衆議院

メインへスキップ



第7号 平成22年11月26日(金曜日)

会議録本文へ
平成二十二年十一月二十六日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 小沢 鋭仁君

   理事 大谷 信盛君 理事 太田 和美君

   理事 田島 一成君 理事 横光 克彦君

   理事 吉川 政重君 理事 田中 和徳君

   理事 吉野 正芳君 理事 江田 康幸君

      相原 史乃君    石田 三示君

      岡本 英子君    川越 孝洋君

      川村秀三郎君   木村たけつか君

      工藤 仁美君    櫛渕 万里君

      近藤 昭一君   斎藤やすのり君

      阪口 直人君    玉置 公良君

      橋本 博明君    樋高  剛君

      森岡洋一郎君    矢崎 公二君

      山崎  誠君    渡辺 義彦君

      井上 信治君    近藤三津枝君

      齋藤  健君    福井  照君

      古川 禎久君    町村 信孝君

    …………………………………

   環境大臣         松本  龍君

   環境副大臣        近藤 昭一君

   経済産業大臣政務官    田嶋  要君

   環境大臣政務官      樋高  剛君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁次長) 木村 雅昭君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            安井 正也君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   伊藤 哲夫君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            白石 順一君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  寺田 達志君

   環境委員会専門員     高梨 金也君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十六日

 辞任         補欠選任

  櫛渕 万里君     矢崎 公二君

  斎藤やすのり君    川村秀三郎君

  橋本 博明君     渡辺 義彦君

同日

 辞任         補欠選任

  川村秀三郎君     斎藤やすのり君

  矢崎 公二君     櫛渕 万里君

  渡辺 義彦君     橋本 博明君

    ―――――――――――――

十一月二十五日

 地域における多様な主体の連携による生物の多様性の保全のための活動の促進等に関する法律案(内閣提出第一二号)(参議院送付)

同月二十六日

 地球温暖化抑止のために国内対策の抜本的転換を求めることに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第三一八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地域における多様な主体の連携による生物の多様性の保全のための活動の促進等に関する法律案(内閣提出第一二号)(参議院送付)

 環境の基本施策に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

小沢委員長 これより会議を開きます。

 環境の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として資源エネルギー庁次長木村雅昭君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長安井正也君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長伊藤哲夫君、環境省総合環境政策局長白石順一君、環境省地球環境局長寺田達志君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小沢委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。町村信孝君。

町村委員 自由民主党の町村でございます。

 きょうは私、初めて松本大臣に質問をさせていただくわけでございます。

 補欠選挙が終わりまして、環境委員に拝命をいたしました。環境問題は、私は昔から関心は大変強く持っておりましたが、環境委員になるのは私、初めてでございますから、いろいろ素人っぽいことを聞いたり、またとんちんかんなことを申し上げるかもしれませんけれども、お許しをいただきたいと存じます。松本大臣は、大変温厚にして篤実、極めて常識、良識のある方だと、多くの方からつとに評価を承っておりますので、そういう立派な大臣に質問をする機会というのは私にとっても大変うれしいことでございます。一時間ほどいただきましたので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 そういう大変すぐれた大臣に冒頭こういうことを伺うのもどうかなと思うんですが、先日、柳田大臣が、みずからの御発言で大臣を辞されるということになりました。

 いろいろな説明ぶりをいろいろな方がするわけでありますが、総理は何となく、いや、はっきりそう明示的に言われたかどうか私も記者会見議事録を持っているわけじゃございませんけれども、予算審議を進めるため、補正予算の審議を進めるために大臣をやめてもらったんだ、何かそういう趣旨のことを言われている。

 しかし、私は、そうではなくて、補正予算とは関係なく、やはり不適切な発言の責任をとっておやめになったんだ、こんなふうに受けとめているわけでございますけれども、国務大臣として、あるいは政治家として、大臣は柳田大臣の発言をどのように受けとめておられるか。直接環境問題とは関係ございませんが、ちょっと冒頭お伺いをしたいと思います。

松本国務大臣 おはようございます。

 町村先生に質問していただくということで、きのうの夜から緊張してきょうここに参りましたけれども、柳田法務大臣の発言は、御本人が記者会見でも不用意な発言であったというふうに言われております。どういう思いで辞任されたかということは、私、彼とは二十年前の同期でありますし、そういう意味では、彼がいろいろな思いを持ってやめられたということは理解できますけれども、それ以上のコメントは差し控えてまいりたいというふうに思います。

 しかしながら、不用意な発言という点でいえば、私も閣僚の一人として、このことを自分の方にしっかり引き入れていきながら、これから自分自身も厳にこういうことがないように戒めていかなければならないな、審議に当たっては本当に誠意を持って尽くしていかなければならないな、逆にそういうふうに思っているところでございます。

町村委員 ぜひ真摯なる御答弁、議論をこの場でもさせていただければと思っております。

 けさのある朝刊を見ておりますと、前原外務大臣が身内の会合で、天皇陛下は極めて外交、安全保障にお詳しい方であったということを、外務大臣として天皇陛下に御進講の折にでしょうか、そういう印象という、何かそんな話をされたようでありますが、どうも身内での発言というのは非常に危険でございまして、天皇陛下というお立場上、いろいろなことが報道されてもそれに反論をするということができないわけでございますから、陛下への御進講の様子などを口外するというのは、私は、これまた大変不適切発言ではないかな、こう思うのであります。

 これは外務委員会等でどういう扱いになるのか私はわかりませんけれども、前原大臣もまた、こうやって発言が問題になっている折に、身内の会合であった、何か前原派の会合であったときょうは新聞に出ておりましたけれども、そういう場での発言というのもやはり気をつけなきゃならないし、また大臣も、天皇陛下にいろいろな国際会議等々の場での御報告などもされる機会もあろうかと思いますが、その辺は厳に御注意をいただきたいな、こう思っているところでございます。

 そこで、きょうは地球温暖化対策基本法に関連することを幾つかお伺いしたいわけでありますが、その前に、この環境委員会で五月の十四日ですか、私ども自民党あるいは野党は、強行採決ということを大変遺憾であるということで、当時の委員長であった樽床委員長の不信任というんですか、解任決議というものを出したほどでございました。私は、非常に重要なテーマというのは、やはり国会でじっくり議論をする、菅総理の言葉を使えば熟議をするというのは、本当に国会の基本的な役割であろうと思っております。

 たまたま私は、今から十五年ぐらい前だったでしょうか、厚生委員長のときに介護保険法案というのを議論いたしました。小泉厚生大臣でございました。当時の野党筆頭理事は岡田克也さんでございました。岡田さんのお申し出で、絶対審議拒否をしないからとことん議論をさせてくれと。わかった、やろうということで、やや百三十時間、一つの法案で議論をし、それでもまだ議論が足りないかなということでありましたが、しかし、実際これは動かしてみないとわからない部分も相当あるからというようなことであの介護保険法案の採決をしたことを、今でも私の委員長の記憶として最も印象深いのがその介護保険の法案の審議でございました。

 私は、それに対比して、日本の、あるいは世界の経済あるいは環境、いろいろな面で大きな影響が出るこの法案を二十時間弱の審議で採決に至ってしまったというのはいかにも拙速であった、こう思うのでありますけれども、その点、大臣はどう受けとめておられるか。特に、参議院で与党が少数になったという事態を踏まえて、ああいうことはもう起こらないんだろう、こう思っておりますけれども、ああした採決のあり方について大臣の率直な感想をお聞かせいただければと思います。

松本国務大臣 今の御発言、真摯に受けとめたいというふうに思っております。

 菅総理は、今国会冒頭の所信表明演説で、地球温暖化対策基本法案の審議をお願いするとともに、議論を深める熟議の国会にしていくよう言われております。私としても、国会審議において十分に皆さんに議論をしていただいて、さまざまな、私、今でも、産業界、労働界、NGOの皆さん等々のお話を聞いておりますけれども、虚心坦懐にお話をお伺いしてまいりたいというふうに思っております。

 そして、今、ねじれ国会というふうに言われましたけれども、逆に町村先生にお願いがあるんですが、十五、六年前に細川政権が誕生し、その後、羽田政権、そして村山政権とできたときに、やはり国家のためにいろいろ考えようよということで、町村先生や額賀先生から、ちょっと話をしたいということで、私とか今の大畠経済産業大臣とか、みんなで、これからの時代をどうしていくかということを議論したことがありました。

 そういう意味では、三年前に、逆に今度は民主党が参議院で多くなって、ねじれ国会になりました。五年前の郵政選挙で、民主党が少なくなったときに、自民党は公明党と合わせて三分の二の与党でありました。それからの国会というのは、私はここではもう申し上げません。それから二年後にねじれ国会になって、今度またねじれ国会になりました。

 そういう意味では、私は、ある意味では、もう自民党、公明党、民主党あるいはさまざまな政党ではなくて、やはり国益を考えていく国会にしていかなければならないというふうに思います。ですから、あのときのように、自民党の皆さんが民主党の皆さんにいろいろな話をするとか、ある意味ではたしなめるとか、そして知恵を出すとか、先生はもう外務大臣、文部科学大臣、さまざまされておりますから、そういう知恵を民主党の若い人たちに授けるとか、そして民主党の若い人たちもそういうことを聞くこともやはりこれから必要だろう。

 ですから、私は、この状態は三年後に解消するとか、これが衆議院でまた変わるとかという問題ではなくて、やはりそういう時代なんだということを先生ぐらいのベテランがお考えいただいて、みんなやはり国益のために何をするんだということをしっかり、私どもも反省すべきところは反省しながらやってまいりますので、その辺のところもよろしく御指導をいただきたいと思います。

町村委員 大臣のおっしゃる意味はよくわかります。私も国会議員の一人として、求めるのはただ一点、国益そして国民生活ということでございますから、今の大臣の御発言の趣旨はわかります。

 ただ、私、与党でいたとき、いろいろな委員会の理事等々もやり、委員長もやった経験で、もっと丁寧にやっていたなと思うんです。鳩山内閣ができての一年近く、参議院選挙まで、あんなに何度も何度も強行採決とか短い時間で重要法案をどんどん採決していった、数の力だというような乱暴な国会運営は、率直に言って僕らはあそこまで乱暴にはやってこなかったなと思うんですよ。私も一年間予算委員会の筆頭理事を務めて、本当に、理事会そのものの議論、あるいは委員会そのものの議論、とにかく数なんだという、もうそれ一辺倒でありました。

 私どもが与党理事であったとき、もっと丁寧に野党の理事の言うことを聞き、そして耳を傾け、それは最終的にどこかで採決をするという事態に至ることはあるんですけれども、あんなにぽんぽんぽんぽん次から次へと一方的に採決はしていなかったんだよということは、多分、松本大臣もおわかりだろうし、小沢委員長もよくおわかりだろう。ただ、そこを余りよくわかっておられない民主党の若い議員さん方がいらっしゃるのではないのかなと思ったものですから、あれが当たり前なんだ、多数をとっているというのはあれが当たり前なんだということでは決してないということだけはあえて申し上げたいと思います。

 そして、委員長にもぜひお願いでございますけれども、なかなかこの国会、もう残り日数も少なくなり、この基本法を議論する、採決するという状態にはまだほど遠いと思いますけれども、どうぞ委員長、次期通常国会、引き続き委員長でおられるかどうか、それはわかりません、多分普通であれば委員長としてとどまられるんだろうと思いますけれども、決して、ああした性急なる、議論を打ち切り採決をするということをしないように、特にこの基本法というのは、重要な、まさに基本法というのはそんなに数多い法律じゃございませんからして、そういう意味で、ぜひそこのところは、強行な採決などは決して自分はしないよと温厚なる小沢委員長のお顔に書いてありますから、そのことを信頼申し上げますけれども、どうぞひとつそこは心していただきたい、こう思っております。

 その上で、地球温暖化問題というものについて少しく大臣にお伺いしたいのであります。

 この鳩山さんの写真が載ったマニフェスト、私も何度も何度も実は読ませていただきました。「政権交代。」というこの四文字のマニフェストに私たちは昨年の選挙で負けたわけでございます。

 この中にも、二〇二〇年までに温暖化ガス二五%削減、九〇年比ということが書いてございます。そして、このことは民主党の最重要政策の一つとして挙げておられますが、この二五%、九〇年比という数字が出てくるまで、民主党の中でどれほどの深い詰めた議論が行われたのか。私ども、外からではわからないものですから、党内で一体どういう議論が行われてこういう結論が出てきたものかということをまずお伺いしたいと思います。

松本国務大臣 お答えをいたします。

 先ほど言われました二〇二〇年までに九〇年比で二五%削減するという目標につきましては、基本法のベースになっている民主党の基本法案については、対策本部において、二〇〇八年から三十回以上にわたって関係団体の意見を聞きながら議論を重ねて取りまとめたものであると承知をしております。

 ここにも詳しい資料がありますけれども、一月の二十三日からかなり中身の濃いお話をされて、産業界、労働団体、あるいはNGO、そしてさまざまな皆さんの意見を聞いて、岡田克也本部長のもとに、そして小沢前大臣、鳩山前総理も含めて、真摯な議論を重ねて成案を得たというふうに思っているところであります。

 ですから、きのうきょうの話ではなくて、二〇〇八年からずっと議論を重ねた末にマニフェストに出てきたというふうに私は承知をしております。

町村委員 そのとき、二五という数字の根拠というものは、当時の民主党の内部資料でこうこうこういうことだから二五%という数字になったんだというような客観資料、データというのはおありになるんでしょうか。

松本国務大臣 二五%という数字は、基本的に、IPCCの第四次報告の中に書かれております。そして、その二五%というのは、二五%から四〇%という中での一番低い数字であります。

 私も実は、この間、温暖化の問題について、ある意味では政治の世界というより市民目線でずっと見ておりました。三年前に安倍総理が二〇五〇年までに半減するという目標を掲げたときに、わあ、すごいなとそのとき思いました。また、おととしの洞爺湖サミットで福田総理も二〇五〇年までに半減をすると、そして去年ラクイラ・サミットでは麻生総理が同じように、二〇五〇年まで五〇%、そして、先進国全体としては八〇%を削減するという目標を掲げられ、二度C以内ということも言われてまいりました。

 私も、去年選挙前にマニフェストを読んだときに、二五%、今先生がおっしゃるように、これはきつい目標なのかなと思って、ずっとそのころから考えておりましたけれども、やはり自民党の皆さんもそういう高い目標を掲げておられる。そういう意味では、二五%は高い目標だけれども、私たちはこの目標に向かってさまざまな努力をしていく、そして環境立国として日本が先導していくという志をしっかり持っていなければならないなというふうに思っているところであります。

 先ほども言いましたように、議論を重ねて取りまとめられました。拙速であったというふうには私は思っておりませんし、世界の首脳が集まった国連気候変動首脳会合においても総理大臣が表明されて、その発言には極めて重みがあったというふうに私は理解をしております。

町村委員 この一年の姿をいろいろ振り返ってみますと、もちろん、非常にチャーミングなマニフェストで皆さん方は選挙に勝たれた。しかし、まさに例えば普天間がその典型的な例だろうと思います、目標というか、むしろ願望を掲げて、例えば県外移設とか国外移設とか、願望はだれでも人間は持っておりますから、それはいいんですけれども、しかし総理大臣あるいは政府が余り単なる願望を述べるということは、私は適切ではないと思うんです。

 願望を言う以上、あるいは目標を言う以上は、それをどうやって実現するのかという具体論なくして軽々にそういうことを言うということは、政治家としては無責任であるということになってくるわけです。まさに普天間がその象徴であった、こう思いますし、ほかにも実は、申しわけないが、いっぱい今それが出てきて、マニフェストというのはうその証明集だみたいなこと、マニフェストという言葉自体が汚れた言葉になってしまっているとまで言われる。

 それはやはり、ここに書いてあるさまざまな目標が、実は残念ながら全くこのとおりになっていない、あるいは、ただ単に願望を述べただけであって、政権をとられた後もその具体の手順を一向に詰めずに言っておられるというところではないかと思うんですね。暫定税率の廃止、高速道路の無料化、まあ、ごく一部は無料化なさっておられるけれども、ほんのごく一部であるとか、あるいは、十六兆八千億の無駄の削減、実質は六千九百億円しかないとか。

 私は、こういう目標を掲げる、志を持つ、それはそれでいいことだと思いますけれども、しかし、政府としてそれを言う以上は、選挙までは仮に許されたとしても、政権をとった後、すぐに国連総会に行って鳩山総理が二五%ということを言った。関係省庁との議論もなし。多分、岡田外務大臣と福山副大臣と鳩山総理、このお三方であの二五というのを行ってぱっと決めた、小沢環境大臣もおられたかもしれませんけれども。

 要するに、具体に、ではどうやってそれを実現するのかということを政府としてきちんともう一度吟味することなく、総理大臣になられてすぐ国連総会の場で言って、いわば国際公約的な扱いになってしまったというのは、やはり拙速であったと私はまず言わざるを得ないんですね。というのは、その後の展開を見ていると、やはりこれは拙速であったという議論の方が私は的を射ていると思うんですよ。やはりあそこで、国連総会でぱっと言ってしまったというところにそもそも誤りの出発点があり、今やこれはいささか普天間的様相を帯びてきている、私はそういうふうに現状を見ているんですが、大臣はいかがでしょうか。

松本国務大臣 お答えいたします。

 経緯から申し上げれば、この温暖化法案を作成するに当たり、二〇〇八年から三十回以上にわたって議論を重ねてまいりました。先ほど申しましたように、洞爺湖サミット、ラクイラ・サミットでは二〇五〇年までに八〇%という目標を支持されたわけであります。

 そういう意味では、先ほど言いましたように、IPCCの第四次報告は、二五%から四〇%にする必要があるという一番科学的な知見といいますか、そういったものの中で要請をされている二五%でありました。

 そういう目標を掲げるということが、やはり私は大事だろう。決して拙速だとは思いませんし、直前の、今マニフェストのさまざま濃淡の話をされましたけれども、マニフェストを掲げて選挙を行い、そして勝たせていただいた、そのことも非常に大きな意味があるだろうということで、私は決して、拙速に鳩山総理が二五%を国連の場で申し上げたとは思っておりません。

町村委員 私も外務大臣等々をやって、いろいろな国際的な関係の人々、世界に友人がいたりします。かなり多くの方々がこう言っていました。やはり日本人というのはある意味ではお人よしなんだねと。だって、日本があれだけ言えば、それをみんなよその国は既定事実として受けとめ、そしてそれをもとに、いかに日本から、例えば発展途上国は、これで日本からたくさんお金を引っ張り出せる。だから、日本はハトではなくてカモだなんという言い方が当時随分言われたこともありました。あるいは、ヨーロッパから見ると、これで排出権取引市場、日本をえさにして十分この市場でもうけることができる、そういう受けとめ方をしている。

 私は、国際社会でのいろいろなこの種の議論というのは、みんなそれぞれの国の思惑、また、ある意味ではその国の国益というものを考えて、例えば国際官僚、国際機関に勤めている官僚たちの思惑、この人たちの、言ってはなんですが、飯の種みたいなところもあったりするし、いろいろなそういう、自分の国にとってどういう状況が一番得になるかということを考えている。

 果たして、日本だけがひとり、まあ、ひとりとは言いません、ほかにもお仲間はいるんでしょうが、極めてお人よし的理想を掲げ、それをどうやって実現しようかと。実現するためには膨大なお金がかかる。お金がかかってもそれを賄えればいいけれども、今日本の財政はそんなゆとりもないときに、私は、お人よしの度が過ぎることを早々と言ってしまったというところにまず本当は反省をしてもらわないと、今後もこのお人よし路線でどんどんどんどんCOP16等々に進んでいくと、日本はますますカモになるんです。

 その事実というものをまずしっかり腹に置いて国際交渉に当たっていただかないと、ひとり日本だけが美しいことを言っても、実際、それは皆さん、日本はすばらしいことを言いますよね、国際評価も高かったです、鳩山さんはそう言われたと、それはみんな言いますよ。だって、こんなカモがあらわれたんですから、いや、すばらしいと言うに決まっているわけです。でも、内心はしめしめと、裏でほくそ笑んでいる顔が見えるわけですね。そのほくそ笑んでいる本音がこちらに伝わってくると、やはりあれは拙速だったんだ、こう言わざるを得ないと私は思っております。

 そして、この二五%削減の、それはいろいろ多くの会合を重ねられて検討されたんでしょうけれども、実は随分やはりこの影響が、マクロの経済あるいは家計、雇用、非常に大きなマイナスの影響を及ぼす。小沢前大臣はプラスの影響だという結論を出されたけれども、これを信じている人は多分国際的にはほとんどいない。

 もし、規制が強ければどんどん成長率も上がり、雇用もふえ、GDPもふえるというのならば、では何でコペンハーゲンで失敗したか。みんな自分の国のことを考え、それは日本はひとり世界益を考えたと言えば格好がよ過ぎます。みんなそれぞれの国益を考えれば、いかに見ばえはいいけれども、実質的には自分の国に課せられる削減割合をどうやって減らすかということに全力を挙げた国際交渉の場がコペンハーゲンだったと思うし、今後も続く国際交渉だろうと思うんです。

 それは圧倒的に世界のコンセンサスで、日本だってそうだと思いますよ。ごく一部の大阪大学の特殊な計算を採用されたようですけれども、世界的には、規制を強化すれば当然成長率は下がるし、雇用は減るし、家計の負担はふえるし、これはそちらがむしろ世界の常識なんだということぐらいはお認めいただかないと、ただひとり日本だけが、規制を強化したらば、目標を高く置けば成長率は上がります、もしそれが世界の常識なら、こんな国際会議はあしたにでもまとまりますよ。まとまらないという現実は何を意味するのかということじゃないかと思うんですけれども、大臣どうお考えですか。

松本国務大臣 外務大臣経験者ですから、余り大きいことは言えませんけれども、ある意味では、私どもカモとかそういうことは絶対思っていませんし、これからこの目標に向かってしっかり歩むことが、世界の環境立国としてリーダーシップを発揮するむしろ大きなチャンスだというふうに私は思っております。

 去年の九月、鳩山総理のあの演説から、十一月にはブラジルや韓国や米国や中国、また十二月にはシンガポールや南アフリカが中期目標を発表しておりまして、やはりそういう意味では背中を押したということもありますし、ある意味では、国際交渉の場で日本が二五%を発表したことで大きく貢献をしたというふうに私は思っております。

 いずれにしても、すべての主要国の参加による公平で実効性のある国際的な枠組みの構築をしっかりつくっていかなければならないということをしっかり腹に入れていかなければならないし、そういう意味では、高い目標ではありますけれども、私たちはこの目標を高く掲げて、そして、これからの技術革新等々あると思いますけれども、そこに向かっていろいろな意味であらゆる手だてを講じて、この目標に向かって頑張っていきたいというふうに思っております。

町村委員 残念ながら、コペンハーゲンに向けての日本の数字というものが何か交渉を加速化させたか。でも、あの悲惨な結果だったと私は思うんですよ。それはそうおっしゃりたい気持ちはわかるけれども、しかし現実に、日本のあの高い数字が何か交渉のいい材料になったかどうか。では、だれか後をついてきたか。後ろを見たってだれもついてきていないわけですよ。それにもかかわらず、交渉を加速化させたという評価は、現実から離れた評価ではないかなと思います。

 例えば、公平ということを一つの判断基準、三つの基準にもなっておりましょう。よく言われている限界削減費用、日本は二五%を実現するためにCO2一トン当たり四百七十六ドル、アメリカは六十ドル、EUは四十八ドル。八倍から十倍高い。この一つをとっても、公平という観点から見て、アメリカ、EUに比べて不公平な目標であると。限界費用が十倍もかかるというのは、ちょっとやそっとの努力でどうこうなるものではないんですね。

 公平という観点から見て、この日本国の目標というのはいかにも国際的に不公平だとお思いになりませんか。今の限界費用という関係から見てどうでしょう。

松本国務大臣 お答えいたします。

 限界削減費用の問題は、今御指摘の問題は大変大きなことだというふうに思っております。私も、COP10で、いろいろな場でそれぞれ、今、町村先生が言われた国益というのがあり、そしてそれぞれ自分たちの思惑がありということもずっと見てまいりました。

 そういう意味では、生物多様性のときにも言ったんですけれども、コストがかかるというふうに言われますけれども、少なくとも生物多様性の場合は、コストではなく、ある意味では負担とかいうふうにとらえるべきではなくて、世界最高水準の我が国の技術や投資がむしろ需要を生み出していくということを考えて、やはり前向きに考えていって、それに向かって、ある意味では、企業は省エネ製品を技術革新をもってしっかりつくっていくだろうし、そして新しい産業もそこに生まれるだろうし、そういう意味ではこれをやはり、経済と環境はなかなか両立は難しいですけれども、むしろ、それが横に並んできて、成長の方に環境が大きなインセンティブを与えていくと。

 今、テレビをずっと見ていましても、さまざまなテレビがそれぞれ、去年の春に始まりました家電のエコポイントでもそうですし、やはりエコとか省エネとかということにみんな向いています。去年、麻生総理と七月に選挙前にお会いしたとき、龍ちゃん、家電エコポイント、よかったろうがというふうに言われましたけれども、ああ、あれはすごかったですねと言いましたけれども、まさにそういうふうにちょっとずつインセンティブがある。

 そして、まさに課題を先取りするという形でいえば、やはりこれから、温暖化の問題あるいは高齢化の問題は世界が抱えている重要な課題であります。そういう課題をしっかり先取りして、それぞれの企業がそこに向いて努力をしていく、そして、国民がそこに向かってやはり、なるほど、これは大事なことなんだという意識を涵養させていく、そういうことも含めて、これからの私たちの課題であろうというふうに私は思っております。

町村委員 向かって努力をしたりしていくこと、それは私は大切なことだと思っております。それを否定しているものではございません。ただ、限界削減費用が十倍もかかるというのは明らかに不公平である。公平というのが一つの判断基準なわけでしょう。不公平であるとお思いになりませんか。

松本国務大臣 限界削減費用というのが不公平であるというふうには、私は、今の時点では、省エネがこれだけ日本は進んでいるということでいえば、かなり厳しいということはわかりますけれども、そこに向かってやはり、今、私もいろいろなところ、産業界の話も聞きます。厳しいという話も聞きますけれども、あるところでは、やはりこれからそこに向かってやっていかなければならないということも言われております。

 例えば、これはちょっと別の話になるかわかりませんけれども、一九九七年にあるハイブリッド車が、商品名は避けますけれども、京都議定書に向けて発売をされました。当時は二万台だったのが、今三十二・六万台を売り上げています。そういう意味で、あらゆる先端技術をやはりそこにシフトしていって、そしてそこからこれに向かって努力をしていく、その姿がやはり、限界削減費用があるけれども、そこのところでビジネスをつくっていくということもあわせて考えていかなければならないんだろうというふうに思っております。

町村委員 そこまでいくと平行線になっちゃいますが、しかし、二、三倍ぐらいのところなら、まだそれはいろいろな努力で克服できるけれども、八倍、十倍となってくると、これは到達する限界を超えていると私は思うんです。

 マクロではなくて、もうちょっとミクロの家計の負担という観点で見たいと思います。

 これは福田内閣から引き続き麻生内閣で、極めて濃密な、かつオープンな議論を私どもはやって、結論を出しました。そのときに、三つの研究機関で、二五%削減する場合には一年当たり家計の可処分所得の減少二十二万から七十七万、相当大きな可処分所得の減少が発生するということを見た上で、私たちは、二五%削減というのは、これはとても国民の負担にたえられない、こう思ったわけであります。ところが、政権がかわったら、環境省監督の国立環境研究所だけが、年間負担金額を四十四万から急に十六万に下げたんですね。

 これもまことに摩訶不思議な話なんですけれども、これは大臣というより担当局長さん、なぜこんな短期間で、政権がかわったら四十四万から十六万に下げることが可能だったんでしょうか。簡単に御説明ください。

寺田政府参考人 御説明申し上げます。

 モデルの話でございますので、若干御説明が詳細にわたることをお許しいただければと思っております。

 これはモデルでございまして、基本的には炭素価格を上昇させることにより均衡点を見つけていく、こういう作業をしております。その炭素価格の上昇というものは、これはすべて炭素税によるという仮定を置いております。その炭素税でございますけれども、税制中立ということを考えれば、その炭素税収というのは最終的には最終消費者である家計に還流する、こういう構造になります。

 問題は、ただいま御指摘の二つの分析、中期目標検討委員会での分析では、その還流分を可処分所得に計上せずに、可処分所得自身は就労所得と資本所得の合計としておりました。ただし、タスクフォースになりましてから、他の研究機関の研究者と検討をいたしまして、他の研究機関はいずれも還流分を可処分所得に合算するということでございましたので、それと平仄をとって、可処分所得の方にこの還流分を合算したことにより、結果として可処分所得の減少分が縮小した、こういうことになっております。

町村委員 何かわかったようなわからないようなお話で、率直に言うと私はちょっとよく理解できませんが、それにしても、仮にそれを百歩譲って認めても、十六万円というのは大変高い負担であることは間違いがないと思うんです。

 ちなみに、消費税の話が今盛んに出ておりましょう。これは政府の資料なんですけれども、収入階級別の税負担額、消費税の負担額、第一分位、一番所得の低い方の今の五%の消費税負担は九万円。第七分位、年収、実収入が六百八十四万というかなり高い方の消費税負担が五%で十六万円。さっきの国立環境研究所の十六万円、第七分位の方にしてみるとちょうど五%相当、第一分位の所得の低い方からすると約一〇%の消費税相当分の負担がふえるということです。

 菅総理が、参議院選挙で負けたのは不用意に消費税のことを言ったせいだと言われたようでございますが、私はそうではないと実は思っておりますけれども、いずれにしても消費税を五から一〇に上げるというのは相当な政治的な判断、決断が要る話でありますけれども、実は、大幅に引き下げた国立環境研究所のこの試算を前提にしても、なおかつそれだけの負担。少なくとも消費税五%相当、場合によったら一〇%、一五%相当分の負担がかかるんですよ、このことを国民に向かって、大臣、しっかり説明されたことはありますか。

松本国務大臣 お答えをいたします。

 国民に向かってという意味では、温暖化法案が具体的にまだ成っておりませんので、そういう意味ではありませんけれども、このことについては、経済モデル、さまざまな数字があって、さまざまな指標があって、さまざまなモデルがあるというふうに私は考えております。

 温暖化対策の実施によって可処分所得の減少の額には、経済モデルの構造上、例えば太陽光発電装置を促進するフィード・イン・タリフの費用などが含まれて計算されているものでもありますし、一方、世論調査でいうところの家計負担というのは対価が得られない単なる出費ととらえられているおそれもあり、このモデルによる可処分所得の減少額との比較は、性質が全く異なるために困難であるというふうに考えております。

 一方、御指摘の世論調査においては、低炭素社会を実現すべきというふうに回答した方が九割近くにも上っております。そういう意味では、その期待にこたえて、国民の皆さんが実際の行動に移せるように、初期負担の軽減などの支援策も用意しつつ、国民への丁寧な説明を心がけてまいりたいというふうに思っております。

 先ほども申し上げましたけれども、私のところには時々EUの皆さんがお話に来られるんですけれども、例えばデンマークなんかは、ラスムセン首相がことしの十月に、二〇五〇年に化石燃料の依存をゼロとするというふうに書いてありました。かなりすごい意欲的な目標でありますけれども、オランダやポーランド、スペイン、イギリス等々、必ずお話はこの問題でありまして、そこに物すごく関心がある。課題の先取りといいますか、資源のない日本という国は、やはりそこのところで生き残っていくしかない。生き残っていくからには、先端技術をしっかり研ぎ澄ませていただいて、また、そこに新産業もできてくる。ですから、一様に可処分所得が減るというふうには私はとらえておりません。

 ある意味では、ある本に書いてあったんですけれども、物づくりでCO2を四五%排出している、そして日々の暮らしで五五%排出しているということを考えれば、物づくりでやはり絞っていって、その物づくりが日々の暮らしの中で、住宅とか家電とか、さまざま、小沢前大臣によりますと、息をしている商品がCO2を減らしていくということを考えていけば、そういうふうな社会を実現していくのがやはり私たちの使命だろうというふうに思っておりますので、そこのところはいろいろなモデルがあるというふうに思います。

町村委員 さっき申し上げたように、夢なり希望なりをいろいろ持っていることは、人間だれでもいい。しかし、それを現実にどうやって実現するのかというところなしに、そうなったらすばらしいなというだけでは、全くしようがないんですね。

 そして、基本法も通っていないんだから政策手段がと言われたけれども、しかし、それは逆であって、こういう政策手段があるんですよ、そしてその結果は国民生活に、さっき言ったように、家計収入がこれだけ減りますよ、可処分所得が減りますよ、その上で、国民の皆さん、いいですかという説明をしないから、石油依存度が減ったりCO2が減ったりする、それはいいことだよねと。国民は、そこの上澄みだけの部分を見れば、それはいいという判断をするに決まっているんですよ。しかし、いざ我が身に置きかえて、これだけの負担があなた方にかかりますが、いいですねというところを言わないで、どうですかと言ったら、それは賛成と言う人が多いに決まっているじゃありませんか。

 だけれども、それは議論としてはまことにアンフェアであって、こういう負担もあります、こういうメリットもあります、どうですかといって、すべての素材を明らかにする、その諸要素を明らかにすることを政府は怠っている。私は、そこが問題だと思うんですよ。そういう意味で、まだこの基本法の議論が足りないというのはそこだし、国民の理解もまだ全く行き届いていないのはそこだと私は思うんですよ。ですから、あらまほしき姿だけを述べて、どうですか、皆さんと言うだけでは、これは議論としてはまことに不十分なものに今とどまっている。

 国民の多くは、せいぜい月千円まで、これが今のところ、国民の六割の反応ですよ。そんなにたくさん負担できない。月千円ということは、大体、年間にすると一万二千円。さっきの十数万円の十分の一の負担ならば、まだ国民は負担してもいいかと思っているわけですから、そこはやはりきちんと、いい面ばかりではなくて、マイナスの面ということも言わなければいけない。

 それから、雇用への影響というものも、もちろん新産業ができてプラスの面もあるでしょう。それは私ども否定はいたしませんし、そういうことは私どもの内閣の時代からもやってきました。しかし、同時にマイナスもある。

 私の地元の本当に小さな中小企業の方々が最近何を言うかというと、国内市場もなかなか伸びない、北海道は景気が悪い、もう一つ、環境規制が厳しくなるから、町村さん、いずれ私どもの企業もやっていけないので、二、三年以内に、札幌のある工場でも、やはり東南アジアに移さざるを得ないなと。そこの雇用は、たかだかと言ってはなんですけれども、十数名の本当に小さな企業ですよ。そういうところまでも、この環境規制の強化で、東南アジア、タイに行くことを考える。

 そういう話がごくごく普通に行われている一つの大きな要素が、この環境規制にある。まして、大きな鉄鋼その他のところは、三つ溶鉱炉があれば、一つか二つは閉じなければ、もうとてもたえられない、基準を満たせないというようなことで、これは雇用への悪影響というのも絶対あるんですよ。それを、何か雇用がプラスになります、プラスになります、百二十五万雇用が創出されますというような話、成長戦略にもいろいろ出ておりますけれども、しかし、私の見る限り、その具体性は非常に乏しい。しかし、減る方は間違いなく減っていっちゃうんですよ。

 そういった雇用への悪影響などももうちょっとしっかりと、そこも国民に対する情報提供として、明るい面もあるでしょう、しかしこういうマイナス面もあります、さあ、それで皆さんどうですかというフェアなことにしてもらわないと、国民の正しい判断は出てこないということを強く申し上げたいと思っております。

 そして、もう一つ。今度、COP16、メキシコで開かれるわけであります。

 今、アメリカが二〇〇五年比で一七%、一九九〇年比ではわずかに四%。中国は、原単位を改善するというけれども、例えば二〇二〇年まで年率八%で経済成長をすると、二〇二〇年には今の中国の排出量と同じだけの排出量が、もう一つの中国ができるというほど、これから中国の排出量は実はふえていくという目標ですよね。そのオバマさんの言っているわずか九〇年比四%ですら、今度の中間選挙の結果、米議会を通ることがまた物すごく難しくなってきた、こう言われております。

 大臣、アメリカや中国が現在示している中期削減目標、これはさしもの鳩山総理も五月二十一日の参議院本会議で不十分であると答弁しておられますけれども、今のアメリカ及び中国という最大二大排出国の目標について、これは意欲的であり十分な目標たり得るのかどうなのか、どういう見解をお持ちでしょうか。

松本国務大臣 おっしゃるとおりの御指摘だというふうに思っております。

 実は、京都議定書ができたときの九〇年比でいえば、中国とアメリカは三四%の排出量でありましたけれども、先生がおっしゃるように、今四一%になっております。京都議定書の枠組みの中でいえば、義務があるところでいえば、今二七%になっております。その意味では、中国、アメリカということでいえば、今大変重要な御指摘だろうというふうに思います。

 アメリカについては、コペンハーゲン合意に賛同して、二〇二〇年までに二〇〇五年比で一七%削減という目標を掲げて、この目標は、二〇五〇年までに約八〇%削減という長期的な排出削減の道筋を掲げた法案の成立を想定しており、一定の評価はしておりますけれども、今おっしゃったように、先日の中間選挙の結果、この法案の成立は厳しい状況になっております。引き続き、主要排出国としての取り組みを促すことが必要だと思います。

 また、中国についても、コペンハーゲン合意に賛同して、GDP当たりのCO2排出量を二〇〇五年比で四〇%から四五%削減すること等を提出しておりますけれども、この目標では排出総量は増加してしまうおそれがあります。そのことに加えて、中国政府が、この目標を国際的義務ではないという、自主的なものとしていることから、世界最大の排出国の削減行動としては十分と言えません。引き続き一層取り組みを進めていきたいというふうに思います。

 我が国がみずから前提条件つきの意欲的な目標を掲げて削減努力を一層強化する方針を示しつつ、アメリカや中国などの主要国が公平かつ実効性のある枠組みに参加をして、責任を持って温暖化対策に取り組むよう、粘り強く働きかけていきたいというふうに思っております。

町村委員 主要排出国としてしっかりとした取り組みを促す、それは日本国の重要な役割だと思いますが、それならば、先般、横浜のAPECで、菅総理から胡錦濤主席あるいはオバマ大統領にそういう発言をされたんでしょうか。

松本国務大臣 お答えいたします。

 十一月十三、十四日のAPECでは、我が国が議長国として取りまとめた首脳宣言、横浜ビジョンにおいて、「世界的な気候変動の脅威への対処は、すべての国にとっての喫緊の優先課題である。我々は、強固で行動志向的な措置をとり、国連の気候変動交渉に完全に専念し続けるとのコミットメントを改めて表明する。」と記載をし、APEC参加国に気候変動への積極的な取り組みを促したところであります。

 また、十一月四日、五日に行われたCOP16閣僚準備会合の場でも、近藤環境副大臣が米国、中国との二国間会談を実施して、八月にも小沢前環境大臣が中国との二国間会談を行うなど、両国に排出削減をするよう働きかけを行っております。

 引き続き、米中を含む関係各国に、より一層の取り組みを働きかけていきたいと思っております。むしろ、町村前外務大臣にさまざまなアドバイスをこれからもいただきたいというふうに思っております。

町村委員 ぜひ菅総理に、数少ないチャンスなんですから、そういうときを使って、もちろん担当大臣レベルでもやらなきゃいけないと思いますが、やはり首脳レベルで、本当にそこまで強い国家としての意思を持っておられるならば、本当は当然一言あってしかるべきなんですね。今後とも、その辺は大臣から適切なるアドバイスを総理に対してされるように希望をいたします。

 時間も少なくなってまいりましたので、一点申し上げたいんですけれども、今度のCOP16で、何かEUが少々方針転換を図っているというような動きもあります。何となく、京都議定書の単純延長とか、あるいは、京都議定書とポスト京都の間の時間的ギャップが生じないように暫定的に延長するというような議論が見られ始めております。メキシコの代表がそんなようなことを言ったりとかいういろいろな動きがあるようであります。

 これについては、十一月九日の衆議院予算委員会で菅総理が、京都議定書をそのまま暫定的に延長することは、これは我が国として選択としてあり得ない、それはとるべき道ではない、こう明言をしておられますが、この点は、もちろん松本大臣もそういうお考えであるというふうに受けとめてよろしゅうございましょうか。

松本国務大臣 そのとおりだと御理解をいただきたいと思います。

 原点を振り返れば、気候変動の問題等々、地球規模での温室効果ガスを削減してその濃度を安定化させること、その究極目的の達成のためには、すべての主要国が参加をする公平で実効性のある国際的な枠組みの構築が不可欠であります。そういう意味では、そのことにしっかり取り組んでいきたいと思います。

 先ほど申し上げましたけれども、一九九〇年の約四二%から二〇〇八年の約二七%まで京都議定書の枠組みは落ち込んでおります。また一方、批准していない米国、中国は、三四%から今になっては四割以上の枠組みとなっておりますので、そういう意味では、その枠組みだけで第二約束期間ということはあり得ない。目的は、世界のCO2を削減するという意味でありますから、そこのところでやっていきたいと思います。

 京都議定書は、気候変動のための第一歩ではありますけれども、究極の達成のためには、米国や中国が入っていく、あるいは、コペンハーゲン合意がまさに八割以上という意味を持ちますから、そういう意味では、コペンハーゲン合意をしっかり膨らませていく作業をやっていかなければならないと思います。

 先生、重々御承知でございますから、これからもいろいろ事あるごとに御相談をさせていただきたいと思いますけれども、国際交渉、今言われますように、あらゆるチャンネルを通じてこれからCOP16に臨んでまいりたいと思いますし、そういう意味では、日本の国益をしっかり守っていきながら努力を重ねてまいりますので、事あるごとによろしく御示唆もいただきたいと思います。

町村委員 本当は環境税のことも、大分ホットな議論になりつつあるようでございますが、時間がないので申し上げませんけれども、きのう事務当局から聞いたら、今の出されている案は、財源確保で特定財源にしたい、こういうお話のようであります。しかし、どうもエネルギー特会、そういう特会は余りよくないんだという民主党の議論の中でどういう整合性をとれるのかなと思ったりします。

 また、これはある種、エネルギー消費税なんですね。したがって、例えば寒冷地であるとか過疎地であるとか、あるいは所得の低い人にはより負担がかかるという意味での逆進性が大きい税になるんです。所得が低く、寒く、過疎地が多いというと一番北海道が悪影響を受けるという意味で、道民の関心も実は大変強くなってきております。そういう意味で、この環境税の議論というものもしっかりやっていただかなきゃならないと思います。

 いずれにいたしましても、先般、五月の反対討論でしたか、そのとき我が党の近藤三津枝議員が数点にわたって指摘をしている点がございます、非常に重要な点。定義がはっきりしない、判断基準もはっきりしない、ロードマップは小沢大臣試案であって政府全体の正式な意見ではないとか、国内削減分、真水と海外購入分とのあれもまだはっきりしていないなどなど、まだ不明確な点が非常にたくさんある。この辺をしっかりとこの委員会で、まあ多分、年明けになるんでしょうけれども、一項目ずつ十分な議論をさせていただいた上、是非をしっかりとまた問うていく必要があるんだろうと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。

 どうもきょうはありがとうございました。

小沢委員長 次に、田中和徳君。

田中(和)委員 十一月二十三日、午後二時半ごろということでありますけれども、韓国の延坪島で北朝鮮からの暴挙、砲撃があったということで、大事件が起こりました。

 松本環境大臣は、閣僚の一人として、菅総理が本部長を務める北朝鮮による砲撃事件対策本部のメンバーになっておられます。松本大臣は一方、防災担当大臣でもございまして、国民の生命財産を守る立場として重要な責任を担っておられるわけでございますが、松本大臣が報告を受けた時間というのは何時だったんでしょうか。

松本国務大臣 お答えいたします。

 二十三日の日は、朝七時過ぎの列車で新潟に、水俣病の二次訴訟、三次訴訟、四次訴訟の方々と、一次訴訟も含めてお会いをして、さまざま議論、意見をお伺いしておりました。多分、十五時二十分ごろ秘書官より第一報を受けました。そのときは、自分自身は新潟の知事か市長と懇談をしておりましたので、秘書はそれより二、三分早く入手をしていたというふうに思っております。

田中(和)委員 総理大臣が報告を受けた時間が十五時三十分ということでございまして、大臣は十五時二十分に報告を受けられたということでございますか。

松本国務大臣 私は十五時二十分に受けました。

田中(和)委員 大変早い時間に報告を受けられたということはよかったんですが、本当は早い時間では決してないんですけれどもね、総理より少し早かったということで、それは事実として一応受けとめておきたいと思います。

 実は、今、国民から一番大きな心配の声が上がっているのは、やはり非難の声明が我が国は大変遅くなってしまった。七時間の経過が砲撃よりあり、アメリカからも、比べて三時間もおくれている。それから、首相自身が砲撃を把握して、七十分以上も官邸に行かなかった。こういうようなことを考えるときに、いずれにしても、本当に日本の危機管理というのは大丈夫なんだろうか。この点についてどういう反省をお持ちですか。

    〔委員長退席、田島(一)委員長代理着席〕

松本国務大臣 私、きのう参議院の予算委員会を聞いてはおりませんので、総理がどういう御答弁をなさったか、よくわかりませんけれども、七十分というふうな話がありましたけれども、私は、総理は総理として迅速な対応をされて、情報管理、そして危機管理はされているというふうに思っております。

 私も、防災担当大臣としてさまざまな、いろいろなチャンネルで情報を新潟で集めておりましたけれども、やはりいろいろな状況の中でいろいろな対応の仕方がある。万全という意味では、ほとんどすべてのことが万全ということはないと私は思っておりますけれども、できる限り迅速に対応をなさったというふうには理解をしております。

田中(和)委員 総理は安全保障会議を開こうとしなかったんですが、一方、閣僚会議を開いたと。私は、これはおかしいんではないかな、こういうときにこそきちっとした安全保障会議が開かれていくべきだと思いますし、また、そのためにそういう組織がつくられているんだと思うんですけれども、この点について、大臣、どう思われますか。

松本国務大臣 安全保障会議も大事ですけれども、でも、やはり関係閣僚会議を開いて、そこからいろいろ、その間にもやはりいろいろな情報収集はされていたと思います。

 迅速であったという言い方を私、しましたけれども、そういう意味では、防災もそうですけれども、いろいろなことがいろいろなところで言われますけれども、やはり初動はきっちり対応なさったというふうに思っております。

    〔田島(一)委員長代理退席、委員長着席〕

田中(和)委員 総理からの説明、それからいろいろな参議院、衆議院でのやりとりを見ていて、国民は非常に不安を感じる、本当に国民を守ってくれるんだろうか、何かあったときにスピーディーな対応、適切な対応ができるんだろうかと。この声がここまで起こっているということを、私は松本大臣にも、十分おわかりのことだと思いますけれども、重ねて御認識をいただきたい。はっきり言って、国民は納得していないんです、これ。ましてや、岡崎トミ子国家公安委員長は一度も警察庁に登庁しなかった。もってのほかだと私は思いますね。

 それから、総理の、少し口が軽いのか、絶対言ってはならないことをきのう、参議院の予算委員会の中で話しておられるんですね、公邸にいた、公邸と官邸はつながっていると。こういうことは普通言いませんよ。法務大臣の失言問題が極めて大きな政治問題になりましたけれども、こういうことを国のトップにある人が、危機管理のトップにある人が言うというのは、私は、非常に不謹慎だ、絶対あってはならないことだと思うんです。総理をずっと末代までされるにしてもいけませんし、また、かわられた総理のときに、場合によっては構造を改造しなければならないようなことが起こってきますよね。

 これ以上申し上げませんけれども、関係閣僚の一人として、ぜひひとつ、総理にもそういうことについてきちっと閣僚会議では申し述べていただきたいと思いますが、言っていただけますでしょうか。その点だけ確認しておきます。

松本国務大臣 いずれにしましても、国益というものが一番大事であります。そして、情報収集、危機管理、そしてある意味での周辺事態の問題等々、防災でいえば二次災害等々あります。そこのところをしっかり閣僚として腹に入れて、これからも事に当たっていきたいというふうに思っております。

田中(和)委員 きちっと総理に言っていただきたいと言ったんですけれども、その点は答弁がなかったんですが、ぜひひとつよろしくお願いしたいと思っております。

 次に参ります。

 実は、昨日衆議院で可決されて参議院に送付された改正アセス法の残りの部分を、どうしても重要なことでありますので、お尋ねをしておきたいと思っております。

 第十条の四項についてであります。この部分はもう大臣とも少しやりとりをした経過がありますけれども、都道府県と同様に政令指定都市も事業者に対して直接意見を提出することができる、こういうことに改正をされたわけでございます。私は、非常にこれは評価に値する、このように思っています。ただ、ここが問題が残っておる部分でございまして、私どもの感じでは、政令指定都市のせっかくのそういう配慮というものに対しての十分なルールが本当にできているだろうかと。できていないんですね。確認が十分されていない。これは非常に重要な部分なんです。

 申し上げますと、アセスというのは昭和五十一年に川崎市でスタートしておりまして、国のアセス法制定前の閣議決定の要綱に基づくものというのが四百七十二件あるんですね。それから、国のアセス法ができて、これに基づくものが百三十二件、地方自治体の条例に基づくものが九百十七件、地方自治体の要綱とか指針に基づくものが九百三十八件、二千四百五十九件のアセスが今まで実施をされておるのでございます。

 私は、今回の法案を提出されたということもあり、環境省はアセスについて全国の各自治体の状況も把握をしておられるというふうに思っておりました。特に、国のアセス法制定前の閣議決定要綱に基づくものなども十分きちっと資料請求にたえられる状況の整理ができている、このように思ったんですけれども、何度資料をお尋ねして要求しても、できていないんですよ。

 私は、先般の法案の質疑のときにも、そのことについてお話をしました。私自身が聞けばすぐわかるんですね。だから聞けばいいんですけれども、全国のことはとても聞きようがないんです。私が関心のある自治体に電話すればすぐわかるんです。どうして環境省はそういう資料をきちっとそろえて法案の審議に備えないのかなと、不思議でしようがないんですね。

 資料請求については、先日もお話をしたときに、きちっと出すというお話があったと思っておりますけれども、この点についても、大臣、基本的なことでありますから、ちょっと御確認をさせていただきたいと思います。

松本国務大臣 お答えいたします。

 田中先生は、先ほど昭和五十一年、川崎のお話をされましたけれども、まさに環境先進自治体だということで、そこに最初に携わられたということに対しては敬意を表したいというふうに思っております。

 お尋ねの、地方公共団体の問題、法と条例等々の問題だと思いますけれども、環境影響評価制度のうち、規模が大きく環境影響の程度が著しいものとなるおそれがある事業は法律の対象として、小規模の事業や法対象外の事業種については、各地方公共団体が法的拘束力を有する条例において対象事業としております。これらが一体となって環境の保全に配慮した事業の実施を確保しており、今後も、これらの施行状況等については、今言われましたとおり、しっかりと把握をしてまいらなければならないと思っております。

 御指摘の要綱や指針に基づく環境影響評価制度については、法的拘束力を伴わないものの新たに制度化を検討する課題については、自治体における取り組みの傾向等をはかるために、個別にその制定状況等を把握しているところであります。例えば、今回の改正法案に盛り込んでいる配慮書手続においても、自治体の制定状況等を把握、調査し、参考にさせていただいているところであります。

 今後とも、自治体の制度については、必要な範囲で十分に情報収集を行い、円滑で実効性のある環境影響評価制度の運用に努めてまいりたいというふうに思っております。

田中(和)委員 大臣、政令指定都市は言うまでもなく人口が集中している地域ですね。環境アセスの本数は、前にも言いましたけれども、川崎はスタートが早かったからということなんですが、川崎だけでも、国、地方のそれぞれ責任でやっているアセス、全部合わせて約一割あるんですよね。当然、他の自治体に比べて政令指定都市のアセスの量は多いんですよ。ただ、市域面積が狭いですよね、率直に言って。

 例えば羽田飛行場。先般アセスがかかったんですが、あれだって千葉、東京都、神奈川県、この三つにかかりますね。一番どこが近いかといったら、川崎ですよね。川崎は、羽田飛行場のそばですから。だけれども、川崎の市長は意見を事業者に直接言うことができないんですよ。それは法律の改正前だからしようがないにしても、改正されたってそうなんですよ。

 例えば、臨海部の東京電力の火力発電所。アセスが起こりますね。当然、臨海部ですから海流の流れがありますし、発電所は大気が出てきますから、空気中を移動していろいろな影響ができるでしょう。

 いずれにしても、他の自治体にわたっているアセスの案件というのが普通なんですよ。

 さて、そこなんです。第十条の四項の改正の目的、そして、今のままで、法律に書いてあるとおりでこの改正の目的が達成できるかどうか、お尋ねをしたいと思います。

白石政府参考人 今、具体的な事例も含めてお尋ねがございました。

 御指摘のように、例えば東京国際空港再拡張事業の場合は、東京都も、江東区を初め複数の区にまたがりまして、都知事がそれをまとめたということで、神奈川県の場合は、関係地域が川崎市のみでございますけれども、東京都知事に対抗するといいますか相対するために神奈川県知事の意見として取りまとめる。それから、千葉県は、御指摘のように、千葉市、市川市等々が関係しますので、全部合わせて千葉県がやる。

 そうすると、このようなケースの場合、神奈川県で関係しているのは川崎市だけなのに、何で知事さんにかわってもらわなきゃならぬのだというのがお尋ねの御趣旨だというふうに思っております。

 今回の十条四項の趣旨というものは、大半の政令指定都市、川崎市を初めといたしまして、独自の環境影響評価の条例がございます。また、さまざまな蓄積というのもある。そういった中で、なぜ川崎市の意見がそのまま東京都知事あるいは千葉県知事と同格に扱われないのか、こういうことではございますけれども、その一方で、地方自治の今の仕組みを前提とするならば、こういうよその知事さんとそろって意見を言うということになりますと、どうしても、神奈川県知事というふうな形で今の法律はできております。

 その意味でいえば、逆に、私どもにすれば、県知事さんと市長さんとの間でどういうふうなやりとりがあるのかということにもかかわってくることではございますけれども、今の地方自治の建前をもとにすれば、仕組みとしては今のような法律の形にせざるを得ない。

 ただ、そうはいっても御指摘のような点がございますので、実際にどのように、そういう今のようなケースについて、川崎市長の意見がそのまま反映されるようになるのかということについては、法の施行までの間に、先生の御意見なんかもよくちょうだいしながら、いろいろ工夫をしなければならない分野だというふうに思っております。

田中(和)委員 今の答弁では全く納得いかないんですよ。

 これは、改正をされたんですよ。改正をされたんです。ですから、たまたま私が一例を挙げただけで、今の答弁というのは、どちらかというと、従来の、法改正前の流れの説明では、それはそうかもしれませんが、政令指定都市の意見が直接述べられるというこの法改正の目的からすると、今のような話では納得できない。

 都道府県と同じ扱いにするという法改正が一方であって、それで今の自治体の制度の仕組みが云々とかやれどうだというような話では、これは法改正のまさしく目的とか趣旨というものの答弁にはなっていないですね。

松本国務大臣 本当に、川崎の、先進県から来られたミスターアセスメントに大変重要な指摘をされました。

 現行法では、方法書段階及び準備書段階において、関係都道府県知事が関係市町村長の意見を集約した上で事業者に対し意見を述べる仕組みとなっておりますけれども、地方分権の進展によって都道府県が担う公害防止事務の多くが政令指定都市等に移管され、このような行政分野について果たす役割は大きくなっているという状況が見られております。

 したがって、大半の政令指定都市等において独自の環境影響評価条例が制定されていること等を踏まえて、事業の影響が単独の市の区域内のみにおさまると考えられる場合は、当該市に対し、事業者への直接の意見提出権限を付与することとしたものであります。

田中(和)委員 大臣の地元も、福岡市と北九州市がございますよね。福岡市は、川崎市と一緒に政令指定都市になった都市で、大臣のお地元でもあるんです。

 大臣も自分の地元でイメージしていただければおわかりだと思うんですけれども、本当にこれは、今大臣が答弁されたように、いいことなんですよ。都道府県でしか扱えなかったものを、本当に影響を受ける人たちがほとんど住んでいる政令指定都市の中でしっかりと意見が述べられるということは当然のことだし、こんなことを言ってはちょっと県内で問題が起こるかもしれませんが、川崎市は、非常に市域が狭いんですが、人口密度は政令市の中では大阪に次いで二番目、それで、いまだなお人口の増加は日本一。

 市域面積が狭いというふうに言ったのは、環境アセスの上から考えると、東京都とかあるいは横浜市とか、そういうふうに近隣の都市にかかることがほとんどなんですね。そして、いろいろとアセスに対するレベルも、多分全国的にもトップクラスの能力を有していると思いますね。

 そういうところで、例えば、隣の政令指定都市、横浜市と川崎市にかかったものも神奈川県、隣の東京に多摩川一本挟んでかかったものも東京都。何も川崎だけの話じゃありません、政令指定都市の周りにすべて市町村があるわけですから、そういうふうにちょっとでもかかれば、県知事に権限が戻るんですよ。これをきちっと整理しておかないと、全く法の趣旨が生かされないんじゃないか。

 県知事も言えるけれども、政令指定都市同士だったら二つの政令指定都市の意見だけでいいじゃないですか。もし一般の市町村にかかるんだったら知事の意見も言ってもいいけれども、政令指定都市の意見が直接言える方が法の趣旨からして正しいんではないですかということを何度も聞いているので、お答えいただきたいと思います。

松本国務大臣 川崎市が市域が狭い、そして人口密度が二番目というお話を聞いて、なるほどなというふうに思いました。私たちも、福岡も福岡市と北九州市は結構離れておりますから、川崎市というのは、横浜、東京等々、神奈川等々の関係でいろいろなお悩みがあるんだなというふうに思いをいたしました。

 環境影響を受ける範囲であると認められる地域が複数の市町村にまたがる場合については、改正法案の施行後も当該地域を管轄する都道府県知事が、関係市町村長から述べられた意見を勘案した上で事業者に意見を述べることとしております。御承知のとおりであります。これは、事業者にとって相当の重みのある地方公共団体の意見は、知事が取りまとめた上で意見提出を行うことが本法の円滑な運用に資する等の理由によるものであります。

 また、市町村の管轄する行政区域内の事業は、市町村が処理する一方、市町村を超える広域的な事案については都道府県が調整すべきものと認識をしております。

 今御指摘の点につきましては、政令指定都市は都道府県と共同で審査を行い、実質的に共同意見を形成するといった効率的な制度の運用が図られることは可能であると考えております。

 いずれにせよ、御指摘の点も含めてさまざまな主体の意見を拝聴しつつ、また、地方自治の仕組み等もさらに勉強しながら、より円滑で実効性のある環境影響評価制度の運用に努めてまいりたいというふうに思っております。

田中(和)委員 もう時間が来ましたからそろそろ終わりますけれども、実は、もう一度申し上げますけれども、都道府県にまたがる場合はそれぞれの都道府県が事業者に直接物が言えるんですね、先ほど御答弁もいただきましたけれども。しかし、それが都道府県内に入っていくと、政令指定都市だけは例外で、一つの政令指定都市だけにおさまるものだけが政令指定都市が直接話ができるわけで、政令指定都市同士であればもう知事、ましてや市町村が絡んだら知事、こういうふうになるわけで、政令指定都市は実はほとんど意見を申すことができないような状況になる可能性があるんです。

 法律に基づくアセスの資料をいただきましたけれども、ほとんどこれは複数の自治体にまたがっているケースが多いんですよ。ですから、もう一度申し上げますけれども、ぜひひとつ、県内であっても政令指定都市と知事の立場を同格にしてもらいたい。他の都道府県の知事が発言できるんなら、知事に合わせて、県内であっても政令指定都市の市長がきちっと話ができるようにするということが原則でないと、実はこの法律の改正というのが意味をなさない、このことを重ねて申し上げておかなければいけない。

 それから、大臣は前の答弁でもそう言っておられたんですけれども、アセスの意見提出は環境保全上の観点から意見を述べるものであるから、都道府県知事の意見と政令市長の意見が対立するという事態は想定されないと。想定されないどころか、ほとんど違うんですよ。先ほど言ったように、羽田の飛行場だって、千葉県と東京都と神奈川県、みんな意見が違いますね。川崎市だって、神奈川県全体の意見と川崎市の意見は当然違います。

 いずれにしましても、意見が一致しないのが当たり前なんですね。事業者の立場とすれば一つにしてもらった方が楽かもしれませんけれども、私は、そういうことを考えるときに、このことだけは、参議院でこれから審議をされ、最終的に採決される、成立するんだと思いますから、ぜひこの点はきちっと環境省の中で整理をして施行に至ってもらいたいな、このように思っているんですね。

 大臣、最後にもう一度確認をして、終わりにいたします。

松本国務大臣 重要な御指摘をいただきました。

 地方公共団体の意見は、事業者にとって相当の重みがあります。政令指定都市の市長それぞれから意見が出された場合、事業者側からするとその扱いが困難となるおそれがあるために、関係地方公共団体の総意として意見の取りまとめを知事が行うことが円滑な運営に資するというふうに言われておりますけれども、御指摘の複数の政令指定都市間の意見調整については、例えば関係する政令指定都市同士で、あるいはその取りまとめの任に当たる都道府県も加えて共同で審査を行い、実質的な共同意見を形成するといった運用上の工夫をすれば、より効率的な意見調整が可能になると考えております。

 各地方公共団体の意見も拝聴しつつ、本改正案の範囲内でどういった対応ができるか、今後検討してまいりたいというふうに思っております。

田中(和)委員 終わります。よろしくお願いします。

小沢委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 本日は、一般質疑ということでございますけれども、私の方からは地球温暖化対策について質問をさせていただきたいと思っております。

 十一月二十九日から十二月十日にかけまして、メキシコのカンクンでCOP16が開催されて、松本大臣が出席をされるわけでございます。

 昨年のCOP15では、京都議定書に続く、二〇一三年以降の次期枠組みの構築が焦点となっておりました。しかし、先進国と新興国、途上国との対立は根深いものがあり、政治合意であるコペンハーゲン合意もテークノート、留意するという結果に終わったわけであります。

 また、昨年十二月、コペンハーゲン合意に留意した後も、閣僚級、事務レベルで数次にわたる会合が行われてきたけれども、先進国と途上国の間の対立構造は依然解消されていないという状況であるかと思います。そのため、政府が前提条件として掲げる、すべての主要国が参加する公平で実効的な枠組みというのは、容易に達成することのできない目標であることが既に国際社会においては共通認識になりつつあるのではないかと大変懸念をしております。

 気候変動枠組み条約の究極の目標は、産業革命以降の気温上昇を二度C以内に抑え込む、そのことで危険な影響を回避するということでございます。二〇一二年に第一約束期間が終了する京都議定書に続く、包括的で拘束力のある一つの枠組みを早期に構築するということが重要であることは論をまちません。

 しかし、議長国メキシコを初めとする各国は、今回のCOP16ではこの枠組みを構築することは非常に困難もしくは不可能との認識を示していると思います。そして、来るべきCOP16のメキシコでは、来年のCOP17の南アフリカに向けた道筋をつくるために、より現実的に、バランスのとれた一連のCOP決定を目指しているとされているわけであります。

 このような気候変動交渉を取り巻く国際情勢の変化にもかかわらず、我が国は一年前と全く同じ条件つきの中期目標を示し続けていたのでは、日本は二五%削減を初めとする地球温暖化対策を本気でやる気がないから、まとまるはずのない前提条件をつけているのだと国際社会から疑心暗鬼の目を向けられることにもなりかねないということを懸念します。

 実際、一部の国々を中心にして、京都議定書を延長して、一部の先進国だけが義務を負う第二約束期間を設定すべきという議論があります。これは、一部の国が高い削減義務を負うことを固定化するような京都議定書の延長にはくみすることはあってはならないと私は強く思います。しかし、そういう議論がある。そしてまたもう一つは、米国や中国が参加する拘束力のない新しい枠組みと京都議定書を併存するツートラックで行ってはどうかといった主張もなされておりまして、特に後者については、EUなどの先進国からも、それを条件つきですが容認するかのような意見が出ているわけであります。

 そこで、質問を幾つかさせていただきたいと思っております。

 まず、樋高政務官にお聞きいたしますが、気候変動枠組み条約のCOP16が来週から開催されます。京都議定書と長期的取り組みに関する二つの作業部会を中心に進められているわけでございますが、気候変動枠組み条約のもとでの二〇一三年以降の枠組みに関する国際交渉の進捗状況と、これまで我が国がとってきたスタンスを教えてください。

樋高大臣政務官 江田先生におかれましては、日ごろから環境政策にお取り組みをいただいておりますこと、改めて深甚なる敬意と感謝を申し上げさせていただきます。

 さて、お尋ねの件でありますけれども、国際交渉の進展状況、あるいは我が日本国がとってきたスタンスについてのお尋ねであられたというふうに理解をしているところでございます。

 二〇一三年以降の枠組みにつきまして、昨年、約一年前でございますけれども、コペンハーゲンでのCOP15以降でありますが、二つの作業部会、京都議定書についての議論をするところ、そして長期的な取り組みに関しての作業部会、この二つの作業部会が合計四回実施をしてきたところであります。

 これまでの議論におきましては、先進国は、世界全体での取り組みが必要として、途上国の参加を求めている一方でありますが、途上国側は、先進国が率先して対応すべきとして、京都議定書のもとでの第二約束期間の設定を主張している。先ほど先生がおっしゃったとおりでございます。

 先月末でありますけれども、メキシコで開催されたCOP16閣僚準備会合、これは名古屋でCOP10の最中に行われたわけであります。多くの国が、先進国と途上国の双方の主張を踏まえた、先生もおっしゃいましたけれども、バランスのとれた合意が必要であるとの認識を共有したわけでありますけれども、御指摘のとおり、基本的な対立構造は変わっていないというのが正直なところでございます。

 我が国は世界全体の削減を目指しているわけでありまして、世界全体の削減のためには、いわゆる第二約束期間の設定ではなくて、すべての主要国が参加した公平かつ実効性のある枠組みの構築が何よりも必要との立場で全く変わっていないというところでありまして、それに向けて意義ある成果が上がりますように、積極的に国際交渉に挑んでまいりたい、このように考えているところでございます。

 ありがとうございます。

    〔委員長退席、田島(一)委員長代理着席〕

江田(康)委員 今申されましたように、現状はということを我々もしっかりと認識しないと、国際交渉の場というのは、やはり事実をしっかりと認識しなければ国際交渉に臨めないわけでありますが、これまでの議論では、今おっしゃったように、先進国は、世界全体でこの取り組みが必要として、途上国の参加を我々は求めています。一方で途上国は、先進国が率先して対応すべきということで、京都議定書のもとでの第二約束期間の設定を主張している。これが真っ向からぶつかっている、こういう構図ですね。そういう中でバランスのとれた合意が必要だということで向かうCOP16になるわけでありますけれども、そういう状況の中で、途上国からは京都議定書の延長論というのが出ているわけであります。

 二つの作業部会における議論が並行して進んでいる中で、議論の全体像は、議定書の延長について是か非かという単純な構図ではないように思うわけです。議論の全体構造を踏まえて、COP16において我が国がとるべきスタンス、また目指すべき合意が何か、お聞きしたい。これが大変重要だと思っております。

松本国務大臣 今の御指摘、大変重要な指摘だというふうに思っております。

 EUの発言でありますとか、ある意味では前提条件をつけておりますが、考え方は余り変わっていないんだろうというふうに思いますけれども、言いぶりが少しずつ、今おっしゃるように変わってきていることも、私はまだCOP16に行く許可を得ていませんので、行くかどうかということはまだ先の方になりますけれども、バランスのとれた合意というのをこのごろ議長国初めさまざまなところから耳にいたします。

 具体的には、一つには先進国による温室効果ガスの削減、また途上国による温室効果ガスの削減、そして先進国から途上国への支援という三つの要素について、先進国と途上国のどちらか一方のみが不利になることがないような決定が必要だというふうに考えております。

 我が国の基本的な立場は、世界規模での削減を進展させることにあります。先進国の取り組みとあわせて途上国の取り組みを求めて、また必要な支援も実施をするというものでなければならないと思っております。

 この観点から、双方の長期的取り組みを議論している作業部会の議論を進展させ、すべての主要国が参加した公平かつ実効性のある枠組みを目指しているところであります。

 反対に、途上国が求めている、一部の国のみが高い削減義務を負うという枠組みが固定するような京都議定書の延長は世界全体の削減にはつながらないというふうに考えておりますので、先ほど町村先生にもお答えをしましたけれども、そのスタンスで臨んでまいりたいというふうに思っているところであります。

    〔田島(一)委員長代理退席、委員長着席〕

江田(康)委員 今大臣がおっしゃったように、COP16で我が国がとるべきスタンスというものは大変重要であるのですが、すべての主要国が参加した公平かつ実効性のある枠組みを我が国は目指す。反対に、途上国が求めている京都議定書の単純延長、その意味するところは、一部の国のみが高い削減義務を負う枠組みが固定化する、こういう京都議定書の延長というのは世界全体の削減につながらないし、これはあってはならないと私も強く思います。

 そこで、国際交渉は、やはり現実は大変厳しい状況にあるわけです。平行線が長く続いておりますし、議定書の第一約束期間の終了する二〇一二年を間近に控えている。そういう中で、単純延長とか、つなぎの京都議定書の延長とか、さまざまな議論が今沸き起こってくるわけでありますけれども、今後、我が国は、コペンハーゲン合意に示されているような公平で実効ある枠組みの構築に向けてどのように取り組んでいくのか、その本質的なところを大臣にお伺いしたいと思います。

松本国務大臣 先ほど申し上げましたけれども、京都議定書の枠組みの中にある排出量は二七%であります。そして、アメリカ、中国は合わせて四一・三%でございます。

 そういった意味では、今御指摘がありましたコペンハーゲン合意、世界全体の排出量の八割をカバーする国々があるコペンハーゲン合意に基づいて、次期枠組みの基盤となる決定に合意することが御指摘のとおり必要だと思います。その後、速やかに新しい枠組みを構築する法的文書の採択を目指すというのが目的であろうかと思います。

 この過程では、我が国がただ単に先進国としての義務を避けていると思われることがないように、意欲的な目標を世界に率先して掲げ、低炭素社会にかじを切る決意をしていること、また途上国に対する支援を着実に実施していることをアピールし、日本のこうした積極的な姿勢を世界に示すことが必要であろうというふうに思っております。

 このためにも、意欲的な中長期目標や、国内排出量取引制度、温暖化対策のための税、全量固定価格買い取り制度など主要な施策の導入、推進を盛り込んだ基本法の制定も含めてこれからも取り組んでいきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いをしたいと思います。

江田(康)委員 今、一連、国際交渉について、我が国がCOP16に向けてとるべきスタンス、またその後の我が国が目指すところのすべての主要国が参加した公平かつ実効性のある新たな枠組みの構築、合意に向けてとるべきスタンス、これについてお伺いをさせていただきました。

 やはり我が国が持つべき基本的な立場というのは、今いろいろな状況にあるかと思いますけれども、先進国の取り組みは、積極的な姿勢を我が国が示していくと同時に途上国支援も進めていく、そういう中で途上国の理解を得ていくというのが引き続き大事なことだと思います。

 そういう中で、改めてしっかりと我が国が踏まえておかなければならない点は、やはり一部の国のみが高い削減義務を負う枠組みが固定化するような京都議定書の延長は、これはくみしてはならない、反対すべきだと思います。

 しかし、実際の交渉の中で、やはり新しい枠組み、米国や中国が参加するような新たな枠組みをどうやって合意に導いていくかというところにおいてはさまざまな交渉があるかと思います。その最終的な新たな枠組みの構築、つくり上げる、合意に導くというところがない限り、例えば、今、国会で提出されている地球温暖化対策基本法の二五%の中期目標というのも、前提条件が整わず、いつまでたっても日本の目標はでき得ないことになって、結果的に、グリーン産業革命というか、環境と経済が発展するような新たな構造転換というのはできないものに、低炭素社会の実現もできないものになってくる。そういう意味で、大変この交渉における取り組みは重要かと思っておりますので、COP16、しっかりと心を決めて取り組んでいっていただきたいと思います。

 次に、我が国の中期目標についてお伺いをしていきたいと思います。

 特に今回確認をさせていただきたいのが、エネルギー基本計画の目標との関係について、これは明らかにしておきたいと思います。

 今言いましたように、国際交渉が難航している状況のもとでは、我が国が掲げる、すべての主要国が参加する公平で実効的な枠組みという前提条件が整わずに、二〇年二五%削減という中期目標の設定がいつまでも宙に浮く状態となってしまいます。これまで公明党が懸念してきて、またずっと主張してきたことは、この一点にあるわけです。これは大変憂慮すべきことでございます。

 一方で、二五%削減目標の設定の先行きが不透明な中で、国内に目を向けますと、二〇三〇年にエネルギー起源のCO2排出量を九〇年比で三〇%削減するという数値が、本年六月に閣議決定されたエネルギー基本計画には示されております。

 そこで、我が国の二五%削減の中期目標とエネルギー基本計画の三〇年三〇%削減目標との関係性について、幾つか質問をさせていただきます。その意味するところは、我が国の実効性ある中期目標とは一体何なのか、どのように設定すべきなのかということを明らかにしていきたいからでございます。

 まず、経済産業省にお聞きさせていただきますが、エネルギー基本計画には、二〇三〇年に九〇年比で三〇%エネルギー起源CO2を削減できるという数値が示されておりますけれども、これをどのような政策で達成できるのか、この目標の内訳と政策についてお伺いをさせていただきます。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 本年六月に閣議決定いたしましたエネルギー基本計画におきましては、経済成長、温暖化対策、エネルギー安全保障の三つを一体的に達成することを目的といたしまして、我が国のエネルギー需要、供給両面での構造改革のための施策を掲げております。そして、これらの施策を強力かつ十分に推進することによりまして、二〇三〇年に、我が国のエネルギー起源CO2について、九〇年比三〇%程度もしくはそれ以上の削減を見込んでおります。

 お尋ねの、これを実現する具体的な取り組みでございます。

 まず、需要側の対策といたしましては、九〇年代以降、CO2排出量が大幅に増加しております家庭部門や業務部門において、住宅、建築物の省エネ基準の義務化や高効率給湯器あるいは高効率照明等の普及促進によりまして、エネルギー消費に伴うCO2の大幅削減を目指しております。また、産業部門におきましては、世界最高のエネルギー利用効率の維持強化のために、革新的な技術開発の支援、設備更新時の最先端技術の導入の促進等を行ってまいります。さらに、運輸部門では、次世代自動車の普及のための研究開発支援、燃費規制などの対策に加えまして、充電インフラの整備や交通対策等の総合的なアプローチを行い、化石燃料の消費量を削減することとしております。

 一方、供給側の対策といたしましては、CO2を排出しない非化石電源の比率を向上させるために、全量固定価格買い取り制度の導入によります再生可能エネルギーの推進、それから原子力発電の設備利用率の向上及び新増設等の実現に向けての国民の相互理解の促進や立地地域の振興に取り組むこととしております。

 これらの対策を実施するに当たりましては、規制あるいは予算、税制などのもろもろの政策措置を総動員いたしまして、最小の負担で最大限の効果があらわれるよう、ポリシーミックスを構築し、本計画の着実な推進に努めてまいりたいというふうに考えております。

江田(康)委員 そういうことであるということを再認識した上で、環境省にお聞きいたしますが、エネルギー基本計画の二〇三〇年目標と二〇二〇年二五%削減の中期目標、また二〇五〇年八〇%削減の長期目標、この関係はどうなっておりますでしょうか。これらの目標値とその達成の具体的な姿は整合性がとれているのかどうか、ここについて確認をさせていただきます。あわせて、二〇二〇年二五%削減の真水の部分が明確でない中で、整合性がとれているともしおっしゃるのであれば、そういう真水部分が明らかでない中でこのことが言えるのかどうか、それについてもお聞かせをさせていただきたいと思います。

 というのも、二〇三〇年三〇%というのは、三〇%は国内目標である、真水であるということですよね。そして、そこには、ある意味ではエネルギー起源CO2のみである。それと一方で、中期目標にあるところの二五%というのは、これは国内、国際貢献分を含むとこれまでの答弁にもあるように、そういうふうに思っておりますが、そういう目標でございます。そして、これは温室効果ガス全体である。こういうことで、その双方を比較していくというのは大変難しいかと思うんですが、そういうことも踏まえた上で、この中長期目標とエネルギー基本計画の二〇三〇年目標とは整合性がとれているのかということをお聞かせいただきたいと思います。

樋高大臣政務官 とても大切な御指摘をいただいたと思っております。

 答弁の前に、先ほどの私の答弁、済みませんがちょっと訂正をさせていただきたいと思います。

 国際交渉、COP16閣僚準備会合が行われたのは先月末に名古屋でというお話をしてしまいまして、大変済みません。今月初めにメキシコシティーで行われました。副大臣が行ってきたところでございます。大変申しわけございません。訂正をさせていただきます。

 それで、今先生から御指摘の件であります。いわゆるエネルギー基本計画の二〇三〇年目標、そして二〇二〇年の二五%削減、また一方で二〇五〇年の八〇%削減といったいわゆる中長期目標との関係ということに関してのお話、また真水についてのお話であったかと思われます。

 地球温暖化対策基本法案における二五%削減目標、これにつきましては、エネルギー起源のCO2だけではなくて、のみならず、ほかの非エネルギー起源の温室効果ガスを含み得る目標でございます。一方で、エネルギー基本計画の目標は、エネルギー起源CO2についての国内削減の目標でございます。

 現在、中央環境審議会において、二五%削減目標の達成に向けたロードマップの精査を行っているところでございます。

 エネルギー起源のCO2に関しましては、原子力発電の新増設や稼働率の見通しを初めとする削減対策について、エネルギー基本計画の内容と可能な限り整合性を図りつつ、今現在、検討を行っているというところでございます。

 また、中央環境審議会、中環審における検討におきましては、二〇三〇年に至り、二〇五〇年八〇%削減を達成するための排出削減経路についても検討を今させていただいておりまして、中長期目標と二〇三〇年三〇%程度またはそれ以上という目標に不整合は生じていないものというふうに考えているところでございます。

 ありがとうございます。

江田(康)委員 今、結論的に、種々の条件が違うので正確なところの比較はできないけれども、二〇三〇年の三〇%というエネルギー基本計画に掲げた目標は、中期目標の二五%削減目標との整合性はある、包含されるということだったかと思います。いろいろなケースがございますので、今二〇一〇年、そして二〇三〇年までの間に二〇二〇年がある、そこがどういうカーブで行くのかというところにおいて、そのカーブの延長線上にあるということで整合性があるということをおっしゃったんだと思います。

 それでは、環境大臣にお聞きいたしますけれども、大変これは重要な質問でございますが、公明党が提出している気候変動対策推進基本法案におきましても、中期目標に前提条件がついている閣法との違いはあるにせよ、中期目標並びに長期目標の削減数値は同じものでございます。今後、地球温暖化対策に関する中長期目標の達成に向けて、このエネルギー基本計画の二〇三〇年目標をどのように位置づけていくのかということをお聞きしたいと思います。

 というのも、地球温暖化対策基本法政府法案においては前提条件がついております。この前提条件は、先ほどからの国際交渉の厳しい状況をかんがみれば、なかなか達成し得ない状況、すなわち、我が国においては、中長期目標がなかなか確定されない、宙に浮いた、そういう問題が生じる。そこを公明党は大変に憂慮して、前提条件なしで二五%削減を目指すべきということも、その分、国際交渉の変化やまた経済状況、そういうような変化が生じた折には、国会での見直しをもって見直しを図るというようなところも当然つけておるわけです。

 しかし、前提条件つきではこういうような状況が続きます。したがって、その中で、何が政府案に掲げる中期目標の二五%を担保できるものになり得るのか。このエネルギー基本計画の三〇年三〇%というのは、この前提条件が満たされなくともそれはなされるものであれば、中期目標の二五%に相当し得るものとして我が国の目標になるのか。こういうところが確認をさせてもらわなければならないということで、質問をさせていただきます。

松本国務大臣 お答えいたします。

 江田先生初め公明党の皆さんが以前から御指摘の点で、大変重要な課題であるというふうに思っております。

 先ほど、政務官から整合性の点に触れました。まさに削減曲線といいますか、そこの総合性とか計画性といったものもしっかりあわせてやっていかなければならないと思っています。

 中長期目標の達成のためには、施策を総合的かつ計画的に実施するための基本的な計画が必要であり、政府から提案させていただいている基本法案においても、基本計画を定めることとされております。

 その基本的な計画において、中長期目標とあわせ、二〇三〇年及び二〇四〇年における温室効果ガスの排出見通しを定めることとされております。エネルギー基本計画に定められた二〇三〇年のエネルギー起源CO2の排出量の見込みは、その中で位置づけられるものと考えております。

 今後、国際情勢の推移も注視しながら、基本計画における三〇年の見通しの位置づけもさらに検討をしてまいりたいというふうに思っております。

江田(康)委員 今後、エネルギー基本計画の二〇三〇年目標を地球温暖化対策基本法の中での位置づけを検討していくということでございますので、それはしっかりと見ていきたいと思っております。

 しかし一方で、前提条件が実現できない間、我が国の目標としてあり得るのは、地球温暖化対策基本法にある長期目標の五〇年八〇%を目指していくということと、検討をするであろうエネルギー基本計画の二〇三〇年三〇%目標であるということになるわけでございますけれども、しかしこれだけでは、そこに十年、二十年のスパンがあるということを考えると、いろいろな経路が考えられる、そういう中で我が国の中期目標になり得るかということが一つの課題です。

 これについては、二〇三〇年三〇%削減目標、また長期目標の五〇年八〇%のみでは、中期目標二〇年二五%の担保としては弱いということも公明党は考えております。もう一工夫要るのではないのかということを考えておりますことを御指摘させていただきたいと思います。

 時間が迫っておりますので、あと主要三施策、すなわち、国内排出量取引制度、それから地球温暖化対策税、再生可能エネルギーの全量固定価格買い取り制度、中長期目標を我が国が達成していくために大変重要なこの三つの主要三施策についてお伺いをする予定でございました。時間がございませんので、その一部を御質問させていただいて、終わりたいと思います。

 まずは全体的なこととしまして、まずはというか、もう五分しかございません。あと一、二問いけるということで、この地球温暖化対策の主要な施策である地球温暖化対策税、また国内排出量取引制度、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度について、現在、政府においても検討中と承知しておりますけれども、検討の進展状況、現時点での方向性についてお伺いをしたいと思います。また、公明党案においてもその導入を規定しているこれら主要三施策の導入のねらいと効果を改めて確認しておきたいと思います。

 これは、環境省と経産省、それぞれの大臣政務官にお聞きしておきたいと思います。よろしくお願いします。

樋高大臣政務官 恐れ入ります。なるべく端的に、ポイントをしっかりお答えさせていただきたいと思います。

 今先生がおっしゃいました主要三施策、どれも大きな大きな柱でありまして、我が国の地球温暖化対策を抜本強化するために必要なものでございます。

 まず、税についてでありますけれども、すべての排出者に広く負担を求めることを通じて低炭素社会の構築を目指すものでございます。

 現在、税調、税制調査会において検討されておりまして、平成二十三年度の実施に向けて、環境省としてもしっかり取り組んでまいりたいと思っております。

 それともう一つ、排出量取引制度についてでありますけれども、公平で透明なルールのもと、排出量に限度を設定させていただきまして、事業者の削減の取り組みを確実に担保するとともに、排出枠の取引を通じて社会全体としてより経済効率的に削減を実現する仕組みでございます。

 現在、中環審、中央環境審議会におきまして、年内、もうあと一カ月以内が目途となりますけれども、この年内をめどに、取りまとめに向けまして、制度設計の論点について御議論を活発にいただいているというところでございます。今後、産業界などの声もしっかりと承らせていただきながら、関係省庁ともよく連携をして、国内排出量取引制度が実現できるように尽力をしてまいりたい、このように考えております。

 ありがとうございます。

田嶋大臣政務官 御答弁申し上げます。

 経済産業省としての取り組みでございますが、三施策ともに、経済、雇用にいろいろな影響を与え、国民に負担を与えるという側面がございますので、十分その点に配慮しながら、実効性のある取り組みを実現したいということで検討いたしている途中でございます。

 温暖化対策税に関しましては、経済産業省といたしましては、石油石炭税の課税を強化するという形での要望をさせていただいておるところでございまして、現在、民主党及び政府内での具体的な検討を行っておりまして、当省といたしましても、成案を得られるように努めてまいります。

 二番目の国内排出量取引制度でございますが、経済産業省は、産業構造審議会において現在検討中でございまして、国際競争力、雇用への影響に配慮し、技術の導入ということを促していく、そういう観点から引き続き検討してまいる予定でございます。

 そして、三つ目でございますが、これは固定価格買い取り制度の導入でございますが、この導入によりまして再生可能エネルギーの導入拡大を図るということで、地球温暖化対策、エネルギーセキュリティーの向上、そして環境関連産業の育成を目指すということを目的といたしまして、現在、小委員会におきまして、制度の詳細について議論を行っていただいておるところでございまして、これも早期に成案を得るべく検討を進めてまいりたいと思っております。

 以上です。

江田(康)委員 この主要三施策については、大変重要な施策でございますので、もっと深掘りしてお聞きをさせていただきたいと思っております。次の機会にそれは回していきたいと思うわけでございます。

 きょうは、一般質疑ということで、国際交渉のあり方、また現状、そしてそれを踏まえた上での地球温暖化対策基本法における中期目標とエネルギー基本法の目標の関係性ということについてお伺いをさせていただいたわけでございます。

 国際交渉は、先ほども申しておりますように、大変厳しい状況にある。途上国と先進国の対立は依然として続いていて、それは京都議定書の単純延長というようなことにもなりかねない状況がある。そういう中で、我が国はやはり主要排出国が参加する実効性ある枠組みを目指して途上国との理解を広げていく、そのためにしっかりとCOP16並びに17へと取り組んでもらいたいことを申し上げました。

 そういう厳しい状況であるからこそ、中長期目標というのは前提条件つきではなかなかなし得ない、我が国の中期目標が宙に浮くというような状況にあることをしかと踏まえると、地球温暖化対策基本法における中長期目標の設定のあり方について、もっと深掘りした慎重な審議が必要であると思っております。

 またこれについては引き続き議論をしていきたいと思います。きょうはこれで終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

小沢委員長 次に、橋本博明君。

橋本(博)委員 民主党の橋本博明でございます。私、環境委員会での質問はこれが初めてでございまして、待ちに待った出番でございますので張り切ってまいります。よろしくお願いいたします。

 最初に、先ほども少し議論になりましたが、排出量取引、特に現行の取引について少し質問をさせていただければと思っております。

 まず、現在、京都議定書に基づきまして、我が国でも二酸化炭素の排出量の削減が努力されているところでございますけれども、いわゆる真水の削減で間に合わない部分をこうした排出量取引で穴埋めをするということができる、これが京都メカニズムと呼ばれているものだと思いますけれども、一方で、この京都メカニズムでございますが、海外に国富が流出してしまう、そういった御心配もいただいております。

 そこで、最初に確認をさせていただきたいんですけれども、この京都クレジットに基づいて、我が国それから我が国の企業が国外の二酸化炭素排出枠をどの程度購入することとなっているのか、そのことについてお答えいただければと思います。

寺田政府参考人 御説明申し上げます。

 我が国は、国内対策を行ってもなお京都議定書の約束達成に不足する、一九九〇年総排出量の一・六%分につきまして、京都メカニズムを活用したクレジットの取得によって対応するということになっております。これは、二〇〇八年から五年間の第一約束期間で約一億トン分ということになりまして、ただいま現在の政府によるクレジット取得の総契約量は約九千四百万トンということになっております。

 なお、これとは別に、産業界では、自主行動計画における目標達成のために、第一約束期間において、一つは電力業界が二億六千万トン、もう一つは鉄鋼業界が五千三百万トンを取得する予定であると承知しております。

橋本(博)委員 済みません、改めて、これは金額でいうと大体どれぐらいになるのかもあわせて、概算で結構でございますのでお答えいただければと思うんです。

寺田政府参考人 ただいま金額というお話でございましたけれども、まず、国のクレジット取得につきましては、これはある種のビジネスということでございまして、個別の取得金額については今まで対外的に公表しておりません。

 ただ、予算上の取り扱いについてはお答えができようかと思いますけれども、これまでの五年間で総額一千三百二十七億円を計上しているというぐらいの金額であるということでございます。

 なお、民間の支払い金額については、政府として公式には承知はしておりません。

橋本(博)委員 ありがとうございます。

 確かに、ビジネスということなので、なかなか数字は言えないということもよくわかります。

 大体一億トン当たりで一千三百億、一千五百億、一トン当たり千五百円ぐらいの、金額でいえばそれだけのお金を使っている。あるいは企業の分も考えますと、それこそ大体一兆円いくかいかないか、それぐらいの金額になるかもしれない。それだけのお金が海外に出ているということでございます。

 逆に、そういった意味では、海外で調達しているこのクレジットをやはりできるだけ国内で調達するということは、国内の経済活性化にも重要ですし、あるいはまた、特に地域おこしといった原資にもなるんじゃないかな。そういう意味で、大変重要な試みだと思うんです。

 実は、そういった試みを既に政府の方でも進めていただいておりまして、経済産業省、環境省、農水省の連携で、おととしの十月から国内クレジット制度といったものを進めていただいていると理解をいたしております。

 この国内クレジット制度、皆さん御承知かとは思いますけれども、二酸化炭素削減目標を達成する企業、いわゆる自主行動計画参加企業、これは大体大企業が中心とお伺いしておりますけれども、そういった企業が、自主行動計画に参加していない企業に対して資金や技術を提供する、それによって二酸化炭素の排出を削減して、それをクレジットとして受け取る仕組みというふうに理解をしております。

 この国内クレジット制度の成果について、具体的な事例も少し示していただきながら御説明をお願いしたいと思います。

近藤副大臣 橋本委員にお答えします。

 初めての環境委員会の質問ということでございます。ぜひ、既に大きな御理解をいただいていると思いますが、環境行政をともに頑張っていければと思います。

 国内でそうしたことをしていく、そのJ―VER制度、今、逆に委員からも御説明いただいたとおりでありますが、成果について御報告をさせていただきたいと思います。

 平成二十年十一月の制度運用開始から現在まで、約二年間で累計四十四件のプロジェクトが登録されており、このうちの二十三件のプロジェクトについて、累計二万七千十七トンのクレジットが認証されているということであります。対象としては、排熱回収等の削減プロジェクトだけではなく、間伐等による森林吸収の促進も含まれていることもJ―VER制度の特徴の一つであります。

 J―VER制度は、例えばカーボンオフセット年賀はがきでも利用されておりますけれども、カーボンオフセットを行おうとする企業や人から地域のプロジェクトへの資金の流れをつくり出す、このことに貢献をしていると了解しております。

橋本(博)委員 ありがとうございます。

 先にJ―VER制度の方の御説明をいただいたんですが、一方で、国内クレジット制度の話を先にさせていただければと思うんですけれども、それについて、成果とそれから中身について少し御説明をいただければというふうに思っております。

田嶋大臣政務官 御質問いただきました国内クレジット制度でございますが、中小企業、そして農林業、家庭、幅広く対象といたしてございまして、温室効果ガスの排出削減分を大企業の、先ほどの自主行動計画の目標達成等のために活用する制度でございます。

 環境省や農水省と一体となって制度を運営してございますが、これまでに五百十八件の事業計画が提出されてございまして、これに基づく実績としましては、平成二十四年度末までに見込まれる総削減量は約百八万トンでございます。設備投資額としては約三百三十億円となってございます。

 具体例でございますけれども、委員の選挙区でございましょうか、広島市の産業機械製造工場でございますが、工業炉の使用燃料を石炭コークスから電力に転換し、高効率の電気炉に更新するということで、年間千二百トンのCO2排出削減を見込んでございます。

 以上です。

橋本(博)委員 ありがとうございます。

 こうした制度はもっともっと活用されるべきだと思うんですけれども、残念ながら、まだ世間一般には余り知られていないんじゃないかと思うんです。

 そういった意味で、今、田嶋政務官の方からも御説明がありましたけれども、そういった取り組みの普及啓発、利用促進、これにどういった取り組みをされているかもあわせて御説明をお願いします。

田嶋大臣政務官 委員のおっしゃるとおりでございまして、本当に大事だと思いますが、そのためには知名度が上がらなければいけないということでございます。

 活動といたしまして、これまでに、全国の商工会議所等が大変関心を強く持っていただいておりまして、それらを通じた積極的な広報活動、それからCO2排出削減量の認証のための手続面での支援等を行ってきておるところでございます。

 そしてさらに、投資促進へのインセンティブもやはりつける必要があるということ、それから、クレジットを大口化しないと大企業が活用しにくいという側面もございます。

 そういった意味では、まず補正予算でございますけれども、中小企業の低炭素型投資を強力に推し進めるために、後押しするために、低炭素型設備の導入によって創出される見込みの国内クレジットに相当する助成金を支給する事業を盛り込んでおるところでございます。

 それから、二十三年度の本予算の方でございますけれども、こちらでも、個人向けの省エネ・新エネ機器導入補助金を利用した家庭のCO2排出削減分を国内クレジットとして活用する事業を今要求しておるところでございます。

 これらの事業を通じまして創出された国内クレジットは、集約、大口化して国内の大企業に有効に活用していただくことで、国内での資金還流、環境と経済の両立を図るということといたしてございます。

 引き続き、制度のさらなる活性化を図りまして、温暖化対策を通じた中小企業等の投資促進に努めてまいりたいと思います。

 以上です。

橋本(博)委員 ありがとうございます。

 ぜひ、こういった取り組みを強力に推し進めていただければと思っているんですが、ただ、この国内クレジット制度なんですけれども、先ほどお話をしたとおり、京都議定書の達成というのが一つの大きな目的となっているために、今私が聞いている限りでは、二〇一二年度で一たん終了するといったような話もお聞きいたしております。

 他方で、まさに、資金拠出により他社の二酸化炭素の排出量削減を支援する、それで得られた削減量を受け取るカーボンオフセット事業というのは、先ほど近藤副大臣から御説明いただいたように、環境省も中心になってまた進めていただいていると思います。

 J―VER制度、改めてもう一度、この制度の説明とそれから成果を御紹介いただければと思うんです。

近藤副大臣 橋本委員、どうもありがとうございます。

 失礼しました。先ほどは、御質問の中で、海外に日本の資金が流出をしていく、そのことに対して国内ではどうかということでありましたので、環境省が経産省また農水省と共同でやっているJ―VER制度ということでお答えをしたわけでありますが、改めて、J―VER制度は、みずからの排出量を他の場所の削減量で埋め合わせ、相殺するカーボンオフセットに用いるため、国内で実施されるプロジェクトによる削減、吸収量をクレジットとして認証するという制度であります。

 そして、その成果につきましては、先ほど御紹介させていただきました、二十三件のプロジェクトについて二万七千十七トンのクレジットが認証されている、大きな成果を得ている、こういうところであります。

橋本(博)委員 ありがとうございます。

 こちらもまた一定の成果を上げておられるという御説明でございましたけれども、改めて、今、経産省さん、もちろん連携して進めていただいている国内クレジット制度、それから環境省さんが中心になって進めておられるJ―VER制度、中身がやはりほとんど一緒なんじゃないかなと思うんです。

 違うものは何かというと、今言われた国内クレジット制度については京都議定書にカウントができる、一方で、J―VER制度はたしか京都議定書の中のクレジットとしてはカウントできないという話を聞いております。また、経産省さんが中心になって進めている国内クレジット制度というのは二酸化炭素の排出削減事業に限定される一方で、J―VER制度というのは吸収源対策、森林整備、そういったものにも使えるという話をお聞きしております。

 似たような制度をそれぞれの役所を中心につくっておられる、これについてはそれぞれの立場があろうと思いますので余り質問はしませんけれども、一方で、これからつくる排出量取引制度、これについてはぜひ省庁横断でしっかりとしたものをつくっていただきたいということがこれからの民主党政権の使命だと思っております。

 そういったことも含めまして、先ほど排出量取引の現状については江田先生の質問で御説明ありましたけれども、改めて、各省横断的なしっかりした制度をつくるという、この実現に向けての大臣の決意をお伺いさせていただきたいと思います。

松本国務大臣 お答えいたします。

 橋本議員は四十ですか、今。私、ちょうどそのころなりましたので、あのころの私に比べて五倍も十倍もさわやかな質問をされているなと思って、敬意を表します。

 今、国内排出量取引制度の話をされました。そういう意味では、大変重要な課題だと思っております。今、中央環境審議会において、年内の取りまとめ作業に向けて、制度設計の論点について詳細に御議論をいただいているところであります。環境省としても、経済産業省を初めさまざまな皆さんの御意見をいただきながら、もう既に産業界、労働界、NGO等々、さまざまな御意見をいただいてまいりました。そういう意味では、いろいろな関係各省とも連携をして、国内排出量取引制度を実現できるように尽力してまいりたいというふうに思っております。

橋本(博)委員 ありがとうございます。

 同じでございますけれども、経済産業省としても、ぜひ連携をしてやっていただきたいということで、田嶋政務官からも一言お願いしたいと思います。

田嶋大臣政務官 経済産業省といたしましても、産業構造審議会におきまして、排出量取引含む地球温暖化対策について現在検討中でございまして、今後その審議会の議論を踏まえまして、関係省庁としっかりと話し合い、連携しながら貢献をしてまいりたいというふうに考えております。

 以上です。

橋本(博)委員 ありがとうございました。ぜひ、連携をとっていただきながら頑張っていただければと思っております。

 それでは、排出量取引の話については終わりますので、田嶋政務官、結構でございます。ありがとうございました。

 残りの時間でございますけれども、少し話をかえさせていただきまして、ごみの問題について質問をさせていただきたいと思っております。特に、市町村が中心となって処理をされている一般廃棄物についての質問でございます。

 廃棄物の処理及び清掃に関する法律においては、ごみは大別して二つある、産業廃棄物と一般廃棄物というふうに分かれておりますが、一般廃棄物というのは、産廃と違いまして、各市町村が処分の責任主体となって処分することとなっております。今、そういった法律に基づいて各市町村が自前で設備投資を行って処理をされているわけですけれども、これが特に、小さい市町村、大変厳しい、大変なコストになっているということが問題意識でございます。

 最初に伺わせていただきますが、廃棄物の処理責任を市町村と定められているのはどういう理由によるものなのか、御説明をお願いしたいと思います。

樋高大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 橋本先生におかれましては、ぜひとも日本の環境政策の未来をしっかりとしょっていただきたいという思いを持って、期待をしております。ぜひとも御指導いただきますように、よろしくお願いします。

 今、一般廃棄物の処理責任が何で市町村なのかというお尋ねであられたと思います。

 この根拠は、大分さかのぼりまして、昭和二十九年に制定をされました清掃法という法律がございます。その中におきまして、ごみなどの処理につきましては、地域住民の日常生活に最も密着した行政サービスであるということによりまして、市町村の責務とされたところでございます。その後、昭和四十五年になりまして、清掃法というこの法律が全面的に改正をされたところでございます。四十五年に清掃法が全面的に改正されて廃棄物処理法が成立をしたわけでありますが、この清掃法の理念を継承させていただいて、一般廃棄物の処理については引き続き市町村が責任を有するという経過でございます。

橋本(博)委員 ありがとうございます。

 私も、今お話しいただいた考え方そのものについては全く賛成をするわけでございますけれども、その上で、ごみの処分量とそれから焼却施設の大きさといいますか、効率性の観点から考えると、市町村単位で処分をするという具体的な部分についてはやはり少し違いがあるんじゃないかというのが問題意識でございます。

 資料をお配りさせていただいております。

 資料一をまず見ていただければと思うんですけれども、実際に広島県内の焼却施設をちょっと調べさせていただきました。処理能力それから使用開始年度を調べておりますけれども、処理能力を見ていただきますとわかるとおり、各施設でそれぞればらばらでございます。特に広島市の中の施設というのは、上から六つがそうなんですけれども、こういったところは、処理施設、その一個一個の能力も大きいですし、またそれがたくさんあるわけでございます。ただ、下の方を見ていただければわかりますとおり、特に人口が数万人規模のところになりますと、施設そのものも小さいし、中には、幾つかの町が連携をして処理施設をつくっている。ただ、そういったところでさえ、規模としては余り大きくないというのが現状でございます。

 その上で、資料二をちょっと見ていただければと思うんですけれども、これは横軸に施設の規模、それから縦軸に、一トン当たりの、焼却能力に対する単価ということなんです。普通に考えていただければわかるとおり、当然建設費用というのは、規模が大きくなればなるほど、その分処理能力単価で見ると金額は低くなる、当たり前のことだと思うんです。何が言いたいかというと、例えば、一日五百トンの処理をしなければいけない、そこに処理施設をつくるのに、この計算でいけば、五百トンの施設を一個つくれば百七十五億円で済むんですけれども、五十トンの施設を十個つくると三百億円かかっちゃうということなんですね。

 同じくランニングコストもちょっと調べさせていただきましたけれども、広島のような大規模施設の場合には大体一トン当たり二万円程度、もっと低いところもあるかもしれません。一方で、もっと小さい市町村になると、これが倍、一トン当たり四万円、あるいはさらにかかるかもしれません。そういったばらつきがある。

 言えば、小さい市町村であればあるほど、ごみ処理についてのコストがかかるということでございます。

 特に、これから問題なのは施設の建てかえでございます。大体、焼却施設の使用年数というのは十五年から二十年とお聞きしておりますが、どこの市町村も、延命措置を施すことによって三十年ぐらい使っておる。資料一に戻りまして、ちょっと網かけをしておる部分がそういった意味で十五年以上たっているところでございますが、これが今後建てかえをしなければいけない。現状のレベルで全部更新をするとなると、およそ八兆円程度財政負担がかかるんじゃないかといったお話も伺っております。

 そういった意味で、私自身は、これからごみ処理の問題というのは小さい市町村になればなるほど大きな問題になるんじゃないかというふうに思っているんですが、改めてそのことで質問として、ごみ処理事業を広域化、集約化することについて何か問題があるのかどうか、お答えをいただければと思っております。

樋高大臣政務官 お答えさせていただきたいと思います。

 すばらしい資料も御提供いただきまして、ありがとうございます。

 いわゆる広域化、集約化につきまして、それぞれ長所、短所があるであろうというふうに認識をしているところであります。

 例えば長所ということ、今先生がおっしゃいましたようにいわゆる広域化、集約化を図ることによってどのようなメリットがあるかということでありますけれども、一般廃棄物を広域的に処理するということによりまして、例えばでありますけれども、廃棄物を大量に集めることができるために、効率的な熱回収が可能となる、あるいは再生利用がより容易になるということでございます。また一方で、施設の集約化によりまして、今先生が問題意識を持たれた整備費用が全体として安くなる。施設の費用も安くなるかもしれませんし、また一方で全体の処理の費用も安くなる可能性があるという長所があると認識をしているわけでございます。

 一方で短所もございまして、一般廃棄物処理施設への運搬距離が延びる。延びることによって、収集運搬、これが結構コストがかかるというわけでありますけれども、このコストが増加をしてしまうという短所があるのではないかなというふうに認識をしております。また一方で、広域化、集約化が進むことによって、複数の自治体によって共同で一般廃棄物の処理を行うということになるわけでありますけれども、その際に、処理施設が設置される地域の住民の理解を得ることも一つの課題である。例えば、何で隣町のごみをうちの町で大きな施設をつくって処理をしなくちゃいけないのか、受け入れなくちゃいけないのかといった問題などもあろうというふうに認識をしております。

 橋本先生の御指摘はとても大切な問題意識であろうと思っておりますので、ぜひとも今後とも議論を深めていきたいというふうに思っております。

 ありがとうございます。

橋本(博)委員 ありがとうございます。

 今まさにメリット、デメリットをお話しいただきました。当然比較考量というのは重要だと思うんですけれども、ただ、そうはいいながらも、やはり広域化、集約化というのを図っていかなくちゃいけないんじゃないかなというのが問題意識でございます。特に、ごみの処理、一般廃棄物の処理というのは市町村の事務、自治事務ということもありまして、市町村がやればいいじゃないかという話もあるんですが、私自身は、もうそろそろ国がやはりある程度積極的にかかわっていかなくちゃいけないんじゃないかという思いがあるんです。

 それは、一つにはやはり財政の問題でございます。それこそ、今、廃棄物の処理施設、新設あるいは更新をするときには国の方の補助事業も行っているとお聞きしておりますが、これは幾らになっているか、教えていただければ。

伊藤政府参考人 平成二十二年度におきましては、循環型社会形成推進交付金ということで五百二十二億円計上しておりまして、そのうち、一般廃棄物処理施設につきましては四百一億円を今年度計上しているところでございます。

 来年度につきましても、所要の予算要求を行っているところでございます。

橋本(博)委員 ありがとうございます。

 廃棄物の施設だけでいえば四百億円、環境省の予算というのが大体二千億ちょっとだと思いますので、そのうちの五分の一を占める大きなお金なんですよね。これをもっと圧縮することができたら、それを当然、温暖化対策、いろいろな必要な事業に使うことができるんじゃないかと思うんです。

 先ほども申しましたように、これから八兆円のお金が必要になってくる。そのうちの当然全部が税金。三十年で割れば、毎年二千六百億ずつのお金が必要とされている。これは、もっともっと必要な事業に使うという意味でも、ぜひ積極的に取り組んでいただければという思いもございます。

 あと、熱効率の話もいただきましたけれども、二酸化炭素の削減効果にも大きく寄与する問題だと思っております。

 そろそろ締めさせていただきたいと思っているんですけれども、そういった意味で、来年度、環境省としては、静脈産業の輸出、そういった施策も別途展開をされるとお聞きしております。海外展開も重要なんですけれども、国内のこういったごみの処分事業というのも、ある意味大きな変革期に来ているんじゃないか。

 私は、考え方として、市町村が処分の責任主体になるということ、これは変える必要がないと思っているんですが、一方で、一市町村に一つずつ処分施設をつくらなきゃいけないということについては、時代が大きく変わっている。むしろ、それこそ例えば大都市が音頭をとっていただいて、周辺施設からごみを集める。あるいは、民間活力をもっと導入していただいて、大きな事業者が周辺のごみを集めて処理をする。

 どうしても、民間に頼ろうとすると、変なところがやってしまって倒産をする、集まったごみを、さあどうするんだと問題になったということはよくあるんですが、だからこそ環境省さんが音頭をとっていただいて、真っ当な事業者に事業をしていただくことによって一種のモデル事業を進めていくということも重要なんじゃないかと思っております。

 そういった意味で、広域化、集約化についての大臣の見解をお伺いさせていただいて、質問を最後とさせていただきたいと思います。

松本国務大臣 橋本議員のお話、本当に熱のあるお話をしていただいて、ありがとうございます。本当に二千億ぐらいの予算で環境省はやっております。将来、環境省を担っていただいて、橋本さんが大臣になってもらって、もっともっとふやしていただければというふうに思います。

 廃棄物の広域化、集約化、そして民間活力という話がございました。

 御指摘のとおり、広域化については、施設の集約化により、全体として整備費用が安くなる場合がありますが、一方で、収集運搬に係るコストの増加など、問題もあります。このようなことから、広域化については、地域の特性に応じた適正な規模での広域化を図ることが重要であると認識をしております。

 御指摘のとおり、一般廃棄物処理施設の設置への民間活力の導入については、PFI手法による整備も行われております。一般廃棄物処理の広域化に当たっても、こうした手法の活用も一つの方法であるというふうに考えております。

 今後とも、広域化や民間活力の導入等により、一般廃棄物処理が効率化されるよう努めてまいりたいというふうに思っております。

 ありがとうございます。

橋本(博)委員 終わります。ありがとうございました。

     ――――◇―――――

小沢委員長 次に、内閣提出、参議院送付、地域における多様な主体の連携による生物の多様性の保全のための活動の促進等に関する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。松本環境大臣。

    ―――――――――――――

 地域における多様な主体の連携による生物の多様性の保全のための活動の促進等に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

松本国務大臣 ただいま議題となりました地域における多様な主体の連携による生物の多様性の保全のための活動の促進等に関する法律案につきまして、その提案の理由及び内容を御説明申し上げます。

 生物の多様性は、私たちの生存基盤であり、その恵みによって社会経済が成り立っているものです。一方、生物の多様性は、担い手の減少による里地里山の劣化や外来種の影響等により深刻な危機に直面をしています。

 このような状況の中、一昨年、豊かな生物の多様性を保全し、その恵沢を将来にわたって享受できる、自然と共生する社会の実現を図る生物多様性基本法が制定され、国は、多様な主体の連携及び協働による生物の多様性の保全のための活動を促進するための必要な措置を講ずるものとされています。また、折しも本年十月、我が国において生物多様性条約第十回締約国会議が開催され、現在、国内外において生物の多様性の保全に関する機運が高まってきております。

 本法律案は、こうした状況を踏まえ、地域における多様な主体が有機的に連携して行う地域の特性に応じた生物の多様性の保全のための活動を促進するため、地域連携保全活動基本方針の策定及び市町村が作成する地域連携保全活動計画について定め、同計画に基づく活動について関係法令の適用の特例等の措置を講じようとするものであります。

 次に、本法律案の内容を御説明申し上げます。

 第一に、本法律案の目的は、地域における多様な主体が有機的に連携して行う生物多様性の保全のための活動を促進するための措置等を講じ、もって豊かな生物の多様性を保全することとしております。

 第二に、主務大臣は、地域連携保全活動基本方針を定めなければならないこととしております。

 第三に、市町村は、地域連携保全活動基本方針に基づき、特定非営利活動法人等が行う地域連携保全活動の促進に関する計画を作成することができることとするとともに、計画作成に必要な手続を規定しております。

 第四に、地域連携保全活動計画に従って行われる行為について、自然公園法、森林法、都市緑地法等の規定の特例を定めております。

 第五に、国及び地方公共団体は、地域連携保全活動に関し、情報の提供、助言その他の必要な援助を行うよう努めることとしております。

 以上が、本法律案の提案の理由及びその内容であります。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

小沢委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る三十日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十六分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.