衆議院

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第12号 平成20年6月10日(火曜日)

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平成二十年六月十日(火曜日)

    午後一時三十五分開議

 出席委員

   委員長 小島 敏男君

   理事 小野 晋也君 理事 大前 繁雄君

   理事 木村 隆秀君 理事 北川 知克君

   理事 西野あきら君 理事 岩國 哲人君

   理事 伴野  豊君 理事 江田 康幸君

      あかま二郎君    上野賢一郎君

      小杉  隆君    木挽  司君

      近藤三津枝君    坂井  学君

      杉村 太蔵君    鈴木 俊一君

      土屋 品子君  とかしきなおみ君

      中川 泰宏君    並木 正芳君

      藤野真紀子君    馬渡 龍治君

      山本ともひろ君    川内 博史君

      末松 義規君    田島 一成君

      田名部匡代君    村井 宗明君

      吉田  泉君    高木美智代君

      江田 憲司君

    …………………………………

   参議院議員        大石 正光君

   参議院議員        大河原雅子君

   参議院議員        岡崎トミ子君

   参議院議員        田中 康夫君

   参議院議員        轟木 利治君

   環境大臣         鴨下 一郎君

   環境副大臣        桜井 郁三君

   環境大臣政務官      並木 正芳君

   政府参考人

   (内閣官房地域活性化統合事務局長代理)      上西 康文君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 小原 雅博君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 廣木 重之君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           前川 喜平君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           佐々木昭博君

   政府参考人

   (林野庁森林整備部長)  針原 寿朗君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           中富 道隆君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局次長)           内山 俊一君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            上田 隆之君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      西山 英彦君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           菊川  滋君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 白石 順一君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            西尾 哲茂君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  南川 秀樹君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  櫻井 康好君

   環境委員会専門員     齊藤  正君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十日

 辞任         補欠選任

  中川 泰宏君     杉村 太蔵君

  渡部  篤君     馬渡 龍治君

  田名部匡代君     川内 博史君

同日

 辞任         補欠選任

  杉村 太蔵君     中川 泰宏君

  馬渡 龍治君     渡部  篤君

  川内 博史君     田名部匡代君

    ―――――――――――――

六月九日

 すべてのアスベスト被害者を救済するために石綿による健康被害の救済に関する法律の改正を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第四四〇三号)

 同(穀田恵二君紹介)(第四四〇四号)

 大口排出源に対する削減義務化等実効ある温暖化対策を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第四四七七号)

 同(石井郁子君紹介)(第四四七八号)

 同(笠井亮君紹介)(第四四七九号)

 同(穀田恵二君紹介)(第四四八〇号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第四四八一号)

 同(志位和夫君紹介)(第四四八二号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第四四八三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第四四八四号)

 同(吉井英勝君紹介)(第四四八五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 土壌汚染対策法の一部を改正する法律案(参議院提出、第百六十八回国会参法第一一号)

 環境保全の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

小島委員長 これより会議を開きます。

 環境保全の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房地域活性化統合事務局長代理上西康文君、外務省大臣官房参事官小原雅博君、外務省大臣官房参事官廣木重之君、文部科学省大臣官房審議官前川喜平君、農林水産省大臣官房審議官佐々木昭博君、林野庁森林整備部長針原寿朗君、経済産業省大臣官房審議官中富道隆君、経済産業省製造産業局次長内山俊一君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長上田隆之君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長西山英彦君、国土交通省大臣官房審議官菊川滋君、環境省大臣官房審議官白石順一君、環境省総合環境政策局長西尾哲茂君、環境省地球環境局長南川秀樹君及び環境省自然環境局長櫻井康好君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小島委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。馬渡龍治君。

馬渡委員 久しぶりに環境委員会で質問させていただく機会をいただきまして、委員長、理事の皆様方、本当にありがとうございます。

 私は議員になって、まず真っ先にやりたいなと思ったのが、動物の愛護と適正な管理を求める活動です。二年前に、自民党の中で初めて動物愛護管理推進議員連盟というものをつくらせていただいて、今六十名を超える同志の皆様方とともに活動をしておりますが、一言に動物愛護といっても、多岐にわたる、そしていろいろな法律に関係する、省庁もたくさんある。特に日本の国においては、先進国と比べると、そういった面では愛護や管理に対してまだまだ頑張らなきゃいけない余地があるな、そう思っています。とりわけ、生命倫理や動物福祉に関しては、これから本気になってやっていかなきゃならない、そう思っております。

 今、人と動物とのかかわりというのはいろいろなところであって、日本の国では、ペット、犬、猫が合わせて二千三百万匹以上いると言われています。そして、畜産動物は牛、豚、鶏などを合わせると八億から九億の数があると言われ、実験動物は一千万から二千万ではないかと推計されています。こんな中で、ペットショップなど、年間数百万匹の動物が輸入されています。

 私たち人間はこれらの動物に対して必要以上の多大な苦痛を与えてはいけない、そういう倫理的な責任があろうかと思います。この倫理を動物に関係するすべての分野でしっかりと確立していかなきゃいけない。学校教育や職業教育、またいろいろな分野においてその理念が根づいていくことが望まれますし、動物に対する生命倫理や動物福祉についての概念や知識の普及拡大が望まれます。

 そこで、動物福祉に関しては、動愛法を所管する環境省がしっかりとしたリーダーシップをとっていただいて、関係する省庁とよく連携をとって頑張っていただきたい。これから、環境省はその点についてどのように取り組んでいかれるのか。ここは桜井環境副大臣に御答弁いただきたいと思います。

桜井副大臣 今委員が御指摘されましたような動物福祉や生命倫理は大変重要なことだと考えておる次第であります。学校や地域、あるいは家庭などにおける教育活動、広報活動などを通じて普及啓発を図ることは極めて重要なことだと思っておるわけであります。

 こうした普及啓発の重要性については、動物愛護管理法に基づいて策定した基本指針でも明記しているところでございます。

 今後とも、関係省庁、地方公共団体、関係団体などと連携をしながら、動物愛護週間におけるさまざまな行事等を通じて、動物の愛護及び管理に関する教育活動や広報活動などを推進してまいりたいと思います。

馬渡委員 動物福祉とか生命倫理については、獣医師の育成に対しても重要なことですから、きょうは質問しませんが、その点について、環境省は関係する省庁ともしっかりと協議していただきたいと思います。

 文部科学省は、初等教育においても、生命倫理の教育の観点から、動物との触れ合い教育を推奨しているんですが、その場合、動物の生理だとか習性などの正しい理解を養うことが必要です。動物愛護の観点から、環境省として、文部科学省とよく連携して、適正飼育だとか動物の命の大切さなどを理解するための教育をぜひ子供たちに進めていただきたいという思いがあるんですけれども、その点について、副大臣、いかがでしょうか。

桜井副大臣 動物との触れ合いや動物の適正な飼育の経験が重要でありますし、特に子供が心豊かに育っていく過程が重要であろうというふうに思います。

 環境省では、全国の自治体や関係団体と協力して、動物愛護週間の各種行事を開催したり、適正飼養講習会を開催するなどの取り組みを進めているところでございます。

 今後とも、子供を含む国民の間に生命尊重、友愛等の情操をはぐくむことが大事だろう。そして、今お話しのように、関係省庁はもちろん、地方公共団体や獣医師会、関係団体等とも連携して、動物の適正飼養などの普及啓発にさらに取り組んでまいります。

馬渡委員 ぜひよろしくお願いします。

 動愛法は過去二回改正されて、いろいろな基準がよくなってきたんですけれども、実は産業動物の飼養及び保管に関する基準というのがいまだに改正されていないんです。

 動物福祉の基準については、OIE、国際獣疫事務局やEUなどでは産業動物に対する取り組みが進んでいますが、日本においては農林水産省がアニマルウエルフェア、いわゆる動物福祉に対応した家畜の飼養管理の検討会を設けています。

 この基準を所管する環境省として、独自に取り組みを始めるべきだと思いますけれども、現時点ではどういうふうになっているんでしょうか。

櫻井政府参考人 動物愛護管理法に基づきますいわゆる家畜の適正な飼養保管を確保するということの観点から、これは環境省に動物愛護行政が来る以前でございますけれども、昭和六十二年の十月に、総理府告示といたしまして、産業動物の飼養及び保管に関する基準というものが定められているところでございます。

 一方、近年、EUあるいはアメリカなどにおきまして、家畜の飼養保管に関する基準の策定というような議論が進んでおります。国際的な関心も高まっているんだろうと思います。

 我が国におきましても、こういった国際的な動向を踏まえまして、農林水産省におきまして、家畜別に飼養管理のあり方ということの検討を始めたというふうに聞いております。環境省といたしましても、その会議には出席をしているところでございます。

 環境省といたしまして、これらの検討状況を踏まえまして、現在の産業動物の飼養保管基準というものの改正についても検討をしてまいりたいというふうに考えております。

馬渡委員 この間の改正で、動物実験のスリーR、代替法の促進とか使用数の削減、苦痛の軽減の国際原則が示されたことは一歩前進したかなと思います。

 ところが、実験の実態把握については全く手つかずとなっているように聞いております。都道府県の策定する動物愛護管理推進計画において、各都道府県が、どこに、どのような施設があり、どのような動物が飼育されているのかというような実態調査を行うとしていますが、国として、このような自治体の調査が促進されるように取り組むべきだと思いますが、どうなんでしょうか。

櫻井政府参考人 環境省では、動物愛護管理法に基づきまして、平成十八年の四月に、実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準というものを定めたところでございます。

 この基準を踏まえまして、動物実験施設の所管省庁であります厚生労働省それから文部科学省、農林水産省さらには日本学術会議が、それぞれ具体的な指針を作成しておるところでございます。それらに基づきまして、各実験施設は実験動物の適正な取り扱いに十分配慮しようということになっているところでございます。

 一方、御指摘の都道府県の取り組みでございますが、都道府県が動物愛護管理推進計画というものを定めております。その中で、動物実験施設の実態調査を、これは主としてアンケート調査などが中心でございますが、そういった調査を実施するということを明記している自治体もあるわけでございます。

 環境省といたしましては、これら多様な関係機関による総合的な取り組みを通じまして実験動物の適正な取り扱いが確保されるように、今後とも、特に動物実験施設の所管省庁、先ほど申しました厚生労働省、文部科学省、農林水産省といったようなところでございますが、そういったところと、さらには都道府県と一層の連携を図って、実験動物に関する適正な取り扱いが進むように取り組みを進めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

馬渡委員 このような実態をしっかりと把握していただくということは、単に、動物福祉、動物愛護の観点だけではなくて、前に私がこの委員会で質問に立たせていただいた、例えばアフリカツメガエルのツボカビ症のこと、ああいった問題が起きたときにどういう対処をするか、実態を把握することは必要だと思いますので、ぜひ強力に進めていただきたいと思います。

 さて、最近では業者、いわゆるブリーダーとかペットショップ、繁殖業者などが倒産して、犬や猫が放置されるという事件が幾つも報じられています。家庭からの犬、猫の引き取り数が減少している中、これら動物業者の飼育放棄によって、その放置がふえているんじゃないかという懸念があります。最も動物の生命倫理や福祉を求めなければならないこういった業者に対して、しっかりと環境省は指導していただきたいと思うんです。

 自治体の動物行政では、これらの業者から引き取りを行っているのかどうか、最近、環境省が自治体に照会したと聞いたんですけれども、その結果はどういうものがあるのか、教えていただきたいと思います。

櫻井政府参考人 動物愛護管理法に基づきまして、動物取扱業者は、この業者が遵守すべき事項として、その飼養の施設に見合った動物の数を超えないということ、施設に過剰な動物を入れるというようなことを避ける、あるいは、仮に廃業をするというような場合には他の業者に譲渡をするというようなことを定めているところでございます。いずれにしましても、動物取扱業者というのは動物愛護の精神を最も体現していなければいけない人たちであろうと思います。都道府県においては適切に業者の指導を行っておられるものと考えております。

 環境省といたしまして、こういった動物取扱業者から都道府県などへの引き取り依頼がどのくらいあるかという実態につきましては調査をしておりまして、現在、整理分析中でありますが、現時点で把握している範囲では、およそ二割ぐらいの自治体では業者からの引き取りを行っているようでございます。

 環境省としまして、最終的な調査結果も踏まえて、今後、動物取扱業者が適切な飼養管理を行って、安易に都道府県の収容施設に引き取りを依頼するというようなことのないように都道府県に対して要請をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

馬渡委員 ぜひそのように、強烈に、強力に指導をお願いいたします。せっかく法律が変わって制度が変わっても、実際にうまくいっていないことがあるんですね。そこはぜひ環境省として厳しく監視をしていただきたいなと。

 特に、一つの例を言うと、動物取扱業者が登録制となって、業者は店舗及び広告に登録業者であることの標識を明示しなきゃいけないことになりました。ことしの五月には東京都が初めて無登録業者を告発しましたけれども、このような無登録業者がいっぱいあるんじゃないか。また、登録業者であっても標識をしっかり明示していないんじゃないか、そういうものが多く見受けられます。

 ですから、この標識を明示させるために環境省はどんな努力をしているのか。また、その取扱業者に起因するトラブルについて、環境省と国民生活センター、消費者センターなどで連携をとって、情報を集めて、そういうトラブルにぜひ対応していただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

櫻井政府参考人 動物愛護管理法におきましては、ペットショップの利用者等が同法に基づく登録を受けた動物取扱業者であるか否かということを容易に判別できるように、標識の掲示ということが義務づけられておるところでございます。環境省では、登録に関する業務を行います都道府県や業者などに対しまして、パンフレットの配布あるいは環境省のホームページなどでその周知徹底を図っているところでございます。

 また、業者のトラブルということでございます。これまでも国民生活センターからの情報提供があったりしておりますが、今後とも情報収集に努めまして、その結果を都道府県と共有して、トラブルの防止、あるいはまた動物愛護管理法の精神に反することのないように、法律の円滑な運用に努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

馬渡委員 十八年に改正した動愛法は五年後の見直しですから、今度は二十三年になります。いろいろな課題がまだまだ解決されていないと思います。それの点検整備にぜひ環境省の皆さんに頑張っていただきたい。特に動物虐待とは何なんだと言われたときに、まだ定義がないんです。単に直接暴力を振るって傷をつけたり殺したりするだけじゃなくて、私は飼養の怠慢による虐待もあろうかと思います。

 例えば、前に起きた広島のドッグぱーくの事件だとか大阪のブルセラ症の事件だとか、食事をちゃんと与えなかったり、身の回りの世話をしなかったり、病気になっても放置するというネグレクト、そういった虐待、それも虐待だと思いますし、パピーミルという、これは委員長が写真を見たら泣いちゃうような、母犬が狭いケージの中で、劣悪な環境の中で、とにかく子犬を産ませるだけ産ませる、最後はぼろぼろになります。そういったぼろぼろになった母親から生まれてきた子がペットショップで買われて、本当に一カ月もしないうちに何かおかしくなって、獣医さんのところに持っていくと心臓疾患ですね、そういう事例があるんです。

 だから、業者が金もうけの道具として動物を使って、もう要らなくなったら、先ほど言ったように、自治体に引き取りをしてもらったり、そのままほったらかしにしたり、または疾患にかかった子犬を売ってしまったりというのが現在あっちこっちで見受けられますから、ここはその改正に向けて、どうしたらそういう悪徳業者をやっつけられるか。一たんそういう事件を起こした業者は、もう二度と取り扱いができないぐらいのペナルティーを科するべきじゃないかと私は思うんです。環境省の皆さんが頑張って、ぜひそれを検討していただきたいなと思うんです。

 虐待の事例を集めて、直接傷つけたり殺したりじゃなくても、そういった飼養の怠慢も虐待の中に入れて対処できるような、何か虐待対策マニュアル的なものをこの改正に向けてつくっていただきたいと思うんです。積極的に取り組んでいただきたいという思いがあるんですけれども、ここは並木環境大臣政務官、お答えいただけないでしょうか。

並木大臣政務官 馬渡議員には、日ごろより動物議連の中心メンバーとして、動物の愛護や管理、そうした点でさまざまな御提言をいただいていますこと、まず敬意を申し上げたいと思います。

 御指摘のとおり、虐待というものの考え方なんですけれども、これはもう御存じかと思いますけれども、動物愛護管理法には、愛護動物をみだりに殺し、または傷つけたとかいうこと、また、みだりに給餌または給水をやめることにより衰弱させる等の虐待を行った者は処罰する、こういうような規定になっているわけですけれども、実際に取り締まる上で、虐待の定義というのが、どこまでが虐待かというのは社会通念上いろいろな意見が分かれるというようなことで、取り締まり当局もそれについてちゅうちょしている、こういう事例も多いようでございます。

 この社会通念というところでの、言葉としてきちっと決めるかどうかということについては、個々の事例が動物虐待に当たるかどうかということは、行為の目的とか手段、また苦痛の程度等を総合的に勘案して社会通念上判断せざるを得ない、こういうあいまいなことになっています。

 今御指摘のとおり、事例がさまざまにあるかと思いますので、関係省庁あるいは都道府県等と連携しまして、そうしたマニュアルのようなものがつくれないかどうか、先生の御指摘でございますので、ぜひ検討していきたいというふうに思っております。

 いずれにしても、動物をしっかりと愛護していくということがより大きく社会に広がっていかなければならないというのが基本原則だと思いますので、そういった点を踏まえて、これからも、動物の愛護管理、そうした考え方の普及に努めていきたい、こういうふうに感じております。

馬渡委員 政務官、ぜひお願いいたします。

 それでは、生物多様性基本法についてお伺いしたいんですけれども、この五月にすばらしい基本法ができて、私も本当に喜んでいます。

 ボンで開催された第九回の締約国会議で次の開催は名古屋に決まったということで、これは私の地元で、本当に誉れに思っております。

 G8の大臣会合でも、地球温暖化と並ぶ問題として生物多様性の保全が議題となる中、日本が世界に先駆けて生物多様性基本法を制定したということは、これは田島先生初め民主党の皆様、そして自民党の皆様の本当に積極的な取り組みがあったからできたと思います。まことに時宜を得た画期的なことだったと思います。

 これから二〇一〇年のCOP10に向けて、国内で開催するんだから、環境省はいま一層頑張る部分がいっぱい出てくると思うんですけれども、この取り組みについて、官民が一体にならなければどうしようもないことですから、そこのところをどうやってやっていくのかという心配があるんですが、この基本法にうたわれていることをぜひ施策に取り入れて、十分でなければまた個別法を改正していくというような、とにかく行動を起こさないと、基本法ができただけじゃしようがないので、そこのところをお願いします。

 そこで、私は常日ごろ、子供に対する環境教育というのは一番重要じゃないかと思っているんですけれども、きょうは文科省の方に来ていただきましたので、自然に触れ合う体験を子供のころにさせるとか、基本法の二十四条では、「国は、学校教育及び社会教育における生物多様性に関する教育の推進、専門的な知識又は経験を有する人材の育成、広報活動の充実」等々をうたってありますが、こういったことで、文部科学省としては、教育課程において生物多様性に関する理解をどうやって進めるのか、そのお考えをお聞かせいただきたいと思うんです。

前川政府参考人 生物の多様性を保全し、豊かな自然を次の世代に受け継いでいくためには、学校教育におきまして、自然や動物に関する基本的な知識を身につけさせるとともに、自然や動物を愛することのできる態度をはぐくむということは極めて大事であると思っております。

 一昨年改正になりました教育基本法、あるいは昨年改正されました学校教育法におきましても、教育の目標といたしまして、生命をとうとび、自然を大切にし、環境の保全に寄与する態度を養うということが新たに規定されたところでございます。

 こういったことを踏まえまして、文部科学省におきましては、本年三月に小中学校の教育課程の基準でございます学習指導要領を改訂したわけでございますけれども、従来にも増して環境教育に関する内容の充実を図ったところでございます。

 例えば、小学校の理科で新たに追加したものといたしましては、身近な自然の観察の学習、あるいは生物間の食う食われるという関係、これは食物連鎖のことでございますけれども、小学校でございますのでこういう表現をしております。食う食われるという関係などの生物と環境とのかかわりの学習。あるいは、中学校の理科で新たに充実したものといたしましては、地球温暖化や外来種にも触れながら、自然界における生物相互の関係や自然界のつり合いについて理解する学習、あるいは自然と人間のかかわり方について総合的に考察する学習、こういった内容を加えているところでございます。

 また、文部科学省におきましては、環境省あるいは農林水産省といった関係省庁とも連絡を図りつつ、環境教育推進グリーンプランでありますとか豊かな体験活動推進事業、こういった事業も実施しているところでございます。

 今後とも、こういった取り組みを通じまして、生物多様性に関する理解を深めるための教育に努めてまいりたいと考えております。

馬渡委員 子供のころから生物の多様性について深く理解することができたとすれば、一昨日の秋葉原の連続殺人事件のような忌まわしいことはぐんと減ると思いますから、ここでしっかりとやっていただけばいい大人ができるという思いで頑張っていただきたいと思います。(発言する者あり)はい、そうですね。

 最後になりますが、生物多様性の保全を具体的に実施していくためには、これまで国家戦略が策定されて、昨年の十一月には第三次生物多様性国家戦略が閣議決定されました。

 一方、生物多様性基本法十一条では、政府は、生物多様性の保全等に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、生物多様性の保全に関する基本的な計画、生物多様性国家戦略を定めなければならないとあります。

 これに向けて、鴨下環境大臣の意気込みをぜひお聞かせいただきたいと思います。

鴨下国務大臣 今、先生がおっしゃっていましたように、我々は、生物多様性については、さきのG8の環境大臣会合でも三つの柱の一つにさせていただきました。

 加えまして、国会のお許しをいただいてドイツのボンまで行ってまいりましたけれども、愛知県名古屋市で開催が決定をする、こういうようなことになりまして、特に愛知県あるいは名古屋市からも大変な御協力をいただけるということでありますので、ぜひ成功に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

 その中でも、二〇一〇年の生物多様性条約の第十回締約国会議は、二〇一〇年までに生物多様性の損失速度を顕著に減少させる、こういう二〇一〇年目標の見直しが行われる見込みでございますし、加えて、今御指摘ありましたように、平成五年に締結した生物多様性条約を受けて、第三次となる生物多様性国家戦略を昨年十一月に閣議決定、そしてそれを受けて、各省が連携して施策を着実に推進することになっているわけであります。

 またさらに、生物多様性基本法で戦略の策定について明記されるとともに、国が生物多様性の状況を総合的に評価するための適切な指標の開発等の措置が盛り込まれた、こういうようなことであります。

 まさに、生物多様性というような分野において、国もあるいは地方も、そして国際的にも日本が重要な役割を演ずることになってまいりましたので、環境省としても、この生物多様性がしっかりとすべての分野に根づくように、さらには周知徹底して行動ができますように、全力を尽くして努力いたします。

馬渡委員 もうこれで終わりますが、第八条に、生物の多様性の保全及び持続的な利用に関する施策を実施するために必要な法制上、財政上または税制上の措置を講じなければならないと書いています。だから、党派を超えて私たちすべての議員が、まだまだ財政は厳しいんですが、ぜひ皆様方一緒になって財政措置、税制上の優遇措置がとられるように、鴨下大臣を応援していただきたい、そのように願って質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

小島委員長 次に、岩國哲人君。

岩國委員 いよいよ世界の首脳が集まり、世界の主要問題を討議するサミット会議が来月に迫りました。そして、ことしはこの地球環境ということが一番のテーマである年であるだけに、新聞、テレビ、いろいろなところでこの環境という言葉が問題になっております。一般社会の認識を向上させ、また、次の時代の子供たちの教育にもことしのいろいろな議論は大変大切な役割を果たす、その中で開かれた我が国の衆議院のこの環境委員会も当然ながら大きな役割を果たさなければならないことは、我々委員も十分に承知しております。

 この国会の中で、この環境委員会が小島委員長の円滑な運営のもとに、我々も期待した以上の十分な質疑時間を確保していただき、そういう点について自民党、公明党の理事の皆さん初め、各委員の皆さんの御協力をいただいて我が党にも質疑時間を十分に確保していただいたことに対して、委員長、与党の委員の皆さんに心からお礼を申し上げたいと思います。

 こうした一般質疑を重ね、そして一つ一つ有意義な法案を成立させることができました。先ほど馬渡委員も質問されましたペット関係の一連の、人間が人間だけの健康を考えるのではなくて、地球上のすべての生物の健康も考えていく、そして地球そのものの健康も考えていく。人間の健康、生物の健康、そして地球の健康、三つの健康を考えていくという角度からも大きな前進があったのではないかと私も大変喜んでおります。

 そうした質疑を重ねてまいりましたけれども、残念ながら、私は二つ指摘したいことがございます。

 一つは、この首都圏の住民に対して、鴨下大臣も首都圏の住民でいらっしゃいますけれども、非常に大きな関心を集め、これからの首都圏の健康問題に大切な土壌汚染の問題、あるいは市場の移転ということにも絡めて、東京都との間に十分な意見のすり合わせあるいはこれからの法整備について意見交換が行われ、そうした安心感を与える方向に行っているかどうか。土壌汚染対策法というものがこの国会中に十分に議論をし、成立させるところまでいけないとすれば、これは非常に残念な点であると思っております。

 この点について、鴨下大臣、東京都の住民の一人として、また東京都選出の国会議員として、この土壌汚染対策法についてどのような取り組みをしようとしておられるのか、もし今国会中に成立しないとすればどのような取り組みを考えておられるのか、御意見を聞かせていただきたいと思います。

鴨下国務大臣 先生がおっしゃっている土壌汚染につきましては、これは多分ある程度特定の場所を想定したお話だろうと思います。私も東京に住んでいる人間でございますので、その内容については、それぞれ東京都からあるいは環境省の中でもさまざまな議論をさせていただいているところでございます。

 ただ、御党の方から議員立法として土壌汚染に関する対策法等がこれから御提案されるようでありますので、そういう国会での御審議を私たちは見守らせていただきたいというのが一つでございます。

 加えまして、これは政府の中でも、五月の二日付で今後の土壌汚染対策のあり方について中環審の方に諮問したところでございまして、今後、審議結果を踏まえて、法律の改正を見据えて取り組んでまいりたい、こういうふうに考えております。

 今後のスケジュールについては、これは今まさに中環審で審議をしていただいていることでありますし、これからその審議状況の進捗を見つつ、しっかりと早い段階で提案ができるように努力をしてまいりたいというふうに考えます。

岩國委員 こうした特定の場所が既に新聞等にも報道されております。それだけに都民の不安、関心というのは非常に深化しているわけでありまして、こうした環境問題に取り組んでいるはずの今の内閣、そして国会が、どうして地元東京都民の健康問題についてもっと早い審議ができないのかという声も聞いておりますので、環境省としても関係省庁の皆さんと一緒になって都民の不安というものをできるだけ早く解決するように、また、地方分権の時代だから自治体に任せてもいいという議論もあるかもしれませんけれども、この環境問題というのは、東京都は東京都民のための東京都だけではなくて、全国各地からの方がおいでになって、その人たちが食するものが本当に汚染されていないか、安全なのか、そういったことについては全国的な広がりもあるわけですから、ぜひとも積極的な取り組みをしていただきたいということを要望して、次の問題に移りたいと思います。

 私が、この委員会の質疑において残念なことと申し上げたのは、世界じゅうの関心を集めている環境サミット、そして、日本が主催国として大きな役割を果たさなければならないときに、福田総理は一体何を考えておられるのかということを私どもはいまだに肉声でこの現場において一度も聞くことはありませんでした。私はそれを大変残念に思っております。

 私は、与党の筆頭理事にもお願いいたしました、小島委員長にもお願いいたしました。私は、かつて国土交通委員会に所属しておったときに、道路公団の民営化のときに、我々委員会が要求をし、小泉総理は二度も現場の委員会へ出かけてきていただいて、道路問題について平場で議論を重ね、民営化についての意義、いろいろな意見を交換いたしました。私は、道路公団の民営化もさることながら、それ以上に大切な、日本だけではなくて世界にとっても大切な役割を果たす日本が、なぜ総理の意見をこの場で聞くことができなかったのか、それを大変残念に思っております。

 そこで、鴨下大臣にお伺いいたします。

 現場の意見をどのようにお伝えいただいておるのか。いろいろな機会がございましょう。一緒に会議に出ておられることもおありでしょう。ここで議論されたことはどの程度鴨下大臣から福田総理の耳に、そして、福田総理の考えを引き出しておられるのか、あるいは担当大臣としてそれをリードしておられるのか。どこまで大臣の思いというのは伝えられ、十分に意見は、七月七日に明言していただけるところまで来ておるのかどうか。この現場の意見を十分に代表していただけるだけの議論はしていらっしゃいますか。失礼な意見かもしれませんけれども、改めてお伺いしたいと思います。

鴨下国務大臣 この委員会での議論というのは、実に多岐にわたりますし、本質を突いている議論がたくさんございます。ですから、私たちは、それを受けとめて環境省の中で検討をさせていただいて、さらに、それが普遍的な状況にあるようなものについてはしっかりと官邸との間でも、特に気候変動問題についてはしっかりと議論をさせていただいております。

 加えまして、それぞれ、幾つかの会議がございます。例えば、低炭素に関する有識者の懇談会もございますし、四大臣会合といって、官邸に設置されておりまして、官房長官、外務大臣、経産大臣と私とで、こういうようなところでも議論がされました。特に気候変動国際交渉にかかわることについてはかなりの部分が反映した形で、あちらに私の意見として表明をさせていただいております。

 ですから、私は積極的に総理にも申し上げるところは申し上げてきたつもりですし、加えてこの委員会での審議、さらに加えて例えばG8の環境大臣会合の成果も折に触れて申し上げ、それが多分いろいろな意味で総理の御発言の中にも反映されているんだろうと思っておりますので、ここでの議論はそういうふうに有機的に生かされている、こういうようなことを申し上げます。

岩國委員 あれこれ具体的に申し上げられないところはおありでしょうけれども、閣議の中で、環境大臣は担当大臣として環境問題に一番御熱心なのは当然のことと思います。しかし、今まで総理と率直な議論をされた中で、大臣がこれは自分より相当突っ込んで考えておられるなということがあったとすれば、一つか二つ御紹介いただけませんか。それとも一度もなかったか。

鴨下国務大臣 あらゆる意味で、私は、総理は非常に深く考えていらっしゃるというふうに思います。特に環境問題に関しましては、世界の中で日本がどういう役割を果たすか、あるいはG8の中で議長国としてのリーダーシップはどうあるべきか、こういうようなことも含めまして、万般にわたって、なおかつ、ある意味での決断も伴って環境問題には大変深いお考えをお持ちだと感じております。

岩國委員 今話題になっておりますサマータイム、世界で実質的にやっていないのは日本だけ。私はサマータイムのある国で二十年も過ごしてきました。私は、エネルギー資源の乏しい日本が、せめてサマータイムを実行することによって少しでも世界の資源国と肩を並べるぐらいの努力はしなければならないという意見をその二十年の経験に基づいて持っております。鴨下大臣は、このサマータイムについて賛成ですか、反対ですか。福田総理はいかがですか。

鴨下国務大臣 私は、サマータイムは意義があるというふうに思っておりますし、できるだけ早い時期に導入してしかるべきというふうに考えております。

 加えまして、環境省の中でもいろいろな議論をさせていただいた結果、やはりCO2の排出量削減が見込まれるということもあります。加えて、多分、先生もお考えでしょうけれども、単にそのCO2の排出量だけじゃなくて、環境に対する配慮あるいは国民の意識に対して極めて大きな影響力があるんだろうというふうに思っておりまして、私は、積極的にサマータイムを議論し、なおかつ、目的意識をはっきりして導入をすることについては積極的に参画したいというふうに思っております。

 一部に、きのう、たまたま睡眠学会のある人と議論をしたんですが、睡眠障害がふえるとかというようなお話があったものですから、もう少し全体的な大局的なところからお考えいただいて、サマータイムで仮にそういう状況があるとすれば、そのデメリットについてはどういうふうにすればカバーできるのか、こういう建設的な意見をぜひお寄せいただきたいというようなことを話してきたところでございまして、ぜひ先生方とも連携をしてこの問題に取り組んでまいりたいというふうに思います。

岩國委員 大臣のそういう積極的、前向きな御意見は高く評価させていただきたいと思います。積極的に取り組み、環境サミットの行われたあの年が日本におけるサマータイムの最初の年になったということを記憶できるようにぜひ実現に御協力、御努力いただきたい、そのように思います。

 特に大臣が今御答弁いただいた後半の部分、一般社会、そして小さな子供たちにも、時計の針を一時間進めることによって、一年間に一度、ちょうど春の緑がもえ盛るときに、私たちも地球のために、この緑を大切にするために時計の針を一時間進める、みんながそういうことを一回は思い出すことによって、地球資源の大切さ、エネルギーを無駄遣いしてはいけないということに思いをはせる。私は、これは大変大切な国民教育だと思いますから、一時間が無駄であるということをおっしゃる方もあるかもしれませんけれども、それを人任せ、外国任せにするのじゃなくて、ことし日本もその仲間に入るんだという大切な一歩を踏み出していただきたい、そのように思います。

 次に、環境の年と言われております、それから、アフリカ会議が横浜で行われました、そのアフリカ会議も予想以上の国が集まり、そして期待以上の成果が上がったということを私も大変喜んでおりますけれども、このアフリカが最も苦しんでおります水の問題、農業の問題。

 この水の問題について、日本自身も努力しなければなりませんけれども、環境省と外務省、あるいは官邸において、何らかの具体的なアフリカへの環境の面での支援が検討されているかどうか。一つでも具体例が進んでいるとすれば、御説明いただけませんか。

廣木政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国は、これまでアフリカ諸国に対して、安全な飲料水を供給するための給水施設や衛生施設の整備、かんがい施設の整備改修、整備した施設の維持管理のための技術移転を行ってまいりました。

 これまで、二〇〇三年から二〇〇七年までの間、井戸や上水道などの給水施設を整備し、安全な水を供給するため、二十三カ国で約三百四十八億円の無償資金協力、一カ国で約百九十七億円の円借款を実施してまいりました。

 給水施設の維持管理については、例えばエチオピアでは、地下水開発や井戸の掘削技術、機械の整備等の能力を強化するため、水供給訓練センターを立ち上げ、その活動を技術協力により支援しています。

 農業用水に関しては、資金協力による大規模なかんがい施設の整備だけでなく、例えばマラウイでは、住民による維持管理が可能な小規模かんがい施設の……(岩國委員「今までのじゃなくて、これから新しくやっていくことを」と呼ぶ)整備を支援しています。

 政府としては、五月二十八日から三十日に開催された第四回アフリカ開発会議の成果も踏まえつつ、今後は、安全な飲料水を供給するための給水施設や衛生施設の整備、水資源管理に関する人材育成及び新たな水に関する技術支援として表明した、通称水の防衛隊の派遣などの支援を行っていく考えでございます。

岩國委員 ありがとうございました。

 日本は大きな問題をたくさん抱えております、決して余裕がある国ではありませんけれども、かつては暗黒の大陸と呼ばれたアフリカが、ようやく希望の大陸、太陽の大陸の時代を迎えようとしているときだけに、そのすべてに水の問題が関係しておりますから、ぜひとも我が国のいろいろな工業技術を提供し、あるいは資金的な援助もすることによって、アフリカが緑の大陸、希望の大陸と呼ばれることに日本が大きな役割を果たしていただきたい、そのように要望しておきたいと思います。

 次に、昨日、福田総理が環境問題について非常に意味のある発表をされました。私もその全文を読ませていただきましたけれども、その中で、我が国が取り組むべき大きな柱として四つ挙げておられます。その三番目は、地方の活躍ということですね。

 私は、この委員会でも取り上げました。いろいろな法律を次から次へとこの環境委員会はつくりますけれども、その一つ一つが地方自治体に関係していく、地方分権の時代となれば時には中央政府以上に地方の自治体が主役になることが多い、そういう問題把握をしていらっしゃることは非常に的確だと思います。

 ところで、地方の活躍、地方が主役というこの環境問題の中で、どのような説明資料あるいは指導を地方自治体において既になされているのか、あるいはまだなされていないのか。

 私は、かつて質問したときに、地方自治体とのすり合わせがほとんどなされていない形で法案がつくられ、審議され、そして成立されていくということについて、危惧の念を呈したことがあります。その後、そういった地方自治体との意見の交換、ヒアリング、そして地方自治体、それぞれの市町村に対して、いろいろな具体的に取り組みやすい、協力しやすい体制というのは環境省として十分にできておりますか。端的にお答えいただけませんか。

南川政府参考人 私、担当しています地球環境問題について御説明させていただきます。

 先生からも委員会でいろいろ御指摘を受けました。私ども、おおむね二つの場で地方公共団体とは接触をしております。

 私ども、法案をお通しいただきましたし、これから実際にその準備、さらに施行に入っていくわけでございます。この段階におきまして、地方、特にその中でもできるだけ現場で実際に動いていただく方に対して、そういった方を全国的に私どもが歩くあるいは来ていただいてヒアリングをするということで意思疎通を一つはしたいと思っております。

 もう一つは、普及広報のためのセンター組織を今度は特例市までの市にもお願いするわけでございます。これは地方といいましても、公務員だけではなくて、実際に民間のNGOの方も多いわけでございます、こういった方の意見もセンター組織を通じましてできるだけ吸い上げたい、そして一緒になってうまくいく体制をつくりたいと思っております。

 といいますのも、地方は非常に財政難でございまして、私ども予算を用意しても、なかなかうまく使っていただけないことがございます。それがぜひ効率的に使われて、オール・ジャパンで非常にうまく機能するようにしていきたいと考えております。

岩國委員 地方の財源についてお触れになりました。ちょうど私も質問したいと思っておりました。

 地方といえば、森林が豊かなところがほとんどで、東京のようにビルの数が豊かというわけにはいきません。東京の場合には六本木あたりには森ヒルズという森がたくさん建っておりますけれども、地方にはビルディングのない森がたくさん広がっております。地方への財源移転の一つの方法として、私は、以前から持論でございますけれども、山に、森に、林に給与を支払うべきではないかと思うんです。

 排出権取引について、この秋から試行的にやってみたい、実験的にやってみたいという御意見のようですけれども、経産省の管轄下の電力とかそういう買うところだけがこの排出権取引に参加していく、そして、売り手はどこか、売り手は外国の国であるかもしれない、そういう将来的な像の中でなぜ地元の自治体というものが売り手として参加することができないのか。私は、地方の自治体が管理する森林が大きな役割を果たしている以上、また果たしてもらわなければならない以上、この地方自治体も売り手としてそこに参加させて、収益を受け取ることによってそれを山に還元していく、当然のことではないかと思います。

 私は、その森林の価値というものについて、各県別の森林面積、そしてCO2の吸収能力の資料を皆さんに配付させていただきましたけれども、実績に応じて何らかの給料を排出権取引という形の中ででも実現すべきではないかと思います。これについて、そういう排出権の売り手となることが想定される林野庁が各自治体の森林を代表して、森にかわり、木になりかわり、ここで発言できない森のかわりに発言していただけませんか。

針原政府参考人 林野庁でございます。

 今先生お配りになった資料は、私ども最近つくり始めた資料でございます。

 これをごらんいただきますと、都道府県によって吸収量の単位が違います。吸収量というのは、樹種、木の種類、林齢、気温、雨量、土壌、手入れの状態、病害虫などのマイナス要素によって変化するものでございまして、例えば人工林は天然林の三倍ぐらい成長が早い、あるいは二十年生前後が一番吸収量が多い、あるいは杉とヒノキで比べますと、杉の方が一・五倍、いや、四割から五割多い、そういうことでこうなっておるわけでございます。

 このような取り組みを二〇〇五年からやっております、これは吸収量の算定が国際条約の基礎になるからということで。まだまだこの精度を高める必要がございますが、こういうような取り組みを国民に理解していただくことによって、今先生がおっしゃったような地方への配慮が国民の皆様に浸透すればと思っております。

 御指摘、ありがとうございました。

岩國委員 まず林野庁は、森にかわり、林にかわり、そうした正当な報酬を要求する時代がようやくやってきたんだという認識を持っていただきたいと思います。

 また、先日、決算委員会で農水大臣にもこれに関連した質問をいたしましたけれども、山林の高齢化ということが外国でも起きつつある。それを防ぐために、各国は林業従事者の数を必死になって確保しています。日本だけじゃありませんか、半分に減らしてしまったのは。日本の山は、手間をかけてもらえない、もう見捨てられる存在になりつつあって、環境の時代となっているときに山林を見捨てる先進国がどこにありますか。私は怒りすら覚えています。

 そうした森林の高齢化。高齢化すれば吸収能力は落ちていく、二〇〇五年で計算したものが半分以下になってしまうかもしれない。三・六%の役割どころか、一・八%となれば経済界も大変なことです。そういう山林の高齢化が進まないように……。大臣は若林といういい名前を持っていらっしゃいます。若い林といいながら、林がどこで若くなっているのか。林業従事者を半分にしておいて、若林はいつ実現できるんですか。大臣にしっかりとそれをお伝えいただきたいと思います。

 次に、地方自治体に関連してもう一つお伺いしたいことは、一般社会への教育、子供への教育として、資源の少ない日本としては資源の無駄遣いをしない。何度も取り上げましたけれども、自販機の問題があります。

 この自販機の設置について、どのような規制を考えておられるのか、自治体はどういう対応をしておるのか、経済産業省はどういう対応をしておるのか、御答弁いただけませんか。

内山政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の自動販売機の点でございますが、酒類の自動販売機につきましては、国税庁の酒類自動販売機に係る取扱指針が平成七年七月に出ております。これを踏まえて、当省に対して自動販売機メーカーに対する周知依頼が行われております。

 経済産業省におきましては、この要請に基づきまして、日本自動販売機工業会会長に対しましてその取扱指針の周知徹底を行っております。これを受けて、自動販売機メーカーは、屋外用の酒類自動販売機につきましては、平成十二年六月以降、購入者の識別ができる改良自動販売機以外の製造は行っておりません。

 また、現状におきましては、酒類自動販売機ユーザー及び自動販売機メーカー各位の御努力もありまして、購入者の識別ができない酒類自動販売機の設置台数は、国税庁の調査によりますと、この取扱指針制定当時と比べ十分の一以下になるなど、大幅に減少しているものと承知をしております。

 今後とも、国税庁を初め関係省庁ともよく連携をしながら本件に取り組んでまいりたいと存じます。

岩國委員 何度も同じような質問をして大変恐縮に思いますけれども、ぜひ経済産業省としては、トータルなエネルギーの使用量がどのようになっておるのか、アメリカ、ヨーロッパと比べて日本は自販機の台数も多過ぎるし、性能がよくなったからということは私は言いわけにはならないと思います。性能はよくなっても、要らないものは要らない、使わないものは使わない、そういう一つの哲学を持つ時期に近づいているのではありませんか。

 私は、アメリカやヨーロッパの人よりも日本の人の方がもっと小まめに体を動かす国民性を持っていると思ってきました。なぜ日本でそのように自販機がたくさんなくてはいけないのか、いまだに納得いかないんです。どうかそういった台数そのものを制限し、日本は人口の割に自販機の数がアメリカ、ヨーロッパよりも少ない国にすべきではないかと思います。

 ニューヨーク、ロンドン、パリ、世界の三大都市と言われるところに住んで、木のある都市、木のない都市、木のない都市ほど木に対する気遣いが非常に多いんです。国内でもそうです。出雲市の場合には山や森に囲まれて緑が多い。多いところほど木に対する関心が薄いということに私は気がつきました。そして、木を大切にする運動を私みずから始めることにして、木のお医者さんをつくり、子供たちに、環境探偵団をつくらせたり、夏休みの間に五十本の木の友達をつくる、木の名前を覚える、そういうことも実践させました。そういう木に恵まれた日本は、木に恵まれたがゆえに木に対する気遣いが足りない。それを一つの欠点として今反省すべきではないかと私は思います。

 私はこの環境委員会でいつも質問しながら願うことは、山に木を植えることよりも、次の時代を支える子供たちの心の中に木を植えたい、それが私の願いでもあります。これからの環境行政が、林野庁の行政が、そして経産省が主役となられるこれからの排出権取引においても、ぜひ日本の緑を守り水を守る、そういう行政が一つ一つ着実に実を結んでいくことを希望いたしまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

    〔委員長退席、木村(隆)委員長代理着席〕

木村(隆)委員長代理 次に、村井宗明君。

村井委員 民主党の村井宗明です。

 まずもって、ことしの環境委員会は、本当に有意義なものが多かったと思っています。特に、与党の皆さんの紳士的な対応と、協調路線になりながら大きな修正を、そして成果をかち取ることができました。私たち民主党がずっと主張してきたCO2見える化についても、今回の法改正を与野党一致して可決することができました。その上で、その点についての確認をさせていただきたいと思います。

 先日の地球温暖化対策法の修正案については、与野党協議、そして与野党が一致して法改正をし、CO2の見える化制度、カーボンディスクロージャー制度を導入することになりました。内容は主に二つで、一つ目が、電力などのエネルギー事業者の方々がCO2の排出量を各家庭に通知するようにすること、二点目は、金融庁などがCO2の排出量の各企業分が公開されるように取り組むことなどです。

 特に、まず一点目の点について大臣の意気込みをお聞きしたいんですが、与野党協議の上衆議院で修正されて導入されることになったカーボンディスクロージャー制度のまず一点目、電力、ガスなどのエネルギー事業者の方々にはしっかりとこの法の趣旨を遵守してCO2見える化に取り組んでいただきたいと思うんですが、そのための通達などを経産省と一緒になって出す予定はありますでしょうか。

鴨下国務大臣 せんだっての委員会で先生から質問をいただいて、そういうようなことが一つのきっかけになってこの修正が行われたんだというふうに私も理解しております。

 そして、具体的には、エネルギー供給事業者によるCO2の見える化は、家庭部門などにおいて温室効果ガスの排出抑制を進める上で本当に重要な一つの考え方だろうというふうに思っています。大手の電力会社などでは、これまでも、ホームページや検針票を通じて、エネルギーの使用に伴う排出量の把握に必要な情報提供が行われていたわけでありますけれども、これをよりわかりやすく、なおかつ明確に一般消費者に理解されるよう、それぞれ事業者の規模によっていろいろと実情を考慮しないといけないと思いますけれども、そういうようなことも前提とした上で、しっかりと経済産業省とも連携してエネルギー供給事業者の取り組みというものを促してまいりたいというふうに思っておりますし、本来の法律の趣旨に沿うように我々も努力をいたします。

村井委員 今、この法の趣旨にあるように、電気使用量ごとのCO2排出量を各家庭にお伝えできるよう促すということを言っていただきました。

 しっかりと促す、その促す手段というのがいろいろあると思うんです、通達でやる場合、それから指導でやる場合。具体的にはどのような方法を考えておられるでしょうか、大臣。

鴨下国務大臣 これは、これから、先ほど申し上げたように法律の趣旨に従って、最も有効で、なおかつ事業者の実情に合った、あるいは地域の特性に合った、こういうようなやり方で取り組んでまいりたいというふうに思います。

村井委員 修正案の二点目は、皆さんも御存じのとおり、例えば有価証券報告書などを念頭に置いて、各企業のCO2排出量が、国への報告ではなく、ちゃんと開示されるようにするべきだという内容でした。

 今までの環境報告書というのは、どうしても、書きたいことだけ書けばいい、三つ工場があっても二つだけ書けばいい。だから、国への報告と環境報告書に書いてある数字というのは大体ずれていた。今度からはちゃんと客観的な数字が開示されるように呼びかけていくべきだという内容の法律を与野党協議の上成立させましたが、そのことについては、もちろん環境省だけじゃなくて金融庁とかと打ち合わせをせぬとできないと思うんですが、金融庁などとそういう打ち合わせや協議などというのはされる予定はありますでしょうか、どうでしょうか。

鴨下国務大臣 今日の環境問題を解決していくためには、環境に配慮したお金の流れを拡大していくということが本当に重要だろうというふうに思っています。金融の果たす役割は大変大きいわけでありますから、そのために、資金の出し手である投資家に、環境に配慮した投資先を選択し得るような情報を適切に提供していくことが必須なんだろうというふうに思います。

 また、さきに行われましたG8環境大臣会合でも、カーボンディスクロージャーの取り組みを通じて、気候変動がもたらす重要なリスクと事業機会に関して株主に対する情報提供を進めることが有用である、こういうようなことも指摘されています。

 ですから、今先生がおっしゃったように、環境省としましては、このような状況をしっかりと踏まえまして、金融庁とともに、投資あるいは製品等の利用等に当たって温室効果ガスの排出に係る情報を利用する人々に対する事業者による情報の提供のあり方について検討を行って、適切な方法で広くこういうようなことが実施されるように努力をいたします。

村井委員 ありがとうございました。大臣の方からそういう前向きな答弁をいただいたこと、本当にすばらしいと思います。

 その上で、ここにおられる委員会の皆さんも御存じのとおり、この社会を動かしている一番大きなエネルギーは何か。日本を動かす一番大きなエネルギーは、資本主義の国である以上、やはり資本、そして金融です。環境の分野にどんどん投資されて技術革新されるためには、環境金融の制度というものをもっともっと強めていかなければならない。私は今、それが本当にやるべき必要な最大の対策ではないかと確信しています。そういった意味で、今大臣が言われたように取り組んでいただければいいかと思います。ぜひよろしくお願いします。

 さて、せっかくですので、きのう福田首相が発表された数字についてちょっとお尋ねしたいと思います。

 福田首相が、〇五年比一四%削減、それから九〇年比八%削減という数字を打ち出しました。〇五年比一四%削減となれば九〇年比八%削減となるんですが、その八%削減は、新聞を読んでいる限り、森林吸収源を除き実質四%削減だと書いてありました。となると、実質的な削減は九〇年比四%削減を打ち出したことになるんですが、この数字というのは本当に大きいものなのか少ないものなのか、大臣は率直にどのように感じられたでしょうか。

南川政府参考人 きのうの総理のビジョンの発表でございますが、私どもも実は夕方知りましたので、原稿作成に全く携わっておりません。

 ただ、その限りで申しますと、数字としましては、確かに森林吸収源を抜きますと四%になりますが、これはあくまで、エネ庁がことし三月に出された需給見通しではこうなっているという、現在ある一つの推計としてお示しされたということでございまして、具体的な日本の数字については、来年、中期目標の数字が国際的に議論されますので、そのときに出すんだということで言われたと承知をしております。したがって、あくまで今の一つの例を引用されたというふうに承知をしております。

村井委員 もちろん環境省としては一つの例を言ったというふうに感じているかもしれませんが、ニュースなどで、国民に対しては九〇年比四%削減を発表したような報道になっているし、事実上世界はそういうふうに受けとめているんじゃないかと思うんです。

 大臣の率直な感想でいいです。九〇年比四%削減というのは多いと感じるか少ないと感じるか、どのような感じでしょうか。

鴨下国務大臣 これはこの前も申し上げたことがあるかもわかりませんけれども、経産省の長期エネルギー需給見通しの数字でございます。ですから、現有の省エネ技術を積み上げていった結果でありますけれども、私たちが申し上げているのは低炭素社会に向けての社会変革ですから、そういう技術的なことだけではなく、さまざまな国民運動、情報的な手法あるいは経済的な手法、こういうものを組み合わせて、最終的に、しかるべき究極の目的である、例えば十年から二十年でピークアウト、さらには中期目標、IPCCが第四次評価報告書で出している数値、こういうようなことがあるべき数字だと私は思っておりますから、こういうようなことに到達するために本来努力をするべきだというふうに思います。

 そして、この福田ビジョンにおいて中期目標についてのさまざまな数字の言及がございますけれども、結論的なところでは、セクター別積み上げ方式による分析だとか、それから、その成果について、COP14、ことしの十二月のCOPに報告をして、そして方法論の確立とともに来年のしかるべき時期に我が国の国別総量目標を発表する、こういうふうに言っているところでありますから、先生今おっしゃった数字が我が国の国別総量目標になるということではないというふうに私は理解をしています。

村井委員 では、こういう数字じゃなくて、やはりもっと大胆に踏み込むように大臣にお願いしたいと思います。

 あともう一つは、これも通告のない質問なので、きょうの朝の新聞で見たので、通告がないので省庁の方に答えていただければいいと思うんですが、二〇年までには自然エネルギーを現状の十倍、三〇年までには四十倍というふうな新聞の数字が出ていましたが、それは環境省としても目標値として認める数字なのか、それとも新聞に出ただけなのか、どうでしょうか。

南川政府参考人 数字自身はかなり大胆に積み上げられると思います。ただ、太陽光発電世界一奪還とか、そういうふうに言われていますが、今のドイツの状況を考えますと、それでも奪還できるかどうかはよくわからないという点がございます。

村井委員 その上で、この出ていた数字に対してはどう思うのか。二〇年までに現状の十倍という数字を福田ビジョンで掲げたのは、環境省としての目標として認識してそこへ向かって取り組むのかどうか。どうでしょうか。

南川政府参考人 当然ながら、総理がおっしゃったわけでございます、私ども太陽光発電とか風力とかを含めてさらなる推進が必要でございまして、総理が言われた数字が達成できるような対策をこれから考えていきたいと思います。

村井委員 同時に経産省の方も、では、二〇年までに現状の十倍再生可能エネルギーをふやすという福田首相の方針は、賛同できて取り組む方針なのかどうか、お答えいただいていいですか。

上田政府参考人 十倍、四十倍という数字でございますけれども、きのうの総理のいわゆるビジョンの中で、太陽光につきまして導入量を二〇二〇年までに現状の十倍、それから二〇三〇年には四十倍に引き上げることを目標として掲げたいとおっしゃっておられます。経済産業省としては、この総理の目標に向かって全力を挙げて取り組む所存でございます。

村井委員 その具体的な数字を達成するまでには当然物すごいコストがかかるわけです。具体的に、それを導入するためにはやはりドイツでやるような固定価格買い取り制度などが必要なんですが、現実問題として、それを全部電力会社に負担を負わせるというわけにはいかないと私は思っています。日本国民全体が一丸となって社会的なコストを負担しながら固定価格買い取り制度などを導入していかなければ不可能ではないかと思うんですが、その辺は経産省としてどのように考えられますでしょうか。

上田政府参考人 この総理の目標の数字といいますのは、私ども長期エネルギー需給見通しで示させていただいた数字とおおむね同じであるわけでございます。長期エネルギー需給見通しを作成いたしましたときに、これは再生可能エネルギーだけではございません、省エネルギーその他さまざまなものを含めまして、社会全体としての投資額、コストということで、約五十二兆円という数字をお示しさせていただいたことがございます。私どもは、こういった数字が社会全体として適切に負担できるようなことをしっかり考えていく必要があると思っております。

村井委員 その五十二兆円を具体的にどうやってやっていくか。もちろんいろいろな手法があると思うんですが、私がふと思ったのが、燃料費調整制度という制度があって、今、燃料が上がっているから自動的に電気代が高くなっていくような仕組みになっています。

 同じように、再生可能エネルギーを導入していく場合、固定価格買い取り制度がもちろん前提ではありますが、固定価格買い取り制度をやりつつ、かつ、その上で電力代にも反映していくことを考えたら、自然エネルギー費調整制度のようなものをつくって、再生可能エネルギーを入れれば入れるほど自動的に電気代が上がっていくようなシステムが必要なんじゃないかと思うんですが、どのようにお考えでしょうか。

西山政府参考人 一般論として申し上げますと、再生可能エネルギーの調達コストが自動的に電気料金に転嫁可能な制度というのを導入した場合には、電力会社の側がコスト削減のインセンティブを減退させてしまいまして、小売価格が著しく上昇するということもございます。

 他方、現在の料金制度のもとでも、各電力会社は、再生可能エネルギーの導入予定量に基づきまして、これに要するコストを電気料金の原価に計画的に算入するということが可能でございます。こうしたプロセスを通じたりすることによって、調達コストを適切に料金に反映するということも考えられると思っております。

村井委員 私が思ったのは、全体の自由競争で値下げをしていこうという圧力と、それと別に、自由化の中で再生可能エネルギーを入れれば入れるほど電気代が上がって損をするというルール、ここを切り分けていかないと本当に再生可能エネルギーが大量に投入されないんじゃないかというふうに思っています。再生可能エネルギーを入れるということは当然電気代が上がっていく可能性が高いわけで、その上で、やはりその部分を自由競争と別枠にしてどんどん入れるべきではないかというのを、個人的な意見として、きょう資料として配らせていただきました。

 また次の話に行きたいんですが、環境省の方にお尋ねしたいと思います。

 自治体における先進的な導入支援策をした場合、その半額の補助などを行っているというふうに聞いているんですが、その予算の内容と計画はどのように進んでおられますでしょうか。

南川政府参考人 例えば地方自治体が再生可能エネルギーを住宅などに導入する場合でございますと、再生可能エネルギー導入住宅地域支援ということで二億五千万の予算を用意しております。これは住宅関係だけでございますが、それ以外にも、商業関係等が別途ございます。

 例えば住宅関係について申しますと、二億五千万でございますけれども、地方自治体の方の財政難の問題がございまして、予算についてまだ余裕があるという状況でございます。

 ただ、非常に重要なプロジェクトも進んでおります。

 例えば京都府でございますけれども、ここでは、太陽光発電とか太陽熱の温水器につきまして、CO2削減相当量の一キログラムCO2を五円で五ポイントを与えるということで、地域通貨として使ってもらえるというプロジェクトをやっております。これに対する二分の一支援をしております。

 また、和歌山県では、太陽光発電による一年分のCO2の節減分をキロワットに換算しまして、一キロワット当たり五十円で県が買い取る、そういった手法も用いておるところでございます。

 こういった非常に地域の特性にかんがみた対策をやっていただいておるところでございますので、私ども、何とか各地域と協力しながら独自の対策が進むような応援をしていきたいと考えております。

村井委員 次に、グリーン電力証書の話をしたいと思うんですが、今言ったような再生可能エネルギーをどんどん日本に投入するには当然コストがかかります。コストに対応していくための一つの方法として、やはりこれは、再生可能エネルギーに対してのインセンティブ、それから付加価値をちゃんとつけていかなければならないと私は思うんですが、そのためにはこのグリーン電力証書という制度をもっともっと支援していくべきだと思うんです。

 具体的に資料も配らせていただいたんですが、こうしたらもっとグリーン電力証書の価値が上がるんじゃないかなと思うのは、今、省エネ法だとかこの間の温対法などでCO2排出量の国への報告義務があるんですが、その報告をするときに、グリーン電力証書を使って再生可能エネルギーをどれだけ手に入れたのかも同時に併記できるように、排出量の中にそれもカウントして併記できるようにしていけば、もっともっとグリーン電力証書を手に入れようとする。そうしたら、グリーン電力証書の価値が上がっていくから、再生可能エネルギーに対しても間接的に資金が回っていくようになると思うんですが、そのようにするお考えはありますでしょうか。環境大臣、どうぞお願いします。

南川政府参考人 技術的になりますので、お答えさせていただきます。

 まず、温対法の中で報告をいただくことは二つございます。一つは、調整前の係数によるCO2の排出量でございます。もう一つが、調整後の排出量ということになります。今の村井委員のお尋ねは、調整後の排出量というときに、その調整という中に、これまで私ども、CDM、海外CDMと言っておりますけれども、それ以外に例えばグリーン電力証書も含むことはどうかということかと私なりに理解をしております。

 これにつきましては、二点チェックすべき点があると思っております。

 全体として、当然ながら、このグリーン電力証書にしても、岩國委員からございました森林の管理にしても、非常に意味あることだと思いますが、問題は、海外から買ってくるCDMですと、例えば業者が十買ってくれば、調整後の数字を足したものに十を足せば総計になるんですけれども、グリーン電力証書にしてもそれ以外のものにしても、電力証書の分をカウントして引きますと、さらにそれ以外に今度は電力事業者がクリーンなエネルギーをつくりますので、その分のカウントもどう調整するかというダブルカウントの調整の問題が出てきます。まずそこら辺の議論をきちんと整理する必要があるということと、それから、やはりその認証ということをきちんと行わないといいかげんになってしまうということがございます。

 その辺の事務的、技術的な整理をきちんとした上で、それがうまく整理できれば、一つ大きなインセンティブをもたらすものとして調整後の排出量の調整という中に含めることは十分可能だと思っておりまして、これから鋭意検討したいと考えております。

村井委員 そのまま環境省にお尋ねしたいんですが、調整後の数字というのは、私はそのままでいいと思うんです。調整後の数字と別に、グリーン電力証書を買い取った分の数字をもう一個別に、つまり三つ目の数字として出すようにすれば、別にダブルカウントにならないし、すぐにでもいけると思うんです。

 もう一つは、認証制度が今はまだ甘いんじゃないかという話なんですが、では、現在、環境省としては、このグリーン電力証書の認証制度が十分なものではないという認識なんでしょうか、どうでしょうか。

上田政府参考人 経済産業省の方からグリーン電力証書の現状についてちょっと申し上げたいと思います。

 私ども、先生のおっしゃった方向というのは、極めて適切な方向であると思っております。そのために、ベースとなるグリーン電力証書というものをしっかり発行し、しっかり認証していく。要するに、グリーン電力をつくらなかったにもかかわらずつくったとして発行されたり、あるいはその量が間違ったりということのないようにしないといけないと思っております。

 そんなことで、現在、新エネ部会のもとにグリーンエネルギーの活性化のための小委員会というものを設けてさまざまな検討をしておりまして、これは今まで伝統的に純粋な民間の制度としてきたわけでございますが、国としてどういうグリーン電力証書であればいいかといったガイドラインをつくることをいたしたいと思います。また、その中で、認証機関あるいは認証のやり方というのはどういうようなものであるかということも議論をしております。さらに、このグリーン電力を使って商品あるいはサービスを提供した場合にマークをつけるようなマーク制度の仕組みといったものも議論をしております。

 こういったことはすべてグリーン電力証書のいわば信頼性を増していくための基礎的な取り組みではございますが、こういった取り組みをしっかりやることによりまして、先ほど南川局長からお話のありましたさまざまな制度的なところに使えるものにしていきたい、こんなふうに思っております。

南川政府参考人 どのように扱うかにつきましてはいろいろなチョイスがございますので、私どもとしては、確認さえできればできるだけ丁寧に扱って、それがインセンティブとなるようにしたいと思っております。

 それから、認証でございますけれども、今、私どもは自主的な国内市場取引をやっております。その中で、国際基準に基づきます検証・報告ガイドラインというのをつくっておりまして、具体的に我が国を代表するような監査法人に認証を検証していただくということで、さまざまな担保をしておるところでございます。

 したがいまして、グリーン証書もそうでございますし、実はそれ以外にも同じような形での扱いを希望している分野がございます。それも含めて、国民の信頼を得られるような形で動かしていきたいと思います。

村井委員 経産省の方にお聞きしたいんですが、私がすごく感じているのは、京都メカニズムのクレジットでどんどん海外にお金を流すよりも、せっかくであれば、やはり国内の自然エネルギー、再生可能エネルギーに投資をしていく方がはるかに国内の排出量削減に効果が高いんじゃないかと思うんです。もちろん、できなかった分を京メカクレジットでというのはいいんですが、まずそれよりも、その分のコストを再生可能エネルギーに投入するべきだと思うんですが、どうお考えでしょうか。

上田政府参考人 今お話しされたことは、大変重要な御指摘だと思っております。

 私ども、CDMその他の形で海外に資金を流出いたしましてその分CO2を削減するといった取り組みも必要かと思いますが、できれば、そういった資金が国内に還流いたしまして、日本の企業あるいは個人の省エネあるいは新エネといったものの努力に向けられて、これがCO2の観点から評価されるような仕組みというものをつくっていければ非常にいいなと正直思っております。

 私ども先般省エネ法を改正いたしましたけれども、この中で、例えば、大企業が関連の中小企業の省エネに資金提供いたしまして支援した場合にそれを省エネ法上評価する、私ども俗称共同省エネ事業と言っておりますが、そういった仕組みを創設することといたしましたし、また、中小企業CDMと言っておりますけれども、そういったものを自主行動計画に反映していく仕組みというものについて検討を行っております。

 非常に重要な御指摘だと思いますので、そういった点も踏まえてしっかり検討してまいりたいと思います。

村井委員 京都メカニズムのクレジットを使って海外にお金を流すよりも先に、やはりその財源を使ってちゃんと国内のCO2削減をやるべきだと思っています。

 最後に、環境大臣の方に、今の流れと全く違うお話を聞きたいと思っています。

 それは、種の保存法についての質問です。

 最新のレッドリストによって環境省が絶滅のおそれがある種として把握しているのは三千百五十五種です。三千百五十五種が絶滅のおそれのある種と言いながら、種の保存法で指定しているのは七十三種にすぎません。また、その七十三種のうち、保護増殖事業など回復計画を立てているのは三十八種しかないんです。

 では、その三千百五十五分の三十八という数字を聞いて、大臣は、適切だと思うのか、それとももっと前向きに数をふやしていくべきだと思うのか、どうでしょうか。

鴨下国務大臣 レッドリストは、科学的な知見に基づいて絶滅のおそれのある種を選定したもので、広く社会に周知して皆さんに知っていただくということなんだろうと思います。

 他方、種の保存法に基づく国内希少野生動植物種は、捕獲等の規制や生息地の保護あるいは保護増殖事業の実施など、各種の法的な保護施策により保護を図るべき対象であるということで、多少その観点は違うんだろうと思います。

 環境省としては、絶滅のおそれのある種のうち、法的な保護施策を講ずる必要があるような、種の保存法の対象とすべきものもこれからさらにふやしていこうというふうに考えています。例えば、新たに小笠原の動植物九種について、種の保存法による指定種に追加する手続を進めているところであります。

 これから、生物多様性のこともありますし、加えて、開発と自然とのいわばバランスの問題で、特に種の保存法の指定をすべきことがあったら、迅速にやってまいりたいというふうに考えます。

村井委員 そういった形で、せっかく与野党がまとまって生物多様性の問題に一丸となって取り組むことになった。そして、環境大臣もそう言っておられます。種の保存法での指定をふやしていって、ぜひ実効性のあるような生物多様性の保全をやっていきましょう。

 きょうはどうもありがとうございました。

    〔木村(隆)委員長代理退席、委員長着席〕

小島委員長 次に、川内博史君。

川内委員 民主党の川内でございます。

 きょうは、再び委員長、理事の先生方にお許しをいただきまして、発言の機会をいただきました。心から感謝を申し上げたいと思います。

 本委員会の質疑終了後、土壌汚染対策法の一部を改正する法律案を私ども提案させていただいております、参議院を通過いたしまして、本委員会付託になり、趣旨説明をさせていただけるということでございますので、きょうはその趣旨説明に先立ちまして、築地の中央卸売市場の豊洲東京ガス工場跡地移転問題について、環境省と、また大臣とやりとりをさせていただきたいというふうに思います。

 まず、内閣提出の土壌汚染対策法が施行された平成十五年二月十五日から平成二十年二月十四日までの五年間で、土壌汚染状況調査が行われた件数、さらにはその土壌汚染状況調査に基づいて土壌汚染指定区域に指定された件数はそれぞれ何件であったか、教えていただきたいと思います。

白石政府参考人 二つの数字についてお尋ねがありました。

 五年間になりますが、その間に法に基づく土壌汚染状況調査が行われた件数は八百九十八件、その中で法に基づく指定区域に指定された箇所数は二百五十九カ所でございます。

川内委員 その八百九十八件の土壌汚染状況調査と二百五十九件の土壌汚染指定区域の中で、ベンゼンの汚染濃度が最高濃度であったものは基準値の何倍の濃度であったのか、土壌及び地下水についてそれぞれ教えていただきたいと思います。

白石政府参考人 ベンゼンについてのお尋ねでございますので、溶出量でお答えいたしますと、基準値は〇・〇一ミリグラム・パー・リットルでございますが、このベンゼンの溶出量基準に対しまして、今までのケースの中で一番濃い濃度があったものは一・三ミリグラム・パー・リットル、百三十倍でございます。

川内委員 同じく、土壌汚染対策法上の土壌汚染状況調査並びに指定区域に指定されたものの中で、シアン化合物について汚染濃度が最大であったものは基準値の何倍の濃度であったのか、土壌及び地下水についてそれぞれ教えていただきたいと思います。

白石政府参考人 シアンは溶出量の基準と含有量の基準でお答えをいたします。

 シアンの溶出量基準は、検出されないこと、というのは検出限界でございまして〇・一ミリグラム・パー・リットル、これに対しまして今までのケースの中で最も濃度の濃かったケースは二百三十ミリグラム・パー・リットルでございます。

 また、同じシアンの含有量の方の基準でございますけれども、これは一キログラム当たり五十ミリグラムが基準でございますので、これに対しまして最高の濃度であったところは二千四百七十ミリグラム・パー・キログラムでございました。

川内委員 済みません、何ミリグラムとか言われてもちょっとわからないので、基準値、検出限界の何倍であったという御答弁をいただければと思います。

白石政府参考人 シアンの方の溶出量基準で、二百三十ミリグラム・パー・リットル、二千三百倍でございます。

 含有量の方は二千四百七十、基準が五十でございますので五十倍でございます。

川内委員 今、土壌汚染対策法施行後、環境省がこの土壌汚染対策法で把握をしていらっしゃる土壌汚染状況調査についての数字をそれぞれ御答弁いただいたわけでございますが、それでは、せんだって東京都が独自に行っていらっしゃる豊洲東京ガス工場跡地における調査で、東京都の専門家会議に報告をされたベンゼンとシアン化合物の汚染濃度の最大値はそれぞれ基準値の何倍であったのかということについて教えていただきたいと思います。

白石政府参考人 ただいま申し上げましたベンゼンの溶出量、シアン化合物の溶出量、それからシアン化合物の含有量の三つの数字で申し上げます。

 ベンゼンの溶出量は四百三十ミリグラム・パー・リットルでございましたので、四万三千倍。それからシアンの溶出量の方は八十六ミリグラム・パー・リットルでございましたので、検出限界の八百六十倍。それから含有量の方は七十ミリグラム・パー・キログラムでございましたので、一・四倍。

 以上でございます。

川内委員 八百九十八件の調査件数の中で、シアン化合物が二千三百倍という数字をお答えいただいているのがあるんですけれども、それは特殊な例じゃないかなと思うんですが、どういう事例だったのか、ちょっと教えてください。

白石政府参考人 事例の内容まで今手元にございませんけれども、新潟県の燕市で指定区域にされた地域でこのようなケースがあったと承知しております。

川内委員 それでは、八百九十八件の調査件数の中で、面積が最大であったものはどのくらいの広さの土壌汚染を調査されたのかということについて教えていただきたいと思います。また豊洲と比較をしていただきたいと思います。

白石政府参考人 ちょっと時点がずれている可能性はありますが、おおむね法施行後五年の間で私どもが承知している中で、最も指定区域の面積が広かったものは岩手県の宮古市のケースで、四・五ヘクタールというふうに承知しております。大体の大きさでございます。(川内委員「豊洲は何ヘクタールでしたか」と呼ぶ)

 豊洲は、市場にするという計画の区域が約四十ヘクタールというふうに承知しておりますが、その中で、まだ調査が終わっておりませんので、どれぐらい指定区域になるかということは今の段階ではわかりません。仮に指定区域となるとしてもという面積の意味でございます。

川内委員 豊洲が四十ヘクタール、他方で土壌汚染対策法の適用対象になったものの中で最大の面積は四・五ヘクタール。さらには、汚染物質でいえば、ベンゼンは、今までの最高濃度が百三十倍、豊洲は四万三千倍、シアンが今までの法律上の最高濃度が二千三百倍、豊洲は八百六十倍というような形で、見比べることが果たして適当かどうかは議論のあるところだと思いますが、いずれにせよ、築地の移転予定地である江東区豊洲の東京ガス工場跡地は、環境省が把握をしている限りでは最高レベルの土壌汚染地域であるという認識でよろしいかということを教えていただきたいと思います。

白石政府参考人 汚染状況の数字でいえば、ベンゼンについては高い数字であるということはそのとおりでございますが、面積等々につきましては、ちょっと先ほど申し上げましたように、仮に指定区域になったらばというふうな議論の前提となる、東京都が処理をするべきだというふうに認識する面積がまだわからない段階なので、広さについては何とも申し上げられないなと思います。

川内委員 いや、私が聞いているのは、環境省が今まで土壌汚染対策法上で把握をしている土壌汚染状況調査は八百九十八件である、それに加えて、東京都の豊洲東京ガス工場跡地の調査を合計すると八百九十九件を、環境省はほかにももしかしたら把握をしていらっしゃるかもしれませんが、私が知る限りでは、八百九十八件プラス東京ガス工場跡地の八百九十九件を把握していらっしゃるということは確実なわけですが、その八百九十九件の中で、東京ガス工場跡地は環境省が知り得る限りで最も高濃度にあるいは広範囲にわたって土壌が汚染をされている地域であるという認識でよろしいかということをお尋ねしております。

白石政府参考人 若干繰り返しになりますが、ベンゼンの濃度に関しては御指摘のとおりだというふうに思っておりますが、面積についてはちょっとまだ何ともわかりません。

川内委員 豊洲の四十ヘクタールのうち、大臣、いいですか、シアン化合物は、全部で四千二百カ所のボーリング地点のうち二三%の地点で汚染が発見されております、二三%。四十ヘクタールの二三%、大体四分の一。ということは、十ヘクタールで汚染が発見をされているというふうに想定をしていいわけで、そうなると、岩手の宮古四・五ヘクタールを超えて、広さにおいても土壌汚染は最大級の広さで汚染をされていると私は言っていいんだというふうに思いますが、もう一度環境省から御答弁をいただきたいというふうに思います。

白石政府参考人 今手元に全部の東京都の調査の地図がないので何とも言えないのですけれども、相当の面積であることは確かなんでしょうけれども、四十ヘクタールの中でどれぐらいかということについては、まだ調査が終わっていないので、にわかに即断する段階ではないというふうに思います。

川内委員 いや、白石さん、広がる可能性はあっても、四千カ所のボーリング地点のうち二三%の地点、約千カ所でシアンの汚染が発見をされているわけですから。それは十メーターメッシュで全部とっているわけで、そうなると、十ヘクタールぐらいの面積においては汚染があるということは言っていいわけですから、面積のことはわからないとおっしゃられるのは私は違うんじゃないかなと思うんですが、委員長、どう思いますか。

白石政府参考人 お尋ねがシアンでございましたので、私どもの今手元にあるシアンの検体数で申し上げますと、四千百二十二の検体のうちで基準を超過している件数が、シアンに関しては九十カ所でございますので……(川内委員「それは土壌でしょう」と呼ぶ)はい、土壌の溶出量でございます。

 もう一つの含有量の方は、処理基準を超過している検体が四千百二十二のうち一でございますね。(川内委員「いや、それはちょっと違うと思いますよ」と呼ぶ)処理基準以下で定量限界値より大きいものが、足して百二十三でございます。

 その場所がダブった場所なのかどうかということが、ちょっと手元にないものですから、仮に百二十三プラス一に九十を足した数が全部ばらばらの場所だとしてどうかというふうなことでございますので、恐らく今先生御指摘の何割というものはほかの砒素とかベンゼンとかいろいろなものが出たところの箇所数なのかなと。ちょっと手元に数字がないものですから、あれですけれども。

川内委員 私も、今確認をしていただきたいんですけれども、委員長、これはとても大事なことなんですよ。

 私、東京都の専門家会議に出ておりましたからね、傍聴で。別に私が議論に参加したわけじゃなくて、傍聴で一生懸命聞いておりましたけれども。シアン化合物については二三%の地点から汚染が、環境基準を超える、検出限界を超えるものが発見をされているということがきちっと報告されておりましたので、それを私は根拠にして申し上げているわけですが、それは違うと言うのであれば、専門家会議の資料をしっかり提示していただいた上で、川内さん、あなたの認識はちょっと誤解がありますよということをおっしゃっていただかないといけないと思うんです。

白石政府参考人 今私の手元にありますのが、五月十九日付の専門家会議第六回の資料の中の個票でございますので、その中に出ているシアン化合物の土壌溶出量と土壌含有量の数字は今申し上げたとおりなんですが、果たしてこれがすべてかということは、私も自信がございませんので、そこはよく調査した上でまた御回答したいと思います。

川内委員 きょうは、私は、豊洲の東京ガス工場跡地は環境省が今まで把握している中で最高濃度に汚染されている土壌汚染地域であるということを政府としてしっかり認識していますかということを確認したいわけですね。それはシアンであろうがベンゼンであろうが、土壌汚染対策法上、二十五の土壌汚染物質の中の一つとして定められている物質であって、それが何であろうが、今までのどんな物質よりも濃度が高い、それがたくさんの地点で発見されているということは、最大級の土壌汚染地域であるということを、環境省として、そうだね、そういう地域だねということを、まず事実をしっかり認識した上で、その対策をどうとるかということを考えるのが行政のお役目であろうというふうに考えるので、どう考えていらっしゃいますかということを再三にわたってお尋ねしているわけでございます。

 細かい数字がないということでございますけれども、とにかく濃度については、ベンゼンについては最高濃度が検出をされている。あとはどのくらい汚染が広がっているかということが問題になるわけでございますが、広がりについてはちょっと今わからないということなんですが、私がしゃべっている間にいろいろ打ち合わせをしていただいていますが、わかりましたですか。

白石政府参考人 今私が御説明した数字は、先生のお尋ねの、仮にここが土壌汚染対策法の指定基準が適用されるならばということでございますので、それは、その基準たる溶出量と含有量の基準を超えた箇所でございます。

 これ以外に、地下水の基準がございまして、それを超えた箇所、それはちょっと手元に今ないのですけれども、恐らく先生の御指摘のような数字だろうと思います。

 ただ、あくまでも仮に指定をするならばという場所は今申し上げた箇所ということになります。

川内委員 今環境省の白石さんから御答弁いただいたわけですが、大臣、豊洲は非常に特殊で、特殊でというか、ある専門家に言わせれば、地下水を通じて相当な汚染が広がっていると。したがって、シアンは、土壌という意味においては先ほど白石さんが御答弁になられた箇所数かもしれませんが、地下水の汚染を調べると私が申し上げた箇所数になる。約千カ所でシアンが、青酸カリの原因物質ですけれども、発見をされるというような状況ですね。

 そういう豊洲の東京ガス工場跡地は、東京都も今現在さらに詳細な調査をしていただいているようでございますけれども、現段階において、政府としてあるいは環境大臣として、豊洲東京ガス工場跡地は環境省が今まで把握している中でも最高位にランクされる土壌汚染地域だねという……(発言する者あり)だから今言葉をちょっと弱くしたじゃないですか、最高位にランクされると。ランクされる土壌汚染地域だねというぐらいは認識として持っているよ、川内さん、そんなに心配しなくていいよ、あるいは都民の皆さんにちゃんと環境省としても認識しているよというぐらいはおっしゃっていただかないといけないというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

鴨下国務大臣 今それぞれ事務方から御説明をいたしましたけれども、少なくとも、サンプリングの一部にベンゼンで最高濃度は基準の四万三千倍であった、これはこの法律に基づく指定区域と比較して非常に高いという認識は、そのとおりでございます。

 ただ、先ほどからお話がありましたが、四十ヘクタールにどの程度及んでいるのかということについては、我々は否定はいたしませんけれども、先生の御意見を肯定するだけの十分な資料が今の段階でございませんので、今ここで、そうですねということは申し上げられないという趣旨でございます。(発言する者あり)

川内委員 いや、よくわからないんですけれども。

 大臣、専門家会議に出ると、非常におもしろいことをさまざまに教えていただけるんです。例えば、私は日本で史上最大の土壌汚染地域だというふうに位置づけておりますけれども、築地の卸売市場をこの東京ガス工場跡地に移転しようとしている。東京都の専門家会議では、シアン化合物で確かに汚染されている、この汚染された地下水が上昇して、揮発をして、市場内にシアンが浮遊してマグロなどに付着するかもしれないと。付着するかもしれないとちゃんと言っているんですよ。ところが、微量だから大丈夫だと言うんですね、微量だから大丈夫だと。だけれども、シアン化合物がマグロに付着して、青酸カリですよ、微量だから食っても平気だというその感覚。私は、専門家というか学者というのはおもしろいことを言うものだなと聞いていて思うんですね。

 我々一般人の感覚とすれば、それは幾ら安全だ安全だと言われても、お客さん、このマグロは青酸カリがついてまっせ、でも、微量だから大丈夫です、食べてみますかと言われても、そんなもの絶対食べませんよ。(発言する者あり)西野さんは食べると今ぼそっとつぶやいたけれども、絶対食べないと思うよ、本当に出されれば。僕なんかは、ひもじかったら、もしかしたら食べるかもしれないけれども。

 こういうおかしな議論を、無理やり化学という言葉で封じ込めちゃいかぬと思うんですね。化学は化学として、それはあるのは私も認めますよ、ちゃんと認めます。しかし、他方で、シアン化合物がマグロに付着して、それを食っても安全だから大丈夫なんですとかいうようなことが堂々とまかり通るような議論というのは、私は、日本のおかしな風潮をある意味象徴しているんじゃないかな、おかしなことだなというふうに思っておりまして、環境大臣は東京都選出でいらっしゃるので、ぜひ石原東京都知事に、おかしな議論が行われていると国会で指摘をされているんだがということで一度御相談をいただいた方がいいかなというふうに思います。

 時間もないですから、最後に、環境大臣には、私どもは、だからこそ法律の改正案を提案して、しっかり土壌汚染対策をとりましょうね、日本がCO2対策についてはイニシアチブをとるのだと力んでいる状況なわけですから、水と空気と土という意味において土もしっかりしましょうね、来臨時国会にぜひ我が改正案に御賛成をいただいて成立をさせていただきたいということをお願い申し上げておきたいというふうに思いますし、環境省の中でも見直しの議論が進んでいるということでございますので、大臣に、環境省として土壌汚染対策法の見直し、改正へ向けて、中央環境審議会の作業が進んでいる、その見直しの方向性、審議会の審議状況、あるいは取りまとめの時期、さらには、来年の通常国会には改正案が出るのか出ないのかということまで含めて、ちょっと御説明をいただきたいと思います。

鴨下国務大臣 もう既に先生はすべて御存じだろうと思いますが、五月の二日付で今後の土壌汚染対策のあり方について中環審に諮問したところでございます。加えまして、今後、審議結果を踏まえて、法律の改正を見据えて取り組んでいきたいというふうに考えております。

 ただ、今後のスケジュールについては、審議会で今御審議いただいているところでございますので、我々が予断を持っていつというようなことを今の段階では申し上げられませんけれども、先生おっしゃるように、土壌汚染は我々の生活の中で極めて重要な項目でございますので、しっかりと取り組んでまいるということでございます。

川内委員 最後に、対象範囲は見直すということでよろしいんでしょうか。見直す方向で議論していただいているという認識でよろしいでしょうか。

鴨下国務大臣 そういうことを含めてあらゆる方向から安心な土壌であるべきということについて総合的に審議をしていただいている、こういうようなことでございます。

川内委員 終わります。ありがとうございました。

小島委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 本日は、G8サミットへ向けての地球温暖化対策について御質問をさせていただきますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 七月七日の北海道洞爺湖サミットまであと一カ月を切ったわけでございますが、近年のサミットの最も重要な課題は地球温暖化対策であり、また、エネルギーや食料の問題なども、気候変動の不安と関連しつつ、人類の生存基盤を脅かしていると言えるのではないでしょうか。言うまでもなく、G8サミットは主要国首脳による政治のリーダーシップが問われるものでございます。昨年、IPCCが第四次報告書を取りまとめましたが、我々は、最新の科学的知見をもとに、また人類益に立って政治決断をして、早急に温暖化を食いとめなければならないと考えます。

 公明党は、六月六日に、「北海道洞爺湖サミットに向けた地球温暖化対策に関する提言」を取りまとめまして、福田総理に申し入れました。政府としても、昨日、福田総理から「「低炭素社会・日本」をめざして」と題する福田ビジョンが発表されたところでございます。これらを踏まえて、きょうは質問をさせていただきたいと思います。

 まず、長期目標について御質問をさせていただきたい。

 長期目標というのは、文明の方向性について世界全体で認識を共有するという意味で非常に重要でございます。したがって、今回のサミットにおきましては、二〇五〇年までに世界全体の温室効果ガスを少なくとも半減するというビジョンでG8各国が合意するとともに、先進国のみならず、中国、インド等主要排出国を含めたG8拡大会合メンバーの間でもこれを共有することが重要でございます。そのためには、先進国、なかんずく本年の議長国である我が国が、みずから率先して温室効果ガス削減の範を示す必要があると考えます。

 公明党は、IPCCの報告や国立環境研究所の分析結果を踏まえた上で、二〇五〇年に八〇%削減を視野に入れた目標を掲げることを提言いたしました。総理は、福田ビジョンで、六〇ないし八〇%削減するとの長期目標を初めて示されたことになります。

 そこで、環境大臣に、長期目標を表明することの重要性と、その具体的な目標設定についてどう考えておられるか、お聞きをいたします。

鴨下国務大臣 長期目標につきましては、総理からの提案では、二〇五〇年までに世界全体で排出量を半減させるということについて合意することを目指す、それから、日本としては、二〇五〇年まで現状から六〇から八〇%の削減を掲げて、世界に誇れるような低炭素社会の実現を目指す、こういうふうなことをおっしゃったわけでありますけれども、いずれの内容も、これはサミット議長国みずからが前向きな姿勢を示すという意味で大きく評価ができるものだと考えています。

 昨年のハイリゲンダム・サミットにおいては、これは二〇五〇年までに世界全体の排出量を少なくとも半減させることについて合意に至らなかったわけでありますから、今回の総理の御提案につきましては、洞爺湖サミットにおいてこれを合意する、こういうようなことに大きな弾みになるのだろうというふうに思っております。

 そして、洞爺湖サミットにおきましては、二〇五〇年を目指した長期目標を合意することがもしできるようになれば、これは温室効果ガスの大幅削減と経済の両立というものをしっかりと踏まえました低炭素社会づくりのための新しい規範の確立、あるいはパラダイムシフトというような、こういうようなことが世界に発信できるわけでありまして、特に主要排出国あるいはG8国がそういう方向を目指すというのは歴史上非常に重要な節目になるというふうに考えておりますし、世界はそういう方向に向けてこれから一斉に走り出す、そういうきっかけになるのだろうというふうに思っておりまして、いわば極めて重要な目標だろうというふうに思います。

江田(康)委員 大臣が今申されましたように、この長期目標においては、世界全体で半減するという合意を目指すわけでございますが、昨年のハイリゲンダム・サミットでは合意に至らなかった、今回のサミットの最重要課題であるかと思います。そういう意味で、やはり総理が六〇から八〇という数値を示されたことは、大臣もおっしゃられるように大きな弾みになる、私もそのように評価するものでございます。

 この長期目標に加えまして、サミットでは、世界全体で次の十年から二十年の間にピークアウトして、その後大幅に削減していくことを世界に働きかけるべきと考えます。いわゆる中期目標でございます。

 公明党の提言におきましては、先進国が二〇二〇年に九〇年に比べて二五ないし四〇%削減する必要があるとのIPCCの科学的知見を念頭にしまして、我が国の削減ポテンシャルも踏まえた上で、二〇二〇年に二五%削減するとの中期目標を設定することを明確に打ち出させていただきました。今回の福田ビジョンでは、EUが掲げる九〇年比で二〇%、二〇〇五年比で一四%の削減目標を例にとり、我が国はこのEUと同じ二〇〇五年比で一四%削減は可能として、ここ一、二年でピークアウトさせて、二〇二〇年に向けてさらに大きな削減を実現すると表明されたわけでございます。

 私からすれば、いかにもEUと同じかそれ以上の目標を表明されたかのように思われますけれども、これを冷静に分析すれば、我が国の二〇〇五年比一四%削減は、九〇年比でいくと七から八%しか削減されないレベルではないかと考えます。

 確かに基準年については、私も国際的な議論は必要であると思っています。二十年も前の九〇年比をもとに数値を示していかなければならない、こういうことはないかもしれません。二〇〇五年であってもいいのかもしれませんが、中期目標の表明というのはまた国際的な交渉事でございますので、やはりタイミングというのが大事になってくる。現時点ではこのような表現にならざるを得ないというのは私もわかるわけでございます。

 しかし、二〇〇九年末までにすべての主要排出国、これは途上国を含めて、主要排出国が参加する実効性のある枠組みを構築するためには、やはり議長国である我が国がしかるべきときに公明党が示したような目標値を示すことが私は必要であると考えますが、いかがでしょうか。

 今後、我が国の中期目標をどのように設定していくつもりか、環境大臣にお伺いいたします。

鴨下国務大臣 中期目標につきましては、総理からの提案では、今後十から二十年で世界全体の排出量をピークアウトさせる、セクター別積み上げ方式による分析とその成果のことしの十二月のCOP14への報告、そして、ここが重要だと思うんですが、方法論の確立とともに、来年のしかるべき時期に我が国の国別総量目標を発表、こういうようなことでありますから、先生おっしゃるように、来年のしかるべき時期というのはCOP14の後でありますCOP15の前だというふうに思いますから、その間に、国際交渉という中で、しかるべき戦略的あるいは国益にかなう、こういうような数値がおのずと定まっていくというふうに考えております。

 ただ、環境省としては、今先生がおっしゃった、公明党が目標値をお示しになった、こういうようなことを我々も十分に承知しております。ですから、公平で意欲的かつ野心的な国別総量目標の設定が行われるよう、国際ワークショップの開催を通じてセクター別積み上げ方式への理解をより一層広げると同時に、各国と連携しつつ方法論の精緻化に取り組んでまいりたいと考えております。

 ただ、御指摘の二〇二〇年に二〇〇五年比で一四%削減という数字は、これは経済産業省において行われました将来の排出量に関する一つの試算だというふうに私は受けとめておりまして、これがそのまま中期目標になるということではない、こういうふうに考えておりますので、ぜひ御承知をいただきたいと思います。

江田(康)委員 二〇二〇年で一四%というのがそのまま目標値になるわけではないと大臣ははっきりと申されました。私もそのように思いますし、期待もします。大変大事な、また前向きな大臣の決意もございました。公平で意欲的で野心的な中期目標、これは大変重要な御発言であったかと思います。私も大変期待もしますし、そこは政治的にもしっかりと福田総理また環境大臣が申されたことを支えていかなければならないと強く決意をしております。

 次に、省エネルギー、再生可能エネルギーの国内外の取り組みの加速化について質問をさせていただきます。

 省エネルギーや再生可能エネルギーを中心とした技術開発、技術移転を加速していくことが不可欠でありまして、先進国としては、そのための投資、資金の移転を大幅に拡大していくことが必要ではないかと考えます。世界全体で二〇二〇年までに三〇%改善を中期的な省エネ目標として、エネルギー効率に関する協力のための国際パートナーシップを立ち上げるべきであるということを提言させていただきましたが、これに関してはいかがでしょうか。

 また、我が国は世界に先駆けて太陽水素系のエネルギー経済社会を目指すべきであります。そのためには、二〇二〇年に再生可能エネルギーの構成率を現在の六%から一五%、現在の二・五倍とすることを目指して、日本版RPS法の見直し、またグリーン電力制度の効果的な拡大など、このような制度改革を迅速にやっていく必要があるかと思いますが、経済産業省のお考えをお聞きしたいと思います。

 福田ビジョンでは、これらの公明党の提言に対しまして、ドイツの例を引きながら、太陽光発電などの導入へ大胆な支援策を検討することを示唆したことを踏まえて、経済産業省のお考えをお聞きしたいと思います。

上田政府参考人 内外の省エネルギー、再生可能エネルギーの取り組みの加速化についてのお尋ねでございます。

 まず、先進国として技術移転等々を進めていくべきではないかということでございますが、まさに昨日の総理のビジョンでも、発展途上国、中国、インドなどの主要排出国に対して積極的に省エネ技術やノウハウを提供していくということでございまして、政府全体で百億ドルの資金による途上国の対策を支援するクールアース・パートナーシップという構想も発表されているところでございます。

 経済産業省におきましても、こういった制度を利用するとともに、NEDOを通じました鉄鋼やセメントにおける各種の省エネ技術の実証事業というものを行っておりますし、また、民間企業が保有しているビジネスベースでの省エネ技術の移転ということを促進しておりまして、中国やインドなどの途上国と官民合同のフォーラムなどを開催しているところでございます。

 それから、今御提案のございましたエネルギー効率に関する協力のための国際パートナーシップを立ち上げるべきではないかという御指摘でございますけれども、実はこれにつきましては一点御報告がございます。

 去る土曜日、日曜日に、青森におきまして、G8エネルギー大臣会合、あるいはG8に中国、インド、韓国を加えました、私どもG8プラス3エネルギー大臣会合と申しておりますけれども、この十一カ国それから欧州委員会が参加しました青森における会合におきまして、まさに私どもも同じような方向性のもとに国際省エネ協力パートナーシップというものの設立に合意をいたしたところでございます。IPEEC、インターナショナル・パートナーシップ・フォー・エナジー・エフィシェンシー・コオペレーションと言っておりますけれども、省エネ協力のための国際パートナーシップということで合意文書を発出させていただきました。

 これはG8プラス中、印、韓並びに欧州共同体が省エネを推進するとの共通の関心のもとに結束いたしまして、こういったパートナーシップという一つの協議体を設立いたしまして、ここで、例えば、省エネ効率指標の開発であるとか、ベストプラクティスの収集であるとか、省エネ向上のためのセクター別あるいはセクター横断的な手法についての情報交換であるとか、主要エネルギー消費セクターにおける省エネ官民パートナーシップの展開であるとか、さまざまな省エネを、こういったG8プラス欧州委員会、それから中国、インド、韓国等と共同でやっていくためのパートナーシップというものの立ち上げに合意したわけでございます。

 こういったことを通じまして、従来の二国間の省エネ協力と今のIPEECという新しい仕組みを活用しながら、省エネ協力あるいは再生可能エネルギーの協力というのを展開させていただきたいと思います。

 それから、内外の内の方、国内の政策をどのようにしていくべきかというお話がございました。

 御案内のとおり、昨日の福田総理のビジョンにおかれまして、再生可能エネルギーあるいは原子力の推進が指摘されました。特に太陽光につきましては、二〇二〇年までに現状の十倍、二〇三〇年には四十倍に引き上げるということを目標として掲げられたわけでございます。

 また、その実現のためには、メガソーラー発電所の建設や、新築持ち家住宅の七割が太陽光になる、こういったことをしていく必要があり、御指摘のような大胆な支援策など、さまざまな政策を講じていく必要があるというお話をいただいております。

 これらの数字というものは、三月の総合資源エネルギー調査会の、先ほどの長期エネルギー需給見通しの数字とほぼ同様なものとなっているわけでございます。

 これらが達成された場合には、二〇二〇年には、再生可能エネルギーの一次エネルギー国内供給に占める割合は、約八・二%程度になるものと考えております。

 これらの数字は、公明党様の御指摘等を踏まえまして、なお十分でないという御指摘があろうと思いますけれども、実は再生可能エネルギーの導入というのは国や地域によりさまざまでございまして、今申し上げました目標というものも官民が総力を挙げて達成しないと達成できない、現実的にはかなり高い目標であると考えております。また、新エネの導入のコストというものも非常に大きく、その導入拡大に当たりましては、国民の負担をできるだけ少なくしていくという点にも十分配慮をしていく必要があると思います。

 RPSのお話、それからグリーン電力証書のお話と幾つか御指摘をいただきましたけれども、現在、総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会におきまして、こういった点を含めて新エネルギー政策の強化について御審議をいただいているところでございます。私ども、総理のスピーチを大変重く受けとめておりますし、今の御指摘も含めてしっかりと検討をしてまいりたいと考えております。

江田(康)委員 いっぱい政策を言っていただきましたけれども、最終的には不十分であろうかなという気はいたします。

 国際的には、途上国を含めて世界全体でCO2の削減を図っていく、そのためにも、先進国による技術開発、技術移転というのが非常に大事であって、投資、資金の移転等が重要なわけでございます。

 今、経済産業省の方から、エネルギー効率に関する協力のための国際パートナーシップ、公明党の言うところの省エネの国際パートナーシップを立ち上げられたということ等においては大変評価するわけでございます。しかし、国内対策としてはいろいろ実施していって、最終的には、二〇二〇年で再生可能エネルギーは八・二%にしかならないとのことでございました。総理はもっと大胆な発言もなされているかと思います。例えば、固定価格買い取り制度とかそういうような制度の見直し、それはRPS法の見直しでもあるわけでございますけれども、そういうようなことや、税制、また補助金、こういうようなところを積極的に進めていけば、もっと再生可能エネルギーの普及が図られるのではないかと私は強く思いますので、努力をしていっていただきたいと強く申し上げておきます。

 次の質問でございますが、国内排出量取引制度について御質問をさせていただきます。

 低炭素社会を目指すためには、経済と環境保全の統合が急務であります。経済活動に地球環境防止機能をビルトインするということが不可欠であると考えていますが、我が国のすぐれた環境技術が我々の生活の中に徹底的に普及されなければなりません。そのために有効な手法が国内排出量取引などの市場メカニズムの活用であるかと思います。

 公明党は、二〇一三年以降の大幅な排出削減のために、国内排出量取引制度について、我が国の実情に合った制度設計を開始してその導入を表明すべきであり、二〇一二年以前についても試行的に導入を検討すべきであるということを提言させていただきました。

 福田ビジョンでは、ことしの秋には排出量取引の国内統合市場の試行的実施を開始すると表明がされたわけでございますけれども、大臣、政府として、国内排出量取引制度の導入への意思を明示していくべきだと私は思いますけれども、いかがでしょうか。

鴨下国務大臣 総理が昨日発表された「「低炭素社会・日本」をめざして」においても、国内排出量取引制度について、CO2の価格づけ、今先生おっしゃったような市場メカニズムの活用に関して積極的な姿勢に転ずるべきだということをおっしゃいました。これは大変重いものだというふうに思っておりますし、環境省としてもそれに対してしっかりとお支えをしなければいけない、こういうふうに考えております。

 環境省の中でも、国内排出量取引制度を有効な政策手法の一つと認識しておりまして、もう既に、二〇〇五年から自主参加型の国内制度を実施して知見や経験の蓄積を進めてまいっております。また、本年初頭から、国内排出量取引制度検討会を設置して、具体的な制度設計のあり方について掘り下げて検討を行い、五月に、制度オプション試案を含む中間まとめを公表いたしました。

 今後は、総理のビジョンの御趣旨に沿って、我が国の実情に合った国内排出量取引制度の具体的な制度設計のあり方について検討を加速して、今先生がおっしゃっているように、第一約束期間の中でも、しっかりと制度設計、準備は万端にするべきだというふうに思っておりますし、加えて、これからそのピークアウト、あるいは中期目標、そして長期目標、こういうようなものをかなえる上には大変有効な政策手段だというふうに考えておりますので、ぜひ早目に導入を含めてしっかりと取り組んでまいるつもりでおります。

江田(康)委員 ありがとうございました。

 最後の質問に近づいておりますけれども、例えば都市のインフラ整備というのがございますが、これは一度つくってしまえば構造的にCO2等の排出の構造を固定してしまうから、二〇五〇年に向けて我が国が世界に先駆けて大幅削減するためには、今からコンパクトシティーなど低炭素都市づくりを加速することが大変重要と考えております。また、都市部だけでなくて、炭素の貯蔵庫である森林等を守って、自然共生を実現する国土づくりも低炭素社会の重要な要素であります。

 低炭素社会の実現に向けて、先導的でモデル性の高い都市、地域を選定する環境モデル都市の取り組みは、地球温暖化対策を足元から推進するためにも、また地域活性化に結びつけるという意味からも、極めて有効な取り組みであると考えます。

 これは内閣官房にお聞きしますが、従来の特区の経験を生かして規制や税制面等で国の総合的な支援を行うべきと考えておりますけれども、いかがでしょうか。簡潔にお答えをいただきたい。

上西政府参考人 お答えを申し上げます。

 昨日の総理のスピーチにおきましても、地方の活躍、貢献というものが温室効果ガス削減のための大きな柱であると位置づけられたところでございます。

 環境モデル都市は、高い目標を掲げて先駆的な取り組みにチャレンジする都市、地域を選ぶものでございますけれども、五月の二十一日に提案募集を締め切りまして、全国から八十二件の提案をちょうだいしたところでございます。現在、総理の懇談会のもとの分科会の先生方の助言も受けつつ、来月ごろの選定に向けて作業を進めているところでございます。

 選定された暁には、各都市、地域への支援におきまして、各都市の提案に基づくアクションプランを策定していただきまして実施に取り組んでいただきますけれども、国におきましても、このアクションプランの円滑な実施に向けまして、関係する省庁とも連携して、お話にございました総合的な支援を行うとともに、この取り組みを国内外に波及させるため、施策の展開や情報の発信に努めてまいりたいと存じております。

江田(康)委員 今ありました環境モデル都市も含めてですけれども、低炭素社会の実現に向けて、政府や自治体、産業界だけでなく、それぞれの地域で、消費者や国民の意識の改革などあらゆる主体の方々に取り組みを呼びかけていかなければならない、そういう時期に来ていると思います。

 公明党としては、国民参加型の地球温暖化対策を推進するため、全国の家庭や職場などで一斉にライトダウンを行うなど、市民が一体となって地球環境を考えて行動する日としてクールアース・デーの創設をこれまで提言してまいりました。これを受けて、総理は福田ビジョンの中で、七月七日をクールアース・デーとして、一斉消灯運動のみならず、低炭素社会への歩みを国民みんなで確認するさまざまな取り組みを行う日としたいと表明されました。高く評価するものでございます。

 そこで、国民参加型の地球温暖化対策を具体的にどう進めていくのか、最後にお聞かせいただきたいと思います。

南川政府参考人 このクールアース・デーでございますが、公明党が提唱されまして、きのうの福田ビジョンにおいて盛り込まれたところでございます。昨日の総理のスピーチの中で、毎年七月七日には低炭素社会への歩みを国民みんなで確認するさまざまな取り組みを行う日にしたいとございました。

 環境省としても、例えば、ことしは七月七日からのサミットに合わせまして、およそ全国六万カ所におきまして七夕ライトダウンなどを行うように現在呼びかけておるところでございます。また、それ以外にも、例えば一人一日一キロとか、ライフスタイルの見直し、さまざまな対策を行っております。ぜひ、この日を活用しまして、その趣旨が生かされるような具体的な運動を展開してまいりたいと考えております。

江田(康)委員 時間がないのでさまざまな取り組みについては割愛されたと思いますが、しっかりと国民運動を進めていく日としていきたいクールアース・デーでございます。よろしくお願いしたい。

 時間がなくなりました。

 最後に、これまでの国内対策の議論というのは、環境税とか排出量取引とか技術開発とか、個別の論議に終始して、総合政策やポリシーミックスあるいは社会経済改革の考え方というのが見られなかったことが実りの少ない議論を長引かせる、そういう原因になっていたと思います。

 この洞爺湖サミットを契機に、公明党は、地球温暖化防止基本法を制定して、中長期目標の設定や目標達成のための総合的な政策策定、総理に意見を述べる権限を持つ地球温暖化防止委員会の設置等を盛り込むべきと考えております。いよいよ、政治と行政、産業界、国民と総力を挙げてこの低炭素社会の構築へ取り組んでいく、そういうときであるかと思います。

 その重要性を指摘いたしまして、きょうの質問とさせていただきます。ありがとうございました。

     ――――◇―――――

小島委員長 次に、第百六十八回国会、参議院提出、土壌汚染対策法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 発議者より趣旨の説明を聴取いたします。参議院議員岡崎トミ子君。

    ―――――――――――――

 土壌汚染対策法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

岡崎参議院議員 ただいま議題となりました土壌汚染対策法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 近年、工場跡地などで有害物質による土壌汚染が判明し、大きな社会問題となっております。こうした土壌汚染は、これを放置することにより人の健康への影響が懸念されることから、健康被害の防止や汚染対策の確立を図るため、第百五十四回国会において土壌汚染対策法が成立したところであります。

 土壌汚染対策法は平成十五年二月に施行され、本年二月で施行後五年が過ぎましたが、法律施行前に廃止された有害物質使用特定施設に係る土地の扱いについて、同法が土壌汚染問題の実態に対応したものとなっていないとの指摘がなされております。

 すなわち、土壌汚染対策法は、水質汚濁防止法上の有害物質使用特定施設の廃止時などに、土地の所有者等に土壌汚染状況調査の義務を課しておりますが、法律施行前に有害物質使用特定施設が廃止された工場・事業場に係る土地については、経過措置により、土壌汚染状況調査の対象外となっております。

 こうした土地については、特に大規模な工場跡地などにおいて、公園等の公共施設や学校、卸売市場等の公益的施設の用地へと土地の利用状況が大きく変わることもあり、不特定多数の者の健康被害が懸念されております。

 こうしたことから、法律施行前に有害物質使用特定施設が廃止された土地において特定公共施設等を設置する場合についても、土壌汚染対策法の土壌汚染状況調査の対象とするため、本法律案を提出した次第であります。

 次に、この法律案の主な内容について、御説明申し上げます。

 第一に、土壌汚染対策法の施行前に廃止された有害物質使用特定施設に係る工場または事業場の敷地であった土地であって土壌汚染状況調査が行われていないものを新たに公園や学校、卸売市場等の特定公共施設等の用に供しようとする場合を、土壌汚染状況調査の対象とすることとしております。

 第二に、土壌汚染状況調査が行われていない土地を新たに特定公共施設等の用に供しようとする者は、都道府県知事に土地の所在地等を届け出なければならないものとし、届け出を受けた都道府県知事は、その土地が第一の土地であるかどうかを調査し、その結果を届け出をした者に速やかに通知しなければならないものとしております。

 第三に、政府は、第一及び第二によるもののほか、第一の土地の土壌の特定有害物質による汚染の状況の把握に関する方策等について、速やかに検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとしております。

 このほか、罰則その他所要の規定を設けることとしております。

 以上が、この法律案の提案の理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。

小島委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時十五分散会


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