衆議院

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第2号 平成20年11月21日(金曜日)

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平成二十年十一月二十一日(金曜日)

    午前九時三十二分開議

 出席委員

   委員長 水野 賢一君

   理事 小野 晋也君 理事 北川 知克君

   理事 小杉  隆君 理事 土屋 品子君

   理事 西野あきら君 理事 岩國 哲人君

   理事 伴野  豊君 理事 江田 康幸君

      あかま二郎君    上野賢一郎君

      小里 泰弘君    小島 敏男君

      木挽  司君    近藤三津枝君

      坂井  学君    中川 泰宏君

      福岡 資麿君    藤野真紀子君

      船田  元君    古川 禎久君

      馬渡 龍治君   山本ともひろ君

      末松 義規君    田島 一成君

      田名部匡代君    村井 宗明君

      吉田  泉君    古屋 範子君

      江田 憲司君

    …………………………………

   環境大臣         斉藤 鉄夫君

   環境副大臣        吉野 正芳君

   環境大臣政務官      古川 禎久君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局労災補償部長)       石井 淳子君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           小栗 邦夫君

   政府参考人

   (農林水産技術会議事務局研究総務官)       塚本 和男君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           西本 淳哉君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            羽藤 秀雄君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 伊藤 哲夫君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   谷津龍太郎君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            小林  光君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局環境保健部長)       原  徳壽君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  寺田 達志君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  黒田大三郎君

   環境委員会専門員     吉澤 秀明君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十一日

 辞任         補欠選任

  鈴木 俊一君     小里 泰弘君

同日

 辞任         補欠選任

  小里 泰弘君     鈴木 俊一君

    ―――――――――――――

十一月二十一日

 大口排出源に対する削減義務化等実効ある温暖化対策を求めることに関する請願(笠井亮君紹介)(第五五二号)

 地球温暖化抑止のために国内対策の抜本的転換を求めることに関する請願(笠井亮君紹介)(第五九六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 環境保全の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

水野委員長 これより会議を開きます。

 環境保全の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として厚生労働省労働基準局労災補償部長石井淳子君、農林水産省大臣官房審議官小栗邦夫君、農林水産技術会議事務局研究総務官塚本和男君、経済産業省大臣官房審議官西本淳哉君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長羽藤秀雄君、環境省大臣官房審議官伊藤哲夫君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長谷津龍太郎君、環境省総合環境政策局長小林光君、環境省総合環境政策局環境保健部長原徳壽君、環境省地球環境局長寺田達志君及び環境省自然環境局長黒田大三郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

水野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

水野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。福岡資麿君。

福岡委員 自由民主党の福岡資麿と申します。

 私、今国会から環境委員会のメンバーに入れていただきました。この委員会での初めての質問となります。ふなれでありますが、一生懸命頑張らせていただきますので、どうかよろしくお願いいたします。

 環境問題はみんなで取り組むべき課題であります。すなわち、自分だけ守らなくても大丈夫だろうと思う人がいれば十分な効果が得られませんし、また、継続性、不断の努力、こういったことも大変大事でございます。気を緩めると効果が薄れてしまうということだろうと思っております。

 そういった意味で、洞爺湖サミット時に比べると環境に関する報道とかも減ってきておりますし、また今、厳しい景気の状況下にあるわけでありますから、環境が大事だとわかっていても、企業とか家計とかでどうしても環境がおろそかになってしまうケースもあるように思っております。そういった中で、ぜひとも大臣の強いリーダーシップを発揮していただきたいということをまず冒頭申し上げさせていただきたいと思います。

 まず、私、佐賀県出身でありますけれども、私の地元は、北は玄界灘、南は有明海と二つの海に面しているわけですが、そちらでも大きな問題になっておりますことを一つ質問させていただきたいと思います。

 きょうお配りをさせていただきました参考資料の一を見ていただければというふうに思っております。この委員会でも何度か取り上げられておりますけれども、国内外からの漂着物が大変海岸に来るということが環境問題として取り上げられているわけであります。

 とりわけことしについて言うと、佐賀県の調査によれば、ことしの一月から四月までに唐津と玄海町の海岸に、これは白黒でちょっと見づらいんですけれども、二十リットル入りのポリタンクみたいなものが佐賀県で千三百個も漂着したということでございます。これは佐賀県も多い方ですけれども、一番多いのが長崎県でありまして、長崎県は七千五百以上のこういうポリタンクが海岸線にずっと漂着をしているということが問題となっているわけであります。

 これは、九九年時点の三万八千個とか、その後減少しても一万個、二万個、毎年こんなたくさんのものが海岸線に漂着をしておりまして、この中には全く表記がないものもありますけれども、表記が見られるものは、多くがハングル文字が書いてあったり、また、一部は中国のものであるように推定されるものが入っているというようなことでございます。

 また、よく言われておりますけれども、医療系の廃棄物、注射針とか医薬品が入った瓶といったものも多数漂着をしておりまして、参考資料二として次のページに写真を載せさせていただいております。減少したといっても、ことしだけでも百六十八個の医療系の漂着物が佐賀県においても確認をされているというような状況でございます。こうやって注射針とかそういったものもあるわけでありますから、過って踏んでしまったりすると感染症のおそれもあるということで、こういうのは非常に大きな問題であろうというふうに感じておるわけでございます。

 そこでお聞きしたいんですけれども、まず、海外からの漂着物ということでいいますれば、中国、韓国そして台湾、こういったところからの漂着物が大変多いというふうに聞いております。そういった国の中で産業廃棄物系とかポリタンクの処理とか廃棄のルールというのがしっかりなされているのか、もしくはそれがしっかり徹底されるような状況になっているのかということをお聞きするとともに、まず、大臣として、そういった国々にこういう漂着物を出さないようにしてもらうことについてどうやって御努力をされるかということについて御見解をお聞きしたいと思います。

斉藤国務大臣 その御質問にお答えする前に、福岡委員から御激励をいただきました。こういう経済状況でございますが、環境問題はないがしろにされていいはずがございません。

 先日も、この十二月に開かれるCOP14の準備会合がポーランドで開かれたところでございますが、これは地球温暖化の問題に限っておりますけれども、世界的に見ても、現在の経済状況下で取り組みがおくれるようなことがあってはならないというふうに確認をしたところでございます。リーダーシップを発揮して全力で取り組んでいきたいと思っております。

 漂流・漂着ごみの問題でございますが、明らかにこの国から流れてきたごみであるということがわかる場合、これも先ほど福岡委員御指摘ありましたようにたくさんありまして、そういうものにつきましては、外交ルートを通じてこの対処方を強く要請しているところでございます。そして、その関係国からは、国内法令に従い適切に処理しているんだけれども、こういう事案を重大に受けとめて廃棄物の管理等を徹底していきたい、こういう回答を受けているところではございます。

 しかしながら、先ほども御指摘ありましたように、ことしにおいても廃ポリタンクの流れ着き、漂着が認められております。引き続き関係国に強く申し入れをしていきたいと思っておりますし、この十二月の初めに日中韓三カ国の環境大臣会合がございます。国会のお許しをいただいてぜひ私も出席をしたい、このように希望しておりますけれども、出席させていただければ、この会合でも中国、韓国の環境大臣にこの旨強く申し入れたいと思っております。

福岡委員 大臣より大変力強い御見解をいただきまして、ぜひ一生懸命取り組んでいただきたいというふうに思います。

 この新聞記事等を見ましても、韓国政府としては、ポリタンクを出さないように、そういう二十リットル入りじゃなくてもっと大きい容器を正式に業者には推奨しているのでノリ養殖業者のものではないと表向きは否定しているんですけれども、やはりこちらにも書いてありますように、やみでというか、ひそかにノリ養殖を行っている人が摘発を逃れるためにそういったものを海に隠していたりして、そういうのが日本に大量に流れ着いているんじゃないかというような推測もあるわけですから、そういった取り締まりをしっかり強化してもらったりすることも含めて、やはり四万個のポリタンクが漂着するということは尋常な量ではありませんので、そういった部分も含めてぜひ交渉をしていただきたいというふうに思っております。

 続きまして、一つ質問を飛ばさせていただきますが、こういった回収されたごみというのは今自治体で処分をしているわけですけれども、例えば先ほどの医療系のごみとかについては、注射針とかは踏んでしまったら大変なことになりますから、各自治体ともこれまでよりもパトロールを密にして、そういった事故が起こらないようにということでかなり負担がかかっているというのが現状だというふうに認識しています。もしくは、先ほどのポリタンクとかも、中には塩素系のものが入っていたりして、適切な処理をしなければいけないということでコストもかさむというようなことが言われているわけであります。そういった自治体の財政負担、自治体の職員とかからは、本来自分たちが責めを負わないようなところから流れてきたものの処理に対して金銭的な面も含めて過度の負担が強いられているということはなかなか大変だという声を聞くわけであります。

 これまでも、環境省の災害等廃棄物処理事業費補助金については、災害に起因しないようなものについても適用していくということで、適用しやすい環境整備には十分努めてきていただいているというふうには承知しております。今後とも、量の基準であったりそういった部分も含めて、自治体にとってより使い勝手のいい補助金の体制といったものも構築していく必要があるというふうに認識しておりますが、その点についての御見解をお聞かせいただきたいと思います。

古川大臣政務官 漂着ごみにつきましては、生活環境の保全ということから、適正に処理をするということが大事だと考えております。

 海岸の総延長が三万五千キロメートルあるわけですけれども、このうちの五分の二がいわゆる海岸保全区域でして、農林水産省や水産庁、それから国土交通省が海岸管理者に対して財政支援を行っている。その他の五分の三の部分につきましては、環境省が市町村などへの支援を行っておるという状況です。

 今先生の方から御指摘がありました災害等廃棄物処理事業費補助金、これは環境省がやっておることでございますけれども、この適用条件は、災害に起因しない場合でも適用されることになっております。ただ、その場合は、漂着量が百五十立米という採択条件が一つあるわけですけれども、これはトラックで大体数台分ということで、さほど大量の、ハードルの高い量ではないのではないかなというようなことを考えております。災害起因のごみにつきましては、御案内のとおり、漂着量にかかわらず適用されるということでございます。

 さらにもう一つ、採択条件としまして、事業費が四十万円以上という条件が設けられておるわけですけれども、これは、例えば玄界灘、先生の御地元佐賀県の平成十九年の台風四号による影響で漂着したごみの処理、この場合の事例ですと百十万円ほど事業費がかかっておるわけですけれども、このように、四十万円という基準はさほど高くないものではないかなというふうに考えております。

 いずれにしましても、生活環境の保全ということのために、今後とも、自治体を支援し、頑張ってまいりたいというふうに考えております。

福岡委員 今政務官お答えいただきましたとおり、これまでも環境省も十分いろいろな緩和を図ってきていただいていることは十分承知しておりますが、今後もぜひ地元の自治体の声にもしっかり耳を傾けていただきながらしかるべき措置を講じていただきたいということを申し上げますとともに、先ほど大臣のお話もありましたが、漂着ごみ、きちんとラベルとかが張られていてそこに表記があるものについてはある程度特定できるんですが、どこから来たものかわからないという、特定できないものも多数あるわけでございます。そういった意味においては、今調査も進めておられますけれども、どこから来るのか、そういった原因究明をぜひ政府としてもしっかり進めていただきたいということをあわせてお願い申し上げさせていただきたいというふうに思います。

 次に、地球温暖化の農業への影響というようなことについてお聞きをさせていただきたいと思います。

 最近、米においても高温障害というようなことが大変言われています。佐賀県においても、ことしは八年ぶりに台風が来なくて豊作だろうと思われていたところ、作況で見ると九八ということで、よくなかった。そのときに、やはり出穂期の気温が高かったというのが一つの理由じゃないかと言われておりますけれども、このところ米の品質低下が著しいですし、また、気温が上がったことによって、カメムシの発生とかで農作物の被害が物すごく大きいというふうに承知しています。

 まず、農水省の方でこういった気温上昇による農業への影響の実態をどのように把握して、またどういうふうに対策をしていくかということについてお聞きをしたいと思います。

塚本政府参考人 地球温暖化の進行による気象の変動ということで、これは先生がおっしゃられたとおり農業にも大変大きい影響を及ぼすというふうに予想されております。

 現在、こういった農業への影響予測ということで、独立行政法人農業環境技術研究所というようなところが中心になりまして予測をやっております。例えば、全国平均で年約三度気温が上昇したというふうに仮定いたしますと、水稲については、収量が北海道だと一三%増加する一方で、それ以外のところでは八ないし一五%ぐらい減少するというような予測も出ております。

 農林水産省といたしましては、ことしの七月に地球温暖化対策研究戦略というようなものも策定いたしております。こういった戦略に従いまして、将来の温暖化の影響の予測とか評価、それから温暖化に対する生産安定技術の開発といったところに取り組んでいきたいというふうに考えております。

福岡委員 ありがとうございます。今後もしっかりと取り組みをしていただきたいと思います。

 一方で、温暖化対策ということもそうでありますが、これから冬を迎えるわけであります。そんな中で、各ビニールハウスとかで重油をたいたりということが行われるわけでありますが、環境に優しい農業のあり方ということも一方で考えていかなければいけないような状況になっているだろうというふうに思っています。

 今回、補正予算においても、燃油とか肥料の高騰対策というようなことは盛り込まれております。そういった中で、私がある農家を訪ねたところ、その方に言われたことなんですけれども、原油の高騰分を補てんしてもらうということは農家経営として非常にありがたいことなんだけれども、やはり燃油を燃やすということは地球環境という意味ではいい話ではありませんので、そういったことに予算をつぎ込んでもらうのもいいんだけれども、例えば、今の気温よりも一度でも二度でも低い温度でできるような品種改良とか、そういうものをやってもらえば全国的に燃油をたく量が大幅に減少するんじゃないか、そういった品種改良とかも一生懸命取り組んでいくべきじゃないかというような御提案もいただいたわけであります。

 そういったことも踏まえて、農業分野における省エネ化であったり、またCO2の排出削減といったことに向けて現状どういう取り組みがなされているのか、また今後どういうふうに取り組んでいかれるのか、この点についてお聞きしたいと思います。

塚本政府参考人 お答えいたします。

 地球環境を考えた場合には、農業分野においても省エネルギーの取り組みが必要だということはもうおっしゃるとおりでございます。

 具体的に、現在やっておりますのは、省エネ効果が特に大きい施設園芸を主といたしまして、品種の開発といった観点からですと、余り温度を加えなくても品質がいい野菜とか果樹などの品種の開発、それから栽培の技術といった面では、施設内全体の温度を下げても根っことかそういう植物体の一部を加温することで収量、品質を低下させないような省エネの温度管理技術の開発、それから実際ビニールハウスなどで使っております資材といった観点ですと、フィルムを二重にいたしましてその間に空気を入れた保温効果の高い被覆フィルムといった資材の開発というようなことを現在進めているところでございます。

 今申し上げたのは施設園芸ですけれども、ほかにも、土地利用型農業だと、通常、水稲の苗を育てるには加温が必要なわけですけれども、こういったものを省略できるような直まき栽培に適した品種の開発というようなことも進めているところでございます。

 いずれにしても、省エネルギーは農業の分野でも大変大切だと考えておりますので、研究開発なり技術開発を進めていきたいと考えております。

福岡委員 今おっしゃっていただきましたようにさまざまな取り組みがなされているということは承知しておりますが、今後さらにそういった検討、実施を進めていただきたいということを申し上げさせていただきます。

 農業と環境という分野についてもう一点お聞きさせていただきたいと思いますけれども、実は、北部九州というのは米と麦の二毛作を一つの水田で行うわけであります。以前は、麦をとった後、その麦わらを燃やしていたんですね。野焼きで燃やしていたんですけれども、それが、いろいろ近隣の方からも、煙たいとか洗濯物がすすで汚れて黒くなるといった苦情であったり、もしくはその燃やす行為自体が地球環境によくないんじゃないかというような御指摘もあって、最近、市町村ごとでそういった野焼きを禁止するというようなところが大分出てきているということであります。

 野焼きをしない場合に、土を掘り起こしてわらをまぜてすき込むという行為をするわけですけれども、これによって、いろいろな意見があって、麦わらが地中に埋まったために、それが、正常な生育をするのに、根が張るのに邪魔をしているんじゃないかと言う人もいれば、麦わらが栄養分になって逆にいいんだと言う人もいれば、そういったところでいろいろな意見が分かれているところであります。

 まず、このすき込みと稲とか麦の発育に相関関係があるのかということについて、農水省として何かわかっていらっしゃる見解があるかについてお聞きしたいと思います。

小栗政府参考人 わらをすき込んだ場合の水稲の生育に対します影響でございますけれども、稲わらなどの有機物を土壌に施用するということは、一般的に、土壌の化学性であるとか物理性であるとかあるいは生物性を改善、向上するということで、望ましい効果があるというふうに考えております。

 しかしながら、ある作物の直前にわらをそのまますき込む、例えば、今お話がございましたように、佐賀県ですと米麦の二毛作をやっておりますので、麦作の後にすぐ稲作を始めなきゃいけないということで、直前の麦わらをすき込んですぐ水稲を作付けるといったようなことをいたしますと、本来肥料の窒素分が作物に吸われなきゃいけないものが未熟のわらを分解するために使われてしまって生育が不良になるとか、あるいは麦わら自体が水稲の代かきとかいった作業の邪魔になるといったような悪影響も懸念されるところでございます。

 したがいまして、そのような悪影響をできるだけ生じないように、地元では、すき込み方を工夫するということ、あるいはまた、すき込むのではなくて、一たん外へ出しまして家畜の敷きわらなどにしまして堆肥化した上で戻してやる、そういったことについて推進をしているところでございます。

福岡委員 この点について環境省の方にもお聞きをしたいんですけれども、野焼きをしてもカーボンニュートラルの観点からいうとプラマイ・ゼロだというような見方もあるわけです。しかしながら、燃やすという行為自体は二酸化炭素を当然排出するわけでありますし、また、それが不完全燃焼した場合には、メタンガスとか一酸化二窒素、そういうものも排出するおそれがあるというようなことが言われています。

 しかしながら、先ほど言った、ではすき込んだ場合に環境にいいかという話でありますと、すき込んだ場合でも、すき込んだ麦わらからメタンガスが発生したりして、必ずしも地球環境にはプラスにならないというような見方も一方であるわけであります。

 その点についてお聞きしたいんですが、まず、燃やすのとすき込んだ場合と比較したときに、どちらもメタンガス等が発生する、二酸化炭素であったりメタンガスを発生するとするならば、どちらが環境にとって優しい行為なのかとか、また、野焼きという行為自体について環境省としてどういうふうにとらえているか、この点についてお聞きしたいと思います。

寺田政府参考人 お答えを申し上げます。

 メタンガスというのは御存じのとおり二酸化炭素よりはるかに温室効果の高い気体でございますので、メタンガスの発生自身はいろいろなやり方により抑制する必要がある、こういうことでございます。

 あと、残る問題は、絶対出てしまう二酸化炭素という問題でございますけれども、これはやや複雑でございまして、基本的には、京都議定書という一つの制度から見ますと農業起源の有機物というのはほとんどカウントされませんので、プラスマイナスはほとんどないだろうというふうに思いますけれども、現実問題の発生ということになりますと、基本的には、燃やそうが、あるいはそれが燃やす以外の形で分解されようが、要は、地中にある炭素の量が変動しない限りは、空に出ていくわけでございますので、長い目で見るとプラスマイナスはほとんど変わらないのではないかということは一般に考えられます。

 ただし、実はその問題につきまして私ども詳細な調査は実施しておりませんので、これから研究してまいりたいと考えております。

福岡委員 ぜひ今後もそういった調査、検討を進めていただきたいということをお願い申し上げさせていただきたいと思います。

 もう時間も大分迫ってきています。最後の質問にさせていただきたいと思いますが、現在、有明海の環境悪化によって漁業とかが深刻な状況にあるわけであります。諫早湾干拓が有明海に及ぼす影響をしっかり解明してもらうために、佐賀県としてはずっとこれまでも開門調査をしてくれというようなことを求めてきましたし、また、佐賀地裁の判決を受けて、農水省が主体となって今度開門調査に先んじた環境アセスメントを進めるというようなことが今決定をしているわけであります。今回は環境影響評価法に基づくアセスメントということではありませんけれども、実施要領では、通常のアセス同様環境大臣の意見が具申できるというような形になっているわけであります。

 御承知のとおり、諫早湾の問題、非常にこれは難しい問題でありまして、例えば、干拓地で農業をされている農業者と漁業者との間で利害が相反する部分がある、もしくはその後ろにある佐賀県と長崎県も意見を異にしている。そういった状況もある部分もあって、そういう中で、やはり事業を行う省庁、すなわち農水省という部分では、相反する主張の板挟みになってしまうという状況が当然あるわけでございます。

 この有明海のケースに限ることではありませんが、今さまざま行われていますそういった環境アセスメント調査というのは、一義的には実施する主体となる省庁があるわけでありますが、やはり一歩引いたところで環境省が、環境という立場から本来どうあるべきかというスタンスで適切な助言をしていただく、監督をしていただくということについては、今後ますますその重要性というのは高まっていくのではないかというふうに思っております。

 そういった観点で、環境大臣、今後いろいろ行われるであろうこういった環境アセスメント調査についてどういった御見解をお持ちかということについて最後にお聞きをさせていただきたいと思います。

斉藤国務大臣 今福岡委員おっしゃった、環境保全の立場から客観的に我々の意見を述べていくということ、その姿勢を堅持することが非常に重要だと考えております。

 今回の場合は、アセス法に準じて農林水産省が行う、それに対して我々環境省が環境保全の見地から意見を申し述べる、こういう仕組みでございます。

 もう一度繰り返しになりますけれども、客観的に、こうなった場合はこうなるのではないか、こうした場合はこうなるのではないかということを客観的に意見を申し上げたい、このように思っておりますし、それが重要だと思っております。

福岡委員 今、客観的にという言葉を何度も使っていただきましたけれども、いろいろな思惑があるような中で、中立公正な立場で、客観的な状況の中で本来どうあるべきかというところを見ていただくに当たって、やはり環境省というところは非常に重要な役割を担うというふうに思っておりまして、そういった観点からも、今後もより一層いろいろな面で御努力いただきますことを心から期待させていただきまして、時間も参りましたので質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

水野委員長 次に、岩國哲人君。

岩國委員 民主党の岩國哲人でございます。

 斉藤大臣に初めて質問させていただくことを大変うれしく思っております。

 斉藤大臣も島根県の持つすばらしい自然環境の中でお育ちになり、今でも愛していらっしゃることはよく存じ上げております。日本じゅうを島根のようなすばらしい自然環境のままでと願っておられることと思います。

 そういうことを申し上げさせていただいた上で、この環境という言葉と保全という言葉、先ほど福岡委員の御質問にもありましたけれども、この環境委員会、そして環境行政、大変重要さを加えていることは申すまでもありません。その中で、新しい時代の入り口に立って、この環境という言葉はもう随分長く使われてきました。時代もたちました。そして、皆さんの認識も変わってきました。この中で環境というものについてどういう定義を新しい定義として位置づけておられるのか、その点についてまずお伺いしたいと思います。

斉藤国務大臣 環境という言葉をどう認識しているか、位置づけているかという御質問かと思います。

 環境は、その言葉のごとく我々を取り巻くすべての状況と、境(きょう)という字は境(さかい)ですから、主体とその周りの客体との間のつながりも含めた概念だと思います。そういう意味では、我々人間、また地球上に生きるすべての生命体の相互関係、そしてその周りのもの、そして、ある意味では生命とその周りの無生物の間の相互関係、すべて含めた概念を環境という言葉に込めている、このように認識しております。

岩國委員 環境教育も大変大切だということが言われております。また、次の時代を担う小さな日本国民が同じようなそういう意識を持っていくこと、またそういう教育を推進することが我々の役目ではないか、そのように思っております。大臣のおっしゃるように、昔の環境というのは、周りに森があればいい、道路が走っていればいい、空気がきれいであればいい、そういう素朴な程度だったと思いますけれども、最近は、随分環境の変化が進んでまいりますとともに、環境という言葉そのものも変わってまいったと思います。

 次に、そういうふうに環境というものが物的なものだけではなくて、目には見えない自然界の動き、時には最近のように社会環境とか経済環境とか、あるいは文明そのものが環境ではなかったかと。今ごろ、だんだん行き着いてくるところは、我々が文明、文明と言っておったものそのものが実は本当の環境であったのではないか、私はそのように思うわけです。

 そして、その中で、経済的な環境もあるでしょう、あるいは精神的、文明的、文化的な環境もある。としますと、環境保全というこの言葉、この委員の中からもそういう意見が出ておりますけれども、環境省設置の一番大切な柱である言葉は環境保全というこの四文字、この四文字がそういう文明的、精神的、社会的なものを踏まえた場合に、大臣がおっしゃるように、保全というのはどういう言葉なのか、御説明いただけませんか。

斉藤国務大臣 環境保全の保全というのはどういう意味かということでございますが、これは改めて岩國委員にお話しするのは釈迦に説法でございますが、環境省設置法の中に「環境省は、地球環境保全、公害の防止、自然環境の保護及び整備その他の環境の保全(良好な環境の創出を含む。)を図ることを任務とする。」このように書かれております。

 そのコメンタールにこのように書いてあります。「「環境の保全」の考え方を整理すれば、それは、大気、水、土壌等の環境の自然的構成要素及びそれらにより構成されるシステムに着目し、その保護及び整備を図ることによって、これを人にとって良好な状態に保持することを中心的な内容とするものである」、このようにコメンタールで書かれているところでございます。

 岩國委員の問題意識、私もなるほどなと思いながら聞かせていただいたわけですが、そういう意味では、今の法体系の中では、先ほどおっしゃったようなすべての環境という新しい意味も含めて、また新しい環境の創出ということも含めて環境の保全と言っている、このように認識をしております。

岩國委員 今大臣がおっしゃった立派ないろいろな言葉がございました。これは、環境省について大臣が国際会議で説明されるとき、環境保全というのはどういう英語をお使いになっていらっしゃいますか。

斉藤国務大臣 大臣になりましてから、国際会議に行くチャンスはいっぱいあったんですが、すべて国会の状況の中で参加しておりませんで、国際会議で実際にそういう場面に遭遇したことはございません。また、日本で会議をするときは通訳を使っておりまして、保全という言葉がどのように訳されているか、今ちょっとつまびらかではございません、どういう英語が使われているかについては答えられません。

岩國委員 それは調べてみましたら、エンバイロンメンタルコンサベーション。プロテクションではなくコンサベーションという言葉の方が使われておりますね。そのように環境省設置法の英文訳には書かれておりますから、通訳が正しく通訳されたとしたら、その言葉が使われたと思うんです。

 保全にしましても、英語のコンサベーションにしましても、私は、今の環境行政からしたら二歩も三歩も後退していると思うんです。この環境省そのものが意識を改革していくその先頭に立つべきなのに、それがいつまでも古い名前、古い定義を引きずりながらこの行政をやっているのでは、とても新しい時代の環境行政というものを打ち出すことはできないと思います。

 だからこそこの環境保全という言葉についても、大臣らしくもう少し新鮮な、そして子供たちにも夢と意欲をわかせるような言葉を私はつくり出すべきだと思います。そのことを提案し、また、その環境保全にかわる言葉として大臣は何か新しい四文字をお考えになっていますかということを通告してありますけれども、もし御紹介いただけるようであれば御紹介いただけませんか。

斉藤国務大臣 岩國委員のその問題意識は非常によく理解をしたところでございます。

 その四文字につきましては、私、どういう言葉がいいのか、ちょっと私のこの貧弱な頭の中で、また国語力の中で思い浮かびませんけれども、そういう問題意識を持って今後取り組んでいきたいと思っております。

岩國委員 日々の行政に取り組んでいただくことは、もちろん大切なことでありますし、大いに期待しております。と同時に、あす、あさってを目指した、あるいは世界の中で日本の環境行政というのは哲学を持っているねと言われるような世界をリードするもの、それが環境サミットをことし日本で開いた最大の意義ではありませんか、目的ではありませんか。そして、そういう思想と哲学と長い歴史の伝統を持っている日本だからこそ、こういう世界をリードする目標を出してくれるんだ。それがこの四文字に込められた……。

 私は、斉藤大臣の一番大切な仕事は、環境サミットを終わって最初の環境大臣になられたという使命感をしっかりと持って、この言葉の扱いについても、決して私は言葉で揚げ足をとるようなことにこだわっているわけではないんです、それはよくおわかりいただけたと思います。そういう、何を目指すかという思想、国民にどういうものを理解させようかと。それがなければ、ただ予算をとって、お金を使って何か環境行政らしいものを、よその国でもやっていることを日本でもやっているねと、それだけでは、大臣、つまらぬと思います。そのことをお願いします。

 福岡委員が長崎県、佐賀県の漂着物について、私の育った出雲市でもそれはたくさんあります。出雲というところは、昔から朝鮮半島、中国からたくさんの文化をいただいた窓口でした。今、何がやってくるか。ハングル語の漂着物ですよ。昔は文化、今は廃棄物。この落差の大きさ。ここに私たちが取り組むべき行政の宿題があると思います。

 ついでに環境省にお願いしておきますけれども、各自治体にそういう漂着物の対策費がどういう形で出ているか、その資料をこの委員会に提出していただきたいと思います。昔は文化、今は漂着物に悩んでおる自治体にどれだけの対策費が国から出されているかということをぜひ資料提供をしていただきたいと思います。

 次に、環境サミットが行われまして、国際的な協力というものが打ち出され、大変私は結構なことだと思います。その国際協力という中で、私は、最近委員の皆さんと一緒に沖縄の、日本の中の自然がどのように変化し、あるいは破壊されつつあるかということも勉強してまいりました。同じような時期ですけれども、私は、中国の方へ旅をしまして、山西省というところも勉強してまいりました。

 中国の歴史というと、北京と西安、せいぜいそれぐらいの歴史を結び合わせて、これが中国の歴史と思っておったことを私は非常に恥じております。山西省というところがどれだけ豊かな自然と豊かな力、そして毛沢東によるあの革命のとき、どれだけの力をあそこは持っておったか、すべての中国のあの大きな歴史の動きの中に山西省のこういう力があったんだということを改めて私は勉強させられました。

 しかし、環境委員会の委員の一人として、非常に悲しい出来事にも私は出会ったんです。

 世界的な環境問題の調査機関が世界の環境のランキングをつけております。その中で必ず登場してくるのが中国の地域。そして、必ず登場してくるのが中国の山西省。世界で環境ワーストワンと言われるところにまでなってきたんです。

 御承知のように、山西省は中国のエネルギーの三分の二を石炭に、そして日本の電力会社も積極的にそれを利用しております。掘れば掘るほど、CO2、いろいろな公害問題が高まってきたんです。お金にはなるけれども公害にもなる。金と公害が手と手をつないで山西省で育っている。農業は山西省に学べと言った毛沢東、工業は大慶に学べ、農業は大寨に学べ。その山西省の農業は、ついに地下水が枯渇することによってどんどん衰退していったんです。一番大切な食料、農業が廃れる。公害ではナンバーワンというか、ワーストワン。こういう環境を目の当たりにしました。

 そして、ある小さな女の子の手紙が披露されました。この委員会でも御披露したかもしれません。学校で夜になると月や星が見えることを私は習ったけれども、夜になって一遍もお月さん、お星さんを見たことがない、お星さんやお月さんが見えるところに引っ越してくださいとお母さんにお願いしています、この胸のつぶれるような、小さな小学生の手紙を私たちは知って、これは何とかしなければならぬ。こういう山西省の環境の悪化というものが広がっていけば、これから二十一世紀、経済的な成長が一番期待されているこの地域はひどいことになる。それは日本にも及んでくる。

 大臣、もう既に問題意識は持っていらっしゃると思います。中国と提携して、どういうふうな環境対策、地球温暖化対策を展開しようとしておられるか、総論だけではなくてもう既に具体的な検討をしておられるかどうか、それについて教えていただけませんでしょうか。

斉藤国務大臣 私も、先日岩國委員からこの環境最悪の山西に学べという記事をいただきまして読ませていただいて、その中に月を見たことがないという少女の手紙が書いてございまして、そんなところがあるんだなとびっくりした次第でございますし、また、日本の持っている技術を使って、同じ東アジアに住む一員として協力関係を築いていかなきゃいけないと強く考えたところでございます。

 これはもう御存じかと思いますけれども、日中の協力につきましては、日中友好環境保全センター、これも環境保全という言葉が出てまいりますけれども、環境保全センターを北京に設立し、山西省は河北省のすぐ隣、北京のすぐ隣でございますので、この今あるセンターを使いながら、我々もできるだけのことをしていきたいというふうに考えた次第でございます。

 今後、この日中の技術協力をどう進めていくのか、どういうことをしようとしているのかということを御質問でございます。

 一つは、この地球温暖化問題とリンクいたしまして、コベネフィットアプローチということを今提案しております。コベネフィットアプローチというのは、地球温暖化対策と同時に公害対策にもなる、そういう形で中国を新しい枠組みの中に引き込みながら公害にもしっかり対策を打っていく、そのための技術協力、また世界的な枠組み等を今提案をしているところでございます。

 また、日中環境基金というものをつくってこれを進めていったらどうかという提案も各政党から提案されているところでございまして、この実現に向けても検討を進めていきたい、このように思っております。

岩國委員 ありがとうございました。

 大臣は山西省へまだ行かれたことはございませんですね。世界で環境が一番いいというところに人間はとかく行きたがるものですけれども、私は環境が一番悪いというところへ行った方が一番勉強になるんじゃないかと思うんです。そういう逆転の発想といいますか、世界でワーストと言われたところが、中国と日本が技術と調査にお金と人を出して協力し合って、そのワーストがどこまでどんどんよくなっていくか、これが楽しみではないかと思うんですね。そして、世界のいろいろな環境に悩む国が勉強に来るのは、もうベストじゃなくてあのワーストへ行って勉強しようという一つの流れをつくっていただきたいと思います。

 大臣がその日中協力の中で、一九八八年に中国と日本との間でできた一つの共同研究センターがございますね、これについてごく簡単に、一九八八年にどれだけの予算がつけられて始まったプロジェクトなのか、もし資料がすぐお手元にあるようでしたら、質問予告は特にその点についてだけしたわけではございませんけれども、教えていただけませんか。

寺田政府参考人 御説明申し上げます。

 御質問の一九八八年から開始されましたセンターでございますけれども、日中平和友好条約締結十周年記念ということで、当時の竹下総理大臣のイニシアチブで実現されたプロジェクトでございます。

 資金規模でございますけれども、無償資金協力で大体百五億円という規模で開始されたものと承知しております。

岩國委員 この一九八八年から二十年たちました。そして、日中友好条約から三十年たちました。ことしはそういう記念すべき年でもあり、また、それを締結されたのが竹下元総理、相手方は李鵬という首相だったのですね。

 李鵬さんは亡くなられました。その長男が今、山西省の副省長として赴任されたばかりです。私が理解しているところでは、この李小鵬副省長の最大の使命は、エネルギーの供給をしっかりと守ること、同時に山西省ワーストと言われている環境問題を解決すること、そして農業を復権させること。エネルギーと環境と農業の三つの難しい使命を背負って北京から赴任されたのが李鵬総理の御長男です。

 そして、この日中協力は李鵬首相と竹下総理で結ばれた、こういう不思議な縁もありますから、そういったこともぜひ御認識いただいて、竹下総理と同じ島根出身であります斉藤大臣の時代に、ぜひこれを日中共同の強力な、山西省の中に研究センターを置いて、アジア全域の地球温暖化対策の研究調査あるいは訓練、アジアの若い人たちがそこで勉強し、調査し、実践し、訓練し、それぞれの国へ帰ってこの地球を守る運動に参加させるような、そういう壮大な夢を、もちろんこれは資金的なものも必要でしょう、百何億円という当時のお金では足りないことは私もわかります。しかし、これは外交の面でも、そして将来の経済生産を保障する意味でも、私は大切な投資であると思うのです。ぜひ内閣の中でも積極的にこの構想を推進していただきたい。また、李鵬首相の遺志を引き継いだ李小鵬さんが山西省におられるという、このめぐり合わせも私は大切なことではないかと思いますから、ぜひそういう構想を推進していただいて、世界のワーストを中国と日本が手をつないで解決したんだという実績を生み出していただきたい。

 それが同じ島根に育った私の願いでもありますので、斉藤大臣、ぜひ実現していただきたいのです。お言葉をいただけませんでしょうか。

斉藤国務大臣 同郷の先輩である岩國先生から御提案をいただきました。

 今後の、先ほど申し上げましたコベネフィットアプローチの中の一つの有力な候補だろうとも思います。北京にあります環境保全センターの役割とも調整をしながら検討させていただきたいと思います。

岩國委員 ありがとうございます。ぜひ実現していただきたいと思います。中国に喜ばれ、そしてアジア全域がこれから同じような悩みを持つであろうそれに先手を打って、あそこで頼りになる中国と日本がしっかりと手を結んでこの地域の環境を守ってくれるということの第一歩を早く踏み出していただきたいと思います。

 次に、同じく環境に関連いたしまして、森林の吸収、吸収源としての森林の保護をするということが政府広報センターのオンラインにも出ております。

 この森林保全については私はこの委員会で何度も何度も取り上げて、またかと思われると思いますけれども、ある資料を紹介させていただきます。

 人間が一年間に排出するCO2、これは木に換算すると、二十三本の木がそれを吸ってくれるんだそうです。逆に言えば、二十三本の木を持っていれば、毎年毎年一人の人間のCO2は全部そこが消してくれる。車一台は、ちょうどその七倍、百六十本。こういうことが言われています。四人家族に換算すれば、百本の木を持っていれば、その四人家族のCO2は百本の木が吸収してくれる。

 であるならば、四人家族に六万円というばらまき対策もあるようですけれども、本当は四人家族に百本の木を植えさせるだけのお金をばらまいていただいた方がはるかに夢がある。苗木を買いなさい、旅行へ行って百本の木を植えなさいと。その方が環境教育にもなる、地球をよくすることにもなる、そして日本の将来にそれだけの貢献をさせる。私は、こういうことを本当は斉藤大臣が内閣の一員として提案し、あの六万円は評判もだんだん悪くなってきたようですけれども、そちらの方向へ少し方向転換をしていただいて……。

 四人家族で百本の木。私は、子供の教育にもすばらしい、わかりやすい言葉ではないかと思います。コメントいただけませんか。

斉藤国務大臣 基本的に、私は、森林整備にお金が落ちる仕組みを環境省が先頭に立ってつくり上げていかなくてはならない、これは税金であったり、民間のお金であったり、カーボンオフセット等を使ってそういう制度をつくり上げていかなくてはならないと思っております。

 そこで、もしお許しをいただければ、副大臣に答弁をさせていただきたいと思うのですが。といいますのは、私、大臣に就任して、森林政策に大変詳しい吉野副大臣が就任されました。吉野イニシアチブというものを、吉野副大臣に命じましてそういう仕組みをつくる方向性を出してほしいということで、考えがまず第一段階だけまとまりましたので、簡単に……(岩國委員「時間がないですから、簡潔に」と呼ぶ)

水野委員長 吉野副大臣、簡潔に御答弁をお願いします。

吉野副大臣 ありがとうございます。

 斉藤大臣から最初の命令が環境省における森林の物の考え方をまとめろということで、地球・森林アクションプランというものをつくらせていただきました。先生のおっしゃるとおりの内容をまとめたつもりですので、後でじっくり読んでいただきたいと思います。

岩國委員 私は、森林を大切にする、同時に国産材の活用を推進する、これも大切だと思うのですね。

 私は、出雲市長として、出雲ドームを木づくりでやりました。ただ、日本にはそれだけの大量の木がそろわなかったために、残念ながらアメリカのオレゴン州の木を使ったのです。アメリカの農業担当公使が完成式においでになって祝辞を述べられました。残念ながら、農水省、林野庁の代表はおいでになりませんでした。しかし、出雲市は学校を全部木づくりにしました。木に親しみ、木のぬくもり、木の香り、木のやわらかさ、それを子供にしっかりと……。そこでまろやかな性格の子供が育つ。そのために、学校の校は木へんに交わると書いてあります。学校も公民館も運動場も全部木づくりにする。そういう、木を育てると同時に、木を使うことに対してもっと政府は強力な指導力を発揮すべきだと思うのです。木を使うから木を育てる、木を育てるからCO2の吸収源がしっかりと育っていく、そのような一つの循環を。

 今、金融の暴走が問題になっています。環境問題も大きな問題。食の安全も問題。金環食という言葉がありますけれども、この一つの言葉、三つの文字にすべて象徴されている、金を出せ、環境を解決しろ、食の安全を守れ。金環食です。

 やはり内閣がやることはお金を出すこと、これも大変大事ですから、副大臣もぜひ森林のためにお金をもっと出していただく。どの県の森林が一番CO2を吸っているか。岡山と島根県では、森林面積は同じ、しかし、島根県はCO2を二倍吸収している。岡山の山よりも二倍働いているのが島根県。森林にもやはり能力給を適用しなきゃいかぬと私は思う。一生懸命働いておる山とそれほど働いていない山と、しっかりとその辺も査定されて、そして一生懸命働くような山に変えていくということも必要なんです。ただ森林面積がふえればいいだけではなくて、よく働いておるかどうかまでよく見ていただいて、そして能力給ということでもって引っ張っていただくことをぜひ大臣、副大臣一緒になって実現していただきたい。

 まだまだこれからもいろいろな議論をさせていただきたいと思いますけれども、きょうは、私のお願いと若干の質問をさせていただきました。ありがとうございました。

水野委員長 次に、田島一成君。

田島(一)委員 民主党の田島一成でございます。

 岩國委員に続きまして、三十分間時間をちょうだいいたしました。大臣のごあいさつに対する質疑ということで、明快な御答弁、前向きな御答弁をぜひ期待するものでございます。

 今回、とりわけ斉藤大臣におかれましては、技術者でいらっしゃるということもありまして、科学に依存する明確な根拠をもとにした環境政策というものを一定期待しているところであります。もう少し斉藤大臣のカラーが出たごあいさつがいただけるのかなと正直思っておりました。それぞれ歴代の大臣はカラーがおありでありましたから、そういう意味ではこのあいさつにどれぐらいの思いを込めていらっしゃるのか、私も大変興味と関心を持ちながら拝見しておったところでございます。ぜひまた次の通常国会の冒頭のごあいさつ等々、大臣の独自のカラーというものがどれぐらい盛り込んでいるのかを期待しておりますので、お含みおきをいただきたいと思います。

 さて、大臣所信の中で、今回、地球温暖化、生物多様性、循環型社会、大きな柱に加えて、健康被害も各課題別にそれぞれお示しをいただいたところであります。その中で、一つ循環型社会の中でお示しをいただいている、廃棄物の適正処理や不法投棄の撲滅に取り組むという点についてまずお尋ねをしていきたいと思います。

 御承知のように、産業廃棄物の支障除去に関する特別措置法、産廃特措法でございますが、これが施行されて今日に至っておるところであります。施行された当初と現在の状況等々をかんがみたとき、社会状況も随分変わってきたのではないかなと私は考えるところであります。

 法制定時、平成十五年の六月、当時の参議院の環境委員会で我が党の福山委員が、どれくらいの件数等々を見込んでいるのかというような質問をされているところであります。こうした不適正処理事案が、今日、随分発見が後を絶たない状況になってきているわけでありますけれども、この法律の制定時の想定と相当異なっているのではないかなというふうに考えます。

 通告を二つに分けたんですけれども、一気にやらせてくださいね、時間がないので。お許しください。

 まず、この産廃特措法の対象となる九八年の六月十六日以前に発生した不適正処理事案は何件あるのか、そして、それに対して政府はどのように今日まで取り組んできたのか。当時想定をされてきた不適正処理事案の件数と相当異なっているのではないかというふうに考えますが、それについてどのような御見解をお持ちなのか、お示しをいただきたいと思います。

谷津政府参考人 お答え申し上げます。

 環境省といたしましては、平成十七年度でございますけれども、産業廃棄物の大規模不適正処分案件に加えて、そのおそれのあるものということで全国の調査をいたしまして、対象が一万立米以上のものを調査したわけでございますけれども、その調査の結果、都道府県等から産廃特措法の適用の可能性があり得るという回答がありました案件は四十件でございました。この調査は、疑いのあるものも含めた前広なものでございまして、特措法がすべて適用されるというものではないという前提で行ったものでございます。

 こうしたものにつきましては、その後、各都道府県で調査や対策が行われているところでございまして、その対策などの状況につきましては、環境省が毎年行っている実態調査を通じて関係都道府県からの報告を受けているところでございます。こうしたことを通じまして、都道府県と連携をとりながら不適正処理の取り組みを進めているところでございます。

斉藤国務大臣 田島委員から、特措法制定時の想定見込みと大分違ってきているところがあるのではないか、いわゆる期限である二十四年度までにそれをきちんと解決できるのか、こういう趣旨の御質問があったところでございます。

 平成十七年度に調査をした際に、特措法の適用があり得ると回答した事案の中に、都道府県で現在準備を進めているものがある、しかし、まだ実施計画の策定までに至っていない事案が数事案残っているということは承知をしているところでございます。

 これらの事案につきまして、都道府県から相談があれば、我々、適時適切に助言を行い、法律の期限である平成二十四年度末までに支障の除去が確実にできるように取り組んでいきたい、このように思っております。

田島(一)委員 先日、同僚の三日月議員が質問主意書を提出して、それについてお答えをいただいている中では、不法投棄案件の約四百三十カ所のうち、おおむね三分の一から二分の一程度が産廃特措法の支援対象になるものと想定していたというふうにお答えになっていらっしゃいます。これは間違いないですね。

 つまり、百五十から二百件ぐらいと想定されていたのに、実際には、今緊急調査の結果では四十件、そして、法施行後五年を経過した現在の支援対象を見ますと十一カ所にとどまっており、大幅に下回っている状況にあります。その一方で、国庫補助の額、当時の想定されていた額は約四百億円だったわけでありますが、件数は大幅に少ないのに、国庫補助額は四百三十三億円と既に超えてしまっている。

 こうした状況で、当時のこの法律の目的であります国民の健康の保護、生活環境の保全、これに十分にこたえているんだろうか、そんなふうに考えるわけでありますが、御意見をぜひ聞かせてください。

谷津政府参考人 お答え申し上げます。

 こういった不適正処理の案件につきましては、一義的に各都道府県において調査、対策がとられる、それに対しまして国の方から技術的助言あるいは財政的支援が行われる、こういう仕組みになっているわけでございます。

 予算額についてのお尋ねもございました。この点につきましては、今年度の一次補正の中で所要の手当てを講じまして、当初予算、補正予算を通じて必要な予算の確保を図っているところでございます。

 こうしたことを通じまして、生活保全上の支障の防止というものに努めてまいりたいと考えております。

田島(一)委員 当時、豊島のようなあんな大規模な事案が出てくるとは想定もされていなかったでありましょう。しかし、これは何年たっても次から次へと出てくるような話であっては、特措法で期限を切ったけれども、本当にこの期限内に先ほども申し上げた国民の健康の保護や生活環境の保全を図ることができるのか、こたえていくことができるのか、大変不安になっていくところでもあります。

 今、この期限を延長してほしいという声を地元から随分たくさんいただいています。不法投棄事案等々を抱えている自治体にしてみると、この十年という期限で本当にやっていけるのかどうかという不安があります。かと思う一方で、期限を切らなければいつまでもずるずると課題の先送りになってしまうという問題もあり、大変背中合わせの痛しかゆし、板挟みの状況になっていることも承知をしています。

 こうしたそれぞれの事案を適正に見ながら、法律で一定期限を切っているものの、柔軟な対応をしていくこともまた求められていくのではないか、そんなふうに実は考えるところでもありますが、大臣、どうでしょうか。この産廃特措法の期限延長とダイレクトにぶっちぎることは私は言うつもりはありませんけれども、やはり事案によって、その地域の事情、規模、そして支障の実態等々から考えると、果たしてしゃくし定規にすべてこの特措法のルールだけでいくのかな、そんな心配を持つわけでありますけれども、そのような柔軟性を持つ覚悟はあるかどうか、お聞かせいただけませんか。

斉藤国務大臣 現時点では、二十四年度までにすべて解決をしたいというその姿勢で頑張っていきたいと思っておりますし、そのために、現在、いろいろなところから、都道府県から相談を受けております。その相談としっかりタイアップしながら環境省は問題の解決に努めていきたい、現時点ではそれに最大限努力をするということでお許しをいただきたいと思います。

田島(一)委員 きょうのこの時点でむちゃ言ったところで、これはしようがないことだと思っております。ぜひ各案件を抱えている自治体との連絡を密にしていただいて、適切な助言をしていただく、これがこの法を所管する環境省の仕事だと思っております。その点をぜひ肝に銘じていただいて、各自治体としっかりとした連携を進めていただくことを望んで、次の質問に入らせていただきたいと思います。

 続いては、アスベスト対策に関しての課題、とりわけ救済問題についてお尋ねをしたいと思います。

 さきの通常国会でも、議員立法で大変皆さんに御協力をいただき、改正法案を通していただくことができました。これについては、既に時効切れになられた方々を救済するために関係省庁が前向きに取り組んでいただいているものと思っております。

 現在、環境省の方で石綿による健康被害に係る医学的事項に関する検討会を設置いただいて、もう既に十月、十一月と二回開催をされているというふうに仄聞をしております。

 さて、この検討会において指定疾病への追加の方向で検討が進められているというふうに聞いておるところでありますけれども、その時期や要件について、それぞれ細かく尋ねていきたいと思っております。

 どうやら、この検討会で今おまとめいただいている方向としては、平成二十一年の秋を目途に報告書をまとめて、中環審の方へ報告をしようというふうに考えているようであります。来年の秋を目途にとなりますと、実際に指定疾病に追加されるのは再来年になっていくのではないか。どうも法律の見直し時期に合わせて、言葉は悪いんですけれども、わざわざ時間稼ぎをされているのではないかというような疑念を持たざるを得ません。

 今、これはおくれればおくれるほど、苦しんでいらっしゃる患者の皆さんの救済がますます困難になっていくわけでありますし、時効となった御遺族のためにも再び遡及改正を行う必要性も出てくるのではないかというふうに思うわけです。できれば前倒しをして、少なくとも来年の春までに何とか取りまとめていこうというような前向きの考えでこの検討会を進める意思はあるかどうか、患者や御遺族の立場に立っての御答弁をぜひ聞かせていただきたいと思います。

斉藤国務大臣 まず初めに、救済法の策定に当たりましては、田島先生にはそのリーダー的な役割を担っていただき、議員立法が成立をいたしました。心から御礼を申し上げる次第でございますし、私の地元でもその法改正によって救済された方がたくさんいらっしゃいまして、本当に喜びの声を上げておられました。ありがとうございました。

 先ほどの御質問、時間延ばしではないかという御質問でございますが、結論から先に申し上げれば、時間延ばしではないということでございます。

 御指摘の石綿肺とは、代表的な職業病であるじん肺の一種で、大量の石綿暴露により肺の線維化が生ずる疾患でございます。

 先般、先ほど委員からお話がございました石綿による健康被害に係る医学的事項に関する検討会、この第一回検討会におきまして、三点検討を行おうと。その一つは、職業病として知られているが、それ以外の範囲に発生し得るものかどうか、二点目に、石綿以外の原因で起こる他の肺線維症と見分ける方法があるのかどうか、それから三番目に、仮に指定疾病に加えた場合の判定基準をどうするか、こういう具体的検討を行おうと。その検討を行うためには、一般環境経由で石綿に暴露した者にどのような症状があらわれるか、いわゆる労働者でない方の疾病のあらわれ方を初めとした国内外の疫学的、臨床的な知見等に関する資料を収集することが必要である、このように指摘されたところでございます。

 これらの資料の収集と分析をもとにした専門的、技術的な検討を行うには、一定の期間を要するものと考えております。したがいまして、現時点で検討の時期をいついつまでということは申し上げることができませんけれども、それらの検討を待ちまして、できるだけ早い時期に策定をしたい、このように思っております。

田島(一)委員 ぜひ期待を申し上げたいと思います。

 御承知のように、この石綿肺は類似した疾患が非常に多くて、診断の困難性があることは現場の先生方からもいろいろと聞かせていただいているところであります。しかし、その中ででも、今回こうして前向きに指定疾病に追加をしていこうという動きは高く評価をしているところでありますが、実際に石綿肺での認定をこれからしていく場合にさまざまな要件がついていくのではないか、そのことで認定が相当限定されていく可能性を私は実は心配をしているところでもあります。

 御承知のように、じん肺法においては、合併症に準じた疾病のすべてを救済するというような方向へ来ているわけであります。最重症のじん肺のみに限定をしているこのじん肺法における区分等々を参考にしていただいて、できる限り要件を緩和して疾病の追加を行っていく必要があるのではないかというふうに考えますが、こうした点についてお考えをぜひ聞かせていただきたいと思います。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 石綿肺につきましては、先ほど大臣の方からも申し上げましたように、一般経由暴露の問題についてはさまざまな課題があると認識をしております。そのため、先ほど石綿による健康被害に係る医学的事項に関する検討会というものを立ち上げまして、国内外の疫学的なあるいは臨床的な知見をまずは集めて、検討を加えていただくというふうに考えているところでございます。

 このため、石綿肺を仮に指定疾病として追加する場合に、どういう取り扱いにするかについては現時点では確たるお答えをすることができないのは御了解いただきたいと思います。しかしながら、いずれにせよ、石綿救済制度の趣旨、疾病の特質等を十分考慮しながら、適切に対応していきたいと考えております。

田島(一)委員 難しいことは承知の上で、あえてこの委員会で取り上げさせていただいたことだけはぜひお伝えをいただきたいと思います。結局、要件がああだこうだといっぱいついてくると、本当に認定が限定されてしまって、せっかく指定疾病に追加した意味がなくなっていく可能性もあります。その点、困難な診断ということも踏まえながら、できる限りすき間なく救済をしていくという、その観点に立ってお取り組みがいただけるような見直しをぜひ進めていただくように検討会の方にもお伝えをいただけたらというふうに思っているところであります。

 さて、判断指針の見直しについてお尋ねをしたいと思います。

 今日、暴露状況を一切顧みずに、純粋な医学的な診断に基づいて判断指針がとられているところでもあります。暴露状況が確認できない場合があり得るというような理由でありますけれども、これから先、肺がんなど、石綿によるものかどうか非常に判別が困難な疾病については、その暴露した状況等々も加味して判断をしていく必要があるのではないかと思っております。

 といいますのも、ついせんだって、大阪府立公衆衛生研究所の熊谷部長が発表された岐阜のニチアス羽島の周辺住民の肺がん死の実態が、全国平均と比べて約三倍多発しているという研究成果が発表されました。クボタの尼崎でも同様の事例がありましたけれども、周辺住民をすき間なく救済していくためには、純粋な医学判断だけではなくて、それに加えて暴露状況というものもやはり勘案していかなきゃいけないだろうというふうに思う。それを如実に示す研究発表ではなかったかというように思うわけでありますが、この件について必要性を認識されているかどうか、ぜひお聞かせいただきたいと思います。

斉藤国務大臣 医学的見地のみによるのではなく、暴露歴も考慮すべきではないかという御質問でございますが、現時点では、幅広い救済をするという意味でも暴露歴をあえて入れていないという観点がございます。

 これは、暴露歴が、大気中や職場における過去の石綿の汚染状況が必ずしも明らかでないということに加えて、労災の対象となるような労働者の場合を除き、どこでどのように石綿に暴露したかはさまざまでございます。このため、暴露歴について明確な基準を設けることは非常に困難で、居住歴や職業歴を加えた判断を行うことはかえって不確実性を増すという観点もございます。

 したがって、医学的にも、ある一定の確からしさがあればそれを認めようという救済の線となっておりますので、この点については、かえって幅広い救済をするためなんだということはぜひ御理解をいただければと思います。

田島(一)委員 現実に、本当に幅広い救済が行われているというふうに認識されていると受けとめていいんでしょうかね。もう一度ぜひこの現状を、大臣はまだ御就任いただいて日が浅いので御存じないかもしれませんけれども、実際に、アスベストを取り扱っていらっしゃった御主人の作業服を洗濯して、石綿と直接関係のなかった方々も間接暴露でお亡くなりになっている、中皮腫になっていらっしゃる、洗濯物を介して石綿を吸引されていたという事例も出ているわけであります。

 こうした暴露歴、暴露状況というものを加味していかないと、本当にしゃくし定規の医学的判断だけで救えない。こうした研究データ等々も本当にせっかく出てきているにもかかわらず、都合のいいことしか見ていかないようであるならば、それこそ制定された当時の小池さんが口やかましくお念仏のようにすき間のない救済、すき間のない救済とおっしゃっていましたけれども、今なおこうしてすき間がいっぱいあるわけですね。この現状だけは、大臣、ぜひもう一度しっかりと担当部局から話を聞いていただく、また、現場で苦しんでいらっしゃりながらも認定されていない方々の声もぜひ聞いていただく、そんな取り組みをお願いしたいと思います。

 次は、労災との違いの部分で一つお願いがあります。

 石綿救済法には実は健康管理制度というものがございません、労災の方では年二回という健康管理制度というものがあるわけなんですけれども。指定疾病に罹患していない患者はもちろんのこと、軽度もしくは発症をしていない患者については、健康診断というものが制度的に何も担保されていないんですね。この際ですから、私は、この健康管理手帳というものを発行して、健康診断などを制度的に担保していく必要があるのではないかというふうに考えますが、大臣、その点についてどのようにお考えでしょうか。

斉藤国務大臣 今、田島委員からお話ございましたように、労災では、石綿に暴露し、一定の要件を満たした方については、離職時に健康管理手帳を交付して、胸部エックス線等の健康診断を実施できるように措置をされております。

 他方、一般論としてですが、健診については、疾病を早期発見、治療することによるメリットのみならず、放射線被曝や検査の副作用によるデメリットもあることから、疾病の生ずる頻度、検査の精度、費用等の観点から、ある意味では多角的に評価をする必要がございます。

 石綿起因の疾病については、職業病としては一定の知見の蓄積がございますが、一般環境を経由した石綿暴露による健康被害の可能性のある集団に対する健康管理のあり方については、まだ十分な知見がない状況にございます。

 このため、まず環境省が全国六地域で実施している健康リスク調査や文献調査等を通じて知見の蓄積を図っていきたい、このように思っておりますので、今後、この検討会等で検討させていただきたいと思っております。

田島(一)委員 ありがとうございます。ぜひ前向きにお願いをしたいと思います。

 きょうはまた厚労省の石井部長にも、毎度毎度御足労いただいて申しわけございません、石綿労災認定事業所の公表についてお尋ねをしておきたいと思います。

 これまで早く出せ、早く出せとせっついてきましたけれども、一定の御努力をいただいたこと、これは前向きに敬意を表したいと思っております。しかし、申しわけございません、きょうは注文をぜひつけさせていただきたいのは、このせっかく公表されているデータが、状況、事態をしっかりと掌握するに足りる詳細な内容かどうかという点についての注文であります。

 実際に、今回公表されているのは、どこどこ事業所、もしくはどこどこの工事現場というような名称で挙がってきております。例えば大学名で挙がっているところもありました。しかし、その大学名が挙がってはいるものの、お亡くなりになられた方は一体何を担当されていたのか、どのポジションにいらっしゃったのか、そういったことがなかなかつかみとれない公表データであります。業種などから多量の石綿吸引になかなか結びつかないケースであるとか、何をして石綿を吸い込んだのか実際に記載されていない。

 これは多分基準監督署経由で調査をされたと思いますので、その地方によって扱い方が相当違うんでしょうかね。私も詳しいところと詳しくないところとグループ的に分けられるかなと思って随分努力したんですけれども、随分手を抜いているところもあります。そう考えると、今後、労災申請をする契機というものをやはりきちっと担保していく必要がある。

 そのために事業所を公表されたわけでもありますし、一方ではその事業所で仕事をされている方で全く関係ない方まで不安に陥れてしまう可能性もあるデータだというふうに思います。私は、この中身を充実させていく意味で、どのような仕事に従事をされていたのか、どういったケースで健康被害を生じたのか、状況をぜひ詳細にしていくようなデータの見直しをするべきではないかというふうに考えますが、石井部長、どのようにお考えなのか、ぜひ聞かせてください。

石井政府参考人 御答弁申し上げます。

 議員御案内のとおり、石綿暴露作業における労災認定事業場一覧の公表については、公表事業場でこれまで業務に従事したことがある方に対して暴露作業に従事した可能性があることをまず注意喚起する、それからあわせて、周辺住民の方に対して周辺住民かどうかの確認に役立ててもらう、こういったことを目的として行っているわけでございまして、今いみじくも先生おっしゃったように、無用な不安を取り除かなきゃいけないという観点もありますので、私ども、単に事業場名とか住所だけではなくて、取扱期間だとか石綿暴露作業状況、特記事項を記載しているところでございます。

 現状でも一定程度その辺の状況がわかるようになっているものもあるのは、多分御理解いただいたと思います。例えば食品の製造事業場で吹きつけの石綿のある部屋とかなんかで作業したとか事業場では取り扱いはないとか、あるいはその事業場外の工場で間接暴露での作業だったということが記載されていたり、その辺は非常によくわかる状況かと思うわけでございます。

 ただ、より適切な情報提供を行っていくため、御指摘を踏まえて、石綿暴露作業状況や特記事項などについて充実する方向で今後検討していきたいというふうに考えております。

田島(一)委員 遺族の皆さんが、なぜ健康被害に遭われたのかがわかるような情報開示を望んでいらっしゃるお声もいただいております。一般の方々には、現場との関連性、どこで石綿暴露したのかということもわかっていらっしゃらない方々が本当に多いわけですから、不安を取り除いていくという意味で、個人情報の保護という観点は当然大事にしていかなきゃいけない問題だと思いますが、ぜひ被害に遭われた方々が速やかに労災申請をしていける一助となるようなデータの詳細な公開について検討を進めてください。心からお願いをいたします。

 時間も参りました。実は、この後、化学物質関係の質問をさせていただこうと思っておりましたが、予想どおり時間が来てしまいました。

 今回、大臣は、「二〇二〇年までに化学物質の生産、使用に伴う人の健康及び環境への影響を最小化させるという国際目標の達成を目指します。」ということをごあいさつの中で明記をされていました。

 振り返りますと、九二年のリオ・サミットのアジェンダ21から引き継いで二〇二〇年目標の達成を図っていこうという前向きな決意だというふうに思っておりますが、しかし、残念なことに、今、化審法、化管法の改正、見直しだけで本当にこれを達成していけるのか、私は疑問に思っているところでもあります。

 実は、きのう、私ども民主党の中で化学物質対策のプロジェクトチームを立ち上げました。実際に現場でずっと当たっていただいている方々、また、私たちが日常の生活の中で化学物質と触れている現状を見たとき、省庁の縦割りの大きな壁、問題点が大変指摘をされました。同じ成分であるのに製品によって名称が違っているという問題、やたら片仮名文字が多くて、今読み上げようとしても舌をかんでしまうだけですから省略いたしますけれども、実際に、今回大臣がごあいさつの中で「国際目標の達成を目指します。」というふうにおっしゃいましたけれども、化審法、化管法の見直し、手直しだけでは十分ではないということは、ぜひこれから一緒に議論を積み重ねていって、私は、化学物質の管理、それから審査も含めた全体を包括する基本法の検討をしていかなきゃならないんじゃないかというふうに思っております。

 時間がありませんので答弁は結構でございますが、宣戦布告ではありませんけれども、ぜひこうした決意を表明させていただいて、質問にさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

水野委員長 次に、伴野豊君。

伴野委員 民主党の伴野豊でございます。

 本日は、私も斉藤環境大臣に初の質問をさせていただく機会をいただきまして、ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 まずは御就任おめでとうございます。また、副大臣、政務官の皆さん方もどうぞよろしくお願いしたいと思います。

 まず、斉藤大臣は応用物理御専攻ということで、私も実は工学系、技術系の出身なものですから、最近は見えないかもしれないんですけれども、環境委員会でそういう緻密な科学的アプローチという点で議論させていただくということを待ちに待っていたと申しますか、以前、たしか予算委員会か国土交通委員会の席だったと思いますが、当時、耐震偽装の問題が非常に社会を揺るがせていたときに、斉藤大臣が、御自身の御経験や、多分持ち前の御性分もあるんだと思いますが、緻密な科学的アプローチで一つ一つ御質問されていたということを私は非常に印象深く思っておりまして、実際、その後質問に立たせていただいたときにも参考にさせていただいた記憶がございます。そういった意味でも、これからの議論を非常に楽しみにしているわけでございます。

 そうした中で、八月に御就任になってもう今十一月の半ば過ぎということで、三カ月も質問の機会がなかったというのは非常に残念だなと思いつつも、それがどうしてかなというようなことを思っておりますと、環境の問題を議論する前に、まず政治環境のお話でちょっとだけ時間をいただければと思っているんです。

 多分、八月に御就任になったときは福田内閣のときですから、大臣に就任されて、やるぞとお思いになっていたと推測するんですけれども、そうしたら、一カ月ぐらいで、残念ですけれども、我々の言い方をすれば福田総理がほうり投げられた。そうした中で、次の新しい総理選びの中で、留任されるのかどうなのかという不安の中でお仕事をされていたと思いますけれども、今度、麻生さんの政権になられて、御留任ということになられたわけでございます。今度は麻生大臣自身も、冒頭から選挙を打つんだというようなことを文芸春秋なんかにもお書きになっていらっしゃった。斉藤大臣自身も、ブログをちょっと拝見しますと十月六日で更新がとまっておりますので、多分そこからは選挙モードに入られて、正直言って、今、どの議員も地元と国会の往復で同じ思いをしているんだと思うんです。

 そうした中で、先ほど申し上げた、九月一日に福田さんが政権をほうり投げてから、国会は実質政治空白状態である。そういった中で、十月三十日に麻生総理は二次補正のお話をされた。しかしながら、一向に具体的な案が出てこない。我々は賛成しかねますけれども、多分斉藤大臣は給付金は早くという思いも強いでしょうし、私どもとしては、やはり今の中小企業さんの経営状況を見ていますと、これは本当に年内に何かきちっとしないと大変なことになる、私の地元でも本当にあす倒産するんではないかと思われるようなところがたくさんございますので、そういった思いもあります。きのうあたりですと、与党さんの中にも、第二次補正案を早期に提出した方がいいというお話があったやにも伺っております。

 そうした中で、政局よりも景気とおっしゃるならば、早く第二次補正予算案を提出して御議論させていただく、そうした中で環境委員会においても環境のテーマの中でいろいろやれることがあるんではないかと思いますので、そのあたり、今の現状について率直な御意見をお聞かせいただければと思います。

斉藤国務大臣 第二次経済対策、我々は生活対策と呼んでおりますけれども、政府・与党合意に基づきまして、今、環境省でも補正予算案を作成する作業を行っているところでございます。

 これをどういう形で提出するのかということにつきましては、今与党の中で検討されているかと思います。来年度予算案との関係、最も効果的な出し方というようなことが議論されていると思いまして、いつの時期に出せるということを言える立場でもございませんし、今、環境省としては鋭意頑張っている、このことを申し上げさせていただきます。

伴野委員 多分内閣の一員とすれば今のお答えなんだと思うんですが、斉藤大臣個人の思いは、多分早く出したいというふうにとらせていただきたいと思っております。ですから、鋭意作業を進めていただければと思います。

 次に移らせていただきたいと思いますけれども、麻生総理の所信表明的質問演説と申しましょうか、その中にも環境の部分が幾つかありまして、第一に低炭素社会のお話、それから環境とエネルギーの技術のお話、それからさまざまな国際的ルールのお話があったと思います。

 そうした中で、私自身は、先ほど来申し上げております斉藤大臣お得意の科学的な検証ということと、それから日本の技術をとにかく世界に生かす、それから三つ目は、日本、アジアのためになり、かつ世界に求められる、そういう国家戦略が必要ではないかと思いますが、麻生大臣から、選挙がなくなったといいますか先延ばしになって以降、何か特別に、これからちょっと選挙はないからこれをしっかりやってくれというようなことがありましたら教えてください。

斉藤国務大臣 選挙がなくなったからどうのという言葉はもちろんありませんけれども、いろいろな場面でお話をさせていただき、御指導いただいているところでございます。特に今月十一日には、ちょっとまとまった時間をとってもらい、地球温暖化対策それから廃棄物対策等について現状を報告し、また御指導いただいたところでございます。

 今伴野委員おっしゃった三点というのは、まさしく総理もそのような視点からの取り組みを頼むというふうにおっしゃったところでございます。また、廃棄物に関しましては、廃棄物の不法な輸出入に対して手を打てという指示をいただきましたので、輸出入管理の厳格化等指示したところでございます。

 このように、局面局面で話し合いをし、対処しているところでございます。

伴野委員 斉藤大臣のよくお使いになる言葉の中にも、低炭素社会は第二の産業革命であると。科学的、技術的なアプローチ、あるいは日本の得意分野という面から見ればまさにそうだと思うんですね。しかし、やはりここは、最終的には人類の生き方といいますか、もっと言うならば哲学が問われている。このあたりは岩國先生や小野先生のお得意の分野になっていくのかもしれませんが、最終的には私は哲学を語っていただきたいな、そんなふうに思います。科学的なアプローチをして、かつ、最終的には哲学を語っていただければと思いますので、どうぞ鋭意御努力いただければと思っております。

 では、二次補正のお話が出ましたので、少し議論をさせていただきたいと思いますが、先般我が部会でも、十一月五日に環境省さんの方から、どんなことをお考えになっているのかということでお聞きをしました。そうしましたら、「新しい経済対策「生活対策」における環境省関連事項(案)」という二枚物の資料とともに御説明をいただいたんですが、その中で、具体的なお話ということで、項目は挙がっているんですけれども、具体的な事業名あるいは予算ということになると、概算では百億円程度だということは伺っているのですけれども、正直言って十一月五日から作業的に今どのぐらい進捗されているのか、精査できているのか、麻生さんが出せと言われればすぐにでも出せるところまで来ているのかどうか、ぜひお聞かせいただきたいと思います。

斉藤国務大臣 十一月五日に、民主党の皆様にも我々が考えているところを御披瀝したところでございます。もちろん十一月五日から随分財政当局との話し合いも進んでおりますが、いま少し検討事項が残っているところでございます。

 御質問に対してはそういうことでございます。(発言する者あり)

伴野委員 余り哲学的じゃないという御指摘もありました。環境委員会としてはこのぐらいにしてさしあげた方がいいのかなとも思いますので、また予算委員会でお会いする機会があったら、そこではきっちりさせていただければと思います。

 また、その内容を見ましても、正直言いまして、さすが環境省、あるいは斉藤大臣のもとでやっていらっしゃるというところを余りお見受けできないんですね。どうも来年度の予算で出てきてもいいような、確かに漂流・漂着ごみのクリーンアップ事業とか浄化槽の補助率云々というのはありますけれども、それが緊急、ポイントはスピードだというふうにはちょっと思わないんですね。

 例えば、これは環境省さんだけでできないかもしれませんが、経産省さんや財務省さんとよく話し合って、環境政策に前向きな取り組みをしている中小企業さんとかに融資枠を広げるとか、融資しやすい条件変更ができやすいようなものを工夫していただくとか、そちらの方がよっぽど私はいいような気がするんですけれども、ぜひこういうことも考えていただければと思います。

 二次補正予算の話はこれ以上やっても多分煮詰まらないと思いますので、これぐらいにさせていただきたいと思います。

 煮詰まらないというと、日本の政治状況はまさに煮詰まっていない。まあ、ある面煮詰まり過ぎちゃっているのかもしれませんが、大変停滞しているのではないかと思います。

 一方で、海を越えたアメリカでは、サブプライムローンの原因をつくったところではありますけれども、きっちりと大統領選挙を予定どおりやられて、その中で政策議論をし、民主的にリーダーを決めていったということは、民主主義国家としては見習う点が非常に多いのではないか。やはり選挙というのは政策論争をするのに一番都合のいい機会ではないかと思っております。

 御案内のようにアメリカは民主党のオバマさんが選出されたわけでございますが、そうした中で、当然、共和党時代のブッシュさんと随分環境政策も変わってくる。私個人としても期待しているわけでございますが、今でも、例えばキャップ・アンド・トレードを連邦レベルで推進するとか、年間百五十億ドルの代替エネルギー開発投資を行うというようなことを述べていらっしゃるやに仄聞しております。

 そうした中で、今後、日本がそういうアメリカの環境政策の変化に対してどのようなリーダーシップをとっていかれるのか。今まではアメリカが後ろ向きであることがかえって日本の存在価値を高めていた点もあると思いますが、場合によって、これは勝手な推測ですが、よくスポーツの世界で見られるように、EUとアメリカ、いわゆる欧米諸国が、日本崩しじゃないですが、日本の存在価値を低めるために先に交渉してしまって日本が置いてきぼりになるようなことがないようにぜひお願いしたいわけでございます。

 今の時点でどんなことをお考えになっていらっしゃるか、お聞かせいただきたいと思います。

斉藤国務大臣 伴野委員、お許しをいただければ、その質問に答える前に、先ほど二次補正の話がございまして、斉藤色が全く出ていないではないかという御批判をいただきましたので、そのことについてちょっと簡潔に。

 そんなことはないと思っておりまして、例えば浄化槽の整備、これは、これまで補助率は三分の一でしたが、今回、補正予算で補助率を変えるというのはこれまでになかったことですけれども、水道や農業集落排水と同じ補助率二分の一にいたしました。そしてその補助も、いわゆる技術的に先進的なものに対して補助を行うということで、ある意味で中小企業対策そして社会の転換のスピードアップということに非常に大きく貢献するのではないか、これなんかは斉藤色が入っているのではないか、このように思っております。

 先ほど岩國委員の質問に対して副大臣からも答弁させていただきましたけれども、森林カーボンオフセット、これもある意味では新しい糸口をつくることができたのではないか。小さく産んで大きく育てる、最終的には、先ほど岩國委員がおっしゃったように、国のお金だけではなくて民間のお金がその森林に流れて、森林に仕事をさせるということ、その糸口になるようなものもできたのではないか、このように思っておりますので、ぜひ御理解を賜りたいと思います。

 それから、先ほどの御質問のアメリカのオバマ大統領、環境政策について大きな転換があるのではないか、そしてそこに日本はどのように対処していくのかという御質問でございます。

 公約の中でも、キャップ・アンド・トレードをやる、それから二〇五〇年長期目標はマイナス八〇%、そして再生可能エネルギーに力を入れる、非常に積極的な、ある意味では野心的な公約を掲げ、また、先日のカリフォルニアへのビデオメッセージでは、気候変動対策の国際交渉の場に戻り、国際協力において世界をリードしたいとまでオバマ次期大統領は言っております。

 そういう中で、日本がある意味でおくれた立場をとることは、二十一世紀の日本の存在価値を非常におとしめることになる、私はそのような危機意識を持っておりまして、ある意味では、この低炭素社会づくりを第二の産業革命と位置づけて、先ほど伴野委員からも言っていただきましたけれども、日本が世界に貢献をする場にしていく。そのために、今回のオバマ新政権とある意味ではよく協調しながら、日本も一緒になって世界をリードしていくことが大切だと思います。一緒になってというか、これまでの経緯も考えれば、日本がリードをしていくということが必要になると思いますし、その場合、キーになりますのは、哲学であると同時にやはり技術だと思います。哲学と技術が両輪にならなければ物事は進んでいきません。その技術という意味では日本は最優位の立場にございますし、次期大統領の政策に留意しながら、協力をして世界をリードしていきたいと思っております。

伴野委員 いずれにしましても、アメリカとよく御議論いただいて、日本とアメリカがリードすることが結果的に中国やインドも引っ張っていく、地球全体を引っ張っていくんだ、ヨーロッパだけではない、さまざまな英知を結集するんだという方向へ向かっていただきますようよろしくお願いいたします。

 では、続いて、COP10の話題に入らせていただきたいと思います。

 御案内のように、COP10は名古屋で二〇一〇年に開かれるということで、私自身も愛知県選出の国会議員として非常に期待をしているところでございまして、万難を排して協力をさせていただきたいなと思っている次第でございます。

 そうした中で、先般九月に、これは斉藤大臣もお越しになっていらっしゃったと思いますが、私も時間を割いてエコ・アジアの会合に参加させていただきました。九月の十三、十四日だったですか、レセプションだけだったんですけれども、正直言いまして、広い会場の割に国会議員たちも集まりが悪かったです。地元議員たちも余り集まりはよくなかった。正直言って、多分同じ思いをされたんじゃないかなと思いますが、閑散としていて、これが国際会議を迎える名古屋ですかと言いたくなるような、このままいったら本当に寂しい会合になってしまう、せっかくの機会を台なしにしてしまうという、私は違った危機感を持っておったんですね。

 そうした中で、いろいろNPOや市民団体に聞いてみますと、彼らもいろいろ熱意を持っていて、思いを持っている。ただ、その熱意をどうぶつけていったらいいか、どうアプローチしたらいいのか、どう融合していったらいいかというところで非常に悩んでいらっしゃる。一方で、それが直接的な原因ではありませんが、名古屋市政も愛知県政も今裏金問題で非常に内向きな議論になりがちになっている、そういう行政環境がある。やはりここは環境省さんが少しリーダーシップを発揮していただいて、これは、生物多様性云々という一つのテーマの中で先ほど申し上げた哲学をつくっていく上での非常にいい機会であり、そのためには、人それぞれ、お一人お一人に、生き方と、あるいは生き物との共生ということをじっくり考えていただく機会にしていただかなければいけない。

 しかしながら、そういう機会に今後なっていくというふうにしては、残念ながら盛り上がりを欠いているのではないかなと思うんです。そのためには、今後、二〇一〇年の国際会議開催に向けてどういうことをやっていき、そのためにどういう支援体制をつくっていくかというところが少し見えていないのではないか。計画はおありなんだと思いますし、きのうもレクのときにロードマップを出してくれと言ってみましたら、多分、その後、いろいろあるものを一覧表につくって、二時間ぐらいかけられたんだろうと思いますけれども、そういうのももっと市民の方に届くような形、あるいは国民の方に届くような形で、マスコミももっとうまく使われて、いろいろなことを、いろいろな人を巻き込んでいかれることをおやりになっていった方がいいのではないかと思いますが、現状どうなっているか、お聞かせいただけませんか。

斉藤国務大臣 先日、名古屋で行われましたエコ・アジアには、御出席いただきまして本当にありがとうございます。

 エコ・アジアのその後のレセプションがちょっと寂しかったのではないかという御指摘でございますが、エコ・アジア、生物多様性を一つのテーマにはしましたが、生物多様性だけがテーマではなかったということで御理解を賜りたいと思います。

 あのサイドイベントとして、生物多様性条約の事務局長であるジョグラフさんに我々が約束をするという会がございまして、ここには名古屋市そして愛知県、県知事、また市長も来ていただいて、全力を挙げてこのCOP10成功に向けて頑張るということを言っていただきましたし、また、いろいろな市民団体やNPOも、また生物多様性にかかわる動物愛護団体等の方々も協力をしていただいているということでございます。

 国民的運動を盛り上げていくべきではないかということで、実は、生物多様性という言葉が難しい。実は、きょうこの後、この生物多様性ということをわかりやすくした言葉を発表させていただく予定でございますが、「地球のいのち、つないでいこう」ということで、COP10の成功に向けて国民的運動を盛り上げていこうということで我々も頑張ってまいりますので、伴野委員の御協力もどうかよろしくお願いいたします。

伴野委員 その次に申し上げようと思っていたことを先に言っていただいて、まさに生物多様性という言葉は一般の方には非常に難しくて、ネーミングとかというのは大事でございまして、やはり日本でやる以上、大和言葉で、先ほど何かおっしゃっていましたが、もう少し短いものがいいのではないか。COP10も、おじいちゃん、おばあちゃんには非常に、何だそれという。あと、マスコットなんかもやはりおつくりになるとか、やはり子供、特に小学生が関心を持ってくれるような何か工夫をしていただくと次の世代にバトンタッチする意味でも非常に有効かと思いますので、中身の精緻な議論も重要なんですが、いかに国民の皆さん方を巻き込んでわかりやすくしていっていただくか、ぜひ工夫をしていただければと思います。

 そういう話をしておきながら難しいことを質問して恐縮なんですけれども、先般、生物多様性条約のジョグラフ事務局長が名古屋にいらっしゃったときに、二つの御提案をされております。一つは、ポスト二〇一〇年目標として、二〇二〇年までの具体的な数値目標の設定、二つ目は、途上国で得られた遺伝資源を先進国が利用して得られた利益を途上国に配分する、いわゆるABS問題の解決というようなことを御提案になられて、それを名古屋のCOP10のときに一つの名古屋議定書としてお示ししてほしいというような御提案をされたやに仄聞しております。

 これについて、今の環境省のお立場あるいは御意見、いかがでしょうか。

斉藤国務大臣 今御指摘の点は、いわゆるABS問題かと思います。遺伝資源の取得と利用から生ずる利益の配分でございます。

 これは、例えば発展途上国に生息している微生物、それらの遺伝情報を使って先進国が医薬品開発をした、その医薬品の利益はもともとその微生物がいた発展途上国にどのような形で還元されるべきか、そこら辺のことをきちんと定めようというのがいわゆるABSでございます。そして、COP10までに国際的枠組みの検討作業を終えるということが国際約束になっているわけでございます。

 ことしの五月に開催されたCOP9におきまして、二〇一〇年までの具体的な検討スケジュールが決定されました。一つが、関係する用語や制度等の検討に必要な技術的な内容を整理するための技術専門家会合、それから二つ目が、具体的な検討を行う作業部会、それぞれCOP10までに三回、合計六回の会が持たれることになっておりまして、我が国はそのうち専門家会合一回を来年一月に東京で開催する予定になっております。

 このABSのための国際的枠組みは、先進国、発展途上国両方が納得しなきゃいけません。その実効性、柔軟性などに配慮するということが非常に重要だと思っておりまして、提供国、利用国双方に利益をもたらす観点からこの議論を進めていきたいと思っております。

 環境省としては、遺伝資源を活用した産業活動の発展が生物多様性の保全と持続可能な利用とともに達成されるよう、関係省庁との連携のもと、COP10までに求められている検討作業を終了し、同会議を成果あるものとするため議長国として貢献してまいりたい、このように決意をしております。

伴野委員 いずれにしましても、この点につきましても議長国として一定のリーダーシップを発揮していただいて、やはり名古屋議定書ここにありと歴史的にも言われるような会合にしていただければ、そんなふうに思っております。

 いま少し生物多様性のお話もさせていただきたいんですが、時間もあと残りわずかになっておりますので、最後に土壌汚染対策の問題について一点だけ質問させていただきたいと思います。

 我が民主党も、さきの国会で参議院の方に土壌汚染対策の改正法なるものを出させていただき、参議院の方では通過させていただき、今、衆議院の方に送られているわけでございます。予定どおり会期末になってしまいますとその議論もというところなのかもしれませんが、これは新聞情報ですけれども、どうも二十五日ぐらいの会期延長があるということになると、今度は十分その議論もしていただける時間があるのかなというふうにも期待しているわけでございますが、その点については両筆頭間でお話し合いをしていただければいいのかなと思うわけでございます。

 これも新聞報道でございますが、さきの中央環境審議会の小委員会の議論等が報道されておりました。そうした中で、十一月十四日から今後の土壌汚染対策のあり方についてパブリックコメントにかけられていて、現行制度についての具体的な問題点が幾つか指摘されており、今、その点を改正の中に盛り込んだものが閣法でも予定されているのかなと推測もするわけでございます。

 現状のパブリックコメントで得られたことを現行の法律を改正するという前提で集約していくと、その改正法ができた暁には今の豊洲というのは対象になるのかならないのか、この点だけ教えていただけますか。

斉藤国務大臣 今回のパブコメの案、これはまだ案でございますけれども、一定規模以上の土地の形質変更の際に、土壌汚染の可能性が高いと認められる場合は、土壌汚染調査を行うこととすべきである、このようになっております。

 この内容に沿って土壌汚染対策法を改正した場合、豊洲の予定地においては卸売市場施設の建設に伴い一定規模以上の土地の形質変更があると見込まれますので、改正後の土壌汚染対策法の対象になるものと考えております。

伴野委員 前向きな御回答ありがとうございました。よろしくお願いいたします。

 以上で終わらせていただきます。

水野委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 本日は、斉藤大臣御就任後初めての所信に対する質疑でございます。

 斉藤大臣は先ほど来ありますようにもともと科学者でございますが、所信の冒頭で、環境問題は地球生態系と人類文明が共存できるかどうかを問う問題である、この解決には科学を基礎とすることが必要であり、科学の成果を尊重していかなければならない、また低炭素社会の実現は第二の産業革命をなし遂げることであると、地球温暖化対策を初めとする我が国の環境政策のあり方について鋭くその本質を示されました。

 まさに、地球温暖化は人類共通の最大の課題であって、ポスト京都の世界の枠組みを決めるCOP15に向けて最も大事なときを迎えている今こそ、私は、政治と科学のバランスをあわせ持つ斉藤環境大臣の力強いリーダーシップが大いに期待されているかと思っております。しっかりと環境行政に取り組んでいただいて、大いなる成果を出していただきたい、そのように思うわけでございます。

 早速質問に入らせていただきますが、今般発表されました二〇〇七年度の温室効果ガス排出量の速報値について質問をさせていただきます。

 二〇〇七年度の総排出量は約十三億七千百万トン。基準年と比べると、これは、約一億一千万トン、すなわち八・七%の増加となります。二〇〇六年と比べると、二・三%、約三千百万トンの増加。京都議定書の六%削減約束には一四・七%もの排出削減が必要ということが報告されたわけでございます。

 この大幅な排出量増加の原因として、原発の利用率の低下、そして水力の発電量の減少に伴い、火力発電が大幅に増加して、電力排出原単位が悪化した影響が大きいと分析されております。原発の利用率の改善を進めるとしても、原発の利用率の改善が厳しい状況ということを前提に考えれば、太陽光発電などの再生可能エネルギーの比率を飛躍的に上げるべきであると私は思っております。

 続いて、この電力排出原単位の悪化の影響を除いても、産業部門や家庭部門での増加が目立っています。産業界では景気が好調で鉄鋼などの生産が増加しております。今実施されているキャップのない経団連の自主行動計画で、京都議定書の削減目標は果たして達成できるのか、冒頭に経済産業省にお伺いをしたいと思います。

西本政府参考人 お答えいたします。

 二〇〇七年度の我が国の排出量は、御指摘のとおり、電力排出原単位の悪化の影響を除きましても、産業部門で一・七%程度、家庭部門で二・二%程度、二〇〇六年度より増加しております。

 このような中で、京都議定書の削減約束を達成するためには、二〇〇七年度の排出量より、基準年比で九・三%、一億一千七百万トンの削減が必要になります。このうち一億四百万トンは電気事業連合会が自主行動計画の目標を達成することによって削減することが可能であるということでございまして、今電気事業連合会はその達成に向けた取り組みを進めているところでございます。

 経済産業省といたしましては、今後、京都議定書目標達成計画に基づいた自主行動計画の評価・検証制度のもとで、電力部門の取り組みを進めることに加えまして、残りの削減必要分につきましても、引き続き目達計画に基づきまして、産業部門のみならず、業務・家庭部門を含めた国民各界各層の取り組みの着実な実施を図ることによりまして、京都議定書の削減約束の確実な達成を期してまいりたいと思います。

江田(康)委員 今答弁にもあったかと思うんですけれども、京都議定書の目標達成を、そのほとんど大半を例えばCDMとして購入してくるというようなことで達成していかざるを得ないというような状況にあることも事実だと思いますが、しかし、それは、中長期的な削減目標に向けて進む我が国として果たして適切なものか、いかがなものかということは非常に実感として思います。

 そこで環境大臣にお伺いをいたしますが、京都議定書の六%削減約束には、この一四・七%の排出削減が必要。森林吸収源対策の三・八%と京都メカニズムの一・六%を差し引いた九・三%の排出削減が達成されなければならないわけでございますが、これをどのようにして達成できると考えておられるのか、お伺いしたい。

 また、京都議定書の削減約束も含めて、ポスト京都における中長期的な排出削減を視野に入れれば、国内排出量取引制度の創設や再生可能エネルギーの加速的な導入など大胆な取り組みが必要と考えます。

 そこで、斉藤大臣が力強いリーダーシップを発揮されております国内排出量取引制度の試行的実施と本格的導入、さらには太陽光発電の世界一奪還など、再生可能エネルギーの加速的導入等について環境大臣の所見と決意をお伺いしたいと思います。

斉藤国務大臣 まず第一点は、京都議定書約束のマイナス六%をどう達成するかという御質問でございます。

 この三月に改定し策定いたしました目標達成計画に基づいて、これを全力を挙げて実行するということ、そして、これは毎年度行っておりますが、その点検を厳格に行い、見直すべきは見直して、マイナス六%達成に向けて全力を挙げるということに尽きると思います。

 より具体的には、今回大幅に伸びた一つの原因が原子力の稼働率が非常に下がったこと、これについては、安全を大前提にしてですが、また地元の理解をいただきながら、できるだけ稼働率を向上させるということも非常に大きなファクターになりますし、また太陽光発電の世界一奪還を具体的に進めていくために第一次補正においても予算措置をしたところでございます。このような措置を通じて、マイナス六%達成に全力を挙げていきたいと思っております。

 また、次期枠組みということもございましたが、このマイナス六%の達成にも役立つと思っておりますけれども、排出量取引の試行をこの十月から始めました。キャップをかぶせないでどれだけの効果があるのかといういろいろな御意見もございますけれども、まずは日本じゅうのほとんどの企業が参加をするという形、参加していただくということが非常に重要かと思っております。その中で経験、知識を積み、世界標準をつくるときに日本の実情に合った制度になるようにするということも非常に国益上大切なことではないか、このように思っておりまして、排出量取引の試行が成功するように全力を挙げたいと思っております。

江田(康)委員 今お話のあった中で、次に太陽光発電の導入の促進についてお伺いをさせていただきたいと思うんです。

 太陽光発電はCO2を全く排出せず、枯渇の心配もないクリーンなエネルギーであります。政府は、今大臣が力強くおっしゃいました、太陽光発電量で世界一の座を奪還することを目指して、この七月に低炭素社会行動計画を閣議決定いたしました。その中で、太陽光発電の導入量を、二〇二〇年までに現在の十倍、二〇三〇年までに四十倍にするとの目標を掲げられた。また、先般打ち出されました安心実現のための緊急総合対策では、家庭、企業、公共施設等への導入拡大が盛り込まれたところでございます。

 そこで経済産業省にお聞きいたしますが、経済産業省を初めとして、環境省、国土交通省、文部科学省の四省は、これらの政府決定を踏まえて、当面の具体的措置として「太陽光発電の導入拡大のためのアクションプラン」を発表されたところでございます。その内容について簡潔に示していただきたいのと、さらに、私また公明党は、以前より、太陽光発電世界一奪還に向けまして、住宅、学校、公共施設などへの設置に対して補助金や優遇税制などの支援を拡充すべきと何度も主張をしてまいりました。このアクションプランでは、家庭、企業、公共施設のそれぞれに対して我々の主張がどのように反映されているのか、お聞きをしたいと思います。

羽藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず第一点の「太陽光発電の導入拡大のためのアクションプラン」でございます。

 これは、七月に閣議決定をされました低炭素社会行動計画、それから先般やはり決定をされました安心実現のための緊急総合対策、こういったものを踏まえまして、各省連携、今先生からお話ございましたように、文部科学省、国土交通省、環境省とともに十一月十一日に策定、公表させていただいたものでございます。

 この内容でございますけれども、住宅、一般家庭はもちろんのこと、学校、道路、こういった公的な施設への太陽光発電の導入を加速化するということで、供給対策、あるいは需要対策、そして規制制度環境、こういったものを幅広く具体的なアクションとして連携をとりながら進めてまいろう、こういうふうなことで公表させていただいたものでございます。

 第二点が、太陽光発電の導入拡大のための支援措置についてでございます。

 江田先生が事務局長を務めておられます公明党地球温暖化対策本部からいろいろな御提言もいただいております。その中で、太陽エネルギーを一つの大きな柱にした太陽光社会の構築を進めるといったことで、補助金、税制等でしっかりと進めるべきである、こういった御提言をこの六月にも内閣総理大臣あてにいただき、あるいはいろいろな御提言をさらにいただいておるところでございます。

 こういったことも踏まえまして、特に住宅への導入を促進する観点からは、本年度の補正予算において九十億円の住宅用太陽光発電補助金を措置させていただいたところでございます。また、来年度につきましては二百三十八億円の予算要求ということで、この補助制度をしっかりと拡充させていただきたいと思っております。また、税制につきましても、省エネ住宅の住宅ローン減税などの要望を行っているところでございます。

 また、産業分野、公共分野でございますけれども、このアクションプランを踏まえまして、今後、新エネルギー導入費用について、産業分野では三分の一、公共分野では二分の一という補助制度でしっかりとこれは支えてまいりたいというふうに思っております。このための予算要求としまして、来年度においては約四百億円の概算要求を行っておるところでございます。

江田(康)委員 やっと世界一奪還に向けた太陽光発電の補助金が個人住宅等においては復活するということと、公共施設等においても手厚い補助金制度が拡充される、さらには税制も拡充されるということで、目標に向けて大変大きな後押しになると思っております。

 ところで、制度環境の整備というのがもう一つ大きな課題としてあるわけですけれども、このアクションプランの中では、電気事業者による新エネルギー等利用促進法、RPS法については、長期エネルギー需給見通しの水準を踏まえた運用を検討するとありますけれども、例えば日本が世界一を抜かれたドイツでは、太陽光発電による電気を電力会社が高く買い取るように法律で定めたことが飛躍的な導入になったということが言われております。いわゆる固定価格買い取り制度なんですが、今後、こういう議論の中で、排出削減の中長期目標の達成に向けて、余剰電力を電力会社が買い取る仕組みや社会負担のあり方についてしっかりと検討をしていくべきではないかということをさらに申し上げまして、次の質問に入らせていただきます。

 次は、エコポイント制度についてお話をお伺いしたいわけでございます。

 家庭部門やオフィスなどの業務部門での排出量が九〇年と比べて三、四割も増加している状況にございます。温暖化防止には国民一人一人の意識改革が必須であるわけでございまして、一人一人の取り組みが欠かせない。この家庭部門における切り札として注目されているのがエコポイント制度でございます。

 エコポイントというのは、皆さんもよく御存じかと思いますが、温暖化対策に配慮した商品やサービスを購入した際にもらえるポイントのことで、ポイントをためると、新たな商品・サービスや電子マネーに交換できる。その対象は、例えば省エネ家電とか省エネ住宅の購入、車を使わないで公共交通を利用すること、さらにはレジ袋を使わないでマイバッグを持参したり、また一回の配送で荷物が受け取れる、そういうことがポイントの対象になるとされております。公明党は、このエコポイント事業の全国展開を政策に掲げておりまして、強力に推進をさせていただいております。

 そこで質問でございます。

 これまでの事業は自治体の財政支出で運営されるものが多くございました。しかし、今回、環境省は、経済的に自立した民間主体の事業確立を目指して、全国型三事業、地域型九事業をモデル事業としてスタートされたわけでございます。十月の十五日からはクレジット大手のJCBがエコ・アクション・ポイントとして全国展開をスタートしております。そこで、全国型、地域型で代表的なエコポイント事業はどういう状況か、御説明をいただきたい。

 また、今後は、スタッフ、予算を拡充して参加企業を大幅にふやすなど、既存ポイント市場に埋没しない規模を目指して拡大していくことが重要であると考えますが、政府の見解をお伺いしたい。

 さらに、製品の使用段階だけではなくて、製造の段階でCO2排出の少ない製品についてはエコポイント事業の新たな対象にすべきと考えますが、どうでしょうか。環境省の所見をお伺いいたします。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 三つの御質問がございました。

 一つ、現状はどうかということでございます。

 全国型の代表的な例ということになりますと、大手のクレジット会社が本年十月十五日から開始をしたモデル事業がございます。これは現在二十社の参加によりまして開始をされておりまして、今委員御指摘のとおりでございますけれども、省エネ家電あるいは公共交通機関の利用といったような環境によい行動をするときにポイントがつくということでございます。これはまだ始まったばかりでございますが、大変大きな事業として始まっております。

 それから、地域型の事業も多数ございます。こちらの方が先行して始まっております。例えば北海道の富良野でございますけれども、これは商店会ぐるみということで、市民も入る、そして観光客も利用ができるというような仕組みになってございまして、富良野の三十四店舗がこのポイントの発行に当たっている。既に十四万三千ポイントが発行されているということでございます。これはローカルなものでございますから、地域での買い物の還元、あるいは自然体験活動に参加できるといったようなポイント還元が行われているというふうに承知をしてございます。

 今後でございますけれども、先ほど委員御指摘のとおりでございます。自立できるといいますか、どんどん企業のメリット、そして国民のメリットでこの事業が立ち上がっていただきたいというふうに思ってございますが、発足時点は、やはり基盤づくり、支えるという仕事が必要でございます。

 第二年度目につきましては、本年度予算の約一・四倍、五億円といった予算要求を現在しておりまして、各種のメーカーだけでなく、流通、小売企業、そしてサービス業等多様な企業が参加できるような事業としていきたいと思っております。

 なお、さらに制度的な前進といいますか拡充すべきかという点は、やや政策判断にかかわりますので、差し支えなければ政務官の方から答弁をさせていただきたいと思います。

水野委員長 では、吉野副大臣、簡潔に。

吉野副大臣 江田委員おっしゃるとおり、製品をつくる場合は、製造段階、使用段階、また廃棄段階、三つに分かれると思うんですね。でも、これは始まりなものですから、消費者によくわかるように、今は使用段階で対象商品を決めているんですけれども、委員おっしゃるとおり、製造、輸送段階で削減効果のあるもの、これも随時拡大をしていく、そういう予定にしております。

 以上です。

江田(康)委員 ありがとうございます。

 スタートしたばかりではございますけれども、参加企業を大幅にふやしながら市場の事業規模を拡大していく、そういう中で製造段階までのCO2排出の少ない製品についても検討がなされていくかと思いますので、大変期待をしております。やはり国民一人一人の取り組みが欠かせないのが家庭部門の排出削減でございますので、このエコポイント制度については、これを大きく育て、また発展させていただきたい。

 しかし、こういうような状況の中でも、まだ事業の内容、目的を知らない国民も、始まったばかりであるということもあって、かなりございます。広報、周知を徹底していただいて、その効果を相乗的に上げていただくように、これは環境省の方に強くお願いをしておきたいと思います。

 時間がもう迫ってきておりますので、残された質問は割愛して大変申しわけないわけでございますが、いよいよCOP14に向けて国際的な取り組みがなされる段階に来ているかと思いますので、最後に大臣に御質問をします。

 来月からCOP14が始まるわけでございますが、地球温暖化問題は人類の将来を決する重要な課題であることは論をまたない。このような地球規模の問題はすべての国が最善の努力をすることが大事でありますけれども、先進国と途上国の利害が対立して、その意見の取りまとめというのは容易ではないわけでございます。大臣にとってはまさにリーダーシップを発揮すべき重要な国際会議でございますけれども、このCOP14ではどのようなことが決まると期待されておられるのか、お伺いをいたします。

 また、それに向けて大臣はどういう姿勢で臨まれるのか、あわせてお願い申し上げます。

斉藤国務大臣 十二月にポーランドで行われますCOP14の最大の目的は、コペンハーゲンで来年行われますCOP15で京都議定書の次の枠組みが決まります、この枠組みづくりに向けてしっかりとした基礎を、そして次期枠組みを世界各国が参加をしてつくるんだという一つの大きな方向性を出すことが今回のCOP14の最大の目的だろうと思っております。

 そのために我が国は何をするかという江田委員の御質問でございますが、一つは、G8、洞爺湖サミットで合意された、世界全体で、地球全体で二〇五〇年に排出量を半減するという合意、これを地球全体の合意とすべく努力をしたい、このように思っております。二番目が、先進国の公平な国別総量目標の設定、それから発展途上国に技術移転を行って発展途上国にも参加をしてもらう仕組み、我々日本はセクター別アプローチを提案しているわけですが、このセクター別アプローチについてできるだけ多くの国の賛同を得ること。そして、途上国がそれぞれ差異ある能力に応じた責任を持つこと。これらの三つのことについて幅広いコンセンサスを得るために日本がリーダーシップを発揮したいと思っております。

 いずれにしましても、先ほど江田委員がおっしゃったように、COP15で決められます次の世界的枠組み、また中期目標に向けて、その実質的な基礎をつくる会議だと思っておりますので、国会のお許しをいただければ、私も日本を代表して参加しリーダーシップを発揮したい、このように思っております。

江田(康)委員 今大臣申されましたように、来年のCOP15に向けての議論のたたき台であり、作業計画をつくる大変重要な会合であるわけでございます。大臣は必ず参加しなければならないと私も強く思っておるわけで、それには国会の協力が本当に必要かと思っております。野党の皆様方の協力を、また、与野党で大臣をCOP14に必ず送り出して来年のCOP15につなげていきたい、そういうことを改めて確認しておきたいと思います。

 最後ではございますけれども、アメリカの次期大統領は、オバマ大統領になられるわけでございますけれども、環境保全に積極的に取り組む方であるということが聞こえてまいります。そういう米国の温暖化対策も大きく変化していく中で、これから大変重要な国際的な協議が進むかと思っております。金融危機が喧伝される中で、この地球温暖化対策は絶対後退してはならない。これは我々の世代の将来に対する責任であるからでございます。オバマ次期大統領が言うように、むしろ地球温暖化対策を世界に先駆けて進め、新たな経済成長、雇用の拡大につなげることができると思っておりますし、斉藤環境大臣もまさにこの点については同じお考えであるわけでございます。

 今後とも、環境政策、制度の充実、環境技術の開発普及の支援に大臣の力強いリーダーシップを発揮していただきたいということを申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

水野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二分散会


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