衆議院

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第8号 平成23年5月31日(火曜日)

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平成二十三年五月三十一日(火曜日)

    午後三時四十分開議

 出席委員

   委員長 小沢 鋭仁君

   理事 大谷 信盛君 理事 太田 和美君

   理事 田島 一成君 理事 中野  譲君

   理事 横光 克彦君 理事 田中 和徳君

   理事 吉野 正芳君 理事 江田 康幸君

      石田 三示君    磯谷香代子君

      岡本 英子君    川内 博史君

      川越 孝洋君    工藤 仁美君

      櫛渕 万里君    近藤 昭一君

      阪口 直人君    玉置 公良君

      樋高  剛君    森岡洋一郎君

      山崎  誠君    吉川 政重君

      井上 信治君    近藤三津枝君

      齋藤  健君    丹羽 秀樹君

      福井  照君    古川 禎久君

      町村 信孝君    佐藤ゆうこ君

    …………………………………

   環境大臣         松本  龍君

   環境副大臣        近藤 昭一君

   環境大臣政務官      樋高  剛君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局次長)      渡辺  格君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長)            藤木 完治君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            安井 正也君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院審議官)   櫻田 道夫君

   政府参考人

   (国土交通省都市・地域整備局下水道部長)     松井 正樹君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 梶原 成元君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 関 荘一郎君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   伊藤 哲夫君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            鷺坂 長美君

   環境委員会専門員     高梨 金也君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月三十一日

 辞任         補欠選任

  岡本 英子君     磯谷香代子君

同日

 辞任         補欠選任

  磯谷香代子君     岡本 英子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 水質汚濁防止法の一部を改正する法律案(内閣提出第三七号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――

小沢委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、水質汚濁防止法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として文部科学省科学技術・学術政策局次長渡辺格君、文部科学省研究開発局長藤木完治君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長安井正也君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院審議官櫻田道夫君、国土交通省都市・地域整備局下水道部長松井正樹君、環境省大臣官房審議官梶原成元君、環境省大臣官房審議官関荘一郎君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長伊藤哲夫君、環境省水・大気環境局長鷺坂長美君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小沢委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川越孝洋君。

川越委員 水質汚濁防止法の一部を改正する法律案について御質問をさせていただきます。

 国民の健康を保護し、生活環境の保全を目標とする水質汚濁防止法が制定されたのは一九七〇年で、四十年が経過をいたしました。それ以前の一九五八年、高度経済成長に伴う大気汚染、水汚染等がございましたけれども、公害問題が深刻化する中で、公共用水域の水質に関する法律及び工場排水等規制に関する法律、いわゆる旧水質二法が制定されてから五十二年、実に半世紀を超える中で、この法律は私たちの生活を支えてきました。

 今回は、都市用水の二五%を占める地下水の汚染を防ぐために、有害物質を貯蔵する施設の設置者に、施設の構造等について都道府県知事への事前の届け出、構造等に関する基準の遵守、定期点検の義務を課して、工場、事業場からの漏えいや床面からの地下浸透を防止しようとするものであります。

 そこで、本法律を施行した後の有害物質使用特定事業場、平成二十一年現在一万三千八百六十八事業場ということになっておりますが、改善実態調査、立入検査による調査等によるフォローアップはどのようにされていくのか、お伺いをいたします。

 また、二つ目ですが、これら工場、事業場周辺の地域住民との情報交換など、対話を日常、常日ごろ行う。いざという場合のリスクコミュニケーション。いざといえば、例えば、有害物質による地下水汚染等が発見された場合に、それ反対だ何だというパニック状態になるんじゃなくて、いざというときは井戸水を飲むのをやめましょうとか、そういった日ごろのリスクコミュニケーションというのが大切と考えますが、その指導等を含めて、お考えをお聞かせ願います。

関政府参考人 改正法の施行後の改善実態の調査や確認等についてお答えさせていただきます。

 地下水の水質につきましては、従来から、都道府県等におきまして、測定計画に基づいて地下水の水質の実態調査というのを行ってきておりまして、改正後におきましても、引き続きこうした調査を行って、水質の改善状況を把握していくということになろうと考えております。

 また、改正法が制定されましたならば速やかに、平成二十四年度までに政省令等必要な制度を策定いたしまして、都道府県等に対しまして、事業者の基準への適合状況や定期点検の実施状況などを計画的な立入調査によって確認するよう依頼する予定でございます。

 これらを通じまして、今回の改正法に基づく措置の実施状況や効果を適切に把握するように努めてまいりたいと考えております。

近藤副大臣 川越委員からいただきました質問、リスクコミュニケーションということについてお答えをさせていただきたいと思います。

 今委員からも御指摘がありましたように、この水質汚濁防止法、長い歴史の中でつくられてきた、また、関係の方が本当に努力をされてきて、こうしたことに取り組んでみえたわけであります。

 そして、そういう中でもまだまだ課題があるということで今回の改正があるわけでありまして、御承知のとおり、非意図的な漏えいが生じないよう、施設の構造等について基準遵守を義務づける、さらに定期的な点検を義務づける、こういうことであります。こうしたことを着実に果たしていくことが、事業者と地域の住民の皆さんとの信頼関係をつくっていく、コミュニケーションを深めていくことがまず第一だと思っています。ただ、そうしたこともお互いがしっかりと理解し合っていかなくてはならない、こういうふうに思っています。

 そういう観点から、今回、中小規模の事業者等の取り組みを支援する。それぞれの事業者がこの法律を遵守していく、そういう取り組みのためのマニュアル、これをつくること。そして、そのマニュアルを通して活動していく中で、先ほど申し上げました非意図的な漏えいが生じないようにする。そしてまた、このマニュアルの中には、いざというときのためのリスクコミュニケーションということで、地域の住民の皆さんともどういうふうに日ごろの交流をしていけばいいのか、そういうことも含めたマニュアルをつくって、住民の皆さんとの対話が行われるように促進をしていきたい、こういうふうに考えております。

川越委員 続いて、水質汚濁防止の関連からお伺いをいたします。

 まず最初に、地下埋設物からの漏えいであります。

 ガソリンタンクを初め危険物の地下貯蔵物からの漏えい検知とその対策についてでありますけれども、施設以外の有害物質の貯蔵場所や作業場所は、施設と異なり、その特定が困難だということから、今回の措置の対象施設には含まれておりません。しかし、漏えい、地下浸透の事例がこうした場所においても見られる、かなり見られるということから、例えばガイドライン等による指導など、漏えい等の未然防止策が必要と考えますが、その点はいかがでしょうか。

関政府参考人 まず、ガソリンスタンド等の危険物の地下貯蔵施設でございますけれども、委員御指摘のように、今回の水濁法の改正では対象としておりません。これは、中央環境審議会で御議論いただきまして、既に消防法で今回措置しようという内容と同等以上の措置がなされているということが確認されましたので、事業者の御負担を減らすという観点から、そちらにゆだねようというものでございます。

 それから、施設以外のいろいろな工場の中で有害物質を取り扱う作業等がございまして、そういうものについても審議会で御議論いただきましたけれども、なかなか法律の枠組みに入れるのが困難であるということで見送らせていただきましたけれども、それも万々が一漏えいいたしますと地下水汚染の原因となりますので、私ども、いろいろなガイドライン等を作成しながら、自主的な取り組みを進めていただくように努めてまいりたい、このように考えております。

川越委員 まず一連聞かせていただきたいと思いますが、下水道管は今度の震災でもかなりやられましたけれども、これは事故等による破損でありますので、それはそれとしまして、下水道管というのは、これから大体更新時期を迎えるんですね、もう五十年になりますから。老朽管については汚水流出等のおそれが考えられるわけですけれども、やはり汚水管ですから、それらに対する対策とか取り組みについて、何かあればお聞かせを願いたいと思っております。

松井政府参考人 お答えいたします。

 下水道管渠の御質問をいただきました。平成二十一年度時点で、全国で四十二万キロの下水道管渠がございます。そのうち、一般的にコンクリートの標準年数と言われております五十年を超過しているものが約一万キロございますので、割合からすると二%程度存在しているわけでございます。そういうものが今後老朽化していくおそれがあるものと我々も考えてございます。老朽化して破損等が起こりますと、市民生活あるいは環境保全等に支障が生じる可能性がありますので、そういうことがないように、未然に防止をして取りかえなりの措置をしていく必要があろうかと考えております。

 国交省では、平成二十年度に、そういう未然防止の観点から下水道長寿命化支援制度というものを創設し、自治体の方に御案内を申し上げております。これは、点検、調査、それから下水道管の改築更新を含めまして、現在であれば社会資本整備総合交付金において財政的な支援を行えるという制度でございます。

 いずれにいたしましても、きちんとそういう制度を使いながら、実態も把握をいたしまして、下水道の機能が持続的に将来に向けて発揮しますように、我々も努力して、御支援も申し上げていきたいと思っております。

松本(龍)国務大臣 国会議員になる前に下水道の仕事をしていましたので、ちょっと答えますけれども、今、耐用年数を過ぎた下水道も、管渠といいますか、何か物すごく強い、コンクリートではないすばらしい性能を持った下水道がありますので、環境もそうですけれども、そういった、ある意味ではやはりトップランナーの下水道を使うということも、これから国土交通省を初めとして指示をしていきたいなというふうに思っております。

川越委員 今度は、特定な施設ではありませんけれども、広範な汚染源について、その対策をお聞かせいただきたいと思っています。

 家畜ふん尿とか肥料の過剰投与による地下水の汚染というのが結構、農村地帯では起こっております。地下水は、一回汚染するとなかなかその浄化というのは時間のかかることでもありますし、またそれが次を誘発するというようなこともありますので、こういった我々の営みから、また事業から起こってくる地下水の汚染等の改善とか防止とか予防、そこらについてお伺いをしたいと思います。

 次に、生活雑排水による水質汚染です。

 都市下水道、合併浄化槽の普及率も徐々には上がってきておりますが、徐々にというかかなり上がってきておりますけれども、生活雑排水による汚染は大きなものがありまして、もう時間的には随分経過をいたしますが、その生活雑排水から閉鎖水域を守ろうということ、琵琶湖の取り組みというのが非常に有名なんですね、私も何回も聞いたことがあるのですが。

 こういうふうに多くの河川が注いでおる流域、琵琶湖の汚染度というのは、その後ずっと取り組みも続けられておると思うんですけれども、どうなんでしょう、そちらの方に何かデータでもあればお聞かせいただきたいと思います。

関政府参考人 まず、農業等の起因によります硝酸性窒素による地下水汚染についてでございますけれども、委員御指摘のように、硝酸性窒素による地下水汚染というのは、地下水汚染の中でも比較的超過率が高いような物質でございまして、重要な課題であると私ども認識しておるところでございます。

 この発生源は、委員御指摘のように、肥料をやる、施肥、あるいは畜産ふん尿、あるいは生活雑排水等々が地下に浸透することによって、その中に含まれている窒素分が硝酸性窒素になるというものでございまして、いずれも面的な汚染源あるいは小規模の発生源でありますので、水質汚濁防止法で施設を特定して規制するというのがなじみにくいというものでございます。

 このため、農林水産省等と連携いたしまして、これまでに、事業者、農業者が対策をやっていただくマニュアルをつくったり、簡易な浄化技術の実証や普及などを行ってその削減に努めてきたところでございますけれども、今後とも、予算もいただいておりますので、関係団体と連携をして取り組みを進めていきたいと思っております。

 それから、生活雑排水についてでございますけれども、琵琶湖の例でございますが、琵琶湖におきましては、昭和四十年代から五十年代にかけまして、水道水のカビ臭の発生や赤潮、アオコといった富栄養化現象など水質の悪化が顕著に見られておりまして、このため、流域を挙げて生活雑排水等の水質汚濁対策に取り組んだ地域でございます。

 その結果、琵琶湖流域の人口が過去三十年間で三割ほど増加しておりますけれども、下水道の普及や生活排水対策の強化によりまして、水質、CODで見ましたら、人口は三割増加したのに水質は、改善はしておりませんけれども現状レベルを維持している、悪化するのを防いでいるということでございます。一方、COD以外の透明度あるいは淡水赤潮の発生等の観点から見ますと、この三十年間、随分改善してきているところでございます。

川越委員 次に、東日本大震災被災への対応なんですけれども、今回の震災は、地震、津波、原発事故と、生命財産の被害はもちろんのこと、被災地域における工場、事業場の施設設備の破壊等で、その事業継続にも大きな打撃を与えております。

 本改正案においては、構造等基準の遵守義務を新たに設ける等、事業者への新たな規制を行う内容となっておりますが、改正法が施行された場合に、全国一律の規制が課せられることになると思うんですね、特に被災地がどうのこうのじゃありませんから。ただ、被災地域の事業者に対しては一定の配慮が必要だということは言をまたないと思いますが、その点についてどのようにされようとしておるのか、お伺いをしたいと思っています。

樋高大臣政務官 お答えさせていただきたいと思います。

 今回の法改正でございますけれども、事業者の負担軽減を図る、そのために既存施設の構造等に関する基準遵守義務につきまして三年間の猶予期間を設けることとしておりまして、被災地においても三年間の猶予期間が設けられることになるわけでございます。

 被災地への配慮という部分でありますけれども、補正予算によりまして、震災対応の金融制度の大幅な拡充や、震災で被害を受けた事業用の施設の復旧整備の支援など、震災復旧のためのさまざまな支援策が設けられておりまして、これらも活用できるものというふうに考えているわけであります。

 また一方で、構造に関する基準の具体的な内容についてでありますけれども、今後検討の場を設け検討していくということとしているわけでありますけれども、関係業界の御意見を十分にお聞きしながら、施設における実施可能性にも十分に配慮して検討してまいりたい、このように考えているところであります。

 なお、施設の復旧整備の際に、有害物質の地下浸透を未然に防止するための構造等に関する基準に適合した施設を設置するということが、結果的には災害にも強い施設にすることにもつながることから、被災地の事業者におかれましても、支援策を活用するなどによりまして対応していただきたい、このように考えているところでございます。

川越委員 もう一つ、国における災害時の環境影響の早期把握、汚染対策等の必要性なんですけれども、被災地においては、有害物質の漏出やアスベスト等による大気、水、土壌の汚染が二次災害を起こすというようなことから、いろいろな対策がされておると思います。こういった被災に遭った地域、これらについては、こういったマニュアルというものがぴしっとあるのかどうか。環境省は、いち早く三月十六日に、「東北地方太平洋沖地震における環境省の基本的対応方針について」というのを出しておりますけれども、この中で人員や機械等の支援をどのようにしていくのか、お聞かせを願いたいと思います。

    〔委員長退席、田島(一)委員長代理着席〕

鷺坂政府参考人 東日本大震災に伴いまして、被災地におきましては、アスベストの飛散でありますとか有害物質の漏出等により、住民の健康への悪影響あるいは生活環境の悪化等、こういったところが懸念されるところでございます。一方、被災した自治体におきましては、いろいろな膨大な震災対応のため、環境影響の早期把握等に支障が生じることも予想されます。

 そこで、環境省におきましては、被災していない都道府県等の環境部局に対しまして、環境調査、モニタリング等について必要な支援を要請してきたところでございまして、これまで、そういった協力要請を受けまして申し出のあった自治体と被災自治体の要望等を突合しまして、例えば具体的には、分析機器等の貸与等の協力が行われているところでございます。

 そのほか、国といたしましても、被災地の環境影響を把握するため、アスベストを含みます大気、公共用水域、地下水の水質、こういった環境モニタリングを緊急に行うこととしておりまして、こういった環境モニタリングを行うに当たりましては、被災自治体等の要望を十分踏まえながら対応していきたいと思っております。

 今後とも引き続き、そういった資機材等の支援、こういったことも努めながら、環境モニタリングの調査の結果を踏まえ、適切に対応してまいりたいと思っています。

川越委員 再質問ができなくなりますので、ここらでちょっと再質問をさせていただこうと思います。

 この法律が施行されて以降になれば、今までの地下水における汚染というものがいろいろと改善されていくだろう、そういうふうに今思いました。やはり何といっても日本人は地下水を、それこそ飲用から、地下水が沸いたのが今度は温泉ですから、温泉まで、いろいろ使っていくわけで、地下水をいかに環境汚染から守っていくかということは、私たちの非常に大切なことであろうし、命を守っていただく、そういったことになるだろうと思っておりますので、この地下水の汚染というものについて、さらにこれからもしっかりとした取り組みを進めていただきたいというふうに思っております。

 先ほどの質問のときに、ガソリンタンク等を初め、ガイドラインというようなことが答弁の中にございました。どのようなガイドラインをしくことによって、こういった地下埋設物、いわゆる貯蔵物からの浸透というのがとめられていくのか、防止できるのか、その点についてお伺いをしたいと思います。

関政府参考人 お答え申し上げます。

 地下埋設物、危険物の地下埋設物につきましては、現在、幸い消防法で、定期的に検知システム、地下に検知管を入れるようなシステムでございまして、そういうもので仮に漏えいがあったときには検知できるようなことを義務づけておりまして、そういう制度によって、漏えいがあった場合に早期発見をして対策をとるということが可能ではないかなと思います。

 一方、地下ではございませんで工場等の中で作業を行う、工場に有害物質を運び込んでまいりまして、普通ドラム缶等で運び込んでまいりますけれども、そういう移しかえなどによって、そのときに漏えいするということも起きておりまして、今回の制度では措置できませんけれども、そういう作業の際に漏えいが起きないように、例えば、作業を行うところは、不浸透性の床があるようなところでやっていただければ仮に漏えいしたとしても回収できますので、そういった点についてガイドラインあるいはマニュアルのようなもので事業者の方に徹底して、御協力を仰いでいきたい、このように考えております。

川越委員 そこら辺を入念にやることによって地下水への浸透というものをいかに食いとめていくか、これはほかの物質についても同じなんですけれども、ぜひお願いをいたしておきます。

 それから、生活雑排水の問題ですが、琵琶湖については人口がふえたのにもかかわらず水質は保たれておるということでありますけれども、閉鎖性海域の中では、どこも汚れておるというか汚染度が進んでいるわけですね。

 例えば、私が一番関心を持っておるというか取り組んできた、これまでやってきた有明海、ここも、水質悪化の原因を諫早湾と決めつけてしまったような感じでの討論がされております。しかし、あの有明海の中には、それは琵琶湖以上の、例えば河川でいうなら筑紫次郎と呼ばれておる筑後川からの流入を初め、大小それはもう百本を超す河川が流れ込んでいるわけでありまして、家庭の合併浄化槽等もまだまだ道半ばでありますので、どうしても河川が汚れていく。

 そうすると、そこから流れてくる水というのは非常に汚れておるわけですから、それが閉鎖性海域の中に入れば、当然それが何年も何年もたって汚れていくわけですね。ですから、何か特定の要因じゃなくて、こういった汚れというのは、いかにその生活雑排水、それはもちろん工場排水もそうですよ、をしていくかが大事であろうというふうに思っております。

 私も、今まで自分が仕事をしておった長崎湾についても、本当四十年代には泥の海となっておりましたが、公共下水道が完備をした途端に、コノシロが遡上する、アユが遡上する、そういうふうなきれいな海になっております。

 ですから、これからやはり環境省としても、生活雑排水という問題について、これは僕は所管がどこかというのをしっかり調べたわけではございませんが、やっていくことが大切じゃないかと思っておりますが、いかがなものでしょうか。

    〔田島(一)委員長代理退席、委員長着席〕

関政府参考人 委員御指摘のように、特に長崎湾、諫早湾等の閉鎖性水域におきましては、汚濁物質が湾内に滞留しやすい、あるいは湾内で植物プランクトンが増殖する等々で大変汚濁が進行しやすい、こういう状況にございます。

 その対策といたしましては、生活排水をいかに処理するかということが大変重要だと認識しておりまして、政府を挙げて生活排水対策にこの数十年間取り組んだものでございます。

 日本全体で見ますと、これまで下水道や浄化槽の整備等々によりまして、生活排水の処理人口というのは、人口で見ますと八五・七%に現在至っているところでございます。ただ、残りの一四%の方というのは、処理施設がなくて、いわば垂れ流しの状態になっているというのも事実でございますので、今後とも、国土交通省等とも連携しながら、下水道あるいは合併浄化槽の整備を通じて水環境の改善に環境省としても取り組んでまいりたいと思っております。

川越委員 時間も参りましたが、最後に一言、質問させていただきます。

 放射性物質の環境汚染防止についてでありますけれども、現行の環境関係の法律においては放射性物質というのは適用除外となっております。これは原子力の方でやるようになっておりますけれども、今回の汚染水、それから大気汚染、いろいろなことを考えても、皆さん、国民みんなから見れば、いわゆる推進する方と監視するところが同じ官庁であれば、それこそ警察が泥棒を、泥棒が警察を飼っているようなもので、一緒になるわけですね。そういうふうにしか見れないんです。

 そういうことになれば、今回の事故を通じて、推進する官庁と監視する官庁というのは私は分ける必要があると思うんですが、そこら辺について環境省の考えをお聞かせ願いたいと思います。

松本(龍)国務大臣 川越先生には、本当に二十年ほど前から、民間での知恵、地方議員としての知恵を私にいろいろ長崎で教えていただいたことに感謝を申し上げたいと思います。そして、昭和二十年の八月九日、原爆が落ちて、長崎の皆さん、大変な御苦労がありました。川越先生も、その後いろいろ御苦労されたというふうに思っております。

 今の御指摘につきましては、所管官庁等々の問題で今問題になっております。とりわけ、最後の方に言われた、経済産業省と原子力安全・保安院をしっかり切り分ける。原子力安全委員会も、全くニュートラルコーナーに行って、本当に学術的な助言をするシステムをつくり上げていかなければならない。そして電気事業者も、しっかりそことも切り分けていきながら、電気事業者のあり方、保安院のあり方、経済産業省のあり方、そして政府のあり方等々をもう一度しっかり検証していきながら、これからの課題を克服していかなければならないというふうに思っているところであります。

川越委員 時間が来たので終わります。

小沢委員長 次に、福井照君。

福井委員 自由民主党の福井照でございます。

 大臣には、もう朝から本当にお疲れさまでございます。ですが、何やら慌ただしくて、今週にでも出すかもしれないという法案がありますので、どうしてもそのことについて触れさせていただかなければなりません。けさから、特に自民党、公明党の攻撃が激しいのも、そういうことかなということなので。

 まあ、お支えされる立場ですから、今後とも支えていきたいという公式見解は、それはわかっていますから別としまして、個人的な、政治家として、大臣の御見解を賜りたいというふうに思います。要するに、この危機のときの、菅直人先生という一人の政治家が首相という立場におられて、どういうパフォーマンスをこの二カ月半されたかということの評価ですね。

 きょうは、情感の部分が強くて、心が感じられないとか被災地への気持ちが伝わらないとか、そういう議論が多かったんです。それはもちろん半分あるんですが、もう一つは、やはり器の部分があると思うんです。

 ちょうど地震が起こる直前の、いわば政治評論の世界では、今の日本の政治に足らないのは、政局でも政策でもない、ガバナビリティーだ、今の政府に日本を統治しようという気力も気迫もその気もない、ガバナビリティー、統治そのものであるということが言われておりまして、それで震災が起こって、この結果だと。自民党から言わせれば、このざまだ、こういうことなんですね。

 その器の一つの事例として、私も土木屋ですから、要するに、現場が一番力を持つべきだし、そして、情報の源は現場から意思決定者にそのまま伝えるべきだということで、責任はおれがとるから、とにかく現場にすべて任せろ、現場にすべて任せると。責任はおれがとるというのは、これは普通の、立派な政治家じゃなくたって、普通の人の普通のパフォーマンスなんですね。これがないんです。これを器と言わざるを得ないというところに、日本の閉塞状況があるわけです。

 例えば一つは、先ほど議論がありました、百ミリシーベルトが限界だった、これを二百五十に上げる。ここまでは多少許せるとしても、それを五百に上げようとしたんですね。それは表に出ていませんから、どこにも資料はありませんけれども、五百ミリシーベルトまで上げていいかと官邸から聞かれた分には、もうそんなのやっていられませんよね。やっていられません。

 今、千五百人、原発のサイトで毎日毎日働いていまして、後ほど資料でも御説明しますけれども、まさに一生の恐怖と闘うわけですよ。毎日千五百人。だから、通算、六千人、七千人、今から半年、ひょっとしたら一年、こうなったら通算二万人、三万人となって、御家族を入れたら五万人、六万人の人生通じての恐怖をマネジメントしなければならない、恐怖を管理しなければならない。今、そういう状態にいるのにもかかわらず、勝手に、百を二百五十、二百五十を五百に上げればいい。それは、とてもじゃないけれども、責任はおれがとる、現場すべて任せるからこれをおさめてくれ、戦争と一緒だからおさめてくれというふうには見えないですね。

 つまり、何が違うかというと、普通、我々だったら、百ミリでも二百五十ミリでもいいです、とにかく命は守る、一生かけて、絶対におまえの人生で普通よりもがん発症確率が高くならないように管理してあげるから、とにかくやり抜いてくれ、日本を守ってくれ、そしてこの仕事が終わったら家族を守ってくれ、こう言うのが普通ですよ。どうしてそれを言わないんだ、どうしてそれを菅直人という首相はおっしゃらないんだ、これはもう本当にわからないですね。

 先日、名古屋でのプレジデンシーは、世界史上最高に右脳をドライブされた、史上最高のプレジデンシーを発揮されて、それでダイバーシティーをまとめられたというようなことを褒め殺しのつもりで言ったんですけれども、褒め生かしてしまいましたけれども、とにかく、尊敬する松本大臣が、個人的に、非常に客観的に見て、今のプライムミニスターのパフォーマンス、言えないところの方が多いかもしれませんけれども、どう評価し、そして、まあ今のまま続いていけば、今後どう改善していったらいいかなと思われるか、ちょっとそこら辺のところ、コメントをいただきたいと思います。

松本(龍)国務大臣 突然の御質問なのでお答えをしにくいんですけれども、三月十一日午後二時四十六分に地震、津波が起こりまして、実は三時前に危機管理センターに入りました。すぐ、電源が遮断をした、あるいは冷却装置の問題等々、一時間、二時間ぐらいで起こりまして、実は私は、防災担当大臣ですから、自然災害という意味で地震、津波由来の仕事はやるけれども、原発由来の仕事は経済産業大臣あるいは官房長官等々と、切り離しておりました。

 そういう意味では、少なくとも東電に対する対応というのは、菅総理は、いろいろな評価をされますけれども、かなり厳しく言われておりましたし、少なくともあの一週間というのは的確な指示を出されたというふうに私は思っております。

 それこそ、警察、消防、自衛隊、海上保安庁、マンパワーは、いわゆる原発の方でも命がけで、今おっしゃったように家族のことを心配しながら、また、命令する自衛隊の皆さんとか警察の皆さん、消防庁の皆さんは、上司が本当に涙を流しながら命令をしてきたわけですから、そこのところのおもんぱかりも、菅総理も、それが終わった後、ちゃんと危機管理センターに来られて、そういったマンパワーに対するお礼を述べられていたことは今思い出しております。

 言ってみれば、危機管理というのは、ぶれない、ひるまない、そして責任は自分がとるということに尽きるのかなというふうに思いますけれども、さまざまな状況の中でさまざま対応していかなければならない。そういう意味では、自分自身もあの危機管理センターの十日間はかなり厳しい状況でありましたけれども、いろいろな指示を出していろいろなお願いをしていきながら最後は自分が責任をとるという、いわゆるガバナンスというか、そういう意味では、菅総理はあの十日間は的確に指示をされたというふうに私は思っております。

福井委員 ありがとうございました。

 ブッシュの回想録を読んでいましたら、こんなくだりがありました。九月十二日、大統領はどのようなお祈りをなさろうとされていらっしゃいますか、どのような胸のうちでいらっしゃいますかというクリスチャンのライターからの質問を受けて、それまで、二十四時間ぐらいですね、ぐっとこらえていたものが、目から涙があふれて、のどが詰まって、こう答えたと。私は、今、自分のことなど念頭にありません、犠牲者の遺族や子供たちのことを考えています。私は情愛の人間だが、同時に、やるべき仕事があるので、その仕事がなされなければならないというふうに答えた。そして、瓦れきの上に立って、消防士を励ました。そして、その消防士は、リパブリカンじゃないんですね、デモクラッツなので、ブッシュなんてだれも書いていない、だれも書いていないファイアファイターが、アイム・プラウド・オブ・ユー、アイム・プラウド・オブ・ザ・プレジデントと言ったんですね。それは回想録に書いてありませんけれども、そういう報道があった。

 今、菅総理のことを私は誇りに思いますという日本人が、民主党の皆さん方を除いて、だれがいらっしゃるかということなんですね。そこなんですよ。

 要するに、私に言わせれば、多分、三月十二日だったか十三日だったか、菅総理は記者会見で、私は頑張り抜きますとおっしゃったんですよ。私はというふうな主語にしてコメントをした、恐らく世界史上最初の指導者、あえて指導者と申し上げたら、だと思いますね。普通は、この危機は必ず乗り越えられなければならないとか、国民一丸となって一緒に頑張りましょう、だれ一人孤独じゃない、これが普通です。私は頑張り抜かなければならない。何で私なんですか。頑張るのは当たり前です。そんなことじゃなくて、冥福を祈り、そして一日でも早く、福島の人も、おうちに帰る、うちに帰りたい、うちに帰りたい、とにかく家に帰る、ふるさとをもう一度復興する、これが日本の底力、これを皆さん方と一緒にもう一度発揮しよう。私は頑張り抜きますというコメントが出るはずがないんですよ。なので、私は、菅直人を誇りに思いますという人が今一人もいないんだと思いますね。

 ですから、内閣不信任案が通るまでは松本大臣は守っていただいて結構なんですけれども、今そういう状態にあるということを御指摘させていただかなければならないということでございます。

 そこで、委員長のお許しをいただいて、資料をきょうはいっぱい配らせていただきました。廃棄物でございます。

 各党、御質問がいろいろありましたけれども、私の方で、現場で何が困っているかということで、二問させていただきたいと思います。

 まず、包括的に申し上げると、一番困るのが一時集積場ということでございます。この原単位が、これがもうすごくて、敷地が三ヘクタール以下の場合は、一ヘクタール当たり二から三万トンしか集積、仮置きできないんですね。今、二千五百万トンですよ。二千五百万トン割る三だと八百ヘクタールですよ。八百ヘクタール、一次仮置きの場所が要るんですね、面積が要るんです。八百ヘクタールということは八平方キロ、ということは、ルート八で、まあまあざっと言って三キロ、三キロ。三キロ、三キロの面積を、岩手県のリアス式と、そして、仙台はちょっと広いかもしれませんが、宮城県の町々、港々で、これは、政務官は現地に行かれたでしょうけれども、どうやって。一次仮置きの場所で八百ヘクタールが要るんだ、この量と私たちは今闘おうとしているんだということを、まず課題の一番目に挙げさせていただきたいと思います。

 そして、その後、処分先。これは、いろいろな人がもう既に指摘をしております。焼却にしても埋め立てるにしても、この処分先をまず決めておかなければ、そこで、そのサイト、サイトで、どうやって分別をして、どこに持っていくかという計画が立てられないということで、処分先の確保。

 そして、現場の情報ですけれども、焼却場。これは、今ある焼却場だけではとても足らないので、仮設の焼却場が必要ですということですね。

 そして四番目が、最後に、仮設、ポータブルな簡易な浄化槽。これは、我が自民党の小野寺議員の報告、先週でしたか、気仙沼の港で火事があって、消し終わってその現場に行ったら真っ白だったというんですね。現場が真っ白。ですが、泡で真っ白じゃないんです。ウジだった。これはすごい。要するに、魚にわいているわけですね。ウジ虫がわいていて、その現場全体が真っ白で、ホラー映画のようだったというのが小野寺先生の報告でございました。

 事ほどさようで、被災地、そして集積場で、簡易な、先ほど部長も来られていましたけれども、下水処理場は修復までには半年、一年かかりますから、きょう、あしたのことで、簡易処理場をいかに早く、そして、別に一けたppmじゃなくたっていいんですよ、五十でも六十でも、微生物で汚濁を減らせばいいということだと思いますので。

 二ページ目に、これは神戸で実際に活動した仮設焼却炉の写真。そして、その下が、この仮設、決してポータブルじゃないんですけれども、六・六メーター掛ける三十三・二五メーターで、直列で、二列の四列という浄化槽、要するに合併浄化槽のでかいもの。

 もともと、やはり浄化槽、合併浄化槽という厚生労働省の行政と、そして下水道部で公共下水道、要するに農集などの管を使った終末処理場に持っていく、そういうスポット、スポットの汚水の処理と、それからシステムとしての汚水の処理、この間のものが必要だった、そして暫定的なものが必要だった。これは今回、もっとさらに確認をさせていただいたわけです。もともと必要だったんですけれども、やはり必要だなと思いましたので、これは各県あるいは各市町村で準備をしておかなければならないということだと思います。

 そういうことを学習させていただいた上で、そこで、また褒め殺しじゃないんですけれども、今回の場合は、まず、国土交通省の東北地方整備局が道路啓開をしまして、道路啓開というのは普通もっと早くいくんですけれども、瓦れきの中に御遺体がいらっしゃるものですから、そのたびに警察と消防を呼んで本当に大変な作業をしていただいて、やっと道路が、東北道が、背骨が大丈夫だったものですから、この肋骨を啓開道路として整備して、そして今、民地の方の瓦れき処理というふうに作業が進んできているわけですけれども、そういう国土交通省の所掌事務ののりを越えて、もうとにかく人命救助ということで、国土交通大臣の命を受けて、のりを越えてやっていただいている。

 そして、福島の原発の放射性物質を含んだ、本来なら、環境省はわしは知らぬということでエクスクルーシブになってもおかしくない行政範囲を、原子力安全・保安院、原子力安全委員会、そして環境省で一緒に会議をしながら、その各省庁で会議室を転々としながら、お互いに攻め込み合うといいましょうか、排除するんじゃなくて、お互いに入り込みながら連携して今廃棄物処理の行政をしていただいているんですね。これは本当にありがたいです。

 ですから、縦割り行政の弊害というよりは、むしろ縦割りが一緒に、本当にバンデージになって今一緒に震災対策をやっていただいているというふうに、実際にそう思いますので、そういう行政を松本大臣はこうやって指導した、苦労したけれども、今こういう状況にあって、これからもそういうことで、横ぐしの、復旧復興に向けて頑張りたいということで、ぜひ御決意をお述べいただきたいと思います。

松本(龍)国務大臣 今御指摘の小野寺議員とか、石巻の安住議員とか、もう二カ月前から携帯で連絡をとり合っておりまして、現地の声は、宮古の市長、陸前高田の市長、南三陸の町長も、みんな現地の様子を聞いております。

 瓦れきが阪神・淡路の一・七倍、二千五百万トンという中で、私も指示したのは、今おっしゃるとおり、漁港は農林水産省、港湾は国土交通省、海岸は県だ何だかんだ、自然公園は環境省だということを、とにかく縦割りを取っ払って、ぶつかって初めて瓦れきが処理できるんだということを指示いたしました。ですから、みんな出張って出張ってぶつかってくれよということで、まず、そういう縦割りの弊害をなくすように指示をして、最初に環境省に言いましたのは、今先生御指摘のとおり、このロットの大きさがすごいものですから、全国の仮置き場、全国の処理場、全国の埋立地、使われていないゴルフ場、民有地、すべて探してくれということで指示をしたところであります。

 そういう意味では、かなりの数の多さの瓦れきですから、各地域の首長さんも本当にもう、私が行って、頑張ろうなと言ったら、情けないですよねと言って、私も情けないし、首長も情けない、お互い頑張ろうよという励ましをしていきながら、今、少しずつですけれども瓦れきの処理をしているところであります。

 さらに、先ほど触れていただきましたけれども、国土交通省、海上保安庁を初め、警察、消防、自衛隊、実は十日間で二万七千人の人命を救助されました。この十日間で二万七千人の命を救ったというのは、世界で特筆されるべき事柄だというふうに私は思っています。危機管理センターにずっといましたけれども、毎日毎日、救助した人たちの数がどんどんどんどんふえてくるということは、つらい危機管理センターでしたけれども、ああ、みんな頑張っているな、夜も昼もなくて頑張っているなということで、余計なことかもしれませんけれども、委員の皆さん、十日間で二万七千人救助したということは、この震災で記憶にとどめていただきたいというふうに思っております。

福井委員 ありがとうございました。

 もう一つ、廃棄物で、五月二十七日に廃棄物対策課長の方から通達文書を出していただきました。本当にありがとうございました。

 従前から、道路維持工事の設計積算規準と、それから、環境省には阪神・淡路のときしかなかったものですから。平成七年の通達というか、瓦れき処理の経費の積算については、解体だけ諸経費率を一五%上乗せするけれども、ほかの瓦れき処理はそのままだったんですよ。直接工事費だけで請け負う業者というのは一人もいませんから、そんなもの。当時の神戸では、解体の部分の一五%で何とかとんとんといいましょうか、多少赤字が出ても何とか我慢して御協力申し上げたというのが業者の立場だったんですね。

 ですから、今回は瓦れきの量も違いますし、業者の数も違いますし、そういうわけにはいかないということで、何回も陳情させていただいたんですけれども、五月二十七日の課長通達ということで、共通仮設費と現場管理費と一般管理費を上乗せしていただいて、地元にしても、それからよそからにしても、普通に業者が受注できる体制をつくっていただきました。本当にありがとうございました。

 政務官、どうですか。それと、大臣、この通達の動機といいましょうか意義と、今後の決意をちょっと御紹介いただきたいと思います。

松本(龍)国務大臣 詳しくは政務官の方から後ほど答えていただきますけれども、実は、十六年前の一月十七日の阪神・淡路のとき、瓦れきの処理は厚生省でした。私は、三週間ぐらいして復旧復興プロジェクトの座長をしまして、実は、個人住宅、中小企業は全部、解体も瓦れきも国費で九七・五%見るという通達をすぐ出しました。大企業も、解体は見ないけれども、ある要件をつけまして、瓦れきの処理を市町村がするときには、瓦れきの処理も面倒を見ようということも、実は自民党さんの知恵がありまして、そういうスキームをつくったことを今覚えておりまして、瓦れきは、実は環境省の中でも私が一番昔のことを知っておりますので。

 ちょっと政務官とかわります。

樋高大臣政務官 大変恐縮でございます。

 先ほど福井先生から、さまざまな災害廃棄物処理に係る課題を受けとめさせていただきました。御高説、本当に感謝を申し上げる次第であります。先生は建設省出身で、プロでございます。ぜひ今後とも、また引き続き御指導いただきたいと思う次第であります。

 諸経費、事務費につきましてでありますけれども、今大臣からもお話がありましたとおり、阪神・淡路大震災の際は、解体作業にかかわるもののみを補助対象としてきたわけでありますけれども、これは、発生した瓦れきの多くが地震により損壊した家屋等の解体作業に伴うものであったことを踏まえたものでございます。

 他方、今般の東日本大震災におきましては、阪神・淡路大震災とは異なりまして、空前の大津波により膨大な瓦れきが広範囲に散乱をしている状況でございます。こうした瓦れき処理の現場における作業は、仮設事務所の設置あるいは作業員の保険料等を要する土木工事そのものの体制で行われておりまして、こうしたことを踏まえ、今般の東日本大震災におきましては、解体作業のみならず、瓦れきの撤収、運搬作業に必要となる諸経費や、事業を遂行するために必要となる計画策定等の事務費を特別に認める必要があるとの結論に至ったところでございます。

 瓦れきの処理に必要な諸経費及び事務費につきましては、今申し上げましたとおり、現地における作業が、仮設事務所の設置やあるいは作業員の保険料等を要する土木工事そのものの体制で行うということを踏まえまして、先生からのかねがねの御要望もしっかりと受けとめをさせていただきまして、補助対象とさせていただいたということでございます。

 今後とも御指導いただきますように、よろしくお願いいたします。

福井委員 どうもありがとうございました。

 続いて、大臣、今は所掌事務じゃないんですよ、ですけれども、環境から放射能を除くというのはやはりおかしいですよね。ですから、今回の事象を通じて、所掌事務の拡大、環境省としてこれをぜひやっていただきたいというお願いを込めまして、資料をつくらせていただきました。

 これは、最初の一歩で、放射線リテラシーというのは環境省が所掌するんだというふうにしてはどうかなということなんです。放射線は、後ほど質問しますけれども文部省の審議会もあるし、それから原子力安全委員会もあるし、原子力安全・保安院もあるし、それぞれの法律に基づいてやっているんですけれども、その読み解き方ですね。今起こっている事象の読み解き方というのは、まだだれもやっていないわけです。ですから、何マイクロ、何ミリシーベルト、何じゃら何じゃらという議論は、勝手にテレビや新聞、そして委員会でも飛び交っていますけれども、その基軸となる読み解き方、後ほど物差しの方も御紹介しますけれども、それをぜひ環境省の方で、だれか一人でも決めて、審議官でも決めて、情報を発信していただきたいなということなんです。

 まず、三種類あるというのをずっと人に説明していて、それはどういう三種類かというと、核融合と核分裂と核崩壊なんですね。

 核融合というのは、もう御存じのとおり、水爆のもとで、太陽の真ん中で起こっている水素と水素がヘリウムをつくっているという反応で、これは百万年とか五十万年とかいろいろ説はあるんですけれども、とりあえず百万年、ぎゅっと圧縮していますから、高圧で高温で、そこからエネルギーが出てくるまでに、光が出てくるまでに物すごい時間がかかって、百万年かけてようやく太陽の表面に来て、太陽の表面から八分二十秒で地球に届きますけれども、太陽の表面六千度より、地球の真ん中の方が熱いんですよね。なんですけれども、とにかく核融合というのは、日本の、地球温暖化もそうですけれども、世界のエネルギーの源。これが核融合ということはだれでも知っている。

 核分裂、これは原爆のもと。これもだれでも知っている。ウランに中性子が当たって、そして分裂しながら、倍々ゲームで、超臨界ということで原爆がある。臨界、一が一だったら、中性子一個が中性子一個だったら原子力発電所という、これはだれでも知っている。

 しかし、今回は核崩壊なんですね。陽子と中性子が一個一個、一対一という元素の方が少なくて、中性子の方が多い元素の方が多いんですよ、実は。なので、中性子が多いと勝手に核が崩壊していく。そのことが今、融解しているかどうかは別として、燃料棒の中で起こっているというのが核崩壊。

 セシウムというのは、ベータ崩壊を起こして、これが半減期三十年、そしてガンマ崩壊を起こして、これは半減期二分半。今問題になっているセシウム137というのは、ベータ崩壊、ガンマ崩壊両方起こしてやっと初めてバリウムになるということで、ということは、ベータ線も出てくる、ガンマ線も出てくるということなんですね。ベータ線も体内被曝、体外被曝とも危ない、ガンマ線も体内被曝、体外被曝とも危ないということ。要するに、核崩壊だ。

 二枚目に今ちょっと言ったことが書いてありまして、核崩壊に始まり、今回は核崩壊と闘っている。核崩壊に始まり、まだ終わっていないから、核崩壊と闘っている。核崩壊というのは地球の真ん中で起こっていることですね。ウランとトリウムが核崩壊をして、そして、太陽の表面よりも熱い八千度という地球の真ん中の温度を保っているのは核崩壊。ウランとトリウムがあるから、核崩壊しているから地球の真ん中が熱い、その熱を冷ますためにマントルが対流する、それと同時にプレートが動いていく、プレートが動いていくから、太平洋の真ん中で、こっちはアメリカ、こっちは日本ということでプレートが動いていく、そしてプレートとプレートがこすれて、ひずみがたまってプレート境界地震が起こる、プレート境界地震だから津波が起こる、津波が起こって原発の電源が喪失されて、原子炉の中の燃料棒のウランから分裂したセシウムと沃素の核崩壊の熱で今困っているんだ。地球の真ん中の八千度の熱をつくる核崩壊なんだから、二千度、三千度なんてすぐなりますよということなんですね。

 そこがわからないところなんです。核崩壊というのは何千度という熱をつくる、そういう反応なんだということが、ここがポイントなんですね。だから、地球の真ん中で起こっていることと燃料棒の中で起こっていることは全く同じであって、原因と結果であって、そしてその最後の結果と今私たちは闘っているんだ。だから、二千度、三千度というふうになる、要するに、溶けてしまう、溶解するという意味、理由と、そして核崩壊がずっと、セシウムが半減するのに三十年、その半分の半分だから四分の一になるのに六十年というぐらいの年数がかかっているということ。

 そして、もっと大事なのは、この四角の中の二行目に書いてある。ウラン235、239だけだったら、ここまでの放射線は出ないですね。セシウムと沃素が多くなったから、燃料棒から出ている放射線が高まっているわけです。つまり、半減期が短いんだから。ウランは七億年でしたか、要するに半減期が長い。半減期が短い元素に変わってベータ崩壊をし、ガンマ崩壊をするから放射線量がふえる。十億倍になる。だから、使用前燃料より、今の使用した燃料の方が放射線量は十億倍多いんですよね。こういうことをわかっているんだったら、もうちょっとやり方があるだろうと。

 要するに、ダメージコントロールという、ちょっと話が、これは資料にないですけれども、珊瑚海海戦とミッドウェー海戦の間にアメリカ軍がしたことと日本軍がしたことの違いというのはダメージコントロールということで、アメリカ軍の空母は、飛行機が飛ぶ甲板と船員が暮らす居住室との間に空間があって、その横っちょに、燃えたら、その燃えたものをブルで海に押し出す、そういう設計をしていたんです。日本軍はそれがないんですよね、ダメージコントロールという発想がないから。つまり、ダメージがあるということを前提に空母を設計したのがアメリカ軍。

 だって、珊瑚海海戦は日米とも空母の損傷率は一緒だった、引き分けだった。珊瑚海海戦で引き分けだったのに、何でミッドウェー海戦で負けたかというのは、ダメージがあるということを前提に設計し、ダメージがあるということを前提に作戦を組み立てるという考え方はアメリカにしかなくて、日本軍になかったから。

 ダメージがあるということを前提に設計するということは、我々土木屋もなかった。これは本当に、学習しなければ切腹物だと思っています。

 そういう、例えば十億倍になる放射線量を前提にダメージコントロールするということが、原子力発電所なり原子力発電所の周辺の災害対策計画の思想になかった。だから、避難路の設計思想にもなかった。こういうことなんですよ。

 そういうことなので、科学技術の失敗は必ず科学技術で乗り越えなければ、今逃げて、また帰ってもらいますけれども、風評被害に遭った人への示しがつかない。科学技術で必ず乗り越えなければならないということです。

 きょうは水質汚濁防止法なので、この前ちょっと御紹介しました橋本龍太郎元首相の亡くなる半年ぐらい前のお言葉で、とにかく、水俣病を起こした失敗、イタイイタイ病を起こした失敗、それを完全情報公開、そして、どうして乗り越えたかということは日本人は世界に誇るべき、水俣病を克服し、イタイイタイ病を克服し、それを世界に示すことによって、まさに環境立国、これが日本の国の形だ、これをぜひ実現してもらいたいというのが橋本龍太郎元首相のお言葉だったのです。物すごく印象に残っていて、先日も、委員会、分科会で大臣に御紹介しました。

 ですから、科学技術の失敗は必ず科学技術で乗り越える、そういう証明を、水質汚濁、そして大気汚染の四日市のぜんそく、水質汚濁、大気汚染の失敗は必ず科学技術で乗り越えたということを私たちはもう実証しているわけですから、この放射線の世界も、放射性物質の拡散の世界も必ず科学技術で乗り越えることができる。そして、それを、まずリテラシーという行政分野をつくって、環境省がその先頭を切って頑張るんだということをぜひおっしゃっていただきたいなと思って御質問をさせていただいたので、御感想でも結構でございますので、ぜひよろしくお願いします。

松本(龍)国務大臣 これからはプロフェッサー福井と呼ばせていただきます。

 本当に大変な状況の中で、科学技術は乗り越えることができると。私は、まだまだ日本は克服していないというふうに思っております。

 そういう意味では、科学というか、人間は知っていることに対してかなり傲慢だったなということを、この間ちょっと思っております。生物多様性のときも世界の人にちょっと言いましたけれども、知見に対して傲慢になってはいけない。私は、とりわけ原子力につきましては、脱原発も推進派も、ある意味では政局でずっとそういうことが議論をされてきて、基本的な、科学ということに対して余り本当に追求していなかったなということを、このごろ自分自身の反省も含めて思っております。

 そういう意味では、これから、さまざまな世界じゅうの知見を集めていきながら、さまざまなリスクに対応していくようなやり方をやっていかなければならない。環境省もいろいろ取り組んでいかなければならないと思いますけれども、今言われたことをしっかり腹に入れながら、これから努力をしていきたいと思います。

福井委員 ありがとうございました。

 次は、文部省の方からちょっと御答弁をいただきたいんですが、文部省の方も委員の先生方もごらんいただきたい。この「恐怖との戦いに備えるものさしの例」というので、長崎出身の先生もいらっしゃる中でちょっと恥ずかしいんですが、古い資料を調べました、きょうも原発の集中審議だったので。この「今は相当深刻」という顔の上の文字をずっと目で追っていただきたいんですけれども、最初は二枚目の方がいいですね。

 広島は八十七日後、長崎は七十日後ですけれども、爆心地ですよ、爆心地。広島は六百メーター上空、長崎は五百五十メーター上空で爆発したわけです。まさにその真下、爆心地で、それは二カ月半、三カ月後とはいえ、〇・七マイクロシーベルト・パー・アワーなんですよ。〇・七マイクロシーベルト、これを年間換算したら、四捨五入しても四ミリシーベルト。

 きょう、各政党が質問をされていました。二十ミリって何なんだよ、二十ミリにさらすのかよと。広島、長崎の爆心地の五倍の放射線を我々の、日本のかわいい子供や孫に浴びさせるのか、それはないだろうというのが物差しですね。広島、長崎の爆心地の放射線量の五倍を今浴びさせようとしているんだ、これをぜひ物差しに使っていただきたい。

 確かに、ホットスポット、これは少ないんですよ。広島は高須地区、長崎は西山地区というんですけれども、これは十倍ぐらいです。それでも、飯舘村とかの放射線量ぐらいですよね、今現在で。そういう最も厳しい、これは相当深刻だなという壁が右側にある。

 逆に、いや、そんな深刻に考えなくてもいいんだということもあるんですね、物差しの一番こっちの方で。

 人間は、六十兆個細胞があります。これは予算委員会で放射線科の先生が数年前に証言されましたけれども、がん細胞は毎日六千個できているんですよ。六千勝ゼロ敗掛ける三百六十五で、一年間、やっとがんから逃れたという闘いを私たちはやっているわけですので、低線量の場合、ではそれが六千一個の確率なのか、六千二個の確率なのかというぐらいのものでしょう。

 それから、放射線ホルミシスというのもあります。ラドン温泉にわざわざ入りに行くという世界もあります。

 そして、長崎の西山地区というホットスポットでつくったジャガイモもオーケーだったし、土壌も、三百六十一・五ベクレル・パー・キログラムだったんですよ、一九七三年ですけれども。

 ですから、こちら側は、そんな深刻に考えることはないという壁であり、スケールがある。こちらは、本当に深刻だというスケール。

 どちらにしても、物差しの中の読み解き方として、これは今は常識になっていますけれども、毎日じわじわ出続けているということ、そして、水素爆発で広域に広がったということで、これはチェルノブイリ並みという言い方もできるし、広島、長崎よりもはるかに深刻だという言い方もできる。合わせて二十一万人亡くなっていますから、いや、それより深刻ということはないだろうと。それは確かに、ばんと爆発した瞬間に、熱と中性子で二十一万人亡くなっています。だけれども、その後は、一カ所、一カ所ずつのホットスポットだけで済んでいるわけです。黒い雨が降って、そのスポットだけで済んでいる。今は、このホットスポット、どこにあるんですか。後ほどまた文部科学省にやってもらいますけれども、どこにあるかもわからない。

 そして、ホール・ボディー・カウンターも、日本に何十台しかない。各小学校に一台ぐらい、ホール・ボディー・カウンターを配備してくださいよ。とにかく、一人一人の被曝量、これを完全把握しない限り、冒頭大臣に申し上げました、一生恐怖と闘わなければならない。私たちが今からタックルしなければならないのは、恐怖なんですよ。発がんの恐怖、白血病にかかる恐怖なんです。この恐怖をどう解いていくか、恐怖から国民をどう救うか、これをぜひ考えてもらいたい。

 そこで、放射線審議会というのが文部省にあります。原子力安全委員会は別にあります。だけれども、放射線審議会というのは、今、文部省にありながら、聞かれたら答えるという受け身なんですよね。聞かれたら答えてあげるというだけなんですよ。これはないでしょう。

 だから、環境省もリテラシーでスコープ・オブ・ワークを広げるべきだ。そして、文部省の放射線審議会もスコープ・オブ・ワークを広げるべきだというふうに思いますが、放射線審議会、三月十一日以来今まで何をやってきて、これから何をしようとしているか、事実関係を教えていただきたいと思います。

渡辺政府参考人 御説明申し上げます。

 放射線審議会というのは、放射線障害防止の技術的基準に関する法律というのに基づいて、放射線障害の防止に関する基準を法令に定めるに際して関係行政機関の長から諮問を受けた場合に、技術的な斉一を図る観点から審議を行って、その妥当性について答申を行うという機関でございます。

 今回の東日本大震災に関しまして、東日本大震災後における活動としましては、三月十四日に経済産業大臣及び厚生労働大臣から、また三月十六日に人事院総裁から、それぞれ、原子炉等規制法、労働安全衛生法及び人事院規則に定める緊急作業時の被曝線量限度を百ミリシーベルトから二百五十ミリシーベルトとする諮問を受けまして、放射線審議会は、IAEAとの、国際的に容認された推奨値との整合性の観点から審議を行って、この諮問が妥当であるという答申を行ったところでございます。

 また、あわせまして、三月二十六日に、本件について国民の理解を得るべく、声明を取りまとめて公表しているところでございます。

福井委員 ちょっと時間がなくなってきましたので、最後の資料ですけれども、たまたま中部電力の社長が同級生なので、まさに本当に菅さんを救った一人なんですけれども、その八七%という数字が、ではどうしてその七という数字は出るんだ、ラウンドじゃなくて、八割とか七割とかじゃなくて、東海地震の起こる確率が八七というのはどうやって計算しているんだという、何回も委員会で質問を受けながら、このグラフを出さないから、それこそ読み解きができないし信用もされないというので、政府のためにグラフをかいてきてさしあげました。

 これは、ほとんど対数正規分布と一致している。ほとんど正規分布と一致しているんだけれども、地震の確率ですから、直線にブラウン運動を重ねて擾乱も考慮に入れたという、ほとんど正規分布を前提として計算しているんですね。

 この場合、東海地震の場合は、今まで平均間隔が百十九年、そして標準偏差が二十四年というそのグラフを使って、そして一八五四年が前回、今は二〇一一年だから百五十余年たっているということで、ここにその現在のグラフがあって、今から三十年以内に起こる確率というのは、だから、二〇四一年と二〇一一年の間のこのaという面積を分子として、残る二〇四一年以降のこのグラフの面積、aプラスbを分母として計算したら八七%になるということなんです。ですから、標準偏差の決め方にすごく依存するんです。

 これは偏差値と一緒ですからね。偏差値と一緒なので、偏差値四〇から六〇の人が大体六八%ということは皆さん御存じですよね。そういうことを考えると、平均間隔まで来たら、残る三十年間隔というのは大体八〇%に近づくんですね。ラウンド八〇%。だから、平均間隔まで来たら、もう八割なんです。それからだんだんふえていく。だから、この七という数字が重いから、平均間隔をもって八〇%まで来ちゃうから、だんだんだんだん、今でいうともう三十年ぐらいたっているということなので、その七という数字の重さゆえに、八七%というのをわざわざ丸めないで出しているというふうに推察をされますけれども、そんなこんなでよろしいかどうか、読み解き方をぜひ解説していただきたいと思います。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 我々の説明の際にも、これからぜひ参考にさせていただきたい。ありがとうございました。

 いろいろ使われていた数字、非常に正確であると思います。

 少しだけ補足させていただきますと、地震につきましては、過去の大地震、数が大変少のうございます。まさに委員御指摘のとおり、過去、百十九年間隔でしか記録がございません。地震の統計をとるには、やはり過去の地震をできるだけ多く集めてそれを統計処理するという形になります。実は、過去の記録は四つの地震しかまだ確認されておりません。四つの地震といっても、その一番古いものは一四九八年ですから、もう相当昔のものを文献記録できちっと調査をして、各地の震度を推定し、それからマグニチュードを推定したというようなことをやってきているわけでございます。

 八七%をどうやって算出するのかというとき、私ども通常は、適切な統計処理をしてこれを算出しましたというあたりにとどまっているわけでございますけれども、確かに、百十九年というレンジを過ぎれば、そこでもうかなりの高い数字は出るわけでございまして、きょういろいろ御指導いただきましたと思っております、それをぜひ今後の地震の発生確率説明等に生かしてまいりたいと思います。どうもありがとうございました。

福井委員 ありがとうございました。

 エネ庁の方にはちょっと申しわけないんですけれども、あと一問だけしか時間がなくなってしまいました。

 先ほどちょっと触れましたけれども、何よりも大事なのはホットスポットの地図ですね。

 ホットスポット発見隊、捜索隊、これを早く組織して、二十キロ圏内よりも、中にも入って、文部科学省が一元的に、一キロメッシュじゃ許しませんからね、そんなのは。子供が許さない、親が許さないですから。日本人が許さない。ですから、できれば二十センチメッシュとでもいいましょうか、とにかくじゅうたん爆撃で、リモートで一キロメッシュだとか何キロメッシュでやる、そんなのはもうあり得ないですから。すべての土壌、すべての地表の草の放射線量をはかって、そして、ここにフォールアウトが集中しているというホットスポット地図をつくってもらわなきゃ、これはもう本当に帰れませんよ、心配で。

 ですから、一日も早くふるさとに帰すという私たちの目的を果たすためにも、何よりも大事なホットスポット地図の作成の決意を文部科学省から伺って、質問を終わらせていただきたいと思います。

渡辺政府参考人 先生御指摘のように、いわゆる土壌の濃度マップというのは非常に重要だということを考えておりまして、まず、今私ども、広域にわたる濃度マップをやろうとしておりまして、先生御指摘のものはもうちょっときめ細かく、ホットスポットがわかるようにということを御指摘だと思います。

 我々、段階を追って、この濃度マップを、地上での測定それから航空機からのマップづくりというものを含めまして総合的に進めて、情報をきちんと把握して、地元の方たちが今後の生活のよりどころにできるような情報をきちんと提供していきたいと思っておるところでございます。

福井委員 時間が参りました。終わります。

 ありがとうございました。

小沢委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三分散会


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