衆議院

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第9号 平成22年4月23日(金曜日)

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平成二十二年四月二十三日(金曜日)

    午前九時五分開議

 出席委員

   委員長 樽床 伸二君

   理事 太田 和美君 理事 木村たけつか君

   理事 橋本 博明君 理事 山花 郁夫君

   理事 横光 克彦君 理事 齋藤  健君

   理事 吉野 正芳君 理事 江田 康幸君

      石田 三示君    大谷 信盛君

      金子 健一君    川越 孝洋君

      工藤 仁美君    櫛渕 万里君

      熊谷 貞俊君    小林千代美君

      斎藤やすのり君    田島 一成君

      田名部匡代君    玉置 公良君

      道休誠一郎君    向山 好一君

      村上 史好君    森岡洋一郎君

      森山 浩行君    矢崎 公二君

      山崎  誠君    吉川 政重君

      北村 茂男君    小池百合子君

      近藤三津枝君    福井  照君

      古川 禎久君    山本 公一君

      斉藤 鉄夫君    吉泉 秀男君

    …………………………………

   議員           齋藤  健君

   議員           塩崎 恭久君

   議員           平  将明君

   議員           野田  毅君

   議員           吉野 正芳君

   議員           江田 康幸君

   環境大臣         小沢 鋭仁君

   環境副大臣        田島 一成君

   内閣府大臣政務官     田村 謙治君

   環境大臣政務官      大谷 信盛君

   政府参考人

   (内閣府計量分析室長)  西川 正郎君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  寺田 達志君

   環境委員会専門員     春日  昇君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十三日

 辞任         補欠選任

  村上 史好君     向山 好一君

  矢崎 公二君     金子 健一君

  小池百合子君     北村 茂男君

  江田 康幸君     斉藤 鉄夫君

  中島 隆利君     吉泉 秀男君

同日

 辞任         補欠選任

  金子 健一君     矢崎 公二君

  向山 好一君     道休誠一郎君

  北村 茂男君     小池百合子君

  斉藤 鉄夫君     江田 康幸君

  吉泉 秀男君     中島 隆利君

同日

 辞任         補欠選任

  道休誠一郎君     森山 浩行君

同日

 辞任         補欠選任

  森山 浩行君     熊谷 貞俊君

同日

 辞任         補欠選任

  熊谷 貞俊君     村上 史好君

同日

 理事江田康幸君同日委員辞任につき、その補欠として江田康幸君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

四月二十日

 低炭素社会づくり推進基本法案(野田毅君外三名提出、衆法第七号)

 気候変動対策推進基本法案(江田康幸君提出、衆法第一五号)

 地球温暖化対策基本法案(内閣提出第五二号)

は本委員会に付託された。

四月二十一日

 低炭素社会づくり推進基本法案(衆法第七号)の提出者「野田毅君外三名」は「野田毅君外四名」に訂正された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 連合審査会開会に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 地球温暖化対策基本法案(内閣提出第五二号)

 低炭素社会づくり推進基本法案(野田毅君外四名提出、衆法第七号)

 気候変動対策推進基本法案(江田康幸君提出、衆法第一五号)

 環境の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

樽床委員長 これより会議を開きます。

 環境の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府計量分析室長西川正郎君及び環境省地球環境局長寺田達志君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

樽床委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

樽床委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。村上史好君。

村上(史)委員 皆さん、おはようございます。

 民主党の村上史好でございます。環境委員会、初の質問となりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 若干緊張しておりますけれども、ただ、樽床委員長また田島副大臣、そして大谷政務官、出身が大阪、関西ということで若干気は落ちついておりますけれども、よろしく質問の方、受けとめていただきたいと思います。質問と全く関係ございませんが。

 早速質問に入らせていただきます。

 昨年、政権交代、そして鳩山内閣が就任して間もなく、鳩山総理が国連において極めて挑戦的、あるいはチャレンジングな提案をなされました。

 御承知のように、国内のCO2の削減二五%を内外に示されました。それと同時に、COP15へ向けて、いわゆる気候変動枠組み条約を推進するという立場で地球規模の取り組みが必要である、そういう国連演説をされました。当時、各国から称賛の声が上がっておりました。

 環境政策にとって、国内の問題も大変重要ではございますけれども、しかし、それと密接した形で、外国とのかかわりあるいは排出量の総枠の義務化など、国内と国外の問題は密接に関連をしている、そのように私は考えております。そういう面で、後ほど国内の問題は質疑をされると思いますけれども、まず諸外国との関係、いわゆる環境外交についてお尋ねをしたいと思います。

 昨年のCOP15も、ポスト京都議定書に向けたいわゆる枠組み合意というものが目指されましたけれども、結局合意には至らなかった。しかし、一歩、半歩前進をしたということは御承知のとおりでございますけれども、今なお、諸外国との関係の調整、利害の調整というものは大変難しいものがあるということを我々もまざまざと見せつけられた思いがいたします。

 そういう地球規模の取り組みの中で、我が国はどのような方針そして戦略を持ってこの環境外交に当たろうとされているのか、まずお尋ねをさせていただきます。

大谷大臣政務官 おはようございます。

 村上先生がこれまで環境にかかわらず経済、外交にと取り組んできた、そんな見地に立っての御質問だというふうに思っております。

 環境外交でございますが、ここは、鳩山政権が発足してから、揺るぎなく、国際社会全体でCO2、温暖化の原因となるガスを削減していく、そのための枠組みをつくる、日本がリーダーシップを発揮していく。京都議定書のように大きな主要排出国が入っていないような仕組みではなく、具体的には中国、アメリカに同じテーブルにのっていただき、その中で実効性のある枠組みをつくっていくために、まずはみずからが努力をしていく。そのためにも、国内では二五%に取り組んでいくし、鳩山イニシアチブという名前をつけておりますが、いわゆる温暖化に対して脆弱な国に対しての支援も一緒にやらせていただく、日本が先頭を切っていく。それにみんなに御理解をいただいて、枠組みができていく。

 去年十二月のコペンハーゲン合意ですと、既に百二十カ国が、何らかの形で目標値を出したり、または一緒にやっていくというようなことになっておりますので、排出量を合計すると全体の八割分ぐらいを排出している国々百二十が集まって合意に賛同しているということになりますので、ここからさらに信頼関係を高めて、いわゆる国際的な正式な枠組みをつくっていくというところに結びつけていく。しっかりと日本がリーダーシップを図ることでそれが可能になるんだというふうに考えております。

村上(史)委員 ありがとうございます。

 今、大谷政務官からも御答弁いただきましたように、日本が地球的な取り組みの中でリーダーシップを発揮していく、それがまず必要なんだ、そのことが我が国の環境外交の中心であり、そしてそれを推進することが大きな役割であるというふうに理解をいたします。

 ただ、現実の世界というものは、我々が思っているある面では純粋な思いとは裏腹に、それぞれ各国の思惑、利害というものが錯綜してなかなか前進をしないというのも現実の姿だと思います。今政務官の方からもお話がございましたけれども、アメリカ及び中国、いわゆる世界の排出量の四割を占めるこの二カ国の動向というものがこの推進にとって大変大きな課題であるということだと理解をいたします。

 ちなみに、アメリカの削減目標をお話しさせていただきますと、一七%程度の削減を目標として挙げております。しかしこれは、アメリカ国内の法案、米国エネルギー・気候法に従うものであって、これが通らなければこの目標もほごになるというような内容でございますし、また、中国においても、二〇〇五年比で四〇%から四五%を削減する、それはGDP当たりという条件つき。結局、これからのGDPの伸びを考えるならば、とても削減の方向に向かっていない。と同時に、これは義務化ではなくてあくまでも自発的な行動だという主張をされております。

 実は、昨年私は、長城計画の中で訪中をして、たまたま中国の環境省に当たる環境保護部の副部長さんと意見交換をする機会がございました。当時、ちょうどCOP15の開催中でございまして、私もこのCO2の問題に関して質問をいたしました。その内容は、中国はいわゆる常任理事国の一つであり、そしてGDPも日本を追い越す勢い、そして、G2と言われるような、アメリカと伍して経済問題を語ることができる中国ということで、今や新興国ではなくて先進国の立場でこの気候問題を論じるべきだ、そのように質問をいたしました。

 そのときの答えが、あなたの言うことはおごりである、先進国は既にステーキを食べたではないか、我々はまだおかゆしか食べていないんだ、これから我々はステーキを食べたいんだというような、わかったようなわからぬような話ではございますけれども、つまり、中国にとってはこれから経済成長をすることがすべてなんだ、環境問題はその後についてくる、それが中国の環境政策の中心になっている。

 そのように考えるならば、ことしのCOP16に向けてその調整というものは大変難しいものがあると思いますし、先般の国連の特別作業部会でも厳しい見通しがなされております。そういう各国のさまざまな思惑、利害というものをどう調整していくのか、また説得をしていくのか、それが環境外交の大きな課題であると思います。その点のお考えについてお尋ねをさせていただきたいと思います。

大谷大臣政務官 中国は御存じのとおりタフネゴシエーターであり、今委員が御指摘いただいたとおり、立っているところが違うから見えるものも違うようなところがあって、そこをしっかりと乗り越えて合意に持っていくのが外交なんだというふうに考えています。

 ちょうど四月の十二日も、後で大臣からもお話があるというふうに思いますが、中国の解さんの方がこっちに来られまして、意見交換をさせていただいたところでございます。結局は、粘り強く交渉していくことは当たり前のことでありますけれども、私の見立てとしては、アメリカにせよ中国にせよ、二十一世紀は低炭素社会を実現していかなければならない、それが成長の絶対条件であるのだ、そのことはきっとわかっていて、そのことを踏まえた上で自分に有利な枠組みをつくっていこうということなので、余りこの交渉に参加をしないようであるならば損なことになってしまうということがわかるような形で日本は枠組みづくりの提言をしていくことが肝要なのかなというふうに考えております。

 いろいろな形があるというふうに思いますが、大きな戦略は、先ほども述べさせていただきましたように、日本が世界のお手本になる低炭素社会を一番に実現していく。この低炭素社会なくして二十一世紀は経済の成長なしというような雰囲気をしっかりと日本が率先して見せていくことで、ほかの国にも御理解いただくような仕組みにしていきたいというふうに思っております。

村上(史)委員 ありがとうございます。

 具体的に方策をもってどうこうというお話にはならないと思いますけれども、残念ながら、私はシビアに物を考えるたちでございまして、本当に諸外国の思いと日本が考えている思いとには大きな違いがあるのではないかな。今政務官の、温暖化阻止に向けて世界が歩み出そうとしていることは間違いない、そういう中で一致点を見出していこうというお話はよく理解できます。

 今後とも一層の御努力をいただいて、これは単なる外交のみならず国内の問題でもございますので、どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 そういう思いの中で、いよいよことしも、十一月から十二月にかけてだと思いますが、COP16がメキシコで開催をされることになっています。

 私、先ほども申し上げましたけれども、その作業部会として、先日ドイツにおいて部会が行われましたけれども、なかなか調整というものは難しそうだという新聞報道もございます。EUあたりでは、ことしのCOP16では枠組み合意は先送りをして、来年のCOP17で結論を出そうかというような意向もあるやに聞いております。

 しかし、今後議論をされます地球温暖化対策基本法の前提条件が、いわゆる諸外国、主要国の合意を前提とするという内容になっている以上、それを簡単に見過ごすことはできませんし、ましてや、京都議定書の期限が一二年に切れるという中で、その後の問題というものが我々日本にとっての大きな問題になってきている。

 そういう中で、ことしのCOP16に向けてどのように取り組みをなされようとしているのか、そして見通しについてお尋ねをしたいと思います。

小沢国務大臣 今、委員の方からさまざまな国際状況の御指摘をいただきました。

 御指摘にもありましたように、率直に申し上げて大変難しい局面が続いている、こういうふうに思っているところであります。ただ、結論から申し上げますと、私は、いろいろな報道等で、ことしのCOP16では合意が難しい、こういう話がありますが、日本としては、あきらめてはいけない、しっかりとCOP16で合意ができるように引き続き努力をしてまいりたい、そういう決意をまず申し上げたいと思います。

 具体的にどういう戦略で、どういうやり方で、こういうお話でございますけれども、一つは、私は、先ほどもお話にありましたコペンハーゲン合意という話が極めて重要だ、そういう位置づけから出発すべきだ、こう思っています。それは、先ほど政務官も答弁しておりましたけれども、いわゆる主要排出国が参加をして、約八割のCO2削減の国をカバーしている。これをベースにして議論を進めていけば、私としては、まだ時間もあることだし、十分やれるのではないか、こう思っているところでございます。ですから、まず第一点は、このコペンハーゲン合意をスタートにして、ここから次なる議論をスタートさせる、これが重要だというふうに思っています。

 それからもう一点は、COP15で、振り返ってみて、私が申し上げていることは、いわゆる先進国と途上国の対立、こういうふうに書かれてきているわけでありますが、実質的なところは先進国と新興国。新興国というのはこれから経済がどんどん成長していくわけですから、今余りそういった形でいわゆる排出量の上限を決められてはなかなかやっていられない。ある意味ではそういう先進国と新興国の対立があって、しかし、新興国もなかなか表立ってそういうことを言えないものですから、その新興国の代弁をある意味では途上国がしている。ですから、形の上では先進国と途上国が意見としては対立をしているように見えるわけでありますが、実質的には先進国と新興国の対立の問題だ、こういうふうに私は思っております。

 そういった意味では、委員も御指摘の、中国、インド、あるいはBASICと呼ばれるような国々、そういった国々がどういう対応をしていってくれるのか、そこが大変重要なポイントだ、こういうふうに思います。

 それから、同時にもう一つ、そうはいっても、形の上では途上国が意見を述べているのは事実でありますから、我が国としても、この温暖化対策だけではなくて、いわゆるアフリカ諸国、あるいはまた中南米諸国を含めて、途上国との外交関係をどういうふうに持っていくのかという話も、これは国連外交という全体を考えたときに本当に重要だなとつくづく思っています。どの国とは申し上げませんが、国によってはそれを相当意識したODAを供与しているということもありまして、そういった意味において、我が国もそれも含めてしっかりやっていかなければいけないということでございます。

 政府としては、先般も、いわゆる温暖化対策の閣僚委員会のもとにおける副大臣級検討チームで鳩山イニシアチブの基本方針を決めさせていただきました。来週には閣僚委員会で正式に決定をさせていただきたいと思っておりますが、そういった鳩山イニシアチブを有効に活用しながら、それをてこに使って、途上国の皆さん方にも、しっかりと温暖化対策に取り組んでいく、そういった後押しをぜひお願いしたい、こういうふうに思っているところでございます。まさにそういう外交戦略をしっかりと立てながらやってまいりたいと思っております。

 それから、もう一つつけ加えさせていただきたいのは、やはり議長国、メキシコになりますが、そこの役割というのは極めて大きい、こう思っております。

 先般、カルデロン大統領が来日をしたときに鳩山総理と会談をさせていただいて、私も同席をさせていただきましたが、時間のうち六割くらいが温暖化の話だった、こういうふうに思います。終わった後、私が総理に、六割くらいが温暖化の話でしたねと言ったら、いや、八割だろうと総理が答えていましたけれども、とにかくカルデロン大統領と総理も相当そこは議論を重ねさせていただいた。

 特にまた、その後、メキシコのトゥデラ次官も私のところにお越しになって言っていたことは、メキシコが新興国と途上国のいわゆる橋渡しをするんだ、そういう役割を果たしたい、こうおっしゃっていただいたわけでありまして、それはぜひお願いしたい、こういう話も私は申し上げたところでございます。

 いわゆるBASICという国にメキシコが入っていないというか、別にそういった外交上の条約、協定があるわけではないと思いますが、それに準じた国としてメキシコの役割というのが極めて大きいので、ぜひそこはお願いしたい、こういうふうに申し上げたところでもございます。

 そういった意味では、議長国としてのリーダーシップを日本もしっかりサポートして、前回のCOP15の一つの反省は、議長のポジションが途中で二回かわりました。そういったことがないように、しっかりとした運営もできる体制に日本も協力をしていく、そういったことも極めて重要なことだ、こう思っておりまして、ありとあらゆるそういう分析を政府の中でもしておりますので、さらにそれを、またそれぞれの会合の結果をもってしっかりとした戦略、プランをつくり、実際に実行して、またもう一回そのことを振り返ってさらにまたプランをつくる、そういう積み重ねを十一月のCOP16に向けて引き続き努力してまいりたい、こう思います。

村上(史)委員 ありがとうございます。本当に、今大臣がおっしゃいましたように、新興国の立場、また発展途上国の立場、そして先進国の立場、それぞれ違うけれども、さまざまなインセンティブを働かせながら合意に向けて頑張っていきたい、鳩山イニシアチブなど、新興国に向けても積極的に働きかけていきたい、そういう強い思いを感じることができました。どうぞ、合意に向けて一層の御努力をいただきますように、心からお願いを申し上げたいと思います。

 時間の方が思ったより経過し過ぎまして、時間もなくなってまいりましたので、ちょっと問題の方も短縮して、次に移りたいと思います。

 一転して国内の問題に移っていきたいと思うんですが、今回出されました基本法、後ほど質疑がなされるわけでございますけれども、極めてチャレンジングな設定だと思います。それだけにハードルも高いと客観的に言っていいと思います。

 そして、この目標を実現するためのかぎは、やはり何といっても国民の理解がまず前提、必要だ。それと同時に、産業界の協力が欠かせないと思います。そういう面で、まだ、いわゆる環境行政、政策というものが国民に広く深く浸透していないのではないか。せっかくのチャレンジも、国民の理解が十分得られない状況の中で達成できないということでは、本当に大きな問題を生み出すことになります。

 そういう面で、今後、国民の理解、そして産業界の協力をどのように呼びかけていかれるおつもりなのか、具体的にお話しいただければありがたいと思います。

田島副大臣 ただいま御質問いただきました国民、産業界の理解、協力につきましては、この温暖化対策には欠くことのできない課題だというふうに考えておりまして、ことしの一月から、新たな国民運動といたしまして、チャレンジ25キャンペーンをこれまで展開してまいりました。

 家庭やオフィス、地域で国民の皆様お一人お一人が実践できること、六つのチャレンジと題して、エコな生活スタイルの選択、省エネ製品の選択、また自然を利用したエネルギーの選択、ビル、住宅のエコ化の選択、そしてCO2削減につながるような取り組みを応援していただくとか、また、地域で温暖化対策防止の活動に参加していただくなどのさまざまな提案を呼びかけさせていただいているところでもございます。

 また、中長期ロードマップの試案で示させていただきましたCO2削減対策につきましては、中央環境審議会のもとで専門委員会を設けて、国民の皆様にオープンな形で議論を進めていただくことにしておりますし、また、産業界、業界との意見交換も、この四月だけで計算いたしましても二日に一回の割合で精力的に意見交換をし、皆さんの御協力と御理解、そしてさまざまな御意見をしっかり聞くような段取りをさせていただいているところでございます。

 いずれにいたしましても、政府だけが頑張って旗を振っても実現できるものではありませんので、皆様の力強い御支援をいただきながら、国民、産業界の協力を得られるように努力を重ねていきたいと思っております。

村上(史)委員 ありがとうございます。

 やはり、厳しいハードルがあるからこそ日本全体がその方向に向かっていく、そういうことが求められますし、それを導く、また誘導していくのはやはり政府の大きな役割だと思いますので、今後とも、理解と協力を得るための御努力をよろしくお願い申し上げたいと思います。

 時間も参りました。最後の質問となりますけれども、今お話がございましたように、さまざまな協力、理解を得ながら頑張っていく。しかし一方で、いわゆる新成長戦略というものもございます。

 この新成長戦略の中で、環境、エネルギー、イノベーションが大きな柱の一つになっております。成長という領域と同時に、CO2の削減という一見相反する取り組みを我々はしていかなければなりません。そういう面では、成長といわゆる削減の問題とをどのようにマッチングさせていくのか、そのことをお聞きして、同時に、次世代にいい環境を残していく、これは我々世代の大きな役割であり、責任だと思います。そういう観点から、国内のCO2二五%削減に向けての強い決意をあわせてお示しいただきたいと思います。

小沢国務大臣 先ほどは少し長く答弁をし過ぎて委員のお時間を大分食ってしまって、おわびを申し上げながら、最後の答弁をさせていただきたいと思います。

 まさに委員が御指摘のとおりだと思います。本当に、この地球環境を守っていく、これは私たちが日々暮らしていくためにも必要ですし、また、我々の子孫にそういった地球環境を残していく、これも重要な課題だというのがまず一番最初にあるわけであります。同時に、それが経済の成長にもつながっていくというのがある意味では今日の大事なポイントだ、こういうふうに思っているところであります。

 私が環境大臣にならせていただいてから一貫して言っているのは、経済と環境というのは両立する、それどころか、環境が成長を引っ張っていく、環境と成長が両立するんだということを一貫して言わせていただいているわけでありまして、環境という新しいニーズがあって、世界じゅうにそのニーズが広まることによって、だからこそ、それを備えた、一言で言えばそういった付加価値を持った商品が売れるということでございますので、政治の我々としては、まさに地球環境を守るためにも、経済を発展させるためにも、迷いなくこの環境政策を進めてまいりたい、そう思っているところでございます。

村上(史)委員 ありがとうございました。またこれからもどうぞよろしくお願いいたします。

樽床委員長 次に、吉野正芳君。

吉野委員 おはようございます。また質問をさせていただきます。よろしくお願いします。

 まず、この法案の前提となっている環境大臣試案、ロードマップについてお伺いをいたします。

 私も、前回の質問でこのロードマップについて質問をさせていただきました。そのときの、いわゆる伴先生のモデル計算のベースとなっているいろいろな指数、数字、これが、モデル計算ですから、ちょっと数字が変われば結果は大幅に変わるという、これがモデルだと思います。

 その中で、私は、実質利子率について御質問をいたしました。私も素人でわかりません。私の理解では、将来の価値を現在の価値に直す割引率、これを実質利子率というふうに理解しているところですけれども、専門家に聞きたいと思います。

 内閣府の西川室長、モデル計算における実質利子率というものはどういうものなのか、教えていただきたいと思います。

西川政府参考人 お答えさせていただきます。

 実質利子率といいますのは、一般には、利子率から物価上昇分を差し引いたものということになります。また、御質問にありました現在価値割引率とは、過去や将来の貨幣価値、将来の価値を現在価値に置きかえる際に使用する、割引のために使う利回り率のことでございます。

 この実質利子率と現在価値割引率というのは非常に密接な関係にありますが、具体的に一致するのか、どういう関係にあるかといったことは、それぞれのモデルの中で決められているものだと考えております。

吉野委員 わかりました。余り私も理解できないですけれども。

 第五回の全体会議にこのロードマップの資料を出したと思います。これだけの委員がおられる中で、このモデルの前提となる数字について、高いとか低いとか、これはおかしいんじゃないのかという、そういう議論があったのか。この辺の会議の雰囲気をお聞かせ願いたいと思います。

寺田政府参考人 御説明申し上げます。

 三月二十六日に開催されました第五回地球温暖化対策に係る中長期ロードマップ全体検討会では、ただいま委員お示しのように、利子率等のデータの諸元を明らかにした資料が提出され、それについての御議論があったところでございますけれども、その中で、実質利子率についての直接の議論というのはございませんでした。

 ただし、前提条件に関する議論といたしまして、モデル自体やインプットするデータの妥当性などについてしっかりと検証すべきであるということ、前提条件の設定にはさまざまな意思決定が働くことから、モデルそのものにもそういった限界があることなどについての議論が交わされたところでございます。

吉野委員 西川室長さんにちょっとお尋ねします。

 前回の私の質問の中で、小沢大臣はこう答弁しているんです。「実質利子率が年率五%というのは高過ぎるんじゃないか、」私は、高いんじゃないかと質問したんですね。「こういう話でありますけれども、これはいわゆる預貯金金利ではございません。あくまでも貸出金利でございまして、プライムレートに連動して決まる住宅ローンは、十五年物固定金利が現在でも五%前後で推移しておりますので、全くおかしいものではないと思っています。」

 実質利子率についての答弁がこの答弁なんです。専門家として、この答弁についてどのように思われますか。

西川政府参考人 お答えさせていただきます。

 計量モデルといいましても、いろいろなモデルがございます。それぞれのモデルにおいてどのような実質利子率を用いるのかということについては、モデルがどういう問題を対象にしているか、あるいはその設計、またモデルの体系の中で実質利子率にどういう役割を与えているかといった、そういった意味合い、あるいは前提となる経済状況等によって決まってくる問題だと思っております。

 では、具体的に実質利子率がこういう概念だということが定まった場合に、さらにそれを、具体的な統計、計算方法として何をとるかということも、これも必ずしも一意に決まってくる問題ではなくて、長期金利か短期金利か、貸出金利か預金金利かなど利子率の性質だとか、実質化する際のデフレーター、物価の上昇率を何で見るかということも大きな課題でございまして、消費者物価で見るのか、経済全体のGDPデフレーターで見るのか、あるいは、既に実績した物価上昇率で見るのか、期待される物価上昇率で見るのかなど、いろいろな種類がこのデフレーターについても考えられます。そういうことから、どのような利子率を採用するのか、どのような値が適当かということは、それぞれのモデルに即して考えられるべきものかと思います。

 お尋ねのございましたモデル計算における実質利子率の詳細については承知しておりませんが、仮に、モデルにおきまして、当該利子率が企業の設備投資に影響を与えるような姿を描こうとしたものであるならば、そうした利子率として貸出利子率を指すというのも一つの考え方だと思います。

吉野委員 利子率はいろいろな幅の広い概念だということが専門家の話でわかりました。

 ただ、この大臣の、実質利子率についての私の質問への答弁について、専門家として最初にどういう印象を持ちましたか。お聞かせ願いたいと思います。西川さんの印象です。

西川政府参考人 お答え申し上げさせていただきます。

 印象と申し上げましても、こうした環境省でやっておりますロードマップ検討会で使っている一つの試算モデルでしかないものですから、繰り返しになりますが、一つのモデルとしてどういうものをつくるかというのは、それぞれのモデルの中で考えていくような性格であろうというふうに思いますので、特段私の方から申し上げる印象というものはございませんが、例えば、十年物の国債利回りを一般的な物価のデフレーターの上昇率で割りますと、足元の数字を見ますと、大体二%台半ばという数字が見られます。

 いずれにしましても、それぞれのモデルの中でどういう実質利子率を使うかということは、モデルの考え方で説明されるべきだ、こういうふうに思っております。

吉野委員 今、西川さん、専門家から、二%という言葉が出ました。全くそのとおりなんです。私もいろいろな方にこれを伺ったときに、一・五%から三%、この幅がいわゆる十年間のモデル計算ですから、どなたに聞いてもこの一・五から三%というこの幅を専門家は使っているんです。でも、ここは五%なんです。そこを私はおかしいんじゃないのかなと。

 まさに、モデル計算ですから、数字の入れ方でまるっきり結果が違っちゃうんです。あなたがもしモデル計算するんなら、今二%という言葉を使ったので、この二%を使うのがまさに今の常識的なモデル屋さんの数字だと私は思います。

 小沢大臣、よろしいですか。今の西川さん、専門家の意見を聞いて、前回の私に対する答弁、預貯金金利ではございません、貸出金利です、住宅ローンも五%があるからそれで高いと思いませんという答弁をなさいましたけれども、今専門家が、二%が今の状況では妥当だろうという大事な発言をなされました。これを聞いて大臣は、私は訂正すべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。

小沢国務大臣 先般の委員の御質問は、いわゆる五%でやることによって成長率を高目に誘導したのではないか、そういう御趣旨だったと思います。

 きょうの御質問もそういう前提で御質問されていると思うんですが、一般的に経済学の議論でいいますと、金利が低い方が成長率は上がりますので、そういった意味では、これは二%でも何でも結構なんですけれども、低くするとさらに成長率は高くなるということが予想されるわけでありまして、もし、成長率をある意味では人為的に高目誘導したんではないかということが委員の御指摘の論点だとすれば、それは全く逆な話だというのが経済学の常識だと思っています。

吉野委員 国民に重大な影響を及ぼす、私は、これは憲法に次ぐ大事な法案だというふうに思っています。政府として正しい情報を国民に知らしめる、これが政府の一番の役割です。誘導するような形で情報を出してはいけません。私が前回質問したのは、正しい情報で正しく伝えてくださいというのが私の趣旨でありまして、まさに正確な情報を国民に与える、こういうことでございます。

 そういう意味で、この五%という数字は、今専門家が、二%がある意味で今の経済状態をあらわしている数字だとおっしゃいましたので、ここをきちんと大臣として、五%を高くするか低くするかで結果はかなり違うんです。誘導するということじゃなくて、正しい情報を国民に知らしめるという意味では、大臣の今の発言はちょっとおかしいんじゃないのかな、こう思います。いかがでしょうか。正しい情報を上げてください。

小沢国務大臣 多分、モデルシミュレーションについての認識の違いというのが委員との間にあるんだろうと思います。

 いわゆるモデルシミュレーションというのはあくまでも仮定の中での話でありまして、そういった意味では、モデル分析をする人間は、そのモデルのシミュレーションがすべて正しい、こういう話で言っている話ではないんだろう、まずそういう前提で私はやっております。

 ですから、例えば二%でも別に構わないのでありますけれども、そのシミュレーションを行えば、それは二%という前提での結果が出るというだけのことでありまして、それは多分、私が申し上げたように、経済学の常識でいえば成長率はさらに高目に出るのではないかなというのが私の今の予想だ、こういう話であります。

 ではなぜ五%という貸出金利を使ったか、こういうことになると、経済活動を行う経済主体はそういった融資を受けて当然行っているわけでありまして、経済主体が預貯金をして経済活動をやるという前提にはありませんので、そういった意味では、貸出金利をベースにするという話はモデルの作成上全くおかしいことではない、こういうふうに思っております。

吉野委員 私も素人ですから、これ以上は専門家の方にお任せをしたいと思います。

 次に、四月十五日、環境省は、中央環境審議会の地球環境部会に中長期ロードマップ小委員会を設置したと私は伺っております。四月十五日です。我々がこの法案を審議する、なぜ四月十五日というこんなに遅い時期に中長期ロードマップ小委員会の設置をなされたのか。私は遅きに失し過ぎるんじゃないかと思う。

 まず中環審に設置をしていただいて、そこで議論していただいて、そして環境省としてのロードマップをつくるべきではなかったのか、このように思うわけですけれども、その辺のところ、お聞かせ願いたいと思います。

小沢国務大臣 これは中環審の中においての小委員会でございますが、既に御案内のとおり、昨年の暮れまでには閣僚委員会のもとにおけるタスクフォースの作業もさせていただいておりますし、タスクフォースの作業の中では、いわゆる技術革新のあり方とかそういったものを取り入れるモデルが不十分だという私の認識があったものですから、そういった技術革新等を取り入れたモデル分析を行うという意味で、新たに環境省としてそういった委員の皆さん方にお願いをして先ほどのモデルのシミュレーションを行った、こういうことでございます。

 そのものを今度は中環審全体に一応おかけをする、こういう話になるわけでありまして、そういった意味では、かつての与党の皆さんたちも、基本法をつくり、そしてさらにそれの推進法をつくっていく、そういう過程と極めて似た手順ではないかな、こうは思っておるのでございます。

吉野委員 我々が与党の時代に法案をつくっていたのは、まず広く国民の意見を聞くんです。それぞれの業界の意見も聞くんです。そして、役所で持っている中央環境審議会に諮って、そこでつくった原案をもとに我々は法律化しているんです。これが我々のやり方なんです。これがずっと今までのやり方で、広く意見を聞いて、政治はそれをまとめて法案をつくっていくんです。なぜ逆なんですか。

小沢国務大臣 ここも何度も議論になるところでありますが、今回は、政権交代というのが間に入りましたので、いわゆる法案を作成する前段階の作業という話が、ある意味では新政権の前で行われているということですよね。そういった意味では、通常の、政府がずっと続いているというときの手順とは、そこは違うかもしれません。

 しかし、民主党の中で百回を超えるそういう検討委員会を行い、外からの議論も行って、さらにはまた、それをマニフェストに掲げて我々は選挙を戦ったわけであります。これほど大きな国民に対する問題提起はなかった、こう思っておりまして、それを踏まえた上で、さらに私どもとしては具体的な法案作成に入っていき、パブリックコメントもいただいてつくってきた、こういうことでありますので、ぜひ吉野委員には、政権交代が間に入ったので通常の政府活動の流れとは若干違うけれども、そこは、国民の意見を聞くという点においては、我々も間違いなくやってきた、こう思っているところでございます。

 しかし、それでもまだ不十分だという皆さんたちの意見もありますので、この法案の中にそういった国民の意見を聞く機会を設けるという条文もあえて一条立てて、今、具体的な推進を行っていくためのそういったロードマップに関しては、国民各界各層の意見を取り入れながら、進化するロードマップをつくりながら最終的な案に取りまとめていきたい、こう思っているところでございます。そういった意味では、大いに国民各界各層の意見をおっしゃっていただきたい、こういうふうに思っています。

吉野委員 環境省において中央環境審議会、また法務省においては法制審議会、これは、ここを通らないと我々が与党のときには法律案はなかなか出せない、そういうすごい権威のあるものでございました。

 今、大臣のお話を聞けば、もうマニフェストで約束したから、国民の意見は聞いたんだからいいんだ、ただ、これからもっとロードマップを進化させるために中環審の小委員会を立てるんだという、何か形だけで、中環審の答申も得ましたよというアリバイづくりに使っているのではないのかという感じがいたします。ロードマップについての議論はこの辺で。

 次に、カーボンオフセットについて聞きます。ずっと質問を立てて、今ごろになったこと、大変申しわけなく思っています。

 実は、持続可能な森林経営ということで、通常の、主伐をして、植林をして、下草刈りをし、枝打ちし、間伐し、そしてまた主伐をしていく、五十年間、六十年間の通常の山林経営です。今までは、間伐についてはJ―VERがクレジットを認めておったんですけれども、まさに今環境省で、通常の山林経営、森林経営でもクレジットを認める制度ができました。第一号が住友林業の山でありまして、約二百二十ヘクタール、約千七百トン、毎年CO2を吸収するということで、そこをクレジット化いたしました。本当にすばらしいことだと思います。

 住友林業のほかに、通常の持続可能な森林経営でクレジットを組んだ森林がどのくらいあるのか、お聞かせを願いたいと思います。

    〔委員長退席、山花委員長代理着席〕

田島副大臣 お答え申し上げます。

 委員御指摘いただきましたJ―VER制度におきまして、今回、持続可能な森林経営による吸収量がクレジットとして認証された例は、委員が御指摘いただきました住友林業株式会社のプロジェクト一件であります。

 ただし、J―VER制度の中での持続可能な森林経営のほか、御指摘いただきました間伐を集中的に促進するための間伐プロジェクトも対象となっておりまして、こちらの方でクレジットの認証を受けた例は五件ございます。

吉野委員 森林吸収をクレジット化して、それがお金になって返ってくる、それがまた山に還元できるということで、今まで森林整備は六割強を税金でやっておりました。でも、なかなか木材の価格が低迷しておりますので、まずは木材を利用する、こちらでお金を山に上げる。と同時に、この吸収源のクレジット化したものをお金にかえて山に還元していくというすばらしい仕掛けがつくられたわけです。

 ただ、J―VERでクレジットを認めても、それをお金に還元できなければ山にお金が回らないわけでありますので、売れ行き状況は今どういうふうになっているのか、お聞かせを願いたいと思います。

田島副大臣 委員が御指摘をいただきましたクレジットの取引を環境省として網羅的に把握している状況にはございませんけれども、今お示しをいただきました住友林業株式会社において約二千トンのクレジットが発行されているわけでありますけれども、この内訳といたしましては、約数百トンのクレジットが金融機関でありますとか出版社の方で販売されたというふうに伺っているところでもございます。

吉野委員 クレジットを取得した方が積極的に売りに出す、買ってください、これはセールスのところで当然なんですけれども、その辺の取引が円滑にできるような御支援というものを環境省でやっていくべきだと思うんです。

 一つ提案なんですけれども、環境省でグリーン購入法がございますね。グリーン購入法というのは、同じ品物、同じ商品でも、環境に優しいものを買いなさい、例えば省エネにすぐれていればそれを買いなさい、こういう法律なわけです。省エネ商品ではなくても、このJ―VERのカーボンオフセット制度を使ってオフセットする、この商品はオフセットした、いわゆるCO2を削減した商品ですよ、そういう商品はグリーン購入法の対象にすべきだというふうに私は思うんですけれども、環境省の御意見はいかがでしょうか。

    〔山花委員長代理退席、委員長着席〕

田島副大臣 今、吉野委員が御指摘をいただきましたグリーン購入法に関してでございますが、ことしの二月にこの法の対象品目等を定める基本方針が変更されまして、今回、対象品目が追加をされましたのと、加えて、各機関が物品等の調達を行う際の参考とする情報といたしまして、カーボンオフセット認証ラベルというものが位置づけられたところでございます。委員も御承知かと思いますけれども、CO2と書かれたラベルでございまして、前回の委員会の答弁でも申し上げましたが、年賀はがきでありますとか、全日空がカーボンオフセットプログラムなどをつくられまして、全体で三十二件の取り組みが認証されているところでもございます。

 今後、温室効果ガスの排出削減、そしてまた吸収活動を促進していくためのカーボンオフセットの取り組みにつきましては、委員御指摘いただきましたように、引き続き、インセンティブを付与するための仕組みをしっかりと検討していきたいと思っております。

吉野委員 自分がいろいろ知恵を出してCO2削減に努力をし、そしてそれをクレジット化して少しでもインセンティブを与えるような仕掛けをつくっていきたいんですけれども、クレジット化するところ、幾らCO2を削減しても、それをどうすればクレジット化できるのかという、そこの支援事業、環境省で支援事業がございますので、この辺についての御説明をお願い申し上げます。

田島副大臣 委員が今御指摘いただきましたJ―VER制度を活用する事業者に対しての支援の状況でございますけれども、平成二十一年度の第二次補正予算で二十億円を積みまして、いわゆる申請書をつくる際の作成支援でありますとか、排出削減や吸収量の第三者検証に係る費用の支援等々を行ってきているところでございまして、J―VER制度の参加者の拡大を行っておるところでございます。

吉野委員 もう時間もないので、京都メカニズムによる取得事業、我が国は京都議定書で、政府は一・六%、約一億トンを購入するというふうに、そして徐々に購入しているんですけれども、クレジットの取得方針というところで、クレジット取得に伴うリスクの低減を図り、費用対効果を考慮して取得する。二つ目、温暖化防止、途上国の持続可能な開発への支援を図る。この二番目の方針はわかるんですけれども、一番目の、リスクの低減を図り、なおかつ費用対効果を考慮して取得するという、この辺は具体的なイメージはどうなんでしょうか。

大谷大臣政務官 平成二十年に閣議決定された京都議定書目標達成計画の中での方針でございます。

 このリスクをというところでいいますと、国連が認めてくれないようなものを買うことがある、こういうリスクをなくすために、例えば保証契約をしっかり結んで、もしも国連が認めなくても別のところからちゃんと持ってきてくださいよと事業者に責任をとっていただくとか、もしくは、応募したときにもっともっと案件を厳しくして、リスクのあるようなものが絶対に市場に出回らないようにしていくとかというようなことでリスクを回避していくというふうに考えています。

 それともう一つは、これは後払い制度をとることにして、国連でちゃんとこれがクレジットとして認められてからお支払いをさせていただくというようなこと、また、フォローアップで、途中、ここから買おうと思っている、ここがちゃんと、例えば事業所がその計画を計画どおりにやっているかどうかみたいなものも国がそれなりにフォローアップして調査をしながらリスクを回避していくというようなことが含まれております。

吉野委員 時間も参りましたけれども、契約しても、契約というのは、途上国でこういう事業をすればこれだけCO2が下がりますよ、では、そこにやってください、できたら買いますよということなんで、まさにフォローアップなんですね。その計画された事業が本当にできるのかどうか、契約したからには、我が国もこの辺をきちんとコミットして、その事業が達成されるようなフォローアップ体制をきちんとつくってくれることを要望して、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございます。

     ――――◇―――――

樽床委員長 次に、内閣提出、地球温暖化対策基本法案、野田毅君外四名提出、低炭素社会づくり推進基本法案及び江田康幸君提出、気候変動対策推進基本法案の各案を一括して議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。小沢環境大臣。

    ―――――――――――――

 地球温暖化対策基本法案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

小沢国務大臣 ただいま議題となりました地球温暖化対策基本法案につきまして、提案の理由及びその内容の概要を御説明申し上げます。

 地球温暖化は世界全体で協力して対処すべき人類共通の課題であり、我が国は、国際的なリーダーシップを発揮しつつ、地球と日本の環境を守り、将来に向けて発展し続ける社会をつくるために全力を挙げて努めていくことが必要であります。

 そのため、温室効果ガスの排出量に関する中期目標について、すべての主要国による公平かつ実効性ある国際的な枠組みの構築と意欲的な目標の合意を前提に、二〇二〇年までに一九九〇年比で二五%削減という野心的な目標を掲げ、地球温暖化の防止のための二〇一三年以降の次期枠組みの構築に向けて議論を前進させてきました。また、二〇五〇年までに一九九〇年比で八〇%削減という長期目標も掲げており、さらなる排出削減を目指していきます。

 我が国において、この中長期目標を達成するためには、あらゆる政策を総動員して、日々の暮らし、地域づくり、物づくりといった広範な分野で経済活動や国民生活のあり方の転換を促進しつつ、世界に先駆けて脱化石燃料化等を図ることにより、温室効果ガスの排出の量をできる限り削減し、吸収作用を保全・強化し、かつ、地球温暖化に適応することができる社会を実現していかなければなりません。

 そして、そのための取り組みは、経済の阻害要因となるのではなく、むしろ経済成長を牽引し、新たな産業の創出を通じた雇用の増大、国民の暮らしの豊かさの実現につながるものであると確信しております。

 このような考え方のもと、我が国が推進すべき地球温暖化対策の基本的な方向性を明らかにし、環境と成長が両立したエコ社会の実現に向けた第一歩を踏み出していくために、地球温暖化対策に関し、基本原則と各主体の責務を明らかにするとともに、温室効果ガスの排出の量の削減に関する中長期的な目標を設定し、地球温暖化対策の基本となる事項を定める本法律案を提案した次第であります。

 次に、地球温暖化対策基本法案の内容を御説明申し上げます。

 第一に、地球温暖化対策についての基本原則を定めております。具体的には、地球温暖化対策は、温室効果ガスの排出の削減、吸収作用の保全・強化、そして地球温暖化への適応ができる社会の構築を目指すものであり、豊かな国民生活と産業の国際競争力が確保された経済の持続的な成長を実現しつつ行うべきである旨を第一の原則として掲げております。第二の原則として、地球温暖化が人類共通の課題であることにかんがみて、国際的協調のもとに積極的に推進することを掲げております。そのほかにも、研究開発とその成果の普及、地球温暖化の防止等に関連する産業の発展と就業機会の増大、雇用の安定、エネルギー政策との連携、事業者及び国民の理解を得ることなどについても基本原則として規定しております。また、これらの基本原則を踏まえ、国、地方公共団体、事業者及び国民について、それぞれの役割に応じた責務を定めております。

 第二に、昨年九月の気候変動首脳会合における鳩山内閣総理大臣スピーチ、コペンハーゲン合意に基づき我が国が気候変動枠組み条約事務局に登録した目標を踏まえ、我が国の温室効果ガスの排出量についての中長期的な目標を定めております。具体的には、すべての主要国による公平かつ実効性ある国際的な枠組みの構築と意欲的な目標の合意を前提として、二〇二〇年において一九九〇年に比べて二五%削減の達成を目指すこととしております。また、長期的な目標については、二〇五〇年において一九九〇年に比べて八〇%削減の達成を目指すこととしております。さらに、再生可能エネルギーの供給量について、二〇二〇年において一次エネルギー供給量の一〇%に達することを目標としております。

 第三に、地球温暖化対策についての基本的な方針等を定める基本計画を策定することとし、これに基づき、政府一体となって地球温暖化対策を総合的かつ計画的に推進していくこととしております。

 第四に、国が講ずべき基本的施策について規定しております。まず、国内排出量取引制度を創設することとし、そのために必要な法制上の措置について、この法律の施行後一年以内を目途に成案を得ることとしています。次に、地球温暖化対策のための税について、平成二十三年度の実施に向けた成案を得るよう、検討を行うこととしています。さらに、再生可能エネルギーの全量固定価格買い取り制度を創設することとしています。これら三つの主要な制度の構築に加え、原子力に係る施策、エネルギーの使用の合理化の促進、交通に係る施策、革新的な技術開発の促進、教育・学習の振興、自発的な活動の促進、地域社会の形成に当たっての施策、温室効果ガスの吸収作用の保全・強化、地球温暖化への適応、国際的協調のための施策などを行うこととしております。

 以上が、この法律案の提案の理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

 以上でございます。

樽床委員長 次に、齋藤健君。

    ―――――――――――――

 低炭素社会づくり推進基本法案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

齋藤(健)議員 ただいま議題となりました自由民主党・改革クラブ提出の低炭素社会づくり推進基本法案につきまして、提出者を代表して、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 人間の活動に伴って排出される温室効果ガスの大気中の濃度の上昇が続いており、地球温暖化が進行した場合には、自然環境、人の生命及び健康並びに経済社会に及ぼす影響が深刻化する可能性が高いことが指摘されております。地球温暖化は、人類の存続の基盤を揺るがす安全保障の問題であり、その防止は人類共通の課題です。

 地球温暖化を防止するためには、すべての主要な経済国が参加する公平かつ実効的な国際的枠組みの構築が不可欠です。我が国は、世界全体の温室効果ガスの排出量の削減等を図るため、みずから低炭素社会づくりを確実に進めていくとともに、世界最高水準の環境・エネルギー技術等を生かして世界に貢献していくことが求められています。

 低炭素社会づくりは、地球温暖化の防止に加え、新たな産業及び雇用の機会の創出、エネルギーの分野における安全保障等に寄与し得るものであるとの認識に立ち、国民一人一人が高い意識を持って進めていかなければなりません。

 我が国古来の自然と共生する文化や、もったいないの精神に裏打ちされた生活様式等を生かして、環境・エネルギー技術を生かした製品等の生産及び普及、革新的な技術の研究開発の促進、産業構造、社会システム及び生活様式の変革等により、地球環境の保全と経済社会の持続的な発展との両立を図りつつ、自然と共生する社会及び循環型社会を構築するとともに、世界最先端の低炭素社会を実現することが必要です。

 このような低炭素社会づくりについての基本理念を明らかにして、その方向性を示し、関連する施策を長期的、総合的かつ計画的に推進するため、本法律案を提出した次第であります。

 次に、低炭素社会づくり推進基本法案の内容の概要について御説明申し上げます。

 第一に、低炭素社会づくりに関する施策を長期的、総合的かつ計画的に推進するため、低炭素社会づくりに関する基本理念を定めております。

 具体的には、低炭素社会づくりは、国、地方公共団体、事業者、国民等の適切な役割分担と適正かつ公平な負担のもとに、おのおのの理解及び取り組みを促進することにより行われなければならないこと、低炭素社会づくりのための取り組みは、新たな産業及び雇用の機会の創出、産業の国際競争力の強化、地域の活性化、エネルギー自給率の向上、国民の健康の保持その他の多様な国民の利益の増進に寄与し得るという認識のもと、地球環境の保全と経済社会の持続的な発展との両立を図りつつ行われなければならないこと等を掲げております。

 そして、このような基本理念のもと、国、地方公共団体、事業者、独立行政法人や特殊法人、国民及び民間の団体の責務を明らかにしております。特に、国については、世界全体の温室効果ガスの排出の量の削減等を図るため、主要経済国が参加する公平かつ実効的な国際的枠組みの構築に向けた取り組みを推進する責務を有すること、本法で定める基本理念にのっとり、低炭素社会づくりに関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及び実施する責務を有すること等を規定しております。

 第二に、温室効果ガスの排出量に関する長期的な目標としては、世界全体の一年間の温室効果ガスの排出量を二〇五〇年までに二〇〇五年における温室効果ガスの排出量からその百分の五十に相当する量以上を削減した量にすることを目指し、主要経済国の参加のもと、我が国の一年間の温室効果ガスの排出量を二〇五〇年までに二〇〇五年における温室効果ガスの排出量からその百分の八十に相当する量を削減した量にし、それ以後においてもその量を上回らないようにしなければならないことと規定しております。

 第三に、中期的な目標については、国は、国際交渉による合意に基づき、温室効果ガスの排出量及び吸収量に関する中期的な目標を設定するものとし、当該排出量に係る目標のうち国内における温室効果ガスの排出の削減に係るものについては、当該一年間の温室効果ガスの排出量を二〇二〇年までに二〇〇五年における温室効果ガスの排出量からその百分の十五に相当する量を削減した量にし、それ以後においてもその量を上回らないようにするものとすることと規定しております。

 第四に、政府は、低炭素社会づくりに関する施策の長期的、総合的かつ計画的な推進を図るため、速やかに低炭素社会づくり国家戦略を定めなければならない旨を規定しております。

 さらに、低炭素社会づくり特別行動期間の設定、同行動期間における再生可能エネルギーの需給の拡大、原子力発電の促進、石炭火力発電に係る温室効果ガスの排出の抑制、交通分野の対策の促進、税制のグリーン化の推進など、低炭素社会づくりのために必要な施策について規定しております。

 本法律案は、各界各層の有識者の御意見を踏まえて、環境と経済のバランスをとりつつ、エネルギーセキュリティー等の観点も踏まえた総合的な見地から、低炭素社会づくりのために我が国の持てる力を最大限に発揮する内容を取りまとめたものです。

 以上が、本法律案の趣旨でございます。

 何とぞ、十分に御審議の上、本法律案に御賛同賜りますよう強くお願い申し上げ、趣旨の説明といたします。

樽床委員長 次に、江田康幸君。

    ―――――――――――――

 気候変動対策推進基本法案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

江田(康)議員 ただいま議題となりました公明党提出の気候変動対策推進基本法案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 地球温暖化による気候変動は人類の生存の基盤を揺るがす脅威であり、気候変動の緩和及び適応を図ることは人類共通の課題となっております。

 この地球温暖化による気候変動対策に関して、鳩山内閣は地球温暖化対策基本法案を提出いたしました。しかし、この法案は、我が国の地球温暖化対策の方向を定める基本法としては全くの骨抜き法案であり、何の政治決断もない未決定、未調整の先送り法案と言わざるを得ません。むしろ、二五%削減凍結法案、否、二五%削減放棄法案と言っても過言ではないものになっております。いわゆる前提条件つきの二五%削減目標でございます。

 すなわち、内閣が掲げた二五%削減の目標は、すべての主要国が公平かつ実効性のある国際的枠組みを構築するとともに意欲的な目標について合意をしたと認められる場合に設定され、政府が国際合意が実現したと判断したら施行する、こんな法律はあり得ません。民主党マニフェストのどこに、世界に意欲がないなら日本もやらないなどと書いてあったのですか。日本が世界をリードする気概で二五%と掲げていたのではありませんか。

 今、政府に求められているのは、気候変動に関する取り組みに関して明確なメッセージを発信することであります。明確なメッセージを発信することによって、国民も企業も行動を開始することができるのであります。にもかかわらず、二五%削減目標を行方のわからない国際交渉に依存し、実際に施行するかどうかを政府に全面的にゆだねるような法律では、何のメッセージにもなりません。

 米国も中国も国際交渉での姿勢とは別に着々と環境分野での経済戦略を進めております。すぐれた環境技術で世界をリードしてきた日本が、今や出おくれつつあると言ってもいいのであります。その上、いつ妥結するかわからない国際交渉にとらわれていては、さらに日本が出おくれることを恐れるものであります。

 このような鳩山内閣の骨抜き法案、先送り法案の問題点を浮き彫りにするためにも、公明党は対案として気候変動対策推進基本法案を提出いたしました。本法律案は、国民の生存権、人類の生存権を守るという根本的価値観に立ち、そのために必要となってくる施策について科学の知見に基づいて基本原則を明確に定めつつ、科学の要請にこたえる野心的な目標を内外に宣言し、その具体策を明示したものであります。

 次に、本法律案の概要について御説明申し上げます。

 第一に、本法律案は、地球温暖化ではなく気候変動という言葉を法案の題名に使用しました。我々は、地球温暖化によってもたらされる気候の変化こそが人類の直面している課題であることを明確にするため、あえて気候変動という概念を用いたのであります。また、国際社会で提唱されている気候安全保障という概念を導入いたしました。これは気候変動を人類の生存の基盤を揺るがす脅威として安全保障上の問題ととらえるもので、国家国民、企業等の活動、生態系を気候変動の脅威から守るという考え方であります。

 第二に、ラクイラ・サミット首脳宣言、また昨年十二月のコペンハーゲン合意で確認された、人類を危機から守るためには産業革命前の水準から、世界全体の平均気温の上昇が摂氏二度を超えないようにするべきとの世界共通の認識を前文に明記いたしました。これこそが現時点の真の気候変動対策の目標であり、これがあってこそ具体的な対策が出てくるのであります。そして、この二度C目標の実現のために、科学の知見に基づき、早期の削減行動を重視することを基本原則に掲げました。内閣提出法案におきましては、この二度C目標は書かれておりません。

 第三に、中長期的な目標についてであります。中期目標については、何ら前提条件を付すことなく、二〇二〇年において九〇年比二五%削減を目指すべきこととしております。前提条件をつけないことで、国際的協調のもと、他の主要国に先駆けて温室効果ガスの削減を行う姿勢を強く示すとともに、気候変動対策における国際的な取り組みにおいて、我が国が主導的な役割を担っていくという毅然たる決意を示すものであります。

 その上で、国際的動向、最新の科学的知見等を勘案し、必要があると認めるときは有識者委員会の意見を聞いて中長期目標を見直すことができるとする条項を設けております。

 内閣提出法案でも二五%削減を掲げておりますが、その目標の設定には主要国の参加による国際的枠組みの構築と意欲的な目標の合意との前提条件がついており、附則においても中期目標の規定は前提条件が満たされたと認められる日以後の政令で定める日から施行するとしております。これらはまさに二五%削減凍結条項、放棄条項であり、極めて遺憾な条項であると言わざるを得ません。

 長期目標については、公明党案では二〇五〇年において九〇年比八〇%以上削減を目標としております。

 第四に、施策のメニューについてであります。我が国の排出量の七割を占める大口排出事業所を対象として、排出総量に上限枠を設けて行う国内排出量取引制度を二〇一二年までに創設することを明記いたしました。内閣提出法案では、生産量などの一単位当たりの排出量に限度を定める原単位方式の採用に道を開いておりますが、この原単位方式は、排出総量の削減につながらず、我が国の国内排出量取引制度に重大な欠陥をもたらすおそれがあります。

 再生可能エネルギーについては、一次エネルギーの供給量ベースで二〇二〇年までに一五%に達するという意欲的な目標を設定しております。その目標を実現するために、二〇一一年までに、再生可能エネルギーの全量を電気事業者に買い取らせる新たな固定価格買い取り制度を創設することを規定いたしました。内閣提出法案の一〇%という目標は、固定価格買い取り制度導入前の八・二%という政府見通しと比べても、決して意欲的な目標とは言えないと考えます。

 その他、税制のグリーン化及び気候変動対策税の創設、燃料転換、火力発電所の排出抑制、トップランナー方式による工場、建築物、自動車等の排出の効率性の向上等の施策も講ずることとしております。

 第五に、本法律案は、化石燃料に依存し、資源を大量に消費する現在の経済社会の構造を大きく転換し、持続可能な社会を創出することを目指すものであります。それと同時に、気候変動対策は、新たな産業及び雇用の機会の創出、産業の国際競争力の強化、エネルギーの分野における安全保障、地域の活性化など、我が国の経済社会の持続的な発展に結びつくものとして推進されるべきものであることを法案に規定いたしました。

 また、気候変動対策の実施に当たっては、国民生活や経済活動に影響を与え得ることは否定できません。そこで、公明党案では、各制度の創設等に当たっては、国際競争にさらされている産業や低所得者などに配慮し、国民生活や経済活動への影響を緩和する制度設計の指針を示しております。これらの配慮措置については、内閣提出法案には規定されておりません。

 このように、本法律案は、我が国の気候変動政策に明確な原則と目標を与える実効性ある内容となっております。

 以上が、本法律案の提案理由及びその概要でございます。

 何とぞ、十分に御審議の上、本法律案に御賛同賜り、我が国の気候変動政策の基本としていただくことを強くお願い申し上げ、趣旨の説明といたします。

樽床委員長 以上で各案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

樽床委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 各案審査のため、来る二十七日火曜日午前九時、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

樽床委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

樽床委員長 次に、連合審査会開会に関する件についてお諮りいたします。

 経済産業委員会において審査中の内閣提出、エネルギー環境適合製品の開発及び製造を行う事業の促進に関する法律案について、経済産業委員会に対し連合審査会開会の申し入れを行うこととし、あわせて、ただいま本委員会において審査中の各案について、経済産業委員会から連合審査会開会の申し入れがありましたので、これを受諾するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

樽床委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 また、連合審査会において、政府参考人及び参考人から説明または意見を聴取する必要が生じました場合には、出席を求め、説明等を聴取することとし、その取り扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

樽床委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 なお、連合審査会の開会日時等につきましては、経済産業委員長と協議の上決定いたしますので、御了承願います。

    ―――――――――――――

樽床委員長 次に、政府参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として環境省地球環境局長寺田達志君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

樽床委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

樽床委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。横光克彦君。

横光委員 民主党の横光克彦でございます。

 内閣提出の地球温暖化対策基本法案、そしてまた自民党案、公明党案の趣旨説明がただいま行われまして、いよいよ本委員会で法案の審査が始まりました。きょうをスタートに、さまざまな議論が本委員会を中心に展開されていくことと思われますが、私はトップバッターとして、政府提出の法案を中心に、自民党案そして公明党案にも質問をさせていただきますので、よろしくお願いを申し上げます。

 地球温暖化問題は、まさに今、人類が直面している深刻な問題でございます。そしてまた、これに対応するためには、地球的な規模で取り組まなければならない重要な課題であるということは申すまでもございません。この地球温暖化問題の重要性を世界的に印象づけたのは、気候変動に関する政府間パネル、いわゆるIPCCと言われておりますが、ここに集う科学者たちが取りまとめた評価報告書だ、こう考えております。

 一九九〇年の八月、今から二十年前でございますが、IPCCは第一次評価報告書を取りまとめました。その内容の趣旨は、もしも何らの規制もせず温室効果ガスの排出量が増加し続けた場合、二一〇〇年には地球の平均気温は三度C上昇するであろう。そしてまた、大気中の濃度を現在のレベルに保つには、直ちに人間の活動による炭酸ガスの排出量を六〇%以上削減しなければならない、こう警鐘を鳴らしたわけでございます。

 この報告書は政策担当者や国際世論に大きな衝撃を与えました。そして、地球温暖化について、国際的取り組みを定めた初めての条約であります気候変動枠組み条約の交渉へとつながっていったわけでございます。

 その後、数次にわたりIPCCの評価報告書は公表されてきましたが、最新の第四次評価報告書では、世界の平均気温が百年間で〇・七四度C上昇したとしております。十九世紀までの約千年の間で地球全体の平均気温が〇・二度Cしか変動していない。つまり、それまでの千年でほとんど変動していないことを考えると、百年間で〇・七四度Cの上昇は大変急激な変化だ、このように考えられます。

 お配りした資料をごらんになっていただきたいんですが、ちょっと小さいので申しわけありません、上の資料は世界の平均気温の変化でございます。温度計による気温測定が始まった一八五〇年以降の動きを示したグラフでございますが、右肩上がりに気温が上昇していることがわかります。特にこの黄色いラインは二十五年という短期のスパンでの気温の上昇率でございますが、非常に大きくなっております。近年になるほど温暖化が加速していることがよくわかります。

 また、下の図は、日本の年平均気温の経年変化ですが、こちらも上昇しております。特に一九九〇年代以降、高温となる年が続出していることがよくわかります。

 このグラフでおわかりのように、まさに地球環境は悪化の一途をたどっていると言っても過言ではないと思うんです。

 このように地球温暖化の問題の関心が世界的に高まる中、昨年九月二十二日に、鳩山総理は、我が国の温室効果ガスの削減目標について、一九九〇年比で二〇二〇年までに何と二五%削減を目指すということを、国連気候変動サミットの場において、世界に向けて発信をいたしました。このことは、世界各国から、また国民からも非常に高い評価と称賛を受けたわけでございます。二五%削減という意欲的な目標を世界に先んじて発信したということは、まさに我が国が世界をリードするんだという気概を示したものであり、大変意義のある、そしてまた勇気のある発言であると思っております。

 あのときの鳩山総理は本当に輝いていたなという気がするのでございますが、しかし、この発言に対しても、何の裏づけもないではないかとか、あるいは先送りではないかとか、骨抜きではないかとか、いろいろ声があるのも事実でございます。確かに、言うはやすく行うはかたしという言葉がございますが、しかし、言わなければ行うことができません。世界に向けて発信した以上、ハードルが高くても、そのハードルを乗り越えていかなければなりません。そして、乗り越えていくために、今般、地球温暖化対策基本法案が閣議決定をされまして、国会に上程をされました。鳩山総理の削減約束を形あるものにするための第一歩が始まったと私は認識をいたしております。

 そこで、小沢環境大臣にお伺いしたいと思いますが、この法案によってどのように地球温暖化対策が進展していくことが期待されているのか。この基本法案提出の意義、そして効果についてお伺いしたいと思います。

    〔委員長退席、山花委員長代理着席〕

小沢国務大臣 温暖化対策の必要性に関しては、今横光委員からお話があったとおりだと思います。共通な認識を持ちながら、ともに作業に力を合わせてきたところでございます。

 この基本法案ができることによりまして、経済活動や国民生活のあり方の転換を促進しつつ世界に先駆けて脱化石燃料化を図っていく、そういった道筋が示せるもの、こう思っております。特に、環境と成長が両立するエコ社会、そういった姿への道筋を示したいと思います。

 また、本法案において、国内排出量取引制度、あるいは地球温暖化対策のための税、全量固定価格買い取り制度などの大きな改革の柱を提示してございまして、そういった政策をこれから具体的に肉づけしていくに当たって、まさにその道筋を示すもの、こう思っているところでございます。

横光委員 今大臣から、脱化石燃料の時代を目指すんだ、あるいはまた、環境と成長が両立したエコ社会の実現に向けた第一歩だというような強い決意が述べられたわけでございます。

 この基本法案においては、我が国の中期目標につきましては、すべての主要国による公平かつ実効性ある国際的な枠組みの構築と意欲的な目標の合意が前提条件として付されております。

 この前提条件に関してでありますが、この四月九日から十一日まで、ドイツのボンにおきまして国連気候変動に関する特別作業部会が開催されました。この会合は本年の年末にメキシコで開催されるCOP16に向けた準備の第一歩となる重要な会でございますが、この会で、一部の報道では、二〇一三年以降の次期枠組みづくりについては年内に最終的結論を得ることは難しいとか、あるいは、次期枠組みのあり方につきましては、米国、中国が削減義務を負っていない京都議定書を今のまま継続するというような話も出たと聞いております。アメリカや中国が入らない枠組みでは効果の上がる温暖化対策には決してならないわけで、非常にこのような流れを危惧しておるわけでございます。

 この特別作業部会には日本の代表団も参加されたわけでございますので、この状況、結果について御報告いただければと思います。

小沢国務大臣 特別作業部会は、今月九日から十一日まで、ドイツのボンで開催をされました。この作業部会におきましては、本年の作業計画、追加会合の回数であるとか期間だとか交渉の進め方、そういったものについて合意をいたしました。

 具体的な合意に関して申し上げますと、COP16までの間に、条約補助機関会合の開催時に加え、これは五月の三十一日から六月十一日でございますけれども、少なくとも一週間程度の作業部会をCOP16までに二回開催する、あるいはまた、AWGLCA議長が、これまでの成果、それはコペンハーゲン合意を含むものでありますけれども、それを踏まえた交渉のたたき台を次回AWGに準備するといったような合意もなされました。

 ただ、今委員からも御指摘がありましたけれども、基本的な構図は、いわゆるコペンハーゲン合意を基礎とすべきという先進国と、それからそれに消極的な一部途上国との意見の相違が目立った、こういう状況でございまして、まさにその違いを埋めていくことが重要かと思います。

 加えて申し上げますと、同じくボンで、五月の二日から閣僚級会合をメルケル首相が呼びかけておりまして、私も、国会が許していただくのであればぜひそれに出席して、そういった意見の相違、違いを埋めてまいりたい、こう思っておるところでございます。

横光委員 次期枠組みづくりは何よりも重要でございますし、今、成果、合意、そういったこともあったという報告とともに、やはりまだ途上国と先進国の間の意見の相違があったということでございます。

 世界でわずか四%しか温室効果ガスを排出していない我が国の総理が野心的目標を発信したにもかかわらず、排出量が世界で一番、二番であり世界の排出量の四割を占める中国やアメリカが削減義務を負っていないという状況でございますが、それはやはりそれぞれの国の発展に影響を与えるから、これが大きな理由であろうと思っております。

 確かに、産業界に影響を与え、経済が停滞する、そういった可能性も否定することはできません。しかし、だからといって何もしないでいいということにはならないと思うんです。先進国も途上国も、すべての国が同じ課題、難題を抱えながら、しかも努力をしている。ですから、目指すところは同じだと思うんです。人類が英知を絞って温室効果ガスの排出量を削減して、低炭素社会を実現して、そして地球を守り人類を守る、これが国際社会に課せられた共通の課題であるということだけは一致していると思っております。

 それだけに、国際交渉につきましては、環境省だけではなく政府を挙げて、米国、中国の参加を確保し、世界全体で温室効果ガスを削減していけるよう引き続きしっかりと対応していくことを強くお願い申し上げたいと思います。

 さて、今後、中期目標の前提条件であります公平で実効性のある枠組みがどのように構築されていくか注視していかなければなりませんけれども、一方で、国際交渉に引きずられることなく、国内における地球温暖化対策の手を緩めてはいけないと考えております。

 そこで、今回の政府の基本法案におきまして、どのような国内対策を講じていくおつもりなのか、お伺いしたいと思います。

小沢国務大臣 国内対策は、先ほど申し上げましたように、大きく、国内排出量取引制度の創設、地球温暖化対策のための税の検討、再生可能エネルギーの全量固定価格買い取り制度の創設を初めとして、先ほど趣旨説明で申し上げました施策を列挙させていただいております。

 今委員御指摘のように、世界的にCO2を削減して温室効果ガスを削減して温暖化をストップさせる、これが最終的な目標でありますけれども、そのためにも日本もしっかりと国内対策をしなければいけない、これも同時に事実なことでございますので、そういった意味でも、国際的なそうしたことに我々としても努力を払いつつ、国内の目標も、しっかりと削減をし、実行していくことが必要、こういうことだと思います。

 具体的には、基本法の第十条四項に、国内対策についてはしっかりと取り組むことが重要だ、国際的な前提条件が満たされることも重要だけれども、同時に国内対策についてもそういったことが必要だということを明記してございますので、そういった精神にのっとって、国内対策は着実に進めていきたいと思っております。

横光委員 さまざまな国内対策の説明が先ほどからありますが、特に、国内排出量取引制度の創設が基本施策の冒頭に位置づけられております。この制度は、温室効果ガスの排出量をコントロールする手法として非常に重要な施策でございます。しかし、温室効果ガスの排出量の限度を定める方法につきましては、総量規制方式と原単位規制方式、この二つの方式が併記されております。

 そこで、原単位方式の検討を基本法案に盛り込んだ趣旨はいかなるものであるかということをちょっとお伺いしたいと思います。

小沢国務大臣 まず、この法案の立案過程におきまして、皆さんからさまざまな意見をいただきました。特に経済界等から総量方式に対する強い懸念が示され、副大臣級検討チームや閣僚委員会においても、そういった意見も踏まえて熱心な議論が行われてまいりました。

 こうした経緯を経て、総量方式を基本としつつ、しかし原単位方式も検討することと決めさせていただいたわけでありまして、そういう意味ではあくまでも総量方式が基本だ、原単位方式も具体的な制度設計に当たっては検討していきますということを決めさせていただいたわけでありまして、現時点において原単位方式を採用するというふうに決めているわけではまずございません。今後、総量を着実に削減していく中で、補足的に原単位をどのように活用できるかというようなこともよく検討させていただき、そして最終的な制度設計をしてまいりたいと思っております。

 その過程において、先ほど前の吉野委員の質問でもお答えしましたけれども、条文の中にあえて国民の皆さんの意見を幅広く取り入れるという条項を書かせていただきましたので、国民各界各層の意見をしっかり踏まえた上で最終決定をしたい、こういう趣旨であります。あくまでも基本は総量規制、こういうふうにお考えいただければと思います。

横光委員 大変な御苦労があったなということがうかがわれるわけでございますが、大臣は、かねてから、産業に与える影響についてはマイナスだけではなくて、環境と成長が両立したエコ社会の実現に向けて頑張るんだということを述べられております。これは私も大変期待をいたしております。

 しかし一方、産業界などからは、国際競争力の低下を招くとか、あるいは雇用情勢が悪化するとか、さまざまな危惧の声が上がっておるのも事実でございます。また、産業界のみならず、当然、国民生活にもさまざまな影響を及ぼすことも考えられるわけでございます。これは、プラスもあればマイナスもある、どちらもあるでしょう。

 しかし、我々の生活あるいは社会に影響を及ぼすものにつきましては、国民にさまざまな情報をすべてオープンにして、そして各界各層の意見をこれからもさらに聞いて、真摯に制度のあり方を検討していくことが必要であろうと考えております。

 私個人は、やはり総量規制、基本的にはきっちりとキャップをかけ、温室効果ガスの排出量をコントロールすることが望ましいと考えてはおりますが、本制度導入により著しく影響を受ける分野がある場合には、適切な配慮を行うことも大切だと考えております。

 そういった意味から、国内排出量取引制度においてどのような配慮をこれから考えていくつもりか、お聞かせいただきたいと思います。

田島副大臣 私の方からお答えを申し上げたいと思います。

 委員が御指摘いただきましたように、今後、国内排出量取引制度の設計に当たりましては、著しく影響を受ける分野を初め、国家国民そして産業界等々への配慮がやはり重要だというふうに考えておるところでもございます。

 例えば、一例でございますけれども、EUにおいては、国際競争力等への配慮としまして、導入可能な技術水準を踏まえた客観的なベンチマークをもとにした排出枠の割り当てを検討するでありますとか、過去の削減努力をしっかりと評価した上で排出枠を割り当てるといったようなことが行われているというふうに伺っているところでございます。

 こうした先例等々もしっかりと調査研究させていただきながら、国際競争力を初め、配慮等については工夫、検討をしていきたいと思っております。

横光委員 いずれにいたしましても、地球温暖化をもたらす温室効果ガスを確実に減らしていくことが何よりも重要であり、そのためには、総量規制あるいは原単位規制それぞれのメリット、デメリットを勘案しつつ、経済社会、産業への影響を踏まえ、適正な制度設計を行っていただきたい、このように思っております。

 まだまだ政府案についていろいろ質問したいことはございますが、自民党案、公明党案についても質問させていただきます。

 まず、自民党案についてお伺いします。

 閣法では、先ほどからお話がありますように、国内排出量取引制度の創設、あるいは地球温暖化対策のための税、再生可能エネルギーの全量固定価格買い取り制度の創設というふうに、地球温暖化対策を行っていく上で実効性があると思われる施策をしっかりと位置づけているんですよ、政府案は。

 ところが、自民党案で規定されております今後十年間の特別行動期間に掲げる施策関連では、二〇二〇年の排出削減に役立つ条文が見当たらないんですね。いろいろ並んでいて、メニューとしては確かにおいしそうですが、例えば国内排出量取引についても、方針の決定のみで骨格は何も示されておりません。

 目標や程度あるいは具体的な施策を明記せずに、単に普及するあるいは推進するという一般的、抽象的な条文が列記されているという印象がするわけでございますが、低炭素社会づくりを行っていくというのならば、やはりそれだけの確固たる決意があらわれた条文であるべきだと考えますが、いかがですか。

齋藤(健)議員 横光委員の御質問にお答えいたします。

 自民党の対策が具体性に欠けるんじゃないかということでございますけれども、我々の法案の中で、委員も御指摘ありましたように低炭素社会づくりの特別行動期間というのを設けておりまして、その行動期間は、二〇二〇年ですから、今から考えますと大体十年間ということで、国民の意識それから産業界の意識、皆さんの意識を、この十年間、大事だということに集中させていこうということで、まず特別行動期間というものを設定しているということですね。

 それから、それに基づいて二十分野挙げておりまして、横光委員おっしゃったような項目ももちろん入っております。そして、その項目の中で、例えば原子力発電、石炭火力発電、それぞれについて、例えば石炭でいえば石炭ガス化複合発電、こういうものを推進しようとか、かなり具体的な項目まで、基本法という性格からすればかなり書き込んだ形になっております。ただ、それらについては、通則ということが特別行動期間の第一節に書いてありますけれども、具体的な施策についてはこれから検討を行って、その結果に基づいて必要な措置を講ずるという、まさに基本法のスタイルを踏襲した形の提案となっている、そういうふうに認識しております。

横光委員 ありがとうございました。きょうは深掘りする時間はございませんけれども。

 次に、公明党案につきましては、中期目標についてちょっとお聞きしたいんですが、前提条件なく二五%削減という高い目標を掲げております。このことは私も確かに評価したいと思います。前提条件をつけずに意欲的な目標を掲げることで主導的な役割を担っていくとのお考えのようでございます。

 しかし、必要があれば中期目標を見直すことができるという条項があります。これでは、日本はいつでも目標を引き下げるのではないか、そういった疑心暗鬼を招いて、その結果、せっかく思っていることが今後の国際交渉において日本がリーダーシップをとることにつながらないというおそれがあると考えますが、その点いかがでしょうか。

江田(康)議員 横光先生から御質問をいただきました。お答えいたします。

 まず、公明党は前提条件なしで二五%削減目標を明示しております。一方で、政府案は主要国による国際的な枠組みの構築と意欲的な目標についての合意という前提条件を付しておりまして、これは国際社会に対して、あなた方がやるならば我々もやるという、いわば待ちの姿勢に立っております。一方で、公明党案というのは何の前提条件もつけておりません。したがって、我々もやるからあなた方もやるべきだという、世界に先駆けて国際社会を牽引しようとする姿勢に立っております。この点においても、どちらのアプローチが主要国に対して説得力があるかというのは明らかではないかと、委員の皆様もお考えをいただきたいと私は思うんです。

 それと、公明党案は確かに見直し条項をつけております。この見直し条項は、公明党案として、国際的動向、最近の科学的知見等を勘案し、必要があると認めるときは有識者委員会の意見を聞いて目標を見直すことができるという構成をとっております。先生がおっしゃるように、結局前提条件つきと同じであり、日本がリーダーシップをとることにつながらないというような御指摘もあろうかというのは承知しております。

 ただ、公明党の見直し条項は、有識者委員会の意見を聞いた上で国会が気候変動対策推進基本法の改正を行う必要があるということを意味しておりまして、政府案の前提条件のように、どのような場合にこの前提条件が満たされたか、どのような手続を経て判断したか、その基準がはっきりとしないで、前提条件が満たされるまでの間、法的に不安定な状態が続くというようなものではないということを御理解いただきたいと思います。

横光委員 今、自民党案、公明党案、それぞれ御答弁をいただきました。ありがとうございます。

 私は、閣法も自民党案も公明党案も、それぞれ、確かに手法は違いますよ、手法は違いますけれども、やはり目指すところは一緒である、地球温暖化問題に真摯に取り組んでいかなければならないという危機意識とか問題意識は共有しているということを感じております。

 地球温暖化につきましては、今現在生きている私たちにとっては、生きるとか死ぬとかそういった問題でもありませんし、それだけにこの重要性というものの実感とかあるいは危機感というものも感じることはなかなか難しい。しかし、百年、二百年先の人たち、つまり我々の子々孫々、後世の人たちは確実に影響を受けることは間違いないと私は思う。ですから、後世の人たちのために今動くしかないと思うんです。共通認識は一緒なんです。

 私は、今回、三法出ておりますが、現時点では内閣提出法案の基本法が最良である、このように確信をいたしておりますので、この法案の一日も早い成立を強く訴えまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

山花委員長代理 次に、斉藤鉄夫君。

斉藤(鉄)委員 公明党の斉藤鉄夫でございます。

 三案が提出をされて議論する、この地球温暖化、気候変動問題は、日本の国の将来の姿を明らかにする議論だと思っております。先ほど横光先生からもお話がありましたけれども、基本認識は共通であるということですので、議論の上でよりよいものにしていくという基本認識でこの委員会での議論を進めていくべきだ、最初にそういう私の認識を申し上げさせていただきます。

 法案の中身の審議の前に、やはり今進んでいる国際枠組み、これは私、大変心配をしております。このことについて大臣に質問させていただきます。

 先ほどもちょっと出ましたけれども、AWGLCA、これは長期タームの枠組み、そしてもう一つ、AWGKP、KPは京都プロトコル、京都議定書の枠組み。この京都議定書の枠組みも、中身を見ますと、将来の話もしております。これは、基本的に京都議定書の枠組みは残し、そこに入っていない人たちでまた別の枠組みをつくっていく、二本立てになるのではないか、こういう心配をしているわけですが、そのことを本会議で質問しましたところ、総理は、すべての主要国が参加する公平かつ実効的な国際的枠組みを構築する新しい一つの包括的な法的文書の速やかな採択を目指すと答弁されました。

 ある意味では一つのものを目指すんだということですけれども、そうでなくてはいけないと思いますが、そのためにどのような戦略を持って臨まれているかをまず最初にお聞きしたいと思います。

小沢国務大臣 斉藤委員の御指摘のとおり、今、二つのAWGが動いているわけでありますが、私どもは一貫して、京都議定書の後、ポスト京都議定書は、当然のことながら、主要排出国が入る一つの法案をしっかりとつくりたい、こういうことを基本にして行動し、かつ発言もしてまいっているところでございます。少なくとも、京都議定書が単純延長するということに関しては、絶対にそれは容認できない、こういう立場を主張しておりますことは、かつて斉藤委員が大臣であったときと全く変わらない、そういう思いでおります。

斉藤(鉄)委員 その基本姿勢で頑張っていただきたいと思います。

 そういう意味で、今回のコペンハーゲン合意をどのように評価されているか。今回のコペンハーゲン合意は、ある意味で、プレッジ・アンド・レビュー、各国が私はこれをやりますと言って宣言をするという段階ですけれども、これが先ほど大臣おっしゃった一つの枠組みづくりの中にどのように位置づけられていると考えられるのか、お伺いします。

小沢国務大臣 これまでの経過に関しては斉藤委員の方が私よりもさらに詳しいのではないかと思うんですが、京都議定書ができ、発効して以降、我が国は、とにかく中国、アメリカという主要排出国が入る枠組みができなければ実効ある温室効果ガスの削減はできないではないか、こういうことを一貫して訴えてきたと私も承知をしているところでございます。

 そういった主張から見ますと、今回のコペンハーゲン合意というのは、曲がりなりにも、プレッジ・アンド・レビュー方式でありますけれども、アメリカも中国もそれを条約事務局の方に提出してきたという点においては、一歩とまで言えるかどうかわからないんですが、その内容にも、若干私も、もう少し大きな目標を出してもらいたかった、こうも思うものですから、半歩は進んだのかなと。少なくとも、立ちどまっているとか後退ではなくて、少し進んだかな、こういうことは言えるんだろうと思います。

 そこから先、さらなる高い目標に変えていっていただくこと、あるいはまた、そういった今の状況を法的な位置づけに高めていくこと、ここが最大の課題だと思っておりまして、そういった意味では、先ほど来私が申し上げているように、このコペンハーゲン合意、ここからスタートして、そしてそれを進めていく、それが大事だ、私は、今こう思っているところでございます。

    〔山花委員長代理退席、委員長着席〕

斉藤(鉄)委員 第一歩である、私もそのように思います。最終的な目標である一つの枠組みづくりにこのコペンハーゲン合意が第一歩となるように、そしてプレッジ・アンド・レビューでとまらないように、ぜひお願いをしたいと思います。

 それでは、法案の議論に入っていきたいと思います。まず基本認識ですけれども、大臣にお伺いします。

 我々の議論の根底には、いわゆるIPCCの科学的認識というものがあると思います。このIPCCの第四次報告書について、最近、いろいろな疑義があるという話が出てまいりました。私は、そういう議論があったにせよ、基本的には科学的信頼性は変わっていないと思っておりますけれども、このIPCC報告書の科学的信頼性が変わっていないという認識をお持ちなのかどうなのか、そしてその科学的信頼性は何によって担保されているか、大臣の御認識をまず伺いたいと思います。

小沢国務大臣 結論から申し上げますと、全くそういった信頼性に関しては変わっておりません。

 それは何によって担保されているか、こういうことに関しては、私は、一つは、これまでの経緯ということで考えたときに、これはもう委員には釈迦に説法なのでありますけれども、千名を超える執筆者チームによる原案作成、二千五百名を超える専門家と各国政府による計三回のレビュー、各国政府による総会での承認、こういった一連のプロセスがあることはもう御案内のとおりでございます。そうしたプロセスを各国が踏むということであれば、当然我が国でもそれなりの対応をその過程の中でしてきているわけでありまして、世界じゅうがそれだけのいわゆる検証を行った上でこのIPCCの第四次報告書が出されている、こういうことだというふうに思っています。

 でありますので、どこか一つの研究所が科学者の皆さんたちと一つの研究成果を発表したということとはまず決定的に違うんだということを、これは委員はもう御存じのとおりでありますが、国民の皆さんにもまずそこを御理解いただきたい、こういうふうに思います。

 二つ目は、そうはいっても、そういった事柄が起こって、報告書に対するいろいろな意見が出されましたので、私もこれは、省内でも、あるいはまた国立環境研究所の皆さんとも改めて検証をしてみました。先ほど来、これは横光先生だったでしょうか、過去のいわゆる気温上昇のデータであるとか、そういったまさにそのIPCCの四次報告を承認するときのデータもずっと検証をしてみまして、やはりそこはそうではないというふうに改めて私としても得心をしたということであります。また、その問題の発端であるイギリス議会も、検証をして、つい先般、そういったいわゆる疑惑というのはなかった、こういう報告書も出しております。

 そういった意味では、先ほど申し上げたように、IPCCに対する信頼は揺るがないというのが私どもの今の見解でございます。

 ただ、個別の事実関係に関しましては、IPCC自体が認めている誤りも幾つかあるわけでありまして、千ページを超える報告書でありますので、若干そういったところもあるのは、これは、そういう御指摘があってそれを変えるという点は、やむを得なかったというよりも、そういう点があったことは事実でございます。

 そういった点に関しましても、IPCCがそういったものを出したときは、今、環境省のホームページで翻訳して即座に国民の皆さんにお伝えをしておりますのと同時に、またIPCCのパチャウリ議長ともいろいろ連携をとりながら今やらせていただいているということでございます。

斉藤(鉄)委員 自民党提案者にお聞きいたします。

 IPCC報告の科学的信頼性ということは揺らいでいない、その認識は御一緒だと思います。その上で、自民党案では前文で、「地球温暖化が進行した場合には、自然環境、人の生命及び健康並びに経済社会に及ぼす影響が深刻化する可能性が高い」、このように書いてありますけれども、具体的にいつごろどのような影響があると考えておられるのか、また日本についてはいつごろどういう影響があると考えているのか。また、前文に、安全保障の問題である、そういう御認識ですけれども、なぜ安全保障の問題なのか。この点についてお伺いします。

塩崎議員 お答え申し上げます。

 今、斉藤先生お尋ねのように、IPCCがいろいろ分析をされていることは、我々も認識は同じで変わっていない、先ほど大臣からも答弁あったところは共通の認識を持っていると思います。

 そこで、影響がいつどのような形で出てくるのか、こういうことでありますけれども、それはいろいろな研究者の見方があるということは当然のことだということで、正確にいつ、どうということを特定するのはなかなか難しいというふうに思いますけれども、もう既に、洪水であるとか高潮であるとか干ばつであるとか、そうではないのかということが指摘されることは多々起きてきているわけであります。

 それから、私は愛媛県で、きょうは山本公一先生もおいででありますけれども、かんきつ農業でも品種が随分変わっている。米もそうですけれども、随分日本でも変わってきて、かんきつの栽培の北限というのがだんだんと変わって、そのうち佐渡島ぐらいまで行くんじゃないかと言われているぐらい変わってきた。そうすると、つくり方、手入れの仕方がすっかり変わってきてしまっているということを現場の農家の方々からもお話を聞いているわけであります。

 ですから、そういうことで、既にもういろいろな影響が出てきている、そしてこれからもさらにそれが続いていく。もちろん、水没をする島というのも象徴的にあるわけでありますが、そういうことを踏まえた上で、早く手を打たなければいけないということで、今日我々が行動することで、将来の地球をどう守れるかということが決まってしまうということだろうと思います。

 安全保障の問題というのは、よくクライメートセキュリティーという言葉が最近使われるようになりました。我々、低炭素社会づくり推進基本法という名前にしたのは、単に地球温暖化ということではなくて、いろいろな変化が今申し上げたように出てきて、社会が変わっていかないといけないし、変わりつつある。そういう中で、我々は一体低炭素の社会をどう再構築していくのかということをやろうということで、そのときに、基本はやはり人間、今までヒューマンセキュリティーというのはありましたが、これに準じてクライメートセキュリティーという言葉が使われて、食料問題、エネルギー問題、そういった問題から始まって、人間の暮らしにかかわるさまざまな問題が出てきてその安全が脅かされる。そういうことを考えてみれば、このクライメートセキュリティーという観点からもこの問題をとらえていかなきゃいけないんじゃないか、こういうことだろうと思います。

斉藤(鉄)委員 公明党案では気候安全保障という概念が用いられておりますが、これはどういう意味ですか。

江田(康)議員 今御指摘ありましたように、公明党案では、国際社会で提唱されております気候安全保障という概念を導入しております。

 この気候安全保障というのは、気候変動による甚大な影響を、世界の国や企業、団体、個人に対する脅威と認識して、気候変動を安全保障上の問題としてとらえるというものでございますけれども、気候変動というのは単なる環境問題ではございません。人類の生命、生存にかかわる問題であるとともに、気候災害による飢餓難民の発生により、世界の安定化への潜在的な脅威となることが認識されております。食料問題とかエネルギー問題、またテロといった地球規模で起こる脅威の一つであるとともに、大きな影響を及ぼすという意味で脅威の中心に据えられるべき問題である、そのように認識しております。

斉藤(鉄)委員 自民党案、公明党案では安全保障という言葉が使われているんですが、大臣、政府案には安全保障という言葉はありませんけれども、今の議論を聞いてどのようにお思いでしょうか。

小沢国務大臣 あえてそういう言葉は用いておりませんけれども、今の各党の皆さんの御説明を聞いて、全く思いは同じだ、こういうふうに思っておるところでございます。

斉藤(鉄)委員 次に、長期目標、中期目標について議論したいと思います。

 大臣、長期目標八〇%、中期目標二五%、この科学的根拠は何でしょうか。

小沢国務大臣 もう委員も御案内のとおり、IPCC第四次報告書の分析結果によりますと、二度Cに気温上昇をとどめるためには、温室効果ガス濃度を四四五から四九〇ppmとする必要があり、そのためには、先進国全体の排出許容量は二〇五〇年に八〇から九五%削減する必要がある、そういうIPCCの報告書をベースに考えております。

 二五%削減の中期目標は、このような科学的知見に基づきまして、主要排出国に積極的な取り組みを促すためにすべてのそういった国に必要だ、こういう数字の中で、我が国としては、二五から四〇%削減の中で、科学の要請の中では二五%という最も小さな数字ではありますが、我が国のエネルギー効率の各国との比較を考えればかなり高い目標、こういう位置づけで決めさせていただいた数字でございます。

斉藤(鉄)委員 公明党案では二度C目標が掲げてございますが、この二度C目標は何から帰結されるんでしょうか。

江田(康)議員 これは、ラクイラ・サミット首脳宣言とか、昨年十二月のコペンハーゲン合意で確認された、人類を危険から守るためには、産業革命前の水準から、世界全体の平均気温の上昇が摂氏二度を超えないようにするべきとの世界共通の認識に基づいて公明党案に規定しているところでございます。

 政府案には二度Cに抑えるとの目標は書かれておりませんが、政府案が規定する基本原則等が、科学の知見に基づいた施策の原理原則が見えてこないものになっているのは、その原因の一つに二度C以内の目標の欠如があるのではないか、そのように重要に思っております。

斉藤(鉄)委員 長期目標八〇%は基本的に大気中の温室効果ガス濃度を安定させるため、そして二五%の中期目標は早期にピークアウトを起こして二度C以内に温度上昇を抑えるため、このように私は認識をしております。

 そういたしますと、長期目標八〇%、中期目標二五%というのは、ある意味で二度C目標ということで整合性がとれてくるわけで、そういう意味では、二五、八〇、両方政府案にはあるわけですけれども、それを統合する概念として二度C目標を掲げた方がいいのではないかと私は思いますが、大臣、いかがでしょうか。

小沢国務大臣 これは、全く思いは同じだ、こう思っておりまして、あえてここで書かなかったということに関しましては、本会議で総理も答弁をさせていただきましたけれども、まさにそれが大前提になっているということの中で、気候系に対して危険な人為的干渉を及ぼすことにならない水準において大気中の温室効果ガスの濃度を安定させることが人類共通の課題であるということを明示している中に二度Cも含まれている、そういうことだというふうに総理は答弁されましたけれども、私もその思いでございます。

斉藤(鉄)委員 早期のピークアウトの必要性と、それからIPCC、科学の要請によるんだということを明確にするためにも二度C目標を入れるべきだ、こういう強い意見があり、我々もそう思いますが、二度C目標を書き込む御用意はないでしょうか。

小沢国務大臣 今のところ、あえて書き込む必要はないのではないかというふうには思っておりますが、委員のおっしゃる意味も十分わかるところもございます。国民の皆さん方にそういったところをはっきりとお示ししていくことは必要かなというふうに思って聞かせていただきました。

斉藤(鉄)委員 これから議論を進めていきたいと思います。

 次に、これも本会議で質問させていただきましたが、前提条件の話です。

 先ほど公明党提出者の江田さんから話がありましたように、前提条件は、あなたがやれば私もやるという考え方で、やはりおかしいのではないかと。私がやるからあなたもやろうという方がリーダーシップが発揮できるのではないか。その上で、先ほどありましたようなきちんとした手続を経ての見直しという方が自然なような気がいたします。

 前提条件をつけた方が主要国の背中を押せるというふうにおっしゃっていますが、逆じゃないでしょうか。大臣、いかがでしょう。

小沢国務大臣 考え方の違いなのかもしれません。

 ただ、この目標は、実は現場で交渉をしておりますと本当に使い勝手がよくて、相手の国といろいろ話をするときには大変使い勝手がいいな、こう私は実感をしているところでございます。そういった意味では、先に二五%とそのまま決まっているよりも、交渉の中では、だから一緒にやろうよ、こういう話は極めて使いやすい条件になっているのも事実だと思っています。

斉藤(鉄)委員 私はちょっと別な実感を持っておりまして、途上国のカウンターパートと話をしたときに、まず日本が野心的な方向を示せ、それが先進国としての責任である、だったら我々途上国も考えるという反応でした。そういう意味では、まず我々は二五%をやるんだということを言った方が、特に途上国の背中を押せるというのが私の認識です。

 それと、この間の答弁では、一つの枠組みができるまで二五%目標というのは規定されないわけなんですね。そういう規定に法律がなっております。でも、二五%の目標がなくても、長期の八〇%目標があるから低炭素社会を目指す方向性は変わらないんだ、こういう御答弁だったわけですけれども、それはちょっと違うんじゃないかなと。

 やはり二〇二〇年に二五%を目指すという社会の努力と、二〇五〇年に八〇%削減を目指す努力、十年先と四十年先ですから、やはり社会に与えるメッセージが随分違ってくると思いますけれども、そこの点についてはいかがでしょうか。

小沢国務大臣 二五%は国際的合意というのが前提条件になっておりますけれども、しかし、同時に八〇%の長期目標があり、なおかつ、日本としての責務として、国内政策として二五%を目指していくという話は、これは本当にやっていくべき話だろう、こういうふうに私は思っているわけであります。

 ですから、斉藤委員のおっしゃるように、もし国際的合意がなければ日本が自動的にこの二五%をやらないんだという話もまたないわけであります。あくまでも、特に私、環境大臣の立場からいえば、まさに人類の課題としてはやっていかなければいけない、こう強く思っているところでございまして、斉藤委員がおっしゃるように、国際的合意がなくなれば二五%というのが吹っ飛んでしまって何もなくなってしまうという話には必ずしもならない、私としてはこう思っておるところでございます。

斉藤(鉄)委員 あともう一つは、やはり社会に発するメッセージ、日本の決意。我々はこういう国をつくろうとしているんだというメッセージがあるからこそ、個人も会社も企業も投資家も、一つの社会を目指しての大きな経済活動ということになってくると思います。まさに大臣が出されたロードマップの基本だと思うわけですね。その基本が法律上はいつまでもなかなかできないということでは弱いものになるんではないかな、このように思います。この議論はまたさせていただきます。

 自民党提案者にお聞きいたします。

 自民党案の第四条、「最新の科学的知見及び予防原則に基づき、中長期的な目標」を定めると書いてございますけれども、この九〇年比八%というのはどのような最新の科学的知見に基づいているのかということをお伺いします。

塩崎議員 先ほど来お話が出ているように、IPCCにもいろいろな知見があって、マイナスの二五から四〇ぐらいにやはり先進国としてやるべきじゃないか、こういう話があることはよく理解をしているところであります。

 ただ、この数字が一体何を意味するのかということ、それから、政府案にしても公明党案の二五にしても、何をもってその数字としているのかということが明らかでないところもございます。それは何かというと、いわゆる真水というものであって、我々は、今回の基本法では、昨年、斉藤議員が大臣をお務めになられていたときに、二〇〇五年比マイナス一五、今お話があった九〇年比でいえば八%ですけれども、この数値を出したのはいわゆる真水と呼ばれているものであって、今回はそれを私たちは入れたわけであります。

 したがって、いわゆる世の中で中期目標と呼ばれているものとは性格を異にするものであって、我々としては、昨年、斉藤議員も大臣として御貢献をされた、一四プラス一にするための根拠というものは積み上げをしてつくったはずでございますので、私もそれは拝見をしておりますけれども、その上に一%上乗せしてやったということでございます。

 その前の、何を前提にというのはいろいろございますけれども、それは基本的な、考慮に入れるべきものは、長期目標、そしてやはり早くピークアウトするためにも中期目標を設定するということで、それは同じような認識でもって設定をいたしましたが、問題は、最終的に国の中期目標とするのは、真水プラス国際交渉で決まってくる数字の間についてもどうするのかということを明示して初めて意味があるものになるんではないかなというふうに考えております。

斉藤(鉄)委員 この九〇年比八%、〇五年比一五%というのは、いわゆる我々が議論している二五%中期目標とはベースが違うというのはよく理解をしております。しかしながら、真水八%というのは、自民党案では、早期に低炭素社会を実現するため特別行動期間十年間を設けた、その十年間で九〇年比八%というのは、科学的にも経済的にもちょっと消極的に過ぎるんではないか、このような感じがするんですが、いかがでしょうか。

塩崎議員 先ほど申し上げたように、これは斉藤議員も御一緒におつくりになった一四%プラス、太陽光などをあと十兆円分ぐらい上乗せして、一%上乗せしてということでつくったものであって、時の内閣で決めたものは、やはり責任ある政治ということでは一貫性を持たなきゃいけないので、選挙の前に言うことと違うことを言う政党とはちょっと違うということを示すためにも我々はこれを一貫して出しているということでありますので、斉藤議員にもぜひ御理解いただきたいというふうに思います。

斉藤(鉄)委員 正直申し上げて、そこを言われると私も弱いところがあるんですが、当時、閣内で大変な激論、議論があったことは確かでございます。この八%、本当に一つ一つ政策と技術を積み上げて出した数字でございました。そのこと自体は非常に根拠のある数字だと思っております。

 これに国際貢献分を含めて中期目標ということになるわけですけれども、真水ということで考えますと、当時、与党の中で、国際貢献分は富の流出以外の何物でもないという強い意見がありました。私はそれに真っ向から反論をして、そうではないという議論をしたんですけれども、ちょっとここはこういう議論になってきちゃったので、通告しておりませんが、やはり国際貢献分を自民党案では余りに過小評価され過ぎているんではないでしょうか。それも含めて中期目標を、案を示すという方がいい自民党案になったんじゃないかと私は思いますが、いかがでしょうか。

塩崎議員 先生、立法府と行政府がありますよね。我々は立法府でありますから、法律をつくる。国際交渉をするというのは、外交は、もちろん最終的には条約を批准するのは国会ですから、予算と条約で、政策は全部裏打ちを立法府がする。だからこそ国権の最高機関であるわけでありますが、我々が法律をつくって行政府を縛るというのは、やはりある程度我々としては、これだけは少なくとも行政府がやらなきゃいかぬというところを示す。それはまさに、今の問題でいえば、真水で、国内の経済でつくり出す分についてどうなのかということで、マイナス一五というのがあるんだろうと思うんですね。

 ですから、それはそれでいいんですが、基本法、立法府として行政府に要求を突きつける際の、要求というか指示をするんですね、法律でもって。行政府はそれに従わなきゃいけないわけですから。あとは国際交渉でもってどうするかという問題だから、我々は真水だけを決めているということで、この法律に真水の数字を去年は入れていなかったんですけれども、基本法だから一切合財政府がやればいいということだったんですけれども、去年マイナス一五ということを明確に先生なんかと一緒に言ったということで、さっき申し上げたように連続性を入れるために、一気通貫にするためにやはりマイナス一五だということです。

 そこで、国際貢献について評価していないじゃないかということでありますけれども、別に評価していないと我々の基本法に書いてあるわけではございません。

 それは何かというと、CDMを買ってくる際に、日本が海外で、例えばどこか中国に行ってクリーンコールの発電をつくって、それが国連に認められてCDMになって、それを言ってみれば日本の削減分にカウントするということであれば、これはかなりストレートに国際貢献分ということで評価できると思うんですけれども、多分、当時あった議論は、あるいはまだ今でも世の中にあるのは、全くこちらが海外で貢献していないけれども、足りないからただ金だけ出して買ってくるというのは、やはりちょっと志が低いのではないのかということは私は言えると思うんです。

 ですから、先生のお気持ちはよくわかっておりまして、買ってくること自体が悪いわけじゃなくて、世の中、世界じゅうで、要するに先進国を中心にマイナス二五―四〇の貢献をせいということでありますから、それがCDMであってもあるいは国内であっても変わらないということは言えると思いますが、できる限り日本の技術も使って貢献したものでやってくるというCDMが私は望ましいと思いますので、恐らくそんな気持ちで、国際貢献分についてというお話が今出てきているのはそういうようなことだろうと思うので、決して否定していることではございません。

斉藤(鉄)委員 この真水と国際貢献分の問題については、ちょっとまたじっくり議論したいと思います。

 長期目標は安定化させること、フラットにさせること、中期目標はやはりできるだけ早くピークアウトさせることだと思いますが、公明党は、ピークアウトについてどうとらえておりますか。

江田(康)議員 早期のピークアウトの必要性をこの法案でも規定しておりますが、それは、IPCCの第四次報告書には、これまで評価した最も低い水準、四五〇ppmに大気中の濃度を安定させるためには、世界全体の温室効果ガスの排出量を今後十年から十五年の間にピークアウトさせる必要があるという指摘がございます。これに従って、公明党案におきましては、温室効果ガスの排出を早期にピークアウトさせることが大きな目的として、したがって、それを根拠として中期目標を二五%と、しかも前提条件のない目標として規定しているところでございます。

 このことによって、問題を先送りにしないで、革新的技術ができるまで待つとかそういうものではなくて、やはり利用可能な技術を最大限活用して速やかに気候変動対策を実施すべきことを基本原則に盛り込んでおります。

斉藤(鉄)委員 早期のピークアウト、そのための早期対策という考え方だということはよくわかりました。

 それでは次に、ちょっと細かい話になりますが、温室効果ガスの排出の定義ですけれども、公明党案では、いわゆる直接排出に着目をして、温室効果ガスの排出とは直接排出であるということを定義しております。

 直接排出というのは、例えば火力発電所でつくった電気を我々が使ったときに、直接排出という観点から見れば火力発電所からだけCO2が出ているわけで、我々が電気を使ったからといって、我々からCO2が出ているわけではありません。この場合、火力発電所に一〇〇%CO2排出の責任がある、これが直接排出の考え方。しかし、間接排出は、それを我々が使ったわけですから、使った分だけの責任は我々にある、これが間接排出の考え方です。

 直接排出に特に着目をしている公明党案、これはなぜでしょうか。

江田(康)議員 今御指摘のように、公明党は直接排出に着目をしております。

 本来、直接排出と間接排出とを明確に区別して考える必要があるということを申し上げておるわけで、それは、先ほども斉藤委員がおっしゃいましたように、例えば発電所で見れば、直接排出では三三%を占めているけれども、間接で見ると六%ぐらいになっちゃう。また、家庭で見ると、間接排出が一三%、そして直接排出では四%。間接排出で見ていくと、実際にCO2を排出しているその現状を真に把握することができない。したがって、有効な温暖化対策、気候変動対策を行うことはできない。

 やはり直接排出をしっかりと見て、その上で、直接排出と間接排出を区別してトータルで見ていくことがまた大事であるという考えに基づくものでございます。

斉藤(鉄)委員 直接排出で見れば、省エネ法で言うところのいわゆる大口排出者で七割を占めているということで、まずそこに着目する方が政策効果が出やすいということかと思います。

 そういう意味で、その七割の大口排出者に対しては国内排出量取引制度で、そして、その他の非常に把握しにくい細かいところ、いわゆる間接排出者というんでしょうか、そこに対しては、例えば環境税、気候変動対策税というような形の、取引制度と税のポリシーミックスが有効、こういうふうに公明党は考えているというふうに私は理解しておりますけれども、この点は、江田さん、いかがでしょうか。

江田(康)議員 今、斉藤委員がおっしゃいましたように、火力発電所を初め、大口排出事業所が温室効果ガスの排出の約七割を占めている、こういうような実態を踏まえて、国内排出量取引制度においては、この大口排出事業所を対象として創設することにしております。一方で、この対象外となる小口の排出者につきましては、気候変動対策税によって排出抑制を図っていく。もちろん、排出量取引と気候変動対策税について、二重に負担がかからないように税の還付措置等をとっていくというような配慮も十分必要だと思っております。

 こういうようなポリシーミックスの考えによって社会全体で排出抑制を進めていくということが可能になると思っておりますので、こういう国内排出量取引制度と気候変動対策税のポリシーミックスという考えが大変重要、そのように考えます。

斉藤(鉄)委員 それでは、国内排出量取引制度の議論をしたいと思います。

 大臣は先ほど、横光委員の御質問に対して、基本は総量である、しかし原単位方式も考えると。先日の本会議では、原単位方式は成長産業に適用というふうな答弁があったかと思いますけれども、どこを成長産業と定義するかというのも非常に難しい問題ですし、炭素をコスト化するということから考えれば、やはり総量規制ということが原則ではないか、このように思いますが、この点、いかがでしょうか。

小沢国務大臣 まず、排出量取引と税の問題で、今の斉藤委員と提出者の江田先生との議論、大変興味深く聞かせていただいておりました。

 基本的に、大口は排出量取引で、いわゆる個人の皆さんたちには税で、こういうような考え方の整理というのは、私もドイツ初めEUの皆さんたちが割とそういう考え方だというのはよく承知していて、一つの考え方の整理として極めて有効な考え方だ、こういうふうに思っております。

 しかし、それぞれの国に特徴もこれまたあるわけでありまして、今の御質問にも関係するわけでありますが、先般の先生からの質問の中で、先ほど申し上げたように、総理がいわゆる成長産業というような話に言及をされた答弁があったのは、私も承知をしているところであります。なかなかそういった定義は難しいぞ、こういう御指摘は確かにそのとおりだと思います。確かに、議論の中で、そういった成長産業に対する扱いをどうするのかといったところを政府の中でも真剣に議論をいたしました。

 しかし、先ほど私の答弁でも申し上げましたように、まだ原単位のところをどこに対応するかという話は決めているわけではございません。考え方としてそういう考え方がベースにあって今回のような法案の形になった、こういうことでありますけれども、具体的な制度設計は、あくまでも、いわゆる上限規制を基本として、そして原単位も加味して考えていく、こういう話でございます。

 また、大口の電力の話に関しましては、これは、先ほど申し上げました日本の特性ということでいいますと、アメリカ、ヨーロッパにはない供給義務が課せられているというところが私は大きいかと思っております。でありますので、電力を売ってくれと言われたときに、もうこれ以上は売れないんだということを日本の電力会社が言えないという点をどういうふうに考えるかということも考えなければいけない、こう思っております。

 そういった意味では、また冒頭の話に戻りますけれども、斉藤委員の整理というのは本当にすっきりした整理だと思いますが、なかなかそれどおりにすべて当てはまらないことも各国事情においてあるのではないか、こうも思っているところでございます。

斉藤(鉄)委員 今の大臣のお話も説得力があってよくわかるんですけれども、例えば今回、コペンハーゲン合意、中国が中国の国家目標というものを提出いたしました。それはまさに原単位方式で、たしかGDP当たりで四〇ないし四五%、二〇二〇年までにこれを削減するということだったわけですが、我々はそれに対して、また中国が原単位目標でやるということに対して、それでは総量の目標にならないから非常に消極的過ぎるのではないかといって、非難とまでは言いませんけれども、そういう意見表明をしてきたのに、その日本が、我が自国内の産業には原単位方式、例外的だけれどもといって設けるのは自語相違ではないかという指摘もありますし、かつ、これからの国際交渉の中で日本の立場を弱くするのではないかという指摘もありますが、この点についてはいかがでしょうか。

小沢国務大臣 まさに、そういう議論を積み重ねて、最終的な、我が国に本当にふさわしい効果的な排出量取引制度を決めたい、こう思っているところでございます。

 この議場にいらっしゃる皆さんたちにおいても、例えば民主党の議員の中でも率直に申し上げて一様ではないところもあるわけでありまして、そういった意見を、これから国民各層の意見を積み重ねてこの排出量取引の制度を決めていかなければいけない、こういうふうに思っています。

 ただ、中国の例をお挙げになって、日本がそれで原単位みたいな話を一部でも認めると説得力がなくなるのではないか、こういう話に関しては、それはそうではなくて、国際交渉の中でいわゆる総排出量という話を約束していくことになるわけでありますので、あとは、そこは国内の事情に応じた制度設計ということで、そこの国際交渉としての立場はそんなに弱くはならないのではないかと思っておりますのが一つ。

 それからもう一つは、排出量取引制度に関しては、この委員会でも実は答弁をさせていただいたことがあるんですが、ややイデオロギー論争的なところがあって、要は、総量規制でやらなきゃだめだとおっしゃる人と、そんなものは無理だから原単位でやるんだという話がぶつかり合うんですけれども、では、現状どれだけ総量規制でカバーできるか。全部一〇〇%総量規制でいったとしても、日本の排出量の全体をカバーできるかというと、恐らく五割とか六割くらいなんではないか、こう思うわけですね。そうすると、五割とか六割のところで、それが例えば二、三%原単位でもし抜けたとしても、それがそんなに決定的なんだろうかとも思うわけであります。

 一〇〇かゼロか、こういう話であればもちろんそういう議論はあり得ると思いますが、私は、そういう意味では、そこのところはややイデオロギー論争的になり過ぎているのではないかな、もう少しフレキシブルに日本的な制度というのを考えてもいいのではないかな、こういうふうに思っているところでございます。

斉藤(鉄)委員 きょうは金融庁の田村政務官に来ていただいておりますが、御質問したいと思います。

 原単位方式は、いわゆる目標達成の可否が期末まで確定せず、そうですね、いわゆる効率をいうわけですから、ある一定期間が終わらないと計算できない。排出枠の取引が期末に集中するという欠陥を持ちます。したがって、排出削減コストを社会全体で最小化するための取引の機会が限定され、取引が一定期間に集中するという弊害がございます。そのために、取引価格の乱高下も危惧される。

 さらに、将来、世界全体で削減効率の最大化を目指して世界の排出量取引制度がリンクする際、総量方式と原単位方式ではリンクが不可能となるという指摘もございます。日本は世界のカーボンマーケットから取り残され、東京市場の地位が一層低下するおそれがある。こうした点は金融政策の観点からも問題ではないかという指摘がございますが、この点について金融庁のお考えをお聞きします。

田村大臣政務官 お答えいたします。

 金融庁といたしましては、一言で申し上げますと、排出量取引制度につきまして公正かつ円滑な取引が確保される、そういう観点から、現在さまざまな角度から研究を進めているところでございまして、委員が御指摘の問題を含め、今申し上げた観点からのさまざまな課題について提起をしながら、政府全体の議論に貢献をしたいと考えているところです。

斉藤(鉄)委員 では、これから議論するということでしょうか。

田村大臣政務官 いえ、既にそこは政府全体で議論している中で金融庁もそこに加わっているわけでございまして、今までもその議論に加わっております。ただ、まだトータルにあらゆる問題点をすべて把握しているという段階には金融庁の視点としてもございませんので、そこは、引き続き研究もしながら、議論にも貢献をしていきたいと考えているところです。

斉藤(鉄)委員 これは、これからの世界の大きな枠組み、また日本の国益がかかった仕組みですので、しっかりいい制度をつくり上げていかなきゃいけないと我々も思っております。

 それから、温暖化対策と経済の話について自民党にお伺いします。

 自民党案の前文では、産業構造の変革によって低炭素社会を実現することが必要としておりますが、具体的にどのような産業構造の変革を考えていらっしゃるのか、お伺いいたします。

塩崎議員 我々、基本法で特別行動期間というのを設けておりますが、言ってみれば、その中に触れているところはすべて産業構造にかかわる問題だと思います。

 いずれにしても、低炭素な社会をつくっていく、そのときに、今ある産業が低炭素になるということと、新しい産業をつくる際に低炭素でいけるのかどうかということも考え、いろいろ成長戦略というのが今考えられていますけれども、そんな中でも、今までのように、二酸化炭素をただで出す、そういう時代では全くなくなったわけでありますから、炭素に価格をつけるというのが、あらゆる産業に制約はかかってくる、先生も恐らく同じ考えでおられると思いますけれども。そういうことになれば、当然、コストエフェクティブな産業構造にしていかなければならないということになるんだろうというふうに思います。

 一つ一つ取り上げていけばいろいろ切りがないぐらいたくさんのことがありますが、基本的な考え方はそういうことであって、そうなると、今、我々が何をすべきか。先ほど来、マイナス二五か一五かとか、ピークアウトの時期等がいろいろありますが、数字のコンテストをやってみてもしようがないのであって、実際にどういうことをやって産業構造を変えていくのかということが大事だと思います。

 そういう意味では、暫定税率をやめるというようなことを民主党がおっしゃりながら、一方でマイナス二五というふうに言っているというのは、実は、これは産業構造的にも非常にわかりづらいことではないかというふうに思っています。

 高速道路をただにするというのもまたこれは産業構造にかかわってくることであって、モーダルシフトというのを我々は基本法の中で言っておりますけれども、かつては、自動車から船に、あるいは個人の運転する自動車から公共交通機関にということで、公共交通機関のカーボンエフェクティブなものをつくっていくということが恐らく低炭素社会の産業構造として必要なものなんですが、今、高速道路をただにすると言っているのは、むしろ、個人あるいは個人以外も自動車を使えということになるわけであって、自動車を使うならばカーボンエフェクティブなものであることを前提にやっていかなきゃいけないのに、それ抜きでやっているというのは、言っていることとやっていることが違うことになっているなというふうに思う。

 我々は、やはり産業構造を考えるときには、これからは、カーボンエフェクティブなコストをよく考えてつくり直していくということをやっていかなきゃいけないので、今いろいろ出ている政策メニューについて、政府のものについてもそういった観点から仕分けをしていった方がいいんじゃないかなと私は思っております。

斉藤(鉄)委員 もう時間があと一分弱のようですので、最後に二つだけ一遍に質問します。

 同じ質問ですけれども、政府案の第一条にも社会経済構造の転換ということが書かれております。これをわかりやすく端的に大臣にお話しをいただきたいのと、公明党は地球温暖化対策と経済の関係についてどのように考えているのか、最後にお伺いいたします。

小沢国務大臣 まず、先ほども趣旨説明で申し上げましたが、我々は脱化石燃料社会を目指しておりまして、そういった意味では、社会構造、まさに、産業革命以来のエネルギー構造が一〇〇%変わる、こういうふうに思っておりますし、そうした中で社会的には何が起こってくるかというと、ゼロエミッション住宅や次世代自動車の普及等によって日々の暮らしのあり方が変わると思っておりますし、また、いわゆる地域暖房システム等を推進してまいりたいと思っておりますので、地域全体のあり方も変わってくる。そういった意味で、日本の社会は一変するのではないか、こう思っております。

江田(康)議員 我々公明党は、化石燃料に頼らない経済社会構造を世界に先駆けて築くということによってのみ、我が国の経済は活性化して、世界のリーダーたり得ると考えております。

 そこで、公明党案でも、化石燃料に依存して資源を大量に消費する現在の経済社会の構造を大きく転換する、そのことで持続可能な社会を創出することを目指すものであります。

 それと同時に、気候変動対策というのは、新たな産業及び雇用機会の創出、産業の国際競争力の強化等々、我が国経済社会の持続的な発展、成長に結びつくものとして推進されるべきものであると考えております。

 また、気候変動対策の実施に当たって、国民生活とか経済活動に影響を与えるということも否定できません。このことについても、やはり制度設計をするに当たって、国際競争にさらされている産業とか低所得者、国民生活に配慮して影響を緩和する、そういう制度設計の指針を明確にこの基本法には設けておるわけでございまして、そのような経済と、また環境が牽引していく経済というものをしっかりとつくり上げていくのが低炭素社会の構築である、そのように思っております。

斉藤(鉄)委員 終わります。ありがとうございました。

樽床委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時七分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

樽床委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。小林千代美君。

小林(千)委員 民主党の小林千代美です。

 久しぶりに質問に立たせていただいております。

 午前中から質疑を聞いておりまして、特に、先ほどの斉藤前環境大臣と自民党の法案提出者の方々のやりとりというのは、聞いていて大変興味深いものがありました。ひょっとしたらそこのところに物事の本質はあるんじゃないかなというような気もしながら、質問を聞いていたところでございます。

 今回は閣法、自民党の法案そして公明党の法案と三つ出てきているわけでございますけれども、私の個人的な印象では自民党の法案と公明党の法案と、その真ん中にあるのが政府の法案なのかなというような気がしているところでございます。

 環境委員会は、よく使われている言葉ですが、やはり与野党を超えて一つの問題にしっかりと取り組んでいかなければいけないというところは共通の理解だと思いますし、温暖化対策というのは今になって始まったものではありませんし、この間も、京都議定書を初め、その後の取り組みというものがあったわけでございまして、しっかりと一つの究極の目標に向かって、皆さんで一緒に議論をつくり上げていきたいなというふうに思っております。

 本日は、政府提案の地球温暖化対策基本法案、そして自民党が提出をされました低炭素社会づくり推進基本法案について質問をさせていただきたいと思います。公明党の提出された法案は、時間があれば次の機会にぜひ質問をさせていただきたいと思っております。また後ほどよろしくお願いします。

 政府提出の法案の中期目標二五%という数字は、何も今ここで出てきた話ではございませんで、民主党が野党の時代の、二年前になりましたか、二〇〇八年のときには、民主党案として議員提案で、参議院ですけれども提出をしたものでございます。そのときにも中期目標は一九九〇年比で二五%減ということを書き込んであったわけでございますし、それに基づいて、私たちもマニフェストを衆議院選挙に向けてつくり、衆議院選挙を戦い、そして、それがもとになりまして今回の政府案というものも出てきたというふうに私も認識をしているところでございます。

 鳩山政権が誕生いたしまして一週間もたたないうちに、国連での鳩山総理の初デビューがございまして、あのときに世界から大変大きな称賛を受けたことを私も大変誇りに思った次第でございますし、本当にあのときの鳩山総理のお顔は生き生きしていたなというふうに思うところでございます。難しい国際舞台の交渉事というのは幾つもあると思いますけれども、ぜひとも、今後とも鳩山総理には数々の国際舞台で大きな役割を果たしていっていただきたいと思っているところでございます。

 その後に、コペンハーゲンでCOP15の会議があったわけでございますけれども、それ以前の国連の会合の中でも、鳩山総理は、コペンハーゲンにおきまして大きな役割を果たしたい、コペンハーゲンの成功のために尽力をしたいと考えているというふうに、これは国連の気候変動首脳会合、九月ですけれども、ここで発言をしていらっしゃるわけでございますし、私たちもCOP15の成功に向けて大変大きく期待をしたところでございました。

 COP15の評価というのは多々あるところだと思いますし、その評価の仕方というのも大変難しいところがあると思います。その中で、日本は、高目な数字を掲げて、世界をリードしていこう、引っ張っていこう、きっとそういうような戦略でこの会議に向かったものと思われますけれども、残念ながらそのような結果にはならなかったのかなというような気もいたしております。

 まず大臣に御質問をしたいんですけれども、COP15、いろいろな評価があります。一つの新しいポスト京都議定書の合意をつくれなかったという大変厳しい批評もございます。それとは別に、もう一つ、やはりコペンハーゲン合意というものをつくることができた。テークノート、留意という形ではございましたけれども、一つのものをつくり上げることができて、その後、一月までに、百六カ国の合意をいただいている。そして、合意に基づく削減目標、行動を提出した国は七十カ国というふうに伺っているところでございまして、この中にはもちろんアメリカ、中国、インドといったような国も含まれているところでございます。

 この後のポスト京都議定書をどのような形にしていくのかというのは、COP16の大変大きな議題になると思いますし、もちろん、そこで鳩山総理そして小沢大臣にも大きな役割を果たしていただきたいと思っているところでございますが、ぜひとも小沢大臣の御認識、そしてCOP16にどういった方針で臨まれるのか、御見解をお伺いいたします。

小沢国務大臣 まず、COP15の認識、こういうことでございますけれども、もう何度か申し上げてきていることで、繰り返しで恐縮でありますが、このCOP15に向かっては、日本は大きく二つの目標を持ったわけであります。一つは、いわゆるアメリカ、中国を初めとする主要排出国が入る枠組みをつくりたい、そしてもう一つは、いわゆるツバルとか、そういった本当に気候変動で苦しんでいる、そういった国々へのしっかりとした支援の枠組みをつくりたい、この二つが大きな目標でありました。

 そして、それはできれば京都議定書のようなしっかりとした条文、あるいはまた議定書のような形であれば、それはもうベストなわけであります。しかし、それはなかなか難しいという話を十一月に議長国デンマークのラスムセン首相が既に表明をしておりましたので、そういった議定書というのは無理だけれども、今申し上げたような二つの目標を含んだ政治的な合意文書をつくりたい、これが今回のCOP15に向かう日本の政府の目標でありました。

 さらには、それを具体的に進めるためのいわゆる手法として、一つは、先進国向けには、我々は二五%のCO2を削減するという高い目標を掲げて、だから、皆さんもやってください、こういう話を一つ持ちました。もう一つは、鳩山イニシアチブという形で途上国支援をしっかりやります、三年間で百五十億ドルという話を提示させていただいて、途上国の皆さんもぜひこの国際的枠組みの中でしっかりと役割を果たしていただきたい、それが二つの手段の大きな柱でありました。

 でありますので、そういったことから考えますと、テークノートという形にはなりましたけれども、私は一定の政治的な合意ができた、こう思っているわけでありまして、そういった意味では、確かに京都議定書にかわるようなしっかりしたものができる、それがベストだとは思いますけれども、当初私がコペンハーゲンに向かう、そのときの状態で考えれば、私は一定の成果が上げられたと。

 テークノートという形がついたことは私のある意味では予想外のことでありましたけれども、それ以外は、別に私はこれで自分の功績を自慢しようとかそんなつもりは全くありませんが、日本政府としてある意味では一定の成果が上げられたもの、こういうふうに率直に思っております。それがまず一点です。

 では、今度はCOP16に対してどう向かうのかということでありますが、まさに、先ほど申し上げたような二つの目標をしっかりとした法的文書にまとめ上げていく、これが大事なことだ、こう思っております。

 もう既にメキシコ・カンクンでは難しいじゃないか、こういういろいろな意見が出ているのも承知をしておりますが、今の段階であきらめることは余りにも早過ぎるわけでありまして、日本政府としてはこれからもコペンハーゲン合意をベースにして、それをしっかりとした法的文書にまとめ上げてポスト京都の枠組みをつくってまいりたい、そう思っているところでございます。

小林(千)委員 ぜひとも、あきらめることなく、誠意を持って、多分こういうところは鳩山総理はお得意だと思いますので、しっかり取り組んでいただきたいと思います。

 その新しい枠組み、一つの合意をつくっていく中で、やはりアメリカ、中国、新興国への働きかけ、取り組みというのは大変重要な問題だというふうに考えております。特に中国につきましては、鳩山総理は東アジア共同体というものを提唱しております。これから日本に東アジア圏内で経済的にもあるいは環境問題につきましても大きな牽引役を果たしていただきたい。その中で、やはり中国に対しては積極的にアプローチを掲げていきたいと思うわけでございます。

 ことしの五月に日中韓の三カ国環境大臣会合が北海道で行われるというふうに伺っております。北海道の苫小牧と千歳市が舞台になるというふうに今聞いておりまして、苫小牧は鳩山首相の選挙区でございまして、千歳市はお隣の私の選挙区でもございます。お待ち申し上げておりますので、ぜひそこの場でしっかりと中国を口説き落としていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

小沢国務大臣 おっしゃるとおり、五月の二十二、二十三の両日にかけまして、日中韓の環境大臣会合を行います。

 場所は、北海道の知事からの要請もある中で、環境省と北海道庁で相談をしながら、適当なふさわしい場所ということで決めさせていただいたわけでありますけれども、いずれにしても、そこで中国をしっかりと口説いてもらいたいという話は、ぜひ委員にも御協力をいただいて本当に頑張りたい、こういうふうに思います。

 ただ、この日中韓の会合は、一言だけ申し上げておきますと、いわゆる気候変動問題の対応は、中国は環境部ではなくて、先ほど来話が出ております解振華さんという方が担当をしておりまして、この方ではないものですから、直接的な気候変動の担当者ではないという点はございます。しかし、今お話がありましたように、中国がこれから大変大きな意味を持っていくわけでありますので、そういった意味でもしっかり話をしていきたいと思っております。

 特に私は、鳩山首相が東アジア共同体、こういう話を言っているわけで、今その肉づけをさせていただいているわけでありますが、その環境版の、東アジア共同体の環境部門の部分を日中韓の三カ国環境大臣会合で一端でもお示しができればいいな、こう思って、意欲を持って今取り組んでいるところでございます。

小林(千)委員 どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 続いて、中長期目標につきまして御質問をさせていただきます。

 中期目標につきましては、いわゆる前提条件がついているところでございます。この前提条件の考え方というのはいろいろございまして、これはない方がわかりやすい、あるいは明確なのではないかというような意見があり、日本はこれでは消極的にとられかねないぞというような声もあります。一方で、世界の排出量のうちで日本が占めているのは四%なんだから、ここで日本が四%だけ頑張ってどうするんだというような意見もあるところでございます。

 この前提条件というのは、やはり法案だけ読んでみると大変わかりづらい。では、前提条件が達せられなかったらどうするの、満たされない場合はどうするのというような話は当然出てくるわけでございますけれども、この前提条件が一体どういうふうに働いているのかということをやはり詳しく議論していかなければいけないだろうなというふうに思うわけでございます。

 また、前提条件というのは、ついているのは政府の法案だけではありません。自民党の法案にもついておりますし、公明党の出された案の中にも、見直し条項ということで、前提というのかどうかわかりませんけれども、入っているわけでございます。諸外国を見てみましても、例えば前提条件がクリアされなければ何%、クリアすると何%というような出し方をしているところもあるわけでございます。

 済みません、通告した質問をまとめてすることになるんですけれども、前提条件はどういうふうに機能するのか、あるいは目標の立て方が、前提がある場合、ない場合、こういうような立て方もなかったのかをぜひお伺いしたいと思います。

大谷大臣政務官 一言で言えば、主要国を巻き込んでいくためには、前提条件があった方がいいという判断をいたしました。

 午前の議論の中で、公明党さんの意見の中で、二五%をしっかりと頑張っていくんだということの方がリーダーシップを発揮できるんじゃないかというような考え、意見もあるんでしょうが、前提条件がある方が、場合によってはできませんよというようなことで、もうちょっと外交交渉上それなりに役割ができてくるのかなというふうに思っております。

 それから、もう一つの方の、できなかったらどうするんだ、前提が崩れたらどうするんだという話なんですが、ここは、委員御案内のとおりですが、十条の四項にございますように、二〇五〇年に向けた長期目標は九〇年比八〇%削減していくということでございますので、そこに向けてしっかり取り組んでいくということに関しては変わりませんので、低炭素社会でなくして二十一世紀の発展なしという気持ちで、二〇二〇年までにマイナス二五%削減を達成していくという同じような気持ちで取り組みを強化していくことになります。

小林(千)委員 国際交渉というのは、今もなお現在進行形のところで、生ものですので、扱いは大変難しいところがあるんだろうなというふうに思いますけれども、ぜひ、これを積極的に活用していただいて、世界の合意、枠組みというものをつくっていただけるようにお願いを申し上げるところでございます。

 済みません、時間がないので、自民党の法案の質問をさせていただきたいと思います。時間の関係上、最初の質問をはしょりたいと思います。

 地球温暖化というのは京都から始まっているわけですけれども、二年前の洞爺湖サミット、環境サミットとも言われました。北海道で行われたサミットでございまして、そこでも環境問題、気候変動問題は大変大きな課題になりました。

 そのときは、福田政権、福田総理だったわけでございますけれども、そのときの福田総理が議長を果たしまして、最終日に議長声明の中でこのような発言をしていらっしゃいます。気候変動問題について、中期目標ですけれども、野心的な中期の国別総量目標を実施することに合意したと。

 日本は、議長国として、そこでは大変役割を果たしたと私は思うわけでございます。その中で、野心的な中期目標と時の福田総理はおっしゃっていたわけでございますけれども、一年後、麻生総理になりまして、政府で御発表された温室効果ガス排出量の中期目標、これは二〇〇五年比で一五%削減、一九九〇年比に直すと八%減という内容でした。八%減ということですと、京都からだとマイナス二%だけしか深掘りをしないわけでございますけれども、なぜ、野心的な中期目標というものが、その後、当時の自民党政権の中で、一九九〇年比にすれば八%、そして、今回の自民党の提出された法案につながってきたのかということを伺いたいと思います。

吉野議員 小林議員にお答えを申し上げます。

 〇五年比一五%は野心的な目標じゃないんじゃないか、そういうおただしであります。

 自民党の法案、いわゆる真水で〇五年比一五%削減を、麻生総理はきちんとデータの積み上げ、実行可能性、そして国民の皆様方の御理解を得てシナリオを出して、これだけのシナリオがある、そこから国民の皆さん選んでください、こういう形で、国民の合意を得た、実行可能性のある、地についた〇五年比一五%でございます。

 一方、政府案。これは一見、九〇年比二五%というのは数字が大きく野心的な目標に見えるんですけれども、本当に実行可能性があるのか、海外から買ってくる部分が幾らなのか、自分たちで努力をする部分が幾らなのか、ここのところがはっきりしません。

 強いて言えば、日本国では一切努力をしないで外国から買ってくる。ある意味で、二五%削減するためには限界費用一トン約四百七十数ドル、我が国の場合はかかります。外国の場合はもっと安く済みます。ある意味で、日本で努力するよりは外国からすべて買ってきてしまった方が安くつく、こういうことも言えるわけでありますので、それでは、日本独自が一生懸命汗を流すんだ、そういう姿を国際社会の中に見せることはできません。

 そういう意味で、私たちの自民党、実行可能性のある、それも積み上げた数字の中で一四%プラス一%です。この一%を上げるためには、太陽光等々十兆円の負担も覚悟の上での積み上げでありますので、足りないんじゃないのかという議論には同意しかねると思います。

 以上です。

小林(千)委員 ありがとうございます。

 私も、今回の自民党案の中で、真水で勝負をされてきたということは大変高く評価をしたいと思いますし、その方がきっと国民に対してはわかりやすいというところもあるのかなというふうに思います。

 しかし、何せその真水の数字というものが、二〇一二年にもしマイナス六%を達成いたしますと、それから八年間でマイナス二ポイントのみ深掘りをするということになるわけなんです。自民党案の長期目標も二〇五〇年には八〇%ですから、到着地点は同じなわけですよね。そうすると、二〇一〇年から、これから十年間の間に十年の特別行動期間を設けていらっしゃいまして、そこで特別行動をしてわずか二ポイント減。それからどうやって一緒の最終ポイントまで到達をすることができるんだろうか。

 ぜひ、そこのところの具体的なやり方を教えていただきたいと思いますし、地についた数字とおっしゃいますけれども、地につき過ぎて飛び立てないのではないかなというような気がいたしまして、これでは国際社会の中で、日本は一生懸命汗をかいたんだというふうに言えるのかなというような気がしてなりません。ぜひとも、この中期目標でどうやって長期目標まで到達することができるのか、お答えいただきたいと思います。

吉野議員 二〇二〇年、〇五年比一五%。それからピークアウトを迎え、最終目標の二〇五〇年、八〇%減。そこは本当に乖離があるのではないかというおただしでありますけれども、京都議定書は六%です。でも現実には七・八%ふえていますので一五・八%を削減しております。これは真水ではできていません。海外から約一億トン、一・六%CDMを買ってくるとか、森林吸収で三・八%を吸収するとか、いろいろな形でこの一五・八%を達成しているわけです。

 これから、あと残り、それは準備期間からいうと十五年くらいの期間でいわゆる六%を達成したわけなので、これから、ですから二〇二〇年というと残り八年しかないんですね。十五年かかって六%達成したものを、残り八年で皆様方は二五%達成なんです。どうしてやるんですか。

 そして、二〇五〇年、八〇%。このためには、やはり技術革新、イノベーション、これがなければ到底できないんです。イノベーションがあって初めて二〇五〇年、先進国八〇%という目標が達成されるので、それは国民こぞってその目標に向かって努力をしていく、こういうことだと思います。

小林(千)委員 今までの取り組みもそうなんですけれども、やはり、今取り組まなければ、これから百年、二百年にわたってツケはどんどんと大きくなるわけでございますので、やはり、今のうちに早期対応しておけばそんなにひどくならないで地球は救えるのかもしれない。ぜひとも、そういう道を一緒につくり上げていただきたいと思います。

 済みません、時間もないので、最後の質問にさせていただきます。

 いわゆる前提条件なんですけれども、自民党が提案をされた法律案の中にもいわゆる前提条件と言われるものが書き込まれておりまして、この中には「国際交渉による合意に基づき、」というふうに中期目標のところは前提条件が書かれているわけですね。長期目標にも「主要経済国の参加の下、」という一文が入っております。これは、自民党案ですと、中期にも長期にも前提条件がついていることになるんでしょうか。

 そして、この国際交渉の合意というのは、政府案ですと公平かつ実効性があり意欲的というふうな三つの条件があるわけですけれども、自民党案に書き込まれているこの国際交渉の合意というのは、どのレベルでもいいということになってしまうんでしょうか、伺います。

吉野議員 国際交渉は、これから世界各国の方々が交渉して合意する目標です。これが、国際交渉での合意の目標、我が国の縛られる国際的に約束をした数字になります。

 私たち自民党案では、国際交渉の合意にかかわらず、〇五年比一五%は削減していくんだ、これも法案に明記をしているところです。

 ですから、一五%プラスアルファになるのか、マイナスアルファになるのか、これは国際交渉の結果次第でありますけれども、私たちは、責任を持って〇五年比一五%は達成していくんだ。そしてなおかつ、国際的に合意があれば、プラスアルファは国際約束ですから果たしていくんだ、こういうことでございます。

小林(千)委員 済みません。時間がないんですけれども、最後に一つだけ、今の発言を確認させてください。

 国際交渉の合意がなくてもやるんですか、そこだけお願いします。先ほどおっしゃいました。

吉野議員 一五%は、国際交渉の合意がなくても、麻生総理が目指した〇五年比一五%削減でありますので、これはやっていきます。

小林(千)委員 まだこれから議論を続けたいと思いますけれども、時間が参りましたので、終了させていただきます。

 ありがとうございました。

樽床委員長 次に、吉泉秀男君。

吉泉委員 社会民主党の吉泉秀男です。

 自民党案、公明党案そして政府案も認識はそれぞれ共有できるものだ、こういうふうに思っております。

 資源の少ない我が国が、化石燃料にどっぷり依存をしながらここまで発展をしてきた。そして、私たち一人一人が享受をしてきた。この社会を大きく転換し、持続可能な社会を構築していく。そして、今この社会に向けて私たち国民全体で挑戦をしていくんだ、これが今回の基本法そのものなんだろう、こういうふうに私は思っております。

 四月になっても雪が降る、こういうふうな状況の中で、今国民それぞれが、異常気象さらには温暖化、こういったことに対して、環境問題に以前から見れば相当関心が高くなってきている、こういう状況にもあるんだろうというふうに思っています。

 しかし、これから持続可能な社会に向けて歩いていった場合、大きな障害が一つ一つあるんだろうというふうに思いますし、具体的に進んでいく場合、戸惑いも感じていく。さらには、それぞれの利害の対立、こういう部分もいっぱい出てくるんだろうというふうに思っております。そのハードルを私たちは越えていかなければならないんだろうというふうに思っております。

 特に、京都議定書で義務化されて以降もどんどん排出量は高くなってきているわけでございます。そういう中において、これまで地球温暖化対策推進法を一つの大きなよりどころとして地球温暖化対策が進められてきておりますし、以前の自公政権、そして今政権がかわった段階においてもこの推進法のもとで進められてきている、そういうふうに思っているところでございます。

 そういう現状の中において、温暖化の問題も含めて、大臣の方から、この推進法に基づいて進めてきた経過、さらには、これから大きく変えていこう、こういうふうなところに対する点を含めて、ひとつ考え方をまず冒頭にお聞かせ願いたい、こう思います。

小沢国務大臣 お答え申し上げたいと思います。

 二〇〇八年度の温室効果ガスの総排出量は前年に比べ六・四%減少しておりまして、これは一九九〇年比では一・六%の増加になるわけでありますが、前年に比べて減少をしてきている、こういうのがデータでございます。

 景気後退の影響が大きい、こういうふうに言われておりますけれども、中身をよくよく調べてみますと、私どもの試算では家庭部門では八百七十万トンの減少のうち五百二十万トン分はいわゆる機器の効率化、省エネへの取り組み等で減少してきているもの、こう分析をしておるところでございます。

 いわゆるエコカー、エコ家電、そういったことによる国民の意識がさらに強くなってきておりますので、それに加えてエコハウス、いわゆる家でのCO2の削減というのを我々新たに打ち出させていただいたわけでありまして、そういった意味では、これまでも改善の兆しはある。さらに加えて、そこからは爆発的に改善できるような政策の展開をしてまいりたい、そう思っておるところでございます。

吉泉委員 今大臣の方からお聞かせ願ったわけでございますけれども、もう少し力強い決意を聞きたかったというふうに思っています。すごく心配をしているんですね、自分自身は。

 二〇一二年まではことしを入れて三年。そして、先般二〇〇八年度の温室ガスの排出量の確定値が発表になりました。確かに前年比は低くなりました。何で低くなったのか。それは経済、いわゆる金融危機における一つの二〇〇八年度の現状の中において産業の停滞、こういう中で排出ガスが相当落ち込んだ形の中で対二〇〇七年度比が低くなったんだ、こういう報告になってきているわけでございます。

 今大臣の方から出されました。その二〇〇八年度の排出量の中身を見るならば、まさに産業部門について大きく減少したわけでございます。しかし、運輸部門、さらには商業・サービス部門、そして私たちの暮らしに直結する家庭部門、こういったところについては少しはマイナスになっているわけでございますけれども、しかし、京都議定書の義務化されている数値目標から見るならば、相当の努力をしていかなければならない、そういう数字に二〇〇八年度の確定値はなっているわけでございます。

 そんな面を含めて、二〇〇八年、二〇〇九年、こういったところについては今の政権ではない、そういう状況ではあるわけでございます。しかし、さっき話したとおり、もう二年か三年、こういった状況の中で、今これから基本法、その前の今の推進法の中で、京都議定書で義務化された削減目標を本当にできるのかな、こういうふうに二〇〇八年度の確定値を見た際に、率直に私は思うわけでございます。

 この辺に対して、まず政府の考え方、さらには残された京都議定書の削減目標を達成する、こういう決意等を含めながら少し答弁を求めたい、こう思います。

大谷大臣政務官 御心配ありがとうございます。京都議定書の決められたマイナス六%は必ず達成をいたします。そのように、残された時間、努力をしてまいります。

 例えば、今とり行われているエコポイント。日々の暮らしの中で省エネ家電をつけていくことで、日々の生活の中からCO2を減らしていく。また、EV。去年から電気自動車が発売になりましたが、こういうものがもっともっと普及していくとともに、エコドライブ初め、既存の自動車であってもCO2を減らすような、そんな意識を持った人が運転をするならばCO2が減っていく。

 そしてもう一つは、小沢環境大臣が今提案しております環境ファイナンス、環境金融。金融の力によって企業が設備投資、CO2を削減するための目的を置いて設備投資をしていくなど、残された期間でしっかりと使える施策を使ってマイナス六%を達成していきたいと思っておりますし、絶対達成できるものだというふうに考えております。

吉泉委員 大変力強い御答弁、ありがとうございました。しかし、本当に大変だなというふうに私は思います。

 はっきり言って、二〇〇八年度の家庭部門の段階で、もう本当に、京都議定書を確認されても三四・二%も高くなっている、そういう部分を、今のエコポイントを含めてなっていくのかなというときに、産業の部分についてのとらえ方、そのことについてのものはあるんだけれども、やはり大きい部分というのは私たちの暮らしだというふうに思います。

 そういう面で、技術の開発、テレビ、それから冷蔵庫、家電、いろいろな部門でそれぞれ研究開発がなされ、そしてなるべくエネルギーを消費しない家電なり車なり、そういう部門が開発されていることに対して、大変うれしいことだというふうにも思っています。

 しかし、私は、今の現状の段階から見れば、国民総参加というふうに言ったときに、単に協力という部分ではなくて、国民一人一人からこの社会を構築していくために投資をしてもらいたい。企業は投資をするわけですけれども、国民一人一人からも投資をしてもらう。投資については、お金を出すわけだけれども、その分はまた後で返ってくる、こういうものだと思っています。

 今の現状の、例えばうちを建てて、そして太陽光、そういう場合にお金がいっぱいかかる。しかし、その中において一つのエネルギーがつくれる。そういうときに、例えば、私自身、毎年一万五千円の電気料を払う。しかし、自分のパネルで三万円が生み出される。そうなればその差一万五千円が自分のところに入ってくる。そして、一万五千円で十年、二十年やって、そのうち太陽光パネルをつくった費用が返ってくる。こういうふうな国民一人一人が参加しやすい施策が必要なんだろうな、こういうふうに私は思っております。

 そういう面からいえば、今、政府の方、さらには公明党さんの方も、そしてまた自民党さんの方も、いわゆる固定価格買い取り制度の提案を、さらにはこの法案の中にあるわけでございますけれども、この点についてはすべて全量買い上げていく。さらには、今の現状の中で、自分で使って、そして残った分だけ買い上げるというふうな方向も一つはあるんだろうというふうに思っています。

 私は、そういう面からいえば、全量高く買ってもらって、そして投資をまずはやってもらって、そこを返していく、そういう固定価格の買い取り制度に期待をしたいと思うわけでございますけれども、その点については今の政府の考え方はどうなんでしょうか。

大谷大臣政務官 委員の御心配、御指摘というのは、この全量買い取り制度でいろいろな人がいろいろな形で参加ができるような仕組みを考えているのかどうなのかだというふうに考えます。

 例えば農業であるならば、バイオマスということで参加ができる。決して一戸建てのおうちの方が太陽光発電をつけるだけではなく、いわゆるオフセットという形で、お金を幾らか出して、風力発電をみんなでつくって、その分をCO2削減することによって一般の人もCO2を削減できるようにしていくなど、いろいろな人が参加できる。すなわち、そのことによっていろいろな分野において市場ができ上がっていく、需要が喚起されていく。そこに雇用が生まれたり、ビジネスが生まれたりしていくような新しい社会の創造というものを考えています。

 雇用というようなものも、この全量買い取り制あって初めて出てくるんだというふうに思っておりますし、ほかの経済的手法、市場的手法でいうならば、キャップ・アンド・トレード型の排出量取引、また環境税、これの使い方によって大いに雇用も生まれるし、ビジネスも生まれるし、新しい社会ができていき、同時にCO2が減っていく。そんなふうに大きなグランドデザインから改めていく、それがこの温暖化対策基本法なんだというふうに位置づけて、提案をさせていただいているところでございます。

吉泉委員 もう一度答弁を求めます。

 私もそのことについては同じです。しかし、投資をするわけですね。お金がかかるんです、何をやるについても。だからこそ、お金を出すけれども、出した分は自分のところにまた戻ってくる。お金、具体的に百万円を出したならば二十年なり十年で百万円は戻ってくるんだ。だから私は投資と言うんですよ。それが全量の買い上げ、生んだものは何でも買ってもらう、そしてその分をお金に換算して、そういうようなことをやらないと、私は、今の現状の中で、やはり総参加というようなことについてはなかなかできないだろう。

 積極的に、国民一人一人、地域の人、そういう部分が、少しお金が貯まったから、そしてうちを建てかえたい、そのとき、やろうとしたときに、やはり金がかかる。金がかかってもやってください、その投資した分は必ず返します、返ってくるんだという方法でやってほしいなというのが私の希望なんです。

 その辺はどうなんでしょうか。

小沢国務大臣 委員のまさに御提案をいただいて、先ほど政務官からもお答えをさせていただきましたが、二つポイントがあるというふうに思います。

 まず一点は、いわゆる再生エネルギーの買い取り制度というものがないとそのこと自体が始まらないわけでございますので、そういった再生エネルギーの買い取り制度を政府がしっかり行うということが大事だと。それをやるんだという意思表示をして、そしてそれを制度の中に組み込むということがまず大事だ、こういうふうに思っております。今回の基本法はそれを明確にしているわけでございます。これが一点。

 それから二点目は、いわゆる初期投資や何かのお金がかかるじゃないか、こういう話で、しかしそれは戻ってくるんだ、そこのところをうまく工夫ができないか、こういう御指摘でございました。近々発表させていただく予定でございますが、そこはまさに金融の仕組み、リースの仕組み、そういったものを取り入れて、でき得る限り、いわゆる設置者が初期投資がかからない、そして太陽光の電気を売ることによる利益によって元利を返していく、そういう仕組みを近い将来発表させていただきたい、こう思っておりまして、今全力で、各省連携をとってやらせていただいているところでございます。

吉泉委員 大臣、ありがとうございました。

 ここは、公明党さんの案については、きちっとそのことが載っているわけですね。全量をきちっと買い上げると。そして、自民党さんの方の基本法案の中に対比が出ているんですけれども、政府案には全量固定価格買い取り制度の創設はきちっと出ています。しかし、自民党さんの方は、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度の拡充というふうになっています。

 このことについてちょっと、自民党さんの案の方の、この買い取り制度に対する考え方をお聞きしたいというふうに思いますけれども……。いないんですか。

樽床委員長 通告がされていませんので、答弁の用意をしておりません。

吉泉委員 済みません、通告していませんので、では、後で聞くようにいたします。

樽床委員長 今のは自民党提案者に対する質問ですか。

吉泉委員 そうです。大変失礼いたしました。事前に言っておかなかったものですから、大変申しわけございません。

 それで、もう一度戻らせていただきたいと思いますけれども、本当に心配しているという部分が、京都議定書の中で、しっかり頑張る、大丈夫だというふうに答弁いただいたわけでございますけれども、でも、その当時、六%削減するというふうな方針があったわけでございます。そのときの方針等については、三・八%森林吸収源、〇・六%企業努力、それから一・六のメカニズム、合わせて六%、たしかこういうふうな方針があったのではないかな、こういうふうにも思っております。

 この辺のところをきちっとやるというふうになって、答弁はいただいたわけですけれども、この一つの方針的な部分が、まだ今は二〇〇八年の確定数値でございますから、そういったところについてはまだ動いている状況だろうというふうに思いますけれども、今、もう一〇年になっておるわけでございますから、この辺の現状というものについてもう少し具体的にお聞かせ願いたい、そういうふうに思います。

    〔委員長退席、橋本(博)委員長代理着席〕

寺田政府参考人 お答え申し上げます。

 若干細かい数値になりますことを御勘弁ください。

 まず、たびたび申し上げておりますけれども、二〇〇八年度の数字、プラス一・六%ということになっておりますけれども、これについては、実は電気事業者さんが、原発の稼働率の低下分等の電気の原単位が悪くなった分についてはクレジットを購入するというお約束をされておりまして、その分が実は上回っておりますけれども、実際、クレジットという形で購入される分がおおむね三%強ございます。

 また、今委員のお話にございましたように、森林吸収源対策、これは国際約束に基づきまして我が国が最大限いただけるパーセンテージでございますけれども、これが三・八%。それから、京都メカニズムで一・六%。これは国が、経済産業省と環境省が共同で、NEDOによって買い取る分でございますけれども、この量が五年間で約一億トンでございますが、これはほぼ、全部ではございませんけれども、かなり調達のめどがついている。

 そういう意味でいいますと、ただいま申し上げました、電気事業者によるクレジット購入分、さらに森林吸収源、さらに加えて京都メカニズムの国家による利用、これを全部足しますと、既に実はマイナス六%の下に行っています。つまり、二〇〇八年時点で既に京都議定書の目標は達成されている。単年度でございますけれども、そういう状態になっております。ただ、これは、申し上げましたように景気低迷という要素もかなり含んでの話でございますから、安心するわけにはまいりませんけれども、数字としてはそういうことである。

 そしてまた、お話にございました、国家としての京都議定書目標達成の施策の進捗はどうか、こういうことでございますけれども、この辺については、京都議定書目標達成計画という計画をつくりまして、これを半年に一度ずつ点検しております。最新の点検の結果でありますと、ほぼ計画は想定どおりに進んでいる。

 ただ、実は、想定どおりに進んでいない部分は幾つかございます。代表的なものは原発の稼働率の部分でございますけれども、それは、先ほど申し上げましたように、いわゆるクレジットという形で穴埋めをされるというようなことでございますので、それらを総合的に考えますと、私どもとしては、京都議定書の目標六%というのは、達成しなければならないし、達成可能であるというふうに判断しております。

 失礼いたしました。なお、電気事業連合会が二〇〇八年度に国の管理口座に移転した、いわゆる発電所の原単位の悪化を埋め合わせる部分のクレジットでございますけれども、これはおおむね、基準年排出量の約五%でございますので、数値を修正させていただきます。

 以上でございます。

吉泉委員 ちょっとまた自分自身わからなくなったんですけれども、今、環境省の方からこういう数字が出されているわけですね。それで、この資料によれば、基準年比、努力をしなければならないものが何億何万トンだ、こういうふうに出ているわけですよ。そして、今答弁を聞いたら、いや、それは全部クリアしているんだと。

 ちょっとそこのところをもう一度、この資料を出していて、そして今の答弁がそういうふうになっているというのは、現実にもう終わっているんだと。自分としては理解がなかなかできないということなんですけれども、もう一度答弁をお願いしたい。

寺田政府参考人 まず、二〇〇八年の排出量でございますけれども、これは、我が国国内において排出されました温室効果ガスの実際の量でございます。その量が京都議定書で定められた目標量を一・六%上回っている、こういうことでございます。

 ただし、京都議定書の目標というのは、国際約束に基づきまして、すべて、実排出量の削減だけではなくて、森林が吸収する分、あるいは海外においての削減を国内に移転する国際協力によるクレジット、こういうものも達成のための手段として認められております。そういった、ただいま申し上げました実排出量とは別の、森林吸収とか海外での調達を入れると、現在のところ、京都議定書で定められたマイナス六%の目標を、単年ではありますけれどもほぼ下回っている状況にある。つまり、実排出量では上回っているけれども、さまざまな国際約束で認められたものによって京都議定書の目標達成というものは見えてきているということを申し上げております。

吉泉委員 わかりました。

 そうすると、これからの持続可能な社会、そういった部分から言うのならば、それぞれ研究開発を含めて、今のCO2の削減、そういったところについて、森林といった大きな部分はあるわけでございますけれども、それぞれ、私たちの家庭の分野における、今言ったいわゆる買い取り制度の問題なり、それも充実をしていって初めて、自分としての理解というものが、いわゆる京都議定書、こういうふうなとらえ方をしたわけでございますけれども、その部分も含めて、今後、ぜひ政府には、森林の問題とか、そういうものもあるんだけれども、実際に排出をしない方向でのなお一層の努力をお願いしたい、そういうふうに思います。

 もう一つは、排出権の取引の問題で質問を用意させてもらっているわけでございますけれども、この点についてお話をしますとまた時間が長くなるので、時間があと二分残っておりまして少し早いんですけれども、終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

橋本(博)委員長代理 次に、山本公一君。

山本(公)委員 山本でございます。先般に引き続いて質問をさせていただきたいと思います。

 大臣、寒いですね。もう四月の下旬だというのにこの寒さなんですけれども、よく、本当に地球温暖化なんですか、いやいや、正しくは気候変動ですから、寒くなる可能性もありますよというようなことを時々友達関係に話したりするんですけれども、まさに気候変動を実感させるようなきょうこのごろでございます。

 大臣、常日ごろ、大臣がお身の回りでやはり気候が変動しているな、地球温暖化の影響かなというようにお感じになることはありますか。

小沢国務大臣 私は芝生の上でするスポーツが好きでありまして、昔は、本当に厚いジャケットを着てやっていたんですが、最近は、薄くても暖かい、そういう製品も出たこともあるのかもしれませんが、本当に全く服装が変わりました。それは痛感しておりまして、昔買った少し厚手のスポーツ用品はそのままお蔵入り、これは本当に実感、体感をしております。

山本(公)委員 実は、多分人間よりもほかの生物の方が敏感に感じているんですよ。大臣は海なし県ですからお感じにならないでしょうけれども、私のような瀬戸内海にいますと、どんどんどんどんいわゆるサンゴ礁が北上しているんです。こんなところにというところにまで今北上してきているんですよ。

 午前中、塩崎さんが愛媛のミカンのことをおっしゃっておられましたけれども、ミカンも、実を言うと私の選挙区で、今、シシリー島でつくっているブラッドオレンジというのをつくっています。いつの間にかイタリアと同じ気候になってしまっているんです。それに生産者の方が気がついて、今、イタリアと同じ製品をつくっています。多分、人間よりもほかの生物の方が今の変動に対して敏感なんだろうと思います。

 そういう中で、午前中からお話がありました。自民党、公明党さんも含めて、三つの法案が提出されました。どの法案も、数字は違います、しかしながら、地球温暖化、気候変動に対して何らかの対処をしなければいけませんよねという思いは一緒なんだろうと思います。多分、その手法もほとんど一緒なんだろうと思います。

 にもかかわらず、今回、自民党さん、そしてまた公明党さんから対案が出てきた。それはなぜだろうということを考えていくときに、やはり大臣、何となくみんなが二五という数字の、大変失礼な言葉ですけれども、危うさを感じているからこそ、いろいろな対案が出てきたんだろうと思います。

 公明党さんも確かに二五をうたっておられます。私どもも、前にも申し上げましたけれども、環境をずっと勉強してきた人間から言えば、高い目標を立てることは非常にありがたいと思っている。ただ、前にも申し上げたように、できるかできないかが問題なんです。今、寺田局長がおっしゃった。京都の六%にしても、京メカを使ったり吸収源を使ったりしてやっと達成可能というところまで今来ている。

 今回大臣がお出しになったロードマップを改めて見てみて、これは多分真水で二五%を想定しておつくりになっていらっしゃるんじゃないですか。どうですか。

    〔橋本(博)委員長代理退席、山花委員長代理着席〕

小沢国務大臣 ロードマップは、真水二五%の数値を出させていただきました。

山本(公)委員 そういうことならばなお、言葉は悪いですけれども、極めて非現実的な数字にしか私には思えません。

 ところで、午前中からのだれかの議論にもございましたが、コペンハーゲン以後、COP16に向けて、今、さまざまな水面下または水面上での作業チームでの交渉が行われていると思います。

 改めて、今日までの公式、非公式の折衝の経過やその感触を伺わせていただきたいと思います。

小沢国務大臣 COP15そのものの評価ということでよろしいですか。その後の話ですね。

 その後に関しましては、いろいろな公式、非公式の交渉がございますけれども、まず、ドイツ・ボンでの作業部会、これが四月の九日から十一日に開催されまして、COP16に向けた作業日程が決定されました。

 さらにその前に、メキシコでの非公式会合、これが三月十八日、十九日にございました。そこで、五月の初旬にドイツ・ボンで、ドイツ、メキシコ両政府の主催による閣僚級会合が行われる、こういう予定を決めていただいております。私も国会日程が許せばぜひ行かせていただきたい、こういうふうに思っております。

 さらには、メキシコとの二国間での意見交換も、本年二月、カルデロン大統領が来日して鳩山総理と行いました。

 あと、作業部会での会合等々、ずっと行われているところでございます。

山本(公)委員 今言われたように、さまざまな公式、非公式の会合がCOP16に向けて行われるわけでございますが、漏れ伝わってくるところによりますと、いつの日の会合も、COP16に向けて悲観的な話ばかりが伝わってくるわけでございます。今回の政府の基本法のいわゆる大きな部分であります前提とする合意というのが全く見えてこない。今日のさまざまな公式、非公式の会合での情報なのでありますが、全く見えてこない中で、この法案が今日出てくるということは、私は、極めておかしい、奇妙だと思うのでございますが、その辺、大臣はどうお考えですか。

小沢国務大臣 まず、冒頭、山本委員からも御指摘があったように、やはり気候変動、何かおかしいぞ、こういう話はみんな感じているわけで、そういう意味では、いわゆる気候変動問題の対応は待ったなしである、こう思っておりますし、午前中のこの会議の中でもありましたように、IPCC初め、大変重要な指摘、報告書が出てきておるわけであります。

 そういう中において、我が国としては、まさにこの地球環境を守っていく、そのために先進国として必要不可欠な二五%目標という話を昨年の国連での気候変動条約国会議の中で発表させていただきました。

 そういうことがございますので、では、そのマイナス六%のままの、今までの数字のままでいいんだろうか、こういう話がある中で、民主党としては、もう御案内のように、さきの衆院選の前に二五%削減の目標を掲げ、法案も提出し、選挙でもそれをマニフェストに掲げて勝たせていただいたわけでございますので、それはしっかりと政府の方針としても固めていくことが必要だ、そういう判断でこの基本法を提出させていただいたということでございます。

 国際交渉の状況は、山本委員が御指摘のようになかなか厳しいところがありますけれども、しかし、あのコペンハーゲン合意も、一応テークノートという形にはなっておりますけれども、既にもう排出量の八割を超える国が数字も出してきておりますので、決してあきらめることなく私としてはやってまいりたいと思います。そして、各国に対して、やろうよということを言うためにも、日本では基本法もつくった、必ず実施をしていくから、あなたのところの国もやってくださいよ、こういう話を言っていくためにも必要だ、私はこう思っております。

    〔山花委員長代理退席、委員長着席〕

山本(公)委員 大臣の御答弁の中でも、いわゆる条約事務局に、八割を超す、私に言わすといわゆる奉加帳に数字を出したんだからというお話でございましたが、これはきのうの毎日新聞、大場あいさんという、もう長いこと環境をやっている記者さんが書いたあれですけれども、「温室ガス 削減目標達成しても二割増」。今出てきている各国の、大臣がおっしゃった八割を超す方々が出してきた数字を全部検証していったら、全部達成できたとしても二割増だそうでございます、二割。

 それはそれとして、いずれにしても、国際交渉でございますから、相手国があって初めて事が成るんだろうと思いますけれども、コペンハーゲンで鳩山イニシアチブなるものが発表されまして、いわゆる国際交渉の場で日本がリーダーシップをとろうとされた意気込みは、私はよしとしたいと思います。ところが、残念かな、今日に至るまで、どうも日本が主導権を持ってこの話は進んでいるようにはとても思えません。残念かな、意欲的な数字をお出しになった割には。そしてまた、例の百五十億ドルですか、国で百十億ドル、大変な数字を出そうという提案をされながら、何となく、公式、非公式の場でもうまくそれが機能をしていないような気がいたしております。

 そういう意味において、もう一回大臣、九月の時点、コペンハーゲンの時点の思いを国際交渉の場で交渉に当たっている諸君にうまく伝えるように努力をされてみたらいかがですか。

小沢国務大臣 もちろん大いなる努力を続けていかなければいけない、こう思っているわけでありますが、先ほど山本委員御指摘の新聞報道、これはたしかドイツの研究機関の報道だと思いますけれども、御案内のように、いわゆる排出削減目標が原単位的な、そういった提出のところもございますから、そういったところはやはり、GDPが上がっていけばそれにつれて排出量もふえる、こういうことの中での結論だ、こういうふうに思います。

 ただ、大事なポイントは私は二つあると思っておりまして、一つは、では何もやらなかったら、二割どころの話じゃない、もっとずっとふえてしまう、こういう話が一つと、そのドイツの研究機関の指摘で、これは質問にお答えすることにもなるんですが、いわゆる先進国のうち十分な目標を示しているのはノルウェーと日本のみ、こういう評価があるわけでありまして、これは、だけれども残念ながら新聞には書いてもらっていないんですね。ですからそこが残念なんですが、そういう評価が私は一般的だと思います。

 確かに、去年の九月の国連の鳩山スピーチというのは大変脚光を浴びました。新政権になったばかりだ、こういう新鮮さもあったんだと思います。各国から称賛もいただきましたけれども、その後のCOP15の現場でも、これは総理も相当頑張っていただきました。これはちょっと表現が難しいんですが、議長国のデンマークが、どうも予定していたのとは違う議事進行になって、ある意味では議長さんが結果として二人かわるというような会議の展開になったわけでありますけれども、そういう中において、鳩山総理自身は、ラスムセン首相に対して、しっかりととにかく議長国の提案を出しなさい、まず相当それを発言させていただきました。

 そして、首脳級の会合が行われて、鳩山総理はもう最初から最後までずっと参加をしました。その中で言ったのは、ある意味では、もう会議の中断、こういう話がいっぱいその中でも出ました。いわゆる総会が中断されるのと同じように、首脳級会合でも、会議を中断しようじゃないか、こんなんじゃだめだ、こういうような話もありました。そういうときに鳩山総理が言ったのは、これだけの各国首脳が集まって何も決まらない、そんな話でみんな国に帰れるのか、そういう話を鳩山首相としては発言したわけでありまして、そうだそうだ、こういう話の中で会議が進み、何とかあそこのコペンハーゲン・アコードのところまで来たわけであります。

 その間、約一日半でありまして、夜の十時から始まって、夜中の三時くらいで一たん閉じて、朝また九時くらいだったでしょうか始まって夕刻まで、まさに各国首脳が、オバマ大統領がいて、メルケル首相がいて、それから……(山本(公)委員「大臣、いいですよ、もう」と呼ぶ)等々の中でそれなりの存在感は十分発揮した、こう思っておるところでございます。

山本(公)委員 いずれにしても、交渉が決裂するのを望んでいるわけじゃありませんので、私自身は。これからも頑張っていただきたいな、かように思います。

 ちょっと話が戻るようでございますけれども、いわゆる二五が真水ではとても無理だ、私どもはかように思っております。そういう中で、やはり、さっき寺田局長がおっしゃったように、私は、今回のポスト京都においてもある種のそういうメカニズムというのが新たにつくられていくだろうということを期待いたしておるわけでございますけれども、当然、今そんな話も並行して交渉の中で出てきているんだろうと思っております。

 そこで、多分これは政務官が御担当だと思うんですけれども、京都会議の前も、日本が提案して否決されたというか、実は取り上げてもらえなかったガスがあるんです、ガスが。フロンが京都会議で取り上げていただいた六ガスの中には入っていないんですよ、CFCというものが。

 それで、なぜこれを申し上げたいかといいますと、いわゆる温室効果はCO2の万倍に近い効果を持っているガスなんです。冷媒に使われているガスなんですけれども、これが実は無味乾燥、人畜無害。どんどん空気中に今放出されているんです。これは、オゾン層を破壊するといっていわゆる悪者にされたガスなんですけれども、実は温室効果も極めて高いガスなんです。

 このガスを、モントリオール議定書で、日本は、先進国はもう早目に製造を禁止しました。今、多分、二〇一〇年に途上国も製造禁止もしくは全廃という方向になってきているだろうと思うんです。これが、多分、製造禁止、全廃になっていったら、また、人畜無害、無味無臭ですから、ぽおんと空中に拡散されてしまう。

 今回、これを一つの新たなガスとして、そしてまた、もしガスとして取り上げてもらえることができないならば、日本のCDMの対象のものとして取り上げてもらえる、国際的に認めてもらえる、そのような交渉はお考えになるつもりはありませんか。

大谷大臣政務官 非常に革新的な御指摘、ありがとうございます。

 フロンもそうだと思いますし、また、日本が製造する省エネの製品であったり省エネの技術であったりするようなものが海外に出ていってCO2削減に役立てば、これもそれなりにCDMになっていく、そんな新しいメカニズム、仕組みみたいなもの、フロンも含めて考えているつもりですし、これは考えて、また大臣を先頭にして交渉していきたいというふうに思っております。

 先走ってお答えさせていただくならば、今既に、原子力発電、例えば東南アジアのどこかの国で、日本の企業が、日本の技術が受注をいただいてつくらせていただいたとしたならば、何らかの形でこういうものも日本のクレジットになるような、今までにはなかった大きな枠組みで日本がクレジットをいただけるし、その心は地球規模でCO2が減らせる、そんな取り組みが進むようにしていくようなことを考えて交渉に臨ませていただいているところでございます。

山本(公)委員 今政務官そのようにおっしゃっていただいてありがたいんですが、多分このCFC、フロンの破壊のメカニズムを持っているのは日本が唯一だと思います。中国あたりは、間違いなく来年以降CFCが大量に出てきます。中国に破壊装置を持っていって、そしてその実績をクレジットとして日本がカウントできるような、そういう国際的な枠組みをつくっていかれるように、ちょっと努力をしていただきたいなと思います。

 それと、同じく吸収源ですけれども、これも、三・八も、今度新しいポスト京都の中で新たな数字が多分設定されてくるんだろうと思いますし、まだよくその辺はわかりません。

 それと、いわゆる森林以外に、新たな吸収源として我が国から一つのあれを提案していくようなお考えはおありですか。例えば農地であるとか、もっと言えば海藻だっていいんですよ。そういうあれはないですか。

大谷大臣政務官 森林もしっかりと吸収源であることを、もう一遍、算出方法をグロス、ネットで位置づけていただいた上で、サンゴ、海それから農地、土壌。我が党の委員の中でも土壌というものが非常に有効なんだというふうに御指摘をいただいておりますし、山本先生からもぜひいただいて、いろいろな選択肢を示していくことが交渉を有利に運ぶことでもあると思いますし、CO2を減らすことにつながっていくと考えますので、そのように前向きに取り組んでいきたいと考えております。

山本(公)委員 ありがとうございます。

 それもこれも、真水二五というのはとても無理だという思いの中から、さまざまな工夫を凝らしておかないといけないという事柄でございまして、真剣に検討していただきたいと思います。

 時間が迫ってまいりまして、大臣にちょっと私の思いを伝えて、そしてまた大臣に共有していただければという希望を持って申し上げたいと思います。

 今度、いわゆる税をお考えでございます。ロードマップを読むにつけ、どちらかというと抑制効果を期待するよりは財源の確保に主眼を置かれているんだろうと思います。それはそれでよしとします。それはそれでよしとするんですけれども、その財源を確保したときに、当然、一般財源化ですからなかなか難しい話もあろうかと思いますけれども、これは私は、かつて環境省が経産省からエネルギー特会をいただく世界の中で、こういう提案を役所にしたことがあるんです。

 将来、環境税というものを頭に置くならば、国民の皆様方に税を御負担願う、税を御負担願う中で地球温暖化の防止を目指していく、お金があればこういう分野でこういう使い方をすればCO2が減るんですよという実証ができるような使い方をしませんかと言ったんです。

 ややもすれば、そのお金があったら、産業部門であるとか研究部門であるとかに研究費を渡します、さあ開発をしてくださいという使い方しか思い浮かばないんです。それを、いわゆる町単位で、例えば僕は例によく挙げるんですけれども、松山市、人口五十万の都市に、三年間なら三年間、何十億円差し上げますから、CO2削減に最大限の努力をしてください、こういう方法で、LRTもあるでしょう、パーク・アンド・ライドもあるでしょう、あなたの町は今これだけ現在CO2を出していますが、お金をかけたらこれぐらい減りましたよという実績をつくるようなモデルをつくったらどうですかと。

 同じように人口五千人の町でやったらどうですかと。そこには多分、バイオマスもあるでしょう、牛や豚のふん尿から得るメタンガスだってあるでしょう。それをやってCO2を減らしましたよね、そういう使い方をされるようなことをしたら、国民の皆さん方が、負担をしてもいいよね、お金はそういうふうに使われるんだね、そういう納得のいくような事例をされたらどうですかということを申し上げたことがあるんです。

 今回、財源の確保がもし主眼であるならば、そのような使い方をするお気持ちは、大臣、ないですか。

小沢国務大臣 大変建設的な御提案、本当にありがとうございます。もうずっとこの分野で頑張ってこられた山本委員ならではの、今までの経緯を踏まえた御提案だと大変ありがたくお聞きをいたしました。もちろん、ありませんかと言われたら、ぜひそうしたい、こういう気持ちがございます。

 趣旨説明でも申し上げましたけれども、我が国は、地域の取り組みというのが確かに足りなかった。これはやはり、北欧の環境先進国と比べると、圧倒的に私はここの分野がおくれていると思います。産業分野ではかなりやってこれた、しかし、地域の取り組みというのは本当になかなかうまくいっていなかった、そういう思いもあるものですから、ことしは、いわゆるチャレンジ25地域づくりというような提案もさせていただいて、予算化もさせていただきましたが、ごくごく限られた話でございます。

 そういう中にあって、山本委員が言うように、とにかくモデル地域を決めて、そこでいわゆるCO2削減の見える化ですよね、国民の皆さんにわかってもらえるような、そういう取り組みという話も十分検討に値する話だと思っております。

 いずれにしても、私は、ことしは国民の皆さんとの対話集会を全国で開いていきたい、こう言っているんですが、その中で、やはり各地域の首長さん、地方議員の皆さんたちにも大いに参加をしてもらって、来年の四月は御案内のように統一地方選ですから、来年の統一地方選は、それぞれの地域の皆さんたちの公約が環境でとにかく競い合うような、そういう統一地方選になっていかなきゃいけないし、なっていくんだろう、私はこう思っておりまして、そういうためにもそういったモデル地域の取り組みというのは大変重要な、貴重な提案だと思っております。ありがとうございます。

山本(公)委員 もう時間がなくなりました。

 これは今回どの法案にもないんですけれども、かつて、温暖化防止のためにはありとあらゆる政策を総動員しなければいけないという中で、私どもサマータイムの導入を目指しました。

 法案を出す寸前まで行って、いろいろなことがあって頓挫をしたんですけれども、かなりの国会議員、二百何十名、大臣や副大臣はなぜか入っていただいていないんですけれども、鳩山由紀夫さんは入っていただいておりました。それから、今の外務の副大臣をやっている福山さんが中心になってやっていただいて、超党派でやってきたこのサマータイム、これもやはり、ある種、温暖化防止対策としては手段だとは思うんですよ。

 これはもうほとんど、やっていないのは日本だけですから。韓国はもう同意を取りつけまして、日本がやるんだったら合わせますという同意も取りつけておりました。アイスランドは白夜の国ですから関係ありませんから、やっていないのは日本だけという中で、また一回、我々の力でやってみたいなと思っているんですけれども、今度は、また議連を募集するときには、ぜひ大臣も田島さんも名を連ねていただきたいなと思っております。

 最後に一点だけ。

 今回のロードマップの中で、いわゆる自動車の革命といいますか、あれを随分と織り込んでいらっしゃいます。いわゆるハイブリッドと電気自動車、特に電気自動車の部分でちょっと申し上げたいんですけれども、トヨタがなぜ電気自動車に手を出さなかったか、知っていますか。トヨタはハイブリッドに特化していって。

 七、八年前。電気自動車というのは、フランスのようなところだったらCO2削減につながるでしょう。フランスは原子力発電で電力を賄っている。振り返って我が国は、果たして電気自動車がどんどん普及されていく中で、川上、川下の話でありますけれども、本当にCO2削減に効果があるんでしょうかねという考え方に基づいて、どっちかといったらハイブリッドに特化していったというふうに僕は聞いておりました。

 今回、原発をつくる、この中に新増設と書いていらっしゃいますが、京都のときも二十基つくると言ったんです。二十基つくると言ったけれども、できたのは一基か何か、ほとんどできなかった状態だったと思います。今回もお書きになっていらっしゃいますけれども、よほど原子力発電というのを本腰を入れて新増設に取り組んでいただかないと十年の間にちゃんとしたものにはなっていかないということだけを付言しまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

樽床委員長 次に、古川禎久君。

古川(禎)委員 自由民主党の古川禎久です。

 いよいよ法案審議もきょうからスタートということですが、これまでの委員会におきまして、事実上さまざまな質疑が重ねられております。そんな中で、およそ論点となるところは大体出そろっているような気もいたします。

 私は、それぞれの立場で、よって立つところの学説あるいは論理の違いのみならず、どうも、政治姿勢と申しますか、もっと大きく言うと、科学というものに対してどのような認識を持つかというような、もっと深いところで意見の違いがあるのではないかなというような感想もまた持っておりますので、きょうは本質的なことも含めて御質問させていただこうと思うんです。

 その前に一つ前置きとして申し上げたいことは、人間の活動が地球環境にどのような影響を与えるかということについての研究というものは、そんなに古い歴史があるわけではありません。それより古いのは経済学のモデルの歴史ですけれども、正当と思われておったものが実は相当に恣意的なものだったということがわかった、マネタリズムとかそういうものもあるでしょうし、あるいは、歴史の最終段階とされる形態が実は非人間的で、社会に悲惨な結果をもたらしたということもあった。これは歴史の証明する歴史的な事実でございます。

 つまり、モデルに対する過信というものが、ともすれば人々を振り回し、人々を悲惨な目に遭わせてしまうということに対して、やはり人間は謙虚にならなきゃいけないということを教えていると思います。人知の限界に対する謙虚さ、これは前の委員会のときにも私申し上げたんですけれども、私ども、温暖化対策、温暖化問題というものを扱うに当たって、これをやはり腹の一番底にきちんと置いておかなきゃならぬのではないかということを思うわけです。

 私たち自由民主党はみずから保守党であるというふうに自認しておりますが、英国のエドマンド・バークも死者の民主主義というようなことを言っております。要するに、今生きている自分たちが万能だということであってはならぬ、歴史あるいは自分たちを超えるもの、こういうものに対する慎みというものが大事であり、それをたっとぶ精神が保守の心であるということだと私は思うんですね。

 ですから、地球環境問題、ある一定の地球環境に固定しようというような考え方、あるいは人間にとって都合のいい状況に地球規模で自然環境を変革していこう、移していこうというような考え方は、行き過ぎてしまうと、ともすれば大変不遜なことになりかねない。そういう深い問題をはらんでいる、それが今私どもが議論しておるところの温暖化の問題であるというふうに思うわけです。

 その意味で、きょうの午前中の我が党の吉野委員とのやりとりの中で、吉野委員が、これは国民とのやりとりと丁寧な説明、手続を踏んでやるべきではないかという趣旨の発言に対して、大臣が、政権交代があったんだ、マニフェストでもって国民に周知してあるんだというような御発言がありました。これは、大臣の本意ではないといいますか、私の受け取り方もあったのかもわかりませんが、やはりそこは、謙虚さという意味では、慎重に御発言をいただくべきだろうと思います。

 どのような政策も、時間の経過とともに再検討されてしかるべきだと私は思います。それは、時間の経過とともに事情もいろいろ変わるでしょうし、あるいは科学的な知見、考え方、新しいものが見出されるということは往々にしてあるわけですので、だから、政策の再検討をするということ自体は決して恥ずかしいことではない。むしろ恥ずかしいことは、新しい現象あるいはそれが示唆する本質的な問題が明らかになったにもかかわらず、そこに正面から向き合おうとしないこと。以前自分が唱えた主張に対して、メンツもあってか、そこに固執するということがあっては、かえって不正義ということになってしまうんだろうというふうに思うわけです。

 ちょっと前置きが長くなりましたけれども、政策は再検討をして何ら恥ずかしいことではないんだ、それが国家国民のためになることであるならば虚心坦懐にそれを行うべきであるということをまず強くメッセージとして私は申し上げたい。

 さて、昨年九月、政権交代直後、国連のスピーチで鳩山新首相が、温暖化をとめるために科学が要請する水準に基づくものとして、一九九〇年比でいえば二〇二〇年までに二五%削減を目指します、こう表明されたわけです。

 麻生政権におきまして、私も環境省におりました。その麻生政権で打ち出した中間目標がどういうふうにして決定されていったかということも私はつぶさに見ておりましたから、正直言いましてこの鳩山首相のスピーチにびっくり仰天です。愕然としました、大丈夫かと。京都の約束ですら苦しいんですよね、厳しいんです。大変な思いをしているんですけれども、この二五%は現実離れしている、これが率直な私の感想でありました。

 大臣、どうして鳩山首相はあのときに、具体的な根拠もなく、当然のことながら国民との合意はないわけです、説明をする時間もないわけですから。それなのに、なぜいきなり国際社会を相手にしてああいう思い切ったことをおっしゃったんでしょうか。大臣、どう思われますか。

小沢国務大臣 鳩山さんという人は、ある意味でいうと、いつもは大変おとなしく、外から見て何となく、大丈夫かな、頼って大丈夫かな、こうお思いになるところもあるかもしれませんが、いざというときには本当に思い切った行動あるいは決断をする方でありまして、私も十数年そばでお仕えをしてきてつくづくそう思います。

 ただ、この二五%というのは、古川委員がびっくりしたとおっしゃいますけれども、何でびっくりしたのか、私の方はそれがよくわからないところがあって、なぜかというと、これは本当にこの委員会で何度も繰り返しになりますが、民主党は野党のときずっとそれを言い続けたのであります。法案も出したのであります。そのときに、皆さん方はそういう話もずっと承知をしていていただいたはずなのであります。マニフェストにも書かせていただいて、国民にも訴えさせていただいたんです。

 でありますので、この件に関しては、鳩山さんが突然どこかから、たんすの中から何か引っ張り出してきてぽんと出したというような話ではなくて、民主党の中ではかなり積み上げた議論をしてきているし、その間には当然各界の皆さんとも話をしてきている。ある意味でいうと、当時与党だった皆さんあるいは産業界の皆さんが、どうせ野党の言うことなんて大したことないと思って、もしかしたら右から左に行っていたのかもしれませんが。

 そういうことですから、我々の中では、本当にそれはごくごく普通のこととしてとらえさせていただいた話でございます。

 その前にはもちろんすごい議論がありましたよ、決めるときは。(古川(禎)委員「何をねらいとしているんですか」と呼ぶ)

樽床委員長 ちょっと、不規則発言しないで。

小沢国務大臣 だから、決めるときはいろいろな議論はありましたが、そういった意味ではそれは全く普通のこととして受けとめさせていただいたし、まさに地球の温暖化をとめるためには、IPCCを初めとする科学の要請する数字の中でそのことは必要なことだ、こういう判断でございます。

古川(禎)委員 私が今お尋ねしたのは、なぜああいう思い切ったことを総理はおっしゃったのだろうかと。これは総理が御自身でいろいろな場面で言っておられます。それは、国際交渉、要するに、新しい枠組みをつくるに当たって、国際交渉において外交上の主導権を我が国が持つためである、そのために思い切ったことを打ち出すのだということを言っておられるわけですね。それは私も理解をするんです。それは大いに理解するところです。確かに大事なことですね。

 しかし、では現実的にどうだったのか。去年のCOP15もあったわけですけれども、そういうことを踏まえた今、その総理の意図、国際交渉において日本が主導権を握るんだという目的は達せられたのか。いかがですか。

小沢国務大臣 最終目標はまだまだこれからだと思いますが、十分効果はあって、鳩山総理の発言以降、韓国、あるいはブラジル、米国、中国等々がいわゆる削減目標を発表いたしました。それに大変大きな影響力は持ってきた、こう思っております。

古川(禎)委員 大変申しわけないことですが、言いにくいことだけれども、大臣、我が国は主導権を発揮できなかった、主導権の獲得に失敗した、残念ながらこれが事実でございます。先日も我が党の齋藤健委員が衆議院本会議場で申し上げたとおりでございました。

 私は、今の政権あるいは日本政府をおとしめたくてこういうことを言っているんじゃないんです。つまり、昨年九月のあの総理の思いというのは不発に終わったわけでしょう。そうしますと、一たんここで、その理由を分析した上で、次なる戦略をもう一回描き直すべきではないかということを思うんですね。所期の目的は達せられなかったんです。であるならば、一たん立ちどまって戦略の練り直しをする、そういう状況の中で今回のこの温暖化対策基本法案についても議論がなされるべきではないか。

 その総括のないままに、一本調子で何やらこの努力が続いておる。冷静さを失っているのではないか、前のめりになり過ぎているのではないかという懸念を持つんですが、いかがですか。

小沢国務大臣 ちょっと質問の御趣旨を僕が勘違いしているのかもしれないんですけれども、失敗したという話は私は全く言っておりませんし、国際社会の中では、日本の二五%というのは、先ほどのドイツの研究機関、世界全体でまだまだ足りない、しかし、水準に達しているのはノルウェーと日本だけ、こういう評価もいただいております。

 だから、失敗したという前提で見直せと言われてもなかなかお答えしづらいというのと、見直せということで、もし数字の目標を下げろということであれば、数字の目標を下げればさらに世界は、いわゆる削減目標は進むのでしょうか。数字の目標を下げればさらに世界は緩むんじゃないんでしょうか。そこが私にはよくわかりません。

古川(禎)委員 いや、その大臣の答弁は、逆にこれは論理のすりかえでありまして、僕が申し上げたいのは、去年の国連のあの鳩山総理の意気込みやよし、こう申し上げているんです。しかし、齋藤健議員からの、この前のいろいろな世界のメディアの取り上げよう等々ありましたように、こちらが期待するような形で日本の主導権というものを必ずしも世界の国々が認めているわけではありませんよ。実際、存在感があるのは、アメリカであり中国であり、あるいは途上国であり、こういうことじゃありませんか。

 ですから、それを目的とした上で総理はそうおっしゃっているんだから、国際的なイニシアチブをとるんだ、こうおっしゃったけれども、それが必ずしもそうならなかったということを一たんやはり総括した上で、そして今後の我が国の温暖化対策はどうあるべきかということを冷静に考えるということは大事なことじゃありませんか。

小沢国務大臣 そのメディアの取り上げ方というのも私にはよくわからないんですけれども、アメリカと中国がメディアで注目されたのは、アメリカと中国は、今まで一切、京都議定書等々でそういう具体的な目標で入っていないからです。世界じゅうがこの二つの国を、とにかく減らさなければいけないという思いで注目をしていて、それにこたえていないからみんな注目をしたんです。ですから、途上国はなおかつ、大変困っている島嶼国や何かがありますから、そういったところで注目をしたのであって、日本がこれでもし二五%じゃなくて、例えば麻生内閣の八%という話であったら取り上げられたんでしょうか。全くそこはよくわかりません。

古川(禎)委員 鳩山総理が強いトーンで高らかに、高いハードルをみずから掲げたのは、世界各国を新しい枠組みの中に引き込みたい、そういう政治的な成果を上げたいというところがあったわけですよね。しかし、現実はどうだったかというと、これはやはり成功したとは言えないでしょう。残念ながら、世の中は簡単にいくものじゃないから、その所期の目的を達することができなかった。これは謙虚に認めなきゃいけないと思いますよ。

 科学の要請。大臣、これはもう総理も大臣もおっしゃるわけですが、この科学の要請ということについてお聞かせください。

小沢国務大臣 科学の要請の前に、結論はまだ出ていないわけです。ですから、ぜひそこは、そう短兵急に御判断をいただかないようにお願いをしたい。

 科学の要請に関して申し上げますと、世界じゅうの四百五十名を超える代表執筆者、八百名を超える執筆協力者、二千五百名を超える専門家の英知を結集してまとめられたIPCCの報告書のことを指してございまして、さらにはまた、午前中も申し上げましたが、世界各国がそれぞれの政府のもとにおいてその報告書を検証し、さらには承認をした報告書でございます。いわゆる一機関、一研究所の、例えば何人かの科学者が出したという報告書とはある意味では決定的に重みが違う、そういう報告書だと思っております。

古川(禎)委員 IPCCの第四次評価報告書、より正確に言うと、温暖化被害を抑えるシナリオの一つとしてここに記載された、先進国全体で九〇年比二五ないし四〇%の削減、この数字を指しておられるんだろうと思うわけですね。

 これはもう皆様御存じのとおりで、繰り返しになりますけれども、この報告書は、気候変動の百七十七個のシナリオを取り上げております。これを六つに分類しまして、このうち、この二五から四〇%削減が必要とするものは、これは最も厳しい、大気中のCO2濃度を低いところで安定化させるというカテゴリー1に属するわけですね。このカテゴリーに属するシナリオは、百七十七のシナリオのうちのわずか六個、極めて少ない。しかも、そのうち三個は同じ研究者の手によるものであります。

 温暖化対策の世界的権威であります茅陽一先生の著書「低炭素エコノミー」の中で、このシナリオが可能となるのは、二十一世紀後半でエネルギーの大部分がバイオマスに転換され、しかもバイオマス消費から排出する二酸化炭素をCCS、地中貯留で処理するといった極端な方策が必要で、ほとんど実行は不可能だ、こうおっしゃっているんです。

 EU提案の産業革命以降の二度以内と言っているのは九六年からということなんですけれども、当時の感覚と今は科学的知見を含めて随分変わってきているんだ、したがってそのシナリオはかなり極端だということを茅先生はおっしゃっています。

 この本の中でこういう記述があります。

 先進国が二〇二〇年に一九九〇年比で二五―四〇%削減が必要というのは、IPCCを含めて関連の科学者が合意したことでは全くなく、ごく一部の科学者が特定の想定のもとに提案した考えに過ぎない。我々は、今後排出目標の策定にあたっては、IPCCの発した情報を正しく用いるよう、あらためて世界に強く訴えていくべきだろう。

 さらには、こういう記述もあります。

  IPCCは温暖化問題の科学的知見を集約し、その重大性を世界中に認識させたという点ですばらしい貢献を果たしてきた。しかしながら、とりわけ近年の温暖化抑制に関する提案には、IPCCの報告書に書かれていることから一歩踏み出して解釈され、それがあたかもIPCCが述べているかのように多くの人に信じられてしまっている点もいくつか見受けられる。温暖化に関する科学的知見の世界的な集約としてのIPCCという権威の衣を着て一人歩きしてしまうので、厄介である。

 この茅先生の主張に従いますと、大臣のおっしゃる科学の要請ということは、まず事実認識においてよって立つ基盤を失うんですね。

 先ほど午前中に、小沢大臣と前の環境大臣でありました斉藤先生がやりとりをしておられました。両者とも上昇二度以内という共通の認識を持った上でのやりとりをしておられたというふうに思いますけれども、これは本当に大丈夫なのかなと率直に思うんですね。

 冒頭でも申し上げましたように、ここは虚心坦懐に、改めて国際的動向だとかあるいは最新の科学的知見に耳を澄ましてみる、そういう謙虚さが求められる場面だと思うんですけれども、大臣、いかがですか。

    〔委員長退席、横光委員長代理着席〕

小沢国務大臣 私は日ごろ、少しおまえは謙虚でおとなし過ぎるからもう一歩前に出ろとよく指摘をされる人間でありますが、どう謙虚に考えても、今回の二五%は、例えば野党であられる公明党の皆さんも出している数字でございます。そういった意味では、与党、野党違いますけれども、立場を超えてそういったものが必要だという皆さんたちの人数がこの国会の中では相当多数ある、こういう状況だろうと思います。

 茅先生のその御指摘は、私もある意味では傾聴に値する話だとは思いますけれども、一科学者の先生方の御意見ということであればいろいろな意見がおありになるわけでありまして、そういったものを網羅的に判断した上で、この国会の中で多くの皆さんが、そういったいろいろな研究成果を背景にして考えたときに二五%削減が必要だということで提案がされているということでありますので、これ以上謙虚になっても、この話は結論が変わるものとは思いません。

古川(禎)委員 この茅先生の著作は、結論としてこういうことをおっしゃっているんです。「温暖化の影響と温暖化抑制のコストのバランスを考えて対策目標をたてるべきだ、」と。つまり、バランスが大事だ、こう言っているんですね。

 地球を守るために、命を守るために、何が何でもやるんだであってはいけないんですね。情念や思い込みで突っ走ってはいけない、冷静に客観的に考える姿勢が大事だ。そのためには、謙虚にいろいろな意見に耳を傾けることが大事だと私は思っているんです。

 四月二十日の衆議院本会議場で、たびたびお名前を出して恐縮ですけれども、我が党の齋藤健委員が、大臣がシミュレーションについて都合のよいものばかりを出す、恣意的操作がなされていると指摘をしたわけですね。そのときに大臣はこう答弁されています。具体的にどこがどういうふうに悪いのか、批判をいただくのであれば幾らでもお答え申し上げますけれども、そういった具体的な提示がないままの批判というのは当たらない。

 謙虚にとおっしゃるんだけれども、これで本当に国民に理解を求める姿勢というふうに言えるんでしょうか。

 モデルとかシミュレーションというのは、これは恣意性を持つんです。当然です、設計者の基本的な考え方によって変わりますから。公平、客観性を保とうと努力しても、人によってバイアスがかかるものなんです。だから、複数のモデルあるいはシミュレーションを試して、それを公表して、そして説明をして意見交換をして、これが科学の姿勢なんじゃないですか。ですから、そういう意味で、私は、謙虚に謙虚にとしつこく言うのも失礼に当たるかもわかりませんが、やはりそういう若干の懸念がぬぐえない。

 私は、今の温暖化問題ということに対する向き合い方について、一種の空気みたいなものを感じているんですね、こっちのいろいろな声も聞こえてきますけれども。かつて我が国に、満蒙は日本の生命線という言葉が叫ばれる時代がありました。そういう空気、それに反対することは難しいような雰囲気、そういうことというのはあるんですね、時代によって。

 そのときに、石橋湛山、東洋経済新報ですね、大正十年の「大日本主義の幻想」という社説があります。石橋湛山はここで、実に見事な論理でもって、堂々と国策の非を鳴らしております。私は、この石橋湛山の主張が正しいかどうかということを今ここで言いたいわけじゃないんですよ。けれども、国家の向かうところを左右する重要な国策を決めるに当たって、反対する意見にも耳を傾ける、十分議論を尽くす、説明する。そういう姿勢が欠けた場合に結果として何をもたらすか。それは歴史が教えるところですから、こういう歴史を鏡にするべきだと私は思うんです。

 これは大きな話ですよ、温暖化対策。国民に対して大変な義務を課すことになるわけですね。勢いだけで、思いだけでやっていいというたぐいのものではないわけです。

 さらに、石橋湛山でいえば、もう一つ例を挙げましょう、昭和五年の金解禁です。このとき石橋湛山は、実勢に見合った新平価での金解禁を主張したんですね。ところが、井上準之助は旧平価でやってしまった。そのタイミングというのも悪かったんです。直前にウォール街での大暴落です。そして、この大暴落を甘く見たんです。これは世界恐慌になったわけだけれども、通常の景気循環の中のそういうことだろうというようなことで、全く対応を誤ってしまったわけですよ。

 それで、混乱が続きまして、政権交代です。民政党から政友会。そして、犬養内閣の高橋蔵相によって再び金輸出再禁止です。政策転換ですね。政権交代と政策転換です。けれども、タイミングを逸したんですね。ドル買い問題その他いろいろ問題があって、結局はこれが後の政情不安を醸成していったという歴史です。

 ですから、温暖化対策という歴史的な事柄に今我々は直面しているわけでしょう。このとてつもなく大きな内容を含むものを議論するときに、慎重の上にも慎重でなければならないというふうに私は思うわけです。だから、温暖化対策は果たしてどうなのか、よって立つIPCCの二五―四〇というものは果たしてどうなのかという意見があるのであれば、やはりそういうものに対する判断を見誤らないようにというふうに思うわけであります。

 私の申し上げたいこと、若干伝わったかなと思いますけれども、大臣に。

小沢国務大臣 一生懸命耳を傾けさせていただいたつもりでいます。

 何点か論点があったと思いますので、私の思いも申し上げたいと思います。

 まず第一点は、石橋湛山先生は、我が郷里の生んだ唯一の総理でございます。そういった意味では、私も石橋湛山先生を目指して政治活動をしてきた人間でございますので、その石橋湛山先生の言葉というのは十分私も心得ているつもりでございます。大変リベラルで、経済通で、そういった意味では、私もそういう政治家になりたい、そう思ってやってまいりました。

 二つ目は、満蒙の歴史と今回の話を重ねて御説明になられましたが、どうしても私はその二つの歴史が重なるように思いません。満蒙政策をどうとらえるかというのは人それぞれ立場があるのでありましょうが、今回の温暖化対策は、どこかの国に攻め入るとか云々ではなくて、この地球全体を守っていかなければいけない、こういうことであります。ある意味ではエネルギーがあるんだ。空気という意味でいえば、山本七平先生の研究ではありませんが、そういう空気が感じられる、こういう御指摘は、私は、地球を守っていくためには歓迎すべき空気だろうというふうに思っています。

 それから三点目は、本当にそれが必要かどうかということの検証でございます。これも繰り返しになるわけでありますけれども、このIPCCの報告書というのは、とにかく、先ほど申し上げたような数の研究者が今までの科学的知見を総ざらいして、新たに研究をしたわけではなくて総ざらいをしてまとめ上げて、さらに各国がそれぞれそれを検証してきたものでございます。そういった意味では、旧政権の自公政権においてもそれはしっかりと検証していただいているはずの数字であると私は思っています。

 そういう中で、二五%という数字だけを取り上げた、こういう指摘でありますけれども、これは先ほども申し上げましたように、今、与党、野党、立場が変わっておりますけれども、私どもと野党の公明党、ともに二五%という数字の意味を評価してやらせていただいているわけでありまして、決して民主党だけが思い込んでやっている数字ではない、こういうふうに思うわけでありまして、どうも意見がかみ合わないな、こう思っています。

 加えて申し上げると、これは委員のお話にはありませんでしたが、いわゆる国民の皆さんの世論調査でも、温暖化対策は必要だという意見が、国民各層の中で、ちょっと今手元に数字はありませんが、七割に近い皆さんが支持をしていただいておるわけでありまして、反対しているのは一部の業界、一部の皆さんだというのが私どもの認識であります。

    〔横光委員長代理退席、委員長着席〕

古川(禎)委員 三点だけ申し上げて、次に移ります。

 まず、攻め込むということをもちろん私も考えているわけではありません。それから、地球を守るために空気は必要だというふうにおっしゃいましたけれども、地球を守るという言葉は、大臣、慎重にお使いになった方がいいと私は思っています。三つ目、私が先ほど来申し上げたかったのは、要するに、丁寧に説明をする、数字を出すのであればその根拠なりをきちんと示す、それも公平な、バランスをとった、シミュレーションしたものを、モデルを提示するというような、そういう説明をきちんとしようという姿勢が大事であるということを先ほど来私は申し上げたかったわけであります。

 次に移ります。

 さて、いわゆる前提条件でございます。三つの条件が要件となって二五%の削減目標が施行されるというものですね。我が党の近藤三津枝委員初め多くの議員からもこの点何度も指摘がされておりますけれども、この前提には客観的な基準がない、内容がよくわからない、いわばこれは政府一任である、これは法律としていびつではないか、こう思うわけです。

 先日、内閣法制局長官が、決してこれがだめだというふうにはおっしゃらなかった。しかし、だからといって、客観的、外形的にそういうものだということをおっしゃったのであって、国民の権利を制約し、義務を課すというその内容の重さを考えたときに、これは単純に外形的なことだけでよしとするものではないと私は思うんですね。

 この法律の立て方は非常にいびつだ、問題があると私は思っておりますが、大臣、いかがですか。

小沢国務大臣 これもたびたび申し上げてまいりましたけれども、確かに、いわゆる条件つきの目標、条文というのは、そんなに例があるものではありません。そういった意味では、珍しい法律だというふうに思います。

 しかし、なぜこういう法律の構成になったかというと、国際合意がまだないからであります。国際合意ができていれば、それは一つの数字でおさまります。国際合意がない段階で、しかし、先ほども山本委員の御質問にお答えしましたが、マイナス六%という数字から、二五%というある意味では乖離のある目標を掲げ、そしてそれに向けて政府が政策をやっていく、あるいは国民の皆さんにお願いする、そのためには、やはり基本法というものをつくった方がよかろうと。既に、民主党としても、さきの選挙の前に法案も提出して選挙に臨んできた、こういう経緯もある。こういうことの中で、必然的にそういった国際交渉をにらんだ条文になった。それは、法制局的にいっても決して法律としておかしいものではない、こういう判断でございます。

 さらにはまた、さっきも申し上げましたけれども、これは本当に使い勝手がよくて、国際交渉のときには大変有益であります。

古川(禎)委員 国際合意がないから、国際交渉の途上であるからということでございましたが、であるならば、我が党が提出しております低炭素社会づくりの法案の方が、論理的にも非常にすっきりして、シンプルでいいんじゃないかなと思ったところです。

 この前提条件について、やはり直観的に気になるのは、「意欲的な目標」という文言なんです。しかもこれは、意欲的かどうかというのを政府が判断する。政府がどういう基準で判断するかわからない。

 結局、大したことない目標であっても、ああ意欲的だなということでもって解除されてしまうんじゃないかというふうに心配をしてしまうんです。同時に、これは目標であって、達成しなかった場合のペナルティーはないんですね。これは事実上条件とはなり得ないのではないかという心配をしています。

 そしてまた、仮に条件となるにしましても、これがまた政府の判断にゆだねられているわけです。条件に適合したと政府が言ってしまえばもうそれまでだということになりはしないかなという心配をするわけです。

 なぜ心配をしてしまうか。心配し過ぎだ、疑い過ぎだ、こうおっしゃるかもしれないが、しかし今までがそう心配をしてしまうような説明ではなかったのか。

 ですから、この懸念を払拭するためにも、やはりきちんとこの部分についての説明を尽くされるべきだと思いますが、いかがですか。

小沢国務大臣 条件を明快にしていくというのは、これはなかなか大変でございます。

 例えば、もし具体的な案がありましたらお教えをいただきたいと思うんですが、私は、一つの基準としては、IPCCの、先ほど言っている、先進国であれば二五から四〇というような数字に合致しているかどうかというのは一つの基準としてあり得るんだろう、こういう話は申し上げておりますけれども、それ以上、例えばかちっと数字を決めるとか、あるいはまた国の名前をはっきりさせるとか、そういった国が入ったらばとかいう話は、これは法律としては逆になかなか難しいところがある、こういうふうに私は思っています。

 でありますので、そういった意味では、意欲的という話は、先ほど申し上げましたように、一つの基準としては、IPCCのいわゆる先進国基準、これは一つ該当できるものというふうに思っております。あとは、条件をはっきりさせるということはやはり難しいので、今のような表現ぶりで国際交渉に臨んでいくか、特に、我が国外務省は、ぜひそういう形で臨ませてくれ、こう言っておるわけですね。手のうちを明かしたくない、外交の手段としてこういった表現でやらせてもらいたい、こう言っているわけでありますが、こういった数字でいくか、あるいはもう最初から、本当に丸々一切条件なしでやるか、私はどちらかだと思っておりまして、もっとわかりやすい条件をつけていくというのは法技術的にも大変難しい、こういうふうに思っておりました。

古川(禎)委員 外交交渉上、機密性と裁量が欲しい、これはもう当然の話で、理解をするところなんですね。

 しかし、この法案は、結果的に国民の権利を制約して義務を課すことになる内容を持っているわけですね。そういう性質を持っているこの法律において具体的なことを書くことが難しいというのであれば、それは法律の組み立て方、法律のつくり方そのものに問題があるのではないかということを重ねて指摘いたします。

 さて、いわゆる真水が何%かという、これまた大きな問題がありますね。これは直接的に国民生活あるいは国内産業に影響を与えるわけですから、これが明らかにされていない状況のままこの法案審議に突入したということは、やはりこれは遺憾であるということをまず申し上げなきゃいかぬ。

 と同時に、真水が何%かということは、それは逆に言えば、海外からの排出量の購入が幾らになるかという問題でもある。これはまさに、国富がどれだけ流出してしまうかという大きな問題でもあるわけです。

 ですから、こういうさまざまなことを考えたときに、私は、一つ私の意見として申し上げたいことは、この排出量取引というものが、温暖化対策の中で、国際的にも議論の中で大きな位置を占めておるようですけれども、果たしてこれが妥当なものだろうかということについて、いまだに腹にすとんと落ちないところがあるんですね。

 二酸化炭素の排出量の総量を抑えたいわけですよね。しかしながら、この排出量取引というのは、発生源を移動させるだけの話であって、別に発生量が減るわけではないわけですから、ただ単に金融商品をこしらえた、いわば金融ビジネスの一つのチャンスを提供したというふうに指摘をする向きも根強くありますけれども、やはりその懸念はぬぐえないと私は思うんです。

 例えば、途上国のCO2排出を減らすために先進国が力を合わせて何か援助をしましょう、そのかかった分のお金を世界の先進国で分担して持ちましょうよというような話、そのためにお金を出すというんだったらわかりますよ。しかし、排出量取引というのは、本来的にそういう性質のものではないですね。そこで動くお金というものは、CO2を削減するためのお金ではないわけです。

 これは、さまざまなそれぞれの価値観にさかのぼるようなそういう深い意味合いを持っている、私はそのように思うんですが、大臣、政治家個人としてどういうお考えをお持ちでしょうか。

小沢国務大臣 初めて同感できるような御意見を賜りました。

 ただ、私は、これが有効ではないと言うつもりは全くございません。ただ、委員がおっしゃられた、排出権をあっちこっち売り買いしたって別に減らないじゃないかという点、そこは全く同感であります。

 ですから、私は、この排出量取引制度にとって大事な話は、とにかく上限を決めて全体の量をコントロールしていくことが必要だというのが一点と、それから、あともう一つは、いわゆるマネーゲームみたいな話で使われるようなことがあってはいけない、この二つは大変重要な話だ、こう思っております。

 あともう一つは、私はこれが有効ではないと言うつもりは全くありませんし、ですから中に出させていただいたわけでありますけれども、これがすべてみたいな話は、さっきも申し上げましたけれども、イデオロギー論争みたいな話で、これがすべてで、これをやるかやらないか、生きるか死ぬかみたいな議論とは違うんだろう、こう思っておりますし、ある意味では日本的な特性も踏まえた、しかし何とか全体をコントロールできるような制度づくりに役立つものをやってまいりたい、そう思っているところであります。

古川(禎)委員 ありがとうございました。

 温暖化対策というものは、化石燃料への依存度を下げて、自国のエネルギー安全保障を確保するチャンスである、同時に、次世代エネルギーをめぐる覇権とビジネス拡大を実現するチャンスであります。したがって、各国とも、経済力、技術力、持てる力をフルに稼働させて、国益をかけてしのぎを削っているわけですね。熾烈な戦いをやっておりますよ。当然、各国ともこれは戦略的に動いているはずですね。

 ところが、我が国の鳩山総理、世界の議論をリードする、諸国の背中を押していく、その心意気はわかるんですけれども、立派なんですけれども、しかし、大事な我が国の国益なりはどうなっているんだろうか。外交交渉における主導力にしても、実際、議論を左右しているのは、先ほども話がありましたけれども、日本じゃないんじゃないか、日本の存在感は薄いんじゃないか。むしろ、自分だけが一生懸命、自虐的に狂奔していく姿。そして同時に、国益をしっかり守っていくんだ、そういう国家戦略が私はどうしても感じられないんですね。これが悲しいんです。

 これは、例えば先日の中国海軍の我が海上自衛隊に対する挑発行動、あるいは韓国による竹島の不法占拠、あるいはまた、中国で先日、日本人の容疑者が死刑執行されたわけだけれども、あのときに総理は何と言ったか。日本国民の理解を得るように努力すると。どこの国の総理なんだろうかという気がするんですね。国家主権だとか国益を守るというような、そういう熱いものを我が国のトップにちゃんと感じたいんですよ。それが感じられないから、心配をして、さんざっぱらこうやって質問するわけなんです。

 我が党の低炭素社会づくりの法案は、これは浮ついていませんよ。これは、二十の分野で今後十年かけまして集中的に地に足のついた実績を重ねていって、国際交渉に左右されることなく、これは法律の組み立てがそうなっています、低炭素社会をつくる、つまり新しい文明社会をつくるという、明確な現実的な目標と道筋を持った法律案です。

 そもそも、熱効率性だとか新エネルギーの開発とか有害化学物質の除去なんということは、これはCO2の削減ということをわざわざ言わなくても、経済活動の要請なんですから、流れとしては企業はやっていくんですね。しかし、そこに政府が後押しをしてやろう、支援をしてやろう、これが正しい姿勢だと私は思うんです。そこまで高い目標を掲げて、これが我が国にとって致命的な痛手になるかもしれないという心配をしている人に対して十分有効な説明もないままに、このまま突っ走っていっていいのかなと。

 大臣、日本だけが、清く正しく一生懸命、そういう情念ばかりが先行して、冷静な思考を失ってはいませんか。だから、国民に十分な説明をして理解を得る、そういう基本的な手続すら十分でない、なおかつ、大急ぎで法制化をしようとしている、そういう状況なんじゃないですか。大きな問題ですね。この地球の環境、自然環境、人間が人為的な行動によってそこに何かの影響を与えようというわけですから、これは大変大きな作業です。不確定な要素も多くて、複雑で難しい施策に取り組むというわけですから、これは一年、二年かけてじっくり議論してもいいんじゃないですか。なぜそんなに急がなきゃいけないのか。十分な説明もないままに、なぜそんなに急がなきゃいけないのか。どうですか。

小沢国務大臣 これはやはり意見が違いますね、残念ながら。そんなに急いでいるというつもりはありません。本当に必要なことを、今やらなければいけないことをやろうとしているだけだ、こう思っています。

 国益の考え方というのはいろいろあるんでしょうが、委員のおっしゃられる国益という話が何なのか、ちょっと私、この問題に関してはわかりません。要は、排出権を買わざるを得なくなってお金が外へ出ていく、こういうお話を言っているのかもしれませんが、実は、朝、斉藤議員が自民党の皆さんに御質問していたように、いわゆる海外の排出権を削減して、それをある意味で日本のクレジットとしてカウントしていくという話をもっと前向きにとらえたらどうか、こういう御指摘がございました。私は、この間の衆議院の本会議でも、そのことを私は評価したいと思うというふうに申し上げたところでもあります。

 同時にまた、苦労を強いる、こういう大前提になっているわけでありますが、国民の皆さんには、太陽光パネルを設置してもらうことによって、快適で、もうけてもらおうと思っているんです。そして、要は、いわゆる断熱の壁をつくってもらって、二重窓を設置してもらって、そして熱効率をよくして、電気代を減らしてもらおうと思っているんです。それを負担する負担の仕方という話が一時的にかかりますので、それに対しては、いわゆるファイナンスのスキームを近く発表したいと思っているんです。私は、国民の皆さんが、何にも困ることなく、快適で安全で安心な生活を手に入れて、なおかつCO2が削減できる、そういう道筋をロードマップでは示しているつもりなんです。

 でありますので、何かちょっと、余りにも古川委員の方が生まじめ過ぎて、もう大変だ、こういう思いが強過ぎるような気がいたします。

古川(禎)委員 国民は、快適で、もうけながら、もって温暖化対策ができるのであると。環境と成長は両立するのだといつも言っておられますね。そのようにお考えなのだと思います。であるならば、ロードマップにしても、やはり公平なモデル、そこに疑義があるのであれば、指摘する向きがあるのであれば、それに対してきちっとした説明をして、環境と成長は両立するんですよということを説明いただくということだと思うんですね。

 このロードマップで、一点だけ最後に指摘させていただきます。

 二〇二〇年に一九九〇年比二五%削減するためには百兆円の追加投資が必要で、それによって、二〇二〇年にGDP、雇用とも〇・四%増加、全国民で所得が増加し、GDPはゼロないし〇・七%改善、失業率もゼロないし〇・一ポイント改善ということなんですね。十年かけて百兆円ですよ。毎年十兆円ですよ。百兆円投資して、これは改善というよりは変化じゃないんですか。しかも、この数字を出すのには、相当やはりモデルで無理をしたのではないかという指摘が先日来あるところですよ。こういう状況の中で、環境と成長が両立するんだということをずっと言い続けられても、生まじめなために、ああそうですねと心から納得できない人々はいっぱいいるわけですね。

 責任者として、ここはやはり、先日の委員会からずっといろいろな委員から指摘がありますけれども、きちんとした数字を出した上での法案審議だということを再三にわたって言っているわけですから、そのような誠意ある委員会審議というものをお願いしたい。

 以上、終わります。

樽床委員長 次に、齋藤健君。

齋藤(健)委員 自由民主党の齋藤健です。

 大臣、長時間本当にお疲れさまでございます。私も大臣秘書官をやっていたことがありまして、法案審議というのは本当に嫌だったのをよく覚えております。ただ、本当に大事な法案がいよいよこれから審議をされるということで、お疲れではございましょうが、しっかりとした議論を積み上げていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 三法案が出そろいましたけれども、いずれも地球の将来と日本の将来がかかった近来まれに見る重要法案だと私は認識をいたしております。小沢大臣も、かつて、憲法にも匹敵するような法案、そういう思いだということをおっしゃっておられました。私もまさに同感でございます。

 そして、きょうからこの環境委員会で法案審議がスタートをするわけでありますけれども、きょう冒頭、横光委員の方から、一番最初の質問で非常にいい整理をしていただきました。やはり温暖化が進展しているというデータを示されながら、これにどう対処していくかということは、ここにいるみんな、党派を超えて共通の認識だという話をスタートできちんとしていただいて、いいスタートを切れたなと思っております。私も同じ認識だということを強調させていただいて議論に入っていきたいと思っております。

 ただ、その方法論、それからどういう国会運営をしていくかとか、そういうことに関してはそれぞれ差があると思いますので、そういう観点からきちんとした議論を積み上げていきたいと思っております。

 この地球温暖化対策法案は、日本の経済活力、あるいはとりわけ雇用にどういう影響が出るのか、大変重要な法案でありますので、政策の論理と情報を冷静に整理して、この国会できちんと見きわめた上で判断をしていくことが本当に大事だと思っております。そういう意味では、国会の見識が問われている法案だと認識をいたしておりますし、と同時に、政府の見識も真剣に問われている、そういう大事な法案だと私は思います。

 また、これまでの国会審議を通じて明らかになりましたのは、この法案は立案過程におきましてもさまざまな問題をはらんでいるという認識を持っております。政府の政策立案のあり方、さらには国会の審議のあり方、国会と政府のあり方にまで、一石も二石も投じる大きな法案となっていると思います。

 いずれにしましても、この委員会での議論は、産業界、労働界を初め国民各層が注目をし、かたずをのんで見守っております。その方々に対して恥ずかしくない議論を、政府としても、また国会としても積み上げていかなければならない、そのように決意をしているところでございます。

 そういう意味で、本日の私の質問は、政府提出法案につきまして、これから長丁場にわたって本法案の真剣な議論を始めるに当たりまして、議論の出発点として、基本的な事項について大臣の御意見を丁寧に確認する作業、きょう私の時間はそういう時間として使わせていただきたいなと思っております。その上で、次回以降の審議で一つ一つ詰めていきたいと思っているところでございます。私も生まじめなので、そういうやり方でやらせていただけたらと思っているところでございます。

 まず初めに、そうはいうものの、先ほどの我が党の古川議員と大臣のやりとりの中で若干気になったところがございますので、そのお話から少し質問をさせていただけたらと思います。

 政府が二五%という中期目標を設定して国際交渉に臨むという、今回の国際交渉の手法そのものを私は否定するわけではありません。そういうやり方もあり得るのではないかと思います。ただ、この二五%削減というのは、日本にとりましては正直申し上げましてかなり高いハードル。これをいきなり、日本はやる、だからみんなついてきてくれ、そういう交渉の仕方になっているわけであります。

 問題は、こういう交渉もありだと思いますけれども、まず第一点に申し上げたいのは、通常はそういう交渉はしないということであります。国際交渉は、私も幾つか厳しい交渉を実際に経験してまいりましたけれども、本当に厳しいです。大臣ももう十分実感されていると思います。相手を説得するときには、おれも苦しいけれども、もう少し妥協するから君もやってくれないか、そういう厳しいやりとりの中で一歩一歩合意に近づいていくというのが国際交渉の現実であります。関税の引き下げ交渉もそうです。軍縮交渉もそうです。普通、国際交渉というのはそういう形で、自分たちの本当のところは隠しながら、少しずつカードを切っていくのが国際交渉の通常のやり方であるということであります。

 ところが、今回、鳩山政権がCOP15に向けて、あるいは16に向けて採用している戦略というものは、日本はもうこれ以上できないというものをばんとぶつけて、あとは皆さんの好意におすがりしますよ、どうか一緒にやりませんか、それだけであります。それでこの難しい交渉を本当に成功に導くことができるかどうかという方法論の是非が問われていると私は思っているわけであります。

 まず最初に質問を申し上げます。過去の国際交渉におきまして、関税引き下げ交渉でも結構です、軍縮交渉でも結構です、そういう厳しい交渉の中で、ある国が最初に丸裸になって、それで交渉が成功したというケースが過去に一つでもあるでしょうか。

小沢国務大臣 ちょっとそういう通商史は、通告もいただいておりませんでしたし、私の頭の中にはございません。

 ただ、いわゆる方法論ということで委員からお話がありましたが、委員のおっしゃる、積み上げていくというやり方ももちろんあるんだろうと思います。ただ、この問題に関して言えば、国際交渉がこちらに一面あるとして、もう一つ、こちらの方には国内のいわゆる目標、それも両方あるわけですね。両方あるわけです。ですから、こちらの方は科学の要請で決めた、こういう話なんですから、それをベースにして国際交渉をしていく、こういう順番になった、こういうふうに思っております。

齋藤(健)委員 私が申し上げているのは、総理もそうですし小沢大臣もそうだったんですけれども、世界の背中を押すために日本はこの二五%という高い目標を掲げて国際交渉に臨むんだ、そういうふうにおっしゃっているから、過去の国際交渉でそういうやり方をして成功したケースがありますかと聞いているわけであります。いかがでしょうか。

小沢国務大臣 繰り返しになりますが、大変不勉強でありまして、そういった具体例を申し上げることはできませんけれども、鳩山総理のある意味ではリーダーシップのもと、このやり方で頑張っていきたい、こう思っております。

齋藤(健)委員 私も大臣秘書官のときに突然聞かれる質問が一番嫌だったのでこれ以上突っ込みませんが、ただ、事の方法論の是非というものを、やはり日本の国益、これから日本の外交力の蓄積の一つだと思っておりますので、私は引き続き、この方法論がどういう効果を持ったかというものは、与党、野党を超えてきっちりフォローしていかなくちゃいけないと思っております。

 今じゃなくてもいいんですけれども、もしそういうやり方で、つまり、ほかの国が十二ひとえを着ているのに日本だけがパンツ一丁になって交渉をやって、それでうまくいったケースが過去あるようであればぜひ教えていただきたいなというふうに思います。

 私は、今回の法案審議におきまして、何も大臣だけを追及するつもりはありません。ですから、きょうは寺田局長も来ていただいていますが、ほかの方でもしそういうことがわかる方がおられれば自由に御答弁いただけたらと思います。こういう交渉を大臣にやらせている以上は、過去の成功例ぐらいは調べているんじゃないかと思いますが、寺田局長、いかがでございましょうか。

寺田政府参考人 申しわけございません。ちょっと私も外交経験に乏しいものですから、そのような事例は承知しておりません。

齋藤(健)委員 もうこのくらいにしておきますが、ただ、この交渉は、やはりこのやり方では、私が経験してきた厳しい交渉ではなかなかうまくいかないだろうという実感を本当に持っているんです。

 さらに言うと、先ほどの同僚の古川委員の質問をちょっとフォローする形であと一つだけ大臣に聞かせていただきたいんですが、それは前回の本会議での私の説明で言及したんですけれども、今回二五%を、日本があえて高い目標で国際交渉に臨むというのは、私が言っているんじゃないですよ、総理や小沢大臣がほかの国の背中を押すためだということをおっしゃっているわけでありますから、それが本当にできているのか、少なくともCOP15においてはどうだったのかということをちょっと知りたいということでございます。

 それで、交渉の中身はよくわかりませんが、私が本会議で申し上げましたのは、衆議院の調査室を通じて、世界の主要紙で日本のこの二五%削減目標についてどういう報道がなされているかという調査をいたしました。これは、十二月から一月の中旬ぐらいまでの期間、つまりCOP15における日本の報道ぶりということで調査をいたしました。

 新聞は、アメリカのニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、イギリスのタイムズ、フランスのル・モンド、ル・フィガロ、ロシアのインタファクス、中国の人民日報など、主要七カ国、十四の主要報道機関の記事につきまして、まず最初は四つのキーワードを入れて、余りキーワードを少なくしてたくさん出てくるといけないと思ったものですから、COP15、コペンハーゲン、日本、鳩山という四つのキーワードで調べれば日本が頑張ったという記事が検索できるんじゃないかなと思いまして検索をしたんですが、該当する記事は一行もないということでした。

 私も、さすがにこれじゃ条件が厳しかったのかなと思いまして、では、もうコペンハーゲンとジャパンだけでいいやということで、コペンハーゲンと日本でとにかく記事がないかということで再度検索を依頼しましたが、やはりこれも該当する記事は一行もなかった。そして、さらに念を入れて、では、今度は日本とCOP15という二つのキーワードで、ワシントン・ポストやニューヨーク・タイムズで報道されていないかと思いまして検索をしたら、二五%を表明したという事実関係を伝える記事はあるけれども、日本のリーダーシップを評価する記事は見つからなかったということでありました。

 私は、これはネット上の無料記事の検索ですので、そういう制約はあるので、これですべてを主張するつもりもないんですけれども、ただ、本当に日本が目覚ましいリーダーシップを発揮したのであれば、一紙ぐらいはネット上で報道していてもいいんじゃないかな、なぜないんだろうかという素朴な疑問があるわけであります。

 どうしてこういう世界の報道ぶりになっているか、大臣の認識を伺えればありがたいなと思います。

小沢国務大臣 私も、一紙くらいは書いてもらいたかったなという気持ちは全く同じでございます。

 正直言って、余り言いたくないのですが、漏れている記事もありまして、その記事は、私は、余り自分で申し上げるのもなんなので言いませんけれども、多分、その調査は結構漏れているものも多いのではないか、こう思っております。

齋藤(健)委員 これ以上やっても水かけ論になると思うのですが、ただ、ネットでもきちんと報道されるような活躍をしてほしいなと、一国民として思うだけであります。

 古川委員の質問のフォローアップは以上にいたしまして、先ほど申し上げましたように、少し大臣の御意見を確認する作業をさせていただきたいなと思っております。

 まず初めに、冒頭私が申し上げましたように、この法案は、地球の将来、日本の将来がかかっている、近年まれに見る重要法案だと思っておりますし、日本の経済力や雇用、そしてエネルギー安全保障や国民生活など、広範囲にわたって政治家が責任を持って判断をしていかなくてはいけない本当に重要な法案であると思っております。まさに国会の見識あるいは政府の見識が問われる法案であると思っておりますが、この点について、大臣はどのようなお考えであるか、まず初めに確認をさせていただきたいと思います。

小沢国務大臣 国会の見識ということですか。

 当然問われる、大変重要な法案だ、こういうふうに思っております。

齋藤(健)委員 ありがとうございます。

 二つ目に確認をさせていただきたいのは、先ほども少し議論がありましたが、ちょっと整理をしてきちんと確認をしておきたいと思うことが一つございます。

 それは、鳩山総理はいつも、きょうの小沢大臣もそうでしたですが、日本の二五%削減という中期目標は科学の要請であるということを発言されております。小沢大臣も、三月三十一日に出された大臣試案の際の大臣からのメッセージにこう書いてあります。「我が国は、一九九〇年比で二〇二〇年までに二五%の温室効果ガス排出削減、さらには二〇五〇年までに八〇%の排出削減を掲げています。これは、今現に起こりつつある地球温暖化という脅威を解決し、美しい地球を引き継ぐために、科学が求める水準であり、今の社会を生きる私たちの未来への責任です。」と書いてあります。

 つまり、総理は科学の要請というふうに言っておりますし、大臣は、若干言葉は違いますが、科学が求める水準であるという言い方をされているわけです。ここは物すごく大事なところでありまして、ここが崩れるとそこから先が全部崩れるというぐらい大事なところだと私は思います。つまり、二五%という数字の根拠であります。これについて、科学の要請であるという表現でその根拠をうたわれているわけであります。

 そういう意味で、まず初めに確認しておきたいと思いますが、日本の二五%中期目標が科学の要請あるいは科学が求める水準であるとおっしゃるのはいかなる根拠に基づいているのか。つまり、日本の二五%削減目標が、なぜ科学の要請だ、科学が要請をしているというふうに言えるのか。

 ここがすべての議論の出発点ですので、なぜ科学が要請をしているというふうに発言をされているのか、その根拠を、法案審議の始まる初日にきちんと承っておきたいと思います。大臣、よろしくお願い申し上げます。

小沢国務大臣 IPCC第四次報告書の分析結果によりますと、二度Cに気温上昇をとどめるためには、温室効果ガス濃度を四四五から四九〇ppmとする必要があり、そのためには、附属書1締約国全体の排出量は二〇二〇年に二五%から四〇%削減する必要があることが示されています。その数字を根拠にいたしております。

齋藤(健)委員 それは科学が要請をしていますか。これをしなくてはいけないという要請になっておりますか。

小沢国務大臣 必要があるということを言っているわけでありますから、そういった意味では、受けとめる我々としては、科学の要請しているところ、科学が示すところ、こういう表現は十分値すると思います。

齋藤(健)委員 今大臣が言った必要であるというのは、IPCCの報告書に必要であると書いてありますか。

小沢国務大臣 ぜひ、こういう個別の話は通告をしていただけると、さらに時間の無駄なくやれると思うんですが。

 二度Cに気温上昇をとどめるためには、温室効果ガス濃度を四四五から四九〇ppmとする必要があり、そのためには先ほど申し上げたことが必要である、こういうふうに書いてあると承知をしております。

齋藤(健)委員 きょうは大臣の見解を承るのが趣旨でありますので、これ以上突っ込んだ議論は、また別の機会にやらせていただきます。そのときは寺田局長からでも結構です、きっちりと議論を積み上げていきたいと私は思っておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 また、この点は、繰り返し申し上げて申しわけないんですけれども、本当にこの二五%削減、しかも日本のですから、先進国じゃありません。日本の二五%削減が科学の要請であるという言い方をしているわけで、先進国の二五から四〇%の話をしているんじゃありません。皆さんの主張は、日本の二五%削減が科学の要請であるという主張をしているわけですし、大臣のメッセージにもそう書いてあるわけでありますので、今は先進国の削減のシナリオについて言及がありましたけれども、もう既にそこからすれ違っているということだけ指摘させていただいて、次の質問に行きたいと思います。

 前回、大臣と議論させていただいたときに、雇用に与える影響、この二五%削減の中期目標が雇用に与える影響について、私の質問に対してこういう答弁がありました。ちょっとしつこいようですけれども、やりとりを紹介させていただきます。

 きょうこそ、大臣の口から、ロードマップを読んでくれということではなくて、二五%削減目標というものの設定が雇用にいかなる影響を与えるのか、まずはこの一点について、心配している国民各層もたくさんおられますから、こうだということを国会のこの場で説明責任を果たしていただけたらと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

という私の質問に対して、小沢大臣がこうお答えをされました。

 今回、ロードマップで示させていただいたモデル中の、伴先生のモデルでございますけれども、その試算によりますと、鉄鋼、非鉄金属・金属製品、電気機械、一般機械などの雇用が増加する、石炭製品、火力発電などの雇用が減少する。

  具体的に言いますと、鉄鋼が七・九%、非鉄金属・金属製品が七・六%、電気機械が四・四%、一般機械が三・五%、火力発電がマイナス一〇・一%、石炭製品がマイナス二二・七%、こういう数値が出ておりまして、全体では約〇・四%の雇用の押し上げ効果がある、こういうふうにロードマップではお示しをしております。

  さらには、全体の四つのモデルを見ながら、主に産業連関分析等でやらせていただいた数字でいえば、申し上げておりますのは、二〇二〇年には四十五兆円、百二十五万人の需要の喚起を見込んでおりまして、関連産業への波及まで含めますと三百四十五万人の雇用規模を誘発できるもの、こう思っております。

というのが大臣の、雇用に与える影響の国会での説明責任ということの御答弁であります。

 これは今でも変わらないですか。これで多くの働く皆さんに対する説明責任は果たしていると今でもお考えかどうか、御見解を承れればと思います。

小沢国務大臣 齋藤委員にも申し上げておきますけれども、私はかなり穏和な人間でありまして、余り怒ることをしませんが、私の見解を求めるとおっしゃっていて、事実関係の確認をするのと見解を求めるのは違うんですね。ですから、事実関係を求めるのであれば、しっかり通告をしていただければ、余計な時間もかからないんですよ。見解を求めるという意味でいいますと、ずらずらとあなたが言われたこと、そのとおりですかと言われても、手元に資料は私ありません。お答えのしようがありません。

齋藤(健)委員 これは前回、大臣が示された見解なんです。この見解に相違は今の時点でもありませんかと聞いているんです。私が読み上げたのは、全部読み上げていますので、それは信じてください。うそ偽りはありません。

小沢国務大臣 ですから、そこの部分のところを確認しますと言っていただければ、私も確認して、お答えをすぐできるんです。多分間違いないと思いますけれども、今ばっと読まれて、そのとおりですかと聞かれて、答えられる人が一体何人いますか。

齋藤(健)委員 改めて質問します。

 それでは、大臣の雇用に与える影響についての見解をお聞かせください。

小沢国務大臣 今回の改良型一般均衡モデルを用いた試算によると、鉄鋼、非鉄金属・金属製品、電気機械、一般機械などの雇用が増加する一方、石炭製品、火力発電などの雇用が減少する、全体では約〇・四%の雇用の押し上げ効果があるとの試算結果となっています。

齋藤(健)委員 今のが大臣の働く皆さんへの説明責任だということでありますね。了解いたしました。

 それでは、次に伺います。

 ロードマップの質問に移らせていただきますが、前回の、四月二十日の衆議院の本会議におきまして、大臣の御答弁の中に、先ほども引用がありましたけれども、シミュレーションを既に発表させていただいているということで、そのシミュレーションを、具体的にどこがどういうふうに悪いのか、批判をいただくのであれば幾らでもお答え申し上げますけれども、そういった具体的な提示がないままのいわゆる批判というのは当たらない、少なくとも私どもは環境と経済が両立できるというモデルを提示させていただいているわけでありますから、大いにこれから委員会の中で議論させていただきたいと思っておりますというふうに御答弁をされております。

 私、若干、確かに大臣がモデルで分析結果を示されたのは事実でありますけれども、その前に、自民党政権のもとでのタスクフォースでも多くのモデルを使って分析を行いました。また、大臣のもとでもタスクフォースで、昨年十一月か十二月でしたか、最終的に分析結果を出されました。大臣がそういう分析結果と違うものを出すのであれば、むしろ逆に今まで出されたもののどこに問題があるから新しいものにしたということを、詳細に根拠を示されるのが先ではないかという気がするんですが、その点について、細かいことは局長からで結構ですけれども、大臣の基本的な考え方をお願いします。

小沢国務大臣 こういう質問は喜んでお答えさせていただきたいと思います。

 まず、いわゆるいいとこ取りだけのモデルの結果を示したのではないか、こういう御指摘もあったように思いますけれども、昨年の段階でタスクフォースのチームの結果は公表しているわけですね。これはだから委員も御承知のとおりであります。

 そのときに私が申し上げたのは、若干誤解を招いた発言もしたわけですけれども、かつての民主党が言っていた、あるいは政府がこれからやろうとしている政策を受け入れてくれるというか、それを取り込んだモデル、それによって技術革新や何かも進展していく、そういうことを取り入れた新しいシミュレーションをやりたいんだ、そういうモデル分析をやりたいんだと。あのタスクフォースのチームの中はどうもそこのところが不十分であった、こういう認識であります。

 でありますので、今回のモデル分析にはそういったところを十分取り入れてやっていただきたい、こういうお願いをして、四つの分析を出させていただいて、そのうちの二つがああいった経済的ないわゆる一般均衡モデル、それを使わせていただいた、こういうことでございます。

齋藤(健)委員 これも、今これ以上ここで、初日に議論を深めていくつもりはありませんけれども、ただ、公表された伴教授のモデルの検討過程を私なりに環境省のホームページで調べてみますと、これは寺田局長に確認をしたいんですけれども、このモデルについて、専門家を含めた、皆さんがやられていた中長期ロードマップ検討会の中で、この伴先生のモデルは何回にわたって議論をされましたでしょうか。

寺田政府参考人 お答え申し上げます。

 全体検討会において一回議論をされております。

齋藤(健)委員 そのときの議事録によりますと、参加したほかの委員から、これは余りに時間もないし、いろいろ詰めなくちゃいけないところが多いんじゃないかというような発言もあったように私は聞いております。議事録を正確に、中を見なかったからわかりませんが、ただ、そういう声があったというふうに聞いております。

 これだけ複雑なモデルをたった一回の分析で、そして、それを大臣が大臣試算と称して外へ出してしまう。一回だから悪いとは言いません。だけれども、そのときに多くの疑義が出されているのも事実であります。

 そして、前につくったタスクフォースでは、そのモデルをどういう項目からチェックしようかということで二十六項目のチェックリストがありまして、このモデルの中では出ていない数字がたくさんあると。その辺が明らかにされなければ、なかなかモデルとして評価しづらいという意見を言う専門家も多くいるわけであります。

 ですから、私が申し上げたいのは、伴さんのモデルの内容の公開、これをしっかりと全部やっていただけるかどうか、大臣の見解を伺いたいと思います。

小沢国務大臣 お願いをして出していただくようにしたい、こういうふうに思います。

齋藤(健)委員 ありがとうございます。

 この問題だけやっておりますとまた時間がかかってしまいますので、モデルの話は、たしか火曜日に参考人で伴先生も来ていただけるということでありますので、私の方からも伴先生にきちんとした質問をさせていただきたいと思っております。

 いずれにしましても、私も詳しいことはわかりませんが、二十六項目という、今までタスクフォースできちんと議論して公開されてきたデータが、どうやら伴先生のは全部は出ていない、埋まっていないところが結構あるというように聞いておりますので、専門家からそういう疑義が出ないようにきっちりと公開すると同時に、一回じゃなくて、その数字を埋めた上で、ほかの専門家のきっちりとした検証と議論を経て、そして国会へ出すべきではないかと私は考えておりますが、大臣はいかにお感じでしょうか。局長でも結構です。

小沢国務大臣 モデルに関しては、先ほども話がありましたけれども、あくまでもいろいろな前提条件の中でいろいろなモデルのつくり方があって、それによっていろいろな可能性があるということを示していくためのものですから、それが全知全能、これが全く正しいなどということは全く言うつもりはないんであります。

 しかし、いわゆる伴先生のモデルによればこういう話が出ましたという話を、私としては私の責任で、ですから小沢鋭仁試案という名前で出させていただいているわけでありまして、大いに議論をしていただくことは必要であるし、やっていただいて結構だ、こういうふうに思います。

齋藤(健)委員 私が申し上げていますのは、先ほど来何度も申し上げましたように、この二五%削減というのは〇五年比で三〇%削減するという話でありますから、十五年間で三〇%も削減をするということで、多くの人が本当に大丈夫なのかという不安を持っている話だということであります。それについて大臣の見解を伺うと、大臣がモデルを引用されているから、それについて聞いているだけであります。

 それを、いや、モデルはいろいろありますと言われれば、では、もう一回大臣に聞かなくちゃいけなくなりますね。どういう影響が出るという見解なんでしょうか。

小沢国務大臣 本当によくわからないんですが、御質問の趣旨が。ですから、伴先生のモデルでは先ほどのような結果が出ておりますという話をしました。

 大事なことは、モデルが万能ではない、これはだから了解事項として、先ほど古川委員の話もありました、皆同じだと思います。大事な話は、そういう可能性が少なくともゼロであるかゼロでないか、それはやはり大事なことだと思います。すべてのモデルがマイナスになるのか、あるいはいわゆる技術革新の話を取り入れたモデルだったらどうなるのか、そういった話が極めて重要であって、技術革新を取り入れたモデルにしたらそれはプラスの数字が出てきた、そういう可能性もあるんだ、こういう話もわかる。

 そういう中で、我々は政治家ですから、政策を積み上げて、我々が望むべき結果、この場合には二五%削減、それをいかに達成していくかを考えるのが政治家の役割だ、こう思っております。

齋藤(健)委員 大臣、これは本当に大事なところなので伺いたいんですけれども、いろいろな分析結果が出ているわけであります。そして、この間の本会議でも私言及させていただきましたが、CO2の削減とGDPに与える影響ということでIPCCでは十五のモデルを使って分析をしておりますが、そのほとんどがCO2を削減すればするほどGDPにはマイナスであると。そして、そうじゃない結果を出しているものも、より長期で見ればマイナスだということになっているわけでありますので、長期で見ればみんな、やはり経済には影響が出る。

 経済に影響は出るけれども地球を守るためにやろうという御主張ならわかるんですけれども、そういうことではなくて、そういう世界の趨勢とも全く異なる結果の出た一つのモデルを、そして国内でも大臣のもとのタスクフォースで全然違う結果が出ているものもたくさんある中で、この一つだけを取り上げて雇用がふえますということを言うのは、大臣の、さっきおっしゃいましたけれども、政治家の姿勢として、やや私は疑問を感じるわけであります。

 伺います。なぜプラスだというものだけを大臣試算として取り上げ、ほかのもの、大臣自身がおっしゃった、いろいろな分析結果がある、それを全部書かずに、この伴さんの、しかも一日だけ議論をして、専門家から至らないところがたくさんあると言われているものをベースにした、やや特異なものだけを大臣の試算として公表するのか。なぜこれだけ取り上げるのかということをお伺いしたいと思います。

小沢国務大臣 さっきから繰り返し申し上げておりますが、それだけを取り上げているつもりはありません。

 いわゆる十二月のタスクフォースの結果も発表しています。今回も四つのシミュレーションを発表しています。そのうちの伴先生の話はこれこれです、こう答えているだけであります。

 それと、委員は経産省にいらっしゃいましたから例えば排ガス規制の話なんかも詳しいと思いますが、四月二十二日の朝日新聞の夕刊ですね、「グリーン経済の時代へ」、こういう記事があったのはごらんになりましたか。ここに書いてあるのは、いわゆる自動車排ガス規制、日本版マスキー法のことが書いてあります。「乗用車の有害物質を九割減らすという世界一厳しい基準に、産業界は「全産業で二千四百七十七億円の生産減、三万人の雇用減になる」と反対していた。」と。結果は何だったのか。「ホンダの創始者、故・本田宗一郎氏は「マスキー法は天の助け。後発のホンダが開発競争に勝てば世界一のメーカーになれる」と語ったという。日本車は国際競争力を高め、今、世界市場を席巻する。」

 これをもう一回やろうと言っているんですよ。もう少し明るく考えた方がいいと思いますよ。

齋藤(健)委員 基本的に私は結構明るい方なんですけれども。

 それから、私はやはりこれから恐らく世界の中で日本の経済の地位というのは、中国の台頭とともにだんだんと経済の世界における地位というのは下がっていかざるを得ないんじゃないかと思っている中で環境技術というものが世界で勝負できる幾つかの中の一つだろう、そのくらい大事に思っているわけでありますが、私が聞いているのはそういうことではなくて、大臣の見解として、確かに昨年の十二月、タスクフォースの結果が出ました。しかし、それは大臣試算としては公表しておりません。ですから、なぜ、いろいろある中で二つの結果だけを大臣のコメントをつけて大臣試算だということで発表されるのかがわからないということであります。

 これは、きょうは問題提起だけと思って質問させてもらっているんですが、ちょっとほかができなくなっちゃうといけないので、改めてこの話はさせていただきたいと思いますが、いずれにしても、このロードマップの問題につきましても、かなり議論をしていかないといけないなというふうに思っております。

 それから、次に質問させていただきたいのは、以前、大臣と基本法審議の前に、こういうことをやらなくちゃいけないんじゃないかというやりとりがあったものを幾つか御紹介しながら、確認をさせていただきたいと思います。三月の二十三日の環境委員会、ここで私と大臣との質疑におきまして、こういうやりとりがございました。

 私が確認をしているのは、要するに、そういう数字がちゃんと出てくるんだろうかなという確認を、今ここで答えられなくてもいいんです、ただ、産業界にはこういう影響が出る、GDP、国内総生産あるいは産業界の生産高にどういう影響が出る、それから、先ほど申し上げましたように、国富の流出は幾ら幾らだ、真水はこうなんだということを、ケースを示すということではなくて、政府としての考えをしっかり示していただきたい、その確認がしたくて今質問をしているわけで、今答えられなくてもいいですから、そこをしっかり出すということを確約していただければそれで結構です。御答弁をお願いします。

というふうに質問させていただいて、小沢大臣は、「任せてください。」とおっしゃっている。私は、「今のお言葉、しっかりと受けとめました。」というやりとりをさせていただいております。

 そこで、まず、この「任せてください。」という大臣の御発言には、当然、うそ偽りはありませんよね。

小沢国務大臣 その後にいろいろしゃべっていませんか。(齋藤(健)委員「その後。この話ですよ、聞いているのは。済みません、質問に答えてください」と呼ぶ)任せてくださいと言ったのは事実です。しかし、その後に、いわゆる私のスケジュールといいますか、そういう話をしているはずです。

齋藤(健)委員 では、ここの「任せてください。」とはどういう意味だったんですか。出すということに確約をしてくださいと言ったら、任せてくださいと大臣はおっしゃったんですよ。どういう意味だったんでしょうか。

小沢国務大臣 基本法の議論をするときに必要な材料としての、そういったロードマップというようなものを私はお示しをしたいと思うということを言っていると思います。それで、私の試案を出させていただいた、こういうことです。

 ですから、言葉の問題はどっちでもいいんですけれども、もう少し中身の議論をしませんか。

齋藤(健)委員 国民の多くの方が、私のところにも二五%はかなり不安だという声があるから、それに対して政府としてどう考えているのかということをまず初めに、法案の審議はこれから百時間やらせていただけるという要求をしておりますので中身はじっくりやりますけれども、ここに「産業界にはこういう影響が出る、」ということが書いてあります。これはロードマップに示したものだということでよろしいんですか。

小沢国務大臣 ここにというのは、どこにですか。

齋藤(健)委員 質問が悪くて申しわけありません。

 先ほどのやりとりで、大臣が「任せてください。」とおっしゃった私の質問の中に項目がありまして、これは本当にうそ偽りはありませんから信じてください、そのまま読み上げますから。「産業界にはこういう影響が出る、GDP、国内総生産あるいは産業界の生産高にどういう影響が出る、」それから、「国富の流出は幾ら幾らだ、真水はこうなんだ」ということなんですね。

 それについて一つ一つ確認したいんです。「産業界にはこういう影響が出る、GDP、国内総生産あるいは産業界の生産高にどういう影響が出る、」この点については今どこにあると認識したらよろしいんでしょうか。

寺田政府参考人 多少お話を説明させていただきたいと思いますけれども、先ほど来、ロードマップで示されたモデルについて大臣から御答弁がございました。その中には、委員御引用なさいましたけれども、伴先生のモデルの中で、各産業分野ごとに就業率にどういう変化が出るのか等々いろいろな数字がございます。

 これはいずれも、ある前提を置いたモデルでの試算結果ということで出したものでございます。当然のことながら、二五%をやったときに、国民経済のいろいろな分野、各雇用者の皆様にどういう影響が出るかというのは、その後の政策の問題もございますし、さまざまな道筋があるということでございます。

 したがいまして、私どもが今できますのは、ある前提条件を置いたモデルにおいて試算をした結果がこうでございますということを申し上げているということでございます。

齋藤(健)委員 それが伴先生のモデルだということでいいわけですね。大臣の「任せてください。」が。

寺田政府参考人 大臣から申し上げていますとおり、伴先生のモデルがその一つでございます。

齋藤(健)委員 では、ほかには何があるんでしょうか。

寺田政府参考人 これまでこの問題をめぐって公にされたものといたしましては、前政権当時の中期目標検討チームでの検討もございますし、現政権になってからのタスクフォースの検討もございます。また今回、小沢試案という格好でメンションしたものは四つございます。それは御存じと思います。

齋藤(健)委員 四つのうち二つは二五%削減じゃありませんよね。ですから二つですよね、局長。

寺田政府参考人 二五%を前提にしてあるのは二つでございますけれども、モデルはそれぞれさまざまな用途があるわけでございまして、二五%を前提にしていないからといって、その二五%の影響を見るのに使えないということはないわけでございます。

齋藤(健)委員 次に、そのときに「任せてください。」と言った項目の中で、「国富の流出は幾ら幾らだ、」私のこれについても、任せてくださいという言葉になっているんですが、どういうふうに考えたらいいんでしょうか。基本の審議なんですが。

小沢国務大臣 先般の資料を今、一生懸命読ませていただいておりました。そして、最終的に私が言っているのは、こういうことなんです。

 「ロードマップは、あくまでもケースを示しながら、そして国民各界の皆さんと議論を重ねて、その上でともにつくっていきたい、そう思っておりますので、」「御認識をいただきたいと思います。ベストの案が二五%の国内の削減です。」こういう言い方をしているんですね。

 ですから、中身の議論の中で、それは例えば、これがどうだ、こういうような話は幾らでもやらせていただいていいと思っておりますが、余りそこは、齋藤委員がとにかく政府の案を一つ出してくれとおっしゃった。私どもは、あくまでもロードマップはケースを示しながら、国民各界各層の意見をいただきながらつくっていきたいんだ。こう言っている。そこはすれ違っているわけで、自分が言ったことは全部やってもらわなきゃ困る、こういう話にはなっていないんじゃないでしょうか。

齋藤(健)委員 私が言ったことではなくて、「任せてください。」と大臣がおっしゃったから任せていたんですが、それがどうなったんですかということを聞いているだけの話であります。

小沢国務大臣 こういうやりとりは本当にむなしいと思うんですが、私は、全部、あなたの言ったことを任せてくださいと言ったわけではないじゃないですか、書いてあるのは。そして、最後にそうやってちゃんと言っているじゃないですか、こういうことを。

齋藤(健)委員 それでは次の、これはまだ依然として、何を任せたのか私もよくわからなくなってしまいましたが、改めてまた、きょうは問題提起だけですからいいです。

 もう一つ、同じ日にこういうやりとりをしております。これも、信じてください、そのまま読みますから。私の質問で

  次の質問です。国民生活への影響です。

  定量的に一世帯当たりどのくらいの負担になる、こういうものは基本法の審議までの間に、ケース分けしましたなんということではなくて、政府としてこうだということをお示しいただけるんでしょうか。

 ○小沢国務大臣 もちろん、それもさせていただきます。

 ○齋藤(健)委員 わかりました。

こういうやりとりになっているんですが、それは今どこにあるんでしょうか。政府としてのものです。

小沢国務大臣 だから、最後の時点で、ケース分けをして示すものですという話を、私はあえて最後に発言をしているんです。

齋藤(健)委員 確認ですが、それはどの話ですか。それはロードマップのことですか、タスクフォースのことですか。

樽床委員長 小沢環境大臣、冷静に。

小沢国務大臣 ロードマップの件でございます。

齋藤(健)委員 済みません、長時間で大分皆さんお疲れになってきていると思いますが。

 ロードマップの中で、国民の、「定量的に一世帯当たりどのくらいの負担になる、」というようなことはどこに出ているのかということと、それから、「政府としてこうだということをお示しいただけるんでしょうか。」と聞いたときに、「もちろん、それもさせていただきます。」ということなので、あれは政府としてのものなんですか、ロードマップは。

小沢国務大臣 ですから、最後に訂正をさせていただいたんです。

齋藤(健)委員 どこでどう訂正されていますか。

小沢国務大臣 ですから、繰り返し読みますと、「ロードマップは、あくまでもケースを示しながら、そして国民各界の皆さんと議論を重ねて、その上でともにつくっていきたい、そう思っておりますので、ぜひそこはそういうふうに御認識をいただきたいと思います。」と訂正をさせていただきました。

齋藤(健)委員 申しわけないですが、それは訂正になっていないと思いますよ。この国会の審議の場で、大臣、大変申しわけありませんが、私が、政府としてこうなんだということをお示しいただけるんでしょうかと聞いたときに、「もちろん、それもさせていただきます。」ということを言ったじゃないですか。それがどこにあるのかと聞いているんですよ。

小沢国務大臣 ですから、最後に私はそういうふうに申し上げて、あなたは何も言わなかったじゃないですか。それだけですよ。

齋藤(健)委員 その最後の大臣の表現でこれを修正した、訂正したということになりますか。大臣、本当にそう思いますか。

小沢国務大臣 齋藤さん、議論は中身の話が大事なんですよ。そして、私はロードマップを示したんですよ。このことによって議論ができればいいじゃないですか。

 もっと言いますと、これは基本法ですから、ロードマップは必須のものではありません。しかし、そういった議論も必要だと思って私は示させていただいているわけでありますから……(齋藤(健)委員「委員長、ちょっと今の答弁は納得できませんね」と呼ぶ)もう少し中身のある議論をしていただいた方がいいんじゃないでしょうか。

樽床委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

樽床委員長 速記を起こしてください。

 それでは、再開いたします。齋藤健君。

齋藤(健)委員 ちょっと声が大きくなった点は心からおわび申し上げます。申しわけありませんでした。

 ただ、私も、このやりとりで、「もちろん、それもさせていただきます。」ということで、本当に信じていたものですから、その後の話については頭に入っていませんし、本当にその大臣の言われたのがそれを訂正したものに該当するかどうかは、今委員長もおっしゃっていましたけれども、ここで議論しても仕方がないということで、理事会で協議をするというふうに今承りましたので、それを前提に、私、とりあえずきょうこの質問はこれ以上突っ込むのは差し控えさせていただきたいと思います。

 最後に一つだけお伺いをしたいと思います。このロードマップというのは、私が聞いたところによると、各省とも調整をしていない、それから中央環境審議会、中環審の議も経ていないということでありますが、その一点だけ確認させていただいて、私の質問を終わりたいと思います。

 事実関係だけです、どなたでも結構です。

寺田政府参考人 御説明申し上げます。

 このロードマップにつきましては、環境省の検討会で検討をいただきまして、その結果を小沢大臣の試案として発表したものでございます。したがいまして、その間において、いわゆる各省との協議というものは行っておりません。

 また、中環審については、実は、その後、中環審の議論で、近々、中環審でこのロードマップをさらにブラッシュアップするという作業をするということになっておりまして、これまでのところ、中環審での審議はいただいておりません。

齋藤(健)委員 それでは、そういう議論が煮詰まってから続きをやりたいと思います。

 終わります。

     ――――◇―――――

樽床委員長 この際、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

樽床委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に江田康幸君を指名いたします。

 次回は、来る二十七日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時三十分散会


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