衆議院

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第11号 平成23年7月15日(金曜日)

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平成二十三年七月十五日(金曜日)

    午前九時三十二分開議

 出席委員

   委員長 小沢 鋭仁君

   理事 大谷 信盛君 理事 太田 和美君

   理事 田島 一成君 理事 中野  譲君

   理事 横光 克彦君 理事 田中 和徳君

   理事 吉野 正芳君 理事 江田 康幸君

      石田 三示君    川内 博史君

      川越 孝洋君   菊池長右ェ門君

      工藤 仁美君    櫛渕 万里君

      近藤 昭一君    阪口 直人君

      竹田 光明君    玉置 公良君

      樋高  剛君    森岡洋一郎君

      山崎  誠君    吉川 政重君

      井上 信治君    後藤田正純君

      近藤三津枝君    齋藤  健君

      丹羽 秀樹君    福井  照君

      古川 禎久君    町村 信孝君

      佐藤ゆうこ君

    …………………………………

   環境大臣         江田 五月君

   外務副大臣        伴野  豊君

   経済産業副大臣      松下 忠洋君

   環境副大臣        近藤 昭一君

   環境大臣政務官      樋高  剛君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房技術総括審議官)       西本 淳哉君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           山本 達夫君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            安井 正也君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        安藤 久佳君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院審議官)   黒木 慎一君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   伊藤 哲夫君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  鈴木 正規君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  渡邉 綱男君

   環境委員会専門員     高梨 金也君

    ―――――――――――――

委員の異動

七月十五日

 辞任         補欠選任

  岡本 英子君     菊池長右ェ門君

  櫛渕 万里君     竹田 光明君

  井上 信治君     齋藤  健君

同日

 辞任         補欠選任

  菊池長右ェ門君    岡本 英子君

  竹田 光明君     櫛渕 万里君

  齋藤  健君     井上 信治君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 環境の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

小沢委員長 これより会議を開きます。

 環境の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として経済産業省大臣官房技術総括審議官西本淳哉君、経済産業省大臣官房審議官山本達夫君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長安井正也君、資源エネルギー庁資源・燃料部長安藤久佳君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院審議官黒木慎一君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長伊藤哲夫君、環境省地球環境局長鈴木正規君、環境省自然環境局長渡邉綱男君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小沢委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中和徳君。

田中(和)委員 おはようございます。自由民主党の田中和徳でございます。

 江田大臣に伺う前に、まず、当委員会の理事会、理事懇談会に常に御出席をいただいております樋高政務官にお尋ねをいたします。

 私は、前任の松本環境大臣が防災担当大臣を兼任しておられるということに対して、極めて問題があるということで、この委員会でもあるいは理事会の席でも発言をしてまいりました。我が自由民主党といたしましても、党の意見を集約し、早く兼任をやめていただくように、菅総理、政府側に強く申し入れてまいった経過がございます。

 しかし、今回松本大臣も、大変残念なことでありますけれども復興担当の大臣の職を辞されたということでございますが、身も心も、兼任がずっと続き、この環境の仕事もずっと大変だったんですね。ましてや、今回の大地震、大災害の担当ということで、防災の責にあった大臣ですから、本当に大変だった。まさしく身も心もすり減らした。御入院をされたということですから、お見舞いを申し上げますとともに、一日も早い御回復を願うんですが、私は、我々が指摘したことが現実のものになっている、こう思っていたんですね。

 再び今回、超大物の江田五月大臣が、三権の長もお務めになったという大変なお立場の先生が法務大臣になられたときにもいろいろな議論がありましたけれども、環境大臣を受けられた。本当に菅さんのところに伝わっているんだろうか、政府の方はわかっているんだろうかと私はちょっと疑っているわけですね。

 樋高政務官、その辺のいきさつについて、どういうふうになっているのか、びっくりしているんですが、御答弁を願いたいと思います。

樋高大臣政務官 田中先生におかれましては、日ごろから日本の環境政策推進のためにさまざまな御指導をいただいております。冒頭、心から感謝を申し上げさせていただきたいと思います。

 今の兼任ということについてでありますけれども、私自身は、いきさつについては大変申しわけないんですが承知をしていないところが正直なところでございますが、環境政策というのは本当に、日本にとって、そして世界にとって取り組まなくてはいけない課題が山積でございまして、やはり政治の役割は大きいというふうに思う次第でございます。そんな中にあって、形の上でも、実際に政治主導でリーダーシップを発揮する上でも、そして日本の環境政策を前進させるためにも、やはり大きな役割を担っていかなくてはいけないというふうに思っているところでありますが、私自身は、任命をされる方の立場、政務官でもございまして、どうか、そういう思いを持っているということでございます。大変恐縮でございます。

田中(和)委員 政府側の立場ですからなかなかお答えしづらいんだろうと思うんですけれども、私は、本当はあってはならないことだと思っております。もちろん、大臣の数に限定があることもよく知っておりますが、兼任をするといっても、防災担当と環境とか、法務大臣と環境とか、これはちょっと問題だと重ねて指摘をしておきたいと思います。

 私は、菅総理そのものに大きな問題がある、一つ一つ言ったら切りがありませんので、たくさん問題があると。御本人も、発言をされたようなされないようなところがありますが、だれもが、民主党内も政府内も、間もなく総辞職をされるだろう、こういうふうな、もう分刻みのところだと思うんですけれども、こういうことが外交面、内政面で重大な影響を及ぼすことは、まさしくイロハのイであります。レームダックというものがどういうものなのかということは世界の常識でありますが、こういう事態について、ぜひ私は、副大臣、近藤先生と、樋高政務官、樋高先生に、政治家としてどう考えていらっしゃるか、先に伺います。

近藤副大臣 御指摘をいただきまして、さまざま、菅総理の発言あるいは対応等々に意見があるということは承知をしておりますし、また、今田中委員が御指摘になったこと、懸念があるんだと思います。

 ただ、私は、現内閣のもと、環境の副大臣をさせていただいている中では、とにかくみずからの仕事をしっかりとやることが大事だというふうに思っております。もちろん、そうした自分の職責だけではなくて、政治家としてこうして国会にお送りいただいておりまして、国会の中で活動させていただいているわけでありますから、そうした観点から、できる限り国会の活動が、また政権がよりしっかりと対応しなくてはならない、このことは肝にしっかりと銘じております。

樋高大臣政務官 恐れ入ります。

 私自身、今回の東日本大震災を受けまして、国家の危機だという認識でございます。今は平時ではないと思っているわけでございます。

 そんな中にあっては、やはり、より強いリーダーシップが必要であろうと思うわけでございます。それと同時に、やはり、党派の壁を超えて、与野党が一丸となって、被災地のために今こそ政治がしっかりとした役割を果たすべきであるという思いも持っているところでございます。

 そんな中にありまして、私自身も反省をしながら、一方で、環境省所管であります被災地の瓦れきの撤去など、まず目の前にあることに誠実に愚直に取り組んでいく中でその役割をしっかりと果たしていければ、このように考えているところでございます。

田中(和)委員 副大臣、政務官のお立場でこれ以上の答弁を求めても難しいところがあろうと思いますし、今、樋高政務官の答えの中には、菅総理への御不満が相当あらわれた発言であった、このようにも思っておるところでございますが、次に参ります。

 いよいよ大臣にお伺いをさせていただきます。

 普通だったら、御就任おめでとうございます、御活躍のほどをと言うのが私の立場であろうと思うんですが、こういうスタートの議論になったことをまことに残念に思っております。

 江田大臣は、まさしく、我々の大先輩であると同時に大変な御経歴のある方でございますし、良識の政治家として、親子二代にわたっての御活躍で、心から敬意を表するところでございます。

 今、副大臣、政務官とのやりとりを聞いておられて、うなずいておられたところもありましたけれども、この兼任問題です。

 法務については、先生は大専門でありますから、いかに重きポストかということもおわかりだと思う。環境も、何か御発言のときは素人だとかと言って、謙遜かもしれませんけれども、余り私がそちらの専門じゃないということを菅総理も知っておられて任命されたんだというような御発言も聞いておりますけれども、これは環境省の大臣として考えれば、世界に向けての我が国の環境省のトップとして考えれば、ちょっといただけない。はっきり言うと、とんでもない話だと私は言わざるを得ない。

 大臣自身、今回受けられた環境大臣、我々が主張する、兼任はだめよといったことについて、どのように聞いておられたのか、知っておられたのか、御認識を持っておられたのか、それでもあえてお受けになったというのはどういうことなのかというのをぜひお伺いします。

江田国務大臣 兼任になったということは、大変申しわけなく思っております。

 法務行政というのも大変に重要なものであり、また、環境行政が、この二、三十年ですか、どんどん重要性を増して、今極めて重要な分野になってきていること、これもよく承知をしております。

 私は、所信でもちょっと申し上げたのでくどくど言いませんが、六〇年代に外国から世界全体を見ていて、やはりこれからは人間の歴史というのが環境に大きくシフトしていかなきゃいけない時代が来ているということを痛感して、以来、もちろん専門でもありませんし環境委員会に所属したこともありませんが、それでも、GLOBEといった国会議員の国際社会の活動にも参加をしたり、あるいは鳥類のことなど、その他もろもろ手がけてまいりまして、環境行政に関心がなかったわけではもちろんございません。そんなわけで、この重要性というのはよくわかっております。

 松本環境大臣が防災を兼務された、これは、任命をされた当時は、どこか兼務が必要な、そういう人員の配置になっておりますので、あったかと思いますが、三月十一日の発災以来、これはもうとてもとても防災と環境を兼務できるような状態ではなくなっていて、その中で松本さんが本当に心も体もすり減らしてやってこられたことはよくわかっているつもりでございます。

 そんなわけで、環境とその他のものが兼務というのがいかがなものかという御批判があることはよく承知をしており、しかも、その中で法務との兼務というのはもってのほかだというのは、あるいはそうかもしれない。

 ただ、今回、私がこれを引き受けるときの状況で見ますと、復興対策本部の本部長というものを閣僚をもって充てる、これは専任でなければ今の状況はとても乗り切れない。それにもう一つ、原子力発電を今乗り切っていくにも専任の大臣が要る。そうすると、もうこれはどうしてもどこかが兼務でなければ仕方がない。

 そんな中で菅さんから言われて、言われたときは、とにかく廃棄物のこと、これは相当の力仕事になるからぜひひとつやってくれということでございまして、私ももとより非力ではございますが、ここは副大臣、政務官、そして委員各位の御理解と御協力をいただきながら、とにかく今のこの緊急の事態を乗り越えるために全力を尽くさなきゃならぬと思って、ある意味、必死の覚悟で、身を削っても、命を削ってもやるというつもりで引き受けたわけでございまして、御批判はしっかりと受けとめておきたいと思っております。

田中(和)委員 どう考えても、大臣は今の御答弁、意欲を示してお答えになられましたけれども、任命権者である菅総理の責任というのか、認識の甘さと言ってもいいと思うんですけれども、大変問題があると私は思っています。

 三・一一が起きたから特に問題が起こったんですけれども、その前にもいろいろな、各所で災害があって、大臣が自分自身が行かれなくてかわりの人を行かせたとか、こちらは、環境の方も結局席をあけることになったとかということもあったわけですね。ぜひひとつ、私どもの主張は、継続して兼任問題は指摘してまいりますので、抗議してまいりますのでということを申し上げておきたいと思います。

 今、大臣がおっしゃった瓦れきのことなんですけれども、実は大変大きな問題が起こっているのは、なかなか瓦れきの処理が進まない。私も今一番新しい数字を見ておりますけれども、岩手県で、六市町村では一〇〇%終わっているが、全体で五六%。宮城県では、仙台や石巻で一九%、宮城県全体で三四%。福島県は、原発問題もあり、三県の中でも最も作業が滞っておりまして、二七%。港湾内や漁場の沈んでいる瓦れきの処理はほとんど進んでいない。七月十一日、四カ月を経過してこの状況について、実は、だれもかれもが大変心配をし、憤慨をしているんですね。

 大臣が御就任されて、もう三週間でございます。昨日お話があったんですけれども、大臣が十六日から十七日に現地の三県に行かれるということでございますが、率直に言って、遅うございます。

 それから、環境省ではもう無理じゃないかと。無理ではないか、能力がないんじゃないか、ほかの役所でやらなければとてもできない、こういう話もあります。

 私たちは、そういうことで、実は七月一日に、政府も与党も法案をお出しにならないし、姿形が見えないから、東日本大震災により生じた災害廃棄物の処理に関する特別措置法案を野党で相談して出させていただきました。すると、政府も追っかけで、あっという間に法律案が出ました。変な話だなと私は思っているんですよ。これは環境省のこけんにかかわる問題だし、国民の一番不満が募っているところだし。政府、環境省の対応がこういう状況になっている。

 地元の皆さんも、国の責任と、政治家の、言葉ではあるんだけれども具体に見えてこないこの姿を大変怒っているわけでございますけれども、どう考えておられるのか、どうされるのか、承ります。

江田国務大臣 災害廃棄物の処理が遅い、これは国民の皆さんからも大変に御心配やら御批判をいただいているところでもあり、また今田中先生御指摘のことは本当に重く受けとめたいと思います。

 ただ、今回の災害廃棄物がどのようなものであったか。私は、今週末、現地に行ってまいりますが、法務大臣当時に気仙沼に伺ったことがありまして、四月の初めでした。それはもう大変な事態で、これはまさに、瓦れきといってももうありとあらゆるものがある。しかも、これが津波で大きく移動をして、そこへヘドロもある、潮もかかっている。その上、一つ一つのものが、いろいろな被災者の思いのこもったものがいっぱいあるわけです。それはアルバムだけじゃありません。一本の材木にも、傷がついている、この傷は何だ、おととし孫がやってきて、ここまで大きくなったな、そういう傷なんだ。そういう、瓦れきと呼ぶには余りにも思いが詰まったものを、それでもこれをあえて処分しなきゃならぬ。

 自衛隊十万人の皆さんに大変汗をかいていただいた、市町村の皆さんにも本当に頑張っていただいた、それでもここまでしかまだ進んでいないという状況でございます。

 それでも、今御指摘いただいたとおり、もう生活の近くから仮置き場へは運んで済んだ、そういう自治体も相当出てまいりましたし、これから七月末あるいは八月末、八月末には恐らくおおむねすべての自治体で生活の場から仮置き場への移動というものは終わるというふうに見ております。首を振られる方もおられますが、それは全力をもってやらせていただきたい。

 その上で、しかし、仮置き場までではまだだめなんですね。これは、もっともっと処理を進めて、そして分別もちゃんとやって、最終的な処分まで持っていかなきゃならぬ。それには、今の市町村の力ではとてもできない。あるいは、仮置き場へ持っていくまでも、今の市町村でできない部分もあるだろう。いろいろ言われますが、やはり環境省というのが廃棄物の所管の役所ですから、ここは環境省が頑張らなきゃならぬということで、そういう市町村に代行して仕事をやりましょう、そういうコアの部分の法案を先日出させていただいたわけでございます。野党の皆さんの御提案もわかっておりますが、ここはひとつ、私どもも法案を出しておりますので、ぜひ国会で衆知を集めて環境省に仕事をさせていただきたい、そういうふうに今思っているところでございます。

田中(和)委員 時間の関係で、もう大臣が参議院に向かわれなきゃいけないので、一つだけ、ひょっとしたら御答弁がもらえる時間があるかどうかわからないんですが、重大な問題だけ一つ申し上げておきます。

 これも政府・与党の対応が遅いと思うのでございますけれども、首都圏では今、下水道の汚泥と一般廃棄物のセシウムの問題で騒然としております。

 時間の関係で簡単に申し上げますけれども、実は、下水道の汚泥に関してはあくまでも当面の取り扱いということになっておりますが、一方、食品に関しては原子力安全委員会の定める摂取制限に関する指標値を食品衛生法の暫定規制値として採用しておりまして、セシウムとか放射性沃素とかウランなどについての基準があるわけでございますが、実は、飲料水とか牛乳などは、セシウムの規制値が一キログラム当たり二百ベクレルなんですよ。肉、卵、魚などは、野菜や穀類もそうですが、五百ベクレルなんですね。ところが、下水道の汚泥を、川崎などでは、焼いて、そして廃棄物にして、それをセメント会社に材料として引き取っていただいているんですが、その基準値は百ベクレル以下なんですよ。食べ物よりも極めて厳しい基準値になっているんですね。

 ところが、百以下であっても、放射性物質、セシウムがあるということで、今、受け取りが拒否されています。百にすればいいんです、百以下に。だけれども、それもノー。セメントが売れなくなってしまう。会社のまさしく命運に問題がかかってくる。

 そこで、実は、川崎市は内陸型の、八千ベクレル以下の埋立地が内陸部にないものですから、埋められるんですよね、八千以下だったら。ないんです。それで、実は……。どうぞ大臣、行ってください。もう時間でしょうから。副大臣とやりますから、どうぞ行ってください。聞いていただいて、後であれしてください。

 ですから、結局、下水処理場の周りに野積みしてあるんですけれども、毎日膨大な量が出ますから、これから臨海部の管理型の埋立地の上に置いていくんですが、これもあっという間にいっぱいだと思います。

 これは、たまたま川崎の話をしたわけでございますけれども、何も川崎だけじゃなくて、どこでも起こってくるんです。

 実は、川崎では、生活ごみ、一般廃棄物のモニタリングもいよいよ始まるんです。そうなってくると、今度は、幾ら管理型の、内陸型の埋立地に入れるといったって、地域住民が許さなくなってきますわね。こういうものに対して、きちっとした基準と正しい知識を国民の皆さんにお伝えすること、政府が金銭的にも法律的にもどう責任をとるかということが一向に見えてこないんですよ。

 きょうは吉野理事もこの席においでですけれども、多分、地元では全くもっとはるかに厳しい大変な毎日をお過ごしですから、私の話を聞いていて、何言っているんだという思いもおありだと思うんですけれども、私たちですら大変なことになっているんです。

 どうされるんですか、これ。

近藤副大臣 大変重要な御指摘もいただいております。

 私どもといたしましても、できる限り、一つの基準は設けさせていただきましたが、田中委員御指摘のように、八千ベクレル以下でも、やはり地域の住民の皆さんの不安もあり、なかなか進んでいない、これが現状でございます。ただ、私どもとしては、一つの基準をしっかりつくり、住民の皆さんにもしっかりと御理解をいただく、そしてまた、今御指摘もありました、国がしっかり責任を持つんだということだと思っております。

 環境省といたしましても、特に福島、もちろん今、福島だけではなくて千葉でも、そして都内でも、焼却場についての飛灰の御懸念のことが出ておるわけでありますけれども、できる限り、福島を中心に、放射性汚染に係る物質についての御要望にきちっとこたえるべく、環境省のスタッフの常駐、さらなる常駐という意味でありますが、常駐、そしてまた、法律においても、田中委員御承知のとおり、現在は放射性物質による汚染のおそれのあるということでやっておるわけでありますから、しっかりと、よりきちっとした対応を進めていくためには、法改正も、立法も必要だ、こういう認識でおります。

 田中委員御指摘のことを私どももしっかりと対応してまいる、こういう覚悟でおるというわけでありますし、覚悟だけではなくて、立法のことも今視野に入れて検討しているところであります。

田中(和)委員 福島原発のお地元はもちろんなんですけれども、実は、今回の放射性物質の飛散した事態というのは、本当に深刻な大きな問題になってきております。東京電力は当然一義的な責任を担うわけですし、賠償責任もあるわけでございますけれども、今、法律案が議論されておりますけれども、国の責任を明確にするということはもう避けて通れない状況にございます。

 地方自治体も、どうしていいのか、お金がどのぐらい積み増しでかかっていくのか、本当に、市民の、国民の目線で見たときの姿と、実際にやっていかなければならない処理処分についてどうしていくのかということで、川崎だけの話じゃございません、全部どこの地域でも大変な問題なんです。これが一般廃棄物になっていけば、問題もさらにさらに大きくなってくるわけでして、早くやっていかなきゃならない。

 我が党は、実はきょうも朝八時からやりましたけれども、政府・与党側の動きが遅いものですから、何としても、他の野党の皆さんにも御理解をいただいて、議員立法で法律を出そう、このように今急いで準備しております。

 事の次第が深刻ですから、ぜひひとつこの点については、再度確認をしておきますけれども、政府側も、私たちが出した後、また慌ててすぐ何か出すというんじゃなくて、もう少しスピード感を持って、責任を持って対応していただきたいと思っております。

 それから、あわせてもう一点。大臣とゆっくり話ができなかったんですけれども、環境省が瓦れき処理、本当に能力があるのか、国土交通省にやってもらった方がいいじゃないか、いや、もっと違うシステムをつくった方がいいんじゃないかとみんなが言っているんですね。大臣は、環境省でやるんだと今言われたんですけれども、その後の確認ができなかったんですが、ぜひひとつ副大臣から御答弁を願いたいと思います。

 その二点で終わります。

近藤副大臣 放射性物質による汚染の問題、私も、昨日も福島県の担当の方とお目にかかりまして、本当に切実な状況を改めて聞かせていただいたところであります。もちろん、今、田中委員が御指摘になったように、川崎でもそうした状況が起きているわけであります。これについては、法整備を含め、しっかりと対応してまいります。

 それと、いわゆる瓦れきの処理についてでありますけれども、環境省として能力がない、私はそうは思っておりません。ただ、大変な量であるということ。もちろんそれも言いわけにはできませんので、政府としては総合力を持ってやっていくべきだと思っております。

 そういう意味では、今週の月曜日に、私も、農水の副大臣、また国交の副大臣とも一緒に、石巻、仙台に参りました。一次仮置き、これから最終処分場に持っていくまで、それぞれ力を合わせて、これは法改正も視野に入れた中でありますが、しっかりと連携をして、総合力でやってまいります。

 田中委員におかれましても、地元の声、また、実際に出かけられて多くのことを見ていらっしゃると思います。いろいろと御指導いただければと思います。

田中(和)委員 終わります。

小沢委員長 次に、阪口直人君。

阪口委員 民主党の阪口直人でございます。

 きょうは、再生可能エネルギーについて、また、分散型のエネルギー政策についてを中心に質問させていただきたいと思います。

 私は、実は、紛争後の平和構築という分野に現地でかかわっていた経験がございまして、電気がない生活というよりも、もともと電気というものを経験したことがない方々とともに数年間生活した経験がございます。大変に不便な生活であったと思いますが、今回、被災地に何度か出かけまして、電気に依存した社会システムの中で電気が使えない、このことはさらに大変である、そのことを実感いたしました。したがって、震災後、どのようにしてエネルギーを確保していくか、これは環境省として大変に大きなテーマであると思います。

 そして、その前に一点、どうしても聞いておきたいことがございます。

 先日、環境大臣、ごあいさつをされましたが、その中で、CO2を二五%、二〇二〇年までに削減するということについては触れていらっしゃいませんでした。震災後、原子力政策の変更は避けられず、私は、非常に厳しい状況であると思いますが、再生可能エネルギーの比率を高めていく、また移行期においては、例えば天然ガスのコンバインドサイクルシステム、これを技術を高めてつないでいくというようなことで、CO2排出量の少ない社会を構築していくという努力は継続すべきだと思います。この点について、政府のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

近藤副大臣 まず、江田大臣が不在をしておりまして、私が答弁をさせていただくことをお許しいただきたいと思います。

 ただ、大臣自身の所信表明ではありますが、大臣とも、環境省として政務三役一体となって進めていくということで、情報共有というか考え方の共有もさせていただいておるところでありますので、御理解をいただきたいというふうに思います。

 御指摘をいただきました、東日本大震災が起きてさまざま影響が出るだろう、こういう見方もあるわけでありますが、一方で、だからこそ省エネ、再エネにしっかりと取り組んでいくんだと。そして、今、阪口委員御指摘になられました、阪口委員はさまざまな経験の中で、まだまだ発展途上というか、失礼な言い方になるかもしれませんが、ある意味ではまだ発展途上にも至っていないようなところで大変に厳しい生活を送っていらっしゃった、そういう中で、日本のように経済発展をした国で多くの国民の皆さんがこうした不便な状況というのは大変苦しいんだ、こういう御指摘もありました。

 ただ一方で、あの東日本大震災で被災をされた方に対する一つの、一緒に頑張っていくんだという気持ちも含めて、多くの方が厳しい生活の中で頑張っていらっしゃる、こういう状況もあるわけであります。

 そういう意味では、私は、三月十一日の東日本大震災があって多くの方が亡くなられたからこそ、これから日本は変わっていかなくてはならないんだ。そういう中では、江田大臣も所信表明の中で、二〇五〇年に八〇%を削減するという長期目標を改めて述べさせていただいた。そしてこのことは人類共通の目的である、先進諸国で共有している目標だ、こういうことであります。

 今、日々いろいろなことが起こり、そのことがこうした目標を達成する上での過程に影響を与えるわけでありますけれども、環境省としても、政府一丸となって、御指摘のありました再生可能エネルギーあるいは省エネ等々も進めながら、災害に強い低炭素の社会をつくっていく、分散型の社会をつくっていき、本当にこれからに備えていく、こういう覚悟であります。

阪口委員 ありがとうございます。

 ただ、この再生可能エネルギーの日本の状況を見ると、まだ一%しかシェアがありません。例えばドイツは、この十年間で約四%から一七%に高めている。国民、そして政府が一体となって大変な努力をされた結果だと思います。

 一方で、菅総理は、二〇二〇年代の早い時期に再生可能エネルギーの比率を二〇%を目標にして頑張っていくというような表明をされております。しかし、これは実は日本だけではありません。米国も、二〇二五年までに二五%を目標にする、中国も、二〇二〇年までに一五%、再生可能エネルギーを導入していくということを目標に掲げています。

 大変な競争が展開されることになると思いますが、この点について、日本の優位点及び課題について政府のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

近藤副大臣 阪口委員に御指摘をいただきました。

 かつて日本は、再生可能エネルギー、太陽光の部分においても大変に世界でもトップランナーであったわけでありますけれども、これが今、残念ながらそういう状況ではない。

 ただ、今御指摘もありました、日本には優位性があると私は思っております。太陽光パネル、地熱発電用タービン、風力発電用主軸受け、これらについては生産のシェアが世界でも日本はまだ高いわけでありますし、技術力を有しているわけであります。また、環境省は今回、東日本の大震災に当たりまして、東北地方もそうでありますが、風力発電、太陽光発電、地熱発電等については大変なポテンシャルがある、こういう調査の結果も出させていただいたわけであります。

 そういう意味では、ポテンシャルがあるけれども、残念ながら進んでいないところがある。そういう意味では、エネルギー計画、再生可能エネルギーをしっかりと高い目標を立てて、今御指摘もありましたが、高い目標を立てて、そしてまたそれを促進していくという意味では、やはり再生可能エネルギーの全量買い取り、こうしたことを進めることによって民間の投資を進める、民間の投資を誘導していく、こういうことだと思っています。

 もちろん、再生可能エネルギーを進めていく上にはその他の課題もあるわけであります。コストの問題等々もあるわけでありますが、こうしたことも、大量に導入していくことによって低コスト化を図っていく、また、風がないとき、あるいは太陽が照らないときの蓄電技術、こうしたことも進めていく、そうした総合的な政策が必要だというふうに思っております。

    〔委員長退席、田島(一)委員長代理着席〕

阪口委員 実は、民主党の環境委員会の仲間の方々あるいは有志の方々と、毎週のように再生可能エネルギーの現場の視察を続けてまいりました。

 私は、地熱、バイオマス、また小水力などさまざまな分野があって、あらゆる可能性、その地域に合った再生可能エネルギーを構築していかなければいけないと思いますが、しかし、原発を縮小していく、あるいはやめていくという方向性を考えるとすれば、その代替エネルギーに将来なり得るのは、風力そして太陽光ではないかと思っています。

 しかし、今御指摘ございましたように、こういった再生可能エネルギーは大変不安定でもございます。私は、蓄電池及び蓄電システム、これを何とか構築していくことがこの不安定さを解決する大きなかぎだと思います。

 その中で、ニッケル水素電池、ナトリウムイオン電池とともに、私は、日本の優位性を生かせる可能性があるのは、リチウムイオン電池がその一つではないかと思います。しかし、いろいろ調べてみると、リチウムイオン電池の材料になるリチウムは、九割近くがチリに依存をしているんですね。一方で、同じ南米のボリビアにはチリを上回る埋蔵量がありまして、政府としても、ことしの二月に田嶋要経産大臣政務官が現地に出張されて、大変に積極的な資源外交を行われたと聞いています。

 特に、このリチウムの獲得に関する戦略、そして課題について、お聞きかせをいただきたいと思います。

安藤政府参考人 お答えさせていただきます。

 今委員おっしゃったとおりでございまして、本年の二月でございますけれども、昨年に続きまして、ボリビアで経済開発セミナーということを行わせていただきました。これは、昨年の十二月でございますけれども、モラレス大統領が御来日をされまして、菅総理と首脳外交をやっていただきました。これに基づいた第二回目の経済開発セミナーでございます。

 こちらの方におきましては、今御指摘がございましたボリビアのウユニ塩湖というのがございまして、こちらに世界の半分ぐらいを占めるリチウムが埋蔵しておるということになっております。これにつきまして、日本のJOGMECを初めといたしました技術によって、これをいかに効率的に抽出していくのかという技術開発のパイロットプラントの事業を合意させていただきまして、今その準備を進めさせていただいております。これが行われますと、供給にすぐ結びつくわけではございませんけれども、日本の技術を展開して抽出するということが証明をされますと、非常に日本に対する安定供給に資することにつながってまいると思います。

 それと、ボリビアは大変貧しい国でございまして、特に電気が足りないというのがございまして、地熱発電所を円借款を供与いたしましてやっていただく、これも総理の方から御表明をいただいたわけでございます。百万キロワットの地熱発電所の建設に向けて、まずは半分について円借款を供与しようということでございます。

 あわせまして人材育成、それと、貧しい地域におけます、現地の、例えばリャマとかアルパカを使いました、動物の毛を使いました加工産業でございますが、こういったものを中心とした地域産業振興ということを御提案申し上げておるところでございます。

 リチウムをねらうために、さまざまなボリビアの実態に合った、ボリビアの国民の皆様方が御希望されるような国づくりに対して御協力をさせていただきたい、そのように考えております。

阪口委員 ありがとうございます。

 この資源獲得というのは本当に今後の大きな課題だと思いますので、本当に、政治そして政府一体となって頑張っていかなければいけないと思っております。

 さて、太陽光発電、これは大変にクリーンなエネルギーではあるんですが、コストが高いことが大きな問題でもあると思います。特に、蓄電池、蓄電システムに関しての質問なんですが、どのようにコストを下げて普及をしていくのか。また、今、日本が持っている技術的優位、これはどんどん他国に追い上げられているというふうに危機感を持っておることでもあるんですけれども、今の優位をどうやって生かしていくのか、そのための政府としての補助のあり方について伺いたいと思います。

鈴木政府参考人 蓄電池の低コスト化を進めるということにつきましては、御指摘のとおり、まず技術開発というのが必要だということで、環境省におきましても、電気自動車に搭載いたしますリチウム電池の技術開発について支援を行ってきたところでございます。

 こうして開発された蓄電池が、昨年冬に販売されました電気自動車にも搭載されたという実績に今至ってきておりますけれども、今後とも、こうした技術開発には積極的に支援してまいりたいというふうに思っております。

 また、コスト削減ということにつきましては、こうした技術の開発とともに、量産化による価格低下というのが非常に大きくございまして、こうした量産化につながる初期需要をどういうふうにつくっていくかということが大きな問題ということでございます。

 今般、再生可能エネルギーの導入促進の必要性が認識されるとともに、災害時の電源確保ということが重要な課題になっておりまして、震災復興という観点から、防災拠点等あるいは避難所等におきます再生可能エネルギーと蓄電池の配置という形で、再生可能エネルギー、蓄電池、そして防災という観点から需要が高まってきているという点を踏まえまして、こうした地方の取り組みを支援してまいりたいというふうに考えております。

阪口委員 今、災害対応ということについて触れられましたが、例えばリチウムイオン電池、これを活用する際に、法律の見地から見ると、消防法によると、非常電源の対象としてリチウムイオン電池の規定がない。また、建築基準法においても、消防法で危険物第四類とみなされている電解液を内蔵しているために、商業地区での貯蔵、運搬、また製造が許可されていないというような、法律の壁もございます。この点についてはいかがでしょうか。

近藤副大臣 大変に重要な御指摘だと思います。さまざまな政策を進めていく上には、総合的なことが必要であります。もちろん、阪口委員も御承知のとおり、建築基準法、消防法は環境省の所管ではございません。ただ、こうした法律の目的である安全確保等を適切に担保しつつ、蓄電池の普及が進む、そういう観点からも検討がなされるということは、非常に再生可能エネルギーの導入促進には重要なこと、促進に資するものというふうに考えております。

阪口委員 ありがとうございます。

 次に、環境エネルギー技術の標準化について伺いたいと思います。

 デジュール標準をつくり出すIECなどの国際標準機関では、各技術項目ごとに設置された委員会やまた作業部会の中で標準化技術の方針や原案が策定をされて、各委員会の参加国の投票で国際標準化技術が決定されるというシステムになっています。要するに、日本の味方をつくっていかなければいけないということだと思います。

 一方で、何を標準化するのかという合意形成、これを日本の中で産業や省庁の壁を超えて構築していかなければいけないと思います。

 この点について、どのような戦略、考え方を持っているのか、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。

    〔田島(一)委員長代理退席、委員長着席〕

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに、国際標準化の策定におきましては、仲間づくりというものが大変重要になってきております。そういう意味で、これまで国際標準化の世界では、ヨーロッパ諸国が主導している面が強うございました。これからは世界の成長センターでございますアジアからの声を発信していくということが必要だというふうに考えておりまして、アジア諸国との連携協力というものを強化していきたい。

 その関係でも、例えば太陽光発電の関連でも、経済産業省におきましてアジア太平洋産業技術・国際標準化協力プログラムというものを策定いたしまして、アジア諸国と連携をしながら太陽光発電の長期信頼性の試験方法等について開発をすることとしております。

 また、国内におきましても、もとより経済産業省だけではなく、関係省庁と連携をしていく必要がございますので、内閣官房の知財本部を中心に関係省庁が連携をして国際標準化に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

阪口委員 国際標準化への取り組みの中で、日本は特に性能評価の基準をとっていく、そういった戦略であるというふうにも伺っているんですが、この点についてもう少し御説明をいただければと思います。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに先生御指摘のとおり、日本の技術、例えば太陽光発電、その他の電気の、制御技術もそうでございますけれども、大変すぐれたものがあるというふうに考えております。そういったすぐれた技術というものを、ある意味、他国の製品と差別化をしていくという意味からいたしますと、性能評価というものを適切な形でしていくということによって、我が国の強みというものを国際市場の場で発揮していきたいというふうに考えております。

 そういった意味で、国際標準の策定に当たりましても、性能試験といった分野に特に重点を置いていきたいというふうに考えているところでございます。

阪口委員 私は、これは日本人のメンタリティーとも関連しているような気がするんですが、日本人は、基準をとっていくところからが戦いだという意識が薄いと思います。例えばオリンピックなどを見ていても、浅田真央選手の方が技術的に難しいことをしているのにどうして点数が低いんだ、そんなことで、テレビの前で憤慨された方も多いんじゃないかと思います。私もその一人なんですが。

 この性能評価の基準というのは、例えばフィギュアでいうと採点基準だと思うんですね。民間の努力をとにかく無駄にしないためにも、あらゆる手段を講じて戦略的にこういった標準化に関する努力をしていかなきゃいけない。これは他国は本当にしたたかにやってきますので、ぜひこれも、官民、そして政治が一体となって努力をしていくべきだと思っています。

 先ほど、日本の味方をつくっていくことが大事だというお話をしましたが、特にアジアの成長を取り込んでいく、市場としてのアジア、これは大変に大きな可能性があると思います。

 その中で、パッケージ型インフラ輸出という考えがありまして、例えば上下水道ですとか高速鉄道、道路、港湾など、システムで売っていく、また、ファイナンスからメンテナンス、さらに代金回収までしっかりとサポートしていくというような考え方がございます。御努力をいただいている分野でありますが、原発の輸出ということが私は今後は非常に難しくなっていくと思う中で、再生可能エネルギーの海外輸出、これを戦略の柱にしていくべきではないか、このように思っています。

 冒頭に申し上げましたが、電気のない村で生活をしていた、そこに電気が入ってくるというプロセス、私は実感をしまして、そのプロセスにもいたことがございます。電気が入ることによって、子供が勉強する時間が生まれてくる、また、貧しい主婦がミシンを使って内職をする、そういった時間が生まれることで経済的に少しでも豊かになっていく、これがひいては民主化につながっていく、長期的に見てはそういった可能性もあると思います。

 例えば、ミャンマーのような国に対する援助戦略としてもそうなんですけれども、こういった再生可能エネルギーを輸出していくということとODAを効果的に組み合わせていく、この点について御意見をいただければと思っています。

近藤副大臣 先ほども申し上げましたが、阪口委員は、海外での経験を通じて、現地のことをよく御存じなんだと思います。そういう中でのまさしく御自身の経験に基づいた貴重な御意見であり、質問だというふうに思います。

 今御指摘のあったように、途上国あるいは途上国でないところでも、日本が得意なそうした再生可能エネルギー技術に関することを供与あるいは協力していくことは、非常に重要だというふうに思います。

 特に、再生可能エネルギーに関することでは、世界じゅうが目標としている地球の温暖化対策、こういう点からも大変に重要なことでありますし、環境省といたしましては、外務省あるいは経産省、政府それぞれの省と連携をしてこのことについては進めていきたいと思っていますし、環境省としてもこれまでも、実現性の調査、再生可能エネルギーの現地での導入可能性、これの調査、あるいは、地球温暖化対策、環境汚染対策を同時に達成する、いわゆるコベネフィットアプローチ、こうした事業は積極的に進めてきたところであります。

 今、阪口委員御指摘をいただきました、さまざまな観点から、こうした技術のことに関する支援、また輸出ということは重要なことだと認識しております。

阪口委員 ありがとうございます。

 ぜひ日本の海外戦略の中心の一つとして進めていきたいと思っています。

 ちょっと時間の関係で、最後に、東北の復興について及び瓦れき処理について、まとめてお聞きをしたいと思っています。

 先日の大臣のごあいさつの中で、東北地方の潜在的可能性、太陽光であったり、風力、地熱、バイオマス、これを踏まえて、災害に強く、環境に配慮した地域づくりを先導的に進めていくという、本当に力強い表明がございました。この点についてビジョンをもう少し詳しくお話しいただきたいということ。

 あとは、瓦れき処理について。確かに、阪神大震災と比べて遅いという批判もあるかと思います。しかし、面積にして約四十倍の広さであり、地震が比較的その崩れ方がシンプルであるのに対して、本当にもうぐしゃぐしゃになって瓦れきが生じてしまっている、そういった制約要因があり、さらに、阪神大震災後に比べて、リサイクルをしていく、瓦れき、特に木材をバイオマス資源として活用するというような高い意識を持って取り組んでいらっしゃる、それも現地で感じることでございます。

 エネルギー戦略と地域の復興を結びつけて、どのようなビジョンで復興していくのか。また、大臣あいさつの中で、被災地におけるエコツーリズムの推進ということについても触れられておりました。このことについてもお聞かせをいただければと思います。

江田国務大臣 ちょっと抜けておりまして、大変失礼いたしました。

 私は地元が岡山でございまして、瀬戸内海地方で、岡山県というのは晴れの国と言って威張っておるんですが、しかし、今回のこの大震災を受けていろいろ勉強しまして、本当にびっくりしました。例えば、風力発電の立地については、これはもう東北が圧倒的なんですね、あるいは北海道。そういうようなことも考え、東北地方に風力あるいは地熱、バイオマスなどの再生可能エネルギーの導入ポテンシャルがもう本当に大きいということを知りまして、まさに感動いたしました。

 復興に当たって、こういうエネルギーを地域の皆さんと連携しつつ最大限導入していくことが必要だと思っております。これは低炭素社会をつくっていくということにも直結するわけで、さらにまた新規産業あるいは雇用の創出といった観点からも重要でございます。

 地域の防災拠点等に再生エネルギーを活用した自立分散型エネルギーシステムを導入する、そうしたことも行いますと、災害時における電源確保対策としても有効でございますし、復興構想会議でもこのような方向が示されておりますので、ぜひ積極的に取り組んでいきたいと思っております。

 それから、災害廃棄物のことについてお触れになりました。

 災害廃棄物の中にいろいろなものがまざり、しかもこれが、ヘドロをかぶっていたり、あるいは津波のために塩分を帯びることになっていたりとか、なかなか大変でございますが、環境省は、災害廃棄物の処理指針を五月十六日に出して、木くずについては、木質ボードやボイラー燃料、発電等に利用、その他の可燃物については、破砕後、できるだけセメント焼成あるいは廃棄物発電等の燃料にする、あるいは、金属くずについては、再生利用を基本とする、コンクリートくずについては、復興資源等として被災地で活用するなど、こういうことで極力、再生利用というものを図っていこうとしておりまして、国が示したマスタープランに基づいて、瓦れきの再生利用を含めた処理方針などの実行計画を今各県が策定しているところだと承知をしております。

 環境省としても、職員やあるいは地方自治体の職員など、専門家を派遣して、さまざまなことに取り組んでおりまして、ぜひ委員の一層の御指導、御支援もお願いをしたいと思います。

 それから、エコツーリズムについてということでございますが、これも、この地域はまさに観光資源にあふれたところでございまして、陸中海岸国立公園をもっと広げて、そしてさまざまなものをそこへ大きく包含した三陸復興公園、まだまだこれから構想を練っていかなきゃなりませんが、そのような観光基地にしていく。例えば、そこへ距離の長い遊歩道をつくるとか、あるいは瓦れきを埋めた上を大きく整地して立派な公園にするとか、さまざまな可能性があると思っております。

阪口委員 ありがとうございます。

 最後に聞かせていただいた三陸復興公園構想、非常に希望がある話だと思います。日本人があれほどの大震災、津波から復興していくそのプロセスを後の世代、未来の世代とも共有できる、そういったツーリズムの開発にしていっていただければと思います。

 以上です。ありがとうございました。

小沢委員長 次に、福井照君。

福井委員 おはようございます。自由民主党の福井照でございます。

 先ほどの阪口委員の復興国立公園の続きの質問をさせていただきたいと思いますが、直轄事業で、ぜひ大臣にリーダーシップをとっていただきたいというお願いでございます。

 環境省は国立公園がございます。国交省に国営公園というのがございまして、中国地方にもあります、四国にもありますが、直轄事業でございます。

 もう一つ、今回絶対に共同してやっていただきたいと思うのは、実は水産庁に直轄事業というのがありまして、フロンティア漁場整備事業、これは平成十九年度、何と平成十九年度に水産庁始まって以来の直轄の事業ができたんです。今何をやっているかといいますと、島根、鳥取の沖合でズワイガニ、アカガレイがおすまいになる魚礁を、コンクリートブロックを海底に沈めるという仕事とか、あるいは、五島列島付近で、マアジ、マサバがとれるように、湧昇流ができるように海底にマウンドをつくったり、まさに水産庁直轄の事業というのをやっているんですね。

 今、本当にこの三分前に大臣がおっしゃった、陸中の海も使う国立公園という構想、まさに復興のシンボルとなるような国立公園ということなので、ツールとしては、この水産庁の直轄事業、そして国交省の国営公園整備事業、そしてもちろん環境省の国立公園整備事業、それぞれこの三つの事業の補助率も十分の十にして、いち早く復興ののろしを上げていただきたいというお願いでございますので、ぜひ御決意を承りたいと思います。

江田国務大臣 御支援をいただいて、大変感謝申し上げます。

 先ほども申し上げましたが、三陸地域というのは本当に観光資源に富んでいる。海岸の風景は、これは本当に、リアス式海岸というのはなかなか見られないものでございまして、陸中海岸国立公園、これは我が国にとっても本当に重要な観光資源だと思っております。それに、さまざまなその他の自然公園、そして今委員御指摘の水産庁の取り組み、こうしたものを、もちろん、水産庁の取り組みというのは私どもの所管ではありませんし、また、かなり海の沖の方での取り組みだと思っておりますが、しかし、これを有機的に組み合わせていけば、例えば、そうしたところでとれるすばらしい海産物を、夢がわくじゃありませんか、あのすばらしい景色を眺めながら食べる。

 こういう観光というのがこれからの経済の成長の一つの大きな分野になっていくという視野も、視点もございますし、補助率の問題を今お話しになりましたが、そういうことも含め、各省庁ともよく協議をしながら、この地域の復興のために、三陸復興国立公園構想というのを発表いたしましたので、ぜひ実現をさせたいと思っております。

福井委員 ありがとうございました。ぜひお願いしたいと思います。

 多分、大臣とは趣旨が違うので、もう答弁は要りませんので、お願いなんですけれども、実は、今の憲法上の制約で、国と宗教とは何百キロと離れなさいということになっていまして、多摩ニュータウンも港北ニュータウンも千葉ニュータウンも、国が関与した補助金のある宅地整備、町づくりの町には、神社仏閣というのはつくれないんですよ。だから、戦後、高度経済成長させてきて、地方からやってこられた皆さんの鎮守の森であり、そしてそこの、毎朝おじいちゃん、おばあちゃんがパンパンとした里山という、そういう歴史、伝統文化が失われたという、私はずっと町づくり担当だったんで、もう物すごい反省があるんですね。

 なので、まさに国が関与して、まさに直轄事業の敷地の中で、神社仏閣のお金を直接国が出せと言っているわけじゃありませんけれども、ぜひそういう神社仏閣が立地できるような仕組みを、多分趣旨が違うから、憲法上の解釈が違うかもしれませんが、(江田国務大臣「違わないかもしれない」と呼ぶ)違うことないと、ああ、それはいいことを聞きました。

 では、それで勢いを得てもっと言うと、こういうメタファー、これは本当にメタファーだと思うのは、七百四十九年に黄金が出たということで京都に使者が来たわけですね。今まで遣唐使のお土産物というのは絹と銀だったわけです。やっと金を手に入れたということで、まず奈良の大仏のメッキに使って、そして遣唐使に持たせて、それで、七百四十九年ですから、最澄や空海が八百六年、八百五年、相次いで帰ってきて、まあ、要するにお経はただじゃくれませんでしたからね。真言宗にしても、すべての仏教関係のいろいろな資料というのは、まさに私たちが今拝んでいるものは、東北で金が出たからですね。涌谷町という仙台からちょっと東北の、近いところに、石巻のちょっと西側にあるんですけれども。

 まさに、東北と仏教、そして、金は天皇の通貨と当時言われたので、東北と天皇、朝廷。明治維新で千五百年間の朝廷のガバナンスが終わったわけですよね。最初は、八百年間は朝廷だけで、あとの七百年間は幕府と朝廷で。その朝廷を、最初二十年ぐらいは左大臣も右大臣もいましたけれども、明治政府というのは、朝廷を排除して、そして薩長になり、そして原敬の政党政治になりということで、今は民主党に言わせれば官僚政治だと言うんですけれども。

 そういうことで、天皇のガバナンスと東北という意味でも、今、東北の歴史を読み解いてみますと、戊辰戦争を乗り越えていない、いまだに戊辰戦争に取りつかれているというのが東北のすべての歴史の共通基盤なんですよね。

 つまり、戊辰戦争というのは、天皇に反対した東北の各藩がどれだけいじめられたかという、歴史を乗り越えるのは千年に一回の今回のこの地震、津波をまさに乗り越える復興国立公園であり、そして、今の神社仏閣も、そして天皇と東北とのあり方も一挙に解決するということで、ぜひお願いしたいと思っている。

 いや、御答弁は要りませんと思ったんですが、では、ぜひお願いいたします。

江田国務大臣 余り失言をしちゃいけませんが、委員が大変にうんちくを傾けられたので、ついつい私も触発をされまして、手を挙げてしまいました。

 特定の宗教を国や地方公共団体が支援する、これは憲法上許されてもいないことでもあるし、また人類の長い長い歴史の足跡に照らしてみれば、政教分離ということは重要な近代の大原則でございまして、これは守っていかなきゃいけないと思っております。

 しかし、私ども、やはり人間というのは、もちろん決して万能じゃないんで、やはりある種の宗教心といいますか、人知を超えた何かの営みというのがあるんだ。そういうものに対する謙虚な気持ち、敬けんな心、これを持つことは大切なことであるし、そうしたことを私たちは失うことはできない。これは、これからもずっとそうしたことを涵養していかなきゃいけないことだと思うんですね。

 それで、国がかかわっている、あるいは公共団体がかかわっている場に、一切そういう宗教的な、特定の宗教じゃなくて宗教的なある種の気持ちというのを大事にするような施設があってはならぬかというと、これは私は知恵の出しようはあるんだろうと。直接は無理ですが。

 例えば、私がこれまでずっとかかわってきたものの中でいえば、きょうも川内さんがおられますけれども、ハンセン病の国立の療養所が日本じゅうにいっぱいあります。その中にはいろいろな形の宗教施設がございます。それはやはり、その地域の、そこへ住んでいる皆さんの気持ちを大切にしようと思うと、そうしたことは排除することはできないということであって、これは知恵の出しようだと。国や公共団体が特定のものを支援しているんじゃないという形で、いろいろなものはあり得る話だと思っております。

福井委員 ありがとうございました。きょうは大臣が好きになりましたので、ひとつよろしくお願いいたします。(発言する者あり)きょうからですね、フロム・ナウ・オンです。

 ちょっと時間がないので、次の、瓦れき処理。

 先ほど田中先生からも御指摘ありましたが、きょうは逆に質問しようと思って、宮城県に環境省からリエゾンで派遣されている布施さんという方におとといお目にかかってきました。彼がおっしゃるのは、とにかく寝ないで市町村の職員も我々もやって、そして毎日毎日、進んでいない、一切進んでいない、何にもできていないと言われるのがせつないと。

 津波で流された瓦れきというのは大体処理が終わって、一次仮置き場というのは既に満杯状態、今から解体という作業が行われると。これは宮城県ですらです。今田中先生おっしゃったように、岩手県の方が進んでいて宮城県の方がおくれているんですね。そのおくれている方の宮城県ですら、そういう状態なんですね。一次仮置き場が満杯、そして津波で流された瓦れきは大体処理が終わって、次の解体のステージに移るという段階。

 では、何%、津波で流されたものが九〇%とか八〇%とかという数字を出したらと申し上げたのですが、そういう数字がつくれるぐらいだったら出しているということなんですよ。

 ですから、それこそ政治主導で、まさにフェルミ推計で、ざくっと言って、今の数字は、一次仮置き場、最初二千五百万トンでしたけれども今二千二百万トン。それもざくっと言ってですけれども、もっと多分全体集合も下がると思いますけれども、二千二百万トンのうち、何トン今処理しているという数字しかないので、その内訳を出せば、ああ、これだけ進んでいるんだということなんです。その答えはまだ多分ないと思うんですが、そういう、進捗しているというアピールをもしできたら環境本省でやっていただいたら、市町村もリエゾンも、すべての関係職員が勇気がわくということですので、ぜひお願いをさせていただきたいと思います。

 それと、自民党も瓦れき処理の法案を出しまして、閣法と違うのはこういうことなんです。

 予算は今、立米三万円なんですね。二千五百万トン、予想だったから、三万円掛けて七千五百億。だけれども、布施さんにも聞いたんですが、布施さんが言ったと言っては今怒られますけれども、にも聞いて、いろいろ調べると、三万円ではとてもできなくて、五万円ぐらいいくだろうということなんですね。今、一次仮置き場までが大体立米二万円ぐらいで、あと三万円出さなきゃ、一次仮置き場から二次仮置き場、そこで分別して最終処分場なり埋め立てになるということにはいかないということなんです。

 今、災害や復旧で、少なくとも戦後、全国の建設業者でもうけたところはありません。歩掛かりとか単価とか、災害を復旧するというのは、ここで損しても次の仕事がもらえるということで皆やっているわけですね。ですので、今は我慢してやっているということなんです。ただでさえそうであり、そして、次は、岩手県も宮城県もそうですけれども、何百億、一千億単位の、一つのテンダーの、プロポーザル方式でプロポーザルをとって、そして、ではこれでやってくださいということで一括して仕事をお願いするわけですけれども、これをお願いしたいんです。

 プロポーザル方式とはいいながら、予想できない事情があったら、設計変更というんですけれども、最後にその事情によってつけ加わった追加的な費用については見てあげますということをあらかじめ言っておいていただければ、安心して仕事ができると。これは国交省のまさに得意中の得意のところで、設計変更というのは可能なんですよ。なので、少なくとも福島県除きの岩手県と宮城県においては、県庁でプロポーザル方式で発注されるはずなので、なれておられないので、そういう意味で、設計変更可能なことを業界に対して、ぜひ優しい立場、スタンス、立ち位置を発注前からお示しいただきたいというお願いでございます。

 それともう一つ、若干細かいんですが、今、一次仮置き場に持っていっている業者さんへ、まだ一銭も払っていないですよね。一銭も払っていないです。ただやってねというお願いをしているだけです。

 その払うのに対して、市町村から環境本省、環境本省から財務省へ書類を持っていかないといけないんですけれども、その書類が煩雑で、市町村の今のマンパワーのキャパシティーからは、とてもじゃないけれども、そんなごみの処理の膨大なクエスチョニアは埋められないということなので、ぜひ、これは本省の仕事ですよ、本省がその書類を減ずる。場合によっては一枚ぐらいで、とにかく概算払いですね、大体百万円かかると思ったら七十万でも八十万でも結構です、とにかく概算払いして、キャッシュフローを東北につくってあげないと、これはもう、にっちもさっちもいっていないという状況なのです。

 ちょっと細かい陳情で申しわけなかったんですが、瓦れき処理について、そして、明るいプラスの方向の数字もぜひ出していただきたいというお願いについてのコメントをぜひお願いします。

江田国務大臣 まず、災害廃棄物がどの程度今処理できて、これがどういう見通しなのかというお話がございましたが、委員御指摘のとおり、量も多いし、また質的にもまざっているわ、ヘドロや塩分もあるわというようなことで、阪神大震災のときとよく比較されるんですけれども、それは、あそこがこうだからこっちはこうだと、なかなかそういかないいろいろな事情がある。

 今もなお、恐らく瓦れきの下に行方不明の御遺体もまだ眠っているかもしれないというような状況の中ですが、それでも、これは、きょうは十五日ですから、昨日の集計ですと、沿岸市町村の仮置き場への移動が終わった量というのが三九%、ざっと四〇%、そこまで進捗してまいりました。これは、市町村ごとに見ますと、既に完了した市町村もかなりの数に上っていますし、また、七月末にこれだけ、八月末には、こう考えますと、およそ八月末には、原子力損害がまだおさまっていないという部分がございますが、ほぼ市町村的には一次仮置き場への搬出というのは終わるだろう。

 そこから先がまた大変というのも委員おっしゃるとおりで、これの契約の関係のことについて、今、この経費が途中から増大した場合のことなど、これはちょっと私も、それは専門の担当者が来ていると思いますので答えさせますが、やはりそうしたこともしっかり考えていかなきゃいけないと思います。

 ただ、これが難しいのが、広域自治体で処理するとか、あるいは民間の業者、もっともっと処理能力が大きな能力を持っているところにやらせたらどうだとか、いろいろあるんですが、大きな能力を持っている業者にやらせるのも一つの知恵ですが、しかし、そうすると、今度は現地の雇用はどうなる、現地にお金がどう回るんだというような問題も出てくるわけで、その辺はしっかりと調整をしながら、現地の皆さんの御納得もいただける、そうしたことを考えていかなければいけないと思っているところでございます。

福井委員 ありがとうございました。

 大臣、資料一というのをちょっと見ていただきたい。それこそ所管外なので答弁は要りませんけれども、資料一。

 先ほど田中先生の方からの御質問もありました。いろいろな省庁でいろいろな数字が出ている、もちろん原子力安全委員会に最終的にはコンサルトするんですけれども。ちょっとこれを見ていただくと、こういうのをつくってねと経産省に言っても農水省に言ってもつくってくれなかったんですよ。ですので、つくってお出ししたわけでございまして、「線量基準の俯瞰図」ということで、要するに、内部被曝と外部被曝、二つから発射しているんですね。

 つまり、外部被曝の方は、ICRPとか、IAEAもそうですけれども、それを援用して、原子力安全委員会が年間、年が抜けていますが、年間一ミリシーベルトという基準ですべてを管理しましょうと。

 そして内部被曝の場合は、これもICRPも抜けていますし年間というのも抜けていますが、年間五ミリシーベルトで内部被曝というのは管理しましょうというところから始まっているわけです。ここからすべてがスタートしているわけですね。

 それで、内部被曝の場合は、稲の作付の場合は、土壌の濃度、土壌から一〇%が玄米に移行するという前提で、五千ベクレル・パー・キログラムというのが決まっている。

 そして、食品は、けさは稲わらが出ましたよね。稲わらは、この表には書いていませんけれども、例えば放射性セシウムのところの肉類を見ていただいたら、五百ベクレル・パー・キログラムという人間の摂取の暫定規制値になっていますが、飼料、稲わらは、肉牛、乳牛の場合は三百ベクレルになっているわけです。だから、牛さんが三百ベクレル、人間は五百ベクレルという関係で管理しましょうということになっております。

 逆に、減っているのは牛乳で、肉牛も三百だけれども乳牛も三百で、三百という数字はこの表には書いていませんが、人間は二百ということになっているわけです。

 要するに、こういう物差しをつくってねと。前回の環境委員会でも、全体を統括する物差しの例をお出ししたんですけれども、きょうは線量基準の物差し、とにかくこれをいつも持って、すべての事象、すべての省庁の管理している、そして出てきた事件の線量というのを把握すればいいと。ですから、人間にとってどれぐらいのひどさか、被曝量かということで、今はもう内部被曝の方が大きいということになっていますので、あえてそれを申し上げた。

 しかし、大臣が所管されている環境省は、外部被曝の瓦れき処理。瓦れき処理については八千ベクレル・パー・キログラムとなっていまして、もちろんいろいろなケースを想定、内部被曝も計算しているんでしょう、内部被曝も計算しているんだけれども、外部被曝の方がよりクリティカルなので、外部被曝、瓦れきの処理は八千ベクレル。

 そして、先ほども御質問がありました上下水道の汚泥も、十万、八千というふうにグレードを設けまして、それぞれ、厳しい管理で埋め立てる、あるいは埋め立てていい、あるいは十万以上は焼却しなさいというふうに決まっているわけですね。

 すべて、外部被曝は年間一ミリシーベルト、内部被曝は五ミリシーベルトというところから始まっているということを訴えた紙でございまして、これを早く政府がつくってねと何回も、レクのたびに言っているんだけれども、だれも、私は知りませんという答えで、それこそエクスクルーシブな、EEZみたいなもの、もう私は知りませんということなので、これは、まさに放射能以外の環境を所掌するという環境省の所掌事務をそれこそ乗り越えて、環境省が大臣の指導でこういうのをつくって、各省庁の、農水省、文部省、そして国交省の線量の基準をいつもずっとチェックしていなさいということです。

 それはどうしてかというと、原子力安全委員会というのは、聞かれたら答えるということです。聞かれたら答えるというのが原子力安全委員会。だけれども、環境省は、もう自分から乗り出して、人間の健康、そして全体の環境を守るというお立場だと思いますので、ぜひお願いしたいと思います。まあ所掌外ですから、お答えはありませんが、ぜひお願いしたいと思います。

 済みません、時間がだんだんなくなってきまして、松下副大臣にも、先輩にも御来臨いただいたので、資料三をごらんいただきたいと思います。

 きょう、ステップワンがそろそろ終わりそうだという発表がありました。大気にも出ていますけれども、水蒸気爆発は三月十六日を最後に、していませんから、まあ、そんなに上空には上がっていないから、大気にはちょろちょろっと出ていますが、何百メーターか一キロか二キロかぐらいの範囲内でおさまっている。

 今は、それこそクリティカルな、水環境ですね。地下水に、海にどれだけ流れているか、想像を絶するベクレルが流れている。早く、そんなステップワンが完了したとかで自慢するんじゃなくて、これは簡単なんですよ。この連続地中壁というのは、ボーリングデータがありませんからわかりませんが、多分、水を通さないかたい粘土層までせいぜい二、三十メーターでしょう。まさに砂防部長が、こんな連続地中壁なんて、もうお茶の子さいさいでつくられていた。しかも、まず海側につくれば、写真が載っていますけれども、台船に鉄板でも張って作業員の健康を守りながら、絶対に被曝量を守って作業もできるわけです。海の方こそ。

 だから、まず海で地中壁をつくる、そしてまたその次の段階として、陸の地中壁をつくって、まさにいわば汚染水のプールを地中につくっていく。それを早くしてくださいということもお願いしているんですけれども、なかなかこれもやってくださらないということで、これも予告していないので結構ですが。

 そういうことも含めて、ストレステストをやっていただくということですけれども、今までのリスクマネジメントとリスクコミュニケーションの悪かったところは、すべての電力会社も経産省もそうですけれども、こうこうこうだから絶対に安全ですと一方的にしか言っていないからだめなので、起こった場合、メルトダウンした場合、メルトスルーした場合でもこうこうこういう対処をします、もちろんひょっとしたら何人か亡くなる可能性もあるけれども、これだけ守ってその被害をミニマイズしますというのを、それをダメージコントロールといって、何回もここでも言いましたけれども。

 要するに、珊瑚海海戦とミッドウェー海戦との間にやったのが、被害があるということを前提にしたのがアメリカ軍、被害は絶対にないと思ったのが日本軍。珊瑚海海戦では空母が同じように被害を受けたけれども、直してミッドウェーに持ってきたのがアメリカ軍、日本は全く空母がなかった。だから負けたというので、要するに、ダメージコントロール、被害がある、ダメージがあるということを前提に物事を考えていく。ストレステストは、まさにその次のステップとして重要だと思いますけれども。

 では、よろしくお願いいたします。

松下副大臣 福島県の関係の委員の方もいらっしゃいますし、大変御心配をかけておりますけれども、今おっしゃったように、ストレステストに関連して我々が想定しておくべきことは、やはり、我々はシビアアクシデントとも言っていますけれども、委員のおっしゃったように、ダメージコントロール、最悪の事態。そのものが破壊されたり、あるいは大きな被害を受けることも想定した上でのいろいろな安全策というのは必要であろう、そう思っています。

 ですから、その意味で、今の原子力施設なんかの設計をするときでも、一定の高い水準で安全基準を設けていますけれども、それから上に余裕の分を上積みしているわけです。それもかなり強いものがあるわけですけれども、そこの余裕度がどのくらいあるかというのを力を加えながら確認していくということは大変大事だろうと思っています。

 ただ、今回のことで、後出しになったり、いろいろ地域を混乱させたり、当事者をいろいろ困惑させたことがあったことは政府としても大変申しわけないと思っていまして、しっかり取り組んでいきたいと思っています。

 また、大変立派な資料をいただきまして、我々も持っているんですけれども出しそびれてしまったのは、こんな立派なものがなくて申しわけないと思っていますけれども、大変参考になりました。ありがとうございました。おわびして、感謝申し上げます。

福井委員 あと一分ありませんで済みません、江田大臣、せっかくの機会なので。

 菅さんの応援団長として、今何を考えていらっしゃるのかちょっと本当に理解できない、ちょっと教えていただきたいんです。

 さっきの話の続きですよ。せっかく明治維新で朝廷を倒し、幕府も倒し、そして藩閥政治にはなったけれども、しかし政党政治。政党政治が、原敬が倒れたのはポピュリズムですよね。選挙至上主義、ポピュリズム。だから倒れて、それで戦後、天皇の官吏から脱却してせっかく専門家集団としての官僚になったのに、集団知ではあるけれども、やはり官僚の、行政による政治、行政府による政治というのがずっと続いてきて、それを倒すのが民主党の政権だと、菅直人という一人の政治家、そして総理がそれを続けてやっていくのかなとずっと思っていたんですけれども、何でまた、きのうもおとといも、ポピュリズムのそういうことに走るのか、わけがわからないです。

 どういう歴史認識、時代認識を持って、今、民主党政権も、そして菅総理も、どこに日本の政治を持っていこうとしていらっしゃるのか。今までのコンテクストからいって、一体今どこにいて、だから、今ポピュリズムのふうに見えるのは、ひょっとして見方の間違いだということなのか。済みません、もう時間がなくなったので、一分ぐらいでちょっと解説をしていただきたい。

小沢委員長 それでは、手短に。江田大臣。

江田国務大臣 大変大きな課題を最後に出されまして、短く答えるというのは非常に困難なのですが、私も、菅直人さんと最初に会ったのは、今から三十四年前でしょうか。

 この衆議院のどこかの委員会室に私の父の額もあるかと思いますが、当時、その父が最後に、属しておりました社会党をあえて離党して新しい旗を立てた。そのときに言っていたことは恐らく二つ。一つは、やはり政権交代のある政治をつくりたい。もう一つは、官僚の政治じゃなく、あるいは金もうけの政治じゃなく、市民の政治をつくりたい。こういう旗を掲げて、しかし、すぐに実は亡くなってしまった。その父の亡くなったまくら元で、最初に私は菅さんと会って、握手をして、当時私は裁判官だったんですが、裁判所に申しわけないけれども、これはもう辞表を出させていただいて、一緒にやろうと。

 以来三十四年ですから、彼の長所もあります、もちろん。短所ももちろんあります。よくわかっているつもりですが、何か自分自身のためにここでしがみついて、後世に名を残してとか、そんなことでなくて、やはり一定のめどを早くつけて、そして若い人にちゃんと混乱なくバトンタッチをしていきたい、そういう思いでいるのだと思っております。ここはやはり、多くの与野党みんなの協力をいただきながら、何といいますか、スムーズな時代のかじの切りかえ、これができるようになっていけばと思っております。

福井委員 ありがとうございました。終わります。

小沢委員長 次に、齋藤健君。

齋藤(健)委員 自由民主党の齋藤健でございます。

 環境委員会で質問をさせていただく機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 きょうは、私の地元であります千葉県の柏市、流山市、松戸市、その周辺で、一般廃棄物の焼却施設の焼却灰から放射性セシウムが検出されている、その問題を中心に質問をさせていただきたいと思います。時間も限られておりますので、端的に質問をさせていただきますので、端的に御答弁いただければありがたいなと思います。

 まず、この議論の出発点で一番大事な、押さえておかなくてはならないポイントというのは、一体だれの責任でこういう事態になったかということではないかと私は思います。本件、焼却場の焼却灰から放射性の物質が排出されるということは、紛れもなく、あの福島第一の事故によって飛散したものが濃縮される形で検出をされているということであります。

 そして、その福島の第一発電所の事故の責任者は一体だれなのかということにつきましては、これはもう政府のたび重なる御答弁がありますが、東京電力であり、そして国である。福島第一原発の安全審査をしたのは国でありますし、そして安全だと言い続けてきたのは国であります。もちろん、当時の自由民主党政権にも大きな責任があるわけでありますが、こうなった以上は、国としてやれるべきことを尽くしていくということに尽きるのではないかと私は思っております。

 きのうも、復興特別委員会の方で私の方から、この地域が放射線量がほかの地域よりも少し高いということで、ホットスポット問題ということで随分週刊誌で騒がれておりまして、このホットスポット問題の責任者は一体だれなんだという質問を高木大臣にさせていただきました。高木大臣は、それは東京電力と国であるという答弁をされました。そして、私の方からさらに重ねて、では、今回のホットスポットの問題、放射線量が高いという問題は市町村に責任はあるかと問いましたら、市町村には責任はないというのが高木大臣の答弁でございました。

 本件、焼却灰の問題も全く同様にとらえることができると思います。この点について、大臣の御所見を伺えたらと思います。

江田国務大臣 福島第一原発の事故というのは、本当にこれは未曾有の出来事であり、しかも歴史的な出来事であって、本当にこれはみんなの力で、国際社会の協力ももちろんいただいて、何としても乗り越えていかなければいけないことだと思います。

 責任ということでございますが、私も責任を大変に痛感をしております。実は、私は一九九三年から、短い期間ではありましたが、細川内閣で科学技術庁の長官をやっておりました。当時、今と違いまして、原子力委員会と原子力安全委員会、原子力局と原子力安全局、そういうような、どういいますか、チェックをし合うというシステムが今よりもっとしっかりしていたかなという気はしますが、しかし、それでも、とめる、そして冷やす、閉じ込める、そういういわゆる多重防護ですから絶対大丈夫だ、いろいろな地震であるとか津波であるとかそういうリスクについても、こういうリスクはどうだ、いや、こういうふうに評価しているから大丈夫だということでやってきて、これは歴代自民党政権、そして我々がそれを引き継いで、ですから、国にそうした大きな責任があることは、これはもう言うまでもない。

 では、国民の皆さんに責任はないのか。私は、やはりこれはみんなが本当に、もちろん強度あるいは性質、違います。しかし、国民の皆さんも、そういう原子力発電というものをあえて容認して、その恩恵を受けてきたという意味では、やはり、自分たちは関係ない、政府が何とかしろというだけの話じゃないんだということは考えて、みんなで考えながら、これからのエネルギーのあり方というのを考えていかなきゃならぬと思っております。

 それはそれで、もう一つ、では、今の放射性物質による汚染、これはだれに責任があるかという話で、これはもう法的な問題でありまして、私は、今の法体系でいいますと、原子力損害賠償法というものがあって、これは、まず事業者が全責任、そしてこれは無限責任、無過失責任、そしてその事業者に対して国はちゃんと手当てをするんだ、そういう法体系があって、その法体系は今働かない事態になっているということではないということを押さえて、この法体系のもとに、さらにこれで動かなくなる部分があるから、いろいろな、例えば機構法であるとかそういうものをつけ加えてやろうということでございまして、これは、東電が一義的な責任はある、そういう法構造になっている、そのことは私ども前提にしていかなければいけないと思っております。

齋藤(健)委員 今の御答弁で、少なくとも、こういう事態に立ち至った原因についての責任は市町村にはないということでよろしゅうございますか。

江田国務大臣 市町村にはございません。

齋藤(健)委員 本件で今一番緊急に問題になっておりますのは、仮保管の場所の問題です。これは、六月二十八日の環境省の事務連絡によりまして、管理型最終処分場に一時保管をすると。急場ですからこういう措置もやむを得ないのかなと私は思いますが、ただ問題は、この管理型最終処分場がない市町村もたくさんございます。そういう市町村では、自分の持っている清掃工場でそれを仮保管しなくちゃいけないということになります。したがって、焼却灰がどんどんたまっていくという事態になっていまして、場所によっては、あと二カ月で満杯になってしまって、家庭から出てくるごみを受け入れることができなくなるという切実な事態が今現に生じているということでございます。

 こういう事態に立ち至った原因が国と東京電力にあって市町村にないということであるならば、そもそも、この放射性セシウムがたくさん検出されている焼却灰の処理について市町村が駆けずり回るというのはおかしな話でありまして、本来であれば国が汗をかくべき話ではないんでしょうか。大臣に御所見を伺います。

江田国務大臣 委員の所論も十分にうなずける部分はございます。

 今、国の方では、一キログラム当たり八千ベクレルを超える、そして十万ベクレルまでのものについては、施設内で、あるいは一般のごみの最終処分場において一時保管しておいてください、その後のことはこれからいろいろまた検討しますからということにしておるんですが、その一時保管自体の場所がもう既に払底をしてきておるということでございまして、国が一生懸命走り回ってという御指摘は当然だと思います。

 しかし、地域の皆さん、市町村も、そこはやはりいろいろと協力をいただかなければ探すにも探せないという現実もございますので、私どもとしては、精いっぱい、関係自治体の皆さんとしっかり相談をし、調整をして、努力をしてまいりたいと思っております。委員の御指摘はしっかりと受けとめたいと思います。

齋藤(健)委員 私が押さえておきたいのは、そもそもの筋論でありまして、本件は、国に責任がある以上、国が本来行うべき話であるんだけれども、市町村にもやはり協力を仰がなくちゃいけないというのが筋であって、そもそも市町村が対応すべきだということではないというところをしっかりと押さえておきたいと思います。

 したがいまして、この放射性廃棄物のまず測定をしなくちゃいけません。測定から始まって、清掃工場で仮保管をし、そして最終処分までしていかなくちゃいけないわけでありますが、その責任は基本的に国にあるんだという点と、責任が国にある以上は、測定から最終処分までにかかる費用についても当然国が持つべきだと、私は論理的にそう思いますけれども、大臣の御所見を伺えたらと思います。

江田国務大臣 国としては、福島の災害廃棄物についての指針というものを六月の二十三日に出しまして、これは、放射性廃棄物によって汚染されたおそれのある災害廃棄物で、ところが、福島以外のところでも、一般の廃棄物で放射性物質によって汚染されたおそれがあるようなものが出てきておりますので、六月の二十八日でしたか、関係の都道府県、市町村に、焼却する場合にはぜひこういう指針でということをお願いしたわけでございます。そして、その結果、今いろいろ、柏の場合ですとか出てきているわけですが、これはまたまとめて御報告をいただいて、そしてそれに応じて対処方針を出していこうと今、検討も既に進めております。

 いずれにしても、そうした放射性物質による汚染のおそれのあるものについて、これは市町村にどうこうしろというわけにもいきませんので、国として、もちろん市町村の皆さんにお願いベースで、ぜひひとつ協力してください、住民の皆さんの御理解もいただきたいということをやりながら、国として責任を持っていきたいと思っておりまして、費用負担のことなどについてもこれから検討をしていきたいと思います。

齋藤(健)委員 いずれにしましても、今喫緊の課題は、清掃工場内の仮保管の問題であります。あと二カ月しか時間的な余裕がないというところもあるわけでありますので、この時間内に、一般廃棄物、家庭のごみがもうそれ以上そこに入れられないということにならないように、そうしますと家庭でごみがあふれるということになりますので、そういうことにならないように、本件は国に原因の責任がある以上は、二カ月の時間内に国としてきちんと対応するということをここで明言していただきたいと思います。

 本件は、先ほど大臣の御答弁がありましたけれども、市町村に原因の責任もなければ、私は法律も調べましたが、法的な責任もないと思います。国として対応するしかない問題だと思います。そうはっきり言っていただかないと、地元住民はパニックになると思いますので、残された時間内に国としてきちんと対応する、そういう責任者としての責任ある御答弁をいただけないでしょうか。

江田国務大臣 先ほどから申し上げているとおり、委員の御指摘というのは重く受けとめたいと思っておりますし、また、廃棄物の処理というものは、これは市町村の事務でございますが、今言っている、問題になっているのはそういう一般の廃棄物のことではないので、それを焼却した灰が放射能を帯びている、そういう事態ですので、これは国が責任を持つということを申し上げておきます。

 ただ、これはお願いですので、国の責任だから国が何とかしろ、我々は知らぬぞと言われても、やはりこの国はみんなでつくっている国で、みんなで運営している国ですから、地域住民の皆さん、国民の皆さん、あるいは市町村の皆さん、都道府県の皆さんも、国の方で一生懸命お願いをしますので、ぜひそこは御協力をいただきたいということを申し上げておきます。

齋藤(健)委員 私は、今の大臣の御答弁はバランスのとれた御答弁だと思います。

 大事なことは、責任者がだれなのかということを明確にした上でみんなで協力し合っていくということに尽きると思います。市町村で費用を出すべきだとか、そういう議論になってきますと、かなり議論が迷走していくおそれがありますので、そこの筋を押さえた上で、あと、現実的にどう対応していくかということは、また改めてみんなで知恵を出していけばいいんじゃないかと私自身は思っておりますので、先ほどの大臣の御答弁の方針で、環境省一致団結してその方針を貫いていただけたらと思います。

 放射性廃棄物の処理処分につきましては、これは自民党政権時代の責任でもあるんですが、法的な整備が十分になされていないという現実があります。

 そこで、私どもとしては、自由民主党として議員立法を出して、この辺の整理をしっかりさせていただきたいと思っております。もちろん、問題は私の地元の話だけではなくて、福島県で出ております大量の瓦れき、この中には放射性を帯びた瓦れきもたくさんあります、その処理処分も同じ問題を抱えておりますので、何も焼却灰の話だけで議員立法をするというわけではありません。トータルで、放射性廃棄物が施設の外で大量に発見された場合に、だれがどういう責任を持ってやっていくかということについては、自由民主党としてこれから議員立法を出していきたいと思っておりますが、ただ、それでは今申し上げた清掃工場での仮保管の問題は間に合わないので、ぜひとも国の方の御尽力をお願い申し上げたいと思います。

 そして最後に、ちょっと時間が少なくなってきましたが、がらっと話がかわるんですけれども、CO2の削減問題であります。

 震災が起こりまして、原子力発電所がなかなか動かないという現状があります。現在、政府は、一九九〇年に比べて二〇二〇年までに二五%CO2を削減するというのを国際目標としておりますが、今や、原子力のところの前提が大きく崩れました。原子力はCO2削減の切り札であります。その切り札のところが大きく崩れたという以上は、この二五%削減目標というものを再検討しなければいけないというのは当然のことだろうと思います。にもかかわらず、相変わらずこれを取り下げないで世界に表明し続けているというのは、私は無責任ではないかと思います。

 もし表明し続けるのであれば、その場合、原子力はどうなるかということをはっきりと明言してもらわなければ、単なる空想を言っていることにすぎないということになりますので、二五%を言う以上は、その内訳として原子力をどうするかというのを同時に言わないと、世界は相手にしてくれません。

 そして、原子力について今の時点で見通せないのであれば、取り下げるのが真摯な対応だと思いますが、大臣の御見解を承れればと思います。

江田国務大臣 委員御指摘のとおり、原子力発電所によるエネルギーの調達というものを計算に入れて、そして将来のイメージを描いて二五%というものを打ち出しているのは事実でございます。

 しかし、二五%削減というのは、もっと規模の大きな、視野の広い問題で、地球環境というものが今どういう状況にあるか。人間の生産活動、エネルギー排出活動に伴ってどれだけ地球が傷んできているか。これから先も、サステーナブルディベロップメントで、地球を孫子にしっかりした状態で手渡すことができるようにするにはどうしたらいいか。

 これはやはり、日本としては国際社会に対して、二五%の削減は何としてもやるんだ、こういうある種の国際約束をしたわけでございますから、原子力がなかなか頼りにならなくなってきているのでもうあきらめますというのではなくて、一方で、今、こういう事態を受けて国民の中に、省エネルギーをやらなきゃいけない、あるいは再生エネルギーをもっと開発しなきゃいけない、そういう機運も随分盛り上がってきているんですね。今、環境省に来ていただくと真っ暗です。真っ暗な中で、それでもこれを、耐えながら、ぜひ環境省としては省の建物で二八%の削減をやろうといって、どうやらできるらしいですけれども、そういうことをやっている。

 そういうときですから、私は、この二五%を下げるというのではなくて、何としても二五%達成は、地球のために必要なので、そのために我々、原子力に頼ることができなくなるならば、それなら、例えば再生可能エネルギーにこうやって取り組んでいこう、そのコストはこういうふうに下げていこう、あるいは、エネルギーじゃぶじゃぶ路線ではなくて、省エネルギー型の生活のスタイルというのに我々はなれていこう、そういうことにこそ今シフトしていくべきものであって、二五%をおろすのが今適切だとは考えておりません。

齋藤(健)委員 この問題は、まだ江田大臣は就任されて間もないということもありますので、ここで矛をおさめますけれども、私は今の大臣の意見とは全く意見を異にしておりまして、具体的プランのないものは、目標とは言わずに単なる願望だと思います。目標と言う以上は、その内訳をはっきり示さなければ世界は相手にしないと思いますので、これは引き続き議論をさせていただきたいと思います。

 最後に、先ほどちょっと一つ申し忘れたんですが、一般廃棄物の問題だけじゃなくて、下水の汚泥の問題とか、ああいうもの、例えば川崎市にもそういう問題が出てきておりますし、それも同じ考えで処理していくべき問題だと思いますので、それだけつけ加えさせていただきまして、質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

小沢委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 本日は、大臣所信質疑ということで質問に立たせていただきます。

 大臣、環境大臣への御就任、まことにおめでとうございます。

 先ほどもございましたように、環境大臣は引き続き兼務となっているわけでございます。自民党の田中議員からも御指摘がございましたけれども、地球温暖化対策や循環型社会、また自然との共生等々の環境行政を引っ張る大臣職務でございます。環境行政は大変に重要な分野でございます。しかし、兼務という形をとらざるを得ないということは、私も大変に残念な思いがいたします。

 松本大臣、この委員会でも、我々も随分と質問も、また答弁もしていただきました。震災対応ということで、防災大臣、また復興担当大臣を兼務されて、その兼務の中で、大変な激務の中で身も心もすり減らし、あのような放言は大変被災地の皆様の心を痛めることでありますので辞任は当然であったかと思いますけれども、やはり兼務の職を続けなければならないという今の菅政権のあり方に私は大きな問題があると思っております。

 こういう中で、新たに大臣として就任をなされました。震災からの復旧復興、これが今最も大事なことでございます。環境省所管では、膨大な瓦れき処理、これを迅速に進めていくということがまさに喫緊の課題であるわけでございますが、私も現場には何度も足を運んでその状況を見ておりますけれども、先ほどからの大臣の御答弁には、ちょっと現場を知らな過ぎるところがある。

 それは、瓦れき処理の進捗度合いは、本当に全く進んでいないというような状況であることを再認識しなければならないと思っております。三割の進捗、しかも一次仮置き場に移動させるのみで三割でありますから。七割は手つかず。これから分別や最終処分まで持っていかなくてはならない、そういう中では、本当に一歩も進んでいないに等しいような状況がやはり続いております。

 石巻に行ってまいりました。百年分の瓦れきの量であります。それが今環境省がおっしゃるように進んでいるのか、とてもそのような状況ではないわけでございます。全体でも約十二年分、こういう瓦れきの量を一挙に処理していかなくてはならない、それがまた復興の第一歩である。こういうようなことにおいても、大変に進んでいない。

 それを迅速に進めるために、我々野党四党で、立法府から環境省また政府を突き動かすために議員立法を出させていただいて、迅速に瓦れき処理が進む、そういう法案を提出させていただいております。この件に関しましては、来週にはまた予算委員会も始まってまいりますので、その場で私も大臣等々に質疑をさせていただきたいと思っております。

 本日は、こうした大震災からの復旧復興も見据えて、我が国のエネルギー政策の見直しを踏まえた地球温暖化対策について、議論を改めて深めたいと思っております。

 今回の大震災によりまして、我が国の地球温暖化対策またエネルギー政策は、大きな岐路を迎えていると言っても過言ではございません。私は、四月十五日の環境委員会におきまして、今回の震災により新たに十一基の原発が停止して、福島第一原発は廃炉に追い込まれるという、原発をめぐる状況が大変厳しくなっているということを踏まえて、エネルギー政策が大きな転換を迫られているとともに、その表裏一体であるところの地球温暖化対策についても真正面から立法府としても議論をしていくことの重要性、これについて政府の認識をただしたところでございました。

 それからちょうど三カ月がたったわけでありますけれども、その間、福島の事故の収束のめどが立たないばかりか、政府の要請により新たに浜岡原発が停止したり、また玄海原発の定期点検からの再稼働が政府の対応の迷走によってこれもめどが立たなくなっている。原発が置かれた状況はますます厳しいものになっておるのはよくおわかりのことだと思います。

 こうした状況を受けて、先日の衆議院の復興特別委員会において、我が党の斉藤議員がこの問題について質疑を行いました。現存する原発がすべて定期点検から再稼働ができずに、予定していた原発の新増設もできない、こういうケースの場合には、およそ二・九億トン、基準年比で二四%近くもの二酸化炭素が排出増になってしまうということを明らかにしたとともに、政府が国際公約をした二〇二〇年に温室効果ガスを二五%削減するという目標について、現実を見据えて見直しの議論を進める必要があると指摘をさせていただいたところでございます。そして、菅総理がこの斉藤議員の質問に答えて、原発への依存度を下げていく中で、CO2削減との整合性についても議論していきたいと発言をされました。

 一方で、我が国の地球温暖化対策については、この国会で公明党案、自民党案そして内閣提出の案と三法案が継続審議となっておりますが、各党でこれは大きな意見の隔たりもございます。審議は進んでいないのが状況であります。

 きょうは、今後どのようにして地球温暖化対策の再検討をしていくつもりなのか、新しい大臣を迎えて、その必要性に対する認識も踏まえて政府の見解をただしてまいりたいと思います。

 まず、地球温暖化対策を考えるに当たりまして、国際交渉の観点と国内対策の観点、双方からこれは検討する必要がございます。

 昨年十二月のメキシコ・カンクンで開催されたCOP16におきましては、カンクン合意という、すべての主要国が参加した枠組みに向けた一定の成果が上げられましたけれども、この地球温暖化問題の解決に向けては、世界各国の利害と立場が厳しく対立する国際交渉が現在も進行中であります。とりわけ、先進国と途上国の間の主張は今なお大きな隔たりがあるものと理解をしております。

 こうした中で、大臣がごあいさつに述べられましたように、今月初めにベルリンで開催された非公式会合においては、樋高政務官が御出席され、我が国の主張を述べられた。また、その前にも、条約に基づく特別作業部会と補助機関会合がボンで開催されております。

 そこでお聞きをいたしますが、COP16の後にこうした交渉の進展ぐあいはどうなっているのか、また途上国や先進国の主な主張はどのようになっているのか、お答えをいただきたいと思います。

樋高大臣政務官 江田先生におかれましては、地球温暖化対策、気候変動対策にも大変御熱心にお取り組みをいただいております。心から感謝を申し上げさせていただきたいと思います。

 今、先生のお話にもありましたとおり、先般、今月の上旬でありましたけれども、ドイツのベルリンにおきまして、地球温暖化対策に関する閣僚級の非公式の会合がございました。私が参加してまいりましたので、私の方からお話をさせていただければと思っております。

 昨年末、COP16、気候変動枠組み条約第十六回締約国会議が開かれ、ことしに入りましてから、四月そして六月に特別作業部会が行われたところでございます。これは、二〇一三年以降の国際的な枠組みについての議論をするということでありまして、事務レベルの会合が開催されたわけでありますが、カンクン合意を着実に実施するための議論が活発に続けられているというところでございます。

 そして、今回、その閣僚級会合で私も主張をさせていただき、議論をさせていただきましたけれども、その中で、認識がおおむね共通をしているのは、やはりカンクン合意を着実に実施していこうということでありましたが、一方で、先生がおっしゃいましたように、各国の利害にかかわる点では意見の対立が続いているのは事実でございます。

 具体的に申しますと、途上国側がおっしゃっておいででありますのは、おおむね、まず京都議定書の第二約束期間の設定について、そして先進国の率先した削減について、また途上国に対する一層の支援ということなどを主張なさっているわけでございます。一方で、先進国の方でございますけれども、やはりすべての国が参加する国際的枠組みの構築が必要ではないか、また途上国による削減行動の透明性の向上などを主張している状況でございます。

 また一方で、昨今の国際会議の現場におきましては、途上国同士あるいは先進国同士でも主張が異なる部分もあるというのが実情でございます。

 いずれにいたしましても、私自身、今回の議論に直接参加し、そして自分の耳で聞いてきた所見を一点だけ報告させていただきますと、日本が、我が国が今後国際交渉でみずからの立場への賛同を得ていくのは大変厳しいと思う一方で、賛同を得ていくためには、やはり日本国、我が国自身が国内対策にしっかりと取り組むという形を国際社会に見せていかなくてはならないというところを痛感させていただいた次第でございます。

 ありがとうございます。

江田(康)委員 今お答えを聞いている限りにおいても、COP17においてカンクン合意の中身を具体化する決定を得ていくことは相当難しいという印象を受けました。いわんや、日本政府が主張する、すべての主要国が参加した公平かつ実効ある法的枠組みがCOP17において実現するということは、到底その可能性がないのではないかという思いがいたします。

 そこで、大臣にお聞きいたしますが、COP17に向けて、政府はどのような交渉方針で臨むんでしょうか。

江田国務大臣 今、樋高大臣政務官から、先日のベルリンでの状況の御報告を聞いていただきました。

 そして、ことしの年末になりますCOP17の会議が開かれていくというところで、さまざまな交渉を精力的に続けていかなきゃなりませんが、私どもは、やはりここは最終的に、すべての主要国が参加する公平でかつ実効性のある国際枠組みの構築、これはあきらめちゃいけない。必ずそれを目指して、各国の意見の相違を乗り越えて前へ進まなきゃいけない。その場合に、やはり一番前提となるのは昨年末のカンクン合意でございまして、このカンクン合意を発展させていく、そういう立場に立っていきたい。

 カンクン合意を踏まえて、各国の削減対策の効果を検証していく制度であるとか、あるいは途上国支援の仕組みを具体化する、そうしたことについての議論を着実に進め、何としても真の地球益を実現する、そういう観点から頑張ってまいりたい。途上国の皆さんが強く主張しております、例の京都議定書の第二約束期間の設定については、これをやりますと、一部の先進国のみが義務を負うという仕組みを固定化してしまうおそれがあるし、そうしますと地球規模の排出削減につながっていかないので、これはやはり私どもは賛成をしない。そうではなくて、繰り返しになりますが、すべての主要国が参加をする公平で実効性のある国際枠組み、これをつくり上げるということで頑張っていきたいと思っております。

江田(康)委員 今大臣からお答えいただきましたけれども、現在の政府の交渉姿勢というのは、二〇一三年以降の対策の空白期間をつくるべきではないという国際的な意見に対して、説得力あるものにはなっていないと思います。

 なぜなら、政府が主張する、すべての主要国が参加した公平かつ実効ある法的枠組みが短期間に実現することは到底困難であるということが、今のCOP16また17のことで予測できるわけであります。さらに、日本自身がそのことを中期目標の前提としておりますから、政府の基本法案にそのようにあるわけで、日本は二〇一三年以降の対策を明らかにしていないのと同義なわけであります。加えて、今大臣もおっしゃったように、京都議定書については、政府は第二約束期間の設定には賛同できないという主張を貫いております。

 そこでお聞きしますけれども、多くの国が中期的な温暖化対策計画を策定して世界に示している中で、我が国自身が二〇一三年以降の空白期間を置くことなく対策に取り組むことを明確に形にして示さなくては、日本は削減から逃避しているという誤解を国際社会から招いて、国際交渉によろしくない影響が出てくると考えますけれども、そこについては政府の見解はどうでしょうか。

伴野副大臣 江田委員にお答えさせていただきたいと思います。

 もう江田委員は御承知おきかと思いますけれども、我が国は、すべての主要国が参加する公平かつ実効性のある国際枠組みの構築と意欲的な目標を前提としておりまして、二〇二〇年までに一九九〇年比で二五%削減するとの目標をこれまで国際社会に提示をしてきております。

 これは気候変動問題への我が国の取り組みを明確に示したものでございますが、今般、災害がございまして、今後の我が国のエネルギー需給、経済及び気候変動政策にどのような影響を及ぼすのか、それにつきましても予断できる状況にはないわけでございますけれども、現時点では、我が国としましてこの目標に変わりはないものと承知をしております。

 そうした中で、我が国としては、こうした国際枠組みを構築する新しい一つの包括的な法的文書の速やかな採択に向けて、引き続き国際交渉を積極的に主導してまいりたいと思うわけでございますが、今先生が御指摘いただいたように、我が国の基本的な方向性がしっかりとしていた方が国際交渉に負の影響を与えることがないのではないかという御指摘は、私どもとしてはそのとおりであると認識をしておりますので、できる限り先生方におかれまして地球温暖化対策基本法案の御議論をお進めいただきたく存じます。

江田国務大臣 我が国の主張に説得力がないんじゃないかという御指摘は、いや、そんなことはない、説得力はあるんだと言いたいところですが、しかし、説得力をより持たせるために何を今しなきゃならぬかということ、これが大事だと思っております。

 まずみずからが地球温暖化対策に積極的に取り組むという方針をしっかり掲げて、それを実現して国際社会に示していくということは大切なことでありまして、そうしたことをやりますということ、これを昨年は、COP16の閣僚準備会合で近藤副大臣、またCOP16の本会合で松本前大臣から、そうした我が国の姿勢を表明したところでございます。

 その我が国自身の態度をはっきりさせるということで考えてみますと、御指摘のとおり、二〇一三年以降の我が国の地球温暖化対策の総合的な対策計画というものが現時点で存在していない、これは残念ながら事実でございまして、一刻も早くその検討に着手をする必要がある。

 環境省としては、中央環境審議会地球環境部会の議論を開始しようと、今月の十一日に小委員会を設置いたしまして、そして本年秋ごろをめどとして論点を抽出し、さらに、一年程度かけて二〇一三年以降の総合的な計画の提言をまとめたいと思っております。

 また、今伴野副大臣からお話しの基本法、これについても、委員冒頭に御指摘のように、政府案あるいは自民党案、公明党案が出ているわけでございまして、国会での議論も、ひとつぜひこれも前へ進めていただきたいと思っております。

江田(康)委員 今申されたように、国際交渉の中で我が国にとって大事なことはやはりこの一点、すなわち、まずみずからが、我が国が二〇一三年以降の対策をしっかり行うということを世界に示せるかどうかなんですね。

 そこで、国内温暖化対策、我が国のエネルギー政策の現状はどうかということで、真正面から議論をしておきたいと思うわけであります。

 一昨日、菅総理は記者会見において、原発に依存しない社会を目指す、計画的、段階的に原発への依存度を下げて、将来的には原発がなくてもやっていける社会を実現すると、今後のエネルギー政策の基本的な考え方を説明されました。

 公明党は従来から、原子力については、化石燃料の時代は間もなく終わる、二十一世紀後半から再生可能エネルギーが中心になるまでの過渡的なエネルギーと位置づけて、将来的には太陽水素系エネルギー社会の構築をこれまでも提唱してきたわけであります。

 再生可能エネルギーが大規模に拡大するには時間が必要です。そしてまた、原発はすぐにとめられるものではありません。大事なことは、安定供給を確保しながら、また日本の経済力を維持しながら、エネルギーシフトをどのように段階的に進めていくか、ここが大事な観点であると思っております。

 したがって、総理が言った段階的に原発依存度を低下するという方針は、我が党の基本的な考え方に沿ったものであるということは言えます。しかしながら、先日斉藤議員からも指摘させていただきましたけれども、極めて重要なことが明確に示されていないわけです。それは、原子力を引き続き利用する、その過渡的な期間とはどのくらいになるのかということ。

 これについて、日本学術会議が「電力供給源に係る六つのシナリオ」ということを中間報告しておりますが、その中で、過渡的な期間がどれぐらいの長さになり、その間、何基動いていることになるのかというオプションが何通りか考えられるということであります。

 この点については政府は何ら見通しを示しておらず、これから検討するという姿勢であるわけで、安定供給をどのように確保するのか、しばらくの間使用せざるを得ない原発の安全性をどのように向上させていくのか、それに伴うコストや経済への影響など、実に多くの事項について分析、検討する必要があるんです。ぜひ、これはオープンな場で、情報の透明性を高めて議論していくべきだと思います。一昨日示された総理のエネルギー政策の基本的考え方、それだけでは何も示していないのにすぎないと私は思います。具体策がありません。

 現時点ではっきりしているのは、現行のエネルギー基本計画で見込んでいた二〇二〇年までに九基、二〇三〇年までに十四基以上の原発の新増設は困難であるということはもとより、既存の原発の再稼働もどうなるのかわからない、そういう現状にかんがみれば、二〇三〇年時点での全電力に占める原子力の割合は、これは当初予定していた五〇%以上はおろか、現状を大きく下回る可能性は高いということであります。そして、冒頭で触れましたとおり、現存する原発がすべて定期点検からの再稼働ができなくて、予定していた原発の新増設もできないというケースを想定するならば、およそ二・九億トン、そして基準年比で二四%近くの二酸化炭素が排出増になってしまう。

 このように、二〇二〇年二五%削減目標の達成のために描いていたシナリオ、そのベースである条件が根底から変わるわけでありまして、二五%目標についても見直す、あるいは最低限でもその実現可能性について再検討するという必要があるのではないか、こう考えるのが自然であると思います。

 冒頭に紹介したとおり、菅総理は、原発への依存度を下げていく中でCO2削減との整合性についても議論していきたいと。議論していきたいという言葉をもってその見直しにも言及されたと思いますが、そこで、環境大臣の見解をお伺いいたします。

 原発への依存度を下げていくという新しい方針の中で、一時的にせよ化石燃料の割合は高まらざるを得ないことも想定されるわけでありまして、このような状況においては、何ら再点検もなしに、達成が困難である二五%目標を盲目的に維持するのではなくて、中期目標の再検討、あるいは二五%目標の実現可能性について再点検を行う、このことをやる考えがあるのかどうか、大臣の見解をお聞きします。

江田国務大臣 今、原子力にどれだけ依存できるかというところへ大きな疑問符がついていることは、これは事実でございます。

 菅総理大臣が、将来的に脱原子力依存、そういう言葉を使ったかどうかは別として、そうした方向をはっきり示したということは、私は大きな意味での方向性の示し方としては正しいと思っておりまして、ぜひそういう方向に向けて、これの具体化のための議論というものをしていかなきゃならぬと思うんですね。

 その場合に、確かに今、未曾有の大震災、そして原発事故で、私どもは大変な危機に直面しているのは事実です。これを着実に乗り越えていって、そして結局何事もなかったかのようにこの震災を乗り越えるということが本当にいいのかどうか。そうではなくて、やはりこういう危機をしっかり自分たちで内在化させて、社会のあり方というものをひとつ改めていくということが必要なんじゃないか。

 そうしますと、時間をかけて具体的に、今の状況を維持しながら次のステージに移っていくということもあるけれども、同時に、今のこの状況のもとで、私たちはこれだけ省エネルギーの生活ができるじゃないか、あるいは、これだけ再生エネルギー、必要に迫られればやはり知恵も出てくる、せっぱ詰まればいろいろな対応も出てくる、そういうようなことも引き受けながらここを乗り越えていくということが一つあるんじゃないか。

 そう考えますと、今ここで、二五%は、エネルギー基本計画、これまでのものはこういうことでできなくなりましたから下げます、もうやめますというんじゃなくて、やはり二五%というものの、どうやったらこれが実現できるかということを考えながら、エネルギー基本計画というものを白紙から見直していく。その過程で、もちろんこれは与野党に議論もいただきたいし、また国民的にも、産業界ともいろいろな議論をしていきたい、こういうことだと思っております。

江田(康)委員 今、大臣の御答弁がございましたが、環境省においては中環審で二〇一三年以降の温暖化対策について検討をし始める、また経産省においてはエネルギー基本計画を大きく見直す議論をスタートさせていくと聞いております。

 そういう中で、どこまで政府として次のエネルギー政策と地球温暖化対策を決められるかということが迫られているわけでありますけれども、この中期目標に関しても何らかの判断をするためには、原発停止の影響、それから震災による経済への影響、再生可能エネルギーの促進や省エネの定着、こういうこと等さまざまな要因を見きわめてやっていく、これを着実にやっていかなければ先は見えないわけでございます。

 エネルギー政策においても、先ほど述べたとおりに、エネルギーシフトを段階的に進めていくスピードをどれほどにするのか、また原発を利用し続ける過渡的な期間をどれほどにするのかについて検討をするには、これは大変な時間も、また検討要素もありまして、議論を急ぐ必要があります。

 しかし、これには時間がかかり、直ちに解答が出るものではない。しかし、国際交渉は引き続き進んでいる。この両者について検討をしていく必要がある。私は、真正面から議論すれば、そのようになると思っております。こういう状況を踏まえながらも、やはり我が国が二〇一三年以降の対策をしっかり行うということをどのような形で世界に示すことができるのかということが大事になってくるわけであります。

 今、我が国には、現行の政府計画は京都議定書目標達成計画しかありません。二〇一二年でこれは終了します。その後継となるべき我が国の総合的な中長期の国内温暖化対策、この計画はありません。つまり、中長期的な対策については、見直すべき計画すらない、白紙そのものという状況だと認識します。エネルギー基本計画はある、その見直しを図っていくけれども、地球温暖化対策の基本計画もない、こういうのが現状であろうかと思っております。

 今回の大震災を踏まえて、今後の地球温暖化対策をいかに進めるかについては、こういうように真正面から議論をして、また積み重ねて、そして政策をつくり上げていかなくてはならない。そうしなければ、国際交渉で、日本は結局温暖化対策はやる気がないと見放されて、世界からも孤立する。こういうような状況を懸念して、真正面から議論をしているわけであります。

 大臣にお尋ねいたします。

 政府は、今後の温暖化対策を再検討して、二〇一三年以降の国内温暖化対策計画の策定に着手するということであろうかと思いますが、そのスケジュールについても、具体的にどのようになっていくのか。先ほどの回答であればいいかと思いますが、さらにあれば、お示しください。

江田国務大臣 これは先ほどもお答えをさせていただきましたが、現在、委員御指摘のとおり、総合的な対策計画がない、これは事実でございまして、検討に着手をしなきゃなりません。

 中央環境審議会地球環境部会の小委員会の設置、そして議論のスタート、これについては先ほど申し上げましたが、ぜひとも二〇一三年以降の総合的な計画をこの小委員会あるいは環境部会、そうしたところで着実にしっかりしたものをつくっていただきたいと思っておりますし、また、エネルギー・環境会議、これも同時進行しておりまして、ここでの議論も進めたい。

 委員御指摘のとおり、こういうものが今この手元にしっかりないということが、我が国のせっかくの主張、二五%削減という主張の説得力にいささかの影を落としているということは事実かと思いますので、ぜひともこれは急いでやっていきたいと思っております。

江田(康)委員 しかし大臣、それは簡単なことではございません。

 いかにしたら二〇一三年以降の対策を我が国としてはしっかりと示すことができるか、これが大事だということを議論しているわけでありますが、現状として、震災が起こり、原発政策が大きく見直しを図られる中で、エネルギー全体が見直しを図らなければならない。それに表裏一体であるところの温暖化対策をどれだけ進めていけるか。それを環境省としては検討を始めるということでありますけれども、これがどれだけスピードを持って進むかによるわけであります。まさに、こういうときだからこそ、こういう大変なときだからこそ、今その議論を本当に進めなければならない。エネルギー政策の見直しと地球温暖化対策の見直しを、中期目標においても見直しも含めて検討をしていく、こういうことが大事であると思っております。

 最後の質問でありますけれども、このような状況を踏まえていけば、我々立法府、政治の決断というのもやはり必要となってくるわけでございます。

 国際交渉は厳しい状況の中で行われて、これは引き続きやられていくわけでありますし、例えば長期的な地球温暖化対策のあり方について大きな方向性を示す、これはやはり我が国にとって今大変必要だと思っております。その具体的な道筋をどう示すか。それは、我が国としては、時間はかかるけれども、その基本計画をしっかりと立てるということを前提とした、例えばそういう基本法をまず定めていく、こういうことも、本当に責任を持って考えれば必要になってくるかとも思われます。

 具体的な中期目標の数字においては、今もありますように、これは見直しも含めて必要となってくるでしょう。エネルギー基本計画の見直しに沿って、我が国が本当にどれだけの中期目標を立てられるか。これには時間も必要となってくるかとも思いますが、全く日本として裸の状態、基本法もない、そういうような中で国際交渉を進めていくには大変厳しいものがある。また、我が国の国際社会に向けての覚悟を示すこともできない。こういうような状況を打破するために、私は、一つの案として、何らかの形での基本法の成立、これはこういう大変なときだからこそ真剣に考えていかなければならないのではないかということを真正面から議論させていただいたわけであります。

 そこで、大臣に最後に問わせていただきますけれども、基本法案については、この中期目標をどう扱うか、これも含めてさまざまな選択肢を考えていかなければならないと思っておりますが、やはり大臣も先ほど申されたように、その見直しを図ることは必須であるかとも思われます。大臣は、今私が提案したような案についてはどのように大臣として考えられるか、お答えをいただきたいと思います。

江田国務大臣 これは、基本法については今三つの案が出ている、そして、日本の国会、衆議院と参議院と数のバランスが違う状況にある、そうしたこと。さらに、今の原子力発電の将来性について大きな疑問符がついておるとか、あるいは国民の中に再生エネルギー、省エネルギー、今までになく機運が高まっているとか、そうしたこと。そして、国際社会の話し合いというものももう待ったなしで進んでいくといったことを総合的に踏まえて、今委員の御指摘のような考え方も十分大切にしながら各党で議論していただきたいし、政府としても大いにさまざまな意見に耳を傾けてまいりたいと思っております。

江田(康)委員 今後の震災からの復旧復興というものに向けて大変大きな課題、仕事がある我が国でございますけれども、環境の分野にとって最も最重要課題の地球温暖化対策、またその基本法のあり方について議論をさせていただきました。今後とも深めてまいりたいと思います。

 きょうはどうもありがとうございました。以上でございます。

小沢委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十分散会


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