衆議院

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第2号 平成22年10月26日(火曜日)

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平成二十二年十月二十六日(火曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 小沢 鋭仁君

   理事 大谷 信盛君 理事 太田 和美君

   理事 田島 一成君 理事 横光 克彦君

   理事 吉川 政重君 理事 田中 和徳君

   理事 江田 康幸君

      相原 史乃君    石井登志郎君

      石田 三示君    岡本 英子君

      川越 孝洋君   木村たけつか君

      菊池長右ェ門君    工藤 仁美君

      櫛渕 万里君   斎藤やすのり君

      阪口 直人君    玉置 公良君

      橋本 博明君    初鹿 明博君

      樋高  剛君    水野 智彦君

      湯原 俊二君    井上 信治君

      近藤三津枝君    齋藤  健君

      福井  照君    古川 禎久君

    …………………………………

   環境大臣         松本  龍君

   経済産業副大臣      池田 元久君

   経済産業副大臣      松下 忠洋君

   環境大臣政務官      樋高  剛君

   政府参考人

   (環境省大臣官房長)   谷津龍太郎君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   伊藤 哲夫君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            白石 順一君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  寺田 達志君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            鷺坂 長美君

   環境委員会専門員     高梨 金也君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十六日

 辞任         補欠選任

  相原 史乃君     菊池長右ェ門君

  石田 三示君     水野 智彦君

  斎藤やすのり君    湯原 俊二君

  森岡洋一郎君     初鹿 明博君

  山崎  誠君     石井登志郎君

同日

 辞任         補欠選任

  石井登志郎君     山崎  誠君

  菊池長右ェ門君    相原 史乃君

  初鹿 明博君     森岡洋一郎君

  水野 智彦君     石田 三示君

  湯原 俊二君     斎藤やすのり君

    ―――――――――――――

十月二十日

 すべてのアスベスト被害者を補償し、被害の根絶を求めることに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第二九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 環境の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

小沢委員長 これより会議を開きます。

 環境の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として環境省大臣官房長谷津龍太郎君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長伊藤哲夫君、環境省総合環境政策局長白石順一君、環境省地球環境局長寺田達志君、環境省水・大気環境局長鷺坂長美君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小沢委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中和徳君。

田中(和)委員 おはようございます。自由民主党の田中和徳でございます。

 私は、このたび、自由民主党が設けましたシャドーキャビネットで環境大臣という役目を受けまして、大変浅学非才でありますし、微力でありますけれども、環境政策の推進のために努力をしてまいりたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げる次第でございます。

 松本大臣は、先日の所信演説の中で、地球は先祖から受け継いだものではなく未来の子供から預かっているものであるというアメリカ先住民の言葉を引用され、また、環境保全の視点を大胆に社会経済活動に織り込むことを通じて二十一世紀型の経済成長を実現するという考え方に立って、国益を保ちながら、地球益、人類益の実現を図ってまいりますと述べられました。私も全く同感であります。

 私もその視点から質問をしてまいりますけれども、その前に、現在は本委員会の委員長をお務めの小沢鋭仁前環境大臣に、どうしてもこの場で確認をさせていただきたいことがございますので、よろしくお願いしたいと思っております。

 委員長も先日の委員会の席で、就任のごあいさつで、特に公正かつ円満な委員会運営に努めてまいる所存ですと極めて大きい声でおっしゃっていただきました。私もそのようにお願いをしたわけでございます。

 今国会でも政府から同じものが再提出されております温暖化対策基本法案は、国民生活や産業界に大きな影響を与える、しかも、私どもから言わせれば、大変問題の多い法案である、このように思っておりますけれども、審議不十分のまま、環境委員会では非常にまれというか初めてではなかったかと思いますけれども、強行採決が行われまして、私たちは、十二分に審議を尽くすべきである、このようなお願いをしたにもかかわらず、実は残念な採決になった経過がございます。

 しかも、その後、荷崩れしたまま参議院に行ったわけでございますが、参議院の方に行きましてからは、皆さんの、与党側の見通しが悪かったというのか、先が見えなかったというか、参議院の選挙の都合ということで、これまた実は流れてしまったわけでございます。

 私は、こういうことが絶対にあってはならない、このような認識に立っておりまして、委員長としてもぜひひとつ、お言葉がありましたように、公正な運営、我々少数の野党といいながらも十二分に質疑時間をとっていただくなどの配慮をしていただくということを前提にしつつ、強行採決はされないだろうと思いますけれども、その点、ぜひ御確認を、委員長の御見識を伺っておきたいと思います。

小沢委員長 委員長として答弁といいますかお答えを申し上げたいと思います。

 先般の委員長のあいさつの中でも申し上げましたように、公平公正な委員会運営を図っていきたい、この一語に尽きると思っております。また、いわゆる委員会の運営は、与野党理事の皆さん方、御苦労をいただくわけでございますが、そういった理事の皆さん方の御協議をしっかり踏まえてやらせていただくことを申し上げたいと思います。

田中(和)委員 環境委員長としての決意、大変、委員長の御性格というのか、二度と強行採決はしない、こういうかたいお約束をされたんだ、このように思ってよろしゅうございますでしょうか。

小沢委員長 先ほども申し上げましたように、理事の皆さん方とよく相談をしてやらせていただきたい、こう思います。

田中(和)委員 松本大臣、今委員長の御発言も、また雰囲気の感じ取りもしていただいたと思いますが、大臣にも当然御理解をいただかなければならないと思います。よろしゅうございますか。

松本国務大臣 今委員長がおっしゃったとおり、委員長を初め理事の皆さん、そして委員の皆さんのしっかりとした見識の中でさまざまな問題が議論されることを大臣としても望んでおります。

田中(和)委員 次に移ります。

 実は、小沢元幹事長の件でございますけれども、北海道で民意が示されたということで、与党の要人、相当前向きな御答弁が出るようになりました。

 私たちは、野党時代の皆様方の御要望に対しては、渋々のときもあったと思いますけれども、実は、国会の中で説明責任を果たす、証人喚問あるいは参考人招致、場合によっては辞職勧告決議案の審議、こういうものにも非常に努力をしてきた経過があります。当然、政治家でありますし、御本人の御意向もあったと思いますけれども、説得をしたという、そこに汗を流したという過去のいろいろな経過がございます。

 民主党さんは、残念ながら、野党のときには非常に歯切れがよいいろいろなお話をしておられたのでございますが、政権につかれると、急に後ろ向きの態度、こう言わざるを得ないような状況がしばしば見受けられるわけでございまして、今回の小沢一郎氏のことも、全く私はそのとおりだと思っています。

 このところ、やはり国会で、国民の前で明らかにすべきだ、またそういう場に小沢一郎氏もお出になるべきだという与党側からも意見が出ておりますけれども、大臣、率直にお考えをお聞きしたいと思います。

松本国務大臣 この件につきましては、小沢元代表御自身が、国会で決めた決定は私はいつでも従うという話がございます。そういう意味では、国会で御議論、御決定いただくべきというふうに考えております。

 今お話があったのは、恐らく政治とお金の話ということでありましょうけれども、若干時間をいただいて、私自身が経験した政治とお金の話をちょっとさせていただきますが、実は三十年ほど前に、私の父は参議院議員をしておりまして、その父がある会社から、ある建設会社でしたけれども、口ききはしていないんですけれども、菓子折りの中に三百万忍ばせて営業部長が父のところに持ってきたことがあります。

 そういうことがあって、その三百万を父はわかりながら、ありがとうと言って、その営業部長を帰しました。私は息子として、こんなことをやっていいのかな、これは賄賂じゃないかというふうに思って、ちょっと憤慨しておりましたけれども、三十分ぐらいして私に、龍、社長に電話しろということを言って、社長に電話して社長につながって、おやじに電話をつなぎました。そしたら、おやじがその社長に、今営業部長が忘れ物をしていったから、あしたでもとりに来てくれというふうに言って、次の日のお昼ごろその社長が来たときに、これはきのう部長が忘れたからと、三百万、ふろしき包みにお金を入れて返しました。

 何でそのときに返さなかったのかということを自分ではいぶかしく思っておりましたから、後で聞きましたら、部長にそのまま返したら三百万、部長の懐に入るかわからぬやないか、おまえそのくらいわからぬとかというふうに言われて、社長に三百万返したんです。

 これはおやじの自慢話じゃなくて、結局、政治家と金というのは物すごく不断の見識が要るなと。そのまま部長に返していたら、多分おやじはもらったことになったかもしれない、社長に報告しなければ。ただ、社長に三百万返したとしても、今度部長はそのままおやじがもらったと言うかもしれない。だから、そういう何か物すごく難しいことがあるんだろうというふうに思って、そのときからずっと政治とお金の問題のことについて考えてきました。

 そういう難しい問題があるということを認識しながら、やはり小沢元代表御本人がこれからのことについてはしっかり考えていかれるんだろうというふうに思っております。

田中(和)委員 幹事長と言ったかもしれませんが、考えたら代表でいらっしゃいますので、元代表のお話ということにさせていただきたいと思います。

 今大臣からもみずからの経験を語られたわけでございまして、大臣自身十二分に政治家の立場、またいろいろなその重さというものもよくお考えのようでございますけれども、私は、事の次第というものは御本人がお出になって語られるという態度こそが国民の政治に対する信頼を一番回復する基だと思っておりますし、大臣もそのように思っていらっしゃるから今そのようにお答えになったと思うし、ぜひ小沢一郎氏が国会の中に出てこられて、証人喚問をお受けになられる方が、一番信頼回復に早道ではないかと思っておりますけれども、重ねてその点について、大臣、もう一度お答えをいただければと思います。大臣もそう思っていらっしゃるかどうか。

松本国務大臣 繰り返すようですけれども、みずからの出処進退は政治家みずからが判断すべきものと考えております。

田中(和)委員 みずから判断するのはもちろんなんですが、これは菅政権のもと、菅代表、党の党首でございますし、こういう指導力がそこに生かされるかどうか。当然、閣僚の皆さんもどのように思っていらっしゃるかということが私は一番重要なことなんだろうと思っています。ですから、これは人ごととか、御本人がどうだということももちろん言い分としてはあると思うんですけれども、私はこう思っていますと大臣のお言葉からすっきりと自分自身の意思をお答えいただくというのが大切なんだろうと私は思います。

 もう一度、小沢一郎先生のということではなくて、私はこう考えておりますと御発言いただければと思います。

松本国務大臣 繰り返すようですけれども、政治家みずからが判断すべきだということを繰り返さざるを得ません。

田中(和)委員 大臣もいろいろなことを考えて御発言されたんだと思いますけれども、私の求めた、期待をした御答弁とはちょっと違いますけれども、次に移ります。

 実は私の神奈川でも先般災害があったのでございますが、奄美大島では十月二十日に記録的な集中豪雨が起こりました。死傷者の方もたくさん出て、島全体でも二千人以上が避難勧告を受けられた、また川のはんらん等で今でも大変な孤立状態にあるということでございます。亡くなられた方、被災された皆様に心より御冥福とお見舞いを申し上げる次第でございます。

 一方、COP10がございます。大臣が御就任をされる前からCOP10のスケジュールはすべて決まっておったのでございます。一部の報道を見ますと、大臣も、防災がないがしろになるんじゃないか、こういう危惧の念を示されたと聞いております。

 私からも、環境大臣という大変なお役を受けられる、これまた防災大臣も、リアルタイム、三百六十五日、国民の生命財産にかかわることでございますし、いっときも気が抜けない。今まで環境大臣と防災大臣というのは、幾つかの大臣の組み合わせはあったんですけれども、過去に前例がない、しかも重たい仕事が両方あるということで、私は、はっきり言って、いかに松本大臣の能力がスーパーマンであろうとも、心配しております。

 私だけじゃないですね、国民の多くの皆さんからそういう声が上がっているんですが、大臣、そこはどうですか。

松本国務大臣 私も同じような、今先生から御指摘のことを思いました。菅総理から環境、防災ということを言われたときに、それこそ大変な任務だなということで実は逡巡をいたしましたけれども、地球の命を守る、自然を守る、そして未来の子供たちのために動く、そして防災は何よりも人の命を守っていくということでありますから、そういう意味では共通の理念があるんだなというふうに思っております。

 今言われましたように、三日後にCOP10の作業でニューヨークに参りました。そのときも、まだ副大臣、政務官は決まっておりませんでしたので、ぜひとも東京在住の副大臣、政務官を置いてくれということを言ってニューヨークに参りました。

 奄美のことにつきましても、二十日の日に、私も結構COP10のことで疲れておりましたけれども、奄美の被害を聞いて、時間百三十一ミリ、二時間で二百六十ミリというのは想像を絶する雨だということで、私は夜もずっと防災の方に詰めまして、鹿児島県に電話をして、ある程度指示をいたしました。まず二次災害の防止をしよう、そして孤立している人たちに対して安全、安心を提供しよう。また、小中学校にも三百人近い子供たちがいましたので、その子たちの安全も守ってくれよということでやりました。そして、何かありましたら何でも言ってくださいと鹿児島県に申し出て、私たちはいつでもお手伝いしますということでやりました。

 二十三日の日、土曜日でしたけれども、東副大臣に早速現地に行っていただいて、様子を見、そして避難している方々のことをしっかり見守りながら、何よりライフラインがかなり切断しておりましたので、その復旧に向けていろいろな方々を督励し、まさに警察、消防、自衛隊、本当に一生懸命やられて、また住民の方々も、結いという共同体みたいなものがありまして、その結束が強くて、ボランティアの方々もやっておられるし、そういう報告を受けました。

 そういう意味では、大変荷が重いし、スーパーマンどころではない能力の足りない私でありますけれども、しっかりそこのところは腹に入れていきながら、決してそごのないように、万全を期していきたいというふうに思っておりますので、よろしく御理解をいただきたいと思います。

田中(和)委員 もう大臣、認識はしておられるということは今の答弁でわかるんですけれども、率直に言って、環境大臣のお立場、COP10の議長、いわば昨今の、今世紀の我が国の国際会議で本当に最大の会議と言っても過言でないと思うんですね。しかも、これからの時代の極めて重要な案件を審議される。

 一方において、本当に残念ながら災害が起こってしまう。日本は災害列島と言われるほど自然的な災害の多い国なんですよね。どっちを優先されるんだ、一般の国民から見ればこう聞かなきゃいけませんし、両方大丈夫だよといっても、身は一つですよね。

 これはどうされますか。

松本国務大臣 大変重い責任だということを重々理解はいたしております。優先順位をどちらにつけるかということはありません。どちらも大事ということで、今COP10のお話がありました。大変今厳しい状況ですけれども、この委員会が終わったら早速、名古屋に行って全体会合、あるいはあしたに備えて仕込みをしていかなければならない。バイの会談もたくさん用意しております。そういう意味では、大変荷が重うございますけれども、しっかり取り組んでまいりたい。優先順位はつける気はありません。COP10も大事ですし、奄美の復興も大事です。

 前に私も、十五年前の阪神・淡路のときに、御党の村岡兼造先生、谷洋一先生、そして私、三人で、実は災害復興プロジェクトの座長をやったんですけれども、そのときの思いもしっかり腹に入れていきながら、防災というもの、そして復興というものに全力をこれから挙げていきたいというふうに思っております。

田中(和)委員 奄美大島の皆さんも、大臣に実際に来ていただいて見ていただきたいと。想像を絶する大変な雨量だった。大変不安な中に時を過ごしておられると思うんですね。大臣はいつ奄美に行かれるんですか。

松本国務大臣 今のところ、時間調整をしておりますが、COP10が終わるのが二十九日、それ以降のことになろうかと思いますけれども、一日も早く現地に入って、さまざまな方々の話を聞いていきながら、例えばそこから学ぶべきもの、中越のときもそうでしたけれども、孤立集落の問題、あるいはグループホームの問題、老人ホームとか老健施設がさまざま被害に遭っております。災害弱者の問題、そして携帯が通じないという通信の問題等々、この間、奄美の問題でいろいろ取りざたされてきた問題がありますから、そのことについてもしっかり取り組んでいきたいなと思います。

 おくれましたけれども、三名の方々がこの記録的な豪雨によって亡くなられました。哀悼の誠をささげたいというふうに思っております。

田中(和)委員 私は、大臣は過去に防災のお仕事をされた経験をお持ちだということも知っております。ですから、防災担当の大臣、環境大臣は言う必要もないわけですけれども、どれだけ重い仕事を兼ねられるかということでございまして、私は、大臣が最初にお役を受けられるというやりとりをされたときに危惧の念を示されたということでございまして、それは本当に正しかったと。しかし、お受けになったということはやや間違っていたのではないかな、こう思っております。

 何か承りますと、仙谷総理大臣が大丈夫だ大丈夫だとおっしゃったというんですけれども、仙谷総理の方がどうも判断ミスじゃないかとあえて御指摘をして、次に移ってまいります。

 実は、これも人事の話なんです。小沢前大臣の顔を見ながらお話ししますけれども、大臣、副大臣、政務官、COP10に向けて、MOP5もございますし、大変お忙しい中、頑張られて準備をされたんだと思うんですよ。しかも、今回これだけの盛りだくさんの議案があるわけですね。松本大臣の能力云々というんじゃないんです。私は、かわっちゃいけなかったんじゃないかと思うんですね。続投すべきですよ、普通で考えれば。例えば、万が一大臣がおかわりになるときには副大臣、政務官がお残りになるとか。全部入れかわったというのは、これはまあ総理がお決めになることですから私の言う話ではないんですけれども、国益ということで考えれば本当におかしな話だなと。

 しかも、やはり外国の人たちから見ても、名古屋のCOP10等について日本の政府は本当に、重要だ重要だと言いながら本当に重要に考えているんだろうか、こういう声も実は私のところに二、三ございました。

 大臣からお話をお聞きするということなんだと思いますが、もう就任をされた大臣に今さらという話でもございますけれども、どういうふうに思っていらっしゃいますか。

松本国務大臣 今、以前の政務三役が全部そろわれて、小沢大臣、そして田島副大臣、大谷政務官、おられます。この方々の活動というのは、政権交代して約一年間、本当に必死になって頑張ってこられた姿を私は見てまいりました。

 継続性の問題というふうに言われたと思いますけれども、私は前の日まで大臣になるというのを全く予測しておりませんで、もう次の日の四時ぐらいの飛行機で帰ろうかなとしておりました。朝、電話がかかって、環境大臣と防災を担当してくれないかというふうに言われて、実は逡巡というか、そのときは、やはり継続性が大事だなということで、今おっしゃったとおり、もう一度御再考を願えればと。ここだけの話って、もう広がっていますけれども、ここだけの話ですけれども、もう一度御再考を願います、私としてもやはり継続性が大事だということが頭にありましたので、御再考を願えますかと言いましたら、それからまたしばらく、三十分以上たって電話があって、ぜひよろしくお願いしますということで、二度電話があって断るわけにはいかないなということでお引き受けをしたところであります。

 その後、三日後にニューヨークに参りましたけれども、ニューヨークに参ったときに、本当に小沢前大臣が努力をされてずっと道をつくって、さまざまなバイ会談といいますか、さまざまな世界の国々の方々と会って下準備をされていたなということをつくづく思いました。田島副大臣も大谷政務官もそうですけれども、その道に乗って私はしっかり、二十日に行ったときも、バイ会談といいますか、例えばG77のイエメンの大使とか、あるいはEUの気候変動のヘデゴーさんとか、イギリスのスペルマンさんとか、ベルギーの大臣とか、あるいはEUの環境のポトチュニックとか、さまざま会って会談をしてまいりました。

 私のモチベーションは、中断したということの、中断といいますか引き継いだということのそごがないようにということが私の一番のモチベーションでして、小沢前大臣にも恥をかかせてはいけないし、それこそ先ほど言われた、国益を損なってはいけないということでずっと仕事を続けてきたところであります。

 ようやくCOP10も十八日に始まって、そのときにニューヨークで会った方々が、しっかり頑張ってくださいよという話をしていただきました。ABSの担当のジョグラフ事務局長も最初は、まだ大臣になられて三日ですかという話もされましたけれども、このごろはしっかり信頼関係を持ちながら、繰り返しますけれども、小沢前大臣初め三役がやってこられた本当にしっかりした道をたどりながら、そしてCOP10成功に向けて努力をしていく、このことが、私は、そういう状況になったことに対する私の使命であり責任であるというふうに思っております。

田中(和)委員 大臣も、私の今指摘した内容についてはもう嫌ほど理解をした上での答弁でございますけれども、私は、本当に変な人事だなと率直に思いましたね。大谷筆頭理事も大臣政務官、田島先生は副大臣、委員長が何といったって直前の大臣でいらっしゃいまして、本当に心残りだったんだろうな、残念だったんだろうなと。

 お一人お一人お話を聞きたいと思うんですが、委員長、ちょっと感想を述べてください。

小沢委員長 一言、では私からもお答えを申し上げたいと思います。

 人事でございますので、田中委員のおっしゃる継続性というのはもちろん重要な話でありますけれども、その他いろいろな要素を勘案して、人事権者の菅総理初め今の執行部の皆さんがお決めいただいたことだ、こういうふうに思っているわけであります。松本新大臣あるいは近藤副大臣あるいは樋高政務官初め、大変皆さん御立派な方で、私としては、もう本当に後を託すことに全く心配なくお願いをしているわけでありまして、そういった意味では、何らそういう心配もなくお任せできることを大変よかったこと、こう思っております。

田中(和)委員 私は、野党の筆頭でございますから、違うことを考えているんですよ。

 温対法の法案が再び出てきましたね。これを通すために、COP10よりも優先したんじゃないか、こちらを。大臣を委員長、副大臣、大臣政務官が委員会の要職につかれて、全くそのまま議会側に来ておられるわけでして、本当に、先ほど委員長に強行採決のことを何度もしつこく伺ったわけでございますが、御確認いただいたわけでございますが、私たちにとりましては、まさしく雇用、あるいは産業の存廃、こういうことも含めて重大な法律の内容だ、こういうふうに思っておりますので、これは今後の審議の過程の中でいろいろと議論させていただきますけれども、やや、COP10を重要に考えていただく人事の継承というものが今政権でもあってよかったんじゃないかなと指摘をして、次に移ります。

 実は、名古屋議定書の話でございますけれども、ABSの交渉というのが難航しているということが新聞にも相当報道されております。

 これは非常に、利害関係が先進国と遺伝子の提供国で相当違うものですから無理もないという一面もあるんですけれども、今までの時点での大臣の評価というんですか、議長としての大変なお役割があるわけでございます、いよいよきょうの午後からもまた名古屋に行かれるわけでございますが、刻一刻と終わりが近づいてくるわけでございますけれども、どういうふうに取りまとめようとしておられるのか承りたいと思います。

松本国務大臣 COP10に触れていただき、また成功を祈っていただいたこと、心から感謝を申し上げたいというふうに思っております。

 まず、ABSの問題に限って言いましたら、実は両議長、ティモシー・ホッジスというカナダの人とフェルナンド・カサスというコロンビアの方が両議長になっておられまして、この二人が本当にもう先月会ったときから精力的に、モントリオールからずっと引き続いて、ニューヨークに来て、名古屋にも早く来て作業を進めてこられました。ですから、私は二十二日までに結論を出してくださいと言いましたけれども、先般、全体会議で、もう一回猶予が欲しいということで、きのうまで、土日を使って、それこそ寝る暇もないくらいこの二人が努力をして、また、非公式でありますけれども、作業グループのみんなも努力を重ねてまいりました。必ずしもいい状況ではないと思いますけれども、私はこの二人の力、そしてそれを支える人たちの力を信じたいと思います。

 いずれにしても、共通しているCOP10の人たちの課題は、空白期間をつくってはならない。ポスト二〇一〇年目標がずっとありました。これは、二〇一〇年までに生物多様性の損失速度を著しく減少させるんだという二〇〇二年からの二〇一〇年目標がありましたけれども、報告で、これが実現しない。これはみんなが落胆して、みんながこのままではいけないという思いが共通としてありました。その共通の思いをもう一度、あしたからハイレベル協議がありますけれども、喚起をしていきながら、人類のために何ができるのかということをしっかり喚起していきながら、最後の最後まであきらめずにこのCOP10、きょうの午後から臨んでいきたいと思っておりますので、よろしく御支援を賜りたいと思います。

    〔委員長退席、田島(一)委員長代理着席〕

田中(和)委員 大臣からも決意のほどを伺ったわけでございますけれども、私も実は、国民の声というのか、率直に言って心配しているところもあるんですよ。これがまとまって、いろいろと遺伝子に係る費用がかさむということになれば、国民の負担が非常に大きくなる可能性があるわけですね。そういう意味からすれば、日本の大臣として国民の利益を守らなければならないという重要な使命があり、もう一方では、今回の議定書、ABSの取りまとめをして結果を出そう、こういう大切な役割を帯びておられるわけでございまして、ちょっと方向性が、角度が違う一面があるわけですね。

 そういう面について、大臣は大臣の戦略があろうと思いますが、承りたいと思います。

樋高大臣政務官 恐れ入ります。お答えをさせていただきたいと思います。

 まず最初に、田中先生、環境政策についての造詣の深いところで日ごろから御尽力いただいておりますことに対しまして、心から深甚なる敬意と感謝を申し上げさせていただきたいと思います。また、先ほどのお話の中では、自民党さんの環境大臣になられたということでございまして、御活躍を心から御祈念申し上げると同時に、今後ともぜひとも御高説を賜ってまいりたいと申し上げさせていただきたいと思います。

 大臣は今回、国際会議におきまして議長という、取りまとめというお役をいただいているものですから、大変僣越ではございますけれども、私の方からお答えをさせていただきたいというふうに思う次第でございます。

 先生御指摘のとおり、このABSの問題につきましては、生物多様性条約の三つの目的の一つでありまして、重要な課題である、このように認識をしているところであります。我が国を含めましていずれの国も、遺伝資源の提供国や、あるいは一方で利用国にもなり得るということでありますけれども、遺伝資源を持続可能な形で利用をして、そしてその利益を適切に配分することが人類の福利と生物多様性の保全に大きく貢献をするというふうに認識をしているところであります。

 そこで、先生の御指摘でありますけれども、いわゆるABSの交渉につきまして、議長国の立場のほかに、まさしく、国内産業への場合によっては悪影響が出るのではないか、利用国の立場としても取り組むべきではないかという御指摘ではないかというふうに理解をしたところでありますけれども、遺伝資源というのは、先生御案内のとおり食品や医薬品あるいは化学などさまざまな産業に利用されているのが現状でございまして、遺伝資源の適切な利用を促進することは国内産業を初め我が国の国益を守る上でも大変重要であるというふうに答弁をさせていただきたいと思う次第であります。

 また、現在、ABSにつきましては鋭意交渉が進められているということでありまして、我が国が受け入れ可能な形での合意を目指すことはもちろんのことでありますけれども、結果として利用国と提供国双方の利益につながるような合意がなされるように誠実に議長国として努めてまいりたい、このように考えているところであります。

 ありがとうございます。

松本国務大臣 なぜ樋高政務官が答えられたかというと、議長でありますので、全体を取りまとめる立場でありますので、遡及の問題、派生物の問題あるいは伝統的な知識、遵守、チェックポイントいろいろありますけれども、個々の問題に触れていけば、議長として予断を持っているということになりますので、あえて政務官に発言していただいたことをお許しいただきたいと思います。

 それともう一点、この問題、ずっと見ておりましたら、先ほど医薬品とか食品とか出ましたけれども、人類の福利に、命に貢献をしていく部分が片方の世界にあって、もう一つの世界は、それによって生物多様性が損なわれる、あるいは生態系が保全できないという状況がある。

 それをもう一回、保全していこうよ、生物多様性をしっかり持続可能なものにしていこうよというこっちの世界があって、これがうまくいくと本当にいい世界ができる、人類の未来の子供たちにもいい世界ができるということがありますから、これが共通の底の問題だというふうに思っておりますから、そこのところを引き出していきながら、もう一回、モチベーションをそれぞれの各国の皆さんに高めていきながら努力をしていきたい。決してあきらめることなく、二十九日まで走り続けていきたいと思います。

田中(和)委員 樋高政務官から答弁があったということは、確かに大臣のおっしゃるように、議長の役割というのはセンターに常に立っておかなければなりませんので、理解するところなんです。ただ、国民の負担が極めて大きくなる可能性がある。国内的にいうと、その部分はやはりちょっと、国益を守るという大臣の立場から整理して御尽力いただかなければいけないことだと思っております。

 私たちも、タミフルの、中華料理のスパイスの八角というのを耳にたこができるほど聞きましたけれども、いろいろなことが考えられるわけです。

 私、いつも考えておりますのは、一年間に地球上でふえる人類の数が八千万近いんですよね。ドイツの国が八千二百万ぐらいですから、これと比べたって、どれだけ一年間の人口膨張が起こっているかということが、日本の国内の少子化の話とは全く逆の方向にあるわけです。こういうことからすると、おのずと、お金を出して物を買ったり売ったりという時代から、極めて戦略性を持った、実は囲い込みの時代に、これは何も資源だとかエネルギーとか食料だけではないですよね、真水の問題もそうでしょうし、今、生物多様性も、実はその背景にいろいろな戦略が潜んでおるわけですね。そういう意味では、私の方も、この会議の重要性、本当に重いな、こういうふうに思っているんです。

 そこで、私は、いろいろな議論があるわけでございますけれども、遡及適用なんという話もありますけれども、実は、自然環境保全基礎調査というのをぜひお尋ねしていきたいと思うんです。

 実はこれは、もう御存じかもしれませんが、世界トップクラスですね。イギリスとかドイツも生物の相当進んだ調査をやっておりますけれども、非常にこの日本の自然環境保全基礎調査というのはすばらしいものでございますけれども、民主党は事業仕分けにかけましたね。どういう経過があったか、大臣、御存じですか。

松本国務大臣 先ほどのABSのことについて若干の補足をいたしますけれども、この問題は、大変難しい、今先生おっしゃいました遡及の問題とか、いろいろあります。一九九二年の条約のときに戻れとか、実はそれ以前の植民地まで戻れとか、さまざまな議論があって、これは先進国、途上国がさまざま考えているところでありますけれども、いずれにしても、途上国に対する支援は世界でもやっていかなければなりませんし、これは国益という観点からもそうですし、技術支援、そしてさまざまな、例えばABSの会議がありましたときに、これはまとまらないから追加的な会合をやれといって支援をして、モントリオールで最後の会談をしたり、そういう支援はしていきたいと思います。

 国益ということでいいますと、経済ということでいえば、実は、生物多様性というのは物すごく経済に関連をしているな、企業に関連をしているなということがあります。そういう意味では、アメリカはいろいろ、WIPOでやれとかいろいろなことを言っていますけれども、実はしたたかにこのABSの問題を見ていると思います。

 つまり、企業が相手の国に入っていって、企業と企業、あるいは企業と国というところで、そこでいろいろな社会的な責任が企業は問われますから、やはり先取りをしていきながら、これをリスクととらえるんじゃなくて、コストととらえるんじゃなくて、まさに投資ととらえていきながら、これからのビジネスを発展させていくということが大事なんだろうというふうに思っております。この間も、さまざま経済界の皆さんと話しましたけれども、このことはしっかり先取りをしていきながらやってくださいよということで申し上げたところであります。

 自然環境保全基礎調査の意義につきましては、今、昭和四十八年から実施をしております。保全のための基礎資料として、自然保護地域の指定や計画策定を初めとする自然保護行政のほか、土地利用計画の策定、環境アセスなどの各方面において活用されるなど、重要な問題だと認識しております。

 仕分けの方でどうなったかというのをちょっと政務官の方から説明をさせていただきます。

    〔田島(一)委員長代理退席、委員長着席〕

樋高大臣政務官 大変恐縮でございます。

 先生御指摘の自然環境保全基礎調査の予算の事業仕分けに関してでございますけれども、この事業仕分けは、昨年の十一月の二十六日、約十一カ月前でございますけれども、行われたところでございます。自然環境保全基礎調査分でございますけれども、評価結果につきましては、予算要求の縮減、三分の一減という結果になったところでございます。

 平成二十二年度要求額につきましては、四億円でありましたところ、事業仕分けを踏まえまして二億七千万円という形になったわけでございます。

 その際の取りまとめのコメントとしていただきましたのは、基本的にこのような調査を行うことについて各評価者は前向きな発想を持っていることを前提とした上で、緊急性の意味において、今すぐこれほどの予算を拡充して行わなければならないかという点に関して、本日の説明は説得力に乏しかった部分があった、よって、当ワーキンググループとしては、予算要求の縮減、三分の一程度縮減ということを結論とするという状況になったということを説明させていただきます。

 以上です。

田中(和)委員 三千万種、これも数えた人はいないんですけれども、地球上には生物がいるのではないか、こういう話なのでございます。ウイルスも生物だと言う人もいますし、非常に生物という定義は難しい面もあるんですが、ただ、日本もこれだけ多様な国でございますから、数多くの生物が存在し、いわば遺伝子の資産という面では世界に誇る我が国ではないかな、私はこう思っているんですね。

 これは大臣お話あったように、環境庁がスタートして、非常にシンボル的な、シンボリックな事業としてやってきたわけですよ。COP10がことしあるということを知っていながら、何で事業仕分けにかかって、巨額な金が、四億円だって決して多い金じゃないと思うんですね、十億、二十億というふうにふやしてでもやるべきじゃないかと思うんですが、そういう結果になったということは極めて残念であります。ぜひひとつ、大臣、予算の確保を。

 そして、私は、ちょっと時間の関係がありますのではしょりますけれども、こういうCOP10の機会に、世界の開発途上にある国々は、技術もない、資金もないかもしれませんね。そうすると、自国の権利は主張されるけれども、実態は、まさしく国内の生物の多様性の調査はできていない可能性が高いわけですよ。これをどうするかという国際ルールを今きちっとつくっていく、それが名古屋の会議の意義にあるんじゃないかと私は思っておりますので、ぜひひとつ、これは大臣、御提案をしていただきたいなと思っておりますし、リーダーシップを発揮してください。

 それから、時間がないので、ちょっと二つ三つ、全然違う話をしますけれども、後でまとめて時間の範囲内でお答えいただければと思うんですが、京都議定書の話なんです。

 ざっくばらんに言いますと、ヨーロッパが延長云々という新聞報道がありましたね。私も心配して聞いたんですけれども、怪しい雲行きなんですね。実は、カンクンの会議がもう迫ってきました。これは、単純延長は菅総理もしないというお話を国会で答弁しておられますけれども、極めて我が国が孤立する可能性がある。非常に、極めて重要なことなんですよ。これを、大臣ひとつ、時間は余りありませんけれども、よほど汗をかいてもらわないとちょっとカンクンの会議は心配だな、このように思っているんです。

 それからもう一つ。もう最後ですから、重要なことだけ。また時間をとりますから。

 ロードマップの話なんですけれども、実は、小委員会が設置されて、相当な審議が進んでいるんだと承っているんですけれども、まだ我々のところに、どういう状況になっているか、御報告がないですね。

 この中長期のロードマップが示されていく過程の中で、私は、この温対法の審議というのはあるべきだ、このように認識しておりまして、これからどのような形で審議が進んでいくのか全く見通しが立っていない状況ではございますけれども、ぜひ、このロードマップについては事前に国民に示していただく。特に、産業界等々は、この温対法二五%、極めて心配をしておりまして、毎日のように、私たちの方にもいろいろな方たちが訪ねてみえます。ぜひひとつ、きちっとロードマップの内容をお示しいただき、たたき台を出していただいて、その上での議論にさせていただければと思います。

 時間が参りましたので、もうほとんど御答弁をいただく時間がなくなりましたが、委員長にお許しをいただいて簡潔に一言二言、大臣からお答えをいただければと思います。

松本国務大臣 一番お聞きになりたかったのはカンクンのCOP16だというふうに思っておりますけれども、このことについてはさまざま報道がありまして、日本は大丈夫なのかという御指摘もいろいろあろうかというふうに思います。

 重慶でのAWGLCA等々がありまして、さまざま作業部会のお話がありました。しかし、私は、EUがこのままの枠組みの中で京都議定書の延長ということは言っていない。すべての主要国が国際的な枠組みをつくった中でということを条件としておりますので、そういうことを条件としている以上、そういうことはないだろう。しかも、そのことについてはしっかりこれからもEUと話をしていきながら、私たちのとるべき態度をとっていきたいなというふうに思っております。

 決して私たちは京都議定書の単純延長という、昔は三十数%であった、例えば、議定書に入っていない、削減目標がない米中とかのCO2を見ても、今四一、二%になっています。そして、京都議定書に入っている、削減目標のあるところの枠組みは、当時三四%あったんですけれども、今二八%になっている。そういう意味では、そういう小さな枠組みじゃないところで、コペンハーゲン合意のような八割を超えるような枠組みの中で、しっかりとした国際的な枠組みをつくらなければというふうに思っております。

 重慶と言いましたけれども、天津の間違いでありました。済みません。

田中(和)委員 もうこれで終わりましょう。COP10に行かれますから。

小沢委員長 それでは、質問者の方からそういうことで了解ということなので、また次回の機会にしたいと思います。

 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 本日は、大臣所信に対する質疑ということで質問をさせていただきます。

 松本環境大臣は、私と同じ、自然豊かな、また人情味あふれる九州・福岡の御出身でございます。命の大切さ、人権の大切さ、また環境の大切さを知悉して、その行動をとってこられた方だと思っております。ぜひとも、環境行政のこれからのトップとして、国益を保ちながら、そして人類益、地球益の視点で環境行政のあるべき形というものをつくり上げて大胆に行動していっていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 今、田中先生の方からさまざまな議題が議論されたわけでございますが、環境分野というのは、地球温暖化対策等においても大変重要な課題が残っております。また、自然との共生社会、さらには循環型社会と多岐にわたっているわけでございますけれども、本日は、今まさに開催中の生物多様性条約第十回締約国会議、COP10に焦点を当てて質問をさせていただきたいと思います。

 生物多様性、なかなかわかりにくい言葉でございますけれども、一言で言えば、生き物のつながり合い、また支え合いをあらわす言葉だと思います。

 地球上で三千万種の動植物などの生き物が存在すると言われておりますが、現在確認されているのは百七十五万種。先ほどの田中先生の御指摘もこういうところにあるわけでございまして、こういう調査というのを大変私も重要だと思っております。

 我々の生活というのはこの生物多様性からさまざまな恩恵を受けておるわけでございまして、我々が生きる基盤であるところの大気や水、また食料や医薬品の供給、さらには文化を生み出す根源でもあります。また、奄美の皆様の災害が今回起こったわけでございますけれども、こういう災害からも守る機能を持つ、実に多面的であるわけであります。

 その一方で、この生物多様性は急速に失われております。約六千五百万年前、御存じでしょうか、だれも生きておりませんのでわかりませんが、千年で一種類の消滅速度だったものが、一九〇〇年代には年間一種類となっているんです。そして、それが七五年以降は年間四万種まで加速しているという状況、これはしっかりと認識する必要があります。

 生物多様性の減少を食いとめて、持続可能な利用を図っていく、これはもはや待ったなしの状況にあると思いますが、こういうことから、今回のCOP10というのは、地球上のすべての生き物の未来を決めると言っても過言ではないわけであります。そういう意味で、重要な国際会議であり、また議長としての松本環境大臣の果たされる役目は大変大きいものがあるかと思っております。

 今回の会議の焦点は、御存じのように、第一に、二〇一〇年目標の達成状況の確認と、その後の新たなポスト二〇一〇年目標、これを設定すること。また、第二に、生物資源の利用と利益配分、ABSに関する国際ルール、名古屋議定書の創設にあります。

 そこで、松本環境大臣にお伺いをいたします。

 二〇〇二年のCOP6で定められた二〇一〇年目標では、締約国は二〇一〇年までに生物多様性の損失速度を顕著に減少させるとされておりましたけれども、目標の達成は不可能となってしまいました。最大の原因は何と思われているでしょうか。

松本国務大臣 COP10に触れていただきまして、ありがとうございます。私も、きょうの午後また参りますけれども、今先生が重要な指摘をされました。

 まさに種がさまざま滅んでいるということで、ある意味では、長い歴史の中で見ればさまざまな種が滅ぶのはわかりますけれども、実は、人類が産業革命以来、ざっと言いますと二百年かそこらの間、たった二百年という言い方をしてはまずいかと思いますけれども、その二百年のエネルギー消費、あるいはCO2によって、さまざまな種の絶滅を加速しているということに私は着目をしていかなければならない。したがって、生物多様性の問題は非常に大きな問題でありますし、将来の子供たちに対する、今を生きる大人の責任としてやっていかなければならないと思っています。

 今、二〇一〇年までの目標、二〇〇二年から策定をされたのですが、おっしゃるとおり、一〇年までに生物多様性の損失速度を著しく減少させるという目標が達成できませんでした。

 その達成できなかった理由というのは、一〇年目標が抽象的であったこと、目標を達成するための具体的な達成方法が不明確であったこと、また、このため関係者による取り組みが不十分であったことというふうに考えておりますけれども、ある意味では、そこの達成できなかったということが非常に大きなモチベーションとして今度のCOP10があるというふうに私は思っております。

 そういう意味では、田中先生さっきおっしゃったけれども、十二月にCOP16がありますね。COP10があって、COP16があって、次にまた次の会合があって、ですからこの二〇一〇年を、やはり環境の問題で成功しなかったら、次に影響してくる、またその次の年に影響してくるということで、しっかり取り組んでいきたいというふうに思っております。

江田(康)委員 続けて松本大臣にお伺いをいたします。

 ポスト二〇一〇年目標に対する姿勢を聞かせていただきたいのですが、今、この合意を得るには大変厳しい状況であるというのが新聞報道でなされております。二〇五〇年までの中長期目標については合意が得られた。しかし、二〇二〇年までの短期目標は、野心的な目標のEUと現実的な目標を掲げる途上国との間で対立が続いていると思っております。

 政府は、さきの質問主意書に対する答弁で、「「自然との共生」を目指す意欲的かつ現実的な目標に各締約国が合意し、会議後直ちに行動に移していくことが重要」と回答をしておられます。このことは、私が思うに、我が国のスタンスは、野心的な目標を掲げるEU寄りではなくて、現実的な目標を掲げる途上国寄りであるように思うわけでございますけれども、この認識は正しいですか。明確にお答えをいただきたいと思います。

 また一方で、このEU等の先進国と途上国との意見の対立はいまだ深刻なものがあって、先ほども申しましたように、合意は難しいような状況であるかと思いますが、我が国は議長国として両者の対立を埋める責任を担っておるわけでございます。どのようにしてこの合意に向けた取り組みを続けていくのか、大臣の意気込みについてお伺いをしたい。もちろん、議長である大臣でございますので先ほどから慎重な答弁が続いているわけでございますけれども、そこは我が国の大臣として国民に発信をしてもらう必要もございますので、その意気込みについてお伺いをいたしたいと思います。

樋高大臣政務官 私の方から政府見解として発言を、答弁をさせていただきたいというふうに思う次第であります。

 我が国は、COP10議長国として、生物多様性の新しい世界目標の議論に貢献をするために、本年一月六日に条約事務局に対してポスト二〇一〇年目標日本提案を提出させていただいたところであります。

 この提案では、二〇二〇年までの短期の目標として、生物多様性の損失をとめるために二〇二〇年までにとして、具体的な行動の目標を列記したものとなっているところでございます。

 我が国はこの提案をCOP10においても主張しているところでありますけれども、結果として途上国が支持する二〇二〇年までの目標に近いものとなっておりますけれども、議長国として、多くの締約国が直ちに行動に移すことが重要であると考えられるものを提案しているものでありまして、いずれかの国の主張に特に近いというものとは考えていないところでございます。

 また、その意気込みという部分でありますけれども、今申し上げましたとおり、生物多様性に関する新たな次の十年間の目標はとても大きな課題の一つでございまして、先週の十八日月曜日の午後から作業部会におきまして審議が開始をされ、その後、部会のもとにいわゆるコンタクトグループを設置させていただき、合意形成に向けた調整が鋭意行われているところでございます。

 二〇五〇年までの長期目標、これはビジョンと申しますけれども、これに関して、我が国から提案した自然との共生を盛り込むことについておおむね合意されているほか、個別目標についても、外来種に関するものなど幾つかの個別目標におきましては合意に至っているところであります。

 また、二〇二〇年までの短期目標、いわゆるミッションと申しますけれども、につきましては、野心的な案を掲げるEUと、先生も先ほど御指摘でありましたけれども、また一方で現実的な案を支持する途上国の間に意見の隔たりがあるという状況であります。また、幾つかの個別目標は現時点で合意に至っていないという状況でございます。

 現在も進行している生物多様性の損失に対応するために、空白期間を設けてはならない。議長国として、すべての国が取り組める、野心的かつ現実的な目標の合意に努力をしてまいりたいと考えております。

松本国務大臣 政府の立場と議長の立場では若干違うものですから、慎重な発言ということで、政務官に答えていただきました。

 確かに先生おっしゃるとおりに、ポスト二〇一〇年目標、ミッションにつきましては大変な議論があります。意欲的な目標を掲げるEUと、それと違う途上国との話がありますけれども、そこをまとめていく作業が議長の仕事だろう。大変困難でありますけれども、EUの皆さんとも話をしますし、これから閣僚級レベルでの会合で大きな成果を上げていきたいと思います。どちらの話にくみするというわけにはまいりませんけれども、途上国の声も聞きながら、そしてEUの声も聞きながら、しっかりまとめていこう。そのやはり一番の根幹にあるのは、まさに、空白期間を設けてはならない。

 やはり現場に行きましても、子供たちや若いボランティアが会場のサイドイベントとかに集まっています。そして、いろいろなビラを配ったり、ボランティアでやっている人たちの思いがありますから、そういうNGOの人とかNPOの人たちの思いもしっかり酌み上げていかなければならないという使命感を持って臨んでまいりたいと思います。

江田(康)委員 最後に大臣に御答弁をいただきましたので、ありがとうございました。

 確かに、EUの野心的な目標と途上国の目標とは非常に大きい隔たりがございます。しかし、個別目標等においても、生息域の消失速度とか、また保護地域の割合とか、そういうような点でもさらにさらに溝があるわけでございますが、これらをまとめていくことがCOP10の大変重要な、またこれからの人類や生物多様性の未来を決するというほどのものでございますので、議長国としてこの合意に向けた取り組みにしっかりと全力で取り組んでいただきたいと思うわけでございます。

 もう一つの焦点が、生物資源の利用と利益配分のABSであります。

 生物資源というのは、我々の日常生活に多くの恩恵をもたらしているもので、もはや不可欠のものでございます。

 例えば、私も長年医薬品の開発等をやっておりましたもので大変関心が深いわけでございますけれども、昔から言われておりますマラリアの特効薬として有名なキニーネ、これは南米アンデスの先住民が解毒剤として使っていた、そういう植物に由来しております。

 このように、現在使用されている医薬品の約四割以上は野生生物に由来しているんですね。遺伝子組み換えや化学合成というのがかなり進んでいるかのように思われますでしょうけれども、四割以上は野生生物に由来しております。

 また、先ほどもありますように、有名な新型インフルエンザの特効薬であるところのタミフル、これも、先ほど田中先生が中華料理のスパイスとおっしゃいましたが、中国産の八角という植物をもとに開発をされて、今、化学合成をされている、生産されているところでございます。さらに、アフリカのマダガスカル原産とされるニチニチソウというのがございますが、これは世界各地で観賞用に多く栽培されている植物でございますけれども、これは抗がん作用があるということで、抗がん剤として広く用いられております。

 このように、世界の人口の七割、八割以上の方々が自然界から得られた伝統的な医薬品に依存して生活を、また命を守っているという状況がございます。このことをよりわかりやすく、本当にしっかりと国民の皆さんが知っていくこと、また我々も知っていかなければならないと思いますが、これが大事であります。

 医薬品以外にも、化粧品、発酵食品、それから穀物の品種改良、こういうことが多くやられておるわけでございますね。こうした生物資源は、これは途上国に集中しているんですね。先進国ではありません。途上国に集中しています。先進国が途上国の生物資源を利用して商品化すること、また商品化の利益を途上国に配分する国際ルールを創設することができるかどうか、ここがまさにCOP10の最大の焦点であろうかと思います。

 途上国は先進国に植民地時代から多くの生物資源を持ち出されてきた、そういう経緯、恨みつらみ、そういうようなものもあるかと聞いておりまして、ここで交渉が難航していると思われますが、ルールの適用対象については、先進国は生物資源のみとしているのに対して、途上国はその化学合成品まで、派生物まで拡大するように訴えているところだと認識しております。また、ルールの適用時期においても、先進国はルール発効後を主張している。途上国は、これまでの経緯を踏まえて、ルール以前。極端なのは、植民地時代までさかのぼるというようなことを求めている。これが現状ではないでしょうか。

 そこで、松本環境大臣に、ABS交渉に臨む外交姿勢を質問させていただきたいと思うんです。

 我が国は、やはり先進国と途上国との双方に利益をもたらすウイン・ウインの国際枠組み、すなわち名古屋議定書の採択を目指していると思います。やはりこのままの状況であれば、先進国においては、さまざまな医薬品の開発や、食品そして化粧品、そういうものの開発ができなくなる。また、途上国においては、その資源が枯渇していく。乱獲によって生物多様性も、絶滅していくものが多くなっていく。ともに非常に悪い状況を迎えるわけでありますから。

 そして、ここに至るまでは大変長い議論が行われてきたと思っております。このCOP10で決着をつけなければ、本当に、あと数百万年単位でしょうか、この未来がCOP10にかかっていると言っても過言ではない、そのくらい世界は認識をしているもの、だから、この合意に向けてその熱意はある、そういう状況だと思っております。

 しかし一方では、合意内容によっては過大な負担が課されるおそれがあるわけで、製薬業とかバイオテクノロジー産業など我が国の強みを生かす産業に打撃を与える、また販売価格がその分上昇して国民生活に影響を与える、こういうようなことにもなりかねないわけであります。大臣、議長国として取りまとめをする立場ももちろん大事だと思っております。しかし、それ以上にといいますか、と同じく、日本としての戦略を持って交渉に臨むことも国民やまた経済界からも求められている。そういう中で、国益を損なうような事態になってはならないわけでございます。

 そこで、我が国のABS交渉に当たってとるべきスタンス、これは大変難しいと思いますけれども、大臣、このCOP10でどのように対応をされるおつもりか、ここをお聞かせいただきたいと思います。

松本国務大臣 江田先生には本当に、同郷ということでいろいろ親しみを覚えておりますけれども、私が一カ月かかって覚えたことを今すらすらすらと言われましたので、大変驚いております。

 キニーネの話、また田中先生はタミフルの話をされました。そもそも、マダガスカルのニチニチソウからアメリカが抗がん剤をつくったというのが生物多様性の、またABSの始めだというふうに思っております。

 今言われましたように、ウイン・ウインの関係ということでいえば、まさに最初から言っておりますけれども、片方で、社会に貢献する福利、医薬品とか食品とかさまざまあります、そういったものが人間の命や健康を守る。片方では、生物多様性を保全しなければならない。枯渇してはもう元も子もないという状況がある中で、保全をしながら、そしてこっちで利用しよう。そして、保全をするための資金といいますか、それを利用国が提供国に払っていこう。ウイン・ウインの関係というふうに言われましたけれども、まさにその基本をしっかり持っていけば、いずれの国も利用国になったり提供国になったりするわけですから、これは、それぞれがそれぞれの立場で考えていかなければならないというふうに思っております。

 個々の、遡及の問題、派生物の問題。派生物、私もちょっと、先生は専門ですからわかると思いますけれども、ちょっとわからないこともあって、分子構造をちゃんとそのまま取り上げたらこれは派生物なのかとかそういういろいろな問題があって、さまざま議論をされています。また、伝統的知識といいますか、先住民が、おばあちゃんが葉っぱをとってきて、せんじて子供たちに飲ませて下痢を治すとか、それはまさに、葉っぱは遺伝資源ですけれども、おばあちゃんの知恵は伝統的知識というふうに言われて、これをどうするか。これを利益配分とかという話があって、こういうさまざまな議論があって、今やられています。

 そして、きょう、実はこれから帰ってワーキンググループ、三つありますけれども、ワーキンググループの報告を受けて、あしたからいよいよ閣僚級会合がありますので、あしたからはさまざまな知恵を出していきながら、いろいろな先進国あるいは途上国の知恵をかりていきながら、丸めていく作業といいますか、そういうのが必要だろう。

 個々のABSの相違点等についてはこの場で触れるわけにいきませんけれども、今決意とおっしゃいましたけれども、本当に長い間かかってきて、二〇一〇年目標が不発に終わった、落胆したという思いをしっかり、空白期間をつくってはならないという思いに止揚させていって、高揚させていってまとめる作業をしていきたいなというふうに思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

江田(康)委員 さまざまな問題がございますが、このABS交渉の行方は、私は、もう一つの問題につながる。

 例えば、遺伝資源の世界最大の利用国はアメリカなんですね。このアメリカが生物多様性条約には加盟していない。これは、温暖化交渉においても同様のような状況があるわけです。アメリカが参加するかどうかというのが大変、これは名古屋議定書ができたとしても、もしアメリカが参加しなければまさに画竜点睛を欠く事態になるわけで、アメリカが参加できる条件をつくれるかどうかというのも、このABS交渉の結果がそこにつながるのではないか、そのように思いますので、大変重要な交渉でありますので、取り組んでいただきたい、尽力していただきたいと思うんです。

 一方で、生物多様性条約のCOP10の交渉において、途上国への資金メカニズムのあり方についての議論がなされています。ここがまた成功するかどうかの、合意を得るかどうかの非常に大切なところであるかと思っております。

 もともと生物多様性の経済的価値というのが十分に認識されていないというのが問題なんですけれども、今、自然がどれだけの価値を有しているかというような試みがなされています。今度COP10で公表される予定の最終報告では、熱帯雨林や湿地などの破壊が農作物の減少とか水の浄化作用の低下や医薬品等の原料となる遺伝資源の減少などを引き起こして、過去十年間で毎年二兆ドル、約百七十兆円から四・五兆ドル、約三百八十兆円の経済的損失を生じていると試算されております。これは世界のGDPの八%に相当するわけで、こういう事態を避けるために、やはり生物多様性を保全していく途上国に対する資金メカニズムが大変重要と。

 こういう中で、もう時間がございませんので、こうした資金メカニズムのあるべき姿について、これはCOP10の合意を得る大変重要な観点だと思いますけれども、どのように考えて取り組もうとされているのか、これを一点、簡単に御説明を、御答弁いただきたい。

樋高大臣政務官 恐れ入ります。簡潔にお答えをさせていただきたいと思います。

 今先生御指摘の部分でございますけれども、生物多様性条約の資金メカニズムについてでございますが、地球環境ファシリティー、いわゆるGEFと申しますけれども、これが担っているところでございます。我が国は、今回合意した第五次増資、ふやしたわけでありますけれども、五億五百万ドルの拠出をするとしたところでございます。

 他方、生物多様性の保全と持続可能な利用の実現のためには、生物多様性と我々の生活のかかわりを認識して、日常社会におきましてどのようにとらえるべきかを考えることが非常に重要であるというふうに考えているところであります。

 今回行われておりますCOP10におきまして最終報告書が公表されました、生態系と生物多様性の経済学、TEEBと申しますけれども、ここにおきましては、自然の価値を可視化することの重要性、また、生物多様性の価値を踏まえて、国の意思決定に自然資本の考慮を組み入れることの重要性が指摘されているところでございます。

 いずれにいたしましても、環境省といたしましては、TEEBと連携をいたしまして、環境経済の政策研究の中におきまして生物多様性への支払いに関する調査研究を進めてきたところでありますが、今後も、生物多様性の保全などを進めるための経済的な政策オプションについてしっかりと検討してまいりたいと思っております。

江田(康)委員 ここは、COP10が成功するかどうか、合意が得られるかどうか、この途上国への支援メカニズムというのが大変重要になってくるわけでございます。将来的にどうかという問題、課題について今お話をいただきましたけれども、今回、日本は五十億円を拠出する、これはGEFに従ってでしょうけれども、そういうような報道もございます。しっかりとここの点について日本がリーダーシップをとっていくことが大事かと思っております。

 COP10から話をかえまして、私の最大の関心事である循環型社会の中でもレアメタルリサイクルについて質問をさせていただきます。

 レアメタルについては、皆さんもうよくよく御存じのとおり、我が国の自動車産業や新たなIT製品、また太陽光パネルなどの新エネルギー分野、ハイブリッド車、非常に需要の拡大が望まれている分野で、我が国の経済成長を牽引するものでございますが、携帯電話等の小型家電にはこのレアメタルが天然資源に比べて豊富に含まれている。都市鉱山と言われる。我が国の都市鉱山には、金は世界の現有埋蔵量の一六%、銀は二二%、インジウムは六一%、タンタルは一〇%と、世界埋蔵量の一割を超える金属が存在すると言われております。

 きょう、松下副大臣が来られておりますけれども、世界一の金の鉱山は菱刈鉱山でございます。そこでは一トン当たり四十グラムもの金がとれる。しかし一方では、この都市鉱山からは一トン当たり四百グラムがとれる。十倍。まさに世界一の金の鉱脈ということになるわけですが、我が国は、小型家電からのレアメタルリサイクル技術、これも世界のトップレベルでございます。これから、国内でのこの使用、携帯電話等のリサイクル体制の構築、レアメタルリサイクルを成功させるためにはこれが喫緊の課題ですね。さらには、国内のみならず、アジアも視野に入れたリサイクル体制の構築が不可欠であるということをこれまでも主張してきました。この点について、基本的な認識を現状認識とともに大臣にお伺いしておきたいと思いますが、いかがでしょうか。

松本国務大臣 江田先生がレアメタルについて大変な見識を持っておられるし、また御党もさまざまなところで御活躍をされていることに敬意を表したいというふうに思っております。

 資源小国の我が国にとって、新しい資源といいますか、そういうものは非常に重要な問題だと思いますし、有効活用する、あるいは循環型社会をつくっていく、このことも非常に喫緊の課題であろうかというふうに思っております。

 小型家電からのレアメタル等のリサイクルは、今のところ、一部の事業者等の自主回収を除いて十分な体制は整備されていないということの御指摘だろうというふうに思いますけれども、まず、国内においては、レアメタル等の有用金属のリサイクルシステムを構築し、リサイクル技術を有する関係事業者に国内でノウハウを蓄積させることで、すぐれたリサイクル事業を育成させることが必要であります。

 最後に言われましたけれども、その上で、このような事業者の海外展開を支援する施策を実現してまいりたいと思います。我が国の静脈ビジネスの維持発展、強化にそのことはつながってくると思います。

 いずれにしても、ちょっと積極的じゃないんじゃないか、遅いんじゃないかという御指摘でありますので、しっかり取り組んでいくことをここでお話をさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

江田(康)委員 ぜひとも積極的に取り組んでもらいたいと思うんです。今、自主回収は年間六百万から七百万台ではないですか。回収率は二〇パー、三〇パーです。もうここに取り組んで五年、七年とやっていることだと思うんですが、やはり、画期的な回収モデルをつくり上げて、そして、安定供給に寄与する、また環境に寄与する、循環型社会に寄与する、こういうモデルを早く本当に確立していただきたいものでございます。

 最後に、きょうは経済産業省から松下副大臣が、先ほどからまだかまだかということで、待たせてしまっております。経済産業省にもお聞きをさせていただきます。レアアース供給体制の確立についてでございます。

 レアアースというと、レアメタルと違うのかと勘違いされますが、レアメタルの広義に含まれ、そしてその中に、希土類と呼ばれて、またレアメタルと同じようにハイブリッド車や電気自動車の製造に不可欠なものでございます。ハイブリッド車や電気自動車の普及は地球温暖化の防止に貢献するものであって、これもまた需要の拡大が望まれる我が国の成長産業であります。

 しかし、今回の尖閣諸島問題によって、我が国のレアアース輸入の九割以上は中国が占めますので、また世界生産の九割を占めますから、ここからの輸入が制限され停滞してしまうというような事態が起こって、皆さん、それでもってレアアースの存在を知られた方も多いかと思います。このことは我が国の産業の国際競争力を低下させるものである、またこれは資源の安全保障にもかかわるものでもある、そういうこととして大変重大な事態だと思っております。

 そこで、レアアースの安定的供給を確保するために、中国に依存する体制を見直す必要があるとも考えられます。政府は中国以外の、カザフスタンとかベトナムの開発も進めておられるようでございます。また、きょうの報道にも、新たにインドとレアアースの開発、再利用で協力するということで一致したというようなことも報道で知りました。

 こういう新たな資源開発というのが大変重要であると思っておりますが、それに加えて、レアアースの代替品の開発、またリサイクル基盤整備等が非常に重要かと思いますが、それが補正予算に盛り込まれている、緊急経済対策として盛り込まれる予定である、こうお聞きしております。これらを含めて、レアアースの安定供給の確立のためにどのような政策を今後とっていく考えなのかを経済産業省にお聞きしたいと思います。まるで経済産業委員会のようになってしまいましたが、環境委員会で経済産業副大臣に御質問をさせていただきます。

松下副大臣 御指摘ありがとうございました。

 リサイクル技術の向上、これはもう御指摘のとおりでございまして、携帯電話を問わず、自動車の電池でありますとか、リチウムの回収、これは全力を尽くしてやりたい、こう思っています。

 携帯電話の回収率が悪いのは、二台三台持っておられる。古くなったものも、音楽を聞くとか、住所をずっと持っているとか、目覚ましに使うということで三台四台持っておられまして、ぜひ供給してもらいたいとここでお願いを申し上げておきます。

 それから、レアメタル、レアアースですけれども、レアメタルには三十一種類ございまして、そのうちの一つの種類がレアアースと言われるものでございまして、広いレアメタルの中の一つでございます。

 さきの国会で、まず民間企業が稼働中の鉱山の資産買収、これを金属の鉱山等についても国がやるという、JOGMECの組織を使ってやることを成立させていただきました。石油、天然ガスは今まであったんですけれども、金属鉱山、レアメタルはありませんでしたので、それを権益を確保するということで一歩前進した、そう思っています。

 それから、一つの地域にやはり偏って、あるいは国に偏って供給源を持っているということは、これは大変な問題にもなってまいりますので、多面的に多方面にやろうということで、今、我々国を挙げて努力をしております。

 ベトナム、私も行ってまいりました。ドンパオ鉱山、それからカザフスタン、モンゴル等、これは、鉱山開発そして探査を支援して権益を確保したい、そう考えています。

 今回、JOGMEC等の力を使ってしっかりやりたいと思っていますし、カザフスタンやベトナムでは、ODA等も使いまして周辺のインフラを整備しながら、開発された鉱山を引き出してくるということも力を尽くしてやっていきたいというふうに思っております。

 また、お尋ねの、海底の熱水鉱床、それからコバルトリッチクラストといった海底資源の開発、これにも取り組んでおります。コスト等の問題もあるんですけれども、どこに何があるかということの賦存量等を調べていくということは大事なことですので、取り組んでいくということでございます。

 御指摘のありましたように、今回の経済対策の中でも、代替材料もやはり探していく。それから、その技術を開発していく。ぜいたくに使っているんじゃないかということもきちっと取り組む。それからリサイクル。それから、加工製造技術のための国内のやはり立地を助成していこう、そういうことも入っていますし、鉱山開発の権益確保等についてのレアアースの総合対策というものをつくりました。今回の経済対策にしっかり盛り込まれておりますので、その辺、ぜひとも国会の御審議をよろしくお願いしたい、そう思っております。万全を期してやっていきます。

 ありがとうございました。

江田(康)委員 ありがとうございました。

 レアメタル、レアアース、この安定供給は我が国にとって大変重要でございます。その柱は、やはりリサイクルであり、そして一方では新たな資源開発、こういうことが車の両輪で進んでいく、そういう体制を、環境省そして経済産業省、協力して大きく進めていっていただきたい、そのことを申し上げておきます。

 COP10の成功に向けて、環境大臣の議長としてのお力、日本の力が問われているかと思います。全力で頑張っていただくようにお願いを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

小沢委員長 次に、齋藤健君。

齋藤(健)委員 自由民主党の齋藤健です。

 まずは、松本大臣、御就任おめでとうございます。

 十月十九日の本委員会での松本大臣のごあいさつを拝聴いたしまして、多くの点で共感の思いをいたしました。とりわけ、大臣としての取り組み姿勢をお話しになったところで、

  私は、以前、地球は先祖から受け継いだものではなく未来の子供たちから預かっているものであるというアメリカ先住民の言葉を聞いたことがあります。私は、今の大人が子供たちのために何ができるかを第一に考えて、環境大臣の職務を務める所存です。

  また、環境保全の視点を大胆に社会経済活動に織り込むことを通じて二十一世紀型の経済成長を実現するという考え方に立って、国益を保ちながら、地球益、人類益の実現も図ってまいります。

私は、このくだりには本当に感銘を受けたところでございます。

 私ごとになりますけれども、私も学生時代に、当時大学で行われていた講座に宇井純さんという方の公害原論というものがございましたし、また、「四日市・死の海と闘う」の著者であります田尻宗昭さんなんかとも直接御指導いただいたり、また、石牟礼道子さんの「苦海浄土」なんかを読みながら、人生をかける職場として環境庁というものを考えた時期がございました。

 結局、紆余曲折ありまして通商産業省に入ったわけでありますが、環境問題は私が社会でどう生きていくべきかを考えたときの原点であるわけでありまして、そういう意味で、大臣の先日のごあいさつは、若輩者が僣越な言い方かもしれませんけれども、環境行政に対する積極的な姿勢が強く感じられるとともに、時宜にかなった、バランスのとれたごあいさつだったと思います。ただ一点、地球温暖化対策を除きまして。

 私は、今日本の国益と名誉がかかっているCOP10の真っ最中に、国会で大臣をCOP10以外のことで拘束し、負担をかけるのは国益上余り好ましくない、また野党の姿勢としてもいかがなものかと思っております。かつて、私も政府側の人間で多くの国際交渉に参画してきた経験もありますので、その辺のことは身にしみてわかっているつもりでおります。

 ですから、きょうの私の三十分の質問は、これまで一年余りの間に本委員会で大議論になってまいりました政府の地球温暖化対策、すなわち、二五%削減政策の問題点について私なりに整理をしてお話をさせていただきまして、最後に、環境大臣、それから経済産業省の方から御見解をお聞かせいただければと思います。御答弁はきょうはその一問だけで結構でございます。御負担はかけません。あとはCOP10に集中していただいて、COP10が終了してから、温暖化関係の法案審議の際に建設的な議論を徹底的にさせていただけたらと思っているところであります。

 あらかじめ申し上げておきますけれども、私も、今や時代は低炭素社会という新しい文明の時代に入っている、そして、そのとき、日本が率先してリードしていかなくてはいけないし、その能力もあると確信をしているところであります。だからこそ、我が党も、低炭素社会づくり基本法案を国会に提出させていただいているわけであります。

 その上で私が申し上げたいのは、今民主党政権がおやりになろうとしているこの問題に対してのアプローチというものが、国益上も、外交戦略上も、そして我が国の国会のあり方、政策立案のあり方といった観点から見ても、極めて問題であるというその一点でございます。新しく御就任された松本大臣には、ぜひこの点を虚心坦懐に御賢察いただけたらと思います。私も、心から大臣に訴えたいと思います。

 問題は、大きく言って三つに分けられると思っております。一つは、政策立案過程の限度を超えたずさんさであります。政策立案プロセスの問題であります。二つ目は、我が国がなぜ二五%削減を追求しなければならないかの論拠が極めて希薄であるということであります。そして三つ目は、政府が提出している地球温暖化対策基本法案の構造的な欠陥であります。この三点について、順次お話をさせていただきたいと思います。

 まず、第一点目の政策立案過程の限度を超えたずさんさについてであります。

 そもそも、この二五%削減の出発点というのは、昨年九月の鳩山総理の御発言からでありました。当時、鳩山総理は、一九九〇年比で二〇二〇年までに二五%削減という中期目標を、関係者と詰めた議論をすることなく、突如として国際公約といたしました。

 御案内のように、我が国は、現在、京都議定書に基づきまして、一九九〇年から二〇一〇年までの二十年間、この二十年間で六%削減するという目標に向けて取り組んでいるところでありますが、この目標の達成に四苦八苦しているわけであります。九〇年比二五%削減目標というのは、〇五年比に置きかえますと、十五年間で三〇%削減をするということになります。二十年間で六%削減することに苦しんでいる国が、十五年間で三〇%削減するということを目標に掲げ、世界に約束したわけでありますから、当然のことながら、国民各層から、本当に大丈夫なのか、とりわけ景気悪化で極端に悪化している雇用環境に深刻な影響が出るのではないか、そういう心配の声が上がりました。

 私も、早速、昨年十一月の時点で、衆議院の予算委員会でこの点についてさまざまな角度から質問をさせていただきましたが、その時点では、政府から答えられるものは何もなくて、これからということでありました。つまり、条件つきとはいえ、十五年間で三〇%削減するということを世界に約束しながら、国民に説明できるものはその時点ではなかったということであります。

 このとき、私の質問を聞いていた知人のマスコミの方がこう言ったのを、今でも印象深く覚えております。要するに、二五%削減するという意気込みだけで、一枚めくると何もないんだな、私の友人はそう言っていました。

 その後、十二月にCOP15があり、年を越しましたが、十分なる国民への説明がないまま、政府は二五%削減目標をそのまま含む地球温暖化対策基本法案を三月十二日に閣議決定いたしました。その際、環境問題に関する重要事項を審議すると法律で定められている中央環境審議会にも、粗い内容の法案の概要の審議が一回、法案の審議が一回かけられただけということでございました。

 この閣議決定には、さすがに各界から問題視する声が上がりました。閣議決定された三月十二日その日に、経団連は、拙速の議論のもとで法案が閣議決定されたことに対して遺憾の意を表明し、国会での十分な審議を求めるアピールを文書で公表いたしました。また同日、温室効果ガスの削減に日夜努力している九つの産業団体からも、国会での十分な審議を求める声明が各会長の実名で公表されました。民主党を支援する労働界からも、注文をつける文書が公表されました。これは極めて異例のことであると私は思います。

 さすがにこのままでは国会審議は乗り切れないと判断があったのかもしれませんが、法案が提出された後です、二週間以上たった三月三十一日、中長期の道筋や国内経済に与える影響などを提示する大臣試案というものが公表されました。法案の後であります。私は、二十三年間霞が関の片隅におりまして、曲がりなりにも政策立案にかかわってまいりましたが、正直申し上げまして、これほどずさんな政策分析を見たことはございませんでした。中央環境審議会の議論も、このロードマップにつきましてはこれから本格化するということでありました。これでは、何のための審議会かわかりません。

 多くの専門家や産業界あるいは労働界には、一番の懸念として、二五%削減目標を強行すると、国内企業が海外に逃げ出し、国内雇用が失われてしまうのではないかという大変大きな心配があるわけでありますが、しかしながら、これまでの国会での質疑を通じて判明しましたことは、実は、この試案には、肝心な海外生産シフトによる影響というものが含まれていなかったのです。これほど皆が心配していることを全く考慮に入れずに、それで、あろうことか、雇用はふえるんだという分析結果を国民に訴えているわけであります。

 それでも、企業は海外へ逃げることができます。逃げることができないのは、そこで働く皆さんや取引をしている中小零細企業の皆さんです。そこを分析すらしていない。それでいて、雇用はふえるんだと堂々と発表しているわけであります。

 この大臣試案では、四つのモデルを用いて分析をされていますが、そのうち二つのモデルで二五%削減の影響分析を行っております。それによりますと、雇用面でプラスだし、GDPもふえるという分析結果になっているわけであります。

 しかしながら、世界のモデルは違うんです。IPCCの二〇〇七年の第四次報告では、十五個のモデルを使って分析を行っておりますが、そのほとんどが、温室効果ガスの削減幅が大きくなるほど、GDP、すなわち国内経済にマイナスの影響を与えるという分析をしております。

 しかるに、この試案では、国内経済や雇用にプラスであるというモデルだけを二つも紹介しているわけであります。悪い影響が出るという分析結果は一つも紹介されていない。これは、世界のモデルの分析結果と余りにも違います。

 さらには、民主党政権のもとでのタスクフォースでも、すべてのモデルで規制強化に伴い経済や雇用面でマイナスの影響が出るとされておりますが、この試案はそれとも大きく異なります。

 この試案は、特異なモデルだけを使って意図的に楽観的な見通しをばらまき、世を欺いていると言われても仕方がないものになっていると私は感じております。もしそうでないということであるならば、なぜ楽観的なものだけを載せるのか、国民が納得できる明快な説明をしていただかなくてはなりません。

 また、ほかにも、風力発電の導入量等々につきまして、細かい議論になりますが、きょうの時点では差し控えますが、国会答弁で経済産業副大臣の方から、風力発電の導入量は率直に言ってなかなか厳しい数字、ただ、これはあくまでも小沢試案なので、国として決めているわけではないし、経済産業省としても、この数値を我々が認めて達成目標に向けてやっていくということではない、こういう答弁を堂々とされているところであります。全くひどいものだと思います。

 さすがに、この試案につきましては、我が国を代表する研究者八名から実名で、精査が必要で国民に誤解を与えるという趣旨のアピールが、これまた勇気を持って文書で発表をされました。また、本委員会に参考人としてお話をいただいた、このモデル分析を行った当の研究者の方が、このモデルはまだまだ検証が必要だとこの委員会で述べられております。

 このように、政府提出法案の前提となります政策分析につきましては、各界から次々と、国会での十分な審議、政府の発表に対する分析の精査を求めるアピールが文書で出される、これは極めて異例な事態だと私は思います。

 もう一度、整理して申し上げます。

 十五年間で三〇%削減という高い目標を掲げる以上、それが国民生活や経済活動、雇用などなどに与える影響を、国民に対して政府としてきちんとした説明をしていただかなくては、その目標の是非を国会で判断することはできません。

 残念ながら、この点について示されたこれまでの試案は、審議会の審議もこれから精査しますと。経済産業省や厚生労働省といった関係省庁の専門家とも議論をしていません。モデルにかかわった研究者自身が検証が必要と委員会で明言するような未成熟なモデルを用いて、CO2は削減すればするほど雇用がふえるというような、世界でも聞いたことのないようなのうてんきな結果を検証もなく世間にばらまき、しかも、企業の海外生産シフトの影響も考慮していない。さらには、先ほども言及いたしましたように、日本を代表する研究者八人が見るに見かねて実名で国民に誤解を与えかねないというアピールを公表する、そういう代物であります。

 こういうもので、二五%削減について国会でどう議論をしようというのでしょうか。幾ら何でも無責任過ぎると私は思います。初めに数字ありきで、あとはつじつま合わせに奔走をしている、これが実態ではないでしょうか。これほど大事な問題を、こんなやり方で本当にいいのでしょうか。

 できるだけ早く、このずさんな試案、分析を撤回して、国民生活に与える影響、雇用に与える影響、産業競争力に与える影響などなどについて、きちんとした見解を政府としてこの国会に出すべきであります。環境大臣の見解だけではなく、経済産業大臣も厚生労働大臣も合意した政府としての見解を出し、国会に対してきちんとした説明責任を果たすべきです。そうでなければ、二五%削減目標を含んだ政府提出法案のよしあしを国会で審議しようはありません。この点を私は松本新大臣には強く申し上げたいと思っております。

 二つ目の問題点でありますが、なぜ二五%なのかという点であります。この論理も、残念ながら説得力がありません。

 二五%の論拠として言われますのは、一つは、国際交渉で他国を高い目標に誘導するためだということであります。自国民に対する説明責任をろくに果たさずに、世界の背中を押すことに一生懸命になるというのは理解に苦しむところがありますけれども、仮にそういう試みがあり得るとしても、結局のところ、この日本の二五%削減目標が世界を動かすことはなかったんです。

 政府は、昨年のCOP15において日本がリーダーシップを発揮したと強調しておりますが、私は、衆議院調査室を通じて、この委員会でも、松本大臣は当時おられなかったかもしれませんが、議論をさせていただきまして、世界の主要紙で日本のこの二五%削減目標についてどういう報道がなされているか、調査をいたしました。

 詳細は、かつて議論した話ですので省略いたしますが、アメリカのニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、イギリスのタイムズ、フランスのル・モンド、ル・フィガロ、ロシアのインタファクス、中国の人民日報など、主要七カ国、十四の報道機関の記事につきまして、COP15で日本のリーダーシップを報道する記事、これは一行もありませんでした。ネット上の無料検索記事という制約は当然あるんですけれども、政府が主張するように、日本の二五%削減目標が本当に世界を動かしているならば、世界の主要紙の一紙ぐらい、一行ぐらい、ネット上でそれを報道しそうなものですが、なぜか報道は一行もありませんでした。

 世界で一番の環境技術を持ち、世界で一番省エネなどに一生懸命取り組んでいる国が、世界で一番断トツに高い削減目標を掲げ、世界で一番お金を出す約束をする、そして、それを世界が評価せず、報道すらされない。大臣、これが我が日本が置かれている客観的な現実なんです。幾ら何でもいびつなことをやっていると私は思いますが、大臣はどう思われますでしょうか。

 世界の国々は、もっと自国民を大切にしています。CO2を削減すればするほど雇用がふえるなどということを大臣の見解として発表するような大臣は世界にはおりません。そんな政府は世界にはないんです。そもそも、温室効果ガスを削減すればするほど雇用がふえるのであれば、COP15はとっくにまとまっていたのではないでしょうか。国内に悪影響が出るから、国際交渉は難航しているのではありませんか。

 また、政府は当初、二五%削減の根拠として、科学の要請だと国会で明言しました。三月三十一日のこの試案でも科学が要求する水準と言い切り、その後、この表現は撤回されておりません。しかしながら、国会での審議を通じ、政府は徐々に発言を修正し出しまして、今では政治判断だと言っております。これほど大事な問題に対して実に不見識だと私は思います。もし政治判断だと政府が言うのであるならば、これまでの発言を撤回すると同時に、改めて、なぜ二五%なのかという論拠を示していただかなくてはならないと思います。

 今や、二五%削減目標というあらゆる論理は破綻しつつあると私は思います。科学の要請でもなければ、国際交渉を引っ張るわけでもない、国民に対する説明責任もろくに果たさない。一体、日本政府は何をやろうとしているんでしょうか。私は理解に苦しんでおります。

 三つ目の問題点は、法案そのものの構造的欠陥であります。

 この法案は、御案内のように、条件つきで中期目標を設定するということになっておりますが、今や、この前提条件が満たされる可能性はほとんどございません。満たされることのない前提条件をつけて、そして、この前提条件が満たされないときにはどういう目標になるかということは一切示されておりません。満たされない可能性が極めて高いにもかかわらず、満たされない場合の目標がどうなるかがないんです。これでは、国内産業や国民はどこを目指して努力をしていけばいいのかわかりません。

 ちなみに、自民党の案では、国内の、いわゆる真水の目標を定めておりまして、交渉の展開次第によって海外からの購入分を上乗せしていくという目標設定の仕方になっておりますので、国内の目標は明確になっております。

 また、もう一つ問題なのは、この二五%削減のうち、真水で幾ら削減するかというものの内訳がございません。これではやはり、前提が満たされたとしても、どこまで国内でやっていいのかがわかりません。これでは排出量取引の制度設計というのは、そもそもどこまで削減するかがわからないんですから、なかなか難しいのではないでしょうか。

 これだけの問題があるにもかかわらず、我々の懸念は一顧だにされず、前国会では強行採決でこの委員会を法案が通過いたしました。幸いなことに、参議院では成立せず、法案は廃案になりましたが、信じられないことに、説明責任という観点から何の前進もないまま、この国会に再び法案が一字一句文言を変更することなく提出をされました。

 松本大臣、今我々に必要なのは、一度冷静になって、政策の論理と情報を整理して、何が国民にとってプラスなのかマイナスなのかをきちんと分析して、静かに虚心坦懐に議論を積み上げていくことではないでしょうか。二五%削減問題についても、空疎な言葉を並べて強弁するのではなくて、きちんとした分析をして、国民の立場に立って冷静に議論することが今必要なのではありませんか。国会とはそうあるべきではありませんか。

 科学の要請でもないものを科学の要請だと言い募ったり、多くの全く異なる試算結果が示されているにもかかわらず、一研究者の極端な分析を大臣の見解として発表し、CO2は削減すればするほど雇用がふえるなどというまやかしはもうやめにしようではありませんか。せっかくこの国の産業界は温暖化対策で世界をリードする力を持っているのですから、それが最大限に発揮できるような対策を打っていかねばなりません。間違っても、この面で産業界のやる気と力をそぐような形での対策を打つのなら、かえって炭素リンケージが起こったりして、温暖化ガスの削減にはマイナスになってしまいます。新大臣にはこの点、もっとセンシティブになっていただきたいなと思います。

 我々自民党は、もっともっと日本技術が評価され、技術を持っていることがプラスになるような新しい国際的枠組みの構築を日本が提唱していくべきと考えまして、さきの参議院選挙のマニフェストにも掲げさせていただきました。自虐的なアプローチではなくて、もっとスマートなやり方が日本にはあるはずです。

 漏れ聞くところによりますと、法案は国会で修正すればいいとお考えがあるやに聞いておりますが、通常の法案であるならばそれもあるでしょうが、この温暖化対策基本法案の場合は、先ほど来強調いたしておりますように、政府としての分析結果をきちんと出していただかない限り、議論はできません。説明責任を果たさないまま法案を国会に出して、あとは修正すればいいというのは、余りにも無責任ではないでしょうか。

 法案修正云々を言う前に、政府全体としての説明責任を果たしていただかなくてはなりません。法案修正の議論をするならば、その後だと私は思います。私は松本大臣に期待をしております。ぜひとも、私が問題提起しましたことにつきまして、真摯に御検討いただきたいと思います。

 きょう、たまたま前大臣が座っておられますから申し上げるわけではありませんが、私は、前大臣を常々尊敬しておりまして、この世界に入る前から、この人はいずれ日本の政治をリードする方になるに違いないとずっと思い続けていた方でありまして、今でもその考えは変わっておりません。ですが、この問題についてだけは、少々山っ気が強過ぎて、経済界の声にも、労働界の声にも、研究者の真摯な訴えにも十分に耳を傾けてそれに対応してきたとは私には思えません。

 新大臣は、静かな誠実なお人柄の中にも、おかしなものはおかしいとされる強い信念をお持ちの方とお見受けいたしました。我々政党人は、政党の看板を背負っている以上、前任者を初め党内の人間関係のしがらみや党利党略のあらしの中に巻き込まれることは避けられません。しかしながら、一方で、この国の将来に対して責任ある判断を下さなければならないという責務からも逃れるわけにはまいりません。我々政党人は、そのはざまで苦しみながらも、国のために少しずつでも前進をしていかなくてはならないと私は思います。

 松本新大臣には、大変御苦労が多いこととは存じますが、ぜひ我々の主張に耳を傾けていただきまして、新鮮な目で虚心坦懐にこの問題を見詰めていただき、勇気ある新しい一歩を踏み出していただけたらと強く御期待申し上げます。

 長くなりましたが、個々の論点はこれから議論させていただきたいと思いますが、きょうは、以上の点について総括的に大臣の御見解をお聞かせいただけたらと思います。あわせて、お待たせいたしましたが、経済産業省の方からも総括的に御見解を賜れればと思います。

 御清聴ありがとうございました。

松本国務大臣 大変な御高説をいただいて、ありがとうございます。また、COP10に対する御配慮で、余り私が答弁する時間を煩わせないという御配慮をいただきまして、ありがとうございます。

 宇井純さんの話や石牟礼道子さんの「苦海浄土」の話、私も昔から、もうほとんど忘れましたけれども、同じ問題意識を持ってやってきたというふうに思っております。

 私、残された時間が十分ぐらいあると思って自分で書いてきたんですけれども、それほどないみたいでありますので、まず、反論は多分、小沢委員長が今一番発言したいんだろうと思いますけれども、かわりに言うということもなんですので、私の環境問題の発露といいますか、その辺のところから言います。

 一九九一年に、御承知だと思いますけれども、IBMが赤字になりました。リーマン・ショックの前の、私も大きなショックでしたけれども。あのときに、私の友人で日本経済新聞社の永野さんという仲のいい人がいて、龍さん、今からちょっと来るから話を聞いてくれという話があって、そのときにシューマッハーの「スモール・イズ・ビューティフル」という本を持ってきてくれて、これは、もうこんな時代、九〇年代から波乗り状態が始まるよと。世界も盤石ではないし、日本も盤石ではない。つまり、もう一九九〇年代というのは、ある意味では、ベルリンの壁、ソビエトがなくなる、天安門事件、労働組合の形態も変わった、物すごく大きな時代の流れがあったわけですけれども、その辺から、彼が言ったのはシューマッハーを読みなさいということでありました。

 私は、ちょっと事務方に言って、一九五一年から二〇〇〇年までのCO2というかエネルギーの排出量のグラフをつくらせたんですけれども、ちょっとごらんになったらいいと思いますけれども、後でお渡ししますが、この点線からこういうふうに高くなって、もうここでとまっているんですね。高どまりをずっとしている。

 つまり、シューマッハーが言ったのは、産業革命からずっとエネルギーを使ってきたけれども、戦後のたった二十五、六年で、その産業革命から戦前までのエネルギーを使った。そして、あと四、五年したら、恐らくそれ以前の、人類が始まって以来のエネルギーを人類は使ってしまうだろう。この話を見たときに、私はぞっとしました。これではいけないという思いが、私が環境問題に取り組んだきっかけであります。

 そういう意味で、前置きが長くなりましたけれども、私はちょうど一九五一年生まれですから、それくらいのエネルギーを私たちは享受して生きてきた。この生きざまを改めなければならないということで、先ほど、二五%あるいは二度C、四五〇ppmとか、いろいろな話が出ましたけれども、私は、そのくらいの高い決意を持って、覚悟を持ってやはり鳩山総理、そして前小沢大臣が臨まれたんだ、このことはしっかり私は受け継いでいきたいというふうに思います。

 その二度Cがどういう数字なのかという、私も実は、洞爺湖サミット、その前の安倍総理が二〇五〇年には五〇%、そしてそれを洞爺湖サミットのG8で福田総理が言われました。それも、ああ、決意はあるんだなと思った。そして麻生総理もラクイラ・サミットで、二度Cの話を合意された。ああ、そうなんだなと。そして、ある意味では、麻生総理の中期目標の検討会では、家計負担が物すごく大きい。私も一般の目線でずっと見ていますから、そういうふうに関心はありましたけれども、そういう流れの中で、鳩山総理が二五%と言われたときに、これはやはり、高い目標であるけれども、しっかりここを目指してやっていかなければならないんだなと。

 そして、温暖化法案も、いろいろ議論が足りないと言われましたけれども、いろいろな過程を見ますと、小沢前大臣初め党の中では、しっかりパブコメをやったり、さまざまな議論があります。確かに、審議会というものといいますか、そういう手続的にはいろいろなことがあったと思いますけれども、さまざまなことがあるというふうには思っておりますけれども、私は、この法案を出させていただいて、今言われました虚心坦懐にしっかり議論を重ねていきながらこれからやっていきたいというふうに思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。

 きょうはありがとうございました。

池田副大臣 今、齋藤委員の話をるるお伺いして、三十分独演会というのは大変すばらしいとは思いますが、この重要な問題についての批判的な見解をまとめて述べていただいた。私にとっても非常に参考になりました。

 私も、九〇年代の初め、九〇年に松本議員と一緒に当選をしたんですが、将来はどうなるか、将来に対する照察というか洞察、やはり地球というものが危ないんじゃないかと。九〇年代の初頭であります。温暖化の危機が少し言われ始めたころでありました。あと、地球の自然といいますか資源エネルギーの枯渇、そして人口の爆発とも言える急激な増加、この三つの危機があるということを私は感じまして、当時からいろいろ街頭演説でもどこでも言ってきたわけでございます。その後大きなトレンドになってきましたが、そもそも地方にいるときに私も取材する立場で、当時の環境問題、自然保護問題、随分取材をいたしました。

 そして、現状はどうかといって、今、齋藤委員がおっしゃるような一つの見解がございますが、我々としては、将来をやはり前向きにとらえて、ある種政治決断だったかもしれませんが、この問題については、やはり民主党政権としても最優先課題で取り組んでいくと。

 最後にただ一点だけ、時間もありませんので余り申し上げては差し支えがあると思いますので、産業界に与える影響等について一言述べて答弁を終わりたいと思うんですが、私は、温暖化対策が経済や雇用に大きく悪影響を与えることがあってはならないと思っております。二五%削減は、国内対策だけではなく、海外における削減への貢献や森林吸収分を加えた数値であり、どれだけ国内対策で削減するかについてはまだ決まっておりません。

 具体的な方策はどうかということですが、六月に閣議決定されたエネルギー基本計画や新成長戦略との整合性が図られるよう、環境と経済の両立、これが大事ですが、産業の国際競争力、雇用や国民生活への影響といった観点、国際交渉の状況も踏まえつつ、きょうお伺いした意見もありますが、国民の皆様の御意見を十分に伺いながら、政府としてはしっかりと検討を進めていかなければならないと感じております。よろしくお願いします。

齋藤(健)委員 終わります。ありがとうございました。

小沢委員長 次に、太田和美君。

太田委員 民主党の太田和美でございます。

 大臣が就任されて初めての衆議院での環境委員会になります。与党ではトップバッターとなりますが、今さまざまな議論がされてきたところでございますが、質問が少し重なってしまうところはお許しをいただきまして、そして、まずもって、今回このような質問の機会をいただきましたこと、心から感謝を申し上げまして、私の質問に入らせていただきたいと思います。

 まず、大臣が就任されて三日目に、ニューヨークでの国連のハイレベル会合に参加され、環境大臣としてのステートメントを発表されましたが、就任直後ということで、日夜いろいろと御心労されて大変だったと思います。

 そこで、まずはCOP10関連の質問をさせていただきたいというふうに思います。

 生物多様性は人類を含むすべての生命の生存基盤であり、その保全は極めて重要であります。西洋の思想では自然と人間を分けて考えるところを、東洋思想では自然と人間を一体と考えており、最も偉大で貴重な自然が人間であるという考え方を持っております。これを天人一体観というふうに呼んでおりますが、日本では遠い昔から、草や木、そして山や川、あらゆる自然に神が宿るというふうに考えてこられました。日本人にとって、自然との共生というのは大変なじみの深い、当たり前の思想だったわけでございますが、今回のこのCOP10で日本が提案した自然との共生、こういうキーワードが世界の人々に認識されたということは非常に喜ばしいことでございます。今回、この言葉の採択の有無にかかわらず、私たちはこのことをいつも念頭に、忘れずに環境の議論をしていかなければならない、そのように思っているところでございます。

 大臣は今、COP10の議長としてポスト二〇一〇年の目標の合意に向けて御努力をされているわけですが、先進国と途上国の意見の溝を埋めていく作業、容易ではなかろうと思います。これまでの交渉についての総括をしていただきたいと思います。

 また、あしたからはいよいよハイレベル会合が開始され、交渉も大詰めとなりますが、議長たる大臣の取りまとめに向けた決意をもう一度聞かせていただきたいと思います。

松本国務大臣 ありがとうございます。COP10成功に向けてしっかり取り組んでまいります。

 先ほど、東洋と西洋の思想の違いを言われました。ことしの初めに私は、「逝きし世の面影」という渡辺京二さんの本、こんなに厚いんですけれども文庫本で半分ぐらい読んだんですけれども、まさに、江戸時代の末期から明治にかけて日本にやってきた宣教師さんとか科学者とか航海で船乗りさんとか、そういう人たちが日本に来て、日本人というのはすごいということを残した書物です。つまり、何といいますか、自然と共生をしている、ある宣教師さんが来て、人間が一番とうといんだと言ったら、そこの子供が家に帰って、母ちゃん、人間が一番偉いのかねというふうに言って、やはり動物と共生をしている日本人の姿がそこにあらわれていたというふうに私は思うんです。

 それはさておき、人間はやはり自然によって生きていますし、生かされているということを根本に、COP10、考えていきたいと思います。

 ハイレベル協議というのがあしたからありますけれども、それをどう枠組みをつくっていこうか、きょうもこれから帰って、バイ会談という二国間協議をさまざまやりながら、そしてその中でもいろいろ提案をしていきながら、二十七日以降、あした以降の枠組みを、きょうまた夜遅くなりますけれども、七、八、九は恐らくほとんど寝られないで頑張らないかぬというふうに思っておりますけれども、やはり人類というもの、そして生物多様性の危機ということを考えればポスト二〇一〇年目標は非常に大きいですし、さまざま対立はありますけれども、何でみんな名古屋に集まっているんでしょう、何でみんな名古屋に集まって、これからあと三日間をどうやるんでしょうということのモチベーションをしっかりみんなで確認し合いながら、ハイレベル協議に臨んでいきたいと思います。そのことをしっかり覚悟してやっていきますから、よろしくお願いをしたいと思います。

太田委員 ありがとうございます。

 大変な役割だというふうに思います。世界のすべての国の皆さんが受け入れられるような結果に向けて、最後まであきらめず御努力を続けていただきたいというふうに思います。

 ABSの問題でございますが、今大臣がおっしゃいました、まさに私たちは自然に生かされているということでございますが、人類は自然から多くの恩恵を得て、日常生活に活用し、さまざまな産業に利用してきました。遺伝資源というものが生物の多様性によって維持されているということを考えると、遺伝情報の経済的価値を認め、その利用を促進し、利益の一部を多様性の保全コストとして提供国に還元するという考えは、私は納得するところでございます。

 国際的に合意される段階に来ているというふうに思われますが、今回のCOP10においては、ABSについて、一般的に資源供給国、途上国と資源利用国となる先進国での主張が平行線をたどっております。多様性条約締結以来の課題になっていますが、この途上国との交渉において、ポスト二〇一〇年目標の決定やABS等の課題について、途上国サイドが妥結に向けたパッケージとしての追加的な資金を求めているというふうにお伺いをしておりますが、この問題についてどのような対応をされておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。

松本国務大臣 ポスト二〇一〇年目標とABSの問題と資金の問題、パッケージというふうに言われますけれども、パッケージでということは一部にはありますけれども、私は、やはりそれぞれ切り離して、それぞれの問題で、ワーキンググループもそういうふうに分かれておりますので、それぞれ個々に、難しい問題ではありますけれども、やっていかなければならないというふうに思っております。

 ABSの問題も、九月の二十一日に、小沢前大臣、田島副大臣、大谷政務官がしっかり道筋をつくってくれた、ティモシー・ホッジスやフェルナンド・カサスとか事務局長のジョグラフという人たちと会って、これからの戦略をどうつくっていこうかと、もう毎日のように会って、十八日から始まったときも、毎日毎日彼らは昼夜を分かたず議論をして、とりあえず、二十二日まで結論が出なかったので二十三、二十四と時間をくれと言ったので、議長として時間を与えました。

 それで、きょうから二十七日以降のことを考えていかなければなりませんけれども、議長の立場として、先進国に物申すのか途上国に物申すのか、なかなか複雑な立場でありますのでこの場では言えませんけれども、少なくとも、共通の利益、人類の福利とそして生態系の保存というこの両輪をしっかり組み合わせていけば、どこかに人間の英知が生み出せるものと思っていますので、努力をしたいと思います。

太田委員 ありがとうございます。

 今回、COP10の開催国になったときの話でありますが、NGOから、日本はホストにふさわしくないというような批判もあったということを聞いております。

 しかし、今、大臣の取り組みの経緯などもお話を聞きまして、また、手のうちをすべて明かすことはできませんが、日本としての資金提供などもいろいろ考えているということで、こういった取り組みについて、私は必ず評価されてくるものだというふうに思っております。

 先ほどの質問者の中でも、日本のやっていることがなかなか評価されていないんじゃないかということもありましたが、これはちょっと朝日新聞のものを引用させていただきます。

 今お話ししたように、当時は日本はホストにふさわしくないという批判が起きたんですが、この交渉に長く参加してきた欧州のNGOのエコロパ代表のクリスティーネ・フォン・ワイツゼッカーさんという方なんですけれども、この方が、しかし日本は、議長国を意識し始めてから、交渉で積極的に妥協案を提示するなど柔軟さが見えてきた、交渉を進めるために約一億円を投じて二度の準備会合を開催、国内では〇八年、地域に生態系保全の戦略づくりを促す生物多様性基本法を制定、国家戦略も改定したと。ワイツゼッカーさんは、準備では十分に貢献したというふうに評価をしていただいております。今、選択のとき、途上国と協力していくか、条約に加わってすらいない米国のようになるか、次の一歩が重要だというふうにお話がされたわけでございます。

 私たちのやっていること、どう評価するかというのはまだ早いかと思います。しっかりとこのCOP10、成功に向けて、大臣の誠意が必ず実を結ぶものだというふうに思っておりますので、どうか引き続き頑張っていただくようにお願いを申し上げたいと思います。

 そして、このCOP10では多くのNGO、NPOが参加して会議を盛り上げておりますが、環境問題の解決は社会全体で取り組まなければなりません。市民が主体的に環境保全に取り組んでいくためには、その重要性を大人から子供まで理解することが重要です。政府としても、環境に関する教育、学習機会を広く提供することが重要と考えます。

 というのも、内閣府の世論調査でございますが、生物多様性の言葉の認知度を調査したところ、「聞いたこともない」という人が六一・五%、「意味は知らないが、言葉は聞いたことがある」が二三・六%、そして「言葉の意味を知っている」は何と一二・八%しかなかったということです。その取り組みの重要性にもかかわらず、生物多様性の保全に向けた国民の関心は依然として高まっていないと言えます。今回、名古屋でのCOP10が開かれたことで、以前に比べると若干改善されたかもしれませんが、私はまだまだだというふうに思っております。

 そこで、国民多数に生物多様性を保全していくということの重要性を理解していただくために、取り組みが極めて大切になると思いますが、そこで大事なのが、やはり環境教育の充実であります。生態系の複雑さや絶妙のバランスを目の当たりに子供たちが教育の場で実感していくということがやはり必要であると思います。生物多様性という難しい単語の解説を新聞や本を通じて知るのではなく、実際の体験の中から、エコツーリズムなども利用しながら生き物同士のつながりの大切さを学ぶことが必要だというふうに思います。

 そこで、松本大臣は、〇三年でしょうか、衆議院の環境委員会の委員長をされていた際、環境保全活動・環境教育推進法案を委員長として提案されました。提案して実現させたと伺っております。

 この法律も成立以来七年が経過し、五年後の見直しの期間も既に過ぎており、昨年、改正の動きがありましたが、衆議院解散により立ち消えとなり、政権交代後も改正の機運がありましたが、温暖化対策基本法など重要法案がメジロ押しで、後回しにされてきました。

 この臨時国会でも、前国会の積み残しが山積しており、大変厳しい状況でありますが、議員立法のことで大臣としての答弁は大変難しいかと思いますが、そもそもの提案者として、法施行以来の日本の環境教育の総括、さらにそれを乗り越えていくべき課題等について、大臣の思い、お持ちだと推察いたしますので、可能な範囲でその思いの一端を聞かせていただければと思います。

松本国務大臣 七年前に私が委員長のときに通した法案ということでお尋ねがありました。

 先ほど来、COP10の話がありますけれども、温暖化の話もありますけれども、危機にあるとかという言葉は私は余り好きじゃないですけれども、本当にやはり大人の課題として、しっかりこれを喫緊の課題として、自然の問題に対する教育、教育というよりも、なじむというか、本当にちょっとしたしぐさ、朝起きて何か電気をつけたりトイレに行ったり、おふろに入るときとか食事をするときとか、そういうところどころのしぐさの喚起といいますか、そういうのが私は教育とともに必要だろうというふうに思っています。

 名古屋に行ってまいりまして最初にびっくりしたのは、子供たちがいろいろなサイドイベントをやっておりました。そういうことがあって、幾つも、二十も三十も四十もあるブースの中で若い人たちが、これを守りましょう、あれを守りましょう、サンゴを守りましょう、吉野の何を守りましょうとか、いろいろな方々がいる。あの名古屋の雰囲気をやはり日本国じゅうの人たちに少しでも知らせていく。

 生物多様性というのはなかなか言葉が知られていないというふうに言われましたけれども、やはり自分の生活の中にしみ込ませていく、その手伝いをするのが環境教育だと思いますので、そういう民生の部分も、七年たちますから、いろいろな意味で皆さんが膨らませていってこれからの課題にしていただきたいと思います。

太田委員 ありがとうございます。

 時間も時間になってしまいました。ただ、最後に一問だけちょっとさせていただきたいと思います。

 地元の話で大変恐縮なんですが、リサイクルや廃棄物処理に関して、我が国は世界最高のレベルの技術を有していると思います。

 例えば私の地元の福島の郡山の例ですが、日大工学部と地元企業のLLPそれから福島県の三者が共同で、生ごみから電気をつくるという開発に今取り組んでおります。食品廃棄物、いわゆる生ごみを発酵させて、まずそこからメタンガスをつくるんですね。そのメタンガスを分解して水素と炭素をつくるわけですが、触媒とマイクロ波で反応させてそのように分解していくんですが、そしてその水素を燃料電池の燃料として活用する。そして炭素も、高価な炭素はカーボンとして工業材料にも使えます。研究は三年計画の予定で、成功すれば世界初の事業だそうです。初年度事業として、先日、目標値以上のメタンガス生成に成功したということですが、福島県の次世代エネルギーネットワーク推進事業の認定を受けて、バイオガスステーションというものですが、非常にコンパクトな装置で、私も見せていただきましたけれども、移動させて使うこともできるという装置です。

 これはまだ開発中の例ですけれども、このような技術を有する企業の海外進出を支援するということは、海外の環境保全を進め、国際貢献につながると思うのですが、また、国内産業の競争力強化を通じ、国内の成長、雇用にもつながります。まさに一石二鳥の政策だというふうに思いますが、こうした企業の海外進出を力強く進めるべきではないかと思いますが、環境省、お伺いをしたいと思います。

伊藤政府参考人 先生御指摘のとおり、日本の廃棄物技術あるいはリサイクル技術というのは既に世界最先端で、世界に誇るべき環境技術の一つだというふうに考えております。

 こういった技術を持っている企業が、日本の中でどんどん成長するとともに、海外に行って大きく役割を果たすことによりまして、特にアジアの廃棄物問題、ひいては環境保全に大きく貢献するということ、そしてそういうこと自身がまさに日本の経済を引っ張っていく、こういうことにもつながるというふうに考えております。

 こういったことから、環境省としまして、アジア地域を中心として日系静脈産業の海外展開を積極的に支援していきたい、こういうふうに考えている次第でございます。

太田委員 ありがとうございます。

 たくさん、いろいろと議論したいことがありましたけれども、大臣もこれからCOP10に行かなければならないということでございますので、私の持ち時間を短縮させていただきたいと思います。

 これから臨時国会そして通常国会と、温暖化対策の基本法の問題などさまざまな議論を私たちは深めていかなければいけないことがありますが、先ほど大臣もシューマッハーの話をされました。やはり地球の有限性というものをしっかりと考えていかなければなりません。生態系の維持といったことも考えると、人間が好き勝手に経済活動を続けて自然を壊していってしまっていいのか、自然あっての人間ではないかという哲学的な問いかけに最終的にはやはり当たると思います。地球が無限であるという従来の経済のあり方というものを考え直して、成長の限界ということも視野に入れて、これからは、成長ではなく発展というような発想、このように思想を変えることがやはり唯一のかぎになるのではないかなというふうに私は思っております。こうした思想から、やはり問題解決に広くかかわってくるはずだというふうに思っておりますので、これが温暖化対策の答えになろうかと思いますので、これはまた後日、大臣と政務官、そして皆さんといろいろと議論をさせていただきたいというふうに思っております。

 大臣の一層の御奮闘をお願い申し上げまして、私の質問を終了させていただきたいと思います。ありがとうございました。

小沢委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十三分散会


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