこんなふうにライフスタイルが変わってきたのかなと。ですから、私は、先ほど小野先生もおっしゃった、日本人として、理念とか哲学という部分でもう一度生き方を見直す部分、ではそれは何が規範になるのかなというところはあると思います。

 そういう意味では、私は、もちろんそういった考え方を変えていくという努力、過程、一方で時間がなかなかないので、やはり規制をしていく必要はあると思うんですね。経済的な活動を規制するというのはなかなか難しいと思います。ただ、そういう意味では、今回の法改正で、大手のスーパーとか、いわゆるフランチャイズチェーンでいうと、全体で排出ガスをどれだけ出しているか報告する。報告だけというのはちょっと物足りないわけでありますが、ただ、そういう報告が出れば、フランチャイズの中でこれだけの排出ガスをやっているということが出てくれば、そういう意味では、全体として規制をかけることによって、おのずと、営業時間を短くせざるを得ないとか、そういう観点からできるんではないかなと思います。

 余り時間がなくなってまいりましたので、簡単に触れて、少しお考えを聞かせていただきたいんです。

 先般、私どもの岩國委員も触れましたが、どこへ行っても自動販売機が、私も買ったりするんですけれども、でも、余りにも台数として多いというのがだれもが持つ感覚ではないかと思います。私が調べたところで言うと、二〇〇七年で、国内総数で五百四十万台、その約半分が飲料の自販機だと。国民二十三人に一台という割合。飲料だけで申し上げると、約四十九人に一台。五十人に一台もの自動販売機が必要か。また、日本自動販売機工業会のデータですと、〇五年における自動販売機全体の年間消費電力量は約六十六億キロワット、国内年間総発電量の約〇・六%であるということ。大型発電所約一基分に相当するということなんですね。

 米国では七百八十二万台ということであります。台数としては多いわけでありますが、一人当たりの台数では日本よりも少ない。ヨーロッパは、公式な統計はない。統計がないという意味は、多分そんなにないんだということではないか。推定では、ヨーロッパ全土で飲料、食料自販機が三百七十六万台、たばこ自販機が五十万台程度だろう、こういうふうに推定されているんです。ヨーロッパ全体でも日本より少ないわけであります。

 どうでしょう、こういった自動販売機、これも発電所の排出ガスということでいえばキャップをかぶせられるんではないかなというふうに思うわけであります。大臣のお考えは聞かせていただきましたので、今のお店の開店の時間また自動販売機の設置台数、そういったことに対するより具体的な規制について、環境省また経産省のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

南川政府参考人 まず、深夜営業の点でございます。

 これにつきましては、CO2削減というのは、恐らく一つの契機だと思います。省エネ効果だけでいいますと限定的ではございますけれども、やはりCO2の問題が一つの大きな問題提起になって、深夜のライフスタイルの典型である二十四時間営業ということをどうしたら減らせるか。私どもとしても、これはいろいろ議論はありますけれども、真剣に多くの国民の理解を求めるように努力する必要があると思っております。やはり多くの方の合意がないとできないことでございますので、それに向かって努力をしたいと考えております。

 それから、自販機でございます。

 御指摘のとおり、毎年大量の消費電力を使っております。これにつきましても、もちろん温暖化対策としては、やめれば効果はございます。片や、便利だという方もおられます。いろいろなせめぎ合いはございますけれども、やはり私どもとしては、本当にどこまで必要か、ぜひ世論を喚起していきたい。問題提起をする中で具体的な対策を考えていきたいと思います。

伊藤(元)政府参考人 先生御指摘のとおり、地球温暖化問題に対応するために国民全体のライフスタイルを変えていくということは、大変重要な課題であると認識しております。

 そうした中で、まずコンビニエンスストアにつきましては、先ほど先生も御言及ございましたとおり、政府の目標達成計画を作成する過程で開きました、環境省のもとの中央環境審議会、それから経産省のもとでの産業構造審議会の合同審議会でもさまざまな議論が出たところでございます。深夜時間帯の客数が少ないので深夜営業の必要性は少ないという意見がある一方で、準備段階とか閉店後、あるいは開店前の準備時間を考えると決して長い時間電力消費の削減にはつながらないとか、防犯上の観点も考えるべきであるというさまざまな意見が出たところでございます。

 こうした中で、京都議定書目標達成計画の中におきましては、深夜化するライフスタイル、ワークスタイルの見直しに関し、国民の抜本的な意識改革に向け、諸外国の状況も踏まえ、総合的に検討するとなっております。経済産業省といたしましても、この計画を踏まえまして、積極的に検討に参画したいと思っております。

 それから、自販機についてでございますけれども、一点だけ申し上げますと、いわゆる省エネルギーを進めるという観点につきましては精力的に進めております。省エネ法に基づきまして、二〇〇五年度の一台当たりの消費電力量は、二〇〇〇年度比で三七・三%改善をしているところでございます。台数をどうするかということにつきましては、活動量に対する制約ということについてどう考えるかという国民の議論を踏まえながら、適切に対応していきたいと思っております。

近藤(昭)委員 それぞれお考え方を聞かせていただいて、経済産業省、環境省も、世論を見つつというか世論を喚起しつつということだと思います。

 私は、世論はそれはいろいろな意見が出てくると思うんです。でも、先ほどから申し上げているように、ライフスタイルが変わってきた。私は、やはりどこかできちっと規制をしていかないと、政府としての意思をもっと出していくべきではないかなと思うんです。洞爺湖サミットだって、やる意味は、あの場所で、日本が環境を守っていく、また京都議定書にも戻れば、まさしく京都でやって、そういったことを世界に向けて発信していく。そこにある種の環境を守っていこうという意識がせっかく見えるのに、では具体的になったときにどうなのかなと。世論を喚起しながらということでは、私はやはり心もとないというふうに思うわけであります。

 ですから、それぞれの自動販売機の消費電力が減ったなんてことを言わずに、やはりもっと町の景観からだって、それは自分が自販機を置こうというのは勝手だということになるかもしれませんが、さっき申し上げたヨーロッパのことを申し上げると、自動販売機なんてほとんどないわけで、今、日本はどこにでもあってそれは便利かもしれないけれども、多分、使用量でいうと、そんなに物すごく多いとは思えないんですね。コンビニの時間も規制すべきだという中ではあれですけれども、余りにもそういったものが多過ぎるんだと思います。

 そういう意味では、積極的にという意味は、積極的に議論するだけじゃなくて、排出ガスということでは目標があるわけですから、それがクリアできなかったらどうするかということは、やはり結果できなかったでは困るわけですから、それをやっていくためにはこういうことの規制が必要だというふうに思います。

 そういう意味では、もう時間がなくなりましたので、最後に一点だけお聞きしたいと思います。

 私は、やはり省エネの住宅というものをもっと推進していくべきだと。また、エコスクール、私も視察したことがありますけれども、きちっとやれば、別に冷房とか空調施設でやらなくても十分に涼しい、あるいは暖かい。そういった人工的なものを加えなくても、システム、仕組みをつくればやれるんだなというのはエコスクールで見ました。エコスクールだと、そこで子供たちが見ているわけですから、環境教育にもいいと思うんですね。こういった省エネ住宅あるいはエコスクールについてどういうふうにお考えか、最後にお聞かせいただきたいと思います。

南川政府参考人 まず、住宅でございます。

 現在、住宅からのCO2排出は、冷暖房、給湯、照明とそれ以外の電力、これがほぼ三分の一ずつでございます。したがいまして、冷暖房に使うエネルギーを減らすということは、大変大きな意味がございます。私ども、省エネの税制、それから省エネ改修等についての補助といったことで努力をしておりますし、また、今般、経産省でも省エネ法の強化を出されておりますが、それにも協力をしていきたいと考えているところでございます。

 また、エコスクールにつきましても、私どもも資金的な応援もして幾つかの学校でやっていただいておりますけれども、やはり学校というのは子供の教育になります。そういう意味で、例えば太陽光をつけていただくこと、それから壁面緑化をしていただく、あるいは風の通りをよくしていただく、そういったことについて、引き続き、ぜひ学校の対策が進むような応援もしていきたいと考えております。

近藤(昭)委員 どうもありがとうございました。質問を終わります。

小島委員長 次に、田島一成君。

田島(一)委員 民主党の田島一成でございます。

 四十五分という時間をいただきましたので、質問時間として有効に当てていきたいと思いますので、明快な御答弁をぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。

 昨今の地球温暖化に対する関心は、今年度からいよいよ始まるということもあって、当然、新聞報道等でも取り上げられる回数が大変多くなってまいりました。そんな中で、国民一人一人の暮らしに大きく影響しているこの地球温暖化問題。昨年、この環境委員会の視察で、ここにおいでの西野筆頭理事、当時委員長でしたけれども、西野筆頭理事、桜井副大臣とも御一緒させていただいて、アラスカのキナイ・フィヨルド国立公園を視察させていただきました。皆さんも氷河が崩れるシーンをテレビでは何度もごらんになられたかと思いますが、まさかその氷河が崩れる瞬間を目の当たりにできるとは、ゆめゆめ思ってもおりませんでした。私たちが知らない世界でこの温暖化の影響が大変広く及んでいる。また、かつてはつながっていたとされる氷河が分断をされ、後退をしているという様子も拝見をし、日本の国民一人一人として何ができるのか、そんなことを自問自答させていただく貴重な機会をいただいたことに心から感謝を申し上げながら、この御提出された大幅な改正案の具体、個別の施策についてきょうはお尋ねをさせていただきたいと思います。

 その前に、せんだって、私ども民主党は生物多様性基本法なるものを衆議院に提出させていただきました。これは崩壊する生態系を危惧してのことではございますが、生態系が確保されない原因の一つにこの地球温暖化という問題があることも、ぜひこの機会に皆さんにも御理解と御認識をいただきたいと思っております。

 我々、世界の生物の多様性の恵みを享受し、こうしてこの地球上に生かされているということを考えたとき、温暖化問題と相まって、この生物多様性を確保するという問題も非常に重要でございます。与党の皆さんにも大変前向きに御検討いただいているということを仄聞しておりますので、温暖化対策の問題とあわせて、この生物多様性の確保の問題についてもぜひいろいろな御教示を賜りながら、いい形で日本の生物多様性確保のためにともに努力できることを心から念じ、期待していきたいというふうに思っております。

 さて、具体的に今回の改正案の中身についてお尋ねをしていきたいと思っております。

 まず、温室効果ガス排出量の算定・報告・公表制度についてお尋ねをしたいと思います。

 温室効果ガス排出量の算定・報告・公表制度は、排出実態を把握して効果的な対策を講じていく非常に有効な手段だと私は考えております。

 しかしながら、現状をひもといてみますと、事業者の排出総量の公表にとどまっているなど、まだまだ情報開示の状況が進んでいるとは言えない状況と言えます。事業所ごとの排出量が情報開示の請求をしないと明らかにされない、これはやはりまだまだ手ぬるいのではないかというふうに私は考えておりますし、一方の事業所の企業それぞれがいわゆる企業秘密というものを盾にしてなかなか思い切った開示に踏み込まないという現状に大変じくじたる思いを抱いているところでございますけれども、ぜひ開示請求を待たずとも各事業所ごとの排出量を開示していただく、そうしないことには、CO2排出量の少ない企業なのかどうかの判断基準自体が国民に与えられないわけでありますから、企業のこの透明性はおろか、産官学民一体として取り組みをしていくのに大きな支障になっているのではないかというふうに考えますが、環境省としてどのようにお考えなのか、まず冒頭、お示しをいただきたいと思います。

南川政府参考人 公示制度についてでございます。

 私ども、今回の温対法の改正でございますけれども、これまでございます算定・報告・公表制度をさらに充実をしたということでございます。

 公表制度につきましては、元来、前回の法改正のときに入れております。これはこの制度に基づいて公表するということが非常に大事だということで入れたわけでございまして、事業者みずからが排出量を算定いただいて、それを政府が公表する、それによって自主的な取り組みを促すとともに、国民の多くの方に排出抑制に向けた機運の醸成、理解の増進をお願いしようというものでございます。

 したがいまして、環境省といたしましては、事業所単位で膨大なデータを、ばらばらとその数字をどんどん出すということではございませんで、事業者単位で、事業者全体を集計するあるいは一覧性の高い形で公表するということで、使い勝手のいい形で公表することが適切だと考えておるところでございます。

 それから、もちろん、開示請求がございますれば、個別データは全部出しますし、その場合にはデータを全部入力しましたCD―ROMを、たしか千数百円だったと思いますけれども、即日お渡しするということも行っているところでございます。特にNGOからは、これを自分たちで分析して、その上でNGOとして全部分析したものをホームページに出すんだ、そしてだれもが無料で見られるようにするんだということを聞いております。大いに結構だと思います。ぜひ使っていただきたいと思います。

 それからもう一つは、当然ながら、一部の企業につきましては、企業機密ということでその数字を出さないものがあるわけでございます。これにつきましては、この法律独自のものではございませんで、情報公開法という法律にも企業機密から一部のデータの開示をしなくて済むという制度があります。それと同じことをこの法律にも落としているわけでございます。

 これにつきましては、事業所管大臣に対しまして、競争上の問題等から排出者の方が一部の排出量につきまして非開示とするように請求ができます。そして、審査基準に基づきましてその事業所管大臣が判断をするということで、それが必要であれば、その権利利益の保護請求を認めるということでございます。

 ただし、今回の制度の中で、事業所または事業者の温室効果ガスの合計排出量は必ず開示するということにしておりますので、私どもとしては、そういった意味での不都合が出ないような可能な限りの情報開示をするということにしておるところでございます。

田島(一)委員 南川さん、今、NGOが独自でデータを分析して開示をしている、大変結構なことだというふうにおっしゃいました。本当は環境省みずからがNGOの力をかりずとも開示をしていくことによって、国民にさらし、国民それぞれの努力、取り組みに資する、そういうデータを開示していくということが求められているんじゃないかというふうに私は思うんです。

 もちろん、企業の利益をできる限り損ないたくないという御趣旨もよくわかります。しかし、企業が前向きに取り組まない、開示請求をしていかないことにはオープンにならないということでは、国民は何を基準にして商品の購入であるとか利用をしていけばいいのか。この前提の段階でハードルが高過ぎるんじゃないかと私は思うんですね。開示請求を待たずとも透明性を高めていく。企業は拒んでいるけれども、それを出さないと将来的にはおたくの利益を損なうことになりますよということを暗に示していかないと、私は無理だと思うんです。

 やる以上は、運用で、どのような形でこれを開示していくのか。私たちもCO2の可視化、見える化というものを随分前から訴えているわけですが、国民の皆さんそれぞれにわかっていただけるように、また地球温暖化は自分自身にかかわりのある大きな問題なんだということを理解していただくためには、この運用方法が相当大事になってくるんだと思いますが、この改正に当たっての運用方法についてもう少し詳しくお答えをいただけないでしょうか。

南川政府参考人 私ども、原則としまして、すべてのデータが公表あるいは開示されるべきだという考えについては変わりはございません。ただ、この分野の基本法たる情報公開法の中でも、情報を提供した事業者の方の権利保護ということは認められておるところでございます。これにつきましては、別の法律で訴訟等もある中で社会的にどこまで公表ないしは開示されるのが必要かということは出てくると思っております。

 ただ、私どもとしましては、公表は、できるだけ多くの方が使い勝手がいいような形で公表したいと思っておりますし、それから、今、化学物質なんかでも対応していますけれども、CD―ROM一枚でまとめて使っていただければ、むしろコンピューター上ばらばら数字が出るよりも、ある種の整理をした上での調理もしやすいということがございますので、いろいろな方にいろいろな方面で分析していただくことについて、それはしっかりとやっていただきたいと思っております。

 そういう意味で、環境省としては、すべての情報は公表ないし開示されるべきだ、多くの方にぜひ使っていただきたい、それがCO2削減に役立つということについての考えに変わりはございません。

田島(一)委員 基本的な考え方に違いはないということはよく理解をしておるつもりです。ただ、国民が日ごろの暮らしの中で、例えばエネルギー供給事業者からの領収書一枚にCO2の発生量がどれぐらいであるとか、投資家に対しては有価証券報告書等を見て地球温暖化にどれほど貢献をしている企業なのかをつまびらかにしていくこと、これが国全体としての地球温暖化対策につながっていくんだというふうに私も考えます。どうぞこの運用方法についてはぜひ万全を期していただいて、少しでもわかりやすく、また情報開示がスムーズに進んでいくように、まずはここは要望にとどめさせていただきたいと思います。

 さて、次に、改正案に盛り込まれている問題点として地方公共団体の取り組みについてなんですけれども、現行法においては、それこそ目達計画の記載に基づいて、これまですべての都道府県、指定都市の十七市中十四の指定都市、中核市にあっては三十五市の中で七中核市、特例市では四十四市中八市が地球温暖化対策地域推進計画を策定されているわけであります。

 今回の改正案の中で地方公共団体実行計画が義務づけられようとしているわけでありますけれども、現行法の地域推進計画と今回改正案に盛り込まれている実行計画がどういう関係にあるのか、ここを一点整理させていただきたいと思っております。わかりやすく解説をいただけないでしょうか。

南川政府参考人 まず、現行の地域推進計画というものでございます。これは、法律上は、その区域内のガスの排出抑制等のための総合的かつ計画的な施策を策定し、実施するように努めるということでございます。したがいまして、各地域、やっていただいているところは、多くの場合、地域推進計画ということでやっていただいております。それ自身は大変私どもとしてもすばらしいことだと思いますし、そういった自治体について、ぜひ引き続き連携して対策が推進できるように一緒に走ってまいりたいと思っております。

 ただ、今般の改正によりまして、私ども、実行計画をより充実する形で具体的に中身も列記いたしまして、その推進をお願いしたいと考えているところでございます。具体的には、自然エネルギーの問題、地域の温室効果ガスの削減の事業者も含めた対策の問題、公共交通機関の問題、それから廃棄物の問題を都市計画等に反映させるということもございますし、今般の一つの方策としまして、単に実行計画をつくるだけでなくて、その実行計画を達成するために必要があると認めるときは、関係行政機関の長とか関係地方公共団体の長に対して必要な資料の送付その他の協力を求め、温室効果ガスの排出の抑制に関し意見を述べることができるというふうにしたわけでございます。

 したがいまして、今般、私どもとしては、この計画をつくる中で、必要があれば国についても意見を述べることができるということで、全く従来とは違う立場を熱心にやっていただく地方公共団体には付与するということを法律上創設するわけでございます。

 そういう意味では、これまで地域推進計画をつくっていただいているところは、内容が充実しておればすぐには変えなくていいと思います。ただ、できれば見直しの機会等にはぜひ実行計画ということで充実をしていただいて、そして、本当に意欲がある団体については国に対してもがんがん意見を言っていただきたい、そのようにこの実行計画を使っていただきたい、そういうふうに考えているところでございます。

田島(一)委員 地方公共団体で熱心なところには謙虚に耳を傾けていこうという姿勢のあらわれだというふうに理解をいたしました。

 それであるならば、先ほど列挙させていただきましたが、現在の地域推進計画の策定状況からすると、都道府県はすべて策定されているわけでありますが、指定都市でも三つ、中核市でも二十余り、特例市に至っては三十余りがまだ計画策定がなされていないところであります。こういう現状の中でもう一歩踏み込んだ実行計画を策定させてより充実し、また、中身を列記させていこうという前向きな姿勢はわかるんですが、どうも現状でも足並みがそろってきていないという問題が、やはり見て見ぬふりはできないなというふうに思うわけであります。この辺、まだ策定されていないところなんかに対してはどのような手を考えていらっしゃるのか、その辺をお示しいただきたい。

 もう一点、私、やるからには、特例市や中核市、指定都市だけではなく、すべての地方公共団体に対してぜひ計画を立ててくれということができるような素地を今回の改正で盛り込んでもよかったのになというふうに思うんです。もちろん、自治体の規模等によっては、この計画策定がやりにくい、まだまだ財政的にも人材的にも足りないというような自治体があることも理解はいたしますが、そういうようなインセンティブを与えていくことも大事ではなかったのかな、そんなふうに振り返るわけであります。なぜ指定都市等だけでこの義務づけを終わられたのか、果たしてこれで実効性というものが担保されていくのかな、そんなふうに思うんですけれども、その点についてもお答えいただけないでしょうか。

南川政府参考人 推進計画ということで熱心にやっていただいている団体とまだまだのところがございます。ただし、私どもとしましては、ぜひ人口二十万以上の特例市等につきましては、この計画を新しくつくっていただいて、その計画に基づいて……。

 まず、この計画をつくるときにはいろいろな方に参画をいただくわけです。事業者の方はもちろんですけれども、その普及啓発に当たっている推進員の方とか国の行政機関の方とも連携をとってやられるわけですので、ぜひこういった計画づくりを行っていただきたいと思います。そのために私どもも各地域ごとに説明会もやりますし、それから、環境省自身大した金はありませんけれども、少しでもその計画策定について支援もしていきたいと考えているところでございます。

 まず何よりも、京都議定書の約束期間が始まって、地方でもぜひ取り組んでいただきたいということをきちんと訴えていきたいと思います。もちろん、これは法律的には自治事務でございますのでお願いをすることになりますけれども、法律上義務づけた経緯をきちんと御説明して、地方の理解を得て充実した計画にしていきたいと考えています。

 それから、いわゆる小さな市町村でございます。これは、残念ながら、現在の実行計画だけ見ましても、二十万以上とそれ以下とで非常に差がございます。現在の実行計画は、自分の庁舎の管理とか車の管理とか、そういったことだけでございますけれども、それを見ても、二十万以上の都市ですと、すべてが実行計画をつくってみずからの削減だけには努めています。ところが、それを割りますとその策定率が三割ちょっとということで、特に人口が減るに従って職員も減りますのでなかなか難しいという点がございます。

 私どもとしては、もちろん市町村が、推進計画という条項は当然残りますので、それに基づいてやっていただくのは大賛成でございますけれども、そこは県にぜひ頑張っていただくということが必要かなと。そのように人口が非常に少ないところですと、環境担当の職員もほとんどいないところがございますので、それについては、地方も行財政が大変厳しい状況でございますので、県との連携の中でこういった対策が進むようにぜひ応援をしていきたいと考えております。

田島(一)委員 県の計画に基づいて小さな小規模自治体のいわゆる地球温暖化対策の実行計画がしっかりと担保されるのであるならば、何も問題はないかと思うんですね。しかし、残念なことに、我々が今目指している温暖化対策は、国民一人一人がそれぞれのできる立場で取り組みをしていきましょうということを環境省も推進されているわけでありますし、自治体の規模が小さいからといって、その課題を、みずからが何とかしていこうという取り組みを無視するもしくは知らぬ顔をして県に任せておくというのは、これはどうも矛盾しているような気がいたします。

 小さいならば小さいなりに、打てる手を考えていく、つくり上げていく実行計画というものはあって当然だというふうに思うわけでありますし、都道府県にお任せをする中で実行計画をそれぞれの小さな自治体にも波及をしていただくというのでは、規模の大きさによって小さいところはもういいやと、何か環境省が進めていらっしゃる施策とどうも違うような気が私はいたします。

 やはり実効性を担保していくということからすると、小さい自治体であっても、環境問題という大きな課題を自治体の政策課題として取り上げていただいて実行計画を立てていただく。もちろん、人材的、財政的に足りない部分は国が応援をしていく、県が応援をしていくというのが本来望ましい形ではないかというふうに思うわけでありますが、いかがお考えですか。

南川政府参考人 できるだけ身近なところにいる方が削減対策についていろいろな知見を持ち寄って努力するということは、大変必要だと思います。私ども、そういう点は全く同感でございますし、できる範囲でそうしたいと思っています。

 ただ、現状からしますと、小さな市町村ですと、みずからの庁舎の管理とか車の管理についてもなかなか計画をつくっていない、つくっていただけないという実態がございまして、まずそこからぜひしっかりやっていただきたいということで実は考えております。

 今回、制度化をいろいろ考えましたけれども、まずみずからの庁舎管理とか車の管理ですらつくっていただけない状況では、実行計画で事業者を巻き込んだ形の、例えば地域全体の新エネルギーの計画とか都市計画とか、そういったことについては対応がなかなか難しい面もあると思います。そういうことで今回こういう整理をさせていただいたところでございますけれども、当然ながら、私どもとしては、ぜひ身近なところに多くの推進員の方も集まって個別の指導ができる体制はつくりたいと思っております。ただ、いずれにしても、当面は、まずみずからの庁舎管理等についてやっていただいて、その上で将来的なことについて考えたいと思っています。

 いずれにしましても、現在の大気なり水なりの法体系を見ましても、中核市ないしは特例市について、県の権限がおりて実際に工場等の立ち入りもされております。そういった知見の現在の広がりを考えて、今回のような形で御提案をさせていただいているということでございます。

田島(一)委員 多分、最終的に水、大気の問題と横並びだとおっしゃるのかなというふうに覚悟はしておりました。

 しかし、何度も申し上げますけれども、今、各自治体は財政難ということでいかに切り詰めていこうか、絞っていこうかということで大変努力をされています。単に財政が厳しいというだけではない、そこに温暖化対策という視点を少し盛り込んでいただくことによって、今おっしゃった庁舎管理であるとか公用車の管理等々についても、相当に大きな効果を発揮することができると思うんです。大事なのは、そのポイントのエッセンスをどのようにして提供していくかということだと思うんですね。

 公用車も、ないよりはあった方が便利だ。しかし、もう少し全庁的によく検討をしていけば、それぞの部署単位で公用車は要らないよね、集中管理していけますよねというような単純な発想が切り口となって、いわゆる温暖化対策にも相当寄与することがまだまだ山積みあると思うんです。

 かゆいところに手が届く、そういった施策をぜひ国ないし都道府県から末端の小さな自治体に対してアドバイスができるような仕組み、できることならば、こういう実行計画をそれぞれでお立ていただけるのが一番の理想だと私も思います。ただ、それにいかないならば、せめてそういった具体的な対策に寄与するノウハウ、知恵を伝えていけるルートといいますか関係を構築していくことが大事だろうというふうに思いますし、そのために恐らく地方事務所というものが環境省の中にもあるんだというふうに思うんですね。

 今必要なことは、細かなところから、できないところに対して綿密なルートをつくっていくことだというふうに考えますが、そのお考えみたいなものをぜひ聞かせていただきたいと思います。

南川政府参考人 御指摘のとおり、私ども、地方事務所をぜひ活用して、現在実行計画をつくっていない、つまり、庁舎管理とか公用車の管理についても温暖化防止の観点がないというところについても、ぜひそういった問題意識をしっかり持っていただきたい、そのための努力をしていきたいと思います。そのために地方事務所をぜひ積極的に活用したいと思います。

 それから、推進員という制度もございまして、これも指定は県知事さんや今回の改正で特例市以上の市長さんまでおろすわけでございますけれども、そういった方ができるだけ広範な活躍ができるような場を用意したいと思っております。例えば、そういった方の研修のシステムをより確立するとか、そういった方が学校を回って温暖化問題について全国津々浦々にわたるまで普及啓蒙ができるような場づくりの応援とか、そういったものをぜひしていきたいと考えているところでございます。

田島(一)委員 今言及をいただいた地球温暖化防止活動推進員の委嘱についての質問に移っていきたいと思います。

 これと同じように地球温暖化防止活動推進センターというものも指定をされて、既に四十七都道府県中、鳥取と徳島県以外は設置をされている。それからまた、推進員の委嘱についても、全都道府県かなと思いきや、同じく鳥取県と東京都は結果的にゼロというような状況で、なかなかこれは足並みがそろっているとも言いがたい状況が出てきているわけでありますね。

 先ほどおっしゃったように、推進員さん等を通じて皆さんの知恵を出し合いながらというようなお話もいただきましたし、このセンターの指定を進めていく中で活動の拠点として普及をしていきたいというようなお答えもいただいたんですが、それぞれ、二都県が未設置、また委嘱が全然されていないという現状があるわけで、どうもこのあたりも足並みがそろっていないのかな。それぞれの事情があるのかもしれませんけれども、現実は結果として全都道府県に設置ないし委嘱がされていない。これはどのようにその理由等を受けとめていらっしゃるのか。また、この理由ももちろんですけれども、未設置、未委嘱の自治体に対してどのような働きかけをされてきたのか、それをちょっとお答えいただけないでしょうか。

南川政府参考人 センターにつきましては、徳島県と鳥取県が未設置でございます。私ども聞きますと、その指定要件を満たすような財団法人、社団法人あるいはNPOがなかなか県内にないんだということを聞いております。したがいまして、鳥取県につきましては、センターの指定はしておりませんけれども、または推進員の委嘱もしていませんけれども、とっとり環境教育・学習アドバイザー制度といったものを設けまして、その中でアドバイザーの活動として温暖化対策の普及啓蒙をやっていただいていると聞いております。それから、東京につきましては、実はことしの二月に推進センターの指定が行われたところでございまして、推進員につきましては、委嘱を行うということで現在検討中でございます。

 いずれにしましても、今般、都道府県を越えて特例市まで、九十幾つの市までやっていただこうというわけでございます。そういう意味では、地域住民に対するきめ細かな普及啓発が大事なんだということを肝に銘じていただかないとインセンティブが働かないということだと思います。

 そういう意味では、私どもとしては、これから毎年度、指定の状況や委嘱の状況というものを調査いたしまして、その結果を都道府県に情報提供する。そして、ささやかでありますけれどもセンターについての活動費の一部補助、それから推進員研修制度の充実、具体的な活躍の場を明示するということをやっていきたい。そうした動きの中で、センターを置かないと恥ずかしいとか推進員を任命しないと恥ずかしい、当然それを活用したいというような形の状況に持っていきたいと考えているところでございます。

田島(一)委員 今回の改正で九十六の指定都市にまで広げていくというお話がありましたけれども、現行、このセンターの指定であるとか推進員の委嘱、指定都市よりも規模の小さい一般の市町村で指定または委嘱されているケースというのは全くないんでしょうか。

南川政府参考人 現在は、指定は都道府県知事だけにとどまっております。したがいまして、非公式なものはわかりませんけれども、法律に基づく推進員というのは、現在では県知事さんが県内で能力と意欲のある方を指名するということだけでございます。

田島(一)委員 センターにしても推進員にしても、中長期的に見れば多分効果を発揮する重要な施策なんだろうなと私も理解をしています。しかしながら、今回のこの規定を見ておりますと、義務規定ではなくてできる規定になっている。このあたり、どうもこの施策自体が本当に効果を発揮するというふうに踏まえずにいるのかなというふうに思うわけですね。やはり長い目で、隅々の地域にまで、こうした方々のノウハウ、知恵、また活動を頼りにしながら、広く国民の皆様に温暖化対策の問題を理解していただくためには義務規定であってもよかったんじゃないかなというふうに思うわけであります。

 その一方で、今申し上げましたように九十六の指定都市等に限定する必要も一体どこにあるのかな。できるならば、自治体の規模ではなく、前向きに取り組むやる気のある自治体にはどんどん設置並びに委嘱をしていってもらうということが重要だというふうに思いますので、わざわざ今回指定都市等にというような都市規模のハードルを設けた理由がどうも私には理解ができません。その辺はどのようにしてお考えになられ、このような結果になったのか、お聞かせください。

南川政府参考人 私どもとしましては、気持ちは義務的にぜひセンターをつくっていただきたい、推進員の委嘱をしていただきたいということでございます。それは全く委員と同じでございます。

 ただ、政府の中の整理といたしまして、これは自治事務でございますので、自治事務として行う場合に、組織的な事柄、例えば委員会の設置とかセンターの指定もそうなんですけれども、これについては必置規制というのは原則として行わないということでございまして、具体的には、協議会の設置、こういったセンターの指定等については、政府から今出しております法案としてはできるという規定で今整理をしております。

 したがいまして、私どもとして、気持ちは全部つくっていただきたい、そういう気持ちに全く変わりございませんけれども、制度的な仕切りとして自治事務上必置規制がなじまないということで、政府として合意を得て出す上ではこのような形に整理をさせていただいたということでございます。非常に形式的な整理としてこうならざるを得なかったということをぜひ御理解いただきたいと思うところでございます。

 それから、当然ながら、特例市以外の小さなところでも計画をつくっていただく、それについてもあるわけでございますが、計画をつくっていただく推進員のこともあるわけでございますけれども、今回の整理といたしまして、センターの仕事についても、従来の日常生活に対する普及啓蒙だけから外れまして、権能を上げました、ふやしました。具体的には、各地域の実行計画の推進のための協力ということも行いまして、日常生活を超えての指導も推進員の方、センターの方ができるようになったわけでございます。そういう意味では、ある程度ふさわしい体制があって、計画をつくる能力もあって、遂行する能力もあるという自治体でしっかりやっていただいて、そこで熱意のある方を推進員にしていただいて、彼らの協力を得て進んでいく。言ってみれば、行政上の整理をした方が混乱は少ないだろうということで、そういう整理をさせていただいたところでございます。

田島(一)委員 行政規模で一定ボーダーを設けて混乱を避けたというような御答弁でありましたけれども、やる気のあるところには私はどんどんインセンティブを与えていくべきだと思うんですね。だからこそ、あえてこういう限定なんてする必要がないんじゃないか。こんな小さな町でもここまでして推進員を置いて、またセンターも設置してやっている、にもかかわらず何で大きい東京都はとか鳥取県は県のくせにと言えるぐらいの、私は環境省が全国に進めていきたいと思う一助になっていくんじゃないかというふうに思うわけであります。だからこそ、あえてこんな指定都市等のハードルは必要ないんじゃないかということで私は提案をさせていただいたわけであります。

 こうした今回の法改正に伴って、自治体の規模にかかわらず前向きに取り組んでくれる首長さんがあらわれることを私も本当に期待したいと思いますし、ぜひこのハードルを、今回は混乱を避けるという意味で設定されたとおっしゃいますけれども、これに関係なく、やる気のある自治体の声をしっかりと拾い上げていく、アドバイスもしていく、また、場合によっては財政的な措置もしていける、そんな前向きな姿勢で、これはやれるところがどんどん取り組むしかしようがないんですよ。やれないところをどれだけしりをたたいたって、動かないところは動かない。それだったら、やれるところからやらせていこうじゃないかというのが今環境省としてとるべき姿勢じゃないかなというふうに思うんです。

 もうこれ以上は申し上げませんけれども、ぜひこの点についてもお考えをいただきたいと思います。

 小さな町というお話が今出たところでありますが、次の質問に移らせていただきます。

 私は、三月九日でしたか、岩手県の葛巻町へお邪魔をいたしました。ミルクとクリーンエネルギーの町というタイトルで頑張っていらっしゃる、大変小さな、青森県境にほど近い、雪深い町でありました。

 この葛巻町は、御存じの方が多いかもしれませんけれども、森林の地域でもありましたから、間伐材等々を利用してペレットを製造し、ペレットボイラーを公共施設等で稼働させる。さらには、中学校には太陽光発電のパネルも設置をし、木質バイオマスによるガス化発電であるとか、ミルクの町と申し上げたように酪農、畜産が盛んな地域でありますから、いわゆる家畜のふんを利用してのバイオマス発電、さらには地熱発電と、その発電量を合計いたしますと、葛巻町の町民が利用する電力消費を大幅に超える発電量を有する、そんなクリーンエネルギーの先進地域であります。

 本当に小さな町でありますけれども、もう既にこうした前向きな取り組みをして、エネルギー政策として、またこの地球温暖化対策として前向きな取り組みをしている自治体があることを、私もつぶさに現場を拝見し、その熱意たるや大変敬服をして帰ってきたところであります。

 今回のこの地球温暖化対策推進法の改正案の中でも、地方公共団体の管轄区域の中で自然的社会的条件に応じて温室効果ガスの排出の抑制等の施策に関する事項を定めることが義務づけられているところでもあります。その具体的な事項の一つに化石燃料以外のエネルギーの利用促進に関する事項というのがあるわけでありますが、こうした葛巻町のいわゆる自然再生エネルギーの利活用のブレーキといいますか問題点として町長さん初め担当者が挙げてこられたのが、RPS法のハードルの高さであります。せっかく自然エネルギーの利活用ということでお取り組みをなさっていらっしゃるにもかかわらず、このRPS法によって再生可能エネルギーの普及拡大の推進に随分ブレーキがかかってしまっているのではないか、そんなふうに私は考えるところであります。

 毎年、この葛巻町だけではなく、自治体や地域、地方からこの制度改正を求める要望であるとか提案が相当出てきているのではないかというふうに思うわけでありますが、そのあたり、きょうは資源エネルギー庁にもお越しいただいておりますので、この対応と、どのようなものが挙がってきているのか、お示しいただけませんでしょうか。

上田政府参考人 RPS法あるいは自然エネルギーの普及につきまして、地方自治体等からさまざまな御要望をいただいておるということは全く事実でございます。例えば風力発電の利用の拡大であるとか、バイオマスの拡大であるとか、RPS法の義務量の拡大であるとか、その他もろもろの御指摘をいただいているところでございます。

 これらにつきましては、新エネルギーの普及を図る観点からもちろん十分参考にさせていただいているわけでございますが、例えば、私ども、RPS法につきましては、法律に基づきまして毎年の利用の義務量というのを定めるわけでございますが、この調査会の審議を行うためのRPS法の小委員会というのがございますが、そこにおきましても、地方自治体の委員をお願いいたしまして御審議をいただいているところでございます。こういったことの結果、例えば、地方自治体の要望に基づき、水力発電の対象範囲を千キロワット以下で水路式のものに従来限られていたわけでございますが、これを拡大する等々の措置を講じてきたところでございます。

田島(一)委員 毎年、その小委員会の中で、利用状況を判断しながらハードルを上げていく、もしくは対策を講じていくというようなお取り組みの状況を御説明いただきました。

 葛巻町の町長さんもおっしゃっていたんですけれども、この再生可能エネルギーの普及拡大を推進していくために、長期導入目標を設定すること、利用目標量や基準利用量が余りに低過ぎること、それから経過措置の問題点等々を御指摘されておりました。この先、中長期目標を設定していくことであるとか、利用目標量や基準利用量を見直していくということはこの小委員会等で議論に上がっているのかどうか、今、水力発電の見直し等についてお話があったわけですけれども、この点、全体としてどのような議論になっているのか、お示しいただけませんでしょうか。

上田政府参考人 RPS法におきましては、法律に基づきまして、四年ごとに総合資源エネルギー調査会の意見を聞いて当該年度以降八年間の利用目標量を定めるということになっております。

 それで、より長い中長期目標を設定すべきという御指摘かと思いますが、新エネルギーを取り巻く技術の進歩の動向、あるいは導入ポテンシャルの見通しということを正確に勘案する必要があるために、私ども、法律上八年間の措置となっているところでございます。

 ただ、他方で、私どもは、内外に中長期的なエネルギーの需給の見通しをお示しするということで、長期のエネルギーの需給見通しというのを作成させていただいております。つい先般、数週間前でございますが、二〇二〇年、二〇三〇年を対象とした非常に中長期の新たな需給見通しというのを公表させていただいたところでございまして、これらを御参考いただきますと、その八年間の措置、さらにその中長期的な私どもの考え方というのをお示しさせていただいているところでございまして、これらが大変な参考になるのではないかと考えておるところでございます。

 それから、利用目標量、これは義務量でございます、これを見直すべきではないかという御指摘をいただきました。実は、これは二〇〇七年の三月でございますけれども、半年ぐらいの審議をいたしましたRPS小委員会において、新たな利用目標量の設定というのを議論いたしまして、それを定めたところでございます。

 その際の考え方といたしましては、「現実的かつ意欲的」という表現になっておりますけれども、電源別の導入可能性というのを現実的に踏まえながらも、コストの低減、技術開発動向等の事情を総合いたしまして、二〇一四年までの目標値を新たに定めたものでございます。これは百六十億キロワットアワーという数字になっておりますけれども、この数字は例えば二〇〇五年実績の約三倍弱に当たるわけでございまして、もちろんこれでもなお足りないという御指摘は多々あろうかと思いますけれども、いろいろな現実的な状況等も踏まえますと、私どもはこれはかなり低いものではないというふうに考えております。

 それから、現在、別途新エネルギーのさらなる普及が必要であるということは、私も全くそのとおりであると思っておりまして、現在、新エネルギー部会の中でこういった新エネルギーのさらなる導入策というものを御検討いただいているところでございまして、新エネルギー対策全般の強化につきまして、この検討を踏まえながら対処してまいりたいと考えております。

田島(一)委員 実はまだまだ言いたいこともあるんですけれども、この新エネルギー電力の長期的な買い取り価格を補償することを制度化していかないと、こうした地域の前向きな取り組みが効果を発揮していかないのではないかというふうに考えます。もちろん、二〇一四年までの目標設定をされたわけではありますけれども、三倍だということで満足されずに、地方自治体等々でこうした前向きな取り組み、今回のこの改正に伴って地域の実態とこの法がねらいとする部分との問題点をぜひそしゃくしていただいて、買い取りの義務量等々の見直し、また中長期目標の設定を引き上げていくこと等々もぜひあわせて御検討いただきたいと思います。

 きょうは、経産省にもお越しいただいたし、大臣の方にも質問を予定しておったのですけれども、時間が参りましたので、これで終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

小島委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時七分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時十九分開議

小島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として環境省大臣官房審議官谷津龍太郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小島委員長 質疑を続行いたします。伴野豊君。

伴野委員 民主党の伴野豊でございます。

 本日は、議題となっております地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、幾つか質疑をさせていただきたいと思います。

 また、冒頭、関連いたしまして、幾つか大臣には質問をさせていただければと思っております。場合によっては、通告した以外のことが一部入るかもしれませんが、それは特に資料をひもとかなくてもいい範囲内での質問にとどめさせていただきますので、ぜひ御所見をいただければと思っております。

 まず第一に、本当にきのうまで大臣はアジア博鰲フォーラムに御参加されたということでお疲れのところ、きょうも朝から質疑にお越しいただいて、真摯な議論に加わっていただいているところでございますが、この詳細は、私も訪中された概要をけさほどいただきましたので、一つ一つ質問通告をしておりませんが、きのうまで行っていらっしゃったその御記憶の中でお答えいただければと思います。

 これは御報告にもありますように、大きく二つの会談があったやに伺っております。一つは、アジア博鰲フォーラムにて胡錦濤国家主席とお会いになった、これが十二日。引き続き十三日には気象変動セッションがあり、そこでIPCCの議長さんらと御会談もされたやに伺っております。また、いま一つの会談のお相手、周環境保護部長さんですか、お会いになられてさまざまなことをお話しされたやに伺っております。昨今ですと、黄砂の話題なんというのは非常に議論のあるところだと思いますし、また、お地元ネタで恐縮なんですが、今度の二〇一〇年のCOP10のお話なんかも伺ったやに伺っております。

 御記憶の範囲で結構でございますので、今回の訪中の結果につきまして、お話しいただける範囲内で結構ですので、まず御報告をいただけますでしょうか。

鴨下国務大臣 今、概要につきまして先生の方からもお話がありましたけれども、四月の十二日から十四日まで中国に行ってまいりました。一つの大きな目的は、アジア博鰲フォーラムに出席をする、こういうような目的で訪中いたしました。

 会議の議論の中身につきましては、気候変動セッションの中で、これは隣にIPCCのパチャウリ議長がおいでになりまして、専ら経済界がどういうふうに変わるべきか、この気候変動に対応してビジネスがどうあるべきかという問題についての議論になりました。結果的には、例えば知的財産権について、我々は制限をするべきか開放をするべきか、こういうようなことが多分議論の焦点になったんだろうと思います。

 加えまして、胡錦濤国家主席とは、これは本当に短時間でありましたけれども、福田総理から、一つはチベット問題について心配をしているという趣旨のことと、日本としては隣国として北京オリンピックの成功についてサポートしたい、こういうような趣旨について私から口頭でお伝えをしました。

 それから、その後に北京に行きまして、これは周生賢中国環境保護部長、ここは保護総局だったのが、今回の全人代で日本流に言いますと省に昇格しましたので、それの祝意を申し上げると同時に、中身につきましては、水環境パートナーシップのこと、それから今先生御指摘の黄砂の問題については、昨年は黄砂の情報は国家機密に準ずるものだとしてなかなか公開できないということがあったものですから、これについて詰めた議論をさせていただいて、最終的にお互いに情報を共有しようということで合意に至った、こういうことでございます。

 また、かねてからコベネフィットアプローチにつきましては、これは前回私が訪中した折に、そのときは周保護総局長でしたけれども、そのときに取り交わした覚書の中身についてより具体的な話をさせていただきました。

 加えて、生物多様性の保全につきましては、これはまだ正式決定じゃありませんけれども、ボンでの決定を受けてCOP10が名古屋で行われる、これについてぜひ中国としても協力をいただきたい、こういうようなことを申し上げて帰ってきた次第でございます。

伴野委員 お疲れさまでございました。

 今大臣おっしゃったように、チベットの問題、確かに中国の為政者の立場からすれば内政干渉云々という発言もあるようでございますが、しかし、ここへ来てオリンピックの聖火ランナーのいろいろな妨害事件一つとりましても、これは中国だけではなく世界的な問題、課題にもなってまいっております。我が国でも御案内のように長野で聖火ランナーの行事が行われるわけでございまして、中国だけの問題にとどまらないところまで来ております。ですから、メッセージもお届けになったんだと思います。

 とりわけ中国というのは、確かに過去の歴史的な問題もあり、また、統治システムの我が国との違い、昨今でいいますと情報公開のありよう等々、いろいろな差異はあるんですが、今後、各国の諸課題の中でも、とりわけ環境問題というのは、先ほどもお触れになりました黄砂の問題、また、今我が国はたくさんの食料を中国に依存している実態ということからすると、違う国だからということは言っていられない案件がたくさんあるんだと思います。

 とりわけ環境においてはもう何をか言わんやということで大臣も訪中されたんだと思いますが、今後、方向性としては、私の個人的な意見としては、是々非々が第一ではあるとは思いますが、胸襟を開いて、本当にお隣の大事な国、どういう表現がいいかわかりませんが、パートナーという表現がいいのか、あるいはこれからアジアでしっかりさまざまな面で諸課題を解決していくためのよきパートナーにしていくべきだと私は思うんですが、大臣、大きな方向性はいかようにお考えになっていらっしゃいますか。

鴨下国務大臣 先生おっしゃるように、私たちは、日中関係というのは環境問題においても非常に重視しております。特に中国はもう既に排出国として世界の中で一位になるということでありますので、その国が何らかの形で地球温暖化問題にかかわってもらわなければいけないわけですし、中国にとっても世界の中での責任を果たす意味においても積極的に環境問題で連携をしてもらいたい、こういうようなことが大筋の流れであります。

 そういう中で、一方ではまだ途上国的な、例えばエネルギー効率の問題だとか公害の問題、水の問題、さまざまな問題がございますので、我々は技術的にもあるいは場合によるとさまざまな資金メカニズムの中でもまだ支援をしないといけないところもあるのかもわかりません。そういうことを踏まえて、最終的には例えば大気汚染、水の汚染に対して技術援助をする中で地球温暖化に対してのさまざまな枠組みの中に巻き込んでいきたい、こういうようなことを我々は考えておりますし、向こうの担当者もそういう意味での問題意識は共有できているというふうに私は思っておりますので、これからも連携をさせていただきたいと思います。

 さらに、これからサミットの中でも、中国がどういうふうな発言をなさるのか、行動をするのか、これは世界各国が注目しますから、友人として、隣人として、お互いに戦略的互恵関係のもとに環境もやってまいりたい、こういうふうに思います。

伴野委員 ぜひその方向性でかつ積極的にお願いしたいと思います。

 産業界や中国でお商売をされた私の友人にお聞きしますと、なかなか一筋縄でいかない部分がおありになったり、我が国に比べて比較的したたかな部分があったり、場合によっては国際的標準あるいは国際的ルールにかんがみたときに少しはてなマークがついてしまう部分もあるようでございますが、仮に我が国がそのリスクを多少負うにしても、国際的なテーブルに積極的に中国がかかわり、それに我が国が何らかのお手伝いができるとすれば、これは我が国にとって、最初はいろいろなリスクをしょってしまうかもしれませんが、長い目で見れば大きな大きな日本の役割だと思いますし、日本をおいてその役目を果たすところはないんじゃないかと思いますので、ぜひそのあたり、大臣、心を砕いていただければと思っております。

 次に、これも直接温対法の問題ではありませんけれども、前の一般質問でも取り上げさせていただき、広い意味では地球温暖化といいますか、これこそ重要な問題になってくる案件の一つに、先般、古紙偽装のお話をさせていただきました。あれから一カ月近くたっておりますでしょうか。環境省さん、経産省さんからそれぞれペーパーもいただいておりますけれども、この古紙偽装の問題は現時点でいかようになっているか、いま一度環境省さん、経産省さんそれぞれから御報告いただければと思います。よろしくお願いいたします。

西尾政府参考人 去る三月十八日に先生から古紙偽装の問題の状況につきましての御質問もあり、また御指導もいただいたということでございまして、そういうことも踏まえまして対応しているところでございます。

 先般御質問いただきましたときは、中心になっている事柄は、製紙メーカー各社への調査に対する回答を受けまして、大臣からそれぞれの製紙メーカーがきちんと国民が納得するようなけじめをつけるようにということを要請し、製紙メーカーでいろいろ検討された、こういう状況であったわけでございます。ちょうどそういう検討が進んでいたときであるわけでございまして、製紙メーカー各社は偽装により毀損された環境保全価値の埋め合わせ措置とか再発防止策を考える、こういうことであったわけでございます。

 それにつきましては、それぞれのメーカーが、特色はございますけれども、古紙利用の増大に向けた対応をやりますとか、あるいは植林やそのほかの環境保全対策を一生懸命やります、いろいろなことを盛り込みましたそれぞれの対応策というのをまとめまして、三月二十一日に三社が発表されたのを皮切りに関係の社で自主的に各社のホームページに掲げられておられました。これを国民の評価にゆだねていく、こういうことになりました。これはこれでけじめはつけて進めていくということでございます。

 かねて、グリーン調達法、グリーン購入法ということにつきましては、その適正化、信頼性の確保ということが必要でございまして、一月末から専門家による特定調達品目検討会を開催いたしまして、短い期間でございますが、四回ほど詰めた議論をいたしておりまして、もう少しグリーン購入法に関する論点と、あと最終的な詰めにかかっておるところでございますので、これらにつきまして信頼性を回復すべくきちんとした詰めを早急にしていただく、その作業を急いでおるところでございます。

内山政府参考人 お答えいたします。

 経済産業省といたしましては、本問題発覚後、直ちに製紙各社に対しまして、乖離の実態、原因などを究明するよう厳しく指示をするとともに、信頼回復に向け、再発防止に全力を挙げて取り組むよう指導しております。

 古紙配合率に乖離があった製紙各社に対しましては、一月末に追加調査を指示し、二月二十日には各社から報告を受け、おくれていた一社につきましても、三月二十六日に原因究明と再発防止の報告を受けたところでございます。

 また、先ほど環境省の方から御報告ございましたように、三月二十一日以降、製紙各社は環境貢献策を報告、公表しております。

 さらに、日本製紙連合会に対しましては、国民にわかりやすい再生紙の表示方法や古紙パルプ配合率の検証に関する方法につきまして早急に検討するよう関係省庁と連携しつつ指導等を行いまして、四月二日にはこれらに関する報告書が取りまとめられてございます。

 製紙各社、そして製紙連が取りまとめました内容につきましては、それぞれにおきまして国民の信頼回復に向け着実に実施されるよう、引き続き指導してまいりたいと思います。

 一方、先ほど環境省の方から御説明ございましたが、現在、グリーン購入法の基準に関する検討が環境省において進められておりますけれども、経済産業省といたしましても、技術、需給の動向等の観点から、よりよい制度が構築されるよう環境省と緊密に協力していきたいというふうに考えております。

伴野委員 大体の方向性はわかりましたけれども、先ほど環境省の方からもグリーン購入法の基準等々について最後の詰めをしているというお話がございました。まだ言えないという部分もあるのかもしれませんが、大体このあたりのところはオーソライズしてきたけれども、この部分でいろいろ意見があるんだというようなところを今申し上げていただけるならば、環境省さん、経産省さん、それぞれいかがですか。

西尾政府参考人 この特定調達品目検討会におきましては、六つの課題をやろうということで、今回の事件に対する全貌の解明、あるいは官庁の古紙利用をこれからどうやっていくかという事柄、その他のいろいろなグリーン購入法の問題点、それから、そもそも再生紙ということがよくわからないということでいろいろ議論がありました。それから、確認、検証をきちんとやっていこうかというようなことがございます。それから、全体としての資源の循環の状況とか、そういうこともきちんと把握しなきゃいけない、こういうことがございます。これからどのように古紙の調達、再生紙の調達ができていくかというところが一番大切なことでございまして、各社もいろいろな対応をやってせっかく検討しておられますので、こういう情報も得ながら最終的な議論をしていきたいと考えております。

 それから、特に確認、検証ということがございます。確認、検証につきましては、例えば製品を抜き取り検査するとか、そういったようなことはぜひやったらいいのではないかということがございます。しかし、なかなかそれだけではわからない。そういうものをどれだけ客観的に確認をしていくかというような方策についてさらに技術的なことも詰めていきたい、こんな状況にございます。

内山政府参考人 お答えをいたします。

 先ほど環境省の方から御答弁ございましたように、現在、鋭意検討が進められておるところでございますので、私ども経済産業省といたしましても、先ほど申し上げましたように、技術、需給の動向といったことから、よりよい制度ができ上がりますように緊密に環境省と協力して検討してまいりたいと思っております。

伴野委員 最後に、今おっしゃられた需給とのバランス、確かに余りぐいぐい締め過ぎてしまってもという点もあるのかもしれませんが、しかし、国民的な信頼を回復する意味では、ちょっとやり過ぎかなというぐらいのところまで今回はやっていただいた方が今後のためにもいいのではないかと思いますので、そのあたりはうまくおやりいただければと思います。

 それで、これは検証というお話も出ましたが、違った意味での検証ということで、今回、各社の環境貢献策ということでペーパーもいただいておりまして、過去の環境価値の不足分の総括、二番目に古紙利用量等の増大に向けての対応、植林その他の環境保全策等々挙げておられまして、各社いろいろなお立場で対応策を練っていらっしゃいます。

 いろいろ挙げていただくのは結構なんですが、実際、今回、大臣もけじめということをおっしゃっているわけでございますので、これをきっちりやられたかどうかという検証もしていただかなきゃいけないと思うんですね。現時点ではまだこれからやるということなんでしょうけれども、ざっと見られて、今回の環境貢献策として、環境省さんとしては、まあ、こんなものだわねというふうに評価されているのかという点と、さらに、これが一つの貢献策として認められるとすれば、今後、これをいかような形でチェックをされていくのか、そのあたりお聞かせいただけますか。

西尾政府参考人 製紙各メーカーが公表した対策の中身といいますのは、多岐にわたっております。再発防止策から過去の毀損された環境価値の問題、それから、広い意味でのこれからの環境対策をやっていこうというような問題、あるいは自社のエネルギー対策もやっていくとか、いろいろなことが書いてございますので、その中にはグリーン購入法の運用と不即不離な部分と別途各社それぞれが国民の目の前で大いに努力をしてもらったらいいじゃないかという部分の両方が入っていると思います。両方とも各社が公表して約束されたことですから、いずれにしても、それは国民の目に触れて監視されていくということだとは思います。特に自主的な部分はそうなんだというふうに思っています。

 例えばみずからの監視というところでも、自主的とは言われていますけれども、取引企業の方々が中に入って立ち入りしてもいいじゃないかと言っておられたり、客観性を高める工夫も必要です、こういうのは大いにやってもらったらいいと思っています。

 ただ、この中でグリーン購入法と不即不離な部分というのは、行政としてその検証、確認をどうやっていくんだというようなことがございます。それから、古紙利用率その他はこれからどうやっていくんだというような部分がございます。これはグリーン購入法そのものと不即不離でございますので、そういう部分につきましては先ほど申し上げましたような検討会できちんと結論を出していただく。それで、出したものについては、その監視の方法ということがございます、先ほど申し上げましたようなことでいろいろな工夫をして監視もきちんとやっていく、こういうことではないかと思っております。

内山政府参考人 お答えをいたします。

 議員御指摘のとおり、製紙各社が報告をしております社会、環境貢献策が今後着実に実施されるかを確認することは大変重要であると考えておりまして、経済産業省といたしましても、製紙各社に対しましては、実施の状況について適宜報告を要請してまいりたいというふうに考えております。

伴野委員 それで、公取さんが排除命令を今後どういう形で最終的に結論づけられるかというのがあると思うんですが、どうなんでしょう。

 例えば古紙率が何%という表示だけに限った場合、今後はこれに対して環境省さんあるいは経産省さんで、実際現物を目の前にしたときにそれが五〇%だという表示がしてあった場合、これを何らかの形で抜き打ち検査みたいなことをやられるのか、あるいは目の前にあるその五〇%の紙をどこかへ持っていかれて、実際に五〇%であるかどうかという技術的な評価をおやりになるのか、あるいは場合によっては工場への立入検査ということも考えられていくのかどうか、このあたりはいかがですか。

西尾政府参考人 今の点の詳細につきましては、先ほど申し上げました特定調達品目検討会で検討中ということでございます。

 でき上がった製品をもって何%というところまで確認ができるのかという技術的なところはなかなか難しいということではございますけれども、やはり何らかの方法で製品の検査ということは考えていかなきゃいけないと思います。

 そういうことで、足りないような調査なり立ち入りなりをどうするか。こういった問題につきましては、経産省ともよく連携をして、あるいはその検討会におきましても現実に可能な方法をいろいろ考えていくということではないかというふうに思っております。

伴野委員 では、ちょっと角度を変えた質問を。

 大臣が今回の件でけじめをつけるというおっしゃり方をしておりますが、環境省さん、経産省さんのお立場で、現時点においてどこの点まできちっとしたらけじめがついたというふうな御判断をされるのか、教えていただけますか。

西尾政府参考人 大臣から要請いたしましたけじめという事柄につきましては、先ほど申し上げましたように、これは各社が自主的にそれぞれでかなりの程度の対策というものを提示しておられます。これは国民の目から見てまだ甘いというような御意見ももちろんあるかもわかりません、結構やっているじゃないかという御意見もあるかもしれません。そういうことでございますので、やはり国民が評価をしていただくんだと思っております。

 私ども、いずれにしましても、こういうことを評価するにいたしましても、基本になるところにつきましてきちんとグリーン購入法の問題点を整理していかなきゃいけません、まずはこの特定調達品目検討会で。というのは、この各社が示された中にもそこに触れるような問題があります。そこはいいとか悪いとかいうときには、必ずグリーン購入法で本当に最後にどうしろということを決めないと言えませんので、まずは特定調達品目検討会でこのグリーン購入法の骨格になる部分につきましてきちんと詰めを急いでいくということが先ではないかというふうに思っております。

内山政府参考人 お答えをいたします。

 先ほど来環境省の方からも御紹介をいただいております製紙各社が報告をいたしました社会、環境貢献策には、これまで利用の進んでいないような低質の古紙等の利用の促進とか、あるいは国内森林の一層の活性化といった製紙各社が今後取り組む活動がまとめられておるところでございます。私ども経済産業省といたしましては、まずは製紙各社がこれらの取り組みを誠実かつ着実に実施することによりまして、国民からの信頼回復につながりますことを強く期待しておるところでございます。

伴野委員 環境省さんのお立場ですと、最終的には国民が判断してくれればいいという、それはそのとおりだと思いますし、ぜひ環境省さんは消費者、国民の立場からこの問題をチェックしていただきたいと思います。経産省さんの場合は、またそれなりのお立場があるんでしょうけれども、そこは自主的なことプラス、内部告発だけに頼るのではなくて、一度こういう残念な事件が起きたわけでございますから、抑止効果としても、伝家の宝刀というのはぱっぱぱっぱ抜くものではないのかもしれませんが、それを持っているか持っていないかということの、抑止効果はあると思いますので、繰り返しになりますが、私は、何らかの立入検査等々の対策も練っていただきたい、また、それによって検証できる技術力も向上させていただきたいと思う次第であります。

 大臣、今の十五分ぐらいのやりとりをずっと聞いていらっしゃいまして、大臣の思いのけじめというのは大体この方向でついていくと思われるんでしょうか。いかがでしょうか。

鴨下国務大臣 私は、二月の二十二日に記者会見をさせていただきました。そのときに、残念ながらその段階では各メーカーは私が考えるところの国民が納得するような対応をしていないというような私なりの判断がありましたので、しっかりとそれについては指摘をさせていただきました。かなり厳しいことを申し上げました。結果的には、今局長が答弁しましたように、さまざまな分野で、多分、偽装分のオフセットだとか今後の技術開発、こういうようなことについてかなり前進はしたと思います。

 ただ、私は最後に記者会見の中で、環境省としても反省すべきことは反省しという、グリーン購入法等をお預かりしている立場としてもっと明確にその偽装に関して目を光らせなければいけなかった、こういうようなことについて我々も反省すべきことはするべきだと申し上げましたけれども、これについて言えば、今御指摘があったように、これから企業は企業として、企業もそれぞれ各社濃淡がありますから一律に全部が全部けしからぬというわけじゃなくて、それぞれが判断をして社会の中で責任を全うする、こういうことだと思います。それを我々はしっかりと監視するというのが環境省としてのいわば反省点でございます。

 そのことも含めて、多分、古紙偽装によって善意でリサイクルに加わってくださっていた国民の皆さんに大変な不信感と失望を与えたんだろうと思いますので、この信頼回復のために、それぞれ製紙メーカーも、我々も、これからしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えます。

伴野委員 ぜひその大臣の思いでけじめをつけていただき、これもまた繰り返しになりますが、私も基本的に人を信じたい、性善説でありたいとは思いますが、性善説を生かすためにも、そうじゃない場合にはといいますか、チェック機能というのは高めていくべきだと思いますので、ぜひその観点からも御検討いただければと思います。

 では、本題に入らせていただきたいと思います。

 本題に入らせていただく前に、早く本題に入れと言われちゃうかもしれませんが、一つ大臣にお聞きさせていただければと思います。

 今回、温対法の調査や資料をひもといていく限りにおいて、「となりのトトロ」という一九八八年に出たアニメ、先ほど小野先生からすばらしい哲学のお話がありましたけれども、ここに潜んでいる哲学というのはすごいものがあるな、当時のプロデューサーあるいは監督のメッセージというのは今こそかみしめなきゃいけないんだなと思うんですけれども、つまらぬ質問で恐縮です、大臣、「となりのトトロ」はごらんになられましたか。

鴨下国務大臣 繰り返し何度も見ております。

伴野委員 ありがとうございます。安心しました。

 見ていれば見ているほど、これは私の感覚で恐縮なんですが、私は涙がとまらなくなる場面がありまして、人が自然に助け合って生きていくという知恵がいっぱいあの中に入っているんですね。

 本題からずれちゃって恐縮なんですが、この映画のキャッチコピーは、これは糸井重里さん、今も結構有名な、キャッチコピーをつける方なんですけれども、彼がトトロが世に出るときにつけたキャッチコピーがありまして、最初は「このへんないきものは、まだ日本にいるのです。たぶん。」というキャッチコピーだった。「火垂るの墓」というのも同じ時期につくられまして、二本立てになったそうなんですけれども、私もそこまでの記憶はなくなってしまったんですが、そのときの共通のキャッチコピーは「忘れものを、届けにきました。」。だから、先ほど私の個人的な感想を申し上げましたが、そこの中に今の日本人なり地球に住む人たちが忘れているものがたくさんあるのではないかという見方ができる。この「となりのトトロ」は、アニメと言ってしまえば本当にアニメなんですけれども。

 偶然にも、これは主人公の小学校三年のサツキとメイという姉妹がいるんですけれども、小学校三年生のサツキさんは、昭和三十三年当時、一九五〇年代がこの映画の時代背景になっているんですね、宮崎さんは後でこれをテレビのない時代というもう少しいろいろな解釈ができる表現の仕方をされているんですが、鴨下大臣はほとんどこのサツキさんと同世代なんですね。

 だから、繰り返し見ていらっしゃると言っていただきましたので少し安心しましたが、この宮崎作品の中にある環境問題と若者の冒険と成長という、つまり、今まで普通の日常生活の中に、目の前にあったスイカを小川で冷やして食べる、家族でみんなで食べる、それもまた町内で分け合って食べる喜び。一人で食べても何もおいしくない、言ってみれば一人でコンビニで買ってきて路上で食べても何もおいしくないのが、そうやって芝生の上で家族あるいは御近所の方と分け合って食べる味の違いというのは、多分我々が忘れているものの一つなのかなと思ったりして、今回の質問に当たってもいろいろ参考にさせていただいたんですが、そうした中で何をおまえは言いたいんだというんですが、後でまたちょっとそのあたり触れさせていただきたいと思います。このトトロは純粋な人しか見えないというものですから、私もちゃんと見つけたいなと思うんですけれども。

 時間も来ておりますので、温対の質問に入らせていただきたいと思います。

 今回の改正で、事業所単位にいろいろデータをとっていく中で、先ほども我が同僚の議員からも質問をさせていただきましたけれども、三月二十八日に地球温暖化対策推進法に基づく第一回の報告が出た、数々のデータが公表されたわけですけれども、この確からしさというのは現時点でどのようにチェックをされて、その確からしさというのはどのぐらいの標準あるいはどのぐらいのレベルになっているのか、教えていただけますか。

南川政府参考人 三月二十八日に公表いたしました第一回の温対法に基づきます算定・報告制度の成果でございます。

 これにつきましては、私どもは、工場あるいはオフィスビルで使用される原料、燃料の種類ごとに応じて計算法をつくっております。その燃料、原料ごとにどういうガスがどれだけ出るかということにつきまして、かなり具体的な計算方法を示しておるところでございます。そして、その法令及びその算定マニュアルにつきましては、十分な周知を説明会の開催を通じて行ったところでございます。

 また、今般、私ども、発表の前には関係省庁とも連絡をとりまして、特異な値が出ているところについては間違いがないのかどうかということもチェックをいたしました。そういう意味で、かなり正確な数字が一定の割り切りのもとではございますけれども出ておるというふうに感じておるところであります。

 法令的には、虚偽の報告をしたものについては二十万円以下の過料という制度がございますけれども、それ以前の問題として、私ども、一定の割り切りでの計算ではございますけれども、かなり正確な数字が得られておるというふうに理解をしております。

伴野委員 その中で、例えば一つの製品を生産するのに、常識的に今の日本の技術ならばこのレベルからこのレベルぐらいにCO2排出量があるという一つの科学的なデータに基づいて、それと比較して今おっしゃったようなことだという解釈でよろしいですか。

南川政府参考人 御指摘のとおりでございます。

 いつごろできた施設かとか、どういう工場か、その内容、それから原料、そういったことからある一定の幅に入っているという前提で考えております。

 もちろん、特異なデータにつきましても調べてみたらそうだったということは、それで是認しておりますけれども、一般的には委員の御指摘のとおりでございます。

伴野委員 これも、先ほどのトトロじゃありませんけれども、正直者の大人ばかりだったらおっしゃるとおりでいいと思いますし、これからもそうあってほしいなと思うわけですが、今後、これは我が国だけではなく諸外国のチェックも必要になってくる、あるいは諸外国の情報がどうであるかという目ききなんかも必要になってくると思いますので、これも繰り返しになりますが、性善説は基本的にいいんですが、それプラス、いわゆる誤情報を、巧みに偽装したと言うと言い過ぎかもしれませんが、巧みにやられたときに、それをチェックする能力なりデータもきちっと持ち合わせて今後も対応していただければと思うんです。

 そうした中で、今回も、情報開示していく上で、先ほどこれも話題になったと思いますが、企業秘密等を理由に開示されなくてもいいケースがあるということでございますが、現時点でこれは何件あって、その内訳を教えていただけますか。

南川政府参考人 今回発表いたしました結果の中で、三十六の事業所につきまして、これは経産大臣でございますが、経産大臣が認定して権利利益の保護があると認められております。全体は一万四千二百二十四件でございまして、そのうちの三十六件ということでございます。内訳といたしましては、エネルギー起源のCO2について三十五事業所、非エネルギー起源のCO2について一事業所というものでございます。

伴野委員 それはどの法律のどのあたりを読めば今言った対象になると解釈していいんですか。これは、地球温暖化対策の推進に関する法律(平成十年法律第百十七号)に出ている「権利利益の保護に係る請求」とそれに伴う省令扱いの審査基準があるやに伺っておりますが、それを踏まえていくと、今言ったようなところが対象になるという解釈でよろしいですか。

南川政府参考人 御指摘の条項とそれに基づく関係大臣の審査基準によるものでございます。

伴野委員 これは疑っているわけじゃありませんが、それが恣意的に取り扱われることはないという担保はどこで読み取ればいいんでしょうか。

南川政府参考人 これにつきましては、事業所管大臣においてきっちりとチェックがなされている、そういうふうに考えております。

伴野委員 そうすれば、何かあれば所管大臣の責任までいくものであるという解釈でよろしいですか。

南川政府参考人 事業所管大臣の責任においてチェックをさせていただいているということでございます。

伴野委員 責任の所在は、それで結構かと思います。

 あとは、企業秘密というものがどれだけの価値があるものか。と同時に、当然、国益あるいは我が国としてそれを守っていかなきゃいけない立場もよく理解しているつもりです。一方で、先ほどもあえて恣意的という言葉を使ってしまいましたが、信頼性を高めていくあるいはきっちりやっているという意味合いのもとで、私は、そういう情報管理というのはもっと我が国はめり張りを持ってやらなきゃいけないんだと思うんですよ。

 例えば企業秘密を守る限度を、その会社がその技術によって他企業と最適な状態にある、あるいは、そこで得られたパテントとの関係で投資の回収年限とか、何か基準を一つお持ちいただいて、それが仮に十年だったら、その十年間は徹底的に情報管理して、これはどんな状態でも漏えいしないように管理をきっちりする、逆に、余り価値がなくなった状態ではきっちり十年後には公表するというようなことが今後は考えられるのか、いかがでしょうか。

南川政府参考人 条文上、特に手当てはしておりませんが、当然ながら、事後的であっても開示の条件が整えば環境省に送付をいただいて公表するということになろうかと思います。

伴野委員 それも所管大臣の判断のもとという解釈でよろしいですか。

南川政府参考人 事業者の申し出と所管大臣の判断によるものでございます。

伴野委員 ぜひそのあたりはめり張りをつけていただいて、守るべきときはきっちり守って、いわゆる黒塗りにしていく必要がないときには積極的にそれは公開していくということがこのシステムにおいても国民の信頼性を向上させることになっていくと思いますので、ぜひめり張りをつけた情報管理をしていただければ結構かと思います。

 それで、そういう黒塗りの部分が出てくるということなんですが、私も浅はかに考えていたところがあって、一つ一つの事業所を、例えば産業別にあるいはいろいろな区分があるんでしょうが、いろいろな情報を積み上げていけば最終的な我が国の排出量が出るものだとばかり思っていたんですが、そうでもないんですね。我が国の全体の排出量というのは少し違うマクロ的な分析で多分取り上げられて、今回の事業所単位の情報開示というのはそういった国全体のマクロ分析に使われているわけではないんですね。いかがですか。

南川政府参考人 今回の公表いたしました成果でございますが、量的に申しますと、一定規模以上の事業所に対象を絞っておりますことから、工場につきましては温室効果ガスの約九割をとらえている、それから、オフィスにつきましては約一割しかとらえていないということでございます。したがって、全部足しましても、我が国の例えば産業系とか業務系の数値には到底足らないという数字でございます。

伴野委員 そうすると、最終的な情報をとっていく目的というのは何なんでしょうか。

南川政府参考人 各事業所で把握をいただきます。そして、開示請求があれば、当然、他の事業所のデータもわかるわけでございます。そういう中で自分がどういう位置づけにあるのか、もっとやれるのか、かなりやっているのか、そういったこともわかるわけでございまして、今後、具体的には、自主的に取り組んでいただく上の大いなる参考になるというふうに期待をしております。

伴野委員 この後質問させていただく地方公共団体実行計画にも関係してくるんですが、また、先ほど同僚の指摘、質問があったかと思いますが、そこに何かインセンティブというのは働いていかないんでしょうか。一生懸命やったところとそうじゃないところで、今後は何かインセンティブを与えられる、例えば減税の措置とか何か考えられることはないんでしょうか。

南川政府参考人 具体的に企業が減らすことのインセンティブというのはなかなか難しいと思います。

 ただ、私どもとしては、例えば工場でございますと、おおむね生産量がわかるわけでございます。それと比較して非常にCO2が少ないということであれば、当然ながら、その企業がすぐれた技術を持っておるということになりますので、他からの技術協力の要請とか、そういったものもふえると思っておりますし、また諸外国との協力関係もそれで増進できると思っております。そういう意味で、間接的ではございますけれども、さまざまな排出削減に努力している企業が報われるようなシステムにしていきたいと思っております。

伴野委員 余り露骨にということでもないんでしょうけれども、いずれにしても、インセンティブが働く仕組みづくりというのもぜひ御検討いただければと思います。

 続いて、事業所単位のお話から地方公共団体実行計画の方に移らせていただきたいと思います。

 現時点でさまざまな数字が出てきておりますけれども、現行法において推進計画、実行計画が策定されている数、いま一度確認させていただきたいんですが、全体が幾つで、そのうちどれぐらいの自治体が推進計画、実行計画を策定し実行に移していらっしゃるか。現時点でとらえられている数字をそれぞれお教えいただけますでしょうか。

南川政府参考人 まず、実行計画でございます。これは、各庁舎とか自分の持っている車の管理関係が中心でございますが、県は全部行っておりますけれども、市につきましては、全体では千六百七十八市町村のうち七百五十三の市町村がこれをつくっておるということでございます。

 それから、もう一方の地域推進計画でございます。これは法律上の義務ではございませんけれども、これを自主的につくっていただいておりますのは都道府県すべてでございます。それ以外に、政令市でございますと、十七の政令市中十四市、中核市ですと三十五市の中の七市、特例市が四十四市の中の八市ということでございます。

伴野委員 数字を最初に聞いたときも、余り……。各都道府県はもう既にやっていらっしゃるということでございますけれども、推進計画の方は百四十三自治体のうち、これは特例市以上だそうですが、このうち策定済みが七十六自治体、それで数値目標等々掲げているのは、自治体全体から見ると、自治体を千八百四十二とすると九十三自治体であるということでございます。現時点において、これは満足できる数字ではないと思うんですけれどもね。

 これは先ほども自主的ということでございますが、私はこのあたりは今改正に従って一〇〇%に速やかに近づけていただきたいと思いますし、できることならば小さい市、町にも何らかのインセンティブを与えて、計画と実行ぐらい、見させていただくとそんなに難しいものでもないように思うんですが、そのあたりの今後の方向性はいかがでしょうか。

南川政府参考人 まず、実行計画につきましては、今回の改正によりまして、都道府県と特例市以上の人口二十万以上の市でございますけれども、それについてはすべて実行計画はつくっていただいておりますけれども、今回、幅広い地域全体のエネルギーとかを含めた対策を必ずつくっていただきたいと思っております。これについては具体的な説明会等も含めて徹底的に行いまして、意味のあるものにしたいと思っていますし、ぜひ地方公共団体のやる気を促したいと思っております。

 それから、それ以外の市町村につきましては、現在、三十数%の実行計画の策定率でございまして、非常によくないということは事実でございます。私どもとしては、各市町村、つくっていないところにつきましては、ここがつくっていないということも明らかにしますし、個別に文書を出しまして、早くその実行計画をつくっていただくような措置を促したいと思っています。

 それから、推進計画につきましては、今般、実行計画の中を拡大することによって、実質的に推進計画が国も関係の事業者も巻き込む形でより担保されるわけでございます。むしろそちらに早く移行していただいて、国にも強い立場でその地方公共団体の声が反映できるようにしていきたいと思うところでございます。

伴野委員 自主性とか相手に任せるという意味での性善説というのは否定はしませんけれども、やはりどうしても、かけ声はいいんだけれどもばらばら感とか、あるいは達成感ということになると、今回、非常に残念な結果が現状では見受けられます。大臣、ぜひこの改正に当たって各自治体の御指導をされる決意をちょっとお聞かせいただけませんか。

鴨下国務大臣 今、議論がありましたけれども、私も、企業あるいは地方公共団体においてはある程度自主的な取り組みというのを尊重したいというふうに思います。

 ただ、それを我々が評価し、ある意味でインセンティブを与えていくことをきちんとしていくことによって前に進むんだろうというふうに思います。ですから、余り規制的な手法でトップダウンでぎりぎりやると、ただアリバイづくりだけになって、結果的に自主的な本物の行動が変わっていかないというふうに思っておりますので、先生の御指摘も踏まえましてしっかりと目は光らせていきたいというふうに思います。

伴野委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 今回の法改正の目標も家庭部門に重きを置いていらっしゃるわけですから、家庭に入れていくためには、そこの各自治体、もっと細かく言うならばそこのコミュニティー、町内にきっちりとした方向性なんかを示していただく意味でも、自治体が先頭に立っていただかないとなかなか難しい部分があると思いますので、ぜひこのあたりもやる気が出てくる仕組みとあわせて御検討いただければと思います。

 今度は各個別のお話から全体のお話で、よく目達計画とか言われている話の中で京都議定書のいわゆる六%削減に向けて、これは先般も質問をさせていただきましたが、今回、それを達成していく中で業務その他部門と家庭部門というものをとりわけ強調していらっしゃいますが、その他の部分に対策というのは今回の改正では見られないんでしょうか、あるいはもう措置されているんでしょうか。いかがでしょうか。

南川政府参考人 お答えいたします。

 今回の改正の中で、もう一つ大きな対策の強化が盛り込まれております。それは二十条の五、六、それから二十一条でございます。

 まず、二十条の五では事業活動に伴う排出抑制ということを設けております。この中で、事業者はその事業の用に供する設備についての具体的な対策についてできるだけ温室効果ガスが減るような形で努力してもらうんだと。

 それから、もう一つは、日常生活における排出抑制への寄与というところでございますけれども、二十条の六におきまして、事業者は国民が日常生活において利用する製品または役務についてその利用に伴うガスの排出がより少ないものについてのさまざまな情報提供等を行うというふうになっておるところでございます。

 これにつきましては、単にこうした抽象的な規定ばかりではございませんで、二十一条で排出抑制指針というものをつくりたいと考えております。特に排出抑制指針につきましては、全社の事業活動に伴う排出抑制についてかなりきめ細かな指針をつくりたいと思っております。これは具体的には、製造業も運輸関係の業務も含めてでございます。各業種ごとにどういう施設を導入してもらうことが望ましいのか、また、どういう管理が必要なのか、そして、その主たる部分については望ましいレベルの原単位目標、温室効果ガスの原単位の数字もつくるということで、産業、それから業務を含めて全体として事業者が目指していただくべき望ましいレベルを示したい、それに向けて技術的助言等を行いたい、そういう規定を設けているところでございます。

伴野委員 ぜひ各部門にも目を光らせていただき、対応方をよろしくお願いいたします。

 あと残り少しになってきましたので、中長期的な削減目標の設定の話に入らせていただきたいと思います。

 先般も大臣とこの席で議論させていただいたときに、京都議定書の目的、趣旨は理解するものの科学的検証がきっちりなされていたかあるいは科学的根拠に基づいてといったときに、幾つか疑義があるというお話を私も申し上げたんですけれども、洞爺湖サミットをお控えになる中で、科学的根拠を踏まえた世界全体の排出目標設定ということで、当時の安倍総理大臣は二〇五〇年にCO2の排出量を半減、福田総理はそれを十年、十五年でピークアウトに持っていくという大きな大きな目標があるわけでございますが、そうした中で、日本が独自の目標設定をして各国をリードしていくという数字が今あるのかどうかという指摘に対しては、環境省さん、どうやってお答えになられますか。

南川政府参考人 昨年の段階で世界全体を半減にしようということで日本から言いました。では、日本が例えば二〇二〇年、二〇五〇年はどういう数字にするかについては、現在、政府部内で検討中でございます。

伴野委員 いろいろな対応もされているやにお伺いするんですけれども、きょうの読売新聞で「サミットへの道」というのを読ませていただきました。この中で、我が国としてはEUとアメリカの板挟みになっているんだ、なかなかうまくいっていないのではないかという感想を持つわけでございますが、そうした中で、例えば主要排出国会議とG8の間の意見のそご、あるいは洞爺湖サミットへ向けての調整というのは今どんな状態になっているんでしょうか。

谷津政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の主要経済国会合でございますが、これは御案内のとおり、昨年のハイリゲンダム・サミットに先立ちまして、アメリカのブッシュ大統領が提唱し、その後、アメリカの主導で開催されておるところでございます。

 ここでは、長期目標、あるいは技術的なアプローチなどについて、主要経済国、これには中国、インドなども含まれておりますけれども、その間で対話を進めておるところでございまして、今週の十七、十八日にかけましてパリにおいて第三回の会合が開かれるということになっております。これに先立ちまして、前日の十六日には、フランス政府が主催をいたしまして、セクター別アプローチに関するワークショップが開催されるということでございます。

 一方、正式なCOPに基づく次期枠組みの交渉でございますけれども、先々週バンコクで開催をされました特別作業部会におきまして、我が国が提唱するセクター別アプローチにつきましては、公平な目標設定のために有効な手段であるということ、国別総量目標をセクター別アプローチによって置きかえするものではないということ、また、先進国と途上国に一律の基準を当てはめるものではないというようなことを我が国から明確に説明したところでございます。そうした結果、EUを含め先進国から特に異論はございませんし、セクター別アプローチは有効な手法だということで、今後十分検討していこうということになったわけでございます。

 また、このAWGの今後の会合の中で、第三回、これは八月から九月にかけて開催が予定されておりますけれども、第三回の作業部会で、セクター別アプローチをテーマにしたワークショップを開催することも全体で合意をされております。

 こうした点も踏まえまして、引き続き関係国、当然アメリカ、EU、中国、インド、こういった主要国と建設的な協議を進めてまいりたい、こういうふうに考えております。

伴野委員 方向性はよくわかりました。議長国としての立場の難しさ、大変さも理解しているつもりでございます。

 それで、大臣、先ほどトトロの話をしましたけれども、最初のタイトルというのは、「このへんないきものは、もう日本にいないのです。たぶん。」と、いないという言葉を使っていたらしいんですよ。だけれども、いないと言うと可能性を否定してしまうということで、「このへんないきものは、まだ日本にいるのです。たぶん。」という、それにつけかえたということらしいんですね。

 私は、可能性はたくさんあると思いますし、先ほど申し上げましたように環境の時代に本当に忘れ物を届けることができるのは日本しかないと思っております。ぜひその先頭に立っていただきますよう祈念いたしまして、質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

小島委員長 次に、村井宗明君。

村井委員 民主党の村井宗明です。

 きょうは、二酸化炭素の見える化についてお話を、そして質問をしたいと思うんです。

 ほかの環境問題とこの地球温暖化の問題、二酸化炭素排出の問題の一番大きい違いは何かと考えてみるんです。例えばかつての重油流出事故とか砂漠化というのは、目に見てぱっとわかるんです、あっ、これはひどいなと。廃棄物、例えば産廃が大量に捨てられているときも、こんなにたくさん不法投棄されているんだと見えるんです。ところが、二酸化炭素というのは見えないんです。こんなにたくさん出されたんだ、すごいなというのが目に見えてこない。これが二酸化炭素排出量がどんどんふえている要因だし、ほかの問題との大きな違いじゃないかというふうに私は思っています。

 そんな中で、今回の改正案の方も、見える化に向かって一歩だけ前進しました。フランチャイズの店も開示対象にしようということなんです。

 きょう、皆さんに資料を配らせていただきました。もっともっと二酸化炭素を見えるようにするにはどうしたらいいのか。私どもの末松さんが、民主党はこのカーボンディスクロージャー制度を目指して修正案を出すというふうに本会議でも申し上げさせていただきましたが、その簡単な概要について少し話をしたいと思うんです。

 そこに書いてある資料の一枚目がポンチ絵なんです。政府の今一番の温暖化防止対策の中心は、一人一日一キログラムのCO2削減を国民に呼びかけることなんです。

 さてそこで、では、一人一日一キログラムのCO2削減というふうに呼びかけをしていますが、全人口のうち何人ぐらいが自分の家庭でのCO2の排出量をわかっていて、それが全人口の何%なのか。CO2の排出量をわからずして、一キロ削減したかどうかなんて絶対わかり得るはずがないんです。

 さて、それぞれの家庭でCO2の排出量を把握している家庭は何万軒ぐらいで、何%ぐらいと考えておられますでしょうか。

南川政府参考人 CO2につきましては、御指摘のとおり、見えませんし、においもしないということでございます。そういう意味で、見える化が大事だということは私どもも全く同じ思いでございます。

 一人一日一キロということで、昨年六月からこのチャレンジ宣言を呼びかけまして、現在約六十万人の方に宣言をしていただきました。日本の人口の〇・五%まで来ております。

 私どもとしては、この六十万人の方については、ある程度ラフであっても、その排出量を把握していただいているものというふうに考えております。

村井委員 〇・五%しか実は把握できていなくて、では、この環境省の国民運動が成功していると言えるかどうか、私はちょっと疑問だと思うんです。

 例えば、大臣、鴨下家の先月のCO2排出量は幾らで、その前の月は幾らで、一キログラム削減しているかどうか。当然、わからないと減ったかどうかもわからぬわけですが、鴨下家はどうだったでしょうか。

鴨下国務大臣 多分そういう質問が出ると思いまして急遽調べたんですけれども、ただ、経理区分が十分に分離できていないで、私のところは三世代住んでおりますし、それからそれぞれ少しずつ家のつくりなんかがばらばらなものですから、私自身がどのくらい出しているかというのをこれから積算しまして、そして家族一人頭どのくらい出ているかというのを後ほど報告をさせていただきたいと思います。

 きょう、検針のメーターと電気料金と水道料金、そういうものからさかのぼって計算したんですが、ちょっとまだはっきりとしませんので、後ほど機会を改めまして報告させていただきます。

村井委員 ありがとうございます。

 さすがに大臣、段取りよくこういう質問になるかなというのを判断していただいて、ありがとうございます。

 そうなんです。実際にここにおられる議員の皆さんも、私も含めて、実はそんなに自分の家庭のCO2排出量を把握していなくて、それでも一キロ削減したかせぬかという議論をする。実は、その土台にないというのが大きな問題だと思うんです。

 例えば桜井副大臣でも、聞きはしませんけれども、同じように……(発言する者あり)では、今、自民党の方から答弁させろと言われたので、桜井環境副大臣、先月の桜井家でのCO2排出量は何キログラム、そしてその前の月は何キログラムで、三十キログラム削減できたでしょうかどうでしょうか。

桜井副大臣 今大臣お話しのように、私の方でもどのぐらいかというのはわかりません。

 ただ、環境省に行きまして、一人大体四キロぐらい出ているだろう、そして四キロぐらいを三キロにしたらどうだろう、それが一日一人一キロということで、私はここに、環境副大臣になってから「私のチャレンジ宣言」というものをつくりました。この中に全部具体的に書いてございます。私自身がそれを全部やりますと、一日一・六五三キロ削減というようなことを宣言して、今これをずっと配っております。

 具体的に五十グラムとか何キロとありますから、どうぞ見てください。

村井委員 ありがとうございます。

 具体的に何をしたらどのぐらい減るかというのをこうやってやっていただいている、これももちろんすばらしいことだと思うんですね。後でまたこれはお返ししますけれども。

 何が言いたいかというと、取り組んだらどうなるというのはもちろんあってもいいんですが、実際にどれだけ出したのかをほとんどの家が把握できていない。やったら多分こうなるだろう、減るだろうというのはあるんですが、家庭部門でも自主的な運動、自主的な行動をやってもらうために、そこを明確に把握できるようにしていこうというのがこのカーボンディスクロージャー制度の話なんです。

 例えば、今ちょっと言った先進的な取り組みで、環境省がみんなにやってもらっていると言っている、我が家の環境大臣という環境家計簿、登録者数はどのぐらいで、また、それ以外に家庭部門でのCO2の把握をできるためにやっている取り組みはありますでしょうか。参考人の方、お願いします。

西尾政府参考人 今お尋ねの我が家の環境大臣事業ですけれども、平成十七年度から始めたところでございまして、二十年の三月末現在、企業や団体単位で加入していただく情報提供世帯というのが百四十五万世帯、ウエブサイトを利用して環境家計簿等に取り組むウエブ登録世帯が五万二千八百世帯、合計百五十万三千世帯の登録でございます。

 ただ、今おっしゃっている具体的に把握できるというのは、家計簿のところまできちんと記録していただくような方々でございます。その中から若干、千七百ぐらいですが、サンプルをやりましたけれども、こういう一番熱心な方々の家庭の平均をとりますと、例えば年間で二百十六キログラム減ったというふうなこともございます。ただし、これは季節だとかほかの対策の効果とかもございますから、わかりません。こういうものを全部の百五十万世帯に重ねてもらえば三十万トンになるのになと。

 そのぐらいのことで、大いにこういうことでPRしていくということの意味はあるんだというふうに思っております。

村井委員 そこで、この一枚目のポンチ絵にも出しているんですが、今、みんなでやってもらっている、やってもらっていると言うけれども、実際は〇・五%の家庭でしか把握できていない中で、さっとわかりやすいようにするにはどうしたらいいか。

 今ここに、私の地元の北陸電力からの電気の検針票があるんです。これも今どんどん改良されているんです。昔は、何キロワットアワーで幾らでしたというだけだったんですが、今は、昼分が何キロワットアワーで夜分が何キロワットアワー、前回がどれだけで今回がどれだけというのもどんどん改良して加わってくるんです。これはいいことなんですが、もう一つここにCO2の排出量という項目もふやしてもらったら、それぞれの家庭のCO2排出量が把握できやすいんじゃないかと思っているんです。

 これは電気だけじゃなくて、当然、ガスも同じようにできるわけです。東京電力の私の家の分を見ると、ガスの方が比較的まだスペースがあいていて簡単に入れやすいんですが、電気は確かに入れるとすると細かい字になってしまうのかなと思うんです。電気、ガス以外に、もちろんガソリンも入れたときに領収書に近いものをもらうわけですから、あそこに軽く、CO2の排出量はどれだけですというふうに盛り込んでもらう。そうすると、それを足し算するだけで大体のCO2排出量がわかる。もちろん人間が吸ったり吐いたりしているCO2の量はわからないんですが、電気、ガス、燃料からほとんどのCO2排出量が把握できるようになるわけです。

 今〇・五%にすぎない各家庭のCO2排出量の把握をもっともっと広げるために、家庭部門でのCO2排出量を把握できるカーボンディスクロージャー制度を取り入れるべきだと思うんですが、鴨下環境大臣はどのようにお考えでしょうか。

鴨下国務大臣 今先生が御指摘をいただいている点については、私ども本当に重要なことだと思います。

 私はよく、大臣になりましてから子供たちに呼ばれて説明をするときに、我々が一日六キログラム平均的に出しているというのは、炭酸ガスでいいますと三立米なんですね。一立米二キログラムあるんですよ。だから、意外と炭酸ガスというのは重いんです。石炭でいうと二・五キログラムぐらいのものを燃すとそれだけの炭酸ガスが出て、これを日常的に私たち一人一人が平均的に出しているんだ、こういうような話をしますと、子供たちは非常に関心を持ってくれます。それはまさに、石炭が炭酸ガスになって空気中に出ていくということが見える化したんだと思います。

 それと同時に、例えばツバルの写真や北極の写真を見せますと、自分たちが燃したものが結果的にそういうふうに因果関係として地球温暖化に影響を与えているんだということがぱっと頭の中で結びついてくれて、そして最終的にそれで今度は行動が変わっていくんだろうというふうに思いますので、そういう趣旨からいいますと、先生がおっしゃっている、電気でCO2がどのくらい出ているのかということについて明確にするというのは、私はまことにそのとおりだと思います。

 ただ、今の段階の議論の中では、それぞれの電力会社、それぞれ発電のいろいろなメカニズムが違いますから、原発への依存度、それから石炭火力への依存度というような比率についてそれぞれいろいろなお考えがあるようでございますので、そこを乗り越えなければいけないんだろうというふうに思います。

 ただ、私は、国民の皆さんがこの温暖化というものと直接かかわっていただくという意味においては、一番今エネルギーを使っているのは電気でありますから、電気とガスを自分たちがどれだけ使ったらどの分だけCO2が出ているのか、こういうことについての見える化というようなことはしっかりと国民にもお示ししなければいけないというふうに考えていますので、私は微力でありますけれども、せいぜいそういうような方向に向けてしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えます。

村井委員 大臣からもそんなふうに言っていただいて、本当にありがたいと思います。

 そうなんです。今、結局、一人一日一キログラムCO2削減というのが、実際に自分がどれだけなのかがわからない中、どれだけできたのかも全くわからない中で、今回の地球温暖化対策法の改正案、一歩だけ前進したんです。フランチャイズ店でのCO2見える化が進むのはいいんですが、肝心の家庭部門でできていない以上、やはりここについて法改正も必要だと思うんです。

 方向性として大臣も賛同いただいたのはいいんですが、法改正が、もし民主党から修正案として提出される、そしてそれぞれのエネルギー供給者の人たちにもそういった形で協力いただこうという話になった場合は、大臣は賛成でしょうかどうでしょうか。

鴨下国務大臣 これはもうそれぞれ与党、野党の議員の皆様の御審議のことでございますから、私からは直接的に申し上げられませんけれども、さまざまな議論の中である方向性が出れば、私たちはそれに従いたいというふうに考えております。

村井委員 ありがとうございます。ぜひ与党の皆さんにも、このCO2の見える化についての協議を進めさせていただければと思うんです。

 例えば、排出権取引でいきなりお金を取るとかという話だと、もちろん賛否両論いろいろ分かれると思うんですが、CO2の排出量を見えるようにするということであれば、余りそれほど大きな抵抗もないし、これは与党も野党もなく、みんなで自主的に行動、取り組みをしようということの一歩にすぎないわけです。みんなで取り組むための協議というものをこれからもしっかりと与党、野党で呼びかけていきたいと思っています。(発言する者あり)与党からもそういうふうに言っていただいて、ありがとうございます。

 次に、家庭部門での見える化の話は今させていただいたんですが、もう一つ今やりたいのは、企業の部門なんです。

 今回、今まで排出量でいうと五割程度のところを六割程度に見える化の範囲を広げるというふうに言っているんですが、最も抵抗が少なく、なおかつCO2排出量を削減していくにはどうしたらいいかというと、それは当然ある程度お金がかかる話なんです。特に、単なる国民運動じゃなくて排出削減のための投資が必要ではないか。技術革新もそうだし、また、CO2排出量を出さないような機械に買いかえること、そういったものが必要だと私は確信しています。

 IPCCのレポートではGDPの五・五%、環境省の脱温暖化二〇五〇プロジェクトではGDPの一%程度の支出が必要だというふうに言っています。したがって、必要な対策に民間資金が供給される仕組みづくりが必要だというふうに考えているんですが、大臣も必要な排出源対策に民間資金がしっかりと供給される仕組みづくりというのは必要だと思われますか、どうでしょうか。

鴨下国務大臣 私はかねてから申し上げているんですけれども、炭素に価格をつけるというようなことと同時に、経済的な手法をあらゆる分野で組み入れていくことが技術革新あるいは省エネ技術の促進につながるんだろうというふうに思っておりまして、それにつきましては、持続可能な経済活動というものは環境と両輪でありますから、それを資金の流れの中で広げていくということは必要だと思います。そして、社会経済のいわば血流をつかさどる金融の果たす役割は極めて重要であるというふうに認識しています。そのため、例えば環境と金融に関する懇談会というものを開催いたしまして、平成十八年の七月に、環境等に配慮したお金の流れの拡大に向けて基本的な考え方を取りまとめました。

 これを受けまして、環境省としても、平成十九年度から、五年間で五%のCO2削減を約束した企業に対する融資の利子補給だとか、環境配慮型ファンドに多くの民間資金を呼び込むファンド組成の応援を行うなど、こういうような施策を講じているところであります。

 また、民間においても、企業の社会的な責任や社会的な責任投資というような機運の高まりを受けまして、自然エネルギーに対して投資するとか、あるいは環境パフォーマンスのすぐれている企業への低利融資というようなものがもう既に銀行等でも積極的に行われているわけであります。

 さらに、最近においては、環境配慮型企業の株式を組み込んだいわゆるエコファンドだとか小口の信託CDMなど新たな環境金融商品が創出されまして、環境金融は一層の広がりがあるというふうに認識をしております。

 これを私たちもより加速していって、金融分野あるいはお金の流れ、こういうようなことからモメンタムがさらに加速するようにしてまいりたいというふうに思っておりますので、委員のおっしゃることに賛同いたします。

村井委員 ありがとうございます。

 環境と金融をしっかりつなげていく、この方針というのは、これも与党も野党もなくて、本当に、今の経済はこのままじゃもたなくて、新しいルールを組み込まなければならないというのはみんな一致していることだと思うんです。この新しいルールというのは何かというと、環境というファクター。この環境というファクターを経済のルールに組み込んでいかなければ、このままの経済じゃうまくいかないなというのはみんなよくわかっている。そこで、今大臣がおっしゃられたような環境金融、エコファンドや利子補給といった話をどんどん進めていかなければならないんです。

 さて、そのためにまず今は何をしなければならないかということで、世界全体の環境金融も今動き始めています。経済社会を変える仕組みとして、二〇〇七年一月のダボス会議では、ダボス会議の中に気候情報開示基準委員会というのが設置されたんですね。そのことをまず大臣は御存じかどうか、そしてそのような委員会が設置されたということをどう受けとめておられますでしょうか。

鴨下国務大臣 私も詳しくは承知しておりませんけれども、二〇〇七年のダボス会議で、地球温暖化リスクに関する企業の情報発信の共通フレームワークの構築等を目的とした気候情報開示基準委員会、CDSBというものが設立されたと聞いております。

 この委員会では、投資家、経営者等による企業の比較を容易にするために、標準化された方法で気候変動に関する情報を企業が報告できるように今後議論をしていく、こういうようなことになっているようでございます。

 このような課題につきまして世界各方面で議論が進むことについては気候変動に関しましては望ましい観点でありますから、この委員会がどういうようなパフォーマンスをするのかということについては、ぜひ注視をしていきたいというふうに思っております。

    〔委員長退席、木村(隆)委員長代理着席〕

村井委員 ありがとうございます。

 そこで、そういった同じような方向の流れの中で、具体的にどうしていくかという議論もしたいんです。

 世界全体が今そういう方向に動いているという話で、私が配ったペーパーの次のページなんですが、そこに日本公認会計士協会の経営研究調査会の資料を加えさせていただきました。その中身はまたお時間があるときに皆さんにも見ていただきたいんですが、今、金融の面から見たCO2の情報公開というのが世界全体でもどんどん求められている。例えばここにあるように、国連環境計画の金融イニシアチブでも新しいレポートが公表されたし、総額四兆ドルの資金を有する機関投資家と大手企業が、米国証券取引委員会に対して、財務報告書で気候変動に対して企業がどのような情報を開示するべきかに関するガイダンスを示すように求められているなどというような話がどんどんと書いてあるんです。

 そうなんです。今、世界全体でも、本当に、金融面、エコファンドをやる場合でも、またエコファンドに限らなくても環境に配慮しながら投資をしていこうという中で、この情報開示というのがまだ余りできていない。世界的にも、今までは単にもうければいいという発想に近い状態だったのに、これからは、環境面でちゃんと大丈夫か、それから気候変動に対してのリスクにちゃんと対応しているかどうかということに対する情報ニーズが今あるという話なんです。

 そこで質問なんですが、ここに配付した資料のように、環境に配慮した投資というもの、そしてその情報開示というものに世界的なニーズがあると考えられますかどうか。そして、そのことについて、環境サミットでも情報開示の中身について議題の一つにするべきではないかと思うんですが、どうでしょうか。

鴨下国務大臣 先ほどからの議論の中でも、投資のあり方が環境に大きな影響を及ぼすことが世界の中でも認識をされてきております。二〇〇三年には、世界銀行によって、融資時の環境等の配慮に関する赤道原則が採択されています。さらに、二〇〇六年には、国連環境計画・金融イニシアチブによって、機関投資家の資産運用の中に環境等への配慮を組み込んでいく責任投資原則が採択されるなど、この方向については各方面で取り組みが進んでいるわけであります。

 一方、洞爺湖サミットにおいては、気候変動を初めとする環境問題が主要議題の一つであるわけであります。その詳細については外務省等が中心になって最終的な詰めをしているところでありますけれども、御指摘の環境に配慮した投資を促進するための情報開示は、環境保全を進める上での一つの手法としてこれをどの程度盛り込めるか、こういうようなことについてはまだ未知数ではありますけれども、我々は、今後の各国との調整状況を踏まえまして、こういうようなことについても検討されるものだというふうに思っております。

 我が国だけではなくて、国外においてもこの環境配慮投資に対する取り組みが進むように環境省としては取り組みたいと思いますし、これから一連の国際会議、例えばG8の環境大臣会合もありますし、加えてこれからG8のサミットまで続くわけでありますから、その折々に今のような御指摘について配慮をして対応してまいりたいというふうに考えます。

村井委員 ありがとうございます。

 さてそこで、なぜ私がこの環境と金融の部分、そして経済投資の部分にこだわっているか。私はここが一番大きな大局的なポイントだと思っています。

 なぜかというと、社会を一番動かすエネルギーは何なのか。もちろん、一人一人の個人の取り組みもあるんですが、この社会を動かしている一番大きなパワーは、やはりお金、金融。今、このグローバルな社会の中で、国境まで飛び越えて巨額なお金がどんどん投資をされて動いていく。ここが社会を変えるエネルギーであって、この一番社会に影響を与えているエネルギーに対して環境というファクターをどうやって織り込んでいくのか、ここが私は、戦でいったら本当に関ケ原の戦い、各国それぞれ個別のちっちゃな戦いじゃなくて、一番メーンの主戦場になるのは、やはり世界に流れる巨額な金融、経済、このルールに環境というものをどれだけ織り込めるかというところにあると思うんです。

 そういった意味で、洞爺湖サミットにおいても、もちろん細かい環境技術の話、それから一つ一つの政策だけじゃなくて、経済全体にも大きなルールをねじ込んでいただく、そういった議論をしてもらえたらいいかなと思うんです。

 さて、お配りした一番最後のペーパーを見ていただければと思うんですが、実は、私が申し上げたような話が、中央環境審議会地球環境部会で四月三日に発表しました「低炭素社会づくりに向けて」というものの中にもありました。

 環境省の審議会の方でも、こういった形で金融、投資の部分に情報開示も入れてしっかりと投資をしていって初めて低炭素社会というものの具体的なイメージになるという話、書いてあることはそのとおりなんです。投資家は、低炭素型のビジネスモデルを進めている、あるいは低炭素技術を積極的に開発している企業に必要な資金を十分に供給するというのが、やはり未来の低炭素社会へ持っていくあり方なんです。

 そこで、ここに書いてあることはすばらしい中身なので、今後は、環境に配慮した投資についての具体的なアクションに取り組む時期が来たんじゃないかと思うんです。大臣は、この中央環境審議会の提言についてどのように受けとめておられますでしょうか。

鴨下国務大臣 中央環境審議会の「低炭素社会づくりに向けて」は、二〇五〇年のライフスタイル、社会資本、環境エネルギー技術などのあるべき姿のイメージを取りまとめたものでありまして、官邸での有識者懇談会の議論の材料として提供したものであります。

 この中に、環境に隅々まで神経が行き届いた金融が実現していくことが望ましいということで今お示しになっている資料が盛り込まれているわけでありますけれども、これを実現するためには、今後、長期にわたる官民でのさまざまな努力が必要だろうというふうに思います。

 ただ、先生おっしゃるように、今、ある意味でそういう時期が来ているんだろうというふうに私も肌で感じます。これから、例えば金融機関、あるいは今それぞれ日本を背負っているような基幹産業、こういうようなところの中にいかにビルドインできるかということについては、さまざまな手法を使わないといけないと思います。そして、最終的には、それがその企業の社会的なビヘービアにインセンティブを与えるようなことにならないと促進していかないということでありますから、これは、国民の理解、あるいは環境に配慮しているということがメリットになるような機運もつくっていかないといけないと思いますし、加えて、技術的なこともきちんと整えていく、こういうようなことを両々相まって進めていかないといけないと思います。

 環境省は積極的に取り組んでまいりたいと思いますけれども、ぜひ御支援もいただきたいと思います。

村井委員 ありがとうございます。

 御支援をと言っていただいた中で、民主党としては、去年発表した脱地球温暖化戦略、そしてマニフェストでも、こういったカーボンディスクロージャー制度を導入していくというのをしっかり打ち出させていただきました。政府がそういう方向へどんどんと進むのであれば、もちろん民主党は応援する側になって、ぜひ一緒にカーボンディスクロージャー制度を未来へ向かって進めていきたいと思っています。

 さて、その上で、先ほどからずっと、経済という一番大きな世界のエネルギーの中に環境という視点を盛り込んでいこうという話をしている中で、よく環境省の方々がおっしゃられる話は、いや、今、環境報告書という制度があるじゃないかということをおっしゃられるんです。私も、環境報告書というのはすごくよかったと思うし、これからもあるべきだと思うんですが、その上で、今の環境報告書に若干足りない部分があるんじゃないかというふうに思っています。

 そこで環境省の参考人の方々にお聞きしたいんですが、では今、環境報告書の開示内容というのは、それぞれ全部の企業が統一的な基準に基づく記載になっているのか。具体的に言えば、CO2排出量の算定方法、計算方法というのはすべての企業で統一されているかどうか。そして、二つ目が報告の範囲で、すべての企業が、国内を全部だとか海外も含めるとかいった形で基準が統一になっているかどうかについて、参考人の方にお聞きしていいでしょうか。

西尾政府参考人 環境報告書の記載事項についてのお尋ねでございます。

 それぞれの環境報告書は、企業が自主的につくるということでございます。詳細を義務化しているわけではございませんが、基本的には、記載事項をそろえてみんなが見やすくしていくというのは大事なことでございます。

 このために、環境省では、環境報告ガイドラインというものをつくっています。直近のものは昨年の六月に策定したもので、環境報告ガイドライン二〇〇七でございます。その中には、今問題になっています温暖化ガスにつきまして、温暖化効果ガス排出量の低減対策に関する方針、目標、計画、取り組み状況を書くこと、それぞれの六物質の総排出量を書くこと、それからそれぞれの種類別排出量の内訳を書くことが決まっております。あるいは、その算定方法の詳細は、地球温暖化対策推進法の算定・報告・公表制度の算定方法を推奨している。

 それから、その範囲でございますが、これはもちろん、中で区分けをしたときに、事業所別、事業者別だとか、単独、連結だとか、国内、海外別などを明記していただくのはもちろん基本でございますけれども、さらに、昨年の改定で、そのバウンダリーにつきまして、原則として、海外も含め連結決算対象組織というものがございましたら、そのグループ全体を書いていくということが非常に推奨される。もし何らかの理由でそうできない場合には、どうして限定をしたのか、その限定範囲はどこかということを明記することをガイドラインとして求めている。

 こういうようにやっております。

村井委員 その上で、環境報告書というのは、そもそも出しても出さなくてもいい自主的な制度です。

 私たち民主党がそのうちの要点を有価証券報告書にちゃんと書くべきだというふうに言っているのは、有価証券報告書は、出しても出さなくてもいいものではなくて、義務的なもの、しかも間違えたことを書いていたら当然処分もあるようなものなんです。

 そこで、では実際、自主的な方の環境報告書に誤った記載があったり、ガイドラインから外れる基準で物を書いていたら罰せられるんでしょうかどうでしょうか、参考人の方。

西尾政府参考人 直接的な罰条はございません。みんなの監視のもとにおいてそれぞれの企業がきちんと書いていただく、そういうものでございます。

村井委員 そうなんです。環境報告書というのは、そもそも出すこと自体自主的なものですから、自主的なやり方で書いてあっても、ほかの基準と違うやり方であっても、当然、罰せられることなんてあるはずがないんです。

 では、自主的にそれぞれの基準で書いてあるものに対して、投資家、そして世界の金融というものが客観的な基準として扱うかどうかといえば、やはりその信憑性は若干薄いものと言わざるを得ません。だからこそ、もちろん自主的に自由に記載してもらうところも必要なんですが、やはり明確にルールをつくって、有価証券報告書にその一部、本当に必要な部分だけを盛り込んでいくべきじゃないかなと思うんです。

 その質問は最後にすることにして、では、例えばの話、具体的な話をちょっとしたいと思うんですね。

 お配りしたペーパーの中にも実は細かいことをたくさんいろいろ書いておったんですが、実際、この間の四月十日の衆議院本会議のとき、ちょっと発言のメモをとらせていただきました。うちの民主党の末松さんが本会議でこの温対法の質問をしたときに、渡辺喜美金融担当大臣が何と言ったか。現在でも、有価証券報告書では、各企業が、CO2排出量を含め環境問題に対する取り組みを自主的に記載することが可能となっている。可能となっているなんですね。金融庁としては、引き続き、環境情報の自主的な開示の動向や投資家のニーズを注視していきたいというふうにあるんです。

 可能となっているというので、では実際どれだけ記載されているかということで書いてあった日本公認会計士協会の調査結果というのが、私が配った部分の間にばあっとあるんですが、二枚めくってもらうと表があるんです。表十五というものなんですが、メーンになってくる電力、鉄鋼、自動車というところでも、では十分に地球温暖化情報というものが開示されていたかというと、ここに出ている数字のとおりなんです。結局、自主的な記載ということになってしまうと、余りきちんと記載されるわけではないということが今問題ではないかと思うんです。

 大臣が自主的な記載が可能でやっているようなことを言っておられましたが、金融庁の参考人の方、実際に電力、鉄鋼、自動車だけがこの表十五に書いてあるわけなんですが、全国的に、上場企業四千社のうち、有価証券報告書にCO2排出量という定量的な情報を開示しておられるのは大体どのぐらいでしょうか。参考人の方にお聞きします。

岳野政府参考人 全国の上場企業のうち、CO2の排出量を有価証券報告書に記載している会社がどのくらいあるかというお尋ねでございました。

 先生の御要請でございましたので、限られた時間ではございますけれども、簡易な検索によりまして直近の有価証券報告書をベースに調べてみたところを御報告させていただきたいと存じます。

 まず、CO2の排出量が比較的大きいと想定されます電力、鉄鋼及び自動車の代表的な企業を中心に、基本的にはすべての直近の有価証券報告書を調べましたところ、CO2排出原単位を平成二十年度から二十四年度の五年間平均で平成二年度比二〇%削減するという自主的な目標を掲げておられる会社が一社ございました。先生御質問のCO2排出量そのものについて定量的な記載を行っている事例は確認できませんでした。

 なお、繰り返しになりますけれども、簡易な検索で調べました結果だということをお断りさせていただきたいと存じます。

村井委員 金曜日に通告したものですから、多分、火曜日の今の時点までで四千社全部調べることはできなかった、もちろんそうだと思うんですが、削減目標ですら一社にすぎなくて、また、CO2排出量に至っては確認できない。つまり、今までずっと私の質問の間言い続けてきた、環境という視点を経済ルールの中に入れる、盛り込んでいくということが、実はほとんどできていないんじゃないかということなんです。

 今、実際に、この有価証券報告書という金融の一番メーンになっていくもの、企業は何を一番重んじるかといえば、株価です。株価は何で決まるかといえば、有価証券報告書です。そこにきちんとCO2排出量やCO2排出削減のための取り組みというものが入っていけば当然経済と金融というものはもっともっと密接に結びついていくのに、今のところほとんど結びついていないのではないかということが問題ではないかと思うんです。

 もちろん、数字以外にも、定性的な記述というのもほとんど記載されていませんでした。やはり今ここで、私は、もっともっとCO2排出量やその他の対策というものを盛り込んでいくべきだと思うんです。

 そこで、大臣にお聞きします。

 環境報告書も私はもちろん重要だと思うんですが、義務的な、そして企業評価の一番メーンとなる有価証券報告書にもCO2排出量や二酸化炭素排出源対策というものをもっともっと書いていくようにするべきだと思うんですが、大臣はどのようにお考えでしょうか。

    〔木村(隆)委員長代理退席、委員長着席〕

鴨下国務大臣 先ほどから、例えば金融あるいはさまざまなお金の流れの中にCO2排出量というようなものを組み込んでいくという趣旨においては、先生おっしゃるように、企業の温室効果ガスの排出量等を公表することは、企業の自主的取り組みを促進する上で極めて有効な方法だと思います。

 加えまして、例えば仮に有価証券報告書に記載するというようなことがあれば、それは、環境に対して配慮をしている企業あるいはエネルギー効率が高いイノベーティブな企業だというようなことがある意味で投資家に評価される、こういうことにもつながるんではなかろうかというふうに私も思います。

 我が国では、地球温暖化対策推進法においても、株式の上場、非上場を問わず、一定以上の温室効果ガスを排出する工場や事業所を対象にした排出量の報告・公表制度があるというのは先ほどから申し上げてきているわけでありますけれども、そういうことによりまして、事業者別の排出量等の集計結果が公表される、こういうようなことで、投資家のみならず広く国民の目にさらすことになるんだろうというふうに思っております。

 これからも、より積極的に公表することで企業にとって投資家からの投資を得られる、こういうようなインセンティブが働くように、私たちも配慮してまいりたいというふうに考えます。

村井委員 大臣からも、こうやって公表を進めていくように配慮したいというふうにおっしゃっていただきました。

 その上で、それを実際に進めるための法改正をいろいろ検討してみたんです。そこで、ちょっと金融庁の参考人の方に確認するんですが、私らがいろいろ調べた結果、実は、この有価証券報告書に記載されている内容を細かく具体的に定めているのは、法律ではなく内閣府令であるということがわかりました。ということは、内閣府令で定めてあるということは、法律などを一々出さなくても、本当に政府がやる気になればCO2排出量などの環境情報を有価証券報告書に盛り込めるようになるという判断でよろしいですよね。金融庁の参考人の方にお聞きします。

岳野政府参考人 有価証券報告書の開示項目を具体的に規定しております法令が内閣府令ではないかという御質問でございますが、先生御指摘のとおり、基本的には内閣府令に基づきまして具体的な項目を規定しているところでございます。

 ただ、基本的には、有価証券報告書は財務報告を中心といたしましてでき上がった体系でございます。基本的には、財務報告の体系につきましては、法令というよりは、一般に公正妥当と受け入れられている企業会計の基準に従って行うということでございまして、有価証券報告書のたてつけがそういうふうになっているということでございます。

 その中で、計数的な面ではございませんが、例えば、経営として対処すべき課題についてその内容、対処方針等を具体的に記載すること、事業等のリスクにつきまして投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を一括してわかりやすく簡潔に記載すること、あるいはコーポレートガバナンスの状況につきまして具体的にわかりやすく記載すること、こういったような内容が内閣府令で規定されているところでございます。

 ただいまの先生の御質問、しからば内閣府令に書けば何でもできるのかという点につきましては、ちょっとお答えしにくい御質問でございますけれども、昨年も先生に御説明させていただいておりますが、有価証券報告書につきましては、先生御指摘のとおり、虚偽記載につきましては罰則をもって担保されている書類でございます。

 その有価証券報告書の記載事項を政府として定めます場合には、投資判断に当たって真に必要な情報と言えるかどうか、それから二番目に、その情報が投資者が誤解なく利用できるものとなっているかどうか、それから三番目に、実際に開示を行う企業に過剰な負担を求めることにならないかといった点を総合的に勘案して定める必要があると考えております。

村井委員 先ほど大臣の方から公表について積極的な話をいただいたんですが、金融庁としては、投資判断に必要かどうかと過剰な負担にならないかどうかの二点で総合的に判断すると言うんですが、では、今の話をちょっと因数分解したいと思うんです。

 投資判断に必要かどうか、つまり投資家のニーズがあるじゃないかという話を先ほど私と大臣でさせていただいたんですが、金融庁としても、今、国際的に投資判断の情報として求められているというのはまず認められますでしょうか、どうでしょうか。

岳野政府参考人 先ほど来先生が御指摘なさっている事項、特に、公認会計士協会の調査研究報告におきまして海外の動向を分析しておりますが、そういった中で、投資家のニーズの中、投資家の立場からそういった開示を求める動きがあることは承知いたしております。

村井委員 投資判断としてのニーズがあるという一点目はそれで認めていただいたとして、では、過剰かどうかということなんですが、実際に今ここにCSR報告書、それ以外にもいろいろな環境報告書があるんですが、CO2排出量を公開しようというのは実際の動きとしてあっちこっちであるわけです。当然、自主行動計画ということでCO2排出量を公表している企業がたくさんあるし、自主行動計画の中に入っているところはほとんどみんなそういうのをちゃんとやっているわけですから、では本当に過剰に大変になるかといえば、この中のほんの一部の部分、本当に柱になるようなCO2排出量ぐらいの話であれば、当然過剰な負担にはならないと思うんですが、金融庁としてはその辺どうお考えでしょうか。

岳野政府参考人 企業サイドにとって過剰な負担にならないかどうかという点でございます。

 この点につきまして、私どもなりにこの場で今考えてみますと、平成十八年度の「環境にやさしい企業行動調査」によりますと、現在、環境報告書を提出しておられます会社が全体で一千社ほどあると伺っておりまして、そのうち上場企業が五百九十社といった数字をいただいております。上場企業で有価証券報告書の提出企業が何社あるかということでございますけれども、数え方によりますけれども、全体で四千社近い企業があるわけでございますので、企業サイドの実態といたしましては今そういう状況ではないかと思っております。

 いずれにしても、そういった自主的な報告の状況、特に、新しくまた法律に基づきましてCO2の排出量を政府に報告して公表するという仕組みも動き出しておりますけれども、そういった動きを私どもとしては見ながら、企業サイドの問題ということについても検討していく必要があると思っております。

 それから、一つつけ加えさせていただきますが、先ほど、投資家のサイドのニーズはあるかという点につきまして、私ども、ニーズがあることは承知していると申し上げましたけれども、それが全体であって、投資家サイドの動きとしてどうしてもこれは開示しないといけないという状況になっているかといえば、まだそこまでではないのかなというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、環境と金融の問題につきましては、従来から申し上げているところでございますが、金融サイドで重要な役割を果たしていかなければいけないという点についての認識は私どもも持っております。この問題につきましても、CO2の開示につきましては、繰り返しになりますけれども、自主的な開示の状況なり市場の状況、あるいは投資家のニーズといったものを引き続き注視してまいりたいというのが私どもの考え方でございます。御理解いただければと存じます。

村井委員 もう一つ、過剰な報告になるかならないか、手間がかかるかかからないかというところで考えなければならないのは、今ちょうど話している今回の地球温暖化対策法の中でも、企業が国に報告するという制度の範囲がさらに広がったわけです。どっちにしても国に報告しているわけですから、それを有価証券報告書に載せるということがそんなに手間になるかというと、今回の法案がもし仮に成立するとするならば、もう一段階またそこの壁が下がってくるんじゃないかというふうに私は思うんですね。

 金融庁側も、今までの経済のルール、金融のルールの中に環境という視点を盛り込まなければならないというのはだんだんわかっておられる、かかわっておられなければならないというのはわかっておられる。そこは多分今おっしゃっていただいたとおりなんですが、実際に今、この日本の経済ルールの中に環境という視点が事実上盛り込まれていない。調べていただいたけれども、実際にほとんど記載されていなかった。

 これが今の現状の中で、私たちは今、もう一度この環境と金融についてきちんと議論をしていかなければならないんですが、金融庁として、有価証券報告書にどういうものを記載するべきなのかという議論をしていく場所があると思うんです。その中で、環境視点で、環境という分野の人も審議会か何かに入って議論しているような場があるんでしょうかどうでしょうか、金融庁の方。

岳野政府参考人 今の御質問、金融庁全体として環境と金融の問題について検討する場があるかということでございますと、私ども金融審議会という審議会がございまして、そういった場所での議論の可能性があると思っておりますが、現在、具体的な検討をその場で行っているという状況ではございません。

村井委員 そこで、大臣にお聞きしたいと思うんです。

 今、環境と金融が結びついていくことの必要性というのを大臣もおっしゃっていただいたし、実際この日本を動かしているお金というルール、このパワー、この中に環境という視点が少しでも盛り込んでいかれなければ、日本の環境全体、イノベーションも含めて変わっていかないんじゃないかと思うんです。一度、環境省から金融庁に対して、今は全然議論されていないようなことを言っているんですが、金融のルールの中に環境視点も盛り込んでいただいたらどうかという相談をする窓口をつくったらいいんじゃないか、もしくは具体的な検討には入るべきではないか、検討を呼びかけるべきではないかと思うんですが、大臣、どうでしょうか。

西尾政府参考人 先生御指摘のように、環境と金融の問題はだんだん重要になってまいりますので、金融庁との連携ということは大切かと思います。

 環境と金融に関する懇談会などの勉強の際には、金融庁にもいろいろ御相談して、オブザーバーにも来ていただくということをしていました。これはかなり概念的な整理の段階でございます。

 それから、先生先般来御指導いただいておりますので、私どもも、環境政策としてCO2をどう公表しようか、これはある程度わかりますけれども、先ほどから御指摘の、有価証券報告書などの財務諸表の中で扱ったときにどうなるのか、この辺の知識は非常に乏しゅうございます。そういうこともございまして、まずいろいろ調査をしようということで、公認会計士の方でありますとかファンドマネジャーでありますとか、そういう方々のいろいろな意見も聞いて、ちょっと調査をしようということで今かかっております。もう少し時間がかかります。

 そういう調査がまとまりましたら、その調査の結果も携えまして、また金融庁とも御相談をしていく、そういうことで連携していきたいというふうに思っております。

鴨下国務大臣 今局長が答弁をいたしましたけれども、私も、そういう意味では先生の御指摘、非常に重要だと思っておりますし、今回の温対法の改正の中でハードルが下がったというふうな認識は確かにありますから、金融庁ともしっかりと連携をして、何らかの形で結果が出るような方向で私も努力をしたいと思います。

村井委員 そうやって大臣から努力をしたいとおっしゃっていただいたこと、本当によかったと思います。

 きょうの質問はこれで終わるんですが、この話とまた全く別に、この間の本会議質問のときに公明党の方が言われたことで、すごくよかったなと思って印象に残った部分があるんですね。何かというと、日本に合った日本型排出権取引というキーワードで質問されたんです。今私が言っていた質問とは全く別に、大臣として、この日本に合った日本型排出権取引というキーワードについてどのように考えられてどのように評価しているのか、ちょっとお話しいただければと思います。

鴨下国務大臣 かねてからEUでは排出量取引が行われているわけでありますけれども、今、試行段階から多少いろいろと反省が出てきて、いわゆるキャップのはめ方についてもこれでよかったのか、あるいは過去の努力がどういうふうに報われるのか、それからセクター別の国際競争はどういうふうにあるべきなのか、こういうようなことについてEUでもいろいろと反省が出てきております。ですから、フェーズ2に入っていく中でそういうような議論がなされていると私も聞いております。

 そういう中で、日本は、一月に総理がダボスで国別総量目標とセクター別の積み上げというようなことをお話ししましたけれども、こういうことを受けて、いわば日本式のセクター別の積み上げ方式と国別総量目標の立て方というようなことについて国際的な知見をしっかりと集めて、そして日本の提案が世界の普遍的なルールになるような、こういうようなことで野心的な試みもしたいというふうに思っております。

 早速この連休明けにはパリでセクター別の積み上げについての国際的なシンポジウムをする、こういうようなことも含めて発信をしながら、なおかつ、G8に向けてそういうようなことをしっかりと、我々としては、世界的な普遍的なルールに我々が関与するというようなことで最大限努力をしたいと思います。

村井委員 きょうは、そういった形で、CO2の見える化、そして経済のルールの中に環境という視点を少し盛り込んでいただくというお願いをさせていただきました。ぜひこれからもよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

小島委員長 次に、高木美智代君。

高木(美)委員 最後になりました。公明党の高木美智代でございます。長時間にわたりまして、大臣初め皆様、大変にお疲れさまでございます。

 先ほど来、さまざまな質疑を伺わせていただいておりまして、まさに、日本にとりまして、環境問題を通して国際的地位をどのように獲得していくか、また何よりも、地球の温暖化防止のために日本がどこまで寄与できるか、正念場であるという実感を深くしております。恐らく大臣におかれましてはストレスはいかばかりかとは思いますが、ドクターでもあられる大臣でいらっしゃいますので、ぜひともこの難局を乗り切っていただきたいことをお願いするものでございます。

 我が党も、先ほど民主党の議員の方から公明党がいいことを言っていたというお褒めの言葉をちょうだいいたしましたが、まさに環境の党ということで今までも頑張ってまいりました。きょうは、そういうことも含めまして、何点か地球温暖化に関する質問をさせていただきたいと思っております。

 まず、本題に入ります前に、先般本会議でもやりとりが随分ありましたけれども、ガソリン税の暫定税率につきまして、失効したままの状態が継続しますとCO2排出量の増加が当然考えられるわけで、この試算をどのようにしておられるのか。特に環境という面からいきますと、欧州の主要国がガソリン代を段階的に引き上げながら環境対策に臨むというときに、むしろ日本は逆行しているのではないか、こういうことも言われております。

 ここにつきまして、私は初めて並木政務官に質問をさせていただきますが、並木政務官の所感を伺いたいと思います。

並木大臣政務官 御質問どうもありがとうございます。

 学識者等の意見でも、日本のエネルギー価格は先進諸国の中で大変低い中で、果たして節約というのが言えるのかというような意見もあります。また、オイルショック等のときに値上がりしたときには、現に使用量も減少しております。そういうことからしますと、ガソリン等の燃料課税というのは、地球温暖化対策上一定の役割を担っているということが言えるというふうに思います。

 欧州主要国では、地球温暖化問題などを理由として、ガソリンの税率を段階的に引き上げているわけです。現に今でも百三十円から百五十円ということであるわけですけれども、そうした意味では、我が国というのは、欧州主要国に比べて、今回特にですけれども、ガソリンの税負担が低い状況であるというふうに考えます。

 国立環境研究所においては、先生も御存じかと思いますけれども、ガソリンや軽油に係る暫定税率を廃止すると、今年からの京都議定書第一約束期間の平均でございますけれども、年間約八百万トンの排出量が増加するという結果が示されております。

 御案内のとおり、ことしはその約束年の第一年目でもありますし、また、七月には北海道洞爺湖サミットが環境、気候変動を主なテーマとして行われるわけであります。そうしたことからしまして、議長国としての我が国は、むしろ世界をリードする役割を果たさなければならない。そのような状況において我が国がガソリン税等の税率を引き下げるということは、世界に逆に誤ったメッセージを与えるんじゃないかというふうに考えております。

 したがいまして、こうしたことを踏まえますと、暫定税率の税率水準も含めて、地球温暖化対策に逆行するというふうに考えております。

高木(美)委員 大変丁寧な答弁をいただきましてありがとうございます。

 やはりこれは、一日も早く二十年度の歳入法案等を成立させまして、二十一年度以降に向けて、道路政策等のあり方につきましても与野党協議を速やかに進めるべきであると考えております。

 さて、洞爺湖サミットに向けまして、先ほど質問もございましたけれども、きょうの報道でもなされておりました排出量取引制度、どのような制度を今後導入していくのかという、ポスト京都議定書を見据えての大事な論議であると思っております。三月、千葉で閣僚級対話、G20が行われたときに、ベンチマーク方式にするのかオークション方式にするのか、さまざまな論議があったと聞いております。

 先ほど大臣から御答弁いただきましたとおり、日本は、ダボス会議で総理が、積み上げ方式、いわゆる技術レベルプラス足りない分を途上国の資金援助を充てるという表明をされました。また一方で、EUは既にこの一月、野心的な目標を設定して、オークション方式において、実現可能な部分とのギャップを排出量の購入という形で途上国を支援する。いずれにしても、途上国支援を視点に入れているということは大事なポイントであると思っているのです。

 済みません、これは大臣に質疑通告させていただいていないのですが、このベンチマーク方式とオークション方式、EUがこういう形でもう既に導入を発表している、そしてまた日本は、日本らしい、下から積み上げていくボトムアップのベンチマーク方式を提唱している。ここの折り合いをどのように今後つけていかれるおつもりなのか。恐らく組み合わせということが一番あり得る進め方かなとも思っておりますが、大臣はどのようにお考えか、伺わせていただきたいと思います。

鴨下国務大臣 先生のお話は、多分、キャップ・アンド・トレードに関してのキャップのあり方、こういうことについてのお話なんだろうと思いますけれども、EUは、過去のキャップ・アンド・トレードの中では、主に、グランドファザリングといいまして、トップダウンで排出量を割り当てていくというような仕掛けをつくったわけでありますけれども、その中に一部ベンチマーク方式を入れて今まで運用してきた。

 ところが、先ほど申し上げましたように、企業の過去の努力、あるいはセクターのさまざまな過去の努力、実績、こういうようなものを十分に評価できないということがあって、第二段階に入ってきた段階では、むしろオークション方式のようなことで、削減分、足らない分についてはオークションで買い取るということで全体的なキャップを決めたらどうか、こういうような話になってきております。

 ですから、私たちは、今、国内の排出量取引、あるいはこれから世界全体の国別総量目標をつくっていく段階で、今申し上げたようなことを踏まえて十分に議論して、いわゆるベンチマーク、原単位で、例えば鉄一トンをつくるのにどのくらいのCO2を出すのか、こういうようなことについてのエネルギー効率というものを勘案して、最終的にそれを積み上げていって国別の総量目標等をつくっていくというようなやり方がいいのではないかということで、今、その詳細な制度設計については早急につくり上げて、そして世界に問うていきたい、こういうふうに考えているところでございます。

高木(美)委員 先ほど来論議のあったところでございますが、いずれにしましても、日本のすぐれた省エネ技術を途上国にどのように移転していくのか。その際に、そうした技術を移転することに対して、それをCDMとしてカウントしてもらえるかどうか、これもまた日本にとって大事なポイントであると思いますので、引き続きお取り組みをお願いしたいと思っております。

 あわせて、先ほど途上国支援というふうに申し上げました。共通だが差異ある責任、これは当然大事なキーワードでございますが、こういうやり方には私たちはついていけない、そうした印象を途上国に与えますと、進むべき温暖化防止への道が閉ざされてしまうという懸念を持っております。

 大臣は、今回の洞爺湖サミットに向けましてどのような姿勢でお臨みになる決意でいらっしゃるのか、伺わせていただきたいと思っております。

 私は、やはりこうした地球環境問題、当然、各国におきましては、少しでも自分たちの負担を軽くするというところで削られてしまう、また、それぞれ自国の利益を主張することのみに終わってしまうという嫌いもあるわけでございます。もちろん、世界の温暖化防止ということと日本の国益ということ、世界と日本と両方見据えた取り組みが今ほど重要なものはないと思っております。

 同じ地球で暮らす人類の一員としての自覚、そして未来への責任感、これをどこまで共有できるかということでございまして、環境問題といいますのは、貧困、人口増加、そしてまた環境悪化と密接にリンクした二十一世紀の大きな命題であると思っております。大臣の御姿勢と御決意を伺いたいと思います。

鴨下国務大臣 今先生おっしゃるように、貧困、人口増加、それから環境悪化というようなことが密接にリンクをしているというのはおっしゃるとおりでございます。

 そういう中で、洞爺湖のサミットにおいては、気候変動を初めとする環境問題が主要議題の一つになるわけでございますけれども、その主要議題の中の気候変動においては、これは先進国と途上国の対立構造というものを乗り越えないといけないわけでありまして、すべての国が温室効果ガスの削減に向けて努力をする。

 ただ、そのときには、先ほど先生おっしゃったように、共通だが差異ある責任、これをお互いに認識し合わないとまとまるものもまとまらなくなる、こういうようなことでございますので、私たちは、まさに協力と連帯による取り組みが重要でありまして、我が国が議長国としてこのサミットの議論をリードしていく上でも、先生おっしゃるような御指摘はまさに重要な観点だというふうに思っております。

 また、五月に神戸でG8の環境大臣会合がございますけれども、そこでも日本が議長国として各国の環境担当大臣との議論を進めるということで、今御指摘があった論点をしっかりと踏まえまして、環境大臣会合でまとめ上げて、それを今度は洞爺湖のサミットにインプットしていく、こういうようなことで最善の努力をしてまいりたいというふうに考えております。

高木(美)委員 私も締めの言葉で協力と連帯と申し上げようと思いましたが、先に今大臣から言われてしまいました。ぜひともそのキーワードで、ウイン・ウインの時代を開く、そういうお話かと思います、お取り組みをお願いいたします。

 さて、この環境問題にリンクする大きな課題は、今課題になっております食料価格の高騰問題でございます。

 先般も世銀のゼーリック総裁が、世界的な食料価格の高騰が各地で飢餓や暴力などを引き起こしている、各国政府は直ちに対応すべきだ、こういう認識を示されまして、特に、世銀の概算におきましては、小麦、トウモロコシ、米など主要食糧の価格は、当然その背景として、中国、インドなど新興国の需要急増、そしてまたバイオ燃料向け原料としての購入拡大、こうした背景から過去三年間で二倍近くにはね上がっている、途上国の中でも貧しい国々に住む一億人がさらなる貧困に追いやられる可能性がある、このように伝えております。

 食料価格の高騰問題の原因につきまして農水省がどのように分析をしておられるのか、伺わせていただきます。

伊藤(健)政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘のとおり、穀物の国際価格も大変高騰しております。小麦、トウモロコシ、大豆につきましては一昨年秋ぐらいから、そして昨年秋ぐらいから今度は米が大変高騰しておりまして、統計のとり方にもよりますけれども、それぞれことしに入ってから市場最高値を更新する、一昨年の秋に比べますと、それぞれ二・数倍という状況まで上がってきております。

 こうした国際穀物価格の高騰の背景についてでありますけれども、よく言われますのは、穀物市場に投機資金が入っているという指摘もございます。我々としては、そういった要因も当然あるとは思いますけれども、基本的には、今御指摘のあったような中国、インド等の途上国の経済発展による需要増大、まずこれがあるかと思います。それから、これも御指摘がありましたけれども、アメリカやブラジルのバイオ燃料向けの穀物需要がふえてきているという新しい要因が生まれているといったこと、そのほかに、豪州の二年連続の干ばつですとか、あるいは地球温暖化による地球規模の気候変動の影響もあるのではないかというふうに考えております。

 こういったことが基本的な要因となっている中で、実は、主要輸出国の中に一部輸出規制をするという動きも広がっているといったこともこの国際価格に影響を与えているのではないかというふうに考えております。

高木(美)委員 ありがとうございます。

 バイオ燃料向け原料としての穀物の需要についてですが、かねてより、恐らく環境問題と食料問題とが競合するのではないか、こうしたことをすべきではない。大臣ももとより、セルロース系の燃料を開発すべきだ。我が党もその姿勢で取り組みを推進してきたわけでございますが、それよりもこうしたバイオ燃料の高騰の方が先に進んでしまっているという状況がございます。

 大臣は、国際的な食料問題への影響についてどのようにお考えでいらっしゃるのか。また、最近報道の中でも、こうした食料問題を洞爺湖サミットの大きな議題として取り上げるべきではないか、こうしたことも指摘をされているわけで、当然日本としても、議長国でございますので、そうした点のお取り組みを政府としてお願いしたいわけでございますが、途上国への緊急支援も当然必要かと思っております。

 まず大臣に、国際的な食料問題への影響などにつきまして、御答弁を求めます。

鴨下国務大臣 食料の問題は、私は、バイオ燃料のことと、加えて、まさに地球温暖化、気候変動の影響がもう既にさまざまなところで出て、最終的にそういうようなことも食料の高騰に一つの影響を与えているんだろうというふうに認識しております。

 今先生御指摘のバイオ燃料の導入は、地球温暖化対策には大きく貢献するもので、できれば化石燃料にかわってバイオ燃料をより多くしていくということは望ましい姿でありますけれども、他方、今御指摘があるように、食料と競合することによって、むしろ最貧国あるいは途上国の食料調達というものに対しても影響を与える、あるいは我が国にとっても食料の価格高騰につながる、こういうことになってはならないわけであります。

 今お話ありましたように、日本は、食料と競合しないバイオエタノールの生産を早急に拡大していくというようなことを先導していきたいというふうに思っております。具体的には、大阪府の堺市や沖縄宮古島において、廃木材、要らなくなった材木のようなものとか、サトウキビを搾った後の糖みつを原料としたバイオエタノールをつくっていくというようなことを今やっているところであります。

 環境省としては、これからもバイオエタノールの可能性を追求したいというふうには思っておりますけれども、くれぐれも、食料と競合して、そして結果的に食料の値段が上がることによって困る方が出ないような配慮を我々は最優先していこうと思っております。

高木(美)委員 先ほども申し上げさせていただきましたが、こうした食料問題とバイオとが競合しないために、今回のサミットでもぜひとも主要テーマに取り上げていただきまして、農水省そしてまた環境省、力を合わせていただきまして、政府として推進をお願いしたいと思っております。よろしくお願いいたします。

 話はかわりますが、今回の温対法の改正の中に植林CDM事業が入っております。実はこれは、二年前に、私、うちの環境部会長の江田議員が副大臣のときに質問をさせていただきまして、江田副大臣は当時大変前向きに、個人的な見解だが、難しいが実現するように頑張るという、そうした趣旨の答弁をいただいたところでございます。今回、国内法として整備されるというのは大変ありがたく、そしてまた安堵している次第でございます。

 京都議定書目達計画に対しまして、国内で削減できない場合、排出量を購入するわけでございますが、CDMの購入に当たりまして、どのくらいの量を購入しなければいけないというふうに試算をしていらっしゃるのか、何トン購入するというおつもりでいらっしゃるのか、答弁を求めます。

南川政府参考人 CDMの購入でございますが、もちろんこれは、対策としましては、削減を補完するものということで考えております。

 政府におきましては、基準年の排出量の一・六%、これは具体的に五年間で約一億トンのCO2でございます。これを購入するということで、現在その作業を行っているところでございます。

 具体的には、二〇〇六年度においては約六百四十万トン、そして二〇〇七年度におきましては約千六百六十万トンの取得契約を締結しました。合わせて二千三百万トンでございます。したがいまして、残り約七千七百万トンについて政府としての購入を行っていくということでございます。

 なお、民間におきまして、例えば電力会社は、自主行動計画が実際の原発の停止等で達成できないという場合には別途購入するということを言っております。そういった状況の中で、政府は一億トンでございますけれども、民間でもやはりこの二倍程度購入が必要だ、そういう試算もございます。

 いずれにしましても、全体としますと、三億トンとかそういったかなりの程度の購入になるというふうに予測をしております。

高木(美)委員 これは大変大事な答弁をいただきました。よく民間の方から、買えばいいというわけにはいかないんだ、これは全部国民の負担になるじゃないか、その前にやるべき政策を打つことが必要ではないか、こうした御意見もいただいているところでございます。

 ここで一トン幾らという価格について申し上げるのはふさわしくないと思っておりますが、EUが今、一トンこのぐらいで購入されているかなということを考えますと、民間それから政府からのこうした購入につきましても、恐らく兆に近い数字になってしまうのかなと今私の頭の中で試算をしているところでございます。それだけのお金があれば、少なくとも数千億円というお金があれば、まさにその段階で多くの政策を実現することもできますし、また、こうした環境対策に対してももっともっと推進をすることができるのではないか。やはりここの順番が私は大事ではないかと思っております。

 今後とも、そうしたことにつきまして、私も研究させていただきますが、ぜひともそのことを念頭に置いていただきまして、確かにやむを得ない判断で、約束を守るためということでございますけれども、その点もよろしくお願いをいたします。

 済みません、一つ質問を飛ばさせていただきまして、一番大きな課題でございます国民運動の取り組みにつきまして、時間の限り何点か質問をさせていただきたいと私は思っております。

 まず一つは、エコポイント、それから個人でのカーボンオフセット、こうしたことは今も推進をされている方も多くいらっしゃいますが、先ほども、ライトダウンとか夜間のテレビとか、コンビニを夜中じゅう営業する必要はないではないかとか、いろいろな論議もございました。いずれにしても、環境という視点から国民の意識を大きく変えていかなければいけない。ライフスタイルを変えるということは、単に削減して切り詰めていくという発想ではなくて、やはり考え方を大きく変えていただく、そのための触発が大事であると思っております。

 先般、京都大学の植田和弘教授が、環境問題は国内問題と総合して解決することが必要である、このように述べていらっしゃいました。例えば食料の自給率につきましても、環境問題とあわせて解決することができるのではないか、そこに、一歩かもしれませんが、踏み込むことができるのではないかと思っております。

 そこで、例えばこれはイギリスの例でございますが、イギリスでは、航空機を使ってCO2を多く排出して輸送される農作物につきましては、こうした飛行機をデザインした空輸シールというのを張っていらっしゃいます。済みません、環境配慮のために紙はお手元に配りませんでした。こういう配慮をしております。

 そうしますと、今度は消費者が購入するときに、環境情報を手に入れることができる。同じホウレンソウを選ぶのであれば、果たして空輸シールが張ってあるものなのか、地産地消のものなのか、これを選ぶというように、消費者に情報を提供して、環境配慮の農作物を差別化しまして、それが選択していただく大事なポイントではないかと思っております。例えば、アメリカのオレンジより近くのアマナツを選ぼうとか、こういうことも働くかもしれません。

 今、EPA、FTAにおきましても、農作物をどのように考えていくか、大変大きな課題でございますけれども、そのように環境問題と絡めて差別化をしていく。輸入してきたものには当然空輸シールが張ってあるんだ、そのような考え方を持っていただくことも大事であると思います。

 当然これも企業が進めていくポイントかと思いますけれども、農水省におかれまして、このような環境配慮の製品についてわかりやすい表示を推進していただいてはいかがかと考えますが、お考えを伺いたいと思います。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 地球温暖化は今後も進行して、農業生産にも深刻な影響を及ぼすと予測されております。その一方で、温暖化に対する国民の関心というのは非常に高まっているというふうに考えております。

 農林水産省といたしましては、昨年六月に農林水産省地球温暖化対策総合戦略というものを策定いたしまして、一つは、森林吸収源対策あるいはバイオマスの利活用といった地球温暖化の防止策、もう一つは、農林水産業に及ぼす地球温暖化の影響等に対応するための新たな品種の開発あるいは栽培体系の見直しといった地球温暖化の適応策、そしてこれらの技術を活用した国際協力、こういうものを積極的に推進していくことといたしております。

 今後は、こうした総合戦略に基づきまして、国民の理解を得ながら、二酸化炭素排出削減効果を目に見える形であらわす、いわば見える化といいますか、こうしたことについても検討していきたいと考えております。

高木(美)委員 ぜひとも前向きに御検討をお願いしたいと思います。

 JAS法にまつわるかたい表示、それはむしろ安全性、安心にまつわる表示かと思いますが、また、それとは別に、こうした環境配慮の国民運動をもう一つ推進できる、そのようなわかりやすい楽しい表示をお願いしたいと思っております。

 やはりこうした国民運動は、インセンティブが働きまして、楽しんでできる、励みにできる、これが普及と持続のポイントではないかと考えております。その中で、エコポイントは大変大事な点ではないかと思います。

 このエコポイントの制度につきまして、現状と今後の見通しを伺わせていただきます。

西尾政府参考人 エコポイントの件でございますけれども、エコポイントは、省エネ家電の買いかえなど家庭での温暖化対策を進めていただくいろいろな手法の中で、これがビジネスモデルとしてみずから確立して回っていけば大きな影響を与える、そういう面で注目されるものでありまして、ぜひ確立したいと思っています。

 具体的には、平成二十年のエコポイントモデル事業の公募を行いまして、さまざまなカードとも連携できるようなプラットホームをつくる事業などを初め全国規模でのエコポイント事業を新たに立ち上げる事業が三件、それから、地域的なもの、例えば商店街ぐるみでありますとか、あるいは自治体といろいろな事業者が連携いたしますとか、そういった商店街等地域の多様な事業者が参加する地域型事業を九件選定したところでございます。

 今後、これらの事業が全国のエコポイント事業のモデルとなるよう、経済的に自立したシステムとなっていくことが大事で、その立ち上げを支援していきます。

 さらに、環境省としましては、こうしたビジネスモデルをとにかく確立しなきゃいけないと思っております。それが経済社会の隅々に入っていくと大きな力を発揮すると思いますので、平成二十年度のモデル事業の立ち上げ状況を見つつ、これをいわば演習教材といたしまして、さらに次の年度には全国的、大々的な普及ができないか、そういった方策も検討し、また国民にも大いにPRして推進していきたいというふうに考えております。

高木(美)委員 今、エコポイントの大事なお話をいただきました。また、個人でのカーボンオフセットの認識を広めていただきながら、やはり御自分で旅行しながら飛行機に乗って排出したCO2は御自分でオフセットしてお金を払おう、ここまで国民の意識を高めていくべきではないかと考えております。

 きょう、実はうちの公明新聞に、奥田経団連名誉会長と太田代表の対談が掲載されております。そこで奥田名誉会長が話されておりますのは、もっとテレビなどを通して温暖化の脅威、省エネルギーの道筋をかみ砕いて積極的に啓発し続けていかないと国民の意識は変わらない、このように一言話をされておりますが、まさにそのとおりであると思います。

 環境省は今大事なところを迎えていらっしゃいまして、私もしっかりと取り組ませていただきますし、応援もさせていただきたいと思っております。その上で、国民の皆様の意識が変わるところまで頑張ってまいりたいと思いますので、どうぞ引き続きのお取り組みをお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

小島委員長 次回は、来る十八日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時五十五分散会


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