衆議院

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第2号 平成24年3月16日(金曜日)

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平成二十四年三月十六日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 生方 幸夫君

   理事 大谷 信盛君 理事 川越 孝洋君

   理事 近藤 昭一君 理事 矢崎 公二君

   理事 横山 北斗君 理事 田中 和徳君

   理事 吉野 正芳君 理事 江田 康幸君

      相原 史乃君    柿沼 正明君

      笠原多見子君    工藤 仁美君

      篠原  孝君    空本 誠喜君

      田中美絵子君    高邑  勉君

      高山 智司君    玉置 公良君

      三宅 雪子君    森岡洋一郎君

      山花 郁夫君    横光 克彦君

      井上 信治君    岸田 文雄君

      近藤三津枝君    丹羽 秀樹君

      古川 禎久君   斎藤やすのり君

      佐藤ゆうこ君

    …………………………………

   環境大臣         細野 豪志君

   経済産業副大臣      牧野 聖修君

   環境副大臣        横光 克彦君

   農林水産大臣政務官    仲野 博子君

   国土交通大臣政務官    津島 恭一君

   環境大臣政務官      高山 智司君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 関 荘一郎君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   伊藤 哲夫君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            白石 順一君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  鈴木 正規君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            鷺坂 長美君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  渡邉 綱男君

   環境委員会専門員     高梨 金也君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十六日

 辞任         補欠選任

  岡本 英子君     相原 史乃君

同日

 辞任         補欠選任

  相原 史乃君     田中美絵子君

同日

 辞任         補欠選任

  田中美絵子君     三宅 雪子君

同日

 辞任         補欠選任

  三宅 雪子君     笠原多見子君

同日

 辞任         補欠選任

  笠原多見子君     岡本 英子君

    ―――――――――――――

三月七日

 拡大生産者責任とデポジット制度の法制化に関する請願(鳩山邦夫君紹介)(第一五一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 環境の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

生方委員長 これより会議を開きます。

 環境の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として環境省大臣官房審議官関荘一郎君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長伊藤哲夫君、環境省総合環境政策局長白石順一君、環境省地球環境局長鈴木正規君、環境省水・大気環境局長鷺坂長美君、環境省自然環境局長渡邉綱男君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

生方委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

生方委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中和徳君。

田中(和)委員 おはようございます。自民党の田中和徳でございます。

 東日本大震災、そして東京電力福島第一原子力発電所の大事故という未曽有の国難に我が国が見舞われてから、はや一年が経過しました。不幸にして亡くなられた方々、そして被災された全ての方々に、改めてお悔やみとお見舞いを申し上げます。

 まず、先日十一日に政府が主催した東日本大震災の一周年追悼式典において、中華民国の代表として出席をされました台北駐日経済文化代表処の羅坤燦副代表が指名献花から外されたことについて、私は、神奈川県日華親善協会、川崎市日華親善協会の二団体の会長を務めておりまして、遺憾の意を強く改めて表明する次第でございます。また、私のもとに多くの皆さんから怒りの声がたくさん届いておりますことも申し添えておきます。

 私の地元神奈川県には、世界一という中華街が横浜にございます。平素より日本の人と台湾の方々との交流は、まさしく長年の歴史の中にあるわけでございまして、日本の観光の名所としても成り立っているのは、そういう人たちの中にコラボレーションがうまく機能しているからでございます。改めて申し添えておきたいと思っております。

 大震災に中華民国、台湾の国民が我が国に示してくださった温かい支援の心はまことに大きいものでありまして、また、いただいた義援金二百億円は、今回の震災についてはまさしく世界最大級の金額でありまして、日本人が台湾の友情にどれだけ勇気づけられたかはかり知れません。

 藤村官房長官は、十二日の参議院予算委員会で、事務方が全てお膳立てしたと答弁されていますが、事務的なミスではないのではないか、意図的ではないかと一般的には言われておるわけでございます。

 実は、私の地元川崎では、日本一の映画街でありますチネチッタがあります。この中にチッタデッラという大きなホールがございまして、ここで早朝から夜遅くまで、台湾の人たちに感謝をしようということで若い人たちがイベントを一日じゅうやって、実は、ITを通じて世界に発信して、イベントまでやっているんですよ。私も当然参加をしました。

 野田首相からは、十二日の参議院予算委員会で、行き届いていなかったことを深く反省したいとの発言がありました。

 この点について、閣僚の一員として、内閣の一員として細野大臣はどのようにお考えなのか、思いを持っておるのか、お聞かせをいただきたいと思います。

細野国務大臣 東日本大震災におきましては、台湾の皆さんから非常に温かい御支援、励ましの言葉をいただいたというふうに承知をしております。私自身にも台湾の友人というのがおりまして、そういった皆さんの方からもそういった励ましの言葉をいただいておりますので、本当に心より感謝を申し上げたいと思います。

 その上で、三月十一日の追悼式典において、総理からももう既におわびの言葉がありましたけれども、失礼があったというふうに私も考えます。

 したがいまして、閣僚の一人として、私からも心よりおわびを申し上げたいというふうに思います。

田中(和)委員 きょう官房長官をお願いしても来れなかったのかもしれませんけれども、私が驚いているのは、十三日の記者会見で藤村官房長官が、事務レベルの仕切りに問題があったとは思わないと、国会の答弁と違うことを言っているんですね。これはどういうことか、大臣御承知かどうか。

 そういうふうに、一旦は国会の場でおわびをしている、申しわけないと非礼をわびているわけですが、一方今度は、記者会見の場では問題なかったと。全然違う発言があるように私は伺っているんですけれども、これはどういうふうになっているのか承知していますか。

細野国務大臣 大変申しわけございません。経緯について、私自身が直接担当しているわけではございませんものですから、直接確認はしておりません。

 ただ、経緯ということではなくて、政府が行った追悼式典ですので、その追悼式典で台湾の皆さんに失礼があったというこの結果をもって、しっかりおわびを申し上げるべき性質のことではないかというふうに感じております。

田中(和)委員 この発言の真意というものを御本人に確認しなきゃいけないとは私も思うんですけれども、総理がわび、御本人も官房長官として問題があったという認識に立っての御発言があった後に記者会見で問題がなかったということになると、これは実は大変な話なんですよ。

 細野大臣にこれ以上お尋ねをしてもこれは解決する話ではないんですが、内閣の一員として御認識を持っていただいて、ぜひひとつ、総理初め官房長官にも私からこのような発言があったということは伝えていただきたいし、きちっとしていただきたい。

 台湾側からは日本の不手際について正式な抗議はありませんが、しかしながら、今回の件に限らず、地震以降、台湾の主要紙への感謝広告の掲載が漏れて一月おくれになったとか、文科省が制度化した被災地私費留学生の援助制度の対象から台湾国籍の学生が一旦外されたことがあった。本当に次から次に、これでもかというぐらい礼を欠いたことが起こっているんですよ。

 一方、三月十三日に、台湾の国会である立法院本会議において楊外務大臣は、義援金は思いやりの結果で、感謝を得る目的ではない、日台関係は花束一つで揺るがない、こういう御答弁をいただいているんですね。これは何か大きさが違うように、私は、本当に日本の政治家として、国民の一人として恥ずかしいなとつくづく思っておるところでございます。

 ぜひひとつこういう思いを持っているということを、大臣もそうだと思いますけれども、これはちょっと軽くでき得ない。世界じゅうの人たちから、日本というのは礼節の国、礼節の国民じゃないか、この姿形は何だろうとまさしく嘲笑の対象になると思いますが、もう一度大臣、お答えください。

細野国務大臣 今の田中先生からの、台湾の皆さんのお言葉であったり行動であったりということを聞かせていただくと、改めて、本当に日本に対してそれだけ気持ちを寄せていただいているということに、もっともっとしっかりと感謝をしなければならないというふうに思っております。

 個別の政府の対応について、私も全て詳細に承知をしているわけではありませんけれども、そうした台湾の皆さんの気持ちは、我々政治家がきちっとやはり受けとめなければならないということを改めて感じた次第でございます。

田中(和)委員 日本の終戦の戦後賠償の話等においても、当時の中華民国は、まさしく日本からは賠償を求めず、以徳報怨という有名な言葉を発して、日本の戦後を助けてくれているわけですね。いろいろなことをもう一度私たちは改めて謙虚に考えなければいけないな、このように思っております。

 次に移ります。

 明後日、日曜日に、三月十八日、私の地元のJR川崎駅において細野大臣にお見えをいただける、大変ありがたいことだと思っております。広域処理促進のための街頭キャンペーンを実施いただく。黒岩神奈川県知事、阿部川崎市長、林横浜市長も御参加され、そして私も、いつもその時間は駅で演説をする時間なものですから、ちょうどダブったものですから、ぜひひとつ参加をさせていただきたい、このように思っております。環境省の方からも御丁重な御案内をいただきまして、ありがとうございました。

 きょうのこの委員会にいらっしゃる先生方にも、川崎の駅頭に、日曜日午後四時からでございますので、一時間でございますが、ぜひ御一緒していただければありがたいなと思っております。

 そして、細野大臣の地元静岡県の島田市の桜井市長さん、議会の方の御承認もあって、瓦れき受け入れを表明された。大臣の地元中の地元でございまして、本当に大変な成果であったな、朗報であるなと喜んでおりますし、私の神奈川県の悪戦苦闘ぶりと比べると随分違うなという思いもします。

 私どもの地元も含めてのこの広域処理について、お尋ねをしてまいります。

 まず、本日、瓦れきの処理、特に広域処理について野田総理が、被災地三県及び既に処理を始めている東京都や受け入れを表明した静岡県等を除く道府県と政令市に受け入れ要請の文書を発送するということだそうでございますが、はっきり言って、一年過ぎて今、何でこんなに遅くなったんでしょうか。広域処理というのはもっと早くやらなきゃいけないんだとみんな言っていたじゃないですか。当時から言っていたんですね。何でこんな時期になっちゃったんですか。一年もたってからの発送になるんですか。

細野国務大臣 日曜日に田中先生も御参加いただけるということで、ありがとうございます。

 これは、党派を超えてそういった形で御支援をいただけるのは本当にありがたいですので、神奈川県でも、首長の皆さんは一歩前にということでやっていただいていますので、協力して結果を出すことができるように、努力をしたいと思います。

 要請が本日に至った経緯でございますけれども、これまでも実質的には、特措法を通していただいて以降は、私も環境大臣に就任をしたのは九月でございますが、その後も個別の要請はしておったんです。ですから、東京都が受け入れをしていただいて、その後も神奈川県、静岡県、東北はそれより先になりましたけれども、それぞれの地域についてさまざまな要請はしておりました。

 その一方で、法律の要請文書を出すということについては、検討はしてきたわけですけれども、それぞれの自治体の事情というのもありますので、そこは、最終的には自治体の持っている処分場であるとかさらには焼却施設を使わせていただかなければならないということもあって、やりとりの中で自治体から声を上げていただくというのが方法としては適しているのではないかと考えておったわけです。

 しかし、住民の皆さんの中にどうしても反対される方が多くて前に進まないというそういう自治体が多うございました。黒岩知事からも、法的なところに踏み込むべきではないかという御提案もいただきました。

 政府の側としても、準備を進めてまいりまして、その時期ではないかということで、改めて法的な要請を出させていただくということにした次第でございます。

 もちろん、これからも自治体の個別の事情というものにはしっかりと我々は目を向けていかなければならないというふうには思っておりますが、要請をする以上は結果を出すことが求められますので、さらに踏み込んで、個別のさまざまな自治体に対して働きかけを強めていきたいというふうに考えているところでございます。

田中(和)委員 お地元の島田市には大臣の心が伝わった結果だと思うんですよ。一事が万事で、島田市と同じように大臣が必死に行動されれば、きっと心が動き、国民のほとんどが当然だと思っている広域処理に御協力をいただく基礎自治体がどんどんと手が挙がってくるんじゃないかと、このように私は思っているんです。

 遅くなったことはこれはもう本当に問題だと思いますけれども、次にちょっと移ります。

 二千二百五十三万トンと言われる瓦れきの総量というのは、実は、これはどういう数字なんですか。これで今回の大震災の瓦れきは全てなんでしょうか。

細野国務大臣 数量が非常に多うございますので、それぞれの自治体の状況を見て、これは全部計量しているというわけではなくて、推計をしているということでございます。今御紹介をいただいた二千二百五十万トンちょっとのこの災害廃棄物の発生量というのは、被災三県である岩手県、宮城県、福島県三県のものを合計をしたものでございます。

 そのほかの地域でも、地震などによって発生をしているところはあろうかというふうに思いますが、そうした地域においては処理が十分その地域で可能な量でございますので、被災三県ということで合計をしてはからせていただいているのは、日本全体で考えていかなければならない課題だということでこうした数字を掲げさせていただいているということでございます。

田中(和)委員 時間の関係もありますから前に進みますけれども、私が調べますと、これは津波の地域だけで、地震で崩れた少し内陸部の部分からの瓦れきは入っていないと言うんですね、現地で聞いてみると。だから、この数字は、実際に三県の負担あるいは三県の処理をしなければならないものの数字ではないんですよ、実は。

 それをある程度市町村レベルでもう一回きちっとヒアリングをして数字の確認を行わないと、これはやはりその自治体、自治体で狂いが生じてくるし、負担が大きくなってくる。この点についてはどうですか。

伊藤政府参考人 先生御指摘のとおり、この二千二百五十万トンというのは、津波でやられた沿岸の地域のみのものを計上しております。もちろん、内陸市町村の災害廃棄物の発生量を我々推計しております。

 ただ、その値は沿岸地域に比べて非常に小さい、なおかつ、それは地元で十分に対応できるものであろうということで、各県における処理計画も、この沿岸地域に焦点を当てて計画をつくっている、こういう状況にあるわけでございます。

田中(和)委員 これは今の答弁ではとても納得いかない話で、やはり各市町村にとっては、それは簡単に処理できるとかどうだこうだという話じゃなくて、全体的な話の中できちっと捉えていく。津波によって起こった瓦れきは幾らある、あと、震災で起こった瓦れきもあるわけですから、こういうものをトータルでやはりきちっと科学的に、合理的に環境省が対応しなきゃいけないことは、これは当たり前のことです。

 ぜひひとつこれはやってください。数字がわかっているという話じゃなくて、数字というのは、お互いに正しく物を把握するために使う道具ですから、これに例外がたくさんあったのではいけないんですね。

 私が聞いていると、もう相当瓦れきがあるんだ。どこからが瓦れきなのかという問題もあるかもしれませんけれども、実際に使えなくなったうちも壊せば、それは瓦れきと言うのか言わないのかという問題もありますけれども、これは結構自治体で、現地で負担になっているんですよ。

 ですから、この数字というものももう一回改めて確認していただきたい。

 さて、大きな問題ですけれども、この処理について、もう大変な数字でございますよね。現在で、岩手、宮城、福島合わせて六・七%。しかし、政府の計画では、二十六年三月までに全ての瓦れきを処理をする、これは国会答弁を何度も繰り返しておられますけれども、なぜ今まで六・七しかできなかったかということと、あとの、これは大変な数字ですよね、九〇%以上ですけれども、このことをあと二年でどうやってやるのか。これはみんなからの大変な疑問であると同時に心配の種なんですけれども、これはどういうふうに御答弁されますか。

細野国務大臣 今御指摘いただきましたとおり、現段階においては、六・七%からもう少し数字は毎日上がってはきておりますが、若干上がった程度で、大体その程度にとどまっておりますので、限定的な量になっているということでございます。

 こうした、一年たった中でまだ処理がこの程度しか進んでいないということに関しては、私が責任者でございますのでおわびを申し上げなければならない、被災地の皆さんに特にそのように感じております。

 そのスピードがなかなか上がってこない理由でございますけれども、幾つか原因がございます。

 一つは、今、田中委員の方からも御指摘ありましたとおり、広域処理がなかなか進まなかったというのも一つこれは原因でございます。徐々にそこには動きが出てまいりましたので、これを加速化をさせたいと思っております。

 もう一つの原因といたしましては、二千二百万トンのうち千八百万トン程度は被災地で処理をするということになっておるわけです。それがなかなか進んでこなかったということがございます。

 この被災地で利用する方法としては、例えば防災林で使ったりとか、そうしたことを初めとした再利用を進めるというのは、まさにこれから具体化してきておりますので、始まるということでございます。

 もう一つは、実際に処理をする、仮設の焼却施設をつくってそして処分をするというこの考え方でございますが、これだけの大量の廃棄物が発生をして仮設の焼却施設までつくってやるという経験は、これまで日本の場合はほとんどございませんでしたので、この仮設の焼却施設の建設がなかなか進まなかったというのがもう一つ事情としてはございます。

 現在稼働しているものが五基、間もなくそれぞれ順次立ち上がりまして、二十五基まではめどが立っております。それが稼働し、さらには分別の設備というのも稼働し出せば、被災地でのこの処理というのも進んでくるというふうに思っております。

 したがいまして、今のペースで一年間で七%だとすると、三年間であと二十ちょっとぐらいしかいかないわけですので、このままのペースでは全く処理が進まないわけでありますが、ここから被災地の処理も、さらには広域処理も含めて加速化ができるというふうに思っておりますし、やらなければならないとも思っておりますので、そうした中で、この平成二十六年の三月末までの処理というのは、これは守っていかなければならないというふうに思っているところでございます。

田中(和)委員 大臣の答弁だけで伺うと、できそうにないなという御答弁のように聞こえました。

 最終処分の福島県外という話も、それは三十年以上先の話とはいいながらも、福島県民の皆さんから見ると、本当にそれもやってもらえるんだろうか、それから瓦れきの処理、これもあと二年で一〇〇%片づくんだろうか、これは相当眉唾じゃないのか、国会というのは大丈夫かい、国会議員も大臣も、やりとりを聞いているともっともらしいことを言っているけれども、本当にできるのか、常識的な数字じゃないんじゃないか、こういう話がたくさんございまして、私も立場がありますので、再度、この点は大臣からきちっと答えてもらわなきゃいけない。

 それから、さっき言ったように、瓦れき、瓦れきと言うんだけれども、津波の瓦れきはそうかもしれませんが、そのほかの廃棄物もたくさんあるという把握がさっきの政府委員の答弁でも何か曖昧模糊として、これは結局、処理する上では地元の人たちは同じ負担がかかってくるわけですよ。当然のことですね。こういうことも明確にして、お互いに信頼度を高めていかなきゃいけないんじゃないですか。

 もう一度、大臣の答弁を求めます。

細野国務大臣 内陸部の方の災害廃棄物については、今、非常に貴重な御指摘をいただきましたので、再度、処理がどの程度進んでいるのかというのを私自身も確認をしたいと思います。

 数字で御紹介をしますと、岩手県の場合ですと、沿岸部が四百八十万トンございます。それと比較をすると内陸部は四百トンという数字でございますので、四百トンという数字自体も、もちろん、それぞれ家屋を解体したりしている数字ですので大変な状況ではあるんですが、処理量としては問題がない量になっております。

 一方で、宮城県とか福島県ですと、それぞれ、百六十万トンさらには百三十万トンということで、一定量発生をしております。

 これまでは、域内でそれは問題なく処理ができるということで数字に加えておりませんでしたが、どういった形で処理ができているのかということについては、やはり直接確認をする必要があるというふうに改めて感じましたものですから、それは直接やらせていただきたいというふうに思います。

 御指摘の、平成二十六年三月末までに処理ができるのかということでございますが、この目標は絶対に達成をしなければならないと思っております。

 その一方で、被災地に行くと常々感じますのは、我々がつくった目標ということが守られるか守られないかということが重要なのではなくて、被災地の、そこで生活をされている方々の目に瓦れきが見えない状況になることが最優先ではないかというふうに思うわけです。

 特に、問題はもちろんあるわけですけれども、まだ三月ということで、大きなそれこそ、例えばハエが発生をするとか発火をするとかいう話は最近大分なくなってきておりますが、夏に向けてやはりいろいろな問題が出てくる可能性がございます。ですから、そのときに被災地からそういった状態ができるだけなくなっているという状況が私は最も大事ではないかと思っております。

 したがって、我々の目標を達成するためにとにかく形だけ整えるということではなくて、被災地の状況を少しでもよくする、ことしの夏は、全てというわけにはもちろんなかなかいかないと思うんですが、できるだけもう一度、仮置き場の中でも住宅が近くにあったり学校が近くにあったりする場合は、そこからどうやったら取り除けるのかということを考えなければならないし、できれば、できるだけ被災者の皆さんの目に届かないところに瓦れきをまずは持っていって、処理をできるところに持っていかなければならない。そういったことについて最大限の努力をしてまいりたいと思います。

 政治に対する信頼の問題も含めて今御指摘をいただいたのは、大変ごもっともなお話でございますので、大事なのは言葉ではなくて結果である、そういう思いで進んでまいりたいと考えております。

田中(和)委員 時間の関係がありますので少し結論に持っていきたいと思いますけれども、実は今回、先ほど指摘しましたように、広域処理と言いつつも国の対応が非常におくれたということや、島田市のことを何度も挙げて恐縮なんだけれども、島田市はできたわけじゃないですか。だから、大臣が頑張ればできるんですよ。

 今、山形県が四万九千六百トン、東京都が四千五百八十トン、青森県が三百トン、今後いろいろと、秋田県そしてお地元の島田とか、こういうふうにして行くと思うんですが、全体から見ると、こんな数字では、あと二年で片がつくはずありませんよ。

 当然、手紙を出すことによって職員の人が各自治体をお願いに回られることは当たり前だと思うんですが、一方において、焼くことと、まあ焼くといっても、バグフィルター初め、住民の皆さんのいろいろな心配が除去できるような施設を持っているところで、しかも処分場も持っている、こういう自治体や組合の組織になっているようなところに、大臣、場合によっては総理自身も出向いていただいて、こうして二年間で片をつけるんだということを態度で示さなかったら、これは誰も信じませんよ。

 数字だけ見たって、もうどうしようもないです。目の前に見えてなくなればいいんだけれども、根本的にはそういう問題じゃないですね、日本の国そのものが変わっているわけですから。この認識に立ってそういう動きをしてみたらどうですか。

細野国務大臣 これまでも個別の自治体の首長の方に働きかけるときに、例えば、被災地であればここの町のこういうごみであればどうだろうかというようなことは私からも打診をしてまいりました。具体化しますと、動きが徐々に出てまいります。

 特に、非常に効果があるのは、島田市もそうですけれども、検討していただくときに、首長の方はもちろん、地元の議員さんであるとか自治会長さんなんかが、この場所であればということで御紹介をしますと、例えば、バスで行って現地を見て、実際にそこではかるということもやっていただけるわけですね。そのことによって島田市は一歩前に進みましたし、ほかにも幾つか自治体でそういう動きが出てきております。

 ですから大事なことは、一般的な要請にとどまるのではなくて、具体的にここのこういったごみをお願いをしたいという要請をして、そして、そのアクションにつながるような形に持っていくことではないかと思っております。

 要請文は、きょう一般的なものは出させていただきますけれども、既に具体的な検討をしていただいているところには、どこのごみをどれぐらい、どういう種類のものを引き受けていただきたいという、そういう具体的な要請文に踏み込みたいと思います。

 その場合は、これは例えば職員が持っていくとかいうそういう種類ではなくて、できれば私が、幾つかその自治体がありますので全てというわけにはいかないかもしれませんが、基本的には、私が直接責任者である首長の方にお渡しをして、これで何とかお願いできないか、そういう直接的な要請をするべき時期が来ているというふうに考えております。

田中(和)委員 私、少し誤解が出たのかなと思うのは、報道も少しあったんですが、国の代行ということですね。(細野国務大臣「はい」と呼ぶ)これは特措法においての法律のことですから、できなくはないんですけれども、国の代行と言ったって、現実には、国有林がどこにあろうとも、その地域の皆様の御理解が得られない限り、国がやろうとも同じことなんですよ。だから、あくまでも、基礎自治体にお願いする、そして都道府県知事さんにもともに御協力をいただくということが一番基本だと思うんです。

 そこで、神奈川県の話でございますが、県の管理しているあの横須賀のところは、産業廃棄物の実は処分場なんですよ。ですから、地域の住民の皆さんからすれば降って湧いたような話で、一方において、もう川崎市とか横浜市は焼却場も持っているし、処分場もあるわけですよ。川崎市にも大臣お見えになるわけですね。そうであれば、量は別にしても、県内のコンセンサスを得るための大切な一歩として、わずかでも横浜市や川崎市の処分場に、全く問題のない灰ですから引き受けていただいて、一方で横須賀の皆さんにも丁重なお願いをする、これが私は最良だと思いますけれども。

 川崎市は、私の家の近くですけれども、下水道の焼却灰が、セシウムが含まれているものですから、そのまま袋に詰めて放置してある。それを先に埋めなければいけないという事情はわからなくはないんですけれども、その事情と広域処理の事情というのは同時進行でありますし、広域処理の方が今重要に考えざるを得ないほど、二年の話を考えると私はあると思うんです。自治体の事情は皆あると思います。

 川崎市長や横浜市長、御一緒にキャンペーンをやるわけですから、ぜひ大臣、直接御依頼をされたらどうですか。私は非常にこれは効果的だと思いますけれども、いかがでしょうか。

細野国務大臣 御指摘のとおり、神奈川県の場合には、県ももちろん非常に大きな施設を持っておられるわけでありますが、一方で、横浜市、川崎市そして相模原市と三つ政令指定都市がありまして、それぞれ処理においても力を持っておられます。したがって、既にそれぞれの自治体の首長の方からはかなり積極的な御発言をいただいておりますので、それぞれにも要請をさせていただきたいというふうに思っております。

 今、どういった形がいいかなと思って若干まだ決め切れておりませんのは、神奈川県全体でこれぐらいお願いしたい、その中で横浜市、川崎市そして相模原市ということでそれぞれ分担を決めていただくというやり方がいいのか、もしくは、県にはこれぐらいお願いしたい、政令市にはそれぞれこういう形でお願いしたいというふうに具体化した方がいいのか、そこをちょっと今決めかねておりまして、やはり、連携をしてやっていただくという意味では、総量をお示しをして、その中についてはそれぞれ分担をお願いするのかなというようなことで今考えておるんですが、私が質問をするのも変なんですが、もし田中先生の方でお考えがあれば、ぜひ聞かせていただければ幸いでございます。

田中(和)委員 全体的には、日本全国、都道府県ごとにいろいろなイメージがあると思うんですよ。ただ、やはり最後は地域の住民の皆さんですよね。最低でも議会ですよ。そういうふうに考えたときに、住宅の地域とか、住んでいらっしゃる人たちがいっぱいいらっしゃるそばというのは、なかなかこれは説得が難しいんだろうと思うんです。

 東京都も、非常に石原知事のすばらしいリーダーシップでいっていますけれども、やはり、周りに人が住んでいらっしゃらない、比較的臨海部の隔絶した場所だということもうまくいっていることなのかなと。そうすると川崎だって、処分場はあの周りは人が住んでいないわけですから、私が一番近くかもしれませんけれども、横浜だって理屈は同じですよ。そして、量全体は後々のこととして、みんなで協力しようと国民の皆さんがほとんど思っているわけですから、当然地域の住民だって、皆さんもうわかっているんですよ。

 ですから、入り口の部分、扉をあける部分を、大臣がみずから、ひとつ川崎も横浜も、相模原もお願いできればですが、日曜日は横浜市長、川崎市長同席ですから、ぜひひとつお願いしますと言えば、検討してもらえるんじゃないかな、議会の人たちにも声をかけて、我々もいけるんじゃないかな、私はこう思うんですね。きのう夜、実は黒岩知事とも電話でちょっと打ち合わせをしてあるんですけれども、大臣、ぜひやってみてくださいよ。大臣の熱意が島田と同じように日本全国に伝わったら大変なことじゃないですか。

 二年でやるということは、我々野党、自民党だってこれは責任があるわけですから、ただだめだだめだと言っているんじゃなくて、我々も協力しますから、やってみましょうよ。どうですか。

細野国務大臣 力強いお言葉、本当にありがとうございます。本当に皆さんにこうして、お手伝いいただいているというよりは、一緒にやっていただいているというそんな思いを改めていたしました。

 日曜日に参りますので、そこで直接、少なくともそこに来ておられる首長の方々には要請をさせていただきたいというふうに思っております。できれば先生に、そこに来ていただけるということでございますので、御同席をいただければ大変心強いというふうに感じております。よろしくお願いいたします。

田中(和)委員 時間が実はもうほとんど来ていまして、先日、衆議院の二人、私と近藤筆頭と、参議院のお二方の先生とダーバンに参りまして、非常に大変な会議に出席をいたしました。改めてこのダーバンのことについては、また質問の時間を得ることができれば。

 いろいろと日本の孤立化というものもやはり私は心配するんですよ。アメリカ、中国、それはいろいろとあるんですけれども、日本の形がカナダとどう違うのかといったときに、見ようによっては余り違わないんですよ。とにかく、これからアメリカを説得し、中国を説得し、本当に価値のある地球温暖化防止の姿形をつくっていくために信用されるかされないかですよ。僕は、鳩山さんのあの二五マイナスの話から急に日本はダッチロールが始まって、そして地震も起きてこうなった、こういうことで心配しております。

 これを最後に申し上げて、時間が参りましたので私の質問を終わります。ありがとうございました。

生方委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 大臣、大変御苦労さまでございます。

 今ありましたように、東日本大震災の発災から一年でございます。今なお三十万人を超える方々が避難生活を余儀なくされております。被災地では、先ほどもございましたけれども、震災瓦れきの処理が一向に進んでいない、また、社会的インフラの復旧、産業再生と雇用の回復、そして原発事故の一刻も早い収束、除染、健康への影響、さらには風評被害や賠償問題等々、課題が大変山積しているわけでございます。復興に向けて迅速な対応が求められておりまして、政治に課せられた課題は余りにも大きいものがあると思います。

 公明党は、この被災地の再生とそれに続く日本の再建に向けて全力を挙げて取り組むことを申し上げて、質問に入らせていただきます。

 きょうの質問は、広域処理の推進と除染、さらには、原子力規制庁の問題等について質問をさせていただきたいと思っております。

 まず、災害瓦れきの広域処理の推進についてでございますけれども、瓦れきの処理が終わったのは被災三県で六・三%にすぎないという、この重たい事実がございます。岩手県では十一年分、そして宮城県では十九年分、こう言われる瓦れきが発生して、迅速な処理には、被災自治体は被災してその余力がない。そういう中で、やはり県外の自治体に協力をしてもらう、こういう広域処理が必要とされているわけでございます。

 このことについては、私も昨年の当初から強く大臣にもまた申し上げてまいったところでございますけれども、なかなか進んでおりません。瓦れきが放射性物質に汚染されているのではと心配する声に対して、政府がこの瓦れきの安全性について十分な説明をできていない。そういうところにも一つ大きな進まない原因があると思っております。

 私たち公明党は、まず、瓦れきの安全性の周知徹底による住民理解、これが大事だ、政府が前面に出てこれを行っていくべし、こういうことを申し上げてまいりましたし、また、この瓦れきの受け入れに伴う費用の受け入れ自治体への財政支援、これがやはり重要となってまいります。

 さらに、焼却灰の最終処分に国が前面に出て積極的に取り組む、こういうことが広域処理を進める上においては大変重要として、我が党としても、総力を挙げて、全国の議員のネットワークを活用して、各議会でも広域処理の推進に協力を仰げるようにしてきたところでございます。

 焼却灰の放射性セシウムの濃度が八千ベクレル以下ならば大丈夫だと基準をつくったのは、これは政府ですよ。しかし、市町村は説明できていないんです。できないんです。政府が責任を持って住民を説得する基本方針に立たなければ、これは全く進まないことになります。市町村に快く受け入れていただけるように政府を挙げて取り組むべきだと考えておりますが、大臣、まずはいかがでしょうか。

細野国務大臣 まず、公明党の皆さんにも、本当に瓦れき処理については具体的な取り組みをしていただいておりまして、静岡にも山口代表が来られて、やろうということで公約をいただいたのは実は非常に大きかったんです。そうした御協力をいただいていることに関して、まず心より御礼を申し上げます。本当にありがとうございます。

 御指摘の八千ベクレル・パー・キログラムの基準でございますけれども、去年の夏に策定をいたしまして、その後、環境省内の会議で専門家を集めて八千ベクレルという数字を出しまして、その後、放射線審議会の方でも、これは法律に基づく会議でございますので、そこでも御審議をいただいてお認めをいただいたという経緯がございます。したがいまして、その基準自体は客観的で安全なものであるというふうに私どもは考えているところでございます。

 問題は、その事実をお伝えをする方法でございまして、これまでガイドラインということでやってまいりましたけれども、やはり、しっかりとした法的なものと位置づける必要があるだろうということで、近々、できるだけ早い段階で、告示という形でお示しをしたいと考えております。

 ただ、ガイドラインであろうが告示であろうが、地域の皆さんにしっかりと納得をしていただかなければいけませんので、そこの説明を、環境省、さらには、我々が専門家を送ってしっかり御説明をすることは、非常に重要だというふうに考えております。

 これまでも、住民説明会などをやられる場合には、御要望がある場合は例外なく、御要望がない場合も、こちらからどうでしょうかということで踏み込んでそうした説明をしてきておりますが、これからさらに、恐らく数もふえてくると思いますし、丁寧な説明がより求められるというふうに思いますので、しっかりと体制を組んで、安心をしていただけるような状況を我々がつくるということで取り組んでまいります。

江田(康)委員 この安全性に関して環境省が公表しているのは、八千ベクレルという数字と、それと十マイクロシーベルト、それら二つの数字が出て非常にわかりにくい。放射性物質に汚染された廃棄物の処理について、これはまず、埋め立てが可能とされる八千ベクレル・プロキログラム以下と、それと、再生利用が可能とされる十マイクロシーベルト・パー・年という二つの基準があって、混乱しているわけであります。なかなかわかりにくいですよ。

 前者は、八千ベクレルという基準は、廃棄物を処理するその作業者について被曝線量が年間一ミリシーベルトを超えない、これで安全である、また、周辺住民の皆さん方も、それよりも低い、基本的には自然の放射線量よりも低いところで安全であるということを、埋め立てる際にはこういう基準をつくっているわけでございます。

 後者の十マイクロシーベルトというのは、これは、製品としてどこに行っても、広く市場に流通しても問題が生じないとされている基準だと思います。

 こういう二つの基準が、きちんと説明をしていけばわかり得ることであるかと思うんですが、そこが混乱している。

 環境省が作成している災害廃棄物の受け入れに関するパンフレット、これも数字が出てきてなかなかわかりにくいかもしれませんけれども、これには、二百四十から四百八十ベクレル・パー・キログラム以下の可燃物を焼却した場合に、焼却灰の濃度がどんなに濃縮されても八千ベクレル以下になる、したがって、これを埋立処分した後のこの放射線量は〇・〇一ミリシーベルト・パー・年以下となる、こういうふうに記載されているわけでございます。

 しかし、これを読んでも、また説明しても、なかなかわかりにくい。しかし、先ほども申しましたように、確かに、数字としてはこれは安全であるということを言っています。二百四十から四百八十ベクレル、それ以下である廃棄物では、どの焼却場を用いても焼却灰は八千ベクレル以下になって、そして、それを埋立処分場に処分すればこれは年間一ミリシーベルト以下になる、これは安全である、周辺住民の方々はもっと低い濃度になるんだ、こういうことをしっかりとやはり丁寧に説明をしていく。実際、岩手や宮城の廃棄物の中にはそういう高い濃度のものはほとんど含まれていない。そういう実際のデータを丁寧に説明していくというのも大変必要かと思っております。

 次に、財政支援について最近の報道から確認をさせていただきたいと思っております。

 野田総理が三月四日に、広域処理を推進するために、受け入れ自治体の放射能検査や処分場の整備拡充に対する財政支援を検討する考えを表明されました。これを受けて細野大臣が三月五日に、広域処理の受け入れ自治体に対して、放射線量の測定や住民説明会の開催に要する費用を支援する、また、焼却施設の処理費用の全額国庫負担、これも表明された。また、焼却灰などの最終処分場の新設、拡充に要する経費の支援を内容とする追加支援策、これを明らかにされたわけでございます。

 私は、大変妥当である、この財政支援を明確にしていくことが大変重要だと思っておりました。実は、これまで行われてきた自治体に対するアンケートでも、処理施設、処理能力の不足というのが受け入れできない理由の一番多い意見だったんですね。五三%。最多になっております。

 こういう状況に前からあったわけで、これは、この財政支援の手を打つのが余りにも遅いというか、そういうことを非常に残念に感じます。なぜこのような財政支援をこれまでに打ち出すことができなかったのか。

 さらには、野田総理がさらにさらに加えて、記者会見でこの三月十一日、表明されましたけれども、災害廃棄物特措法に基づき、都道府県に瓦れき受け入れを文書で要請する、受け入れ基準や処理方法を定める、また、民間企業、セメント会社や製紙会社などに協力の要請を行う等々の表明をなされました。これもまた大変遅いと思うわけでございます。

 こういう点について、なぜもっと早く打ち出すことができなかったのか、そして、今後の取り組みを加速するべきだと考えますが、いかがでしょうか。

細野国務大臣 対応が遅かったのではないかというそういうお話については、これはもう私がしっかり承らなければならないことだと思っております。

 私の思いとしては、これまでも実質的にはある程度対応してきたという思いがございます。例えば広域処理に伴う測定ですね。これは、例えば島田市が測定をするものについては、処理費の中に入れ込みまして、国が負担をするということになっておりました。また、自治体の例えば処理施設であるとか処分場については、ある程度余裕があるところにはぜひやっていただきたいというふうに思っておりましたが、仮に、例えばそれを行うことで処理費用がなくなるというところに関しては優先的に、個別に支援をするというようなことは、内々の話はしておったんです。

 ただ、事前にこういう支援をするということが明確になっていた方が自治体としては安心できるということでございましたので、これはやはり制度にした方がいいだろうということで準備を進めてきたという、そういう経緯でございます。

 ほか二点、お話しいただいた点も、要請についても実質的にこれまでやってきたと。ただ、自治体としては、自治体の方からの方がやりやすいという意見もあって、国から押しつけられるという形はとりたくないという声もあって、内々の要請、内々といっても実質的な要請はしておったんですが、紙による法的な要請ということでは明確には位置づけてこなかったわけです。

 さらには、民間の事業者に対しても、セメント業界を初め、個別にはこれまでも働きかけをしてまいりました。ただ、これも、全国民に訴えかける、全産業に訴えかけるという、しっかりと表で伝えることで本気で考えていただけるというふうな時期が来ているだろうということで、今回、一歩前に踏み込んだわけであります。

 ですので、いずれも、これまでも実は個別には対応してきておったわけでございますが、もう個別にもしくは水面下で対応すべき時期ではない、むしろ、国民の皆さんにもしっかりと事実を知っていただいて、表でそれこそ直接的にやるべき時期が来たのではないかということで、そうした取り組みを今させていただいているということでございます。

江田(康)委員 いろいろこの状況があったという説明でございますが、とにかく、今私が申し上げました広域処理を大きく進めるためには、瓦れきの安全性を徹底して周知していく、また、この瓦れき受け入れに伴うその費用を財政的に支援していく、この二点は大変重要なことでございます。

 やはり大事なことは、国が全面的に責任を持って取り組むというその姿勢が見えているかどうか、ここにおいてやはり自治体の広域処理の推進も大きく進んでいくと思いますので、しっかりと取り組んでいただきたいことを申し上げて、次に移らせていただきます。

 放射能汚染対策、除染についてお伺いをさせていただきます。

 これは一月二十六日でした、環境省は除染ロードマップを公表いたしました。これには、除染の具体的なスケジュール等々が発表されたわけですけれども、これに付随する大変重要なことが抜けている。それは、肝心の、帰還に向けた具体的な時期などが明記されていない。被災者の立場に立った、温かい心のこもったロードマップを私は政府全体として公表すべきであったと思うわけですが、そうはなっていないのが残念であります。

 帰還に向けたロードマップを示さなければ、避難している人々は将来への展望が開けません。また、岩手、福島、宮城からの転出超過が四万一千二百二十六人に上っている。その転出に歯どめがかからないことになっていくわけであります。

 そこで大臣にお伺いをしてまいりたいんですが、このように、福島県の沿岸部にある十市町村は原発事故による多大な被害を受けておりまして、長期的な復興の絵が描けない状況で復興計画を立てたのは、まだ一部でございます。被災者の立場に立てば、放射能に汚染されてしまったふるさとがこれからどのように再生されていくか、一番知りたいところでありますが、それには幾つか課題があるわけですね。

 除染の実施で放射線量をいつまでに、どこまで下げるかという具体的な目標数値、これを国が責任持って示せるかどうか。

 また、機械的にこの除染の区域は選別をされていくことになるわけですね。これから三月中には、新たな区域の設定、避難区域や計画的避難区域は、これから三つ、それは、二十ミリシーベルト以下は避難指示解除準備区域、そして二十から五十ミリシーベルトは居住制限区域、そして五十ミリシーベルト以上が帰還困難区域、こういうふうに数字で機械的にこれは線引きをしていくことになるわけでございますけれども、地域のコミュニティーも本当に配慮していかなければ、帰還を前提としていく場合において、そういうコミュニティーが破壊されていけば、なおさらのこと県外への転出に歯どめがかからないというようなことにもなってくるわけでございます。

 今後、こういう点についても、この除染ロードマップについては見直す点も多々あるかと思いますけれども、これについて大臣の見解をお伺いいたします。

細野国務大臣 済みません、ちょっと名前が長くて、また途中で名前が変わったりするものですから、区域ごとにもう少し工夫ができないかなとは思っておるんですが、三つの区域へ変更ということで今準備をしているということでございます。その中で御帰還を御検討いただくところが出てくるわけですので、除染が最大の鍵を握るというふうに思っております。

 今出しているロードマップが、私は具体的でベストなものだというふうには思っておりません。一月の時点でこのロードマップをお示しをしたのは、一月二十六日にお示しをしたのは、まずは現段階でお示しをできるところを全体像をお示しをしよう、そこから具体的にそれぞれの町ごとにどういうふうに除染をするのかは、これはまさに特別地域における除染実施計画というのを現在各市町村と一緒につくっておりまして、月末には順次出せるのではないかと思っております。

 この除染実施計画の中では、およその除染の目安といいましょうか、目標ということにもなるわけですけれども、そういう数字をお示しをして具体的に事業を進めていく、それを道しるべにしていきたいというふうに思っております。

 悩ましいのが、この除染のロードマップ、基本計画と御帰還の考え方、区域の見直し、これはみんな密接にかかわっておるんですが、ここはちょっとそれぞれ自治体によって考え方があるわけです。例えば区域の見直しなども、五十ミリとかいうところでびしっと同じ集落なのに隣で区切れるかというと、なかなかそういうわけにもいきませんから、ある一定のコミュニティーは尊重しながら、どこに線を引くかというようなことになるわけです。

 したがって、全てを並行して進めながら、地元の理解を得て、それぞれ決められるところから決めていく、すなわち、除染の計画はできるだけ早くつくりたいと思っておりますし、区域の見直しも三月からできるだけやっていきたいというふうに思っております。

 ただ、区域の見直しがあって、すぐ御帰還がいつということで明確に言えるかというと、それもそれぞれ自治体によってお考えが若干違うわけですね。

 ですから、考え方をお示ししながら、全て耳をそろえてひとときに同じ基準でというわけにはなかなかいかない面がございますので、そこはできるだけ丁寧に対応していきたいというふうに思っているところでございます。

江田(康)委員 除染と帰還については、これは自治体によってもそれぞれ違うということがあってということでございますけれども、やはり国としては、除染が帰還に結びつくというような環境整備を徹底してやることが大事なわけで、そのためには、今、除染ロードマップがひとり歩きをしていますけれども、そういうことではなくて、私が申し上げたいのは、やはり政府が一体となって、その帰還のスケジュールもこの除染のロードマップとともにしっかりとあるべきだと思っております。

 地域のコミュニティーの問題も、それが壊されるような環境の整備というかそういう区分けのあり方というのは、やはり国が責任を持ってこれは見直しておいた方が私は大変重要かと思いますので、そこはしっかりと腹に据えていっていただきたいと思います。

 もう一つ、除染について。特別区域については四月から本格的な除染が始まる、人はそこには住んでいないわけですから。それ以外のところの高濃度の区域また低濃度の区域でありますけれども、除染作業に市町村は大変尽力をしているわけであります。しかし、その除染の技術というか除染ができるかどうかという、それはやはり、技術によって従来の手法でできるところとそうでないところがあるというのがこれまでの実施の中でわかってきた。

 地元からは、環境省がそういう効果的な除染の技術を開発している、また、民間がさまざま開発をされていますが、それらについて、やはりその方向性、技術のガイドライン等々でまとめてそれを示していかなければ、自治体の方はさらに効果的な除染ができない、こういう状況にあるのは大臣もよくおわかりだと思っているんですね。

 そこでお伺いをしたいんですけれども、日本国内でも、放射性物質による土壌、河川の汚染を除去する新技術が相次ぎ実用段階に入っていると思います。理化研が進めている、水中の放射性セシウムを藻に吸着させて濃度を十分の一以下に減らせる装置も試作したと、これも伺っております。また、産総研が焼却灰からセシウムを九九%以上除去する吸着材も開発してきたと。

 このような、国内においてもその技術が、これは研究段階と開発段階というのは、私も同じような分野におりましたけれども、全く違います。実用化というのは、大変ここには時間もかかるとは思いますけれども、こういう技術について積極的に国が取り入れて、官民問わずそれを迅速に示していく、こういうことが今求められております。いかがかと思うんですね。

 それともう一つ、環境省が、国際協力、国際的な技術力を活用してこれに取り組もうということで、アメリカのワシントン州のハンフォードで開催された除染に関する日米ワークショップ、これに出席しております。

 このワークショップというのは、アメリカ最大の規模で核廃棄物や汚染土壌等の処理が進められているそういうワークショップだとお聞きしております。ここから得られた技術はどういうものがあるのか、新しい技術として迅速にこれを活用していくことができるのか、そういう状況についても大臣の方からお伺いしたいし、これらの効果的な除染についてお伺いをしたい。今後どのように取り組んでいくかですね。

 それと、今行われているモデル事業、これがまたわかりにくい。モデル事業で活用できるそういう除染の方法や技術があるのか、これまでどのようになっているのか、そこら辺のところを、全部一緒ですけれども、大臣にお答えいただきたい。

細野国務大臣 除染の技術のレベルを上げて効果を高めていくというのは、極めて重要であると思っております。

 まず、ハンフォードでのワークショップでございますが、私も直接報告を受けました。環境省から複数の職員を派遣いたしまして、米側と非常に充実したワークショップを行うことができたと承知しております。

 ハンフォードというところは、米国が、核兵器の取り扱いでいろいろな除染の技術を実際に習得した場所でございまして、そこで提案されたものについて今回我が国で使えるものはないかどうか、そこについての検討を行っているということでございます。

 私も、そこで働いていた方と直接何度かやりとりしたことがあるんですけれども、核兵器の処理ということで、かなり広いエリアについて、しかも高濃度の汚染がされているところをどう完了するかという、かなり、個別のというよりは面的ないろいろな取り組みをしたところでございますので、まだそのノウハウが全て日本に移せているというわけではありませんけれども、非常に歴史をずっと積み重ねてきている地域でございますので、我が国の具体的な適用ということも可能な部分があるのではないかと思っております。

 海外との関係は、まだそういった意味では全て生かせているという状況ではありませんが、国内の方は随分成果が出てまいりました。モデル事業は、当初は、JAEAの方で実質的なモデル事業を行い、今、環境省の方で、法律ができましたのでモデル事業を行っております。

 幾つか具体的な適用事例というのが出てきておるんですが、一つだけ例を挙げますと、超高圧水による舗装面での除染技術、これは従来、高圧洗浄ということでばあっと水をかけてやっているのを多分江田先生もごらんになったと思うんですが、ああいうレベルではなくて、本当にアスファルトのすき間にまで水が行くような超高圧というのが出てきておりまして、それを幾つかの場所で実証実験をいたしました。

 これは非常に下がるということで、今導入をしておりますのは、例えば常磐自動車道、これの開通を求める声が地元で非常に強うございますので、そこで導入を既にしております。

 また、通学路の除染というのも各地で非常に関心が高うございますので、それぞれの町にこの技術を御紹介をして、今まさに子供さんが学校に通っているその通学路の除染を最優先にするというところに生かしていくことができるのではないかというふうに考えております。

 そのほかにも、土壌の洗浄の技術であるとか、さらには廃棄物のさまざまな処理の技術であるとか、いろいろな技術がもう具体的な結果として出てきておりますので、それを順次それぞれの本格的な除染の現場に投入をしていくという形でやってまいりたいと思っております。

 そのほかにも、もちろん一般の皆さんにもお知らせをするという意味で、成果報告会の開催であるとか、ホームページの掲載、事業者の皆さんへのさまざまな説明などいろいろな方法を今導入しておりまして、大事なことは、開発された技術が即それを使える場所で導入をされるということでございますので、それには努めてまいりたいというふうに考えております。

江田(康)委員 大臣、御説明はわかりました。

 そういう進んでいる技術を早く現場に、これはガイドライン等にまとめて、そのくらいきちんとしてやはり進めていただきたいと思いますけれども、いかがですか。

細野国務大臣 これまでお示しをしてきたそういう除染のガイドラインというものは、割と一般的なガイドラインにとどまっております。例えば、汚染された廃棄物はこういうふうに置いておいてくださいとか、こういう線量のところは一般的にはこういうやり方がいいですよとか、そういうところにとどまっておりました。

 そこから一歩踏み込んで、具体的なメニューとしてはこういうことがありますよというようなものもそろそろお示しをすべき時期が来ているかもしれません。まだちょっとメニューとして全部書けるかどうかは私の中で確証はございませんけれども、貴重な御提案ですし、実際に効果を出すという意味では、わかりやすくお示しをすることが大事だと思いますので、検討させていただきたいというふうに思います。

江田(康)委員 よろしくお願いいたします。

 最後に、原子力規制庁に関する質問を行わせていただきます。

 時間が短いので途中になるかと思いますけれども、規制庁の独立性について、我々は、新しいといいますか、今、国民の信頼が地に落ちたあの原子力安全委員会や、そして原子力保安院、こういうような体制は早急に見直さなければ原発の安全性を担保することはできない、これはもう共有していることだと思います。

 それは、一つは、推進側からまたは政治側からの独立性であろうし、もう一つは、危機管理、実際に事故が起こったときのその実動性、機動性、この二つ、大変重要な視点であろうかと思っております。

 そこで、まずは独立性についてお伺いをしたいんですけれども、政府が示されました、国会にもう既に提出をされました原子力規制庁の設置法案、これらの法案は、東電の原発事故を踏まえて、新しい原子力の規制組織である原子力規制庁を設置するとともに、原子力安全規制の強化、危機管理、防災体制の強化、これらを一括して行うものと認識しております。

 私は、原子力規制組織が真にその実効性を発揮して国民からの信頼が得られる組織にするには、やはり、原子力の推進組織や政治等の介入からの独立性、これを担保することが極めて重要と考えております。政府の案では、原子力規制庁は環境省の外局として設置するものであるわけで、ここで幾つもの問題点があると考えております。

 その幾つかを申し上げさせていただきたいんですが、第一に、原子力規制庁の長官の人事権はどこにあるんでしょうか。これは大臣にあるわけであります。たとえ権限を委任しても、長官の判断に大臣が圧力をかける、政治的介入があるおそれがあるわけです。このような観点から、政治的に独立した組織ではないという意見もあるわけです。

 また第二に、政府は、原子力規制庁の独立性を確保するために、規制に関する長官の権限を環境大臣から委任することとしておりますけれども、この委任を受けるのは平時における規制のみであると聞いております。つまり、緊急時においては、事故発災時においては環境大臣が介入することになり、原子力の専門家でもない、素人という表現が適切かどうかはわかりませんけれども、そういう政治家等々に原子炉の鎮圧等の指揮がとられるというリスクがあります。

 私の言葉ではないわけでありますが、菅リスクというのが今回政治的な介入の象徴的なものとして指摘もされておるわけでございますが、今回の事故ではまさにこのようなリスクにさらされて、政治家が陣頭指揮をとって混乱するような事態になってしまったとも思われます。

 第三点に、予算からの独立性が担保されていない。この予算はいまだにエネルギー特会という枠の中にあります。確かに、推進庁である資源エネルギー庁からはこれは査定されることはないという位置づけになっておりますけれども、やはりこれはエネルギー特会という枠の中にある以上、これでは本当に推進側からの独立が確保されるのか。また、環境大臣からも独立して予算配分ができることが重要なのではないかと考えます。

 第四に、人事についてのノーリターンルールというのがありますが、これは課長職以上でしょう、限定適用でありまして、多くの職員が経産省や文科省から異動してくるわけでありますけれども、その職員が一時的に出向してくることになり、これでは、推進側から独立した人材で構成された組織にはならないのではないか。

 こういうような四点にわたって今申し上げましたけれども、原子力規制庁の独立性をどのようにして担保していくのか、ここが大変重要でありますが、細野大臣の考えをお聞きいたします。

細野国務大臣 いずれも貴重な御指摘かと思います。

 まず、全体として申し上げますと、江田先生にぜひ今の制度をちょっと考えていただきたいんです。

 例えば今の制度においては、保安院の長官というのは、これは経済産業省の中の人事です、ローテーションで回しています。したがいまして、圧力以前の問題として、経済産業省の中のローテーションの人事になっているわけです。

 もう一つは、有事の際のマネジメントです。今はそれは全く法的には明確になっていません。これもやはり明確にしなければならないわけです。予算の独立性は、経済産業省の中の予算になっておりますので、全く確保されておりません。

 ノーリターンルールというところについては、まさに経済産業省の中の人事でやられている。これをとにかく改善をしたいわけです。

 改善をするときに私どもが提示をさせていただいた考え方が、経済産業省の外局という形で、まずはしっかりやれることをやろう、そういう考え方でございます。

 一つ一つ御説明を申し上げます。

 まず、長官の人事ですけれども、これは御指摘のとおり、長官にさまざまな炉規制法上の権限が委任をされてはおりますが、人事は、最終的にはもちろん大臣が行うということにはなります。

 ただ、万が一、大臣がそれにおかしな形で介入をするということがあってはなりませんし、そういったことがある場合には、原子力安全調査委員会というところがその原子力規制庁の規制のあり方をチェックをするという仕組み、大臣との関係もチェックをできる仕組みになっておりますので、これはもう国会の同意人事ということでございますので、そこはしっかりとこれを防止をすることができるというふうに考えております。

 炉の鎮圧のとき、すなわち有事の際に権限はどうなのかということでございますが、今御質問の原子炉そのものの鎮圧については、これは政治の介入ということはない形、すなわち、委任をするという形を私どもはとっていきたいと思っております。

 ただ、注意が必要なのは、これはIAEAからも指摘をされているところなんですが、一義的には、原子炉の鎮圧というのは事業者にあるということも忘れてはならないというふうに思います。事業者が一義的な責任を負い、そして、規制庁の長官が委任を受けて客観的、科学的な立場から必要な助言、指示等を行うというのが基本的な枠組みになるわけであります。

 その中で、大臣であるとか総理がかかわる可能性がある部分というのは、国民の命を守るということについて、国民の生活を守るという意味において、オフサイトのことであるとか、オンサイトで例えば自衛隊にここは出ていってやってもらわなきゃならないというようなことについて、なかなか科学者だけでは判断し切れないところがありますから、そこについて関与をしていくという、そこに限定されているということをぜひ御理解をいただきたいというふうに思います。

 最後に予算の独立性でございますが、これから特別会計法を改正いたしまして、エネルギー対策特別会計に、新しい経理区分として原子力安全規制対策というものを新設することとしております。これによりまして、従来は資源エネルギー庁を通じて行っておりました予算要求を直接的に規制庁が行うことができるような体制をぜひつくりたいと思っております。

 これまで、ともすればエネルギー特会というのは推進側に偏っておりましたし、必ずしも使い方として適切ではないという御批判がございました。それを安全側からしっかりと予算要求できるという形にすることによって、国民から見たときも、これならば納得をして税金を払えるという状況をつくりたい、そのように考えております。

 最後にノーリターンルールでございますが、しっかりとすぐれた人材を集めるという意味で、まずは課長職以上をノーリターンルールということで原則的にやらせていただきたいというふうに思っております。ただ、その後も外から人を連れてくるということではなくて、中で育てたいと思っています。

 ですから、課長以下、参事官以下についても、基本的には、来る人間は骨を埋めるつもりで来てもらって、そして、中ですぐれた人材を登用していくという形で、本当の意味で強い組織をつくりたいというふうに思っております。ぜひとも御理解をいただけますようにお願い申し上げます。

江田(康)委員 きょうは、時間の制限上、この四つの観点を一遍に大臣に質問をさせていただいたわけでありますけれども、これは、今後この審議をより深めてまいりたいと思う重要な四点でございますので、腹に据えておいていただきたいと思います。

 最後に、原子力安全調査委員会についても一つ。

 政府の案では、原子力規制庁の独立性を担保する、そのために原子力安全調査委員会の役割が極めて重要ということにしているわけであります。

 しかしながら、この原子力安全調査委員会の権限というのが、現在の原子力安全委員会と比べてむしろ弱くなっているのではないか。例えば、政府の案では、原子力安全調査委員会の事務局は法的には担保はされていません。また、原子力施設などへの立ち入り権限については、原子力事故後に、事故の調査権限、これは強いのですが、そこに限られておって、平時の立ち入り権限は明記されていないわけであります。どうやってこの管理の維持を図っていくのか、こういうところが不明であります。

 原子力安全調査委員会が重要であると主張しているにもかかわらず、このように、その機能、権限というのが不十分ではないか。この点についても大臣の考えをお聞かせいただきたい。

 もう時間がございませんのでここで終わりますけれども、踏まえて、大臣からの御意見もあれば伺います。

細野国務大臣 一点、済みません。先ほどの答弁で経済産業省の外局でということで申し上げましたが、済みません、これは完全に間違いでございます。環境省の外局として新しく出発をさせていただきたいということでございます。失礼いたしました。

 御質問の原子力安全調査委員会の権限でございますけれども、この役割につきましては、規制行政の有効性の監視、そして、事故の原因調査の役割を担うという形で今提案をさせていただいております。

 ここは確かにこれまでの原子力安全委員会と役割が異なります。ここはさまざまな議論の余地があるところだというふうに思いますが、これまでの二元体制というのが必ずしも機能しなかったという反省に立って、こういう新しい調査委員会を立ち上げたいと思っておるんです。

 この数日も若干報道で出ておりますけれども、例えば防災指針をつくるときに、EPZの範囲をどこにするかというのを、ではどこが決めるのかというと、今は原子力安全委員会が指針をつくるんだけれども、法的な根拠はないわけです。それをそんたくして保安院がどう運用するかということにとどまっておって、では、どこが決めて、どこが責任を持って実行しているのかというのは、必ずしも明確になっておりません。

 審査関係の指針も同じでございまして、安全委員会は考え方を示すけれども、それは最終判断ではない。それを受けて、微妙なさじかげんをも含めて保安院がやる、そういう体制になっておるんですね。

 これは、二重チェックという意味ではいいように見えて、実は無責任体制になってきたのではないかという反省に立って、役割としては、原子力規制庁が規制をしっかりやる、それを原子力安全調査委員会がチェックをする、そういう役割分担にさせていただいたんです。

 ここはいろいろな議論があるところですが、これまでもIAEAなどからは、原子力安全委員会と原子力安全・保安院の役割が不明確ではないかというような勧告もいただいておりましたので、そこは、それをしっかりと一元化をするというやり方が私は一番実質的ではないかというふうに考えたところでございます。

 ただ、最後に申し上げたいことは、原子力安全調査委員会というのは国会の同意人事にもぜひさせていただきたいと思っておりまして、極めて大事な役割を担う組織であるというふうに考えております。

 その役割については、きょうはちょっと時間がありませんので長くは申し上げることはできませんけれども、しっかりと皆さんに御説明をする中で、民主的な統制がしっかりときくような新しい規制機関を立ち上げたい、そのように考えております。

江田(康)委員 新たな安全組織の件については、大変に最重要課題でございます。これから十分に審議をしてまいりたいと思っておりますので、きょうはこれで終了させていただきます。

 ありがとうございます。

生方委員長 次に、井上信治君。

井上(信)委員 自由民主党の井上信治です。

 本日は大臣所信に関する質疑ということでありますけれども、環境省の中で大変大きな課題である瓦れきの処理、そして原子力規制庁の問題、主にこの二つについて大臣に伺いたいというふうに思っております。

 昨今、瓦れきの処理、特に広域の処理に関しましては、政府を初めとして、関係者また国民が非常に前向きに取り組んでいこう、そういった機運が盛り上がっているということ、本当に私はすばらしいことだというふうに思っております。これは本当に大事なことですし、しかし、そう簡単ではない。だからこそ、私も、そして我々自民党も、一緒になって協力して取り組んでまいりたいと思っております。

 そして、そういった取り組みの先頭になって頑張っていただいている細野大臣また政務三役の皆様、環境省の職員の方々に、まずは心から敬意を表したいと思います。

 この盛り上がりのきっかけとなったこと、幾つかあるとは思うんですけれども、一つはやはり、二月二十九日の党首討論で我が自民党の谷垣総裁が瓦れきの処理に対して野田総理大臣に対して前向きな提案をしたということ、また、その前日には、石原幹事長が全国の党組織に対して各地域の首長への働きかけを要請する、こういったことを私たち自民党も行っております。

 私自身も、実はもうこの問題については前々からいろいろと取り組ませていただきまして、十月の時点に、自民党がインターネットのカフェスタという番組を持っているんですけれども、そのカフェスタを通じて、いらっしゃる田中理事や吉野理事と一緒に出演をいたしまして、全国にこの受け入れをお願いしたいということを要請をいたしまして、全国から、この番組の視聴者の方々からもいろいろな御意見を伺った、こういったこともずっとやってきております。

 また、私の地元も、東京都がいち早く受け入れを開始したということは御承知のとおりだと思いますけれども、私の選挙区であります青梅市、福生市、羽村市、瑞穂町、ここで西多摩衛生組合というのをつくっておりますけれども、この組合でも一月に既にこの受け入れを表明して、そして今鋭意調整をしている、こういったところなんですね。

 このことは非常にいいことなんです。ただ、まず冒頭、この質疑に入る前に、やはりそうはいったって、もう震災から一年以上たっているのに瓦れきの処理はまだ六・七%しか進んでいない、特に広域処理についてはほとんど何も具体的には進んでいない、始まっていないということでありますから、これはやはり、この一年以上の間何をしていたんだという思いはあります。

 なぜこんなにも処理がおくれているのかについて、まずは大臣から御説明を願いたいと思います。

細野国務大臣 まずお礼を申し上げたいと思います。昨年の十月ということでございますので、私も環境大臣に就任して働きかけをまさにやり出したころでございまして、当時は反応はかなり厳しかったと承知しています。私も発言するたびに、かなり抗議のメールが来たり、ファクスが来たり、電話がかかってきたりしましたので、そんな中で踏み込んでいただいて、本当にありがとうございます。感謝申し上げます。

 一年たちましてまだ本当に六%、七%というところにとどまっているということについては、結果について非常に責任を感じております。

 率直に理由を申し上げると、広域処理が進まなかったということももちろんあります。それと同時に、被災地において仮設の焼却施設をつくり、そこで処理を始めるということにどうしても時間がかかりました。仮設と申しましても、実際にはかなり大がかりな設備でございまして、大量にこういう仮設の焼却施設をつくるということはこれまでありませんでしたので、その発注も含めて、自治体にも頑張っていただいたんですが、どうしても時間がかかってしまいました。ようやく、仮設の設備もそうですし分別の設備も整いますので、被災地でもこれからまさにその処理が始まるという、そういう状況でございます。

 これまでおくれてきたことについては、これは私の責任であるというふうに思っておりますので、それを取り返すという意味でも、広域処理と、あと被災地での処理、さらには被災地の再利用、この三つが柱になりますので、それをそれぞれ個別にしっかりと進めてまいりたいと考えております。

井上(信)委員 ちょっと十分な御説明ではなかったとは思うんです。私はいろいろな理由があるとは思うんですけれども、特に広域処理に関しましては、残念ながら、やはり一番大きな原因というのは、政府に対する信用が足りない、ないということだと思うんです。これは何も細野大臣だけの責任ではありません。政府全体です。

 この大震災への対応、原発事故への対応の中で、必要な情報を十分に公開してこなかった、議事録さえつくっていなかった、こういうことがたび重なって、その結果として自治体あるいは住民の方々が、これは信用できない、本当に大丈夫なんだろうか、こういう思いを持っているということが大きな理由だと思いますから、やはりそこは、具体的にいろいろな取り組みをやられるのはどんどんやってもらいたいが、しかし、その一番の原因はそこにあるということを、謙虚な気持ちでやはりしっかりそこをやってもらいたいと思いますけれども、御感想はいかがですか。

細野国務大臣 今の御指摘はおっしゃるとおりだと思います。私どももかなりの数の説明会に職員も出しておりますし、私も伺いましたが、やはり、政府に対するそういう厳しい声を直接、さらには間接的にも聞いております。

 もちろん、我々は、信頼を回復をして、しっかりと安全性についてこれからも説明を、とにかく継続をしていくしかないわけですが、その一方で、具体的に安心をしていただく方法として、それぞれの自治体でみずからはかっていただくというこの方法も有効であるというふうに思っております。

 島田市の例、昨日市長が踏み出しましたので、これを引かせていただくと、焼却をして、その灰を市がもちろんはかる。もちろん、その予算は国が持ちます。さらには、はかった灰については、市役所に展示をすることで、市民の皆さんもカウンターでその場ではかっていただく。島田市のごみとそこで出ている被災地から来たごみが同じレベルであるということがわかれば、それは受け入れていただく方が非常に安心をしていただけますので、そういった方法もあわせてやっていく必要があるのではないかというふうに考えております。

井上(信)委員 具体的なそういったやり方についてはそれはぜひやっていただいて、ただ、ですから、根本的なところはやはり政府に対する信用のなさだということ、これをぜひ留意をしながら進めてもらいたいと思っております。

 ただ、そうはいいましても、批判だけしていても仕方ありませんから、私も協力をしたいと申し上げた以上、少し具体的な提案をさせてもらいたいと思っております。

 いろいろマスコミが世論調査をして、これは大変示唆に富んでいる数字だなと私も思っておりますけれども、例えば読売では、国民の七五%が受け入れに賛成をしている、しかし他方で、共同がやった世論調査によると、自治体の八六%は受け入れに難色を示しているということで、いわば数字が逆転してしまっていますよね。

 この原因は何なのかといえば、その最終的な決断をする首長の方々が、少数かもしれないけれども、反対の大きな声に押されて、どうしても厳しい決断ができていないということだと思うんです。そうであれば、首長の方々もいわば政治生命をかけてやろうと言っているわけですから、それを後押しするような、そういうことを国がやっていかなければいけないと思っています。

 幾つかあるんですけれども、例えば、いわば財政支援、インセンティブを与えていくということ。政府の方でも野田総理みずからも記者会見をされ、幾つかの財政支援のいろいろな仕組みを考えて取り組むということでありますけれども、例えば放射能の測定にしたって、あるいは住民説明会、それから処分場の建設とか拡充の費用を負担する、これはこれでいいんです。しかし他方で、いわばこんなことは当たり前でありまして、必要な費用の実費を国が負担するということですよね。

 ですから、そういう意味では、せっかく受け入れたとしても、ある意味、そのことによる住民に対するプラスは何もないんですね。こうなるとやはり踏み切れないということがあると思いますから、実費の負担ではなくてプラスアルファの部分、それを国が交付できるようなこういった仕組みというのをお考えいただきたいと思いますが、いかがですか。

細野国務大臣 そこは井上委員、どう考えるかなんですよね。

 これまでも、阪神・淡路大震災のときなんかも広域処理というのは行われてきているんですが、そこは助け合いでやってきたわけです。災害というのはお互いさまで、お互いにそこは補い合ってということでやってきました。決して精神論だけでは済まないところがあると思いますので、かかる費用についてはしっかり負担をすべきだということで、今回、提示をさせていただきました。

 ただ、この先さらにどこまで財政的に、例えばインセンティブのようなものに踏み込むかどうかというのは、そもそも、こういった問題に対する国のありようそのものが、ある種問われる。逆に言うと、その考え方をかなり変えるということにもつながるわけですね。

 そこは、今この状況の中で徐々にではありますけれども進んできておりますので、お金を出すことで、財政力のないところがでは手を挙げてみようかということよりは、むしろ、思いのある自治体や、あと、やはり力のある自治体ですね、余力があって、そういうごみの処理ができる自治体というのは、やはりどうしても本当は大きいところなんですね。そういったところの皆さんが踏み込んでいただくというのが本当はあるべき姿ではないかというふうに思います。

 その中で、例えば最終処分場を拡充するというのは、これは大変なんです。大変なんですが、そこは国も全部支援をするということをやっていますから、実質的にはそこはかなりインセンティブに近いものにはなってきているというふうに私は思いますので、まずはこの制度でやらせていただきたいというふうに考えておるんですが、いかがなものでしょうか。

井上(信)委員 大臣のおっしゃることはそのとおりだと思います。やはり、本来は助け合いの精神でやっていただくということだと思うんですが、ただ、やはり進んでいない現状がある。だからさらに踏み込んでもらいたいということです。ですからそういう意味では、決してそれを排除しているという答弁ではありませんでしたので、状況を見ながらよくこれは御検討いただきたいというふうに思っております。

 そのほか、これは神奈川県の黒岩知事などもおっしゃっておられることでありますけれども、住民の方々にお願いをする、説得をする、そのときに何らかの法的根拠のようなものが欲しいということ、これも首長のお気持ちとしてはわかるんです。

 例の災害廃棄物処理特別措置法六条には要請という規定もあって、この要請もきょうにもされるということですけれども、やはり要請というのはお願いベースですからなかなか弱いということであって、ですからそういう意味では、これも、もう少し踏み込んだそんな根拠を国の方でつくることはできないか。

 例えば、法律を改正して地方自治体に対して努力義務規定、こういったものを、義務づけというのはなかなか難しいとは思うんですけれども、でも、せめて努力義務、まさに助け合い、お互いさまなんですから、そういった規定を設けることによって首長の皆さんが住民の方々に、やはりこういう法律もあるんだから協力していただきたい、いわばそういう材料にすることができるんじゃないかと思いますけれども、こういったことについていかがお考えですか。

細野国務大臣 黒岩知事から具体的に御提案をいただいたことも踏まえて、実はそのかなり前から検討していたんですが、きょう、法的な要請を行います。

 さらには、これまで八千ベクレル・パー・キログラムというのをガイドラインで示しておりましたが、これも、告示という形で根拠のある、これまでも根拠はあったわけですが、法的にも根拠のある文書として発出をしたいというふうにも思っております。

 昨年、国会で御議論をいただいて通していただいた特措法の考え方の中では、これが最大なんですね。この法律の根拠ということでいうと、ここまでだと。あとは、それを自治体でどう受けとめていただけるかということになってこようかと思います。

 まずはこれでやらせていただきたい。要請ということでありますけれども、法的な文書を出します。その中には、ぜひそれに対して皆さんから、どういう形で考え方があるかということも聞かせていただきたいというようなことも含めた要請文になります。

 ですから、これは、どうとられるかはそれぞれの自治体のお考えでありますが、相当強い意味を含みます。ですから、そこも含めて私は動いていただける自治体があるのではないかというふうに思いますので、まずここをやらせていただきたいということでございます。

井上(信)委員 これも先ほどのインセンティブの話と同じで、これは法律をつくったわけですから、法律に基づいてその範囲でまずやっていただく。まだまだきょう要請ですから、その結果を踏まえて。ただ、それでもやはり進まないということになれば、そういったことも考えていただきたい、実際そういう要望もあるわけですから。もちろん我々も、立法府として、議員立法を含めてそういったことができないかということも検討したいと思っております。

 それと、実は二月二十九日の党首討論で、谷垣総裁が野田総理に具体的な提案をいたしました。でも、それに対して具体的な答弁はなかったんですけれどもね。谷垣総裁の御発言、「何々県にはどれだけの瓦れきを処理していただきたいというような計画を具体的に作って、そこで困難が起きたときは、それは国自ら引き受けていくというようなことは考えられないのか」、こういった質問だったんですね。

 ですから、野田総理のかわりに細野大臣にお答えをいただきたいと思っているんですけれども、そういう意味では、ただお願いをする、これはお願いされる方もちょっと困っちゃうと思うんですね。

 ですから、例えば、都道府県単位なりあるいはブロック単位で全国で助け合いでお願いすると言う以上、では、ここにはこれぐらいお願いできないか、ここにはこれぐらい、いわば割り当て制といいますか、こういったような要請の仕方、その方が、むしろかえってお願いされた方が、では、隣もこれだけやるんだからうちもやろうとか、そういう姿勢になれる、こういう考え方もあると思うんですけれども、いかがですか。

細野国務大臣 その考え方を基本的にはとって、要請を前に進めていきたいと思っております。

 今、ブロック単位ではどうかというようなお話も少しありましたが、そこは実はちょっと検討したんですけれどもなかなか難しいところがございまして、県によって、県知事さんによってそれぞれ考え方が若干異なることももちろんありますし、そういうブロック単位で検討するという枠組みが例えば知事会の中でしっかり確立ができているかというと、必ずしもそうでもないという話も聞いております。

 さらには、例えば人口という形で単純にできるかというと、それはちょっと難しい面があって、処理場の量であるとか、あとは焼却施設とか処分場の能力なんかは、実は人口と必ずしもリンクをしないところがございます。

 そこで今考えておりますのは、都道府県ごとに具体的な要請をしていこうと。それも、まだ手を挙げていただいていない自治体に余り具体的に踏み込んでもなかなか受け入れていただけない可能性がありますので、手を挙げていただいている自治体には、この被災地のこの種類のこの廃棄物をこれぐらいの量を受け入れていただきたいという具体的な要望をさせていただきたいと思っております。そのことの方が、例えば受け入れる側も、被災地の状況を直接見に行って確認をすることもすぐできるようになりますので、スピードアップをするというふうに思いますので。

 ですから、要請というのも二つ種類を分けて考えておりまして、きょうお出しをするのは、一般的な、まだ手を挙げていただいていない自治体に対する要請、そして、これから順次出させていただくのは、これは、個別のもう手を挙げていただいている自治体について具体的な提示をして、それをまた要請という形で出させていただきたいというふうに考えております。

井上(信)委員 もう手を挙げている自治体に対して具体的な要請をされる、これは当たり前のことですからそれは当然やっていただくんですけれども、まだ手を挙げていない自治体がどうすれば手を挙げやすくなるかという観点でこの割り当て制というものも考えていただきたい。これは我が党の総裁の提案でもありますから、ぜひ重く受けとめていただいて、こちらの方も、まずは状況を見た上でで結構ですから、御検討いただきたいと思っております。

 次に、今度は福島県の瓦れきの話です。こちらの方について伺いたいと思います。

 今、いわば放射性物質に汚染された廃棄物ということで、中間貯蔵施設をどうするのかということで、これはもめにもめておられますよね。私は大変心配をしております。これはある意味、広域処理以上に大変な、厳しい課題だとは思うんです。しかし、それにしても、私は、政府のやり方が少しまずいからもめている側面というのがあると思いますけれども。

 具体的に、放射能が心配だ、これはもちろんなんですけれども、もう一つ、進まない、もめている大きな原因の一つは、最終処分の姿が全く見えていないということだと思いますよ。政府の方は、三十年以内に県外に最終処分場をつくる、最終処分をするというふうにおっしゃっておりますよね。ただ、いわばこれだけであって、しかも何の根拠もない。本当に三十年以内につくられるのか、あるいは本当に県外に持っていってくれるのか、これがわからないから中間貯蔵施設だってオーケーとは言えない。これは非常に私は政府が無責任だと思います。

 確かに大変な課題ですよ。中間処理以上に最終処分というのはこれは大変な課題だ。だから簡単にはいかないかもしれない。しかし、簡単にいかないんだったら、無責任に三十年だとか県外だとか言うというのは私はおかしいと思います。

 そして、やはりこの中間貯蔵施設の話を、これから少なくとも一年かけて一年以内には場所を決めるということですけれども、そのときに、むしろ誠実に最終処分の検討も同時並行で進めていって、そして、ある程度はそちらのその姿というものも示しながらやった方が、結果的に中間貯蔵施設の話も進むと思いますし、政府としても誠意ある対応だと思います。

 ですから、同時並行で進めてもらいたいと思いますけれども、いかがですか。

細野国務大臣 最終処分ということに関しましては、放射性物質をいかに減容化をして、安定的にこれを運搬をして最終処分まで持ち込むかという技術的な課題がありますので、その技術的な課題が開発をされ、そして実証できないとなかなか実現をできない、こういう問題があるわけです。ですから、そういった課題も含めて現段階で具体化できているのかということを申し上げれば、そこまではいっていないということでございます。

 ただ、中間貯蔵というのを単に名前だけのものにしてはならないというふうに思っておりますので、双葉郡の皆さんの方からも御要望がありました、法律の中でしっかりと規定をするというようなこと、さらには、具体的なさまざまな検討についても進まないとなかなか中間貯蔵という形では受け入れられないという御意見もありますので、そういった声も踏まえて、やれることは並行してやっていく必要があるというふうに考えております。

井上(信)委員 同時並行で検討していただけるということで、そういう意味では安心をいたしました。これをぜひ早急に、三十年あるからなんと言わないで、早急にやってもらいたいと思っております。

 ただ、県外というふうに言っていますよね。これは何か根拠はあるんですか。県外というのは、では何県を想定しているんですか。教えてください。

細野国務大臣 想定をしている都道府県があるわけではございません。これから、どういった施設にするのかというのをしっかりと見きわめた上で、さまざまな地域の地盤であるとか、科学的さらには社会的な要素もありますので、そういったことも含めて総合的に検討していく必要があるというふうに考えております。

 例として必ずしも適切ではないかもしれませんけれども、これまでも、原子力発電所での例えば燃料の処理であるとかということについては、最終処分場というのはなかなか決まらなかったわけですね。唯一、最終処分場で決まっているのは、六ケ所にある、極めて低レベルの廃棄物が最終処分されているところだけでございますので、それ以外のところというのはなかなか決まらずに来たと。

 今回の除染に伴う廃棄物というのは、レベルとしては六ケ所のものと変わらないぐらいのレベルなんですが、量がまたかなり多いですから、それを減容化するとどうしても濃くなるということで、またちょっと性質的に異なるし、困難さもあるというふうに思っております。

 だらだら申し上げて申しわけございませんでしたけれども、要するに、最終処分場というのは一番難しい。一番難しいがゆえに、政治がしっかりしょっていかなければならない課題だというふうには思っておりますが、それこそ、見込みもなくとりあえず言っているということではなくて、そういった要因全て、私もこの問題に、若干その前も含めて最終処分をどうするかということについてはこれまでもかかわった経緯がございますので、その問題も含めてよく難しさをわかった上で、三十年内には見つけられるというふうに考えているところでございます。

井上(信)委員 申しわけないんですけれども、やはりそれは無責任ですよ。それだったら言うべきじゃなかったですよ。

 私は、この話を聞くと普天間の話をどうしたって思い出しますよ。最低でも県外、決して無責任じゃないとおっしゃった。私には腹案があるという言葉もどこかで聞いたことがある。

 こうなってしまえば、本当に結果的に大変なことになってしまう。だから、むしろ見込みが確定がないんだったら言わないこと、それが私は誠実な態度だというふうに思いますよ。三十年以内という数字だってそうですよ。何を根拠に三十年以内なんですか。それは全くないじゃないですか。願望だと言うならいいですよ。それは県外、三十年以内、いいことですよ。しかし、それをやはり政府として公式に言われるということは、それは何らかの見込みがなければ、当然、地元の方々は期待してしまうわけですから、私は大変不誠実だと思う。

 しかも、法制化の話もちょっと大臣言及されましたけれども、これはどうされるんですか。法制化したら、ますます何の見込みもなく法制化なんて、これは絶対許されませんよ。我々立法府の人間としてもそんなことはあり得ない。ですから、見込みがあるならぜひ法制化するべきだと思う。しかし、そうじゃなければ法制化なんということはあり得ないと思います。

 この法制化のことについてもう一度お願いします。

細野国務大臣 三十年以内というふうにしましたのは、幾つか理由がございます。

 一つは、除染はかなり長い年月続けなければならないだろうと思っておるんです。もちろん、初めにスピードを上げてどんどんやる必要はありますが、例えば、森林の除染などは息の長い作業になりますので、継続をしてやっていかなければならない。そういう意味では、例えば十年とかいうことでは多分終わらないだろうというふうに考えておりますので、そういったことも含めてまとまった年数が必要だろうというふうに考えたわけです。

 もう一つは、やはり技術開発です。既にいろいろな技術提案がありますので、私は、日本という国は、こういう一つの問題が出てきたときに、それに集中的に技術開発をしてそれを導入をしていくということについては極めて高い適応能力があるなということを感じておりますが、それでも、これから大量に発生する放射性物質をどう安定的に扱っていくのかということについては、まだまだ超えなければならないハードルがあるというふうに思っています。その技術開発も考えると、ある程度まとまった年月が必要である。

 そういったことも含めて、三十年というところでやはり一定のけじめをつけるべきだろう、できればそれを前倒しをするのが望ましいということで年限を設定をさせていただいたということでございます。

 それと、もう一つやはり申し上げなければならないと思いますのは、中間貯蔵施設はどうしてもつくらなきゃならないわけです。それは、仮置き場をつくらなければ除染ができませんから、去年の七月ごろから私の中ではそのことが一番大きな悩みでございまして、それも踏まえて、菅総理に最後に福島県で直接発言をしていただいたという経緯がございます。中間貯蔵施設をやはり福島県内につくらせていただけるとするならば、それはこういう方法以外はなかっただろうと思います。

 すなわち、福島県に全部最後まで受け入れてくださいと言えますか。これだけ除染で御迷惑をかけているのは、これはもう政府の非常に大きな責任なわけですから、そのことを考えると、特にお住まいだったそういう地域の皆さんにそれは私は言えなかったですね。

 そこも含めて今全て見込みがないという意味で無責任と言われれば、井上委員がおっしゃるとおりということになるかもしれませんけれども、やはりそこは、これだけ大きな原発の事故が起こって、これだけの御負担を福島県の皆さんにお願いをしているわけですから、私は、どこかの段階で全国で受け入れる、そういう国民性というようなものがあると考えますし、あってもらいたいなと思うわけです。

 極端な話は、ある方は、では、福島でもう最後まで全部、今苦しんでいるいろいろな瓦れきの問題とか廃棄物の問題も全部福島に持ち込めというようなことをおっしゃる方も中にはおられるんです。それはやはりよくない。むしろ、福島にこれまで電力の供給ということで頼ってきてしわ寄せをしてきた上にこれだけ本当に迷惑をかけているわけですから、最後はやはり、国民全体でその痛みを分かち合うときが三十年以内には来るべきだということも含めてそういう話をさせていただいておるということでございます。

井上(信)委員 福島に置くべきではない、置きたくないというのは私も一緒です。しかし、今の答弁を聞いていて、残念ながら、やはりそうすべきだ、そうしたいという願望ということがよくわかりました。

 ただ、大臣がそこまでおっしゃるのであれば、この問いの最後に、県外、三十年以内、政治生命をかけて必ず実現すると明言してください。

細野国務大臣 その覚悟でございます。

井上(信)委員 ありがとうございました。

 それでは、余り時間もないんですけれども、原子力規制庁について。

 この原子力規制庁については、とにかく四月一日からスタートさせたいということで、私のところにも、何とかしてもらいたいという話をもう毎日のように伺っておりますけれども、自民党の中にもいろいろな意見の方がいらっしゃいます。でも、私はむしろ、今までやはり何をやっていたんだ、そもそも一年以上たっているんだから、原子力規制庁なんてもうなきゃおかしいですよ。

 この国会においても、もう去年の夏から大臣とも何度か質疑をしました、早くつくれ、早くつくれと私はずっと言い続けてまいりました。臨時国会にも法案を出せと言った。しかしできずに、通常国会、この時期になって出してきて、そして、法案を早く審議して成立させて、四月一日からスタートさせてくれ。残念ながら、これは無理ですよ。

 しかも、やはり国会軽視と言わざるを得ません。本当にこれは私も困っている。政府・与党の中では、野党が審議拒否しておくらせようとしているなんというふうに言う人たちもいますが、これは全くでたらめですよ、間違いです。我々は、むしろ早くやれ、早くやれとずっと言ってきたということです。ここはよく理解をしてもらいたい。

 そして、問題は、四月一日というのは、どう考えたってもう無理ですよね。民主党の城島国対委員長もそのような御発言をされておられましたけれども、四月一日はもう無理だということ。ですから、これはやはり認めてもらいたい。そして、四月一日施行と法案に書いてありますから、これは修正してもらいたい。法案を一度取り下げ、そして、少なくとも施行日については修正をしてもう一度出し直してほしいと思っています。

 それから、時間がないのでもう一つあわせて言いますと、国会事故調あるいは政府や民間の事故調、この問題がありますよね。

 これは、国会事故調の報告が出るまで法案を成立させるべきじゃない、こういう御意見の方も自民党の中にもいます。でも、私はここも実は違うんです。むしろ早くスタートさせるべき、しかしそのかわり、国会事故調の報告が出たら、その報告に沿ってもう一度修正をしろ、そしてその見直し規定をちゃんと法案に明記をしろ、それが私の要求です。だって、この見直し規定、大臣も御承知のとおり、去年の夏の閣議決定の中には入っているのに、なぜか法案には入っていないんですからね。これは何であえて抜かしたんだか私にもよくわかりませんが。

 ですから、中身の議論は、実際法案審議になったらまたやらせていただきます。しかし、入り口に入るための議論として、私は法案を出し直してもらわなきゃ困ると思っている。

 この二点、いかがお考えですか。

細野国務大臣 よく私も記憶をしておりまして、井上委員が昨年の早い時期、秋の時点から、早く出すように、一刻も早く、一年は遅いというお話をいただいておりました。

 できるだけ急がせたわけでありますけれども、炉規制法や原災法を含めて膨大な法律の修正でございまして、新しい組織の立ち上げも含めて、かなり規制そのものにも踏み込む改革になっておりますので、どうしてもここまで時間がかかってしまったということでございます。

 ただ、問題意識としては、一日も早く発足をさせなければならないというのは、これはもう待ったなしの状況に来ているというふうに思っておるんです。

 そこは今御質問ではありませんので一つ一つ細かくは申し上げませんけれども、例えば、東京電力の福島第一原発はあれだけダメージを受けているにもかかわらず、実質的には行政指導に近い形でしか規制できていないわけです。言うならば、事故が起こったから、それの続きでかなり行政が立ち入っておせっかいなことを言っているというぐらいの根拠しかないわけですね。これはまずいと。やはり法的な根拠に基づいてああいう原発については規制できるような体制をつくらなければならないと思っています。(井上(信)委員「それはわかっているんです」と呼ぶ)これは一例。(井上(信)委員「早くやれという理由はわかります。法案修正をすべきだと言っているんです、二点」と呼ぶ)はい、わかりました。そういった意味で、できるだけ早く法案の質疑に入っていただいて、いろいろな御意見があると思いますので、そういった声には真摯に耳を傾けさせていただいた上で成立をさせていただきたいというふうに思っております。

 四月一日というのを変えるべきではないかというそういうお話でございますが、そこは、今の段階では、この法案を出させていただいて、できるだけ早く御審議をいただきたいという立場でございますので、御理解を賜れればと思っております。

 御質問があった、国会事故調を初めとしたさまざまな提案についてしっかりと反映をすべしというお話につきましては、いろいろな声にしっかり耳を傾けさせていただきたいと思っております。

 閣議決定は生きておりますので、平成二十四年末をめどに最終的には成案を得るという形でしっかりと受けとめさせていただきたいというふうに思っております。

 また、国会の中で、例えば法案の議論の中でそういう御議論があれば、それについてはしっかりと承って、そして国会の御判断を待ちたいとも思っております。

井上(信)委員 とにかく四月一日、一歩も譲らない、早く審議してくれ、これだけじゃ、やはりなかなか動かないですよ。だから、政府あるいは与党の方々もそうですけれども、やはり誠意ある対応をちゃんと示すべきだと言っているんです。

 それは、四月一日の施行日を変えなきゃいけないというのは、どう考えたって当然のことだから。では、四月一日過ぎたらやりますか。法案、一度下げますか。それをやらなきゃいかぬですよ。そういうのを誠意ある対応と言うんです。

 それから、事故調の話もそうです。閣議決定は生きているでしょう。しかし、それだったら、よりやはり根拠の高い法律の中に明文化すべきですよ。それは、事故調だってああやって黒川委員長がお怒りになられているわけだから、それは当然だと思いますよ。国会の事故調ですよ。これも国会軽視の一つだ。私は大変遺憾ですよ。

 ですから、そういう意味でよくお考えをいただきたい。早く審議しろ、早く審議しろ、これだけじゃ物事は前に進まないし、私たちは別にいたずらに足を引っ張っている、先延ばしさせているわけでは決してないということ、ここも御理解をいただきたいと思いますので、ぜひそういう態度を示していただいて、私も、早くこの国会の場で充実した審議をして、国民が求める新しい規制組織を早くつくりたいんです。だからよくお考えをいただきたい、これだけ最後に申し上げます。

 どうもありがとうございました。

生方委員長 次に、吉野正芳君。

吉野委員 自由民主党の吉野正芳でございます。

 細野大臣におかれましては、本当に福島県、五百人もの方々がお泊まりをいただいて、それは会津の方にお泊まりいただいて、また浜の方にもお買い物に来ていただいて、本当に感謝を申し上げます。この場をおかりして御礼を申し上げたいと思います。

 先月の十三日、私、予算委員会で、炎の津波という言葉を使って、火災の発生を心配した質問をさせていただきました。その質問を受けて早速、これは消防庁ではなくて、原子力災害現地対策本部と福島県の災害対策本部合同で、警戒区域等における火災対策の取り組みという形で多くの指示をして真剣に取り組んでいただいております。本当に感謝を申し上げたいと思います。

 質問してからここまで火災がなかったこと、これは本当に神に感謝を申し上げるくらい、いつ火災旋風が起きて炎の津波が原発を襲ったらば大変だなという、そういう心配からであります。

 それを受けて三月十三日、まさに一月たった当日に、防火訓練、大訓練をしました。自衛隊の参加も求めて大訓練をしたと思うんですけれども、その概略、どういうことをしたのか、そしてその総括はどうであったのか、その辺をお尋ねしたいと思います。

牧野副大臣 お答えをさせていただきます。

 本来ですと、経済産業副大臣の柳澤先生が現場の本部長ということで御答弁させていただければそれでいいのかと思いますが、たまたまきょうももう福島の方へ行かれましたので、私がかわって答弁させていただきたいと思います。

 先生が先般、炎の津波ということで的確な表現をされまして、避難区域内における火災についての御心配というのはもっともだ、こういうふうに思っております。

 それをもとにいたしまして、先般、大がかりな訓練を予定し実施したわけでありますが、私どもとしては、一生懸命やって、いい成果を得たというふうには聞いておりますけれども、一部その中で、参加を予定しておりました自衛隊のヘリ部隊が当日来れなかったということは一つ伺いました。

 それで、そのことにつきまして調べさせていただきましたら、山形の部隊が霞目までは前日まで来ておったそうであります。最悪の天候等の場合にはもしかしたら不参加のこともあり得るかもしれないというふうな話は事前に伺っていたそうでありますが、当日になりましたら、雪があって来れなかったというふうに、そのように私はちょっと聞いておりまして、それは私としても残念だったなとこういうふうに思っておりますけれども、いかなる状態がありましても、本当にそういうときが来たときには、訓練とは違うわけでありますので、万全を期してその体制は整えていこう、そういう思いであったことだけは報告させていただきます。

吉野委員 自衛隊のヘリが二機参加をする予定であったけれども、雪のために来れなかったということであります。

 そういうことは、この季節ですから想定はしておくべきだと私は思うんです。訓練といえども、雪国から来るヘリであれば、では、南の方の自衛隊基地からヘリを出すというそこまで想定してこの訓練は行わないと、もし万々が一冷温停止状態が炎の津波によって崩れたら、今細野大臣が一生懸命やっている全てがパーになっちゃうんです。

 そこまでなぜ想定していなかったのか、お答え願いたいと思います。

牧野副大臣 あらゆる点を想定してその訓練に臨んできたんだろうとは、こういうふうに思っておりますけれども、今、結果として先生からそのように指摘されますと、甚だ面目ないといいますか申しわけないという気持ちでありまして、これからは、山形から出てきた部隊が来れなかったら、やはりよその地域から、あらゆる可能性を準備して対応しておくべきだったなと今は思っておりますので、その点はこれからの参考といたしまして現地の本部長にもしっかりと伝えまして、そういうことのなきよう努めていきたい、このように思っております。

吉野委員 過日、三回目で私は原子力発電所を視察してきたんですけれども、現場の方とお話ししたんです。

 いわゆる常備消防、消防本部は、原発から二十キロ離れたところで楢葉分遣所というところなんですけれども、ここに待機しているわけなんです。でも、原発の自衛消防、東電で持っています。これが、一キロ先、二キロ先のところで火災が起こった場合、自衛消防が出動できますかと私は聞いたんですけれども、実はできないんですと。いわゆる原発のサイトの中だけを自衛消防は守るんであって、外には出られないんです、こういうお話を受けたんです。

 やはり常備消防と自衛消防が連携をして、どうしたって二十キロからやはり二十分かかっちゃうんです。だったら、時間的にも初期消火できるので、東電内の自衛消防も消せるようなそんな話し合いといいますか協定といいますか、そんなところも結ぶべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。

牧野副大臣 先生の指摘されましたことはもっともなことでございまして、今後、サイト内あるいは外、別なく、どんなことがあっても対応できるように連携を密にしていきたい、このように思っております。

 また、我々も万全を期してやっているつもりでありますが、もしいろいろと気がつかないところ等がございましたら、さらに引き続き御指導いただければありがたいと思っています。

吉野委員 まさに今、乾燥して大風の吹く、本当に火災危険の時期でございますので、ありとあらゆることを想定して対応していってほしいと思います。ありがとうございます。

 次、細野大臣に中間貯蔵施設について、先ほど井上委員からの適切な質問があったんですけれども、私の方からも質問させていただきます。

 大熊、双葉、楢葉、ここの三つの町に大臣はお願いをしたわけであります。この三つの町にお願いをした理由といいますか、その辺のところをお聞かせ願いたいと思います。

細野国務大臣 まず、三カ所ということになりました理由につきましては、当初、できるだけ限定をしたいという思いを持っておったんですが、実は、必要な敷地面積を確実に確保するという意味では、なかなか一つというところにはおさまり切らなかったという事情がございます。

 また、もう一つありますのは、率直に言いまして、いろいろな自治体の皆さんといろいろな話をする中で、設置自治体一つのみに負担をしていただくというのはちょっと酷な面もあって、やはりそれぞれの皆さんに負担をしていただくというやり方が、それこそ御負担もそれぞれ一定になってくるし、また、一緒に進んでいただくという面もやはりあるかなという、そういったことも考えて複数箇所を提示をさせていただきました。

 ただ、双葉郡の皆さんが一番苦しんでおられますから、そういった方々に提示をしておるということ自体、本当に申しわけないことです。もう言葉が本当にそこは見つからないぐらい申しわけないことでありますし、依然、国が提示をした段階でございますので、自治体の皆さんの考え方を聞かせていただいて、今まさに個別の説明に入らせていただいているということでございますので、決定をしたということでは全くないということはあわせて申し上げたいと思います。

 その上で、場所として三カ所提示をした候補地でございますが、五点ほど理由がございます。

 一つは、先ほども申し上げましたとおり、必要な敷地面積を確保するというために、それぞれ設定を我々の方で考えさせていただいたということ。

 もう一つは、これから除染で大量の土壌が発生をいたします。その発生をする場所からやはりどうしても近いところということが、候補として運搬の距離の問題からしてもいいのではないかというふうに考えたこと。

 それと類似の理由でございますが、三点目といたしましては、その運搬の問題を考えると、主要な幹線道路、すなわち国道六号線であるとか常磐道からのアクセスということも考慮いたしました。

 そして四点目といたしまして、地震であるとか津波や地すべりなどの自然災害に備えるということが必要でございますので、断層であるとか浸水域、地すべり地、軟弱地盤などはやはり避けるべきであるというふうに考えたこと。

 そして最後に、これも実はかなり大きな要因だったんですが、河川があの地区もございます。その河川の流れを変えるということになると、また違った意味でいろいろなそれこそ支障が出てくる可能性がありますので、河川の流れの変更などを最小限にとどめて安定的な貯蔵ができる場所ということで、三カ所を今国としてお示しをさせていただいているということでございます。

吉野委員 先ほど井上委員からも、期間をどうして三十年に決めたんだという質問があったんですけれども、先ほど答弁聞いていると、余り科学的根拠はないんだな、いわゆる技術革新のために時間が必要だというような答弁なんですけれども、科学的根拠はないんですか。

細野国務大臣 今の時点で科学的にどの時点でどういう技術を開発できるかということについて全て見通すことは、これは不可能でございますので、そういった時間軸も考慮して、今、三十年以内ということで検討をさせていただきたいということでございます。

 もう一つは、先ほど井上委員の御質問にもお答えをしましたけれども、除染をどれぐらいやるのかということともどうしてもリンクしてくるわけです。

 やはり、空間線量を下げるという意味では、住宅の近傍の土壌を剥ぐというのが一番いい方法なんですけれども、長い目で見たときに、森林が恐らく一番困難を伴うと思うんです。その森林の除染というようなことも考えたときに、十年というのはどうだろうかと。例えば十年から二十年除染をするとすると、そこからやはり保管をしなければなりませんので、除染の期間から考えると三十年、それ以内というあたりが福島の皆さんにも受けとめていただきやすいのではないかというふうに、これは国の勝手な判断でございますけれども、そういったことも考慮したということでございます。

吉野委員 双葉町から八項目の条件といいますか、提言がございます。その中で、期間を二十年ということであります。

 今、三十年の科学的根拠はない。二十年、三十年、私の頭の中では同じ期間なんです。十年先までは何とか見通せますけれども、それ以上の世界になると、いろいろなイノベーション、技術開発も行われますし、全く私たちの今の頭の中、価値観、技術の頭では想像できない社会が十年先、二十年先には来るんじゃないのかな。ですから、二十年も三十年もそういう意味では私は同じなのでないのかなという印象を持つんですけれども、そういう意味で、双葉町が二十年という一つの提言を出しました。

 そのほかにもいろいろな条件を出しているんですけれども、このことについて、大臣の御意見を伺いたいと思います。

細野国務大臣 まだ私もこの件で直接井戸川町長とお話をさせていただいている、この後話をしているということではございませんが、新聞記事などから、八つの提案が双葉町の方から既に出されているということは承知をしております。それぞれどういったことが考えられるかということについては、考え方を今我々としても整理をしているところでございます。

 その個別の考え方ももちろん非常に一つ一つ大事になるんですけれども、何よりも私がこの提案を前向きに受けとめておりますのは、双葉町としていろいろなことの話し合いに入っていただけるという、そういうシグナルだというふうには受けとめております。したがって、そういった声をまずはしっかりと受けとめさせていただいて、個別のあり方についての協議に入らせていただきたいというふうに思っております。

 この項目の中には、もちろん、それに向けて努力をしなければならないこともありますが、三十年から二十年の部分などに代表されるように、なかなか、これで本当にできるだろうかという難しいものも中には入っております。

 そういったことも含めてしっかりと協議をさせていただく中で、一致点を何とか見出していきたいというふうに考えているところでございます。

吉野委員 その八項目の中の一つに、検査権という、町が検査をする権限を持つということが書かれています。

 これは、安全だ、安全だと言われてきた原発がふるさとをなくすような大事故を起こした。このことに対する町としての本当に大きな不信感、これに基づいているんです。だから、国が幾ら中間貯蔵施設は安全だ、大丈夫だと言っても、町独自で立ち入りをして、そして検査をする、この権限を与えてほしい、こういう思いだと私は思っています。その点についていかがでしょうか。

細野国務大臣 施設の運営そのものについてはやはり国が責任を持ってやる必要がありますので、それについては、環境省としてやり切るという体制をつくりたいと思っております。

 その中で、特に地域の皆さんにしっかり透明性を高く、常に見ていただく形はとらなければならないというふうに思っておりますので、先日、双葉郡の皆さんに御説明させていただいたときも、そういう施設についてはぜひ併設させていただきたい、情報公開の施設についてはですね、そういったことも御説明を申し上げました。そうした中で、双葉町の皆さんにどういった形で透明性の高い関与の仕方をしていただけるのかということは、しっかり話はさせていただきたいというふうに思っております。

 運営は、これはもう国が責任を持ってやらなければなりませんので、しっかりやった上で、どういった形で地元の理解を得ることができるか、私はいろいろ工夫の余地はあるというふうに考えております。

吉野委員 中間貯蔵施設の議論はこれから大いにしていきたいと思います。

 次に、今、私たち被災地では、復興のための公共事業をいっぱいやっているところです。でも、発注する労務単価が物すごく安い。そして技術者がいない。いわゆる現場監督ですね。あとは作業員がいない。もう一つ、その作業員をほかから採用するにも、もう宿泊施設がないんです。特に私のいわき市なんというのは、もう双葉郡から二万五千人くらいの方々も避難しておりますので、公共事業をやるための作業員、その泊まる施設もない。

 こういう中で、本当に、入札しても不調というケースがかなり多く出ているので、安い労務単価、例えば公共事業の場合、一万と幾らか、除染はそれよりは高いという形でばらばらなんですね。

 国交省、どういう形で労務単価を考えているのか、お聞かせ願いたいと思います。

津島大臣政務官 先生の御指摘にお答えをしたいと思います。

 今、三つのことが先生から御質問あったと思うんですが、技術者が不足している、あるいはその低水準の労務単価、あるいはまた、なかなか宿泊地がなくて、これも恐らく旅費なんかはどうなるんだろうかということを含めての御質問だと思っておりますので、お答えを申し上げたいと思うのであります。

 先生御指摘の件でございますけれども、昨年の末から、関係省庁、そして地方公共団体、そしてまた関係業界団体との協議をずっと重ねてまいりました。そして二月十四日でございますけれども、復興のための人材の確保や、あるいはまた予定価格の積算の適正化などに連携して取り組むことをお互いに確認をさせていただいております。

 そこで、国交省といたしましてでありますけれども、被災地域の建設企業が被災地域外の建設企業と共同することにより、被災地で不足する技術者や技能者、これを広域的な観点から機動的に確保する復興JV制度の試行導入ということを始めさせていただきました。

 また、主任技術者の現場配置につきましては、被災地域内の複数の工事で密接性そしてまた近接性が確保される場合には、兼任を可能とするという措置を実施しているところであります。

 また、設計労務単価でございますけれども、建設企業への調査や統計調査の結果を活用することによりまして、直近の労務費の実態を反映した単価の設定をするということにしております。

 また、先生の御質問とはちょっと違うかもしれませんけれども、労務者の遠隔地からの交通費あるいは宿泊費の予定価格を積算へ反映することによってそういった心配を取り払おうというふうにしております。

 いずれにいたしましても、引き続き関係者が一丸となりまして取り組みを行うことにより、可能な限り地域における雇用の確保を図りつつ、復旧復興事業の円滑な施行を確保してまいりたいと考えております。

吉野委員 おっしゃるとおり、技術者の確保等においては、現場監督の兼務、認めていただいています。

 そこまで認めるんだったら、元請、下請に出すいわゆる監理技術者、ここのところは兼務はまだ認めていないんです。そして、この監理技術者になるためには、自分のところで三カ月以上雇用しないと監理技術者になれないんです。

 これだけ技術者不足がありますと、例えば、避難している方で、技術を持っている、でも、会社に勤めてたかだか一週間、でも能力はある、こういう方はやはり監理技術者にして、その雇用期間というものも緩和し、なおかつ兼務も認められるようなそこまでやはりやるべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。

津島大臣政務官 今の御指摘の点でございますけれども、技術者の専任配置につきましては、工事の適正な施工の確保、この観点から、公共事業の工事において求められる重要な制度であります。特に、大規模な工事に係る統合的な監理を行う監理技術者の専任につきましては、慎重な取り扱いが必要だ、私はこう考えております。

 ただ、今後とも、適正な施工の確保の重要性を踏まえながら、状況の変化などに的確に対応し、そして迅速かつ効率的な施工が確保されますように、復旧・復興事業の施工確保に関する連絡協議会等の場を活用しまして、実態把握や必要な調整に努めてまいりたいとこう考えておりますので、よろしくお願いいたします。

吉野委員 今、慎重なという答弁があったんですけれども、政務官、自分の判断でいいですから、まず、雇用期間三カ月、これは緩和することを検討する、もう一つ、その兼務も検討する、政務官の個人の意見を言ってください。

津島大臣政務官 先ほどもお答えをいたしましたので、連絡協議会等の場で、先生の御主張も踏まえながら、実態把握に努めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

吉野委員 次、学校の除染なんです。

 実は、これは福島県以外なんですけれども、ある町です。この町には四十一校の小学校があるんですね。そして、昨年の六月に調べた結果、そのうち三十七校、いわゆる九〇%が年間一ミリシーベルト以上の放射線を出していた。八月の夏休みにPTAの方々が一生懸命ある意味で除染をしました。その結果、十月にはかったときには、一ミリシーベルト以上が二十二校、五四%、そしてことしの二月にはかったときには、一ミリシーベルト以上の学校が十校、二四%なんです。

 いわゆる補助対象事業は、除染をするときの放射線量年間一ミリシーベルト以上じゃないと補助対象にならない。でも、この町は、四十一校全部除染しないと、ここは一ミリ以下だから除染しませんなんと言うとPTAの方々に対して申しわけできないので、全ての学校をやる。

 特に、この六月の時点で九〇%が一ミリシーベルト以上、一生懸命やった学校は下がったから補助対象にならない、やらなかった学校は補助対象になる、こういうある意味のモラルハザードが出てきますので、この辺についての見解はいかがなんでしょうか。

高山大臣政務官 吉野委員にお答えいたします。

 先生御指摘のとおりでございまして、早い段階でボランティアなど、あるいは自腹でもって民間事業者に頼んで除染をしたところは、今現在、下がっているところはたくさんございます。

 そういったところは補助対象にならないのかというようなまず御指摘に関しましては、ことしの一月より以前にそのような民間業者やあるいはボランティアで除染をしていただいたところも、さかのぼってまず補助の対象にさせていただくということで、通知を二月に発出させていただいたところでございます。

吉野委員 ということは、昨年六月の時点で一ミリ以上のところは全部補助対象になるという理解でいいですか。

高山大臣政務官 今後におきまして新たに除染計画をつくっていく場合には、当然、除染をする前に線量をはかってということになりますけれども、それは市町村計画で今基本的にはお決めいただいていることなんですけれども、除染を始める前にはかるということは必ずさせていただいております。その際には、一ミリ以上という基準で計画を立てるようにということで財政支援をさせていただいております。

吉野委員 私の質問は、昨年の六月で一ミリ以上ということが九割あったわけですから、ここの学校も、今は下がっていても補助対象にしてくださいというお願いなんですけれども、ここはいかがなんですか。オーケーなんですか。

高山大臣政務官 昨年の六月の時点での放射線量を参考にしてこれからの除染を決めていくということはございませんので、やはり現段階でどういう放射線量かということをはからせていただいて、そこで一ミリ以上のところを計画に入れていくということでございますが、先ほど先生から御指摘ありましたように、その六月やあるいは夏の段階でボランティアやあるいは民間事業者を使って先行的に自腹で除染をしていただいたということに関しましては、ことしの一月までの分は全てさかのぼって財政措置の対象になるということで通知を出させていただいております。

吉野委員 了解しました。

 もう一つ、砂場、土と遊ぶわけですから、子供たちにとって大事な教育の現場なんですね。ここの砂場を全部入れかえると補助対象にならないんですね。ですから、ここもぜひ補助対象にするようにお願いしたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

高山大臣政務官 除染を進めていく上で、やはりお子さんの生活環境というのがもう最重要の優先課題であるということは我々も当然考えておりますが、基本的には原状回復を目的としておりますので、本当に全てを入れかえる必要のあるところであれば、もちろん全てを入れかえることも含めて対象になりますが、実際には、例えば上の部分だけをどけていくことで一ミリ以下になるということであれば、そのような除染方法をとるべきと考えております。

吉野委員 砂場ですから、校庭なら上っ面だけ取ればいいんですけれども、砂場は、下から掘って山をつくって、ですから、大きな意味で底まで放射性物質がまざっているんです。攪拌されている。ですから、やはり入れかえというのが一番簡単なんです。

 ですから、政務官、本当にここはお願いします。はっきり砂場だけでも、入れかえも補助対象にするんだということをこの場で明確に言ってほしいと思います。

高山大臣政務官 委員御指摘のとおりでございまして、確かに、砂場というのは掘っていきますので、奥の方までセシウムが沈殿している場合には、もちろん除染をする必要はあるとは思います。それはやはり具体的なケース・バイ・ケースになってくると思いますけれども、実際に上辺を取っただけでまだまだ足りないということであれば、これは必ず除染をしなければならないというふうに考えております。

吉野委員 砂場は上辺だけ取ったって、ちゃんと下にも、子供たちは穴掘りが遊びですから、そういう意味ではぜひともよろしくお願いしたいと思います。

 もう一つは、除染をします、そしてフレコンバッグに入れて仮置き場、三年間です、それから今度は中間貯蔵施設に持っていくわけです。

 いわゆるフレコンバッグというのは大きな大きな土のうで、そこに耳がついている、ひもがついていて、バックホーンでつることができる。一旦フレコンバッグに入った土砂はある意味で持ち運びが便利になる、こういうことなんですけれども、現場を見てみますと、フレコンバッグもピンからキリまであって、すぐ傷んでしまう、いわゆる安いものを使っている例が、現場はたくさんあるんですね。

 仮置き場三年間、そして中間貯蔵施設に移すというと、いわゆるフレコンバッグ自体が、三年じゃなくて、すぐ破けちゃう。この手間暇を考えれば、今、高い、丈夫なフレコンバッグを使えということを私は勧めるべきだと思うんですけれども、そういうことをしているでしょうか。

高山大臣政務官 委員御指摘のとおり、フレコンバッグに入れておいた場合、長年たった場合には経年変化で破れてしまう、こういう可能性があることも我々は認識はしております。

 我々がガイドラインの中で例示しておりますのは、仮置き場にしても、運搬そして搬出する際に、除染した土壌が流出していかない、そして飛散しないようにということの例示として、フレコンバッグを使ってくださいということを例示をしていることでございまして、当然これは、丈夫なフレコンバッグを使っていただいた方がよりいいというふうに考えております。

吉野委員 その辺のチェックはしているのかな、環境省と福島事務所は。どこは破けそうな、すぐ破けてしまうフレコンバッグを使っている、ここは大丈夫だというそのチェックはしていますか。

高山大臣政務官 基本的に、どの材質を使っていくかということに関しましては、施工業者に一義的には任されているものでございますが、我々といたしましては、とにかく飛散、流出しないようにということだけは厳にお願いをし、また管理をしているところでございます。

吉野委員 発注するときにその辺のところの周知徹底、ぜひお願いしたいと思います。

 次に、石油石炭税の値上げ。日本経済新聞もいろいろな新聞も、環境税、温暖化対策税(環境税)というふうに新聞に書かれているんですね。ですから、環境税はつくられた、でき上がったんだ、こういう認識が世の中的には広がっていると思うんです。でも、私は、これはあくまでも石油石炭税の値上げであって、環境税ではない、こう思うんですね。

 ですから、二十五年度、来年度、志のある環境税を環境省としてきちんと出す用意があるのかどうか。なぜ、温暖化対策税、温暖化対策のためのという枕言葉を、環境省としてある意味で魂を売ったというふうに私は強い言葉で言うんですけれども、なぜそこまでして、世の中的に環境税ができちゃったんだという誤解を与えるようなことまでしたのか。そして二点目は、二十五年度にきちんと志のある本物の環境税を出す用意があるのか。

 この二点をお伺いしたいと思います。

細野国務大臣 今回導入をお願いをしております税というのは、地球温暖化対策のための石油石炭税の税率の特例となっておりまして、私どもは、表現としては地球温暖化対策税だというふうに言っております。それを通称として環境税ということでお使いになっているメディアもあったり、そういうふうにおっしゃっている方もいらっしゃるし、正確に地球温暖化対策税ということで言っていただいているメディアもあるということでございます。

 性格としては、言うならば、温暖化防止のための、排出源である一番川上に当たる石油石炭税に課すことでできる限りエネルギーの消費を減らしていくという方向を明確にしたいと考えております。また、出てきたものについては、温暖化対策に有効に活用することによって、税収については、そういう形で使わせていただくことによってさらに効果を高めていくということで臨んでまいりたいと思っております。

 もう一点、志がある環境税をつくるのかというところでございますけれども、これは三年半ほどかけて税率を上げる形になっておるんですね。ですから、石油石炭税という意味では、やはりこれを着実に実行させていただきたい。石油石炭税に対する上乗せということでは、温暖化対策税はこれでやらせていただきたいと思っております。

 ただ、一方で多様な税の形というのはあり得るというふうに思っていまして、それが環境にプラスになるものがあれば、私どもとしては、いろいろな可能性を考えていくということについてはこれからもしっかりやっていかなければならないというふうに思っているところでございます。

吉野委員 そうすると、三年間は出さないということですね。

 そして、温暖化対策というのはたくさんあるんです。吸収源もあれば、省エネもあれば、創エネもあれば、全て温暖化対策なんです。でも、この税金は、その中の省エネ部分だけなんですね。これが温暖化対策の全てじゃないんです。

 ですから、せっかく温暖化対策のためという枕言葉を環境省は、魂を売ったわけですから、いろいろな形の温暖化対策にこの税率アップ分は私は使うべきだと思うんです。この辺の全ての、例えば吸収源対策にも使えということを、大臣、エネ特会の方々にきちんとした要求をしていくということを約束してほしいんですけれども、いかがでしょうか。

細野国務大臣 先ほど三年半と申し上げたのは、石油石炭税に関しては三年間着実にやっていくというそういう形になっておりますので、それについての考え方は基本的には変えずにしっかりやっていきたいということで申し上げました。

 そのほかのいろいろな税の可能性については、三年半検討しないとかいうことではなくて、いろいろな可能性を常に探っていくということが必要ではないかと思っております。

 何に使うかということに関しては、この石油石炭税から出てくる税収、国民の皆さんから納めていただいた税金というものに関しては、環境省で独占するというような考え方はとるべきではないと思っております。

 現実問題として環境省は、農水省とも連携をしながら再生可能エネルギーの導入推進のための事業を実施しておりまして、これからもいろいろな省庁で前向きな取り組みがあるというふうに思いますので、そういったことも含めてできる限り柔軟に対応していく必要があるというふうに考えております。

吉野委員 温暖化対策のためのという言葉を、経産省に、エネルギー特会の方に貸したというか、魂を売ったわけですから、全ての温暖化対策に使えるようにするということは、これはやはり環境大臣の大きな責任だと思います。

 みんな、それぞれの役所にお任せするのではなくて環境省がリーダーシップをとって、であれば、温暖化対策のためには全部使えるように御努力をお願いしたいと思います。

 きょうはこれで質問を終わりたいと思います。ありがとうございます。

生方委員長 次に、高邑勉君。

高邑委員 お時間をいただきましてありがとうございます。民主党の高邑勉でございます。

 細野大臣にお尋ねをしたいと思います。

 昨日、島田市が瓦れきの広域処理の受け入れを表明されました。私の地元の防府市の市長も、今週になりまして私が御相談させていただきましたら、実は、二〇〇九年に大変な集中豪雨の災害に遭いまして、全国から御支援をいただいたその御恩返しとして、ぜひ協力をしたいということを表明をされました。

 こういった首長の声がこれから各地で上がっていくことを期待しながら、今、細野大臣が期待すること、また、私の地元防府市に対して思いをお伝えいただけたらと思います。

細野国務大臣 高邑委員は、常に被災地に本当にしばしば足を運んでおられてというか、気がつくと高邑さんがいらっしゃるというぐらい本当に現場に足を運んでおられて、いろいろな取り組みをしていただいていることに関して、心より敬意を表したいと思います。感謝を申し上げます。ありがとうございます。

 また、広域処理について御地元の防府市の方にも働きかけていただいたということで、重ねてお礼を申し上げたいというふうに思います。

 やはり、ベースはお互いさまというところだと思うんです。私の地元の静岡県もかなりの市町村で声が上がってきているのは、昔から東海地震に対するいろいろな備えをしてきていて、そういったことについて、常に、お互いに助け合わなければならないという意識が非常に根強いんです。ですから、それは非常にありがたいことだというふうに思っております。

 したがって、そういう思いを無駄にすることがないように、しっかりと丁寧に説明をして、財政的な御負担もおかけをしない、ぜひそういう状況をつくりたいと思いますので、前に進めていくことに引き続いてお力添えをいただけますように、お願いを申し上げます。

高邑委員 大臣、ありがとうございます。

 大臣が、住民の皆さんの、特に慎重な立場をとっておられる方のところへ、私、あの島田市でもその場に居合わせましたけれども、一人一人の方と時間をとって丁寧に御説明をしておられる姿が本当に印象的でありました。まだまだ多くの国民の皆様が安全性に対していろいろな誤解に基づいて不安に思っておられますので、こういったことを一つ一つ丁寧に説明していく責任が政治には求められるんだと思います。

 防府市も、今、市長は非常に前向きなんですが、市の職員の皆さんや、また、県の職員まで非常に慎重でありますので、このあたりは、これから大臣にもぜひお越しをいただいて御説明を願えたら、私もその手伝いを喜んでさせていただきたいというふうに思います。

 きょうはちょっと時間がないものですから、三枚目の資料、お手元の資料をごらんいただきたいんですけれども、写真を二枚めくっていただきまして、東京新聞の新聞記事であります。

 私はあの原発の近くの警戒区域に六十回ぐらい通わせていただきまして、そこで毎回目撃するのが、放された牛が車に衝突をしたりして、大変悲惨な事故が起きております。その生き残った牛、下半身不随になった子牛を、原発作業員の方が何とかしてくれということで私も連絡を受けまして、日ごろから連携している牧場の方にこれを引き取っていただいたんです。その記事がこの鵜沼さんという、今加須市に避難しておられる方、この間日本テレビでも報じられておりましたけれども、こういった状況が今現地で起きていて、こういった被災者の方が動物の命がそこにあるんだということを希望にしておられる現実に対して、動物愛護を所管する環境省のトップとして、細野大臣の、政治家としてというよりも、人間としての動物に対する愛情をぜひお聞かせ願えたらと思います。

細野国務大臣 環境省ということでいえば、確かにペットを所管をしておるんですが、生き物、動物愛護という意味では、ペットも家畜も基本的にはこれは変わらないわけですので、そういった意味で、新聞記事を今拝見しましたけれども、こういう本当につらい思いを多くの皆さんにさせてしまっていること、さらには、そこで住んでいる動物たちにとっては本当に降って湧いた災難でありますから、そういった状況があるということは、本当に痛ましく感じておるところでございます。

 前の写真もちょっと今拝見をしましたけれども、日本が、文明国として、こういう生きとし生けるものに対するもう少し行き届いた配慮があるべきではなかったかというふうに感じております。そこは、事前の備えも含めて不十分であったと。

 もう一年たっていますので、取り返しのつかない命ももう出てきてしまってはおりますけれども、取り返せるところは取り返すことができるように、当然、農水省とも協力をしながら、また、NPOの皆さんや地元の皆さんでいろいろな活動をしていただいている方がおられますので、そういった皆さんの力をかりて、できる限りの対応をしていきたいと考えております。

高邑委員 午後からの時間で、そのあたりの具体策また提案も含めてお話をさせていただきたいと思います。

 この鵜沼さんは、人間は余りにも勝手だという言葉を残しておられます。今もなお現地で闘っておられる多くの方々の力になるような、希望になるような政治を目指していただきたいと思いまして、午後の質問に回させていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

生方委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

生方委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。斎藤やすのり君。

斎藤(や)委員 新党きづなの斎藤やすのりと申します。

 きょうも時間をいただきまして、ありがとうございます。理事の皆さん、そして委員の皆様に感謝を申し上げます。

 私は、仙台、被災地の人間でございます。被災地を代表して、瓦れきの広域処理に今皆さんが本当に尽力されていて、日本国全体で一致団結して処理していこう、そういう姿勢を皆様に見せていただいていること、本当に感謝を申し上げたいんです。

 ただ、一方で、きょうはちょっと違うアプローチなんですけれども、本当にこの広域処理というのが瓦れき処理にとって最も正しい手段であるのかということを、ぜひ大臣にお伺いしたいと思います。

 きょう何度も午前中の委員会で質問がされていると思いますけれども、瓦れき処理が大変おくれています。まず、そもそもなぜ瓦れき処理が進んでいないのかということを、物理的に、どこに一番ポイントがあったのか、なぜおくれたのかということをちょっと教えてください。

細野国務大臣 瓦れき処理をどうやって進めるべきかという御質問ですが、二千二百万トン以上ありまして、そのうちの千八百万トンは被災地で処理をするという形になっておるんです。多分、この後御発言があろうかと思いますけれども、仙台市は非常にスムーズにやっていただいて、リサイクルも進めていただきました。私もあの現場を見に行きましたけれども、非常に整然と処理をされているのが印象的でございました。

 それぞれの市町村がなかなかスムーズにいかなかった部分もありましたけれども、ここへ来て、県の方から発注を受けた業者が、それぞれ仮設をつくっていただいたり分別の設備をつくっていただいたり、稼働し始めました。ですから、二千二百万トンのうちの千八百万トンですから、これは八割は被災地で処理をすると。ただ、それでも一定の限界がありますので、そこについては、焼却できるものについて広域処理をということで今進めているという、そういう状況でございます。

 進まなかった理由ということで申し上げるならば、被災地でなかなか仙台市ほどスピードをつけて処理ができてこなかったことと、四百万トンということで当初予定をしておりました、考えておりました広域処理がなかなか進まなかったこと、両面あろうかというふうに思います。

斎藤(や)委員 ちょっとこれは私の印象かもしれませんけれども、三月六日のあの新聞広告なんかも見てみますと、みんなの力でがれき処理キャンペーンが始まりまして、新聞広告で一面広告も出ておりましたけれども、テレビの報道、新聞、それから野田総理の発言等を見てみますと、あたかも広域処理が進んでいないから瓦れき処理が進んでいないというような、そういう実は印象をかなり多くの国民が受けているんじゃないかなというふうに思います。私から言わせれば、本当にこれは正しいことなのかと。

 きょうはもしかしたら非国民扱いされるかもしれませんけれども、その広域処理の正当性について、ちょっといろいろお伺いしたいと思います。

 私は、九五年、阪神大震災のときに関西にいました。そのときに、これは本当に年単位で復興かかるなと思いました。年単位というのは四年、五年。ところが、一年、二年であっという間にスピードを速めて、あっという間に瓦れきが片づきました。

 阪神・淡路大震災のときは二千万トンの瓦れきの量で、東日本大震災は二千二、三百万トンですか、総量でいえばそんなに二倍、三倍という量ではない。ところが、一年たった段階での瓦れきの処理率は、東日本大震災が、先ほどからも上がっているように、六・七%。一方で阪神大震災は、さまざまデータがありますけれども、一年で六割というデータもあります。かなり阪神大震災はスピードが速いです、このデータを見てみても。

 東日本大震災の方は、津波、それから原発、そして余りにも広範囲だという条件はありますので単純には比べられないとは思うんですけれども、それでも、何なんだこの遅さはというふうに思います。

 私はちょっとあることに注目したんですけれども、それはやはり瓦れき置き場の焼却炉なんじゃないかと。阪神大震災では、神戸それから西宮の方で結構速いスピードで焼却炉が建ったように私は記憶があるんですけれども、震災後どれぐらいたってから焼却炉は建ったんでしょうか。

伊藤政府参考人 阪神・淡路大震災におきましては、兵庫県内では、木くずの処理のための仮設焼却炉が、七市町等で三十四基設置されております。

 その中で、設置が最も早かったものは震災後三カ月、最も遅いものは一年後に設置されております。ただし、この早い時期に設置されたものは、いずれも、一日当たりの処理能力は四十トン以下の比較的小さな焼却炉であったということでございます。

 なお、三十四基のうち、神戸市では、震災後四、五カ月後に一日当たりの処理能力四十トンの焼却炉が三基、八から十カ月後に四十トンから二百トンの焼却炉が十基設置されております。西宮市では、五カ月後に一日当たりの処理能力十六トンの焼却炉が一基、七カ月後に二十トンから九十トンの焼却炉が五基設置されている、こういう次第でございます。

斎藤(や)委員 やはり、阪神大震災のときはもう四カ月で簡易の焼却炉が建っていたということですね。それで、神戸では十五基たしか焼却炉を設置した。だから、あっという前に焼却が進んだ。

 今回の場合は、波もかぶった、それから放射能も浴びてしまった。ですから、住民とのやりとり、コンセンサスも得なければいけないというのもあったでしょうから、その意味では非常に難しいことだと思うんですけれども、それでも、明らかにこの阪神大震災のときは、焼却炉の設置スピードがやはりすごく速かったということでございます。

 この焼却のスピードが速い、焼却施設の設置がいかに重要かというのを、ちょっと皆様にきょうお配りした資料があるんですけれども、十万トン以上処理した自治体を挙げました。大船渡、仙台、女川と挙げたんですが、その中で、大船渡はもう二十三万トンも処理しています。これは岩手県で多分一番多い処理量だと思うんですが、こちらの方は太平洋セメントの工場で焼却処理が進んでいます。

 それから仙台市なんですけれども、こちらは十三万トン、さらにまたきょうふえたそうなんですが、こちらも、実は仮置き場に三台の焼却炉が建っております。裏側を見ていただくと、これが仙台の焼却炉です。三カ所に建っています。

 この仙台方式というのは、一次の仮置き場、普通は一回一回集めて別の場所で分別処理するんですけれども、この仙台方式というのは、一カ所、仮置き場でもう分別を進めて焼却までやってしまうということでございます。リサイクル率は五〇%以上で、これは予定より処理が早く終了するであろう、それから、他自治体からも受け入れることが可能なぐらいキャパに余裕があるということでございます。予定より前倒しで処理が早く終了いたします。

 しっかりとここは管理もされておりまして、火災が発生しないように瓦れきを低く積まれている。これはほかの自治体でも行われていますけれども、それから、サーモメーターで観測も行っていたりということです。

 ちなみにこの炉なんですが、どれぐらいの建設期間で建ったのかというと、これは二カ月でほぼ建ってしまった。建設着工してから二カ月で建ってしまったという話です。十二月からは三倍のものも出てきているということで、仙台方式というのは、これは相当先進事例になれるというふうに私は思います。

 仙台市長から聞いたんですけれども、震災後すぐにリサイクルの専門家を呼んでこの体制を考えたそうです。政令指定都市ですから、マンパワーもあるし、財源の余裕があるからこそできたことだと思うんですけれども、仙台でこれだけできて、阪神大震災の知見も持っている国が、率先してこれを自治体に、こういうやり方もありますと言うことがなぜできなかったのかというのをちょっとお伺いしたいんですが。

細野国務大臣 仙台の事例というのは、これは担当の部長さんなんかとも話しましたけれども、非常に決裁も早かったし迅速にできた例ということで、見習うべき部分は非常にたくさんあるというふうに思います。

 ただ一方で、例えば石巻なんですけれども、今は五基焼却炉をつくっているんですが、間もなく稼働し出します。これは、平均すると一基大体三百トンぐらいの処理施設なんです。ですから、先ほど例として挙げられた、阪神・淡路大震災で早い時期に立ち上がった四十トンのものの十倍ぐらいのものを、しかも五基つくらなければならないという、量が膨大なんですね。

 ですから、仙台は仙台で先進的な事例で、ほかの自治体、もしくは国の後押しも含めて十分でなくて遅くなってしまったことは、もう本当に責任を感じております。

 ただ、仙台のように全てやり切れる自治体ばかりではなくて、焼却施設の量もそうだし、さらには処理場の具体的な状況もそうなんですけれども、やはり、全てを域内で処理をするのはどうしても難しい面がありますので、そこについてぜひとも広域処理に御協力いただきたい、そのように考えているところでございます。

斎藤(や)委員 国が何でもかんでも面倒を見るということはちょっとおかしいとは思うんですね。今回の場合は、県が二次仮置き場に焼却炉を設置しております。県も恐らくゼネコンさんに委託していますので、そういうタイムラグだとか時間とかも恐らくあると思うんですけれども、やはり、自治体が直接こういったプラントを建てられることができるような支援というのが私は必要だったんじゃないかと思います。

 あの陸前高田市の戸羽市長が、市内に瓦れき処理専門のプラントをつくれば自分たちの判断で今の何倍ものスピードで処理ができると考え、そのことを県に相談したら、門前払いのような形で断られてしまったというのを著書で書いております。

 ここが私は重要なポイントだと思っておりまして、やはり、国としてこのプラントの補助とかもう少し早くやっていれば広域処理に依存せずに済んだのではないか、あるいは、今からでも焼却施設の増設それからリサイクルの推進というところも推進すれば、余りその広域処理に依存せずに済むような体制もつくられるのではないかというふうに私は思っております。

 ちょっと話はバックしますけれども、本当に宮城県内で大変格差が今広がっておりまして、仙台では先ほど一割と処理率言いましたけれども、隣の岩沼市や山元町では処理率がほぼゼロです。つまり、仮置き場に搬入されただけです。

 岩沼というのは、仙台と同じように広く平地が広がって、仮設のヤードもきちんと置くことができる。条件は同じなんです。同じ条件の亘理町の役場になぜ処理がおくれているのか聞いてみたら、やはり焼却炉のあるなしが大きくかかわっている、ところが県も役場もノウハウがなかったということを言っております。

 ここから質問なんですが、国として、瓦れき置き場に焼却炉を置く促進策というのを今までとってきたのか、それと、これからどういうふうにとるのか。県に任せてしまったということがあるんじゃないか。率直に言うと、国は焼却炉の設置の促進ということはほとんどしてこなかったんじゃないかというような嫌いもあるんですけれども、そのあたりはどうでしょうか。

伊藤政府参考人 この災害廃棄物の処理に当たりましては、処理事業費補助金で、自治体の行う処理事業を実質一〇〇%国費でやっているわけでございますけれども、その中には、自治体から委託を受けた民間企業がその事業のために一定期間仮設焼却炉を設置、運営する場合に、そういった費用についても補助対象とする、すなわち、そういった仮設焼却炉の設置のための費用は全額実質国庫負担とする、こういった措置を当初からやってまいりました。

 また、発災当初から、環境省も現地に人を置きましていろいろな自治体の御相談にあずかってきたわけでございますけれども、そういった対応について今後もさらに充実させていく必要があるだろうというふうに思っている次第でございます。

斎藤(や)委員 ぜひよろしくお願いいたします。明らかに阪神大震災よりもスピードが遅いということは確かです。それが焼却炉にやはり原因が一つあるということも確かだと思いますので、ぜひ推進をよろしくお願いします。

 それと、釜石市に聞きました。釜石市の方はこういうふうに言っていました。可燃物の処理はできているけれども、不燃物の処理に困っているということを言っていました。埋め立てる場所がない、コンクリート殻などを埋め戻し材として使えばいいけれども、当てがないと言っています。

 それから、陸前高田市の方は、高田の松原の松の流木の処理に困っている、だから、木材のリサイクルの場所があればいいというふうに言っています。バイオマスの資材として使いたい、その施設があれば瓦れきの問題はある程度解決するということも言っています。

 この不燃物の処理、リサイクルについては、国は積極的にこれからコミットするんでしょうか。野田総理も、するというふうな発言がありましたけれども、具体的にお願いします。

細野国務大臣 いろいろなところを歩いていただいて、貴重な情報をいただきました。ありがとうございます。

 これまでも、例えばセメントの会社であるとか、個別に当たってきたんですけれども、今、さらにそれを加速化させまして、各業界に当たっております。

 やはり燃料で燃やすというのが、単にごみに処理するだけではなくて、一番有効な活用の仕方でもあるというふうに思いますので、それを進めてまいりたいと思っております。

 また、コンクリート殻について先ほどお話がございましたが、このコンクリート殻は、ほぼ一〇〇%リサイクルできます。国土交通省や農水省がやっている事業はもちろんですが、自治体のやっている事業でも有効に活用していただけるように、その調整はまさに私どもの仕事だというふうに思っておりますので、改めて全体を見た上で、個別に対応できるようにしてまいりたいというふうに考えております。

斎藤(や)委員 私は、瓦れきの処理というのは、今も言った焼却炉とリサイクルで相当これは進めることができるんじゃないかなというふうに考えております。とはいっても、石巻なんというのはまだまだ膨大なわけなんですけれども、ただ、これから莫大な運搬コストを使って広域処理に回すと思うんですね。

 一つお伺いしたいのが、この広域処理の運搬コストというのは大体どれぐらいなんでしょうか。

伊藤政府参考人 先生御指摘の点につきましては、距離、輸送手段等さまざまな条件により、その輸送に係る費用は異なるというふうに考えられますが、広域処理を実施している東京都の例を挙げますと、平成二十三年十一月二日から十二月三日までに実施された宮古市の先行事業分においては、一トン当たり約二万円という実績となっております。

 この輸送費用につきましては、被災地の中でいろいろ動かして処理するその運送費用と比較しても、それほど高いものであるというふうにはなっていないのではないかというふうに考えております。

 一方におきまして、被災地では、膨大な量の災害廃棄物の処理に全力で取り組んでいるところでございまして、こうした最大限の努力を行っても、なお目標とする平成二十六年三月までに処理し切れない、こういった分につきましてはぜひ広域処理を行う必要があるのではないか、こういうふうに考えている次第でございます。

斎藤(や)委員 意外とこれは語られていませんけれども、この瓦れきというのは、財産にもなると思います。それは、埋め戻し材にも使えますし、バイオの燃料にもなるし、用途がたくさんあります。また、それで雇用も生まれます。

 実は、本当に気仙沼や南三陸の方々は、目の前に瓦れきがあるものですから、一刻も早くこれは山の方とか二次処理置き場に置いてほしいというのはあるんですけれども、私が聞いた情報では、瓦れきの処理を広域に回してほしいという強い思いというのは、地元からは余り私は聞かなかったんですね。細野大臣はさまざまヒアリングしたときに広域処理というのをお願いされていると思うんですが、私は余り聞きませんでした。

 ですから、今、何か広域処理が第一のようになっていますけれども、まずその被災地で処理をする、焼却炉の設置とリサイクルの推進ということを考えて、できない部分については広域処理でやるということをもうちょっと出さないと、広域処理をやらないと済まないみたいな話になっているので、それはちょっと何か話が変な方向に行ってしまっているのかなというふうに私は思いますので、そういったところもぜひ気をつけてというか、瓦れきの処理を一刻も早くそういったところでも考えていただきたいというふうに思います。

 質問は以上でございます。ありがとうございました。

生方委員長 次に、高邑勉君。

高邑委員 午前に引き続きまして質問をさせていただきます。

 今、斎藤委員から、本当にお地元のまさに被災地の議員さんということで、大変実感のあるお話があったんじゃないかと思います。

 私も南相馬市に通い続けておりまして、桜井市長が同じようなことをおっしゃっておられます。コンクリート殻とかは防潮林のまさに埋め戻し材に使いたいんだということで早くから国交省に提案をして、当時の大畠大臣からも前向きな回答をいただいているということであります。

 私は、今の御指摘のとおり、地域によって区々でありますから、広域処理するものはする、しかしどうしてもできないものに関して、特にこれは運搬等で運びやすい可燃物が主体になるのであろうと推測をいたしますけれども、それぞれの自治体にとって必要なものを全国で分担するんだというメッセージがまさに出ていくべきであろう、今の斎藤委員の御指摘、全くそのとおりではないかなと思いました。

 そこで、今のリサイクルに使っていくということについて、細野大臣から今前向きな答弁がありましたけれども、例えば桜井市長がおっしゃるように、コンクリート殻をむしろ岩手や宮城からも引き受けたいとまでおっしゃっているんですね。こういったニーズのマッチングをした上でリサイクル活用していく、なるべく重たいものやかさばるものは現地で処理をしていくという方向性について、御回答いただけないでしょうか。

高山大臣政務官 ありがとうございます。

 高邑委員からも今御質問ありましたけれども、これはそもそもなんですけれども、先ほどの斎藤委員のときの話にも出ましたけれども、まず、環境省からは、去年の五月十六日の段階で災害廃棄物処理のマスタープランというのを出しております。

 この中では、当然のことながら、そういうリサイクルでありますとか、あるいは、現地での徹底した、焼却炉をどんどん建てての処理ということはもううたっておりまして、それをやってもまだなお追いつかない部分を広域処理をお願いしたいと。現地の処理でもちろん十年かければできます。でも、それを二年半で行うには、やはり広域処理が必要だということで今お願いしているということがまず大前提でございます。

 その中で、今、高邑委員からも御指摘ありましたような、コンクリート殻を復興需要として利用していく、こういったことは非常にいい御提案だと思いますし、また、実際、十三日の野田総理が中心となりました関係閣僚会議でも、利用に関してもっと幅を広げていけないかということは、各省とも今検討させていただいているところでございます。

高邑委員 ぜひ利活用していただきたいと思います。

 実は、島田市の燃焼実験のとき私立ち合わせていただいたんですが、大臣も本当にお一人お一人と丁寧にお話をされておったことを先ほど御紹介させていただきましたが、慎重な立場の方から要望書を実はお預かりしておりまして、その中にも、例えば木くず等はバイオマス発電で使えるのではないか、そういう技術も既に開発をされているという御指摘もありました。

 ですから、どういった分野でこのバイオマスを使ったとか瓦れきは埋め戻しで使ったとかいうことも同時にあわせて情報提供しながら、それでもなお手が届かない部分についてお願いするんだということを改めて国民の皆さんにお伝えをしていく、そういう責任があるのではないかなと思います。

 要望書については大臣にお応えいただくようにお願いをさせていただいておるんですが、その中にも、やはり誤解に基づくことも多々あるんです。例えば、安全性の確保ということで、実際に島田市の燃焼実験で大臣がシンチレーションのサーベイメーターで表面の空間線量をはかられたんです。値は〇・〇七マイクロシーベルト・パー・アワーだったんです。これは、そのところの空間線量、まさにバックグラウンドデータと全く同じでありました。

 島田市長も桜井市長とおっしゃるんですが、桜井市長がおっしゃるには、一キログラム当たりのベクレル数をはかったら、十五ベクレルだったと言うんですね、これは燃やす前です。ところが、一般的な島田市のごみをはかったら、四十ベクレルあったと言うんですよ。実はこれ、同じようなことが東京都でも起きておりまして、宮古から運んできたごみを焼却して焼却灰にした場合は一キロ当たり百三十三ベクレルだった、しかし、東京都のごみと合わせて燃やしたら、何と八百ベクレルぐらい出たということもあるようです。

 ですから、一概にベクレルが上がるとか下がるじゃなくて、通常の処理でもそれぐらいの値が出ているんだということも、これをあわせて国民の皆さんに周知をしなければならないと思います。

 ですから、はっきりと申し上げなければならないのは、広域処理を行う廃棄物は放射性廃棄物ではない、災害廃棄物であるということを改めてこれは国民の皆さんにお伝えをしなければならないのではないかなと思います。

 IAEAが規定している希釈の禁止という項目に引っかかるのではないかという御指摘もこの反対の方からいただいておるんですが、これは放射性廃棄物ではそもそもないということでこの指摘は当たらないとお答えすべきではないかというふうに私は思いますし、雇用につながるということで、先ほど陸前高田のお話もありましたけれども、できるところはなるべく現地でやっていく、しかし、それでもなお手が届かないところは全国で分かち合うということをぜひ進めていくべきではないかと私は思います。

 そういった意味で、私の地元の防府市も、三年前に大きな災害を受けましたので、御恩返しのつもりでお役に立ちたいということで、勇気を持って一歩前に踏み出していただきました。こういった自治体は、市民の皆さんに不安を募らせないようなきめ細やかなサポートをぜひお願いしたいと思います。

 あわせまして、今、焼却炉のことについて非常にいい御指摘があったと思います。

 実は、私の地元はセメントメーカーが立地をしておりまして、セメントの焼却炉、今、大船渡の太平洋セメントさんの工場で、これは日量千トンの処理が可能であるということで既に処理が始まっておりますけれども、セメント会社の大型のキルン炉で、これは二千度ぐらいの温度で燃焼させることによって、実は、温暖化対策の観点からもコストの観点からも、そして最終的な焼却灰、これをセメントの原材料に再利用することができるという点でまさに最終処分場の心配がない、非常にこれは有効な利活用の方法であるということが指摘をされております。

 私も地元のセメント会社にヒアリングをいたしましたら、しかしそうはいっても、建材のときに二本松で出ましたよね、放射性廃棄物が出たことによって風評が広がってしまったということがありましたので、売り物としてのセメントが風評を受けてしまうとということで、企業はそこで一歩を踏みとどまってしまうんです。

 太平洋セメントさんのこの知見も生かしながら総理や大臣がセメント会社さんや製紙会社さんにもこの御協力をお願いをされるということでありますけれども、ぜひこういった民間の企業が心配なく御協力をできるように、例えば、これは提案でありますが、最終製品として出てきたこのセメントを東北の復興事業で優先的に政府が買い上げて、それはもう保証しますよ、東北から来たごみでつくったセメントはまた東北に戻っていってそこで復興事業に使われるんですよというような仕組みを、ぜひこれは、閣僚の連携の会議もできたというふうに聞いておりますので、ここで主張していただいて、関係各省に御協力をお願いしていただくことはできませんでしょうか。

横光副大臣 セメント会社が瓦れきを焼却していただいているところがあります。そしてまた、それをセメントの材料にしてやってくれている。今言われたように、つくるはいいが、やはりそういった需要のことを考えたときに、非常にまだまだそれが広がっていないという現実もあるわけです。

 それで、復興庁が誕生いたしまして、関係閣僚会議のもとで、その下で、復興庁、国交省、農水省、経産省、国の事業を発注する関係の省庁の皆さん方と今いろいろ話し合っております。そして、国が買い上げるということができるかどうかも含めて何らかのインセンティブを働かせることができないかということで今協議いたしておりまして、少しでもそういった協力してくれる民間企業にとってもやりやすいような形をつくっていきたい、このように今考えております。

高邑委員 ぜひお願いをしたいと思います。

 本当に皆さん、協力をしたいんだけれども、会社ですから、一旦風評が出るとなかなかそこが大変なことになりますので、そこをお願いしたいというのが強い現場の要望でありました。でも、協力をしたいという人々の思い、これはぜひ生かしていただきたいというふうに思います。

 あわせまして、先ほど午前中の質疑でもございましたけれども、受け入れを表明してくれた自治体に対して、まさに私の地元もそうなんですけれども、これは御恩返しをしたいという思いもありますので、私はこれはわかるんです。しかしそうはいっても、炉が例えば塩素によって傷んだり、そういった意味では、きめ細かな財政支援というんですか、実費に加えて、そういった設備に対してもある程度の御支援が必要なのではないかなと思います。

 実は、私の地元の防府市は、平成二十六年度いっぱいでちょうど炉の更新を迎えている。今まさに建設が始まろうとしておるわけでありますけれども、こういったケースは恐らく全国に多々あると思うんです。

 こういったケースにおいて、例えば焼却炉への整備補助であります循環型社会形成推進交付金に加えて、今回の震災復興特別交付税等々による対応が可能であるという見識を示されておりますけれども、具体的に既に着工計画があって、もう補助のスキームに入っているものが今回この広域処理に参加をするということで、恐らく、これは補助スキームが切りかわるんじゃないかと思うんです。

 こういったことも柔軟に対応していただけるのかどうか、御回答をお願いします。

高山大臣政務官 高邑委員の御地元のように、今ある炉を利用して広域処理を協力していこうという話、非常にありがたい話でございます。

 実際にもう計画が始まっているということでしたけれども、補助金は単年度ごとでございますので、今委員おっしゃいました循環型社会形成交付金、これは三分の一補助でございます、そして、残る三分の二を震災復興特別交付税で今財政支援をしているということで、これは、今現在建設中のものであってもこの新しい交付金も適用の対象となりますので、ぜひまた御協力いただければと思います。

高邑委員 そういうことが伝われば、皆さんもっともっとハードルを踏み越えやすくなるのではないかなと思います。もちろん、思いが一番でありますので、このあたりは、我々議員も、与野党を超えてそれぞれの地元でやはり語りかけていかなくてはならないんじゃないかなと思います。

 先ほど、セメント焼成炉の御紹介をさせていただきました。私は、この震災瓦れきの焼却、広域処理というのは、これはもう目下の課題ですから国を挙げて取り組むべきであると思いますけれども、震災後の日本の姿を少し思い描くときに、今でさえ、ただでさえ、自治体の焼却、一般ごみについても大変困難を来しておる、だましだまし炉を更新して使っているというのがほとんどの多くの自治体の実態ではないかと思います。一部事務組合をつくったり、広域処理を既に民間の会社でやったりしております。

 一部、私の地元のように、セメントの焼成炉でもこれは灰の処理から始まっておるんですけれども、私の地元では、実は年間五万トンの焼却灰の処理までさせていただいておりまして、これは温暖化対策の観点からも、自治体、ひいては国の補助金が入るわけですから、国の財政への効果という観点からも、また、一トン当たりの処理コストを削減していくという自治体にとっての財政的な要因からも、こういった広域処理を、東北の震災瓦れきの処理が終わって終わってしまうんじゃなくて、ここで得た知見を震災後の一般廃棄物の処理のスキームに活用していく、応用していくという発想があってもいいんじゃないかなと思うんですね。

 我が党の議員連盟や業界団体のこういう建設的な提案というのも既にモデル事業として提案されているというふうに私も聞いておりますが、こういった前向きな提案について、現段階で環境省に何かお考えはございますでしょうか。

高山大臣政務官 高邑委員御指摘のように、まず、この震災瓦れきの処理に関しましてセメントの焼成炉が非常に活躍をしている、またこれから期待されているということは、もう紛れもない事実でございます。

 そしてまた、その後において一般廃棄物の広域処理に使えないかというようなお話でございますけれども、当然、処理施設を大規模化していくことによるスケールメリット、また、大型炉によります、小型焼却炉では困難な高効率なエネルギー回収などが非常に期待できるということも間違いない事実でございます。

 一方、集約化をしたり広域化をするということには市町村の収集のこの御協力が不可欠ということになりますが、非常に期待できるというふうに考えております。

高邑委員 特に運送については、鉄道であったり陸路があると思いますが、海運の利用というのは非常に有効だという指摘もなされておりますので、一つのモデルとして、できるところから進めていく。しかし、民間に完全に委託をしてしまった場合は、その民間の会社の経営に対する保証というのはこれはないわけですから、倒産したりなんなりというリスクにもこれは備えなければいけない。しかしながら、国として、CO2、温暖化対策をしていかなきゃいけない、財政の制約もあるという中で、これは知恵が必要だと思いますので、私は、ぜひ、ここで得られた知見を今後の日本の環境政策に生かしていただけたらというふうに思います。

 あわせて、きょうは瓦れきのことをもっとお話をしたかったんです。先般、私は川内村の除染現場に行ってまいりました。雪深い中で、本当に皆さん雪にまみれながら、雪をのけてから除染作業をしておられるという現場に行ってきたんですけれども、今、内閣府のモデル事業が行われております。

 私は平地の除染というのは結構見てきたつもりだったんです。農地も見てまいりましたが、しかし、山林地、中山間地というのは、四方八方からこれは立体的にガンマ線が飛んでくるということで、幾らそこを除染してもなかなか空間線量が下がらなくて、実はそこの辺に住んでおられる住民の皆さんが、大丈夫かな、これは本当に下がるのかなという非常に不安な思いを今は持たれているんですね。これはモデル事業ですから、ここで得られた知見を生かして総合的に線量を下げていくということの一つの今実験段階なので、もうちょっと落ちついて、余り一喜一憂せずにということを現場では皆さんと話しながらきたんです。

 中山間地の除染については、やはり、山林、林地の除染が非常に鍵になってまいります。指針では、たしか縁辺から二十メートルを枝打ちをする、腐葉土をかき出すというようなことが言われておったかと思いますが、山を持っている人にとっては、そんなことをやったら木が枯れちゃうとか、いろいろ調整が必要になってこようかと思います。

 そんな中で、やはりここは林野庁と、そして土壌については、農地については、まさにこれは農水省の得意なところでありますが、これからは、この知見ということに対して、農水省の所管部門とそれぞれの連携が必要になってくるのではないか。

 あわせて、林地ということでいうと、川内村は二十二ヘクタールの除染モデル事業をやっているんです。それに必要な仮置き場は〇・五ヘクタールも要るんです。四千立米ぐらい、五千立米ぐらいひょっとしたら除染によって仮置きしなきゃいけない土が出るんだという御指摘をしておる。これは莫大な量なんです。モデル事業にしてこうですから、本格除染になって広大な面積をやることになったら、それこそもう大変な量の仮置き場が必要なってくるわけであります。

 そういったときに国有林野の活用ということが言われておるのではないかと思いますが、こういった分野でも、林野庁、農水省との連携が必要になるかと思います。現場の作業員や現場の統括をしている皆さん、ひいては住民の皆さんが、除染が進むようにするためには、混乱を少なくするためにもこの省庁間の連携ということが鍵になってくるかと思いますが、環境省、このことについてどういう連絡体制、共同体制になっておるか、お示しください。

高山大臣政務官 高邑議員御指摘のとおり、除染の一番の鍵になってくるのが、この森林の除染になります。

 まずは住宅近隣の二十メーターということですけれども、今後、森林全体への対応に関しましては、やはり、農水省における今検討結果を踏まえまして連携をしていかなければいけないと思っておりますし、森林の除染を進めるに当たっては、森林の管理や整備等に知見や情報を有する林野庁、農水省から人材面も含めて協力はもう必要不可欠というふうに考えておりまして、ことしの一月からも、今、福島の環境再生事務所、これは事務所定員が四十名のところ、農水省から十五名応援に来ていただいております。うち、林野庁からは五名来ていただいておりますし、また、今度の四月からはさらにそれがふえまして、農水省からは六十名程度の応援を来ていただいて、一緒に協力しながら除染を進めてまいりたい、このように今考えております。

高邑委員 ここはぜひ環境省が前面に出ていただいて、省庁の壁を越えて、協力を仰ぎながら、人材の応援も受けながら進めていただきたいと思います。

 続きまして、話題をかえさせていただきます。

 午前中に少し最後に触れさせていただきました。きょうはお手元に資料を三枚用意させていただいております。

 一枚目、二枚目の写真は、私が通い続けております警戒区域のこれは大変悲惨な状況でありまして、一枚目からずっと、こういう牛の置かれた状況、一枚目の牛、これは死んだばかりなんですが、二カ月後に行くと、その右隣、二番目の写真のように、こういうふうに石灰がかけられて、大変残念な状況になっている。

 私がここで取り上げたい警戒区域内の動物について、ペットや伴侶動物と言われるものについては、大変な状況でありましたけれども、民間のボランティアの皆さんや福島県、また環境省も大変御努力をいただいて、一定の、これは一定のと申し上げていいかと思いますが、救出活動に取り組まれてきたことは、私も現場で拝見をさせていただきました。

 しかし、一方で家畜については、当時、三千五百頭ぐらいの牛が飼われていました、三万頭の豚がいたんですけれども、その多くが取り残されて、このように、残念ながら餓死、もしくは、いまだに数百頭が野山を駆けめぐっている。放れ畜という状態になっております。そのことによって、車との衝突や民家への損害、こういった事態が報告されております。

 こういう状況は、警戒区域、これから再編されて復興を目指していかなければならないんですけれども、その復興の足かせになるどころか、動物愛護の観点から見ても、国内外から多くの懸念と批判の声が届いております。環境省に聞いたら、その声は数え切れないぐらいあるというふうな回答が返ってまいりました。

 政府の指示は、これは総理の指示によって、所有者の同意を得た上で安楽殺処分を行うということでありますけれども、手元の数字では、三百軒近くあった農家のうち、百十軒以上の農家の方がいまだに同意をしておられません。

 その中できょうは、仲野政務官、お越しをいただいております。私も、これまで何度も、前回も予算委員会分科会で提案をさせていただきましたけれども、今の状況は、恐らく七百頭ぐらいがまだ捕獲していただいているままだと思います。同じ七百頭ぐらいは安楽殺処分をされたというふうに聞いております。しかし、まだ野に放たれている牛が三百頭ぐらいいて、こういった牛をどうしていくんだということに対して先般御提案申し上げたんです。これから考えるという御答弁をいただいたんですけれども、その後どういう検討状況になっておられるか。また、現在のところ、どういった活用といいますか、どういう研究等で生かされたのか。これを教えていただけたらと思います。

仲野大臣政務官 高邑委員の御質問にお答えしたいと思います。

 先般、三月五日の予算分科会におきましても同様の御指摘をいただきまして、私の方から、少し時間をいただきながら研究させていただきたいということで、その後、事務方と膝を交えながら、どうやっていったらいいのだろうかという議論をさせていただいたところであります。

 その結果、まず、警戒区域内の家畜については、科学技術研究のために生かして活用していくべきという先生の御意見等もあり、これまでも大学等の公的な研究機関から、地域住民の同意を得た上で、人員や資金調達等含め実行可能性のある具体的研究計画が提示されれば、ここは当省といたしましても積極的に警戒区域内の立ち入りなどについて支援を行ってきているところでありますし、また、御提案のあった警戒区域内での大規模放牧試験も含めて今後も研究機関等から要請があれば、研究規模の大小にかかわらず、福島県等との協議の上、真摯に検討してまいる所存でございますので、ぜひとも御理解をいただきたいと思います。

高邑委員 この一年、予算委員会でも、また本会議でも取り上げられたこのテーマであります。きょう、吉野委員もおられます。本当に涙に迫る質問、私も本当に感銘を受けました。何とかしなきゃいけない現場の声として重く受けとめていただいて、だんだん答弁が中身は前に前に進んでいることを私も非常に希望として、これを聞いておられる多くの関係者の皆さんにもお伝えをしてまいりたいと思いますので、引き続き、これは研究者の皆さんとも連携をしながら進めていただけたらと思います。

 仲野政務官、本当にありがとうございました。

 そこで、環境省、これは動物愛護の所管ということで、愛護管理法の改正も今ちょうど議論の最中でありますけれども、動物愛護の観点から、農業政策の観点からではなくて、動物愛護の観点から実はこの問題を少し取り上げてみたいと思うんです。

 今、政務官から御紹介ありましたように、既に馬については、野馬追の馬が二十八頭からこれは三十一頭にふえましたが、この馬については、文化で使うということで救出することができたんですね。そして研究用の種豚、これは希少価値があるということで東京大学の方に移管されて、今、二十六頭が研究で飼われています。

 しかし、牛については、先ほど申し上げましたように、今、七百頭近くが人の手によって何とか飼育されているんですが、大変劣悪な状況である。五百頭ぐらいがまだ外を歩いている。これから復興していかなきゃいけないときにそういった状況が続いていくというのは、これはゆゆしき事態でありますので、私は、いち早く保護をしてしかるべき活用策をするべきではないかということを訴え続けてまいりました。

 そこで、お手元の二枚目の写真を見ていただきたいんです。これはエム牧場といいまして、浪江町と南相馬市の境にあります。原発からは約十四キロの地点にある三十ヘクタールぐらいの牧場に、実は三百頭近くの牛がいまだに飼われております。最近、少しメディアにも出るようになっておりました。ここを関係者の皆さんで希望の牧場というふうに名づけて、今でもここで飼育を続けているわけであります。私が伺いました川内村でも、ヤギや羊をずっと警戒区域の中で飼い続けてこられた方々がおられるんです。

 欧米では、こういう被災した動物、けがをしたりという動物を終生飼育していくという考え方があって、これをファームサンクチュアリーと言って、そういうところで最後まで面倒を見るというのが、動物愛護の世界ではこういったことが常識化しているというふうに私も承知をしておりまして、なかなか大変な状況であるということはこれは百も承知なんです。

 こういった被災動物を保護していく、犬や猫のみならず、動物愛護法の対象、四十四条に、愛護動物というのは、牛、馬、豚、羊、ヤギなどなど、人が占有している動物で哺乳類、鳥類、爬虫類に属するものというふうな定義もありますので、全ての動物、人間の占有していたものについては、これは被災地であろうが災害が起きたときであろうが、保護する義務が人間に課せられているんじゃないかと私は思います。

 そこで、こういったファームサンクチュアリーという考え方について環境省はどのようにお考えでしょうか。

横光副大臣 今、ファームサンクチュアリーということの御質問でございますが、実は私、こういったことを知りませんでした、こういうのがあるということを。調べてみたら、民間団体で、災害や虐待、そういった産業動物を救護して、また、農場で生涯にわたって世話をしている、そういった団体だということを聞いてびっくりしたんです。

 今回のような事故と震災で警戒区域をつくらざるを得ないということは初めてのことですね。そういった中でこの問題も今大きくいろいろと悩みながら対処をしているわけですが、行政ができなかったところをこうして民間がやっているということは、非常に敬意を表したいと思っております。

 私たちも、こういった事例についてもしっかり情報をこれからも収集してまいりたい、このように思っております。

高邑委員 ありがとうございます。

 実は動物愛護法には、三条に、「国及び地方公共団体は、動物の愛護と適正な飼養に関し、」「相互に連携を図りつつ、学校、地域、家庭等における教育活動、広報活動等を通じて普及啓発を図るように努めなければならない。」という規定があります。

 または基本指針に示されておりますけれども、「動物の愛護及び管理の意義等に関する国民の理解は十分とはいえない状況にある。また、生命尊重、友愛等の情操の涵養の観点から、特に子どもが心豊かに育つ上で、近年、動物との触れ合いや家庭動物等の適正な飼養の経験が重要である」ことがうたわれております。

 つまり、教育や広報をもっとしなさいというふうに、これは基本方針の中で盛り込まれているんですね。

 そこで私が御提案を申し上げておりますのは、これは家畜ですから、経済合理性がなかったらそれは廃棄させられてしまうというのが今までの常識ではありましたけれども、こういう事態、まさに未曽有の事態に直面しておるわけでありますから、こういう動物は人間の手でしっかり保護をして国民の皆さんにしっかりこれを見ていただいて、例えば、今も御紹介申し上げましたこういう牧場以外にも、私が知っている範囲で四カ所、民間の手で、警戒区域の中ですよ、線量が高かったり低かったりそれぞれありますが、小さいところでは二十頭ぐらいの牛、大きいところでは三百頭ぐらいの牛をいまだに通い続けて飼っておられる方々がいるということを環境省としてもぜひ注目していただいて、むしろ積極的に国民の皆さんにこういう事実を伝えていく。

 国が何かをしましたということよりも、民間の皆さんが既にこれだけの思いを持って動物愛護をこの災害で大変な中でも示しておられるということをぜひ顕彰していただいて、国民の皆さんにお知らせしていくということができないでしょうか。

横光副大臣 動物愛護ということでは命に変わりはないわけでございます。

 そういった意味で、今のような御提案ですけれども、家畜となりますと、行政の分野ではどうしても縦割りといいますか、どうしても所管は農水省になってしまいますものですから、私たちは今度の災害で、犬や猫、こういったものには全力で保護に取り組んできたんですが、ここのところがちょっと、農水省の方のやはりお力でこれは進めていかざるを得ないのかなと、このように思っております。

高邑委員 そうおっしゃるだろうと思いました。それはやむを得ないのかもしれませんが、しかし、先ほど農水省に答弁いただきましたが、できる範囲で研究で、これは何も研究して全部解体するんじゃなくて、放牧研究ということも、今、仲野政務官から大規模にということまでおっしゃっていただきました。既にそういう研究をしたいという方もおられます。これは、動物福祉の観点から動物の日常の生態を研究するということは、非常に、これからの家畜福祉、OIEの定めているアニマルウエルフェアを追求していくためにも欠かせない要素なんですね。縦割りではなくて、これは、動物愛護の観点から我が国の心を示していくんだということでぜひ一歩を踏み込んでいただきたい。

 そのための少し提案なんですが、既に科学者の方々はそういう提案をしておられます。実際飼っておられる方々も何とかしてほしいと思っておられます。また、関係省庁、農水省は一部研究をしている。環境省はなかなか今まではそこまで手が出ませんでしたけれども、こういう指摘があったということを踏まえて、自治体も巻き込んで、今、数百頭いる、恐らく千二百頭ぐらいがまだ生きたまま警戒区域の中に飼われたり放たれたりしていますから、こういう牛をとにかくどうするんだという会議をぜひこれは早急に開いていただきたいんです。

 例えば中央環境審議会とか、その下に動物愛護部会があろうかと思います。私は部会長からまた近々開催されるやに聞いておりますので、そこで少し特出しで、このテーマは一体どうするんだ、我が国の災害対策という観点からもちろん重要なんですけれども、こういう事実をどうやって国民の皆さんと共有して思いを同じくしていただくかという観点から、ぜひ何らかの会議体にかけていただけたらと思うんですが、いかがでしょうか。

横光副大臣 今の御意見ですけれども、中央環境審議会の動物愛護部会に諮らないのかという趣旨でございますけれども、これも本当に申しわけないんですが、家畜の場合はどうしても管轄が違うものですから、この動物愛護部会において、我々は被災ペットについてはもちろん対応して報告しているわけですが、警戒区域内でのこの家畜の扱いについては、ちょっと農林水産省と協力していくしかない、このように思います。

高邑委員 これはいかんともしがたいんですが、そこをあえて問わせていただいております。

 例えば、家畜でありました、でも、元家畜なんですね。今は家畜じゃないんです。経済的価値はありません。これは半野生化していると今指摘されているんですよ。半野生牛です。日本では、口之島というトカラ列島に野生牛がいます。イギリスのチリンガムというところにも公園牛がいます。しかし、野生牛の研究ということ自体が今世界でほとんどできていないんですね。

 アニマルウエルフェアを追求するためにも、野生牛として捉えた場合に、これは、野生動物を所管しているのはどこですか。

高山大臣政務官 環境省です。

高邑委員 そこで提案なんですけれども、例えば自然環境保全法の第二十二条には、「自然的社会的諸条件からみてその区域における自然環境を保全することが特に必要なものを自然環境保全地域として指定することができる。」という条文があるんです。しかし、そこはちょっと条件が前についているんですけれども、こういう事態ですから、ここは、法律の解釈やもし修正が必要なら我々国会で議論をして、例えば自然保全地域をつくるとか、まあ、鳥獣保護法が使えるのかどうかわかりません、鳥獣保護区になるのかどうかわかりませんし、種の保存法に基づく生息地等保護区というのも何かいろいろあるらしいんですが、ここは環境省がいろいろな知恵がある、知見があるはずですから、動物愛護を広く国民の皆さんにお伝えするという意味も込めて、環境大臣が必要と認めるものについては「指定することができる。」と法律に書いてあるわけですから、ここを曲げてそういう検討はしていただきたいんですけれども、いかがでしょうか。

横光副大臣 本当に先生の動物に対する思いはひしひしと感じるわけでございますが、対応となりますといろいろとございまして、今、自然環境保護地域や、もっと言えば鳥獣保護区などに指定してみたらどうかという御意見でございますが、こういった地域指定の法令は、私たちの国を代表するすばらしい自然の風景、あるいは原生的自然環境、さらには希少な野生動物、こういったのを保護するという目的としておりますものですから、野生化した家畜のための地域指定というのは、ちょっとこの法令で変えるというのは今のところ難しい状況であるということを御理解いただきたいと思います。(発言する者あり)

高邑委員 応援ありがとうございます。まさにそのとおりですけれども、しかし希少種なんです。世界のどの地域に、ほかに被曝牛がいるんですか。ここにしかいないんですね。

 南相馬の桜井市長はまさにその災害を、いつまでも下を向いて泣いているんじゃなくて、ここから希望を見出していく、絶望の中から希望を見出していくためにこの動物たちが大事なんだということで研究を粛々とされたんです。そして、畜産家の方がまたそこでもう一度生産に戻れるように種を保存したんです。それが救われた馬だったり豚だったりしたのです。牛においても私はこれはできないはずないと思いますので、ここは人間の知恵が求められていると思いますよ。

 最後の写真、八番目の写真なんですが、これが、午前に御紹介した新聞記事のふくちゃんという牛なんです。下半身不随です。お母さん牛は残念ながら事故死しています。巻き込まれてこの牛も立てない状況なんです。しかし、被災をされたこの方しか恐らく条件的にオーナーではないと思いますので、鵜沼さんという方なんですが、この方がこの牛に会いに行ったときに、立てないはずの牛が立とうとしたんですよ。震災後に生まれていますから、会ったこともないはずなんですよ。しかし、その牛が立とうとして、私はその映像を見たときに本当に涙が出る思いをしました。何とかしてあげなきゃいけないんじゃないか。

 私はここで皆さんにぜひ知っておいていただきたいんですけれども、これは動物愛護だけで申し上げているんじゃなくて、人間とのかかわりの深い動物の命を守るということは、これはペットと何ら変わりないんですね。人間の心を救うことになるんです。

 つまり、被災者の方々がこれ以上苦しまないようにするために、鵜沼さんのように、またこの牛に会いたい、この牛に会わせる顔のために、自分は今畜産は諦めたけれども、野菜農家になってもう一回帰っていくんだと言って今一生懸命埼玉県で避難生活を送っておられるんですね。こういう方が、ふくちゃんに元気な姿を見せてやりたいから一生懸命今頑張っているんだ。まさにこれは動物愛護の話、これはもちろん大事なんです、当たり前だと思います。それに加えて、被災者の皆さんの、特にこの畜産家の皆さんの心に寄り添う、まさにこれこそが今求められている復興支援なんじゃないでしょうか。

 そういう観点から、環境省だけでは取り組めないということであれば、ぜひ農水省を交えて合同会議をやられたらいかがでしょうか。

横光副大臣 警戒区域内の家畜の扱いについて、委員、先ほどから、中環審の動物愛護部会でも諮ったらどうかという御意見もございました。

 今いろいろとお話を聞いているうちに、確かに、これは家畜ですからちょっと分野は違うんですけれども、それでもやはりこういった意見があったということ、そして、こういったまずこれまで経験したことのないような事態が生じた中で、畜舎から解き放たれて放置されているこの家畜についてはどう対応すべきなのかということは、この動物愛護部会にちょっと報告をして意見を伺いたいなと今思いましたので、農水省の対応を含めながらちょっと意見を委員に聞いてみたいなと、このように思っております。

高邑委員 本当に心にしみ入る答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 もう一度アップでお見せいたしますけれども、ここはまだ空間線量が約四から五マイクロシーベルトあります。私も数十回伺いました。でも、そんな中でこの牧場を今やっておられる吉沢牧場長は、牛飼いの誇りにかけてこの牛たちを守っていくんだとおっしゃっているんです。私は、ここに多くの国民の皆さんが訪れて、このふくちゃんを初め、多くの亡くなっていった無実の動物たちにお花を手向けられるような、そういう日本人の心を失ってはならないと思います。

 動物の命を奪うのも人間であります。しかし、動物の命を生かしていくのも、またこれは人間ではないでしょうか。日本人の心を今示していく必要があるんじゃないか。それを被災地の皆さんの希望につなげるためにも、ぜひ検討会を開いていただけたらと思います。

 あわせて、毎年数十万匹の犬や猫が殺処分をされているという事実に対しても、私たち国民は目を背けてはならないと思います。あらゆる努力を行って、無駄に命を奪わない、そういう国をつくっていかなくてはならない、こういう決意をまた申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

生方委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時散会


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