衆議院

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第2号 平成21年11月20日(金曜日)

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平成二十一年十一月二十日(金曜日)

    午前九時三十一分開議

 出席委員

   委員長 樽床 伸二君

   理事 太田 和美君 理事 木村たけつか君

   理事 橋本 博明君 理事 山花 郁夫君

   理事 横光 克彦君 理事 齋藤  健君

   理事 吉野 正芳君 理事 江田 康幸君

      網屋 信介君    石田 三示君

      大谷 信盛君    川越 孝洋君

      工藤 仁美君    櫛渕 万里君

      小林千代美君   斎藤やすのり君

      田島 一成君    田名部匡代君

      玉置 公良君    道休誠一郎君

      村上 史好君    森岡洋一郎君

      矢崎 公二君    山崎  誠君

      吉川 政重君    近藤三津枝君

      園田 博之君    谷川 弥一君

      古川 禎久君    山本 公一君

      中島 隆利君

    …………………………………

   環境大臣         小沢 鋭仁君

   経済産業副大臣      増子 輝彦君

   環境副大臣        田島 一成君

   農林水産大臣政務官    佐々木隆博君

   経済産業大臣政務官    近藤 洋介君

   環境大臣政務官      大谷 信盛君

   環境委員会専門員     春日  昇君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十日

 辞任         補欠選任

  小林千代美君     網屋 信介君

  村上 史好君     道休誠一郎君

  小池百合子君     谷川 弥一君

同日

 辞任         補欠選任

  網屋 信介君     小林千代美君

  道休誠一郎君     村上 史好君

  谷川 弥一君     小池百合子君

    ―――――――――――――

十一月十八日

 すべてのアスベスト被害者を補償し、被害の根絶を求めることに関する請願(松崎哲久君紹介)(第一九一号)

 同(武正公一君紹介)(第三一七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三四六号)

 家庭生ごみ(食品廃棄物)の有効活用に関する請願(山花郁夫君紹介)(第二六五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 環境の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

樽床委員長 これより会議を開きます。

 環境の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、気候変動に関する国際連合枠組条約第十五回締約国会議及び京都議定書第五回締約国会合閣僚準備会合について政府から報告を聴取いたします。小沢環境大臣。

小沢国務大臣 おはようございます。

 初めての実質的な議論の委員会ということになるわけでありまして、私も精いっぱい務めさせていただきたいと思いますし、どうぞ、委員各位からは日本の環境政策に必要な御意見を賜りたい、そう思っておりますので、何とぞ忌憚のない意見交換ができるように、冒頭お願いを申し上げたいと思います。

 それでは、プレCOPへ行ってまいりましたので、御報告を申し上げます。

 十一月十六日から十七日までデンマーク・コペンハーゲンで開催された気候変動枠組み条約第十五回締約国会議、COP15及び京都議定書第五回締約国会合閣僚準備会合に出席いたしましたので、御報告をいたします。

 地球温暖化対策についての二〇一三年以降の国際枠組みに関しましては、本年十二月にコペンハーゲンで開催されるCOP15での合意を目指して国際交渉が進められています。今回の閣僚準備会合は、この合意を成功させるため、COP15での合意の形式や、温室効果ガスの排出削減、途上国への資金供与など、重要な論点について主要国の閣僚の間での意見交換を行う重要な会合でありました。

 今回の会合について、三つの点から振り返りたいと思います。

 まず第一に、COP15での合意のあり方について議論が活発に行われたということでございます。COP15を期限として交渉が進められてきましたが、新しい法的文書については、期限内に合意することは時間的に困難になっていることは事実でございます。こうした状況を踏まえ、議長国デンマークのヘデゴー気候エネルギー大臣は、COP15において政治的合意を目指し、新しい法的文書を完結させるために今後の交渉を方向づけることを提案いたしました。私からは、この提案を支持し、COP15において政治的合意文書の採択という結論となったとしても、その後のできるだけ早い時期に最終的に法的文書に合意する必要があることを主張いたしました。

 第二に、政治的合意の内容について実のある議論が行われたという点であります。私は、鳩山総理が発表した、温室効果ガスを九〇年比二五%削減するとの意欲的な目標や、鳩山イニシアチブに基づく途上国支援等について改めて表明し、政治的合意の不可欠な要素である、先進国、途上国の排出削減や、途上国への資金供与についての議論を促進することができたと考えています。

 第三に、会合の機会を利用して、主要各国の閣僚等と二国間会談を行ったという点です。特に、ヘデゴー気候エネルギー大臣及びデボア条約事務局長とは、今後の進め方等について十分な意見交換ができ、日本の考え方をこれに反映できたことは画期的であったと思っています。さらに、米国のスターン国務省気候変動担当特使、中国の解振華国家発展改革委員会副主任、EU議長国のスウェーデンのカールグレン環境大臣と個別に会談を行い、相当に踏み込んだ議論を行うことができました。その中で、米国や中国を含めた国々との間で、COP15を成功させなければならないとの強い意思を確認でき、容易ではありませんが、合意は可能であると感じてまいりました。

 今回の会合は、非公式の準備会合という性格上、何らかの結論を得るものではありませんが、COP15を控えたこの時期に、その成功を導くために必要不可欠な閣僚級会合であり、我々が意図した結果を十分出し得たものであったと思っています。

 今回の会合の結果を受け、COP15において政治的合意についての交渉が行われることになります。その中で、我が国が主張する、すべての主要国が参加する公平かつ実効性のある枠組みを構築し、世界全体の温室効果ガスの排出量を削減するという方向性が確保できるよう、環境大臣として十分にリーダーシップを発揮してまいりたいと思いますので、引き続き御支援をお願い申し上げます。

 以上、御報告を申し上げます。

樽床委員長 これにて報告の聴取は終了いたしました。

    ―――――――――――――

樽床委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。玉置公良君。

玉置委員 皆さん、おはようございます。また、大臣、コペンハーゲンの準備会合、本当に御苦労さんでございました。

 私は、一年生議員の、民主党の和歌山の玉置公良と申します。環境委員会で初めての、それも最初の質問をやらせていただくことに対しまして、心からまずお礼を申し上げたいと思います。

 実は、私のふるさとでございますが、エコロジーという言葉を日本で最初に使ったと言われる南方熊楠、そしてエコロジーを日本で最初に実践されたと言われる空海、こういったすばらしい先輩を持っておる地でございます。

 私も、そのことに触発をされまして、実は、十二年前でございますけれども、和歌山県の熊野を地球環境のシンボルと言われる世界遺産にしていこうということを県議会で初めて訴えさせていただきました。そしてその後、今から五年前でございますけれども、世界遺産登録が実現をいたしました。それを初め、ずっと地方の一議員として環境問題に取り組んでまいりました。

 そういった視点から、今回は国会議員にならせてもらいましたので、幾つかの点について質問をしてまいりたいと思います。

 まず最初に、地球温暖化防止の基本認識そして決意についてお伺いをしたいと思います。

 当選早々、党の先頭に立つ鳩山総理が、二〇二〇年に温室効果ガスを一九九〇年比で二五%削減する、その目標を掲げて国際交渉を主導してまいります、こういった所信表明を述べられました。この意欲的な言葉には、私も本当にやる気を刺激させられました。やる気ですねと思うんですけれども。

 私は、登録するだけではなくて、和歌山で世界遺産の地にふさわしい環境立県をしていこうということで取り組んできたところでありますけれども、そこで私自身が学んだのは、環境はお金が要っても先行投資が大事である、何でも早いこと手を打つことで、リスクが減り、コストも安く済む、そういうことでございました。

 小沢大臣もこの十三日の本委員会で、今環境問題に取り組まなければ将来莫大な対策費用が必要になるおそれがある、こういうごあいさつをされました。世界でも、気候変動問題に早期に断固とした対応策をとることによるメリットは対応しなかった場合の経済的費用をはるかに上回る、そう言われています。地球環境を守るためには、先行投資を大胆に進めていくことも大変重要であると私は思っております。

 さらにもう一つでありますけれども、どうしても聞いておきたいのは、今は、温室効果ガスの排出量が問題になっています。我が国や世界の関心は、真水と言われる排出量を減らすことに大変大きな重点が置かれていますけれども、最終的に目指しておるのは何なのかということを私はお聞きしたいと思います。

 国連の気候変動枠組み条約の中でも、温室効果ガスを吐き出す発生源とともに、森や土壌、海洋の生態系、こういった吸収源や貯蔵庫が定義をされております。私は、発生源対策を推し進めながらも、我々の足元にある地球の、まさに環境そのものであります吸収源や貯蔵庫のことを常に忘れてはならないと思っております。それこそが私たちの最終的に目指しているものではないかと思うわけであります。

 地球温暖化防止への基本認識と決意をまずお伺いしたいと思います。

小沢国務大臣 空海がエコロジーの先駆者であったという話は初めて聞きまして、改めて勉強させていただきたいと思いますし、熊野が世界遺産になっておりますことは、世界遺産登録を目指す富士山を抱える山梨出身の私としては、うらやましい限りだな、こう思って聞かせていただきました。

 そこで、御質問にお答えしたいと思いますが、二点あったと思います。先行投資の話と、排出量を減らすと同時に吸収源をしっかり考えていくことが大事だ、この二つだったと思います。

 まず、委員がおっしゃるように、温暖化対策をやらなかった場合にどれほどのことがこの地球に起こるんだろうか、こういう議論がさまざまなところでなされているわけであります。イギリスのスターン報告という話がある意味ではきっかけになったといいますか有名でありますけれども、まさにそういったことを考えたときにも、我々は温暖化対策に対して今待ったなしの状況にある、こういうことだろうと思っております。でありますので、そういった意味では、委員がおっしゃられるように、先行投資という意味も極めて大きいし、そのことを意識しなければいけない、こういう御指摘は私もそのとおりであると思っています。

 でありますので、ちょうどいろいろ議論も出てまいるかもしれませんが、現段階での温暖化対策に対する政府及び国民生活での負担、こういった話も出てくるわけでありますけれども、逆に、それを先行投資だという視点でとらえて行っていくということはまさに識見だ、私はこう思っておりまして、私も全く同意をさせていただく中で頑張ってまいりたい、こういうふうに思います。

 それから、温暖化対策においては、全体の温室効果ガスを減らすという意味においては、発生源を減らすと同時に、吸収する話も必要だ、こういう御指摘はこれまた全く同感でございます。

 これは科学的な結論は出ていないのかもしれませんけれども、四十六億年ほど前に地球が誕生して、惑星の中ではほかにも金星だとか水星だとかあるわけでありますけれども、そういった地表は二酸化炭素で覆われている、この地球だけが酸素に囲われている惑星である。こういう話は、まさに、海があり森があり、そういった中で二酸化炭素を吸収して、酸素がある意味では循環している。こういう自然の循環があって初めて、この地球に酸素があり、生物が生まれ、そして我々が今日こうやって生きている、こういうことだと思っております。

 そういった意味では、そういう吸収源対策も極めて重要だという御指摘はそのとおりだと思っておりまして、政府としても、環境省だけではできない話でありますが、横断的に力を尽くしてまいりたい、こう思っております。

 ありがとうございます。

玉置委員 ありがとうございます。ひとつこれからよろしくお願いをしたいと思います。

 そこで、二つ目の質問に入ります。

 まず、温室効果ガスの排出削減に向けて、十一月一日から、家庭の太陽光発電、そういった余った電力を電力会社が従来の二倍の価格で買い取る、こういう制度が始まりました。今後、ドイツとかデンマーク、スペインなどで創設され成功しているような、電力のすべてを買い取る全量固定価格買い取り制度を導入する必要があると思います。また、風力発電や燃料電池、さらには既存の施設や設備の省エネ化を促進するようなさまざまな環境技術の開発と導入に向けたいろいろな角度からの支援、また仕組みというのが必要になってくると思っています。その点もよろしくお願いしておきたいと思います。

 時間の関係上、もう一つ一緒に質問をいたします。

 一方、温室効果ガスの吸収源としては、森林の吸収量は三・八%となっています。二〇一三年からの第二約束期間では日本の森林の吸収量は二・九%に減少する、このように聞いております。このような森林の吸収量を達成するためには間伐や植林等を進める必要があるということ、このことは雇用の拡大にもつながるということ、この点について、まず達成の見通しはどうか、また、間伐や植林等の現状と支援策、それによる雇用の効果等についてお伺いをしたいと思います。簡単に御答弁をお願いいたします。

大谷大臣政務官 大臣政務官の大谷でございます。お答え申し上げます。

 簡単に言うならば、吸収源、例えば二〇〇〇年から二〇〇五年までの間で土それから森林が吸収した人為的なCO2というのは大体一三%ございまして、まさにここをこれからどれだけ膨らませるかが大きな役割だというふうに考えております。海洋、土そして森と、予算も重点的に配分していきたいと考えております。

 雇用に関しては具体的にこれぐらいということはございませんが、御存じのとおり、森林・林業が非常に斜陽していく中、ここの雇用がふえるような取り組みを環境省のみならず政府全体で考えていきたいというふうに考えております。

 以上です。

玉置委員 ありがとうございました。

 そこで、土壌のことに移っていきたいと思います。

 実はここに、私の後ろに土壌モノリスというのがございます。皆さん御存じでしょうか。これは実は、宮崎県の綾町の土の断面図です。これを土壌モノリスというんですけれども、大体上から下、一メーターぐらいです。これは実は畑です。この上が黒墨土と言われるんです。この下はちょっと赤いですけれども、これは何年ぐらいと思いますか。聞きますと、大体八千年前ぐらいの土なんです。

 御存じのように、日本の土というのは、CO2を吸収するようなもの、また、いろいろな農産物をつくれるような、そういう土に恵まれておるわけですけれども、これが一つは畑です。

 もう一つ、これが田んぼです。関西弁で田んぼなんです。これは埼玉県の鴻巣市。ここをちょっと見てください。ここが、富士山が最後に爆発した大体二百六十年前ぐらいの川底に堆積した土なんですよ。

 こういったいわゆる土壌モノリスというのが、実は国の農業環境技術研究所の方でモノリス館というのをつくっています、つくばで。私も県議会議員時代からずっと調査に行かせてもらったり勉強させてもらっておるのですけれども、こういったことをまず御紹介しておきたいと思います。

 これから質問に移りますけれども、実は、フィリピンとかタイの熱帯の開発途上国の土は赤土なんですね。やせておるんです。こういったこともこの世界の土の分布でわかるわけです。

 特に僕がきょう言いたいのは、この表土、上の土一センチ、これをつくるだけでも百年かかると言われています。これが、やはり表土が壊れたらもう取り返しがつかぬ。さらに、この土は大気中のCO2の悪玉を二倍ぐらい吸収するということも言われています。

 さらに、御存じのように、今、片方では、世界は、六万平方キロメートルですか、毎年毎年砂漠化が進んでおる。四国と九州を合わせた面積が毎年毎年砂漠になっていっておる。私ども和歌山の方でも中国から黄砂が飛んできておる。

 こういったことは、大気中にCO2が排出されておるというようなことになっておると思いますけれども、そんなことから言えば、地球温暖化の問題の帰趨を決するのは恐らく土であろうということが言われておるんです、重要なかぎになってくるだろうと。

 そこで、質問に入りたいと思うのですけれども、実は、最初の京都議定書では、日本は吸収源として、森林経営そして植生回復、これは取り入れました。しかし、あとの二つ、農地管理、放牧地の管理、この農地管理も放牧地の管理も実は取り入れませんでした。その理由は何かということもまずお聞きをしたいと思います。

 それと、今回、農地における温室効果ガス蓄積効果の開発がありました。すばらしい取り組みがありました。

 例を言います。全国のこういった畑とか田んぼ、水田に堆肥を投入した場合、未投入の場合に比べて二十五年間で四千三百万トン吸収をする、年間でいえば百七十万トンの蓄積効果があるということもデータとして発表されました。京都議定書の六%の削減でいえば、そのうちの八・五%に当たる。つまり、こういう技術開発がされて、CO2の換算もしていく。こういった技術が日本は大変すぐれているということも評価をされました。

 こういった土壌専門家の話では、将来的には、世界の土壌は森などよりもはるかに大きくて、海に相当するくらいの吸収源になると言われておるのですけれども、今後、ポスト京都議定書、二〇一三年以降、この技術が活用できる農地管理を選択する必要が私はあると思いますけれども、その考えはどうでしょうか。

佐々木大臣政務官 農林水産大臣政務官の佐々木でございます。玉置委員の質問にお答えをさせていただきたいというふうに思います。

 時間が余りないようでありますので、できるだけ簡潔にお答えをさせていただきたいというふうに思いますが、森林を所管しているという立場で、先ほどのところにも少しだけ触れさせていただきたいというふうに思います。

 委員が御指摘をいただいたように、京都議定書においては、六%のうち森林で三・八ということを約束しているわけでありますが、それは、計算をいたしますと、年間で千三百万炭素トンということになります。そのためには毎年二十万ヘクタールの追加的な間伐が必要ということになるわけであります。

 そのために、平成十九年から平成二十一年まで、補正も含めてでありますが、年間二万人の雇用の創出効果があるというふうに私どもは試算をさせていただき、追加的な予算措置なども含めて今実施をさせていただいているということについてもあわせてお答えをさせていただきたいというふうに思います。

 ただいまの農地管理のことについてでありますが、玉置委員は大変造詣が深いわけでありますけれども、農地土壌というのは、現行の京都議定書の上においても各国が選択可能な温室効果ガスの吸収源の一つとして位置づけられているというのは、今委員が御指摘をいただいたところであります。

 しかし、なぜ我が国が選択をしなかったのかということでありますが、営農や土壌、気象の実態を踏まえた算定の科学的知見というのがその当時十分に整理されていなかったというようなことから農地を選択しなかったということであります。

 ただ、先ほど大臣からもお答えがあったように、作業部会等で検討が進められておりますので、次期取り組みにおいては農地土壌の炭素吸収源も選択をすべく、今、その算定ルールを決める国際交渉において、我が国もそのルールが適正なものとなるように努めているところでございます。

 以上でございます。

玉置委員 ありがとうございます。ぜひとも実現をお願いしたいと思います。

 いずれにしましても、最も重要なことは、日本の土壌をしっかりと守っていくということであると思います。

 世界でも、アメリカやEUなどは土壌保全の取り組みが大変強化されています。実は、日本にもその基礎となるすばらしい宝があるんですよ。土壌のデータベースになる土壌保全調査事業というのがあったんです、三年前に一たん交付税措置で切られたんですけれども。これは、明治以来百三十七年、すばらしいデータの蓄積を続けてきたのです。ところが、今も言いましたように、三年前に三位一体改革で交付税措置となって、県ごとに、やるところとやらないところ、ばらばらになってきました。これだけ蓄積をしてきたそのデータがなくなろうとしておる。世界はそれをきちっと蓄積していこうとしておる。全く正反対の方向になってきておると私は思っています。

 そういった意味で、こういった技術は、日本だけでなくて、アジアや、アジアは水田が多いんです。そういったアジアやアフリカなど、そういう技術貢献もすばらしいことがやっていける、そのように思います。そういった意味で、土壌保全調査事業をもう一度復活させて国を挙げて取り組む必要があると私は思います。

 さらに、もっと言えば、防災対策とか、いろいろな意味で土というのは国土を守る宝でございます。土壌基本法というのを制定するべきだと考えますけれども、いかがでしょうか。

大谷大臣政務官 御指摘ございましたように、土壌の地球環境、また、それ以外にも大きな役割を土壌が持っているという中、今御提案、御指摘をいただいております土壌の基本法、必要性について慎重に検討してまいりたいというふうに思います。

玉置委員 慎重とは言わぬと、ぜひともこれは積極的に先行投資していかなあかん問題であると私は思っております。

 それと、こういった標本を、恐らく僕も和歌山県議会で行ったときが初めてだったのですけれども、国会図書館とか、できればどこかやはり日本の土を飾るようなところをつくっていただきたいなと思っております。

 十時までと言われまして、時間のストップがかかってきました。幾つか言いたいことがございましたけれども、実は、世界遺産の屋久島とか、自然遺産を持っておる環境省でもございます。これは地球環境のシンボルでもございます。できれば、これをぜひともネットワークをつくって、世界には文化遺産を含めて八百九十ございます、そういったところへこの地球環境のシンボルの世界遺産のネットワークをつくって活用していく、こんなことも含めて積極的なお取り組みをよろしくお願いいたしまして、十時になりましたので終わります。

樽床委員長 次に、近藤三津枝君。

近藤(三)委員 自由民主党の近藤三津枝です。

 まずもって、きのうの財務金融委員会の強行採決という暴挙について申し上げたいと思います。十分な論議もなく、強引な国会運営に対し強く抗議をさせていただきます。

 極めて短い会期日程の中で、自由民主党は、鳩山総理の言われる大いに議論しようとの姿勢を真摯に受けとめております。国会議論を深めようとするさなかでの民主党政権の暴挙に、私は大変驚いております。そして、きのう、財務金融委員長の解任決議案に対する民主党議員の本会議での討論で、民主党の強硬で身勝手な議院運営を棚上げして、真の政策議論をすべきであるというコメントを申し述べられました。このコメントの意味が、私にとりましては全く理解しがたいものでした。

 本日の小沢環境大臣におかれましては、このような私ども理解しがたいようなコメントをぜひ御回答していただきませぬように、真摯にお答えいただきますようにお願い申し上げます。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 デンマークでのCOP15を間近に控え、まさに環境行政は正念場と考えます。そのような中、本日、私からは、第一に、温室効果ガス二五%の削減目標について、第二に、十一月十一日に環境省が公表しました地球温暖化対策税の具体案について、三つ目は、民主党のマニフェストに掲げられていますキャップ・アンド・トレード方式による国内排出量取引市場の創設に関することなどについて質問をさせていただきます。

 先日の小沢環境大臣就任演説の中で、鳩山政権が掲げる二〇二〇年に温室効果ガスを一九九〇年比で二五%削減する目標について、その条件が三つあるとおっしゃいました。その部分を読み上げさせていただきます。すべての主要国による公正かつ実効性ある国際的枠組み構築や意欲的な目標の合意を前提としていると御発言されました。

 この中で、私は、三つのキーワードがあると考えています。第一のキーワードはすべての主要国、これは、すべての主要国の参加というふうに私は理解をいたしております。第二のキーワードが公正かつ実効性ある国際的枠組みの構築、そして第三のキーワードは意欲的な目標、その三つの定義をこれからお聞きしたいと思います。

 二五%削減の前提条件となるこの三つのキーワードを改めて申し上げますと、一つ目のすべての主要国の参加、二つ目の公正かつ実効性ある国際的枠組みの構築、三つ目の意欲的な目標、それぞれの定義を小沢大臣からお聞かせください。

小沢国務大臣 すべての主要国の参加というのはどこまでの国が入るかという話に関しては、国際交渉の問題でもあり、どこまでという話を区切ってお答えするのはなかなか難しいところがございます。しかし、真摯に答えるという意味ででき得る限り申し上げれば、少なくとも、前回の京都議定書で入っていなかった、それも大変排出量の多い米国それから中国、こういった国が参加をしてもらうことは大変重要なことだ、こういうふうに私は思っております。それから、あと、個別の国に関しては、委員からまた御質問があればそれに対応させていただきたいと思います。

 公正かつ実効性のある国際的枠組みということでございますが、これも先般、予算委員会の中でもいわゆる公正の議論がございました。これはいろいろな基準があるわけでありますけれども、例えばこの前予算委員会の中で話がありましたのは、限界削減費用という話もございました。これも一つの考え方であると思います。

 ただ、途上国等が言っておりますのは、これまでの歴史的な排出の蓄積だという議論もありますし、それから、一般的にほかに言われている大きな概念としては、一人当たり排出量という話も言われているわけであります。そういった意味では、ここもきちんと一つの概念にまとめることもなかなか難しいわけでありますが、そういった問題を考えながら、いわゆる日本だけがそれによって国益を損なうということがないようにしなければいけないというふうには十分配慮をしてまいりたいというふうに思っております。

 それから、意欲的な目標ということでございますけれども、これまた幅のある話であります。IPCCが言っておりますいわゆる二五%から四〇%というような話も含めていろいろな議論があるところでありますし、先ほど申し上げたいわゆる公平性という話を踏まえてどうかということも言えば、私は今回、各国とのバイの会談でもあるいはまた全体会合でも申し上げましたけれども、日本においてこれだけエネルギー効率の高い国が二五%の目標を掲げるという話は、これはある意味では大変難しい高度な目標だという主張はしてまいりましたし、各国も、それは十分理解をしている、こういう反応だったと思っています。

 そういう中で、しかし、それでは先行的にそういった数字を言っていくべきだったのかどうか、こういう議論もあるわけでありますが、日本が、あるいはまた鳩山総理が九月の時点でああいう発言をしたことが各国において相当前向きな議論につながっている、こういう評価はありますし、今回も、ブラジルあるいは韓国といった国が目標を発表いたしました。

 私は、この会議の最終場面において、とにかく削減目標と、それから資金供与の用意がある国においてはその資金供与の大方の目標数字、そういったものを次のCOP15に入る前に議長国であるデンマークに事前にとにかく持ち寄ること、そうしなければCOP15の本番の会議がなかなか進まないんだということを最終私は発言し、要請をしてまいってきたところであります。

 そういった意味においては、意欲的な数字というものを各国が出してくれることを期待しながら、日本としても二五%の目標に向けての具体的な手順をしっかりと今度は詰めて、そういった話が信頼できるものにしていかなければいけない、こう思っているところであります。

 すべての定義が国際的に決まっているわけではないものですから、私の個人的見解も含めてお答えをさせていただきました。

近藤(三)委員 今のお答えですと、二つ目の前提条件であります公正かつ実効的な国際的枠組みの構築、そして三つ目のキーワード、意欲的な目標についてはっきりとした基準を持っていない、また国民への説明をできない状態というふうに私は理解させていただいたんですが、COP15の国際交渉の場に臨もうという今の段階で、そのような状態でいいのかなと少し心配になってまいりました。

 例えば、前提条件の中の一つであります公正かつ実効性のある国際的枠組みの構築の中の公正さについていいますと、国際的に日本だけがCO2の削減に対して過度な負担とならないようにすることは、絶対に必要なことだと考えております。特に、アメリカ、中国などの主要国の削減目標と日本の削減目標、この間に相対的に大きな隔たりがあってはならないと考えております。資源小国の日本だけが高い削減目標を背負って、その結果として我が国の重要産業である製造業などの国際競争力をそいでしまう、こういうことは絶対にあってはならないと考えております。

 国際競争力の低下によって国内産業が空洞化するという恐れの声も今上がっております。我が国の産業界がCO2削減に有効な技術開発などに手が回らなくなる可能性もあるわけです。そうなりますと、日本だけではなく、結果として世界全体の地球温暖化問題の解決の歩みをとめることになると思っております。このようなことを防ぐためにも、公正さを検証する尺度を持つべきだと考えています。

 この公正な尺度、例えば一トン当たりの二酸化炭素を削減するためにどのくらいのコストがかかるかなど、これまでの省エネルギーの努力が評価できるものでなければならないと考えています。一国で削減量を何%にするかというその一側面だけではなくて、これまでの削減努力に加えて新たな削減をするのにどれくらいコストがかかるのかという、各国の事情を加味した公正な尺度で各国の目標値を評価していかなければならないと思います。

 以上のこともお考えの上、再度、公正かつ実効的な国際的枠組みの構築、そして意欲的な目標、この二つの条件の具体的な内容を小沢大臣からお聞かせください。

小沢国務大臣 多分、数字として具体的なお答えをという御質問かと思います。再度で大変恐縮でありますけれども、数字としてそういったものを現時点で示すことは、国際的な交渉にある中においてはなかなかしがたい、こういう話はぜひ御理解を賜りたいというふうに思います。

 しかし、同時に、委員が御指摘の、本当に、日本がこれまで行ってきた、特に産業界が行ってきた努力、そういったものは私も高く評価をしているところでありますし、先ほども申し上げましたように、そういったことも折に触れて各国に対しても主張をしてまいったところでございます。

 逆に言いますと、ここの尺度は、国際的な交渉の中で最終的には日本の判断になりますから、私としては、この条件をつけたことによってある意味でいえば日本がみずから最終的に判断をしていく余地を残した、こういうことでありまして、決して日本だけが先行して数字を言って、なおかつ日本だけがある意味では隘路の中に陥ってしまうということではないということはぜひ申し上げておきたいと思います。

 ただ、同時にまた、先ほど委員の中で、逆にそういったことをはっきりさせないと地球全体のCO2への取り組みがおくれるのではないか、こういう御指摘があって、そこのロジックがよくわからなかったので教えていただければと思うわけでありますが、この問題は、いわゆる世界全体の取り組みを推進しながら、そして同時に世界各国がそれぞれの国益を守りながらやっていかなければいけないという二つの要素を持っている交渉だと思っておりまして、そういった意味では、私としては、日本のこれまでの対応というのが世界の温室効果ガス削減の取り組みに大きく寄与している、若干自画自賛で恐縮でありますけれども、こう実は思っておりますし、世界各国から少なくともそういった評価をいただいているものと自負をしているところでございます。

近藤(三)委員 先ほど私が申し上げましたのは、日本だけが過度な削減目標を背負うということは日本の国際競争力をそぐことになるので、それがひいては世界の環境技術を低下させることになって地球温暖化を進めることになるというふうに申し上げたわけです。

 そして、大臣の今のお答えですが、二五%削減という国際的にも極めて高い目標を標榜するならば、そして二五%削減を国際的な法的拘束力を持つ削減目標にしようとするならば、そのことによって直接影響を受けるのは我々国民であり、そして産業界です。ぜひきちんとした説明をする必要が政府にはあると思います。

 特に国民、産業界に対しては、二五%削減を受け入れる前提となる三つの条件をきちんと整理して説明した上でCOP15の締約国会議に臨んで、国際合意の内容がこの三条件に照らして妥当なものであるかどうかを確認していただきたいと思ったから、御質問をさせていただいているわけです。

 何と申しましても、COP15の会議まで余り時間がありません。二五%を拘束力のある削減目標とする場合、しっかりとした前提条件を政府として示され、国会での議論を通じCOP15に臨まれることを求めさせていただきます。

 では、次の質問に移らせていただきます。

 問題は、三つの条件が満たされないときの日本の対応です。三つのキーワードの前提条件の定義は、先ほどの大臣からの御答弁のとおり、あいまいな面があるように思われます。もし締約国会議での合意内容が三つのうち一つでも条件を満たさなければ、二五%削減の目標を国際的に取り下げるおつもりなのか、小沢大臣にお伺いします。

小沢国務大臣 この回答は、政府全体としては今の段階では申し上げられない、こういう話だと思います。

 ただ、私、環境大臣としては、かつて報道機関からの質問に答えて、もしそれが満たされない場合は数字を変更する可能性はあるのかという質問がございましたので、そのときは、私としては、理論的にはそういう可能性はゼロではないというふうにお答えをしたことも事実でございます。もちろんそういった選択肢もある、こういうことだと思います。

 ただ同時に、環境大臣としては、とにかく世界の温暖化をとめたい。先ほど申し上げましたように、この大変大事な地球の環境をいかにして守っていくかという意味においては、私、個人的に環境大臣としては、もし国際合意が成り立たないとしても、ぜひとも二五%の目標は頑張って努力をしてまいりたい、そういう思いでおります。

近藤(三)委員 例えば、この三つの前提条件の一つであります主要国の参加について、アメリカ、中国、インドの一国でも議定書の採択を拒否した場合は日本の削減目標を取り下げると考えてよいということか、改めて小沢大臣にお伺いします。

小沢国務大臣 現時点では、それは今はお答えをできませんというふうに申し上げておきたいと思います。現時点で申し上げられるのは、でき得る限りそういった主要国が参加できる条件を精いっぱい努力してつくっていくということに尽きる、こう思っているということでございます。

近藤(三)委員 先ほど小沢大臣は、三つの条件が整わない場合は二五%の拘束力については考えていくべきだと個人的には環境大臣として考えているとおっしゃったわけですから、この一つ目の前提条件、主要国の参加は非常に重たいものです。これが整わない場合には今の御発言というのは重いものになってくると私は理解いたしております。

 次の質問に参ります。

 環境省が考える地球温暖化対策税についてお伺いします。

 去る十一月十一日に、環境省から、地球温暖化対策税、いわゆる環境税の具体案が公表されました。この平成二十二年度税制改正要望に向けた環境省の案の具体的な内容についてお伺いします。

 海外から輸入される原油一キロリットル当たり二千七百八十円が輸入業者に課税されます。原油は、精製後のガソリンに対しては、ガソリン製造者に一キロリットル当たり一万七千三百二十円課税されます。輸入されるガス状の炭化水素には一トン当たり二千八百七十円、石炭には一トン当たり二千七百四十円が輸入業者に対し課税されるというふうに聞いております。

 ガソリンに対してかけられている税金のトータル、今まで一リットル当たり五十五・八四円でしたが、今回の地球温暖化対策税が導入されますと一リットル当たり五十・八四円となり、五円課税額が引き下がるというふうに言われています。

 一方、今申し上げました課税額は、一キロリッター当たりの体積単位、それから一トン当たりの重量単位です。これでは発生する二酸化炭素当たりの比較ができません。ここで言う地球温暖化対策税はいわゆる環境税であり、化石燃料の燃焼によって発生する温室効果ガスを抑制することを目的としていますから、本来、燃焼によって排出される二酸化炭素の重量当たりなどで課税額を比較するのが適当であります。

 そこで、先ほど私が申し上げました課税案を二酸化炭素一トン当たりで改めてお示しください。

田島副大臣 お答えを申し上げます。

 キロリットル当たり、またトン当たり、それから炭素トン当たりという数字から、今、二酸化炭素トン当たりの額をという御質問だったかというふうに思います。

 これを単純に計算させていただきますと、まず、輸入者、採取者に対して、原油、石油製品に関しては二酸化炭素トン当たり千六十四円、それからガス状炭化水素につきましては同じく千六十四円、石炭につきましては二酸化炭素トン当たり千百七十四円となります。なお、製造者等に課すガソリンにつきましては、二酸化炭素トン当たり七千四百六十七円というふうになっております。

 以上です。

近藤(三)委員 ただいま田島副大臣からお示しいただきました数字によりますと、ガソリンへの課税が極めて高いことがわかります。

 すなわち、原油、天然ガスや石炭は、二酸化炭素の一トン排出当たり千六十四円から千百七十四円です。一方、ガソリンは、輸入時と精製時の二度課税されますから、二酸化炭素一トン当たり千六十四円と七千四百六十七円を足しますと、合計八千五百三十一円になります。ガソリンにかかるおよそ八千五百円の課税を石炭などのほかの課税額およそ千百円と比べますと、何と八倍にもなります。ガソリンの課税額は、原油、天然ガス、石炭をそのまま原料として使った場合のおよそ八倍の課税水準というわけです。

 十月九日、大臣の記者会見で大臣御自身の環境税のイメージを質問され、小沢大臣は次のようにお答えになっておられます。テレビなどの取材では国民の皆さんにわかりやすく申し上げるという意味では、環境税はCO2の排出に応じてかかっていくのが一般的です、このようにお答えになっておられます。随分わかりやすい、ごもっともな御説明だと私も思います。

 CO2の発生に応じて課税をする、これは環境税、炭素税の基本だと思います。しかし、今回環境省が政府税調に示された課税額は、ガソリンだけがほかの化石燃料に比べおよそ八倍と極めて高いわけです。環境大臣の環境税のイメージ、すなわち、CO2の発生量に応じて課税するというものとはほど遠いと思いますが、小沢大臣の御所見をお伺いいたします。

小沢国務大臣 今引用していただいたコメントの後に、私は、これまでのいわゆる課税水準あるいはまた担税力、それから世界各国との比較の問題という話も申し上げてあるんですけれども、ぜひ近藤委員にはそういったところもあわせて御紹介をしていただくとありがたかったな、こういうふうに思います。

 それで、余りこういう受け答えもしたくないのでありますけれども、先ほど近藤委員がおっしゃられたように、これまでに比べてリッター当たり約五円安くなるわけであります。これまでの政府は、逆に言いますと、我々よりも高い水準でガソリンに課税をしているわけでありまして、そういった意味においては、私としては、もちろんでき得る限りCO2排出量に比例してやっていきたい、しかし、これまでの経緯それから世界各国との水準がある、そういう中で今回決定させていただきました。

 ガソリンの課税基準に関しては、EUの現行の水準を参考にさせていただいたということでございます。

近藤(三)委員 大臣の御質問に対する御答弁はすべて読ませていただいた上で、環境税のイメージを再度ここで伺っているわけです。

 原油から精製されるのはガソリンだけではありません。ナフサ、重油、LPガスなども精製されております。燃料、化学用原料などに利用されていますから、なぜ自動車に利用されるガソリンだけがこれほどまでに高い課税がかけられるのかについて矛盾を感じたから今回質問をさせていただいたわけです。

 次の質問に移らせていただきます。

 こちらに資料があります。これは、平成十七年十月、「環境税の具体案」ということで環境省から出されたものです。これによりますと、課税額は排出される炭素一トン当たり二千四百円と、化石燃料の種類によらず一定です。ガソリン一リットル当たりの税率は一・五二円となっています。平成十七年十月に環境省が発表した「環境税の具体案」です。

 この税率に比べまして、今回環境省から示されましたガソリン一リットル当たり二十・一円は、申し上げました十七年の一・五二円と比べますとおよそ十三倍であると理解しております。今回、小沢大臣が示された環境税率は、このように平成十七年十月に環境省が示した「環境税の具体案」と大きく異なっているわけです。

 さらに、新政権が廃止をされようとしておられますガソリンの暫定税率は、もともと目的税として、道路の補修、もっと走りやすい新しい道路を整備していくための財源とするため、今までは車を運転する方にガソリン税を払っていただいてまいりました。まさに受益者負担の原則に基づく目的税であったわけです。

 一つ実例を挙げますと、東京の中心部に住む方々は、鉄道、地下鉄、バスなどの公共交通機関が発達していますので、自動車を利用する機会は少ないです。そのため、一世帯平均年間二万円以下のガソリン税だったと聞いています。一方、鉄道、バス、公共交通機関のない地方にお住まいの方々は、唯一の交通手段が自動車であるため、一世帯平均年間二十万円ものガソリン税を納税していただいている地域もあると聞いております。先ほど大臣もおっしゃっておられました、山梨一区選出の小沢環境大臣、身にしみて十分に御理解いただいていることだと思っております。

 仮に、新政権が現在二十五円の暫定税率を廃止して、新たに炭素税の名目で地球温暖化対策税を課税するとすれば、そしてガソリンについて極めて高い課税をしようとすれば、自動車を日常的に使わざるを得ない方々は黙っていないと私は思います。

 なぜ、地球に対するCO2の発生という負荷が同じでも、こんなにも税額が違うんでしょうか。道路がよくなるという目的がはっきりとしているならともかく、CO2の排出という地球への負担に対して、車を運転する人だけが多くの税を払わなければならないのか。重ねて小沢環境大臣にお伺いいたします。

小沢国務大臣 地方の皆さんの負担が大変大きいじゃないかという近藤委員からの御指摘でありました。ついこの前まで我々民主党がずっと言い続けてきた議論だなと思って、逆に聞かせていただきました。

 でありますので、特に暫定税率の部分は、かつての政府も目的税を外して一般財源化したわけでありますから、でき得る限り減らしたい、こういう思いで私どもも取り組ませていただきました。

 今回の税制改正の最大のポイントは、先ほど来何度も近藤委員もおっしゃっていただいておりますように、全化石燃料への課税という話がもちろん土台にあるわけであります。ここが最大のポイントでありまして、ある意味では、ここのところを厚くしていけば、逆に言えばガソリン税への転嫁というのは少なくすることができる、もちろんそういうことでございます。ただ、先ほど来、繰り返しになりますけれども、やはりこれまでの経過、世界各国との比較、そういったことも勘案して、今でき得る限りのところで考えればこういう水準なのかな、こういうことでございます。

近藤(三)委員 本日何度も申し上げておりますが、負担の公平性、政策の光と影について、国民に、そして国会に理解を得るように真摯な御対応をぜひお願い申し上げます。

 次に、排出権取引制度について質問させていただきます。

 排出権取引制度、企業や事業者などの温室効果ガスの排出者にキャップ、すなわち排出量の割り当てをして、割り当てられたキャップ以上の排出が伴う事業活動をしたい場合には、排出権取引市場から排出権を購入するというものです。また、逆に、省エネルギー対策などが進みキャップ以下で事業活動ができるようになった企業は、余った排出枠を排出権取引市場でほかの企業などに売却ができる制度だと理解をしております。

 民主党のマニフェストによりますと、CO2などの排出量を二五%削減するために、「キャップ&トレード方式による実効ある国内排出量取引市場を創設する。」とあります。ここで言うキャップ・アンド・トレードとは、冒頭に申し上げました、一般的に言われている企業や事業者ごとに強制的に排出枠を割り振ることを念頭としているのか、また、その市場開設時期についても大臣にお伺いいたします。

小沢国務大臣 キャップ・アンド・トレード型の排出量取引制度は、現在、政府の中で環境省を中心に鋭意検討しているところでございます。委員がおっしゃっていただいたように、この制度は、全体にいわゆる排出量そのものをある意味では決めていけますので、製造業に対しては極めて有効な制度だ、こういうふうに思っております。しかし、負担があるのも事実でありますし、そしてまた、ある意味でいうと、価格を人為的に決めていくという話にもつながりかねない話があるわけでありまして、そういった点も十分検討してやってまいりたい、こう思っておるところであります。

 経済界の皆さん方と議論をするときも、先般も私、経済界の皆さん方でこの排出量取引制度の導入に反対をされる意見をお持ちの方に申し上げたんですが、世界各国のこの状況の中で、この状況の中でという意味は、EUがやり、アメリカが今度そういった法案をまさに通そうとしていて、オーストラリアもこれからやってくる、こういう話の中で、この制度なしで本当にやっていけるんだろうか。

 確かに、私としても、人為的にいわゆるCO2の価格を決めていくということにもつながりかねない話でありますから、何となく心の中でもやもやしているものがあるのは事実だ。しかし、これで日本だけがもしやらないという話になると一体どういうことが起こるのかということを考えていったときに、いろいろなことが考えられるわけでありますが、そういった導入しているところは、例えば日本に対する関税措置とかそういう話で対抗してくるんじゃないか、そういう議論もあるわけでありまして、そうなっていけばこれまた産業界には打撃でもあります。いろいろな意見があるのは事実でございますから、そういったことを今総合的に勘案してやってまいりたいと思っております。

 民主党はマニフェストの中で、二〇一一年導入を目指したい、こういう言い方をしておりますが、それはあくまでも、基本法を成立させて二年後、こういう話でつくらせていただいたものでありまして、来年は何とか基本法を皆さん方にも御審議していただいてつくらせていただきたいと私は思っておりますが、その基本法の中にもこの排出量取引の大枠はお示しをさせていただいて議論をさせていただきたい、こう思っておるところでございます。

近藤(三)委員 実際に各企業にキャップを割り当てるとなりますと、次のような点が重要になってくると思います。

 企業ごとにこれまでどの程度CO2を排出してきたのか、その量を把握するための実績調査が必要となってくると思います。また、企業がこれまでどのようなCO2の排出削減技術を導入しCO2の削減に努めてきたのかなど、企業努力を十分に加味して初期の排出枠を設定しなければならないと思います。こうした企業ごと、事業ごとの詳細なデータを把握し、分析し、そして公正な割り当て方法を決めていく必要があります。

 このように、排出枠の設定に当たりましては、綿密な調査分析を行い、透明な排出権取引市場のためのルールづくりをしていかなければなりません。

 先ほど、基本法ができれば二〇一一年という前提があるというふうにおっしゃいましたけれども、キャップ・アンド・トレード方式の排出権取引市場の創設といったことが本当に実行可能なスケジュールなのかどうか、私は非常に疑問に思っております。この点について、小沢大臣の御所見をお伺いいたします。

小沢国務大臣 導入時期以外は委員の意見に一〇〇%賛成であります。と申しますのは、もしキャップをかけていくということになれば、まさにそういったこれまでの各産業、企業の努力、あるいはまた国際競争力等々をしっかり勘案してやっていかなければいけないという御指摘はそのとおりだと思いますし、それの調査といったものもしっかりやっていかなければいけないというのは全く同感でございます。

 ただ、導入時期は、先ほど申し上げましたのは、基本法を通してから二年後の導入という意味で民主党のマニフェストはつくらせていただいております、こういう話で先ほど申し上げましたので、来年もし基本法をつくらせていただければ、そこから後の二年後くらいの導入、こういうことになるんだろうと思います。

 それが民主党のいわゆるマニフェストとしてのお話でありますが、その導入の時期に関しても、果たしてそこまで待てるのかどうか、国際状況のまさに推移も見守りながら、まずは、とにかく来年、基本法の中で委員の皆さん方とこの排出量取引について大いに議論をさせていただいて、導入時期も含めて決めさせていただきたい、こう思っておるところでありまして、今の時点において、いつ導入するかということは決めているところではございません。

近藤(三)委員 二〇一一年とは限らないというお答えでしたが、その制度の内容、そして排出枠の初期設定の定め方、ロードマップなどについて、今の状況でありますと、ほとんど白紙の状態であるということもわかりました。

 排出権取引の最も肝心な点は、企業に排出枠を公正に割り当てるということだと考えております。この非常に難しい調整を、透明なルールづくり、民主党のマニフェストにあるように実効ある国内排出権取引としていくことが重要だと考えています。また、国内での経済メカニズムだけではなく、国際マーケット、そして排出権取引の国際標準などとの整合性も求められることになると思います。

 このようなことを考えますと、いつまでに排出権取引制度を確立するのだという目標だけがひとり歩きするのではなくて、まず国会での議論を深めていただきたい。そして、産業界の意見もよく聞いていただき、世界の動向も見きわめつつ、丁寧な制度設計を考えるべきではないかと思います。拙速な対応は結果として排出権取引市場というマーケットによって新たなマネーゲームを引き起こしかねない。それによって日本経済が振り回されないように、ぜひ慎重な対応をとっていただきたいと思っております。

 本日は、地球温暖化問題について環境大臣の御所見をお伺いしてまいりましたが、COP15でポスト京都議定書の採択をどのように見通していらっしゃるのか、小沢環境大臣の見解を最後にお聞かせください。

小沢国務大臣 最後の質問の前に、その前の排出量取引に関してもう一言申し上げると、先ほど来委員がおっしゃっていただいたさまざまな注意点、それは私は全く同感だというふうに改めて申し上げさせていただきたいと思いますが、全く白紙の状態であることがわかりましたという点に関しては、これまでももう既に、環境省も、それから経済産業省も、試行的にさまざまなことをやっておることは委員も御承知のとおりでございまして、そういった試行的な話が積み重なってきている中での議論をしっかりしていきたいということでございますので、全くの白紙であることがわかりましたという点に関しては御異論を申し上げさせていただきたいというふうに思います。

 それから、COP15に関しての見通しということでありますが、先ほども冒頭申し上げましたように、プレCOPの状況の中で、何とか政治合意、それも包括的な拘束力のある政治合意をつくろう、こういうことに関しては各国コンセンサスがあったもの、こう私は感じております。

 もちろん、途上国の中にはそんなのじゃだめだという意見があったのも事実でありまして、そういった意味では必ずしも容易な作業ではないかもしれませんけれども、しかし、ここはとにかく、先ほど申し上げた包括的かつ拘束力のある政治的な合意をまずつくって、そして、来年それを実務の作業で法的拘束力を持つ条約あるいはまた議定書といったものに仕上げていくことが不可欠だ、こう思っておりまして、どの程度の確率でやれるのかという話に関してはなかなかお答えはできませんけれども、とにかく日本としては全力を挙げてこの議論を引っ張ってまいりたいと思っております。

近藤(三)委員 私は、一九九〇年、COP3京都会議を取材したジャーナリストの一人なんですが、それぞれの国益をかけた世界各国の駆け引きをこの目で見た者の一人です。

 地球温暖化に対する熱い思いだけでは、この問題、国際競争の中で乗り切れないということを非常に身にしみているからこそ、ぜひ小沢環境大臣には、熱い思いとともに、日本の役割をしっかりと果たして成果を上げていただきたいという気持ちから本日は質問をさせていただきました。

 以上で質問を終わらせていただきます。

樽床委員長 次に、齋藤健君。

齋藤(健)委員 おはようございます。自由民主党の齋藤健でございます。

 きょうは、予算委員会に引き続きまして、この環境委員会でも環境問題について質問させていただく機会を、一年生、当選したばかりであるにもかかわらずちょうだいいたしまして、まことにありがとうございます。

 私が学生のとき、就職先を選ぶときに、実は環境庁を真剣に考えておりまして、官庁訪問もさせていただきました。当時面接を受けた課長補佐の皆さんが今ちょうど局長クラスでおられまして、そしてまた自民党でも環境部会長を拝命するということで、感慨深いものがございます。

 また、小沢大臣におかれましては、私かねがね注目をさせていただいております政治家の方でありますし、こういう形で敬愛する小沢大臣と議論ができるのは本当に光栄に思っております。

 また、海外出張は私も何度も行きましたけれども、特にヨーロッパで短期間滞在して、しかもマルチの交渉をして帰ってくるというのは大変お疲れになると思います。そのお疲れのところ、こうやって委員会で審議に参加していただきまして、本当にありがとうございます。

 私の哲学といたしまして、揚げ足はとらない、質問のための質問はしない、あくまでも正論で大臣と真剣勝負ができればと思っておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 きょうは三点御質問させていただきたいと思っておりますけれども、一つはエコポイント、エコカー減税についてです。二つ目は、今同僚の近藤委員からも御質問ありましたけれども、COP15に向けてさまざまな点を伺いたいと思っております。三つ目は温暖化対策税についてということで、三本柱で御質問させていただきたいと思っております。

 まず初めに、エコカー減税、エコポイントの制度につきまして、これは我が党が政権にあったときに提案してでき上がってきた制度でございます。私は、このエコカー減税またエコポイントの制度ですけれども、一つは現実にCO2を削減させていく一つの有力なツールであると思っております。また、国民の皆さん一般の中にCO2削減の意識というものを植えつけていくのに非常にいい手法だろうと思っておりますし、ひいては景気対策にも非常に大きな効果があるということでありますので、大変すばらしい制度だと思っております。

 需要創出効果につきましても、大臣御案内のように、ポイントは商品価格の五%から一〇%ということですので、予算が三千億円でありますと少なくとも三兆円ぐらいの需要創出効果があるということでございますので、これは大変有力な景気対策であると私は思っております。

 御存じのとおり、この制度を来年度以降どうするかということにつきましてはいろいろな議論があるのは承知しているところでありますが、私ぜひ大臣にお願いをしたいのは、まず、このエコポイントの制度はぜひ存続をさせていただきたいと思います。それから、いろいろな意味で、特にまだ照明の分野とかにこのエコポイントは導入されておりませんが、範囲の拡大をして、そして存続をさせるということが、私は今環境大臣として本当に重要なことではないかと思っております。

 この点についての大臣の決意をお伺いしたいのと、一番大事なことは、もう来年度の生産計画というものを各社は立て始めておりますので、早く表明をしませんと、現実の生産や雇用に影響が出てしまう。そういう差し迫った段階にもう来ていると思いますので、やるならやる、やらないならやらないということを早く表明する必要があると思っております。私は、小沢大臣には、やると政府として決断をして、早く表明をしていただきたいと思いますが、大臣の御所見を伺いたいと思います。

小沢国務大臣 冒頭御慰労もいただきまして、本当にありがとうございます。

 環境省にもし入っていただけていたら、また環境行政ももっと発展していたのかな、こう思って聞かせていただきました。

 まず、エコカーに関しては、若干私の所管を越えてになるんですけれども、後からおしかりを受けるかもしれませんが恐れず申し上げると、結論から申し上げると、委員が御指摘の拡大存続、全く同感でございます。

 実は私、先ほど閣議の後、ぶら下がりの記者会見で全く同じことを申し上げてまいりました。これはもちろん環境政策の観点からも、あるいはまた今の経済情勢からも、拡大してなおかつやっていくことが必要なんだ、こういう話を申し上げまして、そういった意味では、委員からそういった御指摘をいただけることはありがたいというふうに思っています。

 御案内のとおり、政府の方もなかなか財源が厳しいのは事実でありまして、そういった中で今回の補正予算の中でエコポイントが導入されたわけであります。

 もともとを言えば、環境省はエコ・アクション・ポイントという話で、従来からそういった意識を持って取り組んできていたわけでありますけれども、先ほどせっかくお褒めをいただいたので言いづらいんでありますが、今までは、やはり政府としては、補正、一時的なものでこういった話は処理をしたい、こういう話がかつてはあったんでありましょうし、現政府の中にもそういう意見があるのも事実であります。

 しかし、ある意味でいうと、景気対策という意味ではもちろんそういう話でいいわけでありますが、環境政策ということで考えたときにはこれは継続することが大事だ、こういうふうに私は思っておりますし、まさに委員が御指摘の、国民の皆さんにそういう意識を持ってもらう第一歩としてやはりエコポイント制度というのは極めて有効だ、こういうふうに思っております。

 ただ、同時に、これは若干反省も兼ねて申し上げると使い勝手が悪いところもあるわけでありまして、私は、そこはとにかく使い勝手がもっといいようにやり方を改善していくことが必要だ、こう思っておりまして、そういった意味では、金額的には拡大、さらに使い勝手をよくする改正、それを踏まえて私は頑張りたい、こう思っております。

齋藤(健)委員 ありがとうございます。

 ぜひ、恒久制度で組み上げていくということ、それから、一刻も早く政府としてその意思を表明されることをさらにお願い申し上げまして、次に進みたいと思います。

 二五%問題でありますが、前回の予算委員会で私の質問させていただいた流れというのは、大臣おられたのでおわかりになっていると思いますが、この二五%削減問題というのは国民生活に幅広く影響が及ぶ問題である、当然のことながら懐にも影響しますし雇用にも影響しますし場合によっては産業競争力に甚大な影響を与えかねない極めて大きなテーマである、そのような大きなテーマを国際的に表明するに当たっては少なくとも国内的にしっかりといろいろなことを詰めて、国民に説明をした上で、そして世界に表明をすべきであるということを私はそのとき申し上げたわけであります。

 ところが、予算委員会で明らかになったことは、これらのことは総理が表明した段階でほとんど明らかにされていないということがはっきりしたわけであります。

 一つは、この二五%の中で、いわゆる国内対策、真水と言われているものでありますが、この真水というものが二五%の中で一体どのくらいあるのか。なぜこれにこだわるかといいますと、国内対策の真水の部分が国内に直接影響を与える、そういう部分でありますので、少なくとも二五%のうちこのくらいは国内部分なんだということ、これはあってもしかるべきかなと思うんですね。

 それからもう一つは、二五%というのは大変意欲的な目標であるわけでありますので、恐らく海外から排出権の購入を相当程度しなければ達成できないのではないかと思うわけでありますが、この排出権を購入したりすること等によりまして日本の国富がどのくらい海外へ流出するというふうにお考えなのか、そういうものはあるのかと伺いました。

 それから、国民負担のところ、懐への影響もありますけれども、では雇用にはどうなるんだ、それから産業競争力の方はどうなるんだ、企業は海外へ出ていくのかいかないのかという点につきまして、要するに国民生活、国内経済への影響につきましても伺いましたが、その時点でははっきりしたお答えがいただけませんでした。

 また、この二五%を掲げているマニフェストの中に、ガソリン税の暫定税率というお話が同時に書いてあるわけでありますが、この暫定税率について鳩山総理に、これは当然、二五%と同じ文書に書いてあるのだから、暫定税率を廃止してCO2の排出量がふえてもなおかつ二五%を頑張るんだということでいいんですねというお伺いをしたら、それでいいということだったんですが、では、暫定税率の廃止分は一体何%ぐらいが計算されているんですかと聞いたら、それについてもお答えをいただけませんでした。

 さらには、原子力というものが、この二五%削減を本当に実行しようと思うのであれば大変重要なツールになると思うんだがと。それで、この原子力の位置づけについて関係する大臣に伺いましたが、お答えはまちまちでございました。

 繰り返します。この二五%削減というものを世界に華々しく打ち上げる前に、例えば、真水はどのくらいなのか、海外への国富の流出はどのくらいなのか、国民負担はどうなのか、暫定税率との関係はどうなのか、原子力をどう位置づけるのか、少なくともそういうものを国民の皆さんにしっかりと説明をした上で世界に約束をするというのが私は物事の順番だと思っております。

 国民の皆さんの生活、雇用、経済に大きな影響が出るのがわかっている、それを後回しにしてなぜいきなり世界にお約束をしたのか。この理由についてお聞かせください。

小沢国務大臣 この問題は予算委員会でも総理もお答えをしておりましたが、ある意味では、委員御指摘の決め方については二通りの考え方がある。いろいろな数字を積み上げていって決めていくやり方と、それから、ある意味では科学的な要請に基づいてその数字を決めて、そして国民の皆さんたちに理解を求めていくやり方の二通りがある。私はその後者の方のやり方をとったんだ、こういう言い方を総理はされたというふうに記憶をしております。

 同時に、あのときに私も申し上げ、かつ岡田外務大臣も申し上げましたのは、民主党としては、それまでに二十五回会合を開いて、対策本部を行って、そして各界の皆さんとも議論を積み重ねた上で決めた数字でもありました。

 そういった中で、マニフェストにも書かせていただいて、選挙も戦わせていただいたということの中で、選挙が終わったら、十六日がたしか組閣だったと思いますが、組閣が行われて、そして二十一日には国連の首脳級会議への出発だった、こういう話でございまして、そういった意味では、確かに、そこでもっと丁寧にできる時間があれば当然やらせていただくことが私はあってもよかった、こういうふうに思いますけれども、そういった制約の中で行わせていただいたということは、ぜひ委員にも御理解を賜れればなというふうに思っているところでございます。

齋藤(健)委員 ありがとうございます。

 仮にその二つのアプローチのうち後者であったとしても、例えばどの程度真水があるのか、あるいは国富の流出はどのくらいになるのか、こういう極めて重要な点については、仮に後者のアプローチをとったとしても国民の皆さんに説明すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

小沢国務大臣 今、もちろん鋭意作業をやっておりますし、そういった話は近々、少なくとも国民負担に関しては発表させていただく予定になっておりますけれども、国富の流出という話に関しては、なかなかそこは予測することも難しいのではないかと私としては感じているところだと思いますし、かつての政権もそういったところまではすべて明らかにできていたという話ではない、こう思っております。もっと言うと、さきの予算委員会でも申し上げましたが、いわゆるシミュレーションというのはあくまでも前提条件を置いての数値でありまして、そういった意味では、そういう数値は正確に、私はどんな数値が出てもしっかりと国民には提示するという思いでおりますけれども、そこのところはその数字があるから今回の二五%という話は言わないんだ、あるいはまた、もしそういう数字があったとしたら二五%という数字は言えなかったということにはならないんだろう、私はこういうふうに思っております。

齋藤(健)委員 ありがとうございます。

 私、しつこいようで申しわけないんですけれども、その二五%をやはり言う以上は、多少なりともこういう影響があると。少なくとも国富の流出、これは真水だけでは恐らくできないと思いますので、その場合はどうなるのか。真水でやる場合にはどういう影響が出るのか。最近、国民負担の懐のところは計算されたようでありますけれども、それ以外のところは一切明らかになっていなくて、一体どのくらい影響をこうむるのかという点につきましていまだにはっきりしない。

 次にお伺いしたいのは、それらの点についてはっきりと国民の皆さんに説明するつもりはあるのか、あるとしたらCOP15までの間に私はやるべきだと思いますが、この辺についての大臣の所見をお伺いできたらと思います。

小沢国務大臣 今の御質問は、その国富の流出のところですか。もう一回確認をさせて……(齋藤(健)委員「あと真水がどのくらいか」と呼ぶ)

 まず、真水に関しては、今御案内のとおり、タスクフォースチームで四通りの水準で計算をさせていただいております。ただここは、今後政府部内で最終的な、COP15に向けてどういう戦略でいくか詰めを行う予定でおりますけれども、COP15の最終場面でも、その真水の部分をどのくらいという話をどういった形でするかという話は現在のところは決めておりません。ただ、シミュレーションとしては、繰り返しになりますが四通りのシミュレーションを今やっていただいていて、来週私どもに報告をいただくということになります。

 国富の流出に関しましても、これはまさに排出量取引の制度も含めて、どういう形で本当に行っていくのかという話がないと、なかなかそこは測定ができ切れないのではないか、こう思っておりまして、これまでの政権でもそこまでの正確な具体的な数字というのは出せていないもの、こう思っているところでございます。

齋藤(健)委員 これまでの政権で出していなければ出さなくていいというお考えには私はくみしませんし、今までの、少なくとも我々がつくった目標に関しましては、これは国内の措置だけでやった場合にこうなりますということでありますので、それの数字を出してお約束、国民に説明をしているということであります。

 それから、雇用に与える影響等々につきましても、議論の末、数字を出しているところでありますが、この議論はこれ以上申し上げませんが、ただ私は、二五%ということについて、国民のかなりの人がどうなるんだろうかと不安を感じているのは事実であるので、そこについて、世界に約束する前に、少なくともこの程度の影響はありますと、幅があってもいいけれども、それが筋じゃないかということを最後に申し上げさせていただきたいと思います。

 次に、大臣は今COP15を前に大変御苦労されていると思うんですけれども、この交渉がこれほどまで難航している本質的な理由は何だとお考えになっておられますか。

小沢国務大臣 これはなかなか難しい問題だと思います。ぜひ委員の意見も聞かせていただきたいと思いますが、私なりにお答えを申し上げると、まず一つはこの温暖化という問題がある意味でいうと慢性的な話で、これから地球が、例えば二〇五〇年くらいには大変なことになる、こういう話はあるわけでありますけれども、目の前で起こっていることが、もちろんそれは自然災害が多くなったとか、それから平均気温が上がり出しているとか、そういうのはあるわけでありますが、直接的にいやこれはもう大変だという話ではないわけですね。ですから、問題そのものがある意味でいうと慢性的な問題であるということが一つ。

 それからもう一つは、これはもう委員も御承知のとおりでありますが、やはり世界全体の問題になっていくと、WTOも、あるいはこの気候変動の問題もそうでありますが、途上国からの意見というのは、ある意味では極めて強くて、なおかつ数が多いんですね。グローバルな問題で世界的にやればやるほど、そういった途上国の皆さんたちの声が、数が極めて多いわけでありますから、そこの皆さんたちの意見が強い。ですから、G8とかいう形での決定という話であれば、ある程度似た環境のもとでのコンセンサスというのはとりやすいわけでありますが、それが決定的に違う。

 答えになっているかどうかわかりませんが、繰り返して申し上げると、この問題そのものがある意味では中長期を含めた影響の問題だということと、それから、全世界をとにかく一度に議論しなければ問題だというこの二つが、私としてはなかなか議論が進展しなかった大きな理由なのかな、こういうふうに思っております。

齋藤(健)委員 ありがとうございます。

 私は、この交渉が難航している本質的な理由を一言で言えといえば、自分はやりたくない、なるべく人にやらせたい、こういう交渉だということがこの交渉を難航させている最大の理由だろうと思います。途上国は途上国の立場、先進国は先進国の立場がありましょうが、基本は、自分はなるべくやりたくない、なるべく人にやらせたい、これがこの交渉を難しくしている本質的な理由だと思います。

 そういうときに、私は丸裸になって、あとは皆さんの好意にすがりますという交渉アプローチは、こういう交渉をしているときに私には余り有効な方法だとは思えません。どうぞおやりください、我々はやりません、これで終わってしまう、恐らく今度の交渉でそういうことになりかねないという大変な心配をしているところでございます。

 私も、かつていろいろな国際交渉に携わったことがありますので、国内で後ろから交渉者の背中を鉄砲で撃つようなことはしたくありませんので、もうこれ以上この話は突っ込みませんが、ただ、最初から丸裸になって、あとは皆さんの好意ですというやり方がどういうような成果を上げたかについては、事後的にきっちりと検証はしたいなと思っております。

 ただ、もうそういうアプローチをとっちゃった以上は大臣の御健闘を今は祈念するのみでありますが、いっぱい質問事項があるので、もうちょっとだけ幾つか御質問させていただきたいんですが……(小沢国務大臣「一点だけいいですか」と呼ぶ)

樽床委員長 小沢環境大臣、手短に。

小沢国務大臣 全く、御指摘のところは、なかなか言いたくても私は言えなかったところでありまして、そこをずばっと言っていただいたところは、本当に私も、しり馬に乗るわけじゃありませんが同感であります。

 決して日本は丸裸になっているつもりはなくて、そこは私自身、あるいはまた鳩山総理、余りしたたかに交渉ができるタイプではないのかなと反省をしながら、しかし、委員のおっしゃるように、そこはしっかりとこれから胸に刻んで頑張りたいと思います。

齋藤(健)委員 そういう意味でいうと、先ほど近藤委員とのやりとりの中で、大臣が、三つの前提が整わない場合は二五%を下げることもあり得るということをインタビューで答えられたということなんですけれども、これは、整わなければ撤回すると言わなくてはいけないと私は思います。下げるとか言うんじゃなくて、せっかく意欲的なアプローチもみんなが協力しないなら撤回すると。国際交渉でせっかく公表した、だから、下げるとかじゃなくて、ぜひ大臣にはそういうふうにおっしゃっていただきたいなと思っております。何で私がアドバイスをしなくちゃいけないのかわかりませんが。

 次に、今、二〇一二年まで京都アプローチで世界は取り組んでいるところであります。一つ確認なんですけれども、京都アプローチ、これはアメリカが結局離脱をいたしましたし、中国には義務がかかっていない、そういうアプローチになっていると思いますが、これから世界が目指していくアプローチとしては、この二大国が実質加わっていない、実質努力しなくていいような形になっているこの京都アプローチは、これからのものとしてはふさわしくないと思いますが、大臣はどうお考えになりますか。

小沢国務大臣 全くそう思っております。先ほどの質問でもお答えをしたとおりで、主要国というのはどこまでかという話はすべて網羅的に答えることはできませんけれども、米国と中国、この二カ国で約四一%の排出量を出しているわけでありまして、この二カ国が入っていただくことは極めて重要だ、こういう認識でおります。

齋藤(健)委員 そうしますと、これから厳しい交渉の折衝に入る中で、余りに苦しいものだから京都アプローチの延長みたいなものでお茶を濁そうというような議論が国際的に出てきた場合には、日本はそれには乗らないということでよろしゅうございますか。

小沢国務大臣 政府としては決めておりませんが、私としてはその思いでやらせていただきたいと思っております。

齋藤(健)委員 ありがとうございます。ぜひその御決意を貫いていっていただけたらと思います。

 次に、余り時間がないので一言だけでお答えいただければと思うんですが、大臣は今度のCOP15で政治的合意ということで努力されるというふうに聞いていますけれども、この政治的合意の中で大臣が最も大事だと思われる点は何でございましょう。

小沢国務大臣 なかなかこれも難しいところでございまして、最も重要、こう言われても難しいんですが、相当包括的な話にしていかなければならないと思っておりまして、先ほど申し上げました主要国、アメリカ、中国の参加という話もそうでありますし、それから相当の削減目標という話もそうでありますし、それから途上国は今は義務がかかっていないのでありますけれども、今回の議論でも相当出ておりましたのは、途上国のいわゆる登録の仕方、そしてそれを国際的に検証、議論をしていく仕方、そういった話もこれまた重要だな、こう思っております。

 でありますので、どうしても一つという話にはなりませんけれども、そういったものを含んだ包括的なものをぜひともつくり上げたい、こう思っております。

齋藤(健)委員 ありがとうございます。

 私は、一番大事なのは、ともかくいつまでに議定書をつくる、その期限の設定ができるかどうかが一番大事だと思います。

 多くの多国間交渉は、一たん崩壊しますと次に立ち上げるのはなかなか容易ではありません。その立ち上げだけに何カ月も、場合によっては一年も二年もかかります。そのとき大事なのは、次はいつまでに必ず結果を出そうという約束ができるかどうかが、もう十二月に迫ってきたCOP15が成功かどうかの最大のポイントは、いつまでというものを日本が主導して合意できるかどうか、私はこの一点にかかっていると思っておりますので、大臣はぜひ頑張っていただきたいと思いますし、それがとれなかった場合には私は大いに批判をし文句を言っていきたいなと思っています。

 次は、地球温暖化対策税につきまして、十分ぐらいしか時間がなくなりましたので、端的にお答えをいただきたいと思います。

 まず、環境省から示された案を見ますと、地球温暖化対策税というのは、ガソリン税の暫定税率が廃止をされるというのが前提になっておりました。選挙のときに、子ども手当はつくる、暫定税率は引き下げる、高校の授業料はただにする、そんなことをいろいろやって財源はあるのかというふうに自由民主党が質問をしますと、無駄を省き、予算を組み替えればあるというふうに民主党はずっと言い続けてきたわけでありますので、今ここに来て、財源が苦しいから暫定税率は全廃じゃなくて一部廃止だなんということはよもや言わないでしょうねということを確認しておきたいと思います。

小沢国務大臣 暫定税率そのものは税調の中の議論でありますので、私自身が今責任を持ってお答えすることはできないわけでありますけれども、私としては、暫定という名のもとの税が三十年も続いていることはおかしい、こう選挙期間中も言ってまいりましたし、この議場の中の民主党の仲間の多くもそういう意見を言ってまいった、こう思っておりますので、そこは私としては税調の中でもしっかりそういった主張はしてまいりたい、こう思っているところでございます。

齋藤(健)委員 私は、自民党という立場を超えて、選挙であそこまで、財源はある、暫定税率を廃止しても、子ども手当を導入しても財源はあると国民に言い切ってきたわけですから、ぜひ大臣、この地球温暖化対策税を導入する前提として廃止されると書いてあるものですから、その前提をまずしっかりとやっていかないと、国民との関係で問題だと思いますよ。

 それから、次、時間がないので端的にお願いしたいんですが、この地球温暖化対策税のねらいは何なのか。一つは当然対策の財源を獲得するためのものであるという考えもありましょうし、それから、税をかけて価格を高くすることによって消費を抑制してCO2を抑制していくというねらいもあろうかと思いますが、ずばり、この税の導入のねらいというものを、大臣、御説明いただけませんでしょうか。

小沢国務大臣 全化石燃料に課税をするということでございます。

齋藤(健)委員 だから、それは何のためにやるんですかと聞いているんです。

小沢国務大臣 CO2削減のためにやりたい、こう思っております。

齋藤(健)委員 そうすると、その上がった税収というものはどうされるんですか。一般財源で自由に使われちゃっていいんですか。

小沢国務大臣 でき得る限り地球温暖化対策に使いたい、こう思っておりますが、私ども、こういう時代でありますので、いわゆる目的税的にはできない、こう思っておりますが、温暖化対策にでき得る限り使ってまいりたい、こういうふうに思っているところでございます。

齋藤(健)委員 ありがとうございます。私も、導入する以上はぜひ温暖化対策にしっかりと使っていっていただきたいと思うんです。

 CO2の排出抑制、これがねらいだとおっしゃいましたけれども、結局、ガソリン税が下がった分、五円ほど安くなる水準で自動車を使う人にはかかるわけでありますけれども、それは税率としては少し、五円分ですか、安くなるわけですから抑制効果はないんじゃないかと思うんです。もしねらいがそうであるとしたら、ちょっと違う形になっているような気がしますが、大臣の御見解を。

小沢国務大臣 暫定税率を廃止すればCO2の排出は多くなるという話は、私どもも選挙期間中もそれは認めてきたところであります。

 しかし、そもそも暫定税率のあり方そのものがおかしいのだから、それはまずやめよう、こういうふうに申し上げてきたところでございまして、そういった意味では、暫定税率は廃止はするけれども、トータルでこれの多くなった分を何とか削減する努力をしてみたい、こういうふうに言ってまいりました。それの一つのある意味では手段、政策が今回の温暖化対策税、こういうことだと思います。

 ガソリンの話は先ほどの近藤委員との質疑の中でも出ておりましたが、やはりいろいろな基準がある中で、私としては、暫定税率という名のもとの税を廃止する。しかし、ガソリンの課税というのは、担税力、諸外国との比較、あるいはまた今言ったCO2排出の削減等々の中で考えざるを得ない。そのときの一つの基準をEUの基準にさせていただいたということでございます。

齋藤(健)委員 これで最後にしますけれども、先ほど近藤委員からも指摘がありましたが、やはりCO2を削減するため、あるいは温暖化対策に使うためにこういう種類の税が必要だということはわかるんですけれども、では、なぜガソリンのところだけ極端に高くなるのかということについては、いや、廃止するのがそのままじゃもったいないから、そこは高くしましょうというふうに見えるわけですね。

 ですから、そういうふうではないということをしっかりと説明できないと、私は、負担を求める以上は大変不十分なのじゃないかなというふうに思います。この点について、再度御説明をいただけましたらありがたいと思うんですが。

小沢国務大臣 もちろん、環境政策的には全化石燃料に一律の基準で課税という話が最も望ましいというのは、理想論として私も十分理解ができるわけであります。

 ただ、そうなったときに、今回の私どもの基準でいっても、例えば石炭あたりは相当の増額になるわけでありまして、そういった意味では、激変緩和措置といいますか、そういったことも考えざるを得ないのでありましょう。あと、先ほど来、繰り返しになって恐縮でありますが、諸外国の例を見てもガソリンへの課税というのは極めて高い、こういうことでありますので、そういった事柄も踏まえながら今回は決定をさせていただいたということでございます。

 委員のおっしゃる将来的に全化石燃料一律、統一、こういう話はありますけれども、委員の御出身の役所からは大変おしかりを受けながら実はやっておるところでありますが、環境省は環境省なりに頑張って、理想に向けてこれからも努力してまいりたいと思います。

齋藤(健)委員 ありがとうございました。

 これで私の質問を終了させていただきますけれども、引き続き、COP15の話はまた大臣の胸をかりるつもりで議論させていただけたらと思っております。ちょっと、私も素人なものですから、失礼な発言があったら御容赦いただけたらと思います。

 どうもありがとうございました。

樽床委員長 次に、吉野正芳君。

吉野委員 自由民主党の吉野正芳でございます。

 小沢大臣、私は初めてきょう議論するわけでありますけれども、九時半からの短い時間での今の議論のやりとりを聞いていて、小沢大臣のお人柄というものを、本当にいい人だなと。これから長い環境委員会で真摯な議論ができるな、こんな思いで聞いておりました。でも、十分にお人柄を理解したいと思いますので、お人柄を探るような、そんな質問もこれからさせていただきたいと思います。

 まず、生物多様性についてですけれども、宇宙ができて百三十七億年、地球ができて四十六億年、生命誕生で三十九億年であります。四十六億年を三百六十五日に縮めた場合の地球カレンダーというものがございまして、二月九日、四十一億年前ですけれども、陸と海に分かれたというふうに書いてあります。二月二十五日、三十九億年前、生命誕生です。我々の命というのは三十九億年間絶えることなく今の今まで続いている。本当にすごいことだと思います。

 太古の時代、恐竜が地球をばっこしておりました。大臣、地球カレンダーでいうといつごろの月だと思いますか。恐竜が活躍をしたといいますか、地球上で一生懸命栄えていたというのはいつごろの日にちだと思いますか。

小沢国務大臣 今日の我々が地球環境カレンダーだと十二月三十一日ほぼ二十四時直前、こういうふうな話は聞いておりますが、恐竜に関しては、済みません、ちょっとわかりかねます。

 ただ、委員のお話は本当に大変興味深く伺っておりまして、先ほど、四十六億年前に地球、こういう話を申されましたが、その前の百三十七億年前に宇宙ができた、こういう話を含めて、その前は一体何だったんだろうかな、こう思いながら聞かせていただきました。ありがとうございます。

吉野委員 その前は時間がありませんでしたので。百三十七億年前から始まったので、その前は時間というものがありませんでした。

 まず、恐竜が生まれたというか、出てきたのが十二月十三日です。そして、全盛期を迎えて、十二月二十六日午後八時十七分に突然、恐竜の全滅、巨大隕石が落ちて恐竜が全滅した、これが恐竜であります。まさに二月の二十五日に生命が生まれて、あの太古の時代と言われる恐竜がもう暮れも押し迫った十二月二十六日に全滅した、こういうことでありますので、我々の生命というものがいかに長く続いてきた、どうして長く続いてきたのかというところがこの生物多様性だと思います。

 私も、文科の政務官をしているときに、学校の子供たちが自分たちの学校に、ビオトープ、いわゆる小さな小さな自然をつくる、そこに生き物を生かせて、自然の大切さ、生物多様性の大切さを勉強する、そういうビオトープコンクールの全国大会にも出席をさせていただいたところであります。

 それで、来年COP10が名古屋で行われ、まさに我が国は大事な大事な世界会議を持つわけでありますけれども、大臣の所信、また朝日新聞がインタビューをなさっていますので、それを見ますと、生物多様性はなぜ必要なんだというそこのところは余り論じられていなくて、いわゆる対策、これをやります、これをやります、そういう対策ばかりが書かれていますけれども、なぜ今、生物多様性が大事なのか、その辺のところをお聞かせ願いたいと思います。

小沢国務大臣 やはりこの地球の中で人間も生かされているものの一つでありますし、そういった意味ではかけがえのない地球というのを守っていかなければいけない。その地球のほかに生物がいる星があるかどうか、まだ科学的にもわかっていないはずでありますけれども、少なくとも我々が知る限りでは生命というものが存在をしている唯一の星である。

 こう思っている中で、やはりそれを我々は、少なくてもその生物の中の一つの生物でもある人間が壊していくような話はあってはいけないというふうにまず思いますし、もう少し功利的に申し上げても、多くの生物によって人間も生かされているわけでありまして、そういったものとの共存があってこそ初めて人間の生活もあり得るということも考えれば、なおさらそれは大事にしなければいけないというふうに思っております。

吉野委員 まさに三十九億年間、生命が進化を遂げながら続いてきたというのは、そこにあろうかと思います。

 今現在、私たち人間も、寒さに強い人間、暑さに強い人間、また、インフルエンザにかかりにくい人間、さまざまいるんですね。環境の変化で、いわゆる寒さに強い人間が、地球がもし寒くなっちゃったら、寒さに強い遺伝子といいますか、そういう体質を持っている方々は生き延びていく。そういう種の保存、生命の鎖といいますか、これが生物多様性の原点だと思います。いろいろなアクセス、多種多様なものがあって、一たん環境が変わればそれに対応できるものが生き延びていく。そういう意味で、一つのアクセスしかない場合は一たん環境が変われば全滅をしてしまいますので、そうではなくて、同じ人間でもそれぞれ日々進化していると私は思っていますので、それが生物多様性の原点だというふうに私は理解しています。

 大臣は、朝日新聞のインタビューで、生物多様性という言葉は直訳し過ぎる、何か別な言葉を考えてみたいというふうなインタビュー記事が載っておりましたので、どんな言葉が生物多様性を、直訳でなくて、その思いを伝える言葉として大臣はお考えでしょうか。

小沢国務大臣 まだ実は決め切れていないんですけれども、バイオダイバーシティーというんですか、その英語の直訳で生物多様性。この間も、外国の会議のときに、ダイバーシティーという言葉は英語としては割と普通の言葉なんだ、こういうふうに向こうの人は言っていましたけれども、多様性という話はなかなか日本の中ではぴしっと来ないな、こういうふうに思います。

 ただ、不思議なものでありまして、人間というのは本当に環境になれるのか、私も環境大臣にならせていただいて、最初は物すごく違和感があったんですが、最近は生物多様性といっても結構入ってくるようになっちゃったんですね。

 これが、やはりなれというのは怖いなと思いながら、何とか。実際に一般的な調査を見ても、たしか三〇%ぐらいしか認知度が、三六と後ろの副大臣から教えてもらいましたが、三六%くらいしか認知度がありません。委員は、もう環境省をずっと、副大臣もされて、この世界も大変お詳しいと思うんですが、私は、最初に入ったときにどうも違和感もある、なおかつ三六%くらいの認知度だという意味で、何とかいい言葉がないかなと今思っているところであります。

 会議としては、自然との共生会議みたいな話を言えないのかななんという話は思ったりもしておりますが、まだ全く決めているような話ではございません。

吉野委員 ぜひ、生物多様性の心をあらわせるような、直訳でない言葉を考えていただきたいと思います。

 参考までに、過日、福島県の町村会役員の皆様方とお話をする機会がありました。そのときに要望書という本を渡されたんですけれども、その裏表紙に「いろいろあって それでいい」、こういう言葉が載っておりました。まさに生物多様性をあらわしている言葉でないのかなというふうに私は思うんですけれども、ちょっと読んでみます。

  私たちが住む 地球には

  大きな国があり 小さな国がある

  私たちが住む この日本には

  大きな県があり 小さな県がある

  そして

  私たちが住むこの福島県には

  大きな市もあり 小さな町村もある

  この町や村に「私のいま」があります

  この町や村に「私のみらい」があります

  このふるさとに「私のすべて」があります

  町や村にはあなたの心をほっとさせる なにかがあります

  情熱を傾けようじゃないか このふるさとに

  大切にしようじゃないか このふるさとを

こういう文章であります。

 いろいろあってそれでいい、私は生物多様性の心をまさにこの言葉であらわしているのではないかと思っていますけれども、大臣はいかがでしょうか。

小沢国務大臣 本当にいい言葉だなと思います。いろいろあってそれでいい国際会議という話だとちょっとおさまりが悪いかなと思いますが、少なくとも考え方は全く委員のおっしゃるとおりだと思います。

吉野委員 生物多様性のこういう視点、いろいろあってそれでいい、アクセスがたくさんある、環境が変化した場合にその環境に順応できるものが生き残っていくという、この生物多様性の原点。

 これをいろいろ私たちの周りに当てはめてみますと、例えば会社経営。会社の場合、ユニ・チャームという大会社の会長さんと私、一度お話ししたことがあるんですけれども、会長さんはこう言いました。きのうときょうは同じであってはいけない、常に変わっていかなければ、会社というのは持ちこたえられない、つぶれてしまうものだ。常に進化をしていく、その進化をしていくためには、いろいろなアクセスといいますか、将来伸びるであろうそういうものを常に研究していくんだというお話を伺いました。

 私の同級生が富士フイルムに勤めていまして、今デジカメの時代でありますのでフィルムはほとんど売れません。でも、富士フイルムは残っているんですね。おまえ、今何をやっているんだと言ったら、化粧品を売っているんだと。富士フイルムが化粧品メーカーに変身をしている。会社経営においても、常に生物多様性の原理といいますか心を持っていかねばならないというふうに私は思います。

 では、私たちが今やっているこの政治の世界に生物多様性の視点を当てはめてみると、大変危惧しています。私たち自公政権のときには、政策決定をするときに、国会議員が本当に議論をして、一人一人の持っている意見を闘わせて、そして最終的には政策決定をしていくんですけれども、今の民主党連立政権を見てみますと、果たしてその生物多様性の持っているいろいろな視点、いろいろな考え方、これが機能していないのじゃないかな、こう心配しているんですね。

 ここに優秀な方々、民主党の方々がおられます。一人一人、皆さん、自分の意見、自分の考えを政治家として持っていると思うんですけれども、それが私の耳には聞こえてこないわけでありまして、その辺、大臣としてどう考えているか、お聞かせ願いたいと思います。

小沢国務大臣 先輩の吉野先生から本当にまじめな御指摘をいただいた、こう思っておりまして、私が答える立場にあるかどうかはわかりませんけれども、ただ、率直に申し上げて、私も今民主党の中にいる議員の皆さんたちの力を生かし切っていないというふうに感じているところであります。

 そういった意味では試行錯誤の中で今やらせていただいておるものですから、なぜか政務三役と呼ばれる人間だけが毎日ばたばたばたばた飛び回っていて、ほかの皆さん方の力、せっかくすばらしい力を持った皆さんたちの力を生かし切れていないな、こういう反省は率直に思っているところであります。

 でありますので、それをこれからどういう形で生かしていくかという話は考えたい、こう思っておりまして、実は、政権をとる前から、イギリス型の議会運営を参考にしてやろうといったときに、政府に入っていない人たちをどういうふうにするかという話は、そのときから最大の課題の一つでありました。なかなかいい答えが見つからなかったのであります。逆に、イギリスの議会の皆さんたちは、日本の自民党の皆さんの先ほどおっしゃられた部会制度を、すごく民主的じゃないか、こう言って評価しているんですね。

 ですから、そういう話も我々は十分わかった上で、ただ、今回我々のやらせていただいている試みというのは、政策決定が政府と党で別々だということはいけない、これは国民に対しての責任をある意味ではいいかげんにするものだと。政府は言っているけれども党は実はこうなんだといって使い分けをしてきているようなところがかつてなかったか、こういう反省の中で政府、党の一元化、政策決定の一元化ということを考えているわけでありまして、そういった意味では、それを守りながら、責任の回避ということがないようにしながら、何とか今の皆さん方の力をどうやって生かしていくか。

 政策会議という名のもとで、役所の中に来てもらって議論も始めているところでありますが、御承知のように役所は役所で公務員法のいろいろな規定や何かもあったりするものですから、全部そういった皆さんたちにそのまま役所の中で動いてもらうというわけにはいかないというようなこともありまして、今鋭意検討をしているところであります。

 今後、通常会等でもしそういった新しい提案を民主党がさせていただいたら、ぜひ御意見も出していただきながら御賛同いただけると、有効な資源の活用、利用ができるわけでありますから、ぜひ御協力を賜れればと思います。

吉野委員 大臣、本当にありがとうございます。

 この質問、少しはぐらかされてしまうのかなというふうに思っておりましたけれども、きちんと正面からお答えいただいて、本当に大臣のお人柄、真摯な態度に敬服する次第であります。

 私、福島県ですから、福島県の代表的な方は渡部恒三先生であります。恒三先生は、これは福島民報という地元紙なんですけれども、「独裁的だ」、こう書かれております。

 例えば民主党の場合、政調会が今ないわけでありまして、我々議員にとって、政策を勉強する、政策を立案する、それを実現していく、これは命であります。この政調会をなくしたということは、先ほど本当に役所の中の政策会議で意見が反映できるというお話でしたけれども、我々与党時代は、本当に週に二回、三回、一つの政策を実行する場合に、議論して議論して議論しているんですね。

 ところが、お役所での政策会議、百人くらい集まって、二日間くらいやって、どういう議論があるのかなと。今大臣御懸念の、人材を活用していないというところだと思いますので、本当に独裁の政治にならないように、ぜひ期待をしているところであります。

 とりあえずここで、今増子経済産業副大臣が来ていますので、議論をかえたいと思います。

 増子経済産業副大臣は、我が福島県、電源立地県であります。昔々、只見川の水力発電所から始まって、今ここについている電気は実は福島県の原発から来ているものであります。新潟県の柏崎はとまっていますので、五割以上福島県の電気だということを皆様方御認識をしていただきたいと思います。

 それで、この電気は原発からつくられていますけれども、電気というのは経済の血液だと思います。そして、日本経済を支えている大事な大事なものだと思います。その電力を安定供給させていく、そのために電源をつくっている地域の振興を図っていく、こういう制度だと思っています。増子副大臣、電源三法交付金、電源三法、どういう目的でこの三つの法律がつくられたか、その辺お聞かせ願いたいと思います。

増子副大臣 お人柄のよいと言われている吉野委員にお答えできることを大変うれしく思っております。

 今、吉野委員から御質問がございましたけれども、もう吉野委員も先刻御承知のとおり、この電源三法については、生産地のいわゆる電気をつくられる地域の皆さんと、それを享受する、利益を受ける方々との、負担と利益を調整するためにつくられた法律でございます。特に、福島県は全国で一番の発電量を持っております。水力、火力、原発、この三つの電源を持っておりまして、東京を中心として送っているわけであります。私どもは、ぜひこの電源三法につきましては堅持をしていきたい。

 今回、事業仕分けが実は出てまいりましたけれども、ここに上がったことについては率直に言って驚いております。これが報道されたら、すぐ福島県の知事や、あるいは全国各地の皆さんから、この法律が、この交付金がつくられた趣旨にしっかりと基づいて頑張ってほしいということで、私どもにたくさんの要望が寄せられております。この立法の、交付金の趣旨に基づいて、私どもしっかりと対応していきたい、そういうふうに思っているところでございます。

吉野委員 増子副大臣のおっしゃるとおりでありまして、周辺整備法には、目的、第一条、「この法律は、電気の安定供給の確保が国民生活と経済活動にとつてきわめて重要であることにかんがみ、」こういう書き出しで法律目的が書かれています。

 日本がこれだけ発展したのも、安定的な電力を心配なく安心して使ってこられたからこれだけの経済発展が、世界に冠たる日本経済をつくることができたというふうに、私は電源の立地地域として自負をしております。増子副大臣もそうだと思います。

 それで、今回、事業仕分けの俎上にのりました。聞くところによりますれば、二十四日の週に事業仕分けが行われるだろうというふうに聞いておりますけれども、増子副大臣は十一月十日火曜日に福島市で講演をなさいました。そのときに、電源立地交付金、正確には電源立地地域対策交付金でありますけれども、見直しの対象になっていることについてこう述べております。「「現在のところ、電源立地交付金を見直したならば、東京には電気を一切送らないと言っている」と語り、同交付金の見直しには否定的な見解を示した。」これも地元の福島民友という、次の日、十一月十一日付の記事であります。

 ちょっとこの文章を読むと、主語が、「東京には電気を一切送らないと言っている」というふうに書いてあるんですけれども、副大臣、これは副大臣の発言でしょうか。

増子副大臣 私の発言でございます。これについては、講演を頼まれまして、ちょうどそのときこの事業仕分けの中にのったということがありましたので、私どもとしては、特に私個人としては、やはりこれは堅持すべき大事な交付金であるということで、これについては、いわゆる電力を生産する地域から見れば大変な負担を強いられているということを考えても、やはりその利益を受ける地域の皆さんにも十分御理解をいただきたい。そして、国にとっては、先ほど吉野委員がおっしゃったとおり、経済のある意味では命綱であります。また、経済の活性化にとっても大変重要なものであります。

 ましてや、地球温暖化対策にも極めて重要な要素を持っている原子力発電については、やはりしっかりと私どもこの交付金を守りながらやっていきたいと思っておりますので、そういう意味で、東京に電力を送らないぐらいの覚悟でこれについて臨んでいきたいということを実は講演の中で申し上げました。よく御案内のとおり、そういう記事に載るときには文脈が少し削られますので、そういうきつい表現の報道がなされたと思っています。

 これは吉野委員も同じような気持ちだと思います。これだけの、やはり私ども負担を強いられている地域の皆さんにとって大変重要な交付金でございますから、そのぐらいの覚悟を持ってこの交付金についてはしっかりと対応していきたいという決意を申し上げたところでございます。

吉野委員 福島県の参議院議員として、特に経産副大臣として御活躍されていること、我々福島県人として本当に誇りに思っておるところであります。そして、地元の振興に全力を尽くすそのお立場は立派だと思います。

 しかしながら、増子副大臣は日本国の経産副大臣であります。経産副大臣として一番大切なことは電力の安定供給だと思います。その電力の安定供給に大きな大きな責任を持っている副大臣の言葉としては、私が言うのならまだしも、副大臣の言葉としては少し軽率過ぎたのではないのかな、こんな思いですけれども、いかがでしょうか。

増子副大臣 吉野委員からお褒めをいただいたり御注意いただいたりして、大変恐縮でございます。

 かつて吉野議員と何回かこういった問題等について同席したときにも、たしか吉野議員も私と同じような考えのあるいは趣旨の発言をしたように記憶いたしておりますけれども、やはり同じ気持ちでございまして、これは日本の経済や、あるいは電力の安定供給を図るという経済産業省の副大臣としての立場も考えながら、私自身としては交付金を守るための決意を申し上げたということでありまして、それで吉野委員からそういうものは軽率だということを言われれば、それは率直に私も注意をしなければいけないというような思いを持ちながら、しかし、やはりこの交付金はしっかりと守っていくことが必要だ。これは吉野委員も全く同じ気持ちで、まさか否定するはずはありませんよね。私はそういう意味での決意を申し上げたところでありまして、不注意だと言われるということであれば、率直にそれは不注意と私も反省をすることもやぶさかではありません。

吉野委員 増子副大臣は、先ほどの町村会の役員会の皆様方との懇談会におられませんでしたね。そこに太田和美先生はおられましたね。町村会の役員会との懇談会、そのときに、やはり電源立地交付金、大変だということで役員の方々からも意見が出ました。そこでの回答は、渡部恒三先生が、この件については増子経産副大臣が責任を持って対応するんだから、心配ないという言葉は言ったかどうかわかりませんけれども、対応するんだということで回答がございました。

 もう一度、この電源立地交付金について、副大臣として、仕分けは法的根拠がありませんから、でも、もし仕分けで見直し、見直しというのはかなり幅があります。今、現時点をここだとすると、横軸に中身ですね、廃止から拡充まで。縦軸に予算のアップと予算の減額。今、まじった中心点にいます。この四つのディメンションは、ちょっとでも中心からずれれば見直し、日本語ではそういう概念に入ると思うんですけれども、プラス・プラスの第一ディメンションまでいけばこれは文句はありませんけれども、それ以外のディメンションになったら、阻止するための責任をどういう形でやる決意なのか、お聞かせ願いたいと思います。

増子副大臣 責任論以前に、この交付金をしっかりと私どもとしては堅持したいという決意でございます。吉野議員は国がえになったけれども、三春町、田村市でも、約七千万近くの交付金が実は交付されているわけであります。福島県の市町村、それぞれこの交付金によって地域活性化あるいは地域経済の活性化のためにこれをしっかりと活用させていただいているわけであります。

 先ほどの町村会の会合には出席できませんでしたけれども、多分吉野議員がそこに出席されておられたときには、私どもと同じような考えを述べられたと思います。まさかこれができなかったらすぐに責任をとるという話はされておられないと思います。私も、責任云々の以前に、まだこれから、実は事業仕分けの俎上にはのりましたけれども、これの議論はされておりませんので、しっかりと私ども経済産業省を挙げて、電力の確保、経済の安定、そしてクリーンエネルギーをさらに進めるためにも、しっかりとこれを堅持していくということの決意を申し上げさせていただきたいと思います。

 責任云々というよりも、まずはしっかりと、吉野議員も超党派の立場の中でこれを一緒に堅持するために御尽力を賜りますようお願い申し上げます。

吉野委員 しっかりと頑張っていただきたいと思います。

 きょうは環境委員会までお出ましを願いまして、ありがとうございました。

 さて、温暖化に移りたいと思います。先ほど、近藤委員、齋藤委員の意見を聞いていまして、一つだけ、ちょっと環境省は情けないなという思いを持っています。それは温暖化税です。財務省の看板かけかえの下請に成り下がってしまったような印象を私は持ちました。環境省は小粒でぴりりとしたすばらしい省なんです。財務省の増税の下請的なことをやるような省ではなくて、環境省が税で一番やりたいことは税のグリーン化なんです。グリーン化が大きな柱、一丁目一番地なんです。財源をとろうなんというけちな考えでは、環境省はいけないんですね。日本全体の税のグリーン化、炭素を出す会社からはたくさん取って、炭素を出さないところには減税して、また補助金をくれて、ある意味の税制中立、もう環境省は財源要らない、このくらいの抜本的なリーダーシップを発揮するのが環境省だというふうに私は思っているんです。

 なのに、今回は、いろいろ議論を聞いていますと、二兆五千億の暫定税率がなくなるから二兆円規模の代替財源を、環境税と称して環境省がその下請になってやっている、そんな印象を持ちました。答弁はいいです、答弁はいいですから、すばらしい省で、小粒でぴりりとした、全省庁のトップに立つそういう環境省、特にこのグリーン化については環境省の意見がすべての省庁のリーダーだ、こういう意識でこれからお願いしたいと思います。

 温暖化、いろいろ発生源をいかに抑えていくかという部分、また、先ほどの意見の中で、吸収は森林吸収のほかに土壌吸収も必要だろう。吸収という部分、ここのところはいっぱい論じられているんです。でも、温暖化で、論じられてはいますけれども、本当に議論が少ないのは適応なんです、アダプテーション。この適応の問題は、我々、余り論じられていません。論じているのは、南の国の温暖化で海面が上がれば島が沈んでしまう、ここをどうしようかというところは少し論じられていますけれども、我が日本国なんです。

 河川の補助事業、堤防をつくるときの補助事業は五十分の一という確率です。過去五十年間で一番多く降った雨に対応できるだけの構造物をつくらねば補助金は出しませんよ、そういう規定なんです。過去のお天気は全く参考になりません。これから先、将来のお天気に対応できる河川整備をやっていかなければ、一たん災害が起きてからでは国民の安心、安全を守ることはできません。漁業もそうです。農業もそうです。

 また、今、竜巻が多いですね。私のところは常磐道なんですけれども、トラックが風で横転したんです。今、JRはちょっとでも風が吹くとすぐとまっちゃいます、安全を期して。これはいいことです。いいことですけれども、これが国民生活、国民経済に与える損害、ここにどう適応していくか、この適応のところをもっと環境省で議論してほしいんです。

 今、個々の各省庁がやっていると思うんですけれども、そうではなくて環境省が、将来こういう形になるから河川はもっと頑丈に、もっと余裕を見てという形の指示を出せるくらいのリーダーシップの環境省になってほしいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

小沢国務大臣 確かに適応、アダプテーションというのは途上国しか言っていないじゃないか、こういう御指摘はまさに御専門の吉野先生の卓見だ、こういうふうに思います。

 御指摘はそのとおりだと思いますが、では環境省がそれをしっかりと指導してやっていけというところまでできるかどうかわかりませんが、内閣の中で、しっかりと全体で責任を持ってやってまいりたい、こういうふうに思います。

吉野委員 できるかどうかわからないんじゃなくて、やるんです。小さな省ですけれども、今この温暖化を解決するのは環境省しかありません。これは人類滅亡につながる大きな問題ですので、やらねばならないわけでありますので、再度、では副大臣、御答弁願います。

田島副大臣 吉野委員にお答えをしたいと思います。

 適応の問題は、もうそれこそ先生が前任の副大臣であったころからも大変御関心をお寄せいただき、取り組みをいただいてきたものでございます。もちろん、気候変動によるさまざまな地域の影響等々問題になっている部分も承知をしております。

 しかしながら、やはり何から優先しなければならないか。例えば先ほどJRの電車が突風が吹いただけですぐストップしてしまう、それをよいことだというふうに吉野委員はおっしゃいました。これも一方では、かつてのような大変重量級の車両であったならばそのようなことはなかったのに、最近はやたら軽量化等々が進んできた。これは一方では、いわゆる省エネ、また省CO2化を促進してきた影響も一方であろうかというふうに思っております。やはりこうしたことを総合的に考えた上でこの適応の問題はとらえなければなりません。

 おっしゃってくださるように、各省庁のそれぞれの領域をまたがった課題となります。温暖化ももちろん同じような課題であろうかと思います。ぜひ、先生がお持ちの知見等々もしっかりまた拝聴させていただきながら、省庁横断的にこの地球温暖化対策にしっかり取り組めるように頑張ってまいりたいと思います。

 ありがとうございました。

吉野委員 ぜひ一生懸命取り組んでください。

 以上で終わります。ありがとうございました。

樽床委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

樽床委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。山崎誠君。

山崎(誠)委員 皆さん、こんにちは。民主党の山崎誠でございます。

 貴重な質問の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。私は、今回これが国会で初めての質問になりますので、不手際もあるかもしれませんが、よろしくお願いをいたします。

 早速御質問に入らせていただきます。

 政権交代が実現しまして、新しい政治が動き出しました。この政権交代の意味について、私は、単に政治が変わった、政治が動いたということだけではなくて、大きな意味で社会変革のそのときが来たんだ、そういう認識でとらえております。

 これから議論してまいります環境分野について言えば、経済合理性で、経済的な価値最優先でこれまで世界は拡大再生産を続けてきた。そうした肥大化した人間の活動自体がもう地球いっぱいになっている。地球が支えられなくなっている。それが、気候変動だとか、あるいは生態系の破壊だとか、そういった現象に今あらわれている、それが世界規模で広がっている。それが、今私たち人類が抱えている、あるいはこの地球が抱えている危機的な状況だ、そういうふうに把握をしたいと思います。

 そして、私たち民主党の政権は、コンクリートから人へ、社会の価値を大きくシフトしようとしています。環境の分野でもまさにこれと同じようなシフトが必要である。すなわち、物から生き物、物による豊かさではなくて、人間同士はもちろん、生き物すべて、自然環境との調和に価値を見出すような社会をつくっていかなければならない。我々はそういった大きな社会変革を実現する責を担っているんだと認識をしております。

 こういった認識のもとで、私は、きょうは、環境政策の大きな一つの柱であります生物多様性についていろいろとお聞きをしてまいりたいと思います。

 田島副大臣におかれましては、生物多様性基本法の成立に御尽力をされて、さまざまな取り組みをされてきたと思います。とかく環境というと地球温暖化が今真っ先に語られまして、生物多様性については、その次に語られるか、あるいは忘れられるか、そういうような状況だと思います。私は、これはやはり大きく間違っているだろう、生物多様性の意義をもっともっとみんなで共有して理解していかなければいけないと思っているところでございます。ぜひとも、私は、環境政策全体の柱の中で、あるいは国づくりの中で、あるいは社会変革の中で生物多様性をとらえ直したい、そういう形で質問をさせていただきたいと思います。

 まず副大臣にお聞きしたいんですが、生物多様性の意義と環境政策における位置づけについてお伺いしたいと思います。

田島副大臣 山崎委員にお答えを申し上げます。

 大変心強いエールをいただいたものと心から感謝を申し上げたいと思います。

 今御指摘いただいたとおり、生物多様性に対する理解、認識は、午前中の質疑でもあったとおり、そのキーワードも、三十数%というような認知度が示すとおり、まだまだ理解をされていないところでもございます。

 しかし、環境省の方で二十一世紀環境立国戦略を打ち出した段階で、持続可能な社会を構築するためには、低炭素社会そして循環型社会と相まって、その大きな下支えをするのが自然共生社会という位置づけで、今回、戦略の方も組ませていただいております。その自然共生社会の中核をなすのが、この生物多様性の確保、生態系の保全ではなかろうかというふうに思っております。

 昨年施行された生物多様性基本法は、それこそ、生物多様性の恵沢を将来にわたって享受することができる自然と共生の社会を実現することを目的としており、来年、COP10、生物多様性条約第十回締約国会議を愛知県名古屋で開催することを契機に、生物多様性関連施策をより一層推進してまいりまして、持続可能な社会の構築に向け、また、環境政策の大きな土台をなすものという認識のもとで今後進めてまいりたいと思います。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 私は、今のお話、もっともで大賛成なんですが、もう少しはっきりとさせたいなと思っております。というのは、生物多様性の意義について、午前中には吉野先生からも含蓄のある解釈をお示しいただきました。私は、もっとシンプルなんですが、最も大切な考え方というのは、人類も生態系を構成する一員であると。

 さまざまなチラシだとかパンフレットだとかを見ます。よくある表現は、人と自然なんですね、人と生き物。生き物に対して人間、人類は何をすべきか、あるいは生態系から何をサービスとして受け取るか、そういう対比の中で語られている。でも、私は、生物多様性で一番大事なのは、人間も、人類も生態系の一部にいるんだ、だから、私たちは、地球で生きる上で許された地球上のキャパシティーがあって、それに従って生きていかなければいけないんだ、それが最も大事なメッセージだろうと思っております。

 そうやって、いろいろとパンフレットを見てきました。私はこれが非常に気に入っています、「いのちは支えあう」。この序文のところに、この後もメッセージがありまして、ちょっと読ませていただきます。

 ちょっと略しますが、「私たち人間も地球という大きな生態系の一員であり、地球によって生かされているのです。 ところが、私たち人間は、世界各地で生態系を破壊し、たくさんの生きものたちを危機的状況に陥らせています。」「人間を含めた地球上のいのちが互いにつながりあい、支えあっていることをあらためて認識し、常に謙虚にそして慎重に行動しなければなりません。」生物多様性からこの謙虚さをやはり我々はしっかりと学ばなければいけないんじゃないかなと思っております。後でまた議論をさせていただきます。

 次に、生物多様性について、海外の諸国との関係についてちょっとお聞きをしたいと思っております。

 地球温暖化については、鳩山イニシアチブという形で途上国支援の構想が打ち出されまして、高く評価されているところですけれども、私は、生物多様性の分野でも、こういった諸外国との連携だとか、あるいは途上国の支援とか、重要であろうと思います。特にアジアでは、大変貴重な自然がたくさん残されている、でも、それが開発の中で破滅の危機に陥っている、そういう場面がたくさんあると思います。

 今の環境省の施策の中でも、例えば、生物多様性センターで進んでいます地球規模生物多様性モニタリング推進事業、これを海外で展開しようとしている。あるいは、国連大学の高等研究所と進めている国際SATOYAMAイニシアチブでしょうか。こういった事業がやはり非常に大事だなと思っています。

 そこで御質問ですが、アジアにおける生物多様性の特徴と地域連携の意義について副大臣にお伺いしたいと思います。

田島副大臣 ありがとうございます。

 今し方質問の中で引用いただきましたのは、第三次生物多様性国家戦略のガイド的なパンフレットの一文でございました。御指摘をいただいたその一文、それこそ、私たちがそれぞれ地域で暮らし、そしてまた文化を築いてきた、その礎は紛れもなく生物多様性に基づいての活動であり営みであるということを忘れてはならない、そんなことをメッセージとして盛り込ませていただいた部分を御紹介いただきました。本当にありがたいと思っております。

 今し方御指摘をいただきましたこのSATOYAMAイニシアチブにつきましては、それこそ、我々日本人が人と地域、また、さまざまな命の中で培ってきた暮らし方、そしてまた共生のあり方をぜひ諸外国に伝えていきたいということから、来るCOP10で大きく日本から提案をしていきたいと考えている大きな柱の一つでございます。

 今し方も御指摘をいただいたアジア太平洋地域を中心とした広域での生物多様性モニタリング体制の構築支援、そしてまた、東アジア、東南アジア地域の生物多様性情報の整備というものを来年度の予算で要求しているところでもございます。

 日本と同じように、命と暮らし、そして人と生態系が共存し合う、共生し合う場は幾つも見られるわけでありますが、残念なことに、今申し上げたアジア地域では、こうした生物多様性の概念はもちろんのこと、どのような形で保全をしなければならないか、確保しなければならないかという知見に非常に乏しい現状も、私たち、同じアジアのリーダーとしてしっかりと今後転換していかなければならないというふうに認識しているところでございます。

 御指摘いただいたように、SATOYAMAイニシアチブを広く世界へと展開していくために、国連大学高等研究所と連携を図りながら、世界各地で準備会合をただいま進めつつ、その概念や具体的な進め方について今後取りまとめてまいりたいと考えておるところでございます。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。ぜひとも今やっている取り組みも生かしていただいて、発展できればと思います。

 今副大臣からも御指摘があったこの冊子なんですけれども、逆に、一言申し添えれば、ほかに同じような表現が余り見つからないんですよ。同じような、私が先ほど御説明したような、人も生態系の中の一員なんだというメッセージは書いてはあるんですけれども、それがしっかりとうたわれているところが残念ながらなかった。生物多様性のいろいろな説明の資料をいただきますけれども、生物多様性とはとあって、それから三つの危機みたいな話に入っていってしまって、人類に対する意義みたいなものをもっと先頭で語っていただきたいなと思っているところでございます。

 では、次の話題に移らせていただきます。

 生物多様性条約の三番目の目的に、遺伝資源から生じる利益の公正、公平な配分、いわゆるABS、アクセス・アンド・ベネフィット・シェアリングという考え方が提示をされている。これについて、COP10では国際的枠組みが議題にのると聞いております。

 ここで、日本の現状等に少し目を向けて議論をさせていただきたいと思います。

 ABSの議論をする中で、途上国と先進国という分け方が出てきます。それで、日本の環境省の方々と議論する中で、先進国の方の視点は持っているんですね。先進国、すなわち資源を利用する側というようなイメージです。途上国が実は資源を持っている側、そういうふうな分け方が自然となされている。日本はなぜか先進国側で、資源を使う側になっている。でも、ここでぜひ認識を皆さんと共有したいのは、ABSに関して日本は遺伝資源国だ、遺伝子のいろいろな貴重な生物多様性が守られた自然が残っているんだ、それを認識してこの議論を進めていただきたいなと思っています。

 例えばNGOのコンサベーション・インターナショナルのレポートによると、日本は世界に存在する三十四カ所の生物多様性のホットスポットの一つとされています。ホットスポットというのは、生物多様性が非常に豊かに守られている、でも危機に瀕しているというような箇所を地図上に置いています。それを見ると、日本もホットスポットの赤でマークされています。

 それから、例えば海に目を転じますと、これもおもしろいと思うんですが、例えば二百海里水域の中で、深度別の海水体積というデータがございました。それを見ると、五千メートルから七千メートルの深海の海水の体積、これは日本が世界一なんですね。この深海には恐らく、いろいろな研究も進んでいると思いますが、遺伝資源には欠かせないような生物がさまざま潜んでいるだろう。これは大事な大事な日本の資源。そういった意味で、本当にこれは国益をかけて守っていくべき要素だろうと思っています。

 環境省の方に聞くと、正直、先ほども言いました資源国としての認識は薄いんじゃないかなと。ほかの諸国では、もう既に、生物多様性条約締結を受けまして、生物の資源探査活動を規制する国内法あるいはガイドラインのようなものがどんどん整備されている。オーストラリアの州法だとか、インド、フィリピンなどは既に完成しています。そういう意味では、日本はおくれをとっていると思います。

 ぜひとも、日本も遺伝大国という意識を持って法律やガイドラインなどをつくった方がいいのではないか。そして、将来可能性のある遺伝資源をどうやって探査して把握して管理するか、積極的な取り組みが必要だと思うんですが、日本の遺伝資源へのアクセスについての考え方をお伺いいたします。

田島副大臣 今、ABSに関しての法整備等々の御質問をちょうだいしたところでございます。

 私ども環境省の中では、御承知のとおり、絶滅のおそれのある種の捕獲また採取等を禁止するだけではなく、貴重な自然環境を有している地域を国立公園などの保護区というふうな形で指定をさせていただき、当該区域に生息している動植物の捕獲、それからまた採取等を規制して保全を図っているところでもございます。

 御指摘いただいた遺伝資源へのアクセスに係る制度、それこそABSという形で御紹介をいただきましたけれども、今度の生物多様性条約締約国会議の中でも大変大きな課題として取り上げられる予定でもありますし、私どもも、現在進行している条約の部会の中でも検討、また、諸外国での状況等々をきちっと把握するべく情報収集に今努めているところでございます。

 オーストラリアやインド、フィリピンといったABSの国内法が整備されている事例を御紹介いただき、日本がおくれているのではないかという御指摘をいただいたところでございますが、この遺伝資源については、非常にカテゴリーも広く、また、国内法の制定は、非常に聞こえはいいんですけれども、ややもすればそのことによってアクセスが非常にしにくくなるというデメリットも抱えております。

 こういった中で、中環審の小委員会の中でも今検討が進められているところでもあり、今後、COP10に向けた形で一定の方向性をきちっと検討していかなければならないというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、大きな議題のテーマとなりますので、私どもも重要な課題と認識して今後取り組んでまいりたいというふうに考えております。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。ぜひ、やはり資源国という立場も忘れないで準備をしていただきたいなと思っています。

 恐らくいろいろな議論があって、まだ決めなきゃいけないことは、非常に未知なるルールづくりというのがあると思うんですが、まずは、国内の状況だとかそういったものを、例えば製薬メーカーだとか、そういうものを本当に扱っている方々のヒアリングなんかも踏まえてしっかりと把握をした上で、そして締約国の会議でどういうリードをしていくのか、検討いただければと思います。

 ABSに関してもう一点お尋ねをしたいんですけれども、今、ABSというのは国益を守るためにどうしても日本としてもしっかりと整備をしていかなければいけないというお話をしましたけれども、これを、経済的な視点だけで、その仕組みで考えていただきたくないなと思っております。

 遺伝資源をしっかりと守って次の世代に受け継ぐためには、それなりの世界的な仕組みが必要だと思うんです。それは、利益優先ではなくて、本当にその資源というものを、この遺伝資源というのは本当に壊れやすくて繊細で、一たん失ってしまったらもう二度と戻ってこない、そんなものですね。そういう貴重な資源だという認識で守っていかなければいけない。そのために何が必要か。私は、遺伝資源の眠っている地域全体を保護するような、そういう枠組みをつくらなければいけないんだろうなと思っています。

 というのは、例えば、遺伝資源を利用して得た利益の一部はその地域に還元して地域の方々の生活を守るような、そういう仕組みをしっかりとつくる必要があると思います。遺伝資源の保護のためのこういう利益還元の仕組みづくり、これは国際的なルールづくりだと思うんですが、お考えをお聞きいたします。

田島副大臣 遺伝資源から得た利益の還元等々についてどのように考えるのかというお尋ねだったと思いますが、これまで私たち、今御指摘いただいたとおり、ありとあらゆる、暮らしを支えているすべてのものが今御指摘いただいているこうした遺伝資源によって支えられているということをより多くの皆さんに伝えていくことも、やはり私どもの大きな使命だというふうに考えております。

 また、生態系サービスから得られる利益をその地域の生物多様性の保全等に還元する必要があろうかという御指摘もいただきました。

 御承知とは存じますけれども、もう既に三十を超える県で、生物多様性保全のために森林環境税を設定したりと、いわゆる金銭的な利益をきちっと還元していく仕組みに自治体レベルでもお取り組みをいただいているのも一例ではないかというふうに思いますし、また、金銭的なものだけではなく、例えば遺伝資源の研究開発の成果、また、生物多様性の保全や持続可能な利用のために用いられる技術などに転化をしていく、これもやはり大きな利益の一つではないかというふうに思うわけであります。

 こうした遺伝資源の利用から得られる利益を生物多様性の保全のために還元していく制度というのは、これから先の保全に資する大変重要なものだというふうにも考えておりますし、また、今御指摘をいただいているCOP10に向けての生物多様性条約下のABSの作業部会での検討も含め、また、諸外国からの情報収集もあわせて、今後より前向きな取り組みをしなければならないというふうに考えているところでございます。

 いずれにいたしましても、こうした利益を享受しているということを、その恩恵をしっかりと踏まえて、それに対しての対価、これは国際的に見れば途上国と先進国との間での問題にも大きくかかわってもまいりますし、国内にあっても我々一人一人の人間が遺伝資源の恩恵にあずかっているということをしっかりと伝えることができるような、そういう活動を私たちはしっかりやっていきたい、そんなふうに思っているところでもあります。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。本当に難しい領域だと思うんですが、ぜひともいいルールづくりに取り組んでいただきたいと思います。

 それでは、次のテーマに移らせていただきます。

 生物多様性、生物の保護という意味で、環境影響評価について御質問させていただきたいと思います。

 具体的に生物多様性を脅かすような開発が行われたときに、今は、環境影響評価、すなわち環境アセスメントで対策がとられていく、そして実際に事業を進める中で多様性を保護していくような仕組みが要る、仕方が要るということで考えています。

 例えば、具体例で、これは田島副大臣も本年四月の環境委員会において取り上げたということなんですが、上関原発の自然保護の観点から環境省が取り上げた考え方についてお聞きをしていきたいと思っています。

 やはり原発のような大きな事業になりますと、当然、事前の環境アセスメントをやって工事に着手しますけれども、工事の期間も長い。そうすると、工事の最中にまた新しい要因がさまざま出てくる。事前のモニタリングではわからなかったこともあると思います。上関原発の場合には、環境アセス後にカンムリウミスズメ等の貴重な生物が新たに発見をされた、そして事業者であります中国電力に必要な調査を実施するというようなことを指示して、それに従っていると聞いております。さまざまな環境団体というか、例えば日本鳥学会、日本生態学会等からもさまざまな懸念が寄せられているというふうにお聞きをしています。

 そこで、これは政務官にお尋ねしますが、中国電力によるカンムリウミスズメの調査に関しまして、四月の環境委員会における政府の答弁に対して日本鳥学会から訂正の要望がなされていると聞いていますが、改めて環境省の見解をお聞きいたします。

大谷大臣政務官 さようでございます。鳥学会の方から訂正の要望がございます。

 間違いがないように慎重に答弁させていただきます。

 本年の四月十四日、衆議院環境委員会において、田島一成議員から、中国電力による上関原子力発電所予定地のカンムリウミスズメの調査についての質問がございました。そのとき、総合環境政策局長が、日本鳥学会の参画を得て調査がなされているとの答弁をさせていただきましたが、この答弁は、正しくは、日本鳥学会の会員である三名の専門家の御指導をいただいて調査がなされているとの事実を説明する趣旨の答弁でございました。会員である専門家による指導があったことは事実ですが、あくまでも個々の専門家としての指導であり、学会としての指導ではなかったと、答弁は若干正確さを欠いておりました。

 日本鳥学会からの要望も、学会としての指導ではないという点を明確にしていただきたいということでございますので、この際、環境省の認識として、この調査に日本鳥学会は参画していなかったということを改めて明確にさせていただきます。

 以上です。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 やはりこれだけ関心が高いということだと思うんですよね。ですので、ぜひこういう声をしっかりと受けとめて。

 私がお聞きしたいのは、当然、環境アセスメントをやった、その後も引き続き生物を守るために取り組んでいかなければいけない。問題は、ここからお話しする内容は経済産業省が担当することになります。環境アセスの終了後は、事業者に対する指導監督、基本的に、事業を所管する、ここでいえば経済産業省が責任を持つ。例えばこういう学会等からの要望に対しても、事業者を指導するのは経済産業省になるわけです。こういう立場に経済産業省が置かれたときに、どういう指導ができて、そしてどんな対応が行われているのか、お忙しいところ来ていただきました近藤経済産業大臣政務官にお尋ねしたいと思います。

近藤大臣政務官 お答えをいたします。

 委員御案内のとおり、経済産業省は、平成十二年三月三日、環境アセスメント手続の中で、工事中においても、新たに希少な動植物が確認された場合は、専門家の意見を聞きつつ、これらの種の生息、生育環境に対する影響が最小限となるよう、適切な保全対策等を講ずることを中国電力に対して勧告をしております。そして、環境アセスメントの終了後、発電所計画地点周辺で今お話しのカンムリウミスズメが確認されたため、中国電力が平成二十年五月から専門家の指導を得ながら調査を行った、このことを承知しております。中国電力はこの調査結果を公表しており、当該地域においては巣はないとしつつも、専門家が情報収集の継続が望ましいとの見解を示しておりますので、月一回カンムリウミスズメの生息調査を行うこととしていることを我が方も把握しております。

 御案内のとおり、原子力発電は、我が国の基幹エネルギーであると同時に、地球温暖化防止の観点からも着実に推進してまいりたい、このように考えております。しかし、その推進には、安全と同時に、地域の皆様との信頼も大前提でありますから、経済産業省といたしましては、中国電力が引き続き環境保全に向けた対応を行うことを期待しますとともに、必要に応じて指導してまりたい、このように考えております。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。今の答弁を聞いて、この原発に関してはかなり行き届いた対応をとっていただけているのではないかと思います。

 ただ、国の事業もたくさんありますよね。経産省だけではもちろんありません、国交省の事業もあるでしょう、農水省の事業もあるでしょう。それぞれに対して同じような配慮が恐らく要るのではないか、いや、必ず要るんだろうと思っております。そういった意味で、環境省としても、もっとそういう事業を所管する省庁、官庁に積極的にアプローチをして連携をとって、積極的にそういう自然保護という観点で対応していく必要があるのではないかと考えます。

 環境省では、現在、環境影響評価法の施行後十年の検討を行われていると聞いておりますが、豊かな自然環境を守って生態系の保全を推進していく立場から、関係省庁との連携を含めてどう取り組んでいくのか、副大臣にお尋ねをいたします。

田島副大臣 お答えいたします。

 まず、私どもの所管する法律の中には、環境影響評価法というのがございます。先ほど御指摘をいただいた中国電力の上関原子力発電所についても、計画がある段階で、環境省から、その環境影響評価について、一定の環境省としての見解を述べてきたところであります。

 ただ、この環境影響評価法に基づく技術ガイドラインは、予測不確実性が非常に大きい場合などにおいて、事業者がフォローアップを検討するということになっております。このフォローアップの結果につきましては、環境省におきまして、自治体等を通じて必要に応じて情報収集や整理を行っているところでございますが、今後、こうした関係する省庁ともしっかりと連携をして環境影響評価実施後のフォローについて積極的に取り組むべきだという御指摘も今ちょうだいをしたところでもございますし、既に中央環境審議会の中に専門委員会を設置させていただいて、環境影響評価法施行十年後の見直しの検討を今させていただいているところでございます。

 その中で、環境影響評価実施後の環境の状況について調査のあり方もあわせて検討している真っただ中でございますので、詳細についてはちょっと控えさせていただきますけれども、そういう状況にあることだけはお伝えをしておきたいと思います。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。この後ちょっと組織の話も触れたいと思うので、その中でまた議論をしたいと思います。

 今まで、生物多様性ということでいろいろと多岐にわたりました議論をさせていただきました。またここでもとに戻りたいんですが、一段上がって、環境政策の基本理念はどうなっているんだろうというのを、私も初めての御質問なのでぜひお聞きをしたいと思っております。

 どういうことかと申し上げますと、例えば今の環境基本計画だとか、環境省が持っているものを見ますと、大体四つの柱が出てくるんですね。地球温暖化対策、生物多様性、それから循環型社会、そしてあと公害対策だとかそういったものですね。大ざっぱに言ってこういうものが並んでいる。大体、今しょっぱなに来るのが地球温暖化なんですね。

 私は、これ自体がやはりもっと体系化されるべきだろうと思っています。というのは、地球温暖化と生物多様性というのは、これは同列で議論すべきものではないんじゃないかなと。地球温暖化、気候変動というのは、そういう意味では大きな地球の中の出来事でありますが、例えば、それの原因がCO2であって、その炭素を減らす、低炭素社会をつくること、もしこれが環境省の目的になっているとすると、これではちょっと狭過ぎるんじゃないかなと思っています。

 私の意見を言わせていただければ、先ほど言ったような、人類は生態系の一部なんだ、そういう生物多様性のメッセージがしっかりとあって、これが上位にあって、その下に、例えば、低炭素社会をつくらなきゃいけない、資源循環を実現しなければいけない、そういう価値の序列があるべきだろうと思っています。そうすることによって、日本の行政全体、あるいは国づくり、あるいは我々一人一人の市民のライフサイクルを変えていくための指針ができるんじゃないかと思うんです。

 環境政策の基本理念についてどのようにお考えか、御意見をお聞かせいただきたいと思います。

田島副大臣 大変大所高所からの御指摘をいただいたものと、緊張感はさらに増してきたところでございます。

 実は、山崎委員御指摘いただいたとおり、この生物多様性、そして共生社会のあり方の位置づけが大変軽いのではないか、そんな認識を私も同じように議員当時持っておりました。

 実は、こうした生態系をめぐるさまざまな法律、また、野生生物そして生物多様性関連の法律は、それこそばらばらで、なかなかそれを一本化することができていない。それだけに、生物多様性を大きく包括できるアンブレラ的な基本法の必要性を私どもも感じて、この基本法の制定をしてまいりました。今いらっしゃいませんけれども、公明党の江田議員もその仲間の一人でありました。

 私たちは、ただ単に来年COP10の議長国をするということだけではなく、今山崎委員が御指摘いただいたとおり、生態系の恩恵にあずかって生かされているんだという認識を環境基本計画であるとか環境立国戦略等々でも明確にその上位に位置づけていくという必要性は、私個人としても認識をしているところでございます。

 残念なことに、今御指摘いただいたさまざまな戦略や計画は政権交代前につくられていたものでもありますし、これから先、一足飛びにその考え方が直せるかどうかという点については、検討や協議をさらに多方面の皆さんからのお知恵をいただきながらやらなければならないと思っているところでもございます。

 御指摘いただいたこともしっかり踏まえさせていただきながら、今後のあり方について省内でしっかりと議論をしていきたいと思います。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いをしたいと思います。

 次に、日本の環境行政の組織上の課題、これもまた大きいお話なんですが、お聞きをしておきたいと思います。

 というのは、今もいろいろなところで出てきました環境省、先ほどの吉野先生のお話でも、小粒でもぴりりと辛くて、みんなぴっといけるんだ、そういう省庁であるのは非常に理想的だと思うんですが、それでも、多くの事業官庁がありまして、それを環境省が本当にリードしていけるのかなと。

 私は、もっといろいろな方法はあると思います。例えば、内閣府にそういう環境行政をリードするような組織というものを法的に整備するとか。これは、内閣府の設置法を見ますと、環境に関する記述というのはないんですよね。だから、そういうものを法的にも整備する。あるいは、今、地球温暖化問題に対する閣僚委員会みたいなものができて、それが動き出している、これはちょっと性質は違うかもしれませんけれども、この環境版みたいなものが常設で動いていく、そんなことも検討に値するんではないかなと。

 米国の環境諮問委員会のことをいろいろ研究していまして、ここでちょっと言及する時間はなくなりましたけれども、日本版の環境諮問会議、CEQみたいなものをつくって、上位から環境の質についてしっかりと議論ができる、そういう体制をつくるべきではないかと思っていますが、副大臣、いかがでしょうか。

田島副大臣 ありがとうございます。日本版CEQの創設は、私個人としてもかねてより大変願っていた課題であり、同じく志を共有し得る同志の委員、山崎委員が誕生したことを大変うれしく思っているところでございます。

 アメリカにおけるCEQは、それこそ政権がかわるたびに随分変わってきた変遷もありました。しかし、環境を上位に置いてありとあらゆる政策、国家としての運営がなされていく。そうであるならば、必ずや次の時代に胸を張って豊かな環境そして自然を伝えていけるものと私どもも信じております。

 今後、こうしたあり方について皆さんと一緒にさまざまな協議をしていけるように、私どももぜひ取り組ませていただきたいと思います。

山崎(誠)委員 最後に大臣にお聞きをしたいんですが、最近私が見つけた本でおもしろい本がありました。「木を見る西洋人 森を見る東洋人」という本なんですね。これは認識論の本だと思うんですけれども、ミシガン大学の心理学の先生、ニスベット教授という方が書いた本です。要するに何が言いたいか、もう時間がないので簡潔に言いますと、西洋人は分析思考で、とにかく一点集中で物を見る、日本人あるいは東洋人は包括的な思考で全体を見られる、そういう特質があるんだと。これを心理学のいろいろな手法を使って科学的に分析をして、こういう事実があるんだというのを説いた本なんですね。

 環境問題というのは本当に複雑系で、未知の領域がたくさんあって、そういった意味で、これは包括的に全体像を見られる力で論じなきゃ絶対いけないんだろうと思うんです。

 私は、個人的には、例えばCO2だけに焦点を当てている低炭素社会、そういうような考え方というのは若干行き過ぎじゃないかなと思っています。もっと環境全体を見て、気候変動だっていろいろな要因があるわけです。そういったものをバランスよく見て、正しい方向に導いていかなきゃいけない。それは、この本からいくと、日本人が東洋のマインドを持ってリーダーシップをとれるはずだ。

 それから、日本は、よく言われます、里山だとかそういった自然との共生の文化があります。このパンフレット、気に入っているのはこの絵なんですね。この絵もすばらしい絵で、里山の風景を描いた絵が描かれています。私は、こういう文化を持った日本人であるからこそ、COP10だとか、あるいはCOP15だとか、そういったものをしっかりとリードできるんだろうと思っています。

 国際的な駆け引きもあると思いますが、私は、理念だとか心の問題としてしっかりとしたものを持っていれば世界を引っ張っていけるんではないかと期待しております。どうぞ大臣、COP10にかける意気込みをお聞かせいただきたいと思います。

小沢国務大臣 山崎委員の今の御意見を拝聴しておりまして、森を見る、こういう御指摘。ついつい我々は、政治家も長くやってきていると、目の前の課題だけをとにかくこなすことに追われたり、あるいはそんなことばかりになりがちになるわけでありますが、改めてそういうフレッシュな、初々しいと言ったら失礼かな、視点で御質問を賜りましたこと、本当に改めて感銘をいたしました。

 もとより、日本は自然の中で生きている、生かされている、こういう思想、文化もある国であります。そういう国において来年COP10が開かれるわけでありまして、百九十三カ国から、ポスト二〇一〇年の合意を目指してこの国際会議が開かれます。どうぞ委員の皆さんにも御協力をいただいてすばらしい成果が上げられますように、私としても最大限頑張りたいと思いますし、省を挙げて、あるいは政府を挙げて頑張っていくことを申し上げて、答弁とさせていただきます。

 ありがとうございました。

山崎(誠)委員 ありがとうございました。

 終わります。

樽床委員長 次に、中島隆利君。

中島(隆)委員 社民党の中島隆利でございます。さきの総選挙で初めて当選をさせていただきました。委員長以下各委員の皆さん、今後の御指導、よろしくお願いをいたします。

 本日は、私の地元の課題であります水俣病問題を中心に六項目、割り当てが二十分でございますので、はしょって進んでいきますので、よろしくお願いいたします。

 七月に水俣病被害者の救済及び水俣病問題の解決に関する特別措置法が成立をいたしました。社民党は、この法案に対しまして、加害企業であるチッソの企業再生イコール分社化を進めることを最優先し、すべての水俣病患者の救済、補償にはならないのではないかという懸念から、賛成には至りませんでした。

 最高裁判決以降の認定申請者は現在六千四百人、新保健手帳の申請者も二万五千人にも達しております。加えて、胎児性患者や名乗りを上げることのできない被害者も存在をしております。その意味では、特措法が成立しても、その中身が被害者、当事者の方々が納得できる救済、補償でなければ、水俣病は終わらないと考えます。

 大臣は先日、所信表明で水俣病被害者の救済に触れておられます。田島副大臣も先日、熊本、新潟の両県に足をお運びになりました。患者団体の皆さんと向き合って、救済、補償の具体化に向け汗をかいておられます。

 発生から五十三年、公害問題の原点である水俣病の最終的な解決は急務の課題であります。また、この政権の使命であると考えております。解決に向け、その決意を大臣にまずお伺いいたします。

小沢国務大臣 中島委員が所属する社民党がこの問題にずっと取り組まれてきておりましたこと、敬意を表したいと思います。

 実は私、さきがけという党にいたときに、自社さ政権というものができて、そのときの総理がまさに社民党の党首でありました。平成七年だったと思いますけれども、当時、この問題の特措法をつくらせていただいたことを思い出すわけであります。

 ただ、その後、訴訟も続いて今日に至っているということは委員も御承知のとおりでありまして、先ほど委員もおっしゃいましたけれども、我が国の公害問題あるいは環境問題の原点でもあるという重要な課題であるというふうに思っています。

 この前、これは社民党には賛成をしていただかなかった、こういうお話がありまして、それは残念ではありましたけれども、特措法がさきの国会ででき、新しい政権ができたわけでありまして、この政権のもとで、とにかく私も全力を尽くして解決に当たりたいと思っておるところであります。

 担当は田島副大臣がやっていただいておりまして、先ほどお話がありましたとおり、現地にも赴き、さまざまな議論を今させていただいているところであります。誠心誠意、全力で取り組んでまいる覚悟でございます。

中島(隆)委員 担当は田島副大臣でございますが、この問題は五十三年も経過いたしております。公害の原点と言われる水俣病、ぜひ環境省を挙げて、あるいは政府を挙げて、解決に全力を挙げていただきたいと思います。

 それでは次に、水俣病問題の解決に向け、田島副大臣が新潟と水俣を訪れられました。患者団体との話し合いを行いましたが、とりわけ、裁判を続けている患者団体とも真摯に向き合って話を進めていただきました。そのことについて敬意をまずあらわしたいと思います。

 私もその水俣の視察に同席をさせていただきました。患者の皆さんから苦しい現状の訴えがございました。一日も早いすべての水俣病患者の救済、特に胎児性患者を抱える患者の皆さんから、医療あるいは介護、福祉の充実が強く求められました。水俣病問題の最終的な解決は、すべての患者団体の合意が前提でなければなりません。今後もひとつ粘り強く話し合いを続けていただきたいと思います。

 そこで、田島副大臣は、熊本での患者団体との協議の中で、裁判を続ける不知火患者会に対し、和解協議に前向きな姿勢を示されました。和解に前向きに取り組むということは、環境省そして政府の意向であるというふうに思うんです。

 この点について確認だけさせていただきたいと思いますが、大臣、その点について環境省全体で前向きに話し合い、あるいは政府で取り組んでいくのか、そのことをひとつ御確認させていただきたい。

小沢国務大臣 その前に一言、先ほどちょっと私、勘違いをいたしまして、平成七年に法律をつくった、こういう言い方をいたしましたが、予算措置として政治的解決を図らせていただいたということでございまして、済みません、訂正をさせていただきたいと思います。

 後で田島副大臣から経緯あるいは現状を説明していただきたいと思いますけれども、この問題、患者側と国と、いわゆる裁判という形にもなっているわけでありまして、そういった意味では、裁判上は係争をしている、こういうところが片やあるわけであります。

 ただ同時に、しかし、先般特措法もでき、そして、我々としては解決に向けてしっかりと皆さん方と話し合いもしてまいりたいという気持ちも持っておりまして、裁判と話し合い、そういった話を、大変難しいのでありますけれども、患者の皆さん方の気持ちを精いっぱい酌み取って対応してまいりたい、こう思っているところでございます。

中島(隆)委員 ぜひ今の決意でお願いをしたいと思うんですが、九団体が参加されました。今おっしゃったように、患者団体それぞれ、考え方、あるいはこの特措法に対する対応も違っております。しかし、すべてが合意をして納得のいく解決でなければすべての解決になりませんので、ぜひそういう視点でお願いをしておきたいと思います。

 それから次に、不知火海地域の健康調査についてお尋ねをいたします。

 民間の不知火海沿岸住民健康調査実行委員会によりますと、沿岸住民の千人を対象にした一斉検査の結果が去る十月二十九日に公表されました。それによりますと、水俣に特有の症状を持つ人が全体の九割を超えました。受診者の大半がこれまでの健康補償法の水俣認定や救済措置に名乗りを上げております。これは、潜在的な患者がいまだ埋もれている可能性を示しているのではないかと思います。

 そこで、特別措置法の第三十七条に、政府は、指定地域及びその周辺地域に居住していた者の健康に係る調査研究を積極的に行うとしています。すべての患者を救済するためには、国と県が責任を持って住民の健康調査を実施すべきではないかと思いますが、この点についてのお考えをお尋ねいたします。

田島副大臣 中島委員の質問にお答え申し上げます。

 その前に、過日十月三十一日、水俣の現地訪問の折には、お忙しい中わざわざ傍聴にお越しいただいたこと、感謝を申し上げたいと思います。私自身も、初めて九つの団体の皆さんと向き合い、これまでの御苦労、またさまざまな御要請等々をじかに聞かせていただき、大変大きな意義ある機会をちょうだいできたものと感謝を申し上げているところでございます。

 今御指摘をいただきました住民の健康調査についてでございますが、せんだって原田医師を中心にこの健康調査が実施されたことは承知をしております。現に多くの皆さんが救済を求めていただいているという状況にかんがみて、まず、救済すべき方々を早期に救済していくという観点から、救済措置の方針を早急に固めて救済の実現を図っていくことが何より重要ではないかというふうに認識しているところでございます。

 御指摘いただいたとおり、この特措法の第三十七条に、政府は地域に居住していた者の健康に係る調査研究等を行うというふうにされておりますが、まずは、同条の第三項に規定をされておる調査研究の実施のための効果的な疫学調査等の手法の開発を図っていきたい、このように考えているところでございます。

中島(隆)委員 先ほど大臣からもありましたように、平成七年、当時私、ちょうど、平成七年から十一年まで四期目の県議の議席をなくして、その間に、村山政権のときに政治決着という形で、全面解決という立場でこれを実施されました。

 しかし、御承知のとおり、これが再度この特別措置法をつくらなければならないという状況に立ち至ったわけですね。これは、関西訴訟における最高裁における、国、県、チッソの責任が問われて、すべての救済をというのが確認をされたわけでありまして、それ以来、先ほど数字を挙げました申請者が今あるわけです。

 そこで、過去、県が調査を行ったのは、昭和四十六年から四十九年まで、この水俣沿岸地域、指定地域の一斉調査が行われています、五万人ぐらい。これもアンケートと医師の面談でされています。それが一回きりあります。それと、国が行ったのは、平成十九年四月、これは今度の特措法をつくるためのサンプル調査と面談があっておりますが、そのときに調査されたのはわずか三百九十一名、面談の診断。これだけしか終わっていないんですね。

 ですから、今度の特措法で対策をやっても、先ほどの民間が調査した結果でも水俣病に該当するような人が九割いたということですので、これはやはり、この三十七条にうたった健康調査を国と県が一体となって責任を持ってやるべきではないかなというふうに思いますので、その点をまた再度答弁いただければ。

田島副大臣 認定から五十三年という長い年月がたってしまい、なぜもっと早くに、そんな思いを正直持っておる一人でもございました。正直申し上げて、当初の取り組みの緩さ、甘さ、これがすべて、今日の大きな混乱や、また救済を待つ方々がふえてきた結果につながっているというふうに考えております。

 御指摘いただいている点については私どもも十分認識をしているところでございますが、まずは、やはりこの疫学調査等の手法の開発が何より優先すべき点ではないかというふうに今は考えているところでございます。

 これから先どういった形でその地域等々の実態を把握していけるか、私どもも、またさまざまな学会等々でおやりになられた民間レベルの健康調査の評価等々も見守っていきたいというふうに思っているところでもございますので、御理解をいただきたいと思います。

中島(隆)委員 研究、調査はもちろん必要でありますが、すべての患者を救済するためには実態把握がなければやはり救済できませんので、ぜひ今後の調査の検討をお願いしたいと思います。

 次に、対象地域の問題でございますが、新保健手帳あるいは治療研究手帳の救済の対象は、対象地域と出生年度がそれぞれ制限されています。潜在的な患者を救済するためには、この区域の対象を外して、制限を外すべきではないかと思いますが、この点についてお尋ねいたします。

田島副大臣 お答え申し上げます。

 まず、対象地域の範囲についてでございますけれども、今現在協議を進めております水俣病の被害者団体の皆様との協議を通じて今後決定をしていきたいというふうに考えておるところでございます。

 それともう一点、一九六九年以降にお生まれになられた方々の取り扱いについてでございますが、平成三年の中央公害対策審議会の答申の中で、水俣湾周辺地域では、遅くとも一九六九年、昭和四十四年以降は、水俣病が発生する可能性のあるレベルの持続的メチル水銀曝露が存在する状況ではなくなっているというふうにされており、実は、これまで民主党の中でも、この特措法案をつくり上げていく段階で、一九六九年以前の患者を対象にというふうにさせてもらってきたところでございます。

 しかしながら、その確からしさも含めて、実態等々を詳細に見ていった場合、この中央公害対策審議会の答申のとおりかどうかという点についてもまだまだしっかりと見ていく必要もあるのではないかというふうに思っております。

 今後は、被害者等関係者の皆様の声を丁寧に聞かせていただきながら検討していきたい、また自治体の協力も仰ぎながら取り組んでまいりたいと思っておりますので、御理解をお願い申し上げます。

中島(隆)委員 先ほども申し上げましたように、民間の調査でも、対象以外の地域から受診した人の九割も水俣病に疑われている方がおられたということでありますので、ぜひ地域の問題を検討いただきたいと思います。それから、一九六九年以降の問題、これもいろいろ検討が必要だということですので、これもひとつ検討をいただきたいと思います。

 それでは次に、特措法の七条二項、救済措置の開始後三年以内を目途に救済措置の対象を確定するということになっております。

 原因企業であるチッソは、分社化によって将来的に補償会社が清算されます。そこでお伺いしますが、救済対象者の確定後に新たに水俣病の症状が確認された患者、同様に、補償会社が清算された後に水俣病の症状が確認された場合にどのように対応されるのか、お尋ねいたします。

田島副大臣 今回、特措法におきましては、やはり救済を受けるべき方々をあとう限りすべて救済するということを旨としております。

 御指摘いただいたようなことが起こらないようにしっかりやっていくという覚悟を持たせていただいておりますが、まずは、関係自治体とも連携をしつつ、さまざまな媒体手段等々を駆使して救済措置等の周知徹底をしっかり図って、御指摘いただくようなことが起こらないように、しっかり取り組んでいきたいというふうに考えております。

中島(隆)委員 それでは、最後にお尋ねいたしますが、先日、田島副大臣と私、現地に行って、九団体、患者の方々から直接現状をお聞きしました。その中で私も感じましたが、ほとんどの患者の方が、大変な障害を受けて認定を受けておられないという実態がわかりました。その中でも大きく感じたのは、胎児性患者を抱えられた患者の方です。本当に、もう八十近くになって介護できない、何とかしてほしいという悲痛なお訴えがあったわけですが、そういう声に基づいて質問をしたいわけであります。

 関西訴訟判決の翌年、平成十七年に、今後の水俣病対策として、高齢化対策のために、健康管理事業の充実あるいは胎児性患者に対する生活改善、社会活動支援を打ち出しております。しかしながら、患者団体は、今申し上げましたように、施設が不十分である、治療、研究、生活支援の機能をもっと充実してほしい、こういう声がございました。

 そこで、今後の対策として、この原因の特定、研究はもちろんでありますが、胎児性の水俣病患者に対する医療、福祉の施策の充実をどういうふうにお考えか、お尋ねいたします。

田島副大臣 御指摘をいただきました胎児性患者に対する医療、福祉施策の充実についてでございますが、環境省としては、胎児性患者を初めとする水俣病の患者の皆さんの医療や福祉対策が重要であるというふうに考えており、御指摘いただいた十七年の翌年、平成十八年度から、関係者の皆様からの御要望を踏まえて、医療、福祉活動を行っている法人また団体に対して支援を行う事業を実施してきたところでございます。

 今さら言うまでもなく、委員の方が十分御承知とは思いますけれども、デイサービス機能、また在宅介護を中心としている患者の短期入所であるレスパイトケア機能を有する施設の整備や運営費の補助、そしてまた、通院や地域のイベント等に参加するための外出の際の送迎や付き添いに対する支援などをこれまで実施してきたところでもございます。

 今後は、救済措置の実施とあわせて、関係者の意見を聞かせていただきながら、地方自治体とも連携をさせていただき、ニーズに合った医療、福祉の向上に努めていきたいと考えております。

 以上です。

中島(隆)委員 特に、特措法では胎児性が対象に入っておりません。ぜひひとつ、今後の対策として御意見申し上げたいと思うんです。

 今、国立水俣病総合研究センターというのがあるんですが、本来の目的である被害者のための医療あるいは生活支援の役割、こういう状況を果たしている状況にはございません。ぜひ抜本的にここを見直していただいて、水俣病の治療と研究、日々の生活支援ができるような、そういう施設に、国立ですので、充実をしていただきたい。これは要望ですけれども、お願いしておきます。

 以上、終わります。

樽床委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 小沢大臣、おくればせながら、環境大臣への御就任おめでとうございます。

 地球温暖化を初めとして、環境問題は待ったなしの状況でございます。その解決なくして持続可能な成長また人類の未来もない、そういう状況の中で、我が国の環境政策の最高責任者として、毅然として強力なリーダーシップを発揮していかれんことを御期待申し上げております。

 先ほど来の御答弁を聞いておりますと、大変に誠実なお人柄が見受けられます。きょうも一問一問質問をさせていただきますけれども、誠実に御回答をいただきますよう、よろしくお願いを申し上げます。

 まず、地球温暖化対策について御質問をさせていただきます。

 鳩山総理は、国連気候変動首脳会合におきまして、科学が要請する水準に基づいて温室効果ガスを二〇二〇年までに九〇年比で二五%削減するということを表明されました。この二五%の中期目標につきましては、我が公明党のマニフェストにおいても同様でございまして、総理の野心的な目標の表明を率直に評価するものでございます。

 この二五%の目標は、地球の温暖化を二度C以内に抑えなければ、地球はもう後戻りできない、一方的に破壊が進んでしまう、ポイント・オブ・ノーリターンという時点を通過してしまう。しっかり地球全体で対応しなければいけない。この二度C以内におさめるために先進国は二五%以上の削減が必要だということ、そして、それを日本が宣言されたということは、環境と経済が両立する低炭素社会のモデルを日本が構築して世界に貢献する、また、すべての主要国による公平かつ実効ある新たな国際的枠組みを実現する、そのような上からも大変大きな意味があるものと私は評価しているわけでございます。

 しかし、その一方で、この二五%目標の決定、また表明につきましては、いかなる検討プロセスを経たのか、国内で減らす真水分はどれだけなのか、これを達成する国内対策は検討したのか、国民負担はどれだけなのか、また、国際交渉での効果は今得られているのかといった多くの問題をはらんでいるのもまた事実でございます。

 このような問題認識の上で、以下、質問をさせていただきたいと思っております。

 まず、COP15の政治的合意についてお伺いをさせていただきます。

 COP15に向けましては、依然として、先ほども基調報告がございましたけれども、途上国と先進国の対立によってポスト京都議定書の採択の見通しが立たない、こういう状況が続いている。COP15の本番では新議定書の採択は先送りにして、いわば新議定書の骨格について政治的合意を図ることが提案されたとございました。

 多くの国が議定書の採択は半年ほど延長すべきという意見を表明した。その折、小沢大臣もこれを支持する考えを示されたとされておりますが、大臣はメディアに対して、かなりの確度でまとまる可能性が出てきたという自信も示されたと報道から伺っております。

 私としては、このCOP15の直前になって、半年以上も結論が先送りになること自体、大いなる落胆を禁じ得ないわけでございます。これまで積み上げてきた作業あるいは費やしてきた時間と労力、このことを考えれば、今までの努力は一体何だったのか。正直、そういう徒労感、脱力感さえ覚えるわけでございます。

 小沢大臣の、かなりの確度でまとまる可能性が出てきたという、これはどういう意味なのか。また、そのコメントが真実なら、温暖化問題の最前線に立つ環境大臣としては、悠長といいますか、余りにも楽観的過ぎではないかと先行きが心配になります。

 そこで、会合に参加された小沢大臣にお尋ねいたしますけれども、各国から出された半年ほど延長すべきという考えについて、大臣はどのような思いでこの提案を支持されたのか、まずはお答えいただきたいと思います。

小沢国務大臣 まず、激励を賜りましたこと、御礼を申し上げたいと思います。

 公明党の斉藤前大臣からバトンタッチをしていただきまして、さまざまな伝達、議論をさせていただいたことに改めて感謝を申し上げながら、今後とも頑張ってまいりたいと思います。

 そこで、お尋ねの点でありますけれども、まず、半年ほど延長をするという具体的な提案はございません。いわゆる政治的な合意を今回の十二月のCOP15で図りたい、こういう話はあるわけでありますけれども、その先、半年とか一年とか先にいわゆる法的文書を仕上げる、そういう具体的な提案はございませんでした。ただ、向こうでの報道の中で、コニー・ヘデゴー大臣が次のメキシコとか、そういう形でメディアへのインタビューに答えているところもあったりは確かにいたしました。しかし、改めて申し上げますが、会合での正式な提案はございません。

 そこで、私としては、実は先ほど、どなただったでしょうか、齋藤委員だったかもしれません、最後におっしゃられて私が答える時間がなかったんですが、とにかく時間を区切れという話は私から提案をいたしました。そのときに、半年とか一年と具体的な数字を言ったらばこれは議長国に対して失礼なところもあるな、こう思ったものですから具体的な数字は申し上げませんでしたけれども、今回は十二月に合意をまずする、それはいい、その後いわゆる法的な文書、それを議定書と呼ぶのか条約と呼ぶのかわかりませんけれども、少なくともそういった法的な文書に関して時間を区切れという話は私から申し上げたわけであります。その期間というのは、何年とは言いませんけれども、できるだけ早くという話の中でそれを区切ることは極めて重要だと私自身も思っているところでございます。

江田(康)委員 わかりました。

 今回の閣僚準備会合で、議長国のデンマークから、十二月のCOP15では一つは先進国の削減目標、また途上国の削減方針、そして途上国支援の枠組み、こういったことについて数値目標を盛り込んだコペンハーゲン合意の採択を目指す考えを提案したということでございます。

 そこで、今回議長国のデンマークから提案されたコペンハーゲン合意につきまして、COP15で国民は大変注視しているわけでございますので、具体的にわかりやすくこれを説明いただきたいと思います。また、我が国サイドからコペンハーゲン合意に対してどのような提案を行って、今後どのように国際交渉を主導していかれるお考えか。あわせてお答えいただきたい。

小沢国務大臣 まず、先ほども御報告で申し上げましたように、いわゆる政治的合意文書の中には先進国の削減目標、途上国の削減行動、各国の取り組みを確かなものにするためのいわゆるMRVと呼ばれる制度の創出、それから途上国への資金援助、こういったものが不可欠だということを申し上げました。

 それから、今後のといいますか、COP15に向けてどういう取り組みか、こういう話でありますが、交渉が動いておるものですから詳細なことを申し上げるのはちょっと難しいんでありますけれども、国連での鳩山発言以降、デンマークの議長国を初めとして、さまざまいろいろな会合が持たれておりますことは御承知のとおりであります。その会合も、いわゆる表の作業部会とそれからある意味でいうと正式ではない会合、さまざま実は開かれているわけでありまして、そういった中でも日本は決定的に重要なポジションをとれているというふうに思っているところであります。

 そういう中で今回のプレCOPも行われた、こういうことでありまして、正直言って、途上国の中からは、作業部会をもっと尊重してそれを積み上げるべきだというような意見ももちろんあるわけでありますけれども、先ほど申し上げましたように全体としてヘデゴー議長の提案に異論は出ない中で終わってきている、ここが重要だと思っておりまして、それに関しましては、私としては、我が国がある意味では主張し、ある意味で期待をしている会合になれたのかな、こういう思いでいるということでございます。

江田(康)委員 実際に大臣からお聞きすると大分報道とは違うようでございます。

 関連するものとして、今おっしゃいましたけれども、決定的に重要なポジションを今後日本が持つことができるかどうか、そのもう一つの点については鳩山イニシアチブということだと思いますが、この鳩山イニシアチブについてお聞きをさせていただきます。

 無論、これは途上国に対する支援として総理がさきの気候変動首脳会合で打ち出されたものでございますけれども、途上国を新たな枠組みに参加させていくことが決定的に重要なわけですけれども、そのためには途上国への積極的な資金援助または技術供与支援が必要不可欠になってくるわけでございます。

 日本に大変大きな期待がかかっている、これが鳩山イニシアチブと位置づけられると思うんですが、今回バルセロナで行われた国連の事務レベルの作業部会で、鳩山イニシアチブの一環として、気候変動基金や適応基金また体制強化基金という三つの基金に、今乱立している各種基金を整理統合するということを各国に呼びかけたと聞いております。これに関してはいいかと思っておるんですが、しかし、この支援額が具体的に明らかでなかったこともあってか、この提案は途上国にとっては余り歓迎されずに、むしろ失望の声が多かったというふうに伺っております。

 今回の閣僚準備会合では、小沢大臣は二〇一二年までの三年間で総額で約八千億円、九十億ドルを拠出する方針を伝えたと報道されております。他方、我が国では、昨年一月のダボス会議で、福田総理が既に二〇〇八年から五年間で百億ドル、約一兆二千五百億円のクールアース・パートナーシップ構想を打ち出しているわけですね。そこで、今回大臣が閣僚準備会合で提案されたそのものとクールアース・パートナーシップとの関係について簡潔に御説明願いたいと思うんです。もし今回の提案の支援額の大半がかつての政権の政策の看板のかけかえにすぎないとなるのであれば、再度これは途上国を失望させることにもつながりかねないからでございます。お答えください。

小沢国務大臣 結論から申し上げますと、江田委員、全く同じものであります。要は、クールアース・パートナーシップで約八十億ドル、これから予定額がございます。それから、CIFに対して十二億ドル、これがございまして、私は九十二億ドル、こういう言い方をしたわけでございます。

 ただ、報道もかなり大きく扱っていただいたようでありますし、そのとき会場もどよめきましたし、その後、私に個人的にもかなりの国の人たちが賛意を表明しに来ていただきました。コニー・ヘデゴー議長も、それは二〇二〇年までの額かと言うから、いや、そうではない、二〇一二年までの額だと言ったら議長自身も大変驚いておりましたが、江田議員がおっしゃるように、既に日本が表明している額を私としては申し上げただけでありまして、申し上げ方がよかったのかどうかわかりませんが、大変各国からは賛同をいただいたということであります。

 ただ、その後がっかりするかどうか、こういう話でありますけれども、そのとき私が正確に申し上げたのは、ぜひここははっきりさせておかなきゃいけないんですが、まず、二〇一二年までが京都議定書の第一約束期間であるわけですね。それまでの話と二〇一三年以降の話とまず分けなければいけないということでありまして、今回の九十二億ドルの話を言ったときは、短期の話をしようという議長からの提案の中で私はそれを申し上げたわけであります。同時に、先ほど来江田議員から話が出ておりますバルセロナでの話は、三つの基金をつくって日本はこの問題に貢献をしてまいりたいと言ったのは、二〇一三年以降の話として提案をしたわけでございます。ですから、その二つを分けて考えていただく必要があるということでございます。

 ただし、そうはいっても、鳩山イニシアチブという名前は既に国連でも出しておりますので、さきに前政権で用意をされております九十二億ドルに加えてプラスアルファ、私はこういう言い方をしたわけでありますが、これは政府としてあの出発前までに決め切れませんでしたものですから、プラスアルファは考えたい、こう申し上げておりまして、それをトータルにして、もう国連での会合で表明しておりますから、既に鳩山イニシアチブという形での資金援助は始まっているというふうに我々も考えておりますし、各国もとらえていただいていると思っております。

 ただ、もう一度正確に言っておきますと、具体的なプラスアルファということは申し上げましたけれども、九十二億ドルは今までの数字でございます。

江田(康)委員 今詳細がわかったわけでございますけれども、そういうような日本側の大臣の提案に対して、途上国も、会場からどよめきが上がるほどでございますから、それらが途上国のこの新たな枠組みへの参加、こういうことに即刻にはなかなかつながらないものでございますけれども、大変に評価をいただいているということは、今後におけるこの協議の進展に期待がかかるというところだと、よく言えば評価されると思います。

 続けて御質問いたしますけれども、EUは、一方で途上国支援の拠出額について、COP15において正式にこれを発表するということは明らかにしておりませんけれども、一部の報道では、これから先進国は毎年最大五百億ユーロ、すなわち約六兆七千億円なんです、これをEUが提案してきている。我が国が打ち出したのが八千億円規模。先ほど、プラスアルファはあるとしてもそういうことであれば、金額においてはとてもEU案に太刀打ちできないわけでございまして、その意味では、我が国の国際社会での存在、影というのが薄くならざるを得ないのではないか。あげくの果てには、我が国もEU主導の支援枠組みにのみ込まれざるを得なくなるのではないかという危惧が一方でございます。

 そこで、途上国支援に関して、EUと協調しつつも、いかに我が国が国益にかなった独自性を保持していくべきか、大臣はどう考えてそれを進められるおつもりなのかをお答えください。

小沢国務大臣 大変機微に触れた御質問でありますので、すべてを答えられないのはお許しをいただきたい、こう思うわけでありますが、やはり途上国の皆さんからしたら、百九十カ国を超える国が参加している中で大部分が途上国の皆さんたちでありますから、まさに委員が御指摘の、ではどこまで支援をしてくれるのかという話が最大の課題でありまして、すべての議論が公にされれば皆さん方も驚かれるかもしれませんが、かなりの時間がその要求といいますか、それに費やされるわけであります。

 ただ、先ほども申し上げましたように、確かに歴史的に見れば、今までCO2を排出してきている国は先進国でありまして、途上国にしたらほんのごくわずかだという話の中で、何でそんな問題で苦しまなければいけないのか、こういう意見も十分わかるわけでありまして、そういった意味では、そういった思いもしっかりと受けとめながら、では世界全体でどうしたらいいのか、こういう話になるわけであります。

 先ほどEUの話が出ておりましたが、端的に言って、このEUの話はたしか民間部門も含めた数字ではないか、こう思っておりますので、政府のいわゆる公的資金、こういう話だけではないというふうに承知をしております。

 さらには、各国からはさまざまな意見が出ておりまして、GDPの一・五%、そのくらいは拠出すべきだ、こういう話も意見としては出るわけであります。一・五%と思わずこうやって計算をしてみまして、そうすると大変な額だな、七兆円か、こう思うわけでありまして、とてもそんな金額を出せる国家財政ではないというのは御承知のとおりでありますが、まさにそういうさまざまな意見が飛び交う中で、本当にどこまでやったらいいのか、こういうことだと思っています。

 残念ながら、今回のプレCOPでも、一切そういう金額の話は他の国からは出ませんでした。我が国だけが、私だけがそれを申し上げました。その金額も、先ほど申し上げましたように、前政権で決めてある数字プラスアルファ、こういう言い方をしただけでありますが、それだけでも会場はどよめき、コニー・ヘデゴー議長からも、日本のそういった貢献に大変感謝する、そういう話が出るわけであります。

 そういった意味では議論を引っ張れたのかなとは思いながら、しかし、それも決して裸の、先ほどの言葉で言うと、全部身ぐるみ持っていけ、そういう話で言ったものではない。私としては、まさにこれまでの政権の数字、それに加えて鳩山イニシアチブというのも考えるんだという話をしたわけでありまして、そこはしっかりと議論を引っ張りながら、日本だけが国益を損するようなことがないようには努力をしてまいりたい。

 同時に、また加えて申し上げると、途上国の皆さん方を引っ張っていくには、よきにつけあしきにつけ、やはりこの資金的な問題にしっかり取り組まないといけない、こういうことだと思っています。

江田(康)委員 大臣、詳しい御説明、ありがとうございました。

 この途上国支援というのが、やはり新たな国際枠組みに途上国が参加するという意味においては大変重要なことになってまいりますので、国際交渉でなかなか難しいところはあるかと思いますけれども、今大臣がおっしゃったように、前政権からの途上国支援の枠組みが、今、日本がそれをもってこの新たな枠組みづくりへの途上国の参加を促していく、そういうふうな重要なものになるというところにおいては変わらないと思いますので、ぜひともこれはリーダーシップをとっていただきたいと思っております。

 国際交渉の件だけで三十分が過ぎてしまいましたが、国内対策に質問を移らせていただきます。まずは、この二五%の中期目標が国民生活や経済に与える影響について御質問させていただきます。

 鳩山総理が掲げましたこの二五%削減の目標については、国内においてはさまざま懸念する声もあるわけでございます。そこで、政府は、この中期目標が経済に与える影響を試算するタスクフォース会議を立ち上げて、この国内削減の、いわゆる真水の削減幅を四通りで分析、計算をして、昨日その結果を中間取りまとめとして公表をされたわけでございます。

 前政権下では、中期目標検討委員会を設置して、それぞれ提示した選択肢による国民負担を事前に試算した上で世論調査を行って、そしてその上で中期目標を公表したわけでございます。

 しかし今回、鳩山総理はトップダウンの形で、先般の国連気候変動首脳会合で二五%削減を国際公約してしまって、事前に国民に対して、どのような対策でどの程度の削減を図って、それによりどの程度の国民負担が増すのかといった説明をされていない。ここが問題でございますが、この発表から約二カ月たったきのうになってようやく国民負担の試算結果が出るという次第でございます。

 この二五%削減を実現するために国民負担がどの程度増すのかは、この数値目標が妥当か、受け入れられるものなのか、国民が判断する際の一つの大きな指標になるものと思われるわけです。にもかかわらず、この数値目標の発表前に国民生活や経済への影響試算を示さないで、すなわち国民に判断する機会を与えずに、削減数値目標の発表後にその数値ありきで国民負担への影響試算を行うというのは、これは本末転倒というものだと私は思っております。これではとても国民の理解は得られないのではないかと考えますけれども、その点、大臣の御所見をお伺いいたします。

小沢国務大臣 これは先ほども申し上げましたように、政府としては、現在試算をしているわけでありまして、きょうの新聞報道はありますけれども、正式に受け取りますのはこれからでございます。あくまでも報道ベースで、どういう形かわかりませんが流れたわけでありまして、まだ正式に結論を受け取っているところではございません。

 それと同時に、先ほども申し上げましたように、民主党の党内での議論というのがかねてからずっとあったわけでありまして、そういう中で既に二五%カットを決めているわけであります。そのときの党内の議論は、もちろん、党内独自の試算という話はありませんけれども、そういった各方面からの試算も参考にさせていただきましたし、やはりいろいろな議論がありました。しかしながら、科学が要請する水準の中でぎりぎりの数字、こういう判断で、当時、民主党として決めさせていただいたところでございます。

 そしてまた、先ほどありましたように、江田議員の党も全く同じ数字をともに掲げて選挙を戦われたわけでありますから、そういった意味では、その数字に関しては決して間違っていなかったのではないか、私はこう思っております。

 それから、試算に関しましては、どのような試算が出ようとすべて明らかにしたい、私はこう思っておるところでございます。ただ、予算委員会でも申し上げましたとおり、いわゆるシミュレーションというのは、あくまでもさまざまな前提を置いて、そしていろいろなモデルがあっての試算でございますので、もちろん、それは参考にしなければいけませんけれども、それがすべて、あるいはそれがひとり歩きをしていくというものではないことは、それぞれ委員各位の皆さん方よくおわかりのことだ、こう思っております。

 ただ、これは若干、前政権の批判をするようで恐縮でありますけれども、前政権が二五%に関して三十六万かかると言ったときの数字が、片や、いわゆる将来予測される所得の減った分の二二%と、それからさらに光熱費や何かの一四%、そういった本来一緒ではない数字を足し合わせて言うとか、そういう話はあってはならないわけであります。そういった意味では、私どもとしては、今後出てくる数字に関しては国民の前に明らかにさせていただいて、その上で政策をしっかりととってまいりたいと思っておるところでございます。

江田(康)委員 党内議論はあったということでございますが、また、今、旧政権の評価をいただきましたけれども、そういうことではなくて、この検討プロセス、決定プロセスということをただしているわけでございまして、やはりあらゆる主体が、国民を含めて、産業界を含めて、この温暖化中期目標、削減を達成していかなくてはならない。その中では大変大きな影響を受けるわけでございますから、そういう中において、国民負担がどの程度になるかという試算はあらかじめ、やはり、党内の論議等ではなくて、かなりなハイスピードでやるべきだったとは思いますけれども、なし得ることではなかったかということを私は申し上げておるわけでございます。

 さらに続けますけれども、各機関の試算というものについて見ますと、これは、二〇二〇年までの経済成長率を一・三%として、この前提で見込まれる家計の可処分所得の増加額に対して、二五%削減を行った場合にどの程度それを押し下げるかという、国民負担として試算したものと理解しております。今回、この数値は機関によりばらばらで、年間十三万円から七十六万五千円までと大きなばらつきが出ているわけです。

 これは、私は当たり前と思うんですけれども、環境税の税率や税収の管理方法の違いなど、そういう前提条件が種々異なっているからであります。環境税とか、さらには国内排出量取引制度の制度設計を含めて、二五%削減の達成に向けた我が国の温暖化対策に関する施策の内容がまだ明確でない中で、このように大きなばらつきがある試算数値を示していくということは、かえって、実際に新たな負担を背負い込む国民の間に混乱を招くことになりはしないかと心配するわけでございますが、これについて大臣の考えをお伺いしたいということ。

 また、続けて、説得力のある試算数値を示すためには、まずは政府として二五%の達成に向けてどのような政策をいつまでにどの程度導入するかといった、我が国の温暖化対策の全体像またはビジョンを示した上で専門機関のモデルを用いて試算を行わなければ、幾ら試算を行っても有用なものとはならないと思うわけでございます。適切ではなかったと思うんですけれども、今後どのような形でこれを進めていかれるのか、その考えについてもお伺いをいたします。

    〔委員長退席、山花委員長代理着席〕

小沢国務大臣 まず冒頭、先ほど、さきの政権のところで、いわゆる可処分所得、十四万と二十二万ですか、それをパーセントと言ったようでありまして、それは訂正をさせていただきたいと思います。三十六万と三六%と言ったのかどうかわかりませんが、何か後ろから指摘がありましたので、そこは訂正をさせてください。

 それで、今の委員からの御指摘は十分参考にさせていただきたいと思います。先ほど来申し上げておりますように、新聞報道には出ておりますけれども、具体的な数字をまだ私どもは受け取っておりません。ですから、それをどういう形で発表すべきか。私は、先ほども申し上げましたように、そのまますべて発表した方がいいと思っているんです。

 ばらつきがあると委員はおっしゃいましたけれども、ばらつきがあるのはそういうものだからであります。それぞれの機関、それぞれの方程式、それぞれの前提条件でやれば、それぐらいばらつきがあるのが科学的なある意味では現時点のモデル分析ということだろうと私は思っていて、私自身はかつて経済学でそういうモデル分析をやっておりましたが、全然不思議はございません。

 中環審の先生に、佐和隆光先生、経済学では皆さん方も御存じの佐和先生がいらっしゃいますが、この話にたまたまなったときに、今モデル分析みたいなものをやっているようだけれども、そんなものは当てになるわけがないと。そして、そんなものが当てになるんだったら、もうとっくの昔に、経済の成長率だとか為替レートだとか、そんなものはわかるんだ、計量経済学者の自分が言うんだから、そんなものだと。

 ただ、もちろん、それは参考にしなきゃいけないし、そういったいろんな意見があるという話も踏まえなければいけない。大事な話は、委員が先ほど来おっしゃっているように、どうやってこの問題を達成していくか、そちらの方にとにかく注力しろ、こういうお話でございました。

 その問題も御質問でありましたからお答えを申し上げると、今必死になって、トップスピードでやらせていただいているところでございますが、とにかく、国連の首脳級会合が九月の下旬にありCOP15が十二月の中旬にある、この現実も変わりません。そういう中で、今、閣僚委員会中心にさまざまな、とにかくでき得る限りのスピードでやらせていただいているということでございまして、まずは補正予算そして来年度予算でその姿の一端は出させていただきたいと思っておりますが、そのときも、でき得る限りこれからの全体像を示しながら、補正予算、来年度予算、そういった姿も示させていただきたい、こう思っておるところでございます。

    〔山花委員長代理退席、委員長着席〕

江田(康)委員 大臣がおっしゃるように、ここから出てくる試算結果というのは、それぞれいろいろなケース・バイ・ケースで出てくる、こういうのが試算だと私も思っております。しかし、前提条件となる環境税をいつどの程度の規模で導入するかとか、また排出量取引制度をどう制度設計して導入していくか、こういうことが決まらない、もしくは時系列といいますか、そういうようなものも一緒に出していかないと、国民負担というのはどれをとってきた場合にどれだけの国民負担がかかるんだ、こういうことであろうかと思います。

 私が指摘しているのは、今から質問しますけれども、例えば地球温暖化税ですか、環境税、炭素税、こういうようなものについての制度設計がまだ見えていない、また、排出量取引についても種々いろいろな賛否両論があるわけでございますので、そういう中で果たして導入できるかどうかが見えていない。こういうような中で試算を行うことの難しさ、それと国民負担の算出の難しさがあるということ。それと、民主党政権がそれらをやはり悠長に構えている、もしくは本当に真剣に取り組んでいくのが遅い、そういうようなところから来る問題でもございますので、ここをしっかりと詰めていかなくてはならないということを申し上げておきたいと思います。

 暫定税率の廃止と地球温暖化対策税の導入について質問をさせていただきます。

 まず、ガソリン税などの暫定税率の廃止について伺わせていただきますが、鳩山政権として、実際に民主党のマニフェストどおりに暫定税率廃止と高速道路無料化に突き進むのであれば、整合性なき環境政策との批判は免れないと私は思っております。

 暫定税率廃止と高速道路の無料化というのは、むしろ温暖化ガスの排出を促す政策でありまして、二五%削減方針には逆行するものであるわけであります。総理は、国民に約束した高速道路の無料化、さらには暫定税率の廃止も当然前提にして二五%削減を実現させるとまで公言されておりますけれども、二五%削減というのは相矛盾する施策を実行しながら達成できるほど生易しい目標ではないと私は思うんですが、議員の皆さんもどうでしょうか。あの京都議定書の約束六%も達成できない、長いこと大変な状況にあることもよく御存じであると思います。そういうような意味で、高速道路の無料化また暫定税率の廃止をやりながら環境政策をやるというのは、大変大きな問題をはらんでいると私は思っております。

 大臣はこれまでも、就任から三カ月間で発言に大きなぶれが見られると私は思っております。当初、暫定税率に関しては、環境的には負荷はかかるけれどもふえた分はあらゆる手段を使って削減していくという考えから、暫定税率を廃止して一定期間後に環境税を導入するという考えに変わり、また、さきの税制改正要望では来年四月から実施を目指す地球温暖化対策税の創設と、変容しておられると思います。

 民主党がマニフェストで暫定税率の廃止を公約しておられるのは私も承知しておりますけれども、温暖化対策の先導役であるべき立場の環境大臣がガソリン税の暫定税率廃止に安易に言及するというのは恐らく初めてであろうかと思いますが、いかがなものかと考えます。大臣の御所見もお伺いしたいと思います。

 大臣のお話が長くなりますので、質問をまとめてお挙げして、お答えしていただきたいと思います。

 我が公明党は、まず環境配慮を前提として、暫定税率を含めた税体系を維持すべきだと考えております。その後に、諸外国における取り組みを踏まえて、石油、石炭税等を含めた既存エネルギー諸税全体のグリーン化について検討をして、そして排出量取引や協定などのほかの政策手段と組み合わせて環境税を導入して、全体として炭素含有量に応じた体系へとつくり上げるべきだ、公明党はこのように考えているわけでございます。

 今回のように、まず暫定税率廃止ありきでは、低炭素社会を実現していく上で整合性に欠ける制度設計になるということは否めないと私は思うんです。実際、今回環境省が発表された温暖化対策税では、ガソリン価格だけは下がるのに対してほかの電力、ガス、灯油は大幅に上がっていて、全く整合性がとれていないじゃないですか。小沢環境大臣の御所見をお願いいたします。

小沢国務大臣 江田委員からいろいろいっぱいお話をいただいたので、どこから答えていいかわからないんですが。

 一つは、暫定税率の話からまず申し上げますと、私は発言がぶれている、こういうお話がございましたが、とにかく自分の発言はぶれないように、できるだけ責任を持って政治活動をしたい、こうずっと思ってきておりましたので、そういう御指摘があるというのはなかなか私としてもつらいな、こう思うんですが。

 私としてはぶれているつもりは全くありませんで、暫定税率は廃止をするんです、これは私の意見ですよ。民主党として、私も政治家としてそういった話でやってきたわけですから、それは廃止をしなければならないと思っています。それはなぜかというと、暫定という名のもとでそういった税がつけ加えられてきているということはおかしい、こういう意味です。

 それから、暫定税率の廃止はCO2の排出増につながるかどうかという点については、つながりますと先ほども申し上げたとおりであります。残念ながら排出はふえる、こういう話になります。

 しかし、それはほかの理由で廃止すべきだ、こういう話になりますから、できるだけそれを相殺していく、そういったことが必要なんだ、こういうふうに申し上げてきたところであります。その一つが地球温暖化対策税ですという形で、それに対しての対応策をしたい。

 地球温暖化対策税の導入時期に関しては、私ども環境省としては四月が望ましいと思っている。しかし、そこに関して言えば、これからの税調の議論の中で、国民の皆さん方がしっかりと、例えばガソリンの税率が下がってガソリン価格が下がるというような話を本当に実感してもらうのにはどのくらい時間がかかるんだろうか、そういうような議論もこれから起こるでしょうという話を申し上げて、私としては、それは国民の皆さんが納得してもらうくらいの時間というのは必要なんだ、四月からオーケーだという話になればそれがベスト、こういう意味で申し上げてまいりました。

江田(康)委員 大臣の御説明も、苦しいところもよくわかります。税の論議として果たしてどうなのかというところがあるかと思いますが、暫定税率を廃止して温暖化対策税だということに関して、我が党はあくまで、やはり暫定税率の廃止というものに関しては適切ではない、そのように思っております。

 温暖化対策税を創設すること、我が党では炭素税と今はしておりますけれども、炭素税の導入についてはもとより賛成の立場でございます。これは、低炭素社会をつくり上げていく上においてはあらゆる政策を動員するという前提に立った上でございます。この制度設計が大変重要になるかと思っておるんですけれども、国民の理解また産業界の理解ももちろん非常に大事でございますので、詳細な設計にしていただきたいと思うんです。

 例えば税導入による経済とかまた特に中小企業への影響などを含めて、どのような検討を行ってきたのかということがございます。これは、例えば中小企業の負担を考慮していかなければならないし、また日本経済の失速を招くような課税というわけにもいきません。そういうような意味で、この制度設計がどのようになるか。また、温暖化対策税の使途、使い道に対しては、今おっしゃられておりますけれども、特定財源とはしないで地球温暖化対策になるべく振り分ける、こういうふうに言われていますが、その一つがチャレンジ25というものであるかと思っております。

 これはもう質問はいたしませんけれども、このような制度設計をしっかりと完成させた上で国民に明示をしていかなければならないと思いますので、そこのところのリーダーシップをよろしくお願いしたいと思うわけでございます。

 最後に、時間になってきましたので、エコポイント事業についてもちょっと触れておかなければならないと思っております。

 自公政権下で今年度補正に盛り込まれたエコポイント、エコカー補助金というのは、景気浮揚に大きな効果を上げるとともに、環境に配慮した消費行動を普及させておるのは事実でございます。

 このように、環境と景気刺激の両面で効果を有するとしているこのエコポイント事業を単年度でやめてしまうということは、せっかく国民の環境意識に変化が芽生えて、景気刺激にもなっているやさきに、あたかもはしごを外すようなものだと思います。

 本院の予算委員会では、いまだに大臣も、景気の動向に関してじっくり見ていく、これはほかの大臣もそうですが、そういう程度の答弁しかなされておりませんけれども、エコポイント事業が実施されていなかった場合には、景気回復が大幅におくれていた可能性は高いと考えられます。

 このことを念頭に置きますれば、依然として厳しい景気動向の中で、経済を下支えする効果も顕著であるエコポイント事業を継続する必要があると確信いたしますけれども、今各大臣が種々おっしゃられているかと思いますが、この環境委員会で、公の場で、どのようにこれをお考えか、小沢大臣、責任を持って、政府を説得して、エコポイント事業は来年度も継続すると約束をしていただきたいと思っております。

 あわせて、我が党は前々より、このエコポイント事業を拡充していく、継続とともに拡充していくことが大事であるということを申し上げているんですが、現在、テレビ、エアコン、冷蔵庫の三品目しか対象としておりません。これを、LED電球など対象品目を拡大していくべきとも考えております。

 このエコポイント事業の拡充について前向きな御答弁をいただきたいし、また、手続等もとても煩雑であるという問題もあります。ですから、もう少し簡略化するというような工夫も要るのではないか。

 これらを総合して、環境大臣の御答弁をいただきたいと思います。

小沢国務大臣 まず、これは前政権での政策でありますけれども、前政権であろうと何であろうと、必要なものは必要、役立つものは役立つというのが私の基本的な姿勢でありまして、このエコポイントに関しては必要、こう一貫して私は主張してきているところでございます。

 政府としてこの場で約束しろ、委員のこういう御発言でありますが、政府として発言はできませんが、小沢鋭仁環境大臣として、徹底的にこの問題と闘ってまいるということはお誓いを申し上げたいと思います。

 さらにまた、拡充をしたらどうか、LED電球を含めてという話でありますが、全く賛成でありまして、いわゆる家電だけでなくて、私は特に、住宅を含めて、住宅関連のいわゆるエコ化、それは次なる補正予算あるいはまた来年度予算の大きな柱にしたい、こう思っておりまして、拡充をしたいと思っております。

 さらには、もっと使いやすくしろという御指摘はそのとおりだと思っておりまして、なかなか私自身がやっても難しいなと思うところがあるものですから、どなたがやってもすぐできる、とにかくワンストップでその場でできるというくらいの簡易さで何とか設計ができないかと、今指示を出して、みんなで知恵を絞っているところでございます。

江田(康)委員 大変力強い御答弁をいただきました。

 環境大臣としてというか、もう政府、閣僚でございますので、政府を挙げて、エコポイントの継続並びに拡充に全力を尽くしていただきたいと思います。よろしくお願いを申し上げます。

 最後の八分ぐらいの時間でございますので、先ほど来一つございましたけれども、水俣病問題について、私の方からも一つ御質問、御質疑をさせていただきたいと思っております。

 私も熊本県選出の国会議員でございますけれども、長年にわたって、公明党のプロジェクトでも、また与党プロジェクトでも、自民党の園田先生とともに、第二の政治的解決が図れないものかということで、力を尽くしてきた者の一人でございます。

 救済特措法の制定につきましては、当時与党の自民党と公明党、それに、現在与党の民主党の三党が精力的に政党間協議を重ねて、これは幾つかの隔たりがございました。しかし、それを乗り越えて、被害者の早期救済を第一義に合意に達したものでございます。

 私も、長年にわたって水俣病問題に取り組んで、この協議に参加して発言もしておりますので、協議の内容とか経過につきまして、詳しくここで三党間の具体的なやりとり等については言及は差し控えますけれども、やはり、今求められているのは、早期救済を図るための、特措法に規定しています早期に救済するための救済措置の方針、これを早期に定める必要があるわけでございます。

 鳩山内閣発足から二カ月ほどが経過した今日まで、いまだこの具体的な救済措置内容の概要すら示していないことになります。我々がこの救済法を制定し、また公布、施行されたのは七月十五日、四カ月たつわけであります。地元の被害者の皆様方も大変に心配なされている、そういう中で急がなくてはならない、こういう喫緊の課題だと思っております。

 その内容は、政治家が勝手に決めてはならず、被害者の皆さんとの十分かつ慎重な合意形成が必要であるということは言うまでもないことでございます。しかし、それと同時に、高齢化されておりまして、被害者の皆さん方の置かれた状況を考えますと、一刻も早い救済措置内容の策定が必要であると思います。

 そこで、小沢大臣のリーダーシップが大変期待されるわけでございますけれども、大臣としても、今すぐ確定的な救済内容を示すことはできないかもしれません。しかし、高齢化されている、また救済措置内容の速やかな策定が望まれている中で、一国の環境行政を預かる責任者として、この時点で、このタイミングで、救済措置内容についての基本的方向性と、早期救済を実現する決意をお伺いしたい。また、公に表明をしていただきたいと思うわけでございます。

 あわせて、救済特措法に基づく救済措置の方針が未策定である段階で、田島副大臣が、先ほどのお話もあるように、丁寧に、和解を求めておられる被害者団体と事前協議を行う考えを示されてきたわけでございます。

 私も、環境副大臣の時代には水俣病を担当してやらせていただきました。田島副大臣のお気持ち、我が心のようによくわかるわけでございますが、小沢大臣も、田島副大臣が事前協議を明言したことについて、そういう形で進めてまいりたいと、和解による解決を目指す考えを示されたということになっております。私、救済法による救済と和解というのはやはり車の両輪という意味で、和解協議をしっかりと進めていただきたいと思うわけでございます。

 まずは大臣、このことについて、御所見、御決意をいただきたいと思います。

小沢国務大臣 江田委員が大変この問題に対して御尽力をしてきていただいていること、本当に心から敬意を表したいと思います。

 決意はいかに、こういう話でございますので、私からまず申し上げて、具体的には田島副大臣からまたお答えもさせていただきたいと思いますが、とにかく、全力を挙げて誠心誠意取り組んでまいりたいと思っております。

 大事なことは、救済措置の具体的な内容が定まっていない、こういう御指摘でありますが、ぜひここは御理解を賜りたいのは、決してサボっていて救済措置が固まっていないということではないわけでありまして、それはもう委員が一番御承知のとおりだと思います。

 片や裁判がある、片やこちらの特措法の話がある、そして、これはある意味でいうと同時決着といいますか、同じ条件で、でき得る限り同じような条件で解決を図ってまいりませんと、例えば特措法だけで話が済んで裁判が残ってしまうというような話ではこれまたいけませんし、そういった意味では、そういう中にあって、既に患者団体の方から、いわゆるそういった協議をしたい、裁判をしている皆さんたちからそういうお申し出があり、田島副大臣が話し合いを始めたということは、それは一つの大きなステップだと私も承知をしているわけであります。

 いずれにしても、国が訴えられている、こういう側面もあるわけでありまして、余り軽々に私も申し上げることはできないわけでありまして、これは本当に、特措法の皆さん、あるいはまた裁判で闘っていらっしゃる皆さん、それぞれの皆さんたちのお気持ちを総合的に受けとめて、一刻も早い解決に向けて私も努力をしたい、こう思っておるところでございます。

 必要であれば、田島副大臣から経過を御報告申し上げます。

田島副大臣 手短に申し上げたいと思います。

 十月三十一日に水俣を訪問して、その場で私どもの方で、今和解を求めている被害者団体との事前協議を行う旨、発言をさせていただきました。これは決して私の独断で発言をしたことでもなく、その前の二十三日の段階で当該団体の方から文書でその旨の申し入れがあったことを受け、政務三役で協議を重ねた上で決断をし、回答を持って水俣へと臨ませていただいたところであります。

 今日まで五十三年間という非常に長い長いその足跡をしっかりと振り返りながら、私どもも、各団体の要望に大変いろいろと差があることも、多分、江田委員も御承知のことだと思いますし、このでこぼこを残したままで解決など図れるすべはありません。

 誠心誠意、それぞれの団体からの御要望をしっかりと聞かせていただきながら、まずは裁判所での和解協議が成立する条件等について事前協議を行う一方、この救済措置にのっとった形での救済を求めていただいている方々とも誠心誠意協議をさせていただいているということだけは御理解をいただき、ぜひ、地元の関係議員として、御支援をいただきたいと思っております。

江田(康)委員 ありがとうございます。

 五十年以上にわたる水俣病の歴史には、水俣病被害者間や水俣病地域外における差別、偏見の歴史という側面もありまして、この和解による救済内容と今回の救済措置に基づく救済内容との間で十分な整合性がとれない場合には、また被害者の間に新たな確執や差別を発生させるおそれがあるとも私は思うわけでございます。

 小沢大臣、または副大臣、そしてかかわる方々すべて、本当に、水俣病の歴史を踏まえて、早期救済、また幅広い救済の実現を政治主導で何としてもなし遂げていただきたい。そのためにも、今、救済措置の方針等においても迅速に対応をしていただきたい、救済法による救済と和解、車の両輪で最終解決を図っていただきたい、その思いを最後に告げまして、終わらせていただきます。

 本日の質問は以上でございます。ありがとうございました。

樽床委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時五分散会


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