衆議院

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第6号 平成20年4月18日(金曜日)

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平成二十年四月十八日(金曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 小島 敏男君

   理事 小野 晋也君 理事 大前 繁雄君

   理事 木村 隆秀君 理事 北川 知克君

   理事 西野あきら君 理事 岩國 哲人君

   理事 伴野  豊君 理事 江田 康幸君

      あかま二郎君    上野賢一郎君

      小杉  隆君    木挽  司君

      近藤三津枝君    坂井  学君

      鈴木 俊一君    土屋 品子君

    とかしきなおみ君    中川 泰宏君

      並木 正芳君    橋本  岳君

      藤野真紀子君   山本ともひろ君

      篠原  孝君    末松 義規君

      田島 一成君    田名部匡代君

      村井 宗明君    吉田  泉君

      高木美智代君    江田 憲司君



    …………………………………

   環境大臣         鴨下 一郎君

   環境副大臣        桜井 郁三君

   環境大臣政務官      並木 正芳君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局生活環境課長)         辻  義之君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 大江  博君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           林田 直樹君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務流通審議官)       寺坂 信昭君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            上田 隆之君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      西山 英彦君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 谷津龍太郎君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            西尾 哲茂君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  南川 秀樹君

   環境委員会専門員     齊藤  正君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十八日

 辞任         補欠選任

  渡部  篤君     橋本  岳君

  田島 一成君     篠原  孝君

同日

 辞任         補欠選任

  橋本  岳君     渡部  篤君

  篠原  孝君     田島 一成君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第七二号)


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     ――――◇―――――

小島委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として警察庁生活安全局生活環境課長辻義之君、外務省大臣官房参事官大江博君、農林水産省大臣官房審議官林田直樹君、経済産業省大臣官房商務流通審議官寺坂信昭君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長上田隆之君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長西山英彦君、環境省大臣官房審議官谷津龍太郎君、環境省総合環境政策局長西尾哲茂君及び環境省地球環境局長南川秀樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小島委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中川泰宏君。

中川(泰)委員 自由民主党京都四区の中川泰宏であります。

 前回の質問で小野先生から京都のすばらしさを少し宣伝していただきましたが、哲学の道でいうと、もっといっぱいありますので、皆さん方にも来て……。

 私も、南丹市八木町氷所というところで生まれまして、ここも文化があるんですが、私の町は氷所、氷の所と書きます。これは何かというと、陛下に夏場に食べてもらう氷を毎年七月一日に都へ納める特殊な仕事を受けておったという村で私は生まれまして、氷室神社、そして氷所の瑞雲寺というお寺、すべて氷という名前がついております。

 私自身、子供のとき、氷をつくるところでありますから京都でも寒いところで、池は全部凍ったんです。それで、私は氷の上で滑って遊んでおって、友達が、僕もありますが、寒い最中に池の中へ落ちていく。親は僕らにその池で遊んだらあかんと言うて、よく怒られたんです。ただ、おじいちゃんに聞くと、おじいちゃんの時代は何ぼ暴れても氷は割れなかったと。うちのおやじの時代になってくると、ちょっと危険になってきたと。私の時代になったら、もう何人も池の中に落ちていく。死んだ子はいないですね、皆なれておるから上がってくるんです。ところが、私の子供の時代になると、それを子供に怒ったことがないんです。もう氷がなくなってしもうたから、冬場にそういう遊びをしなかったんです。それで、私自身も、体にしみて地球が暖かくなっているなという心配を一番する一人なんです。

 私、今から十八年ほど前に、三十九歳のときに八木の町長になったんです。私、そのとき町民にどない言うたかというたら、この町は一番おくれておるから環境は残っておるし、環境を大事にしようと。人口も、前の町長は三万を目指すと言ったけれども、おれはもとの一万以下に戻す、世帯数は減らしませんよと言うたら、みんな笑っておりましたが、どうにか当選できたんです。

 それで、一番最初にやったのが、中学校の建築が始まりましたので、屋根に太陽電池をつけて、子供が学校に行くときに、子供が体にしみて、体で、ああ、自然のエネルギーがこうして起こっておるのやなということを教えようということでその中学校をつくって、それもNEDOさんのお力で成功したんです。

 そして、その次にやったのがメタンガスの発電所。我々のところは酪農地帯なんです、家畜の堆肥を使ってメタンガスをとって、それでバイオエネルギーにして電力を起こしたんです。日本で一番最初に関西電力にメタンでつくったエネルギーの電力を売ったのが、多分、私の地元、私が交渉してやったんですが。できる限り体で覚えることを町の中で教えていこうということでまちづくりを進めた。企業も、環境を大事にしますと言いますと、いろいろな企業が来てくれた。十年ほどで、バブルの時代でありましたが、環境を大事にする町だということで、一挙に、企業が来て逆に固定資産税が、税金がふえる、そんなことでありました。

 私は、一番大事なことは、環境を議論するときには無理をしない、ゆっくり行くということが大事やと思うんです。そして、現実に温暖化がとまっておるということを証明できるような施策を進めていかなというように考える一人であります。

 ところが、最近のバイオ燃料は、これはヨーロッパやアメリカを中心として九〇年代から始めて、今、世界じゅうが言うております。このバイオ燃料、私、これで本当にいいのかなと。というのは、食べるものを使ってバイオエネルギーをつくるということが現実に行われておるんですね。これでほんまにいいのかなという疑問を最近感じております。

 それで、それをつくる畑、ここにタイムという雑誌があるんですが、この中にも書かれておるんですが、例えばブラジルのジャングルを燃やして焼き畑にして、そこに豆をどんどん植えておる。これはバイオエネルギーをとるためだと。これで本当にいいのかなと。

 私自身、アジアを見てみて、このアジアでも熱帯雨林のところでそれが行われておるんですね。例えばインドネシアやマレーシアやフィリピンなどでどんどん焼き畑をして、そこにトウモロコシや大豆や、特にアブラヤシをつくっておるんですよ。まず、そこを焼き畑するときにどれだけのCO2が出るのか。それから、そのときに、つくろうと思ったらまんぐるり溝を掘らなあかんねん、水を抜かなあかんさかいに。その溝を掘ったら水位が下がってくる。あの辺は泥炭層とか亜炭層とか、石炭になる前のもの。そこの水位が下がっていくと、二酸化炭素が大量に出ると言われておるんですよね。そして、メタンも大量に出る。結果としてはバイオのエネルギーが地球をつぶしておるんじゃないか。だれがそれをやっておるんやと言うたら、ヨーロッパの人たちが来て、大きな農場をつくらせて、どんどんどんどんその国に持って帰っていっておるんですよ。僕は、こんなことでいいのかなという心配をしておるんです。

 そこで、私は、日本はやはりアジアのリーダー国やと、これは自信を持って言えると思うんです。この日本が率先して、インドネシアやマレーシアやいろいろなアジアの国々を、今つくっておるバイオエネルギーがほんまにええのんか、どれだけメタンガスを発酵させておるんや、地球を破壊しておるんやということを我々が調査して、ただ、それぞれの国のあれがありますから、その国の人たちと協力し合ってリーダー国として日本はやるべきやと思うんですが、その調査を我々の政府がリーダーとしてどうお考えいただくかということを副大臣に質問したいと思います。

桜井副大臣 今中川先生お話ありましたように、私も神奈川県の藤沢で育ちまして、私の小学校のときには、大体冬には一、二度スキーができるぐらい雪が三十センチか五十センチぐらいは積もったと思うんです。そして、田んぼには氷が張っておりましたから、あれはげたで滑るのが一番いいんですね。そんなようなことをやらせていただきましたが、今、滑る雪とかではなく、白くなるというのが非常に珍しいところでございますから、やはりこの三十年、四十年ぐらいの間に目に見えて温暖化になってきたのかなというふうに思っております。私たちは、再びそれをもとに戻すような努力をしていかなければならないんだろうというふうに思っております。

 今先生が御指摘されたようなバイオ燃料の導入については、京都議定書目標達成計画に位置づけられておりますので、長期的には低炭素社会の実現には不可欠なところがあるんだろうというふうに考えております。

 御指摘のように、バイオ燃料については、食料との競合問題に配慮することが必要でもありますし、その原料の生産から燃料としての使用に至る一連のプロセス、いわゆるライフサイクル全体を通じての温暖化効果ガスの削減効果を考慮することが重要であろうというふうに思っているわけであります。

 そのためには、環境省において、例えば大阪府において食料と競合しない廃木材を原料としたバイオ燃料の技術開発などの支援事業を実施しているところでございます。

 今後とも、我が国におけるバイオ燃料の導入については、食料との競合やライフサイクル全体での削減効果に留意して進めてまいりたいと思っております。

 それと同時に、アジアの一員でございますから、私は、アジアでいろいろまだ土地が余っているところがいっぱいあるんだろう、そういう中で水をうまく利用したら、乾季と雨季というのがかなりございますから、雨季のときの水をうまく利用すれば乾季のいろいろなものに利用できるのではないだろうか、こんなことを日本がアジアにあるいは世界に発信しながらしっかりやっていきたいと考えておるわけでございます。

中川(泰)委員 ありがとうございます。

 今副大臣から日本の国はこうした方向がいいという、私と同じ思いであるというように思いましたが、アジアの国々が、同じアジア人として、人としてやはりお互いに助け合いながら、我々リーダーの国が引っ張っていくことが大事ではないかな、そのためには調査をきちっとするということをリーダー国である我々がするべきであるというように私は考えるものであります。

 そうした中、これはアメリカ大統領のブッシュさんが提案をして、世界じゅうが一挙に動き始めた。だから、私は、ブッシュさんがやったことは合っておるのかと。今考えてみたら、逆にインドネシアなんかは日本の倍ぐらいCO2を排出しておると言われておる、調査してみたらわかると思うけれども。こんなことは間違っているんじゃないか。

 ヨーロッパの人たちは、アジアへ来て、環境環境と言いながら焼き畑農業をしてむちゃくちゃしておる。このことを考えたら、リーダー国の日本として、バイオエネルギーを生産する過程で確保や輸送の中でCO2は排出しませんよ、増加しませんよということをきちっと整理して、生産するときのアジアからヨーロッパへ持って帰る貿易のルールやらをちゃんと正しくしようと、国際会議で副大臣なんか行って厳しく言ってほしい。そこは何ぼブッシュ大統領や言うても間違っておるものは間違っておるのやから、これはあかんよときちっと言うてほしいと思いますが、その点について大臣はどうお考えか、お教えいただきますようお願いします。

桜井副大臣 全くそのとおりだろうというふうに思います。

 しっかり調査をして、アジアのリーダー国としてあるいは今世界で経済大国第二位と言われるリーダーとして、しっかり世界に発信していかなければならないのかな、こう思っております。国際的な場においても、こういう考え方をしっかり伝えていきたいと思っております。

中川(泰)委員 副大臣、ありがとうございます。

 どうぞ、世界に日本はやっておるんだとあらわす上からも、国際会議の中で訴えていっていただきますようお願いを申し上げる次第であります。

 それからもう一つ、食料を燃やすということがいいのかなと。私は、子供のときから、私は農家ですから、おやじやらおばあちゃんから、米一粒残しても、こら、目がつぶれる言うて物すごいしかられたんですよね。それほど食料は大事やというように言われて大きくなってきました。ところが、今、食料をバイオ燃料にするのやと。ほんまにこれが正しいのかな。私はもう一度考え直さないかぬなというように思っております。

 バイオをやるなら、食品残渣とか間伐材とか、セルロースを使ってやるということを考えるべきや。八木町でやったように堆肥でメタンをこしらえるとか。環境問題ではこういうことをやるのが正しいというように思うんです。

 そこで、これは、私も地元では農家なんですが、農家の人たちはこう言うんですよ。牛のえさがトン当たり一万三千円ぐらい上がったんや、聞いたら六月から一万七千円超すらしいぞと。これじゃ農業やっていけへんというのが農家の思いなんですよ。私は、日本だけかいと。ひょっとすると、バイオのあれで世界じゅうがそうなっておるのやから、アジアの小さな国々はもっと影響しておるのと違うかなと。フィリピンは米の輸出国だったのに、今輸入国に変わっておるんですよね。世界じゅうで米の価格はどんどん上がり始めている。これでほんまにええのかなと。

 彼らはわからへんから、どうしたらええのやと。僕は、地球温暖化が大きな原因で米もとれなくなっておるのと違うかな、食料も減ってきておるのと違うかなと。そうすると、アジアの国々では、しようがないから焼き畑しようか、ちょっと水の多いところで何かつくろうかと。どんどんどんどん農地をつくるために環境を破壊していって、山を皮をはぐようにめくってしまう、水はどんどんと流れ始める。逆にこのことで地球が、アジアの国々がつぶれていくと思うんですよ。その結果、アジアの人たちは食べるものがどんどんどんどんなくなっていく。これだけ値段が高くなったら、世界からもう買えない。

 そこで、食料の安全保障やら地球温暖化防止等の環境という観念から、アジアの食料問題を解決するためには、やはりリーダー国として日本が指導的な立場をとって、何ができるか、これをちゃんとせないかぬと思うんです。このことについてどうお考えか、お教えいただきたいと思います。

大江政府参考人 ただいま先生から御指摘あったように、まさにバイオの問題から始まって、そういうのが大きな原因の一つになっていると言われておりますけれども、最近は食料価格が非常な勢いで高騰しているということが非常に大きな問題になっておるわけです。

 そして、その問題はことしのG8のサミットでも大きく取り上げられるということまで言われておるわけですけれども、ことしのサミットは日本がホスト国としてやるわけでございますから、まさにG8のサミットを初め、いろいろな国際会議の場で日本は主導権を握ってこの問題を取り扱っていきたいというふうに思っております。

林田政府参考人 お答えいたします。

 アジアの途上国における農林水産業は、そのGDPに占める割合が高いなど、重要な基幹産業となっており、また、これらの国々の食料安全保障の確保ですとか地球温暖化防止など、環境保全等の観点からも、農林水産業の振興を図っていくことが重要であると考えております。

 このため、農林水産省といたしましては、一つには専門家の派遣等の技術協力、二つには南南協力を通じた先発途上国から後発途上国への技術の移転、三つ目には我が国の環境保全型農業を途上国に移転するための海外農業青年の受け入れ研修、四つ目には農協間の協力を通じた農民組織の育成強化などに取り組んでまいりました。

 現在、世界の食料需給が逼迫の傾向を強めている中で、このような技術協力の必要性はますます高まっていると認識しておりまして、今後とも、外務省やJICAなどの関係機関と連携しつつ、我が国が有する技術を活用した支援を通じまして、アジアの途上国の農業振興に貢献してまいりたいというふうに考えております。

中川(泰)委員 ありがとうございました。

 確かに、日本の農家も物すごい苦しんでおる。ということは、世界のそうした国々も困っておるし、消費をする皆さん方も困っておると思うんです。僕は、環境だ、バイオだというもとに間違ったことが起こらないように、そうしたことが守っていけるように、そうしてリーダー国として日本が発信できるように、お願いを申し上げる次第であります。

 それから、私自身は、先ほど言いましたが、田舎で大きくなりました。それで、私自身は子供のときから、環境というのは教えてもらうんじゃなくて見て覚えてきたんです。例えば家一軒とっても、近所で家を建てるとなると、近所の人がみんな寄っていって、板にイロハニホヘトと書いてあった木を集めて、順番にそれで家を建てていくんですが、それを見ながら覚えていくんですね。

 例えば屋根だったら、屋根の上にまず板を置く、そして、その上に杉皮かヒノキ皮を敷く、その上に土を置く、その上にかわらを置く。これは、木の皮というのは物すごく暑さ寒さを守る自然の力があるんですね。土をたくさん置くから、かわらがやけてもそんなに影響がない。自然で環境を守っておるんですよ。温暖化になっても、そんなに火を燃やさぬでも生活ができるようになっておるんです。これが完成していったら、家の周りにはヒノキの皮か杉の皮を張る。ちゃんと環境が守れるように、温度が大丈夫なようにということで家ができておるんです。

 私のところは、これはよそもかもしれませんが、夏と冬の障子は皆かえたんですね、うちら京都は。最近なくなったんですよ。夏になったら、みんなで、ヨシ戸、ヨシ障子といって、ヨシでつくった風通しのいいものにかえたんです。それで、自然に、ああ、夏が来たからこれで涼しゅうなると、みんなやってきたんですね。

 だから、環境というのは物すごく大事やなと。夏になったら、真夏は暑いから、どこに逃げようかというたら、蔵の中に逃げて寝よったんですよ、めちゃくちゃ涼しいから。我々は、エネルギーを使わぬでも、自然の中で環境をちゃんと守っていくということを体で教えられてきたんですね。

 ところが、時代もどんどんどんどん新しく変わっていった。結局、みんなが、一人一人が環境を守っていかなということを忘れつつあるんじゃないかなと。僕は、環境問題というのは、国民一人一人が真剣に考えてやっていかぬことには解決できないと思うんですね。

 そこで、私は、これを国民運動的にちゃんと盛り上げていかないかぬと。京都なんかはそういう歴史があるのか知りませんが、新聞の記事を見ておりますと、一人当たりの削減率は、滋賀県に次いで京都は二番目なんですね。自然の中で生きてきたから、みんなが努力するとかみんなが使わないということを徹底してきたと思うているんですよ。だから、私は、まず環境問題に関する教育の推進を図って地球温暖化を防止することを国民運動で盛り上げていかないかぬと。それで、ファミリーはマイナス六、職場はチーム・マイナス六という目標をさらに拡大していかなあかんと思うておるんです。

 そのことについてどうお考えか、お教えいただきますようお願いいたします。

桜井副大臣 今のお話は、全くそのとおりだと思うんです。

 まず、学校教育とかそういうのではなく、家庭の中で生活しながら、例えば大きくなる過程で自然をどう受け取っていくかという、私は、環境というのは、最終的には自然とどれだけ協調できるのか、例えば今先生のお話にありましたように、クーラーを夏に寒くなるほどつけてみたり、あるいは冬に半そででいいように暖かくしてみたりというようなことではなく、冬は冬でちょっとセーターを着るぐらいのものに変えていく、クーラーを二度、三度下げるあるいは上げるということを国民全体がやれば大変なことになるんだろうというふうに思っております。特に、先生のおっしゃる地域や家庭、そういうところをしっかりやっていかなければ、温暖化ということはなかなか避け得ないというふうに思っているところでございます。

 政府といたしましても、今お話がありました国民運動のチーム・マイナス六においても、オフィスに呼びかけ、クールビズやウオームビズ、家庭における省エネ製品の買いかえの促進、あるいは、うちエコといって、うちの中でもどれだけエネルギーを少なくして生活できるかというようなことをやる、あるいは地域の創意工夫を生かした取り組みを広く情報発信するストップ温暖化一村一品大作戦というような事業を進めているところでございます。

 今先生のお話のありましたチーム・マイナス六ということに参加している人たち、これは四月十六日現在でございますが、個人チーム員としては約二百十九万人、企業・団体チーム員としては約一万九千団体が参加しておるわけであります。家庭や職場においてのさまざまな取り組みということをやっていかなければならないだろう。

 私も、正直言って「私のチャレンジ宣言」ということで、こういうチーム・マイナス六%、私は一日一・六五三キログラム削減しているということで、ここに何を削減したらいいかという具体的なものを全部入れて、これを名刺として配っております。皆さん何をやったらいいのかというのがわかりませんから、具体的にこの中に全部書いてありますから、どうぞ見ていただければ。(中川(泰)委員「ありがとうございます。いただきます」と呼ぶ)こんなようなことを私も副大臣になってからやったわけであります。あるいはマイはしというものを持って、これもちょっと勇気の要るところもあるわけでございますけれども、私は、さっき先生のお話にありましたように、一人一人が何をできるのかということを、自然の中で、無理してやることはないんだと思うんです。

 例えば、寒いから何もやらないでじっとしているとか、暑いからじっとしているんじゃなくて、今の私たちのある技術というものを使いながら、ただ、自然との共生をどう自分がしていくのかということを一人一人が考える、これが一番大事なのかな、こんなことを思いながら一生懸命環境問題に取り組んでいるところでございます。

中川(泰)委員 桜井副大臣に敬意を申し上げたいと思います。これは後からゆっくりと読ませていただきます。

 私自身も何ができるのかなというので、僕は八木町長をしたときから牛乳パックでつくった名刺を使うようにしております。一人のちょっとしたことが、これからだんだんとみんなの理解を得てもらえるのかなというように思っております。

 それから、私自身は京都で育って、京都でみんなに支えてもらっておるんですが、朝、時間があれば一時間ぐらい散歩するんです。そうすると、きょうは暑いな寒いなという温度の感覚がわかるんです。ところが、僕はいつも暑くなって、ぐるっと回るコースの中にお宮さんとお寺を入れてあるんです、それでどっちか涼しい方で休憩するんですけれども。お寺だったら、縁側、本堂の前に座りながらじっと物事を考える。これは物すごく考えられるんですな。だから、そういう社会をつくっていったら環境問題は解決するのかなと。

 お宮さんへ行ったら、まんぐるり木ばっかりやね。どれだけ気持ちがいいか。では、冬はどないしているんだと。冬は、ちょっとぬくうなるように服を着ていったら、同じような感じでじっと座っておれる。私は、そういう社会を、国民に教育の中でやりながらそれぞれが自分で考えて活動をやっていくことが、この地球温暖化が少しでもおさまって、未来の子供たちにこのすばらしい地球を贈っていけるのかなというように思うところであります。

 今後も、私自身も頑張ってまいりたいし、やはり全部の国会議員や皆がやっていけるような社会になるため、副大臣にお力を賜りますことを心からお願い申し上げ、桜井副大臣に心から重ねて敬意を申し上げて、私の質問の終わりとしたいと思います。

 ありがとうございました。

小島委員長 次に、岩國哲人君。

岩國委員 岩國哲人でございます。

 民主党を代表いたしまして、鴨下大臣に、地球温暖化対策に関する法律に関連して質問させていただきます。

 まず最初に、昨日の夕刊でございますけれども、大臣もごらんになったと思います。この朝日新聞の夕刊にも取り上げられております。米国はこのような発表をしておりますね。大臣、ごらんになっていますか。要するに、二〇二五年までCO2の排出量は削減しないということです。

 これは世界に対する大胆な挑戦ではありませんか。そして、環境サミットを主催しようとする日本に対して、なぜこのような挑戦的な発表が行われるのか。日米間の環境問題に関する協議は行われておるのかおらないのか。鴨下大臣としては、世界各国が一生懸命、来年から、再来年から、いやことしからと取り組んでいるときに、このような二〇二五年まではCO2の排出量の伸びを認めていきますというこの発表についてどのようにお考えになりますか。

鴨下国務大臣 私も報道等で話を聞いたのと、直接担当者からも報告は受けておりますけれども、今おっしゃったような話は報道の話と多少違うところもあるわけであります。

 まず一つは、ブッシュ大統領が二〇二五年までに排出量の増加をとめる、こういうようなことを今先生おっしゃったように発表したわけでありますけれども、一つは、エネルギー法に基づいて電力部門からの排出量を今後十年から十五年の間でピークアウトさせるというようなことを言っています。それから、気候変動対策のかぎは新たな技術であるとして、技術開発に関するインセンティブについて制度改革の必要性を訴えている。そして、国際的な枠組みにつきましては、すべての主要経済国が国別削減目標とその達成計画を掲げること、それらが国際的に拘束力のある合意に包含されることを求めておりまして、これにつきましては、アメリカが主催しております主要経済国会合、いわゆるMEMと言われていますが、この首脳級会合に出席して、世界全体で長期目標や国別の削減目標について議論する意欲を見せている。こういうようなことが一つ前段にあるわけであります。

 後段のところでは、それぞれ、例えばエネルギーの問題あるいは化石燃料の問題等についてやや消極的な発言もあるわけでありまして、私たちとしては不本意なところもございます。そして、特にいわゆるMEMでの会合については、これはアメリカがそういう発言をしたというようなことで、今実務者の会合がパリで行われているわけでありますけれども、その中でも、特にEU、それから我が国も含めて、こういうような事態で果たしてMEM全体がまとまるのかという懸念は持っておりますし、私もそういうようなことについては同感でございます。

 ただ、今まではもっと消極的であったわけでありますから、ほんの半歩あるいは〇・一歩でありますけれども、アメリカもそういうような方向に踏み出さざるを得なかったということについては、国際世論あるいは各国の働きかけが多少ある意味でいい影響をしているのかなというようなニュアンスであります。

 ただ、残念ながらアメリカは過去に排出国の中ではとにかく断トツの一番でありますから、そういう国が地球温暖化対策により積極的にかかわっていただきたいというのが、環境省あるいは日本の国の基本的な姿勢でございます。

岩國委員 米国はこのCO2排出量で世界で第何位ですか、お答えください。

鴨下国務大臣 昨年ぐらいまでは一位だろうということでありますけれども、もしかすると、中国との間で順位が入れかわる可能性がございます。まだ確定値はございませんけれども、少なくともそれまでは世界の中で排出量は一番であることは間違いございません。

岩國委員 そういう世界最大の排出国が、今、世界じゅうの国が協力をして、経済開発にある程度ブレーキをかけてでもこの地球の現状を救おうという努力、言ってみれば地球環境防衛連合体からアメリカが離脱することをはっきり言っておるということじゃないですか。二〇二五年まで減らさないということは、よその国と足並みをそろえないで、地球環境悪化に二五年までブレーキをかけないということでしょう。こういうことは許せると思われるのか。

 これは、当然、いろいろな国の環境に対する取り組み、温暖化対策に対してブレーキをかけることになりはしませんか。あるいは、言いわけを許すことにもなるでしょうし、努力を惜しむことにもなるでしょうし、経済開発、経済発展を優位に置こうということを前から考えているようなあの国、あの国、あの国、そういうところに対して当然努力を放棄させることになるんじゃありませんか。これは、総理大臣の名前において当然アメリカに対し抗議あるいは警告、強硬な申し入れを行うべきことではないかと思いますが、もう一度お答えください。

鴨下国務大臣 今申し上げましたけれども、今まで極めて消極的であった部分については多少前進したこともあるわけでありまして、先生おっしゃるように究極の目標、目的を達するためには、これは甚だまだまだ足りないところはございます。それを頭からけしからぬということが果たしていいのかどうか、このことについては私たちはもう一度冷静に判断をさせていただきたいと思います。

 加えて、これは、本年の三月に我が国が幕張で主催したG20のグレンイーグルズの対話の中で、アメリカのドブリアンスキー米国務次官が記者会見におきまして、米国はすべての主要経済国が国際的な義務を受け入れる国際合意のもとで国際的に拘束力のあるコミットメントを行う用意がある、こういうようなことも言っているわけでありますから、日本としては根気よくアメリカにより積極的な温暖化に対する姿勢をとってもらえるように働きかけていきたいというふうに考えております。

岩國委員 ぜひとも明快な日本政府の態度というものを私は知らせるべきだと思います。日本はそれだけの努力をする決意で、その方向で日本政府は動いておられるわけでしょう。ならばこそ、私は発言すべきじゃないかと思うんです。アメリカや中国のやることに対しては、こういった環境問題さえも日本は発言できないのか。ほかの問題についてはいたし方ないとは言いません、しかし、せめてこの環境問題については味方がたくさん世界じゅうにいるわけでしょう。それを代表してなぜそういう勇気を出せないのか、大変残念に思います。

 次の質問に移ります。

 先般のこの委員会で、高木委員だったでしょうか、ガソリン税の引き下げということについて質問があり、並木大臣政務官からその御答弁がありました。その中で意外に思ったのは、ガソリン税を引き下げることはこうした世界の温暖化に対する取り組みに逆行するものである、こういう発言がありました。ほかに閣僚の中にもこのような発言をされる方がおられますけれども。

 ガソリン税を引き下げることは、確かにブレーキをかけることではないかもしれませんけれども、私は、今の環境ではアクセルを踏むことにはなっていないと思うんです。ガソリンが安くなったからもっと遠くまで走ってみようかという人は、今、日本の中にどれだけいますか。ガソリンの代金が下がったから、その分だけおかずを買う量をふやそうとか、あるいは節約に回そうとか、そういう方向で国民が考えているんです。バブルのときならいざ知らず、そういうときなら甲府まで行くのを松本まで行こう、松本まで行くのを新潟まで行ってしまおう、いろいろなことを考える人がいらっしゃったでしょう、ガソリンが安くなれば。

 しかし、今は、ガソリンが安くなるということは、暮らしを支える上で一番大事な条件だという受けとめ方をしているんです。それをまるで、ガソリンの値段が低くなれば、その分だけガソリンの消費がふえると。これは試算をされた結果ですか。どういう試算をされてこういう発言、結論が出てくるんですか。その資料を御提出いただけませんか。バブルのときのふえ方だけなのか。御答弁をお願いします。

鴨下国務大臣 これは国立環境研究所の試算でございます。

 例えば過去のオイルショック以降のガソリン価格の動向と車の保有台数、そのときの平均燃費、さらには一台当たりの走行距離、こういうようなものの相関をとりましたところ、ちょうどオイルショックのときには保有台数が急速に伸びている時期でありましたので、ある程度保有台数が頭打ちになってプラトーになった段階からの評価ですと、一番ガソリン価格と相関するのは走行距離ということになっております。具体的に詳しい相関関係の試算については後ほどお届けしますけれども。

 私たちは、少なくともガソリン価格が下がることによってガソリンの消費量がそのままになるということにはならない、むしろ走行距離等に相関することについては過去のデータから類推できるわけでありますから、化石燃料を消費することにおいては、できれば価格はそれなりの水準に維持されるべきだと考えているところでございます。

岩國委員 今大臣からお答えいただきましたけれども、その国立環境研究所のデータをこの委員会に御提出いただきたいと思います。

 また、走行距離を延長する、したがって今回ガソリン税が引き下げになれば走行距離は延びるという前提でお考えのようですけれども、過去の例というのは、国土交通委員会でも問題になっておりますように相当古いデータをそのまま右肩上がりのように適用するところがあるんじゃないかと思いますから、我々も検証させていただきたいと思います。

 そして、その研究所の結論が正しいとするならば、政府は二十五円のガソリン税を五十円に引き上げることを提案すべきじゃありませんか、それが走行距離を縮めることに効果があるとするならば。五十円に引き上げる、しかも暫定という片手間なことじゃなくて、ずっと、これから十年じゃなくて二十年間、二〇二五年、二〇五〇年に至るまで。この温暖化対策の取り組みの重要な柱の一つとしてガソリン税は有効である、走行距離を限りなく縮めることになる。もう既に乗用車の台数も横ばいになってきています、頭打ちです。過去のデータをそのまま延長して、ガソリン税を下げれば環境に悪いというプロパガンダを私は認められないし、また、その研究所のデータを検証してみたいと思いますから、必ずこの委員会に御提出をいただきたいと思います。

 次に、質問を少しかえさせていただいて、海水面上昇に伴う難民の問題について、以前質問させていただいたことがあります。これは環境省の主管のお仕事ではないとは思いますけれども、こういった環境会議では、常に海面上昇に伴っていろいろな温暖化現象、気候変化に伴う難民、お気の毒な人たちが発生する。これに対する取り組みは、関係省庁との打ち合わせは行われておりますか、行われておりませんか。

鴨下国務大臣 IPCCの第四次評価報告書によりますと、このまま化石燃料を使い続ければ、二十一世紀末までには五十九センチの海面上昇が予測されているということでございます。さらに、例えば南極やグリーンランドの氷のある意味でダイナミックな崩壊が懸念されるわけでありますから、少なくとも海面上昇することは予測されるわけです。特に、小島嶼国やメガデルタ地帯では、もう既にそういうような状況が出てきているわけでありますけれども、これからより顕著にこういう事態が起こってくるわけであります。

 私も、この年初にツバルを訪れまして、そのときに、例えば海面上昇によって、本来は使われている畑の場所あるいは公民館等の公共施設が大潮のときに海の下に沈んでしまい、国土の使える部分が少なくなっているということがありまして、今こういう事態がこれからさまざまなところで起こるということは極めて深刻だなと考えているところであります。

 そういう中で、環境省としましては、世界的な温室効果ガスの削減を目指すことはもとより、今議員御指摘のように、温暖化による影響の被害には、当然、例えばバングラデシュ等、あるいはツバルのような島嶼国の方々がさまざまな意味で被害をこうむる、その中にはもちろん国土を失って難民化するようなことも含めて想定されるわけでありますので、特にその分野についてもこれから途上国の適応の中で議論をしてまいりたいというふうに思います。

岩國委員 大臣、もちろん御承知のように、日本は海洋国家として、そして、単なる海洋国家というだけではなくて、多くの島々を持っております。そういった島々の中には受け入れ態勢に非常に適したところもあるかもしれない、そのように素朴に思うわけでありますので、これは環境省の所管ではないとは思いますけれども、関連した事項としてそうした国際会議の場でも前向きの提案なり前向きの意見表明が行われるような形で、日本というのは、国は小さいけれども海は大きい、国は小さいけれども心の大きい国だというイメージをぜひこういった問題についても打ち出していただきたい、私はそのように要望いたしまして、次の問題に移らせていただきます。

 同じく海洋国家に関連いたしますけれども、きょう、エネルギー庁、来ていただいていますか、お伺いしたいと思います。

 国土面積は世界では非常に小さい方だけれども、海があり、島があり、海洋の経済的な領域としては世界で六番目に大きい国である、このように理解しております。であるがゆえに、この海洋国家としては、その海洋のエネルギー、波のエネルギー、潮流のエネルギー、深海あるいは海底のエネルギー、いろいろなエネルギーに恵まれているだろうと思うんです。

 この世界で第六位の海洋国家日本は、今までの調査結果としたら、世界第六位のエネルギー国家としてその展望があり得るのか。海は広いけれども、ほとんどエネルギーとしては使えるものはないという結論なのか。いや、まだまだたくさんの楽しみがあって、日本が使うだけのエネルギーはこの海の中からも十分利用できるという方向で今結論が出ようとしているのか。その調査についてどういう現状にありますか。

上田政府参考人 海洋エネルギーに関するお尋ねでございます。

 御案内のとおり、海洋エネルギーにいたしましても、波の力を使った波力発電、潮の力を使った潮力発電、表面と深海の温度差を利用しました海洋温度差発電、あるいは潮の干満を利用いたしました潮汐発電等々、さまざまなものがございます。

 我が国でも、過去、独立行政法人の海洋研究開発機構が波力の発電につきまして、あるいは産業技術総合研究所におきまして海洋温度差の発電につきまして、さまざまな実証実験を行ってきております。また、佐賀大学等々におきましても、海洋温度差発電等々について実証実験、あるいは現在でも研究が継続されているところであります。

 ただ、これらにつきまして、現在どれだけ実用化されているだろうかという観点で見ますと、実は日本でも一部実用化されておりまして、航路標識用のブイ、これは百ワット程度の非常に小さなものでございますが、こういうものについては波力発電という形で、数百基程度かと思いますけれども、実用化がされております。それ以外の大規模なものについては、現在では実用化という段階には至っておりません。

 海外におきましても、波力発電につきましてはイギリスに例がございまして、潮汐発電につきましてはフランスに例がございます。大規模に実用化された例はまだ数カ所にとどまっている状況だと思います。

 では、なぜこういった海洋エネルギーの利用について実用化がなかなか進まないんだろうかということでございますが、まだ研究段階という状況かと思いますけれども、海洋エネルギーの利用の場合、自然条件が非常に厳しいところに設置するので、耐久性の問題等さまざまな技術的な困難性がある、あるいは発電効率がなかなか上がらない、あるいは他のエネルギー源と比べた際の経済性の低さ等々がその課題となっていると思っております。

 私ども、御指摘のとおり、海洋エネルギー、日本も島国でございますので、さまざまなポテンシャルといいますか、将来性、可能性というものはあると思っておりまして、さらなる研究というものをさまざまな過程を通じてしていく必要があると考えております。(発言する者あり)

 潮汐というのは、潮の満ち引きでございまして、湾なんかの入り口にダムを設けまして、水車をその湾の中に置きまして、潮の干満を使いましてそこの水車を回して発電する、そういう方式のことでございます。

岩國委員 今御答弁いただきましたけれども、その中に海面の上での風力発電というものは含まれておらなかったようです。

 もちろん、風力発電は、地上で行う場合には可能な場所とそれが若干問題を起こす箇所もあります。しかし、メガフロートという我が国の技術を利用して、例えば島根県のずっと沖の方とかに新しい島をつくることによって、そこで風力発電を、日本海で、太平洋で行う。こういった研究というものは含まれておらないようですけれども、海関連の自然エネルギーとしては、当然、私はこの風力も入ってくるべきじゃないかと思うんですけれども、もう一度お答えください。

上田政府参考人 全く御指摘のとおりだと思います。

 私ども、洋上風力発電と通常呼んでおります。風力発電は陸上にあるものが多いわけでございますが、洋上風力発電というものがございます。ヨーロッパにおきましては、相当実用化が進んでおります。我が国におきましては、海岸のごく一部を除きまして、まだそれの実用化の段階には至っておらないわけでありますけれども、経済産業省におきましても、少しこれをモデル的に実証実験してみようと思いまして、今年度から、洋上風力発電について取り組むべく予算をいただいております。こういったものを活用しながら、我が国における洋上風力発電の可能性について勉強をしてまいりたいと考えております。

岩國委員 あと二つお伺いしたいと思います。

 一つは、こうした海関連の洋上風力発電も含めて、海関連の自然エネルギーの利用に関する予算措置はこの十年間でどういうふうにふえてきているのか。

 二番目に、海洋国家日本は、今まで利用してこなかった自然エネルギーが、埋蔵金ではありませんけれども、埋蔵エネルギーがしっかりと残っておって、日本の技術がその埋蔵エネルギーを一つ一つ掘り起こしていけば、日本の未来はエネルギーに関しては安心だと言い切れるようなところまで今近づいてきておりますか、そういうことを日本の子供たちに、君たちの国のエネルギーの問題は、今は外国にほとんど依存しているけれども、日本の技術と日本の海がこれを必ず解決する、そこまで来ているんだということは言えるところまで来ているかどうか。

 この二つ、お願いします。

上田政府参考人 海に関連するエネルギー関係の予算がどの程度あるだろうか、伸びているだろうかというお尋ねにつきましては、大変申しわけございませんが、ただいま手元にデータがございません。

 ただ、例えば、昔、経済産業省はサンシャイン計画の一部におきましてこういった海洋に関する取り組みを行っておりましたし、それから文部科学省、国土交通省等々におきましても、関連する予算が計上されているところであると思います。私どもも、自然エネルギーの導入促進ということで一般的な予算はいろいろ持っておりまして、こういったものの活用は可能かと思います。

 それから、二つ目のお尋ねでございますが、海というものを将来のエネルギーでどう評価したらいいかということかと思います。

 私ども、海に関しては、相当なポテンシャルはなおあると思います。今申し上げましたように、洋上風力発電というのは一つの可能性があると思うんです。

 しかしながら、メガフロートというやり方もあろうかと思いますけれども、現状においては、洋上風力発電というのは、海の中に構造物を設置して建てるものでございます。ヨーロッパの場合は、洋上風力が非常に進んでいる理由といたしまして、海が非常に浅いわけでございまして、北海、私も実はこれは見学に行ったことがあるわけですが、海岸から船で三十分ぐらい行ったところでも海の深さが十五メートルぐらいであるということでございまして、非常に構造物が建てやすいということがあります。また、風が、偏西風が非常に吹いていて、常に安定的に吹いているといった自然条件の問題もございます。我が国の場合は、海が比較的非常に深いといった問題、それから風の所在等々の問題があるのは事実でございます。

 おっしゃるような海洋そのもののエネルギーにつきましては、今の洋上風力も含めましてこれから相当程度取り組むべき課題である。方向性としてはあり得ると思いますが、当面は、自然エネルギー全体の中では、太陽光発電であるとか燃料電池であるとか、そういったものが当面の中心であるとは思いますけれども、将来の課題といたしまして、そのポテンシャルを評価しながら勉強を進めてまいりたいと思います。

岩國委員 予算的な御説明をいただきましたけれども、そうした小学校、中学校の子供たちに、この自然の持つ力、そして海洋国家日本としての強さというものが、どのようにエネルギーの面でわかりやすく、そして希望を持たせることができるだろうか、それが私の質問の原点であります。それはおわかりいただけたと思います。そうしたところにどの辺まで近づいてきているのか、見通しがつきつつあるのか、これは全く無理な話なのか。

 もう一つは、予算的な裏づけ。政府としてのしっかりとした積極的な取り組みが、この新エネルギー、その中で特に自然エネルギー、その中で特に海洋関連のエネルギーについてどのような予算措置がなされておるか。それはきょう予告してありませんでしたから、後ほどでも結構ですから資料として提供していただきたい、そのように思います。

 次に、自然ということに関連いたしまして、先ほど中川委員からもいろいろと御質問がございました地球温暖化に関連して、私は、今こそ我々人類がこの自然をもう一度、二度と、見直す大変いい機会を与えられていると思うんです。大臣もその点は御理解いただけていると思いますけれども、こうした自然に対する関心と尊敬というものを我々がもう一度持ち直す。そして、病気になっている地球を治療するのは、新エネルギーもあるでしょう、あるいは排出権取引といったような経済的な仕組みもあるでしょう、いわばそういう西洋医学的な方法だけではなくて、地球の体力、地球の持っている自然の力で治療していく、西洋医学に対する東洋医学、漢方療法のような考え方も、私は、日本としては積極的に取り組むべきではないかと思います。

 その自然の持つ力、一番わかりやすいのは、繰り返すようですけれども、森林の、緑の力ではないかと思います。現にこれは京都議定書の中でもしっかりとした柱の一つとして位置づけられているわけです。繰り返すようですけれども、森林のCO2の吸収効果について、環境省としてはどのようにこれまで調査、分析してきておられるのか、資料一と二をごらんいただきたいと思います。

 この資料一と二をごらんいただきますとおわかりいただけると思いますけれども、四十七都道府県の中で、二酸化炭素を排出している量の多いところ、少ないところ、逆に二酸化炭素吸収源として一生懸命努力しているところ、こういうものを各県別に見ながら、そして、排出と吸収というものを、学校でいえば四十七人の生徒の中の環境通信簿ですね、CO2排出、吸収の通信簿のようなもの。四十七人の生徒が一つの学級の中にいるとすれば、鳥取、島根のように、これは人口的には非常に小さい、体格は小さいけれども、お掃除の時間になると一生懸命働いている。それから、大きな県になると、体は大きいけれども、お掃除の時間は余り熱心に手伝わないで、食ったり散らかしたり、そっちの方だけは熱心だと。まあ、表現は悪いんですけれども、こういうことに対するある程度の考課と評価をすることによって、環境交付税なり環境奨励金なり……。税金でもネガティブタックス、一定以上のCO2を出すところ、CO2の削減の努力をしていないところにはタックスがかかる、しかし、その目標を達成したところは課税されない、そのような変わった形の環境税というものも考慮できるんじゃないかと私は思います。

 こういう各自治体の努力、実績というものを評価しながら、それは総務省の方である程度やっているでしょうということかもしれませんけれども、環境省としてはもっと自治体の協力を得なければ、本当の温暖化への取り組みというのは、この霞が関の力だけでは、永田町の力だけでは世の中は動かないと思うんです。この環境対策というのは限りなく地方の協力を必要とするものではないかと思いますから、地方の協力といい意味の競争を引き出す上でどのような方策があるのか、もう一度お答えいただけませんでしょうか。

南川政府参考人 委員御指摘のとおり、私ども、特に自然の力、森林につきましては、大変大きな力があると考えております。今回の京都議定書につきましても、年間でCO2が、炭素トンにしまして千三百万、CO2トンにしますと四千七百七十万トンの吸収が認められるということで、それに向けて国としまして地方公共団体の力もかりながら邁進をしておるところでございます。全体の三・八%という大変大きなものでございます。

 なお、これにつきまして、私ども、公共団体にぜひさまざまな形で協力を得たいということで、森林の管理そのものにつきましては林野庁が中心になりまして予算措置等をいただいておるところでございます。また、環境省といたしましては、林野庁とともに各方面に働きかけて予算の獲得について努力をしてまいりましたし、また、今般の法律におきましても、具体的にさまざまな対策を自治体が講ずるということについて計画をつくっていただく、そういった中でぜひ多くの自治体が参加できるような、協力できるような、一緒にやれるような枠組みをつくっていきたいと考えております。

岩國委員 こうしたいい意味の競争を促す、また、その実績が十分にリターンといいますか次の励みになるよう排出権取引等の対象に、こうした排出量削減というものが自治体の間での取引に、これは日本国内だけに限定されたマーケットになるかもしれません。しかし、それだけでも自治体の意識を向上させる、そして正直に努力したところは報われるという形に誘導していかないとなかなか実効を伴う措置にならないんじゃないか、そのように思いますから、ぜひもっと具体的な取り組みを私はお願いしたいと思います。何かお考えがあれば。

南川政府参考人 まず、京都議定書に関係しますと、全国的な森林の管理あるいは植林につきまして、私ども、国連委員会にも説明しまして、全体で千三百万炭素トンということでお示しをしております。したがいまして、この京都議定書の絡みで排出量取引等を、あるいはCDMといったことについて対応いたしましても、国としての総量には直接影響はしないと思います。

 ただし、私どもとしまして、今、例えばカーボンオフセットということでぜひ運動を展開したいと思っております。これは、例えば東京の区がいろいろなイベントをやるときに、それで排出する余分なCO2につきまして、例えば別の県の山について管理をいただくということで金を集めて、その県の特定の市町村にお渡しをして、そこで間伐など森林管理をしていただいて、CO2のより減った分を行事の埋め合わせに使うということで、トータルな意味で自分たちの行事がオール・ジャパンで見たときにCO2の排出につながらないようにという努力でございます。

 私ども、こういった運動を広めまして、これが一つのスタンダードとしてなる、要するにカーボンフットプリントをみずから消す手段として森林の管理も用いる、そういった運動をぜひ自治体間あるいは国も含めて進めていきたいと考えているところでございます。

岩國委員 森林がCO2吸収源として期待されているわけですけれども、同じ森林森林といっても、木の種類が違う、あるいは人間と同じようにかなり高齢化している山林もあるでしょう、そうした山林の高齢化比率というものも捕捉していらっしゃるかどうか。これは環境省だけではやりにくいことかもしれませんけれども、そういうきめ細かい対策、指導というものが必要ではないかと思います。そうした各山林の高齢化比率というものもどこかで調査しておられるかどうか、それが一つ。

 二番目に、最近、各自治体においても、新しいまちづくり、新しい発想を取り入れておりますけれども、緑を主体にしたまちづくりということも一つの大きな流れであります。ただ、緑といっても、目に緑が入ってくればいいというだけの話ではなくて、同じ木にしても、CO2を吸収する能力の高い木の種類と見ばえはいいけれども意外にCO2吸収の方では成績が悪い、こういう木の種類についても、各まちづくりの中で、温暖化対策、CO2を減らすにはできればお勧めはこの順番だよといったような木の種類まで例示しながらの指導というのは行われつつあるのかどうか。

 環境省でなければ国土交通省の方でそういう視点を入れたまちづくり、まちづくりの中における緑の位置づけ、それから、どういう木の種類をということまでいっておるかどうか、お答えいただけませんか。

南川政府参考人 まず、木の年齢の関係でございます。これについては、私ども、林野庁を中心とした調査結果をいただいておりまして、そういったものも国連における議論の際に提出をいたしております。

 そういった中で、日本は、全体としますと三・八%と、比較的若いということがございます。したがって、まだまだ間伐等の管理をすればどんどん大きくなる、吸収量もふえるということで三・八%という数字になっております。ヨーロッパですと、もともと木も少のうございますし、非常に古い木も多いということで森林吸収源が〇・四%で小さいということもございます。したがいまして、そういったことも評価されておるわけでございます。

 それから、緑の関係でございます。私ども、緑というのは、非常に吸収源として大事でございますし、また、町を冷やすという意味でも大事だと思います。今般の地方公共団体にお願いする計画の中で、都市における緑地の保全及び緑化の推進その他の温室効果ガスの排出抑制に資する地域環境の整備ということも盛り込んでおりまして、この中で具体的にどういう木が吸収力が強いのか、町を冷やすのか、それから、大きな木だけではなくて、壁面緑化も含めてできるだけ温室効果の対策に効果が大きいノウハウを国土交通省などの知恵もかりながら決めていきたい、そんなふうに考えております。

岩國委員 私は、出雲市長時代に、出雲市というところは自然に恵まれている方ではありますけれども、ブロック塀がふえてきている、ブロック塀に対する補助はしない、逆に生け垣に対する補助を導入することによってブロック塀が無制限にふえていくことを防いだこともあります。

 また、子供たちが中学二年生になると、環境探偵団に、子供たちの目線は大人の目線と違いますから、子供たちの目線で自分たちの地域の中のどこが悪くなった、オタマジャクシがいなくなった、メダカがいなくなった、あの川が前よりも汚れている、子供たちの目線というのは大人の目線と違って非常に参考になります、環境探偵団に一年間入ることによって環境に対する関心を持たせる。あるいは樹木ノート。今の出雲市の中の五十の代表的な木の種類を塗り絵ノートにして、夏休みになると、子供たちはそれを持って、その木をいつどこで見つけたか、塗り絵をして木の名前を覚えて、木の名前を覚えるから木と友達になる、五十の木の友達をつくって夏休みが終わる。私は、それを期待して、子供たちの感想なんかをもらっていました。

 あるとき、私がびっくりするような感想文が届いたのです。

 お父さんに聞いてみたら、お父さんは木のことを知らなかった。お母さんに聞いたら、おばあちゃんの方がよく知っているからおばあちゃんに聞いたらどうと。子供たちは今までおじいちゃん、おばあちゃんは宿題の手伝いをしてくれたことがない、おじいちゃん、おばあちゃんよりもお父さん、お母さんの方が頭がいいと思っておった、単純に。ところが、こういう木のことになると、お父さんもお母さんもだめで、おじいさん、おばあさんに、おばあさんがうれしそうに庭の木を一つ一つ教えてくれて、近所をずっと連れて回って親切に教えてくれた。子供たちは、木に対する関心よりも、おばあさんに対する尊敬の気持ちを持つようになってしまったんですね。

 私は、それでもよかったと思います。たった一冊の塗り絵ノートが、そういう自然のことを詳しく、お父さん、お母さんが知らないことを、おじいさん、おばあさんはもっとたくさん知っていることがあるんだ、そういうことがきっと子供の自然に対する心を開いてくれただろう、私はそれも一つの効果だと思います。先ほど中川委員がおっしゃいました、そういう身近なところから教育していく、そういう時代に入ってきたんじゃないか、私も全くそのように思います。

 今、局長が、森林の若返りというところで、間伐、それから間伐のほかに下草刈りというのがありますけれども、これも人手がかかる、金がかかる話なんです。口で言うだけでは全国の山が若返るはずがありませんから。金がかかる、人手がかかるものについては適正な補助金を、しかも努力に応じた能力給というものを山に支払う。あの緑の山が給料をもらっているんだ、僕たちのために働いているんだと子供たちは思うでしょう。そういう自然教育も私は大切だと思うんです。

 もう一つの自然教育は、自販機です。

 この前、酒の自販機について、そこに資料も差し上げました、三番目と四番目、後ほど読んでいただきたいと思いますけれども、出雲市はなぜ酒の自販機を撤去したか。

 WHOから日本の政府にそういう警告が来ているでしょう。そういう警告を受けて、この自販機について日本政府はそれに対する回答をいつ出していますか。一九九一年に警告を受けて、それから何年たっているのか。何カ月どころの話じゃなくて、もう何年もたっています。それに対してどういう形で回答が出されたのか、WHOの警告はどのように政府の施策の中に反映されたのか、大臣、お答えください。これは私は初めて聞いているわけじゃありません。予告どころか、前回の委員会で私は質問もしております。

鴨下国務大臣 せんだっても自販機のお話をいただきました。総合資源エネルギー調査会の省エネルギー基準部会自動販売機判断基準小委員会の最終取りまとめにおきまして、二〇〇五年のデータとして、自動販売機の普及台数は約四百三十万台、そして、年間消費電力量は約六十六億キロワットアワー……(岩國委員「それは私の次の質問です」と呼ぶ)それじゃ、そのことにつきましては後ほどまたお答えいたします。

 要するに、これは、環境省としては残念ながら、エネルギー以外の、例えばWHOでの健康問題については特段の知見は持ち合わせておりません。そして、これについては、もし必要でしたら関係当局から調整をさせていただきたいというふうに考えます。

岩國委員 私があえて厚生省をこの場で答弁者として要求しなかったのは、既に一週間前にこの問題をここで取り上げております、WHOという名前まで、出所まで明らかにして。一週間、環境省のだれかがどこかに行って調べてこられたのかどうか、その問い合わせすら手間を惜しんでおられるのか。環境省というのは範囲が限りなく広い、御苦労なことだと思います。しかし、範囲が広いがゆえに、どの省庁にも、経済産業省にも国土交通省にも、必要があれば、今、環境というこのにしきの御旗、パスポートを持ってどんな資料だって要求できる立場にあるじゃありませんか。その努力を惜しんでおられるのかどうかを私は知りたかったんです。

 一週間たって何の進展もない。WHOに対して日本政府は何の返事もしていないとすれば、私は、大変失礼なことだと思うんです。そして、環境の時代、この自販機のエネルギーのことが問題になっているときに、一番制限しやすい酒の自販機について、そこからまず突破口としてやっていこうというお考えはないものかどうか。

 そして、この間、近藤昭一委員の質問だったと思いますけれども、局長がお答えになった自販機の台数の問題、今鴨下大臣がお答えいただこうとした台数ですけれども、それが日本の業界の数字と全く違ったものが使われておる。一体そんなことでいいのかどうか。幾つもあれば、その違いを踏まえた上でここでは答弁すべきじゃありませんか。なぜ自販機の台数の捕捉さえもできないのか。もう一度御答弁いただけますか。

南川政府参考人 前回のこの委員会におきまして、私どもの方で二〇〇五年のデータにつきましてお答えをいたしました。それは総合資源エネルギー調査会の関係の資料でございました。片や、今御指摘ございましたように、業界の最新のデータということで二〇〇七年の別の数字がございました。これにつきましては、私ども、全体の資料、全部見渡しすることを忘れておりました。まことに申しわけなく思う次第でございます。

 それから、WHOの件につきましても、申しわけありません、特に調べておりませんので、直ちに連絡をとってどのような対応がされているか調べてみたいと思います。

岩國委員 委員長、お聞きになりましたか。私は、こういう答弁の席に立っておられる人が、環境省という今一番期待を集め、また日本の大きな責任を背負っておられる省庁の皆さんが、もう少し真剣に取り組んで、そういう数字を私でさえも幾つか集められるようなものを見ておられない。そして、その違いがどこにあるのか、違いがあるとすればどちらが間違っているのか、どちらに基づいて対策を立てるべきなのか、全然そこまで意識がいかないということは、大変嘆かわしいと思っております。

 大臣、ぜひこの点は反省していただいて、そして、もう時間は残されておりません、ことしを過ぎて来年になれば、残念ながら環境問題に対する期待や関心は薄れていくかもしれない。鉄は熱いうちに打て。今こそ、そして残された二カ月こそ皆さんの本当の出番だ。私はそれを期待しているがゆえに苦言を呈して、私の質問を終わらせていただきます。

小島委員長 次に、吉田泉君。

吉田(泉)委員 民主党の吉田泉です。

 私の方からも、地球温暖化対策推進法改正案に関連してお伺いをいたします。

 この四月から京都議定書の約束期間がいよいよ始まりました。六%削減という我々の国際約束を確実に果たしていこう、こういうことで法改正が提案されたと思います。企業、一般の国民の方、地方公共団体などにさらなる削減努力をお願いしよう、こういう法改正だと思います。

 まず、今回の改正点に関連して、公表制度について若干お伺いをいたします。

 現行法にのっとって、温暖化ガス排出量の算定・公表制度というのが始まりました。去る三月二十八日、初めて公表も行われました。鉄鋼、セメント、化学などの大きな会社が順番づけをされて、新聞に発表されることになりました。企業間の炭酸ガスの削減意欲をかき立てる手段になるというふうに私も思います。

 今回の改正では、現在は一定規模以上の事業所単位ということになっていますが、これを法人単位にしよう、さらにはフランチャイズ単位にしよう、そうやってカバー率をふやしていこうということだと思います。ただ、それでも、本当に公平な制度になっているのかという疑問の声も出ているようであります。

 例えば、実質一体運営されている企業グループ、親会社、子会社、実質的に一緒に事業活動をしている場合に、それがグループ単位として数字が求められていない。または、地域の電力会社によって電源構成が違います。そうすると、それが利用する企業の排出量に影響する。原発の割合が多い地域は排出量が少なくなるとか、そういう影響もある。

 こういう点を、さらに工夫を加えてより公平な制度を目指すべきではないかと思いますが、どうでしょうか。

    〔委員長退席、木村(隆)委員長代理着席〕

南川政府参考人 委員御指摘の算定・報告・公表制度でございます。

 私ども、委員御指摘のとおり、今般の改正におきまして、事業所単位から、企業単位、フランチャイズ単位で排出量を算定、報告するということに変えたいと思っております。

 委員御指摘のグループ単位というのは、私も解釈をどうしようかなと迷うのでございますけれども、今回の改正のフランチャイズ単位といいますのは、法律上は連鎖化事業者と呼んでおります。そういう意味で、企業の行動の中で、具体的に一緒に足並みをそろえて温暖化対策をとる一つのグループと考えておるところでございます。

 そういう意味で、私ども、法令で許される範囲としましてはかなり幅広くとらせていただいて現在御提案させていただいているというふうに考えております。

 それから、委員もう一つ御指摘の電力関係などの電源構成の是正の問題でございます。

 これにつきましては、ぜひ、事業者が実際に使用した電気の排出係数を用いて報告をいただきたいと考えております。このことが結果的にはより排出量の少ないエネルギー選択にもなると思っておりまして、これにつきましては、毎年排出係数を各電力事業者ごとに公表いたしますので、それを用いて報告をお願いしたいと考えているところでございます。

吉田(泉)委員 そうしますと、連鎖化というときに子会社なども入り得ると考えてよろしいですか。

南川政府参考人 子会社というのが、法令上の位置づけが実はなかなか難しいかなと思っております。私ども、今回の改正はあくまで温暖化対策に着目しておりますので、言ってみれば、温暖化対策について本社から指示があって、そういった指示を受けながら温室効果ガスの対策をとっておるような一つのつながりのある事業所と考えております。

 したがいまして、固有名詞はあれですけれども、例えばセブンイレブンであれば、実はいろいろなセブンイレブンが経営上はあるようでございますけれども、できるだけ幅広くとっていただく、あるいは飲食店につきましてもできるだけ幅広くとっていただくということで、親会社、子会社というのになじむかどうかわかりませんけれども、幅広くとっていただいて報告をいただくようにしていきたいと考えております。

吉田(泉)委員 ありがとうございました。

 排出量は公表されたわけですけれども、この数字だけを見ても各会社の省エネの効率というのがわかりません。原単位当たりの数字が公表されると大変比較しやすい、わかりやすい、競争意欲がさらにわく、こういうことになるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

 そして、今回の改正では、主務大臣が事業者に対して排出抑制等の指針を作成する、そこには原単位による水準も示される、こういう改正になっております。それが実行されたときには、作成指針で示される原単位の数字と実際に企業から出てくる公表される原単位の数字、これをドッキングさせて発表していただければさらに明快に企業努力が理解されるということになろうかと思うんですが、どうでしょうか。

南川政府参考人 今回私どもの提案させていただいております指針でございますが、その一つの大きな柱が、これはオフィス、店舗を含みますが、工場、事業場といった業務の形態ごとに、排出抑制のためにどういう措置をとっていただくか、どういう施設をつけることが必要か、あるいはどういう管理が必要か、またもう一つは、取り組みの参考としての望ましい水準を排出原単位であらわすことを想定しておるところでございます。これは、一般的な事業者が目標にすべき望ましい水準としてぜひお示しをしたいと考えているところでございます。

 他方、現在私どもで運用しております算定、報告、公表でございますけれども、これにつきましては、六月、温室効果ガスのそれぞれにつきましての排出量が報告をされるわけでございます。当然ながら、各事業者は、みずからが、例えば何かを一トンつくるのにどれだけCO2が出るかとか、あるいは一平米当たりに直せばどれだけ電力を使っているか、CO2を出しているかということについては計算は可能でございます。私どもとしましては、みずからそういう算定、報告をする中で実質的に事業者がそういった排出原単位についてもはじいていただいて、国がこれから示します排出原単位の中で比較して何ができるかということをぜひ自発的に考えていただきたいと思います。

 また、これにつきましては、そういったことがどんどん進みますように、私どもも事業者に対する周知徹底と助言を行ってまいりたいと考えているところでございます。

吉田(泉)委員 公表制度以外にも、地方公共団体の実行計画を充実させる、それから国民生活への指針を作成するというような改正案が盛り込まれたわけであります。

 しかしながら、今回の改正案全体として見ると、何か少しのんびりしている改正案だなという気がします。約束期間が始まったわけでございます。実質一三・七%の削減をせねばならない、あしたからでも一三・七%減らさなければならない、こういう事態にあるわけですが、その割には切迫感が薄いというような印象を持っております。言いかえれば、余り温暖化の脅威というのを感じておられないんじゃないかという印象を持つところでございます。

 実は、私は、一面ではそれも無理がないんじゃないかという気持ちが率直なところございます。といいますのは、IPCCが主導して進めている今の温暖化議論に対して、根強いといいますか、健全な懐疑論、現実論と言う方もいますけれども、そういうことを唱える学者さんがそれなりにおられるわけでございます。例えば東大の渡辺正教授は、二年前ぐらいの新聞だったですが、温暖化論はまだ不確かな話である、のんびり構えてよい話だ、こう新聞に原稿を書かれたわけでございます。私は、そういう専門家が言っておられる疑問をさらに払拭しないと我々も本腰が入らない、何かそういう気がしているわけであります。

 今お隣に座っておられる小野晋也委員の先日の質疑の中で、こういうお話がございました。温暖化対策というのは単なるCO2削減運動ではない、人類には今の工業化社会から新しい文明をつくろうという心のうずきがあるんだ、そういう運動ではなかろうかという御趣旨の御発言があったと思います。私も全く同感でございます。こういううずきがこの温暖化対策、温暖化の問題の根底にある、そしてこの運動を支えている、そういう気がしているわけであります。

 ただ、一方では、そのためにこの運動が感情的になってはいかぬということであります。非常に多くの労力とお金を使って大きな運動をやろうということでありますので、地球上の気候の現実、さらには我々人類が持つべき的確な目的、目標、それから合理的な対策というのを、うずきながらも冷静に議論していかなければならない、これは言うまでもないことだと思います。

 そこで、温暖化の原因と対策について、基本的なところを改めてお伺いしたいということでございます。いろいろな考え方があるということを前提に、ひとつ柔軟に考えていただいて御答弁をいただきたいと思います。

 まず原因の問題ですけれども、温暖化の原因というのは、IPCCも言っていますけれども、人為起源と自然起源に分かれる、二つあるということは御承知のとおりでございます。問題は、それぞれがどのぐらいの割合なのかということが最大の問題であります。五対五なのか、九対一なのかというところでございます。

 せんだってのIPCCの第四次の報告書は、温暖化というのがほぼ確実に、ベリー・ライクリーに人間のせいであるということを言っているわけです。その根拠をIPCCのいろいろな資料等を拝見して探したんですが、こういう資料がございました。放射強制力をもたらす要素としては、人為起源、自然起源、両方あるわけですが、単純に足し算をすると、人為起源というのは九三%に上る、自然起源は七%にすぎない。これが、ほぼ確実に人為的起源なんだとIPCCが言っている一つの根拠なのかな、今のところ温暖化要因の割合を示す数字なのかなというふうに考えるところですが、いかがでしょうか。

谷津政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の放射強制力でございますけれども、これは気候変動を生じさせる外部の要因のことでございます。大気組成の変化、土地利用による地球の表面の反射率の変化といった人為的要因、また、太陽活動の変化に伴います太陽放射の変動などといった自然的要因がございまして、これが地球温暖化への寄与の大きさをあらわすとされております。

 IPCCの第四次評価報告書では、御指摘のように、人為的な放射強制力の合計は、一平方メートル当たりのワットという単位でございますけれども、これでいいますと一・六、自然起源の放射強制力は〇・一二としてございまして、人為的な影響が大部分であるというふうに承知しております。

    〔木村(隆)委員長代理退席、委員長着席〕

吉田(泉)委員 そうしますと、要するに九三対七という割合でもって人為起源の方が優勢である、これがIPCCの結論であると解釈してよろしいですか。

谷津政府参考人 実際の気候変動は、今申し上げましたような地球にもたらされる外部からの要因と、例えば雲を生じるあるいは水蒸気がふえるといったようなことに伴う地球内部の変化の合計でございますので、外部の要因としては今申し上げましたとおりでございます。

吉田(泉)委員 結論が出ているとすれば、IPCCは、ベリー・ライクリーにということは言わなかったと思うんですよね。私は、単純に足し算して九三というのが、ここがまだ合理性がないからベリー・ライクリーと言うしかないんだろう、そんなふうな感じを持っているわけでございます。

 次の話ですが、振り返りますと、一九四〇年から八〇年にかけてのほぼ四十年間、実は、寒冷化という時期がございました。つい最近の話であります。そのときもCO2の濃度というのは一貫してふえていたわけですが、ふえていたんだけれども寒冷化が四十年間あった。

 これは過去の事実でありますが、これを人為起源だけで説明するとどういうふうに説明されることになるのか、お伺いします。

谷津政府参考人 IPCCの第四次評価報告書によりますと、御指摘の期間内に地球の平均気温が横ばいとなった時期があったと報告されてございます。

 地球の平均気温の変化には、温室効果ガスの排出という要因以外にも、先ほど来御議論になっております太陽活動や火山噴火によって排出されるちりあるいはエアロゾルといった、太陽光を遮って地球の気温を下げる効果のあるような自然起源要因も含まれておるわけでございます。

 こうした要因を、IPCCでは複数の気候モデルを使いまして、一九〇六年から二〇〇五年までの期間における気候につきまして二つのケースで計算をし、評価をしております。一つは人為的要因のみを計算した結果、もう一つは人為的要因と自然的要因の双方を加味したケース、この二つのケースにつきまして、予測モデルを使いまして評価を行ったわけでございます。

 その結果でございますけれども、自然要因による温度の変化、人為的要因による温度の変化の双方を加味したシミュレーションの結果が非常によく実際の観測結果を再現しているという評価になってございます。こうしたことから、先ほど来議論になっております、人為的影響が大部分である、非常に確からしいという評価を総合的にIPCCでは行っているところでございます。

 こういうシミュレーションの中で、平均気温が横ばいになったということも含めてほぼモデルで再現されている、こういうふうに理解しております。

吉田(泉)委員 自然起源と人為起源と両方加味して考えれば説明ができるということであります。

 ただ、寒冷化といいますか温度が上がらなかったということは、人間による温度上げ要因よりも自然による下げ要因の方が大きかったから上がらなかったんだろうというふうに思います。そうすると、先ほどのIPCCの九三対七という割合でもって人為起源の方が優勢なんだというところが、素人考えですが、もう一つよくわからない。その辺を何とか上手に説得していただきたいという気がするわけでございます。

 最近、アメリカの気候物理学者のシンガー博士、さらに環境経済学者のエイヴァリー博士、このお二方による本が日本でも出ました。「地球温暖化は止まらない」という本でございます。この本の結論は、一言で言うと、確かに世界はちょっと温暖化はしているが、これは昔からあった自然の千五百年周期による温暖化でしかない、人間の人為的な影響によるものではないというのがお二方の本の結論でございます。

 この千五百年周期という温暖化は、実は、文明史上でも二回ある。ローマ時代がそうだそうです、ローマ温暖期。そして、中世時代の中世温暖期。この二度、地球的に温暖化があった。中世温暖期のころは、グリーンランドで畑で作物がとれたということであります。そして、最近の現代温暖期と言われているものは、この方々の説によれば、一八五〇年、今から百五十年以上前ですが、そのころから実は始まっているというわけですね。

 この方々の学説の証拠というのは、グリーンランドの氷床から一・五キロという非常に長いコアを取り出して、それを科学的に分析したということであります。地球の二十五万年に及ぶ気候の歴史がそこから解析されたというわけであります。

 この千五百年周期というもの以外にも、環境省の専門家のお話によると、十万年の周期もある。それから、太陽の黒点活動だけに関して言えば十一年周期という大変短い周期もある。こういう自然起源の動きがあるわけです。私は、こういう自然起源の温暖化というのがもともとあって、さらにそこに人為起源分が乗って温暖化を加速している、こういうのが基本的な考え方ではなかろうかなというふうに思っているわけであります。

 そこで、私は、シンガー博士が言っておられるような自然起源、もともと地球にはどういう温暖化の周期がどういう理由で起こっているのか、こういう議論もこの温暖化の議論の中でもっとすべきじゃなかろうか、本当に正しいのかどうか冷静に議論すべきではないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

鴨下国務大臣 先生がおっしゃるように、我々は、やはり科学的な分析をしっかりと踏まえて政策的な決断をしなければいけないんだろうというふうに思っております。

 ただ、今おっしゃった話も含めてですけれども、いろいろな学説等がありまして最終的にIPCCの第四次評価報告書に至っているわけでありまして、これも、約六十五万年前からの気候の変動や二酸化炭素濃度の変化について検討を行っておるわけであります。こういうような長期にわたる地球の気候を検討した結果、この第四次評価報告書では、現在、観察事実として生じている温暖化現象は自然要因ではなかなか説明がつかないということで、これは九〇%以上の確率で人為的な温暖化だというふうに結論づけているわけであります。これも、京都議定書からアメリカが離脱するときの一つの理由として、本当に温暖化が起こっているのか、これは科学的ではない、こういうようなことをアメリカの大統領がおっしゃったわけであります。大変有名なことであります。

 そういうようなことも含めて考えますと、私たちは、冷静に受けとめないといけないけれども、今回の第四次評価報告書につきましては、世界のすべての国が科学的な知見として受け入れようということでありますので、これに沿って政策的な方向性を決めていくのが妥当ではないかと考えております。

吉田(泉)委員 ありがとうございました。

 さらにこの本から少し引用したいと思うんですが、気候には穏やかで天然でおおむね予想がつくような周期がある、それが数世紀にわたる温暖な気候と数世紀にわたる寒冷な気候とを交互にもたらしてきた、この温暖化というのは歴史的には寒冷化よりはるかに人間にとっては好都合だったと。それはそうだと思いますよね。シンガー博士は、なぜ現代人が穏やかな温暖化をここまで怖がるのかよく理解できない、こういう書き方をしております。

 その原因をこの先生は二つ挙げております。多分、我々が今享受している前例にない豊かさに伴う罪悪感というのがあるんじゃなかろうか、小野委員が言われた心のうずきに関係したことだと思うんですが、これが一つあると。私もそう思います。それからもう一つは、コンピューターモデルに対して今非常に信頼があるわけですが、コンピューターがきちんとやってくれているんだから大丈夫だろう、こういう信頼感が多分一役買っているのではなかろうか。この二つをシンガーさんは挙げているわけでございます。

 それで、コンピューターシミュレーションで温暖化の分析をするという、この問題についてちょっと御見解を伺いたいんです。

 私は素人ですが、何かそれだけではちょっと足りないんじゃないのかなという気がしております。要するに、コンピューターモデルによるシミュレーションと、もう一つは、シンガーさんたちがやっておられるような気候物理学的に証拠を積み上げていくというアプローチと、両方あわせて全体を見ていかないと危ないのではないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

谷津政府参考人 お答え申し上げます。

 IPCCにおきましては、コンピューターモデルを使ったシミュレーションのほか、実際に、これまでの気温変化がどうなっていたのか、あるいは大気中のいろいろな物質の組成がどうなっていたのかというようなことにつきまして、例えば南極の氷床コアなどから得られたサンプルを分析して、過去六十五万年ぐらい前にさかのぼっていろいろ分析をしているわけでございます。

 その中で、先ほど来、自然的要因と人為的要因の御議論でございますけれども、特に、産業革命以降たかだか二百数十年の急激な濃度の上昇、あるいは最近実際に地球の気温が上昇しておりまして、これが年々そのスピードを高めているといったような実際の観測データ、あるいは世界各地の河川、湖沼、山岳地帯での生態系の変化、こういったことを総合的に把握して第四次評価報告書の結論を導き出しているというふうに理解しております。

吉田(泉)委員 今までは原因の方のお話を伺いましたけれども、対策の方にちょっと話を進めたいと思います。

 こういう考え方があります。石油や石炭などの化石資源は、一たん掘り出せば、結局はいずれ燃やされてCO2になる。そうしますと、CO2を減らす究極の手段は、化石資源の一部を永久にとらない、永久に封印するということではないか。掘っている以上は、たとえ議定書どおりに我々が削減努力をしても、五十年後に来る状況が五十五年後に延びるとか、その程度にしかならないんじゃないかと。

 ハイブリッド車とか燃料電池、いろいろあるけれども、本質的な解決策というのは、どこかの油田の一部を封印する、最終的にはそれしかないんじゃないかという指摘もございますが、どうでしょうか。

鴨下国務大臣 地球温暖化は特にCO2起源というものが影響しているというふうに言われておりますので、先生の御指摘のように、化石燃料を燃さないということになれば一番効果的なんだろうというふうに思います。

 ただ、先ほど来のお話の中にも、産業革命以降に極めて人為的有意に気温上昇が起こっている、こういうようなことも踏まえますと、反面、化石燃料を燃してきたことによって人類は今のような大変な物質的、経済的豊かさを享受してきているわけでありますので、どちらをとるかというのは、それこそ、それぞれの世代、そして私たち現在に生きている人間たちの選択なんだろうというふうに思います。

 ただ、私が一連の国際会議等へ出ておりましてつくづく感じますことは、先進国の言い分と、それから、安くて効率的なエネルギーを利用して経済的にも豊かになりたい、こういうような途上国の思いというのは極めて強いものがございますので、そこのバランスがなかなか難しいんだろうなというふうに今実感しております。

吉田(泉)委員 ありがとうございました。

 先ほどの化石資源を一部封印するしかないという議論は、実は東大の渡辺教授の指摘でございました。本当のところどうなのか、これは我々もよく議論を見ていきたいということでございます。

 さて、話を少し政治の現実に戻したいと思いますが、京都議定書の目標は、先進国全体で少なくとも五%削減をしようというのが目標でありました。しかし、アメリカが批准をしなかったということであります。

 アメリカというのは、先進国の排出量の大体四割をアメリカだけで出している。そこが批准をせずに、しかも今、最近までに、九〇年比だと一六%アメリカは排出量をふやしている。一六%で四割という両方の数字を考えると、それだけで先進国はその分が六%増ぐらいになるわけですから、よそが議定書どおり頑張っても、五%削減というのが既に不可能な目標になったのではないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

 また、そもそも世界的に見て、一九九〇年、我々の基準年から比べて、今現在排出量というのは一体どのぐらい変化しているものなのか、教えていただきます。

南川政府参考人 アメリカが離脱した影響でございますが、大変大きゅうございます。

 九〇年段階で、先進国全体が約百九十億トンでございますけれども、アメリカはそのうちの六十三億トンということでございます。したがいまして、先進国全体で少なくとも五%削減ということで目標が決められたわけでございます。ただし、その中でアメリカが七%減ということが前提になっております。そうしますと、先進国全体の削減目標が五・二%ということになったわけでございます。したがいまして、アメリカが削減を行わないということから、当然ながら、少なくとも五%削減ということについてはその段階で既に困難になっているということでございます。

 ただ、先進国全体のその後の量でございますけれども、これは、アメリカの増加はございますけれども、実はソ連がロシアになりまして大幅に減っております。そういったこともございまして、全体として一・数%の減少ということでございます。

 ただ、全世界的には、アメリカの増加、中国、インド等の増加もございまして、一九九〇年と比較しまして、現在ございますのは二〇〇四年のデータでございますけれども、約二四%の増加ということでございます。

吉田(泉)委員 そうしますと、二〇〇四年までですから、十四年間で二四%ふえたというのが現実でございます。一年間で二%弱ぐらいずつふえているということですよね。

 私、これはやはり経済成長見合いでふえているということではないのかなと思います。先ほど大臣がおっしゃったように、成長をとるのか削減をとるのか、成長をあきらめない限り全世界的な削減というのは極めて難しいんじゃないかという印象を持つところであります。

 しかしながら、本当に、人為的な起源による温暖化というのが人類の危機なんだ、生存の危機なんだということであれば、これはそっちを優先して成長もあきらめるということになるわけでございますが、先ほど申し上げたように、シンガー博士などの考え方は、そんなに怖がることはないんだという考え方もあって、それならば成長もよかろうということになるわけです。私は、IPCCのグループの考え方、それからシンガー博士のグループのような考え方、ここをもう少し根本的にこの両者に議論をしていただいて、我々はそれをよく見て判断をしたい、こういうふうに思うところであります。

 それから、カナダが日本と同じく六%削減という目標を与えられたわけですが、現実は二〇〇五年の段階で二五%ふえているということで、一種のギブアップ宣言をしたわけであります。

 改めて、カナダのように議定書の約束を守れないような場合には一体どういうことになるのか、お伺いします。

南川政府参考人 カナダにつきましては、増加の原因はいろいろございますけれども、国内の土壌中に含まれておる非常に質の悪い油を使わざるを得ないという事情もあるやに聞いております。

 いずれにしましても、仮に達成できない場合どうなるかでございますけれども、三つ決められております。

 一つは、削減未達成分の一・三倍の排出量を次の約束期間に追加するということでございます。したがいまして、仮に一億トン達成できなければ、次回に一億三千万トンの削減がさらに乗っかかるということが一点目でございます。二つ目は、目標を守るための行動計画を国連に提出する。三つ目が、仮に次期において削減がどんどん進んで余ったとしても、排出量取引においてその余った枠を売ることが禁止される。その三つでございます。

 基本的には、一番最初の、一・三倍の排出量を次の約束期間に負うというものでございます。

吉田(泉)委員 目標達成計画を見直して六%を何とかやろうということになっているわけでありますが、万が一、カナダのようになかなか思ったように削減が進まないということも考えておかなければならないと思います。そのときに、最終的な手段としてCDMを使うという道も考えられるわけであります。

 質問の順番がちょっと飛びますが、今のところ日本は、六%の中の一・六%に限ってCDMを使う、そこには税金を使って政府が買い取るんだ、しかしそれ以外のCDMは買いませんよということになっているわけでありますが、約束期間が始まってなかなか思うようにいかないときには、この目標達成計画をもう一回改めて、一・六という枠をもう一度考え直すということはあり得るんでしょうか。

南川政府参考人 私ども、一・六%を国がCDMを買い取ることで賄うということで予定をしております。決まっておりますのは、国内対策に対して補足的であるということでございます。補足がどこまでかということについての明確な定めは、国際的にはございません。

 したがいまして、制度論からしますと、もし削減が多くできれば一・六を減らしたいと思いますし、また、逆については今想定しておりませんけれども、制度的には不可能ではないということでございます。

吉田(泉)委員 国全体で頑張って、頑張った上でもなかなか達成が困難になったという場合には、結局、カナダの方式かCDM増額か、理屈を述べればこの二つの道しかないというふうに思います。

 目達計画、今まだ見直しして始まったばかりですから、もちろんそこに全力を注げばいいんですが、政治としては、やはり最終的な二つの道もそろそろ考えながら事に当たっていく態度も必要ではなかろうか、余りタブー視しないで柔軟に考える時期じゃなかろうか、こんなふうに思うところでございます。

 時間がもうわずかですが、もう一つぐらいお伺いしたいと思います。

 最近雑誌等で活躍されている武田邦彦教授、今、中部大学におられますが、この先生を我々も部門会議に呼んでお話を聞いたりいたしました。

 いろいろなことをこの先生はおっしゃいますが、一つこういうことを言っています。京都議定書を締結したのが一九九七年ですが、その段階で一九九〇年比の実質的な削減義務というものを負ったのは、実は日本とアメリカとカナダの三つの国だけであると。既にもう一九九七年の段階で、ヨーロッパ、EUというのは削減義務以上の削減を果たせるという見通しが実はあったのではなかろうかという指摘であります。

 その後、アメリカは、そしてカナダは、実質的にこの約束から抜けたような格好になったわけであります。そうしますと、今現在、厳しく削減努力をしている、実質的に削減努力をしているというのは世界の中で日本だけになってしまったのではないか、こういう指摘を武田教授はしているわけですが、いかがでしょうか。

南川政府参考人 日本が大変厳しい数字を抱えて必死になって対応しなければならないというのは事実でございます。

 ただ、EUでございますけれども、EU加盟国全体として八の削減でございますけれども、その中で再配分をしておりまして、イギリスについて言えばマイナス一二・五、それからドイツについてはマイナス二一というところまで引き上げて国別の再配分をしております。そういうことでありますので、EUについてもかなりの国が努力を強いられておるというのも事実でございます。

 それから、EUの中で申しますと、スペインあたりは既に五割も超えております。それから、イタリアも一割以上超えておりまして、もともとの予定されていた再配分からしますと大幅な超過ということでございまして、こういった国、例えばスペイン、ポルトガルあたりは、実は空き地があれば必死になって太陽光発電を相当広げてつけております。さらに、オランダ等の国につきましても、実はCDMの購入に相当走っております。そういったEUの国の購入も世界的なCDMの高騰の原因になっておるような次第でございます。

 そういう意味で、日本が厳しいのは事実でございますけれども、EUもしっかりやっておりますし、私どももしっかりやりたい。また、ニュージーランドなどにつきましても、ゼロ%の基準が達成できずに相当苦しんでおりますけれども、彼らも必死になって削減しておりますので、そういった流れの中で日本としても必要な努力をしていきたいと考えております。

吉田(泉)委員 武田教授の御指摘は、要するに、議定書をつくる一九九七年の段階で、日本とアメリカとカナダが実質的に特別厳しい削減義務を負ったのではなかろうか、EUの外交交渉力にしてやられたのではなかろうか、こういう御指摘だと思います。

 もう時間ですので終わりますが、私がきょう申し上げたかったことは、六%削減に向けて我々は頑張ろうということになっているわけですけれども、頑張るために、やはり本物の危機感がもっと必要ではなかろうかということであります。今我々が直面している地球温暖化というのが人類の生存にとって本当に危機的なのかどうかということをもっと広く確認したい、その作業がさらに必要ではなかろうかということであります。つまり、冷静に世界のいろいろな頭脳を結集すべきではあるが、何かまだもう一つその結集が足りないのではなかろうか、こういう問題意識であります。すべてはそこからもう一回スタートすべきじゃなかろうか、こういうふうに私は思ったところでございます。

 以上で終わります。ありがとうございました。

小島委員長 次に、篠原孝君。

篠原委員 民主党の篠原孝でございます。

 しばらくぶりに環境委員会でお時間をいただきまして、質問をさせていただきます。

 私は環境委員会をこよなく愛しておりまして、環境委員会に所属させてほしいという希望を出すんですが、どうもことしははじき飛ばされまして、外務委員会と倫選特とかいうごちゃごちゃしたところへ行っておりますが、こういった質問の機会をいただきました同僚議員の皆さんに、まず感謝を申し上げたいと思います。

 地球環境問題は非常に大事でございまして、これにはずっと関心を持っております。この点については、日本国民の皆さん関心をお持ちなんじゃないかと思います。

 世論調査も行われております。世論調査もなかなかいい結果が出ておるんですが、ちょっと資料を見ていただきたいんです。

 世論調査というのは、世論の動向を察知するのも大事ですけれども、どういう項目で聞いて、どういう項目が大事だとかいうのを皆さんに発表して、そして世論を正しい方向に持っていく。余り、何か意図的に引っ張っていくのはよくないんですが、いろいろな題材を提供して、どういうふうに思っておられるかというのを虚心坦懐に聞くという点では大事だと思うんです。一番最近、去年行われた地球温暖化問題に関する世論調査の項目を見ましたら、ちょっとゆがんでいるんですよね。

 一ページ目を見ていただきたいんですが、これは上の方から平成九年、十三年、そして十七年と十九年は変えていないんです。右側を見てください。これは私が入れたんですが、どういう問題についての項目、家庭で地球温暖化問題について対処していくにはどうしたらいいか、どういうことをやられるかというのを、勝手な分類ですが、資源問題とか自然問題、電気、水。これは一番下のところを見ていただきたいんですが、電気関係が圧倒的に多くて、次が水なんですよね。それで、平成九年にあった食材なんて消えちゃっているんですよ。電気、水、熱とかいうと、皆さんぞっとされる部分があるんじゃないんですかね、事務所経費問題に直結するような。

 何でこういうふうに偏った項目になるのかなと私は思うんです。これは内閣府の広報室と環境省がすり合わせてこういう項目をつくっておられるんじゃないかと思いますけれども、この少々偏った、電気問題に偏った、水問題に偏った項目というのはいかがなものかと思いますけれども、項目についてちゃんと検討をされたんでしょうか。

南川政府参考人 この世論調査でございます。

 もちろん、内閣府でお決めになって世論調査をされたわけでございますが、私どもの方に事前に問い合わせがございまして、どういう調査がいいのかということで、資料を出してほしいというようなことがございました。私ども、その中で、具体的に温暖化対策について、特に家庭等を中心にやっていただくことでどういう対策が効果があるかということについて、幅広く資料を出したところでございます。

 その中で、私どものこれまでのそういう国民運動の旗振り自身が温室効果ガスの削減量がわかりやすいというものを中心にやっておりますので、そういった資料を中心にお出ししたわけでございます。それがこういった調査項目につながったのではないかというふうに考えております。

篠原委員 内閣府は、いろいろなありとあらゆる問題に通じているわけじゃないですから、こういう世論調査をするときは、もとのマザーミニストリーというか、そっちに聞いてやっているはずなんです。そちらにリードをされてやるわけでして、これは非常にゆがんでいるんじゃないかと思います。今CO2の排出とかエネルギーとか、そっちの方ばかりに頭が行っているからなんですよね。いいですか。もっと根源的な聞き方をしていただきたいんです。だから、そういう点では、平成九年の担当者の方が頭がやわらかかったと思うんですよ。

 例えば、私がずっと携わってきております食べ物、これは中国ギョーザ問題で相当皆さんぎょっとしたんじゃないかと思いますよ。これなんか、よく考えてみてください、どれだけエネルギーの無駄遣いをしているかと。冷凍をしているんです。保存で、解凍して、エネルギーを使っているわけです。輸送でもってまたCO2を出す。エネルギーの塊を食べているんです、ギョーザを食べているんじゃないんです。エネルギーの塊、CO2をいっぱいまき散らしてきた非常にいかがわしい商品だと思います。メタミドホスやジクロルボスが入っていたからだけじゃなくて、そもそも基本的に素性悪食べ物だと思います。こういうのをちゃんと啓蒙をして、これはやはり問題なんですよということを教えていかなくちゃならないんですよ。

 私は二年前にも申し上げましたように、幸いにしてフードマイレージというのを、もうテレビのコメンテーターもこの間の中国ギョーザ問題で使っていましたが、地産地消と。一緒にぜひ皆さんに覚えていただきたいんです。また繰り返しますよ、旬産旬消。食べ物は地産地消と旬産旬消、この二つだと。そこでできたものをそこで食べる、そのときできたものをそのとき食べる、これが一番地球環境に優しい食生活なんです。そういうことを思い始めているのに、全然この項目の中に入っていない。

 それから、住生活です。住も「住宅のリフォームの際に断熱サッシを用いるなど省エネリフォームをする」と、断熱サッシの宣伝をするような感じの項目になっているわけですよ。その前に、同じです、ウッズマイレージ、ウッズ、木。木をどこから持ってきて、どういう木でやるかというのを、それはカナダ材、アメリカ材の方が安いかもしれませんけれども、それを運んでくるときにどれだけCO2を出しているか。カナダの山の中、バンクーバー港から五千キロメートルのところからトラックで運んでくる、そこから横浜港に着いて、埼玉県に行って住宅を建てる。CO2をどれだけ出しているかということは、計算したらよくわかることなんです。

 環境に優しい住宅づくりということを考えたら、何も断熱サッシだけじゃないんですよ。もっと根源的なことで、グローバルウオーミングと言っているんですから、グローバルに考えて、そういう項目を入れていくべきなんです。こういうことをよく考えて、この次は絶対つくっていただきたいと思います。よく見守っていますから、食料問題や地産地消というようなものを三つか四つ、ぜひ入れていただきたいと思います。

 それで、次に、日本国民はやはり賢いんだろうと思います、相当環境問題が大事だということで、シフトしている。もともと自然と調和して生きてきているというのは、これは十五日の議論で小野さんと大臣の間で哲学的なやりとりが行われておりますのを見させていただきましたけれども、日本人の根源というものには自然と調和していこうという気持ちがあるんです。しかし、この数十年はゆがんで狂っているんだと思います。これを我々のDNAがちゃんと残っている間に直していくんだ。

 そういう点では、世論調査でいい結果が出ているものもあるわけですね。二十四時間営業店舗、これは自動販売機問題と同時に、この問題はほかの方も指摘していますけれども、七三・五%の人がほとんど利用していないという結果が出ているんです。おもしろいなと思って中身を見たら、大都市の方が、利用していないという人が多いんですね。中小都市が利用している率が一番高かったので、へえ、何でこんな結果が出るのかなと。母数の問題もあるんだろうと思いますけれども、こういう結果が出ているんですから、この世論調査結果をもとに政策変更をしていくべきだと私は思うんですよ。

 特に、環境問題なんというのは国民の支持を得なければいけない。企業だけを相手にしているわけじゃないですね。業務用あるいは家庭用のCO2の排出なんていうのも多いわけですね。そこをコントロールしておかなくちゃいけない。車をどれだけ利用するかなんというのも同じです。

 そうしたら、こういう世論調査結果をもとに、すぐ政策変更しても私はいいと思うんです。典型的なものはコンビニ業界です。コンビニ業界では、セブンイレブンという名前をつけていながら、名前を変えて、トゥエンティーフォー・アワーズ・オールウエーズというふうに名前を変えなくちゃいけない店もあるわけです。

 原点に立ち返ってセブンイレブンに私はすべきだと思うんですが、世論調査結果と政策変更の関係はどのように考えておられるでしょうか。ほかの政策よりもずっと環境問題は世論の動向に合わせて、世論を誘導する形でやっていかなくちゃいけないと思うんですけれども、そういう姿勢で取り組んでおられますでしょうか。

南川政府参考人 私ども、こういった世論調査も受けまして、京都議定書目達計画の検討の際に、中央環境審議会と産構審に資料を提出いたしまして、特に二十四時間営業を含めた深夜化するライフスタイル、ビジネススタイルについて見直しをすべきではないかということで御議論をいただきました。結果的には、両方の意見が実はございまして、残念ながら集約できなかったということでございます。

 いずれにしましても、深夜につきまして、原子力が多いといいましても、相当石炭も電力として燃やしているわけでございます。そういう意味では、深夜営業をやめるということについては、省エネ効果は限定的であってもあるというふうに考えておるところでございます。

 私どもとしましては、ぜひ国民にそういったことを理解いただいて、識者の間の議論でもそういったことでコンセンサスができるような雰囲気づくりを急ぎたいと思っておるところでございます。

篠原委員 これは近藤昭一さんが十五日に聞かれておりましたが、ヨーロッパに行って仕事をしていたら、お土産物を買おうと思っても、店がいつも閉まっていて買えない、日曜日にもまた店が閉まったりする、仕事に行ったんだからしようがないけれども、文化の違いかなと。では、日本も、振り返ってみたらどうかというと、元旦なんかに店を開いているところはなかったというんです。

 さっきこの五十年、六十年と言いましたけれども、この十年とか二十年、変な方向に行っているんです。これは直さなくちゃいけないんだろうと思います。これはやればできるので、ほかの理由もあるんでしょうけれども、非常に電力を使ったりいっぱいやって、こうこうと電気をつけて、でかい音を出して営業をしているパチンコ業界でも、十時から二十三時とちゃんと決めて、ルールを守っているわけです。

 そういうのが、国は非常にずるいと思います。県の条例に任せて何もしない、県に任せておる。この場で申し上げましたけれども、それは多少改善されつつありますけれども、犬の放し飼いの禁止も国がせずに県に任せて、世界一不自由な犬をつくってしまっている。大事なところでは県に任せてしらばっくれて、知らぬふりを決め込んでと。

 環境問題なんていうのは、僕は後々申し上げますけれども、自主行動計画とかそんななまくらなのではやっていけないんですね。強制的に目標をつくってきちっとやらなかったら、これは解決しないんだろうと思います。ぜひそのようにしていただきたいと思います。

 それで、今回、この法律改正は、ちょっとずつですけれども、確実によくなってきていると思います。事業所ごとを事業者にして、フランチャイズの方に責任を持たせると。パチンコ店だったら、全国展開している大きなパチンコ店でもやれと。それから、これは名前を出していいかと思いますけれども、我が方の重鎮に関係ありますジャスコグループで何とかしろとかいうふうにやらなくちゃいけないんです。当然のことだと私は思います。そういうことをどんどんやっていかなくちゃいけないんです。

 それで、私は二年前に失言いたしまして、一議員の失言も、最近はインターネットで、衆議院ビデオライブラリーでチェックを受けておりまして、罪滅ぼしもありまして、皆さんにこういうこともあるということで御紹介いたしたいと思います。

 私は二年前の改正のときに、この委員会で質問をさせていただきました。パチンコ業界を例にして、そこを皮切りにいろいろなことをしていったらいいんだとやりましたら、ちゃんと見られておりまして、遊技ジャーナルという雑誌に、私のパチンコ業関係のところの分、ばっちり二ページで掲載されまして、この後いろいろ接触をしております。

 ここで勘違いをしていたわけですけれども、私はパチンコ業界もこういうことを考えていると非常に感心いたしました。皆さん覚えておられると思いますが、並木さんの地元なんかですけれども、埼玉県と栃木県に廃棄された台がいっぱいあって困っているというのがあって、私は、それを古い情報に基づいて、そういうことをしていていかがなものかと言ったら、ちょっとタイミングが悪かったんです。五月に質問したんですけれども、見てください、リサイクルから環境へ、平成十八年四月、日本遊技関連事業協会というのが自主的に二億か三億、自分たちが金を出して、本当は廃棄物業者がやって、そのときは廃棄物業者がいいかげんなことをしていたわけですけれども、もとをつくっているのは自分たちだということで、自主的に回収しているんですね。こういうことをやり出したということなんですね。僕は、これはなかなか立派なことをされているんじゃないかと思いますよ。

 そのとき申し上げたのはどういうことかというと、自分たちで法律をつくってやっているだけじゃだめだ、もっと前へ出ていいんだ、地球環境問題、地球温暖化を防止するのは、もう国是、国のあれではなくて地球是になっている、日本は積極的にやっていくべきなのだ。

 だから、いろいろな法律について、常に環境条項を入れろ、環境条項を入れろと、各省折衝で若手の役人が各省の法案についていろいろ言うと、檄を飛ばして、必ず一条か二条入れさせろ、そういうことをしているのか、すべきだといって、例を持ってきてくださいと言ったら、一つだけけさお届けいただきましたけれども、このような努力をされたんでしょうか。そして、成果はどんなものがあるんでしょうか。教えていただきたいんです。

南川政府参考人 私ども環境省では、環境省の法律はもちろんでございますが、各省の法律につきましても、環境への配慮をきちんと盛り込んでいただくということで努めているところでございます。

 十九年の国会で成立しました地域公共交通の活性化及び再生に関する法律におきまして、その法目的において環境負荷の低減の観点が盛り込まれたところでございますし、基本方針の策定については環境大臣のかかわりということも規定したところでございます。

 また、今国会でございますが、農林漁業有機物資源のバイオ燃料の原材料としての利用の促進に関する法律案につきましても、温暖化の防止を図るための施策との整合性ということでの配慮規定を盛り込んだところでございます。

 さまざまな形で法令折衝のときに臨んでおりますし、また今般、特に地方につきましても、計画をしっかりつくっていただくということで、それについても、単に環境だけではなくて、都市計画を含めてやっていただくということで、他のさまざまな制度との絡みを国においても地方においてもしっかり持っていきたいと考えております。

篠原委員 地域公共交通の活性化及び再生に関する法律というのを一つだけ例をいただきまして、今お答えいただいているわけですけれども、これは、やろうと思ったらできるんです。常に姿勢を保って、例えば前にも申し上げましたけれども、独禁法とかカルテルがいけないというので、その都度、産業関係の法律に常に独禁法適用除外もあるし、その逆のものもありますけれども、入れたりした時期があったわけです。それと同じように、今は環境なんですよ。ですから、若手だけじゃなくて、南川局長が出張って、入れろと。何かぶつくさ言ったら、大臣にまで回して、大臣に言っていただけばいいんですよ。そこまでやったっていいんだろうと私は思います。

 後で触れますけれども、各国の首脳は、選挙公約に、何か年金とか子育てとか農業とか、そんなことばかり言っているんじゃないんです。ほかの国は、地球温暖化問題についてどうするかというのを選挙公約の重要な柱にしているんですよ。日本は、残念ながら、そういうことをして選挙を戦っている人は余りおりませんけれども、しかし、それをやっていったら国民の支持を確実に受けると私は思います。

 もとに戻りますけれども、パチンコ業界は一体どういうふうに取り組んでいるのか。そのころ取り組み始めたばかりだったんですが、その後またいいことをされていると聞いておるんですが、どんなことをされておるんでしょうか。

辻政府参考人 お答えいたします。

 パチンコ業界の地球温暖化防止のための取り組みでございますけれども、全都道府県のパチンコ営業者の組合が加盟いたします全日本遊技事業協同組合連合会というものがございますけれども、この連合会におきまして、昨年の九月に環境自主行動計画を策定いたしまして、地球温暖化防止対策に取り組んでいるところというふうに承知しております。

 その内容は、電気使用量から策定いたしましたCO2の排出量を指標といたしまして、二〇〇七年度実績を基準に、二〇一〇年度までに九%程度、二〇一二年度までに一五%のCO2排出量の削減を目指すものでございます。具体的な取り組みといたしましては、省エネ診断や省エネ改修、冷暖房温度の設定緩和等を掲げているものと承知をいたしております。

篠原委員 パチンコ業界の皆さんもこういうことをやり始められたんです。そして、業界ごとにいろいろな動きがあるんだろうと思います。

 京都議定書の達成の計画がありまして、自主行動計画というものをつくっているはずですけれども、現況はどうなんでしょうか。スムーズに進んでおるんでしょうか。嫌がっている業界とかもあるんだろうと思いますけれども、しかし、そんなことをしていたりしたら国民に見放されますし、ほとんどの業界はせっせと自主行動計画をつくって、自分たちはこうしますということをやっていると思うんですが、進みぐあいはいかがでしょうか。それとこの温対法との関係は、どういう関係になっていくんでしょうか。

南川政府参考人 まず、業界の動きでございますけれども、自主行動計画はどんどん拡大をしております。これまでに、自主行動計画を策定し、政府の審議会でフォローアップが実施された業種は百三業種に拡大をしております。ゲームセンターとか大規模展示場、まだ幾つか残っておりますけれども、これらについてもできるだけ早く設定をしていただきたいと思いますし、これまでつくられましたものにつきましても、これからは年に二回点検をして、それが適正に進捗するようにさらなる指導をしていきたいと思います。

 制度上は、この法律におきまして、事業者は、その事業活動に関し、単独にまたは共同して、ガスの排出の抑制等のための措置に関する計画を作成し、これを公表するよう努めなければならないということが根拠になっておるところでございます。

 なお、今般、私どもとしましては、こういった自主的な動きをさらに促進する観点から、各業種ごとの指針をつくりまして、そして望ましいレベルに個々の企業が努力するよう働きかけを行ってまいりたいと考えているところでございます。

篠原委員 非常に大事なことだろうと思います。

 今、業界ごとにつくるといっても、業界ごとに対応が違うわけですよ。パチンコ業界は、皆さんすぐおわかりだと思いますけれども、電気をこうこうとつけている、でっかい音、景気のいい音楽を鳴らしている、それから冷暖房もきちんとしている。きちんとしているというか非常にがんがんかけているというようなので、エネルギーをほかのところよりもいっぱい使っている。そういうところにはそういうところがあります。製鉄業界は製鉄業界で違う。業界ごとに違うわけですから。

 ですから、ステップ・バイ・ステップですけれども、事業所ごとにちゃんとやってくださいよ。あるいは企業ごとに、それから業界ごとにというのがある。事業所ごとと、全国展開している企業とかの事業者、今度そうなるわけです。それはあっても、業界全体のは何か指針だとか自主行動計画になっているのはよくないんじゃないかと思います。

 そういう点では、でかい市も含めて県、地方自治体、それで率先垂範させるためにちゃんと計画をつくってというのはいいことだと思います、業務関係がなかなか減っていないわけですから。

 しかし、究極的には、業界団体全体の自主行動計画とかいうものではなくて、法律にしてか何か知らないが、英語でマンダトリーとよく言われますけれども、そういうふうにしていかなくちゃいけない。国際的に数値目標までつくってやっていこうとするときに、家庭でこうしろ、ああしろ、環境事業とかでやってと、末端の方はやりながら、中間のところがふわっとしたままでは、僕は進まないんだろうと思います。ここはぴしっとやっていかなければいけない。

 理想は、鉄鋼業界、流通業界と業界ごとに地球環境に優しい行動計画というか法律をつくったっていいと思います。法律できちんとやっていかなければいけないと思いますけれども、この点について、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

鴨下国務大臣 地球温暖化対策のうち、国全体としての目標や基本的な方向性については、横断的かつ総合的に定める、こういうようなことが一つあるわけであります。現行の地球温暖化対策推進法においては、京都議定書目標達成計画を策定して、さまざまな事業活動を含めて広範に対策を打って出る、こういうようなことであります。

 ただ、今委員から御指摘ありましたように、事業者の具体的な取り組み内容につきましては事業の種類ごとに詳細に定める、こういうようなことが効果的であることはもう間違いないわけであります。今回の法改正によりまして、排出抑制等指針を策定して、その中で、事業の種類ごとに温室効果ガスの排出抑制を効果的に行うための取り組み、あるいは事業者が努力の参考として活用できるよう排出原単位による望ましい水準、こういうものを示していきたいというふうに考えております。

 各事業者においてこの抑制等指針を参考にしっかりと取り組んでもらいたい、こういうふうに考えているわけであります。

 ただ、それをかたい法律に落としていくかどうかというようなことについては、私もいろいろと他の省庁と議論をするときがあります。他の大臣とも議論することがあります。いろいろな観点がありまして、さて、経済の方あるいは自主的な努力を促すべきだ、こういうようなことも含めて、現段階ではそういう一番強い規制的な手法というようなものに至っていないわけでありますけれども、環境省としては、実効あらしめるために、さまざまな規制的な手法も十分に配慮していくべきだろうというふうに考えております。

篠原委員 いろいろミックスしなくちゃいけないんだろうと思います。世の中を動かしていくには、迂遠なようでいて一番大事なのは、啓発というか教育だろうと思います。もう一つはあめです、こういういいことをしたらこういうことをしますよというもの。それともう一つは、規制だと思います。私は、環境の分野ではどういう手法が一番とられるべきか、どれが効果的か、どういうふうにしていくかということを考えたら、圧倒的に規制が必要なんだろうと思います。

 例えば、通りの景観を統一しようといったときに、自主的にとか教育してというのではだめですよ。

 パリの町並みは非常にきれいなわけです。信じられないですよ。道路の広さに応じて、ここは八階建て、ここは五階建て、狭い道路だったら三階建てと。二階建ても許されないわけです。三階建てに全部しなくちゃいけないんです。だから遠近法の絵ができる。日本なんか、近くの建物は小さくて遠くの建物はでっかくなったりしているから、全然遠近法の絵が描けないわけですね。

 僕は、環境問題というのは強制していかなくちゃだめだろうと思うんです。自主行動計画が、ちょうどいいというのに何かもっともらしい理屈を考えて、主体が創意工夫によりすぐれた対策ができると、自主的にだからですね。高い目標に取り組む誘因がある、政府と実施主体の双方の手続コストをかけない、これは何か後づけの理由ですね。勝手にやっていった方が何でもスムーズにいくなんという、そんなことはないわけです。それだったら行政とか政治とかは要らないわけでして、やはり目標を定量化していかなくちゃいけない。

 さっき局長の答弁にもありましたけれども、二回チェックすると、いろいろなことを自主行動計画なんかで。それはちゃんと法律で評価して、達成しちゃったりしたものについては、さらに高い目標を掲げてそっちに向かってもらうと。もちろん、正直者がばかを見るというのじゃよくないですから、一生懸命やったところのものは評価して、そのあとはやらなくたっていいというようなのも必要であると思います。そういう中で、田島委員が十五日に言っていられましたけれども、情報開示とかいうのも私は非常に大事なことなんだろうと思います。

 国内のことをいろいろ申し上げましたけれども、これは国際的な問題、グローバルウオーミングということで、この問題は国際的な問題なんだろうと私は思います。

 海の向こうの動きですけれども、いろいろな動きがあるわけですけれども、我々が注目しているのは、やはりアメリカの大統領選です。共和党と民主党といろいろ意見が違ったりしていますけれども、地球温暖化防止については、民主党、共和党の候補とも非常にきちんとした態度をとっておられるんじゃないかと思います。

 最近の情報では、クリントン、オバマも、両方とも非常に厳しいことを言っているんですね。例えば、日本では信じられないことですけれども、NAFTA、北米自由貿易協定、自由貿易自由貿易一辺倒でどうもおかしい。具体的な内容までは、USAヤフーなんかで調べてみましたけれども、出ていませんでしたけれども。環境条項と労働条項を入れて直さなければNAFTAからは脱退すべきだというのを両候補とも言っているんですね。

 要するに、エコダンピングとソーシャルダンピングです。環境基準が弱い。それから、社会労働というか社会条件が劣悪な、そんなところの低賃金でつくった製品をどんどん輸出している、それはよくないということなんです。

 それで、地球温暖化防止問題についても、マケイン・リーバーマンの法律、上院の気候変動問題の法案がありますね、それをオバマ候補は当然支持しています、強烈な支持をしております。

 余談になりますけれども、オバマ候補の環境問題の懐刀のダニエル・エスティーを私は個人的に知っていまして、エール大学の教授ですけれども、OECD代表部に勤務していたころ、貿易と環境とか、何とかの環境とかいうのを、余りやる人もいないし、そこそこ関係があったので、私はその環境関係の会合に出席しておりまして、環境省では高橋康夫さんと一緒に出たわけですけれども、アメリカの代表として来ていたのがそのダニエル・エスティーさんでして、彼が参謀役になって、オバマ候補の環境問題の取り組みの提言をまとめているんですね。最近気がついたんですけれども、何でこんなにいいことばかり言っているのかと思ったら、ちゃんとした参謀がついているんです。それが、日本では余り報じられませんけれども、アメリカでは争点の一つになっているんですよ。こういうのがあるわけです。

 そうしたら、先ほど、各省庁に働きかけるというものの一つに、外務省なり、よく敵対する経済産業省があるわけです。やっつけてください、こういうところは。

 自由貿易自由貿易というので、通商戦略もなしにEPA、FTAと。私はダボハゼEPA、入れ食いFTAと言っていますけれども、何でもかんでも食いついて数だけふやせばいいというので、弱小国と締結しては、いっぱいやった、いっぱいやったと言っているんです。それで、ひたすら自由貿易というんです。しかし、アメリカではそこに歯どめをかけると。

 もう一つ言っているんですよ。これはここの環境に直接関係ありませんけれども、食品安全条項も加えるべきだと。日本こそ、中国ギョーザ事件なんかがあるから、それを言っていかなくちゃいけないんです。それは、貿易を阻止する非関税障壁とかじゃないんですよ、日本の国民の健康というか安全を守るためなんです。

 条約絡みで、環境省は、それについても、環境条項を加えていくべきだ、グローバルウオーミングのことを考えていくべきだというような働きをされておられるんでしょうか。そして、その成果も、出たのは一つでも二つでもあるんでしょうか。

南川政府参考人 私どもは、EPAの締結によりまして環境規制の緩和等があってはいけないと考えております。したがいまして、EPAの締結によりまして、環境保全上の支障が生じることがないように、外務省などとともにEPA交渉に臨んでいるところでございます。また、もう一面といたしまして、この協定の中で、むしろ、相手国との環境協力を推進する観点も逆に今度は盛り込みたいと考えているところでございます。

 この結果でございますけれども、インドネシア、ブルネイ、フィリピンなどとのEPAにつきましては、協定の中に環境保全上の配慮規定というものを盛り込んだところでございます。

篠原委員 私も条文を読んでいますけれども、一行です。だから、そういう訓示規定的なものでもやらないよりはましですよ。やらないよりはましですけれども、もっともっと高飛車に出ていいんだということなんです。少なくとも我々が応援します。こんなのに自民党も民主党もない、道路特定財源と違うんですから。絶対同じ方向に行くはずなんです。それで、大胆な提案をしていったっていいんじゃないかと思います。

 きょう、早速の情報ですけれども、何か英文しかなくてあれですけれども、パリで開かれている排出者たちの会合で、ブッシュ大統領がまた軟弱なことを言い出して批判の的になっていますね。

 私はアメリカはけしからぬと思います。アメリカと中国とインドが入っていないというんですね。ですから、ここは国際的に言う、日本はアメリカに対してもぴしっとした態度をとっていくと。思いやり予算とかいうのでごちゃごちゃして、私は外務委員会にいて、あの予算は何だ、こんなことばかりしてというのを追及しております。ですけれども、何か軟弱な態度をとり過ぎている。大義名分はこちらの方にあるわけですよ。アメリカはリードしていくということを、ほかの国もみんな考えているんですよ。

 アメリカ自身がどういうことをやっているかというと、中国からのいかがわしいというか変な食品やおもちゃの輸入に対しては、即刻輸入禁止ですよ。輸入禁止にするだけじゃなくて、法案が出ているんです。どういうものかというと、直訳ですけれども、食品安全保護貿易とかいって、そういうふうに英語では書いてあります。そういう法案が出ている。悪い魂胆じゃなくて、きかんしゃトーマスに塗られたペンキに鉛がいっぱい含まれていて、それをぺろぺろなめた四歳児が亡くなっている、人一人が亡くなっている、それから歯磨き粉とかいうもの、それから、ペットフードで犬や猫がいっぱい亡くなっている、こんなものが輸入できるかということで、輸入を禁止している。それはだれも文句言わないですよ。非関税障壁でも何でもないんですよ。アメリカはけしからぬことをしているわけですね。

 そうしたら、どういうことを考えるかというと、先ほどの国境措置の方でフードマイレージ、ウッズマイレージと言いました、この言葉は私がつくった言葉なんですがね。これはマイレージプランと違って少ない方がいいわけです。遠くから運ばれてくるのは、それだけCO2を出している。環境経済学というのはインターナライゼーション、内部化する。本当は価格に転嫁しなくちゃいけないんです。それが行われていない。それをどこでやるか。政府が、行政がしなければいけない。

 ですから、アメリカから来る食料、木材については、CO2を排出し、環境上好ましくないのに京都議定書から離脱して、ろくなことをしていない、みんなが削減しようとしているのに、きょうの新聞を見ましたら、二〇二五年までに米国での排出量の伸びをとめる、こんななまくらな、これから十七年間排出量がふえるのもしようがないと言っているわけです。こんな国は一国もないんです。こんな国は制裁すべきなんです。何か北朝鮮ばかり制裁してというのはおかしいんですよ。

 制裁措置は堂々とやってもいいので、宣言して、そういう国から、我々は環境問題にきちんと対処していきたい、アメリカの製品については、ほかのものもみんなやったっていいと思いますけれども、食べ物と木ですね。ほかにもあるんですよ、グッズマイレージ。僕は全体の貿易だってなるべく少なくした方がいいと、輸出に伴うCO2の排出を少なくするために。

 大臣は、この前、十五日のときに、エコロジカルフットプリントというのを言っていました。私は日本の第一人者の和田喜彦さんという同志社大学の先生とお友達です、前から環境問題をずっとやってきておりますので。バーチャルウオーターというのもあるんです。フードマイレージというのもある。

 これを理由に、私は関税というのか何とかはわかりませんけれども、レビーでもデューティーでも何でもいいからかけて、そして、日本に使うというとおしかりを受けますよ。それを日本のすぐれた環境技術の発展途上国への移転の経費に充てる。外務省はODAをふやすと言っています、そんなに予算はふやせないけれども。アメリカの輸入品につけて、アメリカはみずから姿勢を正しくしていないから、日本はそれに対してそういうことをするというようなこと。

 こういう考えは、一緒に農林水産委員会で議論してまいりました並木政務官は大体共感を持ってお答えいただけるんじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

並木大臣政務官 篠原先生の御意見はいつも関心を持って聞かせていただいているところでありますけれども、フードマイレージまたバーチャルウオーターの問題とか、そして先生おっしゃるところのウッドマイレージ、こういったことについて、まずは国内的な普及啓発、御理解を進めていく、そういうことが重要かなというふうに思っております。

 アメリカの問題もいろいろ出ましたけれども、アメリカは京都の会議のときも途上国に対しては大変厳しい態度をとって、それは一貫しておりまして、関税的なものをかけるという、そんな発想も途上国に対してある。その引きかえに、日本も進めているところですけれども、そうした途上国といっても十年前とは随分違う国が出てきておりますから、そういったところを国際交渉の場に入れていく。そういった点では一定の効果もあるかというふうに思いますけれども、確かに、先ほどのお話のとおり、アメリカに関して前向きのいろいろな話も出てきているし、また州とか業界では現に行動も始まっているわけですけれども、なかなかそこまで現在まだ踏み込んでいないようなアメリカのトップの考え方もあるわけですから、そういったものをさらに前に進めるというのは、一つの日本の大きな役割であるかというふうにも思います。

 ただ、これまた先生も御専門でありますけれども、いわゆる関税障壁的なものになりますと、WTOでは特定の国とかそういうものを排除するような税とかは認められないというようなことで、最恵国待遇というのを基準に進めておりますから、これから国際世論というか世界の世論を日本もリードするし、また動向も見ながら、もちろん環境省だけでなくて他省庁と連携をして、ぜひそういった方向で、炭素にコストがついて、むしろそういう規制をとらないところが不利であるというような国際的な世論というか動向、流れにしていければというふうに思っております。ぜひ参考にさせていただいて、これからも進めさせていただきたいと思います。

篠原委員 WTOの心配をされておりましたけれども、大丈夫だとは言いませんけれども、こんなものは全然WTOのらち外ですよ。日本はそういう新しいことを言い出したりしていくのは苦手ですけれども、この関係については一生懸命努力している国なんです。さっき吉田さんが言っておられましたけれども、実質的には日本だけがまじめに一生懸命やって四苦八苦しているんじゃないか。それは損です。そういうことをやっていったって、世界から指弾されることは私は絶対にないと思います。

 十五日の議論でも、聞いていましたら、高木さんが、イギリスでは自主的にやっていると。私は非常に感心して、空輸マークを農作物につけて、その空輸マークをつけていると、消費者は環境に悪いことをして運び込まれた農作物を買わないという行動をとる。だから、こういうのをぜひ世論調査に入れてください。イギリスではそういうことが地球環境に優しい……(発言する者あり)選択できるんです。選択できて、嫌な人は買わないんです。(発言する者あり)そのときの判断ですね。日本人は情緒的にすぐに考えてしまうんですが、イギリス人はそういうのを論理的に考えられる。

 イルカフリーとかドルフィンフリーというのもあるんです。何かというと、缶詰につけてあるんですね。それは義務づけているわけじゃないんです。イルカを殺さないとり方でつくったマグロの缶詰です。イルカを殺すというのは、まき網でとる。それをみんな反対しているわけです。だから、そうじゃないというのを示して、ドルフィンフリーと書いてなかったら、動物愛護の人たちは嫌がってそれを買わないというようなことがある。

 ですから、イギリス人は田園をこよなく愛しておりますし、それを守るためには近隣の農村、農業を守らなければいけない。フード・ブリテンという国産の食料を食べましょうという運動をしている。それをラベルでやっているわけです。そういうことをいろいろ考えている。もちろん、環境負荷が高いから課税するというようなことまで言っていませんけれども、日本はそういうことを積極的にやっていったっていいんじゃないかと私は思うんです。これは非常にいい事例だと思います。

 そして、こういう時期がだんだん来ているんですよ。国民の支持があるわけですよ。この世論調査の結果を見てください。何か手助けしたい、便利さよりも環境が大事だから、便利さを少々失ってもいいという人たちの数がふえているんです。だから、政府はこういったときに一気呵成でやっていかなくちゃいけないんだろうと思います。

 そして、今問題になっている地球温暖化防止税、環境税です。これをどんどんやっていったっていいんだと思うんです。ヨーロッパの先進国はほとんどこういうことをやっているわけです。我が日本国がやっていないというのは恥ずかしい話だと私は思うんですが、環境大臣、この点について、今どんどんやっていくべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。先頭に立って動いていただきたいと思います。

鴨下国務大臣 今おっしゃった、昨年八月に行われた地球温暖化対策に関する世論調査で、環境税につきましては、その賛否両論の意見を資料により説明した上で、導入に賛成か反対か、また、その理由は何か等を質問しているわけでありますが、その結果、賛成の割合が四〇%となり、反対の割合三二%を上回る結果となりました。これは近年の地球温暖化問題への関心の高まりを反映しているものだというふうに思っております。

 欧州においては、イギリス、ドイツ、デンマーク、オランダ等において、名称や内容こそ少しずつ違うわけでありますが、地球温暖化対策を目的とした環境税が導入されています。そういった意味では、先生おっしゃるように、このたびの世論調査というのは、賛成、反対が逆転しているというようなことで、ある意味で世論の潮目が変わってきたというのは、私たちは肌で感じています。

 そして、加えて、昨年の税制議論の中でも、私は、環境税、それぞれ先輩たち、大変御苦労してきて、導入を試みてきましたけれども、なかなかかないませんでした。しかし、それを今回は旗をおろさずにしっかりと頑張ろう、こういうことを環境省の職員には督励しているところであります。

 ですから、時期そして国民の理解、こういうようなものがあれば、私たちは環境税というものを、大いに意義を訴えて御理解を求めていきたいというふうに考えております。

篠原委員 その決意を聞きまして、ほっといたしております。

 絶好の機会だと思います。今、道路特定財源をめぐっていろいろ議論があります。一般財源化という議論があります。私は、うんと先はそれでもいいと思うんですが、それはやはりおかしいという人がいます。それは石油を使っている人、ガソリンを使っている人、それから自動車関係者ですね。理屈が合わないじゃないか、これはそのとおりだと思うんです。払っているのは、納めているのは圧倒的に公共交通機関のない地方の人なわけです。それが一挙にべたに都市部の人たちや何かもみんな恩恵に浴すのに使われるというのはよくないので、そこは考えていかなければいけないんじゃないかと私は思います。

 ですから、こういうときに一気呵成で理屈に合うことを言っていたりしてもいいんじゃないかと思いますが、一つの提案ですけれども、要するに、市町村長や都道府県知事が怒っておられるのは、地方に今度こそ回ってくると思っていたのに来ない、財源がなくなってしまう。それはよくないので、やはり地方に返す。環境対策、環境対策と言っていますけれども、環境対策だけじゃなくて一緒に考えていただきたい。環境対策をやりながらほかの国是も追う。それは経済成長があるかもしれません。今でいったら地方の活性化です。

 昨年の五月、私は菅直人代表代行と一緒にドイツに行きました。菅さんからせがまれて行ったんですけれども、黒い森も視察をしてまいりました。そこでの出来事ですけれども、製材工場に行って、へえと思いました。日本と違って限界集落とかはありません。みんなのどかに暮らしています。なぜそうなっているのかというと、製材工場のおやじさんの話が忘れられません。

 これを確かめようと思ったんですが、単位が明らかじゃないんですが、自分の使っている電力は一キロワットがたしか十ユーロセントだ、ところが、製材工場は広いですから、屋根は全部ソーラーパネルになっているんですが、一軒一軒やるよりは効率的ですから政府が補助してやったというんですが、それは五十ユーロセント、五倍で買っている。隣で廃材、樹皮やかんなくずをやって発電している。こっちは六倍、六十ユーロセントで買っている。つまり、環境に事かけて地方に所得が移転するように仕組まれているんです。地方の活性化に役立っているんです。こういう美しい政策をしているわけです。

 私はふるさと納税は悪いことではないと思いますけれども、地方の人から言わせると、施しを受けているという感じになると。そうじゃなくて、環境を守ってくれたりしているからということでやればいいんです。そして、そういう点では、二十九県がもう入れて、もう一県やるそうですが、三十県近くが森林環境税を導入しようとしている。そういったときに乗じて、道路特定財源、理屈にも合いますので、CO2を出している車、それを吸収している森林と結びつきます。それで地方にも行きます。森林環境税ということを声を大にして主張していったらいいような気がするんですが、私の提案についていかがでしょうか。

西尾政府参考人 現在ガソリン等の燃料課税の問題が課題になっておりますけれども、これは地球温暖化対策上一定の役割を担っているということでございまして、これは広い意味では環境関連税制であるということでございます。かねて、暫定税率の税率水準を下げることは地球温暖化対策上望ましくないということは申し上げています。

 政府・与党の決定におきましても、環境問題への国際的な取り組みなどを踏まえていくというところまで言及をされているわけでございます。

 また、政府・与党決定では、道路特定財源制度は廃止して、二十一年度から一般財源化、そういうことではございますが、その中で、森林対策に充てるべきという御指摘でございます。

 こういう政府・与党の決定に基づきまして、一般財源としての使途のあり方についてということでございますが、これは与野党協議会を設置して協議、決定するということでどうだろう、こういうことでございますから、その中で大いにさまざまな議論がされていくんだというふうに認識しております。

篠原委員 最後に一分だけPRさせていただきたい。

 写真が配られておりますけれども、きょうは雨が降っていますけれども、私は家では余り環境に優しいことをしていないので、少し罪滅ぼしをしようと思って、菜種議連の一員でございまして、お気づきかもしれませんが、私が議員になってからすぐ第一議員会館の横の土手に菜種をまきました。毎年黄色く咲いていたんですが、これまたよくないことに、全部土手がなくなっちゃいました。ほっておこうかと思ったんですが、篠原さんの愛した菜種はどこに行ったんでしょうかなんて冷やかすのがいましたので、頭にきまして、中央分離帯と横のところに去年の秋にこっそり菜種をまいたんです。

 菜種は循環作物の代表だと思っているんです。皆さん忙しくて気がつかれないかもしれませんけれども、今真っ盛りに咲いておりますので、これを見ながら循環社会への思いを育てていただけたらというのが私の願いでございます。

 これで質問を終わらせていただきます。

小島委員長 次に、近藤三津枝君。

近藤(三)委員 自由民主党の近藤三津枝です。

 本日は、地球温暖化対策推進法の改正について質問の機会をいただきましたこと、本当にありがとうございます。

 いよいよマイナス六%の削減に向けた第一約束期間に入りました。この達成に向けて、覚悟を持って、国民、企業、行政が一体となって、総力を挙げて取り組まなければならないと考えております。

 そうした中、本年三月二十八日には、本日の議題であります地球温暖化対策推進法の第九条に基づき、京都議定書目標達成計画が改定されました。

 その中で、二〇〇五年の温室効果ガス排出量が、基準年の一九九〇年レベルに比べ七・七%増加しているとの数値が示されました。マイナス六%と合わせますと、およそ一三・七%の削減を、森林吸収源そして京都メカニズムなども活用して、約束期間内に達成しなければなりません。

 特に、一九九〇年から二〇〇五年の排出量を比べますと、業務部門は一億六千四百万トンから二億三千九百万トン、つまり四六%増加しています。同じように九〇年と二〇〇五年を比べますと、家庭部門は一億二千七百万トンから一億七千四百万トンに三七%増加、運輸部門は二億一千七百万トンから二億五千七百万トンに一八%増加しています。この三部門について、どのようにてこ入れしていくかがポイントと考えております。

 今回の法改正では、特に、業務、家庭部門の対策の一層の促進を促す仕組みを整えられたのではないかと大いに評価をさせていただいております。

 ポイントを挙げさせていただきますと、特に事業活動を行う者が温室効果ガスの排出の少ない方法を使用する努力義務を規定したこと。次に、国民の日常生活に利用される製品の製造に当たっては、温室効果ガスの排出が少ない製品を製造するよう努め、CO2の排出に関する情報を提供することを求めたこと。次に、フランチャイズチェーン加盟の全事業を一つの単位として、温室効果ガスの排出量の算定、報告、公表を義務化したこと。また、都道府県や指定都市などの実行計画の策定に当たりまして、具体的な項目、これは自然エネルギーの活用や公共交通の利用促進、廃棄物の発生抑制などですが、これらを定めるとともに、指定都市、中核市、特例市などでも地球温暖化防止活動推進員の委嘱や地球温暖化防止活動推進センターの設置ができるようにしたこと。

 このような改正点がございますが、このような改正点を着実に実行することにより、業務や家庭部門そして地域社会全体として、よりきめの細かい温暖化対策を推進することを私も期待しております。

 以上のような点を中心に、私の提案も含め、質問をさせていただきます。

 まず、今回の改正案の第二十一条の二の第一、二項についてです。

 フランチャイズチェーン加盟店を一単位とされました。温室効果ガス排出量の算定、報告、公表を求めることになりましたが、このことによりまして、業務部門などでの報告件数は現在からどれくらいふえたのか、温室効果ガス排出量のカバー率はどの程度ふえるかについて具体的な数値をお示しください。

南川政府参考人 今回の改正の一つの大きな焦点が算定・報告・公表制度の充実でございます。私ども、今回、企業単位、フランチャイズ単位によりまして排出量の算定、報告をしたいと考えております。それから、もちろん、これまで報告ございました一定規模以上の事業所単位の排出量についても、その内訳として報告をすることになっておるところでございます。

 委員御指摘のとおり、工場につきましては、従来の集め方で、ガスの量にしましておおよそ九割まで捕捉できたわけでございます。ところが、残念ながら、業務部門については、オフィスでございますけれども、非常に少なかったということでございまして、ガスの量にしますと全体として一割程度にすぎなかっただろうと思います。この業務といいますのは、ビルもございますし、あるいはレストランとかそういったところも入るわけでございます。これをぜひ五割程度まで増加したいということで考えておるわけでございます。そうしますと、全体で、現状が、工場が大部分で業務が一部入ったところで全体の五割でございますけれども、集計が六割程度まで上るというふうに考えておるところでございます。

 なお、件数につきましては、現在、工場、事業場が、事業所にしまして一万四千二百二十四事業所、それから、輸送が、これは事業者でございますけれども、千四百三十九事業者ということでございます。

 どれだけふえるのか、今精査しておりまして、確かな数はございませんが、フランチャイズ店が非常に多いということで、その事業者の数はさほどふえなくても、とらえられるガスの量は大幅に増加すると考えております。

近藤(三)委員 今回の改正によりまして、業務部門を中心として、算定、報告、公表の対象範囲が広がりました。このことによりまして、個々のチェーン店の取り組みが促進されます。また、国民生活に身近な店舗が多いということですから、その効果がそれぞれの地域に浸透していくことを期待しております。

 さて、次に、地方公共団体実行計画の拡充について、改正案でいいますと第二十条の三について質問をさせていただきます。

 この条文の第四項には、「都道府県及び指定都市等は、地球温暖化対策の推進を図るため、都市計画、農業振興地域整備計画その他の温室効果ガスの排出の抑制等に関係のある施策について、当該施策の目的の達成との調和を図りつつ地方公共団体実行計画と連携して温室効果ガスの排出の抑制等が行われるよう配意するものとする。」という配意の条項が加わっております。

 具体的に、地方自治体に都市計画や農業振興地域整備計画の施策についてどのような配意をするよう、環境省として求めていこうとお考えなのか、また、都市計画や農業振興地域整備計画を所管する国土交通省や農水省などとの連携をどのように図っていこうとお考えなのか、お伺いさせてください。

南川政府参考人 御指摘の地方公共団体の実行計画でございます。まず、今般の実行計画では、相当詳細なメニューを示しております。二十万以上の都市及び県にお願いしたいということで、四つの柱を規定しております。

 その第一が自然エネルギーの利用の促進、二つ目が事業者、住民の排出抑制、三つ目が公共交通機関の利用者の利便の促進、都市における緑地の保全、緑化の推進など、四つ目が廃棄物等の適正な処理による循環型社会の形成ということでございますが、こうしたことを円滑に行うためには、この計画で定めるというだけでは不十分ではないかと考えておるところでございます。

 そのために、具体的に、さまざまな都市のあり方、あるいは農業のあり方を規定しております都市計画、それから農振地域整備計画といったことについてもぜひこういった内容を反映させるようにしたいということで、こうした条項を設けているところでございます。

 若干具体的に申し上げますが、まず、都市計画におきましては、都市計画区域のマスタープランなどにおけます環境負荷の小さな都市の構築を目指すことについて明確に位置づけをぜひしていただきたいと考えております。それから、路面電車などを敷設する道路、あるいは地域冷暖房の都市施設などを設けること、緑地の連続性を確保するための土地利用規制、そういったことを具体的にお願いしていきたいと考えているところでございます。

 それから、農業振興地域整備計画でございます。これにつきましては、バイオマスの利活用施設の設置、農水路から生まれるエネルギーの活用のための施設の整備、エネルギー効率の高い園芸施設の活用、農業から出ておりますメタン抑制技術の導入、そういったことを具体的に考えているところでございます。

 これにつきましては、国土交通省、農水省などと連携を図りまして、しっかり、わかりやすい、なおかつ効果のあるガイドラインを作成して、地方公共団体とともにその達成を図ってまいりたいと思います。

 なお、この計画でございますけれども、もし地元が国の対応が不十分だと思えば、これにつきましては、この計画を達成するために必要があるときは、国の関係機関の長などに対して、その必要な資料の送付その他の協力を求めるということでございますし、また、温室効果ガスの排出の抑制に関し意見を述べることができるということでございまして、不十分ならば国に対しても意見を述べることができるということでございますので、私ども、ぜひ、地方公共団体とともに温室効果ガスの削減について万全を期してまいりたいと考えております。

近藤(三)委員 今回、この規定が設けられたことによりまして、土地利用と地球温暖化対策がワンパッケージになったというふうに評価しております。実際にこの政策を生かすのはそれぞれの地域の自治体というふうに考えております。御答弁にもありましたように、関係省庁ともぜひ連携を図っていただき、コンパクトシティー化などの政策の実を上げていただきたいと思います。

 ところで、この条項に関しまして御提案があります。以前、私は予算委員会の分科会におきまして、冬柴国土交通大臣に、国土形成計画法に基づく広域地方計画を策定する際には、地方ブロック単位での温室効果ガス削減目標を計画に盛り込んではどうかというふうに提案をさせていただきました。

 国民の行動の範囲や経済活動を見ますと、交通インフラの整備などによりまして、一市町村を超えて、また都道府県域を超えて活動がなされているのが現実だと思うんです。また、ちょうど広域地方計画は十の電力会社のテリトリーと合致しております。この程度の広がりの中で地球温暖化対策を考えていくことは、エネルギー供給面からも有効ではないかと考えております。

 都市計画だけではなくて、今後、各地域ブロックで複数の都道府県が連携して策定されます広域地方計画につきましても、温室効果ガスの排出の抑制に効果が上がる計画となりますように求めていくべきだと考えておりますが、鴨下大臣の御見解をお聞かせいただけますでしょうか。

鴨下国務大臣 御指摘の国土形成計画の広域地方計画は、広域地方計画区域ごとに国土交通大臣が策定するもの、こういうことでありまして、地方公共団体実行計画のように地方公共団体が配意するものではないということでありますが、先生今おっしゃったように、例えば十電力会社のエリアと広域ブロック単位が大体生活圏と合理的な重なりがある、こういうようなことを今御指摘いただきました。

 そういうようなことも踏まえまして、広域地方計画につきましては、国土形成計画法におきまして、国土における良好な環境の創出その他の環境の保全に関する事項等を定める、こういうふうにされております。都市構造や、今お話にありました例えばLRT等の交通システムの抜本的な見直し等を地球温暖化対策について盛り込む、こういうようなことにつきましては、環境省としましても、十分に調整をして、各省間の調整のために努力をしたいというふうに思います。

近藤(三)委員 ありがとうございます。

 広域地方計画策定に当たりましては、地方ブロック単位での地球温暖化対策が盛り込まれますように、環境省としても御配慮くださいませ、よろしくお願いいたします。

 さて、昨年の七月十六日に発生しました新潟県中越沖地震によりまして、今も柏崎刈羽原子力発電所は停止状態にあります。日本最大の発電容量を持つ柏崎刈羽発電所の六つのユニット分の七百十一万キロワットの機能不全は、東京電力の全発電量の一三%に当たります。首都圏にも大変大きな影響を今も及ぼし続けております。

 この影響は、昨年度末までのCO2の排出量をどの程度増加させることになったかについて、具体的な数字をお示しいただけますでしょうか。

西山政府参考人 お答えいたします。

 柏崎刈羽原子力発電所の停止が二酸化炭素排出量に与える影響につきましては、東京電力株式会社が昨年発表したところによりますと、この停止が昨年度末まで継続した場合、その影響電力量は四百億キロワットアワー程度でありまして、それを石油火力によるたき増しで対応する前提で試算いたしますと、CO2排出量は二千八百万トン程度増加することになるということでございます。

近藤(三)委員 ありがとうございます。

 柏崎刈羽原子力発電所の停止による二千八百万トンの温室効果ガスの増大は大変な量だと思います。

 家庭部門から年間排出されておりますCO2は、先ほど申し上げましたが、二〇〇五年で一億七千四百万トン、二千八百万トン増加したというふうに今お答えいただきましたから、日本全国の家庭部門から年間に排出される温室効果ガスの実に一六%にも当たるということですね。発電過程で二酸化炭素を排出しない原子力発電の有効性そして重要性について、国民にもっとPRしていくことが重要ではないかというふうに考えます。

 本法第二十三条、二十四条の改正によりまして、地球温暖化防止活動推進センターの指定そして地球温暖化防止活動推進員の委嘱を指定都市等に拡大することになります。

 今回、全国の地球温暖化防止活動推進センターのホームページなどを拝見させていただきました。地球温暖化が地球の気候変動や人類に及ぼす影響、身近な生活上のCO2縮減などについて、非常にわかりやすく啓発活動などがされていることがわかりました。

 しかし、先ほどの柏崎刈羽原子力発電所の停止に伴うCO2の排出量の増加などを見ますと、この推進センターの活動、そして推進員による啓発活動の中で、日本のエネルギーの源がどのように供給されているのか、また、発電過程でCO2が排出されないという日本の原子力発電の有効性などについても、もっと広く国民の理解を得られるように啓発範囲を広げていくべきだと考えておるのですが、環境省の見解を伺わせてください。

南川政府参考人 お答えいたします。

 地球温暖化防止の活動推進センター、さらに温暖化防止活動推進員、こうした方が身近な生活における削減に取り組んでいただく、その指導をしていただくことは大変重要だと考えております。身近な日常生活における取り組みの削減ということが極めて大きな意味を持つことは、委員御指摘のとおりでございます。

 私ども、法律上、日常生活に係るものが重点になっております。また、当然ながら、地域の創意工夫を生かして指導していただくということでございますので、国としまして、具体的な活動内容のぎりぎりとした規定はいたしません。ただし、こういった推進員の方、またセンターで働く方につきましては、温暖化問題についての背景について十分な知識を持った上で対応していただきたいと考えているところでございます。

 そのため、センターの職員や推進員につきまして研修事業を実施しているところでございます。その研修事業の中では、IPCCの報告書の内容に加えまして、電力分野についてのどういう対策がとられておるかといったことも詳細にお話をしておるところでございまして、温暖化問題について、その全体を御理解いただいて、その上で日常的な指導をしていただく、そういったことができるように対応しているところでございます。

 したがいまして、原子力の持ちます大きな役割につきましても、電力分野における対策の中で、研修事業としてしっかりとわかってもらうような努力をしたいと考えております。

近藤(三)委員 前向きな御答弁、ありがとうございます。

 この点につきまして、原子力発電は国民的理解を深めることが必要ですので、環境省の役割は本当に大きいと思います。引き続き御努力のほどよろしくお願い申し上げます。

 さて、今回の法律名でございますが、地球温暖化対策の推進に関する法律という名前です。日本が京都議定書で約束した数値をきちんと達成していくためには、現在の厳しい状況を考えますと、この法律自体がより強いメッセージを持つ必要があるのではないかと考えております。

 地球温暖化対策を推進するだけではなくて、日本の立場としては、地球温暖化を防止し、地球の持つCO2の吸収力に対応できる排出量に抑制していくための対応をしっかりと進めていくという、ポスト京都に向けたメッセージ性の高い法律名が必要ではないか。もちろん、それに伴い、法律の中身の見直しも必要だと考えております。

 次期の法律改正時には、より強いメッセージがきちんと伝わりますように、法律名を含めまして検討すべきだと思うのですが、環境大臣の御見解をお聞かせください。

鴨下国務大臣 今先生がおっしゃるように、京都議定書の六%削減目標を確実に実行していくということはもちろん必要なわけでありますし、今回御提案させていただいております法案の着実な施行、これを一義的に我々は努力しないといけないわけでありますが、その後の対策につきましては、進捗状況を厳格に点検しながら、機動的に見直しもあり得るのかというふうに思っております。

 そういう中で、今先生がおっしゃったように、国民に向けて強いメッセージを発するために、法案の内容ももちろんですけれども、名称について検討すべし、こういうようなお話がございました。

 基本的に、法律名はそもそもは内容を反映するというようなことでありますので、内容がしっかりと反映されないといけないということを前提に、今おっしゃった御指摘のメッセージを発する、こういうような趣旨においても、しっかりと留意しつつ、検討をさせていただきます。

近藤(三)委員 大臣、どうもありがとうございました。

 鴨下大臣には引き続き日本の温暖化防止に御尽力いただきまして、また、ポスト京都に向けて国際的なリーダーシップを発揮していただきますように期待いたしております。

 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

小島委員長 次回は、来る二十二日火曜日午前九時十分理事会、午前九時二十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十八分散会


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