衆議院

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第9号 平成21年6月26日(金曜日)

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平成二十一年六月二十六日(金曜日)

    午前九時三十六分開議

 出席委員

   委員長 水野 賢一君

   理事 北川 知克君 理事 小杉  隆君

   理事 土屋 品子君 理事 西野あきら君

   理事 岩國 哲人君 理事 伴野  豊君

   理事 江田 康幸君

      あかま二郎君    上野賢一郎君

      小島 敏男君    木挽  司君

      近藤三津枝君    坂井  学君

      杉村 太蔵君    鈴木 俊一君

      福岡 資麿君    藤野真紀子君

      船田  元君    古川 禎久君

      馬渡 龍治君   山本ともひろ君

      田島 一成君    田名部匡代君

      松木 謙公君    村井 宗明君

      吉田  泉君    古屋 範子君

    …………………………………

   環境大臣         斉藤 鉄夫君

   環境副大臣        吉野 正芳君

   環境大臣政務官      古川 禎久君

   政府参考人

   (林野庁国有林野部長)  福田 隆政君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           上田 隆之君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            羽藤 秀雄君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   谷津龍太郎君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            小林  光君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局環境保健部長)       原  徳壽君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  寺田 達志君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  黒田大三郎君

   環境委員会専門員     吉澤 秀明君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十六日

 辞任         補欠選任

  田名部匡代君     川内 博史君

同日

 辞任         補欠選任

  川内 博史君     田名部匡代君

六月二十六日

 辞任         補欠選任

  中川 泰宏君     杉村 太蔵君

  吉田  泉君     松木 謙公君

同日

 辞任         補欠選任

  杉村 太蔵君     中川 泰宏君

  松木 謙公君     吉田  泉君

    ―――――――――――――

四月十五日

 すべてのアスベスト被害者を補償し、被害の根絶を求めることに関する請願(木挽司君紹介)(第一八六〇号)

 同(橋本岳君紹介)(第一九八七号)

 危険な気候を回避するための法律制定を求めることに関する請願(岩國哲人君紹介)(第一八六一号)

 同(筒井信隆君紹介)(第一八六二号)

 同(小杉隆君紹介)(第一八九〇号)

 同(村井宗明君紹介)(第一九二九号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一九八八号)

同月二十四日

 危険な気候を回避するための法律制定を求めることに関する請願(吉井英勝君紹介)(第二〇六四号)

五月七日

 大口排出源に対する削減義務化等実効ある温暖化対策を求めることに関する請願(阿部知子君紹介)(第二一八六号)

 同(笠井亮君紹介)(第二二三一号)

 すべてのアスベスト被害者を補償し、被害の根絶を求めることに関する請願(平井たくや君紹介)(第二一八七号)

 同(山田正彦君紹介)(第二一八八号)

 危険な気候を回避するための法律制定を求めることに関する請願(田端正広君紹介)(第二一八九号)

 同(笠井亮君紹介)(第二二三二号)

 動物虐待への対策強化を求めることに関する請願(牧原秀樹君紹介)(第二二八四号)

 同(木挽司君紹介)(第二三一八号)

 同(並木正芳君紹介)(第二三一九号)

 同(馬渡龍治君紹介)(第二三二〇号)

 地球温暖化抑止のために国内対策の抜本的転換に関する請願(吉井英勝君紹介)(第二三一七号)

同月二十日

 動物虐待への対策強化を求めることに関する請願(松浪健太君紹介)(第二三五一号)

 同(田島一成君紹介)(第二三六一号)

 同(馳浩君紹介)(第二三六二号)

 同(村井宗明君紹介)(第二三六三号)

 同(松野頼久君紹介)(第二四一五号)

 同(吉田泉君紹介)(第二四一六号)

 同(寺田学君紹介)(第二四三六号)

 同(藤野真紀子君紹介)(第二四四五号)

 同(篠原孝君紹介)(第二四六〇号)

 同(末松義規君紹介)(第二四八八号)

 危険な気候を回避するための法律制定を求めることに関する請願(川端達夫君紹介)(第二四三五号)

 すべてのアスベスト被害者を補償し、被害の根絶を求めることに関する請願(志位和夫君紹介)(第二四八七号)

同月二十五日

 すべてのアスベスト被害者を補償し、被害の根絶を求めることに関する請願(笠井亮君紹介)(第二五二四号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二五二五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二五二六号)

 同(池田元久君紹介)(第二五五四号)

 同(石川知裕君紹介)(第二五五五号)

 同(亀井静香君紹介)(第二五五六号)

 同(細川律夫君紹介)(第二五八四号)

 同(吉田泉君紹介)(第二五八五号)

 同(谷畑孝君紹介)(第二六五六号)

 同(日森文尋君紹介)(第二六五七号)

同月二十七日

 動物虐待への対策強化を求めることに関する請願(岩國哲人君紹介)(第二七六〇号)

 同(田端正広君紹介)(第二九七一号)

 同(西本勝子君紹介)(第二九七二号)

 二〇一〇年国連国際生物多様性年におけるジュゴン保護の推進に関する請願(近藤昭一君紹介)(第二九一三号)

 同(田名部匡代君紹介)(第二九一四号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第二九一五号)

 同(吉田泉君紹介)(第二九一六号)

 同(岩國哲人君紹介)(第二九七三号)

 同(田島一成君紹介)(第二九七四号)

 同(村井宗明君紹介)(第二九七五号)

 すべてのアスベスト被害者を補償し、被害の根絶を求めることに関する請願(重野安正君紹介)(第二九一七号)

 同(日森文尋君紹介)(第二九一八号)

 同(菅野哲雄君紹介)(第二九六九号)

 同(高木義明君紹介)(第二九七〇号)

同月二十八日

 二〇一〇年国連国際生物多様性年におけるジュゴン保護の推進に関する請願(保坂展人君紹介)(第三〇六〇号)

 同(辻元清美君紹介)(第三一五七号)

 同(川内博史君紹介)(第三二四四号)

 すべてのアスベスト被害者を補償し、被害の根絶を求めることに関する請願(阿部知子君紹介)(第三一五五号)

 同(辻元清美君紹介)(第三一五六号)

 同(阿部俊子君紹介)(第三二四二号)

 同(長安豊君紹介)(第三二四三号)

六月十五日

 地球温暖化抑止のために国内対策の抜本的転換を求めることに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第三三二九号)

 すべてのアスベスト被害者を補償し、被害の根絶を求めることに関する請願(笠井亮君紹介)(第三三三〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三三三一号)

 危険な気候を回避するための法律制定を求めることに関する請願(河野太郎君紹介)(第三三三二号)

 二〇一〇年国連国際生物多様性年におけるジュゴン保護の推進に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三三三三号)

同月二十二日

 危険な気候を回避するための法律制定を求めることに関する請願(泉健太君紹介)(第三五〇九号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第三五九六号)

 同(石井郁子君紹介)(第三五九七号)

 同(笠井亮君紹介)(第三五九八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三五九九号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第三六〇〇号)

 同(志位和夫君紹介)(第三六〇一号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三六〇二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三六〇三号)

 同(吉井英勝君紹介)(第三六〇四号)

 地球温暖化をとめるための法律制定を求めることに関する請願(猪口邦子君紹介)(第三五九五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 環境の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

水野委員長 これより会議を開きます。

 環境の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、第十一回日中韓三カ国環境大臣会合出席のための出張の結果について政府から報告を聴取いたします。斉藤環境大臣。

斉藤国務大臣 六月十四日に中国・北京で開催された第十一回日中韓三カ国環境大臣会合に出席しましたので、その結果について御報告申し上げます。

 三カ国環境大臣会合は一九九九年にスタートしてから十年を経過し、今回の会合は、これまでの十年を振り返り、これからの新たな協力の時代の幕開けとなる節目の会合でした。

 会合の成果を四つの点から振り返りたいと思います。

 第一に、金融危機の中の環境政策について、中国、韓国の環境大臣と率直な意見交換を行いました。私からは、本年四月に取りまとめた「緑の経済と社会の変革」について御紹介いたしました。韓国の李萬儀環境部長官からは韓国の低炭素緑色成長政策、中国の周生賢環境保護部長からは経済危機下における中国の環境政策について、それぞれ報告がありました。

 我々三人は、この百年に一度というべき世界的な不況と、早急に対応すべき地球規模の環境問題という二つの大きな問題を抱える状況にあって、必要とされる環境対策を大胆に実行することにより、直面する環境問題に対処するとともに、環境産業を振興していくことの重要性について認識を共有しました。

 第二に、三カ国の協力を一層発展させていくため、これまで十年の活動を総括した上で、時代の流れに対応した新たな協力の優先分野などについて合意に達することができました。具体的には、環境教育、気候変動、黄砂、汚染管理、スリーR・循環型社会など十項目を今後五年間の協力の優先分野とし、環境協力に関する三カ国行動計画を今後共同で取りまとめることとしております。

 第三に、私から周部長、李長官に、六月十日に麻生総理が発表しました我が国の温室効果ガス削減目標について御説明し、理解を求めました。我が国の目標は、CDMなどを含まず国内での努力を積み上げたいわば真水の目標であること、この中期目標は低炭素革命で世界をリードすべく一歩前に出て倍の努力を払う覚悟で決定されたものであること、そして二〇五〇年の長期目標に道筋をつける第一歩のものであることを強調しました。その上で、年末の気候変動枠組み条約第十五回締約国会議、COP15において公平かつ実効性のある二〇一三年以降の次期国際枠組みについて合意できるよう、三カ国で緊密に協議し協力していくことを呼びかけ、両国からは引き続き協力するとの決意を表明いただきました。

 また、私からは、日中韓三カ国間の低炭素社会づくりに向けた青年間の連携、協働を促すことを目的に、三カ国の学生が集う青年環境活動サミットを今年秋に日本で開催することを提案し、中国、韓国から賛同をいただきました。

 以上の成果については、共同コミュニケとして取りまとめ、発表いたしました。また、年内に中国で開催予定の第二回日中韓首脳会議に対して、環境協力に関する三大臣による提案として提出することを考えております。我々の提案が首脳会議で議論され、三カ国の環境協力に関する首脳からの強力なメッセージが発出されることを期待いたします。

 また、三カ国大臣会合に先立ち、六月十三日には中国の周部長、韓国の李長官とそれぞれバイ会談を行いました。

 中国の周部長とのバイ会談では、環境省と中国環境保護部の協力を強化すべく、日中環境閣僚級政策対話を行う等の環境協力の一層の深化に関する覚書、川崎市及び瀋陽市の環境にやさしい都市の構築に係る協力に関する覚書及び環境に関する普及啓発・教育及び技術の分野における協力の一層の深化に関する覚書の三本の覚書に合意し、翌十四日に署名式を行いました。これら三本の覚書は、日中環境協力が新たな段階に入り、一層具体的に取り組む姿勢を明らかにしています。

 また、窒素酸化物の大気総量削減及び窒素、燐の水質総量削減に係る共同研究ワークショップ等、日中両国の統合的かつ集中的な環境汚染対策協力の実施について合意しました。この合意を踏まえ、六月二十三日から、日中環境汚染対策協力ゴールデンウイークと銘打って、各種ワークショップ等を開催しているところです。こうした取り組みを通じ、中国の環境規制の強化等に我が国が支援をすることにより、中国の環境、ひいてはアジア地域の環境改善に貢献することが期待されます。今後とも、温室効果ガス削減と環境汚染対策を同時に実施するコベネフィットアプローチ、大気汚染対策及び水質汚濁対策等に関して、中国との間でより一層の環境協力を進めてまいりたいと思います。

 韓国の李長官とのバイ会談では、私からは、中期目標への御理解をお願いするとともに、次期枠組みへの韓国の積極的な参加を要請しました。李長官からは、日本の動向を参考にしつつ、韓国の中期目標や次期枠組みへの参加について検討を進めていきたいとの回答をいただきました。また、私から、海洋ごみへの取り組みの一層の強化を要請し、引き続き協力を進めることを確認いたしました。

 また、六月十四日の三カ国大臣会合終了後には、中国で気候変動問題を担当する国家発展改革委員会の解振華副主任とバイ会談を行い、気候変動問題、特に我が国の中期目標について意見交換を行いました。私からは、今回発表した中期目標は、世界最高水準のエネルギー効率を達成している我が国にとって野心的なものであること、国内での削減分のみのいわゆる真水の目標であること、この中期目標は二〇五〇年に六〇から八〇%削減するという長期目標への道筋をつけるものであることを説明し、中国の理解を求めました。

 解副主任からは、日本にはより高い目標を求めたいが、その一方で、中国の省エネ及び気候変動対策への決意は変わらない、また、日本との技術協力に強い期待を持っているとの御発言がありました。

 今回はごく短時間の意見交換でありましたが、解副主任とは、今後頻繁にお会いして対話と協力関係を深めようということで一致しました。年末のCOP15での合意に向けて、中国の次期国際枠組みへの積極的な参加を促すべく、全力を尽くしてまいりたいと考えております。

 以上の会合の結果を受け、今後とも、環境、気候変動分野での三カ国の協力を促進させてまいりたいと思います。また、今回の一連の会談を通じて、中国及び韓国の関係閣僚との信頼関係を深めたことも大きな収穫であったと考えます。

 環境大臣として、国際的な議論に積極的に貢献すべく一層努力してまいりますので、引き続き御支援をお願い申し上げます。

 以上です。

水野委員長 これにて報告の聴取は終了いたしました。

    ―――――――――――――

水野委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として林野庁国有林野部長福田隆政君、経済産業省大臣官房審議官上田隆之君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長羽藤秀雄君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長谷津龍太郎君、環境省総合環境政策局長小林光君、環境省総合環境政策局環境保健部長原徳壽君、環境省地球環境局長寺田達志君及び環境省自然環境局長黒田大三郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

水野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

水野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木挽司君。

木挽委員 おはようございます。自民党の木挽司でございます。

 今ずっと斉藤環境大臣の三カ国環境大臣会合の御報告を受けながら、私はずっと中小企業またベンチャー企業とかかわりながら人生の大半を過ごしてきた人間なんですが、現在のエコ、エコロジーではなくてエコノミー、経済の方を考えたときに、アジア全体を一つのシステムとしてとらえてどううまく回すかについて真剣に考えなければいけないなと思っております。自由貿易協定、FTAなどの積み上げ型の議論も大切なんですが、それでは見えてこないものがやはりあります。大きな枠組みに一たん視線を広げた上で細部を議論すべきだ、つまり、アジアを考え、結果として日本がメリットを得るという視点が大切なのではないかということです。

 転じて、もう一つのエコ、エコロジーについてでございますが、これも同じく、同じくというよりもさらに大きな地球規模での視点が必要かと私は思います。今後の国際交渉に臨まなければならないのですが、私は、どうしてもここで心にひっかかっている点があるんです。

 それは、今月十日、二〇二〇年までに温室効果ガスの排出を〇五年比で一五%削減すると麻生総理が公表されましたが、その席で、日本だけが不利になることがないように国際交渉に全力で取り組むと語った、いわゆる公平性の視点の部分なんですね。

 中期目標達成のためには、産業、そして家庭、運輸交通、それぞれの分野で総額六十二兆円の投資が必要とされております。代表的なところ、太陽光発電の導入量を二〇二〇年までに二十倍にする話に及んで、私も経済産業省に買い取り制度などについて質問させていただき、なお国民負担のあり方についても議論が交わされたことは皆さんも御記憶に新しいところだと思いますが、とにかく、一五%削減するためにはあらゆる面で努力しなければならない。斉藤環境大臣におかれても、国や地方自治体による補助金の活用で、既に赤字国債の発行や環境税導入にまで言及しておられます。

 そこで、エネルギー・経済統計要覧二〇〇八年版によると、〇五年時点で世界のCO2排出量は約二百六十六億トンとされております。そのうち米国と中国の二カ国で百九億トン、全体の四割を超えております。では日本の排出量はといえば、同じく〇五年時点で全体の四・七%でしかない。〇五年比で一五%減らす、イコール一億八千七百五十万トンのCO2を削減することになるんですが、これは世界の排出量に占める割合はわずか〇・七%ですよね。

 今さらどうこう言うつもりはないんですが、各国の利害関係が渦巻き、とかくエコロジーよりもまだまだ政治あるいはエコノミーの方が優先しがちな環境問題で、これだけお金を投入して削減する数字がこれでは、地球規模の貢献も、また世界に対するアピールもそうですし、心配するところ、労多くして何とやら、どんなものなんだろうなどということが私は自然な感情としてふつふつとわいてくるんです。

 改めて六十二兆円もの投資と国民の負担増を考えたとき、せっかくやるのなら日本の努力が報われるようにしなければとの思いを強くして、より実効性のある政策を模索すれば、現在の世界の流れを見てみれば、市場メカニズムの活用、いわゆる排出量取引という仕組みを上手に活用する策を日本ももっと真剣に検討すべき時期に来ていることは間違いないんじゃないかなというふうに考えておったところです。

 その折も折、私、ちょっとおもしろい記事を拝見いたしました。どんな記事か。人為的な森林火災の発生や拡大を制御することによりCO2排出を減らして自然環境の破壊を防ぐセンチネル・アジア計画なる計画を強力に推し進めてはどうか、これはどうやらアラスカ大学の福田正己教授らの提案を推奨する櫻井よしこさんの意見だそうなんですが、ここに私ちょっと着眼したんです。

 この計画の目指すところ、森林火災の原因の多くは人為的なもので、自然現象でないこうした人為的な災害を防ぐことができれば、CO2の削減ばかりでなくて、自然環境の破壊を防ぎ、種の多様性もまた保つことにつながる。森林の破壊と劣化防止の英語の頭文字をとってREDDと名づけられたこの計画です。アジアにおける森林の推定焼失面積は日本の国土面積を超える年間四千万ヘクタールだそうですが、こうした火災では、一ヘクタール当たり二十トンから四十トンのCO2が排出されるそうです。森林火災で放出されるCO2は、これに当てはめますと、アジアで毎年八億トンから十六億トンということになります。言わずもがななんですが、森林を守ることは、プラスアルファ、CO2の吸収効果を高めることにもつながりますよね。

 森林火災を防ぐこのセンチネル・アジア計画なるもの、既に第二段階にあるそうで、三年後にはアジア地域での森林火災被害の少なくとも一〇%、一割削減を目指すと伺っております。これをそのままアジアの火災に当てはめてみれば、八千万トンから一億六千万トンのCO2の削減効果があるということです。

 六十二兆円を投じて〇五年比一五%削減を達成したときの排出量削減が一億八千七百五十万トンです。繰り返しますが、このセンチネル・アジア計画をより深刻な森林火災被害に悩むアマゾンだとかアフリカまで広げれば、マックス、最大で十五億トンのCO2削減ができるとも言われております。そうなると、センチネル・アジア計画からさらに広げて、センチネル・アース計画というふうに提唱されているそうなんですね。

 ここで一つお尋ねしたいんです。政府の政策と単純に比較するようなものではないと私は思っておりますが、このセンチネル・アジア計画、斉藤環境大臣そして寺田地球環境局長それぞれに、現時点でこういった計画についてどのような評価をされているんでしょうか、ひとつお聞かせいただきたいと思います。

斉藤国務大臣 このセンチネル・アジアというのは、自然災害の監視を目的とし、特に森林火災を含む各国の防災機関が共有する活動である、このように承知をしております。

 今後、この監視活動を具体的な森林火災の防止ということにどのように結びつけていくかということが課題だと思っております。日本の貢献として、国内で削減する、これは当然でございますが、世界のそういう二酸化炭素削減の努力に貢献するということももう一つの非常に大きな柱でございまして、森林の減少を防ぐというのも我々が今後取り組むべき非常に大きな課題だ、このように思っております。

寺田政府参考人 センチネル・アジアにつきましてはただいま大臣が申し上げたとおりでございますけれども、ただいま委員御指摘のとおり、森林の問題というのは非常に大きなウエートを持っております。今、全地球で排出されておりますCO2のおよそ二割ぐらいが森林起源ではないかと言われておりまして、この森林の分を入れますと、ブラジルあるいはインドネシア等が非常に大規模な排出源になるということも言われております。

 そういった関係から、現在、京都議定書に続く新しい枠組みの交渉がなされておりますけれども、そうした中でもこの森林問題というのは大きなウエートをこれから占めてくるのではないかというふうに考えているところでございまして、今後、そういった世界的な枠組みの中でこの問題に対応していきたいと考えているところでございます。

木挽委員 ありがとうございます。

 いずれにせよ、今後の国際交渉の中で、日本の国益を維持しつつ、中国そしてインドを同じ枠組みに引き入れる、極めて難しい交渉が待ち受けております。日本が特に不利な立場に追いやられた京都議定書の繰り返しにならないように、ぜひ今までとは違ったアプローチを検討すべきではないかと思います。ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 ここで質問のテーマをがらりとかえさせていただきたいと思うんですが、私、自民党の動物愛護議員連盟で事務局次長、そして超党派の議員が参加されます動物愛護管理法を見直す会の特別顧問をしております。その関係で幾つか御質問をさせていただきたいなと思っております。

 まず最初に、平成十九年から、動物行政が、従来の殺処分から延命へと大きな政策転換が行われました。保護、捕獲された犬、猫について、公示が過ぎた後もできるだけ新しい飼い主に譲渡するように努めるよう通知されました。平成二十年には、収容された犬、猫の三日分のえさ代と譲渡のワクチン代が地方交付税で賄われるようになりました。これはもう皆さん御承知のとおりで、また、この環境委員会でも何度も御興味のある議員が取り上げられたところでございます。

 そんな中で、環境省はこの地方交付税三億五千万円の自治体ごとの使い道を調査、集計していると伺っておりますが、現在の進捗状況並びに結果についてどうなっているのか、まずお聞きしたいと思います。

黒田政府参考人 お答え申し上げます。

 環境省では、本年四月、都道府県それから指定都市、中核市に対しまして、動物愛護管理関連経費として地方交付税を使ったかどうかということにつきまして調査をいたしました。

 その調査結果でございますが、交付税を使ったという回答を寄せた自治体の数は、平成二十年度に関しまして、都道府県で三十、それから指定都市で四、中核市で十一でございました。また、二十一年度において、動物愛護管理関連経費として、具体的には収容施設におけるえさ代であるとかワクチン代であるとかそういう使途でございますが、そういうものに地方交付税を充当する予定があるかどうかということもあわせて聞きましたところ、三十六道府県、五指定都市、十四中核市から、その予定がある、こういう回答を得ているところでございます。

木挽委員 ことし五月二十九日の第二回の動物愛護管理法を見直す会では、環境省から、その時点では予算を利用した自治体は大体三十カ所ぐらいだというふうな報告があったと思うんですが、それよりはふえているわけですね。

 例えばの話ですが、犬の殺処分ワースト一位の茨城県、その報告の中に含まれているかはわからないのですが、その時点で、収容犬の数も多くてえさ代などが必要ということが十分予想される中で、実際は予算を利用していないというふうなことを伺っておったんです。また、報告の中でもあったんです。

 今の報告を受けても、交付税を利用していない地方自治体がやはりあるわけなんですね。環境省からそうした利用していない都道府県、地方自治体に対して指導することはできないものなんでしょうか。

黒田政府参考人 この交付税措置に関しましては、既に環境省からすべての自治体に対して、そういう措置がなされたという情報提供はしておるところでございます。

 今後、より多くの自治体で交付税も活用する形で必要な予算が確保されますよう、例えば都道府県との連絡会議など、いろいろな機会を通じて積極的に働きかけていきたいと考えておるところでございます。

木挽委員 強制力とは言いませんが、せっかくの予算でございますから、しっかりと使っていただくよう、こちらからも御指導いただきたいと思うわけです。

 そして、えさ代とワクチン代ということで予算が出ておるわけでございますが、さまざまな地方自治体、動物の収容施設などの報告を、いろいろと運動されている方、動物愛護にかかわっていらっしゃる方々、いろいろな形で積極的に活動されておられますから、そうした報告をお聞きするにつけ、また、私自身も幾つかの施設を実際に見学させていただいた、そうした見学の後の感想なんですが、どうしても収容施設の格差があるんですね。

 その格差が広がる中、どういう内容かというと、特に施設内の温度、真夏は物すごく暑かったり、冬場は物すごく寒かったり、動物は生体でございますから、その置かれている環境は非常に厳しいものがあったりします。また、衛生面での配慮などでも施設の明確な基準が必要なんじゃないかなと私は思うわけです。その点、局長、いかがなものでしょうか。

黒田政府参考人 地方自治体が運営しております収容施設につきましては、動物愛護管理法に基づきまして、家庭動物等の飼養及び保管に関する基準、環境省告示でございますが、この中で、飼養施設として配慮すべき事項を定めています。具体的には、日照、通風、温度、衛生、こういうものに対する配慮というものを定めておりまして、これがきちんと遵守される必要がある、こういうふうに認識しています。

 環境省では、収容施設が実際どういうふうになっているのかということ、詳細をつかんでいない部分もございますので、今後、地方自治体における収容施設が基準に合っているかどうか、また、施設環境がどうなっているかという実態の把握も行っていきたいというふうに考えているところでございます。

木挽委員 実態の調査がまだ追いついていないというお話をいただきましたが、これは、実態調査がずっとできた段階で、現行の環境省と各地方自治体のかかわりの中でも十分対処できるというふうにお考えでしょうか、どうでしょうか。

黒田政府参考人 まずは実態を調査してということで、自治体それから動物愛護関係の団体、あるいは獣医師等専門家の意見も聞きながら、具体的にどうするかということを検討していきたい、こういうふうに考えています。

木挽委員 ありがとうございます。

 次いで、殺処分の話。当委員会でも自民党の藤野先生や民主党の松野先生がこうした質問を何度もされておりますので、繰り返しの部分になるかもしれませんが、殺処分の方法についてなんです。

 今、多くの自治体では、安価だということもあるでしょうし、大量に処分できる、言葉に語弊があるかもしれませんが、そういった理由から、二酸化炭素による殺処分方法が用いられています。これは御承知のとおり。十分から二十分、子犬なんかですと四十分から五十分も生き長らえながら、苦しみながら死ぬ、そういう実態の報告も私自身が把握しております。

 こうして時間をかけて窒息死させていますが、今、申し上げているように環境委員会でも何度も取り上げられている中で、日本に比べて欧米諸国では、殺処分するにやむを得ない事情がある場合のみ、一頭一頭に麻酔を打って苦しみを低減する方法が主流となっております。麻酔薬の吸入や注射による、苦しみを低減させる方法に切りかえていくべきではないかと私は率直に考えますが、どうでしょう、吉野副大臣。

吉野副大臣 二酸化炭素による殺処分、いわゆる窒息死なんですね。ですから、窒息というと、苦しい、犬、猫に対して大変なものがあるというふうに想像しますけれども、二酸化炭素には麻酔の作用がございます。濃度管理や施設の操作が適切に行われれば麻酔の作用があるということ、これはアメリカの獣医師会が二〇〇〇年に発表されたものなんですけれども、その報告書においても紹介をされているところです。また、殺処分する職員の方々の安全というものを考えると、今多くの自治体で二酸化炭素による殺処分が行われているところです。

 御指摘のように、一頭一頭麻酔薬を注射していくという方法もあるんですけれども、これは、職員にとって、かみつかれたり暴れたりということでやはり多くの危険性もあるところで、職員の精神的苦痛が増加する、こういう問題点もございます。現状では、それぞれの長所、一頭一頭注射でやっているところもあろうかと思いますけれども、地方自治体の判断に任せているところです。

 あと、御指摘のように、子犬、年齢の低い動物に対しては、二酸化炭素による致死処分の十分な効果、通常の場合、四十分から五十分かかるという報告もございますので、環境省として、子犬等についての殺処分方法について、科学的知見の収集、分析というものを、専門家の意見を聞きながら検討を進めてまいりたいと考えております。

 以上です。

木挽委員 私も、各施設、具体的な施設名はここであえて申し上げませんが、幾つかの施設を回らせていただいて、確かに職員の方は、麻酔あるいはそういう処置をするときに、女性ですが、顔をかまれたとかいうような報告は実際に施設の方々からお聞きしたことはございます。

 しかしながら、一方、そうしたやり方についてはやはりさまざまなものがあると思うんですね。現行、殺処分されております麻酔機器よりも、別の機材では、麻酔成分などを注入して眠らせてから窒息死させるというような機械もあるというふうに伺っておりますし、私、そういう紹介もお受けしております。やはり、やむを得ず殺す、あるいは殺処分しなければならない動物たちの苦しみを考えたときに、できる限りそうした苦しみを取り除く方法ということに主眼を置いて、ぜひ前向きに検討していっていただきたいと私は考える次第です。

 翻ってみて、そうはいっても、殺処分しなければならない数が年間三十万匹を超えている実態があります。まず、これを減らすことも非常に大事だと私は思っているんですね。

 今、皆様方のお手元に配付させていただいた資料、これは、「収容施設に何度も捨てに来るリピーター問題」と私は書かせていただきましたが、それに関連して、昨年十二月八日のアエラに掲載された記事から抜粋したものを紹介しております。この部分はあくまでアエラだけでございますが。

 ちょっと読ませていただきますと、「パピーミルと呼ばれる利益追求のみを目的とした繁殖を行う「悪徳ブリーダー」にまつわる様々な問題が指摘されていますが、パピーミルが作り出す感染症などのリスクを経て、オークションを渡り、ペットショップに流れる動物たちが人の手に渡るまで、相当な数の子犬や猫が途中で死んでいるだろうと、専門家やメディアなどで指摘されています。」ということで、このアエラの部分を紹介させていただきました。

 これは代表的な例でございますからあえて読み上げることはいたしませんが、これに書いてあるように、もし一部の業者がこんな捨て方あるいは対処の仕方をしているとしたら、悪徳業者がもうけるために国民の税金が使われているということにもなります。行政としても看過できない問題なのではないかな、そういうお話なのではないかなというふうに私は思っております。

 また、先ほど何度もお話ししておりますが、私たち自民党の動物愛護管理推進議員連盟などでも、あるいは動物愛護管理法を見直す会などでも、インターネットで生体を売買するトラブルの数々も報告されております。

 大体、インターネットで取引される、遠いところからかわいい動物の画像を見て、これ飼いたいなと。その業者がインターネットで掲載するのが例えば北海道だったら、遠隔地まで生体を輸送される、その途中に死んでしまうというような実態もあるわけです。特に小さいころはかわいいですから、撮影すると、もう何週間かたつと犬というのは姿が変わりますね。そういったことによるトラブルなどもある。当然感染症など疫病対策などもしていない中でそういった売買が繰り返されているという実態は、私、非常に悲しい現実だと思っております。

 さらに、別の雑誌の特集記事ではこんなことも書いてありました。

 ペットショップやブリーダーの問題について、アンダーグラウンドとつながっている部分や、あるいはバブルのころにもうかるからというだけで参入した人々が多いことを指摘されていまして、雌犬に排卵誘発剤を使って繁殖を早めたり、雄犬に麻薬系の興奮剤を打って種つけをしているケースなどが紹介されている。これではまるで悪の巣窟だとか百鬼夜行の世界であるとまで文章では書かれておりました。

 もちろん、こうした話では、購入する側、いわゆる消費者と言っていいのかどうか、生体を買う側に対して正しい認識を持っていただく働きかけが重要なことは言うまでもありませんし、私、そうしたところももっともっと広めていただかなきゃいけないと思っておるんですが、その意味でも、生体でありながら物として扱われ、捨てられ、殺される犬や猫が多数いる実態を正確に国民に伝えることが大切だと私は思います。

 環境省においては、こうした売れ残った動物がどのような経過をたどるか、ペットショップに対してアンケートを実施していると伺っておりますが、実際どこまで進んでいるんでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。

黒田政府参考人 環境省では、ことしの二月から三月にかけてでございますが、ペットの小売業者など約千四百の業者に対して、これは初めてでございますが、販売実態等に関するアンケート調査を実施したところでございます。

 この調査結果では、犬の場合ですが、取り扱ったもののうち約二%が、一般の飼い主、一般飼養者に販売されなかった、私ども流通外動物と呼んでおりますが、流通外動物になっているということが明らかにされました。

 また、流通外動物の取り扱いに関しては、なかなか十分な回答数が得られませんでしたが、少数ながら六十弱の業者からは回答がございました。

 これによりますと、販売されなかった犬のうち、ブリーダーに返却されたものが約五割、それからほかの小売業者に譲渡されたものが約二割、一般への無償譲渡をしたものが一割、そしてその他二割につきましては店で継続飼養などをする、こういうような集計結果が得られたところでございます。

木挽委員 実際出てきた数字の中身についてもしっかり検証する必要があるなと私思う次第でございます。

 こういった収容施設へのリピーターを防ぐために、二度と捨てないための誓約書を書かせること、あるいは罰金制度を設けること、また、センターへのヒアリングでは、収容施設は引き取りを断れない義務があると主張された例もあるそうですが、動物愛護管理法では終生飼育の義務が掲げられております。自治体においても安易に引き取らないような制約をつける必要があるとも考えますが、この点、局長、どうでしょうか。

黒田政府参考人 まず、私どもから見ましても、収容施設に対して動物の引き取りを安易にあるいは何度も求めるという者は動物愛護の精神には沿わないのではないか、こういうふうに考えておるところでございます。

 自治体において、施設に犬、猫を何度も持ち込むいわゆるリピーター対策でございますが、例えば、犬、猫の引き取りを有料化するとか、引き取り依頼者の本人確認を徹底して同じ人が何回来たかを把握できるようにするとか、さらには適正飼養の指導書を作成、提供するというような先進的な取り組みを行っている自治体も出てきているところでございます。

 環境省では、基本的な線は、犬及びねこの引取り並びに負傷動物等の収容に関する措置という告示を定めておりまして、この中で、自治体が、引き取りを要請した依頼者に対して引き取りの理由などを聴取して、その中身に応じて、例えば飼養の継続等適切な助言を行うように求めているところでございますし、今申し上げました先進的な取り組みというものをリピーター対策として全国に広められないかということで、現段階では、自治体に情報提供するなどして、全体としてリピーターの減少が進むように努力しているところでございます。

木挽委員 いずれにせよ、ざるな業界の罰しなきゃいけない部分について、罰せない部分、いわゆる法律にもざるな部分があれば、それをぜひとも埋めていくようにお願いしたいと思います。

 最後に動物実験についてお聞きしたいんですが、二〇一三年より欧州において化粧品に関する動物実験が全面禁止となります。これに伴い、日本国内で動物実験を行っているメーカーが欧州に販売できなくなることが想定されております。

 前回の法改正を受けて、実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準が作成されておりますが、その遵守状況はいかがなんでしょうか。また、その改正等についてどのようにお考えなのか。最後に、環境大臣、今までの議論もるる伺った上での感想そして所見をお伺いしたいと思います。

斉藤国務大臣 まず最初に御質問の最初の部分でございますが、平成十七年に動物愛護管理法が改正されました。それを受けて、平成十八年の四月に新しい基準を定めました。この基準は、いわゆる実験動物に係るスリーRと呼ばれておりまして、かわりの方法がないか、リプレースメント、使用数の削減、リダクション、そして苦痛の軽減、リファインメントということでございます。この環境省がつくりました基準に基づいて関係の各団体、学術団体等が基準をつくって今運用しているところでございます。

 この実施状況はどうかということでございますが、正直申し上げてまだ調査をしておりません。今約三年たちましたので、今後、この基準がどのように守られているかという調査を早急に始めていきたいと思っておりまして、このスリーRの基準そのものの改定ということを考えていきたいと思います。

 それから、今までの議論を通じての感想ということでございますが、木挽委員のお話を聞きながら、私も勉強不足だなと思った点がございました。動物愛護という観点は、この同じ地球上に生きる我々人間としても非常に重要な観点でございますので、その精神をしっかりと踏んだ行政を行っていきたいと思っております。

木挽委員 ありがとうございます。

 こうして議論させていただいて、我が国が動物愛護において後進国であることは紛れもない事実であると。幼いころから子供たちが他の生き物と共生していく教育にもさらなる配慮をするなど、次の見直しが動物愛護管理の真の起点となるべく大幅に改善されることを望んで、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

水野委員長 次に、岩國哲人君。

岩國委員 民主党の岩國哲人でございます。

 斉藤大臣初め環境省の皆さんが、内外のメディアに向かって、日本のこういった環境努力、地球温暖化防止の努力について、懸命に情報発信されておる御努力に対しては敬意を表したいと思います。

 先ほど日中韓の重要な会議についての御報告をいただきましたけれども、その前に、ドイツのボンにおいてかなり長い期間にわたって専門家の会議が行われた、その報告も受け取っております。

 麻生内閣が二〇〇五年に比べて二〇二〇年には一五%の削減を閣議で決定され、それが日本の大きな方針となっておりますけれども、私たちが考えましたのは、先進国そして昨年環境サミットを主催した日本、これからもいろいろな意味で世界の環境努力のリーダーシップをとっていかなければならない日本としては決して満足できる数字ではない、そのように思っておりました。

 案の定、お手元にお配りしておりますように、これは毎日新聞の記事でございますけれども、各種の報道が一斉に、こうした国際社会の反応について報道しております。

 ドイツのボンで日本の方針を聞かされたとき、「会場は静まり返り、拍手も批判の声もなかった。」この会場で日本政府代表は〇五年比一五%減と紹介した。この程度の注目度しかないのかと非常にがっかりしたと。「やはり、この数値は低炭素社会を実現し、世界を引っ張っていこうという国としては低すぎる。今のままでは日本は、国際社会から何の期待もされない国に成り下がる。」これは一新聞ではありますけれども、代表的な報道だと思います。

 斉藤大臣は、内外のいろいろな会合に出席されて、この麻生内閣の一五%という数字が十分に専門家そして世界の先進国の期待にこたえ得る、そのような説得をなされる自信がおありかどうか、それをまずお聞きしたいと思います。

斉藤国務大臣 今回の中期目標につきましては、内外いろいろな、オプション一からオプション六までにつきまして、科学的な分析を行い、それをもとに国民の意見を聞き、総理が御決断されたものということで、担当大臣としても私は重く受けとめております。

 私が海外に行ったときに申し上げておりますのは、これはこれからの国際交渉に向けての第一歩の数字である、そしてその中には、この数字はいわゆる真水、国内対策だけのものであり、今後これに海外、いわゆるCDMや森林の吸収源などの数字が加わっていく、そして、これは二〇五〇年の長期目標に向けての一つのパス、長期目標の中で位置づけられた数字である等を説明し、理解をいただこうと努力をしているところでございます。

岩國委員 ありがとうございました。こうした国際社会の期待、そして目標というものとかなりかけ離れておるということは指摘しておきたいと思います。

 麻生総理大臣に対しては、KYという表現で、新聞で、国民の空気が読めない、気持ちが読めないという表現がなされることはありますけれども、この問題に関してはまさに国際社会の空気も読めない、KYではないかと失礼ながら申し上げたいと思います。

 国際社会において、これが第一歩である、そして真水である、そういった大臣の御説明というのはどれだけ真水としての浸透力を持っているものなのか。私は、第一歩であるがゆえにみんなが注目する、第一歩の次に第二歩があって第三歩があって、そういう読み方を国際社会というのはなかなかしてくれないものですから、第一歩がこういう冷たい反応を受けたということは大変残念だったと思います。

 次にもう一つ、メディアに関しまして、環境教育、これから新しい国民の協力を得ていこうというときに、メディアがどういう報道をするか。政府と、国民と、そして第三の権力として、メディアの存在は大変必要だと思います。

 その中で、ある週刊誌で、新聞紙が無用に捨てられている、森林に換算して後楽園ドーム千個分に相当するものが捨てられている。新聞の販売競争の結果として後楽園ドーム千個分の森林が破壊されているということは、政府の努力、そして新聞が強調している地球環境問題の重大さということに全く逆行しています。

 大臣も御承知のように、横浜市民だけではありません、緑の週間に日本の各地の市民が一生懸命、一本、二本、子供もお母さんたちも一緒に植樹運動をしたばかりです。市役所が、税金を使い、そして職員の時間を使い、市民の協力もいただいて、日本の木を一本でも二本でもふやそうという努力をしているときにこういう記事が出るということについて、どう思われますか。また、それは事実かどうかを環境省としては調査されましたか。その点をお聞きしたいと思います。

斉藤国務大臣 まず、調査をしたかということでございますが、その指摘はつい一日、二日ぐらい前の記事で読んだところでございまして、まだ調査をしておりませんが、重大な関心を持っておりますので、きちんと調査をしたいと思います。

 まさに、循環型社会を構築していくというのは、低炭素社会とある意味で重なる、本当に重大なこれからの社会のあり方を決める方向性だと思います。そういう中で、森林の保全、そして資源の有効利用ということも含めて、大変大きな問題というふうに認識をいたします。

岩國委員 ありがとうございました。ぜひ調査し、そして、それが真実であれば適当な行政指導を直ちに実行していただくこと、もし真実でないならば、そういった間違った報道で国民に誤解を与えるようなことにはぜひ適切な措置をとるべきじゃないかと私は思います。

 私は、出雲市長時代にも、平成元年、二十年前のことです、リサイクル、リサイクルと市民に呼びかけました。市民のお母さんたちは、ぜひ便利のいい場所でやってほしい、ガソリンスタンドのようなところでリサイクルステーションでもやってくれればいいねと。

 翌日、ガソリンスタンドの経営者三十人を呼んで、そして、お母さんたちはこういうことを期待していますと。十三人のガソリンスタンドの経営者が立ち上がって、私のところでやりますと。毎週木曜日、木にちなんで、ガソリンスタンドでリサイクルステーションが始まりました。そして、木に換算して一年間に三万本を救うことになったんです。

 今でも、その木はどこかの山の中ですくすくと育って、出雲市のお母さんたち、ありがとう、ガソリンスタンドの皆さん、ありがとう、僕たち木の命を救ってくれてありがとうという感謝の声が私の耳に聞こえるようです。そういう地道なものに訴えていかなければならない。木を植えるという素朴な、身近なことからやっていかなきゃいけないときにこういう記事が出るということは大変私は残念に思いますから、ぜひ直ちに調査し、そして、できるだけ早く結果を明らかにしていただきたいと思います。

 次に質問をかえます。石炭、石油についての質問です。

 これは、私も先回申し上げましたように、中国で石炭がどんどん掘られる、そして日本に輸出する。その結果、その石炭の産地の空気が汚れている。子供たちは、夜の星も月も見えないような状態。これは日本が石炭を一生懸命買っているということにも大変関連していると思います。

 そこでお伺いしますけれども、昨年環境サミットが行われて以来、日本の石炭の使用量、輸入量はどれだけ減ったのか、これが一つ。二番目に、G8、先進国の中で、エネルギーの中で石炭の使用量、比率というものはどれだけ日本は低くなったのか、その二点をお伺いしたいと思います。

上田政府参考人 石炭の使用量それから輸入量に関する御質問でございます。

 まず、消費量について申し上げたいと思います。

 現在、石炭の消費量は世界的に年々増加傾向にございます。具体的には、この十年間の石炭消費量の年平均の伸び率で申し上げますと、これは国際エネルギー機関の統計でございますが、世界全体で年平均この十年間は三・七%で伸びております。我が国は二・八%となっております。

 また、石炭の消費量が世界第一位の国は中国でございますが、中国の消費量は年平均で六・四%。第二位はアメリカでございますが、アメリカの消費量は一・一%。第三位のインドは四・六%、こういうふうになっているわけでございます。それで……(岩國委員「G8の中で何番か」と呼ぶ)日本は、G8の中では二番目でございます。世界の石炭消費国を上から申し上げますと、第一位が中国、二位が米国、三位がインド、現時点で日本が第四位という状況であるかと思います。

 それから、日本の輸入量でございますけれども、我が国の石炭の輸入量は、現在、全体で約一億八千万トン程度でございまして、漸増の傾向にございます。

岩國委員 昨年、世界の注目を浴びた、環境サミットとも言われるようなサミット会議が北海道で行われている。それ以後一年間にどれだけ顕著な低下ぶりを示したのか、それを私はお伺いしたかったわけですけれども。中国は、石炭をたくさん持っているから、そして持っているものを使う、その国が多いのはよくわかります。アメリカについても。日本の場合には、石炭がほとんどないのに、よそから買ってまで依然として使おうとしている。これがどれぐらいたてばこういう傾向が改まるのか、私もこれから注目したいと思います。

 斉藤大臣に、いろいろな内外の会議で日本の環境努力等について説明していただく御努力は非常に多としますけれども、その中で、数字だけで争うのじゃなくて、一五%はどうだ、二〇%はどうだ、バナナのたたき売りじゃありませんけれども、数字だけで競い合う、それもある程度は必要なことでありますけれども、それ以外に、日本はよその国とは違ってこういう国なんだ、環境については二千年前からこういう努力をしている、二千年前というのは大げさな話ですけれども。そういう国柄、国民の特性ということもぜひPRしていただきたいと私は思うんです。

 と同時に、エネルギーの消費に関しては、エネルギー小国と言われながら、こんなに恥ずかしい無駄なこともやっている。恥ずかしいことを言うというのはなかなかだれも気が進まないものですけれども、例えば、日本というのは、エネルギー小国と言われながら、世界の国に比べて、こういう悪いこと、ライフスタイル、数字にはあらわれない、生活あるいはエネルギーに対する考え方、どういう点で日本人は反省しなきゃならないと思っておられますか。

斉藤国務大臣 大変難しい御質問でございますけれども、その質問に答える前に、石炭の話が出ました。

 私は、石炭、特に石炭火力を全面的に否定するつもりは全くございませんけれども、日本の京都議定書がなかなか達成できない一つの大きな原因は、電力自由化のもとに石炭火力がどんどん増加してきた、そして、その石炭を、まさに中国からもオーストラリアからもどんどん輸入してきたというところがございます。私は、そこのところは本当に見直していかなくてはいけないのではないか。電力の自由化よりも、もっと環境適合性等をきちんと考えたエネルギー政策にしなくてはいけないのではないか。その中で石炭政策をきちっと見直すということが必要だろうと思います。

 それから、質問でございますけれども、何が見失われたかということかと思いますが、日本はある意味で、江戸時代までといいましょうか、非常に世界最高のエコ大国であった、循環型社会であった、このように言われております。そういう中で、もったいないという精神も出てきた。今、豊かな社会に、また物質的に恵まれた社会になって、その基本的な日本の伝統を忘れてきているところに大きな原因があるのではないか、そのあたりをもう一度考え直さなくてはいけないのではないか。エネルギーも、安けりゃいいという考え方でエネルギー政策をとったら大きな間違いを起こすのではないか、このように思っております。

岩國委員 私は、いろいろな国に住んで、そして、いろいろな国から日本という国を見てまいりました。その中で、やはりこれは恥ずかしいなというのが三つありました。

 一つは、人口当たりの自販機の数が余りにも多過ぎる。担当官から、人口当たりの自販機の数の多さというものを説明してください。

 二番目に、もう一つの恥ずかしいことは食べ物の無駄です。セブンイレブンの例も出ておりましたけれども、これだけ世界じゅうの食べ物を輸入して、そして自給率は四〇%を割りながら、こういった食べ物の無駄。一年間の食べ物の無駄が鳥取県の人の一年分の食料に相当する、これぐらいの無駄をやっている。

 最後ですけれども、三番目に時間の無駄。世界の先進国の中で、サマータイムをやっていないのは日本だけでしょう。どこの国も、エネルギーを使わないように、そのために夏時間。私は、ヨーロッパとアメリカと合わせて二十年間、サマータイムの国でずっと過ごしていました。日本がサマータイムをやらないために失っているエネルギーがどれだけあるのか。

 自販機の密度について日本はどれぐらい多いのか。二番目に、サマータイムをやらないことによって時間の無駄、エネルギーの無駄が幾らに相当しているのか。端的にこの二つをお答えください。

羽藤政府参考人 自動販売機の人口一人当たりについての設置台数、そういう御指摘でございますけれども、手元に人口のアップデート、最新のものはございませんけれども、日本は、アメリカの人口一人当たりの台数の約二倍、欧州においては約四倍というふうなレベルにある。そして、日本における自動販売機全体の普及台数では、二〇〇七年の段階で四百十七万台である。アメリカでは大体七百八十二万台、欧州では三百七十六万台。そのように承知をしております。

寺田政府参考人 サマータイムについてお答え申し上げます。

 サマータイムは非常にいろいろな側面があろうかと思いますけれども、私の方からは単純に二酸化炭素という面でお答えをいたしたいと思います。サマータイムの導入によって二酸化炭素排出量で約百二十万トンの削減が見込めるという試算がございます。

岩國委員 CO2に換算すればそれだけの大事な削減の目的になると思いますけれども、エネルギーに換算すれば原発二基に相当する、そういう結果も出ております。

 なぜ、エネルギー小国と言われる日本が早寝早起き、私も決してそのタイプではありませんけれども、しかし、なれてしまえばなれるものです。そして、小さな子供にも、エネルギーを大切にする、そして、最初は努力が要るかもしれませんけれども、なれてしまえばそれが普通になってしまう。なぜいつまでもそういう世界の流れに日本が孤独な抵抗を続けて、そして無駄なエネルギーや無駄なCO2を排出するのか。この点についても、大臣が先頭に立って考え方の改革というものを進めていただきたいと私は思います。

 世界から見た三つの恥ずかしいこと、一つは自販機の無駄、二番目は食べ方の無駄、三番目は時間の無駄。この三つの恥ずかしいことを早く解消できる日本になってもらいたいと私は思います。

 今度は、三つの恥ずかしいことのほかに、日本にとっては三つのすばらしい財産もあると私は思うんです。

 今まで質問の中にも取り上げてきましたけれども、木を愛する樹木医という木のお医者さんを持っているのは世界で日本だけではありませんか。イギリスも韓国もちょっと似たようなものを持っています、韓国は日本に倣ってやっているようですけれども。日本のように、千七百人の、森を守り、町の緑を守り、そして庭の一本一本の木も守ってやる。

 木にも命がある。木挽委員は先ほど動物の命について質問されました。私は、動物の命も大切にしますけれども、木にも命があるということを子供に教えること、これが日本の緑を守る、緑にも命があるんだということ。そのために、樹木医という千七百人、林野庁が一生懸命これを守って育てておられますけれども、こういうことは世界の国に対して発信すべきことだと思うんです。

 誇りを持って、日本という国はこういうことなんだ、山にも川にも草にも木にも神様、仏様がいらっしゃる。山川草木ことごとく仏性あり、大乗仏教の経典にも書いてあることです。それをずっと守っている。それを書いたインドは守っていません。日本だけがひたすらにそれを守っています。そういう国であること。

 そして、自然との共存、これを一番徹底しているのは日本じゃありませんか。数字で争うだけではなくて、そういう思想や哲学や考え方が私は大切だと思うんです。

 自然との共存だけではなくて、動物もかわいがります。イギリス人も犬をかわいがりますけれども、昨年も申し上げましたけれども、日本は、動物をかわいがるだけではなくて、動物にも活躍する場を与えているということです。私は大切なことだと思うんです。

 ライオンが歯ブラシをつくったり、キリンがビールを売ったり、象がお湯を沸かしたり、タイガーがお湯を温めたり、ペリカンが荷物を運んできたり、クロネコがお中元を運んできたり。国会の中ではキツネやタヌキもいた時代もあったようですけれども。これだけ多くの動物が、身の回りで子供たちに生き生きと、みんなも頑張れよと。そういう、動物に働く喜びを与えているのは、私は世界で日本だけだと思うんです。

 生物多様性の会議が来年名古屋で行われますけれども、そういうときに、動物が生き生きと活躍している、それが日本であるということ、私はぜひそれも日本の誇りとして取り上げていただきたいと思います。

 それから、大臣あるいは局長にお伺いしたいんですけれども、市民活動というものは非常に活発になってきています。NPOあるいはNGO。そして、すばらしい仕事を日本の各地でなさっていらっしゃいます。こういう啓蒙のための資料もお配りになっている。お金もかかるでしょう。いろいろな政府の少しばかりの補助金で生き生きとそういう努力をされていることについては敬意を表しますけれども、こういう国民教育、市民教育について、内容にちゃんと目を通しておられるかどうか。

 皆さんが、きれいなパンフレットで、ああ、いいね、すばらしいね、それだけで、中身も見ないで、間違ったような表現がなされている。そういうことについて、皆さんの方でしっかりとした組織を持っておられるか、担当者がいるのか。そして、どれぐらい間違ったことに対しては指導をしておられるのか。

 例えば、私が最近手にしたものを言いますと、カシミアセーターを着る人は地球温暖化を悪くする、カシミアセーターを使えば使うほど砂漠化は進行する。あるいは、パンを食べる人は地球の水をどんどん利用して、そして地球温暖化に赤信号がともる。

 こういう、パンを食べるということが地球温暖化にマイナスの影響を与えているという指摘が事実とするならば、日本人はパンを食べることはやめて一生懸命米を食う。パンを食べるな、米を食べよ。ジャパンはパンを食べないで、米国人が米を食べるのか。日本こそ「米国」にならなきゃいけない、ジャパンではなくて。この事実は正しいかどうか。こういうことについても適切な指導というのがなされる体制になっているのかどうか、その点について環境省の体制はどうなのか、こういう情報チェック、間違った教育を指導する体制はどのようにできているのか、それをお伺いしたいと思います。

小林政府参考人 御指摘の点でございます民間活動は大変大切なことだというふうに思っております。私どもは、その民間の活動に対して正しい情報をなるべく提供するという仕事はしてございますけれども、端的にお答えいたしますと、民間団体の方がどういう御主張をされて、これが間違っているか正しいか、そういったような判定の業務というのは行ってございません。

 私どもは民間活動支援室というセクションを置いてございます。これは私どもの職員は四人。それから、NGOのスタッフの方をそれぞれ各地で雇い上げてございます。そういった方々を合わせますと、それぞれの場所で、例えば二、三人で各地域のそういった民間活動の支援というのを行ってございますけれども、その民間団体の御活動、御主張の内容についてのチェックというところまではしていないというのが現状でございます。

岩國委員 そういう支援室というのは、金は出すけれども口は出さない、これは立派な方針かもしれません。しかし、私は口もしっかりと出すべきではないかと思います。そういうところは、国民の大切な税金を使って支援を受けて悪いことをしようと思っているわけではありません。しかし、結果として独断と偏見に基づいた情報が流されているとすれば、適切にそれを指導するのは環境省の仕事じゃありませんか。見て見ぬふりをする、そういうことでは私はいけないと思います。

 担当者の方々に聞きました。まず、そういうものは中身を見ていない。一年間にどれぐらい間違ったことを指摘して指導しましたか、一件もなかったようです。これでは、この環境の時代、地球温暖化についてみんなの意識を盛り上げなきゃいけないときに、間違った情報がとにかくはんらんして、だれもそれを矯正しようとしない。

 国民は迷うだけです。毎朝毎朝、自分はパンを食べた方がいいか米を食べた方がいいか、極端な話。環境問題について、子供に、孫にこのきれいな地球環境を残していくためには、米を食べるべきかパンを食べるべきか、早く結論を出してくださいよ。みんなは恐らく迷うと思いますよ。ジャ「パン」というからパンを食べた方がいいのか。それとも、やはり「米」コクの米を食べる方がいいのか。お米がいいということであれば、やはりこれからの農業政策にもそれは反映させることも必要ではないかと思います。どうぞそういうことにも留意しながら、環境行政を進めていただきたいと思います。

 私の質問は、この衆議院環境委員会においては私の最後の質問になるかもしれませんけれども、皆さんと御一緒できたことを大変光栄に思いますし、そして、これからもこの環境委員会で活躍される同僚の議員の皆さんの御活躍と、そして、大臣以下、環境省の皆さんが世界に冠たるリーダーシップをこの問題について示していただくことを希望して、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

水野委員長 次に、吉田泉君。

吉田(泉)委員 おはようございます。民主党の吉田泉です。

 私の方からは、海岸漂着物の問題について何点かお伺いしたいと思います。

 NHKのテレビの番組で「難問解決!ご近所の底力」という番組がありまして、ちょうど一週間前になりますけれども、この海岸漂着物の問題が取り上げられました。山口県長門市、ワカメがとれるこの一キロの海岸線、大変きれいなところなんですけれども、そこに、韓国、中国、台湾そして日本、発泡スチロールとかペットボトル、すさまじい量のごみが押し寄せてきて、一キロの海岸がごみで埋まってしまう、こういう光景が出ておりました。

 この問題に長年取り組んできたNPOからのアドバイスがあって、この地元の自治会長さんらがビーチクリーン大作戦を企画しました。そうしたところ、各地から二百六十人のボランティアの方が集まって、二時間で四トントラック八台分のごみを回収できた。三十分のドキュメンタリーでしたけれども、日本人の助け合い精神が健在であるという大変感動的なドキュメンタリーだったと思います。

 その番組の一番最後のところで、司会をしていた方から、こういうときは、水辺の環境整備に関する助成制度というのがあるから、それを利用するのがいいことです、こういう紹介があって、番組が終わりました。

 そこで、まず、この助成制度というのは一体どういうものを指しているのか、それをお伺いします。

寺田政府参考人 現在、各地におきまして、地元の自治会、NGOあるいは事業者などの民間団体が連携いたしまして、海岸漂着物の回収や調査を行っていらっしゃいますけれども、これらの活動の基礎となる財源の確保にいろいろと御苦労されているという実態だと承知しております。

 助成ということにつきまして言いますと、民間などでの活動に対しまして、地方公共団体あるいは民間の助成団体等が支援を行っている例があると承知しておりますし、また、環境省が所管しております独立行政法人環境再生保全機構の地球環境基金などにおきましても、海岸漂着物に関する活動を含めて、民間団体が行う環境保全活動に対して助成をしているところと承知しております。

 ただし、これらの例はいずれも一般的なものではございませんで、冒頭申し上げましたように、多くの団体が財源の確保に苦労しているという状況と承知しております。

吉田(泉)委員 ちょっとはっきりしませんでしたけれども、この番組で紹介された助成制度というのは、民間のスポンサーがついた助成制度であって、公的な制度ではないという理解でよろしいですね。

寺田政府参考人 恐れ入ります。私、その番組での助成制度はつまびらかでございませんで、私ども承知している範囲では、地方公共団体が支援している例もあれば、民間の助成団体が支援している例、両方あると思います。

吉田(泉)委員 テレビに取り上げられた長門市の例ですと、長門の市役所は、軍手とかごみ袋、それから回収されたごみの処理、これは負担しますと。ただ、二百六十人分の昼御飯、おにぎり、それから名物のワカメのお土産、こういうものは自治会長さん御夫妻が自腹を切ってやっているということなんですね。これは、一年だけならば何とか、そういうお慈悲にすがってやるのもいいと思いますが、毎年やってもらおうとなると、何かそれなりの公的な支援が必要ではなかろうかと感じたところでございます。

 海岸の清掃というのは、要するに一キロにわたって清掃するわけですから、数キロのところもありますが、人海戦術になる。そういう意味では、ボランティアの方々の協力なくしてはできないということですので、その支援のあり方については、また一番最後の方でお伺いしたいと思います。

 次に、海岸漂着物の全体像といいますか、実態について伺いたいと思います。

 一九八〇年代、もう二十年前からアメリカ等で海岸クリーンアップ運動というのが始まりました。日本でも一九九〇年、第一回クリーンアップキャンペーンというのが始まりました。今まで二十年にわたって、毎年NPO等の民間団体が主催して、海岸の漂着物の回収それから調査、こういうものが継続されております。大変なことだと思います。そして、二〇〇七年、日本で行われたキャンペーンの規模は、何と二百十九会場に二万五千人が参加してクリーンアップ作戦をやる、そういうふうにだんだん大きくなってきたところでございます。

 政府の方でも、三年前に関係省庁対策会議というのをつくって取り組みを開始し、それなりの取りまとめも発表したということでございます。十九年度からはモデル調査事業ということを始めて、七県十一海岸でこれを実施した、ことしの初めには中間報告も出した、こういうところまで参りました。

 そこで、それらを踏まえてこの実態を確認したいと思いますが、まず、どの程度の長さの海岸線に、どの程度の漂着物が日本全体として来ているものか、伺います。

寺田政府参考人 まず、日本全体でございますけれども、これは、財団法人環日本海環境協力センターというところが平成十二年から十七年度について調査をしておりまして、その結果によりますと、推計で、我が国の海岸全体に漂着する年間の漂着物の量は、約十五万トンという数字がございます。

 それから、どの程度の長さの海岸にどの程度の量ということになりますと、委員御指摘の、私どもの行いました漂流・漂着ゴミ国内削減方策モデル調査、これによりますと、十一海岸、これは特に被害の大きいところを選んでおりますので、海岸一般ということじゃないと思いますけれども、その被害の大きい海岸におきまして、大体平均でいいますと、一キロメートル当たり年間で十二トンぐらい。これは全体でいいますと、調査海岸は五十キロメートルで年間約五百八十トンということでございますけれども、その程度の量が漂着しているということでございます。

吉田(泉)委員 全体の推定量が約十五万トンということであります。日本の一般廃棄物の総量が五千万トンと言われておりますから、大体それの〇・三%程度でございます。

 海岸線全体でどのぐらいの長さの海岸線に押し寄せているのかという御答弁は今ありませんでしたが、政府の取りまとめだったと思いますが、こういう数字があります。日本の海岸の総延長の一割程度で清潔の保持が困難な状態、それから、全体の四分の一程度は日常の管理を超える漂着物が押し寄せているという報告が、これも推定だとは思いますが、報告がありました。やはり相当ゆゆしい規模で漂着物が来ているというふうに私は感じております。

 そこで、今度は、漂着物の種類、一体どういう漂着物が多いのか、そして、生活系と事業系に分けるとどちらが多いものなんでしょうか。

寺田政府参考人 先ほど申し上げました平成十九年から二十年度に実施いたしました漂流・漂着ゴミ国内削減方策モデル調査の結果で申し上げます。

 端的に申し上げますと、まず、生活系と思われるペットボトルあるいは食品の容器包装などのごみの割合が約六割。ロープや浮き、フロートなどの漁業系のごみとか、事業系と考えられます木材や廃タイヤなどがおおよそ四割ということになっております。

吉田(泉)委員 生活系六割ということですね。

 今度は、国内由来のもの、海外由来のもの、発生源を分けますと、どのような割合になるでしょうか。

寺田政府参考人 実は、国内由来、国外由来ということになりますと、これは地域によって相当な差がございます。

 モデル調査の結果で申し上げますと、調査地域の中で、長崎県の対馬、沖縄県の石垣島あるいは西表島などにおきましては、中国など海外由来のものがほとんどを占めているという状況でございます。

 一方、日本海側の山形県、石川県、福井県は国内由来のものが最も多く、おおむね半数以上が国内由来。そして、内湾の三重県鳥羽市や熊本県上天草市では国内由来のものがほぼ一〇〇%というようなことでございまして、地域によって相当なばらつきがあるということでございます。

吉田(泉)委員 地域によって大変差があることはわかるんですが、全体で平均するとどうでしょうか。

寺田政府参考人 各地域の数字はそれぞれございますけれども、ただいま申し上げましたように、非常に地域によってばらつきがございますので、必ずしもこの調査全体の平均をとらまえてどうこうという数字は余り意味がないように考えておりまして、そのような集計はしておりません。

吉田(泉)委員 そういうお考えもわかりますが、この政府の取りまとめ、十九年三月の関係省庁会議取りまとめに引用されている数字は、これは先ほど御紹介があった環日本海環境協力センターの試算ですが、全国平均で、海外由来のものが重量比で六%、個数比で二%という数字があって、これも何らかの前提を置いた推計なんでしょうが、ざっと日本全国平均すると、やはり相当程度が国内由来のものである、こういう認識でいいんじゃないかというふうに思っているところであります。

 それから、実態に関する最後の質問ですけれども、ごみが発生して、それが漂流して漂着する、このメカニズムというのはどのように推定しているんでしょうか。

寺田政府参考人 なかなかメカニズムといっても難しゅうございますけれども、まず生活系とか事業系のごみにつきましては、もちろん日常生活や事業活動の過程において、ポイ捨てとか不適正な管理によって占有を離れたものが散乱ごみとなる。それが雨風により水路や河川に入って、最終的には海岸にまで流れ着いてくるということなんだろうというふうに推察をしております。

 また、海外由来のごみについても、何らかの原因で海域や陸域で流出したごみ、そういうものが海流や風に流されて我が国の海岸に漂着してくるというものだと考えております。

 海岸漂着物の発生の抑制を進めるために、引き続き、海岸漂着物の発生の状況及び原因に関する調査、先ほど来御指摘ありますモデル調査等でございますけれども、そういった調査検討を進めてまいりたいと考えております。

吉田(泉)委員 最終的には、発生源をどうやって押さえるかということが根本的な対策になると思います。

 このモデル調査事業というのも、もう数年前から始まって、今継続してやっていると思いますが、どこから来ているのか、海外なのか国内なのかがよくわからないというんじゃ私は困ると思いますよね。やはり、ある程度の確率で、八割なのか九割なのかをまずつかんで、そして、それがどういう、私は今の推定でよろしいと思うんですけれども、ごみが、雨が降って水路、河川、海に流れて、行ったり来たりして、もしくは海外に行くものもあるでしょうけれども、漂着する。それも、いろいろ学者のお知恵をかりたり、それから、民間団体がもう二十年もやっているわけですから、知恵をかりたり、地方自治体、さらには気象庁、海上保安庁など、そういう専門的なデータがあるところと連携して、このメカニズムをまず解明するということが私は一番大事だと思いますので、力を入れていただきたいと思います。

 それから、今度は処理の実態に関してお伺いしたいと思います。

 今まで、だれが、どのように漂着物を処理してきたんでしょうか。

谷津政府参考人 お答え申し上げます。

 海岸漂着物につきましては、海岸の管理に責任のある海岸管理者、あるいは港湾などの公物の管理者が、海岸の清潔の保持に努める立場などから、海岸漂着物への対応に関する義務を負っておるわけでございます。

 また、海岸管理者だけでは対応し切れないような質的な問題あるいは量の問題、こういった問題を抱えた海岸漂着物が発生した場合には、海岸管理者などからの要請、あるいは地域の生活環境保全上見過ごせないというような状況にかんがみまして、地元の市町村が処理を行わざるを得ないという場合もあると認識しております。

 また、委員御指摘にございましたように、住民ボランティアの皆様方の御協力を得ながら、民間団体が海岸漂着物の清掃、回収に参加している地域も多く見られているところでございます。

 いずれの場合でございましても、回収された漂着物は市町村などが設置する焼却施設において焼却処理されていることが多いというふうに認識してございます。

吉田(泉)委員 海岸管理者である、主として県知事さんだと思いますが、そこがやる場合もある、市町村がやる場合もある、民間ボランティアがやる場合もあるということでしたけれども、圧倒的に民間ボランティアがやるというのが多いという認識でいいと思いますよね。そして、この問題の性質上、これからもそうであるしかないというふうに私は思っております。

 日本が誇るボランティア団体の筆頭に消防団というのがありますけれども、それを参考に、何か環境団のような、そういうイメージで対応することが必要じゃなかろうかというふうに思っております。

 それから、先ほどの大臣の御報告でも、この問題について日韓のバイ会談で取り上げた、海洋ごみへの取り組みの一層の強化を要請したという御報告がございました。先ほどの御答弁だと、海外の発生分の割合は低いとまでは言いませんでしたけれども、低いんだろうと思われますが、中には非常にゆゆしい問題もございます。

 例えば、十年前から、毎冬数万個のポリタンクが押し寄せてくる。中には塩酸が入っているものがあったりする。それから、今度は薬瓶とか注射器など、医療系の廃棄物が数万点のスケールで押し寄せてくる。こうなると、安全性の面から見ても極めて問題が大きいというふうに思います。

 これら海外発生分について、一体、外交交渉、それから国際協力の進展のぐあいはどうなっているのか、お伺いします。

寺田政府参考人 まず冒頭、先ほどの答弁、少し説明不足のところもございまして、もちろんモデル調査をやりまして、個々の海岸では割合はしっかりわかっております。これは個々の漂着物について、中国語とか韓国語が表記されているものから、どこから来たかということはわかるわけでございまして、例えば長崎県対馬地域の越高海岸で申し上げますと、日本からのものが一九%、これに対して韓国が一二%、中国が三一%、台湾が一二%、不明が二六%、こういうような割合でございまして、こういった対馬あるいは先ほど申しました沖縄等では非常に海外由来のものが多いということでございます。

 さて、外交上の対策でございますけれども、外国由来の漂流・漂着ごみの発生抑制に向けまして、私ども環境省といたしましては、外務省と連携をとりながら国際的な対応を進めております。委員の御質問にございましたけれども、廃ポリタンクでありますとか医療系廃棄物などが大量に漂着した際には、関係国に対して原因究明及び対策実施の要請を行っているところでございます。

 本年二月には、韓国釜山において、地方公共団体や専門家などを交えまして、日韓実務協議を開催し、廃ポリタンク問題に対し、日韓両国が解決に向けて一層積極的に協力していくことを確認しております。

 また、多国間の対応といたしましては、先ほど大臣からも御報告申し上げましたけれども、先日開催されました日中韓三カ国環境大臣会合におきまして、漂流・漂着ごみ削減に向けた取り組みの強化を求めたところでございます。

 また、日本、中国、韓国及びロシアから構成される北西太平洋地域海行動計画、これはNOWPAPと称しておりますけれども、この枠組みを活用いたしまして、普及啓発を目的としたキャンペーンを共同で行うなど、関係国との協力強化を進めているところでございます。

 今後とも、引き続き、漂流・漂着ごみの発生抑制に向けて関係国との協力の強化を進めてまいりたいと考えております。

吉田(泉)委員 外交交渉もやっておられるわけですけれども、十年前から数万個のポリタンクが毎冬毎冬来て、これがまだその原因が特定できないというのは私、ちょっとおかしいなというふうに思います。これは日韓の二国間でらちが明かなければ、何かもう少し大きい舞台に、今そういうお話もございましたが、持ち上げて、少なくとも原因を特定するぐらいは早急にやるべき問題じゃなかろうかと思います。

 それから次に、今度は法制化への課題についてちょっとお伺いしたい思います。

 現行の廃棄物の処理及び清掃に関する法律を初めとして、いろいろな法律でこの海岸漂着物問題に対応できる部分も相当あると思うんですが、どういう部分はできるけれども、どういう部分はなかなか現行法上は難しい、いかがでしょうか。

谷津政府参考人 廃棄物処理法でございますが、これは、日本国内で発生した廃棄物について、産業廃棄物は排出事業者が責任を負う、一般廃棄物は市町村がみずからの域内で排出された廃棄物の処理をする責任を負うという原則のもとで、適正な処理を行うための厳格なルールを定めている法律体系でございます。

 これに対しまして、海岸漂着物は、河川や海流に乗って遠く運ばれ、排出者をたどり得ない、原因がどこか、だれがその責任を持っているのかということがたどり得ないといったようなもの、また、台風などによりまして廃棄の意図はなく流出したものなどが多いわけでございます。また、地域によりましては、先ほど来御議論になっております海外由来のものも多いというような特殊性があると認識しております。

 こうしたことから、海岸漂着物対策といたしましては、例えば、上下流の自治体など関連するほかの自治体との連携協力のための方策、または発生抑制のために他の地域で積極的に意識啓発を行うようなことが必要であるというふうに思われますので、従来の廃棄物処理法では扱ってこなかったような取り組みが必要となると考えております。

 こうしたことから、現行の廃棄物処理法では対応しにくい部分があるということは確かであると認識しております。

吉田(泉)委員 ありがとうございました。

 それから、一番最初に長門市の自治会の活動を御紹介したわけですけれども、そういうことを含めて、今後、海岸漂着物の回収や調査に協力してくれる民間団体に対してどのような支援がなされるべきか、御見解をお伺いします。

寺田政府参考人 環境省におきましては、平成二十一年度補正予算に盛り込まれました地域グリーンニューディール基金を活用いたしまして、海岸漂着物の処理を行う地方公共団体に対して財政支援を行い、地域の関係者が連携した海岸漂着物の回収、処理や発生源対策などの取り組みを推進することとしております。

 この基金は、民間団体などの地域の関係者と連携協力をして行う海岸清掃活動も含め、都道府県の実情に応じて活用いただくものであるということでございます。

 今後とも、国、地方公共団体、民間団体などの連携を図りながら、海岸漂着物対策が着実に進むように努めてまいりたいと考えております。

吉田(泉)委員 民間団体がこの問題においては大変主役だと思いますので、友好関係を維持しながら、的確な支援を検討していただきたいというふうに思います。

 最後に、大臣にお伺いしたいと思いますが、大変この海岸の漂着物の問題は、地球的な規模の問題になっていると思います。国際キャンペーン参加国は六十六カ国、毎年三十六万人ぐらいの方が世界的にこのキャンペーンに参加している。生態系のいろいろな痛々しい被害も報告されております。鳥類、魚類、哺乳類、いろいろごみに絡まって命を落とす、こういう例も報告されております。

 日本でも早く法律を整備して、国レベルでもこの問題に的確に対応できるようにしたいというふうに思うわけですが、大臣の御見解、そして御決意を聞かせていただきたいと思います。

斉藤国務大臣 その決意を申し述べる前に、いろいろ今議論を聞いておりまして、私からもちょっと二、三、発言させていただきたいと思いますが、まず、海外漂着ごみでございますが、特に日韓におきましては、バイの機会があるごとにこのことをこちらから申し上げております。

 例えばポリタンクにつきましては、塩酸の入っているポリタンクにつきましては、向こうのノリの養殖から出てくるということは、ほぼ原因も定まっておりまして、それに対しての対策も韓国の方でやっていただいているということで、この問題については引き続きしっかりと取り組んで、かなり効果も出ているところもあるというふうに認識をしております。

 それから、この漂着ごみですが、先日、ちょっと漂着ごみと離れますけれども、瀬戸内海の海底ごみのシンポジウムがございまして、私もそれに参加したんですけれども、印象に残っておりますのは二つ残っておりまして、一つは、流体力学の先生が、海底ごみが集まるところを、流体力学の計算どおりに集まっていたと言って喜んでいたのが非常に印象的だったのと、それから、そのごみを分析したところ、いわゆる流域、瀬戸内海ですと中国山地の瀬戸内側、四国の瀬戸内側、全域から集まっているごみであったということが非常に印象的でした。

 したがって、海岸近くに住んでいる人だけではなくて、ある意味では日本国民全員が我々のふだんの生活を見直していかなければ、この海底ごみ、また海岸漂着ごみというのは解決しないんだなという印象を持ったところでございます。

 この対策については、先ほど局長から申し上げたとおりでございますが、一つは、今回、地域グリーンニューディール基金を設けました。これらは地域の関係者が連携して効果的な対策が着実に進められるということを目的としたものでございまして、この活用。そして、法的な面も今委員御指摘がございました。現在与野党で、海岸漂着物の円滑な処理とその発生抑制を図るために、一つは処理に係る海岸管理者や市町村の責任の明確化、それから二番目に財政上の措置を含む国の支援措置などを主な内容とする新たな法案の取りまとめを進めていただいているところでございまして、大変意義があるものと考えております。

 環境省としては、こうした点も踏まえて、関係省庁や地方公共団体のほか、海岸清掃に尽力されている民間の団体の皆さんとも連携を深めつつ、この問題について全力を挙げて取り組んでいきたいと思っております。

吉田(泉)委員 ありがとうございました。終わります。

水野委員長 次に、村井宗明君。

村井委員 民主党の村井宗明です。

 きょうはもしかしたら最後の環境委員会になるかもしれませんが、生物多様性条約国際会議が来年開かれます。与党にとっても野党にとっても、もちろん民主党にとっても自民党にとっても、この問題は非常に重要で、ともに力を合わせて進めなければならないと思います。その時点で環境大臣がかわっているのかこのままなのか私にもわかりませんが、少なくとも、今この問題にしっかりと対応していかなければならないという思いは与野党共通していると思うんです。

 さて、その生物多様性という問題をちゃんと維持して進めていくためにさまざまな取り組みがされるんですが、そんな中で、まず七月二十日、七月二十日の時点では間違いなく斉藤大臣が環境大臣のままだと思うんですが、まず第一弾として、国際自然保護連合の生態系管理委員会のピエット・ウィット委員長が日本に来日される。環境省にも訪れるということなんで、当然そのことは御存じだと思うんですが、ちょうどその七月二十日からの視察の中で、二十三、二十四、二十五の三日間、二泊三日で視察先に選ばれたのが、私ども地元の富山県立山町のブナ坂でございます。

 さて、なぜこの立山町のブナ坂が選ばれたかというと、林木の遺伝資源保存林として指定されている、また非常に希少種の多いところなんです。その選ばれたブナ坂のあたりで、実は今、自然保護団体と行政側とで若干のトラブルが起こっておりまして、このことについてきょうは少し取り上げさせていただきたいと思っています。

 もちろん、今回のこの問題はまだ正式決定している問題じゃないから、お互いの妥協案がある、だからこそ前向きに、自然保護の観点と道路の有効利用の観点、両方の視点でプラスの結論を得られたらいいんじゃないかなと思って、この環境委員会で取り上げさせていただきます。

 最初に、この問題の発端となりましたのが、資料をきょうは配っていませんが、私の手元にあります。このブナ坂をめぐって四・五キロの道路、天然林の真ん中に四・五キロの道路をつくったわけです。もちろん、その道路自身は有効性のあるものですから、天然林の間に道路を通すというのは決して悪いことではありませんが、今までは、その道路沿いに約一メートルにわたって、両横一メートルの幅にわたって除伐をしてきました。当然一メートルぐらい切らないと道路の邪魔になってしまう、交通の邪魔になるから一メートル切る。ここまではだれもが理解できるところだったんです。

 毎年一メートルの除伐をしていたんですが、今回問題となったのは、両横十メートルにわたって除伐をしようという計画書をペーパーで出されたわけです。これも、別に決定ではなくて案として出されたのにすぎないわけなんですが、下草刈りをやるのと、そして本数率四〇%にわたって両横十メートル除伐をしようという話が案として出た。そうしたら、当然、地元の環境保全団体が反発をした。だけれども、きのうも実は事前レクを受けた時点では、これは正式決定した話ではありませんよということなので、当然まだまだ落としどころがあると思って、あえて言うわけです。

 そこで、まず一般論としてお聞きしたいと思うんです。まず、天然林と自然林は私は違うと思うし、多分同じ認識を持っておられると思うんですが、この希少種の多い、コアな天然林を保全するためには、その林縁であるバッファーゾーン、いわゆるマント、そで群落も保全する必要がある。つまり、直接道路の横に天然林ということでいくと必ずそこまで破壊されてしまうんですが、間にマント、そで群落というものを置いておいて、そこがあるからコアな天然林が保全されるという認識は、林野庁もしくは環境省も一致しておりますでしょうか、どうでしょうか。

福田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の事案でございますけれども、私ども富山森林管理署において、沿線の景観あるいは道路の見通しの必要性の観点で検討しているものでございまして、現在、富山県道路公社や環境省立山自然保護官事務所等の関係機関はもとより、自然保護団体の方々など幅広い関係者の皆様に御相談等をしている段階でございまして、その結果を踏まえて事業の範囲や内容を検討することとしているものでございます。

 今御指摘ございましたマント、そで群落のことでございますが、森林内への日照の直射あるいは風の吹き込みを減少させることによりまして森林を保護する働きを持っているということについては、私ども十分認識をしておるところでございます。

村井委員 必要だという認識、これは多分一致したと思うんです。

 さて、世界からも注目されるこの天然林、その中でもう一つ、この天然林について意見が二つ分かれると思うんですが、実は、おとつい京都大学の名誉教授の河野先生が富山に来られまして、現場を視察して指摘されたことがあるんです。その道路の両横十メートル、四・五キロにわたっていく、全部が全部じゃないんですが、ある程度のところに非常に希少種が多かったというのが河野先生の指摘だったんです。

 その中で彼から言われたのが、自然林と天然林は違うんだ。自然林は下草刈りも必要だし、間伐もしていって育つんだ。天然林はそうじゃなくて、やたら下草を全部刈ってしまうというのはむしろ必要ではなくて、それだけで今自然に生態系として成り立っている、生物多様性が成り立っているところを全部下草を刈るというのはおかしい話じゃないかなと。

 そういう意味で、天然林と自然林で下草刈りの必要性、間伐の必要性は違うのかどうか。その辺の認識はどうでしょうか。

福田政府参考人 お答え申し上げます。

 私どももそういう点については十分認識を持っているところでございますけれども、天然林においても、ただ、場合によりまして、この例のように、景観や道路の見通しを阻害する下草の刈り払いを行うことはございます。

 今回は、先ほど来申し上げましたとおり、景観や道路の見通しを考えて最小限の除伐等を行うということを検討しているものでございます。もちろん、除伐を行うことによりまして土砂の流出を招いたのでは本末転倒になります。こういう点も含めて、関係者の御意見も踏まえながら適切に検討してまいりたいと思っております。

村井委員 今ちょうどおっしゃっていただきました。要するに、下草をだあっと全部刈ってしまった場合、本来はそれで土壌が流れなかったはずのものを、ちょうどここは斜面になっているエリアでして、本当に下草を刈ってしまうと、かえって土が弱くなって雨水で崩れてしまうんじゃないかという視点で言われたわけです。

 そういった意味で、本当に今、非常に貴重な自然林の中で、下草を一律十メートルで刈っていくというのは非常にまずいんじゃないかなと私も思うんです。どこをどう刈るのかということについては、本当に配慮していかないと危ないんじゃないか。

 そして、もう一つそこでお話ししたいのが、この下草刈りをやる、もしくは除伐をする業者。普通に考えたら入札で選ばれると思うんですが、一般的に、例えば林野庁の方それから自然保護団体の方は、それぞれの植物を見て同定できるわけです。これは希少種だ、これは別に切ってもいいやつだといってわかるんですが、我々素人だと当然できないし、じゃ、入札で入った業者がやり得るのかどうか。希少種の多いと言われているここで、どうやって切るものと切ってはならないものを見きわめることができるのか。それについて教えていただけませんでしょうか。

福田政府参考人 お答え申し上げます。

 施業対象地について、いろいろ自然保護団体の関係者の皆様からの情報もいただきながら、また、既存のレッドデータブック等の資料も私ども持っておりますので、そういうものから、大変申しわけないんですけれども、どうも計画案の方が、一律十メーターというふうにもう画一的にやるような印象になっておりまして、私ども、大変その点が意を尽くしていなくて申しわけないと思っております。

 そういう情報をもとにきちんとやっていくということで、じゃ、それを具体的にどうするのかということでございますけれども、配慮すべき希少種等が現地において特定できました場合には、国において、事業を請負に出すわけでございますけれども、その対象種の周囲にテープで表示を行う、この区域は外してくださいということを明確にいたしまして、事業者による適切な作業が確保されるように指導してまいる考えでございます。

村井委員 さて、今希少種の話が出ました。この自然公園全体で四百五十五種類、指定の種類がある。保護しなければならない、そして切るときに許可を得なければならない種類が四百五十五種類あるんじゃないかということをきのう教えてもらったんですが、その中で、この道路の沿線約十メートルの中には大体何種類ぐらい、指定の希少種、そして保全しなければならない種類があると推測されるのか。どうでしょうか。

福田政府参考人 お答えを申し上げます。

 ただいまお話ございましたように、立山だけに特定したRDB、いわゆる絶滅のおそれのある野生生物種というのを網羅的に把握しているわけではございませんけれども、委員のお話がございましたように、立山を含む中部山岳国立公園全体では、自然公園法の十三条三項に基づきまして、観賞用、園芸用、薬草用等として採取されやすく、規制を行わなければ絶滅するおそれのある種として指定された植物が四百五十五種ということでございますし、また、富山県の方でお定めになっておりますRDB種も多数ございます。

 このうち、また、地域の状況から見まして、森林依存、森林性のものはかなりあるのではないかと思っておりますが、具体的にそういう情報についても、現地にまだ細かく入っておりませんし、また、それについていろいろまた教えていただかなきゃならないということで、今、関係の自然保護団体の皆さんにも、こういうことをどうでしょうかという提案をしたような段階でございますので、具体的にどうかということについては今申し上げられる能力がないのでございますけれども、いずれにいたしましても、そういう関係者の皆様からの情報もいただきながら事業の内容、範囲を検討してまいる考えでございます。

村井委員 こうやって今取り上げたこともあるし、その前から、まあ、最初に配った企画案というのは単に案にすぎないから、自然保護団体の意見も、今回反対もあったことだし、それを聞いて中身を修正していく。

 もちろん、それで修正してもらいたいと思って今回取り上げたつもりですし、追及するつもりはないんですが、その中であれと思ったのが、資料が何種類か、企画が変わっていっているから当然だと思うんですが、最初、除伐の本数率が四〇%という紙がどんと配られて、それで反発があって後で二五%という別の資料も出てきたんじゃないかと思うんです。

 実際、どのぐらいの本数率で除伐をしようと計画しておられるのか。話を聞く限り、七月か八月にやろうと思っているという話は、多分、今のこの混乱を見ていると七月、八月にはやれないんじゃないかなという印象を持ったんですが、その点も含めて、地元との調整なども考えたら、やる時期ももっと後になるんじゃないかなと思っていますし、実際の本数率も見直しがされるんじゃないかなと思うんです、プラスの意味で。

 大体、どういうふうな計画で、いつごろにされようと思っているのかについて教えていただいてよろしいでしょうか。

福田政府参考人 お答え申し上げます。

 具体的にいつまでというふうに、私ども、今の時点でお答えする案を持っていないのでございますけれども、いずれにいたしましても、富山県道路公社、環境省立山自然保護官事務所等の関係機関、あるいは自然保護団体の方々、幅広い関係者の方に御相談をいたしまして、そういう皆様からの御意見をいただきながら適切に進めてまいりたいと思っております。

 なお、委員御指摘ございました、資料とか説明が実はちょっと、御指摘のように統一されていなかった面もございますし、先ほど申し上げましたように、十メーターというのがひとり歩きするような資料の形になっていた、まことに申しわけございません。今後こうしたことのないように努めてまいりたいと思っております。

村井委員 できれば、国会が閉会中もしくは選挙をやっている間に、まあ一応意見を聞きましたからやりましたということがないように、やはりそこはきちんと。

 十メートル全部をやる、この資料どおりにすぐやるとは私も思えないんです。多分、そんなことをやったら大きい問題だというのは林野庁の皆さんだったら当然わかるはずですし、ほかの人工林のところだったらどばっとやることはあるにしても、この希少種の天然林のところを十メートルやるというのは、それはないだろうと。ただ、今までどおりの一メートルなのか、十メートルはないにしても大体どのぐらいの範囲を考えておられるのか。

 そして、下草を全部業者に任せてやるというのが、この場所においては、本当にこれは、私は正直無理じゃないかと思うんです。やる場合というのは、事前の準備というのがかなり必要だと思うんです。というのは、これはだめ、ここはいいというのを四・五キロ、両横十メートルにわたって指定していくというのは、物すごい人手のかかる話になると思うんです。

 そういった意味で、今回、生物多様性条約の国際会議を日本が招くに当たって、まずこういった注目されているところ、もちろん、道路というものの必要性を十分認識しながら、そしてそれに不便がないようにということもやりながら、自然保護と生態系の維持というものとを両立しながらやらなければならないと思うんです。

 そういった意味で、アセスメントはやらないわけですよね。でも、今回はアセスメントの義務はないにしても、アセスメントに近いような事前調査を徹底的にやってから進めなければならないと思うんですが、どうでしょうか。

福田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員お話がございましたように、一メーターという前に道路をつくりましたときののりのところは、人工的に植えた部分、植栽してのり面の安定を図ったようなところもございます。一方、十メーターというと委員御指摘のような懸念もございます。そういう中で具体的にやっていくためには、今御指摘ございましたように、慎重に、センシティブな地域でございますので、きちんとやっていきたい。そういう意味で、また、私どもも丁寧に、自然保護団体の方々を含めて幅広い関係の皆様に御相談をしているわけでございまして、そういう中で適切にやっていきたいというふうに思っております。

村井委員 ありがとうございました。

 そういった意味で、立山の本当に貴重な天然林を守りつつ、林野庁もそうなんですが環境省としても、少し配慮しながら見ていただければと思うんです。余り専門的なことはともかくとして、大臣の今の話の感想だけでもお聞きしてよろしいでしょうか。

斉藤国務大臣 立山は、ブナ林や杉の自然林で大変希少種も多く、貴重な保全すべき自然である。国立公園になっておりますので当然でございますけれども、そういう認識でございます。

 今回、こういう事業が進むに当たって、我々も関心を持って、ある意味で道路をつくるということも必要性があってつくるわけでございますので、道路を保全するということと、それから自然を保全するということが両立するように、しっかりと見守っていきたいと思います。

村井委員 ありがとうございました。

 そうしたら、次の課題に移りたいと思うんです。京都議定書について、ちょっとお話しできたらいいなと思うんです。

 二〇一二年までが目標の達成期間なんですが、本当に今この状態で達成できるのかどうか。中期目標を高く掲げる、これも大事なんですが、そもそも、この京都議定書をきちんと守ることができるのかどうか、その見通し、そして具体策についてお聞かせいただいてよろしいでしょうか。

斉藤国務大臣 結論から先に申し上げますと、六%削減目標は達成できると考えております。

 昨年末にこの目達計画の進捗状況の点検を行いまして、多くの分野で計画策定時の見込みどおり進んでいるということが確認できました。

 しかし、見込みどおり進捗していない分野があるのも事実でございまして、例えば原子力発電所が、いろいろ事故等で設備利用率が大きく低下したということがございます。これにつきましては、電気事業者は、火力発電所における熱効率のさらなる向上、それから京都メカニズムの活用などによりまして、目達計画の削減見込みを達成するというふうに、電気事業者もこのように見込んでおります。

 それから、対策がおおむね見込みどおり進捗している業務部門や家庭部門などにつきましても、オフィスなどの床面積や世帯数の増加により排出量が増加しておりますけれども、いろいろな京都メカニズム等を使いまして、この施策を着実に実施していくことによりまして目標を達成できる、このように見込んでおります。

 引き続き、この目達計画の厳格な進捗管理を行いまして、この目標達成に向けて頑張っていきたいと思っております。

村井委員 その中で、今大きい注目を集めているのは太陽光発電。今、アメリカも世界も、グリーン・ニューディールということで太陽光発電の話などがどんどん出ているんです。

 さて、太陽光発電を現在の二十倍にするという首相などの言葉が出ました。現在の二十倍と言ったところで、基準年がいつなのか、そしていつまでにやるのか。具体的なキロワット数、導入量、それから日付というのを、大体いつまで、どう考えて二十倍なのか、教えていただいてよろしいでしょうか。

寺田政府参考人 基準年につきましては、二〇〇五年の導入量でございます百四十二万キロワットが基準になっておりまして、二十倍というのは、二〇二〇年に二千八百万キロワットを目指すということでございます。

村井委員 そうやって具体例が出て、私は太陽光発電も非常にすばらしいと思うんですが、その上で、太陽のエネルギーというのは太陽光発電だけじゃないですよね。

 私ら政治家、それから経産省や環境省もそうかもしれないんですが、どうしてもハイテクの方に目が行きがちなんです。でも、太陽の力でもう一つ大きいのは太陽熱じゃないかなと思うんです。非常にローテクなものです。例えばペットボトルがあって、ペットボトルの周りを黒く塗って置いておいたら、それだけで中の水は温まりますよね。こういった非常なローテク、太陽熱というものも有効利用できるんじゃないかなと私は思ったんです。

 率直に疑問を持ったのは、太陽光発電で電気を起こした、その電気を今度はまた熱エネルギーに転換してお湯を温める。いや、待てよ、確かにこれはハイテクなんだけれども、太陽光を電気エネルギーに転換して電気エネルギーを熱エネルギーに転換して利用するよりも、場合によっては、熱エネルギーを必要とするときは初めから太陽熱をそのままにする方が、有効利用だったりエネルギー効率がよかったりする場合もあるんじゃないかと思うんです。

 確かに、一時期、太陽熱の給湯とかがいろいろなことがあってイメージも悪くなったと思うんですが、もう一回こういう分野もちゃんと見直して、太陽熱エネルギーの有効利用、そしてその方が場合によっては効率が、どっちがいいのかもちゃんと点検してやっていくべきだと思うんです。その辺はどうでしょうか。

寺田政府参考人 御指摘のとおり、太陽熱をそのまま熱として使うということは、エネルギー変換効率という意味では非常にすぐれておりまして、資料によりますと、例えば、太陽光発電だと効率的には一〇%前後という数字に対して、太陽熱でございますと、熱として使っていく場合には四〇%で、そういった非常にすぐれた効率ということがございます。

 特に太陽熱は、主に家庭等は給湯で熱を利用するという例が多いわけでございますので、給湯、キッチンからの二酸化炭素排出を防止するということで、大きな効果があるのではないかというふうに思っております。

 私ども環境省におきましても、さまざまな施策の中で、この太陽熱エネルギーの利用ということを考えております。太陽熱に係る技術開発でありますとか、ガス会社が設置、保守、管理まで行う新しいビジネスモデルの構築への支援などもやっているところでございます。

 今後とも、太陽熱利用も含めて、再生可能エネルギーの普及拡大を進めてまいりたいと考えております。

村井委員 せっかくなので、もう一つ関連質問をさせてもらえたらと思うんです。

 日本国内だと確かにハイテクの太陽光発電とかでもいいんですが、国際貢献をして海外のCO2排出量を減らすとかということを考え、海外の地域で協力したときに、現場に本当にすぐれた技術者がいない場合でも、実は、太陽熱利用であれば、非常にローテクだからやりやすいし、国際協力として効率的にやると本当に効果が高いんじゃないかなと思うんです。また、何か壊れた場合でも地元の人たちで簡単に直したりする意味で、国際貢献をやっていく意味では、ハイテクだけじゃなくて、そういうローテクも使えるんじゃないかなと思うんですが、どうでしょうか。

寺田政府参考人 国際貢献という場合には、その地域、地域に合った、その地域の実情あるいは技術レベルに合ったものというのが非常に大事だろうと思います。そういう意味では、この太陽熱の利用というのも非常に可能性があると思います。

 別の例でまことに恐縮でございますけれども、私自身がかつて参画した国際協力案件で、水の利用のために、日本でよく見られます手押しのポンプ、これで水洗便所をつくったという例がかつてございましたけれども、本当に途上国においては、ローテクのものだからこそ生きていくという場合があろうかと考えております。

村井委員 そういう意味で、世界全体が石油経済から太陽経済へ変わっていくということもあると思うんですが、そんな中で、ハイテクだけじゃなくて、それぞれの現場に合わせたローテク、もちろん低コストであるメリットもあるし、熱エネルギーをとるだけだったら本当はその方がいいんじゃないかなという視点も常に持っていただけたらいいんじゃないかなと思うんです。

 さて、最後にもう一つ、太陽光の話をしたいと思うんです。

 私がちょっと思ったのが、太陽光発電の固定価格買い取り制度、もちろんこれはすばらしいと思うんです。余剰電力を買い取ってもらおうというのはいいんですが、その中でもう一つ、国内排出権取引制度の議論があります。国内排出権取引制度の排出枠はどこの業者に指定して、どこの業者に仮定して、もちろんそういうのは決まっていないし、環境省内でモデルをいろいろ議論している真っ最中だと思うんですが、この排出枠を、もし、エネルギー業者、特に太陽光発電の固定価格買い取り制度もやっている業者にまで排出枠を課した場合、実は二重の負担になるんじゃないかなと思うんです。

 もちろん、この固定価格の買い取り制度をやっていない業者は別で置いておいたとして、固定価格買い取り制度をやっていて余剰電力を一定量買い取っている間においては、それでまず電気代が上がる。それからもう一つ、排出権取引をつくって、その排出権取引の枠内にあると、それでもまたさらに電気代がかかる。つまり、環境面、CO2の面から二重に電気代を上げるようなことがあってはならないんじゃないかなと。もちろん、党としての見解じゃなくて、個人的に。

 そういった意味で、排出枠を設定するときには、余剰電力の一定量を買い取っている部分については、そういったところは排出枠から削除して考えないと、電気代を二重に上げてしまうおそれがあるんじゃないかなと個人的に思っているんですが、どのようにお考えでしょうか。

斉藤国務大臣 固定価格買い取り制度と排出権取引、これは全く別個の制度でございます。

 固定価格買い取り制度の目的は、太陽光発電を早急に普及させたいという目的がございます。再生可能エネルギーの普及。それから排出権取引は、電気事業者において排出原単位を下げる、できるだけエネルギー効率のいい電気を生み出してもらうということと、電力需要家の省エネを図る、この二つの目的がございます。

 したがいまして、目的が違いますので、これを両立させながら、しかし、今委員がおっしゃいましたように、負担ということも当然出てきますので、その負担のレベルが合理的な範囲になるように、この両者を設計していくということが肝要ではないかと思います。

 今、環境省でこの排出権取引の試行を行っておりますが、各電気事業者の方に入っていただいております。そういう試行の結果も見ながら、どういう負担の水準にしていくかということも、これから一緒にまた議論をさせていただければと思っております。

村井委員 そういった意味で、私は太陽光発電をどんどん進めるべき派なんですが、それによって電気代が上がり過ぎるのもどうかなと思っているんです。

 そういった意味で、排出枠の設定のときにうまく調整すれば、本当に太陽光発電を一生懸命やることに対して、電気代が上がり過ぎるというふぐあいをなくしつつ太陽光発電をふやしていける、電気代は上がり過ぎないというようなバランスをつくるときに、そういう政治的配慮があってもいいんじゃないかなと。その上で、ぜひこれからも太陽光発電をどんどん進めていければと思っています。

 以上です。

水野委員長 次に、古屋範子君。

古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。きょう最後の質疑になりますので、よろしくお願いいたします。

 これは通告はしておりませんが、大臣に、初めに話題になっておりますエコポイントについて一問お伺いしたいと思っております。

 エコポイント制度を五月十五日にスタートいたしまして、約一カ月が過ぎました。この間も、薄型テレビ、冷蔵庫、エアコンの合計販売金額は前年比で二割増であるという結果も出ております。試算によれば、経済効果四兆円、十二万人の雇用創出、またCO2の年間四百万トン削減にもつながるという試算も出ておりまして、非常に期待をされているところでございます。

 二十四日、エコポイントの商品交換につきましても発表されました。二百七十一の商品とサービスということで、さまざまなものが入っているようでございます。

 消費不況の中で、配送料を負担する事業者や、ポイント数を上回るプレミアムつき商品券を発行する商店街も多いと聞いております。国民の関心もだんだんとまた高まってきているというふうに感じております。ですので、ぜひともこの制度の周知徹底をお願いしたいと思っております。

 それで、団体、企業の方々より、エコポイントの交換商品が個人の所有物にはなじまないなどの理由で、エコポイントを寄附したい、寄附できないかという要望が寄せられております。エコポイントの受け皿として、環境団体や環境事業などへの寄附に活用できる制度が設けられないものかどうか、大臣にお伺いいたします。

斉藤国務大臣 今、御質問の御趣旨は、個人ではなくて法人等がテレビを買った、エコポイントが出た、しかし、なかなかそれは個人が使いにくい、したがって、そのエコポイントを、例えば環境団体に、公益的なところに寄附できるような、そういう筋道を考えてほしいと。

 突然の御質問でございますので、今すぐここで答えられませんけれども、大変すばらしいアイデアだと思います。検討させていただきたいと思います。

古屋(範)委員 ぜひ前向きな検討をよろしくお願い申し上げます。

 では次に、アライグマが鳥インフルエンザに感染していたという報道がございまして、この点について確認をしてまいります。

 ことしの四月三日から五日にかけまして、テレビを見ておりましたところ、国内に生息をする野生のアライグマが鳥インフルエンザH5N1に感染したことがわかったというニュースが流れました。私は日ごろアライグマに大変関心を持っておりまして、地元の神奈川、特に湘南から三浦半島にかけて非常にアライグマが増殖をしている、この外来生物に大変苦慮しているという現状がございます。

 そこで、この報道があった直後に、さらに豚由来の新型インフルエンザが流行してきたということであります。現在こちらの方はやや落ちつきを取り戻しておりますけれども、このアライグマの件についてお伺いしてまいります。

 アライグマに感染が見つかりましたこのH5N1型、豚由来の新型インフルエンザよりも強毒と言われております。国内で哺乳類の感染が報告されたのは初めてであると思います。各種の報道によりますと、東京大学と山口大学の共同研究によりまして、二〇〇五年から西日本と東日本の四地域で捕獲されましたアライグマ九百八十八頭の血液を分析、このうち十検体から過去にH5N1に感染したことを示す検体を検出したとの内容でありました。

 この一連の報道について、事実関係の確認、また、拡大の可能性、人への影響が心配されるのかどうか、お伺いしたいと思います。

 また、続きまして、海外ではトラやタヌキなどの哺乳類が鳥を食べてH5N1に感染したということが報告されていると伺っております。海外の感染事例についてお伺いしたいと思います。

 また、国内のアライグマの分布状況、駆除等の取り組みについてあわせてお伺いいたします。

黒田政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘のありましたとおり、本年四月に開催されました日本獣医学会の学術集会で、研究者から、国内の野生アライグマからH5N1亜型高病原性鳥インフルエンザウイルスの抗体が検出されたという研究発表がなされたところでございます。

 また、この発表の中では、高病原性鳥インフルエンザウイルスに感染した野鳥を補食したことによってアライグマが鳥インフルエンザに感染した可能性が指摘されておりますし、一方で、アライグマ同士、アライグマの間では感染が広がっている状況にはないということも報告されております。そして、アライグマに関してでございますが、海外での感染が確認されたという報告はないと承知しておるところでございます。

 アライグマの間での感染が広がっておりませんし、ウイルスの自然界への排出量というのは非常に少ないということから、人や他の野生生物への感染というのはほとんど生じない、こういうふうに考えておるところでございます。

 つけ加えますと、高病原性鳥インフルエンザウイルスにつきましては、感染した個体と人が濃厚接触した場合を除いて感染することはまずない。海外におきましても、鳥以外の動物からH5N1亜型高病原性鳥インフルエンザウイルスが人に感染した事例は報告されていないところでございます。

 それから、アライグマそのものの我が国の状況でございます。

 アライグマは外来生物でございますが、我が国では、北海道、関東、中部、近畿、それから九州北西部にモザイク状に分布して生息しておるところでございまして、現在、生息域が拡大しつつある、こういう状況にあるというふうに確認しております。

 いろいろなものを食べる、いわゆる雑食性でございます。アライグマが定着いたしますとその地域で農業被害等が発生するということで、地方公共団体が主体となって、平成十八年度で見ますと、全国で約一万頭を捕獲して被害の防除に努めている、こういう状況でございます。

古屋(範)委員 心配することはないというお答えだったかと思います。また、さまざま対策がとられている最中でもあると思います。

 農水省では、研究報告が行われました直後、四月六日付で都道府県畜産主務部長と日本獣医師会会長に対しまして「高病原性鳥インフルエンザの防疫対策の徹底について」との通知を出して、関係者への周知徹底が図られております。また、環境省でも、各都道府県野生生物行政担当部局に対しまして「野生鳥獣感染症に係る野生生物の取扱い等について」という通達を出していらっしゃるということであります。

 さらに、今回の補正で、環境省は、野鳥における鳥インフルエンザ対策として、感染実験を行う経費約一億円を計上して、国内の野鳥の感染症モニタリング実施体制の強化、あるいはウイルス感染経路解明のための調査、アライグマなどの野生生物の感染実験など、総合的、効果的な対策を行うことによって、国民の安全、安心の確保が図られることを期待されております。

 そこで、古川政務官に、野生生物における鳥インフルエンザ対策強化について御見解をお伺いいたします。

古川大臣政務官 お答え申し上げます。

 野生生物の中でも野鳥における対策につきましては、平成十七年度からウイルスの保有状況につきましてモニタリングを開始しております。平成二十年九月には対応技術マニュアルを取りまとめまして、二十年度以降は対象地域を全国に拡大して行っております。

 さらに、先生から御紹介いただきましたように、平成二十一年におきましては、野鳥以外の野生生物、アライグマの感染歴が確認されましたことを踏まえまして、二十一年度補正予算におきまして、巡視、モニタリング実施体制の強化、渡り鳥の飛来経路の解明、アライグマなどの野生動物の感染実験など、強化策のための予算を確保したところでございます。

 引き続き全国におけるモニタリングを進めてまいりたい、それをもちまして対策を進めてまいりたいというふうに考えております。

古屋(範)委員 今流行しておりますのは弱毒性、豚由来のものでありますけれども、これから秋にかけて第二波が訪れるのではないかという危惧もございますし、こうした強毒性、H5N1の方もいつ流行が起きるかわからない、そういう危険性がございます。全省庁挙げて取り組んでいかなければいけないと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 では、きょうの本題でございます深刻化する子供の健康と環境についてお伺いしてまいります。

 近年、世界共通の現象として、子供の心身の異常が年々増加していることが指摘されております。我が国でも子供の健康の悪化というのが非常に大きな課題となっております。

 例えば、学校保健統計調査によりますと、小学生のぜんそく罹患率は二十年間で四倍に増加しております。また、小児の肥満が三十年間で一・五倍になっております。また、ダウン症や水頭症、二分脊椎症などの先天性異常も二十五年間で二倍と大幅にふえております。こうしたことが国際先天異常監視機構から報告されております。

 さらに、アレルギーなどの免疫系疾患や小児糖尿病などの内分泌異常、代謝異常、また、男児の出生率の低さなど生殖異常の増加、自閉症児などの増加なども報告されております。

 私たちの生活環境には化学物質があふれているわけであります。化学物質は有用でありますけれども、その一方で、過去には公害、薬害、そして今でもシックハウス、化学物質過敏症、さらには、近年急増しておりますぜんそく、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、花粉症などのアレルギーの病気で悩む国民は三分の一を超えているということであります。

 私も国会議員になる前からこうしたアレルギー対策には力を入れて取り組んでまいりました。公明党では二〇〇〇年に全国で署名運動を展開しまして、千四百六十四万人という大きな声をちょうだいして、この十年間にさまざまなアレルギー対策をなし遂げてまいりました。臨床研究センターの開設、加工食品のアレルギー表示の義務化、アレルギー診断薬の継続、免疫・アレルギー科学総合研究センターの設置、アナフィラキシーショックに対応できる救命用の自己注射エピペンの早期承認また救急救命士の使用の解禁、学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドラインを全国の学校で活用できる取り組みなど、いろいろなことを進めてまいりました。

 こうした罹患後の対策というのは進んできたようにも思います。しかし、アレルギー疾患となった原因の究明はまだまだこれからであると思います。

 アレルギー疾患の問題もそうですけれども、そのほかに、がん疾患、学習障害、行動障害、自閉症などの発達障害、不妊症の背景にも化学物質の関与が疑われております。特に、子供は発展途上にあるわけで、こうした化学物質の影響を受けやすいことが知られていまして、環境中のごく微量な化学物質が長い期間を経て体内に蓄積をされ、発達段階の子供にいろいろな面から悪影響を及ぼしていく可能性が指摘されております。

 こうした疾患の原因究明と、子供の健康を守るための必要な環境整備が喫緊の課題と思いますが、大臣の御見解をお伺いいたします。

斉藤国務大臣 今委員から御指摘のあったいろいろな項目について、子供たちの事例が非常にふえている、それも、同じような環境にありながら、大人のふえ方よりもはるかに子供のふえ方の方が大きいという状況を踏まえて、子供は小さな大人ではないという基本的な観点から調査を進めていく必要があるだろうと、このように問題意識はまさに共有しております。

 こういう問題意識のもと、これから数万人規模でコホート調査、疫学調査を十数年にわたって行っていくということを環境省としても決断したところです。

古屋(範)委員 大臣が御就任になられまして、一つには、「緑の経済と社会の変革」ということで日本版グリーン・ニューディールを掲げられて、そして第二のテーマとして、今御答弁になられました子供の健康と環境に対する取り組みを始められたということで、非常にこれは大きな意義があると思っております。

 現在、環境省では、こうした現状を踏まえて、今おっしゃったように、二〇一〇年度から全国各地で六万人のお母さんたちを対象に調査を開始するということを発表していらっしゃいます。そこで、この調査は具体的にどのようなものか、その実施の概要とスケジュールについて簡潔に御説明いただきたいと思っております。

 今回の大規模な調査に関しましては、各省庁と連携の上いろいろな要素を取り入れて調査を行うことが有効であると考えますけれども、この点いかがでございましょうか。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 子どもの健康と環境に関する全国調査につきましては、昨年度から全国五カ所でパイロット調査を開始したところでございます。全国調査を来年度から実施してまいりますが、そのための基本設計や実施体制をしっかりとこのパイロット調査の中で取りまとめていきたいと考えております。

 実際の本調査につきましては、規模としては約六万人以上というものを考えておりまして、来年度以降、約三年間かけて協力していただける妊婦の方々を募っていく、こういう予定をしております。

 また、その結果の方でございますが、出生時の先天異常などにつきましては、生まれてすぐ異常がわかるわけでございます。したがって、それらにつきましては、調査開始後、数年で新しい知見も得られると考えております。ただ一方で、精神、神経発達につきましては子供がある程度成長しないとわからないところがございますので、今のところ、この全国調査では、十二歳になるまで追っかけていくという予定をしております。したがいまして、参加者の募集期間と合わせますと、約十五年間の調査になると考えております。

 また、関係省庁との連携についてですが、この調査そのものは、私どもとして、環境中の化学物質等との関係を中心に考えておりますが、子供の健康に影響を及ぼす要因としましては、そのほかに、社会的な要因でありますとか遺伝的な要因、あるいは生活習慣などさまざまな要因がございますので、これらについての研究も我々の集団で行えるような共通の基盤となるような、そういうような設計をしたいと考えております。このため、省庁間の連携としましては、厚生労働省あるいは文部科学省などの関係省庁と現在相談を行っております。

古屋(範)委員 六万人規模、そして非常に長期にわたる調査を実施されていくということであります。

 世界の現状を見ますと、一九九七年、世界八カ国の環境大臣会合が開かれて、子供の環境保健を最優先事項とするマイアミ宣言が採択されたわけであります。そして現在、子供の健康と環境に関する国家プロジェクトが米国でも行われております。またさらに、ノルウェー、デンマークなどでも進行中であります。いずれも疫学調査は、十万人程度を対象としている、それぞれ大規模なものと聞いております。この疫学調査の世界各国での取り組み状況をお伺いしたいと思っております。

 また、加えて、米国では、自閉症児の数が、一九九二年の一万五千五百八十人から二〇〇六年には二十二万人へと、十四年間で十四倍に増加しているということであります。各国ともに深刻な課題を抱えているということでありまして、効果的な対策が実行できるよう、研究成果や情報を共有していくことが大事であると思います。

 この四月二十二日から二十四日、イタリアのシラクサで開催されましたG8環境大臣会合の際に、我が国の提案で、子供の健康と環境が議題として取り上げられました。ここで斉藤大臣が基調講演を行い、調査研究を各国連携して推進するよう提案されたと伺っております。また、日米で協力して調査研究を推進していくことも合意されたと聞いております。

 この大臣の提案、本当にすばらしいというふうに評価をしております。子供の健康に関する疫学調査、ぜひとも国際的な連携強化を図るべきと考えますが、いかがでしょうか。

斉藤国務大臣 先日行われましたG8環境大臣会合、これは、G8といいますが、実質は二十カ国の環境大臣が集まりました。その中で、現在こういう調査を行っているアメリカ、ノルウェーそれからデンマーク、米国からも報告がありましたし、私も日本の現状について基調報告をさせていただいたところです。まだ行っていない各国から、我々も大変興味がある、ぜひ何らかの形で参加させてほしいという声が相次ぎました。

 各国で調査をするのも大事ですが、それらを合わせて研究すればより精度が上がりますし、また、日本では気づかないいろいろな問題についても我々は知見を得ることができるということで、この国際協力は非常に大事だと思います。この環境大臣会合をプラットホームにして国際協力を進めていきたいと思います。

古屋(範)委員 この疫学調査、国際的連携の中で、ぜひまた日本がリーダーシップをとって進めていただきたいと思っております。

 最近、農薬の空中散布による有機燐中毒被害、あるいは学校や家庭での殺虫剤や防虫剤使用によるアレルギー症状など、殺虫剤、殺菌剤、除草剤などの薬剤使用による子供の健康被害が非常に深刻となっております。また、学校や体育館、図書館、保育園、幼稚園等の公共施設で、床用のワックスの使用、あるいは教科書の印刷物、絵の具やクレヨンなど、こうした教材に含まれる化学物質に反応する子供たちも多いと聞いております。

 こうした子供の生活環境における健康被害の状況を把握して、環境健康問題について正しい知識、理解を親や教職員が身につけるためにも、環境省が関係省庁に働きかけて、子供の環境における使用化学物質、殺虫剤やワックスなどの家庭用品等の全国調査を連携して実施すべきと考えますけれども、この点いかがでしょうか。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 環境省としましては、大気や水質あるいは土壌などの環境中の化学物質について、化学物質環境実態調査というものを実施しております。これらを初め、さまざまな環境モニタリングを地方公共団体と連携して実施しております。ただ、御質問にありました個別の施設や製品につきましては、それぞれの所管省庁において安全性の確保に必要な措置が講じられると承知しております。

 御提案のありました調査につきましては、環境省としては、先ほど来申し上げております子どもの健康と環境に関する調査から新しい知見が得られると思いますので、そのような知見につきまして、リスクが高いと判明した物質等がございましたら、その情報を関係省庁に対して積極的に提供していくなど、協力して取り組んでいきたいと考えております。

古屋(範)委員 私のもとにも、教育現場の教員がこうした問題に非常に無理解であるという御意見が寄せられております。化学物質過敏症でアレルギー疾患の子供たち、またそうしたお子さんを持つ親御さんたちは大変苦労していらっしゃいます。そこで、こうした調査をしっかり行い、子供たちへの対応についても教職員の研修をしっかり行って理解を深めていくことが大事なのではないか、そのように思いますので、また引き続きよろしくお願い申し上げます。

 次に、子供たちにとって、化学物質に対する感受性というのは成人とはやはり違うのではないかと言われております。また、自分の判断でそうしたものから身を守るということが非常に困難であるということもあります。今申し上げましたけれども、学校においては、シックスクールなど、教室内や保育園、体育館などの床ワックス使用による空気汚染、また、校庭や公園などの殺虫剤散布、遊具や建物、家電製品の塗料への鉛の使用、食品中の残留基準など、子供を有害化学物質の暴露からどのようにして守っていったらいいのか、対策の基本方針を明確にしていく必要がある、このように考えます。

 有害性が疑われる化学物質による子供への健康影響を未然に防止するために、東京都では、二〇〇二年に国に先駆けまして化学物質の子どもガイドラインを策定いたしました。二〇〇二年七月に鉛ガイドラインを発表したのに続きまして、室内空気編、殺虫剤樹木散布編、また食事編と、東京都として独自に進めてきております。ガイドラインは、代替品への転換や使用量の削減に向けた対策などを内容としておりまして、子供たちが安心して生活できる環境の実現を目指したものとなっております。

 また、埼玉県でもシックスクールマニュアルというものを作成して、教育施設に限定されておりますが、これも参考になるかと思います。

 環境大臣は、さきのG8環境大臣会合におきましても、子供の脆弱性に着目したリスク評価、リスク管理体制の構築を推進するとの御提案をされております。この提案の実現のために、国としても、こうした東京都のガイドラインなどをモデルに化学物質に関する子供環境保健ガイドラインというものを導入されてはいかがかと思いますけれども、いかがでしょうか。

原政府参考人 御紹介のありました東京都が作成しております独自の化学物質の子どもガイドライン、四編ほど今現在出ておりますけれども、これにつきましては、地方自治体による先進的な事例でありまして、地域住民とのリスクコミュニケーションを図る上で非常に効果的、重要な取り組みだというふうに考えております。

 環境省としましても、先ほど来の全国調査が開始されましたらさまざまな科学的知見が蓄積されると考えておりまして、その成果をもとに、ガイドライン等の策定も視野に含めまして、積極的なリスクコミュニケーションを推進してまいりたいと考えております。

古屋(範)委員 最後の質問になります。大臣にお伺いいたします。

 こうした胎児期、また胎児期から乳幼児期での微量の化学物質の暴露が脳神経系の発達に悪影響を及ぼす、そうした実験結果も発表されております。現行の大人を基準とした安全基準では、実際に子供の健康を守るには不十分ではないかということを考えております。子供は小さな大人ではない、先ほども大臣おっしゃいました。特に胎児期、乳幼児期には、化学物質に対して高い感受性を持っているのではないかと思います。やはり大人とは違うと思います。また、大人より有害物質の解毒や排出がうまくいっていない、そういうメカニズムがまだまだできていないとも言われております。

 繰り返して申し上げましたけれども、子供の健康、環境中の有害物質等の影響と思われるアレルギー疾患、シックスクール症候群、化学物質過敏症などが年々深刻化していることからも、早急な対応が求められていると思います。

 しかし、現状の子供環境健康対策では、環境省、また厚生労働省、文部科学省、国土交通省など所管の省庁がばらばらで、多省庁にまたがっております。実効性ある総合的な対策は非常に難しいというのが現状です。省庁の枠を超えた対応が重要であり、子供の健康に着目した総合的な法律の制定が必要なのではないかと考えております。

 ことしの四月に、斉藤大臣そして河村官房長官を訪ねて、子供環境保健に関する申し入れをさせていただきました。子供を環境健康被害の脅威から守るため、発達過程での影響に着目をして、予防原則を基本理念に置いた、仮称ですけれども、子供環境健康推進法の制定を検討すべきと考えておりますけれども、最後にこれに関して大臣のお考えをお伺いいたします。

斉藤国務大臣 子供の健康と環境に関しての問題意識は、今、古屋委員と私は全く一致をしておりますし、そういうことでいろいろな提言をされていることに対して心から敬意を表する次第です。

 省庁を超えた大きなリーダーシップをということでございますが、それにはまず科学的な知見ということが最も説得力のある武器になると思います。来年度から大規模な調査を進めていきます。十数年にわたる調査ですけれども、新しい知見が得られればその都度それを即座に政策にしていく、また実行していくということが肝要でございまして、そういう意味で、この調査をきっちりやって、それをもって他省庁を説得して、全政府的な取り組みにしていきたいと思っております。そういう意味で、法律も大変意義のあることと私は認識しております。

古屋(範)委員 力強い答弁、ありがとうございました。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

水野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十七分散会


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