衆議院

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第13号 平成22年5月25日(火曜日)

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平成二十二年五月二十五日(火曜日)

    午前十時三十二分開議

 出席委員

   委員長 樽床 伸二君

   理事 太田 和美君 理事 木村たけつか君

   理事 橋本 博明君 理事 山花 郁夫君

   理事 横光 克彦君 理事 江田 康幸君

      石田 三示君    大谷 信盛君

      川越 孝洋君    工藤 仁美君

      櫛渕 万里君    小林千代美君

      斎藤やすのり君    田島 一成君

      田名部匡代君    玉置 公良君

      村上 史好君    森岡洋一郎君

      矢崎 公二君    山崎  誠君

      吉川 政重君    吉泉 秀男君

    …………………………………

   環境大臣         小沢 鋭仁君

   環境副大臣        田島 一成君

   農林水産大臣政務官    舟山 康江君

   経済産業大臣政務官    近藤 洋介君

   国土交通大臣政務官    三日月大造君

   環境大臣政務官      大谷 信盛君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            白石 順一君

   環境委員会専門員     春日  昇君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十一日

 辞任         補欠選任

  中島 隆利君     吉泉 秀男君

同日

 辞任         補欠選任

  吉泉 秀男君     中島 隆利君

同月二十五日

 辞任         補欠選任

  中島 隆利君     吉泉 秀男君

同日

 辞任         補欠選任

  吉泉 秀男君     中島 隆利君

    ―――――――――――――

五月二十日

 家庭生ごみ(食品廃棄物)の有効活用に関する請願(高木美智代君紹介)(第九五二号)

 同(小池百合子君紹介)(第一〇三八号)

 危険な気候を回避するための法律制定を求めることに関する請願(村井宗明君紹介)(第一〇二七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 環境影響評価法の一部を改正する法律案(内閣提出第五五号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――

樽床委員長 これより会議を開きます。

 開会に先立ち、自由民主党・無所属の会所属委員に対し、御出席を要請いたしましたが、御出席が得られません。

 再度理事をして御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

樽床委員長 速記を起こしてください。

 理事をして再度御出席を要請いたさせましたが、自由民主党・無所属の会所属委員の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 内閣提出、参議院送付、環境影響評価法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。小沢環境大臣。

    ―――――――――――――

 環境影響評価法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

小沢国務大臣 おはようございます。

 ただいま議題となりました環境影響評価法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 平成十一年六月の本法の完全施行以降、環境影響評価の適用実績は着実に積み重ねられてきている一方、法の施行から十年が経過する中で、法の施行を通して明らかになった課題等を踏まえ、さらなる取り組みの充実が必要となっております。

 具体的には、今日の環境政策の課題は一層多様化、複雑化しており、平成二十年六月に公布された生物多様性基本法、地球温暖化対策の推進や再生可能エネルギーの導入促進等の状況の変化を踏まえ、環境影響評価が果たすべき機能や評価技術をめぐる状況の変化への対応が求められております。

 これに関しては、法附則第七条において、「政府は、この法律の施行後十年を経過した場合において、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」こととされており、また、平成十八年四月に閣議決定した第三次環境基本計画においても、法の施行の状況について検討を加え、法の見直しを含め必要な措置を講ずることとされているところです。

 こうした状況を踏まえ、法の施行後の状況の変化及び法の施行を通じて明らかになった課題等に対応するため、本法律案を提出した次第であります。

 次に、本法律案の主な内容につきまして、御説明申し上げます。

 第一に、対象事業の範囲の拡大についてであります。

 法対象事業の条件の一つとして、交付金の交付を受けて実施される事業を追加しております。

 第二に、事業計画の立案段階における環境保全のために配慮すべき事項についての検討手続の新設についてであります。

 第一種事業を実施しようとする者は、方法書手続の実施前に、事業計画の立案段階における環境影響評価を実施し、その結果を記した計画段階環境配慮書を作成して、主務大臣への送付及び公表等を行わなければならないこととしております。

 第三に、環境影響評価書に記載された環境保全措置等に係る公表手続の新設についてであります。

 事業者は、事業着手後の環境保全措置の状況等に関し、報告書を作成し、公表及び許認可等権者への送付を行わなければならないこととしております。環境大臣は許認可等権者に意見を述べることができることとし、許認可等権者は事業者に対し意見を述べることができることとしております。

 その他の改正事項として、環境影響評価手続におけるインターネットの活用等の情報提供手段の拡充、地方公共団体の意見提出に関する手続の見直し等所要の措置を講ずることとしております。

 以上が、本法律案の提案の理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

 以上です。

樽床委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

樽床委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として環境省総合環境政策局長白石順一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

樽床委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

樽床委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。玉置公良君。

玉置委員 おはようございます。玉置公良でございます。

 自民党の皆さん方が御審議に参加されていないのは大変残念でございますけれども、今から質問に入ってまいりたいと思います。

 まず、環境影響評価法の改正についてでございますけれども、今、大臣の方から意義について申されました。

 実は、隣の中国の上海でも今、万博が始まっています。聞きますと、空港から上海市内までリニアを建設するときに、騒音とか磁気で健康被害が心配されて反対運動が起こった。そうした中で環境アセスメントがされまして、一部は地下に潜ってリニアが走っておるということを聞きました。

 そういった意味においても大変大事な法案でありますし、さらには、先般、地球温暖化対策基本法が衆議院で可決をされましたが、それと同様、この環境アセスについても、大変大事な、日本がやはり世界をリードしていくような、そういう法案にしていかなくちゃならぬと私は思っております。

 そこで、具体的に聞いていきたいと思いますけれども、まず一つは、この間、二月の二十二日に中央環境審議会が出しました答申によりますと、環境影響評価に関する情報の発信と整備という項目の中で、自然環境に関する基礎的情報については現状では質及び量が必ずしも十分ではなく、その整備強化が求められておるということと、もう一つは、環境情報を国においてデータベースとして収集することにより、他の事業者、地方公共団体や地域住民が、環境影響評価の実施に当たって当該情報を利用できるような仕組みを検討すべきだ、その際、専門性を有する人材の育成も求められる、こんな答申が出されております。

 きょうの質問は、環境影響評価を行っていくにしても、一番大事なのはやはり環境調査とか情報だと思っております。そこで、まず環境大臣にお聞きをしたいのは、国を挙げてこういった環境情報、環境調査にこの機会にもっともっと取り組んでいくべきだと私は思っておるんですけれども、この中央審議会の答申も含めて御認識をお伺いしたいと思います。

小沢国務大臣 確かに、委員御指摘のような基礎的調査の必要性はあろうかと思います。そういった意味では委員の御指摘のような危惧というのも当然あるわけでありますが、一般的には地形とかそういったものは短期でそれほど変わるものではない、こういうことが基本的な原因だ、こういうふうには思っておるわけでありますが、環境に影響するそういった基礎的調査に関しては今後鋭意検討してまいりたい、こう思います。

玉置委員 そこで、具体的に、大きくいって二つほど聞いてまいりたいと思います。

 まず一つは、各省が行っておる環境調査でありますけれども、その中の環境省が行っておる自然環境保全基礎調査についてまず聞きたいと思っています。

 まず、一九七三年から五年ごとにこれは行っておる、緑の国勢調査とも言われておりますけれども、一九八七年以降、地形とか地質については調査を行っていない、また土についてもやっておらない、そういうことを聞いております。その理由と、さらには、継続してこそ環境データベースというものが生まれてくるわけですけれども、その点について一つはお伺いしたい。

 もう一つは、いわゆる縦割り行政の中で各省が環境調査を行っています。一つは、例えば国土交通省では土壌汚染のマップ。さらに文部科学省では、衛星「だいち」で宇宙から土地利用や植生などの地球の素顔を観測する、こういったデータ。さらに農林水産省では農地とか林地の土壌調査や田んぼや水辺の生き物調査、こういったことがされておりますけれども、ここらについて、国家戦略として国を挙げて環境調査に取り組むことになってくれば、こういう各省庁を横断して、統合したデータをやはりつくっていくべきだと私は思っておるんです。

 この二点について、環境省はリーダーシップをとってやっていくべきだと思いますけれども、どうでしょうか。

大谷大臣政務官 お答え申し上げます。

 御案内のとおり、五年ごとにやっておるわけですけれども、八七年以降、地形、地質に関してはやっていない。

 それはやらなきゃいけないじゃないか、もっとやるべきじゃないかという御指摘だと思いますが、大臣がさきに御指摘いただきましたように、そう簡単に地形、地質が変わるようなことはなく、それはカルデラやカルスト地形等、視覚的に特徴的なものがどういう分布になっているかというのを調べるのが調査の主な目的でありまして、毎年毎年やっても変わらないわけで、余りやらなくてもいいのかなと。

 御懸念の、アセスをするときにそれで大丈夫なのかということですけれども、アセスをするときは、既に国や自治体等が作成した地形図や地質図等の既存情報をもとにしてやっていきますので、自然環境保全基礎調査というものが頻繁に地質、地形においてはなされていないということがアセスにおいて障害になるようなことは決してないのかなというふうに思っております。

 それからもう一つの、国家戦略としてということですが、おっしゃるとおり、それなりの努力はしてきたつもりですが、各省庁縦割りではなくて、もっともっと一緒になってやっていくような取り組みをしていかなければならないというふうに思っておりますし、大臣のリーダーシップのもと、新しい政権でございますので、そこはしっかりと取り組んでいくようにしていきたいというふうに思っております。

玉置委員 そこで、私は前回も土の問題を取り上げさせてもらいましたけれども、土壌のそういう調査の関係は大変大事だと思っておりますので、ここはちょっと突っ込んで質問をさせていただきたいと思います。

 土は地球の宝石箱。地下水なども土を通してミネラルが出てきておる。さらには、先般の委員会でも申しましたように、土は大気中のCO2の約二倍を貯蔵しておる。これが破裂したらえらいことになる、地球がだめになる。こういった大きな役割をしてくれておる。

 そういった中で、実は、今の環境アセスで使っていく例えば農地とか林地とかの土壌地図については、皆さん方の手元にもありますけれども、これが正真正銘の五万分の一の、これで環境アセスの関係も参考にしていくということでありますけれども、私も最近老眼になってきたんですけれども、見えにくいのですよ。例えば、五万分の一であれば、百ヘクタールだったら大体小指ですよ。

 林地とか農地とか市街地の土の色、地形となっておるんですけれども、これを見てほしいんですけれども、これは和歌山県の御坊の五万分の一の地図です。例えば林地、この「御坊」の下に、ほとんど黄色で見にくいんですけれども、林地のSh―2と書いています。これが三本松峰二統、林地でいったらこういう名称らしいんです。そして、その周辺にKmiと書いていますけれども、これは農地です。上統といいまして、この分類は、こちらにも書いていますけれども、農地の黄緑色になっています。

 しかし、実は、専門家に調べてもらったら、同じ土の性質なんですよ。だから、環境アセスをするといっても、こういった土が林地と農地で色も違うし、そして名前も違う。専門家でなかったら、こんなので見分けられるはずがない。こんな状況なんです。

 できればこのことについて一遍、環境大臣、どうですか、これでやっていけますか。

小沢国務大臣 専門家でないとわからない、こういうおっしゃり方を委員もされたわけで、逆に言うと専門家だとわかるのかな、こうも思っております。ただ、確かに私なんかも老眼は進んでおりまして、少なくとも私にはなかなかこれは解読が難しいんだろうな、こういうふうに思うところでございます。

 何らかの工夫ができるものであれば、そういうことをやっていくこともあり得るのかな、こう思いました。

玉置委員 ありがとうございます。

 実は、環境大臣の言うとおりだと思います。これは専門家もわかりにくい。私もこの問題についてはいろいろと調べもしましたけれども、例えばアメリカでは四千分の一なんですよ。そして、ウエブで全部紹介しておるんです。韓国では五千分の一です。

 今から申し上げますことについて、実は林地と農地で同じ土であれば、私は名前も一致してほしいし色も一致してほしい。こういうことにぜひとも重点を置いてやってほしいということを今から質問したいと思うんです。

 御存じのように、農地については全国でいえば五百二十万ヘクタール、さらに林地はその五倍らしいです。

 そういった中で、きょうは大変お世話になっております舟山政務官が来ておられますので聞かせていただきますけれども、農地については、農林水産省も、土壌保全調査事業ということで、明治以来百三十七年間続いてずっとデータの蓄積をしてきてくれています。それをデジタル化して、そして公表していこうというところまで進んできておると聞いております。

 ところが、林地です。林地を私自身の方で調べてみた限りでは、国有林が約三割なんです、七百六十万ヘクタール。そこで、国有林の約三割は、農林水産省、国の方でいわゆるデジタル化をしておるということを聞いておりますけれども、公表はされていない。さらに、残る七割の民有地については都道府県の約二十三の府県がデジタル化を今進めておる。ところが、それは公表されていない。

 しかし、これだけ一生懸命今取り組んでいる状況です。この林地のデジタル化と公表が進めば、農地とあわせて、きちっとした環境アセスを行っていくのに、環境影響調査、アセスが本当にわかりやすくなってくる。

 これらについて、まず農林水産省の方から、ぜひとも、私が言ったような方向に早急に取り組んでほしいということをお聞きしたい。さらには、環境省としましては、農林水産省の協力を得て、環境アセスのための土壌調査の地図をぜひとも完成させてほしい。そのことについて、二つの省にお聞きをしたいと思います。

舟山大臣政務官 玉置議員にお答えいたします。

 まず、前段の農地、林地の調査の目的なんですけれども、そもそも農地に関しましては、農地の土壌の管理内容とか性質なんかをモニタリング調査することによって、適地適作、どの土壌に、どの地域に、どういった作目を栽培するのが適切なのかといった調査がずっと続いてきました。最近になりますと、やはり一定の化学物質ですとか土壌汚染の問題も出てきておりますので、そういった調査もしておりますけれども、すなわち、農業を継続するに当たって必要な情報を蓄積してきたという背景があります。

 一方、林地におきましても、やはり土地の利用形態が農地と林地は違います。農地は食べ物をつくるということ、林地は当然、木を植えるということで、やはり土壌が植物に与える影響というのはまた全然違いますので、そういった意味で別々に調査している。その背景は御理解いただきたいと思います。

 林地につきましても、かなり古くから、これは昭和二十年代から、国有林にあっては国が、また民有林にあっては都道府県がそれぞれ土壌調査を行っておりまして、全国の森林を網羅する形で土壌情報を把握しております。その地図が非常に小さくて見にくいというお話がありましたけれども、そのような中で、国有林の土壌情報については、御指摘のとおり、森林GISによってデジタル化を図っております。また、都道府県におきましても森林GISの整備を随時進めておりまして、まだ聞き取り調査の段階ですけれども、半分ぐらいの都道府県でGIS化が進んでいます。

 議員のお住まいになっておられます和歌山県におかれましても、森林GISにおける項目が既に整備されているという状況でありまして、このGISできちんと地図情報をデータベース化しておきますと、拡大も縮小も自由自在というんでしょうか、小さく見たいときには小さくできるということで非常に使い勝手がよくなると思いますし、広くいろいろなところでいろいろな人が活用できるというメリットもあると思っております。

 そういう中で、ぜひ情報の活用も図っていきたいと思いますし、これは県の調査ですので公表されていないところもあると思いますけれども、やはり広く利用されることによって初めてこういった調査、データベース化の取り組みというのは効果を発揮すると思っておりますので、ぜひ広く共有されるように、そういった公表の取り組みも後押ししていきたいと思っております。

小沢国務大臣 アセスの観点から私の方は答弁をさせていただくとすると、委員がおっしゃるように、土壌に関する特性をしっかり全国的にやるべきだ、こういう意見はごもっともだ、こういうふうに思いますが、アセスに関して言えば、特定の地域の土壌の調査を行うということに関しては、これまで地方公共団体などが作成した土壌図等々の既存情報を使ってやってきている、こういうことだろうと思います。なお、さらに必要な調査があれば、それは必要に応じて事業者がより詳細に土壌調査を行う、そういう形になっているわけであります。

 したがって、アセス一般論で言えば、現状ふぐあいがあって今何かをやらなければアセスが進まないという状況ではない、こういうふうに思っております。そういった既存情報等を効果的に利用できるように、インターネットを用いた情報提供などを環境省としてもやらせていただいているところでございます。

 先ほど来話が出ている、さらに一般論としてということに関しては、先ほども答弁をいたしましたが、関係各省の皆さんとも協議はしてみたい、こういうふうに思います。

玉置委員 今聞かせていただきましたけれども、いわゆるそれぞれの用途で今やっておるということですけれども、せっかくこれをやるんですから、これから、例えば農地は今度、農地管理としてCO2の吸収が入ってくるわけです。林地をきちっとデータ化しておけば、今度は林地が入ってくると僕は思うし、入ってくるように日本は率先して提案していくべきだと思っています。

 さらには、今大臣も申されましたけれども、やはり国民的に環境アセスをしていくためにも、オープンに、土壌の吸収量はこんなだとか、アセスではこんなだとかいうことが一目でわかるような、そんな地図をつくっていくべきだと思っておるんです。

 例えば、これはやはりアメリカは進んでおるんですね、調べますと。アメリカは国土資源インベントリーという国土調査をやっておるんです。これは五年に一遍、ずっとやっています。そして、八十万カ所ぐらい全国でやって、それを一般にインターネットで公表しておるんですね。

 だから、一つの土の使い方だけではなくて、いろいろな角度からすべてが活用できるような、こんな資源を、私は、やはり日本は土の調査についてもかなり進んでおると思っておるんです。先ほども言いましたように、半分の県が、民有地でいえばデジタル化が進んできておる。そんな状況ですので、やはり政権交代をして、土の宝をきちっとつくっていくということを、ここでは、お願いというよりも要望しておきたいと思います。

 そこで、時間もございませんから、風力発電についてお伺いしたいと思います。

 風力発電につきましては、全国で一千五百十七台、百八十五万三千六百二十キロワットで、これを小沢大臣のロードマップでは、再生可能エネルギーとして、二〇二〇年に最大一千百三十一万キロワットと現在の六倍以上を目指す、そういうことを表明されております。

 そこで、今回、風力発電、私も地元へ帰ればいろいろと風力発電の環境アセスについては言われるわけですけれども、環境アセスメントの対象となる件数はどの程度を想定されておるか。さらには、二〇二〇年に二五%削減、こういう地球温暖化対策との整合性から見た取り組み方針はどのようなものか、一遍お聞かせください。

大谷大臣政務官 結論から言いますと、まさに御指摘は肝心なところでございますので、環境省はもちろんですけれども、各省庁、また関係各位、専門家の皆さん方と検討しているところでございます。

 風力発電は、言われるように、騒音、低周波音、バードストライク、それから景観と、大きく分けて四つの大きな懸念事項がございます。中央環境審議会においても御議論いただいてきたんですけれども、風力発電施設の設置を法の対象事業とすべきというふうに明記されておりますので、これを尊重いたしまして、政令の改正を今後行って、風力発電施設を法対象事業に追加する予定です。

 その中身は、まずは規模。どれぐらいの規模にしていくのか。それから、今言った環境影響評価における騒音、低周波音、バードストライク、景観にかかわる調査、予測及び評価の方法をしっかりとつくっていくよう今検討しているところでございますので、委員がいただいてまいりました御意見をしっかりと反映できるような仕組みを整えて頑張っていきたいというふうに思いますので、引き続きの御指導をいただきますようお願いいたします。

玉置委員 ありがとうございます。

 そこで、今度の法律の改正については、出力の大きさに依存している、そこに重点が置かれていますけれども、私ども、地元へ帰れば、騒音の問題とか、例えば低周波音の問題、さらにはこんなこともあったんです。風力発電ができたところから猿とかそういうものが別の山へ移動してくる、やかましいので。それは定かではございませんよ。そういったことで、向こうの山につくられるのは困るんだとか、いろいろ話もございました。

 さらに、私の地元は世界遺産の熊野古道があります。登録されて六年になるんですけれども、登録されてから間もなく、ある会社が風力発電を世界遺産の地につくりたいということで、これまた物議を醸したんです。

 そんなことがございますので、こういったものを考慮に入れる必要があるのではないかと思いますし、どのような検討を行っていくのか、そこらの御見解をお願いしたいと思います。

大谷大臣政務官 具体的にはこれからなんですけれども、二五%CO2削減、小沢試案、ロードマップにもありますように、去年、おととしぐらいの風力発電のあれに比べれば、大体五倍ぐらい二〇二〇年までふやしていかなければいけない。

 そこは、どこかしこでも建てたらいいというわけじゃございませんので、さっきの答弁の繰り返しになりますけれども、しっかりと御意見をいただきながらつくっていく作業を今進めているところでございます。きれいな景観のところにぱっと大きなものが見えるんじゃなくて、端っこの方に見えるぐらいだったらいいとかいうようなことをしっかりと進めていきたいというふうに思っておりますので、ぜひそこは御指導いただきますようお願いいたします。

玉置委員 それでは最後に、環境大臣の意見について、言うことができるということが今回法改正でされました。大変いいことだと思っていますけれども、そのことについてお聞きをしていきたい。

 実は、これもまた私のふるさとでございますけれども、エコロジーという言葉を初めて日本で使った方は、私のふるさとでございます田辺で亡くなりました南方熊楠と私は思っております。この方は、やはり今の環境アセスの原点をいろいろ示唆してくれたのではないかと私は思っておるんです。

 例えば、明治四十年に神社の合祀をして、鎮守の森が切られていく、その生態系を守っていくんだということで反対運動を起こしました。そして牢屋にも入れられました。しかし、そのことをどんどんと全国へ訴えながら、生態系を守るために、鎮守の森を守るためにやってきました。そのことが一つの大きなきっかけとなって、熊野古道沿いのそういう自然の生態系が残ったわけです。

 もう一つ、それ以上に私がやはり注目をしておるのは、南方熊楠が菌類を研究した。菌類は、御存じのように、キノコからふろ場のカビまで、動物でもないし植物でもない、そういった本当に生命の原点だと私は思う。生命の原点を研究した方であります。もっと言いかえれば、人類を救う恩人であったのではないかなと思っておるんです。

 こういった環境アセスの改正を踏まえていろいろな環境情報を出していただいて、そして、もっともっと、南方熊楠のように菌類のところまできちっと調査をしてデータを持っていただく、そんなことをしていくことがこれからの新しい政権交代の環境大臣の行くべき道ではないかなと私は思っておるんですけれども、今後意見を言うということもございますから、環境大臣の決意をお願いしたいと思います。

小沢国務大臣 委員御指摘のように、今回の改正で環境大臣が意見を言う機会はふえました。配慮書の写しが送付されたとき、あるいは事業者が環境影響評価の項目等の選定を行うに当たり主務大臣の意見を求めたとき、さらには、これは今までもそうでありますが評価書の写しが送付されたとき、新たに、報告書の写しが送付されたとき、こういう機会があるわけであります。

 ただ、これはアセス法案の構成上、あくまでも意見でありまして、いわゆる事業そのものをとめるとか進めるとかいうのはあくまでも許認可権者が持っておるわけであります。そういった意味では、許認可権者と私ども環境大臣アセスとしての意見というものが総合的にうまく組み合わさっていくようにこれからしなければいけないな、こう思っているところであります。

 いずれにしても、熊野古道のお話もありましたけれども、環境を守っていく、そういった使命は環境大臣の原点の使命だと思い、しっかりとやってまいりたい、こう思います。

玉置委員 一応時間が来ましたけれども、どうか一遍、今の決意のとおり、ぜひとも世界をリードするような、そういったことについて取り組みをお願いしたいと思います。

 ありがとうございました。

樽床委員長 次に、山崎誠君。

山崎(誠)委員 こんにちは。民主党の山崎誠でございます。

 きょうは、本会議に引き続きまして、環境影響評価法の一部を改正する法律案の質問をさせていただきます。

 大臣におかれては、週末、北海道の方で日中韓の三カ国環境相会合、すばらしい成果があったものと思います。本当に御苦労さまでございます。国連の枠組みが本当にどうなるかなという中で、この三カ国が歩調を合わせることができたというのはすばらしい進歩だと思います。お疲れさまでございました。ぜひともまたその中身を今度時間のあるときにお聞かせいただきたいと思っております。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 本会議でも取り上げさせていただきました。やはり原点は、環境をどういうふうに社会の中で大事に守り育てていくか。それは私たち人間にとっていえば、経済との両立をどうやって図っていくかという問題ととらえています。これは本会議でもお聞きをして、その中で小沢環境大臣から、環境と経済の両立を超えて、環境を取り込んだ経済、すなわち環境と経済の統合が新しい成長の原動力になるというお考えをお示しいただきました。

 もう一歩突っ込んで、これはどういうふうに政策化していくのかなというところをきょうはお聞きしたいなと思ったんですけれども、私の考えとして、環境と経済の両立あるいは調和というのは二面性があるだろうなと思っています。

 というのは、一つは、環境を守るために経済が後押しをする部分です。やはり環境を守るというのは、さまざまな経済活動と結びつくと、その機能というのはどんどん広がっていくんだろうなと思う、それが一つ。それからやはり、これはもう昔から、環境と経済が対立してしまう部分というのがあると思うんです。そのために今環境アセスがあるというふうに認識をしているわけです。

 この点、政策化、環境と経済の統合をどうやって進めていくお考えか、お聞かせください。

小沢国務大臣 どうやって、こういうふうに聞かれると、なかなか答え方が難しいのでありますけれども、大事なことは、今までは、例えば公害型の環境問題に対しては、それへの対応という話になると、新たに機械を設置して、例えばばい煙に対応する機械を設置するとコストがかかる、こういうような話で、どちらかというとネガティブにとらえられる傾向があったと思うんですね。

 しかし、そういう中で、今や世界じゅうで本当にそういったものが重要なんだという認識が出てきた時点において、これはもう今山崎委員も御指摘いただきましたが、今回の環境大臣会合でも、中国も韓国もみんな同じ思いでいったときに、やはりそこには新しいニーズが生まれるんだ、ニーズが生まれる以上、そこはそのニーズにこたえるという意味でビジネスチャンスが生まれるんだ、そういうことなんだろうと私は思うんです。

 ですから、人間が必要とするもの、例えばおいしいもの、あるいはまた体にいいもの、そういうことの中の一つとして、環境にいいものという分野がしっかりと確立されつつあるということだろうと思っておりますし、私ども政治あるいはまた行政の立場からいえば、そういう人類にとって不可欠な、出発点はそこなわけですから、とにかく、この地球の中で我々が安心して暮らしていく、後世に伝えていくためにはそれを守らなければいけない、この価値をしっかりと訴え続けて、そして国民の皆さんあるいはまた世界の皆さんに同じ価値を共有していただく、これがまず第一歩なんだろうと思います。

 それをどう政策で具体化していくのかという話になると、例えば基本法を今お願いして、今度は参議院でやらせていただきますが、基本法をつくり、計画をつくり、ロードマップを示すという形で、それぞれのレベル、それぞれの段階でしっかりしたものを立案していくということに尽きるのではないかな、こういうふうに思います。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 ぜひ、私は前にもお話ししたかもしれませんけれども、環境と経済というのは価値の序列みたいなものがあって、やはり環境の価値というのは、世界、人類、あるいは地球全体の共通の価値であって、それを前提にいろいろ進めていただきたいと思います。よろしくお願いをいたします。言うまでもないかもしれませんが、意見として言わせていただきます。

 次に、これも前々から取り上げています、原子力発電所の問題をちょっと例にとって、環境アセスについて考えたいと思っています。

 お手元の資料で、ちょうど朝日新聞で「上関原発 開発か保護か」という記事が出ております。論点がよくまとまっているのでお届けをいたしました。

 この問題を取り上げる理由としましては、今、さまざま、学会の研究者の皆様が意見書をもう十数度上げて、この貴重な自然を何とか守りたいという御意見を出されている。そういう声が上がるような環境の中に原子力発電所をつくらなければいけない、環境アセスもクリアしてしまっているというところ。いろいろな経緯はもちろんあって、議論もあって、手続はきちっと踏まれたのはわかるんですが、そもそも、制度としてこういう環境を守ることが残念ながら今の時点でできていなかったという点に、やはり私は環境アセスメントの今の限界があるんじゃないかなという思いで取り上げさせていただく次第ですので、御理解いただきたいと思います。

 まず、これも参議院でも何度も取り上げられているんですが、温排水にちょっと焦点を当てて御質問したいと思うんですけれども、これをどうやって基準を設定して管理していくのか。でき上がっていない発電所ですから、どういう影響が出るかというのはわからない部分で、どうやってこれを予測し、そして環境影響を最小限に抑えるかという非常に難しい問題だと思っています。

 国としての基準は特に今設定ができていない、一律に設定するのかどうなのかという大きな問題もあると思うんですが、業界では例えば取水口と排水口で温度差は七度Cに抑えるとかそういう基準があって、一応それをクリアしているんだということで環境アセスだとか報告があると思うんですけれども、こういったものを一律に当てはめる、例えば瀬戸内海のような閉鎖性海域の中でこの基準は本当にいいのだろうかというようなことも含めて、さまざま検討しなければいけないと思っております。

 きょうは経産大臣政務官にもお越しいただいていますので、この上関の例でも構わないんですが、事業者を今までどのように指導されてきたか。それから、こういった基準設定とか環境への影響はなかなか読みにくい部分もあると思うんですが、環境大臣政務官でよろしいでしょうか、どのようにお考えになっているか。

大谷大臣政務官 委員御指摘のとおり、温排水が環境に大きな影響を及ぼす可能性があるというのはもちろん認識しておりますが、御案内のとおり、全国一律の規制ができるかというと、排水する場所は全く違います、それから海流も違うだろうし、水温も違うだろうし、生息している特徴的な生物も違うでしょうから、その場その場に合わせてやはりしっかりとやっていかなければいけないんだというふうに思っています。

 そういう意味でいいますと、これまでも環境影響評価手続を通じて慎重に審査をしながら環境省としては進めてきたところであり、必要な場合には保全措置を求める等、環境大臣からの意見を提出するようなことをやってまいりました。

 今時点で把握しているところにおいては、特段大きな問題となっている環境影響は報告されていないと認識をしておりますが、場合によっては影響が出る場合もございますので、また一部そのような影響が懸念されているともちゃんと聞いておりますので、そこは国内外の実態とかいうようなものを文献等々で調べるとか、もしくは実態調査をしっかりとさせていただくとか、環境保全にかかわることをしっかりとやらせていただきたいと思いますし、リーダーシップをしっかりと発揮していこうというふうに考えております。

 以上です。

近藤大臣政務官 山崎委員にお答えいたします。

 御指摘のとおり、原子力発電所の建設の際には、環境影響評価法に基づいて、事業者が環境影響評価を行うこととなり、その中で温排水の影響についても評価されることになっているわけであります。

 経済産業省としては、発電所建設による環境影響への配慮は大変大事だ、このように考えておりますし、これまでも、専門家の意見等を聞きつつ、事業者の環境影響評価を審査し、必要に応じて勧告を行ってきたところでございます。

 御指摘の上関原子力発電所についてでありますが、平成十三年に環境影響評価手続が終了しております。その中で、温排水の影響評価については、拡散範囲は放水口近傍に限られると予測されており、その影響は小さいと評価されております。また、中国電力は、温排水に係る環境監視として、取放水温度の連続測定等を行うこととしております。

 経済産業省としても、中国電力の対応を踏まえつつ、環境保全の観点から必要に応じ事業者を指導してまいりたい、このように考えております。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 今のお話、近藤政務官からいただいたんですけれども、予測可能性というのはやはり自然に関して言うと非常に難しい。

 この記事にもあるんですけれども、別な原発の例で、放水口からおおむね二キロ以内と予想していたものが、実際には五キロ以上に広がっている、二倍以上になっているよというようなことが、やはり後になってわかるということもあると思います。もちろん、これは事前にやるものですから限界はあると思うんですけれども、できるだけ安全率を見ながら、やはり専門家の意見を大事にしていただきたいとお願いをします。

 それで、環境アセスメントに関していうと、例えば戦略的環境アセスメント実施というところで、やはり柔軟な運用をしなきゃいけないという中で、例えば、そういった基準の設定なんかについてもケース・バイ・ケースで、言葉があれかもしれませんけれども事業者の都合のいいように解釈されるようなことがあっては困りますので、そこは、基準の考え方、あるいは基準を評価する仕組みも含めて、きちっと対応をとっていただきたいと思います。

 次の質問なんですけれども、戦略的環境アセスメント実施に当たって、今後、環境省と主務省庁で主務省令をつくっていくという段階になってまいります。

 この中で、本当に環境省の基本事項がきちっと反映されて、例えば複数案の検討であるとか、住民の意見の聴取であるとか、そういったものをきちっと盛り込んだものをつくっていかないと、せっかく戦略的環境アセスメントを法で決めても絵にかいたもちになってしまいます。

 この点、これからの作業なので明確なお答えはなかなか難しいかもしれませんが、主務省令の制定に対するお考えを、経済産業大臣政務官それから国交大臣政務官にお願いします。

近藤大臣政務官 お答えをいたします。

 発電所についての主務省令は、御指摘のとおり、環境大臣が定める基本的事項に沿って、経済産業大臣が環境大臣と協議の上で定めることとなっております。

 主務省令の策定、運用に当たっては、これは中央環境審議会の答申にもあったわけでありますが、事業の種類、特性等に応じて柔軟なものとした上で、しっかりと環境配慮がなされるよう取り組んでまいる所存であります。これは、中央環境審議会の答申に沿った形での対処方針というか政府の方針であろう、このように理解しております。

三日月大臣政務官 ありがとうございます。大切な視点だと思います。

 公共事業の多くを所管する国土交通省では、これまでも、戦略的環境アセスメント導入ガイドラインというものを環境省が定められた後に、平成二十年の四月に公共事業の構想段階における計画策定プロセスガイドラインというものを定めて、事業の構想段階において、環境面も含めて複数案の比較検討を行うですとか、また、住民参加の促進といった観点から、社会面、経済面、環境面で総合的な検討が計画策定段階で行われるための取り組みを行ってきております。

 今後、この法律制定後、戦略的環境アセスメントに係る主務省令をどう定めるかということについては、環境大臣が定める基本的事項にのっとりまして、環境大臣と協議しつつ、事業ごとの特性を踏まえて制定し、計画の立案段階における環境配慮に積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 ぜひ、今お話しになったとおりで、基本事項をこれからまたお示しされて、環境大臣との協議ということの中で、環境価値を守るきちっとした制度に皆さんのお力でつくり上げていただきたいと思います。よろしくお願いをいたします。

 では、次の質問に行きたいんですが、ちょっと環境アセスとは外れるんですが、上関の話を少しお聞きしたいと思っています。

 上関原発の現状なんですが、経済産業省の原子力設置許可がまだおりていない、許可の申請を受けて審査中とお聞きしていますが、今どういう状況にあるのか。一点、ちょっと懸念していますのは、中国電力の島根の原発で点検あるいは交換漏れがあったという報告があって、その報告書が、今中間報告が出て来月最終報告が出るということもあったと思うんですが、そういった問題点と、上関の原発の計画への影響だとか考え方はどういうふうになっているか、お聞きしたいんです。

近藤大臣政務官 お答えをいたします。

 まず、島根の原子力発電所の保守管理不備の問題についてでありますけれども、こちらの方は、六月の初めに、根本的な原因や再発防止策を含めた最終報告を中国電力から経済産業省は受ける予定になっているわけであります。

 これは、四月の二十一日に原産大会というのがございまして、その大会の折に私も島根・松江の方に参りまして、中国電力の担当者から中間状況を聞きました。また、政務三役としても、中国電力の幹部からどういう状況なのか中間的な報告は受けているわけでありますが、最終報告は六月の初めに受ける予定であります。

 その報告を受けて、厳格に確認をし、保守管理不備の問題について厳正な対応を行ってまいる所存であります。やはり、事業者の信頼性というのが原子力発電は第一でありますから、報告を受けて対応していきたい、このように考えています。

 この話と上関原子力発電所の話というのは基本的に違う話でございます。上関原子力発電所につきましては、平成二十一年十二月十八日に、御案内のとおり、中国電力株式会社より一号機に係る原子炉設置許可申請がなされております。現在、設置許可申請について、安全の確保を第一に、これまた厳正に審査を行っているところであります。

 原子力発電所の運転開始までには、御案内のとおり、原子炉設置許可に加えて、工事計画の認可、保安規定の認可及び使用前検査等各段階の手続が必要であります。その各段階においてプラントの管理体制を含めて安全をしっかりと確認していく、このような体制になっておりますので、その所要の手続にのっとって安全を厳正に確認していく、このような形になろうかと思っております。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 今のお話で、私たち民主党も、原子力を推進するに当たって、安全確保それから住民の皆さんの理解というのが大前提なはずなんです。私は、先ほどのお話の中で、島根の原発のお話と上関の原発の話は別だという、手続上別なのはわかりますが、でも、一つの原子力発電所をつくっていく、そして、それを住民の皆さんに理解していただいて、安全を確保していく中では、やはり大きな問題が持ち上がっているんだよという認識はあると思うんです。少なくとも一般の皆さんはそういう感覚でいる。その中で、上関の計画についてもやはり慎重に進めなければいけないんだろうなと思います。意見させていただきます。

 今のような状況で、原子炉の設置許可に恐らくまだ少し時間がかかる、まあ、どのぐらいかかるか、一年か二年かわかりませんが、そういう段階にあります。今、そういう状況の中で、実は埋立工事を先行して開始しようとしている。

 公有水面埋め立ての許可が山口県の知事より出されておりまして、工事はもう目前に迫っているということになります。この公有水面の埋め立ての許可というのは基本的には知事の権限で進められていますが、国交省として、こういう段階、要するに、まだ原子炉の設置許可が出ていない、まだ少し時間がかかるよという段階の中で、埋立工事に今着手しなきゃいけないと急いでいる、こういう状況をどう御判断されるか。

    〔委員長退席、山花委員長代理着席〕

三日月大臣政務官 ありがとうございます。

 結論としては、公有水面埋立法に基づいて適切に行政を執行していくということだと思うんです。

 それで、今、近藤政務官の方からも答弁がありましたように、上関の原子力発電所計画については、この電源立地については、国の電源開発基本計画に組み入れられて、埋め立て及び原子炉設置を対象とした環境影響評価も終了し、事業計画が確定をしていることから、これに基づいて、平成二十年六月に公有水面埋め立ての免許の出願が行われた。

 これは、五十ヘクタール以上でない、それを下回るものですから、免許権者である山口県知事において、国土利用上、適正かつ合理的であること、その埋め立てが環境保全及び災害防止に十分配慮されていることなど、公有水面埋立法第四条に規定する免許の基準に照らして審査が行われ、それが適合しているものとして、平成二十年十月に免許がなされたというふうに承知をしております。

 このような公有水面埋め立ての免許の出願、審査等の手続に当たっては、埋立地に立地する原子炉設置の許可というものは要件になっていないということから、この法に基づく行政の審査をしていくということだと思います。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 手続上は瑕疵はなくて、今御説明のあったとおりであるのは理解できます。

 ただ、極端な話をすると、では、もしこの原子力発電所が何らかの理由で建たなくなった、例えば二年あるいは三年先に、原子炉の設置の審査の過程でつくれないことになった、あるいはもうそういうエネルギー需要がなくなった、あるいはどこかで大きな事故が起こった、そんなときに、でも、もう埋め立ては始まってやってしまいました、上関の自然は壊されてしまいましたというのは、何とも合理性を欠くんじゃないかと私は思っています。今の法律上の手続でそれが難しいことは理解するところなんですが、私は、やはりそういう配慮も、これは中国電力なんでしょうか、山口県なんでしょうか、わかりませんが、やはりそういった広い大きな視野でぜひ見ていただきたい。

 例えば学会の皆さん、研究者の皆さんからの声で、科学的調査をもう一回やらせてほしいというような要望も出ていると思うんですね。もちろん、終わっているからという話はあります。ただ、例えば埋立工事をまだ待てるのであれば待って、その間、半年でもあるいは三カ月でも調査の機会をもう一回つくる、その中でいろいろなものが発見される中で、原発の是非はともかくとして、やはり自然環境をどうやって守っていくのかという議論をもっと深めることはできるのではないかと思います。そういった意味で、ちょっとこの点、御質問をさせていただきました。

 時間もなくなってまいりましたので、次の話題でまとめていきたいんですが、今こういうお話をしていく中で、今回の改正はやはり必要な改正で、環境アセス、今言ったような問題も含めて、これを解決するための大事な改正だという認識は持っております。

 ただ、もう一歩進めていくと、これはいろいろな議論をしていく中で、やはり事業者の事業アセスという限界にどうしても突き当たってしまう。それはどこから来ているかというと、この環境アセスメントが環境基本法の二十条に基づく環境アセスメントであるというところにやはり行き着くと思います。

 これをもっと上位のものに上げていく、国のレベル、国家のレベルできちっとした制度にしていくためには、まさにこの環境基本法二十条のところから見直して、いじっていかなければいけないんではないかなと。時代は大きく変わって、本当に環境を守っていこうという機運が高まっている、そしてまた、生物多様性だとかそういった価値についても、今、世界的に認められている中で、やはりここをいじっていく必要があるんではないかと思うんですが、環境大臣の御意見をお聞かせください。

小沢国務大臣 委員の御指摘は極めて重要な御指摘、私としてもこういうふうに受けとめさせていただきます。結論から申し上げますと、今後の検討課題としてしっかり取り組んでまいりたい、こう思っております。

 ちなみに、中環審の答申のその部分を申し上げますと、「将来的には、今後の社会状況の変化を踏まえた上で、諸外国等で実施されている個別の事業の計画・実施に枠組みを与えることになる上位の計画や政策の検討段階を対象とした環境配慮の枠組みを、我が国のSEAとして導入することについても検討する必要がある。」こう書かれているわけでありまして、上位の段階、さらには委員が御指摘の事業者ではない国の関与、この二つは大変重要なポイントだと思っております。

 それをしっかりすることによって環境も守られるし、なおかつ、その後、事業に取り組む皆さんたちも、ある意味ではそこをしっかりやることによって事業がスムーズにいく。事業に着工してスムーズにいけば、事業者にとって最も重要ないわゆる金利負担、事業が途中でとまることによって一番事業者が恐れなければいけないのは金利負担なんです。そういった話もなくて済む。こういうことでありますので、しっかりと上位の、あるいはまた国の関与を含めて検討をしてまいりたいと思います。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 ぜひそういった観点で、次のステップになるかと思うんですが、環境基本法二十条、あるいは、私、一番初めの一般質疑の中でもお願いをしたんですが、より上位の組織づくりみたいな環境を横ぐしで国として刺せるような、そういう体制づくりを進めていただければと思います。

 では、時間になりましたので最後の質問をさせていただきたいんですが、COP10が近づいてまいりました。生物多様性条約第十回締約国会議で多くの関係者の方が世界から集まる。この中で、きのう遅くまで環境省の方におつき合いいただいて、どんなことをやっていくのか。例えばSATOYAMAイニシアチブとか、日本の提案でいろいろな日本のすばらしい事例を御紹介していくというお話を聞きました。こういった取り組みをぜひやって、せっかくなので、机上の会議ももちろん大事ですが、それにとどまらない、日本ならではの演出、あるいはさまざまなアピールをしていただきたいと思います。

 そういった意味では、これは、例えば私も連休で行ってきました瀬戸内海、長島近辺の海だとか祝島の暮らしだとか、こういうものをぜひ世界の方々に御紹介できたらな、お見せできたらなと痛切に思っておるところなんですが、環境大臣の、COP10、具体的な今言ったような点の取り組み、考え方をお聞かせください。

    〔山花委員長代理退席、委員長着席〕

小沢国務大臣 御指摘の自然とそれから人間、まさに人類の共生は今回のCOP10の大変重要なテーマであります。具体的にはSATOYAMAイニシアチブという形で日本からの提案もしてまいりたい、こう思っております。そこの重要性に関する認識は委員と同じであります。

 ただ、具体的な地名を挙げられましたけれども、そういったところをどういうふうに取り組むか、こういう話に関しては、なかなか国として、今回会議を運営する私の立場からは難しいのかな、こう思います。

 ただ、委員も御案内のように、こういった国際会議は、その周り、一帯の地域でさまざまなサブイベントというものがございまして、私も何人かの、例えば自然公園の関係者の皆さんに、ぜひ名古屋に来てそういうサブイベントを大いにやってくださいよ、それがCOP10の本会議そのものを盛り上げていくことにもなるんですからと、そういうお願いもしておりまして、いろいろそういった全体の中での工夫というのは十分あり得ると思っておりますので、委員からもよくお声をかけていただいて、みんなでとにかくCOP10を盛り上げていくということのお願いをしたいというふうに思います。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。時間になりましたので終わります。本当に、環境と経済の調和、いいテーマで、大事なテーマですので、これからもよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

樽床委員長 次に、吉泉秀男君。

吉泉委員 社会民主党の吉泉秀男です。

 質問の機会を与えていただきましたことに感謝を申し上げながら、早速質問に入らせていただきます。

 十年前に成立をいたしましたこの環境影響評価法、この背景を見ますと、この十年前、そしてその二十年前、そういった状況をかんがみますと、まさに日本そのものが、経済成長を余りにも追い求めながら、大気、水、土壌を汚染しながら人体に大きな影響を与えてきた、環境さらには自然の生態系を壊してきた。こういう状況の中から、一つ一つの公害防止法令等を含めて、その辺の成果も含めながら環境影響評価法が成立したものだ、こういうふうに私自身はとらえております。

 今回、戦略的アセス、さらには一段と強化をされました報告書の公表など、これまでの法律をさらに充実させていく、こういう内容については私は異論はございません。しかし、現在、多くのところで開発業者と住民のトラブルがまだまだ起きているのも事実でございます。廃棄処分場や埋立地問題、私の地元では、岩石採取申請等々の部分で対立をしたまま進んでいない、こういう現状もございます。

 そういう中において、この法案については、まさにその開発行為といった部分に対して制限をする、さらには規制を加える、こういうものではないわけでございますけれども、しかし、一定の事業さらには面積、そういう部分の中では義務づけられている制度であります。

 そういう面からいえば、私は、環境を守るという立場からすれば、何らかの規制といった部分を持った制度でなければならないのではないか、こういうふうに思うわけでございます。

 低炭素社会、脱化石燃料と、今国会で地球温暖化対策基本法を初め数本審議もされているわけでございますし、私は、この改正法案もその一つだと理解をしております。そういう面では、開発行為に対してのこの評価法の位置づけ、さらには、これまでのこういう規制というものについてもいろいろな議論がまたなされてきたんだろうというふうに思っております。そういう意味で、この法案の持つ意味について、まず大臣からの御所見をお伺いさせていただきたいと存じます。

小沢国務大臣 吉泉委員が御指摘のように、このアセスメント法案ができて、世の中、ただ開発だけじゃやはりだめだよな、環境をしっかりと考えながら、しかし、我々が生きていく上で必要不可欠なそういう開発行為というのも考えていかなければいけないということは、おかげさまで今や社会のコンセンサスになったのではないでしょうか。それは本当に委員の御指摘のとおりだと私は思います。ですから、そういう意味において、この法律が十分にその役割を果たしてきた、まず私としてはこう思っておるところでございます。

 ただ、実際にやってみるとまだまだ不足している部分というのも当然あるわけでありまして、具体的に言えば、いわゆる手続を実施する段階で既に事業の枠組みが決定されてしまっていることが多いですから、事業者が複数案の検討等に柔軟な措置をとることが困難な場合が多かった、あるいはまた、評価書に記載された環境保全措置の実施状況等について、行政機関や第三者が確認できるための仕組みが設けられていなかった、こういう指摘も行われてまいりました。

 こうした現在の法律の課題を踏まえて、今回は、早い段階での配慮書手続、及び、今度は終わった段階での報告書手続の創設等を盛り込んだ改正を行った、こういうことでございまして、そういった意味では、さらにこの法律がこの改正によって、環境と人類がともに生きていくための重要な法案になっているもの、こういうふうに思っているところでございます。

吉泉委員 今大臣の方から御答弁があったわけでございます。確かに、これから環境というものをキーワードにしながら、それぞれ私たちは常に頭に置きながら進めていかなきゃならないものなんだろうというふうに思っております。

 そして、この評価法というものは何なのかというふうなところについても、そういうおそれがある、だからこそ、事前にそれぞれきちっと住民も巻き込んだ一つの環境アセスをやりなさいという法律だというふうにも自分自身思っております。しかし、今、公害等調整委員会に寄せられる行政処分の訴訟等が年を追ってふえてきている、やはりこういったことも事実でございます。だとするならば、今、十年を経て、今回いわゆる戦略的アセスを導入するということについては、自分自身も了解をし、大変いいことだなというふうにも思っております。

 ただ、自分自身思うのは、今、それぞれこの条例等々については、各県さらには政令都市、ここのところについて条例化されている、そういうふうにお聞きもしております。そして、多くの開発行為に対する許認可の権限が知事という状況の中で、各県の段階でも、環境の問題についてどうとらえていけばいいのか、そういう状況の中で施策なんかも相当進んでいる、さらには充実が図られている、そういうふうに思っております。

 そして、各県の内容を見ますと、今、国は対象事業を十三に絞っております。そして、十年前も十三、こういうことになっているわけでございます。そして、面積も変わっていません。しかし、私の山形県については、この十三にもう一つ、いわゆる岩石の部分もふやしております。そういう中からいえば、やはりこの間議論もしてきたというふうに思いますけれども、十年前と同じような業種に絞っている、こういったことについては自分は少し疑問を持っております。その辺、なぜ今回いじらなかったのか、このことについてまずお伺いをさせていただきます。

 そしてまた、面積の問題ですけれども、このことについても同じ内容になっております。そういう面からいえば、その辺の各県との一つの整合性というものも考えていった場合に、国の環境アセス、さらには各県でやらなきゃならないアセス、そういうふうな一つの整合性というものも含めて、今回の改正に基づいた内容、この点についてお伺いをさせていただきます。

大谷大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 事業規模が大きかったり事業の種類が多かったらもっともっと環境保全が進むんじゃないかという御指摘かというふうに思います。

 大きな意味ではそのとおりだというふうに思いますが、守っていくためには、法律というのをつくって、その法律という制度をしっかりと根づくようにしていかなければいけない。今回の環境アセスの法律というのは、国は大きなものをやる、それで小さなところは条例でもって、地域、都道府県がしっかりと責任を持ってやっていく。だから、現場でもやるし、国でも大きな規律でもって、二重、三重でもって自然環境保全をしていこうという制度となっています。

 そういう意味でいうと、何でもかんでも大きかったらいい、どの事業もみんなやるということになると、反対に今度はそごが生じてくるのかなというふうに思っております。法と条例を組み合わせることによってしっかりと確実に環境保全につなげていくということをしていくことが、まずは自然環境を守っていくためにも必要な条件なのかなというふうに思っております。

 委員が質問のときに御指摘いただきました土石採取、採石事業等々でいいますと、四十七都道府県のうち四十一の都府県がこれをアセスの事業対象にしております。地域によっていろいろな事情がある中アセスをしていく、そういう条例をしっかりと尊重しながら、制度の本来の目的である環境保全につなげていきたいというふうに考えておりますし、また、つながるというふうに考えております。

吉泉委員 国と県のその辺の役割分担、そういった点についてはぜひきちっと踏まえながら、ひとつよろしくお願いを申し上げさせていただきます。

 それと同時に、面積の問題で少しお話をさせていただきたいというふうに思っております。

 例えば埋立処分の関係でございますけれども、当初、開発をする業者にとっては、大体このぐらいでいいのではないかというふうなことで申請をさせていただいた。しかしその後、事業が順調に進みまして、この面積では足りないということでその部分の中にまたふやしていく。こういうふうな中において、当初はアセスが義務づけられる面積ではなかったわけでございますけれども、それが拡大をするということによって、二期目の段階でその面積以上になってしまった。こういう場合のアセスというものについてどういうふうに考えていけばいいのか。

 その中において、住民との最初の段階における一つ一つのところについて、いわゆる協議書、さらには合意書、こういうものが恐らく、私の覚えている範囲内では、そのことが確約をされながら進んできた中で、途中段階で住民の方から強い要望が出されていく中で業者とのトラブルが出てきている、そういう事例があるわけでございますけれども、そういうところにおける一つの私方のとらえ方、そういうふうになっていったときに、やはり一つは環境のアセスの部分が当然私は必要になっていくんだろうというふうに思っております。

 今の法体制の段階についてはそれはやらなくてもいいという判断になっているように思うわけでございますけれども、その点、どういうふうにとらえればいいのか、お伺いさせていただきます。

大谷大臣政務官 結果から述べますと、そのようないわゆる単発の事業を重ねて面的には最終的に大きな事業になってしまうというようなことがないようにこの法の制度を運用していきたいと思いますし、そうすればそのような懸念を払拭できるんだというふうに考えています。

 先ほど申し述べましたけれども、都道府県がしっかりとやっていただくということで、その事業というものが継ぎはぎになって最終的には大きいものにならないような運用、しっかりとここで委員からの御指摘をいただきましたし、こういう国会における議論が波及してまたおさまっていくようなことにもなるというふうに思いますので、いろいろな手法を使って、御懸念がないように、御指摘いただいている、同一の事業が継ぎはぎで最終的には大きなものになってしまうようなことが起こり得ないようにしていきたいというふうに考えております。

吉泉委員 その点についてはぜひよろしくお願いをしたいというふうに思います。

 ただ、一つ一つの手続上の問題からいえば、今おっしゃられた中身とは少し違うんじゃないか。そういったときに、いわゆる申請を受け付けるところにおいて、その辺、アセスがやはり必要なんだよというふうな何らかの指導なり担当者に対するとらえ方、こういう部分が私は必要なんだろうなというふうに思っておりますので、その辺よろしくお願いを申し上げたい、こう思います。

 それから、今お話ししましたけれども、今回の改正で、計画段階における戦略的アセス、非常にいいものだなというふうには思います。そして、住民の段階で意見を聞く、こういう状況は非常に利点が多い、こういうふうに思いますけれども、しかし、開発する業者から見れば大変な負担になっていく、こういうふうにも思っております。だとすると、意外と、形式的な検討、形式的なアセス、こういうふうになってしまうんじゃないか、私はこういう心配もするわけでございます。

 そういう意味で、どういうふうに予想すればいいのかわからないわけでございますけれども、しかし、計画の段階からアセスをやりなさいというふうに今回の改正に盛った背景、そういったことについてお伺いをさせていただきます。

田島副大臣 委員御指摘いただきました計画段階からの配慮書、SEAの実施につきましては、やはり今日までさまざまな問題、また、実施計画段階から住民や知事等々の意見をしっかりと出していただき、その中で、今後、事業が実施段階に及ぶに至る段階になってもしっかりと前もってきちっとした検討をしていくことが何より重要だろうというような考え方から、この計画段階でのアセスといったものを盛り込ませていただいたところでございます。

 今し方からも申し上げてきたとおり、時代の流れ等々から、十年という長い見直しといいますか、現行法の流れの中でもこうした意見等々は中環審等でも随分出てきたところでもありますし、さまざまな事例等々もあった中で、諸外国の状況等も判断した上でこのような法案の中身にさせていただいたところでございますので、御理解いただきたいと思います。

吉泉委員 事業主とも少しお話をさせていただいたわけでございますけれども、例えば、一番の候補地がある。そのところを地権者との話し合いも進めていく。戦略的アセスがなければそれで進んでいいわけでございますけれども、しかし、それだけではなくて、もう二カ所、三カ所を候補地として求めていかなきゃならない、または考えていかなきゃならない。そして、三カ所なりを提示して住民の意見を求める。こういうふうになっていったときに、それぞれの、重点の地域でなくて別の候補地についての地権者の思い、こういう部分もまた複雑な思いが出てくるのではないか。そういう中においては、非常なやりにくさ、さらには事業の進展が非常に難しくなる。こういった部分も、これまで以上に、進めていく際に、さらには、住民との整合性という部分、それに理解を求めるという面からいえば、非常に複雑な思いも含めながら、私は、若干問題が出てくるんではないかと。だからこそ、私は言ったんですけれども、そのところが形式的になりはしないか、こういうふうに思うわけです。

 ですから、そういった点を踏まえながら、私はすごくいいことだというふうに思うわけでございますけれども、そこのところをもう一度、背景も含めながら、ここを盛った経過について説明をお願い申し上げます。

田島副大臣 委員も御指摘のとおり、これまでこの戦略アセス、SEAを踏まえずに実施されてきた事業は数多くございます。しかしながら、そういった事業を展開される中で、いわゆる工事の途中でストップしてしまって、地域の住民、また地権者、そして事業者との間での対立構造等々が出てきている事例は、私が申し上げるまでもなく、委員も随分御承知のことだと思います。

 私、今回、この法案をつくっていく段階で、多くの皆さんに御説明させていただくときに引用しているのが、急がば回れということわざでございます。

 本当に急いで事業を展開していきたいというときには、ややもすると、そういったプロセス等々をおろそかにして、ないがしろにして、また、場合によってはひた隠しにして展開をしようというような考え方が出てくる可能性も十分にございますが、しかしながら、事業を完了させるまでの長いプロセスの中で、しっかりとした前段階、いわゆる事業を実施段階の前の段階で、手続をしっかりと踏まえ、住民の意見を聞く、また知事の意見を聞く、大臣の意見もしっかりと聞いて、それを踏まえた上で計画を策定していく。そのことによって、長い目で見れば、事業を展開する期間や費用等々も最小限に抑えることが十分可能なのではないかというようなことから、急がば回れという意味で、時間や負担がかかる点はあろうかと思いますけれども、決してそれが無駄にはならない、事業者にとってもマイナスにはならないというようなことで御説明をさせていただいているところでございます。

 それだけに、負担が多くなるというような認識を持たれる事業者さん等々もいらっしゃるかもしれませんが、しかしながら、長い目で見ていただけたならば決してこれが無駄にはならない、そういった丁寧な対応をしていくことによって事業をさまざまなセクターの皆さんが見守っていただけるというふうに考えておりますので、御理解をいただきたいと思っております。

吉泉委員 わかりますけれども、ううんというふうにも思うんです。

 確かに、これからこの法の施行になるわけですから、そういう中で、それぞれの事業主なり、そういったところにうまく説明もしながら開発行為等を含めて進めていただければというふうに思っておりますし、当然、この点については県の環境の条例等についても反映するものだというふうに思っておりますので、その辺の県との関係なんかも含めてお願いを申し上げたい、そういうふうに思います。

 それで、今、環境大臣の意見、これが、今回の改正から、一つの事業に対して三回これを付さなきゃならない、こういうふうになるわけでございます。大臣の意見について、大変重みのあるものだというふうに思っております。

 各県の条例の段階では、第三者から成る評価委員会などを設けながら、それぞれ学識経験者も付して、意見、討論、さらには、どうなのかという議論をしながら意見を付している、こういうところが多い現状でございますけれども、今回、三回も求めていくという中において、学識経験者なり、専門的なそういう立場からの委員会がやはり必要なのではないか、こういうふうに私は思うわけでございます。

 このことが今回の法案から抜けているということについては、なぜそうなのか、委員会を設けなくてもそういう意味で学識経験者なり専門的な立場からの意見が大臣として求められる、何かしらそういうものがあるのかどうか、そういったことについてお伺いさせていただきます。

田島副大臣 お答えを申し上げます。

 これまでも、環境大臣の意見を形成していく段階にあっては、外部有識者等々の意見、知見等々を得ながら適切な調査、検討というものを行ってきたと承知をしております。

 事実、今回、透明性を高めていくことでありますとか、また、社会的にもしっかりと理解を高めていただくというような観点から、中環審の答申の中にも、有識者の意見をより的確に踏まえる具体的な方法について検討することが必要だというふうにされておりまして、まずは、環境省の中で助言を求めるための専門家を登録し、そして必要に応じて助言を求めていく仕組みを構築し、対応していき、委員が御懸念いただいている部分に対応できるように取り組んでいきたいと思っております。

吉泉委員 すると、きちっとした委員会は設けないで、その都度ケース・バイ・ケースで求めるというとらえ方なんですか。

田島副大臣 実は、その形式につきましてもまだ検討している段階でございます。委員が御指摘いただきました第三者機関として、審議会というものをつくった方がいいのか、また、今こうした審議会等々についてさまざまな視点からの御懸念の声等々も上がっておりますので、その都度その都度という形、必要に応じて仕組みをつくっていく方がいいのかも含めて今後の検討課題としているところでございますので、御理解をいただきたいと思います。

吉泉委員 十三という業種ですから、委員会というものを設けるについても、それぞれ学識経験者、有識者、そういった面から非常に幅広い。そういう中で、一つの委員会ということでそれを形成するということについては非常に難しいものがあるんだろうというふうに私も思っています。だからこそ、この間、一つ一つの事例によって専門家からの意見を聞いてきた、こういうふうにも理解はします。

 しかし、今、それぞれの県段階でもやはり同じことが言えるわけでございますけれども、そのところについては、県としては、評価委員会なりを形成してそれぞれ意見を付している、こういう状況でございますので、その点については今後いろいろな角度から検討させていただいて、よりよい法律、さらには、私たち、環境そのものについて全体的にきちっと守っていけるような、そういった法案になりますこと、私たちもともに努力することを誓いまして、質問時間が終了いたしますので、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

樽床委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十六分散会


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